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2012年3月6日 第5回 地域の就労支援の在り方に関する研究会(議事録)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成24年3月6日(火)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第14会議室


○出席者

【委員】 松爲座長、小川委員、菊池委員、栗原委員、近藤委員、崎濱委員、長野委員、西村委員、土師委員、原委員、前川委員、望月委員


【事務局】 中沖高齢・障害者雇用対策部長、山田障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、鈴木障害者雇用専門官、秋場地域就労支援室長補佐、新井地域就労支援室長補佐


○議題

1.他の研究会における検討状況について
2.精神科医から見た就労支援の課題等について
 ・NPO法人ハートinハートなんぐん市場理事 長野 敏宏 氏
3.これまでの論点整理
4.論点1について
5.その他

○議事

○松爲座長
 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから「第5回地域の就労支援の在り方に関する研究会」を開催いたします。会議の開催にあたりまして、前回と同様になりますが、会議の進行につきまして、皆様にお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障という観点から、ご発言等をされる場合には、第1番目に必ず挙手をお願いいたします。2番目に、挙手をした発言者に対して座長から指名させていただきます。第3番目に、指名を受けた発言者は、氏名を名乗ってから発言するようにお願いいたします。こうした運営を徹底したいと考えておりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 本日のメインの議題ですが、次第にありますとおり3つございます。1つ目は、精神科医から見た就労支援の課題等につきまして、長野委員からご発言いただきまして、質疑応答を行いたいと思います。2つ目には、これまでのヒアリング、あるいは、また意見交換に基づきまして論点整理を行います。3番目として、論点整理の1つ目のものについてご議論いただく予定になっております。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事に入ります。1つ目に、議題、他の研究会の進捗状況等につきまして事務局から資料が提出されておりますので、説明方よろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 事務局です。すでにご案内のとおり、現在、本研究会とは別に2つの研究会、計3つの研究会が同時に併行で開催されております。このうち「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」、および「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」につきまして、現在の進捗状況、およびそこで出ました、特に本研究会の議題にもつながるご発言等もございましたので、ご紹介させていただければと思います。
 資料1-1をご参照ください。「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」につきましては、これまでに4回開催されておりまして、第4回におきましてこれまでの論点整理という形で論点が提示されております。それが資料1-2になります。
 主な論点としましては3点提示されておりまして、「障害者雇用促進制度における障害者の範囲について」「雇用率制度における障害者の範囲等について」「雇用率制度におけるその他の論点について」ということで、これらについて順次委員間で議論が行われているということになっております。これまでに第4回まで開催されておりますが、そのうち特に第1回から第3回までにおいて、その研究会の各委員からさまざまなご意見等がございましたので、本研究会に係るものを中心にご紹介させていただければと思います。
 資料1-3です。横になっている表です。さまざまな意見があるのですが、5としてその他の意見をまとめたものがこちらのペーパーになっております。かいつまんでご紹介させていただきます。1頁ですが、「雇用継続(精神)」の3つ目の○で、「定着支援がシステム化されていくことは、とても重要である」、特に「企業の支援、外部の支援機関がうまく波長を合わせて障害のある方を支援していくシステムがしっかりしていけば、雇用継続は可能だと思う」といったご意見。また、次の○で、田川委員から、「ジョブコーチ支援では、就職6カ月を超えても支援が必要な人もおり、相談にも乗らなければならない」といったご意見。
 3頁です。小項目としまして、本研究会でも議題として度々挙がっております生活支援、福祉、医療との連携についても、さまざまなご意見をいただいております。1つ目の○ですが、「就労は就労だけで個別では動いておらず、生活というのがその前提にある」、また、日身連からは、2つ目の○、後段ですが、「就労、福祉、保健、医療等の領域の横断的、総合的な支援が求められ、その実現のためのコーディネートの充実が求められる」といったご意見。また、当頁の最後の○ですが、育成会からは、最後の後段ですが、「具体的にはハローワーク主導の「チーム支援」と自治体主導の「自立支援協議会」が一体的に運営できるガイドラインなどを示す必要がある」等々のご意見をいただいております。
 また、4頁ですが、「個別性、個別支援計画」につきまして、小項目ですが、これも本研究会でも度々意見に挙がっておりましたが、2つ目の○ですが、「個別支援計画について課題整理が必要となる」といったご意見等もいただいております。
 6頁です。小項目の「その他の支援制度」の2つ目の○ですが、「加齢による能力低下について、企業側の対処は難しい」、そのため、「途中で評価ができるということと、現場での支援体制はとても重要である」、その際「ジョブコーチのみならずピアサポーターの導入が、障害者の雇用の促進に効果的ではないか」といったご意見もいただいております。
 また、7頁ですが、これも度々本研究会においても議論になっておりましたが、職場実習の促進ということで、田川委員から、「職場実習の受入れ企業は、熱意とボランティアでやっているところがあり、そういった企業に対する何らかの評価があるとよいのでは」といったご意見等もいただいております。
 8頁です。小項目の「企業のマネジメント」についても、ご意見等をいただいております。特に1つ目の○で、「日本の企業全体における雇用の問題で社員全体が不安定労働力化しており、別に障害者だけではないのではないかと。日本の企業はマネジメントとしてどう対応していくのか、ということが全体として問われているのではないか」と、1つ大きな視点として、こういったご意見がございました。
 9頁以降ですが、特に個別にはご紹介いたしませんが、障害別の状況・課題という形で、全般、身体・精神・難病等々ご意見をいただいております。障害者の範囲等の在り方に関する研究会では、こういったご意見をいただいております。
 資料1-4ですが、「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」ですが、こちらは現在第3回まで開催されておりまして、第4回が本日午後に開催される予定となっております。こちらにつきましては1月31日に論点の提示がございまして、具体的には資料1-5という形で論点として大きく4つ提示されております。基本的な枠組み、障害を理由とする差別の禁止、職場における合理的な配慮、権利擁護(紛争解決手続)について論点が提示され、今後、順次これらについて議論される予定となっております。
 この研究会につきましては、特段、本研究会にかかわるご意見等がございませんでしたので、特に資料は付けておりません。報告としては以上です。
○松爲座長
 ただいまの事務局からのご説明につきまして、何かご質問等がございましたら、委員の方々、よろしくお願いいたします。よろしいですか。範囲の在り方に関する議論は、かなり私どもと重複しているところがあることを認識していただければいいかと思います。
 それでは、ないようですので、2つ目の議題に入っていきます。精神科医から見た就労支援の課題等につきまして、ヒアリングをしたいと思います。「NPO法人ハートinハートなんぐん市場」理事の長野委員、よろしくお願いいたします。
○長野委員
 貴重な時間をいただいて、ありがとうございます。資料はたくさん付けたのですが、お伝えしたいと思っていることは、ここまで検討会とかに参加をさせていただくこと、現場から見て、医療との連携は妙に敷居が高くなっているのではないかと思っています。
 実質のところはそれほど難しくないと思っていて、医療の手の内というか、なぜ連携が難しくなっているかという内情を少し出せたらと思っています。最後にお伝えしたいのは、精神障害を持った方々の就労は、やってみればそれほど難しくないことなので、あまり難しくないと言い切るとあれですが、前に進めないかということが言えればと思っています。
 2頁を見ていただければ、精神科医療の現状なのですが、実際、診断書などをお書きするときに、診断基準がICDという世界で国際分類のものとか、DSMでアメリカのものとか、日本従来からのものとか、うつ状態というより熱が出たと言っているのと一緒なように、状態とさまざまなものを使い分けていきますので、ここがまずちょっと分かりにくくしている要因だろうということがあります。
 その次ですが、ただ精神疾患を持つ方に関しては基本的に医療継続は必要な方がほとんどですので、少なくとも医療が就労を応援する姿勢がないと、なかなか進まないのかと思っています。
 その次、大事なところですが、精神障害がその人を全部侵してしまうわけでは絶対ないので、精神障害はいろいろなことを規定するごく一部の要因でありますので、その人として理解していくことで、それほど難しい理解にはなっていかないのではないか。全人的理解を基本的にするべきだということを書いています。
 そこからは施策のことなのですが、いま目まぐるしく精神科医療が変わろうとしています。精神障害者福祉が福祉の土台にのったりとかしたのが、ごくごくここ10年です。もともと統合失調症とかそううつ病という入院では中心でやってきたものが、いろいろな地域生活支援とか、就労とか、ありとあらゆる分野が急に何か必要となってきて、医療も何というかおたおたしているというか、まだ変わりきれない、ニーズに応えきれない、現状としてはそのようなところにあるのだというところで、最近の施策の動きの資料を次の頁から入れさせていただいています。
 9頁などを見ていただけると、最近いちばん使われているものなのですが、もともと入院・外来というところからスタートしている精神科医療は、本当に多様な役割がいまから必要になってくるぞということで、正直就労のことが医療機関の中に重要項目としてというか、情報さえまだ入ってないという現状があるのではないかと思います。
 さらに、12頁、その現状のところ、そこに少しまとめて書いています。もちろん、現場としてもまだそういう地域で支えるというところに移行できてないのですが、時間はかかりそうなのですが、随分そちらに向かう現場が増えてきておりますので、できていくのだろうと思っていて、いま就労の分野とどう組ませていただくかは、ご本人にとってすごく大事なことかと。あと、政策の議論の場もずっと参加させていただいているのですが、政策の議論としても、まだほとんど医療の役割は検討土台にはのってない状況ですので、ここも必要なのかと思います。
 あと、生々しい声をお届けするのには、私たちの現場で起きてきている問題をお伝えするのがいいかと思って、私たちの現場に限定をしてみました。地域の状況を少し書いていますが、なかなか広くて行き渡らない、また企業もなかなか厳しい状況で、思うように進んでいないという場所でもあります。
 その次、それぞれの課題と書いていますが、私たちの医療との連携ということでは、以前、就労支援を研究的にかなり精力的に取り組んだ時期があります。ただ、そのときに医療、特に医者に対してほとんど情報が提供されないままにやってしまった経緯があって、その弊害みたいなものが現れています。少なくともこれから仲良くやんわりとやっていけば、うまくいくはずのことなので、そこから出てきた課題がこういうものかと思います。なかなか情報も得てない、もちろん就労のことをご存じない先生もいらっしゃいますが、逆に完全に不信、就労で就職するときは非常に何か一生懸命かかわるのに、ちょっとうまくいかなくなったら、あとは医療でしょうと言うと、あの人とはかかわらなくなるのだとか、そういうことが結構出てきていて、不信に陥ってしまっている、アレルギーになっている先生たちがいらっしゃるのも確かです。また、一生懸命やっている先生たちは、では医療として何がやれるのだろう、ということをすごくジレンマに思われている先生もいらっしゃると思います。
 あと、就労機関のほうも、もうちょっと頑張ればよかったのにと思うのですが、1回怒られると敷居が高くて、だんだん連絡さえ取らなくなっている就労支援機関があったりとか、何かぎくしゃくしているという感じがいたします。
 最後、結局、ご本人としては間に入って右往左往してしまったりとか、あと、雇用はタイミングですので、いまあるタイミングが3カ月あるわけではないので、タイミングを逃してしまったりとか、何よりもみんなが応援してくれないのだったらという形で、モチベーションを落としてしまうことがあるので、やはり連携はすごく大事なことだろうと思います。
 「さいごに」ということですが、やはり思うのですが、1行目の最後のほうに書かせてもらった、「難易度はそれほど高くない」というところが大事なところかと。やり始めてみて、全国をいろいろ見せていただいていますが、そちらのほうでやればかなりの成果が出ていく状況がありますので、まずスタートしていけないかということ。
 2行目もとても大事なことだと思っているのですが、医療との連携はとても難しく感じてしまいますが、医療もごく一部というか、その人の生活にとってはごく一部でありますので、別に全部が全部強力なバックアップがないと就労できないわけではないですので、少なくとも医療・治療に携わる者が「就労してよかったね」「頑張れよ」「応援するよ」「できることはするよ」というスタンスでいれば、うまく進んでいくことが多いと現場では思います。
 そうなので、精神科医療には、少なくとも応援する姿勢がいいと。やはり症状が悪くなることを恐れ過ぎないというか、悪くなることを恐れ過ぎてうまくいかないケースがとても多いので、そういう治療方針を少しずつ身につけていかなくてはいけないのではないかと思うことと、何より就労というご本人の生き方に前向きな姿勢を持てるような情報提供をしていけないかと思います。
 就労支援機関のほうも、医療の中身を知っていただきながら、一緒に共通言語で連携が取れるということと、PSWとか医療との連携をいちばん専門にしている人たちももっと研鑽を積んで、医療へのマネジメント力をもっとしっかりつけていただきたいと思ったりいたします。
 あと、知的障害の方をずっと支援している方々がベースの機関が多いですが、そうなってくると、知的障害の世界のそのままの常識を精神障害に持ってくるのが、実はなかなかうまくいかないので、変な話なのですが、もちろん似ている部分もありますが、似て異なる部分もあるので、一度白紙に戻しながらやるのも悪くないかということもよく経敬をいたします。
 企業の皆さんもいろいろ前向きに検討してくださっていますが、スタートしていただくことと、「補足」と書きましたが、とにかく続けていれば必ず結果は見えてくることと、私どもの会社でもそうですが、何というか皆さんは3年、4年経ってくると考えて仕事をしてくださって、非常に頼りになる戦力になっていくので、是非前に進めればと思います。それで、ご本人にはやはり前に進んでいただきたいと。
 最後に書いていますが、まずお互い知り合うことというか、医療も手の内をさらけ出しながら、できないことはできないと、いまもうちょっと勉強したいとか、そういう内情を外に出しながら、また情報も頂きながら、連携できるきっかけができるといいかと思います。
 最後の1行は検討課題かどうかわからないですが、やはりみんなプライドを持って誰かの役に立ちたいと思っていて働かせてもらうから、担い手になったときに就労はもっと進むのかと思います。
○松爲座長
 時間を守っていただきまして、本当にありがとうございました。ただいまのご発表につきまして、質疑等を行いたいと思います。ご意見、ご質問等がございましたら、委員の方々、よろしくお願いいたします。どうでしょうか。
○栗原委員
 ただいまのお話を伺いまして、最後の「現場経験を踏まえて」と、この中に強調されました「精神障害者の就労は十分であるし、難易度はそれほど高くない」、というお話に私も最近つくづくそう思うようになりました。以前は、病院のほうから頼まれて、ちょっと試しに仕事をやらせてみてほしいということで、やって駄目ならすぐにまた病院へ返すということで、就労に対して何か就労に対して腰が落ち着かなかった感じがいたします。
 でも、最近、就労支援機関の方が非常にフォローしてくれるというか、ちょっとここがまずいのではないかという話をすると、本人とよく話をしていただいて、少しずつ直していただくというか、その辺のケアが行き届いてきたという感じがします。私どもの会社は前から知的障害の子が多いものですから、知的と精神障害を持たれた方というのは、あまり相性がよくないというイメージがありました。ところが、最近では精神障害を持たれた方が2人入ってきましたが、知的の人たちと問題なく仕事をやっていることを見ますと、いままで食わず嫌いだったのかなという感じが最近とみにするようになってきました。ですから、いま言われた「就労も難しくないのではないか」というお話が特に私も最近感じるようになってきた、というのが感想です。
○原委員
 先ほどの最後に「現場経験を踏まえ」というところのスライドなのですが、知的身体障害者支援からスタートしている場合に、精神科医療の皆さんの共通部分と似て異なる部分がというところを、もう一度、どういうところが共通であり、どのようなところが異なるのか、長野委員が感じておられる部分のお話をお願いしたいと思うのですが。
○長野委員
 いちばん感じるのは、成熟した知的障害の支援をされている方々はおそらく違うのだと思うのですが、私たちの現場で感じるのは、子どもに教え込んでいくことの延長線上みたいなことをとても感じるのです。訓練から教え込む、いけないことはいけないと教える。とにかく教える、支援するという教育者的な支援が、逆にそれがまた訓練とか、そういうことが効果を出したりするものですから、それをそのまま持ってこられてしまう。もちろん、いい悪いとかということではないですが、精神障害を持たれる方々は、大学生まで本当に自分の道を歩き続けて、そこの中途でドンとショックを受けたりしているものですから、そこで子ども扱いをされてしまうこと、訓練を強要されることで、モチベーションを落としてしまうことがとても多かったりとか、いい悪いではないですが、そういうことをとても強く感じます。
 訓練してね、まず何してね、生活リズムつけてねということで、途中で挫折してしまう。精神障害の方の就労支援の場合、その現場に入って、そこから継続して支援するほうが効果的な場合もあるので、そういうことがまずいちばん強く感じます。答えになっているかどうかですね。
○近藤委員
 全国社会就労センター協議会の近藤です。先ほどの長野委員から、就労支援機関も医療の支援についてもっと知る必要があるのではないかというお話がありました。具体的に、今後、我々就労支援機関が、組織的にどういう形で医療の支援に関して知る機会や場を持ったらいいかについて少し教えていただければありがたいと思います。
○長野委員
 連絡を取ったりとか、あまり恐れずに仲良くしていただけるとありがたいと思います。診察などにいらっしゃるときも、知っている方はあれなのですが、医療も出ていけばいいだけの話なのですが、やはり出れない医療機関が多い中で、びくびくしていらっしゃって、「先生、いかがでしょうか」「どうしましょうか」とお伺いされるのです。
 そうすると、医者のほうにはわからなくても指示を出さなくてはいけないという意識があったりして、こうこうこうでしょうと言ってしまうと、そこで話が止まってしまう。逆に言うと、就労機関から、こういうふうに考えてこうしようと思うのですがとタスクでも出してくれるほうが、連携はうまくいくと。介護保険の世界とかでも全く同じなのですが、そういうところで、とにかく恐れずにコミュニケーションを取っていただくこと。
 あと、ご本人を使ってというと非常に失礼な言い方なのですが、本人に言っておきなさいよという形で、間にあって、結局、本人が間に入って右往左往することも結構多いので、直接コンタクトを取りながら、ときにはどこかの町で会って飲んでいただきながら仲良くしていただきたいと。そうするとうまくいくドクターが3分の1ぐらいはいらっしゃるのではないかと思います。少し変な言い方ですが、はい。
○土師委員
 雇用部会の土師です。私どもは知的障害者の社員をたくさん抱えているわけですが、抱えている障害者が精神症状を発する。ここでいちばん問題になりますのが、保護者も含めて障害認知されないのです。産業医も含めていろいろなその対応をしているのですが、結果的に遅れてしまって離職につながる例と、支援機関がうまく入って早く医者にかけることによって就労継続する部分もあるのですが、問題なのは、保護者を含めてなかなか医者にかかってもらえないという事例が結構多いのです。その辺については、何か工夫とかがございましたら。
○長野委員
 私たちの現場でも同じことが起きています。10年以上ずっと私たちと一緒に会社づくりをしてきて、知的障害の方が精神症状を出してきたときに、このように身近にいても、実際に医療にかかることをすごく抵抗される方がいらっしゃいます。ただ、大事なのは、その未治療のまま精神症状が出たままでも、私たちは付き合い続けるというか、とにかく「いつでも帰っておいで」ということと、働けない間もずっとフォローしていくことで、いつか医療が要るときに助け船を求めてくれたときには、また就労の現場に戻せるなとしています。
 精神障害の方は皆さんそうですが、障害を発病されて受け入れていくまで最低10年ぐらいはかかるのかと思っていて、そこをあきらめずに、治療してなくても、治療に行かないから駄目だということではなくて、治療をしないままも付き合い続けるのがとても大切なことだと思って、現場では進めています。
○菊池委員
 帝京平成大学の菊池です。専門は作業療法なのですが、いまの資料の14頁に「医療の中で就労支援に際して」という項目がございますが、デイケアには若いまだ働くことが十分可能なクライエントがたくさんと通っていらっしゃいます。例えば、そういう方たちに対してデイケアの作業療法士が就労支援にかかわろうとしても、診療報酬制度との関係でそこまでできないと。職場に出ていってケアをしようとしても、そのことは診療報酬の対象になりませんので、病院としての経営の面もあってなかなか難しいということをよく耳にするのです。例えば、愛媛県などでは、そういったデイケアとの連携でジレンマがあるということの何か情報をつかんでおられますか。
○長野委員
 「デイケアの構造的課題」とちょっとやんわり書いた部分が、まさにそこだと思います。私は病院の経営者でもありますので、病院経営の要になっているところもとても多くて、就労認定、デイケアに来られない方がそのまま収入が減ると考えている経営者もいないわけではないと思います。ただ、皆さんがそうだとはとても思えなくて、基本的には元気になってほしいと思っている方々が多いと思うのです。
 私たちがいちばん大事にしたいと思うのは、デイケアに通っているご本人たちが就労のことをきちんとして、まずそちらに行きたいと思えるかどうかというか、デイケアに通っている方も含めたご本人への情報が、実はそれほど行き渡たっていない。「ホームページに載せています」「ハローワークのホームページを見たら」「行ってみたら」までが、まず行けないですので、こういう世界があるのだということがご本人にきちんと伝わっていくことで、デイケアそのものも変わってくる。経営者を攻めれば攻めるほど頑になっていかれてしまうだろうと思うので、逆にご本人に就労支援というものがあって、皆さん可能性があるのですということが伝わることのほうが大事かと思って、スタートしています。
○望月委員
 雇用支援機構の望月です。貴重なお話をありがとうございました。いまお話ありました資料、15頁の「現場の経験を踏まえて」の中にPSWのお話が出てまいりましたが、私どもも、日ごろPSWの方と連携を密にすることが非常に多いです。もちろん主治医の先生と直接やり取りする場合もありますが、そういった場合でもPSWの方が中に入っていただくと、支援が大変スムーズに進むことが多いです。ですから、今後もPSWの方々に我々支援機関との接点になっていただくことに期待をしております。
 一方で、例えばPSWの養成課程には、就労に関する部分があまり多くございません。私どももこの4月から実務実習の施設に指定をされていますので、これからたくさんの方が私どもに、実務実習をしたいという要請があることを期待していますが、就労支援の現場での実習を選択してもらえるような方策が必要ではないかと感じております。PSWは、非常に幅広い専門知識が必要なので、養成研修の中で就労支援のウエイトを高めるのはなかなか難しいのでしょうが、何かウエイトが少しでも高まるような取組みがあればいいと感じてお伺いしておりました。
○前川委員
 かんでんエルハートの前川です。前回の当事者団体からのプレゼンでは、個人性や多様性がある中で、企業の中でそうした個人を捕らまえて、一緒に仕事をしていくのはなかなか大変だという感想を申し上げました。今日お話をお聞きしまして、それでも医療機関、支援機関を含めて、当事者を中心に、お互いに遠慮せずにやっていけば、道は広がっていくということがわかりました。
 ふと振り返りますと、私も精神障害者をここ3年ほどで多数雇用しましたが、そのために精神科の産業医を委託し、社内にPSWらを配置するなどの体制を整えました。それは、たまたま私どもの指揮の中でそうした人を活用して、主治医や支援機関とやりとりできる世界をこしらえていったということです。これは、4年前では私どもではできなかったことでした。この研究会でお話をしているのはもっと広い枠のことになりますが、たまたま小さい1つの企業の中でそうした体制を作り、主治医や支援機関とやりとりさせたことで、意外にお互いわかっていないということがわかりましたし、おそらく主治医の方も企業のことは全くご存じないというのもわかりました。ですので、お互いが遠慮せずにやっていくことで、道は広がっていくと感じました。
○栗原委員
 少しお伺いしたいことがあります。実は精神障害と一口に言っても、かなりいろいろな障害があると思います。今、健常者とそれほど変わりのない仕事を精神障害の人にやってもらっていますが、例えば、そういう人たちに、先ほど子ども扱いにしてはいけないとかいうお話をいただきましたが、こういうことは、あまりやってもらわないほうがいいだろうとか、例えば言葉上でタブーになるようなこととか、本人がこうやればやる気をもっと出すなどとか、会社としてちょっとしたことでもって本人の気持が前向きになるような指導ができるのであれば、非常にいいと思うのですが、何かその辺でアドバイスがあれば伺いたいのですが。
○長野委員
 極端な言い方をすると、精神障害者だからこうすればいいとか、こうしては駄目だというのは、私自身はないと思うのです。会社の経営者が社員の力を生かすためにマネジメントすることを普通にやれれば、その中に病気を持っている、難病の方とかもみんな同じだと思うのですが、「病気の治療だけはきちんとしておきなさい。会社の中であなたの力を必要とするから、力を付けて働いてね」という普通の会社のマネジメントがきちんと適用されることが大事であって、精神障害者だから特別に必要なことは逆にないというか、特別扱いをしないほうが、うまくいく気がします、的を得ているかどうかわからないですが。
○原委員
 都立青峰学園の原です。いまのお話を伺いながら、私どもも知的障害の軽い生徒の特別支援学校なのですが、生徒たちの様子を見ていて、家庭でも友達関係でも、結構人間関係で悩んだりトラブルに遭ったりするわけですが、卒業後の就労定着を考えたときに、カウンセリング的な、ちょっと話をしたり、自分の思っていることを聞いてもらって、見方が違うとか、または新しい情報をもらうとか、そうした場面があると、随分切り替えて仕事に立ち向かえるなということをいつも感じているのですが、精神科医療の場合も、そうした場、カウンセリング的な場は必要なのか、または実際にそうされているのかお聞きしたいのですが。
○長野委員
 ものすごく大事なことだと思っています。私たちは地域活動支援センターがありますので、実はその送迎をどうしても必要。通勤できる方は別なのですが、送迎をできる方は、街中のそこまで送迎という形で自然とする所でわしゃわしゃ溜って、みんな悩みごとを言ったりとか。そこにスラッとソーシャルワーカーとかが同じ仲間として中に入っていたりとか、そういう構造をつくっています。障害を持っているからそういうことが必要なのではなくて、仲間というのは、若いサラリーマンが一活飲屋で飲むように、そういうふうに愚痴を言いやったりとか。自分たちでそこをどうしてもつくれない時がありますので、そういうのができる仕掛けはやんわりとつくる。私は保健室のような、あまり休み、語弊があるかもしれませんが、企業の中に、仕事から帰らずに休めて、ちょっと愚痴も言えたり、悩みが言えるような保健室のような構造はとても有用かとして、そういうことを会社の中にはつくってきています。
○近藤委員
 現在、就労移行支援事業の利用期間は原則2年と定められておりますが、特に精神障害のある方の場合はその2年間では非常に短いのではないかという意見を聞くところです。
 それと、先ほどの質問と関連しますが、就労移行支援事業の利用開始にあたって個別支援計画をつくるときに、医師の参加を初期の段階でどういう形でもつかということが非常に大事な気がします。その2点について、教えていただければありがたいと思います。
○長野委員
 個人支援計画をつくるときに、また文書でとか何とかということになってくると、申し訳ないのですが何かアレルギーが起きる気がしています。というのは、支援計画をつくるときに、就労に対してこうです、こうですということを明確に文書化できるドクターがどれぐらいいらっしゃるかと思うと、それはいい悪いではなくて、いまはありとあらゆる言葉を覚えなくてはいけない、介護保険の意見書もそうですし、全部そうなのですが、そういう状況です。将来はできると思いますが、いまの段階ではやんわりと、就労に始めるから、こういう方々でかかわっているので、就労支援計画をつくったから、こういうふうに見てもらうことができればというぐらいなところです。ただ、情報として知っていただいて、何か意見があったらくださいというチャンスはいただける。それぐらいのソフトなスタンスが現実的かと思うのです。
 あと、就労移行に関しては、精神障害の方が細く長くずっと継続した支援なのか、いざというときは支える役割なのか、ちょっと分かりませんが、要ると思います。ただ、就労移行支援事業が正しく機能し始めたらというのは、ちょっと語弊があるかもしれませんが、本当に移行支援としてきちっと機能してから機関の議論をきちんとするべきだと思っています。もう少し制度の成熟というか現場の成熟がないと、ただ長くなって、実際は企業の中で、ご本人がいざというときは支援を求めていける力を付けていっていただきたいわけなので、ただただ延ばすということには異論があります。ただ、継続したものは必要だと思います。
○松爲座長
 本来なら予定時間を過ぎるのですが、私から最後に1つだけ質問させてください。精神障害においての就労支援とネットワークの関連でいちばんキーワードになってくるのが、アクトを展開したIPSという考え方がございますね。IPSは医療機関の中できちんと動かせる可能性があるのかどうかです。非常に地域特性が入ってきていたり、先ほど菊池委員がおっしゃいました診療報酬等々の関係もあったりしてね。実際には、例えばIPSはそれなりに効果があることは、場合によっては言っている人たちもいらっしゃるのですが、例えばそれをどう展開させていくのか、そのためにはどういう戦略が必要なのか、それについて一言よろしくお願いいたします。
○長野委員
 IPSの有用性に関しては、私は全く異論がありません。ただ、現場で展開されたりとか、傍目で見ていたりとか、私たちは実は選択を現状ではしていないところからいくと、かなりの工夫が要るのだろうと。診療報酬と福祉的な生活支援、就労支援の財源が日本の制度上分かれていることも、もちろん課題になりますし、いま、とにかく求められている支援体系が医療の中ではとんでもなく多様化しています。私も本当に、小学生高学年から104歳の方まで主治医があるのです。では、IPSにかなり専門性を求められると思いますので、それを小さな現場で専門性を置いたスタッフをつくり上げ、かつ、それが経済的に機能させていくということでは、もう少し成熟度合が先なのかと思います。有用性は疑問がありません。
○松爲座長
 精神に関していろいろとお話がありました。続きまして、3つ目の議題に入りたいと思います。これまでの論点整理ということで、いよいよ今回から論点整理に入っていきます。事務局から資料が提出されておりますので、それに関しての説明をよろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 事務局です。資料3及び資料4につきましてご説明させていただきたいと思います。その後の議論の時間を取るためにも、事前に資料を送付させていただきましたのでご覧いただいているかと思いますし、また過去4回本研究会は開催されておりますが、代理出席を含め、ご欠席された委員はいらっしゃらない状態です。これまでの議論は全部ご承知かと思いますので、資料につきましてはかいつまんでご説明させていただきたいと思います。こちらは今後のご議論の参考資料になる位置づけかと思っています。
 資料3、「本研究会におけるこれまでの主な意見(第1回~第4回)」という形で資料を作成させていただきました。本研究会におきましては各委員からの発表、就労支援機関からの発表、また障害者団体からの発表と非常に多岐にわたっております。その形の中で、事務局のほうで1頁目のマル4の目次ですが、主に6つの大きな分類として整理させていただきました。
 まず2頁、「0全般」と書かれたところでございます。全般のご意見としては、小川委員から「平成19年、これまでの取組みの方向性の成果、評価をすべきではないか」というご意見がありました。また、特に「本研究会においては雇用就労に向けたアセスメント、それから準備訓練や定着支援、フォローアップ、その仕組みをどう作っていくかというところに最終的な議論の焦点を集約していっていただければ」といったご意見がありました。
 また3頁目、1の「企業の不安と支援策」ですが、こちらは土師委員から3つ目のポツ、「就労支援は企業支援である」とのご意見がありました。また、次のポツ、「企業の不安を払拭するためにどうすればいいか、不安がなくなれば企業は雇用をする。企業の不安は何なのか、その不安を払拭するためにどうしたらいいのかというところに焦点を当てていければ」というご意見がありました。また、3頁の最後のポツですが、「支援機関から企業にある仕事をどう、障害者向けに職域開拓するのかが最大の課題ではないか」といった土師委員からのご意見がありました。
 続いて4頁、「雇入れ前後の企業の不安」というところで、前川委員から「短期間でアセスメントをするのは難しい」といったご意見、また「生活環境への不安」という小項目ですが、栗原委員から「雇用に対しては実習を前提としていて、その実習を通勤等の関係で受けられない、また来られないということが地方ではあるのではないか」といったご意見がございました。
 5頁でございます。前川委員から1つ目の○、「特に生活面、健康管理面を丁寧にアセスメントしてほしい」といったご意見がありました。また、3つ目の○ですが、「就職後のサポート、特に生活支援に力を入れていただきたい」といったご意見がありました。
 6頁では「定着過程における企業の不安」といった項目を付けました。こちらも前川委員から2つ目の○、後段、つまり「従業員にとっては就職前のストレスよりも就職後のストレスが大きいが、支援機関が力を入れているのは就職前の支援のほうが大きいというのが現状である」といったご意見。また、下から2つ目、これも前川委員から「従業員には長期に安定して勤務していただきたいと考えているけれども、崩れてくるのは生活面から崩れてくる。家庭のサポートの重要性が大きい」と感じているといったご意見がございました。
 続いて7頁、全般的なご意見として、土師委員から「教育や施設から就労したほうが支援機関にその支援が継続されるわけなので、そのあたりも連携を是非お願いしたい。また、働いている間はきちんと支援していただきたい」といったご意見がありました。また、生活支援につきましても、先ほどの生活支援の重要性ということに関連してさまざまなご意見がありました。
 8頁をご覧ください。「その他」の1ポツ目ですが、土師委員からのご意見で「折角、苦労して就労した人がより長く続けるために企業にいかにノウハウを付けるか、そういったところをもっと充実していく必要があるのではないか」といったご意見がありました。
 また9頁、「特に引退過程という形でスムーズな移行、またはハッピーリタイアメント」、または日身連からのご意見として「企業雇用から加齢・高齢化や職業能力低下により、離職を余儀なくされる障害者に対して就労移行支援事業、就労継続支援事業に携わる施設は企業と連携を取り、受け入れ体制を検討する等、雇用から就労へのソフトランディングのため体制づくりが必要である」といったご意見がありました。
 12頁をご覧ください。1-?、「企業に対する要望、意見等」として、近藤委員より企業に対しては「特に現場の社員の教育を実施されたい」というご意見がありました。また2つ目の○、西村委員から「企業を対象にした研修を充実させていく必要があるのではないか」といったご意見をいただきました。
 15頁でございます。特に障害特性につきましても各団体、各委員からご意見、をいろいろいただいています。どの身体障害者の方、また知的障害者も含まれるのかもしれませんが、原委員から「地方の状況を考えると通勤の方法に何らかの支援、工夫があれば生徒が就業体験ができて、チャンスが広がるのではないか」といったご意見がありました。また、ハローワークから、「身体障害者については求職者の高齢化・重度化が顕著となっている」といったご意見がありました。
 16頁、「障害特性への配慮 精神」と書かれたところですが、こちらにつきましては先ほども長野委員からご発表がありましたが、特に医療機関との連携の重要性が大切なのではないかといったご意見がありました。
 18頁、2-マル4、発達障害というところで、菊池委員から「一般大学の中には発達障害系の学生がいる。その方たちがニートやフリーターになっているという現状があると思うが、一般の教育機関との連携も視野に入れていければいい」といった意見がございました。また、同様のご意見がJDDネットから、「発達障害者の就労支援に係る研修を行ってほしい」といったご意見がありました。
 続いて21頁をご覧ください。「そのほか求める配慮」というところで、職場・会社の配置支援という形でろうあ連盟、盲ろう者協会、日盲連からご意見等がございました。
 27頁をご覧ください。福祉施設の課題として「企業との連携に当たっての課題」といった整理をさせていただいています。「就労移行支援事業のスタッフが福祉を専門としているため、企業理念を十分理解する機会が乏しいので研修の機会をさらに設ける必要がある」といったご意見が近藤委員からございました。次の○、小川委員からも、「専門性が十分ではないのではないか」といったご意見がありました。
 28頁の「就労移行支援事業所の数」というところ、近藤委員等から「事業所によって就職の実績については大きなバラつきがある」といったご意見をいただいています。
 30頁、こちらは「特別支援学校の課題」という形で整理させていただいています。「全般」といったところ、いちばん上でございますが、原委員のほうから「特別支援学校の場合は1人ひとりのネットワークを作っていくことが大切であり、生活の部分、医療の部分をベースに置きながら、生徒たちが自分が得意な所、良い所を伸ばして就職できる、または就業できる体制を在学中から作ることが必要」ということがいちばん大切な課題ではないかと思っているといったご意見がありました。そのほか小項目のご紹介ですが、「教員の専門性の向上」、または「保護者に対する支援」といったご意見もいただいています。
 32頁は項目のご紹介とさせていただきます。先ほど、企業のほうで「職場実習が重要である」といったご意見とも重なりますが、企業実習や職場体験といったものが在学中から非常に重要であるといったご意見をいただいています。
 続いて34頁でございます。3-マル2-3、「企業等のご意見」というところ、近藤委員から「就職に効果の高い企業実習への協力企業に対してインセンティブが働く支援策が必要である」というご意見がありました。また、栗原委員から「環境整備や職場体験実習にも人間を割くわけなので、その辺りで多少助成していただけると嬉しい」といったご意見がございました。
 35頁以降は就労支援機関のそれぞれの課題となっています。いくつかかいつまんでご紹介しますと、37頁、地域障害職業センターのジョブコーチにつきまして2つ目の○でございます。「地域障害職業センターのジョブコーチについて企業の種類、職種の変化等に対応できるよう多様化が望まれる」といったご意見が日身連からございました。
 また、「その他」として、望月委員から1つ目のポツ、「就労支援担当者に対する就労支援基礎研修を実施しているけれども、受講が多い割には実施件数が少ない状況なので今後、この業務をより積極的に実施していく必要がある」といったご意見をいただいています。
 38頁、ナカポツセンターでございます。課題・役割の3つ目のポツですが、崎濱委員から「ナカポツセンターがはっきりとアセスメント機能を持って、関係事業所にきちんと橋渡しをして、また定着支援が同時平行できる仕組みを打ち出さないといけないのではないか」といったご意見がございました。
 40頁をご覧ください、これもナカポツセンターです。3つ目のポツですけれども、これも崎濱委員から「ナカポツ事業の設置が近年先行していて、十分にその育成ができないまま増加しているのではないか」といったご意見がございました。
 41頁の「ジョブコーチ」、1つ目の○ですが「一号認定法人が増えていくような仕組みが必要ではないか」といったご意見をいただいています。また、42頁で上から1つ目のポツ、「狭い意味のジョブコーチというより広い意味でのジョブコーチ支援、就労支援全般のコーディネートが求められている」といったご意見もありました。「ジョブコーチ支援の課題」としていちばん下のポツ、小川委員から「シニア・ジョブコーチ、上級ジョブコーチ、もう1個上のランクのジョブコーチが必要ではないか」といったご意見がございました。 44頁、「今後の課題」として、4-マル6-1、「アセスメントが非常に必要・重要ではないか」といったご意見等をいただいています。
 50頁からは「ネットワークの課題」という形で整理をしています。「全般」として座長から、「支援センターのないような所、ネットワークがあまり出来ていない所にどうやって作っていくかが議論として大事ではないか」といったご意見。また、下から2つ目のポツですけれども、崎濱委員から「どこが入口であってもきちんと就労支援につながるような仕組み、そこを議論していかないとなかなかネットワークという話にはならないのではないか」というご意見がございました。
 続きまして54頁でございます。5-マル2-3として「ミクロネットワークへの構築」、上から3つ目、「機関や支援者のつながりも大事だけれども、支援対象者に合わせた機能的で有効的に連携するミクロネットワークが大切である。また、マクロネットワークはコーディネーターの役割が重要である」といったご意見がございました。
 56頁をお開きください。「ネットワークへの構築への課題への解決策 全般」として、上から4つ目、近藤委員から「連携する機関を支援していこうという積極的な評価とインセンティブの創設が必要ではないか」。また、いちばん下の○、望月委員から「ネットワーク構築・運営のための公的な仕組みを設けて、障害者保健福祉圏域においてネットワーク構築を中心となって推進する機関を明示することが必要」といったご意見がございました。
 57頁、5-マル3-2として、「ネットワークの中には企業の参画が必要ではないか」といったご意見もいただいています。資料3の全体としては、駆け足ですが以上になります。
 その上で、今回、事務局では論点を提示させていただいています。こちらが資料4になります。本研究会の趣旨については、第1回で本研究会の趣旨を提示させていただいておりますが、主に3点ございました。1つは「中小企業に対する地域の就職機関による支援の強化」、次に「福祉や教育から一般雇用への移行の取組みの加速化」、「関係機関の連携した支援体制の整備」、そういったことを踏まえて、地域の就労支援機関がどういった役割、連携、在り方を検討していくかといったことでございます。
 これまでの議論、ヒアリングにおきましてさまざまなご意見をいただいています。全体的なお話として、小川委員より「労働施策を中心に雇用・就労に向けた仕組みをどう作っていくかということを議論の焦点としていってはどうか」というご意見がありました。また、土師委員から、「障害者の就労支援は企業支援である。その上で企業の不安を払拭するためにどうしたらいいか」といった意見、また企業支援につきましてはさまざまな職業生活のステージによってご意見をいただいたところでございます。また、障害者団体からは各障害特性に応じた配慮事項についてもご意見をいただいたところです。さらに、それぞれの地域の就労支援機関の課題についてご意見をいただくとともに、関係機関のネットワークやコーディネートの必要性についてもご意見をいただいています。
 こうしたご意見を踏まえ、大きく3つの論点に集約させていただきました。全体の構成としては、まず第1に企業が障害者を安心して雇用するために就労支援機関の求める支援を明らかにする、企業がどういった支援を就労機関に求めているかをそれぞれのステージごとに明らかにすることを1つ目の論点としました。
 2つ目として、企業が求める支援について地域のそれぞれの就労支援機関、2のマル1からマル6ですが、それぞれの機関がそれぞれのステージにおいてどういった役割分担で支援していくべきか。そのための課題は何かといったことを2つ目の論点とさせていただきました。
 3つ目の論点ですが、就労支援機関の役割が2つ目の論点として役割が明確になっていったとき、それがどうつながっていくか、どう連携していくか。特に、支援機関が乏しい地域やネットワーク形成が進んでいる地域の取組みを充実・強化していくために必要な取組みは何かという形で、論点の3つ目を整理させていただきました。
 また、長野委員からもご発表がありました医療機関との連携も含め、地域の支援を支えるために福祉施設や医療機関、教育機関に対する支援、または専門人材の育成など、どういった課題や対策が必要があるかという形で、3つ目の論点を整理させていただいています。このほか、この論点に収まり切らないさまざまな広いご意見をいただいていますが、それは「その他」という形にさせていただいています。
 「今後のスケジュール」ですが、当初例示させていただいたスケジュールでは、論点整理については本日を含めて3回に分けて行うこととしています。このため、本日、この論点案についてご了解が得られましたら、本日論点1についてご議論をいただき、その議論を踏まえて4月開催予定の次回に2つ目の論点、「各就労支援機関のそれぞれの役割」を、さらに次の回、第7回では論点3とその他を中心にご議論いただきたいというように事務局では考えています。説明は以上です。
○松爲座長
 ご説明、ありがとうございました。ただいまの説明に対して、皆様のご質問、ご意見等ございましたらよろしくお願いいたします。全体の論点整理ということになりますので、視点をいろいろ見たほうがいいと思います。
○近藤委員
 いまもお話がありましたように、基本的にこの研究会では労働施策のことを中心に話し合うべきだという方向性が出されたわけです。このことについて異論はありません。
 ただ、第2回のヒアリングのときも申し上げたわけですが、我が国における障害者の就労にかかる課題というのは、やはり労働施策と福祉施策の連携の不足にあると考えております。我々の携わる「福祉的就労」について、現在は障害者自立支援法の下で行われているさまざまな就労支援でありますけれども、地域の就労支援の重要な要素の1つとして評価をしていただきたい。一般就労と福祉的就労を分断するのではなく、一体的にとらえていただいて、就労支援策について考えていくべきだと思います。以上です。
○松爲座長
 ありがとうございました。ほかに全体の構造につきましてありますか。では、事務局からもし何かご意見がございましたら。
○障害者雇用専門官
 近藤委員から、労働施策と福祉施策との連携が大事だというご意見がありました。もちろん、当然のことかと思っています。特に、就労移行支援事業所等につきましてはこちらの論点(案)、これまでのご意見の中でも特に引退過程で雇用から福祉への移行など、「生活支援が重要である」といったご意見もいただいています。また、2の各種それぞれの就労支援機関に求められる役割という中のマル5、「就労移行支援事業所に求められる役割と課題」といったことも提示させていただいていますので、一応そういったことも念頭に整理させていただいております。以上です。
○松爲座長
 ありがとうございました。ほかに全体の論理の枠組み、「論点整理」の章立てにもかかわってきますけれども、よろしいでしょうか。実際にはこのあと議論していく中で、もう少し章立ての組み合わせを変えたほうがいいかもしれないという話もあるかもしれません。でも、基本的には、このあと3回分の議論というのはこの枠組みで行きましょうか、よろしいですか。では、そういうことでいきましょう。
 次の議題に入ります。早速、論点1に入っていきます。事務局から、論点1についてのご説明をよろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 資料5をご確認いただければと思います。「論点1」ですが、中小企業等が安心して障害者雇用に取り組むためにはそれぞれの段階、雇入れ前後、定着、引退過程等において、就労支援機関等がどういった支援を行う必要があるか。また、障害特性に特に配慮すべき、考慮すべきことは何か。マル1雇入れ前後の不安要素と必要な支援、マル2マル2雇入れ初期の定着に係る不安要素と必要な支援、マル3雇入れから一定期間経過後に生じる不安要素と必要な支援、マル4雇用障害者の高齢化に係る不安要素と必要な支援、マル5その他という形で整理させていただいております。
 これまでの研究会における主な意見ですが、こちらのほうで意見を簡単にまとめて整理させていただいています。全般的な意見としては、先ほどもご紹介しましたとおり、不安を払触するためにどうしたらいいのかということを焦点に当ててほしい、また職域開拓が最大の課題となっているといったご意見をいただいています。
 雇入れ前後に係る主な意見としては、前川委員から「就労支援機関には経年変化を考慮に入れたアセスメント、特に生活・健康管理について丁寧にアセスメントをしていただくことが必要」、また土師委員から「なるべく多くの見極めの時間や制度を使って雇用をすることが継続雇用につながる。トライアル雇用制度のさらなる充実が必要」とのご意見がありました。また土師委員、栗原委員から「企業の場合、雇用に当たっては実習を前提としており、企業実習そのものが企業にプラスになるような支援が必要」とのご意見がありました。また、栗原委員から、「通勤の関係で地方では企業実習を受けられないということがあるので、地域の施設に一時入って、そこを経由して実習に来られるようにする環境整備が必要」といったご意見をいただいています。
 2頁をご覧ください。これも栗原委員から、「働く職場への自力通勤が可能かどうかが採用の基準であり、そのため住居を含めた生活支援体制が必要」といったご意見をいただいています。
 定着過程については、「初期的なトラブルというのはほとんどなくなってきている。3年、5年たってから、特に社会生活面でいろいろなトラブルに巻き込まれることが多い。働いている障害者を再教育する、社外教育するということも検討する必要があるのではないか」というご意見をいただいています。2つ目のポツとして、「長い生活の中では生活面や健康面での環境変化も大きく、サポートの必要性が増すが、そういった面を企業が面倒を見ることは難しいので支援機関での継続的な支援が必要ではないか」といったご意見をいただいています。
 引退過程につきましては、先ほどもご紹介しましたが、「ハッピーリタイアできるような環境整備をすることが必要」、また、「雇用から就労へソフトランディングするための体制づくりが必要」といったご意見をいただいています。
 障害特性について、知的障害者の場合、前川委員から、生活支援が特に重要ではないか、また栗原委員、土師委員から、精神障害者、発達障害者などについては雇用管理についてのノウハウがない。また、専門的・定期的な訪問支援が必要といったご意見をいただいています。
 「その他」のご意見としては、夜間のホームヘルパーを従事させるなど、サービスが就業している障害者に合わせる形とすることが必要等のご意見、また1つ飛ばして3つ目のポツ、経営者や直接指導者の研修など、企業にノウハウを付けるための支援の充実が必要ではないかといった「論点1」にかかわるご意見をいただいています。
 また、「参考」として付けていますけれども、厚生労働省では平成21年に「平成20年度障害者雇用実態調査」というものを発表しております。その中で事業所調査として、障害者の雇用上の課題及び配慮についてお伺いしております。こちら、図としては図4-1と書かれている所で「雇用するに当たっての課題」をお伺いしております。特に多いのは、「会社内に適当な仕事があるか」といった点が多いけれども、そのほか本研究会ではまだ意見が出ていない、これから出てくるであろう意見等も含めてさまざまな課題が提示されています。
 また3頁では「雇用している障害者の配慮事項」ということで、企業が配慮している事項についても複数回答でお伺いしています。こういったものも議論の参考になるかと思い付けております。論点1の資料5の説明につきましては以上です。
○松爲座長
 ありがとうございました。それでは本格的な中身につきまして論点を少し絞っていきたいと思います。マル1から始まりまして論点整理を順番にということでいきます。まず第1番目の「不安要素」につきましてどうでしょうか。この発言された部分は場合によってはそのまま報告書の本文の中に組み込むことになりますから、できるだけ幅広い格好で問題点等々を指摘していただければ有難いと思います。まず第1番目の「不安要素等々」につきましてです。
 私から少しお聞きしたいのですが、企業側の前川委員、土師委員、栗原委員、企業の不安点は一体どういうものなのか。もう少し具体的な格好で箇条書き、項目立てしていただけると有難いのです。本文に組み込む意味でもどうでしょうか。感じるところは何でも結構です。
○前川委員
 従業員には、毎年継続して安定して働いていただきたいと考えています。そのために必要な人材を採用の段階で、「こういう人だろう」ということで採って、初期の段階では育成や研修をして職場に慣れていただいて、あとは本人の能力に応じて伸びていただく。ですから、納税していただく期間をできるだけ長くするために、本人が長期にわたって安定して働き、会社や社会に対して貢献していくということが基本になります。
○栗原委員
 企業の不安要素というのは、いちばん大きいのは例えばうちの場合、知的の子の場合ですと、例えばこの子の親が亡くなったときに誰が面倒を見てくれるのかとか、先にいろいろなことが頭にあるのだと思うのです。この子がもし会社に入って、将来高齢化した場合、では、どこで面倒を見てくれるのかとか、その都度その都度その場合になれば解決されることも、最初は何も企業はわからないがために、入口で不安だけが先行してしまうことが、あるのではないかなと思います。
○松爲座長
 その中身もはっきりしないままで、何となく不安という感じですかね。
○栗原委員
 それがいちばん大きいのかなという感じがしますね。
○土師委員
 まず先に前提として、障害者雇用促進法で企業は障害者を雇用しなければいけないというのがあるわけです。特に私どもが主にかかわっています知的障害者は、基本的には福祉で税金をかけて支援すべき障害者である、その人たちを企業が雇用するのだということを、理解いただきたいと思うのです。それから、企業は外部に求めるだけではなくて、自ら雇用管理のスキルアップを図るために努力をする。更に仕事は当然、企業が与えるわけですし、教えるわけですから、そこについては我々はプロとして責任をもつことを前提に、雇用をする側の不安について具体的にお話したいと思います。
 1つは、社会人としてどうなのか。社会常識があるのか、しつけができているのか、身辺処理はできるのか、健康管理や安全管理が自らできるのかどうか。それから生活支援環境がしっかりしているかどうか。実は、個人の情報は企業になかなか入らない部分ではありますが、雇う側とすれば、企業内でのことは任せておけと。会社外について本当にその人が働くことを支えるための生活基盤があるかないかというのは、すごく大きな課題だと思っています。
 2つ目の業務遂行力については、何かできるのか、就労に必要な体力があるのかどうか、指示が入るのか、わかるのかどうか。どのような配慮をすべきかということ、このことは個人差もありに難しいと思います。それから、どのような指導をすればいいかというアドバイスがほしい。とは言え、企業が求める人材は基本的には明るくて素直で元気ならいい、また、仕事は我々が教えるからと申し上げておきたい。
 3つ目の雇用管理上では、当然労働法基からいきますと、定年制度があるわけですが、本当に彼らが定年まで働けるのか、働くことがいいのかどうなのかを含めて課題であろう。
 先ほど言いましたが、基本的には障害者は社会で支援しなければならないところを企業が受け持つわけです。いろいろなことに対して本当に企業はどこまで責任を持つべきかというところ。また、問題が生じたときに、どこが支援をしてくれるのか。最終的にはハッピーリタイアが理想ですが、どこがきちんと引き取ってくれるのか。リタイアしたときに給料がなくなるわけですから、本当にその人の生活が成り立つかどうかというのは、実は企業として心配なところです。さらに、経営的に見れば採算がとれるかどうなのかというのは、いちばんだと思います。なお、賃金の水準はどうあるべきか、ここはそれぞれの経営者として迷うところです。
 前にも申し上げましたが、私どもの雇用部会の傘下の企業は、減額の制度はありますが、経営努力で雇用者全員最賃をキープしています。ただ、神奈川は毎年大幅に上がっていますので、大変苦慮しています。かいつまんで雇用者側の不安として申し述べさせていただきました。
○松爲座長
 ありがとうございました。前川委員、土師委員ほかに何かもし追加することがありましたらお願いいたします。 
○前川委員
 土師委員がかなり細かくおっしゃってくださいましたので、特に付け加えることはないのですが、ただ、企業は障害者だけを雇用しているわけではなく、健常者も同じように雇用しています。企業文化やマネジメントという中である程度、多様性はありながらも同質性みたいなものを保っています。しかし、同質性を外れるようなところがあると、企業によっては対応に二の足を踏みます。それは至る局面で出てきますが、意外に家庭というか生活部分でのところが多い。この部分については、企業としてはどこかで線引きをして関与しているのですが、どうしてもそこまで入らざるを得ないというところが不安要素として根源的にあるのではないかなと思います。以上です。
○栗原委員
 障害をもった方を雇用をしている企業は、雇用を進めていくうちに当初持っていたような不安はなくなってくると思うのです。本当に働けるのかどうかというよりは加齢が始まってくると、土師委員が言われたように、ハッピーリタイアというのが、うまくできるかどうかという不安が出てくると思います。ですから最初からその辺である程度、もう福祉的な対応になるのであれば、この様な時はここに話を持っていけば、あとは福祉のほうに移行できますよと。最初に雇用していただくときに、企業に安心感を与えるようなお話が言われていれば、もう少し雇用が増えるのではないか。雇用をしてみれば、ああ、障害をもっていてもこの子たちは十分戦力として仕事ができるのだということを、企業の人にわかっていただけると思います。ただ、そこへの一歩踏み出す最初の段階でいろいろな不安感が付いて回るのはしょうがないと思います。
○松爲座長
 ありがとうございました。いまお話を伺っていますと、雇用前の不安が、就職をしたあとから始まって、リタイアに至るまで、いろいろな意味での不安みたいのが全部入っている感じがありますね。それを踏まえまして、先ほど1番目のところで指摘させていただきましたが、2番目の定着、3番目の継続雇用、4番目のリタイア、それらを含みまして、企業の方々は大体ご指摘されたのですが、それ以外の方、特に支援をしている方々にとってどういうことを考えるか、ご意見を伺いたいと思います。望月委員どうぞ。
○望月委員
 いま障害者雇用に取り組んでおられる企業の方々のお話を伺ったわけですが、私どもに相談においでになる企業の方の中には、「障害者の方を雇いたいのだけれども、全くどうしていいかわからない。」という、雇用経験のない企業の方がかなりたくさんおいでになります。そういった企業は障害者雇用に強い不安をお持ちなのですが、その不安は障害者雇用に関する情報の少なさによるものであって一体何をしたらいいのかわからないという、漠然的な不安をお持ちのケースが非常に多くあります。こういう企業には、的確な情報を提供していくことが重要ですので、初期段階では障害者雇用の事例の紹介や援護制度の説明等一般的な情報提供を行っています。徐々に具体化していく段階では、社員の方への研修の実施等提案し企業内でのコンセンサス作りを支援していきます。そして、具体的に雇用の段階になった際には、どういった方を採用されるのかを念頭に置きながら、実際にできる仕事があるのだろうかという不安に対して、職務の切り出しとか、職務再設計により業務を創出するなどすることで不安の解消に努めています。本研究会では、このような、全く雇用経験のない企業の方に対する支援のあり方の議論も必要かと思っております。
○松爲座長
 いまの話というのは企業の不安を踏まえた上で、支援センターとして何をなすべきかという、先ほどの議論でいいますと、論点の2に多少かかわってくる話かもしれません。たぶん不安だけを見ていても駄目なので、支援センターはその不安に対してどう対応していくかということも併せて、場合によってはお話していただいたほうが、論点としてはわかりやすいかもしれません。支援センターの西村委員と崎濱委員何かございますか。
○西村委員
 広島県発達障害者支援センターの西村です。 先ほどの企業の方の不安というところと少し話がずれますが、広島県では企業の人事担当の方とか、現場責任者の方を対象にした研修会を何年か続けています。そこに参加される方のお話を聞くと、職業生活相談員などの講習を受けている方もいらっしゃいますが、障害者雇用を続けていく上でとか、障害の特性などを知る上で、継続的にそういったことを勉強できるような場がないということを言われる方がすごく多かったのが、アンケートの中でもありました。
 担当になったものの、どこから情報を得られるのかといったところで、やはり支援機関の存在を知らない方もおられました。支援機関の役割というところで、どこまでができることで、どこを企業の方に担っていただいて、そこをサポートするかという情報提供がきちんとされるということも必要であろうと思います。また企業の方に対する研修機会への保障、それもフォローアップを含めた体制が必要なのかを研修の中で伺いました。
 そういった情報を知った方が支援機関の活用の仕方を少しずつ増やしていかれる中で、逆に私たちが必要とされるような役割りのところを、ダイレクトにお伝えいただく機会も増えていくのかなと思っています。是非そのような機会を増やしていかないことには、広く企業の方に支援機関の役割を知っていただくことができない地域もあるのかなと思いました。
○松爲座長
 いまのお話ですと、必ずしも雇用前ではなくて、実際に雇った前後のフォローアップとか、それに対する継続的な支援の在り方も含めて、きっと議論になりますね。
○崎濱委員
 全国ネットは、ナカポツセンターと能開施設と雇用支援センターが集って立ち上がった団体なのですが、ナカポツが会員で約3分の1強です。
 その中でうまくいっている話をさせていただきますと、もともとナカポツというのは、訓練施設を持たない、いわゆる職業生活に係るケアマネジメント機能をもってスタートした経緯があって、その入口というよりむしろ、特別支援学校との関係も含めて、在学中の登録、職場実習等の窓口も地域に1つにして、学校からきちんと引き継いでいるところもあります。実際に職場実習のときに、本人のアセスメントを含めて、職場のアセスメントができる力がジョブコーチと就労支援ワーカーにあり、定着支援及びフォローアップも含めて、雇用管理へのつなぎをナカポツから企業に成功している所があります。したがって、いろいろ地域差はあるかと思うのですが、ナカポツセンターでとても成功している所は、その入口のほうからフォローアップまで企業の課題にしっかり対応できる所があるので、そこのところを見据えていく必要がある。
 もう1つは、就労支援ワーカー、ジョブコーチ等を含めて、例えば職場の勤務地が変更になったりするときに、再度ジョブコーチとの調整をしながら対応をしておられるところもあります。ナカポツのやっている就業生活に係るケアマネージメントは、生活の部分で崩れたところを生活支援事業所につなぐ形で直には関わることなく、つまり福祉の側につなぐ仕組みをつくる整理整頓ではないかなと思っているのです。就業、生活それぞれ別々ではなく、きっちりと地域の拠点として情報が一元化され、生活支援につなげる、あるいは企業の雇用管理の困ったところにも対応できるという仕組みの議論をしていくと、いまいう双方の議論が整理できるのではないかなと思って、先ほどから聞かせていただいていました。そういう意味では、ナカポツの好事例といいますか、うまくいっている事例を拾い上げると、きっかけが見えてくるのではないかなと思っています。
○松爲座長
 いまのお話は論点から言いますと、どちらかというと2番目の話かもしれませんね。不安に対してのナカポツの役割りということでいまの話を少し出して整理していくという感じになりますね。わかりました。
 いまお話を伺っていて、確かに最初に雇入れる前の不安ということをお聞きしましたが、必ずしもそれにかかわってきませんね。職場定着等を含めていろいろな不安がありますから、不安というよりもむしろ課題ですね。ですから、いまマル1だけに焦点を絞りましたが、そうではなくて、マル2マル2の初期の定着とか継続的な雇用に関わるところの課題、それを少し皆さんで出したほうが論点1に関しては、ボリュームを膨らませることができそうな気がいたしますがどうでしょうか。
○長野委員
 企業の不安について雇用側でもあるのでよくわかるのですが、私たちの所では、仕事がないと言っている間に募集したらたくさんいらっしゃって、人を選べる状況だったのですが、それが進んでくると、そこにいる人たちを最大限活かせて、どう成果を上げるかということに企業の在り方そのものが問われてきていて、日本全国そうなってきていると思うのです。猫の目社員、長くというようなことであったりとか、そう考えたときに長く働いて、先ほどの明かるくて素直で元気であるという像を作り上げていく方向ばかりだと、あるところで限界がきてしまうというか、精神障害をもたれた方々をこの方向でガンガンいくと、止まってしまうのではないかと思っている。障害者就労支援を通じながら、企業の在り方、多様な人たちが働けて、かつそれで成果が上がる企業の在り方そのものみたいなこともこれからの時代というか、私たちはもう既に問われていて。
 そこもあるので、そういうことも含めて企業側も障害者だけではなく、もう少し価値観を広げて、こうしたほうが成果が上がりますよというところももちろんあるだろうと思うので、いちばん伸びている時代の企業がこういう人が欲しいからこういう人だけ採るよというところだけで進めるのは、10年後には通用しないかも、もちろんそういう視点もありながら、企業がこういうことが要るということはよくわかるのですが、ただ、それだけでは企業としてももう成り立たなくなっているというのが私たちの現状かなと思うので、そこに関して異論というわけではないのですが、違う見方も要るのかなと思って発言させていただきました。
○松爲座長
 在り方に対する発言です。
○小川委員
 大妻女子大の小川です。 全体的なことになるかもしれないのですが、先ほど企業の不安というところについては、前川委員や栗原委員や土師委員がおっしゃったとおりだと本当に思っていて、アセスメントをきちんと行って、その企業で働ける人をきちんと送り出して、初期の定着支援をきちんと行って、当然出てくるトラブルシューティングを企業さんと一緒にやって、長期になると生活面の問題が出てくるので、そこを福祉と連携してやっていくというサポーターが地域にいることが、きちんと企業さんに伝わることが重要だと思っているのです。それを行うのは地域では、私はナカポツと移行支援事業だと思っているのですが、ここがどこもきちんと出来るているわけではなくて、出来ているところが非常に限られているというところが、この委員会のいちばん検討すべきところだと思っています。
 今回のこの問題が当然、論点の2につながっていくので、これはいまの議論と外れますが、私は論点2がすごくウェートが高いと思うので、論点3をマル1にしているのではなくて、論点2のウェートを増やしていただきたいというのが、この場とは違いますが1つお願いとして挙げておきたいと思います。
 いまの中で1つアセスメントということについて、焦点を絞って言わせていただきたいと思っているのですが、その企業で働ける人をきちんと事前に評価をして、こういう方なのでということで送り出していく。そこが発達障害や精神障害の方たちの場合には非常に難しくて、これは知的障害の方もそうなのですが、そこが緩いまま、企業さんにお願いをして、そして企業さんでいろいろ問題が出てきているところがあるのではないかと思っています。
 私はそのアセスメントをどういうようにするかについては、一口に事前のアセスメントといっても、作業の評価、これは就労移行支援事業でやるべきもの。それから客観的なテストの評価も発達障害の方や、高次脳機能障害の方などの場合には非常に重要なので、そういうことも重要。企業での体験実習を通しての評価。ここをどのようにするかも具体的に議論が必要かと思います。
 それから、いわゆる相談・面接、そして生活面についての情報をどのように把握するかということも重要だと思っています。いま申し上げたようなことは、1つの機関が全部できるわけではなくて、コーディネイトをしながら移行支援事業にある部分はお願いをしたり、ある部分は福祉から情報を取ったり、ある部分は企業に体験実習をお願いしたりという複合的な要素を取りまとめることが必要になります。先ほどの崎濱委員のお話につながるのだと思うのですが、そこをやるべきなのは、ナカポツなのですが、ナカポツが果たしこれだけのことをやれるか、現状そうなのかというと、いまの人員配置ではやれないという結論をきちんとこの委員会では持っておいたほうがいいかと思います。
 1つナカポツの在り方について、もう少し検討をするということと、もし限界があるのであれば、いま申し上げたような評価を、例えば委託訓練という事業がありますが、委託評価という労働の施策の中で、委託評価の事業を作って、できるところにそれをお願いしていく。そして一定のレポート評価をまとめて、それを今後の支援に役に立たせていくという新たな仕組みの検討も可能性としては考えられるのではないかと思っています。
○松爲座長
 ありがとうございました。崎濱委員、小川委員からご指摘がありましたように、あるいはまた、先ほど来話をしていますように、論点1だけをピックアップして議論するのは非常に効率が悪いという感じですね。先ほどの3人の企業の方々のお話を伺いましても、それに対して既に不安というのは、企業に入る前に限らないで、中に入ってからもいろいろ込みで入っています。ですから、どちらかというと、それに対して特に支援する委員の側からしますと、そういう形に対して具体的な支援の在り方について議論が入ってきている感じですね。ですから、いまは確かに論点1だけに限定していかないで、全部込みにして議論をしていったほうがいいかもしれません。ただし、事務局が大変かもしれません。あとでまとめるときに論点1の部分、論点2の部分を少し整理してもらわなければいけないかもしれません。
○障害者雇用対策課長
 今回論点1、論点2、論点3というフレームワークで議論をする形にした我々の問題意識を、まず先にご紹介しておいたほうがよろしいかと思います。参考資料でも付けていますが、平成19年の福祉と教育等の連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会報告もある意味、この研究会に先行する似た部分が非常に多くある研究会です。
 平成19年研究会と平成24年の研究会との状況の違いは、平成19年研究会の時点はある意味、いま8年連続で障害者雇用が拡大を続けている、たぶん第二次世界大戦後最大の雇用の拡大が起きているところの、とば口に立っていたのが平成19年の研究会の姿だったと思います。
 とは言え、現在セットされている障害者雇用対策の諸々の政策のパッケージは、15年前から10年前ぐらいの間に、その原型は既に埋め込まれていた。それが花開いたのが、そういった施策を打ち込んだよりも数年後から始まったということだと思います。
 障害者雇用の拡大は全然進んでいないと言われる論者の方もおられますが、客観的に見れば明らかに拡大している。企業に相当数の障害者が雇用されるようになったのは事実としてあって、企業の側からすれば、これからも新たに雇用をすることになる人は、いままでよりも就職困難度が高い人を企業が雇用することになっていく。そうした中で、企業だけにその責任をすべて負わせることが難しい状況は、5年前の研究会以上に今なっていると思っています。この研究会の報告でも19年の報告と重なるような結論が出てくる部分が多々あると思います。しかし、例えばハッピーリタイアの話は、19年の報告では出てはいますが、あまりウェイト的には大きくはない。それはたぶんまだ量的に障害者雇用がいまよりもされていなかったから、それほど深刻な問題になっていなかったという話もあります。まず最初にそういった企業を支えていく体制をどうしたらいいのかを、個々の支援機関のミッションということをとりあえず外して、まずは企業のニーズから議論をしたいという問題意識がありました。個々の支援機関から、こういうところは何とかしてほしいという話は聞くのですが、実はそもそもナカポツにしろ、移行支援事業所にしろ、ハローワークにしろ、地域センターにしろ、それぞれのミッションというのは設定はされていますが、どこまで本当にやらなければいけないのかということが、障害者の雇用の拡大の中で不明瞭になってきている部分があって、そこを再定義しなければいけない部分があると思います。だから我々が求めている以上に頑張っていただいているナカポツセンターの移行支援事業所があるけれども、すべての所がそこまで本当にたどり着かなければいけないのかどうかということについては、それぞれ現在の障害者雇用の現状を踏まえて、それぞれのプレイヤーがどう振る舞うべきか、最低限ここまでやっていただかなければいけないということについて、改めて考え直す必要があろうということで、全体としてこういう組み立てにした次第です。
○松爲座長
 わかりました。そういう経過ですね。
○土師委員
 先ほどの中で、雇用に当たっての仕事の件で付け加えさせていただきたいと思います。私も支援機関にかかわっておりましたので、企業を回りますと「やらせる仕事がない」というのが第一声。まさしくそうなのです。私が出身企業で特例子会社を立ち上げたときからもう20年近く経つわけですが、彼らの出来る仕事、職域というのはすごく多様化しているということがまず1つあるということです。そういう意味では企業が食わず嫌いしているのではないか。それを払拭するためにどうするかというと、雇用部会として、現在23の特例子会社で、企業見学会を実施しています。対象は雇用を検討している企業や、雇用をしている企業の支援者を中心に300数十人になります。特に同業でも実際に雇用をしている所を見ていただく。同業というのはなかなか難しいですが、企業に理解していただいています。それから我々の仲間が何人かで、特例子会社を立ち上げたいという会社を見学させていただいて、会社の中の仕事を見させていただいて、こういう仕事で雇えるのではないかというアドバイスをさせていただくようなこと。それから、実際に福祉側の就労移行型施設を見ていただいて、雇用対象者よりもっと重たい障害者が当然施設にいるわけですが、そういう人たちに実際の作業に対して、職場の指導者がどういう工夫をして仕事を与えているか、どういう工夫をすれば彼らがきちんと仕事ができるのだということを実際に見ていただく。特に知的だとか精神という障害特性がわからないことが雇用を阻害している部分だと思います。こうすればというのを見ていただくことが効果があると思っています。
 それから、実際に雇用している企業さんで実習をしていただくこと、これも早道かなと思っています。そういう意味では解決策とすれば、既存の雇用をしている企業さん、特に全国特例子会社はもう300数社出来ているわけですから、その辺をうまく活用しながら、より理解を深めていくような流れをお作りいただくことが、この仕事に対する課題の払拭になるのではないかと思っております。
○松爲座長
 ありがとうございました。いまのお話と先ほどの課長の整理、論点を踏まえていきますと、どちらかというと、いま言った不安というのはやはり、皆さんの支援機関もそうですが、マル1番からマル2マル2番で、今度は逆に私からお聞きしたいのは栗原委員からすると、特に先ほどハッピーリタイア、高齢化の問題に対して企業にとっては、もう少し整理をして議論をしておきたいのと。前川委員もそうなのですが、マル3番目の議論からすると、障害をもった人たちの企業内のキャリアアップです。それについて企業の方々からお話を伺いたいのです。不安というよりも課題、そういったものを達成させていくための課題はどういうことが問題になってくるかです。
○栗原委員
 昨日、福島の白河のハローワークの依頼で障害者雇用のお話をしてきました。福祉関係の方々が約40名弱集まっていただいて、どうすれば企業に雇用してもらえるかとか、または送り込めるかという話をしたのですが、私が話したのは、大協製作所で働いている障害者(知的)の勤続年数が大体平均で14年を超えています。彼らの定着がなぜいいかというと、ある程度彼らが仕事に自信を持てば定着はするのだと。ただ、自信を持つまでが大変なのです、慣れない仕事を体で覚えるまでが大変なのです。彼らが自信を持てるようになる間、きちんと施設のほうでフォローしていただきたい。そして、長い間働いて本人が非常に仕事がきつく感じてきて、企業も大変だという見方をしたときには、施設でまた受けていただけるという循環をしていただければ、彼らとしても10年、20年は十分働くことができる。その前後をきちんと福祉関係でやっていただければ、あとは企業で何とか面倒を見ますという話をさせていただいたのです。
○前川委員
 当社では知的障害者を52名雇用していますが、17年やってきまして、その中で作業のリーダーになる者が出てきています。ずっと長い間働いていただく中で、毎年毎年企業は人事評価や職能評価をやっていまして、それを繰り返して更に職場配置を考えながらやっています。これは、障害者対応に限らずどこでも当たり前にやっていることなのです。
 その中で、今回アセスメントの話も出ましたが、以前、私はアセスメントを就労前の段階でそれぞれの支援機関が、きっちりやってほしいというようなことを申し上げました。しかし、よくよく考えてみると、複数の障害者も含んだ従業員が職場で一緒に作業をしているのですから、仕事をする中でのアセスメントというのは、実は企業の中でしかできないことだと思います。先ほど人事評価ができると申し上げましたが、企業にとってはいちばん得意な分野でもあるのです。ただ、私どもを以てしても、採用初期の段階では精神障害の方はわからないし、1年、2年経ってもまだわからない。ようやく2年ぐらい見て、いろいろな不安定状態や、それに対してこういう仕事ができる、こういう能力をお持ちの方なのだというのが見えてくるわけです。それは会社の中での話です。
 一方、就労継続を支える生活面、本人が働いている中で生活との適応状況が一体どうなっているのかというアセスメントについては、企業では難しい。別の支援機関の方が、従業員の働く部分も見ていただいた上で、生活面を見ていただくことが必要です。以前、短期でアセスメントをしてほしいと申し上げましたが、よく考えると不可能なのだなということがわかりました。長期的な視点をもって見るには、支援機関の方には企業の中に片足を置いていただいて一緒に見ていくことが必要です。それは、本人のためにもなるし、企業にとっても役立ちます。それがさらに本人を伸ばしていくことにもなります。そうした実力を付けていただいた就労支援機関の方がいらっしゃれば、これから雇用の間口がさらに広がっていき、就労の困難度がより高い人が企業を訪れた際に、さらに適切に見る目も養えますし、適切なアドバイスもできていくのかなと考えています。以上です。
○松爲座長
 ありがとうございました。論点と併せて論点2の対応とかなりセットになって議論をされていますが、そろそろ時間がきましたので、これに関してもう少し何か指摘しておきたいという委員がございましたら、どうぞ。
○小川委員
 先ほど課長から平成19年研究会との違いということで教えていただきましたが、私も19年研究会との違いはとても意識をしていて、いまいちばん違ってきているのが発達と精神の方たちが就労支援の対象の中で、特に現場がかけなければならない労力のウェイトとして非常に大きくなってきているのが、18年、19年辺りといまとの違いではないかなと思っています。働く能力やあるいはどういう職場が適しているのかとか、どのような支援が必要なのかが分かりにくい方たちで、そこをどのように把握するかという言葉で、私はアセスメントという言葉を使っています。そこがわかりにくいまま企業に送り出すことをどのように防ぐというか、うまく機能させる仕組みが必要なのかを考える必要があるかなと思います。
 西村委員などは普段のお仕事で経験されていると思いますが、やはり相談・面接だけでは皆目分からない。それはたぶん企業の方が採用面接をされても、短期の実習をされてもよくわからないというのと、プロの就労支援の人たちが面接をしてもわからないというように、非常に似た部分があると思います。そこをどのように地域の中できちんとアセスメントをして送り出していくのかが、あのときから4年、5年経ったいま、新しく求められている地域の就労支援の課題ではないかなと考えているので、アセスメントということを繰り返したのです。
○松爲座長
 いま聞いていると、アセスメントというただ一時期の問題ではなくて、かなり長期的なフォローアップ的なものを含めた形で考えていかないと難しいのかもしれませんね。
○原委員
 私もいまのお話の19年のときの違いを感じていまして、先ほど崎濱委員、小川委員からもあったのですが、当時はまだ特別支援学校も地域のネットワークの中にどう入っていくか、組み入れてもらえるかが大きな話題で、むしろ好事例でナカポツとの連携があったと思うのです。そうした中でジョブコーチ支援が非常に有効であることがどこの学校も見えてきましたし、いまは進んでいる地域は本当に在学中からそれぞれの本人の希望を聞いて、ケース検討をしてもらえる地域まで出てきましたので、是非その変化のノウハウはこの研究会で押さえていってほしいと思いますし、学校の役割として、特別支援学校だけではなくて、いまは小学校、中学校、高等学校、大学等に多く在籍するようになってきましたので、その辺りの視点が今回非常に大事になってくるのではないか。いままでの機能を発揮してきた資源と新たに必要となっているニーズを、どう地域の中でつなぐかなとは思っているのです。やはり大事な部分が在学中に地域の専門機関とつながれるかどうかだと思っていましたので、一言お願いしました。
○松爲座長
 ありがとうございました。いずれにしましても、いまの議論というのは、論点2のそれぞれの支援機関と企業とどうつなぐかという、そこにかなり集約されるような感じがいたします。ですから、次回に関しましては、論点2を中心にかなりの時間議論することになると思います。そういうことで今日は論点1に関して議論はここまでといたします。
 続きまして、最後に「その他」がございますので、事務局からよろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 前々回の研究会で、またその前の研究会でもありますが、近藤委員からご質問がありました最低賃金の減額特例の実態につきまして、以前の研究会においては全国的なものを回答いただきたいというお話がありましたので、本日、労働基準局の亀井室長補佐が回答するために出席しております。机上に「全国での減額特例の許可の状況」と書かれた資料がございますので、ご参照いただければと思います。説明は基準局の亀井補佐からよろしくお願いいたします。
○労働基準局賃金時間室室長補佐
 よろしくお願いいたします。お配りしている資料の最後に1枚紙で、全国での減額特例許可の状況という資料をお出ししております。グラフが2つありますが、下段のグラフは前回お出しした愛知労働局での減額特例許可の状況、中身は変えていませんが、レイアウトを少し工夫して見やすくしています。上段が前国での減額特例許可の状況です。前回、愛知の資料をお出ししましたが、少し行き違いで愛知ではなくて全国の実績をというご所望でしたのでご用意いたしました。比較のために前回お出しした愛知労働局の実績も下に付けています。
 グラフの上下をご覧いただきますと、全国では合計件数は3,785件で、愛知は223件という違いはありますが、減額特例の減額率の分布の状況につきましては、全国と愛知で傾向に大差はないということが見て取っていただけるかと思います。私からの説明は以上でございます。
○松爲座長
 ありがとうございました。今回のご回答を踏まえましてご質問等がございましたら1、2件受けますが、どうでしょうか。
○障害者雇用対策課長
 先ほどの話の続きになりますが、論点2の議論の時間等については、また資料等も含めて座長とご相談をさせていただいて考えたいと思います。19年報告は今回は参考資料で付けておりますが、19年報告で言われていたことの、到達点とか現状ということについては、次回ご議論をいただく上で参照する必要があろうと思いますので、そういった資料はお出ししようと思っています。おそらく職業安定局がやっている雇用対策の中で、いちばん現状が大きく変化したものは障害者雇用対策だと思いますので、そういった辺りがどういった形で実現したかについては、資料としてお出ししたいと思います。
○松爲座長
 その資料があると非常にまとまりやすいです。そろそろ時間もまいりましたので、本日はこの辺りで終了いたしたいと思います。つきましては、事務局から次回の日程等につきましてよろしくお願いいたします。
○障害者雇用専門官
 次回、第6回は4月10日の開催となります。詳しい時間、場所等は追ってご連絡をいたします。以上でございます。
○松爲座長
 ありがとうございました。これをもちまして第5回の在り方に関する研究会を終わりたいと思います。どうも長い時間お疲れさまでした。ありがとうございました。


(了)

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