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2012年3月13日 第17回ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 議事録

医政局

○日時

平成24年3月13日(火)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省(12階)専用第15会議室


○出席者

永井委員長、位田委員、伊藤委員、高坂委員、斎藤委員、佐藤(陽)委員、直江委員、中畑委員、町野委員
武藤参考人
佐原課長、谷室長、岡田専門官

○議題

1)中間報告書のとりまとめ
2)その他

○議事

○谷室長 ただいまから、第17回「厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」を開催させていただきます。先生方には、お忙しい中お集まりいただきまして本当にありがとうございます。本日は佐藤雄一郎委員、澤委員、鹿野委員、須田委員、西川委員、本田委員からご欠席のご連絡をいただいております。15名の委員のうち、9名の委員にご出席いただいておりますので、本会議は成立していることをご報告させていただきます。
 本日は、参考人として武藤委員のご出席のご連絡をいただいておりますが、まだいらしていないようですが、このまま議事に入れればと思います。また参考人をお願いしております、富山県衛生研究所の佐多所長、東京大学医科学研究所の中内教授、東京医科歯科大学細胞治療センターの森尾センター長、先端医療振興財団の松山部長からご欠席のご連絡をいただいております。
 以降の議事進行は永井委員長にお願いいたします。
○永井委員長 最初に、本日の資料の説明をお願いいたします。
○谷室長 資料の確認をさせていただきます。議事次第、席次表、委員名簿、参考人名簿。資料1「ヒト胚性幹細胞等のヒト幹細胞の樹立と分配に関する検討についての中間報告書(案)」です。参考資料1「ヒト幹細胞を用いる医療の実用化への流れ」、参考資料2「ヒトES指針とヒト幹指針の参照表」、参考資料3「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する倫理指針の構成」です。その他参考資料1から14を紙ファイルで配付しております。こちらのファイルは、委員会終了後は机上に残したままお帰りいただければと思います。
○永井委員長 議事に入ります。資料1「中間報告書(案)」について事務局から説明をお願いいたします。
○谷室長 資料1「ヒト胚性幹細胞等のヒト幹細胞の樹立と分配に関する検討についての中間報告書(案)」をまとめさせていただきました。こちらの案については、ある程度、案の状態ということで文章化しております。この中では決定的な書き方をしておりますが、再度ご検討いただければと思います。
 ヒト幹細胞を用いた臨床研究の適正な実施を目的として、平成18年7月に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を策定し、研究の進展等を受け、平成22年11月に全面改正を行ったところです。ヒト幹指針の改正により、採取、調製及び移植又は投与の過程を複数医療機関等で実施する場合の規定を設けたところではありますが、樹立と分配に関する規定は現状設けておりません。
 ヒト胚性幹細胞(以下ヒトES細胞)の樹立と分配に関しては、文部科学省において「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針」が策定されておりますが、基礎的研究に関する事項のみを定めていることから、臨床研究で必要不可欠な安全性、品質等については規定されていないのが現状です。このため、平成23年10月から「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する検討委員会」を5回開催し、臨床研究での使用を前提とした、ヒトES細胞を含むヒト幹細胞の樹立と分配に関する倫理性、安全性、品質等の観点から検討を行い、今般、委員会における議事を踏まえて、対象とする細胞、今後の検討事項について取りまとめたところです。
 1「指針の策定の方向性について」として、ヒト幹指針に新たに樹立と分配に関する規定を追加するか、又はヒト幹指針とは別に新たな樹立と分配に関する指針を策定するかといった検討が行われた。前者の場合、ヒト幹細胞の臨床研究における樹立・分配・使用までの一連の流れを1つの指針で定めることができることから、研究者等が参照しやすいという利点がありますが、その一方、文部科学省のヒトES細胞関連の指針との構成が異なるため、整合性を十分に取ることが困難という欠点もあります。また後者の場合、見直しの時期の違いにより、ヒト幹指針と一時的に内容の不一致が生じる可能性があるものの、文部科学省のES細胞樹立・分配の指針と整合が取りやすく、改正が必要な場合も迅速な対応が、ある程度可能と考えております。
 委員からは、インフォームド・コンセント、連結可能性等の事項について、文部科学省におけるES樹立・分配指針との整合を取ることが重要との意見が多くありましたことから、後者である樹立と分配の別途の指針の策定は、別に新たに樹立と分配に関する指針を策定することが適当であると結論づけられました。さらに委員からは、倫理面については、文部科学省のES樹立・分配指針の策定の際に議論が尽くされているため、倫理面については文科省のES樹立・分配の指針の内容を基本的に踏まえることとし、臨床研究の樹立・分配に関する指針の策定に向けた検討は、安全面を中心に行えば良いのではないかとの意見がありました。
 2「指針の対象とする細胞」です。樹立と分配に関する指針の策定に向けた検討を進めるに当たり、まず指針の対象とする細胞を決めることが適切であるため、どの細胞を指針の対象とするかの検討を行いました。その結果、ヒト幹指針の対象であり、かつ下記の特徴を有する細胞を対象とすることとして、未分化の状態で大量保存が可能なもの。多分化能(胚葉を超えて分化する能力)又は限定的多分化能(胚葉は超えないが複数の細胞に分化する能力)を有する細胞。あとは複数の被験者への移植が可能なもの。臨床応用されているもの、又は臨床応用が近いと考えられるものということを対象としてはどうかという大きい考え方の指針が出ております。なお、生殖補助医療等に用いられる場合は今回は除くということを添えさせていただきます。
 具体的に対象とする細胞は、ヒト体性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)、ヒト人工幹細胞(ヒトiPS細胞等)を対象にしております。胚性幹細胞については、クローンES細胞は、未だ樹立されていないため、今回の対象とはしないということ。ヒト人工幹細胞(iPS細胞等)は、ヒトiPS様細胞(ダイレクト・リプログラミング細胞等)については、遺伝子操作を受けた細胞等を対象にしてはということです。
 3「連結可能性について」は、臨床研究用の樹立と分配に関する指針においては、連結可能匿名化とすべきかの検討を行いました。委員会では、安全性の確保、トレーサビリティの確保等のためには、連結可能匿名化が必要との合意が得られ、委員からは、その上で既に国内で樹立されているヒトES細胞(連結不可能なもの)及び海外で樹立されたヒトES細胞(連結不可能なもの)の扱いについて今後検討が必要との意見がありました。
 4「今後の検討事項について」は、採取についてとして、細胞提供機関等の施設要件。樹立に関する項目として、樹立に供されるヒト授精胚の要件及び樹立機関の施設等要件。ここは、文部科学省のES樹立・分配指針等の該当項目を参考に検討を行う。臨床研究用に適切な樹立を行われるための審査のあり方。インフォームド・コンセントの範囲(細胞の利用目的の範囲:特定のヒト幹細胞臨床研究、不特定のヒト幹細胞臨床研究、基礎研究等)。他の指針との連携についての検討が必要。インフォームド・コンセントの手続・説明については文部科学省のES樹立・分配指針の該当項目を参照に検討が必要ということです。
次に「保存・分配」については、保存・分配機関の施設等要件、被分配機関(使用機関)の条件、再分配のあり方。
 その他として、既存のヒトES細胞等の扱いについてとして、海外で樹立されたES細胞等の臨床応用、臨床応用のための必要な条件。国内で既に樹立されているES細胞株等の臨床応用、臨床応用のための必要な条件です。情報の管理としては、細胞提供機関、樹立機関、保存・分配機関、被分配機関(使用機関)等が、管理又は提供すべき情報は何なのかという点。細胞提供者及び被験者に対して、提供すべき又は提供してもよい情報(遺伝性疾患の情報・感染症の情報)に関する情報は何なのか。細胞提供者及び被験者に関する情報を収集する期間はどれぐらいの期間を設定するか。最後から2つ目のポイントですが、トレーサビリティの確保のために、細胞提供機関、樹立機関(保存・分配機関)、被分配機関等に求められる要件及び、この連結可能匿名化のチェーンが切れた場合にどう対応するのかといった課題がまだあるかと思います。連結可能匿名化を維持するため、適当なシステムという点と、こちらには書いておりませんが、最後に安全性に加えて、安心というものを考えたときにどのような対策が必要なのかという点が、今後具体的な議論を必要とするのではないかと思います。
 参考までに参考資料1の青と赤の表ですが、薬事法と臨床研究との違いについて書かせていただいております。現状、採取の後に臨床研究としては研究機関が中心となり、それぞれ実際の研究が行われた後に、先進医療(高度医療)について収載されて、その後保険収載という流れがあります。もう1つのルートとして、薬事法の治験の中で行われるという流れがあります。臨床研究の結果については、波線のブルーの矢印で書いてありますが、いくつかの使用方法がある、ということが現状あるかと思いますが、それを1枚にまとめたものです。
 参考資料2については、文部科学省及び今回のヒト幹指針との対照表です。
 3つ目は、最終的にまとめる指針等の中身をポンチ絵にしてご提示させていただきました。1番は、現状あるヒト幹指針に新たに樹立と分配に関する規定を追加して、1つの指針としてまとめた場合の構成案を少し考えてみました。採取の中には、今回いくつか議論していただきました自己の場合、他者の場合。樹立のところで自己の場合、他者の場合。保存の場合も他者の場合が入ってきたりというふうに、ちょっとマーブルな状態で、モザイクな指針になるかと思っております。
 それに対して、樹立・分配の部分とヒト幹の使用、いわゆる文部科学省でいうところの使用の指針の部分を分けた場合には、このようなそれぞれのお互いの位置関係になってくるかと思っております。ヒト幹細胞の樹立・分配については、1対Nの分配を前提とした樹立・分配というものを対象とし、現状のヒト幹指針については1対1の状態で行われる場合を対象とするという分けになるのではないかと思っております。以上です。
○永井委員長 全体像はおわかりいただけましたでしょうか。特に、指針策定の方向性について、樹立と分配に関する指針をヒト幹指針の中に入れ込むか、あるいはそれとはまた別に立てるかということで、参考資料3の図を作っていただきました。それぞれに一長一短はありますが、事務局としては別個に作りたいという提案として受け止めてよろしいのでしょうか。
○谷室長 はい、別のほうが実際に研究する方々にとって、autoでやる場合、alloでやる場合の条件としては選択の幅が広がりますので、推進の妨げにはならないのではないかと思います。それで、別のほうがよろしいかと思っております。
○中畑委員 前回欠席しましたので、多少的外れかもしれません。ESについてはこのスキームでいいと思うのです。体性幹細胞とか、iPS細胞はこのスキームでなくてもいいのではないかという気もするのです。特に体性幹細胞については、ずっと長年議論をして今の指針ができたわけです。それを樹立と分配というのをそこから切り離して扱うことになると非常に複雑になると思います。むしろESに特化した部分を別に作るのならそれで非常に理解しやすいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○高坂委員 私も中畑委員のご意見に賛成しています。私も何回か申し上げたと思うのですが、そもそも今回のヒト幹指針の改正については、前回の平成22年に全面改訂をしたときに、要するに7頁の対象となるヒト幹細胞等の場合に、これはiPS、ESも対象細胞に入れてある。しかしながら、第5条の細則のところで「ヒト幹の臨床利用に関する基準が定められるまでは、ヒトES細胞を用いる臨床研究は実施しないこととする」という文言があるために、ESを使った臨床研究がいま完全に途絶えている、というところを少し考えようではないかというところから、この指針の改訂が始まっていると私は理解しています。
 そういたしますと、いまおっしゃったように樹立・分配を別に作るというのは非常にすっきりしていると思うのですが、その中に、さらにこの対象細胞、ヒト体性幹細胞、あるいはiPSも含めてしまうと、少し話が大きくなってくるような気がします。前回の全面改訂のときにも、iPSも含めて相当議論をしていることなので、ここでもう一回そういう細胞を取り上げて議論をするべきなのかどうかというのは私も不思議に思うところです。ここでは中畑先生がおっしゃったように、体性幹細胞と、少なくともiPSはここで読み取れるわけなので、どちらかというとESに特化して我々は議論をしたほうがいいのではないかという意見です。
○谷室長 現状の指針については、autoもalloも含まれているのですが、1対1の対応が前提に作られているようにこの指針の中では感じます。今回、細胞別の切り分けではなくて、細胞の用い方の特性として、1対N、要するに複数の方に配りますという前提になると、たぶん同種での移植が前提になってくるようなものを対象にということで少し議論していただいたところです。
 実際に何が問題かというと、未知の感染症等の問題が出たとき、あとは免疫応答であるとか、個性の部分です。患者とのマッチングといった面になると、1対1の対応よりは幅が出てきてしまうということを考えたときに、ESに特化したものでなくて、大量保存ということと、大量分配ということを前提の安全性の確保というのが、今後のリスクの拡散に対応できるようになるのではないかということで、あえてESに限定したものではなくて、大量保存の、同種での移植、1対Nでの移植を対象にした指針がどうかということでご提示させていただいたところです。
○高坂委員 今おっしゃったことはよく分かるのですが、以前の改訂時においてもautoとalloのどちらも可能であるということにしたと思いますし、また1つの細胞が多数の方に投与されていくということを想定して作っていたと思うのです。今おっしゃった中でただ1つそうかなと思ったのは、大量に保存する、どういうクオリティを持って保存するかというところは、そのシステムとして体制としてはあまり議論しなかった記憶がありますので、体性幹細胞等に関しては非常に限定したところだけを追加するのだという含みでこれをやるのだったらいいのですが、まかり間違っても、最初から薬事法をにらんだような改正になってしまうと、これは本当に大変なことになってしまうので、やはりこれは臨床研究の指針ですということを頭に置いて我々は議論しなければならないのではないかと思うのです。それにしても、体性幹細胞とか、iPSは既にやっているので、議論するにしても限定的にやっていただきたいというのが私の希望です。
○永井委員長 別個に作るにしても、別に取り出すにしてもということですか。
○高坂委員 はい。
○永井委員長 それは可能ですか。
○谷室長 特定であれば、ある程度まとまってしまうのではないかという気はいたします。この中で、再度iPSとか、体性幹細胞の議論を進めるというよりも、大量保存に対してどうするのかという点から記載をしていただくほうが大事なのではないかと思います。共通項目がある程度あるのではないかと思います。前回の中辻委員の発表にもありましたが、ある程度の共通性を有しているという部分を鑑みると、あまりルールを多様化してしまうほうが逆に難しいのかという不安もあります。それであれば一本化というのも、ひとつ手かなと考えているところです。
 1点、難点なのは、保存の部分と分配という行為のところについては、現状の指針ではあまり細かく書いていないという点。もう1点は連結可能匿名化の部分については書かれていないというのを考えたときに、どちらのほうがより将来的に小回りが利いて、より早い段階での指針の改訂に対応できていけるのかという前提でご意見をいただければと思うのが1点です。
 高坂委員から、薬事法を前提にしたというご意見をいただきましたが、薬事法を前提にしてしまったときに、結果に対してのルールが出てくるというのが、たぶん薬事法の基本的な概念だと思うのです。今回は臨床研究で、可能性を秘めている幹細胞に対しての大量保存の最低限のルールは何なのかという基準で見ていかないと、逆に出来上がるものに対しての基準は足枷になるかなというのもあります。大量に臨床研究を前提としたときの、保存のルールを決めるのであれば共通性もあるということを前提に、少しこういう区分けをしてみたらどうかということを考えております。
○斎藤委員 私も高坂先生、中畑先生のご意見にどちらかというと近いです。私は、今回の審議会から委員にならせていただいたのですが、少なくともこの5回の審議会で、主な議論としてalloとautoの違い、あるいは大量保存の問題点について、それほど多くの議論が費やされてはいなかったように記憶しています。ヒトES細胞ということであれば、autoということはあり得ないわけで、alloということになります。
 そういうことであれば、いままでの議論で、それほど長く時間はかからないのではないかと思うのです。これに、さらにautoの問題とalloの問題点をそれぞれ列挙していく、問題点を議論していくという過程が加わると、これはまた議論に膨大な時間が必要になります。免疫学的なメカニズムに関しても、いまの段階ではまだそれほどの知見は得られていないと思っておりますので、なかなか確定的に指針で決めるというのはどうなのでしょうか。autoとalloとそんなにクリアカットに分かれるのかという気がいたします。そういうことで、できれば今回の指針に関しては、ヒトES細胞に特化した形で進めていったほうが、要するに議論の時間ということを考えると望ましいのではないかと考えております。
○位田委員 確認なのですが、参考資料3で先ほど紹介のあったポンチ絵ですが、?のほうでいくという話ですね。
○谷室長 まだ決まってはおりません。
○位田委員 一応の方向としては、です。?と比較してみると、今度のヒト幹指針の採取樹立は自家、つまりautoに限られると考えるのでしょうか。
○谷室長 autoかalloかという話ではなくて、1対1という提供形態です。ですから、ほぼautoが主体になると思います。例えば、いまヒト幹で認められている慶應大学等の角膜などでは、他人の細胞から採ってきたものをヒトに入れています。その場合は1回保存されずに、直接そこから分化誘導したものを、特定の患者さんに入れていくという1対1の関係が成り立っています。
 それに対して、今回出てきている指針については1対N、要するに完全に1回樹立をした場合で、ある程度の可能性に対して配っていくという手続が入ってきます。高坂委員の意見になると、たぶん本体のヒト幹指針自体にも、ある程度保存であるとか、分配の規定を入れていくことになってきます。作業的には、ESの樹立・分配の指針だけを構築するのでは1対Nの対応には対応しきれないことになりますので、本体のほうもある程度手を入れざるを得ないかというところが1点あります。
○位田委員 alloでも大量でない、いまおっしゃった1対1だったら黄色いほうに入って、大量保存をした1対Nである場合には緑色のほうでやるということですね。それで、現場で特に混乱することはないのか、ということが1つです。
 それから、現行の指針には保存のことは何も書いてないので、おっしゃるとおりだと思うのです。ESではなくて、体性幹細胞について、現行の指針で1対Nの部分だけを、今おっしゃったように作り換えるという話ですが、そのほうが、現行の指針でやっている部分については、そのほうがわかりやすいのではないかという気がしているのですが。私は別に現場でやっているわけではないので、その辺りはどうなのでしょうか。
○谷室長 現行で混乱というときに、1点は、樹立機関というのが、例えば文科省の指針のESでしたら、たぶん成育医療センターと京都大学が樹立機関として、分配機関というのは登録されておりますので、ESはそういった形態です。要するに、樹立をして、iPSを含めて初期化されたものが配られる。ES細胞が配られるという体制です。
 その次の段階として、例えば使用機関が分化・誘導を行って患者に適用するという段階になると思います。たぶん、機関としてはそれほど多い箇所が指定を受ける状態にはならないのだろうと。単発でiPSを樹立して実施していくようなパターンというのは、いままでどおりの指針の中でやっていくのは可能になるかと思います。そこは、最初のアナウンスの仕方によっては、それほど混乱はないかと思っております。
 もう1点は、現行の指針ということになると、結局2つの指針を同時に見直すというのはなかなか大変になってくるだろう、作業量も倍になります。それであれば、逆にこちらでご提示させていただいている左側のほうの、現行指針の中にすべてを書き込んでしまうという選択肢も当然あって然りだと思っております。当初ご説明の前にも言ったとおり、決定論的ではなくて、本当にリーズナブルであって、かつ今後改正等に対して、研究者の皆さんが煩雑な作業を伴わないというよりも、科学の推進に対してきちんと追いかけていけている、フォローアップできている指針をこの中で少し検討できればと思うのです。
○位田委員 もう1点確認ですけれども、中間報告書(案)の裏側に書いてある、対象とする細胞で、これは大量保存をするということの場合には左側に入る。しかし、同じ対象とする細胞に入っていても、1対1対応でやる場合には左側の黄色いのでいくということですね。
○谷室長 そうです。
○位田委員 そうすると、ES細胞も1対1でやるときには左側でいくと、黄色でいくと。
○谷室長 それがあるものですから、ES細胞についてどうするかというのは課題として残っているかと思います。1対1だからいいかというよりも、ES細胞は樹立された数がそれほど多く日本にはない状態です。そうなった場合に、1対1にはなるのですけれども、ただ株としてすべて使いきるというものではなくて、たぶん保存されて、その後時系列的に使われていくだろうというのを考えると、本当にいちばんいいのはどうなのかなと。当初はもう1つ案があって、樹立と分配のところの指針と、完全に使用の指針を分けてしまったらどうかというのも、事務局では検討したのですが、それになると1人のための樹立に対しても、そこの許可を1回取って、使用に対してもう1回許可となると、2度手間というよりも2回のハードルを設けるのは結構負担になるというのもあり、今回ご提示させていただいたのは、通しですべてが一本化されているものと、樹立・分配という、要するに分配する機関を限定して、最初からまとめてしまうことで安全性を担保しようというご提示をさせていただきました。
○位田委員 ESでも1対1対応のときは、分配はあまり関係なく、樹立に関する規制はそのままかかってしまう。
○谷室長 1対1は、決して時系列的に1対1になるかということではないと思うのです。要するに、いまは1対1で使ったのだけれども、その後は残しておいて、次の段階で使うことを前提に作られるのであれば、例えば別々に立てるのであれば樹立・分配の中でやっていただく。1回使ったら、その次の人には一切行かないという指針であるのであればなのですが、それは通常の指針にならざるを得ないのですが、通常、ES細胞で樹立したものを、1人に使ったらもうほかの人に使わないというのはあまり合理性がないかと思います。
○中畑委員 一般の方から見るとちょっとわかりにくいスキームになっているのではないかと思うのです。私は?の、いまの指針で多数に分配するということで、一本化して、公衆衛生的な心配がいろいろあるからという厚労省の考え方はよくわかりますので、その公衆衛生的なものも十分配慮した形で。その公衆衛生的な観点を入れるということは、1対1であっても、当然そこにはそういう思想がなければいけませんので、そこはあえて両者を明確に区別する根拠にはならないと思います。そうすると、?のほうで一本化して対応するほうがずっとわかりやすいのではないかと思います。
○斎藤委員 繰り返しになってしまうかもしれないのですが、谷室長のお話を少し誤解していました。現行のヒト幹指針で、実際に成育センターで分配機関になって、体性幹細胞を樹立して臨床研究を実施しているわけです。その点に関しては、いまのところ特に大きな問題は感じておりませんので、現行の指針で十分であると考えております。それを今度の指針で大きく変更するわけではないという説明であったと思います。そういうことでよく理解はできました。ただ、実際に体性幹細胞を大量保存というのは向かないわけです。オーダーメイドとして、その都度樹立して、その臨床機関に戻す、樹立して渡すという過程をとっております。実際にこの新しい指針で何か新たなものが加わるのかというと疑問があります。
 もう1つは、alloとautoの問題に関して、少なくともiPSでautoというのはまだまだ議論が山ほど必要になります。要するに、がん化した場合にどうなるのかとか、alloにしてもそうですけれども、もっともっと多くの議論が必要になってくると思いますので、ESと一緒にして指針を作るのは、なんとなく私のイメージとしては難しい気がするのです。ですから、今回は少なくともヒトES細胞に関して、早く指針を定めるという方向でいたと理解していますので、そちらの方向で?ということになると思うのですが、それで議論していただければと考えております。
○町野委員 要するに、薬事法的な規制を全部にかけるかという問題と、中畑先生がおっしゃられましたとおり、alloかautoかという問題とは直接のそれはないと思うのです。おそらくイメージとしては、1対1対応のことが皆さんの頭の中にあるので、例えば臓器移植で、心臓移植をするときに、これはalloであるけれども、これにいちいち薬事法の規制をかけるかというとそんなことはない。1対1だから、こういうときは医療行為の範囲内だという議論で、それがどこまで延長できるかという議論になっていると思うのです。
 この間、日本で事故が起こったことがあります。あのときも、韓国では体性幹細胞について薬事法の規制があって、韓国でできないから日本でやるということがありました。これが妥当なことなのかというのが基本的な問題なのです。しかし、他方ではこれを全部薬事法的なそれでギリギリやったら到底何もできないという、かなり難しいことがあります。その辺を考慮しながら進むというのは、別の問題に切り分けておいてやるのが妥当ではないか。これは、もう一回議論しなければいけないと思うのです。どこまで薬事法の規制をかけるか。
 薬事法というのは、谷室長がおっしゃいましたようにそういう考え方に立っていますけれども、なんといっても大量にいろいろな人に使う薬、風邪薬のように使うと、それがバーッとなったらものすごい危険が起こるでしょうという話があるので、その規制の問題があるので、そのような考え方からどこまでいけるか、どこまでこのような反復継続して、大量に使われることがあるか、あるいはその可能性があるかということからスタートすべきだという問題だと思うのです。
 この指針をどういう格好で規定するかの問題と、どのような調剤だとか、そちらのほうの薬事法的な規制をかけるかというのは別の問題として考えたときには、私は?でも?でもいいような気がしているのですが、?のほうがやりやすいという感じは確かにします。
○佐藤(陽)委員 谷室長の説明ですと、現行のヒト幹指針は、autoをメインにして書いているような印象を持たれるという話だったのですが、それでいいのですか。
○谷室長 実質的にいま上がってきているものの、ほとんどがautoの1対1でやっているということです。
○佐藤(陽)委員 実際はそうなのですけれども、ヒト幹はそういう意図で書かれているかというと、必ずしもそうではなくて、最終段階における安全対策等については、alloについてのことをメインに書いてあって、autoは但書きになっていた。あるいは安全対策のところでも、alloの場合は特に注意するようにといった留意事項とか、感染症の問題についてしっかり書かれていて、ヒト幹指針自身は、autoとalloの問題は両方を含めて書き表されていると思っております。基本的に問題は、ES細胞の取扱いについて今後規定することになっておりますので、文科省の指針との整合性の取りやすさから考えますと、最初に高坂委員や中畑委員がおっしゃっていたようなやり方が適切なのではないかという印象を持ちます。
○直江委員 私も今回初めて参加させていただいたのですけれども、ESの条項が細則に書き込まれていて、この辺をどういう条件を満たせば外すということで、今回ずっと議論がされているように思うのです。それはよく承知しておりますが、2つ目の問題の、谷室長がおっしゃいました1対Nというときに、大量保存・大量培養で分配したときに、公衆衛生上の観点から配慮しなければいけない。
 これを改めて見てみますと、いまのヒト幹でも8頁のところに、公衆衛生上の安全の配慮が書かれています。後段の大量保存された場合に生じる、公衆衛生上の問題というものも、今回の改正にどのような形で書き込むことが想定されているのでしょうか。これまでの公衆衛生上の安全に十分配慮しなければいけないということに加えて、どのようなことを書き込むことを考えているのか、そこのところがよくわからなかったのです。
○谷室長 と、いいますと。
○直江委員 この問題点は、ESにどのように広げていくかということが1点目の問題ですね。
○谷室長 はい、そうです。
○直江委員 2つ目の問題は。
○谷室長 公衆衛生上の配慮と、具体的にどういうことかということですね。それは、たぶん連結可能性のシステムであったり、あとは状態の保存の体系であったりといろいろあるかと思います。その後、現状わかっている感染症であるとか、遺伝性の疾患であるとかというものに加えて、宿主の提供者のほうと、移植された側の相性みたいなものも出てくるかもしれません。それは本当に相性なのか、それとも根本的な問題なのかというのが出てくると思います。そういうものが具体的にこれがということではなくて、概念的に書かれる必要があるのではないか。要するに注意喚起的な面です。それは前提として臨床研究ですので、リスクは当然伴っているという前提に立ったときに、どこまでがそういうものなのかをきちんと見ていくことが必要になってくると思います。そういう面かと思います。
○直江委員 そのようなことを書き込むと。そうすると、1つ目はトレーサビリティの問題、2つ目は感染症等々も含めて、3つ目はいまおっしゃった適合性の問題と理解していいですか。
○谷室長 適合性も出てくると思います。条件によって、そこが適合性なのか、そもそも細胞が持っている特性なのかということの判断が必要になってきますので、それは全体としてどういう反応が出ているのかを把握して、結果的に適合の状態なのか、それとも根本的な原因なのかというのが出てくるのではないかと思いますので、そういう面をきちんと見なさいということが規定される必要があるのではないかと思っております。
○直江委員 わかりました。
○中畑委員 平成18年に、最初に指針を作ったときの議論を思い出すわけですが、そのときには当然その指針で規定されている移植という、細胞を用いた再生医療というのはalloを対象にしたものだというのがメインだろうということで議論がされました。その提供者の人権をどうやって保護するか、提供者の安全性をどうやって確保するか、あるいは最初のときの指針では、死亡した胎児からの移植は是か非かということでだいぶ議論があったわけですが、そういうものも当然alloを対象にした指針の中にどう書き込むかということで非常に議論がなされたわけです。
 autoというのは、いまたまたまこの指針の審査にかかっているのはautoが多いのですが、もともとこの指針を作ったときには、autoというのはごく一部で、ほとんどがalloの事例だろうという形で、この本指針は作成されたわけです。先ほど言われたように、確かに1対Nという観点が、そのときに指針を作成した時点では、そこへの配慮はまだ十分には考えられていなかったということは確かに言えると思うのです。そこは、当然どういう形でこれから進めるにしても、それは書き込んでいかなければいけないと思うのです。
 その根本に流れる、より安全に細胞移植、再生医療を行うには、その製品としても薬事法にも近いような形で、より安全性をより担保する。そこに流れるあれはできるだけ、そういった安全性を担保するような指針にしようということで議論がずっとなされていたわけです。1対Nという観点は、確かにより公衆衛生的に見れば、もし感染症があれば、それが非常に広がってしまうリスクはあるわけです。それは絶対に防ぐというような、シビアな観点で書き込んでいけば、それは特別に1対Nということで、そこの問題だけを区別する必要はないのではないかと思います。1対1でも当然その観点は必要です。
○高坂委員 おそらく議論になるだろうと思うのは、樹立機関のことだと思うのです。特にESの場合には必然的に限定した機関しか樹立していなくて、京都大学と成育医療センターで、増えてもあと1カ所ぐらいだと思うのです。そういうクオリティをしっかり持った研究機関というのはそうあるわけではないので。そういう意味でESについては1対Nのときに、樹立機関がしっかりしたものを施設で持って、そこでしっかり保存もするというのは当然の議論になると思うのです。
 ここが、先ほど言ったすべての細胞にそれを当てはめてしまうと、いまヒト幹指針でやっている臨床研究というのは、もちろんしっかりした施設なのですが、いろいろな施設で樹立しているわけです。それが、このように一括してやってしまうと、そういうものがすべてプラスアルファーの規制がかかってきて、例えば体性幹細胞も、樹立はこれだけのものを持っている所でなければいけませんというところまでいってしまうとちょっと問題なので、そこは気をつけなければいけないと思うのです。だから、先ほど言ったように、ESにある程度特化したほうがいいのではないかというのは、そこのところなのです。
○谷室長 実は、ES特化の話も考えてはいたのですが、結果的に保存の部分というのが、どうしても現状指針ではある程度の基準値を持って書かれていない実態もあります。それを考えると、これは指針策定のテクニカルな話の部分になってしまうのです。どちらが早く、より適切な指針の構築につながるかという面で考えたときに、比較的現状の右のほうが早い指針の策定にはつながるだろうというのが少しあります。
 逆に事務作業的に考えると、いままでの指針の中での整合を取りつつということをやると、中畑委員も高坂委員もご存じのとおり、当初は4年かかっており、その後の見直しは2年かかっておりますので、どこまで早くできるのか。今しきりとバイオバンク的な話で、幹細胞バンクの話が非常に進んでいる中で、ESだけの限定の話ではなくて、バンキングの話というのは、iPSを含めての幅広いバンキングの概念が出てきているときに、その対応を考えたときにどちらがよりリーズナブルなのか。将来的に一本化というのもあるだろうと。今回一本化して作っていくのもありだと思います。
 実は、ESだけを単独にしたときに、1対Nのバンキングを想定して、現行の指針も同時に検討していくという作業になってくるとなかなか時間がかかりそうだというところがあります。その辺でより社会の状況にキャッチアップしながら、いちばん早い段階は何かと思いながら作ったのがこちらです。そういうことで、事務局的に言わせていただきますと、全体を構築するのも可能だと思っておりますし、逆に部分的に、まずは樹立と分配の指針と、小さな整合性を指針のほうにかけていく方法もあるでしょう。あとは高坂先生が気にされているような、完全に樹立・分配部分と使用部分を分けてしまったときの、二重のハードルを設けることは避けなければいけないだろうということで、何がいちばんリーズナブルなのかということを考えていきたいと思い、この2つのいちばん現実味がある中を提示させていただいたということです。
○永井委員長 中に入れ込んだときに、文科ES指針との整合性はどのぐらい厄介な問題になるのですか。
○谷室長 文部科学省のほうは、樹立して分配する機関と、使用機関が分かれていて、基礎研究という限定がかかっていますので、そこはあまり問題がないかと思うのです。こちらのようにインテグレートされてしまった場合に、お互いの相関のところはたぶん出てくると思うのです。その場合に、それほど作業的には変わらないと思いますが、全体見直しがかかってきます。そうなると、全体の部分の見直し、要するに今回の部分だけを見直すということではなくて、全体の整合を取りながらというと、文言修正が結構幅広めになってくるのではないかというところがあります。そうすると時間が少しかかってしまうかと考えております。整合を取ることについては、そんなには問題はないということです。
 将来的に、文科省のほうがどういう指針を持っていくのかというのは、CSTPの議論もあるかと思いますが、その中の議論次第によっては、またもう一回分けるという作業が出てきたときに、きれいに分けられるかという不安感がないわけではないです。
○永井委員長 その辺をどう評価するかです。その問題が残ってしまったときに、いろいろ面倒な行き違いが起こってくる可能性があるというのが、事務局が?を提案した理由だと思うのです。?の「内容の不一致」のところの問題はいかがなのでしょうか。やはり、見直し時期の違いで、これは避けられないわけですね。
○谷室長 同時改訂を行うことは可能かと思いますが、ちょっと作業量が多くなることを考えると、議論がどこまで展開していくかということかと思います。ですから、議論次第によっては1つの指針を作るのと同じ作業量で終わると思いますが、やはりここもキャッチアップしておこうというような話が展開してくると、たぶん全体の見直しに発展しやすいかなと。
 ただ、整合についてはお互いに少しずつ見直しをかけ合うところなので、大きな差があったときに同時改訂をやらないといけないと思いますが、たぶん小さな作業で、1個進んだらもう1個進むというように、交互に動くような形が想定できるのではないか。そうなると、最短で2年でできたとすれば、いまの実績からすると2年置きぐらいで見直しがかかっていくというようなステップかと思うのです。
 委員長、これを最終的にいま決めずに、実際に中身の安全性とかの議論を踏まえて、本当にどちらにするのかという議論は、できれば科学技術部会のほうに、継続の審議をお願いしたいと思っております。その中で、来年度引き続き行っていくことも可能かと思います。まずは、安全性をどこまで幅を広げたときに、どういう基準があって、現状の中でインテグレートできるのか、それとも逆に分割したほうがいいのかというのは議論できるのではないかと思っております。
○中畑委員 ここで議論するのが適当かどうかわからないのですが、特にiPS細胞が指針の中に既に入っているわけです。iPS細胞を用いた臨床研究を考えた場合には、現時点ではいろいろな方法で遺伝子を入れて、それでiPSを作るわけです。いまは、遺伝子治療の指針で審査を受けて遺伝子治療が行われているわけですが、そことも整合性を取らなければいけないということです。もう少し検討するのであれば、そこも含めて検討していただく方向のほうがいいのではないかと思います。
○谷室長 おっしゃるとおりで、iPSのほうについては、特に遺伝子治療の関係が入っておりますので、そこはどういう事務的な手続になるかということと、これは想定の話ですが、樹立の部分で遺伝子治療の指針を通していただいておいて、使用のところではかからないとかいろいろな方法があるかと思います。そういう面から考えたときに、どれがいちばんリーズナブルかというのが、いまの段階では、遺伝子治療の指針の検討会では実際に行うことになっておりますので、そちらとの整合を取るということになると、今どちらにするのだと決めないほうが、ある程度選択の幅は残るかと思っております。
○中畑委員 是非、厚生科学課ともそこのところは十分相談していただいて、できるだけ統一した方向に持っていってほしいと思います。
○永井委員長 本日のところは、??を決めなくてもよろしいということですか。
○谷室長 そうですね、ある程度決めたほうが、来年度の議論は早いかとは思ったのですが、逆にいま決めてしまって、それが足枷になってしまうようであれば、今後の検討課題として残していただいたほうが、実際にこの指針を使用される研究者の皆さんの利益にはなるかと思います。
○町野委員 質問です。?のほうの、ヒト幹細胞樹立・分配という緑色のほうですが、そちらはiPS細胞も入るのですか。
○谷室長 入った想定で書かせていただいています。
○町野委員 ES指針を作ったときは、ヒトの授精胚を滅して作るので非常に厳格なあれがあるのです。今回は、文科省のほうの、その点の配慮は継続しながらやるということですから、それと同じことがiPS細胞に妥当するとは思われないのですけれども。
○谷室長 その部分は妥当しないと思います。逆に安全性のところ、大量保存のときの条件設定等が、薬事法のマスターセルバンクとは根本的に違う概念になってしまいますので、その部分をどう担保するのかと、その担保レベルをどこにするか。薬事法でしたら、佐藤委員のほうが詳しいと思うのですけれども、完成の真菌だったら真菌ができることを前提にした細胞集団のバンクがマスターセルバンクになるわけです。このマスターセルバンクは、真菌用に特化したものというのが前提です。
 それに対して、今回のバンクはシードセルバンクのイメージに近くて、ここは多様性を有している状態で保存する場合に、どういう条件設定なのかということで、何になるか決まっていない段階での条件設定になってきますので、そこは薬事法の中での指針のものと全く変わってきてしまうということを考えたときに、その安全性の最低ラインはどこまで担保するのか、というのが議論の中心になってくるかと思います。
○町野委員 ?のほうの緑色の枠の中で私が最初にイメージしたのは、ES指針をこのまま持ってきて、いまは適当にこちらに付けてあるということだとするならば、iPSまでこの中に入れることはできないです。
○谷室長 それは無理だと思います。
○町野委員 無理ですよね。ですから、緑色の中にiPS細胞も入っているのかという質問は。
○谷室長 入っています。
○町野委員 入っているのに、ESも同じような規制をするのですか。
○谷室長 そこは前回もご説明させていただいたのですが、共通部分と、それぞれの細胞に特化した部分を分けないといけないだろうと。
○町野委員 そうすると、緑色のほうは、さらに2つに分かれるのですか。
○谷室長 2つなのか、それはこの委員会の中で議論していただいたのが、未分化の状態で大量保存は、体性幹細胞もあるだろうということで、3つなのか4つなのかわかりませんが、それぞれの分類は出てこざるを得ないだろうというリスクはあります。
○町野委員 趣旨はわかりますが、ES指針の趣旨を変えないということで持ってくるときです。この趣旨を変えないのは、余剰胚から樹立する云々というようなところについてはそれが残ると。しかしiPS細胞の樹立についてはかかってこないですから。
○谷室長 かかりません。
○町野委員 ですから、かなり違ったものが緑色の枠の中に入っているということですね。ES細胞のときに何が問題だったかというと、授精胚を滅して作ることが問題だったわけですから、それで国際的にもいろいろな議論があったところです。iPSは、そうではないところに意味があるという議論ですから、その間の倫理審査だとか、それは全然違う話です。
○谷室長 それは異なります。
○町野委員 ですから、右側のほうで、ES幹細胞樹立・分配というのが、ES細胞のその他、全然というか部分的にはこの2つに分かれて、さらにES的なものと、iPS的なものとか。
○谷室長 体性幹(iPS)グループで。
○町野委員 ヒト幹指針が残っていますから、右側のは残すという前提ですね。
○谷室長 右側はそういうことです。
○町野委員 そうなってくると、残っているiPSと、それからESが緑色の中に来ると。
○谷室長 そういう訳ではなくて。要するに、大量に分配することを前提にしたバンキング的なものについては、こちらの指針で、要するに分配する前までです。こちらのほうは単発で行っている臨床研究という分けではどうでしょうかというご提案なのです。
○町野委員 ?のほうが簡単だろうと伺ってましたけれども。
○谷室長 そんなことはないです。
○町野委員 ?は滅茶苦茶難しいという話ですね。
○谷室長 町野先生、実はこの議論は一本化したとしても同じ議論が出てくる話ですので、その形態として分けるか分けないかの部分で、本質的なところは、どちらにしても表現形態が変わるだけで、中身は同じ議論が必要になってくると思います。ですから、倫理問題の文科省のESの指針について、もしいまの中の指針に入れ込むとすれば、それはいまの指針に対して文科省の倫理指針部分が入れ込まれていかなければいけません。かつ、そこにはiPSの大量培養の場合の条件も入ってくるということなので、切り分けて作るのか、ある程度まとめて作っておくのか、それとも一緒に全部見直すかという、ちょっとテクニカルな部分かと思います。本質的にはあまり大きな違いはどちらもないと思います。
○永井委員長 ですから見直しの時期とか、他のガイドラインとの整合性とかを中心に考えたほうがいいということですね。
○谷室長 そういうことになるかと思います。
○高坂委員 しつこいようなのですが、いまの町野委員とのディスカッションを伺っていて意を強くしたのですが、これは?のほうが文科省の樹立・分配の指針と整合性が取りやすいというのはあると思うのです。一方において、ここにiPSとか体性幹細胞を入れてしまうと、話がごちゃごちゃになってしまうのです。谷室長の根底に流れているのはバンキングという言葉で、これは私は分けるべきだと思うのです。ここでその議論は時期尚早だと思っているのです。
○谷室長 バンキングについてですか。
○高坂委員 はい。これは、またいずれ別のところでいろいろな議論があるのでしょうけれども、ここの中でバンクという概念を持ち込むと、非常に難しい問題が出てきます。そうでなくても、ESの場合にはほとんどが樹立機関は1カ所、2カ所なので、そういう意味ではバンクの機能を持っていくのだろうと思うので、それをほかの体性幹細胞にも広げていくというのは、私は現段階としては反対です。
 したがって、これをヒト幹細胞の樹立・分配という意味ではなくて、もっとはっきり言ってしまうと、臨床研究に使用するES細胞の樹立・分配に関する指針みたいな形で独立させるということが、いちばん早いのではないかという気がいたしました。
○谷室長 高坂先生、そうなるとバンキングの話というのは、現状のヒト幹の中に、保存の部分の検討は現状ではしなくていいということになりますか。
○高坂委員 ですから、体性幹細胞の中で、先ほど中畑先生もおっしゃいましたように、少し文言が足りないというようなところは、こちらの本体のほうで補足すればいいと思うのです。
○谷室長 そうなると、両方の改正になるので、それであれば一本化しても同じで、サイヨウリョウ的には変わらないかなと。
○高坂委員 ただ、もうある程度こちらのほうは出来上がっている指針ですから、それに対して多少の補足を加えるくらいは、細則を加えるぐらいは。
○谷室長 いや、細則では終わらないかなという気がしていまして。
○位田委員 やっとわかってきたのですが、要するに現行の指針はなるべく触りたくないと。現行の指針でやれる部分についてはこのままでいきましょうと。大量保存というのはこれからの話なので、それは緑色のほうでやって、全部大量保存なのですが、おそらく中がまた何本かに分かれると思うのです。ES、iPS、体性幹細胞の場合はという形です。けれども、これはとにかく、いまは別に作りましょうという方向なのですか。
○谷室長 我々が考えたのは、周囲からの要望とバンキングの話を含めて意見を聞くと、やはりレスポンスの早さが必要になってくるとなったときに、決して本体をいじることに対して否定的なわけではないのですが、ある程度の時間は必要になってくるだろうということを考えて、いちばんレスポンスがいいのはとなると、高坂委員のおっしゃっているようなES限定版の樹立・分配というのはありだと思います。ただし、その場合に現状のバンキングの議論というのは、確かに、いまはまだ時期早尚なのかもしれませんが、そういった話が出てきたときには、本体も結局ある程度のフックを作っていかなければいけない、要するに、議論できるような審査の段階を経なければいけないとなると、両方だなと。どちらが早いのだろうというところで、本当に悩んでいるというのが実態です。
○位田委員 見直しの時期の違いということはもちろんあるのですが、現行の指針であっても必要に応じて見直しをすると入っていますので、もし同時に改正をするなり、場合によっては将来的には一本化するなりというのは、必要に応じての見直しでいけると思いますし、必ず5年待たないといけないということは全然ないので、見直しの時期の問題についてはクリアできるかなと思います。
 もちろん、緑のほうが先に進むケースもあれば、青のほうが先に進むケースもあるので、そのときに状況を見ながら、今度は一緒にやりましょうとか、そうではなくて緑だけここからやりましょうとか、分かれるほうがいいだろうということですよね。
○谷室長 いちばんきちんと、早く構築できるのはどれかなというところで、腹を決めて?にするのか、それとも?にするのか、それとも高坂先生がおっしゃるようにESだけをまずということは、選択肢としてはあると思います。
○中畑委員 谷室長のあれもよくわかるのですが、1つ整理しておかなければいけないのは、ESについては樹立する機関は限定されていて、日本の中では2つ、多くても3つぐらいになります。iPSの場合は、樹立機関は、右の?のほうだと、iPSを樹立する機関を限定することになると思うのですが、そういった方向になっていくのかどうか。樹立する機関の要件というのもいろいろ出てくると思います。そうしますと、そういった要件を満たす機関で樹立した細胞を大量に増やして、そこから分配するということが想定されると思うのですが、そういった方向は1つの良い考えだと思うのですが、そういった方向で限定していっていいかというのは、議論をする必要があると思うのです。
○谷室長 おっしゃるとおりだと思います。私が?の案でご提示させていただいたところというのは、個別で単独で樹立していく機関というのは、現状の指針の中でやっていくというバイパスのようなものを作っておいて、大量培養を前提にした機関というのは、ある程度ESと同じようにバンキングを含めた状態でのルールを決めていこうということで、少し分けさせていただいたところです。決してiPS細胞が限定的にESのように、特定の機関で樹立する必要はないと思うのです。ただし、大量に樹立するところというのはリスクも大きくなりますので、その部分は、大量にやるのであれば大量にやることを前提にしたルールの中で規定を作ってはどうかということなのです。
○中畑委員 大量に培養するかどうかというのは、線は引けるわけではないので、iPSをずっと樹立してやっていくとなると、1対1の対応であっても、それは結構大量に培養していくということになりますので、そこで線引きは難しいのではないかと思います。
○高坂委員 私もそのとおりだと思っていまして、大量培養かどうかということで、切り口を変えてみると、逆に話が複雑になってしまっているような気がするのです。肝心なことは、現在のヒト幹指針で十分にものが動いている臨床研究も多々あるわけです。そこはこの指針においてどんどん進めていただくと。やはりここでネックとなっているESのほうを早く通してあげる。
 一方においては、これからNというヒト幹指針に基づいた体性幹細胞の移植が起こり得る可能性があるので、その部分については、大量培養のときはこのようにというのをチェックしなさいとか、そういった補足としてやるというのが妥当だと思うのです。ESはとにかく早く世の中に出すためには、ここで別に分けていくというのが、いちばん簡単なことだろうと思っています。
 もう1つは、バンクということが先ほどから議論になっているのですが、現在例えばiPSのコミュニティーの中でも、いちばん早い臨床研究でも3年から5年なのです。それからさらに大量培養で、1対Nというものの臨床研究というものはもっと先の話だと思っていて、だから十分にもう1回この指針を見直す機会はあると思うのです。ですから、いまからそこを睨んでやると、非常に現在走っているところまで影響を与える可能性があるので、今回は、必要最小限度の見直しに留めていただければありがたいと希望します。
○永井委員長 その場合、今後はどうするのですか、同時改訂とか。さらなる改訂のときは。
○高坂委員 さらなる改訂というのは、今度は薬事法をにらんだ改訂になっていくと思うので、おそらく全面的な改訂になると思います。
○谷室長 薬事法は、にらまないかなと思っていたのですが。やはりそこは、薬事法の規定をかける方法と、我々臨床研究の段階は少しずれがありますので、あまり薬事法に引きずられてしまうと、可能性をスポイルするようなことになっては困るというところがあります。
○町野委員 やり方の問題ではなくて、問題が3つあるということがわかりました。1つは、樹立の段階での問題で、それは体性幹細胞のときも提供者のインフォームド・コンセントが必要だとか、あるいは中絶胎児を使えるかとか、そういう問題があるのと同時に、ES細胞の問題がこれに加わったという問題があります。もう1つは、いまお話があったように、バンキングするやり方です。最後にもう1つは、臨床研究でこれを使用するときの規制の問題です。
 要するに、横軸が3つあって、それをiPSとか、ESとか、体性幹細胞と1つのラインでまとめることは、私はできないのではないかと思うのです。考慮すべきことは、3つあることを正確にやらないと、これはかなり大変です。最初から大量に作るつもりなのかということと、分けるというのは、かなり恣意的な感じがいたします。
 けれども、いまどこまでやったらいいのかという問題が、高坂先生とか、いろいろご議論はあるのですが、研究者ではない人間というのは、なかなかこれはわかりません。いまバンキングの問題というのが間近に迫っていて、これについて制度設計をしておかなければ、研究者にとってはこれから研究がしにくい状況かどうかの問題にかかわると思うのです。これは事実認識の問題です。
 ですから、次にもう1回改訂するというのも、もちろんありだろうと思いますが、私の経験に従うと、そんなに簡単ではないという感じはいたします。最初にこれを作るときは5年かかったのでしたか。
○谷室長 4年です。
○町野委員 その次は2年ですね。今回はこれが始まってからどのくらい経ちますか。まだ、1年ですか。
○谷室長 半年ぐらいです。
○直江委員 私もまだはっきりわからない部分が多いのですが、いろいろな話が錯綜していますよね、1対1、auto、1対N、バンクです。1対Nの話になってくると、だんだんそれが商品や薬事に限りなく近くなってきそうな、将来的な予感もします。
 非常に難しい問題だと思うのは、もう1つはまさにいまおっしゃったとおりで、いま議論をしている中で、ES、iPSもあり、体性幹細胞もあるのです。具体的に、日常の倫理指針の中で動いている研究というのは、体性幹細胞がいちばん多くて、自家や、せいぜい1対1ぐらいです。その流れを止めずに、いかにESをうまく沿わせながら走ることを可能にするかという話の中で谷室長のおっしゃった1対Nや公衆衛生の問題は、あまり強く完璧なものにしようとすると、それに議論が遅れてしまうのではないか。いろいろな委員の方のお話を聞いていて、私もあまりにも話を大きくしてしまうと、何年かかるのだという話がありましたが、この指針でいちばん、どうしてもこれは外さなければいけない、変えなければいけないというところをもう少し絞ったほうがいいのかなというように思いました。皆さん考えてらっしゃることは、随分温度差がありますし、まだまだかかるのかなという感じがしましたので。
 私が言いたいことは1つで、現在走っている体性幹細胞が、現在ものすごく大きな問題を抱えているとは、私は数少ない見聞の中では感じておりませんので、そういう流れがかなり困難な状況には、してほしくないと感じております。
○永井委員長 ESの1対Nの時代は、以外と近いということになりますか。
○直江委員 前回質問させていただいたのですが、もしも、あるベンチャーの日本の製薬メーカーがそれを輸入して、薬事申請をして、薬事で走らせてしまったら、このルールとは別の次元で走るということでいいのですよね。
○谷室長 はい。
○直江委員 すると、これはここの議論の範疇を超えてしまうのですか。
○谷室長 いや、範疇を超えるというか、ここの範疇ではないということになります。
○直江委員 ないですよね、そうですよね。
○谷室長 参考資料1にトラックの違いをご提示させていただいています。
○直江委員 ということなので、ここはやはり臨床研究の倫理指針という枠の中での議論ですよね。
○谷室長 そうです。臨床研究の指針になります。
○永井委員長 臨床研究でESが入ってくることはないのですか。
○直江委員 わかりませんが、あるのではないですか。数年間以内に。
○高坂委員 それは、ここの「その他」のところで、海外でリリースされたES等の臨床研究に応答するかというのは、議論の対象になると思うのですが。
○永井委員長 それはまだ暫くかかるだろうと。
○高坂委員 まあ1回か2回はあるでしょうね。
○永井委員長 というか数年以内には、という状況ではないでしょうか。
○中畑委員 いずれにしても、この再生医療を求めている患者さんもたくさんいらっしゃいますので、できるだけ早くそういった治療が受けられる環境を日本でも作ってあげることは非常に大事なことではないかと思います。
 実際アメリカでは、そういう治験という形にしても、そういった医療が始まっているわけですので、日本でも、ES、iPSを使った治療を、できるだけ早くできるような環境を作ってあげることが大事だと思うのですが、今回ES細胞については、文科省の作られた指針の足りない部分を、特に安全性、細胞をマニュビレートするという部分を、ここに落とし込むということですので。倫理的な問題はすべて文科省のものに準ずるという形で、今回は落とし込むということです。そうしますと、ES細胞にしてもiPS細胞にしても、安全性と、特に大量培養して、それを複数の患者さんに投与するというところの問題、それは言ってみると複数の患者さんに投与するというのも、いかに安全性をしっかりと担保できるかということがいちばん問題で、そこをいかにしっかり書き込むかということに尽きると思いますので、そこの問題はそう長い時間をかけなくても、私はできるのではないかという気がします。?にしても、?の方法でやるにしても、できるだけ早く作っていただいて、そういった医療を日本でもできるだけ早く始めるような環境を作ってあげることが、この委員会としては大事ではないかと思います。
○永井委員長 そうしますと、今度の科学技術部会には、どの辺までを上げるということになりますか。
○谷室長 まず、対象細胞をどうするのかということで、ある程度大量の培養、保存や分配が可能な細胞ということでご議論いただいたときには、体性幹細胞、ES細胞、iPSという意見をいただいているのですが、その中で、より限定してESだけを今回特化するということにするのか、それともある程度の幅を持たせたものにするかというのが、最低限必要ではないかと。
 参考資料3でご提示させていただいたものについては、どういう形でそれを具現化していくかという表現方法の話ですので、その部分についてはある程度幅があるので、今回こちらだと決める必要はないのではないかと思っています。
 課題として、町野先生、その他委員にもおっしゃっていただいたのですが、まずESをどうするのかというのがいちばん大きな問題です。あと、バンキングの実用化はどうかは別にして、世の中では議論がなされ始めているということについて、どう対応するかということで、そういったものを含めての対応をこの中でしていくかどうかというところを、お決めいただければと思います。バンキングになるとiPSも入ってきてしまうということになりますが。
○高坂委員 この中間報告書の案で、前文も中段も、ずっとESのことが書いてあるのです。1ポツの辺り、前文は、すべてES細胞がどうのこうのというところで始まって、それに終始しているわけです。そういう流れの中で2ポツにいって、今回の見直しの対象というのは、ヒトES細胞に限定するとしても、この文書としては一向に不思議ではないです。むしろ、そこにいろいろなものが逆に入っていくと、ややこしいなという気がします。
○谷室長 連結可能性についてはいかがですか。
○高坂委員 連結可能は担保しなければいけないのではないですか。
○谷室長 その他の細胞に対しても、ES限定で。
○高坂委員 いや、いまは連結可能になっているのではないですか。
○谷室長 いや、いまは現状で1対1になって、当然連結できるのですが。
○高坂委員 いや、ここに連結可能匿名化にするということは書いていますよ。
○谷室長 そこで我々が問題視しているのは、連結可能性が途切れた場合に、どう維持をするのかという課題が残っているのかと思うのです。
○高坂委員 はい。ですから、それはまた別のイシュウでしょう。その連結を保っていく、途切れない方策はどうかというのは、やはり。
○谷室長 その部分は、今回の議論の中でどこまでするのかというのが。
○高坂委員 だから先ほど言いましたように、補足的に、こちらの本体のほうもここの部分だけは特化して見直さなければならないというときは、それを限定して議論すればいいと思うのです。いまの連結可能の途切れない、どのような体制を作ればいいかというのは、もちろんこちらの本体のほうもかかわってくるわけですから、これが必要だとなれば、そこで議論すればいいことだと私は思うのです。それをすべてにわたって、iPSだということに、全部に網羅的にやる、それは共通事項ですからね、当然。
○谷室長 先生、1対Nの対応になった時点で、iPSであったとしても連結可能性の維持といった場合に、現状の指針の中である程度の対策が必要になってくるので、その場合、対象に倫理性の部分以外を除いて、必要になってくるかと思うのです。となると、全体論として連結可能性の維持の部分は必然的に議論が必要になってくるだろうというところ。
○高坂委員 もしそこを、この委員会の中で本当にやらなければいけないということがあれば、当然そう思いますよ。
○谷室長 その部分をやる必要があるのかどうかというところが。
○高坂委員 それはここで、またしっかりご議論いただければと思います。
○谷室長 そこのご議論をいただきたいのです。
○斎藤委員 連結可能のほうが望ましいということ、基本方針には賛成なのですが、実際に国立成育医療研究センターで昨年樹立したヒトES細胞というのは、異種動物の成分を一切使わず、ゼノフリーという条件で培養していまして、テクニカルには、そのままヒトの体に移植できるものであるわけです。
 その成育内の、ヒトES細胞の倫理委員会で、いろいろな委員の方のご意見を伺ったわけですが、どうしてそれを人に臨床応用できないのかというご意見が強いわけです。
 連結可能であれば、いろいろな情報もあとからトレースできるとか、それはとてもよく理解できるのですが、果たして連結不可能ということが、これだけヒトゲノムの解析技術が進んだ現在であり得るのかと思うわけです。
 実際、感染にしても、ウイルスゲノムも細菌ゲノムも同定可能なわけです。全体の方向性としては、反対しているわけではありませんが、そういった議論は進めていく必要はあると思います。
○永井委員長 海外のESというのは、連結不可能ではないのですか。
○谷室長 連結可能とご連絡いただいているのですが、すべてがすべてそうなのかというと、ちょっとそこは判然としないところです。リスクを考えるのであれば、連結不可能もあるということでの議論が必要なのかなと。
 あと前回の中辻参考人からのご発言だと、製薬メーカー等がES細胞の販売を少し考えているようなご発言も入っておりましたので、薬事法前提ではあるのですが、臨床研究用として国内に流通される可能性も無きにしも非らずかとは思いますので、その辺についてはリスクが高いのではないかと考えていまして、アメリカでは比較的iPS細胞も配られているところで、それがぽっと入ってきた場合というのも当然ありますので、基本的なところの連結可能性の部分と、あと連結不可能でやってきた場合にはどうするのかというのは、リスクヘッジを考えると、いまの段階で議論がある程度必要かなと考えております。
○永井委員長 ほかにご意見はありますか。
○中畑委員 基本は連結可能匿名化という形で、特にこういった新しい医療というのは、しっかりと遡及調査ができることを前提にして進めるべきだという議論が、前回の指針の改正のときにもだいぶあったわけですので、やはり何か起こったときに、そういった遡及調査がしっかりできることが前提ですので、私は基本は変えないほうがいいと思います。
○谷室長 連結可能でということですね。
○中畑委員 連結可能匿名化という形の基本は変えないほうがいいと思います。特殊なラインをどうするかと、そういった場合は別の議論でやったほうがいいと思います。
○谷室長 特殊な場合というのは、連結不可能だった場合ということですか。
○中畑委員 連結不可能で、どうしてもそのラインが必要な状況が生じたときというようなことで、限定してやるべきで、基本は連結可能匿名化という形で進めるべきだと思います。
○永井委員長 あと、すでに樹立されているものについてどうするかということですね。
○谷室長 事務局で、室の中で検討したところですべてとは思っていませんが、海外から連結不可能という形で入ってきたES細胞等と、ほぼ同じ状況になってくるのではないかと思うのです。斎藤委員からは、調べればということではあるのですが、前提としては、連結できない状態で実際に使用されているということを考えると、これをまた遡って無理に連結するというのはなかなか難しいし、提供された方々にも、少し負担をかけてしまうということを考えると、海外樹立の連結不可能なものと同じようなスキームの中で、ある程度扱えるだろうということもありまして、連結不可能性の場合には、どういう条件を課すのかというところを、大量培養大量保存といったものとは違う側面から、今回検討が必要なのではないかと考えております。
○位田委員 海外の場合は、おそらく基礎研究と臨床研究に分けて、これは基礎研究に使うESという制限の仕方をしていないと思います。
 問題は、日本の場合は、基礎研究だけに使うという指針を作って、同意を受けたときに、そこで作られたESをどうするかという問題なので、それを海外と全く同じように扱うというのは、ちょっとバリアがあるかなと思います。海外のだと区別がないので、当然臨床研究にも使えるということは、前提にはなっていないけれども、基本的に区別がないので、研究用であれば両方使える。
○谷室長 おっしゃるとおりで、それなので、その場合に、いま樹立されているものを使用する場合には、どういう条件がと。海外のものは、おおむねのスキームは同じなのですが、個別には違うと思います。その段階で、どのようなルールを課すことによって、いま樹立されている分が可能になってくるのかというのが、1つ課題になってきます。
 それと、当然iPSについても、体性幹についても、輸入することというのは、あるとすればその部分まで網を掛けるかどうかです。今回、連結可能、連結不可能のときにという議論が出てくるのは、もう間近かなと思っておりますので、そういった場合の対応を今回の議論の中でするのかどうかというところが、課題になってくるのではないかと思うのです。
○高坂委員 いまの前半部分のところは、すでに樹立をしている細胞というのは、京都の5株、成育の4株、いろいろあるのですが、すべてそれは文科の指針で樹立しているわけです。これは基礎研究に限って、しかも連結ができないような形で収集していると。これをいまからこちらのサイドで、そういったすでに樹立しているものについて、どう使えるかを議論するというのは、無理だと思うのです。
 実際にES細胞のES指針で、文科省のほうでも、相当我々は議論したところですが、やはりもう1回再同意を取るとか、そういったことで可能でないことはないのですが、そこまでやって、本当に患者様に対してどういう気持になるかというところまで慮ったら駄目ですよとか、いろいろな議論をした結果、それは駄目という形に、いま文科省ではなっているのです。それをこちらで議論するというのは、越権行為かなという気もします。
 ですから、我々がここで指針を考えるのは、これから樹立するものについては連結可能匿名化にして、しかも臨床研究にも使うという同意を得ておくというところが、いちばん大事な点になります。
○谷室長 いかがしましょうか。連結可能の話が出てしまうと、対象細胞がES限定でなくなってしまうという、実は依存関係があって、そこで少し今回の指針の中で、連結可能といった時点で、ほかの細胞にもある程度広げないと、そこはESは連結可能なのだけれども、ほかは連結可能ではないという話になると、そこはちぐはぐになってしまう可能性があるかなと思いまして。
 あと連結可能が途絶えたときの場合と、逆に連結可能であるが故に、連結が容易にできないという状態を意図的に作っていかないといけないかと思っておりまして、その策をどうするのかというのは、課題かなと考えているのですが。
○永井委員長 先ほどの他の細胞に拡大するというのはどういうことですか。
○谷室長 他人の細胞を使用する段階になったときに、連結不可能という前提であれば、現状でもある程度は可能なのですが、連結可能にしたときに、他人の細胞を使用し始めたときに、連結可能させるわけですから、そのときのトレーサビリティの維持というような、公衆衛生面から考えたときのトレーサビリティになりますので、そうなると連結可能性はどうしても必要になってきます。ただ、その連結可能性について、alloが入ってきた時点で、ある程度ES限定ではなくなった議論をしないといけなくなってしまうということが出てくると思うのです。
 実際に他人の細胞を使っている治療法は、ヒト幹でも認められていますので、となると今後iPSもautoの段階からalloの段階にということは、当然今後出てくることは容易に想像されるわけですから、そうなるとその部分を現状で議論しないわけにはいかないのかなと思っておりまして、それで対象細胞をどこまで広げるのかということで、何を対象にしましょうかという議論が、たぶん2回目ぐらいから始まっているのですが、そこの議論は入っているということです。
○佐藤(陽)委員 いまの話を聞いていて感じたのは、ES細胞の話とそのほかの話、連結可能性、バンキングの話というのは違っていて、手っ取り早いのは、例えば参考資料3の?の緑のところというのは、ES細胞に特化したようなものを作っておいて、そのほかのトピックというのは、ここに赤い腹巻のような形で、連結可能性とかバンキングの話は別に考えていったほうが、順序立てとか、とにかくESは使えるようにしましょう、でもそのほかのイシューとして、いろいろなトレーサビリティの問題とかバンキングの問題があるので、それはまた次のステップで考えましょうという形に持っていったほうが効率的なような印象があるのですが、いかがでしょうか。
○永井委員長 赤い腹巻というのはどういうことですか。
○佐藤(陽)委員 ?の保存、分配というのが、緑のところにだけ掛かっているわけなのですが、こちらをヒトESのアドオンのような形で作っておいて、ほかのイシューに関しては、腹巻のように、保存、分配が全体にかかるようなイシューになるわけですから、それはまた次のステップで考えましょうとしたほうが、ステップ・バイ・ステップで議論が集中できていいのではないかと思うのです。
○斎藤委員 連結可能ということに関して全然反対しているわけではないのですが、iPSの場合は本人の臨床情報をトレースできるわけですが、ES細胞の場合はそれはできなくて、父親、母親ということになるわけです。
 以前にも申し上げましたが、全ゲノムですとか、そういう解析をしたほうが、よりとは言いませんが、相当有用な情報が得られるとは考えております。連結可能に反対しているわけではないのですが、そういうことも議論していくべきではないかと考えています。
○高坂委員 いまの斎藤委員のご意見は、専門家の我々は大体そういうことがわかってきているのです。ただ、いまはそれはほとんどの国民は納得していなくて、知り得ないのです。それこそ次世代シーケンサーが全部の施設に入って、ホールゲノムが全部できる時代になれば、そういったことはもちろんあるでしょうけれども、現状では国民に広く納得してもらうためには、連結可能あるいは連結不可能という言葉をきちんと使っていかないといけないと思います。先生は最先端のことを言いすぎているので。
○永井委員長 どうしましょうか。
○谷室長 あえて今回は結論を得るのではなくて、こういう議論がされたということで、来年度も継続的に審議を行っていくというようなまとめを1度作らせていただこうかと思いますが、それとも、ある程度方向性を見せたほうがいいかというのは、お決めいただければ。
○永井委員長 今日は議論がdiverseしましたので、こういう議論があったということで、とりあえず科学技術部会に出しておいて、また4月以降、さらに議論を続けるということになると思いますが。
○町野委員 異議をいうつもりはないのですが、私が伺っているところでは、連結可能にすることに反対される人はいないだろうと思うのです。その点は、私は一致したと思います。ところが、ESの場合に問題なのは、要するに基礎研究にしか使わないということで、いまやられているわけですから、これは先ほど高坂委員が言われたとおり、これをもう1回、少なくとも国内で作られたものについて、これを使えるようなシステムを作るのは、いまはおそらく難しいということも皆さん納得されているところではないかと思います。
 もちろん別の考え方もあり得ることは否定しませんが、ES指針を作ったときは、とにかくそれぐらいstrictに考えていたものですから、それをいま引っ繰り返してしまうことはかなり難しいと私は思います。そうすると、2点ぐらいは合意があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○永井委員長 いかがですか。連結可能とするということと、現状では研究用のES細胞は臨床には転用しないと、それはよろしいですか。その2点については、合意が得られたということで、報告すると。
○谷室長 はい。あとは議論が出てきた内容を少しまとめさせていただいて、案文ができ次第、先生方に一読いただくという形で、ご意見を聴取させていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○永井委員長 よろしいでしょうか。そのほか、全体を通じて何かご議論はございますか。
○位田委員 単なる言葉使いですが、資料1の裏側の「対象とする細胞」の「人工幹細胞」という表現は、いま一般的に使われているのですか。
○谷室長 一般的ではございません。実はiPS技術のほかに、部分的な初期化作業が出てきたものがだいぶ出てきておりますので、まとまりと、ダイレクト・リプログラミングと、非常に長いので、「等」というまとめであると誤解もあるかなと思いまして、仮でこういうまとめを1回させていただいたところです。
○位田委員 もう1点です。その次の頁の下のほうの「その他」に、「臨床応用」という言葉がありまして、この言葉は研究から実際の治療までの全体を含むのか、研究と応用は別に言葉使いをするのか、その辺りはどうですか。これですと、研究から、とにかく臨床に関係するものは全部臨床応用の方に。
○谷室長 この場合は、狭義で人に用いるということを指しております。
○位田委員 そのときは臨床利用ではなくて、つまり私は臨床研究と臨床応用と、どういう集合になっているのかがわからないのですが。
○谷室長 明確に線引きがいちばん難しいところで、実は臨床用に考えてはいても、動物実験に戻ったりというのが、最近は前後する状態がありますので、そこを一概に1つに限定することは難しいかなということで、目的として、より人に用いることを前提にしたものを「臨床応用」という表現にさせていただいたものです。
○永井委員長 ほかにございますか。
○佐藤(陽)委員 先ほどのヒト人工幹細胞の話ですが、3月の初めにパブコメが終わった薬事のほうの幹細胞のガイドラインでは、一部でもリプログラミングをしているということなので、「ヒトiPS様細胞」という言葉を使っています。薬事と臨床研究で言葉が違いすぎるのもどうかと思いますので、ご考慮いただければ幸いです。
○永井委員長 それは可能ですか。
○谷室長 可能だと思います。ヒト幹細胞の指針については、調整を行った細胞ということで、実は前文以外にiPS細胞という言葉は使っていないのです。調整の範囲が非常に簡単なものから、まさに遺伝子導入のものまで幅があるので、少し誤解を生んでいるのですが、その部分では対応は可能かと思います。
○永井委員長 よろしいでしょうか。よろしければ、本日の議事は以上です。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○谷室長 来年度については、3月の科技部会に今回の審議の継続を検討していただいた上で実施したいと思いますので、来年度も引き続き委員会の開催に対して、ご出席方よろしくお願いいたします。
 また、一部具体的な委員会等における議論、感染症であるとか、ほかの議論も必要かと思いますので、少し委員の追加も可能であれば、科技部会とご相談しながら行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 4月以降の開催につきましては、科技部会了解のあと、可能な限り可及的速やかに日程調整させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 これで第17回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課再生医療研究推進室
TEL  03−5253−1111
内線 2587

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