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2012年2月22日 第3回社会保障の教育推進に関する検討会議事録

政策統括官(社会保障担当)付社会保障担当参事官室

○日時

平成24年2月22日(水)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階専用第14会議室


○出席者

委員

梶ヶ谷穣委員 権丈善一委員 広井良典委員
細野真宏委員 前田昭博委員 増田ユリヤ委員
宮台真司委員

事務局等

香取政策統括官(社会保障担当) 武田参事官(社会保障担当)
塩見文部科学省初等中等教育局教育課程課長

○議題

・これまでの議論と今後の方向性について
・教材案について
・社会保障に対する正確な理解について
・その他

○配布資料

資料1これまでの議論と今後の方向性について
資料2社会保障 学習項目の整理(案)
資料3教材(案)(ワークシート)
資料4社会保障に対する正確な理解について
参考資料朝日新聞 2001年8月16日付16面 『彦根東高校新聞部員 年金「つぶれない」って本当?』

○議事

○権丈座長 ただいまから、第3回「社会保障の教育推進に関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆様には、御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日は、残念ながら御都合が合いませんで、大杉委員と宮本委員が御欠席となっております。
 文部科学省から、塩見課長に代わられましたので、一言お願いできますか。

○塩見課長 失礼いたします。文部科学省教育課程課長の塩見と申します。1月の人事異動で着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

○権丈座長 では、早速ですが、議事に入りたいと思います。
 これまでの議論を踏まえて、事務局で資料を準備していますので、事務局の方から配付資料の確認をお願いいたします。

○武田参事官 それでは、事務局の方から配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 本日、お手元に資料を配付しておりますが、まず、資料1が「これまでの議論と今後の方向性について」ということで、3ページものの資料をお配りしております。
 それから、資料2、A3、カラー刷りの資料でありますけれども、「社会保障 学習項目の整理(案)」というA3、2枚の紙になっております。
 その次に資料3で、これもA3ですが、ワークシートの教材(案)ということで、本日、たたき台をお示ししております。これが3-Aから、B、C、D、Eまで5枚付けております。
 その後、A3に挟まれて1枚だけの資料になりますが、A4、1枚の資料4で「社会保障に係る正確な理解について」という紙をお配りしております。
 そのあとに付いておりますのが、参考資料として、権丈座長から御提供いただいた朝日新聞の記事コピーが1枚ついております。
 更にその次に、同じく権丈座長から御提供いただきました、「誰が何を間違えたのか?」というタイトルの記事コピーをお配りしておりますが、こちらは「週刊東洋経済」の抜粋でございまして、著作権の関係でこの場限りの配付。後ほどホームページ掲載は行わないということで、この資料の取扱いをさせていただきたいと思っております。
 資料の不足などございましたら、お知らせいただければと思います。
 資料確認は以上でございます。

○権丈座長 ありがとうございました。
 それでは、一旦、資料3までを議論したいと思いますので、資料1から資料3まで、事務局の方からご説明いただければと思います。

○武田参事官 それでは、かいつまんでご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、お手元の資料1ですが、「これまでの議論と今後の方向性について」ということで、過去2回この場で議論いたしました主な内容を、2ページ目、3ページ目に主な御発言を拾ってございます。大きく分けまして「学習すべき中身」に関連する主な意見、「教え方」に関連する主な意見、「教材の使われ方」に関連する意見、その他の意見、こういうことでございまして、大変有益な意見を多々いただきましたので、整理をいたしております。
 これをまとめておりますのが1ページ目でありまして、これまでのいただいた議論でございますが、社会保障の学習内容については、制度の内容というよりも、とかく現在の学習の実態が、制度の内容又は制度の名称という制度論が多いので、そういう制度内容というよりも、制度の根底にある支え合いの思想・哲学などを重視すべきという御意見が多かったように考えております。
 また、学習方法につきましては、前回の検討会での参考人の先生のお話も踏まえますと、自ら主体的に考え、自分の考えをまとめ、ディベートなどを含む意見交換を通じて理解が深まる「ワークシート形式」の活用に賛同する意見が多かったと思われます。
 一方で、年金を中心に社会保障制度の仕組みなどについては正確な理解が若干難しい面があり、それらについては、ディベートの前に基本的な仕組みを整理して教えることが必要という御意見もあったところでございます。
 こうした議論を踏まえますと、今後、当検討会で検討すべき内容といたしましては、1つは、ワークシート形式を活用した学習項目・教材案について御議論をいただいたらどうか。それから、それ以外の形式による学習項目・教材案についても御議論いただいたらどうか。こういう大きく分けて2つについて、それぞれ検討していくことが必要ではないかということで整理をさせていただいたのが資料1でございます。
 資料2、A3の横長の大きな紙になりますが、学習項目を整理をしてみたものでございます。左から順に、分類、主題、学習目的・到達目標、想定されるテーマの例。参考までに高等学校の学習指導要領の解説で、それぞれの分類、テーマについて、今、何が書いてあるかということを引用抜粋で書いてございます。それから、関連のあるワークシート案ということで、この後お配りをしましたAからEまでのワークシート案のどれに関係するかということで書かせていただいているものでございます。
 資料2の大きな分類で言いますと、まず、社会保障学習の前段ということで、人生、社会についての理解が不可欠ということもございましたので、社会とは、望ましい社会・幸せな社会とは、ということで想定されるテーマを書いているところでございます。
 それから、人生についてということにつきましては、自立・自助の原則の理解、子どもと大人の違い、人生と「リスク」といった点がテーマになるのではないか。
 それから、「社会保障(全般)」につきましては、社会保障の理念、歴史、役割、機能、その次のページにまいりまして、社会保障の種類と概要について。
 それから、「社会保障の課題について」。「社会保障の課題について」というのは、課題というのがすぐ問題点というふうに直結して理解をされるとなかなか難しい面もございますけれども、社会保障の現状において直面する課題、こういうテーマがあろうかと思います。これは学習指導要領の中でもいろいろ書かれているところでございます。
 それから、最後の2項目、社会保障の各国の制度について、社会保障に対する正確な理解について、ということにつきましては、後ほどちょっと触れさせていただきますが、例えば世代間の格差の公平、不公平といった議論なども、こういう議論をする場合に不可欠な問題となるのではないか。ただ、最後の2項目につきましては、ワークシートという形が適当かどうかという問題もありますので、ワークシートにはこの項目は触れられていないということになります。
 続きまして、資料3-Aになります。資料3-AからEまでは、事務方で作成したイメージでございます。全部書き切っていないところも多々ございますし、大変生煮えのものでもございますので、たたき台として御理解をいただいた上で、後々に公表する場合には、これはきちんとできたもので公表していくということを考えていきたいと思います。
 まず、資料3-Aですが、資料3-Aは比較的少ないんですが、青字の部分がございます。青字の部分というのは、回答例ということで、教師又は指導者が授業を進める際のガイドラインとして記入をしているということになります。
 資料3-Aは、人生と社会保障のかかわりということで、人生は楽しいことばかりではありません。さまざまな困難が訪れます、ということで、必ずしも自助努力という自己責任では考え切れないリスクがさまざまあるということの理解。例えば、今、実際にどれくらいの人がこういうリスクに直面しているのかという数字を見ていただいたり、ここでは4点挙げておりますが、そのほかにも失業者とかDVとか介護問題とか、こういう例を出してリスクを実感してもらうということがあってもいいのではないかということです。
 それから、2番のところも、これも考え方はいろいろあろうかと思いますが、社会保障制度の意義を議論する場合に、社会保障制度がなかったらどうか、どうなるのかということを少し理解をしてもらうための設問としてつくっておりますけれども、例えば、医療保険において、公的医療保険がなくて、個々人が民間の医療保険を選ぶ場合に、どういうことが起きるのか。結果的にお金を持っている方、健康な方ほど安く保障が得られるといったことが社会的に公正なのかどうか。又は、そういう方を救うための会社があったとしたら、存立していけるのかどうかということを、少しケーススタディ的に学んでみたらどうかということで、とりあえず書いてみたということであります。
 それから、「考えてみよう」という欄を1個つくっておりますけれども、例えば視覚障害者が真に幸せな生活をするためには何が必要か。これは、社会保障制度もあると思いますし、そもそも真に幸せな生活とは何か。多様な議論に発展をする可能性があるかなとも思います。
 それから、3-Aの右側ですけれども、社会保障の基本的考え方として、自助、共助、公助という問題がございますので、その概念について理解をしていただく。それについて生涯を通じた安心という観点で議論していただくということをやってみたらどうかということで、ここの自助、共助、公助の考え方につきましても、さまざま御議論があると思いますので、御議論いただければと思います。
 最後に感想を書くということでどうかということです。
 続きまして2枚目、資料3-Bは、社会保障をとらえる見方や考え方ということを記載しておりまして、これは、先ほどの学習の目的にありましたように、社会保障を理解するためには、まず、自分たちの所属する社会というところからスタートしなければいけないのではないかという問題意識なんですけれども、まず、社会の成り立ちとして、自分がどこに所属しているのか、その所属によってどういうグループ分けができるのか、そういう属性別にどういうリスクがあるのか、こういうことを自分に即して少し議論してもらう。
 それから、社会保障の観点から言いますと、支援という考え方がありますので、こういったグループのうち、何らかの支援を必要とするグループはどれかということであります。青字でたくさん書いてありますので、青字が付いているところをいろいろ考えつくかと思いますが、高校生にこういう設問でどんどん意見が出てくるかどうかというところも御議論いただきたいところでございます。
 そして、更に、そういう中にあって何が優先的に行うべき支援なのかということを考えていただく。ありとあらゆるリスクに公的に支援できるわけでも必ずしもありませんので、何が優先されるべきかということを議論することによって、リスクというものの理解が進むのではないか。
 右側にまいりまして、そのために必要となるのは何なのか。支援を提供できる人はどういう人なのか。費用はだれが負担すべきなのかということを書いてございます。
 こういったことをやって、最後にまとめとして制度を考えていただくということになります。
 それから、次の資料3-Cになりますけれども、「政府の役割と社会保障」というテーマで、これは、政府の役割としての財政の役割とも密接不可分になりますので、多少、社会保障というよりも財政の話も入っておりますけれども、政府の役割として、お金を集める。税金、社会保険料という大きな2つの区分がある。更に、お金の配分先としてさまざまなものがあるということを見ていただいた上で、税について下の表に知っていることをまとめてみよう。それと、社会保険料というのはどういうものがあるのかということを教えてみる。
 その上で、財政の流れの中で重要な役割が3つあると言われておりますということで、通常の財政の機能として掲げられているものを3点挙げております。
 それから、右側にまいりまして、それと関連した社会保障の意義ということで、これも3点考えております。
 そして、最後のところでは、どうやってどのくらいお金を集めるのかというような財源問題につきまして、身近なところから考えるように設問を幾つか考えております。多少このページは、財政の学習に近くなりますけれども、そういう整理をしております。
 それから、3-Dは「これからの日本の社会と社会保障」ということで、これは大変よく見る図ですけれども、やや刺激的にタイトルを書いております。おじいちゃん、おばあちゃんを支える絵ですけれども、少子高齢化では支えのバランスが崩れる。社会保障制度は維持できないという話題を目にしたことがあるかもしれませんという書き方なんですけれども、その下に書いてあるのは、ちょっと待ってください。少子高齢化によってこうなるのは事実。これ自体は事実だけれども、私たちは、これまで社会保障制度を充実させてきた。昔と最近の間で随分支え手の数が違っておりますが、社会保障制度をつくることによって、皆で支え合う不安のない社会を築いてきた。そういうことで、将来に向かってもいろいろ私たちができることがあるのではないかということで、下に絵がかいてありますけれども、支えられる側から支える側に回ることも考えられるし、支える側の若い世代を増やしていくということも考えられるし、そういった点を少し考えてもらったらどうかということ。
 それから、右のページになりますと、目指す社会についての総論的な御議論。
 それから、「聞いてみよう」コーナーでは、先ほどのテーマと関連いたしまして、じゃ、自分のおじいちゃん、おばあちゃんはどうやっていたのか。又は、昔というのはどういう暮らしだったのか、今と比べてどうなのか、こういう議論を身近な人の話を聞きながら考えてもらったらどうかということを「聞いてみよう」コーナーでちょっと入れてみた。
 最後の3-Eですけれども、人の一生と家族・家庭、福祉ということで、平均的なライフサイクルの1920年、1961年、2009年と並べております。これはまさにファクトなわけですけれども、これがどういう点が変わったのか、何が変わっていないのかということをちょっと考えていただく。そして、より数字として人の一生や家族をめぐる変化も少し整理をしている。これを受けて、どのような課題があって、どういう支援が新たに必要になってきているのかということを少し議論をしていただくということになります。
 老後の期間が一見して長くなっておりますが、その手厚い介護サービス、老後を支える年金といった問題もあるとは思いますし、一方で、若い世代を支える社会的な必要性が起きてきたということを議論していただくということが必要なのかもしれません。こういったことを受けて議論していただいたらどうか。
 以上、5枚のワークシートをつくってみたということでございます。御議論賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○権丈座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ワークシートに関してご意見を伺いたいと思います。いろいろなスキルを持たれている方々が委員の中にはいらっしゃいますので、存分にお願いします。私がこの前読んだ高校の教科書とは全然違って、こういうワークシートが普及していくと随分いいのではないかと思いますけれども、何か御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○宮台委員 まず気がつくことは、日本的な特殊性に対する手当てをした方がいいかもしれないということなんですね。「政府は貧困家庭を助けなくてよいか」という質問に対して「イエス」と答えるのは、OECD加盟国その他を含めて、日本が断トツで1番で34%ですね。次が新自由主義の国アメリカの27%で、ヨーロッパは、西ヨーロッパについてはほぼすべて10%以下です。これは恐らく、政府が家庭を助けるとか個人を助けるということの意味がよく理解をされていない。日本以外の先進国の多くでは、こうした政府の補助は、あるいは助けは、簡単に言えば、社会を保つための助けであって、アンソニー・ギデンズという社会学者によれば、それは社会投資国家、社会が存続するために政府がお金を出しているということであって、たとえそれが個人に対する給付という形を、あるいは世帯に対する給付という形をとっていても、それは社会を支えることであるということが、日本では余り理解をされていないということが重要だと思います。
 それと、これは、権丈先生がいろいろなところが書いていらっしゃるし、細野さんも書いていらっしゃることなんですけれども、3-Dの高齢者を低年齢の人が支えるというこの図式を書く前に、経済の基本的な仕組みを教えてほしいと思うんです。御存じのように、GDPで測られるような経済成長は、生産人口と労働生産性を掛け合わせたものと投資によって決まってくるわけですよね。したがって、例えば生産人口が減っても、労働生産性が上がれば、経済成長率は保てることになりますね。更に、常識的な話で申し訳ないんだけれども、非生産人口と高齢者人口は全く同じではなくて、非生産人口の中には、子どもと高齢者が、そして失業者が含まれているわけですね。したがって、例えば、外国人労働者を入れるにしてもいいし、若年労働者の比率にしてもいいんだけれども、事実上、失業率が若年層において非常に高い状況を考えてみると、これは別に若年者の人口が減っているから社会が厳しくなっているのではなくて、人口が減った若年者でさえ、実は就職できないという、この現状を放置している経済的無策と言うと言い過ぎですね。経済的な問題が背景にあるわけですね。なので、単なる年齢人口のバランスの問題だけで議論するのは不十分なので、その辺について少し前提条件を皆さんにお知らせした上で、こういうワークシートをやっていただくのがいいのではないかと思いました。
 以上です。

○権丈座長 どうもありがとうございました。
 
 私もこの絵を見て、これはまだ公にしない方がいいなと思うんですね。最近というか、ここの1~2年、社会保障と税の一体改革とかいう話が出てきた中で、最近まで増税の必要などないと言っていた与党の政治家たちはどうやって増税の必要性を説明しようかと考えた挙げ句、昔、この国で使われていた手段を使いはじめたようなんですね。人口構造が、昔は胴上げ型だったのが、騎馬戦型に、将来は肩車型になるから、さぁ大変だという、あの話ですね。ああいうのは、昔、言葉は違えどいっぱい言われていましたけど、あの手のキャンペーンからは、世代間の対立とか、将来に対する恐怖心、社会保障に対する不信感というようなことばかりが生まれてしまって、少しもいいことなかったわけです。だから、そういうキャンペーンは、社会保障や税制の改革には逆効果だから止めましょうよと、私は10年以上前に書いています。
 だから、次回の検討会では、勤労世代とか就業者が支えている、おじいちゃん、おばあちゃんのところに、子どもや大学生も乗せてもらいたいですね。少子高齢化という現象は、高齢者が増えていったとしても、子どもは減っていくことなのですから、人口構造が、胴上げの時代にも、騎馬戦の時代にも、就業者1人当たりの人口というような指標は、さほど変わらないわけです。将来の肩車型社会になったとしても、やるべきことをやっていけば、さほどおそれる必要もない。
 それと、「サザエさん」の波平さんって54歳なんですよね。定年の一年前の設定でしたから。でも、54歳の波平さんよりも、今の郷ひろみさんの方が年上なんですよね。だから、例えば65歳というある年齢を固定して、それ以上の人たちが、昔は何人で、それが今は何人になって、将来はという話をしてなんの意味があるのか。ああいうキャンペーンはやめた方がいい。
 そういう意味も込められているのでしょうか、このワークシートでは、元気な高齢者は支える側になってもらうという絵も描いてありますね。もう少しその辺りを整理して完成した形で公にした方がいいと思います。描き方としてはもうちょっと工夫が必要かもしれませんけれども、流れとしてはいい方向に向かっているんじゃないかという気はいたします。
 どうもありがとうございました。
 ほかに何かありますか。宮台委員も追加して言いたいことがありましたら、どんどん後で言っていただきたいと思います。
 先ほどの社会保障の理念とか、何のためにこういう制度が必要になるかというところで、第1回目の検討会で、理念の問題とかを教育した方がいいのではないかと以前おっしゃっていた広井委員の方から、このあたりのところお話しいただければと思うのですが、よろしくお願いします。

○広井委員 理念の話ですが、その前に1点、これは、ワークシートのみならず項目も含めて議論していいんですね。
 1つ、是非入れてほしいのが、NPO論とかソーシャルビジネスみたいな話なんですね。ワークシートのところでもNPOの話とか出てきていますけれども、大学で社会保障論を1年かけてやっているときに、ある意味で一番学生が食いついてくるというか、目を輝かすのが、NPOとかソーシャルビジネスのような話なのです。どうしてかというと、自分たちが直接関わっていけるというか、制度の話というのはどうしても直接自分たちが動かすという意識が持ちにくいところがあって、そういった意味で、非営利組織とか、NPOとか、社会起業みたいなこととかでどういうことがやっていけるのか、どういう動きがあるのかみたいなことに今の若い世代は大きな関心をもっています。加えて、そういうことを考える緊張関係の中で、では、それでもできない部分は政府がやる必要があるといった議論にもつながるか。だから、生徒とか学生が主体的に参加できる部分というか、その辺をわりと意識したらいいのではないかというのが最初です。
 次に、今、権丈先生が言われた理念のところですが、前にも言いましたように、意外に、むしろ抽象的な話の方に子どもとか学生は関心を示すという部分があります。つまり制度論にいきなり入るよりは、そういう意味では、ある意味ではマイケル・サンデル的な議論といいますか、これからの正義の話をしよう的な、平等とは何かとか、機会の平等、結果の平等とか、そういった話がありますし、もうちょっとかみ砕いて言えば、人生の初めに共通のスタートラインに立てる社会がどうとか、個人の自由というのはどういうものかとか、あるいは、そこでリベラリズムだの、コミュニタリズムなどという言葉を使うのは、小学生には難しいかもしれませんが、そうしたテーマへの関心は強い。
 あるいは、ワークシートの中でちょっと出てきましたけれども、市場にゆだねてよいのはどういう領域で、仮にそうした場合にどういう問題が生じるかみたいな話ですね。
 かつ、それを、さっき宮台委員も言われていましたけれども、国際比較的な話とも結び付けて扱う。たとえば北欧とアメリカの対比みたいな話はわりと関心が持たれますし、資料にある公助、共助、自助の話が、単に理念の違いとしてあるのではなくて、実際にそれが、公助、共助、自助のどの部分に力点を置くかというのが国によって非常に大きな違いがあって、それが現実社会のリアリティに非常に大きな影響を及ぼしているというところを、そういう理念の部分と国際比較みたいなところも更に結び付けて示すとよいと思います。更に言うと、前も言ったかと思いますけれども、マイケル・ムーアの「シッコ」みたいな映像なんかも適宜使いながら示すと、考える材料になるのではないかと思います。
 それから、もう一点、ちょっと話題を広げ過ぎてしまうのかもしれませんが、「人生」のところで、生命倫理的な話といいますか、これも実は学生とかが非常に関心を示すところで、死生観とかターミナルケアみたいなことを入れてほしい。センシティブな問題もあるかもしれませんが、生命倫理的な話もなかなか答えは1つには出ない問題かもしれませんが、関連付けていいのではないかと思いました。
 以上です。

○権丈座長 では、第1回目を伺いましたということで、また後ほどお願いいたします。
 ほかに何かございませんか。お願いいたします。

○前田委員 前田です。
 ワークシート、こういうことをやったらどうかということで例題として挙げていただいたんですが、今日の資料1の中にも、ワークシート以外の学習項目の教材案等も検討する必要があるのだろうと書いてありますので、それは後でまた議論されるのでしょうけれども、まず、私は、基本的なこともある程度教えてあげて、それをもとに、ワークシートはある意味では練習問題のような気がします。ですから、特に年金の話ですと、後ろの方に絵がかいてありましたけれども、きちんとした制度を理解しないと、私は年金についてのワークシートがもしあったとしたら、理解できないと思うんですね。ですから、そのあたり、これは1つのたたき台でしょうけれども、是非そういうことも必要ではないかなと思っています。
 それから、あと、これは一応高校生を前提にしてつくってあるんですけれども、高校生というと、もうアルバイトをしながら、社会とも関わり合っていますので、もう少し実務的なことも、例えば、働いて給料をもらったらどういうふうになるのかとか、あなたの保険料がこういう形で払われますとか、こういう形で所得税が控除されますというような、もう少し実務的なこともワークシートの中に入れた方がいいのではなかろうかなと思っております。
 というのは、今回は直接は関係ないんですけれども、例えば高校生、大学生が社会に出ていきますと、必ず個別の労働紛争がいっぱい今起きています。例えば、給料の額を約束したんだけれども、きちんとした形でお給料がもらえないとか、雇用の期間をすぐ縮められたとか、途中で打ち切られたとか、そういうような形で、働くということを前提にして考えていけば、また違う形のワークシートもできるのではないかなと思っております。
 この中で1つだけ確認したいところがありまして、Bの1の?のところにモデルの回答が書いてあるんですけれども、これは、高齢者、高齢者と2つ出てきているんですけれども、これは高齢者、障害者、介護者、何でしょうか。これはミスプリなのかどうか知りませんが、後でまた調べておいていただきたいと思います。
 以上です。

○権丈座長  宮台委員、どうかよろしくお願いします。

○宮台委員 先ほど経済成長の話をしたので、少しだけ補足をしますけれども、グローバル化が市場や政府の長期的な将来についての見通しを非常に難しくしているということも、はっきり言った方がいいと思うんですね。というのは、権丈さんも書いていらっしゃった、100年なんたらかんたら、何かインチキ言葉がありましたよね。

○細野委員 100年安心プランですか。

○宮台委員 100年安心プラン。そういう概念そのものがそもそも成り立たないんだということをはっきりさせることが必要だと思います。
 更に、単に経済成長すればよいのではなくて、経済学的には、生産要素というのは、国際経済の中では均等化していく、あるいは平均利潤率均等化という方向がありますので、御存じのように、新興国が追いついてくるような経済部門で経済成長率を達成しても、所得の分配、労働分配率が下がってしまうので、実は皆さん、勤労者の所得は豊かにならない可能性が出てくるんですね。なので、経済成長にも幾つかの種類があるということをはっきりさせた方がよいと思います。「物から人へ」みたいな単純な議論がなされていますけれども、それよりも、新興国などが追いついてくるような領域から、そうではない領域に産業構造改革を遂げるということが本当は大事なんだということを、どこかのタイミングで入れないと、経済成長というと従来の経済団体の中核を占めるような鉄鋼や電力や自動車が頑張ればいいのかという話になってしまいがちですので、ちょっと注意が必要かなと思いました。

○権丈座長 わかりました。
 
 まぁ、普通に考えれば、年金でも何でも、100年安心な社会制度なんかできるわけがないんですね。ところが政府の中の一員としてではないのですけど、ある政党が2003年の選挙戦のなかで我慢できなくなって「100年安心」という言葉を使ってしまった。その後は、これはちょっとまずいと思ったようで、この言葉は控えるようになっていくわけですが、「100年安心プラン」という言葉は、この制度を批判する側からみれば格好の批判材料となるんですね。「100年安心と言ったじゃないか!」と言えば済むわけですから、こんな楽な話はない。実は100年安心プランというのは、今の年金制度を攻撃する人たちしか使っていないですね。そして、2004年年金改革の政府側にいる人たちは、閣僚も官僚も、100年安心プランなんか一回も言っていないわけです。
 それと、社会保障というのは、いろいろなところで情報攻撃にさらされているという側面もあります。例えば民間の保険会社とかにとっては、消費者に年金はすでに破綻していますと伝えるのが非常に合理的な情報提供となる。こうした情報を見極める力、ちゃんと考えることができる力をどこかで身につけてもらわなければならない。そういう問題意識も少しはある。その視点から見ると、このワークシートは何か足りないなという気がしますね。
 どうぞ。

○細野委員 細野です。
 
 まさに今、権丈座長がおっしゃっていたまんまのことを私も同じように考えていたんですけれども、更に私なりに補足させていただきますと、そもそも「100年安心プラン」という言葉が独り歩きし過ぎているところに大きな問題があるんですよね。ただ、2004年改正の時に公明党がキャッチコピーとして使った「100年安心プラン」という用語は、全くセンスがないのかと言われたら、私はそういうわけでもないと思っているんです。2004年改正の「100年単位で年金財政を均衡させよう」という話を、どのように分かりやすく表現するか、となれば、あのような表現が案として出てくるのは、理解はできる。だけど、あの言葉がマズイのは、結局、世の中は表面的なイメージでしか物事を理解しないので、「100年安心」という文字を見たら、表面的にそこしか理解しないんですよね。つまり、あの2004年の改正時は、きちんと「5年に1度の財政検証」というものも仕組みとして組み込まれていて、当時も「その財政検証の仕組みもひっくるめて100年単位で考えていますよ」と説明していたわけですよね。ところが、「財政検証のプロセス」というところを一切知らないような状態で、仕組みは無視され、「100年安心」という言葉だけが独り歩きして、「100年安心はウソだった」みたいな、単なる「レッテル張りの道具」として使われてしまっている。教育が機能していないと、安易なレッテル貼りばかりが横行し、今のような閉塞感を生んでしまうような現状があると思うんです。
 そこで、可能であれば、権丈座長と香取統括官に御意見を伺えればとも思っているんです。この「100年安心プラン」といったキャッチコピーの正確な意味を少なくとも私たちは、仕組みを踏まえて理解していると思うのですが、どのような表現であれば、「誤解が少なく、できるだけレッテルを張られないような用語」にしていけるのか。それこそ今この場にいらっしゃるメディアの方々にもちょっと考えてもらいたいんですけれども、どうすれば正しく、レッテルが張られなく、正確に分かりやすく仕組みが伝わっていけるのか。そこの答えを今日にでも見つけることができれば、この会議にとっても、世の中にとっても大きな進歩になると思います。
次に、今回提示された教材の中身のコメントに入る前に、今、権丈座長がおっしゃっていた世の中の誤解みたいなものをどうやってなくしていけばいいのか、という話なんですけれども、確かに本当に深刻だと思うんですね。
 例えば教材案の3-Dの図ですね。「昔は何人で高齢者を支えていたけれども、これからはだんだん騎馬戦が壊れていく」と。単純なこの図だけを見ると、こんなものは持つわけがないじゃないかというイメージをもち、それだけで結論を出すわけですね。テレビとかメディアは、「いかにわかりやすく」といった安易な視点だけで伝えてしまっていて、彼ら自身もこれでわかったつもりになって、スタート地点から誤解して報道してしまっているんですね。
 だから、子どもの教育というものと同時に、その誤解の元をどうやって絶つのかというところも併せて考えていかない限り、たとえ子どもの中で個別の各論はそれなりに理解が得られたとしても、「ちゃぶ台返し」になる可能性が低くない。つまり、「そもそもこうやって少子高齢化で仕送り方式なんだから、持つわけないじゃないか」という、その一言で全部、せっかく頑張っていろいろ教師とかとディスカッションとかしながら、子どもの中でそれなりに理解が芽生えてきていても、そこのスタート地点で全部ひっくり返されてしまうリスクが大きくあるんですね。だから、「本当の根本的な誤解をどうやって絶てばいいのかな」というところが深刻な話としてあって、具体的にどうしていけばいいのかというところで、例えばこの場で、前回、有識者の方に具体的な教育の方法についてサンプルで来ていただいたんですけれども、そういうヒアリングみたいな形で、なぜここをこういうふうに間違えた報道をしているのかというところを、具体的にディレクター、もしくはキャスターか何かに来てもらって、そこで実際に彼らの。

○権丈座長 今日も傍聴席に大勢いらっしゃいますけれどもね(笑)。

○細野委員 いらっしゃいますよね。例えば、先ほどテレビ東京さんがいらっしゃいましたよね。テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」という番組は非常にまともな番組で、とてもいい番組だと思っているんです。ただ、年金に関してだけは、すごい間違いがあるんですね。すごい間違いというのは、立場の違い云々とかではなくて、「1+1=3」くらいのレベルの間違いが結構あるんです。
 例えば、具体的に言えば、「今の国民年金というのは、実際に払った保険料と将来もらえる年金で比べたときに、平均で1.5倍以上にどの世代もなるようになっている」という話なんですけれども、それを番組でどのような感じで伝えられていたのかといったら、民間の定期預金と比べて、定期預金でもキャンペーンなどを利用すれば、利率によっては元本の1.5倍を上回るような場合があるから、定期預金の方が得だ、ぐらいに、具体的な数字を出しながら番組の最初の大きなトップの特集で堂々と報道してしまっているんですね。そこではキャスターとかは当然のことながら、専門家であるはずの大学教授ですらも全然スルーしていたんです。これは根本的にどこを間違えているのか、というと、要は「名目と実質の違い」にすら気づいていないんですよね。先ほどの年金の話というのは、あくまで「実質」の話で言っていて、民間の定期預金というのは、見た目の「名目」の話なんですね。このような、超基本レベルのスタート地点からすごい間違いをして、それに未だに気付いていないような現実があるわけです。あのような専門番組ですら、このような状況なので、ましてや他の番組というのは、山ほど誤解というか、間違い、「1+1=3」というような初歩レベルでの誤報が起こっているんですね。だから、元のところの誤解を正さない限り、ここでどう教育していっても無理なのではないかと、ちょっと残念な感じで思っているので、そこの問題を同時にやるべきなのではないのかなと。
 まず、今、権丈座長の話を受けての、この2点があるんですけれども、まずは、そのうちの1点目の「100年安心プランという言葉の独り歩き問題」を、どううまく変えていけばいいのかというところを、香取統括官に伺いたいんですけれども。

○香取統括官 今回、我々も初めてつくっているので、正直言うと、あまり自信ありません。つくっていくと、皆さんがおっしゃったような、特に宮台先生がおっしゃったような話にたどり着きます。
 例えば年金制度の話をするときに、年金制度だけで話をするとそういう話になるんですね。この絵もそうなんですけれども、社会の支え合いであるとか、働く人と支えられる人ということで考えると、年金制度は100年安心かというと、日本国が100年安心ならば年金制度も100年安心なんですね。経済政策、例えば成長戦略とかありますよね。100年安心の成長戦略というのはあるんでしょうか。100年安心の教育政策とか。100年安心の消費者政策とかってあるのでしょうか。どうも社会保障の話をするときに、例えば人口の問題、人口が高齢化するとか、生産年齢とのバランスがという話になりますが、実は社会保障を議論する前に、そもそも日本国がサスティナブルであるかどうか。経済の問題も含めてどうなのか、という。実はそこの問題なのであって、日本国の経済が一定のフレームで動くのであれば、そのフレームの中で社会保障制度はつくられるわけですから、経済は下部構造で、社会保障は上部構造なので、例えば、2%成長するのであれば、2%成長前提の社会保障制度になるんだし、マイナス1%成長が続くのであれば、そういう社会保障制度になるので、破綻する国家の経済のもとでつくられる社会保障制度は破綻する社会保障制度になるのでであって、年金制度だけ取り出して、一定の経済前提や人口前提のもとで、破綻するかしないかという議論は、設定自体が無意味なものです。

○細野委員 そうなんですよね。

○香取統括官 なんですが、例えば、我々、5年ごとに人口推計を行って公表していますけれども、人口推計を出したときの最初のリアクションは、年金制度がこれで持つかどうかということです。しかし、実は問題はそういうことではなくて、人口が減少して高齢化する社会というのは、一体どれくらいの成長が確保できるのかとか、その社会で、先ほどお話があったよう、生産年齢人口と従属人口のバランスを維持するためにはどうすればいいのかとか、多分問いの立て方はそちらになるはずなんですね。
 なので、この絵もなかなか難しいんですけれども、今回、Eというのをつくってみたんですが、Eというのをつくったのは、実はその話をどういうふうにしたらいいのかなと思ってつくったんですね。この絵は何を言っているかというと、あなたが一生のうち何年働いて、何年他人の世話になるかということなわけです。個人の人生のバランスがこうなっていて、これを束にすると国家のバランスになるわけですから、この絵を見せて、年金をどうするかの前に、先ほどの話で言えば、どれくらいの人が社会で働いて、どれくらいの人を支える。あるいは、働く人、経済を回すための労働力を確保するためには、どういう政策があって、その先に、じゃ、社会保障制度はどうするかということに多分なるので、前提となる社会制度をどういうふうに考えて、自分たちの生活設計をどう考えていって、この延長線上から年金のことを考えないといけません。そういう議論の仕方をしないとだめなのではないかというのが私の感じです。

○権丈座長 どうぞ。

○宮台委員 僕が冒頭に申し上げたことは、今、香取統括官がおっしゃったことと全く同じことなんですね。なので、問題設定は、社会の持続可能性と両立可能な社会保障、あるいは社会の持続可能性を支える社会保障という考え方だけであって、自分の将来がどうたらこうたらという話は、制度論としてははっきり言ってどうでもいいんです。ただ、マスコミは、どうしても人々の不安をあおると視聴率が上がるという神話にこびりついているせいか、どうも人々の不安をあおる方向ででたらめな情報を流しまくっているので、問題設定そのものを変えていただきたいんですね。社会の持続可能性を支える、あるいはそれと両立可能な社会保障制度、これ以外の枠組みで社会保障を教えている国は恐らくないと思います。

○権丈座長 どうぞ。

○前田委員 前田です。
 ワークシートの件でお話し申し上げますと、例えば、ここにいらっしゃる委員の方は、大学の先生や高校の先生ですから、これをそのまま教えるというのは、すごく簡単ではないかなと思うんです。今度、高校生が果たしてこれをこの状態で理解するのかどうかというのは、すごく疑問ですよね。これは大人の立場でつくったものだと思うんです。
 そうすると、ここに高校生の先生もいらっしゃいますから、後で意見をいただきたいと思うんですけれども、高校生そのものがこれを見て、じゃ、何かこれを討議しましょうとか、じゃ、考えてみましょうとか、そういうことになっていくのかどうか。もともと社会保障というのはみんななじみがなくて、大人もわからないし、多分学校の先生も教えるのに一苦労していらっしゃるというのが現状だと思うんです。そうしますと、学校の先生は、指導要領等で理解していらっしゃるんでしょうけれども、それをかみ砕いて子どもたちにどうやって教えていくのか。もし、このワークシートでいくとしたら、生徒は、とっくきにくいということを思うんですね。ですから、この中には盛りだくさんの情報が入っていますので、これをどういう形で教えていくのかは、学校の授業のカリキュラムの関係もあるのでしょうけれども、年間を通してどのぐらいの授業のコマが取れて、どういう形で教えていくということが、今、どのくらいなんですか。2時間ぐらいとか聞きましたけれども、授業の中でもっとあるんでしょうか。とりあえずこの部分、ワークシートは副教材ということであれば、もう少しわかりやすい状態でつくり込んでいったほうが、高校生としてはとっつきやすいということを今思っております。

○権丈座長 後で高校の現場の視点から梶ヶ谷委員にお願いしたいと思いますけれども、その前に先ほど細野委員の方から出た、100年安心とはどういう意味の言葉なのかというのがありましたので少し説明します。
例えば、5年に一度財政検証をして、100年後まで見通して、そこで見通される状況に対応できる制度をつくっていく。5年に一度、5年前とは違った景色として見通される環境の変化に応じて自分の体がアメーバのように変わっていくという形で、この制度というのは耐用性を持っているんですよということを知っている人たち、恐らく、今日の傍聴席にいらっしゃる人たち、まぁ、今日は国会で社会保障のことを長妻元厚労大臣が話をしているのですけど、それよりも、この検討会を選んで来てくださった方々の前だったら、「100年安心プラン」と表現しても、まあ言いたいことはああいう意味だろうと解釈してくれるはずです。そういう人たちが相手だったら、「100年安心プラン」という言葉は許容範囲なのかもしれません。だけど、年金の財政検証という仕組みをまったく知らない人たちの方が世の中で圧倒的多数で、そうした中で「100年安心」と言ってしまったら、彼らは、この年金制度がそのまま固定的な形で100年続くという意味で理解をするわけで、そうした誤解を受けるおそれのある人たちを対象として「100年安心」キャンペーンを張ったのを観た瞬間に、我々は「バカが」と思うわけです。墓穴を掘ったな、これは大変なことになるぞと予測する。相手の知識量に応じて、こっち側の表現の仕方、説明の仕方というものは変わるわけです。
 そして、先ほどのテレビのところ、例えばこの前、新しい人口推計が出ました。2009年の財政検証では1.26という合計特殊出生率で試算していました。それが今度は1.35になったわけですね。そうすると、某国営テレビの7時のニュースでは、社会保障審議会人口部会の座長、人口学者である津谷先生が、「我が国の社会システムは公的年金に限らず、急激な人口減少や少子高齢化を前提に設計されたものはひとつもない」とインタビューに答えているわけです。媒体と発言者双方の影響力から考えれば、これは年金制度にとって痛い。
 合計特出生率が5年前の1.26から1.35になったというのは、年金制度の持続性が高まる方向に変わったわけです。2009年の財政検証では、1.26を前提にした人口減少や少子高齢化を織り込み済みで制度設計していたわけですからね。ところが、テレビのニュースでは、これが逆方向のベクトルで報道されてしまっている。
いろいろな情報がある中で、ある程度の道筋もって物を考えていくコツ、簡単なロジックみたいなものを中学校から高校ぐらいのところで何か教育できないだろうかと思うんですね。
梶ヶ谷委員の方から何かございますか。

○梶ヶ谷委員 梶ヶ谷です。よろしくお願いいたします。
 まず、この冊子の案ですが、現場からすると、非常にボリュームがあり、また内容的に難しくて、これは授業では扱いにくいというのが第一印象です。ただ、これは素案ということですので、まだまだ改定等をされ使い勝手がよくなるようにしていただきたいと思います。
 もう一つは、実際にこの冊子を、どの教科・科目で扱うのかなと思いました。基本的には公民科とか、家庭科かなという感じは受けますけれども、場合によったら、総合的な学習の時間とか、あるいはホームルーム等で、これは期待薄なんですけれども、やっていただける可能性があるのかなとも思います。 そうすると、教科指導では、教科書が、そして教えるべき教科内容が当然ありますので、今回作成する教材とその内容が重複してしまうなということで、使い勝手がものすごく難しいのではないかなという気はいたします。ですから、内容的にも、こういう冊子をつくる以上は、教科内容といろいろな形でリンクはするんでしょうけれども、有意義な使い方ができるような内容というか、切り口が望ましいと思います。 あと、現場の教員としては、冊子でいただくよりも、例えば、DVDとか視聴覚教材でやっていただきたい、導入的なものをそれで扱って、そのあとに、補足的な説明をこのようなペーパーの冊子で生徒に教えるのが一番現場の教員としてはありがたいかなという印象を持っております。
 実はこの会議に参加をさせていただくということで、私は今年度、高校1年生の現代社会を教えておりますので、余り先入観なく、生徒に授業で簡単な「社会保障」のいアンケートをしてみました。そのアンケートの内容は、これは、1年生8クラスで322人なんですけれども、どういうような冊子だったら読もうと思うかというような簡単なアンケートなんですね。
 一番多かったのは、図やグラフを多用してほしい。できれば漫画が望ましい。このような意見は圧倒的でした。
 更に、文字が大きくて、絵などで例えてあるもの。ただ説明が書いてあるのではなくて、具体的な例を取り上げてほしい。長くなると難しいのでなるべく短くしてほしい。
 更に、用語の意味を初めにはっきり載せてほしい。これにはおまけが付いていまして、テストでも使えるからというような意見でした。
 更に、できる限り文字が少なくて、すぐ見てわかるような感じがいいと。
 さらに、暗い色はなるべく使わないでほしい。これは今回作成する冊子がカラーが前提なんですけれども、とかく社会保障というのは暗いイメージが高校生にあるらしくて、なるべく明るい色を使ってほしい。こういうような意見もありました。
 更に、できればお役所が作る、こういうような冊子はつまらないので、有名人を載せるとか、あるいはそういうような人のしゃべり口調を応用してほしいとか、逆に、余り子供っぽいものは嫌だということで、これは多分イラスト等について、子どものようなものは非常に違和感があるらしくて、高校生らしいものを載せてほしいと。
 これについてはちょっとレベルが低い話になるんですけれども、実際にこの冊子を使って学習しようという立場の生徒に見てもらえないと、読んでもらえないと意味がありませんので、現場の教員としてはそのようなことを配慮して編集をしていただきたいなと思いますし、実際にそういうことが編集上の技術的なことかもしれませんけれども、こういうような配慮をしていただければ、使う場面が多いのかなと思います。
 全体的な印象としては、社会保障自体について、ほとんど多くの生徒が自分にはまだ関係ないと思っていますので、そういう中でいかに社会保障の課題や問題点を考えさせられるかという仕掛けとか、あるいは切り口、そういうものを教科書とは違った視点や角度から編集、作成していただきたいなと思っています。
 以上です。

○権丈座長 
 映像という話がありましたが、先ほど広井委員の方からも映画「シッコ」のお話がありましたね。映画「シッコ」を私も講義の中で毎年見ていまして、例えば、資料3-Aの2番、これは言っていることはどうも映画「シッコ」の内容と同じですね。これだけで40分ぐらいの授業はできるのではないかなというぐらいの中身ですね。
 そこら辺のところを自分で考えてもらう。そうすると、何のために公的な医療保険があるのか、介護保険とかがあるのか、これらの社会保険は、自動車保険とどこが違うのかということがわかるように工夫されていると思います。この2番のところは、私は結構こなれているところではないかという気がします。
 他にもまだいろいろと議論があると思いますので、増田委員の方から何かございますか。

○増田委員 増田です。
 私も梶ヶ谷委員と一緒で、これを最初に拝見したとき、これをやろうとしたら何十時間かかるんだろうという印象を持ちました。それで、自分がこの内容をどうアプローチしたら子どもたちに自分たちのものとして考えてもらえるものになるのかなというところで、非常に苦しいところだなと思います。
 私も1年生の現代社会を週に2時間教えていますが、前のこの会議でもお話をしたんですけれども、なぜか彼らが学力のことにこだわっていたので、私のもとに、NHKの番組から、お金をかけないで学力アップをした自治体があるという話が舞い込みまして、その番組にかかわって出演をして、内容とか、自治体がどういうふうにお金を使っているのかということをやったものですから、それをきっかけにして、今度は、彼らは高校1年生ですから、私の高校の場合には、ほとんどの子が公立の中学校から来た子が多いものですから、じゃ、自分たちが住んでいる自治体ごとにグループをつくって、その自治体でどのくらいの教育予算が組まれていて、どうなっているかということを調べて、じゃ、更にはその中で、学力アップと考えたときに、どんな方策ができるかみたいなことを調べさせましたら、彼らはすごいやってきて、自分たちの地域に格差があるとか、そういうことにすごく気づいているんですね。
 例えば、千葉の浦安市をやった子たちは、新町、中町、元町というのがあって、新町地区の子たちは学習する習慣がついているけれども、元町地区の子たちは全然ついていないとか言い出したんですね。それは何でなの、と聞いてみたんですけれども、多分新町の方は新しいマンションがいっぱいあって、あっちにはいっぱい新しい教育意識の高い、お金のある子たちが住んでいる、みたいなことを言い出したので、元町地区に住んでいる子もそのグループの中にいたので、じゃ、元町はどうなの、と聞いたら、昔から住んでいる人たちが多くて、親の教育がなっていないとか言い出すんですね。親の教育がなっていないというのはどういうこと、と聞いたら、勉強しろも言わないし、たばこを吸っていてもしからないし、というような話が出てきたんですね。
 じゃ、それを学校はどうしているのと聞いたら、学校は、一応形は注意するけれども、根本的に解決しようとしないということを言い出して、じゃ、あなたたちは一緒に中学に暮らしていてどういうふうに思っていたと聞いたんですね。そうしたら、一緒に生活をしているときには、例えば、何かだれか問題を起こすと、今はすぐに全校集会が開かれる。そのために授業時間がどんどん減っていって、授業がどんどん遅れて、受験に間に合わないから、私たちは必然的に塾に行くしかない。先生の方も塾でやってくれと言うというような話が出てきたんですね。
 じゃ、今、振り返ってみて、その状況というのをどう考えるのか。当時はどう思っていたと聞いたら、自分たちに不利益になることは嫌だと思っていた。今ではどう考える、冷静に考えてごらんと言いましたら、その状況は余りよくない状況だと思う。何とかした方がいいと思うと言うんですね。じゃ、何とかするためにはどうしたらいいかと考えていこうかというところで今終わっているんですが、これも授業があと1時間か2時間しか3学期はなくて、全然終わるような状況ではありません。
 ただ、その中から、例えば自治体の予算の使い方とか、税金の使われ方とか、地域の違いの問題であるとか、あとは、住んでいる地域によって住んでいる方たちの職業が違うとか、やはりいろいろなことに気づいていくんですね。ですから、例えば、私もこれを昨日いただいたので、昨日見てきたんですけれども、これを見て、これはすごく網羅していると思います。つまり、全国津々浦々同じレベルのものを皆さんに知っていただくために、これを端からやっていくというのは、それはある意味平等なものが提供されるということになると思います。
 一方で、私の言ったようなことというのは非常に危険な部分もありまして、教えなければいけないものが落ちる部分もあるかもしれませんし、それをやろうとしたら、こちらがよほど周到に準備をしていって、この内容をかみ砕いて、どんなものを彼らの中から引き出してということをすごく考えなければいけないんですね。それをやろうとしたら、本当に週2時間の授業では多分扱っていけないんだと思うんです。
 ですから、これを勿論全部知識として彼らが持てるようにするということも非常に重要なことだとは思うんですけれども、最初のきっかけであるとか、ここで扱う材料であるとか、そういうものを何にしたらいいのかというヒントがこういう教材の中にあると、教員の方も、じゃ、こういうことから彼らに話を聞いてみようかという形に授業が展開していくのではないかなと思うんですね。
 どうもほかの先生たちにお話を聞いても、現代社会とかこういうものというのは、こういう教材を与えられると、端から言葉にのっとって言葉を教えていくんですね。今、こうなっている。例えば、先ほどの高齢者をどのくらいの人数で支えているとか、見て、ああ大変だと思うわけですが、例えば私の高校の場合には、私立なので、ある程度選別された、家庭環境も経済的にもそんなに困窮していない子たちが来ているものですから、じゃ、自分たちはどう考えるかといえば、こういうふうにならないように受験勉強を一生懸命やろうとか、いい企業に就職しようとか、そっちに考えがシフトしていくわけですね。
 だから、私の方として考えてほしい、例えば子どもの貧困の問題であるとか、教育の平等というのは一体どこに平等を考えるのかとか、そういうことに話が、彼らにそういうことを考えてもらえる方になかなかいきにくくなってしまうので、そこのところのアプローチとか、題材の与え方とか、教員はその辺に、こういうものが与えられると、教科書とかそういうものに、どうも「ねばならない」に縛られる部分が多いですので、そこを突破口として、違うものを与えて、こういう考え方、こういうアプローチの仕方というものが組み込まれていくと、少し使いやすくなるのかなと思いました。
 以上です。

○権丈座長 これは、副読本の新しい教材として1時間をつくって、何かやるという話ですか。例えば、学習指導要領があります。この中で、社会保障の理念について、その働きについて理解しましょうということが、資料2の1ページ目のところにあるわけです。
 この指導要領を見て私が驚いたのが、現状と課題について勉強するというところです。社会保障については、まず役割を理解することが高校の授業であってほしいのですけど、まず課題を覚えるところから始まるのですか、今の授業は。この制度はこういう課題を持っています、次のこの制度もこういう課題を持っていますというような授業が今行われているのでしょうか。高校の段階で社会保障を教えるというのは、こういう役割を果たしているという話よりは、こういう問題を抱えているという話にウェートがあるのでしょうか。指導要領を見ると、どうもそういう感じになっている。課題を教えなさいと書いてある。これはどうなのでしょうか。梶ヶ谷委員の方で。

○梶ヶ谷委員 決して課題だけを、また課題を中心にやるということではなくて、基本的な仕組みとか、基礎的な知識をベースにして、今日の課題にアタック、考察しましょうということだと思いますので、必ずしも課題が前面ということではなく、学習した仕組みや知識をもとに課題や問題点に気づいて考察するということだと思います。

○権丈座長 我々が高校生に学んでほしいのは、まず、社会保障がどのような役割を果たしているのか、なぜ、そういう役割をはたす制度が存在しているのかというあたりだと思うんですね。だから新しい方向性がほしい、1つのたたき台として、新しい方向性をもった教材を今考えていきたいわけです。
 はい、よろしいですよ。お願いします。

○細野委員 
 では、今日の本題テーマである「教材案」について、私が思った感想を伝えさせていただきます。
 まず、けっこう非難ごうごうであったみたいなので、最初にフォローから入りますと、教材案の冒頭の1番目の「人生は楽しいことばかりではありません。さまざまな困難が訪れます。自分のせいではない原因で、自分では解決できない境遇に置かれることもあり得ます」ということで、身体障害、児童虐待、病院にかかっている人の数、自殺率等々で、まず、「視野を広げる」という意味では、1番目のところはキャッチとしてはいいのかなと思っています。ただ、それ以降はフォローが難しいといった感じで、一言で言うと、委員の皆さんおっしゃっていたように、現時点ではとにかくわかりにくいですね。
 教材をつくる際に私なりにアドバイスをさせていただくとしたら、1つの感覚としては、「大人が電車の中でボーッとして眺めながらでも頭に入っていく」というぐらいまで落とし込まないと、少なくとも子どもには情報はちゃんと伝わっていかないなと思っています。それでいくと、私もこれを移動中の電車の中でちらっと、まさに頭がボケーッとしながら見ましたけれども、最初の部分だけは頭に入りましたが、それ以降は、正直、ほとんど頭には入りませんでした。というところで、まだまだ子どもにとっては難易度が高い状況になっていると思うので、よりわかりやすく、イラストとかも含めながら情報の整理は必要なんじゃないかなと思います。
 あとは「視野を広げる」というのが、私は最も重要なポイントだと思っていて、先ほど香取統括官もおっしゃっていたように、「年金100年安心」とかいうような形で、余りにも「年金」というものだけが単独で考えられてしまっているんですね。そこに、世の中の大きな不幸があると思うんです。例えば、そもそも「国の財政がちゃんと持続していれば、年金が破綻するというのはあり得ない話」なわけです。だから、「年金を単独で考えるような、思考停止させないためにはどうしたらいいのか」という意味合いで「視野を広げる」といったところが、教育を機能させる重要なキーワードになってくると思うんです。
 そこで、論点として「仕組みとして少なくとも何を知っておくべきなのか」という部分で、もう少し整理が必要なんだと思っています。具体的には、まず「そもそも保険料を払うというのはどういう意味なんだろう」という話。さらに、「税金を払うというのはどういうことなんだろう」といった話も最初のほうに入れておくのがいいと思います。
そして、いくら授業のコマ数が少なくても、効率的に最低限の年金の仕組みは押さえるようにすることも重要だと思います。ものすごく単純に説明しようとしたら、「年金は自分のところに積み立てられているわけではなくて、仕送り方式になっている」という話で終わりがちなのですが、残念ながらそこまで単純ではないんですよね。保険料だけで賄われているわけではなくて、若い世代の負担を減らすためにもちゃんと税金が入ったりしているわけですよね。だから、「そもそも保険料とは、税金とは」というところを教えた上で、年金の簡単なお金の流れを教える。そして、社会保障というのは、「金融商品」ではなく、あくまで「国が国民の将来の保障をする仕組み」なんだとわかってもらう。
 その流れでいうと、図表として欲しいのは、これは大人もよく間違えている話ですけれども、「消費税と社会保障費に関する図表」。実際に社会保障に関して国と地方が使っているお金と消費税の全体像をパッと見てわかるようにすることが必要かと思います。例えば、現状の2011年度で言えば、消費税が5%分で12.8兆円あって、「消費税というのは社会保障費にすべて使われているんだ」というところをちゃんと説明する。ただ、高齢者3経費に加えて、現役世代の子育て費用や医療費も含めた社会保障全体で見たときに、現状の消費税だけでは全然足りなくて、今、約20兆円足りないという状況があるわけですね。そこで、「社会保障と税の一体改革」の際に内閣官房で作った、あの見やすい図表をちゃんと見せることによって、「消費税が何に使われるのかよくわからない」といったような、大人でもよくするような誤解も減っていくだろうし、子どものうちから、最初からそういう全体像を見せておけば、大人になってもそういう誤解も減っていくわけですね。だから、年金とか社会保障の持続性という話をちゃんとわかってもらうためには、まず、そういうふうな「社会保障費と消費税との実際の因果関係」みたいなものをわかりやすく見せてあげたいですね。
 それによって、そもそも国の借金は、なんでこんなに増え続けているのかというところまで併せて見せていくと、子どもは当然だし、大人、メディアの方とかにもちゃんと理解してもらえ、より正しい報道とか、情報が誤解の少ない状態で伝わっていくような世の中になっていくのでは、と思いました。

○権丈座長 どうぞ、広井委員。

○広井委員 今までの議論とも関連することで、基本論なんですけれども、私が重要だと思いますのは、社会保障の教育というのは、社会保障の問題自体がそうなんですが、価値の選択と非常に深く結び付いている。正しい1つの社会保障の制度があるわけではなくて、専門家に限らず、一般の大人の間でも、正しい1つの答えがあるものではない。大事なのは、先ほどの話ともつながりますけれども、要するに、経済成長の時代というのは、全部成長で解決できたけれども、これからの時代は、価値の選択という問題を考えていかないといけない。1つだけ答えがある問題ではないことを考えていく必要がある。それの典型が社会保障の問題だと思うんですね。だから、要するに、これは社会保障教育に何を求めるのか、何がねらいなのかということにつながってくると思うんですが、私は価値の選択とか、考える。考えるためには、当然、現状がどうなっているかを、そこから知りたいとか、知る必要があるというのが出てくると思いますので、決して現状をただ是認させるための教育でもないし、かといって、不安をあおるようなものでもない。というのは、考えるとか、自分で価値判断ができる、それが有権者教育ということにもつながると思いますし、基本論ですけれども、その辺が大事ではないかと思います。

○権丈座長 私も広井委員と同じような考えでして、そのあたりの根っこの部分を何とかしていただければなと思います。それを今の大学受験を目の前にした高校生たちにどのようにして教えることができるのかということが最大の課題になると思うんです。
 それとただ、1つフォローさせていただきますと、我々が過去2回、みんな言いたいことを言っている中で、事務局の方々は、相当苦労しながら準備をされています。事務局が苦労されるのは、このメンバーを集めた人たちの責任だとは思うんですけれども(笑)、ここでの話をどうにかまとめて形にしていこうとする努力は相当されています。こうして準備された資料をみればご苦労は分かります。ただ、それでもなお厳しく言っていくメンバーですので、御了承いただければと思います。

 どうぞよろしく。

○宮台委員 僕も基本的に高校生に教えることは全く優しいと思いますね。それは、知識としてではなくて、1つの価値のフレームワークを教えるということに徹すればいいんですね。そうすると、幹と枝がはっきりしてくるだろうと思うんです。社会を持続させることが最大の価値なんですね。それを目標としてさまざまな制度を考えるということなんです。
 1つ、3-Aの1、僕は細野さんの意見と全く逆で、これは片肺しか表現していない。つまり、個人にとっての困難を書いていますね。社会にとっての困難についての記述が全体として弱いし、ここにも弱いだろうと思うんです。
 私は9月に中国にしばらく行っていたんですが、驚いたことは、中国というのは2014~2015年から生産人口の減少が始まりますが、これは大変だと喧伝されていますがどう思われますか、というふうに学生とか研究者に聞いたら、そういう議論はでたらめである。社会保障の問題、年金の問題と大体同じです。生産人口の問題は、必ず労働生産性の問題とダイレクトに結び付いていて、労働生産性は技術革新の問題と結び付いていて、技術革新レベルで言うと、中国がまだ、簡単に言えば人海戦術に負っていることは確かであるが、中国がつぶれれば世界のすべてがつぶれる以上、技術は必ず移転されると言うんですね。それが本当かどうかわかりませんけれども、日本人の多くの方々に比べれば、生産人口の問題についての理解ははるかに行き届いていました。大学生レベルでも。そういうふうなことを答えられる日本の大学生は、多分経済学部でもいません。それは私が断言できるだろうと思います。
 一番いい切り口は、これはどこの国でもやっていることだと思いますが、貧困を放置すると何が起こるのか、こういう議論をグループ学習でさせるということは非常に重要です。1950年代から「貧困の悪循環」という議論が提示されました。ホワイトという人が言い始めたことで、簡単に言えば、貧困家庭は教育水準が低くなるので、新しい仕事についたとしても、またそれもお金を稼げなくてというふうにしてぐるぐる回ってしまうよ、これは社会的不公正の問題として議論されていましたけれども、現在、そうではなくて、むしろ、簡単に言えば、生産人口を一定とした場合の労働生産性の問題として理解するべきだという議論になってきていると思うんですね。
 同じで、例えば、グローバル化のもとで、既存の既得権益産業が、わかりやすく言えば、新興国と競争するために、簡単に言えば、労働分配率を下げるべく非正規雇用を採用せざるを得ないのはわかりますが、長期的に言うと、これも御存じのように、スキルドワークの割合を減らしてしまう。スキルドワーカー、熟練の人たちの割合を減らしてしまう可能性があり、最終的には労働生産性の長期的な維持という観点から非常に問題があるかもしれないということがむしろ大事なことなんですね。
 しかし、これも、僕も最近、労働問題の専門家に聞いたんですが、熟練労働と非熟練労働、単純労働と非単純労働の区別は、実は全く合意されていないと。例えば、大工さんがくぎを打つとしますね。下手くそとうまいやつが打つのとは全く違う。ただくぎ打ちだけをやらされる。単純に見えますけれども、労働生産性が人によって全く違うんですね。実はそうした問題を分析したり、評価するような枠組みが存在しないまま、職種によって、熟練、非熟練、単純、非単純を分けている状況であり、残念ながら、社会のデザインに役立つような労働の種類、カテゴリーの理解、分析、案出には至っていないということでした。
 総じて、社会を持続させるために必要な要素はどういうものであるのか。その中に、例えば人口の年齢構成の問題がどの程度関わってくるのか。あるいは、社会保障が貧困、これは救貧問題とリスク対象の問題は違うんだと権丈さんも書いていらっしゃいますけれども、基本的には、困った人を放置するということが、勿論困った人にとっては困ったことなんですけれども、社会にとってどういう問題なのかということを理解させることがないので、先ほど冒頭に申し上げた、政府は貧困家庭を助ける必要がないという質問に対する答えが、僕の記憶だと、54か国中、日本が断トツで1位でしたね。そういうことになるのではないでしょうか。したがって、どんなに仕組みや制度を教えても、こういう社会的観念の貧しさが放置されれば、残念ながらフリーライディング、あるいは制度への合意形成のプロセスで、よりでたらめな制度に合意する可能性が高くなってくるだろうと思います。

○権丈座長 どうぞお願いします。

○前田委員 前田です。
 このワークシート、すごく苦労してつくられたということはよくわかります。多分これは、高校の学習指導要領に基づいた形でつくっていらっしゃるのかなと思いながら、そういう形で使うのであれば、私はこれはこれでいいと思うんですね。多分この委員会は副教材をつくるという話ではなかったかなと思うんですね。副教材ということは、もう少し優しい、わかりやすいということで言えば、もっと具体的に絞ってしまって、例えば健康保険とか厚生年金とか雇用保険とか労災とか、そういう形の具体的なものを出して、それで本当に生活に困ったときは、例えば生活保護もありますとか、そういうところまで踏み込んだ形でワークシートをつくってあげて、そのためには、あなた方の保険料、掛け金も必要ですよ。掛け金だけでは足りないので、国の負担、税金も必要ですよということをうたいながら、今、税と社会保障の一体改革をやっていますけれども、私もこれは切り離しできないと思うんですね。ですから、社会保障だけの授業ではなくて、ここに租税教育も一緒に取り込んで授業をやっていくというと、本当に生きた教育になっていくのではないかなと思います。それはいろいろと壁があるのかもしれませんけれども。
 高校生にとっては、社会に出る前ですので、社会の仕組みというのは、いろいろな形で、公民とか家庭科という中で教えてもらうと思うんです。その中で、義務である納税とか教育とか、具体的に社会保障と税金という形はこういう形でなっていますよということを副教材という形でつくっていけば、もう少しなじみやすいのかなと思います。

○権丈座長 今の話は、1時間以内の授業の中で、制度を出して、どういう働きをしているかを教えるという話になるわけですか。

○前田委員 そうですね。ワークシートの中に取り込んで、盛りだくさんではなくて、一つ二つのテーマを絞った形でやっていけばいいのかなと思っています。

○権丈座長 広井委員の御意見というのは、そういうものの前の段階の価値を考える、あるいは何のために社会保障があるのかというところから少し考えてもらうという意見になるのでしょうか。

○広井委員 確かにそうなのですが、必ずしも二者択一ではないと思っていて、私も大学の社会保障をやるときに、かなり根本的な話と、片や、例えば具体的な話で言うと、医療保険の高額療養費がどうなっているかとか、保険外負担がどうなっているかということを話すわけです。そうしたことについて中高で教えてもらった学生は全くいないわけで、そういうのを大学で聞いて、親に話したら喜ばれたということもよく聞いたりしますので、そういうごくプラクティカルな話とも連動させて、そういう根本的な話もつながっていくのではないかと思います。

○権丈座長 そこなんですが、春15時間、秋15時間持っている我々と(笑)、ワークシートを1時間か2時間でやってしまわなければならない高校の先生との違いは、なかなか難しい問題を抱えていると思うんですね。我々としては、せめて2時間ぐらい欲しくて、1時間はこうしたものの考え方、次の1時間で少し制度が入ってくるというのが理想でしょうか。例えば、先ほどの資料3-Aの2番の問題をじっくり考えてくれれば、混合診療の問題までいけますよね。こうした根本問題を考えていけば、いろいろなところまでいけたりするわけですが、そういう考え方と制度の理解という両方に及ぶ教え方を考えていただきたいですね。 ほかに何かございますか。存分にどうぞ。

○細野委員 資料4の説明にはどのぐらい時間がかかりそうですか。

○権丈座長 これは、1分でと言ったら1分で終わりますし、5分でと言ったら5分で終わります。
 
 では、資料4の1つ目の方を説明させていただきましょうか。これは、2001年の朝日新聞の記事です。私、この記事を見たときに「へえ」と感心したんですが、どうもこれは、高校の新聞部に自分たちで勉強してもらって、どこにどういうふうに彼らがたどり着くのかは、高校生にすべて任せたようなんですね。新聞社は、高校生が霞が関でインタビューできる機会をセッティングはしたみたいですが、高校生自身に考えてもらったことがまとめられている新聞記事です。
 ここでまとめられているのは、だから、大人が介入していないということが1つの特徴ですね。高校生が年金をいろいろ調べていくと、一体どういうふうに受けとめていくのかを知る手がかりになります。記事の左側の「私たちの主張」のところでおもしろかったのが、「学生たちの年金に対する誤解や知識は、親や教育者の影響を受けている。現在、厚生労働省では、学生たちを対象にしたPR方法を考えているが、学生たちの周りが誤解していたら意味がない。もっと大人たちを中心にPRすべきだと思う」というところです。高校生が自分たちで年金を勉強してみました。いろいろと自分たちで疑問を持って調べてみた。いろいろな形で彼ら高校生が自分で考えていくと、大人が間違えていることに気づく。学生にいろいろPRしたって、大人が間違えていたら意味ないよねという展開になっていく。そして「また、厚生労働省がインターネットを使ったPRをしているが、だれが好き好んで厚生労働省のホームページなどを見るだろうか。もっと政府は学生のPR方法を考えるべきだ」という話になる。
 ここのところでまた興味深いのは、右側の「年金は入らなければ損」というような、我々から見たら当たり前のことが書いてあって、国民年金について「年金は入らないと損です。明らかに損。なぜなら年金には税金が投入されているからです。国民年金なら3分の1が国庫負担、3分の2が現役世代の保険料で賄われています」。新聞記者や学校の先生をはじめとした大人が何らかの情報を与えるわけでもなく、彼ら自身がいろいろと調べていくと、どうもこういうふうにたどり着くらしい。私は、素直な高校生は素直な結論にたどり着いていると思います。
 驚くべきことは、記事の下の方、「そこで思い切って、月収の20%などと保険料の負担水準を固定してしまってはどうか。給付を約束する場合とは違い、負担が重くなりすぎて困ることはない。むろん固定されない給付は、そのときの人口構造や景気の状態に左右されることになる。しかし、それも政府のさじ加減でコロコロ変わる現行制度より、社会の変化に沿っていて納得できる。給付額が減ると困るから、大人たちは少子化対策にも力を入れるだろう」。これは2001年に書いているんですね。2004年の年金改革というのはまさにここに書いてあることが行われたわけです。妙に大人が介入しない方が、いいみたいなんですね(笑)。
 2004年ぐらいから私がいろいろ言い始めることは全部ここに書いてあったりするわけですけれども、そういうものなんですね。ということがまず第1点としてある。そして、年金の教育とか、いろいろな社会保障の教育というものは、素直にやっていくとそう難しい話ではないのではないかなという気がいたしますということで、この資料を提出させていただきました。
 この記事は、高校生が自分で考えていく、ピュアに考えていって、数年後に起こってくる年金の改革を予言しているんですね。そうすると、要するに、「変化に沿っていて納得ができる。給付額が減ると困るから、大人たちは少子化対策にも力を入れるだろう」という。ここまでわかってしまうというのが実にすばらしい。残念ながら、いまだに大人たちはそこまでわかっていないんですけどね(笑)。保険料を固定する制度の下では給付水準が変化する。だから、この制度の下で給付水準を上げていくためには、しっかりとした少子化対策をやっておくことが大切なんですよということを、大人たちはまだまだ学習過程にある。
 それと、もう一つ提出させていただいておりますのが「誰が何を間違えたのか?」という2009年の『週刊東洋経済』の年金特集にあった記事です。
本日の議題に「社会保障に係る正確な理解について」というのがありまして、事務局からの説明を飛ばして私が説明して申し訳ないんですけれども、「社会保障に係る正確な理解」の仕方が、この「誰が何を間違えたのか?」に書いてあります、社会保障は、「世の中の常識」と「実際」の間の乖離がどうも大きい。私は「天動説」と「地動説」という言葉を使っているんですけどね。困ったことに、専門家と言われている人たちも含めて、間違えてしまうところがどうもある。普通は余り考えられない世界ですね。そういう状況を踏まえて、『週刊東洋経済』がこの特集を組みまして、「誰がどういうふうに間違えたのか?」という話がまとめられています。
例えば、年金は400兆円以上の超過債務を抱えているから既に破綻しているという噂もあります。昨年末、日曜日の「新・報道2001」を見ていると、財務副大臣が、450兆円の超過債務があるといって、「もたないのが明らかですから早急に全部と言わないまでも埋めていく必要」があると話をしていましたね。おいおいおい、大ウソをついてはいけないよという話ですけど、テレビを見ている普通の人たちは信じてしまいますよね。
 「未納が増えると年金が破綻する」という大ウソについては、2009年に「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」という本を細野委員が書いていますので、このあたりは後で説明してもらいたい。とにかく、細野委員が本を書いて国民にしっかりと説明をしても、まだみんな間違えたまま。そこで、この「誰がどのように間違えたのか?」という資料を配付させていただきました。
 例えば、年金が400兆円以上の超過債務を抱えているという通説の間違いは、配付資料の76ページに書いてあります。「公的年金の債務超過論」というところで、なぜこういうふうに考えられてしまったのかというのがあるわけですが、年金に精通された前田委員とかが考えたら、何か不思議な話ですよね。賦課方式で運営している年金で、企業会計と同じように、積立金がこれだけ不足していると言われても、意味がわからないですよね。ところが賦課方式の日本の年金で、積立金不足が450兆円というような話が常識になってしまうんです。みんなが、えっ、既に年金は破綻しているじゃないかという話になってしまう。
 もう一つが、未納が増えると年金が破綻するという間違い。ここは、細野委員から説明していただければと思います。配付資料の80ページにあります。お願いします。

○細野委員 この場でとにかく共有したい大きな話としては、前回の「天動説」、「地動説」という話が象徴的なんですけれども、一見すると本当に「もっともらしい」んですね。そこが社会保障全般に関して言える話なのですが、特に年金は厄介なところなんです。例えば「未納が増えると年金が破綻する」といった論理などは、本当に美しいほど良く出来た「ひっかけ問題」です。
 2008年の5月の社会保障国民会議でシミュレーションが出たときに、あそこではっきりしたことというのは、「未納が増えても年金は破綻しないよ」という話は当然のことながら、要は、「日本で年金の専門家と言われている人たちはほとんどゼロだった」ということがわかった、というのが実は最大のポイントだと思うんですね。これは実際にこの年金シミュレーションが公表された5月の国民会議とその翌日に行われた厚労省の社会保障審議会年金部会の議事録を見れば誰でもよく分かると思いますが、年金の数理モデルを理解できていた人はマスコミだけでなく学者でもほとんどいなかったわけです。国民会議に呼ばれた日経新聞の年金担当の論説委員は、直接シミュレーションの説明を聞いた後でも「保険料の未納付増加で制度は破綻する可能性が大きい」という日経の社説を強調して説明していましたし、そもそもこの日経の改革案は、日本の年金学者を結集して作られたものでした。そして、年金の専門家が集まって議論する年金部会においても「なぜ未納が増えても年金が破綻しないのか?」といった根本的な質問が多くなされているんです。これは、2008年5月までは、私も含めてほとんどの人たちが制度をよく知らない状態で、出だしで勘違いした状態で、年金制度が論じられ、報じられていたことを意味するんです。スタートが間違えていれば、それ以降の議論は、単なる空想に過ぎないんです。このように、スタート地点で国民全員が誤解してしまったようなところから、どう教育を機能させていくのかが重要な課題としてあるんです。
 ただ、少しずつ教育は機能してきていて、例えば、未納が増えれば年金が破綻するというのは、さすがにそういうことを言っている人は余り最近では見かけないですよね。この前の日曜日に、NHKの「日曜討論」という番組で、社民党の阿部さんが、年金の未納は納付率が6割ぐらいを切っている状態で、このままだと保険方式が持つかどうか心配だ、といったのを久しぶりに見た感じで、いまだに勉強していないなというような、一部にはそういう人たちも見かけるんですけれども、ここにいらっしゃる方々は、十分そのくらいはわかってくださっていると思うんですね。
 もう一つ社会保障教育に関して踏まえておきたい重要な具体例としては、先ほど権丈座長から話があったように、例えば、1月末に人口推計が発表されました。そこで、これは本当に根が深いなと私は思ってしまったんですけれども、人口推計をやっているところのトップの大学教授の方が会議後にNHKのインタビューに答えているんですね。そこで答えていた内容が、「そもそも社会保障のすべての仕組みで、人口減を前提とした仕組みはない」というふうに説明していたんです。これは本当に、この国はすごいなと思ったわけです。
 まず、そもそも今日の大きな問題となった、年金制度の誤解のスタート地点でもある、「かつては何人で支えていました。それが2030年では1.7人で支えていくことになって、騎馬戦方式が大変になっていく」みたいな、この図について。最低限、その図は、そもそも出所は何なのかというところを知っておいてほしいんです。実はこれのスタート地点は、「現在の年金の前提」なんですよね。つまり、今の年金は、将来的に1.26という出生率になるということを前提にして計算しているわけですね。その前提にのっとると、こういうふうな人口構成になるよ、という話なんです。
 つまり、いまだに世の中が誤解しているのが、「この図だから、年金が持たない」のではなくて、そもそも「この図というのは、年金の前提から出てきているもの」というところを理解してくれていないんですね。つまり、今の年金制度は、当たり前ですけれども、「人口減」を前提にして試算が組まれていて、具体的には今の人口1億2千万人が100年後には4千万人台になることも織り込み済みで計算しているわけです。それが、今までは1.26という前提でやっていたものが、ここ最近の出生率の上昇に合わせて、今回は「1.35に上方修正された」という話だから、その意味では、年金財政にとってみたら、どちらかといったら明るいニュースのはずなんです。
 ところは、本当にここまで酷いと、私もわけがわからなくなってくるんですけれども、人口推計の専門部会のトップの人が、年金の基礎的な仕組みをいまだに知らずに話しているわけです。常識的に考えると、「人口のスペシャリストというのは、少なくとも年金の基本的な仕組みぐらいは知っているだろう」というふうに、メディアの方に限らず、一般の人だってみんなそう思いますよね。ところが、実際はそうなっていない。そして、問題は、そういう誤報というか、明らかに仕組みを知らないような発言が公に国営放送などで流されているんですね。それは、専門家と言われている人たちも基礎を理解していないという話が1点。あとは、その基礎を、情報を判断する側のメディアの人もよくわからないわけですね。だから、メディアもスルーしてしまって、そのままの間違いが平然と流れてしまっているような現状もある。そこの2つは本当に根深い話なんだと思いますね。
 ちょっと話を大きくしてしまったんですけれども、「未納が増えると年金が破綻する」という話が意味する根源は、結局、そのぐらい根深くて深刻な話なんだということです。だから、できれば、この場で、一応高校生とか若い子たちを対象にしているところはあると思うんですけれども、社会保障の教育推進というのは、別に子どもだけの問題ではないわけですよね。先ほどの朝日新聞の記事で彦根東高校の子どもたちが言っているように、そもそも大人が間違えていたら、そこをまず正さないといけないわけです。そして、大人の誤解というのはどこから出てくるのかといったら、実際に報道をしているメディアやキャスターの人たちの誤解が大きな発信源となっています。そこで、明らかな間違いを平然と報道してしまっているディレクターなどを必要に応じて来ていただいて、ヒアリングと議論をこの公開された場でするようにして、この教育推進の場で何とか最低限の仕組みを正しく知っていただくような努力はできないものかなと思いますが、いかがでしょうか。

○前田委員 前田です。
 今、年金のことについてお話がありましたので、?のことについて、年金を払った分だけもらえないので、若者にとっては払い損である。そういうこともありますよね。長生きしなければいけないということなんですが、老後の所得保障の広報が大なので、現状はこういうことになっていると思うんですね。こういうことだけを言うから未納者が増えるということにもつながっていくと思うんです。
 私は広報の仕方が悪いのではないかなと思うんですね。厚労省の方もそうでしょうし、マスコミの方も、要は、長生きしないと、掛け金だけ掛けて、もらうのが少ないから損だよというふうになってしまうんですが、その前に、障害年金とか遺族年金というのがあるわけでしょう。途中で障害になり、ずっと障害の状態であれば、面倒を見てもらえるわけですね。そういうこともPRしないと、年金そのものが老齢年金だけだという形で、みんな誤解されていると思うんです。
 大きな意味の社会保障の中に、生活保護というのもありますよね。今、区政の現場では、生活保護をもらっている方が、年金をもらえる可能性があるのではなかろうかということで、一軒一軒歩いているんです。その方が年金をもらう権利があるのであれば、年金をもらってください。そうすると、生活保護は支給することがないわけですね。そうすると、大きな意味で、国の財布の中で、その分だけ税金の持ち出しが少なくなるわけでしょう。所管が違うからという話になるかもしれませんけれども、是非そういう形で、年金の定期便が年に一回来るわけですから、その中に、もう少し障害年金や遺族年金などの広報もしていただきたいというのを?のところでお話ししたいんです。

○権丈座長 どうもありがとうございました。

○香取統括官 今のお話なんですが、非常に突き放した言い方をすると大人になってしまった人はある意味頭ができちゃっています。何年にもわたってこういった形で、間違ったと言うと悪いですけれども、十分理解のない社会保障についての議論が流布されてしまって、そういう情報の中で頭ができている。専門家の方々でもそういう面があります。そうなってしまっている人たちの頭を変えるというのは相当大変だと思っています。
 今この議論では、どういう教材をつくるかということをやっていますよね。教える側に社会保障についての理解と知識がなければ、どんな教材をつくっても教えられないので、今の世代の人を、例えばこういう教育のプロセスの中でどうこうしようというのは、恐らく難しい。その意味では、結論において、広報でというか、別の形での広報活動なり、あるいは世論形成なりを我々がしていかなければいけないというのは、そこはそのとおりだと思うんですが、むしろ私たちがここで議論をしたいのは、これから育ってくる次の世代の人たちには確実な理解をしてもらいたい。30年後、40年後の日本の社会保障制度を担っていく人たちに、そういう基本的なところをきちんと一から組み立てて理解をしてもらいたいということなので、今、目の前のいろいろな誤解をどうやって解いていくというのは、教育の仕事というよりは、別の形でやらなければならないことだと思っています。
 この間ずっと議論していく中で、税方式論はほぼ整理ができたと思っています。それから、未納破綻論も大体これもいけていると思いますが、どうしても残ってしまうのは、個人との関係で損得の議論で、世代間で負担が不公平だとかいう議論がどうしても残ってしまう。
 今日の議論でもそうだったんですが、どうやって教えるかとか、どうやって正しい知識を与えるかとか、どうやって基本的な仕組みを彼らに教えるかという議論にどうしてもなるんですが、実はこの話は「教える」とか「与える」とかいうことではないのではないかと思っていまして、先ほど「価値の選択」という話がありましたが、物事を考える基本的な枠組みを理解してもらう。それこそ社会の仕組みを理解してもらう。そのためのすごく重要な要素の一つが、恐らく社会保障。税もそうだと思うんですが、社会保障の問題で、今日の議論でも、社会保障の問題は、経済も教えなければだめだとか、社会保障を教えるのだったら地域を教えなければいけないとか、いろいろな要素が絡んできて、そういう最もベースのところをどうするかということで、そこのところがきちんと世の中を見る目がつくられていなければ、年金制度を教えても、医療保険制度を教えても、多分非常に表面的な理解にしか恐らくならないだろう。
 その意味で言うと、今回、一応高校生を対象に、ということでやっているんですが、前回も申し上げましたが、本来であれば小学校レベルでどういうことをきちんと教え、中学校レベルでどういう身の回りのことから問題意識を持たせて、それで初めて社会保障制度とか、そういう問題につながるのだと思います。 現実の問題としては、大学のように、これだけで10時間も20時間も時間が使えるわけではないので、そういう意味で言えば、高校の3コマ、4コマの授業の中でどこまでできるかということよりは、系統立てて小学校から教える。なので、隣に文部省の課長さんがいて申し訳ないんですけれども、最後は指導要領にどう書いてもらうかという話になるのかなと思っております。

○権丈座長 わかりました。では、私も先ほどの3のところに少し触れさせていただきますけれども、先ほどの彦根高校の学生が国民年金の基礎年金について書いていた、「年金に入らなければ損」という話がありますよね。それは、どの世代の人たちにとっても本当なんです。
 厚労省は社会保険の制度設計をするときに、入るのと入らないの、保険料を払うのと払わないの、民間保険と比べた場合など、なるべく被保険者個人に有利になるように、公的年金に入りたくなる参加インセンティブを持たせるように、事業主負担や税という保険の外の財源を考慮しながら制度をずっと設計してきたわけです。先ほどの高校生新聞に書いてあるように、国民年金についての話ですが、「年金は入らなければ損」ということ自体はウソでも何でもない。パート労働の厚生年金適用にしても、例外的に適用除外になっていたパート労働者が、法律が変わって適用対象になると、保険料は一号被保険者の時の半分になり、将来の年金は増えることになる。社会保険というのは、そういうことを意識して設計されている。もっともパート労働の厚生年金適用を拡大する際に、これまで適用除外となっていた事業主に負担を求めることになるから、事業主は死力を尽くして、パート労働の厚生年金適用に抵抗する。事業主が抵抗するという事実からも推測されるように、事業主負担の全額とは言わないまでも、幾分かは事業主は労働者に負担を転嫁できずに自ら負担することになるのであろうし、そうであれば、被保険者本人には有利となる。
 話がややこしくしているのが、こういう話が、厚労省の、あるいは政府の見解と言えない事情が起こっていることでしょうね。この前、内閣府の経済社会総合研究所の方から、払い損を示唆するような試算が出てくるわけですね。先ほどの世代間格差みたいな話を内閣府がだしてくる。
内閣府のペーパーでは、「社会保障・税一体改革成案」(2011年6月)、「社会保障・税一体改革素案」(2012年1月)の中で、「給付・負担両面で世代間の公平を重視すべきであることが指摘されている」ということを根拠として、生年別に生涯にわたる社会保険料の支払額と受取額を集計したと書いてある。もっと古くには、たしか大塚耕平さんが厚労副大臣の時に、「社会保障制度改革の方向性と具体策」をまとめ、その中に「世代間公平」という言葉を書き込んだのが、この国で、政府の公文書で「世代間の公平」という言葉がでてきた最初ではなかったかと思います。
私はあの「方向性と具体策」を見て、うん?と思ったのですが、最近の政府が、「世代間の公平」を重視するというから、そうした政府の要求に基づいて内閣府ペーパーでは世代間格差を推計しましたというストーリーになっています。内閣府ペーパーで何を計算しているのかというと、例えば、次のような文章がある。「介護保険では、制度創設が2000年なので、現在の高齢者は現役時代に保険料を負担することがなかった。年金医療でも、これまで段階的に保険料率を引き上げてきたので、前世代は後世代よりも負担が低くなっている可能性が高い」。可能生が高いのではなくて、私的扶養を社会化していく過程では、確実に、前世代は後世代よりも負担が低くなっているんですけどね。
 そして、「本節では、本研究で開発したモデルを用いて、生年別に生涯にわたる保険料の支払額と受給額を推計することによる世代間格差の有無を検証する」というペーパーですけど、我々から見たら、彼らの方法で計算すれば、世代間格差が計算されるのは当たり前のことなんですね。
年金も段階的に保険料率が上がっていくように制度は設計されています。それを世代で輪切りにして、生年別に負担と給付の総額を計算すると、前世代がプラスで後世代がマイナスになる計算結果を出すことができます。そうした試算に基づいて、内閣府ペーパーは、若者の払い損を示唆する結論となっている。払い損となれば、入った方がいいとか悪いとか以前に、その制度はない方がいいとさえ思われてしまうかもしれない。この結論は、社会保障制度には存在意義があるという厚労省のこれまでの見解とは異なるわけですよね。
つまり今、政府の中で、まったく異なる見解が併存していて、どっちの方が正しいんだ?という状況にある。これは、教育の現場でも困った話ですよね。一体どっちの方を教育すれば良いんだ、内閣府と厚労省の見解が異なるとしても、どこで話が違ってくるのかというところをやっぱり、ちゃんと説明しなければならないと思うんですね。事務局の方々、ワークシート作りでお忙しいとは思いますが、ここは徹夜で頑張って、内閣府の払い損見解と、厚労省のそういう見方は適切でないという見解は、どこで分岐するのかを、いろいろと考えてまとめていただけますか。
 その点に関して1つの考え方を言っておきますと、世代間格差論という話は、本日お配りしました「誰が何を間違えたのか?」の75ページにあります。例えば、内閣府ペーパーの前提で計算をしていくと、図3にあるような世代間格差が算出されます。そして実はですね、ここで算出されたような世代間格差を解消する方法というのは、この世の中にないんですよ。積み立て方式にしようが、何の方式にしようが、今ある世代間格差というのは消せない。内閣府ペーパーが算出した世代間格差の存在をいくら問題視したとしても、これを消す方法というものがない。解決策がないことを問題視するわけですから、もう、ストレスの極みという世界ですね。
 私は学生なんかに話すときには、「人はみんな死ぬ」というたとえ話をするわけです。「人は死すべき運命ある」。これは動かしようがない事実。その時、人は死ぬんだぞ、お前は知っているか?、死ぬんだぞと人を脅して、この薬が効くとか、この宗教が効くとか、この手術をすれば大丈夫とかいう人が必ず出てくるんだけれども、どの方法も、「人は死すべき運命にある」という事実に対して、本当は何の解決にもならないんですね。
よく考えてみると、「人間は死すべき運命」にあるということは、別に悪い話でもないし、当たり前の話で、大きな問題を抱えた現象でもなく、受け入れることができない話でもない。年金なんかに世代間格差があるというのは、制度設計上、そうなることは当たり前の話で、それってそんなに問題だったっけというのが今までの厚労省の説明の仕方。この説明に対して、内閣府ペーパーでは、計算する際に、本人の負担に事業主負担を足していって、同時に彼らは税金は負担から外しているわけですけど、そういう前提で試算をやっていく。
 ただご苦労なことに、「世代間格差」という現象に価値判断を加えて「世代間不公平」という言葉で大いに問題視し、この問題を解決する抜本改革はこれだっ!と言う人たちの提言通りに制度を変えてみても、残念ながら「世代間格差」には変化がないんですね。配付資料「誰が何を間違えたのか?」の75ページの図3にそのことが示されていますけど、彼らの言う改革を行っても、世代間格差は変わらず、彼らが言う「不公平」なままが続く。世間で言われている世代間格差論というのは、積立方式に変えてもなくならないわけで、経済学では同等定理と呼ばれている話です。
ということで、テレビでは、「新・報道2001」とかに日本総研の高橋進さんとかが、毎週のように出ていますけれども、彼は、年金は破綻しているんだから、破綻していることを前提に議論をしなければいけないと言って「新・報道2001」をボロボロにしていますね。私も違う意味であの番組をボロボロにしてしまいましたけれども、高橋進さんは毎回年金の議論になったら番組をボロボロにしてしまう。「年金の破綻というのはどういうことですか?」とある国会議員が聞いた瞬間は黙っていましたけれども、しばらくするとまた、年金は破綻しているんだから、抜本改革をして世代間格差をなくさなければいけないというようなことをテレビで言う。でも先ほども言いましたように、仮に世代間格差を解消しようと頑張ってみても、その成果は微々たるもので、ほとんど改善できません。この世代間格差という指標はそういうものなんです。おもしろいのが、例えば内閣府ペーパーのこの指標、この計算方法に基づけば、介護保険料の支払を今、40歳からですけど、これを30歳にすると彼らの言う世代間格差は広がるらしいんですね。なんとも不思議な基準で計算をしている。
 ところが、この内閣府ペーパーが内閣府のホームページで公開されると、全紙一斉にドーンと報道していく。『朝日新聞』とかは、「ただ、これは現在の社会保障制度をもとにした推計だ。野田政権が進めようとしている消費税増税と社会保障の一体改革など、今後の制度設計の変更は織り込まれていない」とか書いている。一体改革が行われても、世代間格差なんて何も変わらないですよ。それでも、みんなに、この薬は効くぞ、不老不死にはこの薬が効くというような議論が横行している。今、世の中はちょっと混乱しているところがあるので、これは教育の現場から見れば、かなり辛いかなというのがあります。そのあたりのところを、事務局の方で少しばかりつめておく必要があるでしょうね。
 ということで、武田参事官の仕事を全部私が引き受けてしまったんですけれども、よろしいでしょうか。

○香取統括官 今のお話ですが、少し誤解があるといけないので、訂正しておきますが、報道された世代間会計の表ですが、これは、論文を書いた方も承知の上でで正しくないことをブログにも書いているのであれなんですが、これは内閣府のクレジットで出たものではありません。内閣府は、この試算については責任を負っていません。内閣府は内閣府の経済社会総合研究所という研究所でチームをつくって、そのチームに参加された研究者の方が個人の責任でとりまとめた論文を、内閣府のスタディの一つとして出しているものです。わざわざ報告の中に、ここに書かれていることは著者の見解で、内閣府の見解ではありませんと銘打って出しているんですが、世の中は、内閣府の試算とか、内閣府のものというような言い方をしていますし、出された研究者の方も、内閣府が出したものなんだから云々と、内閣府の権威を使った宣伝をするので、そう受け取られてしまっているんですが、政府部内で別にそういうことが行われているわけではありません。
 この話の中で私たちが思うのは、実は、こういう世代間のバランスというのは、社会保障制度によって生み出されているものではなくて、世の中の人口構成が変わったり、経済成長する時期、しない時期、戦争があったりなかったりという社会変動の中で、それぞれの世代がいろいろな目に遭っているということであって、何か年金制度があることでこういった格差が生まれているというように、どうしても報道されて誤解がされているのですが、むしろ、年金制度があることで世代間格差は緩和されている。実際は所得再分配が行われているので緩和されているんですが、なかなかそういうふうに理解されないというのは、年金制度の機能とか役割というものが、十分理解されていないということだと思うので、そこをきちんと皆さんに理解していただく努力を我々がしないといけないということだと思っております。

○権丈座長 今の香取統括官の話の前半部分について言えば、まさにあの試算が研究として存在するということは知っておりました。それが内閣府の経済社会総合研究所を通して公開された瞬間から、内閣府が出したというふうに報道が始まったわけですね。そうした報道に基づいて、私は「内閣府が出したあの試算」と呼ぶようにしているんです。やはりああいう「介護保険が導入されて世代間格差が発生した」と論じるような試算が、内閣府のホームページから公にされて、新聞報道から雑誌報道から全部が「内閣府」という名を冠して報道するというのは結構大きな影響力をもつんですね。ペーパーの執筆者たちも内閣府の試算と呼んでいたりもする。そういう誤解を受けるような、まぁ意図的にやっているんでしょうけど、今は、年金をはじめとした社会保障がはたす役割に関して、政府の見解として、厚労省と内閣府のまったく違うものがあるように見える。そういうことで、一度、この「世代間格差」に関する政府の見解を整理した方がいいとは思います。 
 事務局の方々には大変申し訳ないのですが、本日の議論を反映させた形で、ワークシートをはじめよろしくお願いいたします。みんな言いたいことを言っていてまとめるとなると大変な作業になるでしょうけど、これは私たちではなくて、香取統括官とか、この委員を選んだ人たちをうらんでほしいところでして(笑)、事務局で、なんとかみんなの意見を反映させた形でワークシートの具体化を進めていただければと思います。 では、事務局の方から何かございますか。

○武田参事官 本日は活発なご議論をありがとうございました。
 今、座長からいろいろお話をいただいた線に沿ってやらせていただきたいと思います。
 次回でございますが、お忙しいところ、まことに恐縮ですが、3月中にもう一度開催をしたいと考えております。以前いただいた出席表で候補日を御連絡させていただきますので、日程調整に御協力いただければと思います。
 本日、また机上に出欠表を置いておりますので、御記名の上、置いていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、先ほど香取統括官から、将来的には学習指導要領云々の話もございましたけれども、当面、来年度にモデル的にどこかでやってみたいと思って予算も取ってありますので、勿論、完成版がすぐできるとは思っておりませんが、何らかの形で、例えばワークシートのようなもので実行可能なものをつくってまいりたいと思っていますので、その点も踏まえてまた活発な御議論をお願いできればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

○権丈座長 では、次回以降についてもどうぞよろしくお願いいたします。
 これで第3回の検討会を終了させていただきます。
 本日はどうも貴重な御意見をありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官(社会保障担当)付社会保障担当参事官室

政策第一係: 03(3595)2159

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