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2012年5月22日 経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会議事録(第4回)

社会・援護局福祉基盤課

○日時

平成24年5月22日(火)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○議題

(1)主な論点に関するご意見募集結果の報告について
(2)本検討会における議論のとりまとめ案について
(3)その他

○議事

○佐々木福祉人材確保対策室長 定刻より少し早い状況でございますけれども、委員の先生方おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。
皆様方、本日、御多用のところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。福祉人材確保対策室の佐々木と申します。
議事に入らせていただく前に、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。
本日は、資料1を配付させていただいております。また、前回までの資料をとじました青いパイプファイルと第24回介護福祉士国家試験問題を委員のお手元に御用意させていただいております。
お手元に欠けておる資料はございませんでしょうか。欠けております資料がございましたら、事務局の方にお申し出ください。
それでは、ただいまから「経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」の第4回を開催いたしたいと思います。
カメラにつきましては、ここで退席のほどをお願いいたします。
それでは、議事の進行につきまして、潮谷座長、よろしくお願い申し上げます。
(報道関係者退室)
○潮谷座長 改めましておはようございます。今日は私どもの検討会における議論、ヒアリング、それを踏まえてたたき台を作成していただいておりますので、それを基にまずは検討に入りたいと思いますので、事務局の方から説明をよろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 報告書(案)を御議論いただきます前に、これまで行ってまいりましたパブリック・コメント、意見募集の結果をこの検討会で今回御報告する予定でございました。募集期間中に御意見がございました件数、実は16件でございまして、非常に少なかったという状況にございます。私どもとしても記者会あるいは関係団体に対する定期的な報告という中で御意見募集をしているという旨をお伝えしてきたところでございますけれども、件数が少なかったということでございまして、まだまだPR不足であったということ。また意見募集といたしまして、今回御議論いただきますたたき台、検討の報告案というものをお示ししていない状態での意見募集でございましたので件数が少なかったという状況ではございます。
そういう状況でございますので、改めて、これから御議論いただきますけれども、本検討会の報告(案)につきまして、明日から1週間程度、更に追加的に御意見を募集させていただきまして、次回のとりまとめを予定している際に、併せまして御報告を申し上げるということにさせていただきたいと思っておりますので、何とぞ御了解をいただきたいと思っております。
それでは、資料1に基づきまして、報告書(案)の概要につきまして御説明申し上げたいと思います。
まず、資料1でございますが、表紙でございますけれども、「経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会報告(案)」ということで、検討会の報告がとりまとまった段階で「案」を取りますとともに、報告書のとりまとめ期日を記載するということにさせていただきたいと思っております。
1ページ目「1.はじめに」でございますけれども、2番目の○でございますが、今回初の受験となった介護福祉士国家試験のEPA候補者の方々の合格状況につきまして、受験した95名の候補者のうち36名の方が合格、合格率は37.9%という状況でございますが、3番目の○でございますけれども、EPAの趣旨に照らしまして、試験のあり方を始め、一層の改善が求められているという状況でございます。
このため、この検討会におきましては、(1)わかりやすい日本語への改善について、(2)母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否について、(3)候補者に考えられる試験実施上のその他の配慮について検討を行っていただいているという状況でございます。
2ページ、また、その合格のためには、合格を目指して就労・研修を重ねる候補者に対する効果的な学習支援方策についても併せて検討が必要である旨、記載させていただいております。
「2.基本的な考え方」でございますけれども、EPAは二国間の経済連携の強化の観点から行われるものであり、両国間の友好や協力の促進を意図して締結されたものである。このため、EPAに基づく介護福祉士候補者受け入れについても、この目的に寄与するよう、候補者本人や就労・研修を行う受け入れ施設の努力のみに依存することなく、国としても必要な支援策を講じていくことが必要であるという基本認識に立っているところでございます。
このため、これまでの対応の記載を次にした上で、介護職の業務の特性について、次の3番目の○で触れておるところでございます。
4番目の○でございますけれども、中でも介護福祉士は、介護現場において中核的役割を果たしており、身体上や精神上の障害を持つ利用者の個々の状態像に応じた介護を提供するため、利用者とのコミュニケーションを通じたアセスメントと専門的知識・技術による介護サービスの提供、また、利用者のみならず家族やほかの介護職員の指導、更に医療職等の他職種との連携を行うため、これらに関連する幅広い領域の知識・技術を修得し、的確な介護を実践する専門職としての資質を確保する必要があるということを記載した上で、3ページ、2番目の○でございますけれども、国家試験の意義といたしまして、介護福祉士国家試験は介護福祉士に求められる「介護を実践する専門職」として必要とされる知識・技術が網羅的に備わっていることを確認・評価するものとして位置づけられている。また、国家試験は、養成課程における教育内容の標準化を図るとともに、教育内容の充実を促進する機能も有している。
このため、国家試験の問題につきましても、「介護を実践する専門職」として必要不可欠な知識と技術に焦点を当てて出題すること。実践の場面での判断力を問う問題であることが求められているというのが試験の性質でございます。
一方、日本語を母国語としない日本の滞在期間が限られる候補者が、日本語のハンディキャップを補い、一人でも多く国家試験に合格できるよう、適切な配慮を行う必要があるという状況でございます。
その際、このような配慮を行うに当たっては、専門職としての介護福祉士資格制度に関する信頼性を維持することが求められる。また、候補者・受け入れ施設の資格取得に向けた研修・就労意欲を損なわないようにすること、候補者が資格取得後は介護の専門職として、介護現場で活躍できるように、介護の実践に関わる専門職としての知識・技術を確認・評価するという試験自体の質は維持することが適当であるという記載をさせていただいております。
その前提といたしまして、一層の学習支援の充実を図る必要があるということでございまして、この検討会の報告をとりまとめた後でございますけれども、国家試験については今年度より、学習支援の充実についてはこれに対応する形で可能なものについては今年度より順次実施に結び付けることが適当であるという記載をさせていただいているところでございます。
「3.国家試験におけるわかりやすい日本語への改善について」ということでございます。これまでも一定の対応を図ってきたところでございまして、この対応につきましては、これまでのヒアリングあるいは調査結果などから肯定的な意見が多数を占めておりますので、一定の評価ができるのではないかということでございますが、事例設定の状態が明瞭に判読できる簡潔性あるいは知識・判断力があれば正答を導き出せる統一性と一層の改善を図る必要があるということを記載させていただいております。
この改善策の位置づけでございますが、候補者に対する配慮という枠にとどまるものではなく、介護福祉士国家試験の試験問題の洗練につながるものであり、介護福祉士国家試験全体に適用することが適当であるということでございます。
また、現在、試験委員の方で問題作成等を行っていただいておるところでございますけれども、守秘義務を担保した上で、試験問題の日本語表記について助言する日本語の専門家を試験実施機関に新たに配置することが適当であるという実施上のポイントを記載させていただいております。
具体的な改善方策について、以下でございます。
まず(1)でございますが、試験問題の日本語表記の改善といたしまして、設問文の指示形式を肯定表現に統一。試験問題の説明の指示文でございますけれども、現在、「正しいものはどれか」「適切なものはどれか」「最も適切なものはどれか」「適切でないものはどれか」「誤っているものはどれか」など、形式が複数に及んでいるところでございますけれども、「適切でないものはどれか」「誤っているものはどれか」等、否定表現を用いた試験問題は出題しないことを徹底すべきであるという記述をさせていただいておるところでございます。
(2)でございますが、文章の改善。文章につきましても更に改善を図るといたしまして、1)長文につきましては、意味のまとまりのある単位で、短い文に区切って読みやすくする。
2)連帯修飾節のある複雑な構文は、単純化する。
3)複数文について主語を明示する等の記載をさせていただいておるところでございます。
4)助詞・助詞相当句は語句のつながりを明確にするというようなことを記載させていただいておるところでございます。
6ページの5)節や句の切れ目に適切な句読点を使用し、語句のつながりを明確にするというような日本語の表記の改善につきまして、それぞれ例示も含めまして記載させていただいております。
(3)用語の改善でございますが、専門用語以外の一般的な事象などを記述する際に用いられている用語については、できるだけわかりやすいように見直すということでございまして、具体的には、介護現場に直接関係しない用語について、日常会話で用いられる表現に近いように、これまで以上に平易に置き換えるということ。
あるいは2)〜4)にございますように、複合語につきまして、語を補うなど例示にありますような工夫を講じるというような記載をさせていただいているところでございます。
7ページの(4)でございます。英語に原語を持つ片仮名の英語表記でございます。
1番目の●でございますけれども、候補者にとって、片仮名は表意文字ではないため、意味を類推する方法がないこと。原語本来の発音と一致しないことも多く、就労・研修を通じて知っている言葉と結び付けることが困難なことから、片仮名に対する負担が強いという意見が多く出されたところでございます。
このため、原則として、日常用語として定着した片仮名、ベッド、テレビ等は専門的な概念を含む用語でございますけれども、一般化しているというような片仮名、具体的にはサービス、コミュニケーション等を除きまして、英語に原語を持つ片仮名には英語を併記してはどうかということでございます。
この点につきましては、外来語の持つ意味について、一般の受験生にとってもより深い理解につながる効果や、介護福祉教育の国際化を推進する効果も期待できるのではないかということでございます。
(5)化学物質名に化学記号の併記、あるいは(6)元号表記について西暦に元号の併記という措置も講じてはどうかということを記載させていただいております。
8ページの(2)介護等の学問上・法令上の専門用語の取り扱いについてでございます。最初の○でございますが、介護業務の遂行のために必要な病名・症状・身体の部位の名称や、利用者の状態、体位、介助、処置等の用語は、安全かつ的確に介護サービスを提供する上で、また、介護記録や申し送り等で他の介護職員や他職種との連携を図る上で欠かせないという状況認識を示した上で、その理解というものは介護福祉士の専門職の資質として確保される必要があるということ。
また、社会保障制度など日本の制度に関わる知識も、専門職に求められる基本的な知識ではないかということを記載させていただいた上で、こうした介護等の学問上・法令上の専門用語は、専門職として当然の理解が求められること、就業上に当たっても必要な知識であること、適切な学習支援を通じて多くの候補者は介護等に関する専門用語を習得していると考えられるということを記載しております。
こういった用語につきまして、平易な用語に置き換えを行うことは介護現場が混乱するおそれや、候補者にとってもマイナスになるおそれがあるということから行わないということが適当ではないかと記載させていただいております。
ただし、法令上の専門用語で平易に置き換えた言葉で介護現場に広く定着しているものにつきましては、正確性を損なわない範囲で法令上の正式用語に加えて通称を併記する。具体例としては、デイサービスですとか、認知症高齢者グループホームですとか、そういった一般的に広く使われているものにつきましては、法令用語の併記ということにつきまして行ってはどうかということでございます。
3)日本の社会・文化的背景を伴う用語についてでございます。介護等に関する知識・制度は、その国の社会・文化と密接に関わるものでございますので、利用者・家族の状態や背景となる日本固有の社会・文化に基づく表現が含まれる用語を試験問題から排除することはできないと記載させていただいた上で、ほかの用語に置き換えても出題の意図に影響しない場合には、個別の問題に応じ、置き換えを検討ということでございます。
9ページ、4)漢字への振り仮名付記につきましてでございます。
1番目の○ですが、非漢字言語圏から来日している候補者にとって、日本語を習得にするに当たり障壁となるのが漢字でございまして、この点につきまして配慮が重要であるということでございます。
これまでの対応でございますが、常用漢字以外の漢字については、原則として振り仮名を付記するといった対応を図ってまいりましたけれども、この運用につきましては、1)常用漢字と常用漢字以外で構成される熟語については、常用漢字以外のみに振り仮名を付記する。2)設問の初出箇所のみ振り仮名を付記するという運用がございました。
この対応につきましては、かえっていろいろ紛れが生じるというような部分もございますので、常用漢字以外の漢字等に熟語単位で振り仮名を付記する、あるいはすべての設問、選択肢に同一の対応をするように統一すべきであるという記載をさせていただいております。
更に非漢字言語圏から来日し、限られた期間に介護現場で就労・研修を行う候補者にとりまして、漢字の習得は一般的に困難であること、候補者によって難しいと感じる漢字は必ずしも同一でないということから、候補者への特例といたしまして、すべての漢字に振り仮名を付記することが適当であるという記載をさせていただいております。
ただし、これまでも御議論いただきましたけれども、ある程度の日本語を習得している候補者にとっては、振り仮名が多すぎるとかえって読みにくい。適切な日本語学習をすれば、振り仮名の対応は不要であるという御意見が合格者あるいはこの検討会の委員の方々からも示されているところでございます。
こうした点も考慮いたしまして、候補者自身が漢字について上記の改善を図った問題用紙か、すべての漢字に振り仮名が付記されている問題用紙かを選択できるよう対応することが適当であるという記載をさせていただいております。
10ページ「4.母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否について」。
まず1番目の○でございますけれども、介護現場におきまして候補者の母国語を活用して通常、業務が行われている実態にはないという状況でございますが、介護福祉士の能力の1つといたしまして、1)コミュニケーションを通じたアセスメント(信頼関係の構築、助言、意欲の引き出し等)と自立に向けた介護サービスの提供(声かけ、ニーズの引き出し、安全な介助等)、2)カンファレンス・引き継ぎ、記録の作成・報告。3)医療職等の他職種との連携といった業務を行うために日本語によるコミュニケーション能力は不可欠であるという状況認識に立った上で、介護福祉士が備えるべきコミュニケーションの能力は、試験問題と切り離して評価することは難しく、国家試験の中で専門的な意味を読み取り判断することで確認すべきものであるという記載をさせていただいております。
実際に候補者の受け入れに当たっている施設関係団体からヒアリングを行ったところでございますけれども、一部には候補者に対する母国語、英語での試験について肯定的な意見がございました。しかし、これらの団体あるいは合格者の方々からも介護現場での利用者のサービスの質や、就業に当たって他の職員との連携に支障が出る、学習の際に日本語の教材を用いていることから学習にもマイナスになると、否定的な見解が多数を占めていたという状況でございますけれども、そういったことの記載をさせていただいております。
次の○ですが、また、試験実務上の問題ですとか、候補者の母国語の違いによる不均衡といった問題があるといったことを記載、母国語・英語での試験につきまして記載させていただいておるところでございます。
11ページ「5.候補者に対する試験時間の延長について」。
1番目の○ですが、事例問題等における読解に時間を要する候補者への配慮として試験時間の延長を図ることが適当である。
試験時間延長の程度については、一般の受験生を含む国家試験全体の運用に支障を来さないよう、実務的な実現可能性を考慮しつつ、身体に障害のある方等の受験上の配慮、下の脚注に5番目として記載しておりますけれども、配慮の例を参考に、適切な時間に延長することが適当であるという記載をさせていただいております。なお、いかなる範囲が適切かにつきましても、この場で御意見をいただければと考えておるところでございます。
以上が試験を実施する上での対応ということでございますけれども、6番目といたしまして、学習支援について記載をいたしております。
「6.学習支援について」。
国家試験の合格は、それに至る候補者自身の努力と、それを支える適切な就労・研修が相まって達成されるものであり、試験実施上の配慮のみでなく、併せて、効果的な学習支援等の対応を講じていく必要があるということでございますが、候補者の学習意欲を基に、受け入れ施設における就労・研修を通じての学習は基本となるものでございますが、もっぱら候補者個人あるいは受け入れ施設に帰するのは適当でないということ。
12ページ、現在は、これまで御説明がございましたように、学習教材あるいは定期的な日本語漢字統一試験等の実施、学習アドバイス、また入国年度別・学習進度別の通信添削や集合研修、受け入れ施設における学習経費に対する補助等というものが実施されているという状況でございますけれども、平成22年以前につきましては、これらの措置は未整備でございまして、まさに受け入れ施設の方々の学習というのは暗中模索状態であったと言っても過言ではないという状況認識がございます。
こういった学習支援につきましては、就労開始前の訪日前、訪日後の日本語研修の成果を基に、候補者の日本語能力や学習能力と連動しつつ、一貫性と継続性を持った対応が必要であるということで、現在でも受け入れ施設で大変御努力をいただいておりますけれども、一層の支援の充実を求めるという御意見が多数示されたところでございます。
具体的な支援策の充実といたしましては、受け入れ施設の研修計画、研修プログラムを支援するために、国において一貫した学習目標、学習内容、教材、指導方法等を示した標準的かつ具体的な学習プログラムの提示を行うこと。
受け入れ施設では、施設職員の方がOJT、OFF-JTで研修指導に当たっていただいておりますけれども、研修担当者向けの指導マニュアルの作成や研修会の実施といった、候補者のみならず受け入れ施設の研修担当者に支援を行うこと。あるいは合格者の平均的な学習時間や候補者のモチベーションの維持、あるいは指導ノウハウ等の成功事例の共有化を図るということを進めることが必要であるという記載をさせていただいた上で、これまでの実践例を基に、上記の指摘を受け、一層効果的な取組みを図ることが適当であるという記載をさせていただいております。
13ページでございますが、また、合格者の方につきましても、継続して資質向上のための支援を講じていく必要があるということで、介護福祉士会等の職能団体や福祉関係団体の協力を得まして、キャリア形成に継続的に取り組む必要があるという記載をさせていただいております。
「7.おわりに」でございますけれども、本検討会での御検討を基に、今後、EPAに基づく新たな候補者の受け入れを行う国に対しても整合的な取扱いが求められるということ。
また、国家試験のあり方と学習支援のあり方ということについて御検討いただいているわけでございますけれども、EPAの目的に照らしまして、この検討会の射程にととまらず、訪日前の日本の介護に係る理解の促進あるいは日本語教育の充実。残念ながら合格に至らず母国に帰国される候補者の方についての再チャレンジの支援、あるいは日本でのキャリアを生かした候補者の母国での活躍を支援するための方策といった多角的な対応を要する課題であるということで、一層の改善、交流の深化を図っていくことが期待されるという記載をさせていただいているところではございます。
検討会の委員の方々の名簿と、御意見を伺った関係者や合格者の方々など、検討の経緯につきまして参考として付するとともに、参考2といたしまして、これまでの学習支援の概要などをお示しさせていただいておるところでございます。
説明は以上でございます。
○潮谷座長 ありがとうございました。
それでは、検討会報告のたたき台の議論に入りたいと思います。本日の議論の進め方ですけれども、ただいま報告書のポイント、国家試験の改善策と学習支援を中心に御論議いただきたいと考えておりますが、いかがでございますしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○潮谷座長 それでは、こういう方向性で進めさせていただきます。御発言のある方、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
根本委員、どうぞ。
○根本委員 最初に御指名いただいてありがとうございます。私には国家試験を作成する立場からの発言が求められていると思いますので、その視点を中心にということで、修正意見というよりはコメントや感想などを中心に、そしてそのことについては是非議事録にとどめておいていただきたいという思いもありますので、お話をさせていただきたいと思います。
全体的に見てよく書けている、よく書き込んでおられるなと思います。まず、「1.はじめに」のところですが、EPAという政策に関しては、その意図と実行上の問題などについての個人的な感想は別といたしまして、このEPAという施策が国策である以上、介護福祉士の国家試験、これももう一方の国策でありますので、可能な限りの協力はしていかなくてはならない。その意味でここのところもよく書けているかなと思います。
2番目に、「2.基本的な考え方」にございます介護福祉士の業務の特徴あるいはその役割、専門性、そしてそのような介護を実践する専門職としての介護福祉士にとって必要とされる基本的な知識・技術、そういうものを確認し、併せて養成教育の質の向上を図る。まさに国家試験の意義の記述は全くそのとおり、非常によく整理されていると思います。私たちもこのために過去20年以上にわたって試験を実施し、またその内容等の改善もしてきたところであります。したがいまして、一方でEPAという政策には、先ほど申し上げたように可能な限りの配慮を行いつつも、これまで培ってきました介護福祉士の質の向上を図る、そしてそういう視点での国家試験の質を確保し更に向上させていくということについては、今後とも堅持していくことが記されているわけでありまして、それについても非常にうれしく思っているところであります。
そういうような視点に立った時に具体的な改善策、特にわかりやすい日本語への改善につきましては、大きく3つのポイントからコメントできるのではないかと思います。
1つは、今回のEPA候補者の問題とは関係なく、試験問題作成者として私たちが試験の本来のあり方として、検討、改善を図ってきた言わば規定路線にのっとった御指摘があります。例えば設問の意図を明瞭にするための日本語の表記の問題、日本語の文章あるいは用語の改善につきましては、全く異論はありません。また、その一環として日本語の専門家のスクリーニングを受けるという点につきましても、勿論、それが試験問題の質を維持、高めるという前提でのことではありますが、これもありがたい提案であると受け止めたいと思います。
更にまた、元素記号の併記あるいは元号と西暦の併記、漢字への振り仮名を付記すること、更にはすべての漢字にルビを振ったものとの選択制などの対応につきましても、問題の本質を損なわないという限りにおいては十分協力できると考えております。
3番目の話題といたしまして、この具体的な改善策の中で試験問題の質と関係するものが2つあるのではないかと思います。1つは設問文の指示形式をすべて肯定表現に統一すべきであるという点であります。この点につきましては、私ども問題作成者といたしましても、これまでも可能な限り肯定形式にしたいということで、肯定形式を試験問題作成の原則とするというところまでは改善を図ってきたところであります。
一方、医師の国家試験とか看護師の国家試験、更には介護福祉士以外の福祉関係の国家試験の状況なども勘案すれば、この全問を肯定形式にするということは当然あり得ることであると思います。しかしながら、これは具体的には言えませんが、介護福祉士の行う業務の特殊性と申しますか、介護業務の特殊性や特徴などの問題もありまして、肯定型の設問にすると試験問題の質と絡むという状況もあり、これまでは例外的に否定型の設問形式をやむなく認めてきたというような経緯があるところであります。
しかしながら、近い将来、いつかは全問を肯定型にするときが来る、そのタイミングはいつかなと思っておりましたが、それがこのように思いがけない、言わば外圧によりまして、この外圧が私どもの背中を押す、これもある意味でよいタイミングかもしれませんが、実際に試験問題を作成する委員の方々にはかなりの負担をかけると思いながら、この部分は読ませていただきました。勿論、決してこの記述に反対するという趣旨ではありません。
試験問題の質に関係すると思う第2番目の点は専門用語のうち英語由来の片仮名語に英語を併記するという点であります。これも具体的な例は挙げられませんが、英語由来の専門の片仮名用語であっても、既に日本語の片仮名と原語の英語との意味が異なる場合などもあると聞いております。幸い、この部分の記載につきましては「原則として」という文言が入っており、留保的表現があるので問題ないと思いますが、最終的には試験問題の作成組織に判断が委ねられていると理解して、この部分についてもよろしいかと思っているところであります。
その他の記載につきましては、試験問題の特質を押さえられている、よくまとめられたたたき台ということで、これはこの検討会のメンバーの一員として感謝いたしているというところです。
以上です。
○潮谷座長 根本委員、とても全体を網羅する形の御意見をいただき、ありがとうございました。
ただいまのたたき台をお聞き取り、そしてまた読み込んでくださっているということで感謝を申し上げたいと思います。その上で、1点だけ確認させていただいてよろしゅうございますか。
1つは、設問文の指示形式が肯定的なことでということで、根本先生のお気持ちとしてはこういう方向性が出されたということを評価していらっしゃいますが、しかし、設問なさる方々の中では、やはり原則的にという前提の中でということで理解してよろしゅうございますか。
○根本委員 はい。まさに言われるとおりでして、問題作成委員にはこれまでも相当苦労していただきながらやっているのですが、ただ、具体的に余り言うと今度は試験問題等の絡みになるので余り言えませんけれども、介護業務の特徴からして、肯定的な文章をつくるのは比較的簡単なのですが、例えば5問のうちの4問までも否定的な文意の文章をつくるということに今後なるわけですね。5問のうちの4問が誤った状態のシチュエーションをつくるということになるわけですが、それがなかなか介護の業務の特徴からして難しいというのはこれまでの判断でありました。これまでは、そういう場合についてはやむなく否定的な部分も認めているというところであります。
勿論、分野によりまして、介護の教科分野にはつくりやすい部分と非常に難しいところがある。けれども、今後は一括してここのところは統一させる、これは一部の委員の人たちにはかなり無理を強いることにもなるのだろう、しかし、そこはきちんと御了解いただかなくてはならないと思っているところです。
○潮谷座長 ありがとうございました。根本委員の方からは、4ページの4つ目、EPAで検討していることというのが、実はEPAだけにとどまらないで、介護福祉士の皆様たちの受験の質にも非常に大きなよい影響を与えているという御指摘がございまして、そういった意味では、私たちも本当に広がりがある検討につながったかと少しうれしいところでございます。
それでは、ほかにどなたか。
朝倉委員、どうぞ。
○朝倉委員 今の指示形式のことなのですけれども、看護師国家試験も15年か20年ぐらい前は、70%以上の問題が否定型というような状況でした。10年ちょっと前ぐらいから改善の方向になりまして、否定型が劇的に減っていて、今はゼロになっているという状況でございます。
看護の試験も介護と非常によく似たところがありまして、対人関係職でケアの仕事なので、どうしてもはっきりとしたエビデンスが取れないとか、あるいは肯定型にして3肢または4肢の誤答肢がつくりにくいというような問題はあろうかと思うのですけれども、看護の試験も否定形をなくすよう取り組んできた。私が看護の試験を傍から拝見している印象なのですが、試験形式を肯定型にすることで、問題の質というか、問題の内容が少し変わってきていると思います。そうやって否定型でしか問えないような問題、内容というのがなくなってきているとともに、問題の質は明らかに改善しているのではないかと思っています。
否定型の方がつくりやすいので、否定型というオプションがあるとどうしてもそちらへ易きに流れていくので試験委員の問題作成能力も上がってこなかったのではないかと。でも、ある意味強制的に肯定型にしていくことで、試験委員の問題作成能力も上がっているのではないかと思います。もともと多種選択式問題で誤っている知識を問うのはおかしい。専門職の試験として、正しい知識を拾い上げる能力を問うことの方が試験問題としては妥当ではないかという見方もありますし、試験委員会は大変だとは思いますけれども、試験問題の全体の質を改善するためのいい方法ではないかととらえております。
○潮谷座長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 今、試験の問題についておっしゃいましたので、私はEPAの学習支援をしているという立場から、EPAの人たちがどういう観点でこの国家試験の日本語を勉強してきたかというところをお話しさせていただきたいと思います。
たたき台の方で日本語をどう易しくしていくか、日本語についてどう考えるかというところが出されておりますが、根本先生の御理解のように、日本人全体、介護福祉士国家試験としてというお考えでこういった日本語が必要であるということであれば、それはやぶさかでありませんが、候補者ということを考えますと、本当にこれが易しくなっていくのだろうかということ思います。
まず、全体に日本語を易しくするというところ、文章の改善を見てみますと、どの程度の日本語になるのだろうかということを感じます。候補者というより、外国人が勉強する初級の段階の日本語にしようとしているのかということを感じました。第2回のときに、私の調査について報告させていただいたときに、主に語彙を取り上げまして、語彙についての報告をさせていただきましたが、なぜ語彙についてばかり述べているのかと思われたかもしれないのですが、ヒアリングの際に日本語の易しく仕方についてご提案があったときに皆さんが非常に納得感を持たれたように感じまして、この点をまだ私はお話していなかったのだということを感じました。
実はやさしい日本語への改善のようなことは、候補者たちはテキストで練習しています。これ(段階別事例問題読解)は、読解速読力を付けるために候補者に配付しているテキストです。上級、中級、初級という形での読解問題になっているのですが、題材は国家試験の中の事例問題から取っています。上級は国家試験問題の事例問題そのものを使っています。中級はそれを少し易しくして文章表現であったり文法であったりというところを日本語学習の中級のレベルに下げてあります。
そして、初級は日本語教育で言う初級の段階にまで文法と言葉、今回の改善策にありますように、文を短く一つひとつ切るというような作業をここでしております。ということは、まとめ案で示されているように日本語をやさしくすると、このぐらいの文章になるのかもしれないということを感じるわけです。候補者にとって言えば、これは勉強の段階です。まず最初の勉強の段階なわけです。この勉強が進んでいって国家試験に対応できるだけの日本語学習をしていくわけです。ですから、こういう段階にまで下げるのか、では候補者は今1年になっている日本語教育の中で何を勉強するのか、どういう文法を勉強するのかというところを考えますと、本当にここまで落とす必要があるのかと疑問に思います。また国家試験の問題を実際ここにある改善例に従って変えてみられたのかなということを思います。
私は今年の問題の第1ページ目をこれにしたがってやったらどうなるのだろうかと考えてみたのです。まず問題1の事例文を初級の段階にしようとしていますね。1文だけが易しくなれば良いのではなく、やはり日本語ですから、文章全体がそのレベルにならなければおかしいわけです。ということは、設問もそのレベルに落としていくことになります。
次に問題2ですが、非常に日本語は難しいのです。介護福祉士の倫理だと思いますけれども、信用失墜行為の禁止や介護福祉士の主導による方針決定とか、こういった言葉が並んでいるわけです。これもそれでは易しくするのか、これは専門用語だからしませんということになると、1番と2番の問題では全く日本語のレベルが変わってくるわけです。そんなに日本語のレベルが混在したような試験になるのかということを、これはEPAの人たちと関係ないのですが、全体を見たときに感じました。
話を元に戻させていただきますが、EPAの人たちに私たちがどういうことでどういう考え方で国家試験をとらえていこうかということを提案して学習支援を続けてきたかということですが、まず国家試験の問題を見ると、漢字ばかりです。漢字というものは外すことはできない。漢字は意味からとらえるということが必要で、意味を知ることによって漢字が広がっていきます。日本語は漢字一つひとつの言葉が言葉の意味になる、また言葉の意味が文の意味になっていくわけです。短い時間でどうやって国家試験に対応するかといったときに、漢字の意味は外せないと思いました。
彼らの目標が国家試験の合格ではなく、その後、この日本で介護福祉士として働くというところが目的であれば、国家試験はその通過点でしかありません。また、国家試験の日本語というのは手段しかないわけで、結局は介護知識がなければこの問題は解けないわけです。それであれば、その手段の日本語はどうやって勉強したらいいだろうかということになります。
短い時間で日本語教師のいないような施設で勉強するということは、学習をシンプルにしなければならない。シンプルに理解していかなければなかなか続けていくこともできないと思いまして、まずは漢字をやろうということにしました。
テキストを今日持ってきました。先日、国際厚生事業団からも御紹介はしたのですが、詳しいところがなかったのでお話しさせていただきます。まず、施設に行って日本語統一試験という試験を実施いたしまして、それによって日本語のレベルをはかります。主に漢字と初級の文法、読解を中心にした試験で、今は1から3レベルに分けています。今の段階では一番下の3のレベルの候補者が多いのですが、基礎の漢字を復習するところから始めます。この「優しい漢字ワークブック」ですが、まずこれを勉強します。その後はこちらの「介護の言葉と漢字ハンドブック」で、介護に特化した漢字と言葉を勉強していきます。この勉強するツールとしましては、「介護の言葉と漢字ワークブック」もあるのですが、これを毎日毎日漢字5個ずつやろうねというような提案をしていくわけです。
候補者に対して私たち教師が示さなければいけないのは、難しい、難しいと思われていることを難しくないのだよと、こうやったら易しくなる、こう考えようねということを示すことだと思いました。そして、学習の目的をはっきりさせる。これをやったら何ができるのかというところを示して、それに向かわせることだと思いましたので、漢字をやったら何ができるかという話を導入研修のときにテキストを配りながらしています。
この「やさしい漢字ワークブック」は主に、最初に漢字を勉強する300という基本漢字の勉強になっています。「介護の言葉と漢字ハンドブック」には429の漢字が入っています。これは介護に特化した漢字と言葉です。語彙数は2,200です。
これを大体終わりますと単純に計算したら漢字が729なのですが、そのほかにいろいろな漢字の情報を載せましたので、大体800〜1,000の漢字が習得できると考えていただいていいと思います。800〜1,000の漢字ができると何ができるかというと、日本語の新聞がほぼ読めます。それが読めるということは、国家試験の問題が読めてそれが日本語として何が書いてあるかということをわかるということです。ですから、ここまで頑張ろうと、絶対にここまでやったら国家試験の問題が読めるようになるからね、そのように候補者に伝えて、1年でこれを勉強していくわけです。
1年ですから、毎日5個ずつ漢字を勉強すると3回繰り返せるのです。「介護の言葉と漢字ワークブック」の学習は1回が3か月で終わるのです。やはり勉強は繰り返し繰り返しやらなければ忘れてしまいますので、繰り返して3回やりましょう、3回やったら大体80〜90%はできるようになるからというようなことを伝えて、1年かけて漢字の勉強をしていきます。それと同時にこちらの読解速読力を付けていきます。読解ですけれども、問題は日本語の問題ですが、この事例問題の中には介護の知識がたくさん詰まっています。要は国家試験の問題ですから。
ですから、これをやることで同時に介護の知識の勉強、自然になのですけれども、こういうことなのだなということを頭の中に1年かけて入れていけばいいと考えました。そしてこれらのテキストについて全部で4回の試験を今実施しています。単元、単元に区切りまして、ここまでの勉強はここで試験をするからねと。施設の勉強はシンプルでわかりやすくて達成感がなければならないと思いました。達成感を何で付けるか。それも考えたのですが、やはりある程度区切りのところで試験をするということは1つのモチベーションにもつながるだろう。そしてまた定着も図れるのではないかということで試験を実施して今に至っています。
その次ですが、ここまでの漢字の勉強が終わりましたら、いよいよ国家試験の勉強に入ろうということで、こちらの「国家試験対策ウォーミングアップ」というテキストを配布しています。これはこれから国家試験に向けて勉強していくためにどのように国家試験をとらえたらいいかということを書いた本、ハンドブックなのですけれども、一応これでも勉強して試験をしています。「介護の言葉と漢字ハンドブック」をつくったときには、あまり国家試験ということを考えないで就労研修に対応できるテキスト、ハンドブックをと考えましたので、国家試験を見ますと、漢字や言葉が不足していましたので、22回の国家試験からさかのぼって5回の国家試験の中から漢字語彙を全部抜き出しました。約1万5,000語ありました。それの中から頻出15回の語彙を抜き出しまして、そして漢字を抜き出しました。漢字は意味が大事ですから意味を載せ、訳を載せ、国家試験の中で出てきた語彙を載せ、、そして国家試験の中で実際この言葉が使われた文章をそのまま載せています。ですから、多少難しいです。でも、辞書的なものとして使ってもらいたいと思います。
次に、外国人が漢字を勉強する際に何が難しいかといいますと、訓読みの漢字なのです。わかりにくい漢字としてありますが、訓読みだったら平仮名がありますから易しいと思いがちなのですが、実は訓読みは非常に難しいのです。漢字の語彙の方が理解しやすいということがありまして、平仮名にするということは、後で申し上げますが、注意していただきたいというところなのです。訓読みは難しいです。ですから、訓読みの漢字でよく出てくるものを挙げました。
また、日本語をいつまでも母語ではなく、日本語で理解していってもらいたいと思いましたので、訳の方も日本語で易しい言い方に変えてあります。
次が文法なのですが、国家試験の文法をよくよく見てみると、決して文法は難しくないと思いました。ほとんどが5択の問題ですから、文が長いと言われていますが、日本語の一般的な文からしたら短いわけです。そうすると、日本語の構文もそれほど複雑ではありません。ほとんどが何々は何々です、何々は何々ますという構文でつくられているものが多かったです。事例問題については、多少いろいろなものがあるかもしれませんが、それほど文法についてやる必要はないのではないかと思いましたので、文法は初級の文法は大体100と言われていますが、それプラス25〜30あればいいと考えましたので、よく出る文法として出しました。
確かに文法はほかにもあります。でも、そんなものを一つひとつやるのではなく、大体がわかればいいと考えまして、よく出るものをここで挙げてあります。
次に、複合語です。複合語について盛んに分解するということを言われておりましたが、こう考えようということで、複合語は長い漢字の言葉としてとらえています。専門用語でありますと長い漢字が11も12もつながったような言葉があります。例えば小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護といったように長いです。では、そういったものをどうとらえていくかということをここで示しました。
例えば夜間対応型訪問介護であったら、まず漢字の長い言葉は漢字2つずつの言葉に区切れます。では、2つずつに区切って考えよう「夜間」「対応」型というのは1つです。これは後で御説明しますが、1つに切って「訪問」「介護」というとどうでしょうか。夜人の家に行く介護という言葉の持つ意味がイメージとして大体とらえられます。
この型については幾つもそういった漢字があるのですが、この章の最初のところで取り上げてありますが、こういう漢字はこの言葉がどのグループに属するか、どのグループの仲間かということを示す漢字だと教えます。属性を表すといいますが、これがあったらこういう言葉だと思うのだよと候補者に伝えていきます。「法」であったら、法律とか方法です。「所」であったら場所です。「者」であったら人です。「員」であればメンバー、「剤」であれば薬、「費」であればかかるお金というふうに分類するわけです。これがあったらこういう言葉だと考えよう。あとは2つずつ切ろうね、そうしたら大体意味がわかるからねとここで示します。候補者ともこれは集合研修等々で一緒に勉強します。この本では、漢字が4つの複合語から出しています。転倒予防であったら、転ばないようにするというのが日本語の説明だとは思いますけれども、「転倒」は転ぶ「予防」はならないようにするのだということがわかっていれば、ここに平仮名を加えなくても十分意味がわかるわけです。
しかも今回のまとめ案の例示で出されていた入院治療は、入院して治療する以外に何の意味があるのかと思うのです。わざわざそんなものを分解して、そこにある平仮名の言葉について考える必要があるのか。先ほどのように理解していくと、長い言葉もほぼ日本語としてのイメージが取れるわけです。ただ、専門の言葉であれば、それが本来持つ専門の言葉としての意味はあります。単に夜間対応型訪問介護が夜、人の家に行く介護だということがわかったとしても、実際はそれが何かというところは専門の勉強になっていって、本当に必要なのはその専門の勉強なのです。日本語は大体そういうイメージが取れればいいと考えています。
次に国家試験の問題をどうとらえていくのかというところもパターン化しました。指示文です。適切なもの、最も適切なもの、誤っているものというところが盛んに問題になっていまして、確かに統一されたらいいだろう、否定型がなければいいだろうとは考えますので、そこはもう先生方にお考えいただければと思いますが、候補者にとってみれば、○か×かを選ぶという問題なのです。大したことではないと考えます。
まず指示文を○を選ぶのか×を選ぶのかという練習をします。それがいいかどうか、それが本当に専門的なところを問うことになるのかどうかと言われてしまうとそこまでですが、でも先ほども言いましたが、国家試験は通過点です。だとすれば、日本語の部分はそういうとらえ方をしてもいいのではないか。要は専門知識がどのぐらい習得できるかというところに問題があるわけで、周辺をそれほど細かくとらえなければならないのかということです。
基本的に私たちは事例問題や問題文のとらえ方で言っているのは、わかるものから類推しよう、わからないものは無視して構わない、そういう頭のトレーニングをしていこうと言います。何でもかんでもパーフェクトに全部わかることは絶対にできないのです。それだけの日本語を身に付けることはこの期間では絶対に無理です。ですから、わからないものがあってもわかるものからどう類推していくかというところを身に付けなければ国家試験のテキスト等々を読んでいったときにも非常に大変です。一つひとつの言葉を、訳さなければ理解していけない、覚えていけないからです。でも、日本語が大体こういう意味だなということが漢字から類推できれば、その分が楽になっていくわけです。そして介護の知識を実際に身に付けていく、そちらの方が大事なことなのです。
大体ここまでが国家試験をどうとらえていくかというところまでの勉強で、その後はこの「外国人のための国家試験対策新カリキュラム」のテキストの勉強になります。全部で4冊ありますが、彼らのレベルに合わせて日本語を易しくしてあります。実は20年入国の候補者向けにこれをつくりましたので、時間的に非常に余裕がなかったということもあり、4冊目の「こころとからだのしくみ」では日本語のレベルは落としてありません。というのは、学習の最後では、国家試験の日本語のレベルに合わせようとしたからです。その代わり、語彙の説明であったりとか、文章全体、この嫌らしい言い回しは一体どういう意味なのかというところを言葉の説明という欄でここに挙げました。
ただし、今年度の学習支援プログラムでは22年入国の候補者が1年かけてこのテキストを使って勉強していきます。時間的に余裕が大分できましたので、今、この本を改訂しています。22年の人たちは今年と来年もう一年勉強する期間がありますので、来年は国家試験そのものに向けての勉強、今年は基礎知識の習得と考えましたから、テキスト全4冊の日本語のレベルを落とそうと思っています。その際に、漢字のルビですが、20年入国候補者向けよりはルビをかなり増やしました。その代わり、1つのページに複数回出てきた同一語彙については最初に出てきた語彙だけにルビを振りました。1冊の中では5回ルビを振り、その後出てきた同一語彙には振りません。もうその辺からは覚えなさいよというこちらの意図を出しております。
候補者達は勉強しているのですけれども、根本先生にお願いですが、EPAのことを考えるのであれば、平仮名を増やすということは非常にわかりにくくなる部分も多いのだということを御理解いただきたいと思います。例えば複合語を分けた場合に、昨年度にあったかと思うのですが、加齢変化というのと加齢による変化というように「による」を間に入れました。日本人であれば「加齢による変化」と理解しますが、彼らは「加齢」「による」「変化」と読むわけです。ではこの「による」は何なのか、それについて考えなければなりません。
何かと聞かれたときに「による」は説明できますか。やはり説明できないことというのは難しいわけです。そして、今回のたたき台の中にも助詞を多く取り上げてあるのですが、助詞は日本語の文法の中で一番難しいです。非常に複雑であり、まだまだ使い方が日本語の中で、本当にそれがきちっと理解されているのかというか、分類されているのかというところもあります。外国人が日本語を勉強する際に一番いらいらするところでもあります。助詞を入れるということは、その助詞について考えなければいけないということです。社会的な不利と言ったら、この「な」は何なのか。金銭の管理、ではこの「の」は何なのかということを考えなければならないということになります。
ですから、平仮名を加えるということがどういうことなのか、日本人の感覚とはやはり違うのだということを御理解いただきたいと思います。ありがとうございました。
○潮谷座長 ありがとうございました。国家試験におけるわかりやすい日本語の改善ということで皆様方から御意見をちょうだいしておりますけれども、それが学習支援というところと連動していくということ、あるいは試験問題というのはその前提条件の中に介護現場の中で働く側の人間としての質、そのことも同時に試験問題として担保していくという、それが非常に大事ではないかという観点もあったかと思います。ただいまの設問レベルの程度が今後どの程度に、学習支援をされている立場に密接に関係していくという点では大変実例に基づいた御発言をちょうだいしたかと思います。ありがとうございます。
ほかにございませんでしょうか。
久保田委員、どうぞ。
○久保田委員 介護福祉士養成校の立場から言わせていただくと、この報告書というのは全体的に本当に網羅されて整理されて、よくまとまっているということを思いました。そもそも介護福祉士の国家試験というのは、EPAの方があろうとも、常に国家試験というのがどうあるべきかというのは、やはり資格制度ができて介護福祉士の場合、今回25年経ちますね。その中でやはり介護を必要とする方々に一定の専門的知識、技術を持っているということをきちっと確認、評価する試験そのものですね。そこにEPAの方が入ってこようとも、ゆるぎないもの、国家試験としてのありようというものがあり、しかもその中にEPAの方が入ってこられたときにそのことに対する配慮をどうするかということだろうと思います。国家試験の中で、私は国家試験ができる前の福祉現場を知っていますが、いかにこの国家試験によって現場の水準といいますか、そういうものが高められていったかということを感じています。
ですから、今、橋本委員さんはいろいろ言われましたけれども、その外国の方にとって受けやすくというのはあるけれども、ゆるぎない国家試験としてのものをありつつということだろうと思っています。
その中で、やはりいろいろ国家試験、EPAの方を介して日本人にとっても日本語のどうあるべきかというのはこの報告書にありますように、日本語の専門家を試験実施機関に配置してそういう問題というのをクリアーしていくということも非常に述べられていますし、いい改善策になっているだろうし、この報告書の案の中でうれしく思ったことというのは、7ページの中に、これから介護という概念が、私もインドネシア、フィリピン等へ行ってみてなかなか共通理解できないというのは、介護という概念がないからなのです。
そういう高齢化していく今後のアジアにとって、日本の介護福祉教育をここの中で国際化を推進する効果もという記載があることに対して、とてもうれしく思いました。今後、高齢化するアジアに対して、日本のこういった国家試験、そういう知識、技術、そういったものを日本からアジアに対して非常に普及していくという国際化、そういう役目ということもこれを契機に非常に広がりがあるという記載がされているということも、夢の持てる話だなということを思いました。
勿論、今、これを契機に法令用語については崩さないだとかいろいろなことがありますが、そもそも法令用語は長いですね。小規模多機能型居宅介護とかそういったものということであれば、日本で仕事をする限りにおいては、そういう学習についても学んでいく。国家試験に通った彼ら、彼女らも、日本人と同じ国家資格を受けて合格するということを目標に、そのことが非常に自分たちのステータスとしても満足度、誇り、そういったものにもなっているのでしょうし、ですから、いたずらに国家試験は試験としてありつつということをゆるぎないものにしつつ、どう配慮していくかという考え方のベース、そうあるべきだと思っています。
以上です。
○潮谷座長 ありがとうございました。
ほかにありますか。
川村委員、どうぞ。
○川村委員 今、久保田委員の方から御指摘のあった点、本当に重要だと思うのです。今回はEPAの候補者のための対応を考えているわけですが、実は国家試験がどのようにわかりやすくいい国家試験、素直な国家試験であるべきかという意味で、今までもずっと努力なさっていたと思います。そこにちょっとした外圧も加わり、ぽんとその背中が押されるという意味で、今回のいろいろな検討会の報告の中に盛り込まれた案件、非常に重要な部分だと思います。これは日本人にとってもわかりやすい試験になると思います。現在の試験の問題文は、日本人であってもわからないというものもあります。
ここで専門用語について1点お話をしたいと思うのですが、例えばたまたま私が教材分析をした直後の20回のところで今まで出てこなかった単語が出てまいりました。それが「漏給」という言葉と「モラルハザード」だったのです。「漏給」は専門の方にとっては非常に普通のものなのかもしれませんが、辞書には出ていない単語です。これは給付漏れのようですが、例えばそれを専門用語だと言われて残されてしまうと、新しい単語を日本人も覚えなくてはならない。辞書に出ていない単語。そういう辺り、専門用語という枠は少し少なめに普通の日本人が一般に知っている単語を使っていただけるようにしていただければと思います。
先ほど根本委員の方から、英語に関して英語併記をどうするかで意味がずれているものがあるというご発言がありましたが、まさに「モラルハザード」がそれだと思うのです。それを英語併記にするとかえってわからなくなると思いますので、でき得ればそういう用語は使わないでいただけるといいのですが、これはやはりこの分野では使うべき言葉なのでしょうね。
その辺り、意味がずれてしまって、その結果非常にわかりにくくなってしまっている片仮名語もあるということで、英語を付記すればその片仮名語を使っていいということではないという方向で考えていただけると、よりうれしいかなと思います。よろしくお願いいたします。
○潮谷座長 根本委員、いかがでございましょうか。今、川村委員の方から言われたことについて対して。
○根本委員 比較的よく使われる「モラルハザード」という言葉は、社会保障、特に生活保護等の分野においては相当頻繁に使われる用語の1つだろうと思います。
○潮谷座長 ありがとうございました。私も川村委員から質問があったときにメモの中で「漏給」というのを建物等々が「老朽」とまず書いたのです。それでお話を聞いて違ったと修正したのです。耳から聞くということと、実際に文脈の中で考えるということ、本当に御指摘のとおりの部分があるなと今改めて思いました。
北村委員、いかがでしょうか。
○北村委員 このたたき台を読ませていただいて、大変よくできていると思います。今のお話を聞いていて、朝倉先生のおっしゃることは非常によくわかりますし、100%おっしゃっている内容は同意します。ただ、本当に徹底的に肯定文だけでいいのかというにちょっと不安があります。もしやるならば2〜3年やって、やはり否定文がないと問題に幅がないとか、どうしても出せない分野が出てしまうということがあるかなという懸念を少し持っております。
ただ、根本先生がおっしゃったように、原則使わないと言いながらもこの前の問題を見ると結構ありますね。1割以上あるので、これはまだ多いかなという気はしたので、徹底するという言葉はきついかな。原則使わないことをより推進するぐらいがいいのかなという気がいたしました。
もう一つ、違う視点で11ページ、12ページの学習支援について、この検討会は国家試験のあり方を主に検討する委員会と思っておりましたが、ここのところに学習支援についてこれだけのページ数を割いて書かれていて、私は賛成です。国家試験の細かいことも書くのもいいのですが、そのもとになる学習のあり方を書いていくということは、ひいては国家試験の質になるので大変結構だと思います。
ただ、まだディスカッションが十分煮詰まっていないものかもしれませんが、12ページの下半分に具体的な支援の方策ということが書いてあります。(1)では、プログラムを国が標準的なものを用意するということになっています。逆に今までは日本人向けにはそれなりのものが当然あるのでしょうか。文科省の小学校で言う学習指導要綱みたいなものがあるのかどうか、あるいはいろんな学習教材等もっと多彩にあって、どういうものがいいのかわかりませんが、国が標準的かつ具体的な学習プログラムを提示するというのはかなり思い切った施策だと思います。賛成ですが、かなり重いなということを感じました。2つ目は(2)の研修担当者の支援をするのは当然で、むしろ今までなぜやってこなかったのか。あるいは研修担当者に一定の研修が終わった時点で候補者を教える資格みたいな指導資格に相当するようなものを用意するというのも1つの考えかなと思います。
もう一つ、養成学校の関与が実はこれだと見えていないように思います。養成学校はそんなに多くはないのですが、極端に言うとEPAの候補者は施設に配置され、施設のみで教育を受けていることもあり得るわけです。県や市によって全体学習もやられているということもお聞きしましたが、そこをもっとシステムとして、例えば仕事のない土曜、日曜などに何時間の授業、講義を受ける、あるいは教育を受けるとか、そういうものがあればいいし、ないのであれば教育の専門である介護福祉士養成学校の関与ももっとお願いしたらいいのではないかという気がしました。
ただ、この部分、学習支援に関してはまだ十分議論していないので具体的なことはなくてもいいと思いますが、こういうことが書かれたということを高く評価したいと思います。
○潮谷座長 ありがとうございました。
高く評価しつつ、事務局の方についても、少しこの点についてコメントいただければと思いますし、12ページの(1)(2)、それプラス養成学校の関与、ここ辺りのことも今北村委員の中から提言的におっしゃっていただきましたので、事務局の方で触れることがあればよろしくお願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 今回報告でさまざまな受け入れ団体から御意見をいただいたところでございますので、標準的かつ具体的なプログラムにつきましては、この検討会の報告を受けて、まさにこれまでの実践例を基に具体化してまいりたいと考えております。
北村先生がおっしゃるとおり、かなりこれは重い宿題であるという認識でございますけれども、実際の学習教材なども日本人向けにさまざまございまして、実際に候補者の方が使われている教材ですとか、あるいは先ほど橋本先生からお話がありましたけれども、実際に候補者が今の段階で使っている教材の活用方法等々もいろんなものがございますけれども、標準的なということでございますけれども、お示しをできるように今年度から着手をしたいと思います。
研修指導者に対する指導というものの考え方でございます。これまでも一応説明会ですとか学習指導については一部やっておるのですけれども、もう少し継続的にかつ規模も拡大して実施いたしたいと考えております。
養成校の関与でございますけれども、現在も施設の方に外部学習のための費用の一部補助ということでございますが、養成校を活用して専門的な学習をしていただくということについては、施設側に対して補助を行っておるところでございます。こういったものの実情も少し把握を更にいたしまして、必要な支援の強化ということについても検討していきたいと考えておるところでございます。
○潮谷座長 ほかにございませんでしょうか。
朝倉委員、どうぞ。
○朝倉委員 先ほど川村委員が言われた「モラルハザード」とか「漏給」とか、辞書とかにはない専門用語です。同様の用語で、ほかにも例えば「端座」という言葉は日本語の使用としては正しくないにせよ、介護だけではなくて医療の業界でももう専門用語として外せないものになっています。辞書を引きますと「端座」は正座で、もしかしたら、この専門用語を使い始めたときに誤って日本語を使ったのかもしれないけれども、現在は医師や看護師や理学療法士の業界ではそれがなくては説明できない状況になっておりますし、実際に看護師の国家試験でもEPA候補者が受験しているにもかかわらず「端座」という言葉は使われていると思うのです。
ということは、専門用語としては存在するものの、日本語の辞書にはないような、そういった言葉をどのように扱うかということについても1項目この報告書にあってもいいのかなと考えたのですが、いかがでしょうか。
○潮谷座長 重ねて川村委員、その点についていかがでございますか。
○川村委員 そのような形のもの、専門用語について、これは覚えなさいというようなリストが何らかの形で示されていれば学習者にとっても、日本人にとっても非常に重要なものになるかと思います。
○潮谷座長 根本委員、いかがでしょうか。
○根本委員 何が専門用語で、それが一般用語と意味が違う専門用語とかという判断というのはなかなか難しいところがあるかもしれません。もしかしたら配属される日本語の専門家をはじめ今後いろいろな専門家の方々の協力も仰ぎながら、場合によってはそういう部分も抽出することはやぶさかではないと思いますが、しかし、それは私たち試験問題作成の立場としてはちょっと違う話題ではないかと思っています。
○潮谷座長 養成校の立場としては、久保田委員、今のことはいかがでしょうか。現実に教える側には出てくる。
○久保田委員 当然そういったことを、これからは他職種でいろんな医師、医療職だとかそういう関連職種と連携してチームケアしていくということからあれば、既になされていること、使われている言葉というは専門職として当然知っておくべきことだろうと思っています。ですから、当然国家試験に出てもおかしくはないと思います。
○潮谷座長 ほかにございませんでしょうか。皆様方の御意見、伺っておりますと、今回のたたき台としては評価をしてくださるというお立場が多かったと思います。それを基に論議をして、更に少し広がりも出てきておりますので、これまでの論議をお聞きになられて事務局の方から何かございますか。
○佐々木福祉人材確保対策室長 基本ベースにつきましては委員の方々おおむねコンセンサスをいただいたと思っておりますけれども、今日御意見をいただいた点につきまして、もう少し更にブラッシュアップをさせていただきまして、次回お諮りをしたいと思います。
もう一つ、冒頭私の方から御説明申し上げました試験時間の点につきまして、少し御議論をいただければ。適切な時間ということでたたき台ではしておりますけれども、具体的にどういうふうに考えればよろしいのかということにつきましても御意見をいただければと思います。
○潮谷座長 11ページの5の○の2つ目に、適切な時間に延長することが適当であると、この適当の中身について皆様方の中で御意見ございましたら、是非お出しいただきたいと思います。いかがですか。
どうぞ。
○橋本委員 私もどのくらいの時間が必要なのかということで興味もありましたので、日本人と合格者ですけれども、候補者に事例問題を1問やってもらいました。どのくらいの時間の差が出るのかですが、公式ではありませんので全員が一斉にやったわけではありませんから、それほど正確ではないと思うのですが、参考までにと思います。
使いましたのは23回の形態別介護技術の中の事例問題をです。日本人11名にやってもらいまして、年代は20〜60代までですが、平均が2分59秒です。合格者17名にやってもらいまして、平均が3分7秒です。合格者だから早いのだろうという点もあるかもしれませんけれども、そんなに大きな差ではなかったのかなと。非常に読むのが早いです。だからといって差がないというか、全体的な候補者の差がないということではないと思います。
実際にどのぐらいあったらいいと思うかということも聞いてみました。合格者たちはプライドもありますので要らないよと、そんな延ばしてもらう必要はないよとも言いましたが、そうは言わずにと聞いてみたところ、10分から15分ぐらい。午前10分から15分、午後10分から15分あればいいではないですかと。余り長いと待っている間疲れてしまいますというようなことも言っていました。ほかにもどのくらいかと聞いたときに、30分ぐらいずつあったらいいではないかと。これも何の根拠もありません。自分が受験したときの感覚で言っていると思います。でも、実際彼らのためであれば、そこの彼らの感覚というところは考えていただきたいと思います。余り長いと待つだけで疲れてしまいますので、その辺は考慮いただきたいと思いますし、先だって候補者の方がいらっしゃいまして、2人に話をお聞きしました。久保田先生の御意見にも関連するのですが、ティアスさんの発言の中に重要なポイント、私たちが考えなければいけないポイントというのは2つあったと思います。
1点は、日本人と同じ時間で同じ試験を受けて合格したことを非常に誇りに思いますと。それは彼女だけではなく、JICWELSが行いました合格報告会の中でほかの候補者も、一番うれしかったのは日本人と同じ試験を受けて合格したことですということを言っていましたし、先日合格者に会ったときもそのことを言う合格者が非常に多かったです。
もう一点は、介護はチームワークで、自分たちは職場で日本人のスタッフと一緒に働いている。自分たちだけに優遇されたときにほかの日本人のスタッフ、友達はどう思うだろうかということも彼女は述べていたと思います。その点は同じ内容ではないのですが、私たちが巡回に行って話を聞くと、候補者がよく言うことです。実際に働いている中で身を持って彼女たちが感じていることであり、やはり日本人の中でうまく働いていきたいということを非常に考えているということです。ですから、その点も考慮いただきたい。彼らのためにと言うのであればどこまでが妥当なのかというところはお考えいただきたいと思います。
○潮谷座長 ほかにこの点について御意見ございませんでしょうか。
川村委員、どうぞ。
○川村委員 私の方は1.3なのかな、1.5なのかなという辺りで考えておりました。知人にEPAの候補生を受け入れている人がいるものですから、試験の問題をまず決まった時間でやってもらって、その後、時間を増してやった場合に回答数が増えるかどうかというチェックはしてもらいました。その場合、1.5倍はやっていないのですが、やはり60%、70%しか解けなかったものが残りまでできたというデータはございます。
そんな意味で、受かった人たちはもう変えなくていいと言うと思うのです。これは電車に乗るときのことを思い出していただければわかると思うのですが、乗るまでは奥に入ってくれと思います。一旦乗ってしまうと、そんなに入って来ないでほしいと思う、これは人間みんなにある部分だと思います。努力して受かった方たち、その方たちの気持ちは大切にしたいとは思いますが、今回この検討会というのは、努力して、知識もあって、技術もあるにもかかわらず受からなかった人たちをどうやってその能力を生かせるようにするのかということですので、やはり延長は考えていいと思います。
ただ、1.5にしたとき、その長さというのは午前中は途中で出るわけにはいかないので、長すぎるかなと思い悩んでいます。
○佐々木福祉人材確保対策室長 事実関係を御説明申し上げます。
今、介護福祉士国家試験につきましては、一般の受験生の方、午前午後合わせて210分でございます。午前中が110分、休憩をはさみまして午後が100分という状況でございます。
先ほど来から、途中で終わったときにずっと拘束されるのかという話なのですが、会場内から勿論退室は午前中の段階ではできませんけれども、1時間、60分試験時間が過ぎれば、一般の受験生もですけれども、その部屋から退席は可能ということでございます。会場内からは午前中の問題が終わっても退席は不可でございますけれども、午前中のものについては60分経過後はその部屋、受験室からの退席は可という状況でございます。
午後につきましても同様に、60分を経過すれば試験室からの退席は可であり、かつ午後になりますと、試験場からの退室ということも、早く終わった方につきましては退席可という状況でございます。午前中は試験の受験室からの退室というのは外に問題漏えいなどの可能性もございますので不可でございますけれども、60分で受験室からの退席は可という状況でございます。
○潮谷座長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
久保田委員、どうぞ。
○久保田委員 試験そのものは難しくない、日本の国家試験だけれども、言葉のハンディがあるということから考えれば、やはり弱視の方に1.3、点字で読む方については1.5というふうに何らかのハンディが、だからEPAの方は言葉に対するハンディがあるので、それを読みましょうと、そして時間延長をというのは、同じようなハンディキャップに対して何らかの時間延長があってもいいだろうと思います。受けた人のプライドはそうでしょうが、やはり今後いろんな国とのEPAのことを考えれば、そういった方々に対する配慮として時間延長。それが1.3が妥当なのか、1.5がという辺りの根拠というのはどうかもわからないけれども、それはすべきだろうと思います。
○潮谷座長 根本委員、どうぞ。
○根本委員 これは一委員ということで試験を作成する立場ではないということなのですが、やはり1つ政治的な配慮というものがその背景にはあるのかなと思います。試験問題の本質と直接関わりないところで、EPAの候補者に時間延長するという一種のサービスを提供することがある意味政治的なマストということであれば、その配慮はしなくてはならないと思いますが、そのときでも理屈がある程度必要だと思うのです。その理屈の考え方として、例えばここにある合格率、1ページにありますね。一般が63.9%、EPAが37.9%。この合格率の差が言語のハンディによる差とみなすと、この合格率で割り戻した部分が約1.7倍になるのです。それでこれまでの国家試験の過去の例などを勘案すると1.5というのはそれに近いということでとりあえずは1.5というのは1つの候補になるのではないかと思います。こういうのは本当に理屈の世界だと思うのです。
また1.7倍なのになぜ1.5かというと、恐らくそれ以上やると、受験生にかえって負担がかかるよという趣旨もあって1.5があるのだろう。それで当面やっておいて、そしてEPA候補者の合格率が次第に一般の受験者と段々近づいてくるということになったら、今度更に1.3に近づける。更にもっと近づければ全く同一になればこんな配慮はしないでもいいというような形になります。1つの理屈として合格率の差みたいなものを前提として現状の中で過去の例を前提に1.5にするという考え方もあるのではないかと思います。
○潮谷座長 ありがとうございました。根拠ということをある程度示していくということも大変大事な部分ではないかということですが、これまで試験に関わりを持たれてきた朝倉委員、いかがですか。
○朝倉委員 大変難しい課題。頭もよくまとまってはいないのですが、確かに根本先生のおっしゃるとおり、合格率の差から見て、それから介護福祉士国家試験、現行の試験が受験者については最大1.5倍まで認めているので、外国人の言語のハンディがある方にも最大限の配慮をしていますというようなことでは1.5というのも許容できるのかなとは思います。
ただ、若干懸念しますのは、午前中、退室できるとは言っても、1.5倍待たなければいけないということで若干御負担になることもあるのかなと懸念するのです。
○潮谷座長 ありがとうございました。
北村委員、どうぞ。
○北村委員 1.5倍はそうかなという気もするのですが、315分を2つに分けるというのはかなり長いかなと。午前中半分ですと160分くらいになりますね。2時間半あるいは3時間弱。普通、シンポジウムでもトイレ休憩は2時間とか1時間半くらいには必ず入れていますので、だから、もし315分やるのだったら、時間だけで言えば3分割にしてやるくらいの量ではないかなと思います。100分の試験を3回やるくらいの技術を使うか、あるいは2分割だったら1.3ぐらいの方が技術的には安全かなという気がします。
ただ、3分割にすると完全にEPA候補者だけ隔離してほかの人とは違う形でやるという必要はあると。
○潮谷座長 北村委員、先ほどEPAの方々だけ3分割ということについて少しおっしゃいましたけれども、この拘束ということはEPAの方たちだけをということですね。
○北村委員 そういうことです。
○潮谷座長 わかりました。ありがとうございます。
ほかに橋本委員、いかがでしょうか。
○橋本委員 確かに理屈を付けなければという点はわかるのですが、やはり1.5倍になったときに、普通に日本人と同じ時間に終わったとしたら、午前は55分ぐらい待たなければならないのです。時期が1月で非常に寒いのです。会場によっては非常に寒かったと言っている候補者も多かったので、それだけの時間待つことはどうだろうか。午後の試験に影響しないのだろうかということは非常に心配いたします。
○潮谷座長 ありがとうございます。適切な時間というのは、環境整備上でもいろんな影響を及ぼすという思いがけないですが、確かに。
川村委員、どうぞ。
○川村委員 何かの理由ということになりますと、例えば試験時間、弱視等受験者という言葉がございますので、日本語弱者とは言いませんが、少なくとも漢字弱者に対する配慮という言い方をすれば1.3倍という手もあるかもしれません。ただ、そうなりますと、なぜEPAだけという話が出てくるかと思います。例えば在日外国人がやはり受験しています。その場合、本当に試験の日本語が難しくて、困っています。今回こうやって改善していけばよくなるかとは思うのですけれども、本当はEPAの人たちだけでなく、そういう方、日本語を母語としない人への配慮というのも本当は考えられるといいと思います。これはこの検討会の課題ではないのですが、一言。
○潮谷座長 大変重要な広がりのある御発言だったと思いますが、EPAの中で配慮することが全体的な外国の方々への配慮というようなことにつながっていけば大変EPAの検討会としては意味があったなと後で思うことになるかもしれませんね。
一通り皆様方の御意見をちょうだいしたところですが、この適切な時間ということ、延長時間ということはここで結論ということにはならないので、一応皆様方の一巡した意見を事務局の方で再度御配慮いただければと思います。今日の論議につきましては、大体予定されていたことは以上のようなところですけれども、なおかつ皆様方の中で、もう余すところこの会議も少なくなりましたので、何かございますならば少し時間がありますのでと思いますが、いかがでございますか。
久保田委員、どうぞ。
○久保田委員 些細なことですが、10ページの中の○の2つ目のところで、介護福祉士の能力の一つとして認知症云々とある中のうち、3行目、日本語によるコミュニケーションを通じたアセスメント、括弧の中に入っている言葉がアセスメント(信頼関係の構築、助言、意欲の引き出し等)というのとミスマッチかなと思いますので、ここのアセスメントに対峙した中身をここは入れた方がいいかなと思います。
○潮谷座長 事務局、どうぞよろしくお願いいたします。これは多分委員の皆様方、何名かお気づきだったのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
引き続いて川村委員、お願いいたします。
○川村委員 脇道にそれたところのついでなのですが、今回この検討会が行われたという背景には、この介護福祉士候補者が一人でも多く受かって、そしてその後、施設に残って働き続けてほしいという背景があると思います。その場合に、まず施設が今後受け入れるということをしてくれなければEPAの話もなくなってしまいます。そこで、この検討会の中でも施設がEPAの候補者を受け入れやすいような方向への何らかの改善策の検討が必要ではないかと思います。
その意味で、この検討会の検討課題ではないと思うのですが、前回のヒアリングにも出てきました、候補者を受け入れている場合、その候補者を受け入れことによる施設側のメリット。特に人員にカウントできるかできないか、施設の負担をどうやって軽減するか。更に候補者をその後残していける。つまり、彼らが帰っていってしまう、あるいは他の施設に移ってしまう、そういったことになると、せっかく施設が受け入れたにもかかわらず、その候補者たちが施設に残ってくれないという辺りについて何らかの改善策を考えていかなければいけないと思います。
この件をどこにどう加えていいのかわからないのですが、報告書の後ろの方にでも、その施設がやはりEPAの候補者を受け入れることのメリットをより多くする方向での改善が必要であるというような一文か何かがあっていいかなと思うのです。
○潮谷座長 この点については、事務局、いかがでございましょうか。
○佐々木福祉人材確保対策室長 まず、冒頭の配置基準の扱いにつきましても、前回も関係団体の方からいろいろ御意見がございまして、この点につきましてはこの検討会とは別でございますけれども、第2回のときに資料をお示しさせていただきましたが、現在、研修施設の質の確保という観点と候補者の方の就労をきちんと評価するという両面から、この4月から一定の配置基準の受け入れ施設の要件を一部見直しまして、配置基準につきまして算定対象に一部含めるということにいたしておるところでございます。
その施行状況も踏まえまして、改めて必要に応じて検討するということをもともと予定しておりますので、その点につきましてはこの検討会の場ということではないかと思いますけれども、改めて事務局の方で、これは受け入れ施設の要件についても必要に応じて検討していきたいと考えておるところでございます。
候補者の方に対する受け入れやすいように施設への対応ということでございますけれども、就労は雇用契約でございますので、したがって、候補者の方との意思の疎通ということがベースになるものでございます。一部報道でもございましたが、残念ながら合格されたけれども、帰国される方がいらっしゃるということでございますので、こういったものについては受け入れの仕組みの改善と、雇用契約締結前のマッチングの改善等々も併せて対応していく必要があると考えておりますけれども、少しこの検討会の場の射程とは、勿論関係はあるのですけれども、射程としては別途御検討を事務局の方で検討させていただきたいと考えております。
○潮谷座長 ありがとうございました。事務局の方で今後課題認識を持っていただいて、横との連携等々も含めてよろしくお願いいたします。
本当に今日はたたき台ということで皆様方の御意見をちょうだいいたしました。次回の検討会において、ただいま皆様方から出た御意見を基に、また修正をしていただいて出していただきたいと思っております。
帰ったら、これは言うべきだったなと委員の皆様方が思われることがあるかと思います。その場合には、どうぞ事務局の方に御意見を寄せていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、その他のところで事務局から御報告がございましたら、お願いいたします。
○佐々木福祉人材確保対策室長 先ほど座長の方からございましたように、次回とりまとめに当たりまして最終的な報告に当たりまして、できましたら座長の方からお話がございましたように、29日、来週の火曜日ぐらいまでに1週間程度で文言の修正等につきまして御意見を賜れればと考えております。
次回でございますけれども、次回は6月5日の10〜12時ということで同じこの会議室で開催を予定しているところでございます。追って事務局より開催案内を申し上げますので、委員の方々につきましては、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○潮谷座長 それでは、皆様方、莓の中を本当においでいただいて、またとても真摯な立場の中から御発言いただきまして、心からお礼を申しあげます。
少しだけ時間は早いですけれども、これで終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

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