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2012年3月29日 第67回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

職業能力開発局

○日時

平成24年3月29日(木)10時00分~12時00分





○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第23会議室(19階)







○議題

○今野分科会長 定刻となりました。定足数に達しておりますので、ただいまから「第67回労働政策審議会職業能力開発分科会」を開催します。
 本日の出欠状況は、黒澤委員、水町委員、浦元委員、河本委員が欠席です。三村委員は所要により途中で退席します。
 議事次第にありますように、今日はたくさんの議事を考えております。それでは、まず1番目の議題に入ります。「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。本日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あてに諮問がなされたところであり、これを受けて本分科会において審議を行うものです。内容については、事務局から説明をお願いします。
○志村能力開発課長 それでは、「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてご説明いたします。
 資料1-1に省令案要綱の諮問文がございますが、これだけでは少しわかりにくいと思いますので、資料1-2にポンチ絵をつけております。1頁目をまずご覧いただきますと、今回の改正内容は、大きく3点ございます。職業訓練基準等の見直しが1点目、2点目が指導員訓練である専門課程への電気工事科の新設。3点目が総合課程の設置に伴う関連規則の見直しです。
 では、1点目の改正事項について説明いたします。職業訓練基準のしくみにつきましては、5頁をお開きください。主に都道府県の職業能力開発校で行っております普通課程の普通職業訓練は、能開法の第19条、施行規則の第10条で、この左の部分ですが、訓練科ごとに訓練の対象者、教科、訓練時間、訓練期間等を定めております。今回は、これらを定める別表第2の見直しを行うとともに、これに連動する職業訓練指導員の試験の科目を定める別表第11を見直すものです。
 見直しの流れにつきましては、その次の6頁をお開きください。平成19年度から順次144科の訓練基準について5年間をかけて見直しを進めておりまして、毎年度、職業能力開発分科会に諮問しているものです。
 ただ、一種のスピードアップといいましょうか、今年度から144分野を4年間で見直すとともに、緊急的な見直しが必要なものは随時見直しを行うこととしております。またこれまでは、そこの絵に描いてありますように、基礎研究を1年度目、訓練基準の見直しを2年度目に実施してきたところですが、今年度からその期間を原則1年間に短縮することにしております。このため、今年度は、5カ年計画の最終年度として見直す分野、ポンチ絵の金属加工分野、機械分野及び自動車分野と、4カ年計画の最初の年度として見直す分野、ポンチ絵の電気・電子分野及びレザー加工分野を合わせた改正を行うこととしています。
 それでは、訓練基準の見直しの内容について説明いたします。2頁をお開きください。「機械分野」の訓練科につきまして、マシニングセンタや、数値制御旋盤と呼ばれる自動工作機械が普及しておりますが、一方でこれらの機械にはできない細かな手仕上げ加工の重要度が増しているということで、これに関する技術を習得するように見直しを行います。あと、教科の名称を「NC加工」に改めるといった内容です。
 「自動車分野」につきましては、習得する技能及び知識から自動車の「製造」を削除するということでして、これは実際には自動車整備、メカニック、車体の整備が中心ということで、実態にあった適正な内容に改めるということです。
 3頁目をご覧ください。溶接を主体とした技能・知識を習得する「金属加工分野」の訓練科につきまして、より高品質な溶接ができるMIG溶接と呼ばれる技術について、これを行うことができるように所要の見直しを行います。また鉄鋼材を溶接して構造物を組み立てる技術において、やはり図面のCAD化が非常に進んでおりまして、図面を理解して、その図面どおりに鉄鋼材を加工することができるように所要の見直しを行う。これが金属加工分野です。
 「電気・電子分野」ですが、電気・電子分野は高度化が進んでおりまして、簡単な電子回路等を設計できる技術や、インターネット等のネットワークに接続する技術が非常に重要となっております。これを行うよう、所要の見直しを行うものです。
 4頁目をご覧ください。「レザー加工分野」の訓練科において、消費者のニーズに合った商品を、商品企画からデザイン、設計、製造、流通販売までできる技術が重要になっておりますが、特に太線で囲んだ上流工程に訓練時間の配分を重点化するという内容です。
 なお、今回の見直しを行うにあたりましては、都道府県の訓練指導員や民間の認定校などの専門家の方を構成員とする専門調査員会という検討会を開催しておりまして、見直し内容を検討していただいた結果を踏まえ、今回の省令の改正を行うこととしたものです。
 それでは、2点目の改正内容について7頁をご覧ください。今後、人材育成ニーズの拡大が見込まれる太陽光発電設備を設置するための技術を教える電気工事科の職業訓練指導員の養成を促進するための改正です。
 現在では、電気工事科の免許を取得するためには、職業訓練指導員試験を受験することになっています。一方、すでに職業訓練指導員免許を有しております公共職業能力開発施設の職業訓練指導員に新たな指導員免許を付与する指導員訓練として、職業能力開発総合大学校がございまして、その中の専門課程と呼ばれている原則1年間の指導員訓練課程の制度を活用して、現在17科設置されております専門課程に、「電気工事科」を追加するという改正内容です。
 また、電気工事科の職業訓練指導員試験におきまして、電気工事士等の他の法令による免状等を持っている者について、受験資格の付与や試験の一部免除を行う見直しも行います。
 3点目の主な見直しのポイントは、8頁をお開きください。「総合課程」は、特定専門課程及び特定応用課程を体系的に実施する合計4年間の訓練課程として、職業能力開発総合大学校に、小平校ですが、この4月に開校する訓練コースです。
 これらの訓練課程は、現行の職業能力開発大学校や短期大学校が行っている専門課程及び応用課程の訓練基準を準用しておりまして、修了生はほぼ同等以上の技能・知識を習得しているものと考えられます。そのため、既存の専門課程及び応用課程の修了生と同様に、特定専門課程及び特定応用課程の修了生につきましても、指導員試験や技能検定試験の受験資格を付与、試験の科目のうち学科の免除等の見直しを行うものです。
 以上が、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱の説明です。
○今野分科会長 それでは、ご質問、ご意見をお願いいたします。
○新谷委員 省令案要綱の中身について、資料1-2に基づいてご説明いただきました。内容については、労働側としては基本的に異論がございませんので了承はしたいと思いますが、2点につき要望申し上げたいと思います。
 1点目は、資料1-2の真ん中に書いてあります専門課程の電気工事科の新設の件です。この資料の中にもありましたように、電気工事科という科目については、まさしく政府が掲げている新成長戦略の中で、医療とともに環境分野、太陽光発電のパネルの設置等の労働市場がかなり膨らんできているということに対応したもので、時宜を得た内容だと思うのです。ただし、この提案を見て非常に奇異に感じたのは、なぜ今までなかったのだろうということです。電気工事というのは世の中にたくさんある職種だと思いますし、求人のニーズも結構あったはずだと思うのです。
 今回、太陽光発電の話が出てきて新設をされたということですが、今後の見直しに当たっては、この職業訓練の指導員というのは、最終的にはやはり就職に結び付けるための訓練をやるわけでありますので、労働市場の動向であるとか、もちろん技術革新の動向も十分アップデートしながら、時宜にかなった見直しを適宜進めていただきたい。
 もう1点は、資料1-2の3点目に記載してあります総合課程の関連規則の見直しということです。総合課程設立の経緯については、この分科会でもかなり論議をさせていただいて、相模原から小平に移転をして、体系を組み直しするという流れの中で、今回この整備を進めるということです。これについては、労使ともに意見を申し上げておりますが、やはり職業訓練は、各地にあります雇用支援機構の持っているハードウェアと、こういった訓練を実際にされる指導員の質が相まって十分うまく回っていくものだと思いますので、その訓練指導員の養成をするための総合大学校の総合課程の学生の質を維持できるように、是非、今後政府としても、こういうことへの働きかけを含めて、十分な働きかけをお願いをしたいと思います。
 以上、2点の要望を申し上げて、この内容については、労働側として了承申し上げたいと思っています。以上です。
○今野分科会長 いまの点について、何かコメントありますか。
○志村能力開発課長 若干、電気工事科の設置について説明させていただきます。例えば、平成22年度の免許交付状況を見ますと、機械科854件、自動車整備科541件、電気科169件ということで、その中の最初から卒業する人の指導員免許として電気工事科は平成22年度は60件ということなのです。決して多くはないのですが、ただ今回改正内容をお出ししたのは、やはり都道府県の訓練校のほうも、そういう再訓練というか、制度を設けてほしいというような要望もございましたので、まさに時宜を得た改正を行っていかなくてはいけないというのは当然のことだと思いますが、補足して背景も説明させていただきました。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長 それでは、当分科会としては、「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」は妥当と認める旨を、私から労働政策審議会会長あてに行うことにしたいと思います。
 それでは、事務局から報告文(案)を配付してください。
               (報告文(案)配付)
○今野分科会長 よろしいですか。それでは、いまお手元にお配りした案で、私のほうから報告をすることにさせていただければと思います。
 続いて2番目の議題に入ります。「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。3月28日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長あてに諮問がなされたところで、これを受けて本分科会において審議を行うものです。内容については事務局から説明をお願いします。
○田中実習併用職業訓練推進室長 お手元の資料2-1の2頁をご覧ください。職業能力開発促進法施行規則を一部改正して、認定実習併用職業訓練の実施計画の対象となる青少年の範囲を、15歳以上45歳未満とするものです。
 資料2-2で概要をご説明します。図にありますように、実習併用職業訓練は、実践型人材養成システムと呼んでおりますが、こちらに楕円で囲んでおりますジョブ・カード制度の職業訓練である雇用型訓練の1つです。
 頁をめくっていただくと、ジョブ・カード制度の職業訓練の一覧が出ております。左から2番目の楕円で囲んだところですが、今回、その対象者を、これまで15歳以上40歳未満だったものを「15歳以上45歳未満」へ要件を緩和するものです。これは、新規学卒時に正社員として就職できなかった就職氷河期世代の方々が現在40代に突入しており、このような40代前半の不安定就労者については、職業経験やスキルなどを身につける機会が少ないなどの理由により、正社員となることがさらに困難になっているという、いわゆる年長フリーター問題があり、こうした課題に対応するため、平成24年度より厚生労働省で実施するフリーター対策を45歳未満の方に対して講じることとしていることを踏まえたものです。以上です。
○今野分科会長 ご質問、ご意見をお願いします。
○伊東委員 今回の諮問された内容については、そのとおりかなということで異論は全くないのですが、2つほど確認させてください。その年齢が上がっていくということで、40歳から45歳になるというのはよくわかります。これ自体が若年者雇用対策という、たぶんいろいろなところで若年者雇用という施策があるかと思いますが、そことの整合性が取れているかなということが気になりますので、その点を1つ確認したいと思います。単純に何となく年齢を延ばしたという感も否めなくなってしまいますので、こういう施策自体はいままでもやっているのですが、どの程度効果が上がってきているのか、可能であれば年代別、たぶん5歳刻みぐらいにしていただいたほうがわかりやすいと思いますが、その辺の実態についてももしわかれば教えていただき、それをきちんと私たちの中で確認した上で、これを進めていくべきかなと思います。以上です。
○今野分科会長 いかがですか。
○田中実習併用職業訓練推進室長 まず、他の若年者雇用対策との整合性については、いわゆる年長フリーター対策については、若年者のトライアル雇用制度やジョブ・カフェ、あるいはハローワークにおける年長フリーターへの対応があるかと思います。そちらの対策についても、今般のタイミングで45歳までの方々を対象に行っていくことになっております。
 また、実際に実践型人材養成システムの効果については、特に年長の方々の状況については、平成23年度の実践型人材養成システムの対象者の年齢構成を調べたところ、認定計画の中で訓練を受けられている2,227名のうち、30歳以上40歳未満の受講予定者が9名ということで、全体で見ると30歳以上40歳未満の受講予定の方は0.4%だったのですが、その要因としては、実践型人材養成システムは6か月間から2年間という長期の訓練ですので、自分の会社の中核人材を育成しようとする企業においては、30代の者よりも新規学卒者、あるいは20代の若者を雇用して能力開発を行おうとするようなことが多かったかと予想されるところです。ただ、少ないながら30代の方についても実績があるところですので、今後ともこの制度を必要とする方々に対して、積極的に普及を図ってまいりたいと考えております。
○今野分科会長 よろしいですか。
○伊東委員 いまの説明でわかったのですが、そうすると、先ほどの人材育成からいくと、もちろん企業にとっては若い人を採用したほうがいいということはわかるのですが、年齢を上げていったときに、さらに実効性を高めようとするときには、もう少し工夫が必要なのかなと感じたので、その辺も含めてまたご検討いただければと思います。以上です。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。
○豊島委員 そもそも認定実習併用職業訓練の対象となる者は青少年と決まっているのでしょうか。というのは、青少年が45歳までというのには違和感があります。対象者の年齢がまた上がったので、その人もこの訓練を受けられるようにしてあげたいというのには賛成なのですが、やはりこの15歳以上45歳未満に違和感があるということを言わざるを得ません。対象となるのが青少年であれば、青少年の枠を広げるしかない。対象が青少年ということを外せば、45歳までを無理に青少年と言わなくてもいいのではないかという思いで発言させていただきました。
○田中実習併用職業訓練推進室長 「青少年」という文言自体は、以前から能開法に規定されているのですが、年齢の範囲については、平成18年の法改正で実践型人材養成システムが規定されたことに伴い、新たに能開法の施行規則で規定したものです。これ自体は主に新規学卒者で、即ち青少年のような若年層を現場の中核人材として育成することを目的として創設されたので、「青少年」の文言の選択は適切だったと考えているのですが、当時、年長フリーター問題がここに至るまでなかなか解決しないと想定し難かったので、その後、いわゆる年長フリーター問題の対応の一還として、年齢の引き上げを段階的に行ってきた経緯がありまして、その結果、いま委員からもご指摘がありましたように、青少年という言葉の文言のニュアンスと対象年齢の間に若干の乖離が生じてきているところですが、年長フリーター問題の解決への対応ということで、そういう感じになっております。
○豊島委員 伊東委員が言われた趣旨で、実効性があるように頑張っていただくような施策が求められているだろうということと併せて、これまでから実態が変わってきたので、それに何とか手当てができるように手直しをしたけれど、それは限界にきているのではないかという思いがありますので、青少年の範囲については根本的に考え直すようなことも必要ではないかということだけを申し上げておきます。以上です。よろしくお願します。
○大久保委員 改正自体は結構だと思うのですが、もともと背景にある年長フリーター問題はこれから大きな問題になってくるだろうと思います。先ほどの30歳から40歳の実績の数字をお聞きすると、年長フリーター対策の中心的な対策にはこれはなかなかなりづらいのではないかと思いますので、年長フリーター対策をどのように職業訓練施策の中でやるのかという観点は別途必要だと思っております。とりわけ年長フリーターの方は、非正規であってもこれまでそこそこ継続的に働いてきているわけで、多くの方々は求職者支援法の対象者でもなさそうだと思うのです。その人たちはもう年齢がかなり上になっていますので、本格的に専門的な職業能力を身に付けないと、なかなか正規社員の道はないだろうと思いますので、本来の公共職業訓練の中で、年長フリーター問題をどうするかを別途しっかりと検討いただきたいと思います。
○今野分科会長 何かコメントありますか。ご要望として聞いておけばいいですか。
○土屋総務課長 いま大久保委員からお話があったとおりだと思っております。非正規雇用の方々への対応は訓練の場面でも強めていかなくてはいけないときに、どちらかというと、ご説明した実践型人材養成システムなどはやはりもう少し若い年齢層への対応が実際のところ中心になっている中で、一方、年齢を広くみた場合には、やはり雇用保険の受給者ということも含めて公共職業訓練でどう対応していくかが大事になってくるだろうと思います。その意味では、ハローワークでの訓練への誘導を強化していくことを含めて、公共職業訓練の中で十分な対応ができるようにご要望に対応していくことだと思いますし、制度になかなか乗り切らない部分は求職者支援訓練も活用しながらやっていくということで、職業訓練の大勢を占めるそういった大きな部分で、年長フリーター問題にも対応できるようにやっていきたいと思います。
○今野分科会長 そのほかいかがですか。
○伊東委員 特に年長フリーターになると、要は、例えばいまの規定で45歳未満は問題がないのですが、40歳前後になってくると、どうしても人間の一生を考えたときに、非常にマインドの問題が大きくなってくると思うのです。単純に職業訓練、もちろん合わせてマインドも含めてキャリア開発をやっていただけると思うのですが、そこはより丁寧にやっていかないといけないと思いますので、是非そこのところはしっかりといま以上に強化することをお願いしたいと思います。
○土屋総務課長 その意味では、いま申し上げたような公共職業訓練や求職者支援訓練に対応する場合でも、ジョブ・カードを今年度、来年度からは原則的にこういった場面では使うことにしてきていますので、そういったものの活用も含めて丁寧な対応をしていきたいと思っています。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、当分科会としては、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」は妥当と認める旨の報告を、私から労働政策審議会会長あてに行うことにしたいと思います。よろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長 ありがとうございました。事務局から報告文(案)を配付してください。
               (報告文(案)配付)
○今野分科会長 いま配りましたお手元にある案で、私から労働政策審議会会長に報告をさせていただきます。よろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長 ありがとうございました。
 それでは、3番目の議題に入ります。3番目の議題は「雇用保険施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。本日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あてに諮問がなされたところです。これを受けて、本分科会で審議をするということです。内容については事務局から説明をお願いします。
○山本育成支援課長 「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」についてご説明します。今回の改正は、認定職業訓練助成事業の補助金の震災特例の改正です。
 資料3-2をご覧ください。認定職業訓練の制度の概要についてです。「認定職業訓練」は、事業主等が行う職業訓練のうち、一定水準を満たしたものについて都道府県知事が認定するものです。認定を受けた認定職業訓練については、2に書いていますが、職業訓練法人や中小企業事業主、あるいは中小企業団体が行う訓練については、都道府県が助成、援助を行う。これに対して、国がその2分の1の補助を行う。国の負担割合の上限は補助対象経費全体の3分の1を上限とする仕組みになっているものです。
 資料の下段をご覧ください。今回の改正内容です。東日本大震災により被災した認定職業訓練施設の復旧にかかる施設費及び設備費の国庫負担率の引き上げの特例措置について、平成24年度についても引き続き実施するというものです。
 特例の対象は、今回の東日本大震災に係る災害救助法の適用地域に所在する職業訓練法人等が設置する認定職業訓練施設あるいは設備の災害復旧に要する経費が対象となっております。ちなみに対象となるものは4県11施設になっておりますが、このうち、平成24年度の措置予定としては2県2施設となっております。
 具体的に補助の特例の内容については、通常の場合には、国から県への補助率を2分の1、国の負担割合の上限を補助対象経費の3分の1としており、国、県、事業実施主体がそれぞれ3分の1ずつ分担するような形になっております。
 平成24年度の特例については、国から県への補助率を3分の2に、国の負担割合の上限を2分の1に引き上げる。これにより国の負担分を増やし、県や訓練を実施する職業訓練法人の負担の軽減につなげようというものです。
 平成23年度においては、特例の括弧書きに書いていますが、国から県への補助率が4分の3となっています。平成24年度については、さらに事業実施主体、訓練実施主体の費用負担の軽減につながりやすくなるように3分の2という形で一定の見直しをさせていただいたものです。以上です。
○今野分科会長 ご意見、ご質問をお願いします。
○諏訪委員 認定訓練助成事業費補助金の震災特例の見直しについて意見を申し上げます。資料からは分かりづらいと思うのですが、現行の特例措置においては、訓練校の負担が3分の1になっています。平成24年度に改正がされると、訓練校の負担が4分の1に減ります。これでは、懸命に努力して平成23年度中に復旧を果たした、事業再開を果たした企業にとっては、やはり不公平感が出てくるのではないかという被災地からのお声をいただいています。この点について、事務局よりご説明をいただきたいと思います。
○山本育成支援課長 平成23年度の認定訓練施設の復旧については、事業主体が職業訓練法人や民間の職業訓練校など民間事業主の場合について、2県で5施設ですが、これについては、関係県でご配慮いただき、民間の事業主の負担割合が、今回平成24年度で念頭においている4分の1、あるいはむしろそれよりさらに負担軽減を図った対応をしていただいております。そういう意味で、平成23年度についても、民間の事業主体が実施したものについては、今回の震災特例と同等、あるいは同等以上の対応をしていただいているところです。
○今野分科会長 よろしいですか。
○諏訪委員 ありがとうございました。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。
○高倉委員 改正内容については非常に評価できる内容だと思いますが、被災地の復興という意味では仕事がなければいけないわけですから、雇用に直結する施策、対策を今後も引き続き強化していただきたいという切なる要望があります。確認ですが、平成24年度に2施設を対象にするということですが、そうすると残りの9施設についてはすべて復旧が終わっているという理解でよろしいのですか。
○山本育成支援課長 はい、そうです。9施設については、平成23年度に工事は完了、もしくは完了予定となっております。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、当分科会としては、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」は妥当と認める旨の報告を、私から労働政策審議会会長あてに行うことにしたいと思います。よろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長 ありがとうございました。報告文(案)を配付してください。
               (報告文(案)配付)
○今野分科会長 いまお手元にある案で、私から報告をさせていただきますが、よろしいですか。    
                 (異議なし)
○今野分科会長 ありがとうございました。続いて4番目の議題に入ります。「2012年度の年度目標について」です。事務局から説明をお願いします。
○土屋総務課長 年度目標について資料4をご覧ください。雇用戦略に係る年度目標については、毎年この分科会でご議論をいただき、私どもが定めさせていただき、また点検評価部会で評価をいただいているところです。今回は、平成24年度の目標の設定についてご相談をさせていただくものです。
 資料4の1頁目には、今年度の実績について整理をしています。目標についてはご覧のとおり6つの項目について私どもの関係では立てさせていただいております。
 最初は、「ニートの縮減」ということで、サポートステーションにおけるニートの方々に対する支援、その結果としての就職などの進路決定者数の目標です。年度の目標は7,800人と立てさせていただいているところ、1月までの推移で9,765人ということで、かなりハイペースな形で実績を出している状況です。
 2つ目の目標は「ジョブ・カード取得者数」です。これは単年度では28万人という目標を立てさせていただいているところ、12月末までに18万3,000人ほどということで、年間の数字に引き直すと目標をやや下回りますが、目標に近い数字をいま出している状況です。
 3番目は「公共職業訓練(離職者訓練)の受講者数及び就職率」の目標です。受講者数については21万5,000人という目標を掲げているところ、実績としては1月末までに13万9,000人ほどということです。公共職業訓練の離職者訓練は施設内訓練と委託訓練がありますが、施設内訓練はほぼ順調に進んでいるところ、委託訓練については今年度から原則、都道府県において委託をする。従来の機構と都道府県がそれぞれやっておりました形から都道府県のほうにシフトをするということでやっております中、都道府県の実施体制がなかなか整わない部分があり、委託訓練の設定自体が少し低調であることが影響している状況にあります。就職率については、施設内訓練80%、委託訓練65%という目標設定に対し、最新の数字では施設内訓練77.4%、委託訓練64.1%ということで、若干下回っていますが、目標に近い数値を出している状況です。
 4番目は「緊急人材育成支援事業の基金訓練の受講者数及び就職率」の目標です。事業が9月までとなっていますが、9月までの事業についての目標です。受講者数については、半年で12万人ということですが、事業の終了前に若干駆け込み需要的な受講者の増があり、結果として21万人とかなり上回った数字になっております。就職率については60%という目標設定に対し、75.7%という数字で推移をしております。
 5番目に「求職者支援制度による職業訓練の就職率」です。こちらは基金訓練のあと、10月から支援制度がスタートしておりますが、目標としては基礎コース60%、実践コース70%という目標設定に対し、まだ実績が具体的な数字として出ていない状況です。今後出てきた段階でご報告申し上げます。
 最後に6番目は「自己啓発を行っている労働者の割合」です。正社員50%、非正社員30%という目標に対し、これは能力開発基本調査の統計調査の数字によるものですが、最新の数値で正社員が43.8%、非正社員が19.3%という状況になっています。
 以上が今年度、現在までの実績です。これを踏まえて、来年度の目標設定については2頁目をご覧ください。来年度の目標設定について項目を追って順に申し上げますと、最初にニートの縮減、サポートステーションにおける進路決定者数は1万2,000人とさせていただきます。昨年度の目標の7,800人に対して、先ほど申し上げたようにかなり高いレベルで実績が出ていることを踏まえ、実績を年間に引き直しつつ、サポートステーションについては平成24年度において5カ所増設して115カ所にする予定です。これを加味して1万2,000人とさせていただきたいというものです。
 ジョブ・カードの取得者数ですが、31万人とさせていただきたいというものです。これは、現在までの実績を踏まえると、今年度末までに大体累計で69万人という実績が出る見込みになっております。一方、中期的な新成長戦略上の目標としては300万人という累計の目標が立っておりますが、これと合わせてジョブ・カードの全国推進計画の新しい計画において、平成24年度までに100万人という中間的な目標も立てています。この100万人とこれまでの実績の69万人を踏まえ、勘案して31万人という目標にさせていただきたいということです。ジョブ・カードについては、公共職業訓練、求職者支援訓練においても、先ほど申し上げた原則ジョブ・カードを活用していくことにしていますので、そういったことを踏まえて、取得者数の目標の達成に向けて努力をしてまいりたいと思っています。
 3番目が公共職業訓練の離職者訓練の目標です。就職率について、中期目標と同様、かつ今年度、平成23年度の目標と同様の施設内訓練80%、委託訓練65%という目標にさせていただきたいというものです。なお、受講者数の目標については平成24年度においては設定をしない方向でお願いしたいと思っています。
 その理由としては、先ほどもご覧いただいたように、これまで受講者数の目標を掲げていたわけですが、平成23年度の目標の数値も訓練の計画数を掲げております。ただ、訓練の計画数は、その持つ意味としては、訓練受講が必要な求職者の方々に十分な訓練機会を提供する観点から確保させていただいている、いわば予算上の最大の計画数の意味を持っています。一方、訓練の実際の受講者数になると、やはり雇用失業情勢に左右される面が多々ありまして、ハローワークであっせんする受講者数も、そういった観点からかなり増減する要素があります。そういった点を加味して、受講者数そのものを目標として設定することがなかなか私どもとしても難しい面があるのではないかということで、今年度から目標に掲げない形でいかがかということです。
 4番目の求職者支援制度の就職率の目標です。前年同様、基礎コース60%、実戦コース70%で引き続きお願いしたいというものです。
 最後に自己啓発を行っている労働者の割合ですが、これも実績に勘案して、前年同様、正社員50%、非正社員30%という目標を掲げさせていただきたいということです。以上です。
○今野分科会長 ありがとうございました。ご意見、ご質問をお願いします。
○豊島委員 2012年度の公共職業訓練の離職者訓練の目標については、就職率だけを掲げて受講者数の目標を設定しないということですが、そして、この計画数というのは予算上の最大の計画数であって、景気動向などに左右されるからという説明だったのですが、計画数という形では、資料6に数が入っています。これまでは目標を掲げてきたわけですが、これまでも景気動向で左右されることは当然想定されたわけですよね。今回なぜそれをやめて数を入れないのかをもう一度わかりやすく説明していただけますか。
○志村能力開発課長 実際に受講者数を入れるか入れないかの判断の要素については、訓練の予算の計画数の元になるのは求職者数のその年度の見込みですが、それが減少傾向になったり上昇傾向になるということなので、基本的には評価指標とすることには馴染まないということです。そういったような観点から、訓練の政策指標としては、実際の就職につながったかという就職率を見ていく。訓練の実施主体の当事者の目標として、国もありますし、都道府県もありますし、独法の機構もありますが、関係者の取組のフォーカスとしては、受講者数よりは就職実績に目標を揃えていこうといったようなことです。
○今野分科会長 理屈としては、訓練を受けたい求職者が訓練の需要で、あとは公共訓練で訓練をするのは供給側にあたるわけですが、もし需要が供給を大幅に上回っていれば、供給が足らないということだから、供給量をいくらにするかということは政策目標になるので、ここで言う受講者数が管理目標になり得ると思う。しかし、もしそれが逆転した場合には、管理目標とはなり得ないですよね。だから、理論的に言うと、訓練を必要な人を分母、訓練者数を分子にすれば、ニーズがどの程度満たされたかという管理指標になり得ると思いますが、たぶん分母を測定するのはほとんど不可能に近いので、したがって、ここで言うと訓練者数を管理指標にするのはなかなか難しいかなと私も思うのです。ですから、本来はニーズに対してどれだけ供給できたかという比率が考えられればベストだろうと思うのですが難しい。それが訓練の入口の管理指標ですが、出口の管理指標は就職率ですよね。だから入口については。
○豊島委員 ニーズは把握できないということですか。
○今野分科会長 それが把握できれば率でいけるのですけれども、できるかな。
○豊島委員 例えば、基本的に求職者の内、どのくらいの方が職業能力開発を必要としているのか。確かに厳密な意味ではできませんが、雇用情勢とか景気の動向ということで言えば、いまを基準に考えて、年度の中で変われば補正があったり、あるいは計画の変更があったり、建物だって当初の計画から実際に作ってみて、設計変更とかやるわけで、ですから、理屈上はできると思います。
○今野分科会長 もし可能でしたら、今後そういう観点で少し研究してもらったら。要するに現場でいうと、ハローワークでもし受けたいという人がたくさん来たときに、断る人数が多ければ多いほどさっきの比率は落ちるわけですよね。だから現場との関係だとそういうことになるわけですけれども。
○志村能力開発課長 先ほど総務課長からも最大数というところで、いわゆるオーバーしてしまわないように、都道府県も過去の経験とか、自らの産業施策あるいは雇用対策の中で年度ごとに供給数を見込んでいるわけでありまして、受講者数を目標として見るというよりは、あとで資料6でも説明しますが、訓練は過去の雇用情勢の悪化なども見込んだときに、これなら超えないだろうという最大数の水準ですので、確かにおっしゃったような趣旨が、うまく年度ごとに行政の取組指標として有効なものがあれば検討したいと思います。とりあえず検討させていただきたいということしかないと思うのですけれども。
○今野分科会長 いま言われた趣旨は、訓練を受けたい需要より、いつも供給側は予算上は多めに用意しているので、予算上の訓練人数は管理指標にはなりません、あるいは実績の人数は管理指標にはなりません、そういう趣旨ですよね。
○豊島委員 多目にということですか。
○今野分科会長 いつも多目に用意していますということが前提。多目に用意しているのですね。
○志村能力開発課長 そうです。
○豊島委員 初めに予算ありきということではないというふうに理解すればいいですね。わかりました。ありがとうございました。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。
○新谷委員 ジョブ・カードの取得者の目標について申し上げます。2020年の累計の取得者数の目標が300万人というのは内閣府主導の新成長戦略の中で確認をされた数字だと思っております。2012年度の単年度目標が新規取得者の数で31万人という目標が立てられているわけであります。これまでの累積取得者数が、2011年度の12月末までの実績で63万5,000人ということですので、累計で300万人を目指して、新規取得者をとりあえず開拓してどんどん発行していくのは立ち上げ時点でのジョブ・カードの目標としては理解できます。しかし、ジョブ・カードの究極の目的は新規に何件発行したかではなく、ジョブ・カードが労働市場の中で正社員に転換できるためのツールとなって、これに基づいてスキルアップであるとかキャリア開発をしていくための重要なツールだと思っております。そういった意味では、いつまで新規取得者数の数を追いかけていくのかは、2012年度はこれでいいかもしれませんが、今後の年度目標を考えたときに、例えばジョブ・カードを使った正規雇用への転換の比率であるとか、要するにジョブ・カードそのものの本来持っている目的に対して目標設定がされる時期が当然来るはずだと思うのです。ですから、この目標の在り方についても中・長期的にジョブ・カードについて検討しておく必要があるのではないかと思いますので、意見として申し上げておきます。
○今野分科会長 何かコメントありますか。厚労省マターではないという声があるのだけれども。
○田中実習併用職業訓練推進室長 まず、300万人という目標に向けての地道なジョブ・カードの取得者数を増やしていくということは引き続き努力しつつ、またジョブ・カードを活用していただいた効果をどのように見ていくかということで、いまご指摘いただいたように、良い指標をどうしたらいいのかをまた考えさせていただければと思っています。
○今野分科会長 いま、新谷委員が言われたいちばんのポイントは、ジョブ・カードは何のためにやるのかということを考えて、何のためにをベースにした管理目標というか、目標値を作ることを考えたらどうでしょうかということですので、その例示として、非正社員から正社員への転換となっていますが、ほかにもいろいろあり得るかもしれない。そういう意見があったということです。
○澤田委員 いま、労働側から2つ指摘をさせていただきましたので、その点はよろしくご検討をいただきたいという前提で、示されている2012年度の目標値については、今年度の実績予想を踏まえて、現実的に策定されたものだと受け止めておりますので、是非、掲げた目標を達成できるように、十分な体制で取り組んでいただきたいと思います。
○大久保委員 この最後の「自己啓発を行っている労働者の割合」の非正社員のところは、引き続き30%の目標を掲げるということですが、現在の政策の結果として19.3%だったのですから、かなり達成しづらい目標を掲げています。?から?までのところはじっくり練り込まれて努力次第で実現できそうな目標ですが、?番だけ違う種類の目標が設定されているなという感じがするのですが。もちろん非正社員の自己啓発も促進していかなければいけないのですが、具体的に現状の政策の結果が19.3%である状況の中で、どういう追加的な促進の知恵があるのかについて何かお考えになっているところがあればお聞きしたいのですが。
○土屋総務課長 自己啓発に関しては、施策としてはいま大きく3つやっていると考えております。キャリア形成促進助成金の中で、事業主の能力開発の取組みに対する助成措置として、事業主が自己啓発を行う労働者に対する支援を行った場合の助成措置がメニューに入っておりますので、それが1つです。2つ目としては、教育訓練給付がありますが、私どもの局としては、給付の対象となる口座の指定という形でかかわっていますが、制度としてはそれに伴って雇用保険の中から給付が出る形になっていますが、この教育訓練給付をご活用いただくということ。3つ目としては、キャリア・コンサルティングを通じて自己啓発を促していく。その3点があるかと思います。
 一方、目標自体は能力開発基本調査という統計調査で拾っている数字なので、施策の効き目というよりは、むしろ全体としてどういう数字になっているかという統計的な数字になっているので、なかなかそこの絡みが直接的ではないところが難しいという私どもとしての悩みがあります。
 一方、いま申し上げたように、また自己啓発についても、企業の取組、労働者の取組、ソフトな支援という意味では、一定のメニューを出してきているところがあり、大久保委員のご指摘のような新しい展開は私どもも非常に頭を悩ませているところです。いまある施策の十分な活用をまずは第一にして、プラスしてそういった新しい取組みが何かないかというところは、引き続き知恵を絞っていきたいと思っております。
○大久保委員 おっしゃるとおり、?から?のところが直接的な政策の結果から出てくる数字を対象とした目標なのに対して、?だけ性格が違いますよね。ですから、こういう形の目標設定値としてはいいのですが、内部的には、具体的にこれに関連する施策からどういうような政策効果というか、数字が出るのかという、内部管理上のしっかりした目標をこの下に作っていただいて、成果を上げていただきたいなと思っております。
○今野分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。いろいろご議論をいただきましたが、当分科会としては、「2012年度の年度目標について」は案のとおり了承したいと思いますので、よろしいですか。
                 (異議なし)
○今野分科会長 ありがとうございました。では、5番目の議題に入ります。「平成24年度職業能力開発局重点施策と予算の概要について」です。事務局からお願いします。
○土屋総務課長 予算の関係について、資料5-1、資料5-2をご覧ください。
 まず、資料5-1です。私どもの局関係の平成24年度の予算案の概要です。平成24年度予算につきましては、昨年10月の分科会におきまして概算要求段階のものをご説明しました。基本的にはその内容に沿って、いま予算案という形になったものを取りまとめたものがこの内容です。平成24年度の予算案全体の予定額は、1,904億円ほどで、前年比200億円超の増になっています。これは、基本的には求職者支援制度の平年度化に伴う予算増が大半を占めています。内容は概算要求の際に10月にご説明をしたものとほぼ変わっておりませんので、項目のご紹介に留めさせていただきます。
 7つの大きな柱を掲げています。第1としては「成長分野・ものづくり分野等の人材育成の推進」です。第2の柱は「雇用のセーフティネットとしての職業能力開発支援の推進」ということで、公共職業訓練の委託訓練、それから求職者支援訓練、これは第1とも重ねて掲載しています。これと併せてジョブ・カード制度の推進などもここに掲げています。第3として「職業能力の評価システムの整備」です。職業能力評価基準の整備や活用促進と、技能検定制度の整備を掲げています。第4としまして「職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進」として、労働者・企業の職業能力開発への支援、先ほど申し上げましたキャリア形成促進助成金、それからキャリア・コンサルティングの活用促進、キャリア教育の推進などをこの中に掲げています。第5としまして「若者の就職促進、自立支援対策」です。ニート等への対応としてのサポートステーション事業を掲げています。第6が「障害者の職業能力開発支援の推進」。第7として「人づくりを通じた国際協力の推進」です。以上、7つの柱の下で平成24年度の予算案を整理しています。
 次に、資料5-2です。これは、資料5-1の1頁、第1の2に掲げた「新事業展開地域人材育成支援事業」の資料です。この事業につきましては、日本再生の重点化措置という特別枠の中で要求させていただいて、当初の要求は2億円でしたが、1億円の予算を確保したものです。事業内容としては、真ん中の辺りにありますように、地場産業などが集積している地域の業界団体に主体となっていただき、教育訓練機関等などとの連携などを通じて、これまでそこに蓄積されているいろいろな技能・技術を活用しながら新しい事業展開を図るといった場合に、必要な技能を付与していくための教育訓練カリキュラムの開発やその訓練の実施そのものを地域の中で取り組んでいただくという委託事業です。全国で10の団体に取り組んでいただく予定です。重点化枠として予算を確保したものなので改めてここでご紹介させていただきました。以上です。
○今野分科会長 ご意見、ご質問をお願いします。
○高倉委員 ものづくり産業にしっかりと焦点を当てていろいろな施策を打っていただき、非常に評価したいと思います。円高が多少是正されているといっても、まだ超円高の状態が続いておりますし、電気料金の問題とか、数え上げればもういろいろな問題があって、ものづくり産業をいかに日本に根付かせて残していくかというのが雇用の維持・向上に向けては非常に大事な点だと思っています。そういう意味では、資料5-2で、新たな市場・事業展開でまたさらに事業を行っていこうというのは非常にいいのですけれども、できるだけ利用しやすい制度にしていただきたいと思うのです。例えば、この事業目的のところの「雇用喪失が懸念される」というのは、私の認識ではもう懸念のレベルは超えているのです。もう懸念ではないですよ。実際に起こっています。ですから、これを加速させないように食い止める。一時はそういう判断をしたのだけれども、また日本に戻ってきてもらうことに繋がるようなことにしていただきたいと思いますので、2点お伺いします。ここに書いてあるのは、新たな事業展開を行う場合というような記載がありますね。それと、「地域の事業団体等と連携し」ですから、事業団体が噛まないと企業に対して支援が行えないのか。その辺を説明していただきたいのです。
○星能力評価課長 本事業につきまして、1つは、新たな事業展開ということで、例えば従来の地場産業が持っていたような技能を土台として、より付加価値の高い製品を作っていく、あるいは品質力の優れた製品を作っていく。そのために従来おられた従業員の方に新たな技能を付与する、そういった訓練などに必要なカリキュラム作りや訓練の実施をこの事業の中で見ていきましょうということです。
 もう1つは、そうなってきますと個別の企業が何か新たな商品開発をするようなものでも使えるのかということになってきます。そこはもう少し視野を広げて、地域の業界団体、我々が要件としているのは中小企業事業者を構成員としているような事業主団体で、具体的には事業協同組合などのレベルで参加されることが想定されると思っています。その中で、あくまでも10団体ということで枠も限られていますので、企画競争ということで、いろいろなアイディアがあると思いますが、優れたものを選んで、できればそういったものも広く普及させていくというか、フィードバックしていきたいと考えています。
○三村委員 「キャリア教育の推進」の予算額がほかに比べ極端に少ないのは残念なことです。この事業につきましては、今回は大学等と教育機関との連携で、昨年が高等学校、一昨年は中学校だったかと思います。今後このキャリア教育の推進では、残っている教育機関は小学校です。それとの連携を果たしていくのか、お伺いしたいです。いずれにしても、キャリア形成から人材育成というところで、行政と学校教育の繋がりというのは非常に重要な部分であると認識していますので、今後のキャリア教育の推進の力の入れ具合についてお伺いしたいのです。
○浅野キャリア形成支援室長 まず、キャリア教育の推進に関する額が少ないことについてです。実際に自分たちが教育するのではなくて、学校がされるキャリア教育を厚生労働省としては側面からサポートする、それに必要な専門人材を育てる。そういう側面的な事業であるので、実際にやるのに比べてお金もそこまでではないということです。
 今後に向けてですが、ここまでやってくるに当たっても、文部科学省と連携を取りながら進めてきたところです。この後、私どもがキャリア教育を推進していく中で、どの部分について特に厚生労働省がサポートすることが求められているかということも文科省などと話しをしながら、必要なところに対しては積極的に必要な人材を育てるなり力を入れていきたいと考えています。
○今野分科会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。では、5番目の予算の関係についてはこれで終わりにさせていただきます。
 続いて、6番目の「職業訓練実施計画(平成24年度)について」です。事務局からお願いします。
○志村能力開発課長 「平成24年度職業訓練実施計画の概要」について説明させていただきます。毎年度、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施します公共職業訓練及び国が全額負担をする委託訓練等について、年間計画を大臣告示で定めているものです。平成23年度の計画との変更箇所を中心に説明させていただきます。
 1「計画の目的」についてです。新たな訓練計画は本年4月1日から平成25年3月31日までを計画期間としています。
 2「労働市場の動向」についてです。雇用失業情勢について、東日本大震災による厳しい状況にある中、一部に持ち直しの動きが見られるものの依然として厳しい状況にあるとしています。若年層を取り巻く環境につきましても、就職環境は依然厳しく、フリーター数やニート状態にある若者もいまだに多い状況となっています。背景事情としまして、グローバル化、IT技術の進歩に加えまして、環境・エネルギー分野等、今後成長が見込まれる分野の人材育成が重要であることを盛り込んでいます。
 3「実施する職業訓練の対象者及び主な取組」です。まず、「離職者訓練」です。本年度3次補正予算で、東日本大震災に伴う雇用失業情勢の影響を考慮し、委託訓練の訓練規模を拡充しました。これに伴い、訓練計画数を21万7,200人としています。このうち、2,700人は介護福祉士と保育士の資格取得を支援する訓練です。3万7,200人は、実践的な職業能力開発の付与が必要な者に対する日本版デュアルシステムとしています。2,200人につきましては、母子家庭の母等に対する訓練として実施する予定です。これらの計画数は平成24年度予算に盛り込まれている予算上の上限数となります。委託訓練の実施主体である都道府県におきまして、地域ニーズを踏まえ、民間教育訓練機関を活用した多様な職業能力開発機会を確保することとしています。
 次に、「在職者訓練」です。在職者訓練は本年度と同規模の5万7,000人を計画しています。機構においては引き続きポリテクセンターで行います。都道府県や民間では実施が困難な内容の在職者訓練を実施することとしています。
 「学卒者訓練」です。学卒者訓練につきましては、本年度と同規模の5,900人を計画しています。引き続き機構においてはポリテクカレッジで、ものづくり現場の即戦力となる高度な実践技能者を育成するための訓練を実施することとしています。
 3頁です。「障害者に対する職業訓練」につきましては、本年度1万1,500人としています。前年度に比べ委託訓練の全体計画数が減少しているため計画数が減少しています。これにつきましては、障害者の委託訓練の実績を踏まえ、平成24年度予算において見直しを行っているものです。障害者訓練につきましては、引き続き、障害者職業能力開発校で重度障害者等の受入れを進めるとともに、職業能力開発校で知的障害者等を対象とした公共職業訓練コースを実施することとしています。また、障害者向けの日本版デュアルシステムの利用も促進することとしています。
 4「公共職業訓練の実施に当たり公共職業能力開発施設が行うべき事項等」です。関係機関で構成される訓練協議会での議論も活用し、人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定に取り組むとともに、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング、委託訓練先への巡回指導による委託訓練の就職率の向上に取り組むこととしています。
 なお参考資料としまして、4頁以下に、実施機関別の訓練計画数、前年度計画数、平成23年度の訓練実績を付けていますが、時間の関係上説明は省略させていただきます。以上です。
○今野分科会長 何かご質問ございますでしょうか。
○豊島委員 平成24年度の実施計画の概要はわかったのですが、一方で、第9次職業能力開発基本計画が今年度から始まって実施中だと承知しています。その進捗状況というか、年度ごとの検証というか、そういうものはどのような形で行っていくのかという点についてお伺いしたいのです。
○土屋総務課長 基本計画につきましては、昨年の春にこの場でご審議をいただきまして、5カ年の中期計画という形で定めています。今年度平成23年度がその1年目で、ここまでいろいろと取り組んできておりますので、平成23年度の実績が整理できる段階で取りまとめまして、皆様方にご報告をし、ご議論いただくような形でお願いしたいと思っています。
○伊東委員 この内容自体は理解させていただきました。報告なので、そうだなと思っていますが、ちょっと文言で気になることを感想も含めて申し上げたいのです。1頁にもありますが、2頁の上から4行目の○です。母子家庭支援施策や云々とありますが、「母子家庭」と断定していることがよくわからなかったのです。いま、お父さんがシングルになってしまった父子家庭ということで、いわゆる大黒柱のお父さんが非正規労働者で同じように非常に困窮した状態なども課題になっていますので、次の実施計画を作るときには実情をしっかり捉えていただいたほうがいいと思っています。そういう意味では、3の○の対象者数に「母子家庭の母等に対して」とありますので、ここでもしかしたらイメージしているのかと思いますけれども、少し言葉を整理していただいたほうがいいと思います。
 もう1つです。次の「訓練の内容」の2つ目のポツで、「母子家庭の母、刑務所を出所した者等の求職者に対する特性に応じた」という所は、並列に並んでいる文言がちょっと気になりましたので、少し整備をしていただいたほうがいいと思います。是非次回に活かしていただきたいと思います。感想を含めて申し上げました。
○志村能力開発課長 2点ほどご指摘いただきました。父子家庭の意識については、この訓練実施計画は都道府県の福祉政策と連携しながら進めていっていることもありますので、実情も踏まえ、ご指摘いただいた点も踏まえながら意識してやっていきたいと考えています。それから、並列という点については、ここにお出ししているのは下線部が変更になるということなので、従前からこのような状態になっていたのですが、ここは適宜、法令担当とも相談しながら適切なものに練り直していきたいと常に考えています。
○三村委員 障害者に対する職業訓練に関してお伺いします。障害者に対する職業訓練につきましては、障害者基本計画や第9次計画等の中で強く求められているものです。特に若年障害者につきまして、公共職業訓練で最近、私が関わっている埼玉県もそうなのですけれども、高等技術専門校に障害者の専門のコースを設ける試みが広がりつつあります。今回埼玉県でも定員10人で実施したのですが非常にニーズも高く、倍率もそこそこあったように聞きます。それに伴って、指導員について、障害者3名について1名という割合の指導員の配置がなかなか難しいようです。指導員として2人、特別支援学校の経験者1人でどうにか充足させたということなのです。そうした障害者の職業訓練を若年者に対して広げるときに、指導員の養成について、どのような整備が今後されていくかは大きなポイントではないかと思うのです。その辺についてお伺いしたいと思います。
○志村能力開発課長 埼玉県の例もご提示いただきながら、また、専門の指導員養成というご質問でした。障害者の訓練施策の在り方につきましては、能力開発課長が有識者の参集を求めて障害者能力開発推進会議を3月21日に開催したところです。支援学校との連携ですとか実際の訓練施設につきましては予算の制約等もあります。一方で、対象となる障害者の方々、例えば精神障害などは増えてきているとか、いろいろなことが有識者から寄せられています。そういった中では、施設の中での訓練だけではなくて、民間企業に委託している訓練の領域のようなものもしっかり充実させていくべきではないかとか、平成25年度の予算、施策等に向けていま議論が始まっているところです。大体6月ぐらいまでの間に一定の集約ができれば、また報告の機会も持たせていただきたいと思っています。委員ご指摘の点も踏まえ、有識者のご意見も得て、施策、資源等、障害訓練施策をめぐる関係者間の連携の充実も含めましてしっかりと検討を行っていきたいと考えています。
○上原委員 公共職業訓練の計画数について質問です。例えば4頁に、この計画数の合計が38万人と出ています。先ほどの資料4の説明では、公共職業訓練のうち離職者訓練の受講者数が今年1月末現在で13万9,217人とありました。この受講者数は分子で、38万人というのが分母になるのですか。要するに、分母の数字は、公共職業訓練の受講人数の上限ということですか。
○志村能力開発課長 38万人と、資料4の実績の13万人との関係ということですか。
○上原委員 そうです。
○志村能力開発課長 この4頁の所の表は予算上の上限として記載されていまして、実際に開校しますと、20人の定員でも18人だったり、段々少なくなってきたりするというようなものも含めて、開催実績13万人というのが資料4の積み上げという状況です。
○土屋総務課長 補足して説明します。資料4の13万人というのは離職者訓練の数値で、4頁の表でいえば、離職者訓練の合計は左上の所で23万人と書いてありまして、これが計画数です。それに対応する平成23年度の実績が現在までに13万人ちょっとということです。資料4には目標が21万5,000人と書いてありますが、平成23年度当初では21万5,000人でスタートし、その後、震災の関係で3次補正で増やした分がありまして、平成24年度予算はその増やした分も踏まえての人数になっています。かなり目一杯な数ではあるのですけれども、計画数が23万人となっているという状況です。
○上原委員 この数字は、受講人数の上限ですね。離職者訓練の受入れ人数は、いまの数字だけでいうと23万人ぐらい受け入れられるのだけれども、1月末までを仮に14万人として、3月まであと2カ月ですから約3万人受講したとして、年間で17万人ぐらいの離職者訓練が終わるとします。差し引きすると6万人ぐらいの余裕がまだあるということですね。そういう理解で良いですか。
○志村能力開発課長 そうですね。施設内の訓練と実際に民間に委託している訓練とで考えますと、施設内訓練でもし予算が余ったということであれば、また公募をかけてということがもし政策的に可能であればいいのですけれども。都道府県に委託してやっているわけですが、訓練実施のときにはある程度予算計画数に近い数値を見込んでるのですが、執行ですとか、入札に掛けて訓練機関を選定していますので、そういったところから段々と最初に見込んでいた数字と乖離が生じてきてしまう実情にあります。
○上原委員 受講人数には余裕があったほうがいいと思うのです。私が心配しているのは、事業仕分けなどで「無駄じゃないか」という指摘を受けることなのです。訓練施設などで職業訓練の科目を見直し、科目で定員を何人ぐらい確保するのか、たぶん計画数があるのだろうと思います。今日的な職業をリードする施策を推進するためには、施設と教える先生方の数の問題もあると思いますが、その辺のバランスをしっかり中央が把握しておく必要があると思います。ここにいろいろなコミュニケーションがあると書いてありますけれども、そういう無駄のないように、先生方の異動などもあまり柔軟にできないのではないかと思いますが、そういうことをちゃんとやっていますということを報告できるような体制にしていくことが、あるべき姿だと思います。私も地方の訓練施設を見たことがありますけれども、受講者が少なかったのです。時期の問題もあったのかもしれませんが、その印象がものすごくあるのです。せっかくのいいことを、もちろん需要がなければ仕方ありませんが、それが無駄だと指摘されないような施策を推進することが非常に重要だと思ったので申し上げました。
○今野分科会長 よろしいですか。形通りで言うと、予算上は6万人ぐらいの余裕があるというのは事実ではないでしょうか。雇用情勢がどうなるかわからないから、いつも多めにセットしておくということではないでしょうか。
 ほかにございますか。では、この議題はこの辺にさせていただきます。次に、7番目の議題に入ります。「「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」の策定について」です。まず、事務局からお願いします。
○大津基盤整備室長 「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」についてご報告させていただきます。まず、資料7-2をご覧ください。
 このガイドラインは早稲田大学に委託しまして、平成22年度から裏の頁にある有識者の方、学識者の方、あるいは労使団体の方による教育訓練サービスの質を保証・向上するための協議会を設置し、ガイドラインを策定するための検討材料の情報収集を目的として、民間教育訓練機関を対象とした調査などを実施して、その実態把握・分析を行いました。
 平成23年度もやはり早稲田大学に委託しまして、平成22年度の委託事業を踏まえ、合計8回の協議会を開催しまして、昨年11月21日にガイドラインの案を提出いただきました。厚労省では、12月22日にガイドラインの報道発表を行うとともに局長通知を発出しまして、都道府県あるいは関係団体に、民間教育訓練機関に対する周知のお願いをしたものです。
 資料7-1にお戻りください。このガイドラインは第9次職業能力開発基本計画に基づきまして、ISO29990を踏まえて、民間教育訓練機関が自発的に職業訓練サービスの質の保証・向上を図るためのツールとして活用していただけるものとして、中小規模の訓練事業者の方に対しても可能な限りわかりやすく具体的に整理し、策定しました。したがいまして、これは強制あるいは義務的なものとはなっていません。
 中身を説明させていただきます。ガイドラインの中身は6頁です。第1章が「一般」、第2章が「定義」です。第3章は「職業訓練サービス」として、PDCAサイクルに沿って職業訓練ニーズの明確化、職業訓練サービスの設計・実施・モニタリング・評価について説明しています。第4章では「民間教育訓練機関のマネジメント」について説明しています。
 10頁をご覧ください。この章では一般的な事項として、ガイドラインの位置付け、利用を想定する対象者、活用する上での視点について説明しています。活用する上での視点にありますように、ガイドラインの本文は、「指針」「指針の補足説明」及び「公的職業訓練等受託等に向けた質保証の取組例」の3つの項目で構成されています。また、参考資料として、11頁の(2)の??のとおり、「職業訓練サービスの質の向上のための取組例」「民間教育訓練機関における職業訓練サービスの質の向上のための自己診断表」を添付しています。詳しくは後ほどご説明します。
 次に、14頁をご覧ください。各章の内容です。2章では「定義」として、適用の範囲、関連の文書、用語の定義について説明しています。
 16、17頁をご覧ください。本文に入る前に、PDCAサイクルを活用した職業訓練の運営等を図に示しています。職業訓練サービスの質の保証・向上を図るための取組みの流れを整理しまして、よりわかりやすく全体像をお示ししています。なお、このPDCAサイクルには項目ごとに本文の頁を記していますので、本文とPDCAサイクルを比べながら質の向上に努めていただきたいということが書いてあります。
 18頁以降では、具体的に本文の内容の一例を挙げましてご説明したいと思います。まず、20頁をご覧ください。ここでは、職業訓練ニーズ等の把握の取組みについて3つの項目に分けて説明します。1つ目は「指針」です。この項目は、基本的な取組内容について簡潔に記載しています。2つ目は「指針の補足説明」です。ここでは、より具体的にどのような取組みを行えばよいかを参考事例を交えながら説明しています。3つ目は22頁で、「公的職業訓練受託等に向けた質保証の取組例」です。この項目は、求職者支援制度の認定訓練、公共職業訓練の委託訓練、あるいは教育訓練給付の指定講座の認定などについて記載しています。本文は以上のとおりです。
 ガイドラインでは、参考資料として、「職業訓練サービスの質の向上のための取組例」及び「民間教育訓?機関における職業訓練サービスのための自己診断表」を作成しています。
 最後に、このガイドラインにつきましては、平成23年12月22日に厚労省のホームページに掲載しまして、直近の3月25日現在で約1万7,000件のアクセスがありました。一定程度周知が進んでいるのではないかと考えています。今後さらに周知に努めるとともに、フォローアップを行うなどしまして、ガイドラインの一層の充実を図っていきたいと考えています。以上です。
○今野分科会長 ご意見、ご質問ございますか。
○新谷委員 冒頭にこの策定経過のご報告がありましたとおり、この2年間にわたる検討の中で、労使の委員として高橋委員と共に私も名前を連ねています。それを踏まえて意見を申し上げたいと思います。「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」とありますが、これは中に記載がありますように、新しい国際規格のISO29990を踏まえた内容でサービスガイドラインが作られたものです。もともと教育訓練というのは目に見えないサービスでありますので、その質の確保をどのような形でやるのかということで始まった検討だと思っています。教育訓練機関のサービスの質の維持なり検証については、労働側の委員もかつて要請してきた内容ですので、このガイドラインができたこと自体は評価したいと思っています。民間教育訓練機関のサービスを受けるといったときに、労働者の立場では、自己啓発、スキルアップを目指して、自己負担でサービスを受けられている方とか、あるいは企業が教育機関と契約をされて、労働者に受講させるとか、そういった場面が想定されると思います。いずれにしても、サービスの質が目に見えませんので、こういったガイドラインを使って質の維持を是非図っていただきたいと思っています。そういった意味では、これが周知されてどんどん活用されればいいなと思っています。
 その一方で、2年間にわたる検討の中で、そのときに私から申し上げた内容が今回どのように評価されているのかわかりませんが、民間教育訓練機関というのはサービスを提供する立場でもありますが、同時に講師を雇用・使用する使用者の立場も当然あるわけです。このガイドラインの中で、例えば通し番号53頁を見ますと、講師・スタッフ等の職務遂行能力の評価に関して、人的管理の在り方について能力の検証をするということがガイドラインの中に書かれています。実は、私どもが各地で労働相談を受けている中で、民間教育訓練機関の非常勤講師は有期雇用の方が非常に多く、突然の雇い止めがあるという話があります。これは大学の非常勤講師も全く同じ問題で、処遇が低いというのも裁判になったりしています。今回のサービスとは直接関係ないといえば関係ないのですけれども、国としても、公共職業訓練の受託に向けた質的取組みと中に記載がありますので、先ほどの訓練計画にあったような委託訓練や、求職者支援制度等で国が発注する立場になります。訓練の中身の質の問題も当然ありますけれども、法人としての教育訓練機関の労働法関係のコンプライアンスについてもきちっと評価をして、発注する際に是非気に留めていただきたいということを要望しておきたいと思います。以上です。
○今野分科会長 ほかに何かございますか。
○上原委員 これは大変いいことだと思うのです。訓練機関の質の担保には非常に有効なのですが、実際これを取得してマネジメントするとお金もかかるのです。外部の審査もたぶん受けるのだろうと思うのです。これは外部審査を受けないのですか、参考にするだけですか。
○今野分科会長 参考にするだけです、ISOではないので。
○上原委員 審査を受けないとすると、自ずと限界もありますね。
○今野分科会長 どうやって浸透させるかという問題がありますね。
○上原委員 ここに出ている自己診断というのは、そういう意味なのですね。
○土屋総務課長 いまの点です。ガイドラインそのものは参考にしていただくという位置付けになっていますが、冒頭にご説明しましたように、ISO29990という民間の認証ではありますけれども、民間のそういった動きがあります。それにこのガイドラインも沿うように内容を整備したつもりなので、このガイドラインに沿った整備をしていただくと、ISOの認証も取りやすくなるという形で組んでいます。そういった意味で、こちらを活用しながらISOを目指していただくという取組みが可能なのではないかと思っています。
○上原委員 将来、国などの公共の訓練施設などが例えばISOを取得することを視野に入れているのか、それとも準ずる仕組みだけでマネジメントしようとしているのか、その辺はどのようにお考えなのですか。
○土屋総務課長 ISO29990は非公式教育・訓練のための学習サービスについてのものになっていますので、公的職業訓練がそもそも対象になっていないのです。ただ、ISOに盛り込まれた内容やサービスガイドラインに盛り込んだ内容は、当然ながら公的な施設において行う職業訓練においては十分確保され、あるいはそれを上回っていないといけないと思っております。その確保は、例えば機構においては機構が独自の訓練の水準を自分たちで定めるようなものを作っていますので、そういったものを通じて公的な機関での質の確保を十分に図ってまいりたいと思います。
○上原委員 我々の現場でも当てはまることなのですが、我々が「やっていますよ」と言っても、外部の審査委員から見ると山ほど指摘があるわけです。まだ始まったばかりで、これからの課題になりますが、実効を上げるためには、自主的にやってもらうのと同時に、例えば相互に審査したり、国の機関から審査というと大袈裟ですが、どの程度やられているのかを見に行くなど、そのようなことも将来の視野に入れておいてはどうでしょうか。審査をしていく中で、これはいかがなものかということが水準などであるかもしれないのです。この企画そのものの進歩のためにも必要なことではないかと思います。
○土屋総務課長 ありがとうございます。私どももそのとおりだと思っています。これを作って、いまは周知という段階ですけれども、実際に民間の機関にまずこれを使ってみていただく。先ほど申し上げましたように、自己診断のツールも付けてありますので、そういったものを通じて、民間の実際にやっている方から見て、果してこのガイドラインはどの程度有効か、どういったところに課題があるかということを、来年度の平成24年度においては具体的に検証する取組みもやっていきたい。それを踏まえて、よりよいものにしていきたいと思っています。
○今野分科会長 論理的に考えると、ガイドラインを出したということは、政府としてはこうやって欲しいと言っているわけですね。こうやって欲しいと言っているのだから、委託訓練や公的なお金でやる訓練は訓練機関にこうやって欲しい。
○土屋総務課長 はい。
○今野分科会長 そうすると、これとの連動はどうするのかという話は出るのでしょうね。出ていないのですか。
○土屋総務課長 その点は先ほどちょっとご説明しましたように、このガイドラインの中の組立てとして、3つの項目を立てて、まず「指針」があり、その指針を補足説明する「指針の補足説明」があり、それと併せて「公的職業訓練受託等に向けた質保証の取組例」が加えてあります。その項目ごとに見たときに、公的な訓練の受託者となるのであればどの程度の水準を確保しなければいけないかがわかるようにしてあるつもりです。ですので、このガイドラインが直接に公的な訓練の委託の基準などの要件にピタリと一致するということではないと思いますけれども、その辺りのリンクはこのガイドラインの中でも意識して作ってありますので、そこも参照していただきながら取り組んでいただきたいと考えています。
○今野分科会長 わかりました。
 あと5分ちょっとです。もう1つ残っていますので、まだご質問があるかもしれませんが、次に進めさせていただきます。「能力開発基本調査」の結果が出ましたので、その紹介をしていただきます。
○大津基盤整備室長 時間がありませんので簡単にご説明します。今回の調査の取りまとめは昨日公表しました。今回は東日本大震災によって実施困難となった岩手、宮城、福島は対象から除外しています。3県の調査対象企業・事業所・労働者は全体の調査対象の3%程度ですので、大きな影響はありません。
 この調査では、企業の労働者に対する能力開発の方針、事業所での教育訓練の実施状況、事業所で働いている従業員個人の訓練受講状況の3つを行いました。資料8をご覧ください。
 まず、第1点としまして、労働者に対する能力開発の方針です。能力開発の決定をする主体に関しては、昨年度に引き続き、正社員・正社員以外とも、労働者個人よりも企業を主体としている割合が高くなっています。今後についても同様です。重視する教育訓練対象者の範囲につきましては、昨年に引き続き、選抜した労働者よりも労働者全体の能力を高める割合が高くなっています。また、教育訓練を重視する教育訓練は、正社員・正社員以外ともOJTが多くなっています。この傾向は調査開始の平成18年度以来変化はありません。
 次に、労働者に対する教育訓練の実施状況です。OJTを実施した事業所は、正社員で増加、正社員以外でも増加しています。計画的なOJTを実施した事業所につきましては、正社員では63%と調査開始以来最高の割合となっています。正社員以外につきましても、水準は低いのですが増加はしています。
 最後に、労働者の教育訓練受講状況についてです。自己啓発を行っている正社員・正社員以外ともに増えています。ここで、自己啓発を行う上で問題があるかという問につきましては、正社員で約80%、正社員以外で約74%と、ともに高い割合になっています。その問題点を調査したところ、正社員・正社員以外ともに「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」、続いて「費用がかかる」となっています。正社員以外では、「家事・育児が忙しい」という特徴がありました。
 今回の調査結果で、OJTの実施、自己啓発の支援を行っている事業所の割合は全体として概ね上昇傾向にあります。時間の関係がありますので以上とさせていただきます。
○今野分科会長 何かございますか。お帰りになってからゆっくり読んでください。
 ちょうど時間ですが、その他何かありますか。では、今日はこの辺で終わりにいたします。次回以降の日程については改めて事務局から連絡させていただきます。議事録の署名は、労働者側委員は澤田委員、使用者側委員は橋本委員でお願いします。ありがとうございました。

(了)

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