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2012年6月26日 第3回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会議事録

○日時

平成24年6月26日(火) 13:30~15:30


○場所

中央労働委員会講堂
東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館7階


○議題

1 目標・評価の在り方
2 将来の統合も視野に入れた具体的な検討
3 その他

○議事

○永井座長 それでは時間になりましたので、「第3回国立病院及び労災病院の新しい法人制度に関する検討会」を始めさせていただきます。委員の皆様におかれましては、本日お忙しい中ご出席賜りまして、誠にありがとうございます。本日は、岩村委員、夏目委員からご欠席の連絡をいただいております。
 お手元の議事次第にありますが、「将来の統合も視野に入れた具体的な検討」及び「目標・評価の在り方」について、順次ご議論いただきたいと思います。議事に入る前に、前回の宿題事項について事務局から説明をお願いします。
○小野田国立病院課長補佐 前回の宿題事項について、説明させていただきます。お手元の資料1と書いてあります「第2回検討会宿題事項」という資料をご覧ください。前回の宿題は3点ありました。1点目は、今般の独立行政法人制度改革の全体像を整理すること。2点目は、緊急事態対応の条文の整理と、日赤のミッションについて。3点目は、両機構の医療事業における政策医療の割合について整理するということでした。
 1頁の1つ目の項目から説明させていただきます。今回の独立行政法人制度改革の柱は、資料の真ん中の上にありますように、いままでの独立行政法人という制度を廃止して、新たに「行政法人」という制度を創設するという点です。それに伴って、新たに行政法人に共通のルールを作ることになっています。
 行政法人には、大きく2種類あります。真ん中の青い「中期目標行政法人」と書いてあります。もう1つは、右の紫色の「行政執行法人」の2種類に分かれます。中期目標行政法人は、3年から5年の中期目標を設定する法人。そしてもう1つの行政執行法人が、単年度で業務を行うことが想定されている法人です。真ん中のオレンジ色は、中期目標行政法人の中にさらに「国立研究開発行政法人」があります。これは、主に研究開発を行う法人で、中期目標期間が5年から7年となっています。そして、この1頁の図と次の2頁の図を見比べていただきますと、同じ色のところに具体的な法人名が入っていますので、どこにどういう法人が位置づけられているのかがおわかりになるかと思います。
 我々がいま検討しています「国立病院機構」と「労働者福祉健康機構」がどこに位置づけられるかというと、図の左の黄色い枠の上から2つ目の「医療関係法人」というところにあります。これが、現在まさにご検討いただいているもので、絵の右の行政法人とは別の新たな法人制度を作るという整理になっています。さらに、病院関連の法人として、これ以外に左の下のグレーのゾーンがあります。そこに「法律等により在り方の見直しが予定されている法人」とありまして、ここにいわゆるナショナルセンター、NCやRFOなどが入っています。これらも、現時点で行政法人という分類には入っていませんので、今後それぞれ検討をして、法人制度の在り方を決めていくというものです。
 いずれも、新法人制度の施行は、平成26年4月を予定していますが、右の行政法人については、1頁の赤い線の枠で囲ってありますように、今回の通則法改正で措置をする範囲がこの赤枠の部分です。それから、例えばほかの医療関係法人等については、通則法とは別に検討して法整備をすることになっています。1つ目の宿題の説明は以上です。
○永井座長 ありがとうございました。どなたかご意見、ご質問がありましたら、ご発言をお願いします。
○渡辺委員 いまの説明で、評価委員会、特に政・独委の位置づけは何か決まっているのですか。
○小野田国立病院課長補佐 後ほど、目標や評価の位置づけ等の項目がありますので、そちらで詳しく説明させていただければと思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしご質問、ご意見がないようでしたら、議事に入りたいと思います。議題1について、事務局から説明をお願いします。
○小野田国立病院課長補佐 議題1の前に、宿題の2つ目をご説明いたします。
○永井座長 すみません、宿題の2つ目を続けてお願いします。
○小野田国立病院課長補佐 3頁にまいります。「緊急事態への対応」です。ここに並べていますのは、「緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求」という項目が規定されている病院関係の法人の条文です。現行法では、国立病院機構、労福機構、NC、RFOそれぞれに、災害時等の緊急時に、厚労大臣が各法人に対して必要な業務の実施を求めることができるとされています。また、法人にはこれに応じる義務が課せられています。
 4頁は、日赤について簡単に説明させていただきます。日赤法の第33条を見ていただきますと、日赤の場合は先ほどの独法とは違い、国の救護に関する業務を日赤に委託する仕組みになっています。下の「参考」の日赤の業務の第27条の中で、日赤の業務の中には例えば第2号にありますように、「非常災害時又は伝染病流行時において、傷病その他の災やくを受けた者の救護を行うこと」といった規定もあります。これらについては、国からの委託を受けて行うものも含むと規定が置かれています。
 5頁に、もう1つ日赤に関係するものとして、災害対策基本法の関係条文を載せています。災害対策基本法は、基本的に防災や災害に関しての国、地方公共団体、それに準ずる公的機関の責務や行政体制の整備等を規定しているものです。日赤は、この第2条をご覧いただきますと、災害対策基本法の中の指定公共機関というものに日本赤十字社が位置づけられています。国立病院機構も、これはかつての国立病院の流れで指定公共機関に指定をされています。これらの指定公共機関については、条文の真ん中と下にありますが、災対法の第6条で災害時の自治体に協力する責務や、第50条では災害応急対策を実施する責務といったものが定められています。宿題の2点目に関しては以上です。
○永井座長 ありがとうございます。ただいまのご説明について、ご質問をお願いします。
○伊藤委員 緊急事態への対応の、大臣からの各法人等への要求の根拠は、それぞれの法人に対する認可などの行政行為に対するものとリンクがあるのでしょうか。それとも、それは関係なく、何か一般的な意味の公的な病院だから要求をするということなのかという、行政行為との関係を説明していただけますか。
○小野田国立病院課長補佐 すみません、いま手元にすべての法人の細い認可関係があるわけではありませんので、また整理をさせていただきたいと思います。ただ、基本的には国の関与、認可がある、もしくは行政財産を使っているなど、何らかの国との関係があるがゆえに、こういった国からの要請の条文が置かれているものと理解していますが、そこはまた整理をさせていただければと思います。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、3点目をお願いします。
○小野田国立病院課長補佐 6頁は、3つ目の宿題です。両機構における政策医療の割合を出しています。先に、国立病院機構について説明させていただきます。真ん中の表を見ていただきますと、重症心身障害や筋ジストロフィーなどのいわゆるセイフティネット分野の入院患者数の割合は、表を見ていただきますと25.3%です。これは、ある時点での1日平均の患者数で計算した数字ですが、平均的には大体3割弱という理解でよろしいかと思います。下にいきまして、4疾病5事業の割合を見ていただきますと、これは患者数では出せていませんので、実施している病院数で出しています。144の病院中、例えばがんですと71、救急医療ですと108などとなっています。
 7、8頁が労災病院についての資料です。労災は、この2頁にわたって、平成12年度から23年度までの労災患者の比率を出しています。いちばん下の「労災病院計」というところを横に追っていただきますと、入院、外来合わせておよそ4~5%推移しているのがわかるかと思います。そして、縦に各年度を見ていきますと、労災患者の比率で施設、病院によってだいぶ違いがあるのですが、労災患者比率の高い病院の1つの傾向として、特定の労災の疾病について高い専門性を有している病院ですと、やはりそこの数字が高くなっています。いくつか例を申し上げますと、表のいちばん上に出てきます道央、北海道中央労災病院の数字が高いのは、じん肺などの呼吸器疾患に強いこと。次の北海道中央せき損センターですと、脊髄損傷などが挙げられます。それから、岡山の労災病院ですと、中皮腫などのアスベスト関連疾患について高い専門性を有している背景があるかと思います。私からの説明は以上です。
○永井座長 ありがとうございます。それでは、ご質問、ご意見をお願いします。
○渡辺委員 今の政策医療に関して、例えば国病でいうと入院患者の割合が約3割となっていますが、これはあくまでも重症心身障害、筋ジストロフィー等に限った話ですよね。
○小野田国立病院課長補佐 はい。
○渡辺委員 政策医療の定義を改めてむし返すつもりはないですが、政策医療はある意味ではもっと広いところがありますよね。
○小野田国立病院課長補佐 はい。
○渡辺委員 そうしないと、入院患者が25.3%、約3割という数字が独り歩きしてしまって、もっと言えば災害や救急や小児もそうかもしれませんし、外来をどう見るのかというのがあるので、はっきり言ってもう少し工夫が必要かなという気はします。これだけで、政策医療をやっているよというと、少し限定的になってしまうのかなという気がします。感想です。
○梶川委員 いまのご意見と重複する範囲もあるのですが。外来など、もう少し全体の治療行為の割合感、概数でも結構なのですが何かおわかりになるものはありませんか。診療報酬も必ずしも正しい尺度にはならないのだと思うのですが、何となく病院自身が運営されている原価というか、工数面でいうのか、報酬面でいうのか、何が正しい指標かは難しいのですが、入院以外に外来もかなり多くの治療行為としての工数があると思いますので、何かその辺りも含めて少しおわかりになるものはないでしょうか。
○永井座長 いかがでしょうか。
○小野田国立病院課長補佐 出せる範囲の数字で出させていただいていまして、我々もいろいろ検討はしたのですが、必ずしもきれいに数字で出るようなものがなかなかなかったものですから、いまここに挙げさせていただけるものがいまの範囲で出せた数字です。
○永井座長 よろしいでしょうか。
○渡辺委員 いまの梶川委員と全く同感なので、難しいかもしれませんが、もう少し工夫してもらわないと、前の資料に労災は5%とありましたが、やはり95%はそうではないような印象を与えてしまいます。難しいことはわかっているのですが、まさに政策医療をこの2つの病院がやっていることを、もう少しわかりやすく世間に知らせるような努力があっていいのではないかという気がします。
○小野田国立病院課長補佐 お約束できるかどうかわかりませんが、中で再度検討はさせていただきたいと思います。
○堺委員 4疾病5事業の国立病院機構の病院の記載状況についてお尋ねします。今度は5疾病になったと思いますが、この4疾病の病院数の記述があります。この病院数の意味を教えていただきたいのですが。4疾病は一般の病院で広く取扱う可能性が高い疾患で、この病院数とは何を意味しているのでしょうか。
○小野田国立病院課長補佐 現在、医療計画に基づいてこの事業を実施している病院の数です。
○堺委員 そうすると、逆に申しますと、国立病院でがん、脳卒中、心筋梗塞、あるいは糖尿病を診療していらっしゃらない病院が相当数あるということでしょうか。
○西嶋国立病院課長補佐 そうではなくて、都道府県が定める医療計画の中に、明示的に国立病院機構が書かれていると。その病院数がこの数ですので、それ以外にも当然こういった診療をやっている病院はあるという前提です。
○堺委員 わかりました。
○永井座長 都道府県の医療計画に組み込まれている病院数ということですか。
○西嶋国立病院課長補佐 そうです。
○永井座長 ほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 災害対策のときに出動されるということなのですが、そのようなときにはかなり経費もかかると思います。対価が必要だと思いますが、義務があるのと同時に、費用は補填されると考えてよろしいのでしょうか。それとも、いままではすべて国病機構の持ち出しであったということでしょうか。
○(独)国立病院機構清水副理事長 災害のことを私から申し上げますととにかく、費用のことなどを考えずに出動するということです。
基本は、DMATの指令所、厚生労働省の医政局の業務が、実際には立川にあります私どもの災害医療センターで受けて行っていますので、そこで出動させることになります。
その後、多くの場合は大災害になりますと、災害救助法の適用があり、医療関係も含め、基本的には国が都道府県に救助費を交付し、都道府県から出動した医療部隊に費用がくるということです。日赤と私どもに関しては、人件費部分は出ません。実際に使った医薬品代とか物資の搬送にかかった経費等は出るということですので、結果として人件費代を私どもが持ち出しで実施しているという形になっております。
○永井座長 ほかによろしいでしょうか。もしありませんでしたら、議事に入ります。議題1について、ご説明をお願いいたします。
○片岡国立病院課長 議題1「将来の統合も視野に入れた具体的な検討」について、資料2の説明をいたします。お手元に基本資料のファイルがありますが、適宜参照していただければと思います。今回のこの検討会は、独立行政法人の制度・組織見直しの基本方針の中の検討事項をご議論いただいており、その中の1つに「労災、国立病院ともにそれぞれ連携を進めつつ、将来の統合も視野に入れた具体的な検討を行う」という一言があります。それについて、新たな法人制度の移行に当たり、この問題についてどのように考えるかということで、今回、議題として出させていただいているところです。
 資料2です。これについては、これまでもいろいろと検討がされております。具体的にどういうことかといいますと、資料1にあるように、平成22年12月、いまから1年半前です。厚生労働省の中の「独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」の中で、?国立病院機構と労働者健康福祉機構は、傘下の病院のネットワークの統合や個別病院の再編、整理のために、「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」を設置して検討を始め、1年を目途に結論を得るとされました。これを受けて、参考2にある国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会の第1回が昨年4月20日に設置されて、その後8回にわたってご議論いただき、病院の視察等もされて検討され、報告書がまとまっております。報告書本体自身は基本資料集の中にも入っており、本日の検討会の委員でいらっしゃる岩村委員、高橋委員、夏目委員、渡辺委員にもご参画いただいて、熱心な議論をいただいているところです。
 その報告書の抜粋ですが、両法人の統合について、このように整理されております。2頁です。両法人の統合について、そのメリットとデメリットを比較しております。具体的には、3頁に資料3という形でその資料そのものがあります。メリットとしては、本部管理部門の一定のスリム化、医薬品や医療機器等のより円滑な共同購入の実施、臨床例や調査のデータ量が増えることによる臨床研究への効果、両病院等の診療連携の円滑化等が考えられる。これがメリットです。なお、医薬品等の共同購入や臨床例の共同利用等については、法人統合を行わなくても、運用により統合と同様の効果を得ることが可能であるとされています。一方、デメリットとしては、組織の肥大化によるガバナンスの低下や機動的な対応等の遅れへの懸念、目的や成り立ち等が異なる組織の統合による組織の混乱や、職員の士気の低下等が考えられるとされています。
 「また」以降で、これは統合する場合の課題になろうかと思いますが、「仮に両法人を統合しようとする場合には、両法人の職員の給与水準、加入している社会保険制度等が異なるため、労働条件を統一するための労使間の調整や、労働者健康福祉機構が抱える累積欠損金の取扱いの調整、経営状況が異なる病院間の財政調整をはじめとする組織管理手法の一元化、各システムの一元化又は再構築等には、多くの時間、労力や費用を要し、業務の停滞を招きかねないとも考えられる」ということです。
 結論的な部分ですが、「このように、メリットは運用で対応することが可能な部分があるが、一方、デメリットや仮に統合しようとする場合の懸案・課題は短時間では解消することが難しいことから、両法人を直ちに統合することは困難と考える。このため、まずは、両法人は、それぞれ課題、懸案の解決に取り組む一方、両法人間の連携方策をより強化することにより、法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくことが適当と考える。なお、将来の統合も視野に入れた両法人の在り方について、社会情勢の変化、医療ニーズの変化等を踏まえて、引き続き検討していくことが必要と考える」とされており、今年の2月にこのような報告書がまとまっております。この中で、まずは両法人間の連携方策を強化することとされておりますので、現在は両法人間の連携について、着実に成果が上がるような具体的な取組をしております。
 3頁は、先ほどご紹介したこの報告書に書かれているメリット・デメリットです。
 参考3ですが、両法人間の連携を強化するということで、具体的に取組を始めております。今年の2月に各法人の役員等からなる「協議会本部」、連携・統合等のための推進協議組織ということです。また、その下に担当部長、各担当課長等からなる「合同作業部会」を設置しております。協議会本部は、毎月末を目途にということで月1回、合同作業部会は2週間単位で開催しております。合同作業部会の下の各作業グループで具体的な取組をしております。6つの作業グループで、医薬品等共同購入、医療機器共同購入、治験の共同実施、診療情報等システム相互利用、医学的知見・症例データ共有化、人事交流です。
 それぞれについて、いま具体的にどのような効果が出ているかということが5頁以降です。直近、6月時点での報告で、具体的に説明します。6頁、「医薬品の共同購入」については、平成24年7月から平成26年6月までの2年間の契約で、9,000品目について共同購入を実施することとしており、6月末に契約締結予定です。これに関しては、国立病院と労災病院、ナショナルセンター、国立高度専門医療研究センターも参加して取り組んでおります。
 2点目ですが、「医療機器の共同購入」については、5種類の機器、CT、MRI、ガンマカメラ、X線透視撮影装置、マンモグラフィーについて、共同購入を実施することにしており、いま作業を進めているところです。
 7頁の「治験の共同実施」です。治験についても、今年度において治験依頼者、メーカー等から依頼があった場合には、治験依頼者の了解が得られれば、それぞれに治験の調査を紹介することとしております。また、共同実施に必要な治験コーディネーターの養成のために、国立病院機構が主催する養成研修に、24の労災病院からの職員が参加しております。
 4点目の「診療情報システム等の情報共有」についても、国立病院機構で公表しております臨床評価指標を参考に、労災病院においても共通な指標ができないか、いま具体的な検討を進めているところです。また、両機構が運用している診療情報システムについての情報交換も進めております。
 8頁の「医学的知見・症例データの共有化」については、これまで平成23年度においても、労働者健康福祉機構が行う労働災害関連疾患の研究に国病の医師が参加して、症例データの提供等を行ってきたところですが、今後も引き続きそのような協力を推進していくこととしております。また、11月に開催予定の国立病院総合医学会、12月に開催予定の日本職業・災害医学会学術大会等の開催情報について、相互に提供し合い、研究者の交流を促進することとしております。
 最後に「人事交流」については、これまでもやっているところですが、平成23年度においても年間300人日の医師派遣による診療の連携・協力を行っており、今年度においても引き続きその推進を図ることとしております。また、先ほども言いましたが、臨床研究コーディネーター養成研修に労災病院の職員も参加しており、今後もどのようなことが可能か、いま検討しているところです。
 このように連携については、具体的な取組を進めており、今後も両法人間の連携の強化、深化に努めていきたいと思っております。以上がいまの状況で、この検討会において、改めてこれについてどう思うかということをご議論いただければと思っております。説明は以上です。
○永井座長 ただいまのご説明に、ご質問、ご意見をお願いいたします。
○齋藤委員 最後の人事交流で伺いたいのですが、ここに例としてあるのは医師の場合ですよね。「年間300人日」、この意味は、例えば1人の人が1年間ずっといけば360人日になるわけですか。そうすると、これはほとんどないのと一緒ですか。どのように読むのかわからないので。
○小須田国立病院機構管理室長 300人日、先生がおっしゃるとおり、1人の医師が1日診療を連携すれば、1人と。1人の人が1年間行ったら365人日になると。
○齋藤委員 そうすると、人事交流の目的は、手薄なところを助けるという意味での交流というように理解すればいいですか。
○小須田国立病院機構管理室長 確かに専門的な診療科のドクターが、そこで起きた症例に対して診療援助に行くというイメージで、本当の人事交流という中で動いているというよりは、近隣の施設同士で診療援助が行われていると理解しています。
○齋藤委員 連携という言葉の意味なのですが、少し困っているときに助けるという意味もあるし、さらに人事交流してお互いを活性化するという意味もあると思うのですが、もしそうだとすれば、これは医師のみではなくて、事務職も、看護師も、ほかの職種も、お互いによそへ行って、新しいことを勉強して活性化するということもあるのではないでしょうか。
○小須田国立病院機構管理室長 そこについては、いま現在でも研修を行う部分については、同様に労災病院から参加していただくという取組はやっております。あとは、人事交流によるメリット等があれば、今後の検討の中で、実際できるかどうかも含めてですね。1つは人事交流というのは、ある程度キャリアアップしないと、なかなか仕事をできないと思っておりますので、そういう意味でメリットがあれば、そういう部分を検討して、実行に移していきたいとは思っております。
○齋藤委員 さらに言えば、もし組織の活性化のために人事交流するとしたら、国立と労災というのは似たもの同士ですから、あまり行っても変わらないと思うのです。むしろ民間の病院へ行くとか、日赤へ行くとか、ずっと違うところへ行かなければ、組織の活性化のための人事交流にはならないような気がしますね。
○堺委員 いまの齋藤委員のご発言に関連しますが、病院の組織の統合ということです。日本ばかりでなく、アメリカ合衆国、その他諸外国でもたくさんの例があります。私が存じております限り、共同購入、あるいは情報システムの統合は広く行われますが、いまお話が出ました人事・労務の整合ということになると、諸外国でも巨大な病院組織間の人事・労務の整合が成功したというケースを、寡聞にして私はあまり存じません。もし可能ならば、次回までにというのは難しいかもしれませんが、日本でなくても、諸外国でも、大きな病院組織の人事・労務の融合・整合が成功した例があれば、是非お聞かせいただきたいと思いますので、可能でしたらお願いいたします。
○伊藤委員 医療機器の共同購入ですが、5機種について書いてあります。高いものですから、そんなたくさん何百台という話ではないと思うのですが、それぞれ何台ずつあったのか教えていただきたい。あと、共同購入を実施する法人が違うにもかかわらず、共同購入の公示を実際もうやっているということですね。実施するに当たって、両法人で求める仕様が違ったりして、やりにくいとかいう課題がなかったのか、それをいかに乗り越えたのかというところを教えていただければと思います。
○小須田国立病院機構管理室長 この5機種というのは、労災病院が5機種にエントリーするということで、全体のNHOと労災病院双方を入れますと、8機種で45台という規模のものになっています。そのうち労災病院が入っているのが5機種で6病院が参加しているということです。ボリューム感的にはそういう感じです。仕様の統一については、各病院、購入するのにある程度、機能とか差が出てきます。例えばCTでいえば、16列、64列、MRIでいえば1.5テスラ、3テスラと、いろいろな機種の種類があります。その部分については、仕様書を統一するための委員会みたいなものを開いて決定するというやり方でやっております。
○永井座長 研修医の獲得というのはどうでしょうか。病院によって、すごく人気のあるところと、あまり人気のないところとか。そういうところも、場合によってはうまく組み合わせて、研修医を教育しつつ、いろいろな経験をさせるというのも1つの方策とは思いますが、研修医の集まり状況についてのデータはありますか。どこの病院も全く困っていないのか。またで結構ですが、そんなデータも調べていただければと思いますが。
○(独)国立病院機構清水副理事長 後期もそうですが、初期臨床研修の方には、できる限り多く来ていただきたいということ。それで、徐々にですが、各病院が頑張って増えているということです。ただ、病院間をわたるものは、管理型が中心になって、協力型が協力する、ということになっておりますので、大学等が中心になったりということです。国病機構内では、旭川の医療センターでは必ずしも救急の部分が十分修練できないということがあり、東京の東京医療センターで救急部分を研修するといったような、北海道の病院と東京の病院との協力もやっているというところです。
○永井座長 そのときに、国病と労災病院の間の連携も可能ではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○(独)国立病院機構清水副理事長 その辺りになりますと、大学で基幹型で実施しているところに労災の病院が協力し、国病の病院が協力するという形になるのかと思いますが、直接ですと、具体的には承知しておりませんが、いろいろな問題があるのかと思っています。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 労災病院の場合にも、病院によって研修医の獲得状況が随分違っており、34病院の中でも競争率が2桁になる病院から、定員が全然集まらない病院まであります。その中でグループを組んでというよりは、いま国病機構でおっしゃられたように、地域での大学の協力型を担っているところで回るとか、地域の中で補完し合う病院とローテイトするということは、いくつか行われておりますが、労災病院グループだからほかの地域まで行くということは、現実的には難しいところがあります。ただ、後期研修になりますと、関東地域の病院にいても、今回の震災の支援を含めて、東北地方の病院で研修をしてきたいという個人の希望があれば、もちろんそういう形で単発で行ってもらうという例は、数は少ないですがあります。しかしながら、仕組みとして労災病院グループの中で回る、もしくは国病機構と一緒になって回すということには、なかなかつながっていない現状があります。
○梶川委員 共同購入というのは、先ほどもちょっとお話が出ていましたが、仕様書の統一等々、事務手続は結構時間がかかられるのではないかと思うのです。これを実施することによって、どのぐらいコスト削減のメリットがおありになるとお考えでしょうか。入札手続と、手続的なものの煩瑣と、実際にこれから実施することになるので、このロットまでまとまれば相当安くなるという感触はおありでしょうか。もともと大きな組織体、相互に大きな組織体でいらっしゃいますので、もともとバーゲニングパワーはお持ちなのかという気もするのです。これがさらに両者が一緒になることによる効率というのは、どんな感じかと思って。
○(独)国立病院機構清水副理事長 共同購入自体、私どもは平成16年の独法化のときから取り組んでいるところで、確かに仕様書の違い等による病院の説得等々を含めて、事務手続が大変掛かるわけではありますが、費用的な効果は相当出ている。手元に数字を持ち合わせておらず恐縮ですが、相当な効果が出ていると思っております。今回、労災と共同購入を始めるということですが、その効果はこれからということになるわけで、まだ各々のスペックの違いなどはありますが、この時期までに何をすべきかという事務手続を打ち合わせているという段階です。
○梶川委員 当初の法人内の購入行為と、さらにもう一段ステップアップした効果性というのは、ありそうな感じでいらっしゃいますか。ある種の効率の規模限界みたいなものはあるのかというものもあって、どんな感じかなという実感をちょっと教えていただければと思います。
○(独)国立病院機構清水副理事長 限界効用がどの辺で逓減するかということですので、実施してみないとわからないのですが、そろそろ大分下がるところまで下がってきていますので、私どもに労災病院がご参加いただいた結果として、特にもしかしたら労災病院の調達価格が大分安くなる可能性があるのではないかと私どもは思っていますが、いずれにしても検証してみないとわからないということです。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 購入の時期とか、対象が違っていたために一律に比較するというのがなかなか難しくて、しかも同じ機種を同じ時期に買うわけではありませんので、以前購入したものに比べて有利になったかどうかも、まだ比較はできないわけなのです。ただ、同じスペックのものが何台か集まれば、確かに交渉しやすいという面はあるのかという感じはしております。そのために、調達時期をかなり前倒しにしなくてはいけなかったという面が私どものほうにはありまして、次年度の予算をいつ立てるかというような、全体の業務の流れを大きく変えなければいけないというところで、今回は少し苦労をしたという面がありました。
○永井座長 診療情報システムはどうなっていますか。各病院相当バラバラなのか、あるいは労災は労災、国病は国病で統一しているのか。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 診療情報システムというのは、電子カルテという意味ですか。
○永井座長 電子カルテを含めて。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 電子カルテについては、病院によってバラバラ、少なくとも労災病院ではバラバラです。と申しますのが、これは地域性がありまして、例えば地域医療支援をしようとすると、その地元の地域との共通化を図らなければならない場合があったり、大学との関係があって、大学や大学を中心とする基幹病院が同じようなシステムで使っているような地域は、そこに合わせなければなかなか難しいという問題もあります。それから、診療機能にもいろいろ、規模にももちろん差がありますし、診療内容、診療科目もさまざまです。それを同じ電子カルテシステムで統一するのが現実的かというと、地域の医療という観点では必ずしもそうではないということで、電子カルテについては、メーカーも含めさまざまになっております。ただ、共通にインデックスが使えるようにとか、ある程度共通の機能を持ったほうがいいのではないかという意味での情報交換は、本部の機能として、いま始めているところです。
○永井座長 医事会計はいかがですか。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 会計についても同様です。会計はもちろん同じでいいわけですが、電子カルテに連動していたりする部分がありますので、ルールとしては同じようにやっております。労災病院グループとして、同じように医事会計の研修もし、同じようにシステムを動かしておりますが、共通のスペックで同時に入れるという形にはシステムはなっておりません。
○永井座長 電子カルテはあとの話ですから、たぶん別個に医事会計は発達してきたということでしょうか。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 更新状況もバラバラになっておりまして、なかなかそこを一斉に更新して統一するのは難しいというのが現状です。
○(独)国立病院機構清水副理事長 いま理事がおっしゃったこととほとんど一緒なのですが、結局、電子カルテですと、当該病院の実情に即したカスタマイズが大切というか、それが避けて通れないわけです。病院ごとに違うということもありますし、仮に一時期にいくつかの病院が一緒に発注するとなると、一つのベンダーでは対応しきれないといった問題もあります。したがって、いまは各病院別々ということになっているわけです。ただ、各病院の診療情報をどのように分析するかという、ちょっと別個の観点から考えますと、DPCのデータが相当使えます。二次医療圏の中で、ここの病院はこういう機能を発揮している。あるいは、レセプト情報も、他の病院のことはわかりませんが、当該病院のことは大分利用ができるようになりましたので、わかるようになりました。私どもはDPCデータ、レセプトデータを用いて、当該病院の二次医療圏の中での客観的な分析をしているという現状にあります。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 労災病院も同様で、DPCデータについては、解析についての研修を本部で行って、各病院でもそれぞれの自分の病院の評価をさせておりますし、全体としても病院の協議においてもDPCデータを活用しております。そういった意味では、個別の患者の情報という意味よりも、病院の診療機能の把握という意味では、DPC参加病院については、かなりこれが現実に使えていると承知しております。
○永井座長 あとはいろいろな臨床研究がされていると思いますが、その辺りも一緒にしていくということが、ある意味では人事交流になるのではないかと思いますが、いかがですか。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 臨床研究については、研究そのものは、結局は研究者1人が中心になって、それに症例登録をしてもらったり、協力をするという体制になろうかと思います。個別の研究者を中心に、いくつかの病院で参加するという意味では、既に国立病院からもご参加をいただいている研究もいくつかありますし、こちらから逆に参加しているものもあります。
○永井座長 その辺を組織的に、もっと活性化することが大事ではないかということなのですが。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 そういった意味もありまして、できるだけ学会へそれぞれ参加して、どんな研究が行われているか交換をしようということで、今年11月に開催予定と伺っております国立病院総合医学会、こちらでは12月の最初に予定しております日本職業・災害医学会というものに相互に参加してもらって、研究者同士の交流を進めていこうと。ただ、行政の事業のように、この研究をやりなさい、だから参加しなさいと、図式でやるわけにはいきませんので、研究者としてのそれぞれの医師の交流を進める場を、できるだけ提供したいというのが現状です。
○永井座長 あと臨床研究支援部のようなものがお互いにあると思うのですが、そういうところで交流して、片方で何か臨床研究を進めるといったときに、メールで情報を流すだけでも随分違うと思いますけれども。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 私どもの機構には、国立病院機構のような研究センターというところまでの機能が十分にないために、まだそこまでの機能を持ち合わせておりません。その中でも、担当課では情報提供をするようにということで、協議会において、いま意見交換を進め始めたというところです。
○伊藤委員 人事交流についてですが、先ほどから既に話が出ていましたが、改めて前の整理は、法人統合のメリットとして掲げてはいなかったようです。今日この資料の8頁(6)で人事交流が進んでいるという評価と、進んでいないという評価と、両方の議論があったようには感じますが、改めて出されたということなのです。人事交流が法人統合をすることによって進むのだということを言うのであれば、他の病院グループといいますか、民間というか、公的な例えば日赤だとか、済生会だとか、厚生連だとか、全国規模の法人だと、連携が進んでいるということとの比較なりがないと、法人が一緒になることで交流が進むということが、いまいち想像できないところがあります。ほかの病院グループなどでの取組なども、ちょっと教えていただければと思います。今日でなくても結構です。
○永井座長 まだご意見はおありかと思いますが、次の議題に進みたいと思います。議題2について、事務局から説明をお願いします。
○片岡国立病院課長 議題2で、資料3に沿って説明いたします。「新法人の目標・評価の仕組みについて」ということです。これから平成26年4月以降の新しい法人制度において、新法人が自律的かつ効率的な経営を実現しつつ、国が担うべき政策医療、国の医療政策として機構が担うべき医療、研究、研修等を確実に実施するため、どのような方向性で国の関与の在り方を含め制度設計を行うべきかということについて、ご議論をいただければと思っております。
 事務局としての基本的な考え方の案としては、新しい法人制度の目標・評価の在り方については2つあります。法人の機能をより効果的に発揮するため、現行の独立行政法人制度の枠組みにとらわれず、医療の現場、実際上、地域医療に通じておりますし、ニーズを知っておりますし、ヒト・モノ・カネ等、資源の状況等も実際知っております医療の現場を担う法人の自主性・自律性を尊重すべきではないかという視点。もう1つが別の視点になりますが、国が担うべき政策医療等を確実に実施していただくという観点から、国が医療の特性を踏まえつつ直接評価を行い、必要な改善を促せる仕組みとすべきではないかということです。
 2頁です。今回の見直し方針の閣議決定の中で関係するところですが、国が担うべき政策医療等について、国全体として無駄のない効率的な医療提供体制の下で、医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ、確実に実施するとともに、自律的かつ効率的な経営の実現を目指すと、具体的な制度の在り方については、この中で担うべき政策医療の明確化であるとか、国との関係の明確化、適切な目標管理システムの構築、医療の質の向上等の観点から検討を進めるというところが関係すると思います。
 現行どうなっているかということで、その下に、中期目標の記載事項、国病と、労働者健康福祉機構が次の頁にあります。
 いまの中期目標、中期計画、年度計画がどうなっているかについては、お手元の資料集で、8-1が国立病院機構の中期目標、8-2が労働者健康福祉機構の中期目標で、例えば8-1は、現在、厚生労働大臣が中期目標を定めて指示するということになっており、7頁にわたる大部な形になっております。これを受けて9-1になりますが、国立病院機構において、先ほどの中期目標を達成するための具体的な計画ということで、5年間にわたる計画として9-1、これも1頁から20頁まであります。これが5年間の計画で、年度ごとの計画については10-1です。各年度ごとにこの計画を出していただくという仕組みになっております。
 資料の2頁に戻って、現行の中期目標の記載事項です。第1の「中期目標の期間」は5年間ですが、第2で「質の向上」ということで、診療事業、臨床研究事業、教育研修事業、総合的事項とあります。第3で「業務運営の効率化に関する事項」、第4で「財務内容の改善に関する事項」、第5で「その他業務運営に関する重要事項」ということで、全般的にといいますか、業務以外、そもそも法人の運営そのものについても、かなり踏み込んで記載することとされております。
 3頁が労働者健康福祉機構の中期目標で、業務範囲が多岐にわたっておりますので、特に第2の?にはいろいろなそれぞれの事業が書かれているという状況です。
 現行こうなっているのを、先ほどの基本的な考え方に沿って、新しい法人制度ではこのような仕組みがよいのではないかという事務局からの提案といいますか、イメージ案をこれから説明したいと思います。4頁以降です。
 4頁です。現行が左側の図ですが、主務大臣、厚生労働大臣から法人に対して、中期目標の指示を行います。そのときに、各府省に置かれている評価委員会の意見を聴くということです。これについて「検討の視点」ということで、事務局からの考え方としては、医療の現場を担う法人の自主性・自律性を尊重し、法人の機能をより効果的に発揮していただくために、国からは詳細な指示を行うのではなく、基本的な方向性を示すこととしてはどうかということと、基本方針の策定に当たっては医療の特性を踏まえ、専門的な観点から関係審議会の意見を聴くこととしてはどうかということです。
 新法人のイメージ案です。まず、各府省評価委員会の意見を聴くというところについては、関係審議会ということで、社会保障審議会が適切かと思っております。
 具体的な中身で、詳細な指示ではなく、基本的な方向性ということで、目標というよりは「基本方針」という位置づけになろうかと思っております。本来、国の医療政策として機構にやっていただくこと、政策医療等の実施、臨床研究、教育研修等についての基本的な方向性といいますか、やっていただく範囲、分野を示すということ。それから、現在はすべて全般的なことが入っておりますが、医療機関すべてにかかるようなこと、患者の目線に立った医療の提供であるとか、安心・安全な医療の提供など、すべての病院等に関係することは、あえて基本方針等で大臣が示すこともなく、法人の自主性・自律性に委ねることとしてはどうかということです。基本方針については、あらかじめ何年ではなくて、必要に応じて見直すこととしてはどうかと思っております。
 「他法人の例」で下にあります。「中期目標行政法人」というのは、いま国会に提出されている独法見直し法案が成立した場合に、平成26年4月から出来上がる新しい独法に代わる中期目標行政法人ですが、それを書いております。先ほど渡辺委員からご説明がありました、政・独委が「行政法人評価制度委員会」という形で名前が変わりますが、ここに位置づけられております。主務大臣が中期目標をするときの意見を述べるということになっております。「国立大学法人」は現行どうなっているかといいますと、意見を聴くときに、評価委員会だけではなく、法人そのものに対しても意見を聴くということになっております。「日本赤十字社、社会医療法人」について、国から何か方針を示すということはないので、なしとさせていただいています。
 5頁です。基本目標、基本計画、年度計画ということで、法人運営の基本的な目標、それを達成するための基本的な計画、年度ごとの計画ということです。現行の独立行政法人は、国から目標を示しますので、それに沿って、それを達成するための中期的な計画をまず法人が作って、それについて主務大臣が認可する。必要に応じて変更命令をする。各法人が年度計画の届出をするということになっております。中期計画について認可する際に、各府省の評価委員会が意見を言うという整理になっています。
 これについて、新しい法人制度ではこう変えたらいかがでしょうかというイメージ案がその隣、右側です。まず、そのときの検討の視点として、1つは今までは基本目標は国が作成しておりましたが、今回は国は分野・範囲だけを基本方針で示して、具体的な法人運営の目標は法人が作成するという、基本目標は法人が作成し、それについて国の認可を受けることとしてはどうかということです。2点目が、法人が自ら定めた基本目標を踏まえて、それを具体的に達成するための中期的な「基本計画」を作成し、またそれに基づく毎事業年度の「年度計画」を作成するということで、これは届出ということで整理しております。また、基本目標の認可に当たっては、先ほどと同じですが、専門的な観点から関係審議会の意見を聴くこととしてはどうかということです。
 左と右が違いますのは、基本目標を、いままでは国が作成するところを今回は法人が作成すること。基本計画と中期的な基本計画、年度計画については法人が作成するのですが、特に基本計画については届出という形で、いままでは中期計画は国の認可ということでしたが、法人の自主性・自律性ということで、認可はせずに届出ということとしてはどうかということです。
 基本目標、基本計画、年度計画の説明はその下にありますが、法人は「基本目標」として、基本方針に基づいて当該法人が達成すべき業務運営に関する目標を作成するものとして、必要に応じて見直す。基本方針も必要に応じて見直すということですので、基本目標も必要に応じて見直すということです。次ですが、「基本計画」として、基本目標に基づいて当該目標を達成するための具体的な中期的な計画を作成するということ。「年度計画」として、先ほどの基本計画に基づいて、その事業年度の業務運営に関する計画を作成するという整理としてはどうかということです。
 「他法人の例」ということで、「中期目標行政法人」については、基本的にはいまと同じような形で整理されております。「国立大学法人」は、真ん中ですが、中期計画の認可に当たって、国立大学法人評価委員会の意見を聴くということとなっております。
 6頁ですが、「業績評価の実施、評価結果を踏まえた業務運営の改善の勧告」ということです。まず、現行の制度はどうなっているかですが、現行の独立行政法人では、主務大臣が直接評価するということではなくて、各府省の評価委員会が評価するということになっています。評価して、必要な業務運営改善等の勧告をすることになっています。さらに、各府省評価委員会の評価の基準を揃えるということで、政・独委(政策評価・独立行政法人評価委員会)がありまして、各府省の評価について二次評価等を行っているのがいまです。
 新法人ではどうすべきかということで「検討の視点」です。主務大臣が評価に関与しないという制度ではなくて、政策責任者たる厚生労働大臣が、法人の業務運営の状況を評価することとしてはどうかということです。?の評価結果に基づく業務運営の改善の措置について、法人の自律性を促すために、命令ではなく勧告としてはどうかということ。?として、評価に当たっては第三者チェックの仕組み、医療の特性を踏まえて、専門的な観点から関係審議会、想定しているのは社会保障審議会から意見を聴くこととしてはどうかということです。図で示すと下のとおりの状況で、評価するときに当たっては関係審議会の意見を聴くこととしてはどうかということです。
 「他法人の例」ですが、「中期目標行政法人」、平成26年4月からの新しい行政法人について、同じように主務大臣が直接評価をし、こちらは必要な業務運営改善等の命令をするとなっています。行政法人評価制度委員会については、中期目標期間の最終年度の直前、次期中期目標にいろいろなことが反映できるようにということで、最終年度の前の年の年度についてはここの評価は大事にされており、そこについて評価委員会が点検をするという仕組みになっております。「国立大学法人」は現行制度ですが、ここはいまの制度では文部科学大臣ではなくて、評価委員会が評価すると。それから勧告を行うという整理になっております。
 以上を整理して、7頁の最後の図ですが、全体を通すと、このような形になるのではないかということで、現行の制度と新しい法人のいま説明した制度のイメージ案ということです。
 上と下を見て違うところは、いままでは中期目標の指示を主務大臣から法人にしておりましたが、今回は基本方針ということで、分野・範囲等、重点的に取り組むべきところを提示するということ。それから、基本目標の作成は、いままでは主務大臣が作成して指示していましたが、法人が作成するということ。中期計画については、主務大臣の認可でしたが、年度計画と同様に、今回では基本計画・年度計画については、法人が作成して届け出るとするということ。いままでは各府省の評価委員会が評価をして、必要があったときの運営の改善等の勧告をしておりましたが、今回は厚生労働大臣が直接評価をして、必要があれば上の改善の勧告を行うという仕組みにしてはどうかというご提案です。
 これだけではなかなかわかりづらいことがあろうかと思いますが、適宜ご質問がありましたらお答えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 ただいまのご説明についてどうぞ。
○齋藤委員 いまの資料3の論点にあることで、まず伺いたいのですが。1頁の「論点」で、国の関与の在り方を言っていますが、新法人に対する国の関与というのはよくわからないのは、今後ますます国からのお金というか、運営費交付金はほとんどなくなると思うのです。そのような中で、国がお金は出さないけれども口は出すのかということを知りたいということ。平成24年1月20日の閣議決定のところだと非常に抽象的な表現なのです。「国が適切に関与しつつ」とか、「国との関係の明確化」ということを言っているだけで、国との関係を少なくするとか、そのようには言っていないのです。その辺は総論として、新法人に対して国は相変わらずうるさくいろいろなことを関与しようとしているのか、そうではないのか、その辺はどうなのでしょうか。
○片岡国立病院課長 国の関与ということで、実は今回、目標・評価の部分だけで資料をお出ししており、本来であればもっとほかの部分、財政の問題であるとか、それ以外でも今でも違法な行為などがあった場合の国の関与とかがあります。これだけでご議論いただくのは、ちょっと難しいかと思いまして、申し訳なくは思っています。どういう方向性かということで、2頁の基本方針の中ですが、「国が適切に関与しつつ、確実に実施するとともに、自律的かつ効率的な経営の実現を目指す」というところで、いまある制度で国の関与を強くする部分と、逆に法人の自律的なところに任せる部分とメリハリをつけた仕組みにするということかと思います。
 今回の目標・評価の中で考えますと、評価について国が直接評価をしてはどうかということで、いままでは各府省の評価委員会をやって勧告という形ですが、医療政策の責任を持っている主務大臣が直接評価をするということで、そこはある意味、関与が強くなっているかと思います。今回、独立行政法人もそのように見直しておりますし、そうは言っても、ほかの独立行政法人と違って、基本的には経営的には独立採算がある程度可能になっておりますので、そうなると、よりそれが効率的に発揮できるように、より目標達成できるように、機能を発揮できるようにということになると、ある程度といいますか、かなり法人の自律性に任せたらいいかと思っているところもあります。
 そういう意味で、例えばこの下に中期目標がありますが、業務以外でも、例えば第3の運営の効率化の話とか、第4の財務内容の改善に関する事項、これは独立行政法人であれば、すべてこういうことを国から指示するという形になっていますが、逆にここにあります第3の業務運営の効率化とか第4の財務内容の改善は、改めて国から何か目標を提示するなどということは必要ないのではないかということで、本当に国としてやっていただきたい診療・研究・研修のところについて、こうしてほしいということを、分野とか範囲を指定するということで関与は薄くして、実際上、地域のニーズであるとか、地域の資源をよく知っている法人でまずいろいろ考えていただいて、こういう目標を作っていただいて、それが国の医療政策と合っているかどうかということを国が認可すると。そこの実際上の運営面については、かなり法人の自律性といいますか、法人の判断・裁量に任せるというところです。
○齋藤委員 そういう意味で、4頁以下の基本方針とか、事務局案でイメージがあるのですが、確かにいま言われたような、もともと国立病院機構の中期計画は目茶苦茶詳しすぎて、医療安全などまで含んでいたのは必要ないと思います。ただ、新システムを見ると、中期計画を基本計画、言葉を中期を基本に置き換えただけのようなところも多いと思います。目標・評価の仕組みは自由に制度設計できるのでしたら、もうちょっと何か抜本的といいますか、そのような案はないのでしょうか。これが抜本的なのですか。
○片岡国立病院課長 内容までここでご議論いただくと、かなりのボリュームになると思いますし、本当に仕組みだけということで、いま説明させていただきますが、確かに先生がおっしゃるように、内容面についてもかなり抜本的に変わるのではないかと思っています。いまはある意味、国のほうから一律的に必要事項の目標を示していますが、そういうところはかなり簡素化されます。国の医療政策で、必要な部分だけの基本方針という形になります。逆に、今度目標は法人が作ることになりますので、いままでの行政からの目標とはかなり違った形になるかと思います。それに沿った中期計画・年度計画なので、出来上がった姿はかなり変わると思いますが、そこまで今回用意できていません。必要でありましたら、もう少しイメージがわかるような形のものも、できた段階でお示しすることも必要かと思います。
○渡辺委員 まず、先ほどの質問ですが、最初のご説明の資料1の宿題事項の中の1頁、2頁の中の新たな閣議決定の、結局、行政法人に変えるという中で、国病とか労災は入っていないわけですね。いま伺うと、行政法人の中に、また総務省が中立的な、いわゆる政・独委的なものを作るわけですね。そうすると、左側の、つまり我々が議論している国病・労災の方は、まずそれが必要ないという解釈でいいわけですか。今お話があったように、国がどう関与するかは別として、評価にしても何にしても、新たな行政法人のような、ここに「お手盛り」なんて政府内部での言葉が入っているけれども、総務省が中立的に評価するということの埒外であると、まずその確認をしたいのですが。
○片岡国立病院課長 政・独委が行政法人評価制度委員会という形に変わりますが、それの影響はというか、それの審査等を受けるとかいうことはないということです。
○渡辺委員 全く関係なく。
○片岡国立病院課長 そういう形で、全くそれとは別に。
○渡辺委員 やっていいのだという解釈。
○片岡国立病院課長 そういう形の整理にしたいと思っています。
○渡辺委員 もう1点、国の関与というのは、結論的には全く純粋な民間医療法人というわけにはいかないと思っておりますので、適切なある程度の関与なのですが、例えば国立病院機構では、少なくとも土地建物は国が出資というのか、お金を出したわけですね。これは今もそうでしょう。もちろん国病は今も返済していらっしゃいますが、労災病院の土地建物は、これは国の出資なのですか。
○木暮労災管理課長 もともと土地建物については、国の10分の10補助で建てて、土地も取得したり、土地は借りている部分もありますが、基本的には国が建てて、それが出資金として積み上がっているという形です。
○片岡国立病院課長 国病に関しても、確かに出資されていますが、その後、建替えとかしたものについては、国立病院機構の自前の財産、収入の中で建替え等をやっているところもあります。
○渡辺委員 そうすると、何らかの国の関与は必要かと私も思います。いきなり純粋に民間というわけにはどう考えたっていかないけれども、関与は必要で、関与する場合は総務省ではなくて、厚生労働大臣が責任を持って関与するという趣旨だと伺ったのはいいのですが、問題は評価ですね。厚生労働省自身が評価するという考え方と、今おっしゃった、例えば社会保障審議会がチェックするという考え方。別に厚生労働省の中に作ればいいというわけではないけれども、何らかの第三者的な評価委員会を作るという発想は、良いか悪いかは別にして、それがないという理由はあるのですか。
○片岡国立病院課長 ないという理由といいますか、国の医療政策を直接担っている厚生労働省の医政局などで。
○渡辺委員 資料1の改革イメージ図に嫌らしい言葉があるように、「お手盛り」という表現がありますね。つまり、厚生労働省が評価するとお手盛りになるのではないかという批判はないのか、という意味で聞いております。
○片岡国立病院課長 それは、もともと政策遂行の責任を持っている省庁が直接すべきで、いままでは第三者の評価委員会が評価していましたが、そうではなくて責任者たるところが直接やったほうが、より政策に直結したような評価ができますので、そこはお手盛りというよりか、逆にそちらのほうの政策との連動性を強めたほうがいいのではないかということです。そもそも行政法人制度もそのような考え方でされておりますので、渡辺委員がおっしゃられるようなことがないようにはしなければいけないと思いますが、直接そういう批判はということではないかと思っております。
○渡辺委員 それならいいのです。私が言っているのではなくて、ここに行政法人についてはお手盛り云々があるから、また総務省に新たに作るのだと書いてあるわけです。しかし、国病と労災については枠から外れているから、そういった意味ではいいのだけれども、そのときに今課長がおっしゃっているようなシステムにした場合に、ご承知と思いますが、私も国病機構の評価をやったときに、政・独委から相当な、はっきり言って腹が立つようないろいろな指摘があったわけですよね。それがなくなるだけでも相当いいと思うのですが、その反面、厚生労働省だけで評価した場合に、そういった批判が出ないのかという意味で聞いているわけです。
 そこをあまり考えてもしょうがないのですが、厚生労働省がしっかりとした評価をすれば済むわけだし、またそれを社会保障審議会なら社会保障審議会が厳しくチェックすればいいということになるのです。その辺が先ほどから言っているとおり、抽象的ですが、新たな行政法人制度の中で我々がどのようなスタンスできちっとした意見を出すかということにかかってくると思うので、とりあえず述べました。以上です。
○片岡国立病院課長 いまの点だと、国立大学法人が政・独委のチェックがない、今回は同じ仕組みになるのかと思っています。国立大学法人の場合は主務大臣が評価ではなくて、国立大学法人評価委員会が評価するのですが、さらに二次的な評価の政・独委は、国立大学法人はかからない仕組みになっております。
○渡辺委員 国立大学は文部科学省の中の第三者評価委員会ですか。
○片岡国立病院課長 そうです。なおかつ、総務省の評価を受けない形になっていますので、それと同じ仕組みかと思っています。また、お手盛りにならないように、運営・運用の中では当然そういうことに配慮して、きちんとやっていかなければいけないと思っています。
○梶川委員 今回4頁にも書かれているように、主務大臣のお出しになる基本方針は、まさに医療全般の話ではなくて、政策医療に関するパフォーマンスというか、そういったものに対してお願いしたいことをお出しになって、それに関する評価を審議会でおやりになる。これはこういうものなのではないかという気がするのです。ただ、この場合にそれに伴うコストみたいなものは、たぶん法人のほうがあがなうわけですから、ある意味でやってほしいことだけをやって、それが正しく政策医療としてやられているかという要素はあるのだと思うのです。
 そういったことで言うと、これは法人のガバナンスとのつながりなのですが、むしろ自主・自律的に行動ができるところを確保してあげる意味での評価というか、透明性のある説明をできるほうが、むしろその範囲内であれば人件費の問題なども絡んでくると思うのですが、逆に自由に経営裁量をしてやっていけると。そこのご説明をする何らかの機構があったほうが、むしろ法人も動きやすいのではないかと思います。
 先ほどちょっとお聞きしたように、政策医療のコストはなかなかつかみづらかったりもされるのでしょうけれども、この辺のテーマはこのぐらい我々が国に貢献しているのだということをおっしゃっていただき続けることになると思うのです。そういった場合でも、少し第三者性のあるスクリーニングをかけられたほうが、そこをオーケーしてもらえれば、あとは自分たちで、むしろクリエーティブに事業体を動かしていけるということかと。これは法人自身のガバナンス体制によってそれが担保できる。
 世間から見てもよく言うのは、それが有効かどうかわかりませんが、株式会社で言われている社外取締役とか、そういったものでカバーできるのか、ある種の一定の評価の中で説明をしていけるのか。法人のためにもその自主・自律を確保するための透明度というのは、是非設けていただいたほうがわかりやすい。そうでなければ、へたをすると、故なき批判を浴び続けることになり続ける宿命が、独立行政法人という政策的なものでもあり、自分で裁量的にもやっていたという、どちらからも言い続けられてしまうので、何かそこはお考えいただいたほうがいい。折角頑張ったのにまだ言われている、という話が続くような気もするのですけれども。
○(独)国立病院機構清水副理事長 いま国から資料のご説明がありましたように、政府の関与は是非、大胆な規制緩和をし、負担軽減していただきたいと思っております。私どもは評価の関係で、中期目標は資料集の中の8-1で数頁ですが、実際それに対応するということになると膨大な労力が要ります。そこで、組織全体も、機構本部全体も相当程度、政府のほうを向いた仕事になってしまいまして、本来向くべき患者、国民の方を向く時間がなかなか取りにくくなりますので、そこは是非軽減していただきたいと思っております。
 いま梶川先生のお尋ねの件ですが、私どもの一番のクライアントは患者であり国民です。政府に対する関係は、できる限り簡素化していただきますが、私どもとしてどういうパフォーマンスをして、どういうことを実施したかということは、有価証券報告書とは角度が違うかもしれませんが、アカウンタビリティを高めるために、私ども自身、ホームページ等でしっかりと患者・国民にお示しすることは、是非実施していかなければいけないことだと思っています。
○伊藤委員 齋藤委員からいちばん最初にお話がありましたが、金を出さないのにまだ口を出すのかという点と、逆にこれをやっていただきたいという点を、どうやって法律上まとめていくのかということだと思うのです。今日の資料だと、私はまだよくわからない状況です。出資や法人のガバナンスなどを含めて、認可という行政行為を使う理由が、今日だけの資料だとちょっとわからないので、その点について何とも言いようがないなと。両病院グループの行為について、行政が何を補充するのか、いまのところはわからないので、また議論を進めて、全体像の中で考えていく必要があると思っています。
 ただ、私はここに来てずっと同じことを言っているつもりなのですが、政策医療をきちんとやっていただきたいという立場で発言しています。それで、ほとんどが診療報酬という中で、医療資源が政策医療にちゃんと投入されつつ、一般診療も阻害されないのだということをきちんと担保することが必要だと思っているので、それを何とか組み込んでもらいたいと思っています。
 目標のところなのですが、今回の提案で、大臣が示すのは基本方針という形であって、基本目標を認可にして、基本計画は法人の方で作ってください、別にチェックしませんということのようです。大臣としては目標の年次は定めないでいいということに見えます。通常、民間企業でも、いまどき年次つきで目標は定めるものではないかと思います。もちろん医療の世界で数値的に目標が達成できるものではないと思いますが、通常そういうものだろうと思います。
 それは後にある評価にも関係するわけです。評価をするときに、この年次にはこういうことをやるのだという目標を立てていることに対して、評価するというものだろうと思います。大臣にあまり関与させない仕組みにしたいという要請はわかりますが、だからといって基本目標という形にして、年次までは含めない形にするのは、いかがなものかと思います。
 評価者については、渡辺委員が先ほどから指摘されているとおりだと思っています。認可権限を与えている者と評価者を同じにするというよりは、前の独法の考え方はそこを区別していて、別の人が評価するということだったことも意味があることなのではないかと思います。ただ、独法制度はその部分があまり機能していなかったのではないかという問題はあると思っています。
○高橋委員 ただいまの目標に年次を加えるというのがありましたが、私もそれと関連して考えていることがあります。原案の5頁の2の上で、基本目標、計画等に関して、これまでの委員の方とかぶるところがありますが、中期的な基本計画及びそれに基づく事業年度計画を作るということです。その前提として、最初に渡辺委員がご指摘されましたが、政策医療への期待ということがあります。例えば私が属している産業界でも、臨床及び研究分野等において様々なものがあります。そういうものをきちんと、ある程度幅広く捉えて、特定しておくことが大事だと思います。
 もう一つとして、民間的にという話が出ていますが、一般的な診療の中で裁量権を持って闊達に事業展開をしていただくという部分があると思います。まずそこを明確にしておかないと、次の評価の仕方、計画の作り方が自ずから変わってくるのではないかと思います。いまの段階でどのようにしたらいいかといと、腹案はないのですが。
 さらにもう1つは、いまの年次と比べて、評価を実施する際に、勝手に作るというわけではないと思いますが、いま申し上げた大きな2つの命題に対して事業を展開していくことになりますね。それを年度でやるのか、中期計画でやるのか。これはテーマの本質によると思いますが、そしてそれをどのように評価するのかということを視点に入れて織り込んでいただけるといいと思います。誰が評価するにしても、いわゆるPDCAがきちんと回るような展開ができるのではないでしょうか。そういうことをまた次の機会にでも、もう少し詰めていただくと、全体が効率的に運用されることになり、いままでの議論といいますか、期待感がうまく反映されるようなものになるのではないかと感じております。
○渡辺委員 中期目標というのは、今の独法制度でもそうですが、5年というのが私自身も評価で経験させていただいて、ちょっと無理があるというのか、5年というものを意識してそれで評価を得ようとして合わせていくような感じを、率直に言って随分受けました。まして他の独法はいざ知らず、医療の現場において5年というのは、ちょっと長すぎるかと。いろいろな意味で、素早い、フットワークの軽い対応が必要という意味から言うと、弾力化するという考え方には賛成です。
 今日これを言うのは早いのかもしれませんが、法人の自主性に任せるというならば、特に国立病院機構は、今公務員型ですよね。そして、労働者健康福祉機構は公務員型ではない。先ほど言ったように人事の交流、それがどこまで効果があるかというご指摘もありましたが、人事交流も含めて考えたときに、果たして国立病院機構は今のままの公務員型でいいのだろうかと、私は疑問を持っています。公務員型のままで、非常に弾力的なかつ自主性を重んじたような計画というのか、そういったものが出てくるだろうかという気持もしますので、それも合わせてどこかでメンションする必要があるのではないかと思います。
○(独)国立病院機構清水副理事長 私どもはアカウンタビリティを高めるためには、評価をいただくことは大事なことだと思っています。ただ何を評価するかということを、よくお考えを賜われればと思っています。財務活動関係、要するに金銭に還元できるような活動は、会計年度が1年ですので、1年単位でご評価いただけるのは当然のことです。
 一方、医療については患者が選びますし、あるいは日本病院評価機構もあります。あるいはドクターの場合ですと、学会があります。臨床評価指標で行う、あるいはDPCでさまざま分析する等、さまざまな評価があります。医療自身、技術はグローバルなものであっても、臨床医療は極めてローカルなものです。また、病院ごとによって疾病特性はさまざまなものがありますので、中央で一本の評価が、医療・臨床医療に馴染むかというと必ずしもそうではないのではないか。ですから、評価の観点はできれば絞っていただければと、私はそのように考えています。
○(独)労働者健康福祉機構上家理事 全く同様で、一般の医療について国で評価をしていただくというのは、ちょっと馴染まないのではないかと。一方で、私どもの機構では広い意味では政策医療ということになりますが、産業保健を支援するという大きな役割を担っていると意識しております。その部分については、国からの指導を受け、もちろん国からのバックアップがあって、事業が初めて成り立つと。そういう部分については十分な評価と指導を受けていく必要があるだろうと。分野分野で、評価を受けなければいけない部分と、自律性に任せていただいて、透明性を高める、ほかの機関の評価を受ける、さまざまな評価で自律的にやっていける部分と、ある程度分かれるのではないかと考えております。
○伊藤委員 医療に関しては自主性に任せるというか、評価は絞ってほしいというご発言があったと思います。こういう考え方もできるのではないでしょうか。政策医療に対するプレゼンスが、医療の世界、あるいは患者、被保険者という関係者の中で評価がされるという必要性もあるのではないかと思います。つまり、政策医療をやると言いながら一般診療もやる認可法人が、一般の医療機関との間で、患者の取合いみたいなことになれば、それはほかの医療界の人たちも入った中で、また患者、被保険者という関係者が入って評価するということも必要であるという視点もあり得るのではないかと思います。
○永井座長 それは国が関与しなくてもよろしいということでしょうか。
○伊藤委員 現実問題は全くの第三者評価というのは、いまの行政が関与しているさまざまなものについてほとんどあり得ないので、いまのところは審議会を使うということにはなるかと思います。
○永井座長 それはよろしいわけですね。審議会を使ってということは。
○(独)国立病院機構清水副理事長 理事長の桐野も、あるいは前理事長の矢崎も申し上げたのですが、医療というのは人を診るものであって、例えば、重心のお子さんが大人になり、糖尿病になった時もきちんと診る、ということもやるわけなのです。実は政策医療かそうでないかという切り分けが難しいというのが一点あります。
また、例えば災害医療を適切に実施するためには、普段行っていないことは災害のときにできない、ということもあります。
 もう一つ申し上げますと、資料6-1に国病機構法がありますが、その第3条を見ていただければ、「医療の提供云々通じて、国民の健康に云々」と書いてありますが、一言で言えば、医療を実施して政策医療の向上を図ると、そのような位置づけが現在でもされているわけです。
民間病院なり、あるいは民間の診療所と客の取合いとか、そういうことになっているわけではなくて、診療報酬点数の流れからしても、あるいはそればかりでなくて、もう医療従事者の行動にしても、紹介率が6割ぐらいになっていますので、地域連携の中で医療を実施していくと、これは必須になっております。そのような点数政策、あるいは齋藤先生がおやりいただいたような医療部会の論議の中で、私どもも医療を提供しているのだということはご理解賜れればと思っております。
○永井座長 大体今日は議論が尽きたようですので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。次回、第4回目は病院運営や説明責任・透明性の在り方等について、これまでの議論の論点整理を行い、皆様にご議論いただきたいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。
○片岡国立病院課長 次回の日程については、また追ってご連絡させていただきたいと思います。
○永井座長 今日は少し早めですが、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局国立病院課国立病院機構管理室
 運営管理係 尾崎・星(内線2635)
労働基準局労災補償部労災管理課
 企画調整係 飯田・松本(内線5437)
(代表)03(5253)1111

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