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2012年6月28日 第8回 地域の就労支援の在り方に関する研究会(議事録)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成24年6月28日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室


○出席者

【委員】 松爲座長、菊池委員、栗原委員、阿由葉代理、長野委員、土師委員、原委員、前川委員、望月委員


【事務局】 中沖高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、鈴木障害者雇用専門官、古田地域就労支援室長補佐、新井地域就労支援室長補佐


○議題

1.「地域の就労支援の在り方に関する研究会報告書」(素案)について
2.その他

○議事

○松爲座長
 定刻より少し早いですが、今日出席予定の委員の先生方が全員ご出席になりましたので、これより第8回地域の就労支援の在り方に関する研究会を開催します。開催に当たりまして、毎回のことですが、会議の進行については視覚、聴覚障害をお持ちの方などへの情報保証の観点から、ご発言等される場合には、まず第1番目に発言者は必ず挙手をお願いいたします。2番目、挙手をしました発言者に対して、私から指名させていただきます。3番目、指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言するという旨をさらに徹底したいと思いますので、皆さんご協力よろしくお願いいたします。また、本日の議事に入る前に事務局から机の上に配付がありました新聞の記事について説明がありますので、最初にその方、よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長
 研究会を始めるに当たり、障害者雇用促進制度に関する6月14日付の朝日新聞の朝刊の記事内容について、委員の皆さまに一言ご説明させていただきます。ご承知のとおり、現在、障害者雇用対策については、昨年11月から本研究会を含め、3つの研究会を開催し、委員の皆さまにご検討していただいているところです。そのうち、障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会、通称第1研究会と呼んでおります研究会においては、障害者雇用促進制度における障害者の範囲、法定雇用率制度における障害者の範囲等について検討を進めています。雇用義務の対象範囲を精神障害者にまで拡大するかどうかについても研究会のテーマの1つになっています。
 新聞記事では、厚労省が新たに精神障害者の採用を企業に義務付ける方針を固めましたとか、専門家による研究会で近く報告書をまとめ、今週から労働政策審議会で議論し、来年にも障害者雇用促進法案改正法案を通常国会に提出するといったことが記載されていますが、厚生労働省としては、そのような方針を固めた事実はありませんし、また現段階でそもそも研究会の結論も出ていない状況です。
 それぞれ研究会を開催する際にご説明させていただいているとおり、3つの研究会は今後の障害者雇用施策を検討するに当たって、当初の高齢・障害者雇用対策部長が私的懇談会として、学識経験者などの皆さまにご参集いただいて、それぞれの会での論点について議論をお願いし、一定の課題の整理、ご意見を頂戴する性格のものです。今回、研究会でご検討いただいた事項のうち、障害者雇用促進制度の改正にかかるものについては、政策決定に向け、労働政策審議会でご議論いただくことになりますが、研究会でのご意見はその際の貴重な材料になるという位置付けになっております。
 今回、このような事実誤認を含む新聞記事が出たことは誠に遺憾であり、また委員の皆さまに対してもご迷惑をおかけしたことは大変申し訳なく思っております。委員の皆さまには、改めて研究会の位置付けを踏まえて各研究会での論点について、これまで以上に忌憚のない貴重なご意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
○松爲座長
 ありがとうございました。本日のメインの議題に入ります。議題は「地域の就労支援の在り方に関する研究会報告書」の素案についてです。事務局から説明させていただく前に、一言皆さんに全体の概要をお話しします。
 この研究回は今回で8回目です。7回までの間で、私の進め方は非常に幅広く論点を広げてもらって、いろいろなところから議題を、あるいは課題を出してもらうということで、先生方にご指名させていただいて議論をさせていただきました。そういったたくさんの幅広い議論をもとに、いよいよ今回と次回でもって、今度はそれをグッと中身を集約していかなければいけないことになるわけです。その分だけ事務局との間で報告書の目次立て等を含めて内容を絞って論点をまとめた形になっております。言い替えますと、今日、このあと議論いただくことは、外枠の目次立ての再編成は、スルーしてほしいということです。むしろ、それぞれの各章立ての中身について、文章表現上、皆さんが議論されてきたものがどこまで十分反映されているかどうか。そういったところに議論を絞りたいと思いますので、ご協力よろしくお願いします。事務局から提出されている資料についてご説明よろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 資料1「地域の就労支援の在り方に関する研究会」報告書(骨子案)をご参照ください。資料1の1頁目は、先ほど座長からもご説明ありましたように、全体の構成をまとめております。流れとしては、平成19年報告書以降の動き、課題を整理しつつ、また、これまでご議論いただいた論点の構成に基づいて作成しております。
 長くなりますが、全体の中身をご説明させていただきます。資料を1枚めくっていただき、「『地域の就労支援の在り方に関する研究会』報告書」(素案)と書いてあります。「はじめに」はまだ記載をしておりません。第ローマ数字2章として「平成19年以降の障害者を取り巻く雇用情勢、就労支援等の動き」という形で、各種情勢の動き、また雇用情勢、就労支援機関等々の動きをまとめております。
 1として「障害者を取り巻く情勢の動き(概観)」として、平成19年以降の各種法改正等々の内容をまとめております。1つ目として、障害者雇用促進法の改正により、平成18年4月から精神障害者が企業の実雇用率に算定されるようになった。また、平成22年7月から短時間労働者が実雇用率に算定されるようになった。
 2つ目の○改正学校教育法が平成19年4月に施行され、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校において、障害のある児童生徒の支援を充実していくこととなったこと。また、平成21年3月に「指導要領」の改定が行われ、就業体験機会の充実や進路指導に当たっての労働・福祉等の関係機関等との連携、地域や産業界等との人々の積極的な協力を得ること等々。また、入学前から卒業後までを見通した長期的な視点で教育的支援を行うための個別教育支援計画を作成することが規定された。
 3つ目の○、改正障害者基本法が平成23年8月に公布され、同法の目的として、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享受する個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ことが定められました。
 4つ目の○、改正障害者自立支援法の一部が平成24年4月に施行され、市町村に基幹相談支援センターを設置、また「自立支援協議会」を法律上位置づけ、地域移行支援・地域定着支援の個別給付化などの相談支援体制の強化や、サービス等利用計画作成対象者の大幅な拡大や支給決定プロセスの見直しなど、相談支援の充実が図られた。また、平成21年4月及び平成24年の報酬改定において、一般就労後の定着支援を評価するための見直しを行う等、就労支援の強化を図っているところです。また、先ほど、15年ぶりに法定雇用率が引き上げられ、平成25年4月より、民間企業においては、法定雇用率が1.8%から2.0%に改定されることとなりました。
 最後の○は、平成23年6月に「障害者虐待防止法」が公布され、平成24年10月から施行予定となっている状況で、さまざまな動きがあることがわかるかと思います。
 「2 障害者の雇用情勢の動き」です。平成18年度以降との比較を基本として整理させていただいております。障害者職業紹介状況報告については、平成23年度の新規求職申込件数が14万8,358件という形で、平成18年と比べて4割以上増加しております。就職件数についても5万9,367件という形で、同平成18年度と比べて35%増加しており、平成22年度に引き続き過去最高を更新している状況です。障害種別で見た場合に、新規求職申込件数については、すべての障害種別で増加しております。その中でも、特に知的障害者と精神障害者、特に精神障害者の増加が非常に大きくなっております。
 障害者雇用状況報告の雇用障害者数についても8年連続で過去最高を更新しており、平成18年6月1日現在と比べて、3割弱増加していると。また、実質雇用率についても1.65%、同平成18年と比べて0.13ポイント上昇しているということです。これを障害種別で見ると、雇用障害者数に占める身体障害者の割合が最も高い状況ですが、知的障害者と精神障害者の増加率が高い状況になっております。
 次に、実雇用率の推移で見ると、全体としては0.10ポイント上昇しておりますが、100人未満の企業については1.36%という形で、平成18年度比で0.1ポイント減となっており、中小企業の実雇用率が低い状況にあります。また、達成企業の割合についても全体としては1.9%増加しておりますが、100人未満の企業における達成企業割合は減少しております。これが雇用情勢の動きとなっております。
 次に、「3 地域の就労支援体制の強化の動き」です。各機関別に主だった動きを説明しております。ハローワークの「チーム支援」が平成19年度から全国のハローワークにおいて展開をしております。こちらは平成19年の報告書において全国展開するということで、業務の一環として明確に位置付けて積極的な展開を行ってきたところです。平成23年度については、約19,000人に対して実施し、就職者数は約1万人で、就職率は51.9%という形で増加しております。また、支援対象者の半数が知的障害者ですが、この構成割合が低下しておりまして、精神障害者の割合が増加している状況です。
 また、就職件数に占めるチーム支援の就職者の割合も増加しており、平成23年度においては就職件数全体のうちの16.7%がチーム支援による就職となっております。特に知的障害者については約4割がチーム支援を経由した就職になっております。地域障害者職業センターについては、平成23年度において、全国で約3万人の方に対して支援を行っており、こちらも平成18年比で18%弱増加をしている状況です。数行飛ばして、さらに事業所数についても16,673事業所で、過去最高を更新しております。地域センターの利用者数、利用者の障害種別は、精神障害者とか発達障害等、その他の障害者が大幅に増加する状況になっております。さらに、平成19年報告書を踏まえて、平成20年度の障害者雇用促進法の改正により、地域センターの業務として、ナカポツセンター、その他関係機関に対する、職業に関する「技術的事項についての助言その他の援助を行うこと」が明記され、各就業支援機関等の職員に対して「就労支援基礎研修」を実施するほか、職リハの技術的事項に関する助言・援助を行っているところです。
 ナカポツセンターは、平成19年報告書において、「すべての障害保健福祉圏域への設置を、計画的かつ早急に進めることが必要」とされたところです。平成24年3月末現在で全国313箇所、平成19年3月末と比べて200箇所以上増加しております。障害保健福祉圏域のカバー率については87%で、100%までは達しておりません。1センター当たりの実績についても登録者は大幅に増加しております。
 相談支援件数の内訳は、就職に向けた相談支援が最も多く、職場定着に向けた相談支援がそれに続いている状況です。登録者を障害種別で見た場合、ナカポツセンターについては約半数が知的障害者になっております。ただし、精神障害者の割合も増加しつつありますし、またその他の障害者の割合も増加しつつある状況です。
 4頁の就労系障害福祉サービスから一般就労への移行については、平成22年度の就職者数は4,403人で、平成18年度から比べて1.8倍と増えております。移行率についても定員の20%以上であった移行支援事業所が平成20年では9施設、全体の21%ですが、平成22年には310施設で、全体の30%に比率が伸びる状況になっております。移行支援事業所における就職者数が着実に増加していると。その一方で、いままでに就職者が出ていない移行支援事業所が42%あり、事業所間の格差が見られる状況です。
 ジョブコーチは、平成23年度の支援者数は3,342人でこちらも増加しております。職場定着率についても87.4%で3.1%ポイント増加しております。障害種別で見た場合は、知的障害者が約半数を占めておりますが、その割合は低下しつつあり、また精神障害者、発達障害者その他の障害者の割合が増加している状況です。1号ジョブコーチについては、平成23年度末現在で777人、2号ジョブコーチについては120人でともに増加しております。1号ジョブコーチのみによる支援は939件で大幅に増加しています。
 「4 重点施策実施5か年計画の進ちょく状況」については、追って別添でまとめさせていただければと思っております。こういった動きを踏まえ、5で「まとめ」として整理させていただいております。
 平成19年報告書を踏まえ、各種支援策の充実を図ってきたところですが、こうした中で、平成19年報告書当時と比べて、以下の点で新たな課題が生じていると。1点目については、先ほどありましたが、企業の障害者雇用への理解ですとか、障害者自身の就労意欲の高まり、又はナカポツセンターや移行支援事業所の増加などを背景に、企業における雇用障害者数が増加しております。その結果、実雇用率や法定雇用率達成企業割合も増加しており、平成19年報告書当時と比べて「雇用」と「福祉」との間の垣根は確実に低くなっていると。ただ、今後はこれまで以上に、「雇用」と「福祉」との間の密接な連携が必要になってきている。
 その一方で、中小企業、特に100人未満を中心に、実雇用率や法定雇用率達成企業割合が低下しており、中小企業に対する支援が必要になってきている。その中で、働く障害者にとっては、社会生活において、企業で過ごす時間が最も長い状況にあります。このため、障害者の雇用を今後一層推進するためには、障害者を雇用する企業の不安を理解するとともに、企業を地域の中で巻き込んでいくことが重要ではないか。
 次のポツは、就労支援機関は、ナカポツセンター、移行支援事業所を中心に急激に増加しております。地域における就労支援機関のネットワークも平成19年当時に比べれば構築されていると。特に、特別支援学校とハローワークやナカポツセンターなど、地域の就労支援機関との間においては、平成19年度の、いわゆる連携通達以降、良好な関係が構築されてきており、その点は評価すべきではないか。
 その一方で、移行支援事業所については、平成19年報告書以降、確実に増加して、一般就労への移行率も上昇しておりますが、事業所間の格差が大きい。就労支援機関自体が整備されていない地域もあり、その差が大きくなってきているのではないか。
 次のポツは、さらに就労を希望する精神障害者の数が急増している。その中で、各就労支援機関における取扱件数も増加しており、体制的な問題や専門性の問題から、各就労支援機関において、精神障害者の障害特性を踏まえた支援の必要性が高まっている。また、雇用障害者数が増加する中で、雇入れ支援のみならず、今後は雇用されている障害者をいかに職場に定着させていくか、また職場定着のためにどういった支援が必要かということが、平成19年の報告書当時以降に大きな課題となっている。加齢等に伴い職業能力が低下した障害者に対する配慮や福祉へのソフトランディングについても大きな課題となっています。
 こうした流れに加え、これまで本研究会のさまざまな議論の中で「教育」「福祉」「医療」から「雇用」への流れを一層促進する観点から、障害者や保護者、支援者等に対する企業見学又は職場実習等を通じた企業理解の促進について、さまざまな観点から推進すべきとの意見がありました。その中で、職場実習や企業見学は、障害者のみならず、教員や福祉施設等の職員、保護者等にとっても、企業を直接知るために極めて効果的なものですし、また障害者自身が自らの将来についての選択肢を広げるためにも、企業が障害者の特性や職務遂行能力を確認するための手段としても効果的であるということです。
 ローマ数字3章の「参集者からの報告、関係者からのヒアリング」です。こちらもこれまで各委員からのご報告、また各障害者団体等からのヒアリング等を行ってまいりましたが、そのヒアリングの内容等については別にまとめていきたいと考えております。
 こうした背景の上で、地域の就労支援の今後の在り方がローマ数字4章の6頁以降です。第1として、「中小企業等が安心して障害者雇用に取り組むために求められる支援等」という形で、全体を概要としてまとめております。中小企業等の中には、障害者を雇用する意思はあってもどうしたらいいかわからないという雇用経験がない企業も多い状況です。そういった企業の不安は、情報がないことによる場合が多い。中小企業等が障害者雇用を安心して進めるためには、障害者自身が日常生活・社会生活を送れるための基礎的能力を有し、生活環境が安定していることが重要である。障害者の採用については、障害者の適性や職務遂行能力等を見極めることが求められますが、そのためのノウハウが不足している場合が多く、また多くの中小企業等において、障害者の雇用管理について不安を有している状況です。障害者が長期にわたって安定して働くことが望ましいわけですが、雇用が継続する中で、上司の交替や職務の変更、生活の乱れといったことで、職場不適応となる障害者もおり、中小企業等はその対応に苦慮している。加えて、長期にわたって雇用している障害者の中には、加齢等による能力や意欲の低下が見られる場合もあり、こうした障害者について、雇用から福祉に段階的にソフトランディングを図られることが求められる。
 こうした上記のような不安を解消して、企業が安心して障害者を雇用し続けるためには、地域の就労支援機関や特別支援学校、就労移行支援事業者や医療機関などの送り出し機関による継続的かつ、きめ細かな支援が必要であるとともに、雇入れ前、雇入れ後、定着過程、定着後、さらにはその後のそれぞれのステージに応じた支援を提供することで、企業に対して障害者雇用に関する長期的な見通しを持たせることが必要である。また、障害者を雇用する企業の人事担当者や現場担当者が障害者の障害特性を十分に理解し、企業自身の障害者に対するサポート力を強化していくことも必要である。
 こうした点を踏まえて、中小企業等が求められる支援として、以下の1から5にまとめております。それぞれのステージにおける支援にわたって、各就労支援機関等に求められる役割においては第2において整理しております。
 まず、「雇入れ前に求められる支援」です。障害者を雇用する意思があっても、どうしていいかわからないといった雇用経験のない企業については、活用できる支援制度に関する情報提供や、先進企業の見学または障害者雇用に関する意識啓発を行うことが重要である。
 7頁ですが、精神障害等の場合、勤務時間や業務内容等に一定の配慮や柔軟さが必要であり、また通院や服薬、休憩等が必要な場合もありますので、そういった障害者に対する正しい理解促進策の充実を図っていくことが必要である。企業における障害者雇用の具体的な検討を促進するためには、職域開拓や職場環境の改善または障害者への対応方法、人的支援の方法等について、具体的な事例の提供等を実施していく支援が必要である。障害者の採用を進めていくためには、送り出し機関等において、障害者が日常生活・社会生活を送るための基礎的な能力の付与を適切に行うことが必要であり、早期から企業人になるための支援を行うことが必要である。企業が障害者に対する理解を深めることは、障害者の基礎的能力や適正、職務遂行能力を判断するために、実際に働いている姿をみることが重要であり、そのためには職場実習などの取組みが行われることが重要である。
 「2 雇入れ、定着過程において求められる支援」です。企業の雇入れ支援に際して、各種環境整備に加え、ジョブコーチが直接職場に出向いて、就職や職場適用を図るために、職場で生じるさまざまな課題の改善を図るための支援を行うことが必要である。また、就業面や生活面で企業では解決できない困難が生じた際に、支援機関に関する支援が必要ではないか。
 「3 定着後に求められるフォローアップ支援」ですが、雇用継続する中で、職場不適応となる障害者も生じますが、その原因については、仕事上の課題もある一方、生活面の課題も多いと。このため、職場上の課題や生活面での課題に対応した支援が必要である。
 4は、加齢等に伴い、職業能力の低下等が生じた場合に、年齢や能力に配慮した柔軟な働き方や就労継続支援事業への段階的な移行を含めた受け皿作りの検討が必要である。
 8頁の5は、「企業のサポート力の強化に対する支援」として、障害者を雇用する企業の人事担当者や現場担当者が障害者の障害特性を十分に理解して、また継続的に学ぶ機会を提供していくことが必要である。
 6は「障害者に対する就労支援」です。企業に対する支援に加えて、障害者に対する就労支援が相まって障害者の雇用を促進する。就労支援に至る障害者の置かれている状況の主なパターンを以下にまとめております。
 次の○では、就労系の障害福祉サービスの選択時においては、就労移行支援を利用し、一般就労が可能かどうか見極めた上で、それが困難であると認められる場合に、就労継続支援B型を利用することを原則としておりますが、就労移行支援事業によるアセスメントが困難な地域もあると。また、就学時や就職後に精神障害を発症する、発達障害が明らかになった者等については、就労支援等に関する情報そのものが不足しているのではないか。障害者に対する就労支援の基本的なプロセスを以下にまとめております。
 こうした状況を踏まえ、各機関に求められる役割とか送り出し機関に対する支援を第2及び第4でまとめております。こうした企業の不安等や障害者に求められる支援等を踏まえて、各機関に求められる役割が9頁以降の第2章第2にあります。
 まず、「1 ハローワークに求められる役割」は、平成19年報告書で求められた役割とその役割は変わっていない。今後、その役割を踏まえつつ、以下に重点を置いた取組みを行うべきである。
 2つ目の○として、雇用経験のない企業の不安を解消するためには、ハローワークが中心となって、情報提供、意識啓発、助成金などの支援、先進企業の見学のあっせんなどを行うこと。また、企業において障害者に対する職場実習などの取組みが積極的に行われるようにするために、ナカポツセンターや送り出し機関等とも連携して、職場実習先の開拓、あっせんを行うこと。ハローワークによる事業所訪問、障害者の個別面接等の職場定着指導、支援は、虐待の未然防止、早期発見等虐待防止を図る観点からも重要であることから、虐待防止法の施行も踏まえて、関係機関との連携のもと、引き続き、同指導、支援を実施していく。1つ飛ばして、増加する精神障害者や発達障害者等に対する専門的な支援の強化を図るとともに、重度の身体障害者や知的障害者などに対しても引き続き、きめ細かな支援を行うという形で大まかにまとめております。
 次に、「2 地域障害者職業センターに求められる役割」です。10頁ですが、こちらも平成19年報告書に記載された役割とは基本的に変わっていません。引き続き、以下に重点を置いて取り組むべきである。次の○は、企業に対して、障害者の職域開発や必要となる職場環境の改善、障害者への対応方法や人的支援の方法等に係る支援を行うこと。また、障害者を雇用する企業の人事担当者等に対して、継続的に学ぶ機会を提供していくこと。そして、発達障害、精神障害など特に就職が困難な事例等に対して、積極的に支援を行うこと。また、就労支援機関間で就労支援に関する経験・能力の差が大きいために、そういった機関に対して、就労支援のスキルを積極的に提供することが求められるのではないか。
 次は、3 ナカポツセンターです。こちらも平成19年報告書に書かれた役割とは基本的には変わっておりませんが、今後は、以下に重点を置いた取組みを行うべきであると。特に、以下に掲げる職場定着支援、生活支援に係る関係機関との連携・協力支援、地域のネットワーク構築において、ナカポツセンターは中心的な役割が求められるところであるが、現状の体制では非常に困難な状況であり、体制強化が必要。1つ飛ばして、職場定着に重点を置いた支援を行うこと。必要に応じて、同センターが中心となって、就労移行支援事業所や特別支援学校と適切な役割分担を構築した上で、同センターが中心となって、職場定着支援に係るコーディネートを行うこととしております。
 ハローワーク、移行支援事業所、ナカポツセンター等の取組みによって就職者数が確実に増加しているところですが、こうした就職者を生活面からどう支えていくのかというところが大きな課題となっております。その中で、平成24年4月から障害者自立支援法の一部改正により、地域の相談支援事業所において、今後3年間で段階的にすべての障害福祉サービス利用者に対して、サービス等利用計画を策定することとなったところであり、地域定着支援として、居宅において単身で生活している障害者に対して常時連絡体制をとっている相談支援事業所を評価することなどによる生活支援の強化など、相談支援の充実が図られたところです。今後、相談支援事業所が、こうした福祉サービスを利用する障害者に対する第一線の機関として、幅広い役割を果たすことが期待される。
 また、福祉サービスから就労に移行を促進させるため、今年度から実施されているモデル事業の成果も踏まえて、サービス等利用計画の策定段階からナカポツセンター等、地域の就労支援機関と相談支援事業者の連携によって、生活面での支援を適切に行っていく必要がある。加齢等に伴い、これまでの就労継続が困難となった障害者がソフトランディングできるよう、年齢や能力に配慮した柔軟な働き方や、就労継続支援事業への段階的な移行を含めた受け皿作りを検討すること。
 「4 移行支援事業所等に求められる役割」です。こちらも平成19年報告書を踏まえ、引き続き、一般雇用に必要な知識の習得や能力の向上を行い、企業に障害者を送り出すことが必要である。また、就労の可能性がある障害者が地域レベルで適切なアセスメントを受けられ、就労に向けた支援を受けられるようにすることが必要であり、就労移行支援事業所による就労継続支援B型利用に係るアセスメントを行うこととされたものの、そのための体制が十分でなく、就労系の障害福祉サービスの選択時において、本人の特性を踏まえた就労にかかる能力や適性の把握、評価をどのように行っていくかが課題になっている。今後は、就労移行支援事業者の質の向上や普及とともに、ナカポツセンターのモデル事業の実施状況を踏まえつつ、ナカポツセンターにおけるアセスメントの支援を検討することも必要である。
 さらに、平成24年度の報酬改定において、職場実習等の評価、定着支援の評価、一般就労への移行実績がない事業所の評価の適正化が行われたところであり、改正の趣旨を踏まえた、一般就労への移行促進、定着支援の実施が図られることが求められている。
 最後に、5 ジョブコーチです。ジョブコーチについても平成19年報告書において役割が書かれております。今後、重要性がますます高まっていくと考えられるが、企業、障害者等、さまざまなニーズに的確に対応するためには、今後は以下の課題を踏まえて、今後のジョブコーチ制度の見直しについて検討すべきであるという形で2つ書いております。
 1つは、視覚障害者や聴覚障害者の職場適応を支援するため、手話ができるジョブコーチや視覚障害の特性に対応できるジョブコーチが必要。また、ジョブコーチの養成数の拡大、活動促進、専門性の向上等を図るとともに、一定の活動実績があるジョブコーチが安定して支援できるようにすることが必要。
 第3として、「地域における関係機関とのネットワークの構築、充実強化」です。ネットワークの関係等を記載しておりますが、ネットワークの重要性については平成19年報告書から変わっておりません。また、平成19年報告書以降、こうしたネットワークは構築されつつあると考えている状況です。
 地域の就労支援のネットワークの構築・運用のためには、マクロネットワーク、ミクロネットワークの両面から考える必要があり、マクロネットワークとしては、地域自立支援協議会等が今後、積極的に機能することが期待される。また、ミクロネットワークとしては、ナカポツセンターや移行支援事業所の役割が重要になっているのではないか。具体的にはという形で、自立支援協議会等の参加状況又は部会等を設置する自立支援協議会の数が増えることが期待されるというふうに記載しております。
 自立支援協議会に参加しているハローワーク、支援学校、ナカポツセンター、移行支援事業所、こうしたところの参加割合がさらに上昇することが期待され、現在では特例子会社や重多事業所、民間企業、経済団体等が参加している割合が2割前後になっておりますので、今後は地域の企業や経済団体が積極的に参加することが期待されるということです。
 その一方で、ナカポツセンターにおいては、地域のネットワーク構築の核となりうるわけですが、いまだすべての障害保健福祉圏域において設置されていない状況ですので、地域の事情も踏まえつつ、そうした地域において、同センターの機能が提供されるよう、支援していくことが必要である。就労移行支援事業所が障害保健福祉圏域に偏りなく計画的に設置されるよう検討することが必要である。
 加えて、発達障害や難病、高次脳機能障害など、障害特性に応じたネットワークを構築することも有効であり、具体的には、発達障害者支援センターや難病相談・支援センター等が参加することが考えられる。なお書きとして、支援機関が乏しい地域においては、就労に関する情報そのものが届いておらず、障害者が自ら選ぶこと自体が認識されていないこともあり、こうした地域に住む障害者に対して情報が届く仕組みを検討することが必要である。また、そういった地方で障害者雇用に熱心な企業があると、障害者雇用が一気に進むことがあるので、そういった企業が生まれるよう、地域の中で働きかけることも重要である。
 次に、<利用者視点での支援体制の構築>として、障害者や企業にとっては、どこに相談すべきかといったことがわからない場合もある。また、最初に相談した機関によって、対応の内容が方向付けられてしまう場合もある。どういったときにどういった機関に相談すべきか、各就労支援機関の役割を踏まえ、利用者にとって見えることが最も大事である。また、たらい回しにならず、適切な機関、支援につなげることも必要であるということ。そのためには、各機関に対する情報提供が重要であるとともに、ネットワークの構築・強化に対して支援者同士のつながりという点だけではなく、企業や障害者といった利用者からみて使い勝手のよい仕組とすることが重要である。
 <その他の課題等>として、1つは自宅からの通勤圏内に就職先等がない障害者については、住居や通勤等の面で就職等を躊躇する場合もあり、こうした障害者に対しては、地域全体で支援していくことが期待される。地域全体で就労支援を行っていくためには、障害者に関するさまざまな情報が就労支援機関の間で適切に共有、引き継がれることが効果的な支援ということで重要ではありますが、こうした情報は採用する企業にとっても有用な情報になり得ると。このため、こうした情報について核となる機関が管理することや、障害者やその保護者から情報共有することについて、包括的同意を得るという方策も考えられる。
 その一方で、こうした情報は極めてプライバシー性の高い情報でもあり、個人情報が漏えいした場合の影響、またこうした情報により却ってレッテルを貼られる危険性があるため、十分な注意が必要である。こうした情報共有の在り方については、引き続き検討することが必要である。
 第4、「特別支援学校、医療機関等送り出し機関に対する支援等」として、「1 特別支援学校等に対する支援」として、特別支援学校においては、障害者が日常生活・社会生活を送れるための基礎的能力を付与することや企業人になるため、または地域の企業ニーズに合わせた学習や基礎的な訓練を実施することで、早い段階から就業体験を積極的に行うとともに、就業体験の中で生徒のアセスメントを行っていくことなどの役割が期待される。また、就職した生徒にとって、最も身近な相談場所は卒業した特別支援学校であり、特別支援学校による継続的な定着支援、特別支援学校からナカポツセンター等への円滑な引き継ぎを行うことが期待される。こうした役割を適切に果たしていくために以下の支援が必要である。
 1つは、特別支援学校において生徒のアセスメントを適切に行っていくためには、多くの就業体験、企業実習を積極的に行うことが極めて重要であり、そのための受入先の確保を支援すること。よりよい就業体験を組むためには、教員が、関係機関や企業と連絡調整を行うことが重要であり、そのためには教員の専門性確保・向上に対する支援が必要である。その際、教員が企業マインドを学ぶためにも教員の企業実習を支援すること。さらに、地域の関係機関の職員や企業関係者が教師に対するアドバイザーとして学校に入ったり、外部講師の形として授業に参加する機会が増えているが、こうした取組みを引き続き支援していくこと。生徒のみならず、保護者の不安も大きいということですので、外部講師のような形で、保護者に対する情報提供を行うこととか、実際に障害者が就労している企業を見学していくことを支援することが必要である。また、上記のほか、特別支援学校のみならず、大学等においては、雇用就労への移行過程でつまずく発達障害者の方も多い。このため、高等教育間の就職支援部門と連携して発達障害がある学生に対する就労支援を行うことも必要である。
 2として、「医療機関等との連携、支援」として、精神障害者の就職支援に当たっては、医療機関との連携が不可決ですが、多くの医療機関において、患者の就労に関する優先順位が必ずしも高くない。また、患者自身が就労支援に関する情報を把握していない場合も多い。このため、就労支援機関から出向いて、医療の中身を理解しつつ、積極的に連携を図っていくとともに、患者に対する効果的な周知広報を図っていくことも必要である。
 平成18年度より特別支援学校とか福祉施設等について一般雇用に対する理解を深めるためのセミナー等を行っておりますが、その対象に医療機関を含めるなどによって、医療機関の就労支援の理解を深めていくとともに、就労支援に関心を持つ医療機関も増加している状況があることから、そうした取組みを促進していくことも必要ではないか。なお書きとして、就労支援機関が医療機関と連携する中では、精神保健福祉士とか作業療法士等を接点としていくことも有効である。
 第5は、「就労支援を担う人材の育成」という形で、障害特性が多様化する中で、各就労支援機関の人材育成は不可決である。地域によって支援者の能力に大きな差があって、急増する精神障害者等に対する支援が不十分なところがあることから、専門性の確保、質の向上が必要である。このため、地域障害職業センターにおいて、各就労支援機関の職員に対して、就労支援のスキルを積極的に提供するなど、研修や実習等を強化していく必要がある。また、支援者は、企業と障害者双方の立場に立って支援を行うことが必要でありますので、企業の立場を理解しつつ、企業が求める支援を行う人材の育成が必要である。このため、福祉施設等の職員の企業実習を支援することも必要である。
 さらに身体障害者、知的障害者に対する支援のノウハウは蓄積されつつあるものの、就職が難しい重度障害者の雇用促進を図るためにも、こうした障害者の障害特性を理解した人材の配置を引き続き強化していくことが必要である。なお、人材育成に関しては、平成21年3月に「障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会」を開催しており、そこで指摘された就労支援のキャリア形成を踏まえた育成、大学教育における取組み、処遇等の在り方といった今後の課題も踏まえ、引き続き検討することが必要である。「終わりに」はまだ記載しておりません。長くなりましたが、以上です。
○松爲座長
 この報告書について、全般的に議論していきたいと思います。まず、全体の概要を見た上で、それぞれの章立てごとに皆さんのご意見を伺いたいと思います。最初に、報告書全体構造についてご意見がありましたら、よろしくお願いします。平成19年の報告書と比べて、最初に企業側の問題点を明確にしていて、課題を出しています。その上でどうするかということです。それと同時に、平成19年以降の現状を明確に書いて、それ以降の課題に基づいて、どのような形で対応していくかを、全体の目次立て構造として、かなり強調しているところがあると思います。どうでしょうか、構造そのものに関しては特にご意見はないものとして、中身の本題に入りますが、よろしいでしょうか。
○土師委員
 資料としてはないのですが、これをまとめるに当たって「はじめに」のところで、障害をもっている方が働くことが当たり前なのだという基本的な部分、何か媚を売って働く、雇用してやる、支援してやるということではなくて、基本的に国障年以降、完全参加と平等、共生社会、ともに働く社会というようないろいろなスローガンがありますが、当然憲法でも保障されていますし、働くことが当たり前なのだという視点に立つ。
 また、働くということは労働力として、労働者として存在し得ることなのだということです。アメリカでは、納税者になることが社会自立だといわれていますが、実際に雇用してみると、彼らは立派に労働者として、労働力として存在感があるわけです。そういうことを、もっとイントロの部分で表記していただければありがたい。単に、障害者を雇用するべきだという「べき論」だけでは、いけないと思います。
 2つ目は、雇用側、支援側、育成側の連携ということで、より多くの人を社会に出していこうということはいいのですが、もう1つ、例えば制度として持っている、安定側でいえば、トライアル雇用、能開の委託訓練もあると思うのですが、そういう制度としてこれを補完するという意味、それをもっと活用していくような方向で、何か一言あったほうがいいのではないかと思うのです。
 企業の不安の中に、「見極め」が難しいと。トライアル雇用制度もお金を付ける付けないではなくて、見極めのための一定の期間が必要なのです。これは企業側だけではなくて、働く障害者にとっても、お見合いの機会でもありますし、大事な要素だと思うのです。定着ということを考えると、きちんと経過を踏まえて、雇用をし雇用したらきちんと雇用し続けるということは必要だと思います。
○松爲座長
 1番目のこれは明確な理念ですから、当然、打ち出したっていいと思います。2番目のものをどこに組み込むかというのは、中身に関してはいろいろと相談しなければいけないかもしれません。全体の枠からすると、どこに組み込むかはすぐにここだとは言えないかもしれません。
 ほかにいかがでしょうか。もしよろしいようでしたら、第2章の平成19年以降の取組み、雇用情勢、就労支援等の動きについて、修文、強調してほしいというところがありましたら、どうぞ。
○障害者雇用専門官
 ローマ数字2の平成19年以降の障害者を取り巻く雇用情勢、就労支援等の動きについて、本日は小川委員がご欠席ですが、小川委員からご意見をいただいておりますので、ご紹介させていただきます。
 まず、「障害者を取り巻く雇用情勢、就労支援等の動きについては、全体にこの間の障害者雇用就労支援に係る変化が丁寧に記述されていて、現状及び課題も的確に整理されていると思います」。その中で、以下の2点を意見として述べたいということです。
 5頁の上から3つ目のポツです。意見1「雇用障害者数が増加する中で、雇入れ支援のみならず、雇用されている障害者がいかに職場定着するか、職場定着のためにどういった支援が必要か」といった記述です。これについては、より強調した書き方がなされるべきではないか。理由としては、定着部分についても、長期的な定着支援の課題が多く指摘されています。また、ナカポツ事業、移行支援事業、ジョブコーチなどからなる地域の就労支援対策の中で、定着支援の部分が最も狭間になっていて、支援対策が弱い部分であることを共通認識を持つ必要があるといったご意見です。
 また、意見2として、「就労移行支援事業所について事業所間の差がある」ということで、就労支援機関の部分について記載させていただいています。具体的には4頁のいちばん上の○です。これは急速に設置数を増やしたナカポツセンターについても同様に言えることではないか。全体の傾向として、ナカポツ事業の実積の格差がどのようなものかも含めて、もう少し言及する必要があるのではないかといったご意見でした。以上です。
○松爲座長
 移行支援及びナカポツに関しては、格差の大きさですね。それは4頁の頭の最初の○で、少し追加ということになります。それから、いま最初のほうにあった職場定着に関する支援は、確かに最初のほうの雇用率云々ということとは違いまして、定着は前々から大きな課題になっていますから、ますます大きな課題になるでしょうし、それは何らかの形で文書上で表現、強調する格好に持っていくほうがよろしいかと思います。ほかにご意見はございますか。
○長野委員
 ローマ数字2の5まとめのところです。精神障害者のことに言及していただいているのですが、ここまでのところ、実は平成19年報告書を見ていても、ナカポツのところが福祉と雇用というのは出てくるのですが、医療のところは非常に弱くて、最後のところに「教育、福祉、医療からの雇用」ということは明言していただいているのですが、精神障害をもたれた方のいちばんの特色としては、ほとんどの方が医療機関を利用せざるを得ないというか、利用されているということを考えると、ここまで少し力が落ちてきた医療との連携をやらないと進まないということを、ここの時点で書き込んでもいいのかなと思いました。
 また、精神障害だけではない、ヒアリングの中でも非常に印象に残っていますが、難病の方も福祉の利用がほとんどない可能性が、ナカポツは別ですが、いわゆる自立支援法の福祉制度にはなかなか乗らない方がほとんどだろうと思いますので、そこを考えると、医療と雇用のネットワークもしていかないと、この非常に伸びてきているニーズに応えられないのかなと思うと、何らかの強調した書き方ができないかなと思います。
○松爲座長
 14頁の段階で、特別支援学校、医療等に関する支援の中身が、一応「特別支援学校」「医療」という格好で分けてありますから、そういった意味では、いまの5頁の問題設定のまとめを分けてしまうという手も考えられますよね。教育と雇用、医療と雇用という形で項立てを分けて、特に医療とのつながりを強調するという形で、ポツを増やす形にしていけば、いまの話はもう少し文書上で見えてくる可能性がありますよね。ほかにどうでしょうか。もしよろしいようでしたら、続いてローマ数字4に入ります。「地域の就労支援の今後の在り方について」です。まず、「第1 中小企業が安心して雇用に取り組むために求められる支援策」についていかがでしょうか。
○長野委員
 少し違和感があるのですが、「地域の就労支援の今後の在り方」という章立ての中で、突然、中小企業が出てくるところに違和感を感じました。確かに、中小企業が地域の就労に対して中心になるということを前段として、中小企業と突然書いているのだと思いますが、それはそれで構わないと思うのですが、そこの前段の文章なりで、なぜ中小企業に焦点を置いているかというところなど、そういう前段の文章はどうしても要るのかなと感じています。
 あと第1のところですが、なぜ中小企業が大企業に比べて、若干ポイントが落ちてきているのか、トータルの達成率は大きく変わらないと思ってデータを見ていますが、中小企業の障害者就労に対する特性みたいなことに関しては、もう少し言及しないといけないのかなと思います。取組みが進んでいないという相対的なことはわかるのですが、それはノウハウ、情報ということで、実際に取組みを始めていない大企業にも同じことがいえると思います。
 中小企業だと、例えば法定雇用率を達成しても、障害をもった方の数は減ってきますので、そこでのまとまった助成金がないような構造であったり、例えば2号ジョブコーチを置こうと思っても、10人雇っていて、例えば3人ぐらいずつずっと入り続けている企業であれば2号ジョブコーチが置けたとしても、100人の企業で2人ぐらいの障害者だと件数が揃わなくて入らないとか、中小企業の特性みたいなことはもう少し議論がないと、総論的、総括的すぎて、具体的なところに入れないような印象を持っています。
○松爲座長
 いまの話でいくと、確かに第1でいきなり「中小企業」と入っていますから。ただ、全体のいちばん最初の目的のところで、雇用率制度が例えば2.0になった段階とか、もちろん全体の流れの中で、大企業に特例子会社が増えていく中で、実雇用率がまた逆転現象を起こしている。そういった背景を踏まえた上で、特にここでは、地域の中でも中小企業に焦点を絞って以下の議論をしますという形で、文章を入れましょうか。
 必ずしも、皆さんの全体の議論からすると、委員会全体で議論しているのは、大企業の問題ではないのですよね。なぜ中小企業に焦点を絞ったかということを、第1の番号の前の段階で注釈のようなものを入れると、おっしゃるとおりの流れがうまく構成される感じがしますね。
 それと、あとの問題点で、なぜ中小企業はどうなっているかという事情に関しては、どこかにうまく入れ込むことができるかですね。第1の1番目の雇い入れられる支援の前の段階ですね。6頁の第1の○の中で、何かいま言ったようなことを加えるような格好で考えていくかどうかですね。そこを修文で少し考えることにしましょうか。ほかはよろしいですか。
○西村委員
 8頁の6「障害者に対する就労支援」に入るのかもしれませんが、平成19年の報告からの大きな変化として、ナカポツや就労移行支援事業所が増えたという話がある一方、これまでの研究会の中でも、精神障害のある人もですが、発達障害のある方、一見障害の困難さがわかりづらい方の存在があります。そのときに、この中の記述では、「就労移行支援事業所によるアセスメントが困難な地域もある」ということもありますが、ハローワーク、ナカポツ、これから相談・支援事業所も入ってくると思うのですが、そこのインテークや継続面談といったところ、もしくは就労移行支援事業所のようなところにつなげられない場合、何かそれに代わるようなところで、丁寧なアセスメントをしていかないと、無理なゴールをして、それこそ雇用中にいろいろな問題が生じるケースはたくさんあるのではないかと思うのです。
 そういう意味では、そこのインテークや面談の部分に対して、専門性やスキルアップが強く出されていてもいいのかなと、これまでの議論の中でも、企業側の方、支援機関側からも、アセスメントがすごく大事になるということがいろいろと議論としてあったと思いますので、その辺りがどこかで加わるといいかなと思いました。
○松爲座長
 いまの話は2つに分けて考えるといいかもしれません。つまりあとのほうの問題というのは、アセスメントが大事だということは、アセスメントを育成する人材をきちんと作っていかなければならないというところを、後半の人材育成のところに1つポツを入れて、アセスメントをやるための人材を育成することが大事だと入れた上で、前半の8頁のところというのは、おっしゃるとおり、確かに移行支援によるアセスメントが困難な地域云々ではなくて、発達障害を含めた障害をもった人たち、従来のような単純なアセスメントではカバーしきれない人たちが対象として増えてきたということもあります。そういった意味では、「アセスメントが困難」ではなくて、アセスメントそのものが従来の形、つまり職業センターでやるとか、そういう従来の短期間でやっているアセスメントでは納まらないということに触れたほうがいいかもしれませんよね。そうすると、就労支援のあり方ということで、アセスメントが非常に難しくなってきているということをまず8頁に書いた上で、最後のほうに人材育成ということで、アセスメントを含めた明確な人材育成をするべきだという格好で論理を作っていけば、何とか。それでよろしいですか、勝手にまとめて申し訳ないのですが。
○西村委員
 はい。
○松爲座長
 ほかにどうでしょうか。
○栗原委員
 6頁の「中小企業が安心して障害者雇用に取り組むため」という段落ですが、この中の3つ目に「中小企業はノウハウを不足している場合が多い。多くの中小企業等は障害者の雇用管理について不安を」ということが書いてありますが、これはどのくらいの規模の会社を指して言っているのでしょうか。
 というのは、従来から障害者の雇用に積極的に取り組んできたというのは、中小企業だと思うのです、そういう面では。ですから、ノウハウは中小企業はかなり持っていると私は思っているわけです。ですから、確かに不安を持っているというのは、雇用率の義務を負う企業、例えば100人、200人ぐらいの企業が、できることならあまり雇用したくない。というのは、いままでに全然雇用した経験がないから。そういうクラスの企業に、ある面では安心して使っていただけるような方法を提供するのが1つではないか。それ以下の企業は、一括りに中小企業となっていますと、前からうちは雇用しているのにというように、少し違和感があるように思うのです。
○松爲座長
 確かにご指摘のとおりです。考えてみると、昔は中小企業が全部やっていたのですから、ノウハウを持たないはずはないのです。いま難しくなっているのは、普及とかそういう状況の背景があるからきついけれども、そういった意味では、ここの文章はおっしゃるとおりで、少し変えたほうがいいかもしれません。ノウハウが不足しているわけでもないのですよね。
 そうすると、どのような格好に文章を変えていけばいいですか。いまおっしゃられたように、中小企業の規模によってという感じになるのですかね。どう見ればいいのですかね。
○栗原委員
 いまは企業に多少余裕がなくなっていますが、こういう言葉が適切かどうかわからないのですが、前は「面倒を見る」ということで、頼まれれば受け入れたというのが、30~50人ぐらいの規模の会社なのです。ですから、必ず我々の業界でも、1人、2人の障害者というのは必ずいるのです。その会社が10人であり、20人であっても、企業にも雇用されているということは、別にお金をもらってどうのこうのではないのです。そういう方でも何とか受け入れてあげようという、前向きな姿勢で企業の経営者が取り組んでいるということで、思いを持ってやっているということですから。
○松爲座長
 わかりました。少し文章を考えまして、そういったニュアンスを入れることで考えましょう。
○阿由葉氏(近藤委員代理)
 委員の近藤の代わりに出席させていただいています。8頁の「障害者に対する就労支援」の3つ目の○に「就労系の障害福祉サービスの選択時においては」とあります。「就労移行支援事業を利用し」というところの後段に、「就労継続支援B型を利用することを原則としているが、就労移行支援事業によるアセスメントが困難な地域もある」ということが書かれています。
 現在は地域に就労移行支援事業者が少ないなどの場合、市町村の判断によって就労継続支援B型を利用できますが、その経過措置は平成24年度末までなのです。この経過措置については、支援の必要度と本人のニーズに応じた支給決定の仕組みが十分に機能するまでは延長すべきと報告書に書き込んでいただきたいと思います。
 11頁の4「就労移行支援事業所等に求められる役割」の2つ目の○にも、同じことが書いてありますが、こちらの「障害者に対する就労支援」のところで書いていただきたいと思っています。
○障害保健福祉部障害福祉課長補佐
 いまのお話ですが、経過措置は平成24年末まで継続しているという事実自体は記載することは構わないと思うのですが、それを延長するかどうかは我々サイドとしても、そのモデル事業の実施状況等を踏まえて判断していくことを方針としていますので、この段階で「延長する」ということをこの報告の中で書き切るというのは、非常に難しいのではないかと思います。
○阿由葉氏
 「延長を検討すべき」ではいかがですか。
○障害保健福祉部障害福祉課長補佐
 それもモデル事業が、どこまでどういう形でやれるかということにもよってきます。なかなか難しいかと思っています。
○松爲座長
 思いはわかるのですが、報告書全体としては、そこまではちょっとつらいかもしれません。そこは文章表現を考えることにしましょう。ほかにいかがでしょうか。
○菊池委員
 帝京平成大学の菊池です。8頁の6「障害者に対する就労支援」のマル3に「就学時や就職後に、精神障害を発症する発達障害が明らかになる、事故や疾病等により障害が発生する」とあります。ここの3番目の障害は、高次脳機能障害がメインだと思いますので、非常に重要なので、ただ「事故や疾病等により障害」というだけではなくて、「高次脳機能障害」と入れたほうが明確になるのではないかと思うのですが。
○松爲座長
 精神、発達は入れていますが、「事故や疾病により、高次脳機能障害」と、特定障害名を入れていきますかね。
○菊池委員
 はい。平成19年の報告書以降の大きな変化として、対象が精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病、そちらに非常にシフトしているというところも、どこかで明確にするということと、それ故に、いままでのアセスメントでは通用しない、あるいはいままでの雇用継続支援でも対応できないような問題があって重要なのだと思います。アセスメントの方法もまだ確立されていないのだと思うのです。ですから、新しく対象が変わった、シフトしたことに対して、それに対応できるようなアセスメント法、雇用継続支援の手法を改めて開発していかなければいけないと思うのです。そこを強調できたらと思います。
○松爲座長
 そういった意味ではマル3で、平成19年以降に新しく出てきた問題として、高次脳というキーワードを入れておくのと、マル4で、先ほど話のあったアセスメントは地域による差ではなく、障害の特性に基づくところのアセスメントの困難性を強調するということで、下の3の「また」以降を修正する格好にすれば、論理がうまく流れていく感じですね。ほかにどうでしょうか。
○障害者雇用専門官
 表現は、また座長とご相談したいと思いますが、1点補足です。8頁の6の2つ目の○のマル3「事故や疾病等により障害が発生する等」の趣旨ですが、もちろん高次脳機能障害はありますが、例えば事故で下肢障害となった方も含めて、中途でという意味で書いております。
○松爲座長
 身体障害の人たちを全く触れないのもという感じも場合によったら出てくるかもしれませんね。両方とも障害の名前で入れますかね。
○前川委員
 二点あります。一点目は先ほど来、意見に出ていますが、「中小企業等」についてです。私は、障害者雇用に関するさまざまな段階での不安要素というのは企業規模に関係なくあると考えています。障害者雇用を、大企業はCSRの観点などで進めていますが、中小企業は栗原委員がおっしゃったように心意気というか、これまでの日本経済を引っ張っていく中で、労働力として具体的に使ってきたということもあります。しかし昨今の経済情勢の中で企業は非常に困難な状況にあるため、何らか助成金も含めた支援がないと障害者雇用は進んでいかないのかな考えています。そのような背景があって、「中小企業等」を代表的な名称と捉えて、「ずっと議論に参加させていただいていました。
 もう一点は、アセスメントについてです。私も、企業の中で実際に働く仲間と一緒の場面で見たアセスメントが一番重要になってくると思います。さらにアセスメントは長期的に見ないと短期ではなかなか判断しづらい状況になってきています。つまり、就労前にも評価しないといけないし、就労直後も評価しないといけないし、就労して暫く経ってからも、継続して見ていかないと、長期にわたっての安定的な就労は難しいです。したがって、さまざまなフェーズでそうしたものが必要になるし、それをより適切に評価できる能力をそれぞれの場面で強化していくような手立てが必要になってくるのかなと思います。
○松爲座長
 そういった意味では、評価というのは障害種類ではなくて、雇用前からを含めて、さまざまな場面で多面的に評価することが望ましいというぐらいの表現になるかもしれませんね。
○土師委員
 8頁の下から5行目の?で、「障害者の加齢に伴い、障害者が福祉的支援を希望する場合には」と限定していますが、知的障害者であれば能力は落ちても通っては来るのです。企業としては何もやらせる仕事はないけれども、雇用しつづけなければならないという問題もあります。
 もっと大きな目で、本当にハンディを持っている障害者が働き続けるべきかどうかを判断するべきであって、本人が言うから支援するということではなくて、彼らは福祉的支援を受ける権利を持っているわけです。それを乗り越えて働いているのです。その限界を判断するこの表現を変えていただければと思っています。
○松爲座長
 いまの?の「希望する場合には」というのは、アセスメントも絡んでくる可能性はありますね。ここの「希望する場合は」という表現は変える格好にします。
 先ほど前川委員の話にあった、アセスメントのいろいろな多面的な経過を見ていくということと、障害の多様性に応じて難しくなってきているというのは、少し加えましょうか。次に2番目に入ります。土師委員からお願いします。
○土師委員
 10頁のナカポツの関係です。毎回申し上げていますが、就労支援というのは障害者を支援するだけではなくて、それを雇用する企業に、いかに障害者そのもの、障害特性を理解してもらうかということ。それから、意外と私どもの中でも問題があるのですが、企業はいいと思って一生懸命やっていることが、逆に人権の問題にかかわるとか、いろいろあります。そういう意味では支援機関が企業に対して、例えば雇用管理のノウハウ、障害理解、人権等についてアドバイスできるようなことが、どこかにあったほうがいいのではないかと思いますので、そこについてはご検討いただきたいと思います。
○松爲座長
 企業に対する支援の中身というのも、少し強調するという感じになるのですかね。
○原委員
 ハローワーク、障害者職業センターですが、前々から特別支援学校への支援がありました。例えば雇用連絡会等が地域であったり、職業センターでも担当者会議があったり、学校への重要な情報提供の場であったと思っていますし、さらにそれがチーム支援等で強化されてきていると思います。その部分を、例えばチーム支援のところにも特別支援学校を入れていただくとか、特別支援学校への情報提供または研修機能がハローワークにあり、地域の中の重要な機関としてあるということ。職業センターのほうも、具体的、専門的な支援について、学校に情報提供してくれますので、日常の学習の改善にも大きくつながると思うのです。ですから、学校現場から見ると、この2つの機関は非常に専門的な機関ですので、そして学校を通して学齢期の本人、保護者に情報提供する機能があるかと思いますので、その辺りを少し書き込んでいただけるとありがたいと思っています。
○松爲座長
 ハローワーク及び障害者職業センターとの関連、そこの機能の中で、特に特別支援学校との連携、つながりが大事なのだということを入れてもらうということになるのですかね。
○原委員
 そうです。それに関連してですが、14、15頁に特別支援学校のことがあります。いちばん最後に、大学等からの発達障害者への支援のことが載っていますが、前回に話題になったかと思うのですが、小学校、中学校、高校に通う障害者もいますので、そこにハローワークや職業センターから得た知見を、特別支援学校から地域の小学校、中学校、ひいては小学校、中学校に通う障害のある児童、生徒、その保護者に情報提供できるかと思いますので、特別支援学校のセンター的機能を発揮して、その地域の小学校、中学校に通う児童、生徒に、早い段階からの働く情報を入れる役割ができるということを入れていただけたらと思います。
○松爲座長
 15頁の大学等以外のところで、まさにおっしゃるとおりで、特別支援学校における地域のセンター機能を強調して、普通の小中高に対しての、就労支援に関するアドバイス等に関して、それが望まれるという感じですよね。それを入れておきましょう。ほかにいかがでしょうか。
○長野委員
 9頁に「増加する精神障害者や発達障害者などに対する専門的な支援」とありますが、「増加する」が、「精神障害者」「発達障害者」に掛かるような書かれ方になっています。精神障害者と発達障害者が増えているかどうかというコンセンサスが得られているかどうかの確認をお願いしたいと思います。実際に担当課と相談いただけるとありがたいと思います。精神障害者そのものが増えているかどうかなのですが。
○障害者雇用専門官
 ここの趣旨ですが、「ハローワークに求められる役割」ということで書いていますので、世の中で精神障害者、発達障害者が増えているということではなくて、ハローワークに来る求職者が増えているという趣旨です。ここは曖昧になっていますので、表現は考えたいと思います。
○長野委員
 最近増えているとマスで騒がれていて、その風潮には心配をしていまして、誤解のないようにお願いできればありがたいと思います。
 あと、こだわるのですが、医療機関の中との連携に関して、ナカポツなのか何なのか、もう少し重点的に取り組んでほしい機関というのを書き込めないものでしょうか。従来の延長線上にある形があって、冒頭で菊池委員から「デイケアの中にも働ける方がたくさんいらっしゃる」という発言があったと思いますが、とにかく医療機関の中に、そこまでたどり着かなくて可能性を失っている方がたくさんいると思うのです。みんな医療機関とやりましょうというところも大事かもしれないのですが、ナカポツとか全体をコーディネートしていくような形のところに、さらに注意してやるようにということを書き込めないかということを思います。あやふやなまま、結果的には重点的に取り組まれないことを心配しています。
○松爲座長
 ハローワークと職業センター、あるいはナカポツセンター、これは前から言っているように、医療と雇用のつながりを強調する。それに対して、こういった機関もより積極的に関わってほしいという形の表現になるのですかね。本当はもう少しきちんと書かなければいけないのはわかっているのですが、全体をどのような格好で文書を組むかと考えたときに。
○長野委員
 精神障害者福祉に関して、まだ統合失調症モデルから抜け出ていないと思うのです。
○松爲座長
 そういう意味ではそうですね。
○長野委員
 統合失調症モデルから抜け出ていませんので、いわゆる従来型の福祉サービスだけではないところに、たくさん就労支援のニーズがあるのだろうと思うのです。そうすると、やはり医療直というところがかなり要るだろうと思っていて、そこに可能性も見出だせるだろうし、実際そこは社会の担い手として非常に重要な方々だと思うので、その部分は何らかの形でやっていかないと、結局はうやむやのうちに従来の世間の偏見で押し潰されて、社会のマイノリティになっていくことが防げないのかなと。
○松爲座長
 全体の配分としては、第2はいろいろな機関別で、ハローワーク、職業センター、ナカポツセンター云々です。この中に、例えば特に医療機関だけに求められる役割を新しく興すのは、ちょっときついかなという気がします。たぶんそこまで議論していないのです。そういった意味では、ハローワークにしても、ナカポツセンターにしても、職業センターにしても、マル番号のところで、特に増大するクリニックから来る、うつ病の人たち、精神でもデイケアの人たちが増えてきていますから、そういったところのものが、いま言ったハローワーク、職業センター、ナカポツにしても、もう少し積極的にサポート、かかわるようにすることが望ましいという形の表現になるかもしれませんね。ということで、医療との関わりを少し強調しておきましょうか。そうすると、あとで出てくる15頁の「医療機関との連携支援」も、そのままつながって活きていくという感じですね。そういうことで処理しましょう。ほかにいかがでしょうか。
○阿由葉氏
 11頁の「就労移行支援事業所等に求められる役割」のところです。○の4つ目の「平成24年度の報酬改定において」に「一般就労への移行実績のない事業所の評価の適正化が行われたところ」とあります。この記述はいいと思うのですが、就労移行支援事業所の安定的、効果的な運営について検討することが必要だということも、併せてご記入いただきたいと思います。この部分に入れるべきなのか、前段に入れるべきなのかは気になるのですが、報酬改定において適正化が行われたというだけではなくて、より一生懸命取り組んでいる事業所はたくさんありますので、そのためには安定的、効果的な運営についての検討が必要ではないかと思われます。
○松爲座長
 安定的、効果的ですね。
○阿由葉氏
 もう1点です。10頁の3です。現場の就業・生活支援センターの所長から言われてきたのですが、短時間雇用が増えて、1日の勤務が4時間の方が大変増えているということで、そのあとの空いた多くの時間を持て余してしまって、トラブルに巻き込まれているケースが非常にたくさんあるということです。
 これを解決しないと、就職はしてもうまく続かないというケースが、増えてしまうことになりかねないと思います。何らかの制度的な対応が必要ではないでしょうか。例えば就労継続支援B型を、半日は利用してもいいとか、就労移行支援はおかしいかもしれませんが、それでもいいと思います。あるいは就労継続支援A型などを連携して使うとか、就労系福祉サービスの利用が、本人の希望によってできるようにしてはいかがでしょうか。今日は休みだからということではなくて、1日4時間働いたら、4時間就労系福祉サービスを利用することができるような制度も考えてみる必要があるのではないでしょうか。B型の利用まで書き込む必要はないかもしれませんが、そういったトラブルがあるということはご理解いただきたいと思います。
○松爲座長
 おっしゃったのはわかった上で先ほどから考えているのですが、どこの頁のどこに組み込もうかというのを非常に悩むところですが、どうしましょうか。意見としてありましたという形になると思いますが、早急に全体の章立てのどこに組み込むかの目処が付きませんので、申し訳ありません。
○菊池委員
 12頁の5「ジョブコーチに求められる役割」のいちばん下の3つ目の○に「ジョブコーチの養成数の拡大云々」とありますが、現在、もうかなりジョブコーチの養成が進んでいると思うのですが、ジョブコーチが増えてきてジョブコーチの力量が随分異なってもきていると思うのです。
 ということで、例えば「専門性の向上等を図る」という部分の書き方が少し抽象的だと思いますので、例えば現在のジョブコーチで、非常に力量のある方は専門ジョブコーチとか、ジョブコーチの中でランクをきちんと認定して、それなりの役割を変えて、例えば、非常に力量のあるジョブコーチは現場に出向いていくだけではなくて、中小企業に対する啓蒙であるとか、そのような役割をさらに担うようにして、だんだんにジョブコーチの中でのキャリアアップができるような、それが企業に対しても支援になるような、もう少し具体化するようなことを入れるのは、無理でしょうか。
○松爲座長
 ここの部分というより、いまの話は人材育成の質的差異をどうするかということですよね。もし触れるとしたら、いちばん最後の人材育成のところに、いまの含めてジョブコーチに関する質的な差異を明確にしてと。これは最後の人材育成のところで、これは平成21年の研究会報告で触れておりますので、そこと関連して触れられた形で、ジョブコーチの階層性とか、そういったものをやるべきだということで、人材育成のところで触れたほうが、より論点が明確になるかもしれませんね。そういうことで考えたらどうでしょうか。
○望月委員
 前回の議論に、支援のネットワークの空白地帯をどうするかという話がありました。私ども地域センターでは、職リハ関係機関に対する助言・援助の視点として、地域のネットワークの状況を踏まえて助言・援助を実施するということにしています。ネットワークの空白地帯に、直接支援をしつつ就労支援機関に助言・援助を実施しそれらの機関がネットワークを構築できるよう支援しています。
 10頁の「地域センターの機能」のいちばん最後に、「スキルの提供」という観点で書かれていますが、単にスキルの提供ということではなくて、ネットワークをどのように作っていくのか、ネットワーク作りも併せてサポートしていくという機能があることを、是非入れていただきたい。
○松爲座長
 それは入れましょう。ほかにいかがでしょうか。
○西村委員
 先ほど阿由葉さんがおっしゃったような、短時間労働者の課題をどうするかについてですが、本来であれば地域自立支援協議会の就労の部会が、そういった在職者の課題をどうするかについて、地域の中で解決できるような仕組みを作っていくというのが、求められているのかなと思いました。そこにもう少し強いメッセージが入れられるといいのかなと思いました。
 あと13頁の3つ目の○に、「就労移行支援事業所が障害保健福祉圏域に偏りなく、計画的に設置されるよう検討することが必要」とあります。実績を出せる、機能する就労移行支援事業所が必要だと思いますし、地域によっては障害種別というか、ある程度特化したようなものというのも柔軟に作られてもいいのかなとは思っています。発達障害の方を中心に利用できるような就労移行支援事業所もいくつか見られたりしていますが、ほかの障害のある方と一緒に利用することに抵抗感を持つ方もいらっしゃる中で、そういったノウハウを蓄積させたり、障害特性を踏まえた事業体系がある程度地域の中でもしっかりと議論されて、その辺りを柔軟に設置していく動きはあってもいいのかなと思いましたので、そういったところも何らかの形で入るといいかなと思いました。
○松爲座長
 わかりました。いまのは第3に入っています。議論を切り替えて第3に入っていきまして、先ほど阿由葉委員がおっしゃった話と、いまの西村委員の話の短時間労働の時間差をどうするかですが、確かに西村委員がおっしゃるように、本当は自立支援協議会で、もっとそういったことを含めて議論してほしいということで、入れておきましょうか。そうすれば、第3の中で、自立支援協議会に対する議論の要望ということで、少し入る可能性はありますよね。
 西村委員、あとのほうの話がよくわからないので、もう1回まとめていただけますか。
○西村委員
 第3に移ったということで話をさせていただきます。発達障害のある方の相談や支援をしていく中で、就労移行へ紹介するときにも、見学したりする中で、知的障害のある方、別の障害のある方がいる中で、利用するのにあまり抵抗感のない方もいる一方、何で自分がこういう人たちと一緒のところにいかないといけないのかと思う方も、実際にはいるわけです。そこをうまくやってもらえればという思いがある一方、そういう思いを持つ方が現実に多くいるということを踏まえたときに、そういった発達障害のある方が抵抗感なく利用できるような事業所が、柔軟に設置されていってもいいのかなと思っています。
○松爲座長
 例えば障害という名前が付いていないような地域のサポートセンターの辺りのことと、もっとネットワークを結ぶべきだという形で、表現をまとめられますか。例えば自分は障害者と言いたくない、だから「障害者」と付いたところには行きたくない。でも、困っている人はたくさんいるわけですよね。そういった人たちがきちんと行って、そこでいろいろな関係と相談できるようなネットワークがほしいという話ですか。
○西村委員
 そういった側面もあると思うのですが、実際にはすぐに就職に向けて動けるかというと、そこにはすごく大きな課題を持つ方もいて、ある一定期間トレーニングを必要とする方はいると思うのです。そういう意味では、就労移行支援事業所は、機能的にはいろいろな可能性のあるものだろうと思いますので、そういった方に特化したサービスが作られていってもいいのかなと思っています。
○松爲座長
 移行支援事業の中で、もっと特化したものが必要かと。発達障害とか、障害と言わない、いろいろな多様な状況に合わせた移行支援事業の多様化、多様な形態を考えるという感じですかね。そういう格好で考えていくことになるのでしょうかね。わかりました。そういう形で考えていきましょう。ほかにどうでしょうか。
○障害者雇用専門官
 第4の各機関の役割の部分で、本日欠席の小川委員から意見をいただいていますので、ご紹介させていただきます。
 10頁、11頁にわたる部分のナカポツと移行支援事業所の役割です。これまでも議論がありましたが、アセスメントといった考え方について、それぞれ記載があります。「就労支援に本質的に必要とされるアセスメントと、サービス利用計画作成に係る就労移行支援事業か継続支援事業かの判断に係るアセスメントが一緒になっている感じもするので、その点は修正したほうがわかりやすいのではないか」といったご意見です。また、「ナカポツ自体のアセスメント力の強化、アセスメントに関する移行支援事業、実施した企業との連携、ハローワークから企業への伝達など、アセスメントに係るコーディネートの役割を求められることを記述していただければ」といったご意見がありました。
 また、ジョブコーチについてです。先ほど菊池委員のご意見と重複するかもしれませんが、小川委員からは3つ目の○で、「養成者の拡大、活動促進、専門性の向上等を図るとともに、一定の活動の視点から、ジョブコーチが安定して支援できるようにすることが必要」といった記載について、「簡潔ではあるのですけれども、もう少し書いたほうがいいのではないか」と。ご意見としては、養成数の拡大については、養成数を増やすことも重要なのだけれども、単に養成数を増やせばいいというわけではなくて、ジョブコーチの養成研修の修了者が増えても稼働するジョブコーチが増えていないことが問題ではないか。単なる養成数の拡大ではなく、養成についても質の確保が重要であるということ、修了生がジョブコーチとして活用できるような制度上の見直しが必要であるといったご意見でした。また、後段ですが、一定の活動実績のあるジョブコーチが安定して支援ができ、より高度な専門性が発揮できるよう、さらなる専門性を想定するといったことなど、具体的な方向性なども書けないかといったご意見がありました。以上です。
○松爲座長
 ジョブコーチに関しては、ここはジョブコーチに求める役割ですから、役割の中身に関して丁寧に入れるのと、先ほどの育成に関しては、あとの部分、これはダブってもいいから、ダブッて書きましょうよ。あとの最初のほうについては、考えましょうと。
○長野委員
 先ほどの西村委員の話を聞いていて、第ローマ数字2 ハローワークの役割のところですが、見学に行かせてもらったところで感銘を受けたところがありました。障害者窓口とそうではないところで、そうではないところに来られた方も、疑われる方はそれを念頭に置きながら支援する相談員を置いているというところがありました。
 精神障害もそうですが、発達障害、高次脳障害の方々が、地域のハローワークで障害者雇用の窓口へ行くことは非常に抵抗があって、ハローワークとして、障害者の窓口以外のところの職員が障害者雇用に関してのスキルを上げていっていただくことに関して、「あなたは障害者だからあちらに行きなさい」ではなくて、障害開示をしない方々に対して、そこを念頭に置きながら支援をできるようなスキルアップを図れないものかと思っています。そこを何らかの形で書けないかと思います。
○松爲座長
 一般的なハローワーク職員のカウンセリング、面接スキルの向上と、ハローワークに行くと後ろに精神の非常勤の人がいますから、その人たちをどう活用するかにつながる話ですよね。そこを強調するような形にしましょうか。
第3から始まりまして第4までいきますが、その辺りで何かございますでしょうか。
○前川委員
 ネットワークのところですが、平成19年の報告書でもライフステージを通じて適切な支援を受けられること、どの機関を利用しても必要な支援に結びつくこと、効果的な役割分担が可能になること等のネットワークの在り方が示されています。
そのあと5年経って、ネットワークは面的にも広がって量的にも充実して、いろいろなことができるようになりました。
 私の疑問なのですが、良いネットワーク、悪いネットワークという評価はあるのでしょうか。5年経って個々の色々な課題、具体的な課題、さらに当時ではわからなかった課題が明らかになって、地域資源は多くのものに対処していかないといけない状況になっています。当時は地域によって異なるものの、熱心に取り組んでいる機関が核となって課題に取り組んでいたのかなと思うのですが、現在はいろいろなところにネットワークを今後増やして課題に対処していくことになっています。しかし、今後数年間において課題に対処していくネットワークについての評価軸というか、そういうものはあるのでしょうか。
○松爲座長
 ネットワークに関する評価はそんなにないと思います。ただ、ここで全体の趣旨にのっているのは、ワンストップ的な格好で機能してほしいという趣旨ですよね。そのワンストップをやるときに、例えば企業にしても障害者にしても、ワンストップで全部自分ができるためには、かなりの能力が要求されますから、ワンストップでやるためにはバックアップにいろいろなネットワークの情報を持っていて、それで当面のところは応えますよという形でのネットワークが必要だという趣旨で考えているのですが、違いますか。どうですか。
○障害者雇用専門官
 ネットワークの良いか悪いかという質的な問題は難しいのですが、ここではこれまでのご意見等を踏まえて、資料も踏まえつつ書かせていただいているのは、資料13頁ですが、自立支援協議会があります。平成19年当時というのは、障害者自立支援法ができて自立支援協議会の設置状況が、まだまだできていなかったのですが、いま現在は約9割近くの自治体で自立支援協議会が作られ、さらに就労支援をテーマにした部会等も設置されてきています。
 その中で、前回、前々回の意見でも、比較的ネットワークを作ってやっているところは、就労支援部会等でナカポツセンターが中心となってやられているといったご議論があったと記憶しています。
 何がいいかということではありませんが、これまでのご議論の中でのご意見を踏まえる、そういったところで全体としての自立支援協議会と、その中でのナカポツセンター、就労移行支援事業所の役割といったところで、ここではまとめさせていただいています。
○松爲座長
 いろいろな意味で関係機関のネットワークが強く、顔の見える関係があって、ミクロネットワーク的なことがあればあるほど、就労と就業定着がうまくいっているのだということを強調した上で、だからそういうものが必要なのですといった流れになるのかもしれないですね。ところで前川委員、質問の趣旨は何ですか。
○前川委員
 目指すべきものを明確にしておくということくらいかなと思います。
○松爲座長
 そういうことでよろしいですか。
○土師委員
 ネットワークについてです。文章がどうのこうのということではないのですが、この研究会で中間で、見学会に参加させていただき大変勉強になりました。相互理解というのはすごく大事だと思うのです。例えば私ども企業側は、学校の先生に、もっと育てられるのではないかとか要求をするわけです。でも、実際に養護学校へ行ってみると、これは大変だということがわかるのです。同じように、支援機関とか、それぞれの方たちがお互いにどう相互理解するか、特に今後企業を入れるのであれば、事前に見学させるとか、勉強させた上で、この内容を充実することは大事だと思います。相互理解をした上で、共通の目的を持つという内容を、どこかで含んでいただければありがたいと思います。
○松爲座長
 「利用者視点で」のところを文章を2つぐらいに分けて書きますかね。「利用者」というのは障害者本人なり、支援機関だったり、企業であったり、みんながそれぞれ利用者になるわけです。お互い利用者といったら、ネットワークにかかわる利用者というのはたくさんいますから、そうした人たちに、お互いに相手の趣旨を理解して、情報を知っておかなければならないという形で、何とか文章をまとめていく感じですかね。
○土師委員
 お互いにやらなければ駄目なので。
○松爲座長
 そういうことで、○を2つぐらいに分けて丁寧に整理しましょうか。
○土師委員
 雇用部会の中で特例子会社30社を中心に6つの企業分会を立ち上げ、勉強会をやっていまして、開催場所は企業、学校、支援機関等、それぞれ場所を変えているのです。そこを見学をさせていただき、事業内容や課題の説明を受け、そのあとテーマについて論議をするようになる。そういうことを積み重ねてきたのですが、見てみることはすごく大事だと思います。新たなパワーが生まれてくるのではないかと思います。単に集めるだけで会議をするのではなくて、もう一捻りしたらいいと思います。
○長野委員
 ネットワークのことですが、発達障害、難病のネットワークはとても大切なのですが、発症率、数の問題で、地方にいくと数がいらっしゃらないので、ネットワークが組めないところが非常に多いと思うのです。難病であれば、私たちのところでいくと松山に行けばあるけれども、私たちの町では2人しかいないから作れないとか、そういう核になるところもなかなかできないところがあって、発症される数によって、ネットワークのエリアが変わってくると思うのです。
 ネットワークの情報が各々作られているネットワークに発信を任されていて、いろいろなパンフレットはあるけれども、実際に一元化されたものというのはなかなかなくて、そのネットワークの情報発信の責任も所在がはっきりしません。結局ご本人たちはそのネットワークに行き着けないことがあまりにも多くて、就労とターゲットを絞っていくと、例えば中核になるハローワークがネットワークを集約して、全体に情報を流すとか、そういうことは仕組みとしてできるのではないかと思うのですが、そういう視点も入れて、ネットワークの情報が利用者にきちんと伝わっていくような仕組作りが必要だということはあるのではないかと思います。
○松爲座長
 ネットワークの情報そのものが利用者の手元に届くようなということですね。その利用者というのは、企業、障害者といろいろな人たちがいますから、そういった人に届くようなということですね。そこは強調したほうがいいかもしれませんね。4番から5番について、まとめて何かご意見がありましたらお願いいたします。
 先ほどの5番にいきますと、いくつか人材育成に関して、前から話をしていたことはいくつかありますから、付け加わる可能性が出てきますね。
○西村委員
 第5「就労支援を担う人材の育成」の中に入ると思うのですが、先ほどのアセスメントの手法についてもですが、ここの中では地域障害者職業センターが、そういった地域の支援機関に対しての研修を実施、強化していくという記述もあると思いますが、内容によっては地域によってニーズの違いもあると思いますし、片や福祉サイドでは、相談・支援従事者、サービス管理責任者の研修、それに関して就労支援の領域の強化も必要性が出てくるのかなと思うので、そういう意味では民間の研修を行う機関、都道府県の辺りが、ある程度一定の基準のようなものが要るのかもしれませんが、そういったところも積極的に人材育成に力を入れていくということがあってもいいのかなと思いました。
 あと、先ほどの13頁ですが、相互理解ということがありましたが、○の4つ目の「発達障害者支援センター、難病相談支援センターが参加することが考えられる」という記述が少し弱いので、もっと積極的に「参加することが期待される」とか、強く打ち出していただければと思います。
○松爲座長
 平成19年の報告書のときは、施設なども詳しく書いているのですが、あのときは始まったばかりだったので。これは事前段階で、これは弱いかなという話はしていました。もう少し書いていくことにしましょう。
 前段にあった人材育成の話で、特に福祉とか、いろいろな立場の人たちの人材に対して、育成の支援をしたほうがいいのか。いわゆる職業センターとか、1号、2号以外の形のものに対しての明確な支援の方向性を考えたほうがいいとか、そういう話になるのかなと。もう少し趣旨を明確にしたほうがいいかなと。
○西村委員
 相談・支援事業所が就労のサービス計画等を立てていくということになると、これまで以上に就労の領域に違う領域の方が入ってくることが考えられると思いますので、その辺りへの対策ということです。
○松爲座長
 福祉サイドにおける就労支援の人材育成を丁寧にやろうと。それは実は、厚生労働省の平成21年の報告書で触れていることは触れているのですが、それをより強化してほしいという形で、書き上げましょうかね。ほかにどうでしょうか。
○長野委員
 人材育成のところですが、就労支援を専門とする方と、福祉には携わっているけれども就労支援を専門にはしていない方、さらにもう少し福祉からも離れて医療機関にいる方、さらに一般の住民の方というところで、かなり格差が広がりすぎていて一緒にやれない状況、就労は専門職に任せなければいけないという地域も、随分出てきてしまって、これは必ず疲弊するし、潰れてしまうと思うのです。企業でも、あそこはやっているから任せて、こちらはもう暫くいいと。その格差を埋めるような、就労支援の初級コースとか、一般市民のための就労支援講座とか、就労支援の専門職ではないけれども、医療機関のための、みんなのための初級講座みたいなものとか、底上げをしていくような人材育成をしないと、どんどん乖離して、任せきりになって、働きたいと聞いた瞬間にナカポツでというようなことが起きてきているので、そういう仕組みも要るのかなと思います。
○松爲座長
 そうすると、最後のなお書きのところで、私は平成19年の人材育成の研究会の座長をしていたので、あまり議論しなかったので特に触れておくようにということで事務局と話をして、ここを付け加えたのですが、いまの話というのは、平成19年の人材育成のときに全部触れているのです。裾野を広げて、なおかつ頂上を高めていくと。そういった量と質の両方で高めていくことが必要だということをすでに書いていますので、改めてそういったことを強調するような格好で書いておくことにしましょうかね。
 だいぶいろいろな面から議論をしていただきましたが、そろそろ時間になりましたので、報告書の文書が仕上がってくると、細かいことがいろいろ出てくるのですが、今日は本当に幅広く議論していただきまして、ありがとうございました。本日の議論を踏まえまして、あとは事務局で整理していただけると思います。残る会議はあと1回になりますので、修正した報告書案を事前に委員の方々にお送りいただきまして、一定の締切りをもって、委員会の意見を集約した上で、次回に臨むということになると思います。次回は最終的な報告書(案)になりますから、その前の段階で事務局と要望等を含めて、メールを受けながら修正していくというプロセスに入ると思います。次回のことについて、事務局からお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 次回、第9回は7月26日(木)の10時からの開催となります。場所は追ってご連絡いたします。また、先ほど座長からご説明がありましたとおり、本日各委員からのご意見等を踏まえて、必要な修正を行った上で事前送付させていただきますので、ご確認をお願いできたらと思います。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○松爲座長
 これをもちまして、第8回地域の就労支援の在り方に関する研究会を終わります。皆さん、ご苦労さまでした。


(了)

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