ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働基準局が実施する検討会等 > 治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会 > 第6回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録




2012年6月14日 第6回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年6月14日(木)13時00分から


○場所

厚生労働省中央合同庁舎第5号館専用第23会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

委員<五十音順、敬称略>

井伊 久美子 (社団法人日本看護協会 常任理事)
今野 浩一郎 (学習院大学経済学部経営学科 教授)
今村 聡 (社団法人日本医師会 副会長)
岩崎 明夫 (ソニー株式会社人事部門産業保健部 産業医)
門山 茂 (東京労災病院勤労者予防医療センター 副部長)
塩山 あけみ (日立製作所労働組合日立支部 執行委員)
砂原 和仁 (東京海上日動メディカルサービス株式会社健康プロモーション事業部 部長)
本田 麻由美 (読売新聞東京本社社会保障部 記者)

事務局

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
高渕 憲一 (労災補償訟務分析官)
飯田 剛 (労災管理課長補佐)
松本 篤人 (労災管理課企画調整係長)
小島 敬二 (労働条件政策課長補佐)
木内 哲平 (安全衛生部労働衛生課中央労働衛生専門官)

○議題

(1)報告書(案)の検討
(2)その他

○議事

○今野座長 ただいまから、第6回「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会」を開催します。今日の議事ですが、お手元の議事次第にありますように、報告書案の検討をしていただきたいと思います。事務局から、資料の説明をお願いします。
○労災管理課企画調整係長 最初に、資料について説明します。お手元の資料1をご覧ください。こちらは、これまでご議論いただきました内容を踏まえまして、事務局で作成しました報告書のたたき台になります。本日は、後ほど内容について事務局からご説明させていただいたあとに、構成も含めましてご意見をいただければと思っています。
 次に、資料2をご覧ください。こちらは報告書のたたき台に関連する資料を付けたもので、報告書が出来上がりましたときには、この資料を後ろに添付する予定のものですので、参考までに付けました。
 資料3については、第5回検討会でいただきましたご指摘事項をまとめたものです。本日のご議論の参考にしていただければと思っています。
 資料4については、前回、今村委員からご質問がありました内容に対して準備した資料になります。この内容については、後ほど担当者より説明いたします。
 資料5については、こちらも前回ご指摘をいただき、関連する政府決定等があれば報告書の中に盛り込んではどうかというご意見をいただきましたので、主に関連する計画名等と、あと関連部分について抜粋したものになります。中身は、がん対策推進基本計画、肝炎対策基本指針、地域保健対策検討会報告書、健康日本21、医療情報化に関するタスクフォース報告書、こちらは今村委員からご指摘のありました糖尿病に関するITの活用についての報告書になります。
 資料1の中身について、早速ですがご説明をしたいと思います。手元の資料1をご覧ください。報告書のたたき台ということで、前回提示しました大きいエクセルの資料がありましたが、主にその構成に従い、いただいたご指摘を踏まえて準備したものです。
 1の「はじめに」で、「治療と職業生活の両立」についての定義を最初に書きました。これまで主にここについて議論はなかったのですが、事務局でこれまでの議論を踏まえて書いたものです。「治療と職業生活の両立」とは、病気を抱えながらも、働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受けながら生き生きと就労を続けられることである、という形で定義しました。
 次に、これまでの治療と職業生活の両立に関する経緯等について述べています。2つ目の○のところで、これまで両立に関する対策としては、労働安全衛生法により事業主に実施義務のある産業保健活動に対し、産業保健スタッフに対する研修・相談、情報提供等の体制を整備するとともに、産業医の選任義務のない小規模事業場や、メンタルヘルスなど職場で対策を進める際に専門的な知識が必要なものについて、支援体制を整備してきた。また、労災病院においては、作業や作業環境がその発症要因あるいは症状の増悪要因となる作業関連疾患について、予防から治療、職場復帰まで念頭においた勤労者医療が研究・実践されてきた。
 3つ目の○になりますが、企業現場においては、労働者のメンタルヘルス不調が大きな課題となる中、「治療と職業生活の両立等の支援」のうち、メンタルヘルス不調については広く社会一般の認識も高まり、関係者間で、心の健康の保持増進から、メンタルヘルス不調労働者の職場復帰支援のための取組が進められている、としています。
 ただ、次の○で「しかしながら」ということで、疾病全般を対象としたものや、がんや肝炎など、その他の疾患については、一部の企業では先行的な事例がありますが、治療と職業生活の両立等のための取組がまだ不十分であり、行政としても今後、実態把握の上、検討・取組を進めていくこととされている、としています。
 なお、注書きは下にありますが、がんの基本計画や肝炎の基本指針では、こうした内容のことが盛り込まれています。
 そこで、本検討会では、設置要綱等でも述べましたが、労働者、企業、産業保健スタッフ、医療機関など、関係者や学識経験者の方にご参集いただきまして、これらの関係者がそれぞれどのように対応し、連携を図るべきか、また、それを促進するための支援策の在り方について、「就労による疾病の重症化を防止するための支援」「疾病により休暇・休職中の労働者が早期に職場復帰するための支援」「職場復帰後も治療が必要な労働者が、治療と就労を両立させるための支援」という支援の段階に留意しつつ、検討を行ったとしています。
 最後に、本検討会では、特定の疾病を議論の対象としたものではありませんが、ヒアリングで取り上げた、がん、糖尿病、メンタルヘルスについて、治療と職業生活の両立に困難を抱えている労働者が多く存在すると考えられるとして、有識者を招いてヒアリングをさせていただいたと書きました。こちらは、ヒアリングで取り上げた項目について、その理由等を報告書に明記したほうがよいというご意見を前回の検討会でいただきましたので、記載したものです。
 次に、3頁に移ります。2ということで、「治療と職業生活の両立等の支援を取り巻く現状・課題」という形で述べています。(1)「働く世代と病気の関係」。第1回目の検討会から、支援の対象となる労働者はどのぐらいいるのかと。ボリューム感等についてなかなか実態把握ができていない状況ではありますが、なるべく多く数字の出せるものをまとめ、それでボリューム感といいますか、どれぐらい対象者がいるかを述べる形にしています。
 1つ目の○ですが、前回、岩崎先生からご指摘のありました、国家公務員に関する調査を用いた推計を述べています。2行目からですが、正確に実態把握を行った調査結果はありませんが、人事院が実施した「国家公務員長期病休者実態調査」によると、1カ月以上の長期病休者の割合が全職員の約2%存在し、これを仮に全雇用者数に当てはめると、約100万人の労働者が職場復帰に向けて治療を受けていると推計できます。
 ただ、この調査は、長期、1カ月以上の休職中の正規の職員の方のみを対象とした調査ですので、実態としては、1カ月に満たない短期間でも治療と職業生活の両立が必要な方や非正規の労働者、また、この方々はまだ休職中ではありますが、実際に失職してしまった方など、実際にはより多くの労働者が治療と職業生活の両立に困難を抱えていると考えられるという形にしています。
 次に、疾病別等について、データを述べています。労働安全衛生法に基づく定期健康診断における有所見率ですが、労働力人口の高齢化等を背景に増加傾向が続いており、平成22年には52.5%と半数を超えています。特に、脳・心臓疾患につながる血中脂質、血圧等に関する割合が大きい。また、併せて脳・心臓疾患による労災請求件数・支給決定件数、労災補償状況も増加傾向にあります。
 次に、メンタルヘルス不調ですが、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者が6割に達していて、年間3万人を超す自殺者のうち労働者が約3割を占める。また、脳・心臓疾患と同様に、労災請求件数等が増加傾向にあります。少し下の注書きに加えていますが、労働者が自殺者の方の約3割を占めるとありますが、実際にすべてが職場環境による理由ではありません。7に書いてありますが、原因・動機別に見ると、健康問題・経済問題・家庭問題・勤務問題という割合になっています。
 4頁に戻ります。また、約8%の事業場で、「過去1年間にメンタルヘルス上の理由により連続1カ月以上休業又は退職した労働者がいる」としているということで、労働者の健康を取り巻く状況は厳しい状況にあるとしています。こちらの8%という数字ですが、企業の規模別に採っていたものをすべて平均したもので8%という形になっています。大きい企業については9割近いというデータになっており、ここら辺の書き方についても、後々ご意見等をいただければとは思っています。
 次の○で、がんのデータになります。がんについては、日本の死因の第1位ということで、生涯のうち2人に1人が罹患し、そのうち3人に1人は就労可能年齢で罹患する中、診断・治療技術の進歩により、早期発見・早期治療が可能となり、がんの5年生存率は50%を超えるようになってきています。
 次で書きましたが、特に、女性の労働市場への参加が進む中、女性特有のがん、乳がんや子宮頸がんについては、女性のがんの罹患の中ではこちらのほうが多くなってくるのですが、一方、5年生存率も乳がん・子宮頸がんについては7割、8割を超えており、女性の就労参加が進むにあたって大きな両立のリスクになっていると書きました。
 次に、糖尿病の関係について書きました。糖尿病が強く疑われる方、可能性が否定できない方、合わせると2,000万人を超えています。一方、その中でほとんど治療を受けていない方がまだ4割いらっしゃると。また、こちらはヒアリングで中央労災病院の佐野先生からもご指摘がありましたが、定期通院を自己中断した主な理由としては、仕事が多忙であるという理由が多く、男性・若年・サラリーマンや専門職に中断が多くなっているという状況があります。
 これまで述べてきましたように、労働環境の変化等によって、脳・心臓疾患や精神疾患等の作業関連疾患が増加していることや、いままで効果的な治療方法がなく、なかなか治らない病気だったものが治るようになってきたということで、現在治療を受けながら就労する労働者が無視できない割合で存在しているとしました。実態把握が十分でありませんので具体的な数は書けませんが、無視できない割合という形で書いています。
 また、少子高齢化の急速な進展により労働力人口が減少に転じる中、経済社会の活力を維持するため、より多くの方々が社会の支え手として働けるよう、いま、政府全体としても全員参加型社会の実現に向けた環境整備を進めています。こうした治療と職業生活の両立等の支援については、こういった全員参加型社会の実現への一助になるとともに、疾病に対するリスクが比較的高い高齢者の方や、先ほど述べましたが女性の就労促進に伴って、支援を要する労働者は今後も増加していくことが考えられるとしています。
 次に、(2)「治療と職業生活の両立支援を巡る現状」。?「両立支援を巡る現状」の1つ目の○で、このように治療を受けながら就労する労働者が無視できない割合で存在する中、現在の関係者間の取組を見ていきますと、まだまだ取組や連携が十分でないことが挙げられるのではないかとしています。
 次に、2つ目の○以降で、具体的な、これまでご意見をいただいた内容を書きました。「重症化防止の観点からは」として、アの部分で、定期健康診断の実施義務については、作業関連疾患について課せられているものの、事業主や産業医による治療開始の促しや治療中断に対するアプローチなど、定期健康診断後のフォローアップが不十分ではないか。
 イですが、周りの上司、同僚だけでなく、疾病を抱える労働者自身の方が疾病に関する正しい知識を有しないために、特にがん等と比較して、糖尿病等を軽視しがちであり、忙しいという理由で、先ほどデータも提示しましたが、治療よりも仕事を優先させ、結果として症状の悪化を招いているという状況があるのではないか。
 ウの部分ですが、それに対する体制として、労働者数50人未満の小規模事業場では、いま産業医の選任義務はなく、また、50人以上の選任義務のある所でも、すべてにおいて選任されているという状況ではありません。また、職場の産業保健スタッフについても、これまでヒアリング等でもご議論はありましたが、産業保健に理解のある方が十分でない、もしくは糖尿病等、すべての疾病に関する知識を必ずしも十分に持っているわけではないということで、必ずしも労働者に対するきめ細かい指導ができていないのではないかと書きました。
 次に、エの部分で、疾病を抱える労働者が、自身のキャリアに不利になることや、同僚・職場に迷惑がかかること、病気についての理解を得られにくいこと等を理由に、治療のために企業の配慮・支援が必要であってもなかなか伝えられずに、治療を放置・中断した結果、重症化を招くことにつながっているのではないかと。また、産業保健スタッフを含めた企業側についても、私傷病については、労働者側に起因するという理由で、メンタルヘルスや労災と比べるとあまり関わるべきではないとの意識が見受けられるのではないか、という状況について述べました。
 次に、「職場復帰や復職後の治療と就労の両立支援の観点からは」として、現在の状況について具体的に述べています。アの部分ですが、直属の上司、同僚や人事労務担当者の方が、疾病やその治療に関する知識・理解が十分でない、不足しているのではないかと。また、次の点は座長からも何回かご指摘いただきましたが、人事労務担当者の方からしますと、育児・介護と仕事の両立や、障害者雇用対策、メンタルヘルス対策など、対応すべき問題が今かなり多くて、全てに十分な知識を持つことは難しいのではないかと。
 イの部分ですが、疾病により休業・休職した労働者が、職場へ復帰・定着するために必要となる時間単位の休暇制度とか、短時間勤務制度等の柔軟な雇用管理の取組が十分に整っていないのではないか。また、大企業等、取組を進めている所はありますが、非正規雇用者については、取組の対象となっていない場合が多い状況があることについて書いています。
 次に、7頁に移ります。ウの部分ですが、医療機関側についても、病気を治すことを第一に治療を行っており、患者の方を「職業生活を送る者」、労働者、働く方として捉えておらず、治療方針の決定に際して、職務内容や勤務時間などの就業状況を十分に考慮できていないのではないか。
 次に、エの部分ですが、医療機関から産業医への情報提供は、これまでも両立支援に非常に有用であるという状況はあると思うのですが、労災による疾病については、医師から産業医に治療情報を提供した場合、特にメンタルヘルス不調の場合については、診療報酬上加算を行う等のことをやっていますが、それ以外については、そういったインセンティブをなかなか働かせるような仕組みはない、ということを書いています。
 オの部分ですが、治療と職業生活の両立に関して、労働者や企業の側からの相談に対応できる機関が十分にないのではないか。労働者の側からしますと、がん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院で相談支援センターはありますが、病気に関する相談には答えられても、就労に関する専門的知識を備えたスタッフや資料等がないということで、十分な対応ができていないと。逆に企業からの質問に対しては、産業保健推進センターでは、疾病に罹患する労働者が発生した場合の社内体制の整備方法といった一般的な方法については相談を受け付けていますが、個別の労働者についてどうしたらよいですかという内容についての相談は、まだ受けていないという状況があります。
 次に、カの部分ですが、連携不足というところで、企業側が労働者の疾病や治療状況について把握する場合、逆に医療機関側が労働者の就業状況に関する情報について把握する場合、基本的に、いずれも労働者本人からの申告によることが多く、労働者の個人情報等の問題をクリアした上ですが、なかなか企業と医療機関が直接やりとりすることは少ないのではないかという状況が挙げられると入れました。
 次に、?「企業の取組状況等」です。現在の企業の取組状況として、先ほども少し述べましたが、一般的に大企業においては、産業医等の産業保健スタッフの配置も充実しており、長時間労働者に対する面接・保健指導も実施しています。また、私傷病に対する休暇制度は、先ほど柔軟な雇用管理と言いましたが、こういったことについても導入している所が多いのが実態です。
 次に、8頁に移ります。メンタルヘルス対策に関しては、企業の規模にかかわらず労働者からの相談対応の体制整備、管理者・労働者に対する教育研修などをはじめ、5割以上の事業所でいま対策に取り組んでいる状況があります。
 次に、一部の企業や医療機関における先行的な取組の好事例について述べました。こちらは、前回、岩崎委員から好事例について報告書に盛り込めるものがあればということでしたので、書きました。実態把握は、データとともに、どういう所が進んでいるのかという把握も行政として十分ではありませんので、ヒアリングで取り上げた「株式会社クレディセゾン」と、第1回のときに資料として入れた「労災病院」の取組を、企業の取組例、医療機関の取組例ということで書いています。詳細は割愛します。
 次に、?で「行政の支援状況等」について書きました。「はじめに」でも述べましたが、行政の取組としては、まず、産業保健対策として、産業保健スタッフに対する研修や支援等を行う産業保健推進センター事業、および産業医の選任が困難な小規模事業場を対象として、健康診断のフォローアップのための医学的意見の提供等を行う地域産業保健センター事業を行っています。
 また、疾病ごとの対策として、先ほど就労に関する相談は十分ではないと述べましたが、全国のがん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院に相談支援センターを設置し、患者や労働者からの相談支援を実施しています。
 また、肝炎については、昨年5月に策定しました肝炎対策基本指針に基づき、事業主団体等に対して検査や治療のための配慮や正しい知識の普及など、職域におけるウイルス性肝炎対策に関する協力の要請を行っています。こちらの第1回のときにも少しご紹介しましたが、健康局長・労働基準局長・職業安定局長連名で事業主団体等に対して、「職域におけるウイルス性肝炎対策に関する協力の要請について」という通知文をお送りしています。
 また、メンタルヘルスについては、労働者のメンタルヘルスケアの原則的な実施方法や、職場復帰支援の事業主向けマニュアルを作成し、周知徹底を図っています。具体的には、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」、メンタルヘルス指針と呼ばれているものや「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を作成してきています。
 さらに、メンタルヘルス対策の充実・強化を図るため、事業主に対して労働者のストレスチェックを義務づける等の内容を含んだ法律案、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」を昨年12月に提出しています。まだ提出しているという状況だけですが、こちらについても書きました。
 次に、今村先生からもご指摘のありました糖尿病に関するITの活用の部分についても書きました。IT戦略本部の医療情報化に関するタスクフォースで、「どこでもMY病院」と言いまして、診療情報等を電子でやり取りすることについて検討されており、その中で産業医と地域の専門医との間の健康情報の共有についても、ユースケースとして使えるのではないかという形で挙げられています。
 以上のような現状を含めて、(3)「治療と職業生活の両立等の支援を図るための課題」として述べます。治療と職業生活の両立について支援を要する労働者が存在することは明らかであり、今後、高年齢者や女性の就労促進に伴って支援を要する労働者が増加することが見込まれるため、両立のための基盤整備が必要ではないかと考えられる。また、行政を含めて関係者が十分に連携・協力しての取組ができていない中、まずは関係者を結びつけるために、両立支援という政策の位置づけを明確にすることが重要ではないかとしました。政策を打ち出すにあたっては、ワーク・バランス・バランス政策の中で「育児」「介護」に次ぐ3番目の柱として「治療と職業生活の両立」を位置づけて、一元的に取組を進めることが効果的ではないかと書いています。こちらは第5回の最後のところにご議論があり、企業の側からしても両立ということで、育児・介護と同じ問題であるということや、第2回検討会で桜井氏からヒアリングを実施したときに、桜井氏から、「育児」「介護」との両立というところに「治療」を置き換えれば同じような支援ができるのではないかというご発言もいただき、ワーク・ライフ・バランスの中でという形で書いています。
 また、基盤整備の内容ですが、具体的には、?と置き、労働者や企業、産業保健スタッフ、医療機関等の関係者が、疾病についての知識や、治療と職業生活の両立の現状及び必要性について、正確な情報を得られるようにするための情報基盤、?として、人事労務担当者、産業保健スタッフ、医療ソーシャルワーカー、相談支援センターの相談員等、現在、両立支援の役割を担っている人材に対する養成、研修するための人材基盤といった基盤の整備が必要ではないかとしています。現状は、両立支援という問題に対する情報不足、理解不足が1番の問題にあるのではないかということと、まずは相談に対する支援機関がなかなか充実していないことがあるのではないかという現状を踏まえ、「情報基盤」「人材基盤」の必要性について書きました。
 さらに、これらの基盤と併せて、今後より一層両立支援を機能させるための仕組み作りについても、将来的な検討課題であると考えられると書いています。
 次に、11頁に移ります。3「支援の在り方」です。前回まとめて出した資料にもありましたが、関係者が取るべき対応、連携と、それを踏まえて、それを促進するための行政の役割について順に述べています。(1)「関係者が取るべき対応、連携の在り方」です。上記の基盤整備のために、就労促進のための環境整備の一環として、関係者が連携を図りながら以下の取組を進めていくことが必要ではないかということで、「企業」、主に人事労務担当者の方ということで、まずは健康診断の実施、産業医の選任をはじめとする労働安全衛生法上の措置の徹底により、労働者の疾病の早期発見・早期治療や重症化防止に努めることが必要ではないかと。また、産業保健スタッフや地域の保健機関等を活用しながら、疾病に対する理解を高めるよう、労働者および管理監督者の教育に努めることが必要ではないか。
 教育の必要性についても、前回、井伊先生から述べられましたので、こういった形で書いています。ただ、人事労務担当者だけでの対応は難しいというご指摘もいただいていますので、地域の医療機関や産業保健スタッフを活用しながらこういったことに努める必要があるのではないかという書き方にしています。
 次に、早期の職場復帰および復帰後の治療と職業生活の両立を促進するため、時間単位の有給休暇制度や短時間勤務制度など、柔軟な雇用管理の取組を進めること。あと、同時に、個々の事案に応じた対応ができるようにという書き方をしました。こちらは株式会社クレディセゾンの武田様からヒアリングを行った際に、すべてをルール化、制度化するのではなくて、現場での工夫づくりもなるべく制度化しないことが必要ではないか、重要ではないかというご指摘もいただきましたので、個々の事案に柔軟に対応ができることも加えています。
 次に、「産業保健スタッフ」ですが、産業保健の役割は、職場における労働者の健康確保であることから、人事労務担当者と協力し、確実な定期健康診断後のフォローアップを行うこと。労働者の職場復帰や復帰後の治療と職業生活との両立に関して、専門的知識の蓄積を図るとともに、いま現在有している知識、ノウハウ等を活かして、また積極的に医療機関と連携を図りながら、人事労務担当者の役割を補助すること。産業保健スタッフと一括りにしていますが、特に産業保健師については、産業医以上に労働者への身近な相談相手としての立場を活かし、積極的に労働者本人と接触し、産業医や人事労務担当者、医療機関との連携を図ること。
 治療と職業生活の両立に関する相談に十分に対応できる機関がないことから、地域の保健機関と並んで、労働者および管理監督者にとって身近な相談窓口としての役割を、いま現在も果たしていただいていますが、より一層果たすこと。
 次に、12頁に移り、「医療機関」です。医療機関においては、医療資源が乏しい中でさまざまな困難はありますが、保健師や看護師等で、いま現在相談支援センター等で相談に当たっていらっしゃる方々の就労に関する制度等の知識の向上や、ピアサポートグループの活用を図ることなどにより、職場復帰や復帰後の治療と職業生活との両立に関する相談体制を整備すること。また、患者の就業状況を把握した上で、治療方針の決定に際し、可能な範囲で会社を休まずに治療を受けられるよう配慮をすること。さらに、企業が職場復帰の判断を行うにあたって、医療機関が患者の就業状況を考慮した上で復職診断を行うこと。こちらは、病気が治ったというだけで判断をして、人事のしっかりしている所では、それを踏まえて人事のほうでまたしっかりと判断はできると思うのですが、中小企業やなかなかはっきりしない所については、お医者様の判断を含めてすぐに決定してしまう、結果、まだ十分に職場復帰できる状況にないのではないかというお話もありましたので、こういったことを書いています。
 次に「労働者」の側ですが、健康診断の受診の機会等を通じて、日頃から、疾病の予防、早期発見および重症化防止に努めること。治療と職業生活の両立の前に、まずは予防といいますか、かからないこと、セルフ・ケアが必要であると思いますので、こうしたことを書きました。
 労働者自らが積極的な情報収集を行い、また、企業と医療機関の情報共有・連携に協力すること。各関係者に支援をお願いするという形でこれまで述べていますが、労働者自身が受け身にならずに活用できる制度等について積極的に情報収集を行うということと、企業と医療機関間の情報連携については、個人情報の問題が伴いますので、まずは労働者本人の方の同意等が必要になると考えられますので、そういった情報の共有・連携に協力することという形で書いています。
 次に、(2)で「行政の役割」について書きました。関係者の取組を促進するため、行政の役割としてどのようなことが考えられるか。まずは政策の位置づけを明確にした上で、「治療と職業生活の両立」について、社会的認識を向上させる必要があるのではないか。次に、第1回目からずっとご指摘いただいていますが、問題の大きさを正確に把握するため、支援を要する労働者の規模や具体的なニーズ、現在の関係者の取組状況等について、実態把握を行う必要があるとしました。
 次に、各関係者に対する役割、行政の支援として以下のことが望まれるという形で書いています。「企業(人事労務担当者)向け」ですが、治療と職業生活の両立を支援するため、企業がどう取り組んでいくかを示したガイドラインやマニュアル等を作成し、周知・徹底を図ること。現在、メンタルヘルスの関係では、職場復帰の手引き等はありますが、それ以外の一般的な疾病についてもこういったものを作成し、周知・徹底を図ることが必要ではないかということです。個別事案も含めた、企業の方からの相談に対する支援体制を整備すること。先行的に取組を進めている企業についての事例の収集・発信や、例えば表彰制度などを設けるなどし、企業の自発的な取組の促進を図ること。企業が取組を進めていくにあたってインセンティブがないといけないので、こういったものを用いて企業の自発的な取組の促進を図ることが必要ではないかと、度々ご意見をいただきましたのでこう書きました。
 次に、「産業保健スタッフ向け」です。こちらも、メンタルヘルスに関する復職支援の手引きを参考に、疾病全般を対象とした両立支援のためのガイドラインを作成すること等により、両立支援に取り組む産業保健スタッフを支援すること。また、産業保健推進センターを活用し、治療と職業生活の両立の支援に関する研修を実施し、両立支援に理解のある産業保健スタッフの育成をすること。
 次に、「医療機関向け」です。治療と職業生活の両立を支援するために、医療機関がどう取り組んでいくかを示したガイドラインやマニュアル等を作成し、周知・徹底を図ること。繰返し今まで述べてきていますが、がん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院の相談支援センター等の相談窓口について、就労に関する相談にも対応できるよう、支援体制を強化すること。
 医療機関が企業の産業保健スタッフに対して、両立支援を目的とした患者情報の提供を行うことにインセンティブが働くよう検討すること。労災についてはそういった診療報酬上の評価等がありますが、いままでのご議論では、がんの診療連携拠点病院の要件としていることや、そういった診療報酬など、情報提供にインセンティブが働く仕組みが必要ではないかというご指摘がありましたので、こういった形で書いています。
 労災病院においては、引き続き、治療と職業生活の両立を図るモデル医療や就労形態や、職場環境が疾病の発症や治療、予防に及ぼす影響等に関する研究・開発、普及に取り組むこと。労災病院においては13分野研究ということで、両立支援の分野、研究・実践を進めてきていますが、引き続きそれを進めることとしています。
 次に、「その他」です。患者の立場に立って企業と医療機関を結びつける仕組みについて検討すること。こちらはなかなかわかりにくい書き方かもしれませんが、私どもがモデル事業でやっているコーディネーターのようなものを想定して書いています。どこにコーディネーター機能を置くのがよいかとかいった深い議論まで、まだ検討会で十分にできていませんが、なるべく限定せずにこういった書き方をしています。あと、地域保健と職域保健の連携強化を図ること。
 14頁です。これらの取組を進めていくにあたって、(3)「留意すべき事項」ということで、いままでご指摘をいただいた内容について書きました。上記のような取組・連携を進めていくにあたっては、関係者が問題意識を共有し、すべての関係者が一体となって進めていくことが望ましいが、個々の企業や医療機関の違いにも留意する必要があるのではないか。例えば、企業側の場合、中小企業は大企業と比較しますと、長期にわたって休職中の労働者を支援することに対する経済的な負担が大きいことや、人事労務担当者や産業保健スタッフの体制も十分でないことがあるのではないかと。
 また、医療機関側についても、規模の違い等、いろいろ個々の医療機関間の違いは大きいので、一律な取組をただただ求めることは現実的ではないのではないか、ということを書いています。
 さらに、次の部分ですが、本検討会では、なるべくといいますか、できる限り、病気にかかった労働者が今いる職場を辞めずに就労を続けていけるには、どういった支援等が必要かということで検討しましたが、病気を理由として職を失ってしまった方に対する再就職支援の問題についても、さらにその先の問題として、今後、取組を進める必要があるのではないかと書きました。
 最後、4「おわりに」です。「治療と職業生活の両立等の支援」については、行政として、今後対策を重視しなければいけない課題であり、いま現在いろいろな部局がそれぞれの計画をやっていますが、問題の解決には、縦割り行政を排除し、一元的な取組を進める必要がある。本件討会が、この問題の支援と必要性について、広く国民一般が認識する契機となり、今後、行政の一元的な取組のもと、関係者の取組がより一層進むことを期待する、という形で締めています。以上、資料1の報告書のたたき台について説明しました。
○今野座長 ついでに、残っていた資料の説明をお願いします。
○労災管理課企画調整係長 資料4について、担当者から説明します。
○労働衛生課中央労働衛生専門官 前回の検討会の際に、今村委員から、産業保健推進センターが両立支援にかかわる個別の労働者の相談に応じているのではないか、その実績について調べるべきだとのご指摘をいただいていました。前回の検討会の際に私から、個別の相談についてもやっているのではないかということでお答えをしたところですが、その後調べまして、資料4に、産業保健推進センターの目的、主な事業内容等を記載しております。産業医、保健師、衛生管理者等の産業保健スタッフに対する研修、専門的相談等、また事業者に対する職場の健康管理への啓発等を行うことを目的としているとなっています。個別の労働者の事例についての相談については、もちろん相談が来たときに、それを断らずに受けているという実態はあるということのようですが、本来の事業ということとしてはカウントされていないということでした。
 また、両立支援の相談についても、もちろん相談があれば、それに応じているという実態はあるのですが、同じく事業のメニューの中に入っていることはなく、ですから実績等の内訳は不明であるということでした。いまの内容については、報告書のたたき台にも同じ内容で入れております。
今野座長 まず、資料4についてありますか。これは、前回の宿題ですけれども。
○井伊委員 この相談件数は、全国47都道府県で延べ数が3万4,563件だということですか。
○今村委員 資料4の感想ですが、私が質問をして、わざわざ調べて本日資料を出していただきましてありがとうございました。いまお話がありましたように、推進センターの事業内容には、個別の労働者の相談はないと。しかしながら、国民から見るとこういう場所があって、何か相談したら答えてくれるのではないかと思うからこそ、いまは実数は上がらないけれども、個別の相談が入ってくるという実態がある以上、国民がわかりやすい形で、どこかでワンストップで相談できる場所があるべきです。そういう意味で産業保健推進センターという名前は、本来そういうことをやる所ではないかと国民はたぶん思うと思うのです。今後、事業の内容を拡大する等いろいろなご検討をいただければいいのではないかと思っています。
○今野座長 ほかによろしければ、本日の主要なテーマである資料1に関して議論していきます。先ほど事務局からも話がありましたように、これまでの議論を踏まえ、報告書の骨子案を作っていただきました。それが資料1になります。本日は、この骨子案をさらに改善するとか、バージョンアップしようというのが狙いです。この資料1のどこでも結構ですので、どんどんご意見をいただいて、最終的には報告書の質を高めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○今村委員 確認です。これも前回、これに関連する政府のさまざまな取組ということで質問をして、資料5が出てきました。特にがん対策の基本計画の中に、資料5の2つ目の○に書かれていることは、本当にこの検討会に与えられた使命だという書きぶりになっています。「働くことが可能かつ働く意欲のあるがん患者が働けるよう、医療従事者、産業医、事業者等との情報共有や連携の下、プライバシー保護にも配慮しつつ、治療と職業生活の両立を支援するための仕組みについて検討し、検討結果に基づき試行的取組を実施する」と書かれています。この会が、何かモデル的なことまで提案できるのか、あくまで検討会の先ほどの報告書に基づいて、行政のほうで何かそういうモデル的なものを今後考えていくのか、その方向性について確認させていただきます。これは、がんだけなのですけれども。
○労災管理課長 もちろんご検討いただいたものについて、行政でやるべきものについてはそれを形にしていく。具体的には予算要求していくことになりますけれども、すべて一律に47都道府県なり、あるいは市町村レベルなり、病院レベルなりを一律にやるのは予算的に厳しいこともありますので、やはりスタートにおいては何らか地域を限ってとか、そういうモデル的なスタートになることも念頭に置いてこういう形になっております。
 もちろん、マニュアルやガイドラインを作成せよという報告が出れば、それは必ずしも試行的ということではなく、全国的にきちんとやっていくという考え方で整理をさせていただいております。
○今村委員 マニュアルとかガイドラインというのは、私のイメージの中ではあまりモデル的な試行というイメージではないのです。全国的でなくてもいいのですけれども、何か提案があって、その取組をすることによって、それが効果があれば将来的には全国的に普及すべきだというような何か具体的なモデル。特に連携などはある程度試行的にやってみないとわからない部分もあるので、そういうことに触れてもいいのかどうかということなのです。
○労災管理課長 特に関係者の連携の部分については、もし具体的なアイディアがありましたらご指摘いただければと思います。
○労災補償部長 この基本計画の議論が始まったときの経緯ですが、私が労働衛生課長のときに、たまたまこの担当室の担当者と会話をしたことがあります。労災病院のほうでも、がんに対する治療と職業生活の両立のシンポジウムなどをやるときに、その時点で既に健康局側にもこういった両立という概念があって、それはそれでまた健康局なりの試行的取組になるのかどうかはわかりませんが、そういう検討を始めていったと記憶しております。ですから、すべてこちら側に投げられた宿題ということではなくて、両方でそれぞれの立場を活かした施策をそれぞれ考えるというのもある。その際に連携を十分にとっていくことにはなろうと思いますが、そこは来年度の予算要求に向けてはっきりはしていないところだと思います。そこは、これからの動きをまた見ながらということです。
○今村委員 今回の報告の「おわりに」にもありますように、「縦割り行政を排除し」ということであり、いまのお話のように健康局は健康局でがん対策を考える、こちらはこちらでということではなく、何か良い提案をこちらから投げかけることをしていただければありがたいということをあえて申し上げておきます。
○労災補償部長 作業としては、普段から連携はとっておりますので、そこは大丈夫だと思います。
○門山委員 私ども東京労災病院のほうで、がんの両立支援に対しての連携ということで、介入という形で行っています。やはり企業に入っていくというのはかなり難しい。1つは、がんであるという病名の告知をどの辺までできるのか、それはすごくナイーブな問題だと思うのです。前にも話し合ったと思うのですが、大企業ではそういうことをお話すれば、患者さんの権利として配慮を受けられます。だけど、その義務としてはちゃんとした病名と保護を含めた相談をしてほしいということがあると思うのです。患者さんの権利と義務ということが1つあると思いますし、大企業ではそれができると思うのです。
 ただ問題は、大企業ではない就労人口の9割を占める中小企業でそういうことが果たして可能かどうかということがいちばん問題だろうと思います。企業に入っていくのにどうしたらいいかというのは私も散々考えたのですけれども、いままで先行事例もあまりないです。外国の事例に関してはほかの研究会で集めていると思うのですが、ただ制度が違いますので、日本ではそういうことがまだ全然行われていないのです。とりあえず就労規則がどうなっているのか、それを患者さんに確認してもらう。事業所によっては、その休職期間が決められていることになっています。当然大企業は長いですし、中小企業では明確になっていない所もあります。患者さん自身は、病気になった時点でそんなことは考えてもいないから、まずそういうことを聞いてきてください、というようなことから企業に介入していこうと考えております。
○今野座長 ほかにはいかがでしょうか。ご意見がないと、これでいいということで終わってしまいます。何でも結構です。
○塩山委員 ワーク・ライフ・バランスというキーワードが1つあると思うのです。このワーク・ライフ・バランス政策の中で育児・介護、そして3番目に治療との両立という話には違和感があります。ワーク・ライフ・バランスというのは、健康で豊かな生活ができるように、仕事といろいろなバランスをとっていくことだと思うのです。実際に治療が始まっている方が、身体をいたわりながら治療を継続する、というところまで広げてしまうと、健康的な生活という視点がちょっと歪んでしまうのかなというイメージがあります。もう少し予防というほうに重きを置いた方が良いのではないでしょうか。
 「はじめに」のところで、「病気を抱えながらも、働く意欲・能力」というのがありますけれども、予防という観点も1つ強調していただきたいと思っています。
○今野座長 これは、少しそういう配慮をすればワーク・ライフ・バランス政策の中の第3の柱と書いてあってもいいということですか。
○塩山委員 「病気を治療しながら」を柱の1つとすることには違和感があります。例えば、育児・介護というのは、どうしても自分の家族のことであるのですが、3番目に自身の健康問題というのであれば、私がずっと考えていたのはセルフケアという考え方です。自身の健康管理とのバランスをとるというのは1つありなのかとぼんやりと考えていました。
○今野座長 この場合、ワーク・ライフ・バランスの政策の1つの分野というのは、ライフの事情との兼ね合いを考えながらワークをしましょうという意味で、そのときに治療というのもライフの中の1つの事情だ、というふうにこれは捉えてこのように書いてあると思うのです。
○本田委員 その点のワーク・ライフ・バランスのところなのですが、私は患者として、いまもまだ治療をしながら職業生活をしています。患者といっても、急性期の部分から慢性期とか、あとはずっと補助的に治療する時期とか、がんとかだったらかなり差があります。そういう中で、場合によっては違うのかもしれないけれども、例えばここで話題になっている乳がんとか、子宮がんといった女性のがんについては、かなり治療しながら就業できるという治療も進んできていますし、それを望む人も増えています。望むだけではなくて、それを必要とせざるを得ない人も増えています。
 やはりワーク・ライフ・バランスの中の1つの柱なのだ、というふうに位置づけていただくことで、今後の施策の広がりというか、重点化していく。例えば介護休暇などが取りやすいような感じで、すぐに制度にはならないかもしれないけれども、治療休暇というのは違うのかもしれませんけれども、何かしらの形で休暇が取りやすいとか、短時間休暇を取りやすくする。逆に、治療のための短時間休暇を細かに取れるような仕組みが広がっていくためにとか、そういう将来のことに向けて位置づけていただくのはいいのかと思っています。いろいろな考え方があると思っています。
○今野座長 塩山さんがおっしゃられたのは、ライフの事情として病気になったことばかりを前提にしてしまうと、病気にならないようにするにはどうしたらいいか、ということのニュアンスが入らないではないかということですよね。
○塩山委員 そうです。
○今野座長 この文章の前に、そういうニュアンスの文章をきちんと入れて、それで病気になってしまった場合、というように書いてあげれば大丈夫かと思います。
○塩山委員 そうなのです。
○今野座長 それでまた文章を作ってもらって、それでそのときにまた触れていただければ。意図はそういうことだということで。ワーク・ライフ・バランス政策の柱であるということはある程度残しつつ、少し限定する文章を入れる。
○今村委員 7頁のエのところです。前からこの会で私は申し上げているし、別の先生からもお話がありましたけれども、情報の共有に関する対価という話があったと思うのです。ここは、あくまで労災に特化した記載になっておりますが、データというか、いわゆる労災医療機関から事業所にどれだけ情報提供されているかという現状が知りたいということなのです。
 そもそも、日本の医療機関はすべて労災医療機関ということではなくて、一般的な今回の糖尿病であるとか、がんであるとかというところは、労災の指定を取っていない所も多数あると思うのです。後のほうで「インセンティブが働くよう検討すること」という記載はありますけれども、既にある制度がそもそもどのぐらい活用されているかということと、それをもう少し違った形でどう検討できるのかということが必要なのではないかと思っています。その前提となるためのデータが知りたいのです。そもそも、労災病院でどのぐらいこういう情報共有がその企業になされているのか、そこもわかれば教えていただきたいのです。
○今野座長 どうですか、抽象的にはあまり進んでいないとどこかに書いてあったと思いますけれども。
○労災管理課企画調整係長 情報提供の件数、というような形のデータがあるかどうかは確認させていただきます。労災病院に限定したものだったらもしかしたら出るかもしれませんので、そこは確認して次回、もしくはそれまでにお示しさせていただきます。ただ、労災の診療費全体におけるこの部分に関する割合はまだごくごく小さいというデータはあります。
○今村委員 行為別の統計は出ますよね。診療報酬だと、例えば情報提供何件というのは必ず出てくるので、労災でもおそらく調べれば、件数が何件あるというのはすぐ出るのではないかと思います。
○労災管理課企画調整係長 そちらは宿題にさせていただければと思います。
○今野座長 ここでは、抽象的に「あまり進んでいない」と書いてあるので、そのバックデータがあったらここに書いておけばいいだろうというご趣旨ですね。
○今村委員 そうです。労災もそうだし、労災でない、実際には今回の対象になっている疾病というのは、労災になるものはごくごく一部です。メンタルでも、労災に認定されているのは、この資料でも300件ぐらいしかないということで、桁が2桁や3桁違ってくるのではないかということがあります。いまある制度があるからいいのではないかと、受け止められないようにしてほしいと思います。
○今野座長 それは調べていただいて、わかる範囲内で教えてください。
○労災管理課企画調整係長 はい、わかりました。
○本田委員 なかなか参加できなかったので、もう議論されていることかもしれないのですが、あえて発言させていただきます。11頁からの「支援の在り方」のところで、それぞれのところにかかわるのですが、患者さんたちからよく聞く話の内容として、例えば企業は患者さんの復帰後の治療と職業生活の両立に必要な柔軟な雇用管理の取組を進めることとか、それに対応して国のほうは企業にいろいろなやり方を示して、自発的な取組の促進を図るとあります。これはこれで確かにそうなのかと思うのです。
 一方で、現在の経済環境が厳しい中で、もう少しルール化というか、制度に落とし込めることを考えていただくことはできないのか、という意見を多くの患者さんから言われます。どうしても土日にやっている診療機関は全体からすると少ないです。がんのことを考えると、抗がん剤治療を土日にやってくれる所は大変少ないです。外来でやれるからと言われても、どうしてもその日は休まなければいけないというのを、ある期間は認める。休みにはなるのだけれども、そういうことが不利にならないようにとか、具体的なルールはわからないですけれども、そういう制度化的なものも検討するということは書き込めないのでしょうか。それは難しいことなのでしょうか。
 ここで何を制度にしてくれというのを書き込めないのはわかっているのですけれども、そういうことを検討していくことは無理なのですか。検討という言葉が前向きすぎるのだったら。
○今野座長 その制度化の意味ですけれども、おっしゃられている意味は法律で義務づけるとか、そういう意味ですか。
○本田委員 その辺もレベルがわからないです。義務づけというのは難しいのですよね。
○砂原委員 私も感じているのですけれども、今回の検討会で、企業はもっといろいろなことをやるべきだということが出てくるのだと思うのです。そのときに、先ほどもちょっと出ていたように大きな事業所と中小の事業所でやるべきことに差が出ないようにする必要があると思いました。
 それと、いまの話の中に出ていたように、例えば、従業員が会社を休まずに治療を受けたいと思ったときに、業務時間外や土日等の休日にもっと簡単に診療を受けられるようにしてもらえないかと感じています。平日と全く同じである必要はないと思いますし、診療報酬上の手当てなども必要なのかもしれませんが、会社で仕事をする時間以外の自由に使える休日等の時間に医療機関へ簡単に受診できるような仕組みを作っていく必要もあるのではないでしょうか。平日きちんと働くために、土日に治療を受けたいという人がいたら、その人が休みの日に受診できるような体制ができてくると、もっと治療と職業生活の両立が進むのではないのかと感じました。
○今村委員 いまの点は大変大事な話で、国民の方・患者さんから見るとそういうニーズがあるのは当然だと思うのです。最近、都内の某がん専門病院の院長先生といろいろお話をしたら、「いま土曜日も診療しているのだけれども、今度やめるんだよね」という話なのです。なぜやめるかというと、「外来の患者さんが少なくて、スタッフだけは用意しなくてはいけないから、病院はとても厳しい」というお話がありました。マッチングしていないというか、ニーズがあるのに通われていないような話がなぜ起こってくるのかというのがよくわからないので、もしそういうことがわかれば教えてください。がん診療連携拠点病院は、土日に診療するということはその要件に入っていますか。
○労災管理課企画調整係長 そこは確認させていただきます。

○今村委員 ですから、そういうことが制度的に、がん診療連携拠点病院についてはそれなりの診療報酬上の手当てがさまざまされていて、それで十分かどうかはわからないけれども、そういう要件に、例えば毎週はできないにしても、一定のそういうものを加えるようにするという制度を作ることは可能なのではないかと思います。
○今野座長 具体的に書くと、いろいろなことを検討しなければいけない。でも、一般的に、働いている人が働きながら治療するときに、例えば土日に行けるような体制整備は、医療機関側であったほうがいいですよね、というぐらいはいいのではないですか。そこから先を具体的に書くと、いろいろなことがあると思います。
 あとは企業側のほうですけれども、本田さんがイメージされているのは、育児休業制度とか、育児短時間の病気版ができないかという話でしょう。
○本田委員 そうです。例えばがんだけはとか、そういうのは難しいですか。具体的に書くことはあれなのですけれども。何かしらのそういうことを検討することというのは難しいのでしょうか、ということを多くの患者さんに聞かれるもので、あえてこの期に及んでですけれども発言させていただきました。
○今野座長 その前に、実態の把握として、私傷病で休業を取ったりするときの制度がどうなっているかもよくわかっていないのです。まず、そういう実態をきちんと把握してから次かなという感じがするのです。
○本田委員 そういう意味では、もう1つ意見として言いたかったのは、12頁の「行政の役割」の最初の○のところに「関係者の取組状況等について、実態把握を行う必要がある」と漠と書いてあります。実際どのような傷病者への休業体制を持っているか、といった具体的なことを。
○今野座長 それも入っていると思います。
○本田委員 これは、入っているという理解でいいのですか。そういうこともちゃんと調べるということですか。
○今野座長 それも入っているのではないですか。
○労災管理課企画調整係長 入っています。
○今野座長 もし気になるのだったら、また例示として入れておいてもいいですけれども。
○井伊委員 別のことですけれども、10頁に、検討課題の取りまとめという感じで、「具体的には」として、?「情報基盤」と?「人材基盤」といった基盤の整備が必要であるということで、これは本当にそのとおりだと思うのです。そういう基盤整備をどのようにしていくのかというのは、3の「支援の在り方」の中に何か書かれているようで、それぞれがするということは書いてあるのですけれども、こういう基盤整備をどうやって仕掛けていくかということについては、触れないでいいのだろうかと思うのです。
 産業保健推進センターは、各県に1個ずつあるということですが、こういう役割をもっと強化するとか、「それぞれがすること」というだけでは、いまのお話のように、いろいろな情報がそれぞれの所ではあるのだけれども、なかなか集約化されない、だから、いちばん欲しい人になかなか届かないということになるのではないかと思うのです。この整備が必要であるというように検討課題を出したからには、まずその整備をどういう仕掛けでやるのかという絵が欲しいと思ったのです。これは、そのつもりで書いてあるのですか、すみません、読み取りが悪いのかもしれませんが。
○今野座長 私の認識は、この研究会は単純に言ってしまうと、問題と課題の整理だと思っています。そうすると、課題ができたときに、次に何をするかということは次の段階の検討だろうと思うのです。そういう点では10頁のこういう整理になるのかと思うのです。ただ、いまおっしゃられたようなこともあるので、例えばここに例示ぐらいは入れられるとは思います。それを体系的にどうするか、ここで言うと情報基盤と人材基盤の政策体系をどう作るかというのは次の段階の問題であると考えています。ここの研究会を半年間延長するというのだったら、課題の整理ができたので、課題ごとにどういう政策体系を考えるかということをやってもいいのですけれども。
 一応7月いっぱいぐらいには終わらせようと思っているのです。そうなると、このぐらいかなと。そういう点では、この研究会は、こういう課題があるので次に政策を考えろ、というような打ち出し方だろうと思っています。原案を作られた事務局のほうで何かありますか。
○労災管理課長 確かに書き方が、支援の在り方などが各実施主体といいますか、関係者別に書かれているので、情報についても、人材についてもばらばら感があると思うのです。相談する場所も、産業保健推進センターもあれば、がんの拠点病院もあればということになっているのですが、我々が想定しているのは、そこで本当にばらばらと、例えばマニュアルを作っていくよりも、ある程度この施策を一元的に考えている厚生労働省の中で調整をして、共通の相談のやり方とか、共通のノウハウをそれぞれの所が分かち持つというイメージなので、そこのところが読みにくいのであれば、もうちょっと書き足すのがいいのかと思っております。
○今村委員 とても大事な話だと思って井伊委員の話を聞いていました。座長がおっしゃるように、ここにざっくりとしたことを書いて、基準局としては厚労省内でさまざまな調整をしながら施策を作って、予算化していくというイメージなのかと理解できるのですが、我々もこれだけ委員として集まっている以上、ある程度具体的なことも少しは書いていただきたいという思いがどうしてもあるということなのです。
 もう1点確認なのですが、12頁の「医療機関」のところで、私どもは医療機関としてという、この医療機関というのも、それこそがん診療連携拠点病院みたいな大きな病院から診療所まで含めて医療機関と称しているので、ここで書かれていることはある程度病院を想定しているのかと思うのです。医療資源が乏しい中で困難はあるという認識を持っていただいているのは大変ありがたいのですが、その後のことについては、例えば全部何々「すること」という記載になっています。現実的にできることは非常に限られてくると思うのです。書き方だと思うのですけれども、もしこういうことを我々が義務としてある程度やらざるを得ないのだったら、その制度の中で何か担保してもらうような仕組みを厚労省として考えていただかなければいけないし、そうでないのだったら書きぶりをもうちょっとやんわりと書いていただくとありがたいと思います。
 それから「ピアサポートグループ」というのはどういうのが想定される、と先ほどの説明のときにおっしゃったのでしょうか。
○労災管理課企画調整係長 いま、モデル事業でコーディネーターのようなことをやっておりますけれども、その中で第2回検討会でヒアリングをさせていただきました桜井さんがやっているような団体の方が入って、そういう調整等はやっていただいたりしておりますので、具体的にはそういうことをイメージとしては持っております。ああいうNPOの、実際にがんと就労についての経験者にはどういう問題があって、解決方法があってというのは、ある程度知識のある方を入れれば、そういう相談体制はできるのではないかという形で書いております。
○今村委員 それは好事例ですよね。
○労災管理課企画調整係長 そうです。
○今村委員 一事例ですよね。だから、制度として日本中の医療機関がみんなこういうピアサポートグループを持っていて、そういうことをやっているわけではないですよね。
○労災管理課企画調整係長 はい。
○今村委員 だから、その辺の書き方についても、もう少し細かく書いていただいたほうがいいし、そういうものをモデル的にきちんと財政的な支援の下で広げていくような何かがあるのかどうか、そういうことを考えていただければありがたいと思います。
○今野座長 この文章の「すること」の意味ですけれども、これはすべきという意味ではないでしょう。することが1つの課題として考えられる、という意味のすることです。
○今村委員 もちろんそうなのでしょうけれども、受け取り方というのは人によって。
○今野座長 もちろん今回これは骨子案だからこう書いてしまっていますけれども、文章にするときには「すること」ではわかりにくいので、「することが課題である」とか、とにかくいまおっしゃられたような趣旨の文章になってくると思います。
○今村委員 はい、わかりました。
○塩山委員 その対策といいますか、「支援の在り方」のところで、病院の立場だったらとか、患者さんの立場で相談するならどこだろうと考えてみました。具体的な所がわからないのが今はあると思います。そういう相談窓口の機能を、この施設だったらどこにありますというのを明示することが必要と思ったのです。施設規模に応じて、相談する所がMSWのいる所だったらそこに相談できるし、病棟だったら病棟の看護師に相談してくださいとか、そういういろいろな具体策が出てくると思うのです。そういうものが漠然としたままで本検討会が「何々することが望ましい」で終わるのではなくて、「この施設だと、ここに相談できますよ」といったものを、施設ごとに明示してください、というところまで謳えるといいと思いました。
○今野座長 いまおっしゃられたことの趣旨をここに書くとすると、「そういうことの情報基盤を整備することが重要です」ということになるのでしょうね。
○塩山委員 情報基盤の中ですか。
○今野座長 先ほど言った情報基盤かどうかわかりませんけれども、そういう1つの情報が得られるような仕組みを作っておくことが1つの課題ですねということになる。それでは、具体的にこの場合はどうか、この場合はどうか、この場合はどうかというシステムの一覧表をここで作れというのは無理なので、そういうことを言っているということですかね。それはいいのではないですか。どこかにそういうのは入っていないですか。要するに相談体制の1つです。具体的にこういうふうに困ったときにはあそこへ行けという話ですよね。
○塩山委員 はい。
○今野座長 それが労働者にきちんとわかるようにしておいたほうがいいというご趣旨だと思います。それは、どこかで工夫してください。
○塩山委員 引っかかった表現のところがあります。「女性特有のがん」ということで、「乳がん、子宮がん」という表現があったのですが、これは女性特有のがんもありますけれども、男性特有のがんもあります。4頁のところで読みますと、女性の労働市場への参加という意味で、女性特有のがんを取りあげたのかもしれないのですが、5頁の2つ目の○で、高齢者と並んで女性労働者ということで、疾病に対するリスクが比較的高いというところで括ってしまうのはいかがかと思いました。その辺りの表現について、女性の方は特に問題なかったですか。
○今野座長 どこかにありましたよね、どこでしたか。
○労災管理課企画調整係長 5頁の2つ目の○なのですが、一応「高齢者や、」のように「、」で区切って、「疾病に対するリスクが比較的高い」は、高年齢者までで切っているつもりといいますか、そういう意味合いで書いております。
○塩山委員 そうなのですか。これは高齢者と女性にまで、それぞれにかかっているように読み取られる危険性を感じてしまいました。
○労災管理課企画調整係長 なるほど、「、」だけだと不備だという。
○塩山委員 明らかに女性の疾病に対するリスクが高いというデータがあるのであれば括っても違和感はさほどありませんが。
○労災管理課企画調整係長 いや、女性にかけているつもりはないです。「リスクが高い」というのは、高年齢者だけにと思って表現しています。わかりにくいということであれば、表現を考えたいと思います。
○塩山委員 もう1つ、前回第5回検討会の中でも発言させていただいたのですが、私以外の委員の方も発言されていたのですが、雇用形態についての言及がなかったので、その辺りについて説明していただきたいと思います。
○今野座長 具体的には、非正社員の人たちに対して特別に何かを考えなければいけませんよね、という話ですか。
○塩山委員 そうです。……に出てはいるのですけれども、言及されたものが見当たりませんので。
○今野座長 対策のところには入っていないですか。現状分析のところには入っていましたよね。非正社員の人は、いろいろなサービスが企業内で受けられない状況にあるというのはありました。現状分析で、問題点として指摘しているから、それに対応して何か書かなければいけないので、それは工夫して書いていただく。どこまで書けるかわかりませんけれども。問題点として指摘しているわけですから、対応策のほうでも何か書いていただくと。
○労災管理課企画調整係長 検討いたします。
○今村委員 11頁の「支援の在り方」のところで、触れられているのですけれども、企業や産業保健スタッフの方は、「重症化を防ぐ」とか、「フォローアップを行う」という書き方の中にたぶん含まれているのだと思うのですが、糖尿病については、治療中断というのはものすごく大きな課題なので、ここにも言葉として「治療中断を防ぐ」と書いていただけるとありがたいと思います。
○労災管理課企画調整係長 わかりました。
○岩崎委員 概ねいいかなと思っています。いちばん縦割り行政の枠を超えて取り組まなければいけないものとして、課題認識するということが入ったのはすごく大きいかと思っています。一方で、各関係者の支援の在り方等を記述する上で、やはり既存の仕組みをどう活用するかという視点は重要かと思っております。そういう意味では、産業保健スタッフという形で何回か出てくるところについてです。
 例えば6頁のエのところで、「また、産業保健スタッフを含めた企業側も、私傷病については、労働者側に起因するという面であまり関わり合うべきではないとの意識が見受けられる」という表現があります。労災疾患との対比でいうと、私傷病という言い方である意味でわかりやすいとは思います。産業保健の現場の感覚で言うと、「作業関連疾患」という用語があります。この意味合いは、作業環境も含めた複数の要因が絡んだ疾患という言い方もできますし、先ほどから治療中断ということがありますけれども、仕事の状況のために治療がなかなか続かないというのもある意味で入るかと思うので、そういう言葉をうまく織り込んでいただけると、縦割りでやるわけではないのですが、いわゆる労働安全衛生法の範囲でやる産業保健のスタッフの所にも少し届くものになるのではないかと感じております。
 そういう意味では、企業の人事労務担当者、産業保健スタッフ、医療機関という分け方をしているのですが、産業保健スタッフには産業医も含めて、いろいろな職種が入るかと思うのです。産業医というのは、法的な規定がある所もありますので、そこが中小規模の50人以上でも産業医が選任されている所でも、なかなか治療と就労生活の両立支援まで手が回らないという現状を考えると、産業保健スタッフという表現になってしまうと、ちょっと曖昧な感じを受けますので、「産業医・産業保健スタッフ」という書き方をしていただいて、その中で例えば11頁であれば、「特に、産業保健師は」という形で、より踏み込んだことも出てまいりますので、実際に制度として普及している産業医に対しても、それが取り組むべき課題であると伝わるのではないかと感じました。
○今野座長 いま岩崎さんがおっしゃられたことの前半のことなのですが、先ほど今村さんからも同じような趣旨があったと思うのです。既存の仕組みでどこまで対応していて、少しこうすれば既存の仕組みでここまでいける、ということを考えた後に政策を考える、というようなことが必要かという趣旨だと思うのです。そういうのは「おわりに」でもいいので、書いておけばいいのではないですか。それは重要な視点だと思います。本文には、部分的には入っているのですが、視点としてはそういうことが重要だということです。
○労災補償部長 この報告書で、「作業関連疾患」と、ここで出てくる「私傷病」とは少し定義というか、書き方が曖昧な部分があるかなと、いま全体を見て思いました。やはり「職業病」と「作業関連疾患」と、ほとんど職場の要因が影響しないようなまさに「私傷病」については、労働安全衛生法でも作業関連疾患だと、労災防止の観点から十分取り組んでいいはずなのですけれども、そこもあまり取り組みが進んでいないような状況があります。そこは、今回のこういう検討の成果を踏まえて、医療機関なりとの連携を強めていく必要があろうかと思います。
 完全な私傷病についても、ただ縦割りを廃して連携をとる中でどうできるかというのも課題ですが、やはりやりやすい部分と、さらにやりにくい部分というのはもう少し分けて記述したほうが正確になるかと思いますので、そのご指摘については少し反映させたいと思います。
○塩山委員 私の最後の要望ですが、12頁の「支援の在り方」の、関係者がとるべき対応、労働者がとるべき対応のところで、「健康診断の受診の機会等を通じて、重症化防止に努めること」と、あとは「情報収集を行い」とあるのですが、「就労継続の意思があること」ということも重要でないのかと感じたものですから、その辺りを考えていただければと思います。
○今野座長 書きにくいな、といまちょっと思ったのです。もちろん言外で皆さんもそう思っているわけですけれども、わざわざ書くというのは。要するに、極端なことを言ってしまうと就労継続の意思がなければ対応しなくてもいいということでしょう。そういうふうなことをわざわざ言うのですよね。それはあまり書かないで、皆さんは当然そう思っていると思うのです。
○塩山委員 労働者としては働きたいとか、そういう意思表示というか、そういう気持を持つというのは。
○今野座長 表題が「治療と職業生活の両立」ですから、職業生活をやる気のない人はここには入っていないわけです。
○塩山委員 そういう解釈でいくのですね。
○今野座長 そういうことだと思います。そこで、さらにわざわざ書くというのはどういう意味、ということになってしまうので、そこはタイトルで十分だと思います。
○労災管理課企画調整係長 「はじめに」のところで、定義として「働く意欲・能力のある労働者が」という形にはさせていただいておりますので、そこで汲んでいただければと思います。
○本田委員 12頁の真ん中の労働者のところの2段落目の「自らが積極的な情報収集を行い、また、企業と医療機関の情報共有・連携に協力すること」なのですが、6頁のエに「現状」として、労働者が抱える問題としてキャリアが不利になるとか、いろいろな理由でそういうことを言えないから困っているのだということが書いてはあります。それに対してどうするというのが、「連携に協力すること」というのは必要だとは思うのですけれども、ちょっと言葉足らずかなという感じなのです。そんな不利になることに、そんなことを言えるわけないじゃない、というふうにまたここでも思ってしまうので、何かちょっと噛ませていただけないかなと思いました。
○今野座長 そこはなかなか難しくて、企業側の対応では「柔軟な雇用管理の取組を進めること」と書いてあるのは、そういう意味もフワッと含めて書いてあるわけです。それが書いてあって、今度は労働者のほうで「キャリアに不利」というのはどうするかな。一応企業側の対応は書いてあるので、そうすると。
○本田委員 そういうことがあった上で、という意味で読めということですか。
○今野座長 どう書けばいいかなと。
○砂原委員 企業側としても、労働能力が低下しても、同じ給与等であれば、能力が低下した分だけ負担になると感じる場合があるということがたぶんポイントなんだと思います。ただ、実際の働きに応じた処遇というものが、より一層徹底されていく時代になってくるのだと思いますから、そういう中で、ここを、どこまでどういう形で書くかという話なのかなと思いながらお聞きしていました。
○今野座長 本当は、育児などと同じで、会社側のいろいろな制度は一応あったとしても、どう折合いを付けるかは労働者も頑張らないといけないのです。その折合いを付けるときに、労働時間を短くして折合いを付けて、その部分だけ賃金が下がるのは1年間我慢するとか。でも、キャリアはある程度継続できるように、同じような仕事ができるように、そういう折合いを。
○本田委員 そういう高度な部分は努力しなければいけないと思うのですけれども、乳がんが多いのは女性で、それ以前に病気を伝えただけで「ああ大変だ」と言ってクビを切られることをおそれて、ということを思って発言させていただいたのです。
○今野座長 そういう意味ですか。
○門山委員 それが本当かどうかわからない、仮定の話ですよね。
○本田委員 そういう事例を実際にいくつも聞いています。
○門山委員 がんということを伝えただけでクビを切られるということですか。
○本田委員 「これから半年間治療に行かなきゃいけないんだよね」ということで。
○門山委員 私たちのやったアンケート調査で、大体10%内外の人たちがそういうことを言っていますけれども、本来的に状況を伝えただけで解雇というのは、法的にはあってはよくないことだと思うのです。
○今野座長 完全に個人の事情で半年間ず働けないとします。休業制度が、例えば休業期間が半年しかないという制度であるとしたら、半年後に「来なくてもいいよ」と言っても、それは別に法律的に問題はないです。
○門山委員 そういう制度があるのであれば。
○今野座長 職業能力がないということなのです。しかも、個人の責任の病気だったらばそうだと思います。それよりも先ほどからの問題で、「労働者」の中に。そういうことになったからといって、すぐにクビを切るのはやめて、上手に折合いを付けながら、会社もその人の能力を十分に活用するようにしましょうというのが、先ほどの「柔軟な雇用管理の取組」というところに全部入っているのです。そこを踏まえて、労働者側にどう書くかです。
○本田委員 そうです。企業側もそれをやりましょうと言っているのだから、それをやってもらう分には労働者もこうしましょう、というような読み方だということでいいのですね。確認です。
○今野座長 少なくとも、労働者が例えば治療しながら働くときに、こんな会社の制度が使えるということさえ知らない人が多いので、そのぐらいは労働者はちゃんと勉強しておいたほうがいいですよね、というぐらいは入れられるかな、それから先は、なかなか書きにくいのだろうな、どうやって書くかなあ。
○門山委員 むしろ、そういうことは医療側からというか、MSWからなり何なりが、そういうシグナルを伝えることが大事だと思うのです。産業保健推進センターとか、その辺のことを知っている人はまずいないので、そういうシグナルがいまは患者さんに全然伝わっていないのです。そういう制度なり何なりがあることをきちんと伝えることというのは、やはり介入の中で1つ要件のご意見だと思います。
○今野座長 それは伝える側はそうですけれども、本人も知る気がないとね。だから、そのぐらいは入れられるかな。
○本田委員 それは、もちろん言えるのではないかと思っています。
○門山委員 どうやって告示していいか、ということすらなかなか難しいのではないですか。
○今野座長 でも普通皆さんもそうですけれども、私もそうですけれども、就業規則など読んだことないでしょう。
○門山委員 そうですね。大抵上司に相談するのです。
○今野座長 そういうときには、就業規則でも読んでみてということになる。12頁でいうと、「労働者自らが積極的な情報収集を行い」のところにそういうのが入っているのだね。
○労災管理課企画調整係長 そういう意味合いをもうちょっと膨らませていただいて。先ほどの折合いを付けるみたいなところを、労働者のところに書くと、労働者に「やれ」と言っているような雰囲気に見えなくもないので、そこは企業側、もしくは行政の社会的な認識を高めるというところでいいのではないかと思うのです。
○今野座長 いずれにしても文章を考えてもらおう、それから考えよう。なかなか難しいと思ったのですけれども、気持はよくわかりました。
○岩崎委員 「連携」という言葉がいくつか出てくるのですが、これは当たり前の前提として書いているからだと思うのですが、「がん対策推進基本計画」にあるように、「プライバシー保護にも配慮しつつ」とか、「個人情報にも配慮しつつ」みたいな表現をどこかに盛り込んでおいたほうが。
○今野座長 そうですね。
○岩崎委員 それから7頁の「?企業の取組状況等」という下の段落がありますが、「一般的に、大企業においては、常駐の産業医など」という文章があるのですが、その流れの中で、例えば「復職支援も実施している」とか、実態としては本当に大企業に偏ったところかもしれませんが、産業医がいる所の、特に常勤でいる所の多くの所では、復職時の支援を既にやっていますので、それがある意味展開していく上での1つのあれだという意味で1行入れておいていただけるといいように思います。
○今野座長 今回のようなテーマの問題で、復職支援をどの程度企業がしているかということについての体系的なデータはないのですよね。
○労災管理課企画調整係長 メンタルヘルスであれば、先ほど下に書いた5割というのがありますので、一応規模別のものがあります。それ以外に全体となるとなかなか。下に書いた、休暇制度の導入状況ぐらいでとどまってしまうかなと。それ以外の工夫みたいなものを含めた支援状況の実態把握というのは今後の課題なのかと思います。
○今野座長 私も、大企業の場合はかなりやっていると思っています。でも、制度化というよりは、個別対応でやっているのではないですか。
○岩崎委員 やっている所は、制度があると思います。就業規則に書かれている所が多いと思います。
○今野座長 復職支援のことが。
○岩崎委員 復職支援の、例えば1カ月以上休む場合には、医師だったり、産業医だったりいろいろな書き方があると思いますけれども、その面談を実施するみたいな形で。
○今野座長 そういう意味ですね。
○岩崎委員 そうすると、必ずルートとして上がりますので。
○今野座長 そうですね。私が考えたのは、復職するときにトライアル何だっけ、メンタルなどでいう。
○労災管理課企画調整係長 リハビリ出社みたいなものですか。
○今野座長 そう、リハビリ出社みたいなものとか、現場でマネージャーが、「じゃあ、最初は大変だろうから半日でいいよ」とか、そういう復職支援はやっているわけですよね。
○岩崎委員 はい。
○今野座長 そういうものも含めて復職支援の現状はわからないなという意味だったのです。いまおっしゃられたような意味だったらそのとおりです。
○岩崎委員 全体の定量データはないと思いますけれども、学会発表とかでよく見られるサンプルデータでは、いわゆる大企業のような所では9割以上に制度があって、活用しているという情報はあるかと思います。
○今村委員 前回一緒に言えばよかったのですけれども、産業保健推進センターの話を先ほどから出していただいて、既存の仕組みの活用という話の中で、メンタルヘルスについては、国がいまメンタルヘルス対策支援センターを各都道府県に設置しています。当然個別の相談には乗らないことに、たぶん業務としてはなっていると思うのです。おそらく、そこにも個別の相談みたいな話も入っているかもしれません。国の検討会の報告書の中にメンタルヘルスのことを議論しているのに、全く触れていないのも何か違和感があるので、何らかの形で記載していただくとありがたいです。
○今野座長 それはよろしいですね。
○労災管理課企画調整係長 はい。
○岩崎委員 産業保健推進センターの話でいくと、地産保の部分も全く出てこないのですけれども。
○今村委員 書き方はとても難しいと思っています。実際上の仕事はあっても、機能として復職支援まで発揮するのはなかなか難しいとは思います。それは、国が制度としてちゃんとやっておられることなので、触れていただくことは大事かと思います。次回またお示しいただければと思います。
○今野座長 ほかにはよろしいでしょうか。段取りとしては、本日いろいろなご意見をいただきましたので、それを踏まえて文章化の形で報告書案を作っていただいて、もう一度見ていただいて、それで意見をいただいて完成といった段取りで考えています。本日いろいろな意見を言いましたから、まずそれを踏まえて文章化された案を見て、もう一度議論しましょう。まだ早いですけれども、この辺で終わりにさせていただきます。次回の開催についてお願いいたします。
○労災補償訟務分析官 次回は、7月2日(月)の14時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。本日の議論を踏まえて整理させていただきます。
○今野座長 それでは、これで終わります。ありがとうございました。


(了)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働基準局が実施する検討会等 > 治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会 > 第6回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録

ページの先頭へ戻る