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2011年8月31日 第21回医薬品・医療機器等対策部会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成23年8月31日(水) 13:00~


○場所

航空会館201会議室


○議事

○事務局 開会に先立ちまして傍聴の皆様にお知らせします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項等をお守りいただきますようお願いします。
 では、ただいまから「第21回医薬品・医療機器等対策部会」を開催します。本日の部会ですが、従来の取扱い同様、公開で行います。カメラ取りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましてはご理解とご協力をお願いします。
 本日のご出席の委員の先生方におかれましては、ご多用のところご出席いただき、誠にありがとうございます。本日は本部会委員14名中、12名の出席をもちまして部会を開催させていただきます。なお、原田委員、溝渕委員は欠席との連絡をいただいています。
 さて、前回3月の部会以降、3名の委員に変更がありましたので五十音順に紹介させていただきます。まず、医機連の石川委員に代わりまして三田哲也委員が就任されました。続きまして日本看護協会の福井トシ子委員に代わり、松月みどり委員が就任されました。続きまして、本日ご欠席ですが日本歯科医師会の中尾薫委員に代わりまして溝淵健一委員が就任されました。また事務局に変更がありましたので紹介申し上げます。医薬食品局安全対策課安全使用推進室の渡邊伸一室長です。また医政局総務課医療安全推進室に宮本哲也室長が着任しましたが、のちほど同席します。
 この先、議事進行は外部会長にお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いします。
○外部会長 部会長の外です。どうぞよろしくお願いします。それでは今日の議事に従って進めてまいります。まず、資料の説明を事務局からお願いします。
○事務局 では、配布資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りした資料、まず一番上に座席表、続いて議事次第、委員名簿、配布資料一覧の順番に並んでいます。
 続きまして資料1「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医薬品-」、及び参考資料1、資料2「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-」及び参考資料2、資料3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」及び参考資料3です。続きまして資料4、医療安全関連通知集です。資料5は、PMDA医療安全情報をお配りしました。その他、参考資料として当部会の設置要綱等をお配りしました。資料は以上ですが、過不足等がありましたらお申し付けください。
○外部会長 それでは、この議事次第に従って進めてまいります。今日はお手元にありますように検討事項が3つ、そして報告事項、その他となっています。まず検討事項の1番目、医薬品、ヒヤリ・ハット事例等収集結果についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、事務局から説明します。資料1と参考資料1は独立行政法人医薬品・医療機器総合機構(PMDA)が医薬品の使用方法及び名称・包装等の物的要因の観点から、財団法人日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業の第23回及び第24回の報告書及びホームページ上の公開データ中の、ヒヤリ・ハット事例記述情報及び医療事故事例の概要について、結果を報告したものです。これを分類して事例を掲載しています。
 次頁、今回のヒヤリ・ハット事例等の内容です。医療事故関係につきましては医療事故情報収集等事業第23回・第24回報告書中の記述情報及びホームページ上の公開データから抽出した平成22年7月1日から12月31日の半年間の間に報告・公表された事例です。ヒヤリ・ハット事例につきましても、この報告書中の記述情報から抽出した平成22年7月1日から12月31日までの間に報告された事例です。また当該報告書中の記述情報から別途抽出した医薬品にかかる事例になります。医薬品に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表等の委員から構成されますPMDAでの医薬品・医療機器安全使用対策検討会で検討した内容を私どもに報告をいただいたものです。
 さて、今回の調査報告ですが、次頁の右側の表のとおり、記述情報177例について調査を行っています。
 医薬品の安全使用に関して、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例、そして製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、そして情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例、以上の4つの事例に分けて、4つの区分の事例の件数が書かれた表です。今般、報告の事例では製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例は1件、そして既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が10件です。そしてヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因する事例が155件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられる事例が11件でした。
 次頁、検討結果の調査につきましては、医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例としては、抗がん剤の販売名類似による取り違え事例です。この事例ですが、外来を臨時に担当した医師が前に担当した医師の紹介状に基づきノルバスクを処方しようとしましたが、ノルバデックスをノルバスクの後発医薬品と思い込み、その結果、ノルバデックスを誤って処方し、その後医師が代わったのですが、その代わった医師も11か月間ノルバデックスを誤処方し続けた事例です。ノルバスクとノルバデックスの名称類似性については、お手元の参考資料1の8頁及び13頁に記載がありますとおり、平成15年及び平成20年に医療機関に、この名称類似について注意喚起されたところです。また、製造販売業者においても参考資料1の19頁~31頁のとおり製品に関する情報提供がなされています。また、製品の改善もなされています。更に29頁のように、今回起きました事故の後、PTP包装シートが変更され、誤用防止策が実施されています。
 続きまして資料1に戻ります。資料1の2~4頁ですが、製造販売業者により既に対策がとられているもの、もしくは既に対策を検討中の事例として事例1、2、3、4、5、6番です。こちらはPTP包装シートの誤飲事例です。PTP包装シートの誤飲については参考資料1の35~40頁平成22年9月15日付の国民生活センターによる報告書を踏まえて32~34頁に記載のとおり、同日付で「PTP包装シート誤飲防止対策について」の通知を発出しまして、医療機関や薬局への誤飲防止の注意喚起、それから製造販売業者に対しましては、将来的な技術の進歩を見据えた包装の改良及び改善のための研究開発の継続を行うことを要請しています。
 元の資料に戻りまして、資料1の5頁~6頁です。こちらの7番~10番ですが、内服薬の処方せんの書き方に起因した事例です。内服薬の処方せんの記載方法については参考資料1の44頁から始まる、平成22年1月29日付「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について」の通知がありますが、資料の50頁、「薬名を製剤名で記載し、分量は製剤量を記載することを基本とする。例外的に、分量を原薬量で記載した場合には必ず【原薬量】で明示する」と示されています。以上が製造販売業者等により、既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の10事例です。
 資料1に戻ります。7頁からヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例があります。また85頁から情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例を載せました。これらについては時間の関係で説明は割愛させていただきます。なお、ヒューマンエラー事例に関しては日本医療機能評価機構において別途検討がなされまして、定期的に医療安全情報等を発出するなど注意喚起が行われていることを併せて申し上げておきます。資料1については以上です。よろしくお願いします。
○外部会長 医薬品に関するヒヤリ・ハット事例等の収集結果について、説明がありました。今回は対策が必要または可能と考えられた事例が1例、そして既に取られているもの、あるいは検討中というものが10例でした。いずれも、新しい問題ではなく、これまでにも議題に上がってきた、事例に上がってきた問題が、またここに新たに出てきているということです。名称類似、PTPそして処方せんの書き方等に関する問題点が指摘されています。この検討結果について、委員の方からご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
○森委員 日本薬剤師会の森です。いちばん最初の事例で、ノルバデックスをノルバスクの後発品だと思い込んでということで、前回の委員会で土屋委員から思い切った発言があり、ノルバスクであればノルバスクの後発品と名前を変えるという提案もありました。少し心配なのは、最近発売された後発品に関しては、一般名、剤形、規格、屋号という形で統一されているのですが、すべての後発品がそのようになっていない現状があります。以前に発売された後発品に関しても、そのような名称に変えることにより、名称が統一されます。これにより事故を防止できるのではないかと考えます。昔からある後発品の名称を変えなかった理由があるのか、それとも何年前かに出た通知以降に発売される後発品にのみ適用されて、そういう名称の付け方になったのか、教えていただければと思います。
○土屋委員 ブランド名を付けることが、やはり後発品の場合がエラーの誘因になるということで、確か2005年9月以降に承認されたものについては、先生がおっしゃったように成分名、剤形、規格、屋号ということで、ブランド名を付けることは罷りならんということになりました。当時これはパブコメにも出されまして、私もパブコメに応募して、既存のものもそうすべきだという意見は出したのですが、却下でした。やはり、今回のエラーは、先生がノルバデックスとノルバスクで似ているから後発品だと思い込んでしまったということがあるわけです。これは恐らくアルマトールとアルマールの場合と同じように、アルマトールと聞くとアルマールの後発品かと思うけれども、全く違う薬の後発品だったわけですね。これについては名称変更になりましたが、少なくとも1つのファクターとして、既存の後発品もすべて2005年以降発売されたものと同じようにすることが必要ではないかと思います。
 ただ、その点と、このノルバスク、ノルバデックスについて言えば、これは選択エラーのほうですから、各病院から見ると、いまどきノルバスクを使ってエラーを起こすということは、恐らくその病院の手順書に違反しているのだと思います。手順書の採用薬には、名称類似のものは採用しないなど、様々なことが記載されているはずです。先発品の併売品あるいは後発品が数多くある中で、わざわざノルバスクを使うのであるならば、余程の危険防止対策、事故防止対策を取っていなくてはいけないわけです。いまどきそれを使うこと自体は、恐らく事故が起こると。手順書を見ると、その病院の薬事委員会がおかしいと言われる日もいつか来るだろうと思います。
 ただ、今回のようにノルバデックスについては、前回疑義照会をしたけれどもノルバデックスでいいという事例もあったと思います。これは両方とも対策を取っていないですが、一方だけが対策を取ると。この病院は、警告も出ていないということは、恐らくノルバスクを扱ってないのだと思います。ノルバで入力するとノルバデックスしか出ない。だから、一方を止めたのだと思います。しかし、結局人間の思い違いというのは、両方対策を取らないと意味がない。そういうことがあるので、この名称の変更が必要であると考えるという調査結果が出たというのは非常に大事なことだと思います。製薬会社も名称が似ていると認識をしているのですから、唯一名称を変えられるのは製薬企業しか権利を持っていませんので、名称を変えないなら変えないだけの覚悟をしていただくしかないのかなという気はします。
 医療機関としても、こういったことが相変わらず10年間続いていることについて、そろそろきちんとしなくてはいけないものですから、思い切って両方とも成分名にするとか、抗がん剤とかという表示を、少なくとも選択エラーを防止するためにはやらなくてはいけないと思います。参考資料1に載っている製薬会社が取っている対策は、選択エラーではなくて調剤エラーを防止するための方策であって、起きているのは選択エラーですから、その対策をほかのことでやるのは、基本的にはあまり意味がないことになると思います。
○安全対策課長 後発品について、一般名を販売名にしようという議論があったときに、少し記憶が定かではないのですが、これからの新しいものについては順次やっていこうということで、過去のものについてもどうしようという議論が確かあったように思います。
そのときの議論では、やはり現状で全体を一気に一般名にしてしまうと、現場の混乱もあるのではないか、また、一方で一般名も似たような物があったりして、全てを一気に一般名に変えていくことが本当に安全対策になるのかという議論がありました。少なくとも、今後出てくる新しいものについては、新しいブランド名は付けないということでやっていくことになったと記憶しています。現時点で、もう一度それも考え直すというオプションも、もちろんないということはないとは思いますが、その辺りについてもまた議論をいただければと思います。
 それから今回のケースは、先生が先ほどおっしゃったように、ノルバデックスは採用しているのだけれども、ノルバスクは名前が似ているので採用を止めてしまった。しかし、ノルバと言ったらノルバデックスが出てきてしまってということなので、一般名処方をする、または抗がん剤が処方されたので抗がん剤の処方に対してもう少し調剤時に十分な注意ができる方法論がないのか、その辺りの対策も考えないと、難しいかと考えています。
○土屋委員 後発品がこれだけ使用推進される以上、要するにあの頃は使われていなかったので安全だったのですね。しかし、この5年間で後発品は使うようにという推進策がこれだけ取られました。後発品だと思い込んでしまうというエラーは、昔は後発品を使っていなかったからあまりなかったと思うのですね。ところが、いまは後発品を使うようになったから、逆に後発品だと思ったとしてもそれはおかしくないわけで、やはり環境が変わってきたことからいうと、もうそろそろ後発品は、少なくとも販売名は一般名でつくると。ただし、先ほど内服薬の処方せんの記載がありましたが、あそこは薬価基準に販売名ではなく、収載名を書けと書いてあるのですね。だから、そこで薬価基準収載名は○○の後発品としてしまえばと、先ほど森委員がおっしゃいましたが、そうしてしまえば販売名は正確にやるためにどんなに長くてもきちんとする。販売名で書くことが危ないのだから、例えば薬価基準収載名をこのようにすれば、それはブランド名が付いているものは短いから覚えやすいし、先生方は一般名も覚え、販売名も覚えられる。忙しい、またたくさんの医薬品がある中で、そのエラーを防止するというのは、分母を減らすしかないのですね。ですから、もうなるべく種類が同じものは同じ名前にしておくという対策を考えるべきで、少なくとも後発品にブランド名を付けてもいいということは、もう見直してもいい時期にきているのではないかなと思います。すべてがそのようになりますよということであったとしても、それは医療安全上むしろ使用推進策をやっている以上、対策を取らないと今後そういうエラーが増えてくることはあり得ると思うのですね。 それから、処方せんの記載方法とそれをどうするかは、また1つ別のファクターがあるかと思います。そもそも、日病薬とか、抗がん剤やワーファリンやジギタリス製剤、あるいは糖尿病用薬については、薬歴を取りながらやりなさいと、初回投与時には、最初は医師に確認することが望ましいと言っていたのですが、その後ずっと事故があったものですから、いまや「取ること」と決め付けて、初回投与時には絶対確認しなさいと。そういう状況下で、同処方が11カ月も続いたのは、まさにアルサルミンとアルケランが7カ月続いたと同様に、これは保険なら本当は査定されるはずだとも書いてありますが、それもやはりスルーしてしまっているのですね。本当はこういうところでもこいろいろ見つかるはずなのですが、現実見つからずに11カ月間投与され続けたということは、やはりきついですね。しかし、薬局側あるいは病院の薬剤部側の対応としては、やはり初回に必ず薬歴を確認をするということをきちんとやると。この間調査したところ、まだ薬歴を取らずにやっている所もあるようですので、これを徹底していくことは、医療機関側としても、それぞれがやるべきことをきちんとやるという意味からいえば、必要かと思います。
 それから、両方にというのは、まさにサクシン、サクシゾンのあの事故は、A病院はサクシゾンを止め、B病院はサクシンを止める対応をしたのですね。そこを移った先生が、サクシンと入力してしまい、サクシゾンだと思っていたら、サクシンだったということがありますので、要は医療機関によって取り扱いのどちらかだけをということの危険は、こういう例ですね。やはり、そういうときには両者のどちらかが何か対応を取ってあげないと、エラーはなかなかなくならないということになるのかなと思います。
○外部会長 問題がいくつか複雑に絡み合っているみたいですが、後発医薬品の件については置いておくとして、まずノルバデックスとノルバスクの名称類似に関して、今回はもう既に対策が取られてきたのですが、新たにこういう問題が生じたというわけです。この場合は、この患者さんは多分がんでない患者さんなのでしょうが、抗がん剤が11カ月間も処方されるような事態になっていたということで、今回は再発防止の観点から名称の変更が必要であるという調査結果を出しているわけです。ということで、今後これをどのように実効性のあるものとしてやっていくか。この辺りは、厚労省はこういう結果を踏まえて、どういう体制を取られるのでしょうか。
○安全対策課長 機構の調査結果としては、そのようなご報告をいただいているので、今後の各社のご対応にまた注目していきたいです。これまでの経緯からいいますと、名前を変えていただくこともすんなりと単純にすぐできることでもないので、私どもとしては、例えばタキソール、タキソテールでやったような一般名をもう少し大きくして表記をするとか、または、これはオーダリングのときの問題でもあるので、やはり一般名でのオーダリングであるとか、または抗がん剤ですよという注意喚起が出るとか、そういうオーダリングの時点での対策みたいなものを取っていかないと、今回のこのPTPの後ろに高血圧の薬ですというようなことを書いてあるというような、PTPの対応だけではできないことではあるので、もう少し何か知恵が出せないか検討したいと思います。
 そのためには、おそらく土屋先生にもご協力をいただいて、オーダリングの注意事項を改めて病院に徹底するということも必要かと思っています。
○外部会長 サクシン、サクシゾンが名称変更になったりしました。それから、ウテメリン、メテナリンもたぶん同じような形で変更することになると思うのですが、そういう形でこの薬もこれだけ数年以上出てきているわけで、かなり強い強制力をもって動いたほうがいいのかなという気はします。これについて、何かありますか。
○土屋委員 PTPへの薬効表示なのですが、本来なら抗がん剤を抗がん剤だと書くしか気づいてもらえないのですよね。ただし、そのことを書くことが本当にできるかといったときに、やはり使われ方や、いろいろ書いたときに、少なくともこの患者さんが抗がん剤と書いてあったら、それから薬情がどう書いてあったのかが気になるところなのです。ただ抗がん剤だというと、何か細胞に作用する薬ですとか何とか訳のわからない説明を付けたりすることもあるので、やはり薬効を抗がん剤に対して求めるということを、いまなお少し躊躇せざるを得ない部分があります。そうすると、患者さんに発見してもらうことが難しいとなると、もう薬剤師か医師か、そこのレベルで止めるしかないと。システム的には、もちろんそのような仕組みをやるのですが、勘違いをシステムで防止するのはなかなか難しいことです。
 前回か前々回か、タキソール、タキソテールで、一方だけは一般名にしておいて、一方をパスの中で商品名を使えるようにしておいたことを間違えたので、両方とも一般名にするとしたとか、要は事実上製薬会社がもし名前を変えないのであるならば、少なくとも処方せんの上からその名前を消すようなやり方をするしかないのかなという気はするのですね。ですから、製薬会社のやる気ひとつなのですが、やらないというのなら、それは対策がないというのではなくて、全国一斉にこのようにしましょうというやり方をするしかないのかなという気がします。
○大西委員 いまの議論では、後発医薬品の名称統一と類似名称での取り違えの2つの問題が混ざり、複雑になっている気がします。後発医薬品の名称に関しては、本会ではなく別に議論していくべきと思います。類似名称問題については、いちばん最初の事例の一覧表の事故内容および背景要因の概要としてまとめられているように、間違った思い込み、処方の間違い、調剤の間違い、それから途中に入るシステムの間違い、これらを全部通り越してしまって、結果的に事故になった。改善策も詳細にまとめていただいています。いまの議論も含めて、その改善策をやるべきだと思います。
 その対策の1つに、薬剤名称の話が出てまいります。販売名対策は商標の問題も含まれます。特に外資系のメーカーなどにとっては、ワールドワイドに使っている名称もあり、各メーカーの判断も入りますので、当局と当該メーカーとお話いただいて、変えられるものであれば対応するべきだと思います。商標としての取り扱いもあり、ただ単にすぐに変えましょうとならない。だから、過去から問題視されていながらいまに至っているのだと思います。担当局もご努力いただいていますし、メーカーとしてもできるものは対応すると思いますので、前向きに検討いただければと思っています。
○外部会長 ほかにいかがでしょうか。PTPの問題、それから処方せんの書き方等が、一応既に対策が取られているということで出ています。よろしいでしょうか。それから、後発医薬品の名称に関しては、恐らくこれからまだいろいろな形で議論が深められていくものだと思います。今回はここでの議題にはなっていませんので、次に回したいと思います。医薬品に関しては、よろしいでしょうか。
○土屋委員 内服薬の処方せんの記載方法の在り方検討会の結果ですが、1回量と1日量の所ばかりを強調されているのですが、あそこはすごく大事な所があります。散剤の事故を防止するための方策として打ち出していることがありますので、これはいまでもすぐ可能なのですね。ですから、ここのところをどうやって徹底していくかキャンペーンを張らないといけないのかと思います。昔からmgと書けば原薬量、gで書いたら製剤量という根強い少し違った常識が根付いていることも確かです。それを防止するために、今回は製剤量、ここは厚生科学研究で調査をしたときに、開業医の方はほとんどが製剤量で記載されています。病院が出すシステムだけが、レセプト段階では製剤量になっているのに、オーダリングのシステムのほうで処方せんをプリントアウトするので、それで原薬量になっていることが多いのですね。ですから、ここが病院と診療所でいちばん差がついた所です。開業医の先生方は、どうしてもレセプトシステムを使って打ち出すので、そうすると最初から保険のルールとしては製剤量を書けと決まっているわけですから、そこが徹底されているのです。しかし病院情報システムは、mgで書いたらとか、メイン単位、サブ単位を設けていて、どちらでも入力できるようにする、製剤量はレセプトではそうしているのだけれども、オーダリングシステムの段階ではまだ変換していないので、それがそのまま出ている状況です。
 ですから、ここのルールを必ず成分量あるいは原薬量で入れたら、そこに付記をしなさいというルールになっているので、これはまさにオーダリングでやっている所はそれがすぐにでもできることなのですね。だから、このことをやはりきちんとさせるということで、少なくともデフォルトが製剤量だよということを、きちんとしていく必要があるのだろうなという気がします。
○望月委員 いまの製剤量の所なのですが、土屋先生がおっしゃることはすごくよくわかります。レセプト上の記載は製剤量ではあると思うのですが、内服と一口に言った場合も、錠剤カプセルから散剤、シロップまであるわけなのです。錠剤から散剤に変わる人たちを目にしている医師の意識としては、10mgの錠剤が出ていた人だから、散剤は10mgで出しましょうというようなイメージにスライドするのではないかなと、私は思うのですね。そこに、少し無理がある。常に日頃錠剤で処方を出していて、錠剤として10mg錠を何錠、20mg錠を何錠という、成分量の単位での用法、用量が頭に入っている人たちに、突然10%の散剤だから何gという切り替えをすること自体に、少し発想に無理があると思います。そういう所から、基本的に考えていかないといけない部分もあるのではないかなと。
 これは、薬学で薬学生を教えている場合も、成分量で考えるのと、処方せんは製剤の量で書かれるのでという所を教育するときにも、結構苦労をしているところではあります。
○土屋委員 原薬量で書いてはいけないというのではなくて、原薬量で書いたら原薬量だと書けということを義務づけているのであって、その発想をどうしようとかそこまでノーと言っているのではないのですね。あくまでルールは製剤量なのだけれども、自分がどうしても原薬量で考えたほうがいいというときには、私は原薬量を書いていますよということを明記してくださいというのが、処方せんの書き方のルールとして決めたわけです。そこの発想までを否定しているものでも何でもないです。書き方の徹底としてそこをやれば、散剤に関する多くのエラーは防げるだろうということです。
○外部会長 原薬量は書かなくてもいいのですか。
○土屋委員 原薬量だったら書く。要するに、製剤量が当たり前だから、原薬量をどうしても処方せんに書く場合には、(原薬量)と付記してくださいと。つまり、mgという重さがmgという重さの単位ではなくて、力価を示すということで違う意味で使うので、1,000mgイコールgというものが、この薬の世界だけ通じていないのですね、自然界の法則が。だから、mgで書いたら力価だよという区分けがあるので、その代わりmgを重さの単位として使わないときには、そこに原薬量と書いておけば、薬剤師はそれでわかるわけですから、必ず書くようにと。製剤量は、むしろ製剤名を書いたら製剤量を書くのが当たり前なので、何々3錠というのと皆同じで、デフォルトがそうだよと。いちばんいいのが、アルサルミンなどは90%散であるにも関わらず、誰も原薬量で書かないのですね。あれは、みんな製剤量で、アルサルミンは3gだよと言うのですが、それはルールとしておかしいので、ルールをきちんと決めようとしたときには製剤量を書く、しかし、原薬量は許すから、その代わり原薬量と付記してねというルールなのです。
○安全対策課長 それは、オーダリングのシステムとしておけばいいのですか。
○土屋委員 それは、すぐできることです。だから、いま実際にやっている所は多いと思いますが。
○安全対策課長 それを、各病院で徹底をしていただくということですか。
○土屋委員 徹底も必要だと思いますね。今回散剤の話は、多くはそこの付記をしていない。むしろ、いまは製剤量を明記している所もあるかもしれませんが、少なくともそこのルールを基本的にきちんと守るということで、いわゆる散剤で起きている事故のほとんどは片付くだろうと思います。
○外部会長 現行のルールといいますか、厚労省からも発しているメッセージというのは、いま土屋先生がまとめてくれたルールが一応あって、それがどれだけ浸透しているかということになるかと思うのですが。その辺りは、まだ末端までは十分には行き渡ってないと考えられているのですかね。
○土屋委員 もともと、これはヒューマンエラー部会から出た話なものですから、物で対応するというこちらの部会では本当はなくて、ヒューマンエラー部会で検討会議に名前やいろいろなことで混乱があるので、処方せんの記載についてどうしたらいいのかをやったところ、そこで厚生科研でやりなさいといって返事が出て、ではこうしましょうという検討会がもたれて、こうなりました。ですから、あまりに1回量、1日量の話ばかりが注目されているのですが、もっと地道に事故を防ぐためのもうひとつの方策もきちんと書いてありますので、そこを徹底していただくのはこちらの部会ではなくて、むしろ本当はヒューマンエラー部会かという気はします。
○外部会長 教育等を含めて、薬学教育の中ではこのようなルールで教えているわけですね。その辺りは、またこれからもいろいろ出てくる可能性がありますが、監視していきたいと思います。
○望月委員 いま土屋先生がおっしゃっていたヒューマンエラーの部会の話になるのかもしれないのですが、今回見ていて調査結果の所で、連携という言葉がいくつか出てくるのですね。いろいろな連携があると思うのです。医師と看護師さん、あるいは医師、看護師対薬剤師、あるいは医師、看護師、薬剤師対患者さんあるいはその家族というような、いろいろなタイプの連携が不適切というか、うまくつながらなかった結果起こっている事例が、今回ちょっと印象に残りました。私はどうしても薬学の立場なので、薬剤師は何をしていたのだろうかという所を見てしまうのですが、持参薬のチェックをできるような人員が確保できていなかった、あるいは疑義照会をしたのだけれどもそれは無視されたなど、いろいろな形で注意喚起をうまく発することができない状況が、この連携の中に入っているというところについては、これはヒューマンエラーの部会なのでしょうか。きちんと検討いただいて、もう少しそこの連携がうまくいく方策を立てていける、あるいはもっと徹底するなりしていただくことが必要かなと思いました。
○外部会長 大事なご指摘だと思います。チーム医療の原点であって、それぞれの方がそれぞれの目でチェックしていくことが大事だと思います。あとは、よろしいでしょうか。それでは、検討事項の2番目に入りたいと思います。医療機器のヒヤリ・ハット事例等収集結果です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料2と参考資料2をご覧ください。こちらは先ほどの医薬品と同様で医療機器に関するものとして、「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-」です。内容について、分類して事例を掲載しております。
 報告内容として、医薬品と同様に医療事故関係については、医療事故情報収集等事業第23回・24回報告書中の記述情報及び評価機構ホームページ上の公開データから抽出した平成22年7月1日から12月31日までに報告・公表された事例です。また、ヒヤリ・ハット事例については、報告書途中の記述情報から抽出した昨年7月1日から12月31日までの間に報告された事例です。その他、報告書中の記述情報から別途抽出した医療機器に係る事例が報告対象となっております。
 医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例については、医療機器としての観点から、安全対策に関する専門的な検討を行うために、医薬品と同じくPMDAでの医薬品医療機器安全使用対策検討会において検討した内容を報告いただいたものです。今回の調査報告では、記述情報188例について調査を行っております。医薬品と同じく4つの事例に分けており、4つの区分の事例の件数を掲げている表です。
 今回、医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例はありませんでした。製造販売業者等により既に対策がとられている、もしくは対策を既に検討中の事例が13例ありました。そして、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が136例、情報不足等のため製造販売業者等による対策が困難と考えられた事例が39件ありました。検討結果の調査については、次頁から順繰りにご紹介申し上げます。なお、評価機構のホームページ上で製品名が確認できたものについては、不具合報告の有無についても確認をしております。
 製造販売業者等により既に対策がとられている、もしくは対策を既に検討中の事例として、1頁の1番、血管造影装置の故障事例ですが、造影装置の内部の電子回路の故障が原因で、当該製品による同様事例は発生していないということです。
 2番、人工肺の凝血事例については、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例は、人工肺の使用時に投与した医薬品がありますが、これによってヘパリン活性が低下した結果、ガス交換部に血栓様物質が付着して目詰まりしたと考えられております。この事例を踏まえて、人工肺の添付文書の「使用上の注意欄」に、医薬品の注入に関する注意が記載されました。参考までに参考資料2の2頁に当該品目の添付文書を付けております。「医薬品の投与に関する注意」にありますが、4頁、「静脈血入口ポートのルアポートより医薬品を投与する場合は、注意すること」ということで記載されております。
 資料2の2頁の3番、生検鉗子の破損事例です。この事例についても、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例は、心筋の検体採取が可能であったものの、検体採取後に鉗子の開閉不良が生じたものです。鉗子の使用方法が適切でなかったことに起因する事例と考えられております。同様の事例が複数報告されており、参考資料6~12頁に記載があるとおり、製造販売元においては同ロット製品の使用中止措置をとるとともに、適正使用にかかる情報提供を実施しております。
 資料2に戻って、3頁の4番、酸素カニューラの接続外れ事例です。この事例についても、薬事法に基づく不具合報告が行われております。また、参考資料2の13頁に添付文書を付けましたので、併せてご覧ください。この製品と酸素カニューラの接続の際には回転させながらねじ込む必要がありますが、本事例では回転させずに接続させたため、接続が不十分となり、酸素カニューラが脱落したものと考えられております。現在では、この添付文書において、参考資料2の13頁、操作方法または使用方法欄に適切な使用方法について記載しました。また、接続部の改良も現在検討中とのことです。
 資料2の3頁、4頁5番、6番の事例です。これは同一患者における人工呼吸器の換気停止事例です。当該事例についても、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例は、人工呼吸器の自動停止により換気不能となり、アンビューバッグを使用することとなった事例です。患者の呼吸が一定でなく、ファイティングと言われる現象が多発して、呼吸回路の内圧が急上昇して、人工呼吸器の安全機能が作動して、人工呼吸器が自動停止したと考えられております。なお、この製品については、現在も同一医療機関内で問題なく使用されているとのことです。
 4頁の7番、内視鏡洗浄装置の誤配管事例です。この事例についても、薬事法に基づく不具合報告が行われております。これは内視鏡洗浄器に洗浄消毒液を送り込むための配管が誤接続されており、内視鏡の送気送水管路の洗浄消毒が不十分となった事例です。現在は、配管の誤接続を防止するために、色分け等の対策が講じられております。実際の対策は、参考資料2の14頁です。上2枚の図が対策前の状態で、いちばん上が正常に接続されている状態、次が間違って接続した状態です。そして、対策後の状態が、いちばん下の状態になっております。このような対策が製造販売業者によって施されているところです。
 4頁の8番、無影灯の破損事例です。こちらについては、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例は、無影灯のアームのジョイント部に繰り返し機械的負荷が加わり、そのためにアームが折れてしまったものと考えられております。
 資料2の5頁の9番、超音波診断装置の故障事例です。これについても、薬事法に基づく不具合報告が行われております。この事例は、超音波診断装置に通電したところ、電源基板が焼損した事例です。この製品による同様事例は発生していないとのことです。
 資料2の6頁、7頁の10番、12番、13番です。こちらは皮下植え込み型ポート用カテーテルの断裂事例です。これまで皮下カテーテルの破損及び断裂については、事例が集積されております。そこで、平成23年5月25日付で、これらの製品の添付文書にカテーテル断裂について注意する旨を記載するとともに、医療機関へ情報提供するように指示しました。これについては、資料4の6頁に「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」という通知を、厚生労働省医薬食品局安全対策課長及び医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長から出させていただいております。これで添付文書の改訂を指示しているところです。
 資料2の6頁の11番、胃瘻チューブによる胃穿孔事例です。この事例についても、薬事法に基づく不具合報告が行われております。胃瘻管理中の小児において胃穿孔が発現しました。穿孔部の閉鎖術を行ったものの、術中に死亡した事例です。胃穿孔の原因として、胃瘻に用いた栄養チューブの先端に付いているバルーンのさらに先にあるチューブが突出していることが関与していることが推察されているところです。バルーンの形状については参考資料2の15頁に添付文書があります。右側に形状及び構造の図がありますが、構造の図の右下に、チューブ先端がバルーンから約5mm突出しているという記載があるとおり、この突出があります。今後、添付文書の改訂等の対策を講じる予定です。
 ここまで製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例を報告申し上げましたが、この資料の8頁以降はヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、57頁からは情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例です。これらについては時間の関係で説明は割愛させていただきます。資料2については以上です。よろしくお願いします。
○外部会長 医療機器に関する収集結果のご報告でした。これについて、委員の方からご意見があればよろしくお願いします。
○目黒委員 私は臨床工学の立場ですが、医療機器は機器単体使用からカニューレのように生体に入れておくものまでかなり幅が広いのですが、我々が扱えるものは、ここに出てくる中では人工呼吸器関係です。以前からなのですが、腹腔内などに留置したり、あるいは生体に対してある程度の処置を行いながら、留置あるいは操作するものについて、各科の臨床の先生たちが窓口になって、いろいろな対応を考える必要がありますい。あるいは、こういう情報をそういう先生たちに提供していかなければいけないと思うのです。以前から言っているように、病院の窓口がひとつにはなっていないような気がしますので、その辺を今後どうするのかというのは、今後もまた課題なのです。最近は、医療安全管理室がありますので、そういうところが窓口になって、いろいろ出していけるとは思うのですが、そういうのがまず1点です。
 医療安全管理責任者という名前の下で臨床工学技士、あるいは管理責任者の人が全ての機械は把握できない、管理しきれない部分がありますので、言わせていただきました。
 それから、医療機器に関していうと、障害の残存可能性があると。今回のように人工心肺のリザーバーという血液を貯めておく部分ですが、こういうのはメーカーも即座に対応して、使用中止にしたとか、そういう対策がとられているので、その辺に関しては迅速な対応と思われます。ただ、こういうことが起こることに関しては、凝固が起こらないような事前の評価等については、もう少し考えるべきと私は考えています。
 また、ヒューマンエラーのところになりますと、人工呼吸器のケースが多いので、今後、人工呼吸器については別途考えていかなければいけない部分はまだまだたくさんあると思います。
○外部会長 今回挙がった医療機器のトラブルといいましょうか、ヒヤリ・ハット事例等は、これまでも出ていた事例が多いとは思います。ただ、新しく出てきた事例も散見されております。こういうことに対して、一応既に対策がとられているということで書いてあるわけですが、ちょっと注目しなければいけない事例もあるのかなと私は思っています。
 特にいま指摘がありました人工肺の凝血事例については、私自身もあまりこういうことが起こることを知らなかったのですが、人工心肺中の回路にいろいろな医薬品を入れるわけですが、この事例は医療機器の問題と医薬品の2つが関係している事例かと思います。医療機器そのものは何も問題はないのですが、そこに医薬品を投与した場合に、その医療機器の容量が小さいだけに、薬の影響が強く出てしまう。それによってヘパリン化されている血液のヘパリン活性が低下して固まってしまう。こういうことが起きていたということです。たぶん実際に扱う臨床工学技士等、人工心肺を担当するパーフュージュニスト等は、その辺は知識として知っているのだろうと思うのです。ただ、このようにして出てみると、どういう薬が実際に禁忌、あるいは注意薬として挙げられるかというのは、先ほどの添付文書等には実際の名前は書いていないですよね。だから、やはり知らないといいましょうか、その辺の認識が不十分な人が扱うと、それは医師もそうですが、投与してしまうのではないかなというおそれを抱きました。
 対策としてこれでいいのかというのは、私は疑問に思ったのですが、具体的に薬の名前と、こういうものは注意しなさいよということを挙げたほうがいいのかなと思います。具体的にはこれはクロルプロマジンでしたか。
○安全対策課長 薬剤については公表されていないようです。
○目黒委員 PMDAの検討会では薬剤名は聞いていたのですが、実際まだこの辺の情報が明確なのかどうか、私自身もよくわからない部分があるのです。でも、これはメーカーでも再現性があったということなので、たしかPMDAの検討会のときに報告が。
○安全対策課長 情報があるのですか。
○事務局 結果報告がきています。
○安全対策課長 確認をさせていただきます。
○目黒委員 その辺をもう少し明確にすると、私の知っている限りでは、この情報が我々人工心肺を扱っている、体外循環の技術の技士、臨床工学技士に広範囲に伝わっているという感じではないので、その辺がいま心配しているところなのですけれども。
○外部会長 私の病院の技士さんに聞いたのですが、あまり詳しくは知らなかったのです。ですから、全国的にこういう事例があるということで、アラートといいましょうか、発して、再発防止に当たるべきかと思いました。特に昔は人工心肺の血液量といいましょうか、リザーバーの量は多かったのですが、最近は非常に小さな赤ちゃんの心臓手術も可能になって、それは容積が何十ccというか、非常に少なくて済むという利点はあるのですが、逆にそれが少ないだけに、凝固するような薬がちょっとでも入ると、すぐ凝固してしまうという怖いことが起こるということです。ですから、薬のほうの知識も必要だし、機器の知識も必要ということで、その狭間にあって、こういうことが起きているのかなと思いました。注意が必要だと思うので、その辺検討をお願いします。
○安全対策課長 わかりました。情報提供の仕方についても、検討させていただきたいと思います。
○外部会長 あと医療機器について、いかがでしょうか。
○三田委員 医療機器のことなので、医療機器の業界のほうからお話をしたいと思います。おそらく医薬品をこういうように使うということ自体がそもそも想定外であったと思うのです。大体、医薬品だと経口であるとか、静注であるとか、ワンショットで入れるのか、あるいは持続で入れるのかということがあると思いますが、血液がプールされている所に対して直接入れるという、これが果たして医薬品の使い方としてあり得るのかというところが、おそらく想定外であったというのがひとつあるのです。
 もうひとつは、医薬品の名前を公表することによって、それが本当にそういう使われ方をする医薬品ならいいのですが、そうではなくて適用外使用を助長するような情報提供になってしまってもいけないのかなとは思いますので、その辺は慎重なやり方が必要なのではないかとは考えております。あとは、本当に病院に情報提供を各メーカーがしていくに当たって、そういう使い方をしているのかということを尋ねていったときに、そういう使われ方をしているということが多数の病院から挙げられたら、またそれは行政のほうと相談させていただいて、いろいろな情報提供のやり方を考えていくとか、そういったことも考えていかないと。本当の安全使用の推進になるのかというところだと、ちょっと疑問が残るのかなという気がしました。
○外部会長 そうですね。ご指摘があったように、添付文書にはそこのところが「ルアポートより医薬品を投与する場合は注意すること」と書いてあるのです。ですから、本来はそういう使い方は問題になる可能性はあります。
○三田委員 ですから、そこの部分で投与するときにじっくり観察をしながらやってくださいと、そういった言い方しか多分できなかったのではないかというところも、いまの状況ではそんな気がします。
○外部会長 現場ではどうなのですか。
○目黒委員 私も体外循環が長いのですが、実際問題としてはそのような血液がプーリングされているものの中に薬品を投与するということは、かなり多くの所で行われているし、我々も行ってきた事実はあります。昔は外部会長が言われたように、薬剤が投入される部分が大きくて薬効作用が薄められる部分もありましたので、そのような現象が急激に起こるということはなかったのかもしれないのですが、最近は非常に小さくなってきて、部分的に血中濃度が非常に上がる。そうすると、薬効がすごく効きやすいという部分はあるのかと思うので、そういうことを念頭に、作る側もその辺を検討する。使用者側も、日常使っている薬品に関しても新しい薬品についても注意しなければいけないなというのは、注意喚起になると考えています。ですので、はっきりわかった時点で、皆さんのほうからアラートなり、注意喚起をきちんと広報していただければ、日常業務としても注意しながらやるということにはなると思います。
 いままでこれが見えなかったのは、小児の例なので、大人のように大きな容器の入れ物の中に入れた場合には、起こっているのか、起こっていないのか見えない部分もあるのですが、わかりにくかったのかもしれません。ということだというように考えております。ですので、使う側に添付文書によって薬の使い方の注意点を喚起するのか、その辺も今後考えていただかなければいけない問題かと思います。
○外部会長 ご指摘ありがとうございます。この辺はもう1回注意して見ていきたいと思います。
○安全対策課長 先ほど目黒先生がおっしゃっていましたように、現場に必ずしもこういう事例が起こっていること自体があまり周知されていないようですので、先ほど先生からもご指摘がありましたように、薬側の問題もあるので、ご意見を踏まえて、情報提供の仕方をもう一度考えてみたいと思います。
○外部会長 それ以外の事例については、よろしいでしょうか。次にいきたいと思います。3番目の「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料3と参考資料3をご覧ください。こちらは「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」です。医療機能評価機構が公表しております、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第3回、第4回報告書に該当する事例について、ホームページ公開データ、これは平成22年1月1日から12月31日までの間に報告された事例です。1万2,904例のうち、「規格・剤形間違い」「薬剤取違え」「その他」及び「疑義照会」に関する5,990例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から、ヒヤリ・ハット事例等収集と同様に、PMDAでの医薬品・医療機器安全使用対策検討会で検討された内容を報告いただいたものです。
 今回、医薬品の製造販売業者等による安全使用対策の必要性の有無について、「規格・剤形間違い」「薬剤取違え」「その他」、以上5,253例のうち、調剤行為に関係ないヒヤリ・ハット事例を除いた3,483事例及び「疑義照会」656事例について、調査を行っております。
 医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例は1件。そして、製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例は5件。ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が3,436件。情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例が41件でした。次頁には、疑義照会656例について、その理由等を分類した結果が示されております。
 次頁の検討結果の調査についてです。医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例として、糖尿病薬と高血圧薬との販売名類似による取違え事例です。高血圧薬であるアルマール錠10が処方されたにもかかわらず、糖尿病薬であるアマリール1mg錠を取ってしまった事例です。両剤の名称類似性については、これまでにも注意喚起や表示の変更等を行っており、現在業者による注意喚起文書については、参考資料3の1~3頁に入れさせていただきました。また、関係する通知は既に終わった医薬品のヒヤリ・ハット事例になりますが、参考資料1の1~18頁になります。
 製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例としては、資料3の2頁、3頁の高尿酸血症改善薬と排尿障害改善薬との販売名類似による取違え事例です。高尿酸血症改善薬であるユリノーム錠25mgが処方されたにもかかわらず、排尿障害改善薬であるユリーフ錠4mgまたは2mgを取り違えた事例が5事例報告されております。現在、製造販売業者において、医療機関への注意喚起が検討されております。
 ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例については、今回、資料が非常に膨大となることから、今日は配付いたしません。そして、Webページに掲載のみとさせていただきたく存じます。また、4~12頁は、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例になります。この事例については、時間の関係で説明は割愛させていただきます。
 13頁からは疑義照会の事例を3例ほど報告します。41頁の事例95番、排尿困難患者について、ウブレチドという医薬品です。こちらの医薬品の用量の上限については、平成22年3月に添付文書改訂が行われたところで、それ以後1日当たり5mgとなっております。しかし、排尿困難患者に1日当たり15mg処方されておりましたので、疑義照会を行い用量が変更された事例です。
 112頁の事例311番です。薬歴を確認したところ、これまでこの患者さんには高血圧薬のニューロタンが処方されておりましたが、この患者さんに抗精神病薬であるニューレプチルが処方されたため、疑義照会を行い処方変更となった事例です。
 133頁の事例380番です。ホクナリンテープ1mgが処方された事例ですが、こちらは処方された患者が2歳であったため、過量と判断して疑義照会を行ったところ、用量が0.5mgに変更になった事例です。その他の事例については時間の関係で説明は割愛いたしますが、今後、同様事例の集積を行い、対応を検討していきたいと考えております。資料3については以上です。よろしくお願いいたします。
○外部会長 薬局のヒヤリ・ハット事例等の収集結果でした。これは1年間の分ですね。昨年、平成22年1月1日から12月31日までの1万2,904例の中から、ここに事例として挙げています。ほとんどが「ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例」です。ただ、それ以外にも対策が必要という事例もあって、ここに書いてあります。「対策が必要又は可能」と考えられた事例として、アマリールとアルマール、糖尿病薬と高血圧薬との販売名類似でした。これは先ほどありましたノルバデックスとノルバスクの事例と同じようなことです。あとは既に検討中の事例ということで、高尿酸血症改善薬と排尿障害改善薬、ユリノームとユリーフとで、これについては既に検討中ということです。非常に多く挙げられています。症例としては、いっぱい集まっているところです。この検討結果について、何か委員の方からご意見はありますか。日常的に各病院には薬局からのいろいろな問合せがあって、私たちも疑義照会は毎日のようにあるところですが、こうやって挙げられることであり、いろいろな問題点が浮かび上がることになると思います。アルマール、アマリールについては、これでよろしいですか。
○森委員 いまご説明がなかった部分で気になっている部分があって、7頁から2、3頁にわたって、後発医薬品のことが出てきました。処方せんに先発医薬品が処方されていたので、前回までジェネリックに変更して調剤していたものを先発品で出してしまった例がいくつか報告されています。1つは、薬局ではきちんと前回の調剤情報を見て、そして調剤を開始するのですが、たぶん手順が守られていなかったために、こういう事例が多かったと思うのです。先ほど土屋委員のほうからお話がありましたが、これも後発医薬品の使用が進んだことによって、新たに起きるようになったミスではないかと思いますので、後発医薬品の使用の促進に伴って、今後どういうことを注意しなければいけないのかはフォローしていかないといけないのかなと考えています。
 それと同様で、後ろのほうに今回、配合剤に関してのヒヤリ・ハット事例があって、例えば配合剤の中に成分として利尿剤が入っていて、もう1つ別の利尿剤が投与されていて、それを疑義照会で止めた事例が何例か入っておりました。これもたぶん配合剤の使用が進んだことによって起きるようになった事例なのかなということで、配合剤はいろいろな意見があります。その中で、今後その辺も注意をしながら見ていく必要があるのではないかと思いました。以上です。
○外部会長 後発医薬品問題はかなり出ているようです。あと配合剤のことですね。この辺も注目していく必要があるかと思います。
○森委員 配合剤を調剤する場合、2種類の成分を一度頭の中で考えて、その後にそれぞれの規格を確認しなければなりません。その上で、例えば他科受診であるとか前回処方との相互作用等、きちんと確認をしながら調剤しています。ただ、そうは言っても、ちょっとその辺心配なところもありますので、少し注意してフォローしていきたいと思っています。
○外部会長 ほかに何かありませんか。薬局の収集結果はこれで終わります。検討事項は以上です。報告事項に入りたいと思います。「その他」ということですが、事務局からお願いします。
○事務局 事務局から報告申し上げます。資料4は前回の医薬品・医療機器等対策部会以降に発出された、医療安全関係の通知です。1~5頁は、「プラズマガス滅菌器に係る製造販売後安全対策について」です。プラズマガス滅菌器で滅菌する機材の材質によっては、滅菌条件に堪えられず劣化し損傷を来すおそれがあること。また、プラズマガスが内部まで行きわたりにくい構造の器材では、滅菌が不十分になる可能性があることから、プラズマガス滅菌器の製造販売業者に製造販売後安全対策を講じるとともに、医療機関への情報提供の徹底についてお願いした通知です。
 6~11頁は、先ほど医療機器の事例でも紹介しましたが、「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」です。こちらは皮下用ポート及びカテーテルを留置した患者において、カテーテルの断裂・破損が生じて、その中には断裂したカテーテルが心臓や肺動脈に迷入した事例が報告されております。ですので、長期留置によるリスクや留置の必要性がなくなった患者からの抜去の検討を、使用している医療関係者等が認識する必要性から、該当製品の添付文書の改訂と医療機関への情報提供の徹底について、お願いした通知です。
 12~23頁は「酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの取り違えに起因する健康被害の防止対策の徹底について」です。これは酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの取違え等の装置の誤接続により、深刻な健康被害を生じた事例が報告されたことから、取違え防止のための留意事項について、医療機関等への注意喚起をお願いした通知です。
 24頁から最後までは「『PMDAメディナビ』の利用の促進について」です。「PMDAメディナビ」とは、平成17年よりPMDAが実施している医薬品、医療機器等の安全対策等、その他の情報も含めた情報を電子メールにて迅速かつ簡便に提供しているサービスです。本サービスの活用のための意見交換会を実施したところ、その結果及び今後の課題が取りまとめられましたので、医療機関等への周知をお願いした通知です。資料4については以上です。
 続きまして、資料5をご覧ください。こちらは前回の医薬品・医療機器等対策部会以降に発出されたPMDA医療安全情報になります。1~3頁はPMDA医療安全情報No.23「インスリン注射器の取扱い時の注意について」です。インスリン製剤の過剰投与による健康被害が懸念されることから、インスリンの投与量の単位換算、インスリン注射器の種類の確認、注射器における単位表示等、インスリンの注射器の使用時の注意点を紹介しております。
 4頁以降は、PMDA医療安全情報No.24「ニードルレスバルブ使用時の注意について」です。ニードルレスバルブを使用する際に、薬液の流れを確認すること等の重要性や、バルブの構造を踏まえたシリンジとバルブの接続方法等と注意点を紹介しております。資料5については以上です。
 また、6月に、財団法人日本医療機能評価機構から医療事故情報収集等事業第25回報告書がホームページで公開されております。公表の際には、私どもから都道府県はじめ関係団体等へ報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再発防止及び発生の未然防止のために、報告書の内容を十分ご確認の上、共有すべき医療事故情報等の内容に留意するとともに、注意喚起をしていただけますよう、周知を依頼したところです。この報告書及び日本医療機能評価機構ホームページ上で公表されているヒヤリ・ハット事例記述情報等の中から、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価、対策の検討を加えていただき、その報告書を次回の部会でまたご審議いただきたいと考えております。以上です。
○外部会長 資料に基づいて説明がありました資料4と資料5ですが、資料4については医療安全関連の通知集ということで、プラズマガス滅菌に対する安全対策、これは今年の3月に出されたものです。プラズマガス滅菌に伴って、まだ不十分なところがあるので注意してくださいということです。
 「皮下用ポート及びカテーテルにかかる添付文書の改訂指示」も、以前から指摘されていることで、よく事例として挙がっていますし、今回事例も挙がってきていますが、こういうことをさらに警告や使用上の注意として挙げるということになっております。今年の5月に出された対策です。
 酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの取違いに関する防止対策ですが、これも非常に残念なことですが、以前から間違いがあって、なかなかそれが防げない。PMDAからは2009年に情報も発せられ、医療機能評価機構からも安全対策情報が流れていると思いますが、やはり起きてしまったということです。それに対して、もう1回ここに喚起がなされているところです。これは7月25日に出されたものです。
 PMDAのメディナビというのがあるので、是非活用してほしいということで、今年7月29日にお願いとして出されています。
 資料5については、いまありましたようにインスリン注射器の取扱い、さらにニードルレスバルブ使用時の注意等について、PMDAからの医療安全情報が作られております。全体を通じて、資料4、資料5についていかがですか。
○寺井委員 酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの取違いに関する通知、12頁からですが、報道でこのボンベの取違いがあったことを知って、そのあと比較的早い時期の通知でしたので、医療機関でも対策を検討とか実施しやすく、通知としてはありがたかったと思うのです。「医療機関で周知徹底すべき留意事項」として、13頁に3点の記載があるのですが、この中の2点目「医療用ガスボンベについては、使用時のみボンベとレギュレーター等を接続し、保存時にはボンベからレギュレーター等を外すことを徹底する」、これは医療機関ではなかなか実施が難しいと思います。当院でもいろいろ検討した結果、二酸化炭素ボンベではレギュレーターを外すことをし、臨床工学士の方が保管し、使用時には接続するということで落ち着いたのですが、なかなか実行が難しいこういったことについては、もう少し実行可能な対策を通知として連絡いただければと思いました。
 もう1点、先ほど部会長もおっしゃっておられましたが、短い期間に複数発生しているということがありますので、この3点を見ると、いずれも人の注意といったような観点が強いかと思います。いま一度、物での予防可能性はないのかどうか、ご検討いただければと思います。報道情報では、どうしてこの事故が発生したのか、詳しい事象がよくわからなかったのですが、ほかに何らかの物による予防の手立てがないのかどうか、いま一度ご確認いただければと思います。
○外部会長 酸素ボンベと二酸化炭素ボンベの事例については、詳しく検討されたのですね。実際の具体的なことについて、内容がここでは十分には伝わっていないかなと思いますが。
○目黒委員 たぶんこれは心臓の手術の術後の搬送時に間違えたケースですかね。心臓の手術の場合に、術後、心臓の中に空気が蔓延してしまうと、頭あるいは心臓の冠動脈等に行って、あとで後遺症が残ってしまうケースもあるものですから、比較的、炭酸ガスが使用されます。当院でも使っているのですが、私たちは間違えないという意識の下で使用しています。麻酔科や心臓外科の先生が間違うことはないかと思うのですが、先生か看護師さんか、黒の酸素と緑のボンベを間違えたのだと思うのです。いずれにしろ医療現場ではよく使われるものです。
 手術室などは特にそうで、腹腔鏡とか、お腹の手術などでも空気を入れると、血管の中に空気が入ってきますから、空気塞栓を起こしたりします。炭酸ガスだとそのまま血中に溶け込んでいくわけですから、空気の塞栓をつくりにくいということがあって、多用される場合があります。ヒューマンな部分だと、いま寺井委員が言われた部分だと思うのです。だから、臨床工学技士は当然、使われる目的などはわかっているわけです。心臓外科医もわかっているわけです。そのほかの新しく来られた方々、あるいは周りの先生たちがその辺を熟知しているかどうかがひとつ問題かと思うので、ヒューマンエラーの部分から見れば、教育なり、あるいは使用目的をきちんとレクチャーなりして、それを浸透させるというのが、いちばん効果のある方法なのだろうとは思います。
 あとは、つながらない方法を。炭酸ガスとチューブの太さが同じですから、そこにも問題があるのだろうと思うので、その辺を少し検討していったほうがいいかもしれないです。ただ、ひとつは炭酸ガスを吹き付けるための回路があるのですが、使い捨ての医療機器があるのです。そういうデバイス自身が酸素と同じような太さでつながるチューブでできていますので、それも日本製だったり、外国製だったりするのだと思うのです。最近、私も直接よく見ないのでわからないのですが。その辺を炭酸ガスの場合には考えていかなければいけないのかなと思います。ただし、数が多く出るものではないので、太さを変えたりすると、メーカーがどれだけ対応できるのかという部分があるので、そこは検討の余地がある部分だと思います。
○安全対策課長 結局この事例は、二酸化炭素のボンベを酸素のボンベと間違えて使ってしまったのですが、色が違っていたりしているのですが、間違えられてしまったのです。レギュレーターの酸素ボンベのほうにくっつくところは、二酸化炭素用と酸素用で形が違っていて、間違ってレギュレーターがボンベにくっつくことはないのですが、レギュレーターを付けてしまうと、さらに出てくるレギュレーターのこちら側は一緒になってしまうために、結局ここが違っていても意味がなかったみたいな感じで、そういうことで少なくともレギュレーターを外してもらうことは、現場で非常に難しいのではないかという議論は内部でもあったのですが、いまのところはそこをやっていただかないと、結局そこにレギュレーターが付いたまま置いてあるものは、物理的にはつながってしまうことになるのでということで、こういうことになったのです。さらに何かできないか、また事務局も考えてみたいと思いますが、もし先生方からもお知恵があれば教えていただければと思います。
○外部会長 結局はCO2ガス、二酸化炭素を医療現場で使う機会がだんだんと増えているのだと思うのです。それは非常に怖いガスなので、特殊な領域にしか使わなかったのですが、顕著な例は腹腔鏡手術がほとんどですので、手術場では毎日のように大量のCO2ガスを使っています。それはガス特定のヨークでつなげますから、そこから患者さんへ行くことはないのですが、いま指摘があったように、例えば心臓手術では吹きかけて手術をする。結局、患者さんに吸わせると同じような形で吹きかけるようなやり方で、CO2を使うという医療現場があります。そういう領域でCO2が使われ出すと、いま言ったように接続口の問題だけではなくて、実際に患者さんに吸わせるような流量で流れてしまう危険性があるのです。そこをどのようにするか。それはCO2につなぐチューブは決して透明にしないとか、何か別な形での対応をとらざるを得ないのかなと思います。いますぐにはアイディアが浮かびませんが、何か別の形の対策が必要になってくるかなと私は思っています。これに関して、あるいはそれ以外のことについてでも結構ですが、いかがですか。
○高杉委員 先週の金曜日に質向上に関するという、厚生労働省の新しい委員会に出たのですが、医療の安全を文化にするというのはなかなか難しいものだなと思いますし、今日の発表の事例でも、小さな事故が大きな事故につながらないように。これをまた防いでいくということなのです。いまの炭酸ガスにしても、昔の笑気と酸素と一緒で、絶対にくっつかないようにすればいいわけで、現場ではありもしないことが起こる。そこが怖い。それは知恵を絞って、そういうことが起こらないようにするしかないと思うのです。
 ちょっと話題が違いますが、厚生労働省がしっかり、いわゆるジェネリックを使えとおっしゃいますが、この前の震災で医師会はいっぱい薬を集めて、東北に運びました。その現場で困ったことは何かというと、ジェネリックの薬は何の薬かわからない。これはネーミングにしろ、何にしろ、薬剤師さんでなければわからないようなお薬では、どうにもならないというのを痛感させられた。ということは、ジェネリックをしっかり使えと言うのですが、このネーミングでわかりやすい方策をきちんとやらないと、薬を間違えてしまうのは当たり前ですし、いっぱい勝手に会社が名前を付けたら、これは全くわからない。先発品の名前は覚えているけれども、ほかの人はわからないことがいっぱいあるだろう。その辺で、これも薬の間違うもとにもなるし、非常災害時にはジェネリックの薬が全然活用されなかった場面がいっぱいある。これも安全と裏表に問題としてあるような気がいたします。これはあくまで話題提供です。
○外部会長 震災対応で、実際に現場では象徴的にそういう問題が現れてきたのだろうと思うのです。名称のことも含めて、今後、検討が必要かなと思いました。ほかに何か皆さんのほうからありますか。
○寺井委員 本日準備されたヒヤリ・ハットとか医療事故情報にはなかったのですが、ひとつ教えていただきたいことがあります。これまでの医療事故情報等収集事業にも、医療事故として、またはヒヤリ・ハットとしてベッドサイドレールに関連した事例が報告されていて、個別のテーマで特に報告書に整理してまとめてあった報告書もありました。第19回の報告書なのですが、ベッドの管轄が厚生労働省かどうかということを教えていただきたいと思います。私たちは医療事故情報等収集事業でも、ベッドサイドレール関連の報告が複数、何回目にも掲載されていたので、ベッドサイドレールに関連した転落を経験して、ヒヤリ・ハット、医療事故情報収集等事業にも報告しましたし、医薬品医療機器等安全情報報告制度にも報告したのですが、医療機器ではないといったような回答をいただいたりしておりますので、管轄省庁等ありましたらお教えいただきたいと思います。
○安全対策課長 少なくとも医療機器にはなっていないので、薬事法の対象品にはなっていないということで、このもの部会の対象品にはなっていないということなのです。
○寺井委員 そうしますと、19回報告書とか、個別のテーマで何度も取り上げられているようなことは、どこで検討されておられるのでしょうか。
○医療安全推進室長 医政局医療安全推進室です。医療介護ベッドの手摺りに関する問題といいますか、事故といいますか、そういった事象があることは、以前より話題になっていると承知しております。その中で、厚生労働省も私どもと主に老健局と注意喚起などを行うような、そういった対応を行っております。確かに医療機器かという点においては、医療機器ではないということに整理されてしまうわけですが、当然、医療現場における安全上の課題ですので、私どもとしてもフォローしていきたいと思っております。省庁間で、どこが主務となって行うべきかということについては、医療機器ではないということになりますと、消費者庁等の対応ということにはなってしまうわけですが、繰り返しになりますが、私どももフォローしてまいりますので、そういった中で今後とも解決を図っていきたいと思っております。
○松月委員 いまのご意見に関連して、これは省庁を超えた協同というのが、この会からそういう提案をして、そういうことが可能なのでしょうか。
○医療安全推進室長 ルーチンの対応ではないと思いますが、事象に応じて適切な対応をとっていきたいと思いますので、それはお話いただければ考えていきたいと思います。
○松月委員 また後ほど個別にご相談にうかがいたいと思います。このことはずっと繰り返し起こっていることで、過去の例で柵の間に首が挟まって亡くなった方もいらっしゃいます。これは単に柵の問題ではなくて、ベッドというものの構造の問題だと思うのです。差込み型のものもあれば、柵を倒すタイプのものもありまして、そういうものは何の規制も、コントロールもないということ自身が、私は非常に問題だと思っています。病院のベッドだけが安全であればいいかというとそうではなくて、これから高齢者、それから認知症の問題、どんどん増えてきますので、在宅または老健施設でそういうことが起こる可能性というのは、リスクとしてはこれから高齢者の問題というのは、こういうことが増えてくる可能性も十分あると思います。その辺のところはいったいどこで今後そういうことをきちんと検討していただけるのかというのは、非常に重大な問題だと協会としては考えておりますので、ここのところは積極的に取り組んでいただけたらうれしいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○外部会長 病院にある道具ですし、医療関連機器ということで、是非厚生労働省で頑張って検討していただきたいなという感じがします。
○医療安全推進室長 また相談させていただきます。
○外部会長 1つ私のほうから気になったのは、資料5の5頁、ニードルレスバルブの接続のことです。器具によっては先端の内径が小さいものとそうでないものがあって、小さいものは壊れて管が破損して、結局は注入できない。こういうものが制度上ルール化されていないのですかね。プレフィルドシリンジにしろ、先端の内径が。医療機器としてはこの辺はルール化して、こういうものを使う以上、当然ここから注射器で薬を入れる。そういう場所として存在するものですから、規格を統一すべきではないかと私は思います。そういうのに注意しましょうでは、やはりこういう例は起きてしまうのではないかという気がするのです。この辺は、まだ情報としてはいろいろなものが混在しているということですか。
○医薬品医療機器総合機構 PMDAのほうからお答えさせていただきます。ニードルレスバルブの使用によって、こういう液が注入できない、液漏れがあるということに関しては、7頁にも平成19年8月に、各社の添付文書の改訂を厚生労働省のほうから指示させていただいております。実は繰り返し発生している製品群としては、6頁にあるプレフィルドシリンジ製品の1例と書いてある製品群がほとんどの事例で、これらの製品はすべてガラス製のプレフィルドシリンジで、材質上、外径を分厚くせざるを得ないと。落としたことによって、ガラスのシリンジの口が破損しやすいことから、かなり分厚めに径を設定しています。そのため、内径が小さくなってしまって、一部の内管のあるニードルレスバルブとの接続が困難になってくるという事例なのです。
 だから、一般的なプラスチック製のプレフィルドシリンジでは、このような事例はほとんどないというように認識しています。ですので、ここに出てきている写真で紹介したガラス製のプレフィルドシリンジが、こういった内管のあるニードルレスバルブとの接続が困難で、破損させてしまう事例というように、いま調査したところ確認できています。また回避方法としては、内管のないタイプのニードルレスバルブが多数発売されていますので、こういった情報を共有していただいて、内管のないタイプのニードルレスバルブをご使用いただければ、こういった不具合は回避できると思っております。
○外部会長 ガラス製品を使っているのは、それなりの理由があるということですね。わかりました。
○土屋委員 メディナビの件ですが、これは7月の末に通知が出て、その後、登録がいっぱい増えたとか、そういう話はありますか。我々も医薬品安全管理責任者の講習会等では、こういう情報収集というのは、医薬品安全管理責任者に定められた責務になっているので、いまどきこれを登録していないようでは駄目だよという言い方で、促進はしているのですが、まだ全体から見たらなかなか進んでいないということです。その辺は、こういうはっきりした通知が出て、何か変化はあったのかどうか。細かい数字でなくていいのですが、どんな感じなのですか。
○安全対策課長 7月末に出させていただいて、といいますか、昨年11月から意見交換会をやって、この通知の後ろにもありますように、各関係団体のご協力もいただいて、去年の末から比べると随分増えてきてはいるのですが、8月中ぐらいで4万2,000を超えたぐらいのところなのです。今年度6万を目指しておりまして、さらに関係団体の先生方にはご協力をお願いして、最近は登録の仕方も非常に簡単になりましたし、発信する情報も、メールの内容を見ていただくとその場で大体わかるように、提供する情報もわかりやすくしてきているつもりです。一度見ていただければ、その良さは一目瞭然なので、是非推進していきたいと思います。
○土屋委員 特に前だと登録しておくと何でもかんでも来てしまう。というか、何でもかんでも来るようにチェックしておくからしょうがないのですが、今後、医薬品種の機能とか、いろいろなことでかなり工夫がされているので、必要な情報だけ来るということができたことは、すごく大事なことだと思うのです。だから、本来我々が自分でやらなければいけないことなのですが、こういう仕組みを作ってもらって、とにかく何で来たのか、すぐ分かるようになったというのは、そこはすごく大事なことだと思います。まず、情報を知ることから事故防止が始まると思いますので、我々も引き続き、もっときちんと使えという話を広めたいと思います。
○安全対策課長 よろしくお願いいたします。
○外部会長 全体を通じて、何かご意見はありますか。ほかになければ、事務局から追加でありますか。
○事務局 次回の部会の予定は委員の日程を調整して、ご連絡いたします。本日の議事録については、後日、委員の先生方に送付いたしますので、内容のご確認をお願いいたします。なお、修正・ご確認いただいたあとは、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○外部会長 それでは、これで閉会いたします。どうもご苦労さまでした。


(了)
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