ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養護専門委員会)> 第14回社会保障審議会社会的養護専門委員会議事録




2012年3月21日 第14回社会保障審議会社会的養護専門委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成24年3月21日(水)17:30~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第23会議室


○出席者

委員

柏女委員長
相澤委員
今田委員
犬塚委員
大塩委員
高田委員
伊達委員
坪田委員
林委員
平井委員
平倉委員
藤井委員
卜蔵委員
星野委員
宮島委員
吉田委員
渡井委員

事務局

高井雇用均等・児童家庭局長
石井大臣官房審議官
高橋家庭福祉課長
森泉児童福祉専門官

○議題

・施設運営指針及び里親等養育指針について
・社会的養護関係施設の第三者評価について
・里親委託の推進・里親支援の充実について
・人員配置の引上げに伴う設備運営基準の改正について
・その他

○配布資料

資料1-1施設運営指針及び里親等養育指針の検討について
資料1-2児童養護施設運営指針案
資料1-3乳児院運営指針案
資料1-4情緒障害児短期治療施設運営指針案
資料1-5児童自立支援施設運営指針案
資料1-6母子生活支援施設運営指針案
資料1-7里親及びファミリーホーム養育指針案
資料2-1社会的養護関係施設の第三者評価について
資料2-2第三者評価基準案(児童養護施設版)
資料2-3第三者評価基準案(乳児院版)
資料2-4第三者評価基準案(情緒障害児短期治療施設版)
資料2-5第三者評価基準案(児童自立支援施設版)
資料2-6第三者評価基準案(母子生活支援施設版)
資料2-7利用者調査の実施方法案
資料2-8第三者評価結果の公表事項案
資料3-1里親支援の充実について
資料3-2里親委託ガイドラインの見直しについて
資料3-3里親等委託率を大きく増加させた自治体における里親推進の取組事例
資料4人員配置の引上げに伴う設備運営基準の改正について
資料5社会的養護の充実のための平成24年度の主な取組について
資料6(参考資料)社会的養護の課題と将来像への取組
資料7(参考資料)社会的養護の現状について
資料8(参考資料)児童相談所長又は施設長等による監護措置と親権者等との関係に関するガイドラインについて
資料9(参考資料)平成22年度における民間養子縁組あっせん事業の状況について
資料10(参考資料)IFCO2013大阪世界大会について

○議事

○高橋家庭福祉課長
 定刻となりましたので、ただ今から「第14回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」の開催をお願いしたいと思います。家庭福祉課長の高橋でございます。本日はありがとうございます。
 本日は、委員17名全員がご出席予定でございます。平倉委員からは、少し遅れるというご連絡をいただいております。お忙しい中をお集まりいただきまして、厚く御礼申し上げます。お手元の委員名簿にありますとおり、榊原委員が2月に任期満了で退任されておりますので、委員は17名となっております。
 それでは、議事に移りたいと思います。委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 皆さま、こんにちは。年度末のお忙しい時期にお集まりいただきまして、ありがとうございました。流山にも、ようやく遅い春が訪れて、梅の花が満開になっておりました。昨日はちょうど春分の日ということで、これから暖かくなっていくことを願いたいと思いますが、皆さま方の現場でも卒業式のシーズンで、それこそ悲喜こもごもの旅立ちで、皆さま方にとっては少し別れが切ないという、そんな思いの日々ではないかと思います。
 そのようなときに、今日は社会的養護の関係の大事な審議をお願いするということでございますので、限られた時間ではありますが、ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず今日お手元にお配りしております5?以上はあるかという、資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 一昨年の秋から、結構頻繁にこの会を開かせていただきますけれど、これまでで最大の厚さでございます。まず、施設運営指針の関係から並べてありまして、資料1-1が「施設運営指針及び里親等養育指針の検討について」ということで、これは前回1月16日のものと同じ説明紙です。資料1-2~1-7が各施設種別ごとの施設運営指針案です。それから、今回は指針を踏まえまして第三者評価につきましての基準の関係でございまして、資料2-1が第三者評価をどのように進めるかについての説明資料でございます。資料2-2~2-6は、1冊が100ページぐらいありますが各施設種別ごとの第三者評価基準案でございます。資料2-7が、第三者評価では利用者調査を行いますので、その関係の説明資料。資料2-8が第三者評価の結果の公表方法の説明資料でございます。そこまでが、第三者評価関連でございます。資料3-1からは里親体制の充実方策で、1月16日の前回のご議論に引き続いてのものでございまして、資料3-1は前回と同じ資料、3-2が、それを踏まえた「里親委託ガイドラインの見直し」案、資料3-3が、各自治体における好取組事例で、そこまでが里親関係でございます。資料4が「人員配置の引上げに伴う設備運営基準の改正について」、資料5が、平成24年度の今後の取組についての方向。以降は参考資料でございまして、資料6が昨年7月の「社会的養護の課題と将来像」の概要版に、その後の進捗状況を入れ込んだ資料でございます。資料7は毎回お出ししている資料集で、その後のアップデートが多少されています。資料8は、先般3月9日に不当な妨げのガイドラインが出ましたので、ご参考に。資料9は「平成22年度における民間養子縁組あっせん事業の状況について」、資料10は星野委員からご提出いただきました「IFCO2013大阪世界大会について」。資料は以上でございます。

○柏女委員長
 大部の資料ですが、お手元にございましたでしょうか。途中で不足に気付かれたら、随時お知らせいただければ補充させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入っていきたいと思います。今日は、大きく四つの議題がございます。(1)については、前回たくさんのご意見を頂戴しまして、それを反映したいわば最終版を今回ご検討いただく形になっております。(3)(4)は通知の見直しということになるかと思いますので、今日は主として(2)が大きなテーマになると思います。つまり「社会的養護関係施設の第三者評価」が次年度から随時行われることになりまして、その第三者評価の実施体制あるいは第三者評価ガイドライン等についてワーキングチームで詰めてまいりましたので、その結果などについてご意見をいただく時間を少し多めに取っていきたいと思っております。(2)でたくさんのご意見が出ると1時間弱はかかるかと思いますので、ご協力をお願いいたします。
 まず、議題(1)「施設運営指針及び里親養育指針」について、事務局より資料の説明をお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 まず、資料1-1「施設運営指針及び里親等養育指針の検討について」でございます。これは前回1月16日にお出しした資料と同じでありまして、施設運営指針及び里親養育指針を策定する。平成24年度には手引書、解説書の作業に入るわけですが、指針を受けまして、自己評価・第三者評価が連動しながらできるようにというようなものでございます。これまでの各ワーキングの審議経緯を3ページに載せてありますけれども、各ワーキングを7~8回開いていただきまして、全部で46回開催と、大変短期間にご尽力いただきました。ありがとうございます。前回1月16日の専門委員会でいただいたご意見の修正点を中心に、かいつまんでご説明します。
 資料1-2「児童養護施設運営指針」につきまして、「目的」の三つ目のポツの2行目に「子どもは子どもとして人格が尊重され、子ども期をより良く生きることが大切であり」というフレーズを追加しております。前回のご意見で、発達の基礎となる、将来への準備であるということも大事だけれども、やはり子どもの時期に子どもらしくということも大事であるというご指摘を入れ込んであります。
 次の2ページで「社会的養護の基本理念」の?「すべての子どもを社会全体で育む」の三つ目のポツに児童の権利に関する条約第20条のくだりを加えています。前回は権利条約第3条を?で触れているだけでありましたけれども、権利条約といえばこの第20条が社会的養護の中で大事ということ。また、そこは子どもが権利の主体として社会的養護を受けることを宣言した部分であるからということで、この記述を加えてあります。
 (2)の社会的養護の原理の?「家庭的養護と個別化」で「あたりまえの生活」を保障するというところで、「あたりまえの生活」とは何かと、前回いろいろなご意見をいただきましたが、もう少し具体的な表現を前に入れた方が良いということで、二つ目のポツで「一人一人の子どもが愛され大切にされていると感じることができ、子どもの育ちが守られ、将来に希望が持てる生活の保障が必要である」というくだりを加えています。
 20ページの(4)「権利についての説明」の?の二つ目のポツに「子どもの状況に応じて、権利と義務・責任の関係について理解できるように説明する」とありますけれども、これは前回の版では「自由に対しては責任が伴うこと、権利に対しては義務が伴うこと、権利は無制限ではないことなど、権利の意味について子どもが理解できるように説明し、話し合う機会を持つ」となっておりまして、義務を果たさなければ権利がないかのように誤解もされかねないので、そのような趣旨で書いたのではないのですが、誤解されないように表現を書き換えてあります。
 ?「子ども等からの意見や苦情等に対する対応マニュアルを整備し、迅速に対応する」の三つ目のポツで「子どもの希望に応えられない場合には、その理由を丁寧に説明する」というくだりを加えております。いろいろと意見を言っても、必ずしも反映できることばかりではないわけでありまして、その場合に返事がないと「言っても無駄だ」となってしまうので、そうならないようにというご指摘をいただいたものでございます。
 その他、各施設種別ごとの各論の部分は第三者評価の基準を議論しながら、言葉の表現などを手直しした部分が若干ございます。
 資料1-4「情緒障害児短期治療施設運営指針」の「目的」の1行目に通称を用いることができるというのは中ほどに書いてありましたけれども、冒頭にも書いた方が良いということもありまして、ここに入れてあります。それから、5ページの(2)運営理念の3行目に「入所治療は原則として2~3年程度の期間とし」となっていたのですが、平均が2.5年ですので「2~3年程度」と書いてあるのですが、もう少し短い子どももたくさんいますので、「数か月から」を入れて短期というイメージが守られるようにしています。
 資料1-7「里親及びファミリーホーム養育指針」ですけれども、基本は全体が里親及びファミリーホーム養育指針でファミリーホームにも全般が適用されるわけですけれども、ファミリーホームの記述が若干薄いのではないかというご意見もありまして、例えば7ページの(2)「家庭養護における養育」と始まるようなところには、?の一つ目のポツにありますように「里親及びファミリーホームにおける家庭養護とは」と冒頭に入れたり、同様に12ページの各論が始まるところも冒頭の書き出しが「里親及びファミリーホームにおける家庭養護は」となるように、イメージの問題ですけれども、それぞれの記述がファミリーホームにも共通に適用されることがわかるような表現を少し加えてみました。以上でございます。

○柏女委員長
 どうもありがとうございました。前回、かなり貴重なご意見をいただきまして、それらについて各ワーキングの全体会合で議論させていただき、概ねご意見を反映させる形で入れさせていただきました。できれば今日で取りまとめという形にしたいと思いますので、何かご意見がございましたらお願いいたします。どなたからでも、どうぞ。
 藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員
 指針の方は、前回に比べましていろいろな意見を反映させて取りまとめいただいて、ありがとうございました。私どもの意見も反映された形で、感謝しております。
 ただ、1点だけ心配なことは、今回この運営指針が作成され、全体を通して提案されていくわけですが、ずっとこれに縛られる、ずっとこれでなければいけないということでなく、必要に応じて改定したり、使いながら修正を加えるといった今後の可能性の部分といいますか、何年おきに見直しをかけるという具体的な改定の時期など、予定のようなものを明記していただく方が良いのではないかと思います。

○柏女委員長
 わかりました。ありがとうございます。これは局長通知で出されることになっておりますけれども、今後の改定その他についてのスケジュール等について、お願いできればと思います。

○高橋家庭福祉課長
 今回の指針は、これと表裏一体で第三者評価の基準もセットで作りまして、第三者評価は3年で一巡する、3年間のうち1回受けるということでありまして、そうすると、3年後を目途に第三者評価の基準も見直しの時期がくるだろうと思います。そうしますと、併せて指針も同じ時期に見直しを行うのが良いのではないかと思っております。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。この1、2年のような積極的な厚生労働省の姿ですと、里親委託ガイドラインが毎年改定されたり、児童相談所運営指針も毎年改定されておりますけれども、そうばかりとは限らないので、3年を目途という形があるのは、とても良いと思います。ありがとうございました。
 他は、いかがでしょうか。吉田委員、それから今田委員にお願いいたします。

○吉田委員
 児童養護施設の19ページの(3)です。前回は見落としたようですが、?に「入所時に、施設で定めた様式に基づき養育・支援の内容や施設での約束ごとについて、子どもや保護者等にわかりやすく説明する」とありますが、ここでいう「施設で定めた様式」というのは、厚生労働省で一定のひな型を用意するということでしょうか。それとも、施設が独自に定めてもよいということなのかどうか。これが一つです。
 それから、被措置児童等虐待で、これは第三者評価とも絡むのですが、全体として「子どもに対する暴力」ということで出てくるのですが「子ども間暴力」について、「他者への尊重」というところで触れられているということかもしれませんけれども、やはり被措置児童等虐待の中での「子ども間暴力」を適切に対処しないことがネグレクトに当たるということがありますので、「子ども間暴力に対して適切に対処する」という言葉をここに入れ、第三者評価のところにも、それに関連する言葉を入れてはいかがかということです。後出しになって申し訳ありませんが、その2点です。

○柏女委員長
 とても大切なご指摘が入っていたと思います。何かありましたら、お願いします。

○高橋家庭福祉課長
 様式につきましては、この全体の趣旨に沿って各施設で考えていただければと思っています。ただ、手引書などを作る過程で少し、そういうものの項目等を議論することもあるかもしれません。
 二つ目の「子ども間暴力」については大事なご指摘なので、これは考えて加えたいと思います。

○柏女委員長
 「子ども間暴力」については、加筆を含めて検討したいと思います。ありがとうございました。

○今田委員
 乳児院の指針は資料1-3でございますが、すっきりしまして要点をかなり濃厚に反映していただきました。ありがとうございます。
 9ページの(2)「養育単位の小規模化」でございますが、くどいと言われるかもしれませんが、現実に今、幾つかの施設で精力的に小規模がなされつつあって、それなりの効果も認めていると理解していますが、ここを進める上で、前にも申し上げましたが、やってみると思った以上に人の問題が出てきて、なかなか「やりたくてもやれない」という現実も一方では見えてきておりますので、ぜひ当初の話にありました1.3対1が実現すれば、この辺りも大分すっきりするのではないかと理解しておりますので、念のためにもう一度お話しさせていただいた次第です。よろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 これはご要望というか、実現を図っていくということで進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
 他には、いかがでしょうか。

○大塩委員
 2点です。まず、1点は事務的なことですけれども、資料1-1の3ページの上の四角で囲ってある4番目の丸で、母子生活支援施設は「4回」となっていますけれども「7回」です。
 それから、運営指針についてですけれども、この運営指針を策定するということは、社会的養護施設の支援の格差が大きいから、それを目指すべき支援の方向性を導くための運営指針ということで策定したものですよね。それはとても画期的なことで大事なことであったと思います。さらに社会的養護を担っている施設がこういう支援をしているということを社会の中できちんと認めてもらうことは、とても大事なことだと思います。しかし、一つ不安に感じていることは、この運営指針は「社会的養護の課題と将来像」の中で示された人員配置がきちんと配置されたときに目指すべき姿であったと記憶しています。母子生活支援施設は設置主体によって公設公営施設と民設民営施設では、かなりの施設間格差がありますので、この運営指針を来年度から各施設に理解していただくよう、少しずつでも努力していこうと思っておりますが、それにはかなり時間がかかると思っております。この運営指針を定着させることも大切ですし、やはり「社会的養護の課題と将来像」に書き込まれた施設における人員配置もきちんと目指していただきたいという要望です。以上です。

○柏女委員長
 今田委員のご発言と共通するところがあるかと思いますが、「梯子を外さないでくださいね」ということだと思います。それはぜひ、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 他は、いかがでしょうか。

○宮島委員
 先ほど、藤井委員が質問したことに戻る形になりますけれども、第三者評価等を行って、3年を目途に見直すというのは、ちょうどいいぐらいの期間ではないかと思います。指針ですから安定性が必要で、あまり頻繁に変わるのは良くない。しっかり検討して作り上げたものですから、やはり3年ぐらいはこれに従って確認していくことが必要だと私も考えますが、同時に、短い期間に気合いを入れて作ったものですので、言葉が少しきついところや、ニュアンスがこなれていないと感じるところがあると思いました。私も作業部会に入れていただいて、里親の養育支援の作業に加えていただいたのですが、例えば委託解除後、できるだけ支援を継続するということですが、「可能な限り」という表現が、下手をすると押し付けがましくなってしまって、「あまり関わってくれるな」という子ども等の意向を無視しかねない。出来るだけが、子どもの利益にならない場合もあるので、今にして思えば少し強過ぎる表現でもあるという気もしないでもない。この指針を作った後に手引書を作ることが示されていますので、その手引書を作る作業の中で、この表現は変えた方が良い、こなれた表現にした方が良いという文言の整理等は1年目でも行うという形の方が、より定着のためにも良いのではないかと思うので、可能かどうかをお聞きしたいと思いました。

○柏女委員長
 とても大切なご指摘だと思います。そういう形でも、よろしいですよね。

○高橋家庭福祉課長
 具体的に出てくれば。手引書の方のいろいろな説明で膨らませて補える分は多分こうだと思いますし、それをやる中でやはり変えなければということになれば、それは随時可能だと思います。

○柏女委員長
 恐らくその場合も、他の指針にはねたりすることもあります。そのときは、またばらばらになってしまうのは避けたいと思うので、そのような場合は全体会合を開いたりしながら進めていく形になると思います。ありがとうございました。
 他は、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。幾つかご提言をいただきました。この通知の性格や、この通知の担保のための政策の充実、それから一部修正は「子ども間暴力」についての加筆をお願いしたいといったところが出ましたので、そのようなことを含めて修正をお願いしたいと思います。部分修正のような感じでしたので、できましたら私委員長と事務局に修文についてはご一任いただきたいのですが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○柏女委員長
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。最終版については、今年度中に通知で出されるという形ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、それぞれの施設でも指針については周知そして学習していくことがとても大切になるかと思います。保育所保育指針のときも、告示された後は全国2万3,000か所の保育所で、さまざまな熱心な学習が行われました。性格は少し違いますけれども、同じようにこのガイドラインについての学習などもお願いできれば、学習会を進めていただければと思います。
 さらに、今日は傍聴に社会的養護関係の大学の教員もおみえのようです。このガイドラインがまた新たな社会的養護の原理をつくっていくことにもつながりますので、研究者と実務家・行政がこの一つの指針をツールにして意見交換を進めていただく中で、さらに社会的養護の中身が発展していくということを心から願いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、その運営指針にも関係するところですけれども、議題(2)の「社会的養護関係施設の第三者評価」について、議論をお願いしたいと思います。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 資料2-1で第三者評価の制度の説明から入らせていただきます。資料2-1の1枚目は福祉サービス第三者評価事業のそもそもの共通制度の説明であります。社会福祉法人等が提供するサービスの質を高めるもので、第三者機関が専門的・客観的な立場から評価をする。メリットとして、自らが評価するサービスの質について改善すべき点を明らかにして、取組の具体的な目標設定を可能とする。また、評価を受ける過程で、職員の自覚と改善意欲の醸成、課題の共有化を図る。また、利用者からの信頼の獲得と向上を図られるために行うというものでありまして、行政が行う監査が最低基準を満たしているかなどについて確認するものであるのに対しまして、第三者評価はよりよいものを目指しまして、質の向上を図っていくという趣旨でございます。現在の実施状況ですが、平成22年度の状況、受審件数は年間2,985件であります。ただ、このうち東京都が1,979件を占めておりまして、これは受審経費を東京都で補助しておりまして、また、さまざまな東京都の単独補助の条件になっているということもありまして、東京都のすべての施設が毎年度受審している関係上、この数字が出ているというものであります。その他、幾つか多い順に件数が挙がっている県もありますが、非常に少ない地域もございます。評価機関は、民間の評価機関が都道府県の推進組織が認証した評価機関が評価する仕組みでありまして、454機関もあります。評価調査者は都道府県推進組織の養成研修を終了した者となっておりまして、年間800人ほどの研修終了者がありまして、累計1万人もの調査者がいます。1年間の受審率ですが、特別養護老人ホームで7.5%、保育所で3.7%、児童養護施設は14%となっています。この14%のほとんどが東京です。推進体制でございますが、全国推進組織が全国社会福祉協議会であります。また、都道府県推進組織が都道府県単位に置かれていまして、行政が自ら行っているところが32、都道府県社会福祉協議会が行っているものが12、その他財団・社団法人2、その他1となっております。都道府県推進組織が評価機関の認証や研修などを行う仕組みになっています。経緯でございますけれども、平成10年6月に社会福祉基礎構造改革の中間まとめの中で第三者評価の実施をという提言があり、その後いろいろな実施方法の研究・施行・実施なども行われ、平成12年に社会福祉法第78条で福祉サービスの質の向上のための措置等が規定され、これに基づいて実施するということで、現在は平成16年の第三者評価事業に関する指針に基づきまして行っています。社会局、老健局、雇用均等・児童家庭局3局長連名通知により行っているものであります。  次のページです。本来は任意で受審する制度ですけれども、社会的養護につきましては、今回は義務付けということで一昨年から議論し、昨年9月に省令改正も行いまして、平成24年4月から義務化が施行されるわけでございますけれども、子どもが施設を選ぶ仕組みでない措置制度等であること。また、施設長による親権代行などの規定もあるほか、虐待児が増えまして、施設運営の質の向上が必要であることから、義務化することとなった次第であります。そうなりますと、受審の義務化に伴いまして、効果的な実施のため、また、社会的養護の施設の数は地域によって非常に少ない中で、評価機関は非常に数が多く評価経験を蓄積して質の高い評価が行えないということで、質を高める必要がある。そういう意味で、原則として全国共通の評価基準とし、社会的養護関係施設の評価についての評価機関の認証や研修も、全国推進組織である全国社会福祉協議会で広域的に行う仕組みとしてはどうか。なお、都道府県推進組織で従来どおり独自に評価基準を設定し、独自の認証・研修を行うことも引き続き可能としたいと考えています。
 下に比較表がありますが、左側が平成16年通知に基づく共通制度でありまして、右側が社会的養護につきましての特別な仕組みとして、これもこのガイドラインと併せまして自治体に通知したいと思っておりますけれども、違いを列挙してあります。受審につきましては共通制度では規定はありませんが、社会的養護では3年に1回以上受審しなければならないとしたい。評価基準につきましては、共通制度は都道府県推進組織がそれぞれ作るということで、そのためのガイドラインを全国社会福祉協議会が作りまして、それに基づきまして都道府県がそれぞれ作るという仕組みでありますが、社会的養護につきましては、全国共通で作る。ただ、都道府県推進組織で独自にも作れることとしたい。評価機関でございますが、共通制度は都道府県推進組織が認証ということで450機関もあるわけでありますが、社会的養護につきましては施設の数も少ないので、全国推進組織である全国社会福祉協議会が一括して認証する。ただ、都道府県独自認証も可能。認証要件は、それぞれ都道府県推進組織が作るのに対して全国一本で作る。全国社会福祉協議会の社会的養護の評価者の研修を受けた人がいることが評価機関の要件です。また、3年に1回更新制と共通制度でもなっていますけれども、一定以上の実施経験がある。例えば、3年で10か所以上経験するということで、社会的養護の施設のことを十分に分かっている、社会的養護の施設を良くしようという機関に残っていただきたいと思います。研修でございますけれども、共通制度は都道府県推進組織が、社会的養護では全国推進組織が行う。ただ、都道府県組織が行うことも可能である。利用者調査につきましては、共通制度では「努める」となっておりまして、必ずするとはなっておりませんけれども、社会的養護では利用者調査を行うとしたい。結果の公表につきましては、共通制度では評価を受けた事業所の同意を得ていない評価結果は公表しないとなっておりますけれども、社会的養護ではすべて結果を公表するということで、全国推進組織に結果を集めまして、そこでホームページ上で公表するということを考えております。自己評価につきましては、共通制度では規定はありませんけれども、社会的養護では自己評価を行うということで、3年に1回が第三者評価でありますので、それ以外の年でも自己評価は行うとしたいということです。
 3ページは第三者評価基準で、このような形でありまして、施設運営指針、施設ですので5種別の施設ですが、これに基づいて対応関係のあるものとして第三者評価の基準を全国共通で作る。項目数が若干多くなっておりまして、児童養護施設版で98、乳児院版で80項目等となっておりますが、これは共通制度の53項目をも含んでいる形です。また、従来ありましたガイドライン、内容評価の項目も含んでいるというものであります。基本的には共通基準で各都道府県で実施をお願いするわけですけれども、独自で評価基準を作ることも可能とする。
 下の認証制度でございますけれども、現在は既に左側にありますように、都道府県認証の機関がそれぞれあります。都道府県ごとに都道府県の研修を受けてそれぞれ認証することになっておりますので、ある都道府県の認証を受けた機関が他の都道府県の評価をする。他の都道府県の施設から評価を受けたいときには、その施設の所在地都道府県の認証もまた取らなければいけない。現状ですと、それぞれの都道府県での研修も受けなければいけないということで、非常に評価機関が広域的な活動をしづらい。社会的養護の施設ですと、都道府県の中に施設が10か所ないような都道府県もあります。施設種別によっては都道府県に一つか二つしかないということもあったりします。そうなりますと、社会的養護の施設を見る経験がない。老人や保育の施設はよく見ているけれども、社会的養護の施設はあまり見たことがないという評価機関ですと、実質的に評価はできないだろうということで、ある程度広域的に、ブロック単位ですとか、より広域的に社会的養護のところをじっくりと見るような評価機関に育ってもらいたいということで、都道府県の認証を受けた評価機関の中から社会的養護をやりたいという機関は、全国社会福祉協議会の統一研修を受けていただいて、施設の動向や共通基準についての考え方なども理解していただいて、全国社会福祉協議会が全国認証する。全国認証した機関は全国どこでも有効ということにしたい。ただ、都道府県によりましては、独自の評価基準で独自にやりたいというところがあるわけですので、そこは独自の評価基準で独自の研修をやって独自の認証制度を設けても可能としてはどうかということでございます。
 4ページは実施の根拠法令や通達でございます。根拠法は社会福祉法第78条で、これは共通制度の社会的養護と同じです。左側ですが、福祉サービス共通では「福祉サービス第三者評価事業に関する指針」というものがありまして、これでいろいろな仕組みを決めている。平成16年通知です。これを受けまして、施設種別ごとの評価ガイドラインもあったわけでございまして、下の点線枠にありますように、平成17年の家庭福祉課長通知で児童養護施設や母子生活支援施設など個別の評価ガイドラインがございました。それに基づいて各県で作っていたわけであります。今回は右側のように法律の第78条を受けまして、施設設備運営基準では、第三者評価を定期的に受けて、結果を公表し、改善を図らなければならないというのを入れまして、これは参酌基準でありますので、これを踏まえて都道府県の最低基準の中に反映されていくわけでありますけれども、具体的な実施の方法につきましては共通の平成16年通知の「特別の取扱い」ということで、この通知で示したいと思っています。また、基準につきましては、従来の基準、ガイドラインを廃止しまして、新たな基準を通知として出したいと考えております。
 資料2から基準案の実物が5冊ありますけれども、委員には事前にお配りしてありまして、各ワーキングで熱心にご議論いただいた現状の成果物であります。児童養護施設版をご覧いただければと思います。資料2-2です。目次がありまして、これが指針の第?部に対応して評価項目、項目は全部評価項目、評価細目でございます。これが並んでおりまして、中には共通の何番という番号が振ってありますが、これは社会福祉共通評価項目53項目と同じ項目であります。若干表現は変えてありますが、同じものが含まれているというものであります。
 3枚ほどめくっていただいたところで1ページから始まりますが、基準案では指針の養育・支援の1番目にありました「子どもの存在そのものを認め」うんぬんという項目がありまして、これを判断基準としてa、b、cの3段階評価というのは共通制度と同じ仕組みであります。bが標準でありまして、aが望ましいもの。子どもの存在を認めて、感情や言動をしっかりと受け止めて、子どもを理解している。bは理解しようとしているが十分でない。cが理解しようとしていないということで、bが標準で、aが望ましいライン。指針が望ましい指針を書いた指針という整理でありましたので、指針の表現がa評価のaの基準になっているという形で編集しています。「評価基準の考え方と評価のポイント」ということで説明がございまして、下の「評価の着眼点」ということで、着眼点をすべて満たしていかなければいけないとか、何個以上満たせばaだというものではないわけでありまして、こういう着眼点なども見ながら、これができているかどうかを見る。この第三者評価の基準は自己評価の基準にもなってくるわけで、日常的に施設の中で勉強会をやっていただいて、こういうチェック項目を見ながら施設の中の運営も見直していただいたりする。そういう意味で、少し丁寧に考え方やポイント、あるいは着眼点が並べてあるという構成になっております。詳細の説明は省略します。以上です。

○柏女委員長
 それぞれの社会的養護関係施設の特性を踏まえた第三者評価の方法と評価基準の開発ということで、皆さま、特に施設種別の運営指針を作成していただいたワーキングチームのメンバー、それに関わってくださった方々にかなりご尽力いただいて、この指針、評価基準を作成してまいりました。また、評価方法については、社会的養護関係施設の特性を十分踏まえないといけないということで、全国ベースのものをかなり考えていくことも必要であるということで開発がなされました。今日はこれについてのご意見を頂戴できればと思います。どなたからでも、どうぞお願いします。伊達委員、お願いいたします。

○伊達委員
 作成に当たりまして、いろいろと皆さまにご協力いただきましてありがとうございました。このワーキングに加えていただいた一人として特に感じましたのは、第三者という観点から自分の立場を見るというのは慣れていないもので下手だとつくづく思いましたけれども、いずれにしても第三者を含めて社会全体で子どもたちの問題を取り組んでいかなければならないときの一つの切り口としては重要な柱であろうと感じておりますので、全国社会福祉協議会としてもそういう姿勢で取り組んでまいりたいと思っています。
 ただ、先ほどどなたかがご発言されましたけれども、何年間かの区切りの中で改善を加えていくということは必要だろうと思いますので、その作業を着実にやっていただければと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。運営指針の見直しとともに第三者評価を実施していくに当たって実施していけばいくほど、この項目は適切ではないのではないか。この判断基準はもう少し修正すべきではないかという意見がたくさん出てくると思いますので、それらの評価機関での意見をどこかの機会で集約して修正点を考えていくことも大事ではないだろうかというご意見だと思います。本当にそれは大切なことではないかと思います。ありがとうございました。
 その他には、いかがでしょうか。渡井委員、お願いいたします。

○渡井委員
 資料1-1に施設運営指針及び里親等の養育指針の話ではありますが、大枠として「社会的養護の現状では、施設等の運営の質の差が大きいことから」ということわり、それで運営指針と第三者評価を義務付けるという流れできていると思いますが、高橋課長からのご説明で、この評価基準に関しては都道府県独自のものでもよいとのことだったので、独自のものというのは、どれぐらいの内容なのかというのがわかりかねたので、独自が多ければあまりこの基準を作った意味がなくなってしまって、結果として質の差の縮減にはつながらないのではないかと考えて、どの程度のものならばよいという定めを作るのかどうかが気になりました。以上です。

○柏女委員長
 これについては、課長からお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 現状は、かなり全国社会福祉協議会のガイドラインよりも地方独自で作っているのが多いというのが平成16年以降、現行の制度は地方で独自な動きの方が先行していて、後で共通制度ができたという関係上、現状ではそうなっています。社会的養護については、今回はできる限り共通でいきましょうと示して、どれぐらいの自治体が共通版をそのまま使うかというのはこれから検討されるということがありますが、例えば東京都はかなり精緻なものを従来よりやっておりまして、東京都は今回も独自でいきたいという話が出ておりまして、幾つかの自治体ではかなり精緻なものをこれまで構築してきたので引き続きやっていきたいと。そうすると、今回のガイドラインも踏まえながら、少し見直してというところは幾つかあります。今後ご検討されるということでございます。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。恐らく今回の運営指針が全体のガイドラインになりますので、何らかの第三者評価基準を独自にやっているところでも、これを加味したものにせざるを得ないだろうと思っております。ありがとうございます。
 他は、いかがでしょうか。吉田委員、宮島委員、お願いします。

○吉田委員
 87ページの児童養護施設の評価基準のところで、経営状況の把握であるとか、施設の運営状況等の把握ということで項目が挙がっていますけれども、この中に具体的に理事会という名称が出ていません。例えば施設の中での暴力の問題などが起きてきたときに、まず組織として対応するために理事会の役割が大変重要だということなどが言われております。そうした意味で、理事会に関する言及というのは監査の項目に入ってくるのか。それとも、こちらの第三者評価の中で理事会が適切に機能しているかどうか。こうした場合に、これはどちらのすみ分けになるのか。基本的な課題でもありますが、その辺の経過をお伺いしたいと思います。

○柏女委員長
 法人の経営、運営の話とその中の施設の話ですけれども、そこはどのように整理をしたのでしたか。私も記憶がありません。

○高橋家庭福祉課長
 施設の評価、この項目はこれまでの社会福祉共通の項目に入っている項目なので、共通項目のガイドラインと大体そのままで言葉を少し入れ替えてある構造になっていますが、恐らく法人の話ですから、理事会だとどうしても法人の話になってしまうので、各施設では施設長がきちんとリーダーシップを取ってということで出てくるということだと思います。法人管理としては恐らく表面には出てきませんが、当然あるだろうという前提のことではないかと思います。

○吉田委員
 そことの連動がほしいという気がします。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。89ページは、それがすぐに直結するかどうかわからないのですが、社会福祉法人の監査基準の話が出ておりますので、全く念頭にないわけではないと思います。そこと連動させた方が良いという吉田委員のご指摘はもっともだと思いますので、それを考えていければと思います。
 では宮島委員、お願いします。

○宮島委員
 資料2-1についてですが、2ページ目の評価結果の公表についてお聞かせいただきたいと思います。第三者評価は第三者の評価とともに自己評価が重要で、しかもサービスを受けての評価の三つを照らし合わせることがとても重要なことだと感じています。児童養護施設の評価にある委員と接したとき、自己評価がとても高いのに、第三者評価はあまり高くない施設があったりしました。こういったところにこそサービスの質が照らし出されて、とても有意に効果的に確認することができると感じておりますが、第三者評価の評価結果は必ず公表するとありますが、これからの仕組みの中で検討されることかもしれませんが、自己評価の結果も併せて公表されるのかどうなのか。その辺を今後のことかもしれませんが、お聞きしたいと思います。利用者調査をそのまま公に出してしまうことはできないにせよ、自己評価と第三者評価を照らしてみることによって、いろいろなことが見えてくるのではないか。今後の仕組みを考える上でも、ご検討いただけたらと思って質問しました。

○柏女委員長
 今、決まっていることはありますか。事務局からお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 先ほど説明をもらしたのですが、資料2-8に結果の公表方法の資料を付けてありまして、これは第三者評価につきましてはこういう形で公表しようと。資料2-8は今の共通制度の公表方法と同じ様式でありまして、評価機関名、施設名、全体の総評、それから施設のコメントを書くという頭1枚紙がありまして、次のページから各評価細目ごとにa、b、cの評価結果。それから、幾つかの評価項目のくくりごとに評価機関がコメントを付けるような、特に評価が高い点や改善を伴う点を記入していくような形の公表様式。これは公表様式として定めまして、これが評価様式になりますが、社会的養護の施設ではすべて第三者評価につきましてはこれで集めて全国推進組織の全国社会福祉協議会のホームページでアップするようなやり方にしていきたい。
 一方、自己評価はどうするかということですが、自己評価も公表はしようという方向性になっていて、最低基準の表現は第三者評価も自己評価も公表するとなっていますが、自己評価の公表の仕方は各施設にお任せするような形だろうと思います。それぞれの施設での取組状況もありますし、説明の仕方もあるのではないかと思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。併せて、資料2-7の利用者調査などの案も挙がっておりますので、これらについてもご意見を頂戴できればと思います。
 では、吉田委員、今田委員、林委員、相澤委員、順番を忘れるかもしれませんので、言ってください。

○吉田委員
 利用者調査の実施方法で最初の児童養護施設、情緒障害児短期治療施設等のところでお聞きしますけれども、子どもの調査を行うということですが、細かいことですけれども、この場合子どもが回答を記入するというときに、どういう方法で回答するのか。例えば、子どもを皆集めて施設の職員が「はい、皆さん、ここで書いてください」という形になるのか。それとも、それぞれ自室でどうぞとなるのか。その辺りはすべてお任せとなるのかどうかというのが一つ目です。
 それから、私は神奈川で施設協会をやったりしていますが、そこでは子どものヒアリングなどを実際にやって生の声を聞くということなどをしておりますけれども、今回の利用者調査では、そうしたヒアリングを予定されているのかどうか。この2点についてお聞きしたいと思います。

○柏女委員長
 では、お願いします。

○高橋家庭福祉課長
 資料2-7でございますけれども、補足説明をさせていただきたいと思います。資料2-7の1ページ目に「利用者調査の実施方法」とございます。利用者調査を行う趣旨は、子どもがどのように感じているかを把握するということで、いわゆる満足度調査という意味ではないわけであります。子どもの回答が子どもの家族関係、生活習慣、成育歴などさまざまに影響されるので、書いてあることそのものが良いことがたくさん書いてあったらこの施設はよくできている施設、悪いことがたくさん書いてあったらよくない施設かというと、必ずしもそうではなくて、良い施設にこそ難しい子どもがたくさん措置されて、いろいろなことを書いてくるということがありまして、そういう意味で、回答の意図することなどもくみ取る必要があるという留意事項です。従いまして、評価項目の項目にそれぞれ沿った裏を取るような意味でのチェック項目にしてもあまり意味がないだろうと。子どもの気持ちがある程度書けるような、項目数もあまり多くなく、ふわっとしたような項目にしてあります。現状行われている自治体のものは項目が20項目くらいあるような地域もありますし、より簡単な項目でやられている県もあります。アンケートもアンケート方式でやるところもあれば、職員が聞き取って書くところもある。職員が聞いて書くとなると、本当の子どもの気持ちが出てくるかどうかわからないということもあります。一方で、評価機関が全部一人一人にヒアリングをやっているところもありますが、そうすると、利用者調査1件当たり幾ら取るということになっていたりして、それも全国一律これでやるにはハードルが高いということもあります。
 今回は1枚目にありますように、原則は無記名のアンケート方式でやる。そういう意味で年齢の小さい子どもは書けませんので、小学4年生以上。どういう子どもにやるかを施設側が選んでしまうと、良いことを書ける子どもばかりを選んでもいけないということで、基本は全数でいきます。ただ、書きたくない子どもがいますので、それは無理しなくてよいのです。利用者調査の実施方法はそういう意味で施設に調査票を渡して、施設が子どもに配って回答ボックスも一緒に配って、そこに子どもが自分で封筒に入れて投函してもらうようなスタイルを標準とするという形にしてはどうかと。かなり評価機関が広域的に行うようになりますと、何度も現地に足を運ぶということが実質難しくなると思います。そういう意味で、事前に書類を送ってアンケート票に書いてもらって、それを封筒に入れてもらって、それを評価機関に戻してもらうようなことを無記名でやるという形です。実際子どもに何人かインタビューしてみたいということであれば、訪問調査に必ず行って大体1泊2日、1.5日ぐらいの現地訪問調査をやりますので、そのときに併せてインタビューするというのは可能ではないかと思います。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、続いて今田委員。

○今田委員
 2点ほど、お願いしておきます。そもそも論として、a評価を得るための基準としては、「社会的養護の課題と将来像」の中で目標水準が達成された暁に、これが評価できるということで理解しておりますが、それでよろしいのかどうかということが一つ。
 もう一つは、利用者調査に戻ってまいりますが、先ほどご案内がありましたように、乳児院の場合は4歳未満が原則というかほとんどでございますので、本人の調査ができないといったことから、当然保護者の調査ということになってまいりますけれども、これも何度か指摘させていただいたことでございますが、利用者の中にといいますか、乳児院の入所理由の多くは、かなりの部分は保護者の精神疾患が直接の入所理由になっております。かなりの率になっておりますので、この方々の評価をどのように考えていけばよいのかということが一つあろうかと思いますので、ワーキンググループの中でのディスカッションの中でも出てまいりましたけれども、どうしても児童相談所なりがある程度その場で介入といいますか、ある程度の仕事をしていただきたいというのが、我々の今のところの考えでございます。以上でございます。

○柏女委員長
 乳児院の保護者調査等に当たっては、独自の工夫も必要かと思います。高橋課長、お願いします。

○高橋家庭福祉課長
 乳児院につきましては、資料2-7の2ページ目に「乳児院の利用者調査の方法」と書いてありますが、乳児院ですと保護者、入所している子どもは赤ちゃんですので基本的には保護者に聞くということでありまして、そういう意味でおっしゃったようにワーキングの議論でも保護者にもいろいろな方がいらっしゃいますから、いろいろなことも書いてこられる。これを用いて評価となってもという議論がありまして、趣旨の「なお」のところでありますけれども、保護者のさまざまな関係とありますので、回答をそのまま受け止めるるだけでなく、意図することをくみ取るという念押しした記載にさせていただいたものであります。
 実施方法は、先ほどの児童養護施設などと同じアンケート方式で、保護者の住所を評価機関に渡すわけにいきませんので、施設に調査票を渡して施設が保護者に郵便で送る。いろいろな方がいらっしゃいますから、回収率がどうこうということはあまり問わない。回答できない方、回答しない方については差し支えないという記載をしたのもそういう趣旨でありますが、一方で乳児院の中でも回答できる方もありまして、そういう方の回答を集めてというものであります。そういう意味であまりきちんとやろうとするとご指摘のような大変な問題が出てくると思うので、もう少しおおらかにやって、どのように思っておられるのかを参考にするぐらいのやり方にするということではないかと思っています。

○柏女委員長
 今田委員のご質問のもう1点のa評価についてどのように考えたらよいかについては、いかがでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 今回の第三者評価a評価はご指摘のように目標の目指すべき水準でありますから、すぐさまできる水準ではありません。そういう意味で、すべての施設がa評価を取ってしまっては、逆に指針なり第三者評価のチェック項目としての意味があまりない。そのときには、またもう少しグレードアップした基準に改定しなければいけないということでありまして、標準はbです。aの項目を日ごろこういう項目が大事だと思いながら運営を見直す。そういう意味でのaである。これは目指すべきものであって標準はbだということの念押しが大事だと思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。それでは、林委員と相澤委員、坪田委員です。

○林委員
 幾つか第三者評価の内容的なことで指摘させていただきます。一つ目は乳児院や児童養護施設に関わる部分だと思いますが、措置期間や永続的な養育者の早期実現など、いわゆるパーマネンシーという視点を盛り込んでいただけないか。この項目は恐らく今後は児童養護施設や乳児院等に里親支援専門相談員等が配置されたときに、委託のガイドラインで里親の優先原則ということを明記されているわけですが、そういう人たちが施設長の恣意性に左右されずに、きちんと子どもの永続性を保障する計画を立てていくためのよりどころになるものではないかと考えています。そうした適切な努力、取組に関する項目を入れていただけないかというのが1点目です。
 2点目としまして、どうしても内容が大舎の施設を前提にしているような印象を受けまして、例えば児童養護施設の18ページ辺り、児童自立支援施設等も入ってくるわけですが、子どもの主体性・自律性を尊重した日常生活という項目、評価の着眼点の中に行事や園内の自治会への参画ということが強調されているわけですけれども、日常生活での生活に関する取組、あるいは、行事等も私どもの学生が実習に行ったときは分園のホームは行事に追われて非常に余裕がないということもいわれていますので、もう少し違った視点で主体性・自律性を尊重したという項目として入れていただけないかということです。
 もう1点は、児童養護施設でいえば34ページの「家族に対する支援」の最後の項目です。親子関係の再構築というところですけれども、ここで一つ入れていただきたいと思うのは、親子関係を構築する上で親子関係外関係性というものの大切さを強調していただきたい。着眼点の中に親子宿泊訓練という言葉があったり、あるいは、別の資料にコモンセンストレーニングというトレーニングや訓練、あるいはその次のアドバイス。生活スキルという辺りに支援が矮小化されていく危険性があるのではないかという印象を受けました。
 利用者調査の実施方法に関してです。先ほど吉田委員から、やり方に関して質問がありました。そのこととも関連すると思いますが、最後のページに母子生活支援施設のみ、この案件等についてお伺いします。このアンケートにどのように答えましたか。あなたが読んであなたが記入、職員が読んであなたが記入、職員が読んで職員が記入という、母子生活支援施設にのみ、これが記載されているわけですけれども、これがあると誘導してしまう。基本的に入所者が記入するということが原則だと思いますが、他の施設にないこの項目を母子生活支援施設のみに入れておられる理由は何なのかという思いを持ちました。
 あと2点ほど内容的なことで、児童養護施設でいえば問4辺りですが、小学校4年生以上の子どもを想定しているわけですが、「一人の人間として大切にされているか」という項目です。これは具体的にどのように扱われることが大切にされているのかというより具体化が必要ではないか。小学校高学年ぐらいの子どもに聞くにはあまりにも抽象的過ぎるという印象を持ちました。保護者の同じく問4に「職員はあなたや子どもに対して大切に接してくれると思いますか」は、子ども・親それぞれ別にすべきではないか。問6もそういったことだと思います。それから、乳児院の問8ですけれども、「外部の人に」というのは、いわゆる第三者委員であったり苦情解決の窓口を指しているのか。インフォーマルな関係性の中で言える人。そこまで利用者の理解が及ばないのではないかという印象を受けました。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。重要な論点で細かいご指摘もたくさんいただいたと思いますけれども、今のご指摘については、何かありますか。お願いします。

○高橋家庭福祉課長
 ありがとうございます。かなりこの評価の基準につきましてワーキングでそれぞれ議論がありまして、最初にご指摘いただいた乳児院や児童養護施設につきましてのパーマネンシーの議論、継続性の議論は大いにありました。例えば乳児院では継続性は18ページからですとか、アフターケアの話、家庭引取りの話、そういうところで次の養育者につないでいくところの引継ぎの問題など、いろいろ議論してそれなりに書き込んであります。大事な視点ではないかと思っています。児童養護施設などで大舎制中心というのは、確かに行事などがありますが、今回の基準は大舎制ではなく、かなり個別に子どもと1対1でしっかりと向かい合わないといけないということを相当色濃く、特に児童養護施設版ですと、冒頭の項目1・項目2・項目3と養育支援の基本のところで非常に理念的かつ実質的、本質的なことがかなり書き込まれております。大舎制で多数の子どもの面倒をみるというようなことでは現実には大変かもしれませんけれども、個別の子どもとの間の大人とのしっかりした関係性が大事だということがかなり書き込まれた項目になっています。逆にこれをどのように理解して、どのようにやっていくか。評価機関にも理解してもらわなければいけませんし、そこは抽象的な言葉で議論しながら、そこの取組が発展していくのではないかと、逆にそのように思っております。日常生活ですとかそういう面で現実には大舎制の施設も多いので、両方に対応できるようなものとして作ったつもりではあります。
 34ページの家族関係の支援のところです。親子関係の再構築支援のところで、いろいろ項目は入れ込んだつもりでしたが、足りないような項目がありましたら提案いただいて、また書き込めればと思っています。
 利用者調査でございますけれども、利用者調査の資料2-7で、まず母子生活支援施設での様式の指摘がございました。資料2-7の18ページから利用者アンケートの母子生活支援施設編があります。母子生活支援施設は子ども用と母親用と様式が分けてありまして、15ページからが子ども用、18ページからが母親用で、20ページの「最後にこのアンケートについてお伺いします」というところに、自分で書いたかどうかを職員が読んでというのを入れてありまして、入れるか入れないかがこのワーキングで議論があったところで、初めは入れない案で提案したのですが、実際に母子生活支援施設の中で外国人であったり知的な面で書けない方がいらっしゃる。「書けない方はよいのです」としてしまってよいものかどうかという議論がありました。他の施設では、子どもなのでそれぞれの子どもでどこまで書いてもらえるかということがありますが、大人なので大人になると書けない人は書かなくてよいですというのもという話があって、そういう場合に施設が支援してというのも大事ではないか。そこは誘導的にならないように本人が書いたのか、そうではないのかが分かるように逆にしておいた方が良いのではないか。そのような議論があって、こうなっております。
 様式の中でいただいた6ページにあります児童養護施設の子ども版ですが、問4にありますように、「一人の人間として大切にされていると感じますか」は非常に抽象的です。これは「食事の時間は楽しみですか」という具体的なことも入れつつ、あまり具体的なことだけでもそれを聞いてどうこうということではないわけでありますので、むしろ「施設で暮らしやすいですか」、「大切にされていますか」、「職員は良いことをほめてくれますか」など、プラスのことも項目として書いた方が良いのではないか。どちらかというとネガティブなことばかりのチェックではなくて、プラスのこともという意味合いで、こういうふわっとした項目も入れてはどうかという議論がございました。そういう意味で、抽象的でそれぞれ自由に書いてもらえればということではないかということであります。
 各種別共通でありますけれども乳児院版でも8番、乳児院は保護者用です。12ページからありまして、これの問8ということでご指摘がありました。職員以外の外部の人にも話すことができることを知っていますか。これはご指摘いただいたように第三者委員のことですが、こういうところで第三者委員を知っていますかとか、例えば虐待の通報制度、苦情制度の申立てを知っていますかという制度の名前で書いてもわからないのではないかということで、職員以外の外部の人にも話すことができることを知っていますかという表現になったというものです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。今、説明していただきましたが、よろしいでしょうか。

○林委員
 児童養護施設等の保護者も母子生活支援施設と同様に本来的には外国の方などがおられるわけです。そういう配慮も必要ではないか。全体的にアンケートでは肯定的なことを聞かれていますよね。

○高橋家庭福祉課長
 今回のアンケートの様式は実施方法でも文例としておりまして、実施方法は1ページ目にありますように4で「アンケートの表現は、文例のように」ということで、文例なのでいじっていただいても構わないと思います。あまり細かいことを聞いて、それができているかできていないかに意味があるわけではないということは、評価機関に理解いただきたいと思っています。先ほどの子どもか大人かという点につきましては、児童養護施設は子ども、乳児院は保護者、大人ということであります。ただ、乳児院の場合には保護者は目の前にいませんので、郵便で送って答えが返ってくるかどうかという方式にならざるを得ない。これは職員が代わりにというわけにはいかないので、返ってきたかどうか。返ってきたのはその人が書いたのでしょうということ。ちなみに、各種別の中で大人が施設の中にいるのは母子生活支援施設だけで、それで大人がいて書けない人はよいとしてよいものかというのが母子のワーキングだけで議論が出たというものであります。

○柏女委員長
 いろいろなタイプがありますので、保護者に対して実施するのが母子生活支援施設、乳児院。乳児院は返ってくる人が返ってくるだけだということで、母子生活支援施設については外国籍の方や障害を持った方がいらっしゃるので、それも利用者として生活していらっしゃるので、その方に全数調査をするためには、そうして職員が支援をしていった方がより書いていただけるのではないかということの工夫だということでご理解いただければと思います。その他、パーマネンシーの項目というのはとても大事だと思いましたので、もし可能なところがあれば少し検討していただくようなことが必要と思います。先ほど今田委員や大塩委員から出ていたのと林委員から出たことですが、どの段階のもので第三者評価基準を作るかということ。つまり、例えば児童養護施設で課題と将来像が完成した段階であれば、半分が外で小規模で、中がオールユニットされた中での第三者評価という形でやることになるわけですが、それで評価基準を作ってしまいますと、現在の評価としては使いものにならないという話になります。今は大舎がほとんどですけれども、現時点の大舎のものを基準にして第三者評価基準を作ってしまいますと、今度は先に向かっていけないという話になって、この真ん中を取るということでかなり苦労して評価基準を作成いたしました。高橋課長が先ほどおっしゃいましたけれども、全く将来像の完成版のところでも作れないし現状でも駄目だということで真ん中のところを狙いながら評価基準を作ったということです。そういう意味では政策の進行とともに暫時修正されていくべきものだとご理解いただければと思います。ありがとうございました。
 続いて、相澤委員お願いします。

○相澤委員
 この評価を実際に私どもの施設も受ける側ですが、私は座長をやっていたものですから、途中段階のもので私どもの幹部に自己評価をやってもらいました。そうすると、どのレベルにきたらaなのかbなのか。それともcなのか。判断基準がきちんとしていないと自己評価もしづらい。従って、全国社会福祉協議会の研修のときに、このレベルにきたらa。このレベルにきたらb、このレベルではcと明らかにしていただかないと、その基準が明らかになりませんと、我々もどう改善していいのかわからず、インセンティブが働かなくなりますので、それは研修の段階までにきちんと作っていただいて、現場にも示していただきたい。それを踏まえて、我々も自己評価し取り組むべき課題について取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ判断基準を明示していただきたい。
 もう1点は、3年後の見直しになると思いますが、評価基準もa、b、cの3段階だけでよいのか。もう少しグレードの上がるsとか、少しレベルを上げるためのaとbの間の評価とか、そういう基準を作っていただくということも、インセンティブを働かせる意味では必要になってくるかもしれない。そういう検討もぜひしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○柏女委員長
 私も第三者評価に一時関わっていましたけれども、その中でこれはbのプラスだよねとか、これはaのマイナスだよねというのは評価調査者は複数でやりますので意見が出てくるので、恐らくそれは合議で決めていく形になっていくと思います。そのときに、もう一つ区分を作らなければ駄目だということになれば、そういう形で進めてより細かいものができていくのではないかと思います。ありがとうございました。
 坪田委員、お願いします。そして、大塩委員ですね。

○坪田委員
 利用者調査の対象のところに戻ってしまって申し訳ないのですが、児童養護施設の場合は小学校4年生以上の児童を対象とするということで、既にワーキングでも検討された上でのことだと思いますが、乳児院や母子生活支援施設では保護者を対象にアンケートをとるということであれば、小学4年以下の幼児から小学3年までの年少の子どもたちに関しても、保護者の意見を聞くということも検討されたのかどうか。その辺りはいかがでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 実際に現状でやられている都道府県での調査の中では、保護者調査をやったり、入所者の調査をやったり、インタビューをやったりと、いろいろなやり方があると思います。今回は、共通基準として定める中では、あまりハードルを上げてあれもこれもやるとなると大変だろうということで、まずスタートとしてはできるだけ簡単な調査項目でという議論が多くありました。そういう意味で、アンケート方式で施設の中でやるのを中心にということであります。重ねてこれらでは、実際に現状の評価機関が利用者調査で利用者1人当たり2,000円取るということもありますが、今回の社会的養護では、利用者調査も含めて、30万円でできるものを標準の方法としたい。どれぐらいを標準とするかという点。プラスアルファでいろいろやることは構わないということだと思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。全施設に義務付けということになりますので、あまり高いハードルというのも難しくなってしまいますし、また詳細にやればやるほど費用がかかるということもありまして、バランスを勘案しつつ議論も進んだと記憶しております。
 続いて、大塩委員。

○大塩委員
 3点です。まず1点目は自己評価の公表についてです。吉田委員から公表をどうされますかという質問があったと思いますけれども、施設サイドからいいますと、自己評価を公表されてしまいますと、職員に規制が働いてしまう不安があります。おっしゃったように自己評価は高いけれども第三者評価が低いところがあるように、謙虚な施設は自己評価が低くて第三者評価の方が高いところがあります。第三者評価は自己評価と利用者調査と第三者評価者が実際に施設に来られて調査された結果を総合して発表していただきたいと思います。自己評価は自分たちが支援を振り返るものですから、公表は控えていただきたいという思いが一つです。
 2点目は、先ほど今田委員や柏女委員長からも話がありましたけれども、これは目指すべき水準に達したときの第三者評価ですし、特に母子生活支援施設サイドからいいますと、ここに挙げておりますのは、本当に目指すべき支援を挙げております。そうすると、会員施設の中には職員が努力しないから評価が下がるのではなくて、職員配置が少ないために支援ができないということが起こってきています。今回の予算措置の中では母子支援員を1人増やしていただきましたが、公設公営の施設は加算職員が配置されておりませんので、その中でDV被害者支援等を行っていくとなってきますと、この評価基準は高いハードルだろうと思います。第三者評価というものは施設に対する最低基準の監査ではなく、施設が支援の向上を図るためのものであると思いますので、もし可能でしたら、公表事項の総評の中に努力している点や工夫している点という項目を加えられますと、職員は少ないけれどもそれなりに努力しているというところを記載できて施設側も頑張ろうという気持ちになれると思います。
 3点目ですけれども、どこの種別もですけれど、児童養護施設でも養育支援の基本というところの判断基準、評価のポイント、評価の着眼点を読んでも、第三者評価をする方にはなかなかわからないだろうと思います。こういうことは先ほど相澤委員からもありましたが、きちんとチェックポイントを示していただかないといけないということと、書類だけではないものが施設の中にはあると思いますので、評価者が書類の評価だけではなくて施設にとどまって、子どもと職員とのやり取り、あるいは利用者である母親と職員とのやり取り等施設の雰囲気をきちんと感じながら評価をしていただくというシステムにしていただきたいというお願いです。以上、3点です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。何かありますか。

○高橋家庭福祉課長
 大事なご指摘をいただきました。相澤委員からありましたように、評価基準の評価のさらにそのまた基準ということができないか。今の大塩委員からもありましたが、ワーキングで議論していた際も、客観的な従来の第三者評価というのは外形的にわかる項目を中心に評価項目ができていまして、逆にそういう意味で今までの第三者評価を受けて、外形的なことばかりチェックされて、事業の本質を評価してもらえないという不満が強かったということが多くて、今回はかなり実質的な項目が増えています。逆にいえば、実質的な項目というのは、外形的な基準が作れないわけでありまして、そういう意味でそこをどうするか。それはあえてそういう基準を作ろうと。評価者にわかるのかという話もありますが、そういう意味で評価者も社会的養護の施設をたくさん見て経験を積んでもらって、ある程度自分の中でスタンダードを持ってもらいたいということと、施設が逆に評価者に説明できる力を持つということも大事だという議論がございました。あえて抽象的な基準でも、そういう実質的な項目を立てていこうということになっております。
 公表につきましては、自己評価の公表はご指摘のような点はまさにそうだと思っています。自己評価につきましては、どういう公表ということではなくて、それぞれのやり方でということだと思いますし、あえてチェック項目を出すことが良いのかというと必ずしもそうではない。自分たちの取組を対外的に発表していくという抽象的な趣旨だろうと思っております。
 人員配置等の関係では、特に母子生活支援施設は加算職員の配置が非常にない施設と積極的に採っている施設に大きく分かれておりまして、積極的な対人支援をやっているところは加算職員がたくさん付いている。そういう意味で、今までは母子生活支援施設は何をしなければいけないのかということがはっきりと文書化されていなかったわけですが、今回はこれで文書化されて評価項目もあるとなると、これは人員配置、加算職員をきちんと採ってやらなければいけないという気分になってもらおうという趣旨も込めての項目です。そういうことで働きかけていきたいと思います。

○柏女委員長
 高田委員、宮島委員、吉田委員、渡井委員お願いします。大分時間も押していますので、手短にお願いできればと思います。

○高田委員
 私も評価のところが相当気になっていまして、例えば児童自立支援施設の最初の着眼点の「共生共育をする存在として」とか、児童養護の最初に「感性に基づく深い洞察力」という文言が入っていて、深いとか何とかの存在という程度というのは、スタンダードができるまでに相当時間がかかる。ただ、そうすると最初に評価された施設がどうなるのかとか、いろいろな問題が出てくると思います。評価の仕方のときに、先ほど柏女委員長がおっしゃったように合議制にして評価していくとか、そういう基準を付けて補っていかないといけない。それは評価者研修に任せるというよりは、種別協議会ごとに考えておいた方がよいのではないかと思います。

○柏女委員長
 調査方式ですね。今、私が関わっていたところでは、いわゆる養成校の教員と現場を経験した人が評価調査者として組んで3人でやったりしていますが、そういう形で複数でやっていったり、合議制で決めていくということを工夫していく必要があると思います。

○高橋家庭福祉課長
 平成16年通知の共通基準の中で、評価機関の中で最低2人以上の評価者で複数で合議するという基準はあります。

○宮島委員
 先ほどの自己評価の公表のことにこだわらせていただきたいと思います。私は自己評価は積極的に公表すべきだという考えを持っております。先ほど大塩委員が言ってくださったとおり、自分の施設に対して厳しい、振り返る力があるところは自己評価が低く出ます。しかし、それこそが大事で、第三者評価は振り返る力があるかどうか。自分だけでは振り返れないものを当事者の意見や第三者の意見も踏まえて振り返る。自己評価が公表されないのでは、一方的に第三者の評価だけが公表される。では、高く評価してくれるところに頼もうということも起こりかねない。本当は全く同じ項目で自己評価して、それと照らし合わされるくらいが望ましいと考えます。確かに自己評価はご指摘のように施設がやる気を出すためのものとの意味があるのかもしれませんが、本来は、その先にあるのは利用者・サービスの受け手を守るものでありますので、その点を考えれば自己評価は公表するということを進めていくことが必要ではないかと考えます。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。これから議論をしていく上で、とても重要なご指摘だと思います。では、吉田委員お願いします。

○吉田委員
 児童自立支援施設の第三者評価基準ですけれども、44ページに特別プログラムの項目が挙がっています。評価の着眼点の一番下で、これを行う場合は、子ども、保護者家族及び児童相談所等へくれぐれも明示し同意を取るということになっておりますけれども、私は特別プログラムに関しては入所時の説明でも必要ではないかと思います。入所時の説明に関しては50ページで、入所後にどういう支援を受けられるのかという支援内容の説明が中心になっていますが、ある程度子どもへの制限、こうしたプログラムもあるのだということは入所時にも説明しておくべきではないかと思いますので、そこを付け加えていただければと思います。

○柏女委員長
 大事かもしれません。相澤委員とご検討いただいて、ぜひこれは考えていただければと思います。ありがとうございます。
 渡井委員、お願いします。

○渡井委員
 先ほど、林委員から児童養護施設についてご指摘があって、私は児童養護施設のワーキンググループに関わらせていただいていたので、考えを述べさせていただきたいのですけれど、児童養護施設の評価基準の18ページの子どもたちに対する自治会や行事に関してですが、児童養護施設は生活単位が少なくなったとしても6人ぐらいの小規模であったとしても、寮のミーティングなどは必要不可欠なことだと思います。施設的と思われるかもしれませんが、人と人が集団で暮らしていく中では話し合いが必要で、私が今関わらせていただいている第三者評価に出ていただいている児童養護施設などでも、ユニットケアで子どもたちの人数は少ないのですが、そういったグループでの話し合いを経ているからこそ、日々心地よく過ごせているというのを見ているので、どうしてもそういう自治会活動、行事イコール大舎的と見られるかもしれませんが、児童養護施設が児童養護施設であり続ける限り、こういったことは不可欠なことではないかと思ったのでお伝えさせていただきます。
 もう1点はパーマネンシーに関してです。パーマネンシーのことは乳児院や児童養護施設のところに入れるべきではないかという意見が出ていますが、私はパーマネンシーというのは児童相談所が考えていくことであって、乳児院や養護施設、里親家庭も子どもを受け入れたときは恐らくこの子どもをできる限り長くと思われると思いますが、子どもの育ちで何が起こるかわからないので、その子どもの永続性を考えていくというのは児童相談所が一番の責任であり、施設等に措置した後も児童相談所が見守り続けていたりという体制が整っていないと、乳児院・児童養護施設・里親家庭・ファミリーホームなどが受入れ難くなってしまうのではないかと思いますので、大切なことではありますが簡単に永続性ということで乳児院・児童養護施設に入れようという動きになるのには、もう少し議論を経てからという必要性を感じました。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。この辺についてはいろいろなご意見があるだろうと思います。相澤委員、お願いいたします。

○相澤委員
 先ほどの吉田委員からのご指摘ですけれども、51ページです。着眼点の五つ目に「施設の規則、生活上の留意点、あるいは行動に一定の制限があることを説明し理解してもらうようにしている」という項目を入れているのですが、これぐらいの内容ではまずいでしょうか。

○柏女委員長
 別のところに入れていたということですね。

○吉田委員
 4-(3)-?ですね。失礼しました。

○星野委員
 里親には直接、第三者評価は今回全く関係ないので発言してよいのかどうかわからないのですが、養育指針とも関連してくるのですが、素晴らしいものができていると思います。ですから、里親に養育指針を勉強していくにも、この第三者評価の仕方、あるいは利用者アンケートのやり方は大いに参考にさせていただけると思って、自分でも一生懸命に勉強しなくてはいけないと思っています。
 何となく自分で自信がないことがあるのですが、例えば体罰禁止というのが要保護児童は体罰禁止といっても、一般家庭では少しぐらいよいのではないかというのが日本人全体の考え方にあるのではないかという気がします。なぜ体罰はいけないのかという議論を、そういう発信をどうやってしていけばよいのか。どうやって勉強していけばよいのかというのが自分では非常に悩んでいるところです。
 

○柏女委員長
 わかりました。子ども家庭福祉思想の普及というのが厚生労働省の大切な業務になりますので、それはまさに星野委員がおっしゃったことにつながってくると思います。国民全体に対して働きかけていく、啓発していくという視点もとても大事ではないかと思います。
 吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員
 一言だけです。体罰に関しては今、星野委員がおっしゃったとおりで、家庭における体罰、親による体罰に関しては肯定の意見が大きいと思いますが、社会的養護では、あってはいけないことです。全体で体罰の認識があるから、社会的養護でもそれは認められるべきだということにはならないわけで、ここはしっかりと線を引くべきだと思っています。

○柏女委員長
 まだまだご意見があると思いますが、卜蔵委員、藤井委員で、次の議題に移りたいと思います。

○卜蔵委員
 直接この各施設の第三者評価のことではありませんが、質問させていただきます。ファミリーホームについては、平成21年に制度化されるときに第三者評価の評価基準を作って、私もその委員として加わりましたが、今回は受審の義務化がないということで、ファミリーホームが第三者評価の基準の見直しから外れましたが、実際に3年間ファミリーホームで受審したホームは恐らくないと思いますが、今後の方向性として、ファミリーホームにとっての第三者評価というものの位置付けといいますか、その方向性というもののお考えをお聞きしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 今回は5施設だけにしておりまして、ファミリーホームと自立援助ホームにつきましては従来基準がありますが、実際に実績がゼロということであります。ファミリーホームのような小さいところでたくさんの評価項目のものをする。また、評価機関から来て外部の評価機関が受けるというのは大変だろうと。今は社会福祉の共通の制度の上に乗っているので、共通制度ではまず共通50項目があって、それに内容評価項目を乗せると非常に膨大になります。共通制度そのものをどのように変えていくかという議論も別途ありまして、そこのところを見直す中で、体制の小さいコンパクトなところ向けの評価のあり方のような議論も今後は必要ではないか。そういうものができた段階で、ファミリーホームでの評価をどうしていくか。新しい評価基準を作って、前回はとにかく共通制度のものに合わせなければいけないということで無理に作ったと聞いていまして、現実にはできないということを考えながら作ったと聞いておりますので、今後そこのところを見直していきたいと思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。藤井委員、お願いします。

○藤井委員
 時間がないので手短に。質問になると思いますが、資料2-1の中身ですが、全国の推進組織という表現が入っていますが、組織のイメージが湧かないのです。どういう形で作られるのかというところ、それと都道府県推進組織との関連といいますか、組織的な流れが見えにくいというところが一つです。
 自己評価を行わなければならないという義務規定になっていますが、ここはどこでどのように規定していくのか。例えば、第三者評価自体は3年に1回以上受審しなければならないというのは最低基準で入ってきていました。自己評価に関しては、どういう形で規定していくのか。それと自己評価は毎年やっていただきますというお話でした。そうすると、具体的に来年度辺りから自己評価してどこかに公表するという手続きが入ってくるわけです。その辺の流れからいくと自己評価の中身を具体的にしていかないとできないのではないかというイメージを持ちました。
 先ほどの議論の中で1点ありましたけれども、基準の中の文言で「自治会」という文言があって、自治会という表現が果たしてよいのかということが個人的な感想として疑問に思いました。「子ども会」など、もう少しやわらかい言い方がないのかという細かいところですが、よろしくお願いします。

○柏女委員長
 実施体制の問題をお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 実施体制でございますが、資料2-1の条文にどのように書いてあるかは資料2-1の5ページにありますように、関係条文の中で社会福祉法そのものは自ら質の向上と抽象的に書いてありますが、最低基準の参酌基準の基になる設備運営基準では、それぞれ種別ごとに同じですが、乳児院でしたら乳児院自ら質の評価を行うとともに定期的な外部の評価を受けて、それらの結果を公表しと、「それら」ということなので、自己評価も両方かかった形にはなっております。回数や公表の仕方などはこういうところには書いておりませんで、ガイドラインなどを通知で定める感じですが、その通知の中で第三者評価は3年に1回以上と書く。自己評価は毎年やりましょう。第三者評価結果は評価機関から評価結果を公表する。自己評価の公表については、公表の仕方は特段定めない。先ほどありましたように、第三者評価の基準に沿った評価項目をオープンにすることが、その施設としての取組であるということであれば、そのまま出していただけばよいですし、そうではなくて自分たちで自己評価して努力していますということを公表したいということであれば、そういうこともあるでしょうし、そこのところはいろいろな公表の仕方があるのではないかと思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。まだまだご意見もあるかもしれませんが、これはここで決めるものではございませんので、今日出された意見をぜひ第三者評価基準の策定、あるいは第三者評価の実施体制を今後検討して通知等で行っていったり、あるいは全国組織でどのようにやっていくのか。そこでの評価基準の検討もあると思いますので、それらにぜひ生かしていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、3番目の議題に移りたいと思います。(3)は「里親委託の推進・里親支援の充実について」ということになります。これにつきまして、資料の説明をお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 資料3-1「里親支援の体制の充実方策についてです。これは前回1月16日に出した資料と同じです。里親推進のためには里親支援の取組の内容が大事だということ。定期的な訪問ですとか、それを支える体制が大事である。今回の平成24年度予算で配置します里親支援専門相談員については、施設のケアワークに加わらずに地域の中で児童相談所と一緒に活動するという点。そのような説明でした。
 これに沿いまして資料3-2でございますけれども、昨年、当委員会でもご議論いただいて4月に里親委託ガイドラインとして出したものを今回、一部改正しようという案でございます。改正部分にアンダーラインを引いてあります。1ページ目は今回、里親につきましては「子どもを養育者の家庭に迎え入れて養育を行う家庭養護」であるという点に議論がありましたので、そういう趣旨を意義のところに加える。2ページ目以降は新規の里親委託の話が書いてありますが、3ページでは下の方のアンダーラインのところに、一つは乳児院からの措置変更するときに、現状では里親よりも施設にほとんど入れてしまっている都道府県があるので、こういう場合は里親委託を考えてほしいということを留意事項で加えています。それ以外は前半はほとんど変わりありません。14ページ以降に里親支援を強化してあります。14ページの7「里親家庭への支援」のところで、上の方に書いてありますのは今回の里親養育指針のエッセンスで、中途からの養育という点について書いてあります。14ページ下の方の(2)の「定期的な家庭訪問」のところでは回数です。2か月間は週1回、2年後までは毎月ないし2か月に1回、その後は年2回くらいという基準を書く。それから、その下で児童相談所の職員だけではなくて、里親支援専門相談員も役割分担・連携しながらいくという点。15ページは相互交流や里親研修の重要性。16ページは里親の相談。それにつきまして、養子縁組をした家庭への継続的支援も必要であるとか、ファミリーホームへの支援も必要である。このようなことの記載が加えてあります。17ページは里親制度への理解の促進という点の記述を加えておりますとともに、10番の「里親委託及び里親支援の体制整備」は、新規の柱立てをしてあります。児童相談所の里親担当職員には、できるだけ専任で置いてほしいという点ですとか、里親支援機関事業の里親委託等推進員の配置の話。里親支援専門相談員、施設に置く里親支援ソーシャルワーカーとして今後は里親とパートナーシップを構築していく。里親支援ソーシャルワーカーの活動は、これからこれを作っていくということ。そのような点を書いております。
 19ページでは里親支援機関として地域に多数の里親支援機関があって、それぞれの分担で里親会、児童家庭支援センター、里親支援専門相談員、福祉施設あるいは公益法人やNPOが、それぞれの特徴を生かした支援が必要である。ここでは里親会も里親支援機関に指定することが望ましいとしておりまして、単に里親の私的な親睦会ではなくて、お互いに技術を高めていくという公的な役割があるという意味で、里親は原則として里親会の活動に参画するということ。そのために自治体が支援するということを入れております。
 20ページはそれらの里親支援機関と児童相談所の役割分担と連携。児童相談所は行政でなければできない部分もありますし、それ以外の部分はできるだけ多様な機関を活用し、相談窓口も複数の機関が持てるということを記載しております。守秘義務の問題、里親委託推進委員会、21ページの話。この中で都道府県単位の推進委員会のほか、全国レベルの推進委員会を置くという点について記載しています。このガイドラインにつきましては、指針ワーキングの中の里親ファミリーホームワーキングで1月2月にご議論いただいたものでございます。その他の資料では資料3-3で昨年5月にも一度お出ししている資料ですが、新しく年度も変わりましたので、バージョンアップしまして里親委託率が大きく伸びた自治体の取組状況の資料を取りまとめて提供するものでございます。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。里親支援のワーキングチームでの議論を踏まえて改定を、いわばこれから強化していくものも少し先取りのところもあるかもしれませんけれども、里親委託ガイドラインを大幅に修正、改正するということですけれども、何かございますか。では、伊達委員、お願いします。

○伊達委員
 前回の会議のときにも少しお話しさせていただきましたけれども、それなりに歴史的に里親は確かに大事にされてこなかったというか、里親をきちんと捉えないで社会的養護が展開されてきたきらいがあると思いますが、これを変えていくときに今、本当に里親がこういう形の支援で乗り切れるのかどうか。これは私のような児童養護施設の立場の人間が言うべきではないかもしれないですけれど、本当に心配しています。ですから、児童養護施設に例えば里親支援を行う専門相談員を置いて里親の支援がしきれるのか。逆にいえば、本当に里親たちが今を乗り切るために臨む里親支援のやり方は別にやるのであれば提示していただきたいと思うくらい大事な局面だと思います。
 もう一つは、児童相談所の方々にお聞きしたいのですが、本当に里親に委託して支え切っていく覚悟がおありになって、そして、やっていくべき仕事だと思いますが、そのときに里親とソーシャルワークがきちんと対になって進んでいくようなものが今までわが国にうまく進められてこなかったのです。そのことを本当にやっていかなくてはいけないのですが、今、どのような考えを持っておられるのか。そのことを聞きたいです。ぜひ、そのことに合わせて社会的養護を担っていく我々全体がこれに協力していくというものを作れたらよいと考えます。

○柏女委員長
 大事なことではないかと思います。つまり、大きな価値転換を行うことになるけれども、本当にその覚悟があるのかということだと思いますが、里親会から何か。星野委員、お願いします。

○星野委員
 従来、ややもすると「施設か里親か」という二者択一的な発想が里親側にも大分あったと思うし、施設側にもあったと思うし、児童相談所にもあったのではないかという気がしています。そういう意味では、今回の改革は非常に画期的なことであって、里親も社会的養護の中の一環としてそこに参画している。施設の力も借りるということを一人一人が自覚できるチャンスではないかということでは非常に大きいです。ここに書いてあるような方式で果たしてうまくいくかどうかということですが、里親は単に子どもがほしいというだけで手を挙げる方が現実問題としては多いです。何も子育てに他の人の力は借りないと考えている人が多いと思います。でも、子どもを育ててみて初めて気が付くことが多いものですから、こういう枠組みの中にいるということを自覚するのにかなり時間がかかると思います。でも、それはしっかりとPRしていかなくてはいけないと思っています。だから、ここで本当にうまくいくのかどうかということですが、里親に手を挙げる人には基本的に変な人はいません。世間一般的な水準でいけばまともだと思いますが、自分とは全然価値観の違う子どもを育てているうちに、子どもがおかしいのか自分がおかしいのかがだんだんわからなくなってくる。そのジレンマにこういうソーシャルワーカーの人がどのくらい助けてくれるかということであって、そのソーシャルワーカーが日本の児童福祉はこうなっているのだからと言ってお説教されると、恐らく里親はそんな児童福祉はいらないということになるでしょう。だから、そこのやり方はこれから全国里親会でもこの辺の里親支援機関のあり方、進捗状況をチェックしながら進めていくのですが、そういうところに本当に役に立っているのかが一番大きなポイントになると思います。少なくとも里親にとっては愚痴を聞いてくれる人が必要です。私の個人的な場合でいえば、私の女房の愚痴をそのソーシャルワーカーが聞いてくれますかと、90%くらいはそこに尽きるのです。ですから、そういったところをこれからの実際の運用といいますか、運営でどれぐらいカバーしていくか。その気持ちでカバーしていきたいと思っています。

○柏女委員長
 宮島委員、大塩委員、お願いします。

○宮島委員
 伊達委員と同じように私も答えではなくて要望する方の立場で幾つか意見を言わせていただきたいと思います。支援がないところで委託するというのは本当に危険なことだと思います。里親が自らの養育を開くことがないところで委託するということも危険なことだと思います。里親委託を進めていくためには皆が覚悟して取組を進めなければ駄目だと、ワーキングチームの一員でもありましたけれども、あらためて感じております。その中で、児童相談所のワーカーにもぜひ専任ワーカーを必ず置いていただく方向にしていただきたいと思いますし、逆に伊達委員が所属
される児童養護施設や乳児院への要望ですけれども、施設に置かれる里親支援専門相談員についてはぜひソーシャルワークが展開できる人材を配置してほしいと思います。施設養護はわかるけれどもソーシャルワークがわからないということでは里親支援はできない。本気で児童養護施設等に配置される里親支援専門相談員についてはソーシャルワークが展開できる人を置いてほしい。そうなると人材難でいないではないかという話を聞きますが、社会福祉士はたくさん養成されていて、本当は児童福祉をやりたかったけれども高齢者の在宅支援をやってきたという有為な人材がたくさんいる。そういった人を児童養護施設等でも雇用して本気で里親支援に取り組んでほしいと、ぜひお願いしたいと思います。方式や方向性はこのワーキングに加わったものとして間違っていないと思いますが、体制が伴わなければ駄目だし、体制があってもマンパワーが伴わなければ駄目だと思いますので、ここにお集まりの委員と関係者が皆このことを本気で考えていただくという方向性が不可欠ではないかと思います。
 もう1点要望ですが、ガイドラインの中には書いてあるけれども、資料3-1に私はここを書き加えてほしいという思いがありますので、述べさせていただきたいと思いますが、支援をする、あるいは支援が成り立つためにどうしても必要だというものには信頼関係というものがあると思います。今回は里親訪問の回数等も定められるわけですけれども、これが単にチェックや監視という形で入っていくならば、かえって逆効果になってしまう可能性があります。定期的に顔を合わせるというのは信頼関係を醸成していくもの、チームを成り立たせるためであって顔見知りになって信頼関係を育んでいくということがなければ、この訪問は役に立たない。ぜひ里親委託推進の方策という資料のできれば最初のところに「良いマッチングのためには、多数の候補が必要」とありますが、その後に「多様な里親の状況が把握され、里親と委託者と支援者との間に信頼関係が成立していることが重要」と書いていただきたいと思います。私も児童相談所にいましたので児童相談所が重要だということは間違いないと思いますが、児童相談所に全部を任せておくのでは絶対に追いつかない。社会的養護の関係者が全体で取り組むと同時に、市民や市町村、地域の方々がこれを応援してくれなければ成り立たない話ではないかと考えます。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。今の最後のことは、資料3-1の最初のところでも結構ですし14ページの里親家庭の支援のところの冒頭でも結構ですので、信頼関係をしっかりつくっていくということ。それから、先ほど星野委員がおっしゃった星野委員の奥さまがお話しできる関係を常に頭に思い浮かべながらということで、そうしたこと、弱さに付き合えるということも入れていただくと良いと思いました。ありがとうございました。その他、大塩委員と林委員。

○大塩委員
 ガイドラインの中で3点ですけれども、14ページの委託直後の2か月間は2週に1回程度、委託の2年後までは毎月ないし2か月に1回程度と期限が書いてありますが、「2か月間は2週に1回から、委託の2年後までには毎月でなくても2か月に1回程度でよいのですか」ということです。2か月過ぎてだんだん月数を経過するに従って、最初は良い子でいようとか、家庭に馴染もうとしている子どもたちが、いろいろなことをし始めるのは何か月か経ってからだと思います。そのときに、外部の方に相談できる体制を整えるために、家に訪問してもらってこういう状態ですということをきちんと伝えられるように、訪問の間隔を、1年くらいまでは1か月に1回という形でしていただきたいというのが1点。
 2点目は15ページの6行目で「里親に子どもの養育状況について聞き、相談に応じ、必要な情報提供をするとともに、できる限り、子どもにも面会し」と、「できる限り」と書いてありますけれども、訪問のときに子どもがいれば会えるのでしょうけれども、子どもの状況については通所・通園している保育所や登校している学校にも確認するようなシステムがほしいと思います。私どもは母子生活支援施設ですが、母親の前ではとても良い子にしているけれども、学校や保育所、施設の職員の前ではかなり荒れるということもよくありますので、そういう点では子どもの状態を、里親だけ子どもだけではなくて総合的に判断できるようなシステムが必要だと思います。
 3点目ですけれども、16ページ(8)で、里親に委託されている子どもが障害を有している場合に、その保護がより適切に行われると認められる場合は、情緒障害児短期治療施設もしくは、いきなり「児童自立支援施設に通所させ」となっていますが、これは障害児施設あるいは児童自立支援施設という感じなのでしょうか。いきなりここに児童自立支援施設に通所とあるので、違和感があります。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。一つ一つに回答いただくと時間がありませんので、今とても大切なご指摘をいただいておりますので、これからもご指摘があると思いますので、いただきながら、この通知をさらにリライトしていただく、バージョンアップしていただくという形でお願いしたいと思います。そのときに、里親支援ワーキングチームのご意見なども伺っていただきながら進めていただければと思います。
 他に、手を挙げられていたのは林委員でしたか。

○林委員
 2点ほど指摘させていただきます。1点目は、先ほどの伊達委員、宮島委員と共通するところですが、いかにこうしてそろえたメニューを実体化、魂を入れていくかというところで、一つ今個人的に危惧している状況として、先ほど言われたようにソーシャルワークの視点を持った人が施設の里親支援専門相談員になるべきで、この資料の3ページに社会福祉士、精神保健福祉士、児童福祉司うんぬん。ところが、「又は5年以上児童の養育に従事した者であって、ソーシャルワークの視点を持てる人」と。今幾つか見ているとここに集約されている。つまり、ベテランの保育士の受け皿になっている。これは家庭支援専門相談員と同じで、ベテランの保育士の受け皿になっている実態に関して非常に危惧している面があります。必ずしもベテランの保育士を意味しないという文言をどこかで例示として入れていただけたらということ。
 将来的に単独配置というのは資質の向上という点でいうと非常に限界があって、そこに配置された職員はやりがいがなく、今、里親支援機関事業として配置されている職員もそういうことで、できれば複数対応ということを将来的な視野に入れていただきたいということ。
 最後にもう1点、里親支援機関といったときの委託ガイドラインにある里親支援機関という包括的な、ある意味広義に定義した里親支援機関と、里親支援機関事業に基づく里親支援機関とが非常に混同されています。その一つに、里親支援機関事業に基づく里親支援機関の職員に関する名称を、つまり、そこにいる人も里親支援ソーシャルワーカーと名乗りたいのですが、施設で既に名乗られているということは、里親支援機関事業に基づく里親支援機関職員の職員名や資格規定も今後は必要ではないかと思います。以上です。

○柏女委員長
 事業と機関の整理が必要だということですね。ありがとうございます。
 伊達委員と卜蔵委員、宮島委員お願いいたします。時間がかなり押しておりますので、恐縮ですが手短に。

○伊達委員
 社会的養護をどのようにやっていったらよいかを考えた時に、ケアだけにすべてを任せてしまうのではなくて、ソーシャルワークという時間をきちんとつないでいく流れを専門職としてつくっていって、そのケアとソーシャルワークが両方で社会的養護をうまく創り出していくのだという考え方に立つべきだと思います。そうすると、ソーシャルワークは最初から入っていなくてはいけなくて、入所あるいは委託のときに、すべて計画して誰が伴走してやっていくのかというチームアプローチの中から初めて社会的養護の質の問題が導き出せると思うので、ケアの比較のところだけで質の問題が担保できるとは思えません。ですから、その流れをどうしていくかというときのソーシャルワークの大事さを、ぜひクローズアップしてもらいたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。卜蔵委員、お願いいたします。

○卜蔵委員
 ファミリーホームの支援についてですけれども、里親支援の体制の充実を指すということで、ところどころファミリーホームの支援も同様の扱いで出てきますが、ぜひワーキングの中でも強く訴えさせていただきましたけれども、ファミリーホームが、ここ3年で急速に数が増えて、また委託される子どもも被虐待児ですとか障害を持っていたりと、いろいろな課題を持った子どもが増えています。その中でしっかりと支援体制を里親と同様にとっていただきたいということ。これからは例えば児童養護施設等に里親支援の専門相談員が出てくるわけですけれども、同じようにファミリーホームの支援を担うことの意識をぜひ持っていただきたいということが一つお願いです。
 里親とファミリーホームの支援を考えたときに、社会的養護の中だけで支援していくというのは、とても担いきれるところではないと思います。地域の市町村の子育て支援の枠組みの中で、また、委託してすぐに専門的な支援の必要な子どもについては、その支援の地域でのコーディネートしていく体制もぜひとっていただきたいと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。宮島委員。

○宮島委員
 里親に委託されている子どもの状況を把握するということで、誤解が生じないように言葉を添えておきたいと思いまして発言させていただきます。里親養育を開いていくのはとても大事ですけれども、一方で里親家庭は私的な領域で行われる公的な養育なので、開くと同時にプライバシーを守っていくことを忘れてしまうと、状況把握のために地域のいろいろなところの支援機関が直接踏み込んでいくことになりますと、里親の生活が全部表に明らかになり過ぎてしまって、家庭生活のプライバシー性が守れなくなってしまう、そうなると里親家庭の安定が損なわれてしまいます。こういうことのないように注意していかなければならないと考えていますので、蛇足だと思いますが述べさせていただきました。

○柏女委員長
 まだまだご意見はおありになるのではないかと思いますが、先ほどの第三者評価のガイドラインも含めてですが、年度末にはこの通知も固めて通知できればと思っていまして、そういう意味で、もしご意見がございましたら、今週末ぐらいまでは時間的な余裕がありますので、事務局にぜひお寄せいただければと思います。特に、文言の修正の問題などについてお願いいたします。大きな哲学的な課題といったものは、おいおいこの中で議論していくことになりますし、21ページにあります全国の里親委託等推進委員会の役割がこれからはものすごく大きくなっていくだろうと思いますので、そうしたところで議論をしていくことになると思います。文言修正や項目の修正等についてはぜひこの週末ぐらいまでに事務局にお寄せいただければと思います。
 先ほど伊達委員から投げかけられた「覚悟」ということについてのご意見が幾つかございました。ここにいる社会的養護専門委員会のすべての立場の者が、あるいはすべての分野がこの覚悟を新たにしていかなければ、里親委託というか子どもたちに家庭養護を提供していく、あるいは「あたりまえの暮らし」を提供していくという環境は進んでいかないと思いますので、ぜひ、皆さまのご協力をお願いしたいと思いますし、ソーシャルワークの視点が子どもの分野は弱かったところでもございますので、今後ソーシャルワーク視点というものを強化していくことの必要性を感じました。ありがとうございました。
 IFCOのことはお話しいただきましたか。よろしかったら説明していただいてよろしいでしょうか。資料10です。

○星野委員
 IFCOというのはInternational Foster Care Organisationというものでありまして、2年に1回世界大会を開いております。今までは通称「世界里親大会」と言っていましたが、今回はそういう表現にはしていません。来年の2013年9月に大阪で開くことが決まりました。これにつきましては、いろいろな団体のご協力がなければ駄目ですよというIFCOの本部からの指示もありましたけれども、幸いなことに各団体の皆さまから応援しよう、協力しようという賛同をいただきまして、正式に認可されております。International Foster Careということですから、家庭養護の促進と支援を目的としたディスカッション、情報交換をする場であります。里親だけが集まる場ではなくて、ソーシャルワーカーや大学の研究者も多く集まるところでありますので、これを日本で開くことによって日本の社会的養護の中において、どのようにして家庭養護をより良く推進していけるかどうかという一つのヒントをもらえるきっかけになるのではないかと思いまして準備を進めているところでございます。
 また、大会では子どもたちといいますか、年齢的には25歳以下にするかどうか、その辺はまだですが、15歳以上の当事者という言葉がよいのかどうかわかりませんが、子どもというと20歳過ぎている子どももいて難しいところですが、英語でいうと簡単にユースということになっていますが、ユースの集まりも非常に重要な集まりになっておりまして、彼らの自発的なプログラムも非常に重要視されています。そういった意味でも、日本でも里親大会は開いているのですが、あまりそういう子どもたちを大事にしてきた大会というのは今まであまり開かれていません。そういった意味でもそういう人たちの意見を聞くということに関して、日本にとっては非常に意義のある大会と考えております。これに時間をかけて説明はしませんが、社会的養護推進の一環として日本の家庭養護の質を上げていくことが今や必須の課題になっておりまして、将来的には里親とファミリーホーム合わせて3分の1にするという大きな目的がありますが、このままで数字をもし増やしていったとしても、里親家庭における不調やトラブルが増えるだけになってしまう。そうならないように、このようないろいろな人の意見、情報を聞いて勉強していく機会にしたいと思いますし、また、欧米がみんな成功しているわけではありません。日本は施設が9里親が1の9:1ということで、欧米は全くその逆の方向になりますが、だからといって欧米が全部成功しているということは、ほとんどありません。みんな苦労しています。里親委託をあまりにも増やし過ぎたために、逆に里親たらい回しという現象も起きています。その辺は欧米でもソーシャルワーカーたちの反省がたくさん出ております。我々もそういったことを聞いて、どこに問題があるのかということもしっかりと勉強する機会にしていただきたいと思いますし、いろいろな団体の方に参加していただく。行政、研究者、施設の方、里親はもちろんいろいろな方に参加していただいて、より有意義な大会にしたいと思っておりますので、ぜひご協力をお願いしたいと思っております。

○柏女委員長
 ありがとうございます。世界大会ということもありますので、ぜひ皆さまのご協力、あるいは関心を高めていただくような、参加の団体への周知をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、最後です。「人員配置の引上げに伴う設備運営基準の改正について」と「その他」を一括してお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 資料4でございますが、人員配置の引上げは、平成24年度予算で当面の人員配置の第一歩の引上げをします。これに伴いまして、施設運営の最低基準の改正をするということであります。これまでの児童福祉施設最低基準は平成24年4月以降は条例委任になります。ただ、平成25年4月1日までの間は、自治体の条例が間に合っていない場合は、国の基準がそのまま最低基準になるという経過期間がございます。そういう点で現状2月3月の議会で条例化を上程しているところで、制定済みのところは7自治体ですが、多くの自治体ではこれからです。そういう意味で、早めに今回の人員配置の引上げを設備運営基準に反映しておこうということです。
 ご覧のように、まず乳児院は個別対応職員が全施設に可能となりましたので、20人以下を入所させる施設にあっては個別対応職員を置かないことができるという規定を削る。それから、1.7:1のところが1.6:1。母子生活支援施設につきましては、定員20世帯以上のところで母子支援員を3人にしていく。10世帯以上のところで1人増員という規定の整備。それから、児童養護施設につきましては、乳幼児のところは乳児院並びの改正が入るというところと、6:1が5.5:1。情緒障害児短期治療施設は5:1が4.5:1。児童養護施設は5:1が4.5:1ということになります。なお、※印のところにありますように、母子生活支援施設の個別対応職員は、予算上は従来から全施設に可能となっていますが、実際は配置実績が半分くらいです。昨年の議論の中でも義務化を即書きたいけれども書けないということがございましたけれども、全施設ではなくて、一定以上という表現が書けるかどうかという議論は引き続き研究してまいりたいと思っていますが、欄外の注釈にしていますように今後の検討課題にしてまいりたいと思っています。今後、これに沿いまして条文化しまして、4月くらいにパブリックコメントをして、5月を目途に省令化できるようにしたいと思っています。
 次の資料5です。今回までに一昨年からのいろいろな取組を大分いろいろ進めて形にしてきましたが、今後の取組です。平成24年度につきましては、里親等委託の推進につきましては全国里親推進委員会なども設置し、先ほど議論がありましたように、いろいろな議論をして全国の取組事例、調査研究、今後の取組の仕方、困難事例、好事例を集めて提供する。そのような活動もしていきたい。
 2番目ですけれども、施設の小規模化を「社会的養護の課題の将来像」に書きました。これをどのようにやっていくか。実際に進んだ施設の取組事例あるいは留意すべき点、こんな工夫をした、このようなステップで進めたという事例を集めたり留意点などをワーキングで検討し、文書化を図って提供していきたいと思っています。
 3番目は「社会的養護の課題と将来像」で親子関係の再構築の支援についてのいろいろな取組を研究して推進すべきだという視点を昨年7月の「社会的養護の課題と将来像」に書きました。これについての具体的な研究を平成24年度もしてまいりたいと思っております。
 4番目は施設等種別ごとの指針の解説・手引書の作成作業。それから、自己評価と第三者評価の義務化の円滑な実施。平成24年度予算で多くの改善事項を出しましたので、その円滑な実施。それから、施設最低基準の条例委任への移行。こういう課題が来年も盛りだくさんでございます。幾つかワーキングをつくることを考えておりまして、この専門委員会の委員の皆さまにもそのワーキングの座長を願いしたり、メンバーをお願いしたいと思っております。
 資料6以降は参考資料でございますが、資料7の参考資料の26ページは新しい資料で「諸外国における里親等委託率の状況」ということで、従来の資料では10年前の厚生労働科学研究のデータを毎度載せていました。もう10年も経ってしまったということで、実は平成23年度厚生労働科学研究の開原先生の研究班で前回の調査と同じ調査手法に基づきながら、10年後の直近のデータを作る作業をやっていただきました。2010年前後の状況です。各国の里親等委託率は、10年前よりは大分上がってきています。ただ、既に高いところは大体10年前とほぼ同じというところもありますし、伸びたところもあるという状況になっています。
 資料8の不当な妨げガイドラインにつきましては説明を割愛させていただきます。
 資料9は「平成22年度における民間養子縁組あっせん事業の状況について」ということで、昭和62年に特別養子縁組の制度がスタートするときに昭和63年通知でできた制度でありまして、第2種社会福祉事業の届出制度として民間の機関が養子縁組をあっせんする場合に、第2種社会福祉事業として届け出なければいけない。それについて都道府県が報告調査などをするという制度であります。営利ではいけませんので、費用は交通費、通信費と若干の人件費は集めても結構ですとなっておりますけれども、そこのところは不当に高くならないようにと報告をしてもらったり、このようなことを続けています。毎年調査をしておりまして、平成22年度の状況を取りまとめてご報告いたします。
 次の2ページでございますけれども、全国で届出のある機関はご覧のような15機関でありまして、任意団体・個人が非常に多くなっています。これは今後できるだけ法人格を取って、透明性を高めるようなことを進めて指導してまいりたいと思っています。
 3ページは相談の状況です。相談は非常に多くなっていまして、平成22年度1年間の相談件数は、一番下が合計欄ですが、養親になることを希望する人からの相談が1,500件。養子に出すことを希望する人からの相談が500件。多少複数の相談機関に相談している人もおられますが、非常に多くなっております。
 4ページは「あっせんの成立状況」でございます。一番下の合計欄にありますように、特別養子縁組が67件成立したということであります。普通養子は数として上がってきておりません。
 5ページが「実費等の受領の状況」です。形態は実費であったり会費であったり寄付金であったりです。寄付金は実際に養子縁組がまとまる前に約束をしてはいけないなど、いろいろな指導をしています。実費も実費を上回るようなものはいけないということです。ただ、下の合計、平均値にありますように、実費が46万円、会費が13万円。高いところからゼロのところまでいろいろで、これは先ほどの67件の成立件数一件一件の平均値ですが、多様であります。補助もない中で独自でやっておりますので、人員配置の相談員の人件費などいろいろなもので経費がかかっているという現状をしっかりチェックするということであります。
 次のページが過去の推移でありまして、7ページが一方の児童相談所での養子縁組につながった件数で、1年間で300件程度という状況でございます。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。確認ですが、資料9は今回初めての公表という形になりますでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 これまでも毎年調査はしておりまして、いろいろな個別の問い合わせでは答えていたことはありましたが、こういう形で委員会資料として一連の形にしてオープンにするのは初めてであります。これまでも調査はしてきました。

○柏女委員長
 わかりました。こうしたものが公表されていくということは社会的養護を社会に開いていくという意味でも、とても大切なことではないかと思います。感謝したいと思います。
 資料5では、これからもロケットは次々に打ち上がるぞという決意表明のようなものを今日は拝見しました。皆さま方にご協力・ご尽力いただくことが来年度以降もさらに続くのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 資料4~9まで何かございますか。ございましたらお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、またこれは詳細にご覧いただいて、施策の企画・立案、あるいはお考えをまとめていただくことに生かしていただければと思います。予定の時間を30分も過ぎてしまって、早く帰れと電気が消えそうになってしまいました。この辺りで議事を終了させていただきたいと思います。
 次回については、後日また事務局からご連絡させていただきたいと思います。それでは、今日はこれにて終了いたします。委員各位におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただき、また貴重なご意見を頂戴しまして、ありがとうございました。それでは、以上で終了いたします。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

措置費係: 03(5253)1111内線7888

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養護専門委員会)> 第14回社会保障審議会社会的養護専門委員会議事録

ページの先頭へ戻る