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2012年5月28日 第174回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成24年5月28日


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

委員

大橋委員、柴田委員 (公益代表)
新谷委員、宮本委員 (労働者代表)
高橋委員、秋山委員、小林委員 (使用者代表)

事務局

生田派遣・有期労働対策部長、田畑需給調整事業課長、三上派遣・請負労働企画官
鈴木主任中央需給調整事業指導官、佐藤需給調整課長補佐

○議題

1.労働者派遣事業における専門的な知識等を必要とする業務について(公開)
2.一般労働者派遣事業の許可について
3.有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について

○議事

○大橋部会長 予定されている委員の方は、ご出席ですので始めましょうか。それでは、ただいまから第174回「労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は公益委員の橋本委員、労働者代表の石黒委員が所用のためにご欠席です。
 本日は、最初に公開で「労働者派遣法改正法の施行等について」をご審議いただき、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行います。
 許可の審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方は、許可の審査が始まる前にご退席いただくことになりますので、あらかじめご了承下さい。
 それでは議事に入ります。最初の議題は「労働者派遣法改正法の施行等について」でございます。それでは、事務局からご説明をお願いいたします。
○佐藤補佐 事務局でございます。まず、お手元の資料をご確認ください。資料1「労働者派遣法改正法の政省令・告示等に関する主な検討事項(案)」、参考資料1「労働者派遣法改正法の概要等」、参考資料2「改正後の労働者派遣法 参照条文」という、3種類の資料をお手元にご用意しています。資料に不備等ございましたら、適宜事務局までお申し付けください。
 それでは資料の説明に入ります。まず、参考資料1の1頁ですが、派遣法改正法の概要ということで、改正の要点は主に3点あります。1つ目が事業規制の強化、2つ目が派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善、3つ目が違法派遣に対する迅速・的確な対処です。これに則しまして、具体的な政省令、あるいは告示等でどのようなことを定めていくのかということで、資料1を構成しています。
 それでは資料1に則してご説明いたします。1、2頁ですが、最初に事業規制の強化です。まず大きな1,日雇派遣の原則禁止です。日雇派遣の原則禁止に関しては政省令、運用、あるいは指針でいくつか定めるべき事項がありますので、簡単にご説明いたします。
 まず最初の○ですが、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる業務です。参考資料1の4頁に、専門26業務とはどういうものがあるかということで、いまの政令で定められている26業務があります。参考資料1の5頁に、この中で今回、日雇派遣の原則禁止の例外として、どの業務を認められるのかというものを載せています。これは平成20年に一度、労働政策審議会の建議でとりまとめていただいたものですが改めてご説明いたします。
 日雇派遣の原則禁止の例外として認められる業務ということで、5頁の下に点線枠で囲ってます。1ソフトウェア開発、2機械設計等々とあります。いわゆる17.5業務といわれるものです。この17.5業務を、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる業務としてはどうかということです。なお、この点については、いまの26業務の中から一部を切り出して、改めて政令に規定をするということで、極めて法技術的な観点ですが、いまの26業務の枠組み自体は変わることはありませんが、17.5業務と残りの業務を政令にそれぞれ書くということですので、政令の号数が27、あるいは28ということで、若干増えることになります。これは中身の改正ではありません。
 資料1の2頁に戻りまして、2番目の○ですが、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる場合です。ここは国会での修正によって追加された部分です。3頁に<参考>ということで点線で囲っています。真ん中のところで、第180回国会 参議院厚生労働委員会というところですが、川合孝典議員の質問に対して、修正案の提出者である岡本充功議員からの答弁があります。今回、政令で定める場合ということで追加されましたが、具体的にどのようなことを想定しているのかが下線部分です。雇用の機会の確保が特に困難であると認められる場合その他の場合とはどういうものを指すのかというご質問ですが、派遣労働者が高齢者、昼間学生、副業として従事する者、主たる生計者でない者である場合を想定しておりますということ。その下ですが、渡辺孝男議員から、特に副業として従事する方々、あるいは主たる生計者でない方々については、収入が一定額以上であるというような一定の制限を設けるべきではないか、安全衛生の確保の強化を図るべきではないかという質問がありました。
 2頁に戻りまして、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる「場合」の最初のポツで、いまの答弁を踏まえ、この「場合」としては、「高齢者(60歳以上の方)」「昼間学生」「副業として従事する者」「主たる生計者でない者」としてはどうかと考えています。それから、ただしということで、「副業として従事する者」については生業の収入がー定額以上である場合、「主たる生計者でない者」については世帯全体の収入が一定額以上である場合に限定してはどうかと考えています。
 この一定の収入の考え方については、参考資料1の7頁に「求職者支援制度について」ということで資料を添付しています。労働政策審議会雇用保険部会において求職者支援制度の職業訓練受講給付金の支給要件を議論した際と同じように、今回の収入の考え方について、複数人員世帯における標準生計費を踏まえながら検討していくことが適当ではないかと考えています。この標準生計費というのは、人事院が世間一般の標準的な生活水準を求めるために、総務省の家計調査等を元に算定をした数字で、6頁の下段〔参考〕のところですが、平成22年4月の標準生計費とあるとおり、求職者支援制度を作った際には、黒枠の部分ですが、2人世帯で年額約267万円、3人世帯で年額約294万円、4人世帯で年額約321万円ということでした。
 7頁に建議を添付していますが、その一番下に、いま申しました趣旨の記載がありまして、その趣旨を踏まえて掴みの水準をご議論いただいた結果、求職者支援制度の給付金の収入要件、いわゆる世帯の金融資産の合計額については、300万円以下と設定されています。なお、直近の標準生計費については、6頁の上に、世帯人員別標準生計費(平成23年4月)とありますが、黒枠の上の部分になりますが、年換算額は2人世帯で年額約239万円、3人世帯で年額約278万円、4人世帯で年額約317万円となっています。
 日雇派遣については、あまりにも短期での雇用形態ですので、派遣元、あるいは派遣先で必要な雇用管理責任が果されておらず、従いまして、法違反の温床となったり、あるいは労働災害の発生も指摘されていること等から、日雇派遣は、今回原則禁止ということになりました。こうした趣旨に鑑みますと、生活のためにやむを得ず仕事を選ぶことができない方以外の方に限り、日雇派遣という形態での就労を認めるような水準に収入要件を設定することが適当であると考えています。
 例えば、標準生計費の2倍程度であれば、そのような心配はないのではないかと考えられます。標準生計費の2倍の額というのは、6頁の上段の表の「×2倍」の欄の黒枠の部分ですが、最新の数字で2人世帯の場合には約479万円、3人世帯の場合には約557万円、4人世帯の場合には約635万円となっています。このような数字を参考に具体的な水準についてご議論をいただければと考えています。
 資料1の2頁に戻りまして、日雇派遣の原則禁止の例外として認められる「場合」です。2つ目のポツで、高齢者であるかどうかの確認は年齢が確認できる公的書類等で、昼間学生であるかどうかの確認は学生証等で行うこと。3つ目のポツで、「主たる生計者でない者」かどうかについては、世帯全体の収入に占める本人の収入の割合が、50%未満であるかどうかによって判断すること。一番下のポツで、収入要件の確認は、本人・配偶者等の所得証明書、源泉徴収票の写し等で行うこと。また、前年度の収入が要件を満たす場合であっても、当年度の収入が要件を満たさないことが明らかである場合には、日雇派遣の例外として認められないことという形で運用してはどうかと考えています。
 一番下の○で、日雇派遣労働者の安全衛生の確保です。先ほど国会の議事録でもご紹介しましたが、安全衛生について、きちんと確保していただくという観点から?、?ということで、?派遣元事業主が講ずべき措置として、以下の内容を定めることとあります。最初のポツですが、日雇派遣労働者が従事する具体的な業務内容について、派遣先から確実に聴取した上で、その業務内容に即して安全衛生教育を実施すること。それから、日雇派遣労働者が、安衛法上の危険有害業務に従事する場合には、派遣先でそういう教育が確実に実施されたかどうか、派遣元でもきちんと確認をすること。?ですが、派遣先が講ずべき措置として、1番目のポツで、日雇派遣労働者が従事する具体的な業務内容について、派遣元事業主から照会があった場合には、積極的に応じること。2番目のポツで、雇入れ時の安全衛生教育が確実に実施されたかどうか、派遣先においても、きちんと確認をするということを指針に書いてはどうかと考えています。
 次に資料1の5頁です。2番目として、グループ企業内派遣の8割規制ということで書いてあります。グループ企業内派遣の8割規制ということで、今回の改正法で盛り込まれましたが、ここでは具体的に以下の○4つについて定めてはどうかと考えています。
 最初に関係派遣先の範囲とあります。今回、8割規制の対象となる関係派遣先の範囲として、以下のとおりとするということでポツが2つあります。まず、親会社等ということです。ここは規制のわかりやすさという観点から、最初に書いてあるのは株式会社の場合ですが、派遣元事業主の議決権の過半数を所有している者、次はいわゆる会社法上の持分会社の場合を想定していますが、資本金の過半数を出資している者、それから公益法人のように1人1票のケースもありますので、こういった場合には、これらと同等以上の支配力を有する者ということで規定をしてはどうかと考えています。それから、親会社等に加えまして、親会社等の子会社等ということで、同じように派遣元事業主の親会社等が議決権の過半数を所有している者、資本金の過半数を出資している者、これらと同等以上の支配力を有する者ということで規定をしてはどうかと考えています。
 2番目の○ですが、関係派遣先への派遣割合の算定方法です。派遣割合の計算方法ですが、これは省令で規定することになっていますので、次のように計算方法を規定してはどうかと考えています。計算式を書いていますが、分母に派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間、分子に派遣労働者の関係派遣先での派遣就業に係る総労働時間から定年退職者の関係派遣先での派遣就業に係る総労働時間を差し引いた上で計算をするということで規定をしてはどうかと考えています。
 3番目の○ですが、定年退職者の範囲です。ここについては、60歳以上の定年退職者を関係派遣先への派遣割合の算定から除外してはどうかと考えています。一番下の○ですが、厚生労働大臣への報告です。これは、いまの事業年度報告と同じように、毎事業年度経過後1カ月が経過する日までの間に、所定の様式により行うということにしてはどうかと考えています。
 続いて6頁です。3,離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止です。こういう原則に対して一部例外があります。もともと平成20年9月の労働政策審議会建議でも、定年退職者を除いて、こういう規制をすることが適当であるという建議をいただいていますので、受け入れ禁止の例外として、省令の中で60歳以上の定年退職者を規定すること。2つ目の○で、受入禁止に関する派遣元事業主への通知の方法ということで、派遣先で労働者派遣の役務の提供を受けた場合に、この規制に抵触することが判明した場合には、書面、FAX、あるいは電子メールの方法により派遣元事業主に通知するということを規定してはどうかと考えています。
 次は「派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善」です。資料1の8頁ですが、1,一定の有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置とあります。ここで省令、あるいは指針で定めるべき事項は2つあります。まず1点目ですが、最初の○で、無期雇用への転換推進措置の対象者ということで、具体的にどういう方が対象となり得るかということですが、ポツが2つあります。まず1つ目のポツで、派遣元事業主との雇用期間が通算して1年以上である方、2つ目のポツで、過去に派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上ある労働者で、新たに派遣労働者として有期雇用しようとする方、いわゆる登録型派遣の場合の登録状態にある労働者を想定しています。
 2番目の○ですが、派遣労働者の希望の把握ということで、派遣元事業主は、無期雇用への転換推進措置を受けるかどうか、派遣労働者等の希望を把握するよう努めてくださいということを指針に書いてはどうかと考えています。
 9頁ですが、2,均衡待遇の確保ということで、均衡待遇の確保自体は、政省令への委任事項はありませんが、○が2つありますが、法律の趣旨を踏まえて指針にこのようなことを書いてはどうかと考えています。
 まず最初の○ですが、派遣元事業主が配慮すべき事項ということで、1つ目のポツで、派遣元事業主は、派遣労働者の賃金の決定に当たり、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、一般の労働者の賃金水準、派遣労働者の職務の内容等を勘案するよう努めること。また、派遣労働者の職務の評価等に関する情報を派遣先から入手し、その成果等に応じた適切な賃金を決定するよう努めるということです。
 2つ目のポツで、なお、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮した結果のみをもって、派遣労働者の賃金を従前より引き下げるような取扱いは、この均衡待遇の趣旨を踏まえた対応とはいえないということを念のため記載をしてはどうかと考えています。
 それから、派遣先が努めるべき事項として、派遣先は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準、教育訓練等に関する情報を派遣元事業主に提供するよう努めること。また、派遣労働者の職務の成果等に応じた適切な賃金を決定できるように派遣元事業主からの求めに応じて、派遣労働者の職務の評価等に協力をするように努めるということを記載してはどうかと考えています。
 10頁ですが、マージン率等の情報公開です。ここで省令で定めるべきことは3つあります。まず1点目で、情報公開事項とあります。もともと今回の改正法の規定によりまして、事業所ごとの派遣労働者の数、派遣先の数、マージン率、教育訓練に関する事項については、既に情報公開事項とされています。その他、省令で定める事項について情報公開をするということになっていますので、ポツが3つありますが、これらについて省令で定めてはどうかと考えています。1つ目と2つ目のポツは、マージン率の算定の基礎となる情報です。まず1つ目のポツは、1日当たりの派遣料金の額の平均額。2つ目のポツは、1日当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額。最後のポツは、その他必要な事項とありますが、各事業主において、積極的に情報開示をしたほうが、実態をより適切に表すことができると考えられる事項について、情報公開をするとしてはどうかと考えています。
 2点目の情報公開の方法ですが、これは事業所への書類の備付け、インターネット、あるいはその他の適切な方法で行うこと。3点目は、マージン率の算定方法ですが、マージン率については、分母に1人1日当たりの労働者派遣に関する料金の平金額、分子に1人1日当たりの労働者派遣に関する料金の平均額から1人1日当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額を差し引いたもので計算をするということ。端数は四捨五入にしてはどうかと考えています。一番下のポツで、ただしとして、事業所ごとの独立性が弱い場合、例えば、一定のエリア内で共通経費の処理を行っているような場合などについては、一体的に経営を行っている範囲内で算定することを妨げないとしてはどうかと考えています。
 11頁ですが、4,待遇に関する事項等の説明です。これは、雇入れ前の待遇に関する事項等の説明ということで、省令事項が2つあります。まず1つ目の○ですが、派遣元事業主が派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し説明すべき事項として、3つ定めるということです。
 1番目のポツは、派遣労働者として雇用した場合における労働者の賃金の額の見込み、その他の待遇に関する事項ということで、例えば、就業時間や就業日など、そういったことが説明事項と考えられるのではないかと思っています。2番目のポツは、事業運営に関する事項ということで、会社の概要などです。3番目のポツは、派遣制度の概要ということです。
 2つ目の○ですが、説明の方法ということで、書面の交付、FAX、電子メール等の方法によるということです。ここは雇入れ前の説明の方法ですので、例えば、口頭による説明も考えられるのではないかと思っています。
 12頁ですが、派遣労働者に対する派遣料金額の明示です。ここでは省令事項が2つあります。1番目に、明示すべき派遣料金の額ということで、派遣元事業主が派遣労働者等に対し明示すべき派遣料金の額は、ポツが2つありますが、以下のいずれかとするということです。1つ目のポツは、労働者の1日当たりの派遣料金の額、2つ目のポツは、労働者派遣を行う事業所における1日当たりの派遣料金の額の平均額と、このいずれかにしてはどうかと考えています。
 次の○は、明示の方法ということで、ここは雇入れたあとの説明方法ですので、書面の交付、FAX、電子メールの方法という形にしてはどうかと考えています。2つ目のポツですが、ただし、雇入れの際に明示した派遣料金の額と実際の派遣時の派遣料金の額が同じである場合には、実際の派遣時に改めて派遣料金の額を明示しなくてもよいという形の取扱いにしてはどうかと考えています。
 14頁ですが、その他の事項です。そもそもの労働者派遣法改正法の施行期日というものを政令で定めることになっておりますので、この施行期日については、平成24年10月1日としてはどうかと考えています。それから政省令運用事項、いずれもそうですが、法律名が今回変っていますので、それに伴って規定の整備を行うなど、その他の所要の改正を行うという形にしてはどうかと考えています。事務局からの説明は以上でございます。
○大橋部会長 ありがとうございました。それでは議論に移りたいと思います。ただいまの説明に関して、ご質問、ご意見がありましたらよろしくお願いいたします。
○秋山委員 2点あります。1点目は、2頁の事務局の説明で、2番目のところの例外として認められる場合というのは、副業および主たる生計者の収入の大体600万円を基準にするというご説明がありました。その算出根拠として、世帯人員3人で標準生計費の2倍というご説明で、2倍だと心配ないではないかというお話ですが、その辺がもう少し客観的というか、もう少し慎重に検討したほうがいいのではないかと思います。
 2点目は、8頁のご説明で、無期雇用への転換推進措置の対象者として、派遣元事業主との雇用期間が通算して1年以上ある有期雇用の派遣労働者となっていますが、通算する雇用期間について、例えば何年間のうち通算1年といった区切りはないのでしょうか。その期間と言いますか、それを示すのか示さないのかを聞きたいと思います。
○大橋部会長 よろしいですか。それでは、いまの点につきまして。
○田畑課長 2点ありました。まず副業と主たる生計者の収入制限について、もう一度ご説明ということでした。副業と主たる生計者の収入制限については、日雇派遣について、あまりにも短期での雇用形態だということで、派遣元、派遣先で必要な雇用管理責任が果たされていない。したがって、法違反となったり、あるいは労働災害の発生も指摘されていることなどから、日雇派遣が原則禁止になったと、そういった「日雇派遣の原則禁止」の規定も考え、まず、生計費については、これまで求職者支援制度のご議論の中で、こういった標準生計費を基に掴みの水準をご議論いただきました。そのときには、300万円という収入要件が設定されていますが、これまで求職者支援制度で、標準生計を基にご議論をいただいたことも踏まえ、今回も検討していくことが適当ではないかということで考えてご提案をさせていただいたものです。また、標準生計費の2倍程度ということであれば、生活のためにやむを得ず仕事を選ぶことができないでいる方以外の方が就労する日雇派遣となる。先ほど申し上げましたような原則禁止といった趣旨も考え、やむを得ず仕事を選ぶことができないでいる方以外の方に限り、日雇派遣という形態での就労を認めるような水準に、収入要件を設定することが適当という観点から、2倍というご提案をいたしました。いずれにしても、先ほどご説明のときに申しました数字、参考資料1の6頁の数字をご参考にご議論をいただければと思っております。
 2点目は無期雇用の転換推進措置の通算の期間が1年についてのご質問というようにお聞きしました。雇用期間の通算については、特段、ある意味どこまで遡るかといったことについては制限をせず、その会社でこれまで1年以上雇用ということであれば、無期雇用の転換という努力義務を果たしていただきたいというように考えております。以上です。
○大橋部会長 ほかによろしいでしょうか。
○秋山委員 何年か後というのは変わらないということですね。
○田畑課長 何年かの後1年ということではなくて、もう既にそこで1年以上お勤めいただいているということであれば、この趣旨に従って、取り組んでいただきたいというものです。
○高橋委員 実はいろいろと申し上げたいことがものすごくたくさんありまして、どのような形で意見を申し上げたらよろしいのかと、ちょっと先ほどから思案をしておりました。例えば、日雇派遣の例外のところだけを取り上げましても、あまりいろいろとありますので、もし差し支えなければ、まずはこの資料の順番に則る形で、最初は日雇派遣の原則禁止について議論をさせていただき、という形で順次させていただくと。まとめていたしますと、非常に混乱する可能性もあるかと思いますので、そういう進め方ではいかがでしょうか。
○大橋部会長 はい、それで結構だと思います。では順番にご意見があれば。ただ、議論が多くあるのもあれば、あまりないのもありますので。書いてある順番にご議論をいただければと思います。
○高橋委員 少し長くなるかもしれませんけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。いままでの事務局のご説明にありましたが、日雇派遣の原則禁止の趣旨を踏まえてということが何回も述べられておりましたけれども、振り返りますと、この日雇派遣の原則禁止といったことが議論された当時と今をしっかりと見る必要があるのではないかということをまず冒頭申し上げたいと思います。当時、いろいろと問題になったことは事実ですが、その原因となった企業が市場のほうから撤退したという事実が厳然としてあるのではないか、また、これが議論された4年前と現在の間では、東日本大震災が発生したり、あるいは想定外の急激な円高が進展するといったような経済環境も大きく変化してきているのではないかと思っておりまして、そうした点も加味しながら議論をしていくことが必要なのではないかというように私は思っているわけです。
 また、先週の金曜日でしたが、日経産業新聞で報じられていたかと思いますが、64%の主婦層を中心とする皆様方が日雇派遣の禁止に反対をしているという調査結果が報道されていたと思います。当然のことですけれども、雇用期間に制限を加えるという今回の規制ですので、労働者側から見れば、働き方の選択肢というものが狭められる形になってまいりますので、その例外措置ということを、原則禁止だから例外措置も厳しくするのだというように考えて規定をするのか、選択肢が狭まるということを踏まえながら、その例外規定を講じていく際に、とにかく禁止だから狭めるという一方通行だけの考え方ということについては、私は慎重であるべきではないかというように思っております。そういった一般的な話をさせていただいた上で、少しお話をさせていただきたいと思います。
 今回、原則禁止の例外として、掲げられている事項のうちの1つである「昼間学生」ということですが、これは大橋先生がいちばん詳しいかもしれませんので私が言うのもあれですが、いま昼間も夜間も同時開講といったような開講のあり方みたいなものもありますし、あるいは大学院ともなれば社会人の学生を呼び込むために、あえて夜間に開講をしていくようなカリキュラムというのも存在していると思います。昼間学生ということは、学生証で確認するということですが、学生証にあなたは昼間の学生ですという証明があるのでしょうか。昼間学生とか夜間学生というのは、ちょっと一昔前の議論ではないかというように思っておりまして、確認が学生証ということも考えますと、「学生」でよろしいのではないか、昼間ということをわざわざ付す必要もないのではないかというように思っておるところです。
 それから「副業として従事するもの」というところで、先ほど来、ご質疑もありましたが、標準生計費についてということで考えていただきたいというようなご説明がありましたけれども、もともとの国会での議論でも、収入が一定額以上とかいうようなことが議論されていたのではないかというように思います。それがなぜ収入に関わる統計ではなくて、標準生計費という費目に着目した概念なのかというのが私にはよくわからない。収入統計に立脚していくという考え方があり得るのではないかと思っています。その上で、仮に標準生計費に基づいて議論をするということになったとしても、なぜ2倍なのかということについては合理的な根拠があるとは、とてもいままでのご説明を聞いていて感じ得ません。1.5倍でも1.7倍でも、2倍でも2.5倍でも何でもいいように私には受け止めました。やはり政令で定める以上はしっかりとした合理的な根拠というものをもって定めていく必要があるのではないかと思っております。ちなみに、少し統計は異なりますけれども、国税庁の民間給与の実態で見ますと、例えば年収600万円以下の方は日本全国で82%以上いらっしゃるわけです。そうしますと、先ほどのご質問にありました600万円といった数字になると、2割弱の方しかそもそも対象者がいらっしゃらないという状況になります。500万円以下でも73%ぐらいの方が該当するわけです。やはり水準としても少し高すぎることになるのではないかと思っております。では、標準生計費に立脚したときにどのぐらいが考えられるのか、これはなかなか難しい問題かもしれませんけれども、標準生計費というものをこの資料の(注)にも書いてありますが、この標準生計費の中には雑費?というものが入っています。括弧内にその他の消費支出と書いてあり、確かにそうなのですが、その他の消費支出の中には、小遣いとか交際費というようなものも入っているわけです。そうしたものも含めて、それをさらに乗数倍するというような考え方というのは、あまりにも行きすぎなのではないかと思います。そうした小遣いや交際費を含めた概念であるならば、2倍ではなくて、1倍と、そのままというような考え方も成り立ち得るのではないかと思います。あるいはもっと厳しいというか別の立場に立てば、小遣いや交際費というものを控除して計算していくと、そういったような考え方も取り得るのではないかと思います。
 それから「主たる生計者でない者」という方ですが、なぜその世帯全体の収入も把握した上で、その方が世帯全体の収入の一定割合以下というように抑えていくのかという考え方が基本的にはよくわかりません。しっかり確認していくためにもその方が被扶養者かどうかということをチェックすれば十分であって、その人以外の方の収入まで出させて、その世帯全体で収入がいくらなのかというような、プライバシーの極みであるような収入情報を本人以外の方についても報告を求めて、その一定割合以下に抑えていくという考え方は果たしていかがなものなのかと思っておりまして、健康保険証等を用いて、被扶養者かどうかというものを派遣元として確認をしていくというような考え方で十分なのではないかと思う次第であります。まだ、それ以外にもありますけれども、取りあえず労働者側の委員のほうにもご意見があると思いますので、一旦、ここで切らせてもらいます。
○大橋部会長 ただいま2点ほどありましたけれども、いかがでしょうか。
○田畑課長 いくつかご指摘がありましたが、大きい話として「昼間学生」と、それから「収入の一定額」、それと「主たる生計者」で、なぜ扶養だけでよくないのかと、そういったことというように受け止めました。まず、学生ですけれども、基本的には勉強が本分の方であれば、生活のためにやむを得ず仕事を選ぶことがないということで考えて、それが国会のほうで追加をされたというように私どもは受け止めております。学生の範囲については、雇用保険の適用を受けない学生ということで、具体的には休学中の者とか、定時制課程に存在する者、こういった方以外の者が該当するということで、実際に規定をし、また、運用していきたいと考えております。
 2点目は、収入が一定額以上という点ですが、いろいろなお話がありましたけれども、繰り返しになりますけれども、私どもとしては、生活のためにやむを得ず仕事を選ぶことができないでいる方以外の方に限り、日雇派遣という形態での就労を認め、その水準に収入要件を設定することが適当と考えております。また、このベースとなる数字ですが、これまで労働政策審議会で標準生計費を基にご議論をいただいたということで、標準生計費ということで支出ベースの数字ではありますけれども、労働政策審議会でのご議論においては、これを収入ベースの数字に割り戻してご議論をいただいたということで、ある意味、支出のみならず収入についても考慮して、そのときにはご議論をいただいたというように考えております。どういう数字を使うかということも含めて、またご意見をいただければと思います。
 それから2倍が高すぎるのではないかということですが、これも繰り返しになりますけれども、標準生計費の2倍程度であれば、生活のためにやむを得ず仕事を選ぶことができないでいる方以外の方が含まれないということで、逆に生活のためにやむを得ず仕事を選ばないといけない方が日雇派遣ということで、さまざまな問題が生じないようにということで2倍としてご提案をしたものであるということをご理解賜ればと思います
 それから主たる生計者でない方についても、その世帯の収入で判断をするということで判断をするということを考えておりますけれども、これについても、生活のためにやむを得ず日雇派遣に就労しなければいけないという状態が生じることについては、世帯の収入が十分でない場合に、そうした事態も発生するということが考えられるものです。副業と同様の問題が発生するであろうということで、主たる生計者でない方にも、同じ水準で一定の収入制限をかけることが適当ではないかということでご提案をしたものです。
○新谷委員 いま使用者側委員から、総論的な話と、各論の話が出されましたので、私どもも申し上げたいと思います。まず、3月28日に成立しました改正労働者派遣法ですが、この改正法案は労働政策審議会で、審議を重ねて結論を出し、それが閣法として出てきた法律であり、国会の審議の中で、日雇派遣の部分も含め、一部修正が加えられたことについては非常に遺憾に思います。特にこの日雇派遣のところは、日雇の定義となる期間が2カ月から30日に短縮されており、もともと自公政権のときに出された2008年閣法の水準に戻ったわけですが、これについても非常に残念です。また、2008年の閣法の際には、この30日以内の日雇派遣の禁止の例外は、先ほどの資料にありましたように、政令事項の17.5業務に限るという扱いにしておりましたので、国会の審議の中で新たな四類型というものが、禁止の例外として付け加わったということについて、非常に残念だと思っております。やはり禁止の例外は、極力少なくするべきであるというのが我々の立場であります。先ほど、高橋委員から、2008年のこの建議の議論の時とは時代情勢も変わり、問題となる企業はもう淘汰されたのではないかというご発言もありましたが、確かに当時問題となった企業はなくなったかもしれませんが、まだまだワンコールワーカーと言われる日雇派遣の方々が実在するわけで、世の中すべてから、この日雇派遣に係る課題がなくなったとは到底言い切れません。そういった意味では、繰り返し申しますように、収入であるとか、この四類型に出ていますような禁止の例外を作るということについては、基本的に私どもとしては賛同し兼ねるという立場であります。仮に、何らかの収入基準を設けるということであれば、その基準は確固たる考え方に基づく必要があり、時の政権の意思によって、その水準が容易に変えられてしまうということがないよう、きちんとした考え方をこの部会で示すべきです。
 先ほど来、使用者側委員がおっしゃっているのは、雇用全般の話ではないかと思いますが、ここでは、非常に短期間の雇用契約であり、しかも間接雇用である日雇派遣の話をしなければなりません。もともと日雇派遣には一体どのような問題があったのか、雇用管理責任が非常に曖昧であったなどの課題があって、2008年に建議が出て修正が加えられたのであり、非常に短期間の雇用を、かつ間接雇用という形で認めるということについては、抑制的であるべきだと思います。仮に、この四類型を認めるということであれば、交渉力の非常に弱い労働者が日雇派遣に就いておりますので、その交渉力格差の影響が出ない層の労働者に限定すべきだと考えます。そういった意味では、高めの年収水準を設定するというのは、あって然るべきではないかと考えており、今回、参考資料で出されているような年収水準では不十分だと思います。例えば、労働基準法の中に、高度人材の基準として1,075万円という水準を用いていますが、そうした水準も検討すべきではないかと思います。まずは、私どもの基本的な考え方と、先ほどの使用者側委員に対する見解を申し上げさせていただきました。
 続けて、日雇派遣の中の「安全衛生の確保」について、発言させていただきます。今回、指針事項ということで、派遣元、派遣先それぞれ講ずべき内容を定めることが提起されています。これまでも、安全衛生の確保については、さまざまな行政指導がなされていたと思いますが、先ほど申し上げたように、日雇派遣というのは契約の期間が非常に短く、また、業務に不慣れな方がその業務に就かれる可能性が高いことなどから、労働災害の発生リスクが非常に高いのではないかと考えております。そういった意味では、この指針が出されることも非常に有益だと思いますけれども、実効性をどのように担保していくのかが重要となります。安定行政の範疇だけではなく、監督行政とも連携しながら、取り組む必要があると思いますが、その実効性の確保策について、どのように考えているのかお伺いしたいと思います。
○田畑課長 安全衛生の実効性確保についてお答えします。指針で定めるということで、この指針に基づいて派遣元・先について労働局で指導をしてまいります。当然労働局で指導するということですので、基準部局との連携も十分諮りながら、規制が実効あるものとなるように対応してまいりたいと考えております。
○大橋部会長 今日はいろいろと盛りだくさんありますので、いろいろ発言していただきまして、次回にいただいた議論に対して整理をして、事務局のほうからお話していただければと思います。
 それで少し高橋委員から生計費ではなくて、なぜ収入にしないのかというご発言がありまして、私も実は最初聞いたときに、なぜ収入にしないのかということが少し疑問に思ったのです。ただ、収入にしますと、結局、マルチに仕事をもっておられる方とか、自営業の方とか、いろいろな方がありますので、かなり把握がきちんとしないという問題が出てくるのかなと。むしろ生計費であればマーケットバスケットの中に標準的な家計が消費するものを入れ込んで、それの平均的な家計のマーケットバスケットの経費を計算してそれを生計費にするというやり方ですので、かなり具体的で、客観性があるから、まあいいのかなと思っております。したがって問題はその生計費のうちの2人とか、家族数によって生計費が違ってきますので、それをどのように加重平均するか、さらにその加重平均したものの何倍を取るかということだと思います。そういう意味では、生計費で考えていくということはそれなりの合意性があると思うのですが。
○高橋委員 その点よろしいですか。実は私も、そこまで思い描いているかわかりませんが、先生と同じような考えをしました。そこで標準生計費の調査を見てみたのですが、この事務局が出ている2人とか4人とか、5人世帯まで拡張しておりますけれども、家計調査の全国勤労者世帯に着目した概念なのですね。ですから言わゆるサラリーマン世帯ですから、そのサラリーマン世帯ということの標準生計費ですから自営業者等は入っていないのではないかというように私は理解をさせていただいて、それであるならば国税庁の民間企業の実態、給与所得者というものの収入統計を取るということとそれほど大差はないのではないかというようにも思わせていただきました。
○大橋部会長 ただ、私はそのときちょっと心配したのは、所得の場合には経済全体の分布がかなりログノーマルというのか、裾野が高いところで広がっているような分布になるのですね。生計費の場合には比較的正規分布に近いのです。そういう点で生計費のほうが合理性があるのかなと思いました。そういう点ではいまの所得が500万円以下何%というご議論がありましたけれども、あれもそういった収入のときのログノーマルですと、かなりそのときの計算がややこしくなるのかと思いまして、それで生計費のほうがいいのかなと。要はその生計費を計算して、それをどのように倍数掛けるのかということですので、生計費のほうがわかりやすいのかというように思った次第です。
○小林委員 いまの一定額というものについても生計費を取るか所得を取るかというのは決めていただければいい話であり、なおかつそれを何倍にするか、1倍にするのかも含めて、何倍程度にするかという話があると思うのですが、いまお話を聞いていると、現状の参考資料1の6頁の年間換算額で、3人で278万円ですか、それを2倍で556万円ですけれども、これを先ほど600万円とおっしゃっていましたよね。それを100万単位で切り上げるというのもちょっといかがなものかなという感じもします。切り上げ方がすごいなと、感覚的にはそういうニュアンスがあるということを1点申し上げさせていただきます。
 それとあと2つ申します。「昼間学生」というのに、先ほど高橋委員が拘っていましたけれども、大学生、言うなれば夜学というのもあるでしょうし、または通信教育というのもあるわけです。そういう区分の中で昼間学生というのはどれを言うのかというのは、曖昧な部分があると。国会の議論の中で昼間学生と回答されたのは承知はしているのですが、広く学生と捉えてもいいのではないのかというのが、感覚であり、意見です。
 もう1つ、「日雇派遣の原則禁止例外」ということで、いまのもなおかつ、いくつかの団体からこの日雇派遣の原則禁止についての反対のご要望をいただいています。例えば、運送会社の団体から引っ越し業務というのが、この審議会の中でも議論がありましたけれども、3月4月にかなり集中するということで、この例外というところにも認められないと大変厳しいというようなご意見もあります。また、イベント会社で、数時間の、2日とか3日で開催するイベントのときに、集中して椅子を並べる業務とかで大量の人数がいるというようなことでご意見をいただいています。これを例外としてほしいというのが彼らの要望であるということが1つあります。以前の審議会の中でも、これは職業紹介でやればいいのではないかということでご意見をいただいています。実際、そのときの回答では、何らかの影響を受ける業界についての対応策みたいなことを、厚労省でも検討するような意見があって、発言があったと記憶しているのですが、どのような方策をもって、それらの影響が起こる業界に対して、業者に対してご支援いただけるのか、お答えいただきたいと思います。
○大橋部会長 いかがですか。
○田畑課長 まず、一定額のお話で600万円のことがありましたが、私どもは600万円という数字ではなくて、標準生計額の2倍ということでご説明を申し上げたということでご理解いただければと思います。
 それから学生の範囲ですが、昼間学生というのがいちばん典型的だと思いますけれども、学業が本分であって仕事をしていない方ということを念頭にした学生ということで規定をされたと思っております。繰り返しになりますけれども、雇用保険法の規定に、雇用保険に入らない学生と、入らないといけない学生という区分がありますので、その規定に沿って運用をしたいと考えております。
 日雇派遣の原則禁止の例外については、その当時からさまざまなご要望があったというようには承知をしておりますけれども、法律の原則禁止の議論の中で、また、国会の議論の中で例外としてはこの4つということで、ご議論をいただいたということだろうと思っております。私ども、日雇紹介のいろいろなサポートについては、日雇派遣が原則禁止されたことを使われる事業主の方に周知広報していくとかの、日雇派遣から日雇紹介への移行をサポートしていくことを考えておりますけれども、今日ご指摘もいただきましたので、どういった支援が考えられるかということは引き続き検討してまいりたいと思います。
○新谷委員 先ほど来、昼間学生の話とか、収入要件の話が出ていますが、いずれにしても、間接雇用の日雇派遣の話をしているわけで、直接雇用の日雇労働の話をしているわけではありません。日雇労働そのものを禁止するわけではないのですが、なぜ直接雇用ではいけないのでしょうか。派遣法が出来る前、あるいは、出来たあとも規制緩和によって派遣可能業務がポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に切り替わる前は、日雇労働であっても直接雇用で業務をされていたわけです。日雇派遣の労働者は非常に使い勝手がいいからということでしょうが、なぜ派遣でなければ日雇いはできないのかというところをもう一度考える必要があります。そんなに業務があるのであれば、直接雇用の日雇労働でも、対応可能なわけですから、そこは十分考えていく必要があるのではないかと思います。
 また、先ほど、夜間学生も昼間学生と同様に日雇派遣の例外に加えるべきだという話がありましたが、昼間学生であれば主たる生計者でないということは明らかであり、夜間学生は昼間働いているわけですから、主たる生計者ということになり、何か区分を考えるのであれば、副業の範疇として考えるという方法もあるのではないかと思います。
○大橋部会長 直感的に思いますと、夜間学生のほうが昼間働きやすいのではないかと思いますけれども、精神としては、夜間学生は昼間はきちんと働いてくださいということなので、これは昼間学生でいいのかなと。それと昼間学生にとって、いまの引っ越しシーズンは、丁度春休みですので、結構使い勝手はいいのではないかと思います。
 それともう1つ、高橋委員のほうから世帯の所得をなぜ把握する必要があるのか、やりすぎではないかというようなご指摘があったと思います。これも、要するに定義からきているみたいです。主たる生計者ではないものと言ったときに、主たる生計者でないという定義そのものからも世帯の所得が出てきているのですね。だから主たる生計者という言葉を使った途端に、世帯主の所得を何らか把握しなければという含意がもうここで出てきてしまっているので、やはり世帯の所得を見るしかないのかなと。これを変えるというのは、この審議会にとってはできませんので、これは要件だということで、世帯の所得というのは把握せざるを得ないと、考えざるを得ないと思います。
 すみません、ちょっと補足させていただきましたが、ほかに何かご議論ありますか。
○宮本委員 今回の改正法が基本的に、その建議よりも大きく後退をしたという点では大変残念な思いをしております。いま新谷委員がおっしゃったようなことについては全く同感でありますし、その立場であります。そのことはそのことでまた議論をしていく必要があるかと思いますけれども。私は安全衛生の件で少しお聞きしたいことがあります。日雇労働者が安全衛生上、労災も非常に多いという状況がある中で、特に私たちの業界のところで、今日もあるのですが、施工管理業務というのが非常に多くなってきています。この施工管理業務というのは仕事の中身が非常に曖昧というか、幅広いのですね。それが建設業における派遣というところに、いわば繋がっていくようなことも大いにありまして、そういう点では派遣先を確実に聴取するというようになっているのですが、なかなかベテランの方だけではなくて、高校を卒業してすぐ監督補助みたいな形で現場に入ってきます。そういう方もたくさんいらっしゃることで考えますと、その安全衛生教育をちゃんときちんと行う、そのことの担保をどう取っていくかということについては、先ほど労働局で指導をするという話もありましたけれども、ここは追加して、そういうことをきちんと担保していくための文章の記載というのが必要なのではないかなというように思っております。
 それからもう1点ですが、危険有害業務というのがあります。つい先日も、新潟のトンネル工事で大変大きな事故がありました。亡くなりました方々の就労がどうなのかということが、まだ十分把握してはおりませんけれども、雇用者であるのか、あるいは派遣という形になっているのか、その現場監督等々が含まれているのか、そういう就労形態で非常に個人請負が広がっているという中で、そういった安全教育が十分なされないままに、そうした現場に就労をしているという実態がありますので、その辺の確認をすることということになるのですが、そういうことが確認されている状況、実態というのはどういう状態になっているのかをお聞きしたいと思っています。
○田畑課長 まずは指針、日雇派遣の安全衛生の徹底ということですが、今回のご議論で指針に位置づけるということになりましたら、当然、周知徹底をきちんと諮っていきたいというように考えております。指針がきちんと守れるように周知徹底をし、必要な指導監督をしてまいりたいと思います。
 それから後段の件につきましては、労働安全衛生法一般の話ですので、ちょっとここで俄かにお答えはしかねる部分もありますけれども、いずれにしましても労働安全衛生法の規定に則って、当然必要な安全衛生教育がなされるように、担当部局において徹底されていると理解をしております。本日ご意見があったことについては、担当部局に伝えたいと考えております。
○高橋委員 あまり長くなってもと思いますから、最後に1点だけ申し上げます。先ほど先生が言われた「主たる生計者でない者」の特定ということがありましたが、やはりそこは扶養者なのか、被扶養者なのかというところを見ることで十分可能ではないかと思うのです。被扶養者なのに主たる生計者という方が、果たしているのか、そういうことはないと思いますので、扶養・被扶養関係で見ていくことで十分ではないかと思っております。その上で、ちょっと話は変わりますけれども、前回、建議を作ったときも、日雇いの実態を調査して、その結果をこの需給部会に報告していただいて検討したのではないかと記憶しております。あの当時から4年経過して、果たして今の日雇いの実態はどうなのかといった実態調査をしっかりかけて、その上で例外についても議論することが、労政審として基本的にあるべき姿ではないかと思います。実態を踏まえて議論したいと思いますので、是非その辺りをご検討いただきたいと思います。
○田畑課長 日雇派遣の例外として今議論いただいているものは、国会での修正により追加されたものですし、先ほどお諮りしたように、10月1日の施行までに決めなければいけないという限られた時間しかない中で、一定の結論を得ることも必要と考えておりますので、これまでのデータを基にご議論いただくのも、ある程度はやむを得ない部分もあるかと考えております。ただ、今後のいろいろな検討については、国会の附帯決議でも付されておりますし、また、いろいろなご指摘もいただいておりますので、その際には事業の実態を十分に踏まえた議論が必要であると考えております。実態を適切に把握し、それを議論に反映させていくことが今後の検討においてできるように、事務局として努力をしていきたいと思っておりますが、今回の議論においては、これまでのデータを基にご議論をいただければと、事務局としては考えております。
○柴田委員 いまの議論の中では、労働側が考え、想定している日雇対象者と、企業側が考えている日雇いのイメージが相当食い違っていると思うので、やはり日雇いをきちんと整理する必要があると思っております。私は日雇いとは本当に何なのだろうとこの前からずっと思っておりまして、ここの定義では雇用期間がというように認定されているのですが、先ほど高橋さんが言われたように、主婦のような方たちが日雇いがどうなのかと騒いでいるのは確かなのです。ただ、主婦の人たちはどのような働き方をしたいかと言うと、私たちが議論している日雇いとは違う短期雇用、短期派遣だと思うのです。例えば、今日の今日、働きたいというのではなくて、この日は旦那さんが遅いし、子どもはこうだし、あるいは親の所へ行かなければいけない日はこうだしと、ある程度予定が決まっていて、例えば1週間に2日間だけ働きたいとか、1週間に1日だけ働きたいなどといった希望があるわけです。いままでは登録でしたけれども、3カ月間とか6カ月間、週に1日、2日、あるいは月に何日間か働きたいという希望を持っている人たちが、日雇いという意味ではなくて、派遣会社と週に何日という形で契約すれば、それは日雇雇用関係ではなくなって、いわゆる何日間とかという雇用契約ではあるけれども、短期で何日間か希望するという形の人たちが派遣されるというのは、実は日雇いではないわけです。そして、派遣会社のほうも今度からはできなくなったから、お宅には短期では派遣できませんと言っているのですが、需給調整をするということであれば、派遣会社は自分の所の、このような能力を持った人が何日働ける素材としてあるから、A社とB社とC社を組み合わせて、そこに派遣するというのが、派遣会社の本来の機能なので、派遣会社としてのマネジメントがきちんとできれば、派遣を受ける会社は月に4日だけもらえるとかという形のことができるはずです。
何もかもみんな日雇派遣の禁止と思っているのではないかと思うのですが、私はそれは日雇派遣ではないと理解しています。「日雇派遣というのは何か」という定義がきちんとできていないし、かつ派遣会社も派遣会社としての需給調整機能をきちんと満たすということでなければ、派遣会社としての存在意義は全くないわけです。そこをきちっと整理することができれば、主婦派遣のようなものは、本来、派遣労働が目指していた機能を発揮できるのではないかと思うのです。どうも悲惨な日雇いみたいな形の派遣に議論が行き過ぎているので、積極的な意味での雇用調整機能の日雇いというものを、少し整理するべきではないかと思っております。
また、高橋委員が言われたように、世帯所得が高い人が派遣された会社があまり大きな企業ではなくて、従業員の平均所得が派遣された人の旦那さんの平均所得よりもずっと低いような場合、受け入れた企業は、あの人のところはこんなにたくさんもらっているみたいな、世帯収入は個人情報の中でもセンシティブ情報なので、所得を明示しなければいけないというのは、特に主婦などの場合は抵抗があるという気がしますので、被扶養者という形でできるならば、個人的にはそのほうがいいかなと理解しています。以上、2点です。
○田畑課長 ご指摘いただいた前段の部分については、事務局のほうで少し整理をして、次回の審議会にどのような資料が出せるか検討したいと思います。後段については、実際の運用でどのような形にするか、何らかの配慮ができるかを考えたいと思います。扶養者といってもいろいろな世帯状況の方がおりますので、被扶養者のみということではなくて、一定の収入制限を付ける必要があるのではないかとは考えておりますが、実際の運用については、何ができるか少し考えてみたいと思っております。
○大橋部会長 その他、何かあればお願いいたします。
○新谷委員 資料5頁のグループ派遣についてですが、資料を拝見すると、「関係派遣先の範囲」が括弧書きで説明されており、「親会社等」「子会社等」と記されています。この「等」には何が含まれるのでしょうか。下に建議の内容が書いてあり、ここではグループ企業(親会社及び連結子会社)に連結子会社が含まれると書かれておりますが、今回示されている提案の中には、「連結」という言葉が一切入っておりません。建議に基づき省令を作るのであれば、この内容では中身がちょっと異なるのではないかという懸念がありますので、次回は建議を踏まえた内容で資料を提示してほしいというのが1点です。
 次は質問ですが、2つ目の○に、派遣割合の算定方法として分母と分子の関係で計算式が書かれております。分子の総時間から引かれるほうに、定年退職者というのが出ておりますが、定年退職者というのは定年退職をした世の中一般の人なのか、それとも当該企業あるいはその子会社に限って定年退職した者を指すのか、どちらなのかを明らかにしてほしいと思います。
 3点目として、「関係派遣先の範囲」について、回答は次回で構いませんが、株式の保有比率が100%の孫会社、要するに、100%出資の子会社が孫会社株を100%保有しているケースや、孫から第何世代先まで一気通貫で100%全部株式を持っているようなケースは、建議で言う連結子会社の範囲に含まれるのでしょうか。どこまでの範囲が建議で言う連結子会社に入るのかということを、明らかにしてほしいと思います。可能であれば、絵か何かで描いていただくと、疑義が生じないと思いますので、そういった資料の工夫も、是非お願いしたいと思います。
○田畑課長 ここの部分の子会社というのは、連結決算を導入していない場合は連結子会社というものが存在しないため、こういった書き方にしております。今ご指摘があったように、建議では、連結子会社という形になっているということもありますので、ご指摘を踏まえて、次回は資料も少し整理しまして、再度こちらから案を提出させていただければと思っております。2点目については、担当補佐よりお答えいたします。
○佐藤補佐 定年の範囲ですが、グループに限った話ではなくて、いわゆる一般的な定年退職者として整理したいと考えております。
○高橋委員 ここは、また非常に長くなってしまうのですが、申し訳ありません。まず、関係派遣先の範囲について、先ほど新谷委員から、平成20年の建議に書いてあるのだからそのとおりにするべきとのご主張がありました。それについて申し上げたいと思います。建議に連結子会社と書いてあるのだから、連結子会社にするべきだという主張は一定程度理解いたしますが、そもそもグループ決算といったときには、企業の場合は当然海外子会社が入ってきます。しかし、派遣法は国内法ですから、海外子会社の派遣まで8割規制の対象にするわけではないのです。そうすると、審議会の建議に書いてあるから、そのとおりだというわけにはそもそもいかないし、一言一句ではなくて、政令を定めるためには、細かくきちっと考えていく必要があるという意味で申し上げたことです。
 その上で、連結子会社というのは会計上、財務上用いられる概念ですが、ご承知のとおり、現在、日本ではグループ決算において3つの基準が併存する形になっております。1つは日本基準、もう1つは米国基準、そして、IFRS基準という、国際会計基準に基づく開示です。いずれも任意適用で、どれを選択してもいいことになっています。平成20年の建議から大きな変化の1つとして、IFRS基準に基づく開示がなされたということがあります。平成22年3月期に、日本市場で初めてIFRS基準に基づく開示がなされています。現在IFRS基準での開示は徐々に増えてきてはいますが、今後はさらに増えていくことになります。いまの流れとして、アメリカ基準で開示している企業などは、いまやIFRS基準への移行を準備中ですし、中長期的には増えていくということです。
 IFRS基準も日本基準も、基本的に実質支配力基準という考え方自身は同じですが、日本基準は一時的な支配とか、投資家の判断を著しく誤らせる可能性があるような場合は、連結対象から外せる例外規定があります。さらに、日本基準の場合は、ベンチャーキャピタル企業とか特定目的事業体についても、一定の基準の下で連結対象外としていますが、IFRSにはそのようなものはありません。また、IFRS基準と日本基準で共通的にあるものとして、量的・質的に見て重要度が乏しい場合は連結の範囲に含めないということが認められていますが、何をもって重要度が乏しいかという判断について、明確な基準があるわけではなく、各社が監査人とやり取りをして、重要度の乏しさを判断しているということです。連結の範囲を規定するのは、あくまでも決算上、財務上の判断ということが言えるのです。
 既にIFRS基準に移行している企業にとっては、日本基準に戻って開示することはしません。すなわち、財務、会計上はいろいろな連結の範囲というのが今後ともあり得るという中で、人事の基準も会計の基準に合わせていいのですかというのが問題意識です。ご承知のとおり、IFRS基準は、これまでも各国間のいろいろな話し合いの中で見直されてきています。いまもアメリカ基準とのconvergenceというのが議論になっています。国内の雇用についての基準を定める場合、海外の各国との話し合いで基準が変わったら、その範囲も自動的に変わるといったような立て付けで果たしていいのでしょうかということです。したがって、私としては子会社の範囲については、もちろん、平成20年の建議は尊重することが大事だとは思いますけれども、明確で全国一律の基準であるべきだと思いますので、今回事務局から出された案で適当ではないかと考えるところです。
 もともとグループ企業保険は、第二人事部的な取扱いを避けるというのが、規制のいちばんの趣旨だったと思います。その上で今回の算定式を見ると、いくつか意見を申し上げたい。定年退職者の部分だけを除いているということについてですが、定年退職者というのは、元正社員だった人です。なぜ、元正社員だった人だけ抜くのでしょうか。高齢者の就業は非常に大変ですし、厳しいですから、社会的に高齢者雇用を促進していこうという趣旨のために分子から控除しているのだろうと思いますが、60歳未満が正社員だったか、60歳未満が非正社員だったかで算定式に差を付けるというのは、いかがなものか。高齢者の雇用を促進するということに鑑みれば、60歳以上の高齢者の派遣就業の総労働時間を控除するという考え方が適当ではないかと思います。
 また、社会的な雇用促進をするという観点からは、来年4月から法定雇用率が上がってきますけれども、障害者を雇用して派遣する場合についても控除するということについて、検討してもいいのではないかと思います。また、考え方として紹介予定派遣については、最終的には直接雇用に結び付いていくということも考えれば、これを促進していく観点からも、分子から除外していくということも考えられるのではないかと思います。また、育児介護休業の代替要員として派遣するというパターンが結構ありますけれども、そのような方については、そもそも常用代替の観点からも問題なかろうということから、分子から控除していくという考え方も成り立ち得るのではないかと思っております。
 ここからは質問ですけれども、8割を超えたときに、行政としてどのような対応をしていくのかをお尋ねしたいと思います。派遣元の企業が一生懸命努力をしても、開拓が困難であったり、経営環境が大幅に変わって、グループ外の取引先企業のほうが経営が非常に困難であるために、派遣を受け入れるのがなかなか難しいといったことが当然生じ得るので、そうした場合は8割を超えてしまうことも十分想定できます。取りわけ、企業城下町といった地域では、グループ外の開拓というのはなかなか困難であると考えられます。8割を上回ったから、直ちにどうした、こうしたということではなく、実態を踏まえながら、行政としても柔軟に対応すべきだと思うのですが、その辺りの現時点におけるお考えを、是非教えていただきたいと思います。以上です。
○田畑課長 建議は定年退職者ということで規定されており、それ以外にもいくつかご指摘をいただきましたが、建議で定められたことを基本に考えて、今回ご提案しておりますが、の新谷委員や、高橋委員からのご指摘を踏まえ、次回までに資料の整理をしまして、再度提案させていただきたいと思います。それから指導の点についてのご質問ですが、私どもが指導監督をする場合、派遣労働者の雇用の安定ということにも配慮して指導しております。8割というのが法令に入っているものですから、遵守のために努力していただく、こういったものを守っていただくことを期待しておりますし、これを達成しないということであれば指導させていただくわけですけれども、指導に当たっては、企業の置かれているさまざまな状況を伺った上で、必要な指導をするということが基本になると考えております。実際の指導手法については、今回の審議会の議論も踏まえて、施行までに詰めていきたいと考えております。
○新谷委員 先ほどの高橋委員のご発言の中で、派遣法は海外の子会社については適用がないという話がありましたが、海外への派遣も事業報告書に含まれていると思います。今回の子会社の関係において、海外の子会社は本当に適用外でいいのでしょうか。また、高橋委員のご発言の中に、平成20年の建議は確かに連結子会社と書いてあるけれども、必ずしも建議どおりに連結としなくてもいいのではないかという趣旨の発言があり、これも非常に違和感を覚えます。この建議は政労使、公労使の社会的対話の中で合意を得たものであり、労使関係というのはその時1回だけの話ではなく、永続的な信頼関係の中で形成されるものだと思いますから、あのときはあのとき、このときはこのときということではなく、やはり平成20年の建議を非常に重く受けとめるべきだと思います。ですから、本来は平成20年の建議に書かれているとおり、連結子会社を出発点にしなければならないと思います。
 また、高橋委員から、定年退職者以外の退職者も分子から除くべきではないかという話がありましたが、2008年の論議を調べてみると、公益側の先生から、それは反対だという話がありました。例えば、女性が出産や育児、介護などいろいろな理由で退職するケースがありますが、仮にここで、これらの方々の派遣による復職を関係派遣先での派遣就業ではないと認めてしまえば、正規雇用で復職を果たそうとしている方々を、派遣のほうに誘導してしまうことになりかねないという懸念が公益の先生から指摘されており、適切ではないという論議があったと承知しております。そういった背景も踏まえ、ここは定年退職者に限るという建議どおりとすべきだと思います。
○大橋部会長 議論の仕方として。
○高橋委員 私は別に無しにしてとは全然言っておりません。何かちょっと理解されていないので残念です。最後のも、別に60歳以上の高齢者に限る話であって、私の主張が理解されないのは非常に残念だと思います。建議で連結子会社を無しにしていいなどという趣旨で言ったものではなくて、会計上の概念と人事上の概念、しかも会計上の概念にはいろいろな選択肢があるので、政令で定める以上は明解で、趣旨を踏まえながら、しかし全国一律のきっちりとした基準を定めるべきだというのが主張であって、無しにしていいなどとは一言も言っておりません。
○新谷委員 建議の中では連結子会社と記されながら、今回事務局から出された資料には連結の概念が全く入っておらず、また、高橋委員からその事務局案でやるべきだというご発言をいただいたものですから、私は連結を入れるべきだと申し上げたのです。それから、事業報告は1カ月後に一定の書式で提出することになりますが、実際の実務を考えたときに、労働局ではこれをどのように処理するのでしょうか。本邦基準、米国基準、IFRS基準とありますが、やはりその会社が選択した方式に従ってはどうかと思います。事業会社が選択した方式で連結財務諸表が作られ、そこに連結子会社を記載するわけですから、それをもって証明資料とし、事務処理すべきだと考えています。
○大橋部会長 それでよろしいですね。
○高橋委員 そうすると、どういう基準を採用しているのか、あるいは重要度等の点において、グループごとによって異なり得ますよね。そういうようなものでよろしいかどうか。
○大橋部会長 緩くなったり、きつくなったり。
○高橋委員 結局、財務上の概念というのと人事的な概念には、1対1対応があるのかという話だと思うのです。なぜ、財務概念に人事概念が収斂していかなければならないのか。今回、事務局から示されたように、親会社か、親会社の子会社で議決権50%超、ただ過半数ですから50%超かどうか資料上は読み取れませんけれども、そのようなのも1つの考え方で、これは十分考慮し得るのです。
○大橋部会長 子会社は連結子会社でもいいのですが、厳密の中身は、連結を少し厳密にしてくださいというご指摘ですね。
○高橋委員 要するに、8割規制を導入する以上、当然どのグループでも同じ範囲でするべきですよね。グループによっては範囲が違うという規制はよろしくないということです。
○田畑課長 いろいろご意見がありましたので、きちっと整理をしまして、連結子会社の範囲、親会社、子会社の範囲については再提案させていただくということでお願いいたします。
○大橋部会長 盛り沢山の問題で、まだまだ議論することが多いかと思いますが、時間の関係で本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。今日いろいろとご議論いただいた点について整理していただくとともに、複数人員世帯の標準生計費ですが、2人、3人、4人とありますから、これを使って加重平均でしょうか、そうすると金額もかなり違ってくると思いますので、これを加重平均して、本来は原則禁止ということなので、それを踏まえた上でどれぐらいセーフティマージンを加重平均に乗せるかという形で議論させていただきたいと思います。その辺の算出をよろしくお願いいたします。
○新谷委員 今後の論議を確認させてほしいのですが、今日は時間がだいぶ経過しておりますし、まだ1と2しか終わっておりません。3以下の論議は、確認事項であるとか、要望などそれぞれあると思うのですが、これはどのようにするのですか。
○大橋部会長 次回にまたやっていただいたらいいと思います。ただ、障害者の話とかいろいろな話が出てきまして、本来の議題として用意した検討事項の周辺を議論していただくのも大事ですけれども、その辺は少しセーブしていただいて、検討事項に沿ってお話を展開していただくとありがたいと思います。それでは、この議題については以上といたします。                 
(傍聴者退席)


○大橋部会長 事務局からほかに連絡事項はございますか。
○佐藤補佐 次回の部会の日程については調整の上、追ってご連絡をいたします。以上でございます。
○大橋部会長 それでは次回の部会は、調整中ということで後日、事務局から連絡がいきますので、よろしくお願いいたします。それでは以上をもって、第174回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名委員は使用者代表は小林委員、労働者代表は宮本委員にお願いします。


(了)

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