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2012年6月15日 専門医の在り方に関する検討会(第8回) 議事録

○日時

平成24年6月15日(金)10:30〜12:30


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1−2−2中央合同庁舎第5号館


○議題

(1)専門医の在り方に関する関連団体からのヒアリング
(2)論点項目の修正案について 等

○議事

○医師臨床研修推進室長 定刻となりましたので「専門医の在り方に関する検討会」を開催いたします。本日は先生方にはご多忙のところ、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。本日は、桐野委員、福井委員、松尾委員、森山委員、山口委員から所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。なお、本日の議題に関連して、参考人として秋田大学医学部総合地域医療推進学講座、医学教育部教授の長谷川仁志先生にお越しいただいております。また、文部科学省医学教育科からは、村田課長にお越しいただいております。以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。?久先生、よろしくお願いいたします。
○?久座長 それでは議事を進めてまいります。資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医師臨床研修推進室長 お手元にお配りしている資料は「議事次第」として、構成員等を含めて4枚セットの資料。「ヒアリング資料-1」として長谷川先生ご提出の資料。「ヒアリング資料-2」として文部科学省提出の資料。「事務局提出資料1」前回(第7回)までの主なご意見。「事務局提出資料2」検討会における論点項目(修正案)です。不足する資料等ございましたら、事務局にお申し付けください。
○?久座長 皆さんのお手元に資料があると思います。それでは議事に入りたいと思います。本日の議事は、「前回までの主なご意見」「関係団体等からのヒアリング」「論点項目の整理(案)」「その他」となっております。議事1の「前回までの主なご意見」について、事務局から説明をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 お手元の資料の「事務局提出資料1」をお開きください。前回(第7回)までの主なご意見です。これまでと同様に、前回いただいた主なご意見については、アンダーラインを付して追加しております。ご確認のために、一通り読み上げさせていただきます。
 2頁、中ほどの○「病理専門医は、決して稀ではない一般的な症例について適切な病理診断を行い、臨床医に助言を行う能力に加え、患者やその家族の立場を尊重し、他の医師及び関係者と協調して医療に当たる基本的態度を有する医師である」。4頁、中ほどの○「第三者機関は、学会から独立するとともに全医療界が総合して取り組み、更に医療を受ける側の視点も重視するものとし、速やかにその設立を進めるべきである」。6頁の下のほう、「『かかりつけ医』や『総合医』により、これまで日本の医療が非常に効率よく、かつ安価に提供されていることを踏まえて検討を進めるべき」。「わが国の開業医の多くは、各領域の専門性を有した上で開業するが、地域の医療や介護等に関わりながら生涯教育により成長し、全人的に総合的な診療をワンストップサービスとして提供することで、安価で高質な医療を支えている」。8頁、中ほどの○「総合的な診療能力を有する医師については、基本領域部分を『総合医』とし、働く場所によって専門性を特化させたサブスペシャルティ領域の専門性を『病院総合医』と『家庭医』としてはどうか」。9頁のいちばん上「総合医を、他の基本領域の専門医と横並びで位置づけることは画期的であり、是非そのように、総合医の位置づけを高くして制度を作るべき」。「総合医の教育は、それぞれの専門領域をローテイトするだけではなく、開業医にもかなり協力してもらうことによって可能なのではないか」。「総合的な医療を行っていく医師やそれを希望する医師を指導する責任という点で、日本医師会としても、十分協力していきたい」。「各科の専門科を回るだけでは決して総合診療医は育たないため、卒前教育においても、総合内科的な教育の時間を増やすべきではないか」。10頁、中ほどの○「診療科の偏在については、現在のように医師の希望だけに依存するのではなく、何らかの緩やかな制限を伴ったシステムによって、必要な数の専門医を確保せざるを得ない状況にきているのではないか」。13頁のいちばん上「病理専門医が絶対的に不足して地域に偏在している問題を解決するためには、一学会レベルの取組だけではなく卒前教育や初期臨床研修を含め、制度全体の視点から積極的な取組が必要だと考えている」。「病理医が医療においてどれだけ大事な存在であるかを広く国民にアピールし、理解を得ることにより、若い医師が病理医を選択することにつながるのではないか」。いちばん下、「わが国の全ての医科大学・医学部ではモデルコア・カリキュラムの内容に則った教育が行われ、少人数教育が進められるとともに、従来の見学実習から診療参加型実習へ移行する等の改革が行われている」。以上です。
○?久座長 いま事務局から説明がありましたが、これでよろしいでしょうか。引き続きまして、議題2「関係団体等からのヒアリング」に入りたいと思います。本日は秋田大学の長谷川先生から「これからの医師育成教育について」、さらに文部科学省の村田課長から「医学教育の現状について」ご紹介いただきます。初めに長谷川先生、よろしくお願いします。遠くからご苦労さまです。
○長谷川参考人 秋田大学の長谷川です。今日はこのような機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。今日の題は「『日本の国情・2次医療圏の実情』と『初期研修制度で生じた教育の連鎖』を活かしてこれからの理想的医師育成教育〜専門医制度改革のシームレスな展開を考える」ということで、我々医学部であった1970年〜1980年代、65歳以上7.1%だった時代から、2060年には40%へ向かうと。このような高齢化率世界一社会を先導する日本の医学教育体制、専門医制度について考えていくべきであって、また、これまでの経緯のみならず、現在の教育・研修的観点及び、私はこれが大事だと思うのですが、国民全体からの視点を熟考しながら、グローバル化にも順応する将来に向けてお話させていただければと思います。
 最近の医学教育については、スライドを流していきたいと思います。インターン制度が努力義務化になってから、各科ダイレクトに入ることになってしまって、それぞれの専門を突きつめられる形で進んできました。ただ、その間それぞれの領域というのは、おそらくいまの医学生というのは、2、30年前に比べると2倍から3倍の知識量に晒されるという、情報量が非常に増している状況に入っております。そのためにおそらく患者さんの入室から、医療面接、医療推論、バイタル、必要な検査、臨床推論、EBM、コミュニケーションも含め、さらに各科のどの科でも大事な一般的な診療、そして各科の治療、さらに専門というバランスがあると思います。この中で医学生及び研修医が覚えるべき量というのは、それぞれが2、3倍近くになっているというのは、皆さん感じていることだと思います。
 我々も各科の専門に入りましたので、なかなか教えるべき内容がややこちらに偏り過ぎて、本来医師免許として何科にいっても大事なこちらの部分が、教える時間の重点がやや低くなってしまったのが問題であると。ですから、この辺を考えますと、1980年代と違って、いまの段階で、これほど高齢者が増えてきてどのような科に進んでも、それぞれ総合的な力が必要なのに、少しバランスが崩れてきたのがいまの状況であって、さらに30年後、40年後、しばらくの間は相当数高齢者が増えてくる。即ち、我々はこれからの世界一の高齢社会における、何科に進んでも複合病体を持つ患者の年齢層が多いわけですから、これまでの日本の国情を考えますと、医師としての総合力、連携力が非常に重要になってくる。それはどのような科に進もうが、どのような専門科になろうが、総合的に診る診療になろうが、やはりこれは医学生のうちからしっかりと身に付けていくことが、高齢化率世界一社会を先導する日本の在り方ではないかと考えております。
 このために、やはり、やや専門性に主眼が置かれ過ぎてきたために、すべての科の医師として当然の自分で学ぶ力や、問題を解決する能力、総合力、実践力、コミュニケーションを育成する教育がやや諸外国に比べると不十分であったと。そのために連携がなかなかできなかったり、それが医療体制の悪化につながって、その是正が初期研修の目的ということで始まったのではないかと考えられます。これが?久先生を始めとする皆様で、平成13年に患者中心、コミュニケーション、倫理、幅広い臨床能力、学ぶ力。まさにこれは総合力です。総合力を目的として学生を育てましょうと。何科に進んでも大切な国民が期待する医師として当然の能力が、医師免許であることの現れだと思うのです。これを重視しましょうということが、平成13年に謳われ、いろいろと教育改革が行われてきたわけです。
 時間がありませんので省きますが、例えば、自己決定型学習を始めるために、まだ習っていない課題をドンと学生に与えるPBL(Tutorial教育)。日本では最後にまとめの講義を少しやるPBL。あるいは、チューターがなかなか日本では足りませんので、講義室内をチームに分けるTeam Based Learningというやり方があります。これもいまコンビネーションでいろいろやらせていただいているのですが、即ち、すでに学生の1年生のレベルから新たな課題に向かって、それを解決していくような能力を医学生に付けていく必要がある。日々、未知の患者さんが来ます。毎日が未知の課題との遭遇です。実は毎日が課題学習というのが医療界です。ですから、毎日がPBL・TBLで、それを低学年からの症例ベース・事例ベースの学習法で、課題学習で症例を多く経験させてあげる。それとともに自己学習や問題解決、コミュニケーション力、チーム力をトレーニングしてあげることが、もっと日本の医学教育で必要だと言われております。この5、6年生の診療参加型実習を充実させることによって、すべての学生が、いまよりもっとワンランク上の総合力を付けることが、これからは年代層も考えると、さらに重要になってくるのではないかと考えます。
 即ち、医学生全員が学習する必修科目。医学部はほとんどが必修科目ですが、それぞれの科が将来何科に進んでも、国民が期待する医師として大切な、それぞれの分野の基本診療・総合力・実践力をもう少しそちらにシフトした教育をする。例えば、もっと外来教育をやるなど、その部分を行っていく。各科はいまの段階では、専門分野にやや偏り過ぎて、専門医研修を学生に行っているのではないかということが危惧されます。さらに必修科目は、諸外国に見られるように、基礎医学者、臨床医学者、医学教育者の責任で、なるべく私は医療現場の症例・事例・実践ベースで統合した教育を同じ理念で行っていく必要性が高いと考えております。即ち、欧米のように、もっと学生時代にある程度総合力を付け、自分で学ぶ力を付け生涯へ発展する。そのような教育研修改革がいま進んできているのだと思います。
 日本の場合は、各科の実習期間が非常に短いために、各グループがBy chanceで経験した症例しか経験できないという問題点があります。ですから、いま述べましたように、低学年の1年生から、基礎から臨床まで統合した症例・事例ベースのPBL・TBL教育を展開するということ。各科は、外来教育、シュミレーション教育、ロールプレイ、模擬患者さん教育などを駆使し、評価としてのOSCEをきちんと充実させていくことが必須ではないかと考えられます。そのためにむしろ、1年生から効果的なステップアップトレーニングを行っていく必要があると考えております。
 次に「『総合力・教育力の連鎖』が必要な日本の国情・2次医療圏の実情」についてお話したいと思います。すべての医師に総合力のある専門医と、総合医が日本には必要だと考えます。これは日本の地図ですが、一見してわかるように、西日本に比べて東日本は白とか青とか、人口当たりの医師密度が非常に少ない状況にあります。例えば、秋田県の面積を見てもかなり広い範囲ということが、東日本の多くな県の実情です。やはり、人口当たりの医師数のみになると、2次医療圏間の距離や面積を加味する必要があると考えられます。さらに私は2次医療圏ごとに見るべきで、実は東日本というのは、県庁所在地か大学所在地以外はこのような白い状態が非常にある。実はここには5万人、10万人、20万人という人口が住んでまして、東日本は、各地区の中核病院の維持ですら非常に厳しい状況にある。ですから、総合医も必要ですが、各科の専門医も併せて必要な状況にあるというのが、多くの日本の国土のほとんどを占める地方都市の現状ではないかと考えられるわけです。
 これがOECDにおける総合医と専門医の割合です。大体1対2です。総合医が1、専門医が2の割合です。もちろん日本はその辺がかなり曖昧になっていますので、この表には出ておりませんが、世界一の医療アクセスをいままで維持してきた日本の実情は、ほとんどの方が最初はダイレクトに専門医に進み、ごく一部の方が総合医を始めたという経緯があると思います。ところが、そのような流れが40代、50代になるにつれて、かかりつけ医、総合医として、専門の中からこのような方々が生涯学習を通じて、非常にたくさん出てきて地域医療を担ってきた。最近は病院総合医も含めて、このような流れがあると。そして将来本当の専門の先端を突きつめる医師はそれほど多くない。ほとんどは最初専門医になりながら、将来このような総合的な役割を担ってくるのが日本の実情で、1つはこのようなことを考えて、しばらくの間はこの体制はすぐには変わりません。ですから、日本の国情では、将来の総合的役割を担う医師の充実のために、総合力のある専門医の育成も必要ですし、総合医も必要だと。ですから、2本立てで進めていく必要があると思います。この1、2のバランスが必要ですので、すべての医師、生涯教育、医師として当然の総合力をさらにいずれのどの医師になる人にも重視させてあげる。これは医学教育と研修を変えると、十分日本はやっていけるものだと考えられております。
 私は循環器内科ですが、ホームページからすべて開業の先生と勤務の先生と洗い出したのですが、ブルーが各県ごとの病院勤務の循環器専門医数です。赤が開業されている循環器専門医です。見てわかるように、多くの診療科で、人口当たりの総医師数のバランス以上に、各科の専門医の差があります。もともと少ない東日本ほど、専門医のうち勤務している専門医が少なくて、むしろバーンアウトなどで、開業されている率が非常に多い。これは単に専門医数だけでカウントできない。なかなか正確な専門医としての実労働数の把握、必要数は、科によっては容易ではないということを物語るグラフであると考えられます。
 例えば、これは分けて考えなければいけません。日本の場合、このように人口が数百万人以上の都道府県が隣接している地区と、こういう所というのは、毎年初期研修、専門医研修が200名とか、何百名とか、これぐらいの都道府県とそれらがすぐ近くに隣接する都道府県。こういう所というのは、近くに大学医学部がたくさんあって、主要都市間の距離が短い。もともと医師が非常に多い、密度が高い。もちろん人口も多いのですが、密度が高いということは、いろいろな役割分担ができてくるということになります。初期研修病院が2次医療圏内に多数あり、勤務して専門性を発揮している各科専門医が多い。必ずしも大学医学部と連携がなくても、圏内の医療体制を整えることができる可能性があるのは、このような大都市圏だと思います。
 一方、国土のほとんどを占める地方都市圏は、大体人口は100万人。ただ、日本というのは47都道府県ありますから、ほとんどの地区が1%とか、2%の人口になることがあります。ですから、このような場合は大体年に30名〜100名、多くても100名ぐらいがその圏の初期研修医、専門医研修医として増えるのですが、これを2次診療科としたら、全県で1年間で平均1人〜3人しか増えないという厳しい状況があります。このような県では、年間の医師の純粋な増加、これは即ち若い専門医・研修医引く転出する中堅医師、あるいは引退する医師の数が0名とか、10数名という県が非常に多い。ある県においては、足し引きすると0という県も結構あることがわかります。このような県というのは、1県に1大学、大学医学部間、主要都市間の距離が長い東日本にあるような状況。歴史的に医師が少ない、面積当たりの密度が低い、研修病院が2次医療圏内に1つ。いまはこういう所の維持が非常に問題になっている地域が多いということになります。
 勤務している、いわゆる病院にいる各科専門医が少ない。特に大学所在地、県庁所在地以外では非常にこれが深刻な問題になっております。そのために若い医師の先生が負のスパイラル、なかなか集まらない状況に陥っております。そして5万人、10万人という人口圏の中核病院の維持が、勤務している専門医充足が優先されるのが地方都市の状況ですから、やはり、総合医の先生と共に、総合力のある専門医の先生も日本の国情を考えると必要であると考えられます。
 そのような地区は、特に内科系などは専門以外の総合的な役割を相当部分行っており、さらに総合医・家庭医病院が、このような地区では非常に少ない。大事なことは、このような教育システムが整備された医療施設が非常に少ないということになります。大体、いま総合医・家庭医の研修ができる医療施設は全国で約80あるのですが、1都道府県に1つとか2つという所です。ですから、この背景を考えますと、やはり、全体としてバランスの良い総合的な医師を育てるには、総合医・家庭医の先生の柱も必要ですし、専門医が総合力をもって将来の総合的な役割にチェンジという、これまでの大きな日本の流れは、それは世界一の医療を維持してきたという流れだと思います。それを維持していく必要があって、しばらくの間はそういう2本立ての柱が必要になってくる。
 地域枠学生の増員分、県内出身者が純増しているわけではありませんので、そのような学生も、いまや専門医、総合的な力がある専門医になってもらって、各2次医療圏の中核病院を維持していただくという状況になっております。1県1大学の県というのは、おそらくどの大学の先生に聞いても、大学医学部と連携して、2次医療圏の中核病院を維持しない限り、相当な困難な状況が近付いてきているのが現状です。
 いままでのことをまとめますと、やはり個々の年齢や勤務状態、若手医師の教育体制を考えますと、当分の間はこれまでの日本の体制、日本の良さを活用して、強力に推進していく必要があります。医師としての総合力・教育力の上に専門性を持つと。そのために総合力のある専門医と、総合医・家庭医の育成バランスが重要だということがわかっていただけると思います。
 いま私たちが取り組んでいるところは、1年生から6年生、初期研修医の8年間の生涯キャリア形成であり、大学と臨床講座、県内の医療機関。これは卒後研修が始まったお蔭で、県内の医療機関が非常に教育にシフトして、研修教育を介して1年生からの教育にも協力していただきながら、症例・事例ベース、コミュニケーションベースのステップアップ教育を少しずつ展開しているところです。そして、医師としての総合力を付けていただいたあとに、それぞれの総合を専門に進んでいただきたいと考えます。そのようなバランスを考えますと、専門医としての総合医・家庭医の上に、さらに総合力のある専門医の人たちも一緒にかかりつけ医、あるいは総合医・家庭医として、このような?と?のバランスを作って、将来の総合的な役割をする医師を増やしていく。それぞれが教育を連鎖して、さらに後輩を育成していかないと、人数のバランスを考えますと、この2本立てで総合的な教育を10年、20年かけて、その先の後輩たちに連携していく必要があるのではないかと考えております。
 現代の取組は、大学などの中核病院は非常に専門医がいて、特に細やかな指導ができる点はありますが、さらに地域の中核病院になりますと、多くの症例、あるいはコモンディディーズなどが経験できます。1次から3次まで、さらに診療所になりますと、コミュニケーション、コモンディディーズ、連携が勉強できる。これまではなぜか5年生になって、研修医になってから地域医療を必修で1カ月行う流れができていますが、このような医師を育成する立場から見ますと、逆にこれからはむしろ医師としてのプロフェッショナリズムも含めた部分は、1年生からバランス良く、むしろこちらから入りながら、将来の専門分野にも当たって、バランス良く1年、3年、5年というふうに、現場を実習させる必要性があると考えており、いまそれを行っております。
 そのために初期研修制度で生じた県内の大学、医療機関、医師会、行政が一体となった研修医のための対策の学習会を行ってきましたが、それを医学生の教育にフィードバックして、1年生からの卒前教育の連携を充実させ、これからの医学教育のグローバル化、72週問題にも、これに対応できるような、しっかりとした教育体制を県内の先生たちと一緒に作っていくことを目的としております。即ち、本講座の役割としては、大学と地域との間の1年生からの各科横断的なコミュニケーション教育をステップアップする、総合力をアップするということで、むしろ地域のほうはより低学年、病院のほうはより高学年、しかし全部を低学年から両方きちんと見せるべきだと思います。
 そして、先ほど示したような日本のキャリア形成として大事な総合力を持った専門医と総合医が、将来の10年後、20年後の日本を支えるという流れが、しばらくの間日本では大事ですし、その際の日本の生涯教育はまだまだこれを充実させていく必要があるのではないかと考えます。日本の医師育成は、我々のころはどちらかというと卒業した後にいろいろな部分を経験するということがありました。これからは、いまはこういう流れで、1年生のころから技術やコミュニケーションも含めたものをしっかりと学ばせる体系ができていると思います。今日は時間の関係で、1年生の取組を中心にお話していきたいと思います。これがいま私が関与しているところで1年、3年、4年、5年、6年。そして研修医というところに私は絡んでいるのですが、その部分でお話させていただきたいと思います。
 さらにその中で、大学のみならず県内の機関とのユニット教育としては、青で囲んだ所を、県内の先生たちと一緒にやらせていただいているところです。特に最初、1年生に医療面接、鑑別診断、OSCE、そしてエコーも始めておりますが、各科の専門分野というのは1年生は無理ですが、やはり、こちら側は低学年からトレーニングが可能と考えられます。毎週火曜日の午後、ずっと私は1年間やっているのですが、このような主な症状から入ります。頭痛、胸痛、腹痛などを入りまして、福井先生が書かれた『内科診断学』を全員1年生は購入し、『聞く技術』というような、いろいろな参考書を買っていただいて、PBLとグループ学習して、プレゼンテーションして、ロールプレイを行ってもらって、そしてクラスの中で患者役、医師役の討論をやってもらう。疾患に関しては、もちろん共通ですが、いろいろな消化器系疾患、常に救急部、そういう所で診る疾患も含めた流れで、総合的な力。そして評価としては、1年生の7月に2回、12月に2回、模擬患者さんを使った医療面接を行っておりますが、これは模擬患者さんからも非常に評判が良く、評価していただいております。さらにそれをグループごとに自分たちの医療面接を振り返っていただくという企画も行っております。
 さらに今年から、臨床から見た解剖ポイントも含めて、心エコーと腹部エコーは1年生から少しずつ始めようということで、急性心筋梗塞、心タンポナーゼ、肺血栓塞栓などを含めた、何科に行っても大事なプライマリーなところは1年生からトレーニングを始める予定としております。1年生の2学期には、県内の機関と大学の各科に1〜3人ぐらいずつ、このような目的を持って、毎週火曜日に実習させていただいております。同じようなことを3年生に繰り返し、ここでOSCEがありまして、クリニカルクラークシップ、最後にAdvancedOSCEということですが、秋田大学の卒業OSCEは、医療面接が神経・胸部・腹部各10分と、一般と精神が5分、各科のプライマリケア12ブースで、今年もこれに全国から20大学ぐらいの先生たちが見学に来てくださるのですが、16ステーションで行っております。ですから、当大学ではOSCEに関しては1年生で4、4年生で8、6年生で16ステーションということで展開しております。
 今日のまとめですが、1年生からの流れが、それぞれの教育を連携させることによって、理想的育成と専門医研修、そしてグローバル化に向けて有意義な展開を行っていく必要があると思います。以前は、あまり総合力のないまま専門性が追求されていきましたが、今年からは学生研修時代にきちんと総合力を付けると。総合力を付けると、生涯教育で伸びますので、さらにその上に専門性も付けてもらう。そして総合力のある専門医、そして総合医が教育を連鎖させ、生涯教育を充実させ、そして医療連携、役割分担、年代別の医療役割分担を充実させ、そして2次医療圏の地域医療を充実させて、日本の医療を再生していくことができるのではないかと。
 最後に、本日の論点から見た専門医制度については、やはり、国土の多くを占める地方都市からの考察としては記載したとおりです。専門医制度の充実とともに、専門分野がいまほとんど教育になっていますので、講義・実習教育内容について再考して、各科が協力して、学習者が将来、何科に進むのでも大切な医師として当然、その分野の総合力を行っていく必要がある。そして現在の正確な専門医としての実労働数の把握は容易ではないということ。多くがダイレクトに専門医となった日本の経緯と、教育体制の現状を考えると、総合医ももちろん必要ですが、さらに総合力のある専門医も、ほとんどがこのような教育体制化にありますので、それを育成していることが現実的であり、専門医制度を十分達成するには相当な時間がかかる。しかし、それに向かってやっていく必要があります。
 専門医制度改革は、多くの都道府県の難しい局面を好転させる可能性があります。ただ、この際、地方都市の2次医療圏中核病院では、多くの専門医が不足しており、倍率のない初期研修マッチングのような状態が、各専門科分が何重にも重なってしまわないような、国情を加味した専門医制度改革が望ましいと考えられます。
 最後に、専門性が追求され続けてきた時代の中、各科横断的な総合診療プライマリケアの推進とともに、地域医療の充実が理念となって進んできた総合医・家庭医(プライマリケア)領域は、むしろこれからの世界一の高齢社会を先導する日本にとって、必要な専門領域の1つと考えられます。人数等の関係もありますので、いまのところ教育システムが必ずしも全国的には十分ではありませんので、プライマリケアに関わる多くの分野と協調して、それぞれの専門的観点から、共に発展していくことが何よりも国民全体の立場、将来のことを考えると、これをきちんと認定した上で、将来にわたって進めていく必要もあるのではないかと考えました。以上で私のプレゼンテーションを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○?久座長 要領よくまとめていただきまして、ありがとうございました。それでは、いまの長谷川先生のプレゼンテーションにご質問ありますか。
○今委員 青森県八戸市民病院です。素晴らしい発表をありがとうございました。学生時代からプライマリケアというか、総合的な力を付けるのを養成して、研修医に行き、地域に出るという取組はわかるのですが、ロールモデルというか、その地域の病院(2次病院)に行ったときに、そこにいる指導医たちは、循環器専門医もしくは消化器専門医であっても、例えば老人の肺炎は、すぐ診てしまうというような立場で診療をしているのでしょうか。またはそういう立場を目標にしているのでしょうか。
○長谷川参考人 先生も青森ですからよくわかると思いますが、そういう方は地方都市の病院には多いと思いますし、そうではない方もいます。ただ、大学内のみならず、全県の先生たちをFDを開いて5年、10年かけて、そのような医学教育の全体的な体制を。もちろん大学だけでできることと、県内の医療機関でできることがありますので、先生がおっしゃるような、どの医療機関でもそのような姿勢で教えられるような体制に向かうことがこれからは必要ではないかと考えています。
○今委員 指導医がそういう体制に向かわないと、折角覚えてきた若い医師が、大学で教わったことと、地域でやっていることが違うと失望するような気がするのです。大学の学生の教育を、研修医の教育と両輪で地域の指導医もちゃんと老人を普通に診ろというようにしたいのです。
○長谷川参考人 1年生、3年生はその地域に出ますので、研修、それから専門医研修までの流れを。まだまだそれは充実はしていませんが、そういう方向に向かわなければいけないのではないかと考えています。
○藤本委員 ご発表ありがとうございました。いまの今先生のお話と関連していますが、こういったカリキュラムを変えていくには、それに伴って指導者の資質も、また新たなものが求められてくると思います。大学の中での、また地域に出たときの市中病院や開業医の先生方がこれから指導医として参画されるウェイトがかなり増えてくるのかなという感じがしています。教育する側に関して何かご提案はありますか。
○長谷川参考人 最初に述べたように、我々は最初ダイレクトに全部専門に入ってしまいましたから自分の専門はスムーズに教えられるのですが、高齢者が来たときに、それ以外の部分は少し軽くなってしまうのが問題なのです。これはすぐには解決しませんが、少なくともいまのようなお話を基盤に、総合力のある専門医を作ることによって5年後、10年後に、そのような指導医を増やすことからまず始めて、将来の目標に向かった連携体制を、いまのいい所を伸ばしながら世界一の医療連携ができる体制を進めていくというのが、いま日本に非常に必要なのではないかと考えます。
○桃井委員 大変素晴らしいプレゼンをありがとうございました。秋田大学の総合医教育が年々進化されていることに敬意を表します。私は小児科医ですので、総合医から専門医という医師のあり方は皮膚感覚として大変よくわかりますが、総合医でありつつ、専門医であることでいちばん大変なのは初期研修のあとの専門医育成の中で10年も20年も、指導医になってからも、総合医療と専門医療を常に並走させることが重要です。5年、10年経てば医療は一変します。そういう意味で診療現場で総合診療と専門診療が並走している場が常にないと、若いうちの研修まではよろしいのですが、指導医としても研鑽できるような診療現場がないといけない。総合診療と専門診療を両立させる医師を多く作るには主として内科だと思いますが、内科の診療現場を大きく変えないと成り立たないように思います。それについて、少しご意見を伺いたいと思います。
○長谷川参考人 先生がおっしゃるとおりです。専門医がなぜ総合力を付けにくかったかというと、医師の育成過程からダイレクトに各科に入ったあとに専門の道を学ぶ所しかなかったのです。いま日本医師会も非常に頑張っておられて、生涯教育をやっていますが、そのときに学生から研修時代にある程度総合力が付いた先生というのは、その後、例えば専門領域を勉強する時間を8割、9割として、医師免許の更新という形も含めて、医師免許ですから1割ぐらいは総合的なことをきちんとやっていくような指導体制を両立させていくことによって、いま桃井先生がおっしゃったようなことが改善されていくのではないかと思います。その部分はまだ将来に向かっての目標で、総合力を付けた各科も、これからはほとんどの患者は高齢者ですから、常にその現場で専門性は9割、1割ぐらいは医師免許としての総合力を勉強していく機会を作る。そのために学生から研修医を総合力があるように育成すると、その流れもいまよりはやりやすいのではないかと考えます。
○池田委員 どうもありがとうございました。日本の医療全体を考えてシステムを構築するときに、先生のお考えのように、総合的診療能力を持つ専門医もこれからは必要だし、もともと総合医あるいは総合診療医として育成していくことも大事だということで、私はその方向はいいと思います。
 特に総合的診療能力を持つ専門医の育成に関しては、現在、専門医機構で専門医の育成のための整備指針が作られて、毎年アップデイトされています。地域医療とか総合的な診療能力をその中に組み入れていくことで、その方向はある程度はできるのではないかと思います。その育成は大学病院、あるいは大学病院を中心にかなり負えると思います。
 しかし、大学病院はいまは医育機関で、それと同時にほとんどが高次の医療機関ということで、その2つの顔を持つと総合医を育てる仕組みは大学病院だけでは解決できないのは、火を見るより明らかだと思います。そういう面では、地域医療の研修ネットワークみたいなものを、それぞれの領域で作る。そしてそこにきちんとした指導医を置くといった新しい卒後研修の形を作っていかないとなかなか実効は上がらないのではないかと思うので、大学病院がいまの形ではなく、地域あるいは診療所もちろん医師会も含めて、教育にも役割分担というか、協調体制を作る方向に持っていくことが大事だと思います。その中に中核になって指導する人、熱意を持って仕組みを作る人たちを早急に育てなければいけないのではないかと思います。
○小森委員 先生のご講演のほとんどは私の従来から思っている主張とほぼイコールです。特に20頁に示された図はまさに私の認識と一緒です。実は?久座長にもお願いし、事務局にもお願いして日本医師会としての考え方について、次回にでもご提示したいと思っていますが、その図はほとんど先生と一緒です。
 ただ、もちろん総合的な診療能力を持つ医師が、これからそれを専門性として育っていくことも、私たちは大変重要な視点だと思っております。また同時に、総合的な診療能力を持つ専門医を作っていくという、この視点が極めて大事だと思っております。まさにその視点で先生は学部教育の話をされ、今委員はその後の臨床研修等について触れられました。また池田委員もご指摘になったように、まさに先生のご認識と私が一緒なのは、これが将来、当然変革をしていく必要があると思いますが、現在の日本において総合的診療能力のある専門医というのは、現在の我が国の開業医の姿であると思っていますので、卒後、また臨床研修を終えたあとに生涯教育としてそういった総合的な診療能力を持つ専門医を育てる、あるいは更新の要件とすることについて、日本医師会生涯教育制度、あるいは池田先生がご指摘になった地域医療のネットワークづくりは、まさに日本医師会、地区医師会それぞれの医療関係者が持つ大変重要な責任と思っております。そのような考え方について、先生にご同意いただけると考えてよろしいでしょうか。
○長谷川参考人 そうです。そのような教育制度をさらに充実させていくための、学生のころから一歩進んだステップアップをさせていくという話だと考えます。
○小森委員 ありがとうございます。是非努力をしてまいりたいと思います。
○?久座長 私も長谷川先生のご意見に賛成です。日本では総合医と総合的な診療能力を多く持った専門医がいちばん足りない。特に2次医療機関の場合は専門医であっても総合的な診療能力を持たないと困る。それが医療過疎の1つの原因になっているのだと思います。今日は長谷川先生から非常に内容のある、しかも現在、秋田大学で行われていることについてのお話を伺い、本当にありがとうございました。多くの委員の方方が先生のご意見にご賛同いただけるものと考えております。
 それでは、次に村田課長から文科省の「医学教育の現状について」ということでお話を伺いたいと思います。
○文部科学省医学教育課長 医学教育課長の村田です。本日はこのような形で説明の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。与えられたテーマは「現在の医学教育の現状について」でしたが、医学教育中心的立場でおられる長谷川先生から詳細なご説明がありましたので、私からは行政の立場で、いまの卒前の医学教育をどう問題意識を持って捉えているのか、どういう施策に対応しようとしているのかを中心に、簡潔にご説明したいと思います。お手元に資料を用意しましたので、順に沿ってご説明いたします。
 1頁は説明する内容で、「医学教育の改善・充実について」のいくつかの課題と対応についてです。2頁は前提として、今日の医学教育の改革の経緯あるいは方向性の経緯を説明します。近年の医学教育の改善の大きな節目になったのが平成13年3月に医学・歯学教育の在り方に関する協力者会議があり、?久先生に座長を務めていただき、とりまとめをいただいたものです。その中では、いくつかの問題点を踏まえて、改革の方向性を大きく3つ、大切な要素として打ち出しています。1つが、学生が修得すべき教育内容を精選するということ。もう1つは到達目標を明確にするということで、医学部であれば共通に到達すべき目標を明確化すべきであるということです。
 これを受けてモデル・コア・カリキュラムが関係の先生方の大変なご努力によってとりまとめられました。平成13年に策定されています。このコア・カリキュラムについては、平成19年、それから昨年3月にさらに改訂をしていただいております。
 もう1つの大きな方向性としては、診療参加型臨床実習への転換です。一方でこれに関連して臨床実習を充実するためにも、その臨床実習に臨む学生の適切な評価システムをまず構築すべきであろうというご提言をいただいております。そういったことを踏まえて臨床実習開始前の共用試験、これは知識を問うCBT、診療の技能・態度等々をOSCEということで、共用試験ということを実施していただいております。これも平成14年から試行が行われて、平成17年から正式に実施されているという状況です。
 そうしたことを踏まえて診療参加型への実習へ転換しようということで、平成13年の時点では実習の実施のためのガイドラインを策定して示していただきました。そういう意味ではこの大きな3つの方向性、協力者会議でご提言いただいた方向性を踏まえて、さらにいまその方向性を加速する取組が各大学で進んでいるという状況です。
 3頁を見ますと、医学教育の改善について、具体的な問題点、方向性はどうかということで、行政の立場から少し整理をさせていただきます。ちょっとごちゃごちゃしておりますが、大きく3つ問題意識を持っています。左から2番目の欄ですが、1つは卒後の医学教育の改善の中で、臨床実習という形で充実をしていくのかということがあります。これは後で申し上げますが、卒前の医学教育については、医師国家試験との関係があるということで、その国家試験の改善と歩調を合わせた形でどう実習を充実させていくか。これは質の面もありますし、十分な時間を確保するという面もあります。
 2番目の要素としては、医学教育の方向性として1つ心配なのは、研究の道に進む医師の数が減っていることです。これは基礎研究あるいは臨床研究も含めてですが、そうした研究マインドを持った医師をどう育成していくかです。
 3番目は、地域医療を支える観点からどう考えていけばいいのか。これは項目としては、1つは大学と地域医療機関の連携によって地域医療をどう支援していくかということもありますし、総合的な診療能力を持った医師をどう養成していくのかということがあるわけです。そうしたことで、1つは医学教育の臨床実習、医学教育の改善ということで言えば、医師国家試験の改革と併せた形で、どう臨床実習の質・量を充実させていくのか。特に参加型臨床実習について充実させていくのか。それはとりもなおさず医学教育の関係の先生方でも非常に大きな課題になっている、いわゆるグローバルスタンダード(世界的な標準)での認証評価への対応にもつながってくるわけです。2番目として、基礎研究あるいは研究医の育成、それから地域医療への支援が問題としてあるわけです。
 4頁です。まず卒前の教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂についてです。これも体系的な図を用意してありますが、左側が学年が若い1年次で、右側が学年が進むにつれて臨床実習、さらに右側が医師国家試験です。ですから、左側に準備教育のモデル・コア・カリキュラム、教養教育という形ですが、学年を追うに従って、こういう形で体系的なコア・カリキュラムを作っています。
 一方では、例えば医師として求められる基本的な資質、基本的な事項については学年を通じた横串を刺すような形でカリキュラムを整理しています。その中で、一方で大きな節目として、右側に黒で書いてありますが、1つは臨床実習に入る前のCBT、OSCE共用試験があります。されにそれが終わったあとの臨床実習があり、さらに国家試験ということになるわけです。
 平成23年度に改訂がなされましたが、その改訂のポイントを5頁に挙げてあります。いくつかあって、まさに先ほど申し上げたところがポイントで、1つは5の?の基本的な診療能力を確実に習得する。総合的な診療能力ということがあります。2番目は、地域医療を担う意欲・使命感ということを明記しました。3点目は、基礎と臨床との有機的な連携による研究マインドの涵養ということもポイントとして挙げています。
 こうしたことを踏まえて6頁ですが、モデル・コア・カリキュラムの中の前提として、共通に医師として求められる基本的な資質をまとめており、これも先ほどのような視点を踏まえて整理をして、改訂をし、その中で患者中心の視点、あるいはコミュニケーション能力も当然ですが、総合的な診療能力、地域医療も明記しました。
 7頁は、共用試験、OSCEの実施状況です。左側の共用試験はアンケートですと、かなりの大学で進級の要件として使ったり、参考に利用しているという状況です。もう1つの課題としては、臨床実習に入る前のOSCEということがありましたが、一方ではかなりの大学が卒業前、つまり臨床実習が終了した時点でその到達度を測るという意味で、卒業前のOSCEを実施しています。これも右側の円グラフに書いてあるような形で、半数以上の大学が卒業前にOSCEを行っており、4分の1ぐらいがこれを卒業認定に用いているという状況です。こうしたものを、さらに制度としてどう進めていくかが大きな課題になっています。
 次に臨床実習の実施状況について、少しデータ等を見ていただきたいと思います。8頁の臨床実習の実施状況です。これは先ほど実施の量と質ということを申しましたが、実習の量で、臨床実習の実施の週数です。これも大学によってばらつきがある状況です。もう1つは臨床実習の実施時期ですが、これも大学によって違うようで、当然5、6年次に行われる大学がほとんどです。ただ、このデータには挙げてありませんが、もう1つの要素として、臨床実習の開始年次、終了時期というアンケートの結果もあります。私どもが1つ気になるのは、臨床実習の終了時期で、いちばん多いのが6年次の4〜6月、6年次の7〜9月がほとんどですが、一方で5年次に終えてしまう大学もいくつかあるということで、全体的に少し早い時期に講義も含めて、臨床実習を終える大学がかなり多いということです。これはおそらくデータ等には出てきておりませんが、国家試験の準備あるいは勉強ということも念頭にあるのかなということが、これを見た印象です。
 8頁は参加型実習の実施状況や活用の有無です。9頁は病院の診療参加とか、外来の診療参加等があります。
 10頁です。国際的な質保証、医学教育の質保証ということで申しますと、いま大きな課題になっているのが米国ECFMGからの通告ということがありますが、アメリカの医師国家試験の受験資格を認定する団体から通告があって、2023年からアメリカの医師国家試験については、アメリカの医科大学協会あるいは世界医学教育連盟の基準によって認証を受けた医学部の卒業生以外の受験は認めないと、日本のいくつかの認証評価機関に通知してきました。現在はまだこの2つの基準で認証を受けている日本の医学部はない状況で、そういったことも踏まえて、我が国のいわゆる分野別評価ということを考えても、いま学校教育法に基づいて、大学丸ごと教育機関として適切かどうかという認証評価の制度はあるわけですが、一方で各学部、分野別の評価はまだまだ確立されていない。医学の分野についても、まだ確立されていないということで、いまそういったことも踏まえて全国の医学部長・病院長会議でも、昨年、医学部、医科大学の評価に関わる検討会を設置していただいて、こうした国際的な動向も踏えまながら検討を進めていただいているという状況です。
 11頁は診療参加型の臨床実習充実ということがあり、先ほどもモデル・コア・カリキュラムという言葉がありましたが、文部科学省としても、毎年、先導的な大学改革の委託事業というのがあります。これはいくつか大学改革の大きなテーマについて、専門家に実践的な研究を委託して、その成果を各大学に提供しているということです。昨年度については大学改革の事業の中で、参加型臨床実習の充実に向けていくつか研究をお願いして、その成果を各大学に提示しています。
 医学については大きく3つあって、1つは参加型の臨床実習の充実に向けての提言で、提言という形になっていますが、実際は平成13年にできたガイドラインを改訂していただくという形で、参加型の臨床実習を進めるに当たっての具体的な体制の整備とか、留意事項といった細かい内容について、各大学の検討の参考にしていただけるような提言をとりまとめているというのが1つです。
 もう1つは、参加型臨床実習の経験と評価の記録です。これも横文字でいえばログブックとかポートフォリオということで考えていただければと思っていますが、学生が携帯するような手帳を想定して、まさに参加型の臨床実習の中で、診療現場で学生が経験した学習内容を学習履歴にきちんと残す。その中では到達度について指導医がチェックできるような形でそうした記録を例示としてとりまとめています。
 もう1つは、具体的に参加型臨床実習のイメージを、東京医科歯科大で実際に行われている臨床実習の例をDVDでとりまとめて、各大学に送っています。各大学がこうした取組を進めていただく1つの参考として、活用していただけるような資料をとりまとめて提示をしているという状況です。
 12頁は地域で求められる地域医療についての貢献です。これもデータだけご覧いただければと思いますが、地域医療に関する教育の実施状況、講座の設置です。12頁の右下のグラフで、臨床実習の体験というのは、できるだけ早期にということで、かなり学年の早い段階から行っている大学もいくつか見られるという状況です。
 13頁は各大学での地域で求められる医療人材の養成を例として見たものです。例えば長崎大学は五島列島等、離島が多くありますので、地域枠学生については、5週間離島での地域医療実習を行っているという実態を見ていただいています。
 14頁は、総合的な診療能力ということで、これも先ほどの中で大学と地域病院の連携ということがあります。これも1例ですが、最近、筑波大学が、厚生連の水戸協同病院の中にサテライトキャンパスということで、水戸地域医療教育センターを開設しました。これはまさに地域の病院と協力しながら、卒前の実習あるいは卒後の研修に活用しています。その大学の先生方がそこのセンターに配属されて、病院の先生方と一緒に教育に当たっています。
 15頁は数字で地域枠の例です。いま各医科大学医学部については、ボトムから比べると1,300数十人増員しています。そのかなりの部分はいわゆる地域枠ということで、地域で求められる医療の人材という学生の育成が進んでいるという状況です。
 16頁も数字です。地域枠で入学した学生の卒業後の状況ということで、一般の学生に比べると卒業後も都道府県内にとどまる割合が高いという状況です。17頁はマッチングの状況ですので省略します。
 18頁は先ほども言及のあった医師のキャリアパスについてです。これは一昨年12月から昨年の11月に医学部の入学定員のあり方に関する検討会で、文部科学省の中で関係の先生方に検討をいただいております。その中間的な論点整理の中に、医師のキャリアパスについて言及していただいている部分がありましたので、ご紹介しております。
 枠で囲ってあるいちばん下ですが、専門医となるための研修という部分があるので、都市部の病院に集まる傾向があるといったことを踏まえて、先ほど地域枠ということを紹介しましたが、若い医師が将来の展望をもって地域に定着できるようにということについては、特に専門医研修、あるいは研究に従事するための就業年限、義務年限ということで、医師のキャリアパスをきちんと提示する。その中で専門医あるいは研究といったことにも配慮するキャリアパスを提示することが必要ではないかというご指摘がありましたので、掲載しています。19頁は省略します。
 20頁以降は研究医の養成に関する現状のデータを紹介しています。これも数字で、20頁は心配な状況として、基礎系あるいは臨床系の医学系の大学院の入学者に占めるMDの割合、特に基礎系はかなり減っています。一方で20頁の右側のグラフにありますが、若手の医師の方々は専門医をとにかく取得したいということが、博士号を取得したいという方の割合より相当高くなっているという実態があります。
 21頁は、そういう意味では研究医を養成するということで、これは1つの大きな課題として、臨床研修の期間と研究マインドを育てていくことを、どう両立させるのかということです。これも各大学でいろいろな形で教育プログラムを工夫していただいています。これは現実にプログラムとして組んでいただいているものです。
 22頁は医学部の定員増の中に研究枠というのがあって、その研究枠の中でもこうした取組が行われているという例です。
 23頁は今年の文部科学省の予算です。この中で3つあって先ほど申し上げたことと関連しますが、1つは基礎研究に進む若手の医師を受け入れるためのいくつかのいろいろなプログラムがあります。そうしたプログラムを支援するための取組です。課題の2番目は、先ほど申し上げたグローバルな医学教育の認証も念頭に置きながら、診療参加型の臨床実習をどう卒前の教育のプログラムの中で充実させていくのかというのがあります。そういったことについて優れた取組を10大学ずつ支援をする予算をいただいています。これはいま各大学から公募をいただいて審査をしているところです。
 24頁は医学教育の具体的な方向性です。これも共通する認識かと思いますが、診療参加型臨床実習の充実など、基本的な診療能力をどう卒前で育んでいくかということです。そのために3つほど課題というか整理をしています。1つは、先ほどの関係の中でも医師国家試験というのは、卒前の医学教育の中でも非常に大きな考慮要素となっているということで、そういう意味では医師国家試験の改善の方向性として、厚生労働省の昨年の検討委員会の報告でもそのような方向性を明示しておりますが、国家試験は臨床実習の成果を測るという方向で、さらにシフトをしていただく。そうすると大学の実習の充実という方向性と相俟って、そういった取組がさらに進むということで、1つはそうした国家試験の改革との連動ということです。
 2番目は、先ほどお話のあった卒後の臨床研修との一貫した医師養成のプログラムということで、特に卒前の臨床実習と卒後の臨床研修の連続性を大切に考えていくべきではないか。これは委託研究の中でも、臨床実習の到達度を測る記録の雛形を考えていただきましたが、そうしたことで卒前の臨床実習の、その学生が卒前にどういうことを、どれだけ学んできたかが、きちんと把握できるようになれば、卒後の臨床研修の中でも活かしていただく、より一貫性を持ったプログラムが組めるのではないかということです。
 3点目も長谷川先生のお話の中にも出ましたが、今後の医師のキャリア形成を支援していくためには、臨床研修の病院、地域の医師会の先生方をはじめ、医療関係者の皆さん、地域の医療行政と大学との連携が大切ではないかということで、これは学生のキャリアパスを考えても、専門医の取得が若手の医師にとっては大きな目標になっているわけで、そういう意味では関係学会とも積極的な連携をしながら、若い学生に地域に定着していただくためのキャリアパスをどう提示できるのか。そこはいろいろな形でいま地域医療支援センターでの取組が始まって進んでおります。そういった形で関係者との連携によって、そうしたキャリアパスの提示、あるいは実現できれば非常に大きな解決になるのではないかと思っています。以上です。
○?久座長 ただいまのご発表に、どなたかご質問・ご意見はおありでしょうか。
○今委員 詳細な報告をありがとうございます。10頁のECFMGの受験資格が、まだ日本の医学部にないということをおっしゃいましたが、受験資格をとるような努力が必要なのでしょうか。それとも、ただ、まだ登録していないだけなのでしょうか。
○文部科学省医学教育課長 これは、そういう意味ではまだ登録されていないというか、認証を受けたものはいまのところはないというのが、いまの状況です。ただ、これはあくまでアメリカに行って国家試験を受けようとするときに、それが課題となるということで、実際にECFMGのそのものをクリアするために、どういう要件が必要なのかというのは、正直言ってまだ十分つかみきれていないところがありまして、その辺りはいま医学部長・病院長会議でもご研究いただいておりますし、文部科学省も少しそういう研究のための予算を今年度確保しております。そういった状況を確認しながら、それを各大学のほうにもお知らせをさせていただければと思っている状況です。
○今委員 例えば米国の国家試験の受験資格があるぐらいに、日本の医学部の教育、もしくは実習が、何か向上すべきものなのか。それとも、いまのままでも登録するだけでもいいのか、そこがわからないのです。
○文部科学省医学教育課長 これもECFMGの要件の中にいろいろなものがありますが、1つ言われているのは臨床実習の時間数、時間数だけではありません。臨床実習をきちんと評価する、学生の到達度を評価する。その体制がきちんとあるかどうかということも、かなり厳格に見られているようです。そこは先ほど申し上げた、臨床実習を質・量とも充実すると。大学の医学部が責任を持って学生の到達を評価する仕組みができているかどうかと。もう既に当然進んでいるわけですが、そこをこれからきちんと整理をして、具体的にどういう要件が必要なのかということを考えていかなければいけないと思っているところです。
○?久座長 ほかにどなたか質問がおありでしょうか。
○池田委員 医学教育の現状の把握と将来の方向性の議論は非常によくわかって、本当にそのとおりだと思うのですが、5年前に日本で臨床研究がなぜ進まないのかというときに、厚生労働省では治験活性化5カ年計画とか、臨床研究の促進のための計画をいろいろ立てているのですが、そのときに『ランセット』か何かに海外の人が、日本の医師はあまりにも忙しすぎると。臨床研究をやるだけの時間がないから、モチベーションが保てないのだという記事が載ったのです。それと同じことが医学教育にも言えるのではないかと思うのです。欧米の大学と比べると、医学教育にコミットする医師、あるいは教員が圧倒的に少ないのではないかと思うのですが、その環境を今後どのように改善していくのかということと、もう1つCBTなどは学生がやる気を起こして、ある意味ではできない学生はどんどん置いていってもいいから、とにかくやる気のある学生をどんどんどんどん育てようという、基本的にはその方向は2つあると思うのです。
 前者に関しては、文部科学省としてはどのぐらいの教育にコミットする。これは臨床の現場でもそうだと思うのです。臨床現場は、ただ地域の診療体と連携をしたらいいというものではなくて、地域の先生方、あるいは医師会の先生方も含めて、診療でものすごく忙しいわけです。教育にどのぐらい時間が割けるかというと、そうそう時間は割けないというのは、これは現実だと思うのです。でも、やりたい先生はたくさんいると思うのです。ですから、そこのところはどうなのでしょうか。1つの大学、1つの医育機関に、もうちょっとそういう人材を増やさないと、おそらくうまく回っていかないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○文部科学省医学教育課長 これもおっしゃるとおりで、そういう意味ではいろいろな形できめ細かい教育が求められておりますので、そういった教育にかかる負担は相当多くなっているのは事実です。当然、臨床医師のところもそうです。ただ、一方では、これはある意味では医育機関に限らず、日本の業界全体を、どうやって医療関係者、医師の負担を軽減していくかということもあります。端的なところで言うと、文部科学省の施策で言えば、例えばいまやっておりますのは大学病院、特に臨床医師の場合、大学病院の先生方は負担が大きいということで、医療クラークを措置することを各大学に支援しております。そういったことも1つの例ですが、端的に言うと医療界全体の負担をどうやって軽減していくのか。特に医育機関については、医療クラークもそうですし、チーム医療もそうですが、先ほど申し上げた医師の負担をできるだけ軽減していくようなことを考えていかなければいけない。ただ、これは申し上げたとおり、そんな簡単にできる話ではありません。文部科学省としても、確かにそういう意味で医療のスタッフの相当な負担をどうやって軽減していくのか。これは人員をうんと増大できればいちばんいいのですが、財政事情があると。一方では先生からお話があって、もう1つはこれから地域の医療機関の先生方にも応援をしていただかなければいけない。地域の医療機関の先生方も相当負担感が高まっているということですので、そこはおっしゃるとおり、とにかくマンパワーをどう確保するかというのは、ある意味では政府全体の大きな課題として考えていかなければいけないのだと思っております。
○長谷川参考人 いまの話は本当にそのとおりです。ただ、1つ解決する近道としては、我々は医学教育を学ばないで、教師・指導者になっています。同じ時間をかける、あるいは診療しながら指導するという教育学を皆が習得すれば、いまずっと付きながら教えるというようにされている先生も多くて、そのために、かなりの時間を割かないといけないと考えられている先生がほとんどなのですが、教育学をうまくやりますと、その人たちをむしろ研修医のように、一緒に医療を行っていくと。そのような流れを作っていく。そのために私が考えているのは、今回の72週もそうなのですが、全身を診る、総合的に診る診療科を長く回ると。いま各科を必ず短く細切れで回ってしまいますので、ほとんど学生に参加していただくことができないのですが、診療参加型をもっと樹立させるためには、諸外国のように全身を診る。それこそ総合力をつける科に関しては、長めに回って、そうなってきますと、見る側の指導側の負担もだんだん減ってきます。そして、長く回って教育を次の科に連鎖することによって、その部分も負担は軽減できる。もちろんマンパワーも足りないのですが、そのような工夫もしていかなければいけないのではないかと考えています。
○桃井委員 ご説明ありがとうございました。4頁のカリキュラムを見て、医学教育に携わる者として痛感するのは、臨床実習に2年間みっちり割きますと、どこが圧迫されるかというと、初年度のリベラルアーツと基礎理科教育です。いまの高校では、受験体制のために生物学をとっていない受験生が圧倒的に多いことから、高校のレベルの生物学の教育を医学部でしないといけない。なおかつ、2年間という重要なBSLの充実と確保のためには、削減されてそのマイナス効果がみえにくいところがリベラルアーツなのです。リベラルアーツというのは、それが欠落した場合に外からは医学の知識ほどにはなかなか見えないのですが、1人の人間的な医者を養成する上で極めて重要な教育です。リベラルアーツを2年間しっかりやってきた群に比べて、いまの教育では欠損していることが大きな問題の一つです。 その結果、最初から医学・医療の教育が多くを占めて純粋培養的な医師の教育になってはいないかということが、医学教育に携わる者として極めて危惧されるところです。医師になる者のみならず、国民全体がいまや高度医療の中で健康を維持する、国民全体が基本的な生物学の理解なくしては良い健康は維持できないという観点からも、高校までは全員に生物学を必修させるとかが必要ではないでしょうか。DNAも理解しないという方々を相手に、医療の現場で生物学の基礎からご説明が開始されるのが現状です。そういう意味で、医学教育の6年間を組み直すことも、極めて大事なのですが、その前の教育を何とかしてほしいというのが、我々医学教育に携わる者の痛切な願いです。国民全体の医学、生物学に関する基本的な理解を高めることによって、医療ははるかに容易に、より良くなりますので、この会議のテーマではないのですが、是非、文部科学省でご勘案いただきたいと思います。
○金澤座長代理 感想のようなものになってしまうかもしれませんが、長谷川先生のプレゼンテーションの10頁に?久先生が座長をおやりになった平成13年、つまり10年以上前の医学教育の目指すべき目標で、非常に充実したものができているのです。これは大変大事なことですし、しかも読み返してみますと、例えば4番目に「幅広く質の高い臨床能力」、この幅広いというのは、結局、総合医を目指すわけですね。質の高いというのは、言うならば専門医かもしれません。そういう意味で、大変言葉として美しすぎるということはあるかもしれないけれども、非常に良くできているのです。
 ところが、先ほどの村田さんのご説明の中では20頁に、卒後6年経っていますから、平成18年というのは若い人かどうかわからないけれども、こういう人たちがどういうメンタリティを持っているかというと、過去と比べて医学博士号はそんなに取りたいと思わない。昔はみんな取るということを思っていたわけですが、そうではなくて、専門医になりたいと。専門医の資格を取りたいというように、完全にシフトしてきているのです。これだけの全体を学ばなければいけない、学ぶべきだと言って10年経っても、こういう状況なわけです。だからこそ、この会を行わざるを得なかったのだろうとは思いますが、その辺について、難しい言い方ですが、村田さんはどういう印象を持っておられますか。感想です。つまり、若い人たちというのは、ハードルが目の前にあると超えたくなってしまう人たちばかりなのです。そういう中で、全体を広く学びましょうというのを、どう定着させたらいいかというのは、村田さんの立場から見て、どんな思いを持っていらっしゃいますか。
○文部科学省医学教育課長 これは本当に難しいご質問で、個人的な感想ということでお許しをいただきたいと思うのです。医学部の教育の場合、どうしても最初から大前提として医師になることが決まっていますので、そういう意味ではほかの分野では例えばいまやられているような、キャリア教育とかキャリア形成の教育。つまり、自分がどういう職業観を持って、どういう方向に進みたいのかを1年から学ばせるということがあるわけなのです。医学部の場合は必ずしも自分が高度な専門職業である医師として、あるいは科学者である医師として、どういう方向を目指すのか。それを生涯、どういうことで追求していくのか。その辺りの教育の部分が必ずしもほかの分野のように、目標が決まっているだけに逆に十分でないのかと。十分でないというと、ちょっと言葉がすぎますけれども。その辺りのいわゆる医師としてのキャリア教育、あるいは医師としての職業観ということを、どう学部、1年の段階から学生の方に認識していただくか。その中で、自分はどういう方向を目指すのか、あるいは医師として生涯、研鑽をどのように積んでいくのかを考えていただくことが必要なのかと。その部分は確かにどうしても専門的な勉強ということが出てきますので、なかなか手が回り切れていないのかというのは、ちょっと言葉がすぎるかもしれませんが、感想です。
○平林委員 いまの金澤先生のご質問とも関連すると思うのですが、私は全く素人なものですから、教えていただきたいことがあります。それは先ほどの長谷川先生のご報告後のご発表の中で、総合力のある専門医ということが強調されていたわけですし、先ほど20頁でも、まさに総合力(教育学)と書いてあるわけです。そのことと医学教育の中で、これから重視されていこうとしている基本的な診療能力の確実な習得というのがあるのですが、この2つがどういう関係にあるのか、あるいは関係にないのか。そこをどう理解すればいいのかを教えていただきたいと思います。
○?久座長 基本的な診療能力の獲得というのは、それがいちばん重要なことだと思います。その中には非常に幅広い、例えば患者とのコミュニケーションとか、そういうのが全部含まれていますので、それがいちばん基本にあって、それからあとのいろいろな問題が出てきているのだと思いますけれども。
○門田委員 村田課長にお尋ねしたいのですが、いま医療の世界で起きているいろいろな問題が、10年、20年かかって、徐々に変わってきていると思うのです。その変わってきていることで、例えば研究志向がなくなっている、あるいは都市集中というのか、都市のほうに行き、地方には行きたがらないとか、いろいろなことが起きていると思うのです。その現象に対して、いろいろな対策を考えることは大切なことだとも思うのですが、それよりも、その元の原因がどこかにあるのではないかと思うのです。私はいま大学を離れていますが、大阪大学で教えているころに感じたことは、いまの医学部の学生は非常に昔と変わってきているということです。昔の人たちは、人間が好きだ、患者さんを助けたい、病気を何とかしたいという気持で医学部に来ることが多かったのが、このごろはちょっと違うのです。入学試験というのですか、受験戦線に勝ち残った連中が来ているような、これは正確には知りませんが、そういう傾向が出てきているというのです。
 私が実習をやっているときに、医師の道を選ぶ人たちがそのようなことで、「あまり自分の進路、医師というものを考えずに、成績の辺りからいつの間にか医学部に来ているというように感じる人がいますか」と、遠慮気味の質問をしてみたのですが、意外と手を挙げる人が多いのです。だから、私はやはりいまの大きな問題というのは、医学教育に入ってくる前、入試のところ、あるいは先ほど桃井先生がおっしゃられた高校での教育とか、あるいは高校以前の教育も含めて、そういう辺りにいろいろな大きな課題がある。文部科学省とすれば、是非その辺りでもう少ししっかりと検討していただきたいと感じたりしているのです。
○?久座長 おっしゃるとおりですが、これは村田課長に言うのはちょっと気の毒で、もっと前の問題だと思います。それから、一応、専門医の在り方に関する検討会ですので、門田先生、桃井先生が提起された問題、あるいは平林先生が提起された問題はまた文部科学省の委員会のほうで十分に検討していただければと思います。
○高杉委員 話題にちょっと外れるかもしれませんが、今日は長谷川先生、ありがとうございました。今度新しく日医の会長になりました横倉会長は、地域医療を何とか再生するのだということを大きな目標にされております。先般、近畿医師会連合、九州医師会連合に行ってきたのですが、まさに長谷川先生の取組を、待っていても遅いかなというぐらい地方の地域医療は崩壊している。都市部はいいのですが、これが近畿でも同じなのです。大阪は比較的いいけれども、京都に行くと海側、あるいは兵庫県は日本海側は、バラバラでどうにもならないという実情がモロに届きます。さあ、どうするか。専門医のこの委員会で、是非とも高杉、言っておけということは、いま総合力のあるいろいろな専門医の話が出ましたし、あるいはそれを育てるのだという長谷川先生の話の中で、私自身は地域医療の実践を1つ専門医の項目に入れていただければ、案外良いことになるのかと。そういう視点で考えられないかと思いました。
 そうすると、自然に総合力のついた専門医も育つでしょうし、地域のプライマリケアも実践もできるでしょうし、さらに経験を積んでいけば、素晴らしい専門医が育つのではないかと。これは今日の長谷川先生にあえてお願いした理由でもありますが、各大学でそれぞれの取組がされているようですが、効果がなかなか上がらない。上げるためには、少し荒療法もいるのかと、そんな気がしております。もちろん長谷川先生もいまの取組の中で、地域の基幹病院で実習するとすると、臨床研修と学生の教育と相当負担になりますが、これがいちばん速効性があることになるのかと。そんなことも思って、少し検討をお願いしたいと思います。
○?久座長 次の論点項目の修正案について、事務局から説明をよろしくお願いします。
○医師臨床研修推進室長 事務局提出資料2、「検討会における論点項目(修正案)」です。前回の検討会においてお示しした素案を修正させていただいております。その修正の趣旨は、主に2点あります。1点目は、前回の検討会において、素案についてご意見を賜った部分。また、そのこととの関連で、これまでいただいた主なご意見の中から、さらに追加等が必要と思われる部分について、適宜、追加等の修正を加えております。
 2点目が全体を通してですが、素案では文末、語尾について、「何々ではないか」との問題提起の形式でお示しをしておりましたが、今後の中間まとめとしての性格を踏まえて、可能な限り「何々である」との形に改めております。ただし、いまだ検討会としてのコンセンサスを得るに至っていないと思われる箇所については、「何々ではないか」、あるいは「何々と考えられる」との表現にとどめております。
 なお、今回は前回と同様に、「論点項目」との表題でお示ししておりますが、次回検討会からは「中間まとめ(案)」との表題に改めてお示ししたいと考えております。前回、素案を一通り読み上げさせていただいたため、本日はいま申し上げた趣旨の1点目の追加等を行った箇所を中心に、ご案内いたします。
 冒頭、「はじめに」ですが、3つほど追加をしております。前回の検討会において、検討の前提となる問題意識等を記述すべきであるといった趣旨のご意見をいただいたため、第1回でお示しした検討会の開催要綱などを踏まえて、記述を追加しております。「わが国においては、専門医制度を運用する学会が乱立して基準が統一されておらず、専門医として有すべき能力について医師と患者との間に捉え方のギャップがあるなど、現在の専門医制度は患者にとって分かりやすい仕組みになっていないと考えられる」。「また、医師の地域偏在・診療科偏在は深刻な問題であり、専門医の養成プロセスにおいても偏在対策につながる取組を考える必要がある」。「このため、改めて患者の視点に立った上で、医師の質の一層の向上及び医師の偏在是正を図ることを目的として、本検討会において専門医に関して幅広く検討を行うこととした」。
 2頁(2)の3つ目の○からですが、以下、これまでの検討会でのご意見、あるいはヒアリングでのご意見などを踏まえて、記述を追加しております。3つ目の○ですが、「国は、プロフェッショナルオートノミーを尊重した上で、制度上の位置づけを踏まえ、専門医制度をバックアップしていく必要があるのではないか」。「わが国における専門医の領域は診療科に合わせて設定されているので、新たに専門医となる医師については、取得した専門医が広告や標榜科とリンクするような分かりやすい仕組みとしてはどうか」。「専門医の養成プログラムは、どのような専門医を養成するのかという目標を明確にした上で、そのために必要な指導医や経験症例数等を踏まえて作成することが重要である」。「新たな専門医制度において、養成プログラムを充実させることによって医師の診療レベルが向上すること、医師が習得した知識・技能・態度について認定を受けて開示できること、患者が医療機関を受診するに当たって医師の専門性が確認できるといった意義がある」。
 (3)専門医の認定機関については、1つ目の○「専門医の認定は、学会から独立した中立的な第三者機関が学会との密接な連携の下で行うべきである」の後ろですが、「そのような第三者機関を速やかに設立するべきではないか」。「中立的な第三者機関は、医療の品質保証を目的として、医師の自己規律に基づき医師養成の仕組みをコントロールすることを使命とし」の後ろに追加です。「医療を受ける国民の視点に立って専門医制度を運用するべきである。その際には、医師不足や地域偏在・診療科偏在の是正にも効果があるように運用するべきではないか」。「第三者機関は、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定の2つの機能を担うことが考えられる」。「第三者機関は、専門医の認定部門と養成プログラムの評価・認定部門の下に、各領域の専門委員会を設け、それぞれの領域の専門家の協力を得て運営することが考えられる」。「第三者機関の運営に当たっては、国民の視点やニーズを反映するため、受療者も参画できるような仕組みとしてはどうか」。「第三者機関の設立に当たっては、組織の透明性と専門医の養成プロセスの標準化を図り、説明責任を果たせるような体制とする必要があり、また、運営資金は公的な性格を持たせたほうが良いと考えられる」。
 (4)の2つ目の○、「専門医の領域については、患者が医師の専門性をどこまで理解できるのかを踏まえ、患者から見てわかりやすいものとする必要がある」。その3つ下ですが、「専門医の養成プログラムの中に、研究を行う期間を設けて、研究志向の医師を育てるなど、バリエーションを持たせることも必要ではないか」。
 (5)の2つ目の○、「専門医資格の更新要件については、現在の学会認定の専門医制度においても手術経験や症例数、eラーニングを含めた学習など、実績を要件としていることを踏まえて検討するべきである」。
 4の(1)「総合的な診療能力を有する医師は、従来の領域別専門医が『深さ』が特徴であるのに対し、『扱う問題の広さと多様性』が特徴である」。「総合的な診療能力を有する医師は、地域の医療、介護、保険等の様々な分野において、包括ケアのリーダーシップをとるような役割も期待されており、『地域を見る医師』といったコンセプトも重要である」。その2つ下です。「総合的な診療能力を有する医師の定義からすると、その名称は『総合診療医』とし、現在、地域医療の大半を支える開業医師(かかりつけ医)の名称を『総合医』とすることも考えられる。総合的な診療能力を有する医師の名称の検討にあたっては、『総合医』『総合診療医』の名称の定義を明確にするべきである」。
 (2)、総合医あるいは総合診療医などの名称、あるいは定義についてご議論がありまして、現時点ではいまだ十分なコンセンサスが得られていないのではないかと思われるため、若干くどいようですが、「総合的な診療能力を有する医師」との文言で平仄を揃えております。3つ目の○ですが、「総合的な診療能力を有する医師を養成するためには、初期臨床研修に加えて一定の研修期間が必要とする見方がある一方で、卒前教育と初期臨床研修等を充実させることにより総合医の養成は可能であるとする見方もある」。「総合的な診療能力を有する医師を養成するためには、様々な専門科を単にローテイトするだけではなく、卒前教育における総合内科の時間を充実するとともに、開業医等の協力を得ることも必要ではないか」。「総合的な診療能力を有する医師の養成プログラムについては、初期臨床研修終了直後の医師が進むコースに加えて、領域別専門医を取得している医師のためのコースも必要ではないか」。「専門医の養成数については、患者数や疾病頻度を踏まえ、各プログラムにおける研修体制、都道府県レベルの医療体制の確保、国全体のバランスなどの視点から検討するべきではないか」。
 (2)の2つ目の○「専門医制度の確立により、地域医療が改善するような設計も必要であり、専門医の養成プログラムを地域にどのように配置するかを議論するべきではないか」。「専門医の制度設計において、地域医療支援の観点から、例えば、研修プログラムの中に、へき地や医師不足地域における研修を取り入れるなど、地域偏在・診療科偏在是正のための具体的な仕組みを盛り込むことが考えられる」。
 6その他については、項目を追加しております。4点です。医師養成に関する他制度(卒前教育、国家試験、臨床研修)との関係について。国の関与の在り方について。現在、学会が認定している専門医との関係について。サブスペシャルティ領域について。これらの項目については、それぞれ重要な項目であり、これまでの検討会でも若干の言及はいただいたところですが、現時点では他の項目のように文書化するまでの内容とはなっていないため、本日以降ご議論をいただいて、8月の中間まとめまでに盛り込める内容については、最大限盛り込んだ上で中間まとめ以降も引き続きご検討を深めていただき、年度末の最終取りまとめまでには、検討会としての具体的な方向性をお取りまとめいただければと考えている項目です。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○?久座長 ただいまの論点項目について、どなたかご質問をどうぞ。
○藤本委員 主に患者・国民の視点からということで拝見させていただきました。2点ほど、皆様のご賛同がいただければ、文言を換えていただきたいところがあります。(2)「専門医の位置づけについて」の2つ目の○で、「国民に分かりやすく示すなどの仕組みについて考える必要がある」は、「仕組みが必要である」というように、絶対必要だというところをこの検討会として提案していただけたらありがたいです。
 同じ2頁のいちばん下、「専門医の認定機関について」です。「第三者機関の運営にあたっては、国民の視点やニーズを反映するため、受療者」というのは、「受療者」に限定しないで「国民」と換えていただいて、「参画できるような仕組みとしてはどうか」ではなくて「仕組みとするべきだ」というようなことをとっていただければと思います。皆様ご異論がなければよろしくお願いいたします。
○小森委員 たくさんありますので最初から申し上げますが、基本的に私はこの専門医の在り方については、医師の偏在是正を図ることが目的ではなくて、高質な医療を等しく国民の方々に提供されることがいちばんということです。また、その制度の運営等については、医師・医療集団の自律的な運用によって、基本的に行う。そして、そのこと全体に対して、国民の方々がしっかりそれを評価するという形が私はいちばんいいと思っております。藤本委員と思いは一緒なのですが、ちょっと違うのです。それを含めて、私が訂正していただきたいところを羅列させていただきます。
 1頁の初めの○の3つ目ですが、確かに本検討会の検討目的という所に、ここの部分が書いてあることは私は承知をしておりますので、そのことでお書きになったのでしょうが、「医師の質の一層の向上及び医師の偏在是正を図ることを目的として」ということではなく、「医師の質の一層の向上及び高質な医療が等しく国民に提供されることを目的として」と是非していただきたい。その結果として、医師の偏在是正が図られることになるということであると理解をしております。
 2頁の「専門医の位置づけについて」ですが、最初の○の「プロフェッショナルオートノミーを尊重しつつ、国の関与の在り方」と書いてありますが、専門家による自律というのは基本ですので、「尊重しつつ」というと、大事にするけれども国が関与しますとも読める文章になってまいります。したがって、「尊重しつつ」については、「基盤として」と書替えをすべきではないかということを提案申し上げたい。そのことについては、3つ目の○の「プロフェッショナルオートノミーを尊重した上で」についても、「基盤として」と書き替えてはどうかという提案をしたいと思います。さらに4つ目の○「わが国における専門医の領域は診療科に合わせて」云々ですが、「取得した専門医が広告や標榜科とリンクするような分かりやすい仕組み」と考えられてはどうかとなっています。国民の方々に「分かりやすい仕組みとするべき」ということについては、藤本委員に全く賛成ですが、このことが即広告・標榜科とリンクするということは、いま第一義的にすることではなくて、専門医制度がこの議論の中でしっかり確立をした上で、改めて広告・標榜科ということについて、それに付随をしてまいりますので、私は「広告・標榜科とリンクすることも、将来的には考えるべきではないか」という表現でよろしいのではないかと思っております。
 (3)の2つ目の○の最後のほうの「その際には、医師不足や地域偏在・診療科偏在の是正にも効果があるように運用するべきではないか」ですが、趣旨は非常によくわかるのですが、先ほど最初に申し上げたように、効果があるように運用するべき、これは順番がちょっと逆です。先ほど申し上げたことが国民の方々に安心・安全で高質な医療を提供するということが最初の目的ですので、「その結果として医師不足や地域偏在・診療科の偏在の是正にも良い影響があると考えられる」としてはどうかということです。
 「専門医の認定機関」の5つ目の○ですが、藤本委員に大変恐縮ですが、基本的にはこのベースとしては、医師の専門医の認定に関しては、まずもって一義的に医療者の自律行為として、あくまでプロフェッショナルオートノミーに基づき、国の関与を排除し、その仕組みでまずは認定等に当たるべきであると考えております。そういったこと全般にかかわって、国民の評価、国民にわかりやすい形ということで、ご評価・ご批判をいただくような仕組みとしてはどうかと書き替えたいということです。藤本委員のご趣旨には賛成ですが、是非ご理解を賜りたいと思っているところです。
 私ども日本医師会の主張ですし、今日も秋田大学の先生からもご議論をご賛同いただいたことですが、(5)の3つ目の○ですが、叩き台では「例えば日本医師会が実施している生涯教育制度を受講することについても議論してはどうか」と書いてありますので、主張を申し上げたいと思います。その部分については、「日本医師会生涯教育制度の活用を考えるべきである」。あるいは、もっと強い主張をしますと、「受講認定を要件とすべきである」とまで、できれば書き替えていただきたいとも思っておりますが、そのことによってまさに総合的な診療能力の高い、そういった専門医の方々を養成できる大変重要な役割を私どもに是非担わせていただきたいということです。名称については、今後また議論させていただきたい。今日はあえていたしません。
 最後の「地域医療の安定的確保について」の(2)「医療提供体制における専門医」です。「現在のフリーアクセスの利点を活かしつつ、患者が総合的な診療能力を有する医師や適切な専門医にアクセス」ということがありますが、このように書きますと政府の機関である中間取りまとめ等に出てまいりますと、必ずゲートキーパー等の議論が再びやってまいります。ヨーロッパ等では、総合医は専門医より非常に低く見られているという現状については、この委員会の第6回でしょうか。専門医評価・認定機構の理事でいらっしゃいます八木先生からもご案内があったところで、私たちは総合的な診療能力を有する医師、これが専門医であろうと、また総合的な診療能力を有するということそのものを専門性とする医師についても、これはある意味、専門医とも位置づけているわけですし、是非「活かしつつ」ということではなくて、今日の民主・自民のちょっとした文章のようなことですが、これは前提として、あるいは基盤として、こういう文章にしていただきたいと申し上げたいと思います。長くなりまして、おそれいります。
○?久座長 最後のところは何頁の。
○小森委員 「の利点を活かしつつ」という、その「活かしつつ」の部分を「現在のフリーアクセスを前提として」、あるいは「現在のフリーアクセスを基盤として」、最後の頁の6の前の最後です。以上です。長くお時間をいただきまして恐縮します。
○桃井委員 いちばん最初の「はじめに」の3番目の○に「医師の質の一層の向上」と書かれていますが、ここには違和感があります。New England Journal of Medicineという国際誌でも、日本の医療は日本の医師の献身的な努力によって、世界に冠たる質の高さを維持していると高く評価されているぐらいです。 ここでは個々の医師の質の向上を目指して総合医について議論しているわけではなくて、どういうニーズに合わせた医療提供体制の中で専門医を考えていったらいいかということを議論しているわけですから、医療の一層の向上なのではないでしょうか。ここを是非変えていただきたいと思います。
○金澤座長代理 それはそのとおりです。賛成です。
○平林委員 小森先生がおっしゃられた何点かについて、医師の偏在や是正などについては結果であるということに私も全く同感で、それは少し書きぶりを工夫する必要があるだろうと思っております。プロフェッショナルオートノミーについて、それを尊重ではなくて基盤としてというようにおっしゃられましたが、これはまだ全体として専門医の制度をどう構築していくかということが定まっておりませんので、その在り方によってはだいぶ変わってくると思います。この段階では、尊重して国がどのようにそこに関与して、どういう制度を作っていくのかということを検討している段階ですので、私はこれはこれでいいのではないかと思っております。
 もう1つ、どなたもご指摘ではないのですが、これもちょっと教えていただきたいと思います。2頁の「専門医の認定機関について」の3つ目の○の「第三者機関は、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定の2つの機能を担うことが考えられる」とありますが、この評価・認定をする基準とか養成のカリキュラムは、いったい誰がどの責任で作っていくのかということをどこかに書いておいたほうがよいと思います。おそらく、それも第三者機関が考えるのではないかと思っておりますが、それを書く必要がないのだろうかということが1つ疑問に思っているところです。
 2頁のいちばん最後の○も、いまの段階では先ほど申し上げたような制度的にどういう制度を作っていくのかということで、運営そのものについて国民の視点やニーズを反映することは、私は必要だと思います。ただ、具体的な専門医の認定そのものについて国民が入るということは、これは問題はあるだろうと思いますが、運営という言葉の意味をどう考えるかによって随分違ってくると思いますので、ここは少し検討する余地があるだろうと思っております。
 最後になりますが、今日4頁の2の「総合的な診療能力を有する医師の養成について」のいちばん最後の○で、要するに複線コースを作れということが加わったわけですが、この点については私もそのとおりだと思っておりますし、福井先生のご報告の中でもそのことが指摘されておりましたので、これは是非付け加えるべきだろうと思います。ただ、このことと現在こういう制度がない段階において、例えば本日ご報告いただきました長谷川先生の20頁にあるような、総合職を持った専門医が開業医として総合医・家庭医となっているというこの現実と、やはり区別して議論をすべきだろう。新しい制度の中でのこの問題と、いまあるこの問題とは、少し区別して議論をしていかないと、制度論としては少しおかしなものになるのではないかと思っておりますので、ちょっとその点を付け加えさせていただきたいと思います。以上です。
○池田委員 平林先生、小森先生のおっしゃったのは、私は基本的にはそのとおりではないかと思っています。ここに書かれている「かどうか」と。まだ「である」というように、ある程度コンセンサスが得られていることをまずきちんとまとめて、それで方向性を決めていかなければいけない。そして、例えばプロフェッショナルオートノミーのことについては、これまでは新しい中立的な機関は、医師が認定をするという作業、あるいはプログラムをしっかりと評価するということですので、それはやはりそこの集団のオートノミーでやっていかなければいけないだろうと。しかし、それが本当にうまく運営されているのかどうかという、そういう監視等は是非仕組みとして国民の目にさらすという、そういう考え方がいいのではないかと思います。第三者機関が何をやるか、どのような構成でどのようにやっていくかというものの具体案ですね。これはそれぞれ皆さんも頭にあると思いますし、私どもも大体このような機関がいいのではないかと考えてはいるのですが、それが明らかになったところで、議論がまた出てくるかと思います。
 専門医の認定とか、プログラムの評価・認定は、いままで私どもの機構では一定の基準を作ってまいりましたし、それを皆さんに公表するような格好で、中立的機関ができた場合には、当然のことながら議論されなければいけない問題だろうと思っております。とりあえずそんなところをお答えしたいと思っています。
○金澤座長代理 基本的には皆さんのご議論のとおりだと思っていますが、1つだけちょっと違和感を持っているところがありまして、どういう所にどういう専門医がいらっしゃるか、どのぐらいの力量を持った専門医がいらっしゃるかということを、国民の皆さんに直接アプローチしやすいように示すことが第一義です。5頁に「フリーアクセス」という言葉がありますが、いままでの議論を聞いていると、そういう所に国民の皆さんがフリーにアクセスできるようにするというのが一義的に大事なことのように思えるのです。私はそれはもちろんあってもいいです。そういう仕組みはあってもいいのですが、現実には専門医でないといいましょうか、その領域の専門でない医師が、これは開業医の方であろうと勤務医の人だって同じなのですが、どこにどういう優れた専門医がいるのかということを知っていて、あるいは知って、そしてそこに自分の患者を紹介するシステムができるということも、同時に非常に大事なことだと私は思うのですが、そういう視点がどうもちょっと欠けているように思えてしょうがないのです。そこをどこかでカバーしていただきたいと思います。
○?久座長 それはやはり各地域ごとで解決していくしかしょうがないですね。
○池田委員 現在の機構では、やはり先生がおっしゃったような情報を医師のコミュニティの中に、そして国民にも知らせていくような仕組みを、非常に効率良く作っていくことが必要ですねという話はしております。先ほど小森先生がおっしゃったように、その結果として地域医療の崩壊等が是正されるという流れかと思います。私もこれまで何回かお話したのですが、専門医制度が確立するのは、一義的に地域医療を改善するために専門医制度をきちんと確立するということではないのですね。結果として、おそらくそのようになるだろうと、そういう仕組みを専門医制度の中にきちんと作りたいということですので、それは誤解のないようにしていただけたらと思っています。
○藤本委員 まず、先ほどの第三者機関の国民の参画というところですが、私もいちばん念頭に置いておりましたのは、国民に対してわかりやすいシステムであるかどうかということと、情報の出し方です。それが国民に理解されるものであるかというところに関して、運営面で国民もかかわる必要があるという思いを持っております。したがいまして、専門の先生方がご専門の方々でやるべきところについて、そこに国民が入るという意味ではありませんので、その点はお話させていただきたいと思いました。
 また、金澤先生がおっしゃったことに関連してなのですが、私たちが自分の病気をきちんと診てくださる専門医の先生がどこにいるかを知るためには、総合的に診てくださる先生に専門医を紹介していただくことが確実だと思います。自分ではこの先生だろうと思って、素人判断で高名な専門医の先生の所にかかったとしても、それがミスマッチになる可能性があるし、私たちもプロの目で判断、紹介していただくほうが安心です。ただ、第6回の本検討会において私もプレゼンの中で申し上げましたように、現在先生方がほかの先生に紹介するときのルートが、その先生のヒューマンネットワークに頼っているような部分がかなり大きい。もう少しそれが公的なものになると、最初にどの先生にかかっても同じ質の医療につながっているというような、安定したシステムになるのではないかと思っておりますので、ご検討をお願いします。以上です。
○門田委員 大きなことではないのですが、3頁の(4)「専門医の領域について」のいちばん最後で、「専門医の養成プログラムの中に研究を行う期間を設けて、研究志向の医師を育てるなど」というのは、期間を設けるのと研究志向を持たせるということと、この研究とは何を言っているのか。臨床研究では臨床しながらやっているものもありますので、大学に教室に戻って云々とか、学位の仕事というものがもし入っているとすれば、これは少しおかしいのではないかと思って、わかりやすい文章にしていただきたい。
○?久座長 そうですね。わかりにくいですね。
○富田委員 いまと同じ頁の(4)「専門医の領域」のいちばん上の○ですが、基本的な18の診療領域は専門医制度の基本領域です。これはいいと思うのですが、今日のお話でもありましたとおり、この基本領域がかなり総合力のあるような専門医制度にすると、そのあとのサブスペシャルティも解決するかと思うのです。あるいは、例えばここの基本領域を総合医一本に絞ってしまって、そのあとの専門医という考え方はないでしょうか。ちょっとそれをお尋ねします。
○?山委員 今日の長谷川先生のプレゼンに非常に感銘を受けさせていただいて、その考え方については大方の先生方が賛同されたように思うのです。そういう意味で、総合力をどのようにビルトインするかということを意識した表現が、「はじめに」の3つ目の○の、先ほど桃井先生が医療の質の一層の向上とおっしゃいましたが、そういったものをもう少し意識したようなものが冒頭にあってもいいのではないかというのが1点です。
 日本医師会の先生のご意見と国民目線の意見と双方あったわけでして、自然発生的に今日の地域の現状が非常に逼迫した状況にあるものですから、そのことを踏まえて、そんなに時間的猶予があるように思えないのです。ですから、やはりそのことを踏まえて、地域偏在とか診療科の偏在の問題を建設的にどう議論するのかという観点は残しておくべきではないのかと思いました。
○長谷川参考人 今日は素晴らしい討論に参加させていただいて、ありがとうございました。いまのお話もありましたように、専門医をきちんと分けて明記するという点で、基本診療科の専門医は、先ほどもお話がありましたように総合力のある専門医。その部分は、ある程度初期研修の人数とリンクさせて、いま近々の課題というお話がありましたが、今後の展開としては総合力をつけながら専門医認定というのは、いま日本の教育現場がそうなっていますので、急に総合的な人だけ増やすというわけにいきませんから、既存の基本診療科を総合的な力をつけるような体制で第一段階にして、次のサブスペシャルティの専門医と明確に分けたほうがいいのではないかと考えられた点が1つです。
 それから、地域偏在の問題を解決するにも、その部分をうまく日本の国情を合わせますと、ほとんどの教育現場を考えると、基本診療科をそのような見方で、総合力のある専門医を一旦とって、その先のサブスペシャルティへの第一段階ということを明確化した展開を考えていただければ、時間的な余裕もあまりありませんので、その辺も吟味いただければと思いました。
○?久座長 これは名前は別にして、総合医と総合診療医というのは、基本領域の中に付け加えるという話ではなかったですか。
○池田委員 そうです。
○?久座長 その内容については、池田先生の所でワーキンググループを作って検討をするということですね。
○池田委員 いま先生がおっしゃったのは、これから基本領域の専門医を育てる、あるいは総合的に診られる医師を育てると。これはプログラムをどのように作っていくか。そのプログラムがあれば、当然のことながらプログラムに入れる人数は決まってくるわけですね。1つの施設にある診療科のプログラムがあったとして、10人も20人もいられるわけがないわけです。ですから、そういうことも含めて、プログラムが地域によって、あるいはどのように配置されるかということで、少しずつ決まってくる、そういう格好が健全ではないかと思っているのです。
○?久座長 局長、最後にどうぞ。
○医政局長 最後に細かいことを言うかもしれません。地域偏在とか診療科の偏在の問題は、ここ数年間、大きな医療政策上の議論・課題になったわけで、これを専門医制度を検討した結果、派生的な効果とか影響として受け止めるか、ある程度政策的な視野で受け止めるか、これはもうちょっと目的から下ろすよりは議論があっていいのかと感じました。
○?久座長 時間がまいりましたので、これで議論は終わりたいと思います。事務局から連絡事項がありますか。
○医師臨床研修推進室長 次回は、本日ご議論いただきました論点項目の修正案を、本日のご議論を踏まえて修正するとともに、タイトルを「中間まとめ(案)」としてお示しして、引き続きご議論を賜りたいと考えております。また、次回は7月の開催を予定しております。詳細が決まり次第ご案内させていただきます。以上です。
○?久座長 どうもありがとうございました。


(了)

厚生労働省医政局医事課
医師臨床研修推進室

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