ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会)> 第13回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会議事録




2012年3月19日 第13回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 議事録

年金局年金課

○日時

平成24年3月19日(月)
10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省
 18階 「専用第22会議室」


○議題

1.開会

2.議事
 短時間労働者の社会保険適用に関する論点

3.閉会

○議事

○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第13回「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」を開催いたします。
 皆様、お忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 次に、本日の委員の出欠状況でございますが、岩村委員、岡崎委員、久保田委員、齋藤委員、高岡委員、坪田委員、福田委員から御欠席の御連絡をいただいております。
 また、佐藤部会長代理は遅れていらっしゃる旨の連絡を受けております。
なお、久保田委員の代理として清家参考人、坪田委員の代理として佐藤参考人の御出席につきまして御承認をいただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、配付資料につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○梶尾年金課長 本日配付させていただいております資料につきまして、お手元の確認でございますけれども、議事次第、座席図、委員名簿と、資料1として事務局の作成資料、資料2として小島委員提出の短時間労働者への社会保険適用拡大に関する制度見直しについての御提案の資料でございます。
 以上が本日の配付資料でございます。
○遠藤部会長 よろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、カメラの頭撮りはこれまでにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○遠藤部会長 それでは、議事に移らせていただきます。
 本特別部会は、先月の13日に第12回の会議を開催したわけでございますが、今回は、とりまとめに向けた議論を行うことという形にしていたわけですけれども、報道などでも御案内のとおり、前回の特別部会開催後に民主党の方で引き続き議論が進められて具体的な案がまとめられたということでございます。
事務局から、この間の議論の経緯などについて御説明をいただければと思いますので、報告をお願いいたします。
○梶尾年金課長 それでは、資料1につきまして御説明をしたいと思います。
 この資料の中ほど以降、13ページ、14ページ以降にありますとおり、前回、前々回、この1月、2月の当特別部会におきまして、適用拡大の対象範囲の基準、また、その場合の影響への配慮といった論点につきまして、前回は一定の試算もお示しをして御議論をいただいたところでございます。
 そして、その各論点につきまして、委員間で両論となる意見や論点もございましたが、それぞれの観点や立場からの御意見については、出そろって整理がされたのではないかと思っております。
 政府内では、その後、この特別部会におけるこれまでの議論を念頭に、関係省庁との相談も含め具体的な成案の検討を進めてきたわけですけれども、一方で、与党におきましても、前回2月13日の当特別部会でも民主党厚生労働部門のワーキングチームでの検討状況の報告をしたところでございますが、社会保障・税一体改革の柱の1つであります、この課題の実現に向けまして、厚生労働部門だけではなく、経済産業部門も含めて政策調査会としての検討、あるいは調整が行われてきたところでございます。
 与党での議論の際には、私どもから、この特別部会で用いました資料ですとか、あるいは議論の内容も適宜情報提供を申し上げながら、その検討を進められてきたところでございます。
 そうした調整過程を経まして、民主党の政調会長の判断として、3月13日に案がとりまとめられたところでありまして、この資料の1ページをご覧いただければと思います。
1ページがその案でございまして「適用拡大の考え方」ということで、被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正していくということと、社会保険制度における、働かない方が有利になるような「壁」を除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える。、このような考え方を前提とした具体案については、現在は週30時間以上ということでありますが、短時間労働者への適用拡大ということで、実施時期は平成28年の4月からということですけれども、週20時間以上、月額賃金7.8万円以上、年収でいうと94万円以上の方、そして、勤務期間は1年以上、学生は適用除外、従業員501人以上の企業に従事する方ということで、対象者数は約45万人と推計しております。この基準の方々について、平成28年の4月から適用拡大し、更に、3年以内に対象を拡大するということも法律に明記するという形で案となったところでございます。
なお、その際、影響緩和措置ということで、短時間労働者など賃金が低い加入者が多く、その保険料負担が重い医療保険者に対し、その負担を軽減する観点から、賃金が低い加入者の後期支援金・介護納付金の負担について、被用者保険者間で広く分かち合う特例措置を導入し、適用拡大によって生じる保険者の負担を緩和するということも案の中に位置づけられているところでございます。
この適用拡大の基準で、先程申しました?~?がございますけれども、簡単にコメントいたしますと、平成28年4月からというのは、この国会に法案提出した場合に約4年程度の一定の準備期間を置いて円滑な実施ができるようにするということになろうかと思います。
次の7.8万円というのは、現在、健康保険と厚生年金の標準報酬の下限のところで4等級違いがあるわけですけれども、ちょうどその半分になるということになりますとともに、特にセーフティネットが必要と思われます若年フリーター、あるいは母子家庭のお母さん方の概ね半分程度はカバーされるような数字に当たるというような水準でございます。
従業員が501人以上というところについては、企業規模は問わずに適用拡大すべきという考え方がある一方で、中小企業の事業主にとっては、負担増は深刻であるというような意見もあり、そのような中で第1段階としては、中小企業を初めとする相対的に規模の小さな企業の負担増を緩和するということで、従業員が501以上というところで決定されたものと思っております。
次に、2ページ以降ですが、与党の議論の際にも情報提供をした資料でございます。もう何度もご覧いただいている資料ですので詳しくは申しませんが、2ページ目が非正規労働者が増えている傾向の資料。また、母子家庭も増えていて、その多くが非正規労働に従事しているという資料でございます。
3ページ目は、週労働時間20時間から30時間の労働者とは、どのような方々であるかについての資料。また、国民年金の第1号被保険者の4割、国保の被保険者の3割が被用者となっているというような現状。本来、国民年金、厚生年金で区分、国民健康保険、被用者保険で区分ということを考えた場合に、被用者という方々が国年、国保に加入しているということが、その課題であるという現状認識の資料でございます。
4ページ目には、適用拡大の方向性という見出しを付けておりますけれども、格差の是正ですとか、あるいは多様な働き方を支えていくという今回の社会保障制度の見直しの考え方に関する資料でございます。適用のメリットとして、基礎年金に加え厚生年金の給付が受けられ、労使折半により保険料負担の軽減等があり、あるいは現金給付、傷病手当金等があるということを記載しております。また、この中の右の図に関しまして、今回7.8万円にまで標準報酬下限を引き下げることは、そのバランスを失するのではないか、前回改正のときの説明と一貫していないのではないかという指摘がありますので少し補足をしたいと思います。
月収10万円のフリーターの例でありますけれども、月収10万円でありますと、国民年金では、保険料は定額ですから1.5万円。これが厚生年金では、16.412%の保険料率を適用すると、労使合わせて1.6万円、本人分だと8,000円の保険料負担で、基礎年金に加えて厚生年金が受給できるようになります。月額賃金を7.8万円ということにしますと、保険料が労使合わせて1万3,000円程度、本人分だと6,500円程度ということで、給付の方は、基礎年金の月約6.6万円の上に厚生年金で月約1.7万円程度、そのような形の給付になるということになるわけです。平成16年改正のときの整理については、第1回、第2回のこの特別部会でも資料をお示しし、第2回で御説明したと思いますけれども、平成16年の改正のときには、実際法案にはなりませんでしたが、標準報酬の下限を引き下げて短時間労働者の適用拡大を行うというものを厚生労働省案として打ち出していたということでしたので、過去、厚労省が標準報酬の下限は引き下げられないということを言ってきたというのは、多分誤解なのだろうと思います。
ただ、平成19年の改正のときには、正社員に近いパート労働者の方に適用を拡大するという考え方に立ち、その上で、国年保険料と厚年保険料のバランスを図る観点からの検討も必要だという問題意識を示して月額9.8万円という基準を設定したということは、それは経緯として事実ではありますけれども、年金財政構造の基本的な仕組みの考え方に立てば、国民年金と厚生年金での基礎年金負担は別であって、厚生年金の低収入者が制度内で再分配を多く受けるということは、国民年金グループの基礎年金拠出金の負担には影響は与えていないわけです。
このことは第2回の会議でも御説明申しました。また、年金部会の方でも第4回のときに同様の御説明を申し上げて、その際も複数の方から、それは年金財政の仕組みからして別なのだから問題ない。基本的にはどういう方々を適用拡大の対象とするのかということであって、厚生年金の制度内で再分配されるということは、国民年金への負担には何ら影響を与えていないということではないでしょうか、という意見のみが出ていたところでございます。
なお、国年保険料と厚年保険料のバランスが悪いのではないかと言われている方も、月額7.8万円の層、月額94万円の層まで適用拡大をした場合に、その方々に月額9.8万円の標準報酬を適用して、本人や事業主にも割高の保険料を負担させるというような議論ではないだろうと思っています。どういう方々に適用拡大をするのかという議論がまずあって、その方々の負担能力、収入に応じて保険料負担をしていただき、それに応じた給付を受けていただけるようにするということなのではないだろうかと思っております。
次に、5ページですけれども、5ページは今回、先ほど申し上げました、週20時間以上、月額賃金7.8万円以上、従業員501人以上の企業、勤務期間1年以上というような要件にした場合に、対象者数は約45万人ということを申しましたが、現在の被保険者区分で言いますと、四捨五入をしておりますが第1号被保険者から約10万人、第3号被保険者から約20万人、その他に20歳未満あるいは60歳以上の方々もおられるという内訳になります。
医療の方で言うと、国保の被保険者から約20万人、健保の被扶養者から約20万人ということで、被保険者としては健保組合に約35万人、協会けんぽに約10万人が加入していくというような試算をしてございます。
これによる財政への影響につきましては、右側の表にありますとおり、医療保険で言いますと、▲というのは、財政負担が小さくなるという意味になりますけれども、協会けんぽが100億円の負担軽減、健保組合は、増減がそれぞれ組合によって違いますけれども、ネットで400億円の負担増。共済が80億円の負担軽減、国保が100億円の負担軽減となり、公費支出が400億ほどの支出減ということです。厚生年金の方も100億円の負担軽減になり、事業主負担については年金分で500億、医療分で300億の負担増というような形で試算をしてございます。
続いて、6ページ以降については保険課長の方から御説明いたします。
○西辻保険課長 それでは、6ページ以降について御説明させていただきます。
 5ページの財政試算「医療保険」のところで、協会けんぽは100億の改善、以下、制度ごとの財政影響が出ているわけですけれども、健康保険組合につきましては、加入者増による影響と加入者減による影響があり、トータルでは健康保険組合全体で400億程度の財政悪化になるのではないかと考えております。
この辺りの財政影響悪化につきまして、影響緩和措置ということが1ページの下にも記載されておりますが、緩和措置を講じるその具体的な考え方について6ページ以降に書かせていただいております。
 6ページの上のところですけれども、今回の適用拡大により財政悪化する健康保険組合というのは、短時間労働者の方をたくさん雇用されている特定の業種でつくられている健康保険組合であろうと思います。こういったところは、加入者の平均賃金が、パートの方が入ってくることにより下がりますが、他方、今の制度の枠組みでいきますと支出は増えていくことになります。後期高齢者支援金ですとか、介護納付金等の負担が増えるということで保険料率が著しく上昇する可能性があるということでございます。
 資料の9ページをご覧いただきたいのですが、以前も医療保険の保険者への財政影響ということでお示ししたものでございます。例えば年収102万円の短時間労働者の方が加入した場合、中ほどの帯グラフ2本のうち、下の保険料収入のところですが、約10.8万円の保険料収入があるのですが、他方、その方が加入することに伴う保険集団としての支出の増として、上の帯グラフにありますとおり、保険給付費だけではなく、高齢者を支えるための前期納付金あるいは後期支援金、さらには介護納付金といったものが発生いたします。今回の緩和措置は、このうち加入者の人数で賦課している後期支援金の部分と介護納付金の部分につきまして激変緩和措置を講じようというものでございます。
具体的には、7ページに図がございますが、適用拡大で財政が悪化する保険者、これは業種としては短時間労働者の方が多く雇用されている飲食サービス、流通、小売業などと思われます。これらの業種の健保組合については、もともと平均の賃金はそれほど高くないのですが、短時間労働者の方が加入することにより更に平均賃金が低くなり、財政が悪化するため、支出を賄うために保険料率を引き上げなければいけないということでございます。
他方、今回、適用拡大を行ってもほとんど影響を受けない業種、つまり、20時間~30時間のパート労働者の方をほとんど雇用していない業種もございます。そのような業種の健保組合に関しては、新たに賃金の低い加入者が増えないだけでなく、従来パートで働いていて被扶養者になっていた方々が、新たに適用されることによって、その保険集団から抜けていく。この結果、保険の支出は減り、保険財政が改善することになります。相対的に給与水準の高い健保組合にこういう傾向が多いと見ております。
具体的な調整措置については、6ページに戻っていただいて、まず、後期高齢者の支援金、これは現在24年度までは3分の1が総報酬割、つまり負担能力に応じて拠出することになっており、残りの3分の2が人数割となっております。それから、介護納付金、これは完全に人数割で負担していただいているわけでございます。これらの人数割で負担していただく部分につきましては、従来、報酬一定水準以下の方々、具体的には標準報酬月額9.8万円以下の被保険者とその被扶養者の方々も加入者1人と見て負担いただいているわけですけれども、今回、この方々を1人ではなくて、0コンマ何人と補正した形で分担をしていただくということでございます。そ9万8,000円よりも報酬が多い方については従来どおりですが、9万8,000円未満の方々を補正することにより、後期高齢者医療制度及び介護保険制度の財政に若干不足が出てくるわけで、その分については、先ほど申し上げましたように、短時間労働者をほとんど雇用しない業種の健康保険組合あるいは共済組合等につきましては適用拡大によって財政が改善するということもありますので、当分の間の措置として被用者保険制度内でその部分を分かち合うという仕組みでございます。
ちなみに9万8,000円という基準でございますけれども、下の(※2)のところにございます。現在、最低賃金が一番低いのは沖縄の645円ですが、これでフルタイムで働くと月収としては10万を超える水準になるということで、現在すでに9万8,000円以下の被保険者の方も既におられるのですけれども、この方々はフルタイム労働者ではなくて週30時間~40時間勤務の短時間労働者として適用されている方々であろうと見ております。
今回、週20時間~30時間勤務の方について適用拡大することとしておりますが、それぞれの方によって時給単価が違いますので、9万8,000円以下の方が多いとは思いますが、中には9万8,000円以上の方もおられると思います。報酬の水準を問わず、新しく適用された方だけ調整対象にするということは、技術的になかなか難しいということがあり、また、報酬の水準で調整対象を決める場合、従来から低い報酬で適用されている方との整合がどうなのかということもあることから、これは当分の間の措置として9万8,000円以下の被保険者及びその被扶養者の方について特例措置を講じて、これを段階的に解消していくということで考えておるところでございます。
では、具体的にどれぐらいの補正を行うのかということでございます。1ページにありましたように、第1段階、約45万人の適用拡大が平成28年4月からの実施ということで、今から約4年後ということでございます。その時点において実際に新たに適用される人数、それから保険者への影響等々は、まだ今の段階では十分見極められないところもございますので、これはその状況を見極めた上で、補正の幅を決めていきたいということで考えております。
最後、10ページに、1つ資料を付けさせていただいておりますので、御説明させていただきます。
短時間労働者の割合が多い企業数・健保組合数のイメージでございます。これは経済センサスから算出した数字ですけれども、全産業で、法人数が約205万ほどございます。雇用者に占める非正規労働者の割合、これは週労働時間20~30時間ではなく、15~29時間ですけれども、その方々の割合が一定割合以上の業種として、資料に書いてございますような30%を超える業種、15~20%の業種、10~15%の業種がございます。これらの業種に分類される法人数が、約115万法人ということでございます。これは企業規模を問わない数字ですけれども、その約115万法人のうち従業員数が300人以上だと約8,400法人、従業員数が1,000人以上だと約1,900法人、経済センサスでは、従業員数300人以上、1,000以上という区切りしかございませんけれども、その300人以上と1,000人以上の間のところに点線で囲っておりますが、この300人以上と1,000人以上のの分布から推計すると、大体従業員500人以上の法人数は約4,000法人ぐらいではないか推計をしているということでございます。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 これまでの説明にもありましたように、本特別部会の議論を踏まえた上で民主党でも議論がなされているということでありましたけれども、本特別部会のとりまとめよりも先に民主党と政府の方で議論が進められて案が出されたということでございますが、それはある意味、残念なことだと思います。
 ただいまの説明がありましたけれども、本特別部会は労働者の代表の方、あるいは事業主の代表の方、あるいは医療保険を代表する方、あるいは公益の立場の方と、これに関連するステークホルダーズの方々が一堂に参集されて議論をしているということでありますので、是非、先ほどの内容及び決定のプロセスについて御意見、あるいは御質問があれば、忌憚のない意見を承りたいと思いますので、どなたでも結構ですので御自由に御発言いただきたいと思います。いかがでございましょうか。
では、霜鳥委員からどうぞ。
○霜鳥委員 最初に質問でございます。今回、突然、緩和措置が出てきたのですけれども、1つは、これに関係するのですが、今年から団塊の世代が65歳に達するということで、高齢者の医療費負担はこれから非常に重くなってまいります。そのために今、高齢者医療制度の見直しが行われていると思いますけれども、それについての状況を聞きたいということと、それから、民主党では月額賃金7.8万円と決められたようですけれども、法案の中では9.8万円ということになっている。これについて、どうしてこういうことになっているのかお聞きしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局、ただいま2つの質問ですけれども、お願いします。それでは、保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 最初に高齢者医療制度の見直しでございますけれども、2月にとりまとめられました一体改革の大綱におきましては、関係者の理解を得た上で法案を提出をするということになっております。
 実際には、一昨年の12月に高齢者医療制度改革会議でとりまとめをいただきまして、それの具体化に向けて、関係者の皆様とできるだけ調整を速やかに進めて法案を提出すべく、現在検討しているということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、年金課長、お願いします。
○梶尾年金課長 2点目のところですけれども、現在、提出の準備をしております法案におきましては、9.8万円ではなく7.8万円ということで条文化を進めているところでございます。平成19年の方は勿論9.8万円です。1ページ目に書いてあるのは平成19年の法案のことを記載しております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 霜鳥委員、今の御回答につきましていかがですか。どうぞ。
○霜鳥委員 重ねて、当然、高齢者医療制度改革が入れば、その中での、恐らく支援金等の考え方もいろいろあるようですので、当然そうなれば、今、決まっていることも、新しい法案ではまた変わる可能性があると理解していいのでしょうか。
○遠藤部会長 それでは。
○西辻保険課長 もう1回お願いいたします。済みません。
○遠藤部会長 もう一度お願いいたします。
○霜鳥委員 今の高齢者医療制度の見直し法案の前提となる委員会の報告書は、総報酬割を入れるというのが前提になっていたと思います。そうなった場合に、この法案とその法案はどういう関係になるのか。今回これは3分の1を前提にして計算しておられるように思うので、そこはそのときにまた、もう1回見直すということで理解していいのでしょうか。
○遠藤部会長 では、保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 今回の法案は、先ほど1ページ目の資料にございましたように平成28年4月が施行予定ということで、今、法案の作成作業を行っております。高齢者医療の拠出金の持ち合い方の3分の1の総報酬割というのは、平成24年度で終了することになっておりまして、平成25年度以降は、具体的な方針は現段階ではまだ確定しておりません。そうしますと、法律の技術的な話になりますけれども、平成25年以降は、総報酬割ではなく加入者割が全体にかかってくるというのが、現時点での法律のたてつけですので、それを前提にして、今回のような措置を講じるという法案になろうかと思います。
ただし、今後、高齢者医療につきまして3分の1の総報酬割を何らかの形で維持ないしは見直すということがあれば、その段階で、またそれに合わせて、この部分も恐らく変更されていくということになろうかと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 霜鳥委員、よろしゅうございますか。
○霜鳥委員 もう一度済みません。もう一つありますのは、これは制度改正に絡んできますので、この特別部会の範疇ではない制度改正部分が入っていますので、これについては、私どもとしては医療保険部会できちっと別途議論してほしいという意見になりますが、医療保険部会については、どうお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
○遠藤部会長 それでは、保険課長、どうぞ。
○西辻保険課長 今回、この特別部会自体は厚生年金及び健康保険の適用拡大ということを議題として設置されて、これまで御議論をいただいてきたわけでございます。
 当然、適用拡大するということに関連して、その周辺部分についても、今までいろいろ御意見があったわけでございます。
 今の霜鳥委員からの御質問は、この特例的な緩和措置というのは、むしろ医療保険の制度面に影響が大きいのではないかという御指摘だと思っております。
 この特別部会も、霜鳥委員はじめ各医療保険の関係者の皆様、それから経済界の皆様等々にも御出席いただいておりますし、今、こうして御説明させていただきましたが、今後、医療保険部会につきましても、具体的なスケジュールは決まっておりませんけれども、開催される際には、この特例措置の話もそうですけれども、そもそも短時間労働者の適用拡大に関して、健康保険についてはこのような整理となったということにつきまして、併せて御報告をさせていただきたいと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 霜鳥委員、よろしゅうございますか。
○霜鳥委員 それは是非よろしくお願いしたいと思います。
 それから、これからは私どもの意見ですけれども、ちょっと申し上げてよろしいでしょうか。
○遠藤部会長 はい、結構です。
○霜鳥委員 これまでも私どもからは、この適用拡大により大きく影響を受ける健保組合の方々の理解と納得のある調整を求めてきたわけでございますけれども、審議の過程の中で、財政影響の資料につきましてもぎりぎりになって出されたこともありますし、また、適用拡大の規模につきましても、様々な情報が流れまして、これらの対象となる健保組合につきましては、理解と納得にはほど遠い状況でございます。今回、実は大臣宛に当該健保組合からは反対の意見書が出されております。
その他に、今回新たに激変緩和措置ということだったわけですけれども、先ほど私どもも申し上げましたとおり、高齢者医療制度の支援金対象に緩和措置を入れるということでございますが、そもそも現役の支援金に対する負担が非常に過重なことになっておりまして、基本的には高齢者医療制度見直しを検討してほしいという考えを持っております。その中で、この高齢者医療制度見直しをせずに、このような取り扱いをすることについては本末転倒ではないかと思っております。
また、今回は適用拡大される人だけではありませんで、一定所得以下の人を対象とする調整制度を入れるということで、これは非常に医療保険制度の基本に関わる問題でございますので医療保険部会で十分な検討をお願いしたいと思っております。
また、今回の措置は、公費を削減しまして、それを事業主負担あるいは被保険者負担に転嫁をするものでございまして、低所得者対策ということであれば本来公費でやるべきではないかと私どもは思っております。
また、先ほどもありましたが、対象者約45万人から、調整ですと月額7万8,000円ということですけれども、各保険者の財政影響に関する試算が出ておりません。そういう中で唐突にこういう提案がなされておりまして、私ども影響を受ける健保組合だけではなく、全健保組合に対しての理解と納得が必要だというような状況になっております。そういう意味では、まだ唐突でございまして、理解が得られるような状況にはないと思っています。
以上の点からいたしまして、健康保険におきましての今回の適用拡大については、私どもとしても改めて反対を表明したいと思っています。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 このプロセス及び内容につきましての御意見ということで承りました。ありがとうございます。これは御意見ということでよろしゅうございますね。
○霜鳥委員 はい。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、小島委員どうぞ。
○委員 本日私は意見書を提出しており、それについては後ほど時間をいただいて、発言したいと思います。まず、今回の適用拡大について、この特別部会での結論のとりまとめがなされる前に、与党・政府の方で一定の考え方がまとまったということについては極めて残念だと私も思っております。
 この特別部会の議論が徒労に終わったのか、無駄だったのかということ、そういう気もないわけではないですが、この特別部会で議論したさまざまな論点、今、霜鳥委員も指摘されましたけれども、医療保険への影響ということについては今回この特別部会で議論されて、一定の整理がされたのではないかと思っております。また、短時間労働者がどういう年収分布にいるのか、どこまで適用拡大すれば、どういう人たちが対象になるかといったことについても一定の整理、あるいは議論がされました。政府・与党でも、この特別部会で議論された内容を踏まえて、今回の見直しを第一歩と言いますか、第一弾の考え方として、示されたということもありますので、この特別部会の議論はそれなりに反映されたのではないかと思っています。
 しかし、その内容を見ますと、私ども労働組合の立場からすると、やはり当初、政府・与党が想定した370万人をどう実現していくのかという点からすれば、今回の45万人に対象が絞られたことは、極めて残念だと思っております。
 内容的に言いますと、まず、今回の年収要件94万円の問題です。この特別部会の議論では、やはり対象拡大する人たちの中心になるのは国民年金の第1号被保険者、あるいは母子世帯の母親などであり、そういう人たちが一番多い年収層は80万円台というデータも出ました。まずは、そこまで引き下げるべきだと思っておりました。しかし、今回は月収7万8,000円、年収94万円ということで、先ほどの説明では半分程度対象になるということでしたが、極めて残念です。そういう意味では、今回の与党のとりまとめでは3年以内に見直しを行うということですが、早期の見直しが必要だと思っております。
 つぎに、企業規模が501人以上ということになれば、501人以上とそれ以下とでは基準が違うということになり、言わばダブルスタンダードになってしまう。私はこれまでもダブルスタンダードはつくるべきではないと主張していましたので、これについても早期の見直しが必要だと思います。
 それと、実施時期が平成28年4月ということですが、これから4年先では、実施時期が遅いのではないか、もう少し早める必要があるのではないかと思います。一方、消費税率の10%への引上げが2015年、つまり平成27年10月ということもあります。それとダブらないということであれば、その翌年ということは、そういう整理の仕方もやむを得ないのではないかと思っているところであります。
 なお、今回、民主党の議論で、対象者を約45万人の適用拡大からスタートするということですけれども、民主党が掲げる新年金制度、すべての国民が所得比例年金に加入するということですので、そこの整合性が取れないのではないかという思いがあります。これは、民主党がこれから新年金制度をどう整理するかということにも関わってくるかと思います。
 それともう一つ、緩和措置についてです。健保組合等の負担が増えるところについて、被用者保険内での調整ということですが、これについては、霜鳥委員が指摘されましたように、この45万人の適用拡大によって公費、国の負担が300億円ほど、軽減されることになりますので、その活用も当然必要になってくると思いますので、今後、実施時期までには十分検討すべき課題だと思います。
 最後になりますけれども、今回、対象者数が約45万人と少なかったこともあり、共済組合の短期給付である医療保険部分の影響はそれほど出ておりません。それでも共済組合の負担は軽減されることになっております。共済組合の長期給付である年金部分は、被用者年金の一元化の中で財政調整がされると思いますので、短期の医療保険部分については、共済組合の加入者要件の見直しも必要ではないかと思います。やはり正規職員だけに限らずに、そこは臨時職員の人たちも一定の要件を満たせば加入させるということが必要だろうと思います。それについても今後、是非検討していただければと思います。
 私の意見としては以上であります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 かなり細部にわたっての御意見をおっしゃっていただいたわけですけれども、他にございますか。
 それでは、杉山委員、お願いいたします。
○杉山委員 労働者保護の観点から1点、意見と質問をさせていただきたいと思います。
 今回の年収要件は94万円以上とのことですけれども、大変高い水準であると認識をしています。現状、30ページにもありますとおり、週の所定労働時間が20時間~30時間の年収別の人数分布を見ますと、90万円~100万円の方が23.6%と最も多くおり、事業主が負担を回避するために雇用調整を容易に行うことが懸念されます。
前回も発言をしましたが、企業が適用拡大をきかっけに労働者にとって不利益な雇用調整を一方的に行うことがないよう対策を講じることが不可欠だと思っております。
最低でも「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針」(厚労省告示第326号)に、社会保険の適用を理由に更新を含む労働条件を事業主が一方的に不利益に変更することは許されないというようなことを盛り込むなど、改めて指針を周知徹底するなどの防止策を講じていただくよう、お願いしたいと思います。
 また、現時点でのこうした雇用調整に対してどのような対策を厚労省として考えているのかということをお伺いしたいと思っています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 杉山委員の御発言の中、御意見と御質問があったと思いますけれども、質問につきまして、事務局、どなたかお答えいただけますでしょうか。
 もう1度その質問部分だけをお願いできますか。
○杉山委員 これまでの間、こういった雇用調整、就業調整という課題が出てくるのではないかという議論、これは平成19年のときからしてきたかと思います。これに対しての対策をどのように考えているのかということをお伺いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、年金課長お願いいたします。
○梶尾年金課長 おっしゃるように、この基準が定められることによりまして、基準以下に雇用調整してしまうのではないかという懸念、可能性は否めないと思いますが、ただ、多くの事業主が短時間で労働者を雇用しようとしても、労働者の数の方にも限りがあるということもあるので、おのずと限界はあるとは思います。ただ、一方で御懸念はあると思いますので、それについては労働部局の方ともよく相談しまして、先ほど告示の話もございましたけれども、まずどういった対策を併せて考えていくのかということは、関係部局の方ともよく相談して考えていきたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 杉山委員、よろしゅうございますか。
 小島委員、先ほどの御発言は、私はすべて御意見と判断させていただいて、とり立てて事務局にコメントは求めなかったのですが、それで、よろしゅうございますね。
○小島委員 はい。
○遠藤部会長 それでは、審議官、どうぞ。
○唐澤審議官 ちょっと御議論がありましたので、2つだけ付け加えさせていただきます。
 1つ目は、先ほどの医療保険の収支で、共済組合が若干のマイナスになっておりますけれども、これは激変緩和の調整をいたしますとプラスマイナスゼロになってまいります。それから、この激変緩和の措置につきましては、先ほどから、医療保険部会でもその議論をすべきではないかというお話がございましたので、これは医療保険部会の方に御報告させていただいて、その際に御議論をいただきたいと考えております。
 もう1点、公費のお話がございまして、この改正は国の負担軽減を図るために実施をしているものではございませんので、もし公費が結果として浮いてくるものがあるのであれば、それを短時間労働者の適用拡大に関連する措置を講ずるために活用すべきではないかという御意見がございます。
 これは、民主党の方でも同じような御議論をいただいております。実施までにまだ時間もございますので、私どもも公費を活用した方策というものについて検討してまいりたいと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 他にございますでしょうか。
 それでは、清家参考人、お願いいたします。
○清家参考人 ありがとうございます。
 今回の政府・民主党案につきまして、私どもの意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 報道等を聞いていますと、適用拡大が人数ありきで進んでいるのではないかという思いをしております。その結果、今回の見直しというのは現行制度を改善するというフレームで進められたと伺っておりますが、どうも新たな歪みが出てくるような改正案になっているのではないかという認識を持っております。したがいまして、私どもとしては、今回の案に関してはとても賛成できるものではないと申し上げたいと思います。
具体的な問題点を3つ申し上げたいと思います。
1点目は、先ほど霜鳥委員、それから小島委員からもありましたが、高齢者医療・介護への納付金ですとか拠出金に関して、今回のような形でやるというのはやはりよろしくないのではないか。本来、こういう財政状況の厳しくなるような保険者に対しての対応は、やはり公費でやるべきではないかと考えております。
先ほど審議官からもそういう方向での御検討もいただけるということでしたので、是非その点、お願いしたいと思います。
2点目は年金制度につきまして、前回の会合でも申し上げましたが、やはり9万8,000円の問題というのはまだまだあるのではないか。今回、他の年金制度の見直しで、例えば未納期間があるにもかかわらず低所得者の方に年金を加算するという制度もありまして、9万8,000円を7万8,000円まで引き下げるのと併せて、国民年金の側からすると納付インセンティブがより阻害される懸念を持っております。
最後に、3点目ですが、3年後にさらなる適用拡大をすると、もう無条件に書かれておりますけれども、資料の28ページに、一体改革大綱での適用拡大に取扱いについて、第3号被保険者の問題ですとか配偶者控除の見直しですとか、そういうものを引き続き総合的な検討を行うということまで書かれていたにもかかわらず、何もメンションがなく適用拡大するといった整理はいかがなものかと思います。しかも、消費税の論議では、経済状況の問題も議論されておりますし、パート労働者を多数雇われている産業や企業の方への対応をどうするのかという慎重な検討がやはり必要なのではないかと思います。こういう書きぶりは少し行き過ぎではないかと考えております。
以上であります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
御意見承りました。
 他にございますか。
 白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員 ありがとうございます。
 3点ほどあります。
 まず1点は、今回の事の成り行きのタイミングについてであります。本特別部会が何ら最終的な決定権はないというのはもう十分承知しているのですけれども、先日、政府案が報道され、本特別部会の位置付けについて疑問が残りました。この点については、大変遺憾に感じております。
 2点目につきましては、これは最初のときから議論は出ていたのですけれども、本件について様々な制度が絡んでいるということです。特に、扶養されるという概念そのものについても、また扶養されてることに伴って労働者である一個人という立場が違ってくるわけですから、単純な因果関係を想定すること自体難しいと思います。ですから、何から変えていくのか、という優先順位が大切になってくるのではないでしょうか。
 具体的には、第3号被保険者の問題等についても議論を同時並行でしていかなければならないということがございますので、これは要望なのですけれども、他の制度との絡みで、一労働者としての立場を社会の中でどう位置付け、制度的にも支援していくかという議論を諸部会を超えてお願いしたいと思います。そういう意味ではパートタイム、フルタイムを超えた自己実現といいますか、将来的な働くことの意味についての議論も、抽象的な話になりますが、どこかで必要になってくるのだと思います。つまりは、本特別部会のテーマでありました社会保険の適用拡大ということを超えたところでさらなる議論をお願いしたいと思います。
 3点目なのですが、適用のメリットということで、4ページ目にありますが、格差の是正ですとか、現役世代のセーフティネットの強化ということが書かれております。そこに落ち着くということもわかるのですが、社会保険の適用拡大が格差是正にどうつながり、現役世代のセーフティネットとなっていくのかについても、もう少し明確な見取り図を描く必要があると思います。ですから、この点については、現時点での財源の問題の話も含めて、将来的にそれはどうつながっていくのかという道筋について、もう少し明確に示していただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 これは御意見ということで、事務局のコメントは必要ないと理解させていただきます。
 プロセスも含めていかがでございましょうか。
 中島委員、どうぞ。
○中島委員 私も3点ございますけれども、特別部会で決められなかったということは大変遺憾に思います。
 2点目ですけれども、特に高齢社会が進展をする中で、女性の就業率の拡大というのは非常に不可欠な問題だと思っております。同時に、優良な納税者、社会保険料の拠出者を増やしていくという点でも制度の見直しは不可欠だと思います。そのためには3号制度の廃止、見直しも含めて、近い将来、社会保険の適用拡大と併せて着実に議論をしていく必要があると思っております。
 3点目ですけれども、これは質問でございます。
 1ページの枠組みの中で見ますと、勤務期間1年以上というのは見込みでということでよろしいのでしょうか。その上で、先ほど指摘がありましたように、雇用調整などが起こらないように、見込みで1年以上ということで確実に雇用期間を確保するためにはどうしたらいいのかという危惧はございますので、そこを指摘したいと思います。また、従業員501人以上となっておりますけれども、これは企業単位と理解をしてよろしいかどうか、その2点を質問したいと思います。
○遠藤部会長 それでは、ただいまの2つについて、年金課長お願いいたします。
○梶尾年金課長 まず、勤務期間につきましては、契約段階で期限の定めのないものを含めですけれども、見込みということで考えております。
 2点目の従業員501人以上の企業規模につきましては、事業所単位ではなくて企業規模ということで考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他に御意見、御質問ございますか。
それでは、佐藤参考人、お願いいたします。
○佐藤参考人 それでは、質問と意見を申し上げたいと思います。
 初めに事務局に質問させていただきたいと思います。
 資料の5ページにある対象者数約45万人の内訳で、第1号被保険者と第3号被保険者について先ほど御説明がありました。この45万人と30万人の差引きの15万人については、60歳以上の方あるいは20歳未満の方ということが欄外に書いてあります。60歳以上の方については年金の受給の資格があるということもあり、私どもは、この適用拡大の対象にする必要はないという考え方なのですけれども、具体的に60歳以上の方、20歳未満の方についても詳細な内訳を教えていただきたいと思います。
 また、この内訳のところと、先ほどもお話がありました今回の適用拡大の方向性との関係で、もう一つお尋ねしたいと思います。
 4ページの方に適用拡大の方向性ということで見直しの考え方が2つ出ていて、1つがセーフティネット、もう1つが働き方の関係だと思うのですけれども、今回の45万人について、この2つの考え方に見合った、それに対応する人数は具体的にどのくらいだとお考えなのかを教えていただきたいと思います。
 関連する御説明として、私の聞き違いでなければ母子家庭の方などが半数ぐらい対象になるという御説明もあったかと思うのですが、この点について、つまり方向性で2つ示されていることとの関連で、この45万人の内訳をどのように考えておられるのかを教えていただきたいと思います。
 そのお話を伺った上でまた意見を申し上げたいと思います。
○遠藤部会長 わかりました。
 いかがでございましょうか。それでは、年金課長、お願いできますか。
○梶尾年金課長 まず1点目の内訳についてですが、先ほど四捨五入していると申しましたので、その他が多く見えるのですが、第1号被保険者の約10万人については、推計で14万人を四捨五入して約10万人と表現しています。また、第3号被保険者の約20万人のところは、推計で22万人を四捨五入しておりますので、その他としては、約8万人ということです。ほぼ60歳以上の方ということで、約8万人というような試算でございます。
 先ほど、高齢者の方は年金の受給資格があるのだから適用拡大の対象にする必要はないのではないかという御意見でしたが、60歳以上の方についても、報酬比例部分の額については確実に増えますし、定額部分についても、実際には年金の受給開始時点で40年加入されている方は非常に少なく、60歳以降の加入によって、定額部分の額も増えます。定額部分については、加入期間40年が上限ですが、多くの方は60歳以上の加入で定額部分も増えますし、既に40年の加入期間になっている方も報酬比例部分は必ず増えるということですので、年金受給権を得ているから適用拡大の対象としないという考え方もあると思いますが、事実関係としては、年金額も増えるメリットは同じようにあるということです。
また、以前にも御報告しましたように、他の世代への雇用への影響、60歳以上の方と60歳に満たない方との雇用条件に影響を与えることも懸念されるため、特定の世代をその属性で区分するということはよくないのではないかということは、総論としてはあると思っております。
 拡大の方向性に沿った人数の内訳をどのようにお示しするかという問題はあるが、今回の基準で適用拡大をした場合、第1号被保険者に関して30ページの図で申しますと、年収が94万円程度ですと週20時間~30時間台の第1号被保険者の約半数の方は対象になると言えると思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、佐藤参考人、お願いいたします。
○佐藤参考人 済みません、今の質問の中でもう一つだけ。
一番最後の御説明のところで、第1号被保険者の方のお話なのですが、第1号被保険者の中で、例えば母子家庭の方ですとか、セーフティネットが必要な方、後で申し上げますけれども、私どもは、セーフティネットが必要な方へ適用拡大をすることについては反対を申し上げているわけではないのですが、具体的な人数がわからない。過去の部会でも申し上げましたが、関連するお答えはいただきましたけれども、明確な数字はいただけなかったということもあります。今のお話も第1号被保険者全体のという意味であって、セーフティネットを必要とする方の半分というのとはまた違うと思うのですが、いかがでしょうか。
○遠藤部会長 年金課長、お願いいたします。
○梶尾年金課長 基本的な問題認識として、勿論母子家庭の母ですとか、フリーターの方といったような例示を申し上げておりますけれども、第1号被保険者の中には、多くの被用者の方がおられて、被用者ではあるが国民年金に加入している方々は、セーフティネットとして拡充が必要なグループではないかと思います。母子家庭やフリーターだからセーフティーネットが必要で、それ以外の方は必要ではないということではないと思います。
なお、母数の少ない調査であり、統計としては意味のあるものと必ずしも限らないのですが、週20~30時間で年収94万円以上では概ね半分程度は対象になると思います。第1号被保険者の中で、この方はセーフティネットが必要である、必要ではないということでは、必ずしもないと思っております。
○遠藤部会長 佐藤参考人、どうでしょう。
○佐藤参考人 今のお話も踏まえた上で、今回の案について意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 商工会議所としては、かねてより、この適用拡大の話について、大きく分けると労使双方の負担、それから制度上の問題、この2つの観点からいろいろ意見を申し上げてまいりました。この後もう少し具体的に申し上げたいと思いますが、負担の面からも制度上の問題からも今回の案につきましては、私どもは非常に不満も多く、また、問題点も多々あるという認識でございます。
 まず負担の方でございますけれども、中小企業の従業員500人以下については適用されないというものはございますが、先ほどから、お話が出ておりますように、3年以内に拡大という方向性も打ち出されております。また、そもそもそれ以前に今回、一体改革ということでありますので、消費税の引上げ、それから、この社会保険につきましても、今回の適用拡大に限らず、例えば中小企業が大半を占めている協会けんぽの保険料率が上がる。給付の方の重点化、効率化がいろいろ先送りになっている中で保険料は上がる。そういう社会保険料の引上げや消費税の引上げがある中で、更にまた、このパート労働者の適用拡大の点でも非常に負担が大きいという観点は変わっておりません。
また、先ほどいろいろ御質問をさせていただきましたが、セーフティネットの必要な方に対する適用ということについては否定をするつもりはございません。ただ、先ほどの話でも、例えば第1号被保険者の方に限っても、セーフティネットの必要な方というのはどれだけいらっしゃるのかというのは明確ではない。そうであると、負担をする側からすれば、セーフティネットを必要としている方ではない方に対しても負担をするということで、何故に必要ではない方に対して企業は負担を負わなければならないのかということになります。これは私どもの会員事業所から見ても納得が得られない点であります。
第3号被保険者の方については、相対的に見ればセーフティネットが必要な方だとは思っておりません。その点はなおさら、なぜ負担をしなければならないのかという点は思いが強いということを申し上げたいと思います。
 もう一つ、制度上の問題でございますけれども、今回29ページで示していただきましたように、適用拡大というのは、結局、第1号被保険者から第2号被保険者、第3号被保険者から第2号被保険者へ、非常に大勢の方が移動するという大きな制度改正であるわけですが、他方、年金の将来像というのははっきりはしていないということです。また、平成25年には最低保障年金制度を含む新しい年金制度の法案が出されるということも、一体改革の大綱の中に明記されている中で、適用拡大という問題の結論を出すのであれば、来年、新年金制度ということで打ち立てようとするのであれば、その中で一体的に検討するべきであると考えております。その中には、先ほど来お話の出ておりました第3号被保険者制度の在り方についてもそうですし、所得控除の要件である103万円をどうするのかという問題も併せて検討する必要があると思っております。
 最後に、制度上の問題点ということでもう一つ申し上げたいと思います。現在の標準報酬月額の下限は9万8,000円です。今回の条件はそれを下回るということで、私どもが特に問題だと思っている1つが、今回この内容の案で仮に実施されますと、自営業者を初めとする国民年金の加入者の方から見て、パート労働者の方が、国民年金よりも少ない保険料負担で、将来的に国民年金だけの方よりも多い給付が受けられるという点はやはり不公平であり、問題だと思います。この点について、御説明の中では、国民年金と厚生年金は制度が違う、結論として問題ないという御趣旨のお話がございましたが、やはりそれは同じ公的年金の中で、私どもの会員で自営業の人から見れば不公平であるということは明確だと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 他に御意見、御質問はございますか。
平田委員、どうぞ。
○平田委員 意見ということで申し上げさせていただきたいと思います。
 今回、このような形で適用拡大になりますと、働くパート労働者の側、そして企業側と、双方に大きな影響があるだろうということを感じています。その際、実施に当っては、やはり必要なのは適切な情報提供だなと思っております。
具体的には、例えば働く方ですが、適用拡大になって大きく影響を受けるのは20万人と試算されている第3号被保険者の方だと思います。その第3号被保険者の方が20時間以下の方に転ぶかどうかというようなところで、主婦であり働いている方が自ら主体的に選択できるような情報提供をすべきではないかと思います。
と申しますのは、アンケートやヒアリングを通じて思うのですが、制度のことをなかなか理解しないままに扶養の中にいることが自分たちの在り方、あるいは得だという感じで短絡的に選んでおられることがあるようです。きちっと情報提供されていれば、今後、自分が1人の人間として、女性として、どういうふうに働いていくのかということを考えていく、きっかけを促していけると思います。それこそが、今回の適用拡大によって、もう一つの良い影響になり得るのではないかと思いますので、そのような情報提供をしていただければと思います。
一方、企業の方にとっても大変負担が大きな話で、こちらも保険料負担のことを考えると、20時間未満になるよう調整するという動きも、私は求人広告を扱う立場として、そのような意見も聞いたりもしております。そこを、単純に更に短時間の人を雇用していくという選択をするのか、そうではなく、生産性の向上であるとか、いろいろな工夫の結果、より長時間の人を戦力化してその企業を立てていくのかという、そこをきちっと選んで考えていただけるような情報提供が必要だと思います。具体的には社会保険の負担をきちっとしながら、いい経営をされている流通業界の方などもおられますので、そういった成功事例等の情報提供によって、きっちり考えていただき、選んでいただくということにしていただければと思います。
 今回、企業規模については、従業員501人以上ということになりまして、適用拡大の対象として、短時間労働者が沢山おられる流通業界、飲食業界やサービス業界、ここはフランチャイズを多く持たれているところと、そうではないところがあると思うのですが、フランチャイズのところは、その各オーナーさんのところの雇用ということになるので、そこで働いている方は適用対象になりませんし、そうではなく、大手で、全部直接雇用で店舗展開をされているところは全部自社負担となってきまして、その辺りでも、一見、同じ業態といいますか、似たようなブランドでも随分差が出てくると思いますので、そのようなところにも影響があるのではないか感じております。いずれにしましても、正しい情報提供のもとで、企業も働く側も主体的に、自分はどうするのかということを、選ぶきっかけになればと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 他に御意見ございますか。
 それでは、貝谷委員、どうぞ。
○貝谷委員 質問を2点させていただきたいと思います。
 今日、医療保険について、いろいろな議論ができるということで、最後の場でようやくこういう議論ができるようになったことは、残念という意味もありますが、調整過程としては、そういう意味では理解できます。
 1点目の質問は、いずれも政治なり与党間での調整ということなので、我々としては、そういう状況だということで受けとめるしかないのですけれども、医療保険について考えますと、130万円の基準ですね。これを今の提案では94万円に引き下げるということになりますので、年金の第1号被保険者にとっては、恐らくいろいろな意味でのメリットは感じられると思うのですが、例えば第3号保険者の方については、今まで同じ状況なのに、どうして今度は負担が増えるのでしょうかということがあるのではないかと思います。
年金がこうなったから医療保険でもこうなるという説明は、社会保険制度全体として、それなりにあるのだと思いますが、我々、医療保険者の立場から言いますと、医療保険の加入者の中で今、130万円弱の方々に対して、今度、加入者個々人に対してどういう説明をしていくのかと非常に悩んでおります。医療保険の中で、保険料負担が増えていくということに対して、どういう考え方を統一的にやっていったらいいのかということが、これは制度を所管する立場でどうお考えになっているかということを、まず1点目として質問させていただきたいと思います。
 2点目は、若干技術的な話ですが、先ほど年金課長から従業員501人以上ということについては、企業規模で判断していくという趣旨の御発言がありましたけれども、その場合の企業規模というのは、いわゆる会社の規模、つまりA社が、東京で300人、北海道支店で300人の場合に適用としてはどうなるのか。合計で600人なので、501人以上だから、今回の適用拡大の対象には入るということなのか、あるいは、北海道の支社は300人なので、そこは違う取扱いになるのか、もう少しわかりやすく教えていただきたいと思います。
 以上2点をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、保険課長、お願いいたします。
○西辻保険課長 では、1点目は私の方から説明させていただきます。
 医療保険については、そもそも年金と違って所得比例の年金がもらえるとかの大きなメリットがなく、被扶養配偶者の方から見ると、病院に行って払うお金は従来どおり3割負担のままであるにもかかわらず、なぜ保険料負担をしなければいけないのかということの説明をどうするのかということだと思うのですが、まず1つはメリットという意味から言うと、健康保険でも、被扶養者ではなく被保険者として適用されることによりまして、病気で働けない、あるいは出産で働けないといったときに所得保障としての傷病手当金や、出産手当金を受給できることとなります。これは、この特別部会の中の議論でもあったと思いますが、配偶者の方といえども、被保険者の所得が減ってきているといった状況もあり、家庭の中での2番目の稼ぎ手でも家計の維持に重要な役割を果たしているということであれば、やはり傷病手当金や出産手当金が大きな意味を持つ局面もあるのではないのかということが1点です。
 もう一つ、今回の見直しの趣旨は、格差是正、セーフティネットの拡充ということですが、適用拡大をすることによって、方向性としては、社会保険制度、医療保険制度が働き方にできるだけ中立な方向へ向かうということも根底にあると思っております。
 ですので、年金と併せて一定時間以上働いておられる方については、被扶養配偶者ということで保険料を一切負担せずに医療給付を受けるということではなく、一定のルールの中で社会保険料も払っていただく、それに応じた、現金給付も受けていただくということが、働き方に対して制度が公平であるという観点からは必要だということを、私どもとしては御説明していきたいと思っております。
○遠藤部会長 それでは、法人の規模の話ですね。
○梶尾年金課長 企業規模の件につきましては、これは企業規模として考えておりますので、先ほどの例でありますと、対象ということで考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 事業所レベルではなくて、法人単位でという理解でよろしゅうございますね。
 それでは、佐藤部会長代理、お願いします。
○佐藤部会長代理 既に御説明していただいているのかもしれませんが、質問と意見ということで。
1つは、全体として与党の中で決めたということで、政治的な決着ですので、それはそれなりに尊重しなければいけないと思っていますが、ただ、研究者としての意見ということで伺っていただければと思います。
 特に年金など、やはり働き方に中立的な制度にするという点では半歩前進かなと思います。ただ、新しい歪みをもたらす危惧はすごくあるとも思っています。
 それを踏まえた上で、まず質問は、この対象者数の約45万人なのですが、これは先ほど出た従業員規模は501人以上、ただし、これはいわゆる普通の従業員規模ではないのですね、現行の30時間以上の保険加入者の規模となっています。これは計算するときには、今、30時間以上働いて社会保険に加入している人が501人以上ということです。そういう企業データと、そこで働いている20~29時間の人のデータはないと思うのです。
 普通のいわゆる従業員規模、いわゆる社員が何人というような、あるいは常用で働いているのが何人という企業規模で、そこに20~29時間、それが何人いるというデータはあると思いますが、普通の社員が400人でも、30時間以上、有期の人が100人とか200人いると適用対象になるわけですけれども、多分そういうデータはないと思うので、どのように推計したのか。ちょっとわからないデータからつくられているのかなということなので、御説明いただきたいというのが最初の質問です。
 あと、幾つか意見で、1つはこの企業規模に関わる点ですけれども、先ほどの御説明でもありましたように、企業の方からすると、この基準で決まったとき、うちは社員が501人以上だから適用対象ではないと思っている企業が、現状だとたくさんいると思います。つまり30時間以上だということからすると、うちは社員が300人だけれども、有期で30時間以上の人が200人いるとなると適用対象になるわけです。ですから、その辺りは、先ほど平田委員が言われたように、きちっと情報提供していかないと、うちは対象外だというふうに思っている企業もたくさんあると思います。
 もう一つは、働いている人も、これは有期で働いている方ですから、契約更新の都度、別の会社に移ろうというふうに考えている方はいらっしゃるかと思います。現状だと、同じ働き方をしていても勤務先の企業規模、この企業規模も社会保険に入っている方の人数ですが、それによって、もしかしたら、例えば今、第1号被保険者で加入している人からすると、適用対象になる企業に移った方がプラスの面があるわけです。ですから、働いている人たちが、この制度改定を踏まえて勤務先を選択できるような情報を出すということも必要ではないかと思います。あるいは転職、あるいは新しく勤めるときも、この会社に入れば20~29時間でも適用対象になるのか、ならないのか、これは時間は一緒でも会社によって違うわけです。そういう意味では、今度は企業側だけではなく、働く人への情報提供を出さないと問題ではないかと考えます。
一方、企業側からすると、うちは適用対象外だけれども、そこで働いている人が企業に移りたいというふうに思ったときにどうするかです。つまり、この会社は300人規模で、20~29時間は適用対象にならない、ここの会社で働くよりも、先ほど母子家庭の方のお話がありましたが、適用対象の会社へ移る方が第1号被保険者であるよりもいいわけですけれども、その会社が、この人いてほしいと思ったときに、うちの会社は適用できるのかということです。法律的には500人以下ですと適用しなくていいのです。そうしますと、働いている人が適用がある会社へ移ってしまうのです。これは、その人にプラスになるということもありますから。そうしたときに、企業側はいてほしいと思ったときに、本来であれば適用できる仕組みがいいと思うのですが、そういうことができるのかどうか。
 また、私は、企業なり働く人が選択できる方がいいのではないかと思うのですが、現状だと多分難しいのかもわかりません。ですから、そういうところの問題が出てくるということをどうするのかというのが1つ、これは意見です。やはりその辺りは考慮した方がいいと思います。
 あともう一つは、賃金水準です。これも30時間以上と違って、総合報酬ではなくて、賞与や交通費は除かれる賃金水準だという話を伺っています。でも、企業の人事管理は29時間以下と30時間を分けているわけではないと思います。ですので、もしかすると、30時間以上は賞与を、つまり基本給を上げて改善していくのに、20時間以上は基本給を上げると適用になるので、20時間以上は賞与の方に付けるなどという、歪んだ人事制度が起きかねないと考えます。つまり、ここは、どういう経緯かわかりませんが、29時間以下は、いわゆる普通の基本給だけで給与を決めて、30時間以上は賞与等込みでやるというようなことは、企業の人材活用上も歪みをもたらしていく。あるいは働く人も、賃金は上げなくていいので賞与の方にしてくれということが起きかねない。ここも課題として出てくると思いますので、改善する必要があるかなと思います。これも意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、御質問と、それから、問題提起でありましたけれども、それに対するコメントも含めて結構でございますので、是非事務局、お願いいたします。
○村山調査課長 まず最初に500人規模の適用の推計のことについてでございますが、企業単位での統計のことにつきましては、佐藤部会長代理の方がお詳しいと思いますが、私どもの試算につきましては、現在の社会保険適用では、先ほどの議論の中にもありましたけれども、適用事業所ということで、企業単位よりも、むしろ細かい単位での統計が別途あります。
 一方で、健康保険組合というのは、いわゆる企業単位の適用というようなことがございますので、その辺りの統計を勘案いたしまして推計させていただいております。
 正確な数字として、詳しい統計があるわけではございません。
○佐藤部会長代理 たしか30時間以上で、社会保険に入っている人の人数はわかるはずですけれども、その企業に雇用されている20~29時間の人がわからないと推計できないはずです。そこが適用拡大されるわけです。つまり30時間以上働いて社会保険に入っている501人以上の企業が雇用している20~29時間の人が何人かということや、かつ雇用期間1年以上であるとか、年収など、20~29時間のの方のデータはないと思います。
○遠藤部会長 では、それは調べていただいていると理解します。では、調査課長、どうぞ。
○村山調査課長 先生のおっしゃった収入と、労働時間の関係につきましては、これは一度、この会議で御紹介したことがございますが、所定労働時間と収入に関するクロス表を、パートタイム労働者総合実態調査というパート労働者の調査について特別集計をいたしまして、必要な集計をしたということでございます。
あと、社会保険の適用に関しましては、公的年金の加入状況関係で、別途の統計がございますので、それを先ほどの集計結果と組み合わせた形で推計させていただいております。
○遠藤部会長 他に、いろいろ御懸念があって、それに対するコメントでも結構でございますので。では、年金課長、お願いします。
○梶尾年金課長 一定の基準をつくることに伴ってのいろいろな御懸念に関しましては、これまで当特別部会でもあった話だと思っております。
それでは、まず御質問に関して申し上げますと、1つは、500人以下の企業において30時間未満の方に残ってほしいというふうなケースについて言えば、現在考えておりますのは、特段、そういった方は任意加入ですとか、そのような措置は現在考えてはおりませんが、社会保険の適用対象にしようということであれば、現行制度の枠組みの中で考えていただくことになろうかとは思います。
 また、賃金水準の方ですがも、コメントだけになりますけれども、その月額賃金7.8万円以上というのは、短時間労働者であっても適用対象とするかしないかの基準であり、そこには賞与ですとか通勤手当は入れないということで考えておりますが、その適用になった後は、その方の標準報酬をどのように取り扱うかということについては、通常の場合と同様の標準報酬の計算となります。適用対象の基準として、賞与や手当を入れないという運用を考えているところでございます。
○遠藤部会長 佐藤部会長代理、それはよろしゅうございますか。
○佐藤部会長代理 はい、いいです。
○遠藤部会長 それでは、瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 今、佐藤部会長代理のお話の中で、500人以下の企業でも適用対象になる場合もあるというような御発言でございましたでしょうか。
○佐藤部会長代理 違います。今回の規模は、社員数、通常の社員数ではないということです。つまり、社会保険の適用者数なのです。わかりやすく言うと、30時間以上働いている人の人数の規模なのです。そういう意味では、今まで、うちの会社は300人の会社ですというのは、普通は社員の数などで言っているわけですけれども、でも、その会社に30時間以上で有期契約の人が例えば300人いれば、この会社は600人になりますから。今回の基準は501人以上ですから適用対象になるわけです。ですから、この基準は、世の中で言われている一般的な企業規模とは違うわけです。社会保険の世界の企業規模ということだそうですので。
私が説明したのはそういう意味です。ですから、例えば、新聞には501人以上と出ますから、現状では、人事の人なども、うちは社員数が300人だから対象ではないと思っている。ただ、今回は、その規模ではなくて、30時間以上の方すべてということです。社会保険に加入している人の人数規模ですから、よくよく調べてみたら適用対象で、20~29時間の人に広がるのだという会社も結構あるということです。私の説明が間違いであれば言っていただければと思います。
○遠藤部会長 いかがしましょうか。では、一度整理をしていただきたいと思います。年金課長、どうぞ。
○梶尾年金課長 通常の従業員という数ということではなく、現行の基準で適用対象となる被保険者の数で算定するのだから違うのだというのはおっしゃるとおりなのですが、通常は、従業員数よりも現行の基準で被保険者として適用対象となる人数は少ないと思います。全従業員の中で社会保険適用対象となっている数は少ないというふうに思いますが。
○佐藤部会長代理 いや、それは従業員をどう考えるかです。社員数と言われると、これ会社によりますが、パート労働者の方を正社員と答える会社は比較的少ないのではないかと思います。勿論パート労働者の方も社員だと思いますが、そこは多分、社会保険を考えている方と労働サイドではすごく違うと思います。
○梶尾年金課長 概念としての整理は社会保険は被保険者数ですので、通常の従業員という言葉との違いということではございます。
○遠藤部会長 瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 これは従業員規模の小さい方、300人以下の中小企業の方、500人前後の方でもよろしいのですが、自分のところの社員数を考えた場合、500人以上かそうではないのかというところについて、その判断基準が違う要素であるということであれば、きちっと説明していただいた方がよろしいかと思います。正直申し上げて、私どもも今、初めて聞くような感じです。
○遠藤部会長 年金課長、お願いします。
○梶尾年金課長 この従業員数501人以上というのは、現在の4分の3以上、30時間以上という基準があり、社会保険を適用している人数が501人以上かどうかということです。その数が500人に満たなければ適用対象にはならないということです。資料の1ページで、冒頭御説明しました図がございますが、短時間労働者の適用拡大というボックスの欄外に※として、現行の基準で適用となる被保険者の数で算定ということを記載しております。各会社にとってみれば、自分の会社で現在、厚生年金、健康保険の対象になっている被保険者の数はわかりますので、そこを確認いただければ、適用対象にならないと思っていたのに対象になるであるとか、そのようなことは起きないだろうと思っております。現在の基準で4分の3以上、30時間以上の要件で被保険者となっている人数で501人以上ということでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 瀬戸委員、よろしゅうございますか。
 いかがでございましょう。一通り御意見を承ったと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 本日は、本当にそれぞれのお立場から非常に重要な御指摘をいただいております。懸念の言葉もありましたし、いろいろな問題があるかと思いますが、これは当初予定しているような形でとりまとめということは行いませんけれども、皆様の御意見、これは議事録にはきちんと載るということで対応させていただきたいと思います。
 また、医療保険と関連がある部分もありますので、先ほど事務局から御説明がありましたように、医療保険部会でも継続して審議をしなければいけないものもあるという認識でおりますので、これは事務局の方も対応をよろしくお願いいたしたいと思います。
 他に何かございますでしょうか。
 それでは、小島委員、お願いいたします。
○小島委員 ありがとうございます。
 今回のこの特別部会に与えられた任務については一通り議論が終わったと思います。本日、意見書を提出しておりますので、これについて、簡単にポイントを絞ってお話させていただきたいと思います。
 この特別部会で何度か発言している内容も含まれておりますので、その部分は省略したいと思います。これまでの特別部会の議論は、現行の社会保険の適用要件を前提にした上で、その枠内での議論であり、しかも短時間労働者に限定して適用拡大をするのかどうかという議論でありました。しかし本来は、被用者については原則、被用者保険を適用すべきだという立場で考えております。その意味では、現行の社会保険適用の枠組み自体を見直す必要があるという問題意識を持っておりますので、その観点から意見書として提出したものです。
 皆年金・皆保険制度が確立して、昨年で50年が経ったと言われております。50年前の当時としましては、男性が家計を支えるということが中心であり、それをモデルとして、その男性、働き頭である長期・フルタイム雇用労働を対象にした社会保険ということでスタートしたと思っております。
 それから50年が経ち、多様な働き方に変わってきましたので、従来の社会保険適用の基本的な見直しが、必要だと思っております。
そういう意味では、基礎年金が発足して27年が経過しましたが、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者という区分、特に第3号被保険者問題については、抜本的な見直しが必要であると思っております。
 そういう意味で、社会保険に関わる制度の見直しで、第1点目が、現在の適用要件は個人事業所ですと、5人以上の事業所、そして法定16業種に限定されておりますので、それ以外で働いているフルタイム労働者については、社会保険から除外されているという問題があります。先ほどの資料の3ページにもあるように、国民年金第1号被保険者の加入の比率は、平成20年度の調査で言いますと、13.3%が常用雇用です。この人たちはフルタイムで働いているわけですから、本来であれば社会保険、厚生年金と健康保険を適用すべきであると思っております。この人達は、5人未満事業所や、法定16業種以外の旅館、飲食業等でフルタイムで働いているのだと思います。
 それから、市町村国保にも被用者世帯が35%ぐらいおり、その人たちの中にも、フルタイムで働いている雇用労働者も当然いるわけです。そういう人たちに社会保険適用をしていくには、現在の適用要件の抜本的な見直しが必要であると思います。そこでまずは、現在の適用あるいは未適用業種でどういう雇用労働者がいるのか実態把握を十分にした上で、現在の5人未満事業所、あるいは法定16業種の見直しが必要であると思っています。今後、そういうことを是非議論いただければと思います。
年金部会、医療保険部会では、この社会保険適用要件についての議論がされていません。今回の特別部会で共通基盤として議論できたと思っています。是非そういう議論ができる場をつくるべきであると考えております。
 2つ目は、5人未満事業所あるいは未適用業種で働いている労働者に対する適用を考えていく観点からも、現在は事業所単位で適用か未適用かを仕分けしていることについては、幅広く適用範囲を考えていくべきです。業種ごと、あるいは地域ごとに一定の包括適用方式などの方向で考えるべきではないかと思います。
 健保組合ですと、地域型の健保組合というものもありますし、それから、派遣健保などの同業種による総合健保組合というものもありますので、それらを参考にしながら、地域包括、あるいは業種で包括した適用形態といったようなことも検討すべきであると考えます。場合によっては、雇用労働者個人の申請に基づいて加入する、個人加入の方式といったようなことも検討すべきではないかと考えております。ドイツなどの制度も参考にすべきではないかと思います。
 3つ目は、これまでも発言しておりますが、適用、未適用で、事業主負担が増える、増えないという議論があります。そういう問題については、労働保険の保険料負担と同じように、雇っている従業員の総賃金に一定の保険料率を賦課する方法、アメリカでいうとペイロールタックスになりますけれども、そういったものを是非検討すべきではないかと考えております。
 4つ目は、今回はとりあえず年収94万円、月収にすると7万8,000円以上という要件が設けられましたが、それ以下の人たちに対する適用についてどう考えるかということでございます。これについてはドイツの制度を参考にすべきではないかと思っております。ドイツでも賃金が低い労働者が近年増えているということもあり、一定の賃金以下の人については適用を免除する。しかし、事業主負担は義務づける。そういう制度をドイツはとっているということですので、そのような制度も是非、検討をすべきではないかと思います。それはまさに低賃金労働者に対するセーフティネットの確立につながってくると思います。
 5つ目が社会保険事務組合です。現在、労働保険事務組合はありますけれども、中小・零細事業所の事務負担の軽減の観点から、社会保険についても事務組合制度をつくるべきで、これについても是非検討いただければと思っております。
 それから、2つ目の柱でありますけれども、今回、短時間労働者が被用者年金あるいは被用者保険に加入してどういうメリットがあるのかということで、議論もありました。特に医療保険では保険料負担、給付は変わらないという話がありますけれども、そういう観点も含めて、あるいは事業所の事務負担の軽減ということも含めて加入・資格管理等の見直し、改善も必要ではないかと思っております。
1つは、これは前回も発言しましたが、現在の保険料納付単位は1カ月単位であり、それに合わせて、資格の取得、喪失の届け日を月初めに基準日を設けるというようなことが必要ではないかと思います。
 これは、保険料の二重負担はほとんどないということですが、しかし、その月内に転職してまって保険者が変わると、高額療養費の1カ月単位のものが合算できないという問題がある。あるいは、場合によっては保険証が回収できずに個人が医療機関にかかった場合に、医療機関としては、保険者に請求できないという問題もあります。そういったことを是正するような観点から、ここで指摘しているような取得あるいは喪失日の基準日の設定といったようなことを検討すべきではないかと思います。
最後になりますけれども、短期間労働者の社会保険適用に当り、現在、医療保険に1年以上加入資格がないと、資格喪失をした場合には、現金給付の適用にならないという問題があります。これも、雇用保険と同じように短期間、有期契約労働者について医療保険の加入期間の通算制度をつくって、資格喪失後も現金給付、傷病手当金あるいは出産手当金が適用になるような給付改善も是非検討すべきではないかと思います。
以上のような制度に関わる問題については、どこかの機会で、是非、本格的な検討をお願いできればと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 非常に重要な課題についての御提案をいただいているわけですけれども、これは御意見ということで承らせていただきたいと思います。
 それでは、本日用意いたしました議題は以上でございまして、本特別部会の議論につきましては、適用拡大の基準がまとめられたということもありますので、一旦は終了したいと考えております。委員の皆様につきましては、これまで13回御出席いただき、また御議論いただきまして本当にありがとうございました。お礼申し上げます。
 それでは、これにて、本日の審議を終了させていただきたいと思います。
 御多忙の折、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局年金課
企画法令第2係

電話番号: 03-5253-1111(内線3336)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会)> 第13回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会議事録

ページの先頭へ戻る