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2012年6月12日 第12回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成24年6月12日(火) 15:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省 共用第7会議室(5階)


○議題

1.開会

2.議事

(1)中間とりまとめに向けた議論の整理について
(2)その他

3.閉会

○議事

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましては、お手元にお配りしています「傍聴される皆様へ」の留意事項をお守りくださいますよう、お願い申し上げます。
 これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。
○神野座長 それでは、これから第12回になりますが、「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方には、お忙しいところ、しかもあいにくの雨模様のところをお集まりいただきまして本当にありがとうございます。伏して御礼を申し上げる次第でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。よろしくお願いします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 本日の出席状況でございますが、草間委員、潮谷委員、高橋進委員、三藤委員から欠席との連絡をいただいております。
 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。
 議事次第、資料一覧に続きまして、資料1「論点整理(これまでの検討会での指摘)」。
 資料2「中間とりまとめに向けた議論の整理(案)」。
 参考資料1「他制度における区分分け事例」。
 参考資料2「放射線の健康影響に関する一般的な科学的知見について」でございます。
 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。
 大丈夫でございますか。それでは、メディアの方の冒頭の撮影はここまでということでお願いいたします。
(報道関係者退室)
○神野座長 どうもありがとうございました。
 前回、これまで委員の皆様方から出していただきました御意見を整理したペーパーを基に御議論ちょうだいしたわけでございますが、前回の最後に申し上げましたように、今回からつくる段階に足を踏み入れていきたいと思っております。
 前回の最後に申し上げましたように、ちょうど前回、石委員から御示唆をいただきましたけれども、これまでの議論を通じて、この委員会で言わば共通して認識して一致している点と、意見が分かれている点を整理したペーパーを出して、それを基に議論したいと申し上げたところでございます。本日はそうした資料を準備いただいておりますので、それを基に議論をちょうだいして、中間とりまとめ、一応本格的につくる段階に進む前として、この委員会として委員の皆様方の認識を共有しておきたいと思っておりますので、中間とりまとめに向けた作業をしたいと考えております。
 それでは、事務局の方から、その資料を中心に関連する資料について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 それでは、まず、お手元の資料1について御説明申し上げます。「論点整理(これまでの検討会での指摘)」という資料でございます。
 前回の御指摘につきまして、今回の資料に入れさせていただいております。
 2ページ目、制度の根っこから見直すのは、これまでの議論の積み重ねが飛んでしまい非生産的で反対。見直すに当たり、国民の視点から「現行制度は不十分で大幅に踏み出す」か「不便なところを改善するか」だと思うが、この中で意見を集約すべきという御意見。
 まず、被爆者が理解できる制度でなければならないという御意見。
 大きな考え方としては、起因性の範囲で認定することは難しいのでグレーゾーンをつくって、より困っている方を支える。
 裁判を踏まえ、起因性の範囲について、別要素を入れながら拡大していく。
 起因性に基づく認定制度から離れるという3つの方向性が出ているのではないかという御意見。
 5ページまで飛んでいただきまして、要医療性についてということでございます。要医療性がないとする理由につき医師と被爆者との認識にギャップがある。要医療性の要件をわかりやすくすべきという御意見。
 これまで認定の対象となってきた方について、本当に要医療性があるのかどうか、治癒した人へ適切に対応されてきたか、限られた資源を有効に使う視点が必要ではないかという御意見。
 要医療性について、昔と違って現在はがんも治るし、普通の甲状腺がんの場合は、9割以上の方が手術して30年ぐらい生きている統計がある。白内障もだれもがかかる病気なので、起因性があったとしても、何年も手当が出るのは国民が納得しない。現況届出も3年ではなく、もっと現実に即したものにすべき。認定した疾病の原因をすべて放射線起因性というのは、破綻する。肝炎はウイルスが原因なのは一般的であり、海外で「放射線を起因として認定している」と言われるのは科学的には問題という御意見。
 6ページの下でございますが、手帳所持者の範囲まで原爆症の範囲を広げなければギャップが埋まらない話か。裁判所の判決は、制度全体の判断まで及んでいない。別の要素で乖離は埋まらないという御意見。
 7ページ目でございますが、放射線起因性は、客観的な基準での判断を目指すべきだが、要件から外れる方の個別判断のために、総合判断を残すことは必要。新しい審査の方針のこういった仕組みを残し、法律では無理でも省令レベルなどで客観化することも考えるべきという御意見。
 9ページでございますが、疾病により、命にかかわるか、治りやすさなどを勘案した基準をつくってはどうか。グレーゾーンの要件の認定は難しいのではないか。認定の基準を緩めに考える一方、認定を打ち切るなど、認定後の仕組みを考えておけば、認定の範囲を広げやすいのではないかという御意見。
 11ページでございますが、税金を原資に公金で給付するという点で、基本的には積極的な明確な根拠が要るため、現行法上の放射線起因性と要医療性というものを前提とする制度は維持せざるを得ないという御意見。
 13ページでございます。山崎委員からありました御提案でございます。新たな認定の仕組みということで、現行制度を基本に認定する者を第1種認定被爆者、新たな基準に基づいて認定する者を第2種にんてい被爆者とする。
 第2種被爆者の援護必要度について、既に確立している既存の各種の基準を参考に設定。入院医療では医療必要度とADLの組み合わせ、介護保険では要介護度・要支援度、年金制度や障害者福祉の分野での障害認定など。医療必要度を基本に他の基準などを参考に、個別総合的に認定。
 科学的に高度の蓋然性があれば1種、放射線起因性が否定しきれない人を医療必要度を念頭に第2種とする。最大限、健康管理手当をもらっている人までが対象という発言もございました。
 要援護度の認定は、有効期間を設けて、一定期間ごとに再審査し、認定を更新する。例えば介護保険では、有効期間6か月または1年を原則としている。
 状態が重くなれば高いランクの手当、軽くなれば低いランクの手当に変更。更に軽くなるとか治癒すれば支給停止もあり得るという話。
 手当の水準ですが、手当の水準は、社会保障全体の整備状況やこれまでの被爆者に対する援護措置の拡大の状況を踏まえて検討。
 現在、被爆者は高齢者として年金を受給して一定の収入を得ている。また、ほとんどが健康管理手当を受け、無料で医療を受けられる。また、介護保険によるサービスの利用者負担分の無料化や、介護手当の制度もある。このような状況下を踏まえ、既存の保健・医療・福祉のサービスや手当との総合的な調整が必要。
 新制度の対象者と経過措置。新たな認定制度は、原則として第1種にも適用するが、第2種とのバランスを考慮して認定する必要がある。ただし、現行制度の下で既に認定を受けた人については、一定の経過措置を置くこともあり得る。
 山崎委員の御提案に対する意見として、既存の制度を基にしたランク付けは、一種と二種との間で新たな問題が生まれる。手帳保持者の9割の人は健康管理手当をもらっているが、被爆者は皆精神的なものも含めて放射線の影響を受けており、手帳を持っていることで何らかの手当を出すべき。
 健康管理手当受給者を2種対象者とすることについて、健康管理手当のレベルを上げるという発想はない。起因性のレベルの違いを要件に取り込むのは、大変難しいと思う。要援護度、疾病の治りにくさをポイントにはできるかもしれない。また、どのような広げ方をしても外れてくる部分がある。カバーできない人のための総合的判断の部分は残すべきという御意見。
 現在、手当を受給していない人の扱いについて、健康管理手当は11疾病で、それ以外は見ていない。それを拡大すれば少しは変わる。また、保健手当は2km以内の被爆者に疾病の有無にかかわらず見ている。被爆の影響があるのだから、その考えを拡大すればよいという御意見でございます。
 続きまして、資料2でございます。これまでのこうした議論を踏まえまして、石先生からの御指摘も踏まえて基本的な制度の在り方について、原爆症認定制度の認定基準について、手当について、おおむね認識の共有が図られつつある点と、更なる議論が必要と考えられる事項に分けて整理してございます。
 「1 基本的な制度の在り方について」。原爆症認定の基本的な制度の在り方に関して、おおむね認識の共有が図られつつあると考えられる点は以下のとおりであるということで、原爆症認定や医療特別手当の給付といった手厚い援護には、行うだけの理由が必要。
 被爆者に寄り添うという視点とともに、国民の理解を得られるような制度とする必要。
 被爆者が高齢化していることも考慮し、裁判での長期の争いを避ける制度をつくる必要。
 被爆者の高齢化という現実を踏まえると、福祉サービスを含めた制度の施策体系の充実という方向も考えられる。
 既に年金や介護保険制度があり、医療費も無料となっていることを踏まえた制度とし、一般の高齢者との均衡にも留意すべき。
 必要に応じて被爆者援護法の改正も視野に入れるべき。
 また、基本的な制度の在り方について、さまざまな意見が存在し、さらなる議論が必要と考えられる事項と意見は以下のとおり。
 全体の方向性について、制度を根本から見直すのは、これまでの議論が飛んでしまうことになり非生産的なため、現行の不備を改善するという方向が考えられるのではないかという御意見。
 被爆者援護法第10条、11条に基づく国による原爆症認定制度は破綻しているため、全面的に見直すべきという御意見。
 現行制度を基本とする認定は維持しつつ、原爆症に準ずる新たな基準に基づいた認定制度を加えていくべきという御意見。
 「2 原爆症認定制度の認定基準について」。原爆症認定制度の認定基準に関して、おおむね認識の共有が図られつつあると考えられる点は以下のとおりということで、司法判断と行政認定の乖離を認め、どのように埋めていくか考えていくことが必要。
 科学的知見は重要であるが、科学には不確実な部分もある。こうしたことを前提に考えていく必要がある。
 高齢化により、健康被害が放射線の影響によるものか、加齢や生活習慣等によるものか、原因の切り分けができなくなっている状況を考慮すべき。
 疾病によって、医療の必要性はさまざまであり、要医療性の要件はわかりやすくあるべき。
 医療技術は進歩しているので、治癒する疾病も多い。こうした状況を踏まえて現実に即して判断すべき。
 また、原爆症認定制度の認定基準に関し、さまざまな意見が存在し、さらなる議論が必要と考えられる事項と意見は次のとおりである。
 まず、司法と行政判断の乖離について、裁判例や医療分科会の積み重ねの客観性を尊重しつつ、相当程度判断が固まっているものを救済の観点から行政認定に取り入れていき、乖離を埋めていくべきという御意見。
 乖離を埋めることができないのだから、制度全体が破綻しているという御意見。
 裁判の判断は個々の原爆症認定についての判断であり、制度を見直すべきとの判断にまで及んでいないという御意見。
 要件に明確に当てはまらない場合の総合判断は必要で、新しい審査の方針のこういった仕組みを残し、医療分科会のこの方針を客観化するために、法令で規定していくことを考えるべきではないかという御意見。
 放射線起因性についてでございますが、医療特別手当とする手厚い援護を行う理由として、放射線の影響を無視することはできないという御意見。
 放射線起因性の証明しがたい部分、科学の限界がある部分には、新たな制度を付加して救済すべきという御意見。
 被爆者であれば何らかの放射線の影響があることから、これを前提として、手当を始めとして援護を行うべきという御意見。
 放射線の科学は科学として、尊重されるべきという御意見。
 「3 手当について」ということでございますが、被爆者援護法に基づき支給される各種手当に関して、おおむね認識の共有が図られつつあると考えられる点は以下のとおりである。
 被爆者に対する援護施策は、医療の給付のほか、各種手当、福祉サービスといったものがある。これらの全体のバランスを考える必要がある。
 健康管理手当の額に比べて、医療特別手当の額は高額であり、医療特別手当を給付することが真に必要な状況がどのようなものか、考える必要がある。
 手当を始めとする被爆者援護の財源について、国民の理解が得られることが必要。
 また、各種手当に監視、さまざまな意見が存在し、さらなる議論が必要と考えられる事項とその意見は、以下のとおりということで、手当の給付対象。
 手当の対象となる認定については、裁判例などを踏まえ、放射線起因性が無視できないという程度でのグレーゾーンをつくるべきという御意見。
 グレーゾーンをつくるにしても、既に認定されている人も含め、その要件を明確に設定するのは難しいのではないかという御意見。
 被爆者であれば何らかの影響を受けているのだから、全員に手当を支給すべきという御意見。被爆者全員に手当を支給するのは、手当の趣旨が異なってくる上、財政負担をお願いする国民の理解を得られず、難しいのではないかという御意見。
 手当額の段階的設定等ということで、既存の制度の延長で、認定対象者を拡大しつつ、その上で、医療必要度だけでなく、介護や日常生活支援の必要度などに応じた手当を設定することで、段階的な手当制度をつくるべきという御意見。
 段階をつける新制度を導入するのであれば、現行よりも手当額が下がる人が出てくるのではないかという御意見。
 全員に基本的な手当を支給し、症状に応じて加算をしていくことで段階的な手当制度をつくるべきという御意見。
 認定の期間を限定することも考えるべきではないかという御意見などがございました。
 引き続きまして、参考資料1でございます。山崎委員から他制度における区分分け事例について紹介してほしいということでまとめた資料でございます。
 資料の4ページまで進んでいただきまして、まず、介護保険制度における要介護認定の流れでございます。基本調査74項目と主治医意見書などを基に、コンピュータによる一次判定。その後、特記事項あるいは主治医意見書を基にした二次判定の結果、要介護認定をするという仕組みでございます。
 5ページ、具体的には8つの生活場面ごとの介助時間の推計値を考えるということでございます。食事の介助時間、移動の介助時間、排せつの介助時間、清潔保持の介助時間、間接の介助時間、認知症の介助時間、機能訓練の介助時間、医療関連の介助時間となっております。その結果、介助時間が25分以内ですと非該当、32分までが要支援1、50分までが要介護1、70分までが要介護2、90分までが要介護3、110分までが要介護4、1日それ以上の介助が必要な者は要介護5となっております。
 9ページでございます。障害福祉サービスにおける障害程度区分の場合ということでございます。こちらも基本的には介護保険と共通しておりますが、日常生活行為、意思疎通、行動等に関する79項目、応用日常生活動作に関する7項目を基に一次判定をする。その上で更に行動障害に関する9項目、精神面等に関する11項目、医師の意見書、特記事項などで審査会で二次判定を行って認定を行っていくというスキームでございます。
 その次の10ページに具体的な認定調査項目事項がございます。左側の日常生活行為、意思疎通、行動等に関する79項目は、おおむね介護保険と障害で一致しているということでございます。麻痺、拘縮、移動、寝返り、起き上がりかどうか。複雑な動作、立ち上がり、片足での立位ができるか。特別介護、じょくそう、皮膚疾患。身の回りということで口腔清潔、洗顔等ができるかどうか。意思疎通ということで視力、聴力がどうか。行動ということで被害的、作話、幻視幻聴等があるかどうか。特別な医療の有無ということで点滴の管理、中心静脈栄養、透析等々の有無が調べられるということでございます。
 障害区分の場合ですと、こちらの右上にございますB1というところですが、応用日常生活動作として、調理、食事の配下膳、掃除等ができるかどうか。行動障害ということで、こだわり、多動・行動停止、不安定な行動等があるかどうか。更に精神面に関する11項目ということで、独自の意思伝達、説明の理解、過食、反すうの有無等が調査項目となっているということでございます。
 11ページ、医療保険における医療病棟の入院基本料における医療区分・ADL区分の場合ということでございます。療養病棟に入院されている患者さんに対してどのような支払いを行うかというときに使われる基準でございます。
 12ページ、まず医療区分ということで、医療区分3、2、1とございます。一番重い医療区分3というのは、医師、看護師により常時監視・管理を実施している状態、あるいは24時間持続点滴、中心静脈栄養、人工呼吸器使用等が該当します。
 次に、中程度の医療区分2でございますが、医療処置というところを見ていただきますと、透析、発熱または嘔吐を伴う場合の経腸栄養、1日8回以上の喀痰吸引等となっております。
 それ以外はすべて医療区分1ということになります。
 また、13ページに進んでいただきましてADL区分でございますが、ベッド上の可動性、移乗、食事、トイレの使用、こういったものにつきまして0〜6点までを付けて区分するということでございます。医療保険においては、看護師さんがこうしたスコアを毎日付けているということでございます。
 以上が他制度における区分分け事例という参考資料1でございました。
 引き続きまして、田中委員から御紹介のありました放射線の健康影響に関する科学的知見ということで、参考資料2、これまでも出してきた資料でございますが、用意させていただいております。
 まず、2ページでございますが、原爆放射線の影響は初期放射線と残留放射線、大きく2つの影響がございます。初期放射線につきましては、直接被曝線量ということで、これはDS02など、距離と遮蔽の有無等によって計算されておるということでございます。
 残留放射線には2つございまして、1つは誘導放射線ということで、中性子が地面や建物に当たった結果、それらの物質が放射化したということの影響。もう一つは、放射性下降物ということで、生成した核分裂生成物などが降ってくるというものでございます。それぞれについて、以下、資料を付けさせてございます。
 3ページでございます。初期放射線についてでございます。こちらについては、爆心地はかなり高いということでございます。ただし、距離とともに、具体的には距離の事情に反比例しまして急速に減ってくるということでございます。爆心地から2.5km地点での線量というのが広島で0.0126Gy、12.6mSv。長崎ですと22.8mSvという形になります。
 4ページ、誘導放射線についてということでございます。こちらはまず1つは時間とともに急速に減衰するというのが1つ。爆心地からの距離とともに速やかに減少するということでございます。
 最初の■でございますが、爆心地に原爆投下直後から入りまして、無限時間居続けたという場合の線量を計算しますと、広島で1.2Gy、長崎で0.57Gyという形になります。
 これが爆心地に1日後に入ってその後ずっと居続けた場合の線量ですと、広島で0.19Gy、長崎ですと0.055Gyという形になります。
 これが爆心地に1日後に1km地点に入った場合ですと、広島ですと0.0039Gy、3.9mSv、長崎ですと0.0014Gyという形になります。これが更に爆心地から1.5kmという形になりますと、広島ですと0.0001Gy、0.1mSvです。長崎ですと0.00005Gyという形になります。
 5ページ、放射性降下物による放射線量の検討ということでございます。放射性降下物は爆心地から3,000mの距離で広島では西方向、長崎では東方向に降下しております。これが広島ではいわゆる己斐・高須地区、長崎の場合ですと西山地区というところが中心になります。
 3つ目の○ですが、DS86では原爆投下後、比較的早期の放射線の直接測定などから、放射性降下物による被曝線量の推定を行っております。その結果は西山地区ですと約120〜240mGy、己斐・高須地区ですと6〜20mGyという形になっています。
 西山地区住民に対して、ホールボディカウンターを用いましてセシウム137の内部被爆量の測定が行われております。その結果は1945年から1985年までの40年間の内部被曝量が、男性ですとおよそ0.1mGy、女性の場合ですと0.08mGyということで少ないということが報告されております。
 6ページでございます。これまでに行われた残留放射能に関する調査の概要ということで、昭和51年、広島、長崎におきまして爆心地から30kmの範囲を調査対象として、爆心地から2kmごとの同心円状ごとに6点を取るということを基準としまして、広島107か所、長崎98か所について、セシウム137の分析を行った。長崎の西山地区を除いては、爆心地からの方向による差は認められなかった。また、爆心から8km以内、10〜18、20という形で比較した場合でも、爆心からの距離による差は認められなかったという報告でございます。
 また、昭和53年に17地区において、合計174地点で更に土壌試料の採取を行って、セシウム137の分析を行ったということでございます。その結果、広島では検討地区と対象地区に有意差がないということから、原爆の核分裂生成物が残留しているとは言えないのではないかという結論。長崎についても、特に3か所の検討地区について、原爆からの核分裂生成物が残留しているとは言えない結果となってございます。
 また、平成3年には黒い雨に関する専門家会議報告書がございまして、残留放射能の推定、気象シミュレーション計算法を用いた降雨地域の推定、体細胞突然変異、染色体異常頻度の検討を行い、黒い雨地域における残留放射能の残存と放射能によると思われる人体影響の存在を認めることはできなかったという結論となっております。
 また、同じ平成6年、長崎原爆放射能プルトニウム調査報告書におきまして、西山6地区、爆心地から風下東側48地区、放射性降下物降下の確率の低い16地区で土壌を採取し、プルトニウムを測定しております。その結果、指定拡大要望地域において、長崎原爆の放射性降下物の残留放射能による健康影響はないと結論づけられるという報告がなされています。
 資料の説明は以上でございます。
○神野座長 どうもありがとうございました。
 本日は、最初に申し上げましたように、資料2にございます中間とりまとめに向けた議論の整理(案)を中心に議論をしていただいて、ここに集約されております内容を基にしながら、中間的な報告、つまり、つくる段階の最終段階に向けて、スタートするに当たっての私ども委員会の共通的にどこまで違った点と同意している点ができているかということをお互いに確認しながらスタートしていく出発点にしたいと思っております。そこについて少し生産的に御議論をちょうだいできればと思っておりますが、どの項目からでも結構でございますので、御議論ちょうだいできればと思います。いかがでしょうか。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 その前にちょっとお尋ねしたいのですけれども、この中間とりまとめというのはいつごろまでを想定していらっしゃるか、時期的には想定なしで議論の進み具合でということですか。
○神野座長 勿論、合意ができなければですけれども、共通認識ですから、できれば夏前に、共通の認識でここまで合意できている点と違っている点ということをお互いに認識し合ったと確認しておきたいと思っております。
 できれば合意している点を核にしながら、幅を広げ、深さを深めていこうというような議論を最終的にしていければと考えております。
○田中委員 ですから、中間とりまとめというのは、報告書みたいな格好で中間の報告書をつくるということと考えていいのですか。
○神野座長 できれば今お見せしておりますものを基礎にしながらまとめていきたいと考えております。
○田中委員 6月28日と7月10日がもう予定されているようですけれども、そこで大体とりまとめるという方向ですか。
○神野座長 できればそれでまとめていきたい。
○田中委員 今日を含めて3回でということ。
○神野座長 はい。できれば、その段階でまとめられればと思っております。
○田中委員 とりまとめの議論の整理の前に、先ほど論点整理がありましたね。全部ずっと読み上げていきますと、今まで議論されたことがいっぱい書かれているなと思ったのですけれども、紹介されたアンダーラインのところ、私は何も意識しないで読んでいて、これは厚労省の意向だなと思って読んでいたのですね。今日は全部それだけをお読みになったので、どうして。
○神野座長 アンダーラインのところは前回の議論、つまりこれまでの議論をお見せしていますね。それに前回出た議論を全部付け加えておるだけです。委員の皆様方そう認識されているだろうと思いますが、山崎先生とか御提案いただいたものをそのまま載せている。だから、アンダーラインが引いてあるのは前回の議論です。これまでずっとこれをお見せしながら議論を進めてきたわけですけれども、前回付け加わった部分、つまり、新たに付け加わった部分にのみ線を引いております。
○田中委員 そうでしたか。そういう印象をすごく受けたものですからね。わかりました。
○神野座長 あとはいかがでしょうか。御議論ちょうだいできればと思います。もしもなければ順番で高橋先生辺りから口火を切っていただければと思います。
○高橋滋委員 今までの議論をお聞きしていて、かなり意見の違う部分もあります。ただ、前提として共通している部分もあって、それを一応最大限すくわれた上で、あとは客観的に違う意見の部分を両論併記されているという形になっているので、現時点としては、これ以上まとめ方はないのかなと私自身は思っているところです。
○神野座長 ありがとうございます。ほかはいかがでございますか。
○荒井委員 おおむねよく整理されているとは思うのですが、とりわけ認識の共有が図られつつあると考えられるというまとめ方に、1枚目の○の4つ目、被爆者の高齢化という現実を踏まえると、福祉サービスを含めた制度の施策体系の充実という方向性も考えられる。おおむね認識の共有というくくり方の中でこういう御意見があったことは間違いがないと思うのですけれども、原爆症認定制度の見直しというところで、福祉サービスを含めた制度の施策体系という広い視点から原爆症認定制度を見直していこうという御意見があったことは間違いないと思うのですが、認識の共有が図られているというくくり方は大ざっぱすぎるのではないでしょうか。
 私自身の意見としては、ここまで広げる趣旨は、諮問の趣旨から言ってもないのではないかという認識なので、あえて言えばこの項目はまだ議論が尽くされていない論点の1つだろうと思います。
○神野座長 ここは明示的にも荒井先生が少し福祉関係を入れるのはいかがかという御意見を出されているのですが、割とやわらかに表現をされたので多分共通の方に入っているのかと思いますが、いずれにしても御反対の意見が出ているので、これは後ほど考えて対処させていただきます。
 あとはいかがでしょうか。順番から行って申し訳ありませんが、こちらの方で何かなければこういうふうに行った方がいいかな。ちょっと待ってください。では、佐々木委員があるとおっしゃいました。
 どうぞ。
○佐々木委員 済みません。気がついたということで申し上げさせていただきます。
 3番の手当についてというところで、おおむね認識の共有が図られつつあると考えられているところの2つ目の○に、健康管理手当の額に比べて医療特別手当の額は高額であり、医療特別手当を給付することが真に必要な状況がどのようなものか考える必要があるという表現があるのですけれども、健康管理手当の額に比べて医療特別手当の額が高額である、ここは単純に額が違うという事実が書いてあると思うのですが、その後の医療特別手当を給付することは真に必要な状況がどのようなものか考える必要があるというのは、どういうコンテクストで出た意見か私も記憶にはないのですが、いろいろ認定基準を変えて範囲を拡大するとか、そういうふうに言ったときの絡みでそういうことをしていくのであれば医療特別手当がそこまで必要なのかどうかということも考える必要があるということではないかという気がしているのですが、単純に今の医療特別手当の給付自体を現行制度をとらえて、それが本当に必要なものかどうかを改めて検討すべきというところまで共有が図られつつあったのかな、そこまでだったのかなという感じがしているところでございます。
○神野座長 これはまとめ方の表現で、言わば原則を言っているようにも読めるし、事務局の方でどの意見を拾っていただいているのかにもよりますが、表現が読み方で当たり前のことを言っているようでもあり、かつ、もう少し現行制度を改めていくということを強調しているようでもあるということですね。
○佐々木委員 現行制度そのものがゼロから問題があるということを言われているようにも読めるし、どういうコンテクストがあるか。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 もともと差が大きくて実態に合っていないとか、そういう御意見がございましたので、そういう意見も踏まえた上で記載させていただいているという理解でございます。
○神野座長 これは表現ぶりをやるにしたら、つまり、踏み込んでいるようなことを言っているわけではなくて、共通に認識していることですから、改めなければということは言っているけれども、抜本からということでは繰り返しそれは違うという意見も両方ありますので、そこは気をつけて表現をした方がいい。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 わかりました。
○神野座長 あと田中委員、お待たせいたしました。
○田中委員 全体としてですけれども、今の言葉もそうなのですが、例えば最初のところ、原爆症認定や医療特別手当の給付といった手厚い援護には、行うだけの理由が必要。手厚い援護とか、こういう言葉があちこちに出てくるのですが、何をもって手厚いと表現されるかということがあるのです。一般の社会福祉の中の例えば高齢者とかということと比べれば手厚いと考えられるかもしれないけれども、私たちがいつも主張しているように、戦争による犠牲者ということからすれば、決して手厚いと思っていないのです。ですから、そういうことがあちこち出てきますので、それをここでもう一度中身を確認しようということであればやっていただきたいと思うのです。
 例えば国民の理解というのもそうなのです。一般にお金をたくさんもらっているよということだけで説明するとなかなか国民の理解を得られないけれども、繰り返しになりますけれども、原子爆弾の被害というのがどういうものであったかと、その後、12年間放置されてきたということをきちんと国民の皆さんに説明すれば、私どもは理解していただけると思っているわけです。それが金額だけだとか、そういうだけで提示するとそんなにたくさんもらっているのですかみたいになりますので、その辺は確認をしていただきたいと思っています。
○神野座長 後での表現ぶりですので、表現ぶりのところは直しますが、今おっしゃった後者の方は、御意見として出ているところは、合意のところではない部分については御意見として言いますが、共通のところについては、今おっしゃったように手厚いとかやや価値観が入っているように読み取られる表現については、つまり、手当の差があるというようなことを言っているだけなので、少し価値観のない表現を改めてもらいたいと思います。ありがとうございます。
○田中委員 議論の進め方なのですけれども、この1のところは3つの考え方があるわけです。制度全体について異なっている部分です。更に議論が必要と考える。ゴールのところで確認していった方がよろしいですか。それを基にして議論した方が中身が深まるような気もするのです。
○神野座長 これは一応私たちがどういう部分はこの委員会で共通に認識しているのか、それともう一つ、違って認識しているので、それを少し議論しながらできれば埋めていきましょうというのが後者になっています。後者というのは更なる議論。
○田中委員 そのとおり理解しているのです。
○神野座長 今おっしゃっているのは、私は誤解したかもしれませんが、したがって、共通の認識と、ただ単に意見が分かれているものとを分けている。これについては可能な限り共通の認識を今あるものを確認しながら少し広げていきたいと考えているので、それはむしろ中間報告よりも後に議論したいと思っております。
○田中委員 後半の3つで意見が分かれているところがあると、もっと深めなくてはいけないということですね。
○神野座長 はい。これは中間報告というか、とりまとめ以降。つまり、この段階ではどこが違っているということだけお互いに認識できていればいい。特に今日はそういうふうにしていただけるとありがたい。
○田中委員 違っているということをはっきりしておいて、なぜ違ったかということの議論をした方が非常に明確になるような気がするのです。
○神野座長 なぜ違ったのかというのはまた議論が分かれるかもしれませんが、何か御議論があれば出していただければと思います。
○田中委員 進め方として私はそちらの方がより深まるのではないかという気を持っている。
○神野座長 埋めていく作業は、本格的には中間報告以降にしていただければと思っております。
 どうぞ。
○高橋滋委員 御意見としては非常に貴重だと思いますが、これだけの時間を使って長い間議論してきたわけですので、お互いにこういうことは検討した方がいいのではないかと、少なくとも立場の違いを越えてというのは合意としては出てきたのではないかと思っております。
 先ほどの荒井委員の御指摘もそうなのですが、被爆者の方の高齢化の中で、この問題を踏まえた上での対策が必要だということは、そういう方向も考えていこうというのは、その結果、これはだめだねという選択肢になるかもしれませんが、合意になったのではないかと思っております。また、後で出てきた、給付の在り方の問題について、客観的にほかの給付とはかなり高いものがある。かつ、それは一般の東京大空襲の方の補償の問題とは明らかに別の形での補償がされているという客観的な認識もあるわけで、そこは表現ぶりはいろいろとあるかもしれません。主観的な表現で分かれる部分は文言としては検討しなければいけないと思いますが、大体の方向として、こういうことをお互いの認識の共通として出てきたのだということは盛り込んだ方がよろしいのではないかと思っております。表現ぶり、いろいろとここで検討することは大切だと思いますが、是非こういう方向で、まずは共通部分について表現ぶりはいろいろ御議論あるけれども、議論していこうという方向はよろしいのではないかと思っています。
○神野座長 ありがとうございます。ほかに坪井委員、長瀧委員、あれば。
 どうぞ。
○坪井委員 原爆症の認定に関わる問題でやっているわけです。それが今まで大ざっぱであったわけです。ただし、その科学的見地、所見を皆出すと難しくなったというので、右に行ったり左に行ったりしているような感じもするのです。だから、抽象的な言葉で皆さん意見が大体そう違っているものではないと思うのです。具体的になると、少しいろいろな問題が出てくるような気がするのです。
 今、原爆症認定に関わる問題でやるとして基本的な考え方をいきながら、手当となると今度は福祉サービスの方まで話になっていくでしょう。そうなると、それが広い意味でいいのか、それとも原爆症という病気の問題だというように攻めていくのか、その辺は少しばらつきが出てきたのではないかという気もするのです。しかし、私は、やはり皆さんがいろいろな知恵を出しておられるように、一本調子でないということです。難しい表現になりますが、今までは大ざっぱであったところで、それの一本調子ではいけないということを言うから難しくなるのでしょうが、被爆者としては、非常に複雑な人間の被爆者なのですから、もしここらであいまいにやると、福島の方の問題が確かに引っかかってきます。だから、慎重に考えていかなければいけないと思っています。
○神野座長 長瀧委員、どうですか。
○長瀧委員 合意のあるところはいいのですけれども、科学的にという立場から考えます。簡単に言えばほかの戦災と比べて原爆は違うのだと、それを補償しようというのが一番根本にある国民全体の被爆者に対する気持ち。大変な目に遭ったのだから、この方たちを何とか援護してあげよう。ただ、その理由として放射線を持ってきた。ところが、放射線に起因する病気と原爆症のトータルの病気と、裁判所の方は一緒にして原爆症と持ってこようとするし、一方で、認定ということになると、どうしても放射線の起因性ということ、そのギャップが今、残っているのだと思うのです。
 だから、議論の中で原爆の影響を受けた方々を援護するのか、放射線の影響を受けた方を援護するのかという、そこを根本的に考えないと、一番最初からそういう矛盾を持っている。法律もそうですし、国民全体の感情も残っていますので、私自身は放射線起因性ということだけを問題にしてくると、それは原爆のもともとの援護とは違うのではないかなという気持ちになってきます。
 科学的に外国に対して原爆の放射線影響はと言ったら、それはきちんと言わなければいけない。そこら辺のことが決まらないまま、放射線起因性をどこまで援護と結び付けるのかというところが、私としては決めなければいけないという感じをもっています。
○神野座長 そこは一応この書きぶりの問題点の中では、共通の認識としてではないところで書いておりますが、それで大体よろしいでしょうか。
 石委員、何かございましたら。
○石委員 皆さんの御意見を聞いていて、今後どういう形でこの話を持ってくるのか頭を悩ましているのですけれども、この資料自体はよくまとめていただいたと思います。つまり、図られつつあるなどというのは、進行形だから、いろいろ要望が出てくればひっくり返るような項目も多分あるのではないかと思いますが、大体図られつつあるところは「てにをは」の変更とか強弱の変更ぐらいで共通点を出したいと思いますが、やはり決定的に違ってくるのは、認識の共有が図られていないところです。これは皆さんのお立場もあるし、まさに被爆の御経験の方、そうでない者、一般の国民、あるいは価値観、自分の持っている学問的背景もあるでしょう。そういうことを踏まえると、議論が必要と考える事項というのは事項として整理するのは結構だけれども、ここでみんなでやりあって1つの方向に行くとは私は考えられないです。どう考えても考えられない。
 そうなると、どうしようかと思って先ほどから悩んでいるのですけれども、おおむね認識が図られているところをもう少し進化させるような意味で、例えばの話だけれども、4ページ目の手当の給付対象の3つ目、被爆者であれば何らかの影響を受けているのだから、全員に手当を支給すべきという意見も確かにありましたけれども、私の友人で現に被爆を受けている人もいていろんな話を聞いてみると、必ずしもその人はこういう形で認定してもらって、まだ将来私は白内障になったり前立腺がんになるだろうという意見もあるのだけれども、しかし、それが原爆症起因性ではないと考えたくないという人もいるわけで、ここは拡大しすぎです。これは御意見の違いはわかりますけれども、最後は結局現行の制度をベースにして不十分だから周辺部分を拾っていこうと考えるのか、それとも根っこから今の現行制度はだめだと、破綻しているのだと、白紙に絵を描くような格好でやるのかと、そこです。そこは何ら生産的な議論はないのだろうと思います。客観的な意味での学び、間違っていることを教えてもらうのは結構です。ただ、今言ったような立場の違いということが、Aの立場のある人がすぐBの立場に行かないでしょう。
 したがって、そこから先どうしたらいいかよくわからないのだけれども、とりあえず図られつつあると考えるのではなくて図られたというのが現在完了形になるかどうか、その辺の議論は1回やらなければいけないのでしょう。
 もうこれ以上、さらなる議論が必要でも永遠に両岸川岸に行くような感じで恐らく交わらないだろうという議論も当然あるので、それはそれでこういう議論があったというのは価値があると思いますけれども、その辺の議論が必要な中でまだ議論すれば何かが収束にいきそうなところがあるかどうかを皆さんに聞いてみたらどうですか。その辺だと思う。
○神野座長 当面は石先生のまとめていただいたのでいけば、根本的に非和解的な論点かどうかを含めて共通の認識をとりあえずとっておいて、そこからできれば埋められる点を埋めていって、つまり具体的にどうやって共通の認識を増やしていくのか、中身を追求するというのはむしろ後半で本格化させるということにして、今回は違いは違い、つまり合意できているところは合意できているところにして、その合意できているところを核にしながら可能な限り埋めていく努力をしたい。つまり、非和解的かどうかは別としてもと運営をしたいと考えているのです。
○石委員 要するに心を尽くすべきだというところだね。
○神野座長 はい。
 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 石委員の御意見と同じ方向になるかもしれないのですが、1〜2ページにかけて、要するに制度を根本的に見直すというのではなくて、現在の認定制度をよりよくしていくという発想で意見がまとまっておおむね意見が一致しているというまとめ方ができないものかということなのです。
 今の制度で少しでもよくなるようにということで具体論を集めていくという、せめてそこの共通項がなければ、現在の制度を全く御破算に願いましてはとか、田中委員のお言葉を借りるとしますと、破綻しているというふうに決めてしまわずに、修正していこうではないかというのをさらなる議論というのではなくて、おおむね共通の認識は得たという方に振り向けていけないだろうかと。恐らく今日あるいは次回を含めて一番中間とりまとめでポイントになるのはそこだろうと思うのです。そこがあれば少しでも具体論のところで夏以降に肉付けがだんだんとしやすくなるのではないかと思うわけです。
 だから、御意見の場所をちょっと前の方に、おおむね意見が一致、共通認識ができたという方向に修正していこうという辺りの意見を移し替えてもらえないだろうかということでございます。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 私も全くそういう意見なので、ここで意見が違っているとか3つあるというので、そこが根本的なところなのです。なぜ私たちが違う意見を今言っているかということが問題なのです。それが埋まってくるというのは、今まで議論された中で埋められる説明なり御意見があったら破綻しているとは言わないわけです。しかし、今までの十何回の議論の中でそれを言わざるを得ないような御意見、あるいは厚労省の意見しか出なかったと私たちは考えているわけです。私もそう考えているわけです。
○荒井委員 さらなる議論の中に破綻しているという評価なり見方があることを私は消してしまった方がいいとまでは申し上げないのです。そういう見方があるかもしれない。さて、これからどうするかというときに全部見直していくというのではなくて、根本から見直すのではなくて、今のままでは破綻しているという評価もあり得るので、さてどういうふうに手直しをしていくかという意味で言えば、おおむね認識が一致している方で整理できるのではないかという意見なのです。
○田中委員 そのことに関して、私は何回も裁判と行政の乖離をどう埋めるかということの議論があってしかるべきだったし、厚労省からはそれをどう受け止めているか、それをどう改善できるかという御意見があるかと、私は自分でしつこかったと思うのですけれども、何回もお尋ねしました。それに対する答えが私は得られたと思えないのです。そうだとすれば、今の制度を手直ししていいところに近づけていくということはもう難しいのではないかという気持ちがしているのです。
 ですから、私も提言もしましたし、山崎先生のは手直しのようにも見えますから違うのですけれども、そういうことなのです。どうなのでしょう。やはり裁判と行政との乖離をどう現行制度で埋めていくことができるのかというのが最大のポイントだと思っているのです。
○神野座長 ですから、今おっしゃっているのはそういうことを含めてですね。だから、基本的に私の認識ではそれがこの委員会に課せられたミッションだと思っていますので、全面的にこの制度を否定するというのは、全面的にというのはどこまで表現を意味するかは別ですが、全面的に否定してしまうと、言わばそもそもという、つまり、社会保障制度全体の中でどう位置づけるかという話まで入ってくると存立そのものもなくなってしまいますので、私どものミッションとしては、現行制度をよりよくしていく。そのことによって埋めるという行政判断と、埋めるために現行制度をどう改善していくのかというのがミッションだと理解しているのですが、そうではないという意見もありましたのでここで拾っているということです。
 ただ、石先生と荒井先生の御意見だと、そこが埋められないとなかなか中間まとめで両方とも根本的なところで2つの立場がありますねということだと、非和解的で、今後、最終報告に向けての努力も期待できないのではないかという御意見だと了解してよろしいですね。
 したがって、共通する、できれば中間とりまとめという段階でもってこの委員会として、今の制度をより改善していきながら行政判断と司法的な判断の相違を可能な限り埋めていくという努力をこの委員会としていこうということが中間とりまとめの段階で合意できたということになれば、生産的に後半の議論が展開できるのではないか。
○石委員 ただ、後半の議論で今言った生産的に議論が可能かどうかわからないです。なぜかと言えば、要するに田中さんが非常に不信感を持たれているのは、司法で決まっているのが行政判断で捻じ曲げるといったら失礼だけれども、修正するのだというのが根っこにあるわけですから、しかし、今言った、まさに乖離というのは事実としてあって、ただ、恐らく行政的な判断抜きにして今のいろいろな制度は動かないでしょう。そういうことを踏まえて、問題意識は神野先生が言われたようにミッションという言葉でいいと思うのだけれども、努力しようと、後半戦に備えてそういうターゲットを決めるということでしょう。その後半に備えてターゲットを決めたら、そこで議論を一生懸命やってみるけれどもというところまでで、今それがどちらに転ぶかわからないです。かなり難しいところだ。
○神野座長 どうぞ。
○荒井委員 せめてどういう方向で議論していくかということの共通認識の中に、今の原爆症認定制度をよりよくするために、言わば修正、見直していこうという共通認識がなければ、根本からやり直そうというのでは、恐らく各論に入ったときにみんな全部方向が違ってしまうことになると思うのです。私は、田中委員あるいは坪井委員の具体論のところで幾らか共通の土俵があるかもしれないという期待を持っているものですから、全部御破算で新しい制度づくりというようなイメージで臨むとなると、それはもう各論に私などは入れないです。だから、それでは非生産的、もったいないということなので、せめて見直していくのだというところぐらいは共通認識にできないものでしょうか。
○田中委員 共通認識を私は持ちたいと思ってこの委員会の委員を引き受けているわけですけれども、今までの議論の中で10条、11条と言っていますけれども、10条でとにかく病気を定めて、それの医療費を全額国が持つという制度になっていますね。そこのところを残していくのかどうかというのが1つです。
 その病気にかかっている人の手当を出すというのは10条、11条に書いているのではないです。別の条文のところで書いてあるところなのです。それが今ごちゃごちゃになってしまうわけですけれども、原爆症と認める病気の医療を給付するということを書いてある病気の認定のところで科学的な知見の問題と、グレーなところ。司法が認定している分はこの議論の中でグレーと言われたのです。もっと放射性起因性を超えた何らかの原爆が原因になっている病気があるのではないかというところは皆さん大体合意していただけているかなと思うのですけれども、それは10条、11条の中でそういうことが言及できて、制度がそのまま生きていけるのかということを考えると難しいのではないか。それは手当との関連で出てきた議論であって、10条、11条の中で出てきた問題でないのではないか。
 基本的には10条、11条はもう使えないというのが、私が破綻していると表現した言葉なのです。具体的には、10条、11条では司法が認めた放射性降下物の残留放射線の影響はもう認められないということになってしまうと思っているのです。そうすると、司法との乖離も埋めることができないとなってしまうのではないかと思いますので、そういうふうに言っているのです。
 以上です。
○神野座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋滋委員 具体的な現行制度の評価等については、確かに今までの経緯に基づくいろんなお考えが吐露されている部分はあると思います。しかし、既に田中委員の方からもある種の御提案も出ておりますし、山崎委員の方からもお出になっている。更に言うと、根本的に見直すとすると、これからの制度が飛んでしまう。そうすると、そこはもう今までの制度について要件を少し拡張するという形での具体的な制度設計になっていくと思うのです。
 そうすると、どういうふうに受け取るかは別にして、かなり具体的な話が出ておりますので、2〜3行ずつ、もう全部書く必要はないと思います。基本的なスキームとしてこんなものを考えていますと、そこの制度論だけを書いて、余りバックのいろいろな考え方は出さないでおいて後の議論に持ち込むというのは1つの在り方なのではないかと思います。
○神野座長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 神野先生は社会保障審議会年金部会長でいろいろ御苦労されたといいますか、同じような議論を聞いてこられたのでしょうけれども、前政権は100年安心だと言ったのに対して、新政権は年金は破綻していると、抜本改革が必要だと。昨日辺りまでまだ旗は降ろせない、降ろせという議論が続いていて、急転直下で妥協が図られるかもしれないという現在進行形でございます。
 今、我々が一致しているのは、現状のままではいけない、何とかしなければいけない、場合によって法改正も必要だろうということだけではないでしょうか。ここで私も大体議論の整理の案でいいと思います。今の段階でよくまとめていただいたと思うのですが、おおむね認識の共有が図られつつあるというのも、今の議論を聞いていると無理なのかなという気がします。
 あえて言うと、大方の意見はこうであった、ただし、抜本的に見直さなければいけないという意見もあったというのが現状を正確に反映した表現ぶりになるのかなという気がいたします。
 特に政権が変わって以降のことでございますが、かつての審議会は政治的な調整をも引き受けるようなとりまとめをしたのだろうと思うのです。要するに、舞台裏で利害調整をしてしまうというようなことでした。当時は審議会も公開されていない、議事録要旨程度という時代もありました。今はもう全く違うわけでございまして、財務省の審議会はインターネットで中継されるようなものもありますし、別にそこまでいかなくてもこうして公開され、議事録も全部発表されているわけでございまして、開かれているわけです。
 そういうことになると、かつての審議会のようなやり方も私はいいと思ってはおりません。むしろ大事なのは今日まとめていただいたように、議論をきちっと整理するということが一番の使命です。そして、対立した意見を意見として併記する。できれば議事録をまとめただけではいけませんから、幾つかの選択肢に集約する。場合によればそこに財政的な負担も併せて選択肢を提示する。あとは特に政治主導を標榜して現政権は政権に就いたわけですから、選択と集中をするというのは最終的には与党・政府・国会の仕事だろうと思っておりまして、座長が随分苦しんでおられるのですが、余り無理をされないで現状に素直になった方が我々はいいのではないかと思うのです。のむかどうかと言われると、踏み絵を踏まされているみたいでつらいです。ですから、そういうつらい思いはしたくないと私は思います。というのでいかがでしょうか。
○神野座長 ありがとうございます。建設的な意見。
 長瀧先生、先ほど手が挙がっていました。
○長瀧委員 行政と司法の乖離の根本は放射線起因性ということです。行政の方ではやはり今まで世界的に認められているような放射線の起因性による病気というものに従って認定してきた。司法の方はそれだけに限らないでもっと広く認定しようということで判例が出てきますから、判例の中には科学的には世界から見て笑い者にしかならないというものまで日本の裁判所は認めるのかというようなところまで広がってきています。それは放射線の起因性ということから言えば笑い者なのですけれども、被爆者を援護するという基本にある裁判所の気持ちがそういう格好で出てきたのだというものでしょうから、もしも今のお話で根本的に変えるのか、あるいは現行法をいじってというところで、放射線起因性という言葉を現行法でも入れられるのかどうかが今の司法と行政の乖離の中の一番大きな問題だと思うのです。
 ですから、もし現行法でいくというときに放射線起因性をどこまで変えられるのか、実際に変えても現行法は存在し得るのかというところは私としては非常に気になるところでございます。
○神野座長 どうぞ。
○石委員 整理しておいてもらいたいことで1つ気がついたのですが、山崎さんのおっしゃったところは重要だと思うのだけれども、この検討会、政治の関わり。要するに与党か野党か知らないけれども、年金でやっているような話と違うと理解したのです。年金制度の仕組みは、向こうでやっているような話とはまた違って、ここで我々が検討会の中間とりまとめで最初に出た取扱いというのは、国会の審議のベースになるような意味合いを持つようなのですか。それとも単なると言ったらおかしいけれども、従来の議論の整理をし、かつ、その方向性でどうぞ御自由に皆さんお使いくださいというような感じなのか、事務局、この辺の話はどうなっているのですか。
○外山健康局長 第1回で大臣が御説明しましたけれども、これは大臣の私的諮問機関ですから、ここでいただいた結論が直ちに自動的に国会に行ってという話ではないです。これはワンクッション当然置く話で、この経緯は平成21年12月の原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律の附則で認定の在り方を検討するといったことがあって、総理大臣の方から見直しの検討を進めるということが22年8月に表明されたというステップを踏んで、そして行政の方で厚生労働大臣の方で考えようということを約束したので総理の方で納得したということなので、まず行政府の方で有識者の意見を聞いて、耳を傾けながらまず考えようという話でございまして、その結論を国会のある一定のところで議論を進めて、結果的には法改正になればそうなりますけれども、そういうクッション、ステップを踏む話だと思っています。
○石委員 総理大臣がころころ変わってしまうから、今おっしゃっている総理大臣は今の総理大臣ではないでしょう。おっしゃっているのは前の総理大臣でしょう。それ総理大臣でつながっていればそれでいいけれども、途端に出した人がいなくなってしまった、新しい人といったら、大体どこの組織もそうだけれども、前の人のやったことに対して下手になるのです。大学の学長もそうだけれども、社長もそうだけれどもね。これは一生懸命やっているけれども、取扱いは我々の努力が報われるような方向で成果が生かされるのかどうか確認を取りたい。確認を取ってもしようがかないと思うけれどもな。
○外山健康局長 先ほど言いましたように、法律の附則で検討することになっていますので、それはもうちゃんと手形を落とさなければいけないということになります。
○神野座長 今、御意見ちょうだいいたしましたけれども、いずれにしても、違いはここにまとめてあるとおりの違いなのですが、進めていく上でもって極めてさらなる議論が必要と言われている事項のうち、できれば中間報告というか、このスタートラインの段階で合意しておくべき事項の方に入れておかないと次の議論が進まないのではないかという意見と、とてもそういう問題ではないという意見と多分2つあるのだと思うのです。
 ただ、方向性としてまとめていくというような方向があれば、今の段階では当面書きぶりを考えてみますが、少なくても違いと合意している事項についてはほぼこういう認識でいいと、今までちょうだいした意見について言えば、できればもう少し合意している事項を増やさないと意味がないのではないかということと、依然としてそういうところで合意事項に入れてしまうということ自身が言わば議論としてのめないという意見、多分対立していることではないかと思いますので、当面、今、進んでいる現状としては、内容としてはこれで。
 どうぞ。
○田中委員 もう少しよろしいですか。長瀧先生おっしゃっていますように、制度の在り方、根幹は10条、11条の中で書かれている放射線起因性、法文は放射能起因性になっていますけれども、放射能起因性をどう考えるかにあるのです。今までは放射線起因性という理解で、科学的知見でなければ絶対だめという考え、これは分科会の委員の先生も長瀧先生もそうおっしゃいましたし、厚労省もそういう姿勢をとってきたわけです。それだと、訴訟で争ってきて認めるべきだという人たちはどうしても含まれない。それを救済するのが政治の在り方であるし、それを司法は指摘しているのだと長瀧先生はおっしゃっているのだと思うのです。
 それを取り入れることが10条、11条の中にできるかどうかというのが最大の問題。私は破綻と言ったのですが、破綻の中身はそういうことだと。放射能起因性というのを今の解釈から広げることができるか、その中に例えば言葉として出てきた原爆症起因性というものも法律の放射能起因性という中に含めることができるのだと、そこで合意しましょうということであれば大きな前進ですけれども、そのことは何も入っていないのですね。
○神野座長 入っていないではなくて、違いとして入っている。つまり、起因性については、もう既に科学というので限界しても新たな制度として証明しがたい部分があるのでという意見に対してある程度起因性というのは重要で、きちっと理解してある程度の水準をつくっておかなければいけないのではないかという意見があるということだと思います。
 どうぞ。
○田中委員 それはしかし、意見は違っていないのではないですか。起因性を厳しくしろというのは今までの議論の中でもう絶対譲れない、これは先生が言われるように医学系の先生方が譲れない。
○荒井委員 これまでの議論の中でいろいろ専門家からの御意見も聞きましたし、事務当局からのいろいろな資料提供もありましたけれども、議論が分かれるということは私も承知はしているのですが、起因性という要件そのものから離れるわけにはいかないだろうと。
 一方で、長瀧委員が御指摘になっているように、既に起因性というのは緩めに緩んでしまっているのです。それは新しい審査の方針で3.5kmというのは今日の資料にもありましたけれども、線量的に言えばもうほとんどネグレクトできる程度にまで行政認定は広まってきているのです。
 だから、起因性ということを全部外してしまって、原爆被害者というところでつかまえることができるかという御意見はありましたけれども、そこまで言っていくと、ほかの戦争被害との関係で切り分けがなかなか難しくなるのではないかと。だから、起因性という10条、11条は維持しながら、その要件をどこまで、科学の名においてというのは科学のお立場としては非常につらい、国際的にも恥ずかしい話だということも理解できますけれども、そこは法律で一応押さえながらその認定の仕方を工夫していけばいいのではないかと、なるべくそこが裁判にまでならないようなつかまえ方というのはできるのではないか。言ってみれば緩んでしまったところを後からアップルーブする、公認するというやり方になろうかと思います。だから、今よりはある意味でよくなっていく、手厚くなっていくという方向はできなくはないと思うのです。
 全部それをやり直して今から原爆被害者対応の制度をつくろうという議論では、もうこの会の存在価値はないということになろうと思うのです。諮問の趣旨から申しましても、それはちょっと離れ過ぎるのではないでしょうか。そういう意味で言えば、現在の制度を見直していく、そこに各論的にどういうふうな仕組みを取り込めるかというのが今後の言わば課題であって、そういう意味で見直しというところは共通項になれるのではないかと思うのですけれども、やはり難しいですか。
○田中委員 なれると思っていますので、変える部分というのはどういう変え方をしたらできるかという御意見がまだないのです。
○荒井委員 それはこれからなのです。
○神野座長 少しこの点については、いずれにしても方向性として、多分言葉もいろいろ解釈の違いがあるのかもしれませんが、ほぼ方向性が合っているのであれば方向性として書きたいと思っています。
 どうぞ。
○石委員 今の議論の延長上だと思うのです。先ほど高橋さんが言われた御意見に私も賛成してセコンドしたいのです。
 結局さまざまな価値観があり、さまざまな経験法則があっていろいろバックグラウンドの異なる人の中で、1つブレイクスルー的な具体的な制度設計、手当のところです。手当というのもある意味では価値観があり、さまざまな検討があってできるのだけれども、今の不十分な制度を直したいというときには、具体的には3つ目の項目は手当についてというところです。そういうところで具体的なアイデアが出て、それに乗ってもいいよ、ただし、考え方は違うよとなってもいいと思うのです。そういう形の議論の進め方というのは多分あるのでしょう。別に主義主張を放棄したわけではありませんから、成立する成果について賛成できれば多分いいのだと思うので、恐らく高橋さんもそういう意味なのでしょう。違うのか。私は経済学者だからもっと現実的に割り切ってしまうけれども、その辺の価値観は価値観として共用すべき。制度設計のところで少し議論が交わせないか、それもまたいろんな人が提案してくればいいと思います。
○神野座長 いかがですか。
○田中委員 先ほども言いましたけれども、10条、11条というのは医療に対する法律なのです。手当に対する法律ではないのです。だから、手当をどうするか、医療特別手当、健康管理手当、すべての手当をどうするか。その中で健康管理手当どうするかという議論は議論として十分あって、いろんな議論が今までも出たのだと思うのです。その根底にある、医療特別手当を決めることにはなる。認定というところでは何も変わっていないわけです。そうすると、それを変えないで議論することが本当に抽象的な議論にしかすぎないということになってしまいますので、まず10条、11条をなくすということを前提にして話を進めていった方が早いのではないでしょうか。そのうちの1つの提案が被団協の提案なのです。
○石委員 それはできないでしょう。
○神野座長 佐々木委員、どうぞ。
○佐々木委員 今、田中委員おっしゃった10条、11条の話なのですけれども、今の司法判断と行政認定の乖離を、先ほど荒井先生もおっしゃったように何とかこの検討会で埋められる余地はないかという議論をしようという、そこの方向については田中委員も多分否定されることではないと思っているのです。
 そのためにどういうことができるかということをいろいろ聞いたけれども、田中委員は厚労省に聞いても、どうもとてもできそうにないから私は根本を変えなければいけないというお話をおっしゃっているのだと思うのですけれども、この先生方の中ではもっと汗をかいて努力をしていこうということがあるという、まだその可能性を追求しようとしているということが1点と、もう一つ、司法判断と行政認定と乖離ということが10条、11条という今ある法律を前提として起きているものですから、裁判所も法律から離れてやっているわけではなくて、10条、11条がある中で乖離が出てきているという話ですので、その法律の中で司法の判断と行政が違うのであれば、そこをどういうふうに工夫していくのかということをまずやはり汗をかいて議論をしていくべきではないかなと思います。
 先ほど石先生がおっしゃいましたけれども、それはそれとして根本的な考え方としてこういう理念はあるよとか、田中委員の理念を否定するわけではないのですけれども、やはり被爆者のために具体的に議論を進めていかなければまずいと思いますので、少しでも具体的に成果の出せる結果の出るものに向けて、少しでも具体的な議論を進めていくためには、そこの今の法律の中で乖離を埋めていく、乖離があるところをどう具体的に埋めていくのかという具体的な議論を進めていけるように、そこを進めていくということについては同意をいただけるのではないかなという気がしているのです。
○神野座長 どうぞ。
○田中委員 放射能起因性というところを今までよりももっと広げるということが可能かどうかという議論が全然できないのです。放射能の起因性を放射線起因性で今までずっとだれもが解釈してきて、それはもう世界に通ずる科学的知見によらなければいけないということでなってきた。だけれども、今の法律を残したままもっと広げようとしたときには、そこに何か入れないといけませんね。これを入れましょうという議論があって、それはいいですねという議論に全くなっていないです。だから、それができないのだったら、もうこの条文そのものが成り立ちませんよというのが私が言っていることなのです。その議論をしていただきたい。
 だから、放射能起因性と言われている中に、今までの従来の放射線起因性と、その放射線起因性では言えないけれども、原爆の被害については何らかの配慮をしなくてはいけない疾病があると決めてもらえればいいのです。法律にするか政令にするか。法律には放射線起因性と書いていませんから、放射能起因性を解釈すると政令で決めてしまえばいいわけです。そういう議論を今まで全然していませんので、話としては長瀧先生も言ったし、草間先生もいろいろ出ていますけれども、山崎先生からもちょっと話が出ていますけれども、それは10条、11条と関わる議論となっていないから、私はもうくどく発言しているところです。
○荒井委員 それは各論の問題ではありませんか。これまでも全く具体的にどういう病気が、起因性を全く否定しないでいながらある程度広げることが可能かどうかということの具体的な疾病名まで挙がったことはないと思いますけれども、幾らかそれを分科会の議論あるいは裁判例も頭に置きながら、広げられるかどうかの検討をしようではないかという意見は出ていたのではないでしょうか。
 例えば各論として言えば、新しい審査の方針の中で放射線起因性のある何とかというのが追加になりましたね。あれが一番各論的に言えば、個別裁判の中で拾われることが結構ある。それはギャップの1つになっているわけです。だから、何でもかんでも病気であればいいというわけにはいかないと思いますけれども、今、田中委員が御指摘になっているのは、私に言わせれば各論の問題だろうと思うのです。起因性ということから離れないでいながら、しかし、その起因性の認定方法をなるべく客観的につかめるような方法はないかと、既に緩んでしまっているという前提を尊重しながらといいますか、そういうやり方で制度の具体的な運用の見直しあるいは認定の基準の見直しということは各論としてはあり得ると思うのです。
○神野座長 どうぞ。
○長瀧委員 起因性を認めるということになると、物すごく科学と乖離してしまう。例えばある病気で申請された、それが放射線のせいだと認めたときに、世界の専門家が見て、だれが見てもそんなことあり得ないというようなものが日本では裁判で認めているとなると、これは被爆国という原爆にあってその科学を世界に広めなければいけない、日本がリーダーシップを持って発信していかなければならない、その中で全く世界の人が信じないようなことが日本の司法だけが認めるという、それが一番困ると思うのです。
 ですから、認めるのか、否定できないのか。これは否定できないから援護しているのだということであれば、それは科学的に何とかまだ言えるかもしれないけれども、認めたというと物すごくおかしな話になってしまう。そこら辺の感覚をちょっと。
○荒井委員 既に各論の議論に大分入っていると思うのですけれども、放射線の起因性というのは法律上の要件であって、その認定の根拠として科学的知見というものが大変大きなウェートを占めるということは間違いないと思うのですが、一方で言うと、科学だけの問題ではない。やはり法律上の要件あるいは裁判認定の基準になっているものというのは、科学的知見をベースにしながらもほかの要素があり得るのだという認識でいいのだろうと思うのです。それは科学の世界から笑い者になるみたいなお話も聞くわけですけれども、そこは純粋に科学の世界ではないのだということで理解してもらうしかないのではないでしょうか。
 一方で言うと、起因性ということを全く離れて、それでは原爆体験ということで13万人幾らを制度の対象にできるかというと、それは私に言わせれば無理な話だろうと思うのです。最初の諮問を受けた委員会でも、なぜ説明ができるのかというのは、やはりほかの戦争被害と違うのは、放射線とのつながりだということが強調されて動いてきているわけです。
 ですから、長瀧先生の御心配というのはよくわかるのですけれども、それを全く離れるわけにもいかないではないか。一方で、ある程度緩んできている認定の仕方を維持しながら、更に言うと行政認定でもそう悩まなくてできるような仕掛けというのが考えられるのではないかという認識なのです。
○長瀧委員 結局その仕掛けが本当に可能なのかどうかということが問題です、具体的に福島もチェルノブイリも、世界中で放射線の影響が話題になっています。そのなかで日本が、余りにも内輪の話だけで放射性起因性を定義するのは、私としては日本としてはおかしいということを非常に強く感じています。裁判所が科学的なものをある程度超えて認めているということは、放射線だけではなくて原爆症と、原爆の被爆者だということを認めて援護しようとしていると見えて、それが行政と司法の乖離のような感じがします。
 そうすると、放射線起因性をどう扱うかということが今後一番大きな問題で、現在の法律をそのまま持っていて今の乖離、起因性を含めることが可能なのかということです。これは私には、わからないものですから、少なくとも積極的に放射線のせいだという言い方はしてほしくないという感じです。
○神野座長 法律的なあれなので、高橋先生、何かコメントしていただければ。いかがでしょうか。
○高橋滋委員 中間報告の中でこの議論をするのか。するのであれば本格的にいろいろとさせていただきたいと思うのですけれども、中間報告として先ほど申し上げましたように、4つ案が出ているときにいろいろと議論があるというところでとめる。私としては、そこは価値観抜きにこういう提案が出ていますということでまとめられれば、後は秋の本格的な議論につなげられるのではないかと、こういうふうに再三申し上げているということだと思います。
○神野座長 わかりました。いずれにしても、御意見が今もありましたように、各論にかなり踏み込んでいくような話になっていますので、私としては、もしも次回に向けて合意できるのであれば、次回かなり中間とりまとめみたいなことを少しやってみたいと思いますので、合意していただけるのであれば、私としてはミッションはとりあえず現行制度をよりよいものにしていくというのがミッションでしたので、しかも今、国民の理解を得られるようにというのには何も付いておりませんので、私たちは専門家の理解と同時に、一番重要なのは国民が理解するということだと思いますから、被爆者に寄り添うと同時に、先ほどの田中委員の意見も単に財源がないとかということではなく、ちゃんと説明すれば国民の理解を得られるはずだということなので、国民の理解が得られる、これは共通の認識として合意しているわけですね。
 なので、当面現行制度をよりよくしていくという方向で議論を重ねていく。その上で、そうではなくてもかなり現行制度だけではなく、現行制度を修正していくだけでは無理だという御意見もあるということを認識した上で、ここで最初のときにも申し上げましたけれども、議論していった結果、ここで全面的にゼロベースでもってやり直さないと無理だという結論に到達すればそうしたこともあり得ますけれども、当面のところはよりよい制度にしていくということで議論をまずしてみる。ただ、部分的な修正では無理だという意見もあるということは十分に認識した上で進めていくということで、中間報告で合意している点。中間報告というか、今のとりまとめの段階ではそういうふうに書かれているわけですけれども、そういうことで少しまとめさせていただく案を次回出させていただいて、また御議論いただければと思います。それでよろしいですか。よろしければ。
 どうぞ。
○田中委員 1つだけ御意見。現行制度というのは、基本的にはもう10条、11条の中に全部が入っているのだと私は思っております。あとはそれに付随している問題なのです。その10条、11条の中に入っている根本的なことは、放射能起因性をどう合意するかということだと私は思っているのです。
○神野座長 だから、放射能起因性については全部科学だとか、あるいは科学自体がいろいろあるとか何とかという問題もあると思うのですが、当面起因性ということから出発しますけれども、これは外さないでもだめなのだという話になればまた別の話になってくるだろうと思いますから、それは議論していきましょうと、ただ違いはあるということを認識しておく。
 私の考え方としては、放射能に起因しているという因果関連を全く無視して国民の合意を得られるかどうかということを個人的には不安に思っていますので、そこの解釈については長瀧先生がいろいろおっしゃっているようなこともあるかもしれませんので、そういう意見はあるということは重々認識した上で進めさせていただければと考えている次第です。言っている意味はいいでしょうか。
 したがって、根本的に直さなければだめだという御意見があるということは、十分に認識は一応する。これを払拭しないとだめではないかということは目をつぶっていただいて進めさせていただく。
 ただ、お互いにといいますか、このすべての委員の方々はよりよいものにしていこうと、前進をさせようということは合意しているということで合意点を導き出していきながら、例えばそれはどういうことになるかわかりませんが、最終的に方向性はこうなのだけれども、例えばそれぞれの委員で目指すべき道がこちらで別な人はこうだと言うけれども、中間的、中間的というのはこの中間報告とは別にあるのですが、ある程度ここまでまず進めようということについては合意できれば登山のときのベースキャンプか第2キャンプかわかりませんが、そこまでとにかく進めるということが最終的にまとめられればと考えておりますので、とりあえずはよりよい方向に進めていくということで進めさせていただいて、勿論、抜本的に考え直さなければならないという意見もあるのだということは前提にした上で、十分認識した上で進めさせていただくというような形で次回少し案を出させていただければと思います。よろしいですか。
○田中委員 いいです。
○神野座長 それでは、一応そういうふうに御了解をいただいたということで、本日は時間が少し余っておりますが、これでこの会議を閉めさせていただければと思います。次回以降の日程その他について、事務局の方から御提案があれば。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 次回の日程につきましては調整の上、追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○石委員 まだ28日にやるのか決めていないのか。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 一応内々にはそれで調整は。
○石委員 困るんだよね。決めるとか決めたとか、日程は1か月、2か月で決めなければいけないので、今日の段階で決められないのですか、決められるのですか、どちらですか。
○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 それでは、一応28日ということでお願いしたいと思っております。時間は28日午前ということでお願いしたいと思います。
○神野座長 後でまたちょうだいいたしますので。
 それでは、どうもありがとうございました。
 生産的に精力的に御議論をちょうだいしまして、また私の不手際で十分に皆さん方の意をくみ取っていないかもしれませんが、当面時間は申し上げたように運営させていただければと思います。どうもありがとうございました。


(了)
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