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2012年5月29日 第8回「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会議事録

健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室

○日時

平成24年5月29日(火)13:30〜15:30


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

1.開会
2.議事
 (1)報告書(案)について
 (2)その他
3.閉会

○議事

○佐々木座長 それでは、定刻になりましたので、第8回「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会を開催させていただきます。
 初めに、本日の委員の出欠状況について事務局から御報告をいただきたいと思います。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 本日の出欠状況でございます。土肥委員から御欠席という御連絡をいただいております。
 以上でございます。
○佐々木座長 それでは、議事に入ります。
 本検討会では、これまで7回ワーキンググループを含めますと11回にわたって、原爆体験者等健康意識調査報告書及びそれに関連する事柄について検討・検証を行ってまいりました。精力的な御議論をいただき、ほぼ議論は尽くしたと考えております。今回は、委員の皆様の御協力もいただいて、報告書案を提出させていただいておりますので、これについて検討していきたいと思います。
 まず、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 それでは、お手元の資料を御確認ください。
 資料1 「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会報告書(案)
 資料2 「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会報告書 概要(案)
 資料に不備がございましたら、事務局までお願いいたします。
 また、卓上に前回までの資料をつづらせていただきました青いファイルを用意しております。適宜、御参照いただければと思います。
 以上でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 それでは、早速、報告書案の検討に入りますが、まず、事務局から報告書案と概要案の全体について御説明をいただいた後に、資料1報告書案を項目ごとに検討した上で、最後に資料2の概要案について検討するといった順序で進めたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 では、最初に、事務局からの全体説明をお願いいたします。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 それでは、事務局より資料につきまして御説明させていただきたいと思います。
 まずは、資料1にございます「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会報告書(案)につきまして、1ページ目から御説明させていただきたいと思います。
1 総括
  1 経緯と目的
 広島に投下された原子爆弾に伴う「黒い雨」について、広島市を中心とする被爆地域周辺の住民を対象として実施された実態調査等の報告を踏まえ、平成22年7月に「被爆地域拡大」の要望が提出された。
 被爆地域の指定に当たっては、科学的・合理的な根拠が必要であることから、科学的に検証するために本検討会が厚生労働省健康局長の下に設置された。
 本報告書は○回の検討会と5回のワーキンググループでの検討とその結果をまとめたものである。
  2 要望地域による広島原爆放射線による健康影響及び広島市から提出された「原爆体験者等健康意識調査報告書」の検討
  (1) 要望地域における広島原爆由来の残留放射線等の程度
 現時点で、要望する地域において、広島原爆由来の放射性降下物が存在したとする明確な痕跡は見いだせず、従って、この放射性降下物による外部および内部被曝についても明確な根拠が存在しないと考えられる。なお、当該地域においては、原爆からの直接の放射線及び誘導放射線は実質上、ゼロと見なしうる。従って、これらの地域において、内部被曝を含め広島原爆由来の放射線により健康影響が生じたとする考え方は明確ではない。
  (2) 黒い雨を体験したと回答した人々の健康状態
 被爆者健康手帳や健康診断受診者証を所持しておらず、黒い雨の体験があると回答した人々は、黒い雨の体験がないと回答した人々に比して精神的健康の指標が悪い傾向がみられた。
 また、黒い雨の体験率ににより高体験地域と低体験地域を区分して比較した場合、精神的健康状態指標のうちK6のみが高体験地域で悪いことを示した。これは、単に黒い雨体験を報告した者の多い地域を高体験地域に選んだことから、黒い雨を体験したと回答した者が高体験地域に多く含まれる影響を完全には排除できておらず、解釈には注意が必要と考えられた。その原因は、放射線への不安や心配によると説明することができる。
 但し、今回の要望地域で原爆を体験した者が、これ以外の地域で体験した人々と比べて精神的健康状態が悪いという明確な結果は得られなかった。
 また、身体的な疾患への放射線の影響については、調査設計上評価が困難であり、これまでの科学的知見に加え、要望地域における広島原爆由来の残留放射線等については(1)の状況であり、今回の調査において放射線が中枢神経系に影響して、精神的な影響がでたとは考えがたいと判断した。
  (3) 「黒い雨」の地理分布
 推定された降雨域および黒い雨体験の回答の確からしさの検証を行ったが、同じ地域において黒い雨の体験率が50%を超える地域は未指定地域においては一部に限られること、特に爆心地から20キロ以遠においてデータが少ないこと、60年以上前の記憶によっており、正確性を十分明らかにできなかったことから、今回のデータから黒い雨の降雨域を決定することは困難であると判断した。
  3 結論
 現時点で、要望地域において原爆放射線による健康影響があったとする根拠は見いだせない。身体的健康影響について科学的に判断することは調査設計上困難である。黒い雨を体験したと自己申告した回答者について、精神的な健康状態の悪化が認められ、その原因は黒い雨が含む放射能による放射線被ばくへの不安や心配によるものと説明できると考えられた。また、今回の調査から黒い雨降雨域を確定できず、調査結果は要望地域における放射性降下物を確認できる合理的根拠とはならない。
  4 付記
 黒い雨体験群の精神的健康状態が黒い雨非体験群に比して悪い傾向が見られ、放射能に対する不安に起因すると推定されることから、黒い雨を体験したと訴える方々に対し、不安軽減のための相談などの取り組みが有用である可能性がある。また、今回の大規模調査を含む過去の検討により、数度に亘り、原爆由来の放射性降下物やその健康影響について検証してきたところであるが、明らかな影響は確認されていないところであり、更なる調査を行うことの意義は低いと考えられる。

2 検討経過
 1 被爆地域等指定に関するこれまでの経緯等
  (1)広島の被爆地域指定に関するこれまでの経緯
 昭和32年4月、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定され、原子爆弾が投下された際当時の広島市の区域内又は政令で定められる区域内にあった者等に対して被爆者健康手帳が交付され、健康診断等が行われることになった。
 昭和47年4月には、広島県安佐郡祗園町の東山本、北下安、南下安及び東原の4地域が被爆地域に追加された。
 昭和49年10月、被爆地域に隣接する政令で定める区域に在った者について、健康診断の規定による「被爆者」とみなすこととした。なお、健康診断の結果、健康管理手当の対象となる障害が認められた場合、被爆者健康手帳の交付を受けることができる。
 昭和51年9月、当時の学術会議報告に基づき、原爆投下直後に雨が降った地域のうち、相当激しい雨が降ったとされる地域において健康診断特例区域として一〜十に掲げる地域が指定された。
 平成14年4月、第二種健康診断特例区域として長崎の爆心地から1km以内の区域が指定され、前述の区域は第一種とされた。

  (2) これまでに行われた広島に投下された原子爆弾による残留放射能の検討。
 これまで昭和51年、53年に厚生労働省の委託調査として、広島県、長崎県の残留放射能調査が行われた。長崎の西山地区を除いて、爆心地からの方向による差は認められず、日本学術会議報告で特に指摘された広島の「黒い雨降雨域」についても、特にこの地域に原爆からの核分裂生成物が残留しているとはいえないという結論だった。
 平成3年には、広島県・市に設置された「黒い雨に関する専門家会議」において、残留放射能残存の有無、シミュレーションを用いた降雨地域の推定、体細胞突然変異及び染色体異常頻度を用いた検討などを行ったが、黒い雨降雨地域における残留放射能の残存と、放射線によると思われる人体影響の存在を認めることができなかった。

  (3) 被爆地域の指定にあたっての考え方
 昭和55年12月、原爆被爆者対策基本問題懇談会意見報告において、「被爆地域の指定は、本来原爆投下による直接放射線量、残留放射能の調査結果など、十分な科学的根拠に基づいて行われるべきである」とした上で、「科学的・合理的な根拠に基づくことなく、ただこれまでの被爆地域との均衡を保つためという理由で被爆地域を拡大することは、関係者間に新たに不公平感を生み出す原因となり、ただ徒らに地域の拡大を続ける結果を招来するおそれがある。被爆地域の指定は、科学的・合理的な根拠のある場合に限定して行うべきである。」とされた。被爆地域の指定に当たっては、当該地域において原爆放射線による健康影響が認められるという科学的・合理的な根拠が必要である。

  2 本検討会の目的
  (1) 設置の趣旨

 こちらは前段で御紹介申し上げたとおりでございます。

    本検討会は平成22年12月に設置されたものでございます。

  (2) 検討会参集者
    別添1

  3 広島市等から提出された報告書の概要
  (1)「原爆体験者等健康意識調査報告書」
 原爆体験による心身への影響を検証するために、広島市が、現在の広島市内又は県域の一部に原爆投下前から居住し続けている者等を対象として広く調査を行った結果をまとめたものである。主として精神的な評価尺度について、自記式質問紙による調査及び面接による調査が行われた結果、「原爆体験者は、今なお心身の健康面が不良であり、「放射線による健康不安」がその重要な原因の一つであることが明らかになった」と結論づけられた。
 また、基本調査において黒い雨を体験したと回答した者のうち、黒い雨を体験した場所を回答している者で、調査時の年齢が71歳以上の者について、黒い雨の体験時の位置と体験状況に関する回答を用いて、「降雨時間の地理分布」などの推定が行われ、その結果から、「黒い雨は従来言われていた範囲よりも広く、現在の広島市域の東側、北東側を除くほぼ全域と周辺部で降った可能性が示唆された。」と結論づけられている。
 なお、調査設計については、ワーキンググループ報告(別添3)に記載されている通りである。
  (2)「広島原爆“黒い雨”にともなう放射性降下物の現状」
 気象、放射線物理学等の研究者等からなる「広島“黒い雨”放射能研究会メンバー」が行った研究等についてそれぞれ発表した報告書を掲載したもの。内容には、今中哲二氏による「広島原爆直後に実施された放射能調査活動」及び「広島原爆の黒い雨にともなう沈着放射能からの空間放射線量の見積り」、大瀧滋氏による「アンケート調査に基づく黒い雨の時空間分布の推定」、山本政儀による「広島原爆投下1−3年後に建築された家屋の床下土壌中の137Cs測定:広島原爆由来フォールアウトの降下量と分布を評価するための試み」などが含まれる。

  4 検討会における検討の経緯
 本検討会において、健康影響について、8回にわたって検討を行った(別添2参照)。また、本検討会の議論の中で、「原爆体験者等健康意識調査報告」について、さらに掘り下げた検討が必要と考えられたため、「「原爆体験者等健康意識調査報告」の検証に関するワーキンググループ」を設置し、データの再解析を含めた検討を行った。その結果は平成24年1月20日に開催された第6回検討会において報告され、第6回、第7回で議論した。本検討会としては、ワーキンググループの報告内容は合理的で科学的に妥当適切であると判断した。

 5 ワーキンググループの報告(別添3)概要
  (1) ワーキンググループにおける検討内容
 本検討会が示した「ワーキンググループの検証に際して留意すべき点について」及び「ワーキンググループにおける検証内容について」に沿って、心身の健康影響に関しては、より客観的な群設定として、地域による群の分類を行った場合の主として精神的な健康影響の検証、黒い雨の降雨時間の地理分布については、データの確からしさの検証と、黒い雨を体験していないという回答の活用の検討が行われた。
  (2) ワーキンググループ参集者
    ワーキンググループは、本検討会の委員、広島市の調査に関わった委員を含む疫学等の専門家から構成された。
  (3) 「原爆体験者等健康意識調査」の調査データ及びその解析結果の限界
 ワーキンググループにおいては、以下のようなデータの限界が指摘され、それを踏まえつつ、できる限りの検討が行われた。
   ・手帳を持っていない者について、群の設定が自己申告によるものとなっており、心身の健康に関する評価も同じ自記式質問紙への回答内容により行われているため、「黒い雨を体験した」と回答する者は、その他の設問に対しても、訴えが出やすいなどといった、対象者の設問への回答傾向により結果が影響されている可能性がある。
   ・調査が行われた内容を検討すると、調査には主として精神的な影響に関する評価尺度が使用されており、身体疾病については、設問設定に方法論上の限界があり、疾病の有無の解釈が困難である。
   ・降雨時間の地理分布等の解析では「あなたは黒い雨を体験されましたか」という設問に「はい」と回答した者についてのみ調査されており、同じ地域で「いいえ」と回答した者がいる情報を考慮していないという問題がある。
   ・黒い雨の体験などの調査項目は、原爆投下後60年以上経過しての調査であり、リコールバイアスの存在を念頭において結果を解釈する必要があると考えられた。
   ・未指定地域で爆心地より遠距離にあるデータ数が少なく十分な解析が困難な場合がある。
   ・生活状況等、指標とする尺度に影響を与える可能性がある項目について、回答者の負担との兼ね合い等から、十分なデータが取られていないことがあった。
   ・ゆ調査対象地域に転入した群を対照群として使用することは、転入群の特性には特殊な点があり、原爆投下以前から調査対象地区に居住している群との比較の差異に調整できない背景要因の相違が生じる可能性がある。
  (4)検証結果
   1 黒い雨を体験したと回答した者における健康影響について
 黒い雨体験があると回答した黒い雨体験群は、黒い雨の体験がないと回答した非体験群に比して精神的健康の指標が悪い傾向が見られ、「原爆体験者等健康意識調査」自記式質問紙による調査データにより報告された黒い雨体験の自己申告と精神的健康状態の悪さとの関連性が再確認された。他の被爆群において黒い雨体験群と黒い雨非体験群とを比較した場合も同様結果を示す項目もあった。黒い雨体験の有無と精神的健康指標との関連の大部分は、原爆に関連する体験等と共に、黒い雨の放射能、特に放射線被ばくの健康影響への不安や心配によって説明されると考えられた。
   2 高体験地域と低体験地域の比較による健康影響
 より客観的な指標として、黒い雨の体験率により高体験地域と低体験地域とを区分して比較を行った場合には、高体験地域でK6においてのみで有意に悪化が見られた。この結果は、黒い雨体験の自己申告に基づく場合よりもより客観的にと考えられるが、同じ地域においても人によって黒い雨への曝露が異なった可能性を考えれば過小評価になる。一方、単に黒い雨を報告した者の多い地域を高体験地域に選んだことから、自記式質問紙による黒い雨体験に基づく解析の持つ問題を完全には排除できていない。解釈には注意が必要である。

 なお書き以下は、前段で説明したとおりですので、割愛させていただきます。

   3 黒い雨の地理分布について

 こちらにつきましても、2ページの上段とほぼ同様でございますので、割愛させていただきます。

 なお、大瀧委員から、未指定地域の一部に黒い雨の体験率が50%を超える地区が存在し、それらの地区の中には宇田の小雨地域に含まれない区域を持つ地区が含まれたことから、宇田雨域の外側でも黒い雨が降った地区が存在する可能性が示されたことは重要であるとの意見があった。

  6 要望地域における広島原爆放射線による健康影響及び広島市等から提出された調査報告に対する本検討会の評価
  (1) 広島原爆による残留放射能について
   1 行政により行われた検討

 これにつきましては、3ページの(2)と同様でございますので、割愛させていただきます。

   2 「原爆投下1〜3年後に建築された家屋床下の土壌中137Cs測定:広島原爆由来フォールアウトの降下量と分布評価の試み」について
 原爆投下後に行われた多数の原水爆実験のグローバルフォールアウトにより、日本の土壌にも深さ5cmまでで7.4〜2300ベクレル毎平方メートル、深さ5〜20cmで1〜2,800Bq/m2のセシウム137が検出されている。
 このグローバルフォールアウトによる影響を除くため、原爆投下から3年以内に新築された家の床下から採取された土壌に含まれるセシウム137、プルトニウム239及び240の測定が行われたところ、セシウム137が検出されるとともに、広島原爆にはほとんど含まれないプルトニウムが含まれていた。検出されたセシウムが広島原爆由来か、グローバルフォールアウトによるものか検討が行われているところである。
   3 「広島原爆“黒い雨”にともなう放射性降下物に関する研究の現状」について
(第2回検討会)
 原爆投下直後から行われてきた調査の結果、広島では己斐・高須地区に放射性降下物が降ったことが知られており、それまでの報告を網羅的にレビューし、1987年に出版されたDS86の報告によると、この地区に常時滞在した場合の累積被ばく線量は概ね10から30mGyとされている。
 原爆投下直後に仁科氏が採取した資料の再分析では、己斐の近くでは、測定された放射能が比較的大きく、爆心地付近で宇田雨域から外れた場所でも検出されたサンプルが見られたが、検出限界付近のサンプルも見られた。検出されたサンプルは爆心地から5km以内のものであった。
 広島原爆投下直後から、広島市内については精力的な放射能調査が行われてきたが、己斐・高須地区を除く山間部については、十分な調査が行われたとは言えないため、山間部における放射能降下物の状況について、様々な角度から検証を行っている。
 己斐・高須地区の調査結果から推定されるセシウムの見積もりから単半減期核種による寄与も含めて推定した積算空間線量は薬10mGy、グローバルフォールアウトに隠れて現在検出されない上限から推定したセシウム沈着量の見積もりから推定した空間線量は約60mGyと計算された。
 山間部における原爆由来の放射性降下物の現状については、まだあったと言える確証はなく、今後も検証を続けていく。

  (2) 広島原爆投下後の降雨について
 原爆投下直後の降雨の有無と、放射性降下物の降下や原爆放射線による健康影響は直接に結びつくものではないが、今般広島市等から提出された調査報告の中には、黒い雨の降雨時間の地理分布が含まれているため、関連する情報も合わせて検討した。
   1 これまでの広島原爆投下後の降雨に関する報告について(第2回検討会)
 昭和28年、広島気象台宇田技師らは、広島原爆投下直後から行った調査に基づき、いわゆる大雨地域や小雨地域があったことを報告。
 平成元年、増田氏がアンケート調査や気象データを基に、降雨地域が従来より広かったとする論文を発表した。
   2 広島の黒い雨の降雨時間の地理分布について
 大瀧氏は、平成20年に広島市等により行われたアンケート調査において、黒い雨を体験したと回答した者について、分析した結果を報告した。なお、この調査は、本来は黒い雨の非体験者も含めた回答に基づくべきである点などについて、検討会において指摘がなされ、ワーキンググループにおいても検証が行われた。ワーキンググループからは、「今回の調査データから黒い雨の降雨域を確定することは困難であると考えられた。」と報告がなされ、検討会も、この結論が妥当であると判断した。
   3 放射線影響研究所が発表した「原爆直後の「雨」情報」について(第6回検討会)
 放射線影響研究所で実施する寿命調査等の対象者に対して行われた基本調査票調査には、「原爆直後雨ニ逢イマシタカ?」及びその「場所」の項目がある。現在、放射線影響研究所の線量関連のデータベースには、この雨情報について、全員のデータが入力され、LSS対象者以外についてはデータベース化の途上である。
 このデータベースに入力された情報を基に、「雨」にあったかの回答の分布を確認したところ、広島のLSS集団において、爆心地から2km未満で被爆した者26,729人のうち6,286人などの者が雨にあったと回答した。
 このデータベースも、雨にあっていない者の当時の情報についての情報はない。また、雨にあったとする回答の中には、原爆直後でなく、2〜3日後以後から9月頃までの雨のことが記載されているものも見られた。
 1人以上雨にあったと回答した地域を地図上に表示したところ、そのデータの大半が5km以内に分布していた。
 その他、今回の情報は科学論文ではなく黒い雨に遭ったという1万3千件のデータの分布を示すために作業したものであること、データの分布は雨に依拠した分布というよりは被爆者の所在に依拠したような分布となっていること、研究所内に直接被爆以外の経路からの線量について検討する委員会を作って、黒い雨のデータについても、研究に生かせるかどうかの検討をしているなどの説明があった。
  (3) 要望地域における健康影響について
 「原爆体験者等健康意識調査報告」は、平成16年に広島市等が行った調査結果から、原爆体験により何らかの心身への影響、とくに精神的な影響を含めて検証するために行われたものである。
 この報告は、精神的な影響を主として評価するために行われているものであるが、調査項目の中には、健康関連の生活の質を評価するための尺度や、疾病による受療の有無を尋ねる項目も含まれる。しかし、横断的な調査で疾病の有病率に関する正確な評価は困難であり、今回のデータも参考値であると報告された。(第3回検討会)
 今回主に精神的な影響の評価尺度を用いて行われた解析は、原爆体験以外の日常生活の影響を大きく受けていることや、群設定が自己申告に基づくものになっていることにより回答に一定の傾向が生じるなど、いくつかの限界があると考えられた。
 第1種健康診断受診者証所持者及び第1種健康診断受診者証から切り替えられた被爆者健康手帳を所持する者(指定地域群)よりも、手帳等を持たず、「黒い雨」を体験したと自己申告した者の方が精神的な尺度等が悪い傾向があり、逆転現象が生じている。手帳所持者に既に行われている行政的な施策の影響などを受けている可能性が指摘された。
 検討会において5回にわたる検討を行ったが、「原爆体験者等健康意識調査報告」について、更に掘り下げた検討が必要であると考えられたため、ワーキンググループを開催した。

 10ページの前段につきましては、5ページの中断と同様でございますので割愛させていただきます。

 ワーキンググループの報告を受け、検討会において議論を行ったが、黒い雨体験の自己申告と精神的健康状態の悪化が、放射線の中枢神経系への直接の影響によって生じたとは考え難く、やはり、放射線や被爆にまつわる不安を介した心理的な現象であると考えられた。

  7 結論
 今回、広島市等が第一種健康診断特例区域への指定を要望した地域において、広島原爆由来の放射性降下物は確認されておらず、従って、これによる内部・外部被曝があったとも確認できない。当該地域においては、原子爆弾からの直接の放射線又は誘導放射線は問題とならないことから、要望地域において健康被害の観点から問題となる広島原爆由来の放射線被ばくがあったとは考えられない。
 なお、広島市等により調査が行われた内容は主として精神的な影響に関する評価尺度を用いての検討であり、身体疾病に関しては、設問設定に方法論上の限界があり、影響の有無についての解釈が困難であった。従って、身体的影響について科学的に評価することは調査設計上困難であった。広島市等から提出された調査報告から、黒い雨を体験したと自己申告した者において、主に精神的な評価指標の悪化が見られ、この原因は放射線による健康不安等の要因により説明されると考えられた。なお、科学的知見として、放射線による精神・神経系への影響としては、40グレイを超える線量あった場合におこるとする知見がある一方で、全身に放射線を浴びた場合には3グレイ程度で致死率は50%にも上るという知見があるという点に加えて、要望地域において健康被害の観点から問題となる広島原爆由来の放射線があったとは考えられないことから、今回の調査対象者において、放射線が直接中枢神経系に影響して精神的な影響が出たとは考え難い。
 広島等から提出された調査報告書において検討がなされていた「黒い雨の降雨時間の地理分布」についても、本検討会において、広島原爆投下後の降雨に関連する情報(宇田技師らの報告や放射線影響研究所が発表した「原爆直後の「雨」情報」等)を合わせて検討を行ったものの、降雨域を確定することは困難と考えられた。なお、黒い雨の降雨の如何によらず、放射線による健康影響が確認できないという結論は変わらない。原爆投下直後の降雨の有無と、放射性降下物の降下や原爆放射線による健康影響は直接結びつくものではないことに留意すべきである。
  8 付記

 こちらにつきましては、2ページの付記とほぼ同様ですので、割愛させていただきます。
 その他、後ろに別添1として参集者、別添2として、これまでの議論の経緯、別添3として、ワーキンググループの報告をつけさせていただいております。
 以上でございます。
○佐々木座長 ありがとうございました。概要はどうしましょうか。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 失礼しました。資料2とさせていただいております報告書の概要案でございます。こちらにつきましては、資料1の報告書案の1にございます総括部分の抜粋でございます。
 説明は以上となります。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 それでは、項目ごとの検討に入る前に、ただいまの御説明につきまして何か御質問等ございましたら、御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、最初に申し上げましたように、項目ごとの報告書案の検討に入りますけれども、「1 総括」は2を済ませた後で検討していただきたいと思いますので、2ページの「2検討経過」から検討をしていきたいと思います。
 2の「1 被爆地域等指定に関するこれまでの経緯等」「2 本検討会の目的」ですが、何か特にお気づきの点はございますか。事実関係を端的にまとめたものですが、特に何か気になるところがあればと思いますが。
 特にないようでしたら、「3 広島市等から提出された報告書の概要」についてお気づきのことがあれば御発言をいただきたいと思います。
 柴田委員、お願いします。
○柴田委員 細かいことで恐縮なんですが、4ページの下から3行目「山本政儀」には、やはり「氏」をつけないとまずいのではないかと思います。「政儀」までが名前だと思いますので。
○佐々木座長 ありがとうございます。上の「今中哲二氏」には「氏」がついていますので、「山本政儀氏」としていただきます。そういった細かいこともお気づきの点がございましたら、お願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。金委員どうぞ。
○金委員 今更初歩的なことで申し訳ないんですが、「原爆体験」という言葉と「黒い雨を体験した」という表現が混在しておりますけれども、たしか広島市から2010年5月付で出てきた報告書、参考資料7の1ページの「2 調査の目的」を見ますと、「原爆体験(原爆被爆及び黒い雨の体験)」とありますが、私たちが扱った報告書の内容は専ら黒い雨体験だったと思っておりますので、この辺の用語の解説がどこかに書いてあると、誤解を招かないのではないかと思いました。
○佐々木座長 ありがとうございます。「原爆体験」と「黒い雨体験」の意味を何らかの形で解説してはどうかという御意見でございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 続きまして5ページに入りますが、「4 検討会における検討の経緯」「5 ワーキンググループの報告(別添3)の概要」の辺りについて御意見をいただきたいと思います。特にワーキンググループの報告の概要をわかりやすく書いていただいておりますけれども、一般の方々も読まれるという前提で、読む方のお立場に立ってわかりやすいものであるかどうかという視点も含めて御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 「4 検討会における検討の経緯」は、これでよろしいでしょうか。
 それから「5 ワーキンググループの報告(別添3)の概要」。(1)ワーキンググループにおける検討内容、(2)ワーキンググループ参集者、(3)「原爆体験者等健康意識調査」の調査データ及びその解析結果の限界でございます。この辺りはいかがでしょうか。
 川上委員どうぞ。
○川上委員 今、座長が言われたように、一般の方が読みやすいという点では「リコールバイアス」という言葉から下から4行目に出てきて、私も通常使っているので余り気にしていませんでしたが、恐らく普通の方にはわかりにくいので、問題は思い出しの不正確さと、思い出しやすい人と思い出しにくい人がいらっしゃるということなので、例えばですけれども、「思い出しの不正確さや、思い出しやすさの個人差」のような形で記述したらどうかと思いますが。
○佐々木座長 「リコールバイアス」という言葉をもう少しわかりやすく。
○川上委員 私も日本語が微妙にわかりませんけれども、「思い出しの不正確さや、思い出しやすさの個人差」かなと思うのですが。
○佐々木座長 その辺りを注意書きにするか、本文を変えるかというところも技術なことでありますが。
 柴田委員。
○柴田委員 今の部分は、かなり解説も要ると思うんですね。思い出しやすい人とそうでないというのは、例えば、被害に遭ったか、特にケースコントロールなどをしたときには、ケースの方は思い出しやすいけれども、コントロールはそうではない。だから、佐々木座長がおっしゃったように、注として少し詳しく解説を書いた方がいいのではないかと思います。
○佐々木座長 これからも幾つかそういうところが出てくると思いますが、本文を書き換えて済む場合と、本文の言葉あるいは文章に注意書き、解説を別の欄に書いた方がわかりやすい場合があるかと思いますので、その辺も分けていきたいと思います。御意見がありましたら、お願いいたします。
 次に、6ページ(4)検証結果の1、2、3まではいかがでしょうか。
 荒記委員どうぞ。
○荒記委員 今回の報告書は、概要が一番コンパクトにまとまっているべきだと思うんですが、こういう疫学調査の場合、今回全体の報告書もそうですし、ワーキンググループの報告書もそうですし、概要もそうなんですが、疫学調査で大事なのは、今回の調査対象となった方が元となる母集団からどのように選ばれて、その結果が本当に今回に出した結論に結びつくかを明確にわからせるようにする必要があると思います。そういう意味で、まず対象のところ、今回の疫学調査の対象となった黒い雨体験群とそうではない群の人たちがどのように選ばれたか。例えば、アンケート調査ですから回収率の問題もあるでしょうし、アンケート調査は全員対象なのか、そうではないのとか、そういうことを明確に、本当に一言でいいんですが書いていただければと思います。これを見てもわからないんです。
○佐々木座長 今の御指摘は、むしろ「3 広島市等から提出された報告書の概要」の中に入れた方がいいでしょうか。
○荒記委員 いえ、報告書は報告書ですから、こちらは何とも言えないんですが、むしろこちらのワーキンググループで検討したわけですから、ワーキンググループの方々がそれをどのように解釈しているのかをわからせる。
 元の広島市の調査はこちらは何とも言いようがないわけです。だけれども、これはレビューするワーキンググループがそれをちゃんとはっきりわかっていないといけないし、そうでないと、特にほかの疫学研究者の方々が見て、本当にこの結果が疫学的に正しいのか、これではわからないと思います。ですから、私が一番言いたいのは、今回の対象をどのように選んだのかを明確にしていただきたい。
 それと、もう一つ大事なのは「方法」です。どういう方法で今回の健康影響があったかどうかを判定したか。具体的な方法を全部書く必要はないでしょうけれども、今回の結論に一番結びついたのはどういう方法であったか。単に名前を羅列しただけではわからないです。特にアンケート調査法は、いろいろな人がいろいろなことを言い出しますから、それを今回まとめたワーキンググループがどのように判定して、どう位置づけているかがわかるように書いていただきたい。その2、対象と方法を具体的に。今回の結論と考察は明確なんです。ですけれども、疫学者は結論と考察は余り信用しないわけです。それが世の中と違うんですよね。特に行政的なものとは違うんです。本当に結論に結びついた方法なのか、妥当性があるかどうか。論理的に正しいかどうか、これを疫学者は自分たちで研究データを集めて解析しているのでわかっているわけです。ですから、報告書を読んだときにそれがわかるように書かれていなければ、この調査・結論がが本当に正しいかどうか判定できないと思います。何か偏りがあるのではないかと、いつも研究者は疑っていますからね。行政とは違うので、研究者はいつも疑ってかかっているわけですから、その疑いに応えるような書き方が必要ですので、その辺をお願いしたいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 川上委員、今のはうまく書き込めますか。
○川上委員 先生の御指摘のとおりだと思います。報告の部分に数行書き加えて、その辺りを明確にさせていただきたいと思います。
○荒記委員 余り長くすると余計わかりにくくなると思いますので、余計なことは全部省いて一番のポイントだけ書いて、対象にしろ、回収率にしろ、今回の結論に結びつく項目について触れていただくと。
○川上委員 先生が言われたように方法のところ、K6とか幾つかの尺度についてごく短い解説を入れますと、6ページに突然K6が出てきて読む人が驚くようなことがなくなるので、更に改善されるかなと思って、いい御意見だと思いました。ありがとうございます。
○佐々木座長 どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 金委員どうぞ。
○金委員 わかりやすくということで言いますと、今回の検討は広島市から出されてきた先ほど言いました2010年5月の報告書を検討するということだと思いますので、この報告書には23ページに考察として5まであって、25ページに結論が書いてありますので、この考察・結論の項目立てに合わせて私どもの報告書も整理して書き直していくと、両方を見た人にとってはわかりやすい。例えば、一番最初の考察の1は、被爆者及び黒い雨体験者の心身の健康影響についてと書いてありますけれども、それについてはどうだったか。ポジティブな精神変化は私どもは余り検討しなかったと思いますが、PTSD症状、身体症状、黒い雨の体験状況、結論としては被爆体験者は、今なお心身の健康面が不良であり、放射線による健康不安がその重要な要因であると書いてありますけれども、これはどうか。この辺の対応を少しとって書いていくと、ある意味わかりやすいと言えるのかなとも感じました。
○佐々木座長  (4)検証結果のところを報告書の項目と対比できるような形で書いた方がいいという御指摘だと思います。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 次に「6 要望地域における広島原爆放射線による健康影響及び広島市等から提出された調査報告に対する本検討会の評価」です。
○川上委員 よろしいですか。この放射線について私はよく知らないので、よく知らない者が見ての意見ですけれども、広島市の調査データの再解析からは、身体的な影響については全く検討できておりませんし、放射線がどのくらいあったのかということは、この検討会の大事な論点の1つだろうと思います。例えば、(1)の2、3辺りですが、読んでおりますと、最後は「検討が行われているところである」とか、3は最後に60mGyという数字が出ていて、これをどう読んでいいのかというのが少しわかりにくくて、もう少し書けないものかなとは思うんですが、ただ、どのくらいまでわかっているのかが私自身がよく存じ上げていないので、専門の先生にお任せせざるを得ないんですけれども。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 柴田委員、今のことに関して何かございますか。
○柴田委員 まず、3の方から。10〜30mGyの推定というのは、私の記憶に間違いがなければ、要するに、そこに24時間四六時中いたということです。屋内とかではなくて。生涯そこにいても30mGyぐらいだというような数字がDS86で出ていると。
 2は、実際にまだ、先ほどの今中先生たちのグループがグローバルフォールアウトによるかどうかを検討中ということですので、それは検討中だと思います。
○佐々木座長 その辺の数値の意味と、今度は数値の影響がどの程度かというようなことも書き込めますか。
○柴田委員 要するに、これは外部被ばく線量が30mGy。それはどのくらいに相当するというのはいろいろあると思いますから、書けるのではないかと思います。この辺も、本文中ではなくて本文外に記す解説みたいなものではないかと思います。
○佐々木座長 では、その辺も解説でわかりやすくするという御意見だと思います。
 金委員どうぞ。
○金委員 先ほどのこととも関連するのですが、広島市の報告書には黒い雨の降雨程度については書いてあるんですが、被ばく線量については特に書いていないので、それは私どもの委員会で検討したことを書くというのはアネックスだと思うんですね。ですから、6の中で(1)残留放射能、(2)黒い雨、(3)健康影響と並んでいますが、(1)残留放射能の議論は少し付随的な議論だということがわかるような番号づけにした方がいいのではないかと感じました。
○佐々木座長 ありがとうございます。その辺も工夫をしたいと思います。
 伊豫委員どうぞ。
○伊豫委員 本報告で放射能に関する不安心配というのがかなりキーワードになってきます。そうしますと、7ページの6の1行政により行われた検討のところで、これは一般に報告されたのかどうか、その地域の方々にその結果が知らされたのかどうかというのは、一言コメントを入れておいていただきたいと思います。というのは、心配というのは、黒い雨の被爆によって身体的な障害が出るのだということを仮定してしまっているために生じるのが一般的だと思います。そうなると、そうではなかったという検討結果、事実をお知らせしていたかどうかというのが問題になってきますので、報告されていたのかどうかを一言入れておいていただければと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。ほかにございますか。
 柴田委員どうそ。
○柴田委員 それは参考文献みたいな形で載せるということですか。私自身、昭和51年、昭和53年の厚生省の委託調査の結果がどういうふうに公表されているかは具体的には知りません。内部資料として見たことはありますけれども。その次の日本学術会議の報告は市販されている本の中です。上のところはちょっとよくわかりませんけれども、これはむしろ厚労省で答えていただければと思います。
○伊豫委員 平成3年の方は、市販されているものを一般の方々でも手に取れるという形で書いていただければいいのではないかと思います。上記の方は報告書として何らかの入手方法があるのかとか、広島市の方にちゃんと報告書が行っているのかどうかといったことが大事なのかと思います。
○佐々木座長 今回の昭和51年、昭和53年の委託調査の件について現在、事務局で何か掌握していることはありますか。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 こちらは委託調査ということで、広島、長崎にかかることですので、調査結果については御報告しているかと思いますけれども、念のため事務局で再度確認して御報告したいと思います。
○佐々木座長 よろしくお願いいたします。
 7ページの6の(1)広島原爆による残留放射能について御意見を伺ったところですが、そこはよろしいでしょうか。
 続きまして、(2)広島原爆投下後の降雨について。8〜9ページの半ばぐらいですが、この辺りの書きぶりについて御意見があればお願いいたします。
 柴田委員どうぞ。
○柴田委員 先ほどからのお話を伺うと、例えば1の最後の段落、平成元年、増田氏が云々というところで論文を発表したとなっているんですけれども、一般にはよくわからない。こういうものは具体的に後ろで論文のタイトルとか発表された雑誌名を書けば、ある程度その論文のレビューがある雑誌に載ったのか、そうではないのかもわかるのでいいのではないかと思います。
○佐々木座長 重要な参考文献のようなものは報告書に載せた方がいいのではないかということですか。
○柴田委員 重要なというか、このように引用されていますと、その分野の専門でない人だと、論文というだけで中に書かれていることがすべて、いわゆるアカデミーで支持されていると思われるかもしれません。だけれども、それはこういう雑誌に出ているんだということ、あるいは学会発表かもしれないし、その辺は論文を見る気になれば探せるということで、ここで引用しているものについては、ある程度書いておいた方がいいのではないかと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、9〜10ページの半ばぐらいまでですが、(3)要望地域における健康影響について、何か御意見があればお願いいたします。柴田委員どうぞ。
○柴田委員 2番目の段落の最後の部分に「しかし、横断的な調査で疾病の有病率等に関する正確な評価は困難であり」とありますが、ここはちょっと理解しにくいです。有病率等に関する正確な評価は困難だというのは、横断的な調査だからという意味ではないと思います。横断的な調査だとり患率が出ない、り患率等に関する正確な評価も困難だと言うなら何となく読めるんですけれども。
○佐々木座長 これはワーキンググループ報告の中にある文章ですか。
○川上委員 今の御指摘のとおりで、横断的な調査ではなくて、私の記憶では質問項目が放射線による身体疾患の影響をとらえるように十分設計されていないので、質問項目の限界でというのがあったような記憶があります。勿論、主観的なアンケートの回答ですので、どこまで身体疾患が正確かということもあると思いますので、その2つは挙げておいた方がいいかなと思います。
○佐々木座長 この辺りも、もう一度よく検討することにいたします。
 米原委員、何かございますか。
○米原委員 ちょっと戻ってよろしいでしょうか。7ページから始まっている3第2回検討会の8ページ部分ですが、空間線量の推定値をやっておりますが、ここでセシウム沈着量の見積も0.5kBq/m2から短半減期核種による寄与も含めて推定したものが10mGyとなっています。これが多分、下限値の推定値ということで示されているのですが、その後ろにグローバルフォールアウトに隠れて現在検出されない上限から推定したセシウムによる見積もり2.0kBq/m2から推定したのが60mGyとなっていますが、こちらの方も同じく短半減期核種による寄与を含めて推定したもので、更に、その換算値が上限のものを使っているということで、セシウムだけの線量ではなくて、そのときの短半減期のものもセシウムとの比を推定してやっております。その点がちょっとわかりにくいのではないかと思います。2つ目の60mGyというのは、短半減期の見積もりも見積もりの幅があるんですが、その上限の方をとっているということで、その辺はちょっとつけ加えて。
 要するに、後ろの方もセシウムだけではなくて短半減期のものも含めての外部線量を全部推定したものだということがわかるようにして、10〜60mGyの範囲であるということがこれは少し不正確になっていると思いますので、その辺を書き換えた方がいいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。この表現も米原委員にもお手伝いいただいて、適切な表現に直したいと思います。
 次に「7 結論」です。ここはいかがでしょうか。大事なところですが、御意見をいただければと思います。
○金委員 同じことばかりで申し訳ないんですが、やはり冒頭の第1段落が被ばく線量の議論になっていますので、これは市の報告書にはなかった議論ですから、むしろ、そこをなお書きにして一番最後に持っていく方が、逆にバランスがいいのかなという気もいたしました。結論の最初の段落が「内部・外部被曝があったとも確認できない」と書いてあるんですけれども、広島市の報告書にはそもそも被爆があったとは書いていないので、むしろこれは結論の一番最後の段落になお書きでつける方がバランスがいいのかもしれないなと感じます。
○佐々木座長 川上委員どうぞ。
○川上委員 これは私もよくわからないんですけれども、総括のところには残留放射線の件について、残留放射線と直接放射線あるいは誘導放射線と2つ放射線暴露があってお話がスタートしているのですが、ここに来るまで結論の中にしか直接放射線の記述が出てこないのですけれども、こういうものですか。直接放射線も今の検討経過の中に入れておいて、それを根拠にして結論を出すような形では書かなくて、直接放射線は当然ゼロなので大体初めから検討外というような、ものの考え方かもしれませんが。
○佐々木座長 これは距離との関係ですか。距離が遠いから直接放射線はないというような書き方ですが。ちょっとわかりにくいのではないかという御指摘を受けましたので、もう一度検討したいと思います。
 荒記委員どうぞ。
○荒記委員 10ページの結論の核心となる部分、下から4行目「広島市等から提出された調査報告から、黒い雨を体験したと自己申告した者において、主に精神的な健康指標の悪化が見られ、この原因は放射線による健康不安等の要因により説明されると考えられた」とありますが、2つ明解にしていただきたいことがあります。
 1つは、黒い雨を体験したと自己申告した者に精神的な健康指標の悪化が見られたという部分ですが、これは非常に大事な結論部分なのですが、ここで言う精神的評価指標が悪化したという言葉は適切ではないと思います。また、精神的な評価指標の具体的にどの指標を使ってこういう結論になったのかがわかるように短く書いておく必要があると思います。経過のところに書いてあると言ってしまえばそれまでですが、それは論文としては認められない。一番大事なことはその場でわかるように書いていただきたい、これが1点です。
 それから、もう一つ、この部分で「この原因は放射線による健康不安等の要因により説明されると考えられた」とありますが、これは非常にあいまいですね。この健康不安が放射線によるものとは全然証明されていないわけです。単に黒い雨を経験したということであって、大体黒い雨は放射線量なり放射能は高くないということだったわけですから。
 これは私は繰り返し今まで意見を申し述べてきましたが、大昔の何十年も前に黒い雨を経験したと思い出した人が不安の訴えを出すのは自然なのです。
 ただ、事務局でうまくまとめられたと思うのは、これは場所の問題ではなくて、そこにいる人間が、そういう経験をした人が健康影響があると訴えたとしたことです。これは非常に明解なまとめ方だと思います。でも、それはここに書いていないです。勿論、私の考えが違うなら違うで結構です、採用しないなら採用しないで結構なんですが、私が今まで繰り返し考えてきたのは、そんな大昔のことを思い出した人は不安なり何なりを持つのは当然の話であって、健康影響の原因は放射線暴露とは直接関係ない。これをうまく書く必要があります。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 伊豫委員、お願いします。
○伊豫委員 今の10ページの下から3行目の「この原因は」というところですが、精神医学的には、この原因は放射線による健康障害への不安等の要因ということで、健康不安という言葉自体がございますので、ここで健康不安と書いてありますが、健康障害に対する不安とすれば、少し明確化するかなと思います。
○荒記委員 そうですね。その2つは言っている結論が全然違うんですよ。因果関係が全然違うことであって、報告書の書き方だと放射線が原因だと言ってしまっているわけですから、これは絶対違うと思います。委員のような書き方であれば結構だと思います。
○佐々木座長 前の評価指標はK6のことだと思うんですけれども、川上委員どうぞ。
○川上委員 荒記委員には非常にいい御指摘をいただいたと思います。精神的な評価指標というと、精神障害なのか、単なる精神的な愁訴なのかがわかりませんので、今回使っている評価指標は精神的な自覚症状と言った方が近いと思いますので。
○荒記委員 そうなんです、全体の調査が全部そうなんです。ですから、これが病気だ何だという次元の調査ではないんです。ですから、そこから結論を出すときに、間違えないようにする必要があると思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。金委員どうぞ。
○金委員 今のことは全く同感でございます。
 放射線による精神神経系への影響として40Gyを超える線量があった場合に起こる云々ということが、いきなりここに出てきているんですけれども、これは結論に書く前に被ばく線量の推定とかあの辺の議論のところで一回出しておいて、それをもう一回結論で引用するようにした方が構成としてはきれいだと思います。結論でいきなり新しいことが出てくるというのはちょっと唐突かもしれませんので、御検討いただければ幸いです。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。大変貴重な御意見を多数いただきましたので、御意見を踏まえて修文をしたいと思います。
 次に「8 付記」も大事なところですので、御意見をいただきたいと思います。特にここで言っている最後の「改めて更なる調査を行うことの意義は低いと考えられる」というのは、御要望の第2項に対応しているものですので、この表現の仕方も十分吟味する必要があるかと思いますが、御意見があればお願いします。
 金委員どうぞ。
○金委員 3〜4行目にかけて、これらの訴えがある方々に対して不安軽減のための相談などの取組みが有用である可能性があるということは大変重要だと思っておりまして、本日の検討案は、あくまで広島市が行われました調査に対する科学的な検討を行っているわけでして、不安を抱えている方がいらっしゃると、その不安を抱えている方の中に黒い雨のことを大変気にしている方がいらっしゃるということは、だれも否定するものではないと思うので、そういう方を助けてさしあげたいというのは大変もっともなことだと思うんです。しかし、そのために調査、調査を繰り返して時間を費やすよりは、広島というのは本当に世界に名だたる大学病院、医療制度を持っていらっしゃいますので、そういう中で相談を是非推進していただきたいし、そういうところでお力になれることがあれば幾らでもお力になりたいと思っておりますので、その辺をもう少し強調して、相談などの取組みが有用である可能性があるから、相談を国の支援を受けるためにもっと調査すると読まれると困りますので、そうではなくて、直ちにそういう方への支援は是非推進していただきたいという気持ちがもう少し込められればいいなと感じましたが、いかがでしょうか。
○佐々木座長 ありがとうございます。御趣旨は承りました。
 ほかにいかがでしょうか。荒記委員どうぞ。
○荒記委員 この問題も前回申し上げたんですが、金先生から今回ここに書いてあるように、今後はもっと補償するなり、実際に住民が健康不安を訴えていることに対応をしてあげる必要があるとのこと。そのために予算もどんどん使う必要があるとも解釈できるんですが、これは私はこの前申し上げましたが、かえって危険な側面があると思うんです。確かに健康障害に対する医学的なりあるいは心理的なアプローチは当然やらなければいけない。ただ問題はやるときに、放射線が原因だと考えてアプローチするのか、そうではないのかです。私はそうではないと思います。放射線が原因ですのでいろいろ面倒を見てあげますよ、補償もしてあげますよ、診療もしてあげますよとやってしまったら、2つの意味でとんでもないことになるんです。今まで健康局の長崎の調査に私も参加して繰り返し申し上げたんですが、最初から規定の路線があったようで全然受け入れられなかったんですけれども、最後ですから言わせていただきたいと思います。ここで健康不安を訴えている人、原爆が原因だから補償、治療というようにやってはいけないと思います。予算は今回の原爆の問題でやる国の予算ではなくて、地域で健康不安を訴えている方々に対する治療、健康診断、勿論、健康局がやってもいいわけですけれどこれを原爆でやることは問題がある。
 これまで申し上げた通り、極端な例では、原爆が原因としてもともとそうでない人をそうでないのに原爆症とレッテルを張ることになってしまうわけです。原爆症だというレッテルを心理的に張ることになってしまうと、そういうラベリングをされた方はどういう反応を示すか。場合によっては自殺する人まで出てきますよ。病気というのは自分がそういうものだと思い込んだら、とことんまで悲観してしまうことがあります。このラベリングは現時点でも化学物質過敏症ほかでたくさん経験しています。今回みたいに科学的な委員会で議論するのだったら十分考えなくてはいけないことです。残念ながら、前の長崎の委員会ではそうではなかった。最初から全員原爆症だということで、ほかの病気でも何でも原爆症だということで治療してしまったわけです。これは医学的にあってはならないことです。
 もう一つは、この間も申し上げましたが、国の予算をこういうことでどんどん広げて、どんどん税金を使うことになるわけです。以前ならよかったんでしょうけれども、今みたいに赤字国債の問題が出てきたら、それは慎むべきだと思います。
 後の方は余り強調しない方がいいかと思いますが、最初の方は、原爆症とラベリングして病気をつくってしまう問題なのです。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 金委員、お願いします。
○金委員 言葉が足りませんで、私も荒記委員とほとんど同じ意見です。言いたかったことは、この検討会では因果関係に対して否定的な見解が出ている。ただ、人によっては不安の中で黒い雨のことを気にしてしまう人がいると、これはそうだろうと思います。ですから、因果関係云々ということよりも、通常の医療の中で、私が言ったのは健康保険の普通の医療です。そういう中で十分に対応するということを是非促進していただきたいなということですので、先生が御心配なさっていることを考えているわけではありませんので、どうぞ御安心ください。
○佐々木座長 伊豫委員どうぞ。
○伊豫委員 ただいまの金委員のお話に追加させていただきますが、一般的にこのような心配・不安に対する現在の精神医療というのは、御本人が誤った仮説または認識不足による仮説を持ってしまっているときに、事実等によって修正して行くというのが治療の本質になります。したがって、治療は、黒い雨には放射能が含まれていて被爆による身体的影響が出てくるのだと、例えばそのように思ってしまっているのを、こういう事実があるのでそういうことはないと、実際に今までも被爆による疾患は出てきていませんというような形で安心していただくことになると思います。それは通常の医療の中で行われていくものでも私は結構だと思っています。身体的な問題との関係は、今回のものでは因果関係はないということになっていますので、不安軽減のための相談というのは、そういう手法が一般的には用いられるのではないかと考えています。認知行動療法的なアプローチということになります。
○佐々木座長 ありがとうございました。大分意味合いがはっきりとしてきたかと思います。
 川上委員どうぞ。
○川上委員 金委員、伊豫委員のような専門家がおっしゃったので、今の伊豫委員のようなアプローチは私も賛成で、多分効果があると思うのですが、医療セッティングで行うのがいいかどうかは少し慎重に考えた方がいいと思っていまして、荒記委員が言われるように、医療機関でそういうラベリングに近づく、医療化になってしまうこともあるので、私の個人的な感覚だと、例えば、保健師さんのような方がそういうスキルをトレーニングして、もう少し一般の保健相談の一部として行うことができるといいのではないかと思っておりますが、それをどれくらい書き込むかは別として、単に意見として言わせていただきました。
○佐々木座長 今のお考えに対して、金委員は何か御意見ございますか。
○金委員 全く賛成いたします。
○佐々木座長 今のようなお話を聞かれて、事務局では何かお考えがありますか。これを現場にどんな形で適用できるのかという話になってくると思います。この委員会の役割をやや超えているかもしれませんが、実際問題としてこんな方法もあるという御意見があれば伺えればと思います。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 事務局といたしましては、こちらの検討会の報告を受けて今後どのような対応が必要なのかを検討する必要があるのではないかと思っております。今現時点で、これをやる、あれをやるという話はございません。
○佐々木座長 よろしいでしょうか。
 それでは、一応、現時点での総括について、場合によると今言われたことをもう一度言っていただくような場面もあるかもしれませんし、あるいは今、御議論いただいたことを総括の中にも組み込んでいかなければいけないと思いますけれども、一応、項目ごとに検討して御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 「1 総括」、最初に「1 経緯と目的」です。この辺りはよろしいでしょうか。
 「2 要望地域における広島原爆放射線による健康影響及び広島市から提出された『原爆体験者等健康意識調査報告書』の検討」で、(1)要望地域における広島原爆由来の残留放射線等の程度、(2)黒い雨を体験したと回答した人々の健康状態、(3)「黒い雨」の地理分布という3つの項目で書かれております。これは先ほどの3、4、5辺りをまとめたものだと思いますが、さっとごらんいただいて、まとめ方として問題があるのではないかという御指摘があればお願いしたいと思います。
 川上委員どうぞ。
○川上委員 先ほど金委員が言われたような形で並べ替えるとすると、(1)の残留放射線を一番最後に持ってきて、(2)(3)を上に上げていくのかなと思いました。
○佐々木座長 伊豫委員どうぞ。
○伊豫委員 2の(1)の一番最後のところですが、「健康影響が生じたとする考え方は明確ではない」の「明確」という言葉が適切なのかどうか。単純にいうと適切ではないということになってしまうと思うんですが、それだと、きつ過ぎるというか、その辺を検討していただければと思います。
○佐々木座長 「明確ではない」という言い方は明確ではないということかと思います。表現の仕方を考えなければいけないと思います。
 柴田委員どうぞ。
○柴田委員 例えば「支持できない」とか。
 (2)の2段落目ですけれども、「高体験」「低体験」と書いてあるんですが、これは高体験率、低体験率ではないかと思います。
○佐々木座長 そうですね。中身は率で書いてありますから。
○柴田委員 高体験、低体験と言うと、体験のレベルに違いがあるんですかという感じがするので。
○佐々木座長 ありがとうございました。低体験の方は「低体験率」と書いてありますね。
 ほかにいかがでしょうか。金委員どうぞ。
○金委員 付記のところでもよろしいですか。
○佐々木座長 では、「3 結論」「4 付記」も含めてお願いいたします。
○金委員 「4 付記」の2行目で「放射能に対する不安に起因すると推定される」とあるんですけれども、「起因」で本当にいいのでしょうか。関連はあったと思うんですけれども、起因というと因果関係が含まれてしまう気がします。先ほど本体の方の付記でも同じ表現があるんですが、これはいかがなものでしょうかと思って問題提起です。
○佐々木座長 関連するとか。
○金委員 その方がニュートラルでいいのではないかと思います。
○佐々木座長 川上委員どうぞ。
○川上委員 全く賛成です。説明されるとか、関連するという表現がよいかと思いますし、先ほど結論の中にも「原因」という言葉が出ていましたが、この関連は何々によって説明されるぐらいの方がよいのかなと思います。
○佐々木座長 総括全体について漏れている等はありますか。
 米原委員どうぞ。
○米原委員 2の(3)「黒い雨」の地理分布ですが、これを科学的に証明するために、物理的に痕跡で降ったかどうかは今までいろいろやられてきたことで、これは線量を見積もるためということもあるんですが、その前にそこに降ったかどうか地域を科学的に特定するというのを、実際の残留放射能の痕跡で見るということをやられてきているわけですので、地理分布についても現在まだ検討中であるという内容を含めた方がいいのではないかと思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。
 もう一つ、概要の案がございます。これは総括と全く同じですので、これでいいかということはあるかもしれません。概要というのは、先ほど荒記委員からも御指摘がありましたように、全体を見るときに総括や概要だけで全体がわかるようにしておかなければいけないし、実際にごらんになる方もこういうところを一番ごらんになると思いますので、概要と総括が同じでいいかという辺りは御意見があれば聞かせていただければと思いますが、荒記委員、いかがでしょうか。
○荒記委員 概要はよくやるのでわかります。普通は、論文のスタイルだと今回の総括は要約に当たる部分ですね。そうしますと、今回の調査の全体像がわかるようにまとめたのが総括あるいは要約ですね。一部、勿論その中の考察部分に解釈を加えますが、ただ、概要になりますと、今までの経過なりちゃんと書かないとわからないでしょうし、問題点なりもっと広く書いていただく必要がある。だから、全く同じなのは困ります。
 ですから、総括の方は、目的なり対象なり方法、それから、考察、結論をできるだけ短くまとめたものが総括になると思います。
○佐々木座長 ありがとうございました。その辺も工夫をしなければならないかと思います。
 今の要約ないしは総括を報告書の最初に持っていくか、最後に持っていくか。概要とは別に、今は最初に総括を持ってきておりますけれども、2の検討経過を書いた後に最後にまとめるという方法もあるかと思いますが、その辺の御意見はいかがでしょうか。どっちでもいいということもあろうかと思いますが、報告書として最初にあった方が読む方には親切かもしれないという気もしますが。
 柴田委員どうぞ。
○柴田委員 最初にある方が、ここを読めば一応わかるわけで、これを読んでもその先は読まないかもしれないし、そこが判断できるので、長々と読んでいかないとだめだというよりはいいのではないかと思います。
○佐々木座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。
 本日、この報告書案につきまして大変貴重な御意見を多数いただいておりますが、今後どうしたらいいか、今回でまとめられるものであればまとめたいと思っておりましたが、これだけ御意見が出ましたので、今日で結論を出すわけにはいかないと思いますが、今後どうしたらいいかについて御意見を委員の方から伺いたいと思います。
 柴田委員どうぞ。
○柴田委員 今日、かなり本質的な御意見が出たと思いますので、いろいろ議論して、もう一回開く必要があるのではないかと思います。
○佐々木座長 川上委員どうぞ。
○川上委員 私も柴田委員の御意見と同じで、もう一度もんだ方がいいような気がします。私自身も専門家として一応わかることを正しく書いたつもりだったんですが、こうやってほかの人の目で見てみると、少しわかりにくいところもありますので、多少反省して、もう少し努力したいと思います。
○佐々木座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。
 金委員どうぞ。
○金委員 もし、もう一回開くのであれば、ちょっと本質とは関係ないかもしれませんが、先ほど伊豫委員からもありましたように、この調査を通じて、広島市において黒い雨体験者の方に対する知識の伝達や、さまざまな医療福祉支援活動がどう役立てられてきているのか、変わってきているのかということをお教えいただけると、私どものこういう議論も少しは貢献したのかなという気持ちがありますので、これは趣旨からは外れるのですが、そういう資料をいただけるとありがたいなと個人的には感じております。
○佐々木座長 今のことはいかがでしょうか。広島市がどういう周知といいますか、一般の方に周知する活動をしているかということを文書でよろしゅうございますか。
○金委員 文書でも口頭でも結構なんですが、通常、行政がいろいろな健康診断をして具合が悪い人があぶり出されると、必ず何らかの対応をすると思うんです。そういう枠組みで考えますと、これだけ具合が悪いとおっしゃっている人がいるので、何人か既に対応されているのではないかと思いますが、財源の問題もあるのでしょうが、通常の医療保険行政の中でされていると思うんです。それを少し教えていただけると。
○佐々木座長 事務局いかがでしょうか。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 今の広島県・市の状況ですけれども、こういった課題があるというのはあるんですが、これに対して特段政策的に何かやっているということはないと承知しております。
○佐々木座長 よろしいですか。何かこういうものはないのかという。
○金委員 ないということでしたら、それで結構です。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 ピンポイントで何かやっているかということではなく、幅広めに広島市なり県にどういった対応をされているのかは確認させていただきたいと思います。
○佐々木座長 原爆被爆者への医療関係の対応については、たしか第1回目のときに御説明いただいたんですよね。ただ、その後の手帳をお持ちでないような方の問題に対して何らかの医療保険的な対応をしておられるかということ、そういうものがあれば知っておきたいというお話だと思いますが、できそうですか。一応、御検討いただくということかと思いますが。
○外山健康局長 御意見の趣旨がよくわからないのですが、それを知っておくことと、この検討会と一体どういう位置づけなのでしょうか。
○金委員 冒頭も申し上げましたが、本質とは関係ないかもしれないですけれども、関係ないということであれば全然結構なのですが、普通の精神科の医者として見ると、具合の悪い人を広島市においても見つけたと。その方たちは今どうなっているんだろうというのは率直に心配に思うところですので、教えていただければなと思った次第です。趣旨と関係ないということであれば、別に入れなくても結構です。
○佐々木座長 多分、先ほどお話の出た相談が有用であろうというようなことを言うに当たって、具体的にどんな相談の仕方があるかというお話が幾つか出ております。保健師さんの対応ということもあれば、保険医療の中での対応というお話も出ておりますので、そういうことの参考にということですね。もし、何かそういう情報があればということになりましょうか。余りここにはふさわしくないよというお話であれば、それも含めて事務局で御検討いただくということでよろしいでしょうか。
 私も今日の議論を伺っておりまして、この報告書の再検討・修正が必要だと思っておりますが、今のような委員の御意見を踏まえて、できればあと一回で済ませたいところですが、この委員会を開催するということに関して、事務局サイドでは何かお考えはありますか。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 特段問題ないと考えております。
○佐々木座長 ありがとうございます。
 今日は大変貴重な御意見をたくさんいただきました。報告書をより適切なものにし、しかも、読まれる方の立場でできるだけわかりすやく読みやすいものにして、内容を委員と読まれる方ができるだけ正確に共有できるような報告書にしたいと思いますので、事務局ともよく相談し、また、その間、委員の方々の御意見も伺いながら報告書の第2版をつくって、できましたところでもう一度、委員会を開いて御検討をいただきたいと思います。
 時期についてですが、6月は私自身の特に後半のスケジュールがとれそうもないということがあって、6月前半は準備に時間がかかると思いますので、7月の前半ぐらいをめどに準備を進めさせていただいて、また御都合を伺って委員会の日を決められるといいなと思っておりますが、事務局からは時期について何かございますか。
○高城原子爆弾被爆者援護対策室長補佐 次回の日程につきましては、また追って調整させていただきまして御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○佐々木座長 それでは、以上で終わりたいと思いますが、何か言い残したことがおありになれば委員の方から御発言をいただきたいと思います。これからの修正作業につきましても御意見があれば。
 伊豫委員どうぞ。
○伊豫委員 心配・不安という言葉が出てきております。これらは日常的に私たちが体験するものですが、時に心身や活動に大きく影響するものです。今回の心配・不安というのは、一般的な心配・不安より大きいものであると認識いただくことが大事と思います。そうでないと、このことで悩んできた方々の苦労を軽視するようなことにもなりかねないので、その点を認識することが極めて大事と精神科医としては思っています。
○佐々木座長 ありがとうございました。ほかに御発言ございますか。
 それでは、予定よりちょっと時間が早めでございますが、もし、御発言がなければ、これで第8回「原爆体験者等健康意識調査報告書」等に関する検討会を終了させていただきたいと思います。貴重な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室

代表: 03-5253-1111
内線: 2318

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