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2012年3月19日 第3回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年3月19日(月)15時00分から


○場所

厚生労働省中央合同庁舎第5号館専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

委員<五十音順、敬称略>

井伊 久美子 (社団法人日本看護協会 常任理事)
今野 浩一郎 (学習院大学経済学部経営学科 教授)
今村 聡 (社団法人日本医師会 常任理事)
岩崎 明夫 (ソニー株式会社人事部門産業保健部 産業医)
門山 茂 (東京労災病院勤労者予防医療センター 副部長)
塩山 あけみ (日立製作所労働組合日立支部 執行委員)
砂原 和仁 (東京海上日動メディカルサービス株式会社健康プロモーション事業部 部長)

参考人

佐野 隆久 (中部労災病院副院長/両立支援(糖尿病)主任研究者)
小山 文彦 (香川労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長)

事務局

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
小澤 龍二 (調査官)
飯田 剛 (労災管理課長補佐)
松本 篤人 (労災管理課企画調整係長)
西村 斗利 (労働条件政策課課長補佐)
木内 哲平 (安全衛生部労働衛生課中央労働衛生専門官)

○議題

(1)糖尿病に関する治療と職業生活の両立等の支援について(有識者よりヒアリング)
(2)メンタルヘルスに関する治療と職業生活の両立等の支援について(有識者よりヒアリング)
(3)その他

○議事

○今野座長 それでは時間ですので、ただいまから、第3回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会を開催します。本日は、お手元にあります議事次第のように2つのテーマについて、有識者の方からヒアリングをしようと考えています。第1番目は糖尿病に関してです。第2番目はメンタルヘルスに関してです。
 糖尿病等については、中部労災病院副院長の佐野隆久さんからヒアリングをしたいと思っています。メンタルについては、香川労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の小山文彦さんからヒアリングをと考えています。それでは早速、第1番目の糖尿病に関するヒアリングから開始をしたいと思います。それを議論してから、次にメンタルに入りたいと思います。それでは、佐野さん、よろしくお願いします。
○佐野参考人 中部労災病院の佐野です。よろしくお願いいたします。労働者健康福祉機構では、ここに書いてありますように、国の政策として13分野というもので、平成16年から各分野の研究を行っています。我々は平成21年度より、今回の就労と治療の両立並びに職場支援(糖尿病の患者さんですが)の研究を始めています。本日は、糖尿病患者並びに企業アンケートの調査結果をお話させていただきます。
 まず、本研究の目的ですが、我が国は現在少子高齢化により労働人口の減少とともに就業者の年齢構成も高齢化しています。このような現状において、労働人口の低下につながる疾病対策は重要な問題であります。生活習慣病の1つであります糖尿病患者は増加の一途をたどっておりまして、その合併症にて休業、離職を余儀なくされる就業者が増加しているのが現状です。したがって、本研究の目的は、以上のような実情を踏まえて、企業における就労糖尿病患者の現状及び問題点を調査して、糖尿病患者の就労と治療の両立並びに職場復帰支援を目指すということです。
 本スライドは、労働者の人口の推移ですが、2000年をピークに年々労働人口は減少しておりますし、今後も減少していくだろうという予測です。並びに、高齢者、65歳以上の比率がどんどん増えています。また60歳以上の比率も増えており、就労者の高齢化がどんどん進んでいるのが現状です。
 次に、糖尿病患者の数ですが、これは平成19年の国民健康・栄養調査の結果ですが、糖尿病が強く疑われる患者は890万人、糖尿病の可能性が否定できない、いわゆる予備軍といわれている患者が1,320万人、合わせて2,210万人という患者の数です。これが平成19年のデータですから、現在はもっと増えている可能性が高いと考えております。
 次に、平成19年の同じ国民健康・栄養調査のデータですが、糖尿病が強く疑われる患者の治療の状況です。この青い部分が、現在治療を受けている部分ですが、以前に比べて総数でだんだん増えてきております。下の段を見ていただきますと、40歳以上で見ますと、労働人口の主を占める40歳代、あるいは50歳代の現在の治療の率がかなり低いことがわかっております。
 次に、これは厚生労働省の平成20年の患者調査の概況から取り出したもので、主な疾患の総患者数を調べたものです。悪性新生物以下いろいろありますが、一番下の段は糖尿病です。糖尿病の平成20年の調査によりますと、1日に237万人しか治療を受けていないというデータが出てまいりました。
 次のスライドですが、日本糖尿病学会による研究です。糖尿病の治療中断抑制の活動研究の1つのデータですが、糖尿病の定期通院を自己中断した理由を調べたものです。中断の理由は、仕事が忙しかった、通院が面倒ということですが、ここに書いてありますように、男性の若年でサラリーマンや専門職に中断が多いということが明らかになっています。
 このスライドは、平成20年度の厚生労働省の患者調査、並びに労働人口調査から推察しました現在の疾病に罹患している労働者の総患者数を調べたものです。ここに、糖尿病は72万人というデータが出ています。
 次は、いままでの調査をまとめたものです。国民が1億2,700万人で、平成19年の糖尿病患者数の予測が890万人、予備軍が1,320万人ですが、この中で、年度はちょっと変わっていますが、平成20年度のデータでいきますと、237万人しか受療していないというデータがあります。それから、平成22年度の労働人口が6,590万人ですが、先ほどの平成20年の就労糖尿病患者の数がどれくらいあるかという予測値が72万人です。6,590万人で72万人、就労の糖尿病患者はもっと数が多いのではないかということが考えられます。したがいまして、未受療者並びに受療中断者が非常に多いのではないかと考えられます。このことによって、糖尿病のコントロールの不良を来たし、糖尿病の種々の合併症を発症して、就労が困難になる患者が増えるということが考えられますので、ここのところの状況を調べて、改善にどういう手を打ったらいいかを検討することが本研究の目標です。
 以上を踏まえまして、現在までに施行した調査結果です。患者アンケートと企業アンケートを行いました。アンケートの方法ですが、まず、患者アンケートについては、労働基準監督署並びに労働基準協会よりご紹介いただいた東海地区の大中小企業にアンケート調査を行いました。並びに地域産業保健センターより中小企業の紹介をいただき、こちらのアンケート調査も行っています。この2つが企業のアンケート調査です。下の3番と4番は患者のアンケート調査でして、私どもの中部労災病院糖尿病センターにて治療中の患者、並びに私どもと療診連携を行っている名古屋地区の複数の実地医家における就労糖尿病患者を併せてアンケート調査を行っています。
 まず、患者アンケートからお話させていただきます。総数は349名です。アンケート調査の内容は、糖尿病の実態、就業状況等々を設問しています。
 患者の背景ですが、総数349名、男性が8割強です。治療別でみますと、経口薬治療、要するに内服薬の治療が約70%、インスリン等の注射薬治療が25%です。年代でみますと、40歳未満から70歳以上まで幅広くみえますが、主は50歳代です。平均年齢は54歳です。次に血糖のコントロール状況を示します。HbA1c(JDS)値を調べたところ、平均は6.9%でした。5.8%未満から8%以上まで幅広く存在します。
 産業医の先生みえる職場とみえない職場での糖尿病のコントロール状況の違いについて調べました。産業医の先生がみえる職場が35.5%で、みえない所が64.5%です。このような職場の違いによって、血糖の平均値のHbA1c(JDS)値に差があるか調べたところ、産業医の先生がみえる職場の平均値は6.7%、みえない所は7.1%です。年齢、性別及び従業員数で補正をしても有意な差が存在しました。
 次に、産業医の先生の存在と糖尿病の合併症の頻度の関係を調べました。左側が細小血管症である網膜症、腎症、神経障害の合併症ですが、網膜症と腎症については、明らかに産業医の先生がみえる所の患者の合併症の頻度が低いというデータが出てきました。神経障害について有意ではありませんが、差はあるように見えます。右側の大血管障害、動脈硬化症については大きな差は存在しませんでした。
 次に、職場における医療スタッフとの関わりについて調査しました。産業医並びに看護師などの医療スタッフがみえる職場に限ってですが、患者の意見で、「あなたが糖尿病であることを知っているか」「糖尿病について相談できるか」「あなたの治療状況を知っているか」と質問しましたが3割ないし5割の方が医療スタッフとの関わりが低いとの結果が出ました。以上が患者アンケートです。
 次に企業アンケートですが、323社の企業にアンケート調査をしました。調査内容ですが、糖尿病の実態、就業状況、医療連携の実状等々を質問させていただきました。
 当院は名古屋南部の工業地帯にある病院ですので、製造業が約半数を占めています。対象企業ですが、従業員数は1,000名以上が14.8%、50名未満が31.8%です。業種別は製造業が多い関係で、現業系が主である企業が7割を超えています。
 次に、定期健康診断でHbA1c値の実施対象年齢を調べたところ、全員調べている所もありますが、未実施の所も4.4%存在しました。あとは、年齢がこのような分布です。
 次に、HbA1c値の判定基準ですが、A判定は正常ですが、このように5.0%以下から5.9%まで非常に大きな差があることがわかりました。次に要治療、あるいは要精査を有するD判定を下す基準ですが、これも5.6%から要医療、要精査としている企業から7.0%以上を要医療とする企業まで大きく差が存在しました。このHbA1c値の差については、企業の大きさ、産業医の先生の存在、不在については大きな差はありませんでした。
 次に、糖尿病の年齢調整有病率を調べたものがこれです。左側が産業医の先生が常勤、非常勤、不在、右側が企業規模別に大企業、中企業、小企業と分かれています。まず企業の規模別でみますと、大企業に比べて明らかに小企業が糖尿病の有病率が高いことがわかっています。産業医の先生の常勤、非常勤、並びに不在で調べたこちらの図ですが、有意ではありませんが差があるように見えます。
 次に、このことと関連する1つの原因と考えられることですが要経過観察従業員のフォローについて調べました。左が産業医別、右が企業別ですが、両方とも常勤の先生がみえる企業、あるいは大きな規模の企業ほど定期的な検査並びに指導を行っている率が高いというデータが出ています。
 次に、糖尿病もしくは糖尿病が疑われる従業員への対処ですが、要医療、要精査の従業員に医療機関の受診を勧めるかどうかを調べました。これも産業医の先生の常勤、非常勤、不在、並びに企業別に調べましたが、常勤の産業医の先生がみえる、並びに企業別で、大きな企業ほど受診を指示している率が高いことがわかりました。
 次に、下のスライドですが、「糖尿病に関して就業制限を実施しているか」を聞いたものです。産業医の先生がみえない職場、並びに従業員が多くない企業ほど就業制限の話をしていないことがわかりました。就業制限の理由ですが、HbA1c値の高値、血糖のコントロール不良が58%、合併症の存在が44%、インスリンの治療をやっているからが36%、あるいは低血糖発作がある等々いろんな理由で就業制限がなされています。
 次に、社外医療機関で糖尿病治療中の従業員の治療状況の把握ですが、会社の診療所以外の医療機関で治療している糖尿病患者の把握をどうしているかということですが、把握をしているという答えをいただいた企業は7割弱です。その把握方法がここに書いてありますように、本人からの申告で把握をしていると言っている企業が8割弱です。社外医療機関の主治医からの連絡、あるいは主治医へ企業から問い合わせているような行動を取られている企業の率は、非常に少ないことがわかりました。
 次に、社内での糖尿病教育ですが、企業の大きさ別で分けてあります。従業員が多い企業ほど糖尿病教育が行われておりますが、実施していない理由に着目しました。「業務多忙のため」という理由が約25%ありますが、問題はその下でして、「糖尿病教育は不要」と回答された企業が10%弱でした。あとは、その他に個々の理由が述べられています。
 以上のアンケート結果より、産業医、看護師、保健婦や安全管理者などの企業側の方と患者と主治医の三者のコミュニケーションが希薄である企業が多いのではないか思われました。この状況の改善には患者を中心にして主治医と企業サイドの関係者が太いパイプを繋いで患者の治療にあたることが必要ではないかと考えています。
 アンケート調査のまとめです。「患者調査より」では、産業医の存在は血糖コントロール・合併症の有無に関係しました。職場の医療スタッフと患者とのコミュニケーションに問題があることが浮かび上がってきました。「企業調査より」では、企業によりHbA1c値の正常・要医療の判定に大きな差が存在することがわかりました。社外医療機関で治療中の従業員の把握に問題がありました。小企業ほど糖尿病の有病率が高いが、受診勧告率は低いことがわかりました。4番目に、大企業ほど糖尿病患者の定期検査・指導には熱心であるというデータを得ました。
 以上より明らかになった問題点は、企業医療スタッフの糖尿病の知識、企業医療スタッフと主治医との情報交換の手段、小企業における、要するに産業医のみえない企業における糖尿病患者の対策と認識いたしました。
 今後の活動ですが、当院の企業アンケートはもっと拡大しますが、他の複数の労災病院にアンケート調査を依頼しています。先ほどお話させていただきましたように、当院は名古屋地区南部の製造業が多い地区ですので、当院だけの特色が出ているのではないかとの問題点もありますので、当院と同様に製造業が多い地区の大規模病院、それと、第三次産業が多い地区でどうなっているかを調べるとともに、地方の中規模病院にも参加していただき、この活動を広めたいと思っています。
 最後に、患者を介して企業と医療機関の情報交換ができるアイテムの作成を考えていますし、検診や勤務に対するガイドラインの作成も視野に入れています。以上です。ご清聴、ありがとうございました。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問をお願いします。
○今村委員 貴重な情報をありがとうございました。産業医の有無と糖尿病のコントロールということで、16頁に産業医がいるかいないかで明らかに糖尿病のコントロールが違っている。それから、26頁にも、企業別、あるいは産業医別で、産業医がいるほうが明らかにいいのだというデータなのですが、いま示していただいているデータでは、25頁ではあまりHbA1c値が産業医がいる・いないによって、平均値に全く有意差がないというところが矛盾しているように感じました。その辺りは、何か理由があるのでしょうか。
○佐野参考人 まず、患者のコントロールの違いは、企業の活動の違いももちろんあると思いますが、それ以外に、産業医の先生が不在の企業は、どちらかというと規模も小さい所ですので、これはデータとしてはまだ出てきてはいないのですが、もともと健康に対する注目、興味がやや低いことがコントロールに影響が出ていないか。例えばアメリカのデータなどでは、企業規模が小さいほど体重の増加が多く、生活習慣病の率が高いとの報告があります。これが、産業医の先生の有無だけかどうかは、ちょっと疑問は残ります。産業医の先生の有無が1つの大きな要因ではありますが、プラス大企業のホワイトカラーの人がいる会社ほど、患者個人個人の健康に対する意識が高いのかもしれません。それは1つ考えられます。
○今村委員 それは、本当におっしゃるとおりです。私が申し上げたかったのは、先生が示されたいくつかのデータで、差があるデータと、25頁の差がないというデータが同時に出ているので、そこはいかがなのでしょうかということです。
○佐野参考人 これは、HbA1c値の正常、要治療の企業の判定基準の話です。
○今村委員 わかりました。私の誤解です。ありがとうございました。
○今野座長 ほかにいかがですか。
○岩崎委員 貴重な発表ありがとうございます。現場でやっている者としては、非常に実感に合うようなデータだと感じています。24頁に関する質問なのですが、やはり健診が入り口となるという意味では、ここでの要精査、要医療という判定は、最初の関門としては非常に重要かなと日頃感じています。このアンケートでは、だいぶばらつきが広いと。このアンケートの回答者は、どういう方でしょうか。要するに、企業の医療スタッフなり産業医の先生と、これだけ幅が出てしまう背景というか、もし考察的な点がありましたら、お願いします。
○佐野参考人 回答者は、もちろん産業医の先生がみえる所は産業医の先生です。産業医の先生がみえない所は、その他の安全管理者等々に回答をいただきました。企業によって検体を外に発注し、検体を判定する会社での結果をそのまま使っている企業が、かなり多く存在します。その検体測定会社の正常範囲、要医療範囲がかなり違っています。ここに大きな問題が存在します。もう1点は、糖尿病の専門医、あるいは糖尿病に造詣の深い先生が産業医の企業は外の検体測定会社の基準ではなく、御自分の基準で判断されておられます。その会社の先生の基準は、大抵もっと厳しくなっています。これらのことが関係しているかと思っています。
○今村委員 先ほど私が勘違いした例なのですが、いま質問されたことと関係あるのですが、先ほどの例ですと、大企業でも中企業でも小企業でも、いわゆる正常と要精査医療の差がないというデータですよね。
○佐野参考人 そのとおりなのです。
○今村委員 そうすると、例えば大企業に産業医がいて、いま先生がおっしゃったように、専門的な判断ができる人がいる所もいない所も、同じように24頁のようにばらついてしまっているのですか。
○佐野参考人 そうです。大企業の産業医の常勤並びに非常勤の先生がみえる所でも、我々の感覚でこの検体測定会社の要医療並びに正常値の決定の範囲は、少し問題があるなと思うようなところをそのまま使ってみえるところもあります。したがって、先ほど少しお話させていただきましたように、糖尿病専門医並びに造詣の深い先生と、少しそれが欠ける先生とでは差があり、そのまま使われている場合があります。ですので、調査結果のように差がないようになってしまいます。○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○井伊委員 18頁ですが、この医療スタッフについての問は、349名全員に聞いたのではなくて。
○佐野参考人 これは、患者に、「お宅の会社あるいは職場に医療スタッフの方がいますか」とまず聞いて、「いますよ」という返事をいただいた所について聞いています。これは、患者のアンケートですので。
○井伊委員 産業医有りは、その前に35.5%ですが、それ以外の保健師や看護師。
○佐野参考人 これは産業医の先生以外の保健師や看護師がいる所も含めてあります。
○井伊委員 その数がどのぐらいかがわからないということですか。その割合が。
○佐野参考人 産業医以外を含めますと、大体これの半数以上にはなります。
○井伊委員 半数以上ですか。
○佐野参考人 はい。産業医の先生がいる所が35.5%ですので、それ以外の看護師並びに医療スタッフがいる所は、半数を少し超えたところだと記憶しています。
○井伊委員 ありがとうございます。それと、31頁ですが、社内での糖尿病教育で、実施していない理由は挙げられているのですが、行っている所が中小企業、小企業がそれぞれ2割前後なのですが、たぶんここにはあまり医療スタッフはいないだろうにこれだけ行っているというのは、ちょっと多い感じがするのですが、誰がこの教育をしているのかはわからないということでしょうか。
○佐野参考人 もちろん小規模ですので、医療スタッフはみえませんので、安全管理者が講習会に行けと言っているとか、そういうことだろうとは思います。自社でやっていること以外に、こういう講習会があるから行きなさいということも含めてあります。社内と書いてありますが、それも社内の中に含めています。
○井伊委員 では、そういう受講を勧奨したことも、この中には入っているということですか。
○佐野参考人 そうですね。ですから、社内といっても、会社の関連の大きな会社でこういうことをやっているからということですね。
○井伊委員 わかりました。もう1つ、この質問の中には就業状況で、例えば交替勤務の有無や休業時間など、労働条件といいますか、例えば受診をするときに時間休は取れるということも尋ねたのでしょうか。
○佐野参考人 尋ねてあります。
○井伊委員 今日は、そのデータはないのですね。
○佐野参考人 まだ、それは総合的な計算ができていませんので今回は報告いたしておりません。ただ、なかなか答えていただけない所もあります。特に企業の大きさによっては、白紙になっている所もあります。小企業ですと、そこの所が答えていただけない所が結構あります。全部答えていただいているわけではないものですから、ところどころ歯抜けになっているアンケートですので、当然そうなります。
○井伊委員 ありがとうございます。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○塩山委員 15頁で、対象患者の背景の年齢の平均が54歳±になっているのですが、この年齢の方は患者アンケートで、既に治療している方だけのデータでよろしいのですよね。
○佐野参考人 対象患者は、当院の糖尿病の治療並びに実地医家の糖尿病治療の患者です。ですから、治療中の患者です。
○塩山委員 実際の現場ですと、若くて病院にかかっていない、合併症がこれからいくらでも出てきそうな若い方が、この対象には入っていないという考え方でよろしいのですよね。
○佐野参考人 患者のアンケートは、当然糖尿病の患者を調べています。
○塩山委員 そうですよね。そうなると、実際の予備群の方々は、40代や40歳未満の中にたくさんいるのかなと感じました。7頁で、定期通院を中断した理由で、仕事で忙しかったというのが半数を占めているのですが、これをもう少し紐解いてみると、糖尿病をあまり深刻に思っていなかったので天秤にかけたら、仕事に行ってしまったというのがあるのかなと思いました。例えば、これが自分ががんだったら、仕事が忙しくて本当に行かないのかと、もう少し踏み込んだところが知りたかったなと思ったのですが。
○佐野参考人 これは、糖尿病学会で調べている研究発表の中でのデータをいただいてきましたので、詳細についてはわかり兼ねます。先生のお話のとおり、確かに糖尿病はがんよりはどうしても患者は軽視されることがあると思います。仕事が忙しいと、今月は行かないでおこうかということは、がんに比べては多いのだろうとは思います。
○塩山委員 31頁で、糖尿病の教育は不要という回答がここでは8.5%回答があったということで、この辺りの若年者の糖尿病を指摘されながらも病院にかかっていないというところが、やはり自分は重い病気ではないのだと思い込んでしまっている人が多いのかなと窺わせるデータです。33頁の明らかになった問題点で、糖尿病の知識を皆さんに知らせる必要があるというのは、私も非常に感じます。企業医療スタッフの糖尿病知識とは書いてあるのですが、この企業医療スタッフは、具体的にどういった方々を指すのか教えていただけますか。それから、こういった方々が患者となる人たちに糖尿病知識を知らせるような問題意識を持たせるのも、1つ問題点として挙げてもいいのかなと考えましたので、その辺りをお願いします。
○佐野参考人 31頁をお話させていただきます。糖尿病の教育は不要だというような回答をされる率がこんなに多いとは思っていませんでした。実は、アンケート調査の内容の中には、こんなアンケートをやることは全く不要であって、当社は糖尿病のことに関わり合っている暇がないと。メンタルのことが忙しくて、糖尿病まで手が回らないというようなことを書いてある所がありましたし、糖尿病は個人個人の問題だから、会社は関わらないと書いてある所もありました。そういう意味では、意見がさまざまでしたが、それを集約して、糖尿病の教育は不要だということを調べますと、このような率になりました。確かに先生がお話のように、糖尿病の知識の問題はどこかということですが、これは先ほど少しお話をさせていただきましたが、もちろん医療スタッフの看護師、保健師もそうですが、もっと広くお話をさせていただければ、産業医の先生も糖尿病の知識をもっと深く持っていただければ、例えばHbA1cがもう少し低い時点から医療の話をしていただけることに手を出していただけるのではないかなと思っていますので、ここには明らかには書きませんでした。医療スタッフと書いてありますが、これは産業医の先生も自分としては含めているつもりです。
○今村委員 連携の話なのですが、あとでまた申し上げようとは思っていたのですが、主治医からの情報提供が少ないのは、このとおりだと思います。産業医の側からの主治医への連携を取っていることがどの程度あるのでしょうか。もう1点は、働いている糖尿病の方たちのいちばん大きな問題は、糖尿病の治療中断だと思うのですが、治療中断を事業主、企業側が把握をして、それに対応しているのかどうか。これは、先ほどDOIT2のデータで治療中断が出ていますよね。ですから、こういったアンケートでもしそれをまた今後調べていただけるようであれば、是非調べていただいて、治療を中断した方にどうアプローチするのかはとても大事だと思うのですね。
 特定健診では、保険者は医療情報と健診情報を両方同時に電子的に把握しているわけですから、治療を受けていた人が治療を受けなくなったら、これは理論的には把握できるわけですよね。ですから、それが事業主として、また保険者とは別ではあっても、大きな会社であれば、そこは一体的に取り組むこともできるわけです。そういう治療中断に対するアプローチをやっていかないといけないのかなと、個人的にはずっと思っています。
○佐野参考人 もちろん、先生のおっしゃるとおりだと思います。治療中断は、本当に大きな問題ですが、企業にアンケートを取ったところ、治療中断の患者はいるのですが、それがすぐに自分たちに把握はできないということを言う先生ももちろんいます。それから、最初の問題ですが、やはり会社から主治医へ問い合わせがあるのは、合併症がかなり悪いとか、低血糖が頻発するというときに、主治医へ連絡をしていただくことはあるようなのですが、現在うちの患者の状況がどうなっているということを積極的に聞かれている先生方は、かなり少ないと思われます。したがって、そこで何らかの手段を何か考えていかなければいけないなと思って、例えば主治医と産業医の先生、あるいは医療スタッフとの情報交換ができるような手帳などを考えています。ただ、個人情報の問題が関わってきますので、その辺りをどのようにクリアしていくのだろうなと考えています。
○今村委員 その点については、いま内閣府で糖尿病の医療情報を電子化して渡すという話が出ていて、産業保健と地域の医療機関の連携をITを使って、いま先生がおっしゃったような紙ベースも含めて電子的な情報をうまく活用しようというのは、国の別の方法で出ていますので、そこはやりようがあるのだろうなとは思っています。
○佐野参考人 そうですね。そこが、どんどん進んで情報交換ができれば、だいぶ状況は変わってくると思います。
○今村委員 それから、これは先生に申し上げることではないと思うのですが、厚労省がこの会を主催されているので申し上げます。医師は、いまものすごく業務が忙しい中で、情報提供をしなければいけない。そうすると、対価があって当然だと思うのですが、医療機関から産業医にいくら情報提供をしても、これは診療情報提供にならないと、相手は医療機関ではないということですね。ここは、後ほどのメンタルヘルスの話もそうなのですが、是非、厚労省としてそういった情報提供にきちんとした対価を発生させていただきたいと個人的には思っています。よろしくお願いします。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○門山委員 門外漢なのですが、厚労省の糖尿病のデータの5頁なのですが、治療中断はこんなものなのですか。5%や7%程度が実態なのでしょうか。私が脳外科でやっていて、脳卒中になってしまうと真面目にかかってくるのかもしれませんが、それでももっとたくさんいるのではないかなと思ったのですが。実態として、こんなものなのでしょうか。
○佐野参考人 これは、厚労省のデータをいただいたものですから、この数字を挙げましたが、これは、中断の状況は、自分は自分の患者のデータしか持っていませんが、医療機関あるいは主治医によって千差万別だろうと思います。ですから、総合しての数字だと思いますので、先生が感じられている主治医の差は結構大きいのだろうと思います。数字的に、この数字が正しいかどうかは、私としてはお返事できません。
○門山委員 正しいかどうかはわからないのですが、先生の実感としてはどうですか。
○佐野参考人 やはり、どちらかというと軽い方、糖尿病のお話をさせていただきますと、合併症がなくて軽くて、内服治療でもあまり薬を使っていない方は、どうしても中断される率が高いのは確かです。合併症があり、インスリンを治療しているような人の中断率は、非常に低いと思っています。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○岩崎委員 30頁の治療状況の把握に関してなのですが、私どもの経験的にも、本人からの申告、いわゆる糖尿病手帳やお薬手帳の情報を基に、どのぐらい行っていますか、何て言われましたか、と聞きながらやっていくわけです。7、8割ぐらいがこうであること自体は、私自身としては、それ自体は問題ではないのではないかと感じています。その辺りを、どう感じていらっしゃいますか。
○佐野参考人 いま糖尿病手帳というお話がありましたが、糖尿病手帳をやり取りしていることは本人からの情報ではなくて、それは主治医からの情報だと思うのですね。ですので、この本人からの申告というのは、「最近、糖尿病の治療はどうなの」「うまくいっていますよ」くらいの判断だろうと思います。ですから、先生からお話いただいた手帳とか、それから先ほど今村先生からお話いただいた、もっと高度な情報のやり取りができたほうが絶対いいと思っています。
○岩崎委員 このアンケートを取られたときの聞き方としては、例えば、本人が口答ベースでスタッフに伝えるということですか。
○佐野参考人 そうです。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。最後に私から質問させていただきたいのですが、資料の9頁目ですが、私は素人なものですから、これを見ていると、左側に国民があり、その右側にある糖尿病の予備群と有病者を合わせると2,100万人ですから、6人に1人ぐらいですよね。その中の受療者が237万人なので、5人に1人ぐらいという感じですよね。
○佐野参考人 糖尿病の方ということですね。
○今野座長 そうです。5人に1人を頭に置いておいて、私が知りたいのは、労働力人口の中で糖尿病の方はどの程度いるのだろうかということです。つまり、それが企業にとって対応しなければいけない潜在的な労働者数になります。これがここには書いてないのです。ただ、いちばん下に、労働者の中で患者数が72万人とありますが、この人たちは治療を受けている人だと思いますので、そうするとこれは、いちばん上の受療者と糖尿病者は1対5ですから、それでいくと、72万人の5倍の360万人ぐらいはいるのかなと勝手に思ったのですが、いかがでしょうか。
○佐野参考人 72万人は、8頁に書いてありますように、これは、平成20年度の患者調査と労働人口を掛け合わせてこれくらいみえるだろうなという推計なのですね。直接の数字ではありません。
○今野座長 そうすると、これは推計ですが、72万人が先ほど言った糖尿病有病者プラス糖尿病予備群の合計だという考えなのですか。
○佐野参考人 患者数ですからね。平成20年度の患者調査の総患者数と、労働人口を掛け合わせての数字で、これくらい治療しているのだろうなという数字です。
○今野座長 治療している人ですね。
○佐野参考人 そうです。
○今野座長 そうすると、予備群まで含めると、いちばん上の受療者と左側の予備群と有病者を合わせた1対5の比率で考えると、72万人の5倍ぐらいは予備群と有病者かなと勝手に思ったのですが。
○佐野参考人 まず、受療者は当然のことながら高齢者ほど多いわけで、例えば仕事をしていない方で60、70代の人が多いのは確かです。それから、予備群と有病者ですが、6人に1人というお話でしたが、実際問題、国民1億2,000万人のうちの20歳より下の人数は削ってしまうとすると、大体4人に1人なのですね。それぐらいの比率であることは確かですので、労働人口と掛け合わせると、72万人よりはるかに多いだろうなという予測はできますが、具体的な数字をここに挙げるのはなかなか難しくて出していません。
○今野座長 非常に難しいかと思いますが、研究会の中で仮定の仮定の仮定を置いて「エイヤー」と計算したら、大体このぐらいだったというのはなかったのですか。
○佐野参考人 計算していません。
○今野座長 たぶん企業としては、社員の何人に1人ぐらいはいるのだろうかという規模感のようなものがあるといいですね。
○佐野参考人 有病率が出してありました。
○今野座長 アンケートですね。
○佐野参考人 26頁に、大体これくらいの有病率ですよというのがあります。大企業ですと、1,000人当たり40人ぐらい。小企業ですと、1,000人当たり60人ぐらいという感じです。
○今野座長 これでいいのですね。
○佐野参考人 はい。
○今野座長 そうすると、これを平均すると、「エイヤー」で50人だとすると、5%ですか。
○佐野参考人 そうですね。
○今野座長 そんなサイズなのですね。ありがとうございました。
○岩崎委員 先ほどのところに戻ってしまって恐縮なのですが、30頁の問い合わせは、主治医へ企業から問い合わせの8.3%の中には、いわゆる主治医が記入いただいたような糖尿病手帳などがそこのゾーンに入るという理解でよろしいですか。
○佐野参考人 ですから、糖尿病手帳は、上の「社外医療機関主治医からの連絡」ということになるわけです。
○岩崎委員 わかりました。ありがとうございます。
○今野座長 それでは、時間ですので、この辺で終わりにさせていただいてよろしいですか。ありがとうございました。
○佐野参考人 どうもありがとうございました。
○今野座長 それでは、次はメンタルについて、小山さんからお願いします。
○小山参考人 小山でございます。本日はよろしくお願いします。メンタルヘルス不調に関しては、平成22年度、23年度の2カ年にわたり、厚生労働省の委託事業がございまして、「治療と職業生活の両立等の支援手法の開発のための事業」の中の精神疾患その他ストレス性疾患の取組についての報告をさせていただきます。
 まず、我が国の「職場における心の健康づくりのための指針」、通称メンタルヘルス指針の中では、このような4つのケアが提唱されています。この4つのケアというのは、自分で自分を守るところから、上司が守る、産業保健スタッフが守る、専門治療機関あるいはEAPなどの専門的なケアが施される、こういった4つのそれぞれの守備範囲があるというご理解でよいかと思います。ただ、メンタルヘルス不調をめぐりまして、産業関連の学会等ですと、いちばん下に示していますが、事業場内外の連携が非常に大切だということはずっと続いてはいるのですけれども、どうすれば相互補完的な連携ができて、なぜそれがなされていないのか、取組を通してご報告できるところが今日は多々ございます。
 ここに4つのケアの「事業場内外の連携」を図示してみました。囲いが事業場内ということで、不調を来たした労働者が真ん中におりまして、上司とのライン、産業保健スタッフが登場しております。もちろんご本人のことですし、見える・見えないもありますし、承諾・同意ということもあります。個人情報の保護の取扱いが前提です。それから、事業場外の担当医との間で施される治療。ですから真ん中に書いてある「事例性」というのは、メンタルヘルス不調を呈しているであろう労働者が、いつもと違う様子ということを幅広く捉えておりまして、そこで病気の可能性が高いということになると、事業場外の担当医との間で「疾病性」ということに言葉が変わって、主に治療対象になるのだと言っております。この図示で4つのケアの連携については、ある程度理解が容易になるかと考えています。
 この委託事業の取組の概要としては、左側の取組1に関しては、これは事例への取組です。研究と申しますか、職業生活にメンタルヘルス不調が、何らか支障を来たした労働者を対象に、労災病院のグループの中で各年度15事例に関して、1番は医学的見解、これは主に診断書に書かれるべき現症、2番は職場の安全・衛生にかかる要因、3番目は家でどんな生活をなさっているかというところです。こうした3つの軸から1人の労働者の精神現象や実存というものを捉えないと、メンタルの場合、仮に1番だけでは企業側には理解がなかなか伝わらないということがあるかと思います。こうした3つの軸からのアセスメントを行ったとしても、体の疾患と異なる点が、メンタルには特異なものが多くうかがわれます。事業場側にとって非常に懸念させることというのは多々予測されて、実際経験がありますので、4つの軸からのアセスメントを用いながら、職場復帰、あるいは就労を支えるところの取組を行いました。2番目の図式化は先ほどのものです。3番目に、アセスメントをどのぐらい達成した方が就労可能に至っているかというところも試算をしています。
 右側の取組2は、平成23年度に行ったアンケートですけれども、全国の産保センターを介して、これまでにメンタルヘルス不調を来たした労働者の就労可否の判断等を経験した事業場を、各都道府県1から3ぐらいお声掛けをいただいて、手を挙げていただいて、186事業場ですが、そこの産業保健スタッフ、これは保健師、産業看護職を対象に、アセスメント項目についてのアンケート調査を行いました。重要だと思われるものを5つ挙げてくださいというようなことで行っています。その回答を集計して、この4つの軸のアセスメントについて、優先順位の高い項目をリストアップして、いわば現在は、医療主導で行っているところに「事業場の声」を反映できないかということが目的です。
 具体的に取組1のケースですが、これが先ほど申しました4つの軸のアセスメントの1番目、これは主にドクターが患者を診察して、精神科医から見てどういった現症であるか。疾患の種類は厚生統計に準じたICD-10の診断基準を使っております。それから、どんな症状がどの程度で、どれぐらいの薬を飲んでいるのか。これは意味合いがもう1つあって、衛生というよりも安全管理にかかわることでしょうが、眠気やふらつきなど、そういった副作用がないのかということはとても大きな問題なので、そうしたことも、元気ですよ、大丈夫ですよではなくて、就労にかかわるものとしては欠かせないものだと思います。あとは生活全般の意欲、注意集中力、こうした就労パフォーマンスにかかわるところが、果たして、就労可能と見込むと数行に書かれているかどうかということは、自戒も込めて疑問ですので、こうしたことも必要であろうと考えます。
 2番目、職場の安全・衛生にかかる要因としては、ざっとこれぐらいのことはあるかと思われます。具体的に職業性ストレスの程度に関しては、今回の2カ年はストレス簡易調査票等に沿うとしましたが、これは各取組の先生方に5段階評価をしていただいているので、具体的なスコア、クエスチョンのような得点などは今日はありません。疲労蓄積度については、「仕事の治療蓄積度チェックリスト」などを使って、これも5段階で振り分けていただいています。
 3番目で特に職場不適応、あるいは適応障害という疾患を呈した方などに、往々にして、例えば職場での姿と休日での姿に解離がある場合もありますし、そうしたものを見せないで、職場では元気そうに働いている若者もたくさんいますので、ご家族から情報が得られる方からはこうしたこと。下から3番目のところには、特に働く女性のワークライフバランスなどに関しては、一体理解がどの程度あるのかということもリストアップをしています。
 このような3つの軸からのアセスメントを、1人の不調を呈した労働者の現状を見ようと努力しても、事業場側としては、体の疾患と異なってどれぐらい目に見えるような回復の程度があるのか、どうもはっきり把握しにくい。それから、治まっても、安定した状態を寛解と申しますけれども、それがなかなか持続しないケースがある。原職に復帰という原則的なことが言われてきましたが、その場合、再発、増悪する可能性は非常に高いし、今後もあるのではないかと危惧をする。それから、精神科、心療内科の主治医による「就労可能」というこの診断書が意味しているものは、病状の判定であって、就労パフォーマンス、業務遂行能力の再獲得と果たしてマッチしているかというと、なかなかそうではないと不安がる職場もあるものですから、そうした臨床経験と学会等の検討によって、それでも事業所側の懸念として、ざっとこれぐらいのものがうかがわれるということがここに挙げてあります。
 このようなアセスメントを用いて、今回労災病院グループの総合病院の外来で行ったことが主ですので、ICD-10の疾患群としてはこのようなうつ病、適応障害、不安障害が主体になりました。一般の勤労年代ということで、今回は思春期、青年期に関しては取組の対象としては行っていません。文書にて同意を得られた方の取組を行って、委託事業の報告書に記載することまでの同意が得られている方です。
 ここに事例が2つありますが、後ほど時間があればということで、事例のほうは読み進めないで、先に進めたいと思います。
 お手元のレジメの19頁からです。実際2カ年にまたがって各病院、クリニックにご協力をいただいて30事例に取り組んできましたが、初年度の段階で、こうした事業場内外の連携が必要だと言われながらも、それがうまくいかない現状には、一体どういう要素があるのだろうかということを抽出してみました。繰り返しになりますが、1番目は、事業場外担当医からすると、目の前にいる患者は「患者」ですので、治療の視点で行うと「労働者・生活者」ということは背景になってしまい、主眼がなかなか労働に置かれていないこともあるだろう。かたや「職業生活」のフィールドというのはもちろん職場ですが、そうした職場と担当医との連携・調整などに、薬を出したり、話を伺ったりする「治療」と同等の医療effortを投入できるほどの自由度、これは時間とかそうしたことがなかなか確保されていないのではないか。職場側との連携・調整に費やす医療effortにちょうどマッチするような診療報酬上のメリットはいまのところ享受できていないことがあります。
 そして、これは特に強いことですが、患者の個人情報、あるいは診療で知り得たことについては、患者が一旦承諾したとしても、職場側にそういうことを詳しく伝えると、患者が不利益を被らないかということは非常にあります。ただ、このような抑制する現状のままですと、不調者が就労可否あるいは復帰の判断の際に、事業場側は医学知見が乏しい状況で多くの懸念を抱え続けているのであろう。
 そのような抑制因子から促進する視点としては、事業場側が知りたい情報は、典型的うつ病か、新型うつ病かあるいはICD-10、DSMでいう双極?型であるとか、そうした詳細な診断や治療方針よりも、どれぐらい仕事に就いて、どういったことを安全・衛生面で課題としていけばいいのかということが、本当は事業場側の知りたい情報のはずですから、その辺りの解離がもう少し埋まらないといけない。そうした乖離を埋めるためには、担当医と事業場側の介在する産保スタッフ、これは事業場側のほうで、主に経験からいうと、産業看護職、保健師の皆さんたちというのは、場合によっては、産業医の先生よりも非常にメンタルに関してもいろいろなことをご存じで熱心な方が多いですし、職場がそうであったら、治療機関のほうは、労災病院も1人外来医長とかそういった状況が精神科は多いので、職場とコーディネーションを行う人がいないということです。
 それから、先ほど申しました診療報酬上の問題、これは就業支援指導料などと、着想したことだけを書かせていただいて非常に失礼かと思いますが、このようなものが、本来は現在は30分以内、30分超えの通院精神療法というところに300何十点ということはありますが、実際取り組むと、30分以内に職場の方にも来ていただいて、アレンジをすることはまずありませんで、エキストラの時間帯でお話をすると、本当に40分、50分かかることが通常ありますので、この辺りは問題はあるだろうと。そのようなことで、いま現在問題になっていますのは、診断がなされて治療、休業といういわば不調に対する治療の真っ最中というよりも、エントランスの予防の時点と、こうしたイグジットと申しますか、職場に戻れるかどうかというところに関しての取組が、まだまだこれからなされないといけないだろうと考えています。
 そして、23年度に行いましたアンケートの結果をお示しするにすぎませんが、このアンケート調査は、労働者健康福祉機構として、私が事業取組を担いました。そして47カ所の産保センターあるいは連絡推進事務所を介しまして、都道府県ごとに、メンタルヘルス不調の就労可否判断など、いままで経験したことがある、非常に苦慮した、あるいは連携に成功した経験がある事業場に1から3ほど手を挙げていただいて、協力依頼をしました。そして協力いただいたのが186事業場ありまして、そこから150事業場の回答を得ています。
 クエスチョンとしてはここの2つです。具体的にお話しますが、調査対象はこれまでに産保センターと連携があって、就労可否の判断等に苦慮・成功したということですので、どうしても大きな事業場が主体になってきます。業種内訳でいうとこのような結果になっています。このように1,000人以上の所が44.6%というところで、やはり大企業が主体の調査に今回はなっています。
 アンケートの質問内容ですが、これはアセスメントの?から?プラス?が事業場側の懸念の予測で、それを4つに分けて質問項目を考えました。具体的にどのような文書で質問をしたかというと、1番目は、あなたが産業保健スタッフとして、不調を経験されている当該労働者の現在の状態に関して、医師からの説明で十分に理解して把握しておきたい項目はどれですか。これを重要度の高い順にお答えいただく。これは先ほどのアセスメントの軸?と同じです。2番目の安全・衛生の課題については、このように事業場の安全・衛生、作業環境に関して調整したり解決しておきたい項目は、どれが重要だとお考えですか。
 そして3番目は、生活習慣などを含みますので、産業保健スタッフとして、就労継続あるいは職場復帰に際して、その生活状況において家庭や個人で解決に努めてもらいたいと思う項目は、重要な順にどれかということを質問していきます。4番目は、これは少しニュアンスの工夫をしたつもりなのですが、産業保健スタッフ、看護職、保健師が事業場側の一員として、例えば人事労務担当とか、直属の上司とか、不調を克服して就労復帰という方向に進むのですが、とても心配、懸念するということはあると思いますが、どれがとても心配ですかということで順位を付けていただいたということです。
 結果ですが、医学的知見に関しては、このように文字が小さくて恐縮ですが、1番目は「服薬の状況」、薬のことでした。一体どんな薬を使っているかではなくて、薬を使うことによる眠気、ふらつきなどの副作用がどうか。ここはしっかり把握しておきたい。2番目は症状、3番目が疾患の種類、おそらく診断名ということですが、これはあまり詳細な診断ということよりも、一体どういった疾病なのかという当然ながらの関心であろうと思われます。いまのところをグラフにしますと、ブルーのところは順位付けをしていただいて、とにかくこれが1番だと、1番を選んだところを特に重要としてブルーとしました。第2位から第4位に挙げられているところを重要といたしました。ここに項目すべてがありますが、例えば9番目はどなたも関心がないということはなくて、ある程度の指摘をいただいています。順位からいうと、先ほどの3つということです。
 安全・衛生課題に関しては、1番目は就労に関する意欲と業務への関心、2番目が段階的復帰、リハビリ出勤、トライアル出勤などに関する理解と同意。会社側がそういったことの用意があって、ご本人ともそうした意見の調整が済んでいることが大事だと。3番目は勤務時間と適切な休養の確保というものが大丈夫か。これは超過勤務と安全配慮義務などにかかわることだと思います。これをグラフにするとこのような順位になっております。
 生活状況要因に関しては、1番には、保健指導などでも大事にしている睡眠、覚醒の問題。2番目は、アルコール等嗜好品への依存度について。過度なものではないか。3番目は、生活全般におけるサポーター的な方、あるいは職場での同僚などの存在があるかどうか。一部は友人と書いてありますが、これは正確に言うと職場ではなくて、生活者として自分の状況要因がどうかということです。これをグラフにするとこのような結果で、1位から3位まであるということです。
 そして、4番目の事業場側の懸念についてどうかということですが、事業場側の一員として、産保スタッフのあなたが、職場復帰に関して懸念の可能性があるけれども、こういった懸念はできれば払拭あるいは緩和しておきたいと思う、非常に気になることはどれですかというと、回復と業務遂行能力とがちゃんとパラレルにどちらも両立できるのか、ということが1番目に出された懸念でした。2番目は、回復に合わせた就労意欲に関して、とにかく全般的な意欲が戻ってきた、あるいはいままで特定な領域の意欲が減退していたけれども、就労意欲がきちんと戻っているか。とにかく就労意欲がどうかということ。3番目は、今後どう接していったらいいのか。コミュニケーション上の問題があって、こういったことも本当はもっと事前に解決しておきたいということの回答でした。グラフに表すとこのようなことになります。
 そして、これはトライアル的にやってみたわけですが、これは何かと申しますと、22年度、23年度の2カ年間で30事例に取り組んで報告書を作成しております。要するにcaseが1から30まであります。表2の左の列ですが、その30例に関してアセスメントの軸?、?、?、?について、それぞれ各項目が、これはもう解決したんだ、治癒したのだというところは?として、?が概ね解決・寛解、?がほぼ安定、?が非常に不安定、?がいろいろな要素があってまだ未解決である。こういったものを5から1の傾斜にかけて得点化すると、このような状態だったということです。
 ここから何が見て取れるかという、取り組んだ30事例の中で、現在治療中ではあるけれども、職業生活も両立できた、就労可能だという方たちは、27例おられます。27名の方たちのアセスメント項目について、それぞれの評定はどういった段階であったかということを振り返って計算しますと、?の解決、?の寛解というものがどの項目も70%以上を占めています。私は得点だけだとは思っていませんが、こういった得点をクリアされている方は、就労がうまくできている。両立支援ということで申しますと、両立がかなっているという結果でした。
 そして、考えられることですが、実際の支援取組から考えられることの1番目としては、事業場内外の連携様式の図示、これは支援の状況によってさまざまになってまいります。一体どことどこが実効的なリンクが必要かということも含めて、理解して今後組立てを促す上で有用であろうと。そして、疾患としての適応障害の事例では、典型的なうつ病に比べて疾病性が見た目軽度ですけれども、職場の中での問題、事例性は多大な場合もあって、このような方たちは事業場側の疾患理解が難しい場合がある。そして、産業医が日頃から職員との面談の機会を有して、職場復帰の前に自社のトライアル出勤の前に、例えば障害者職業センターのリワーク支援を使おうとか、そうした広い意味での事業場外資源を活用できる、これはある程度知識がないとできないので、そうしたことが4つのケアを機能させて両立支援の促進を助けるのではないか。そして、ある程度疾病性についての理解度がある産業保健スタッフと外部担当医との連携は当然ながら円滑であった。そして支援をする側においても、担当医以外に疾病性の理解度が高く、併せて事業場の意向を捉えやすい人材、要するに疾病についても勉強ができているけれども、事業場の声を聞くという、そうした客観的な立ち位置に立てれるような人材が、こういった取組を拡充するのには必要ではないかと思われます。具体的には、現在頑張っていただいている保健師、産業看護職、あとは産業カウンセラーとかキャリコンの方も非常に詳しいですし、精神科のソーシャルワーカーなどもそういったことのプロフェッショナルです。
 取組2のアンケートから言えることをまとめてみますと、産業保健スタッフの多くが重要と考える医学的知見の中で、どれが重要ですかということに対して、服薬・症状・診断ということでした。これは当然、疾病性に関する担当の先生からの情報と今後の安全管理にもかかわる薬剤の副作用などへの危惧がそれを反映しているであろうと考えました。
 安全衛生の課題では、就労に関する意欲への関心、段階的復帰に関する理解と同意ということで、これまで心の健康問題等で休業した労働者の職場復帰支援の手引にもある、就労意欲の確認が復職支援の始点となる、こうした原則がこの調査によっても支持されていたという結果でした。
 個人・生活状況では、睡眠、覚醒の問題と適切な食習慣の指摘が強くて、これはいままでもこれからも衛生対策上、メンタルヘルス不調の予防上、睡眠や栄養は当然重要とお考えであったということです。
 事業場側の懸念としましては、しっかり回復をして本当にマッチした業務遂行能力あるいは就労意欲が再び再獲得されているかということが、いちばん大きかったということです。
 駆け足でまいりましたが、この2カ年の委託事業を進めてきて、今日はこのような形でお話させていただきましたが、4つの軸のアセスメントが、このアンケートの調査からは産業保健スタッフにとって重要な項目だと捉えられて、今後具体的にいろいろ考えてよいだろうと思っています。このアセスメントを用いたモデルケースをさらに蓄積をして、事例によって図示をすると一目瞭然になってきますので、こうした手法が普及されればと考えています。
 それから、事業場内外の連携を抑制する因子と促進する視点をお示ししましたが、今後そうした連携を促進する視点、あるいは今後不調者にかかわる非常に機微な問題への配慮ですとか、あるいは担当医以外にもリワーク事業とかEAPなど事業外支援というものがありますので、そうしたものも知っておいて、具体的に、顔が知れない人たちにはなかなか相談できないので、そういった実効的なリンクと申しましょうか、そうしたものも活用していただければ、非常に連携が進むので、そうしたことも産業医には必要な知識であるということを、これからはもっと知っていただいたほうがよろしいのではないかと思います。逆にその精神科、心療内科の事業場外担当医にとっても、やはり目の前の診察室の患者というのは、本当に不調な患者なのですが、一体職場がどう考えるだろうか、この人は一体どこでどんな作業をしているのであろうか、そうしたことをまず知って、外部担当医側にも事業場内外の連携を促進する視点などというものが醸成されていけばと考えています。
 最後に事業場内外を結ぶいわゆる就業支援のcoordinatorの育成・確保、人の問題と医療経済面の充実化、やはり投入した医療effortに対する診療報酬上のメリットの享受などがあれば、相当忙しい総合病院や精神科クリニックの先生たちにとっても、やはり裏付けされるものがあるのとないのとでは、意識も変わってくるだろう。そうした行動変容を目指すためにはそういうものが必要なのではないかと考えています。
 以上です。ご清聴ありがとうございました。
○今野座長 ありがとうございました。それではご質問をお願いいたします。
○岩崎委員 2つほどご質問を。4軸で評価をされるというような、極めて重要な視点だと感じましたが、それぞれの4軸の下位項目、9項目や10項目なりがあるかと思いますが、その辺の選択というか、元の設定の仕方の情報がもしありましたら教えていただきたいのが1点です。
 もう1点は38頁、39頁のところですが、両立支援の取組を行った30事例の両立を達成した方の各評価を得点化されているのですが、これはどの時点で復帰成功というか、両立達成という時間軸的にどのぐらいのスパンで、例えば復帰してから半年後なのか、復帰で順調な軌道に復帰できた時点なのかという時間軸もあると思うのですが、その辺の情報もありましたら。
○小山参考人 まず、アセスメントの4軸の下位の項目については、1番は臨床経験なのですが、やはり1人の臨床経験ではばらつきがありますので、労災病院には勤労者メンタルヘルスセンターというものが11カ所あります。そして職業災害学会や別の機会に労災病院メンタルヘルス学会を15回ほどやってきた中で出てきたこと。参考としましては、島先生が作成なさった「復帰の手引」などの非常に大きな項目があります。大きな項目だけなので、それを補強できればということは、具体的にはこうだろうというところです。疫学的にどれが何%あったという事前調査に基づいたものではありません。
 それから、39頁のどの項目も大体?又は?が70%達成していれば両立されていると考えたということに関して、どの時点をオーケーとしたかですが、正直申しますと、平成22年度にまとめた15事例は、例えば平成21年度に私が初診で見た人たちもいます。ですから、そうした方たちが、平成22年度中に休業した方は職場復帰をする数日前の段階とか、そうしたところで日付を付けています。ですから、例えば先生がご質問のお考えの中には、例えば職場復帰をしてどれぐらい就労継続、あるいは寛解が続いているのかということがあると思うのですが、それは非常にばらつきがあるのです。ですから23年度報告でいうと、23年度の2月の時点での報告もありますので、そうした方はまだ1カ月ほどしか経っていません。そして、全部の事例が30という小さいサンプル数なので、それを体系的には時間軸では解析しておりません。
○今村委員 取組2のほうなのですが、調査対象になっている事業場の規模というのが一覧で出ているのですが、あとのほうのいろいろな結果ですよね。それは特に企業規模別と関係なく出ているのですが、何かそういう規模別、前のが少ないからそこまでご覧になっていないのかもしれないのですが、何か傾向があるかどうかということが1点です。
 もう1点は、これは調査は100人以上ですよね。したがって当然産業医がいるということが前提になっているのですが、それより小さいというか、50人未満というところに対して何か先生にお考えがあればお伺いしたい。
○小山参考人 まず、事業場の規模によって何らかの取組での違いがないかというように理解をいたしますが、事業場の規模が大きなところ、場合によっては精神科に関する嘱託の産業医がいらっしゃるようなところですと、事業場外担当医から見た疾病性の醸し出す事例性の可能性等については、説明が非常にスムーズにいきます。ただ、やはりそうではなくて、産業医は月に1回やってくるだけで、ほとんど産業看護職が1人で頑張っているようなところだと、逆にとてもよく勉強している看護師もいらっしゃれば、まだ勤めて間もなくて、メンタルというものはすべて難しいというような、まだまだ不安の強い若い看護師などだと、前者に比べてなかなか説明が難しいとか、そういった感想はあります。ただ、先生ご指摘のように、1,000人以上の事業場の特徴などが抽出できれば検討したいと考えています。
 それから、今回の取組2の調査の対象が、産業医は必ずいるところで、産保センターから調整をしていただいたので、どうしても50人未満のところは対象として上がってこなかったと。50人未満のところは我が国で最も多いところですので、それを進めていこうと思えばやはりいまのストレスチェックなどが検討されている状況で、本当に地域産業保健センターのケアの力ですとか、あるいは何年か前に言われていたコンソーシアムで産業保健スタッフとしての働きを設けるような、外部専門機関のようなところがきちんとできれば、そういったところを介して意見、検討が交わせるかと思うのですが、現状はなかなか難しいかと思います。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○井伊委員 ご説明があったのかわかりませんが、ちょっとよくわからなくなったので確認させていただきたいのですが、38頁の両立支援取組を行った30例というのは、具体的には1企業1例だとか、あるいは1医療スタッフ1例なのかとか、30例に対しては実際何を取組として行ったかということについては、ご説明いただいたのでしょうか。
○小山参考人 説明をしたようなのですが、実例を挙げなかったので、イメージが伝わらなかったかと思っております。30事例がどういったところから抽出されたか。例えば企業からお1人ということではなくて、これは主には労災病院等の精神科外来、心療内科外来にやって来られた患者の中で、お示ししている疾患群で治療中の労働者で、職業生活に支障があった方、例えばこれから休業をしなければいけない、あるいは休業中なのだけれども復帰に向かうと。そうした方々です。ですから治療のみではなくて、職業生活、就労の支援をしなければいけないケースということでよいかと思います。
○井伊委員 就労支援を行った人はこの看護師か保健師かということになるのですか。
○小山参考人 それはこのレジメで申しますと、2頁目の事業場内外の連携の図示がありますけれども、その真ん中に当該の不調者がいらっしゃいます。こういった方々がこの取組の対象になっていますけれども、事業場外の担当医との間で疾病の治療が行われていると。治療上例えば何カ月間か休業いただくのだけれども、就労復帰の際にはこうした作業環境のことも影響しているでしょうとか、そうした情報はベクトルとして逆に事業場内の保健師等に返していくわけです。このような連携を行いながら、要するに患者と診察室の中での治療だけではなくて、事業場の中の産業保健師スタッフ、あるいは上司などと連携を行いながら、職業生活も支援するに至ったという方たちを両立の支援と呼んでいます。
○井伊委員 例えば職場復帰をするときに、部署替えができたとか、労働環境というか、労働条件ということの影響、配慮というのは織り込まれているということですか。
○小山参考人 そうです。どちらかというとそちらがメインで取り組んだということです。30事例というのは2カ年にわたって労災病院、一部労災病院以外のところにもご協力いただきましたが、その精神科外来でそのような治療を行いながら、そうした連携を行って取り組んだケースが2カ年で30例報告書には記載をしているということです。
○井伊委員 ありがとうございました。
○砂原委員 私どもの会社で産業医業務を受託させていただいている企業の中でも、メンタルの問題は非常に多いなと感じております。この両立ということをいま井伊委員からもお話がありましたように、全く同じところで同じ業務ができるようになったということとは限らず、いわゆる両立というか、寛解、治癒となっている人についても、100%ではなく、80%だけど一応よくなったという形で評価をされているというように認識をすればよろしいですか。
○小山参考人 30事例の中では、原職に復帰された方ももちろんいらっしゃいますし、原職のまま、休まずに就労継続できたという報告もありますが、先生にご指摘いただいたように、やはり病状はある程度よくなったのだけれども、これまでの作業環境、例えば1人でグループリーダーをやっていて、そこの部署にそのまま返すと超過勤務というのは変わらないというようなことであれば、産業医のほうに働きかけて、産業医から直接の管理者、人事労務に進言をしていただいて、ある程度人をあてがうとか、そうしたことをパラレルに進めることができれば、成功したとか、部署を変わられた方も結構ございます。30事例のうちどうだったかというパーセンテージを出していないので、そこが疑問が深いかと思いますが、30事例の報告書がもしも何らか手段としてうまくいけば、一般の事業場の産業保健スタッフにもう少し平易でわかりやすいようなバージョンで、好事例集のような形で普及に寄与できればと考えています。
○砂原委員 私の感想なのですが、そういう意味ではこのような形で医療費がかかるというだけではなくて、労働生産性が落ちることで、社会としてコストが発生しているという事実もあると思います。そういうのが研究されて、それを評価しながらこういう施策を打つべきだということを考えていけると、よりいいのかなと感じました。
○門山委員 この対象となった患者は、自分で労災病院の精神科に通院してきた人なのですか。
○小山参考人 大事なことをまだ申し忘れていましたが、産業医からの紹介、あるいは保健師、産業看護職から事前に電話をいただいて、病診連携を通して外来に来られたという方のほうが多いです。自らセルフケアの限界で来られた方もいらっしゃいますが、通常例えば産業医といっても、ある程度顔も知っていて、これまで連携をしたことがある企業の産業医ですと、非常にたくさん紹介も続いてしまいますが、看護職、保健師なんかも、これまで同じ事例に取り組んでともに苦労したりとか、そうしたところを気軽に相談をしてくれるというか、相談が来てしまいますので、そうした方がとても多くなっていったという印象はあります。
○門山委員 そこら辺が大事なのだろうと思います。あとは、印象としては、クライアントという言葉が正しいかどうかわかりませんが、企業側がむしろできることなのでしょうか。事業所のほうが困って相談をしていると。要するに患者自身が相談しに来ると。
○小山参考人 事業場側が困ってという言い方は。
○門山委員 産業保健スタッフなり産業医なり。
○小山参考人 そうです。2頁の図示でいいますと、職場の中でこの人がどうもいつもと違う事例性を発していると。これまであんなに元気だった人がどうも最近は疲労の色が濃いとか、そうしたことで多くは保健師などはイントラでメールをしたりとか、あるいはほかの体の有所見と絡めて、問診とか面接の機会は結構ありますよね。そうしたときに、かなり眠れていないとか、そうしたところから、この事例性が抽出されて、これには本当は病気の芽があるのではないかという疾病性の判断に困って、病院に行ってみるということで受診を促すとか、そうしたことがあります。そういう意味では事業場側がということにもなりますが、職場側が、こういう方がいて困っているのだけれどもというようなことは、この事例の中にはありません。
○門山委員 私は、いまメンタルはこの分野で両立支援でいちばん進んでいると思いますけれども、訴訟リスクというのがあるじゃないですか、事業所側の。その辺はどうなのかなと思って。
○小山参考人 訴訟のリスクですか。
○門山委員 だから事業所側で、例えばメンタルヘルスが原因で自殺してしまったと。それで事業所側が訴えられるというようなリスクがありますよね。もっと積極的に事業所側が出て行っているのかなと思ったのですが。
○小山参考人 先生がおっしゃられるのは、安全配慮義務を怠ったとか、長時間労働者の面接指導とかがきちんと行われていて、それでも疾病に至る方もそうでない方もおられると思うのですが、企業側としては、1つはどちらかというと、事業場外担当医よりも、企業側のほうがリスクマネジメントとしてメンタルの問題をお考えになっているということはあるかなと思います。
○今村委員 ちょっと先生のご発表とは直接関係ないのですが、教えていただきたいのは、先生のように産業保健も詳しいし、メンタルも詳しいという両方の立場で、企業側も先生にいわゆる問題のある方をご紹介すればきちんと対応していただけるとわかっているから、非常に連携が進むと思います。いま精神科のドクターそのものの絶対数は増えているけれども、どんどん開業される先生が増えていて、病院の先生たちも精神科の先生もものすごく過重労働になっておられるという実態の中で、なかなか疾病の難しさからいわゆる医療連携という形で、病院とその地域の精神科の診療所の先生の間でそういうネットワークというものが構築できるのかどうかというような印象を持っています。これは、日本中でこういう対応をしようと思うと、先生のような方はそうたくさんいるわけではないので、やはりその辺の診療所の医師、精神科の先生の役割というのはすごく大きいと思うのですが、その辺の先生のお考えをお聞きしたい。
○小山参考人 私は労災病院を始めとして総合病院にいて、一般の救急をやったりとか、事業場外との連携というのはエキストラの時間にやるのだけれども、日常的にある程度ルーティンに経験できたので、そうした土壌というのが自分の中にあるのかなというのは1つあります。もっと大きな問題は、この4つの軸のアセスメントを例えば、知り合いのクリニックで1日100人ぐらい診ている先生にこれをやってくださいと言ったときに、場合によっては叱られるのではないかなと思うのです。「こんなことは君らだからできるのだけど、僕らには無理だよ」と言われたときにどう持っていくかというのはあると思うのですが、ただ、数行の診断書を書く場合にも、ある程度職場復帰支援の手引の項目を補強するような形で、会社側がこういったことに関してはクリアできているかとか、具体的に図示をして、例えば、産業医のほうから、事業場が担当医にこういったところではどうですかと、書式を備えていらっしゃるところもあるかと思うのです。岩崎先生のところもそうかと思うのですが、そうしたものに回答をというような形であれば、どんなに苦しくても書くかなという気はしますね。ただ、1つの進め方としては、精神科診療所協会のほうにもこのような取組の報告があるのだけれどもというお話は、近々してみる予定です。
○今野座長 だいぶ時間も過ぎたので、よろしいでしょうか。
 それでは、本日はこれで終了したいと思います。次回について事務局からお願いします。
○調査官 次回でございますが、4月の下旬の開催を予定しております。日程等につきましては、改めてご連絡をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
○今野座長 それでは、終了したいと思います。ありがとうございました。


(了)

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