ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 緩和ケア推進検討会> 第1回緩和ケア推進検討会議事録




2012年4月25日 第1回緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成24年4月25日(水)


○場所

全国都市会館3階第2会議室(東京都千代田区平河町2-4-2)


○議題

・緩和ケアの推進について
・その他

○議事

出席構成員:池永構成員、岩瀬構成員、大西構成員、小川構成員、加賀谷構成員、木澤構成員、小松構成員、田村構成員、恒藤構成員、花岡構成員、前川構成員、松月構成員、松本構成員、道永構成員、武藤構成員

○木村がん対策・健康増進課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第1回「緩和ケア推進検討会」を開催させていただきたいと思います。
 各構成員の方々には、朝早くからの御参集、誠にありがとうございます。
 まず、最初に、本検討会の開催に当たりまして、藤田厚生労働大臣政務官からごあいさつ申し上げます。
○藤田厚生労働大臣政務官 おはようございます。政務官を務めております、藤田一枝でございます。
 本日は、第1回の緩和ケア推進検討会、お忙しい中、御出席いただきまして、本当にありがとうございました。また、委員の先生方には、何かと御多用中にもかかわらず、今回、この検討会に当たりまして、委員に御就任をいただきましたことに、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 がん対策につきましては、もう改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、政府といたしましても、この間、がん対策基本法に基づいて、がん対策推進計画を策定いたしまして、総合的かつ計画的に取組みを進めてきたところでございますけれども、この基本計画が策定されてから、5年が経過いたしまして、このほど、見直しに向けてがん対策推進協議会より答申をいただいたところでございます。
 その中で、緩和ケアについては、重点的課題に掲げまして、研修会や地域連携、こうしたことを進めてまいりましたけれども、これからは、更にがんと診断されたときから、患者さんと、その家族の方々が全人的な緩和ケアを受けられるような体制の充実というものを図ることといたしているところでございます。
 また、今回新たに、がんになっても安心して暮らせる社会の構築を目標に掲げておりまして、緩和ケア等の充実を通して、全体目標の達成を図ることにいたしております。
 次期計画については、多分、6月くらいになるのではないかと思っておりますけれども、閣議決定をされる予定でございますが、緩和ケアに関する具体的な施策については、必要に応じて、来年度、平成25年度の予算要求を行うために、早急に議論をする必要があるということから、今回、本検討会を設置する運びとなったところでございます。
 委員の皆様方におかれましては、日ごろからそれぞれのお立場で熱心にお取組みをいただいているわけでございますけれども、是非、緩和ケアのさらなる推進に向けて、この検討会においても活発な御議論を賜りますよう、そして、私どもその御意見をちょうだいして、これからの緩和ケアの対策にしっかり取り組んでまいりたい、このように考えておりますので、是非ともよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○木村がん対策・健康増進課長 ありがとうございました。藤田政務官におかれましては、公務のため、ここで退席させていただきますので、御了承いただきたいと思います。
(藤田厚生労働大臣政務官退室)
○木村がん対策・健康増進課長 それでは、構成員の紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、初めに、淀川キリスト教病院ホスピス科部長の池永昌之構成員です。
 次に、国立大学法人東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部副部長の岩瀬哲構成員です。
 次に、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍学教授の大西秀樹構成員です。
 次に、日本大学医学部麻酔科学系麻酔科学分野教授の小川節郎構成員です。
 次に、済生会横浜市南部病院薬剤部部長の加賀谷肇構成員です。
 次に、国立大学法人筑波大学医学医療系臨床医学域講師の木澤義之構成員です。
 次に、慶應大学看護医療学部慢性臨床看護学教授の小松浩子構成員です。
 次に、東札幌病院診療部副部長の田村里子構成員です。
 次に、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科緩和医療学寄附講座教授の恒藤暁構成員です。
 次に、JR東京総合病院名誉院長の花岡一雄構成員です。
 次に、特定非営利活動法人周南いのちを考える会代表の前川育構成員です。
 次に、公益社団法人日本看護協会常任理事の松月みどり構成員です。
 次に、特定非営利活動法人愛媛がんサポートおれんじの会理事長の松本陽子構成員です。
 次に、社団法人日本医師会常任理事の道永麻里構成員です。
 次に、医療法人社団鉄祐会理事長の武藤真祐構成員でございます。
 なお、東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一構成員におかれましては、本日、御都合により御欠席との連絡を受けてございます。
 続きまして、事務局側の方の御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、外山健康局長でございます。
 次に、がん対策・健康増進課のがん対策推進官の鷲見でございます。
次に、秋月課長補佐でございます。 
次に、林課長補佐でございます。
 最後に、課長の木村でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の資料を見ていただければと思います。
 まず、座席表、それから、議事次第、資料1として緩和ケア推進検討会の開催要綱。
 資料2としまして、がん対策推進基本計画(変更案)の緩和ケアに関して取り組むべき施策。
 資料3としまして、構成員からの意見調査のまとめ。
 資料4としまして、今後検討すべき論点について(素案)。
 資料5としまして、今後の議事の進め方(素案)。
 参考資料は3つございまして、参考資料1、次期がん対策推進基本計画案の概要。
 参考資料2が、がん対策推進基本計画(変更案)。
 参考資料3が、緩和ケア専門委員会報告書。
 また、本日は、構成員の方々から提出資料をいただいてございまして、岩瀬構成員、小松構成員のそれぞれから提出資料がございます。
 資料につきましては、以上でございます。万一、抜けているものがあれば、事務局の方に申し付けていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、まず、最初に、本検討会は第1回目ということでございますので、座長の選出をさせていただきたいと思います。まず、御推薦があればどなたかよろしくお願いします。
 どうぞ。
○小川構成員 日本大学の麻酔科の小川でございます。今後、検討すべき論点というのを拝見いたしますと、非常に幅広い論点から論じなければいけないと思います。そうしますと、全体的に俯瞰をできるということが必要と思います。その観点からしますと、これまで、緩和医療にいろいろな面で関与してこられましたJR東京総合病院の花岡先生が適任かと思いますので、推薦させていただきます。
○木村がん対策・健康増進課長 ありがとうございます。まず、花岡構成員の候補の名前が挙がりましたけれども、ほかに、どなたかございますでしょうか。ございませんでしょうか。
 それでは、花岡構成員にお願いすることとして、皆様、よろしゅうございましょうか。もし、よろしければ、拍手をよろしくお願いします。
(拍手起こる)
○木村がん対策・健康増進課長 ありがとうございます。それでは、全員一致の形で、花岡構成員に、本検討会の座長をお願いしたいと思います。
 どうぞ、席の方に御移動されてください。
 花岡座長の方から、一言、ごあいさついただければ幸いでございます。
○花岡座長 ただいま御紹介預かりました、花岡でございます。御推薦を受けましたので、座長を務めさせていただきたいと思います。
 今、政務官もおっしゃっておられましたように、非常に早急にこの件につきましては、我が国としても推進していかなければいけないという大きな課題を持っておりますので、構成員の先生方にもよろしくお願い申し上げます。
○木村がん対策・健康増進課長 ありがとうございました。それでは、以後の進行は、花岡座長にお願いしたいと思います。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
○花岡座長 では、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、早速、本日の議題に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 最初に「緩和ケア推進検討会」を設置する目的と、これまでの緩和ケアにつきましての議論について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○事務局(秋月) それでは、配付させていただいた資料について、説明をさせていただきます。
 まず、資料1から資料5まで説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1「『緩和ケア推進検討会』開催要綱」ですけれども、この趣旨でございますが、がん患者と、その家族が可能な限り質の高い生活を送れるよう、緩和ケアをがんと診断されたときから提供するとともに、診断、治療、在宅医療など、さまざまな場面で切れ目なく実施することが重要である。
 しかしながら、日本では、いまだがん性疼痛の緩和等に用いられる医療麻薬の消費量が少ないこと、そして、がん医療に携わる医師が緩和ケアの重要性をまだ十分に認識していないこと、国民に対しても、まだ、緩和ケアに対する正しい理解や周知が進んでいないこと等の課題が指摘されているところです。
 そういう課題を踏まえまして、今回、この検討会では、今後の緩和ケア対策について、俯瞰的かつ戦略的な対策等を検討し、今後の対策に反映していくことを趣旨としております。
 2番の検討事項、ここに例示をしておりますのは、(1)がん診療に緩和ケアを組み入れた診療体制の構築、がん性疼痛の克服、緩和ケアチームや緩和ケア外来等の診療機能の向上、在宅緩和ケアの質の向上や医療連携の推進と挙げておりますが、それ以外にも緩和ケアの充実に向けた具体的な対策について検討を進めていきたいと考えております。
 3のその他については、省略をさせていただきます。
 次のページでございますが、緩和ケア推進検討会の構成員の名簿をお示ししております。
 次ですが、資料2について御説明させていただきます。
 資料2「がん対策推進基本計画(変更案)の緩和ケアに関して取り組むべき施策」としております。
 1)、これまでの緩和ケアに関する議論でございますが、今回、がん対策推進基本計画の見直しに当たりまして、緩和ケアについては、専門的な議論が必要であるということから、平成23年1月にがん対策推進協議会の下に、緩和ケア専門委員会が設置され、計7回の議論を経て、平成23年8月に緩和ケア専門委員会報告書が策定をされました。こちらは、参考資料の方に付けておりますので、適宜御参照ください。
 その後、この報告書と、がん対策推進協議会の意見を踏まえて、がん対策推進基本計画の変更案が策定されました。
 この変更案については、平成24年3月1日にがん対策推進協議会より答申を受けたところでございまして、今年の5月から6月を目途に閣議決定をされる予定です。
 参考のところに、その緩和ケア専門委員会報告書の提言を1~6まで挙げております。
 2)ですが、がん対策推進基本計画(変更案)における緩和ケアの取り組むべき施策と個別目標ということで、その変更案のところから緩和ケアに関するところを抜粋させていただいています。
 ちょっと時間が限られておりますので、現状のところは省略をさせていただきますが、次の2ページの下から2段落目のところから、取り組むべき施策がございます。こちらに下線を引いておりますけれども、これは、今日ちょっと説明をするためにと思いまして、ポイントに下線を引かせていただいたんですが、変更案そのものには、こうした下線は引かれていないということを申し添えます。
 取り組むべき施策の1つ目の下線の部分を読ませていただきますと、がん診療に緩和ケアを組み入れた診療体制を整備する。そして、診断結果や病状の適切な伝え方についても検討を行うということを挙げております。
 2つ目が、緩和ケアチームなどが提供する専門的な緩和ケアへの患者と、その家族のアクセスを改善するということ。それから、緩和ケアに関する相談や支援を受けられる体制を強化するということを挙げています。
 3ページ目ですが、一番上が精神腫瘍医を始め、がん看護の専門看護師・認定看護師、社会福祉士、臨床心理士等の適正配置を図り、緩和ケアチームや緩和ケア外来の診療機能の向上を図る。
 そして、在宅緩和ケアを提供できる診療所などと連携し、患者とその家族の意向に応じた切れ目のない在宅医療の提供体制を整備するとともに、急変した患者や医療ニーズの高い要介護者の受入れ体制を整備していく。
 そして、身体的苦痛緩和のための薬剤の迅速かつ適正な使用と普及を図る。がん診療に携わる医療従事者に対する人材育成を進め、基本的な緩和ケア研修を実施する体制を構築する。
 次に、精神腫瘍医や臨床心理士等の心のケアを専門的に行う医療従事者の育成に取り組む。
 次が、研修内容のさらなる充実とともに、必要に応じて、研修指導者の教育技法などの向上を目指した研修を実施する。
 緩和ケアの実践的な教育プログラムを策定する。そして、医学部に緩和医療学講座を設置するよう努める。
 最後に、緩和ケアの意義やがんと診断されたときからの緩和ケアが必要であることを国民や医療・福祉従事者などの対象者に応じて効果的に普及啓発するということです。
 次に、個別目標を挙げておりますが、3年以内に、これまでの緩和ケアの研修体制を見直し、5年以内にがん診療に携わるすべての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得することを目標とする。特に拠点病院では、自施設のがん診療に携わるすべての医師が緩和ケア研修を修了することを目標とする。
 また、3年以内に拠点病院を中心に緩和ケアを迅速に提供できる診療体制を整備するとともに、緩和ケアチームや緩和ケア外来などの専門的な緩和ケアの提供体制の整備と質の向上を図ることを目標としております。
 これが、基本計画の変更案における内容です。
 次に、資料3でございますが、今回、検討会の開催に当たりまして、非常に短い期間であったにもかかわらず、構成員の皆様からいろいろな御意見をちょうだいすることができました。
 ここに掲げているものは、すべてということではないんですけれども、主にということで、とりまとめをさせていただいております。
 すべて読み上げることはできないんですが、例示として幾つか読み上げる形で説明をさせていただきます。
 1つ目のがん診療に緩和ケアを組み入れた診療体制を整備することという、これについてですが、1ががん性疼痛に対するスクリーニングをどのような段階で、どこから行うべきかということで、例えば、がんと診断されたときから、それから、3つ目ですと、例えば、バイタルサインにもカルテの方に組み込むといったような御意見をいただいております。
 2のその他の苦痛に対するスクリーニングは、どの段階から、どこでどのように行うべきかという問いに対しては、例えば2つ目ですけれども、診断されたときから、MSWや看護師、臨床心理士などが面談室で行うというような御意見をちょうだいしております。
 次のページでございますけれども、2番の身体的苦痛緩和のための薬剤の迅速かつ適正な使用を実践することについてということで、例えば、1つ目ですが、緩和ケア研修会を継続して開催してはどうかという御意見をちょうだいしております。
 3つ目、患者とその家族等の心情に対して十分に配慮した、診断結果や病状の適切な伝え方についてですが、どのような手段や方式を取るべきかということについて、例えば4番目ですけれども、医師の説明に看護師も同席し、面談終了時、必ず看護師から理解できたか、不安な点はないかと確認するというような御意見をいただいております。
 3ページ目ですけれども、4番、専門的な緩和ケアへの患者とその家族のアクセスを改善することについてということで、1つ目が、緩和ケアチームへのコンサルテーションのアクセスを改善するための施策はということについて、例えば5つ目ですけれども、担当医が対処困難なときに、専門的な緩和ケアへのアクセスの具体的な基準を決めておくというような御意見をちょうだいしております。
 2つ目、緩和ケア外来へのアクセスを改善するという点については、例えば、下から3つ目には、インターネットを用いた相談窓口の解説というような御意見をちょうだいしております。
 4ページ目でございますが、5番の患者とその家族や遺族などが、いつでも適切に緩和ケアに関する相談や支援を受けられる体制についてということで、1の個人カウンセリングの在り方については、1つ目にありますように、がん看護経験のある看護師が行う。あるいは3つ目のようなカウンセラーの養成という御意見をいただいております。
 2の集団カウンセリングの在り方については、1つ目にある遺族会が実施するであるとか、2つ目の緩和ケアチームが行うというような御意見をいただいております。
 3の緩和ケアに関する相談の在り方については、例えば、がん相談支援センターでの支援も重要であるという御意見をいただいております。
 次の5ページ目でございますが、6番の緩和ケアチームや緩和ケア外来にかける各職種の適正配置についてということで、それぞれ緩和ケアチームあるいは緩和ケア外来にどのような人材、職種の方が必要かということで、多くの職種を挙げていただいております。
 7番、患者と家族の意向に応じた切れ目のない連携体制についてということで、1、入院医療機関と診療所での連携の在り方についてですが、例えば、3つ目ですと、診療所が入院医療機関と連携して、症状に対応した支援体制を用意するとともに、緊急時の対応方法など、あらかじめ決めておく連携を行う。
 あるいは4つ目ですが、地域の緩和ケアマップの作成を義務化してはどうかという御意見をいただいております。
 次の6枚目ですけれども、2の切れ目のない連携とは何かという質問について、1つ目にございますように、患者の意向を盛り込んだ情報、こういったものを共有していくべきだろうと。
 2つ目ですが、治療施設と在宅での療養期間をオーバーラップさせる必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 3の具体的な連携方法ですが、1つ目の治療中から患者が地元の連携施設を利用できるような体制を整えてはどうかという御意見をいただいております。
 次ですが、7枚目にまいりまして、緩和ケアの教育体制、研修体制ということで、3年以内にこれまでの緩和ケア研修の体制を見直すという個別目標を掲げておりますが、1の研修の質の維持向上のための実施体制についてということで、例えば、1つ目が修了者に対するフォローアップ研修会、それから、4番目にあるような更新性、5番目にあるe-learning、こうしたものを導入するべきではないかという御意見をちょうだしています。
 2の研修の質の維持向上のための研修内容についてということで、例えば、3つ目にある経験豊富なファシリテーターの意見をもっと反映するような体制づくりは必要。あるいは、5つ目のような多職種でのグループをつくった研修を行ってはどうかという御意見をいただいております。
 3の研修指導者の質の維持向上のための指導者教育については、1つ目、研修会指導者のスキルアップ研修会実施の義務化をしてはどうかというような御意見をちょうだいしております。
 次の8ページ目でございますが、5年以内にがん診療に携わるすべての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得するということについて、1、すべての医療従事者とは何かということについて、さまざまな職種の方を挙げていただいております。
 職種別の研修を検討するべきかということについては、例えば、2つ目ですが、総合研修と職種別の研修の両方が必要だろうという御意見をちょうだいしております。
 10番、拠点病院では、がん診療に携わるすべての医師が緩和ケア研修を修了するという目標についてですが、1拠点病院における研修修了者等の情報についてどこまで公開するかとか、指標となり得るかということについて、例えば1つ目ですと、すべて公開を義務化してはどうかという御意見をちょうだいしております。
 9ページ目の11番、精神心理的・社会的苦痛に対応できるよう、医師だけでなく、がん診療に携わる医療従事者に対する人材育成を進めるということについて、ここにもがん診療に携わる医療従事者について、さまざまな職種を挙げていただいております。
 2どのような人材育成を考えるのかということについて、例えば6番目ですけれども、ラウンドテーブル型のチームが組めていないということで、チームアプローチやチームビルディングということについて、実践的に学ぶ必要があるのではないかという御意見をいただいております。
 12番、精神心理的苦痛に対するケアを推進するための精神腫瘍医や臨床心理士等の心のケアを専門的に行う医療従事者の育成についてということで、1つ目ですけれども、精神腫瘍医育成のための卒然教育が必要であるとか、あるいは精神科医や臨床心理士に対して緩和ケアの研修会を開催してはどうかというような御意見をちょうだいしております。
 今回、非常に多くの御意見をちょうだいしておりまして、こういったいただいた御意見については、今後、それぞれの議題について議論する際にも参考にさせていただきたいと考えております。
 続きまして、資料4でございますが、今回、こうした検討会を開催するに当たり、皆様からいただいた御意見、それから、当然、がん対策推進基本計画の変更案を踏まえますと、幾つか検討すべき論点というものがあるかと思い、それを素案としてまとめたものが資料4でございます。
 大きく3つに分類しておりますが、多少オーバーラップするところはあると思いますけれども、一応、緩和ケアの診療体制、それから診療の質、そして教育体制という3つの3本柱に分けております。
 1つ目の緩和ケアの診療体制に関することが、まず、緩和ケアへのアクセスの改善。
 2番が、緩和ケアに関する情報提供や支援。
 3番で、各職種の適正な配置。
 4番で、患者と家族の意向に応じた切れ目のない連携体制といった枠組みであるとか、人の配置といったものを取り上げております。
 2つ目が、緩和ケアの診療の質に関することで、患者と家族の心情に配慮した診断結果や病状の伝え方、そして、がん診療への緩和ケアの組み入れ方。
 3番が、身体的苦痛緩和のための薬剤の迅速かつ適正な使用。
 4番が、精神的苦痛を含む、その他の苦痛緩和のために必要なことということを挙げております。
 3つ目の緩和ケアに関する教育体制ですが、1つ目が、緩和ケアが必要な職種。
 2つ目に、それぞれの職種に対する研修の内容。
 3番で、特に心のケアを専門的に行う医療従事者の育成。
 4番が、指導者の質を維持向上させるための施策。
 5番が、大学等の教育機関における教育プログラム。
 6番が、実施主体別の研修の役割。
 7番で、がん診療に携わるすべての医療従事者が基本的な緩和ケアに関する研修を修了するための施策という7つを挙げております。
 こちらに素案として出しておりますけれども、後ほど皆様より抜け落ちている論点がないか、あるいは特に重点的あるいは優先的に議論すべき点について御意見をちょうだいしたいと考えております。
 次に、資料5でございますが、今後の議事の進め方ということで、これも素案を示しております。
 今回、第1回でございますので、まず、論点整理ということで、先ほど、今後議論すべき論点というところから、特に重点的に議論すべき議題を抽出していきたいと考えております。
 第2回以降ですけれども、基本的には、3回程度で1つの議題をまとめていくというような形で進めていきたいと考えております。
 まず、1回目でヒアリング、このヒアリングは、構成員の皆様あるいは必要があれば、外部の方から、どなたかお招きをしてヒアリングをさせていただくと。
 そして、それについて議論して、特に具体的な、どういったことを今後進めたらいいかという御提言をちょうだいしたいと考えております。
 そして、2回目で、1回目の議論を踏まえた上で、事務局の方から今後の施策案を提示して、それについて更に議論を深めていただきたい。
 そして、3回目で、それを具体的な施策の、勿論、実施できるものと、そうではないものとあるかもしれませんが、それは、報告させていただくという形で、大体おおむね3回くらいで完結するということにしてはどうかと考えております。
 事務局からは、以上です。
○花岡座長 ただいま御説明いただきましたけれども、先生方の方から何か御質問、コメント等ございますでしょうか。
 今後の論点というのは、結構、広い範囲におきまして、たくさんの項目がここに挙げられておりますけれども、これを順次やりやすいところからやっていくような形になるんだろうと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ。
○松月構成員 日本看護協会の松月でございます。おまとめいただいた資料4の素案につきまして、資料1の開催要綱を見てみますと、1行目から2行目にかけて、緩和ケアががんと診断されたときから提供すると書かれておりますので、まず、今回の基本計画の案の段階かもしれませんが、そこの特徴というのは、がんと診断したときからというのが特徴ではないかと思いますので、多分、このことは、2ポツ目の診療の質に関するところの、がん診療への緩和ケアの組み入れ方の辺りに入ってくるかと思うんですが、この言葉をどこかにお書きいただくと、緩和ケアというのは、多くの人が、まだ、終末期というか、診断したときからというイメージがなかなかないので、その辺りを組み込むとはっきりするのかなと感じました。
○花岡座長 どうもありがとうございます。緩和ケアの出発点というところがどこにあるのかということですが、がんと診断されたときで、まだ、痛みがないというときから始めた方がという意見でございますが、この点につきまして、どこかに加えたいということでございますが、よろしゅうございますか。
 ほかに何かございますでしょうか。
 どうぞ。
○武藤構成員 東京都文京区と宮城県石巻市で在宅医療をやっております、武藤と申します。
 緩和ケアがどこでなされるかというところで申しますと、勿論、病院でありますとか、緩和ホスピスなどで行われることも多いと思いますが、今後、在宅での最期が間違いなく増えます。在宅医療推進が国の施策であることを考えましても、私どもの経験から申しましても、最期を自宅でも、きちんと痛みをコントロールできて過ごす患者さんが多いと、最終的には非常にやすらかな最期を迎える方が多いようにも思います。この検討会でも、在宅緩和ケアへのつなぎ方、病院からのつなぎ方、こういったところも観点に入れていただけますと幸いです。
○花岡座長 どうもありがとうございます。病診連携も含めて、入り口から出口までを一括してやりたいというような形になると思いますが、今の武藤先生のお話は、非常に大切なことだと思います。
 どうぞ。
○小松構成員 私も今回、いろんな看護師からお話を聞く機会を設けたんですが、今、松月構成員、それから、武藤構成員もおっしゃったように、今回の施策のところの大きな考え方の大事な部分で、がんと診断されたときからということでは、その前の、やはり健康なときからの緩和ケアに関する啓発的な部分というのは、かなり大きなことでして、医療チームをどう考えるかというときに、保健師とか、さまざまなそういう健康な人たちが生活している中での緩和ケアをどう考えるかというところに、今ある、本当に人材を豊かに使っていくという考え方を根底には持った方がいいんじゃないかと思って、それをただ単に正しい知識の普及とか、そういうところに凝集されますと、どうやってやろうかみたいな方法論になってしまうので、そういう押さえ方というのを大事にしたいと思っています。
○花岡座長 ありがとうございます。緩和ケアという言葉を認識するという段階まではいっていませんので、恐らく、そういう下地を掘り起こして、緩和ケアに対する認識というのが、国民的にもある程度のイメージがわくような形というのは、必要ではないかと思いますので、よろしくお願いします。
 岩瀬先生。
○岩瀬構成員 東大病院の岩瀬でございます。診断されたときから緩和ケアをという、診断というところが緩和ケアの導入のポイントであるということで、これから緩和ケアを推進していくという目標だと解釈しておるんですけれども、実際、診断をされたときに、緩和ケアがそのときから本当に必要なのかという質問をよく受けることがありまして、診断をされたということで、もう緩和ケアの導入というふうに決めてしまっていいのかということも議論した方がいいんではないかと個人的に思っております。
 個人的には、診断のときから緩和ケアの導入が必要だと思っておるんですけれども、現場からは、そういう質問をよく受けるということ。
 例えば、がんでも非常に早期のがんで、内視鏡だけで治療が終わってしまうような症例、そういったものに対しても必要なのかということをよく質問されるものですから、それをちょっと検討していただきたいと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございます。確かに、それは非常に悩ましいところではございますが、痛みが出たからというわけではないし、痛みがないからというわけでもないんでしょうけれども、やはり緩和ケアチームとの関わりというか、顔見せというところも1つのポイントのような感じもあるので、いろいろ御質問があると思います。よろしくお願いします。
 小川先生。
○小川構成員 日本大学の小川でございます。大学病院でペインクリニックをやっておりましたり、日本ペインクリニック学会を代表しておるものですから、つい各論になってしまうかもしれませんけれども、身体的苦痛の緩和という部分にかなり重点を置きたいと考え、課題としてもってまいりました。
 がんの身体的苦痛の緩和のために、確かにWHO方式を更にもっときちんと使えるようにするということは非常に重要でございますけれども、薬剤だけでいいかという問題も有ると考えます。これは、ペインクリニック的な手技をみんなが使用しろという意味ではございませんで、痛みの医療をもう少し広くとらえた方がいいのではないかと思っております。
 以上です。
○花岡座長 ありがとうございます。どうぞ。
○木澤構成員 筑波大学の木澤でございます。先ほどの、診断時からの緩和ケアのお話なんですけれども、診断時からの緩和ケアということで、国民に対する緩和ケアの啓発ということに、学会等を通じて取り組んできたのですが、さまざまな調査を見ても、お金と手間と人手をかけて啓発をしてきているのですが、かえって緩和ケアの認識率は下がっているというような実態がございます。これは、、日本緩和医療学会がやったものでもそうですし、戦略研究で、オプティム(緩和ケアプログラムにおける地域介入研究)の介入地域について、かなり濃い緩和ケアの啓発に関する介入をした場合でも、国民の緩和ケアという言葉の認識率は、逆に下がっているという現状があるわけです。
 その要因の1つには、緩和ケアという言葉が一つのスティグマになっている可能性があると思います。さっき岩瀬さんもおっしゃったことなんですけれども、緩和ケアという言葉を国民が否定的にとらえて、反射的に目をそむけてしまうという懸念がありますので、緩和ケアを早期から、診断時から導入することを広報することが、果たして患者さん御家族にとって本当にやさしいかどうか、緩和ケアの内容である苦痛を取ってゆくこと自体は大切ですけれども、それを緩和ケアという言葉を使って啓発してゆくかどうかについては十分な議論が必要だと思います。基本的な緩和ケア、実際に必要なつらさに対するケアを行う、つらさのスクリーニングをするということは非常に重要なことだと思うので、どうやって行ったらよいか啓発とは分けて議論をし、啓発に関しては言葉の使い方を注意し、どれだけのお金とパワーをかけていくについて、十分に吟味をしてやっていくべきだろうと。そうでないと、お金と労力の浪費になるのではないかということを危惧しております。
○花岡座長 どうもありがとうございます。少し後に、また持ちたいと思いますので、この参考資料についての説明についての疑問とか、そういうことについてお話をいただきたいと思いますが、これにつきましては、よろしゅうございますか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 では、事務局の方からお願いいたします。
○木村がん対策・健康増進課長 局長は、引き続きおられます。退室場合は、適当なときに御案内させていただきたいと思います。
○花岡座長 わかりました。それでは、今、ホットな議論に入りかけたんですけれども、まず、お互いを知るということが必要でございますので、各構成員の先生方から自己紹介と、今後の緩和ケア施策に対する御意見を3分程度でお願いしたいと思います。
 そして、意見交換は、全構成員の御説明、自己紹介等が終わった後で、まとめて行う予定にしておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、名簿順に行いたいと思いますが、初めに、池永構成員からお願いいたします。
○池永構成員 淀川キリスト教病院ホスピスで勤務しております、池永でございます。
 私自身は、急性期病院と、あと、緩和ケア病棟に18年勤務しておりまして、主に緩和ケア病棟から多くの患者さんのお世話をさせていただいております。
 今回の議論の中において、私自身が関心を持っておりますテーマが、1つは、先ほどからも御意見がございましたとおり、診断時からの緩和ケアの導入、どういう患者さんに、どのような緩和ケアを提供するかというふうなこと。
 特に、現場において非常に感じますことは、チームで関わることの難しさ、例えば、主治医が必要と感じていないときであっても、ほかの医療職種が、緩和ケアが必要と感じているときに、どう導入するかということについて、どのようにスクリーニングをかけ、どういう患者さんに緩和ケアを提供していくのか、特に専門的な緩和ケア、チームの提供を行っていくかということを考えていきたいと思っております。
 もう一つは、緩和ケア研修会を通して、地域連携の体制というのは、ある部分、研修会の副産物として進んできているように思います。研修会、また、指導者との連携を通して、地域連携が進むということでありますが、ただ、まだまだ緩和ケア病棟においては、十分に緩和ケア研修会に協力できていないような体制がございます。全国の緩和ケア病棟のうち、約3割は拠点病院に附属した形での緩和ケア病棟ではございますが、残りの緩和ケア病棟は、拠点病院ではないという現状で、必ずしも緩和ケア研修会に参加しなくてもいいというふうな状況であり、まだ、十分協力ができていない施設もございます。
 それで、緩和ケア病棟から緩和ケア研修会に協力することによって、緩和ケア病棟と拠点病院との連携づくりというふうなものも非常に大切であると考えております。
 それと、やはり地域連携の確立の点でございますが、緩和ケア病棟から考えておりまして、なかなか地域の診療所との連携が難しい状況ではございます。十分な情報が、なかなか病棟だけでは集まらないというふうな現状でございますが、この先、拠点病院が中心となって、2次医療圏においての地域のリソースを収集し、また、それを情報公開ができるような体制づくりというものも非常に大切であると考えています。
 また、緩和ケア病棟側としても、緩和ケア病棟は、なかなか入院待機期間が長くて入れないというような現状がございます。そういうものを改善するためにも、緩和ケア病棟の中での現状と、その受入れ体制の問題点を十分情報提供し、国民や拠点病院の先生方に提供できたらと思っており、そのようなことを中心に考えていきたいと考えております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、岩瀬構成員、お願いいたします。
○岩瀬構成員 東大病院緩和ケア診療部の岩瀬でございます。私は、平成15年から東大病院の緩和ケアチームを担当しておりまして、現在は、年間で約500件ほど依頼を受けて活動しております。
 その中で、日々思うことは、がん診療拠点病院というのは、多くの場合、DPCを導入していると思うんですけれども、急性期病院というのは、がんの治療をしまして、DPC上、1日も早く退院をしていただくような体制で、医療を提供いたしますので、そこに緩和ケアを提供していくということが、特に切れ目のない緩和ケアを、がんの患者さんに提供していこうと思ったときに、DPCと地域医療連携ですとか、緩和ケアの提供というものが、どうも反対の向きを向いているということを考えています。そういうふうに実感しております。
 つまり、1日も早く退院をしていただこうとする施設の中で、どうやって緩和ケアを提供していくのか、そういった根本的なところが議論していって、体制を整えていかないと、国民のがんの患者さんに質の高い緩和ケアを提供できないんではないかというふうに日々考えております。よろしくお願いします。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、大西構成員、お願いいたします。
○大西構成員 大西でございます。私は、まず、大学では、埼玉医科大学という埼玉県にある私立大学の医学部におりまして、学生さんの教育、卒然教育と、あと、卒業なされた方々の卒後の教育、それから、スタッフの方々への教育、啓発活動などを行っております。
 あと、厚生労働省から委託された緩和ケア研修会とか、コミュニケーションスキル・レーニングなんかのことをやっております。
 あと、病院では、精神腫瘍医として働いておりまして、心のケアは患者さん向け、あと、御家族向け、あと、御遺族向けに関して外来をつくって診察しております。
 あと、入院患者さんの併診とか、緩和ケアチームのスタッフとして毎日回診などをさせていただいております。
 あと、公的な部分としては、日本サイコオンコロジー学会の代表理事を務めさせていただいておりまして、皆様と学会員と協力して、まず、医療者への教育活動、それから、一般の方々への普及の啓発活動、サイコオンコロジーというものを知っていただく、まだまだ認知度が低いので、それを皆様に知っていただくべく努力をしております。
 私どもの仕事は、メインは精神症状の緩和ですね。痛みと精神というのは、本当に切っても切れ離せない、両方とも身体的な苦痛と心の苦痛は、本当に同レベルだと思っておりますので、そういう基本的なところから、まず、解決して、それを核にしてさまざまなところと協力しながら、皆さんとやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。それでは、小川構成員、お願いいたします。
○小川構成員 日本大学の小川でございます。大学では麻酔科を担当しております。大学病院でございますので、学生に対する緩和ケア並びに痛みの治療等についてずっと教育を担当してまいりました。それを生かしまして、今後、特に学生の時代からの教育というものにも少し重点を置くべきだろうと考えております。
 それから、拠点病院におけます、医療従事者全員にどのように教育をしていくかというようなことにつきましても、もう少し改善の余地があるかなと、常々思っているところであります。
 医療連携という観点から見ても、大学病院における緩和医療に携わる医師の絶対的不足がございますので、それをいろいろな職種、特に看護師さんを中心とした人材でもってフォローする、あるいは一緒にやるということも考慮すべきと考えます。また各論になって申し訳ございませんが、例えば50万人いらっしゃると言われる休職中の看護師さん方、非常に力のある方々も多いと思いますので、そういう方々が参加していただければと考えております。
 もう一つ、私は、日本ペインクリニック学会の方の代表理事を今やっておりますので申し上げますが、勿論、精神緩和は必要でございますが、何といっても、身体的な苦痛で最も多い痛みがコントロールできませんと、その先に進まないという現状を見てまいりました。そこで本当に今のままの緩和医療の方策でいいかどうかも再考すべきと考えます。例えばWHOは知っていても、それをうまく使えないという現実が有ること。また、使ったとしても、本当に90%近くの方が満足のいく鎮痛が得られるのかどうかという点ついてもいつも疑問に思っております。私はそういうところについて、正しい知識と正しい情報を与えながら、本当にどのようにしたらうまく患者さんが身体的にも精神的にも状態が落ち着かれるかというようなことを中心に考えてみたいと思っております。
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、加賀谷構成員、お願いいたします。
○加賀谷構成員 済生会横浜市南部病院薬剤部の加賀谷と申します。
 私は、緩和医療のチーム医療が始まったころから薬剤師として緩和医療に関わってきました。現在は、一般社団法人緩和医療薬学会の代表理事も務めております。
 2007年に緩和医療薬学会は設立し現在、3,500名の会員を擁し、緩和医療学会と連携を取りながら学会運営を行っています。薬剤師の認定制度もつくりまして、緩和薬物療法認定薬剤師が誕生して今年で3年目を迎えて、現在まで235名輩出しました。
緩和医療学会ではピースプログラムがありますが、薬剤師のスキルアップトレーニングができるコースとして、今年の4月から薬剤師版ピースプログラムというべきピープルプログラムを始動させました。
 臨床現場で薬剤師がもっと医療資源として活用できるように、緩和医療に貢献できる人材を学会としてもつくっております。特に、これからは、在宅医療にも貢献できる薬剤師の教育を通して医療連携ができるように体制づくりをしております。
 今、薬剤師の認定制度ではがん専門薬剤師、がん薬物療法認定薬剤師、などの他、緩和医療薬学会では、緩和薬物療法認定薬剤師と、こういうように薬剤師も専門性を持って、今、仕事をしております。是非、今後、この会議を通して、医療資源としての薬剤師を活用いただきたいと思います。薬学教育も6年制になりました。今後、学会としても各薬科大学あるいは薬学部で緩和医療を必須科目にすべく働きかけていくことも考えております。是非、よろしくお願いしたいと思います。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、木澤構成員、お願いいたします。
○木澤構成員 よろしくお願いします。筑波大学の木澤でございます。
 私は、緩和ケアの医師としまして、筑波大学で勤務をいたしております。もともとは、総合診療医、ファミリーフィジシャンを目指しまして、6年間研修の後、1年在宅をいたしまして、その後、緩和ケア病棟で6年、緩和ケアチームで、今、8年目の診療をいたしております。
 主に、一番頑張ってやっていることなんですけれども、大学に勤めておりますので、緩和ケアの卒然、卒後教育を重点的に行っているほか、研究活動で、緩和ケアの教育を専門にしておりまして、特に卒然の教育及び基本的な緩和ケアをどう普及させるかというような教育、あとは緩和ケアチームと地域緩和ケアをどのように構築していったらいいかというような研究を、ここ6年ほどずっとさせていただいております。
 一番興味のある点は、今、日本緩和医療学会で厚生労働省からの委託事業である、緩和ケア研修等事業というものをさせていただきまして、そのプロジェクトを推進する立場に、今、いるところでございまして、日本サイコオンコロジー学会等と協力をいたしまして、今、プログラムを実際につくって研修に当たっているところでございます。
 これにつきましては、さまざまな御意見をいただいていますので、是非、この検討会等を通じて、更によい研修会を全国で展開できるように御示唆をいただいて、もし、可能であれば、また、お仕事をさせていただきたいと考えております。
 これと同時に、近ごろ、先ほど池永さんがおっしゃったことなんですけれども、地域において、緩和ケアの資源が十分に使われていない可能性がある、患者さんが望まれた場所で望んだ療養ができるように地域において、在宅を勿論中心として、緩和ケア病棟、専門の緩和ケアチーム、一般の病棟医師等が、うまく連携を取って医療体制をつくれるような仕組みをつくっていくということを、是非、検討できればと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、小松構成員、お願いいたします。
○小松構成員 慶應義塾大学の看護医療学部の小松でございます。私は、3つの土台に置きながら発言させていただくことがいいと思いますが、1つは、看護教育に長年携わってまいりまして、がん看護専門看護師、それから、がん化学療法認定看護師の教育に携わってきたというところがあります。
 もう一つは、がん看護学会の役員をしておりますので、そういうがん看護全体でどういうふうなことが考えられるかということ。
 もう一つは、実践として、私は乳がんの看護にずっと携わっておりまして、これまで乳がんの患者さんたちのサポートプログラムを一緒にやってきて、延べ2,700名くらいの乳がんの患者さんたちと、さまざまな体験を共有してきたというところがあります。
 そういった意味から、今回の緩和ケア推進検討会では、1つは、痛みのこともそうなんですが、がんの患者さんたちのサバイバーという状況からすると、さまざまな苦痛の症状があって、リンパ浮腫を始め、倦怠感、その他さまざまな認知的な機能の低下といったことがありまして、その部分を広く考えて緩和ケアを行っていくということが必要なんではないかと思っていますので、そこを大事にしていきたいと思います。
 もう一つ、がん看護学会という立場からしますと、多分、松月さんがおっしゃると思いますが、看護師、80万でよろしいでしょうか、その中で、多分、緩和ケアのスクリーニング等に関して、私ども看護師がかなり責任があると思いますので、そこの底上げ、質をどういうふうに担保していくのかということと、現行の専門的な知識を持っている認定専門看護師等々が、どういうふうに配置されて、がん看護の緩和ケアの体制として役に立っていくのかと、そういうところを大きく1つは見ていきたいと考えております。
 あとは、サバイバーのところで、再発の患者さんたちのチームの中で、そこが非常に、次の緩和ケアを本当にかなり必要とするというところでの部分で、何か医療政策的なところで、そういう患者さん同士が支え合うというところに、大きな力が、仕組みとしてできないかなといったことを考えております。
 以上でございます。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、田村構成員、お願いいたします。
○田村構成員 東札幌病院の田村です。私は、医療法人格の病院でずっと医療ソーシャルワーカー、社会福祉士として相談援助に携わってきております。主に相談者は、患者さんと御家族と御遺族です。
 それと、当院の特徴として、いわゆる相談支援センターが立ち上がる前から、地域の相談を非常に多く受けてきました。緩和ケア病棟58床有しておりまして、昨年は、多分804名の患者様をお看取りした。つまり、相談者はいろんなところで、がん医療を体験されてきたいろいろな患者様や御家族で、その方たちの語りを毎日聞く中で、この会に入れていただいて、一緒に考えられたらいいなと思ったことが3つあります。先ほどから早期の緩和ケアという話をされていましたが、緩和という緩和ケアの視座といいますか、病を持っている人を、心理、社会的な存在として支えること。お体だけではなくて、暮らしや気持ちを一緒に考えられるそういうふうな医療を、診断のときからこの病気にはどんなことが起こるんだよというところを十分にゆっくり話し合いながら、その人の生き方とか人生とか、病を持って生きていくというところにも目を向けたような支援ができるような体制ができるということが、多分、本当に必要なんだろうなと、いつも亡くなっていく人の語りを聞いていて思うことです。
 もう一つが、やはり連携ということなんです。私は、職性上いろいろな地域でお困りになる方を、地域の資源につなぐとか、それは、人的な資源も含めいろいろな方たちに橋を架けていく仕事をしているんですけれども、確かに、今いろいろな先生方がおっしゃったように、ある資源すらうまく使えていないといいますか、限りある資源をどんなふうに有効に使いながら、あるものでその方の暮らしのネットワークをつくっていくかということは、まだ、やれることはいろいろあるのかなと思います。
 こういう問題意識で、ちょっと日本ではないんですが、エドモントンに研修に行ったときに、アセスメントツールを共有するだとか、もっと日本よりも資源がないのに、何とかネットワークをつくっていくというところで、意識の部分や、いろいろな取組みができるかなと思います。
 もう一つが、そういうふうな活動をやはり医療チームで行うということです。今、ある資源をうまく活用するためには、今、医療職というか、コメディカルも含めて、医療という中で働いているメンバーがうまくチームを組めば、もっと円滑にいくし、知恵を出し合えるのではないかと思うところが、たくさんあります。
 当院の場合は、最初からチーム医療をしてきましたので、社会福祉、ソーシャルワーカーも最初から入って、初期アセスメントを共有しながら一緒に医療の方向を考えるということを普通にしてきた医療機関なのです。そういうやり方はまだ非常に少なくて、かなり問題が大きくなってしまってからでは、なかなかうまく解決しないということも体験しています。
こうしたことを、皆様と一緒に考えさせていただきながら、何か推進していければ、ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、恒藤構成員、お願いいたします。
○恒藤構成員 大阪大学大学院医学系研究科緩和医療学寄付講座の恒藤です。このたび、この検討会の委員にさせていただいて、本当に感謝しております。
 私の恩師である日本でのホスピス・緩和ケアの第一人者である柏木先生から、「人生は出会いで決まる」という言葉をいただいて、私がホスピスの医師として始めたのが、今から25年前になります。
 その当時、ホスピスで働くということを、前の大学病院の助教授の先生にお話をしたら、何とおっしゃったかといいますと、「そんな麻薬漬けするところは医療ではない」、「そんなところに行くな」というふうに引き止められました。それは、単に私に大学を離れてほしくないということではなく、本当にその先生はそのように思っていました。25年前はそういう時代でした。そして、ホスピスで勤務して、多くの医療者、特に医師からは「なぜホスピスで働くのか」ということをたずねられました。ホスピスの医師を奇人や変人のように思われた時代でした。この25年間で世の中は、本当に隔世の感といいますか、変わったというのが正直な思いです。そして、本当に多くの方々の協力を得て、更に緩和ケアの発展につながればと願っております。
 私は、1995年に、この領域で学会が必要であるということで、日本緩和医療学会の立ち上げから携わらせていただきました。初めは数千人という単位の学会だったのですが、徐々に増加し、現在は1万人を超えている学会になっております。そして、その学会の理事長をさせていただいています。学会の会員構成は、医師が5割、看護師が3割、薬剤師が1割となっています。その学会活動を通じて、更に緩和ケアが広がり、深まり、高まるようにしていきたいと願っております。
 特に、先ほど木澤先生も言われましたように、緩和ケアは2つあって、基本的緩和ケアと専門的緩和ケアがあります。基本的緩和ケアは、すべての医療従事者に身に付けていただきたいものです。基本的緩和ケアの普及が必要であると同時に、専門的緩和ケアの推進も必要です。それから、現在の方法だけでは苦しみから解放されない患者さんは少なくありませんので、そういう方々の苦痛が緩和されるように緩和ケアの研究も進めていくということが重要です。ヨーロッパやアメリカの緩和ケア学会に参加いたしますと、緩和ケアは、初めは医療の隅から始まりましたが、現在、医療の本流の方においても、また、医学教育においても取り入れられるようになってきていますし、アメリカでも医学部や大学病院でも緩和ケアの教育・研修がなされるようになってきていますので、日本でもそのようになったら良いと願っています。
 がんプロフェッショナル養成基盤推進プランでは、この数年内に大学で緩和ケアの講座が10大学にできる計画があります。医学部は約80大学ありますので、やはりすべての大学で緩和ケアの教育が行われることを願っております。今後ともよろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、前川構成員、お願いいたします。
○前川構成員 山口県で、周南いのちを考える会という市民活動団体をしております。11年前に立ち上げまして、その間、患者さん、御家族、いろんな方と関わりました。患者さんというのは、不安で頭がいっぱいで、情報を知らないということがよくわかりました。会の活動は、がんや命、そして死生観を地域の皆さんに知ってもらうという活動が基です。その中に患者会があり、そして、今は拠点病院で、院内患者サロンもしております。
 患者サロンには2年半で、延べ1,000人の方が来られました。出入り自由で、そこでやはり不安、それと、情報を知らない、まず、セカンドオピニオンという言葉も知らない。緩和ケアという言葉も知らないという方がたくさんおられます。そういう方がおられるので、緩和ケアに関することを、非常に私は関心を持っております。
 まず、長期的には、がんと診断したときに、医師の対応次第で、患者は、すごくその後の闘病意欲とかが大きく変わると思うんですね。がん患者となった最初の入り口が療養生活にすごく大きな影響を与えると思っております。医師にも個性があるので、難しいんですけれども、がんと伝えるときに、何々がんで何期ですよという説明の後に、例えばセカンドオピニオンがありますよという言葉一つかけるとか、がんと診断された患者が、せめて1時間程度、看護師さんから、がん全般と今後の流れ、先ほど申し上げたように、今後の流れ、あと、情報などを看護師からきちんとゆっくり説明を受けて、例えば、がんになったら手に取るガイドという本ができましたけれども、そういう存在すら患者は知らないので、そういうものもありますよというような説明を時間をかけてする。それが、まず、最初のがん患者となったときの緩和ケアではないかと思っております。それが、今すぐにはできないかもしれませんが、皆さんと御議論していい方にいけばいいなと思っております。
 それと、今、本当に思うのは、私が十数年前に胃がんと甲状腺がんになったときに、患者の同室の方がすごく痛みに苦しまれて、医療者に言えない、遠慮してじっと我慢している姿がありました。それが、現在でも同じことが一般病棟では続いております。この十数年の間に、進んでいる部分もありますけれども、進んでいない部分もあるんですね。地域格差もある、病院格差もあると思いますけれども、早急に、現在、一般病棟でがんで苦しんでいる方を何とかしたいという気持ちでこの席におります。どうか、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、松月構成員、お願いいたします。
○松月構成員 日本看護協会の松月でございます。私は、私個人の部分、私の看護師としての経験から申し上げますと、まだ、緩和ケア、それから痛みのコントロールなどもない時代に消化器外科病棟で看護師をしておりまして、ストーマのパウチの選び方から、それは師長さんの仕事、それから、外科の看護師は忙しいので、心のケアは全部師長の仕事というところからやってまいりました。
 そのころ、大学病院には、緩和ケアについて考える相談のチーム、専門の医師たちがおりましたので、そこへ症例を上げて、自分の困っている患者の相談に乗ってもらってという、本当に遠い昔の話で、もうそのころの先生方は、今、お亡くなりになっていらっしゃらないんですが、そういうことから始まっております。
 一番近いところでは、がん拠点病院の立ち上げを看護部長としてやってまいりました。そういう意味では、私の親族にも1年前にがんが進んでするのが見つかった親族もおりますし、そういう意味では、いろんな立場から見られるかなと思っているところでございます。
 もう一つは、この基本法の計画に関しましては、緩和ケアの専門委員会の委員でございましたし、それから、基本計画の議論にも関わってまいりましたので、そういう意味では、どういう経緯でというところも、それなりには発言をしてきた者ということでございます。
 看護協会のことを申し上げますと、非常にナースの数は多うございます。約50%の組織率でございますので、そこで行っております研修は、多種多様なもの、本当に基本的看護ケアのものから、専門的な看護ケアのもの、または専門看護師、認定看護師という認定も立ち上げておりまして、そういう意味では、リソースとしては、活用されていないリソースというのがたくさんいるなと、私は感じておりますので、そういう方々が、これからいいネットワークのかなめになったり、そういうところと一緒に、看護だけがというのではなくて、やはり本当のチームとしてうまくこれから2025年に向けてすごく広がる患者層、それも高齢の患者に向かって、がんの疾患を持った患者さんへのケアがいいモデルになって、日本の未来の医療の原型になるようなものが、何かできないかなと思って、それは、どういうことかと申しますと、やはり地域との連携ではなく、地域で行う医療、緩和ケア、それから、がんの診療、治療ということを、これからはやっていかないと、病院の中で完結はできないんではないかと、私は今、未来のことを考えると、思っているところでございます。
 そういう意味で考えると、もう時間が余りなくて、12年くらいの間に何とかしなければという思いが、看護協会の中ではございまして、それに向かっては、みんながとにかく力を合わせるしかないんだというのが、私の今のところでございます。
 そういうことの1つが、ここでできたらいいなというふうに看護協会にいる自分として思っているところでございます。
 以上でございます。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 松本でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 私は、父親をがんを亡くした遺族でございます。そのときの無残な最期が、28年経った今も忘れることができません。私自身も子宮頸がんの患者でございます。最終治療からもう9年が過ぎようとしておりますけれども、いまだに、いろいろな痛みを抱えておりまして、あんな治療をしなくて死ねばよかったと思うこともございます。
 地元では、患者家族会の代表をしております。患者家族、そして、遺族が参加をしております。
 このような場に、患者委員の1人として参加をさせていただきますことを、本当にありがたく思っておりますし、また、その責任の重さというものを感じております。
 今回の検討会で、特に重点的に取り組んでいただきたいこと、勿論、すべてなんですけれども、あえて絞らせていただきますと、3つを挙げさせていただきます。
 まず、1つは、患者家族が緩和ケアに確実にたどり着けるシステムをつくっていただきたいということです。
 2つ目が、在宅での緩和ケアの充実。
 3つ目が、精神的苦痛を含むあらゆる苦痛の緩和のための対策。この3点を特に重点として挙げさせていただきたいと思います。
 患者家族が確実にたどり着けるシステムにつきましては、今、先生方、または学会の皆様方の御尽力によりまして、いろいろな体制が整いつつある、昔に比べれば、父が死んだころに比べればよくはなってきているんですけれども、残念ながら患者家族がそこへたどり着けているかというと、漏れている方々が、まだまだほとんどだと言っていいと思います。緩和ケア外来の前を何度も行ったり来たりした、でも、結局声をかけられなかったという声を聞いております。確実にみんながたどり着けるシステムをつくっていただきたいと思っております。
 それから、在宅です。これは、どこに住んでいようとも、同じように緩和ケアにたどり着けるということ。そして、在宅というのが、決してターミナル期ではない、今、あらゆる病気にかかわらず、在宅で病気に向き合わなければならない状況ですので、そういう方々が、すべての苦痛から緩和されて、自分で納得をして、選択をした医療が受けられるようにしていただきたいということです。
 そして、精神的な苦痛を含むあらゆる苦痛の緩和ということです。これは、先ほど少し熱い議論が起こりかけたことですけれども、診断時からなのか、治療の早期からなのかということです。これは、国の協議会の方でも議論になりました結果、診断時からという言葉が盛り込まれました。
 先ほど木澤先生がおっしゃいましたけれども、言葉をどうするのかというのは別だけれども、やはりスタートのときから、何らかのケアは必要だということ、それは、そのとおりだと思っております。
 病気の軽い、重いではない、治療の重い、軽いではない、患者はさまざまな苦痛を抱えます。体の苦痛がなくても、いろいろな痛みを抱えておりますので、そういったことをくみ上げて対策に反映させていく、そういう検討会になるように患者として、大変知識は浅薄ではありますけれども、経験だけは持っておりますので、その点から発言をさせていただきたいと思っております。
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
○花岡座長 どうも、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、道永構成員、お願いいたします。
○道永構成員 この4月1日から日本医師会の常任理事を務めております、道永と申します。勿論、この検討会は初めてなんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 がんだけではないんですけれども、どんな疾病、感染症でもそうなんですが、拠点病院を中心として地域連携、ネットワークということがよく言われるんですけれども、なかなか難しいのが現状のことは、皆様よく御存じだと思います。ただ、この緩和ケアに対しては、やはり拠点病院を中心にして、勿論、医療機関だけではありません。いろんな方々で医療チームをつくるというネットワークと、診療体制そのもののネットワークというものをつくる体制ができればいいなと思っております。
 今回、皆さん御存じだと思うんですけれども、日本医師会がつくりました、2008年なんですけれども、がん緩和ケアガイドブック、これをお持ちしました。これが、使われていないんではないかということをちょっと伺ったんですけれども、厚労省の方に伺いましたら、研修で使っていただいているということで、今も増刷されていることで、ちょっと安心した次第です。
 あと、こちらかエッセンスということで、概要版になるんですけれども、これは、一般の診療所の先生も、すぐにこれを机に置いておいて見られるようにしてつくったものです。
 これを利用して、どうしても研修というのが、拠点病院の先生、あとは緩和ケア病床の先生方が中心になっていると伺いましたので、一般の診療所の先生方にもこういった研修を行うというシステムを是非日本医師会が、都道府県医師会にお願いすることになると思いますけれども、全国で開催できるようなシステムをつくっていくようにしていただければと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございました。それでは、武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 私は、もともと循環器のインタベーションなど急性期の医療に従事しておりました。その後、マッキンゼーという会社で3年近く経営コンサルタントをして、2年前の2010年1月に在宅医療専門のクリニックを東京の文京区に開設をしました。
 去年の9月には、宮城県石巻でも在宅医療専門のクリニックを開設しまして、今、週の半分ずつ、東京と宮城で在宅医療を行っております。
 私ども約1,000名の患者さんを、この2年少しで拝見いたしまして、現在、400名の方を常時診させていただいております。
 その中で、亡くなられた方が260名いらっしゃいます。そのうちの半分以上ががんでお亡くなりになりました。6割は在宅で看取らせていただいており、年間のお看取りの数では在宅診療所の中でも多い部類になろうかと思います。
 私も、その短い経験の中で、実際に末期の方を在宅で看取りながら思うことがありますので、簡単にお伝えいたします。1つは、病院から退院をしてきて、在宅に移られてきたときに患者さんや御家族が非常に不安に感じています。病院にいらっしゃるときは、医療従事者が対応してくれますが、これから家で何をしていけばいいのかと、何か見捨てられたような感覚を持っている方が非常に多いということで、これは、医療機関にとっても、患者家族にとっても不幸な事態です。したがって、この移行期間をどうやっていくのか。これは、今までも言われていると思いますが、まだまだ大きな課題であろうかと思います。
 もう一つは、在宅医療をやる医師の中でも緩和ケアをやる医師が必ずしも多くない。いろんな教育の機会はあろうかと思いますが、麻薬を使うということは、精神的なハードルが一般の医師にとっては高い場合があります。なかなか在宅医療での緩和ケアが進んでいかない理由の一部は、そこにあろうかと思いますし、一方で、病院の医師や看護師、その他の関係者が、在宅医療でできることと、できないことを必ずしも御理解されていない現状があります。ですから、本当にお互いにいい形の連携をする上で、双方が学び合う機会というものが大事ではないかと思います。
 最後に、在宅ということ自体が緩和になり得ると、これはもう皆様、そのとおり思っておられると思います。今回、宮城県石巻市で石巻赤十字病院から退院して末期の看取りをする方を多数拝見しました。その方たちは、必ずしも長年住み慣れた自宅に帰ってくるわけではなくて、いわゆる仮設住宅などに帰って来られる方もいます。しかしそれでも非常に満足して亡くなられていく姿を見ます。リビング・イン・プレースという言葉をよく耳にしますが、必ずしも生まれ育った場所に帰っていることが大事なのではなくて、むしろ、食べたいときに食べるとか、わがままを言いたいときに、わがままを言えるとか、その自由な環境そのものが非常に緩和の役割を果たしているのだと分かってきました。
 これは、私も浅学でしたが、改めて大きな気づきとなっています。ですから、ここでは、在宅医療という観点で、いろいろと御提言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
 最後に、私の方でございますけれども、私も今の大学を退職しまして、JR東京総合病院の方にいますけれども、麻酔科の教授をやっていた関係、ワークの1つとして、やはり痛みという面がございました。
 それで、東大時代に緩和ケアというもののチームの立ち上げ等がございまして、それで、本郷緩和ケア研究会ということを、まず、立ち上げまして、これは、本郷という東大の中でも緩和ケア言葉そのものが全然普及しない状況ですので、その研究会というものを東大の中に立ち上げるというところから、普及活動に入ったわけでございますけれども、その後、文京緩和ケア研究会というのを立ち上げまして、これは文京区にある大学等を含めた緩和ケアで、少し広げた意味での緩和ケアでございました。
 それとともに、10年前からJPAPというのを立ち上げまして、これは、ちょうど今年が10年目を迎えるわけでございますが、これは、医療従事者の中で緩和ケア等に関心のある方々の集まりでございまして、これが、今、約2,500名の会員を擁しておりますが、10年経っても、立ち上げ時点は、かなりの頻度で会員が増えてきているわけですけれども、ある程度になりますと、なかなか横ばい状態というのを、今、難しく感じているんですが、JRの方に移りましてからは、城西緩和ケアというのがございませんので、城西緩和ケア研究会というのを立ち上げて、これは、医療従事者、それから在宅の先生方との連携も含めるという意味で、都の西南部を中心にして立ち上げたんですけれども、やはり在宅でやられた先生方、最初はかなり参加していただいたんですけれども、お忙しいという面もございまして、だんだんと在宅の先生方の参加の数が少なくなっているような、そういう現状を踏まえております。
 そのようなことで、在宅という面も含めて、一般の先生方の認識も非常に大きな力になるんではないかと思いますので、まず、緩和ケアというものの認識というのが、皆さんが言葉が知っていると、そういうところからの誘致が非常に大切ではないかというような感じがいたしました。
 今までの先生方のお話、非常に興味ある話でございますし、ごもっともという点も非常に大きい点でございまして、すべてが大切なことで、これから推進していく内容でございますけれども、そうはいっても短い時間でございますので、重点的なものを抽出するというのが、今回の論点整理の第1回の役目になっておりますので、先生方の方から、重点的に議論すべき点について、意見を交換していただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 いかがでございましょうか。事務局の方は、何かございますか。
○木村がん対策・健康増進課長 まずは、本日、お示ししました資料4の、今後検討すべき論点の素案を見ながら、その中で特に重点的なものを御議論していただければ幸いでございます。
○花岡座長 ありがとうございます。資料4にございます、今後検討すべき論点についてという素案でございますが、御説明にもございましたように、3項目に大きく分かれておりますが、今、お話もございましたように、緩和をどこで始めるかというところの、まず、その認識と、緩和そのものがわからないと、どちらにしても始めようがないんですが、そのようなことと、アプローチですね、アクセスがどういうふうにできるのかというようなことも、その後に入ってくるような問題になると思いますが、この点については、いかがでございましょうか。
 どうぞ、木澤先生。
○木澤構成員 木澤でございます。これについては、まず、基本的な緩和ケアと専門的な緩和ケアを分けて議論しないと、議論が交錯するだろうと思われます。
 緩和ケアをいつ、どのように始めるかという議論のときに、専門家である緩和ケアチームの診療をいつ始めるかという議論と、診断時からどうやって基本的な緩和ケアアプローチをすべての患者家族に届くようにするかというのは、全く異なる事柄になりますので、基本的な緩和ケアと専門的な緩和ケアを最初から分けて議論するのが、全体の枠組みとしてよろしいのではないかと感じます。
 そうすると、この項目を組み直す必要が出てくるのかなと考えますけれども、いかがでしょうか。
○花岡座長 ありがとうございます。1つの観点として、基本的、専門的という、その概念というのは、先生、これは、もうある程度決まっているんですか、基本的、専門的緩和ケアの。
○木澤構成員 ありがとうございます。多分、国全体では決まっていないと理解していますが、参照できる資料としては、英国でNHSが、NICEガイドラインを2004年に出していまして、そこで基本的な緩和ケアと専門的な緩和ケアについて定義がなされていると思います。
○花岡座長 それに分けてやるかということと、その後の進め方にかなり変化が出てくるんではないかというお話ですが、小川先生、お願いします。
○小川構成員 ただいまの御意見大賛成でございまして、というのは、大学の中におりますと、がんの患者さんを診ている先生方が、緩和ケアチームがあるということで全く逆に緩和ケアから離れていくという現実がございますので、基本的に、がんの患者さんを診るだれでもができる基本的な緩和ケアと、やはり専門的にできるというものは分けて考えるべきと思います。そうしませんと、逆に緩和ケアから、がんを診る医師や医療従事者が逃げていってしまったり、避けてしまうということになるかと思いますので。
○花岡座長 ありがとうございます。ほかに、どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。患者家族の立場から考えましても、先ほどの木澤委員の御提案に賛成させていただきます。
 というのは、やはり痛みが出てからとか、患者が苦痛を訴えてから専門者が緩和ケアを提供するんだという考え方があるところから、何かずれてきているように思います。
 私たち患者家族は、すべて診断されたときから苦痛をやわらげるためのケアを受ける権利があるということを、もう一度、医療者側も私たちも学ぶというところを考えて、そういうところの整理をするということも、先ほどの先生の御提案に含まれるのではないかと考えております。
○花岡座長 どうもありがとうございます。ほかには、いかがでございましょうか。
 まず、基本的、専門的というところ、これは、かなり境目というのも、難しい境目があると思いますが、概念として、一般的に医師として、医療従事者として、まず、それが浸透しているかどうかというところも、非常に大きな1つだと思いますが、今後のヒアリング等の議題も、第2回にはやっていかなければいけないんですが、ちょうどそういう意味では、木澤先生の方から、この概念のところについての一般的なお話をしていただくのも1つかなと思いますが、どうぞ。
○事務局(林) 事務局から一言申し上げさせていただきます。
 本格的な議論が、これから、多分展開されると思うんですけれども、私、緩和ケアの担当官という形で、これまでいろいろと携わってまいりまして、ようやく緩和ケア推進検討会、本日、第1回が開かれることになりました。
 基本的な原点なんですけれども、行政的な観点から申し上げる原点ですが、すべてこういった緩和ケアというものが、行政の場で全面的に推し進めていかなければいけない、推し進めていこうとなった大きなきっかけは、恐らくはがん対策基本法の制定から始まっているものと思います。
 これに関しては、皆さん、御異論のないところだと思います。
 この立法に当たっては、皆さん、御存じだと思いますが、超党派で立法されております。多くの国会議員のさまざまな議論があって、一般的には、民主党が主になってというふうに言われておりますが、それだけではなく、公明党やあるいは自民党、そういったところも、本気になって議論をされて、たどり着いたものです。
 その中で、この緩和ケアをどうするかという部分の議論もなされております。この基本法の中には、忘れてはならないキーワードがございます。それは、早期からの緩和ケアという言葉でございます。
 この早期からの緩和ケアの中に込められた、いろんな国会議員の先生方、直接お話もお聞きしたりいたしました。そのときに、込められた思いは何なのかということですが、先ほど来から、さまざまな御発言にあるとおり、診断をされたそのときから、場合によっては、診断をしているそのプロセスの段階から、さまざまな負担というものを患者さんたちは抱えているんだと、その負担をいかに軽減して医療を進めていくか、そこのところをケアということもあれば、いわゆるさまざまな支援という言葉に置き換えることもできれば、ただ、適切な言葉がなかなか見つからない、そういう中で、緩和ケアという言葉を、早期からのという言葉を引っ付けてメッセージとして送り込んでいるという部分がございます。
 ですので、当然、がん性疼痛の緩和もしっかりと行っていく必要がございますし、精神心理的な苦痛、社会的な苦痛、そういったものもすべて含めて行う必要はございますが、今、御指摘のあった基本的緩和ケア、専門的緩和ケアというのを分けてこれから議論するにしても、そういった立法の精神というものを是非くんでいただいた上で御議論を進めていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございました。木澤先生、いかがですか。
○木澤構成員 ありがとうございます。このことについては本日議論することになると思わなかったので、資料を用意してこれず申し訳ありません。基本的には、本当に診断時から患者さんが体験する苦痛にたいしてまず対処するのは、一般の医療従事者であるという観点でNHSはガイドラインを構成しています。一般の、すべての医療従事者が基本的な緩和ケアのアプローチ及び緩和ケアを提供するべきである。具体的にいうと、普段診療をしている主治医が、診療の一環として体のつらさ、気持ちのつらさを患者さんか十分に傾聴し、かつ基本的な対処をするということが必要だというふうに考えられています。例えば英国だと、それから、アンダーグラジュエート、卒前のカリキュラムがその観点からつくられて、医学校で基本的な緩和ケアの教育が導入されています。
 日本でも、全く同じアプローチを、したほうがよいのではないかと私は考えており、すでにさせていただいている研究班ですべての医療従事者、医師が必要な基本的な緩和ケアの教育プログラムや医学生に対する卒前の教育目標は既に作成されています。次の機会に資料で是非提出したいと考えています。 その上で、先ほども専門的な緩和ケアへのアクセス、だれもが緩和ケア外来にかかれるようにと松本さんがおっしゃったんですけれども、基本的な緩和ケアをした上で、緩和できない苦痛がある場合は、適切に緩和ケアチームなどの緩和ケアの専門家に紹介をするというような流れでNICEガイドラインは書かれていると理解をしています。
○花岡座長 どうもありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○松月構成員 これは、先ほど松本委員の方からありましたように、確実に患者さん自身がたどり着けるということは、スタートからケアされていれば、ずっとケアされている、理想的にはですね、ところが、それはあらゆるところで切れてしまうわけですね。ですので、やはり理想的な形はとても重要で、それは、皆さんよく御存じだと思いますが、それを具体的にこの3年、5年で、どんな体制で、それが実際に患者さんの手元に届くかということの体制を、やはり私たちは考えなければいけないだろうなとすごく思っています。連携とか、チームの連携体制という言葉だけではなく、では、実行可能なのはどこなのか、それは一体、何を手当しなければいけないのかということを、やはり教育も含めて、それから、暮らしを支えることも含めて、あらゆる人を支えるということがどこまで私たちがやれるのかという具体的なことを考えていかなければいけないので、セットでいかなければいけないかなと思っているところがあります。
○花岡座長 ありがとうございます。教育というのも非常に大切でございますが、教育の成果が上がるのは、恐らくこの10年とか、その後の段階になるものですから、具体的に、今、どういうふうにして、今、おられる方、今、やっておられる方が、まず、よく認識されて、それから底辺に広げて医療従事者の中にも浸透するということは非常に大切なことだというふうも感じます。
 どうぞ。
○事務局(林) もう一点事務方の方からお願いがございます。例えば、今、この議論をこれから進めていかれる上で、このカーテンの向こう側にも、今、本当に、まさに苦しんでいらっしゃるがん患者さんや、御家族がたくさんいらっしゃるわけですね。私たち行政としては、一刻も早くそこに、行政なら行政なりに、あるいは医療現場であれば、医療現場なりに何かしら救いの手を差し伸べるような施策を打ち込んでいきたい。そういう思いが非常に強うございます。
 ですので、議論をされるカテゴリーをどういうような形で分けていくかということも重要ですけれども、今すぐにできることと、中長期的に考えていくべきことと、そういったことを少し分けて、今すぐできることというものをどんどん御提案いただいて、それを私たちも真摯に受けとめながら、施策として打ち込んでいきたいと考えておりますので、そういったいろんな時間軸も少し配慮に入れていただきながら、御議論いただきたいと思います。
 先ほどから教育の話等も出ております。それは、花岡先生の御発言にもあったとおり、重要であることは間違いないんです。重要でないことなんていうのは、まず、ないはずなんですが、それでも、例えば今年度中には、もう実施にかかれるような、そういったことを含めて是非とも御提案をいただきたいと考えておりますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
○花岡座長 どうもありがとうございました。どうぞ。
○小松構成員 1つは、今後検討すべき論点というところを見ると、何か難しい言葉に置き換わっていて、今、ずっと話しているところが沈んでしまうような感を受けているんです。
 それで、林先生もおっしゃったように、今、立法の精神というところで、早期からの緩和ケアということを今回非常に重要にしたならば、患者さんの置かれている状況の軸から、例えば予防とか、診断時とか、そういうこの論議が、ほかの人が聞いたときに、わかりやすいような形での論点で整理できないのかなというのが、私のちょっとしたところでありまして、こういうふうに体制とか、ケアの質というふうに、それはマトリックスをつくるときの、1つの構造なんですけれども、現状の問題という部分から、今回、特に新しく入れたところの早期の緩和ケアというところで、今、一体何が必要とされていて、そこに対してどうなのかというところの、よく見えるところの部分で論議ができないでしょうかというのが、私の1つの提案でもあります。
○花岡座長 岩瀬先生。
○岩瀬構成員 現場からの意見としまして、今、診断時から緩和ケアの提供が必要だということで、それは、皆さん異論がないことが、よく伝わってきて、私もそう思っている1人なんですけれども、実際現場で、診断時から緩和ケアを提供しようとしたときに、それを担うのはだれかということを考えたときに、それが緩和ケアチームであるならば、主治医のがん治療医が緩和ケアチームを呼ぶといいますか、依頼をしないと始まらないというふうに私は思いますので、がんの診断医、それから治療医が、まさにこの議論に入って、なぜ必要なのかということを認識して、あるいは全国の日本のがん治療医が、早期からがんケアの介入が必要だということを理解していただくためには、どうすればよいのかということを始めないと、その後のことを議論しても始まらないのではないかと、私は思うんですけれども、御意見をいただければありがたいと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。基本的には入口ですね。
 松本委員、どうぞ。
○松本構成員 そもそものところを申し上げて、大変恐縮ではありますけれども、先ほど、林先生からもお話がありましたけれども、今、このカーテンの向こうで本当に苦しんでいる患者さん、御家族のために、できることは何なのかということを、短期的なもの、中長期的なものを考えていくということがありました。
 先ほど、25年度予算への打ち込みというようなこともありましたので、この検討会が、どういうスパンで、どこを目指していくのかということを、まず、整理するということも大事なのではないか。つまり、時間軸で、月に1回集まって、何となく議論をして、何となくでき上がったということでは、今、苦しんでいる患者さんは救われない、私たちは地元へ帰れないですので、そういった時間軸のようなものをここで検討するというのは、ふさわしいことではないのでしょうか。その辺りは、事務局から、何か御提案はあるのでしょうか。
○花岡座長 いかがでしょうか。
○木村がん対策・健康増進課長 本日の検討会の冒頭にも、大臣政務官の方からお話がございましたように、必要に応じて、平成25年度の予算にも入れるべきものには入れていきたいと、そういうことから、このような検討会を立ち上げて検討というごあいさつもございましたし、私ども、先ほど、林課長補佐の方からも短期的に、今、やれることと、そして、中長期的にやるということで仕分けをしてと申し上げさせていただきましたが、まさに、私どもの事務局も思いとしては、まず、初めに取りかかれるものを明確にしていただき、我々は、それらについて必要に応じて予算にも反映させていくというようなこともさせていきたいと思ってございますので、まずは、夏ごろを目指して、この検討会のまとめというのでしょうか、中間というのでしょうか、それは今後の表現になりますけれども、特に、より短期的にやれるようなものを明らかにすることを重点的に、この検討会での作業ということにしいていただければ幸いかと思ってございます。
○花岡座長 ありがとうございます。そういう、特に予算化の問題もございますし、それまでに具体的な施策というものが提言できればというのは、1つの早急的な問題だと思っておりますが、それをどのように具体化するかというところが、この検討会の大きな使命だと思います。
 入り口が大切だといっても、入り口に予算を取るとか、そういう話ではないだろうと思うんですが、それでも、何かそういう指標がない限りにおいては、交通整理ができにくいというのが現状だと思うんですが、どうぞ。
○鷲見がん対策推進官 今、課長の方から御説明させていただきました。少し付け加えさせていただきますと、まず、予算、恐らく今後緩和ケアの議論を進めていくに当たりまして、基本計画の変更案にも記載してありますように、例えば人的配置の議論であるとか、そういったものについては、拠点病院の中の要件の中で対応するようなものもあれば、あとは、例えばお金のものであれば、次の診療報酬改定の方に要望していくべきものもあると思います。
 その中の1つの方策として、できるものとして予算というものも、勿論、予算要求というものもあると思います。
 ですので、そうしたいろんな要素がありますので、いつまでに何とかということでは必ずしもなく、まず、今年度でできるものについては予算としてやっていくということがございましょうし、その後、診療報酬として、次の診療報酬改定に対して要望していくというものについては、それはそれで整理していくということになるでしょうしということだろうと思っております。
 ですので、そうした時間軸、中期的な時間軸、それから、今、課長から申し上げた短期的な時間軸、予算に間に合わせるようにという話、そうしたことを議論しながら詰めていければと、事務局としては考えているところでございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。どうぞ。
○武藤構成員 時間軸ということで、私もここで少し提案させていただきたいと思います。がんの患者さんだけでなく、検査を受けている人も含めてという話になりますと、余りに膨大であります。
 私も身内にがんではないかと言われて、結局、そうではなかったのですけれども、そのときの不安感というのを思い出しますと、そういったところのからのケアというのは、大事のようにも思います。一方で、がんのターミナルで、もう在宅なりホスピスなりにいらっしゃる方もいます。
 ですから、そういう意味では、余りに広い範囲を我々は考えているわけですので、今すぐできることということも1つの判断軸にあるのだとするならば、対象の人々をどこにするのかという整理もしておかないと、後に混乱を来す危険性があるので、この辺も少し考えていただければと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。では、前川構成員、お願いします。
○前川構成員 今、お話を伺っていて、まず、今できることは、先ほど言いましたように、がんと診断したとき、されたときに、1時間くらい専門看護師、認定看護師、必ず別室で説明するというふうなことを、まず、今できることだったらそういうふうなのはどうかと思っております。
○花岡座長 診察されたときから、別室で、今後の問題も含めて関与していくということは、今、できるんではないかということですね。ただ、人員的な配置とか、いろんなものが関わっているんですが、どうぞ。
○前川構成員 非常に難しいことだけれども、どこかからはやらないといけない。せめて拠点病院では、拠点病院内で制度として入れていくとか、それはどうかと思っております。
○花岡座長 拠点病院という1つのくくりはございますが、拠点病院ではなくても、そういう人員的な配置とか、今、小川構成員もおっしゃったような看護の休んでいるような方とか、いろんなものが人的資源として利用できればということもあるんではないかと思いますが、松月構成員、お願いします。
○松月構成員 私は、すごく各論に入ってきましたけれども、それぞれの職種、それから、これからがんをやろうという薬剤師の方もいらっしゃるだろうし、それから、心理的なケアをやっていらっしゃるいろんな専門職の方もいらっしゃると思うんですが、そういうリソースの人たちとつなぐとか、やはり端的なものを見ますと、やはり資源は限られている、人的資源もいろんなものも限られていると思いますので、そういう方たちが、そこにいるということがわかっていて、たとえこの院内にいなくても、この地域にいなくても、こういう時代でございますから、情報を交換することは幾らでも可能でございますので、そういう仕掛けをつくることで、それに気づいた人がアクセスできるという、そういうことも少し考えたらどうかと思っております。そういうこととセットで、道具として、IT、ウェブ、ICTは、大きな要素、教育にもありますし、そこを考えていくべきだと、私は思っております。
 なかなかそれぞれがみんな努力もするし、頑張ってもおりますが、十分にどの患者さんにも確実にたどり着けるかということを考えると、なかなかそうはいきませんので、それは、そういう工夫をしたらどうかと思っているところがございます。勿論、看護師の方は、今、毎回構成員がお話しいただいたところが、インセンティブが働けば、数はたくさんおりますので、教育が終わったものもおりますので、その辺は担えるんではないかと思っております。
○花岡座長 ありがとうございます。どうぞ。
○松本構成員 まさに、今、各論に入っているところで、また、より戻すようで恐縮なんですけれども、この検討会がどのくらいのペースで開かれるのか、夏の25年度予算までだと、8月がデッドラインではないのかと思っているんです。それまで、もし、月1回の開催であれば、あと2回くらいしかないわけですね。そういったタイムスケジュールなしに、思い付くことだけをここで議論していても、結局、成果が得られないのではないかと思いますが、それは、どうなんでしょうか。
○花岡座長 事務局の方での見通しはいかがでございましょうか。
○木村がん対策・健康増進課長 今日、先ほどの進め方のところでお話しさせていただきましたように、本日、皆さん方から論点になるようなところを、特に重要なところは御指摘などの話を受けまして、今後、私ども事務局の方で座長とも相談しながら、今後進めるべき重点的な論点というのを固めさせていただきます。それについて、鋭意御検討させていただきたいと思います。
 その中で、先ほどお話にございましたように、やはり時間軸的に当面すぐにやっていかなければいけないのか、あるいは中長期的にやっていかなければいけないもの、そういうものの課題を整理しながら、検討会自体を、何か夏で全部それを終えてしまうというものではなくて、まずは、明らかにすべきものは、早めに明らかにし、そして、また、中期的なものは中期的に更に詰めていくというような全体の流れの中で、特に、予算的なものに反映させるようなものが必要なものについては、夏ごろくらいまでには、一定の明確なものを出していただければと、そういう思いで進めさせていただければと思っているところでございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。御予定につきましては、今、皆さんに伺っている最中でございます。今後の開催可能日については。
○鷲見がん対策推進官 昨日、先生方にスケジュールをお送りしておりますので、これからの半年くらいの予定をもう日程も早急に押さえさせていただきまして、頻度なども含めて御相談をさせていただきたいと思っております。
○花岡座長 ありがとうございます。ほかには、よろしゅうございますか。
 どうぞ。
○加賀谷構成員 緩和ケアの診療体制に関することの4番目のところの患者と家族の意向に応じた切れ目のない連携体制の中で、病院の中でのチーム医療、それから病診連携も勿論重要です。最近改訂された医療用麻薬の適正使用ガイダンスでは、特に在宅医療のところで、保険薬局等が担えることを加えてあります。薬薬連携とは、病院薬局と保険薬局との連携を強化することによって、医療用麻薬の使用量の増加で、緩和医療がもっと普及する1つの道になるんではないかと、私ども考えています。是非、薬薬連携の強化も議論に加えていただければと思います。
○花岡座長 ありがとうございます。それでは、田村構成員、お願いします。
○田村構成員 済みません、松本委員と同じようなことをちょっとお伺いしたくて。結局、変えるということをしていくに当たって、例えば次の予算の枠組みで考えられることなのか、政策誘導としてかなり診療報酬に反映されなければ変えられないことなのか、というような内容を、事柄に合わせて話し合いをしていくという形の方が、最終的には何かを達成できるのかなと思うのです。今後の議論の仕方についての質問なんですけれども、ある項目立てをした上で、この項目に関しては次の予算で何かを反映させられるという点から、ざっくり私どもが出した内容をふるい分け、予算に合わせての議論を次はするというように、集めた中での順番を考えるというお考えで、議論を進めていく感じになるのでしょうか。
○鷲見がん対策推進官 そうですね、ですので、今、必ずしも予算の中、もしくは制度の中、それから診療報酬で要望すべき事項、そういったものが整理され切ってはいないと思うんです。
 ですので、そうした中で、先生方として、今まさにすぐにできそうなもの、あと、もしくは早急に予算要求すべきようなものというものがありましたら、そういったことは、内容も併せて御提示いただけないかと、そういった事務局の趣旨でございます。
 ですので、今、この時点で事務局として、これについては、予算の方に是非盛り込みたいので、こういったものを是非議論していただきたいというものを、今の時点で、具体的なものを必ずしも持っているわけではないと、ですので、そういったことも含めて、内容、それから対応策の制度も含めて、もし、御提案があれば、ありがたいということで、今回、重点事項について御議論していただきたいと思った次第でございます。
○花岡座長 恒藤先生、どうぞ。
○恒藤構成員 残り時間があと10分ですので、次回に何をするかということを中心に考えていったら良いと思います。事務局が用意されている素案で、緩和ケアの診療体制に関することについて、先ほど事務局から提案がありましたように、診断時からの緩和ケア、特に短期でやれるもので、実施可能なものを中心に、次回話し合うように、各構成員から提案して、論点をまとめて、次回の話につながるようにするのはいかがでしょうか。次回、何をするかということを中心に、残りの時間、整理して決めていったら良いのではないかと思ますが、いかがでしょうか。
○花岡座長 どうぞ。
○木澤構成員 木澤です。私も全く同じことを考えていまして、5つ、大きなことがあるように感じました。
 1つ目は、診断時から基本的な緩和ケアをすべての患者家族に提供するにはどうするかというのが、1つ大きなテーマ。
 2つ目は、専門的緩和ケアのアクセスをどう改善するか。つまり、どんな人、苦痛の強い人が専門緩和ケアをすべて受けられるようにするのはどうするかというのが2つ目です。
 3つ目、4つ目なんですけれども、緩和ケアの質です。基本的な緩和ケアと専門的な緩和ケアの質をどう改善するか。
 最後に教育の問題を議論する。その5つが優先度の高い順から並べた順で、この順番で検討するのがいいんじゃないかという提案です。
○花岡座長 事務局の方からお願いします。
○鷲見がん対策推進官 ありがとうございます。今、申し上げたような時間軸のようなお話は、事前に先生方にお送りした意見のとりまとめの際にお聞きしていない内容だと思いますけれども、今日、まさしくそういったことについて御議論していただきましたので、もし、よろしければ、先生方に、今回出していただいた意見に加えまして、新たに時間軸も考慮したような形で御意見などを出していただきましたら、それを事務局の方で、一度整理させていただきながら、次の会議のときに、座長と相談した上で御提示させていただければと考えますので、座長、いかがでしょうか。
○花岡座長 いかがでございましょうか、そういう進め方で提案していただければと思います。このとりまとめというのも、非常によくまとまっておりますけれども、こういうような形で御意見を事前に聴取できれば、非常にありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
 どうぞ。
○鷲見がん対策推進官 最後に、岩瀬構成員と小松構成員から提出資料が出されていまして、もし、よろしければ、ごく簡単に御紹介などをしていただければと思いますけれども。
○花岡座長 ありがとうございます。岩瀬構成員と小松構成員の提出資料です。岩瀬構成員からお願いいたします。
○岩瀬構成員 今回、私の資料は、切れ目のない緩和ケアをどう提供するかということに重点を置いて資料を作成してまいりました。時間がないので、3ページだけ見ていただきたいんですけれども、3枚目の帯が書いてある図なんですけれども、切れ目のないというふうに考えたときに、実際に、現実的に切れ目がないように緩和ケアを提供していくためには、やはりいろんな地域の施設と、それから、我々のようながん拠点病院の間で、患者さんがオーバーラップするような形で、2つのあるいは3つの緩和ケアが提供できる施設を利用していただくという形にならないと、さっき患者さんに見捨てられ感が出てくるんではないかという意見もあるということを武藤先生もおっしゃっていたわけですけれども、そういったことの解決にもつながるんではないかと考えまして、こちらを議論できればと思って作成してまいりました。
 以上です。
○花岡座長 どうもありがとうございます。それでは、小松構成員、お願いいたします。
○小松構成員 私の資料は、実は、構成員からの意見のとりまとめというところでお出しした資料でございまして、私は、現場の中で、いわゆる患者さん等々に近い立場から看護師が、さまざまな広範囲なところで働いているところの意見を知りたいなと思って、幾人かにお声をかけて、診断時のところにいる人、あるいは緩和ケア病棟にいる人、さまざまなところから意見が出てきて、それを私自身とりまとめると、大事なことが、実態が沈んでしまうので、できるだけ同じようなものを寄せ集めて整理をして、今後の検討材料にもなるのかなということでお出ししたということでございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。お目通しいただきまして、御意見等が出ればと思いますが、今後の進め方も含めて、今の木澤構成員の御発言も非常に参考になるような形になりますので、事務局とも相談いたしまして、今後の進め方というものを考えていきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ。
○小松構成員 木澤先生のおっしゃったような形で進んでいけばいいんですが、この論点で、今日、素案が出ているところだと、既存のものを中心に項目立てがされていて、例えば、一般の診療の中でのことがどうなのかといったこと等が沈まないような形で考えていきたいと思っております。
○花岡座長 この中の論点についての素案に抜け落ちた部分とか、優先的にこういうふうにしたらいいというような御意見がございましたら、また、これも含めてお願いしたいと思いますが、事務局、よろしゅうございますでしょうか。
○木村がん対策・健康増進課長 もし、この進め方自体に御意見等がございましたら、終わってからでも結構でございますので、御意見を出していただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。今回、第1回ということで、いろんな意見が活発に出まして、とりまとめもかなり苦労する要素もございますけれども、非常に前向きの姿勢でこれが進められるということに関しましては、非常にうれしく思いますし、今後ともこの検討委員会が中心になりまして、我が国の緩和ケアの前進ということに寄与できればというふうに思いますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
 あとは、中川恵一先生が、今日はちょっとお忙しくて来られなかったんですけれども、東大の放射線科の准教授の中川恵一先生を含めて、この検討会が構成されているということでございますので、よろしくお願い申し上げます。
○木村がん対策・健康増進課長 今後の日程でございますけれども、先ほど事務局から御案内がございましたように、既に構成員の皆様方からは、都合のいい日、悪い日をお聞きしてございますので、それでもってなるべく早目に、次回だけではなくて、3回目、4回目以降というところの日程等を早目に固めていきたいと思います。それにつきましては、また、後日御連絡申し上げさせていただきたいと思います。
 事務局の方からは、以上でございます。
○花岡座長 どうもありがとうございます。先生方の方で、最後に何かございますでしょうか。なるべく早目に日程を決めて、皆さんの御都合が合うようにしたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
 では、本日、ちょうどお時間ですので、これで閉会とさせていただきます。
 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局がん対策・健康増進課

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 緩和ケア推進検討会> 第1回緩和ケア推進検討会議事録

ページの先頭へ戻る