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2012年4月25日 第4回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年4月25日(水)10時00分から


○場所

厚生労働省中央合同庁舎第5号館専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

委員<五十音順、敬称略>

井伊 久美子 (社団法人日本看護協会 常任理事)
今野 浩一郎 (学習院大学経済学部経営学科 教授)
岩崎 明夫 (ソニー株式会社人事部門産業保健部 産業医)
門山 茂 (東京労災病院勤労者予防医療センター 副部長)
塩山 あけみ (日立製作所労働組合日立支部 執行委員)
砂原 和仁 (東京海上日動メディカルサービス株式会社健康プロモーション事業部 部長)

参考人

武田 雅子 (株式会社クレディセゾン 人事部長)
原田 とも子 (NTT東日本関東病院 総合相談室)

事務局

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
高渕 憲一 (労災補償訟務分析官)
飯田 剛 (労災管理課長補佐)
松本 篤人 (労災管理課企画調整係長)
小島 敬二 (労働条件政策課長補佐)
木内 哲平 (安全衛生部労働衛生課中央労働衛生専門官)

○議題

(1)治療と職業生活の両立等の支援に関する有識者ヒアリング
(2)その他

○議事

○今野座長 それでは、時間ですので始めさせていただきます。ただいまより「第4回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会」を開催いたします。本日は今村聡委員と本田麻由美委員が欠席です。
 議事に入る前に事務局で人事異動がありましたので自己紹介をしていただけますか。
○労災補償訟務分析官(高渕) 4月1日付けで、前任の小澤調査官の後に参りました高渕と申します。よろしくお願いいたします。
○今野座長 それでは今日は有識者からのヒアリングということで、株式会社クレディセゾン人事部長の武田雅子さん。NTT東日本関東病院総合相談室の原田とも子さんにいらしていただいております。お2人から20分ぐらいお話をいただき、その後に議論をしたいと思います。最初は武田さん、その後に原田さんの順番で行きたいと思います。それでは武田さんお願いします。
○武田参考人 おはようございます。初めまして、株式会社クレディセゾンの人事で部長をしております、武田雅子と申します。本日は弊社における傷病休職者の支援制度ということで話をさせていただきます。私自身の簡単な自己紹介をさせていただきます。入社が1989年です。もともとは営業の顧客対応の窓口や、法人営業などをしておりましたが、2003年に人事部に参り、現人事部長を2008年から拝命をしております。ちょうど4年目に入ったところです。
 簡単に会社の紹介をさせていただきます。会社自体は、もともとの設立は1951年になります。その頃の商号は株式会社緑屋というもので、クレジットで小売を行う月賦販売の百貨店がスタートです。ちょうど創業から62年目になります。企業30年説で申し上げると最初の30年間は小売の時代。次の30年間が、信販業をスタートして、クレジットカードのビジネスを展開したと。ここから先はまだカード自体のビジネスはコアとして残しつつ、webビジネスなど新しい分野にもビジネスの領域を広げていくという形になろうかと思います。本社は池袋のサンシャインのビルの中にあります。正社員の数は、2,300名弱。社員の平均年齢は、このところ35歳前後のところを推移している感じです。平均勤続年数は、こちらの表にはありませんが男性が11.7年、女性が8.3年。特徴的なところでは、全社員の4分の1が男性。残りの4分の3が女性と、非常に特徴的な労務構造になっております。
 事業所ごとの人数は、フルタイムで働いております契約社員を含んだ人数になっており、これに足し込むと3,000人を少し超えるような形になりますが、いちばん右側にあるカラーの数字が上の段が男性、下段が女性の人数です。本社は約半々ぐらいで、330名から350名の割合で男女がおりますが、この都内2ヶ所にありますセンターは、コールセンターで、こちらはほとんどが女性です。どちらかというと年齢も40代を中心とした大体子育てが終わられた女性の方たちが中心になって、勤務をしていただいております。あと特徴的なところでは、たぶん皆様もいろいろな商業施設の中で弊社のセゾンカウンターをご覧になられた方もあるかと思いますが、そちらが窓口として、全国に約140ヶ所。営業の拠点が支店が全国に10ヶ所ありますので、そちらに約1,800名ほどの社員が従事しております。こちらも特に顧客対応の窓口のところに関しては、99%が女性です。全体としてはこういう形です。全社を支える人事部の体制が次の4頁です。表では、私の下に31名になっておりますが、実は非常に女性が多いので、産休・育休前後の社員が常におり、大体31名から34名ぐらいのメンバーで運営をしています。課としては、人事の中で企画の業務、労務管理や給与を中心としたサービス&サポートという名前のチーム、新卒及び中途の採用、社内の全者の教育を行う人材開発チームこの3つに分かれています。これから話をする健康管理チームは、企画のグループの課長の下にカセットして活動しているチームです。
 健康管理の中の体制は次の5頁で、産業医が30代の女性と40代の女性の2名おります。その下に看護師と保健師が同じぐらいの年代で1名ずつ。正社員を2名つけていますが、両名ともに短時間勤務の社員です。非常に女性が多い会社ですので、窓口に関しては女性がよかろうということで、こういう体制をいま取っております。
 次の6頁では、全社の安全衛生の体制です。右側から従業員の全拠点にいる従業員の方たち。衛生推進者及び担当者が全国にいます。いま池袋は若干増やし、今期からは20名トータルで配置しております。その者たちが各部門の統括の窓口をして、各月衛生委員会を実施しています。それを取りまとめるのは、私たち本部の衛生委員会で、労組の委員長にも入ってもらっています。衛生委員会の委員長は副社長で、常時ある窓口としては健康相談窓口というものを設けております。
 次の7頁で、健康管理チームスタートの背景です。ここを作っていくにあたり、この体制が整ったのは、2006年ぐらいからで実は非常に遅蒔きではずかしい限りですが、これは本当に他社でも同じ状況だったかと思いますが、メンタルヘルス不調による休職者が増加しており、当時は私は課長で当時の部長と一緒に面談等なんとかマンパワーでやっておりましたが、かなり私たちの時間自体を取られてしまう状態で、いざ戻ってくるときの復職面談などしても明確な基準がなかったり、またはいつの間にか各部門の中で復職をしている者がいたりと。中には、スムーズな復職を果たせないケースもあり、これが人事部としても非常によくないと。そこで、それまでの後手後手の対応をきちんと整理をし、早急に体制の構築をしようということを決めました。ここから決めると早いのが弊社の特徴です。この後直ぐに実は当時産業医大のほうに相談をし、産業医大ソリューションズという学内ベンチャーがあるのですが、そこの代表をされている亀田高志先生に全面的に入っていただき、それから就業規則の改正からスタートし、全社の中で徹底にいたるまで、ご協力いただきながらスキームを作ったということになります。その就業規則を改正する以前に、また人事部というのはそもそも何をすればいいのか。これは参考までの資料ですが、人事部として社員の方たちと約束していることが大きく分けると3つあります。1、社員の方たちの働きやすさ。これはいわゆる処遇や福利厚生、それから人事制度そのものです。例えば人事制度で、一部雇用形態を自由に変えて働けますよというようなこと。自分自身の好きな仕事にチャレンジをするような手上げをする制度。そういう処遇・福利厚生面で働きやすさということを提供します。二つ目は、働きやすさに比べて更にモチベーションが、プラスに転じる部分で、がむしゃらになって夢中で働いてもらう点です。ポイントは、働きがいやモチベーションの部分で、社員1人1人の方の成長実感、組織の中できちんと役立っているか、また、自分自身が新しいことを一歩踏み出してすることができるという効力感、これを提供するということです。通常は基本的にはこの2つでいいかと思いますが、弊社が拘っているのは、3つの目の「働き続ける」という点です。いろいろな方たちが、いろいろなバックグラウンドの中で会社に来て働いてくれているわけで、とにかくキャリアを続けてくださいと。もちろんキャリアの研修もそうですし、いろいろな節目研修の中で、事あるごとに人事部から話をしています。この中で人事部としてできることは、個人の方たちが持っている発揮されている能力ではなく、潜在能力を含めて個人のポテンシャルを見せること。こういう可能性がありますときちんといろいろな適性検査、いろいろな仕事の中で気づかせること。いろいろな先輩たちの背中も含めていろいろな働き方がある。いつもフルスロットで飛ばしているのが働き方ではないですし、ときには短時間勤務、雇用形態を変えたりし、とにかく続けてくださいということを話をします。「働きやすさと働きがい、働き続ける」これが人事部のメンバーにもこのことを提供することが私たちの仕事で、実は人事部の中ではこの後ろに全部の担当の業務が貼り付いている事になります。
 いま、働き続けるという話をしましたが、では実際に例えば傷病休職者が出たときのフローはどういうふうになっているか。普通病気に気がつき、会社を休み、大丈夫と思ったところで復職です。今日は時間がないのでポイントだけ持ってきました。休みが最初わかり、休まざるをえない状況で、休みなさいとなったとき、休職者にハンドブックを渡します。手引きを渡し、この後、給与はどうなるか、手当ての申請、傷病手当、休職の手当てを申請されるのならどうするか。どういう状態になったらそもそも戻れるかをセルフチェックのところの項目も含め、一冊の小さい冊子になっているものです。これをご本人に健康管理チームから渡します。場合によっては、所属からもイントラに載っておりますので、プリントアウトをして渡しております。併せて、休む社員の方に休み中の様子を知りたいので産業医から主治医の方に、あなた自身の様子、病状について連絡を直接取らせてもらうことがあるかもしれませんが、いいですかといって同意書を取ります。もちろん社員の方の同意があり、成立するものです。実際に運用し、まずいただけないことはありません。
 休職中のコミュニケーション、もちろん休みのまま、休みっぱなしになっているわけではなく、部門または人事から、これはすごく難しく、パワーハラスメントみたいな、いろいろな組み合わせの問題があり、どちらが一方的にではないですが、パワハラが原因で休む社員の場合、その上司が大丈夫?、大丈夫?と言うことでよけいに具合が悪くなるという場合もありますので、そういう場合には人事からとか、フォーメーションを変えて、フォローアップするような。ただコミュニケーションを切らさないことを徹底しております。復職のプログラムに関しても、こういう状態になったら復職プログラムに入りましょうということが手引きの中に書いてありますので、必ず2週間のプログラムをこなしてから戻るとこれも徹底をしてあります。また戻るときは、短時間勤務からの復職が可能で、その後も産業医または部門でフォローアップします。就業のときに配慮が必要であれば、産業医と最終的には人事部長が指示という形で部門の中に、この方に残業禁止、1カ月間は2時間の短時間勤務でお願いしますとか朝の通勤ラッシュは避けて通勤させるようにしてくださいとか、人事部から通知書として出しています。その後のフォローアップもきちんと行うことで、スムーズなソフトランディングができる復職を目指しています。
 年間クレディセゾンでは、1カ月以上の傷病休職の方も含めて、70名ほどの方がこのプログラムで復職をされております。実際プログラムを入れてから、この平均の休職の期間自体が、9カ月から7カ月に2カ月短くなりました。実際職場の中で休職者が出たときに、実際社内の組織と併せ、どういうようなものを誰がいつどこに提出をすればいいのか。これも実はイントラに手引きと一緒に載っています。いまの段階、不調とわかった段階、休みの段階そのときに上長と人事部はこういうコミュニケーションを取りましょう、休職中のところは、産業医と不調者に任せましょうと。それが全部、誰がいつ何をやればいいのかは分かっているので、ここに関しては本当に混乱がなくなり、たった1枚の表ですが、非常に有効だったと感じております。
 ここがいちばん伝えたいチャートかと思います。制度の実績のあるもの、いろいろな人事制度がありますが、今回は傷病休職者の復職支援制度ということで、この制度をきちんと使って貰う、また社員の方たちに使ってもらうことは有効であるということが示すことが必要になりますので、これをksfとは、Key Success Factorですが、いかにきちんと実績があるもの、利用してもらい使っても安心だし、大丈夫というものに変えるためにはどういうものがあるか、列挙してまいりました。人事部のスタンスが明確でぶれない、何を大事にしているのか、特に傷病休職の制度に関しては、働き続けてくださいと。どうやったら戻ってこれるか、戻ったときにどうすれば働き続けることができるかをいまの状態、いまの雇用形態のときには関わらず、一緒に考えていきましょう。人生よくいいますが、労働の職業人生をよく私はマラソンに例えます。もちろん途中で給水をし、ペースダウンをしたり、ずうっとダッシュで走り抜ける方はいないと思います。そのときにこの期間はどのように過ごすかは、そこは伴走するコーチのように一緒に考えていきましょう。ここをずうっと徹底をし、相談しても大丈夫な人事部ということの軸を絶対にぶらさないようにしています。また、フォローアップを各部門から行うこともあります。そこに関してはこれは3つ目の黒ポチにもかかりますが、部門でお願いする場合も、ときには思いあまってなかなかやりすぎもありますが、そこのコミュニケーションのとり方というのは、もうOJTで、指導を徹底してしています。個別で大変なことではありますが、かかっているのは1人の人の人生ですから、そこはきちんと丁寧に、継続的に指導を部門にも行っていく。2つ目に戻るとこういう制度が当然ありますということを新しく途中から入ってこられた方、またラッキーにもこういうことは全く巡り合わないでずっと社内にいる方もいますので、定期的にきちんと露出をしていく。これは制度としてきちんと社員の方も使っているし、使うことが恥ずかしいことでもないし、ある意味クレディセゾンの中の強みの1つなんだと話をし、きちんと露出させていくこと。4つ目は、いまいるチームは実は2代目のチームなのですが、私が産業医を選ぶときもすごく大事にしているポイントで、産業医の方が、きちんと組織にどれだけ向かい合ってくれるか、この部門の部門長は、こういう性格だからこういう言い方をしたほうがいい、この部門長は、武田部長から言ってもらうと直ぐ動くが、健康管理チームの言うことはちょっと軽んじちゃうので、絶対部長から言ってくださいとか、そういう微妙な細かいところまで、癖まで覚え、そういう意味ではマネジメントラインの特徴を産業医、健康管理のチーム、保健師を含めて彼女たちがどこまできちんと読み取ってくれるか。この入り込みの深さは非常に私自身も日頃、大変頭が下がる部分で、とても大事なところなのだと思っております。
 弊社は非常に女性が多いとわりとお節介というか、いろんな人の面倒を見るのがすごく好きな人たちが多いです。そういう意味では、現場にいる衛生委員の方たちの活躍と、何かあったときのリアルやイントラでの情報共有の場というものをきちんと設け、そこでの活動が活発になるような少しサポート、そういうことをしていること自体をきちんと承認、称賛してあげることも大事ではないかと思います。
 先ほど少し事例について話ましたが、産業医と人事の役割分担、ここを明確にきちんとすることはとても大事かと思います。逆に産業医の方がものすごく思いがあり、もちろんできればいいですが、人事が本当であればやるところまで入って来る方がたまにいます。そこは組織全体の話なので、役割分担はある程度は、もちろんグレーの部分もあってもいいですが、明確にしたほうがいいのかなと思っています。
 次は、制度&運用&配慮のバランスで、いろいろ制度を決めるとき、今回の制度だけではなく、私自身も過去のクレディセゾンも大事にしていることで、全部を制度化しないということです。各職場、各事業所の中で行われているオリジナルのローカルルールが素晴らしいこともたくさんあるのです。これは中には本当にやってくれてありがとう、ただ隣の事業所ではできないけれどというようなケースです。あとは休まれた方たちの本当にすぐ近くにいる同僚の方、直属の上司の方たちの配慮、決して何かがルール化されているわけではないが、その方のことをきちんと認め、配慮しているこのことを全部を何もかもルール化するのではなく、私自身が気をつけているのは、逆にどこまで決めないかです。ギリギリの制度で止め、後は現場で知恵を絞る、頭を使う、工夫をする、考える。これをすることできちんと現場のマネジメントラインが強くなります。みんな工夫を自然にし出します。ここをいかに上手なところで止め、決めるのを止めて任せていくか。現場の自発的なアクションにしていくか、これがものすごく大きいことだと思います。
 最後はいまの話も被りますが、人事部が何もかも抱え込まずに、マネジメントラインがせっかくあるわけですから、この力をかならず活用する。最後は全体的な話で、社風、個を尊重する。みんな違っていいのではないか、代表も常日頃から申し、社員の方たちの存在自体がどれだけ大きなことか、その方たちをいかにきちんと認め、称賛しているスタンスも大事ではないかと思います。もし話がもう少しできるのであれば、産業医と言われる方たちが会社のことを理解している方を捜すのは本当に大変で、かつ普通の従業員を雇用するのと比べて非常に報酬が高い事を言わせて下さい。会社で手術をしてくれ、何か治療してくれと言っているわけではなく、ある程度のもちろんプロフェッショナルとしての知恵を拝借したいが、医師とイーブンな報酬が産業医というところで本当に必要なのかが私もまだ疑問は残ります。わからない部分なので検討いただきたいです。本当に企業というものを守るためのドクターがどういうものなのか、もちろん産業医大の卒業生がもっとたくさん民間に入ってくるといいかと思いますが、そこの育成がもう少し活性化されてもいいのではないかと思います。
 また「働きやすい企業」でファミリーフレンドリーやくるみんのようなロゴがあったり、そういうものもこういう制度も含めて傷病の方のサポートする何かマークがあり、学生から見てわかるので、この会社で働きたいというような流れが作れないかなと。採用に繋がるアクションになれば各社がこれを追いかけてくるのではないかと思います。弊社はたくさん人数がおりますので、中で何とか保険の仕組みと同じで、支え合えるところがありますが小さな会社では、理不尽な解雇のような話をよく伺います。そういった場合を踏まえ中小の企業には何らかの助成ということを考えてもいいのではないかなと思います。
医療機関におけると生意気にも書きましたが、就労できるレベルというのは治るイコール働けるのではないので、最近は減ってきたと体感はしつつも、治りましたイコール復職就労可能ですという、わりと簡単な診断書が出てくる場合はまだあると感じています。先生といわれる方が書いたものであると、やはり民間の一般人は非常に弱いです。ただ主役なのは、その復職届けを持ってきている対象の本人で、その方の復職が失敗するということは本人にもものすごく大きいことで、キャリアの中から見ても、マイナスのダメージが非常に大きいです。そこに関して慎重になっていただく、コミュニケーションを取ることで、このことのギャップはいくらでも埋められると思いますので、そういうサポートをできたら医療機関のところに、かならず皆さんそこを通りますので、考えていただけないかということです。会社側になると本人患者の方たちがもしかすると不信感などがあるかもしれません。ある意味体を預けている機関のところでそこでグリップをしていただくことができればありがたい。会社としても、そこと連携させていただきたいと思っております。
 最後の項目は、先ほどの社風の話と共通しますが、誰もが病気であったり、休んでいたことや、復帰したり、復帰してきたんだということを言えるこういった社会の実現、最終的にはここに尽きるのかなと思っております。早口ですみません。私からは以上です。
○今野座長 ご質問をどうぞ。
○井伊委員 大変興味深いご発表ありがとうございます。3点ほどお尋ねしたいのですが、今日のお話の中では、休職を中心にフォローアップをどうかというお話だったと思うのですが、いきなり休職になる前に受診が込んでいく、例えば定期的に受診をする必要があるので、そういうことへの配慮をどうするかとか、自分の不調について相談をする、いただいた資料ですと相談窓口が産業医、看護師となっているのですが、これが何件ぐらいか。もう1つは、ハンドブックをお作りということですが、ハンドブックは疾病によって種類があるのでしょうか。
○武田参考人 1つ目の「受診についてのアクション」というところでは、年に1回の健康診断の事後措置の中で出てきたものについて、フォローアップを行っております。これは健康相談の窓口のチームの年間でいちばんボリュームのある業務になっています。
○井伊委員 例えば高血圧であるとか、早期のがんが見つかったとか、そういう状況の中で定期的に受診が必要だとか、経過観察が必要だとか、薬をもらいに行かなくてはいけない、そういうことへの何らかの配慮はありますか。
○武田参考人 通常の就業形態の中で、有給休暇の半日の休暇を取るとか、いまあるそこの仕組みの中でカバーできないものがあれば相談が上がってくると思うのですが、いまのところは皆さん通院等はそこで利用が出来ているようです。
 次の相談件数なのですが、年間に約140件です。相談窓口にダイレクトにくるものもあれば、ほかあと20件ほど、労働組合を通して入ってくるものもございます。
○井伊委員 それは140件とは別にですか。
○武田参考人 はい、別にございます。面白いのは、社内でこのチームのこと、制度のことを告知すればするほど、ご本人だけではなくて周囲の方が、「どうも○○さんは調子が悪そうだから、声を掛けてあげてくれませんか」というような相談を、私自身も直接受けることもありますし、ここにそういう相談がメールで入ってくるような場合もあります。
 ハンドブックについてですが、病気についてすべて個々に作ると、私どもは決して医療機関の知識もありませんので、そこまでは作ってございません。1種類で、「お休みをすることになった場合」というのが一括りになっていて、あとは個別の対応で産業医なりがサポートします。また、産業医と主治医のところはきっちりと分けて、産業医は主治医ではないという話は、私は彼女たちにはよくしているので、そこについては主治医の先生に聞いてもらったほうがいいのではないかということを言います。会社の中では、お休みをするという事実が問題なのであって、その方の病状については深刻な問題ではあるのですが、就労できるかできないかというところできちんと管理するボーダーは分けておきたいのです。それなので、そこから先のところに関しては、特に細かい情報の提供はしていないです。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○塩山委員 ご報告ありがとうございました。2点質問させてください。まず1点目が、資料の11頁で、産業医の組織への入り込みが深いということでご報告いただきましたが、10頁で、産業医が具体的に不調時と休職中に介入されている様子がわかったのですが、具体的に、どういうタイミングでとか、そういうことがありましたら、特徴的なところを是非教えていただきたいというのが1点です。
 もう1点が、8頁で3つの部分を人事部で大事にしているということで、これは非常に参考になりました。真ん中2つ目の「働きがい、モチベーション」というところについてなのですが、今回は詳しい報告はなかったので質問して申し訳ないのですが、休職明けで職場が変わったりとか、そういうことが必要な方も中にはいらっしゃると思うのですが、そういう方に対して、モチベーションを維持するために、何か復帰に当たって配慮されていることがありましたらお聞かせください。
○武田参考人 1つ目の産業医の入り込みについてですが、例えば不調者が発生した段階で、医学的見地からコメント、アドバイスをするようなことが、もちろんご本人がそれを開示して構わないという了承がもらえている場合ですが、こういったことは知識として知っておいてくださいねと。例えば仕事中にこういうことが起きるかもしれませんとか、通院の頻度が高くあるのはこういうことだということで、納得をしてもらうときに入ってもらうことはよくあります。
 あとは、通常マネージャーが集まる会議ですとか、最低でも必ず年に1回、会議の最中の研修という形で、産業医と看護師または保健師が就いて、そういう勉強をするミニ研修のようなコーナーを設けていますので、ああいう人たちがいるのだなとか、何かあったときにというので、コミュニケーションは密に取れているほうだと思います。
 あと実は先ほどご質問いただいた中の健康診断の事後措置で、呼んで面談をする中で、この部門はどのような仕事をしていて、どのような勤務パターンで、どのような人たちがいてということを、産業医は非常によく知っています。彼女たちの情報収集の量と的確さにはびっくりします。そこら辺の断片的な情報をつなぎ合わせて、入り込むときの角度、態度、全部私に振ってしまうか、そういうところをうまく使い分けているのではないかと思います。優秀な方たちだというのは、いつも頭が下がるところです。
 2つ目のモチベーションに関してですが、もともとの職場であれば、周りの方たちもその方の特性、モチベーションのスイッチみたいなものがおわかりなのでいいのですが、場合によっては、営業職で重たいカバンが持てなくなってしまったという方で、内勤をしてもらうという場合もありますので、そこに関しましては、面談の頻度がマメに入ったり、産業医と私のほうでも連動して、部門のラインのマネージャーたち、直属の上長、上司をはじめとして、周囲の方たちに少し様子を聞いたり、場合によってはいろいろなやり取りの記録を取ってもらうこともあります。
○門山委員 年間70名の休職者がいたということですが、メンタルがかなりの部分と考えていいのですか。
○武田参考人 メンタルが約40名、病気が20名、怪我が10名というところです。あと女性が多いので、周産期に休みを取る、早めに取りますという場合の方がいらっしゃるようです。
○門山委員 そうすると、初めの病気の申請というのは、通院をして病名が決まってから。
○武田参考人 お休み明けにですか。
○門山委員 休職時の病気の申請というのは、その患者は医療機関にかかっているわけですか。
○武田参考人 そうです。診断書が必要になります。
○門山委員 病名はわかっているのですね。
○武田参考人 はい。
○門山委員 本人が申請するのですね。
○武田参考人 そうです。
○門山委員 先ほどお話があったように、周りからも、そういうサジェスチョンがあると。
○武田参考人 面談をしてあげたほうがいいと思う、というサジェスチョンはありますが、休職の申請自体は、基本的にはご本人からです。ただ、本当に即入院というような場合には、上司の方が代理で申請されてくるときもあります。
○門山委員 もう1つですが、先ほど健康診断からというようなことがありましたが、メンタルに関しても、何かしらの健康診断をやっているのですか。
○武田参考人 アンケート程度ですが、ヒアリングは一緒に行っています。メンタルと、直近であれば、がん検診を受けていますかと。検査としては、健康診断では血液検査ぐらいしかできていないのですが、例えばオプションで、その場で支払いをすれば腫瘍マーカーもできるということを昨年から始めました。がんに関しては経年で、社員の人たちに年1回は思い出してもらおうということと、そこでデータが取れますので、受診率が少しでも上がっていくアクションをこれからやっていこうと思っています。
○門山委員 もう1点です。配慮が必要であるとなったときに、患者の病名、個人情報はどこら辺までが把握しているのでしょうか。人事部は把握していますか。
○武田参考人 いえ、全部の案件を私が知っているわけではないです。これもケース・バイ・ケースで、マネジメントに対して配慮が必要かどうかが1つの分かれ目で、周りの方たちに、何かいつもと違うことをしてもらわないといけない場合には、産業医から私のところに書類が回ってきます。それで私が業務指示として、人事部長名で就労配慮をしてくださいという通知を出すわけです。
○門山委員 もちろん患者は病名の告知を承諾して。
○武田参考人 承諾していればです。場合によっては、したくないという方もいらっしゃいますので、そこは了解をいただくか、ただ周りの方の理解を得るために病名が必要な場合というのもありますので、そこはよく話合いをして、単純に明かさないことが最優先ではなくて、明かさないことでデメリットも起こってきますから、最終的に本人にいろいろなパターンを見せてあげます。明かさないで配慮だけはしてほしいといった場合、明かして配慮してほしいといった場合を考えてもらってという話をすると、ほとんどの方はオープンにしてくださって結構ですということをおっしゃっていただけます。
○門山委員 配慮が必要な人の場合には、同じラインの人たちまで病名がわかっているということですか。
○武田参考人 病名というか、何の配慮が必要かです。補足情報として病名が付く場合もあります。例えば病名を上司だけが知っていて、下のメンバーの人たちは配慮だけを知っているというパターンは結構多いです。
○門山委員 ケース・バイ・ケースということですね。
○武田参考人 はい。
○岩崎委員 会社の背景として分散型というか、営業拠点が多いということで、人数的にも全国におありになるのではないかと思うのですが、産業医の先生が2名いらっしゃって、健康管理チームが本社にあるのですかね、その辺のカバーの仕方というのは、目の前にいらっしゃるのは東京圏だったらそうだと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○武田参考人 関西のほうにも嘱託で1名、あとは地域でお願いをしている産業医の方が。各事業所が、営業拠点がこちらの中に10拠点大きな拠点があるのですが、そこに必ずクリニックなりが連携する形を取っています。
○岩崎委員 そうしますと、2名の先生は本社とか、東京圏にいらっしゃって、ほかのエリアごとの拠点の先生も休職ケースの対応をされているという理解でよろしいでしょうか。
○武田参考人 関西の産業医はしてもらっています。ほかのところは電話等で本社から全部管理をしていますので、かなり忙しいです。
○岩崎委員 電話で営業拠点10カ所の嘱託の。
○武田参考人 電話で面談をすることもありますし、ケース・バイ・ケースで。
○岩崎委員 電話でご本人と面談されるというのが、本社のほうでコントロールされているわけですね。
○武田参考人 はい。場合によっては出張してもらうこともあります。
○今野座長 人事部長命令で、配慮をすること、短時間で働けるようにすることの命令を出せるわけですよね。
○武田参考人 はい。
○今野座長 そのとき、わかりましたが代替要員をどうしてくれるのかということになるので、そういうこととはセットにならないのですか。
○武田参考人 代替要員について言われるとしたら、復職のときより休職のときですよね。そこで必要であれば手配をする場合もありますし、ケース・バイ・ケースです。
○今野座長 休職時のケース・バイ・ケースということですか。
○武田参考人 はい。
○今野座長 先ほど、年間約70名の人が復職されると言っていましたが、常時何名ぐらいの人、先ほど「休職者支援フロー」というのがありましたが、その対象者はやはり70名ぐらいですか。
○武田参考人 そうです。
○今野座長 常時70名ぐらいがインプットされて、70名ぐらいがアウトプットされていると。
○武田参考人 大体それぐらいが流れています。
○今野座長 もう1つですが、産業医の給料が高すぎるということでしたが、ここについてもう少し言いたいことがあったらお聞きしようかなと思っていたのですが、いかがですか。
○武田参考人 ハードなのだと思うのですが、それなら勤務医になったほうが、普通にお医者様としてどちらか医療機関にいらっしゃったほうがいいのだろうなとか。うちの産業医は研究日もあるのですが、働き方とか。例えば私の上司などは、週4日稼働でこの給料かとなってしまうわけです。そこが、もう少し何とかならないのかなというのが。本当に病院に勤めていらっしゃるお医者様はもっと忙しいし、もっと大変だと思うのです。ただ、わりと会社員のように働いている中では、もう少し安くてもいいのではないかというのが私の感覚なのですが、どうなのでしょうか。不勉強で申し訳ないのですが。
 もう少し雇いやすくしてくれると。いろいろな形で面接もさせていただいたのですが、ドクターの生活が本当にハードワークなので、もう少し楽なのだけれども医療に携わっていたいから、うちの産業医に応募したという方もいらっしゃるのです。そういう方は、少し年収は下げめでもいいという話も出るので、ニーズとしてはあるのではないかと思っています。カレンダーどおりのお休みで、夜勤もないですし、そこは通常のお医者様と一緒になってしまうのはどうなのだろうと。
○今野座長 別に公定価格が決まっているわけではないですよね。
○武田参考人 ないです。
○今野座長 では、払っているからではないですか。
○武田参考人 はい。そこは非常に厳しいです。ここはまだクエスチョンマークです。
○今野座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
○武田参考人 ありがとうございました。
○今野座長 続いて原田さんにお願いいたします。
○原田参考人 NTT東日本関東病院のソーシャルワーカーをしております原田でございます、本日はよろしくお願いいたします。実際にソーシャルワーカーとして、日々患者の相談を受けている立場から、いろいろな困難な問題を持った方々にお会いしております。治療と職業の両立に関する検討会があることすら知りませんでしたが、非常に患者のニーズは高いので、喜んでご報告させていただくことを受けさせていただきました。ただ、データ的には不十分なところがあるかもしれませんが、そのような患者の困難性ということでまとめてきましたので、よろしくお願いいたします。
 本日のご報告の内容に関しては、実際の患者の就労に関する相談の5事例から、就労上の困難性と患者のサポートについて、そして患者から求められる対策を考察してまいりました。
 簡単にNTT東日本関東病院についてご説明させていただきます。当院は東京都品川区五反田にある急性期医療機関で、第2次救急指定と、がん診療連携拠点病院でもあります。ベッド数は606床で、一般病床・精神科・緩和ケア病床があります。患者の相談部門については、総合相談室、がん相談支援室で、同じ所にあるのですが、がん診療連携拠点病院のがん患者がアクセスしやすいように、わざわざ「がん相談支援室」という名称も付けております。併せてソーシャルワーカーが5名だったのですが、今年度から7名に増員になりまして、看護師5名と一緒に相談対応を行っています。
 ソーシャルワーカーをなぜ2名増員したかと言いますと、あとでデータをお示ししますが、入院患者から支援のニーズが高いのですが、今後は外来での患者の困難な相談に対応していくことを充実させるということと、地域連携を促進するために増員が認められました。
 ソーシャルワーカーという職業について、ご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご説明いたします。私たちは障害が生じた患者あるいは認知面の低下、障害と言いましても、身体障害の手帳を持っているとか、そのレベルではなくて、軽症でも障害の生じた患者、難治性、進行性の疾患、ターミナルな患者が多いです。そして、急性期の治療機関ですので、急性期の治療後になかなか治らなくて、転院でリハビリをしなければならない、あるいは重症でどこかで療養しなければならない患者など、転院を必要とする患者、あるいは自宅療養が困難になった患者に対して、ソーシャルワーカーは多くかかわります。それから、経済的問題、仕事の問題、家族の問題等、心理社会的な問題のある患者さんに対して、相談を受け、支援を行っているという仕組みにしております。
 がん相談室のデータは持って来ていないのですが、参考までにと思いましたので、平成22年度の1年間に、総合相談室で新規患者を1,244名お受けしました。その中の統計データなのですが、残念ながら本日の発表のように、就労の問題といってチェックするようになっていなくて、社会復帰支援ということで項目は設けてあるのですが、経済的問題が4割、退院に関する問題が大体4割で、この中に仕事に関する相談が含まれております。
 治療と就労ということで関連についてまとめてまいりました。まず治療前ですが、例えば心臓の大手術をしなければならない、あるいは脳卒中が見つかって入院してもらうというのが、外来で診断されます。そのときに、収入が途絶えると生活困難になる患者がいますので、そういった中には、なるべく外来で治療してくださいとか、入院を拒否する患者もいます。そういう中で、私たちがすぐに駆け付けて、就労の相談に対応していきながら、何とか治療に乗るように支援していくようになります。
 それから、入院の治療中に関しては、自動的に仕事は休職になります。休職制度がない会社、事業所であったりして、自動的に退職になってしまう患者もおられます。契約、アルバイトの雇用形態はほとんどそうなります。そして、場合によっては身体的、あるいは精神状態によって休職期間が短いといった雇用形態のところ、あるいはかなり重症な後遺障害が残るような仕事に関して、例えば肉体労働的なものだとか、特徴的なところでタクシーの運転手と書きましたが、専門技術を扱うような仕事に関しては、残念ながら退職になってしまうということもあります。ソーシャルワーカーとしては、入院中に出会うことが多いです。通院治療に関しては、身体・精神状態が、通勤困難、労働が困難になった患者は、休職あるいは退職になりますので、そこで支援する形になります。
 本日の相談5事例に入ります。 ここでは、20代女性から50代男性までの5事例をピックアップして持ってまいりました。実際に、退職後再就職できない患者、復職後の悩みを抱えた患者、復職後の困難を抱えた患者、再就職後の悩みを抱えた患者、再就職に至らなかった患者の事例を持ってきました。
 事例Aは退職後再就職できない事例です。この方は20代女性で、下腿反射性交感神経性ジストロフィーという聞き慣れない病気ですが、筋肉のほうで、足の痛みが出る病気です。ペインクリニック科で痛みの治療と、歩行障害がありますので、リハビリ科で通院されています。リハビリ科の医師より、依頼がありました。
 初回時の主訴は、大学卒業後に就職したのですが、直後にこの病気になり、自動的に休職になり、就業期間も短かったものですから、退職を迎えます。実家に戻って治療に専念しているのだけれども、通院日以外は何もできていない。経済的な心配があって再就職もしたいというのが最初の相談でした。
 そこで第1番目には、傷病手当・失業保険の延長申請の情報提供、ハローワークへの相談を勧めました。ハローワークに相談に行って、手続的なところはできたのですが、実際に歩行障害ということを言いますと、障害者窓口で相談してくださいということになったのですが、足に痛みがあって、歩けるけれども、途中で座って休養してから歩く、そのような歩行障害というのは、残念ながら身体障害者手帳の認定には該当しませんので、障害者窓口の対象にはならないのです。ハローワークも非常に混雑していて、待たされて身体的にもきつかったから、もう行かないということになってしまったわけです。
 そこで、私のほうで何をしたかと言いますと、再就職したいということで、再就職への動機付けとして、何をしたいのか、何を目指したいのかということの面談と、就職活動に向けて体力的なことが第一優先なので、行動化に向けて、閉じ込もり傾向でしたので、何をしていくかについてのアドバイスを行いました。
 ところが、この方は治したいと思って病院に来られていますので、傷病手当ても出たので、暫く治療に専念するということになりました。具体的なアドバイスとしては、この方は動物に関連のある仕事をしたいということだったので、インターネットで調べる、あるいは在宅のアルバイトでつなぐ、行動化に関しては医師から筋力を付けるということを言われていましたので、スポーツクラブに参加するなど、いろいろな社会参加のことをアドバイスしたのですが、暫くは治療で就職活動は中断という形になりました。
 この方は半年間ぐらいの間にスポットで困ったら相談に来るというパターンの人だったのですが、その後買い物に外出したり、お父さんの自営の仕事を手伝ったり、水泳とか、いろいろ自分で動いてみたのだけれども、やりすぎてしまって体調を崩されて、ストレス性の胃炎になってしまって、困ったということで、またいらっしゃったわけです。
 私のほうとしては、ストレスに対処するための自分の行動パターンを自己評価で点検する、どこまでそういう行動化をしすぎると辛くなってしまうか、そうすると外出の時間をある程度制限して、自分でコントロールする、あるいは辛くなったときには何をしたときがいちばん気分がいいか、そのような行動の点検をしながら生活をしていくことと、このときには泣いたり、辛くなったり、常時不安感などの訴えがありましたので、心療内科の受診を勧めました。
 そのあと心療内科を受診されまして、身体的な症状の改善が目標となりましたが、ご自身で自分の病気の専門医を調べたり、いろいろな行動計画を立てて、いろいろなさっているということと、ソーシャルワーカーにもこういう相談ができてよかったという感謝が述べられております。
 アセスメントをまとめてきました。疾患は難治性であり、障害を抱えた状態で就労していくことになりますが、本人は回復を希望しており、ストレス性胃炎となり、社会復帰できないでいる。その一方、インターネットでの仕事の検索、外出の試み、自宅での書道の開始など、克服していこうとする行動化も見られます。職業に対しての夢が大きく語られており、現実的な検討とのギャップがある。したがって、自身の障害や能力に合った仕事を選択していくには、継続的なサポートやアドバイスが必要と思われました。
 続いて事例Bです。この方は40代男性、くも膜下出血後に高次機能障害が残存している方です。くも膜下出血後にリハビリテーション病院に紹介するときにも、私はこの方の支援をしているのですが、そのときには意識障害がありましたので、奥様に対して対応しておりまして、今回出会ったときには、復職されたあとの悩みを抱えているということで、リハビリ科の医師から紹介を受けて、私が対応しました。
 このときの初回時の主訴は、リハビリ後にすぐに復職しました。発病前には、営業でかなり大きな契約を取るなどの成績を納められたのだけれども、いまの上司からは、契約を取ってもそれは駄目だと言われ、無理なノルマを強いられ、ノルマをこなすことはできない。復職2カ月後にはうつ病と診断され、精神科にも通院している。ここには書きませんでしたが、減給もされていると。上司から高次機能障害の理解をしてもらえていないから、診断書を作成してほしいという主訴でした。
 まずこの方の場合は、高次機能障害でできないことと、上司との関係の問題を整理しまして、お話の内容から上司との良好な相談関係の改善は厳しそうだと判断しましたので、人事課、健康管理の部署での相談をお勧めしました。
 その後相談されて、職場関係者が高次機能障害の説明を聴きに来たいということで連絡が入り、事前にそのことについて、リハビリ科の医師、精神科医、ソーシャルワーカーでカンファレンスを行って、説明内容を検討した上で説明をしました。
 と言いますのは、この方の場合、本当に高次機能障害でできないことなのか、うつ病でできないことなのか、かなり低く説明しすぎると、私の経験では退職になってしまった方もおられるものですから、どのようにこの方の説明をしたら最善かという検討が必要だと判断しまして、医師に働き掛けて、協議の上お話することにしました。
 その結果、リハビリ医から一般的な高次機能障害のお話をすることになりまして、診断書に関しても、高次機能障害というのは、患者によっては4〜5年かかるというような記載なり、説明をされておりました。最終的に、職場で本人の仕事内容を検討されることになりました。
 アセスメントです。発病前は営業職として仕事ができた人であり、元のようによい成績を達成できていない。その理由が高次機能障害であり、上司から理解を得られていないためと本人は考えているが、上司と相談関係に至っていないことや、ポジションやセクションの目標が障害に合っていないことも問題と思われました。
 本人は、家族や担当医に自分の困っていることの相談はできています。また、早急な挽回をしたいという気持の焦りや過労がうつ病の引き金になっているのではないかとも思われ、復職後のサポートができる相談者が必要と思われました。
 事例Cは、40代の女性で肝がんです。いろいろと治療を終えられまして、残念ながら経口摂取が困難になり、中心静脈栄養といって、カテーテルで栄養を入れないといけないという状況で、障害が残った方です。単身生活の方です。
 主訴は、休職期間が期限となり、復職を1カ月することになったということです。説明しますと、この方の会社は、1カ月復職すると休業補償が100%受けられる制度があることを職場から聞かれていましたので、とにかく辛い状況なのだけれども、1カ月でも復職したいということを決めて、復職されたわけです。
 ところが、半日勤務の軽減勤務で復職したが、疲労感が強く、通勤がきつい。抗がん剤の副作用で思考力は低下し、高額療養費も知っているのだけれども、手続が全然わからないというような主訴でした。
 アセスメントと支援内容ですが、休業補償を得るための短期間の復職の必要から、復職されました。復職の希望は高く持たれていますが、体力的には通勤が困難な状況。思考力の低下による作業能力の低下も自覚されています。
 そこで、辛い状況で復職を決心されたことを評価し、休み休みの通勤の勤務でよいこと、職場へ相談しながら通勤されるようにアドバイスをしました。高額療養費の申請に関しては、実際の領収書を持って来てもらって、返金分の金額を計算してあげたり、そこで繰り返し説明を行って、安心してもらえるように努めました。今後も、そのあとの各種手続に関しては援助が必要な状態と判断されました。
 事例Dは、50代の男性で初期アルツハイマーの認知症と診断された方です。神経内科に通院されており、ADLは自立して通勤も可能、物忘れがあるという症状です。この方の場合は、外来に患者夫婦が上司を連れて来られたのです。そこで担当医からソーシャルワーカーに連絡がありまして、そこから私が介入したわけです。
 まず、上司への説明について、担当医とソーシャルワーカーで協議して、説明内容に関しては、先ほどの事例にもありましたが、本人、家族の了解なしに説明することはできません。内容を確認しないで説明することはできないし、認知症ということで、イコール解雇ということもあり得るので、その辺の心配事も事前に確認しましょうということになり、診察前に上司の方に外で待っていていただいて、本人と家族にそれを確認して、一般的に就労は全然問題はない、ただ物忘れは実際に起こっているという説明でしたが、診察後に、私のほうで患者ご家族とお会いしたわけです。
 この方は前職の会社では、課長職であったらしいのですが、この病気がわかり、残念ながら退職されました。現在は部品組立ての仕事に再就職を決められ、通勤されております。ところが、作業工程をどうしても間違えてしまうということで、毎日叱られている。子どもがまだ高校生で、経済的に働かないといけないので、とにかく働いてもらわないといけない。ところが自宅では、患者自身がとても寡黙で話をしないし、奥様としても、どのようにかかわったらいいか心配していると。ご夫婦で来てもらったのですが、ほとんど奥様から語られている状況でした。
 そこで、ご本人と個別にお話をする機会と、ご家族をもう一回呼んでお話ということで、本人と家族のそれぞれの思いを整理して、その後合同面接をして、相互の理解を働き掛けるというようなアプローチをしました。
 その段階では、ご本人は私と普通にお話できるわけです。課長職だったとか、いまどういうことができないとか、自分で努力しているけれども覚えられないということはお話できます。そこを奥様にもお話して、その場面をご覧になって、ご本人からはこのような相談ができてよかったと。奥様からは、本人が語れて安心したという弁が聞かれました。ご家族にはかかわり方のアドバイスと、認知症の家族会の情報提供をしました。
 アセスメントのまとめです。この方は再就職先で仕事の失敗があり、仕事の継続は困難であるが、職場内で異動先はない状況。若年であり、子どもの学費や生活費を得るための就労は必要であり、将来の不安を抱えながら生活されている。年金取得まで、まだ何年間かあるような方でした。
 この経済的不安の対策については、本人が家族とコミュニケーションを持たないために十分に話し合われていない。そのため、奥様から不安を多く語られています。進行性の疾患であり、いずれ本人ではなく奥様が働く等の対策も必要になる可能性も考えられると思われました。したがって、本人と奥様ともに、継続的なサポートが必要であり、病気を抱えた患者の就労の相談先があるとよいと思われました。
 事例Eは、50代の男性、うつ病、アルコール依存症。アルコール依存に関しては、断酒ができているような状態の方です。精神科にかかっているという方でした。ADLは自立されているのですが、外出時に腹痛、下痢が出て、途中下車をしながら通院しているという状況です。
 主訴は、40代から入退院を繰り返し何回も休職し、何回も復職したのだけれども、残念ながら今回退職になってしまったと。人事課に退職の手続について聞いたのだけれども、何回も聞いているのだけれどもはっきりしなくて困っていると。この方もお子さんを2人抱えて、経済的に困った状況になったので、逼迫していると。作業所に週1回、通院以外は臥床がちな生活を送っているというような状況でした。
 支援経過です。この方に関してもスポットでお会いして、サポートしてきたのですが、まとめました。最初に退職後の制度活用について、傷病手当金、障害年金、社会福祉基金の情報提供をしました。これは順に申請の時期がありますので、その都度申請していかれました。この方は住宅ローンもまだ多く残っていまして、住宅ローンの返済に関しては住み替えを検討しなければいけないかもしれないという話で、どこで暮らすかに関して奥様とよく相談するようにということでお話をしました。かなり制度を聞かれて安心された状況があります。
 担当医からは、デイケアの情報を提供するようにということで、ご紹介したのですが、デイケアよりも、とにかく復職を早くしたいということで、ハローワークのパソコン講習会に通うということで、適宜担当医と相談するようにとアドバイスいたしました。担当医と相談したのですが、この方は復職に関する願望も強いし、少し見守りましょうということで、パソコン講習会に行くようになりました。
 その後、就労支援関係機関を通じて、再就職先を探す活動をスタートして、本人の医療情報を知りたいということで、その方から電話が掛かってきましたので、ご本人の了解を取って、ソーシャルワーカーが説明するということよりも、担当医に受診同行をしてもらって、聞いてもらうほうがいいでしょうということで、アレンジして聞いていただきました。
 これらの経過を経て、本人は順に制度申請を進め、転居もされました。パソコン講習に通われ、就労支援を得て就職活動を開始されたという報告も入りましたが、面接を目前として入院されました。
 アセスメントです。本人は経済的心配から、再就職を早くしないと困ると当初から焦っていました。制度活用、学費の確保、奥様の収入等で目処が付いたと思われましたが、早期の再就職を願望され、行動化されました。しかし、日常生活のリズムが付いていない、外出時の腹痛や下痢などの症状は改善されていない、対人関係でスムーズにいかないこともあることから、社会復帰へのプログラムを経た上での再就職が望ましいと思われました。早すぎる再就職へのアクションは終了を目前としてかなりのプレッシャーとなり、できない自分への気づきの契機ともなるため、適切な時期での再就職へのステップが必要と思われました。
 さて、これらの事例から就労上の困難性を、事例の中身をカテゴリー化しまして、困難性ということでまとめました。まず、就労の状況、病気により退職した場合には、困難性としては通勤、作業、退職後の手続ができないということが起こり、精神面では経済的心配が発生します。
 そして、失業中、就職活動中あるいは復職直前に関しては、ハローワークに行けない人もいる。障害があるけれども、障害者手帳に該当しない人もいる。ここでいう障害というのは、最初にお話しましたように、身体障害、精神障害以外に、軽度のいろいろな症状に伴う障害とご理解いただければと思います。ですので、ご自分の症状なり、辛さの障害に合った通勤・作業が見つけられない、あるいは復職の時期がわからないといったことが困難性として挙げられます。精神面としては経済的心配、早く就職したいという焦りが生じたり、復職・再就職への不安が生じたり、プレッシャーが生じます。
 実際に復職したり再就職しますと、今度はどういった困難性があるかと言いますと、作業が病前のようにできない、失敗してしまう、ノルマをこなせない、上司と相談できないということが挙げられます。精神面としては、職場から理解されない、失業の不安を常時抱えながら就労していく形になります。
 簡単にソーシャルワーカーによる支援をまとめました。私は何をしたかと言いますと、患者・家族の面接から得られる情報と医学的情報から、患者の問題の包括的アセスメントを行います。それから、患者の状態・問題に合った解決方法の提案と助言を行います。この際に、制度やサポート機関・施設の情報提供も行います。多問題の場合には、問題を整理すること、解決可能な問題から、解決への支援をしていくというアプローチを行います。
 そして、患者の職場復帰の問題については、必ず担当医とカンファレンスなり協議なり連携をして、チームでかかわることを行っています。状況によって関係者との調整を行っています。
 続いて、私が行ったサポートについては、WILLSという人がソーシャルサポートの機能別分類というのを挙げておりまして、それをどのように行ったのかを照らして、考察してみました。このWILLSという人は、ソーシャルサポートに関して機能別に分類していまして、簡単に言いますと、自己評価のサポート、自分の能力・社会的価値・仕事での能力に疑いを持ったときに、有効に働くとか、いろいろ説明が書いてあり、必要な技術とか書かれておりますが、自己評価のサポート、地位のサポート、情報のサポートということで、これら3つに関しては、すべて行っておりました。
 それから、道具的サポート、社会的コンパニオン、モチベーションのサポートというのが出てきます。道具的サポートに関しては、実際にお金、労働力とか、場合によっては会社のほうでサポートされていることだと思いますが、あるいはこれからこの検討会で作られるものだと思いますが、それは私は行っていないし、社会的コンパニオンも、場合によってはこれから作られる検討会で支援機構なりができたときに行われることかと思います。私としては、モチベーションのサポートを行っております。
 さらに、患者のサポートと具体的点検内容をまとめました。退職・失業時には休業補償、経済的対策を立てられていることが目標となりますので、そこをチェックします。次には、就職活動中と復職前には、ハローワークの相談です。場所を言うだけではなくて、何をどこまで実際に相談できているかの点検を行って、できていなければ適宜助言を行う。就職活動ができていない場合には、さらに生活状況と、何が支障になっているかを確認していきます。そこで、うつ状態だったりするわけですが、うつ状態の場合には受診を勧めることも行いますし、障害があって、復職はかなり時間を要すると判断された場合には、これは主治医とも相談ですが、リワークプログラムのあるデイケアを紹介したり、場合によっては、障害に該当する場合には職業センターでの相談を勧めたりしています。
 それから、これも結構重要なのですが、障害に合った通勤距離、通勤時間、ラッシュの苦しい状況の中を通勤することで消耗しますので、その辺の点検、通勤手段が考えられているかもポイントです。それから、疾病や障害を職場にきちんと相談できているかも点検します。
 復職、再就職に関しては、安全に通勤できているか、作業をこなせているか、過労になっていないか、上司に相談できて、職場で良好な人間関係を築けているかということを、具体的に点検していきます。
 最後になりましたが、患者から求められている対策とはこういうことかなということで、まとめました。まず、病気があっても、治療に専念している間の休業補償をきちんと受けられること、あるいは経済的対策があること、症状、障害に応じた仕事に就けること、復職のタイミングも見極められること、復職後の困ったことを相談できる人や機関があることです。これらのことがニーズとしてあるので、今回のような検討会が行われているのだと思いますが、是非お願いしたいと思います。
 最後に、ソーシャルワーカー自身の課題を説明させていただきます。ソーシャルワーカーとしては、入院患者の関与がいままで多かったのですが、今後外来患者を担当するソーシャルワーカーを配置することで、患者の復職・再就職の相談を充実させることができると考えております。そのためには、質を伴った支援がすべてのソーシャルワーカーができないといけませんので、現在そのアセスメント力、あるいは面接技術の教育・育成を行っております。さらに、それは全国的な規模で強化していく必要があると考えております。
 それから、実際に外来で多くの患者は、通常は担当医に相談しているわけです。復職・再就職、いつから働いていいのか、いろいろなことを相談しているわけですが、その中からソーシャルワーカーが関与しなければならない困難性を抱えた患者を、さらに発見、抽出していく、入院患者に関してはスクリーニングをやっているのですが、そのような仕組み作りも考えていきたいと思います。
 参考までに、私は厚生労働省の科研費で2月にアメリカに調査に行かせていただいたのですが、がん患者の外来患者の困難性をチェックするのが、学会単位で全米で行われる計画があって、その中に仕事の相談があるという項目がありましたので、そういったことを日本でも広げていければと考えております。
 それから、就労に関する相談の診療報酬評価はまだまだソーシャルワーカーのほうでされておりませんので、こういったことも充実していくように学会単位で考えていきたいと思っています。以上で発表を終わらせていただきます。
○今野座長 ありがとうございました。それではご質問をお願いします。
○岩崎委員 有意義な発表をありがとうございます。3頁に関する質問ですが、平成22年度の新規対応の患者さんが1,244名というグラフです。この1,244名の年齢層や復職支援などを伺っていますと、メンタルヘルスの事例のほうが身体疾患よりも多い印象なのですが、病院でのソーシャルワーカーの皆さんのかかわりの中では、メンタル疾患とフィジカル疾患の両方ある方もいらっしゃると思いますが、どんな比率というか、その辺の情報が具体数字がなければ印象でもかまいませんが、あればと思います。
○原田参考人 ちょっと別なところでまとめたものがあるのですが。記憶ですから申し訳ありませんが、支援する患者さんとしてはやはり危機的な患者さんがいちばんソーシャルニーズが高いです。ですから、メンタルな方も多いのですが、いちばん多いのは脳卒中がナンバーワンです。整形疾患が2番目でその次が精神疾患というような形の相談ニーズとしては、申し訳ないのですが、就労に関する相談のデータではありませんが、データ的にはそういう順位になります。年齢的には圧倒的に高齢者が多いです。高齢者の介護問題、入院中なり外来患者さんでも高齢者の一人暮らしで重症な病気になってしまった、介護する人がいないというケースです。先ほどの脳卒中、あるいは整形疾患の場合はリハビリテーションが必要になってきます。軽症な患者さんは戻って復職するのですが、脳卒中はリハビリテーションを経て復職しますので、復職の相談は回復期リハビリテーション病院のソーシャルワーカーがもっとも多くかかわっていると思います。
 ただ、先ほどの事例はそこを経て戻ってきて、また外来で相談を再開しました。当院の精神科は、リワークプログラムにも力を入れております。ですので、その中から本当に困難な人を私たちがやるという形で、すべてに対応できていないのですが、今後はもう少し精神科の患者さんの支援を充実させようと思っております。ですから、そういう意味で充実させていくと、先ほどの脳卒中と精神科が同じくらいになる比率の可能性はあるかと思います。
 ただ、圧倒的に身体障害のADL低下をした患者さんが多いです。あとは認知面の低下、思考力、作業能力、理解力が残念ながら落ちてしまった。高次脳機能障害というのを精神のほうで分類してもよろしいのでしょうか。どうでしょうか。それを含むと確かに精神科の比率というのが多いかもしれません。
○岩崎委員 もとは身体疾患で、高次機能障害を生じたという。
○原田参考人 はい、そうです。そういうケースは確かに相談ケースとしてあります。身体障害に関してもかなり多いです。実際、仕事の問題以前に、帰れるか帰れないか、そういったことでかかわることが残念ながら多い。まずそこからスタートするという形ですし、まず働けなくなって、この治療費をどうしようとか、生活費をどうしようというところからスタートするという形ですね。もう治らないとか、残念ながら身体障害で復職したいし、職場の人も復職させてあげたいと来るのだけれども、実はこの人の病気の進行が早くて、医療機関側から残念ながら復職は難しいと説明をされて、実家にお返しした事例もあります。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○井伊委員 ありがとうございます。大変難しい5例かなと思いましたが、この5例とも職場の相談者というのは、いきなり上司ということになるのかという観点で、例えば産業医とか、あるいは産業保健師、職場でこういうことの相談を受ける体制について把握をされていれば伺いたいのと、年間1,244名の相談者の中で、こういう仕事に関連する相談割合が退院支援のところで、400件ぐらい入っている中に入っているだろうということなのですが。
○原田参考人 経済的問題ですね。
○井伊委員 はい、そうしたときの相談相手の職場の体制について、把握している範囲で伺いたいというのが1つです。
 もう1つは事例Dです。初期のアルツハイマーでなかなか回復は難しいだろうということだと思うのですが、お話の中で主治医は一般的な就労は問題ないという判断をされたということなのですが、それをご本人はどういう受止めなのか、一般的な就労といったときに何がメッセージとして伝わるのか、なかなか危ういなと思いますが、そういう検証はソーシャルワーカーの立場で何かお考えになっていることはありませんかということと、もう1点です。
 2例目でしたか、減給されていますということは、ここには書いていませんがということだったのですが、減給ということを皆さんは大変理不尽だという受止めをする方々が多いということでしょうか。それとも多くの方は、それは受け止める状況にあるのでしょうか。わかる範囲で教えていただきたいと思います。
○原田参考人 すみません。統計も十分でないままなのですが、まず職場の相談の話です。本当に小さい自営業に近いような会社の形態の方から、大きい企業の方からいろいろな人が通院患者さんとして来ているので、直接上司ということも結構あります。大きい企業ですとまず産業医が直接病院に来られることはないです。上司の方が聞きに来られたいとか、「どのお立場ですか」と診察場面でお伺いしないので、ご本人からは大体上司ですとか、たぶん先ほどの発表の人事の関係の方かもしれません。そういう方がつれて来られたり、聞かれたりという形です。あるいは病院の中で不安定になるとつれて来られる方もいるのですが、たいてい直属上司がつれて来られたりというのがあります。ですので、大きい企業ですと産業医がいて、上司と先ほどの素晴らしいバックアップ体制がある程度あるという所と、本当に小さくてという就労支援体制も、いろいろな規定が曖昧で、場合によっては傷病手当ても知らない会社の方もいらっしゃいます。それが実際に行われているということです。
 それと今日お話しましたが、自営業の方もおられます。自分が社長で例えば印刷会社をやっていて、自分が社長でスタッフ2人ということで、その間どうしようかということ、もう患者さん自身が経営者という方もおられます。
 あとこの方に関しての作業能力ということなのですが、働きに出ていいということは担当医の評価なのですが、物忘れで作業工程を実施できないということに関しては、確かにいまの仕事に合っていない、フィットしていない。残念ながらご自分のいまの能力に合った就職先を探すというのも1つの方法と提示させていただきました。職場内で異動する方法はないのかという点検もしました。ただ、再就職するときには精神疾患の方は病気について健康管理面から言われた場合には言うのですが、最初から説明してしまって駄目という場合があるものですから、再就職の悩みとしてどのように説明するかが難しい問題です。
 減給に関しては不満に思われていました。ただ、この方の不満というのはメインは上司が認めてくれないなどの問題でした。神経難病の方などは最低限の給料になってしまったとか、糖尿病性網膜症で最後は失明された方もいらっしゃったのですが、その方も減給に関してはご自分で了解されていました。働かせていただけるだけで感謝という患者さんもいらっしゃいます。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○塩山委員 1つ質問させてください。こちらの病院が外来支援の充実と地域連携を目指すということで外来の支援に力を入れていらっしゃる報告だったのですが、入院されているときも退院する時点で、こういう支援が必要な患者さんはいらっしゃるのではないかと思うのですが、その辺りの依頼があったものとか、何件ぐらいとか、ざっくりなものでも教えていただければと思います。
○原田参考人 それは退院時に仕事の問題ということでしょうか。
○塩山委員 はい。治療内容によっては例えば抗癌剤の点滴だけだということで、何回かされている方は間もなく職場に復帰するとか、そういう気持で入院される方もいらっしゃるかと思うのですが。
○原田参考人 そうですね、仕事との両立という相談は、退院後いつの段階で復職できるかとか、定期的に治療を受けていくこと自体が解雇につながるのではないかとか、だから治療を受けるのも非常に葛藤があるとかという悩みは確かにあります。ただ、そこも仕事の悩みということでチェックするというよりは、ADLが低下しているとか、認知面が低下しているとか、コントロール困難な痛みがあるとか、そういった項目でチェックして私たちが入るようにしております。ですから、スクリーニングされて、初めてお会いして、その中から相談ニーズを拾っていって関与していくという流れになっています。
○塩山委員 そうしますと、元の職場に戻るから、これが心配だとか、そういった形の相談というのは退院の時点ではあまりないということですか。
○原田参考人 ありますが、大体戻れるような体調が回復されている方、副作用がほとんどない段階で、先生のほうも復職と言われますので、ただ、結構休職される方も多いです。
○塩山委員 外来にかかってからという方ですね。
○原田参考人 退院して即戻るという方もおられるかもしれませんが、そういった方に関しては、私たちの所には依頼でお会いするということは対応していないです。
○塩山委員 ありがとうございました。
○今野座長 一応予定した時間は11時半ということになっているのですが、皆さんが気にしなければもう少しやります。そういう形でもうしばらくやらせていただきます。
○門山委員 このがんの患者相談部門の総合相談室、がん相談支援室というブースがあるのですか。
○原田参考人 そうです。
○門山委員 そこにアクセスするのはうちの所沢病院などだと、MSWの方にアクセスするのはたいてい主治医が、この人はもう例えば脳外科などだったら療養型病院を探してくださいとか、医師側が家族を通してアクセスするルートが多いのですが、患者さん自身からアクセスすることも結構あるということですか。
○原田参考人 そうです。これもスタッフが増えたからできることではあるのですが、先ほどもご質問がありましたように、患者さんがどんなニーズでどんな困難を抱えているかと語れる人はいいのですが、語れない人もいるのです。ですから、その辺でいろいろなアクセス方法で拾えるような仕組みにしております。うちの会社は電話会社ですので、玄関を入ってすぐに「もしもしセンター」という名称の外来患者さん、入院患者さんがフリーでご相談を受けられる窓口を設け、そこで各種相談を受け付ける仕組みにしてあります。もちろん電子カルテで依頼がきたり、電話がきたり、いろいろな職種からもオーケーにしていますし、地域からも電話相談もあります。
 もう1つ力を入れてきたのが、そういう相談ニーズの高い診療科のカンファレンスに出ているのです。ですから脳卒中の入院時カンファレンスは毎日やっていますが、そこには週3回ソーシャルワーカーが出ています。病棟の入院時アセスメントとして総合評価という方法があるのですが、その総合評価と退院支援のアセスメントをするスクリーニングを、入院時にナースがチェックして、チェックが付いた人は相談室に依頼がくるという、いろいろな層で何とか患者さんを拾おうというような仕組みを考えております。
 ですから全病棟のカンファレンスにそれぞれスタッフを付けて、スクリーニングカンファレンスを全病棟でやっていますし、診療科のカンファレンスについては脳卒中、脳外科、神経内科、整形外科、循環器内科。あとは精神科、認知症のチームもあるので行き、そこで依頼を受けるなどいろいろな形で患者さんが相談できるようにはしてきています。
 今後、充実させていこうと思っているのは救急センターの外来で、少しずつ外来でチェックしてかかわっていこうというようにしています。
○門山委員 そこの看護師5名というのは専属の看護師ですか。
○原田参考人 そうです。
○門山委員 何か専門のがんとか。
○原田参考人 がん専門看護師が1名おりまして、あとは退院調整なり在宅ケアのケアマネージメントを担当してもらっている看護師です。
○門山委員 もう専属なのですね。外来業務の傍らやっているのではなくて、7対1看護ですか。看護師さんが随分いっぱいいらっしゃっていいなと思って聞いてみたのです。
 あともう1つ、そうすると5例のうち介入といっていいのかどうかわからないのですが、事業所に直接入って行ったというのが5例中2例ですね。
○原田参考人 はい。
○門山委員 大体割合としてはそんなものですか。
○原田参考人 そうですね。そんなに多くは私たちはやっていなくて。
○門山委員 向こうから来てしまうというか、いらっしゃるというのが多いという。
○原田参考人 精神科に関しては精神科医が産業医とやり取りをやっていますので、私たちはそこに参加はしていないです。
○門山委員 メンタルはそうですよね。
○畑田参考人 企業によっては例えばNTTだと復職検討会とかに担当医が行ったり、書類を出したりしていると思います。
○門山委員 大きい企業や産業医がある所は自分たちで何とかやれるのだろうけれども、まずそれで、大体中小企業のところが人事を通して話を聞きたいというようなパターンが多いと。来ていただいたその割合が5分の2ぐらいということですね。
○原田参考人 データ的に持っていないので申し訳ありません。
○門山委員 どうもありがとうございました。
○原田参考人 昔、アルコール専門外来をやっていた時代があったのですが、そのときにはもう少し職場調整をやっていたときもあったのですが、いまはアルコール外来をやっていませんので、やり方によってはニーズ発掘みたいなものが広がるかとは思います。
○砂原委員 お聞きしていて病院の性格上、非常に困難な事例が多く寄せられていて、ソーシャルワーカーのご活躍されるケースが多いのかなというのを感じながら聞いていたのですが、入院したその患者さんに対するサポートというのは、外来通院だけの方に対するサポートとはだいぶ違うものがあるのでしょうかというのが1つです。
 いま地域医療連携というのが言われていて、こちらもそういう拠点ということでやっていらっしゃる中で、その地域のドクターに返しながら復職のサポートを地域のドクターと連携しながらやられるケースというのがもしあったのだったら教えていただければと思います。
○原田参考人 まず入院と外来の違いですと、状態が圧倒的に重い方、動けなくなった方、障害が生じたというのはそういう意味ですが、重症度の高い方がやはり多いです。外来に関しては基本的に歩いて来られる方が復職されることが多いです。それが大きな違いです。
 地域連携に関しては基本的にリハビリテーションを経る場合には地域のそういうリハビリテーションの病院への橋渡しをさせていただくのと、開業医さんに関しては開業医さんと一緒に復職支援というのは残念ながらないです。ただ、アドバイスとしていまかかっている先生に、いまこういうことを相談したらどうかしらとか、そういうようなことを言うということはあります。例えばうちの病院からは病院の治療そのものが終わって、別な精神科のクリニックにかかるというときには、そこで今後相談していくのですよみたいなアドバイスをすることはあります。
○労災補償部長 ありがとうございました。いま現在関東病院には通院はしていないのですが、例えば就労なり経済的な問題で相談するという外部からの問い合わせみたいなものは結構あるものなのでしょうか。もし開業医さんにかかっている場合にはそんなに相談の機会もないと思うので、そういう方々が相談するような窓口をソーシャルワーカーの組織の方々が、何か設置されているとか、そういうことはあるのでしょうか。
○原田参考人 1つ目には、がん診療連携拠点病院の相談支援センターは、地域からの相談も受けることが役割として与えられているのです。ただ、仕事というよりも治療に関する相談が電話相談で多く入るというのが1つです。総合相談に関しては、がん以外の患者さんを受けているのですが、当院へかかりたいとか、リハビリテーションができるかとか、専門治療が受けられますかという治療の相談が圧倒的に多いです。
 実際にまだかかっていないけれども、来られたとします。そんな中でお話を伺っていく中で、悩みを聞いていくことは若干ありますが、基本的には治療を求めて患者さんから医療機関の相談室にアクセスされるという形が多いと思います。それとソーシャルワーカーの団体でということはまだ全然で、これからだと思います。なかなか人数が少なくて、もう少し充実させていきたいと思っております。
○今野座長 まだ質問もあるかと思いますが、いくら何でもオーバーしすぎですので、そろそろ終わりたいと思います。ありがとうございました。
○原田参考人 こちらこそありがとうございました。
○今野座長 最後に私、座長のわがままで、武田さんに質問し忘れたことがあるので、1つだけ質問させていただいて終わりにしたいと思います。
 毎年70名の人に対応していらっしゃるということなので、従業員2千数百名ですから、大体対従業員比3%ですよね。
○武田参考人 実際にはフルタイムの立場の者は3,500名おりますので。
○今野座長 では2%ぐらいですか。
○武田参考人 2%弱、そんなものですね。
○今野座長 もう1つ、私の質問は2%を10年やってしまうと20%になる。つまり5人に1人はそういう人だった、そういう経験をした人というぐらいの規模になってしまうのではない。この点はどうですか。また、その2%というのは会社の一般的なのですか。質問はその2つです。
○武田参考人 例えば復職支援プログラムを使った人が中で増えるかどうか、リピートが絡む方も可能性としてあり得るので、仮に増えたとしてもその方がいま健康で働いていれば、何の問題もないと思っているのです。なので、それはあまり問題ではないかと。
○今野座長 ただ、私はそれが一種のストックなので、ストックが50%ぐらいになっていれば誰でもそういうことになるものだという文化になるではないですか。それが5%ぐらいだったらそうでもないということになる。そういう意味で重要かなと思ったのです。
○武田参考人 おっしゃるとおりで、例えば復職支援プログラムを使って、いま健康に働いていて、大活躍をしているとか、きちんと就労を続けているという実績ができればできるほど、皆さん気軽に相談していただけますし、私の目指している病気のことを普通にカミングアウトできるという会社組織になっていくと思うので、それは結果オーライだと思います。
○今野座長 ではストックはわからないですか。
○武田参考人 いまうちにどれぐらいいるかということですか。
○今野座長 そうそう、ストックで。
○武田参考人 本当にきちんとした体制が回り始めたのが2007年なので、制度もメニューもそこから約5年です。フルフルいるわけではないので、いまトータルで200人ちょっとぐらいだと思います。
○今野座長 あと2%相場はどうですか。
○武田参考人 大体メンタルで引っかかってくる人が1%ぐらいなのかなという認識で、他社さんの話を聞いても、2%欠けるぐらいで、たぶん感覚値ですが相場かなと思います。
○今野座長 最後は私が勝手な質問をしまして失礼しました。それでは今日の研究会はこの辺で終わりにしたいと思います。最後に事務局から連絡がございますのでお願いします。
○労災補償訟務分析官 次回の日程ですが、皆様方のスケジュールを踏まえまして、5月28日(月)15時より開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。また、次回以降、取りまとめに向けた議論をさせていただきたいと考えております。これまでいただきましたご意見を整理した資料をお配りさせていただきたいと考えているところです。
○今野座長 それでは終わりたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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