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2012年5月24日 第1回小児がん医療・支援のあり方に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年5月24日(木)


○場所

三田共用会議所CDE会議室(東京都港区三田2-1-8)


○議題

(1)小児がんの現状及びこれまでの議論について
 (2)小児がん拠点病院(仮称)及びその中核的な機関のあり方について

○議事

出席構成員:天野構成員、小俣構成員、垣添構成員、田口構成員、三浦構成員、水谷構成員、道永構成員
参考人:原参考人、馬上参考人

○がん対策・健康増進課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「小児がん医療・支援のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
 本検討会の開催に当たりまして、まず厚生労働省健康局長からごあいさつを申し上げます。
○健康局長 健康局長の外山でございます。
 本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。第1回小児がん医療・支援のあり方に関する検討会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 初めに、委員の皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず委員の御就任をお引き受けいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 がん対策につきましては、がん対策基本法に基づき、平成19年6月にがん対策推進基本計画を策定し、がん医療、緩和ケア、がん研究、がんの早期発見等に対して総合的かつ計画的に取り組んでまいりました。
 基本計画が作成されましてから5年が経過し、がん対策推進協議会においてその見直しが進められ、本年3月1日に基本計画の変更案について、がん対策推進協議会より答申をいただいたところです。
 この中で、小児がんにつきましては、依然として小児の病死原因の第1位であり、これまでのがん対策でも政策的に遅れているため、がん対策推進協議会の下に小児がん専門委員会を設置し、集中的に議論され、次期基本計画案には初めて小児がんが盛り込まれ、重点的に取り組むべき課題にも掲げられております。
 次期計画は6月を目途に閣議決定される予定ですけれども、厚生労働省といたしましては、小児がん対策を早急に進めるため基本計画案やこれまでの議論を踏まえ、特に仮称ではありますが、小児がん拠点病院の整備、これには医療や支援のための環境整備、広くは宿泊施設なども入ると思うんですけれども、そういった整備。更には、全国の小児がん関連施設の中核的な機関の在り方などについて検討するため、今回、本検討会を設置する運びとなりました。
 委員の皆様におかれましては、それぞれの立場から小児がん拠点病院の在り方、中核的な機関に求められる機能、そして、今後の小児がん医療の在り方等についてさまざまな視点から御意見をいただき、小児がん対策の推進に向け、活発な御議論をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
 小児がん拠点病院の整備に関しましては、ここで要件等を決めていただきました上で、既に平成24年度予算を取ってございますので、そういったところにも反映したいと思っております。何卒よろしくお願い申し上げます。
○がん対策・健康増進課長 ありがとうございました。
 それでは、構成員の紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、特定非営利活動法人グループ・ネクサス理事長の天野慎介構成員でございます。
○天野構成員 天野です。よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 次に、武蔵野大学人間関係学部社会福祉学科准教授の小俣智子構成員でございます。
○小俣構成員 小俣でございます。よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 次に、公益財団法人日本対がん協会会長の垣添忠生構成員でございます。
○垣添構成員 垣添です。よろしくお願いします。
○がん対策・健康増進課長 次に、国立大学法人九州大学大学院医学研究院小児外科教授の田口智章構成員でございます。
○田口構成員 よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 次に、聖路加国際病院こども医療支援室チャイルド・ライフ・スペシャリストの三浦絵莉子構成員でございます。
○三浦構成員 三浦です。よろしくお願いします。
○がん対策・健康増進課長 次に、国立大学法人東京医科歯科大学小児科教授の水谷修紀構成員でございます。
○水谷構成員 水谷でございます。よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 次に、社団法人日本医師会常任理事の道永麻里構成員でございます。
○道永構成員 よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 なお、邉見公雄構成員につきましては、御都合により御欠席との御報告を受けてございます。
 また、本日は意見聴取という形でお二人の方に御参画いただいてございます。
 まず、1人目が小児脳腫瘍の会副代表の馬上祐子様でございます。
○馬上参考人 馬上と申します。馬を「も」と読んで、「もうえ」です。よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 もう一方は、大阪市立総合医療センター小児医療センター血液腫瘍科部長の原純一様でございます。
○原参考人 よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 続きまして、事務局を紹介させていただきたいと思います。
 これまでがん対策は健康局総務課がん対策推進室が務めていったところでございますけれども、平成24年4月1日より「がん対策健康増進課」が新しく設置されたことに伴いまして、事務局のメンバーにも肩書きに変更がございましたので、御紹介させていただきます。
 まず、課長補佐の秋月でございます。
○事務局 秋月でございます。よろしくお願いいたします。
○がん対策・健康増進課長 そして私、課長の木村でございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず資料の確認をさせていただきたいと思います。
 座席表
 議事次第
 資料1 「小児がん医療・支援のあり方に関する検討会」開催要項
 資料2 「小児がんの現状及び小児がんに関するこれまでの議論」
 資料3 「小児がん拠点病院(仮称)と地域連携及び中核的機関に関する患者、家族、遺族からの意見(馬上参考人提出資料)」
 資料4 「小児がんモデル病院(仮称)の要件について(原参考人提出資料)」
 資料5 「小児がん拠点病院(仮称)の指定までのスケジュール(案)」
 資料6 「小児がん拠点病院(仮称)を考える際の論点(案)」
 参考資料1 「JSPHO固形がん・血液がん疾患別都道府県別症例数」
 参考資料2 「小児がん拠点病院(仮称)に対する考え方」
 参考資料3 「がん対策推進基本計画(変更案)」
 参考資料4 「~今後の小児がん対策のあり方について~(小児がん専門委員会報告書)」
 参考資料5 「がん診療連携拠点病院の整備について」
 そして、本日は田口構成員の方からも提出資料が出てございまして、「小児固形悪性腫瘍の診断治療(小児外科医の立場から)」ということでございます。
 以上、資料で何か足りないものが事務局までお申し出いただければと思いますが、ありませんでしょうか。
 それでは、第1回目ということでもございますので、本検討会の座長を選出させていただきたいと思います。まず、御推薦がございましたら、どなたか挙手にて御発言いただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 どうぞ。
○田口構成員 この領域、いわゆるがんの対策という領域に非常に精通されております、垣添先生を御推薦したいと思います。
○がん対策・健康増進課長 ただいま垣添構成員のお名前が出ましたけれども、どなたかほかにございますでしょうか。
 もし、垣添先生でよろしければ、皆様拍手で御賛意を表していただきたいと思います。
(拍手起こる)
○がん対策・健康増進課長 ありがとうございます。それでは、全員一致にて垣添構成員に本検討会の座長をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、垣添座長、正面のところに移動していただきたいと思います。
○垣添構成員 ただいま座長の御指名をいただきました、垣添です。よろしくお願い申し上げます。
 私は、第1期と第2期のがん対策推進協議会の会長をやっておりまして、第1期、第2期の前半5年は、いわゆる5大がんの均てん化ということで、地域間格差とか医療機関格差の解消ということで一生懸命やってまいりましたけれども、その間に、小児がんのような数が少なくて専門性の非常に高いがんが、すっぽり抜け落ちていたという議論がありまして、専門委員会をつくっていろいろ御検討いただいて、こういう会につながったと考えております。
 先ほど局長のごあいさつにもありましたように、これから後半の5年に入りますが、その中で小児がんの検討は非常に大事な問題になろうかと思います。ただ、予算との関係で検討の時間が余りないので、タイトなスケジュールでお願いすることになるかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 あと1点、私は、今は日本対がん協会の会長をやっておりますけれども、国立がんセンターの総長の時代から、地域間診療連携拠点病院の指定の検討会の会長もやっておりまして、その関係で今度は小児がんの病院を指定するということにもつながるかと思います。それでここに呼ばれたのではないかと思いますが、その経験も生かしながら務めてまいりたいと思います。皆様方の御協力をいただいて、進めたいと思います。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○がん対策・健康増進課長 ありがとうございました。
 それでは、以後の進行は垣添座長によろしくお願い申し上げます。
○垣添構成員 では、本日の議題に入りたいと思います。
最初に、資料1「『小児がん医療・支援のあり方に関する検討会』開催要項」、資料2「小児がんの現状及び小児がんに関するこれまでの議論」について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1、資料2について御説明いたします。
 まず、資料1「『小児がん医療・支援のあり方に関する検討会』開催要項」でございます。
 先ほどありましたけれども、趣旨といたしましては、がんは小児の病死原因の第1位である。小児がんの年間患者数は2,000から2,500人と少ないが、小児がんを扱う施設は約200程度と推定され、小児がん患者が必ずしも適切な医療を受けられていないことが懸念されている。
 本検討会では、小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し、仮称ではありますが、小児がん拠点病院に必要とされる機能及び全国の小児がん関連施設に対する診療、連携、臨床試験の支援等の機能を担う中核的な機関の在り方等について検討することとしております。
 それに基づきまして、「2.検討事項」でも小児がん拠点病院、そして中核的な機関の在り方についてを検討事項として挙げております。
 裏面は、メンバーということになります。
 続きまして、資料2でございますが、「小児がんの現状及び小児がんに関するこれまでの議論」について、簡単に御説明をさせていただきます。
 1枚おくめくりいただきまして、まず「小児がんとは」ということで、小児がん専門委員会の報告書に参考資料という形で冊子が付いていたんですが、その中から抜粋しております。
 小児がんとは、白血病、脳腫瘍のほか神経芽腫を初めとする種々の胎児性腫瘍や肉腫などの固形腫瘍から構成される小児期に多いがんの総称である。
 下線部を読ませていただきますけれども、その「発症は小児期のみならず、思春期および若年成人にもおよぶ」。そして、「各年齢層の小児~若年成人の死亡原因となる疾患の第一位である」ということです。
 ?ですけれども、まず抗がん剤については、抗がん剤が重要な治療手段であるということを述べております。
 ?ですが、抗がん剤以外にも手術療法であるとか放射線療法といった集学的な治療が必須である。
 ?として、小児は成人とは違って、健常な成人として育つための援助や配慮が必要であること。
 ?も成人とちょっと異なりますが、晩期合併症ということで、こういった問題にも対応していくことが必要である。
 ?として、心理的なケアや療養環境の整備などについても特に配慮が必要である。
 ?で、教育を行い、成長を促すことが必要であるということで、成人とは異なった観点からの支援が必要であるということが述べられております。
 次のページでございますが、小児がん患者数について、学会の方からいただいたデータを厚労省の方で集計をさせていただきました。こちらはブロックごとに3年分の集計を出しておりまして、緑の合計というところをごらんいただければよろしいかと思うんですけれども、これを示した趣旨といいますのは、今後小児がんの拠点病院の議論を進めていく中で、やはり集約化という話と同時に均てん化みたいな話もございますので、今、ブロックごとに大体どの程度の患者さんがいるかという目安として、お示しをさせていただきました。
 次の4ページ目ですけれども、傾向は学会の方から出していただいたものと大きくは変わりませんが、小児慢性特定疾患治療研究事業の方の給付人数を地域別にお示ししたものです。ここに示したのは、悪性新生物の方で給付を受けてらっしゃる方の人数ということになります。傾向としては、大きくは変わらないということが言えるかと思います。
 次の5ページ目ですが、「がん対策推進基本計画(変更案)」の中から小児がんの部分を抜粋したものです。ちょっと飛ばしまして、下から2段落目の「(取り組むべき施策)」です。
 「小児がん拠点病院(仮称)を指定し、専門家による集学的医療の提供(緩和ケアを含む)、患者とその家族に対する心理社会的な支援、適切な療育・教育環境の提供、小児がんに携わる医師等に対する研修の実施、セカンドオピニオンの体制整備、患者とその家族、医療従事者に対する相談支援等の体制を整備する」ということが記載されております。
 更に2段落目の中では、「小児がん拠点病院を整備したのち」、少し飛びまして「地域の医療機関等との役割分担」、下ですけれども「他の子どもたちと同じ生活・教育環境の中で医療や支援を受けられるような環境整備する」ということ。
 次の6ページ目ですが、一番上のところです。合併症の話、長期フォローアップの体制。更に、中核的な機関については、「小児がんに関する情報の集約・発信、診療実績などのデータベースの構築、コールセンター等による相談支援、全国の小児がん関連施設に対する診療、連携、臨床試験の支援等の機能を担う中核的な機関の在り方について検討し整備を開始する」とされております。
 そして、全体の個別目標として、「小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し、5年以内に、小児がん拠点病院を整備し、小児がんの中核的な機関の整備を開始することを目標」としております。
 次の7ページですけれども、こちらは小児がん専門委員会での議論を要約したものです。これも「~今後の小児がん対策のあり方について~ 参考資料」の方から、抜粋をさせていただきました。量が多いので全部読み上げることは控えますが、簡単に御説明をいたします。
 まず1つ目の「?小児がん診療体制の今後の在り方等について」は、表題しか読みませんけれども、1つ目に「医療に関する診療情報の一元化」、2つ目に「複数の専門家による診断体制の構築」、3つ目に「インフォームドコンセントの適切な実施」、4つ目に「小児がん専門施設の整備」ということがうたわれております。
 次の8ページ目でございますが、「?小児がんの患者支援、長期フォローアップについて」というところの「1.小児がん経験者への支援体制」の下線部です。「初期診療は原則として小児がん拠点病院にて行うか、少なくとも連携ネットワークの中で診療されても診療情報が拠点病院に提供され、質が担保されていることとその診療情報が小児がん情報センター」、これは中核的な機関というものを想定しているわけですが、そこに送られて、「データ集積される診療体制であることが確認された」ということが記載されております。
 「2.小児がんの患者支援・長期フォローアップ」ですが、「1)小児患者・家族相談」については、例えば相談センターを小児がん拠点病院に配置すべきであるとか、24時間対応可能なコールセンターを一箇所置くことが望ましい。小児がん拠点病院では、コンサルテーションシステムとともに、セカンドオピニオン体制の整備を行うということが記載されております。
 「2)治療中の問題点」については、当然インフォームドコンセントの話、家族きょうだいが宿泊できる施設を併設すること、医療ソーシャルワーカーや医療保育士をはじめとする専門職の配置が必須であるとされております。
 9ページ目「3)治療修了後(長期フォローアップ)の問題点」ですが、3行目にございますように、成人診療科との十分な連携が必要であること。小児がん拠点病院では、フォローアップの外来を併設すべきではないか。下の方にまいりまして「小児、若年者の緩和ケアチームで、在宅医療、終末期医療も含めた緩和ケアを行う。この緩和ケアチームには小児緩和ケア研修の受講を義務化する」ということが記載されております。
 「3.小児がん経験者への支援体制」については、「拠点化には院内学級の充実が必須である」。下ですけれども、「メディカルソーシャルワーカー(MSW)の方が関わる体制が重要で、これを拠点の要件とすべきである」という記載もございます。
 次のページでございます。「? 小児がんにおける難治がん、研究、教育・研修について」ですが、「1.難治がん対策」というところで、「これらの症例は、小児がん拠点病院に集約して治療を行い、がん種ごとにその診療体制や治療実績、設備さらに臨床試験の実施状況を公開し、終末期ケアをはじめとした緩和ケアを充実させる」ということ。
それから、「発症数が少ないことから、多種の難治がんを対象とした臨床試験をできる実施体制の確立が重要であり、10施設以下に集約した施設で行う。このためには専門職の配置や予算配分などの方策とともに、迅速な臨床試験・治験にリクルートできる体制が望まれる」。
創薬に関しては、「指導的な機関を設けるとともに、成人の創薬開発に際して小児も同時開発することを促進することが望ましい」ということが記載されております。
 次に「2.小児がん登録体制」ですけれども、これについては「法制化を含めた医療機関からの登録の義務化が望まれる」。「小児がん拠点病院においては、現行の小児がんの登録システムや院内登録や地域がん登録との連携も模索することが望まれる」とされております。
 11ページ目ですが、「3.小児がん医療における研修・教育体制」については、「小児がんの専門医の育成とその研修体制は、現在、日本小児血液・がん学会で開始されたところであるが、小児がん拠点病院への集約化とともに段階を追って拠点病院にてさらに研鑽を積むことが可能なシステムを構築する」といったことが記載されております。
 「?小児がん対策についてのまとめについて」というところで、「1.小児がんの情報について」は、先ほどもありましたけれども「小児がん情報センターを設置し、統一した用語のもとで一元的で信頼できる客観的な診療情報や施設情報を継続して発信するシステムを構築する」。あるいは「施設情報は小児がん拠点病院やその連携病院での患者数や治療成績、診療体制、設備などを公開する」といったことが記載されております。
 12ページにまいりまして、「小児がん情報センターには、コールセンターを設置して患者・家族からの相談をうけるとともに、中央コンサルテーションシステムを構築して、病理診断、画像診断などの診断支援を行い、それらの質的向上をめざす」。
 「2.小児がん診療について」のところですが、ここで拠点病院に対するたたき台というか、案というものが少し示されております。
 ?専門医療の提供体制ということで「(小児がんと思春期がんを扱う各診療科、十分な症例数、診療設備、臨床試験、再発・難治がん対応等、キャンサーボード開催)」
 ?長期フォローアップ体制
 ?看護・療養体制、これは医療保育士であるとか、医療ソーシャルワーカーの方。
 ?療育体制、チャイルドプレイルーム、宿泊所、院内学級というのがあります。
 ?相談支援体制
 ?研修体制
 ?地域・成人医療機関、との連携
 ?診療情報やフォローアップ情報を集めて、小児がん情報センターへ送付ということが記載されております。
 簡単ではございますが、事務局からの説明は以上です。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 かなり膨大なものでしたけれども、小児がん医療・支援のあり方に関する検討会の開催要綱と、これまで小児がんに関して検討された議論のエッセンスをお話しいただきました。
 ただいまの資料1と2に沿って、何か御発言いただくことがありましたらお受けしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 天野委員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
 1点、事務局に確認なんですが、拠点病院の在り方を検討する際、そもそもどういった在り方や要件が必要であるかといったことから議論していくことは勿論当然なんですが、一方で予算措置を伴うものであることから、実際に今年度の予算で、小児がんの拠点病院の設置に関わる金額が幾らに設定されているかということを、一応ここで確認させていただきたいと思います。成人の拠点病院の機能強化事業費等の配分と同様に、1施設当たりがおよそ幾らぐらいの金額になるかということも考慮に入れながら、議論をする必要があるかと思いますので、念のため質問をさせていただきました。
○事務局 平成24年度の予算ですが、小児がん拠点病院については2.5億を確保しております。当然、後ほど数の議論というのもしていただきたいと思っているんですが、その中で2.5億を分ける話にもなりますので、その額のことも考えながら議論していただけるとよろしいかと思います。
 補足ですけれども、小児がんの平成24年度の予算全体としては4億なんですが、その中で拠点病院の部分が2.5億、小児がん緩和ケアの研修について3,000万円、都道府県に対して補助をするんですが、小児がん拠点病院の宿泊施設といったところで1億円、今後の小児がんに関して在り方の調査事業というものも入れておりまして、そちらが2,000万円ということになっております。
○垣添構成員 よろしいですか。
 先ほどのお話で、仮に10か所ぐらいということになって、均等に割った場合は約2,500万円でしょうか。そうすると、成人の拠点病院と大体同じような額になりましょうか。基幹施設で2,800万、一般の拠点病院で2,200万ぐらいでしょうか。
○事務局 成人という言い方はあれなんですが、がん診療連携拠点病院の場合ですと、基本的には都道府県と2分の1負担という形になっています。ただ、小児がんの場合、今回は国として政策的に進めたいということで10分の10になっています。
○垣添構成員 結構ですね。
 ほかにいかがでしょうか。田口委員、どうぞ。
○田口構成員 今のことに追加質問ですけれども、先ほどの話にありました小児がん情報センターという構想がありますが、今回は、そこへの配分は考えていないということでよろしいですか。
○事務局 その分につきましては、今回、中核的な機関に求められる機能について、重点的に御議論いただくことになると思うんですが、その結果を踏まえて、平成25年度の方の予算に反映をしていきたいと思っています。
○垣添構成員 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、開催要項に従い、これまで検討された議論をもとにして、これからこの検討会で作業を進めるということでよろしゅうございましょうか。
 ありがとうございます。では、先に進みます。
 本日は、拠点病院や中核的な機関に関して、患者、家族、遺族の方からの御意見ということで、小児脳腫瘍の会副代表の馬上祐子様に御出席いただいておりますので、馬上様より資料3に沿って御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○馬上参考人 馬上でございます。
 資料3、1ページをごらんください。こちらは、小児脳腫瘍の会で2009年に行ったシンポジウム資料です。小児脳腫瘍の問題点を整理しておりますが、子どもが発達途上の治療により影響を受けることが多く、診断、治療という医療領域のみならず、学校生活や介護、福祉に至るまで支援が必要であることは、皆様御存じのとおりだと思います。
 治療後についても、5年、10年後に現れる晩期合併症、また、もともとの後遺障害のために一生にわたるケアが必要な場合があり、長期にわたるフォローアップが望まれております。中でも小児脳腫瘍は治癒率が低い上に、治療後も後遺障害、晩期合併症を発症し、たくさんの障害を複数持つために、生活に困難を抱えている方が非常にたくさんいらっしゃいます。
 小児がんの問題の範囲を、この図でほぼ表すことができているのではないかと感じております。
 本日は、主に赤色のチェックで示している領域について、患者、家族の声を紹介しながら意見を述べさせていただきます。
 生活領域における課題、学校生活、介護・福祉、就職・自立については、専門家であり経験者である小俣さんの方から、今後、御発言いただければと思っております。
 2ページをごらんください。「医療技術の水準について」。現在、小児がんは70%が治る時代と言われております。先ほども御説明がありましたが、小児がんは御存じのとおり疾病名ではなく、小児における大変多くの種類の悪性腫瘍またはそれに準ずる疾患の総称です。現在がん対策推進協議会において、乳がんや大腸がんといった疾患別に、5大がんを中心に対策が行われておりますが、是非小児がんにおいても疾患別のきめ細やかな対応をお願いしたく思っております。
 白血病に次いで発症が多いとされる小児脳腫瘍は、小児がん全体の2割を占めると言われておりますが、実際は100種類以上の病理が異なった疾患の集まりです。手術だけで治癒するものもありますが、脳幹グリオーマのように決定的な治療がない疾病も多くございます。小児がん登録が進んでいないこともあり、正確に数字を知ることのできる統計データがございませんが、小児がんの全体のがん死の最大の原因は、小児脳腫瘍であると言われています。
 小児がんは希少疾患でありながら、今、申し上げたように疾病の種類が非常に多いため、患者は全国に散在しています。特に小児脳腫瘍などは診療科の壁もあり、臨床試験を行おうにも患者が集まらない現状がございます。そうした希少疾患の治療技術の向上には、まず患者を集約し、技術と経験の蓄積が必要であり、また、必然的に医療者側の技術や資源についても、集約することが有望な解決策だと思っております。
 小児がんの中の血液系の疾患については、80%、90%のすばらしい治癒率を上げていると伺っておりますが、希少な疾患の一つひとつは状況と問題が異なっております。これからの5年間で、その対策を進めていただくことを私どもは強く希望しております。医療技術の水準は、治癒率の低い疾患に合わせて整備されることも望まれております。
 3ページをごらんください。3~6ページまでは、患者家族が発症から時系列にどのような課題に直面するかについて、具体的にアンケート結果やソーシャルネットワーク上に多数存在するようになった、小児がん関連サイトの声を参考にして左側に示しました。右側には、問題点に対する患者家族の希望する対策を書かせていただきました。
 まず、患者家族にとって苦痛であるのは、子どもの症状が出てから正確に診断をされるまでに非常に時間がかかり、どこに行ったら専門の治療が受けられるのか、患者家族はもとより医療者にとってもわからず、専門病院への紹介が滞ってしまい、適切な治療が受けられず、残念な結果になっている方々が多いということです。
 当会のアンケートでは、異変を感じてから診断されるまで半年以上が22%、3つ以上の病院にかかっている方が30%と報告されています。症状が出てから小児科、耳鼻咽喉科、眼科、精神科、その他多くの診療科を回り、最後には救急搬送されている方も多くいらっしゃいます。初期治療をどこで受けるかにより、予後や後ほど出てくる合併症の度合いも異なってまいります。セカンドオピニオンを受けようにも、受ける暇がないほど症状が進行していたり、また、セカンドオピニオン先がわからない状態です。
 標準治療がない疾病については、治療が非常に複雑多岐にわたっている上、幾つかの治療法を提示され、素人である患者家族が選択するという大変難しい状況になります。また、小児診療科と成人診療科の壁が厚く、治療方針が異なっていることがあります。更に、難しい病理の場合は診断が二転三転し、患者家族の不安を煽る結果となっております。
 4ページをごらんください。治療中の問題ですが、小児がんと診断されてから患者と家族は1日として心休まる日はございません。死への恐怖、苦痛を伴う長期の入院治療に患者は痛みに耐え、不安で押しつぶされそうになります。親は、きょうだいの世話など二重三重の生活に疲れ果てているのが実情です。
 入院してからの先の見通しが立たず、病気に関しての情報や社会資源の情報などが乏しく、適切に助成を受けられなかったり、告知の問題に心をすり減らしたりと、多くのストレスが襲ってきます。うつ病になっている方がいたり、くも膜下出血となった方など、二次的に発症したのではないかと思われる方々や、家族の崩壊により離婚されている方の話を大変多く聞いております。また、きょうだいの死により心を痛めている子どもたちも、たくさんいます。
 残念ながら治癒の見込みのない場合の在宅医療などの体制、子どもに特化した緩和ケアの体制も十分には整っておりません。心理的にも社会的にもサポートしてくれる相談員や専門家が一人でも家族についていて、治療当初から治療後も関わってくださると安心であると考えます。
 また、私ども患者家族自身同士でできることも資源として利用し、成人で進められているピアサポートということも必要であると考えております。
 また、緩和ケアの重要性が叫ばれておりますが、是非小児がんについても早急に考慮していただきたく思います。
 経済的な問題で遠方の治療を断念する方は、現在でも実際にいらっしゃいます。拠点化に伴って、もし交通費その他の周辺の出費などが発生せざるを得ない場合は、何らかの対策を必ず考えていかなければならないと思います。
 5ページをごらんください。退院後、患者家族は、再発や合併症についての不安をすぐに相談できるところが見つからず、また、合併症について詳しく知らされていない患者家族もおり、障害の対処法がわからず、原因のわからない頭痛や不定愁訴のために、学校に何年も通うことができない例があります。その場合、さまざまな医療機関を患者家族が訪ね歩き、治療法を探している状態です。また、少し前の治療の方は診療記録自体がなく、どのような治療を受けたかがわからないので、晩期合併症の対策が遅れています。
 そうした状況の中、病気自体の理解を学校や社会で受けることができず、社会へ参加することなく孤立している患者家族もいます。希少疾患であるため、なかなか同じ疾病の患者家族に出会える機会がない中、昨今発達したソーシャルネットワーク上で情報交換を求める動きも高まってきております。そうしたサイトを運営している患者会も多くなってきています。
 その中で聞かれる言葉は、これまでの医療政策について、小児がんの中で希少な疾病の声が反映されていないという意見です。非常に数の少ない疾病では、患者会をつくって陳情するような状況にはなかなかなれないのが実情であると思います。
 6ページをごらんください。治療開発の問題点ですが、残念ながら小児がんは子どもの病死原因の第1位であります。現在、小児がん登録はイギリスのように全登録ではなく、先ほどから申し上げているとおり多様で、それぞれ数が少ない患者が散在し、研究の妨げとなっております。そのため、使える治療薬は非常に少ないのが現状であると思います。発達途上の子どもへの強い治療で合併症が起こりますが、その対処法に関する研究や情報が少ないとも感じております。小児がんを全登録の上で研究推進するとともに、今後、分子標的薬などの新しい治療についても、小児がんの患者家族が速やかに臨床試験などに臨むことができるよう、拠点化による海外共同治験なども見据えた、早期の研究体制の整備をお願いしたく思います。
 7ページをごらんください。こちらには、患者家族が望む小児がん医療体制をまとめさせていただきました。
 まず初めに、患者家族が最も求めているものは、現在の小児がんの状況把握とその情報公開であると思います。患者に対しても医療者に対しても、診療情報、施設の疾病別の治療実績や専門医の経験の公開を行うことによって、適切な水準が維持されることが期待されています。
 その上で、拠点病院の整備により患者が集約され、専門医療をスムーズに受けることができること、そして集約により治療開発が進むこと、治療後のフォローアップについても拠点病院と地域医療機関とが確実に連携して、再発や晩期合併症対策について、患者の一生を通じてケアしていくことのできる体制が求められています。
 成人後は自立できる方、できない方などきめ細かく対応し、成人診療科紹介などを行い、時間の経過や患者の移動によるケアの切れ目がないような、フォローアップ体制をお願いしたく思います。
 治療開発のもととなる小児がんの登録については、全登録を希望します。当会のアンケートでは、実に100%の人ががん登録を推進していくことに賛成し、個人情報を提供する条件としては、個人を特定する情報が公開されなければよいと答えています。
 患者家族支援について、成人がんでも相談業務の重要性が叫ばれております。小児がん患者自身と家族の過酷な闘病生活及び後遺障害や合併症による大変な生きづらさ、そういったものを支える体制を、拠点病院を軸に自治体も交えながら、しっかりと行っていただきたいと思います。
 8ページをごらんください。こちらも当会の資料ですが、拠点に対しての期待をアンケートから抽出し、それに対する患者家族の望む拠点病院の具体的な姿を表しています。優れた医療チームがいること、高度な治療が受けられること、終末期医療が受けられること、地元病院と連携していること、病気についての研究が進むということが挙げられています。
 9ページをごらんください。最後は、拠点病院(仮称)と中核的機関及び地域医療機関について、患者家族が希望する関係性を示した図となっております。キーワードとして、集約、強固な連携、登録、情報公開を挙げております。
 患者が散在する小児がんについては、先ほどから申し上げている施設間の壁、診療科間の壁を越えた、日本国じゅうを網羅する一枚岩の連携体制をお願いしたい気持ちを、中央の「連携」という言葉で表しました。
 それぞれの枠の中にいろいろ希望を書いておりますが、拠点病院(仮称)では、経験ある専門医による集学的治療、患者集約による医療体制の向上、そして見過ごされがちな思春期・若年成人への対応を。中核的機関は、拠点病院の情報を把握し、全症例登録と研究を推進し、その情報を公開。患者家族への相談機能、そして拠点間のコーディネーターとしての役割を。地域医療機関では、小児がんを発見し、拠点病院で治療をする手助けをし、治療後のフォローアップや終末期、在宅医療を支えていただく。こうしたそれぞれの役割を担いながら、強固な連携をして進めていただきたく思っております。
 連携体制を実現するために、また、在宅医療推進のために、地域の患者が最初に接する医療機関の先生方にも小児がんの研修などを受けていただき、早期診断と緩和ケアの推進を図っていただきたいと思います。また、拠点の評価指標作成や患者意識調査により、体制整備の進捗状況を把握していくことも大事であると考えております。
 患者家族も含め、今ある資源を最大限に生かしながら、体制を整備して専門性を高めていただき、患者家族が安心して治療が受けられる体制の早期実現を願っております。
 最後に、希少疾患の患者家族の声は非常に通りにくいというのが、長らく陳情を行ってまいりました私どもの実感でございます。是非、今後5年間の拠点病院整備、地域連携、中核的機関の整備に伴い、関係者による検証委員会を立ち上げていただき、そこに患者家族を参画させていただき、ダイレクトに意見を吸い上げていただくことにより、効率的な対策を進めていただくことをここに強く希望いたします。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○垣添構成員 馬上参考人、ありがとうございました。
 小児がんと診断されて突然生ずる、患者さんと家族の過酷な状況のほとんどすべてを網羅されているのではないかと思います。これをすべて解決していくのは非常に大変なことではありますけれども、それが求められているんだとお聞きいたしました。今の馬上さんの御発言に関して何か。
 天野委員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
 馬上参考人に2点質問がございまして、1点は私から意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず質問の1点目でございますが、馬上参考人の御意見の中で、拠点化というキーワードが非常に多く出てきていて、特に難治性の小児がんであるとか、特に希少がんとされる小児がんの中でも更に希少であるがんについては、拠点化が必要であるということを主張されていて、私自身もただいまの説明を伺って、これは必要なことだと強く感じた次第でございますが、一方で拠点化ということに関して言いますと、小児がんの拠点病院に通うにしても、患者さんの経済的な負担とかもあるかと思います。そういった拠点化によって生ずる負担の軽減ということに関して、小児がんの患者さんや御家族の方が求めていることがあれば、教えていただければと思います。これが1点目の質問です。
 2点目の質問が、小児がん登録といいますか、全例登録ということをおっしゃっていただきました。がん対策推進基本計画は、まだ閣議決定はされていませんが、そちらの方でもがん登録の法制化ということがはっきりと打ち出されていて、それが実現すれば恐らく小児がんもその対象になってくるとは思うんですが、一方で小児がんを発症される患者さんが年間2,500人ぐらいの数であれば、勿論成人も含めたがん登録全体が推進すれば望ましいんですけれども、小児がんについてはそのがん登録の法制化も含めて、また、それにかかわらず、是非全症例を登録していただきたいという意見を私も強く思ったんですが、それに伴ってがん登録に対する期待というか、思いといったものが実際の経験者の方でおありであれば是非教えていただきたい。これが質問の2点目です。
 最後、私から1点意見を申し上げますが、馬上参考人の御意見の最後にあった検証委員会についてです。今回、予算化ということもありますので、3回という回数で議論していくことになっております。拠点の指定要件は一旦決まると思うんですが、それを継続的に評価し、また、指定された拠点病院についても評価と検証を重ねることが必要だと思いますので、今回の委員会が継続されるか、別の組織になるかはわかりませんが、こういった委員会については、是非設置していただきたいと私からも要望を申し上げます。
 以上でございます。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 3つ目の検証委員会の必要性は、私も痛感いたします。成人の拠点病院に関しても全く同等だと思いますが、受けとめさせていただきます。
 御質問の1つの経済的な負担に関して、何か御意見はありましょうか。
○馬上参考人 拠点化されてない現在でも、飛行機の費用が払えなくて治療を断念されている方がいらっしゃると聞いておりますので、何らかの形で経済的支援は必要でありますし、先ほど要件の中に入っていました宿泊施設とか、別の形での支援というのもいろいろ考えていただきたいと思っております。
 登録のことについては、小児がんは必ず晩期合併症を背負うことになっておりますので、今の状況ですと治療後に追跡調査を全くしていない状態で、一体全体何人の経験者の方々が、どういった症状で苦しんでいらっしゃるかということが全くわからない、全体が把握できていない状況なので、全登録をして調査することによって、晩期合併症対策というものをどんどん推進していっていただきたいというのが、患者家族の望みでございます。
○垣添構成員 ありがとうございます。
 今の経済的負担に関してですけれども、事務局に対するお尋ねです。先ほど局長のごあいさつの中で宿泊施設も考えていると、これも大変ありがたい話ですけれども、今の交通費とか、そういうものの支援は何か考えられましょうか。
○健康局長 ほかとのつり合いもありますから、ちょっと考えなければいけませんけれども、この中で少し掘り下げてもらえるんだったら、そのための会ですから意見をいただきたいと思います。
○垣添構成員 ありがとうございます。
 もう一点はがん登録のことで、前半と同じく後半5年の基本計画の中に、がん登録は非常に重要である、できれば法制化ということがうたわれていると私も読んでおりますけれども、この見通しに関して何か。
○健康局長 国会でもよく聞かれるんですけれども、がん対策基本計画の変更案にも法制化を視野に入れてと書いてあって、閣法といって、当然政府の方で出すことを念頭には置いているんですけれども、御案内のように議員の中で、超党派的にがん登録を立法化すべきであるという機運も高まっておりまして、我が方としてはそういうものも相呼応しながら法制化に向けて進んでいきたいと思っていまして、以前よりは機運が高まっています。
○垣添構成員 それは大変ありがたい話です。
 ほかに御意見はありましょうか。小俣委員、どうぞ。
○小俣構成員 馬上さんのお話ですけれども、小児がんを経験した者から言えば、発症から治ったはいいけれども、その後のさまざまな課題は、その病気であったり本人が抱えている状況、環境によっても違ってきますので、さまざまな支援が必要ではないかということがよくわかりました。ありがとうございます。
 1点ほど質問と意見を述べさせていただきたいんですが、質問は、いろいろな課題が出てきたということが入っていますけれども、兄弟姉妹については比較的に落とされてしまっていて、余り注目されないということがございますので、兄弟姉妹の支援に関して具体的に何かございましたら意見をいただきたいということ。
 あと、これは私の意見ですけれども、登録に関しては、小児がんは2,500~3,000人と言われています。成人のがんはかなりの数になりますけれども、むしろ小児がんであれば実現が可能なことではないかと私は感じております。また、これだけ細かい配慮が必要な支援の内容であれば、今、馬上さんや天野さん、垣添先生もおっしゃっていたように、検証委員会が必須ではないかと私も感じております。
 以上です。ありがとうございました。
○垣添構成員 では、その兄弟姉妹に関して。
○馬上参考人 入院中、親が患児にかかりきりになってしまいますと、昨今の核家族化の中できょうだいを預けられるところがすごく少なくて、非常に苦慮されている方が多いんです。その兄弟姉妹を預けるために出費してしまうとか、さらなる経済的負担がかかってしまうこともあります。また、きょうだい自身も患児にすごく集中しているというのを肌で感じてしまいますので、後々になって精神的に不安定な状態になるという報告を受けております。是非、兄弟姉妹に対してもケアをお願いしたく思っております。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 まだ御意見はおありかと思いますけれども、時間の関係もありますので少し先に進ませていただいて、次に「第3次対がん総合戦略研究事業」の中で、がん対策推進基本計画と、がん診療連携拠点病院の小児がん診療の適用に関する研究の主任研究者であり、大阪市立大阪総合医療センター小児医療センター血液腫瘍科部長の原純一様にも、本日は御出席いただいておりますので、原様から資料4に沿って説明をお願い申し上げます。
○原参考人 それでは、説明させていただきます。
 1ページです。そもそも私の研究班といいますのは、私自身が当院、がん診療連携拠点病院の責任者をしておりましたもので、5年前に成人がんの拠点病院要件ができ上がりました。これも患者さんたちの要望をもとに設定されたものだと思うんですが、その要件が非常にすばらしい要件だ、これを小児がんの診療に生かす方法がないのかということを考えまして、小児がん診療に最適化するためにはどうしたらいいのかということを研究したいと思って立ち上げた班であります。立ち上げたんですが、その後、思わぬ展開で小児がん専門委員会等が立ち上がりました。それで、今日こういう形でその成果を少ししゃべれということであります。
 ここに書いていますように、目的は、今ある制度をどのように小児がんに最適化するかということ。その方法としまして、英国の小児がん診療体制の調査を行いました。
 どうして英国かということなんですが、拠点病院、それと連携している連携病院をポスキューと呼ぶんです。あと、小児がん専門看護師による訪問看護制度をプーンと呼ぶんですが、そういったシステムによる隙間のない小児がん医療体制が、全国に構築されていること。しかも米国とは違いまして、すべて公的財源で行われているというところです。御存じのとおり英国の医療というのは非常に質素で、小児病院等に行きましても日本の最近の小児病院に比べるべくもなく貧弱なものが多いんですが、医療資源をうまく活用していると思われます。
 それから、小児がんを診療している施設調査、働いている医師の意識調査、患者さんに対するアンケート調査をもとにしまして、小児がん診療の拠点化・集約化の阻害要因の抽出と解決法の検討を行う予定であります。
 まだ1年が済んだだけなんですが、最終的に、平成25年度に望ましい要件案の提示をし、それを当初目標あるいは中長期目標に分けて提案をしたいと考えております。ということで、本日は非常にテンタティブなものでありますが、御報告をさせていただきます。
 まず、患者さんたちに対するアンケートですが、これは公益法人の「がんの子どもを守る会」に委託をして行いました。対象となったのは守る会の会員、そのほかの患者さんたちの団体の方々、守る会の医療費助成を受けた患者さん及びその御家族です。昨年の7月~10月の間で、回収率が51.9%でした。425通が2000年以降に治療を受けられた方ですので、この方のデータを解析しております。
 患者さんの居住地ですが、関東、近畿、東海、九州、沖縄と、現在の人口に比較的近い分布になっております。
 疾患構成ですが、白血病、脳腫瘍、神経芽腫。かなり白血病の割合が高いですが、疾患の頻度の順序としては、実際の順序とほぼ応じた形となっております。
 ここから後は、拠点の要件を考える際に重要と思われる項目だけをお示しします。実際これ以外にもかなり膨大なデータをいただいているんですが、そのごく一部であるということをお答えしておきます。
 まず、付き添いについてということで、付き添いに満足したかということなんですが、24時間ずっと付き添いをしなければならなかった、あるいは逆に決められた面会時間しか付き添いができなかったという2つに関しては、非常に不満足である。好きなときに付き添いができるというものの満足が、高いというのがあります。実際にそれができた患者さんたちは、約50%ということであります。
 付き添いの人に対する配慮とか、そういう要望を聞いたのが右側のグラフです。当然ながらファシリティーの問題というのはあるんですが、それ以外にちょっと予想外に多かったのが、付き添いの方に対する精神的ケアの充実だとか、精神生活の充実といったものが非常に高位に来ております。更に、保育所ですね。今、馬上参考人からのお話にもありましたが、院内に保育場の設置を望む声も高いものがあります。
 下の方ですが、満足していた、満足していなかったということに関しては、今、申し上げたとおりの結果が示されております。
 晩期合併症で、実際にどの程度の方が悩んでおられるかということですが、約半分の方が晩期合併症をお持ちと答えておられます。頻度的に高いものは低身長、ホルモン分泌障害というものです。それ以外にも神経・知能障害だとか、心理的な問題というものが高い割合となっております。
 続きまして、終末期医療とビリーブメントケアです。ビリーブメントというのは、親しい者との死別を意味する言葉でありますが、日本語では死別ケアという言い方もあります。
 上の円グラフですが、終末期医療について満足したかどうか。人生の終わりを迎えるに当たっては非常に重要なことだと思うんですが、満足したとお答えになったのは50%ちょっとである。逆に満足しなかったという方も、50%弱というかなり高い割合になっております。
 その満足しなかった理由は、我々にとって非常に耳の痛いところであるんですが、医療者の対応に不満であった。どういうふうに不満だったのかということですけれども、患児への配慮が足らない、家族への配慮が足らない、臨終時の対応に不満がある、更には採血や検査の必要に疑問がある。終末期医療というのは、検査などは余り行わないのが普通ですが、個々にこういう不満も出ていたということであります。
 下の円グラフは、ビリーブメントケアの必要性について問うた質問であります。約4分の3の方が、ビリーブメントケアは必要だと思われたということであります。
 6ページです。先ほどもちょっときょうだいの話が出ていましたが、きょうだいの有無による差ということです。きょうだいがいた場合、いない場合で、どういう問題が大きかったかということを見たものであります。そうしますと、当然のことかもしれませんが、きょうだいがいた御家族では家族の問題ということが大きな問題となっております。家族の問題は、約60%を占めております。
 下の方はちょっと字が消えて読みにくいですが、末期時の医療に満足しましたかという質問です。下の方がですが、きょうだいがいない場合は、満足あるいはほぼ満足している方が約8割を占めたのに対しまして、きょうだいがあった場合は、この割合が55%ぐらいまで下がってしまいます。これが何を意味しているかということなんですが、1つはきょうだいがいたために患児のケアを十分にしてあげられなかったとか、あるいはきょうだいのケアをしてあげられなかったとか、両方のことがここに表現されているのではないかと想像いたします。
 次に、7ページです。主に経済的な問題について問うたものであります。
 左上の円グラフですが、約3分の1の方が年収は400万円未満とお答えになっています。
 右側の上の円グラフです。どういう問題が大きかったかということですが、経済的問題が大きかったとおっしゃっているのが約20%あるということです。
 左下です。どういった出費が負担になったかということですが、約4分の1の方が交通費とお答えになっています。入院室差額は、今の制度では本来徴収されるはずのないものだと思いますが、そのほか付添生活費というのが30%を占めております。
 その結果、右側の下ですが、出費が収入に占める割合です。約4分の1の方は、収入の半分が医療関係の費用に消えてしまった。中には、収入以上の出費あるいは収入のほとんどというのもあります。3分の1以上がかかったという方は、約40%おられます。
 真ん中は、お母さんの就労状態です。もともと働いておられなかった方も多いわけですが、子どもさんが小児がんになられて約4分の1の方は仕事を辞めた。あるいは15%の方は休職した。これからも、子どもが病気になることによって出費が増え、かつ、収入が減少するという様子が見てとれます。
 8ページからは、自由記載として多かったものを記載しております。「(122)」というのは人数です。一番多かったのは「医師、看護師の多忙、人数不足」。看護師の多忙ということは、現在では小児の医学管理の要件でかなり増えているかとは思いますが、医師の人数不足というのは、まだ大きく解消されているとは言えないと思います。
 それから、「患児・家族への精神的ケア」ですね。「付き添い者に対する適切な環境整備」もそうですが、先ほども申し上げたように我々にとって耳の痛い話ですけれども、意外と「医療者の医療への取り組み姿勢」が不足していたという答えが結構ございます。「患児家族へのコミュニケーション不足」だとか「熱意、配慮、誠意が不足」ということが書いてありますが、実際は熱意が足らなかったというよりも、恐らくはコミュニケーションスキルの問題ではないか。この辺りは経験を積み、かつ、医療者がコミュニケーションスキルを積んでいくことが必要ではないかと感じました。
 それから、「教育、保育の機会」「きょうだいへの支援」「コメディカルスタッフ」の充実ということが望まれております。コメディカルスタッフが充実してきますと、上のコミュニケーションの問題等はかなり解消してくる。こういったリエゾン的な役割の職種がどうしても必要だと感じました。
 9ページに行きます。治療を受ける病院の選択基準ということです。これはある意味当然だろうとは思いますが、治療関連、治療成績、専門スタッフというのが346と最多であります。また、自宅からの距離、先ほども出てきました医療者の取組み姿勢、療養環境というのが多い項目でした。
 次に、今回モデル病院の要件をどうするかということだったんですが、英国調査と患者さんのアンケートをもとに、患者ニーズに即した要件を考えました。特に小児特有の項目を重視しております。
 当班のそもそもの発端でありました、がん診療連携拠点病院の要件というのは小児でも必要ではないか。「原則」と付けているのは、小児では難しいもの、達成が困難なものも多く含まれるからであります。
 現行の拠点病院の要件と同様に、段階的に整備していくことが求められるものは「望ましい」という表現にしてはどうかという考え方であります。
 11ページから、幾つか要件を書いてあります。これはあくまでたたき台ということであります。
 4つのカラムに分けてありますが、一番左端は厚生労働省が指定する地域がん拠点病院の要件であります。「必須」あるいは「望ましい」という表現です。もう一つは、まだ必須要件でも何でもないんですが、現況報告だけを求める項目。大きく分ければ、この3つに分かれます。
 その隣が、大阪府指定小児がん拠点病院要件というものであります。これは大阪府独自の指定でありまして、大阪府の国指定のがん拠点病院以外の病院で、特色があるものを指定していこうという一環で行われたものであります。例えば大阪府では、現在肺がんの拠点病院というものも検討されております。実際、これは大阪府立母子保健医療センターのみであります。
 あとは、小児血液・がん学会研修施設認定要件というものを書いています。
 右端は、今回提示しているものです。
 最初の項目ですが、成人では5大がん、あるいはそれ以外のがん種についても集学的治療と緩和ケアを提供すべきである。それらが、ガイドラインに準じた標準治療として行われていることが必須であるとされております。考え方としては、すべての分野の小児腫瘍に対して、ワンストップで治療が可能であると考えました。放射線治療は必須であるということです。
 キャンサーボードは、やろうと思えば簡単にできることですから、必須だろうと考えました。
 12ページですが、診療機能別の提供体制というものであります。
 まず、化学療法ですが、外来化学療法ができるかどうか、レジメン審査委員会の設置だとか、こういうことがどうなのかということであります。特にレジメン審査委員会というのは、小児病院では、がんの専門家が当該診療科の人しかいません。やはり外部委員も入れて審査をしていくというスタイルが必要だと考えましたので、これは必須項目かと考えております。
 診療従事者ですが、それぞれの業務、医師、認定看護師あるいは薬剤師、こういう人たちもいるべきであろうと考えております。こういった人たちは新たに採用してくるわけではなくて、現在院内におられる人たちに数か月の研修を受けてもらうことで認定が取れますので、各施設で準備すべきではないかと考えました。
 放射線治療に関しては、小児病院で治療医はなかなか難しいですので、連携でも可と考えます。
 それから、ちょっと重視したいのが緩和ケアなんですが、緩和ケアというのは子どもだから要らないという話には決してなりません。先ほど治癒率が高い小児がんというお話もありましたが、8割、9割といいましても10人に1人あるいは5人に1人のお子さんは亡くなるわけですので、すべての小児がん患者に対して緩和ケアは重要であると考えます。といったことで、ここに書いてありますように緩和ケアチーム等を置いて、更にそういうチームを構成するための医師、看護師といった人たちもいきなりは無理でしょうが、いずれは整備していくべきだろうということで望ましいという表現にしております。
 ちなみに、「身体症状の緩和を行う専門的」の定義なんですが、大阪府の場合は定義がありません。しかしながら、基本的には最低限の緩和ケア講習を受けていただくことが必要ではないか。2日間受ければ済む話ですので、受けていただくことが必要ではないかと思います。
 14ページです。病理診断、病病連携、病診連携ですね。今後、地域の医療を担保していく、小児がん診療を担保していくということからも、検討していかなければいけないことかと考えます。
 次に、15ページの医療施設です。どの程度の規模のものかということですが、成人では「年間延べ入院患者数が1,200名以上」というのが要件になっております。実際、ちょっとした規模の病院では年間2,000人以上が入院されていると思います。これに関しましては、年間の新規診断の患者さんが30人以上。これはあくまで暫定的な数字を書いておりますので、余り重視していただかなくても結構かと思います。
 あとは放射線治療、外来化学療法。
 それから、成人でも追加されました、がん患者が心の悩みや体験等を話し合う、いわゆるピアサポートの場です。こういうものも是非設けたいと考えます。
 16ページは、情報の収集提供体制です。大阪の方ではほとんどありませんが、先ほどからの馬上参考人、天野構成員の御発言からも、こういった機能は非常に重要ではないか。これらも少し努力すればそんなに難しいことではないと思いますので、是非実現したいと思っております。
 ちなみに、「がん対策情報センターでの研修」というのは相談員の要件ですが、現状では小児がんに特化しているわけではありませんので、研修システムに関しては、後で御検討いただく必要があるかと思います。
 17ページから先は、小児で必要だろうということですので、国の指定要件ではない項目です。
 施設要件と医療機能ということですが、長期フォローアップ外来だとか、15歳以上の集学的治療、治験だとか、そういったことです。
 あと、「小児がんの化学療法部門が独立した診療科である」。これは、成人では設けられております。各大学にも化学療法部、腫瘍内科みたいなものが急にできたかと思いますが、やはり小児でも安定的に小児がん診療、小児の化学療法を提供していくためには、こういった部門を診療科として持つことが必要ではないかと考えます。
 あとは「患児、家族支援、療養環境」ですが、先ほどからいろいろ出てきていました、患者さんの要望に沿った形のものを配置すべきだろうと考えます。
 18ページ、?は診療従事者です。これは望ましいという記載にしておりますが、現時点では小児がん学会の指導医、小児がん認定外科医というものが、まだ十分認定されている状況ではありませんのでこういう表現にしております。
 また、保育士。それから、いわゆる医療保育士です。HPS(ホスピタルプレイスペシャリスト)だとかCLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)。心理士、社会福祉士も望ましいということであります。
 最後に、それ以外に必要と考えられる要件ということですが、成人のがん拠点病院の要件、現況報告をさせている項目がここに書いてあります。集学的な診療体制、レジメン内容について外部から監査を受けているとかですね。要するに、勝手な診療に走らないように、標準的なレジメン登録が行われているかということを審査しなさいということであります。あとは緩和ケア、病理です。
 最後の3つは、今回新たに付けたものでありますが、クリニカルあるいはクオリティーインディケーター、診療の質あるいは臨床指標を定めて公表しているということ。これに基づいた施設相互のピアレビューを行っているということ。先ほどの検証委員会という外部からの検証も必要でしょうが、相互の検証というのも必要ではないかと考えます。
 あと、診療情報管理士の配置に関しては、医療機能評価機構の認定を受けるためには、診療情報管理士を配置してないといけないんですが、望ましいという表現にしております。
 これに基づきまして、百四十数施設にアンケートを送りました。小児科のがん治療を行っている施設です。回収率は91%で、結局129施設から回答が得られております。
 最初に、どれぐらいの数の患者さんを診ているかということを示したものですが、造血器腫瘍であれば年間10例、11例以上を診られている施設が約3分の1ということですので、約40施設ぐらい。
 ところが、脳腫瘍になりますと年間6例以上という施設が約10%ですから、12~13施設ということになります。更に11例以上ということになりますと、わずか4%ぐらいしかありません。4%ですから5施設ぐらいです。
 骨軟部腫瘍も、かなりまれなものですので同様であります。
 その他の固形腫瘍は、神経芽腫だとかいろいろあるんですが、それでも年間11例以上の診療をされている施設は6%ですから、6~7施設しかないということになります。
 もう一つ、最後に造血幹細胞移植です。これも年間11例以上の移植をされている施設が13%という結果でありました。
 ということで、129施設で分析するのも余り意味がないというか、大変ですので、22ページにありますような絞込みを行いました。その絞込みの要件としまして、診療実績ということを挙げたわけでありますが、その理由というのは施設といろいろなインフラです。これは後でもできますけれども、とにかく診療実績がないことには話が始まらないのではないか。患者アンケートの結果からも、そのように考えられました。それから、ワンストップであるという総合的小児がん施設ということです。
 要件というのは、拠点病院の要件ではありませんので誤解がないようにお願いしたいんですが、まず、すべての小児がんの領域が診療可能であるということ。それから、すべてのがんの領域の経験があるということ。これはすべて年間1例以上と、非常に低い水準にしています。しかしながら、比較的多い造血器腫瘍では6例以上だとか、あるいはこの5項目の中の1つは6例以上。
 こういうややこしいことにした理由は、症例数というのは自己申告ですので、アンケートで信頼できる数字はゼロという回答以外にありません。1~5例あるいは6~10例ということは信頼性が乏しいので、ゼロ以外は省くという考え方です。そうしますと、百二十何施設が26施設まで減ってしまいました。この26施設について簡単に述べますが、特定機能病院が17、小児病院が6施設です。
 分布は割と満遍なく、人口動態にも合った形での分布をしているように思われます。
 20施設は、既に拠点病院になります。都道府県指定あるいは国指定の拠点病院のどれでもないのが4施設。これはすべて小児病院です。
 24ページは施設の内容です。いろいろな診療機能についてお聞きしていますが、ほぼすべての診療機能についてお持ちである。赤のところは、診療科としてはありませんが、診療は可能であるという回答でありました。
 いろいろな認定等に関しましても、ほとんどの施設がこういう機能をお持ちであります。
 25ページは、医師の配置状況。血液腫瘍を担当している常勤医は、小児科医の話です。最低でも4人はおられるという施設です。6人以上と、多い施設の大半は大学病院関係ですので多くなっているようです。
 あと、小児血液・がん暫定指導医、がん治療認定医が0人、1人もいない施設がありました。
 26ページですが、がん診療連携拠点病院の要件。これは、今回提示したものというよりも現在の国の指定要件です。院内がん登録だとか専従、こういうものはほとんど達成されておりますが、結局人的資源の配置ですね。認定看護師あるいは認定薬剤師、あるいはレジメン審査、その辺りになると少し数字が落ちてきます。
 右側の緩和ケアのことになりますと、これもやはり認定看護師の配置が少なくなっております。しかしながら、緩和ケアチームに関しましては、1施設を除いて25施設で整備をされております。ちなみに質問としましては、小児に対応している緩和ケアチームがありますかという質問ですので、ここに書いてあるのは小児に対応している人たちということになります。
 小児病院とその他の病院ということで見てみますと、どうしても小児病院の方では認定看護師だとかレジメン審査、こういう拠点病院要件に関しては達成割合が低いということになります。左側のグラフ、右側のグラフとも同じ傾向であります。
 次の28ページです。今回追加しました小児診療に必要な要件ということですが、小児病院の場合はフォローアップの年齢制限のあるところが半分もあったとか、あるいは長期フォローアップ外来を設置していないところも結構多いとか、意外と小児病院の弱点というものも一部見えております。しかしながら、宿泊施設だとか保育士だとか、そういったものに関しては小児病院の方が高いということです。これから見えてきますことは、やはりがん診療連携拠点病院というのが、成人がんを対象として5年間行われてきた。小児病院はその対象外であったということから、こういった格差が生まれたのではないかと感じました。
 29ページです。今後、この場で皆さんに御検討いただくことになるんだと思いますが、診療実績をどのように考えるか。今回の26施設というのは、今、申し上げましたように、例えば固形がんも年間1例以上という回答の施設もすべて含んでおりますので、緩い条件で26ということになっております。
 実際にどういう研修をするか、その内容の標準化です。今回から緩和ケア講習が始まるわけですが、そういったことを拠点病院がどのように実施していくのか、あるいは中央のセンターがやっていくのかということです。
 情報提供、相談支援も中央のセンター的なところが主としてやっていくんでしょうが、その標準化も必要だろう。それから、診療の質の担保をどうしていくか。これは最も重要なことだろうと思いますが、QIの作成をどのようにしてどのように評価していくのか。
 あるいは、病病連携、病診連携の具体的なあり方。要件の見直しと認定更新のあり方も成人と同じだと思いますが、4年に1回の認定更新、その間の指定要件の徐々なる引き上げというのがあります。そういったことも考えないといけないだろうと思います。
 最後にまとめですが、患者さんの声、国の要件をもとに要件を作成いたしまいた。これはあくまで不十分なものですので、今後この場で御検討いただきたいと思います。
 1つ注意です。当然なんですが、小児病院では現在の拠点の病院の要件を満たしてない割合が多い。ただしながら、特定機能病院でもそれらの要件が小児にどこまで適用されているかという詳細は不明であります。
 今後の我々の予定ですが、患者家族ではなく患者本人あるいは元患者さんに調査をして、更にリファインされた拠点病院あるいは診療連携の在り方について、考えていきたいと思っております。
 以上です。
○垣添構成員 原先生、ありがとうございました。
 大変膨大なデータで、フォローする皆様も大変だったかと思いますが、今後の議論の上で大変大事な情報だと思います。何か御発言はありましょうか。
 天野委員、どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。私から2点、参考人に質問がございます。
 まず1点目ですが、プレゼンをいただいた資料の18ページになりますけれども、この中で、小児血液・がん学会指導医と小児がん認定外科医については、今、認定が始まったところであることから、望ましいということにさせていただいていると御説明をいただきまして、一方そのほかの、例えば今日は三浦構成員もいらっしゃいますが、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、あとは心理士であるとか社会福祉士といった、割と小児がんの患者さんの支援の上では必須と思われるのではないかという職種についても、望ましいという記述がある。予算の関係ということもあるかと思いますが、仮に10施設以下となった場合、こういった職種についての必要性は変わってくるのかどうかということについて、お尋ねしたいのがまず1点です。
 もう一点が、先ほど馬上参考人から、患者家族の立場から難治希少がんについては特に集約化・拠点化を進めていただきたいという強い御意見をいただいたんですが、原参考人は医療者の立場から、難治希少がんの集約化の必要性について、御意見があれば是非いただければと思います。
 以上、2点でございます。
○原参考人 まず1点目ですが、望ましいと書いたのは、実は必須という意味と御理解いただいて結構かと思います。これをどういうふうに使うか次第で、例えば今日あした指定するときに、必須項目で可能かどうかという現実問題ですね。これは成人もそうなんですが、成人で望ましいという表現の場合、次のときには必須に変わっているんです。ですから、望ましいというのはここ1~2年の間に準備をしなさいという意味です。これはあくまで実際的に、どう運用するかで表現が変わってくると御理解ください。
 2点目ですが、今回は10施設程度という前提でしたので、こういう提案となっております。馬上参考人がおっしゃっている特別希少がんというのは、脳腫瘍だとか骨腫瘍だとかをおっしゃっているんだろうと思うんですが、そういったものに関しては、今後はそれを専門にやるような施設というのも検討の対象になっていくのではないか。次のステップかなというふうには思っています。とりあえずは、脳腫瘍は脳腫瘍でしっかりやらなければいけない。
 更に1点だけ申し上げますが、難治希少がんという定義自身、私はよく理解できておりません。例えば白血病でも9割8割とおっしゃいますが、並べて言うと、やはり7割台ということですので、やはり5人のうち2人ぐらいの方、あるいは5人のうち1人の子どもさんがなくなってしまいますので、すべて難治ではないか。しかも、1回再発しますと完全難治ですので、小児がんすべてが難治だと私は理解しております。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。田口構成員、どうぞ。
○田口構成員 2つほど質問があります。
 1つは先ほどの馬上先生にお聞きしたいんですけれども、患者さんの方の希望として、終末期医療とか緩和ケアというのをかなり重視されておられますが、それを小児がんの拠点病院というところですべて賄うとすると、患者さんの方がそこにしょっちゅう行かなくてはいけないとか、そこに入院しなくてはいけないという事態が発生するような気がするんですけれども、そういうことも考慮して、患者さんの方が、小児がんの拠点病院が機能をすべて担った方がいいと考えておられるかどうかということが1点です。
 もう1つ、要件の1つに敷地内禁煙というのが必須と挙がっておりましたけれども、原先生はどの程度の敷地内禁煙を考えておられるか。
 この2つについて質問します。
○垣添構成員 馬上参考人に、終末期医療の在り方について。
○馬上参考人 私の発表でちょっと誤解を生んだかもしれないですけれども、子どもが一番安心できるのはお家ですので、やはり終末期は在宅でというのが患者家族の希望ではございます。ただ、それを支えてくださる在宅医療、近くの診療所というものと拠点病院または2次医療圏の病院が連携を組んでいただいて、何かが起こったときにすばやく対応していただくのが理想というふうに思っているんです。
○垣添構成員 わかりました。
 では、敷地内禁煙の話。
○原参考人 緩和ケアの話でちょっといいですか。
 私がここで申し上げた緩和ケアは、緩和ケアの専門医というわけではなくて、今でも要件としてはそうなんですが、緩和ケア講習を受けているということが要件なんです。ですから私でもいいというか、要するに、その気になればだれでも緩和ケアを専門的に提供できるというふうになれる。勉強というか、講習さえ受けていただいたらいい。ですから、そんなに高いハードルではないだろう。先生は私の班に入っておられるので、緩和ケアのレベルもレベル1、レベル2、レベル3とある。レベル2、レベル3のレベルであれば我々でも対処可能である。レベル1のレベルになりますと、ちょっと専門的な人が要りますので、そこは医療機能をどのようにシェアをしていくのか、派遣とかも考えないといけないと思います。
 敷地内禁煙というのは、現在の拠点病院の要件に倣っているだけですので、深い意味はありません。
○垣添構成員 水谷委員、どうぞ。
○水谷構成員 水谷でございます。
 馬上さんと原先生に、大変いいお話をいろいろお伺いしたと思います。希少がんというものの治療体系をどのようにつくっていくかということは、非常に重要な問題だと思うんです。1つの病院ですべての希少がんを、あるいは数少ない病院で集約して、そこで治療に当たるということが多分理想だと思いますけれども、これに当たっては、例えばそういう特殊領域の技能を持った人たちの移動が前提になります。実際問題として、それがどこまで可能なのかということも考えた上で、こういう対応を考えていかなければいけないと思います。
 その一方で、もう一つ別の考え方。どちらがいいか議論していただければいいんですけれども、どこでどういう特殊な治療が集約的に行われているかという情報をアップ・トゥー・デートに集約していって、そこにその方がいらっしゃる間はそこで重点的に治療をお願いする。そういう専門家の方は小児がんを専門とする方々と同じ原理で動くとはかぎりません。例えば某病院の某外科に、大変有名な先生がいらっしゃいます。その先生のところには、患者さんが全国から手術を受けに来ます。しかし、その先生にとって子どもの特殊な医療というのは、自分のキャリアの10分の1でしかないとおっしゃいます。つまりその先生にとって、その分野のキャリアアップにとって一番重要なのは、成人の腫瘍を治療する病院で腕を磨くことだとおっしゃる。そこで子どもの患者が来たら子どもにも対応していらっしゃるわけです。こんな状況で、小児専門病院ができたからといってそういう専門の医者を本当に引っ張ってこられるのかということも、ちょっと考えておかなければいけないのではないかと思っています。
 その辺について何かお考えがあれば、お伺いしたいと思います。
○垣添構成員 これは大変難しい御質問だと思いますが、原先生、何か。
○原参考人 例えば英国のナイスのガイドラインには、脳腫瘍とかにも記載があります。それはどういうふうになっているかというと、一般脳外科が手術をしてもいい。ただ、その場合、小児の脳外科専門医が必ず1人か2人加わらなければならないとか、あるいはハーディーの手術、下垂体の手術がありますが、普通、小児ではない。成人の外科医しかできない。そういったものに関しては成人の脳外科医がやってもいいとか、事細かく決めてあります。ですから、そういった考え方を導入していくのが1つの方法ではないかと思います。
○垣添構成員 これは短時間の議論では到底解決がつかない問題なので、申し訳ありませんが、少し先に進ませていただきます。
 時間の関係がありますので、次に資料5「小児がん拠点病院(仮称)の指定までのスケジュール(案)」と、資料6「小児がん拠点病院(仮称)を考える際の論点(案)」について、事務局から御説明ください。
○事務局 それでは、資料5について説明をいたします。小児がん拠点病院(仮称)の指定までのスケジュール(案)です。
 本日、第1回小児がん医療・支援のあり方に関する検討会が開催されておりまして、今、馬上さんからのヒアリング、原先生からは指定要件案の提示をしていただきました。この後、小児がん拠点病院、中核的な機関の在り方について御議論をいただいたいと考えております。
 6月中旬ですが、第2回の検討会を開催いたします。ここで、小児がん拠点病院の要件の案のたたき台をお出ししたいと考えております。また、中核的な機関についても御議論いただきたい。
 6月下旬に第3回を予定しておりまして、ここで大体のコンセンサスを得たいと考えております。
 その後、7月に厚生労働省として拠点病院の要件を提示し、その後、都道府県からの推薦の受付、それから事務局、つまり厚労省の方で審査をいたしまして、10月を目途として小児がん拠点病院の指定のための検討会、その後指定という流れになります。
 先ほどお答えしましたが、中核的な機関に求められる機能については、今後必要に応じて平成25年度の概算要求に反映していくという流れになります。
 資料6でございますが、今、既にこれまでの小児がん、例えば専門委員会での御議論、それから、今、馬上さんからの御意見、原先生からの御意見を踏まえまして、小児がん拠点病院を考える際に、こういったところが論点になるのではないかというところを並べております。
 まず、1つ目が拠点病院の目的。がん診療連携拠点病院であれば、主に均てん化というところを重点的に進めてきたわけですが、それにプラスして集約化あるいは医療の質向上というところも目的になるのではないか。
 そもそもですが、拠点病院の名称はどういったものがあるかということについても、御議論いただきたいと考えております。
 それから、先ほど患者さんの分布の話であるとか、あるいは患者さん自身が非常に限られておりますので、拠点病院の当面の数、特に今回平成24年度に指定する数としてはどの程度か、また、その地域バランスについてはどのように考えるかという大枠について、御議論いただきたいと思っております。
 その後、拠点病院の要件についてですが、これは事務局からの御提案という形ですけれども、ゼロから議論するというのも一案ではあるんですが、既にがん診療連携拠点病院というものがございますので、まずはこういったところの要件を土台として考えてはどうか。
 ただ、この際には、既にがん診療連携拠点病院に指定されている病院と、指定されていない小児の病院をどのように取り扱うかというところが論点になるかと思います。
 また、診療実績についても、がん診療連携拠点病院であれば1,200件以上の新規入院があることが望ましいというのが1つ入っているわけですが、小児の場合にはもう一つ診療実績についても要件として取り込むことが必要かどうかということです。
 あるいは、すべてのがん種を診ていなくても、例えば血液腫瘍など一部のがん種について非常に実績のある病院を、どう取り扱うかというところも論点になるかと思います。
 あとは、拠点病院の要件に盛り込むべき事項としてずらっと並べておりますが、一番下の星印のところですけれども、がん診療連携拠点病院に盛り込まれていない要件、特に小児診療に特有の要件です。療育環境であるとか長期のフォローアップ、家族支援や成人の診療科への橋渡し、こういったところは加えて必要かとは思います。
 また、?ですけれども、全国の中核的な機関に求められる機能、例えば研修、臨床試験、相談支援・情報提供、拠点病院の診療支援、こういったところがあるのではないかと思いますが、御議論をいただきたいと考えております。
 以上です。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 スケジュールは、資料5にありますとおり大変タイトなものでありますけれども、予算との関係がありますのでこれに従うことになると思います。
 資料6の小児がん拠点病院(仮称)を考える際の論点をまとめていただきました。この?拠点病院の目的、?拠点病院の名称、?拠点病院の当面の数、地域バランスの辺りに関して何か御発言がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょう。今日ここで結論を出すというわけではありませんけれども、ある程度ここで議論をされておくと、2回目、3回目辺りで方向性が出てくると思いますので御遠慮なく御発言ください。
 目的は十分議論されています。これはよろしいかと思いますが、名称、モデル病院あるいは拠点病院という2つの言葉が出ておりますけれども、この辺りはいかがでしょう。
 水谷委員。
○水谷構成員 水谷でございます。
 名称につきましては、やはり中身を十分議論した上で、それにふさわしい名称をつける形がよろしいのではないか。最初から拠点病院あるいはモデル病院という名前にしてしまいますと、どうしてもそれに縛られるところがありますので、あくまでも中身を議論した上でということでいかがでしょうか。
○垣添構成員 という御発言がありましたが、名称の問題ですから、とりあえずはもう少し議論を深めた上でということにさせていただいてよろしゅうございますか。
 あとは、数と地域バランス。先ほどの原参考人のものでは129から26ぐらいに絞って、場合によっては10ぐらいまでという議論がこれまでありましたけれども、この辺りに関して何かお考えがありましたらお受けしたいと思います。
○小俣構成員 まず、1つ事務局に質問があるんですけれども、私などは実際に情報がなくて、どこのどれだけの病院で小児がんの診療をしているのかという把握は、データとしてはあるのでしょうか。
○事務局 地域がん登録の中で、がん診療連携拠点病院については小児がんというか、年齢で区切った場合に、大体の数というのはわかります。ただ、がん診療連携拠点病院には小児を専門とする病院はほとんど入っていないので、現状では学会とかから情報をいただくしかないです。
○垣添構成員 どうぞ。
○小俣構成員 2点言えばよかったんですけれども、もう一点は、先ほど予算のところで調査費は2,000万ということがありましたが、今後、検証委員会をつくるにしても、現状を調査していくことに使われるのかどうかというのを教えてください。
○事務局 勿論そういうことには使えるんですが、今回も小児がんの拠点病院をつくるまでの時間がかなり限られているものですから、とりあえず現状で手に入れられる既存のデータで御議論いただきたいとは考えています。
○健康局長 この調査費というのは全国の拠点病院ではなくて、センター・オブ・ザ・センターというか、小児がんの基幹病院の方の制度設計。ここで意見をもらうだけでは不十分だと思うので、同時にもうちょっと踏み込んで調査する必要があるということで、ちょっと対象が違います。
○垣添構成員 水谷委員
○水谷構成員 先ほどの小俣構成員からの御質問です。この次に私の順番が来ますので、そこで御紹介させていただこうと思っていましたけれども、小児血液・がん学会として、研修医、専門医研修病院というものを作成しております。一定の基準は後ほど御説明しますが、今、そこで把握している数は、第1次審査が終わった段階で75でございます。更にもう少し増えるかもしれません。今、そういうところが、一定の基準を満たした診療能力を持っていると把握しております。
○垣添構成員 それでは、資料6の残りの拠点病院の要件と、全国の中核的な機関についてという辺りで御発言がありましたらお受けしたいと思います。水谷構成員は、たしか資料も御用意いただいていますね。田口構成員からも資料を用意いただいておりますが、まず水谷委員から。
○水谷構成員 それでは、お手元の資料に沿って御説明させていただきたいと思います。余り時間がなさそうなので、できるだけ重複を避ける形で行いたいと思います。
 日本小児血液・がん学会というのは、多分耳新しい言葉だと思いますけれども、これは日本小児血液学会と日本小児がん学会という別々の学会だったものが、今年の1月に一本化されました。そして、小児血液・がん学会という形でスタートしています。その学会の中で、小児血液・がん専門医制度を発足し、小児血液・がん専門医研修施設というものの認定作業を、既に学会発足以前から開始しております。
 これが年表ですけれども、まず2011年4月1日から小児血液・がん暫定指導医の認定を行いまして、その後、小児がん外科認定医制度というものもつくりまして、2011年9月に第1回が認定されております。同年、昨年の12月には、小児血液・がん専門医研修施設第1回認定という作業を行っております。そしてこの1月に、学会が一本化されてスタートしたということでございます。
 次のページに移っていただきたいと思います。今後のスケジュールといたしましては、今月末に第2回の専門医研修施設の認定申請を締め切って、第2回の施設の認定に入ります。そして、2013年の秋に第1回小児血液・がん専門医認定試験を行います。それによって、ようやく専門医が誕生するという状況になります。
 次のページに移っていただいて、以上をまとめますと、小児がん学会というのは小児外科の先生、病理の先生、放射線関係の先生も含まれていますが、小児血液学会と小児がん学会の合意のもとで、小児血液・がん学会が発足いたしました。そして、両分野での小児がん専門医、専門施設の選定作業に入ったところでございます。
 5ページですが、「小児血液・がん専門医認定の要件」ということで、専門医研修施設において24か月以上の研修を修了していなければいけないとか、かくかくしかじかの症例数を経験していなければいけないということが決められております。
 6ページに移っていただいて、30例の症例一覧を提出しなさいということ、腫瘍性疾患については、専門医研修施設で経験した症例でなければいけませんよという規定が盛り込まれています。
 7ページ目で、必要経験症例数を造血器腫瘍10例以上、固形腫瘍10例以上等々を含めて30例以上ということで、要件を求めています。
 8ページ目に移っていただいて、その指導に当たる先生たちの要件はどうなのかということについて、まず専門医でなければいけないということと、10年以上の小児血液、小児がんの臨床及び研究に従事したことを示す内容がなければいけないという取決めになっています。
 その次のページに移っていただいて、「専門医研修施設の要件」ということで、その施設には指導医が1名以上常勤でいなければいけないとか、小児がん認定外科医がいなければいけない等々の要件が付されております。
 10ページにおいても、小児がんカンファレンスが行われていることとか、あるいは緩和ケアチームの活動、保育士またはチャイルド・ライフ・スペシャリスト等による支援体制、そして専門医研修施設の審査を行いますよということがうたわれています。
 11ページに行っていただいて、細則の中で、専門医研修施設になるためには疾患登録事業が必須ですということが書かれています。疾患登録事業を行っていないところは、専門医研修施設にはなれないということであります。
 その次に移っていただいて「まとめ-その2」ですが、小児血液・がん学会を発足し、学会として専門医研修施設の認定要件を設定いたしております。
 小児血液・がん学会として専門医、指導医の認定要件を設定しております。
 また、小児がん外科認定医要件を設定しております。
 そして、小児血液・がん学会として他の専門領域、放射線学会、病理研究会、神経外科学会、看護学会等の専門家に、評議員としての学会参加の道を開いています。
 その結果でありますが、24年5月時点で専門医研修施設として認定されているのが75施設、暫定指導医として認定されているのが251名でございます。25年には、第1期生の専門医が認定される予定になっているということです。
 次のページに移りまして、従来から9ブロックに分けて、いろいろな統計がとられておりますので、仮に9ブロックに分けて、専門医研修施設の数と暫定指導医の数をはめ込みました。そうしますと、一番少ないところで1ブロック当たり指導医が13人、専門医研修施設が4病院、多いところは、92名の指導医と26の専門医研修施設があるという状況でございます。
 次のページに移っていただいて、それぞれのブロック別の施設あるいは指導医当たり何人の小児人口を相手にするかということについて、15歳未満の子どもたちをこれに当てはめてみました。そうしますと、まず一番たくさんの子どもたちを診なければいけないのは九州で、1病院当たり25.4万人のこどもを対象にしなければいけないということです。一番少ないのは北海道で16.4万人です。医師に関しましても、それぞれ5万人と9.6万人の子どもたちを診なければいけない。本当に暫定的な数字ですが、今、仮に1万人に1人に小児がん患者さんが発生するとしますと、1万で割った数字がそのまま新しい患者さんの見通しだということになります。
 次のページに移っていただいて、日本における小児がん専門研修施設の実態が、このように地図上にプロットできます。1病院当たり20~30症例、1医師当たり10症例弱の新規患者さんを診ているということになります。
 次のページに移っていただいて、これをGoogleマップにマッピングいたしました。今のところ、この一つひとつのマップの星印をクリックしていただきますと、その病院の専門医、暫定指導医の数、認定外科医の数が出るようになっています。そこにいろいろな医療情報を組み込んでいったらどうかということを考えて、努力をしているところでございます。
 17ページに移っていただきます。これが最後だと思います。まず第一に専門医研修施設が小児血液・がん医療の根幹を担っているという事実を、忘れてはいけないだろうと思います。
 専門医研修施設の施設情報のアップデート、更にそれらの病院が必要としている機能に関する調査を行い、その機能性を高めることが最も地に足のついた方法ではないかと考えています。
 2つ目に、領域別の専門施設情報。これは先ほど申しましたが、特殊な領域です。そういったものに関しては、領域別の専門施設情報の集約と、そしてそれをネットワーク化する必要があるだろうと思います。
 3つ目に、今、かりにブロックが9あるとします。地域、専門領域その他の特性をベースに9つのブロックに分類するとして、ブロック内には複数の専門研修施設があります。それらの施設の連携の中にハブ機能を持った病院を想定します。これが拠点病院という名前になるかもしれません。拠点という言葉が登場するとすれば、ここで初めて登場するのではないかと思います。まず拠点がありき、という考えとは若干立場を異に染ます
 4つ目、ハブ機能病院はブロック内で専門研修施設とネットワークを構築し、専門研修施設の機能向上に向けた責任を持たなければいけないと、考えるべきだろうと思います。また、ブロック内の施設情報の集約と、情報発信に向けた責任を持たなければいけないと思います。
 5つ目、ハブ機能病院がブロック内ネットワークの中で、モデル的病院となるべき施設要件は策定しなければなりませんが、その際も、ハブ病院はネットワークの中でネットワークに属する専門施設が共有できる機能を提供し、あるいはネットワーク内の施設を支援し、その機能を高める使命をもっていると考えて要件を策定しなければいけないのではないかと思います。
 これが学会としての考えでございます。
○垣添構成員 ありがとうございました。大変緻密な分析をいただいたと思います。
 もう皆さんはよく御承知のように、小児がんの場合も集学的治療が必要で、従来は、ともすると放射線治療とか化学療法が中心的に議論されていましたけれども、やはり小児がん外科というのは極めて重要な部分だと思いますので、田口構成員から、その辺りを御発言いただけますでしょうか。
○田口構成員 ありがとうございます。
 それでは、私が準備しました資料に沿って、少し説明させていただきたいと思います。
 小児がんの上では、今、先生がおっしゃったように、最近、化学療法というものがよく効くということで、それを中心とした診療が重要ですけれども、やはり最終的には手術で切除しないと治癒しないというのが、小児がんの現状だと思います。
 私が用意しました資料は、日本小児がん学会の全数把握登録事業のデータで、その後、学会が日本小児血液・がん学会というふうに一緒になりましたので、現在、新たな学会としてそのまま事業を引き継いでおります。これは2010年のデータですけれども、これは白血病と脳腫瘍を除きました固形腫瘍、つまり小児外科医が主に治療に関わっている症例数です。これは登録している数字ですので、実際の数は、これよりももうちょっと多いだろうと考えていただいていいと思いますけれども、神経芽腫系が137例、腎腫瘍が53例、肝腫瘍が65例、胚細胞腫瘍が107例、横紋筋肉腫が59例、ユーイングが62例という状況であります。
 次のスライドですけれども、手術が病気の治癒とか成績に関係するのが、腎腫瘍と肝腫瘍と胚細胞腫瘍と横紋肉腫でありまして、こういう病気に関しては切除が可能かどうかということ。その切除の時期については、化学療法を優先したりする場合もありますけれども、要するに、腫瘍を全部切除できるかどうかということが生存に関係してきますし、ステージングに治癒切除ができたかどうか、要するに、残存腫瘍があるかどうかということが、ステージに関係してくるのが赤で示した腫瘍であります。
 実際に小児外科医がやっている仕事としましては、腫瘍の切除もありますけれども、それ以外に、最初の状況として切除不能な場合は生検が非常に重要でありまして、その生検によって病理診断とか、いわゆるがんの遺伝子的な解析、ステージングとかをする上で生検というのは非常に重要でありまして、その生検もオープンでする場合と、最近は腹腔鏡とか胸腔鏡とかを使って、侵襲の少ないような生検をしていることがあります。
 更に、白血病とかそのほかのがんにすべて共通する問題としまして、しっかりした静脈路を確保しなければいけないということで、皮下の埋め込み型のカテーテルとか、ブロビアックとかヒックマンカテーテルといったものを留置する仕事というのは、大体どこの施設も小児外科医がやっているという状況です。
 更に、腫瘍の全摘です。
 かなり強い化学療法をしますと腎不全が起こってくる場合がありますから、そういう場合は腹膜透析が必要となってきますので、そういったところでも小児外科医が仕事をしている状況であります。
 実際に、小児がんの中で肝芽腫等について少し例を示していますけれども、肝芽腫の場合、発見時に腫瘍が非常に大きくて、切除が不能で、しかも肺転移がある場合とかがあります。そういう場合には、まず化学療法をしますと腫瘍が縮小してきます。そしてある程度までは縮小しますけれども、そのまま化学療法を続けておりますと再増大することがありますので、手術の時期を見極めて腫瘍を全部切除することが非常に重要であります。
 次の6ページにありますように、肝の右葉切除で腫瘍を全摘しますと、完全に病気が治癒するということであります。
 切除不能な場合は次の7ページにありますけれども、腫瘍がちょうど中心部にあって、肝静脈とか門脈とかを巻き込んでいるような場合には、今は、肝臓移植という方法があります。肺転移とかが存在しないが、腫瘍が両葉にまたがったり、門脈2本とか肝静脈3本に浸潤している場合には肝移植により腫瘍を全摘することが可能です。
 次の8ページには実際の症例の写真を示していますけれども、この症例では腫瘍がちょうど肝臓の中央部にあるということで、化学療法はしましたが、そこの血管から腫瘍が外れないということで肝移植をした症例であります。この症例は元気に生存しております。
 9ページに、この腫瘍の経過を示しておりますけれども、左側に示しています数字がα-フェトプロテインの数字です。CITAというのは、化学療法です。ITECというのも化学療法ですけれども、そういう化学療法をしまして、CATA-Lという動注療法も併用しまして、その後に肝移植を行っています。そうしますとα-フェトプロテインが完全に正常化しまして、その後は病気が完全に治癒しています。こういう病気については手術というのが非常に重要な意味を持っておりまして、可能であれば、肝臓移植もできるような施設が望ましいと私は考えております。
 次の10ページですけれども、肝芽腫において、切除ができたかどうかによりまして生存率が変わってくるということで、要するに、肝移植等を含めました完全切除をしますと、肝芽腫の生存率は大体90%ぐらいですけれども、どうしても全摘ができず、腫瘍が一部残存する場合には生存率が40%ということで、手術の成否による差がかなりあります。
 次のページは、神経芽腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫について少し説明しています。
 12ページには、神経芽腫の全国的な化学療法のことについて書いていますが、Low risk、Intermediateに関しましては、普通の化学療法にしますけれども、右側に示しているHigh riskにつきましては、どうしても造血幹細胞移植が必要でありまして、大量化学療法に造血幹細胞移植をして、それから手術とか放射線治療ということに持っていくのが、今のスタンダードな方法であります。勿論手術も大事ですけれども、造血幹細胞移植を含んだ大量化学療法と放射線治療も、小児がんの治療には非常に重要であります。
 次の13ページに、小児外科医の立場から、施設としての条件を少し示しております。小児がんの手術ができるということですけれども、できれば肝移植も可能であることが望ましいと思います。それから、造血幹細胞移植ができる。放射線治療ができる。最後に小児がんの治療経験が豊富ということです。1つの種類当たりの症例数が少ないので、我々手術をする方からも、ある程度症例が集まった方が上手に手術ができる可能性が高いと思いますので、こういうことを提案させていただきました。
 最後に小児外科の専門医といいますか、小児がんの手術をする人はどういう人がいるかということです。小児外科の専門医というのを示していますけれども、小児外科の専門医というのは外科の専門医を基本領域としています。外科専門医を取得してから、サブスペシャリティーとして小児外科の手術を150例、新生児外科の手術を20例経験すれば小児外科の専門医が取得可能です。
 ただ、この中には小児がんという条件が入っていないのが1つの問題点でありまして、その次のページに、小児がんの手術が可能な小児外科医ということを示していますけれども、その中には小児外科の専門医を取得してから、更に取得するものとして小児外科の指導医というのがありまして、小児外科の指導医の場合は、小児がんを含む手術を40例以上経験というのがあります。
 それから、先ほど水谷先生の話にありました、小児がん認定外科医です。昨年から認定が始まりまして、現時点では、今、大体30人ぐらいが全国で指定されておりますけれども、認定外科医というのは小児外科の専門医で、しかも、がん治療認定医で小児がんの手術経験が20例以上あるということで、小児がん認定外科医というのは、小児がんの手術がきちんとできるということは言えるのではないかと思います。
 更に、昨年から日本移植学会の方が移植認定医というものの認定を開始しておりまして、こういう人もいれば、更に肝臓移植という手術も可能であるということが言えると思います。
 もう一つ、最後のページですけれども、小児がんの手術ができる施設ということで、日本小児外科学会が認定する小児外科の認定施設というのがありまして、全国で86か所あります。そこの認定基準として、小児外科の専従医が2名以上で、そのうち1名は小児外科の指導医である必要があります。小児がんの手術を行う体制として日本小児外科学会の認定施設は、最低限必要な条件だろうと思います。更にそこに小児血液・がんの研修施設で、望ましくは移植認定医もいると、手術としては更にいいのではないかと思います。
 その次のページに、小児外科の認定施設の一覧表を載せておりまして、これは既に日本小児外科学会雑誌に公表されているものですけれども、これの「認」という字が書いているところは、すべて小児外科の認定施設であります。A、B、E、Fと書いてあるのは、その認定施設が一緒に持っている教育関連施設ということですから、AとかBとかと書いてあるところは認定施設ではありません。
 以上でございます。
○垣添構成員 田口構成員、ありがとうございました。
 水谷先生、田口先生から小児がん学会のこと、血液のこと、外科のことをお話いただきました。これを含めて御議論いただきたいと思いますが、司会の不手際で既に時間をオーバーしておりまして、もし御了解いただければ15分か20分延長して、もう少し議論をいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、全体討論ということでいかがでしょうか。
 天野委員、構成員か。何で構成員と言うんですか。
○健康局長 総務省あるいは厚生労働省の方針でもあるんですけれども、今までと違いまして、政治主導という関係で、ある時期から構成員という呼び名に変えたんです。定期的なものは会を構成する構成員で、過渡期的とか一過性にいらっしゃる方は参集者みたいな言い方で、用語を全体で統一しているもんですから構成員となったので、別に格が下がったわけでも何でもありません。よろしくお願いしたいと思います。
○垣添構成員 わかりました。
 では、天野構成員、どうぞ。
○天野構成員 構成員の天野です。よろしくお願いします。
 そもそも、がん対策基本法や基本計画ということで一番の主眼とされたのが、いわゆる救える命を救うというモットーだったと理解しております。それを考えた場合、例えば小児がんの中でも比較的治療成績がいいと言われている造血器腫瘍についても、十分な治療経験を有していないような施設で治療を受けてしまったために、治療もしくは支持療法等で不十分や不適切であるために、救える命が救えないということが、残念ながら生じているというのが実態だと思っております。
 例えば血液がんについても、しっかりした治療が行える施設ということで、先ほど水谷先生の方から専門医研修施設ということを御提示いただいたと思っておりますので、是非そちらの方のレベルアップ及び周知徹底を図っていただいて、血液がんというのは患者家族がどこにかかれば標準的な治療が受けられて、治癒が期待できる場合には高い確率で治癒が期待できるのかというのが、是非わかるようにしていただければという思いがございます。
 それと同時に、先ほど来、馬上参考人からも、ほかの先生方からもありましたが、残念ながら小児がんの中でまだ難治と言われるもの、勿論何をもって難治とするか、希少がんとするかというのは議論があるかと思いますが、そういったものについてはより一層の質の向上、診療の向上ということを望みたいという御意見を、患者のお立場から、家族の立場から、先ほど馬上参考人からもいただきました。
 その中で、どういったことがあり得るかというと、例えば先ほどの水谷構成員の御発表の中にもありましたが、例えばブロックごとに、先ほどの拠点病院もしくはハブ機能病院ということを言うかどうかはわかりませんけれども、そういった施設は是非設置していただいて、例えば特に難治であるとか希少がんであるとか、そういったものについては高い専門性を持った施設を構築していただく。
 それと同時に、例えば先ほど御説明いただいたような小児血液・がんに関する専門医研修施設、また、その他の小児がんに関わっている施設等は、ネットワークを構築していただいて、そのハブ的な病院もしくは拠点病院的なところで、その病院を登録していただくとかいった形にして、ネットワークを構築した上で、是非有機的な治療を行っていただきたい。
 御発表を聞いているときに、そういったことを感じた次第でございます。
○水谷構成員 まさにおっしゃるとおりだと思います。現状というものをいろいろ考えたときに、今やれる最善は何かというスタンスを見落としてはならないのではないかと思います。
 例えば、いわゆる特殊技能を持った先生が、今、ある病院にいらっしゃる。その先生に、こちらにこういう小児専門の拠点病院を用意したから是非来てくれと言っても、今さら転勤するのは嫌だと言ったりされる方はいらっしゃるわけです。あるいは、自分の専門領域は9割が成人のがんで、1割だけ子どものがんなんだという方がいらっしゃいます。そう言う方がたとえ同じブロック内とはいえ、小児がん拠点病院の方に容易に来てくれるだろうかということも考えなければいけない。こういう先生方は自分のキャリアーを考えて成人のがんの仕事のできる所を選ばれるわけです。
 そうすると、逆に我々はそういう先生が、今どこにいるかということ、そこで子どもの手術をしてもらうためにどういうサポートをしたらいいかということを考えながら、全体のブロックの底上げをしていくべきではないかと思ったりしています。
○天野構成員 ありがとうございます。
 おっしゃることは、いわゆる成人の領域でも実際にあって、例えばある県では乳がんの患者さんの8割が特定の施設を受診しているとか、そういった情報とかが実際にあるわけですね。恐らくそういった施設があることは、知っている人は知っているけれども、知らない人は知らないということがあって、その際にどこにかかるのかがわからない。不適切な治療を受けてしまうといったことが、一番問題だと思っているんです。
 仮にそういう施設があるのであれば、例えば今回ブロックごとに1施設できるのであれば、是非その情報を持っていただきたいということ、その情報を発信していただきたいということがありますし、それと同時に、拠点病院というものが予算の都合とかもあって極めて限られてくる以上は、特に希少がん、難治がんというものに対して、高いスペシャリティーを持った施設であってほしいという気持はあるということでございます。
○水谷構成員 是非、そういう情報を学会のホームページなり公的なホームページにアップロードして、例えば日本の地図の中でこういうところをクリックすると、その病院の特性が出てくるような情報システムは是非必要ではないか。これで十分かどうかは別として、最低限これは必要ではないかと思って、学会としては取り組んでいきたいと思っています。
○垣添構成員 ありがとうございます。
 ほかに御発言はありましょうか。今日の約2時間の議論を聞いておられて、三浦構成員は、何か御意見なり御感想なりありましょうか。
○三浦構成員 先ほども何度か出ているように、コメディカルの動員というのを考えていただきたいと思います。先ほどの原構成員の要件から、CLSや心理士、社会福祉士が望ましいと書いてあるのは必須と考えていいとおっしゃっていただいたので、そこは確認できてよかったなと思います。
 やはり子どもさんは、入院していて治療しながらも発達していく人たちで、定期的に発達の評価とかもできたらいいなと思っているので、心理士さんとかは特に必要ではないかと強く思います。
 また、要件の1つとして、緩和ケアでのチームでのカンファレンスというのが入っていたんですけれども、やはり他職種間でのミーティングというか、診療科を越えた連携というのもとても必要ではないかと思いますので、他職種のカンファレンスというものも、必須の項目として入っていたらいいのかなとは思います。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 あと、日本医師会として小児がんにどう取り組まれるかということも含めて、道永構成員、御感想なり御意見をいただければと思います。
○道永構成員 まずその前に、ちょっと水谷先生に確認をしたいんですけれども、学会のイメージだと思うんですが、拠点病院というのは専門医研究施設の中から1つを選んで、その中でネットワークをつくるという感じですか。それとも全く違うもの。
○水谷構成員 基本的には専門医研修施設の中で、ブロックの中の全ての専門研修施設に対し個々の機能性を高めるための支援が提供できるところをハブ病院と呼ぶべきではないかと思います。
○道永構成員 ブロックだから、まず8~9個ぐらいを選んで、その中でのネットワークということ。
○水谷構成員 数字がひとり歩きするといけないんですが、仮にということで御理解いただければと思います。
○道永構成員 わかりました。予算の問題もあるのでということだと思います。
 まだ、日本医師会として、どういうことに取り組めるかということはわからないんですけれども、先ほどからお話が出ていました拠点病院をつくるのは、ある面では要件が合えば簡単だと思うんですが、その後の検証というのは絶対に必要で、拠点病院を選べばいいというものではないと思いますので、それを絶対にやっていただきたいと思います。
 あと、先ほどから緩和ケアということが出てきましたけれども、状態がいいときに、かかりつけ医というか、そういったものが地域医療を担っているわけですので、先ほどの緩和ケアの研修ですけれども、地域でそういうものに携われる医師を育成するというか、研修をするのが日本医師会といいますか、都道府県と地区の医師会が行う問題なのかなと思います。そちらの方で、働きかけることができればいいかなと思っております。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 先ほど、子どもさんの場合も、終末期は在宅で亡くなることができればそれが望ましいという話がありましたけれども、その部分でも、日本医師会の役割は非常に大きいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 どうぞ。
○天野構成員 ありがとうございます。
 今、道永構成員から力強いお言葉をいただいたんですが、言うまでもなく小児がんの患者さんが最初に受診するのは地域の診療所ということで、そこでの対応というのが、小児がんの患者さんのその後の経過に非常に大きな影響を与えるということがありますので、勿論それぞれの診療所が、確率として小児がんの患者さんに遭遇する率はどれぐらいなんだと言われると、極めて低いとは思うんですが、やはり医師会を通じて地域の診療所やネットワーク等で、小児がん患者さんの診療に対する啓発や情報提供と、是非進めていただければと願っております。
○道永構成員 ありがとうございます。
 どんな疾病でもそうなんですけれども、やはり今、病病連携、病診連携と言われます。そういうのがとても大事で、患者さんが最初から大きな病院に行ってうまくいくこともありますし、逆に普段の状態をよく知っているかかりつけの先生のところを受診したから、よかったということもあると思うんです。ですから、そういったことは医師会がちゃんと啓発していこうと思います。
○垣添構成員 小俣委員、どうぞ。
○小俣構成員 私も、今の道永構成員の御意見に心強い思いを抱いたんですけれども、初期にどこで病気が見つかるかというところで、小児科の先生方のお立場というか、存在というのは大変重要なんですが、実は治療をして戻ってくる患者も、またそこで暮らしていくことになります。小児がんといっても、風邪も引くし、歯も抜くしということなんですが、なかなか理解が得られなかったり、安心して相談できる先生が地域にかかりつけでいるということは、障害を抱えながらでも生活できるということでは大変心強いと思いますので、是非その辺の連携とPRをお願いしたいと思います。
○垣添構成員 ありがとうございました。
 それでは、本日の検討会はここまでとさせていただきます。時間をオーバーしてしまって申し訳ありませんでした。
 本日の御議論を踏まえまして、事務局の方で、拠点病院の要件の案と中核的医療機関に求められる機能の案を次回までにまとめていただいて、私が座長としてそれを確認させていただいた上で、次回はそれについて御議論をいただければと思っております。
 よろしゅうございましょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、事務局から連絡事項がありましたら、お願いします。
○がん対策・健康増進課長 次回の開催でございますけれども、6月上旬から中旬にかけて、皆様方の御都合のよいところに、させていただきたいと思っております。
 事務局からは、以上でございます。
○垣添構成員 それでは、時間オーバーして、誠に申し訳ありませんでした。第1回ではありましたけれども、非常に多方面から活発な御議論をいただき、誠にありがとうございます。また、原参考人、馬上参考人、ありがとうございました。これをもって終えさせていただきます。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

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