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2012年4月19日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年4月19日(木)


○場所

厚生労働省 専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 奥 田 真 弘、 清 田   浩、

佐 藤 俊 哉、 清 水 秀 行、 田 村 友 秀、○土 屋 友 房、

中 島 恵 美、 浜 口   功、 前 崎 繁 文、 山 口 照 英、

山 本 一 彦、◎吉 田 茂 昭

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人3名

欠席委員(7名)五十音順

大槻 マミ太郎、 菊 池   嘉、 黒 木 由美子、 櫻 井 敬 子、

鈴 木 邦 彦、 半 田   誠、 増 井   徹

行政機関出席者

平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

赤 川 治 郎  (審査管理課長)

俵 木 登美子 (安全対策課長)

内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。
本日はお忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、大槻委員、菊池委員、黒木委員、櫻井委員、鈴木委員、半田委員、増井委員より御欠席との連絡をいただいております。
 現在のところ、まだ新井委員がお見えになっておりませんが、当部会委員数21名のうち13名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
なお、本日は三つの議題に関して、それぞれ参考人をお呼びしております。議題2に関しまして、京都大学医学部皮膚科の尾崎元昭先生、議題8及び9に関しまして、川崎市衛生研究所所長の岡部信彦先生、その他の事項に関しまして、国立成育医療研究センター治験推進室の中村秀文先生を参考人としてお呼びしております。
 申し訳ございませんが、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。 
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~14をあらかじめお送りしております。このほか、資料15「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料16「専門委員リスト」、資料17「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。また、当日配付資料として、資料18「佐藤委員からの御質問」を配付しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料17「競合品目・競合企業リスト」について御報告させていただきます。各品目の競合品目選定理由については、次のとおりでございます。
資料17を御覧ください。1ページのゴナックスですが、本品目は、前立腺癌を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。2ページを御覧ください。サレドカプセルですが、本品目は、らい性結節性紅斑を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。3ページ、ナゾネックスですが、本品目はアレルギー性鼻炎を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。4ページ、フィニバックスですが、本品目は化膿性髄膜炎を適応症としており、同様の適応症を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。5ページ、コルベット及びケアラムですが、本品目は関節リウマチを効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。6ページ、エジュラントですが、本品目はHIV-1感染症を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。7ページ、インターフェロンガンマ-1aですが、本品目は菌状息肉症及びSezary症候群を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。8ページ、イモバックスポリオですが、本品目は急性灰白髄炎の予防を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に、特段の御意見等がございますか。無いようでございますので、本部会の審議事項に関します競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況についてでございます。議題1「ゴナックス」、退室委員無し、議決に参加しない委員は奥田委員、前崎委員、山本委員です。議題2「サレドカプセル」、退室委員無し、議決に参加しない委員無しです。議題3「ナゾネックス」、退室委員無し、議決に参加しない委員は奥田委員、前崎委員です。議題4「フィニバックス」、退室委員無し、議決に参加しない委員は奥田委員、清田委員、前崎委員です。議題5「コルベット及びケアラム」、退室委員は山本委員、議決に参加しない委員は奥田委員、清田委員、前崎委員です。議題6「エジュラント」、退室委員無し、議決に参加しない委員は奥田委員、前崎委員、山本委員です。議題7「インターフェロンガンマ」、退室委員無し、議決に参加しない委員は奥田委員、前崎委員です。議題8及び議題9「イモバックスポリオ」、退室委員無し、議決に参加しない委員無しです。以上でございます。
○吉田部会長 本日は、審議事項が9議題、報告事項が4議題、その他事項が1議題となっております。本日は参考人の先生に来ていただいている関係上、その他事項、続きまして議題2及び議題8、9について、先に審議を行いたいと思います。それでは、その他事項について、参考人の中村先生より御説明をお願いいたします。
○中村参考人 その他事項議題1、資料12「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」です。
資料の3ページを御覧ください。今回、日本小児感染症学会及び日本感染症学会より小児用法・用量追加の要望が提出されております。資料12の3~5ページですが、要望内容における医療上の必要性について記載がされています。MRSAやVREは致死的な疾患であり、本剤は米国で小児用量が設定され、海外の教科書やガイドラインなどで、海外で標準的療法に位置付けられております。これを踏まえ、検討会議では、本要望について医療上の必要性が高いと判断されました。23ページです。枠内の3と書いてある行の一番右側の欄です。リネゾリドのCLは年齢に依存するということで、生後速やかにクリアランスが成人の2~3倍に上昇し、その後徐々に低下して12歳以上で成人と同様になると報告されております。このような性格は後ほど御説明します用法・用量に反映されております。
 効能・効果につきましては37ページですが、これは成人と同様の適応菌種及び適応症です。37ページの下から38ページにありますように、成人において本剤の薬物動態が国内外で類似していることが確認されており、小児においても同様に民族差の影響は受けにくいであろうと考えられることから、外国人小児での本剤の有効性に関するエビデンスを日本人小児に外挿することは可能と考えました。また、使用実態調査において、本邦の小児に対しても米国の小児用法・用量が主に用いられていることが確認されております。これらの結果を踏まえて、米国の小児用法・用量に従い、12歳以上の小児には成人と同一の「1回600mgを12時間ごと」、12歳未満の小児に対しては、CLが高いことを踏まえて、「1回10mg/kgを8時間ごと」に設定するのが適当と判断いたしました。
 なお、12歳未満の小児に対しては、1回600mgまでと1回投与量の上限を設定して臨床試験が実施されており、1回600mgを超えて投与された経験はほとんど無く、投与は推奨されないということ、39ページの表12が、先ほどのより詳しい薬物動態パラメータの表ですが、生後3か月未満の小児を対象に実施した臨床試験において、これは米国のデータですが、成人と比べると同じくらいですが、元々用量が多いもので、早産の生後7日目までの新生児でCLが他の小児より低い値を示すこと、また、生後7日目以降にCLが急速に増加して、体重当たりCLが、特に12歳未満では成人より高い値を取ることに関しては何らかの注意喚起をすることが適切と考えていますが、具体的には、申請後に審査の中で検討していただければと考えております。
 検討会議では、本邦において経口投与できる製剤は600mg錠剤のみと限られており、実際問題、12歳未満の小児では経口投与が困難であると考えられることから、海外で市販されている経口懸濁剤の導入を望む声が出されたことも併せて報告させていただきます。説明は以上でございます。
○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問等がございましたらお願いします。
○前崎委員 リネゾリドの成人では、血球減少が副作用としてよく問題になるのですが、小児の場合、これを見てみると30%程度なのですが、特に成人よりも少し血球減少が強く出るとかいうようなことはないのでしょうか。
○中村参考人 私の知識ではそのような認識は無いのです。無いというように確認いたしました。
○吉田部会長 ほかにございますか。基本的にその用法・用量に関しては、低体重児の者も含めて考えるという方向でよろしいですか。
○中村参考人 そうですね。臨床上のニーズと海外のデータを踏まえてということになるかと思います。
○吉田部会長 経口懸濁液に関しては、これはどのように考えたらいいのでしょうか。
○事務局 経口懸濁液なのですが、海外では販売されているということのようですので、国内でも導入できるかどうか、メーカーで検討いただいている状況でございます。
○吉田部会長 ということのようです。ほかにございますか。
○清水委員 今、先生の説明の中にもあったのですが、生後7日未満の患者さんへの適応を承認の時に添付文書の中に記載するかどうかを改めて判断してくださいという御意見ですか。
○中村参考人 いえ、実際ニーズがあると思われますので、注意喚起の中でどう取り扱うかというところを御判断いただく、それは審査の過程で最終的に結論をいただくのかと理解しています。
○清水委員 今回これで適応外の事前評価がなされれば、実際には臨床の場で使えるようになる中で、生後7日未満については、これから先にもう一度議論していただきたいということですか。それとも、米国の添付文書の情報を参考にすべきというような注意というか情報提供をした上でということでしょうか。
○中村参考人 はい、そう思います。
○吉田部会長 いずれにしても申請書類としてもう一度上がってきますから、その時に投与量はどのようにするかということも議論の対象になろうかと思います。
○中村参考人 アメリカの臨床現場では、より高用量も小児に実際に投与されている例もあるそうですが、元の論文も見てみましたが、やはりCLが確かに低いのだけれども、臨床現場での必要性とか、実際どれぐらいの血中濃度をターゲットとするかということも考えて決めないといけないというようなことが、ディスカッションの中で議論されていました。
○吉田部会長 よろしいですか。申請する時には、その辺の根拠を明確に出してもらいたいということの注文というようにお考えいただければと思います。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
それでは、その他の事項については御確認いただいたということにしたいと思います。中村先生ありがとうございました。
○中村参考人 ありがとうございました。
○吉田部会長 続きまして議題2に移ります。機構から概要の説明をお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品サレドカプセル50及び同カプセル100の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるサリドマイドは、本邦においては1958年から睡眠誘導剤、精神安定剤として販売が開始されましたが、臨床使用において催奇形性(サリドマイド胎芽病)が国内外で報告されたため、1962年に出荷停止、回収となり、薬事法上の承認が整理された経緯があります。しかしながら、その後、骨髄腫細胞の増殖抑制効果が着目されるようになり、多発性骨髄腫の治療薬として開発が行われ、本邦において、本剤は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果で、サリドマイド製剤安全管理手順(以下、TERMS)の下、薬剤管理及び妊娠回避の徹底等を遵守することを条件に、2008年10月に承認されています。
今回の申請は、効能・効果として「らい性結節性紅斑」(以下、ENL)を新たに追加するものです。ハンセン病は、抗酸菌の一種であるらい菌によって引き起こされる皮疹と末梢神経炎を中心とする慢性疾患ですが、ENLはハンセン病の経過において例外的に発現する極めて急激な炎症性変化であり、主要症状である発赤を伴う硬結、結節等の皮膚症状をはじめとして、末梢神経炎、虹彩毛様体炎、高熱、全身倦怠、関節痛等の種々の症状が発現します。これらに対する治療の遅れは、視力低下、運動麻痺、容貌変化等の不可逆的な障害を引き起こし、患者のQOLを著しく損ないます。
 日本ハンセン病学会による国内使用実態調査において、ENLを発症した患者は平成5年~21年の17年間で19例、1年当たり0~2名とされている、極めてまれな疾患です。
海外においては、2011年4月現在、本剤とは異なるサリドマイド製剤が、米国、オーストラリア、ニュージーランド、トルコ、イスラエル、メキシコ、ブラジル、タイ、韓国及びインドにおいて、ENLの適応で承認されています。
 本邦でのENLに対するサリドマイド製剤の使用は、「サリドマイドの取扱いに関するガイドライン」に基づき、国立ハンセン病療養所内に限り個人輸入による使用が可能とされていましたが、ハンセン病の治療が1996年から一般診療に組み込まれ、療養所外での診療が基本とされたことなどに伴い、ENLに対するサリドマイド製剤の承認が強く望まれてきました。
 このような背景の下に、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、本剤はENLに対し「医療上の必要性が高い」と評価され、2010年5月に、厚生労働省から申請者に対し開発要請がなされました。なお、本剤は、国内ENL患者数が極めて少ないことなどを踏まえ、2011年12月に希少疾病用医薬品に指定されています。
 本申請の専門委員としては、資料16に記載されています4名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について簡単に説明いたします。審査報告書18ページ下段、「(1)有効性及び効能・効果について」のページを御覧ください。サリドマイドのENLに対する有効性については、承認取得を目的とした臨床試験はいずれの国でも実施されていないものの、公表文献等に基づき評価し、ENLの主症状である皮膚症状に対しては、高い有効性が示されていると判断し、教科書、ガイドライン等の記載を踏まえ、医療上の必要性については広くコンセンサスが得られていると判断いたしました。一方、皮膚症状以外の症状に対する有効性については、評価し得るデータは非常に限られており、その有効性は明らかとまでは言えないと考えておりますが、ENL患者のほとんどは、主症状として皮膚症状を有することを踏まえると、効能・効果は単に「らい性結節性紅斑」とした上で、皮膚症状以外に対する有効性については明確なエビデンスが得られていない旨の情報提供を行うことが適切と判断しております。
 次に21ページの中段、「(3)用法・用量について」のページを御覧ください。機構は、ENL治療における用量範囲については、提出された資料に基づき1日当たり50~400mgとすることで大きな問題は無いと判断しております。一方で、用量の調節方法については、教科書、ガイドライン等においても具体的な記載は無く、確立された方法は無いと考えておりますが、投与に当たっては、必要最小限の用量が用いられることが重要と考えられること、また、用量依存的に発現する副作用も報告されていることから、低用量から開始し、コントロールの得られる用量まで漸増した後、症状の軽快に合わせて漸減する投与方法が妥当と考えております。したがいまして、用法・用量については、この旨を明確化した23ページ中段にあります記載とすることが適切と判断しています。
 23ページ中段、「(4)安全性について」の項を御覧ください。機構は、公表文献、国内の使用実態調査等においてENL患者で報告されているサリドマイドの副作用の種類は、既承認の多発性骨髄腫患者の臨床試験成績で報告されたものと同様であり、ENL患者に対しても催奇形性に対してTERMSが遵守されることを前提として、その安全性プロファイルは許容可能と考えております。しかしながら、ENL患者に対する投与は、多発性骨髄腫患者よりも長期に及ぶことが想定され、また、再燃による再投与が繰り返される場合も想定されることから、製造販売後調査等において、長期投与時の安全性についても情報収集する必要があると考えております。
 最後に26ページ下段、「(2)製造販売後調査計画について」ですが、機構は、本剤の国内外ENL患者に対する投与経験が無いこと、海外市販製剤の国内ENL患者に対する使用経験についても極めて限られていることなどを踏まえれば、再審査期間中は、投与症例全例を対象とした調査を実施する必要があると考えており、申請者からは、26ページ下段にありますように、末梢神経障害、血栓・塞栓症を重点調査項目とした観察期間最長128週間の調査を行うことなどが説明されています。
 以上の審査を踏まえ、27ページに記載のとおり、製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は、希少疾病用医薬品であることから10年とすることが適当と判断しています。
薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。参考人の尾崎先生からも御説明いただけるということですが、よろしくお願いいたします。
○尾崎参考人 概略につきましては、今詳しい説明がございましたが、少し補足させていただきますと、ENLは、高熱など全身症状を含めた激しい炎症性の反応を起こします。従来はステロイド剤を長期投与する形で使用することが多かったために、様々な問題を療養所などで起こしておりました。1970年代から日本でもサリドマイドを個人輸入形式で使用するようになりまして、こうしたENLのコントロールが非常に楽になりまして、ハンセン病の治療がスムーズに進むようになり、非常に優れた臨床効果を発揮しております。特にステロイド依存が無くなりましたので、そのような意味でも非常に患者のQOLが改善したことを私たちは経験しております。確かに非常に難しい薬で副作用もいろいろありますので、使用は慎重にしなければいけませんが、ハンセン病の治療には欠くことのできない薬となっておりますので、是非この際、認識を改めていただき、御承認いただければと願っております。確かに問題が多い薬ですので、数は少ないですが、輸入の患者は全例を調査して、きちんと検証していく作業が重要ではないかと、私たちハンセン病学会でも考えております。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いしたいと思います。安全管理については、多発性骨髄腫等で既に経験済みですが、ハンセン病ということで何か特別難しいこと等はありますか。
○尾崎参考人 ハンセン病学会では、そのような点を懸念しまして、ENLに対するサリドマイド診療ガイドラインを作成するとともに、学会の専門ネットワークを作っていますので、使用する一般病院の皮膚科の方々が、絶えずこうした学会のネットワークと連携して、治療及びサリドマイド薬の管理に支障が無いようにしたいと考えております。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。御意見はございませんか。特に無いようでございますので、議決に入りたいと思います。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。尾崎先生ありがとうございました。
 続きまして、議題の8、9に移りたいと思います。機構から概要の説明をお願いします。
○機構 審議事項議題8、資料13「医薬品イモバックスポリオ皮下注の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤は1型、2型及び3型のポリオウイルス強毒株をホルマリンで不活化した3種類の全粒子抗原を有効成分とする不活化ポリオワクチンです。本剤は1982年にフランス、1990年に米国で承認され、2012年4月現在、世界86か国で承認されております。1993年から昨年までに世界で2.7億接種回数分以上が販売され、その6割以上が米国での販売となっております。
ポリオウイルスの感染は、多くの場合、不顕性感染か、軽い感冒症状等を引き起こしますが、まれに急性弛緩性麻痺を発症することがあり、これが、いわゆるポリオ、急性灰白髄炎と呼ばれる疾患になります。ポリオに対する有効な治療法は無く、ワクチン接種による発症予防及び流行阻止が重要とされています。本邦で承認されているポリオの予防ワクチンは経口生ポリオワクチンであり、当該ワクチンの安全性について、有効成分である弱毒化ポリオウイルスがごくまれに病原性復帰し、ワクチン関連麻痺の原因となることも知られています。
 近年の中国における野生株由来ポリオの発生を受け、WHOは、西太平洋地域に対してポリオワクチンの高い接種率を緯持するよう求めていますが、国内の昨年秋の経口生ポリオワクチンの接種率は、75%程度との速報値が公表されています。
 一方、ワクチン関連麻痺の懸念が無い本剤のような不活化ポリオワクチンについては、昨年5月の予防接種部会において、早期の開発を進めるべきとの方針や多方面からの早期導入の強い要望、昨年10月の「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」での議論等が行われているところです。このような議論を受け、本剤は、国内臨床試験の3回接種後までの中間解析結果及びこれまでの海外臨床試験成績等をもって、サノフィパスツール株式会社より、本年2月に承認申請されました。
 本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料16にお示しした8名の委員です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
ポリオウイルスに対する中和抗体価は、採取した血清の希釈倍率で表され、中和抗体価が8以上であればポリオ発症を予防できるとされております。審査報告書17ページに記載しましたとおり、評価資料とされた実施中の国内臨床試験で、本剤の初回免疫である3回接種後のポリオウイルス1型、2及び3型それぞれに対する中和抗体価8以上の被験者の割合は100%であり、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。初回免疫後の追加免疫については、審査報告書20ページ、表4-6にあるとおり、海外臨床試験等において、追加免役後のブースター効果が認められており、実施中の国内臨床試験から、日本人に対する追加免疫に相当する4回接種後の結果は得られていないものの、本剤のブースター効果は期待できると考えております。
 安全性については、国内臨床試験の結果を審査報告書18ページ、表4-3及び4-4に、海外製造販売後の情報を審査報告書22~23ページに記載しています。国内臨床試験において臨床上忍容できない有害事象は認められておらず、海外製造販売後の情報においても着目すべき新たな有害事象も見られていないことから、本剤の安全性は忍容可能と考えております。なお、審査報告書29ページの安全性の項にありますように、ギラン・バレー症候群及びADEMと略される急性散在性脳脊髄炎について議論され、本剤接種との因果関係は明確ではないものの、海外で報告されていること等を考慮し、添付文書の接種上の注意の5.その他の注意の項において、注意喚起がなされております。
 製造販売後の検討としましては、審査報告書30~31ページにお示ししたとおり、本剤の接種時期である乳幼児期は熱性痙攣の好発時期と重なるため、痙攣及び高熱の発現頻度が把握可能な必要例数として、本剤とDPT等、ほかのワクチンを同時接種した小児又は本剤を単独で接種した小児のそれぞれについて、600例、合計1,200例を調査予定例数とした使用成績調査が実施される予定となっております。
 以上の機構における審査の結果、本剤は急性灰白髄炎の予防を効能・効果として、承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とし、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品に該当すると判断いたしました。本剤の承認に伴い、生物学的製剤基準に、資料14にお示しした本剤の基準が追加されます。本剤の承認の可否と併せて御審議いただければと思います。薬事分科会には報告を予定しております。
続きまして、部会委員から事前にいただいた御指摘、御質問に回答いたします。まず、庵原委員から、OPV接種率が低下した際には、野生株由来のポリオ流行以外に、OPV接種者等においてウイルスが病原性を獲得し、ワクチンを接種していない者への二次感染が起こり得ることにも留意すべきとの御指摘をいただいております。
これにつきまして、審査報告書4ページに記載しましたとおり、二次感染によるワクチン関連麻痺については、問題点の一つであると認識しております。本剤の導入につきましては、ワクチン未接種者に対して、病原性を獲得したOPV由来ウイルスの二次感染等を防ぐという観点からも、臨床的に意義があると考えております。
 同じく、庵原委員から、新添加物とされるフェノキシエタノールEPの安全性評価、特にアナフィラキシーとの関係について御質問をいただいております。
新添加物として、ラットにおける反復投与毒性試験等の非臨床試験成績が提出され、安全性上の問題は認められておりません。また、審査報告書の22ページに記載しましたとおり、本添加物が含まれている製剤を用いた国内外の臨床試験において、本剤接種後1週間以内にアナフィラキシー等の発現は認められておりません。
 次に、佐藤委員から資料18にありますような御質問をいただいております。IPV35試験の中間解析につきまして、中間解析という表現は、申請資料中の用語をそのまま用いております。ただし、内容につきましては、委員御指摘のとおり、その結果を踏まえて、統計学的なものを含めた何らかの判断をするというようなものではなく、実質的には、中間集計と呼ぶようなものと考えております。実施の手続きは、治験実施計画書において、事前に計画されておりました。
 また、もう一つの佐藤委員からの御質問ですが、冒頭申しましたように、現時点で3回接種後までのデータを見ていないわけですが、4回接種後までの最終集計データの提出を求め、添付文書等の改訂も含めて、適切な対応をとる予定でおります。
以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○吉田部会長 ありがとうございました。まず、庵原先生、今の回答でよろしいですか。
○庵原委員 特にありません。
○吉田部会長 佐藤先生いかがですか。
○佐藤委員 この資料を読ませていただいて、試験途中での申請で承認をするということで、今日、岡部先生がいらしていますが、検討会からの御意見なども十分伺った上で、機構もだいぶ苦労されて審査されたのではないかと思います。このような試験の途中の段階でも承認するのだというようなことを少しどこかに明記していただけないかということを考えていただきたいと思います。 
○吉田部会長 いかがですか。
○事務局 まず一つは、機構側の審査報告書に関しまして、マスキングの上、公表はさせていただく予定でございます。今、佐藤委員からの御意見もございましたので、議事録上記録として残させていただいて、4回目のデータにつきましては年末に出てまいります。その内容を見させていただいて、必要に応じて対応させていただきたいと考えております。
○佐藤委員 よろしくお願いします。
○吉田部会長 少なくとも20ページの表4-6が埋まっていない状況で審査を終了したということになると、確かに審査不足というようにも見えますので、御配慮をよろしくお願いしたいと思います。 
○岡部参考人 今の点ですが、日本脳炎のワクチンがMouse brainからVero Cellに変わった時にも、同じように、十分に最終的なところまでいっていないので、途中で了承した上であとを追加しています。ただし、それをきちんとエビデンスを重ねるというような経過は、かつて取ったことがございます。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○濱口委員 22ページの「海外における本剤の製造販売後安全性情報」というところがありますが、この承認申請書の中にある、臨床試験のデータというのが、非常に限られたデータで、国内のデータ、それからフィリピンのデータも決して十分な数ではないのかというように考えます。そこで、この安全性に関連しては、販売後安全性情報として、これまで6,800万~2億7,300万の本数が使われているということですので、そのデータ全体から、それぞれの細かいデータ、たとえばアジア人において、特段問題が無かったのかどうかということは、是非確認しておいていただきたいと思います。
○吉田部会長 いかがですか。
○機構 先生はもちろん御認識されているかとは思うのですが、参考資料で、フィリピンの試験として100例ぐらい、韓国の試験で200例程度の臨床試験成績が提出されておりまして、この安全性については詳細に確認をしております。あと、先生御指摘のPSURについてなのですが、臨床試験と同じような精度でというのは、なかなかいかないかもしれませんが、もう少し検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○岡部参考人 参考人で申し訳ないのですが、もし今回御承認いただけると、このあとでIPVのスムーズな導入に関する検討会が別に行われます。ただ、その時にここにおられる方ではなくて、一般に誤解が生じやすいのが、IPVが導入されると、もうすぐにでも、明日からでも使えるというような誤解があったり、そのために、今回、5月、6月、7月からOPVのシーズンが始まるのですが、接種を控えることによって、この1年間でかなり日本のポリオに対する接種率が下がっております。そのことは海外の状況を見ても、かなりリスクが高くなっている状況ですので、決してIPVが、ずっと待っていればいいというものではないので、できるだけそのほかのものも含めて、実用に入れると同時にポリオの免疫を高めることも、審査の方からも何らかの機会でおっしゃっていただけるといいと思います。
○吉田部会長 そのような事情もあるので、もし承認されると、接種を希望する人達が、かなりの数になりそうですね、待っている人もいるわけですから。その辺の体制は大丈夫なのでしょうか。
○岡部参考人 そのことも恐らくスムーズな導入の会議でも議題になるわけですが、あくまで単独なIPVは、DPTだけしか接種していなかったような方に接種をまず行うというのは、その前提にDPTやIPVの混合ワクチンがあるので、こちらが主流になっていく時に漏れ落ちてしまう人たちに対しても、きちんと免疫が出来るようにというのが一番の目的だと思いますので、説明の仕方が非常に難しいわけですが、皆さんがこのIPVに思いきりいってしまうと、おっしゃるような現象も危惧されているところです。
○吉田部会長 私どもが関与することではないのですが、この不活化ワクチンが認められると、ある程度定期的にとか、強制力を持った形で接種される見通しなのでしょうか。
○岡部参考人 現在の生のポリオワクチン、OPVも定期接種ではあります。したがって、ほとんど全員の方に受けていただくべく推奨しなければいけないわけですが、今度このIPVが導入されますと、このIPVもその次にくるであろうDPT、IPVの混合ワクチンも、定期接種としての扱いになるというようには聞いております。まだ、最終的に動いているわけではないと思いますが、動きはそういうことであると聞いています。
○吉田部会長 審査する側として、任意でないということになると、承認したことの責任の重さもかなり違ってきますので、覚悟の程を決めておかなければと思います。ほかによろしいでしょうか。
○清水委員 今、部会長からもお話が出ましたが、承認された後、医薬品の安定供給が可能な見通しというのは、きちんとつけていらっしゃるのでしょうか。新規の薬剤で上市後、供給不足になってしまって、供給が不十分で患者さんに待ってもらうというような事例も起こっているのですが、その辺の指導はいかがなものでしょうか。
○事務局 現在、申請者でありますサノフィパスツール社と関係部局でいろいろ推計をして、その供給量の確保の協議をしている最中でございまして、正に岡部先生からございましたように、来週月曜日にその導入の検討会がございます。そこで供給量の辺りの議論をしていただき、医療現場で混乱の無いように、また、欠品ということが無いような形で、いかに導入していくかというところを御議論いただく予定でございます。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。先ほど聞き漏らしたのですが、4回目以降の接種のデータに関しては、どうやって反映するということでしたか。皆さんに公表するということですか、それとも審査書類の追加として出すのでしょうか。
○事務局 4回目の接種のデータにつきましては、今年の年末に出てくる予定ですが、それについては、手続的議論はいろいろあるかとは思いますが、現時点では、一部変更申請という形で提出いただく予定です。ただ、現時点で承認いただく用法・用量は3回以上という形で、外国データも踏まえ4回目接種も含めた内容ということになりますので、実際はその用法・用量の記載の変更をさせていただく形になろうかと思います。
○吉田部会長 そうすると、報告事項か何かで上がってくるということですか。 
○事務局 どのような形で部会に御報告させていただくかは、少し検討をさせていただいて、必要があれば、また御報告させていただければと思います。
○吉田部会長 いずれにせよ一度確認した方がいいのではないかとは思います。ほかに御意見がございますか。無いようでございます。それでは、議決に入りたいと思います。
本議題について承認及び生物学的製剤基準の改正、議題9ですが、可としてよろしいでしょうか。
御異議がございませんので、承認及び生物学的製剤基準の改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。岡部先生ありがとうございました。
 議題1に移ります。機構から概要の説明をお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ゴナックス皮下注用80mg及び同皮下注用120mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明させていただきます。
 本剤の有効成分であるデガレリクス酢酸塩は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(以下、GnRH)受容体に対するアンタゴニストです。
本剤は、下垂体前葉にあるGnRH受容体を阻害することにより、GnRH刺激による下垂体からの黄体形成ホルモンの放出を抑制することを介して、生体内でのテストステロン産生系の一つである精巣由来のテストステロン産生を抑制し、アンドロゲン依存性腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられております。
 今般、本剤は「前立腺癌」に対して、アンドロゲン遮断効果を示す薬剤として承認申請されました。
本剤は、審査報告の5ページに示しますように、平成23年8月現在、海外において前立腺癌に関する適応にて55か国で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料16にございますとおり10名の委員です。
以下、本剤の臨床試験成績を中心に説明いたします。
 今回の承認申請では、主な臨床試験として、国内で実施された第II相試験及び海外で実施された第III相試験が提出されました。
有効性について、審査報告書53ページ下から2行目以降、及び93ページ下から5行目以降に示しますように、海外第III相試験からは、アンドロゲン遮断療法が必要な前立腺癌患者において、対照と設定されたリュープロレリン群と同様に高い累積去勢率が認められており、国内第II相試験でも海外試験と同様の去勢率及び一定の腫瘍縮小が認められていることから、当該患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性について、本剤の使用において注意すべき有害事象として、審査報告書55ページ上から2行目以降及び94ページ上から29行目以降に示しますように、注射部位反応、肝機能障害、間質性肺疾患、心血管障害及びQT間隔延長が認められており、アンドロゲン遮断療法で既知の有害事象と共に注意が必要と考えております。
これらの有害事象については、がん薬物療法に精通した医師による慎重な観察と適切な処置により忍容は可能と判断いたしました。ただし、審査報告書69ページ下から5行目以降及び96ページ上から1行目以降に示しますように、本剤を長期投与した場合、GnRHアゴニストとの切替えを行った場合、及び内分泌療法剤を含む他の抗悪性腫瘍剤と併用した場合の安全性情報は限られることから、製造販売後には当該不足情報を収集することを目的とした製造販売後調査を実施し、安全性情報を迅速に収集する必要があると判断いたしました。
 効能・効果については、審査報告書66ページ上から9行目以降及び95ページ上から14行目以降に示しますように、本剤は前立腺癌の病期によらずアンドロゲン遮断効果が認められており、アンドロゲン遮断療法は前立腺癌の各病期において患者の状態に応じて実施が考慮されることから、申請どおり「前立腺癌」と設定することが適切であると判断いたしました。
 用法・用量について、審査報告書67ページ下から6行目以降及び96ページ上から12行目以降に示しますように、初回用量240mg、濃度40mg/mL、2回目以降の維持用量80mg、濃度20mg/mLと、初回投与時と維持投与時に使用するバイアル、投与量、薬液濃度が異なることについて、十分に情報提供する必要があると判断し、用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意を設定しております。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当であり、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。
 なお、佐藤委員から、事前に審査報告書40ページ目の本薬の吸収に関する項について、字句の修正を御指摘いただきました。御指摘いただきましたとおりであり、適切に修正させていただきます。ありがとうございました。
本剤の製造販売承認の可否等ついて、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。佐藤先生、よろしいですか。
○佐藤委員 単なる語句の修正だけです。
○機構 これから修正いたします。
○奥田委員 この製剤は試験の途中で合成法が変更になっていて、□□□□から□□□□、□□□から□□□に変わって、実際に吸収がかなり変わっていることが途中で示されているのですが、その吸収に影響を及ぼす要因について文中に記述はされているのですが、□□□□と□□□□との製造法の違いによる吸収の違いというのが、どのような原因によるのかは分かっているのでしょうか。
○機構 今、手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんので、既に原因が分かっているのかどうかは後ほど確認させていただきます。
○奥田委員 AUC、Cmaxが2倍ぐらい違うというデータが出てきているので、もしその辺の変動に及ぼす要因が分かっているのであれば、情報が提供された方がいいかと思いました。
○機構 製造法の違いにより吸収が異なる原因を申請者に確認するとともに、情報提供の必要性を含めて、もう一度検討させていただきます。ありがとうございます。
○吉田部会長 そうすると、今はお答えできないので個別にお答えしたいということになるのでしょうか。
○機構 手元に詳しいデータがございませんのでお答えできないのですが、原因がはっきり分かるようであれば、必要に応じて臨床現場の先生方に情報提供させていただきたいと思います。
○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。
○中島委員 リュープロレリンに比べて、注射部位の疼痛などの副作用が強いようですが、先ほどの御説明ではそのまま放置して忍容できるということでしたが、その理由と放置しても構わないということを添付文書などに書かなくてもよろしいのかという気がしたのですが、いかがでしょうか。
○機構 臨床試験では発現割合は高いのですが、グレード1、グレード2の軽度なものがほとんどで、自然に軽快、特に処置無く軽快している症例がほとんどでした。一部中止に至った症例はあるのですが、そういった症例におきましても、自然に回復はいたしております。
○吉田部会長 疼痛の発現頻度は高かったけれども、処置を要するものは無かったというようなことを言えば、情報は伝わるのではないでしょうか。
○機構 分かりました。その点に関しては情報提供いたします。
○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。泌尿器科の先生にお伺いしたいのですが、アンタゴニストとアゴニストというのは、どのような使い方になるのでしょうか。
○清田委員 今までの既存のリュープリンとゾラデックスというのですが、その場合、初回投与時にテストステロンは一過性に上がるのです。そこはフラッシュと言いまして、一過性ですけれども、癌を増悪させる可能性があるというのが、今までのお薬で、今回のものはアンタゴニストですので、そのようなものは無くて、最初から癌の発育を抑制するというのが、大きな違いです。長期的に見れば、同じような効能になろうかと思いますが。
○吉田部会長 片方が効かなくなったら、片方も効かなくなるのですね。ホルモン依存性の問題だけですから。
○清田委員 そうですね。ですから、片方にチェンジすることはまず無いと思います。
○吉田部会長 どちらかを使って、効きが悪かった時に、さらに効きをよくすることはできるのですか。そんなことも余り関係無いのでしょうか。
○清田委員 関係無いですね。
○吉田部会長 純粋な化学反応というか、そういうことですね。
○清田委員 既存の2薬剤との違いはそこだけです。ほかには違いがありません。
○吉田部会長 むしろ腫瘍の側が、どれだけホルモン依存性があるかによって、病態が変わってしまうということになるわけですね。
○清田委員 そのとおりです。
○吉田部会長 ということのようです。2剤一緒に使うことはあり得ないということですね。分かりました。ほかに御意見はございますか。
○庵原委員 これは前立腺癌の治療とは別の話なのですが、リュープロレリンだと思春期早発症に適応があるのですが、この薬は海外ではそのような適応は持っているのですか。それとも、持っていないのでしょうか。もし持っていましたら、国内で今後、理屈から言えば、こちらの方が効果のあるように読めるのですが、そのような方向で今後進むのでしょうか。その2点を確認したいのですが。
○機構 現時点では、本剤は前立腺癌のみの適応となっております。
○庵原委員 諸外国でもですか。
○機構 諸外国でもです。海外での思春期早発症に対する開発状況については、申請者にもう一度確認いたします。
○吉田部会長 ほかに御意見はございますか。無いようでございますので、議決に入ります。なお、奥田委員、前崎委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題3に移ります。機構から概要の説明をお願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用及び同点鼻液50μg112噴霧用の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 本剤は、副腎皮質ステロイドであるモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を有効成分とする定量噴霧式点鼻剤です。本邦において、本剤は、アレルギー性鼻炎治療薬として2008年に承認されており、今般、新たに小児用量を追加するための申請がなされたものです。
海外において、2011年11月現在、本剤はアレルギー性鼻炎治療薬として131の国及び地域で承認されており、そのうち119の国及び地域で小児の適応を有しています。
 本申請の専門委員としては、資料16に記載されている4名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について御説明いたします。まず、審査報告書11ページ中段、「(1)国内第III相試験」の項を御覧ください。5歳以上15歳以下の通年性アレルギー性鼻炎患児を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討するため、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。用法・用量は、成人においては国内外で本剤の用量反応性に大きな違いは無いこと、類薬において成人、小児共に、国内外の推奨臨床用量は同様であること等を踏まえまして、11歳以下では1日当たり100μg、12歳以上では1日当たり200μgと設定されました。試験の結果ですが、表1に示しますように、有効性の主要評価項目である投与終了時の4鼻症状スコアのベースラインからの変化量は、本剤群で3.9、プラセボ群で1.9、本剤群とプラセボ群との差は2.08であり、本剤のプラセボに対する優越性が検証されています。また、本剤については、11歳以下と12歳以上で用量が異なることから、12ページの表2に、年齢層別の4鼻症状スコア変化量を示しています。本剤群とプラセボ群との差は、5歳~11歳では1.55、12歳~15歳では3.12であり、年齢層別での有効性についても特段の問題は無いと判断しています。以上より、日本人アレルギー性鼻炎患児に対する有効性は示されているものと判断いたしました。
 安全性については12ページの表3に、国内第III相試験において、いずれかの群で2例以上に認められた有害事象を示しておりますが、プラセボ群と本剤群で大きな差は認められておりません。また、17ページ下段からの「(2)安全性について」の項において、国内第III相試験と国内長期投与試験の年齢及び体重別での有害事象の発現状況について検討を行い、年齢及び体重により安全性プロファイルが大きく異なる傾向は示唆されていないと判断いたしました。
 10ページの臨床薬理試験成績の「審査の概略」を御覧ください。本剤は副腎皮質ステロイドであることから、全身性の有害事象として懸念される副腎皮質機能及び成長への影響が臨床試験で検討されました。これらの臨床試験において、臨床的に問題となる影響は見られなかったこと、本剤点鼻投与後の全身ばく露が低いことを踏まえると、本剤の投与により副腎皮質機能や成長への影響等の全身性有害事象が発現する可能性は低いと判断いたしました。しかしながら、海外市販後において、まれではあるものの副腎皮質機能や成長への影響に関する事象が報告されていることから、添付文書等において適切に情報提供すると共に、関連する有害事象について十分な情報収集に努める必要があると判断しております。
 製造販売後調査については、21ページの「(1)製造販売後調査等について」のとおり、アレルギー性鼻炎患者300例程度を対象に、24週以上の長期投与データも可能な限り収集する製造販売後調査を実施して、年齢、体重等の背景因子別での検討が可能となるよう考慮した上で、使用実態下での安全性及び有効性を検討する予定としております。
 以上の審査を踏まえ、21ページの「III.総合評価」のとおり、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。また、再審査期間は残余期間(平成28年7月15日まで)とすることが適当と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。
 また、事前に庵原委員より御質問をいただいております。審査報告書の9ページですが、成長への影響のところで、本剤投与群の方が身長の伸びが良くなっているというところの原因は不明とされているが、本剤にはアンドロゲン様作用は無いか、また、使用者の方の最終身長が低くなるという外国からの報告は無いかとの御質問です。
 本剤のアンドロゲン様作用により成長が促進した可能性につきましては、申請者の説明によりますと、in vitro試験においてはアンドロゲン様作用を示唆する結果も一部の試験で得られていますが、in vivo試験ではそのような作用は認められていないこと、薬物動態を検討した臨床試験において本剤を投与した際の血中濃度は低く、ほとんどは検出限界以下となっていることから、アンドロゲン様作用が影響した可能性は低いと考えるとのことでした。
 機構としましても、臨床試験において本剤群の身長がプラセボ群より高くなった原因については明確にはなっておりませんが、プラセボ群との差はわずかであること、ステロイドにおいて一般に懸念されるのは成長の抑制であり、類薬も含めてステロイドの投与により成長が亢進したとの報告は無いことから、臨床使用の条件において本剤が成長を亢進させる可能性は低いと考えております。
 また、最終身長への影響に関する報告の有無についてですが、本剤について最終身長を検討した臨床試験は海外においてもございませんでした。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 庵原先生、今の回答でいかがですか。
○庵原委員 回答には特に異存無いのですが、なぜメカニズムは分からないけれども、身長が伸びるのかということで、その原因が分かれば良いと思っただけです。
 別件ですが、12ページの表2のところです。この説明文書にも書いてあるのですが、5~11歳の年齢層のところで、プラセボとの比が95%の信頼区間が1を跨いでしまっているのです。一般的に1を跨ぐと、有効性は無いと判断されるのが考え方です。これが、あとの説明で、このスコア自体が子どもには不適切だというような文章は並べてあるのですが、このデータで承認していい理由は、何かほかにあるのですか。その辺の説明をお願いします。
○機構 表2には、プラセボとの比ではなく差を記載しております。第III相試験は、年齢層別でそれぞれ有意差を出すようには設定されておらず、有効性の主要解析については、年齢層で区別せずに全体集団で本剤群のプラセボ群に対する優越性を検証するというものになっております。全体集団で優越性が検証されていること、低年齢では高年齢に比べ有効性が小さい傾向がみられたものの、低年齢においてもプラセボとの差の95%信頼区間の下限は0を上回っていること、審査報告書にも記載をしているのですが、低年齢では鼻の症状の評価が難しいことを踏まえて、低年齢でも有効性はあると判断しております。
○吉田部会長 順序としては、試験が終わってサブセット解析を見たら、高年齢層の方に有意差が出ていて、低年齢層は余り顕著でなかったけれども、恐らくそれは所見が取りにくかったせいではないかと考えるということですね。そうすると、表2というのは考察ですね。
○機構 はい。あくまでも表1が主要な解析であって、表2がサブグループの解析という形になります。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○清水委員 日本の申請では、小児の適用に下限は付けていません。米国では2歳~11歳、欧州では6歳~11歳というように、海外臨床試験のデータにはなっているのですが、今回下限を付けなかったことの理由は、どのように説明されるのでしょうか。
○機構 用法・用量の方では、年齢の下限は記載していないのですが、添付文書の「小児等への投与」の項で、3歳未満には国内における使用経験が無いことを情報提供させていただいております。
○吉田部会長 承認に当たっては、年齢制限は設けないということなのですね。
○機構 はい。用法・用量としては、特に年齢の下限は設けないということです。
○吉田部会長 庵原先生に伺いたいのですが、このような薬というのは、例えば24週というのはありましたが、ずっと使うのでしょうか。それとも、それほど長期間使うものではないのでしょうか。
○庵原委員 一般的には、症状が強い時には使って、症状が治まれば少し控えるなり止めます。
○吉田部会長 連続的にずっと使うということは、ほとんどないのですね。
○庵原委員 それはないと思います。これはあくまでも治療薬で、予防薬ではない使い方ですので、季節ごとに症状に応じて使っていく形だと思います。
○吉田部会長 ステロイド云々とあるので気がかりになったのですが、それがずっと蓄積されてしまうような使い方ではなくて、使ったり使わなかったり、断続的というか、そのような使い方ですね。
○庵原委員 そのような使い方です。喘息のステロイドの吸入も、大体ガイドラインがそのような使い方になっていますので、これも大体同じような使い方だと思っています。
○吉田部会長 そのような使い方でしたら、服薬後の影響に関しては、余り神経質にならなくてもいいのかもしれませんね。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
御意見も出ないようですので、議決に入ります。なお、奥田委員、前崎委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして議題4です。機構からの概要の説明をお願いします。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品フィニバックス点滴静注用0.25g、同点滴静注用0.5g、及び同キット点滴静注用0.25gの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明させていただきます。
 本剤は、塩野義製薬株式会社が創製しました注射用カルバペネム系抗菌薬であり、本邦では、各科領域の感染症に対する適応として平成17年7月に承認され、その後、平成23年4月に重症・難治性の感染症に対する高用量の用量が追加されています。
 小児における主な細菌感染症として、呼吸器感染症、中耳炎、尿路感染症及び腸管感染症等があり、その原因菌として、肺炎球菌及びインフルエンザ菌の頻度が高く、肺炎球菌では、ペニシリンをはじめ多くの抗菌薬に耐性を示すPRSP等の薬剤耐性菌の増加が非常に問題になっています。また、小児感染症では死亡率が高く、高頻度で後遺症を残すとされる化膿性髄膜炎が問題とされており、「細菌性髄膜炎の診療ガイドライン」では、起炎菌が不明な場合の初期治療、並びに想定される起炎菌がグラム陽性球菌又はグラム陰性桿菌の場合の標準的治療薬として、カルバペネム系薬が推奨されております。
今般、このような背景を踏まえ、小児における用量追加及び化膿性髄膜炎を効能追加とする製造販売承認事項一部変更申請が行われております。
 本品目に関する専門協議に際し、本剤の専門委員としては、資料16にある4名の委員を指名しました。
 機構の審査内容のうち、本剤の臨床評価について概略を説明させていただきます。審査報告書23ページの表を御覧ください。肺炎、腎盂腎炎、中耳炎及び敗血症等の小児一般感染症を対象に実施された臨床試験において、有効性評価対象集団である95例における投与終了時の臨床効果は96.8%でした。また、審査報告書24ページの下の表を御覧ください。当該臨床試験での細菌学的効果について、92.0%の消失率が認められております。以上の結果から、小児一般感染症に対する本剤の有効性は期待できると判断しております。
 次に審査報告書26ページの表を御覧ください。化膿性髄膜炎については、有効性の評価が可能であったすべての症例で臨床効果が著効又は有効であったこと、細菌学的効果の評価可能な症例は、併用例の3例のみでしたが、すべての症例で消失していること、本剤は髄液への移行性が認められており、化膿性髄膜炎の主な起炎菌に対する有効性は薬物動態の観点からも期待できると考えられることから、本剤は小児化膿性髄膜炎に対し一定の有効性が期待できると判断いたしました。
 なお、成人の化膿性髄膜炎については、臨床試験における組入れはなかったものの、使用実態調査において本剤が成人化膿性髄膜炎患者3例に使用されており、いずれも有効と判断されていること、本薬の髄液中濃度は小児と成人で大きな差異は無いと考えられたことから、成人の化膿性髄膜炎に対しても有効性が期待できると判断しております。
しかしながら化膿性髄膜炎については、本剤が投与された症例数が非常に少ないことから、製造販売後の調査において、有効性及び安全性に関する情報収集を行う予定としております。
 次に安全性についてですが、審査報告書28ページの表を御覧ください。これまでに実施された成人での国内臨床試験成績と比較した結果、小児では、下痢、嘔吐、接触性皮膚炎及び血小板数増加の発現が多く認められるものの、下痢、嘔吐、血小板数増加は既知の事象であり、接触性皮膚炎の多くは、おむつとの接触により生じたと判断されていることから、小児において安全性に関して特段の懸念は無いと判断いたしました。
 以上のような審査を行った結果、本剤の小児の一般感染症及び化膿性髄膜炎に対する有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は忍容可能と判断いたしました。なお、本申請では追加の適応菌種としまして、髄膜炎菌及びリステリア菌が挙げられていましたが、国内外の臨床試験及び文献報告等における検討症例が無く、臨床的な有効性は評価できないと考えられたことから、適応菌種に含めることは適切ではないと判断いたしました。
 本申請は新効能及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年と設定することが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。
○前崎委員 ドリペネムについては成人の時もお伺いしたと思うのですが、日本の抗生物質は用量が少ないので、最近は用量を増やそうということがあるのですが、この薬剤に関しては、成人の場合は米国の倍量を投与できるということで、そのような面ではアメリカでは小児の適応症も無いのですが、アメリカの状況と日本がこれだけ違うというのは、どこに原因があるのでしょうか。
○機構 本剤に関しましては、塩野義製薬が創製したこともあり、日本で積極的に開発を開始したことがあります。その結果、本剤は、当初は0.5gを上限として承認され、平成23年には1回1g、1日3回というのが成人での高用量として設定されております。小児における今回の用法・用量については、20mg/kgが成人の1回0.5gとほぼ合いますし、40mg/kgの用量は、成人の1回1gとほぼ合うということで用量設定され、今回、小児の臨床試験を実施した結果、有効性が示されたということで、今回の承認申請に至っているということです。
○前崎委員 米国では、特に安全性そのほかで問題になっているとか、有効性そのほかで問題になっているということはないのでしょうか。
○機構 そちらは、審査報告書の31ページを御覧ください。海外では、現在実施中の臨床試験も含め、いろいろな臨床試験が実施されております。そのうち、成人の人工呼吸器関連肺炎患者を対象とした臨床試験が早期中止されました。これに関しては、対照薬にチエナムが置かれているのですが、本剤と対照薬の投与期間が異なっており、本剤に関しては7日間、チエナムに関しては10日間という投与期間が設定されております。その結果、本剤の有効性について、本剤の投与期間ではなかったことが考えられますが、対照薬と比較して有効性が若干劣る傾向が認められたということから、早期中止されたと考えております。その他、小児に関しては様々な疾患を対照に開発されておりまして、化膿性髄膜炎に関しましても、開発の計画はされているようです。
○前崎委員 確かにVAPのデータについては、本当にドリペネムの高用量が有効であるかどうかというのは、臨床的にも少し問題が出てきているので、子どもについては、海外のものが出てきたら是非きちんと判断していただきたいと思います。
 もう1点は、髄膜炎はヘモフィルスインフルエンザが原因菌の場合はピペラシリンと併用群です。もちろん単剤で有効なこともあるのでしょうが、ヘモフィルスインフルエンザは髄膜炎の原因菌としては、子どもの場合は多いわけで、ペントシリンとの併用群で有効であったということの情報は伝えなくてもよろしいのでしょうか。
○機構 本剤に関しましては、化膿性髄膜炎を対象とした臨床試験のデータが非常に少ないということもありますので、情報提供する資材の方で、この臨床試験成績を詳細に情報提供したいと考えています。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○庵原委員 先ほどの質問との関連ですが、26ページの表のところです。インフルエンザ菌の場合は、体重当たりの投与量が30mg/kgで、もう一つ上の3例は40mg/kgで投与されているのですが、これは治験の計画がこのような投与量でということになっていたわけですか。
○機構 はい。
○庵原委員 しかし、実際、ヘモフィルスに対しても40mg/kgで認めるという流れですか。そこの確認です。
○機構 国内臨床試験においては、まずは高用量を投与するに当たり、30mg/kg、40mg/kgとステップを踏んで臨床試験を実施しておりました。そのために、30mg/kgが先に使用される実態がありまして、その後40mg/kgに関するデータを取得しており、30mg/kgでの安全性が十分に確認された後に、40mg/kgにステップアップしていくというような状況で実施しております。
○吉田部会長 ほかにございますか。御意見が出ないようですので、議決に入りたいと思います。なお、奥田委員、清田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題5をお願いいたします。なお、山本委員におかれましては、議題5の審議の間は別室で御待機いただくことといたします。
── 山本委員退室 ──
○吉田部会長 機構からの説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品コルベット錠25mg及びケアラム錠25mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるイグラチモドは、富山化学工業株式会社において合成された新規の疾患修飾性抗リウマチ薬(以下、DMARD)です。本剤は2003年9月に関節リウマチ(以下、RA)を効能・効果として製造承認申請が行われましたが、海外臨床試験において125mg/日の高用量投与時に汎血球減少症による死亡例が見られ、肝機能障害も比較的高頻度に発現していること、また、本剤は主として生物製剤が使用できない患者において、RAの標準治療薬であるメトトレキサート(以下、MTX)に上乗せして使用されることが想定され、肝障害、骨髄抑制等を副作用として有するMTXとの併用時における安全性に懸念があったことから、審査の過程において、本剤とMTX併用時の安全性を検討するための追加臨床試験を実施すべきとの結論に至り、申請が一旦取り下げられております。その後、MTX効果不十分なRA患者を対象に、MTX併用時の有効性及び安全性を検討する追加臨床試験が実施され、今般、改めて製造販売承認申請が行われました。
 2011年8月現在、本剤の海外での開発は行われていませんが、中国において、本薬を有効成分とする本剤とは異なる製剤が申請者とは関係の無い別企業により開発され、活動性RAを対象として、1回25mgを1日2回経口投与するという用法・用量にて承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料16に記載されている10名の委員を指名いたしました。主な審査内容について簡単に説明いたします。
 審査報告書54ページ、「(6)国内第III相比較試験」の項を御覧ください。主要臨床試験として、国内活動性RA患者を対象に、本剤のプラセボに対する優越性及びサラゾスルファピリジンに対する非劣性を検討するため、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。なお、本試験における本剤の用法・用量は、肝機能障害の発現率を低下させるために、漸増法が採用されており、投与開始4週間までは25mg/日(分1)で、5週目以降は50mg/日(分2)の経口投与とされています。サラゾスルファピリジンについては、1000mg/日(分2)とされています。
 有効性の結果について、54ページの下から7行目以降に示していますが、主要評価項目である投与後28週の優越性解析対象集団におけるACR20改善率は、本剤群では53.8%、プラセボ群では17.2%であり、本剤群のプラセボに対する優越性が検証されました。また、次のページの表14に示していますように、非劣性解析対象集団における本剤群とサラゾスルファピリジン群間のACR20改善率の差の95%信頼区間は[-7.9、18.7]であり、信頼区間の下限値が、事前に設定された非劣性限界値-10%を上回ったことから、本剤群のサラゾスルファピリジン群に対する非劣性が検証されました。
 次に、審査報告書の65ページ、「(13)国内第III相MTX併用試験」の項を御覧ください。MTX効果不十分な日本人RA患者を対象として、本剤とMTXの併用投与時の有効性及び安全性をMTX単独投与時と比較検討するため、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。本試験における用法・用量は、本剤については先ほどの試験と同様に投与開始4週間までは25mg/日(分1)、5週目以降は50mg/日(分2)の漸増投与とされ、MTXは6~8mg/週とされています。その結果、66ページの表24に示していますように、主要評価項目である投与24週におけるACR20改善率は、本剤とMTXの併用群であるTM群では69.5%、MTX単独群であるPM群では30.7%であり、TM群のPM群に対する優越性が検証されました。これらの成績より、機構は、関節リウマチに対する本剤単独投与時の有効性並びに本剤の主な投与対象と想定されるMTX効果不十分例に対する、本剤とMTX併用時の有効性は示されたものと判断いたしました。
 次に、71ページ以降、「(3)安全性について」を御覧ください。本剤の臨床試験において認められた主な有害事象として、まず125mg/日と申請用量より高用量の発現ではありますが、海外臨床試験において汎血球減少症による死亡例1例、国内臨床試験においても100mg/日の用量で汎血球減少症1例が認められ、血液障害については用量依存性が認められています。また、74ページに示していますように、ALT又はASTの上昇が高頻度に認められています。ALT又はASTの上昇については、表32に示していますとおり、漸増法により発現率の低下が認められていますが、漸増法においても約20%の被験者で認められています。また、本剤はプロスタグランジン産生抑制作用を有しており、当該作用に関連すると考えられる胃腸障害や腎機能障害も比較的高頻度に認められておりますようにMTX併用時の安全性については、80ページ以降に示しています。汎血球減少症、肝障害等については、明確なリスクの増大は認められませんでしたが、胃腸障害、腎機能障害等の発現リスクの増大が示唆されております。
 これらの安全性情報を踏まえ、本剤については、特に血液障害、肝機能障害、胃腸障害、腎機能障害等に十分な留意が必要と考えられますが、これらは既存のDMARDにおいても見られる事象であり、期待し得るベネフィットを踏まえれば、リスクは許容可能なものと判断しています。ただし、本剤の臨床使用に当たっては、用量の遵守を徹底すること、定期的な血液検査を義務付けること、本剤の使用を専門医に限定すること等の十分な安全対策を講じる必要があると判断しております。
 さらに、審査報告書の90ページ、「(3)製造販売後調査について」の項に記載しておりますように、本剤が投与された症例のデータが一定数集積されるまでの間は、投与症例全例を対象とした製造販売後調査を実施し、当該調査において、臨床試験では検討されていないが、実臨床では重要な情報と考えられる、1.8mg/週を超えるMTXとの併用時の安全性データ、2.MTX以外のDMARDや生物製剤との併用時の安全性データ、3.MTX併用時の低体重患者や70歳以上の高齢者の安全性データ等を可能な限り速やかに収集し、臨床現場に情報提供する必要があると判断しています。
 以上の審査を踏まえ、91ページに記載のとおり、全例調査の実施に関する承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、本申請に係る再審査期間は8年、また、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、佐藤委員より、事前に御質問をいただいております。資料18の1ページ目を御覧ください。御質問の内容ですが、本剤は「審査報告書3ページ、下から11~12行目の標準治療薬であるメトトレキサートに上乗せして使用されるものと想定され」ており、89ページ、下から5行目の専門協議でも、「本剤とMTXとの併用効果が示された意義は大きく、治療の選択肢として期待できるとの意見が提出された」と述べられています。しかし、MTX併用試験でのTM群とPM群のACR20/50/70での改善割合の差と95%信頼区間を国内第III相試験における本剤群とプラセボ群の差と比較すると、表のとおり、ACR20/50/70のすべてにおいてほぼ同じ成績となっており、少なくとも相加的以上の効果は無く、MTXと併用する意義は無いようにみえます。
したがいまして、本剤の位置付けとしては、MTXで効果不十分な患者に対して、併用ではなく単独で、またMTXの使用が困難な患者への使用が適切なように思えますが、この点について機構の考えを教えてくださいとの御質問です。
 両試験につきましては、患者背景が異なっていますので、単純比較は困難と考えております。また、御指摘の点につきましては、専門協議においても議論がございました。専門協議では、臨床担当の委員より、関節リウマチの治療においてMTXで効果が不十分な場合には、他剤に切り替えるのではなく上乗せするのが一般的であること、また上乗せが考慮されるのは、通常MTXである程度の効果が出ているものの、十分な効果には至っていない場合であり、両剤の相加的な効果によって、より高い治療効果が得られることは意義がある。特にACR50及び70において、本剤単独投与時よりも、MTX併用時で10%程度高い改善が期待できることは意義があるとの御意見が出されました。また、DMARD同士の併用効果については、エビデンスが乏しい中、臨床使用されているのが実情であり、今般のように効果が検証された意義は大きいとの御意見もありました。
 以上のような議論も踏まえ、機構は、MTXで効果不十分な患者に対しては、必要に応じて本剤を上乗せする妥当性は認められると考えております。説明は以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○吉田部会長 佐藤先生、今の回答はいかがですか。
○佐藤委員 その患者にとって一番メリットがあるのは、メトトレキサート単独では効いているのだけれども、ACR20基準は満たしません。本剤単独でも、効いているのだけれどもACR20は満たさなくて、足すことで相加的に合わせ技一本のような形でACR20を満たして有効と判定できるような患者は一番メリットがあると思いますけれども、もしそのような患者がいるとすれば、それぞれ単独の治療効果に比べて、メトトレキサート併用の方の差が少しよくなるはずなのです。本来だったら、単独では効果が無い人が合わせて増えるわけですから、単純にACR20の改善割合が足し算ではなくて、少し多めに改善の効果が出てくれるはずなのですが、これを見ると、そのような方は余りいらっしゃらないようで、比較試験のプラセボ対照の差と併用試験でのメトトレキサートとの差はほとんど同じであるという結果になっています。
 もう一つ考慮できるのは、上乗せすることでもっと効いてくれるのではないかということがあって、ACR20は満たしているけれども、それよりももっと効くところを狙ってというところがあるのだと思うのですが、それもどうもACR50、ACR70を比較すると、どちらも同じぐらいの改善割合の差しか持っていませんので、それも余り期待できないのではないかという気が、この成績を見るとどうしてもしてしまうのです。
 確かに臨床上は、MTX効果不十分の方に対しては上乗せをするというのがそうなのかもしれませんが、このデータを見る限り、上乗せして使うメリットは無いように思えて仕方がないのですが、そこをなぜ上乗せでいかなければいけないのか、常識だとおっしゃられている根拠は何なのかというのが、私には専門外なのでよく分からないのですが、そこはどうしてなのでしょうか。
○機構 MTXが現状のRA治療においては標準治療と位置付けられておりまして、本剤を使うためにある程度効いているMTXを投与中止するという形よりは、本剤を上乗せして、さらに効果を引き上げるという形が一般的ではないかと考えております。
○吉田部会長 話が行き違ったままになっています。要するに佐藤先生がおっしゃりたいのは、どうせそれを単剤で認めているのだから、ことさらMTXがどうのこうのと言う必要が本当にあるのかということなのではないかと思うのです。一方、事務局の方は、一般的にMTXは普通のリウマチの治療では離せないので、MTXの関係で位置付けてやった方が、臨床の人たちには分かりやすいのではないか、ということなのではないかと思うのですが。
 個人的に言わせていただけば、あくまでもこの承認は単剤で承認するのではあって、MTXと併用するという条件下で承認するわけではないので、こだわらなくてもいいとは思うのですが、審査報告書としては少しおかしいのではないかということは、確かに言えるかもしれません。差がACR20とACR70の間で余り大きくなってこないということもありますし。ほかに御意見はありますか。
○新井委員 この薬はいろいろな作用が出ているのですが、一体どの辺に効いているかというのが、今一クリアではないと思うのです。何かほかに情報はあるのでしょうか。COXにも効いてそうだし、TNFサイトカイン系もされているし、免疫グロブリンの産生も抑えるという、いいことのように思うけれども、逆にいうと何をやっているのかよく分からないという感じがするのですが、その辺はもう少し。いろいろな作用があるのかもしれないのですけれども。
○機構 作用機序の一つの可能性として、NFκBの活性化抑制というのが示唆されていまして、薬理試験で確認されている作用としては、免疫グロブリンの産生抑制と、炎症性のサイトカインの抑制をすることによって、リウマチに対する効果を示しているのではないかと考察されております。
○新井委員 NFκB経路の作用のデータはどこかにあるのですか。
○機構 審査報告書の10ページの下から10行目の6.に、in vitro試験の結果を示しております。
○新井委員 分かりました。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○濱口委員 副作用について教えていただきたいのですが、動物を使った試験においては消化管での出血、溶血性貧血がおこっています。先ほど汎血球減少は骨髄抑制なのかとも捉えられるとの説明でしたが、やはりビリルビンの値が上がっています。動物に起こっているようなことが人でも起こるのかという印象を受けます。
 かなりいろいろなところに副作用が起こっており、よく分からないけれども忍容できますという説明になるかもしれないのですが、これはやはりきちんと説明していただかないと、汎血球減少というところですべてを片付けるのは問題かと思います。消化管出血や溶血性貧血について、もし詳しい情報があれば教えてください。
○機構 消化管出血については、プロスタグランジン産生抑制作用を持っておりますので、その機能によって消化管障害が起こるのではないかと考察されております。また、毒性試験では、造血障害、溶血が関与している可能性は低いだろうと申請者は考察しておりまして、また、NFκB抑制作用に関連して骨髄抑制作用を発現する可能性も否定できないと考察しておりますが、今後さらにデータを集積していく必要があると考えております。
○吉田部会長 マルチターゲットというのは、予想もしないことが起こることもあり得るので、市販後調査を行う時に、臨床薬理学的あるいは生化学的なアプローチを行ってくれると嬉しいのですが、そのようなことは考えていないのですか。ただ単に臨床データを集めて、副作用が何パーセントということよりも、副作用のメカニズムにまで立ち入るようなアプローチをしておいてほしいということです。ある程度リスクのある薬だと思いますので。
○機構 製造販売後の調査の中で、患者の背景因子等を調べてより深く解析できるようにする予定です。
○吉田部会長 それこそ肝機能障害とか、いわゆる血球減少などが起きた患者に関して、ただ臨床的なフォローだけではなくて、病因的なフォローもしてほしいと思います。ほかにいかがでしょうか。
○奥田委員 よく分からないので教えていただきたいのですが、この資料の中の海外での開発状況の資料には、海外で承認の取得は無いということが明記されていますが、先ほどの説明の中では、中国において本薬を有効成分とする薬剤が、活動性RAを対象としては1回25mgを1日2回の用法・用量で承認されているという情報をおっしゃっていたのですが、この情報というのは、今回の開発の中では、そのような情報は入る状況で開発されているのか、あるいはこの発売後の副作用の発現状況についての情報は入手可能なのか、その辺について教えていただければと思います。
○機構 この中国の申請に関しては、申請者とは全く関係の無い会社の開発でして、申請者自身は詳細な情報を持ち合わせてはいませんでした。こちらとしても、中国の市販後の状況というのは完全には把握できていないという状況です。
○吉田部会長 ほかにございますか。
○清水委員 用法・用量に関するところの表記で1点確認です。審査報告書の90ページになりますが、増量時期をさらに遅らせるべき場合等も想定されるからということを理由に、4週間後をめどにということで、「めどに」という言葉を加えられたのですが、「めどに」という言葉の解釈で、4週間に至らなくてもいいという理解になる危惧はございませんか。
○機構 用法・用量に関して、その下の関連注意のところで、臨床試験において、1日50mgから開始した場合、AST、ALT増加の発現率が高く、「最初の4週間は1回25mgを1日1回から開始すること」と記載していますので、この情報で4週間は増量しないという形で取れるのではないかと考えております。
○清水委員 ただ、日本語の理解として「めどに」というのは「めどに」で、前後が許されるめどにという理解になるので、そこの表記はもう少し工夫された方がよろしいのではないかと思います。
○審議役 正に適正使用の観点から、誤解を受けないような表記、今の清水先生の御指摘を申請者に確認させていただいて、このままが一番いいのか、そのほかの表記がいいのかというのは検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 「ど」を取ればいいのではないでしょうか。「4週め」といった表現等です。ほかにございますか。先ほどの議論で忘れていたのですが、佐藤先生のお話の相加的以上の効果は無いのではないかということに関してなのですが、いずれにしてもMTXの併用に関しては添付文書に記載することになりますね。そのようなところで、この審査報告書に書いてあるように、相乗的な効果や素晴らしい併用効果があるのだという言い方は、少なくともやめた方がいいということにはなると思うのですが、その辺は考慮できますか。
○機構 審査報告書や添付文書には、相乗効果が認められているとは記載しておりません。
○吉田部会長 なっていないのですね。
○佐藤委員 私もその点が気になるので、企業の方がこの併用試験の結果を基に、併用するとすごくいいのだという宣伝は是非やめていただきたいと思います。
 それから、専門協議で専門委員からも併用効果が示された意義は大きいという御指摘はあったかもしれないのですが、それはあくまでも相加的な効果だということが分かるような形にしていただければ結構だと思います。
○吉田部会長 先ほどの話に戻りますが、要するに本薬は単剤で認めているということなので、併用に関して余計なことを言わない方がいいのだろうと思います。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 それでは議決に入りたいと思います。なお、奥田委員、清田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようでございますので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
── 山本委員入室 ──
○吉田部会長 続きまして議題6に移ります。機構からの説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品エジュラント錠25mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。
 本剤の有効成分であるリルピビリン塩酸塩は、Tibotec Pharmaceuticals Ltdにより開発された新規の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(以下、NNRTI)であり、ヒト免疫不全ウイルス1型に対する抗ウイルス活性を示すとされています。類薬としまして、本邦では、初回治療に用いるNNRTIとして、エファビレンツ(以下、EFV)、ネビラピン、デラビルジンメシル酸塩が承認されており、また、これらのNNRTIに対する耐性ウイルスに効果を示し、治療経験のあるHIV感染症患者に対するNNRTIとしてエトラビリンが承認されています。
 本剤は、海外第III相試験において、ウイルス学的効果についてEFVと非劣性が検証され、安全性が確認されたこと、海外第IIb相試験において、本剤192週投与時においてもウイルス学的効果及び免疫学的ベネフィットが持続することが示されたことから、米国及び欧州で承認申請がなされ、米国では2011年5月、欧州で2011年11月に承認されております。本邦においては、平成23年11月16日に希少疾病用医薬品としての指定を受けております。
 本申請の専門委員としましては、資料16に記載されております9名の委員を指名いたしました。
 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性についてです。審査報告書30ページ上の表を御覧ください。海外第III相試験(C209試験及びC215試験)において、主要評価項目である治療開始48週時のHIV-1RNA量が50copies未満の患者の割合について、本剤は対照薬であるEFV群に対する非劣性が示されたことから、本剤の有効性は示されていると判断しております。また、同ページの下の表を御覧ください。海外第IIb相試験(C204試験)におきまして、本剤長期投与時のHIV-1RNA量が50copies未満の患者割合は、本剤群及びEFV群で同様であり、大きな変化は認められていないことから、その有効性は維持されると考えております。なお、審査報告書31ページの表を御覧ください。第III相試験の併合解析結果から、ベースラインのHIV-1RNA量が10万copiesを超える高ウイルス量の患者では、本剤の投与開始48週時のHIV-1RNA量が50copies/mL未満の患者割合がEFV群よりも低下する傾向にあり、ウイルス学的失敗の割合についても低ウイルス量の患者より高い傾向が認められていることから、ベースラインのHIV-1 RNA量が多い患者では、少ない患者と比較してウイルス学的失敗例の割合が高いことを添付文書の「重要な基本的注意2」で注意喚起することとしております。
 次に、安全性についてです。審査報告書35ページ上の表を御覧ください。海外第III相試験において、有害事象は、本剤群で89.8%、EFV群で92.2%とほぼ同様であり、認められた事象もほぼ同様の傾向が認められております。また、審査報告書38ページの「4.QT間隔延長を含む心臓障害に関する安全性について」の項を御覧ください。海外QT/QTc評価試験において、本剤75mg及び300mgという高用量投与時においてはQTc間隔の延長が認められたものの、申請用量である本剤25mg投与時ではQTc間隔への大きな影響は認められておらず、海外第IIb相試験及び第III相試験においてQTc間隔延長に関連する有害事象はEFV群と同程度であったことから、現時点ではQT間隔延長を含む心臓障害に関する本剤の安全性に特段の問題は無いと考えております。
 なお、現時点において、本剤は海外においても承認されて間が無いこと、日本人における本剤の安全性に関して検討が行われていないことを踏まえ、製造販売後調査を実施し、本剤の安全性及び有効性を検討する予定としております。また、日本人における薬物動態についても製造販売後早期に検討を行う必要があると考えており、日本人健康成人男性を対象とした薬物動態試験が実施される予定となっております。
 以上の審査を踏まえ、審査報告書2ページにある承認条件を付した上で、本剤のHIV-1感染症に対する効能・効果及び用法・用量を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
 また、本品目については、庵原委員及び佐藤委員より事前に御質問をいただいておりますので、説明させていただきます。
庵原委員からは、2点御質問をいただいております。1点目は、審査報告書32ページ及び33ページで記載されている説明事項が、NRTIではなくNNRTIではないかとの御質問です。
32ページの1パラグラフ目にありますNRTI耐性変異に関する記載は、NRTIに関するものであり、2パラグラフ目の記載はNNRTI耐性変異に関する記載となっております。そのため、NRTIとNNRTIに対する耐性変異について併せて議論していることから、誤解を招くような記載となっておりますが、いずれも間違った記載ではございません。
 2点目の御質問です。エトラビリンの耐性株に対して本剤は効果が無いが、本剤の位置付けはどのようなものかとの御質問をいただいております。
本剤は、「効能・効果に関連する使用上の注意」の1.に記載させていただきましたように、治療経験の無いHIV-1感染患者に対して使用することを規定しています。また、治療経験の無いHIV-1感染患者においても、エトラビリンに耐性を有するウイルスに感染している可能性もあることから、同ページ2.に記載しておりますように、可能な場合には薬剤耐性検査を参考とするよう求めており、現時点ではHIV-1感染患者に対する治療の選択肢の一つを提供するものであると考えております。
 次に、佐藤委員からの御質問についてです。資料18の2ページになります。まず、1点目です。審査報告書31ページの下から9行目に記載しておりますロジスティック回帰分析において、ベースラインのHIV-1RNA量と投与群には交互作用が認められなかったとされていますが、31ページの表に掲載されている情報に基づき解析した結果、交互作用が有意となると考えられることから、解析の詳細について申請者に確認してほしいとの御意見です。この点について確認させていただきました結果、御指摘のとおり、31ページの表に掲載されている情報に基づく解析では交互作用が有意となることは、申請者だけでなく、機構の方でも確認できております。
 一方、申請者が実施しましたロジスティック回帰分析については、HIV-1RNA量を10万copies以上か未満かで切った二値のカテゴリカル変数としては扱っておらず、連続変数として扱っていたこと、さらに、HIV-1RNA量と相関の高いCD-4陽性Tリンパ球数も、同じモデルの中で同時に検討する解析モデルとなっており、このような解析条件やモデルの組み方の違いが結果の違いに影響したものと考えております。また、これらの解析結果以外にも、解析条件やモデルの組み方をいろいろと変えて追加解析結果を急遽申請者に依頼し、佐藤委員には事前に詳細な結果を御確認いただいています。
 機構の考え方を申し上げますと、申請者の実施したロジスティック回帰分析も含め、これらはいずれも探索的な解析であり、解析手法により異なる結果が得られてはいるものの、解析結果の多くは佐藤委員御指摘の解析結果を含み、互いに概ね整合していたこと、また、申請者が元々実施していたロジスティック回帰分析では、ベースラインのHIV-1RNA量と投与群には交互作用が認められなかったとされているものの、一般には相関の高い連続変数を同じモデルの中で同時に検討すると、変数の効果は見づらくなることがあるとされていることも踏まえると、機構としては、交互作用項の統計学的な有意性の有無にかかわらず、本剤の有効性について、ベースラインのHIV1RNA量が10万copiesを超える高ウイルス量の患者では、治療開始48週時のHIV-1RNA量が50copies未満となった患者割合がEFV群よりも低下する傾向があり、ウイルス学的失敗の割合についても、EFV群と比較して本剤群で高い傾向が認められているという事実を重要視し、これらの患者に対して注意喚起を行う必要はあると考えています。
 また、2点目の御質問については、審査報告書31ページ下から5行目から32ページ上から4行目までの記載に、論理の飛躍が認められるとの御指摘と理解しておりますが、この点については、御指摘を踏まえ、HIV-1RNA量が10万copies以下と10万copiesを超える患者での試験結果に関する表を追記し、適切に修正させていただくこととしたいと考えております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、意見をお伺いします。まず、庵原委員、いかがですか。
○庵原委員 私は特に異存はありません。了解しました。
○吉田部会長 佐藤委員はいかがですか。
○佐藤委員 追加で解析をしていただいて、ベースラインのHIV-1RNA量が10万copiesを超える所では、この薬の方がEFVよりも効きが悪いことと、それから、ウイルス学的失敗ですね、この量が多いということで、この点は添付文書案の表4にも記載されているのですが、これを見ると、どうして10万copies以上の所で承認しなければいけないのか純粋に疑問に思うのです。その点はいかがでしょうか。
○機構 H1V1RNA量が10万copiesを超える場合において、こういった情報があるという情報提供はきちんとした上で使っていただくことを前提としておりますが、このような患者においても、この薬を使った時に有効性が示されている患者もいますので、この基準で使用を制限するということではありません。ただ、実際には10万copiesを超える患者では有効性が低下する傾向があるという話があるので、その点に関しては十分な情報提供をしたいと考えています。
○吉田部会長 よろしいですか。
○佐藤委員 情報提供してどうされるのですか。使わせるのですか。
○機構 結局、この治療を開始するに当たって、先生と患者さんで、この薬を最初に使うべきであろうかということは悩まれるところかと思いますので、きちんと情報提供して、その上で副作用の少ない本剤を使いたい、1日1回の投与でもあるので使いたいという場合には、選択できるようにすることも重要かと考えております。
○吉田部会長 例えば、10万copies以上でもう1回検定すると、非劣性が出ないというようなことになるのですか。やり方によっても違うのだとは思いますが。
○佐藤委員 多少はあれでしょうけれども、点推定値で負けていますので、非劣性を示すのは少し難しいのではないかと思います。
○吉田部会長 その辺が明確になってくれば、ここはおかしいと言えるのかもしれません。但し、HIV関係のドクターはネットワークがしっかりしていますので、「これは効かない」という話が出れば使われなくなるのではないかとは思いますが。
○佐藤委員 審査報告書の中にも、最近は見つかるのが早いので、コピー数はそんなに多くない、早期に見つかるということが書かれていますので、やはり、できれば10万copies以下ぐらいの所で使ってもらうよう推奨する等、そのような説明を企業にしてもらう方が良いと思います。やはりこの結果を見ると、10万copies以上で使うのは少しどうかと思ってしまいます。
○機構 まず、きちんとした情報提供をしたいと考えています。
○吉田部会長 少なくとも10万copies以上のものに関しては、効きが悪いということは書くわけですね。
○機構 このデータをきちんと提示し、そのことを理解いただいた上で、本剤の投与を判断していただけるようにしたいと思います。
○吉田部会長 体制の問題もいろいろあるのだけれども、基本的には初回治療で用いてほしいということで、そちらはクリアしたいですね。やはり、HIVの患者さんには様々なオプションを提供したいということもあるので、御了解いただければと思います。ほかにございますか。
○新井委員 本剤が高い結漿タンパク結合率を示すと書いてあるのでが、これはほかの薬剤に比べて異常に結合率が高いのか、どのぐらい高いのかをまず教えてほしいのです。わざわざ書いてあるので、何か異常に高い物質なのでしょうか。
○機構 本剤のタンパク結合率に関しましては、審査報告書の10ページを御覧いただきたいと思います。99.08~99.97%と血漿タンパクの結合率としては非常に高いことが認められています。ただ、タンパク結合に伴う相互作用等に関しては、検討はされているのですけれども、そこに関しては大きな影響は無いことが確認されています。
○新井委員 主にアルブミンに結合しているのではないかというようなことが書かれているのですが、その後に、他剤と併用した場合の急激な非結合型濃度の増加は認められないだろうというディスカッションというか議論なのですが、一番沢山結合するのは脂肪酸ですから、食事摂取時等、要するに、他剤との競合ではなくて、内在性のものとの競合を本来は考えるべきです。あるいは空腹時などです。そのような検討が本当はあるべきではないかと、むしろ、そのような高い結合率を示すような場合、もう少し企業の方に言ってもいいのではないかと思います。
○機構 本剤の投与方法に関しましては、用法・用量にありますように、1日1回、食事中又は食直後に服用すると規定をしておりまして、それ以外の時には血中濃度が低下するという話がありますので、用法・用量の中で、食事中又は食直後に服用いただくことを規定しています。
○吉田部会長 脂肪酸などについて中に入れるようにしてあげるということですね。新井委員の御指摘どおりでいいのですが、そのことをきちんと企業の方にも伝えていただけますかということですね。
○新井委員 そうです。
○機構 わかりました。伝えさせていただきます。
○吉田部会長 他の薬との競合ではなくて、食べ物との競合だということを教えてあげて下さい。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 御意見が無いようでございますので、議決に入りたいと思います。なお、奥田委員、前崎委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようでございますので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題7に移ります。議題7について、事務局からの概要の説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題7、資料7「インターフェロンガンマ-1a(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。
菌状息肉症及びSezary症候群を予定効能・効果とするインターフェロン-ガンマ1aを希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。資料7を4枚おめくりいただいて、機構による評価報告書に沿って御説明いたします。
 申請者は塩野義製薬株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について順に御説明いたします。
 まず、対象患者数についてです。裏のページを御覧ください。近年の発症者数と平均生存期間から、本邦の有病者数は1,500人、平成20年患者統計調査から2,000人未満と推定されています。したがって希少疾病用医薬品の指定基準である5万人未満を満たしております。
 次に、医療上の必要性について御説明いたします。承認された医薬品として、ボリノスタットや副腎皮質ホルモン剤がありますけれども、ボリノスタットの治療効果は限定的とされておりまして、また、副腎皮質ホルモン剤は病期IIB以上に対しては推奨されておりません。IFN製剤については、ガイドライン等で病期IAからIIIBの第一、第二選択治療薬とされているところですけれども、現在国内で菌状息肉症及びSezary症候群の適応で承認されたIFN製剤無いという状況で、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性についてです。過去に実施された各種皮膚悪性腫瘍患者対象の国内第II相試験において、菌状息肉症3例中2例で奏効が認められております。また、国内において第II相試験の実施が計画されており、これらの状況を踏まえて、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
 以上3点により、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。患者数の方は問題無いと思います。必要性に関しても特に問題無いでしょうか。
○山口委員 少し質問させていただいてよろしいですか。これは、本適応症が持っていたビオガンマが承認整理されたためにこれを開発するという、そのような特殊な状況があると思うのです。ビオガンマと配列は一緒で、ただ、昔の記憶ですが、確か生物活性は少し差があったような気がしているのです。別に、開発は無理だという意味ではなくて、生物活性に差があるようなものだったことの確認をさせていただきたいと思います。
○事務局 具体的にビオガンマと生物活性が違ったというデータを手元には持っておりません。大変申し訳ございません。ただ、今後、臨床の有効性などのデータを提出いただき審査した上で、また部会で御議論いただくという形でお願いしたいと考えております。
○吉田部会長 私自身も、「承認されたIFN製剤は存在しない」と書いてありますが、いや、そんな筈はと思っていたのですが、先ほどのお話だったのですね。製造中止になっていて、オーガンマも無くなって、この薬を使いたいということのようでございます。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。奥田委員、前崎委員は、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議が無いようでございますので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、報告事項について説明をお願いします。
○機構 報告事項議題1、資料8「医薬品タイロゲン筋注用0.9mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
資料8を御覧ください。本剤は、遺伝子組換えヒト型甲状腺刺激ホルモンであるヒトチロトロピンアルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤であり、「分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された患者における、放射性ヨウ素シンチグラフィと血清サイログロブリン(Tg)試験の併用又はTg試験単独による診断の補助」の効能・効果で既に承認されている薬剤です。
分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者を対象に実施された、放射性ヨウ素を用いた残存甲状腺組織のアブレーションの補助に関する本剤の有効性を検討する臨床試験の成績に基づき、今般、本剤の効能・効果に、「分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射性ヨウ素によるアブレーションの補助」を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題2、資料9「医薬品ビクシリン注射用0.25g、同注射用0.5g、同注射用1g、同注射用2gの製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。
資料9を御覧ください。アンピシリンナトリウムは、細菌細胞壁の合成を阻害することにより抗菌作用を示し、グラム陰性菌に対しても作用する広範囲合成ペニシリン系抗生物質です。
本邦において、本剤は、成人の各種感染症に対して適応を有しておりますが、海外では小児の各種感染症に対しても承認されております。また、国内外において小児における各種感染症に対する臨床使用報告が多数存在し、国内外の教科書及びガイドラインにおいても本剤の小児に対する使用が推奨されております。このような状況を踏まえ、小児感染症に対する適応追加に関する要望がなされ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成23年10月31日に開催された医薬品第二部会における事前評価を踏まえて、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料9に記載いたしました用法・用量にて承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告事項議題3、資料10-1、10-2「医療用医薬品の承認条件の解除について」事務局より御説明します。
最初に、資料10-1の「ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL」について御説明します。2ページ下段を御覧ください。ヒュミラは、平成22年1月20日に「既存治療で効果不十分な下記疾患、尋常性乾癬、関節症性乾癬」の効能・効果で承認され、その際、全例調査の承認条件が付されています。今般、アボットジャパン株式会社より調査結果が提出され、機構における審査を行った結果、安全性及び有効性について特段の問題は認められず、本承認条件の内容について確認できたものと判断いたしました。
 次に、資料10-2「レミケード点滴静注用100」について御説明します。2ページ下段を御覧ください。レミケードは、平成22年1月20日に「既存治療で効果不十分な下記疾患、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」の効能・効果で承認され、その際、全例調査の承認条件が付されています。今般、田辺三菱製薬株式会社より調査結果が提出され、機構における審査を行った結果、安全性及び有効性について特段の問題は認められず、本承認条件の内容について確認できたものと判断いたしました。
 報告事項議題4、資料11-1、11-2「医療用医薬品の再審査結果について」説明いたします。
これらはいずれも「医薬品再審査確認等結果通知書」です。資料11-1は、一般的名称はシスプラチン、販売名は動注用アイエーコール100mg及び同50mgのもの、資料11-2は、一般的名称はプルリフロキサシン、販売名はスオード錠100のものです。これらの品目につきましては、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項において変更の必要は無い「カテゴリー1」と判定したものです。以上でございます。
○吉田部会長 報告事項議題1、2は、未承認薬・適応外薬検討会議の中で検討され、公知申請で出てきたということです。議題3が承認条件の解除です。議題4がカテゴリー1の再審査報告です。委員の先生方からの御質問がございましたらお願いいたします。
○清水委員 承認条件の解除のところで2点教えてください。一つは、今回、ヒュミラとレミケードが並んで出てきているので比べてしまったのですが、ヒュミラの方で調査票の未回収症例が99例とレミケードに比べてかなり多かったと思います。そこについて、何かメーカーからの言い分等があれば教えてください。
 それから、どちらもそうなのですが、安全使用のために他施設との連携による安全対策の実効性が確認できるようにということで組込まれている評価がどうだったのかについて教えてください。
○機構 まず、ヒュミラに関してです。資料10-1の3ページを御覧ください。中ほどに、平成23年8月25日がデータロック日となっておりまして、登録されておりながらデータロック日までに回収されなかったものが99例となっております。これは調査のやり方にもよるのだと思いますけれども、登録は継続しておりまして、ある一定の日までに回収が終わったものを数えておりますので、会社による調査のやり方によって差が出てきたのであろうと考えております。
 それと、御指摘がありました評価についてですが、手元に詳しい資料がございませんので、確認をいたしまして、後日、清水委員に御回答させていただきたいと思います。
○吉田部会長 これは確か、600例とか、目標症例は決まっていましたか。
○機構 目標症例は、500例となっておりました。両試験とも500例になっています。目標症例数は、超えております。
○吉田部会長 ということなので、回収データを公表したのだろうと思います。ほかにございますか。御意見が無いようでございますので、報告事項については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上です。事務局から何か報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、5月31日(木)午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 委員の先生方から何か御質問等ございましたらお願いいたします。よろしいですか。では、本日の部会はこれにて終了とさせていただきます。お疲れ様でした。ありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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