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2012年3月23日 第18回医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会議事録

医政局経済課

○日時

平成24年3月23日(金)10:00~11:43


○場所

都市センターホテル「オリオン」


○議事

○山本流通指導官
 おはようございます。
 ただいまから第18回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」を開催いたします。
 初めに委員の出席状況につきまして、御報告させていただきます。本日は、明治大学大学院の上原委員、日本医療法人協会の関委員、日本歯科医師会の冨山委員、日本製薬工業協会の與五澤委員より御欠席の連絡をいただいております。
 また、日本精神科病院協会の菅野委員の代理として長瀬様、日本薬剤師会の森委員の代理として山本様に出席いただいております。
 ここで開催に当たりまして、医政局長よりあいさつ申し上げます。

○大谷医政局長
 おはようございます。医政局長の大谷でございます。
 委員の皆様方におかれましては、この懇談会の運営に多大な御協力をいただいており、厚く御礼申し上げます。
 医療用医薬品の流通改善につきましては、平成19年9月に本懇談会で「緊急提言」をとりまとめていただきました。これ以降は「緊急提言」に沿って関係者の方々に改善に向けた取組みを行っていただいており、その状況の評価、総括をこの懇談会で行っていただいております。
 本懇談会につきましては、最近は6月、7月の年1回開催にしておりましたが、昨年の本懇談会で、卸側の委員から、緊急提言実現のためには、年1回の懇談会の開催では不十分との御意見があったこと、また昨年12月に開催されました中医協の薬価専門部会におきまして、卸の代表からの総価取引の状況に関する説明に対しまして、中医協で薬価を1品ごとに決めているにもかかわらず、それを無視したような取引が行われていることは遺憾であり、関連する製薬業界、医療業界全体で薬価制度の本来の趣旨をもう一度確認してもらいたいという趣旨の発言がありました。こういったことを踏まえまして、来月、薬価が改定され、新しい薬価をベースとした価格交渉が始まるタイミングに合わせまして、本日、懇談会を開催させていただくことにいたしました。
 本日は、懇談会の開催を希望された卸側の委員から、「緊急提言実現に向けた取組み」を御報告いただき、流通改善の意義、必要性などについて改めて確認していただいた上で、「今後の議論の進め方」などについて御議論いただく予定であります。
 流通改善は、市場実勢価格主義に基づく銘柄別収載方式をとる薬価基準制度の適切な運営にとって不可欠なものでございます。厚生労働省としても、さらなる流通改善に向けた取組みを行ってまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方には、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 まず冒頭のあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○山本流通指導官
 続きまして、本日の資料についてですが、机上に配付させていただきました「配付資料一覧」に記載のとおりでございますので、御確認をお願いいたします。
 それでは、以降の議事につきましては、嶋口座長にお願いしたいと思います。嶋口座長、よろしくお願いいたします。

○嶋口座長
 おはようございます。座ったまま失礼いたします。
 それでは、早速、本日の議題に入りたいと思いますが、本日の議題は大きく分けて2つございまして、1つ目は、今、局長からもお話がございましたように、「医薬品の流通改善」そのもののテーマ、もう一つは、「その他」ということになるのでしょうけれども、バーコードについての問題、この2つを中心に議論を進めたいと思います。
 「医薬品の流通改善」については、さらに2つに分けまして、「流通改善の取組み」についての議論と「今後の議論の進め方」について、ディスカッションできたらありがたいと思っております。
 まずは、「医薬品の流通改善の取組み」でございますが、昨年6月30日の懇談会以降の緊急提言実現の取組みについて、卸側から資料1をベースにして説明をいただくことになっております。
 それから、資料1に直接関わってくる日本保険薬局協会から、資料2として「流通改善に向けて」という決議文をいただいております。
 流通改善の必要性については、資料3が事務局側から提出されております。
 卸側からの資料1、保険薬局協会からの資料2、事務局からの資料3、この3つについて説明をしていただいて、その後、一括して質疑をしてみたいと思っております。
 早速、資料1について、長谷川委員から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○長谷川委員
 日本医薬品卸業連合会の卸問題検討委員会の委員長を務めさせていただいております、長谷川でございます。よろしくお願い申し上げます。座らせていただいてよろしいでしょうか。
 本日このような発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 流通改善懇談会の緊急提言実現の取組みにつきまして、現状を御報告したいと思います。資料1をごらんいただきたいと思います。
 私たち卸側委員は、昨年6月30日に開催されました当懇談会におきまして、未妥結・仮納入の改善のため、契約条件の事前明示とそれに伴う契約書等の締結を原則とするということ、総価取引是正のため、単品単価取引を原則とするということ、この2点を当懇談会の共通認識とすることを要望させていただきました。
 その後、日本医薬品卸業連合会は、行政の協力を得てメーカー及び日本保険薬局協会の関係者との間でこれらの問題について協議を進めてまいりました。
 「1.日本保険薬局協会(以下『NPhA』)との協議」でございます。総価取引や未妥結・仮納入の割合が相対的に高い水準にあり、購入量の大きいチェーン薬局が加盟されております日本保険薬局協会と卸連合会との間で、公的医療保険制度の下での自由取引の在り方について、数回にわたり協議を行いました。契約と交渉についてのモデルとして、以下に合意いたしました。また、この合意は個々の取引を拘束するものではないということを確認させていただいております。
 今回、日本保険薬局協会との間で検討を進めてきた理由でございますけれども、5ページをごらんいただきたいと思います。こちらに「(参考1)価格妥結状況」、「(参考3)総価取引の状況」とございます。こちらの資料は昨年6月30日の流通改善懇談会で総価取引、未妥結・仮納入に関しまして、200床以上の大病院と20店舗以上のチェーン調剤に課題があるとの指摘がございました。大病院に関してはさまざまな経営主体があり、同じ経営主体の中でも個々の病院が取引を行うケースが多いということで、今回は1社1社の購入量が多い保険薬局協会との協議をまず第一歩として優先させていただきました。
 続きまして「?契約条件の事前明示とそれに伴う取引基本契約書に基づく覚書の締結」でございます。医薬品卸とユーザーの間では、多くの場合、昭和62年、流近協が策定し、その後、当懇談会で改定されたモデル契約書に準拠した取引基本契約書を締結いたしております。しかしながら、取引条件や取引内容の詳細については、ほとんどの場合、文書化されておらず、未妥結・仮納入の一因となっております。
 2ページをごらんください。卸連合会と日本保険薬局協会は、協議の結果、実際の取引が行われる前に契約条件を明示した覚書を締結することとし、その有効期間を3か月または6か月として、覚書の更新の際に市場の変化を踏まえて契約条件を見直すことといたしました。
 薬価改定時は、通常よりも長い交渉期間を必要とするため、今回もそうですが、価格が妥結するまでの当面の価格は仮価格とする覚書を締結し、価格妥結後に速やかに精算を行い、本来の覚書に移行するものとしました。
 また、妥結の定義として、この本来の覚書の締結をもって、流通改善の見地からの妥結として取り扱うことにいたしました。
 なお、覚書に盛り込む事項としましては、2ページの「(注)覚書に盛込む事項(例)」のようなものを考えております。
 「?単品単価取引について」でございます。銘柄別に収載される薬価基準制度の趣旨を踏まえれば、個々の価値に見合った価格設定が望ましく、その重要性は新薬創出等加算制度の導入、バイオ医薬品の登場、後発医薬品の普及等により一層高まっております。
 したがって、「緊急提言」における「総価除外品目」以外の品目においても、商品特性、流通特性を踏まえた価格交渉が重要であり、そのためには総価取引をすべて単品単価取引に移行する必要があると考えます。
 しかし、銘柄数が膨大であるために、総価取引から単品単価取引への移行がスムーズに行われない場合には、商品特性、流通特性に着目したカテゴリーを設定し、カテゴリーごとに相場観をすり合わせた上で、単品ごとの単価を設定することが考えられます。
 具体的には3ページをごらんいただきたいと思います。カテゴリー別単品単価交渉の採用について協議を重ねてまいりました。
 この表の中で、下に「*カテゴリー別交渉対象外特定品目(標準例)」とございますが、こちらの方が「緊急提言」で「総価除外」とされました特定品目でございます。特定品目を基に保険薬局協会と協議を重ねた上で、一応確認をとりました標準例でございます。
 「緊急提言」で示されました「総価除外品目」を特定品目として決めておきまして、その後、「(注)カテゴリーの分類(標準例)」にございますカテゴリーを3つの分類に分けて、カテゴリーごとに相場観をもった交渉を行い、単品単価取引へ結び付けるという考え方でございます。
 すなわち、繰り返しになりますけれども、「緊急提言」において「総価除外品目」とされた品目は、カテゴリー別交渉対象外特定品目とし単品単価を行います。その後、特定品目以外の品目については、カテゴリー別に価格交渉を行い、カテゴリーごとの相場観をすり合わせた後、単品ごとに単価を設定します。
 「2.メーカー側との意見交換」でございます。川上の取引について、「緊急提言」では「一次売差マイナス」と「割戻し・アローアンスの拡大傾向」の改善が課題となっております。メーカー側の流通改善懇談会委員と卸連との間で、非公式な任意の意見交換を進めてまいりました。
 卸連としましては、メーカーと医薬品卸の間の取引は、次のようにあるべきだと考えます。
 4ページをごらんいただきたいと思いますが、医薬品卸がユーザーとの間で医薬品の価値に見合った価格で取引を行うためには、仕切価の水準が市場実勢価格を踏まえた水準でなければ、医薬品卸は適正な利益を確保することが困難となります。
 6ページをごらんいただきたいと思います。6ページの下の表「(参考5)仕切価率等の推移」でございますが、こちらをごらんになると明らかでございます。青い線が「仕切価率」、赤の線が「納入価率」、緑の線が「最終原価率」の推移でございますけれども、このように仕切価と納入価の水準というのは乖離をしておりまして、売差マイナスの状況は恒常化しております。これについて改善が必要だと考えております。特にメーカーが市場実勢価格と著しく乖離した仕切価を提示する場合には、合理的な説明が必要であると考えます。
 このため、薬価基準改定時においては、早期のメーカーによる取引条件の提示と実効性のある仕切価交渉が重要であり、市場実勢価格を考慮した仕切価等の設定が望まれます。
 また、競合品、ジェネリックの登場により、市場環境に大きな変化があった場合には、仕切価の柔軟な見直しが必要になると考えます。
 医薬品卸としては、価値に見合った仕切価水準となるためには、カテゴリー別にメーカーと相場観をすり合わせることが有効有益であると考えられることから、医薬品卸とメーカーとの間でカテゴリー別の仕切価交渉を通じて、市場実勢価格を踏まえた仕切価設定が普及することを希望しております。
 このような考え方に基づき、私ども卸連としましては、メーカーとの間でカテゴリー別仕切価交渉の採用等について、引き続き議論していきたいと考えております。
 以上の報告を踏まえまして「3.平成24年度の医薬品流通について」ということで、お願いも含めて申し上げたいと思います。医薬品卸としては、平成24年度の薬価基準の改定を契機としまして、日本保険薬局協会及びメーカー側との協議・意見交換の内容に沿って、契約条件の事前明示と覚書の締結、単品単価取引の実施等を推進し、「緊急提言」の実現に邁進したいと考えております。
 私たちの報告内容につきまして、本懇談会に出席されている委員の方々の御賛同をお願いするとともに、日本保険薬局協会に所属していないチェーン薬局様や公的病院等であっても、総価取引や妥結・仮納入が通例となっているユーザーとの間においても共通認識とするために、それぞれの団体との話し合いの場を設定していただくよう希望いたします。
 また、流通改善の状況を検証し、今後の課題を検討するため、適切な時期に本懇談会を開催されることを改めてお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 卸連から、「緊急提言」の内容が実行されていないのではないかという問題意識の中で、提案を含めたお話をいただいたわけでございます。これについては、細かい質問を含めてメモをしておいていただいて、後ほど一括で議論させていただければありがたいと思っております。
 それでは、引き続きまして、日本保険薬局協会のお立場で、三津原委員から資料2を説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○三津原委員
 日本保険薬局協会の流通効率化委員をしています三津原でございます。
 保険薬局協会といたしましては、今回は妥結が相当後ろへいっているということで、御批判も賜っておりますので、それを踏まえまして、会でいろいろ検討いたしました。また、卸連さんともたびたび会合をさせていただきまして、以下のような決意をいたしました。
 それでは、簡単に御説明申し上げます。「医療用医薬品の流通改善に向けて」ということで、医療用医薬品の流通については、平成16年6月、厚生労働省医政局長の私的懇談会、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」が発足し、その改善に向けての検討が進められてまいりました。平成19年9月28日付で懇談会より「緊急提言」が出され、更に同年10月10日には厚生労働省医政局長名にて通達が出されました。
 日本保険薬局協会は、この通達を真摯に受け止め、国民の医療の基盤となる医療用医薬品の流通に関して、公的保険制度下の取引であることを最大限留意し、自由かつ公正な流通が確保されるよう、平成20年2月28日に開催された通常理事会において、「医療用医薬品の流通改善に向けて」の文書を決議し、流通改善に向けて努力をしてまいりました。
 その結果、平成20年における医療用医薬品の流通においては、会員の皆様の努力もあり、とりわけ未妥結の期間が改善されたところでございます。しかしながら、平成22年の改定後、総価取引について一部是正が行われたものの、先の懇談会で御指摘を受けたような妥結期間の改善が一歩後退する結果となりました。
 このような事態にかんがみ、日本保険薬局協会では、平成24年の改定において、流通改善に向けて下記のとおり自発的に取組み、自由かつ公正な流通が確保されるよう努力しますと宣言いたしました。
 「1.長期未妥結・仮払いの改善を目指す」ということで、価格交渉は早期妥結の観点から、誠実に対応する。また、経営の透明性の確保の観点からも未妥結・仮払いの解消に努めると宣言いたしました。
 「2.医薬品の価値と価格を反映した単品単価取引を行う」。単品単価取引を実現するため、価格交渉に当たって、総価除外などこれまでの取組みを進めるほか、商品特性、流通特性を踏まえた交渉をするなど工夫を行うといたしました。
 「3.基本取引契約書に基づく覚書締結及び遵守の推進をはかる」。覚書は取引の両当事者が対等な立場に立って公正な取引が行われることを目的とし、経済合理性に基づく具体的取引条件を明示する内容とする。また、基本取引契約書及び覚書についてはこれを遵守する。
 以上のことを、平成24年2月24日に開催いたしました、私どもの会の通常理事会で決議いたしましたので、御報告を申し上げます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 日本保険薬局協会は一歩踏み込んで、これから決意を持ってやるというお話だったような感じがいたします。質問があるかもしれませんが、とりあえず発表ということで、日本保険薬局協会からの決意のお話をいただきました。
 それから、資料はありませんが、メーカーさんのお立場もあると思います。卸さんとメーカーさんの間の取組みについて、加茂谷委員、何か御意見がございましたら、お願いしたいと思います。

○加茂谷委員
 今、卸連合会様から説明がありました資料1の中に、「メーカー側との意見交換」という項目が記載されているところでございます。この内容につきまして、「市場実勢価を踏まえた仕切価の設定になっていないのではないか」という御指摘もあるわけでございますけれども、前回の流改懇でもお話させていただいたと記憶しておりますが、仕切価の設定にあたっては、薬価改定前の実勢価格、これは各メーカーとも考慮しつつも、製品の製造原価や自社における当該製品の位置づけ、あるいは製品のライフサイクル等々、いろいろな要因を考慮して仕切価設定を行っております。また、当該製品の競合状況であるとか、後発品が参入するのかしないのか等々、そのような幅広い観点から各社各様に考えて、仕切価を設定している。一概に実勢価を無視して仕切価設定を行っているということではないと、メーカーサイドとしては認識をしているところでございます。とはいえ、メーカーと卸との間で若干の意見の相違もあろうかと思いますので、ここに記載のとおり、非公式、任意ではありますけれども、メーカーと卸との間でコミュニケーションをとりながら、そのギャップ、考え方の相違について埋めていくような作業を現在しているところでございます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 これも後で議論することにして、今度は資料3でございます。事務局から考え方を述べさせていただくということで、よろしくお願いいたします。

○町田首席流通指導官
 首席流通指導官の町田でございます。
 お手元の資料3について御説明をしたいと思います。皆様この辺のところは十分に御承知のことと思いますけれども、いま一度、補足ということで説明をしたいと思います。
 「医療用医薬品の流通改善の必要性」でございます。公的医療保険制度におけます医薬品の償還価格を定めた薬価基準の価格は、市場における自由な競争の下、個々の医薬品の価値に見合った実勢価格を反映させることを前提としており、適正な市場実勢価格が形成されることが必要ということでございます。
 このため、薬価調査の信頼性の確保、未妥結・仮納入の是正、銘柄別薬価収載の趣旨を踏まえた個々の医薬品の価値に見合った価格の形成におきましても、総価取引の是正などが求められている。そういった不適切とされる取引のようなものは、是正をしていこうという取組みになっているということで、流通改善が必要だということでございます。
 2ページ目は、平成19年の「緊急提言」の概要ということで整理をしているものでございます。いろいろ出ておりますが、3つの課題ということで、そこに掲げているような内容が「緊急提言」において取り組むべき課題ということで挙げられております。下側は、取引当事者が持つべき基本認識といったことで、基本的な項目が記載されておりますが、いずれにしても、全体として、来月に薬価が改定されることもございます。流通改善の必要性、「緊急提言」の内容につきまして、いま一度、関係当事者間におきまして御認識をいただいて、新しい薬価をベースとした価格交渉に臨んでいただけたらというお願いでございます。
 3ページ目は、昨年12月取引分の価格の妥結状況調査の結果の概要でございます。数値的に見れば、200床以上の医療機関、とりわけ公的な病院あるいは20店舗以上のチェーン薬局さんで、未妥結・仮納入が依然としてあるという状況でございます。
 4ページ目は、総価取引の状況ということで、傾向としては、全品総価というか、総価的なものは改善されつつあるも、十分な状況ではないということでございます。
 資料3については以上でございます。
 あと1つ補足として、本日お手元の最後に参考資料ということで付けさせていただいておりますが、薬価改定の告示に合わせまして、3月5日に「平成24年度薬価改定に伴う医療用医薬品の流通について」という通知を出させていただいております。医療関係団体あるいは所管省庁、都道府県等に対しまして、流通改善への一層の取組みをということで、要請の文書を出させていただいておりまして、私ども経済課からも関係する医療機関本部、所管省庁に足を運びまして、その趣旨なり流通改善への協力といったことをお願いしている状況でありますことを、御報告させていただきます。
 以上でございます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、資料1、資料2、資料3、卸側の考え方と一部提言、保険薬局協会側からの決意、それに関連したメーカーさんからの考え方、事務局側からの発言があったわけでございますが、早速ここからフリーディスカッションに入りたいと思います。基本的なこと、わかりにくかったことについての質問も含めて結構でございます。委員の先生方から御意見をいただければありがたいと思います。
 小山先生、お願いいたします。

○小山委員
 資料1の卸からの御提案は、大変興味深く聞かせていただきました。今までになく中に入り込んだということで、これはまだ薬局との交渉ということですけれども、恐らくその先には病院との交渉に入ってくると思います。
 大変目新しいところがあって、私は知識がないので教えていただきたいのですけれども、まず2ページ目の上の覚書を締結するということなのですが、覚書の有効期間が3か月から6か月ということは、どのようなことを意味するのでしょうか。

○長谷川委員
 そもそも論といたしまして、「緊急提言」のときに「6か月」という1つの目安が示されました。これは上場企業を中心とする話かもわかりませんけれども、今、四半期決算がございますし、また聞くところによりますと、非営利団体につきましても、企業会計が将来的に適用されるというお話もございます。契約の期間としては、四半期を想定すれば3か月もしくは6か月、そこの中できっちり契約に基づいて要件を決めていくことが適正だということで、こういう表現をさせていただいております。

○小山委員
 私は大学病院から出ておりますけれども、年に1回だけの価格交渉ではなくて、年に2回あるいは4回の価格交渉をしていくという意味にとってよろしいのでしょうか。

○長谷川委員
 おっしゃるとおりでございます。済みません、1つ言い忘れましたけれども、薬価制度が市場実勢価格主義をとっているということでございますので、やはり未妥結の期間をなくす、3か月、6か月で決めるということがございます。
 それと今の御質問に対しましては、具体的に申しますと、資料1の2ページに書きましたけれども、やはり6か月なり3か月の中で決めて、市場環境が変われば、また次の契約、交渉を想定いたしております。今はまだ保険薬局協会さんとの間の話でございます。

○小山委員
 そうすると、そういう可能性はあると考えてよろしいわけですね。

○長谷川委員
 資料1の最後に書いてございますけれども、そういう議論の場を設けさせていただければと希望するところでございます。

○小山委員
 病院とすると、1年に1回しかない交渉なので、どうしても後ろの方が有利と考えているので、また1つの考え方だと思うのですけれども、下のところは「当面の価格については仮価格として覚書を締結し、価格妥結後速やかに精算を行い」となっていますが、覚書を交わしたところを妥結の時点として取り扱うことは、今、契約が成立するまで、いわゆる仮払いをしています。実際に今やっているわけです。それとはどういう違いがあるのでしょうか。

○長谷川委員
 今、まさにそういう時期を迎えようとしておりますけれども、薬価改定後、薬価の告示がありましたから、今ちょうどメーカーさんから仕切価の話を聞いているところでございまして、特に薬価改定後というのは、交渉の時間が長引くということでございます。そういうことを想定したときに、やはりすぐには決められないだろうということでございます。
 ただ、納品の前に契約条件を決めるということを基本原則としたい。世の中の取引はそういうことが非常に多くございます。我々の今のケースはまれだという気がしておりまして、もし決まらない場合は仮価格で覚書を交わしまして、そのほかの納品条件でありますとか返品、その辺の条件は決めて、4月に入りましてから、納品させていただく。そして、この期の間で交渉させていただいて、価格が決まった段階で、正式に妥結の覚書を交します。その時点が「妥結」という定義にさせていただけないかという話でございます。

○小山委員
 この辺になると素人なのでわからないのですけれども、何か今までやっていることと同じではないかという気がするのです。つまり1年間全くお金を払っていないわけではなくて、ある程度の価格を決めて、2か月か3か月おきに、病院側は払っているわけです。それと今のこの考え方というのは、根本的にどこか違って、この方が絶対に良いのだということがあるのですか。

○長谷川委員
 いいかどうかという議論の前に、まず契約の期間がございます。例えば4~9月、10~3月と分けた場合、契約というのはその期間で完結するのが基本原則だと考えております。4~9月の契約に関しては、4~9月で価格を決める。例えば10月になって、いろいろな諸条件が変わります。製品の競争条件も変わりますので、10~3月に関しては別の契約期間だという認識がございます。ということは、4~9月の期間の契約については、4~9月の間で価格決定をする。10月以降、4~9月の価格決定についてはさかのぼらないというのが基本原則という認識でおります。その辺が違うのだと思います。

○小山委員
 済みません。余り違いがわかりません。

○松谷委員
 ちょっと補足させていただきますけれども、先ほどの提言の中でも、市場環境が変わるということで、よくこの席で遅くなるほど安くなるという話があります。遅くなったときの方がその間の競争がいろいろ出てきますから、安くなっているのは事実なのですけれども、例えばジェネリックは年に2回新規に採用になりますし、新薬は4回、それで競合品やいろんなものが出てきます。そういうものでいいますと、例えば3か月とか6か月で契約するときは、その期間中に市場条件の変わったものなどを含めて価格交渉をするわけですけれども、10月から3月まででいうと、10月から3月までに市場状況が変わったものについては4~9月よりも安い商品が幾つか出てくる。また、特殊な新薬が出たり、いろんなことがその間に起こります。新規採用も出たりということなのですけれども、4~9月で決めたものと、10~3月で決めたものとの間に価格差があったとしても、4~9月のときにはまだ競合品が出ていなかったものの価格を、10~3月で競合品が出たから、4~9月までさかのぼって値引きをしろということが現在起きているわけです。
 もっと端的にいえば、家電では、4月に10万円したテレビが、10月になったら5万円になった。4月に買った分を5万円にしろということは、基本的にはあり得ない。既に使っていらっしゃるわけですし、薬にしても、4~9月の間のものはもうお使いになっているわけですから、10月や11月等で価格の競争状況が変わったからといって、4月までさかのぼるということは不合理だ。そういう意味で、ある一定期間を決めながら、契約をやっていくことが一番正しいのではないかということでございます。

○小山委員
 私もその正しさはよく理解できております。ただ、問題は、下の方に書いております、仮契約をした時点を妥結とみなすという文面です。今も仮妥結はしているわけだから、それを文書にして残せば妥結としていいのか。それは12か月になるのか、6か月になるのか、3か月になるかの差だけという思いがするのです。この辺はいかがなのでしょうか。

○長谷川委員
 繰り返しになるかもわかりませんけれども、仮契約をもったことが妥結ではございません。仮価格は設定いたしますけれども、あくまでも両者合意の下で妥結した段階を妥結といいます。

○小山委員
 この文章では「仮価格とする覚書を締結し、価格の妥結後に速やかに精算を行い、それまでの間に、本来の覚書の締結をするものとした。また、本来の覚書の締結時をもって流通改善の見地からの『妥結』の時点として」とあります。この本来の覚書というのは、最終のことを言っているわけですね。

○長谷川委員
 そうです。

○小山委員
 わかりました。
 先ほど松谷委員からテレビの話がありました。病院の代表といたしまして、例えば6ページの一番下の「最終原価率」、この辺のことは病院と卸ではないわけです。でも、卸とメーカーの間にはあるわけです。私はこの辺が不公平だと思うのです。病院だけ1年早く決めろと言われても、こういう補償があるならば、我々も4月でも5月でも締結するのだけれども、1回締結したらそれで決まってしまうわけですから、病院とすれば、今の病院の経営を考えると、なるべく後ろにもっていった方が有利という形になってしまうのです。こういうものを我々のところにも与えていただけたらと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○松谷委員
 メーカーと卸との間は、2年間を通じての平均の最終原価なのですけれども、我々とメーカーさんとの間でいえば、最初の4~9月の間で価格が変わらなかったら、こういうものはもらいませんし、その後になって、幾つかの競合品が出たりすると、割戻しやアローアンスが変わってきたりすることはありますが、我々はそのことをさかのぼってもらっているわけではないのです。数字的にいうと、時間的に最終原価がこうなったと書いているのではなくて、2年間の平均値を系列的に並べているのですけれども、実際にメーカーと我々との取引でいえば、2年目になってこれだけ安くなったのを、最初の方までさかのぼってメーカーさんが安くしてくださるのだったら、皆さんにもそうやって出すのは当たり前になるのですが、現実にはそういうことはしてくれません。

○嶋口座長
 少し細かい問題にまで入ってきておりますけれども、なかなか興味深いディスカッションだったと思います。ありがとうございました。
 今の小山委員からの御質問に対しては、この辺りをもうちょっとクリアーにした方がいいという印象をほかの委員の先生方もお持ちだと思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。
 どうぞ。

○山本委員代理
 代理で申し訳ございませんが、ひと言申し上げたいと存じます。
 本日示されている資料を、私も大変不思議に思って読んでいました。資料1の御主張は大変合理的でありますし、理にかなったものだと理解するのですが、ならば、なぜ今までできなかったのかということについて、どこにも答えが載っていないので、面白いといいましょうか、非常に興味深く拝見しました。
 先ほどの、価格決定まで1年間待てるというところは結構ですけれども、日本薬剤師会ではなしに、保険薬局協会さんを最初のお話の窓口になさったというのは、多分日薬の方は小さな薬局の集まりで、保険薬局協会に参加している薬局は取引高が大きいからと理解しています。そうしますと、小さな薬局の代表としては、1年間待てないものはどうしてくれるのだというお話をせざるを得ないと思います。しかも、一施設当たりの取引高と医薬品を扱う薬局の数の大きさを比べれば、圧倒的に20店舗以上のいわゆるチェーン薬局よりも、そうでないところの方が多かろうと思います。
 事務方にお伺いしたいのですけれども、事務方の資料の20店以上の薬局という概念とその他の薬局の概念を考えてみると、資料に書かれている意味はわかりますが、圧倒的にその他の薬局の方が多いはずなのです。にもかかわらず、妥結率を見ると、比較的小規模と思われる群は100%です。単独店も含めて20店舗以下とそれ以上の店舗の間には、妥結の状況に差が出てきている。小山先生が御指摘になったように、薬局はどんなふうに差別を受けているのか。その差別を是非お伺いしたいと思います。それがこの問題の一番の問題だと思います。
 メーカーが割戻しをくれないというのは、確かにそうなのかもしれません。それはメーカーさんにひと言言わないといけないと思うのですが、しかし、メーカーから戻り分が払われるまでの間、もらえない分をどこから稼いでいるかというと、早く妥結した小さな薬局から稼いでいることになるのでしょうか。その辺りが、この表を見ると全く理解ができません。
 したがって、資料1の2ページ目にあります覚書ですけれども、確かに相手先の決まった大きな薬局にはフィットするでしょうし、1か月のうちにどんな医薬品がどれだけ出るか予想がつく薬局にとってはフィットするかもしれません。しかしながら、色々な医療機関の処方箋を受け付けている薬局には、月にどのぐらい何が出るかということは全くコントロールできません。また、そうしたシステムを国も進めています。その中で、覚書に書きなさいと例を出されますと、一体どうやって量を決めたらいいのでしょうか。これは極めて差別的な契約書になるような気がします。この条件をもしお出しになるのであれば、その辺りについても御配慮がないと、ただ単に大きなところだけ相手にすれば良いという体質がちっとも変わらないという感じがします。
 一方で、NPhAさんから出てきた改善の決意がございます。先ほど座長がおっしゃっておられましたけれども、これも同様でありまして、ここに挙げられている「1」、「2」、「3」の項目は、これまでも当然のことなのです。平成16年、19年、20年と公表されて、なお直っていないというのは、直す気があるのかどうか、いささか心配です。しかも、なお改善するとおっしゃっているわけですが、改善されていないわけですから、この辺はどのように団体としてお考えなのか、是非お伺いしたいと思います。

○嶋口座長
 いろいろな側面の御質問がありましたが、誤解のないように私からポイントだけ言っておきます。
 「緊急提言」では、現在の公的医療保険制度の下における流通のあるべき姿を示しました。ところが、実際は実行できていない。しかし、それは実行できていない方が問題なので、問題の方にうちの方も合わせてくれというのはちょっと困ります。そういう意味からいうと、差し当たっては、そこのところで大きな乖離があった日本保険薬局協会さんにお願いして協議をした結果が、この資料1あるいは資料2という形になったと理解しております。それが1つです。
 それから、なぜこんな問題が長引いているのか、改善されていないのかということについては、長い歴史の中で、座長として私自身も同じような疑問を持っているのですけれども、利害関係者の中でやっていますと、なかなか難しいので、その調整をやるのがこの懇談会ということなのです。そのところを踏まえた上で、卸連から御意見をいただければありがたいと思います。

○松谷委員
 こういう問題は昔からあった問題ですけれども、特にこの問題が大きくなりましたのは、平成4年の新しい薬価制度になって、価格交渉そのもので卸が表の舞台に立って、メーカーさんが直接価格に関与しないことになってからだと思います。過去はメーカーさんと共同しながら価格を決めておりましたので、未妥結だとか総価、総価であってもメーカー別総価であったり、メーカーさんとの関係で価格が決まっていたので、いろんなものが早くなったのですけれども、卸だけのことになると、そのこと自体をまたメーカーさんに持ち寄ることになります。今、仕切価制なものですから、昔の値引き補償制のときと違って、仕切価の中で我々の持っている財源の中から価格交渉をしなければならないということと、医療機関さんや薬局さんの考えていらっしゃる値ゴロ感の差が非常に大きくて、その間に時間が非常にかかってしまうというのが、平成4年以降の流通の大きな変化だと思っています。
 こんなことを言うと失礼かもしれませんけれども、そのこと自体が大型の病院さん、非常に使用量が多いところ、また薬局さんにしても使用量の多いところの皆さんは、ボリュームをお考えになって、ボリュームディスカウント的な発想が非常にお強いわけでありますが、医療用医薬品というのは、基本的にはボリュームディスカウントに一番なじまない商品だと思います。要するに処方箋が出なければ、その商品は出ていかないということからすれば、大きい、小さいということよりも、薬価基準はどこでも平等な薬価基準ですから、そんな大きなボリュームディスカウントがそこであってはいけないという考えが、メーカーさんの仕切価やメーカーさんの政策の中にも入っていますので、実際の立場に立っていると、その辺のずれも価格を決めることに対して大きな要因になっているのではないかと感じております。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 時間の関係もあるのですが、今の問題に関連してですか。別の問題ですか。

○鈴木委員
 今の問題です。

○嶋口座長
 どうぞ。

○鈴木委員
 前回もお話を聞いていて思ったのですが、資料3の3ページの妥結状況を見ても、200床以上の病院と20店舗以上のチェーン薬局が低いということですけれども、医療機関を見ても、今、御指摘があったように、大病院チェーンです。特に労働者健康福祉機構、済生会、日赤、厚生連、学校法人、これは私立医科大学だと思いますけれども、そういったところが極端に低いです。200床以上とはいえ、医療法人とか個人の病院などは高い。その他も高いところがありますけれども、大規模なところに問題があるということだと思います。
 4ページの総価取引の状況を見ると、200床以上の大病院よりも、大規模な調剤薬局チェーンの方が単品単価の取引の割合が低いですから、より悪質というか問題が大きいということで、公的皆保険制度を守らなければならない方々が、営利企業の論理で行動されている。特に調剤薬局チェーンの場合は株式会社でもいいわけですから、公的皆保険制度を守るという意識が少ないのでないでしょうか。医療機関が低い収益で、経営努力で何とかやりくりしている状況の中で、大規模な調剤薬局チェーンが莫大な利益を上げ、個人的に利益を上げているオーナーもいらっしゃるということも聞いておりますので、こういった状況を放置していいのでしょうか。公的皆保険制度を崩すきっかけになりかねないと思いますので、問題点ははっきりしているのではないでしょうか。
 日本保険薬局協会さんの宣言なるものを見ても、数値目標が入っていませんので、こんなものは絵に描いた餅みたいなものですから、もっと具体的に数値目標を入れておやりにならないと意味がないと思いますし、中小病院とか開業医とか、そういうところの問題ではない話だと思います。そういうものを放置していいのかということを、きちっと議論して、数値目標をつくって改善していかなければ、いつまでものらりくらりということで、改善しないことが続くのではないかと思います。

○嶋口座長
 貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 今の委員の先生方からの御質問と御意見を踏まえて、これについては、今後、新しい方向を出していければいいという感じがいたします。
 改善がなかなか進まない問題の1つとしては、ここにいらっしゃる委員の皆様は各団体の代表の方ということもあるのではないでしょうか。実際には卸連には多くの会社が傘下にあり、規模の大小もありますし、メーカーさんでもいろいろな規模の会社が一緒になっていますし、勿論日本保険薬局協会でも同じことがあるのですが、団体としてはこう決めているけれども、なかなか下まで浸透していかないという例が多いと思います。その辺りについて、一言ずつ御意見を賜れればありがたいと思うのですが、卸連はどんな感じでしょうか。

○長谷川委員
 卸連に関しましては、1月末に連合会の常任理事会、理事会等がございまして、保険薬局協会様と詰めさせていただいたこの案につきましては、一応この方向性ということで機関決定はいたしております。
 その後、具体的にはエリアの問題があります。全国幾つかのブロックに分かれております。例えば四国地方でありますとか九州、そこでブロックごとに会を催しまして、今回の取組みについての周知徹底を図るということを行っておりまして、各卸の責任者を中心に1,000名以上の者が、同じこの話を聞いているというのが実態でございます。今、そこまで進めさせていただいております。

○嶋口座長
 今のことに関連ですか。

○神原委員
 関連です。

○嶋口座長
 どうぞ。

○神原委員
 私は全国自治体病院協議会の代表ですけれども、病院によって非常に差があります。先ほどおっしゃったように、確かに大型の病院は交渉力がある。これはボリュームだけということではなくて、交渉するにはマンパワーが要ります。小さな病院になりますと、マンパワーがありません。だから、言いなりになってしまいます。卸さんだけを責めているわけではないのですけれども、かなり差があります。歴然たる差があります。極端にいうと、3倍ぐらい差があります。小さな100床とか50床の病院だと、提示価格で妥結せざるを得ないということがあるのです。
 もう一つ、大手のチェーンの薬局とおっしゃられましたけれども、大手のチェーンの薬局と大病院とでもかなりの差があります。何でこんな差が出るのか、そういう差をどうやって埋めるかというのが、流通改善の中の大きな問題ではないかと思います。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 日本保険薬局協会さんの方で、協会全体としての宣言に対して、どのぐらいまで浸透し得るかという、実行のところはいかがですか。

○三津原委員
 会の大型のチェーン会社からは、大体合意を得ております。余り反対もありません。大体上場しておりますので、四半期決算をどんどん立てていかなければいけないということで、必要に迫られている部分もありますから、比較的こういう宣言に対しては親和性があるということです。
 チェーン会社もピンキリでして、病院さんもそうですけれども、チェーン会社も小さいところになりますと、小さいといっても、そこそこ上場しているところもあるのですが、マンパワーも足りないでしょうし、管理体制が整っていないのだろうと想像しております。本当のことをいうと、むちゃくちゃなことを言う連中も多いのです。むしろ行儀が悪いのは、小さい方ということだと思います。そういうところは、こういう宣言を通して、だんだん正していかなければいけないだろうと思っております。
 もう一つは、先ほど鈴木先生からお話がありました、目標の数字が立っていないということです。誠にごもっともな御発言でございまして、前回、宣言したときには数値目標を持っておりまして、何月までに70%達成しようではないかということでやりまして、これは効果が上がりました。ところが、新薬創出加算が出てから、ぐだぐだになりまして、チェーン会社の妥結率が低くなったということで、おしかりを受けているところだと思います。今回は数値目標を立ててやったらいいだろうと私も思っておりますので、やっていきたいと思っております。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 メーカー側のお立場で、加茂谷委員、どうでしょうか。

○加茂谷委員
 この流改懇の席で御指摘いただきました「川上の問題」として改善が求められております事項につきましては、流通改善の一環として、日本製薬工業協会をはじめとする各団体それぞれが、前向きに取り組んでいる状況と認識しております。
 ただ具体的に、例えば数値目標を定めて、割戻し・アローアンスの比率はこうしましょうとか、そういう価格条件あるいは販売条件等を団体が決めて、それを各社に落としていくことになりますと、独占禁止法上の問題あるいは再販売価格拘束の問題等々がございますので、具体的な行動の方法について、ナイーブにならざるを得ないという点につきましては、是非御理解をいただきたいと思っております。
 改善内容について具体的に申しますと、例えば、仕切価、割戻しの提示、アローアンスが期末に提示されているという状況については、来月に控えております薬価改定では、3営業日以内に仕切価等々の取引条件は開示していると認識しておりますし、アローアンスについても事前に開示し、その条件に基づいた行動に対してお支払いしていると理解しているところでございます。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 まだいろいろ聞きたいことがあるのではないかと思います。細かい問題に入っていけばいくほど多様性が出てくると思いますが、時間の関係がございますので、おのおのの立場からの御意見を承ったことにしたいと思います。
 卸側としては、「緊急提言」の実現に向けて、メーカーさんや保険薬局協会さんとの意見交換や協議を既に進めているということでございました。このような取組みは他の取引当事者間でも行われて、共通認識をそこで更に形成して、一つひとつの課題を解決して、流通改善に少しでもつながっていくことを是非期待したいと思っております。
 また、既に薬価改定後の4月以降の価格交渉が始まっていると思いますが、新たな価格交渉が始まるに当たりまして、改めて流通改善の必要性を事務局から御説明いただいたわけでございますが、この点もよろしくお願いしたいと思います。
 卸売業者さんとユーザー、川下という言い方がいいのかどうかわかりませんが、取引当事者間の皆さんには改めて流通改善の必要性、公的医療保険制度下で医薬品を扱っているプロフェッショナルとして、自覚と自立、マナーを守って取引をしていただければありがたいと思います。その点で、未妥結・仮納入、総価取引の解消は基本的に決まっている方向でございますので、是非積極的に取り組んでいただければありがたいと思っております。
 それでは、時間の関係もございますので、議題1の(2)、資料1で卸側から保険薬局協会以外とのユーザーとの間でも自主的な意見交換を行うことが望ましいという要望が示されたわけでございますが、このことを踏まえて、「今後の議論の進め方」について、事務局から提案があるということでございますので、資料4をベースにして、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○町田首席流通指導官
 それでは、お手元の資料4「今後の議論の進め方(案)」ということで、事務局からの提案を説明させていただきます。
 今、座長から御報告があったとおり、卸側委員からも報告、要望がございました。「緊急提言」に盛り込まれた事項について、取引当事者間での取引の現状、問題点、改善の方向性などについて、取引当事者間からなるワーキングチームを設けて、議論・調整を行ってはどうかという提案でございます。
 これまで平成19年の「緊急提言」を出す際、あるいは16年の流改懇が発足をして「中間とりまとめ」をするといったときに、流通改善懇談会の下に準備作業会合といったものをつくりまして、議論したという経緯もございます。
 本日のお手元の資料で、頭の方に平成16年6月に開催しました、第1回の懇談会の資料がございます。その中にも「5 その他」ということで、懇談会の効率的な運営に資するよう、必要に応じて、関係当事者による準備作業会合を開催するといったことがございました。先ほど申しましたとおり、「緊急提言」等をまとめる際に、こういったまとめの会議を設けていたということがございます。
 ただ、今回、提案をさせてもらっておりますワーキングチームというのは、準備作業会合よりも前の段階といいますか、毎回、座長の先生に参加を願わなくても、もっとアドホックに、機動的に関係当事者間で話し合える場という形で進めたらどうかと考えているところでございます。
 検討事項につきましては、当事者から提案のあった事項を、その都度、座長、関係当事者とで相談をして決定する。
 また、メンバーも流改懇メンバー以外の取引当事者の方、あるいは実務担当の方にも参加を願って、参加自体を可能にしたいと思っております。
 このワーキングチームで取り扱った事項につきましては、進捗状況や当事者間の調整状況などに応じまして、適宜、流通改善懇談会の場、場合によっては準備作業会合などに報告をするといった形で進めたいということでございます。
 全体の事務調整等は、当然私ども経済課でさせていただくことを考えております。
 以上、事務局からの提案でございます。よろしくお願いいたします。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 先ほども細かいことを含めて議論があったのですが、この場でなかなか決めていくことができない。したがって、この場で最終的にいろいろ考えていくためのたたき台的な考え方をつくるために、ワーキングチームを設けたらいかがかという御提案をいだたいたわけでございます。これについて、今、ここで方針を決めるわけにはいかないと思いますけれども、流通改善の進め方の検討に役立つ在り方について御意見がございましたら、いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ。

○長瀬委員代理
 賛成です。この場で行っていても、いつも同じことばかり言っていることが多く、ワーキングチームをつくって、少しずつ進んでいかなければいけないし、前回やったときと議論がほとんど同じです。この間から何が進んだのかと思ったら、ワーキングチームをつくるということは進んだことだと思いますし、たしか三村先生が透明性が大事だということを言われたと思うのですが、どの辺で透明性が出るのかというのは、こういうことをやらないとできないと思います。よろしくお願いします。

○嶋口座長
 極めて望ましい形ではないか。「緊急提言」が出たときも、そういうものを至急出してもらいたいという要請を受けた中でワーキングチームをつくりまして、そこでいろいろ議論して、その案をベースにして、最終的な方向が決まったという経緯もあります。ここでああだこうだと言い続けていても難しいから、大所高所から、ワーキングチームでの検討を見守る。そして、それに対して方針を決めていく形にして、ワーキングチームで実質的なところを詰めていただければいいのではないか。それに対して賛成だという御意見をいただいたわけでございます。ありがとうございました。
 お願いいたします。

○山本委員代理
 私も大賛成で、是非つくっていただきたいと思います。今までの議論を伺っていると、卸さんとメーカーさんが相互にお前が悪いと言って、責任の押し付け合いをしているように聞こえますので、弱いところは全く無視されてしまいます。実態としてはそういうところもあるのだということで、その場でお決めになるのは結構ですが、呼ばれていないところは提言、提案すらできませんので、そうした場所で不公平なく、透明性とおっしゃったのは、まさにその部分だと思いますので、忘れられないようにセットしていただきたいと思います。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 どうぞ。

○小山委員
 今回、卸から提案されたものは、非常に興味深く聞きました。特に12か月ではなくて、半年あるいは3か月という考え方というのは、大学病院の中にはほとんどないかと思いますので、是非取り入れたいと思います。
 それから、カテゴリーという考え方はかなり現実味を帯びてきますので、カテゴリーの分け方などの議論は、ワーキングチームでしていただければ、かなり進められるのではないかと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

○嶋口座長
 どうぞ。

○佐藤委員
 日本病院薬剤師会です。
 さまざまな病院の関係があるので、我々は非常に難しい団体でございます。個人的には国立大学病院で、悲しいぐらいにこにこ現金払いで優等生なのですが、先ほどの資料3を見ましても、12月ぐらいの段階で、妥結しているのは6割という形になってきています。独法化の影響でかなり民間型になってきていることもありますし、必ずしも大きい病院だからいいという問題もだんだん出てこなくなりましたので、そういう面で、ワーキングチームでいろいろ検討させていただいた方がいいのではないかと思っております。

○嶋口座長
 どうぞ。

○神原委員
 そういう商取引的なことだけではなくて、どうやったら流通コストを削減できるかという、もっと根本的なことのディスカッションもあったらいいのではないかと思います。よろしくお願いします。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 非常に建設的な意見をたくさんいただきました。反対が別に建設的ではないというわけではないのですけれども、もう少し反対があるかと思いましたが、皆さん、賛成してくださっているようですが、事務局、それに対して何かありますか。

○鎌田経済課長
 おはようございます。経済課長でございます。
 皆様の御意見はもっと進めろということだと思いますので、そういったことを踏まえて進めていきたいと思いますが、多少経緯も含めて御説明申し上げます。
 卸さんの資料1にありますように、卸さん側からこういった場で話す機会が多くほしいということで、流改懇をということがあったのですけれども、今、先生方からありましたように、同じ議論を繰り返すとか、先生方がお忙しいこともございまして、時間もないということなので、まずはお申し出のあったところからということで、任意という形で卸さんと日本保険薬局協会さん、そして、卸さんとメーカーさんということで議論を進めてまいりました。
 そのことを踏まえて、今日それぞれ御提言あるいは御発言があったわけでございます。それに対して、途中、先生方からもう少し詰めてはどうかという質問や御意見がございました。また、それを本当にやってみてどうなのかという検証が必要だと思います。そういったことにつきましては、商取引ということもありますし、またコストとしてどうなのかという議論も含めてやるには、開催に当たって多少自由度がある、あるいは議論に参加される方についても、現場の実情を肌身で感じていらっしゃる方が妥当だということで、進め方として、ワーキングチームを設けてはどうかという考えに至ったわけでございます。
 そこで一定程度の議論がまとまり、あるいは方向性が出れば、前回、「緊急提言」をまとめたときのように、ある方向性を持った議論が必要となったときに、準備作業会合あるいはこの流通改善懇談会で議論をしていただければと考えております。
 なお、数値などの御議論もあったわけですが、まさに現場の実情も踏まえて、そういうことを議論する必要があるので、こういったワーキングチームでも御議論いただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 ワーキングチームをどういう形で具体的に編成するかとか、どのぐらいの頻度でやるかとか、その他もろもろはまだ決まっておりませんが、事務局でその辺りをこれからお考えいただきまして、また御説明いただければありがたいと思っております。
 三村先生、座長代理として、ここまでの議論で何かございますでしょうか。

○三村委員
 基本的に問題点はいつも繰り返されているということなのですけれども、今回、卸連から資料1で提言をいただきました。先ほども御指摘がありましたけれども、従来なかったような項目とか指摘が明らかに入ってきたと思っております。覚書に盛り込む事項などは、ほかの流通の場合であれば当然であって、今までこれをきちんと議論してこられなかったこと自身が医薬品流通の大きな問題であったと思います。
 また、状況が大きく変わってきた中で、勿論後発薬が増えてきたとか、あるいは新しいバイオ関係の医薬品が増えたという話もございますし、そういった状況を踏まえますと、きちんとした商品特性、流通特性、あるいは品質管理特性を踏まえた形でのコスト積算があり、価格交渉があってしかるべきだということでございますので、カテゴリーの分類は全体を縛るものではなくても、こういう考え方で基本的に医薬品流通というものを設計していくべきだということが、少しずつ浸透していけばいいのではないかと思っております。そういう意味で、これは小さなことではあるのですけれども、意外と大きな意味を持つ一歩になると思います。
 それから、先ほどの御議論の中で、中小薬局の立場がというお話があったのですけれども、これを放置すると、恐らく中小薬局さんについてはつらい状況が続くということであります。この辺りをきちんと整理していくことによって、それぞれのお立場の中においてそれぞれ合理的な価格交渉があり、合理的な流通の在り方が少しずつ見えてくると考えております。
 もう一つだけ申し上げますと、先ほどチェーン薬局でもお立場があって、すべてがこれに対応できるわけではないかもしれないというお話がございました。ただ、問題は中小であろうと、ビッグであろうと、基本的にマネジメントの精度を高めていただく必要がある。ビッグの在り方、中小の在り方でそれぞれ違うのですけれども、それがきちんとできていないと、恐らく次の段階もありません。ですから、マネジメントがどうのということは、これからは余り口実にならないという形でお願いしたいと思っております。
 以上です。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、より積極的な改善に向けての形として、事務局から御提言のワーキングチームをこれから編成しながら、更にこの場で懇談していくという形で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次の議題「2.その他」に入りますが、中身はバーコード表示の推進の必要性です。卸側から資料5の提出がありましたので、村井委員から御説明していただけますでしょうか。

○村井委員
 ありがとうございます。少しお時間をいただいて、バーコードのお話をさせていただきたいと思います。
 前回のこの会議でバーコードのお話をさせていただいたところ、ほとんどの委員の皆さんから前向きに進めるようにという御意見があったと理解しております。その結果を受けて、製薬協と卸連では流通バーコードに関する合同検討プロジェクトを立ち上げて、今、そのプロジェクトで案がまとめられている最中でございます。
 仄聞いたしますと、私のそのときの説明の仕方が悪かったのかもしれないが、バーコードを付すことは、卸の作業効率には役立つけれども、そこまでコストをかけてやる必要があるのかみたいな議論になっているとも聞いておりますので、改めて今日お時間をいただきまして、単に卸の流通効率化につながるということではなく、医薬品の安全性を確保するという観点から、バーコード表示を必要としているということを申し上げまして、その必要性を御出席の皆様に御理解いただきたいと考えております。
 冒頭に新バーコード表示をお願いする意義ということで、3つ書いておきました。
 ?としては、投薬過誤を防止し、医療安全に資することであると思います。
 ?として、医薬品の流通経路を的確に把握することによって、正確かつ迅速な回収に資すること。
 ?として、医薬品の在庫管理の効率化、医業・薬局経営の合理化を図ることであると思っております。
 こういう趣旨で進めたいと思っているのですが、2ページを見ていただきたいと思います。大変残念なことに、現在のバーコードの表示状況が厚労省から発表されております。網かけになっている部分は、小さな数字がいっぱい並んでいると思います。10とか4.8とか、ここの部分が今回私どもがバーコード化をお願いしている部分でありますが、非常に表示率が低いのです。しかも、理解に苦しむのですけれども、平成20年と比較して、22年に向かって表示率が下がっているということです。注射薬でもわずか10%でございます。平成19年に厚労省がまとめられた新医薬品産業ビジョンの中でも、IT化でこれを進めるとなっているにもかかわらず、年を追って下がっているのが現状でございます。
 この間、海外では、前回は欧米の状況を簡単に御報告させていただきましたけれども、トルコでは、私どもがお願いしておりますものに加えて、シリアル番号まで付けることが義務化されまして、医科向け医薬品への表示が2011年からスタート、現在8割から9割の製品にバーコード表示がされているということでございます。
 続いてフランスでも、2011年から医科向け医薬品に商品コード、有効期限、ロット番号の3項目表示が義務化されたということで、ほぼ7割に表示がされているということです。
 そういうことから比べますと、今の日本の状況は、個別のメーカーさんによっては前向きに取り組んでいただいているメーカーさんもございますけれども、全体で見ると大変低い状況であるということを、今回改めて御指摘させていただいた次第です。メーカー様には多少経済的な御負担をかけることになり、大変心苦しく思っておりますが、国民の安心・安全に資するという観点から、是非前向きに進めていきただきたいと思います。
 以上です。

○嶋口座長
 村井委員、どうもありがとうございました。
 バーコード表示につきましては、現在、メーカー側と卸側で合同検討プロジェクトチームを立ち上げているそうでございまして、元梱包装単位と販売包装単位への有効期限やロット番号の表示を進めるためのコストメリットなどについての共通認識を形成するための議論をしていただいているということでございます。
 その上で、今回は卸連からすべての医薬品への商品コード、有効期限、ロット番号のバーコード表示の推進について、関係者の協力と理解を求めたいという御意見でございました。
 私自身もこれまでメーカー、卸を含めたトータル、まさにシームレスに近い流通の一貫性ができたら、はるかに効果的・効率的な形ができると思っておりまして、ユーザーさん、患者さんを含めまして、全体の最適化が更に高まると期待するのですが、この場で委員の先生方から御意見を述べていただければありがたいと思います。
 今、村井委員から御指摘がありましたように、メーカーさんにとっては大変な投資、コストがかかる問題だと思いますが、もし御意見がございましたら、加茂谷委員、お願いいたします。

○加茂谷委員
 前回の流改懇以来、卸連様と合同プロジェクトを立ち上げて、鋭意検討をしております。前回、中間報告的に本席に提示させていただきましたけれども、近々に最終報告をまとめたいと思っておるところでございます。
 村井委員からの御指摘のとおり、流通全体のコストの効率化のみならず、医療安全あるいは患者様のトレーサビリティ確保という観点から、販売包装単位、元梱包装単位にバーコードを表示することに意義があるという点については、合同プロジェクトの中でも合意が形成されているところかと思います。
 一方、今、座長からもお話がありましたとおり、それなりにコストがかかるものであり、せっかくの投資が無駄にならないような環境整備が必要だと、メーカーとしては認識しているところでございます。
 具体的に申しますと、メーカーから卸様、卸様から医療機関、薬局といったところまで一気通貫で、医療安全、トレーサビリティの確保につながるような環境整備があれば、私どもは投資したものに対する患者様への貢献ということが確立できるかと考えております。先ほど事務局から提案がありましたワーキングチームといった場面も活用しながら、どのような形で、一気通貫でバーコード表示の環境整備ができ、コードの効果的・効率的な利用法ができるのかを是非御議論いただければと思っておるところでございます。
 以上です。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 ユーザー側のお立場からお願いします。

○神原委員
 病院サイドからですが、病院にとっては非常に大事なことです。誤薬防止や在庫管理で期限切れを避けるということは、非常に大事です。ただ、今のバーコードはいろんな形式があり、またバーコードが不完全なものですから、診療材料のように、薬剤には利用できていない。我々病院はできるだけ在庫も減らしたい。不良在庫が出てしまいますと、無駄にお金を捨てているようなものです。流通センターなどで、回転の早いところには少し期限の短いものをとか、調整しながら流通経路に出していただくと、国全体として無駄が削減できるのではないかと思います。そんな意味でも、これは是非進めていただきたいと思います。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 お願いいたします。

○鈴木委員
 全体として、こういう方向性が必要だとは思いますが、医療機関側も規模の大小によって重みが違ってきますので、そういったコストをどのように吸収していくのかも考える必要があると思います。ワーキングチームができましたら、そういうところで議論していただいて、これは入るところと、入らないところがあっては意味がないでしょうから、中小の医療機関、診療所の先生方のところまでということであれば、そういったコストをどのように負担していくのかも是非話し合っていただきたいと思います。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 どうぞ。

○小山委員
 今、有効期限のところは、全部手入力作業でやっております。大変な労力を講じておりますので、これは是非バーコードを入れていただきたいと思います。
 以上です。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 山本代理、どうぞ。

○山本委員代理
 私もこのシステムについては是非導入していただきたいと思います。先ほどメーカーさんもお金がかかるでしょうという御意見があったのですが、一般的な薬局はこういうものを読み出すシステムを持っていませんので、同様に設備の準備に費用がかかります。先ほどのワーキングチームの中でも、なるべく安価で使いやすいようなシステムを開発していただかないと、先ほど三村先生がおっしゃったように、一貫したコントロールができなくなってしまいます。商品コード、有効期限、ロット番号の3つにつきましては、確かに入っていれば大変助かります。
 もう一点なんですが、薬局までのトレーサビリティがあって、患者までというお話ですが、現在の日本の調剤の仕組みからすると、包装を開封して調剤しますので、その点をどのようにお考えか。もし箱でトレーサビリティを考えて、国がそれを進めるとすると、今後は現在のような調剤形態ではなしに、箱でということをお考えになっておられるのでしょうか。ヒートシールそれぞれにバーコードを入れろというのは、いささか負担が大き過ぎる話であります。その辺がちょっと気になっていますので、今後の検討材料として、その辺も御検討いただかないと、具体的に調剤をした先に問題が出てくると思っておりますので、よろしくお願いします。

○嶋口座長
 これに関連して、卸連からの要望、あるいは事務局からの説明はございますか。

○村井委員
 一気通貫でバーコード化というお話ですので、最後の調剤単位での付番、バーコード化はどうするのかという御質問だったと思うのですけれども、これは議論しなければいけない問題をたくさん抱えております。それがないからメーカーとしては投資ができない。これは非常に問題ではないかというのが、今回の趣旨でございます。
 想像していただくとわかるのですが、全国に散らばったある商品、特定のロットを見つけ出すときに、ロット番号がバーコード化されていれば、少なくともどこの医療機関、どこの薬局に出たかまでは絞り込めるのです。これはものすごい効率化につながります。ですから、川上から順次そういうシステム化を進めていくことが大事なのであって、その間に、今、山本先生から御質問があったようなことについて、同時並行で処方単位でのバーコード等について検討していけばいいと考えております。

○嶋口座長
 どうぞ。

○神原委員
 情報だけですけれども、アメリカでは注射アンプル1本ずつにバーコードが付いています。外資系なら当然、日本でも同じようにできないのはおかしいと思います。注射が一番大切ですから、ディスカッションしていただければいいと思います。

○嶋口座長
 先進的な海外ということですね。

○神原委員
 そんなに難しいことではありません。

○嶋口座長
 よくわかります。
 その関連で、バーコード表示の進捗状況調査結果が出て、注射薬、内用薬、外用薬がいずれも平成22年に大きく下がった原因は何なのでしょうか。

○村井委員
 わかりません。

○嶋口座長
 加茂谷委員、お願いします。

○加茂谷委員
 既に表示対応している品目について、表示を外すことはないと認識しています。そういった意味では、新しく出てくる薬、新薬にバーコード表示がされていないのであれば、分母がふくらんだ一方、分子はそのままでも、数値的には低くなっていくという考え方が1つあろうかと思います。
 それから、この状況調査結果につきましては、前回の流改懇の場で御報告を受けたわけですけれども、そのときの当局からの注意書きの中に、今回の調査で昨年度の回答誤りが判明した等々の注意書きがございました。その部分を正確に読みますと、「任意表示項目で昨年度より割合が減少となっている項目がありますが、これは昨年度の調査時に誤って表示と回答をしていた場合や、回答を製造元と販売委託先両社から重複して報告していた場合など、今回の調査で昨年度の回答誤りが判明したことによる影響があります。この影響を除けば、昨年度より減少とはなっていません。」というのが、当局の報告にございましたので、申し添えておきます。

○嶋口座長
 それは重要な指摘でしょうから、ありがとうございました。
 事務局のサイドから何かございますでしょうか。

○鎌田経済課長
 資料の点については、きちんとその旨を説明すべきところ、ありがとうございました。
 それから、今後の進め方については、村井委員からお話があったとおりでございまして、順次やっていくことが必要だと考えております。と申しますのも、小山委員あるいは神原委員からお話があったように、現場で別々に入力されているという実態については、それは労働力としても、またハードの意味でのコストもあるだろうし、バラバラに行われていることに伴うコストもある。そうであれば、まず現実の問題を解決する必要があるだろうと考えております。その上で、鈴木委員あるいは山本委員代理がおっしゃったように、病院あるいは薬局によっても、それぞれ規模の違い、経営体力の違いなどから、どう対応するかという課題があがります。村井委員からあったように、それを待つと、今、抱えている問題解決ができませんので、まずできる問題を解決して、御指摘にあったような課題について、どう答えを出していくかということも併せて一緒に検討すると考えておりまして、ワーキングチームという御提案もありましたので、是非やっていきたいと思います。
 重ねて申し上げれば、加茂谷委員からありましたように、経営体としては、かかっているコストに対して、どれだけの意味があるのかということを考えるわけでございます。そのときに、私見を申し上げて恐縮でございますが、卸さんとメーカーさんだけで話し合ってしまうと、どうしても卸のコストあるいはメーカーのコストということになるのですが、いま一度、そういったこともあるけれども、御提案があったように、医療安全あるいは誤投与といった観点からも必要だということになれば、コストに対する見方も変わってくるのではないかと思います。そういったことが、今、病院関係者の方あるいは薬局の方から御発言があったと思いますので、そういったことをベースに議論を進めていきたいと思っております。
 なお、厚生労働省としても、経済課だけではなくて、今後、医薬食品局などとも話をして、それぞれメーカーさん、卸さん、あるいは医療関係者の方、薬局の方が取組みやすいような環境整備について考えていきたいと思っております。
 以上でございます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 大分議論が出てきましたが、バーコード問題について、是非言っておきたいという委員の先生はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
 特段の反対もなく、メーカーさんが一番厳しいということで、何となくメーカーさんに対する要望みたいな形になりますが、今、鎌田課長からもお話がございましたように、これは業界全体の問題として、おのおので考えていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 先ほどのワーキングチームのところでも議論があったのですが、既にメーカーさんと卸さんとの間で合同検討プロジェクトチームをつくって、この問題については大分進めているということで、最終報告書がそろそろまとまるということでよろしいのでしょうか。まとまりつつあるということですか。あるいはまだまだ道半ば、あるいは緒に就いたばかり、どのぐらいになるのでしょうか。進捗状況はわかりませんが、いずれにしても、最終報告書をまとめていただいているとお聞きしておりますが、是非それは積極的に進めていただければありがたいと思います。
 何回も出ていることですが、メーカー側には多大な投資が必要になるところもあるでしょうが、バーコード表示については、最近は印刷技術も非常に進化しておりますし、メーカー側が懸念していらっしゃる印刷精度の問題、工程速度の問題などは、コスト的にも大分メリットが出るような形で改善されつつあるのではないかとお聞きしていますが、是非その辺りの御努力をお願いしたいと思います。
 それから、医療安全の確保という観点からは、繰り返し委員の先生方からも御指摘されていますが、積極的に検討いただきたいと思います。対応できる工場、対応できる製造ライン、対応できる医薬品、対応できるメーカーさんで、バーコード表示を進めていただければありがたいという感想を持っております。
 どうぞ。

○神原委員
 今、メーカーさんと卸さんで進められているということですが、それですと川下の患者の方が抜けますので、もし最終結論に至っていないのでしたら、是非ユーザーサイドを加えていただいて、合同してまとめていただいた方がインパクトは大きいと思いますので、よろしくお願いします。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 3~4年前だと思いますが、バーコードの問題については、医療機器の表示を進める議論をしていた時、メーカーさんが表示するバーコードが標準化されておらず役に立たないので、病院側で独自のものをつくっているという御指摘もあったので、上から流していくサプライチェーン型のバーコードにするか、あるいは末端からのディマンドチェーン型のバーコードにするか、いろいろ議論はございます。進め方はなかなか難しいかもしれませんが、その辺りはワーキングチームの中で、今、御指摘いただきましたように、全体の問題として考えていくスタンスでお願いできればありがたいと思います。
 この問題について、座長代理の三村先生から何かございますか。

○三村委員
 これは全体に必要なことでございますので、是非推進していただきたいと思います。

○嶋口座長
 ありがとうございます。
 宮内委員、お願いいたします。

○宮内委員
 医療機器の流改懇でもバーコード化の話が出て、途中でとんざしてしまったのは、先生方の方で、例えば点滴に注射薬を混在されるのが実情だという京都の先生が来られて、その時点でバーコードがすっ飛んでしまうということで、話が空中分解してしまった記憶があります。だから、先ほど先生が言われたように、確かに医師側の先生が入った方が使いやすいものができるかもしれませんけれども、混在させられる前のA液とB液のロットと有効番号を記載するだけでも有効だろうと思います。混在した後は、患者さんごとによって、注射薬をA、B、C、点滴の中に入れるというのが実情です。それは先生方で処理していただくという仕組みにあのときに変えておけば、まだ進展があったという反省点の声だけを挙げておきます。

○嶋口座長
 貴重な御意見ありがとうございます。
 大体議論が終わったのですが、事務局側の案としては、ワーキングチームのところは大分議論が紛糾するかもしれないので、早目に前の方の議題をというメモをいただいておりましたが、意外と早く終わりました。前の方の議論を含めて、是非このことについて言っておきたいという委員の先生がいらっしゃいましたら、御意見を伺いたいと思います。何かございますでしょうか。
 お願いいたします。

○江口委員
 ワーキングチームをつくるときに、今のこのメンバーのような格好では到底結論が出ないのではないか。チームをつくるときの方法といいますか、構成をどういうふうにするか。日本は狭いとか何とか言いますけれども、地方によっての価格構成だとか、いろんな違いがあるのです。できましたら、そういう面では、九州での委員会みたいなものをつくっていただく、北海道だとか、東北だとか、そういうものをつくりながら、その上に新しいものをつくっていったらいいのではないかと思います。
 ここで幾ら話し合いをしましても、変な話ですけれども、メーカーさんと卸さんとの間では割合話が早いはずなのですが、それでもまだできていない。卸さんと我々ジェネリックの販社、ユーザー、病院さんにしても、薬局さんにしても、もろもろのものがございまして、先ほどお話があったように、保険調剤薬局さんでもまだまだまとまりがないと思います。それをまとめていくには、地方である程度のものをつくりながら、そして、全国的なものにした方が早いのではないかと思います。価格の決定というのは大変なのです。健康保険というのは公的なものですから、公的なものと自由競争をやっているものですから、確実に矛盾がございます。この矛盾をいかに最小限に止めていくかというのが、流通改善ではないかと思っているわけです。
 そのためには、現在でも地方によるいろいろなものがございます。保険調剤薬局さんにおいても、大きいところがあれば、小さいところもあります。先ほどお話があったように、小さいところの方がごね得みたいな格好で、ごねているのではないかというお話がございます。また、社長は、よし、それでやろうと思っていても、購入担当者においては、できるだけ安く買って、その評価を得ようというものもございます。メーカーさんと卸さんとはある程度話がうまくいくと思うのですけれども、ユーザーさんとの間、我々もそうなのですが、なかなか難しいのです。それを解決する方法の1つとして、私なりに提案をさせていただこうと思っております。
 以上でございます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 少し時間がありますが、大体議論が出ました。
 流通改善懇談会というのは、もともと医政局長の諮問機関型の懇談をする場で、こういう方向でということのまとめは出すのですが、最終的な意思決定をするところではございません。ここですべてを決定するわけにいきません。今日は医政局長にも来ていただいていますので、いろいろな御意見は医政局長のお耳と頭の中にしっかり入っているのではないかと思いますが、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、少し時間が早目でございますが、今日はこれですべて終わりでございます。今日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局経済課

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