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2012年6月28日 第6回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成24年6月28日(木)16:00~17:30


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室


○議事

○今野座長 時間になりましたので、ただいまから第6回中央訓練協議会を開催いたします。本日お集まりいただいている方のご紹介については、お手元の参考資料1に出席者名簿と、座席表がありますので、それに代えさせていただきたいと思います。
 本日の出欠ですが、社団法人日本経済団体連合会の高橋本部長と、日本労働組合総連合会の新谷総合局長が欠席です。新谷総合局長の代理として、雇用法制対策局長の杉山様に出席していただいております。
 今日はお手元の議事次第にありますように、平成23年度の公的職業訓練の実施状況を踏まえていただいて、平成25年度の公的職業訓練の実施規模をどの程度にしようかということについて、意見交換をしたいと考えております。事務局から説明をお願いします。
○松本職業能力形成システム企画官 資料1から3までを一括してご説明申し上げます。まず資料1ですが、公共職業訓練(離職者訓練)平成23年度の実施状況です。1頁のとおり、受講者数は合計で14万7,336人でした。注2をご覧いただきたいのですが、就職率は、施設内訓練は平成24年1月末までに終了したコース、委託訓練は平成23年12月末までに終了したコースを集計した、あくまでも暫定的な速報値ですので、今後数値に変動が見込まれることにご留意をいただきたいと思います。現時点でのデータでは、施設内訓練の目標値が80%に対しまして現時点で79.5%。委託訓練については目標値65%に対して、現時点で64.5%という状況です。
 2頁です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構と都道府県との実施主体の別、施設内と委託の別、そして分野別に分けた数字をお示ししています。これについても就職率は平成24年3月末までに終了したコースすべてではなく、数値に変動が見込まれることにご留意をいただきながらご覧いただければと思います。以上が資料1です。
 次に資料2です。求職者支援訓練の実施状況です。1頁です。平成23年度は、上半期はいわゆる基金訓練、下半期は求職者支援訓練として実施いたしました。1年間で27万人に訓練機会を提供できるようにしていたところ、受講者数は26万5,058人でした。就職率は基金訓練と求職者支援訓練とでは算定方法が異なっております。また、基金訓練は平成21年7月に開講したコース以後の累積のデータですが、一方で求職者支援訓練は平成23年10月から訓練が始まったもので平成24年1月末までに終了したコースのみを集計した暫定的な速報値です。この数値で評価することはなかなか困難であるといった理由があるのですが、現時点での数値として、基礎コースが69.7%、実践コースが71.8%という数値そのものは、平成23年度の事業目標を上回っている数値です。その次の平成24年度ですが、24万人に訓練機会を提供できるよう、予算を確保しています。これが現状です。
 2頁をご覧ください。求職者支援訓練の受講者数の推移です。開始当初は、基金訓練の受講者増の反動減がありましたが、特に平成24年に入ってからは、各月概ね1万人弱が受講を開始している状況です。
 次に3頁です。基金訓練と求職者支援訓練の受講者について、訓練分野の分布と年齢の分布をお示ししております。分野の分布については、資料の真ん中をご覧いただきたいのですが、実践的な訓練の情報通信の定義について、求職者支援訓練では変更しておりまして、基金訓練では情報通信とされていたもののうち、実際に情報通信分野で就職するようなものを情報通信というように定義変えをしております。パソコン等を活用したWebデザインのようなものは、デザインに分類を変更していますので、直接比較ができる数字ではないということを申し上げたいのですが、全体で見てみれば[1]の基金訓練と[3]の求職者支援訓練を比較すると、実践コースの割合が高くなっています。これは労働政策審議会職業能力開発分科会での議論により、また、職業訓練実施計画により実践コースを中心とするという設定になっておりますので、まさに設定通りの結果になっております。
 引き続き実践コースを中心とするとともに、実践コースの中でも分野ごとの配分を施行実績や雇用情勢に応じて適切に設定し続けていくことが必要であると考えております。
 一方、年齢分布です。これも職業能力開発分科会での議論に沿いまして、60歳以上、特に65歳以上の年齢層の割合は減少しております。それ以外は若年も中高年層もいずれも基金訓練の割合とほぼ同様の分布です。以上が公的職業訓練の現時点までの実施状況です。
 次に平成25年度の公的職業訓練の規模について、議論いただくご参考の素材として、資料3のご説明をいたします。
 1頁にグラフが3つあります。いちばん上は雇用保険を受給できる新規求職者数と、公共職業訓練の受講者数を棒グラフとして示しまして、その比率を折れ線グラフで示しています。真ん中のグラフは、雇用保険を受給できない新規求職者数(ただし在職者は除いております)と、基金訓練又は求職者支援訓練の受講者数を棒グラフとして、その比率を折れ線グラフで示しております。1番下のグラフは上の2つを合計したもので、在職者を除く新規求職者数全体と、公的職業訓練の受講者数全体で、その比率を折れ線グラフで示しております。
 いちばん上のグラフで示しているところでは、過去10年間、雇用保険を受給できる新規求職者の6~8%が、公共職業訓練を受講してきた実績があるといったことが見てとれます。一方、真ん中のグラフですが、雇用保険を受給できない新規求職者については、公共職業訓練を受講できる場合もあるわけですが、雇用保険を受給できない方を主として対象とする訓練は設定されていなかったところです。しかし、平成21年度の基金訓練以後、平成22年度、23年度は7%が受講できている状況です。これらの結果、いちばん下のグラフのとおり、在職者を除く新規求職者が公的職業訓練を受講した割合としては、平成14年度以降、長らく3%程度でしたが、基金訓練や求職者支援制度ができたことによって、平成22年度以降は7%のところまで伸びてきているというのが現状です。
 一方、同じく1頁のいちばん下の表をご覧ください。これは労働力調査で失業者がこのような回答をした割合です。自分の技術や技能が求人条件に満たないから再就職できないと回答した方の割合が平成14年度から23年度まで通覧したときに、6~8%の範囲内の割合となっております。これらのグラフまたは表の数値が適正値であるという保証が必ずしもあるわけではありませんが、これら2つの値はいずれも6~8%の間で推移している事実があります。
 次に2頁です。これは新規求職者数の最近1年間の月別の推移です。ここに示されているデータでは、雇用保険を受給できる新規求職者と雇用保険を受給できない新規求職者は、いずれも前年同月比で減少傾向です。また、平成24年に入ってその減少幅が大きくなっています。一方、被災3県は、前年同月比で比較できうるデータが取れなかったため、実数だけですが、あくまでも参考として平成23年4月と平成24年4月を比較すると、減少はしています。しかし、これは被災地でありますので、今後の動向に注意する必要がありますし、また被災地であるがゆえの手厚い支援の要否も、具体的な配分に当たっては考慮する必要があるのではないかと思われます。資料の説明は以上です。
○今野座長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご意見、ご質問をお願いいたします。
○間部産業政策第二部長 初めてなもので基本的な質問をさせていただいてよろしいでしょうか。資料1の2ページ目に関し、高齢・障害・求職者雇用支援機構および都道府県におけるそれぞれの施設内の就職率と委託先の就職率についてですが、全般的に見て、施設内の方が就職率が高くなっています。この乖離がある状況をどう捉えていらっしゃるのか。訓練内容が同じなのか、違うのかもよく分からないのですが、もし同じなのだとすれば、受講している施設によって就職率が違うというのは、受講される側からすると何でだろうという話があるのではないのかというのが1つです。
 併せて関連ですが、受講を終了した方の就職支援体制というのが、施設内と委託とでは違うのか。委託は委託先で独自にやっているのか、そこら辺の支援体制がどうなっているのか、その2点を教えていただけませんか。
○志村能力開発課長 施設内訓練と委託訓練ということで、機構でやっているものと都道府県でやっているものがありますが、機構でやっているものはどちらかというと高度なものづくりです。施設内でも都道府県がやっているのは、簡単に平たく言えば幅が広い範囲で、地域の実情に応じた、例えば造園ですとか、そういったようなものをやっています。建築についても、高度なものは機構がやっていますが、リフォームとかそういったような、施設内では幅広なものがあります。都道府県の施設内と、機構の施設内で就職率の差はございます。
 あと、支援の体制ですが、機構の施設内と委託訓練の就職支援体制ということですが、一義的には確かに民間に訓練を委託しますから、そこを負いますけれども、就職支援としては、ハローワークを通じた送り込みを行っていますので、最終的にはハローワークが支援する形でやっています。確かに委託訓練の場合には、多様な委託先ですので、原理的に就職支援についてノウハウに差が出がちではあるという実情にはあります。
○間部産業政策第二部長 最終的に目指すのは、就職していただくということですよね。したがって、現実に訓練施設によってこれだけ乖離が出るのだとすれば、低いところの就職率を上げるというための改善策というのはどういうことをお考えでしょうか。
○志村能力開発課長 民間の訓練につきましては、就職率に応じてインセンティブを付けており、自らインセンティブを働かせるようなこともやっております。委託訓練の場合には、民間からのプロポーザルで委託する形になりますので、都道府県からも、巡回指導員が就職指導や訓練の質の管理などを行って、施設内と同様の就職支援環境が整うような仕組みに努めているところです。
○間部産業政策第二部長 訓練内容には、施設によっていろいろなバリエーションがあるということですね。
○志村能力開発課長 基本的にはやはり施設内の訓練と委託訓練は違います。民間への委託は介護や事務、情報ですとか、民間の活力を量的にも確保しやすいものが委託の対象となっております。
○浦山理事・総務委員長 これは資料1のみということで質問をさせていただきたいと思います。いまのご質問に多少関係をするのですが、同じ施設内ということで、支援機構が84.6%で、都道府県の施設内が64.6と。20%ほどの差があるのですが、いまも若干ご説明はいただいたことで理解はできるのですが、差があまりにも大きなものですから、私のように地方にいる者からすれば、この辺はもう少し上がることが望ましいなと。そのためにはどうすればいいのかというような観点が最初の質問であります。
 それから、委託のところですが、委託の目標が18万6,000となっております。そのうちで都道府県が実施する目標というのは、18万3,000ぐらいですか。いずれにしても18万台の目標に対して、10万2,000ということで、せっかく目標を立てていただいた数値よりも、8万ほど実際には受けておられない。この辺のところに関して、私もよくわからないのでお伺いしたい。まず、企画入札、一般入札など委託先の選定方法が47都道府県では統一ではないというようなことを聞いているのですが、それが事実かどうか。
 また、事業所が多いところで募集をすれば、当然就職にもつながるということで、受講にもまたつながっている。つまり出口の実績が高いから入口も高くなる受講希望者が多くなるというような理屈を考えれば、それぞれの地域でどのようにすれば平均的にそのような情報を取ることが可能であるかということですね。なぜならば、これは公共職業訓練ですが、あとからまた求職者支援のところでもそのようなことを質問をさせていただければと思いますので、2つ目の8万ほどはもったいないというのはおかしいですが、せっかく目標を作っていただいたものをどうすればもう少し受講していただくことにつながるのか、その辺の観点をお伺いできればと思います。
○志村能力開発課長 2点お受けしましたが、施設内の就職率に差があるということから説明させていただきます。やはり機構の高度なものづくり、同じ施設内でも幅を絞った形であり、訓練後に就職をさせていくということについても、訓練指導員が自分の懐に落ちたような範囲内で就職を支援していくということで、そういう意味では就職率的には優位な状況にあります。ただ、同じ施設内でも、都道府県の訓練は、地域の実績に応じた訓練をやるというものであり事務のようなものもありますし、介護もあったりする場合もあります。いずれにしても地域の実情、その土地の地場産業のニーズに応じた訓練を実施しているということもあって、多少就職率にばらつきが出ています。ただ、そういったところの改善方策については、いろいろ年度末の訓練量の設定に関する個別にヒアリング等も行っており、就職支援のプロセスに分解して、巡回指導員が足りないというようなことや、もう少しノウハウが足りないというようなこと、安定所との連携が必要ということがあれば、ちょっとボトルネックを探して、改善点を探っていくというのが、就職率の差の埋め方という形で考えております。
 2点目の8万の乖離のところの話ですが、これも非常に悩ましい問題です。大体分析している理由のほうから申し上げますと、委託訓練については、機構から都道府県に平成23年度から全面的に移管を行ったということもあり、ここ2、3年の出来事として、いろいろな機構の改革の話もありまして、都道府県では移管された分も含めて委託を出す委託契約事務を回しています。訓練校の管理を行っている都道府県の施策というよりは、委託訓練の契約事務を大量に回すことになって、事務の実施体制にも課題があるのです。契約の手法については、県によって違います。ある程度地域によって、競合が生じているようなところは企画競争でやるのが適切でしょうし、実際に応募を出したとしても応じるところが1社みたいなところであれば、柔軟な契約方法でやっていくということで、そこは都道府県によって違っています。
 いずれにしても、いま実施体制面で、都道府県も一生懸命やってはいただいているけれども、平たく申し上げれば、若干事務体制が追いついていないというところがございます。あとは、経済循環的に見れば、求職者数も少し低下傾向にもあるという状況もあって、大きく分けてこの2点が、当初見込んでいたときよりも訓練受講者数が出にくい要因です。いずれにしてもそういった点をどうやって解決したらよいかということについては、これも都道府県によって、実施体制がある程度できているところとそうでないところもありますから、個別にヒアリングをする中で、良い方向を見いだしていただくということを考えております。
都道府県内でも訓練校を設置していますが、委託訓練にも偏在があります。都市型のニーズがあるところもあれば、どちらかというと郊外型の、訓練不足地域のところもあります。同じ県内でも両方の需要を抱えているところがありますので、土地ごとに、国としても必要な助言を行っているというのが現状です。
○浦山理事・総務委員長 ありがとうございました。いま、課長がおっしゃった最初の就職率のところですが、若干開設する分野が高度なものとか、地域のニーズに合わせるとか、そういったことは多少はあるのでしょう。前回も申し上げたことの再確認なのですが、支援機構では大変すばらしい就職に伴うガイドブックや指導書などをたくさんお作りになっています。地方でもそれをきちんと活用されることが、私は望ましいのではないかと思うのです。是非ともまた中央から指示などして、地域訓練協議会でもその辺を再確認の意味も含めておっしゃっていただくことが、最終的には求職者の方々のプラスになっていくのではないかなという観点で1点目を申し上げました。
 2点目は、8万人の理由をお伺いいたしましたが、是非、中央訓練協議会から地域訓練協議会への通達、あるいは通知事項として、価格だけ競争になってしまうと、結果としてなかなか就職も本人が思うほどにはいい結果が出ないと。あまり価格だけでやるから安かろう悪かろうになるという極論はできませんが、ただそれも否めないところもあって、その辺は中身と価格のバランスをしっかり見た上での認定というようなところも、非常に大事ではないかなと感じております。この辺も中央から地方への連絡を再確認していただければと思います。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○小林労働政策部長 感想と、ほっとしたことをいくつか言わせていただきます。公共職業訓練については、就職率は平成24年1月末に終了したコースでの調査時点、また、委託訓練についても昨年の年末時点で、目標に達していないということですが、これは目標をたぶん達成できるだろうと感じています。また、基金訓練と求職者支援訓練が思ったよりも就職率が高かったことに私はびっくりしています。特に、基礎コースが69.7%という形で就職できたことは非常に良かったと思っています。感想は以上です。
 今日の議題は、平成25年度の訓練の見込みをどう見るのだろうと思います。資料3の数字で面白い結果が出ています。全体の求職者数と受講者数が、200万、20万、10分の1のものを一緒のグラフとして表示しているのでわかりにくいのですが、概ね同じような形で、公共訓練については6~8%、求職者支援についても大体8%前後で受講されています。求職者に対して受講者が概ね6~8%に収まっています。また、いちばん下の表は、求職者本人の方々の技術や技能が求人条件に合致しない割合で、このパーセントは大体一致しています。仮定で言うと、今後もこのような感じで推移していくことが想定されるのではないかと思います。全体的に見ると、経済情勢がどう変わるのかわかりませんが、求職者の人数は横這いあるいは若干下がる傾向にあるのかと思います。リーマンショックのような大きな事件があれば別だと思いますが、今後の見込みでは下がっていく。同様に、公共職業訓練としての施設内訓練・委託訓練、求職者支援訓練についても、下がっていくということが1つの考え方として予想できると思っています。ですから、先ほど、委託訓練で8万人の差があるということでしたが、求職者のニーズも1つ大きな理由にあるのだろうと思うので、その辺を踏まえた上で、是非とも予算、人数を考えていただきたいと思います。
 これは雇用保険二事業でやっている事業でもありますが、雇用保険二事業の財政が厳しいことはご承知のとおりです。是非ともお考えいただきたい。ただし、わが国の産業基盤を考えますと、ものづくり分野は非常に重視しなくてはならないということもあります。一方において、新成長の分野も政府で進めていますので、ただ一方的に予算を削るのではなくて、メリハリを付けてお考えいただければありがたいと思います。特に、ものづくり分野については、10年先、20年先の人材の確保、養成も視野に入れた上で、新規の求職者の中でその分野に向いている方々に訓練をしていただきたいと思います。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○杉山雇用法制対策局長 連合の杉山です。新谷の代理ではありますが、連合としての発言をさせていただきたいと思います。3点ほど、質問も含みますが、意見を述べさせていただきます。
 まず1点目です。昨年末に、「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」が策定されましたが、これが求職者支援訓練においてどのような活用を現在されているのかについて教えていただきたいのです。また、せっかく策定されたものですから、求職者支援訓練の認定基準にこれを使うことも含めて、より積極的な取組みをしていったらどうかと考えています。
 2点目は、求職者支援訓練の実施機関について指摘しておきたいと思います。1つは、有識者の論文などで出ていましたが、訓練実施機関が応募者を選定する際に、就職の可能性で、就職できそうな人だけを採ってしまうクリームスキミングがされているのではないかという指摘もありました。その意味では、世間からうがった目で見られないような措置も含めて、行政としてどのようにしっかりした対応をしていくべきだと考えているのかについて、考え方があれば教えていただきたいと思います。
 3点目は、訓練実施機関の中で、非常勤講師等の不当な雇い止めや労働条件の不当な扱いなどがあるという話も側聞しています。行政としてどのようなチェックをしていくのかも問われてくると思いますし、巡回指導をやられていることは存じ上げていますが、どのように適切な巡回指導をするかを徹底していただいて、再発防止に万全を期すことが重要だろうと考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○松本職業能力形成システム企画官 まず、サービスガイドラインの関係です。これは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構においても、サービスガイドラインについての周知を進めています。訓練機関に対して、できるだけ適切な体制で適切な訓練をやっていただくよう助言、指導を行っていく所存です。また、認定基準との関係については、キャリア段位やサービスガイドラインといった、認定基準を設定したときにはまだなかったものが進行してきていますので、そういった最近になって動いてきたものも、これらの状況を見まして、施行状況と併せて、必要であれば随時改定する姿勢で臨みたいと思っています。
 2点目についてです。ご指摘のような意見は、ときどき報道もされ、そういった書物もあると承知しています。これについては2点申し上げたいと思います。先ほども説明しましたが、資料2の3頁に年齢分布のデータを示しています。60歳以上を除きまして、年齢分布はほとんど変わっていません。一般的に就職が困難と言われる中高年の割合は減っていないのです。その意味で、長期失業者になっている中高年者、また、非正規労働を繰り返し十分な職業能力形成ができない若年者のいずれも、この制度を基金訓練のときと同様に受講されています。基金訓練のときの、就職実績によっての訓練機関の有利不利はなかったときの値と、そういったインセンティブを設けたときの値は変わっていないということなので、御指摘のようなご意見が正しいということは少なくともこのデータ上では窺えません。
 また、全体としてそうであっても、個別の事案で問題事案が把握できることも可能性としてはあります。私どもとしては、詳細には申し上げられませんが、受講希望者の選考過程で不適切と思われる事案があった場合には、調査して指導する体制をすでに組んでいます。そういうことなので、個別事案としても、そういったものを把握すれば適切に指導するとして、引き続き努力していきたいと思います。
 3点目についてです。訓練を適切にやっていただくためには、訓練カリキュラムだけではなく講師の質が極めて重要です。経験豊かな講師が安心して働けることも重要だと思います。その意味で、労働条件が極めて悪い、または、基準法違反といった話があれば、それは当然、認定基準に抵触します。講師が適切に教えていない場合には、訓練内容に必ず跳ね返る話なので、受講生からの苦情に必ずつながります。苦情があった場合の対応は、これは必ず実地調査に行くことにしていますので、見つけ次第、改善を図ります。そういった情報がなくても巡回は1か月に1回必ず行くことにしていますし、頻度にしても実地調査の手法にしても、随時改善を続けたいと思っています。
○谷治専務理事・総務委員長 資料3のグラフを見ますと、かなりバランスの取れた形で推移しているという気がします。非常に計画性のある、バランスの取れた方向感で進んでいると思います。ただ、平成23年度辺りに、だいぶ求職者が減ってきていますので、やはり全体の訓練の受講生数は平成23年度に比べて少なめに設定しておいたほうが現実的ではなかろうかという気がしています。
○今野座長 ほかにありますか。なければ、私から質問します。資料3を見ると、平成25年度は減らそうかということですね、シナリオとしては。
○松本職業能力形成システム企画官 いまの時点で揃えられるデータで見ると、ということですが。
○今野座長 皆さんもおっしゃっているように、資料3の1頁では、安定的に6~8%で動いているわけで、そしてこれは一種の管理指標になるので、お客さんである求職者が減れば人数が減る。そういうことだと思うのです。そのときに、次の問いに答えておく必要があります。6~8%に安定したのは、ただそのように訓練の供給を絞ったからでしょうという疑問です。つまり、予算をそのように付けているからそうなっているだけではないか、ということについて、きちんと答えておかなければいけないのです。その点についていかがですか。
○松本職業能力形成システム企画官 これは、いわば結果としてなのです。
○今野座長 結果ですけれど、予算の縛りがあるので結果としてそういうことになったということはないのでね。つまり、完全にディマンドに合わせると大体こうなるのです、ということを前提にしているわけですね、先ほどの議論は。それについてはどうですか。
○松本職業能力形成システム企画官 訓練量は伸び縮みしていますし、雇用情勢が悪化したときには、補正予算等で増やすという対応をしています。訓練のボリュームだけではなく、応募倍率や充足率といった指標で見たときに、10年程度のスパンで見ても、応募倍率が極めて高い、つまり、たくさん落選しているような状況はあまり見受けられません。結果として、規模だけではなく、受講希望者がどれぐらい受けられるかという観点から見ても、公共職業訓練については、この10年間の傾向では適正ではなかろうかと思われます。
○今野座長 ということは、いまおっしゃられたような、受講倍率なども比較的安定的に推移している。
○松本職業能力形成システム企画官 公共職業訓練については、そうです。
○今野座長 そういうことが付いていると、いいね。そうすると、先程の比率は妥当ということですね。
○松本職業能力形成システム企画官 データが不十分で申し訳ないです。
○今野座長 そうでないと、私が言ったような質問があったときに困るではないですか。今日の皆さんのお話は、6~8%のこのインデックスは管理指標としてはいいという委員の意見が多かったので、そうするとそこをもう少し強化しなければいけない。比較的安定的にいっているのですね。
○松本職業能力形成システム企画官 応募倍率では1.8~1.3倍の範囲でずっと推移しています。定員の充足率は、ほぼ92~93%で安定的に推移しています。公共職業訓練についてです。すみません、ご提示すべきでした。
○浦山理事・総務委員長 いまの、資料3の新規求職者数の推移についてです。これはハローワークに行って求職している人の数という理解でよろしいですね。学生を見ると、年々、ガラスの心を持ったような、非常に繊細な学生たちも増えてきているのです。昨年7月だったと思いますが、読売新聞の1面に引きこもりの人たちの記事がありまして、その中にパーセンテージが全部出ていたのですが、引きこもり予備軍も含めて多かったのは30代でした。あれを見ると、ガラスの心を持った繊細な人たちは、これから社会人になろうという学生たちだけではなくて、立派な社会人の年齢層に極めて多いことも同時に言えると思うのです。
 繊細さはある意味では大事は大事なのですが、反面、壁を乗り越えようとする自立性が、乏しくなってきている。ハローワークに行ったはいいが、あの順番を1時間も2時間も待って、それで求職者支援の情報を取ったり、就職をしようという情報を取ったりする人たちが、私は見たわけではないのでわかりませんが、行ったはいいがUターンをして帰ってくる人たちも増えているのではないか。そのようなことだと仮に想像しますと、新規求職者数の推移に見合うプログラムが、いま、6~8%で適切だということにもなるのですが、実際に数字に表われない課題をどのようにこの支援に持っていくのか。また別のプログラムもあることは承知していますが、その辺も気になります。先ほど申しましたが、どうしても事業所が多いところのハローワークは極めて長蛇の列だということなので、長蛇の列ではない、少し事業所が少ないところで。求職者支援の方々、保険を持っていない人たちは、交通費すら出せないような状況にもある方々が結構おられるだろうと思うのです。いろいろな壁を乗り越えてやっていかなければいけないという自立的なところまでも考えると、どこでどのようなプログラムを認定するのかの地域性がかなり重要な観点になるのではないかと思っています。その辺も、また、地域訓練協議会でも話合いをしていただきたいと思います。
○今野座長 質問というよりもご意見でしたが、何かコメントがありますか。
○志村能力開発課長 訓練以前という、ここに計上しているハローワークの求職者として評価されるところまでたどり着かない方々がいらっしゃるのではないかという問題提起だと思います。そういったものについては、地域のいろいろな若者のサポート事業等もありますし、いろいろなそれ以前の段階の行政というか、福祉というか、青少年対策というか、そのようなアプローチをもって、結果としてハローワークの求職活動につなげるまでの努力も、地域訓練協議会の場等では、それがメインではないにしても、そのようなものも地域の雇用に重要な動きというか、まさに人材供給源たり得るわけですから、そのようなところも意識して、工夫して、検討して考えてみたいとは思います。問題意識としては理解しているつもりです。
○浦山理事・総務委員長 そうなのです。同じことばかり申し上げて大変恐縮なのですが、なかなか地域にワーキングチームができない。いまおっしゃったようなこと、こっちはこういうことをやっている、あっちはこういうことをやっているというのは、たくさんあるはずなのです。その辺は、いま課長がおっしゃったような、いかに横の連携をやることによって、そこから光を見出すかにもつながる可能性があるものです。ですから、そのようなことをやるためにも、私は地域訓練協議会にはスケジュールが噛み合わなくてなかなか出られないのですが、出る度にそのようなことを申し上げていますけれども、お互いに顔を見合わせて終わってしまう状況です。このような観点で、是非、ワーキングチームの必要性をまた訴えていただきたいとも思います。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。本日の主要な議題は、平成25年度の訓練規模をどうするかという話です。いままでの議論からすると、例の、6~8%を管理指標にすれば、減少かなということだと思います。ちょっとお聞きしたいのですが、減少だけれど、安全率というのは考えておかなければいけないでしょう。その辺はどうなりますか。非常に単純にやってしまうと、6~8%だから平均7%。求職者が減ったから7%掛けて下げることになるのですが、世の中は何が起こるかわからないから、少し安全率は用意しておかなければいけない。そうすると、安全率をいっぱい用意すると減らないですね。だから、その辺になると少し微調整があるかなとは思うのです。それについて何か考えていることがあれば、いかがですか。
○松本職業能力形成システム企画官 差し当たり、8月末の概算要求に向けてどの程度の数字を打ち出すか、また、12月末の政府予算案の編成の過程で、財務省その他との調整でどの程度にするかという議論をすることになります。時期が後になればなるほど、雇用情勢や施行状況がわかってくる。データが増えていきますので。そのようなデータに常に目配りしながら、大きく減らし過ぎない、また、過剰に積み過ぎない。どの程度が適当かをよくよく見定めながら、ただし、これは基金ではなくて予算事業なので、上限になってしまうことも考えながら、妥当な水準を見定めていきたいと思います。
○今野座長 非常に単純に考えると、8%使えば大体もう足りないことはないということですね、このデータを見ると。6%だと少し余るかもしれない、7%でも半分の確率で足りないかもしれないと、そういう話ですね。ほかにどうでしょうか。
○浦山理事・総務委員長 本日の議題は実施規模についてですから、いま座長がおっしゃったような数値のことになるのだろうと思います。釈迦に説法的なことですが、やはり、特に求職者支援制度は、認定はされても受講者数が少ない、仮に、訓練を実施しても、極めて収支的には大変だという声は現場からいろいろと聞こえてきます。そういう中で、同じことを申し上げて恐縮ですが、特に事業所が少ないところなどでは似たようなプログラムの申請が乱立するようなこともあります。そういう中から、教育訓練機関として長年いろいろなことを培ってきているようなところに対して、いろいろな観点も是非またよろしくお願いしたいと思います。質のところというのは、本当にいろいろな要因、要素が相まって、なかなか明確に見えない状況になっています。実施規模、また、質についても、いろいろな制度上でよろしくお願いしたいと思っています。
○松本職業能力形成システム企画官 公共職業訓練については、一般競争入札と企画競争とは、都道府県の判断によっていろいろでありますが、求職者支援制度では、これは価格勝負にならないように、質を高めるためという観点での認定基準と選定方法を採っています。現時点では、就職率、就職実績が高いものから認定するので、つまり、頑張った、または、より工夫されたところが、次回以降の認定もされやすくなるという循環になるように仕組んでいます。何分、施行実積がこれから出始めるところなので、もし不具合があるようであれば、その選定方法も変えなければいけませんし、うまくいっているようであれば、これをさらに伸ばしていくことだと思います。いずれにせよ、訓練機関それぞれの創意工夫をしたところが報われるような制度にしないと、この制度全体、また、求職者のためにならないと思います。その点は注意してまいりたいと思います。
○今野座長 その点は、もう少し長い期間やると、どのようなセレクションが起きたのかのデータが上がってきますから、そうすると、認定の仕方について、細かいことは別にして、基本骨格の効果がどうかというのは分かるのです。もう少しデータが集まるとわかる。また、次の手も考えられるかもしれないということだと思います。セレクションされなければ意味ないですからね。でも、セレクションし過ぎるのも問題だし、そこが難しいところですね。
○浦山理事・総務委員長 はい。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。全体としては、先ほど私が整理しましたように、労働市場の状況を考えると規模は縮小の方向でしょうということでまとめさせていただきたいと思います。あとは、細かい数字をいくつにするかは合理的にやってください。そのような形で概算要求や予算編成に当たっていただくことでお願いしたいと思います。
 ほかに事務局からありませんか。なければ、終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業能力開発局能力開発課

企画調整第二係: 03-5253-1111(内線5928)

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