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2012年5月21日 第5回腎臓移植の基準等に関する作業班 議事録

○日時

平成24年5月21日(月)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(2階)


○議題

1 腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準について
2 その他

○議事

○佐藤補佐
 それでは定刻となりましたので、ただいまから第5回腎移植の基準等に関する作業班を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただき誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。また本日は佐多委員よりご欠席のご連絡をいただいております。前回より約1年と期間があいており、事務局にも人事異動がございましたのでご紹介いたします。室長の間でございます。
○間室長
 臓器移植対策室長の間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。先生方には本当にそれぞれにお忙しい中をご参集いただきまして、誠にありがとうございます。前回の作業班から約1年から1年半ほど経過しておりますが、前回の作業班でご議論いただきました成果が昨年の3月のレシピエント選択基準の改正でした。本日の第1は、改正後の状況はどうなったかをまずご確認をいただきたいと思います。そして今回、膵臓の作業班の深尾先生から現在の法改正後の移植の状況を見たときに、膵腎の同時移植をどのようにしていったらいいのかについてご提案がございましたので、その点についても腎臓作業班の観点からご議論をいただきたいと思っておりまして、併せて、それは当面の話ですので、今後のことも含めて本日ご議論いただければと思っております。大変ごやっかいになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○佐藤補佐
 加賀山補佐でございます。
○加賀山補佐
 加賀山でございます。よろしくお願いします。
○佐藤補佐
 竹内補佐でございます。
○竹内補佐
 竹内でございます。よろしくお願いいたします。
○佐藤補佐
 永井主査です。
○永井主査
 永井でございます。よろしくお願いいたします。
○佐藤補佐
 私、佐藤でございます。よろしくお願いいたします。それではこれより大島班長に議事の進行をお願いいたします。報道の関係の方、カメラはご退席をお願いいたします。それではよろしくお願いいたします。
○大島班長
 おはようございます。それでは早速議事に入ります。最初に事務局から資料の確認をお願いします。
○佐藤補佐
 それでは議事次第に従い資料の確認をお願いいたします。まず資料1「腎臓移植の希望者(レシピエント)選択基準の改正後の状況」という1枚紙が1つ。資料2「膵腎同時移植の取扱いについて」、これが6枚の綴りになっております。資料3「膵腎同時移植と腎臓単独移植について」が1枚紙です。あとは参考資料となりますが、参考資料1が現行の腎臓移植のレシピエント選択基準。参考資料2が膵臓移植の現行のレシピエント選択基準。最後に日本膵・膵島移植研究会からの提案資料となっております。以上でございます。何か足りないものがありましたら事務局までお申し出ください。
○大島班長
 よろしいでしょうか。それでは議事に入ります。最初に間室長のご挨拶にもありましたように、前回から1年経っておりまして、その後どうなっているかの状況について事務局から説明をお願いします。
○佐藤補佐
 それでは資料1に従いこの1年間の状況を説明いたします。腎臓のレシピエント選択基準は平成7年から制定されており、平成14年に一部改正が行われております。その際にはHLA、阻血時間短縮のために都道府県内配分の点数を付けたこと、待機期間、また小児に加点をした改正がありました。平成21年の法改正に伴い、親族優先提供の規定を設けております。さらに昨年3月に比較的待機期間の短い16歳から20歳の患者に加点を行うこと。あとは地域と待機期間とHLAの配点の重み付けが少しアンバランスであったので、そこを補正するためにHLAの点数に1.15倍を掛けるという改正を行いました。議論の時期については示すとおりでございます。
 前回平成23年3月に改正して以降の腎臓移植の状況についてご報告いたします。昨年平成23年3月15日に現行の選択基準が施行されております。それから平成24年3月末までの間に199例の腎臓移植が施行されております。問題でありました年齢分布について表を示しました。平成23年3月15日から平成24年3月末までの間ですが、平成14年から改正までほとんど移植を受けることができなかった16歳から19歳の方が、3名移植を受けることができまして、改正の効果が見られるのではないかと感じております。ほかは特に大きなブレはない。またそれがいいことではないかなと感じております。報告は以上でございます。
○大島班長
 ありがとうございました。大体全体の経過についてはみなさんご存じですね。どの辺りからどのように何が問題で、どういう点検を行って、メジャーなチェンジからマイナーなチェンジをどのようにやってきたのか。ということで昨年変わったところの結果について今お話がありましたが、今の説明について何かご意見ございますか。
○相川班員
 質問が1つございます。この腎移植の数は199例となっておりますが、これは腎臓の単独の移植の数でしょうか。それとも膵腎同時移植も含まれるのでしょうか。
○佐藤補佐
 膵腎同時移植は入っていません。
○相川班員
 腎臓単独ですか。
○佐藤補佐
 単独です。
○相川班員
 はい、わかりました。では膵腎同時移植の数はここに入っていないですね。
○佐藤補佐
 はい、入っていないです。
○相川班員
 わかりました。
○大島班長
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にご意見がなければ先に進みたいと思います。
 それでは次の議事に入ります。現在、これも先生方はよくご存じかと思いますが、膵腎同時移植は優先的に行われておりまして、今回、膵・膵島移植研究会から膵臓と腎臓の移植の作業班に対して膵腎同時移植の取り扱いについて提案があった。膵臓移植の作業班でなく、腎臓移植の作業班に対して提案があったということですね。
○佐藤補佐
 膵臓移植の作業班に提案があり、膵臓移植の作業班から腎臓移植の作業班でも検討してください、ということです。
○大島班長
 そういうことですか。膵臓作業班に提案があって、そして腎臓移植の作業班に。一言で言ってしまうと、あまりにもその優先の度合いが強すぎるのではないかという、非常に謙虚なお話でして、その実態も含めて最初にその詳細について事務局から説明をお願いします。
○佐藤補佐
 それでは資料2に従いご説明いたします。今回の目的は、先ほど大島班長からご説明がありましたとおり、膵・膵島移植研究会より膵臓移植の基準等に関する作業班へ膵臓移植レシピエントの選択基準改正について提案がございました。詳細については参考資料3をご覧ください。
 提案の内容は、膵臓移植の第一候補、要するに移植の意思があって最終的に第1位となった候補が、腎移植後の膵移植または膵単独移植希望者、要するに膵臓しか必要としないレシピエントであった場合、そのレシピエントの事情で、例えば感染症がそのときにありましたという状態で移植が断念された場合、以後の選択は、腎移植後の膵移植または膵単独の移植希望者から行うこと。
 2つ目の○ですが、膵臓移植の第一希望、先ほどと同じ条件ですが、移植を受ける希望があって、最終的に第1位となった方が膵腎同時移植希望者で、臓器摘出術の開始以降に腎臓が移植に適さないと判明し、当該移植希望者が膵単独移植を希望しない場合、以後の選択は腎移植後の膵移植または膵単独移植希望者から選択を行う。
 3つ目の○については、膵臓移植の第一候補が、膵腎同時移植希望者で、臓器摘出術の開始以降に膵臓が移植に適さないと判明した場合は、腎臓はこれまでですとその膵腎同時移植希望者が希望すれば腎臓単独移植を行っていたのですが、腎臓はその当該患者ではなく、腎臓移植の希望者に腎臓を配分するようにするというご提案がございました。現行との比較については別紙をご覧ください。わかりやすいように最後に絵で示しておりますので、ご覧いただければと思います。
 現行では膵単独移植希望者が第1位になった場合、前提1の場合ですが、先ほど言った第1位の人が膵単独移植希望者だった場合、その方がレシピエントの事情で移植を断念した場合、その後またレシピエント選択が行われるわけですが、その次候補が膵腎同時移植希望者であった場合、もう既に腎臓の1位の方と2位の方が2人選定をそこでされているわけですけれども、その時点で2位の方が移植を断念しなければならないという状況になっております。そこで今回、学会からこの部分の改正案については、膵単独移植希望者、腎臓がもう2人決定している状態であれば、膵臓の方がレシピエントの事情により移植を断念した場合には、それ以降は膵単独移植希望者の中から選定を行うようにする、という提案です。
 前提の2、先ほど膵移植の希望者が膵腎同時移植の希望者だった場合、その際に摘出術を開始して以降、腎臓が移植に適さないとなった場合にどうなっているか。これはなかなか難しいと思いますが、膵腎同時移植希望者と腎臓の移植希望者が各1名決まっています。摘出術のときに腎臓が何らかの理由で適さないという判断になった場合、さらに膵腎同時移植希望者が膵単独移植を希望しない場合、現在ではもう1回セレクションが、すべての膵腎同時移植も膵単独移植も含めて行われております。膵腎同時移植希望者がまた選定されて、移植医がこの腎臓だったらやれると判断した場合は、ひょっとすると1人決まっている方の腎臓移植希望者の方が移植を断念しなければならない可能性があるということです。改正案としては、膵腎同時移植希望者がその際に膵臓単独の移植を希望しなかったら、次の候補からは膵単独の移植希望者から選定をしてくださいというのが改正案2でございます。
 最後のページ、前提3として、これがいちばん起こり得ることかなと思いますが、膵腎同時移植希望者の方が選定をされていて、膵臓が膵臓移植に適さないと判断された場合、今の状態ですと腎臓単独移植を膵腎同時移植希望者が希望した場合には、その方に腎臓の単独移植が行われているのが現状です。改正案では膵腎同時移植希望者にはその時点で腎臓の配分をやめる。そしてその時点で腎単独希望者の中から第2位の方の選定を行って、移植を行ったらどうかというのが今回の提案です。
 1枚目に戻り、今の移植の現状というものをお示しいたしました。現在、腎臓単独移植希望者、膵腎同時移植希望者で移植登録をしている方は、腎単独では12,376名、膵腎同時移植希望者は154名です。昨年平成23年1月1日から12月31日までに行われた腎単独移植は182件、膵腎同時移植は29件でした。検討しうる値かどうかはわかりませんが、この中の平均待機期間は膵腎同時移植希望者の場合は、1344.8日で、約3.7年です。最大で4,135日ということで11年、最少で53日です。
 次が腎移植で、n数が2,806名の中で平均が4227.9日、約14.2年で、約3倍から4倍近くになっています。最小値0日というのがありますが、これは親族優先提供のために0日という形になっておりますので、実際の親族優先を除いた場合では、もう少し長い期間になる可能性があります。腎移植を希望されている方の予後ということで、登録をしている形で亡くなっている方の数も一応調べました。腎単独移植希望者で待機中に亡くなった方は、2,814名です。この間の延べ登録者数は35,552人です。登録から死亡までの期間は大体7年ほどになっています。平成23年4月から平成24年3月までの1年間に亡くなった方は123名になっています。逆に膵腎同時移植希望者に関しては、待機中に亡くなっている方は31名、延べ登録者数は318名です。318名のうち31名の方が亡くなっております。登録から死亡までの期間は、膵臓を後から登録されている方が多いようで、この31名の間にブレがあるのですが、腎臓移植の希望登録から大体6.3年の間に亡くなっているということです。昨年度1年間に亡くなった方は2名です。ただここで注意しなければならないのは、透析を導入されてから10年、20年経って登録されている方もいらっしゃるので、必ずしもこれが正確な予後を反映しているものではないということに、注意して見ていかなければならないと考えています。
 先ほど、大島班長からもございましたが、おそらく理想的な配分の形はかなり時間のかかる検討が必要であると思っておりますので、将来像がどうあるべきかということと同時に、今回の膵・膵島移植研究会からのご提案をどう受け止めるかということをご議論いただければなと思います。以上です。
○大島班長
 いかがでしょうか。まず、今の説明について質問があればお願いします。
○飯野班員
 一つ基本的なことを質問します。第一候補が断念した場合ですが、第一候補で決まった場合と、第二候補あるいは第二候補以下で決まったその比率や実数はわかっているのですか。
○佐藤補佐
 そこまでは、わからないです。
○飯野班員
 ほとんど第一候補で決まっていたら、これはあまり意味がないのではないでしょうか。
○佐藤補佐
 第一候補といいますか、移植を受けますか、という意志確認をして、意志確認が終わった時点で1位になっている人という形なので、選定のときに意志確認をする前に1位の人というわけではないということです。
○飯野班員
 そうですか。そうすると、それがすべて決まっていたら、これはあまり意味をなさないわけですね。改定しようという意味としては、この差があるからそれを縮めようとしているわけですよね。
○大島班長
 質問の言い方を変えれば、膵腎のほうからこういう提案があったということは、ある一定の頻度があるから提案があったわけですね。
○佐藤補佐
 これまで膵腎同時移植が脳死で行われるようになってから、数例です。実際、膵腎同時移植希望者が腎単独を受けている場合は、4例ほどと聞いています。
○大島班長
 今までのやり方を、こういうやり方に変えたら、何例ぐらいに増えそうなのですか。
○佐藤補佐
 その実数はかなり少ないとは思います。
○大島班長
 それほど多くはないわけですね。
○佐藤補佐
 多くはないとは思います。ただ、先ほど言っていた、腎単独の方がレシピエントの条件によって膵単独移植を断念して、次の2位の方が膵腎同時移植で、腎臓が2位の方からそちらの方に移った事例は数例、またそれもあるようです。ただ、それは腎単独としてカウントされてしまっているので、明確な数字はちょっと出せないです。
○相川班員
 よろしいですか。いちばん臨床上問題なのは、前提1のこの図式のケースで、膵臓単独移植の希望者が出て、2人にネットワークから連絡があって、腎臓の単独移植の希望者が2人選定されます。2人目の第2位の方も、実は病院に入院していろいろ検査をするわけです。当然期待を持って入院をされて、いろいろ検査をするわけですけど、そのあとこういうことが起こって、実は膵臓単独だったのだけれども、次の方が膵臓と腎臓と両方を希望されているということで、第2位の方は入院して検査をしたにもかかわらず、断念をしてまた退院をしなければいけない。ですから、これは患者さんにとっては一瞬夢を見させた後で、検査もした上でそれでも移植ができないということで、非常に辛いことになると思うのです。臨床上、我々の移植医療を担当する者も、こういう目に出くわすと、どうしてこういうことになってしまうのかなと、非常に複雑な思いになるわけです。
 もちろん患者さんはどなたかが助かるわけで、それは平等性からいってそうなんですけれども、少なくともこの膵臓単独の方が断念をされたあと、その次の方が膵腎同時で腎臓を移植に使ってしまうと、第2位の方は先ほど言ったとおり余儀なく退院をしなくてはいけない。こういう点で、非常に私は問題があると考えておりました。ですからこれを、膵臓の作業班のチームから、本来は膵臓移植をたくさん糖尿病の方にやりたいと思うのですけれど、そういうふうに謙虚な形でこういう申し出があった。私は腎臓移植医としては非常に感謝をしています。少なくともこれだけは改正していただかないと、臨床の現場では非常に混乱が起きると考えています。以上です。
○湯沢班員
 しかもこの問題を複雑にしているのが、本来我々移植医が1時間ルールと言って、オファーがあったときに1時間以内に返答しなければいけなくて、それで患者さんを選定していくのですが、膵臓移植の場合、少し事情が異なりまして、異なるというかそれを守られないことが結構あるのです。それは移植施設が限られていて、患者さんが遠方にいる場合に、それで患者さんの状態はどうかというのをすぐに判断できないのです。ですから、1時間以内の返答なんかとても無理で、何時間もかかってから適さないという判断が来たがために、実はこの第二候補の人がもう何時間も移植に備えて待機していたわけなのですけれども、何時間も経ってから駄目だったという話が、実際には起きているわけですね。縷々、移植医の間でのレシピエント側の返答が、膵臓移植の場合、特に遅れてしまうことがもう一つ問題を複雑にしています。
○両角班員
 たぶんこの背景として、膵・膵島移植研究会の中では、あまりにも腎単独と膵腎同時移植の方の待機期間に差がありすぎるところを非常に重たく受けとめられて、どうしたら是正できるかという中で、出てきたと伺っています。その中で、今回の提示内容に変更する案が出てきたと聞いているのですが。もう1つ、レシピエント側の条件について検討され、その中で年齢要件が論じられたという話を聞いているのですが、何か情報をお持ちですか。65歳ぐらいまで現在の膵移植は行われているところを60歳ぐらいにしたいとかですね。
○佐藤補佐
 それはドナー側ですか。レシピエント側ですか。
○両角班員
 レシピエント側です。
○佐藤補佐
 そこは伺っていません。
○両角班員
 そうですか。年齢要件を検討し、特に、リスクの高い患者さんに関しては、もし移植が行われたとしても長期予後の改善につながらないとするならば、それはいかがなものかというようなことですね。たぶん膵臓移植適応検討委員会の結論として出てくるものではないのですけれども、私が聞いている範囲では、そういうアプローチをしたらどうかというところまで出てきているのですね。今回の提案事項としては上がってこないのですけれども、どの患者さんが例えば膵腎同時移植のいちばん良い適応があるというところに関して、I型糖尿病症例であることは決まっているとしても、その中のリスク評価に関していうと、膵腎同時移植に関しては厳格な書類審査での評価が行われていますけれども、それでも登録して1年以内に亡くなっている方がありますよね。もちろん腎臓でも移植後死亡例はあるはずですけれども、そこに加えて登録後待機の非常に短期間のうちに亡くなる方が一定の数あることから考えれば、やはり医学的に最も結果のいいということを重視した適応に関するディスカッションが、今日の委員会の場とは違うのですけれども、本当は要るのではないかと思います。
○湯沢班員
 1つ整理しておきたいのですが。この膵・膵島移植研究会からの配分ルールの変更1〜3があって、これは膵腎が下りたときや膵単独が下りたときの話ですけれども、これで腎臓にある程度いくことがはっきりして、その2番目に先ほどお話がありました膵腎より腎臓のほうが、だいぶ待機年数が長いなどの問題が解決されることではないのですね。
○佐藤補佐
 今回の改正により大きく改善されることはないと思います。
○湯沢班員
 問題としては、まるっきり2つ別の問題を今日討議すべきことだと思っていいのですか。
○佐藤補佐
 そうですね。配分として腎臓のほうに少し歩み寄るということです。
○湯沢補佐
 恐らく数例ですよね。
○佐藤補佐
 確かにそうですね。
○湯沢班員
 数例で腎臓移植が行われるということですね。というのは、私はこの膵腎が優先されていることについて、腎臓の人が不利益を被っていることについて、実は私はいろいろなところで講演を頼まれる度に発表しているのです。それはこれで待機年数を見ると、腎臓は14年となっていて、従来からの14年と同じではないかというと、実は大きな間違いで、今回小児にある程度優先がいきました。それから親族優先で、0日が出てきたりとかということで、結果的に14年なのです。私は試算をしてみたのですが、成人で待機年数17年になっています。それは今回の改正、臓器移植法の改正と配分ルールを変えたことによって、小児にある程度いくことになったことを踏まえますと、成人の献腎移植希望患者さんの待機年数は増えて、はっきり言えば不利益を被っていると。これをやはり何とかしなければならないということを大きな問題として考えています。
○大島班長
 先生、もう少し詳しく説明してもらえますか。小児を入れた待機年数を計算すれば14年だけれども、という意味ですか。
○湯沢班員
 そうではなくて、腎単独で、成人が今までは14年ぐらいと言われていたのが、配分ルールが変わったことと臓器移植法が変わったことによって、膵腎にいってしまうことと、小児にいってしまうことによって、成人はむしろ回ってこなくなってきているわけです。
○大島班長
 そうすると、いまここで14年と出ていますね。これはなぜこういう数字が出ているのか。
○湯沢班員
 これは小児と親族優先が入っているからです。
○大島班長
 小児と親族優先が入っているために、こういう数字が出ていると。
○湯沢班員
 はい。成人だけに限って考えますと、ある程度の期間で統計を取ってみますと、待機年数が17年になっています。それは従来14年であったことが17年になっているわけで、献腎移植希望登録の患者さんにとってはむしろ不利益だということで間違いないと思います。
 これは膵腎、膵・膵島移植研究会からの申し出だけではなくて、やはり機会があれば私たちも言いたかったことで、腎移植の作業班としては何も良いことがない。むしろいろいろな点でマイナスになって、少なくとも成人の献腎移植希望患者さんについてはマイナスになっています。機会があれば、いくらでも言いたかったことなのですけれども、やっとここで言うことができました。
○飯野班員
 基本的な考え方として、膵腎移植の人に優先をするか、腎臓の人と平等にするか、考え方をどうするかの問題だと思うのです。
○両角班員
 私もそう思います。臓器移植法が改正されたことにより、大幅に脳死下での臓器提供が増えて、絶対的なドナー数が増えれば、こういう問題は起きなかったのですけれども、n数は変わらなくて、心停止後が減ってその分が脳死下に変わっただけという中で、その分で膵腎同時移植が増えてしまったことにもなっている。本質論から言えば、やはりドネーションを増やすということが基本にならないと、たぶんこれはどこまでいっても公平感の是正にはなりえないのです。ですから、どの作業班が、アンバランスを直そうと小さな修正案を提案されても、基本的なところから言うと、もう全然直らないだろう。やはり腎提供、すべての臓器提供を増えるような形に変えない限りは、これはものすごく姑息な論議だと思うのです。
○間室長
 いろいろご議論ありがとうございます。1つは同じ事象を膵臓の側から見たものと、腎臓側から見た場合では、風景が少し違うと思うのです。今回のレシピエント選択基準を仮に膵臓作業班からの提案のようにやったとして、ではいったい何件変わるのかというところは、先生方も気にされているとおりだと思います。それほど大きくはないのかもしれません。1万2,000人もお待ちになっている中で、どれほどのインパクトがあるのか。ただ、膵腎同時移植を待っている方からすると、実はそれなりのパーセンテージになる可能性があるというのは1つあると思います。
 もう1つは、先ほど相川先生からお話がありましたように、現場での対応という意味で見たときに、今回の膵臓作業班のご提案を一歩前進であると捉えるのかどうか。当面のものとして、前進していくのかどうかというのが、1つご判断として、ご議論としてあろうかと思います。その上で、さらに両角先生、湯沢先生も恐らくお考えなのだと思いますが、もうちょっとより本質的な腎臓作業班として、あるいは腎臓の待っておられる方々に対してどういうことができるのか、どうすべきなのかについてのご議論というのが、恐らくもう1つあるのだろうと思います。そこをできれば一旦区切っていくような形でご議論いただけますと大変ありがたいと思います。
○飯野班員
 この提案は前向きだと思います。それは賛成しています。
○大島班長
 私がまとめるところを、間室長がまとめてくれました。とりあえずフリーに言いたいことを言っていただいて、その次に間室長のご提案の方向で議論を整理していきたいと思います。
○相川班員
 膵臓移植、また膵腎同時移植に関しては、既存のルールは外国で行われているルールと全く同一で、基本的には脳死下の場合、膵腎同時移植にいくというのが当然のことです。ただ、今問題になっているのは、トータルの数が限定されている。しかも、脳死下がいま大体30〜40%の4割ぐらい。しかも脳死下で摘出した膵臓を使わないわけにもいかない。そんなもったいないことはできないということになりますから、当然だからその点では膵腎同時移植、または膵臓移植はどうしても脳死下ではやるべきだということはもうわかっている。その上での議論ですから、何も膵臓移植をやるなと、腎臓移植の作業班で言うわけではなくて、それはもうやっていただいて結構なのですけれど、少なくとも第2の選択のときには、考慮をしていただきたいと思います。
○大島班長
 いかがでしょう。脳死下と、心停止下の膵臓の移植では、成績に違いがありますか。
○佐藤補佐
 今、ほとんど心停止はやっていらっしゃらない状況です。
○大島班長
 今全然やっていないということですか。
○両角班員
 今、膵島移植も止まっています。
○大島班長
 ということは、これは脳死下のものと考えていいわけですね。
○佐藤補佐
 はい、そうです。
○両角班員
 全部脳死下です。
○大島班長
 わかりました。
○相川班員
 もう1つ言うと、膵臓移植をやっている先生方は、ほとんどの先生が腎臓移植をやっているのです。腎臓の単独移植もやっているので、その辺の苦しさは十分膵臓移植の作業班の先生方も理解されていると私は考えています。その中のご議論でこういう提案がなされていますので、やはりそれは腎臓移植に対しても全く素人ではないわけで、実際自分たちがやっているわけですから、やはり重く受けとめていいと私は考えています。
○大島班長
 いかがでしょう。例えば、前提1の1番目の提案ですけれども、この場合には、現行のあり方では腎臓移植希望者の2番目を準備していても、実際にそれはありえないということと同じなのですか。
○佐藤補佐
 ありえないというのはどのようなことでしょうか。
○大島班長
 膵腎同時移植のところに、あくまでこれは2番目の希望者しか書いてないのですけれども、もし2番目の希望者も膵腎同時移植が駄目だった場合に3番目にいくわけですね。
○佐藤補佐
 そうです。
○大島班長
 ということは、ちょっと極端な言い方だけれども、2番目の腎臓移植希望者が腎臓を受けることができるというチャンスは、1番目の腎臓移植希望者が駄目になった場合にしかありえないということですね。
○佐藤補佐
 そうです。2位の方が受けるということであれば。
○大島班長
 全体のご意見としては、非常に良い話しということです。当たり前というとちょっとよくないけれども、これはごく自然な1つの流れで、現場から言ってもこのほうがありがたいし、全体の配分のあり方から言っても極めてリーズナブルではないかというようなご意見が圧倒的に強いのですが。これは腎臓の作業班という立場から言えば、そういうご意見が非常に強く出てきても、ある意味では不思議でもなんでもないという感じがします。実際には、こう変わったからと言って、現状では具体的に待機期間に影響するというほど大きなものではないというのも事実なのです。ただ先ほどの見方で膵臓の側からいくと、待機のn数が小さいことを考えると、膵臓の待っている人からの喪失感が大きいということは言えるかもしれないですね。1万2千とか1万3千という側からいけば、年間に2例増えるか3例増えるかというのは、そう大きな影響にはならないけれど、膵臓の20何例しか待っていない側からいくと、大きなチャンスを逃したという感じが強くなるということは言えますね。いかがでしょう。
○相川班員
 よろしいでしょうか。これを見ると、待機期間が平均膵臓または膵腎同時移植で3.7年と腎臓単独移植では14年、先ほど成人だと腎臓単独移植は17年になるという話でしたが、問題は膵臓移植をお待ちになっている方の生存期間が、極端に腎臓移植を待っている方の生存期間と違うということであれば、やはりそこも考慮に入れるべきだと思うのです。この試算によると、膵臓移植、膵腎臓同時移植を希望している方は6.3年。腎臓単独の場合は7.4年ということで、糖尿病ですから当然生存期間は短くなるとは思うのですけれども、1年程度のものと考えればそれほどものすごく生命のリスクがあるために、膵臓移植をとにかく早くしなくてはいけないということではないと思います。
○大島班長
 次の膵臓移植希望登録からの期間が3.6年というのは、これはどういうふうに解釈すればいいのですか。
○佐藤補佐
 人によっては先に腎臓移植を希望されていて、後から膵臓移植を希望されるという方がいらっしゃるようで、時期がずれています。
○大島班長
 それは膵機能がおかしくなったから登録するようになったのか。
○佐藤補佐
 そこはちょっと具体的にはわからないのですけれども、透析に入って登録を腎臓だけ先にされて、後から膵臓を登録されているのか、その辺の詳細はちょっとわからないのですけれども、時期がずれているようです。
○大島班長
 一般的に考えれば、まだ移植をするまでの段階ではないと考えますね。だから移植を受けなければいけないほど膵機能の状態が悪くなってきたということ。
○両角班員
 全部I型糖尿病ですから。
○佐藤補佐
 その患者さんは元々膵機能がないのです。
○両角班員
 元々膵機能がない人たちですから。
○大島班長
 そうか、そうするとその人によって登録の時期が違うのですか。
○佐藤補佐
 登録の時期が違っているということです。たぶんたとえばインスリンの反応性の良さとか悪さということもあるのかもしれませんけれども、数字を出してみたら実は一緒に登録をしていなかったということです。もう1つの問題は、膵臓の登録をするまでに、どうしても一応学会の判定委員を通してからというので、腎臓だけ先に登録をして、膵臓はどうしても判定委員の返事が返ってきてから登録をしているということで、そこで数カ月のタイムラグが生じることがあると、ネットワークから聞いていますので、そういうところもあるのかもしれません。それにしてはかなり落差がありすぎなので、それだけではないと思います。
○両角班員
 たぶん違っていて、中央評価委員会に膵腎同時移植を申請すると、中央評価委員会から地区の評価委員会に下りてきます。そこでの審査そのものは比較的速やかで、1カ月ぐらいで回答していますので、おそらく中央に戻っていくのは遅くとも2-3カ月ぐらいで戻っていますので、おそらくそこで登録可能かどうかは決まります。多分遅れた理由は、膵腎同時移植という治療法の現実味がなさ過ぎて、日本では脳死下での臓器提供がなかったということもあって、患者さん自身が行わなかった。腎移植だけやっている形でいたのだけれども、少し臓器移植に関わる論議が増えていく中で、膵腎同時移植がこういう形で登録できるということがわかってきて、後になって増えたのではないかというのが、予測されるシナリオです。
○大島班長
 いかがでしょう。その辺の実態についてもよくわかりませんね。
○佐藤補佐
 そうですね。その詳細がネットワークからの情報だと捉えにくいものですから、少し事情を聞く必要があります。
○相川班員
 どちらにしても膵腎同時移植の平均待機期間が3.7年で、膵臓の登録希望をしてから平均死亡期間が3.6年ということで、ほとんどなんとか平均的には間に合うように移植が膵腎同時移植の場合にはできているのです。ところが、腎臓単独の場合は登録してから平均死亡期間が7.4年と平均待機期間が14.2年ですから、これはもうどう考えても、間に合うような状況で移植ができていないと考えていいと思います。
○大島班長
 いかがでしょう。
○服部班員
 献腎移植の実情もよく判っている膵・膵島移植研究会からの提案ですので、まずはこれを受け入れてみて、資料1の表のような形で、今後の変化をみてみるのがよいかと思います。議論も大ですが、実際にそれで運用してみてどうなのかということを今後検証することが第一歩としてはいいのではないかと思っています。
○大島班長
 いかがでしょう。全体としては誰からも異論はないということで、そのまま受け入れても特に問題があるというご発言はどなたからも出ていません。1つずつ確認していきますけれど、前提1について、こういうやり方でよろしいですか。何かご意見ございますか。まったく問題ない。よろしいですか。
○飯野班員
 ちょっと膵臓移植のほうをよく知らないのですけれど、膵腎同時移植希望者と膵単独希望者と、どのくらい違うのですか。
○佐藤補佐
 人数ですか。
○飯野班員
 はい。膵単独希望者がこれでなくなってくれるのではないかということは。
○佐藤補佐
 いま全体で、200名弱の方が膵臓移植希望者のリストにありますけれど、そのうち154名が膵腎同時移植希望者です。
○大島班長
 いかがでしょうか。よろしいですか。前提2についてはいかがですか。
○両角班員
 前提2というのは少しわかりづらいですね。非常にわかりづらくて、摘出開始以降に腎臓が移植に適さないという条件が出てきた場合に、その時に腎臓は2つあるわけですよね。その片方はどうなるかということが考えていないですよね。
○佐藤補佐
 そうですね。どちらかというと膵腎同時移植希望者に適していない場合ということを考えてしまったのですけれども、そうでないと下段が成り立たないと思ったのです。
○両角班員
 でもその後で、再選考して膵腎同時移植希望者が見つかれば、移植医が腎臓移植を可能と判断すれば膵腎同時移植をやると書いてあるわけですね。なんともこの辺りの意味する状況が分かりにくいですね。
○大島班長
 具体的にたとえばこういう場合があった、ああいう場合があったという話はありますか。
○佐藤補佐
 これ自体についてはあまりないと思います。
○大島班長
 頭の中で考えるケースとしては、たとえば開いてみたら1つの腎臓は萎縮腎でとても使えないという、ケース。あるいは両方とも駄目だというケースもあるだろうし、いくつかのケースがあります。開腹してみたらこれぐらいの状況であったと。そうするとその判断については、ある移植医はそれは使えると言うし、ある移植医はそんなのは駄目だと言う。そこの最終判断は移植医の物の考え方で決まるということを言っているのでしょうか。
○佐藤補佐
 多少なりとも施設による差があるかと思います。
○大島班長
 それは仮にあっても、こういうルールの中に入れるというのはまずいでしょう。最終的には使うか使わないかは移植医の判断で決めましょうというのはよくないので。
○相川班員
 よくわからないのですが、レシピエント側の原因で膵臓移植はできるのだけれども、腎臓移植ができない場合というのがあるのでしょうか。
○佐藤補佐
 これはドナー側の条件です。前提2はドナー側の条件です。
○両角班員
 これは理解できないです。
○大島班長
 ちょっと理解できない。
○両角班員
 はい。
○大島班長
 いかがでしょうか。
○両角班員
 こんな状況あるのかな。
○大島班長
 一次判定では駄目だと決めたものを、次の膵腎同時移植希望者がいる施設では、「ああ、そんなもの使えるよ」と言って使ったと、こういう話ですよね。
○佐藤補佐
 そうなります。
○大島班長
 それはちょっと具合悪いですね。一応、医学的に判断されたものが移植できるというのは。
○両角班員
 これは非常にまずい話だと、本当にそう思います。
○大島班長
 ルール上ですね。現実にはこういったことがないとは言わないけれども、ルールとして決めるときに、そんなことがおもてに出てきたら、ちょっと具合が悪いですね。アルゴリズムとしては成立しないことになりますからね。いかがでしょうか。やはり、一次判定が駄目だったら、駄目だった場合にどうするかということを考えないと。
○佐藤補佐
 そうですね。
○両角班員
 例えば1腎が萎縮をしていて、1腎がそれなりに使えそうな腎臓であった場合、膵腎同時移植の患者さんには使えるほうの腎臓と膵臓がいくわけですよね。
○大島班長
 たぶん、そうでしょう。
○両角班員
 萎縮している腎臓は使わないという形になるわけですから、それは普通にありそうな話です。
○佐藤補佐
 そうですね。
○両角班員
 そうだとすると、このアルゴリズムはどうやって成立するのか、具体例を想定できるのかと言うと、ないですよね。
○大島班長
 現実には非常に稀なケースでしょうね。
○佐藤補佐
 これはかなり稀なケースで、先ほど両角先生が言われたとおり、例えば片方が萎縮腎で、もう片方が大きい腎臓でといった場合には、この場合ですと、膵腎同時移植希望者が膵腎同時移植を受ける可能性がいちばん高くなります。
○大島班長
 腎臓摘出時に失敗してしまったとか、極めて特殊な例を考えれば別ですが、そういうことはあまり。そんな、特殊な例まで考えながらルールを決めるというのは、ちょっとこれも。いかがでしょうか。
○湯沢班員
 現実的には、理論的に萎縮腎とかという考え方はあり得るのですけれども、脳死での場合、膵臓にしろ、腎臓にしろ、肝臓にしろ、あらかじめ超音波で全部見ておくのです。ですから、左右が全然違うなどということはあり得ないし、そういう場合も極めて少なくて、まず超音波で両方見ておいて、駄目だということはほとんどないと思います。
○大島班長
 一般的にはあり得ないでしょうね。
○湯沢班員
 あり得ないですね。ましてや、脳死での摘出の場合はよく灌流されているし、心停止下に慌てて取って血管を傷つけたりなどということもあり得ないので、理論的には限りなくゼロに近いと思います。
○佐藤補佐
 そうすると、この前提はかなりリアリティのないところではあるかなということでしょうか。
○湯沢班員
 無理がある。
○大島班長
 しかし、この提案は何かを根拠にして出てきたわけですよね。
○佐藤補佐
 レシピエント選択基準の中でどう書き込んでいくかというものがあるのですけれども、参考資料2の膵臓のレシピエント選択基準をご覧ください。2.の(8)に腎臓が適さない場合と膵臓が適さない場合というのを前提として書いているものですから、その前提に立つと、こういう図が成り立つ。参考資料3の膵・膵島移植研究会提案資料の1枚目の2番目の●ですが、この文章を加えたときにどう説明しようかと考えると、この図ができたということなのです。
○大島班長
 この図を見ていると何だかわけが分からなくなってくるし、言葉でも現実的にどうかということを言い始めると、相当いろいろあるようです。「膵臓移植の第一候補が膵腎同時移植希望者で、摘出術開始以降に腎臓が移植に適さないと判断された場合には、腎臓移植希望者に腎移植を施行する」という言葉に置き換えればということになりますが、いかがでしょうか。あえてそんなことは書く必要はないということなのか、入れるだけは入れておいたほうがいいということなのか。
○佐藤補佐
 膵腎同時移植希望者が、膵臓の単独移植を希望しなかった場合が前提になるので、この方が希望せずに、今の段階で選定が行われてしまうと、また膵腎同時移植希望者が出てくると、腎臓は膵腎同時移植希望者に行ってしまうということです。
○大島班長
 そもそも腎臓が移植に適さないのだから、考えてみれば腎臓のほうにいくわけはないのですよね。
○佐藤補佐
 そうです。ここは言葉の問題と言われてしまえば、それまでです。
○大島班長
 一応そうですよね。普通の人が聞いたときに、移植に適さない腎臓を、どうして移植するのですかと言われたら、答えようがないです。
○両角班員
 答えられないですね。
○相川班員
 腎移植を待っている人が可哀想です。
○大島班長
 それは医者によって違うとか、危ないかもしれないけれども、やってみなければわからないからやってみるのです、そのような説明はちょっとできないでしょう。ということは、前提自体が成立しないということになりますけれども、いかがですか。そのような扱いでよろしいですか。
○相川班員
 おそらく膵臓の作業班の先生方が、少なくとも1つの腎臓は腎移植してもらいたいという気持が入っている提案だと私は解釈しています。ただ、このような条件で「腎臓が移植に適さないと判断」と書いてあったように、それでは腎臓移植の人はやるのかということになると、腎臓移植で待っている患者さんは可哀想ですよね。
○大島班長
 もし、これをあえて言うのであれば、2つある腎臓の1腎の優先度については、腎臓移植のほうに渡しますということを最初に明快にしておけば、成立する場合もあるということになります。
○佐藤補佐
 片腎だった場合、片方しかない場合には。
○大島班長
 わかりやすい場合は片方なのですが、湯沢先生が言われたように、現在のような脳死診断の時代に、そんなことが事前にわからないわけはない、開いてみたらなどというような馬鹿なことはないということがありますから、何人か非常に稀なケースが起こった場合にはっきり言えることは、2つある腎臓のうち、まず何でも膵腎を優先させるのではなくて、2腎ある1腎は腎臓を優先させて、残りの腎臓を膵腎でという考え方を採るかどうか。おそらく、そのようなケースしかほとんどないだろうということです。腎臓の作業班からいけば、たぶん、そういう提案が再提案ではないですけれども出てくるだろうと思います。
○飯野班員
 いままでのルールですと、(7)では1腎の場合は膵腎同時移植に優先させていたのですけれども、それを改定するかどうかということですね。
○佐藤補佐
 1つの提供に対して、腎臓移植は必ず1件はやるのだという提案になるのか、それを変えないのかというところだと思います。
○大島班長
 それを変えれば、2のケースもはっきりします。むしろ、そういうようにしてもらいたいと、このことも含めて改めてこちら側からそのような提案を膵腎のほうにする。そうすれば、この2の問題もより明快にはなりますが、いかがでしょうか。ちょっとそれは置いておきましょう。次に3についてですが、今度は膵臓移植に適さない場合です。やはり、これは腎臓だろうなという感じがあります。
○服部班員
 こういうケースはそんなに多くはないのですか。
○佐藤補佐
 決して多くはないですけれども、法改正後、やはり数例あって、目立つかなと感じられる先生方は多いようです。
○服部班員
 多いですか。
○両角班員
 これは妥当ですよね。
○服部班員
 妥当ですね。
○両角班員
 大変妥当です。
○大島班長
 極めて妥当な話ですね。
○間室長
 膵臓のほうが移植に適さないケースですけれども、このようなケースの場合は今後膵島移植のほうにこの膵臓は使われる可能性があるということです。
○大島班長
 それは結構な話ですね。
○湯沢班員
 前提3の図がちょっとおかしいと思うのです。改正案では、膵腎同時移植の下にこの腎臓移植の2がありますけれども。
○佐藤補佐
 その時点で腎単独の方から選定をするということです。浮き上がった腎臓に対して。
○湯沢班員
 これだと膵腎同時移植希望患者の中に、腎臓移植希望患者がいるわけではないですよね。
○佐藤補佐
 違います。赤い枠の中は腎移植希望者です。
○大島班長
 3に関してはよろしいですね。それではもう1回2に戻りまして、1と3については提案をそのまま受け入れますけれども、2についてはどうしましょうか。この提案は、ちょっと理解しにくい話ですね。この言葉自体もおかしい、これはちょっとおかしいということは言えますが、それはよろしいですね。そうすると、これはなかったことにするのか、そうではなくて、このように考えたほうがいいのではないかとこちら側から提案するのか、どちらかしかないと思います。これはなかったことにする、これ自体が論理的におかしいから、これはないでしょうと返事をするのか、この問題は、むしろこう考えるべきではないかとこちら側から再提案するのか。
○服部班員
 先ほど湯沢先生も言われたように、膵移植絡みの患者さんと腎移植のみの患者さんの待機日数に大きな差が出てしまっていますから、それを根本的に解決するには2腎のうち1腎を必ず腎移植へまわすとすると、提案の大きな変更をしないといけないので、意見調整のために時間がかかりますよね。早期に実現可能な事項と、時間をかけて議論する事項の、二つに分けて話を進めていく必要があると思います。
○大島班長
 それでも根本的な解決にはならないです。これはほとんど例外に近い話ですから、そんな大きな話にはつながらないです。
○服部班員
 膵臓移植作業班がすぐ呑んでくれる条件がどのようなものかというのは、私にはよくわかりません。
○間室長
 現在これは改正提案ではありませんので、これについて前提2は「なし」という話になりますと、逆に今の基準が残ってしまいますので、直すのであれば、むしろこのように直してくださいと提案していただきますと、膵島移植の作業班のほうにおつなぎできると思います。
○両角班員
 現実は可能性が非常に少ない状況であることは十分理解しておりますので、その中であれば、こういったケースの提供に関しては、腎臓に1つを優先してくださいという形の提案をしてみるのは、腎移植の作業班のあり方としては悪くないと思います。当然、膵移植の作業班は膵移植をいかにプロモートするかという立場で物を考えて、今回その中でアンバランスがひど過ぎるというところで是正を提案されているわけですから、腎移植の作業班としては、腎移植のアンバランスを是正する方向での提案を投げると。
○大島班長
 そうすると腎臓が移植に適さないという言葉については、「1腎が」という言葉を入れるということですか。
○両角班員
 そうです。
○大島班長
 そのような形で、2つのうち1つの腎臓が、つまり「1腎が」ですね。そうすると、残りの腎臓がということになりますから、そういう形で返すのか。
○相川班員
 腎臓の作業班としては、少なくとも1つの腎臓は優先してほしいというのを大前提として投げかけることはできないですか。
○大島班長
 そこまで踏み込むと、どうなのですか。
○間室長
 それはお考えだと思いますけれども、前提2も前提3もそうなのですが、膵腎同時移植希望者について、何らかの形で膵または腎が駄目だった場合に、向こうは腎臓のルールで選んでいただけますよという提案をされているわけです。膵のルールではなくて、腎のルールでやりますということですので、最優先と言うかどうかは別として、先ほど大島先生が言われたような提案であれば、相川先生が言われている趣旨も出るのではないかと思います。
○大島班長
 そのように私どもは理解しました、そういう意味であると理解したけれどもという言い方は、確かにできないわけではないです。ちょっと火事場どろぼうみたいな話になるのかな。
○相川班員
 やはり腎臓移植を待っておられる患者さんが、これだけ長い待機期間で待っておられるわけですから、作業班としては、その方を何とかしてあげたいという提案を出すべきだと思います。
○大島班長
 後段のところで、いわゆる公平性というのは一体何なのかということがいつも問題になるので、このような提案をするときには、我々の側としてはこういった形で公平性を担保したいという論理構築があると、わかりやすいですよね。この議論の中にもそれはいくつか出てきましたけれども、1つは待機期間の重さ、死亡までの期間の妥当性ですね。QOLについてはどうなのですか、よくわかりませんが、あまり変わらないのですか。要するに、膵不全と腎不全を抱えている方のQOLはどうなのでしょうか。
○佐藤補佐
 膵腎同時移植が、実は膵移植の中ではいちばん成績がいいと伺っております。
○大島班長
 成績ではなくて、日常生活には非常に大きな影響があるのか。
○湯沢班員
 あります。膵臓移植を希望されている患者さんというのは相当インスリンを使っているわけですから、低血糖の危険というか、そのようなことが日常的にもあって、これは本人だけではなくて家族も、患者さんがいつ死んでしまうか、低血糖で意識がなくなって昏睡状態にあるという状況が日常的にあるので、例えば夜寝ているときでも、安心して寝ていられないということを結構訴えられるのです。そのようなことから、低血糖の危険から解放されるというのが、膵移植の患者さんの喜んでいるところで、これはご本人だけではなくて家族にとっても、膵移植をしたためのQOLの向上というのには計り知れないものがあります。
○相川班員
 膵腎同時移植の適応患者の選定作業は非常に厳しくて、低血糖発作が頻回にあること、ある意味では数回あることというのが条件になっていますので、そうした意味ではI型糖尿病の方全員が選定されてリストに載ってくるわけではないのです。そのような意味では、QOLの改善は十分ありと考えています。
○大島班長
 そうするとそれを数値化して、あちらのウエイトが重いとか、こちらのウエイトが低いなどといったことを言うというのは、相当難しい話ですね。
○湯沢班員
 ただ、心臓移植、肝臓移植の患者さんと1つ違うのは、心臓や肝臓は、やらなければ1年後には亡くなるわけですが、膵臓にしろ、腎臓にしろ、命に直接関係しているわけではないけれども、QOLという意味では、やはり膵臓の方は相当厳しいです。
○大島班長
 ということを考えれば、膵腎同時移植が、全体として優先されるということについては問題がないと。それをどこまで認めるかという、その「どこまで」というのを何か数値上で示せないかという話になると、それは相当困難なことになるだろう。しかし、だからと言って腎臓の待機期間を考えると、これはちょっと看過できないほど大きな差があるのも事実だと。
○両角班員
 膵・膵島移植研究会が前提2の変更を提案したということは、腎移植ができなくても、少なくともその患者さんにとってみると、膵移植を受けることによって、血糖管理としては明らかに改善をして、生命に関わるリスクは減る。それが担保できれば、透析療法は必要だけれどもという状況を理解したうえで、この案を出されたと思うのです。その背景になっているのは、先ほどもお話したとおり、このアンバランスが、膵臓移植を主体でやっている先生方にとっても、看過できないレベルだと思って出されたものだと思います。この案の中では、膵臓移植ができなくなるということではなく、膵腎同時移植の患者さんが、今までだったら別の方に代わったのを、それはしないで別の方に膵単独移植をしましょうという話ですので、いまの腎臓の作業班の立場としては、腎移植を担保してあげたいという話で折り合いはつくと思うのです。
○大島班長
 ということは、膵移植がされれば相当部分、少なくとも膵移植が成功すれば、あとは腎臓と同じ状況になるのではないかと見ることもできるわけです。膵腎同時移植を希望している人というのは、膵単独移植とは違うのですか。
○相川班員
 I型糖尿病の方で生体腎移植だけ受けて、膵臓移植を受けたいからと言って、膵単独を希望する方もいないわけではないのです。そのような方たちのことも考えると、膵臓単独移植がこのような形で行われても、そんなに問題はないと思います。先ほどの数はそんなにものすごい数ではない、20人か30人ぐらいでしょうか。
○佐藤補佐
 そうですね。膵単独移植希望者は30〜40人ぐらいです。要するに、腎移植後膵移植か、膵単独移植の希望者が30〜40人いる程度だということです。
○相川班員
 しかし、その中には生体腎移植を受けても、透析をしない患者さんが何人もいると思うのです。
○両角班員
 実際に審査をしているのですけれども、挙がってくるのは1割以下です。腎移植後膵移植の希望という方は1割いなくて、ほとんどが膵腎同時移植です。
○大島班長
 なるほど。もちろん、本当は膵臓をやっている方たちの話も聞かなければいけないのでしょうが、今ここでの議論だけを考えていけば、膵臓か腎臓かという議論をし始めると、少なくとも膵臓の移植がきちんと保障されれば、腎臓については次の問題という考え方も十分成立するだろうと考えれば、1腎は腎に優先という考え方も、確かに成り立たないわけではないです。前提2の場合だけではなくて、1腎は腎臓優先にという考え方も十分に成り立つのかなとと思いましたけれども、いかがでしょうか。
○飯野班員
 大島先生が言われるように、やはり平等というのは非常に難しい問題だと思います。問題になっているのは、やはり待機患者さんが膵腎同時移植のほうが早くできると言われていますし、希望者も増えていますし、そのような不平等というものをなくしていくというのが1つ、短期間でもいいと思うのです。ただ、平等の基本的な線というのは言っていますけれども、自分の選択権がきちっとある、希望があるようなことをしてあげなければいけない。ですから、今の段階では腎移植の待機期間が長くて、膵腎移植が短い、そこをある程度こちらでレギュレートするという意味では、大島先生の提案というのは、長期間にやるかどうかは別として、今の段階ではいい案ではないかと思います。
○大島班長
 私というより、相川先生の提案です。とにかく膵が移植されれば、あとは腎の待機患者と同じ状態であるという考え方ですよね。ですから、膵の移植が、膵臓に関してはもちろんやってもらうということであって、その前提となったときに、腎臓が1個しかない場合、どちらを優先させるかということで、まず膵をやってもらって、2つある場合は膵腎をやってもらう、1個しかない場合はそちらを優先ではなくて、腎臓のほうに1腎はというような考え方。そうすると、たぶん今までのプロトコルが、膵腎のほうは少し変わってくると思うのです。
○佐藤補佐
 要は、1名脳死の提供があったときに、1腎は必ず腎臓移植を行うという形であるということは、例えば片腎だった場合でも腎移植を行う。膵臓は、片腎だったから膵臓だけということですね。
○大島班長
 そういうことです。
○相川班員
 しかし、それは先ほど佐藤補佐が言ったように、膵腎同時移植のほうが、膵臓単独とか、腎臓だけとか、そのあとで膵臓移植をやるのと、成績がいいというのがわかった上での話ですし、諸外国ではそのようにやっているのがわかった上での話ですから、やはり日本の事情に合わせて考えていかないといけないと思うのです。
○間室長
 今大島先生から提案のあった形ですと、膵臓の作業班からの提案とはかなり違ってくるということなのかなと思います。2腎がある場合には1つというのはいいのですけれども、1つしか腎臓が移植に適さなかったという場合であっても、それは腎臓なのだという今のお話ですので、通常の膵腎同時移植の方がいた場合はそちらが優先されるケースは、1腎の場合には基本的にないことになるわけです。そこはかなり膵臓の作業班とも十分な調整が必要だと。
○大島班長
 必要でしょうね。もちろん、そんな簡単な話ではないでしょう。
○飯野班員
 ただ、前提として数の差があるということを、ある程度直さなければいけないという意味では、そのぐらいしないとある程度の効果はないのではないかという気はします。
○両角班員
 現実には前提2の状況しかないわけですし、想定しているのは従来なかった可能性の稀な事態です。少なくともかなりの脳死下での提供があったという状況において、この状況に該当する例というのは、ないのですよね。
○佐藤補佐
 私が想像するに、ないと思っています。今までにないと思います。
○大島班員
 ないでしょう。
○両角班員
 ないという話をしているわけですから。
○大島班長
 現実にはほとんどあり得ない話というのは、先ほどの議論の通りですね。ですから、提案そのものの仕方も、腎臓が移植に適さないと判断された場合に、その腎臓をどこへ持っていくかという理屈は、論理的に破綻していますよね。
○間室長
 確認ですが、今の腎臓の1腎を優先しようという話は、前提2のケースだけを話されているのか、そうではなくて、全体についてなのか。
○大島班長
 全体に広がった話です。
○間室長
 そうすると、かなり慎重な調整が必要だと思います。
○両角班員
 前提2以外でそんなことはありますかね。
○間室長
 要は、一次判定の段階で、2腎のうちの1腎はちょっと適さないことがわかっていたケース、膵臓はオーケー、腎臓もオーケーという場合について、1腎は腎臓優先という話になると、その場合は膵腎ではなくて、腎臓と膵臓それぞれという話になりますので、いままでとはだいぶ違う現実になると思います。
○佐藤補佐
 片腎の方が出てきた場合に、いままでとだいぶ違うルールになる。
○大島班長
 そのケース自体がほとんどないケースでしょう。
○佐藤補佐
 確かにレアではあります。
○大島班長
 そのケース自体が非常に稀なケースだから、実際には大きなと、変化が起こるということではない。全体の議論の流れの中で、1年間やってみた結果、思ったより腎臓の待機患者が広がっているので、何らかの形で、是正すべきではないかといった意見が、この作業班から強くあると。大した効果にはつながらないということは十分わかってはいるけれども、理屈上では、生存率あるいは待機期間、生存期間あるいはQOLも含めて考えていくと、腎臓と膵腎同時移植との違いというのは、やはり膵臓があるか、ないかというところ、そう簡単には言えないことかもしれないし、少々乱暴な言い方かもしれないが、そこのところにくる。ということは、膵臓に関してはもちろんだけれども、膵臓が付けば、あとは腎臓を待っている人と同じ状態ではないかという理屈も成り立つので、腎臓の作業班としてはそのような提案を膵臓のほうに一度投げかけてみようと。その結果、どのような反応が出てくるかということは、もちろん膵臓のほうでご議論いただいて、必要であれば合同の会議を開いて決めるということでもいいだろう、そのようなことかなと思います。いかがでしょうか。
○飯野班員
 この問題が出てきたのは、やはり膵臓移植の作業班もそういうことを少し考えていたからですよね。
○大島班長
 もともと余りにも差が大き過ぎるのではないかと。
○飯野班員
 ところが、この提案ではそんなには変わらないから、それを解消するには変えていかなければいけないのではないかという意見ではないでしょうか。
○大島班長
 それこそ本当に小さなパイの取り合いの話で、そこのところを考えると本当に惨めな感じになってくるのですが、ただ考え方をどうするかということですから。
○飯野班員
 ただ、放っておくわけにもいかないですよね。湯沢先生が言われたように、いろいろな意見が出てきていて、一般の移植の患者さん、あるいは移植医のほうから、ちょっと差が出過ぎるのではないかという意見がありますから。
○大島班長
 それもそうだし、みんなコストのかかっていることでもありますから、10何年も待っているのと3年待っているのとで、3年の短いコストの人は3分の1だから3倍待機料を払うのかという意見が出てきてもね。
○両角班員
 ネットワークそのものの運営を考えるときに、登録をして更新をするわけですけれども、ある期待に対して、皆さん継続されるわけです。ルールが変わった中で、自分にとって移植のチャンスは現実味がないというルールであればあるほど、ディスカレッジして、もうやめましょうという人が仮に増えていったら、おそらくネットワークそのものも成り立たなくなってしまうと思うのです。そのような意味では、臓器移植ネットワークというもの自体がある程度きちっといくように、いちばん母数が大きいのは腎臓ですから、待っている人に対してはこのような方向性で考えられていますというメッセージも、私は公平の中に入ってもいいと思っています。
○湯沢班員
 根本的な考え方で、膵腎同時移植を優先しないという考えが出てきたとしてもおかしくないと思うのです。QOLの問題はありますけれども、膵臓は膵臓だけで移植すればいいではないか、腎臓は腎臓だけと。現実的には脳死での膵提供は増えていますから、極端なことを言えば、この調子でいくと、何年間かすれば、膵腎同時移植であろうが、とにかく膵臓を移植してもらいたい患者さんは、この数でいくと全部移植されてしまう。そうすると、先ほどの話であったように、本来は膵腎同時移植がベストだが、膵臓だけ移植しておく、そうすると腎臓移植の患者さんと同じことになるのだから、それはそれで腎臓を待っていればいいのではないか。極端なことを言えば、腎臓移植の患者さんにも、登録している患者さんにも、不利益はないという議論があったとしてもおかしくはないと思います。
 実際にそのように言ってきた患者さんもいるものですから、もう1つの理屈としてはあるのではないか。やはり、法律が改正されたために、腎臓移植の患者さんに不利益というか、待機年数が長くなっているのを、腎臓移植の患者さんが喜んで見ているわけはないわけです。移植法が改正されたことによって、何らかのいい点があると思っていたら、実はよくなかったというのを、そのままにしておいていいとはあまり思えないのです。ただ極論ですので、優先したいという考えもどこかに出てきてもいいかもしれない。ただ、先ほどの話のように、提供者が十分あればどうでもいいことかもしれません。
○大島班長
 作業班のメンバーは全部医者ですから、医者が考えることは医学的な適応などといったことで、もちろんその専門家ですから、そこのところに妥協があったらいけません。しかしこのような社会的な問題を考える場合は広く、例えばコストの問題も含めて、本当の公平とは一体何であるか、そのような視点はどうしても必要です。いまの湯沢先生の話などは医者とも思えないような発言ですけれども、ある意味で極めて重要で、このようなところで我々は社会的な責任も負っているということを常に考えていく必要があるだろうと思います。
○湯沢班員
 大前提で、旧移植法ができたときに、脳死での提供が極めて少ないから、膵腎同時移植を優先にしてあげようという考えでそもそもできたことだと思うのです。それは全くもっともなことで、現在、脳死がだいぶ多くなってきた段階では、何らかの形で見直すことは必要ではないかという思いは強いです。
○両角班員
 気分的にこうしたお話は非常にわかるのですが、膵腎同時移植の優位性は医学的にはもう戻れない定着した評価ですから、膵腎同時移植は、脳死下の提供があった場合には最優先されるということを、私どもは専門家としての集団で考える立場が必要ですので、譲ってはいけない話です。いくらそのような思いがあったとしても、膵腎同時移植の実施、これは譲れないというのと、臓器提供を増やすための努力をすれば現在論じている問題は解消するという答はすでに出ているので、臓器提供を増やすほうへ持っていかない限りは同じだと思うのです。実は小児に関しても、小児のルールを変える段階で成人の待機期間が伸びるというのは予測したことなのです。そして、そのときにn数が増えるということを期待して変えているわけですから、すべてn数で解決することですので、それを全体に強調する以外にないと思うのです。
○服部班員
 湯沢先生のお話を聞いていて思うことは、提案に対してできることからタイムリーに、変えるところはパッと変える。議論ばかり長引かないで、先延ばしにならないように、せっかく膵臓移植作業班から提案があったのだから、受け入れられるところは受けいれ、変更できるところは変更して、まずは早めに実施に向けて動きだすことが大事かと思います。
○大島班長
 再度まとめますが、1と3については、この班としてはそのままの提案を受け入れるということでよろしいですね。2については、1腎の場合には腎臓のほうを優先するということでどうか。この文章はちょっとおかしいので変えてもらわなければいけないのですが、前提2のようなケースが極めて稀な場合、1腎が移植に適さないと判断された場合が、あり得るとしても極めて稀なことだろうけれども、仮にそういうことがあった場合には、1腎がということはそのままでいいのですが、ここから議論が広がって、公平とは一体何なのかという観点からの議論をした結果、あらゆるケースにおいて1腎は腎のほうに優先度を与えるという考え方はどうかという提案を投げかける、そのようなことでよろしいでしょうか。
                  (了承)
○大島班長
 それでは、それを結論にさせていただきます。もう1つ、気になっているのですが、ルールを変えると、コンピューターも全部変えなければいけないでしょうね。
○佐藤補佐
 はい。
○大島班長
 大幅に変えたとしても、小幅に変えたとしても、費用などいろいろなことを考えたときに、その辺はどうなのですか。
○間室長
 確かに規模にもよりますけれども、やることが明確であれば、そんなに大きな費用の差はないと思います。やろうと思っていたのに、もといでこっちにしてくれみたいな手戻りがあると、また非常にコストがかかります。クリアであれば、問題はあまりないと思います。
○大島班長
 ルールが非常におかしければ、変えなければいけないに決まっていますけれども、そうコロコロ変えるようなものでもないですよね。しかも、ここであれを変えろ、これを変えろというのはいいのですが、変えれば一定以上にお金もかかるということがあるので、そこのところはちょっと気になっています。
○飯野班員
 1腎の場合はそんなにコンピューターを変えなくても、最初から選択を決めればいいですから。
○大島班長
 やるなら一緒にやったほうがいいと思います。
○両角班員
 いまのコンピュータープログラムのアロケーション結果として出てくるものは一切変わる必要はなくて、出てきたところで医学的な判断の中で、1腎しか使えませんというところで選定するだけですから、おそらくあまり問題なくいくと思います。
○佐藤補佐
 ただ、1位が駄目だった場合、2位以降の選定にちょっと響いてくる可能性はあるかもしれません。もう1回コンピューターを回すことをしていなければほとんど変えなくていいのですが、コンピューターをもう1回膵単独だけで選定するということになると、条件が少し変わってきてしまうかもしれないと認識しております。
○湯沢班員
 時間がありそうですので、1つ。私は臓器移植ネットワークで検査委員会の委員長をしておりまして、ネットワークのほうから取り上げてもらいたい話として、ここでお話していいと思うのですけれども、HCVについての取扱いということがあります。2008年8月に、臓器移植ネットワークの検査委員会の私の前の委員長が、「HCV陽性ドナーからの腎移植に対する指針」というのを作って、これでやっていこうという話がネットワークの理事会に出されております。理事会としては、HCVについての選定とか考え方は、ネットワークが決めることではなくて、厚労省のほうだろうということで、理事会から厚生労働省に挙げて、問題を検討していただこうということに決まったのですが、実はまだ厚生労働省に挙げていなくて、そこが全くそのままになっており、4年間放置されたままです。昨年秋に私は検査委員長になったのですが、これが検討されていないまま放ってある。実際にHCV陽性ドナーから移植された腎臓移植の患者さんで、亡くなっている方がおります。そのようなことから考えると、指針はネットワークの検査委員会で作ってありますから、それを是非この場か、厚生労働省の審議会の場か、よくわかりませんけれども、検討していただければと思っております。
○大島班長
 整理していきたいと思いますが、議題1についてはよろしいですね。その他のところで、いま湯沢先生から話がありましたけれども、HCVの問題については、もともとは野放しのところから始まって、これは放って置くわけにはいかないだろうということで、全面禁止になったのです。全面禁止になったときにいくら何でもゆきすぎではないかという移植医から強い反発があったにもかかわらず、問答無用で全面禁止になったという経緯があります。そのうちプラスからプラスへはいいのではないかということで、改定されたのですね。
○湯沢班員
 いまの配分ルールでは入っているのです。
○大島班長
 入っていますか。
○両角班員
 HCVは入っていますし、ガイドラインも出ました。
○飯野班員
 ここで議論しましたね。
○大島班長
 それはもう何年も前ですね。
○湯沢班員
 はい。
○大島班長
 その状態でずっときていて、新たな問題が起こってきたというわけですね。
○湯沢班員
 そうです。
○大島班長
 要するに、サブタイプの問題ですか。要するに、HCV+から+へ移植することによって、何が起こってきたのですか。
○湯沢班員
 C型肝炎で亡くなった患者さんがいるということです。
○大島班長
 C型肝炎で亡くなる人はいるに決まっているのですが、もともとHCVを持っている人ですから。
○湯沢班員
 いや、持ち込みのHCVです。
○大島班長
 持ち込みであるかどうかということがわかるようになってきたということは、サブタイプまでがはっきりとわかるようになってきたと理解してよろしいのですか、ということです。
○湯沢班員
 そういうことです。ですから、それを何らかの選定というか、適応のところに入れてもいいのではないかと。
○大島班長
 まず、実態が一体どうなのかというところから議論を始めないと、いきなりこういうケースがあったというだけでは非常に難しいと思うのです。ほかにご意見、いかがでしょうか。
○両角班員
 ウイルス量のコピー数の問題とサブタイプの両方が話題になっておりまして、こういったグループでは明らかに持ち込み感染があるという事例が出てきています。それらに対して治療できるグループと、治療にちょっと難渋するタイプがあるものですから、見直しが要るのではないかという声が現場では出てきています。その中で、全例に関してコピー数がわかっているわけではないとか、あらかじめサブタイプを全部チェックしていないものですから、そのシステムアップをしないと落とし込みができないのです。その費用が問題になっているのです。
○相川班員
 もう1つは、HCVの抗体はあるのだけれども、実際に治療を行っている待機患者さんがいて、ウイルスはもういない、そういう患者さんが登録されているのです。そうなると、抗体があるだけでウイルスがいない方に、HCVに感染した腎臓がいってしまう可能性があるので、そこら辺も気を付けなければいけないところだと思います。
○大島班長
 なるほど。
○相川班員
 ですから、検査法が変わったのと、治療法は既に変わっているのです。
○大島班長
 これを取り上げると、中途半端な話では済みそうにないというのが私の直感ですけれども、やるならばきちんとエビデンスというか、世界的にどうなっているのかという事実をきちんと出した上で考えていく。全体を考えた上で今どのレベルにあるのか、将来は一体どのようなことが予測されるのかということを考えて判断をしていく必要があると思います。また1つ、課題ができてしまいましたね。この問題はどこかでまとめられますか。いまの実態がどうなっているのかということについて、どなたか専門家に聞くか何かして、事実は一体どうなのか。
○佐藤補佐
 少し調べてみます。
○大島班長
 最初はある1つの症例というか、1例から出ていくわけですけれども、それが一体どのような方向に動いているか、現状はどうなのか。
○佐藤補佐
 たぶん、ほかの臓器は基本的に、HCV陽性ドナーからの移植はやっていないところのほうが多いので、基本的には腎臓の中でどうなっているのかという実態調査になっていくとは思いますが、ある程度数の集積があれば、そこが今どうなっているかということはお話できるのではないかと思います。
○大島班長
 いま論文などではどういったものが出ているとか、最初はこんなのがあったというところから始まるのですが、制度に落とし込むときに、こんなのがあったからすぐ変えろという具合には、もちろんいかないから。
○両角班員
 移植に直接携わって治療をしていらっしゃる肝臓専門医の先生方が、以前は非常に少なかったということもあって、レシピエントのHCVがポジティブだったらいいだろうとの方向できたと記憶しています。しかし、その後ウイルス性肝炎に関するいろいろな進歩を見ていて、以前はレシピエントのHCVがポジティブだったら良いのではないかの意見であった中の多くが、やはりやめたほうがいいという方向に動き出しているという印象は非常に強く受けます。そうだとすると、実態をきちんと調べた中で、こういったリスクがあるからルールを変更することが必要かどうかという議論が始まることが必要ですね。それから、従来の第三世代の抗体陽性というのは相川先生が言われたことですが、あれでは本当のところ、ウイルスではわからなくて、HCVウイルスは消えて実際は治っていても血清学的陽性結果は残っているのです。そこへHCVウイルスを持ち込むことは問題があります。その辺りの解決すべき課題もだいぶ絞り込まれてきましたから、そのような意味では大島先生が言われたように、この段階で一度評価をして、ルール作りをしたほうがいいということになると思います。ネットワークのリスクマネジメントの立場から言うと、こうした腎提供はやめたいという思いを非常に強く持っていくべき話だと思います。実際、いま移植の第一線にいる先生方とお話をすると、多くの方はやりたくないと言われます。
○大島班長
 医学の専門家の目から見ると、問題ばかり見ますからね。例えば100人やって、98人非常にうまくいっているけれども、2人問題が出たら、うまくいっているところよりもこの2人の問題は一体何なのかということになる。それはそれで非常に大事なことなのですが、実態はプラスからプラスにどれだけの患者さんがいって、その予後はどうで、100人やったけれども90人は全く問題ないが、残りの10人がどうなったというのと50人ぐらいは問題ないけれども、5割では相当おかしなことが起こっているという話では、意味が全然違いますからね。
○佐藤補佐
 ネットワークとも相談しながら、また調べたいと思います。
○間室長
 まず、事実を把握することから始めたいと思います。
○相川班員
 2007年のデータブックでは、それほど極端に成績は悪くはなっていないのです。ただ、それはもう昔の統計だということです。もう1つは、待機患者さんで、透析患者さんでHCVの患者さんは、最近は多くの患者さんが既に治療しているという方が非常に多いです。我々も生体移植に関しては、治療してから移植しましょうというように変わってきているので、昔とはちょっと状況が違うと思います。
○大島班長
 そのほか何かあればお願いいたします。ないようでしたら、以上で今日の会議は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。事務局から何かあればお願いいたします。
○佐藤補佐
 最後にもう1度、確認をさせてください。膵臓移植の作業班に対して提案という形で、必ず1つの提供から腎移植は1件やるという提案でよろしいですか。
○大島班長
 1腎の場合は、腎臓のほうを優先させるという提案です。
○佐藤補佐
 そのような提案があったということをご報告させていただきます。
○大島班長
 それだけではなくて、1と3については無条件で受け入れます、2については、「腎」と書いてあるのを「1腎」としないと、論理的に成立しないので、あれは1腎ではないですかということです。
○佐藤補佐
 その4点を提案させていただきます。本日は活発なご議論をいただき、ありがとうございました。膵臓移植の作業班については来週を予定しておりますので、早速、来週報告させていただきます。また、議論の中で、やはり合同でやろうという話になりましたら、また日程調整をさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。本日はありがとうございました。


(了)
<厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室>
代表 : 03(5253)1111
内線 : 2365

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