ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 難病研究・医療ワーキンググループ> 難病研究・医療ワーキンググループ(第3回)議事録




2012年6月18日 難病研究・医療ワーキンググループ(第3回)議事録

健康局疾病対策課

○日時

平成24年6月18日(月)10:00~12:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室(22階)


○議題

1.難病の定義、範囲の在り方
2.医療費助成の在り方
3.医療体制の在り方
4.研究の在り方
5.WGまとめ

○議事

○荒木疾病対策課長補佐 それでは、定刻を少し過ぎましたが、ただいまから第3回「難病研究・医療ワーキンググループ」を開会いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 ワーキンググループの開催に際しまして、本来でありますと、外山健康局長より、ごあいさつ申し上げるところでございますが、急遽の会議が入っておりますので、山本疾病対策課長より、少しごあいさつ申し上げます。
○山本疾病対策課長 おはようございます。構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただき、ありがとうございます。
 前回、5月18日の第2回ワーキンググループにおきましては、長時間にわたり、具体的な議論をいただきましてありがとうございました。
 今回の会合におきましては、前回準備した議題ごとの論点メモに、これまでの主な御意見を盛り込んだ資料を作成いたしましたので、引き続き、焦点を絞った議論を進めていただきたいと思っております。
 また、時間の都合上、これまで議論し尽くせなかった事項等について、特に、本日のワーキンググループで検討していただきたい事項としまして、個別に準備させていただいております。
 更に新たな論点といたしまして、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患のトランジッションの在り方について、検討すべき事項を整理し、提示させていただいておりますので、御意見をいただければと思っております。
 また、今後の予定ですけれども、本日までの3回の検討状況を7月3日の難病対策委員会に一旦報告して行っていきたいと思っておりますので、限られた時間ではございますけれども、各議題について総合的な御検討をいただき、一定の方向性について示していただければと思います。
 局長が急遽の会議でございますので、代わりに、局長のごあいさつに代えさせていただきます。
○荒木疾病対策課長補佐 なお、外山健康局長は、別の会議終了次第、こちらの方にいらっしゃるというふうに伺っております。
 本日の出欠状況でございます。山本構成員及び福島構成員が欠席と御連絡をいただいております。
 以上でございます。
 それでは、以降の議事進行につきましては、葛原座長にお願いします。
○葛原座長 では、これから私の方で司会をさせていただきます。皆さん、どうもおはようございます。
 今、山本課長の方から、外山局長のご挨拶がございましたけれども、今日で、一旦、中間的な意見をまとめて、7月3日にございます難病対策委員会、これが親委員会ですけれども、そちらの方で報告をさせていただこうと思っております。
 ですから、まだ、会議はずっと8月まで続きますけれども、とりあえず、現在のところでまとまったところを7月3日に報告して、また、きっと難病対策委員会というのは、いろんな分野の、文化系の方もいらっしゃいますので、御質問も出ようかと思いますので、それを踏まえて、7月、8月のワーキンググループを続けたいと思っております。
 もう一つは、今日は、小児の慢性特定疾患治療研究ということについて、今まで、ここではほとんど論議しておりませんので、ある程度、そこに時間を取って、最終的に7月3日にまとめて出します報告について、皆さん方から御意見をもう一度いただくという形で、本日の議事を進行したいと思います。
 いずれにしても、12時半には終わる予定ですので、コンパクトな御意見をいただければと思います。
 それでは、最初に本日の資料の確認からお願いいたします。
 事務局の方から、よろしくお願いします。
○荒木疾病対策課長補佐 資料でございます。議事次第及び、その後ろについております配置図、メンバー表。
 その後に資料目次ということで、資料が1から6までございます。
 資料1が「今後のスケジュール」。
 資料2から資料5につきましては、前回の議論で提示された資料について御意見を反映したもの。
 資料6ということで「小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患のトランジションの在り方」ということで1セットとじられております。
 その後に、参考資料目次ということで、参考資料は、少し分厚いですけれども、参考資料1から参考資料2-1、その後、参考資料7-2までございます。
 参考資料1につきましては、福島構成員、今日は御欠席でございますが、事前に送付しました資料に対してコメントをいただいているということで御意見をいただいております。
 更に追加で、新・難病医療拠点病院等の目的、追加参考資料と書いてある横紙1枚。
 これは、医療提供体制のところで議論をする際に、少し文字が多過ぎてわかりづらいという御指摘もございましたので、少しシェーマにしてわかりやすくしたというものになります。
 資料につきましては、以上でございます。
○葛原座長 どうもありがとうございました。皆さんのお手元、そろっているとは思いますが、もし、欠落がございましたら、言っていただければ、そろえさせていただきます。
 それでは、まず、資料をごらんになった後、今後のスケジュール、これは、もう見ていただくだけでよろしいでしょうかね、一応、事務局の方で、念のために、資料1でしょうか、御説明いただきましょうか。
○竹内疾病対策課長補佐 それでは、資料1に基づきまして、今後のスケジュール(案)ということで御説明させていただきます。
 冒頭座長の方からも御紹介がございましたけれども、本日、医療ワーキンググループ第3回ということで開催をさせていただきまして、介護ワーキンググループと合わせまして3回の会議での検討状況、難病対策委員会の方に、7月3日火曜日に御報告をさせていただこうと考えております。
 その上で、7月17日火曜日、ワーキンググループの報告を踏まえました論点の審議、これもまた難病対策委員会の方で行わせていただきまして、8月になろうかと思いますけれども、難病対策委員会で中間報告(案)の御審議をいただき、その後、疾病対策部会の方に御報告をさせていただくというようなスケジュールをイメージしてございます。
 9月以降、難病対策委員会におけます審議を踏まえまして、必要に応じて、また、この難病研究医療ワーキンググループ、それから、在宅看護・介護等ワーキンググループを開催させていただきたいと考えております。
 なお、7月3日の難病対策委員会への報告でございますけれども、本日の審議も踏まえまして、両ワーキンググループの方に事務局から提出させていただいた資料、それから、構成員の先生方からいただいた主な意見を基に、事務局の方で資料の整理をさせていただきまして、両ワーキンググループの座長による最終的な確認を経た上で、御報告をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○葛原座長 どうもありがとうございました。こういう予定で進んでいくということですが、今日の検討が終わったら、後は難病対策委員会とか厚生科学審議会の方で少し揉んだ後に、もう一度9月になってからこっちへ降りてくるということになるという予定ですが、何か御質問はございますか。上の委員会に上げていく中間報告は、今日の討議を踏まえたところでまとめた形で出すということになりますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、実際、これから内容の討議に移りたいと思います。
 まず、難病の定義、範囲の在り方、研究の在り方、これは、今まで何回か検討してまいったところでございますけれども、それについて、内容を進めたいと思います。
 一応、この前までの議論は、その都度、要約して皆さん方に確認してございますけれども、そういうものについて、もう一度事務局の方からまとめを出していただきまして、それで、皆さん方に、特に要点について御意見をいただいて、次に進めたいと思っております。
 ということで、事務局の方から、主にこれまで検討いただいた資料の2から5に関するところでしょうか、それに関しまして、少し内容は多いかもしれませんけれども、手際よく御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○竹内疾病対策課長補佐 それでは、まず、資料2に基づきまして、難病の定義、範囲の在り方について御説明させていただきます。
 まず、難病の定義についてでございますが、前回のワーキンググループで、昭和47年の難病対策要綱、それから平成14年の難病対策委員会におけます、今後の難病対策の在り方についての中間報告を引きながら、いわゆる希少性の要件についてどう考えるかと、検討すべき課題として提示させていただきました。
 これに対しまして、ワーキンググループにおきましては、大きく2つの御意見があったかと思います。
 1つは、比較的まれな疾病を中心に難病対策を進めるべきだという御意見、方や、社会的な側面もきちんととらえた定義をした上で、幅広く難病対策をとらえるべきだという御意見があったかと思います。
 2点目でございます。疾患概念が明らかであることが必要ではないかという課題に対しましては、今は、病名もわからない、診断基準も治療法もなかなかはっきりしないということで、本当に苦しんでいる患者さんは、難病の定義から外すという議論になるのではないかという御指摘。
 これに対しましては、事務局の方から医療費助成等の具体的な事業を念頭に置いた場合、一定の疾患概念がないと対象を特定できないので、事業が展開しにくいという意味であって、難病対策から除外するという趣旨ではないというお答えをさせていただいております。
 併せて、定義を規定するときの留意点ということだろうと思いますが、定義を規定するときには、類縁疾患をグループとして規定するなど、工夫をするべきだという御指摘もいだいております。
 3ページでございますけれども、障害者総合支援法案との関係では、難病対策における難病の定義と、政令で定める疾病の範囲との関係をどう考えるかという課題に対しまして、ワーキンググループでは、基本的に広く対象に含めていただきたいという御指摘。
 それから、難病の定義と個別施策、医療費助成、福祉サービス、治療研究などの対象は分けて議論するべきだという御意見があったかと承知しております。
 4ページ、資料3「医療費助成の在り方について」でございます。
 まず、医療費助成の基本的な考え方につきましては、大きく2つの側面ということで、福祉的な側面と社会的、公共的な側面について提示をさせていただいております。
 前回の資料では、社会的、公共的な側面の方が先に来ておったんですけれども、前回ワーキンググループでの先生方の御意見を踏まえますと、やはり福祉的な側面の方が非常に強くなってきているという御指摘もございましたので、順番を入れ替えまして、福祉的な側面、治療が長期間にわたり、医療の負担も高額となっているというような背景を見たものでございます。
 方や、社会的、公共的な側面については、原因の究明、治療方法の開発等に困難を来すおそれがあるということに対しての側面ということになろうかと思います。
 こうした大きな2つの側面に対しまして、このワーキンググループでの主な意見ということでございますが、医療費助成には、家計が破綻しないように生活を支援するという福祉的な側面があるということで、研究的な側面ときちんと分けて制度設計してほしいという御意見。
 それから、治療研究よりも福祉的な色彩が強くなってきており、治療研究のデータが、精度が低い、データの精度を高めるべきだという御意見。
 それから、高額療養費制度をきちんと機能させることにより、負担の軽減を図るべきだという御意見をいただいております。
 医療費助成の基本的な枠組みについて、まず、公平性の確保の観点からは、できるだけ幅広い疾患を医療費助成の対象とするよう、見直しを行うべきという御意見。
 それから、重症度に応じてというのは、やはり1つ基準としては入れないといけないという御意見。
 進行する疾患や症状に波がある疾患の場合、軽症のときに医療費助成の対象とすべきかどうか検討すべきということで、また、症例データの収集についても研究の観点から重症者のデータだけでよいのか、軽症者の例も必要なのか整理をすべきだという御意見をいただいております。
 6ページ、公正性の確保の観点からは、まず、適正な診断、治療を確保するためには、専門医を取り入れることが必要だという御意見。
 それから、医療費助成の対象は、対象疾患に固有の治療に限定をし、対象疾患に関係しない治療は助成の対象とすべきという御意見があった一方で、対象疾患に関係しない治療であっても、症状全体に影響が出るおそれがあるので、医療助成の対象外とすることは慎重に考えてほしいという御意見がございました。
 患者にとっても最も効果的かつ経済的な治療が施されるような仕組みが必要ではないかという御意見。
 それから、治療ガイドラインに関しましては、治療ガイドラインでさまざまな新しい試みを縛ってしまう懸念があるという御意見がある一方で、医療費助成の対象となる治療が地域によって異なっているため、全国一律の基準をつくるべきだという御意見がございました。
 また、併せて治療ガイドラインについて、家庭医がある程度理解をして、内容を簡単にかみ砕いて患者に説明できるようなレベルまでいってもらいたいという御意見もございました。
 また、手続的なところでは、現在、受給者証の更新が10月ということで、業務が一時期に集中する問題があるということで、誕生日ごとに更新する仕組みにしてはどうかということ。
 それから、臨床調査個人票につきましては、医師の負担を軽減する仕組みが必要ではないかという御意見をいただいております。
 また、他制度との均衡の確保の観点からは、難病の特性を踏まえた特別な対策が必要であるということで、必ずしも他制度と同様にする必要はないのではないかという御意見をいただいております。
 7ページでございます。本日のワーキンググループで特に検討していただきたい事項ということでございますが、まず、1点目が、米国及び欧州における希少疾患の希少性の判断基準ということで、これも参考資料3-1ということで29ページ、これは、前回から引き続き資料の方を入れさせていただいておりますけれども、国内の患者数がおおむね5万人未満という我が国の基準は適当なのかということで、これは、課題としては再掲ということでございます。
 もう一点、平成14年の難病対策委員会の中間報告におきまして、これも参考資料2-1ということで、25ページに資料を入れてございますけれども、医療費助成の対象となった後で、患者数が5万人を上回った疾患や、特定疾患に指定された当時と比較して治療成績等の面で大きく状況が変化したと考えられる疾患については、当該疾患に対する治療成績を始め、患者の療養環境の改善等、総合的な観点から引き続き特定疾患として取り扱うことが適当かどうか、定期的に評価を行うことについて検討する必要があるという記述がございますが、こうした記述についてどう考えるかということでございます。
 引き続きまして、資料4の方、難病医療の質の向上のための医療提供体制の在り方の部分について、前回いただいた御意見について集約しております。
 まず、新・難病医療拠点病院の設置についてということで、ワーキンググループにおける主な意見でございますが、1つは、現行の難病医療拠点病院は神経難病が中心であるため、新・難病医療拠点病院は幅広い難病を診療できる病院指定する必要があるということ。
 県によっては、特定機能病院が難病医療の拠点になっていない場合があるんですけれども、すべての特定機能病院はしっかりした体制を組むべきという話。
 更には、特定機能病院を新・難病医療拠点病院に、現行の難病医療拠点病院を地域基幹病院にして、日常的な診療はかかりつけ医が行うという形がうまくいくのではないかということを御議論いただいております。
 次が9ページということで、地域における難病の治療の連携の推進あるいは在宅難病患者への支援の充実ということに関連していただいた御意見ということで、点線の中ですが、専門医が診断と治療方針の決定を行うことを義務づけるとともに、家庭医が日常的な診療を適切に行うよう指定する仕組みが必要ではないのか。
 あるいは専門医と家庭医の連携を図ることが重要である。また、看護師あるいは相談員との連携も必要であろうということ。
 更に、地域に専門医がいない場合には、派遣をする仕組みが必要ではないのかと。近隣の特定機能病院から派遣するということ。
 更に、派遣の仕方や離島の対応等については、地域難病医療協議会というもので議論してもらえばよいのではないかという御意見をいただきました。
 更に、現在、家庭医が難病の治療を避ける傾向があるため、専門医の業務が過大になっていると。専門医と家庭医のネットワークを構築すること、ネットワークに対してインセンティブを付加することも必要ではないのかということです。
 更に、医師の事務的な業務を補佐する人の養成あるいは各疾患に対する知識・経験が豊富な看護師の養成が必要ではないかということです。
 患者には、できるだけよい治療を受けたい、いつも専門医に診てもらいたいという気持ちがあるということで、これを理解した上で治療内容の決定方法あるいは、次のページに移りますが、そういう場合には、専門医と家庭医の連携というものを十分考えるべきだろうということであります。
 更には、遠方の専門医のところに一生懸命行くこと、それが闘病へのインセンティブになっているということもあるという話。
 更には、地域難病医療連絡協議会が二次医療圏ごとになると、当事者参加が人的に難しいというような観点もあるのではないのかということでございます。
 あるいは学会と研究班が協力して専門医を養成する仕組みが必要ではないか。専門医については、1回目にもいろいろ議論がありましたが、社会的にきちんとした資格として認識されていないと、認知度を高めて活用するという方策の一環として、一層の質の向上を図る必要があるのではないかということ。
 更には、難病情報センターだけではなくて、最新の治療情報等を積極的に情報提供する仕組みが必要。患者さんにとっては、専門医や専門病院がどこにあるのかわからないというようなこともございますので、情報提供する仕組みが必要。
 更に、医師が患者に治療内容をわかりやすく説明すること、あるいは治療内容をわかりやすく伝える相談員のようなものについて検討してはいかがかということでございます。
 あと、難病医療専門員という名称は誤解を生むので、再検討してもらいたいという議論がございました。
 4.としまして、難病治療研究センターの設置ですけれども、難病医療拠点病院を強化すれば、センター自体の必要はないのではないかと、超希少な疾病については、疾患ごとのセンターということも考えられるのではないか。あるいは、高度な専門性を持つセンターは必要であるが、センターはハコモノではなく、専門家をつなぐネットワークとした方が有効に機能するのではないのかということでございます。
 5番目として、難病患者登録の実施に類しての御意見です。1つは、現行の特定疾患治療研究事業が、福祉的な色彩が強くなってきており、治療研究としてのデータの精度は低いということで、その精度を高めるべきということ。
 更には、症例データを他の医療機関でも閲覧できるシステムを構築し、専門医と家庭医の連携あるいは救急搬送の場合などに役立てるということも考えられるのではないのか。
 その際に、病状把握のための症例登録システム、医療費助成のための症例登録システム、それは分けた方がいいのではないのかということでございます。
 次が、進行する疾患や症状に波がある疾患の場合には、軽症のときの医療費助成の対象とすべきかどうか検討すべき。検討に当たっては疾患ごと、あるいは症状に波があるのか整理する必要があるだろうと。
 更に、症例データの収集について研究の観点から、収集する場合には、重症者のデータだけでよいのかというのも整理すべきだろうというような御議論でした。
 更に、臨床調査個人票については、ITを使ったウェブ入力が必要ではないか。
 更、難病医療の拠点病院化と難病患者登録は表裏一体をなすものであり、拠点病院制度がうまくいくためには、ウェブ登録という形の患者登録の制度化が必要であるという御議論をいただきました。
 ということで、次の12ページでございますが、本日のワーキンググループで特に検討していただきたい事項でございます。
 これは、前回の御議論の資料、構成員の先生方に配付しまして、その際に、追加でこういうような御議論をすべきではないのかということで、1つ目として新・難病医療拠点病院(総合型)については、現行の拠点病院が果たしている機能をそのまま移管するのではなく、他の医療機関で診断がつかないような様々な領域の難病患者に対し、高度専門的な診断治療を行う拠点的な機能を持たせるということについてどう考えるか。
 また、都道府県の実情に応じて、疾患群別の拠点病院(特定領域型)を設置できるようにすることについてどう考えるのか。
 引き続き現行の拠点病院にも一定の機能を果たしていただくことについてどう考えるか、その場合の役割は何か。
 いずれの場合においても、難病患者の症例登録は、新・難病医療拠点病院(総合型)が担うことについてどう考えるかということでございます。
 こちらにつきましては、追加参考資料で配付しております、横紙の1枚紙に、少し文字だけで書くとわかりづらい部分がございましたので、この文字を少し図に落としたということです。
 患者等のニーズというのは、これまで、このワーキンググループで御議論いただいておりますが、医療機関にかかってもなかなか診断がつかないとか、高度かつ最先端の治療を受けたいという患者側のニーズ、医療者についてもそのような治療が必要な人もいるというような意見があると思います。
 そういう場合にかかる病院としましては、新・難病医療拠点病院(総合型)で、そこは特定機能病院等、大学病院などが当てはまるかもしれません。それ以外にも新・難病医療拠点病院(特定領域型)ということで、例えば、国病機構の神経難病の強いようなところというのが該当するかもしれません。
 役割としましては、右に書いてありますように、さまざまございますけれども、患者登録については、総合型のみでいいのではないかというのが、今回の検討していただきたい事項のポイントになります。
 それ以外の下というわけではないんですけれども、日常生活に支障なく医療機関を受診したいとか、症状悪化時に身近なところで緊急事態に即応してもらいたいという場合には、新・難病医療拠点病院、これは二次医療圏に大体1つ程度ということを想定したらいいんじゃないのか。
 更には、自宅で診療してもらい、在宅とか、あるいは難病の症状でないかもしれないが体調が悪いというような場合につきまして、これは、民間病院とか、地域の家庭等との連携が必要ではないかということを追加参考資料に書かせていただいております。
 12ページの本資料に戻りますけれども、2つ目の○、前回のワーキンググループにおいて、地域における難病医療の均てん化を図るためには、役割分担の明確化と治療連携、具体的にどんな方法があるのかということを少し追加でいただきたい。
 更に3つ目の○ですが、先ほど、二次医療圏ごとに難病医療拠点病院を中心として、二次医療圏ごとに地域難病医療連絡協議会を設置することを提案したところでございますが、二次医療圏ごとに保健所を中心とした協議会を設置し、保健所が家庭医、福祉、介護サービス事業者等のネットワークのハブ構築を担うことについてどう考えるかということで投げかけさせていただいております。
 更に、個別の退院調整については、基本的に医療機関、現在でもされておりますが、中心に対応することとし、対応困難なケースについて、地域難病医療連絡協議会のネットワークを活用することについてどうだと。
 もう一つは、難病医療専門医という言葉がわかりづらいということで、今回は、難病医療コーディネーターと書いておりますが、一方、難病医療コーディネーターは、入院患者の退院調整を行うとともに、在宅難病患者の受入れ調整ということについてどう考えるというのが、本日のワーキンググループで特に検討していただきたい事項です。
 こちらの事項につきましては、実は、もう一つの在宅看護・介護等のワーキンググループにおいても少し重複する部分がございます。特に在宅療養の方の連携ということでございますので、参考資料4-1ということで、参考資料の束の42ページ以降に、在宅看護・介護等のワーキンググループにおけます主な意見というのがございますので、適宜御参照いただければと思います。
 次が13ページの研究についてでございます。難病研究の在り方については、非常にポイントを絞った御議論をいただきました。点線の部分、難病医療研究の重点化に関しまして、申請時に研究の計画や体制、過去の実績等の提出を求めるなど、補助金の審査の厳格化、研究の質の向上。
 更には、実態調査、疾病登録、予後調査、臨床試験といった段階のどこに資源を投入するのか、事業の経営と、あるいはマネジメントの観点から管理する仕組みが必要。
 あと、疾病登録等を患者と連携して行うために、すべての疾患について患者団体を立ち上げることが必要ではないのかということ。
 当事者の組織の在り方については、研究者・医療従事者と認識を共有することが重要だということ。
 研究成果をまとめて、研究誌を創刊することが必要ではないかということでございました。
 次の14ページに移りまして、研究成果の還元につきましては、患者も研究に協力したのだから、研究の進捗状況をできるだけわかりやすく説明してもらえる機会を設けてほしいということ。
 5番目の国際連携についてでございますが、日本も体制を整えた上で、CDCやEUオーファネットなどの希少疾患のネットワークやオフィスと連携を取るべきというような御意見をいただきました。
 特に、本日のワーキンググループで検討していただきたい事項ということで、15ページにございますけれども、難病医療研究の重点化ということについては、治療法の開発の中でも特に医師主導治験を行う創薬実用化研究を推進する必要があるのではないのかということで、こちらにつきましては、参考資料に飛びまして、資料5-1の57ページでございますが、内閣の方で、医療イノベーション計画というのを、5か年戦略というのをつくつておりまして、6月6日の第5回医療イノベーション会議でまとめられたものですが、この中にも難病希少疾病という単語あるいはそれに類する資料に関係する部分について抜粋したものでございます。
 非常にたくさん書かれているということで、わかりやすく書かれているのが59ページでございまして、これは、厚生労働省の方から今の医療イノベーション会議の方に提出して、取組みとしてこういうことを考えているということでございますが、がんが1つございまして、それ以外の他の疾患分野ということで、難病、肝炎、感染症と挙げております。特に難病については、各種の難病に対する画期的な治療法が、病院などで利用できることを目指して、画期的な治療法に関する治験の推進を取り組んでいくということで、医療イノベーション会議でも申し上げて、そちらの方の報告にも反映されるという状況でございます。
 説明については、済みません、冗長になりましたが、以上でございます。
○葛原座長 内容が多いので長くなるのはしようがないんですね。、今日、小児慢性疾患の前に検討していただきたいことは、以上、申し上げたようなことですので、最初に、今まで討議した内容をもう一回振り返っていただいて、全体を見ていただいてからの方が話がしやすいということでまとめて御説明いただきました。
 ということで、これから、少し中身を順番にやっていきたいと思います。まず、最初の難病の定義、範囲の在り方ということについて、御意見をいただきたいと思います。かなりいろんな御意見が今まで出ておりますけれども、もう一度資料2のところを見ていただきまして、こういう内容で7月3日に報告していくということでよろしいかどうかということについて御意見をいただきいと思います。
 ここでは、意見に関しては、併記の形になっておりますけれども、比較的多くの方は、希少疾患というのを難病ということにすべきだろうという意見と、もう一つは、もっと広い範囲でということになるだろうと思いますけれども、そういうことで、いかがかということです。
 どうぞ。
○伊藤構成員 前回と同じような繰り返しになると思うんですけれども、医療費助成という考え方と、難病の定義という問題、それから、研究という問題、制度の持っている目的から見て、さまざまな定義の仕方があると思うんです。
 そういう意味で、希少、難治性疾患の研究に力を入れていくということは当然のことだと思いますけれども、せっかく社会的な側面までに着目した難病対策でもありますし、障害者総合支援法の中に難病が入るという時代でもありますので、やはり難病の定義あるいは医療費助成の在り方というのは幅広くとらえていただくべきだろうと思います。
 この医療費助成の在り方だけで議論されている中で、幾つか言葉の用い方で注意をしなければならないと思う点がありますので、2、3指摘しておきたいと思いますが、例えば、4ページなどでも、難病の福祉的な側面という中で、医療費の負担も高額となっているというふうに書いてありますが、従来、定義の中でも医療費の負担が。
○葛原座長 伊藤さん、医療費の負担は、この次の検討課題にしたいんですけれども。
○伊藤構成員 医療助成です。
○葛原座長 助成のところは、この次のテーマで取り上げます、。順番に、ここでは難病の定義とか範囲を議論して下さい。勿論、関連があれば言っていただいてもいいんですが。
○伊藤構成員 はい、では、医療助成については、次にいたしますけれども、その定義、範囲の在り方については、先ほどいいましたように、社会的な側面を重点にしていただきたいと、そういう制度でできていると思います。
 ただし、平成14年までの議論については患者団体も入っていない中で議論されておりまして、平成14年のは、ただのオブザーバーという中での議論でありました。
 しかし、平成24年にかけては、大きく変わって、当事者も参加しておりますし、福祉的な側面にも大きく着目しているわけですから、そこのところで、この難病対策の側で範囲を縮めるということはあってはならないんではないかと、ここのところは、是非、社会的な側面に重点を置いた、患者側の視点に立った難病定義をきちんとしていただきたいと、その上での研究とか医療費助成とか、福祉の対象範囲という問題になると思いますので、繰り返しですけれども、そこのところは強く訴えておきたいと思います。
○葛原座長 どうもありがとうございます。ちょっと私の方から1つ質問ですけれども、例えば、精神疾患のかなりのもの、あるいは内科系の疾患でも非常に数が多いもので治らない病気とか、難治性、いわゆる難病以上にわかっていない病気というのはいっぱいあるわけです。そことの区別をどうするのかは、必ず難病対策委員会というところでは、人文系の先生とか法律の先生から質問が出ることなのですね。それに関しては、伊藤さんは、どういう具合にお考えですか。
○伊藤構成員 それは、日本の疾病に対する対策の弱さが露呈されているわけでして、それは、慢性疾患対策とか、医療費の負担につきましても、そういう病気になった国民に対する国の支援の在り方というのが問題、いわゆる社会保障の体制の問題が根底にあるわけですから、そこまで難病対策で議論していくとなると、ちょっとそれは幅が広がり過ぎてしまう。
 ですけれども、慢性疾患対策や、それが今のままでいいという前提では、やはりないと思うんですけれども、ここはやはり難病対策に議論を絞って発言をしておきたいと思います。
○葛原座長 その場合の難病とは何かと聞かれるわけですね。そうした場合に、どこの範囲を難病と決めるのか、治らないとか、わかっていないとか、障害が残るとかというので言えば、いっぱいほかの病気があるわけですから、その中で、こういう特定疾患とか難病というのをどういう対象でやっていくかということが難病対策委員会では問題になるわけでね。
○伊藤構成員 例えば、それを患者の推定数、人数でいくか、あるいはどういう状況を指すのかということについて、定義の中でもはっきり書かれているので、私はその範囲内でいいんではないかと思います。それは、数が多い、少ないということは初期のころは、それは触れてはいないわけでして、その後、特定疾患の定義について、今日の議論にもなると思いますけれども、5万人でいいかどうかという線引きの問題がありますけれども、そういう中で、この対策の特徴というのははっきりうたわれているわけですから、一般によく言われるように、では、非常に患者数の多い疾患をどうするんだとか、いろいろな議論があると思いますが、それとは、この定義からいっても、一緒の議論にはならないんではないかと、私は思います。
○葛原座長 47年には、難病というのは、数は書いていなかったですけれども、ベーチェット病とか、再生不良性貧血などということで、当時は、患者さんの数が数千名の病気というのが例として挙げられていたわけで、そういう縛りはあるんですね。ということを、ちょっと念頭に置いておいた方がいいと思います。
 あと、いかがでしょうか、定義とか、あと、福島委員の方には参考資料1のところで、5万人くらいでいいけれども、5万1,000人がどうかという不毛な論議にならないように、数万人程度のとらえ方でいいんではないかというのが、今日、御欠席ですけれども、意見として出ております。
 では、本間構成員の方から、どうぞ。
○本間構成員 これは、何回もやっていて結論が出ないんですが、今、伊藤さんがおっしゃったように、目的によって定義が変わってくるんですね。ですから、ここに書いてある、平成14年、ここの特定疾患の定義、基本的にはこれを踏襲するのが妥当かなと思います。ただし、主に治療研究面に限るんであって、福祉的な側面では、この定義とはまた別の適用方法を考えるべきで、あくまで切り離すべきだと、治療研究と福祉は、そういうふうに考えて、当然、福祉的側面では、もっと対象者は広がることになると思いますが、やはり希少性というのは、これまでの難病研究の流れを考えれば、やはり必要な条件かなと思います。
 以上です。
○葛原座長 千葉先生の方から何かありますか。
○千葉構成員 これは、既に本日検討したい事項にもう入っているわけですね。5万人とするかどうかということも含めて、ですから、先ほど葛原先生が言われた、委員会での委員の先生方という意味においては、やはり言葉の定義というのと、ここでいう難病の考え方というのは、ある程度分けて説明せざるを得ないんではないか。
 それで、福島先生が書いておられるとおりであって、言葉の定義でいうと、希少は患者数が限られているということであるし、難病というのは、私の理解では、原因が必ずしも十分明らかではなくて、それで治療が困難であって、患者さんにかなりの障害があるという辺りを難病と言ったらいいと思うんですけれども、何度も言いましたように、ここで言う難病というのは、希少と難病という、この2つのものを合わせた形ということでいいかと思いますし、5万人がどうかということになりますと、例えば、我々の専門であります、炎症性腸疾患も、10万人を超しているわけでありまして、そうすると、それを、今、議論になっておりますように、ここから除外するのかというと、現時点ではなかなかそうはいかない。
 したがって、これも福島先生が書いておられますが、5万人とはっきりするかどうかというのは、余り実のない論議になるんではないかと思っています。
 アメリカとか欧米で、6万人とか7万人とかいうのがありますが、そういう意味では、5万人からに10万人くらいの間というくらいに考えても、私はいいのかなと、ただ、余り人数に拘泥する必要はないと思います。
 それから、薬事法で難病5万人というのが出ていますけれども、これは、要するにオーファンドラッグを開発するという趣旨でうたっている話であって、医療助成に対してどうかというのとは、ちょっと論点が違うというふうに思いますので、そういうふうに思います。
 ただ、もう一つ、やはり今までの、数多い難病といいますか、そういうものと、逆に炎症性腸疾患とか、パーキンソン病などは、そちらの方に数からいうと近づいているわけですから、そうすると、そういう疾患は、ある意味で患者さんも多いし、治療法に手こずっているという意味において、極めて重要な領域ですね。ですから、今後、そこのところをどう切り分けていくのかというのは、やはりこの議論と関連づけて引き続いて議論していくということが、一方で必要であると、非常に強く感じています。
 例えば、研究助成にしても、この難病対策の研究助成というのは、非常に希少疾患に対する研究助成というのは、かなり付けられてきているんですけれども、逆に患者さんの多い、炎症性腸疾患とか、パーキンソンなんかもそうでしょうけれども、そういうところに対しては、患者さんが多いにもかかわらず、助成金のレベルというのは、私は必ずしも十分ではないと思うんです。ですから、そこはまたそこで非常に議論を尽くす必要があると、これは付け足しですけれども、そういうふうに感じています。
○葛原座長 どうもありがとうございました。皆さんから御意見をいただいて、福島委員の御意見も参考にすると、ここの難病の定義のことに関しては、大体、本間委員がおっしゃったところ、要するに研究の対象あるいは希少難病の治療薬の開発というときには、ある程度の数で区切らざるを得ないだろうということでまとめてよろしいでしょうか。
 もう一つは、医療助成とか、あるいは福祉的なことを重視した場合というのは、また、それは少し広い範囲で考える必要があろうという、そういうところが、1つのまとめの意見で、これは、どなたも大体そういう御意見でよろしいですね。
 あと、人数を5万人とするかどうかということに関しては、これは、現実的にはっきり何名ということは言えませんので、おおむね5万人程度を超えない疾患ということでよろしいでしょうか。でも、既に超えている疾患が3つくらいあるわけですから、そこら辺は難しいんですが、特に研究のこととなった場合は、希少性の疾患で、おおむね5万人程度までの疾患というぐらいの範囲で、疾患によってはもっとおおいものも含める、診断技術が上がれば上がるほど患者数は増えてくる可能性もあるわけですから、それは、もう少し幅のあるものだと、そういうことでよろしいですかね。
 どうぞ。
○伊藤構成員 質問が1つあるんですけれども、ヨーロッパやアメリカの研究と共同していくとなると、ヨーロッパの基準も疾患数でいっている基準も違うし、アメリカも違うとなると、日本も違うということで、研究としては、それぞれの基礎的な数が違っていてもいいものですかね。
○葛原座長 それは、問題ありません。日本では難病対策事業の対象疾患の定義として、数はこのくらいと言っているだけです。ある疾患を問題にした場合には、診断基準とか疾患概念は世界共通ですから、それは大丈夫です。むしろ後で検討課題になりますが、診断の精度を世界共通基準に合うようにきちんとすることが重要です。例えば、潰瘍性大腸炎とかパーキンソン病というのは、患者数が多いということで企業が創薬に取り組んでいて、外国では、多分、希少難病の対象には含めていませn。どのような疾患を研究対象にするかは、国ごとで違っていいことで、問題は、診断の精度をきちんとしておけば解決できると思います。
 どうぞ。
○外山健康局長 担当局長の今の考え方としては、資料の3ページに、障害者総合支援法案との関係で難病の定義をどう考えるかということになっておりますけれども、このワーキングチームの方は、医療費助成というか、公費負担の切り口でどう合わせるかというのが一番の争点なんですけれども、私としては、できる限り、それらを合わせたいというか、差を付けたくないというのが本音でありまして、つまり、広い方に合わせていきたいという気持ちなんです。
 ですから、公費負担医療というものを研究とリンクさせるのかどうなのかによって物の考え方が違ってきますけれども、できる限り狭い方を広くしたいと思っています。
 ただ、そのことと純粋なピュアな研究については、あるいはオーファンドラッグのようなものについては、その目的に従ってといいますか、より小さく取る場合もあるだろうし、それから、国際比較の上でより大きく取る場合もあるかもしれませんが、それは、今回、強制的に法制化しようという定義のものとは、質がちょっと異なるんではないかと思っておりまして、今後、どうなるかわかりませんけれども、気持ちとしては、入り口はできる限り差がないような形にもっていきたいというのは本音です。
 ただ、結果として、障害の方は障害の方で、障害という立場で横軸で見るものですから、そういった意味で、最終的な認定のものがどういうふうなところで落ち着くのか、あるいは我が方だって、入り口はそうだとしても、具体的な診断基準の中で、どの程度落ち着くのかというのは、それは、イコールになるかどうかはわかりませんけれども、物の考え方としては、そういうふうに思っています。
 ただ、今、先生方の御意見が、ちょっとニュアンスが違うようなので、それは、それで識者の意見として受け取りますけれども、私としてはそういう考え方です。
○葛原座長 広いというのは、患者数の問題でおっしゃっているんですか、それとも難病の概念を広く捉えて多くの疾患を含めていくという方向としておっしゃっているんですか。
○外山健康局長 概念イコール数として申し上げています。
○葛原座長 とすると、従来から日本では5万人という数が出ているわけですが、それに関しては、もうちょっと広い範囲でも構わないというふうに受け取ってよろしいんですか。
○外山健康局長 いや、いいか、悪いかではなくて、気持ちとしては、そういうふうにできる限りもっていきたいというのが、私の立場です。ただ、これは、まさに財源の問題もありますし、根っこの識者のものの見方もあるでしょうけれども、ただ、今、聞いておって、研究ということと、福祉ということの線引きが、ちょっとあいまいになっているように感じましたので、あえてちょっと申し上げました。
 ただ、このワーキングの結論がすべてそのとおりになるかどうかわかりませんし、ここはあくまで識者の意見ということで、専門委員会の方で、また揉んでもらうので、これはこれで先生方の御意見はいただきたいと思っております。
○葛原座長 どうぞ。
○千葉構成員 ちょっとおっしゃっている趣旨が、私もよくわからないんですけれども、研究という意味においては、数は余り線引きの意味がほとんどないように思うんです。
 例えば、炎症性腸疾患が10万人を超すといいましたけれども、欧米なんかは、それの5倍ほど患者さんとしてはいるわけで、それでもって、要するに欧米と日本の研究、共同研究も含めて、それぞれの研究について支障があるかということについて言えば、何もないということですので、そういう意味で、先ほどの御質問で、幾らで縛るとかいうようなことが研究に対して支障があるかどうかということについて言えば、それは全くないというふうなことであって、それは、それでいいんではないかと思うんですが、ということではないでしょうか、研究について言えばね。
 ただ、私が言いたかったのは、要するに、1つは、炎症性腸疾患もそうですし、パーキンソン病なんかもそうですけれども、数が多くなっていくというところで、難病について議論される中で、要するに研究に対する助成がなされなくなるということでは困るということが1点言いたかったと。
 それは逆にいうと、難病の中で、今後新しい難病について研究助成が行われるという話と、割と数が多い、炎症性腸疾患などの疾患を集めて、そういうものに対する研究助成制度ができる、これはどちらでもいいと思うのだけれども、そこが忘れられては困りますということが1点言いたかったというのが、私の趣旨です。
○外山健康局長 私が申し上げたのは、7ページに書いてある定義が、今、若干幅があるというふうなお答えというか、御意見を伺いましたけれども、これを何の基準に使うのを念頭に御議論されているという辺りが、途中から来て申し訳なかったんですけれども、心配だったものですから、先ほどのような意見を申し上げたということでございます。
○葛原座長 先ほどから問題になっているように、研究対象とするときというのは、要するに病態とか原因が、まだ十分解明されてなくて、しかも、難治性で治療法がなくて、いろんな障害が持続するという点でいうと、たくさんの病気があるけれども、難治性疾患対策事業の対象疾患としては、大体おおむね5万人前後くらいまでの病気が研究対象になるということと、福祉のことに関しては、従来から認定されている病気に、未認定の希少難治性疾患を新たに含めていくということが、先ほどからの御意見だったと思います。特定疾患の中で既に5万人を大きく超えている病気もあるわけですけれども、それはこれまでの経緯も考慮していて、研究事業対象には含めるということで、おおむね皆さんの御意見は一致しているんではないかと思います。
 どうぞ。
○伊藤構成員 前回も、私は、その点では少し保留をさせてもらったんですけれども、研究される方々のさまざまな興味の向き方がうんと少ない病気に向かうというのもわからなくはないんですけれども、しかし、病気の患者の数が多いからといって、何の苦しみもない、困難も抱えていない疾患というわけではないんだと思うんです。むしろ、数の多い病気であるからこそ、困難を抱えている患者が多いということも言えると思うんです。ですから、それは、総合的にさまざまな角度から検討しなければならないものですし、数の多い病気であっても、やはり困難な病気については、研究を進めて、早くにその患者さんの困難が改善されるように国の在り方としてはあってほしいと思うものですから、やはりあまり数で5万人より多いか少ないかという議論ではなくて、先ほど千葉先生もおっしゃっていましたし、福島先生のところにも書いてありますけれども、あまり数にこだわらないで進めていただきたいということは申し上げておきたいと思います。
 特に、研究者の視点と我々とは違うのかもしれませんけれども、患者の視点ということに立てば、数の多い病気が大したことない病気というようなイメージになる、あるいは。
○葛原座長 伊藤さん、数が多い病気が困難や苦しみがないと言っているのではなくて、患者数が多くて同じ程度の障害とか困難とか苦しみを持っている病気がたくさんある中で、国として研究推進と福祉面で特に手厚い対応をしている難病をどう定義するかということを先ほどから申し上げているわけです。数が多い病気の困難や苦しみが軽いと言っている人はだれもいませんから、そこは安心してください。がんだって、精神疾患だってみんな同じような困難や苦しみと闘っているんです。その中で難病政策というのを何で特別に取り上げているかということに対して、国民に納得していただける理由づけが要るということで、どういう定義でやっていくかということを皆さん論議されているんだと思うんです。
 あと、本間委員から、よく問題が指摘されていますけれども、要するに、はっきりした定義がなかったり、非常に数が少ない希少難病が、とかく置いてけぼりになっているのということに関しては、多分、定義で、ある疾患のグループ化ということで解決できると思います。診断基準についても、遺伝子なり何なり、原因がはっきりしたものと、まだ、未確定のものということで、1つのグループにしていくという形で、これをまとめていけば、この問題は解決することができるだろうと思います。
 そうしましたら、次の問題は、医療助成の在り方ということで、資料が4ページから、資料3です。ここについて御意見をいただきたいと思いますが、できる限り、従来からの意見とまとめた形で御意見をいただければと思います。伊藤さんは、先ほど言いかけていらっしゃっていたので、どうぞ。
○伊藤構成員 まとめてというのは、なかなか言いにくいんですけれども、これだけは注意をしていただきたいと思うのは、今までなかったような文章ですけれども、4ページの上に、負担も高額となっていると、単なる負担が大きいという意味ではなくて、高額というふうにはっきり書いてありますし、5ページの上も、医療費助成には家計が破綻しないようにという表現も、これも初めて出てきたことですが、やはり医療費が高額だから家計が破綻するという話ではなくて、これも、前に私ども説明していると思いますが、難病と言われる病気、長期慢性の疾患などを抱えている患者さんの収入そのものが低くなっているという中で、医療費にかかる支出の割合が非常に大きいということで、負担があるということなんです。必ずしも高額というだけでもないし、破綻ということでもなくて、非常に負担の大きいものということに着目をした表現であってほしいし、そういう対策であってほしいと思います。
 それから、受給者証の問題は、ちょっと別の角度になりますが、これをずらすという話があって、ここではまだ決着がつかないでいますが、もう一方で、難病手帳をどうするかという議論と、患者としての登録という問題は、精度を高めるという、こちらの方での問題もありますので、そこを併せていくと、受給者証の更新を毎年10月にと言っている、この受給者証というものを、そもそもなくすのかどうかという議論にもなりますので、そこではどのようにお考えになっているのか教えていただきたいと思います。
○葛原座長 そのことは、すぐ厚労省の方でお答えできますか、受給者証をどうするかということ、あるいは障害手帳に相当するようなものを、障害者総合対策事業で考慮しているかということです。
○山本疾病対策課長 受給者証につきましては、医療費助成の証明書みたいなもので、現在も行われているものですけれども、もし、自己負担額が収入とのリンクがあるとすれば、年に一度なり、きちんと前年度の収入を確認して、自己負担額を決めていくという意味では、毎年の更新というのは一定程度必要になってくるだろうと考えております。
 介護・看護ワーキンググループの方で、難病手帳という議論がございました。そのときには、まだ、明確な結論ではなく、いろんな意見が出されました。そのときの資料で、お示ししましたのは、例えば、身体障害者の分野では、身体障害者の手帳と、今、各種の割引とか、いろんなサービスとかが付いている手帳と、身体障害者の、現在の自立支援医療なんですけれども、医療の受給者証とは、実は別々になっていて、それぞれ御本人が申請してもらう形となっているということであります。
 障害者の手帳については、疾患によっては毎年の更新ではなくて、慢性的な疾患については、手帳をもらった後、一定期間継続しているというものもあります。
 ですので、難病手帳をつくるべき、つくらざるべきというのは、いろんな御意見があって、前回のもう一つのワーキンググループではクリアーにはなっておりませんでしたが、ここに書いております医療者受給者証というのは、医療費助成に関連した証明書というような考え方で出してあります。
○葛原座長 お答えは、よろしいですか。
○伊藤構成員 ですから、受給者証という側面だけだとそうなんですけれども、実は、いわゆる調査個人票とセットになっているというところに、さまざまな問題があるんではないかと思うので、そこのところの議論とどのようにかみ合わせるかと、そういう趣旨だったんです。
○葛原座長 これは、調査個人票を精度の高いというか、少なくとも医学的な検討に耐えられる内容のものに変えるべきだという問題と関連しています。
 それで、全疾患ですぐに変えられるかどうかわかりませんが、きたものから順番に切り替えていくべきであること、医療費の受給者証は、ある病気と診断されたら出せるが、ある程度、障害度が加味される病気が出てくる可能性があるというのが、今までの論議ではないかと思います。
○本間構成員 先ほどの絡みになるんですが、先ほど外山局長の方で、総合福祉法の観点から、できるだけ難病の定義を幅広くとらえたいという御発言があったんですけれども、前々からとにかく我々が難病の定義というものを議論して、5万人という一線に何でこだわるかといいますと、やはり医療助成とかと絡んでくるからなんですね、現実的には、ですから、5万人を超えた患者さんは冷や冷やする、超えていない患者さんは、というか、入れてもらえない方もまだいるという、非常に単純な話なんですけれども、ですから、そういう意味で、この医療費助成というものは、ここに書いてあるように、両方の側面があるわけですから、もう人数を5万人超えたからどうのこうのという基準でやるのではなく、基本的には、定義された難病の方は、全員対象にしていただきたいというのが、患者側としてはあるわけです。
 もし、それだと、物すごく医療費がふくらむということであれば、事前の策として、もっと福祉的な側面を当てて、現在も身障者手帳でやっている難病の患者さんもいらっしゃるわけですから、そちらの適用を拡大するとか、あるいは医療費助成でいくのであれば、重症度とか、あるいは場合によっては所得制限ですね、そういったものを入れて枠をはめていくという新しい柔軟な制度につくり変えていかないと、現行の制度は、もう公平ではなくなってしまいましたので、やはり大きく見直していただきたいと思います。
 以上です。
○葛原座長 要するに、難病に入っているかいないかで、福祉面でえらい違いが出ているために、不公平感が非常に強くなっている制度になっている現状を是正する必要があると言うご意見です。それには、難病という概念は少し広めにとって、本当に数が少なくて障害が続いているような疾患までをテク低疾患に含めて、医療費も同じように助成する。もし、予算額がオーバーするようだったら、福祉的な側面からある程度の線引きをしていけばいいんではないかという御意見だと思います。
 あと、千葉先生の方から何か。
○千葉構成員 全く賛成です。ですから、方法論として、やはり重症度に応じてというような形で1つは考える方策と、福祉というところで切り分けて考えていくのか、そういった辺りを不公平感がないような形で解決していくということが非常に重要だと考えています。
○葛原座長 あと、何か御意見はございましょうか。福祉のことが、これだけ難病で問題になるのは、ヨーロッパなんかと違って、日本は医療費の自己負担分が非常に大きいということが背景にあるわけです。北欧とか、ヨーロッパのかなりの国みたいに、医療費とか介護費は全部税金でもつということになっていれば、こういう論議はしなくていいわけですけれども、貧しい福祉だからゆえに、こういう論議が延々と続くということが背景にあるわけです。今度、税と社会保障の一体改革というので、医療費の自己負担というのはしなくていいと、その代わり税金は5割にしましょうという論議になるかもしれませんが、そういう財政の仕組みの中で解決していくしかない面もあろうかと思います。この問題は、難病の範囲はもうちょっと幅広く取って、福祉の面はできるだけ充実させていくという御意見だということで、ここの論議は、これでよろしいですね。
 では、次に行かせていただきます。医療費の助成の在り方まで終わって、次は、難病医療の質の向上のための医療提供体制、これは、今日また資料が追加で出てきました。これには2つ問題がございまして、1つは、今の調査個人票というのが、どうも福祉のことを重点にすると、医学的データとしての質が落ちてくるので。やはり、研究と福祉はある程度切り分けるということです。もう一つは医学的な課題として、診断の精度を上げること、それから、現時点で、患者さんごとに一番適した医療を提供するということと、専門医へのアクセスをよくする(均てん化)という3つの問題を一緒に解決しなければいけないということです。これについては、新たに資料も出ています。
 ということで、まず、2つの点で、1つは、現在の調査個人票に関して、これは、できるだけ簡潔で、しかも必要なことだけきちんと書いていくということ、それから、それにはある程度専門医療機関ないしは専門医に関与してもらうという縛りを入れる必要があるんではないかというのが、今までの話の中で出てきた問題でした。まず、調査個人票の在り方について、何か特別の御意見はございますか、今まで話に出たこと以外に、だれが書くかということに関しては、この次に多少論点整理をしていきたいと思うんですが、基本的には、年に1回ぐらいちゃんとした専門医が診断して、治療方針もそこで検討し、日常的な医療はかかりつけ医から提供していただくようにすると、あとは、地域連携の話になってきますが、それでよろしゅうございましょうか。
 どうぞ。
○伊藤構成員 専門医の診断という話は、なかなか我々の方からどうとらえていいかわからない問題でありますけれども、そういう議論をする上で、そのことが患者にとって一層の負担にならないような、あるいは地域で少しでもよい医療に結び付く妨げにならないような方法も同時に考えていただかないと、何か先生によっていろいろ診断が違うという中で、翻弄されてしまいそうな気もしますので、そこのところは十分に議論を尽くしていただきたいという気がいたします。
○葛原座長 もっともな御意見だと思います。翻弄されないような仕組みをどうつくるかというのが大事なことだと思います。また、プロトコールをどうつくるかというのは、学会なんかにも協力を得る必要があろうかと思います。疫学の検討に耐えるような医学的に制度の高い調査個人票にするためには、年に1回ぐらいは、その分野での専門家の目で、診断と治療、重症度を見直していただくことがひつようであると、これは、皆さん御異論がないということだと思います。どうぞ。
○外山健康局長 済みません、私がこんな質問で、11ページの5の難病患者登録の実施のところの、3つの○が書いてございますけれども、今までこの登録というのは、個人調査票を、いろんな指定医療機関ではないところで書いてもらってもいいし。
○葛原座長 今は、だれが書いても、医師免許さえあれば良いという制度です。
○外山健康局長 それで、県が恐らくパソコンか何かに入れて登録したと、これを一定の難病医療拠点病院というところを指定して、なおかつ、県ではなくて医療機関が登録事務を負うと、こういうふうな形で、今までの指定医療機関制度にプラス登録業務を課すような御意見になっているんですけれども。
○葛原座長 今までは、認定例のデータを厚労省の委託で都道府県が保健所を通じてやっていたと思います。調査個人票作成、つまり診断と評価は、個人の医者がやることであって、指定の医療機関とか指定医はありません。医師免許さえ持っていれば、だれが書いてもよくて、それが保健所を通じて、県に行って、県の審査会で審査して認定します。ですから、私が書いたALSの患者さんのもだめだと返されたこともありますし、難病に詳しくない医師が書いてもすいすい通ることもあって、そこら辺は必ずしも質的に保障されているとは言えないという感じでした。
○外山健康局長 これは、御意見で、2つ今までより上に行くというか、指定医療機関で診断すると同時に、更に登録の事務が、今までの指定医療機関制度というのは、他の福祉が、そこの医療機関が登録するという事務はないわけですね。それを今回は拠点病院で診断するし、かつ、拠点病院が登録する業務を負うという御意見になっているわけなので。
○葛原座長 それは、これから討議しようといっている話です。今はプロトコール、つまり調査個人票を見直して、きちんと医学的に使用できる信頼できるデータにすることと、治療内容を患者さんごとに最も適切なものにするのは、どうしたらいいかという問題です。2番目の問題として、そのために必要な医師や医療機関の条件をお話しいただくことにしたいと思います。それに関しては、今日、配っていただいた資料の概念図では、拠点病院というのと、基幹病院というのと、もう一つはかかりつけ医ですか、その3層構造になっていて、地域連携で結ぶということです。、要するに、これまでの調査お個人票は医師であれば資格は問わずだれでも書ける、それを保健所で集めて県の審査会に行って、県の方で入力して、疾病対策課の方に送るということをもう少し厳格な形でしていこうという高そうです。これは、登録制度の方の問題ですね。
 これから、ちょっと御意見をいただきたいと思っているのは2つの点で、第一に難病の登録と診療体制についてです。この表を見ていただくと、わかりやすいんですが、拠点病院というのをつくって、基幹病院をつくって、それから、かかりつけ医という地域の医療機関という形でいいのかどうかということ、それから、登録はどこでやっていくのかという話です。
 もう一つは、さっきの診断書、あるいは調査個人票をだれが書くか、どこが書くかということについてです。それをこれから少し御意見をいただいて、さっき伊藤さんがおっしゃったようなことを十分考慮して、実際に動く制度にしていかなくてはいけないということだろうと思います。
 これに関しては、資料にあると思いますが、福島委員がクリアカットな提案を書いていらっしゃいます。それは、各県に最低1つある特定機能病院を拠点病院に当てたらどうかという内容です。拠点病院の在り方について、今日は、いろんな方から御意見をいただいてから、小児慢性疾患の方に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○伊藤構成員 私は、プロトコールをつくって登録をどうするかということについては、そういうことかなとは思うんですけれども、だれが書くかというのは、非常に大きな問題だと思うんですね。患者さんがどういうドクターに出会うかということを含めての話になりますので、これは、ちょっと別な問題として、必ずしも私たちは指定医というか、指定医療機関でなければならないということではないんではないかなという気がします。
 もう一つ、やはりわからないのは、前回もそうだったんですけれども、医療拠点病院とか、基幹病院とか、いろいろありますけれども、それはどういう役割をしているのかが、どうも私たちにははっきり見えないということと、今日、配られました追加参考資料につきましても、こういう具合に分けるという図で書けばわかるような気がしますけれども、では、実際、今の多くの患者さんたちは、どういう病院に行っているのか、どういう病院で治療を受けているのか、診断されたのかということが全然わからない中で、この図だけが出てきて一人歩きしていいものかなと、実際にそうなるんだろうかという懸念がありますので、できれば、今まででも調査個人票には、医療機関名とか、いろいろあるわけですから、それは調べてはいかがかと、どういうところに行っているのか、どこで診断されたのかというデータがほしいという気がしますが。
○葛原座長 荒木さん、それに関して、今、お答えできることはありますか。これは、私自身の経験から言いますと、今、難病の患者さん、私は神経難病に限っていますけれども、神経難病の患者さんのほとんどというのは、ここで言えば、地域の基幹病院(そこにしか専門医がいませんので)か、最近は神経難病に関しても開業している方が結構いらっしゃるので、そこで見ていると思うんです。
 ですから、私は、どちらかというと、医療機関を指定するだけではなくて、やはりきちんとした専門診療ができる資格を持った医師を対象に決めた方が実際的ではないかという気はしております。
 ただし、施設を指定しなければいかぬということになると、どういう基準で指定するかという問題が出てくると思います。パーキンソン病とか、重症筋無力症の方というのは専門医にかかっていらっしゃる方がほとんどです。僻地の方は、大体、個人票の書き換えのときと、あと、もう一回くらい来ていただいて、治療については地域のかかりつけのお医者さんに、これから何か月間は、この治療でやってみてくださいということでやっています。大体、神経に関しては、そういう形でやっていますし、国立病院機構の難病を扱っているところもほとんどが神経難病ですので、これは、実態にそぐわない形にしない方がいいと考えます。いろんな病気でいろんな形態があろうかと思うんですが、千葉先生、消化器系の難病というのは、どうなっていますかね。
○千葉構成員 我々の実際の診療形態でいきますと、比較的重症の患者さんについては、やはり年に1回とか2回大学病院に来ていただいて、それで、残りの2か月に1回とか1か月に1回というのは、地元の主治医の先生に診ていただくというようなやり方をやっているわけですけれども、まさに、それを絵に描けば、こうなると、私は思いますけれども。
 それで、要するに、主治医という考え方ですけれども、これは、私の意見でもありますけれども、やはりあくまで主治医という意味においては、それぞれかかりつけで診ていっていただいている先生が主治医であって、それに加えて、年に一度専門医として診断し判断するということを1つ、ある意味でやる制度を入れてくるという、そういう感じではないでしょうか。
 それから、何度も言いますけれども、必ずしもきちんと診断できていないために非常に困ったケースになる例とか、そういうのがしばしばありますので、むしろ、こういうことを入れていくのは、私は、間違いなく患者さんのためになるというふうに思いますけれども。
○葛原座長 あと、北海道とか僻地で、なかなか患者さんが、こういう専門医のいる病院まで行くのが大変だという方がいらっしゃるわけです。しかし実際には、北海道とか、いろんな僻地と言われるところも、県立病院とか日赤のような地域中核病院に、大学病院なんかから専門医が、月に1回という形で、難病の人とか、特別の病気を診に行っているところが多いわけですね。ですから、別に、その都度大学病院とかから専門家を派遣しなくても、そういうところに出張してくる専門医を受診してもらうという形で代わりができれば、それでいいのではないかと思います。ここら辺は、絵で描けばこうなるのですが、実態は、もうちょっと多様です。結論として、今のうまくいっているところは壊さないように転用する、それから、今の時点で専門医に診てもらう機会がない不便なところは、もうちょっときちんと義務的な形で出張していただくという形で診断と評価、治療方針を立ててもらい、病診連携を強めてかかりつけ医が日常的診療を担当するという形にすれば、私は何とかなるんではないかと思っています。というのは、今、何とかできているわけですから、それをきちんとやっていけば、それでいいんじゃないかということです。ただ、どことどこをどう指定するかという話になると、ちょっと難しくなる点はあるかもしれませんけれども。
 これは、ちょっと千葉先生にもお聞きしたいんですが、こういう個人票なんかは、どこかの施設で書いたのを有効とするか、それともちゃんとした専門医が書いたのを有効とするかで、ちょっと違ってくるんではないかという気はしますね。
○千葉構成員 そうですね。やはり個人票の精度というのは、私は重要だと思いますし、したがって、それなりにしかるべきといいますか、専門の先生が診断するというのは、1つ重要なことと、一方で、逆に、はっきりいうと、だれが入れてもいいようなシステムを構築するというのもの1つは重要だと思います。ですから、A先生が書くのとB先生が書くのとで、入ってくる入力が違うとか、情報が違うというのは、逆に困るわけで、そういう意味で、反対のことを言うようですけれども、専門の先生が入力した場合と、そうではない先生が入力した場合で、余り大きな差がないというような入力システムを構築することも一方では努力する必要があると、何か反対のような話になりますが、一方では、それが必要だと思います。
○葛原座長 どうぞ。
○外山健康局長 先ほど申し上げまして、この難病医療拠点病院での診断、登録というのは、2つの因子があって、ここで専門の先生に診断してもらうべきかどうかというのが1つ、もう一つは、登録の方ですけれども、ここから直ちに国に来て、データベースとなる方がいいのか、それとも診断していただいた個人調査票というんでしょうか、診断書というんでしょうか、そのデータが、結局、認定するのは、恐らくまだ県のわけですから、県の審査会か何かで認定するんだとすると、その後、ある程度、データのでこぼこがあるかもしれませんけれども、それを統一した段階で、正式なデータとして登録するという方法もあるんではないかと思っておりまして、
 その2つの因子のうち、後者については、診断と登録ですけれども、少し登録については、もうちょっと考えさせてもらいたいと思っております。
○葛原座長 今の私のイメージですと、全部の患者さんの診断というのを拠点病院でやるのは無理だと思います。拠点病院というのは、どちらかというと、データをちゃんと集めて管理するとか、そういう形のことをやるべきで、実際の患者さんの診断とか治療方針の決定とか、かかりつけ医との連携というのは、むしろ、基幹病院の方が、今、やっているんではないかと思いますが、千葉先生、どうですかね。
○千葉構成員 そうですね。そこは非常に大きな問題で、1点集中しますと、現実に可能性の問題として、なかなか厳しいものがあるので、そこら辺は非常に議論しなければいけないと思っています。
 それから、もう一つ、局長さんが言われたことにつきましては、非常に大きな問題で、これを今後どうしていくのかという大問題です。
 ただ、私の意見としては、やはり今の個人票を各県が処理してやっていくやり方というのは、かなり破綻を来してきているというのが事実であって、そこに加えて、更に難病の範囲を広げて、幅広くする中で、こういう制度設計をしていこうと思いますと、更に県によけいに負担がかかるという事態になって、私は結局、こういうふうにしても、絵に描いた餅になってしまって、うまいこといかないようになってくることは、かなり目に見えていると思うんです。
 そういう意味で、入力というのを、できるだけシステム化していって、その中で、余分な労力というとあれですけれども、そういった事務的処理というのを、できるだけ簡素化していって、そして、今、二重、つまり医師が書いて、県が認定するというシステムを何とか一本化できる方向に持っていくというのが、このシステムをうまく稼動していくためには、私は必須であると、それでないと、結局、オーバーしてしまって大変だというふうに思いますので、そういう方向性を模索する必要があると個人的には考えております。
○葛原座長 あと、追加しますと、今の調査個人票というのは、書いた人はデータを利用できないんですね。例えば、神経難病であれば、神経変性班の班長が疾病対策課に申請して、そこの研究班の班員研究者でないと利用できないという形になっています。
 それから、中身の精度の問題もありますし、入力を担当する都道府県による入力件数のバラツキという問題もあります。少ないところは、多分30%くらいしたコンピュータ入力していないし、重複なのかもしれませんが、多いところは120%というところがあるのです。
 ですから、患者さんからも、書いた医者からも、全く見えなくなっているわけです。やはり患者さんにしても知りたいし、書いた医者も知りたいということになると、もうちょっと利用できるようにしないと、書いている方にはインセンティブが全然ないんですね。
 ということなので、福島先生なんかは、プロトコールのアウトカムとして使えるようなプロジェクトで募集したらどうかとおっしゃっています。私は、1つの案として、特定疾患とか指定されている病気には、全部研究班がございますから、研究班長のところにデータが集まってくるという方式でも可能ではないかと思っています。ただし、審査はどこでするかという問題があろうかと思うんですが、そういう方向だったら、もうちょっと利用しやすいし、公表しやすくなるんではないかと思います。
 どうぞ。
○外山健康局長 あと、もう少し先の話として、こういう登録制度というからには、今、予算事業でやっている事業なんですけれども、この制度が仮に法定化される場合、見越す場合、自治事務といって、今、地方自治体が当然のこととして事務的にするのか、それとも、国の事務として強制的に100%目指して登録して、そういう場合は、地方に法定受託というんですけれども、そういう形でやらせるのか、それによって、今、先生がおっしゃった利活用の責任、活用させる責任者とか、範囲も決まってきますので、今、先生方からいただいた研究者なりだけではなくて、登録した先生であるとか、できる限りそういったデータが、現場の患者さんの恩恵に資するような形を念頭に置いていきますけれども、この先の話として、そういった制度設計の話もあるということを、ちょっと御認識いただきたいと思っています。
○葛原座長 それは、是非、お願いしたいと思います。
 どうぞ。
○伊藤構成員 これは、私たちの方からもお願いしたいんですが、今の対策は、ほとんど都道府県が実施主体ということで、予算の配分もそうなっていますけれども、かなり予算だけの負担ではなくて、特定疾患の登録での負担感が、かなり自治体は大きいんですね。そういうことと、データの正確さということを考え合わせると、これは全く別な登録システムをこの際お考えになって、そして、いわゆる特定疾患の医療費助成のような自治体を巻き込んでの対策とは、また別な角度から考えられないでしょうかということをちょっと言っておきたいと思います。
○葛原座長 あと、よく本間構成員がおっしゃっています、本当の希少疾患ですね。全国に500人とか1,000人とか、ということになると、ちゃんとした診断ができる医療機関が、各県に1つはないようなものもあるんですね。たとえば、ウェルナー症候群は、千葉大学と東京都の幾つかとか、全国で3つくらいのところでないと診断できないということでした。疾患ごとに、多少この辺は違うんではないかという気はします。どこかの県では全く診断とか、いろんな指導が受けられないというのでも困ると思うので、本当の希少難病というのは、必ずしもこれではうまくいかない面もあると思います。厚労省の方でも検討しておいていただきたいのは、だれが、そういう個人票あるいは診断書が書けるかということに関しては、やはり専門医指定という方が、医療機関指定よりはいいんじゃないかという気もしているんですが、要するに診断書をだれが書くか、どこでそれが出せるかということです。
 もう一つは、そういう個人票なんかを医学的、疫学的データとしてだれのところに集めて、どう処理するかということについて、是非、今よりももっと活用できるような形、それから、患者さんにすぐ返せるような形のことを考えていただきたいと思います。
 その中で、必ず精度の高い診断のことと、それから、現在、一番いい、最先端の医療で、しかも経済的にも妥当な治療をその中でやっていく仕組みを、この中で担保していただきたいと思います。大体そんなところでよろしいでしょうかね。
○伊藤構成員 端的にいえば、データセンターみたいなものを難病対策できちんと持ったらいかがかというようなことだと思いますので。
○葛原座長 これは、人によってご意見が違うと思うんですが、私は、今すぐ活用できるのは、研究班の班長さんのところは、事務局をもっているわけで、そこに集める方法があると思うんです。
 それから、福島先生は、データを集めるのを全部研究プロジェクトとして募集しろとおっしゃっていたんですね。ただし、これはある程度の継続性がなければいかぬことでしょうし、行政的にもある程度のことが担保されなければいけないことだと思いますので、この辺は、今、言ったようなまとめで、あとは具体的にどういう制度設計ができるかということで詰めていくしかないんではないかと思うんですが、先生、何か追加御意見はございますか。
○千葉構成員 ですから、大筋として、私は、この絵は基本的に賛成なんですけれども、細かいところでいうと、いろいろ問題があって、拠点病院の負担が非常に重くなり過ぎるとか、伊藤委員が心配しておられるように、アクセスビリティーの問題とか、いろいろありますので、やはり、そこら辺を全部網羅して、基本設計を考えた上で、ある程度、アドリブといったらおかしいですけれども、柔軟な体制といいますか、そういったようなものを構築するという、具体的な作業というのは、非常に重要になると思います。
○葛原座長 どうぞ。
○外山健康局長 こういった登録制度が仮にできた場合、さっきは制度的な、その先の話のことをちょっと言いましたけれども、他のデータとのリンケージみたいなものは、例えばレセプトデータとか、施策を推進する上で、そういったDPCデータとか、医療保険データとか、そういった広がりというものは、先生方は念頭に置いておられるのかどうか。
○千葉構成員 これは、私どもの難病疾患の研究班で、1つは、こういうデータベース化ということを今までやってきて、愛媛県と京都府で、試みを開始しようというところまで来たわけですけれども、その中でおっしゃられるように、どういう他の医療のデータをリンクできるかといったようなことについては、いろいろ検討しているというのが実際で、可能な限り、そういうものを入れられるようにできればいいなということですね。
 具体的な問題としては、コンピュータ入力をそのまま活用できれば一番いいわけですけれども、それは、全国レベルでいうとなかなか難しい問題があったりとか、そうすると、コンピュータでそのまま登録というのは難しいですけれども、どこまで共通してできるかといったようなことは、それは、今後検討していく必要があると、我々も考えております。
○葛原座長 これは、医療費をどこまでこういう事業でカバーするかを、明確にしておくことと関係します。例えば、私も経験がありますが、病院によっては、特定疾患の患者さんの、特定疾患に関係したものだけを公費扱いしている病院もあれば、何でもかんでも、全部公費扱いというところもあって、必ずしも一定していないんです。ですから、どこまでがカバーできるかということを決めておく必要があります。ですから、今度、新しい登録制度で、例えば、潰瘍性大腸炎の、このステージの人であれば、どこでこういう形で診断して、重症度はどの診断基準で決めたかということと、このステージの方には、ステロイドの治療が中心でいいのか、それとも生物学的製剤が必要かというところまでが、きちんとできるような内容で、中身まで見られるようにすれば、本当は一番いいわけですね。○伊藤構成員 質問ですけれども、今、データセンターといいましたけれども、実際、患者のレジストリーをつくらなければいけないんだと思うんですけれども、そこに、そういう患者の収入であるとか、家族歴であるとか、あるいは医療費の助成にまで使うようなものにするのか、純粋に科学としてのレジストリーに特化するのかということも、少し事前にやっておかないと、何でもかんでも入ってしまうと、それはまた大変な話になるような気もするんですけれども、そこはどうなんでしょう。
○葛原座長 伊藤さん、今、話しているのは診断と調査個人票、適切な治療内容のことで、経済、収入とかは、恐らくだれも考えていないと思います。
○伊藤構成員 いや、先生、医療費助成にとおっしゃったから。
○葛原座長 そうだったら、それはまた別の様式を一緒につくらないと、研究や診断と、り医療費助成とは、どこかがくっついていても、下の部分はちょっと離れざるを得ないんではないかと思いますけれども。
○伊藤構成員 いや、私もそのつもりで言っていたんですけれども、そういう医療費助成の疾患だと、まだ、限られているわけですから、そういうところに使うという登録の話と、科学的なデータとして使う場合と、これは分けて是非検討をしていただきたいと思います。
○葛原座長 ただ、薬とか治療内容に関しては、この病気では、このステージでは、こういう治療法が一番やられているとか、一番効果があるということは見られるようにしておけば、その方がいいだろうということです。
 荒木さん、討議しておくことというのは、ほかにありましたかね。
 この項目は、もう一つの在宅看護・介護等ワーキンググループでも関係していることだと思うので、今日は、よろしいですかね。
 あと、これに関して検討しておくことはありますかね。先生、これは、1つは、都道府県ごとにきちんとデータを集めるということと、全国的に集めるという2つのステップが必要でしょうかね。
○千葉構成員 やはり、目指しているのは、全国統一ということであって、やはり、奈良県と北海道で入力の仕方が違うとか、あるいは実際に役所を通して出てくるデータの数が違うというようなことがないように、したいということが1つ大きくあると思います。
 それから、おっしゃられた医療助成と、データ集計というのは、必ずしも同じではないと、これは、全くそのとおりであって、私もよくわかりますが、ただ、逆に、客観的に入れたデータは、当然のことながら医療費助成にも、情報としては重要なわけであって、これを活用する。もちろん、これが医療費助成のための情報のすべてではないわけですが、客観的情報として活用するという方向性は考えて良いと思います。
 というのは、良く言われますように、同じ症状で、同じレベルの人が片方では助成が得られて、片方では得られないという現状がある中で、そこを是正するという意味でも、そういう視点も重要であると考えています。
○葛原座長 では、大体そこら辺で、あと、細かいことは文章で報告書をつくるときに、厚労省と私の方で、今のようなことをきちんとまとめた形にしたいと思うんですが、今、非常に労力を使ってやっているのが、余り実際の、医学的にも役に立っていないし、書いてくれた人たちにもほとんど還元できないし、書いた人が使おうと思っても、これは今、使えないとなっている辺りは、是非とも改善して、特に、ここに、いわゆる難病の対象になっている病気は、世界に誇れるようなデータにしていきたいというのが、これを書いている人あるいは協力してくれている患者さんの皆さんの御希望だと思いますので、そういう形に利用できるようなものにしたいという具合に思っています。
 そうしましたら、次の問題で、研究の在り方ということについて、こちらに、これは、いろんな御意見が出ていて、検討してもらいたいことというのは、最終的には、アウトカムとしては、創薬研究に利用できるようなものにしていくべきだということがどうかということなんでしょうかね。
 難病ですから、原因も病態もきちんとわかっていないものも多いですし、治療法に関してはなおさらなんですが、それぞれについて、まずはきちんとした患者登録ができるようにして、診断、きちんとした診断の下での数、頻度、年齢別とか、そういうことの疫学データをやっていくことが必要だということです。
 もう一つは、数が少ない患者さんだからこそ、やはり全国的にまとまって、いろんな調査も必要だし、新薬の治験に臨むことも必要だということで、患者さんの団体に、どんどん立ち上げていっていただきたいし、研究協力に関しても、研究者と一緒に推進いしていただきたいということが趣旨だと思います。今は、難病研究は調査研究ということがかなり中心で、なかなか創薬までいかないという限界もあるんですけれども、ここに書いてあることで何か御意見はございますか。
 どうぞ。
○伊藤構成員 ここのところも含めて、福島先生が大変詳しく書いてあるので、いろいろと参考にしていただければと思います。
 ただ、創薬については、はっきり言って、患者数が少なくて、製薬企業や研究者だけでできないものは、国が金を出せばいいというだけの話だと、私らは思うんです。それは、そういう体制をつくらなければいけないんですが、ただ、それで、患者団体がどう連携をし、協力していくかということなんですが、ここに書かれてあるのは、文脈として違うような気がします。今、葛原先生がおっしゃられたように、そういう患者会ができてほしい、一緒に協力してほしいということに対して、どのように患者の団体ができるのかということを育成することを考えなければならないのであって、すべての疾患について患者団体が、研究のための立ち上げるというのは、これはちょっと違うんではないかと、もっと自主的なものですし、もしも、ここで書かれるとしたら、今後、当事者として研究者とともに一緒に研究するための組織として、認めていただくならば、支援をどうするかということを行政側からは考えてほしい。やはり、いつも受け身になるだけの存在ではなくて、具体的に自分たちも積極的に社会や研究に関わっていくという組織であってほしいとは思います。ちょっと文脈を間違えると、研究のために患者団体を立ち上げろと言っているみたいになってくると、ちょっとこれは変ではないかという気がしますので。
○葛原座長 福島先生が書かれている内容は、私は読んでみて、なかなかうまいことを書いていらっしゃるなと思いました。厚労省管轄の研究では、やはり治療ということ、あるいは現実に役に立つ研究課題がどうしても優先されますので、文科省のような、雲の上のような非常に基礎的な研究課題はなかなかできないと思いがちです。しかし、参考資料の8ページのところに、研究の最終目標ということで、既に述べた、何でもかんでも治療開発、創薬という発想は貧弱である、つまり、あくまで目標を設定して、それぞれの時点でのパラダイムを理解すべきということを指摘されています。
 もう一つ、次の9ページの真ん中のところで、難病患者が治験を含めた研究に参加しやすくなるような仕掛けが必要ではないかというところで、意義ある研究には、患者さんたちが自然に参加してくれると、そういうことを研究者はやりなさいと書いてあって、これもなかなかいいことが書いてあると思いました。要するに、患者さんたちにも勿論協力してほしいですけれども、研究する側も、是非、患者さんの協力が得られるような研究内容にしていく努力が必要であることと、創薬の前に病態研究というのがないことには、創薬もできないわけですから、そういうことを国としてもできる限り支援していくということです。従って、患者団体に関しては、自主性を損なうようなことは、余り書かない方がいいのではないかという気がします。
 ただし、何でもかんでも、ぶら下がっていればいいということではなくて、より自主性と自覚を持って取り組んでいただくような活動を期待しているし、そういうことを周囲でもサポートするというような内容のことで、よろしいんではないかと思います。まだ、日本では周囲のサポートがかなり必要な段階だと思いますが、実際には、いろんなところで患者さんの団体が一緒にやってくだっていると思いますから、それを推進するということでよろしいのではないかと思いますけれども。
 どうぞ。
○本間構成員 病気の広がりという意味で、私もいまいち自信がないんですが、特に薬の問題については、オーファンドラッグを研究されていることもあるんですが、特に輸入薬について、かなり切羽詰まった患者の点もありまして、輸入薬、これを使わせてくれと、海外では、治験も既に終えて、臨床事例もあるという輸入薬についても、役所の方でストップがかかって使えないと、高い薬ですから、保険適用していただきたいということになるんですけれども、そういった事例というのも、この中に私は含めていいと思うんですけれども、副作用の問題とか、難しい独自の問題がありますので、なかなかそうはいかないかもしれませんが、緊急性、それからオーファン性、少ないという意味で、輸入薬に対する扱いというもの、もう少し幅広くこの中に入れていただけないかなというふうな希望はありますね。
○葛原座長 要するに、外国では治験が進んでいるもの、認可されているもので、日本では保険適用が通っていないもの、あるいは厚労省で薬として認めていないものということですね。
○本間構成員 やはり民族性とかがあるので、一概に言えない面も勿論ありますけれども、この辺は、患者側ではわかりません。
○伊藤構成員 薬の開発については、非常に難しい問題がいっぱいあります。福島先生がここで言っているように、医薬品の開発は法に基づいて行うものだと、開発ごっこはやめなければならないと書いてありますけれども、患者は、本当に1日も早くいい薬ができるようにということを願ってはいますけれども、だからといって、むやみやたらと、何でもかんでも実験的なことをされても、これはまた困りますし、安全性、特に外国の薬の導入の場合については、安全性というのも国としてはしっかり見てほしいですし、そこの辺りは、何か研究ということと、それを実際に患者さんに応用するということで、これは、研究の方々の基準というか、そういうのにお任せするしかなくて、ここの難病対策で、そのことをどうこうというのは、なかなかできないような気がするんです。ただ、先ほど言いましたように、言えるとすれば、もっと国はお金を出してあげてくださいというぐらいだと思うんですが、それを何か難病対策として研究開発なり何なりに一定の見解を述べるとか、方針を出すということを検討しておられるという意味なんでしょうか。
○葛原座長 どうぞ。
○外山健康局長 当然、制度化、法制化を考えていく上の大きな柱の1つに、難病であれば、研究というのは重要だろうという趣旨で書いております。
 ただ、今日的な意味で強調したい点は、例えば、参考資料の中の通し番号の57ページ以降に、医療イノベーション5か年戦略というのが書いてございますけれども、先般、本部会議決定になりましたが、厚生労働省としては、がんもそうですけれども、患者の立場に立って、出口から見て、こういった医療イノベーションをやらなければいけない。
 そうすると、今、基礎研究が結構進んでいるけれども、そこからの実用化に向けたところのてこ入れが少し弱いんではないかということで、ここ1、2年疾病対策課の方でも研究しているわけですけれども、今後、日本再生戦略であるとか、夏場に向けていろいろ出るものですから、ちょうどこの中間報告をとりまとめる段階でも、今、難病の研究費は、以前、政治判断で100億までいきましたけれども、そういった意味で重点の置き方として、こういった文言が承認されれば、我が方としては、今の時期的にはありがたいと、こういう趣旨でございます。
○千葉構成員 よろしいですか。私が答えるべき話ではないかもしれませんけれども、流れとしては、そのように行っていると思います。
 やはり、私は難病班の評価をずっとしてきましたけれども、一方で基礎的研究というのは、直結はしないけれども、長い目で見た場合に、非常に重要であるということで言ってきましたが、例えば、薬剤の効果を見るような臨床試験については、正直のところ、以前は、必ずしも本当に治療に直結というような視点が、そんなに強くなかったような印象を受けますが、ここにきて、厚生労働省の方も、例えば、難病の研究班の公募に際して、とにかく具体性がある薬剤開発についての臨床試験、臨床治験を求めるということを非常に強く公募のところで強調されていて、実際に昔に比べて、本当に現実味がないようなものは取らないというような方向に向いてきていますので、そこについては、先ほどの話とかぶりますが、やはりかなり難病でアウトカムに近いところの臨床試験、臨床治験というところに研究費が向けられているというのは事実ですので、ちょっと現実の話としてお話をしておきたいと思います。
○葛原座長 どうぞ。
○伊藤構成員 この医療イノベーション5か年戦略というのは、6月6日付になっていますね。これは、まだ実施になっていないということなんでしょうか。
○外山健康局長 これは、最終的には内閣官房の方がとりまとめて、日本再生戦略の方でいくんではないかと思っておりますけれども、それは、はっきり決まっておりません。ただ、我が方としては、できるだけ、厚生科学審議会の流れをくむ、流れをくむといいますか、厚生科学審議会の方でも、厚生労働省として打ち出していきたいと思っております。
○伊藤構成員 ついでにもう一つ、58ページのところで、アンメットメディカルニーズへの対応というのがありますね。これは、やはり基盤研による指導、助言、助成ということなんでしょうか。そこを通じてやるというふうに受け取っていいんでしょうかということと、製薬企業といいますか、薬を開発する企業もこういう支援の対象になる、助成の対象になるというふうに受けとめていいんでしょうか。
○外山健康局長 今日は、厚生科学課は来ておりませんけれども、ここでは基盤研とは書いてございませんが、厚生労働省として考えているのは基盤研です。ですから、そこの基盤研が、失礼、書いてありますか、58ページのIII-1-10のところで、独立行政法人医療基盤研によると書いてありますから、基盤研です。
 ただ、その基盤研のやり方がどういうふうに従前の研究費を調整するのか、あるいは企業までどの程度網をかけるかというのは、これからの話です。
○葛原座長 難病の研究費も、創薬に関する重点研究部門では、今年は動物実験のレベルの数億円単位のところと、数千万単位の人への応用という募集に関しては、たくさんの良い課題の応募があったので、実際には、予定したよりも多数の課題が採択されました。近年は、はっきり治療を目標とした課題の採択が増えています。
 もう一つは、厚労省と文科省が一緒になってiPSを利用した創薬という研究プロジェクトが、これは企業も最初から参加するが、既に始まっております。これに関しては、とにかくiPSという日本発の研究成果を利用したイノベーションであり、今、各省庁も相当力を入れてやってくれていますので、それには、是非、我々も協力して、何とか成功させたいです。
○外山健康局長 ちなみに、先生方みんな御存じだと思いますけれども、特に、千葉先生はそうですが、今、厚生労働省の医療イノベーション的な研究は、もう厚生労働省だけではだめなので、例えば、iPS細胞を使った網膜細胞の申請なんていうのは、理化学研究所とタイアップしなければできない。
 それから、ここでは射程外ですけれども、肝炎の新たな薬の研究なんかも、京コンピュータというスパコンがございますけれども、ああいうふうなものを使っては、研究を具体的に承認する方向になっておりまして、そういった意味で、やはりそういった知恵を集結できて調整できる場所として基盤研を考えていかないと、国際間の競争で太刀打ちできないんではないかという状況に来ております。
 そこの中に、大きく他の疾患に遅れず、難病にも光を当てて、そういったところで一定の知恵を集めたいと思っているわけでございます。
○葛原座長 では、これは、もうこれでよろしいですか。これは、皆さん、積極的な意見をいただいたので、あとはうまく報告できるようにしたいと思います。今日は、もう一つ議論しておかなければいけない大きな問題があります。
 最後に20分くらいで皆さんに御討議いただきたいのは、小児慢性疾患への対応です。これらの一部は、障害者総合支援事業のときに、多分、難病と一緒になってくるだろうということで、これは、厚労省の方から資料に基づいて御説明いただきましょうか。
○荒木疾病対策課長補佐 資料6、資料のつづりの最終の16ページ及び参考資料でございますと、6-1ということで60ページ、この2つを基に簡単に御説明申し上げます。
 「小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患のトランジションの在り方」ということで、大きく4点、論点ということで挙げさせていただいております。
 1点目が「難病対策の対象とすることについて」ということで、小児慢性疾患の、小慢対象疾患と略しておりますが、小慢対象疾患514疾患のうち、難病対策の対象ともすべき疾患の考え方はどのようなものかということでございます。
 その話の前に、参考資料6-1の60ページに書いていますように、これまでも何度かこちらのワーキンググループでも、もしかしたら概要について説明しているかもしれませんが、小児慢性特定疾患治療研究事業につきましては、小児がんなど、特定の疾患については、その治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となる。このため、児童の健全育成を目的として、その治療の確立と普及を図り、併せて患者家庭の医療費の負担軽減に資するため、医療費の自己負担分を補助する制度というものでございまして、対象年齢を見ていただくとわかりますように、18歳未満の児童、ただし、18歳到達時点において対象になっており、引き続き必要な場合は、20歳未満までということで、最長でも20歳未満までということになっています。
 こちらについて、今回、トランジションという問題というのは、20を超えた場合に、こちらの小児慢性特定疾患治療研究事業の対象から外れると、そうした場合に、そういう方の中でも難病対策の対象ともすべき疾患の考え方というのが、どのようなものがあるのかということをお伺いしたいということでございます。
 2番目としまして「対応する医療機関の課題について」ということで、成人後に、小児期からのかかりつけの医師及び成人疾患の診療に携わる医師が診療することについて、どのような課題があり、どのような対応が必要となるのかということで、ちょっと日本語とてわかりづらいんですけれども、かみ砕いていうと、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象の方、あるいは先天性の患者さんというのは、ずっと小児からのかかりつけのお医者さんで診ていただいていて、二十歳を超えて成人になっても、なかなか成人疾患に携わる医師が診療するということが、なかなかそういう課題があると、医療機関の方も課題だし、患者側としても課題があるというようなお話を伺っていますので、実際にどういう課題があって、対応が必要となるのかということでございます。
 3番目としまして「治療研究データの連続性の課題」ということで、現行の小児慢性特定疾患治療研究事業の収集データ、そして、現行の特定疾患治療研究事業、大人の方ですけれども、データの連続性、整合性を、今後、大きく難病を見直すとした際に、併せて連続性、整合性を取る必要があると考えますが、考慮すべき事項はどのようなものがあるかという課題でございます。
 最後に4としまして「総合的な難病施策実施にあたっての課題について」ということで、総合的な難病施策の実施を検討する際に、特に、小慢事業のトランジション患者に対して配慮すべき事項はあるのかということで、これは、さまざまな配慮すべき事項があると思いますが、例えば、就労の問題とか、大人になってから難病になった方と、子どもときから難病とか小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患になっている患者というのは、若干、就労とか社会環境適用の関係でも少し配慮すべきポイントがあるんではないかということでございます。
 説明は、以上でございまして、今回は、小児慢性特定疾患治療研究事業の担当課でございます、母子保健課から泉課長にも来ていただいております。適宜、よろしくお願いします。
○葛原座長 何か説明されますか、それとも質疑応答のときに発言されますか。
○泉母子保健課長 質疑のときに。
○葛原座長 これは、一回前にやったような気もするんですが、どうぞ。
○伊藤構成員 1つは、質問です。今までキャリーオーバーという言い方をしたと思いますが、トランジションという言い方で今後行くのでしょうかということを聞きたいと思います。
 それから、制度的には、小児慢性疾患の治療研究事業は、児童福祉法の範囲内というので理解できるんですけれども、制度としてはそうなっていても、一人の人間としては、ずっと継続して、一人の国民としているわけですから、従来、なんで一定の年齢までが、この対策であって、一定の年齢以上になったら、そういう対策が外れるということが起きているのか、それに対する国の考え方というのは、いかなるものであったのかということをお聞きしたいんですが。
○葛原座長 言葉の問題と、年齢ごとに制度が違ってくるのはどうしてかというご質問です。
○泉母子保健課長 まず、用語ですが、これまでキャリーオーバーという用語を行政でも使っておりましたが、小児科の専門の先生方からキャリーオーバーというのは、持ち越しという意味しかなく、英語表現としても正確ではないということでトランジションと言った方がいいんではないかということで、指すものが変わったわけではなくて、用語としてその方がいいのではないかということで変えております。
 それから、制度の考え方ですが、児童福祉法という児童を対象とした法により、児童の健全育成という観点から18歳未満ないし20歳未満というふうにしてきたものでございます。児童福祉法に法定化したときも、20歳以上のことは、残った問題として認識しておりました。その後、省内のプロジェクトチームなどで、引き続き検討してまいりまして、更にこうした場で検討が進んでいくと、こういう段階に入ってきたものと思っております。
○伊藤構成員 いや、ですから、そのことはわかっているんですけれども、今、課としてどうかという話ではなくて、国として、一定の年齢までは対策に網をかけてやったものが、一定の年齢以降、どこも行き場がなくなるということを国というのは一体どう考えていたんですかという質問の趣旨だったのですが。
○外山健康局長 課長の答えが、国なんですよ、国としての考え方なんです。
○泉母子保健課長 その問題を、これまで解決し切れてこなかったので、この場で更に検討を進めていただいているということになると思います。
○外山健康局長 我が方は、今回の制度改正の中で、できるだけそういう矛盾というか、我が方の定義に合うのであれば、当然、その対象にしたいという趣旨で脇を固めていきたいと思ってはいるんです。
○葛原座長 これは、私も昔聞いたことがあります。、18歳までは児童福祉法で保護します、65歳以上は老人福祉法で護られています。しかし、その間は何にも保護がありませんから、と聞いてびっくりしました。そのときどきで、多分、一番大事な課題に焦点を当てて事業をやっていると、だんだんと隙間が大きくなったために、隙間を埋める施策が必要になって、障害者総合対策事業が出てきたということでしょう。ですから、重症心身障害児なんかでも、最初は子どもを相手にしていたのが、今は平均年齢が国立病院機構入院者ですと、たしか54歳くらいになっていると思います。そういう中で、何とかそこの隙間を埋めようというのが今度の法案の趣旨と理解するのがいいのではないかと思います。
○外山健康局長 ですから、ただ、児童福祉法の考え方で成立しているものが、我が方の制度で、気持ちとしてはトランジションについてすべて拾ってあげたいと思いますけれども、その制度設計と矛盾するようなことができないわけなので、したがって、このトランジションの在り方を考えた上で、再度、また全体設計をどうするかというふうな考え方でいきたいと思っております。
○葛原座長 どうぞ。
○伊藤構成員 行政的には、さまざまな制約や限界があるんだと思うんですけれども、私は、患者のことを考えると、家族のことを考えると、是非、これは一緒になって考えていただきたい。難病対策でいいのかどうかは別として、是非、その検討をしていただきたい。
 ただ、問題になるとすれば、データなどの連続性、整合性ということは、いろいろ問題が具体的にはあるでしょうけれども、一人の人間としての成長を考えると、何とかして突破していただきたい、この難病対策でもやれるのであれば、それを是非やっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
○葛原座長 私の方から、質問ですが、ここに対象疾患が11にまとめてありますけれども、これは、追加資料の60ページですか、実際は、ものすごい数がありましたね。510ですね。その中で、例えば、もう年齢には関係なしに難病にすっと入っていくような疾患というのは、そのうちの幾つでしょうか。もう一つの質問は、私が関係している神経筋疾患では、筋ジストロフィーとか、いろんな難治性のてんかんとか、あるいは先天性の筋疾患とかは、希少性難治性疾患であっても今は難病には指定されていませんね。それらは、例えば、さっきから問題になっている難病の定義に従えば、難病に入ると思います。うそこら辺の整理がないと、多分、これだけ見てもちょっとこちらからはどうするかの実感がわかないと思います。もう一つは、小児慢性特定疾患治療研究事業というのを、厚労省の方で、どういう方向につなげようとしていらっしゃるのかということと、こういうところの患者さんや患者団体、あるいは実際に、小児慢性特定疾患医療に携わっている方がどういう希望を持っていらっしゃるかということを教えていただければ、もうちょっと我々の方も答え方がすっきりすると思うのですが、いかがですかね。
○泉母子保健課長 11疾患群に分けて、514疾患ということで、この疾患の名称なども特定疾患の方と比べると、少し未整理な部分があるというのは、事実と思います。この対象者で大人になった人についてを難病対策との整合性というところで恐らく議論になると思われるところが幾つかございまして、1つは、例えば?の悪性新生物というグループがございます。これは、今の難病制度の中では想定されていないグループです。
 それから、?に糖尿病がございます。糖尿病はI型、II型がございますが、これをまとめて対象にしておりますので、今までの難病対策の中で、いわゆる生活習慣病と言われているグループが入っていないこととの整合性があります。
 また、腎疾患とか膠原病の中には大人まで共通の考えのものがあると思いますが、一方、子ども特有のものとしては、慢性心疾患の大部分を占める先天性の心疾患、特に奇形があるようなものですね、こういったものが治療も難しく、治療を行っても、なお、長期に増悪していくようなものがありますが、こうしたものが、これまでの難病の考え方に、多分入っていないだろうと、こうした辺りをどう考えていただくかということがポイントになってくるかなと思います。
○葛原座長 千葉先生、これは、お考えありますか。
○千葉構成員 これは、今、小児の先生方を中心に検討中なんです。
 要するに、この難病のことを考え直す機会に、小児で19すぎた人達で難病に該当する人を、こちらへ入れて来て、ほかの人達はもう知りませんよ、というような話ではなくて、結局、私の理解では、そうではなくて、結局、今、お話があったように、例えば、炎症性腸疾患のように、子どもさんの小慢のところから成人の難病のところにすっと入って来られる疾患もありますし、糖尿病は小児慢性疾患の中に入っていますけれども、難病の中には含まれていないというようなものもありますし、いわゆる病気としての治療は済んでいるんですけれども、非常に障害が残って、そのまま成人になられても、障害を引きづっていかれるような、そういう病気もありますし、幾つかのパターンに分かれるわけですね。それで、大人になったら知りませんよというのではなくて、どこでサポートするのが最も適切なのか、あるいは難病の中でいいますと、この難病の助成の中で、どういう人たちをここに入ってきていただくのが最も適切なのかと、そういうもろもろのことを検討する必要があるということで、特に、難病の見直しの中で、それを再検討しておられると、私は理解していますし、それは、現実、小児科の先生方に、実際に現在、ひとつひとつこの病気はこういうものだ、この病気はこういうものだという調査をしていただいている途中だと理解しております。
 そういうことですね。
○葛原座長 結局、これは、難治性疾患対策事業と病名が同じで、すんなり入ってくる膠原病、糸球体腎炎、皮膚筋炎とか、そんなのも結構あるかもしれませんし、問題ないと思いますが、例えば、染色体病なんかがありますね、だから、こんなになると、それは難病に入れるのか別のカテゴリーかという問題もありましょうから、今、整理していらっしゃる結果を待っていればいいのかどうか。
○泉母子保健課長 まず、医学的な事実として20歳以上の患者さんがどれくらいいらっしゃるかとか、その疾患の、難病の要件であります治療法のこととかがどのくらい解決しているかとか、そういったことを、今、確認していただいていますけれども、そもそも難病の今までの考え方と違うところがあるので、そこをどう考えていくかというところについては、やはり、こうした場での御議論をいただくことになりますが、その検討のための資料は、今、用意していただいているということになります。
○葛原座長 これは、我々の方で検討しろと言われても、ちょっと難しい問題がありますね。既にこちらで特定疾患なり難病という120疾患で扱かっているものですっと入るのはいいと思います。もう一つは、今は未認定でもこれから難病に含めなければいけないと言われているいろん病気に入るものに関しては、そっちを決めれば、自動的に入ってくると思います。
 ところが、ちょっとそういうものの定義が外れるものもあるわけですね。小児ガン、染色体病、あるいは奇形のたぐいです。似たような障害はあるけれども、いわゆる難病とは違うものがたくさん含まれています。そこら辺をどうするかというのは、これは、医療費とか福祉関係の問題では、障害者総合支援法には入るかもしれませんけれども、難病の概念とは、多少違うんではないかという気がします。難病も、こういう疾患も全体としては障害者総合支援法に入っていくという考えでとらえるのが一番わかりやすいんではないかと思いますけれども、本間さんの方から何か御意見はございますか。
○本間構成員 これは、確かに難しい問題で、病気によっても、それから、患者さんの症状によっても相当違うんですね。ですから、成人期になって、一応、その症状は直らないんだけれども、例えば、会社に行けるとか、仕事ができるとか、そういう人もいます。ですから、症状が固定された方もいるし、それから、ずっと年をとるにしたがって、だんだん悪くなる病気も当然あるし、人によって全然違うんですね。
 ですから、ここで、今までは小慢の対象だったけれども、この年になるとならないというのは、やはりこれは問題がありまして、もっとシームレスに、例えば、がんですと、やはりがん対策基本法の対象になるとか、何らかの形で引き続き、これまでの制度の恩恵を享受できるような、できれば統一した制度が一番いいんですけれども、今の状態では、ちょっと無理なのかなという気はいたします。
 私どもの患者会なんかでも、やはり一番多いのは、子どもの病気、お子さんを連れてくるんですね。この子は、果たして将来的に病気が重くなるのか、ならないのかと、物すごく心配するわけですね。
 そういったときに、こういう助成を受けられる人と、受けられない人と、最初から分かれてしまったりして、そこのところの不公平感というのは、すごく感じるんですけれども、そういう意味で、何らかの形で、ですから、福祉なら福祉でやっていけそうな人とか、そういった形でどこかに、表現は悪いですけれども、潜り込めるような、できるだけシームレスな形で面倒を見ていただくという方式を何とかお願いしたいということでございます。
○葛原座長 どうぞ。
○伊藤構成員 これは、なかなか議論をしていくと、大変難しい問題がいっぱいあるかと思います。いわゆる難病の治療研究事業の中に入っていけるものは、それでいいんだと思うんですが、そうでないものをいろいろ議論しても、なかなか一つひとつやっていくと、いろいろ引っかかりがあるので、これは、かなり乱暴な意見なんですけれども、難病対策をせっかく大きく変えようとしているときに、これは、小児慢性特定疾患の、今のトランジションについては、研究の側面ではなくて、この難病対策を1つ新たな分野として、そこの部分を受けとめるという形で難病対策の中でやっていけるものであれば、そういう形にして、とりあえずは、患者さんの負担を少なくして、将来的に研究としてどうするかは、また、別の時点で、初めからの議論と一緒にしていかなければならないんではないかという気がして、今は、とりあえず、可能であれば、難病対策を大きく変える、この機会に1つ別な分野として、中に設けてはいかがかという気がいたしますが、その医療費助成の部分について。
○外山健康局長 今日のところは、こういう問題点だろうという御意見しか言えないと思って、失礼ですけれども、先ほど、千葉先生がおっしゃったように、小児の学会の方でいろいろ分析されているようでありますので、それを雇児局の審議会などで聞いてから、我が方が聞くのがいいのか、我が方が直接聞く方がいいのかというのは、また、雇児局と調整いたしますけれども、そういった現場の識者というか、学会の方のいろんな御見識もあるようでございますので、次回、また、その御意見を、この場で聞くのか、だれか代表者が説明するのか検討いたしますけれども、その上で、また、御意見を伺いたいと思います。
○葛原座長 私も、やはり扉は開けておけばいいと思いますが、何もかもごっちゃ混ぜにすると、一体難病対策というのは、何をやっているのかということにもなるかと思います。そこで、まず、小児慢性特定疾患治療研究事業の関係者の方で整理していただいて、その結果で、一緒にそれをどう解決するかという御提言があれば、それに対応するというのが、一番話が早いんではないかと思いますので、今日の議論としては、これでよろしゅうございましょうか。
 ということで、今日、予定したテーマごとの検討は終わりました。もうあと、10分になったんですが、今日の御議論を、大体その都度まとめのような形にはしたので、あとは疾病対策課の方で整理していただいて、皆さんのところにも原案が回ると思います。その内容を、きちんと、今度は文化系の委員にもわかっていただくような形で、7月3日には説明しなければいけないわけです。そのときに、また、何かいろんな、結構きつい法律なんかの質問も出てきますから、それを、多分9月からのワーキンググループで、皆さん方にもう一度御討議いただくということになろうかと思います。あと、どうしても付け加えておきたいとか、まだ言い残したということがございましたら、御意見をお伺いして終わりにしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 特に、1つは、もう一つの難病在宅看護・介護等ワーキンググループのところで、医療費の助成とか、拠点病院・中核病院・医療機関へのアクセスなんかの問題が検討されていると思います。そこら辺もできる限りお互いにそご(齟齬)がないような形で調整して、現在ある実績とか、あるいは利便性というのに、マイナスに働かないような形するとか、疾患登録制度の医学的な質を担保する方向にしたいと思っています。
 そういう形で、難病対策委員会の方には検討結果を出していきたいと思いますが、あと、山本課長の方から、今日討論しておくことで、何か抜けていることはございましょうか。
○山本疾病対策課長 以上で結構です。
○葛原座長 外山局長の方もよろしいでしょうか、ときどきどきっとするようなことが聞かれるので。
○外山健康局長 済みません、遅く来まして、今のところないです。また、あれば、委員会までの事前の座長との調整の中で、また、させていただきたいと思います。
○葛原座長 では、できる限り、今日の御意見を反映した形で、難病対策委員会に報告したいと思います。それで、あらかじめ御了承いただきたいんですが、大体多数意見としては、ここら辺でまとまったというのと、こういうことに関しては、複数の議論があったということをまとめて出して、一致したところは強調したいと思っております。また、案文が回りましたら御意見をいただきたいと思います。
 今日は何とか12時半になる前にまとまりましたので、これで終わりにしたいと思います。どうも、長い時間、ありがとうございました。お疲れ様でした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 難病研究・医療ワーキンググループ> 難病研究・医療ワーキンググループ(第3回)議事録

ページの先頭へ戻る