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2012年6月12日 第2回小児がん医療・支援のあり方に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年6月12日(火)


○場所

全国都市会館3階 第2会議室
(東京都千代田区平河町2-4-2)


○議題

(1)「がん対策推進基本計画」の閣議決定について(報告)
(2)小児がん拠点病院(仮称)の要件
(3)小児がん医療・支援の中核的な機関のあり方について
(4)その他 

○議事

出席構成員:天野構成員、小俣構成員、垣添座長、田口構成員、三浦構成員、水谷構成員
参考人:竹股参考人、経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課

○がん対策・健康増進課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回「小児がん医療・支援のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本日は第2回目ということで、3名の方からの意見聴取の後、小児がん拠点病院の要件、そして、その中核的な機関に求められる機能につきまして、より深い議論をいただきたいと考えております。
 なお、本日、邉見公雄構成員と道永麻里構成員におかれましては、御都合により御欠席との連絡を受けてございます。
 また、本日は意見聴取ということで、公益社団法人日本看護協会看護研修学校長の竹股喜代子様、もう一方、経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課課長補佐の井上美樹代様にそれぞれ御出席いただいているところでございます。
 それでは、まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の資料をごらんください。
 座席表
 議事次第
 資料1 「がん対策推進基本計画(平成24年6月)」
 資料2 「小児がん医療のあるべき姿~CLSの視点から~(三浦構成員提出資料)」
 資料3 「小児がん拠点病院における看護の役割と求められる要件(竹股参考人提出資料)」
 資料4 「経済産業省における小児がん長期ケア事業について(井上参考人提出資料)」
 資料5 「小児がん拠点病院(仮称)を考える際の論点」
 資料6 「小児がん拠点病院(仮称)のあり方(案)」
 参考資料としましては、1から6までそれぞれお手元に置かせていただいておりますけれども、万一不足等ございましたらお申し出いただければと思いますが、ございませんでしょうか。
 それでは、以後の進行につきましては、垣添座長によろしくお願い申し上げます。
○垣添座長 こんにちは。お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。御承知のように、この会は予算との関係でかなりタイトなスケジュールで検討しておりますけれども、内容は、今お話がありましたように、拠点病院(仮称)の要件、あるいは基幹施設の在り方の検討が中心になると思います。本日もよろしくお願い申し上げます。
 まず、皆さん御承知のように、先日、6月8日に次期、後半5年のがん対策推進基本計画が閣議決定されたということですので、その内容について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1の「がん対策推進基本計画(平成24年6月)」について御説明させていただきたいと思います。
 まず、がん対策推進基本計画でございますが、これは平成18年に成立しました、がん対策基本法に基づいて政府が策定しているものでございまして、初回は平成19年6月に策定され、これに基づいて5年間、がん対策に取り組んでまいりました。
 今回、前基本計画の策定から5年が経過したということで、新たな課題も明らかになっていることから、見直しの作業を平成22年10月からがん対策推進協議会において開始いたしまして、協議会の下に小児がん、緩和ケア、がん研究の3つの部門を重点的に議論するため委員会を設置して、計40回の議論を経て、平成24年3月1日にがん対策推進協議会に諮問を行って、同日に答申を受けました。
 その後、3月2日から1か月間パブリックコメントを行いまして、その後、各省協議を経て、6月8日に閣議決定されたものが、今日お手元に配付させていただいているものです。
 その中で、小児がんのところについてですが、お手元の資料の5ページ目ですけれども、前回も御紹介させていただいて、内容は特段変更はないのですが、5ページ目の4番に「働く世代や小児へのがん対策の充実」を重点的に取り組むべき課題の中に掲げております。
 4番の中の4段落目ですが、「小児についても、がんは病死原因の第1位であり、大きな問題である。医療機関や療育・教育環境の整備、相談支援や情報提供の充実などが求められており、小児がん対策についても充実を図ることが必要である」という記載を入れております。
 その後、分野別施策が続くのですけれども、小児がんについては29ページに記載しておりまして、30ページに取り組むべき施策を羅列しております。この検討会で、今、検討を進めている拠点病院の話が取り組むべき施策の中の1つ目に掲げられております。それから、2段落目で地域の医療機関との連携、あるいは3段落目が長期フォローアップの問題、そして4段落目で、これもこの検討会において議論することとされている「中核的な機関のあり方について検討し整備を開始する」という記載がされております。
 そして、個別目標ですけれども、「小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し、5年以内に、小児がん拠点病院を整備し、小児がんの中核的な機関の整備を開始することを目標とする」とされております。
 ほかにも多くはがんの医療であるとか、予防、早期発見などさまざまなことについての記載をされているので、是非お時間のあるときに御一読いただければと思います。
 厚生労働省としても、政府全体としてですが、このがん対策推進基本計画に基づいて平成28年度までこの基本計画に基づいてがん対策に取り組んでいくこととしております。
 簡単ですが、説明は以上です。
○健康局長 垣添前会長には、この見直しにいろいろ御尽力いただき、まことにありがとうございました。この場で御礼申し上げます。
○垣添座長 無事閣議決定されて本当にうれしく思っています。ただいまの御説明に関して、何か御発言あるいは御意見がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。とにかく、今後5年、この基本計画に沿って進みますので、それがほぼ修正なく承認されたというのは大変ありがたいことだと思っていますので、引き続き注視してまいりましょう。
 では、次に、本日は小児がん医療について、これから日本でも小児医療に必要不可欠となってくるであろうチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の視点からということで、三浦構成員より資料2について説明をよろしくお願い申し上げます。
○三浦構成員 聖路加国際病院のチャイルド・ライフ・スペシャリストの三浦です。よろしくお願いします。
 今日は、小児がん医療のあるべき姿というものを、チャイルド・ライフ・スペシャリストの視点からということでお話しさせていただきたいと思います。
 まず初めに、チャイルド・ライフ・プログラムというものをまだ御存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に御説明だけさせていただきます。
 チャイルド・ライフ・プログラムとは、北米で実践されている医療環境における子どもと家族を支援する活動です。専門資格を得たチャイルド・ライフ・スペシャリストという者たちで実践されています。アメリカでは、病院に限らず歯医者さんやホスピス、または家庭裁判所や虐待児を一時的に保護するような施設でもCLSが配置されています。
 続いて、チャイルド・ライフの歴史ですけれども、もともとプレイレディーといって遊びを提供してくれるボランティアのお姉さんたちが、病院で子どもたちに遊びは必要なのだということで配属されていたものが始まりとなりました。
 1955年、医師の呼びかけによって、エマ・プランクという方が初めて、ボランティアというものではなくちゃんとしたプログラムとしてチャイルド・ライフというものをつくろうということでプログラムが始まりました。
 徐々に病院における子どもたちの療養環境の大切さ、遊びがどれだけ大切かということ、そういったサポートをする人がとても必要だということでどんどん人数も増えまして、もともとAssociation for the Well-Being of Hospitalized Children and their Families(病院における子どもと家族のケア協会)という団体から、もうちょっと専門的な勉強会をつくろうということでチャイルド・ライフに特化したグループができまして、それが後にChild Life Councilという学会になります。
 2000年に入ると、アメリカ小児科学会でもチャイルド・ライフ・プログラムは小児医療ではなくてはならないものということまで言われています。
 アメリカでは、現在、470か所以上でそのようなプログラムが行われているということです。
 それに対して、今の日本の状況ですけれども、2011年の情報ですが、26人のチャイルド・ライフ・スペシャリストが日本で活躍しています。この中で常勤は片手で数えられるほどのものでして、ほとんどの人たちは非常勤というような勤務状態で働いています。保育士さんは医療保険制度で加算がつくようになりまして人数も増えたというふうにお聞きしているのですけれども、チャイルド・ライフ・スペシャリストやイギリスのホスピタル・プレイ・スペシャリストというものは、その加算が取れないので、やはり年に1人、2人増えるぐらいの状況です。是非似ているチャイルド・ライフやホスピタル・プレイ・スペシャリストといった職種もそういった制度に絡んでこられるようになればいいと思っているところです。
 続いて、一般的な小児病棟におけるチャイルド・ライフ・スペシャリストの業務ですけれども、これらの資料にあるとおりのものをしています。子どもに合った遊びの材料と指針の提供というのは、プレイルームを整備したり、必ず発達段階に合ったおもちゃをそろえたり、プレイルームに来られない子たちにはベッドサイドに回って遊びの提供をするといったことを行っています。
 検査・処置前のプリパレーションというのは、お子さんに検査とか処置の前に心の準備ができるように、子どもがわかりやすいように説明をしてあげたり、自分の力で乗り越えていけるようなサポートをしたりということを行っています。それが処置とか検査の前にやるプリパレーションというものですけれども、処置とか検査の最中も子どものそばに立って、なるべく怖くないように気を紛らわせてあげたり、今何をしているのだよということを実況してあげながら、子どもにわかりやすいように、なるべく怖くないようにという処置中のサポートも行っています。
 子どもと家族の情緒的支援というのは、お子さんを抱える御家族もいろいろな悩みや兄弟の問題などもありますので、そういったものの相談に乗ったり、ここはソーシャルワーカーや保育士等も同じようなことをしていると思うのですけれども、お話に傾聴したり、時には家族にもプリパレーションをしています。
 お子さんの視点を尊重するようスタッフとのコミュニケーションをとるというのは、子どもはなかなか自分の思いとか感情を大人のように上手に話せなかったりするので、特に医療者には萎縮してうまく話せなかったり、気持ちを伝えられなかったりということがありますので、そういったところの子どもの気持ちをくみ取って、それをうまくスタッフ等に還元してかけ橋となるような役割をしています。
 あとは、子どもと家族を受け入れられる環境の維持です。なるべく怖いものがないような環境づくり、あとは面会の札の一つにしても、例えば10時から5時以外は面会できませんというふうに書くよりも、10時から5時の間は面会できますというふうに言い方の問題なのですけれども、そういった一つのポスターだけでも親御さんにとって、家族にとって、その雰囲気が醸し出す優しさというのが違ってきますので、そういったものを注意したり、プレイルームの整備ですとか、廊下や処置室が怖くないように環境整備を行うということをしています。
 現在、聖路加国際病院では、このような方々へのサポートをしています。4年前から厚生労働省の科研で子育て世代の患者さんをサポートというプログラムが始まっていて、特にもともとは乳がん患者さんでお子さんがいらっしゃる方へのサポートを始めたというところもあって、今は成人患者さんのお子さんもサポートの対象とさせていただいています。
 小児病棟に入院中のお子さんとご家族、または、時々、小児病棟ではなく集中治療室であったり、小児病棟ではない他科の病棟に入院されるお子さんもいますので、そういったところに出向いてお子さんへのケアも行っています。
 入院治療を終えて外来治療になったお子さんや御家族へのサポートも行っています。
 日本には保育士さんですとか、チャイルド・ライフ・スペシャリストのほかにも、イギリスの似たような資格であるホスピタル・プレイ・スペシャリストというもの、あとは最近日本でも新しくできた子ども療養支援士という資格、それと臨床心理士さんという人たちもいますので、役割分担ではないですけれども、どこからどこまでが担当なのかというのがなかなかわかりにくいと思いましたので、私が考えるそれぞれのカバーする範囲というものを図にしてみました。
 真ん中の「子どもの『こころ』の健康度」というのが左に行けば心の健康度が高いということで、右に行くにつれて心が病気になってしまうという図なのですけれども、臨床心理士さんは、健康な子から心が病んでしまった子までのケアができると思うのです。保育士さんは、どちらかというと子どもの健康な部分に焦点を当ててかかわりを持っているのではないかと思っています。チャイルド・ライフ・スペシャリスト、ホスピタル・プレイ・スペシャリスト、子ども療養支援士というのは、保育士さんの役割も兼ねながら、あとは子どもの心が健康から病気にならないように予防的に介入したいというところで、間のファジーなところにうまくかかわれるのではないかと思っています。心が病んでしまったお子さんに対しても、小児を専門に診ている精神科の先生ですとか心理士さんと協働して、うまくかかわってあげられるかということを考えています。
 聖路加に来る前は、チャイルド・ライフ・スペシャリストの私しかいなくて、保育士さんも心理士さんもいない病院だったのですけれども、聖路加に来てから、保育士さんや心理士さんがいる中で、どのように自分が動けばいいのかというところをすごく心配した点があったのですけれども、協働して動いてみると、やはりいろいろな職種がいるいい点が見えてきましたので、そこをお話しさせていただきたいと思います。
 聖路加の小児病棟では、先ほど述べましたように、環境改善をしたり、プリパレーションをしたり、病棟に入れない兄弟をロビーで見ていたり、プレイルームやベッドサイドでの遊びの提供、行事やイベントのお手伝い、カンファレンスなどでの情報交換などさまざまな役割があるのですけれども、勿論これは私一人でできるものではありませんので、コメディカルの協働が必要というふうに考えています。
 聖路加では、2012年4月に子ども医療支援室という部署ができまして、そこにはメンタルヘルスを担当している小児科医を筆頭に、保育士が2名、心理士も2名、チャイルド・ライフ・スペシャリストが1名という構成で新たな部署がつくられました。これは、病院全体の中ではコメディカル部というものの中に配属されています。
 それでもなかなかわかりにくいと思いますので、ある仮想の事例でそれぞれがどんなことをしているかというのを御説明させていただきたいと思います。
 事例A君のかかわりを例に。A君は3歳の男の子で、急性リンパ性白血病のため入院してきました。入院当初から状態が非常に重く、当初はCCMと呼ばれる集中治療室で治療を受けていました。その後、状態が安定してきたところで小児科病棟に移りました。その集中治療室にいた段階から、言葉のおくれや、病棟に移ってからも遊んでいる様子を見ていると、遊びにも偏りがあるのかなということが様子を見ていてわかりました。心理士さんが毎回、長期になる子に対して入院後に発達検査を行っているのですけれども、発達検査や親子での面談の結果からも、やはり全体的に発達が少しゆっくり目で偏りがあるというアセスメントがわかりました。それと同時に、A君はまだ生まれたばかりの妹がいたということで、お母さんは余りA君のところには来れずに、日中のほとんどの時間を一人でというか、スタッフがかわりに見ているという状況でした。私たちの中で考えたのは、入院中に少しでも刺激を受けて、発達がこれ以上おくれないように、発達を促すようにしたいという共通認識を全員で持つようにしました。
 そこで、それぞれの役割ですけれども、CLSが行ったことというのは、集中治療室(ICU)にいるときからのラポールづくり。ICU自体、子どもにとってはすごく怖い環境、いろいろな機械がありますし、大勢のお医者さんとか看護師さんに囲まれて、常にアラームが鳴っていたりという環境なので、そこをなるべく怖くない環境にしてあげたり、遊べる時間があったときには一緒に遊んだり、本を読んであげたりということをしました。
 そこからスムーズに病棟に上がってきても、知っている顔がいるようにという意味も込めて、なるべくICUでもかかわるようにしていました。
 A君にとってストレスとなる場面でも、内服や検査時など、ちょっと怖い検査とかそういうものがあるときに一緒についてあげてサポートをしたり、遊びを通じてストレス軽減や発達の促進をしました。
 それに対して保育士さんがしたことですけれども、まずはA君が楽しく遊べる環境を整えました。また、トイレトレーニング、食事、お昼寝の時間など、生活全般における発達の支援及び生活パターンの改善、遊びを通じて発達の促進、なるべく一つの遊びに偏らないようにいろいろな遊びを取り入れたり、並行してお母さんへの子育て支援というのも行っていました。
 小児心理士さんは、発達・心理検査をし、家族との面談などをもとに心理的・発達的な課題をアセスメント。それらのアセスメントを家族や他職種へ報告し、こういったサポートの仕方がいいですよというアドバイスをしたり、スタッフがどのようにかかわればいいかということですごくいい視点を出していただきました。面談を通じて治療的介入も行って、退院後もその後のフォローというのも行っています。
 ソーシャルワーカーさんは、幼い妹を見てもらえる地域の一時保育やヘルパー派遣などを調べていただいたり、使える社会資源の情報提供をしたり、家族の心配を傾聴して一緒に考えるカウンセリング的な役割も行っていました。
 なぜこのような職種が必要なのかといいますと、前回の資料から引っ張ってきたものですが、やはり小児医療と成人医療はすごく大きな違いがあるというところです。子どもは常に成長している集団ですし、今後の社会にも大きく影響をしていく集団です。同じ子でも3歳の子どもと15歳の子には全然ニーズが違ったりしています。そのあたりのことを理解しないといけないかと思っています。また、大人のように患者さんだけを中心に見るというよりも、その患者さんを取り巻く家族もすごく大切だというふうに考えています。また、子どもは小さな大人ではなく、子ども自身にも権利があって、守られるべきだというふうに思います。子どもは大人のようにコミュニケーションスキルができていないので、いろいろなことが言葉として言えなかったりするので、それに対してくみ取ってあげるような専門的知識を持っている人達が必要になってくると思います。
 このような職種の必要性といいますと、療養環境が子どもにはいろいろな影響を引き起こします。長期入院している子では、PTSDが発症するということも研究されています。その予測因子は、治療の厳しさに対する患児の考え方ですとか、患児の不安になりやすさ、また、周囲から支援を受けている感覚の低さということがわかっていますので、そういったところでコメディカルがすごく大きな役割を果たすのではないかと思います。
 続いてのスライドは、子どもの権利についてのものなので、後で見ていただければいいかと思います。
 コメディカルの役割としては、この資料にあるようなもので、最終的には病気を治すだけでは終わらないというものを目指したいと思っています。入院していたからこそ健康に育ってきていたときよりも育つ部分があったということを感じてもらえたらと思っています。
 小児診療に必要とされる要件について、前回の原先生の小児がんモデル病院の資料から引っ張ってきたものですが、青字のみが必須になっているのですけれども、是非ともこれは全部必須にしてほしいと思います。また、復学支援のための専任のソーシャルワーカーを配置するというふうにあるのですが、ソーシャルワーカーさんは決してこれだけということではないので、ほかにもいろいろなサポートをしていただける方たちなので、それに限定しない配置をというふうに思います。
 コメディカルの立場から追加としては、コメディカルのスタッフは、家族支援として独立した部署の配置が望ましいということと、プレイルームに関しても発達段階に合わせた療養環境の整備が必要かと思います。
 サポートグループとの連携や、アメリカではCLSが学校に出向いてがんの話をしたり、入院生活の話というような教育をすることもありますので、そういった形で地域との連携ができるようなシステムもあればいいかと思います。
 最後になりますが、コメディカルの中でもいろいろな職種がいるとは思うのですけれども、子どもにとってはCLSとかHPSとか保育士の違いがわからないかもしれません。ただ、その子にとってサポーターはいればいるほどいいということで、だれに心を打ち明けられるかというのはその子が選べばいいということだと思っていますので、子どもへのサポーターがなるべく多く配属されればいいかと思います。
 以上です。
○垣添座長 ありがとうございました。
 必ずしもCLSは日本で定着しているわけではないですから、その現場で働いている三浦構成員からお話しいただきましたが、何か御質問、あるいは御発言はありますか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 1点質問がございます。成人の拠点病院で相談支援センターというのは設置されていまして、そこに相談員の方々がいらっしゃるわけですが、ただ、相談員の必要性というのは勿論重要だということがあったにもかかわらず、実際には、例えば診療報酬で相談支援にかかわっている方々に適切な加算がついていなかったということもあって、なかなか相談員の配置が当初は進まなかったということがあったと聞いておりまして、今年度から相談支援に関しても一部診療報酬がついているというふうになってきていると思うのです。小児がんについても、恐らく拠点病院の機能強化事業費的なものができて、その中で手当てとかがされていくと思うのですが、診療報酬の在り方とかについては、もし何かこういった加算があればありがたいというものがあれば是非教えていただければと思います。
○三浦構成員 先ほども言いましたように、今、保育士さんには加算がついているということなので、それを是非保育士というものに限定せず、似たようなケアをしてくれる人に広げていただけると、チャイルド・ライフ・スペシャリストや、それに似たイギリスの資格のホスピタル・プレイ・スペシャリストや日本独自の子ども療養支援士というものが配属されやすいかというふうには望んでいます。
○天野構成員 まず、拠点病院の機能強化事業費的なもので、是非ここはしっかり確保していただきたいと感じております。
 以上です。
○三浦構成員 ありがとうございます。
○垣添座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。田口構成員、どうぞ。
○田口構成員 今、小児外科の領域でもQOL研究会というのをやりまして、そこでチャイルド・ライフ・スペシャリストの存在の必要性というのが5年ぐらい前から議論されていまして、手術とか検査をスムーズに行うには是非必要だという議論がされていまして、小児がんの診療にも是非必要だという認識はしています。
 ただ、結局、資格が日本では取得できなくて、これはアメリカですか。
○三浦構成員 アメリカです。
○田口構成員 イギリスとかそういうところでの資格の認定ということになっておりますので、いわゆる国家資格としてのこういうものが存在しないということと、それに伴う雇用とかが非常に不安定な状況であるという認識なのですけれども、これについてはいかがでしょうか。
○三浦構成員 やはりまだCLSやHPSの資格を取るには、今は海外に行かないと取れないという現状なので、去年から子ども療養支援士という日本独自のものをつくろうという動きも出てきてはいるのですけれども、まだ始まったばかりですし、今後どのように発展していくかというのは期待はしているのですけれども、まだしばらくかかるかなというところもありますので、チャイルド・ライフ・スペシャリストもまだ26人しかいないので、是非保育士さんや心理士さんと共同作業で子どもたちへの療養環境をよくしていけたらと考えています。
○垣添座長 水谷構成員、どうぞ。
○水谷構成員 先ほどお話のありましたように、こういった職種について何らかの病院側でインセンティブが働くようなシステムは是非必要だと思います。
 私どもの病院の例を挙げますと、やはりチャイルド・ライフ・スペシャリストを1名雇用しておりますが、もともと教室の研究費で雇用していました。ところが、最近になりまして保育士で加算が取れるということがありまして、その方がたまたま保育士の資格を持っていましたので保育士として入っていただいて、実際にはチャイルド・ライフ・スペシャリストとしての活動をしていただいています。
 そういう意味で、非常にゆがんだシステムでしかチャイルド・ライフ・スペシャリストを病院の中に雇用できないというのは非常にやりにくいし、よくないことだと思いますので、是非この辺は国の方で支援していただきたいと思っています。
○垣添座長 ありがとうございました。
 三浦さん自身は、どこでどんなふうにこの資格を取られたのですか。
○三浦構成員 私は、アメリカのノースカロライナ州にあるイーストカロライナ大学でチャイルド・ライフのコースを学び、フィラデルフィア子ども病院でインターンシップをして資格を取りました。
○垣添座長 そうすると、全体としてはどのくらいの年数がかかっているのですか。
○三浦構成員 チャイルド・ライフ・スペシャリストになるには最低4年制の大学を卒業し、チャイルド・ライフに関係する授業を10項目以上とり、更に480時間以上のインターンシップをしなければいけないということで、4年制の大学から学べるのと、大学院で学んでいる方がほとんどです。
○垣添座長 なかなか大変なものですね。そうすると、今ほかにおられる方も同じような経験をされてこられたのですか。
○三浦構成員 そうですね。日本で大学を卒業されてからアメリカの大学に行って、また学び直しをしているという方がほとんどです。
○垣添座長 わかりました。
○田口構成員 先ほどの説明で、その中でいわゆる常勤として雇用されている人は片手ぐらいという話をされたのですけれども、その常勤で雇用されている人はどういう形で雇用されていて、雇用されていない人はどういう形で仕事をされているのですか。
○三浦構成員 非常勤という形で医局の秘書というもので入りつつ、実際は病棟で働くですとか、看護部の所属になっている方もおりますし、常勤になっている方は、チャイルド・ライフ・スペシャリストとしてのポジションで入っている方が多いです。
○水谷構成員 多分そこは病院の管理者の理解度によって随分処遇が変わってくると思います。ですから、できるだけ病院の管理者にこの必要性を認識させる、そして経済的にもそれで十分やっていけるというシステムをつくっていくことが重要だと思います。
○垣添座長 ありがとうございました。
 では、先に進みます。三浦構成員、どうもありがとうございました。
○三浦構成員 ありがとうございます。
○垣添座長 次に、これまでのヒアリングの中で看護の視点からの小児がん医療がございましたが、そこで、本日は公益社団法人日本看護協会看護研修学校長の竹股喜代子様に御出席いただいておりますので、竹股様から資料3について御説明いただけますでしょうか。
○竹股参考人 日本看護協会から参りました竹股喜代子でございます。本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
 では、早速ですけれどもお話をさせていただきます。資料を1枚おめくりください。本日は、小児がん拠点病院指定要件について、がんの子どもとその家族を支援する看護の専門職の配置についての要望をさせていただきたいと思います。
 まず1として、がんの闘病に苦しむ子どもとその家族への専門的知識と技術を持つ小児看護専門看護師の1名以上の、ここに常勤となっておりますけれども、常勤専従配置をすること。それから、更に2としまして、がん関連の専門看護師と認定看護師の1名以上の、これも専従常勤配置。以上の2つを是非配置していただきたいと思います。
 3ページは、先回、この委員会で参考資料4に出ておりました小児がんの診療及び療養に関する現状です。これは皆様方はよく御存じでしょうから、私が説明するまでもないのですが、ただ、この中で特にがんを持つ子ども、その家族、その方たちの本当に過酷な闘病生活、子どもにとって、勿論親にとってもですけれども、非日常的な過酷な入院生活、こういったところに小児の専門の幅広い知識・技術を持った看護師が必要ではなかろうかということでお出しいたしました。
 4ページになります。今日は、そのような専門の看護師がどのような形でおり、そしてどのような活躍をしているのかということについて御説明をさせていただきたいと思います。
 今、日本では看護職有資格者140万弱おります。その中で、スライド4は、専門看護師という分野の専門職の教育過程がございます。ここでは細かくお話はいたしませんけれども、5年以上の臨床経験を持って、その領域の看護系大学院2年を修学いたしまして、所定の試験を通って専門看護師になる課程がございまして、現在、この下の表にありますように、11領域の専門看護師の領域がございます。今、私どもがお話をしていますのは、5番目の小児看護の専門看護師のことを申し上げております。この小児看護は2001年から特定いたしまして、認定開始が2002年になっておりますが、本会では1995年から看護職の専門性を高めるべく教育機関を設けまして、現在に至っております。ということで、これだけの領域があって、ちなみに1ががん看護になっております。これも専門看護師でございます。
 スライド5ですけれども、これは認定看護師というプログラムがございます。もともと専門性の高い教育をするということは大学院レベルで2年ぐらいは修めなければということはあるのですけれども、しかし、特定領域の非常に限局的な分野であれば、半年ぐらいの教育でやれるのではないかというチャレンジがございまして、1995年から特定にしたのですけれども、実際は1997年に最初に救急、皮膚・排泄ケアの認定看護師を認定いたしまして、現在に至っております。これにつきましては、赤枠で囲ってございますように、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、右側の19番、がん放射線療法看護は新しいものでございます。それからあと、がんでいえば14番目の乳がん看護と、このように、現在、全部で21領域持っておりますけれども、がんに関係する認定看護のプログラムというのがこれだけ多く用意されております。
 そして、数もまだまだ勿論足りているとは思いませんけれども、この10年にわたりまして多くの教育をして、現在に至っているわけでございます。
 私どもといたしましては、小児がんの拠点病院をつくる以上、勿論小児病棟の看護職も一生懸命子どもの看護についての研鑽を積んでいるわけでございますが、しかし、本当に専門的な教育をしっかり受けた、その領域では一番専門性の高い看護職を配置することが必要なのではないかと思い、今、提案している次第でございます。
 もう少し数値的なことを申し上げるのですが、専門看護師の所属状況ということで、これは一応、現行のがん診療連携拠点病院における専門看護師の配属状況ということでデータがございますので、お示しいたしました。
 現在10分野ですけれども、専門看護師が421名、175施設に在籍しておりまして、約45.1%の小児の専門看護師が、がん診療拠点病院に勤めているということがわかっております。
 それから、もう一つの右側ですけれども、実際に小児の専門看護師32名が29施設に在職しておりますけれども、がん診療連携拠点病院が多うございますから、全体としては7.5%しか配置できません。
 そして、次の7ページですけれども、これは事例ですけれども、お時間がないようなので細かくお話はできませんけれども、子どもの闘病を治療と生活の面で24時間365日、看護職は支えているわけですけれども、そのような看護職たちに向けて専門的な高い知見を持った専門の小児の看護師、あるいはがん系の看護師たちが、そのナースたちをも支援し、結果として、後で見ていただければおわかりになると思うのですけれども、いい形での解決が見られているという事例でございます。
 特に8ページ目を見ていただきます。これも是非お伝えしておきたいのですけれども、がん性疼痛で10歳の脳腫瘍の女の子なのですが、いわゆる末期の状態でございます。この場合、ここに詳しくは書けなかったのですけれども、この中の役割として、私が一番これは看護職の役割だと思ったのは、専門看護師、認定看護師の判断とございますけれども、これは、このお子さんが10歳の女の子で思春期に近くなって、羞恥心を持ちながらもいろいろな治療を、子どもにとっては結構恥ずかしい治療を受けなければいけない、恥ずかしいというのは、痛みがそけい部にあったりすれば、その辺をさらさなければいけないということに対して、そこで見ているナースが、そこに非常に配慮を持って、その子どもの話をよく聞いて、子どもが不必要に子どもの権利を奪われるようなことのないようなケアをし、信頼を得て、御家族とともに不必要なストレスを与えないというような成果を出したということでここにお示しいたしましたので、また後でごらんいただければよろしいかと思います。
 そして、9枚目は小児看護専門看護師の活動の実際でございます。これも今日は細かく説明できませんけれども、実践、コンサルテーション、コーディネーション、倫理調整、教育、この教育の部分はかなり専門看護師が、特に一般のナースたちに向けて行う大きな仕事ということになっております。
 最後になりますけれども、小児がん拠点病院における要件の提案をまとめて申し上げたいと思います。
 まず、1、小児看護専門看護師及びがん関連の専門看護師・認定看護師の配置の必須化でございます。数につきましては、先ほど申し上げました。
 2として、医療・療養情報の集約と情報提供機能を持つための拠点病院における疾患ごとの治療内容やケア内容など、医療や療養環境の情報を蓄積し、患者家族にタイムリーに情報提供できる機能を強化すること。
 それから3として、拠点病院との地域連携(病院・訪問看護ステーション含む)ということで、小児がんが疑わしい患者が、早期に適切な診断と治療に結びつき、更に退院した後でも長期フォローアップができるように拠点病院と地域医療機関(訪問看護ステーション含む)の連携体制を強化するということ。
 4番として、地域連携機関の医療従事者(看護職含む)の教育的機能です。小児がんのトータルケアが実践できる地域連携機関の医療従事者の教育的機能を保証すること。
 5番目でございますが、特に申し上げておきたいのですが、拠点病院の指定更新と検証の仕組みづくりでございます。拠点病院として指定を受けた後に、具体的な活動や成果が十分に示されているのかどうか、そういう検証をするなどの仕組みを構築して、質を是非担保していただきたい。
 以上をもちまして、この5点を述べさせていただきます。
○垣添座長 どうもありがとうございました。
 最後の10ページですが、2、3、4、5に関しては、恐らくここにおられる方は特に問題なく届いたと思いますが、1に関しては一番のポイントかもしれませんが、数の問題等で、現行の必須にするかどうかというのはなかなか問題があるのではないかという感じがしました。
 今の竹股さんの御発言に関して、質問、発言ございますか。
 どうぞ、天野構成員。
○天野構成員 私自身、リンパ腫の血液がんを経験いたしまして、10年前に移植病棟で造血幹細胞移植、大量化学療法併用の自己末梢血幹細胞移植を受けた際、病棟に化学療法の認定看護師の方がいらっしゃって、私自身の闘病体験で一番助けられたのは、いわゆる指示療法の部分については、ドクターの方も大変御多忙な中で診療されているので、特に認定看護師の方がドクターにもサジェスチョンしていただけるような形で指示療法についても手厚く看護いただいたという経験は私自身もありますので、こういった看護師、小児看護についてもだと思うのですが、これは必須ということについては、現在、拠点病院にいるかどうかはまだわからないと思うのですが、今後、今は仮に望ましいであったとしても、必須の方向に持っていくことが望ましいのかというふうに私自身は感じております。
○垣添座長 私が先ほど申し上げたのは現状でという意味で、おっしゃることはよくわかります。
 では、小俣委員、それから三浦委員、どうぞ。
○小俣構成員 小児がんを経験したという観点から、子どもたちというのは、看護師さんの存在というのはかなり大きくて、特に入院中に病気を知っているか知っていないか、そんな問題も看護師さんは対応するかと思うのです。ですので、今、天野委員がおっしゃられたように、認定看護師というのはまず必要で、そういう対応や間に入る、特に医療に関することについての相談に乗ってもらえる方がいる、看護師の専門職がいるということが私も重要ではないかと思っております。
 以上です。
○三浦構成員 私も今の病院で小児看護専門看護師さんと一緒に働かせていただいているのですけれども、やはりプリパレーションとかお子さんへのケアというところでCLSと同じような視点を持っていらして、一番いてよかったと思うのは、その視点をほかの看護師さんにも伝達してくださるというところがすごく大きい存在かと思いますので、是非いていただけたらいいかと思います。
○垣添座長 ありがとうございました。
 何か竹股さん、今、お二人の御発言に対して。
○竹股参考人 本当にありがとうございます。私も小児看護の経験の中でがんのお子さんにもともに闘病をさせていただいた覚えがあるのですけれども、やはり病気そのものの治療のプロセスに、ともかくずっと付き添いながら、御家族の苦しみとか悲しみということを肌で感じてきました。しかしいかんせん今のがん治療の集学的な内容、あるいは、現在の日本の子どもの一般の生活水準の中で、余りにも非日常性が高くて、そこに対応できるような看護の、もっと専門的な小児への深い幅広い知識であったり、あるいはがん系の幅広い知識が必要なのです。ですから、先ほど申し上げたように一般のナースたちも一生懸命勉強しているのですけれども、とても高い水準のレベルまでには達せないということを実感として感じておりまして、そういう意味で、今回、拠点病院をつくる以上は、この領域の最高水準のナースたちを、何十人もとは申し上げませんけれども、要所要所にきちんとつけることは、その拠点病院の一つの病院としての質を担保するというよりも高めるというふうに、看護の自己アピールで大変申し訳ないのですけれども、思っておりまして、そのような専門看護職を育てておりますし、まだまだこれからもっと育てていくつもりでおりますので、配置基準の中に入れていただきたいということを切に要望いたします。
○垣添座長 どうもありがとうございました。
 それでは、時間の関係で先へ進みます。
 最後に、今後、小児がんについても診療情報の収集とか集約、そして共有は非常に重要だと考えられます。本日は、小児がん患者の大きな課題の一つである長期ケアについて、情報基盤を活用した取組みを実施している経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課課長補佐の井上美樹代様に御出席いただいておりますので、資料4を使いながら御説明いただけますでしょうか。
○井上参考人 経済産業省の井上でございます。今日、私どもは経済産業省の方で行っております取組みについて御紹介させていただきたいと思っております。
 私ども経済産業省で行っております、医療機関にございます情報の連携ということにつきましては、国の政策として総理を筆頭としております戦略の中のIT戦略というところに位置づけられております、シームレスな地域連携医療の構築という分野の一分野でございます。私ども経済産業省では、特に今回の医療連携というところを考えますときに、まず疾病ごとの管理体制が構築できないかということで、地域すべての医療機関の丸ごとの連携という形ではなく、疾病管理等々を目的とした形の地域連携を行っていきたいということを考えまして、今回御紹介いたします小児がんを初めといたしまして、現在、つくばでは小児アレルギー、西宮では心疾患、福岡では糖尿病、東京・福岡でメンタルのリワークという各疾病を特定した形で行っております。
 今日は、その中で小児がんの長期ケアという形での事業について御説明させていただきたいと思います。
 時間の関係上、ページを飛ばさせていただきますが、まず、3ページ目でございます。私どもの取組みといいますのが、小児がんの疾病管理ということを考えましたときに、患者さんが子どもから大人になっていく間に、その地域を離れることもあるだろうということを想定いたしまして、その地域からほかのところに移ったときにも、過去、自分が罹患した小児がんの治療のいろいろな情報をほかの医療機関でもそのまま活用できないかというところの、長期間にわたって大人になっても大丈夫な形にしていきましょうというところの仕組みが1つ。
 もう一つが、地域にいる間、やはり基幹病院だけではなくて、近くのクリニックの先生とも情報を共有することの必要性ということで、いわゆる大きな地域連携と地域に閉じた形での情報連携の2面から、この事業に取り組んでございます。
 それが3ページ目に書いてございますけれども、昨年度、23年度の取組みといたしましては、千葉の方を中心に行いましたけれども、今年は千葉のほかに東北の方にも1つ小さな連携体制を整えまして、東北の方でも医療機関等々の連携を進めているところでございます。
 また、対象疾病といいましても小児がんの方は大変細かく分けていきますと、昨年度は神経芽腫を中心に行ってまいりましたが、今年度からは白血病、リンパ腫、その他固形がんという幅を広げた形を少しシステムで考えていきたいと思っております。
 4ページ目でございますが、私どもがこの事業を行っていく際に大変気をつけていかなければいけないというのが、一医療機関が進める連携体制というものではなくて、汎用性の高い連携体制を国としてはつくっていく必要があるのではないかということを考えまして、この赤字のところにございますけれども、そのときに連携する情報項目につきましては、やはり各種学会、もう既にございます研究グループの方々、そういった先生方の御意見を参考にさせていただきつつ行っていくことが大事だと思っております。
 そういった流れの中で、私どもの方で情報連携として必要と考えましたのが、5ページ目にございます。大変細かいものでございますが、一つひとつ説明いたしませんけれども、診断時、治療終了時、フォローアップ時、いろいろな先生方から御意見をいただきました中で、これだけの情報が必要ということをお伺いいたしまして、実をいいますとほかの疾病の管理に比べますと、求められているものが大変濃い情報層であると思っております。ただ、こういった情報の項目が上がってくるということにつきまして、やはり先生方の中できちんと一つひとつ、一人ひとりの患者さんを管理していくことの難しさというものがかいま見えているかというふうに私どもは考えております。
 6ページ目でございますけれども、今、各地域で地域連携がいっぱい行われております。ただ、その中でいろいろなルール、さまざまな倫理、そういったところの観点一つひとつをひも解いて説明したものはございません。この事業の中で、実をいいますと、私たち、患者さんの同意の在り方というところも考えなければいけない。勝手に患者さんの情報をいろいろな医療機関に流すなんてあり得ないです。患者さんにどのような形でその同意をとるかということにつきまして、弁護士の先生と御一緒に相談させていただきまして、6ページにございますように、中学生未満のお子様、中学生以上の未成年の方、成年に達した方、代諾者の方、そういった細かな分野に分けた形での同意のとり方、説明の仕方ということを行うことにいたしました。
 今日は特段御説明しませんが、今回、この説明のところにつきましては参考資料ということで後ろの方につけさせていただいております。お時間のありますときに読んでいただきますと、お子様あての説明につきましての文言の書き方とかいろいろと工夫してございますので、見ていただければと思います。
 7ページ目になりますが、医療機関間の情報の連携につきまして、我が国では個人情報保護法の下にさまざまな医療情報のガイドラインがございます。私ども、そういったところの検討をするネットワーク版検討会等々のメンバーで参加しておりますけれども、こういったものをきちんと守りながら、それでいながら患者さんを連携させていく難しさというのがございます。やはりそこにつきましては、システムの構築の在り方だけではなくて、それを運営していく運営体制ということも大変難しいところがございます。
 そういったところに至るまでに、まず医療機関の中でも参加ということについてきちんと協議していかなければいけないことがございます。1、診療科の先生がやりますという形で地域の医療連携はできるものではございません。そういったガイドライン等々をクリアーしていくためにも、ここにございますように医療機関の参加につきましては、まず手続が必要ですということで、医療情報を取り扱う院内組織の承認、それから、自治体の個人情報保護条例の確認。実をいいますと、保護条例は各自治体にございますけれども、電子的に連携することを禁じている自治体がございます。そういったところにつきましては、別途審議会等でクリアーしなければいけない、実はそういった手間がかかるところがあるのが現状でございます。また、そういったものをクリアーしつつ、各医療機関においては倫理委員会にかけていただく必要がございます。倫理委員会におきましても資料等をつくっていく大変な手間でございますけれども、そういったことを各医療機関ごとにやるのではなくて、ある一定のところの連携体制を整えるときに、またこちらも後で御説明しますが、契約の在り方、それから、先ほどの同意書の在り方、こういったことをきちんと決めておくことによって倫理委員会の手続等が割と簡単にいくのではないかと思っているところもございます。
 それから、あとは施設責任者、いわゆる病院長などの承認があった後、最終的には、今回、ここには千葉県がんセンターと書いてございますが、これは私どもが委託をしておりまして、今回の実証の中で情報集約という形で責任者としてお願いしている医療機関でございますけれども、そこと各医療機関との契約ができてくる。この契約につきましても、参考資料の最初のページにつけておりますので、たった1枚の紙でございますけれども、この委託の契約があるかないかで、その後、ここに集約されております情報が、研究ですとか、それぞれほかの医療機関の先生方が参考として使えるか使えないかというところが決まってまいります。こういったことを大変面倒ではございますが最初にやっておくことによって、情報の活用が大変有効になるというふうに考えております。
 また、現状、システム側の面といたしましても、各医療機関には、それぞれ電子カルテが導入されているところにつきましてはシステムポリシーというものがございまして、きちんとクリアーしていかなければいけない課題もありますけれども、そういったところの細かなことにつきましては、また後ろの方にございますので、お時間のあるときに見ていただければと思います。
 17ページを見ていただけますでしょうか。こちらは、先ほど御説明しました登録時、診断時の情報の一覧表でございますが、そこにHISからの抽出ですとかいろいろと書いてございます。実をいいますと、情報を連携するということに関しましては、担当のお医者さんのワークフローというのが大変多くなります。それをいかに簡便にすべきかということがございまして、なるべく電子カルテから安全に情報を抜いていけるものは抜いていきましょうということを全部整理してございます。
 電子カルテからの抽出といっても、この小児がんの分野は大変難しいということをお聞きしてございます。そういった面からいたしましても、特にここは私ども今年度チャレンジしてみたいと思っておりますのが、研究グループ等に皆さん登録しています項目がございます。そちらからの情報の抽出ということも考えられないかということで、そこを安全にできないかということを検証していこうと思っております。
 それが次の18ページからでございますけれども、通常であれば、勿論電子カルテからの抽出だけでいけるところでございますが、この小児がんの分野は検査項目等々につきまして大変難しいことがあるようでございまして、そこの分野は、今年、いわゆるスタディーグループ等の研究グループが持っております既存のデータベース、勿論これは匿名化されておりますので、それをきちんとクリアーし、個人の情報とひもづけた形での登録の仕組みがつくれないかということを考えております。
 私ども経済産業省の方では、安全に患者さんそれぞれの情報を有効にドクターの皆様に活用いただく仕組みということを考えていかなければならないと思っておりまして、そのシステム的な構築は勿論でございますけれども、こういった運用ルールも併せて現在考えてございます。
 また、最後19ページにございますように、診断から長期フォローアップ、その後に現在進めております一つの仕組みとして、どこでもMY病院構想ということで、患者さん個人に情報を活用していただくというところの分野で、個人が情報を持って疾病に向かっていくというところとつなげていくことも考えていくようにしております。
 大変駆け足でございますけれども、また資料を見ていただければ疑問もあるかと思いますが、もし何かございましたら御質問いただければと思います。
 どうもありがとうございました。
○垣添座長 どうもありがとうございました。
 小児がんに関しては長期フォローアップというのは必須でありますし、いろいろな医療機関との間の情報共有とか集約とか大変重要な部分をお話しいただきましたが、何か御発言いただけますか。
 どうぞ、天野委員。
○天野構成員 今、座長からもお話があったように、小児がん領域において診療の質の向上と長期フォローアップということから、患者さん登録というのは必須だと思っておりまして、例えば年間2,500人前後と言われている小児がん患者さんについては、是非何らかの形で前例登録の仕組みがあってほしいと願っております。
 先ごろ、医療イノベーション5か年戦略の方でがん登録の法制化について進めていくということが触れられていまして、そちらの方でこういった仕組みがもし進んでいくのであれば、それでも勿論構わないのですが、がん登録の今後の動きにかかわらず、何らかの形で必ずこれは小児がん領域で実施していただきたいと思っているところです。
 質問させていただきたいのは、その際に医療機関とのカルテとの連結が難しいということは御指摘があったのですが、例えば何か通知とかそういったものが、厚生労働省も含めてどこかの省から何か出れば解決するようなものなのかというのが1点と、学会との連携ということです。学会と連携するということに関しては、通知であるとか、法制上の仕組みというのがあれば、それがより進みやすくなるのかということについて2点教えていただければと思います。
○井上参考人 まず、各医療機関の電子カルテの情報を外に出すということに関しましては、まだ日本の医療機関は大変難しいという判断を下すところが多いです。それは、患者さんの情報を守っているからということがございますけれども、そういったところを違う形で連携することの有効性を求める上で通知を出していただければ、各医療機関から外に出していくという分野につきましては、大変進みやすい分野だと思っております。
 それから、御質問がございました、そのほかの要因というところでございますけれども、各医療機関のシステムの方にもさまざまなシステムが入ってございます。そこのシステムで全く連携ができないということはないかと思いますけれども、そのシステムが、いわゆる外に出していくような出口を持っているもの、持っていないものがございますので、そこの改築の費用というものはかかってくるかと思っておりますけれども、何らか手を加えることによって外に出して連携していくことは可能かと思います。
 また、学会スタディーグループ等につきましても、今のところ、私どもはいわゆる実証の段階でございますので、特段大きなあれはまだ起きておりませんけれども、そういったところを国として進めていくという形があれば、そこは一丸となって動けるのではないかと思っております。
○垣添座長 ほかに。どうぞ、小俣委員。
○小俣構成員 お話、ありがとうございます。小児がんは治癒率が高くなっていき、大人になってという、成人にこういう情報があって、地域が変わっても情報がそこにちゃんと流れ、また、新しく検査をしなくても治療が受けられたり、内容を理解してもらえるというところについては大変ありがたく、また、小児がんの本人たちも自覚できるシステムだと思いますので、大変いいかと思います。
 1つ気になったのは、項目であるとかそういったものは、多分、成人すればするほど、自分たちも大人になった、本人たちが目にすることだと思うので、今ある長期フォローアップの手帳であるとか、素人ではかなり難しい内容であったりして、そういう項目について本人たちの意見を聞いたり、場合によっては取り入れるような、今後そういうことがあるのかどうかということが1つ。
 それから、今、拠点病院の在り方であるとかという小児がん医療の体制自体を構築していくという中で、天野委員がおっしゃられたように、この仕組み、前例を登録していくというのは大変大事なことで、それを連携して、ここで組み入れてするということも今後あるのでしょうか、その辺をお聞きしたいです。
○井上参考人 まず、患者さん御本人にこういった情報をすべて御理解いただくということは、今、この地域連携の方では目的にしておらず、やはり治療ということを最優先に考えた上で、現在は情報項目を選んでおります。ただ、患者さんに見ていただくという分には、先ほどちらっとお話ししましたが、どこでもMY病院構想ということで、医療機関が情報を患者さん個人の方にお渡しするということを考えておりまして、実はそこについて、このままでは難しいだろうということで、一定のサマライズとかをしながらやっていく必要があるだろうという考えはございます。
 その蓄積と連携というところにつきましては、私どもはどちらかといいますと地域連携ということを目的とした形で事業を進めておりましたので、まずつないでいくということを経済産業省としてはやっていきたい。蓄積ということにつきましては、また厚生労働省さんの方でもきちんと私どもと一緒に考えていただいて、情報項目等々はこれからまだ自由に変えられるというふうに思っております。
○垣添座長 事務局のお考えを聞きたかったので、お願いします。
○がん対策推進官 先生、ありがとうございます。
 ただいま御質問いただいた点につきましては、今日、経済産業省さんに来ていただいて御説明をお願いした理由というのは、この検討会の中でも小児がんの中核的な機関の在り方についてということも同時に、一応指定の要件というものとは並行して考えることになっております。そうした中で拠点病院から中核的機関の方に、例えば診療情報みたいなものを集めることをお願いする際に、実はこうしたような取組みは既に経済産業省さんでやられていて、実は集めるというだけでさまざまな課題というものをクリアーしていかないと、なかなか診療実績というのは集まらない。だけれども、そこの部分というのはきちんとやっていく必要があると考えておりますので、経済産業省さんがやられている今回のモデル事業は、地域連携の中でのモデル事業だと考えておりますけれども、こうしたような経験を私どもとしては参考にしながら、中核的機関の在り方、拠点病院の在り方というものを検討していきたいと考えております。ですので、そういった意味で、今日は経済産業省さんに来ていただきましたし、今後もいろいろアドバイスをいただくことになるだろうというふうに厚生労働省としては考えております。
○垣添座長 ほかに。どうぞ、天野構成員。
○天野構成員 手短に。今、事務局から御説明いただいた中で、もしこの経産省さんのモデル事業が、この後、ネットワークの説明が事務局からあると思うのですが、そのネットワークの中で前例を登録して、診療情報も含めて情報集約していくというものにフィットするものであれば、是非活用いただきたい。診療情報を集めていただくというのは治療成績の向上に不可欠、長期フォローアップでも不可欠ですので、是非そこはネットワークの中でお願いしたいと思っております。
○がん対策推進官 それについては、すぐに今、こうしたような形でいろいろ御苦労されている中でやっていて、今後、私どもとしては中核的機関の在り方をどういうふうにするのか、そこの中では集めるというだけではなくて、その情報をどのような形で、先ほどお話のあったような形で患者さんにフィードバックしていくのか、あとはそれを拠点病院としてフォローアップの際に活用していくのかという、情報をどのように活用するのかということまで考えないといけないと思っていまして、このあたりについては今すぐにというか、今後この拠点病院を更にいいものにしていくために考えていく課題だろうと思っております。
○垣添座長 最後に水谷委員。
○水谷構成員 大変画期的な試みを御紹介していただいて、ありがとうございます。
 私たち、小児白血病リンパ腫研究グループは、今、主に小児血液がん診療専門研修施設等を中心として、患者さんの登録と治療実績のデータ蓄積をしているわけですが、今日は拠点病院との関係でお話がございましたけれども、そういう専門研修施設から直接このシステムに入っていってデータを登録していくことができます。そういう意味で、漏れのない形で私たちは参加していけますので、是非このシステムを厚労省の方で積極的に取り上げていただきたいと考えております。
○垣添座長 ありがとうございました。
 では、短く。
○田口構成員 今、小児がんの登録システムというのは、今の白血病のお話にもありますけれども、そのほかに、いわゆる小児血液がん学会の全数把握と、小児外科学会の悪性腫瘍委員会の登録と、もう一つ、成育医療センターがずっと前からやっている全国小児がん登録という3つが実際に今走っているような状況なのですけれども、もしこの経産省のものが走れば、全部の登録を一貫してまとめて、しかもそれを厚労省が法制化して行うということで、そういう方向に統一が可能かどうかという見通しについてはどうでしょうか。そうしていただけると非常にありがたいと我々は考えています。
○井上参考人 そこにつきましては、先ほどお話がございましたように、一定の通知等々は必要だと思っておりますけれども、情報項目につきましては、多分差異は余りないかと思っております。そこのシステム、今、先生方は幾つも幾つも同じことを打っていらっしゃったりしているわけですので、そこを一本化して行うということは、私は不可能ではないと思っております。ただ、それぞれの学会さん等にございますシステムを、私たちは全部見せていただいているわけではございませんので、どういったつくりになっているかわかりません。ただ、そういった中でも一定のところまではできる可能性はあるというふうに考えておりまして、今回もいわゆる病院からだけではないということをトライアルしてみようと考えております。
○垣添座長 田口先生、今おっしゃった3つのシステムを統一しようというような動きに関しては、各学会、いろいろな考え方はいかがでしょうか。
○田口構成員 学会としては、それをできるだけ統一しようということで、一応、小児血液がん学会と小児外科学会の方は、最初の一次登録の段階をできるだけ一本化しようという方向は今考えております。それを国の方から、厚労省とか経産省の方からそういうふうな指導をしていただけると非常にスムーズに進むのではないかという気がしますので、是非その辺は御検討をお願いしたいと思います。
○垣添座長 ありがとうございました。
 これは大変重要な問題ですけれども、残念ながら時間の関係で先に進ませていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、本日は、小児がん拠点病院の要件、更に全国の中核的な機関に求められる機能について、より議論を深めたいと思っておりますので、事務局から資料5、6について説明ください。
○事務局 それでは、資料5、資料6について説明をさせていただきます。
 まず、資料5、こちらの方では論点を整理いたしました。小児がん拠点病院(仮称)を考える際に幾つか論点があるかと思います。1つ目が、拠点病院に期待される役割。拠点病院の当面必要な数。地域ブロックをどう設定するか。そして、具体的な拠点病院の要件をどのようにするか。後ほどネットワークというお話をさせていただきますけれども、ネットワーク内にある拠点病院以外の医療機関に対してどういうことが求められるか。あるいは、中核的な機関についてはどういった機能が求められるか。そして、最後に小児がん医療・支援提供体制の今後の展望についてということで、幾つか論点があると思います。
 資料6、A3の紙ですけれども、こちらの方にたたき台といいますか、前回の検討会でいただいた御意見、研究班の方からプレゼンしていただいた内容を踏まえまして、とりあえずのものということで、こういった考え方かということでまとめさせていただきました。「小児がん拠点病院(仮称)あり方(案)」でございます。

 まず、時間が限られていますので簡単に説明しますが、背景ですけれども、ここは主に基本計画に記載しているところをそのまま踏襲したような内容になっております。
 1番の拠点病院に期待される役割ということですが、1つ目の丸ですけれども、拠点病院は自院が小児がん医療においてすぐれた診療機能を有するのみならず、地域内(ブロック単位)の小児がんを専門的に診療することのできる複数の医療施設(「協力病院」という)とネットワークを構築して、その中の中心の施設、前回、水谷先生の方からハブというお話がありましたが、そういった中心施設として協力病院の診療機能を支援し、地域における小児がん医療の牽引役として、地域全体の小児がん医療の質の向上に資するということを掲げています。
 この下線部のところを少しイメージにしたものが下にお示ししている絵ですけれども、中核機関というのが全国に1つあると想定されるわけですが、拠点病院が地域ブロックごとに幾つかございまして、そのブロック内で協力病院も小児がんについて一定程度の診療ができる病院とネットワークをつくってはどうかという趣旨でございます。
 2つ目のところですが、具体的にどういったことをやらなければいけないかということで、専門家による集学的医療の提供だとか、患者や家族に対する心理社会的な支援、適切な療育・教育環境の提供、研修の実施、セカンドオピニオン、相談支援体制、こういったところが求められるだろう。
 3つ目ですが、将来的にというふうに記載しておりますけれども、当然、地域の医療機関、診療所、要するに拠点病院を中心としたネットワークと、また更に、それぞれのもう少し小規模の地域ということになると思いますけれども、医療機関や診療所等の役割分担とか連携を進めて、できるだけ子どもたちがほかの子どもたちと同じような生活、教育環境の中で医療や支援を受けられるような環境を整備すること。
 4つ目が、更に長期フォローアップの体制。これも拠点病院だけでできるというものではなくて、協力病院、更に小さな医療機関とか診療所、そういったところとも連携をして長期フォローアップの体制を整備していくことが必要なのだろうという、この4つを挙げております。
 次の2ページ目に参りまして、拠点病院の当面必要な数ということですが、これまでも小児がんについては患者数が少ないということで、質の高い医療を提供するためには一定程度集約は必要なのだろうと。これまで学会の努力で一定程度の集約化というのは進められているのですが、ただ、1つ懸念は、過度な集約化をいたしますと、今度は逆に患者さんだとか、あるいは家族の方にも負担になるということがありますので、この両者をバランスをとって考えなければいけない。そうしたことを考えますと、大体ブロックごとに1から3機関、全体では10機関程度が適当ではないかということです。
 3つ目の地域ブロックをどのように設定するかということで、参考までに地方厚生局の地域ブロックをお示ししているのですが、ここの参考に書いてある、例えば北海道と東北は一緒にした方がいいとか、あるいは信越、東海北陸、このあたりは一緒にした方がいいのか、あるいは2つぐらいに分けた方がいいのかとか、そういう議論はあると思いますけれども、いずれにせよ、拠点病院の候補になる病院の地理的な配置を踏まえないとなかなか決められないというところもありますので、そういったものを見て決めていくことがいいのではないか。また、患者さんや医療機関が多いところ、例えば関東とか近畿ですけれども、そういったところでは複数の拠点病院が指定されることが想定されます。その場合には、それぞれの拠点病院がカバーする地域というのを明らかにした方がいいのではないかということです。
 それから、拠点病院の具体的な要件ですが、細かい内容は別紙の方にまとめておりますけれども、幾つか留意すべき点がございますので、それを5つ記載しております。
 1つは、今回の要件というのは、おおむねがん診療連携拠点病院の要件と同じにしておりますが、ただ、小児がんの現状を踏まえて、クリティカルパスや外来の化学療法、地域連携クリティカルパス、それから、人の配置に関するところについて、一部要件を緩和しているところがあります。
 一方で、小児患者の方に必要な発育とか教育とか、そういったところに関する部分については要件を追加しています。
 それから、少なくともということで、日本小児血液がん学会が認定している日本小児血液がん専門医療施設、日本小児外科学会が認定している認定施設を、これは最低条件ということにはなるのですけれども、要件としております。
 それから、がん診療連携拠点病院の要件にはないのですが、質の高い医療を提供するためには、やはり一定程度の診療実績は必要だろうということで、多ければ多い方がいいのですが、全体の患者数が限られているということもあって、学会からいただいた情報を参考に、とりあえず固形腫瘍で年間新規10例以上程度としております。そのうち、脳脊髄腫瘍が2例程度以上、造血器腫瘍が10例程度以上というふうにしております。ただ、これについても診療実績というのは毎年変わることも、時には大きく変わることもあるということが想定されますので、定期的に医療機関の診療実績というのを把握して、必要に応じて要件は見直さなければいけないだろうと考えております。
 それから、拠点病院については、将来、今後整備されていく中核機関に積極的に協力していくことが求められる。
 5つ目ですが、指定要件は必要に応じて見直すのですけれども、全体としてはおおむね3年後ぐらいに見直してはどうかというふうに考えております。
 今回定めるのは拠点病院の要件であって、名前はあれですけれども、協力病院の要件ではないのですが、当然、協力病院についても拠点病院に対して積極的に診療だとか、データの共有だとか、そういったところを協力して、地域全体の小児がん診療支援の向上に努めることが求められるだろう。
 6番の中核機関に期待される役割については、拠点病院を指定した後に基本計画を踏まえて中核機関の整備を進めることになっております。その下に7つばかりですが、基本計画に記載されていること、少しいただいた御意見も踏まえて、大体こんなことが中核機関には求められるのではないかということで列挙いたしました。
 1つは、診療に関する情報の集約・発信。それから、研修、あるいは相談支援の研修や内容の標準化、あとはコールセンターのような24時間対応できるような相談支援。それから、当然、診療に関する病理であるとか治療計画といった診療に関する支援。あるいは、臨床試験の支援や情報の集約・発信。それから、小児がん全体に関して普及啓発をしていくといった機能が求められるのではないかと考えております。
 7番ですけれども、小児がん医療・支援提供体制の今後の展望ですが、今回の小児がんの医療提供体制の拠点病院と中核機関、あるいは協力病院、こういったネットワークを構築していくというのは、今後の希少がんであるとか、ほかの希少疾患に関する医療提供体制にも当然参考になると考えられます。いきなり完璧なものができるということではなくて、今後も拠点病院、あるいは有識者の方や患者さん、遺族の方、家族の方、こういった方たちと議論を進めるような検討の場を設けて、試行錯誤にはなりますけれども、一歩一歩よりよい医療提供体制を構築していくことが求められるのだろうと考えております。
 次のページからが拠点病院の要件ということでまとめております。これもたたき台だと思っていただければ結構だと思うのですけれども、前回の議論などを踏まえて、今日いただいている御提案は必ずしも反映できていないところはあるのですけれども、とりあえずの案としてお示ししております。
 真ん中の列が現在のがん診療連携拠点病院の要件、右の列が小児がん拠点病院の要件の案となっております。
 下線部分ががん診療連携拠点病院と異なるところですので、そこを中心に説明いたしますと、まず1つ目が、診療体制、診療機能、集学的治療の提供体制及び標準的治療等の提供となっておりますが、勿論、造血器腫瘍、固形腫瘍といった小児に多いがんだけではなくて、再発症例など治療の難しい小児がんについても扱えることが必要だろうということで記載をしております。
 右の列のウですけれども、これが長期ケアの話です。勿論地域の医療機関との協力体制を構築してということになりますが、長期にわたり診療できる体制を構築していること、それから、緊急時に当然、入院できるような体制もつくっておくことを要件にしております。
 下の化学療法のところは、外来化学療法という話ががん診療連携拠点病院にはあるのですが、小児がんの場合ですと、なかなか外来で化学療法をやるという事例は非常に限られていると聞いておりますので、そこは削除しております。
 それから、右の化学療法のアがキャンサーボードの関係です。
 緩和ケアについては、イですけれども、ここも「外来において専門的な緩和ケアを提供できる体制を整備することが望ましい」ですが、大人の場合ですと「すること」とされているのですけれども、そこまでニーズがあるのかどうか少し不安なところがありましたので、そこは「望ましい」という記載にしております。
 次のページに参りまして、一番上ですけれども、緩和ケアチームを診察が受けられる旨の掲示をするようにということが要件に入っているのですが、ここは小児がん患者だけではなくて、患者さんが非常に小さいお子さんの場合もありますので、家族等に対してもということで追加をしております。
 上から3つ目のカですが、緩和ケアに関する要請及び相談に関する受付窓口を設けるなど、地域の医療機関及び在宅療養支援診療所等との連携協力体制を整備することが、ここもまずは第一歩目としては「望ましい」ぐらいでいいのではないかということでこういう記載にしております。
 それから、4番の病病連携・病診連携の協力体制ですが、ここで小児がん拠点病院が協力病院とともにそのネットワークを構築するという記載、理念のような話になるのですが、そういったことを入れております。
 それから、その中核機関の方にも積極的に協力をすることと、具体的に何をということは書いていないのですが、理念としてそういった記載を入れています。
 それから、下の方へ参りまして、ウですが、地域連携クリティカルパスですけれども、ここも小児がん患者さんの場合に、まだ地域連携クリティカルパスが、今後整備されることは当然望ましいわけですけれども、現時点において必ずしもそれがもう既に普及しているというわけではないですし、いろいろ状況に応じて異なるということもあると想定されますので、そこは「望ましい」という記載にしております。
 下の方ですが、専門的な知識及び技能を有する医師の配置で、放射線療法については、大人の場合ですと専任で、かつ専従が望ましいというふうにしているのですけれども、少し状況を確認しますと、特に子ども病院の場合なんかですと、放射線療法を必ずしも毎日毎日やっているというわけではないですし、そういった患者さんが非常に少ないということを考えると、放射線療法に携わる専門的な知識及び技能を有する医師を1人以上配置していることというぐらいの記載でよろしいのではないかと思っております。
 次のページでございますが、化学療法については大人と同じような記載にしております。分量が多く見えるのは専任とか専従の文言の説明を加えているからです。
 あと、緩和ケアチームの中の人の配置ですけれども、ここも大人の場合ですと専任とか、専任の身体症状の緩和に携わる医師だとか、あるいは専従であることが望ましいということは記載しているのですが、ここはどの程度ニーズがあるのかというところを私も把握をしていなかったので、ここは専任であることが望ましい、またはその常勤であることが望ましいという記載にしております。
 それから、下の方へ行きまして、専門的な知識及び技能を有するコメディカルスタッフの配置ですけれども、ここも放射線治療に関して、大人ですと専従とか専任という記載になっているのですが、ここは普通に1人以上配置するという記載に少し緩めております。
 それから、化学療法についても、薬剤師の配置ですけれども、大人の場合ですと専任となっているのですが、ここもいるところではいると思うのですが、専任とするのが難しいこともあるかもしれないということで、通常に1人以上配置することにしております。
 それから、緩和ケアチームについても専従という記載を外しております。
 次のページに参りまして、診療実績の部分ですけれども、先ほど御説明いたしましたように、造血器腫瘍が10件程度以上、固形腫瘍についても10件程度以上という記載にしております。
 それから、研修の実施体制のところですが、緩和ケアの研修については、厚生労働省の方で今年度、小児がんの緩和ケアの研修に関する委託事業を始める予定としておりますので、そこの記載は削除しております。
 それから、地域の医療機関の方も参加できるようなカンファレンス、特に協力病院ということになると思いますが、そういったカンファレンスを定期的に開催すること。
 それから、相談支援についてですが、国立がん研究センターの研修を修了した方を1人以上配置しているということで、ただ、国立がんセンターで今やっている研修というのは、必ずしも小児がんに特化しているというわけではないので、ここは今後の課題だとは思うのですが、とりあえずはこういったところで研修を修了した方、かつ、小児がんの問題にも対応できる方を1人以上配置するということを入れております。
 次が2番の「小児がん患者団体との連携協力体制の構築に積極的に取り組むことが望ましい」というふうに、ここを大人は「取り組むこと」としているのですが、「望ましい」という記載にしております。
 それから、相談支援センターの業務についても、例えばイのところですが、「診療機能及び医療従事者の専門とする分野・経歴など、ネットワーク内の協力病院及び医療従事者に関する情報の収集、提供」を入れています。
 それから、カですが、ネットワーク内の協力病院に対して、そういった相談支援に関する支援を行えることを要件に入れています。
 最後のページですが、(3)その他のところ、特に臨床研究のところで、臨床研究を支援する専門の部署、例えば臨床試験支援室とか、そういった部署を設置することが望ましいとか、あるいは臨床研究コーディネーターの配置について記載をしています。
 4番で小児に特有のという要件を入れています。保育士さんの配置、チャイルド・ライフ・スペシャリストや臨床心理士、社会福祉士等の療養支援担当者の配置をしていることが望ましいとか、院内学級を行っていること、退院時の復学支援、プレイルーム、長期滞在施設、24時間面会、付き添いができる体制、あるいは患者さんの兄弟の保育、最後ですけれども、学会が認定している認定施設あるいは研修施設であることという要件を入れております。
 簡単ですが、以上です。
○垣添座長 余り簡単ではなかったです。ありがとうございました。
 資料5、6の説明していただきましたけれども、まず、資料6にありますような詳細な拠点病院の要件に入る前に、大枠の資料5について、例えば拠点病院に期待される役割、あるいは拠点病院の必要な数、地域ブロックの設定、中核的な機関に求められる機能等について、まず御意見をいただきたいと思いますが、いかがですか。
 まず、田口委員、それから天野委員。
○田口構成員 最初の背景のところですけれども。
○垣添座長 ちょっと待ってください。先に論点というか、資料5について。
○事務局 済みません。もう資料6の方の別紙の要件に入る前の部分を御議論いただいて、資料5は飛ばしていただいても。
○垣添座長 わかりました。では、どうぞ。
○田口構成員 細かいところなのですけれども、資料6の背景のところの6行目の小児がんの年間患者数は2,000人から2,500人ということなのですけれども、これは発症数ということだと思いますので、小児がんの年間発症患者数という「発症」というのを入れておかないと、今までの累積の数とかもかなりございますので、一応新患だという概念で「発症」という文言を是非入れてほしいと思います。
○垣添座長 これは大事なポイントですね。ありがとうございます。
 天野委員、どうぞ。
○天野構成員 2点ございます。まず1点目が、小児がんの拠点病院の在り方ということなのですが、いわゆる思春期がんの在り方についても是非入れていただきたい。昨年度は小児がん専門委員会でも出ていた話だと思いますが、いわゆる思春期がんについては、周りの年齢と比べても治療成績が悪いということがありますし、小児のプロトコルであれば高い治癒が期待できるにもかかわらず、成人のプロトコルであるとか成人の診療科で漫然と治療を受けて、治癒の機会を逸してしまうということがありますので、そこは小児がん拠点病院でも見ていくべきところだろうと思います。
 また、平成18年に日本小児科学会の方でも具体的に15歳から20歳の小児の方については、新患の方も含めて積極的に診療をしていくという声明を出されていると記憶しておりますので、15から20歳ということに関して一つの区切りとして、小児がん拠点病院の対象としていただきたいというのが1点です。
 2点目が、拠点病院の役割ということですが、いわゆる小児がんの中でも治療成績がよろしくない種類が勿論あるわけでして、いわゆる再発であるとか難治です、難治というのは多分2つあると思っていて、そもそも治療成績が悪い場合と、標準治療で治癒が期待できるはずなのだけれども治療抵抗性になってしまった場合というのは難治かと思うのですが、いわゆる再発・難治の患者さんにとって将来的にはとりでとなるような施設になっていくということが期待されると思っていますので、そういった位置づけで集約化というか拠点化ということを是非念頭に置いた計画にしていただきたいと思っております。
○垣添座長 今のは特に事務局は。
○事務局 記載の方を考えさせていただきたいと思うのですけれども、小児がんといったときに、それが何歳までかというのは少し頭の中でいまいち整理がされていないところはあるのですけれども、小児がんといったときに、要件の中ではずっと小児がんという言い方をしているのですが、それがきちんと思春期がんも含むというような形で読めるというか、そういった記載にするように考えたいと思います。
○垣添座長 先に水谷委員、どうぞ。
○水谷構成員 天野構成員の御意見にも関係してくるのですが、この拠点病院というのは、やはり小児がんにおける臨床研究というものに主体的にかかわっていなければいけないという文言が必要ではないかという気がいたしましたので、できればそれを追加していただければと思います。
 それと、協力病院は仮称とおっしゃっていましたので、それほど今こだわるべきではないのかもしれませんが、基本的に拠点病院とネットワークをつくる施設というのは、私たちは一定の専門医療施設だと考えております。そういう施設は、単に協力を求められても非常に失望するだけなので、どちらかというと連携する病院という位置づけで、やはり主体的にがん診療にかかわっているということがわかるような表現にしていただければと思います。
 以上です。
○垣添座長 ありがとうございます。
 どうぞ、小俣委員。
○小俣構成員 今の水谷先生の病院の名前について、私も「協力」というよりも、もう既に実践を行って小児がんの子どもを診ているという観点からは、言葉がいいかわかりませんが、今思いつくのは連携病院という方がいいのかと思いました。
 私が申し上げたかったのは、拠点病院の当面必要な数についての2ページのところで、「過度な集約化は患者や家族の負担になるとともに」という文言があるのですけれども、先ほど天野構成員が言ったような難治性の疾患があった場合には、それは有無を言わさずというか、そこで見てもらうしかないということがございますので、どちらかというと過度な集約だから患者・家族の負担というよりは、そういった状況のときに患者や家族について、例えば宿泊の支援を配慮するというような文言をここに入れていただけたらいいかと思いました。
○垣添座長 今のは大事なポイントですね。
 ほかに御意見ありますか。竹股参考人、どうぞ。
○竹股参考人 看護職としては、今日初めてヒアリングをさせていただいたので、もう当たり前の状況で看護職がいるということで余り話題にならなかったのかなと思いつつ、先ほど、冒頭にお話しいたしましたように、やはり小児のがん拠点病院である以上、小児の専門の看護職を育てておりますので、その小児の専門の看護職を是非配置するということは入れていただきたいということと、あとは化学療法につきましては、本当に過酷な化学療法の中で合併症がたくさん出まして、日常の中で生活するのが困難になるような状況を起こすようなことに対してのケアというのは、現在でもナースがきめ細かく行っております。ですから、薬の深い知識であるとか、合併症に対する日常のケアであるとか、そういうところの専門的な知識を持った看護職も育てておりますので、是非その両方を専従で配置することが、私はがんを持つ子どもの、あるいはその家族の方に大きく貢献するのではないかと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
○垣添座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 既にかなり大事な御発言を幾つもいただいていますが、このたたき台としての小児がん拠点病院(仮称)の在り方ということで、かなり膨大な資料にまとめてありますが。
 どうぞ、田口委員。
○田口構成員 2ページ目の中核機関に期待される役割ということがあるのですけれども、中核機関というのは情報センターのことですね。拠点病院ではなくて、全部をコントロールするような機関ということですか。
○事務局 そこは拠点病院の中から1つ選ばれるのか、あるいはそれとは別でもいいのかというのは、またそこはひとつ議論があるところだと思います。
○田口構成員 私もそこを質問したかったのです。ここの表現が非常にあいまいだったものですから、厚労省はどういうふうにお考えかと思いまして、その辺が文章の中から読み取れませんでしたので。
○事務局 そこは、あえて拠点病院から選ばれるべきなのか、あるいは情報の集約といったような話が主体になるのであれば、必ずしもそうでなくてもよいのかなということで、そこはあえて記載はしていないのですが、今回の検討会においては、中核機関がどういった機関にというよりも、どういった機能をまず持たせるべきかということを中心に御議論いただきたいと思っておりまして、ただ、求められる機能として、単に情報の集約ということだけではなくて、ここにも記載しているように、研修であるとか相談支援についても拠点病院でばらばらの相談内容になってもよくないと思いますので、そういったところの標準化みたいな内容も入ってきますので、必ずしも情報だけというわけではございません。
○田口構成員 ありがとうございました。
○垣添座長 田口構成員御自身は、今の御質問された内容をどのようにお考えですか。
○田口構成員 非常に難しいと考えています。そこは今のところはっきり意見を申し上げられません。済みません。
○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、水谷委員。
○水谷構成員 今の議論は、拠点病院に期待される役割についてということに絞ってですか。全体でやっていいのですか。
○垣添座長 拠点病院の在り方についての全体で。
○水谷構成員 それでは、ちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、拠点病院の要件についての3項目目、「がん診療連携拠点病院の要件にはないが、質の高い医療を提供するためには」というところで、「一定程度の診療実績は」というふうになっていくわけですが、質の高い医療を提供するためには、小児患者に対するトータルケアが実施可能な体制が整っていることが前提であり、その上で小児がんに関する一定程度の診療実績が必要と考えられるというふうにしていただく方が、やはり今、がんの患者さんはトータルなケアを必要としておりますので、それが前提であるということは強調していただかないと危険な状況が起こるのではないかという気がします。
○垣添座長 危険な状況というのをもうちょっと補足してください。
○水谷構成員 領域別に非常に高度な専門医療はできても、基本的な小児患者のケアが十分でない可能性というのが出てくると思うのです。例えば最近起こった事象ですと、ある病院で網膜芽細胞腫の患者さんの数が非常に増えたのです。それで、私がどうしたのかと聞いたら、実はある病院で定年になった専門家の先生がこちらにお見えになった。そこで網膜芽細胞腫の治療をしている。ところが、その病院そのものは、患者さんのトータルケアという意味で十分な診療科自身が整っていなかった。そうすると、化学療法をやってしまったのだけれども、白血球が400ぐらいで明日退院ですよという状況が生じていたということがあります。そういう意味で、小児医療に対するトータルなケアが整っているということは一つの前提要件として必要ではないかという気がしております。
○垣添座長 それに関しては。
○事務局 トータルケアといったときに、それは理念のようなものとして入れておけばよいのか、それとも具体的にトータルケアを提供するためにはどんな要件が必要なのか、その辺はいかがでしょうか。
○水谷構成員 理想を言えば、例えば子どもの循環器の医者がいる、あるいは子どもの腎臓の医者がいる、あるいは神経の専門家がいるというような、そういった多方面からの小児医療の支援ができる人たちがそろっている方が小児がんの医療をやっていく上ではプラスです。これは、例えば循環器病センターだとかがんセンター等で遭遇しておられるような問題と非常に似ているのではないかという気がします。
○垣添座長 それは非常によくわかりますが、現状としてはかなり難しい条件ではないでしょうか。
○水谷構成員 例えば小児病院と言われるところは、そういう体制はほぼ整っていると思います。あと、大学の小児科等においても、大きな大学の小児科では、1つの診療科の中にいろいろなグループを抱えています。ですから、そういう意味でのトータルケアはできると思います。
○垣添座長 そうすると、トータルケアの内容をもう少し文章化していただいた方が、入れる、入れないのときに楽になるのではないでしょうか。
○水谷構成員 わかりました。
○垣添座長 次回でも御提案いただければありがたいです。
○水谷構成員 はい。
○垣添座長 どうぞ、天野委員。
○天野構成員 中核的な医療機関についてですが、1つ抜けているのは、いわゆる長期フォローアップに関しての支援等を是非入れていただきたいと思います。もしかしたら、この文言の中に含まれているということかもしれませんが、長期フォローアップの必要については小児がん専門委員会でも繰り返し指摘があったとおりですので、中核的な機関の機能として是非入れていただきたい。
 それに関連して、後の項目になってくるのですが、拠点病院でも長期フォローアップについて取り組んでいただいて、可能であれば長期フォローアップ外来の設置ということについても、必要ということは難しくても、最低でも望ましいという形で是非入れていただきたいと思っております。
○事務局 これも1点、逆に質問で申し訳ないのですが、具体的にもし中核機関について長期フォローアップといったときに、どういった機能というか、もう少し具体的にどういった情報が必要なのかとか、その辺ももしあれば、この検討会の後でも結構ですので、また御提言いただければと思います。
○水谷構成員 「拠点病院の要件について」というところで、最後のところにもし可能であればつけ加えていただきたいのは、(仮称)拠点病院の施設の長は、当該診療科が地域や全国の連携病院と小児がん診療の協力体制を推進する責務を負っていることを十分認識し、これを支援する。そうしないと、各病院の小児科のこういうがんの診療に当たっている方たちは、非常に孤立無援の戦いを強いられることが多いです。やはり診療科として非常にマイナーで、病院収入にも十分貢献しないというところで、なかなか言うべきことが言えないという状況に置かれていることがしばしばあります。そういう意味で、施設の長が十分その辺を配慮して、この診療科を支援する責務を負っているのだということを一言書いていただけると、小児診療科の立ち位置は非常に楽になると思います。
○田口構成員 1つ確認なのですけれども、先ほどの1の「拠点病院に期待される役割について」と4の「拠点病院の要件について」と2つ項目があるのですけれども、ここのすみ分けとかはどういうふうにしているのですか。
○事務局 そんなに深い意味があるわけではないのですが、まず「期待される役割」の方は、いわゆる理念的なものというか、具体的な要件まで落ちていませんけれども、拠点病院として今後どういった役割が求められるかという大きな柱みたいなものです。「要件について」のところで取り上げている5つの点は、学会の認定施設とかいう話は、今回、がん診療連携拠点病院とはちょっと違った観点で幾つか具体的に入れている要件がありますので、そこを主にピックアップをして書き出したという程度のものです。
○田口構成員 そうしますと、先ほど水谷先生が御指摘された、長がそういう認識を持つということについては、最初の1に入ってくるような気がしたのですけれども。
○水谷構成員 どこでもいいので入れていただかないといけないということです。
○垣添座長 それでは、時間が迫ってまいりましたので、本日の検討会はそろそろ閉めたいと思いますが。
○田口構成員 今、議論したのは、最初の2ページだけで、その後の具体的なことについては今日はもう議論しないのですか。
○垣添座長 時間が来てしまっているので。
○田口構成員 次回ということですか。ここの各項目についての議論というのは、かなり重要ではないかと思うのです。
○垣添座長 3回目の予定はどうなっていましたか。
○がん対策・健康増進課長 今回御議論いただきまして、できる限り意見を反映させて、また座長とも相談させていただきまして、次回、その反映させたものを提示させていただき、再度御検討いただくということで、できれば3回目でまとめさせていただければと思っているところです。
○垣添座長 その場合、今日十分議論できていなかった、今、田口構成員が御指摘の個々の項目は。
○がん対策・健康増進課長 事前に事務局の方に御意見をいただければ、それについてまた対応を考えていきたいと思います。
○垣添座長 ありがとうございます。では、今日はこの場でいろいろ新たな御意見をいただきましたけれども、それに加えて個々の項目に関して不足部分は事務局の方に御指摘いただければと思います。
○田口構成員 もう1点だけなのですけれども、8ページの最後の「患者の発育や教育等に関して必要な環境整備」の件は、前回、脳腫瘍の患者さんの代表のお話を聞きましたけれども、今、我々実際、固形がんの診療に関しては、全国にいろいろなネットワーク、福岡なんかもそうなのですが、例えばがんの子どもを守る会とか、要するに患者団体の御意見をもう少し聞いた方がいいのではないかと思いますので、もし可能でしたら、次の会までの間にそういうふうな患者団体の方の御意見というのを反映させるような機会をヒアリングでも何でも結構ですけれども、そういう機会を1つ設けていただければありがたいと思います。
 我々、今日いろいろお話を聞きましたけれども、チャイルド・ライフ・スペシャリストとか臨床心理士とか社会福祉士等、十把一からげ的にここに書いていますけれども、なかなか具体的な役割というのが十分に理解できていないということがあると思いますので、そういう患者さんの代表の方の御意見というのをもう少し反映させるような機会をつくっていただいた方がいいと思います。
○垣添座長 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 患者代表で出ているつもりなので、ただ、そういうことをここで発言するということがありませんでしたので、もし次回5分ぐらいでもお時間をいただければ、小児がんの子どもたちや家族に起こることについては資料を提出したいと思いますが、よろしいですか。
○垣添座長 短時間であれば、せっかく構成員としても加わっていただいていますし、御経験がありますから、いただきましょうか。
○がん対策推進官 一応、先生方、もし追加の御意見がございましたら、事務局の方に今週末、金曜日ぐらいまでに提出していただければと思います。
 その上で、今、小俣委員からお話がございました、事前にもしいただければ、私ども、次の検討会に反映できるものはさせていただくという方針で対応したいと思います。
○垣添座長 そうしましょう。何しろ時間が非常に限られているものですから、次回、3回目でまとめをしないと予算編成につながらないということなので、その点は御理解ください。
 では、本日発言いただいた以外の御意見は、事務局の方に今週いっぱいで届けていただいて、それをできるだけ第3回で議論する中に盛り込むということで御理解ください。よろしゅうございましょうか。
 今日議論いただきました資料6を修正して、私もそれに目を通させていただいて、それを第3回の資料として提案して、それで固めたいと思っております。
 事務局から何か御連絡ありますか。
○がん対策・健康増進課長 次回の開催日程でございますけれども、次回は6月下旬頃に開催させていただきたいと思います。
 また、ただいまお話がございましたように、本日の検討会の中でまだ言い足りない部分がございましたら、今週いっぱいまでに事務局側に資料等を出していただければ幸いでございます。
 いずれにしましても、次回については、この検討会で一定のまとめをさせていただきたいと考えているところでございます。
 事務局からは以上でございます。
○垣添座長 今日はこれで終了させていただきます。どうも御協力ありがとうございました。


(了)
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健康局がん対策・健康増進課

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