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2012年7月26日 第3回船員保険制度に関する懇談会議事録

保険局保険課

○日時

平成24年7月26日(木)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第12会議室(12階)


○議題

(1)船員保険福祉センターについて
(2)その他

○議事

○岩村座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回「船員保険制度に関する懇談会」を始めることにいたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また、大変暑い中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に、今回の懇談会の開催に当たりまして、委員の交代があったということでございますので、出席状況と併せて事務局の方からその点についての御報告と御紹介をいただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○及川保険課長補佐 まず、本日の委員の出席状況でございますが、公益委員の田付委員が欠席でございます。また、船舶所有者側の佐々木委員、併せまして江口委員が欠席ということでございます。なお、佐々木委員の代理として西岡様、江口委員の代理として遠藤様に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 また、本日はオブザーバーといたしまして、日本労働組合総連合会の花井総合政策局長、一般社団法人日本経済団体連合会の藤原経済政策本部長、全国健康保険協会の石塚理事、財団法人船員保険会の古澤常務理事に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、新しい委員の方を御紹介いたします。
 まず、被保険者側代表といたしまして、渡部慶二委員でございます。
 また、船舶所有者側代表といたしまして、長岡英典委員でございます。
 よろしくお願いいたします。
 なお、本日国会対応等ございまして、厚生労働省側保険局長、総務課長がこの場におられないことを併せまして報告をさせていただきます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、事務局から今日の資料の確認をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、本日皆様方のお手元にお配りしております資料でございますが、議事次第、懇談会構成員名簿、座席図です。
 資料1、規制改革会議の答申などにつきまして用意しております。
 資料2、船員保険福祉センターの利用状況及び経営状況についてです。
 資料3、船員保険の産休期間中の保険料免除についてです。
 最後に参考資料といたしまして、福祉センターの概要ということでございます。御確認を願いたいと思います。
 なお、本日は御用意したマイクの本数の関係がございまして、発言の際には大変恐縮でございますが挙手をしていただいて、その際に係の者がその場にマイクを持って駆け付けるという段取りでございますので、よろしくお願いいたします。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入りたいと存じます。お手元の議事次第に沿ってまいります。
 最初は「船員保険福祉センターについて」ということでございます。これにつきましても、事務局の方から先ほど説明がありましたが、資料の用意をしていただいておりますので、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○西辻保険課長 保険課長でございます。私の方から説明をさせていただきます。
 この船員保険の懇談会についてですが、社会保険庁が廃止されまして、船員保険の保険者は全国健康保険協会になりました。
 全国健康保険協会におきましては、船員保険協議会という組織の下で、船員保険事業について御議論をいただいておりますが、船員保険の制度について議論する場ということで、この会議が立ち上がった次第でございます。
 今回御議論いただくテーマである福祉センターは、直接制度とは関係ありませんが、福祉センターを今後どうするのかということについては、関係者の御議論の場が必要であるということで、この懇談会を立ち上げる際に、併せて議論のテーマとしたいということを説明申し上げた経緯がございます。
 それでは、資料に沿いまして説明させていただきます。まず資料1でございます。社会保険庁廃止まで船員保険事業運営懇談会というものが置かれておりました。その懇談会の委員をされていた方も、当会議のメンバーに何名かおられると思います。その方々は経緯もよく御存じかと思いますが、代わられた方もおられますので、これまでの経緯をここに簡単にまとめてございます。
 船員保険の福祉センター、後で説明いたしますけれども、これは船員保険の福祉事業の一環として、船員の方々の福利厚生に役割を果たしてきたわけでございますが、社会保険庁の廃止、それから、全国健康保険協会への保険者の移管ということに伴って、これをどうしていくのかということについて、議論が行われてきたところでございます。
 資料1の1ページに3つ四角が書いてございます。時系列で並べておりますが、平成19年5月に規制改革会議の答申がなされております。この中では、船員保険保養施設について合理化計画というものが策定、実施され、結果的にはこの段階で14施設になったわけでございますが、答申では18年以降についても、関係者の議論を踏まえて、合理化計画を策定するという閣議決定があることから、関係者の合意を得た上で平成19年度中に合理化計画を策定して、それに基づく施設の合理化を22年度までに行うように努めるということが記載されております。
 次に、社会保険庁に置かれておりました船員保険事業運営懇談会で、これを受けるような形で、平成20年11月に「船員保険福祉施設の整理合理化について」というとりまとめがされております。
 このときには船員保険の施設といたしまして、福祉センター以外にも保養所ですとか船員保険病院、健康管理センター、いろいろな施設が検討対象であったわけでございますが、資料では福祉センターについて抜粋させていただいております。福祉センターについては今後の船員利用状況の改善等を踏まえた判断、つまり、存続・廃止について、そうしたことを踏まえた判断が必要であるということで、社会保険庁廃止後、全国健康保険協会に保険者が移った平成22年1月以降、経過観察施設として存続が必要な施設に分類する。その上で、経過観察期間終了までの間にi)施設またはiii)施設とあるのですけれども、i)施設というのは引き続き存続が必要な施設、iii)施設というのは廃止、売却する施設ということでございますが、そのいずれかに経過観察終了期間までの間に分類するとされております。
 これは平成20年11月ですので、社会保険庁廃止まで約1年をこの段階では残していたわけで、福祉センターについては平成21年12月末までの間も、できるだけその分類を検討する必要があるとされておりました。
 そして3番目が社会保険庁廃止直前の平成21年12月に、同じ懇談会でまとめられた「福祉センターの今後の取扱いについて」でございます。この中で経過観察期間終了後の福祉センターの取扱いについては、厚生労働省保険局において2年間の各施設の船員の方の利用状況、それから、一般の方の利用状況、収支の状況等を踏まえて、関係者の意見を十分に聞いた上で、存続施設または廃止施設への分類を行うとされております。
 経過観察期間、これは普通財産の貸付期間を踏まえ最長3年ということを踏まえ、遅くとも24年前半には存廃の分類に係る関係者間の合意形成を図って、今年中に国有財産処理のために必要とされる諸手続を完了するということになっておりまして、この懇談会におきまして船員保険関係者の御意見を伺うとともに、合意形成に向けた御議論を是非お願いしたいということで、本日は会議をお願いした次第でございます。
 続く2ページ目以降に、ただいま御説明申し上げた規制改革会議の答申、あるいは船員保険事業運営懇談会のとりまとめを、それぞれ付けておりますが、説明は省略をさせていただきます。
 ただ今、最後に説明申し上げた平成21年12月のとりまとめでは、経過観察期間における、船員の方の利用の状況、それから、一般の方の利用の状況、収支状況といったことを踏まえて検討するとございますが、その辺りの状況について整理をいたしましたのが資料2でございます。「船員保険福祉センターの利用状況及び経営状況について」というタイトルでございますけれども、概要は1ページに書いてございますが、おめくりいただきまして、次のページに表がございます。船員保険福祉センター利用状況一覧表です。船員保険福祉センターは、神戸、小樽、長野、久留米と4か所ございます。社会保険庁廃止の直前の平成21年12月の段階で、今後2年間の施設の状況をウォッチするということになっておりました。
 21年12月の段階で、判明していたのは20年度の状況で、これは年単位ではなくて、年度単位でまとめておりますので、平成21年12月から2年間というと、22年度と23年度ということで、そこの実績をとっております。今年の3月末までの利用状況の実績ということでございます。
 表の見方でございますが、一番上の神戸センターを例にとって御説明申し上げます。5年間の実績が書いてございまして、年度の横に客室数とございますのは、それぞれのセンターの宿泊に提供できる客室数ということでございます。
 収容定員は、1日当たりの収容定員の数、それと年間でどれぐらい収容できるかという累計数でございます。
 その右側の欄が利用実人員でございますが、これは船員保険の関係者、海事関係者、一般の方、合計ということで分けて掲載させてございます。
 船員保険の欄は、現在の船員保険の被保険者及び被扶養者の方の利用状況ということでございます。
 海事関係者の欄は、船員保険の被保険者、被扶養者以外の、船舶会社に勤務されている方、船主団体、漁業関係団体、あるいは海員組合等々の団体に加盟する会社及びその社員の方々です。保険の適用としては健康保険の方に入っておられるということになるんだと思うのですけれども、そういった方々の利用状況でございます。
 一般というのは、それ以外の方、それから、計でございます。
 その右が泊数でございますが、これも今と同じ分類で船員保険、海事関係者、一般の方々が何泊されたのかということになっております。
 更に泊数の欄の一番右側に宿泊利用率が書いてございます。これは泊数を収容定員で割り戻して積算したものでございます。全体の宿泊利用率と、船員保険及び海事関係者の方の宿泊利用率に分けて掲載しております。
 一番右側の欄が、客室稼働率という数字でございます。これは定員ベースの利用率ではなくて、いわゆる客室がどの程度利用されたのかという数字でございます。つまり、5人定員の部屋があったとして、5人全部埋まれば、それは定員ベースできちんとうまっているということですけれども、例えば1人とか2人で5人部屋を使われても、客室は稼動しているということになります。
 これでいきますと、宿泊利用率よりも数字としては、全体も、船保、海事関係の皆様方についても、ほとんどの場合で稼動率の方が若干増えている。つまり、施設側が予定した人数で常に利用されているわけではなくて、もっと少ない人数で利用されているケースが一定程度あるということがおわかりいただけるかと思います。
 同様に小樽、長野、久留米、それぞれ5年間の実績が書いてございます。細かくは次のページ以降に個々の施設ごとに数字が書いてございますので、説明をさせていただきたいと思います。
 まず、次のページ、神戸センターでございます。上の方に利用状況を数字の表と折れ線グラフという形で示させていただいております。下が収支状況ということになっております。
 まず、利用状況でございますが、社会保険庁廃止の時点で明らかになっていた19年度、20年度の客室稼働率が21、22、23と、資料でごらんいただけるような数字になってきています。21年度に客室稼働率、宿泊利用率とも若干落ち方が大きかったわけですが、それが22年度に少し戻して、また23年度はちょっと落ちたというのが神戸の状況でございます。
 下が収支の状況でございます。20年度の段階では、神戸センターは約2,800万円の利益が発生しておりました。経過観察期間中は、財団法人船員保険会に運営を委託して、船員保険会さんではいろいろな形で一般の利用、船員保険関係者の利用等、非常に御努力をいただいて、できるだけお客さんを増やすということで頑張っていただいたと承知をしておるのですけれども、やはり財政状況としてはちょっと厳しくなってきていることが、折れ線グラフが右肩下がりになっていることからもおわかりいただけると思います。22年度まではかろうじて黒字を出せていたのですけれども、23年度になって経常収支は赤字を出すに至ったというのが神戸センターの状況でございます。
 おめくりいただきまして、小樽センターでございます。小樽センターは19年、20年、21年、22年と客室稼働率、宿泊利用率ともに一般の方の数字、船員保険の関係者の方の数字、いずれも下落傾向にあったのですけれども、一般の利用に関しては客室稼働率、宿泊利用率とも、23年度に若干持ち直してきているという状況でございます。
 収支の状況でございますけれども、小樽センターは平成20年度の時点で既に経常収支は赤字を計上しておりました。その後、御努力いただいているわけですけれども、やはり財政状況としてはなかなか厳しい状況が続いていて、赤字幅が拡大してきているという状況でございます。
 その次のページが長野センターでございます。長野センターにつきましては、19、20というのはかなり大きな利用率の落ち込みがあったのですけれども、その後客室稼働率で見ますと、横ばいに近い形で推移している。特に船員保険の関係者の稼働率を見ていただくと、21、22、23は19、20よりは高い水準で推移しております。あるいは、積極的な利用の促進の働きかけをやっていただいたということもあったのではないかと思っております。
 収支でございますが、19年度まではかろうじて黒字が出ていたのですけれども、20年度の段階で2,100万円の赤字ということになり、その後21、22と赤字が続いておりまして、23はちょっと赤字が大きくなってきているという状況でございます。
 最終のページが久留米センターでございます。久留米センターは平成7年につくられまして、この4つの中では一番新しい施設でございますが、数字といたしましては19、20と落ちてきたものが、21、22、23も一般の方々の利用でいくと、やはりなだらかに落ちてきているという状況でございます。
 船員の方々で見ますと、稼働率のところなんですけれども、20で大きく落ちたものが21、22と若干持ち直して、ちょっと上向き加減だったのですが、23でまた落ちてしまったという状況でございます。
 収支の方をごらんいただきますと平成20年度の段階では、100万単位で丸めていますのでゼロとなっていますけれども、実際にはごくわずかの黒字でございました。
 21年度も黒字で乗り切ったのですけれども、22年度で赤字に転落して、23年度は赤字が拡大してきたという状況になっておるところでございます。
 本日の資料の一番最後に、参考資料ということで1枚付けさせていただいております。字が小さくて恐縮なんですけれども、裏表両面に4つの施設の概要等が記載されておるところでございます。福祉センターは、勿論宿泊の機能はあるのですけれども、温泉が付いていたり、いろいろな運動施設が付いているということが特色でして、それぞれが特色のある施設の形態を保っていて、船員保険の関係者、あるいは一般のお客様にサービスを提供しているということで運用されております。
 船員、一般の方々の利用の状況、収支の状況、直前の23年度までの状況については以上でございます。
○高市年金局事業企画課会計室長補佐 私は国有財産を管理しております、年金局事業企画課会計室の室長補佐の高市と申します。よろしくお願いします。
 この4センターにつきましては、福祉施設事業の運営主体の社会保険庁がなくなりまして、国でなくなったことにより、国が行政財産として保有する根拠がなくなり、現在この4つの施設については国の普通財産として管理されております。
 普通財産につきましては、最終的に金銭に換価して、財政収入とするために売却処分することが前提の財産となっております。
 当該国有財産の売却に当たっては、大臣官房会計課や財務省等関係部署に手続方法の妥当性や、他の省庁においての使途の有無などの協議を踏まえまして、他の普通財産の処分と同様に国有財産法や財政法、会計法といった国の会計ルールに則った方法により、なるべく早く、かつ、なるべく高く売却する手続を行って、その売却益は財源元に戻すこととなります。
 簡単ですが、以上で国有財産管理上の会計手続について、年金局から説明させていただきました。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、今、事務局の方から資料の御説明をいただいたところでございますけれども、その上で船員保険福祉センターの存続あるいは廃止ということにつきまして、委員の皆様の御意見、御質問などがありましたらお願いをしたいと思います。
 大内委員、どうぞ。
○大内委員 今、過去の計画も含めて御説明がありました。
 私どもはこの問題に過去からずっと取り組んでまいりまして、改めて私どもの考え方ということで申し上げたいと思います。
 まず、1つは国も認めていますように、船員労働の特殊性という部分で、これは先般いただきました社会保険庁当時の福祉施設の論議経過のところの前文の中にも、船員労働の特殊性ということで明記をされておりますし、いろいろなところで船員労働の特殊性について、国としてもお認めになられていると思っております。
 そこで、船員労働の特殊性というのは一体何なのかということでございまして、改めて詳細をここで申し上げるつもりはございませんけれども、いわゆる法体系の違いというところがございます。そういう中で、陸上の社会保険に対応する形で船員保険ということで分かれてきております。
 労働保護法についても、労働基準法と船員法の違い。そういうところからずっと法体系が違ってきておりまして、そういう中で陸上の法律に船員の問題を統合できるのかどうかということになりますと、これは極めて困難だということで、船員労働の特殊性という部分は、国としてもそういう形で認めてきているということでございます。
 そういう観点で、この問題をどうとらえるのかということになりますが、これはかねてから私どもが主張させていただきましたけれども、国としてそういう船員労働の特殊性に関わる部分で、船員の福祉という問題をどう考えるのか。こういうことも、かねてから私どもは主張させていただきました。
 そういうことで、この問題にこれまで取り組んできまして、先ほど御説明のあったような形での経過観察ということで、最終的にどうしていくのかという議論がここでスタートするのだろうと思っております。
 まず、私どもの立ち位置といいますか、この問題に関するスタンスということで今、申し上げたようなスタンスで考えております。
 もう一つ、あえて付け加えるのなら、船員の福祉施設、4センターの問題でございますけれども、かつて船員の福祉施設は、ピーク時には日本全国に70か所ございました。海外にも2か所ございました。海外はウェリントンとハワイにそれぞれございましたけれども、これも途中で廃止になった。
 70か所あった施設は年とともに減少してまいりました。最終的には小さい保養所を何か所か統合して、中規模あるいは大規模のセンターに衣替えをしていくんだと、これが社会保険庁当時にそういう政策として取り組まれてきたということでございますが、先ほどの説明にあるように規制改革推進のための第一次答申という形で、陸上の施設と併せて船員の福祉施設も一緒に巻き込まれて、こういう形をとらざるを得ないような状況に陥ってしまった。これに関しても当時、私どもはかなり抵抗はいたしました。それは何ゆえかということでいいますと、陸上の施設についてはお金の出所、この保養施設、センターも含めて、これは別途船主負担という形で運営をされてきている施設であるということで、陸上の施設とは全く違うんだということで申し上げてきたところでございました。それが一緒くたにされて、廃止だ、売却だということについては、我々としては理解もできないし納得もできないということを申し上げてきました。
 そこで、国としてこれらの問題を、先ほど国の普通財産として売却をして、売却益を還元していくんだというお話でございますけれども、船員労働の特殊性という観点をきちんと見据えていただくなら、国として船員の福祉をどうとらえるのか。このことでもって、全く国としては船員の福祉という問題については関与しないんだということになってしまうのではないかということを強く懸念をしておりました。そういうこともあえて付け加えさせていただきたいと思います。
 資料の内容については、別に否定するようなところはございません。今までの論議の流れ、そのときどきでどういうまとめをされたのかということについては、私どもも参加をしてまいっておりますので、その流れについては十分理解をしております。
 ただ、船員の福祉、船員労働の特殊性という部分で、船員の福祉という問題を収支バランスの基準でもって、バランスが悪いから一挙に廃止だということについては、私どもとしては強い抵抗をせざるを得ないということを申し上げておきたい。
 以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 では、江口委員の代理、お願いします。
○江口委員(代理) 江口委員の代理の遠藤といいます。
 事務局の方にデータがあれば教えていただきたいのですけれども、23年度末のいわゆる被保険者数と被扶養者数の数字がもしあるようでしたら、教えていただきたいと思います。
○西辻保険課長 お尋ねのあった船員保険の被保険者数ですけれども、23年度末で被保険者数が5万9,000人、任意継続の方を含んでおります。
 被扶養者の方が7万3,000人ということになっております。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
○江口委員(代理) このままよろしいでしょうか。
○岩村座長 どうぞ。
○江口委員(代理) そういうことですと、約13万2,000人の船員さん、及びその家族の方がおられるという数字だと思います。
 ちょっと話は違うのですけれども、今月の18日に全日海さんが全国海員総決起集会を開催されまして、海運業界を取り巻いている厳しい環境や、厳しい経営状況というものにつきまして、海員組合の皆さんも十分御理解いただいているという前提でお話しさせていただきますけれども、今、お話になっている福利厚生とか福祉というものについては、釈迦に説法なのですけれども、私の思うには、船員の皆さんに精神的、肉体的にリフレッシュしていただいて、明日から頑張るぞという気持ちになっていただく場を提供したり、それに対する援助を行うということが、一つの福利厚生とか福祉というものではないかと理解しておりまして、一生懸命働いていただくためも含めて、そのために船主サイドとしてはお金を出しているということだと思うのです。
 先ほどの被扶養者と被保険者を合わせた13万2,000人の船員保険関係者がおられるわけですが、先ほどの資料2の2ページ、泊数の船員保険の合計の23年度のところで、宿泊数の合計を見ますと、実態として845泊ということになっておるわけでございます。
 1人の方が複数回利用といいますか、宿泊しなかったという前提で仮定しても、残りの約13万1,000人の方が、いわゆるリフレッシュのための恩恵を受けていないということになるのではなかろうか。パーセンテージで言いますと、99.4%の方がこの福祉センターを利用していない、あるいは利用できなかったという数字になるのだと思うんです。
 これは本来の目的であります、大多数の船員さんにリフレッシュしていただいて、明日への活力につなげていただくという本来の筋からいたしますれば、この0.6%しか利用されていないという現在の福祉センターの状況というのは、福利という観点からは大きく外れていると言わざるを得ないのではないかと考えるわけでございます。
 船主側といたしましても、非常に厳しい中で船主負担でお金を出しているわけでございまして、その使われ方が、先ほども言いましたように0.6%の船員さんのリフレッシュにしか役立っていないという実態について、費用対効果の面からも厳しく見つめ直さなければいけないような状況にあると思っております。
 また、非常に口幅ったい言い方になると思いますけれども、はっきり言って被保険者の代表であられる組合側の委員の方から、今となっては0.6%しか利用されていないんだと、99.4%の船員の方が、言ってしまうとリフレッシュのための福利厚生から事実上切り捨てられているという見方もできるので、同じお金を使うのであれば船員保険関係者、船保に加入されている方、及びその家族の方も含めて、その大多数が享受できるようなシステムとか制度に変えるべきだ。という意見が労働者サイドの方から出てきてもいいのではないかと単純に思うのですけれども、今まで、いろいろな経緯があってのことではありますが、そういうことでないことをおっしゃっている。
 福祉センターのような、いわゆる箱物につきましては、無線医療センターとか洋上救急医療のような、ほかに代替手段のないようなものではないので、国の会計上の問題もあり、一旦廃止してはどうかと、その代わり代替施設を指定して、その利用者に援助をするということであれば、より多くの被保険者への福利厚生ということに向かっていくのではないでしょうか。
 また、こういう箱物のセンターを保有していることによる修理とか修繕等の費用負担もなくなることになりますので、その分被保険者に多額の額を還元できるということにもなります。そういう意味からも船主側としては拠出しているお金の、生きたお金の使い方という意味ですが、是非とも、そういう観点からの御議論もいただければと思います。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございました。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 そもそものところもありますし、今、遠藤さんの方からおっしゃっていた部分もある意味あるのかもしれませんけれども、少しその議論は乱暴でありまして、大きな流れとしては、事業運営懇談会の時代からこの話はしてきておりますし、船員福祉のありようについて、今まであるものを何もかも全部維持しろということは、主張してきたことはないと思っています。
 今、遠藤さんがおっしゃったように、もっと船員保険、被保険者、家族も含めて、船員福祉の在り方、効率的なもの、今、補助しているものがもっと有効に使われるべきだという点については全く賛同いたします。
 ですけれども、今までのこの議論の過程では、どちらかというと船主経済が厳しいので負担を減らしたいとか、国のこういった制度の中で存続が難しいといったことが議論をされてきて、冒頭保険局の方から説明がありましたように、今年度に話をするということですけれども、言ってみたらここまでこの問題が解決されないままタイムリミットがきている。実際に10月以降、もう予約をとっていないという話も聞いていますので、これはもう非常に大きな問題というか、今日は事務局から特にそういう説明はありませんけれども、この4センターが既に船員保険会が予約の受付をしていないということが、議論の経過を踏まえて対応するのではなくて、実態先行が起きてしまっているわけです。まずそういうところから、厚労省として一体どう考えているのか、船員保険に関する協議の場を船員保険協議会に運営を移した後に、この問題を厚労省としてどこの場で議論するんだということで、この船員保険制度に関する懇談会というのが設置をされて、協議を継続してきているわけですけれども、この24年度で処分するんだということだけが決まっていて、何の議論もないまま今日に至っているという状況です。
 ですから、まずこれをどうとらえるんだということと、その上で遠藤さんがおっしゃるような議論は、これは全く否定をいたしませんけれども、現に現存する4センターが予約を既に止めてしまっている。この問題を国としてどう考えていて、例えば売却をするのであれば、売却後に船員の福祉施設として引き続き経営ができるように、どういうふうにしていくのか。
 また、本質的な問題として、その後に船員福祉をどうするんだということは議論があってもいいとは思うのですけれども、今の状況からすると、この4つのセンターについての議論を今からするのですけれども、その予約の受付が既に止まっている。その先のスケジュールも見えてこない。では、費用負担はどうするのか船主と労使で話し合いをしてくださいというやり方は非常に乱暴だと、勿論その議論は全く否定をするつもりもありませんけれども、この4センターも含めて、船員福祉事業というは歴史的にずっとやってきて、冒頭大内委員の方からも指摘しましたけれども、過去においては70か所以上の船員の保養所あるいは宿泊施設があったわけです。勿論その時代時代の背景での必然性、私が大先輩から聞いている話では保養の意味もありますし、あるいは港町につくられている宿泊施設というのは、高度成長の時代で実際に宿泊はできない、家族が面会できない、あるいは限られた休暇でありながら家族と過ごす時間が取れないと、こういったことから船員福祉ということの重要性を国としても認めて、この事業がなされてきたということだと思います。
 歴史的な流れはそういうことで、労働環境とか国の生活水準とか生活形態が大きく変わってきているわけで、何もすべてを昔どおり維持すべきだという主張をしているのではないのですけれども、そういった歴史的な流れを踏まえてきているわけですから、この4センターを今後どうするのか。今、4か所で既に運営がされているわけで、この運営をどうするんだという話をしっかりしないと、一方でその横で、センターの10月以降の受付はしていませんということを船員保険会が話しているようですけれども、その問題を全然横に置いてこの議論をしていっても、どうもかみ合わないと思います。
 船員の福祉を同じように、もっと効率的に継続をすべきだという点に関しては、全く異論はありませんので、それは具体的な方策を、必要であれば時間をかけて議論をすればいいと思いますけれども、まず、この4センターはどうするんだと、今の状況も含めて議論をしていかないと、ただセンターが事実上閉館状態ということが実態として起きるだけだと思います。
 そこは保険局の方も、今の実情と今後の議論の進め方をどう考えているのかということは、ちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。
○岩村座長 それでは、保険局への質問だと思います。
 保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 今の4センターの運営でございますが、冒頭説明させていただきましたように、経過観察期間ということで、22年1月から24年、今年の12月まで、普通財産である4つの福祉センターについて、船員保険会との間で有償貸付という形で契約を締結しております。その際には、今後の在り方を決める上で、少なくとも2年間の利用状況を確認するということがあったわけで、実際に締結された契約は社会保険庁時代に締結されて、それを今、厚生労働省が引き継いでいるという形になるわけでございます。この契約の中では、12月まで貸し付けるという契約になっているのですけれども、12月末日まで施設を営業しなければいけないという契約にはなっていないと承知しております。
 私ども船員保険会の方からお聞きしたのは、今、管理・運営している4つのセンターについては、またどこかの段階で国に返すということで、財産とか台帳とかの整理もしなければいけない。そういったことを考えて、9月末で営業をやめるということで、関係者の方々にも話をされたということについて、私どもも報告を受けました。
 オブザーバーで船員保険会からもお見えになっていますので、もし何か追加ないしは、私の説明が間違っているようでしたら、是非お願いできればと思っております。
 船員保険会との間では24年、今年の12月末までの契約なのですけれども、今年中にこの4つのセンターの存廃を決めて、国有財産としての処理も完了するということになっていますので、それは何らかの形で存続ということになっても、どこの主体になるのかわかりませんが、25年1月からすんなりと次の主体で存続ということを考えた上で、そこまでに手続を終わらせなければいけない。そういう前提で今年結論を出して手続を行うということで、今回御議論をお願いしているということでございます。
○岩村座長 ちょっとお待ちください。船員保険会の方で何か補足の御説明がございましたら、お願いをいたします。
○古澤オブザーバー 船員保険会としましては、今、課長がおっしゃっていることが当たっていると思いまして、懇談会が6月までに合意形成が図られなくなったことによりまして、私どもは予約に係る顧客への対応とパート職員の雇用問題等を考慮しまして、実質的に9月末までに終了しないと、年度内の国庫への返還ができないということで、せっぱ詰まってやらせていただきました。その点は国とも御相談して、了承していただいたところでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
 大内委員、どうぞ。
○大内委員 私の方から、ちょっと確認だけしておきたいと思います。
 先ほど遠藤さんの方から資料に基づいての御見解というものが示されました。全く否定するつもりもないし、かといって肯定するつもりもないんです。
 御発言の御趣旨というのは、日本旅客船協会を代表しての公式見解と受け止めておけばよろしいのかどうか、その辺を確認しておきたい。
 それから、船員の利用者が少ないということも中で言われておりますけれども、ここ10年近くと言った方がいいのでしょうか、船員の不足ということが言われておりまして、後継者確保・育成ということで、これは官・労使ともに後継者確保のための方策について、さまざまな取組みをしてきております。
 その中で、なかなか後継者が入ってこない、あるいは船員が不足だということで、なかなか休暇も満足に取れる状況にはなっていない。実態的にはそういうところがございます。
 休暇がなかなか取れないということになると、保養施設を利用しようかといっても、なかなかこれも利用できない。こういう状況も一方であるわけでございます。
 もう一つ付け加えて申し上げますと、過去、ピーク時に全国に70か所ということを申し上げました。当時の被保険者数は26万8,000人ぐらいだったと思います。ちょっと数字が間違っていたらごめんなさいとしか言いようがないのですが、この70か所を、26万8,000人を70で割りますと、1施設当たりの比率というのは3,828名なんです。
 これが現在、保養所5か所と4センターということで、現在の被保険者で9か所で割りますと、1か所当たり6,555ということで、人数的には比率が、保養施設に対する被保険者数というのはかなり高くなっているんです。倍まではいきませんけれども、そういう状況の中での利用率の問題というふうにも見えるわけでございまして、何ゆえ利用率が上がらないのか、それはこの施設を委託されております船員保険会はかなりの努力をしてきておりますけれども、実はこれは前のときにも私どもの方から御説明を申し上げましたけれども、積極的な営業をしますと、周囲のホテルや旅館からクレームがくる。国の施設で営業するなんてことはとんでもないということで、国の方からも、あるいは周りの方からも手足を縛られた状態で利用者を増やしていくことになるわけでございまして、増やさなければいけないということになるわけでございます。そういうジレンマの中で今まで努力をしてきているという実態もあるわけでございますので、この4センターの経過観察ということで、以前にお話し申し上げたのですけれども、営業はフリーでできるんですかということを、この場でたしか私は聞いた記憶があるんです。そうは必ずしもできないんだというお話があったと記憶しておりますけれども、そういう中での営業努力ということでございます。
 ですから、遠藤さんの旅客船協会を代表しての公式見解として意見が述べられたということであれば、ちょっとそれは実態を一方的な部分からしか見ていないということを言わざるを得ないんだろうという気はいたします。
 以上でございます。
○岩村座長 遠藤さんの方から、何かございますでしょうか。
○江口委員(代理) 今、協会としての公式見解かというお尋ねでございますけれども、これについては協会というよりも海運界全体の流れの中での見解ということでございます。当然のことながら、そういう方向でいくという見解であるということについては、協会の中でもそういうことでいいという話にはなっています。
 ただ、旅客船協会としての公式見解かというと、ちょっと言い切れないところがあるのかという感じはしますけれども、海運界全体の方向性ということについては、それでいいという見解であるということでございます。
○岩村座長 ありがとうございます。
 大内委員、どうぞ。
○大内委員 ちょっともう一度確認をしておきたいです。
 旅客船協会の公式見解とは言い切れないと、ただ、業界全体としてのムード的な話なんだという理解でよろしいのですか。
○岩村座長 遠藤さん、そこはいかがでございましょうか。
○江口委員(代理) 協会としては、そちらの方向でいいという話です。
○大内委員 いや、公式なのか公式でないのか、その辺をはっきりしてください。
○江口委員(代理) そういう意味で言えば、一応そちらの方向で動くことについては問題ない。
○大内委員 ですから、公式な見解なんですかということを聞いているんです。そうなのかそうでないのか、それだけ返事をしてくれればいいんです。
○江口委員(代理) ですから、そこのところでもっては、例えば公式の意味がいろいろあると思いますので。
○大内委員 旅客船協会を代表して出てきているのでしょう。違うんですか。
○江口委員(代理) いや、そうですけれども。
○大内委員 だったら公式なのか公式でないのか言ってみてください。
○江口委員(代理) ですから、公式という意味では、例えばうちの方の総会とか理事会とか、そういうところでもってきちんと上がって、これでいくという形で決められたものではありません。
○大内委員 代理委員の個人的意見か、どちらなんですか。
○江口委員(代理) そういう意味で言えば、個人的意見ということに近いのかもしれません。
○岩村座長 ほかにいかがでございましょうか。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 船員保険会の古澤さんから先ほど御説明がありましたけれども、まさに6月末までに結論がこの懇談会で出なかったので、営業をやめましたと、6月末で停止することにしましたと、そのことについて国が了承していますという御説明があったわけで、申し上げますけれども、その意味の大きさというか、この懇談会でそういったことを議論し、その方向性を出すというコンセンサスであるのに、6月末までにそういったことの結論を出さないと営業を止めざるを得ないと、こういうことを国が知っていながら、今日まで懇談会をやっていないというところが大いなる問題だと、まず厳しく指摘をさせていただきます。
 その上で、この種の問題というのは、いろいろな国の事情、国の変わりようの中で協議しながら、工夫しながら進めてきたのですけれども、例えばこのセンター以外の問題、船員保険病院の問題、健康管理センターの問題、あるいはほかの福祉施設の問題も協議をしてきたのですけれども、例えば懇談会で、あるいは前回でいうと事業運営懇談会で、話が決まらないからといって船員保険病院を一旦休止しますか。無線医療をやめましたか。そんなことはやっていないし、あり得ないです。
 そうすると今の状況は、船員保険会がそう言ってきたのでそういうふうになっていますという、極めて傍観者的な保険局からの報告がありましたけれども、これは姿勢としては極めて無責任で、結論を出さなければいけない期限がもう見えているとすれば、それまでにこの方向性について、この懇談会の中で話をし、方向性を見つけ出していくということをやってきていないところが大いに問題だと。
 実際にもう予約が止まるわけで、例えば急に結論を決めたとしても営業ができない期間が出てくるでしょうし、その先どういう形でこの福祉施設を運営するのかという話に、極めて厳しい状況が国によって生み出されていると言っても、私は言い過ぎではないと思います。
 極めて恣意的に、これはもう時間切れで4つともなくなるということを前提にした話になっているのではないかということを、これは本当に憤りを感じているということを申し上げたいと思います。
 そういった今の船員保険会の状況を踏まえ、6月末を過ぎたのでやむを得ず営業停止の告知をしているということですけれども、いずれにしても、もう時間が非常に短い中で、時間が経てば経つほど、この福祉センターの存続が非常に困難になってくるわけですから、このことについての方向性、結論というのも早急に出せるような体制を是非とっていただきたいと思います。
○岩村座長 保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 冒頭、資料1にありましたとおり、21年12月の船員保険の事業運営懇談会の中では、確かに今、田中委員から御指摘があったように、遅くとも24年前半には存廃の分類に係る関係者間の合意形成を図りとされており、24年前半というのは6月までですので、6月が経過した時点でそういう結論が出ていないということに関しましては、まずはお詫びは申し上げたいと思います。
 ただ、私どもとしましては、23年度の実績が出る前後に両側、つまり組合側と船主側の両方に個別に状況を説明して、どういう希望があるのか、どういうことを考えておられるのかということを個別に承って、できればそこで調整が図られるものなら図りたいということでやっておりました。したがって、こういう平場の会議を開催して、そこで議論をすることが遅れ、その結果6月までに結論が出なかったということについてはお詫びを申し上げますが、そういうことをやっていたということは、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。
 それから、もう一点申し上げておきたいのは、私どもは9月末での営業のとりやめを了承したということではなくて、もともと社会保険庁廃止前に社会保険庁と船員保険会で締結された契約の中では、12月末まで営業を続けなければいけないという契約にはなっていないということで承知しております。
 したがって、国の了解を得て営業をやめるという仕組みではなく、パートさんの雇用の問題等いろいろなことを考えて、9月末で営業をやめるということについて、国が、いや、それはおかしいから12月末まで契約上営業をお願いしますと言える形では、残念ながらなかったということで、我々は了承したというよりは、その報告をいただいたということでございます。
○岩村座長 田中委員、どうぞ。
○田中委員 どれほど無責任な対応であるかというのがはっきりしたと思うわけです。ですから、あえて一つの例を出して申し上げているわけで、例えば船員保険病院がこういう分類にあったとしたら、同じことをやりましたか。9月30日で営業をやめろとは言っていない。そういう無責任な発言をしたでしょうか。
 この議論の中でも、そういったことをしながら、工夫をしながらやってきた。そういうことからすると、このセンターが運営を継続するということを決定するためのタイムリミットというのは、もっと早い段階にあるんだということは、十分保険局としても認識をされていたということがはっきりしたわけで、そういう意味からすると、このセンターはもう廃止ありきということで議論がなされているんだろうと思わざるを得ないわけです。
 現にもう事実上、お客さんを受け付けないと、こういった実態があって、そのことについて国は預かり知らんと今はっきりおっしゃっているので、そのことは大いなる問題だと、現状でも大変な問題だということを指摘します。
 その上で、ここから先、このセンターの存廃の問題がこれから議論になるわけですけれども、続けるとすればどういった形で続けられるのか。一旦営業をやめるとしても、できるだけ早期に営業を再開するためにはどういうステップを踏めばいいのか、そういう具体的な説明もない中で、これ以上何の議論をするのかという、国の廃止に向けた流れをこの委員会で確認してくれと言われても、それに対しては、それに代わるいろいろな措置を議論できない中で、一方的に船員福祉を切ってしまうという話を了解するわけにはいかないということを申し上げておきます。
○岩村座長 では、保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 今後のセンターをどうするのか、どういう形で運営を続けていくのかということなんですけれども、先ほど委員からの御意見もありましたけれども、そもそも25年の1月、つまり経過観察期間終了後、センターをどうするのか。そもそも存続させるのか、廃止させるのかという、その御議論の場として、この場を開催させていただいているということでございます。
 年金局の方からも説明がありましたとおり、国としては、普通財産ということで、これを運営することはできませんので、仮に存続させるとなった場合には、いずれかの運営主体に引き受けていただいて、船員保険の施設として存続をするということ、また、廃止するということであれば、もう船員保険の施設としてではなく、一般の用途の制限を付けない財産として売却をすることになると思うのですが、この存続の必要性ということに関しては、そもそも福祉事業について、私どもは、船員保険の福祉事業が不要だとは全く思っておりません。ただ、福祉事業の在り方の中で、この福祉センターをどう位置づけるのか、あるいは福祉センターではない違うやり方があるのかということについて、まさにこの場で御議論をいただいた上で、その結論に従って売却はせざるを得ないにしても、その結論に沿った方向での売却をやっていきたいということでございます。
○岩村座長 田中委員、どうぞ。
○田中委員 そういうことであれば、できるだけ早く円滑に売却をし、福祉センターの運営が継続、一旦閉めるとしても早期に再開できるような方策を国としてはまず準備をしていただきたいと思います。
 以上です。
○岩村座長 三木委員、どうぞ。
○三木委員 今日の議論を拝聴しておりまして、先ほど大内委員からも公式な立場で言っているかという、厳しく発言のことについてありましたけれども、私も聞いていましたら、今の13万2,000人の中の0.6%しか実際に使っていない。なぜそうなっているのかということについて、大内委員のお考えもあるようですけれども、恐らく日本の世の中が豊かになるにつれて、宿泊施設も民間を始め、随分増えたのかもしれない。社会の中で船員の方が下船中にリフレッシュできるような施設がたくさんできたのかという気もしているんです。そうであれば、我々海運事業者は大事な社員の船員さんがいろいろなところで、自分の希望するところでリフレッシュしてもらうという方がむしろいいのかという気がしますので、そういった方向をひとつ一緒に考えていただきたいと思うんです。
 こういうセンターが残るかどうかは、今、国の御担当の方の御説明では、法律上できなくなってしまうので、それをいろいろと工夫ができるのかどうかについても、極めて難しいお話もありますけれども、存続するかどうかはちょっと、これは本来、今日は存続するかどうかの御意見を申し上げなければいけないと思うのですけれども、それと別に、やはり99.4%の船員の人の福祉のための、今の時代に合ったことを考えていただきたい。
 このセンターを使うか使わないかは別にしても、これは事業者としては是非、皆さんに御理解をお願いしたいと思うんです。船員の方は、我々事業者にとっては非常に大事な社員なんです。こういう人たちが明日に向かって前向きに仕事をしていただくから、我々は仕事をできるわけなので、福祉センターというか福祉そのものは絶対残さなければいけない。船員の現場の人が喜ぶようなことを考えていただきたい。
 どういうふうに表現したらいいかわかりませんが、もし本当に国でこれが残せないのであれば、それに代わる何か、現場の人が喜ぶようなことを考えてくださいということをお願いします。
 私の意見であり、これは恐らく、私は内航総連合から指名されて出てきていますので、内航総連合も私のお願いについては全面的に賛成してくれると思うんです。このセンターの存続よりも何よりも、まず現場の船員のことを心配していただきたい。それだけお願いします。
 以上です。
○岩村座長 大内委員、どうぞ。
○大内委員 三木委員の御発言については、まさしく傾聴に値するのではないかとは思います。
 船員の福祉の在り方は、例えばこの福祉施設、今、4センターの話がありますけれども、そのことと別な角度で、どういう福祉の在り方ができるのかということと、そういうことも含めて、船員の福祉ということを真剣に考えていきたいというお話でございますから、それはもうまさしく傾聴に値する。
 旅客船協会のお話は頭から否定されたような気がしておりまして、先ほどきつい言い方を申し上げたわけですけれども、やはり船員の福祉というのはリフレッシュ、いわゆる、改めて乗船勤務をするということで考えているわけでございます。
 そういうことと、もう一言言及をしていただければと思ったのは、別な形での福祉の在り方をどう考えるのかということについて、皆さん船主側サイドで、自社の従業員をいっぱい抱えているわけですから、我々も組合員でもあるわけですけれども、そういうことについてどういうことが考えられるのか、是非船主側の皆さんにも考えていただきたい。
 そういうことでこの場で議論をしていって、最終的に福祉施設をどうしていくのかということも含めて、きっちりと議論をしておきたいとは思います。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 今まで船主側、組合側の御意見を伺っておりますと、組合側というか被保険者サイドは、センターについては売却した上で存続という道を早急に検討すべきではないかという御意見かと思いました。
 他方、船主側の方は、むしろ別の方向というのを考えた方がいいのではないかという御意見かとは伺いましたけれども、船主側は大体そういう御意見だということでよろしいのでしょうか。
 そうしますと両者の御意見は、船員の福祉事業というのは第一だというところについては被保険者側、組合側と船主側とでの意見の相違はないとは思いますが、他方で肝心のセンターについては、まだ両者の間での御意見の違いというのは大きいのかと拝察いたします。
 今日大体、それぞれの立場からの御意見が出たのかと思いますので、今回につきましては議論は1回この辺にさせていただいて、今日出た御意見、あるいは御議論といったものを事務局の方で1回整理をしていただいて、それを基にしながら、次回再度議論を継続することにしてはいかがかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 座長の話に異論はないのですけれども、船主側がセンター廃止論で、被保険者、組合側がセンター存続論という、白か黒かということではなくて、本質的な船員福祉の重要性については、お互いに共通理解が図れていると思います。
 まさしく在り方論でありますので、これから議論をする。それから、ある意味もう時間が切れている部分もあって、それを取り戻していかなければいけないのですけれども、今、現実に4つのセンターがあって、このままいくと4つとも全部一度に廃止する、なくなってしまうという、我々からすると非常に乱暴な話になるわけで、あるいは意見のまとめ方として、そういう極論ではなくて、船員福祉の在り方についてはじっくり議論をして、より船員の福祉に直結する形が一番望ましいわけですけれども、現に現有する福祉施設が、ある日突然4か所全部なくなるということは大変問題だと思うわけですから、これについてはできるだけ柔軟に、緩やかに対応できるようなことも御検討というか、議論していってもらいたいし、その前提として国の方は、やはりこの施設が円滑に、国の資産から売却をし、引き続き船員の福祉施設として活用することが可能な仕組みはしっかり担保していただかないと、それができない中で議論しても、それはセンターの廃止を前提にした議論にしかならないと考えておりますので、その辺は是非御配慮をしていただいた上で、単純に白か黒かというよりは、本質的なところでは対立はしておりませんので、是非現実的な、リーズナブルな、洋上で働く船員から見て元気がなくなるというか、もう沖で働くのはやめようかという気分にさせるような国の対応というのは是非避けていただきたい。
 国家、国民の物資輸送、あるいは食糧供給と、そういう思い、そういう気持ちを持って、一人ひとりの船員が陸から離れて、家族から離れて、沖で昼夜働いているということを、委員の皆さんには是非御理解いただきたいと思います。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。
 長岡委員、どうぞ。
○長岡委員 済みません。先ほど発言の機会を逸してしまったのですけれども、念のための確認ということで、船主側として大きく異論を唱えるつもりはないのですけれども、新しい方向性がはっきりするまでは、今のこの施設の問題とか制度の問題が途切れることはあってはならないと思っているのですけれども、そこはそういう理解でよろしいんですね。それは田中委員のおっしゃっていることと同じだと思っているんですけれども。
○田中委員 いや、もう営業を勝手に停止してしまっているので、10月以降はだれも泊まれないんです。
○長岡委員 そこのところをお聞きしておきたいんです。
○岩村座長 少なくとも今日、保険課長の方からの説明によれば、貸与契約そのものが12月末で切れるということでございます。したがって、何らかの新しい契約なりをするということがなければ、船員保険会かどこかは知りませんけれども、そういう契約がなければ、いずれにしろ客観的事実としては、センターの営業というのはどちらにしろ続かない。
 かつ、先ほど一番最初に説明がありましたように、普通財産としての保有というもの自体もタイムリミットがあるので、多分普通財産として保有したまま別のところと、またセンターの運営について契約をするということ自体も、多分法制上これは難しいということになってしまうと思います。
 ですので、先ほどの田中委員の御発言というのは多分、その辺のことを御理解いただいた上で、売却した上でセンターとして残すということは考えてほしいという御要望なり御意見だったと私としては理解したんです。
○田中委員 もう一度あれですけれども、今の現状で、保険課長からの説明、船員保険会からの説明からすると、10月1日以降はこの4センターをだれも使えないわけです。私も聞いています。予約をしたらもうやらないと言っているけれども、どうなっているのと、これは本当の話です。予約は入れていません。
 それに対して今の説明で、いや、10月以降は営業するなとは言っていませんよと、それは船員保険会が勝手にやっていることですと私には聞こえるわけですが、現に国に財産として12月末までに返さなければならない。そういうことであれば、10月以降営業でお客さんを取ってしまうと返せないので、10月以降は、9月30日にもう営業をやめますというのが実態なわけです。
 実際に泊まろうとしている船員なりその家族が予約できないのだけれども、どうなっているのと、これが実態なんです。
 この問題をじっくり議論してくださいと言ったって、もう10月以降は、この4施設は実態上経営されていないという状況がある。それは国の姿勢として大いなる問題だと、これは労使の問題ではないのではないですかということを、私は言いたかったということです。
○長岡委員 そういうことからすると、申し上げたかったのは、これはどういうふうに申し上げていいのかわかりませんけれども、現設備なり仕組みが途切れる期間ができるだけ短くなるように、何とか考えていかなければならないのかと、申し上げるだけ申し上げておきたいと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。
 いずれにしろ、今、田中委員あるいは長岡委員の御発言というものもございまして、その点は私自身もよく意味がわかるところでありますが、他方で先ほど来の話もありますように契約上の問題、更には普通財産としての管理の法制上の限界というところもあって、ある程度残念ながらおしりの見えているところで、では、どうしますかということを議論せざるを得ないというのが状況かと思うところであります。
 いずれにしても、先ほど申し上げましたように今日、幾つか御意見をいただきましたので、田中委員の御意見というものもございましたので、それも含めた形で事務局の方で整理をしていただいて、次回改めてもう一度議論をさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村座長 ありがとうございます。
 それでは、次に議事次第の「(2) その他」ということでございますが、事務局の方からは報告事項があるということで伺っております。
 では、事務局の方で御説明をいただきたいと思います。
○西辻保険課長 1つ報告をさせていただきたいと思います。資料3でございます。御案内のように今、国会で社会保障と税の一体改革の法案の審議がされております。衆議院の方で修正・可決されまして、現在、参議院で審議されておるわけでございますが、船員保険固有の話というのはないのですけれども、船員保険も並びで改正をするというものがひとつございます。それが資料3でございますが、産休期間中の船員保険の保険料の免除ということでございます。
 どういうことかといいますと、下の方に【現行と改正後の保険料負担のイメージ】とあるところをごらんいただきたいのですけれども、現在被保険者の方が妊娠して出産されるまでの間、就業を続けて、出産の前になると産前、それから、出産の後は産後に休業という形で仕事を休まれます。
 その後、人によっては今、育児休業の制度がございますので育児休業をとって、その後復帰ということなんですけれども、実はこの育児休業の期間につきましては、既に社会保険の保険料、これは船員保険や健康保険だけではなくて厚生年金も含めて、保険料が免除されております。
 他方、出産前後の産前・産後の休業中については、現在は引き続き保険料の負担をいただいているところでございますが、今回の一体改革は現役世代、若い世代に対しても、しっかりと対応をするということが1つの柱になっておりますので、出産する女性の方々に対する負担の軽減という観点から、この産前・産後の休業中の保険料についても、育児休業期間と同様に免除をするということが、健康保険、年金で盛り込まれており、船員保険についてもこれを盛り込んでおります。
 なお、船員の方につきましては、産後の休業が8週間、これは陸上の労働者と同じなのですけれども、産前については陸上の労働者が6週間とされているのに対して、船員の方につきましては妊娠中ということで、6週間を超えて産前の休業に入るとことができることとなっておりますので、この期間を通算して、船員保険の保険料を免除するというのがまず1点でございます。
 それから、復職した場合なのですけれども、育児休業をとった後に復職するというケースが多いのかもしれませんが、その場合、現在復職した後の保険料の賦課のベースとなる報酬は、本来であれば産前休業の前の報酬をベースになるところを、現在特例措置が講じられております。
 つまり、復職直後は働く時間を少なくして、報酬もその分下がるというケースがありますので、それに見合った報酬で保険料も賦課をするという特例が、育児休業明けの復職についてはあるのですけれども、仮に育児休業をとらずに産前・産後の休業の後、直ちに復職される方についても、同じような標準報酬の改定の特例を入れるという内容が入っているということでございます。
 この影響でございますが、船員保険の被保険者の方で産前・産後の休業に入られる方の保険料の免除分、トータルで年間で数百万円だろうと見ているところでございます。現在も参議院で審議をされている内容でございます。
 以上、報告でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 今、説明いただいたことについて、何か御意見あるいは御質問などございますでしょうか。特段よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。
 それでは、今日の議事はこれで終了ということでございます。
 今後の予定でございますが、これについて事務局の方から説明をいただきたいと思います。
○及川保険課長補佐 本日は急な開催にもかかわらず、御熱心に御議論いただききましてありがとうございました。事務局といたしましては、今日の御意見を集約しまして、調整が整い次第、また御連絡を申し上げたいと思っております。
 今後の予定でございますが、先ほど来話が出ておりますが、手続的な面もございまして、早々にセンターの存続、廃止を確定させていくといった手続が必要になってまいりますので、座長と相談した上で近日中に、次回の懇談会の開催を調整したいと思っております。調整が整い次第、また御連絡申し上げますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、今日の会議はこれで終了ということにさせていただきたいと思います。お忙しいところ、大変御熱心に御議論いただきましてありがとうございました。


(了)

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