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2012年4月24日 薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会議事録

医薬食品局

○日時

平成24年4月24日(火)14時~


○場所

厚生労働省 専用第12会議室


○出席者

出席委員(8名):五十音順 

○赤 堀 文 昭、◎大 野 泰 雄、 栗 原 正 明、 黒 木 由美子、

 城 内   博、  宮 川 宗 之、 山 口 芳 裕、 山 田 英 之

   (注) ◎部会長  ○部会長代理

他参考人一名

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 長谷部 和久 (化学物質安全対策室長)

○議題

1.毒物又は劇物の指定について
2.毒物又は劇物からの除外について
3.その他

○議事

○事務局 定刻になりました。ただ今より、「平成24年度第1回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会」を開催します。
毒物劇物部会の総委員数は8名ですので、定数は過半数の4名以上となっております。本会議は、8名全員の先生方に御出席いただく予定となっておりまして、現在、山口先生より、少し遅れて来られるという御連絡をいただいておりますが、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。
なお、本会議は公開で行われ、資料及び議事録も公開となっております。開催にあたり、大臣官房審議官より一言御挨拶申し上げます。
○審議官 大臣官房審議官の平山でございます。本日はお忙しいところ、第1回会合に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本部会はほぼ1年振りの開催でございます。この間、昨年の部会で審議していただいた事項につきましては、その結果に基づいて、昨年の10月に2品目を毒物に指定し、1品目を劇物に指定し、8品目を劇物から除外するという措置を取らせていただきました。
 さて、この部会では、昨年11月と本年3月の毒物劇物調査会の審議を経た品目につきまして、御議論いただくということになっております。委員各位の忌憚の無い意見、議論を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
○事務局 また、本日でございますが、全国農業協同組合連合会から、部会の委員でありました石川さんの後任といたしまして、現在、薬事・食品衛生審議会で部会委員の手続きを踏んでいるところですが、本日は参考人として溝渕様が出席しておられます。
それでは、大野部会長、議事進行をよろしくお願いいたします。
○大野部会長 皆様におかれましても、お忙しい中お集まりいただき、また事前にいろいろ検討していただいきまして、ありがとうございます。審議に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 今回の資料ですが、議事次第が1枚、座席表、出席者一覧です。次に、審議事項ですが、毒物又は劇物の指定に係る11物質について、資料1~資料11までとなっております。これが今回検討いただくものとなってございます。続いて、農業用品目の収載についてですが、今回検討いただく1物質について、資料12です。さらに参考資料として、毒物劇物の判定基準を付けています。不備等がございましたら、お申出ください。
○大野部会長 それでは、審議に入ります。最初の品目ですが、2,3-ジシアノ-1,4-ジチアアントラキノン(別名ジチアノン)及びこれを含有する製剤について、御審議をお願いします。事務局から議題1についての説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題1、資料1「2,3-ジシアノ-1,4-ジチアアントラキノン(別名ジチアノン)及びこれを含有する製剤の毒物及び劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。1ページを開けていただきますと、2,3-ジシアノ-1,4-ジチアアントラキノン(別名ジチアノン)です。この物質に関して、今日毒物及び劇物取締法に基づいて御審議していただくわけなのですが、この物質は1966年に農薬登録をされ、殺菌剤として用いられている農薬で、当然のことながら毒劇法の対象になるかということで登録をする際に審議を行っているわけなのですが、当時の事情から申しますと、これが有機シアン化合物ということになりますので、毒劇法の対象となります。
 そのような形で進んでいまして、平成2年に有機シアン化合物からの除外申請が提出され、当時、急性経口毒性試験、急性経皮毒性試験、皮膚刺激性これは70%製剤も含めて申請が提出され、除外されたというものです。
 今回の添付させていただいている資料を見ていただければお分かりのように、経口、経皮、皮膚刺激性に関しては、毒性が少なくとも劇物相当ではないということになるかと思うのですが、それについて新たなデータが提出されたことによって、今回配合濃度をある数値をもってその下限を劇物にする、あるいはさらに劇物よりもまだ毒性の弱い、劇物からの除外ということも踏まえた形での審議です。
 まず1ページを開けていただきますと、ジチアノンの構造式、名称、今お話をさせていただきました経緯が書かれております。
 3ページに、物理的化学的性質、これは原体なのですが、性状は暗褐色結晶性粉末、融点が216℃、蒸気圧が2.71×10-9Pa、安定性は80℃以上で分解されるとなっております。
 4ページは急性の毒性試験のデータを記載しています。まず左上に「原体」と書かれておりますので、100%のものが書かれています。その中に経口、経皮、吸入、皮膚刺激性、眼刺激性というように書いてございまして、吸入毒性試験では、1984年に吸入毒性試験をした結果と今回2005年と2011年と試験を行っているわけなのですが、備考欄に粉体の粒子径とそれに伴う分布と対比が書かれております。試験1というのは、かなり以前の古いものなのですが、簡単に申し上げますと、動物試験の呼吸可能な粒子径の割合が、後に試験をした試験3に比べて非常に少なかった動物への吸入がなかなか上手くいかなかったということがあって、今回この試験はOECDのガイドライン等に沿って行っていますが、その試験方法できちんと試験を実施したところ、かなりの毒性でLC50が0.280mg/Lという値が出まして、毒物劇物の判定基準と見合わせて、毒物相当と判断いたしました。また、眼刺激性でも強度の刺激性が認められました。
 6ページにも書いていますが、先ほどの原体ではなくて50%製剤の試験データです。ここでも、吸入毒性試験を実施したところLC50が0.83mg/Lという値で、劇物相当と判断いたしました。
 7ページは、42%のフロアブル錠についてです。これについては、ここにも特に記載は無いのですが、経口、経皮、吸入と毒性が劇物相当ではないということになっているのですが、吸入毒性から言いますと、42%フロアブル錠を原体とみて毒性評価をしているという経緯がありますので、毒物劇物の判定基準に従った形で見ていきますと、いわゆる製剤での知見があって、除外する製剤についての基準からいうと、劇物の最も大きい急性毒性値の10倍以上と考えられるということなので、その辺のところの評価をどう判断していただくかというところかと存じます。以上です。
○大野部会長 ありがとうございました。先生方から御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。事務局の提案としては、原体については毒物、製剤については劇物ということでどうかということです。今日お配りいただいた毒物劇物の判定基準ですが、今まで使ってきたものについて見ると、2ページで、「毒物に判定された物の製剤は、原則として、除外は行わない」となっています。また、製剤について外す場合は、劇物の最も大きい急性毒性値の10倍の値をクリアするようなものについては外してもいいだろうということで、今まで基準が作られ、それで運用されているところです。あくまでも原則で、確かそれを外したこともあったと思います。
 確認ですが、劇物にしたらどうかということは、どのデータからということでしたか。
○赤堀部会長代理 調査会での議論では、平成2年のデータで劇物から除外されて、現在流通しているということなので、吸入毒性試験のあり方についての議論は出たのですが、今、御議論いただいていることについては、はっきり申し上げて調査会での議論にならなかったということです。
 ただ、個人的には、毒物に指定されたものの製剤は除外しないという原則はあるのですが、この物質の毒性は局所毒性によって、動物を死に至らしめているということです。吸収されて全身性の毒性を発現した結果ではないということで、原則として毒物に判定された物の製剤は劇物から除外(普通物への除外)しないということ、それを当てはめなくても良いだろうと私個人的には考えていたわけです。
 その理由としては、その毒性の原因となっている刺激性が眼に対する毒性と相関があるということで、その毒性の特徴から考え、原則に当てはめなくてもいいだろうと思ったのです。ただ、事務局から御説明がありましたように、劇物から除外する場合には、劇物として指定する最大値が1mg/L、この10倍を超えていなければならないということがありますので、そうしますと、御指摘いただきましたように、よりヒトへの安全性を考慮した場合には劇物に指定した方がいいと今の議論の中で感じました。
○大野部会長 私も今回のデータを見て、ジチアノンによる毒性が局所刺激性である、眼刺激性が非常に強いということが出ていますし、吸入で強い毒性が出ているということで、特に先ほど説明がございましたように、粒子径が小さくなっているということです。そのような条件では肺の奥まで入って、肺に刺激性があって、そして浮腫のようなものが出ているのではないかと思いました。
 そのようなことで、この毒物劇物の判定基準で考えている10倍の基準というのは、どちらかというと経口毒性、全身毒性に基づいた基準の時にはこれを適用して、局所刺激の場合には、例えば喉を希釈すれば毒性が全然出なくなってしまうことがよくあります。水酸化ナトリウムや硫酸でも、10倍に希釈すれば全然毒性が弱くなってしまうということがありますので、必ずしも毒物として指定したものを外すことは行わないという原則がありますが、それを適用しなくてもいいのかなという気がしています。先生方、いかがでしょうか。
○宮川委員 何点か確認させてください。初めにデータの見方ですが、4ページの備考欄に、古いデータだと7μm以下の粒子のパーセントが書いてあります。2005年のデータは5μm、2011年のも5μmですが、このサイズ以下のものをrespirableな粒子として規定するということで、OECDのテストガイドラインに5μmという数値が出てくるので、ここに書いているのでしょうか。
○事務局 吸入毒性試験1については、吸入可能な粒子径の分布が細かく測定されておらず、吸入可能な粒子の割合が正確には分からず、平均粒子径が求められていないため、本試験は適切でないと判断し、現在のOECD等のいくつかのガイドラインの中の粒子径の規定というのは、この時点では確定していませんので、現在の規定の1~4μmという非常に粒子径の小さいものについて見ていないということで、今回の2011年に実施した試験の粒子径からすると、かなりガイドラインに従った形でのきちんとした試験をやっているということにはなるかと思います。
 これは事業者からですが、1984年の試験は被験物質を粉砕していないということから、吸入可能な粒子径の分布が小さく、適切ではなかったということです。実際の原体の製品の粒子径は大きいというようなこともあります。
○宮川委員 ラットの場合ですと3μm以下でないと入らない、人の場合は5μmです。質問の趣旨は、粒径によって毒性は違うと思うのですが、その時に、これを5μmでカットした上でパーセントが書いてあるのです。この判断方法が、吸入性の粒子がどの程度含まれているかと判断する上で、標準的な表わし方なのかどうかを確認したかったのです。
 もう一つは、真ん中の試験結果の試験3の注意書きで、試験2の粒径の大きなものについては、0.25mg/LというLC50が出ていますが、それは除外したということです。結果としてはよろしいかと思うのですが、粒径が大きなものが比較的低いLC値が出ているので、大きいからといって除外するのが適当かどうかというのは、議論が必要かと思いました。
○赤堀部会長代理 粒子径が大きいこと自体が、毒性試験のあり方そのものが適切でなかったと理解して、そのデータは削除したいということで、従来、本来肺胞にまで到達する粒子径が50%だったり、60%だったり、70%だったり、あるいは先生の御質問のように、データによっては5μm以下とか、8μm以下との表現でのデータは出てくるわけですが、実際には3μm以下、5μm以下のものは、どのくらいの割合であったかということは確認しています。
 そのような意味で、ここでは3ないし4μm以下だと、ラットでは肺胞に到達する粒子径ということで、その割合がこのぐらいあれば大丈夫だろうということで評価させていただいたということです。
○宮川委員 もう一つ質問です。7ページの吸入のところに、括弧をして(ミスト)と書いていますが、こちらの元は粉体、固体だと思うので、「ダスト」であると思いました。どちらにしても、基準値は同じだと思いますが。
○事務局 こちらについては、ミストなのかダストなのか、こちらで確認させていただきます。
○黒木委員 フロアブル製剤なのでミストでよろしいのではないかと思います。いわゆる粉剤、粒剤とは違うので、ダストではないと思います。
○大野部会長 私もそれでいいのではないかと思います。フロアブル製剤の定義を読んできたのですが、水に溶けにくいものを粉砕して細かくして、いろいろな添加物を加えて、水に分散させるようなものにしたものをフロアブル製剤というので、その液体を投与しているのだと思うのです。そのような意味で、ミストでよろしいのではないかと思いました。
 これについて、事務局の提案は毒物であるということ、希釈すると毒物の基準に該当しないようなレベルになるということですが、元々毒物については原則として除外を行わないことになっているということを加味して、希釈した製剤については劇物、無指定にすることはせずに、劇物というところまで落として管理すればいいのではないかという提案だと思います。そのような提案について、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ただ、少し気になるのは、原則として毒物と指定されたものは除外を行わないということと、外す場合には原則として、基準値の10倍を超えることというのがあって、その両方を外すというのは気になるところでして、そのようなことで今回は劇物ということにしたらどうかということですが、この基準そのものについては、事務局が本当にこれでいいのかどうかを考えていただいて、次回にでもまたそれを基に議論して、場合によっては考え直すということがあってもいいのかと思います。
 というのは、今回だけではなく、前にも毒物から無指定物に製剤をしたことがあると思うのですが、それを繰り返すと、この原則は何だろうということになってしまいますので、そのような例が多くなるとまずいので、原則を見直した方がいいのではないかと思いました。そちらについて、今日どうこうという結論は出したくないのですが、暫く事務局で検討していただいて、また調査会でも検討していただいて、その上で法の目的からして、原則を変えてもいいのではないかということなら、そのような案ができましたら先生方にまた議論していただいて、それで行いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○溝渕参考人 確認させていただきますが、事務局の提案で読みますと、基本的には毒物だけれども50%のものは除きますということで、50%以下だけれども劇物に指定する場合も42%以下は除くということですので、42%以下は劇物にも該当しないということになるのですか。
○化学物質安全対策室長 先ほど事務局の説明が分かりにくかったかと思うのですが、書いてあるものとは少し変わっておりまして、「ただし」のところを除いたような形で御提案させていただいています。
○溝渕参考人 括弧書きが無いということでよろしいのですか。
○化学物質安全対策室長 はい。その理由と言いますのは、先ほども座長からも御説明のありました判定基準で、2ページの2.の(1)に基づいて1.の(a)ですが、LD50等が10倍以上と考えるものについては除外できるということなのですが、今回の42%以下を含有するものというのは、それに当てはまらないということで、結論として事務局案は、原体は毒物、50%以下を含有する製剤については劇物という提案です。
○大野部会長 そのような理解でよろしいでしょうか。そのようにさせていただきます。御審議ありがとうございます。
 次の品目でオルトケイ酸テトラメチル及びこれを含有する製剤です。これについて御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題2、資料2「オルトケイ酸テトラメチル及びこれを含有する製剤の毒物又は劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質は、現在毒物又は劇物の指定はされていませんが、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。用途は、テレビブラウン管表面のコーティング等に使用されています。
 2ページは、物理的化学的性質ということで、性状は無色の液体、沸点は121℃、融点は-2℃、蒸気圧が1.3kPa、溶解性は水に溶けないというものです。
 先ほどの国連危険物輸送分類等についても記載されています。これについて、3ページの別紙2を開けていただきますと、毒物劇物の判定基準に照らして、急性吸入毒性試験のLC50が4時間で53ppmと記載されていますが、その数値をもって、毒物相当と判断いたしました。
 この急性吸入毒性試験の飽和蒸気圧濃度において非常に気相に近いということで、濃度もppm濃度という記載にさせていただきましたが、この数値をもって毒物相当と判断いたしました。以上です。
○大野部会長 これについて、吸入毒性試験の結果から毒物とするのが適当だろうという判断ですが、いかがでしょうか。資料全体でもいいですが、字句の問題があればそれでも結構ですが、いかがでしょうか。特にありませんか。それでは、このオルトケイ酸テトラメチル及びこれを含有する製剤の指定に関しては、毒物とするということにいたします。ありがとうございました。
 次の品目ですが、1,1-ジメチルヒドラジン及びこれを含有する製剤についての説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題3、資料3「1,1-ジメチルヒドラジン及びこれを含有する製剤の毒物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質は、既に平成10年に劇物に指定されており、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されていて、国立医薬品食品衛生研究所において、再度、急性毒性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。用途は、合成繊維・合成樹脂の安定剤、繊維の黄色変色防止剤、医薬品や農薬の原料等に使用されています。
 2ページの別添1は物理的化学的性質です。性状として、無色の起煙性、吸湿性の液体、沸点は64℃、融点が-58℃ということで、蒸気圧が13.7kPa、溶解性は水には非常によく溶けるとなっています。
 別添2に急性経口、経皮、吸入等の毒性試験のデータを記載しています。急性吸入毒性試験において、LC50の172ppm/4Hの値から毒物相当と判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。別添2を見ましても、経口、経皮毒性では、この値からいくと劇物に相当するということですが、吸入毒性の結果からすると、毒物に該当するだろうということです。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。今まで劇物とされていたわけですが、新しいデータに基づいて毒物とするということにさせていただきます。
 次ですが、トリブチルアミン及びこれを含有する製剤です。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題4、資料4「トリブチルアミン及びこれを含有する製剤の毒物又は劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質は、現在毒物及び劇物の指定はされていませんが、先ほども何度かお話させていただいているように、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。用途は、防錆剤、腐食防止剤、医薬・農薬の原料等に使用されています。
 2ページ目です。物理的化学的性質ですが、性状は無色~黄色の吸湿性液体、沸点が216℃、融点が-70℃、蒸気圧が12.5Paです。溶解性は水で142mg/L、エタノール、エーテルが可溶となっています。
 3ページに、経口、経皮、吸入、皮膚刺激性及び眼刺激性の毒性試験のデータを記載しています。経皮LD50:195mg/kg、吸入毒性試験LC50:約75ppm/4Hをもって、毒物相当と判断いたしました。以上です。
○大野部会長 今まで無指定であったというものです。国連の勧告では毒物とされていたわけですが、今回のデータに基づいて毒物でどうかということです。いかがでしょうか。吸入毒性が毒物の基準に該当する値を示しているということです。よろしいでしょうか。それでは毒物と指定させていただきます。
 次の品目は、ヘキサキス(β,β-ジメチルフエネチル)ジスタンノキサン(別名酸化フエブタスズ)及びこれを含有する製剤についての御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題5、資料5「ヘキサキス(β,β-ジメチルフエネチル)ジスタンノキサン(別名酸化フエンブタスズ)及びこれを含有する製剤の毒薬又は劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質は1980年に農薬登録されている物質ですが、事業者より、今回新たな原体及び製剤の毒性データの提出があったことから、毒物及び劇物の指定を検討するというものです。用途は、農薬の殺虫剤です。
 2ページです。物理的化学的性質は、性状が白色粉末固体、融点が140~145℃、蒸気圧が3.9×10-8Paです。
 3ページに、原体の急性毒性試験のデータを記載しています。この中で唯一吸入毒性試験のLC50が、4時間で0.046mg/Lと記載されています。この数値をもって毒物相当と判断いたしました。その後に、製剤の毒性試験のデータを記載し、これを含有する製剤も併せて毒物相当と判断いたしました。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 質問なのですが、ジメチルフェネチルのエが大きくなっていると思うのですが、通知では小さな文字は使わないのでしたか。
○事務局 申し訳ございません。法令では小文字を使わないということであり、諮問書の中に書かせていただくものと、実際の資料の整合を取るために、そのように書かせていただいたのですが、実際の試験データのデータ等については、あえて大文字にする必要は無いと思います。
○大野部会長 いずれにしても、通知をする時には小さな文字は使わないということですね。
○事務局 はい。
○大野部会長 分かりました。これについて毒物に指定してはどうかという事務局のお話ですが、いかがでしょうか。吸入での毒性で、ダストということですが、かなり低いレベルで死んでしまうということです。基準値の10分の1ぐらいで死んでしまうということで、かなり強いものだと思います。
○溝渕参考人 書いている内容ですが、用途のところに農薬の殺菌剤と書かれていますが、殺虫剤ではないかと思うのですが、登録上はダニ剤とかで登録されている薬剤と思うのです。確認していただければと思います。
○大野部会長 いかがでしょうか。
○事務局 確認させていただきます。
○大野部会長 確認していただいて、殺虫剤として登録してありましたら、そのように修正してください。ほかに御意見はございますか。このものについて毒物に指定することに関してはよろしいでしょうか。そのようにさせていただきます。
 次の品目は、2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼン及びこれを含有する製剤について御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題6、資料6「2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼン及びこれを含有する製剤の毒物又は劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質は、現在毒物又は劇物の指定はされていませんが、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。用途は、高圧用潤滑油の添加剤や加硫促進剤、殺菌剤等、多くのものに使用されています。
 2ページの物理的化学的性質のところで、性状は黄色の結晶固体、沸点が258℃、融点が29~31℃、蒸気圧が1.0Pa、溶解性は水200mg/L、エタノール、エーテルに可溶となっています。
 3ページに原体の急性毒性試験のデータを記載しています。急性経皮毒性試験において、LD50の921mg/kgの値から劇物相当と判断いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
○大野部会長 経皮毒性が921mg/kgというLD50を示して、それが今の基準からすると1g/kg以下ということで、劇物に相当するということです。これは昔から使われていたものですが、気にしないで使っていました。
○山田委員 判定の根拠になっているラットの急性経皮毒性のLD50値の921mg/kgという文献3ですが、信用できるのかどうなのか、私はこれを見ただけでは分からないのですが、どのくらい信頼性があるのかに疑問があります。それで問題が無ければ御提案のとおりでよろしいかと思います。
○大野部会長 そのような意見というのは、この雑誌が余り一般的なものではないというものなのでしょうか。これはどのようなベースなのでしょうか。分かりますか。一般的な雑誌なのか、あるいは国で承認した時の情報なのでしょうか。
○化学物質安全対策室長 名前だけを見ると、ヘキストの社内データのような書きぶりではありますが、調べさせていただきます。
○大野部会長 内部データですか。
○化学物質安全対策室長 これは、ヘキストですか。
○大野部会長 ヘキストとバイエルのものもありますね。文献として入手できたわけですね。
○事務局 基本的には、各メーカーが公表している文献、資料なので、当然プロトコールがきっちりとしたものを評価している形にはなるので、そのような点からすると、海外のメーカーのデータであったとしても、それは受け入れるという形にはなるかと思います。
○大野部会長 会社の内部データを公表したものということですが、山田先生いかがでしょうか。
○山田委員 十分な量の動物の数を使って適正に評価してあるかどうかということが問題無ければいいと思うのですが、私は少し分かりませんが、問題無いということのようですので、そうであれば判定をするための資料として使ってもいいのかと思います。
○大野部会長 赤堀先生、こちらについて御意見はありますか。
○赤堀部会長代理 今、あるデータをもって判断するというのがこれまでの経緯で、先生の場合、これは劇物から除外した方がいいというお考えでしたら、そのデータの評価はどの程度かということになるかもしれませんが、劇物にするということのデータであれば、今のデータを使うということです。これを外すということになれば、おっしゃられたように信頼性のあるデータが出てきた時に外すということの対応は、これまでも原則的にしてきたと考えております。
○山田委員 分かりました。
○大野部会長 そのような意味では、安全サイドに考えている上では、このデータでいいだろうということですね。ほかに御意見はございますか。これについては、劇物に指定するという事務局提案でよろしいでしょうか。ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 次の品目は、2,3-ジブロモプロパン-1-オール及びこれを含有する製剤です。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題7、資料7「2,3-ジブロモプロパン-1-オール及びこれを含有する製剤の毒物又は劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質も、現在毒物又は劇物の指定はされていませんが、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。用途は、難燃剤や農薬及び医薬品の製造中間体等です。
 2ページの物理的化学的性質で、性状は無色液体、沸点が219℃、融点が8℃、蒸気圧が12Pa、溶解性は水52g/L、アセトン、エタノール、エーテル、ベンゼンに可溶となっています。
 3ページに原体の急性毒性試験のデータを記載しています。劇物に相当する急性経皮毒性試験のLD50:316mg/kgの値をもって、劇物相当と判断いたしました。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 急性経皮毒性のデータに基づいて、劇物に指定するということですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんようですので、事務局の提案のとおり劇物として取り扱うことにするとします。
 次の品目は、メタバナジン酸アンモニウム及びこれを含有する製剤についての御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題8、資料8「メタバナジン酸アンモニウム及びこれを含有する製剤の毒物又は劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質も、現在毒物又は劇物の指定はされていませんが、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されており、先ほどの物質と同様に、国立医薬品食品衛生研究所において、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。用途は、接触法硫酸製造用触媒等に使用されています。
 2ページです。物理的化学的性質で、性状が白色~淡黄色の結晶性粉末、溶解性は水4.8g/L、いくつかの情報が書かれていますが、余り記載する情報が得られなかった気がいたします。
 3ページの原体の急性毒性試験のデータに関しては、急性経口毒性試験において、LD50が雌で141mg/kgの値から、劇物相当と判断いたしました。以上です。
○大野部会長 ありがとうございます。これは、劇物相当ですね。
○事務局 はい、そうです。
○大野部会長 いかがでしょうか。今気がついたのですが、ナフタリンというのはナフタレンではありませんでしたか。確認していただければと思います。
○事務局 分かりました。
○大野部会長 毒性データから見ると劇物に相当するということです。経口毒性が雌で141mg/kgということです。よろしいでしょうか。特に御意見が無いようですので、これについても事務局提案のとおり、劇物として取り扱うことが適当ということにいたします。
 次の品目は、2-メチリデンブタン二酸(別名メチレンコハク酸)及びこれを含有する製剤について御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題9、資料9「2-メチリデンブタン二酸(別名メチレンコハク酸)及びこれを含有する製剤の毒物及び劇物の指定について」です。
資料を御覧ください。この物質は、まだ、日本で農薬登録をされていない物質ですが、農薬を製造販売していくということでの農薬登録に基づく申請に合わせて、毒物及び劇物取締法の対象になるか否かの審議をするものです。
 この原体及び製剤は、遡ると平成21年度の第1回、第2回の毒物劇物調査会で審議が行われ、さらに平成23年度の第2回の調査会でも議題に上りました。調査会の審議の結果、強度の眼刺激性により劇物相当と判断されました。毒物及び劇物取締法に基づき指定された毒物劇物が基本的に用途指定ではないので、いろいろな目的で使用されています。今回、このように事業者から農薬登録申請にあたって製剤の毒性データが提出されたことによって、毒物又は劇物の指定を検討するものですが、一方この物質が既に食品添加物の酸味料として使用されています。
 今年の2月の時点において、食品でどれだけ流通しているものなのか、さらに、食品添加物としての製造、流通状況等を調査した結果、今年の2月の時点で、この原体を用いて食品として製造している会社は1社に限られており、用途は、あめに入っている酸味料での製品在庫が数千ケースとなっています。
 これを踏まえて今後どうするかですが、仕掛り品、あるいは食品にしようというものについて、農薬登録申請を踏まえ、基本的には食品添加物としての製造等を控えており、市販されているあめの賞味期限も今年の12月で終了するようです。
 経緯が長くなりましたが、今回この物質については、2ページの物理的化学的性質の中で性状は白色結晶粉末、沸点が268℃、融点が162~164℃、常温で安定というものです。3ページで、急性の毒性試験のデータを記載しています。強度の眼刺激性により、劇物相当と判断いたしました。調査会での結論が出て、この部会で劇物だという判断をして審議をしていただければと思います。よろしくお願いします。
○大野部会長 確認ですが、調査会では結論が出なかったということですか。
○事務局 調査会では劇物という結論が出ております。
○大野部会長 ありがとうございました。難しいことは余り考えが及ばないところもありますので、機械的に行っていったらよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○山口委員 私は救急の現場の医者なので、非常に的外れな質問かもしれませんが、すでに食品添加物として使われているために、指定をどうするか等、在庫があるから指定をどうするかというのは、どういうことなのですか。そんなことがあろうがなかろうが、危険なものは危険とすることが国民を守ることになるのではないでしょうか。どのようなことでこういうことが関係してくるのか、素人の質問になってしまうかもしれませんが、これをお尋ねしたいと思います。
○赤堀部会長代理 調査会では全くそのようなことは考えず、科学的にデータを見て判断しました。したがって、この場合については眼の刺激性が劇物に相当するので、劇物であると指定したわけです。あとは、行政の問題だと思います。ですから、事務局の説明はこの部会での議論の参考にはなるけれど、それでこの部会での結論が云々されることは全く無いと私は思っております。調査会でもそのような対応をしてきました。
○山口委員 安心しました。
○大野部会長 私どもも、その案のとおりでいきたいと思います。逆の立場があると思うのです。基準値に該当していなくても、世の中で使われている危険なものに関しては、毒物なり劇物に指定するということがあったと思います。いずれにしても、目的は一般の国民の安全を守ることですので、それに基づいて審議していただければありがたいと思います。
 それでは、眼刺激性試験では強度の刺激性があって、腐食性もあるということで、一般的な基準からすると劇物相当となりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に追加の御意見が無いようですので、劇物と指定させていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、ゲルマニウム、セレン及びヒ素を含むガラス状物質及びこれを含有する製剤について御審議をお願いします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題10、資料10「ゲルマニウム、セレン及びヒ素を含むガラス状物質及びこれを含有する製剤の毒物からの除外について」です。
資料を御覧ください。この物質は、セレン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、毒物になるものですが、事業者より、原体の毒性データが提出され、毒性を持たないものであることが判明したことにより、毒物からの除外を検討するものです。用途は、遠赤外線光学材料の赤外線透過レンズに使用されています。
 3ページです。物理的化学的性質の性状外観は、赤褐色から黒色の固体であり、ガラスです。成型により、レンズの形状に加工します。
 3ページです。原体の毒性試験ですが、経口、経皮、吸入、皮膚刺激性、眼刺激性の試験データを記載しています。いずれのデータも毒物には該当しないないということで、原体及び製剤を毒物から除外することが適当との結論でした。以上です。
○大野部会長 これは別添2のデータを見ると、毒物にも劇物にも該当しないと思います。そのようなことで、本来の基準からするとセレンが入っているということで毒物の指定になるわけですが、毒性試験の結果、その懸念が無いということで、それから外すという提案です。いかがでしょうか。眼刺激性についても軽度の刺激性ということですので、特に問題無いかと思いますが、よろしいでしょうか。
 特に御意見が無いようですので、これについても事務局からの提案に従って、それに同意して毒物から除外することにいたします。
 次の品目ですが、シアントラニリプロールについての御審議をお願いします。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題11、資料11「3-ブロモ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-(メチルカルバモイル)フエニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(別名シアントラニリプロール)及びこれを含有する製剤の劇物からの除外について」です。
資料を御覧ください。この物質は、まだ、日本で農薬登録されていない物質ですが、事業者より農薬登録申請にあたって原体の毒性データが提出されたことに伴い、毒劇法の毒物あるいは劇物に該当するかの判断を求められているものです。一方、当該物質は、有機シアン化合物に該当し、劇物となるものですが、当該物質が、劇性を持たないものであることが、判明したことにより、劇物から除外を検討するものです。用途は、農薬の殺虫剤です。
 3ページです。物理的化学的性質のところに、性状として、外観・臭気は、白色粉末、融点が224℃、蒸気圧が1.787×10-14Pa等、物理化学的な性状が書かれております。
 5ページに、原体の経口、経皮、吸入、眼刺激性、皮膚刺激性の試験データを記載しています。いずれのデータも劇物には該当しないということで、原体及び製剤を劇物から除外することが適当との結論でした。よろしくお願いします。
○大野部会長 これは急性毒性試験の吸入毒性をやっていますが、粉末ですので、ダストで行ったということですね。ダストの基準からすると1mg/L以下でLD50を示すものについては劇物ですが、これは5.2なので該当しないということです。
○赤堀部会長代理 事務局の方、委員の先生方へ事前に送付した資料と今日机上に乗っている資料の中で、本日の資料の4ページの安定性試験のデータが一部削除されているのですが、これについて少し御説明いただいた方がよろしいのではないでしょうか。
○事務局 安定性試験に関して、ここに記載があったものを削除したということですが、光安定性がどうかという部分が問われていました。光に対して非常に不安定なのではないかということで、殺虫剤ですから、当然農薬として撒布した場所における水中での分解性を見ることを想定したデータがここに記載されており、それが被験物質自身の分解性を提示しているものではないかということで議論になりました。実際分解してしまったようなものについて毒性試験をしても、当然毒性は低くなるので、その辺をきちんと遮光して試験をするとか、製造してすぐ分解するに至らない間にきちんとした保管管理をした上で試験を実施しているかどうかの確認については問題無いということで、今回この欄に水中光分解性のデータを記述しておくのは余り適切ではないのではないかという申請者からの御希望もあり、ここの部分は割愛したということです。
○大野部会長 少し分かりにくいのですが。
○赤堀部会長代理 私から御説明します。調査会では安定性を見た時に、特に水中の光分解性が非常に早いということから、このような被験物質を使って毒性試験をして、毒性が無いということの妥当性について、申請者側に問合せをしていただくことになりました。そうしたら、これは製剤を実際に使用した場合、圃場での分解がどのようになっていくのかということを見るために出したデータである、という回答が返ってきました。それは了解しました。
 もう1点は、実際に室温や暗室では安定性であるというデータも出てきましたし、被験物質として毒性試験に使った時は、用時調製で動物に投与しており、安定であるものを使ったという回答が出てきましたので、それは事務局及び調査会座長として了解したというのは昨日の時点だったのですが、それで今日の机上の差替えになったと思います。それを御理解いただければと思います。
○大野部会長 私が気になったのは、半減期が非常に短いということで、保管状況によっては分解してシアンが出てこないのではないかと思ったのですが、そのような懸念は何か議論があったのでしょうか。
○赤堀部会長代理 回答の中では、分解産物は調べていなかったのでしょうか。
○事務局 分解産物については、事業者から放射性同位元素等によって標識した分解産物がのデータを提示していただき、調査会の委員の先生方にその資料を、調査会の場では提示できなかったのですが、メールにて提示しました。
○赤堀部会長代理 分解物は無かったということでよろしいわけですね。
○事務局 はい。
○赤堀部会長代理 大野先生の御指摘のようなシアンは無かったということです。
○大野部会長 分かりました。分解物の中にシアンが入っているということで、毒性につながるようなものは無かったということですね。
○栗原委員 多分加水分解などが起こっても、シアンは出てこない化合物なので、その点は化学的には大丈夫だと思います。
○大野部会長 安心しました。ほかに御意見はありますか。
○宮川委員 念のために確認です。一つ前のものもそうですが、ダストの吸入の試験でLC50は5.2mg/L以上ということなので、これは毒物の基準の0.5の10倍を超えていますが、劇物の方は1mg/Lの5倍超ということだけで、10倍という基準を持ってくるとそこには当たらないということで、一般論的にはこれで十分かと思うのですが、その辺の整合性が気になりました。一つ前の物質もそうなのですが、ダストの吸入で5mg/L以上という数字の時には、例えば国連の一般的なGHSの分類などは区分4でも入らないものになると思うので、問題無いとは思うのですが、劇物の最大値の10倍という除外基準から見ると、この場合は以上ということになっているので正確なデータは分からないと思いますが、その辺の考え方だけ確認させてください。
○大野部会長 事務局から、その考え方について説明していただけますか。
○事務局 毒物劇物の判定基準に則って行うということで、原体の除外と製剤の除外と分かれているので、製剤の除外が先ほどおっしゃった何倍ということなのですが、基本的には原体というのは原体そのもの自身の除外ですので、そもそも毒性が無いのです。毒性を危惧するところが無いということなので、製剤除外となると当然劇物ありきということがあるので、少し違うと思います。
○宮川委員 もう1点、今のことに関連して、吸入に関しては、先ほど毒性がある場合については粒度分布のデータと平均粒径のデータが出ていましたが、この辺が出ていないのは、信用できるという先ほどと逆のケースですが、よろしいのでしょうか。
○赤堀部会長代理 非常に難しい御質問だと思います。調査会でも何度か議論があったのですが、製剤を劇物から除外する場合にはダスト・ミストのLD50値が10mg/L以上のデータがある場合除外できることになっております。データとしては5mg/L以上であるということで、その「以上」をどう解釈するかということですが、従来このような例が出てきた時には劇物に指定してこなかった普通物への除外を考慮してきた経緯もあって、このような判断を調査会で行いました。
 ただ、今後の議論として、山口先生の御指摘のように、本当に劇物から除外するということであれば、LC50が10mg/L以上のデータが出てきた場合にのみ除外するということを、明確にしておいた方が良いように思うのですが、従来の判断をしてきたということで、今日御指摘いただきましたので、どこかで事務局が整理するなり調査会で検討するなりといった対応をしていただければありがたいと思います。
○宮川委員 粒径についても、その時には是非データをお示しいただければと思います。
○大野部会長 私が今まで毒物劇物の判定にかかわってきたところだと、シアンなどが分子構造の中に入っているものは、毒性データも関係無しに劇物に指定していました。セレンについても、それが入っているものについては、指定してしまうということで、毒性実験を行うか行わないかにかかわらず指定してきたのです。ところが、実際に毒性試験を行って、基準値に該当しない場合には指定から外すということでずっと行ってきましたので、先ほど御説明があったように、毒性データに基づいて毒物劇物に指定したものとは、考え方が違うのです。そのような形でずっと運用されてきたので、実際の物についてシアンが入っているからと言って、毒性実験を行ったら毒性が非常に弱いということが確認されたら、毒物あるいは劇物に指定しないということは、私は特に問題無いと思ってきました。
 ただ、原則、判定基準の考え方についてのこの文章がきちんと分かるように書かれていないということで、今のことも含めて今後見直ししていただいたらよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、先ほどの粒径の件ですが、今日の最初の品目については吸入毒性で毒性が強かったということがあって、その毒性は眼刺激性とか皮膚刺激性といった局所刺激性に基づいて、肺の奥に入った時に肺に毒性が表れて、毒性が強いのではないかということが推定されたわけです。今、御審議いただいたものについては、皮膚刺激性や眼刺激性試験、その結果について刺激性無しと出ていますので、今日の最初の品目と同じようなメカニズムで、毒性が強く出るというのは、粒径が小さくなったからと言って毒性が出ることは、ほかのメカニズムではあるかもしれませんが、少なくとも刺激性に基づいて毒性が強くなることはないのではないかと思います。それ以外のものは、全身的な毒性といったものが関係してくると思いますので、そのような意味では全身的な毒性試験結果から見ると急性毒性試験が非常に弱いので、そのような懸念は無いのではないかと思います。
 これについては、いくつか御質問いただいて御議論いただきましたが、その結果から見ると、これは劇物から外してもよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○赤堀部会長代理 少し勘違いしておりました。原体を劇物と判定する最大値ダスト・ミストのLD50は1mg/Lですので、それからすると5.0は大丈夫だろうということです。失礼しました。
○大野部会長 それでは、シアンが入っている化合物について劇物から除外するということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。そのようにさせていただきます。
 次の品目ですが、沃化メチル及びこれを含有する製剤についてです。これは今までの毒物劇物に指定するという問題とは別のことがありますが、説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題12、資料12「沃化メチル及びこれを含有する製剤の毒物及び劇物取締法に基づく農業用品目への収載について」です。
資料を御覧ください。この物質は、既に劇物に指定しております。ただし、農業用品目として収載されておらず、毒物及び劇物取締法施行規則別表第一の中に農業用品目として収載されると、農業用品目のみを販売しようとしている販売業者が、農業用品目販売業の登録のみを持つ店舗においてもこの物質を取り扱えるようになるということで、農業用品目として収載されたい旨の依頼がありました。
 当初は農薬のくん蒸剤として劇物に指定されると同時に、農業用品目としても登録されたのですが、この物質自身、製剤が一つしかなかったこともあり、登録失効になって、その後農薬として使用されなかったものが、平成16年から現在に至って、クリやショウガ、ミョウガといったものに対して農薬として非常に有用性が高いということで、農薬としての適用拡大を視野に入れて農業用品目として取扱いたいということで、毒物及び劇物取締法の施行規則の別表第一の中に沃化メチルを収載したいという御意向があって、この審議会でも御了解いただければと考えております。
○大野部会長 よく分からないので教えてほしいのですが、農業用品目として指定した場合の現実問題としての扱い方は、毒物と劇物と違うところはどのようなところがあるのでしょうか。
○事務局 毒物劇物の取扱いというか、これはすでに劇物として登録されておりますので、販売業に関しての販売業登録の取り方があって、農業用品目販売業の登録だけを持っている方は、農業用品目に登録されている毒物又は劇物を取扱えることになりますが、農業用品目以外の品目を販売する場合には、販売業の登録をお持ちでも一般用の販売業の登録を持たないといけないということになります。
○大野部会長 質問の意図が伝わらなかったようですが、例えば毒物劇物に指定すると、販売する業者が指定されるということです。資格を持っていないと扱えないと思うのです。また、販売する時に販売記録を残すわけですね。多分、誰に売ったのか等、そのようなことも残ると思うのですが、具体的な販売手続や販売業者の資格等、そのようなものは違うのでしょうか。
○事務局 販売業の業者として違うということはありません。ただ、登録がそのように分かれているということです。
○大野部会長 そうしたら、このような制度を設ける意味が無いですね。農業用品目と指定しなくても、取扱いが同じだったら、このような項目そのものを作る意義が無いのではないかと思うのですが。
○赤堀部会長代理 私はこのように理解しているのですが、農業用品目に指定すると、取り扱える店舗が多くなるということです。
○大野部会長 そうなると、毒物劇物の販売業として許可を得ていなくても売れるようになるということですか。
○赤堀部会長代理 それは必要だと思います。
○化学物質安全対策室長 業の登録ということで、一般販売業と農業用品目の販売と二つあって、一般販売業はどんな劇物でも取り扱えるのです。農業用品目は、農協のような場合で農薬しか取り扱わないような所は、農業用品目の業しか持っていないということで、農業用品目以外のものは取り扱えないということなので、余分なものは取り扱わない所は業を取っていただいた方がより適切だと思います。業からは二つに分かれているということです。
 今回、これが実際農薬として使われているにもかかわらず、農業用品目に登録されていないので、農業用品目販売業の業者が農薬でありながら取り扱えていない状況なので、それを解消したいということです。
○大野部会長 毒物劇物の普通の販売業でも、販売する品目について一つひとつ登録しなくてはいけないのですか。
○化学物質安全対策室長 一般販売業は特に限定は無いのですが、農業用品目販売業については農業用品目とされたものだけしか扱えないということで、余分なものを扱わないという安全性上のメリットはあるかと思います。
○大野部会長 査察や当局による調査等そのようなものが軽くなるという意味ですか。
○化学物質安全対策室長 調査や査察自体は同じように行うかと思いますが、扱う品目を必要なものに限定するということで、より不要なものを流通させないという意味があると思います。
○大野部会長 いずれにしても、毒物や劇物に指定されているものを農業用品目として指定した場合には、そのような資格を持っている人しか扱えないということでよろしいわけですね。
○化学物質安全対策室長 それは同じです。
○大野部会長 分かりました。特に簡単に扱う等、そのようなことではないと理解しました。今まで劇物として指定されていたわけですが、別添2で示されたデータを見ても劇物として指定するのが適当だと思いますが、農業用品目として取り扱うことにしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
○溝渕参考人 確認ですが、今回の議論の中で、すでに農薬の登録をされている1と5について、毒物と劇物の指定になるわけですが、今と同じように農業用品目に指定されていないために売れないことになるのですか。それとも、自動的にこのような場合は農業用品目として登録されるようになるのでしょうか。
○化学物質安全対策室長 今回、毒物劇物に指定されたもので、農業用品目に登録されていないものですか。
○溝渕参考人 今まで登録になっていないので、品目として登録されていないわけですが、今度登録されると、今の沃化メチルと同じ問題が起きると思うのです。自動的にすでに登録されているものは農業用品目として収載されることになっているのでしょうか。
○大野部会長 先ほどの議論だと、指定しないと駄目と取れますね。今まで沃化メチルについては劇物に指定されているわけですね。農薬としても、くん蒸剤として使われていると思いますが。
○事務局 先ほどもお話したように、農業用品目は、毒物及び劇物取締法施行規則別表第一に規定しており、沃化メチルは、そこに当初は農業用品目として入っていたのですが、農薬登録の更新を行わなかったことから、別表第一から削除されてしまっているのです。それで今回新たに、当該農薬について農業用品目としての毒劇法の省令の中の別表に入れて、農業用品目として取り扱えるように省令の改正をすることになっております。
○大野部会長 分かりました。ありがとうございました。
○山口委員 直接この審議には関係無いのですが、医療現場ではくん蒸剤の農薬については、非常に危険だという認識を持っております。実際クロロピクリンで大きな事故が起こっておりますし、この製剤についてもメチル化剤としての能力が高いということで刺激性も高く、呼吸器系や中枢神経系にも障害の強いものですので、先ほど従来の毒劇物の扱いと同じ扱いということだったので安心しましたが、医療現場からの感じとして、そのような扱いで行っていただくのでしたら安心ですが、より慎重な農薬としての扱いの中でもそのようなところを期待します。
○事務局 御意見については、農林水産省にお伝えして、協力しながらそういった事故が無いように取り組んでいきたいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、これで審議していただくことを予定していたことについては終わったと思いますが、そのほかに先生方からこの場で御意見はありますか。山口先生からお話があったような要望でもよろしいかと思いますが。
○黒木委員 1点質問ですが、今日の資料は部会なので公開ということで、資料自体もすべて公開ということでよろしいでしょうか。
○事務局 すべて公開になります。
○黒木委員 聞きたいポイントは、今回は農薬の製剤の補助成分についても名称と含有量が細かく出ていますが、これも公開と承ってよろしいということですね。
○事務局 調査会も部会もそうですが、農薬に関しては以前から農薬の有効成分以外の成分が何か、それによる影響が無いかということで、逆に言えば、それ以外のものについてはいろいろな製剤の組合せや処方などはこちらには御提示は無いので、基本的には審議会にかけるのであればそれの処方を提示するという話にはなっているかと思います。
○大野部会長 医薬品だと添加物については公表しないのですね。審議の時は別ですが、一般公開は恐らく行わないと思うので、私も今日も見ていて、いいのかと思ったのですが、それは大丈夫なのですか。企業のテクニックというか、技術情報が入っているかと思うのです。前に極秘としてもらったことがあったのですが。
○事務局 今回提出したデータに関しては守秘義務がありますので、どのような形で出たかは御提示することはできませんが、処方に関して企業のノウハウはありますので、調査会ではその辺の議論では御提示していただいていますが、部会の中で資料の提示をどこまで行うのかは改めて検討したいと思います。
○大野部会長 部会では私どもは守秘義務を負っているからよろしいと思いますが、今日ここに来られている皆様の中には、守秘義務を負っていない先生方が来られていると思うのですが、そのような人も持ち帰ってよろしいのでしょうかということです。
○事務局 部会の資料ですので、メーカーは出すのを前提でいただいているところがあります。この部分については、医薬品等々の話もありますので少し整理をしますが、ここの部会の資料は公開前提です。
○大野部会長 特にそのような理解なら、私たちとしてはよろしいですね。
○黒木委員 もう1つコメントですが、山口先生がおっしゃったように、臭化メチルは毒性が強いということで沃化メチルのくん蒸剤が出ていると思いますが、中毒情報センターにも事故例が来ておりますので、是非農林水産省にも事故防止についてもお伝えいただければと思います。
○事務局 速やかに伝えていきたいと思います。
○山口委員 今回、資料3でジメチルヒドラジンについて、より強い毒性の認識があったところですが、先般、4月10日の北朝鮮のミサイル発射関係で厚生労働省に情報提供をしていただきましたが、今回毒性が強くなったことを鑑みて、より現実的な実効性のある形での情報提供をしていただけるように、厚生労働省に申し入れていただければ幸いです。
 何を言いたいかというと、実際に治療に使う薬を提示していただいたのはいいのですが、残念ながら薬事を通っていないものが提示されていたり、非常に入手が難しいものがありますので、現場の医療関係者としては非常に困るところがあります。今回毒性が上がったことを一つの契機にして、かかる事態がまた起こり兼ねないような情勢ですから、その辺について厚生労働省に御一考いただければ幸いです。
○大野部会長 よろしくお願いします。
○黒木委員 資料3のジメチルヒドラジンはロケット燃料剤ということで中毒情報センターから情報提供しております。それが用途に入っていないのが意図的に抜いたのかというのを後で伺いたかったところなのですが、ロケット燃料や爆発物原料に近いものが挙がっていて、これまで用途には入っていなかったのです。そこが気になる点で、今回の資料3については、これが審議されたのは、危険物輸送に関する国連勧告で毒物に分類されているということで、正に山口先生のおっしゃるとおりだと思います。
○事務局 今いただいた御意見ですが、山口先生からいただいた御意見については、厚生労働省の中には厚生科学アヘッドとして医政局の指導課とDMAT等を発動するような仕組みがありますので、そちらの関係者とも十分情報を共有していきたいと思います。
 2点目のロケット推進剤の件ですが、私どもはこちらの用途を主たる用途として掲載しているので、関係者と相談して加えるかどうかを検討したいと思います。
○大野部会長 国内ロケットでは使わないような気がするのですが。
○審議官 国内ロケットでは、この類のものは使いません。あちらの方面は使うのですが、日本ではこの類は全然使いません。
○栗原委員 本質的なことではないのですが、先ほど部会長から「ナフタリン」と「ナフタレン」の話が出て、私は勘違いしているのですが、「・オルトキシレン」と書いてあったので、これは一つの化合物かと思ってしまったのです。ナフタリンからも無水フタル酸ができるし、オルトキシレンからも無水フタル酸ができますので、これは「ナフタリン」ではなく「ナフタレン」のことです。どちらでもいいと思います。
○大野部会長 「ナフタレン」の方が正確なのですか。どちらでもいいのですか。
○栗原委員 「ナフタレン」が正確ですが、「ナフタリン」と使うこともあります。
○大野部会長 ありがとうございます。一般的な方を使っていただければありがたいと思います。時間が近くなりましたが、ほかにありますか。
 それでは、先ほどもお話しましたが、いろいろ議論して毒物劇物の判定基準に基づいて考えているのですが、分かりにくいところについてとか、このように整理したらどうかというところが今日出てきましたので、事務局で整理して、それに基づいて調査会で審議してくださるようお願いします。
 それでは、先生方、どうもありがとうございました。本日は、これで終了とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 化学物質安全対策室 微量化学物質専門官 古田(内線2426)

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