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2012年5月9日 第18回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 議事録

医政局

○日時

平成24年5月9日(水)15:30〜17:30


○場所

厚生労働省(19階)専用第23会議室


○出席者

永井委員長、位田委員、伊藤委員、高坂委員、斎藤委員、佐藤(陽)委員、鹿野委員、須田委員、直江委員、中畑委員、早川委員、町野委員、松山委員
森尾参考人
佐原課長、谷室長、岡田専門官、原専門官

○議題

1)ヒト幹細胞加工製品の品質及び安全性の確保について
 (近畿大学薬学総合研究所長 早川委員)
2)中間報告について
3)今後の議論の進め方について
4)その他

○議事

○谷室長 第18回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会を開催いたします。先生方にはお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。
 初めに、本会議より新たに委員になられた先生方をご紹介いたします。まず、近畿大学薬学総合研究所長の早川堯夫委員です。先端医療振興財団再生医療研究開発部門再生医療開発支援部長の松山晃文委員です。今日はご欠席ですが、東京大学医科学研究所准教授の武藤香織委員が追加されております。あと、東京学芸大学教育学部准教授の佐藤雄一郎委員にご出席いただく予定でしたが、急遽欠席のご連絡をいただきました。大阪大学大学院医学系研究科教授の澤芳樹委員からは、ご欠席の連絡をいただいております。あと、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長の西川伸一委員からも、ご欠席の連絡を受けております。読売新聞社編集局社会保障部の本田麻由美委員からも、ご欠席の連絡がございました。18名の委員のうち、13名の委員のご出席となっておりますので、本会議は成立していることをご報告いたします。
 本日は、参考人といたしまして、東京医科歯科大学医学部附属病院細胞治療センター長の森尾知宏先生にご出席いただいております。あと、参考人として、富山県衛生研究所長の佐多徹太郎先生にもご出席を依頼したところですが、多忙ということでご欠席の連絡をいただいております。
 マスコミの方で頭撮り等をされているようであれば、ここまでとさせていただきます。それでは座長の永井委員長、お願いいたします。
○永井委員長 事務局から本日の資料の説明をお願いいたします。
○谷室長 お手元の資料をご覧ください。まず、議事次第です。こちらに配付資料と、裏側に参考資料の一覧が載っております。席次表、委員名簿・参考人名簿と続いて、資料1「ヒト幹細胞加工製品の品質及び安全性の確保」です。資料2として、先日の科学技術部会にご報告させていただいた報告の資料です。資料3は「平成24年度ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会のスケジュール(案)」です。机上配付として、早川委員からいただいている、パワーポイントの印刷したものです。あと事務局から、昨年度の議論のまとめの代わりとして、連結可能匿名化の話の部分と、ヒト幹指針と薬事法との関係の2枚をお配りしております。過不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。
○永井委員長 議事に入ります。最初に、早川委員から、ヒト幹細胞加工製品の品質及び安全性の確保についてのご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○早川委員 資料1「ヒト幹細胞加工製品の品質及び安全性の確保について」です。資料にもありますが、薬事法下での幹細胞の品質・安全性に関する5つの指針というのが、近々通知されようとしています。そのご紹介と、私の個人的な見解も混じえてお話を進めさせていただきます。
 まず、「再生医療研究や実用化推進を謳う行動原理」ということで、患者のため、国民のため、あるいは国民益に叶い、公衆衛生益にもつながるということです。国民益というのは、いろいろ書いていますが、我が国が保健衛生面、経済面での利益還元、産業の振興、財政危機の脱却、国際社会での相応の地位を占めるためには、こういう方向を推進していくのが緊喫の課題であろうということです。
 ご承知のように、いま再生医療をめぐっては、3つのトラックがあります。主なものとして、本日の課題であるヒト幹臨床研究というものと、企業がマーケティングに出すという意味での、薬事法下での再生医療があります。望むべくは、臨床研究と薬事のトラックがシームレスにつながっていくことだということで、これからも検討が続いていくといいと思っております。
 合理的な実用化のために必要な技術的要件、方策を、出口である行政側が、開発早期から示すことは、再生医療実用化推進のための水先案内、牽引力、推進力となるということで、非常に重要なことということで、本日の会議も開かれていると理解しております。また、いろいろなガイドラインが出されているのも、そのためだろうと思います。
 いま出されている主なガイドラインです。1つは、ここのヒト幹の平成22年に作られたものがあります。薬事的には、製品の取扱い及び使用に関する基本的考え方。製造管理・品質管理の考え方について。いわばGTP(good tissue practice)というのでしょうか、それにかかわるようなガイドラインが出ております。その中身が、先般のヒト幹の臨床研究の中にも、ほとんど整合性が取れた形で、同じようなことがGTPとしては入っていると理解しております。それ以外に、出来た製品そのものの品質・安全性確保について、平成20年(2008年)に、自己由来、同種由来という形で、薬事的な指針が出ております。
 これは目次ですが、自己でも同種でも、項目立ては同じでありまして、製造方法、この中に3つほどテクニカルな必要なことが書かれております。それから、安定性、非臨床安全性、効力または性能を裏付ける試験、体内動態、臨床試験、このような項立てになっているということです。
 このようにして、自己指針、同種指針というものが出されていたわけですが、その後の幹細胞由来の製品が出てくることに対応して、もう少し幹細胞に特化した指針があったほうがいいのではないかということで研究班が組まれまして指針案が作成されました。6月と聞いておりますが、案をもとに通知が予定されているものに、自己指針をベースにして、いわゆるiPS細胞の自己版、体性幹細胞の自己版、同種指針をベースにしてES細胞、iPS細胞の同種版、体性幹細胞の同種版が出来ております。
 まだ通知が正式に出ていませんので「案」と書いていますが、目的、趣旨、取扱いが、前書きに書かれております。目的としては、この指針は自己、同種ともに、品質及び安全性の確保のための基本的な技術要件について定めるということです。しかしながら、いろいろ学問・技術の進歩等もございますので、扱い的には、その時点の学問や技術の進歩を反映した合理的根拠に基づいて、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応するということが謳われています。
 それから、このガイドラインの中に2つの要素がありまして、1つは、承認申請時にどういう情報、データが必要かという話と、治験の開始、ある意味ではFirst in Humanとでも申しましょうか、そのときにどの程度のデータ、情報があればいいかが、一応書き分けられております。
 治験開始時の話ですが、ここはヒトへの適用により支障となる品質、安全性上の問題があるか否かということ、品質特性把握と一定範囲の品質の恒常性が確保されているかどうか、これを確認するのが主な趣旨であるということです。それを踏まえて、基本的な技術要件のうちで、どの程度の試験、評価をするべきかを明確にしているということです。
 これが今回の新しいガイドラインに書いてある、試験開始に当たって支障となる品質、安全性上の問題があるかどうかの評価時の考え方です。当然のことながら、明らかに想定される製品のリスクは、現在の学問・技術を駆使して排除する。そうした科学的な妥当性を明らかにした上で、なお何か残っているかも知れないという未知のリスクをどう考えるかについては、従来の治療法では限界がある、克服できない「患者が新たな治療機会を失うことにより被るかもしれないリスク」との「リスク大小」を勘案し、かつ、それらすべてを情報開示した上で「患者の自己決定権」に委ねるという視点を持つことも重要である、ということが書かれております。
 もう1つ、ここに書かれた事項、試験方法、基準その他の技術要件というのは、目的に適う内容と程度をもとに考慮、選択、適用、評価されるべきことを、このガイドラインは意図していることを書いています。一律に、ただ最高最大限でなければいけないということではない。それぞれの目的に相応しく、科学的合理性からみて妥当であることを明らかにしていただきたいということを書いています。
 いままでのことを要約すれば、患者のためにHow to doではなく、How to thinkということで、どのように考えるのか。それに基づきなすべきことをやって、その妥当性を証明してください。その際には、それぞれのケース・バイ・ケースのアプローチが必要ですし、科学的合理性あるいはflexibilityも必要。最終的に落ち着くのは、これは医学的なことですので、科学的絶対性という話よりも手にした医学的成果・可能性を何とか患者に役立てようとする共通の認識の一般的落ち着き先、常識というか、医学的なcommon senseに到達することが肝要であろうという考え方が、基調になっているということです。
 テクニカルなこと、今日お配りした資料に、そのことは詳細に書かれておりますが、ごくかい摘んでご紹介しますと、製造方法・品質・評価・管理という部分があります。ここでは、各段階の細胞の特性解析、特性指標の把握、適格性、これは自己と同種では当然違うわけですが、そういうものとか、その他の原材料の適格性、微生物学的な安全性の問題、製造工程への妥当性の問題、出来たものの恒常的な確保、安定性の問題、品質管理の方法として、品質レベルと製法レベルでの適切な組合せでやるべきということが書かれています。
 もう少し細かく立ち入りますと、例えば原材料としての細胞の生物学的構造・機能の特徴例ですが、ここに形態学的特徴以下いろいろ書いていますが、こういう中から、そのケースに応じて必要な、重要な特性指標を定めて示してくださいということです。中には、これは例ではありますが、網羅的解析法も場合によっては使うこともあり得るかもしれない、ということが書かれております。
 これはあらゆる医薬品あるいはbiologicsに共通する概念だと思いますが、実際に品質を確保するというのは、原料、プロセスの評価を含めた製造工程レベルの話と、製品のレベル、ここでいろいろな特性等を鑑みて品質確保を図る、それと臨床、非臨床との関係ということで、これが全体として品質確保を図るということです。ここで「規格・試験方法」と書いてあるのが、言ってみれば最終製品の出荷試験に相当する部分です。これについては、製品が少量である、稀少であるということもありますので、なるべくほかのところでカバーして、出荷試験は必要最小限度に絞ったほうがいいのではないかという書きぶりもあります。
 このスライドに、実際にそのことを書いていますが、対象とする細胞、利用可能な試験方法等によって、実際には出荷試験というのは異なるでしょうと。実際に最初のヒトの治験に入るときには、先ほども申し上げましたが、ヒトへの適用により支障となる品質・安全性上の明らかな問題が存在するか否か、それから、臨床で得られた知見との関係づけができるのかどうかを主な眼目として、少数の試験的検体の実測値をもとに暫定的な規格及び試験方法でやるのは差し支えないということが書いてあります。承認時など最終的には充実・整備を図るということです。
 実際に最終製品の出荷試験的なことの例が書いてあります。ここで「MCP」と書いていますが、これはまたあとで触れますが、Minimum Consensus Packageということで、青字で書いてありますが、これだけはどうしても最小限必要だということです。細胞数、生存率、確認試験、製造工程の不純物の問題、微生物学的な問題というのが挙げられますが、あとは物に応じて、あるいはほかの手法との製造工程での管理などと突き合わせて選んでもいいのではないかということです。当然、治験をやっている間の安定性は保障されなければいけないので、その期間の有効性を設定し、妥当性を明らかにしておく。運搬等をする場合には、それに関する条件を定めて、妥当性について明らかにするということになります。
 非臨床安全性試験ですが、製品の特性、適用法から評価が必要と考えられる安全性関連事項について、技術的に可能で、科学的に妥当性のある範囲。つまり、技術的に不可能なことを求めても仕方がないので、その時点での科学的に可能な限りということで実施する、そのような書きぶりになっています。もちろんモデル動物の合理的な活用ができるのであれば、それはそれでやるということです。
 安全性評価というのは、あくまでも相対的なものであって、いちばん肝心な対象疾患などを含むさまざまな要素との関係づけ等で変わってくるということで、これはまたあとで、リスクの問題については触れたいと思います。
 具体的な留意点ということでいろいろ挙げられていますが、中でも青で示しているところが特に重要な点です。培養期間を超えて培養した細胞が目的外の形質転換、異常増殖を起こしていないこと、これは必須だろうと。それから、製品の適用が患者の正常な細胞、組織に影響を与える可能性、その安全性について検討、考察、この辺は必須だろうと思います。製品の種類によっては、生理活性物質で強力なものを出すことが予測される場合には、影響を考察する。また、iPS細胞、ES細胞のような多機能性の細胞が残存している場合に、そういうものが異所性の組織形成、あるいは腫瘍形成、がん化の可能性があるので、それについては、そういうspecificな話として考える。あるいは同種等も含めて、免疫反応の問題も、あてはまると想定されるケースは考えるということです。
 有効性評価のところですが、これは何をさて置いてもPOCを示すということです。モデル動物の合理的な活用がある場合もある。ただし、すでにそれと同じ製品の効力、性能による治療が、他の治療法と比較したときに、遥かに優れて期待できることが国内外で合理的に明らかにされている場合には、治験開始段階では、必ずしも詳細な実験的検討は非臨床という意味では必要とされないということを書いています。
 製品評価はあくまでも、由来する細胞種別に相当dependする話でして、そのminimum consensusというのはその特性に基づいて考慮すべきということでありまして、自己なのか、同種なのか、体性幹細胞なのか、iPS細胞なのか、ES細胞なのか。当然のことですが、こういうものを前提にして考えることになっています。
 ちなみに、例えば同種由来細胞を用いる場合の追加事項、上乗せ的なこととしましては、原材料となる細胞の免疫適合性の問題を考慮する、自己と違って、よりたくさんのドナーからより適格性の高い細胞を選択できますから、厳密なドナーの選択基準、適格性の明確化、その妥当性を示す必要があります。もちろん、そのドナーに関するtraceabilityも含めて、必要な情報は確認できるような記録の整理、保管も必要ということです。こういうケースはほとんどないと思いますが、同種由来でバンク化されていない、それからウインドウピリオドが否定できないで、HBV、HCV、HIV等を製造工程中に増幅させるような細胞を使う場合、あるいは製造工程中で生物由来の成分を使用する場合に、非常に稀なケースだと思いますが、最終製品のウイルスについての否定の可能性を考えなければいけないということが書いています。しかし、可能な限り、それは原材料の段階でクリアしておくのが合理的であろうということです。
 それから、これはもう少しテクニカルに細かいところに入っていきまして、同種の場合のドナーの選択基準、適格性ということで、ここに示したような、病歴、健康状態、感染症に関する検査等を考慮して、基準の明確化、妥当性の説明をしてくださいとなっていますし、実際にB型肝炎ウイルス等については、問診、検査でクリアしておく必要性が求められております。それ以外にも、ここに書いたような例では、必要に応じウイルス検査もやると。同種というかドナーが選択できるということですから、こういういろいろな重篤な疾患、あるいは伝達性海綿状脳症に関係するような疾患のドナーから、あえてとることはないということで、そういうことも考慮して判断することになっています。
 これは、iPS(様)細胞由来製品の場合の製造から製造販売承認に至る過程の留意点と評価のポイントのミニマムコンセンサスパッケージということですが、?初期化、?iPS細胞の段階、?分化した細胞の段階と、丸囲みの数字で書いていますが、?では初期化の手法とか、どのような培養方法でやるのか、あるいは?のiPS細胞樹立の仕方、バンク化をどうするのか、特性解析についてもきちんとやっておく必要がある、あるいは?分化のときには確実な分化誘導条件の明確化というように、必要な項目が要求されております。
 最後に、出来た製品について品質、安全性、有効性を評価するわけですが、この中でいちばん大きな関心事は、例えばiPS細胞ですと未分化細胞の残存、がん化のおそれ等です。先ほど少し申し上げましたが、培養期間を長期間やることによって、目的外の形質転換・異常増殖が起きるのか、安全性や薬理からみてどうなのかということをミニマムとしてはやったほうがいいでしょうと。異所性の組織形成等、わざとこれを消してあるのは、場合によってはやらなければいけないのですが、必ずしも必須ではないのではないかということです。
 少し話は反れますが、iPS細胞の再生医療での活用の仕方です。少なくとも再生医療側から見ると、細胞の側からというよりは、最終製品というか治療の目的から発想する考え方、アプローチが肝要ではないかということです。したがいまして、必ずしも特定のiPS細胞とか単一のiPS細胞からスタートする必要はなくて、ある個別の製品に対して、素材として適切なiPS細胞があれば、それでよいというか、むしろそのほうが好ましいということだと思います。
 ある特定の治療目的に叶う、品質、有効性、安全性を有する最終製品を製造するのに、適切な素材としてのiPS細胞が位置づけられることが、非常に重要なのではないかということです。
 その際の製造工程での最も理想的なベースキャンプというのは、一口に言えば細胞バンクということなのですが、解析が十分で、安定で、増殖性を有して、更新も、安定供給も可能で、目的細胞に適切に分化できるというバンクであるとか、場合によっては中間細胞株をベースキャンプとして設定すると。これはあらゆるbiologicsに関して、いつもこういうことは基本的なconceptとして大事なことを、ここにも引用しているということです。
 細胞バンクというものを作るとすれば、作製方法、特性解析、保存・維持・管理方法、更新方法、その他について詳細を明らかにして、妥当性を示すということになっております。
 これは、いままでお話したことを絵に描いたわけですが、あくまでも最終的に、従来の治療法では限界があって克服できない疾患に対する新治療、選択肢となる治療法を目指す製品というものをイメージしたときに、体細胞からスタートしたほうがいいのか、体性幹細胞からスタートしたほうがいいのか、あるいはiPS細胞を経たほうがいいのか、そういう話だと思います。ですから、目的から逆算していって、それぞれのものは位置づけられるわけですが、その中で、どうしても出発材料としての安定供給できる細胞バンク、徹底的に解析された細胞バンクというのが、非常に重要なベースキャンプとして位置づけられなければならないということだと思います。
 あとはES細胞の話になりますが、文科省の指針では、治療法・医薬品開発の基礎的研究で書かれております。今回出される指針は、治療法あるいは医薬品開発という、出口から見た留意事項を提示しているということです。とにかく最初の出発原料はES細胞なのか、そこから分化したものなのか、中間細胞株なのかということはありますが、ベースキャンプに関してきちんと樹立して、徹底した品質解析、管理をして、それ以降の製造工程を一定にして、最終製品の品質・安全性を評価する。こういう流れになるということで記載されています。
 それから、これはウイルス安全性について、あらためてまとめた話ですが、できれば最終製品でウイルス試験をするようなことはしないで、先ほどお示ししたような、もとの細胞のレベル、あるいは製造関連の物質のレベル、バンクのレベルで、できるところできちんと試験し、管理することが、ウイルス安全性に関する基本的な考え方ということです。
 それから、造腫瘍性のことですが、これは多少個人的見解が入っているかもしれませんが、体性幹細胞由来製品には一般に造腫瘍性試験は必要ないと言い切っています。ES/iPS細胞におけるテラトーマ形成というのは「細胞特性」ということであって、これをバンクとした場合には、大幅に変動するようだと中身が違ってきているという話なので、具合が悪いわけですが、細胞特性としての取扱い方、考え方だと思います。
 製品のレベルで考えたときの問題の1つは、残存する未分化細胞あるいは派生した増殖性の形質転換細胞の混在が問題になると。そのときに品質の問題なのか、安全性上の問題なのかということを、ある程度区別して考えるほうがいいのではないかと思っております。未分化のものが残存しているかどうかは、qRT-PCRとか、フローロサイトメトリとか、長期間培養することによってということで解明できる話なので、そこでクリアしていく品質の問題だろうと思います。
 試験でいえば、免疫不全動物を用いた動物試験等もあるわけですが、その必要性の有無というのは、たとえES/iPS細胞由来であっても製品がどれだけ純化されているか、つまり品質問題としてまず問題があるのかないのか、あるいは製品の形状、移植部位におけるがん発生の確率、事後どういう処理ができるのか、対策、こういうことを勘案して、動物試験を実施することを検討するということだと思います。実際の試験のときには、臨床適用に沿ったような形でやる。その場合に、異所性の組織形成も同時に評価できるかもしれないと思います。
 造腫瘍性が出たときに、それは試験条件下での製品の特性を表現してはいると思いますが、これはまさに免疫状態等の異なるヒトでのリスクと必ずしも同義ではないことに留意する必要があると思います。リスク評価及び結果の解釈、運用については、その細胞の種類、対象疾患、患者のリスク、ベネフィット等を勘案する必要があると思います。これは議論があるかもしれません。
 抗原性の問題ですが、細胞自体の問題としては、自己は一般的には考慮外です。同種の場合には、特性指標としてのHLAタイピング等の必要性はありますが、臨床適用時に、免疫抑制剤併用等をやりますので、兼ね合いを考慮した際に、抗原性評価をどう位置づけるかは考えなければいけません。ただし、試験動物を用いて抗原性評価をするというのは、ヒトの細胞ですから、一般に意義はないと思います。
 むしろ、細胞培養時に、フィーダー細胞や培地成分によって細胞への動物抗原の発現が懸念されるわけで、これに対する対応は、場合によっては考えなければいけないと思います。あと、できれば不純物に由来する抗原性の問題は、むしろ製法段階等でのコントロールで対処するのが最善だと思います。
 これは誰しもそう思うわけですが、製品評価で考慮すべき特殊事情というか、いまは揺籃期にある、しかし育てる必要があるということです。それから、対象疾病の多くが、稀少、重篤、QOLの顕著な低下、代替治療法に乏しいものであるということです。それから、製品のLife Cycleを通した高度な医療専門家の介在等を考えますと、従来のものとは違う評価のアプローチも場合によっては必要なのではないか。従来の製品というのは、例えば化学薬品だと、カプセル、注射針、そういうものでありまして、臨床医にとっては液体とかカプセルとしか見えなくて、中身の品質は見えないわけです。したがって、ラベル通りの中身であるという品質保証や管理はしっかりやっておく必要がある。だけれども、この場合には臓器移植にも似ているところがあって、高度な専門家がみたときに、製品の良し悪しがわかるという部分もあるので、そういうことも特殊な事情としてあるだろうと思います。そういうことを踏まえて、治療のリスク・ベネフィットをケース・バイ・ケースで総合的に判断する中で、リスク・ベネフィットの概念が明確で、かつ共有されていることが必要なのではないかと思います。
 リスク・ベネフィット概念ですが、これはガイドラインの冒頭にも書かれていますが、患者をベースに考えた場合、重篤であるとすれば、それ自体がリスクであると。それから、時間の経過によって悪化していくという極めて大きなリスクを背負っていると。どのような形であっても、程度であっても、それが回避・軽減できるのであれば、ベネフィットであるという考えもできるのではないか。一方で、その製品等の側のリスクというのは、対象疾患との関係でも変わりますし、軽減策との関係でも変わりますので、相対的なものであるということです。科学的な関心から製品のリスク自体を問うと際限がないわけでして、科学的には永遠のクエスチョンは常に発生するということで、現在の科学水準の範囲の中で、ケース・バイ・ケースで、それぞれの相対的なリスクやリスク軽減を明確にして、製品や医療技術をリスク評価すべきであろうと思います。
 同じことですが、患者のリスクと、製品、医療技術のもつ相対的なリスクを勘案した総合的なリスク評価が必要ではないかと思っております。それから、新しい医療法はヒトでやってみなければわからないという部分も、場合によってはあります。同じことですが、これはすでに冒頭に書かれていることでありまして、治療をしないことのリスクと適用することのリスクの大小を勘案して、それを秤に掛けて、すべての情報を開示した上で、徹底的にご説明した上で、患者の自己決定権に委ねるという視点もあるのではないかということです。
 もう一つ、再生医療の中でちょっと違う視点で考える必要があると思うのは、薬事法の根底となる概念というのは、基本的には公衆衛生上の視点に基づいていると思います。これは治験を数百例やるわけですが、実は多くの薬の場合に、治験をしているデータの向こう側に、何万人、何十万人、何百万人という患者がいるわけです。そういう患者にとって不都合なことがあってはいけないということで、治験データは単に代表的予測例にすぎないわけですから、より多くの患者により確実な有効性・安全性保証の予測を可能にするための厳密な、いろいろな信頼性保証も含めて厳しくやるところがあるわけです。
 一方で、当面の再生・細胞医療の施行例の多くは、高度な専門家が、直接患者に向き合って、その症状を診ながら先端的治療を施そうとする個別型医療であるケースが多いわけです。研究・治験の実施が、患者に治療効果として直接反映するケースも多いと思います。試料が少量で貴重なものを扱う。採取の段階から、言ってみれば専門医が行う医療行為であって、その製品の品質についても、専門医が最も優れた判定者である場合も、角膜などの場合にはそうであるわけです。欧米では、そういうことも含めて、さまざまな対処法を整備してきていますので、我が国でも、そういう柔軟なアプローチ、評価法、保険・補償制度を検討すべきではないか。患者の現状を少しでも救済する、新たな選択肢を提供する、その蓄積が次の進歩・発展への足掛かりになるという見方で支援をしていくべきではないかと思います。
 ここにたくさん書いていますが、いろいろなファクターがあるわけです。このファクターの中身もいろいろあるわけですが、この中でリスクと呼ばれるものもあるわけです。特にこの中のリスク軽減要素、対応ができるとか、対策を総合的に勘案して、リスクを相対化して、そういうものと先ほど来申している疾患というリスク、あるいは時間的経過に伴って増大するリスク、患者のリスクを秤にかけて、どういう試験が合理的で、どういう評価が合理的なのか、その内容や程度を考える必要があるのではないかと思います。
 実用化/産業化推進への臨床研究の役割というのは、言わずもがなであるわけですが、個人的な意見としていえば、もっと研究対象の的を絞るべきだと。実用化の名分を掲げながら出口への可能性が少ない研究や評価を伴わない臨床利用は、倫理的、経済的、資源面で問題がありますので避けてほしいと思います。一方で、臨床研究と治験というものがシームレスになるような、そういう評価につながるようなデータのアウトプットを是非していただきたいと思います。
 そういうことも含めて、現行体制の違いを崩さずに、切れ目のない移行を可能にするには、共通のプラットホーム作り、全製品に最低限の必須・共通の要件や基準・評価技術、これをミニマム・コンセンサス・パッケージと呼んでいるわけですが、今日の会議の主題ではありませんが、そういうものの作成が必要ではないかと思っております。それに製品の種類、対象疾患等を上乗せして考えると。そういうことに関する関係者間の認識、解釈、運用の共有化が重要であって、そういうことが、我が国の再生医療実用化の水先案内、牽引力、推進力となることを期待したいということです。
 これは最後のスライドですが、いまお話したような、これだけはすべてに共通で、これだけはやっておかなければいけないというMinimum Consensus Packageというものを、産官学が共通のプラットホームとして活用する。それに製品の種類、対象疾患、開発段階等に応じた上乗せ、評価方策を考えて、そういう中でヒト幹臨床研究というのは位置づけられると。
 実際問題として、この前のヒト幹指針の平成22年度の見直しのGTP(Good Tissue Practice)部分というのは、薬事法下でやっているGTP部分と整合性が取れた形で反映されていますので、そこではシームレスにはなっています。以上です。
○永井委員長 それでは、ご質問、ご意見をお願いします。MCPというのは何の略ですか。
○早川委員 Minimum Consensus Packageのことです。
○永井委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○中畑委員 非常に丁寧なご説明ありがとうございました。従来の考え方に比べて、より患者のメリットを重視するような治験、あるいは臨床研究のあり方ということで、ある程度の新しい治療はリスクはあるけれど、それよりもはるかにベネフィットのほうが高い治療法であれば、十分説明をして、患者自身がそれを選択していくという姿勢がずっと貫かれていましたので、これは非常に大事なことではないかと考えています。
 この幹細胞の指針ができたときから、日本では治験と臨床研究という2つのトラックがあったわけですが、アメリカ等ではそのトラックが1つで統一されているということで、治験、特に細胞を取り扱うということでは、安全性を担保するということで、両者とも同じ考えで、共通性があるわけですので、治験のトラックでもある程度通用するような指針にすべきではないか、ということで最初の指針が作られてきたと思うのです。今回の見直しについても、できるだけ、両者の間で先ほどからお話があったようなシームレスに研究が進むような形で考えていただきたいと思っています。また先生にいろいろ教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○直江委員 大変頭がすっきりしたというか、問題点が整理されてありがとうございました。特にいまお話があったように、出口指向ということで患者のニーズ等に合わせてかなりフレキシブルな考え方も提示されたと思いますが、そこで1つ問題なのは、再生医療の実現化に向けてこのような細胞療法を用いるときに、1つは薬事法ということで、これは製品であるということで、GCP、GTP等々の治験のトラックに乗せることと同時に、先生は、これはある程度臓器移植的なニュアンスもあるのだということで、医療技術としてのどちらかというと個別化医療的な、薬事にはなかなか乗りにくい面も強調されたように思うのです。そうしますと、この絵で見ますと、最終的には企業主導する治験ということになるのですが、果たして本当に、いろいろな臓器再生、再生医療は最終的に企業が主導する治験ということになるのか、それとも臓器移植のように、医療技術としての側面を持ちながら限定的な施設で行えるようになるのか、その辺が聞いていてよくわからなかったので、その辺の考え方がもし何かありましたらお願いします。
○早川委員 両方あるのだろうと思うのです。医療技術として留って、少数例の患者の治療に当たっていくケースもあるだろうと思いますし、より普遍的なことになって、企業としての経済的なこともありますので、そういう形での広がりをよしとすれば、企業がそれをピックアップして企業化していく。そこはなるべくしてほしいと思うのですが、すべてがこちらかあちらかということでは必ずしもないような気がします。
○中畑委員 現実的問題として、体性幹細胞でも間葉系幹細胞等は、アメリカで作った製品が日本に輸入されて、日本で治験が行われるということで、ES細胞やiPS細胞についても当然そういうことは考えられると思いますが、その辺の取扱いを先生自身がこの中でどう考えられているのかを教えていただけたらと思います。
○早川委員 それは外国から輸入されて申請されてくるものについてということですね。いままで、ほかの医薬品でも輸入製品はたくさんありますので、実際に申請されてくれば淡々と妥当性について評価するというか、審査すると。少し不適切発言ですが、できれば外国製品に対してハードルを高くしたいという感じがないわけではありませんが、それは置いておいて、患者のためになるのであれば、外国産であってもそうでなくても、ある種のハードルをクリアすれば市場に承認されていいだろうと思います。
 先ほどご質問がありましたが、臨床研究から治験へのシームレス化の大きなハードルが、いまのGCPをばっちりと思いきり適用すると、いまの制度的には臨床研究自体が治験とみなされないですね。そのデータは参考になるのかわかりませんが、その辺の扱いがもう少しフレキシブルになってもいいのかなという感じはしております。これは先ほど申しましたように公衆衛生型、パブリックヘルスで、数百例で何十万人、何百万人の人たちの有効性・安全性まで一応推定しようというときの発想と、実際に患者と対面してやっているときのことでは必ずしも同じではないと。まだ揺籃期ですので、まともなGCPでやると、GCPをやるスタッフのほうが患者よりはるかに多いみたいな話にもなり兼ねないので、臨床研究の結果がいわゆる薬事のトラックでの評価とうまい具合にリンクできるような、一種のGCP、GLPみたいなもの、原理原則は同じでも個々の目的に則したフレキシビリティがあってもいいのではないかと、個人的には思います。
○永井委員長 その辺のスケジュール感はどうなのでしょうか。もちろん早いほうがよろしいのでしょうけれど、いまのままそこへ突入してしまうと、いろいろ不都合が起こるだろうということだと思いますが、先生ご自身はどのぐらいのスケジュール感を見込んでいらっしゃるのでしょうか。
○早川委員 ただ、議論としてはそういう問題意識を持って議論を始めないと、急に言ってもなかなか難しいし、私にはどういうスケジュールになるかはわかりません。できれば、そういうことが実際システム上フレキシビリティで可能なのであれば、踏み出して欲しいと思います。一方では再生医療法を別に作ったほうがいいという話もありますね。そこまでいかなくても、薬事法の運用解釈の範囲の中でフレキシブルに取り扱えるような方策があるといちばんいいのかなと思いますが、それは行政の人が考えることですね。
○伊藤委員 大変すばらしいお考えというか、全くわからなかったものですから、一体どうなるのかなと思ってお聞きしていたのですが、本当に専門家の方々がこういう考えで、こんなところまで細々と考えて研究開発しようということは敬服に値します。皆さんがこういう具合にこういうところまで考えてやっておられるのかなという気持も、若干ないわけではないのですが、これだけのことになると、スライドの11枚目に「リスクの大小を勘案し、かつ、これらすべての情報を開示した上で患者の自己決定権に委ねるという視点を持つ」と書かれていますが、先生がおっしゃるのは、研究者がそういう視点を持って研究しろということを言っておられるのか、具体的に「患者の自己決定権」ということまで踏み込んでおられるのか。もしもそうだとすれば、これだけのお話をどう患者にわかりやすく、自己決定するように患者側に対して接触したらいいのか、その辺りのお考えがあればお願いします。
○早川委員 これはいろいろなレベルで話はあるのだろうと思います。例えば再生医療研究をやろうという方が、まず患者のためにという視点を持って物事をスタートするという意味も1つはあると思います。また、研究が進んできて、実際に患者に投与しようというときに、当然のことながらインフォームド・コンセントをやると思うのです。そのインフォームド・コンセントのときに、これは医療には限りませんが、あらゆる意味でリスクを科学的に考えた場合に、どういうものだということをすべて明示すべきだと思うのです。
 話が逸れますが、いまの世の中は、あらゆる生活が科学と背中合わせ。科学のもたらす利便性の一方でその存在で車も原発も含めてリスクがある。そのリスクとベネフィットを受ける人がいて、特に医学の場合には患者がそれを選択すると。たぶん、ヘルシンキ宣言のいちばん大事な部分は、多少そこがジャンピングがあったとしても、医学の進歩のためにというのがあるわけです。そのときにいちばん忘れてはいけないのは「患者の自己決定権」なので、インフォームド・コンセントの中で十分していって、一人ひとりの方の問題の場合にはご自分がかかっている病気は理解できますから、全体論として言えば心臓に関するリスクとか、そんな説明をしても、それはそれ以外の患者にはわかりませんが、自分の病気に関することは関心も当然おありだし、わかるので、その局面ではもちろんそれがベースとしてのインフォームド・コンセントという意味です。
 再生医療全体を患者が必ずしも理解する必要はなくて、自分が受けようとしている治療が一体どういう中身のものなのかに関して、リスクも含めてあらゆる情報は開示される必要があるだろうと。ただ、リスクと言ったときに、もうすでに明らかに微生物に汚染されているとか、そういうリスクがあるのは、むしろ科学者なり医師の側がそんなものは患者に投与しないと。説明する前に排除しておかないといけないことではあるのですが、どうしてもここはわからない、グレーゾーン、あるいは想定できないリスクはいくら考えても想定できないわけですから、そこで治療しないということは、場合によっては患者はしてほしいと思っているかもしれないので、そういう機会を提供することはとても大事だと思います。ただ、そこは医師としての強制権になってはいけないと思うのです。患者は弱い立場なので、その辺も全部含めてという意味で言っているのです。
 もう1つは、審査するときに、審査は審査目線で審査をしているわけです。だから、どうしても製品のリスク、あるいは技術のリスクに非常に集中して審査をしています。そのことと患者が感じている受けたい、受けてもいいということと、できれば目線が揃ったほうがいいような気がするのです。そうしないと、薬事の場合にはそこでうまくいかないと、患者のところまで行かないという話になってしまうので、その辺はいろいろな考え方がありますので、疑問があるものに関しては対話を重ねて決定していくということかなと思っております。
○伊藤委員 ただ、これだけの時代になればとても難しくなってきていて、リスボン宣言当時の医学・医療のレベルで理解できた話とは全く次元が異なるぐらいの話だと思うのです。そういう意味で、本当に患者に自己決定をさせるために、スケジュールを見るとこの後でもそういう討議があるようですが、そういうことも考えて、別の仕組みなり何なりを考えていかないと、研究と治療と患者の間に介在する何かを考えないと、これは大変難しい話だなと思ってお聞きしていたのですが、そのことも併せて今後お願いします。
○位田委員 私も患者の自己決定に委ねるというのが、どこまでできるのだろうかというのが疑問に思っていたのです。もし私の理解が間違っていればご指摘いただければと思いますが、従来の薬事なりGCPというのは、ある意味ではパターン化した医療の中で治験をする形でしたから、特定の患者がいやだと言えば、ほかにも同じような患者がいるということですね。だけど、いま先生がいろいろご説明された中でようやくわかってきたのですが、再生医療の場合には、特に個別化医療で治験なり臨床研究なりをやるという話になると、従来のパターン化した医療でのGCPは個別化医療では使えないのではないか、もしくはそれを何らかの形で修正する必要があるのではないかと、いまお聞きしていて思ったのです。そうすると、どこをどう修正していけばいいのだろうかということが1つの質問です。
 同時に、いままでのパターン化医療であれば、患者も臨床研究なり治験なりで自分がいやだと言えば、同じような病気の人はほかにもいるから、ほかの人でやっていただけるということはあるのですが、逆に個別化されてしまうと、自分がノーと言えばほかの人ではやれないかもしれないという状況が1つあって、同時に患者はこの試験をやると自分の病気は治せるかもしれない。再生医療の場合にはそういう可能性は非常に大きいですから、そうすると、どこまで本当に自己決定と言えるのだろうかというのが難しいと思うのですが。
○早川委員 そこは、個々の患者は治療を受けなければいけないということは全くないと思うのです。従来の治療と同じようにインフォームド・コンセント、あるいはその前に臨床研究や治験に入るかどうかのエントリーがあります。だから、そこは全くの自由意思で、私は参加しませんと端から言ったってかまわないし、途中でやめますと言ってもかまわないし、医師の説明としてはそれによって不利を被ることは一切ありませんというのが、そもそも論として書かれるので、患者は自分のことだけ考えていればいいと。自分が受けようとする治療に関しては知る権利があるし、決定する権利があると。そういうことだけです。だから、ほかの人のために自分がやらなければいけないと思う必要は全くないと思います。
○位田委員 もちろん、私も必要はないと思います。ただ、患者としては、よく再生医療は夢の医療だと言われるように、いままでの治療法では治せない、そういう治療法が新たに出てきたので、やってみますか、という話になるのだろうと思うのです。そういうときに、患者はもちろんノーと言う権利はあるのですが、実際にノーと言えるのだろうか。治せるかもしれない可能性にかけてみると考えるのではないでしょうか。
○早川委員 それは、世間が再生医療で、夢の治療というか、治せるということを喧伝しすぎていると思うのです。だから、リアリティとしては、いまの段階ではこの程度ですと、つまりそれが前提だと思うのです。少なくとも非臨床試験とか、そこまでのデータでどれぐらいチャンスがあるのだろうということがすべての前提であって、極めてリマーカブルに、いままでできなかったことを必ずしもできるということではないと。ただ、1つの選択肢としてこういうこともあるかもしれませんと。それはいままでの治療法とは原理が違うので、ただ限界もいっぱいありますということも全部含めて。世の中で言っているように、夢のように、昔インターフェロンで、魔法の弾丸ではないですが、インターフェロンを打てば何でもがんは治るみたいな話もありましたが、そんなことでは全くなくて、これも今はまだそういう段階だと思うのです。だけど、何もしないよりはいいかもしれないという部分があるケースはあるので、私がお話しているのはそのケースについてであって、再生医療と銘打っている全般がそうであるということではありません。
○永井委員長 再生医療だから個別化医療ということはないと思います。これもある意味での規格化医療で、ただ前段階でマニピュレートする部分が、多少個別に手数がかかるということで、医療自体は従来の医療とそう変わるわけではないように思うのです。まだ議論はおありかと思いますが、今後も今日ご指摘いただいた点について議論を深めたいと思いますので、次の議事に移ります。早川先生、どうもありがとうございました。
 次に、事務局から、3月28日に科学技術部会に報告した中間報告について、資料の説明をお願いします。
○谷室長 資料2をご覧ください。3月28日に開催された厚生科学審議会科学技術部会で、昨年度一杯で議論された内容について事務局でまとめて、今年度から入った先生は別ですが、従来から入っていらっしゃった先生方には内容を確認していただいた上でお出ししております。
 1枚目に概要があります。検討の趣旨としては、ヒト幹細胞を用いた臨床研究の適正な実施を目的として、平成18年7月にヒト幹細胞指針(旧指針)を策定したところです。4年ほどかかったものです。研究の進展、iPSやESの技術革新、情報化の推進等により、多施設共同での研究が可能になってきましたので、そういった現実を受けて平成22年11月に一度全面改正を行ったところです。ただ、ES細胞については、樹立と分配の部分を含めて文科省での指針が基礎研究用の指針として策定されてはおりますが、臨床応用についての指針はいまだ策定されていないことを受けて、今回の検討を始めたものです。
 端的に結果として、「検討結果及び今後の方向性」ということでまとめております。ヒトES細胞に関する早期の臨床応用を可能とすることが、今後の臨床再生医療研究の推進には必要不可欠である。また、公衆衛生学的な観点からESに限らず、1つの細胞が服数の人に配られるようなケースを想定して、公衆衛生学的な観点からトレーサビリティの確保を目的とした連結可能匿名化を基本とする、臨床研究用の樹立及び分配(保存も含む)に関する指針を早急に取りまとめる必要があるだろうということになっております。
 今後、指針の策定に向けて、ヒト幹細胞は、ヒト体性幹細胞、ヒトES細胞(基礎研究用にすでに樹立されたものを含む)ということです。これは検討の課題として載っているもので、すぐにこれが容認されるというものではありません。また、ヒトES細胞、人クローンESについては、まだ樹立されていないという事実を含めるので、こういったことで人クローンESについては対象としないとしております。ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)等、(ヒトiPS細胞、ダイレクトリプログラミング細胞等の遺伝子操作等を受けた細胞)等の採取(又は余剰胚の提供)、樹立、保存、分配等に関する課題について検討を継続して行う必要があるとしております。
 詳細ですが、次の頁に中間報告の本体が出ております。1頁です。(1)「指針改定経緯」ということでいままでの改定の経緯が載せられております。(2)「臨床研究において、ヒト胚性幹細胞を使用できないという課題」があるということ。基礎研究のみであり、臨床研究の指針が策定されていないということです。(3)「多数の患者への同種移植のためのヒト幹細胞の保存」ということで、「ヒト幹細胞ストック」という言葉を使っておりますが、ある一定量の幹細胞を保存して、複数の方に提供するような技術、議論がいま現に行われているという点です。
 2頁です。(4)「安全性の基準及び連結可能性の必要性」ということで、いままではES細胞を含めて基礎研究ということで、人体には応用しないことを前提に作られておりましたが、今後臨床研究となった場合に、その細胞から作られた細胞製品が患者、被験者に対して提供されることと同時に、細胞の状態はある程度把握されているので、それから新たに見つかったリスクに対して、提供された方に対しても、望まれた場合かとは思いますが、ある一定の情報提供を行うことが、医学的には必要不可欠であろうということで、トレーサビリティの確保と。今回のヒト幹指針の中では保存と、樹立は調整の中に含まれていて、具体的に「樹立」という言葉は現状の指針の中では使われておりません。まさに樹立という点と保存の点、また分配というものを考えたときに、どのような安全基準が必要なのかということが必要であろうということで検討されたということです。そういったことを踏まえて検討を開始したところです。
 検討の経緯が2.に書かれております。3頁です。「課題と検討結果」です。ヒト幹細胞に関する研究については、京都大学におけるヒトiPS細胞の樹立の成功に続き、米国におけるES細胞の治験の開始、基礎研究及び臨床研究並びに関連分野に関する学術・臨床研究が世界各国で加速的に進められている現実を受けて、ヒト幹細胞の学術的根拠や技術的標準も次々と刷新されているのが現状です。このような状況の中で、緊急的治療を要する疾患に対するヒト幹細胞を用いた治療法の必要性から、ヒトES細胞を含む多能性を有する細胞等について、複数の患者への同種移植を可能とするためのヒト幹細胞ストックの設置が各方面から提案されている状態です。このような提案を鑑みて、委員会において、樹立・分配・保存といったものの検討を行ったところです。
 (1)「ヒトES細胞、ヒトiPS細胞等の樹立に関する課題と検討」です。ヒトES細胞、ヒトiPS細胞の樹立に関しては、個々の樹立細胞によって異なる課題が存在しているということで、ヒトES細胞の利用にあたっては、半永久的に継代をしても利用可能というわけではなく、より少ない分裂回数で利用すべきという考えが主流になりつつある。ヒトiPS細胞がヒト胚の滅失を行わずに得られる多能性細胞として、その樹立を目的としたという科学的コンテクストと、ヒトES細胞と類似の生物学的特性を有するとしてその樹立法が報告されたという科学的事実を鑑みるに、ヒトiPS細胞においてもより少ない分裂回数で臨床利用することが望ましいのではないかということです。また、ヒトiPS細胞については、ルーツとなる細胞が体細胞であることから、利用可能な分裂回数は、ルーツとなる細胞により異なるという推定も否定できないのが現状です。さらに、ルーツとなる細胞が受精卵(胚)であり、生物学的に均一性が担保されているヒトES細胞についても、例えば分化抵抗性、あるいは分化指向性の観点から、どんな細胞になるかの方向性ですが、樹立された細胞株間における不均一性が課題となっているのも現状です。ヒトiPS細胞については、いわゆる山中4因子の導入により、GLIS-1を含む遺伝子の導入等の樹立手法の科学的進歩が認められているものの、対象が細胞であるという事実から、樹立した細胞株間で特性にはばらつきがある現状であり、ヒトES細胞であっても、ヒトiPS細胞であっても、導入遺伝子の変更などの調製工程の変更があれば、同一の細胞とみなして議論することは現状は困難であろうということです。
 (2)「ヒト幹細胞の保存における課題と検討」ですが、ヒト幹細胞の未分化又は分化の状態で保存することに関しては、ヒト幹指針では現状規定がないのが現状です。ヒト幹細胞の保存においては、保存中生物学的特性の変化、化学的・物理的・生物学的な汚染、造腫瘍性の増大、保存条件、電力等の社会インフラの消失時に必要とされる対応などを踏まえ、対象細胞の取違え防止策等の対策を講じることが必要であろうと。このような課題を踏まえて、安全にヒト幹細胞を患者に届けることを可能にする条件、確認事項、バックアップ策等の保存のために必要とされる体制について、過剰な条件設定とならないように配慮しつつ、ある一定の検討が必要であろうということです。
 (3)「ヒト幹細胞の分配に関する課題と検討」です。樹立された単一の幹細胞(株)を、複数の患者に対して提供を行う分配に関しては、保存時の汚染、取り違え等の影響が、移植を受ける複数の患者に拡散されてしまうことから、分配を行うにあたって安全性確保は必要不可欠であるという点です。また、公衆衛生学的に未知の感染症への感染や、遺伝性疾患の発症の可能性等が判明した場合には、細胞提供者及び移植を受けた患者に対して、必要な情報提供を行うことは公衆衛生学上必要不可欠であるということです。そのために、新たな指針の策定にあたっては、トレーサビリティを確保するために、連結可能匿名化を基本とすることが必要です。ただ、連結可能匿名化を基本とした場合においては、容易に連結可能となることにより個人情報等が漏えいする可能性があることから、容易に連結できないようにする対策が必要です。また、受精卵や細胞を提供する機関が閉鎖すること、要するに提供機関、採取機関が閉鎖するようなことも想定されることから、このような状況となった場合にいかにして連結可能性を維持するのかという点も今後の課題となっております。
 (4)「ヒト幹細胞の搬送における課題と検討」です。分配が行われる場合には、分化誘導機関、移植機関等への搬送が必要となります。搬送時には、気圧の変化、温度の変化、振動、汚染等の負荷を輸送する細胞にかけることから、輸送する細胞の品質劣化につながる可能性があります。安全な臨床研究の障害となることが、このようなリスクを考えると容易に想定がされてしまいます。このようなリスクに対して、安全性のための一定の品質を維持するために、搬送時に配慮すべき点、確認しなければならない事項及び条件について、ヒト幹細胞の種類別の特性を踏まえた要件の検討が必要であろうということです。
 (5)「ヒト幹細胞の再分配における課題と検討」です。ヒト幹細胞を提供する機関から未分化の状態で分配を受けた被分配機関が、移植を行う機関に対して未分化の状態で再分配することが想定されます。この場合、ヒト幹細胞のトレーサビリティの確保が困難となることから、再分配におけるトレーサビリティの確保に関する、どのような方策が必要なのかということが必要であろうということです。
 (6)「輸入幹細胞に関する課題と検討」ですが、多くの幹細胞、多能性幹細胞は海外で樹立されていることを鑑みると、海外で樹立されたヒトES細胞、ヒトiPS細胞などが日本国内に輸入され、臨床研究等に用いられたり分配されることが想定されます。このような点についても、患者の安全性の確保の観点から、生物学的な安全性の基準の策定や倫理的観点からの取扱いに対する検討が必要であろうとしております。
 (7)「患者等の適切な安心の醸成」ということで、ヒト幹細胞の安全性に関しては、技術的な基準、手順及び体制により維持されるものではありますが、適切な知識に基づき患者が臨床研究に対する安心感を得られるように対策を講じることが必要不可決だと思います。これは同時に、次にも書いてあるように、患者が過剰な安心感又は不安感を抱かないように十分配慮することが必要であろう。また、患者の安全のためのみではなく、患者が安心感を得られるように、臨床研究を実施する者による情報公開等の徹底に関して、どのように情報公開をしていくのかという検討も必要不可欠であるとしております。
 個別の細胞の課題ですが、(1)「体性幹細胞」です。体性幹細胞については、胚葉を超えた分化が困難であり、胚葉内であっても限定的な場合がある上に、増殖能に限りがある。そのため、多数の患者への使用を前提とした調製、保存又は分配は比較的行われにくいものではないかと考えます。すでに自己移植のみならず同種移植も1対1の条件下で実施されておりますが、体性幹細胞の保存、分配に関する規定の検討についても必要であろうということです。また、体性幹細胞は、提供者の遺伝情報をすべて有することから、適正な情報保護の対応もある程度の規定が必要ではないかということです。
 (2)「ヒトES細胞」です。ヒトES細胞に関しては、胚葉を超えた分化能を有しているとともに、無限増殖能を有することから、多数の患者への移植が可能である。また、海外から輸入されたヒトES細胞が臨床研究に用いられることも考えられる。また、ヒトES細胞については、生命の萌芽を滅失して樹立されることから、倫理的な課題を有しているため、余剰胚の提供、樹立、保存、分配、分化誘導及び移植に際して尊厳を持って実施することは、当然文科省の指針でも書かれているとおり必要不可欠です。特に余剰胚の提供、樹立、分配に際しては配慮が必要であることから、臨床に用いるにあたって、臨床での特性に応じた議論と制度作りが必要不可欠であろうという点です。
 (3)として、ここは最終的に議論がいろいろと出た点ですが、「国内での基礎研究用に樹立されたヒトES細胞に関する課題」です。文部科学省のESの樹立・分配指針に基づき樹立されたヒトES細胞については、提供時におけるインフォームド・コンセントの内容が基礎研究での使用に限定されている場合があります。また、余剰胚の提供又は樹立に関する倫理面の審査は十分に行われてはおりますが、生物学的な安全基準等についての審査は現状行われていない。それは基礎研究に用いるということですので。そのため、現時点で文部科学省のESの樹立・分配指針に基づき樹立されたヒトES細胞を臨床研究に使用することは困難であるということです。他方、基礎研究用に樹立されたヒトES細胞を臨床研究に用いることにより、難病等により苦しむ患者を助けることができる可能性もあります。そのため、基礎研究用に樹立されたヒトES細胞を臨床研究に用いる場合に必要とされる動物試験等の安全性の評価方法及び手続、基礎研究での使用を前提としたインフォームド・コンセントを臨床研究に用いる場合に必要とされる対応、移植に際して必要となる手続、患者への説明内容等に関して、詳細な検討を再度行った上で、基礎研究用に樹立されたヒトES細胞を臨床研究に用いることの可否について検討する必要があるとしております。現状でヒトES細胞がそのまま使えるというものでなく、安全基準をある程度満たすことと、追加のインフォームド・コンセントが取れる等の対応が可能である場合に、申請をいただいた上で、審査に基づき使用の可否について判断してはどうかと事務局では考えております。
 (4)「ヒトiPS細胞」です。ヒトiPS細胞については、ヒトES細胞に比べると、採取等に際する倫理的な課題は低いが、樹立に際して遺伝子導入等を行う必要性があること、樹立までの操作手順が多いことから、物理的・化学的・生物学的汚染の可能性が高くなるという問題を有しております。また、樹立された細胞については、特性や品質等の揺らぎが大きいことから、樹立方法のみでなく樹立方法と連動した品質の確認が必要不可欠と考えております。また、ヒトiPS細胞は、提供者の遺伝情報をすべて含み、連結可能匿名化を前提に樹立から移植まで行われることから、それぞれの段階における個人情報の漏えい、個人情報のみとは限りませんが、漏えい等を予防するための対策について検討を行う必要があるということです。
 最後に「今後の方向性」としては、当初ご報告しましたが、ヒトES細胞等の樹立と分配に関する5回の委員会における検討の結果として、ヒトES細胞を早期に臨床応用可能とすることから今後の再生医療をすること、公衆衛生学的な観点からトレーサビリティの確保を目的とした連結可能匿名化を基本とすること及び臨床研究における使用に特化した指針を早急に取りまとめる必要があるであろうという結論としております。今後については、クローンESを除いたヒト幹細胞に対する採取(余剰胚の提供を含めて)、樹立、保存、分配等に関する課題について検討を行う必要があるということでまとめました。
 別途カラーの資料を2枚ほどお配りしております。少し論点の整理をと思い、事務局で作成しました。ヒト幹細胞臨床研究における細胞バンクと、薬事法における、ここでは「細胞バンク」と書いてありますが、Master Cell Bank、中身としてはよく似通っていて誤解を招くのですが、違いについて少しまとめてみました。
 ヒト幹細胞臨床研究の指針、今回の見直しの中である程度検討が必要と思っている部分については、「ヒト幹細胞の臨床研究における応用方法の研究開発のための未分化の状態でヒト幹細胞を保存する」こととなっておりますので、特定した組織等への分化特性ではなく、分化多様性に着目した観点からの未分化のヒト幹細胞が対象となりバンキングされるものです。分化特性に対しては、バンキングの中には多様性を有するものであろうと考えております。
 また、薬事法の中で、まさに早川委員からご発言があったとおり、出口からのアプローチということがありますので、医薬品・医療機器の最終調製物として最適なヒト幹細胞のまとまりを保存したものがMaster Cell Bankと考えております。例えば、心筋を最終調整物とした場合に関して、心筋に分化することに特化した特性を有する未分化のヒト幹細胞のまとめられたもの、ですから、その中には心筋の分化特性を有するものであって、心筋以外に分化特性を有するものはできる限り除いたものをバンキングしたものが対象となります。もし、仮に完璧な多分化能を有していて、何の細胞にもなるバンキングが存在する場合は、薬事法のMaster Cell Bankとこちらの指針の中で検討を必要としているSeed Cell Bankは共通のものになる可能性はありますが、最終生産物と分化特性の揺らぎがあることを考えると、たぶんSeed Cell Bankの要件、中身に入っているヒト幹細胞とMaster Cell Bankの内容を構成する細胞は自ずと特性が変わってくる。Seed Cell Bankの中には、当然Master Cell Bankの中に入れる細胞もありますが、それ以外の細胞も含まれているバンキングですので、たぶんここでは出口からの分化特性に対する評価といったものは、ある程度薬事法上でのMaster Cell Bankとは要件が変わって来ざるを得ないかと思っております。
 連結可能及び連結不可能匿名化の違いによるヒト幹細胞臨床応用を原因とする健康危機事案発生時の対応範囲として、下にまとめました。現状の連結可能匿名化は下に書いておりますが、連結不可能匿名化からご説明します。連結不可能の場合には、提供者の情報は途中で廃棄されてしまうので、提供者を追いかけることは基本的にはできません。そうなると、もし仮に樹立された細胞株に対して問題が起こった場合は、細胞を提供した被験者に対してのみ対応が行われるものであって、細胞提供者に対して、遡って提供者までの安全性を確保するのは困難かと思います。逆にできることになると、連結可能性が壊されていることになってしまいます。
 これに対して、連結可能匿名化となると、細胞提供者が誰なのかという情報も含めて保持していることなので、何か問題が起こった場合にも、被験者だけではなくて細胞提供者に対してもある一定の安全確保のための対応が取れるということで、今回連結可能匿名化を基本にしてはどうかというご提案をしたところです。ただ、問題点があって、連結可能であるということは、逆に提供者の追跡ができてしまうということが大きく、規制の緩和というよりは連結可能されてしまうことによるリスクがそこでは発生してしまうので、当然連結可能とした場合には容易に連結できないための方策と、連結可能であるチェーンが切れた場合に、どうそのチェーンが継続できるかという対策の2点が必要になってきます。そういった意味では、連結不可能匿名化という対応表を廃棄するパターン以上に規定をいろいろと考えておかなければ、情報等の保持、漏えいの防止等が難しいだろうということになりますので、その辺の安全性確保のための対策が多分に入ってくる可能性があるということです。
 もう1枚、横表のオレンジの表組みになっておりますが、これはヒト幹細胞と薬事関連の幹細胞5指針に関する対応表を少しまとめたものです。左側の縦に幹細胞ということで、幹細胞の種類として体性幹細胞、ES細胞、iPS(様)細胞、横に自己と他者、他者の中に1:1の対応と1:Nの対応としております。この中で、体性幹細胞については「ヒト幹指針」ですでに臨床研究が対応しておりますし、薬事法については、自己の場合、「体性幹細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」で対応しております。これに対して他者の場合ですが、ヒト幹細胞指針については調整の中ですべて樹立までを含めているので、具体的に個別的な樹立の部分、保存、分配については今回明記をされていないということになると、保存条件や分配条件に対する制限が現状ではかかっていないということです。これに対して薬事法については、「ヒト(同種)体性幹細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」として指針が出されています。
 ES細胞については、自己の移植はなくて、斜線を引いておりますが、他者については、1:1のES細胞の使用はあまり考えにくいところですが、理論上はあるので、ここではあえて載せました。こちらについては、ヒト胚の臨床利用に関する基準については、現状の指針では対象外としております。それに対して薬事法については、「ヒトES細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」で対応されているということです。
 iPS細胞については、自己の場合はヒト幹指針で、薬事法では、ヒト(自己)iPS(様)細胞加工医薬品等云々の指針で対応されていますが、同様に、他者の場合には、ヒト幹指針の中では樹立、保存、分配の基準値がいまは明記されていない点があり、薬事では対応があるという状態になっております。
 基本的に、薬事法については早川先生にご提案いただいた内容を含めての案の状態ですので、ある程度議論が進んでいる状態で、現状確立されていないものですので、誤解なきようよろしくお願いします。以上です。
○永井委員長 それでは、ご質問、ご意見をお願いいたします。
○佐藤(陽)委員 1枚目の縦長のものの上のほうです。中間報告の中で「ヒト幹細胞ストック」という言葉を使っています。「Seed Cell Bank」という言葉は、実は谷さんが好んで使う言葉だとは知っているのですけれども、混乱を招くので、「臨床用ヒト幹細胞ストック」という形に言い換えたほうがいいのではないかと思います。
 それから、薬事法の例です。実は、「心筋に分化することに特化した特性」というよりも、どちらかと言いますと、最終調製物の品質を再現性よく達成することのできる特性を持った細胞なのですね。心筋細胞になればいいという話ではなくて、製品の品質を再現性よく担保できるための特性を持った細胞ということになるかと思います。
 続けていいでしょうか。その下のほうです。連結不可能の話、匿名化の話についてです。今日は触れないでおこうかとも思ったのですが、ここに出てきたのでコメントさせていただきたいのです。まず、連結可能匿名化にしてしまうと、最近考えていることなのですが、採取機関が記録を保持していなければならないことがあって、そこに非常に大きな負荷がかかってしまう。それをどのようにしたらいいのか。採取機関というのは大きな医療施設をイメージしていらっしゃるかもしれませんけれども、個人の、不妊治療のクリニックだったりする可能性も多くあります。そういったときに、そこの情報管理のシステムをボランティアで立ち上げさせて、情報管理をする人を雇うことまでさせてとなってしまうと、採取の機関の負担がかなり高くなってしまうのではないかという危惧をまず持っています。
 それから、トレーサビリティと連結不可能か可能かというのは、似たような概念なのですけれども実は違っています。トレーサビリティというのは、基本的には、製品の有害事象が発生したときに、どこに原因があるのかを特定するために必要な追跡可能性であって、本人にたどり着かなければならない必要が実際にどこまであるのかということが、まず1つあります。例えば、ドナーの生体サンプルさえ保存しておけば、本人までたどり着かなくても、ある程度の保健衛生上の措置は取れるわけです。そういったときに、本当に連結可能性が必要なのか、本人までたどり着かなければいけないのかという疑問があります。
 先ほど、何か有害事象が発生したときに、ドナーの方に対処できなくなるので連結不可能匿名化はよくないというお話がありましたが、それは確かに連結可能にしておければ、ドナーの身体を管理して監視することによってリスクは下げることはできますけれども、実際、連結不可能にしたところでリスクは一般人と同じになるだけなのです。ですから、果たしてそこまで連結可能性にこだわる必要があるのかなというのが疑問です。
○永井委員長 いまの点はいかがでしょうか。
○谷室長 「Seed Cell Bank」については、勢いでそうしてしまって、すみませんでした。修正しておきます。
 薬事法については少し端折って書き過ぎました。特徴をこのような形にまとめたほうがわかりやすいかと思ったのですが、そこは補足していただきましてありがとうございます。
 連結可能匿名化の件では、まず、採取機関の負担についてということであれば、それに対応した対策がまさにこの委員会の中で検討されて確立されることが必要だと思います。もう1点あるのは、医療法上、医療行為を行った場合はカルテを記載しなければいけない上に5年間の保存義務が課せられています。たぶん最近は医療機関は、民間のクリニックは別として、永久保存されている所がほとんどだと思います。また、今回のようなケースにつきましては、大きい医療機関で行われることが多々ではないか。たぶん、1:nといったとしても、500人などの規模ではなくて何十人の規模が最大限ではないかと経験的には思っています。そういった意味では、あまり大きい数ではないこと。それから、やはり保存期間のカルテが存在した時点で必然的にそこには連結性が存在してしまう。行為は書くことになっていますので。そうなったときに、採取機関における負担がどこまであるのかの部分を踏まえて、まさにこの委員会の中で検討していただいたほうがいいと思います。
○佐藤(陽)委員 追加です。もちろん、中間報告にありましたけれども、連結可能匿名化を基本とすることには別に反対ではないのですけれども、日本のドナーの心理を考えたときに、果たして連結可能でICが取れるかどうかという問題もあります。長期間身体を管理されてしまうわけなので、そういったことに対して、海外は知らないのですけれども、日本では抵抗感が強いのではないかという懸念があるのです。もちろん連結可能であることは基本なのだけれども、何か次善の策として、トレーサビリティをどうにか確保する方策はないのかということを考えています。
○谷室長 そこは強くお考え過ぎではないかと思うのです。そこには当然、提供者の選択の余地はあって然りだと思います。ちょっと考えにくいのですが、例えば極論で話しますと、エボラのような疾病が判明した場合に、やはりそこは個人の保護よりも公衆衛生学的というか、公益性を鑑みて対応を振らなければいけないような場合があったときに、追跡性が必要になってくるということです。ゲノムの指針の中でも、どこまでの情報をフィードバックしていくのかが課題になりましたが、現状でリスクがあるから「すべて」なのかどうかは、まさに提供者側の選択があって然りだと思います。となると、本人が本当に致死性の疾患でとか、あるいは治療法があってなどの選択の中で、どういったインフォームドコンセントを取った上でやることが、より提供者の権利と情報の保護が考えられるかを前提に議論をいただきたいと思っています。
 本人までたどれる必要性があるかについては、先ほど言った致死性やゲノムの分析について、それが判明した場合に、どこまで行政として返してあげなければいけないかという責務が発生します。そういった意味では、やはりある程度の管理、情報の提供ラインを残しておくことは必要かなと思います。
 また、身体の管理については、具体的に本人を定期的にお呼びして健康診断を受けていただくのも1つの手だとは思いますけれども、基本的には、提供された方の細胞が存在していますので、常にそこでは細胞の状況を見ている状態です。その中で、もし提供者本人に素因があって出た障害の場合には、ある程度そこは、提供者の皆さんが望まれるのであれば、情報を還元していく責務は出てくるだろう。こう考えたときの提供であって、定期的に健康診断をしますというまでは想定はしていません。
○永井委員長 その点で、もう1つです。自己のESはあり得ないということでしたけれども、あり得るのではないでしょうか。提供者が将来、10年後に何か病気になったときに、私が提供したESで再生医療をして欲しいということを提供の条件にすることもあり得るのではないでしょうか。そのときには、トレーサビリティが当然問題になりますね。
○谷室長 対応としてはあるかと思いますが、現状では樹立株の自己というのは。着床前診断などで細胞を1個取ってということはあるのですが、現実はそれで樹立株がないので、今回は外しています。外して、今回のこの表からは斜線にしていますが、事実、あることはあるとは思います。
○松山委員 技術的には確立されていて、米国では特許が成立しています。胚盤胞の所から1個だけマニュピュレートしてきて、そこからESを作って、残りの細胞は受精していただいてお子さんが生まれるというのは、もう技術として確立されています。ヒトでそれが行われているところまでは情報を持っていません。
○永井委員長 いえ、そのためにではなくて、今回、滅死細胞を使うにしても、そのときに提供の条件として、将来、自分のために使ってください、自分も対象に含めてくださいという話が起こり得るのではないかと思うのです。そういうことはあり得ないのですか。
○谷室長 そこは少し説明が足りなかった点がありますが、ここで言っている「自己」というのは、ゲノム的に同一性を有しているかどうかで、自己か同種かを判断しています。松山委員がおっしゃられたように、4細胞か8細胞期のときに1個を出してきてそこからESを作った場合は、同一ゲノムに基づくものが存在するのです。
○永井委員長 同一ではないけれども、そのカップルがそういうことを希望することもあり得る。そうすると、そのトレーサビリティはどうなるのか。
○谷室長 その場合は、ここでの区分けとしては、「他者」に入れ込んでこの表は作っています。
○鹿野委員 先ほどの、トレーサビリティの議論で参考になりそうだなと思ってお聞きしていたのは血液製剤です。献血については、血液製剤で感染性の因子が検出された場合の遡及体制が作られており議論のベースとして参考になると思います。かなり大きいシステムで、再生医療のように個別化で扱う場合とはまた少し違う部分はありますけれども、例えばエイズの検査目的で献血をされるのは困るので、原則、血液提供者の方には検査結果を情報提供をしないという議論がありました。
 もう1点、記録の保存についても、血液製剤の使用後の記録については、医療機関でその記録を取っておかなければいけないのですが、医療機関が廃止された場合にどのように情報を保存するかなど、細かい規定があるはずですので、その辺も検討いただきたいと思います。
 今回の議論は臨床研究が対象ですけれども、おそらくここで樹立された細胞については、将来的に薬事法下の開発に用いられる可能性もあると思います。その場合、原材料に関する保存の規定が薬事法下でもあります。正確に覚えていないのですけれども、カルテは5年とおっしゃいましたが、リスクの高いものについては薬事法下ではもっと長く、原材料は30年でしたか。製品の使用・製造の記録の保存期間がいくつかあるので、その辺の整合性も、今後の議論で参考にしたらよいと思います。
○早川委員 この縦長の、いま議論になっていた点です。このヒト幹臨床研究指針のSeed Cell Bankという概念と薬事法下におけるこれとは、特段、矛盾した話ではないのです。投与するのはある製品と特定されてしまうわけですね。それを供給するときに、あるバンクからきますと、薬事法的に言うとそうで、それはヒト幹で言っても、同種の場合にはそれがバンクになるのだろうということです。では、そのバンクの原料がどこからくるのかとエクステンドして考えると、それがヒト幹でいっているSeed Cell Bank、あえて位置づけるならば、ということなのです。別にこれは何も矛盾していなくて、繋がっているステップワイズの中でのどのマイルストーンなのかという話だと思うのです。ですから、入口から入っていっても出口から考えてみても、いずれにしてもどちらからアイデンティファイしていくのかというだけの話なので、その辺の定義を明確にしておけばいいのではないかと思います。
 と言いますのは、最後に薬事法のバンクを作ったとしても、ある会社が別のものを作りたいと思ったときに、そこから作れるのであればまた作るかもしれないのです。出口から出たときのバンクは、これは承認上はっきりしておかなければいけない。別のものを作ったときには別承認ということで、バンクの位置づけとなります。その大元の、例えばiPS細胞の誰かから分与されたものであれば、それはそういうことなのです。普通の場合でも、CHO細胞というものが世の中にあって、そういうシードがあって、そこから各会社はCHO細胞を持ってきて、それに遺伝子導入して製品を作る。そのときに作った製品に対応するバンクが一般にいう細胞バンクということなのです。ここは、そのように考えれば、エクステンドして考えるか考えないかだけの話です。並列ではないのですけれども、同一線上に並んでいるのだろうと思います。
 それと、後ろのほうの話は、結局、有害事象、トレーサビリティの問題ですね。例えば、ES細胞を作ったときに、どの段階できちんとキャラクタライズ、特性解析するのか、ウイルス学的な検査をするのかということは置いておいてですね。もし、ES細胞の段階でやるとすると、そこで微生物学的な、ウイルス学的な検討は徹底的にやらないといけないわけです。極端に言えば、その段階で仮に未知であったとしても、そこは電顕で徹底して調べれば粒子があるかどうかはわかるのです。それで、未知のものがあったら、それは一体何かということは問題にはなるかと思いますが。私はそれは細胞レベルで考えればいいと思います。
 細胞提供者、特に配偶子を提供する人たちという意味ですが、その人たちに何か非常にとんでもない病気があって、逆に言うと、レシピエントたる患者に障害をもたらすようなことがあるのであれば、本人たちにまず現れるだろうと。つまり、ES細胞から実際の製品を開発するのに時間が何年もかかるわけです。だから、先ほどのエボラのような話だと、その間あるいはその前に、提供者たちには何らかの形で明らかになってしまっています。ただ、スローウイルスのように何十年もかかって現われてくるようなものがもしあったとした場合には、確かにトレーサビリティという話になるのですけれども、もう何十年も経った後で、もともとの提供者が一体どうなっているのかということもあります。それも、先ほどの未知の粒子ではないですけれども、トレーサビリティだけの問題で言えば、私はその段階で押さえられると思うのです。だから、提供者まで非常に無理をして遡るような仕掛けを作る必要が科学的にあるとは思えないのです。
○谷室長 実は、過去に我が省ではいろいろと課題もありまして、検討したときには、考えられる範囲でできることはすべてやった上で対応すべきというところも多分にあると思います。予断を持って大丈夫だろうということではなく、きちんと石橋を叩いたほうがいいと思いまして、必要性よりも、可能なことはすべて手続きとしてやってしまう。ただし、絶対的な基準である必要は私はないと思っています。そこで、どの辺が基準としてリーズナブルなのか、かつ、何か不測の事態にも対応できるようなものを検討していただきたいと思っています。
 もう1点、最初のSeed Cell Bankについてです。Master Cell Bankについては、おっしゃるとおり、ベクトル的には同一線上に乗っているものですが、入口の方向性が変わってきていますので、その部分を再認識いただきたいと思っています。過剰なチェックがかかってしまうと今度は研究者にとっても負担になりますので、ある程度の参考なのか、なくてもいいのか、最低限必要なのか。例えばウイルス検査については、最低限必要だろうというものについてはある程度の担保をミニマムで作っていく必要性がある。ただし、その場合は、臨床研究という特性に基づいたセットが必要だろうということで、あえて今回、出させていただいたものです。
○永井委員長 まだご議論があるかと思うのですが、少し時間が押していますので、次の、今後の議論の進め方についての説明をお願いします。
○谷室長 資料3の縦の表をご覧ください。今後のスケジュールです。今回のこの回が5月です。6月から概ね1カ月に1回程度ずつ開催、8月はお休みさせていただきますが、できれば今年度中ぐらいに形まで持っていきたいとは考えています。議論もいろいろとありますし、他の指針等の変更もありますので、そこは状況を見ながらと思っています。
 システムの前に、まず対象となる細胞について現実の状況を鑑みるため、6、7、9月に、各細胞の医学的、生物学的な要件が何なのかをまず提示していただいて、どのような案件を見る必要があるかを明確化したいと思っています。今回、早川委員に薬事のところで作っていただいた内容等が役立つと思っていますが、こういった検討の中で生物学的、医学的内容をする。
 次に、連結可能の維持としてどのようなシステムが必要なのか、どのぐらいのハードルにするのか、特例的にそれを求めない場合は何かについてご議論いただきたいと思います。
 11月の段階では、インフォームドコンセントについてです。まさに伊藤委員がおっしゃっていたように、患者の判断に基づくのだが、どのように何を提供するべきなのかという問題、それから、倫理面につきましては文科省の指針の中で議論がされていますので、臨理的課題についてはある程度の決着がついているという認識の上で、連結可能にした場合にどのような制度にするべきかについての議論が必要だと思っています。
 12月には、既存の樹立された細胞や海外からの輸入ヒト幹細胞に対してどのような手続きを、いま国内でやろうとしていることとどうインテグレートしていったらいいのかについて議論を行います。
 予定では、1月に総論、取りまとめを行い、1月末か2月ぐらいにパブリック・コメント、最速で3月末ぐらいに出せればという期待を事務局では持っています。以上です。
○永井委員長 進め方についてご意見はございますか。
○高坂委員 先ほどの、中間報告にも関わることです。今後のスケジュールを聞いていまして、前回、相当議論になった、この指針の改正での対象細胞をどうするかといった問題等、その辺がまだ。本当に皆さんのコンセンサスを得てやっていただきたいと思います。私の意見としては、前にもESに特化したほうがいいのではないかと申し上げましたが、それに固執するわけではないので、体生幹細胞も含めてやるのだということであればこのスケジュールでやっていただければいいのですが、そこの確認だけしておいていただきたいのです。
 それから、前回これは確実に皆さんのコンセンサスが得られているということで、松野委員も発言されていましたが、ES細胞の基礎研究として樹立されたもの、この可否についてまだ検討する必要があると中間報告に書かれています。これはもうほぼ皆さんのコンセンサスは得られたはずなのです、基礎研究のものは使えないということで。7頁の最後の所にも、「基礎研究用に樹立されたものを含む」と書かれているので、そこは先ほどから若干気になっていました。それはやはり明確にしておいていただきたいと思います。
 特にESの、それも基礎研究であると、これは文科省と相当擦り合わせをしないと、どちらが検討するのだという問題になりますので。
○谷室長 まず、対象細胞を何にするかについてです。まず、医学的な課題について、6、7、9月で明確にさせた上で、再度ご議論いただいて判断していただいたらどうかと思っています。ここに書いてあるものはすべて入るというものではなく、実際にどうなのか、何を基準に考えるのかに基づいて、再度議論が必要ではないかということで、当初にこのような医学的なものを含めています。
 ES細胞についてです。既存の樹立株についてはコンパートネーション・ユース的な問題も多々含みますので、そういった面で実際にインフォームド・コンセントの追加が可能なのかどうかという点です。ある程度の要件が、これからのものかもしれませんが、ES細胞の中で議論が確立されてきたときに、どこまでマッチングできるのかに基づいて使用できるかどうかについて再度ご検討いただきたいという考えです。ある新聞では「容認」などの報道もあったのですが、そういったものではなく、再度、内容的なものを加味した上でもう一度検討を加えるという意向で報告させていただいたものです。
○永井委員長 いまの仕組みの中では絶対に無理です。ですから、文科省のガイドライン等も含めた検討の余地はあるということなのです。
○佐藤(陽)委員 目的外使用についてです。この会の何回目かで、ヒトゲノムの指針の改定の話や疫学や倫理指針などがあって、そのときに、目的外使用についてはこうするといったような規定がたしかあったと思うのです。それが果たしてES細胞のときに適用できるのかどうかという議論もまだなされていないので、やはりその辺も含めて議論していただいたほうがいいと思うのです。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、時間になりましたので、事務局から連絡事項等をお願いします。
○谷室長 次回は6月26日(火)の、少し遅い時間ですが、17時から19時に開催を予定しています。会場は未定ですので決まり次第ご連絡いたします。以上です。
○永井委員長 今日のご意見を事務局でまとめて、次回、方針をお示しいただくことでよろしいでしょうか。では、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室
TEL  03−5253−1111
内線 2587

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