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2012年7月13日 第72回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成24年7月13日(金) 15:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第21議室(中央合同庁舎第5号館 17階)


○出席者

永井部会長
相澤委員 井部委員 今井委員 金澤委員
桐野委員 塩見委員 西島委員 野村委員
福井委員 松田委員 町野委員 宮田委員
宮村委員 望月委員 山田委員

○議題

1 遺伝子治療臨床研究について
2 ヒト幹細胞臨床研究について
3 平成23年度の厚生労働科学研究費補助金の成果の評価について
4 その他

○配布資料

資料1-1遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に係る意見について(岡山大学病院)
資料1-2遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に係る意見について(九州大学病院)
資料1-3遺伝子治療臨床研究実施計画及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に係る意見について(東京大学医学部附属病院)
資料2-1遺伝子治療臨床研究実施計画等について(三重大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、(財)田附興風会医学研究所北野病院)
資料2-2遺伝子治療臨床研究実施計画変更報告について
資料2-3遺伝子治療臨床研究実施計画について
資料2-4遺伝子治療臨床研究に係る第一種使用規程について
資料3-1ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について
資料3-2ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について
資料3-3ヒト幹細胞臨床研究実施計画に関する実施施設からの報告について
資料4-1厚生労働科学研究費補助金の成果に関する評価(平成23年度報告書(案))
資料4-1別紙厚生労働科学研究費補助金の成果表(平成23年度)
資料4-2厚生労働科学研究費補助金研究事業の概要(平成23年度報告書)
資料4-3厚生労働科学研究費補助金 平成23年度個別の事業の概要
資料4-3別紙平成23年度 採択課題一覧(案)
資料5遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について
資料6戦略研究新規課題に係る研究実施計画書作成の公募について
資料7医療イノベーション5か年戦略
参考資料1厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する参考資料
参考資料3ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料
参考資料4平成24年度戦略研究に向けた研究実施計画書作成に関する研究公募要項
参考資料5-1平成24年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(四次)
参考資料5-2平成24年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(五次)

○議事

○尾崎研究企画官 
 定刻になりましたので、ただいまから「第72回厚生科学審議会科学技術部会」を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙の折、お集まりいただき御礼を申し上げます。
 まず、委員の交替について報告します。これまで委員をお願いしていました末松誠委員が辞任され、新たに東京大学大学院理学系研究科教授の塩見美喜子委員にご就任いただきました。
○塩見委員 
 どうぞよろしくお願いいたします。
○尾崎研究企画官 
 また、佐藤洋委員からも業務の都合により辞任の申し出を受けていまして、現時点の委員数は22名となっています。本日は6名の委員の先生からご欠席の連絡をいただいています。まだお見えでない先生もいらっしゃいますが、出席委員数は現時点で過半数を超えていますので、会議が成立することをご報告します。
 続いて、本日の会議資料を確認します。資料のいちばん上にあります、「第72回厚生科学審議会科学技術部会議事次第」に配付資料の一覧があります。資料番号だけ申し上げますのでご確認ください。資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料2-4、資料3-1、資料3-2。資料3-3は、誤って参考資料3-3となっています。申し訳ありませんが、参考資料3-3が資料3-3です。さらに、資料4-1、資料4-1別紙、資料4-2、資料4-3、資料4-3別紙、資料5、資料6、資料7です。参考資料は、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5-1、参考資料5-2です。また、資料4-1・2として、正誤表を当日配付資料として机上に置いています。資料の欠落等がありましたらお申し出ください。以降、永井部会長に議事の進行をお願いいたします。
○永井部会長 
 審議に入ります。まず、「遺伝子治療臨床研究実施計画」についての審議です。3つの機関から申請が出ています。本日は、遺伝子治療臨床研究作業委員会の島田隆委員長にご出席いただいています。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、岡山大学病院の実施計画につきまして、作業委員会の検討結果を事務局から説明してください。
○尾崎研究企画官 
 岡山大学病院の遺伝子治療臨床研究について説明します。資料1-1をご覧ください。資料中に、実施計画に係る意見と第一種使用規程に係る意見として、2つの作業委員会の審議結果が含まれ、これらを続けて説明します。
 まず、遺伝子治療臨床研究実施計画作業委員会の報告です。資料の7頁は、当該実施計画について主として科学的事項の論点整理を行った作業委員会の先生方の名簿です。
1~6頁が、科学技術部会への作業委員会からの報告書で、これを中心に説明します。2頁が、遺伝子治療臨床研究実施計画の概要です。研究課題名は、「頭頸部・胸部悪性腫瘍に対する腫瘍選択的融解ウイルスTelomelysinを用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究」です。申請日は平成23年11月14日です。実施施設は岡山大学病院。総括責任者は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤原先生です。対象疾患は頭頸部・胸部悪性腫瘍で、頭頸部癌、食道癌、肺癌です。対象疾患の詳しい記載は、2頁の(6)及び、通し番号30頁の5にあるとおりです。外科的切除により根治不能な局所的に進行した頭頸部・胸部悪性腫瘍症例、あるいは、外科的切除後に再発し追加切除が困難と考えられる症例を対象にしています。30頁のいちばん下から34頁にかけて、従来の治療法の治療成績の現状などが記載されています。
 2頁の(5)に戻ります。導入遺伝子ベクターについてです。これは、ヒトアデノウイルス5型を基本骨格としてテロメラーゼ活性依存性に制限増殖する腫瘍融解ウイルスTelomelysinです。Telomelysinは、テロメラーゼ活性依存性に癌細胞で増殖して細胞死を誘導するウイルスです。
 34、35頁です。テロメラーゼは細胞をいわゆる不活化する酵素であり、一般的に、正常細胞ではテロメラーゼの活性、動きは抑えられていますが、80~85%の悪性腫瘍ではテロメラーゼの活性の上昇が認められると記載されています。今回の研究の対象となる、頭頸部癌、食道癌、肺癌のテロメラーゼ活性についての数値が記載されています。ウイルスは本来のヒトの細胞に感染・増殖し、その細胞をさまざまな機序により破壊してしまいます。Telomelysinはテロメラーゼ活性依存であるため、多くの癌細胞で増殖し、細胞死を誘導する抗腫瘍活性を有し、正常細胞での安全性は確保されると記載されています。37~47頁には、当該腫瘍融解ウイルスの遺伝子の種類及び導入方法、各種の構造及び性質が記載されています。
 2頁の(5)に戻ります。「用法・用量」をご覧ください。Telomelysinの投与方法として、1)にあるとおり、低用量・中用量・高用量とウイルス粒子数を10倍ずつ増量する3群で、腫瘍内の5カ所に、病変全体を3次元的にカバーするように直接注入するものです。重篤な副作用を認めなければ、第18日目、第32日目に同じ病変に合計3回投与し、加えて、2)に記載されている放射線療法を6週間で合計60Gyの照射を行うとしています。71~74頁に全体の計画、被験者の選定基準及び除外基準、74~77頁に投与方法について記載されています。目標症例数は、低用量3例、中用量3例、高用量12例としています。各用量レベルでの副作用の出現の有無によって最大24例としています。
 続いて、3頁の(7)「その他(外国での状況)等」です。平成18年10月から外国で各種進行固形癌を対象にTelomelysinの第I相試験が行われています。腫瘍内の単回投与を受けた16症例では重篤な有害事象は認められなかったとされています。88頁に少し詳しく記載されています。今回の遺伝子治療臨床研究実施計画の詳細は23~100頁、説明と同意文書は101~122頁です。
 続いて、3頁の2です。遺伝子治療臨床研究作業委員会の審議概要について説明します。まず、1)です。作業委員会の開催前に事前の意見・照会及び回答を行っています。主な意見・照会事項及び回答の概要は3~5頁に記載されています。例えばイでは、「本製剤の有効期限はあるか」に対して、「本剤は72カ月まで保存性を有する。今後12カ月ごとに品質試験を実施し、安定性を確認する」と回答を得ています。エでは、「日本での投与計画は、アメリカの臨床試験と異なり、放射線治療を併用し、また複数回投与である。この場合、ウイルスの排出に変化が生じるのか」に対して、「単回投与と複数回投与では排出に大きな変化はないと思われる。放射線治療を併用した場合、腫瘍細胞の細胞死が増強し、腫瘍細胞内に存在するTelomelysinが血中より多く漏出する可能性はあるが、血液中の抗アデノウイルス抗体によって中和されるため、他の正常組織への蓄積はほとんどないと見られる」という回答を得ています。オでは、「対象疾患を頭頸部癌・胸部悪性腫瘍とした理由を説明すること」に対して、「本臨床研究は放射線治療との併用でウイルスの局所投与を行うものであるため、単独で施行される可能性のある疾患を想定した」と回答されています。ケでは、「治療終了後のフォローアップ期間が十分であることを説明してください」に対して、「治療終了後1年以上の長期にわたり治療効果が持続する可能性は実は低い。米国の臨床試験においても2カ月のフォローアップとなっている」と回答されています。コでは、「アデノウイルスの細胞内での複製に対する放射線の影響をどのように考えるか」に対して、「実際に影響はないことを確認している」という回答になっています。
 5頁の2)をご覧ください。作業委員会での審議についてです。先ほどのやり取りを繰り返した後、3月27日に作業委員会を行っています。実施計画について総括責任者から説明を受けた後、説明内容及び提出資料を基に実施計画の科学的妥当性等について審議されました。その結果として、本計画は概ね了承されたということです。ただ、ウイルスの検出のバリデーションや放射線治療との組み合わせの評価等について一部確認した後、科学技術部会に報告するとされました。その下が、それに関係するやり取りです。5頁のいちばん下のイでは、「放射線量60Gyに達しなかった症例の評価上の取扱いなど、放射線治療との併用についてのコンビネーションセラピーとしての評価を行うことを検討すること」に対して、「評価をするのは、あくまで60Gyの放射線治療が完遂できた症例における副作用、有効性について解析を行いたい」と回答されています。ウでは、「複数の癌種を対象としていることから、被験者の選定に当たってはそれぞれの癌種について個別の判断を行う必要があると考えられるため、被験者の選定に当たっては慎重に検討を行うこと」という意見を出しています。
 3、その結果として、「作業委員会は主として科学的観点から以上の論点整理を進め、その結果を実施計画及び患者への同意説明文書に適切に反映させた上で、科学的に妥当であると判断した」となっています。
 引き続き、本件についてのいわゆるカルタヘナ法の作業委員会の検討結果の概要を説明します。資料は、123頁からです。127頁が遺伝子治療のカルタヘナに関する作業委員会の委員名簿です。
 124頁の評価結果をご覧ください。遺伝子治療臨床研究によるカルタヘナ法の第一種使用規程の対象となる遺伝子組換え生物等の種類の名称は、いちばん上の欄にある名称です。評価は、135頁の生物多様性影響評価書に基づいて行われ、作業委員会としての判断は、124頁(1)及びいちばん下の欄の(2)で、「第一種使用規程に従って使用した場合には、生物多様性に影響が生じるおそれはないとした評価書の結論は妥当である」としています。第一種使用規程の最終的なものは131~133頁です。
 なお、125頁に、今回は腫瘍融解ウイルスに係るいわゆるセカンドピーク、投与後に一旦減少したウイルスが再び尿中等に検出される可能性があることの取扱いについて特に検討しましたので、その検討結果を添付しています。このセカンドピークの関係については、125頁の(3)申請者の対応をご覧ください。最初に遺伝子治療薬を打ったときには個室管理をするのですが、その後セカンドピークのように上がることがあるので、それをどのように管理するのかの検討をしたということです。もともとの実施計画上でウイルスの検査が行われるので、そこまでの期間を見ればよいだろうとし、そこでの個室管理についてはさらなる期間の延長などはやらないという結論になっています。岡山大学の申請については以上です。
○永井部会長 
 島田先生から何か追加等はございますでしょうか。
○説明者(島田委員長)
 これは日本の岡山大学のオリジナルのウイルスベクターであり、既にアメリカで第I相の試験が行われているものに、今回日本では放射線との併用療法の効果、安全性を検討したいということです。いま説明があったように、作業委員会としては特段の科学的な問題はないだろうという結論です。
○永井部会長 
 ありがとうございます。それでは、ご質問、ご意見等をお願いします。
○宮村委員 
 この計画で放射線療法と併用することを設定した根拠は何なのですか。
○説明者(島田委員長)
 これはいくつか基礎研究があるのです。アデノウイルスが増殖するのに対して放射線を当てることによってさらに効果が期待できるという、彼らの基礎研究の下で、この併用療法を考えているようです。
○宮村委員 
 放射線療法は癌の治療ではなくてですか。
○説明者(島田委員長)
 両方ということですね、これについては。
○今井委員 
 4頁のケの「治療後のフォローアップ期間が12カ月で十分であることを説明すること」というところについてです。これは、ウイルスそのものが、カルタヘナも含めて、それ以上は他に対する被害を及ぼさないためのものですね。そうすると、実際の原疾患のフォローアップに関しては通常どおり、もっと、例えば5年、治癒、10年という形でフォローアップされるのでしょうか。
○説明者(島田委員長)
 ここで言っているのは遺伝子治療としてのフォローアップの話です。もちろん、原疾患のフォローアップに関しては通常どおりするということです。表現が適切でない部分があるかもしれませんけれども。
○今井委員 
 適切でないとは思いませんが、原疾患に対しては書いていないので、普通にフォローアップされるのですよねということです。
○説明者(島田委員長)
 それは、もちろん、そのはずです。
○今井委員 
 わかりました。ありがとうございます。
○永井部会長 
 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もし、ご意見がなければ、ただいまの作業委員会からの報告について科学技術部会としては了承とし、厚生科学審議会へ報告させていただきます。
 続いて、九州大学病院の実施計画につきまして、作業委員会の検討結果を事務局から報告してください。
○尾崎研究企画官 
 九州大学病院の遺伝子治療臨床研究実施計画を説明します。資料1-2をご覧ください。先ほどと同様に、実施計画に係る意見と第一種使用規程に係る意見として、2つの作業委員会の審議結果を続けて説明します。
 まず、遺伝子治療臨床研究実施計画作業委員会の報告です。資料の9頁は、当該実施計画について主として科学的事項の論点整理を行った作業委員会の委員の先生方の名簿です。
 1~7頁が、科学技術部会への作業委員会からの報告書で、これに基づいて説明します。2頁が、研究実施計画の概要です。研究課題名は「神経栄養因子(ヒト色素上皮由来因子:hPEDF)遺伝子搭載第3世代組換えアフリカミドリザル由来サル免疫不全ウイルスベクターの網膜下投与による網膜色素変性に対する視細胞保護遺伝子治療臨床研究」です。申請日は平成22年9月29日です。実施施設は九州大学病院、総括責任者は九州大学病院眼科・科長の石橋先生です。対象疾患は(5)にあるとおり、網膜色素変性です。導入する遺伝子は、神経栄養因子であるヒト色素上皮由来因子のhPEDF遺伝子です。網膜色素変性に係る記載は49頁です。
 網膜色素変性は、「視細胞と網膜色素上皮細胞の機能を原発性、びまん性に傷害する遺伝性かつ進行性の疾患群」と定義され、「網膜色素上皮細胞に特異的に発現している遺伝子の異常により起こるもので、遺伝性の疾患である」と記載されています。「日本では3,400~8,000人に1人の頻度で起こり、遺伝性疾患としては比較的頻度が高く、また、日本における成人の失明原因の上位に位置する」と記載されています。本疾患における遺伝子異常の候補遺伝子は40種類以上が報告されていますが、これらの遺伝子異常が認められる頻度は20%以下にとどまっているとされ、その意味では未知の遺伝性疾患です。本疾患に対する現行の治療法では有効性が明確に確認されたものはないとのことです。
 当該遺伝子を選択した理由は53頁です。「本疾患は視神経のアポトーシス死による変性が起こることから、それを抑制する効果のある神経栄養因子を用いた」ということです。「視神経に対するアポトーシス死抑制効果を示す栄養因子はこれまでに複数報告されているが、その中で今回用いたものは眼内に豊富に存在する内因性の因子である血管新生抑制も併せ持つことから選んだ」と記載されています。
 2頁に戻ります。用法・用量は、局所麻酔下での硝子体手術により硝子体を切除後、ベクター液を網膜下4カ所に1回注入する。ベクター液の濃度は、低用量と高用量の2段階を設定するというものです。目標症例数は、低用量5例と、低用量の10倍濃度の高用量15例の20例です。注入後少なくとも28日目のデータを基に評価委員会で急性期の安全性など低用量でのステージの安全性を確認後、高用量のステージに入るとしています。この辺りについては51頁に書かれています。
 次に、(6)「研究の概略」をご覧ください。対象患者についての詳細は52頁または71頁のいちばん下から72頁にかけて記載されています。網膜色素変性と診断された満40歳以上の患者さんで片方の目のみを対象とする、としています。
 (7)「その他(外国での状況)等」です。当該研究に用いられるベクターは九州大学で開発されたものであり、国内外で本ベクターによる臨床試験は実施されていません。41~90頁、説明と同意書は91~164頁です。
 続いて、3頁をご覧ください。作業委員会の審議概要です。1)にあるとおり、作業委員会の開催日前に事前の意見・照会事項の回答を取り、主な意見・照会事項及び回答の概要を記載しています。アでは、「本臨床研究は安全性を主要エンドポイントとしているが、副次的に治療効果を観察することは可能か」に対して、「視力検査・視野検査の結果により視機能を評価する予定である」「副次的には判定することは可能」という回答を得ています。イでは、「網膜色素変性は原因遺伝子が違えば臨床症状、PEDFへの反応性が異なり、すべての網膜色素変性患者を対象とした方法では有効性の評価は困難であると考えられる。遺伝子検査を行わない理由を説明すること」に対して、「hPEDFは網膜色素変性患者集団に対し一定の比率での効果を示す可能性があることから、原因遺伝子を同定することを適用基準には含めないこととした」、また、「原因遺伝子と治療効果の因果関係を調査することが重要であるため、被験者から同意が得られた場合は遺伝子解析を行うための血清サンプルを採取し保存するように改訂する」としています。ウでは、「ベクターの品質管理試験について証明書を出すこと」に対して、「品質管理試験については平成23年度中に実施する予定であり、終了次第、証明書等を提示する」としています。オでは、「SIVベクターとHIVベクターと性能の違いを説明すること」という指摘に対して、ここに記載のような回答がありました。カでは、「SIVを含めたレンチウイルスベクターについては、自己不活性化された場合であっても遺伝子挿入変異誘発による腫瘍発生の危険性があることを実施計画に明確にすべきだ」に対しては、「改訂する」としています。キでは、今回のものとは違いますが、「レポーター遺伝子を搭載した第2世代ベクターを用いたラット網膜下投与試験で細胞傷害性が認められている。ベクター投与そのものによる網膜変性の可能性について今後何らかの検討をしているか」に対して、「第3世代のSIVベクターをカニクイザルに網膜下投与した長期安全性試験においては同様の細胞傷害は認められていない」「しかしながら、本研究においても眼底検査、網膜電図測定等により詳細な評価を行っていきたい」と回答を得ています。サでは、「カニクイザルを用いた長期安全性試験において眼底所見では投与部位の網膜変性を認めるとされているが、この点について考察すること」に対して、「同様の所見は溶媒を投与した際にも認められる」として、「投与手技によるものではない」、また、「ベクターによるものではないと判断している」と回答を得ています。
 以上のようなやり取りの後、作業委員会での審議については、5頁の2)です。作業委員会は2回の審議を行っています。第1回目の審議では、総括責任者より説明を受けた後、委員間で実施計画の妥当性について審議が行われました。その結果、「概ね了承されたが、未提出の品質管理試験の結果、増殖性レンチウイルスの検出に関する事項を確認することとされた」とされています。その下が、それに関するやり取りです。アで、「ヒトに初めて投与されるSIVベクターの安全性を確認するため、ベクターの製造方法と品質管理試験の詳細を示すこと」としています。これに対して、「一部の試験について提出された」というものです。第2回の審議では、前回の審議時に未提出であった品質管理試験の実施状況及び増殖性レンチウイルスに関する追加の照会事項に対する回答について検討されました。そこでもまた指摘事項が少し出されたとのことです。それについても回答され、最終的に残っていた品質試験の最終報告が6月11日提出されました。
 7頁の3が結果です。これらの論点整理を進めた結果、「実施計画及び患者への説明、同意文書を適切に反映させた上で、本作業委員会としては本実施計画の内容が科学的に妥当であると判断した」となっています。
 続いて、カルタヘナの検討状況について説明します。資料は165頁からです。167頁が当該委員会の委員の先生方の名簿です。
 166頁の評価結果をご覧ください。遺伝子治療臨床研究によるカルタヘナ法の第一種使用規程の対象となる遺伝子組換え生物等の種類の名称が、いちばん上に書いてあります。評価は、173~188頁の生物多様性影響評価書に基づき審査され、その内容は166頁の(1)に記載されています。結論はいちばん下の欄の(2)にあるとおり、169~171頁の「第一種使用規程に従って使用した場合には、生物多様性に影響が生じるおそれはないとした生物多様性影響評価書の結論は妥当であると判断した」としています。以上です。
○永井部会長 
 これについても、島田先生からコメントをいただきたいと思います。
○説明者(島田委員長)
 この申請は、目の網膜色素変性症に対する遺伝子治療です。いくつか新しいところがあります。1つは、世界で最初にサル由来のレンチウイルスを使ったプロトコールであることです。もう1点は、このベクターを外国企業、中国の企業なのですが、そこが製造しているということで、このウイルスベクターの安全性と品質がいちばんの議論になりました。実際にこれで見ておわかりのように、申請は平成22年9月に行われているのですが、それから1年以上かけてベクターの安全性についてのチェックが行われたのです。膨大な品質評価のデータを出してもらったのですが、最終的には、このベクターで治療することは問題ないだろうという結論に至りました。
○永井部会長 
 ありがとうございます。それでは、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。
○井部委員 
 被験者になられる方は視覚障害がある方だと思うのですが、どのように説明をするのか、説明をする工夫のようなものがあるのかを教えていただきたいと思います。
○説明者(島田委員長)
 具体的にですか。これは作業委員会でも議論になりまして、視覚障害の方にもきちんと説明できるような方法で説明するということにはなっています。具体的にどのような方法かについては、ちょっと。
○尾崎研究企画官 
 それについては、やり取りが作業委員会でされています。いわゆる、医薬品のGCP52条に準じ、説明に対して公正な立会人、総括責任者や分担責任者や協力者を除く中立的立場にある者を同席させた上で、口頭で説明文書の内容を十分に説明して、被験者が本臨床研究に参加することに口頭で同意し、さらに、被験者が同意文書に記名捺印または署名し、日付を記入した後に、立会人も同意文書に記名捺印または署名し、日付を記入し、被験者が臨床研究の内容等を理解し、自由意思により同意を得たものであることを証するようにします。加えて、本臨床研究担当のコーディネータを大学として配置し、CRCによる説明補助も行うとしています。また、被験者本人が繰り返し確認できるよう、音声録音した説明文書の作成についても検討しているとしています。
○松田委員 
 ご指摘のように、ウイルスベクターの安全性、品質、安定供給、これはいちばん重要な鍵だと思います。このCMOの中国メーカーの実績はいかがなものなのでしょうか。
○説明者(島田委員長)
 この点に関しても、九大とだいぶ意見交換をしました。この会社自身は既に中国国内ではかなりの数のプロトコールにベクターを供給しています。それから、日本に対しても、センダイウイルスという既に日本で行われているウイルスの作成に関わっています。ただ、このウイルスに関しては、これはとにかく世界で最初ですから、いちばん最初の製造になります。
○宮田委員 
 これは研究としてはいいのですが、将来もしこれがうまくいったら商業化も考えなければいけないと思うのです。知財について、また、ここにアドバイザーと入っているディナベックとの関係を確認させてください。
○説明者(島田委員長)
 私の理解している範囲では、ベクターの開発はすべてディナベックで行われていますので、そういった意味で、知財はすべてディナベックに属していると思います。中国の製造会社も、正確かどうかわかりませんが、実際はディナベックのベクターを一手に引き受けて作るような組織です。
○永井部会長 
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ご異議がなければ、ただいまの作業委員会からの報告について科学技術部会としては了承とし、厚生科学審議会へ報告させていただきます。
 続いて、東京大学医学部附属病院からの申請です。私はこのプロジェクトに関わっていますので、部会長代理の福井委員に進行をお願いします。また、塩見委員も東京大学に所属されていらっしゃいますので、本件の審議についてはご発言を控えていただきます。
○福井部会長代理 
 それでは事務局より、作業委員会の説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官 
 東京大学医学部附属病院の遺伝子治療臨床研究実施計画についての説明を資料1-3に基づいてさせていただきます。本件実施計画については、科学技術部会で既に了解の結論をいただいておりますので、その経緯だけを簡単に説明し、引き続き第一種使用規程に係る意見に関する作業委員会の審議結果を説明いたします。
 実施計画関係は、資料の1頁です。東京大学医学部附属病院から、下記にある「ホルモン療法抵抗性再燃前立腺癌に対する増殖型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスG47Δを用いた臨床研究」の申請がありました。この研究で使用される遺伝子組換えウイルスのG47Δは、この時点で、同じく東京大学医学部附属病院で行われている、グリオーマに対する遺伝子治療臨床研究で使用されているものと、構造も品質も同一のものでした。
 そこで、最初の○にあるように、指針の項目に従って複数の有識者に意見を伺った結果、指針第5章第1の3のいずれの項目にも該当しない、即ち新規性はなく、その他個別の審査を必要とするような事項も含んでいないと判断されたものです。
 しかしながら、この「新規性なし」の判断は初めてのケースということもあり、また指針の制定経緯、これまでの解釈事例を踏まえて、資料の3頁から5頁にあるように、11月9日の厚生科学審議会で意見を聞いたものです。「新規性なし、即ち実施して差し支えない。」と科学技術部会で判断されたものです。科学技術部会での当該研究計画に対する判断は終了しているものです。参考として実施計画概要書を、通し頁の9頁から28頁に付けています。
 続いて、遺伝子治療臨床研究に係る、いわゆるカルタヘナ法の生物多様性影響評価に関する作業委員会の検討結果の概要を説明いたします。資料の通し頁の29頁からです。遺伝子組換えウイルスとしては、先の東大のグリオーマの研究と同じであるが、癌種の違いがあることから、使用方法等が違うということであり、当該委員会での検討の必要がありました。
 33頁は、当該委員会の委員名簿です。30頁に評価結果があります。遺伝子組換え臨床研究によるカルタヘナ法の第一種使用規程の対象となる遺伝子組換え生物等の種類とか名称はここに書いてあるものです。その評価結果については、その下に書いてあるものです。組換えウイルスとしての生物多様性影響評価書については、先般のグリオーマの遺伝子治療臨床研究の際の資料と内容的には全く同じものです。作業委員会としては、30頁の(1)にあるように判断し、(2)の結論と同じ結論になっています。
36頁から37頁に第一種使用規程が載っていますが、この第一種使用規程に従って使用した場合に、生物多様性影響が生じるおそれがないとした、生物多様性影響評価は妥当であると判断したものです。この第一種使用規程については、先ほど申しましたように癌種が違うということ。グリオーマではなくて、前立腺癌ですので、第一種使用規程の(4)の文章はもちろんグリオーマとは違っています。
 なお、今回申請された第一種使用規程の検討においては、今回の遺伝子組換え生物が、先ほどの岡山大学と同じように、腫瘍融解ウイルスであり、グリオーマとは違って前立腺癌に使用される。グリオーマは閉鎖系的な空間で脳内に出来る癌であるわけですが、前立腺癌への使用では、尿中への排出をより考慮し、グリオーマとの差異を踏まえた検討をした結果、31頁の別紙2にあるとおり、いわゆるセカンドピークと呼ばれている、投与後一旦減少した尿中のウイルスが再び増加し、検出される可能性があることの取扱いを中心に、ウイルスのモニタリングについての審議と意見交換を2回にわたって行い、ここに書いてある結論になりました。
 基本的には先ほどの岡山大学と同じような内容となっています。セカンドピークのために、わざわざ個室管理を延長するようなことはしないということです。実施計画の中でウイルスの検査をしていく中で、そのデータを見ていく結論にしました。以上です。
○福井部会長代理 
 ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。せっかくこれだけの労力を費やして行う研究なのに、新規性なしというのはなんとなく気の毒な感じがしますが…。もしご異議がないようでしたら、作業委員会からの報告について、科学技術部会として了承し、厚生科学審議会へ報告することといたします。
○永井部会長 
 審議事項1は、遺伝子治療臨床研究(2)三重大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、財団法人田附興風会医学研究所北野病院からの多施設共同研究に係る申請です。事務局から説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官 
 まず一般的な話からですが、遺伝子治療臨床研究に関しては、研究計画を検討する作業委員会と、カルタヘナ法を検討する2つの作業委員会で検討が行われております。昨年11月9日の科学技術部会での検討経緯を踏まえ、遺伝子治療臨床研究作業委員会の検討結果について説明いたします。資料は資料2-1、資料2-2になりますが、説明は資料2-1で行います。
 資料2-1の21頁です。昨年11月9日に作業委員会から科学技術部会に報告された意見書です。今回検討する計画については、繰り返しになりますが一言で言うと、既に実施が了承されている三重大学医学部附属病院の安全性確認のための第I相的な遺伝子治療臨床研究計画を、途中で多施設共同研究にするものです。21頁の記載のとおり、今回は三重大学医学部附属病院からの1つの変更報告書と、大阪大学医学部附属病院と北野病院からの2つの申請がされているものです。これが資料2-2と資料2-3になります。
 本件については、複数の有識者に新規性について意見を求めたところ、多施設共同研究への変更は初めてであることや、医療機関間の搬送に係る細胞の品質の確保についてのデータが、その時点ではあまり付いていないことなど、これで十分なのか、受入試験等をどう求めるかなどの技術的事項があるということでしたので、作業委員会を設置し、整理することとしたいということで部会に諮り、作業委員会での検討が了承されたものです。
 既に了承されている三重大学医学部附属病院の研究計画の概要について説明いたします。22頁の(5)から(7)をご覧ください。当該研究の対象となる被験者は標準的な治療法である化学療法、放射線療法等による効果が期待できない治療抵抗性の食道癌に罹患しており、その食道癌にMAGE-A4という癌抗原が発現します。白血球の型は(HLA)-A2402です。MAGE-A4は、アミノ酸9個のペプチドです。被験者のリンパ球を採取し、そこへMAGE-A4という癌抗原を認識するT細胞受容体の遺伝子をレトロウイルスベクターで導入するものです。この導入は、三重大学医学部附属病院で行われるものです。当該遺伝子を導入したリンパ球は、理論上MAGE-A4を認識するT細胞受容体を発現し、その癌細胞のみを認識し、攻撃・破壊できるようになるというものです。当該リンパ球を、患者の体内に点滴で戻し、投与後14日目、28日目の2日間、計2回MAGE-A4を投与し、先のリンパ球の活性化、あるいは増殖を促すものです。遺伝子導入されたリンパ球等が癌細胞のみを認識し、攻撃・破壊するという流れで考えているものです。
 研究の目標症例数は、漸次用量を多くし、3用量で1用量3例の基本的に9例となっております。ただし、増加基準に従い、1用量6例まで拡大できるということで、最大18例で行われるものです。安全性を調べることを目的とした臨床試験で、治験でいえば第I相試験に相当すると説明されているものです。今回申請された一連の計画では、大阪大学医学部附属病院と北野病院は、基準に合った被験者のリンパ球を三重大学医学部附属病院に持ち込んで遺伝子導入をしてもらい、導入後のリンパ球を戻してもらい、被験者に投与するものです。なお、今回の研究計画での多施設共同研究への移行によっても、目標症例数を変更することはないというものです。
 23頁の2からが11月9日の科学技術部会に報告された審議概要です。これについて、11月9日の科学技術部会においては、24頁のマル3の作業委員会の検討について、より具体的に文書で科学技術部会に示すようにという結果になりましたので、それに伴い3病院に対しても、今回の臨床研究をこの時点で多施設に変更することとした理由と、妥当性・合理性について、科学的・倫理的な視点から整理したものを求め、その内容について作業委員会でも確認することとなりました。
 3病院からの3月7日付の回答が7頁から9頁です。7頁の下から5行目辺りに引用されている通知については、10頁から19頁に事務局で添付しました。通知の多施設に関するところは資料の17頁にある、第3章の「複数の医療機関において共同で実施する場合の要件」に書いてあります。
 3研究施設からの回答を受けた作業委員会の意見は、この資料では、頁が前へ行くほど新しくなって、5頁から6頁になります。これは、前回5月16日の科学技術部会に提出されて審議が行われたものです。前回5月16日の科学技術部会では、作業委員会で再度科学的な問題として検討し、より明確になるようにまとめてもらうということになりました。それを受けての今回の資料となり、作業委員会からの追加報告が1頁から3頁になります。
 これを読み上げます。(1)本件の論点について。本遺伝子治療臨床研究については、安全性評価を主要エンドポイントとした単一施設における第I相試験として、その実施計画が了承され開始されたところ、その安全性評価が終了していない途中段階で、多施設共同試験に変更することの是非が論点である。
 注を見ますと、「本件は当初より多施設共同研究として計画された遺伝子治療臨床研究を実施することの是非とは別の問題である。作業委員会においては、遺伝子治療を推進するためにも、多施設共同研究を実施すること自体を否定するものではない」と書いてあります。
 (2)臨床試験の方法論について。医薬品等の臨床開発においては、一般的に段階的な臨床試験を行いながら、各段階ごとに有効性・安全性等を評価した上で、それに基づき次の段階の臨床試験が計画され実施される。このような段階的な方法論が採用されているのは、有効性・安全性が未知の医薬品等をヒトに投与する以上は、科学的及び倫理的な観点から、その有効性や安全性を慎重に確認しながら研究開発を進める必要があると考えられているためである。この考え方は医薬品の開発に限らず、患者の協力を得ながら進める遺伝子治療や細胞治療などの先端医療研究の方法論としても、世界中の共通認識となっている。特に第I相試験は、ヒトの安全性を確認する最初の段階であることから、より慎重に段階的な手続を踏むことが重要となる。
 (3)本臨床研究において、途中で多施設共同研究に変更することについての具体的問題点。本臨床研究は、第I相の試験であるが、その途中段階で多施設共同研究に変更した場合、例えば被験者の選択や治療効果・副作用の評価に関わる医師・研究者の構成が変更になることにより、被験者の選択やデータの解釈に影響が生じる可能性がある。また、合計9人という小人数の第I相試験の途中で、研究経過から多施設共同研究に変更された場合、安全性の評価が十分に行えない可能性がある。さらに、当初の実施計画に同意して、本研究に参加した被験者(多くは既に亡くなられている)にとっては、自分が参加した臨床研究が、説明なしに途中で変更されたことになる。
 次の○で、このため、第I相試験の途中段階で多施設共同研究に変更することは慎重に判断すべき。原則を曲げて試験の途中で計画を変更するためには、その理由は示される必要がある。しかし、再度の照会に対する申請者等の回答においても、多施設共同研究の重要性を述べるのみで、途中で変更するだけの必要性は示されていない。
 申請者が途中で多施設共同研究に変更した理由に挙げている医政局長通知においても、ここに書いてあるように「一定の有効性及び安全性の評価が行われた後には、複数の医療機関において、共同で同じ再生・細胞医療を実施することが考えられる」と述べられており、安全性の評価が行われていない途中段階での多施設共同研究への変更を容認することを述べたものではない。
 3頁です。次に、多施設共同研究への変更を認めることにより、三重大学以外での治療を受けることになる患者にとっての利益としては、三重大まで通う必要がないという点が考えられる。一方、不利益としては、当該遺伝子治療臨床研究の経験がない施設で治療を行うことによるリスクを被る可能性がある。また、そもそも当該遺伝子治療臨床研究による利益があるかどうか自体は、現時点では証明されておらず、治療を受けることが患者の利益になるとはいえない。
 以上の理由により、作業委員会としては現在進行中の三重大学医学部附属病院の臨床研究はこのまま継続して完了させ、第I相試験としての安全性評価を行うべきであり、多施設共同研究については、新たな臨床研究計画として申請することが妥当であると考え、科学技術部会に報告したものである。
 まとめです。以上、これまで作業委員会での意見を整理したものであるが、今回問題になった第I相試験のあり方に関する議論は、今後、我が国の臨床研究の進め方に関する基本的課題という側面も含んでいることから、最終的には科学技術部会で判断されるべきであるということです。説明は以上です。
○永井部会長 
 これは、何回か科学技術部会で検討してきたところですが、これについても島田先生からコメントをいただけますか。
○説明者(島田委員長)
 この件に関しては、これまでの作業委員会からの説明が不十分だったこともあり、なかなか結論が出ない状況に至っていることに関しては大変申し訳ありません。今回、論点を再度整理した内容はいま説明があったとおりです。
 強調しておきたいことの1つは、多施設共同研究にネガティブな考え方を持っているのではないかという意見がこの部会でも出たそうですが、これは全く逆で、作業委員会としては、今後遺伝子治療を進めていくためには多施設で行う研究が絶対に必要であると考えています。ただ、これは全く初めての日本での試みなわけですから、これは多施設共同研究としての安全性をきちんとした臨床研究で検証していただきたいと。これの最近の情報を得たところ、最終的に9人の目標でいま進めているわけですが、実際にはもう6人に治療が終わっていて、7人目が既に開始されていますので、あとの2人をどうするかという議論なのです。これを多施設にしたからといって、多施設の安全性の評価にはならないわけですから、そういう意味では早く第I相試験を終了して、是非第II相試験として多施設での研究の安全性を検証していただきたいというのが、作業委員会からの意見です。
 最後のまとめのところにあることは、今回は遺伝子治療の問題として提起されてきたわけですが、おそらくこの問題は今後遺伝子治療に限らず、ほかの先端医療などでもこういう問題は起こってくるだろうということもありますので、最終的な判断は是非この科学技術部会でお願いしたいというのが作業委員会の意見です。
○永井部会長 
 安全性試験の途中で、単施設から多施設に変えることの、臨床研究上の是非ということも一時議論されました。しかし、作業委員会としては原則として多施設がいけないということではなくて、個々のケースで判断しないといけないということなのですね。
○説明者(島田委員長)
 はい。
○永井部会長 
 しかもこの申請に関しては、既に目標9例に対して6例まで終わって、しかも7例目が既に始まっている。そうすると、2例に対して多施設でどうするかという状況の中では、むしろ単施設でそのまま終了させるのがよろしいだろうという理解でよろしいでしょうか。
○説明者(島田委員長)
 現状としてはそういう状況です。
○永井部会長 
 いかがでしょうか。
○宮田委員 
 基本的にはこの報告書のようにちゃんと書いていただければ、もう少し早く判断ができただろうと。先ほど言った、症例数が増えたことが1つの根拠になっていますけれども、審議が長引いたことがその結果を招いたことは、我々は肝に銘じなければいけないのではないですか。それが1点です。
 それから、先ほどの島田先生の意を汲み取るために確認させていただきます。フェーズIは単施設でなければいけないという原則をここでお示しになったわけではないですよね。このケースではそうなりますけれども、一般的なケースとして、少数の施設でフェーズIにおいて安全性を確認するということはあり得ると考えていらっしゃるのですか、それを確認させていただきます。
○説明者(島田委員長)
 少数か単施設かというのはあれですけれども、基本的には単施設だと思います。これは、多施設では駄目なのかという証明がいままでなされたかといったら、たぶんなされていないと思います。もともと、これは薬の開発の方法論として出てきたわけですが、おそらく第I相に関して言えば、これは歴史的ないままでの経緯から、こういう形がいちばん無難だろうということだと思います。
これ以降の第II相、第III相になってくれば、これは科学的な検証がいままでいろいろな形でやられていると思います。第I相というのはある意味でおっかなびっくり最初にやるわけですから、できるだけ別のバイアスがかからないような形で、1つの試験でやるというのが世界的に行われている方法論ですが、これでは駄目なのかということが証明されているかどうかというのは私も認識していません。
○宮田委員 
 わかりました。ただ、それはもう少し調べたほうがいいかもしれません。フェーズIで、少数の施設という実例がないわけではないと思っています。
○説明者(島田委員長) 
 歴史的なことをいまお話したので、遺伝子治療とか、細胞治療などでは今後はあるべきだというのが作業委員会の意見でもあります。
○宮田委員 
 それを明確にしたかったのです。たぶん、ウルトラオーファンみたいなことを考えたときに、ひょっとしたら日本だけでは足りなくなる可能性だってあるということですよね、それを言いたかったのです。そこの混同をさせないためにいま質問させていただきました。
○福井部会長代理 
 私も、前回の会議で疑問に思った点があります。2頁の(3)の○に3つの理由を書いていただきました。最初の○は「治療効果・副作用の評価に関わる医師・研究者の構成が変更になることにより、被験者の選択やデータの解釈に影響が生じる可能性がある」ということです。こういうことが起こらないように、研究プロトコールをきちんと作って、人が替わっても同じ判断がされるという状況を前提として我々は研究を行います。したがって、Aという施設で確認されたことを、BやCという施設でも行うわけです。もしここに記載されている論理を引きずっていくと、それぞれの施設で安全性の検証をしない限り第II相に行けないように読めてしまいます。これが、私にとって引っかかる点です。
 ただ、「当初の実施計画に同意して、本臨床研究に参加した被験者にとっては、自分が参加した臨床研究は説明なしに途中で変更されたことになる」については確かにどうしようもないことで、倫理的には問題かと思います。
○説明者(島田委員長)
 1番目の問題もかなり議論になりました。我々としては、今後は多施設での共同研究の形で、こういう臨床研究を進めていくべきだと。そのためにはどうやったら、離れた施設で行う場合の評価基準の情報が共有できるかどうか、そのための委員会をどうつくるかとか、具体的なそういうことも含めた評価を次の臨床研究ですべき、してほしいと。ですから、1人とか2人ではなく、きちんとしたプロトコールで多施設の第I相あるいは第II相試験をしてほしいという希望を持っています。
○永井部会長 
 ガイドラインとの関係はどうなっているのでしょうか。
○説明者(島田委員長)
 それを、是非ここでお話したかったのです。これは申請者の先生ともお話をしました。なぜ今回はこういうちょっと変則的な経緯になったのかということの1つにはガイドラインの問題があります。現行の遺伝子治療のガイドラインというのは、多施設共同のことには全く触れていないというか、日本のこれまでのこういうガイドラインには出てこなかったのです。
 今回、医政局長通知に初めて「多施設」というのが出てきて、それで彼らはここで変えたということなのです。要するに、最初のガイドラインについての見解の相違というか、その内容の読み方があって、申請者は、これを申請した時点では、多施設共同研究は絶対駄目だというようにそのガイドラインを読んだということです。
 駄目だと書いてあるわけではないのですけれども、そういうことを全く考えていなかった時代のガイドラインなのですから、是非このガイドラインを今の時代に合った形にすることが非常に重要だろうと作業委員会でも考えています。現在そういう案をいくつか考えているのですけれども、その中では今後必要になってくる、多施設でのこういう研究の進め方についての内容も是非含めていくべきだと思っています。
○相澤委員 
 プロトコールのあり方ということでいくつか質問をさせていただきたいと思います。
医政局長通知により、多施設共同研究を認めていることをどのように評価するのかということがあると思います。先ほどの島田先生の見解では、多施設共同研究について、第I相では消極的に考えるべきだということでしたが、多施設共同研究を認める考え方との間にやや乖離があるのではないかと思います。
 もう1つは、プロトコールは変えられるというのが現在の決まり事ではないかと思います。そうすると、プロトコールをどういう理由の場合は変えられるか、どういう理由の場合は変えられないのかを明確にしておかないと、今後申請をする先生方が困るのではないかと思います。
 前回も議論になったと思いますが、そもそも多施設共同研究がいいのかどうかということが議論の根底にあるのではないかと思います。
 それから、福井先生ご指摘の点ですが、被験者は、当初自分が説明された施設において治療を受けることができていますし、その結果については広く利用されているというのはご理解いただいている筈ですから、その点については問題はないと理解しております。
○説明者(島田委員長)
 第I相で多施設共同を認めるかどうかというのはこれからの議論です。私自身もそうですし、作業委員会としては、それをこれからは認めるべきだと思っています。医政局長通知は、どちらかというと認めないという内容なのです。一定の有効性や安全性が評価されたら複数でもいいという表現なのです。この読み方が必ずしも皆さん一致していないと思うのです。この内容は、一定の有効性・安全性の評価が行われた後には、複数の医療機関において実施することを考えてもいいという文章なのです。
 いま作業委員会で考えているのは、遺伝子治療の場合にはこれより一歩進んで、第I相でもその状況によっては、例えば対象疾患によっては第I相でも多施設共同を認めるべきだろうというのがいまの考え方です。そういうものを含んだ指針を早急に改訂すべきだと考えています。
○桐野委員 
 もし、いま島田先生がおっしゃったようなことであるとすると、医政局長通知は一定の有効性及び安全性の評価ということですから、これはフェーズIIまでいかないと多施設はできないとも読めます。そういう意味では、この通知が曖昧であるということを一応考えた上で、次のステップに進まないと、このままでは進まないと思います。
○松田委員 
 今回の回答は、この部会で行った議論を踏まえての回答ということで、非常に腑に落ちる内容だと思います。しかし、こうやって何度も専門委員会とやり取りをする貴重な経験が是非活かされる形で、医政局長通知の表現、非常にオーファンな疾患とか、1桁台の患者さんを全国規模でどうやってリクルートしてやるかというケースというのは、当然遺伝子治療で起こり得るわけです。ですから、今回のこの議論をどうやって運用していくかというところに活かすべきだと強く思います。
○相澤委員 
 医政局長通知について事務当局はどのように解釈されているのですか。
○佐原研究開発振興課長 
 資料2-1の17頁の第3章の冒頭に書いてあるとおりだと我々としては考えております。実施初期には、1つの医療機関において行われるが、一定の有効性・安全性の評価が行われた後には共同で実施することは考えられるというのは、原則としてはこうなのだろうと思います。ただ、どこまで、ウルトラオーファンとかいろいろな状況がありますので、ケース・バイ・ケースでどのように対応していったらいいのかというのは確かにご議論があるのではないかと思います。
○相澤委員 
 そうすると、「行われるが」というのは、行わなければならないという意味と解釈されるべきだとお考えでしょうか。
○佐原研究開発振興課長 
 必ず行わなくてはいけないかどうかというのは、私も科学的にどうかというのはもう少しご議論いただきたいと思います。一般的にフェーズIというのは、特定の施設でやっていくのが通常の方法であると思います。特に、ファースト・イン・ヒューマンみたいな、初めてヒトに投与するようなものについては、慎重に特定の人について、きちんとしたスタッフ、それから設備の中でやっていくのが一般的なことではあると思います。
○相澤委員
 お聞きしているのは、一般的な状況の説明ではなくて、医政局長通知の解釈を確認させていただきたいということです。
○松田委員 
 島田先生のほうでは先ほど、今後遺伝子治療等で、多施設でフェーズIをやるようなことも検討しなければいけないとおっしゃいました。それを、どういう手順でルール化していくかという、具体的な進め方のアイディアはお持ちでしょうか。
○説明者(島田委員長)
 差し当たっていまできるのはガイドラインを改訂する。そういう意味では、今回の三重大のケースは非常に重要なケースだと思います。こういうことを参考にして、どうすれば情報がきちんと共有されて、安全性情報がすべての施設で共有できるような体制がつくれるかというのは、ガイドラインとしてまとめていくのがいますぐできることだろうと思います。その上でガイドラインに沿った形の臨床研究を最初は慎重にですけれども、やはり多施設でやってもらうということで進んでいくのが進め方だと思います。
○永井部会長
 医政局長通知は、再生医療の、細胞医療の話なのです。それを三重大学がご覧になって、遺伝子治療も可能ではないかということでアクションをとられたというのが1つ背景にあったのだと思うのです。遺伝子治療については、医政局長通知は出ていないと考えたほうがよろしいですね。
○宮田委員 
 ただそうは言っても、いまは錯綜しています。iPS細胞を、例えば幹細胞指針でやるとしても、これは遺伝子治療、遺伝子操作です。そういう意味では、三重大学がこれでもって彼らが遺伝子操作した細胞で細胞治療するのだという解釈も成り立つわけなのです。そろそろ全体のガイドラインを整理しないといけないと私は思います。遺伝子治療と再生医療、あるいは幹細胞治療を分けられるのか、あるいは重なったときにどのようにすべきかということも想定した上で、少し枠組みの整理は必要です。
 それはやっていただくとして、今回の問題をもう少し整理しないといけません。相澤委員がご指摘になったことは非常に重要で、今回のことが前例になったときに、途中変更で複数施設でやるのは駄目という解釈をとるのか、そうではなくて今回のケースの場合にはこういう理由で駄目なのだというのは、一般的に駄目なのか、ある理由があって駄目なのか。
 島田先生の報告書を読ませていただくと、三重大学とか参加機関の人たちにいろいろ誰何をして、なぜ複数でいまやらなければいけないかということに関して十分な回答がなかったと1行書いてありますが、そう思われた背景は何なのですか。先ほどからの議論を聞いていると、例えばウルトラオーファンのように、患者数が極めて限定されているときには、どうしても複数でやらなければいけないということをお話になっていますが、この三重大学のケースでは、患者数がそこまで希少ではないと認識したから途中変更は認めないと書いてあれば、私は非常によくわかるし、論理的だと思うのですが、そういうことではないのですか。
○説明者(島田委員長)
 はっきり言えば、何の説明もないというのが本当のところです。原則は重要ですよ。原則は重要なのだけれども、原則を変えるということはもちろんあっていいのですけれども、それはそれなりに理由が必要なのです。例えば、どうしても患者が集まらないと泣きを入れられたら、それは考えるべきだと思うのです。ただ、実際は進んでいるわけで、しかも今回の場合は癌の患者さんなわけですから、少なくともオーファンとは言えないです。しかも実態を聞いてみたら、既に9分の7までいっているのに、なぜ原則を曲げなければいけないのかというこちらからの質問に対して、何ら答えがないわけです。宮田先生が間接的に聞いた話では、なぜ駄目なのかということを盛んに我々のほうに投げかけたということですけれども、なぜ変えるのかという説明は絶対に必要だと思います。
○宮田委員 
 それはわかりますけれども、いまのお話を聞いていると、やはり患者数の問題ですよね、そうではないのですか。例えば、患者数がうんと少なくて、単一施設ではなかなか集まらないということですよね。
○説明者(島田委員長)
 もちろんそうです。
○宮田委員 
 もしガイドラインを改訂するならば、鍵になるのはそこかなと。今回のケースが、そのまま9例までやってくださいという判断になったのは、患者数をきちんと確保できる状況の判断ではないかと思っています。私たちがここで議論しなくてはいけないのは、別に手続の形式とかという問題ではなくて、本当に遺伝子治療の有効性と安全性を確認して、いち早く患者さんに返すにはどうしたらいいか、ということを中心にして議論しなければいけないと思うのです。
 これだけ長い間議論していて、そこを明確にできないということ自体は非常に問題だと思っています。本日こういう議論がきちんとできて、今回の判断の核になったところが見えてきました。それは、今後ガイドラインの改訂などに活かしていただきたいし、それから申請をする方もそれが参考になるということだと思います。いままでにいただいた報告書では、それがいくら読んでもわからなかったのです。そこに問題があるし、時間を空費したということはこの議事録に載せなければいけないと思います。
○野村委員 
 私は素人なのでどなたかにお答えいただきたいのですけれども、先ほど相澤委員が、医政局長通知の文言の解釈について、お答えはまだないですけれども、確認された、あのとおりの読み方でいって、かつ松田委員が島田先生に確認されたときに、結局ガイドラインの改訂が必要ではないかとおっしゃられたことを考えると、第I相の安全性を確かめる試験については、現時点で多施設でできるという根拠の通知や文言はどこにも存在しなくて、事実上できないという理解でいいのでしょうか。
○谷再生医療推進室長 
 現状、ヒト幹指針においては複数施設における研究については、指針上で評価をして行っています。実質的にフェーズIに当たる安全性の評価について具体的に挙がっているものというのは形式上はあるのですが、実質上ヒト幹前から実施されていて、ある程度安全性がわかっているものについては、安全性のところで入りそうになっているのはあるという段階です。
 今回の通知は、基本的には医療として提供されるものを前提とした通知で、研究という切り口をメインに出しているものはないということです。枠組み検討会の中で検討されたものですので、これをイコール臨床研究というサイエンティフィックな結果を得ることを1つの目的としたものに当てはめるのはちょっと乱暴かという感覚は持ちます。ヒト幹指針の中において、多施設共同でフェーズIをやるに当たってちょっと危惧している部分というのは、当然生きた細胞が実際の治療に使用されることになりますので、輸送というストレスのかかる状況でどのぐらい細胞に関して負荷がかかるのかによって、細胞の輸送がない場合には安全性が確保できるのだけれども、輸送という負荷をかけたことによって、ある程度の求められる機能が低下していた場合の評価がなかなか難しいということがあります。そういうものを含めた形で当初からその計画は立てられていなければ、安全性の評価というのは一概には言えないだろうということで、そういうものも含めて評価をさせていただくしかないかと思っております。
○永井部会長 
 遺伝子治療については、あるいは細胞の臨床研究については、その安全性のところを多施設でやってはいけないと。あるいは、いいともいけないとも書いてないということなのですね。
○説明者(島田委員長)
 かえって混乱するとあれなのですけれども、我々もこれはかなり議論いたしました。まさにこの遺伝子治療、三重大学の遺伝子治療は、そういう意味では細胞治療なのです。第I相は単施設であるというのは原則なのですが、実際にいまでも医薬品に関しては第I相を多施設でやることはあります。例えば、抗癌剤の第I相をやるときには薬を配布するだけですから、ある決まった薬をいくつかの病院でやることはあります。ただ、今回の遺伝子治療とか、いま言っている細胞治療の場合は、ただ単に薬を持っていくというだけではなくて、生きている細胞が行ったり来たりするわけです。そういう意味では慎重にやらなくてはいけないというのはあります。
 だけど、それをやらないと遺伝子治療や細胞治療は絶対に進んでいかないわけですから、それをやるためのシステムをつくることは非常に重要で、だからそれの安全性の検証はきちんとやらなくては駄目だというのが作業委員会の意見なのです。
○福井部会長代理 
 この前の資料では、搬送とかその手続のところは問題がないと書いてあったものですから、そうであれば問題ないのかと私は思いました。テクニカルにです。
○説明者(島田委員長)
 わかりました。それは表現があまり適当でなかったのだと思います。あの意味は、このやり方だったら、第I相の多施設の試験をやってもいいだろうという意味であって、このやり方なら何でもいいですという意味ではなくて、考えられる範囲では非常によく検討されている。だけど、必要なのはこの方法で安全性を第I相試験できちんと検証するということなのです。検証するための前段階としては、この方法は問題がないだろうという意味なのです。まだ誰もこういう方法で多施設でやったことはないわけです。
○永井部会長 
 よろしいでしょうか。この案件について三重大学には、多施設はノーであって、単独施設で続けていただきたいということ。今後の課題として、特に島田先生からはガイドラインのあり方、多施設、単独施設、安全性評価に関するガイドラインの改訂を含めた検討が必要であるという取りまとめでよろしいでしょうか。そういうことで、この件についてはただいまの結論にしたいと思います。ありがとうございました。
 議事2は「ヒト幹細胞臨床研究について」です。国立長寿医療研究センター等2機関の申請については、7月4日に厚生労働大臣より諮問され、6日付で当部会に付議されております。事務局から説明をお願いいたします。
○谷再生医療推進室長 
 まず資料3-1をお手元にご準備ください。座長からもご提示がありましたとおり、国立長寿医療研究センターの研究課題です。こちらの研究課題においては、同時に出ております愛知学院大学の歯学部との、まさにフェーズIにおける共同研究という形で申請が上がっておりますので、まずはご説明させていただきます。
 申請書を1枚めくりますと付議の書類、4頁が概要、5頁目が全体のシェーマです。今回の研究は、国立長寿医療研究センターにおいて細胞の採取を行い、愛知学院大学に細胞を搬送して培養を経て、そのあともう一度国立長寿医療研究センターに戻して移植をするという研究計画です。
 今回の研究計画の課題ですが、「自己歯髄組織由来幹細胞を用いた抜髄後歯髄組織再生療法開発」。申請日は平成24年4月12日で、先んじて専門委員会では審議に入っている案件です。実施施設及び研究責任者としては、国立長寿医療研究センターの中島美砂子先生です。対象疾患は不可逆性歯髄炎。ヒト幹細胞の種類としては培養自己歯髄組織由来幹細胞。実施期間及び対象症例数は、実施許可が出てから2年半、5症例となっております。
 治療研究の概要ですが、20歳以上55歳未満の歯髄炎患者において、抜髄後根管充填を行う際に不用歯より採取・培養した自己歯髄由来幹細胞をG-CSFとともにコラーゲンゲルに懸濁して移植を行う。細胞培養は共同研究機関である愛知学院大学歯学部において行い、移植後6週間の観察を行って、有害事象の有無の評価を行うものです。
 外国での実施状況は、2009年に自己歯髄間葉系細胞を増やし、歯槽骨再生を行った報告がなされておりますが、歯髄再生を行った臨床研究はいまだ報告はありません。研究者においては、イヌ抜髄モデルにおいて歯髄再生を確認している状況です。新規性については、研究責任者らが開発した「自己歯髄組織由来幹細胞を用いた歯髄組織再生療法」に新規性があるとしております。
 22頁に、愛知学院大学の申請があります。今回のケースについては、プロトコールは共通のものを用いており、愛知学院大学においては、同様の採取した歯髄幹細胞についての培養・分化を担当しているという内容ですので、詳細な説明は割愛させていただきます。以上です。
○永井部会長 
 何かご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ご意見がなければ、審査委員会のほうで論点整理を行っていただき、その結果を当部会に報告します。ありがとうございます。
 続きまして、(2)「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について」です。名古屋大学医学部附属病院の1件及び金沢大学医薬保健研究域の2件について、審査委員会の検討結果の説明をお願いいたします。
○谷再生医療推進室長 
 資料3-2をお手元にご用意ください。まず、ヒト幹細胞臨床研究に係る実施計画で、審議の終わったものをご報告いたします。
 まず、名古屋大学医学部附属病院です。2頁に概要、4頁にシェーマが載っております。少し印刷の関係で見えにくくなっておりますが、ご容赦ください。
 まず2頁、研究課題名は、「ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた重症虚血肢に対する血管新生療法についての研究」です。申請年月日は平成21年9月9日、実施者及び研究責任者は、名古屋大学医学部附属病院の室原豊明先生です。対象疾患は、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病による重症虚血肢です。ヒト幹細胞の種類としては、ヒト皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞です。実施期間は、登録期間は意見発出日から5年間ですから、大臣意見が出てから5年間となっております。対象症例数は、40症例です。
 治療の概要ですが、重症化した末梢動脈疾患の患者のうち、既存の治療で十分な効果が得られない症例に対して、皮下脂肪組織由来間葉系前駆細胞(ADRCs)による血管新生療法を行う。皮下脂肪組織から脂肪吸引にて脂肪組織を吸引し、ADRCs分離装置を用いて分離を行います。虚血肢の骨格筋内40~60カ所に移植を行い、治療効果と安全性を評価する、となっております。外国での状況ですが、2001年UCLA大学のZukらにより、皮下脂肪組織から間葉系前駆細胞が発見同定されております。研究責任者らにより、この間葉系幹細胞の移植によって、移植細胞と虚血組織から血管新生増強因子が分泌され、骨髄から血管内皮前駆細胞が放出され、血管新生を増強するという機序が明らかになっております。
 5頁から審議の内容が掲載されております。まずプロトコールについてです。「ヒトに対する投与の安全性が不明である治療との認識であることから、まずは単施設の少数例で開始するべきではないか」という指摘に対し、「3施設で共同のプロトコールで実施することで、より正確な評価ができる」というような回答を得られています。
 また、2つ目の○ですが、「作用機序が異なる疾患すべてを含めることの説明がほしい」に対し、6頁に、「細胞由来のサイトカインが主たる治療効果であり、対象疾患にもある程度の効果が期待される」となっております。このように5回の審議がされました。
8頁の最後に、委員会の結果が掲載されております。3.ですが、「名古屋大学医学部附属病院からのヒト幹細胞臨床研究実施計画に関して、ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会は、主として倫理的及び安全性等に係る観点から、以上のとおり、論点整理を進め、実施計画内容が倫理的・科学的に妥当であると判断した」ということで、本委員会に報告となっております。
 27頁をお開きください。金沢大学医学部からの申請です。研究課題名は、「自己脂肪組織由来間質細胞を用いた再生医療に関する臨床研究-虚血性心不全に対して-」です。申請年月日は、平成23年2月17日。実施者及び研究責任者は、金沢大学医薬保健研究域の金子周一先生です。対象疾患は虚血性心不全、ヒト幹細胞の種類は、ヒト自己皮下脂肪組織由来間質細胞となっております。実施期間については承認日から3年間。大臣意見が出てから3年間ということで、6症例となっております。治療の内容ですが、急性または陳旧性心筋梗塞による低左心機能患者に対して、自己脂肪組織由来間質細胞を経冠動脈的に投与を行い、その安全性及び有効性について検討を行う。全身麻酔下に腹部、臀部または大腿部の皮下脂肪から脂肪組織を吸引し、脂肪細胞分離装置を用いて、脂肪組織由来間質細胞を採取する。3.3×10^5個/kgまたは6.6×10^5個/kgの細胞を冠動脈造影施行後に、インターバルを置きながら3分ずつ動脈注入する。主要評価項目は安全性で有害事象の評価、その他心筋シンチ、MRIで心筋の活動性を確認する。
 本研究の外国における状況では、今回使用される分離装置についてはヨーロッパでCEmarkを取得し、急性心筋梗塞に対するAPOLLO試験及び冠動脈再建施行慢性虚血性心不全を対象としてPRECISE試験が実施され、安全性を評価したところ。有効性確認試験を予定している。今回は、完全に安全性、フェーズIの研究です。
 29頁目から議論の内容が示されております。まず1.プロトコールについて、「対象疾患の患者をより明確な対象にするように」に対して、「対象患者は適切な冠血行再建術が実施され、解剖学的な虚血が完全に解除されても、なお心機能の低下が改善しない、または増悪する症例を対象としている。また、対象患者は左室駆出分画が40%以下の心不全に改める」として、改善がなされている。試験の引用は、安全性の薬理試験について、マウス、ラット、ブタに対する一般薬理試験を行い、結果を提示されております。今回は、ブタの試験を何回か行っております。少し時間があいたということです。
 あとは、説明文の平易な改善等を行っていただき、31頁のいちばん最後ですが、4回の審議の結果、今回の金沢大学からの内容については、倫理的・科学的に妥当であるという審査委員会からの判断があり、今回報告となったところです。
 55頁をお開きください。概要については56頁です。今回も同様に、金沢大学医薬保健研究域の金子先生からの申請です。「肝硬変に対する自己脂肪組織由来間質細胞の経冠動脈投与による肝再生療法の臨床研究」です。申請年月日は平成23年2月17日、対象疾患は肝硬変、ヒト幹細胞の種類としては、ヒト自己皮下脂肪組織由来間質細胞。実施期間については大臣意見後の3年間、4症例を目的にしております。
 治療の概要です。本臨床研究では、肝硬変患者を対象として、自分の脂肪組織より分離した間質細胞を、冠動脈より投与を行い、直接肝臓へ運搬し、肝機能を改善させる肝再生療法を行う、としております。自己脂肪組織由来間質細胞の分離については、脂肪組織分離装置を用いて、完全自動無菌密閉式の自己脂肪組織由来間質細胞の分離を行い、脂肪組織分離装置を用いて分離された細胞を、カテーテルを総冠動脈まで挿入して、30分をかけて投与するという内容です。
 海外の状況です。脂肪組織由来の間質細胞を用いる試験としては、ヨーロッパでは急性心筋梗塞、虚血性心不全を対象に、本邦では、九州大学において乳がんの組織欠損患者に対する乳房再建の臨床研究が実施されています。57頁に、全体のシェーマが載っております。
 58頁から議論の内容です。全体としては4回の審議に基づき、内容としてはプロトコール、薬理試験の結果、具体的な投与細胞数等についての指摘を行い、結果を得たところです。
 60頁に委員会としての意見が3.にまとめられており、倫理的・科学的に妥当であると判断したという結果に至っております。以上です。
○永井部会長 
 ただいまの3件についてご質問、ご意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にご質問、ご意見がなければ、科学技術部会として了承し、厚生科学審議会へ報告することにいたします。ありがとうございました。
 もう1つ、ヒト幹細胞臨床研究に関する実施施設からの報告があります。大阪大学医学部附属病院等の4機関の申請です。事務局から説明をお願いいたします。
○谷再生医療推進室長 
 お手元の資料3-3は誤植がございまして「参考資料」となっていますが、資料3-3です。今回は、変更の報告が3件、重大事態報告が3件です。
 8頁目、大阪大学医学部附属病院の澤教授からの変更申請です。大臣意見は平成21年7月30日に申請が出されており、「重症心筋症に対する自己由来細胞シート移植による新たな治療法の開発」です。当初の目的として、対象疾患が重症の心筋症(拡張型心筋症及び虚血性心筋症)の2つ、幹細胞の種類は、骨格筋の筋芽細胞を使用しております。登録期間は2年間、目標症例数はDCMで症例が8症例、ICMで症例が8症例の16症例となっております。
 今回の変更内容ですが、10頁目に変更申請の報告書があります。今回の変更は、登録期間です。真ん中辺りですが、変更内容として、症例登録期間の延長としております。実施期間及び対象症例数の「症例登録期間を2年とし」を、3年に延ばすということで、1年延長をかけるという変更内容です。内容としては、まだ被験者が最後まで、すべての16症例が終わっていないということもあり、最後まできちんとした評価をしたいということで今回、変更の申請が上がっているところです。
 次の議事ですが、15頁をお開きください。大阪大学大学院歯学研究科の村上伸也教授からの申請です。研究課題名としては、「自己脂肪組織由来幹細胞を用いた次世代型歯周組織再生療法開発」。対象疾患としては、従来の治療法では十分な歯周組織欠損の回復は見込めない辺縁性歯周炎。ヒト幹細胞の種類は、培養自己脂肪組織由来幹細胞となっております。大臣の前回の意見の発出については、平成23年8月22日です。
 変更内容については、17頁をご覧ください。これは、実はまだ患者に実際には使用されていない技術であり、まだ1症例もやっていない状態です。それを前提にお聞きいただければ幸いです。計画の変更については、試験物の概要と研究登録期間、一部の文言の修正となっております。具体的には、変更前の移植細胞数が3×10^6個だったものを6.7×10^6個に、フィブリンゲルの含有量が50%だったのを16.25%に落とすといった内容になっております。登録期間については2年間だったのを3年間と修正を加えている段階です。実際に意見が出た後に、フィブリンゲルに混和する細胞数について、前臨床試験を追加して行ったところ、やはりフィブリンゲルの含有量の低下と、細胞数の上昇によってより効果が見られるのではないかということで、今回、変更の申請が出てきたものです。18頁から細かい部分の内容の変更について、新旧対照表を付けております。こちらは審議が終わった案件でして、今回ご報告をさせていただく案件です。
 続いて島根大学医学部附属病院の件です。34頁をお開きください。「重症低ホスファターゼ症に対する骨髄移植併用同種間葉系幹細胞移植」です。こちらはいま審議中で、まずご報告をし、継続して審議をすることとしております。
 35頁の真ん中辺りに、変更内容が記載されております。臨床研究実施期間の延長と、細胞搬送者の追加となっております。変更前は平成25年3月31日を終了としておりましたが、変更後においては平成28年3月31日を終了日、細胞搬送者については医師だったものを、医師あるいは医学部病院、医学部に勤務している職員という変更です。変更理由としては、「現在まで3症例の患者さんに臨床研究を実施しているところですが、これまでの経過から、骨髄移植後2~3年間、間葉系幹細胞を繰り返し投与する必要性が明らかになりつつある。したがって登録症例数の5例のために、残りの患者さんの骨髄移植を今年度(平成25年3月31日まで)行った場合、それらの患者さんの間葉系幹細胞移植を今年度から2~3年間行う必要があるために、臨床研究期間の延長を申請させていただく」という点です。
 2点目については、「搬送業務を円滑かつ適切に行うために、医師だけでなく医学部病院、医学部に勤務している職員に搬送業務を拡大して行いたいと思っている。骨髄バンクでも医師以外の医学部病院、医学部に勤務している職員の搬送が可能となっていることを受けて、搬送者の追加を申請させていただく」となっており、こちらは審議を経て、またご報告をさせていただくという内容になっております。
 重大事態報告ですが、併せてご報告をしてよろしいですか。
○永井部会長 
 はい。
○谷再生医療推進室長 
 37頁です。実は、今回の重大事態の報告については新旧の申請から上がってきております。旧指針においては、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の第2「厚生労働大臣の意見等」の中に「重大な事態に係る厚生労働大臣に対する意見」というものがあり、申請機関から報告を受けた場合には、研究機関の長に対して厚生労働大臣が意見を述べるという規定になっております。これは新旧ともに同じ案件です。今回、諮問をし、報告内容に対して大臣意見を出すという手続きが必要ですので、ご報告します。
既にご報告した案件ですが、説明します。49頁です。先端医療振興財団の先端医療センター病院の黒田先生が行っております「難治性骨折患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞による骨・血管再生療法に対する第I・第II相試験」となっており、難治性骨折の患者に対して自家末梢血をCD34陽性細胞を移植するというケースです。
 49頁に、概要が載っております。入院期間の延長が起こったということです。中身としては、倫理委員会の審議を経て、直接の関係はない、関連性は極めて低いということで、試験の継続の申請が上がってきています。
 61頁も同様に、財団法人先端医療振興財団の医療センター病院の川本先生の「慢性重症下肢虚血患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球移植による下肢血管再生治療」です。これは、平成23年3月15日に大臣意見が発出されたものです。63頁に概要があり、患者が死亡されたという内容です。こちらについても倫理委員会の意見が既に出ており、直接の因果関係は低いという判断から、本有害事象と治験との因果関係はないと考えられることから、継続して経過を慎重に観察すべきということで、報告が行われております。
 79頁ですが、こちらは同様の報告で、63ページの報告についての、まず発生事案の報告と、79ページの倫理委員会終了後の報告になっておりますので、2つの報告書が上がってきたという内容です。以上です。
○永井部会長 
 盛りだくさんですが、まず最初に、大阪大学医学部附属病院歯学部研究科、そして神戸の先端医療振興財団先端医療センターの報告、これについてご質問等はございますか。よろしいでしょうか。これは、現在、委員会で審議中の案件ですね。
○谷再生医療推進室長 
 大阪大学の医学部と歯学部については、もう審議が終了しておりますので、変更の意見です。
○永井部会長 
 よろしいでしょうか。これは、その変更についてさらに委員会で審議して、また、こちらに報告が上がってくるということでしょうか。
○谷再生医療推進室長 
 はい。実は、先行審理を行っており、大阪大学の医学部と歯学部についてはもう審議が終わっておりまして、適当ということになっておるわけです。
 島根大学については、当初の安全性の目的ということだったのですが、継続して移植を行わないと、患者さんの命にかかわるということで、現状、審議を行っている段階です。
○永井部会長 
 島根大学のは最初、プロトコールは1回投与のはずだったのだけれども、経験的に複数回投与にしたほうがいいということで、試験が進行しているのですね。
○谷再生医療推進室長 
 はい。当初から複数回の投与というのは記載はされていたのですが、継続して定期的に、常に投与しなければいけないという状況ではなかったという段階で、今後、継続して投与が必要になってきたということでの変更内容かと思います。
○永井部会長 
 ということで、よろしいでしょうか。
ですから、プロトコールの変更が認められないわけではないのですね。その申請によって適宜判断しているというのが、幹細胞研究の状況だということです。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、大阪大学医学部・歯学部研究科及び先端医療振興財団先端医療センターの報告は、科学技術部会として了承、厚生科学審議会へ報告することにいたします。
 島根大学医学部附属病院は、さらに審査委員会で検討いただきまして、論点整理の上、その検討の結果を再度この部会で報告し、その時点で再度総合的に判断するということにしたいと思います。ありがとうございます。
 では、議事の3で、「平成23年度の厚生労働科学研究費補助金の成果に関する評価について」のご審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官 
 厚生労働科学研究費補助金の研究事業等は、毎年度その成果の評価のまとめを科学技術部会にお願いしているところです。資料としましては、資料4-1、4-1別紙、4-2、4-3、4-3別紙になります。また本日、特に先生方に対しては、机上に配付させていただいています正誤表をご覧ください。
 まずは、資料4-2を使用しまして、平成23年度における厚生科学研究費補助金制度の全体像を説明し、その後、各事業の状況を説明します。
 資料4-2、概要で、平成23年度報告です。次頁、厚生労働科学研究費補助金の制度の概要については、1頁、1)に研究費の目的、2頁、2)に研究費のいろいろな歴史的経緯が記載されています。3)は、平成23年度では、特別枠の設定を契機としました、健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクトの分野が追加され、5分野に整理されているものです。平成23年度の研究費の予算額は2頁の円グラフの横の記載のとおりでして438億円です。各分野の割合が円グラフで示されています。
 3頁に平成22年度の予算の円グラフが載っていますが、22年度比で93%という厳しい予算になっていたものです。3頁のいちばん上の大きな括弧で囲まれた円グラフは、先ほどのライフ・イノベーションプロジェクト分を除いたほかの4分野で割合を示したもので、平成20年度から22年度の予算額の推移と同じような状況であることがわかります。結果としてはライフ・イノベーションプロジェクト分のところにより重点化されたことになります。
 4頁、4)は、原則として公募により研究課題を採択しているということを記載しています。5)、平成23年度は、1,533課題の研究を実施しました。
 6頁、図6は、平成23年度の課題の採択数は、500万円台から2,000万円台までが3分の2を占めています。平成23年度の1課題当たりの研究費については、間接経費を含み平均2,750万円でして、この値は平成22年度の平均2,880万円からは、少し減っている状況にあります。
 8頁の表は、本日、正誤表ということで出している2頁の表に差し替えてください。この表の見方については、研究の事業により、継続分が0のものは、例えば単年度だけの研究をやっている、上から3つ目の特別研究のようなものと、平成23年度から新たに開始したものです。新規分が0となっているところについては、お金の状況とかを整理されたという状況です。
 9頁から11頁は、公募されていた課題の採用の手順、評価の手順等の記載をしていまして、それは平成22年度と変化はありません。
 資料4-2、12頁の3.の4)「間接経費の計上」がありますが、間接経費については、平成23年度は実績としては71億円を出しています。そこにもありますが、厚生労働科学研究費につきましても、平成22年度の公募事業よりすべての新規研究課題を対象に、研究費の30%の間接経費を取ることができるということで導入しています。間接経費については、平成22年度は67億円で、少し増加しています。
 12頁から13頁は、4)「申請と採択の状況」が出ています。13頁の新規課題継続課題の採択の数字は、誠に申し訳ございませんが、正誤表に修正をしています。基本的には新規、継続を合わせまして47.1%。47.0は間違っているので、正誤表を書いていますが、47.1%の採択となりました。継続課題は、正誤表に正しい数字としまして、応募が965件で採択が960件で、採択率は99.5%であったと記載しています。この5件については、中間評価により評価した結果、不採択になったものが3件と、詳しくはわからないところですが、申請書の提出はあったが採択前に研究者のほうの一身上の都合とか、別の研究費等の関係で辞退ということになったものが2件という内容になっています。
 13頁、「厚生科学研究の推進事業」です。3)のリサーチレジデント事業を実施しているわけですが、これについては、現状、平成23年度約150名ということで、予算の厳しい状況もありまして、かなり過去からは減っている状況になっているところです。
 16頁、研究事業の平成23年度終了課題の論文数、学会発表件数のまとめを表にしているものです。先ほど新しくライフ・イノベーションプロジェクトの分野を設置したと言いましたが、平成23年度から開始で、終了課題ではありませんので、この欄にはない状況です。ここの各項目は(注)にもありますとおり、研究の終了直後の数字で、項目によってはこの数より増える可能性があるということを記載しています。
 資料4-1、4-1別紙、4-3、4-3別紙、成果に関する平成23年度の報告を説明いたします。このうち、これからの説明の中心になるものは資料の4-1です。その前にそのほかの資料について説明します。資料4-1別紙は平成23年度に終了した個別の研究課題ごとの成果表です。資料4-3の4頁目は、各研究事業ごとの目的、課題採択・資金配分の全般的な状況、成果及び施策への反映、事業の評価の詳細を書いたものであり、今回から評価指針にある必要性、効率性、有効性等の状況をここに記載しました。現状の評価をまとめたものが5頁「研究事業の課題等」です。資料4-3別紙は平成23年度の採択課題の新規・継続課題の一覧です。
 資料4-1を説明いたします。資料4-1が特に科学技術部会でご審議いただきたい「厚生科学技術研究費補助金の評価に関する評価(案)」です。1頁から1「はじめに」で、この評価については、「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針を基本に考える」とあります。2番目の「評価目的」では、「報告等にまとめて研究成果を、国民、社会へ還元することを目的にする」と書いてあるものです。
 5頁、3「評価方法」で、評価対象は平成23年度に存在する各研究事業、先の研究指針によるところの研究開発施策と、平成23年終了課題の成果であると記載されています。
 次に「各研究事業の記述的評価」です。実際には各研究事業単位またはその単位を構成する研究領域を単位としまして、事業を所管する課で、評価委員会、委員等の外部有識者の意見を聞いた上で作成されたものです。また、この記述的評価は、資料4-3の4頁から5頁で先ほど見ていただいたとおり、先の評価指針でいうところの必要性・効率性・有効性の評価については、今回からそこに記載しています。その結果を踏まえた評価ということで、ここに記述的評価を書いています。また、もう1つの終了課題の成果の評価については、6頁にある表1の項目を把握することにより、資料の中で、後に添付しています。各研究事業の記述的評価については、9頁目以降になります。
 各記述的評価の構成は、9頁の下から2行目(1-1)の「政策科学総合研究」では、10頁目にかけて、「研究事業の目的や現状」、「平成23年度の主な具体的な成果」等を踏まえ、「今後の方向等の評価」のおおよそ3つのことを書くことを頭に置いてまとめているものです。このあと各研究の記述的評価が記載されていますが、一つひとつの記述的評価については、ここでは説明は省略します。
 49頁は「成果の評価」で、項目をやっています。50頁の表7が研究事業ごとの成果集計表になります。右側の「その他の成果欄」の「特許の出願及び取得状況」「施策への反映」「普及・啓発」の項目については、平成22年度報告では1課題当たりの数字を表に含めていましたが、今回は除いています。これらの項目は、今後増加する可能性があることや、特に「施策への反映」の項目については、その割った数字では厚生労働科学研究費補助金が、政策指向の研究としていることに反していると誤解される可能性もあるとの昨年度の指摘も踏まえまして今回、表からは除いたものです。その辺の話は49頁、50頁に書いています。
 51頁、「おわりに」のところで、平成23年度の報告書をまとめています。流れとしましては、平成22年度に準じているところです。説明については以上でございます。
○永井部会長 
 ありがとうございました。ただいまのご説明にご意見、ご質問をお願いいたしたいと思います。
○金澤委員 
 ちょっと細かいというか、部分的なことになるので恐縮なのですが、2つお聞きしたいのです。同じことに関連して、資料4-2の8頁で採択のことが、実際に使われたお金の話があるのですが、真ん中辺りの腎疾患対策研究、これは23年度は0になっているのですね。資料4-3の48頁に、この腎疾患対策研究事業の内容が書いてあるのです。ここには23年度のことは確かに何も書いてないのだけれども、49頁の最後のまとめの辺りで「引き続き研究を実施する」ということが書いてあるのです。そのことと先ほどの23年度お金が、採択のものがなかったというのとの関連がわかりにくいのが1つです。
 もう1つは、48頁のように腎疾患対策研究事業として、腎疾患に関して独立しているのに、56頁の難性疾患克服研究事業の中にも、ここのいちばん下を見ていただければわかるのですが、腎疾患についてまた出てくるのですね。私、現場をしばらく離れているものですから変わったのかもしれないので、よくわからないのですが、その辺の重複はどうなっているのか教えてほしい、この2つです。
○尾崎研究企画官 
 1点目は、いまは継続課題で。
○金澤委員 
 採択0だけれども。 
○矢島技術総括審議官 
 すみません。実はこれは新規が0で、要するに3年研究の2年目、3年目があるという意味で、継続という意味です。先ほど難病の話があったのですが、これはCKDという概念が出たときに、新しくCKDという概念が出たことの研究をこのとき初めてつくったので、そのときに頑張って付けたのですが、その後なかなか新規の分まで予算が確保できなかったのが継続という形になっていまして、先ほどの難病のほうはあくまでもIgA腎症とか、従来からの難病としての腎疾患ということで、これはあくまでも新しく出てきた概念のCKDを念頭に置いたような組み方の腎疾患の研究です。
○金澤委員 
 わかりました。わかりましたが、もしそうだったら48、49頁のこの書き方をもう少しそのように書いたほうがいいのではないですか。
○矢島技術総括審議官 
 ご指摘を踏まえて工夫させていただきます。
○永井部会長 
 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
○野村委員 
 私も質問です。「おわりに」の3段落目に、「また、中間評価では、当初の計画どおり研究が進行しているか否か到達度調査を実施し、必要な場合は研究計画の変更・中止が決定されるため、効率性、妥当性は高いと考えられる」とあります。具体的に私がこの資料4シリーズを読みこなせていないから気づかないだけかもしれませんが、この中間評価で研究計画の変更・中止されたものがあったのでしょうか。もしあって、私自身その数はよくわからないのですが、どういう場合に中止されたのか、そういうものはあるのでしょうか。
○尾崎研究企画官 
 中止になったものは、結局採択されなかったものに該当するので、資料4-2の13頁の継続課題のところの採択で、数字は先ほどの正誤表の数字になりますが、965件継続課題で応募されて、採択は960件なのですが、そのうちの3つぐらいは目標達成されなかったということで中止というか、採択されなかったということで、そこを中止については示しています。変更の数字は持っていません
○野村委員 
 中間評価の中止と継続課題の採択はイコールなのですね。 
○尾崎研究企画官 
 そうですね。大体3年の研究をやっていますので、新規採択のときは事前評価ということで、例えばこの当時は2年目に中間評価を行い、そして、最終的には事後評価をすることになります。
○永井部会長 
 野村委員のご質問は、継続は採択されなかったというのは、中間報告の結果によるものがすべてでしょうかと、そういうご質問ですよね。
○尾崎研究企画官 
 先ほども言いましたように、基本的にはそうなります。今回の場合は評価をしているところで2件、自らもうやめますというようにされたところはあります。
○野村委員 
 評価法の評価について「おわりに」に書かれていると思うのですが、それは、そういった継続のもの以外にもかかわらず、私はわかりませんが、やはりひどいものが出てきた場合には、それ以外でも中止する場合もあるということでいいのでしょうか。今回はなかったという理解でいいのでしょうか。
○尾崎研究企画官 
 はい、基本的には評価委員会で評価をしています。 
○永井部会長 
 ほかにいかがでしょうか。
○宮田委員 
 これは感想です。評価をまとめざるを得ないのかもしれませんが、厚生労働科学研究費補助金の運用とか、その効率をどうやって上げたらいいのかと。そのためにPDCA評価サイクルが本当に回っているのかどうかということも含めて、例えばこの3年とか5年というような期間の終了時評価だけでいいのかどうかというのは、実は相当疑問になっています。そうでないと、論文あるいはガイドラインが出来て、ガイドラインが出来たことは重要だと思いますが、その評価でとどまってしまうのです。本当にここで厚労省が我が国の科学研究に投資した結果、国民の平均寿命とか健康寿命というのは改善されたのかというような、もう少し長期的な評価の軸というのも、これの趣旨とはちょっと合わないのかもしれないのですが、そのようなものを支援する科学研究を、そろそろ設定したほうがいいのではないかと思うのです。
 これは結局、各プロジェクト単位の評価ということなので、きちんとやったかどうかになるのですが、もう少し大枠で、こういうような投資の仕方をした結果、10年とか20年のスパンで、我々本当に国民の健康寿命とか、健康そのものを改善できたかのかどうかといったことも含めて、評価する評価軸のための研究も少し考えられたらいかがかなと思います。というのは、ブツブツ、ブツブツした研究成果で、部分最適は評価できるのでしょうけれども、全体最適が評価できるような評価報告書になっていないのです。ご説明はすごく大変で、私たちも恐縮なのですが、1個1個のところで、何かもう思考が停止されてしまって、その結果、本当に国民の健康がこの研究費補助金によって良くなったのかという、大雑把な評価ができるような仕組みになっていないので、その辺も含めて、評価方法そのものに対する投資も考えていただきたいと思います。
○永井部会長 
 いかがでしょうか。
○塚原厚生科学課長 
 ごもっともだと思います。ご指摘のように、いまの評価というのは、主任研究者の評価が中心になっていて、厚生科学研究費400数十億円の評価になっていないのではないかというご指摘だと思うのです。例えば健康寿命が延びたことに対して、この研究費がどのぐらい寄与したかというのを、どういうスケールでやるのかは、なかなか難しい。例えば健診事業にいくら使っていて、医療費が30兆円あってというような話の中で、研究費がどう貢献したかというのを評価するのは、非常に難しいとは思うのです。
○宮田委員 
 難しいかもしれないけれども、それが説明できないと納税者も納得できないでしょう。
○矢島技術総括審議官 
 いま、たまたま平均寿命の話が出たので、いまのような説明になってしまったのですが、研究がどのような成果になっているか、例えば難病などについても、かなりいろいろな原因疾患の究明だとか、要するに病態の解明につながったことがすぐ平均寿命にというところまでは難しいかもしれません。要するに解決されなかった問題が解決されたとか、患者さんがそれによってそのような治療を受けられるようになったとか、それを数量的に「平均寿命」という数値に変換するのは難しいかもしれませんが、その研究の成果でこういうものが出てきたということが、もう少しわかるようにというご指摘だと思いますので、それも含めて。
○宮田委員 
 言いたかったことがもう1つあります。もう1つはやはり評価期間が短いのではないかと思っているのです。特に健康関連の研究開発の成果は相当先になりますよね。ですから、そういう意味では、こういう評価も必要でしょうけれども、もう少しロングルックの評価をやってみる必要があるかなと思っています。
○桐野委員 
 もっともなのですが、この研究が進んできて、同時に健康寿命も延びたという場合に、こちらの健康寿命が延びた要因には、非常に複雑な要素があって、単に生活レベルが上がっただけかもしれませんし、ただインシデンタルに、同時にこうなったというだけかもしれないし、それはとても難しいですよ。当面はやはり研究と言うかぎりにおいては、アウトプットはまず1つは論文ですし、それから研究に伴ういろいろなプロダクト、これは医師的なプロダクトを測定するのがいちばん普通のやり方と思うのですが、いま言われたようなところまで含めると、例えば文科省の科学研究費補助金は日本をどれだけ豊かにしたかというようなことになってきて、それがシャープに出ればいちばんいいのですが、難しいのではないか。
○宮田委員 
 それはシャープではなくて、例えばこれの総額の予算費の伸びを見ていると、私は、もっと投資するようなロジックを厚生省が使うべきだと思っています。いまの意見というのは、確かに難しいことはわかるし、誠実な科学研究者であればあるほど、たぶんそういうご意見を抱くことはよくわかるのですが、結局は予算のぶん取りのことを考えると、我々国民にとって、本当にこの厚生科学研究費というのは、どのような恩恵を与えているのかという絵を描けるような何かが欲しいということなのです。ですから、いきなり健康寿命が改善したとかいうのは無理だと思うのですが、そういった何か調査を、評価という方法をご検討いただきたいと思います。 
○金澤委員 
 大変大事なご指摘だったと思うのですが、私は厚生科学研究費のというのは、やはりまだちょっと狭い意味ではないかと思うのです。むしろ厚生労働省の政策そのものだと、それが数字としてどうかということではなくて、国民の満足度も含めて、全体的にどうかということは、どこかでやったほうがいいだろう。これは決して厚生労働省だけの話ではなくて、文部科学省でも同じですね。その一環だと思って伺いましたので、それはそれで大変結構だと思うのですが、この研究費が具体的にどうだというのは私はやめたほうがいいと思っています。なぜかというと、研究そのものに対するある意味での、ちょっと別の意味でのプレッシャーがありすぎる。むしろそうではなくて、いま桐野委員が言われたけれども、社会に返そうと思って結果をきちんと出しているかということのチェックは絶対に必要。それが国民の皆さんのためになっているかどうかということの意識も大事。でも、それ以上に寿命を延ばしたかとか、そういう話につながるのは私は賛成ではない。
○宮田委員 
 その意見もすごくよくわかります。というのは、科学研究に対して最近、その応用とか成果とか、プレッシャーがかかりすぎていることは確かにそうですから、少し解釈を間違うと、確かにそのとおりだと思うのですが、私が言いたいのは、例えば20年ぐらい前に、あるいは10数年前に投資された研究の成果が、このように実って皆さんの役に立っていますという実例を集めていただきたい。 
○金澤委員 
 ポジティブに。
○宮田委員 
 そうです。そういうのが欲しいのです。 
○金澤委員 
 それはそうです。
○福井部会長代理 
 参考になるかどうかはわかりませんが、例えばアメリカではここ2~30年で、心筋梗塞の死亡率が2~30%下がりました。その下がったうちの何パーセントが、非常に高度な治療によるものなのか、または予防医療的な行動変容によるものなのかといった解析が行われていて、しかも10年おきぐらいにそのような論文が発表されています。したがって、どういう医療や予防行動がどれぐらい日本人の寿命の延長にかかわっているかというのは、大雑把ですが、テクニック的には可能だと思います。そのようなデータがどういう意味を持つかは難しいとは思いますが、私としては、そういう方法論も医療政策の評価として是非持ち込んでいただきたいと思っています。
○松田委員 
 宮田委員の言われるように、そういう政策的に厚生科学研究費を長期間にわたって使って、どれだけの成果があった、医療・福祉・ライフサイエンスにどれだけ貢献があったというのは、どういう形をとるかは別にして、そういう研究費が十分使われて、これだけの成果が出たことをアピールするということは重要だと思いますが、しかし、一方、こういう一定の期間にこれだけのお金を使って、どのように成果が出たかという、このアウトプットを、きちんと報告することもまた一方、大事なのですね。私はこれをいただいてざっと見まして、決してヨイショするわけではないのですが、この研究を進めていく上において、年度年度において浮かび上がってきた課題は、私はよくまとまっていると思います。文章的にもなかなかいい。そういう意味で、私はこれは非常にいいまとめ方だと思っております。
○今井委員 
 スケジュールの問題があるから難しいのかとは思うのですが、実は月曜日にこれをいただいて、たくさんあったので全部見きれなかったのです。おまとめになる時期が決まっていれば仕方がないとは思うのですが、「終了課題の成果の評価」(49頁)に、「本集計は平成24年6月10日時点の報告数を基礎資料としたものであるが」とあって、「論文、学会発表、特許の出願及び取得状況」その他云々ありますが、「今後増える可能性が高いこと」と書いてあるのです。宮田委員がおっしゃるように、全体評価として一般の人たちがわかるような、もしくは政治的に使えるような評価を、ここから出すのは非常に難しいかもしれないとは思うのです。だから、例えば10年計画でやっている生活習慣病と心の病プラス女性の癌でしたか、あとは介護のことみたいなテーマを持ってなされたことについては、7、8年目ぐらいからどういう評価が出てきたかということをきちんと出されるのが、大舞台で出す評価としては、大変大切だと思うのです。
 こういう科研費のように、日々研究者が緻密にやっている研究というのは、やはり世界との闘いでもあるので、まだ海のものとも山のものともわからないかもしれないものもあるし、それから、これが実は日本ではほとんど評価されなくても世界的にはすごい勢いで、いまはフェイスブックとかいろいろあるので、すぐに評価されて持っていかれてしまうものも結構あるわけです。そういうことを考えると、お作りになったものの全体像は期限を決めておられるから作られていいと思うのですが、お出しになるのはもう少し後にされて、特に一般の人でもわかるような、学会発表まではいいとしても、特許の出願の数だとか、あとは外国での評価みたいなものを少し加えられると、相当違ってくるのではないかなと思うのです。そのためには、もしかしたら1年寝かして、評価は翌々年の最初に出すみたいに少しずらされると、だいぶ宮田委員のおっしゃる方向に近づくのではないかと思うし、それができるかできないかはそのスケジュールによると思うのですが、それぐらいしても価値があると私は思っています。以上です。
○福井部会長代理 
 いま今井先生のおっしゃったことと似たようなことですが、以前、癌の研究費のことでこの話題が出てきました。例えば10年前までぐらいの研究、ほぼ評価が固まっている研究の評価を、方法的にどれぐらいできるか一度やってみたらいいのではないかと思います。10年くらい前までのものであれば、あまりこれから先のものがどうのこうのという話が出てこない可能性があります。
○永井部会長 
 いろいろお気づきの点がおありかと思いますが、青い紙が配付されております。ここにご意見をお書きいただいて、来週の金曜日17時までにFAXでお送りいただきたいということですので、是非お気づきの点がおありでしたらお寄せください。よろしいでしょうか。またそういうことでいただいたご意見等を併せまして取りまとめし、科学技術部会としての最終的なバージョンにしたいと思います。その際は最終的には部会長にご一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます、では、そのように進めさせていただきます。
 まだいくつか議事がございます。実は私は今日、6時前に出ないといけませんので、以降の進行を部会長代理であられます福井先生にお願いしたいと思います、よろしくお願いいたします。
○福井部会長代理 
 それでは、続きまして、遺伝子臨床研究に関する実施施設からの報告について、事務局より説明をお願いいたします。
○尾崎研究企画官 
 資料5をご覧ください。北里大学からの変更報告書の資料になります。1頁目、研究課題名は「前立腺癌に対する単純ヘルペスウイルスthymidine kinase遺伝子発現アデノウイルスベクター及びガンシクロビルを用いた遺伝子治療臨床研究」で、北里大学の吉田先生がやっておられる研究です。
 今回の変更届については、4頁目の下から5頁目にかけてです。1つは研究期間の変更で、既に最終の症例について投与は終わっているのですが、その症例は観察期間を2年間見なければいけないのです。そうすると前の計画の研究期間では足りなくなってしまうということと、総括責任者が替わるということです。
 この報告については、実際は今年の3月31日までで、研究計画としては基本的に研究期間が切れてしまっているのですが、最終症例の確認が2年のところ、出すのを忘れていたということで、しっかりやってもらうという注意をした上で、この届出日での変更報告届になっています。以上です。
○福井部会長代理 
 ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは続きまして、「戦略研究新規課題に係る研究実施計画書作成の公募」について、事務局より説明をお願いします。
○尾崎研究企画官 
 資料6です。戦略研究については、上から3行目にありますが、第70回の科学技術部会でご議論いただきまして、それを踏まえて平成25年度より開始される戦略研究に向けた研究実施計画作成に関する研究を実施することとしていまして、以下のとおり公募を行いました。
 本日はその進捗をご報告します。まず「公募の概要」です。今回は、いわゆるフィージビリティというか、研究計画書を作成するための研究です。公募の対象課題は「市町村における生活習慣病予備群の発症予防対象者の抽出と保健指導等の予防介入システムの効果に関する研究」のための研究実施計画書作成に関する研究で、研究実施計画をちゃんと作成してもらうための研究を公募しました。
 公募の情報提供の状況としては、2にありますが、6月5日に厚労省において、公募説明会を開催し、多くの人が話を聞きに来ました。
 現在の申請の状況です。公募期間は6月6日から6月20日までで、申請の状況としては4件の公募がありまして、現在審査中です。現在の進捗状況をご報告させていただきました。
○福井部会長代理 
 ありがとうございます。ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等はありますでしょうか。
 この研究は、どれくらいの研究費が出るものでしたか。課題、プロトコールを作るのに800万円ですね。それで、実際に研究を始めたら、全体でどれくらいの研究費ですか。
○尾崎研究企画官 
 過去の戦略研究、過去の実績としては、年間で1億円くらいです。大規模な介入研究をやるというところが、この戦略研究のいちばんのポイントです。最近はそこまでの額ではありません。
○福井部会長代理 
 そんなには出ない。
○尾崎研究企画官 
 そうです。また、予算がより厳しくなってきますので。今後、実際は1億円ということは、これからは難しいです。
○福井部会長代理 
 いかがでしょうか。
○宮田委員 
 これは何課題くらいが採択されるのですか。1課題、そこで絞ってしまうということですか。
○矢島技術総括審議官 
 戦略研究自身がテーマに1課題ということですので、今回はこれについて1課題だけです。
○宮田委員 
 しかし出来上がったプロトコールが、とてもお粗末だった場合、どうなさるのですか。
○尾崎研究企画官 
 もともと戦略研究については、戦略研究のための企画・調査専門検討会がありますので、そこの趣旨がちゃんと研究計画に反映されるように、研究者に助言をしていきます。ですから、今回採択された人が、あとは勝手にやってもいいということでは全然ないので、こちらの意向がちゃんと反映されるような内容になるように、研究計画を策定してもらいます。もちろん最終的に、フィージビリティとして行ったが、目的を達成できない計画という評価になれば、これは昨年度実際の研究実施が約束されるものとか一昨年度と同様に、バツにしているものです。あくまでも今回採択されたらそのままではないということです。
○福井部会長代理 
 ありがとうございました。
○金澤委員 
 これは、生活習慣病というのは非常に広いものなわけですが、どこかに絞るのですか。それとも全部やるのですか。
○矢島技術総括審議官 
 前回もこれについては議論があったところですが、実は絞っています。ですから生活習慣病の中の、かなり絞った形でやるような形になっています。
○金澤委員 
 それは、こちらで絞るのではなくて、申請するほうが絞るのですか。
○矢島技術総括審議官 
 一応、私どものほうは現在あります特定健診、特定保健指導をベースにしているものですから、そこから出てくる範囲の中で、どのようにやるかということは、これからの戦略研究の専門委員会との議論という形になってくると思います。
○金澤委員 
 わかりました。効果に関する研究で、効果がなかったという結論も受けてください。
○今井委員 
 生活習慣病プラス、先ほど言った10年計画の研究のときは、2004年に厚労省がどこかに依頼して、厚労白書に出ていましたが、国民が何に対して健康被害をいちばん感じているか、アンケートを取っていて、それで生活習慣病を引き起こす生活習慣というのが、56%くらいでダントツ1位だったという記憶があるのです。
 その次に、例えばエイズ、サーズという感染症が10~12%くらいで、3~5位と推移していて、だけどそのどれもが、確かにそうだなと。環境汚染も含まれていたのですが、国民が考えている、自分に被害を及ぼす環境というか、何が病気にならせるかというのは、割に当を得ていたデータだったと思うのです。
 今回、戦略研究をされるための、その指針のために800万で、それを作られるとき、アンケート調査とかはされないのですか。
○矢島技術総括審議官 
 今回の中には入っていません。
○今井委員 
 残念です。意外に国民のアンケート調査の結果の意見というのは、正しいときがあるような気が、私はいろいろデータを見ながらしています。以上です。
○福井部会長代理 
 ありがとうございました。それでは次に進めさせていただきます。「医療イノベーション5か年戦略」について、事務局より説明をお願いします。
○尾崎研究企画官 
 資料7です。「医療イノベーション5か年戦略」が、平成24年6月6日にまとまりましたので、ご報告するものです。まず医療イノベーション会議は、「新成長戦略実現会議の開催について」という、平成22年度9月7日の閣議決定に基づいて設置されている会議で、実用化に向けた医療研究開発の推進をはじめ、医療分野における新成長戦略の関連する事項の実現に向け、官民挙げて協力に取り組むために設置されました。そこで、今回、医療イノベーション5か年戦略がまとまりました。
 厚労省としては、これは次回の部会との絡みもありますから、こうした内容を踏まえて、平成25年度の予算要求などを考えていきますので、まずは情報提供させていただくものです。
「目次」「はじめに」「視点及び目標」がありまして、「分野別戦略と推進方策」に4つほどあります。そのうち研究については特に、III-1の「革新的医薬品・医療機器の創出」と、III-2の「世界最先端の医療実現」が関係しているかと考えています。
 その中でも特に関係しているのは、I-1、I-3、I-4、I-5、II-1、II-2と考えています。例えば7頁目、先ほど言いましたIII-3の「分野別戦略と推進方策」のIII-1「創出」の2つ目の○に、「創薬支援ネットワークの構築、医療機器の特性に鑑みた規制のあり方の検討、グローバル市場の獲得等の施策も新たに取り組む」というような内容が載っています。
 III-1-1の「研究開発の推進と重点化」が7頁目以降に書いてあります。9頁の3「がん領域等、研究開発の重点領域」に「以下の領域を重点的に推進する」とありますので、この辺を考えて、予算要求を考えていかなければいけないと思っているところです。それ以降はそれぞれの分野について、細かいことがそれぞれ書いてあります。
 先ほど創薬支援ネットワークという話をしましたが、これについては15頁のIII-1-3の「医薬品・医療機器開発支援体制の整備」をご覧ください。1つ目の○として、「革新的医薬品・医療機器の開発のため、世界レベルのインフラ整備を推進する。特に新薬実用化については、オールジャパンでの創薬支援体制として、医薬基盤研が中心となるネットワークを構築する」。具体的な内容については16頁の真ん中辺り、1にイノベーション会議の考えていることが書いてあります。
 17頁の段落としては3つ目辺りに、このネットワークについては医薬基盤研に本部機能を担わせるため、同研究所に産学官の連携により「創薬支援戦略室」を設置するなど、必要な体制強化を行う。その次の段落で、独立行政法人理化学研究所、産業技術総合研究所等の創薬関連の研究機関等は連携を図るようにという内容が記載されています。
 21頁のIII-1-4の「臨床研究・治験環境の整備」です。これは近年、厚生労働省でも進めているところですが、2つ目の○で「臨床研究中核病院をはじめとする質の高い臨床研究の実施体制の整備と臨床研究の適正な実施ルールを推進するとともに、治験の向上を推進する」という項目が載っています。具体的な内容については、22頁の1に、大規模ネットワークの中核として、窓口の一元化などの話が書いてあります。
 24頁のIII-1-5で、「審査の迅速化・質の向上・安全対策の強化」。このIII-1は、先ほどの繰り返しになりますが、「革新的医薬品・医療機器の創出」という項目ですので、その内容が書いてあります。2つ目の○、25頁の上にかけては、革新的医薬品・医療機器の安全性と有効性の評価の確立に資する研究として、レギュラトリーサイエンス研究を推進することとか、審査体制の強化、医療機器の審査について、特性を踏まえたいろいろな改善を推進するということが書いてあります。
 34頁目、研究開発などに関連するもう1つの項目として、III-2の「世界最先端の医療実現」です。 III-2-1は再生医療について、大きな項目が立てられています。細かくはそれ以降の43~44頁で、III-2-2は個別化医療です。ここに太字で書いてあるような内容のことを推進していくと記載されています。
 以上を踏まえて、平成24年度の研究費関係の方向は、また次回の部会でご報告したいと思います。以上です。
○福井部会長代理 
 ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等はありませんでしょうか。
○金澤委員 
 1つだけ伺います。ご承知と思いますが、CSTPと似たようなことを考えていますね。これはアクションプランと、どのように関係されるのですか。それを聞いておきたい。
○尾崎研究企画官 
 アクションプランの作業も従来どおり進められていまして、私の理解としては、そのアクションプランの話とここに書いてある話というのは、同じ方向を向いていると思っています。平成25年度の要求に向けてのアクションプランをいま検討中というところですが。
○金澤委員 
 これを参考にするということ。
○尾崎研究企画官 
 どちらがどちらを参考にしてということではないですが、同じような項目が入っているようです。総合科学技術会議とここの医療イノベーション会議といいますか、まとめている内閣官房の推進室などは、ちゃんと連携をとっており、お互いの会議には出てきています。
○金澤委員 
 うまくやってください。
○今井委員 
 先日、厚労省が胆管癌についての対応を出されていましたが、いままでに比べたらずいぶん動きが早かったなと思って、ちょっと喜んでいるところです。一方、最近巷で、いろいろな疾患の中で、わかりにくい疾患がかなり出てきていて、中でもいわゆる免疫不全に関する疾患を治療できる病院が、少なかったりしています。いま拝見したところ、11頁のI-1に、難病や希少疾病などの話も出ているのですが、奇病と言うとおかしいのですけれど、何かわからない病気に関することも1項目ほしいと思います。
 難病の治療も含めてですが、いろいろな意味で科学技術等は進んできていますが、一般的に、治療より予防医学に庶民の目が向いているのは確かだと思うのです。これは世界的な影響もあって。
 だけど、そのときに日本の場合は、経済活動と結びついて、「アメリカのFDAがこういうデータを出していますから」とか言いながら免疫強化予防等を謳ったものが、食べ物としてやたらいま流行っていて、巷で全く医療とかは関係なく、食品として売られてしまうと防御出来ません。もともとアレルギー性疾患、喘息などを子供の頃に持っていた人が、50代くらいからなる疾患だと言われているけれど、まだはっきりはわかっていない。予防医学で良い良いと言われて、いろいろな食べ物を食べているうちに、起こってきているのかなという気もして。全身の水泡がすごくて、生きているのも嫌になってしまうくらい大変らしいので、やはりここに、できればそういった、いまトレンドの病気と言うと変ですが、薬害ならぬ食害みたいなものをある程度チェックして、それらも入れていただけるといいかなと思います。
○矢島技術総括審議官 
 いまの先生のご指摘は、すごく大事な問題だと思っています。どういう分野でできるのかは、大変恐縮なのですが、医療イノベーション5か年戦略は先ほどの説明で、官邸の国家戦略会議のほうで各省庁とも合わせて既に出来上がってしまったものですので、この報告の中で書いてある文言をこれから直すことは難しいのですが、でも、先生のご趣旨は大事なことだと思っていますので、何らかの形で、担当課とも相談させていただきたいと思います。
○福井部会長代理 
 ありがとうございました。それでは、時間がずいぶん過ぎてしまいましたが、これで全ての議事を終了しました。その他、事務局から何かありますか。
○尾崎研究企画官 
 2点、ご報告させていただきます。本日、参考資料5-1と5-2として、公募要項の4次と5次があります。これについては各先生方に、公募する前に情報提供していますが、ご報告させていただきます。
 その際、何人かの先生から、4次、5次ということは、何回も公募しても集まらないのかという話があったのですが、そういうことではありません。我々が公募したときの番号付けとして、確かに今回は4回目なのですが、今回の4回目の公募というのは、第3次対がんとがん研究事業に関するものです。応募はたくさんされたのですが、事前審査のときに評点が低くて、結局採用されなかったものが多かったため、採択枠が満たされず再度公募し、しっかりしたものを採用したいということでやったのが4次です。5次については難治性疾患の事業です。難治性疾患はたくさんの疾患があるわけですが、まずは広く公募して、そこで合格点に達したものは採用したのですが、それでは予定していた予算に達しなかったので、まだ全然申請がない他の疾患の難病を特定して、また公募するようにしたものです。1回目の公募で応募がなかった研究課題は、実は3月に2次募集した1つの研究事業の1の課題だけです。
 もう1点は、ヒトゲノム指針の見直しの状況です。ヒトゲノム指針の見直しの状況については、3省で検討しているものですので、各省の状況などがあります。今般の状況についてご説明しますと、医療個別法と呼ばれているものの検討が始まったところでして、一部の省については、ある程度の状況を踏まえて考えたほうがいいだろうということで、我々も少しその方向を見定めて、必要によって指針に反映させるのかさせないのかを、ある程度のところではっきりさせて、見直しをこの部会にかけたいということです。現在は4月13日、16日に行われた3省の見直しの委員会の内容から変化はないというところです。以上です。
○福井部会長代理 
 ありがとうございます。それでは、本日はこれで閉会したいと思います。大変長い時間、お疲れさまでした。ありがとうございました。
○尾崎研究企画官 
 次回については、委員の皆様に改めて日程、開催場所等についてご連絡しますので、よろしくお願いします。
○福井部会長代理 
 ありがとうございました。


(了)
<【問い合わせ先】>

 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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