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2012年3月14日 平成23年度第4回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成24年3月14日(水)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 専用第15・16会議室(12階)
(住所:東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長、○委員長代理

○大平 勝美、岡田 義昭、花井 十伍、◎半田 誠、牧野 茂義、山口 照英

欠席委員:なし


参考人:

日本赤十字社、バクスター株式会社

○議題

1. 議事要旨の確認
2. 感染症定期報告について
3. 血液製剤に関する報告事項について
4. 日本赤十字社からの報告事項について
5. その他

○議事

○血液対策課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから平成23年度第4回「血液事業部会運営委員会」を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととなっておりますのでよろしくお願いいたします。
 まず、初めに本日の委員の出欠状況でございますが、花井委員が少し遅れるようでございますけれども、そのほか5名の委員に御出席いただいております。また、本日は日本赤十字社血液事業本部より田所憲治経営会議委員、日野学副本部長にお越しいただいておりますのでよろしくお願いいたします。
 また、議事に入らせていただく前に、本日の運営委員会においては、血液事業の運営においては、日本赤十字社が調達する技術の提供企業との利益相反を確認しておく観点から、「平成20年3月4日薬事・食品衛生審議会薬事分科会申し合わせ、審議参加に関する遵守事項」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決への参加については、退室委員及び議決に参加しない委員はともになしとなっております。
 カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。
 それでは、以後の進行は半田委員長よりお願いいたします。
○半田委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、最初に事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。
○血液対策課課長補佐 それでは資料でございますが、一番上に第4回血液事業部会運営委員会の議事次第と書かれたホチキスどめの資料がございます。
 次に資料1でございますが、「平成23年度第3回 血液事業部会運営委員会議事要旨(案)」でございます。
 資料2はクリップどめでございますが、「感染症定期報告に関する今後の対応について」という資料でございます。
 資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」
 資料3-2「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」
 資料3-3「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」
 資料4「XMRVに関する文献報告(続報)(平成24年3月14日)」は、岡田委員からの提出資料でございます。
 資料5「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追跡調査について」
 追加資料でございますが、「血小板製剤に対する感染性因子低減化(不活化)技術の導入準備について(追加報告)」という日本赤十字社からの提出資料でございます。
 追加資料2は委員限りでございますが、バクスター株式会社の方からのアルブミン製剤の供給に関する資料でございます。資料の不足等はございませんでしょうか。
 以上でございます。
○半田委員長 それでは、早速議事に移りたいと思います。
 議題1は「議事要旨の確認」ということですが、お手元の資料1をご覧いただきまして、もし御意見があれば事務局まで御連絡いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 次に、議題2「感染症定期報告について」です。まず事務局より、資料の説明をお願いいたします。
○血液対策課課長補佐 お手元の資料2、クリップどめのものでございます。5ページ目以降が昨年の10月1日から本年1月31日までの文献でございますが、今回は少し多くて25報ございます。順番に説明をさせていただきます。
 まず1番でございますが、MSMの男性に対して、B型肝炎ワクチンを接種してHBs抗体が一旦上昇したにもかかわらず、B型肝炎ウイルスに感染してキャリア化した事例の報告です。
 MSMの男性が2006年4月にHIV、HBV、HCVの検査を実施して、すべて陰性であったためにB型肝炎ワクチンが摂取されました。その後、2007年8月にHBs抗体が陰性だったためにワクチンを増量して接種したところ、2007年11月にはs抗体が陽転化した。その後、2009年12月に患者さんが疲労感と筋肉痛のために医療機関を受診して、HBs抗原、コア抗体、e抗原が陽性となってHBVのDNAが検出されて、ジェノタイプはFであったという事例でございます。このタイプは、以前アルゼンチン北部で検出されておりまして、同性愛男性の間に蔓延していると報告されております。この男性も2007年と2009年にアルゼンチンを訪れていた。その後、フォローアップされましてキャリア化していたという事例でございます。
 次に2番でございますが、FDAがB型肝炎のNATをドナースクリーニングとして採用することを勧告したものでございます。
 具体的には、全血及び血液成分、原料白血球について、HBs抗原とコア抗体の検査が陰性であった場合に、個々のドネーション中のHBV DNAの検出用として、検出下限が100IU/mL未満のNATを用いて試験をすること。また、血漿についても個々のドネーション中のHBV DNA検出用として、検出下限が500IU/mL未満のNATを用いて試験をすることを勧告したというものでございます。
 次に3番でございますが、日本におけるB型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスのキャリア数の推計に関する報告でございます。初回供血者の年齢階級別のそれぞれの陽性率等を用いて推計しておりますが、HCVキャリアは約81万人で全人口の0.63%、HBVキャリアは約90万人で全人口の0.71%という結果でございました。HCVキャリアについては年齢が上がるとキャリア率が上昇しまして、西日本で高い傾向がございます。また、HBVキャリアについては55~59歳で最も高く、地域別には北海道で高い傾向があったという結果でございます。
 次に4番でございますが、血漿分画プールにおいてHEV RNAとHEV IgGを調査したところ、プールの約10%でHEV RNAが陽性で広範囲な地理的分布を示していた。ただし、陽性プールのいずれもHEV RNAが1mL当たり100コピーを超えていない、少ない量であったというものでございます。
 欧州と北米のプールではジェノタイプ3が検出されまして、アジアのプールではジェノタイプ4が検出された。抗HEV抗体は幾つかのプールで特定されましたが、これが潜在的ウイルスの感染能の中和に関連するかについては明らかでなく、血漿プールを通じたHEV感染の報告はない。HEVは20nm未満のフィルターによって除去が可能であり、また、加熱処理によって不活化される可能性もあるため、こういったものを使っていればいいのですが、SD処理血漿については有効な除去工程を有さないために、血漿プールのHEV RNAを検査する必要があるのではないかという提案が含まれた報告でございます。
 次に5番でございますが、英国における血漿ミニプール中のHEVの調査でございます。880例の血漿ミニプールの中で6例がHEV RNAが陽性で、HEV抗体のすべてが陽性だったというものでございます。100例のHEV RNA陰性のミニプールを調査したところ、73%がIgG陽性でしたが、IgMはすべて陰性であった。この結果は、血液製剤のHEV感染リスクの可能性を示したものですが、輸血後のHEV感染の範囲については十分な調査がないために、更なる調査が必要と言っております。
 次に6番でございます。こちらはパルボでございますが、パルボウイルスB19の血中分布及び持続性に関する報告でございます。パルボウイルスに対するレセプターが赤血球膜上にあることを踏まえまして、パルボB19の血中分布を調査するため、パルボウイルスB19をスパイクした血液及び感染ドナーから収集された血液を用いて、ウイルスのDNAの血中分布を調査したものでございます。
 まず、最初のスパイク実験の方でございますが、DNAの約3分の1は血漿中で回収されて、3分の2は赤血球の方に緩くバインドしていたという結果でございます。また、感染ドナーの血液の研究については、DNA濃度が100IU/mL以上でIgM陽性期の感染ドナーについては、全血と血漿中のウイルスDNAを比較したところ、血漿中よりも全血中で約30倍高かったという結果でございます。一方で、DNAが低くIgM陰性のドナーで全血と血漿のウイルス量を比較したところ、約1対1だった。これらの結果は、血漿に対する全血のDNA量の比がウイルス量の低下とIgM反応性低下をもって減少することが明らかになったというものでございます。
 次に7番でございますが、パルボウイルスB19の液状加熱における熱感受性に関する報告でございます。アルブミン、免疫グロブリン、ハプトグロビン、アンチトロンビンの製造における熱処理工程の直前に採取した検体にB19をスパイクして、60℃10時間の熱処理を行って感染性を経時的に測定しまして、併せて低いpHの免疫グロブリンについても、B19をスパイクして室温で14日間の処理を行っております。
 その結果ですが、アルブミン、免疫グロブリンについては急速に不活化して、ハプトグロビンについては、速度は遅いものの不活化が確認されております。一方で、アンチトロンビンにおいては不活化が限定的でありまして、10時間の加熱処理では感染性が一部残存していたというものでございます。
 これらの結果は、すべてジェノタイプ1でのパターンと同様でございまして、ジェノタイプ1、2ともに異なる血漿製剤間で熱感受性が変化することが確認されたというものでございます。
 次に8番でございますが、こちらもパルボB19でございます。フィルター処理のウイルス除去能に関する報告でございますが、15~19nmのフィルターのウイルス除去能力を調査するために、アンチトロンビン、ハプトグロビン、免疫グロブリンのそれぞれの製剤にB19を添加しまして、フィルター処理後に感染力分析と定量的PCR分析を行った結果、すべての検体において、フィルター処理後の検体は感染力が示されなかったという結果でございます。また、ウイルスDNAは定量的PCRによって検出が可能であったというものでございます。
 しかしながら、15nmフィルターを通した後の溶液において、ウイルスゲノムのサイズを測ってみたところ、約90%が0.5kb未満であることから、フィルター処理によるリダクションファクターは遊離のDNAによって過小評価される可能性がある。すなわち、フィルターによって壊れたウイルスの断片をPCRで検出している可能性が示唆されたというものでございます。
 一旦、ここまでで御審議いただければと思います。
○半田委員長 ただいまの前半の報告に関しまして、委員の方から。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 B型肝炎のサブタイプについてです。今、ワクチンの話が出ていたんですけれども、これは検査機関の感度でサブタイプ間の差異というのが大体わかってくるんですか。要は、ジェノタイプFでも普通にちゃんと検出できるのかという趣旨です。
○半田委員長 岡田委員。
○岡田委員 それは感染症研究所の水落室長が、今、市販されているキットの評価を既にやっていまして、ジェノタイプA~Hまでほとんど差がないですね。ですので、その点では検出できると思います。キットによっては感度がFとかEとか、余り日本ではないようなものが低いという結果も一部あったんですけれども、そういうことをメーカーに伝えたところ変えたということなので、日本においてはどのキットを使っても検出できるということです。
○半田委員長 今、大変重要なポイントを御質問いただきましたけれども、ほかにございませんか。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 幾つかあるのですけれども、Bのお話はコメントが出ましたのでHEVについてです。
 4番の報告の中で、直接HEVが出てきているわけではないんですけれども、中和抗体があり得るかどうかという報告をちょっと引用されていまして、抗体があってもin vitro系で網状赤血球を使う系ですけれども、その系の中で抗体があったとしても増えたということで、そういう報告があるということから、HEVに関して中和抗体があるかどうかというのは、いまだに結論がないところだと思います。多分パルボに関しては、ある程度中和抗体の活性があるということは岡田先生の報告もあると思うので、その辺は言えると思うんですけれども、HEVについては抗体があったからといって中和能があるかどうかというのは、ちょっと不明なところかなと。ジェノタイプでHEVの差が結構大きいですので、ひょっとしたらその辺によるのかもしれませんけれども、この辺は今後の検討が必要なのかなという気がいたしました。
 あと、今回パルボに関して4つの報告が出ているんですけれども、特に7番の報告で、製剤によって不活化のパターンがかなり違うということで、ある一定の条件下ですればターゲットとするパルボが同じように不活化されないということは、多分製剤ごとにウイルスクリアランスの評価をしないといけないことを、逆に示しているんだろうと思います。実際そのようにやられていますけれども、その辺のことを強調しておいた方がいいのかなという気がいたしました。
 それから、ウイルスろ過フィルターの評価ですけれども、クリアランスのときにどういう評価をするかということで、多くの製剤でウイルスろ過が採用されているわけですけれども、その場合、ろ過するときの膜圧の管理とか、あるいはそのたんぱく濃度というのは多分こういうことで影響してくるだろうということで、クリアランスを評価するときの重要なポイントになるのかなと思いました。
○半田委員長 ありがとうございました。
 岡田委員。
○岡田委員 1番ですけれども、やはりジェノタイプFということで、この論文はアイルランドから報告されていますが、アイルランドはヨーロッパですのでジェノタイプAが主に分布している。そのために、恐らくワクチンがジェノタイプAを基にしたものだと思うんです。そうなると、量にもよると思うんですけれども、ジェノタイプの違うウイルスが大量に入ってきたりすると、通常の抗体価だとブロックし切れないという例かと思います。ただ、この人は慢性化しているので、普通B型肝炎というのは、成人が感染すると一過性の急性肝炎を起こして治るんですけれども、このように慢性化しているので、この方はそういう面で非常に高感受性だった可能性がありますけれども、やはりジェノタイプの違いというのが、ワクチンの効果が、今までの経験とはちょっと違うことですね。ジェノタイプが違ってしまうと防ぎ切れない可能性があると思います。
 それと、2番のB型肝炎の検出感度の報告です。今のところはまだコメントを求めている段階だと思うんですけれども、これがそのまま認められますと、非常に高感度の試験をやるようにということが求められています。日本のガイドラインと比べると、感度がかなり高いです。しかし、FDAが認可しているキットは3つあるんですけれども、そのうちの1つは日赤が使っているものとほぼ同じなので、感度的には同じぐらいの感度が出ているのかなと思います。
 今日、私が注目しているのは、FDAにおいてCとIに関しては、輸血用血液がCは個別のドナーが5,000IUなんですね。HIVは10,000IUというのが一応の基準ですけれども、それに対して輸血用に関してはBが100IUだということになると、Bだけが大分突出して高感度を要求しているということなので、今後どういう議論で、最終的にどうなるのかということを注目したいと思います。
 7番のパルボの問題で、各分画製剤のメーカーさんというのは、どの段階で不活化をするかというプロセスがメーカーによっては違うということと、不活化する条件というのも違います。バッファーのpHとか添加する物質が違いますので、一概にパルボが60℃の液状加熱に弱いと結論を出すのは問題がありまして、各不活化の条件が違うと異なる結果が出てくる可能性があるということで、各分画メーカーにおいては、自社が行っている液状加熱の条件にあって評価をすることが重要だと思います。
 以上です。
○半田委員長 ありがとうございました。
 いろいろと非常にサジェスティブな御意見をいただきました。FDAの今回のNATに関して、B型は100IUということですけれども、これに関して日本赤十字社の方で何かコメントはおありでしょうか。
○日野副本部長 今現在、私どもがNATスクリーニングで使っているロシュ社のTaqスクリーン、マルチプレックスですけれども、それに関しては、以前この運営委員会でも御報告させていただきましたが、HBに関しては、確か3.2IU/mLぐらいの感度を持っております。だから、それ掛ける20倍。20プールですので、かなりいいとは思います。
○半田委員長 それでは、引き続き事務局の方から文献の御報告をお願いします。
○血液対策課課長補佐 それでは9番でございますが、アメリカにおけるインフルエンザウイルスのリアソータント、再集合に関する報告でございます。
 2011年8月に、米国においてブタインフルエンザ(H3N2)感染症例が2例報告されまして、2症例のウイルスは過去に特定されたH3N2ウイルスと類似しておりますが、8つの遺伝子のうち1つのM遺伝子というものが、2009年のインフルエンザA(H1N1)ウイルスに由来するものであったということでございます。このことから、2症例に感染したウイルスがブタインフルエンザA(H3N2)ウイルスと過去のインフルエンザ(H1N1)ウイルスの再集合体であることが示唆されております。
 また、ブタへの接触歴については、この2例のうち1例は本人の直接接触はございませんが、発症2日前にブタと直接接触したケアワーカーと接触しております。また、もう1例はブタ及びほかの動物への直接的な接触が確認されております。
 次に10番でございますが、日本における輸血によるインフルエンザA(H1N1)感染リスクに関する報告でございます。これは既にこちらの方にも御報告されているものでございますが、日赤で献血後の情報として(H1N1)2009感染疑いのある献血者から得られた血液製剤の供給を中止しておりました。輸血による感染リスクを調査するために、献血後7日以内にH1N1と診断された579人の献血者から得られた565の血漿製剤と、413の赤血球製剤についてリアルタイムPCRを実施したところ、どのサンプルからもウイルスRNAは検出されなかったという報告でございます。
 11番でございます。こちらはXMRVの報告でございますが、既に岡田委員の方から御報告いただいている内容ですので省略させていただきます。
 次に、12番でございます。バングラデシュにおけるニパウイルス感染の報告でございますが、2007年にニパウイルス農園のアウトブレイクがございまして、7人が感染して、うち3人が死亡した事例が発生しました。ニパウイルスのヒト-ヒト感染について検討するために、感染した患者1例と、その患者と身体的接触のあった知人14人の動向を調査しておりまして、その結果14人のうちニパウイルスの感染を発症したのが6例ございまして、未感染群と比較して、感染群ではニパウイルス患者さんの咳嗽中に同室に滞在していた割合だとか、身体的接触があった割合が有意に高かったという報告でございます。
 13番でございますが、異種間で伝播する新規のアデノウイルスに関する報告でございます。カリフォルニア国立霊長類研究所におきまして、サルにアウトブレイクを起こした新規のアデノウイルスが特定されまして、建屋内のサル65例のうち23例が劇症の肺炎に進行する上気道症状と肝炎を発症しまして、そのうち19例が死亡または安楽死となっておりますが、集団発生時にサルと接触した研究者も急性呼吸器疾患を発症しまして、回復期に血清中の新規アデノウイルスの抗体が陽性であるということが確認されております。
 また、サルに接触していない研究者の家族2名も同様の症状を示しておりまして、そのうち1名は抗体が陽性であることが確認されたことから、このウイルスがサルだけではなくて人の間、異種間で感染を引き起こした可能性が示唆されております。新規アデノウイルスが異種間アウトブレイクの潜在的原因として厳重に監視される必要があるという報告でございます。
 次に14番でございます。これは13と同じ内容でございます。
 次に15番でございますが、米国における新種のアレナウイルス感染の報告でございます。米国で急性中枢神経疾患や鑑別不能の熱性疾患の患者さん1,185人中41人(3.5%)から、抗ホワイトウォーターアロヨウイルス抗体または抗リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス抗体が検出されまして、ペア血清抗体価の分析結果から、疾患の原因は2例がノースアメリカンタカリベセオコンプレックスウイルス、3例は先ほどのLCMV、抗リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスであるということが示唆されまして、この研究結果より、今、申し上げた2つと同様に、米国内でヒトの疾患原因となることが明らかになったというものでございます。
 次に16番でございますが、米国における高カロリー輸液であるTPNによるセラチア感染の報告でございます。2つの病院からTPNを投与した患者にセラチア感染が生じたという報告を受けた保健省が、同一業者からTPNを納入していた6つの病院を特定しまして、19症例が報告されて、遺伝子解析の結果TPNを製造する際に使用していた器具及びTPNから分離された菌と、TPNを受けた入院患者12人から分離されたセラチアが同じものであったと確認されております。
 更に、TPNの原料である混合アミノ酸1袋もセラチアで汚染されておりまして、TPNを混合するときの殺菌工程の失敗が汚染の原因になったというものでございます。
 次に17番でございます。O104感染のアウトブレイク発生時におけるドイツのサーベイランスに関する報告でございますが、2011年5月にドイツのロベルト・コッホ研究所は、O104感染によるHUS患者の急激な増加を受けまして、サーベイランスについて強化したという報告でございます。
 具体的には、疫学情報交換の集約化、国レベルまでの情報伝達の迅速化、病院の救急部における出血性下痢症の症候群サーベイランスの導入、ドイツにおけるHUS治療受け入れ能力の評価、検査機関でのアクティブサーベイランスの開始でございますが、これらの追加サーベイランスシステムは今回のアウトブレイクにおいて、より迅速なモニタリングを可能にして、患者の発生動向等について把握することができたというものでございます。
 次に18番でございますが、米国におけるレジオネラ症発生状況に関する報告でございます。2000~2009年に国立届出疾病監視システムに報告されたレジオネラ症でございますが、これはレジオネラ病とポンティアック熱の合計でございますけれども、年間報告数は2000年の1,100例から、2009年の3,522例へと増加しまして、発生率も2000年の0.39/10万人から2009年には1.15/10万人と、増加傾向が確認されたというものでございます。
 ここまでで御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○半田委員長 ありがとうございました。
 文献番号9から、何か御意見あるいは御質問はおありでしょうか。
 岡田委員。
○岡田委員 文献の13番と14番です。これは新規のアデノウイルスの報告ですけれども、正直に言ってヒトからサルに行った可能性もあります。というのは、13番の文献を読みますと、プライメートセンターでは外部のサルが2年間全く入ってきてない。つまり非常に閉鎖された空間で今回のアウトブレイクが起こったというのが一つと、あとは米国西部における成人供血者の81例の中にも陽性者がいたということなので、断定はできませんけれども、もともとヒトの間で流行が起こっていたものが飼育員を通してサルに行って、サルが新世界猿か何かなので、そういう面ではサルにとっても、今までに全然遭ったことがないようなウイルスなのでひどくなったという考えも成り立つウイルスなんですね。
 今、新興感染症の4分の3は、ズーノーシスと言って人畜共通の感染症なんです。そういう意味で、霊長類から来る感染症などが人の社会に入ってくると大流行する可能性がありますので、そういう面では飼育をしている施設においてはちゃんと対応というか、厳重な、外に漏れないような工夫をすることが必要かと考えられます。
 以上です。
○半田委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、引き続き文献報告をお願いします。
○血液対策課課長補佐 それでは、19番でございます。米国における新規のエーリキア症に関する報告でございますが、ミネソタ州とウィスコンシン州の4症例について、既に知られているエーリキアではない新規のエーリキア種によって引き起こされたことが明らかになりまして、患者は発熱、全身倦怠感、頭痛及びリンパ球減少症が見られまして、3例は血小板減少、2例は肝機能が上昇しておりましたが、抗生物質で全例が改善しております。
 また、同じ州で採取された697例のダニの少なくとも17例で、同一のエーリキア種がPCR検査で陽性だったというものでございます。
 次に20番でございます。赤血球輸血によるヒト顆粒球アナプラズマ症感染に関する報告でございますが、36際の女性が帝王切開を受けまして、6単位の赤血球と2単位のFFPが輸血されまして、9日後に発熱、後にARDSになった事例でございます。
 患者の検体からPCRによってアナプラズマが検出されまして、ヒト顆粒球アナプラズマ症と診断されましたが、感染原因として可能性のあるものとしては輸血のみであったため、輸血された8単位についてPCR及び間接蛍光抗体法により検査を行った結果、1検体が陽性を示したものでございます。これは白血球除去赤血球の輸血によって感染が成立したので、この疾患について白除の効果は小さい可能性が示されたという報告でございます。
 次に21番でございます。日本におけるライム病の発生状況に関する報告でございますが、1987年に長野で1例目が報告されて以来、日本におけるライム病は主に北海道、本州中部以北で200例以上の確定例の存在が推定されておりますが、1995年~2000年に北海道で採集したマダニ刺咬症700例のうち確定例が56例、8%であることから、ボレリアの汚染地域においてライム病の発生頻度はマダニ刺咬症の10%未満と推定されております。
 また、1989年~2004年までに113例の確定例を集積した結果、北海道のライム病は皮膚症状が主体で一般に軽症例が多いということが言われております。その原因としてはボレリアそのものの病原性の違いだとか、人種間の遺伝的な違いだとか、医療状況だとか、マダニの違いなど、複数の要因が関与していることが推定されるという報告でございます。
 22番でございますが、米国におけるバベシア症の輸血感染リスクに関する報告でございます。感染していても自覚症状がないバベシア症に対しては、FDA認可のバベシア検査は必ずしも万能ではないけれども、米国のほとんどのダニ媒介バベシア症は7州において、特に暖かい時期に発生しておりますが、輸血関連バベシア症は19州において認識されておりまして、年間を通じて発生していることを考えますと、バベシア症はマラリアと誤診されることがございまして、診断が十分に考慮されないと重症例でも見逃されることが多いと指摘されておりまして、2011年1月にバベシア症は全国的な届出疾患となったという報告でございます。
 次に23番でございます。こちらは日本の文献でございますが、在日ブラジル人の献血者におけるトリパノソーマクルージー、シャーガス病の抗体検査に関する報告でございます。在日ブラジル人の献血希望者20例について抗体検査を行ったところ、ELISA法は20例全例で陰性でございましたが、迅速法は19例が陰性、1例は判定保留でございました。判定保留の1例は追加検査の結果、偽陽性であることが判明したというものでございます。この20名の方全員、家族にシャーガス病の方はいらっしゃらず、また、過去に抗体検査をした方は1名のみでございました。そういった報告でございます。
 次に24番でございますが、FDAの諮問委員会における議題要約書でございます。FDAは、サウジアラビアにおけるBSEに感染したと考えられる3症例目の発生を受けまして、サウジアラビアでの滞在期間を献血製剤等のドナーの除外条件とすることについて、諮問委員会に助言を求めております。
 3例目の事例については、サウジアラビアで幼少期を過ごしまして、その後、隣接するドバイで4年間を過ごした方が、その後カナダへ移住したんですが、その少し前の2011年初期に症状が現れておりまして、手術歴、輸血歴もないことから、サウジアラビアでBSE原因物質に汚染された食べ物を介して暴露されて感染したのではないかと結論付けております。
 諮問委員会は、サウジアラビアを訪れた一部のドナーを献血延期するべきであることについて、合意したというものでございます。
 最後でございます。25番でございますが、英国の先天性出血性疾患患者におけるバリアントCJD感染リスクに関する報告でございますが、英国血友病センター医師機構によりまして、供血後にバリアントCJDを発症した8人のドナー由来血漿を含む、1987~1999年の25バッチのいずれかの血液凝固因子製剤の投与を受けた先天性出血性疾患患者におけるバリアントCJD感染リスクが推定されたものでございます。
 投与された787人の患者さんがプロスペクティブに10~20年調査されまして、バリアントCJD感染性は薬剤の総投与量が推測される累積感染性が算出されまして、薬剤の投与を受けてから13年以上追跡調査された604例における推定バリアントCJDリスクは、595例が1%以上、164例が50%以上、51例が100%という結果でございました。
 なお、94例は供血後6か月以内にバリアントCJDを発症した患者由来のバッチを投与されております。ただし、2009年1月1日現在、これらの患者さんでバリアントCJDを発症した患者は誰もいないということでございまして、血漿分画製剤の感染性が過度に見積もられている可能性がある。あるいは血液製剤の受血者は潜伏期間が違うのではないかということ、あるいはほかに原因があるのではないかということを示唆している報告でございます。
 以上でございますが、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○半田委員長 ありがとうございました。委員の方からコメント等々おありでしょうか。
 山口委員。
○山口委員 25番の推定のリスクを評価した上で、実際には2009年、13年以上が経っていて発症がないということから、そのリスクの推定の根拠が違っていたのではないかという話もありますので、それはもう少し検証が必要かと思うんですけれども、この論文の中で引用されている脳下垂体から抽出されたヒト成長ホルモンでの発症が、16年ぐらいが平均値で12~22年ぐらいのばらつきの中にあったということからすると、ひょっとしたら発症までの時間がもう少しかかる可能性も考えられるので、今の時点で結論を出すのは難しいかなという気がいたしました。
 あと、サウジアラビアのことに関してちょっと気にはなっているんですけれども、3例目ですので、しかも、ちょっと肉骨粉が輸入されていたという話と、サウジアラビアは牛の食肉はしないのではないかと思っていたんです。その辺で説明が少しよくわからないところがあるかなという気がしております。
○半田委員長 どうぞ。
○血液対策課課長補佐 多分宗教的なことかと思うんです。これはネット情報ですが、豚は食べないらしいですけれども、牛は食べるようです。
○山口委員 肉骨粉を入れている期間のリスクはあるわけですね。
○血液対策課課長補佐 当時、英国の肉骨粉を使った牛が輸入されております。
○山口委員 気になるのはそこで、対応をどう考えるかですね。昔、ヨーロッパで、オランダだけで住んでいた女性の方からゴナドトロピンをとっていたケースがあって、その場合にはオランダからの製造をいずれやめるという話にしたと思うので、サウジアラビアに滞在されている方がどんなに多くいらっしゃるのか、ちょっと私はわからないんですけれども、多分そんなに多くない。
○半田委員長 ちょっと確認ですけれども、ゴナドトロピンとかのものは、いわゆるクラシカルCJDのパソジェンですね。今回はvCJDで、それによって潜伏期間は違う。
○山口委員 vCJDだったんです。
○半田委員長 vCJDですか。
 岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 オランダの例はvCJDですね。ですけれども、ゴナドトロピンの方もvCJDの関係で。
○山口委員 イギリス滞在歴がなくてvCJDだったんで、その時点でそんなにリスクは高くないだろうということで、現行の製剤は使えるけれども、いずれ切り替えてほしいという話に結論したと思います。
○岡田委員 オランダでは3例のvCJDが発生していますので、原料血としては使えないように制限はされています。
○山口委員 原料血ではなくて、ゴナドトロピンの方は尿由来です。
○半田委員長 そうですね。この辺に関しては、引き続き監視していかなくてはいけない非常に重要なポイントではないかと思います。
 岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 24番ですけれども、サウジアラビアはもう献血制限の対象になっています。2年ぐらい前の運営委員会か何かで、たしか既に追加されていると思います。
○半田委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○岡田委員 19、20、21、22と、すべてマダニが媒介する感染症ですね。日本にも21みたいにライム病が存在するわけですし、日本紅斑熱みたいに日本には存在しないと言われていたものが実は存在したということになると、供血者の中でマダニにかまれた人が来る可能性もあるんですけれども、普通日本人がダニと言うと、目に見えないような小さなものから大きなダニ、すべてを含めてダニと言うんですけれども、この疾患に関係するものは大きなものなんですね。吸血した場合ですけれども、1cmぐらいあるような大きなものです。
 ですので、特に山間部とか丘陵地帯ですと日本にもいるので、問診で聞くのはなかなか難しいと思いますけれども、そういう地域で献血する場合に、例えばダニの写真か何かを見せると、場合によっては刺されたという人がいるかもしれない。そういう人がいるのかなと思って、これは続けてあって、しかも頻度的には非常に少ないですけれども、無視はできないと思うので、地域的に問診で聞いてもいいのかなというのは感じています。
○半田委員長 日本赤十字社は何かコメントがあおりですか。
○田所経営会議委員 ほかの勉強も含めて、どう対応するかを検討させてください。
○半田委員長 日本の場合はツツガムシ病とかいろいろなものがあて、米国ではバベシア病はかなり重要な感染症になっているということもありますので、この辺も一つのポイントかなと思います。
 どうぞ。
○血液対策企画官 今のことで岡田先生に教えていただきたいんですけれども、もしダニにかまれた方がいらっしゃったときに、かまれた後、どのぐらい経てば献血しても大丈夫だと言えるか、その辺の知見はあるんでしょうか。
○岡田委員 それは難しい質問ですね。というのは、22番にあるバベシア病はWHOのリコメンドに、制限なく献血できないようになっているんです。だから、疾患によって違ってくると思います。
○半田委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局におかれましては、ただいまの種々のコメントを参考にしていただき、引き続き症例の集積をよろしくお願いいたしたいと思います。
 続きまして、資料4をご覧いただきたいと思います。追加ですが、XMRVに関する文献報告で、岡田委員の方から御説明をお願いいたします。
○岡田委員 XMRVは、前回の運営委員会のときに実験室内でのコンタミだということがほぼ確定されました。それに補足するような文献報告を6つセレクションしました。
 1は、昨年2月18日の運営委員会で紹介した論文ですけれども、XMRVが陽性となった検体は同時にマウスのDNAも陽性だったということを昨年紹介しました。その血漿の中にXMRVのエンベロープに対する抗体があるかどうかということを、高感度の検出計を用いて則手しました。そうしますと、慢性疲労症候群の方が112例、健常人の方が36例で、この中で2検体が陽性となりました。しかし、その2検体はgp70というエンベロープの1本の方に弱い反応を示して、ウエスタンブロットでは陰性だったということで、しかもこの2検体は同一の供血者であったということで、マウスのDNAのコンタミによってXMRV陽性となった血液も抗体は検出されなかったということで、抗体の方からもXMRVと慢性疲労症候群の関係を否定するような論文です。
 2、3です。今まで慢性疲労症候群とXMRVの関連を否定する論文が多かったんですけれども、一応このXMRVが発見された前立腺癌について確認している論文が2と3です。
 2は英国の55例の新鮮な前立腺組織と、日本とインドのパラフィン切片を用いた前立腺組織、あとはBリンパ腫組織からXMRVとマウス白血病ウイルスの遺伝子を検出しました。そうすると、インドの検体からXMRVの遺伝子が2例、マウスの白血病ウイルスが4例検出されましたけれども、これもすべてマウスの遺伝子も同時にあったということで、やはり陽性となる場合はマウスのDNAがコンタミしていたことが、これで明らかになりました。
 同時に英国の献血者を調べていまして、献血者540名とミニプールの400検体、これは1万9,200人の供血者に相当するんですけれども、これからXMRVの遺伝子及びマウス白血病の遺伝子を検出したけれども見つからなかったということで、英国においてはXMRVが感染している証拠はなかったということで、これも否定的な報告です。
 3も、前立腺癌の患者さん由来の血液を調べて、抗体と培養法によるウイルス検出、遺伝子をそれぞれ3つの方法でやって、すべて陰性だったという報告です。
 4が、中和活性を持つような抗体を見つけるような試験方法で、354人の献血者の血漿を用いて検査したところ、6.5%に何らかの中和活性が認められた。しかし、ウエスタンブロット法では検出できなかったし、感染性のウイルスの検出や遺伝子の検出はできなかったということで、感染を阻害するような抗体は、確かにそういう供血者はいるんですけれども、非特異的な機構によって阻害されたと判断されるということの論文です。
 5が、カナダは実際に慢性疲労症候群の既往歴を持つ方の献血を制限している国ですけれども、58人の慢性疲労症候群と健常人の血液を用いて、遺伝子の検出とウイルスの検出、抗体の検出をそれぞれ行いましたが、すべて陰性だったということから慢性疲労症候群とXMRVとの間には関係がないという報告です。
 6は、今までのいろいろな話をまとめた報告ですけれども、フランシス・ベーコンの考えを全面に出していまして、自然現象の理解はデータに基づいてなされるべきであって、現時点での自然現象の理解は進歩によって変わると示しているんですけれども、これに従ってXMRVについて話をしていまして、当初、前立腺癌や慢性疲労症候群の原因として発表されたけれども、30の追試によって科学的な再現性が得られなかった。更に、大規模な献血検体と供血者と受血者との関係、この前の運営委員会のScienceのペーパーのことを指しているんですけれども、そのような大規模な試験によっても因果関係が見つけられなかったし、XMRVそのものの遺伝子も見つからなかったということで、最終的には実験室由来のウイルスのコンタミだったという結果になったと言っています。
 それを受けて、Scienceの慢性疲労性症候群から67%が陽性になったという論文は、編集者によって取り下げとなりました。もう一つ、PNASにも同じような論文が掲載されていたんですけれども、これは調査団によって取り下げとなりました。ということで、今までの代表的な2つの論文の両方ともが信頼性に欠けるということで、取り下げとなったということです。
 NIHが研究資金を出している2つの大きなプロジェクト、1つが血液の大規模な調査ですけれども、それは陰性という結果です。もう一つが、典型的な慢性疲労症候群の患者さんからのXMRVの検出というグラントがあるんですけれども、その結果についてはまだ結論が出されていないということです。
 ということなので、この運営委員会としても最後の報告が出たら報告するとして、これ以上、文献を集めるのも意味がないのかなと思っています。ですから、皆さんがそのように御理解いただければと思っています。
○半田委員長 ありがとうございました。
 ただいまの岡田委員からの御報告ですが、一つコメントとしては、もうこれ以上は文献をフォローしなくてもいいのではないか。ただし、CFSの患者での最終的な検討結果はまだ出てないところもあります。
 まだ文献はどんどん出るんですか。いわゆるコメントとかコメンタリーは出るかもしれないけれども、実際はどうでしょう。
○岡田委員 臨床的な面からは出ないと思います。
○半田委員長 どうぞ
○血液対策課課長補佐 先ほど岡田先生がおっしゃっていたNIHのもう一個の方は、恐らく論文で出ると思います。トランスフュージョンで近々出るのではないかという話を伺いました。
○岡田委員 それは報告させていただきます
○半田委員長 そうですね。
 それでは、私ども運営委員会のウイルスに対する方針というのは特に変わりがないということでよろしいと思いますので、引き続き重要な文献等々があれば事務局におかれましてピックアップしてください。岡田先生に協力していただくということで、引き続きお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題3に行きたいと思います。「血液製剤に関する報告事項について」ということで、遡及調査の進捗状況とか副作用の報告等々、資料3-1を見ていただきたいと思います。
○血液対策課課長補佐 お手元の資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」でございます。4ページ目をご覧いただきまして、最近の状況でございます。この表の向かって一番右側でございますが、こちらが平成23年4月1日~11月30日までの報告となっております。
 調査の対象とした献血件数が1,640件、製剤の本数としては1,820本、それをさかのぼって個別の後を見てみますと陽性となったのが75件あったというもので、すべてHBVだったという報告でございます。
 これらについて医療機関での使用状況、また、受血者への感染状況等を確認したところ、陽転事例が6件であったということでございます。前回までの報告が4件でございましたので、今回は2件が増えたところでございます。
 続いて資料3-2でございますが、こちらは医療機関からの報告でございます。
 今回、劇症例、HIV感染など個票となる新規報告事例はございませんでした。
 2ページ目ですが、劇症事例で継続して調査している症例につきましても、新たな報告はございませんでした。
 次に全体をまとめました表が3ページでございますが、こちらは平成23年11月~12月までの感染症報告、疑い事例を含むものでございますけれども、全体で17例ございまして、B型肝炎が8例、C型肝炎が7例、HIVがゼロ、そのほかが2例というものでございます。
 B型肝炎でございますが、陽転事例が8例で、うち個別NAT陽性が4例ございました。劇症化、死亡事例はゼロでございます。C型肝炎は陽転事例が7件でございまして、個別NAT陽性はゼロ、劇症化、死亡事例はゼロでございます。HIVはすべてゼロ。その他で、B型肝炎、C型肝炎以外の肝障害、その他感染での無菌試験陽性事例、死亡事例はございませんでした。
 次に4ページ目でございますが、HBV感染に関する供血者陽性事例が8件ございます。
 まず一番上でございますが、2011年6月に献血者がスクリーニングNAT陽性となり、遡及したところ同年5月に献血をしておりまして、個別NAT陽性でございまして、その血小板が既に5月に輸血されておりまして、受血者を調査したところ陽転していたという事例でございます。
 その下の2つ目でございますが、こちらがやや複雑でございまして、この患者さんは2009年9月にFFPを投与されまして、その後、急性肝炎となって、2010年2月~3月に、こちらにございますとおりHBVのDNAが陽性となっております。その後、陰性化はしております。この事例は2010年2月の時点で、医療機関としては既にB型肝炎の感染を把握していたわけですが、実はFFPの投与を受けた医療機関は別の医療機関でございまして、FFPによる感染ということは疑わずに報告は上がってこなかったという事例でございます。
 このケースは、感染の原因となった献血者がその後何度か献血をしておりまして、2011年2月にスクリーニングNAT陽性となりまして遡及をしたところ、この事例が判明したというものです。
 また、同一献血者の血液で、このケース以外にも2010年2月に献血したもので製造されたFFPが2010年9月に投与されて、その後2011年1月にHBVのNAT陽性という結果になっておりまして、シークエンスもすべて一致している事例でございます。
 5ページ目でございますが、1つ目の症例については個別NAT陽性で、献血者と受血者とのシークエンスも1か所を除いてすべて一致しておりまして、2つ目の症例については個別NAT陽性で、献血者と受血者のシークエンスはすべて一致していた事例でございます。
 6ページ目からは保管検体が陰性のケースでございます。
 7ページ目の下の方からがC型肝炎ウイルスの陽転化事例でございますが、保管検体が陽性となった事例はございませんでした。
 9ページ目の真ん中辺り、サイトメガロウイルス感染でございますが、2011年9月21日に双胎間輸血症候群の双胎第1子の方を妊娠23週5日で出生しまして、2011年9月22日~10月11日までFFP、血小板、赤血球の輸血を受けております。輸血前のCMV関連マーカーは不明でございまして、輸血後に陽性として報告されたものでございます。日赤の調査の結果、患者の輸血前検体は存在せず、輸血後の患者のHMVのIgM抗体が陽性でございまして、献血者の保管検体はすべてCMV、DNA陰性、IgM、CMV抗体陰性、IgG、CMV抗体が陽性だったという結果でございます。
 続いて10ページでございますが、北海道管内で行われている試行的なHEVのプールNATの実施状況でございます。今のところ、8,363分の1程度の陽性があるというものでございます。
 資料3-1、3-2については以上でございます。
○半田委員長 ありがとうございました。
 資料3-1遡及調査、3-2の医療機関からの感染症報告、今の御報告に関しまして御意見・コメント等はおありでしょうか。
 岡田委員。
○岡田委員 B型肝炎が感染した4例です。保存検体からも陽性になった4症例はドナーのHBc抗体はどうなのでしょうか。要するに、これは残念ながら防ぐことはできませんでしたけれども、今度日赤が導入するHBc抗体がすべてネガティブの基準が変われば、この症例は防げたかどうかということを知りたいと思います。
○半田委員長 日本赤十字社、どうぞ
○日野副本部長 今の資料3-2の4、5ページになるかと思いますけれども、4症例の中で一番左側に日赤の番号があります。例えば4ページの一番上であれば、3-1100077という番号がありますけれども、その番号のうち77と92の症例については、いずれも新規感染になりますので、4症例のうちの2症例は感染既往になりますから、今後私たち日赤が実施しようとしている既往感染の排除については、これらの症例が予防できると思います。
○半田委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 遡及調査に関して、日本赤十字社の方から追加の御報告とかはございますか。大丈夫でしょうか。
 ありがとうございます。ないようですので、ただいまの御意見等々を参考にしていただいて、事務局、日本赤十字社で引き続き調査をお願いしたいと思います。
 それでは、続きまして事務局の方から資料3-3の御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 資料3-3をご覧いただければと思います。
 平成23年1月~12月の献血者数におけるHIV陽性件数でございますが、向かって右側の一番下の部分でございますが、10万件当たり1.695、少し左側で陽性件数が89件となっております。89件のうち女性が8件、核酸増幅検査のみにおける陽性件数は3件でございます。
 前年同期の陽性件数は86件でございまして、前年比では3件ほど増加しておりますが、去年の第1四半期で相当高い数字でしたので、その後は何とか前年ベースに戻していったということでございます。
 続いて2ページ目でございます。陽性者数を年齢別に示したものでございますが、この資料は昭和61年からの累計値になっております。20~30代の日本人男性が全体の7割を占めております。今年の陽性者についても、1~12月までの89件の報告のうち65件が20代、30代の日本人男性となっております。
 3ページ目でございますが、都道府県別の陽性者数でございます。1~12月までに27の自治体からの陽性者の報告がございました。今期10~12月の報告分を都道府県別に見てみますと、東京が3件で前年同期が5件、大阪が4件で前年同期は7件と、どちらも対前年で減少しております。
 次のページでございますが、陽性者数をブロック別に見ますと、10万件当たりの陽性者数は東海、近畿、四国、九州・沖縄ブロックで、前年と比べて増加となっております。
 5ページ目でございますが、平成19年~23年の1~9月にかけての年齢別の陽性割合を示したものでございます。1四半期前までのデータでございますが、23年の1~9月につきましては、16~19歳が1件、20代が30件、30代が28件、40代が6件、50代以上が5件という構成になっております。合計70件のうち20代と30代の合計が58件ということで、全体の約8割を占めております。
 最後のページでございます。こちらも1四半期前のデータでございますが、23年の1~9月までの10万人当たりの男女別の陽性者数の年次推移でございます。前年に比べて四半期前までは男女ともに増加しております。
 資料3-3は以上でございます。
○半田委員長 ありがとうございました。
 ただいまの御報告に対しまして、御質問・御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。引き続き日本赤十字社、事務局に情報の収集をお願いしたいと思います。
 それでは、議題4「日本赤十字社からの報告事項について」ということで、追加資料1「血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入準備の進捗状況について」ということで、日本赤十字社から説明をお願いします。
○日野副本部長 それでは、御説明いたします。
 血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入準備についてということで、今、日赤ではリボフラビンを主体にして導入の準備をしているところですけれども、その間にも海外の情報を収集しなさいという本委員会での話もありましたので、本日は1が欧州における導入状況について、もう一つの2が海外で実施中の主な臨床試験についてということと、3つ目は、今、準備しておりますけれども、日赤における検討状況ということについて簡単に御説明したいと思います。
 1ページに戻っていただいて「1.欧州における導入状況について」です。初めにリボフラビン法のMirasolになりますけれども、黄色だけの四角で書いてあるものは血小板が導入されているものです。緑と黄色の2色になっているところが、血小板と新鮮凍結血漿にその技術を導入している国々でございます。
 現在欧州を中心に16か国で、血小板製剤についてリボフラビン法がルーチンで使用されておりますけれども、そのうち10か国では血漿も処理されている状況があります。ベルギーについては北と南で導入している技法が違うんですけれども、北部についてはリボフラビンを導入することになっていまして、現在、低減化処理のキットの仕様が変更されることがあって、それを待って本年の夏ごろには再開する予定という情報が入っております。
 このうちの数か国では、低減化血小板製剤の市販後調査が実施中でありますけれども、次のページを見ていただいて、現時点において日赤に入っている情報では低減化処理の血小板等において重篤な副作用が発生したという報告は受けておりません。
 例えばその表にMIRACLE trialとありますけれども、一番上のものがコントロールになりまして、Mirasolのグループの方が実際に不活化処理した血小板です。それぞれ少し数は少ないですが、コントロールが160、Mirasolの方が175ということで、それに対して右側の方のAdverce eventsと書いてあるものが有害事象でして、それぞれ上が3件、2件発生したという状況があります。
 上の3件につきましてはコントロールになりますけれども、発生のイベントはアナフィラキシーショックとか眼瞼の浮腫というもの、あとは過敏症があったということで、下のMirasolの方はPC輸血に対する不応状況というイベントがあったということです。
 ポーランドにおきましては4,328件が使われておりますけれども、12のイベントがありまして、現時点ではまた詳細についてとれてないんですが、グレード?ということで軽度のイベントがあったという報告を受けております。
 ?のアモトサレンにつきましては、表にありますように15か国が書いてありますけれども、これにプラスして最近はイスラエルにおいても、アモトサレンの血小板と血漿を承認したとのプレスリリースがあったという報告を受けております。
 次の3ページを見ていただきたいんですけれども、15か国でアモトサレン法がルーチンで使用されており、そのうち14か国では血小板も処理されております。これらの国のうちスイスにおいては昨年になりますけれども、11月にすべての血液センターにおいて、アモトサレン法で処理した血小板製剤の製造を開始したという情報がありました。
 また、フランス本土では、血小板は1センターのみで変化はないということですけれども、メチレンブルーという不活化法がありまして、メチレンブルーで処理した血漿についてヘモビジランスの結果、AFSSAPSという安全庁があるんですけれども、そこでアレルギーの発生頻度が通常の血漿と比較して高いという勧告がありまして、現在は血漿にアモトサレン法を導入するセンターが増えているということらしいです。
 一方、ドイツではアモトサレン法処理血小板製剤が早い段階で承認された事実はありますけれども、現時点で血小板製剤がルーチンで使用されているセンターはないようです。
 次の2ですけれども、実施中の主な臨床試験ということで、今、かなり大規模な治験が2つ行われております。
 一つは「PREPARES」という治験名になっておりますけれども、オランダのSanquin財団を主体としてオランダとノルウェー、カナダで実施されている全血採血由来のリボフラビンの血小板と、通常の血小板製剤のランダム試験が行われていますということと、イタリアにおきましては「IPTAS」という名称で、血小板の添加液をPASと言いますが、アモトサレン法で処理した血小板製剤と通常の血小板との比較試験ということで、現在実施されているということがあります。
 日赤においては、今後2つの試験が実施されて結果が出るということがありますので、これらの試験の動向を注視しているということです。
 次のページは日赤の状況になります。?のリボフラビン法につきましては、CaridianBCT社がテルモ社に買収されてTerumoBCT社となったことにより、テルモ社の有する安全性部門と研究開発部門の協力を得ることができるようになりまして、現在その承認申請に必要となるフランスのAFSSAPSに提出された、安全性に関するデータの整理を依頼しております。
 日赤においては、製剤としての規格や品質について決定するための試験を実施しておりますけれども、22年3月、1年前に本委員会に報告した凝集塊の発生という問題が少し残っておりまして、それがいまだに解決できていないという状況があります。日赤の検討では、かなりの確率で凝集塊が発生するということがありますけれども、海外諸国ではそういった凝集塊の発生がないという報告も受けております。現在、TerumoBCT社と密接に連絡をとりながら解決策を探っているところです。
 もう一つは、新興再興対策としてウエストナイルの低減化について検討しておりましたけれども、日赤のデータとTerumoBCT社のデータに乖離があるということが明らかになりまして、その乖離の原因を特定するため、ウエストナイルの株について低減化率を測定した結果、細菌でも同じようなことが発生しておりますけれども、使用した株によって低減化率に差が生じることが明らかになりました。
 下の表ですけれども、ヒトから分離されたUganda1937株に対しては十分な低減化効果を得ることが再確認されたということで、下の表を見ますと、一番左側がアメリカのCDCで、使った株がニューヨーク株のFlamingoです。真ん中が、外部に委託した試験機関での結果でUganda1937です。一番右側が大学でやられたもので、ニューヨーク株で鳥です。
 ということで、FlamingoにしてもUganda株はいずれもヒト由来の株になるんですけれども、そういったものに関してはある程度の低減化効果が見られるんだろうということがありました。
 最後になりますけれども、アモトサレン法につきましては、BioOne社が清算されたため、現在はCerusと直接情報の交換を行っております。アモトサレン法の処理キットには、日本における需要の8割以上を占める血小板の10単位製剤の規格に合うものがなく、アモトサレンの吸着除去処理に長時間を要することから、現在の処理キットを日本に導入することは困難なため、10単位製剤に最適化したキットの開発について検討したいという旨の話がありました。
 4の今後の予定につきましては前回もお示ししたところですけれども、今回お話したような状況で、うまくいけば機構と相談し、平成25年度には治験の申請をして、その後、治験を実施する形で考えていますという御報告でした。
○半田委員長 ありがとうございました。非常に詳細に、丁寧に御報告いただきました。
 委員の方々からいかがでしょうか。山口先生。
○山口委員 ウエストナイルの結果に株ごとに乖離があるというお話で、ちょっと確認したいんですけれども、NY-99というストレーンだと、アプライしたタイターは十分高いのにこれだけ低いということなんでしょうか。
○日野副本部長 はい
○山口委員 多分Uganda株と同じように5~6ぐらいのタイターがあるのに、1.5しか不活化されないということになるわけですね。
○日野副本部長 はい
○山口委員 わかりました。気になるのは、凝集塊が出るという問題が解決されていないのと、株によって不活化に差が出てきてしまうとすると、今後開発していくときにどういうターゲットを絞っていくか。要するに、全例に入れるという話なのか、例えばパンデミック時に導入するとか、パンデミックでなくても緊急時に導入するという方針での開発をされるのかということによって、この辺のデータの使い方が随分違ってくるような気がするんです。
○田所経営会議委員 この結果では、人に感染した例については一応効果があったという結果でした。今後一挙に入れるのかという問題については、諸外国においてもすべてのところで入れているのは、今のところスイスと、ベルギーが今年じゅうに入れる予定にしているという段階で、長年入れているフランスもずっと1県のみで入れて、その状況を見て対応しようという考え方だと思いますので、今後の結果にもよるとは思いますが、通常の検査だと製剤に何ら影響はないわけですけれども、こういう具合に製剤そのものを処理した場合には製剤への影響もある。そこを踏まえた技術として入れておく。活用可能なものについては使うという考え方を、今後世界的な治験も踏まえながら対応していった方がいいのかなと考えています。
○山口委員 ありがとう
 安全性の問題というか、申請するときもそういう問題が出てくるような気がするんですね。緊急時の対応はあり得るだろうと私は思っているんですけれども、このデータからルーチンでやることはなかなか難しいのかなという気がしています。
○半田委員長 岡田委員。
○岡田委員 4ページのウエストナイルの不活化の差があるというデータですけれども、まずやっているところが3か所で、しかもその方法が違う。この方法が違うことがリダクションレベルにどの程度の影響を与えているか。同じ施設で同じ方法でやって差が出るんだったらかなり差があると思うんですけれども、場所も違えば方法も違うとなると、これを本当にこのまま信用していいのかというのが疑問として残ります。
○半田委員長 コメントをどうぞ。
○田所経営会議委員 我々がやって一番低かった例があったわけですけれども、これについて低い、BCT社からは高いというのがあって、その食い違いがお互いの技術問題があるかということで問題になりまして、同じウイルスを使うと、我々が低いと提示したものについては向こうも低い、不活化がよくできるといったものについては再度確認してもできるということが確認されたので、技術的には確認されています。
 あと、ウイルスのある遺伝子のCG比によって、この結果が出ているということもわかってはいます。
○半田委員長 よろしいでしょうか。
 大平委員、どうぞ。
○大平委員 素朴な質問ですけれども、今日出ているデータはメーカーから得た情報が多いだろうと思うんです。3ページの上の方にまとめてあるんですが、15か国でルーチンで使用されているといった内容で、結構使われているという形で報告されているんですけれども、日赤経由の血液センターというか、日赤に関係する血液センターがあるんだろうと思いますけれども、全体としましてそういったところの情報はこういうところに反映してないんでしょうか。
 あと、先ほど御説明がありましたけれども、今、すべてやっているところではなくて、すべてやっているのはごく限られたところですが、どのぐらいのパーセンテージで実施されていて、それが伸びているのかどうかということとか、日赤独自の調査はされているんでしょうか。
 ちょっとそこを教えていただきたいんです。
○半田委員長 いかがでしょうか。
○田所経営会議委員 どの国にどの程度導入されているかということについては、日赤が全世界に依頼して情報を集めているわけではありません。一部Asia Pacific Blood Networkとか、血液製剤を扱っている団体で結びつきのあるところについては、どうしているかという情報は集めております。ただ、ランダムに情報を集めているということではありません。
○半田委員長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 ちょっと伺いたかったのは、例えばフランスとかは赤十字のネットワークが広いだろうと思うんです。そういったところで向こう側の赤十字とこちらの日赤で、不活化導入に関していろいろと情報交換があると思うんですけれども、そういったところは反映しているのかしてないのか、今、検討している中での話なのか、それともまだ全然タッチしてないのか。
 それから、日赤で広範に治験とか申請をしていくところでは、今後、日赤独自でメーカーサイドに頼らないで調査するとか、そういう計画とかはないんでしょうか。
○半田委員長 いかがでしょうか。
○田所経営会議委員 既に導入している国あるいは導入しようとしてやめた国等については、直接お会いして意見を聞いたりはしております。例えばドイツは以前にアモトサレンを入れることにしたわけですけれども、現状では使ってない。どうする予定ですかということについては問い合わせて、血小板の細菌については、自分たちは不活化というよりNATによる検出をやる予定で考えておるというお答えをいただいたり、ベルギーとか導入されようとしているところについては、直接見に行ったりもしております。ですから、直接的に御意見等も一応お伺いしておりますけれども、今回の資料についてはそれぞれのメーカーに調べていただいたデータを出しています。
○半田委員長 どうぞ。
○大平委員 今後、そういった検討されたデータですとか聴取したところを、表にしてでも提示していただきたいと思います。
○半田委員長 よろしいでしょうか。例えば第三者的な調査ということでは、血液製剤調査機構が時々いろいろな血液センターに行かれているとか、そういうこともありますので、そういうところの情報も入れていただいて、また、継続的に御報告願いたいと思うんですが、非常に公正公平な情報というか、そういうものがいただければと思います。
 事務局の方から、何かコメントはありますか。
○血液対策課課長補佐 不活化の情報については国としても、例えば導入している政府機関に紹介させていただくとか、過去にもやってきたわけですが、適宜把握したいと思っております。また、例えば欧州で導入されている国が非常に多いと思いますけれども、EDQMとか、去年も岡田委員に行っていただきましたが、例えば国からも行って情報収集をするとか、いろいろな取組みをしていきたいと思っております。情報が入りましたら、また適宜、運営委員会に報告させていただくようにしたいと思っています。
○半田委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。それでは、手短に。
○岡田委員 5ページに今後の予定ということで、治験の予定も組み込まれているんですけれども、リボフラビンの導入の一番の目的は、血小板のバクテリアの感染防止というのがメインだと思うんですけれども、例えば欧州の実情とかを見ていますと、全血由来の血小板製剤をつくっているので、どうしても10単位つくると、5人とか10人ぐらいのドナーの血小板を集めなくてはいけないという事情があって、不活化ということが必要だということで、導入している国が多いんですけれども、日本においても、今はフェレーシスで全部カバーしていますが、将来的に献血人口が減って、フェレーシスだけでは血小板の供給が維持できないとか、今回の東日本の大災害のときに、幸い血小板は不足しませんでしたけれども、フェレーシスからでは必要量が確保できない場合に、場合によっては一時しのぎでもいいですけれども、全血からとらざるを得ない状況が出たときのためにも、不活化というのは必要かなと考えています。
 そうなると、治験をやるときにフェレーシスからとった血小板を処理するだけではなくて、全血からも血小板をつくれるような申請をしていただけると幅が広いので、将来的にいろいろなことがあったときに、ゼロからスタートするよりも、ある程度承認をとっているところからスタートということで非常に効果的かなと思うので、同じ申請をするんだったら全血からも作るという申請だけでもしていただきたいと、委員として希望します。
○半田委員長 よろしいでしょうか。非常に有益なコメントをいろいろいただきましたので、引き続き日本赤十字社、事務局におかれましては御検討をお願いしたいと思います。
 それでは、次に資料5、フィブリノゲンに関する報告事項についてということで、事務局から御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 それでは、資料5「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」という資料をご覧いただきます。1枚めくっていただきまして「2 主な調査結果」でございますが、投与の事実が確認できた医療機関数でございます。(3)のところに合計というのがございますが、前回までの報告では医療機関数が1,021だったのが、今回は1,024施設になっております。元患者数は1万4,693だったのが1万4,786となっております。
 (4)元患者の方への投与の事実のお知らせ状況をご覧いただきます。「お知らせした」が前回までは8,733人であったものが、今回は8,762人になっております。「お知らせをしていない」は前回までが5,960人、今回は6,024人となっております。理由はそれぞれお示しさせていただいているとおりでございます。
 本資料については、以上でございます。
○半田委員長 ありがとうございました。
 何か御意見等々はおありでしょうか。よろしいでしょうか。
 続きまして、追加資料2について、ヒト血清アルブミンに関する報告ということで、バクスター社より御説明願いたいと思います。参考人として久保田研二さん、よろしくお願いします。
○久保田参考人 バクスター株式会社品質保証部の久保田といいます。今日は、お時間をいただきましてありがとうございます。
 第2回の本委員会で、弊社のアルブミン5%製剤が欠品になるということを御報告させていただきました。この問題に関しましては対応策をとりまして、供給再開が可能な状態に至ったのでございますが、その後、アルブミン製剤を製造しておりますロサンゼルス工場におきまして実施しました、培地充填試験にて陽性反応が認められましたため、一旦製造を停止いたしまして、この調査とそれに対する措置をいたしますということで、アルブミンの25%製剤の方が、日本への供給が一時的に中断されることとなりました。
 この件に関しましては、本年初めに医療機関様及び特約店様に御連絡いたしまして、御対応をお願いいたした次第でございます。
 一方、5%製剤につきましては、当初はこの件に関係なく新たなロットを1月末に出荷できる予定でございましたけれども、これらのロットの製造時期が、培地充填試験に陽性反応が見られた時期と近い時期に製造しておりましたので、これらのロットの出荷についても、もう一度データ等を調査いたしまして、出荷判定をした方がよいということで、現在これらのロットについては出荷を保留しております。
 それに伴いまして、弊社の在庫が本年1月末までしか確保できない状況になりました。そのため、急遽医療機関様及び特約店様に御連絡し、弊社の製品から代替製品への切り替えを御検討いただくようお願いいたしました次第でございます。
 また、同様に4.4%製剤につきましても上述のような対応をとっておりますため、本年6月以降の供給に問題が生じる見込みとなっております。これにつきましては、3月上旬に医療機関様及び特約店様に、5%及び25%製剤同様の御案内をすることに至りまして、この御案内をさせていただいたところでございます。
 この問題につきまして、引き続き海外工場などから情報を収集しまして、ただいま出荷可否につきまして厚生労働省様及び関係部署様と協議を重ねております。今年の1月になりますけれども、この製造工場の責任者と医薬品医療機器総合機構様の方に訪問させていただきまして、この経緯を説明させていただきました。その際の照会事項に基づきまして、本件に関する報告書を先月中旬に提出させていただきました。これに基づきまして、今、PMDA様におきまして、ロットの出荷可否について協議いたしておるところでございます。
 以上が状況になります。
○半田委員長 ありがとうございました。
 委員の方、御質問あるいは御意見等々はおありでしょうか。花井委員。
○花井委員 ありがとうございます。
 今、工場のラインはまだとまっているという理解でいいですか。
○久保田参考人 日本向けはとまっております。
○花井委員 陽性結果が出たことは確認して、そちらの方は解決をした。あとは供給が元のように戻るまでに時間がかかっているという理解でよろしいですか。
○久保田参考人 原因を特定いたしまして、その対策をとっております。その内容につきまして、今、厚生労働省様と協議をしておりまして、その協議結果によりまして製造を開始するかどうかということになっております。
○花井委員 わかりました。
○半田委員長 ほかにいかがでしょうか。
 実際これは需要と供給というバランスから言うと、医療現場に大きな影響は及ぼしてないと考えてよろしいですね。
○久保田参考人 はい。日赤様を初めとしまして、他社様の供給に協力いたすところが大きいですけれども、現場におきましては影響がないと聞いております。
○半田委員長 よろしいでしょうか。
 大平委員、どうぞ。
○大平委員 今、協議している段階ということですが、厚労省としての対応というんでしょうか、代替製剤とかは十分確保されているという現状と理解してよろしいんでしょうか。
○血液対策企画官 一応、私どもの方から代替製剤を供給されているところに安定供給をお願いしておりますので、現状、安定供給には問題がないと理解しております。
○半田委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、バクスター社におかれましては、早く製造が再開されるように御努力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 以上が用意された議題ですが、委員の方々、何かこれ以外にございますか。特にございませんでしょうか。
 それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思います。次回の日程につきましては、また事務局の方から後ほど御連絡があると思いますのでよろしくお願いします。御多忙の中、ありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局血液対策課 課長補佐 伯野(内線2905)

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