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2012年3月12日 急性期医療に関する作業グループ第5回会合議事録

医政局総務課

○日時

平成24年3月12日(月)17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(12階)


○議題

-

○議事

○医療政策企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「急性期医療に関する作業グループ」第5回会合を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 まず初めに、本日の御出欠について御報告申し上げます。本日は代理の方に御出席いただいておりますけれども、横倉義武構成員が御欠席でございます。また、永井良三構成員から御欠席との連絡をいただいております。更に日野頌三構成員からは、若干遅れてお見えになるとの連絡をいただいております。
 それでは、議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1~資料3をお配りしております。不足がございましたらお知らせください。
 また、これまでの作業グループでの資料等は、前回同様ファイルとして御用意しておりますので、適宜御参考にしていただければと思います。なお、このファイルにつきましては前回同様、会合終了後、机に置いたままにしていただいても結構でございます。
 事務局からは以上でございます。以降の進行は座長によろしくお願いいたします。
○田中座長 皆さんこんにちは。議事を始めます。
 初めに、構成員欠席の際に代わりに出席される方の扱いについて、部会と同様に、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることによって参考人として参加し、発言をいただくことを認めることになっております。
 本日の会議につきましては横倉義武構成員の代理として、日本医師会副会長の中川俊男参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田中座長 どうもありがとうございました。
 では、早速議題に移りましょう。資料1~資料3についての説明をお願いします。
○総務課長 それでは、私の方から資料1~資料3について御説明をしたいと思います。
 まず、資料1に沿って御説明したいと思いますが、資料1はこれまで第3回、第4回とデータの分析についての御説明をしました。その関係でいただいた御意見等を踏まえて少し補足的に分析をしてみたものを、2種類用意していますが、御説明を申し上げたいと思います。
 第一点目の関係でございますが、この関係はまず14~16ページをごらんいただきたいと思います。この関係は第3回の会合でお示しした資料になります。
 14ページは一般病床を有する病院全体の一般病床について、平均在院日数の分布を示したもの。その中でDPC対象病院がオレンジですが、どういう形になっているかというものを示したものでございます。
 15ページは同じく一般病床を有する病院について救急の機能がどんなふうに、平均在院日数の関係を含めて、なっているかというところ。
 16ページ目も一般病床を有する病院、DPC対象病院について、平均在院日数と手術の関係についてどのような機能をそれぞれ担っているかというところを分析してお示ししたわけでございますが、この関係を少し別の形で分析したものが今回の分析になります。
 2ページにお戻りいただきまして「平均在院日数別の医療の実施」と表紙は書いていますが、その裏側の3ページ目をごらんいただきたいと思います。
 最初に、今回の分析の趣旨といいますか、考え方を記しております。3ページ目にある棒グラフは、先ほど14ページでお示しした全体の平均在院日数の状況を示したわけでございますが、平均在院日数別に病院の数を示しております。この一般病床の平均在院日数について、平均在院日数が19日以下のグループ、赤のところであります。それから、19日~30日のグループ、黄緑の部分です。30日を超えるグループ、3つにグループを分けてみて、それぞれについて救急あるいは手術といったところがどんなふうに担っているかというところを、分析してみようというものであります。
 赤の19日以下のグループは3ページ目にありますように、病院の数で言いますと1,871病院、49万床となります。黄緑のところは1,189病院、14万5,000床余り、30日より長い病院のグループは1,281病院、12万床となっております。
それぞれのところの概況ですが、4ページ目にありますように、今回対象としましたのは患者調査を使っておりましたので、対象となっている一般病床は4ページ目の青い表の上のところ、分析の対象はこの75万6,000床が対象になります。
それぞれ平均在院日数の19日以下の赤いグループ、19日~30日の黄緑のグループ、30日より長い黒のグループを見てみますと、これも別の形で3回目の資料にあったと思いますが、病床の規模で見てみますと19日以下のグループは比較的規模の大きいものが多いということで、病床の数で言いますと49万床のうち19万5,000床余りが500床以上ということで、比較的大規模な病院が多いということになります。
それに比べてみますと黄緑のグループ、19日~30日以下のグループですと病院の規模が小さい方の割合が赤と比べると増えているということ。更に黒いところ、30日より長いグループですと更に比較的小規模な病院が多い。こういうふうになってございます。
その上で5ページ目をごらんいただきたいわけでございますけれども、それぞれの平均在院日数の短いグループ、真ん中のグループ、長いグループということで、5ページ目は救急からの入院がどのぐらいの割合を占めているかというものを見たものであります。この場合の救急からの入院は3回目の資料でお示ししたものと同じでありますけれども、1つ目の○の下の*にありますように、救急車、救急外来、診療時間外のいずれかにより入院した患者ということでございますが、この割合を見てみますと赤い一番短いグループですと、これは病院の数で見てみますと93.5%ある。救急からの入院があるかないかというので割合を見ていますが、このような状況になっています。
黄緑のところでありますが、こちらも93.4%ということで、病院の数としますと赤のところと余り違いはないことになります。
黒の30日より長いグループですと、66.2%が救急からの入院があることになります。
これはあくまでも病院全体として見ているという点については、少し留意が必要かと思います。
6ページ目が手術の実施についてを見ております。こちらは左側の赤い19日以下のグループですと、96.3%の病院が手術ありとなっております。
真ん中のグループですと少し率が下がりまして、89.2%の病院があるということでございます。
平均在院日数が長いグループですと、56.8%となってございます。
その上で7ページ目をごらんいただきたいと思いますが、今、5ページ目、6ページ目でごらんいただいたものは、それぞれの平均在院日数のグループごとに手術があるかどうか、あるいは救急があるかどうか、それぞれ単独で見たものでありますけれども、7ページ目の表は手術あるいは救急いずれかを実施しているかということで見たものであります。これがオレンジの表のところになります。黄緑の右側の方はその裏側といいますか、排反事象といいますか、救急も手術もいずれもないという形の割合を見たものであります。
まず19日以下のグループですと、赤枠で囲ったところになりますが、救急あるいは手術を実施しているというものが99%。括弧書きは病床に対する割合を見たものであります。括弧の上は病院の割合を見たものであります。病院あるいは病床で見ても100%のものが救急あるいは手術があることになっております。
他方、真ん中の19日~30日のグループで見ますと、病院の数は上に比べると少し減りまして97.6%でありますが、病床で言いますと99.4%、ほぼすべてのところが救急あるいは手術を実施していることになります。
30日より長いグループですと少し減りまして、病院の数ですと77.3%、病床で言いますと81.8%が手術あるいは救急があるところであります。
この裏側に排反事象ということになりますが、3番目の30日より長いグループですと右側の黄緑の赤で囲った枠にありますように、22.7%の病院は救急も手術もいずれも実施をしていないことになります。
7ページ目の表を別な形、ベン図の形で示したものが8ページ目になります。こちらは同じものを別の形に示したものだとごらんいただければと思います。
9ページ、こちらは今、これまでの分析は救急あるいは手術のいずれかを実施しているかどうか、言い換えると0%よりも多いかということを見たものでありますけれども、9ページ目は少し割合を高くしまして、救急あるいは手術が10%を基準として見た場合に、どんなふうになるかというものを見たものであります。
同じように9ページ目は、手術・救急のいずれかは10%以上あるかというものがオレンジの表になります。右側の黄緑のところはその排反事象ですから、救急も10%以上ないし手術も10%以上ありませんということで、救急も手術もわずかしかやっていないという部分が、どのぐらい割合を占めているかと見たものが右側の黄緑の表になります。
同じように?、?、?と平均在院日数が短いグループで見てみますと、救急が10%以上ある、あるいは手術が10%あるという病院が96.2%ということでありますが、病床で見ますと99.4%とほぼ100%に近いものになるということであります。他方、19日~30日のグループで見てみますと、病院の数ですと少し率が下がって89.8%、病床で言いますと95.7%となります。
したがって、右側になりますと19日~30日のグループですと10.2%の病院は、手術も救急も10%以下しかないということになっております。
3つ目のグループで見ますと、61.0%の病院は手術あるいは救急がいずれか10%以上あることになります。この裏側ですと約4割、39%の病院は救急も手術も10%以下しかないということで、わずかしかないということがこの状況になります。
同じように10ページ目は、今の表を別の形でお示しをしたものになります。
11ページ目は更に3回目あるいは4回目の資料で、中央値等で分析をしたものがありましたが、同じように救急あるいは手術の中央値で見たときに、どんなふうになるかというところを見たものであります。11ページ目はオレンジのところでありますが、救急の中央値は17.9%、手術の中央値は23.1%ですが、それぞれについていずれかが中央値以上あるというものを見たものであります。
まず19日以下のグループですと、88.8%の病院は救急あるいは手術が中央値以上あるということで、病床で言いますと97%が該当することになります。右側の方になりますが、11%の病院は救急も手術もいずれも中央値以下しかないということになります。
19日~30日のグループですと73.5%の病院、病床ですと84.6%の病床が救急あるいは手術が中央値以上あるということになります。右の方にいきますと26.5%、約4分の1の病院は救急も手術も中央値以下しかないということでございます。
30日の長いグループですと率が下がりまして、40%の病院は救急あるいは手術が中央値以上あるということですが、約6割、59.2%の病院は救急も手術も中央値以下しかないということになってございます。
12ページ目は今のものをベン図の形で示しているものでございます。
13ページ目はまとめといたしまして、比較的高い診療密度を要する医療と考えられる救急や手術について、今回の場合には先ほど冒頭申し上げましたように、病院単位で見ているという点は留意が必要なわけですが、平均在院日数が長い医療機関の中にも実施している病院は確かにあるわけですけれども、平均在院日数が短い医療機関ほど救急あるいは手術のいずれかを実施している割合が高いということ、要は救急患者あるいは手術の患者の割合も高いということで、平均在院日数が短い医療機関では比較的高い診療密度を要する医療を実施していると言えるのではないか。比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床ということについて、短期間での入院ということ、あるいは救急手術という観点からとらえるということについて、一定の妥当性なり合理性があるのではないかと言えようかと思っております。
以上が1点目の補足的な分析の資料であります。
2点目が18ページ目以下であります。「病棟看護職員数と地域性の関係」という表題ですが、19ページをごらんいただきたいと思います。前回、今回の機能分化の方策について、医療法で位置づける意味についての御議論をいただきましたけれども、その際の資料にも載せておりましたが、一般病床の機能分化は診療報酬という経済的誘導策で先行的に取り組まれておりまして、既に一定の成果を挙げていることは言えようかと思います。他方、診療報酬はあくまでも個々の医療機関の機能分化の推進ということが主の目的でありますので、必ずしも地域ごとの医療資源の適切な配分ということには、診療報酬だけでは必ずしも十分対応できない面があるのではないかという点であります。
そういった観点で各医療機関の病棟看護職員という点から、各都道府県別の状況がどんなふうになっているかということを分析してみようというものであります。
20ページ、今回の分析の視点を書いていますが、前回、一般病床を有する病院の一般病床100床当たりの病棟看護職員の数を使った分析を示しました。今回もそれと同様の分析であります。一般病床の100床当たりの病棟看護職員の数の分布は下にあるような分布になっていますが、この中央値、平均値とも約40人となっております。全病棟の上位80%の値を見てみますと55人というところがこの分布になっています。ここの2つの基準を使いましてどんなふうな状況か、地域性を見てみようというものであります。
21ページは100床当たりの病棟看護職員の数が40人以上のものについて、各県ごとにそうした病院がどのぐらい割合を占めているかというものの分布を見たものが21ページ目になります。ごらんいただきますように、枠の中の2つ目の○のところに書いてありますが、都道府県によって随分幅の広い分布をしております。少ないところでは31.8%、多いところでは74.4%と、約4分の3が比較的手厚い看護職員の配置の病院が占めているというような形で、非常に地域性のばらつきが大きいということが言えようかと思います。
21ページ目は各都道府県ごとの病院に占める割合、病院の数で割合を見たものでありますけれども、22ページ目はそれぞれの病院の病床を足し合わせた病床に占める割合を見たものになります。こちらも低いところは43%、割合の高いところは78.2%ということで、こちらも非常に幅広く分布をしていることが見てとれようかと思っています。こうした地域的な幅広い分布あるいはばらつきというものが、どういうことを背景にしているのかということで、一定の医療ニーズなりが背景にあるとすれば問題はないのであろうと思いますが、そういったところとの関係性を見てみようというもので、23ページ目以下に少し分析をしてみたものであります。
23ページは高齢化の割合との関係。この場合、75歳以上の割合を見ておりますが、この関係と、それぞれの県ごとの42以上の病院の病床がどのぐらい占めているかという割合との関係を見たものです。赤い棒グラフが75歳以上の割合を見たもので、右に行くほど高い県を並べております。これと比べて青い折れ線グラフがそれぞれの県の病棟看護職員40人以上の病院の病床が、都道府県の全病床に占める割合を見たものであります。ごらんいただきますように赤い棒グラフは右に行くほど高くなっていますが、青い折れ線グラフは必ずしもそれと一定の関係性があるようには、なかなか見出し難いという結果であります。
24ページ、人口密度との関係を見たものであります。同じく赤い棒グラフが人口密度の高い方を右側に並べておりますが、それぞれの県の看護職員40人以上の病床の占める割合、青い折れ線グラフとの一定の関係性はなかなか見出し難いのではないかと思います。
25ページは同じように?は人口当たりの一般病院の数、?は人口10万人当たり一般病床の数を見て、同じように右側に行くほど高い県を並べてございます。
同じように医療施設の数あるいは一般病床の数という地域的な特性と比べてみても、必ずしも青い折れ線グラフとの間の一定の関係性は見出し難いのではないかと思います。
26ページ目は55人、約8割のところを見たものでありますが、26ページ目は高齢化率75歳以上の割合との関係、それから、下の方の?は人口密度の関係を見たものですが、こちらも40人以上の割合と同様に高齢化率、人口密度といった地域特性に、必ずしも一定の関係性は見出し難いのではないかと思います。
27ページ目は先ほどの40人の場合と同じように、人口10万人当たりの一般病院の数と一般病床の数との関係性を見たものであります。こちらも40人の場合も同様かと思います。
28ページ、まとめとして医療資源について今回、看護職員の配置が厚い病院の病床というふうに見たものですが、都道府県内の全病床に占める割合という観点で見た場合に、地域の特性と医療資源の間の関連は必ずしも見出し難いということで、現在の機能分化の方策だけでは地域の特性によっては医療提供体制の構築という点については一定の課題があるのではないか。将来に向かってそれぞれの医療機関が適切に機能連携をしながら、地域全体としても必要な医療機能がバランスよく提供される体制の構築について、更に進めていくことが必要ではないかということが含意されているのではないかと思っています。
以上が資料1であります。
引き続きまして、資料2について御説明をしたいと思います。この資料は昨年の医療部会で提示しました事務局の提案について、これまで作業グループでいろいろ御議論いただきました。そうした作業グループでの御議論を踏まえて再度整理をするようにという前回の座長のとりまとめもございましたので、その指示を受けまして用意をしたものであります。
表題といたしまして一般病床の機能分化の推進ということで、比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床群、提案中の急性期病床についての整理ということで、当初の提案にこの作業グループで御議論いただいた点を踏まえて、再度整理したものであります。
まず、基本的な考え方として1として書いてございます。それから、2と3ということで一定の方向性について御議論いただきたいポイントを整理してございます。
まず1でありますけれども、基本的な考え方でありますが、こちらは現在、医療法に位置づける意味についての資料で、ポイントを更に抽出をして整理したものでございます。
最初の○ですが、今回の基本的な考え方は今後の少子高齢社会を見据え、急性期、亜急性期、療養、在宅といった流れを構築するための第一段階として急性期に着目し、一般病床についての機能分化を進めていくことが必要ではないかということでございます。
2つ目の○ですが、一般病床について比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床群を医療法に位置づけ、一般病床の機能分化を図るという考え方であります。これによって急性期医療のニーズに見合った病床と、これとともに重要な亜急性期等の医療を担う病床も明らかになり、急性期医療から急性期等の医療について、医療の機能に見合った医療資源の効果的かつ効率的な配置が促される。その結果、急性期から亜急性期等まで、患者が状態に見合った病床で、その状態にふさわしい良質な医療サービスを受けることができることにつながるということでございます。
3つ目の○になりますが、それぞれの医療機関が他の医療機関と必要な連携をしつつ、自ら担う機能や今後の方向性を自主的に選択することにより、地域のニーズに応じた効率的な医療提供に努めることともに、今回の機能分化に当たってはそれぞれの医療機関とともに、それぞれの医療機関が適切に機能連携・分担をしながら、地域全体としても必要な医療機能がバランスよく提供される体制の構築を目指すということが、重要ではないかと思っています。
更に、医療機関が認定された機能を地域の他の医療機関に発信することを通じて、国民・患者がその機能を適切に理解しながら、利用していただく一助にもなると考えております。
2のところでありますが、一般病床の機能分化の推進ということで比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床についての基本的な仕組みの概要を、作業グループでの議論を踏まえて再度整理をし直したものであります。
まず1点目の○でありますけれども、現在幅広い機能を担っている一般病床のうち、比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床を医療法上に位置づけるとしてはどうかということであります。※のところは従来この例示として挙げているものを今回併せて記しております。
2ページ、この医療法上位置づける仕組みの骨格として、まず今回の仕組みの考え方としては、従来の医療法上の許可という仕組みとは違って、各医療機関が自主的に都道府県に申請をして確認を受ける仕組み、認定と申し上げていますが、としてはどうかということであります。この場合の認定は勿論、病院全体で認定を受けるということもあり得るわけですが、病棟を基本としてはどうかということで、病院全体ではなくて一部の認定も可能とする仕組みとしてはどうかということであります。
認定の要件といいますか、基本的な考え方でありますが、比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床にふさわしい人的な体制、構造基準、提供している医療の機能や特性を基本としてはどうかということであります。
3つ目の機能や特性の例示として、例えば救急の患者さんが一定の割合以上あるとか、あるいは手術を受ける患者さんの割合が一定以上あるとか、あるいは平均在院日数といったところが考えられるのではないかということであります。
下に※として注書きという観点で3つほど書いておりますが、1つ目の※として要件の確認。この認定の要件というのは個々の患者さん一人ひとりについて、その要件に合っているかどうかということを見るわけではなくて、認定を受けようとしている病棟の病床全体、グループとしてその要件を満たしているかどうか確認するというものであります。個々の患者さんについて、一人ひとりどうかということを要求するものではないということであります。あくまでもグループ全体としてそうした機能にふさわしい状況にあるかということを見るわけであります。
2つ目の※ですが、この作業グループの中でも御議論、御指摘いただきましたが、医療資源の限られた地域等、一定の地域について配慮を検討する必要があることも考えています。
3つ目の※ですけれども、認定の要件の基本的な考え方は?、?、?と記しておりますが、これの具体的な内容については、こうした基本的な仕組みについて整理ができた後、更に別途具体的なところは検討をする必要があると思っております。
その次の報告と認定の更新でありますけれども、こうした確認を受ける仕組みを導入した上で、定期的に必要な事項を都道府県に報告する仕組みとともに、一定期間ごとに更新という仕組みも併せて必要ではないだろうかということであります。
ただ、その下に※で書いていますが、仮に要件を満たさなくなったという場合について、直ちに認定全体の確認の取り消しということを行うのではなくて、認定される範囲の変更あるいは一定期間の猶予といった個別の医療機関の事情に配慮した仕組みを設けるといったことも、検討する必要があるのではないかということであります。
その次のところですが、都道府県は認定を受けた医療機関からのこの内容について公表するという仕組みを、併せて検討する必要があるのではないかと思います。
その下ですが、制度導入への配慮については、制度導入時期については地域の医療提供体制に混乱が生じることのないよう、十分な準備期間を設ける必要があるのではないかということであります。
その下に括弧で囲ってありますが、病院の一般病床についてこうした仕組みを設ける場合、診療所の一般病床についてどんなふうに考えるかということも、併せて整理をする必要があろうかと思っています。
3ページ、3と書いてございます。今、申し上げた今回の機能分化については、今回の1の資料にも関係するものであります。それから、前回のなぜ診療報酬だけではなく、医療法でこうした方策について取り組む必要があるかというところでの御議論とも関係するわけですが、今回の機能分化というのは個々の医療機関それぞれが自主的に自らの機能を選択して選んでいただくということだけではなくて、それが地域全体として適切な機能分化になっていくかという、個々の医療機関だけではなくて地域全体適切な機能分化の推進を図る。これがもう一つの重要なことだと思ってございます。
そういう意味で地域において均衡のとれた、バランスのとれた機能分化を推進していくためには、どういった方策が必要かということで3をまとめてございます。地域において比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床が、その地域の医療ニーズに対応してバランスよく配置されることによって、地域全体として適切な機能分化の推進を目指していく必要があるのではないかということであります。
具体的には、各医療機関が比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床を、自主的に手を挙げていただいて確認するという認定という仕組みを通じて、各地域の現状をまず把握をすることが第一の段階だと思っています。
その上で、そうした現状と、今後更に進む高齢化の進展を含む地域の将来的な医療ニーズの見通しを踏まえながら、今後のその地域におけるバランスのとれた医療機能の目安あるいは機能分化のビジョンを地域ごとに作成をしていただくということが、重要な視点ではないかと思います。
こうした仕組みを目指していく上において※が2つ書いていますが、国においては地域におけるビジョンの作成に当たって、あらかじめ今後の地域におけるバランスのとれた医療機能の目安に関するガイドラインといったものを作成することを検討する必要があるのではないかと思います。
もう一つの※でありますけれども、機能分化のビジョンを作成することについては、基本的には先ほど申しましたように、まずは各医療機関が現状どんなふうにそれぞれ自主的に選択をしていただいているかという認定の状況を踏まえるということとともに、都道府県における準備の期間も考慮しなければいけないということでございますので、認定という仕組みを導入した後、一定の期間を置くなり一定の準備期間を置くことも併せて検討する必要があると思っています。
4点目、機能分化を推進するに当たっては国、都道府県といった行政、医療機関、それに加えて患者さんが適切に理解しながら利用していただくということも重要だと思いますので、こういった考え方を医療法上きちんと位置づけることも併せて検討する必要があるのではないかと思っています。
資料2については以上でございます。
資料3でございますが、こちらはこれまでの議論を整理した上で、それぞれポイントという形で要約をしてお示ししたものでありますが、前回の御議論の中で幾つか御指摘いただいたものを追加しているものでございます。下線部が前回の御議論を踏まえて更に追記をしたものではございますので、こちらはごらんをいただければと思っております。
少し長くなって恐縮ですが、事務局からの説明は以上であります。
○田中座長 ありがとうございました。
 では、ただいまの説明及び資料に対して皆様から御意見を伺います。資料1及び資料2について御質問、御意見があればお願いいたします。
○中川参考人 参考人の中川です。資料2についてよろしいでしょうか。
 最初の※に「昨年医療部会で提示した事務局提案について、これまでの作業グループの議論を踏まえて再度整理したもの」と書いてありますけれども、その「1.基本的な考え方」の2つ目の○「一般病床について、『比較的高い診療密度を要する医療を提供する病床(群)(提案中の『急性期病床群(仮称)』)』を医療法に位置づけ、一般病床の機能分化を図る」と書いてあるんですが、この作業グループを設置したそもそもは、医療法に位置づけてどうするかという議論をするためにつくったわけではないですね。
医療部会で話して決めたのは、急性期医療をどうするか。急性期病床とは一体どんなものかといったことを改めて議論しようではないかというふうにして、このワーキンググループをつくることが決まったのではないですか。なぜここまでこういうふうになるんでしょうか。
○総務課長 青いファイルの中に第3回目の資料がありますが、医療部会の意見書を抜粋しているところがあります。赤い仕切り紙に意見書と書いてあるところがあるかと思います。12月22日の医療部会の意見書の抜粋を書いたものであります。医療部会のこの意見を受けて、この作業グループが設けられておりますけれども、意見書の抜粋でありますが、病床区分の在り方ということで、最初の○は一般病床について機能分化を進めるということで、病床の機能分化・強化を図り、医療機関が自ら担う機能を選択し、その機能を国民、患者に明らかにしておく必要があるということで、機能分化の方向性については一定の共通の理解が得られているものだと思っています。
 その上で2つ目の○ですが、こういった方向性はさまざまな機会で示されてきたものの実現に至っていない状況を踏まえて、その実現に向けて法制化も含め、こうした方向性を明らかにして取り組むことが重要であるということで、法制化を含めた方向性を明らかにして取り組む重要性を、医療部会としても御意見いただいているわけであります。
 その上で3つ目の○になるわけでありますけれども、急性期医療についてはその医療従事者の負担軽減あるいは専門医の集約と医療の質の向上を図るとともに、早期に社会復帰を可能とする観点から、医療資源を集中化させることで機能強化を図るべきだということで、そうした機能分化あるいは急性期医療への人的資源の集中を図るための具体的な方策についての検討の場を設けということで、早期に検討すべきであるということであります。
 その具体的な方策について別途検討する場がこの作業グループだということでありますので、その中身については十分な議論が必要だということでありますけれども、あと、その具体的な評価の方法とか、地域の実情を踏まえた検討が必要だといった点も記されておりますけれども、この医療部会では若干繰り返しですが、機能分化の推進の必要性については共通の認識を得た上で、法制化も含めた取組みの重要性をうたいつつ、その具体的な方策を検討する場としてこの検討会が設けられているということでございますので、それを踏まえて先ほどの整理のペーパーは、再度これまでの議論を踏まえて整理したものだということであります。
○中川参考人 法制化を含めと書いてあるから、医療法上に位置づけて機能分化を進めていくんだというふうに解釈できるということですか。
○総務課長 まさに法制化を含めて取り組むことの重要性が指摘され、その上でこの作業グループで御議論いただいたわけですが、更に具体的には前回、これまでの御議論を少し復習いたしますと、この議論の中でも診療報酬という仕組みで既にいろんな機能分化の取組みが進められているではないかということについて、そうした方向だけで十分ではないか。なぜその上で医療法まで位置づける必要があるのかという御議論もありました。それに対して更に前回の私どもからの説明にもありましたし、今回の資料1の後段部分にもありますが、確かに診療報酬という仕組みも重要な1つのツールであります。そうしたことで一定の機能分化の推進が図られつつあるということもそうだと思う。ただ、その上で更にこの機能分化というのは個々の医療機関だけではなくて、地域全体として適切な機能分化が必要ではないかという点では、医療法というものが必要ではないかという議論があったんだと思います。
 そうしたことを踏まえて今回の中では、医療法に何らかの位置づけをするということも併せて、これまでの議論を踏まえて更に進めていく必要があるのではないかということで記しております。
○中川参考人 総務課長、誠に申し訳ないですけれども、答弁が長過ぎます。簡潔に答えていただけませんか。私は簡潔に質問しているんですから。煙に巻いているというのは、あなたの答弁のことを言うんです。
 これを真剣に読んで、この急性期病床群は全国の医療現場の第一線の病院が今、このことで大混乱しているんです。医療部会できちんと議論して、医療法上で急性期病床群を位置づけるということに関しては反対論が多かったはずです。それでなぜ資料2のようなものが拙速に出てくるんですか。なぜ要件といったものが書かれるんですか。このワーキンググループにおいてさえも全然議論が終わっていないと思います。簡潔にお願いします。
○総務課長 この整理はあくまでもこれまでの議論の整理ということで、たたき台としてお示ししてありますので、これで決して決まったということではありません。医療法に位置づけるということについても併せて議論が必要ではないかということで、お示しをしております。
○田中座長 これを基に議論すればいいとの理解ですね。
 どうぞ最初の資料についての質問でも結構ですし、また意見でも結構です。
○高智構成員 今、中川参考人から御意見があったことに多少触れるかと思いますが、また、前回私が意見を申し上げた点とも重なるところがあるかもしれませんけれども、資料の19ページにまとめの2文がございます。これまで一般病床の機能分化は2年ごとの診療報酬の改定が経済的なインセンティブになって先行的に取り組まれてきました。これにつきましては前回も申し上げましたが、7対1の問題を始めとして、非常に深刻な問題を巻き起こしているわけでございます。まさしく広義の医療政策にこの診療報酬のインセンティブを直接すり合わせることは十分でないということ、そういう特性を感じ取れるということでございます。
 診療報酬のインセンティブは、時局の問題や課題、テーマにはすんなりとフィットするということもあろうと思いますが、普遍性とか中長期の整合性といった概念を前にいたしますと、余りなじみにくいのではないか。こういうことで前回も正攻法という考え方に照らし合わせれば、2025年の超高齢社会下における急性期医療、それから、全体の医療との整合性を見ますと、やはりここは正攻法として医療法という法体系を持って決める、規範するということが国民医療の観点から見ましても、そういう時期に来ているのではないかという感じがいたしました。
 相澤先生が前回までも数回おっしゃっていますが、25年の超高齢社会を見据えないと現状における判断、評価では十分ではない。私も全く同感でございます。先ほど申し上げた7対1の問題を1つの象徴的な反省材料ととらえる姿勢も必要だと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
 では、日野構成員、お願いします。
○日野構成員 中川先生の御指摘は私ももっともだと思いますし、当初スタートから議論がかみ合わないのはこの辺にあるので、先に急性期病床群という言葉が出てきたこと自体が問題だと思います。
 私が事務局にお願いしたいのは、急性期病床群というものを事務局がどういうふうな像を描いているかというのを数字を入れて、病床基準があるわけですから、どんな基準を描いているのか。患者はどういう患者を描いているのか。医療圏はどういうふうに設定しているのかという回答ではなくて、例示がありがたいと思うんですが、我々がイメージとして描けるようなものを提供していただければ、論議が進みやすいと思うんです。
 もう一つあります、資料の4ページの平均在院日数別の病床規模の違いというものがございますが、リストがございますけれども、右の一番下に500床以上というものがありまして、これが長期の入院ですが、お聞きするとここには亜急性及び回復期リハが入っているそうなので、それを除いたものをお示しいただければ、よりはっきりと特徴がわかる。あるいはすべて同じような特徴になるのかもわかりませんが、それはそれなりに大変意味があることなので、可能でしたらそれをお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中座長 今の2つ、2点目は御要望ですね。亜急性期、回復期リハを除いたらどうかについて、今すぐ答えるよりは、そういうデータをつくる対応でしょうか。
○総務課長 まず2点目の方ですが、確かに今回の分析は病院単位で見ておりますので、その中の限界がございますけれども、私どもの分析は必ずしも十分ではありませんが、30日より長いグループを少しピックアップして見てみますと、ほかのグループに比べると回復期リハ等の病棟を有している、我々が少し高いという感じはしております。そうしたことも含めて、そうした実情をどんなふうにお示しできるのか、次回以降ちょっと工夫を、どこまでできるかわかりませんが、してみたいと思います。
 1点目の点もどんな形のものができるか。幾つか例示として患者像についてはこれまでお示しした資料もありますが、具体的なイメージができるような形のものがどんなふうにできるか、次回以降、工夫をしてみたいと思います。
○田中座長 イメージも余り現状にとらわれずに、この間ずっと相澤先生も言っておられるように将来のイメージです。2025年のイメージに近いところから考えるのでしょうね。
 ほかにいかがでしょうか。相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 繰り返しになりますけれども、日野先生が要望したそういうデータは探してもないんです。例えば亜急性期だとか回復期リハを除いた病床数はどれくらいかというのがわかっても、その病床数の平均在院日数はどれくらいかと言ったときに、今はとれないんです。私もいろいろとろうと思ってやってみたんですが、なかなか公表されているデータの中ではとれないんです。実態がよくわからないというのが本当のところではないかと思います。
 先ほど中川先生がおっしゃっていたように、現場ですごい混乱しているということで、急性期病床群という考え方が出て、私も病院会に帰って議論しようということで、議論したんですが、やはり相当皆さん混乱されていて、どうしたらいいのかというのがよくわからなかったんです。
 いろいろ議論をしたんですが、結果、では急性期病床群でない、あるいは急性期病院でないというイメージは何だろうという話をしたんです。そうしたら、まず第一に出てきたのが平均在院日数が異常に長いのはおかしいのではないか。それは病院会で議論したところ、だれも反対しなかったんです。ただ、何日で切るかということは非常に難しい問題だと思います。何日が適当なのかわからないんですが、私が例示として30日以上というところは急性期ではないと思いますかという問いかけをしたら、ほとんどの先生がそうだと言って手を挙げるんです。
 もう一つはここの資料にもあったんですが、救急の患者さんをとらない急性期病院はあるのかという質問をしたんです。そうしたら、急性期の病院で救急をとらない病院というのは、どう考えても急性期というイメージには合わないと言うんです。
 もう一つ、では手術はどうか。救急はとっていないけれども、手術をどんどんやっている病院がある。そういう病院はどう思いますかという質問をしたら、皆さん考えていて、でもそれも急性期かなと言うんです。
 ということは何かというと、ここの資料にもあってなるほどなと思ったんですが、どう考えてもベッド数だとか看護基準だとか、そういう何か構造基準ではなくて、そこの病院の持っている機能を考えたときに、どうしても平均在院日数がかなり長くて、手術もやっていない、救急患者さんもとっていないというのは、どう考えても一般的には急性期病院のイメージではないというところに集約をみんなの意見がされたんです。
 そうなったときに、ではそういう病院の実態像というものがあるかといったときに、先ほど言いましたように実態像がないとすれば、まずそこがどんな医療機能を持ってどうやっているのかという、まず実態というものを知らないと、それを将来どうしていくのかということも含めて決められないのではないかという意見が、病院会では一応出ました。
 まず、例示として全体の病床数が30日を超える。それは病院でも病棟でもいいんでしょうけれども、30日以内であって、手術の患者さんを全く受けていない、あるいは急性期の患者さんを全く受けていないというところを外した中でのデータというものを1回とってみて分析をして、それから次に進んだ方が、この日本の医療を今後つくっていくという上では重要ではなかろうかという意見になったということだけ、ちょっと御報告をしておきます。
○田中座長 病院会での議論を紹介いただきました。ありがとうございました。
 中川参考人、お願いします。
○中川参考人 この資料1ですけれども、例えば13ページにまとめていますが「平均在院日数が長い医療機関の中にも実施している病院はあるものの」と書いてあるんです。普通は「ある」で丸でしょう。短い方がいいんだと誘導していますね。平均在院日数と手術と救急ということを、データとしてこういう資料をつくって、先ほどの資料2の2ページ目の要件にも、これでやるんだという方向性ありきで決めてしまっているではないですか。これはよくないです。
 前回もお聞きしたと思いますが、もう一度お聞きしますけれども、今の全国の地域医療の医療提供体制、機能分化してうまくいっていないとお考えなんでしょうか。医療法上で規定しなくても、それぞれの医療機関の役割分担で、機能分化で私は非常に絶妙なバランスでやっているところが多いと思います。それがなぜ平均在院日数、救急の受入れ、手術の件数、割合などで医療法上で位置づけなければいけないのでしょうか。
○田中座長 高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 今の中川参考人の御指摘ですけれども、今日の資料の中でも施設単位で位置づけるのではなく、病棟でというフレーズも出ております。あと、過疎地域でも相当高度な医療が展開されているということを、横倉構成員からもお話を伺いました。そのとおりだと思います。ですから、ここは法規範するとしても柔軟にやっていくということが随所に出ております。そこのところは先生、どうお考えなんでしょうか。
○中川参考人 高智構成員、柔軟にと言っても柔軟に全然見えないんです。認定されないところも急性期医療はできるんですよという言葉が消えていますけれども、この言葉自体が全国の医療現場で実は大パニックを起こしているんです。それで今うまくいっていないならいいですけれども、全国でうまくいっているんです。だんだん悪くしているんです。なぜ医療法上でがちがちに決めるんですか。納得できる説明がない限り、私は了解できません。
○田中座長 お答えになりますか、それとも繰り返しになるから。
○総務課長 繰り返しにはなってしまいますけれども。
○中川参考人 短く、わかりやすく、簡潔に言ってください。
○総務課長 繰り返しになって恐縮ですけれども、これからの高齢化社会を踏まえて更によくしていくために、何が必要かということがまさに医療部会の問題提起だと思いますので、それを踏まえて御議論を、別に今のペーパーで決まりということではありません。ここでまさによりよくするための御議論をお願いしたいと思います。
○田中座長 急速に患者の75歳以上比率が高まっていくような趨勢の中で考えたいですね。
 花井構成員、どうぞ。
○花井構成員 今日の資料5ページから出ていますが、一般病床の中でも相当容体が違うことがはっきりしており、機能分化はできるのではないかというのが1つと、高齢化率が高いところは病床数が多いのではないかと思いました。これは看護職員の配置割合も含んだものですが、28ページには医療資源が高齢化率や人口密度にほとんど相関性がなかったと出ているわけです。ということは、医療資源が本当に有効に使われているのだろうかということが、逆に読み取れると思います。
 2025年に向かってどういう有効で効率的な医療の資源を使っていくかということを考えたときに、医療法や医療計画の中で医療資源の配分、都道府県ごとの地域住民の要望に応じた形での医療と介護の連携や、病診連携など、さまざまな形の地域包括ケアをどうやって目指していくかといったときに、医療法で位置づけることが全国的な有効な医療資源の配分につながっていくのではないかと、私はこの数値から読み取ったということを述べさせていただきたいと思います。
 一つ質問ですが、後半の部分の全く相関性がないというその辺りは、事務局はどのように分析されているのか教えていただきたいと思います。
○田中座長 学会でも相関がないことの説明は難しいのですけれども、でも何かおありでしたらお願いします。
○総務課長 事務局としては、この分析で何がどうしてこういうふうにばらつきが出ているかというのは、正直言ってこれだけではわからないなということです。ただ、ばらつきがある。ばらつきが結構大きいのではないかということについては、もう少しそれは機能の分化と言うんでしょうか、ばらつきがない方が、あるいはもう少しバランスのよさというものが、理想はもう少し先にあるのではないか。あるいは将来の医療ニーズが変わることも含めて、もう少し改善すべき余地があるのではないかということを示唆しているということではないかと思いますが、現状の原因は必ずしもよくわからないということであります。
○田中座長 中川参考人、どうぞ。
○中川参考人 花井構成員にちょっとお聞きしたいんですが、高齢化率や人口密度と関係ないということになったということが、医療資源が上手に使われていないのではないかというふうにおっしゃいましたね。それは高齢化率が高いところは例えば看護職員がたくさんいるべきだという意味ですか。
○花井構成員 看護職員がたくさんいるべきというところまでは考えていません。
○中川参考人 高齢者がたくさんいて、病気になりやすい方がたくさんいるんだから、看護職員がたくさんいる、比率が高いというふうなデータが出るのが、医療資源がうまく使われているという意味だということですか。
○花井構成員 高齢者が多いということは、やはり病気になる方も多いだろうということ、あるいはひとり暮らしの方も多いだろうから、当然そこに看護職員が例えば病棟の中にいるとか、地域の中にいるとか、そういうことをイメージしたということです。ですから、当然そこは相関関係があると私が思っていたら、そうではなかったということがわかったということです。そうすると医療計画というのは逆にほとんど効いていないのではないかと思ったので質問しました。
○中川参考人 ありがとうございます。
 なぜ今の医療部会でもいろいろ議論をしているかと言うと、大前提は地域医療が崩壊していることです。その原因の主たるものは医療費抑制とまではここの場では言いませんけれども、医師不足、看護師不足なんです。そういう状態で医療法でこういう要件をつくって、急性期病床群を位置づけるということの意味ですよ。現場が大混乱しているというのはそのことなんです。必要な看護師数も集められないという現場を本当にわかっているのかなと思います。事務局に言っているんですけれども、それはただ一体改革の大綱に基づいてというふうに、立場的に推進しなければならないんだと思っているのかななんて思ってしまいますね。本当に現場の医師不足、看護師不足をわかっているのかなと。診療報酬上だけでは不十分だ、医療法上でも位置づけなければならない。どうして今こういう大変な時期に、地域医療が大変な時期に急いで拙速にこういうことをやろうとするんですか。
○田中座長 高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 まさしく今の御指摘の点についてなんですけれども、中川先生は先ほど来、現状で地域医療はうまくいっているではないかという基本的な認識でおっしゃっていますが、果たしてそうでしょうか。今の看護師の問題、7対1でみんな吸い上げられてしまって、いないところは全然いない。そういう困った問題も現実としてあるわけです。それについてどうお考えでしょうか。
○中川参考人 一般的に急性期と言われる今の病棟においては、実は7対1という配置でも足りないんです。7対1は潤沢に看護師がいるわけではないんです。相澤先生も西澤先生もおわかりだと思いますけれども、それでも足りないんです。何とかやりくりしているんです。10対1の病院でも勿論そうです。このデータからもわかるように、13対1、15対1の病院でも何とかやりくりして救急を受け入れ、急性期手術もやっているんです。だから何とかうまくやっているんです。これを新たに医療法上で規定したら大変なことになりますよ。それを申し上げているんです。
○高智構成員 ですから先ほど来申し上げておりますとおり、この診療報酬という鋭いメスで2年に1回入れますと、普遍的なあるいは中長期的な医療政策の根幹が長期に保たれないという危険性があることについては、お認めいただけますでしょうか。
○中川参考人 診療報酬上の手当は、そのときの医療機関の経営状態といったものを中心にまず考えますね。健全な医療機関の経営が担保されないと医療の安全、質の向上は求められませんから、そういう意味では診療報酬上はそれが1つです。
 しかし、診療報酬の手当も医療提供体制がどうあるべきかも勘案して決められてきたと、中医協ではそういう議論をしてきたんだと思っています。その上で医療法上で決めるということにどういう意味があるのか。現場を知らないでイメージで、高智先生、一体改革の大綱、成案の提供体制、高度急性期と一般急性期を御存じでしょう。社会保障国民会議からの踏襲ですけれども、リニューアルですけれども、あれは現実的ですか。あれをイメージして急性期病床群がつくられようとしているんです。そのことを申し上げているんです。
○高智構成員 先生は現状維持派ですか、それとも医療法に位置づけないでどうしようというお考えなんでしょうか。もう少し具体的にお願いします。
○中川参考人 医療法上で位置づける必要はないと考えています。
 これから医療提供体制を立て直すためには医師不足。これは絶対数の手当は終わりました。医師の偏在をどう解消するか抜本的なことを考える。看護師数を増やすにはどうしたらいいのか。これも改めて徹底的に抜本策を考えていく。こういうところから始めないと、いきなりこういうふうに医療法で位置づけるというのは反対です。現状維持ではありません。現状は地域医療は崩壊しています。これを何とか現場の努力で持たせているんです。私は医療法上で位置づけるのに反対しているのは、これを更に壊してしまうと思うからです。
○高智構成員 余り壊してしまうという議論には発展していないと、私自身は考えています。お医者さんの皆さん方からお伺いしてもです。それについては御自身の考え方と現場のお医者さん方の考え方は近いとお考えでいらっしゃいますか。
○中川参考人 現場の意見を反映していると思っています。
○高智構成員 そこのところこそ、もう少し明確に知りたいところです。私ども医療費を集めるという立場からいたしましても、医療部会で座長から急性期医療を利用することについて、患者さんが勝手に選ぶということについての危険性、急性期医療が最もエクセレントな医療ではない、急性期医療に流れることが患者にとって一番のラッキーという感じになることは危惧せざるを得ない。そのようなニュアンスでおっしゃったと思いますが、私もそうだと思うんです。切れ目のない医療提供体制、シームレスな医療提供体制も大事だと思います。
それから、先生方はドクター免許を持っているわけですから、適切な医療に誘導して差し上げるとか、助言して差し上げるとか、そういったことについては患者側または保険者側としても御期待申し上げているところなんです。ですから、この一番危惧しているところを直すにはというか、問題点はわかっているわけですから、問題点を打破するためにはどうしたらいいか。その辺は明確に先生方にお尋ねいたしたいと思っています。
○中川参考人 若干かみ合わないような気もしますが、急性期から亜急性期、慢性期、回復期、在宅、すべて切れ目のない医療を提供しなければならないと申し上げているのは私どもです。一貫して申し上げています。
 今の議論は急性期に資源の偏在、偏重、偏って投入しようとしているということで危惧しているんです。思っていることは基本的に同じでしょうけれども、最終的な着地点は同じなんでしょうが。
○高智構成員 ちょっと違います。急性期に偏って投入しようという考え方はございません。
○中川参考人 高智さんの考え方ではなくて、国がやろうとしている一体改革、大綱に基づいてやろうとしている方向性が、そうだと申し上げています。
○高智構成員 その点は、もう一度事務局に確認いただきたいと思います。
○中川参考人 高智さんはそう思っていないわけですか。
○高智構成員 少なくとも思いたくないです。こういう検討の場でひん曲がった方向に行くというのは、本当にとんでもない話だと思います。先生がおっしゃったのはひん曲がった方向に行くということでしょう。
○中川参考人 それを心配しているわけです。ひん曲がったとは言いませんけれども、余りよくない方向、悪い方向に行くのではないかと危惧しているということです。
○高智構成員 そう思いたくないし、今ここで議論しているのは国民のために、患者のためにということを第一義的に考えて、議論していると思っております。
○中川参考人 そのとおりです。
○日野構成員 医療提供者の1人として、中川先生のお話に全面的に賛成です。
 高智さんの言われるようなことには全然ならないと思います。何かと言うとアメリカのモデルに近い。集中した医療資源をどこかに集めて、短期間に非常に濃密な治療をして、あとは知らないということにこの行き着く末はなってしまうというおそれがあって、我々はこれにそう簡単に賛成はできないという立場です。
○高智構成員 ですから、事務局に再度御確認いただきたいと言ったのは、まさにそこなんです。私はごり押し的に申し上げているつもりは毛頭ございません。アメリカの医療のことも申し上げていません。
○田中座長 論点で出ていたのは、急性期を切り分けるとほかから資源がそちらに移って、残りが薄くなってしまうのではないかという危惧がある。それはかつての7対1のときの経験が医療機関の方々には忘れられないものだから、改めて医療法に書くことによって、もう一度そういう事態が起こることをとても危惧されていることがよくわかりました。
 他方、高智構成員は、そうではないだろう、これは資源の分配の話であって、ここに集めるとの意識ではないと理解されていますけれども、事務局はどういうふうに説明されますか。
○総務課長 私どもの理解も高智先生と同様でありますし、今回の急性期、第1弾としてというふうに資料2では書いておりますが、決して急性期についてだけ人を集めていくという、7対1のときの混乱という例がありましたが、そうしたことを招くようなことを想定しているわけでは毛頭ありません。
 ちなみに申し上げますと、一体改革の中に示している2025年の姿は、急性期も、それ以外の亜急性期、回復期というところも現在よりは手厚い、手厚さの中身は医療の方に手厚いのか、あるいは介護とかケアとかそういうところが手厚いのか、手厚さの中身は多分違ってくるんだと思いますが、それぞれ今よりも手厚くする、機能を充実するという方向が示されていると思っていますから、そういう意味ではバランスよく急性期以外も含めて必要なものを、必要な資源を投入していく。ただ、そのためにも一定の機能分化が必要だというのが一体改革の考え方だと思っています。
○田中座長 西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 今いろいろ議論ありましたが、先ほど課長が示した12月22日の資料ですが、ここの(1)の最初の○ですけれども、この中に一般病床について機能分化を進め、急性期医療への人的資源の集中化を図るなど、と書いてあり、ここを見るとやはり急性期のところに人を集めるんだということが明記されて、しかもそれで急性期病床群と出てしまうと、結び付けて、それで今、現場が混乱しているということだと思います。もしそれが誤解であるならば、もう一回原点に戻って議論した方がいいのではないか。
 というのは、やはり今の一般病床というのがどういう機能になっているのか、もう一回しっかり見て、一方で2025年を見た場合には高度急性期、一般急性期、亜急性期、その他ということで出てきていますので、併せた全体の議論が必要だと思います。急性期病床群だけ議論すれば、ほかのところも見えてくるのではないかというのが今の説明だったと思うんですが、1回全体的な議論をして、その中で我々は全体像を見た中で機能分化をどうすべきかを議論すべきです。先ほど相澤先生からもありましたが、1つの考え方でやると日本病院会での議論のようになることもある。また、ほかのような議論もあるのではないか。そういうことでもう一度整理し直した方がいいのではないかと思います。
 言いたいのは、ここで限られた資源をいろいろ分配するときに、どこかに偏ってしまってはだめだ。あらゆる機能がすべて必要だとすれば、どのような配分がいいかという議論も必要だと思います。そういう全体的な議論をすべきではないか。恐らく中川先生、日野先生が言っていることとか高智さんが言っていることも、その原点は同じだけれども、文章の見方によって違うのではないか、お互いのすれ違いがあるのではないかと思います。そういうことで原点に戻って、もう一回議論した方がいいと思います。
 資料も、今、いろんな資料を出していただいているんですが、都道府県だけではなかなかわからないものもあるなということで、もう少しきめ細かな資料も議論する上で必要ではないかと思っています。
 大事なのは2025年ということは高齢化のピークということです。少子高齢化に向かって、そのときに国民にとって一番バランスのいい提供体制はどうあるべきかということを決めるのが医療部会であって、その作業部会として置かれているという事をふまえ、そのような議論をこれから進めていければと思います。
 しかしやはりトラウマというものがありまして、国は悪い方向に持っていくのではないと言うけれども、我々のトラウマというのは一つは診療報酬での7対1看護ですけれども、もう一つ介護療養型病床の廃止がありますね。急に廃止という事になり、どうなっていますか。いまだに経過措置、経過措置のままで、逆に改革が進んでいないのではないかと思います。やり方を間違うとこのようなことになる。そうならないようにしたいということを恐らく中川先生も言っていると思います。拙速にやった二の舞はすべきではない。
 そういうことで、議論を少しゆっくりやりながら、医療提供側、保険者も合意、国民もある程度合意できる1つの形を時間をかけて築けるのではないか。そういう議論に持っていくべきではないかと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
 高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 相澤先生がこれまでもおっしゃられたことだと思いますけれども、2025年を見据えますと高齢者の疾患像が1疾患ではなくて多重、合併症いろいろな方がいらっしゃって、現状の若い先生だと診ることができないかもしれない、あるいはできない。そういう感じでおっしゃったと認識しておりますが、まさに2012年からあと13年間の間にどのような変容ぶりになるか。そういう必要な医療の実態像に向けて提供、供給する医療サービス、それから、効率的に配分する財源といったものを全部かみ合わせて見てみると、中川先生がおっしゃるように看護師さん、お医者さんが不足していることをどうしたらいいんだということが1つのかぎになるわけですから、まず現状認識を共有しないといけない。それはそのとおりだと思います。
 政府の方針も、一応国民が選んだ代表が政権をとっているわけでございますので、ではどうするのか。それを直せばいいではないですか、修正していけばいいではないですかという考え方なんです。事務局の資料も柔軟性を帯びています。この柔軟性がファジーだとおっしゃるならば、私もそう思うところがありますけれども、もう少しこれを明確にしないと方向性を誤る可能性がある。もしくはここのところだけは鋭角的に理解する必要があるとか、さまざまなアプローチの方法でやっていくべきでありまして、単純に○×△方式でいかないと思うんです。この13年間の変容ぶりを複合的に、複眼的に見ていく必要があると思います。
○田中座長 相澤構成員、お願いします。
○相澤構成員 急性期病床群という名前なのかどうかは別として、一般病床という余りに広い概念のままでいっていいのかという議論は、私はどこかでしなければいけないだろうと思っています。それを急性期病床群だけを分けるのか、それ以外の亜急性期を分けるのかは別問題として、分けなければいけないのかどうかという点で中川先生の議論を聞いていると、そんなものは分ける必要性がないとおっしゃっているわけです。分けた方がいいとおっしゃる人もいるわけです。
ですから、まず本当にそういうことが日本の医療にとって必要なのかどうかという根本議論がなされないまますれ違っていたのでは、いつまで経っても私は合わないような気がするんです。ですから、まずそこのところを決めないと、それがあって初めて法として位置づけるのかどうか、次に進むわけですから、一番最初の根本的なところでみんなの考え方を統一しないと、いつまで経っても議論がすれ違いで終わるのではないかと思っています。
○田中座長 問題点を整理していただきました。
○日野構成員 問題点を整理するに当たって、機能分化というシームレスな医療を提供するという言葉をどういうふうに考えたらいいのか。私はそれは相反するものだと思います。
中川先生がおっしゃる論点から言いますと、シームレスな医療、今で言うかつての専門志向から総合医が生まれたような医療体系というのは、これからの高齢化社会に適しているのではないかという論点、そちらの主張に私は賛成したいと思います。余り機能分化、機能分化すると、患者さんが適当な医療機関を選べるかどうか非常に難しいですし、制度の谷間に落ちた人が本当に悲劇になりますので、余り急峻な機能分化というのは避けた方がいいと思います。
○田中座長 尾形構成員、どうぞ。
○尾形構成員 西澤構成員のお話を伺っていて感じたんですが、限られた資源をできる限り適切に配分するというところでは意見が一致しているように思います。その場合、限られた資源というのが多分2つ意味があって、現在の状況でそれを配分するということで考えたときに、人的資源の集中化をすると他が薄くなってしまうのではないかという懸念はそのとおりだと思います。ただ、恐らくここでやっている議論というのは、先ほどから出ていますように現在の話ではなくて、2025年の状況を考えるということだと思います。
そのときには先ほど事務局からも説明がありましたように、ここは政府が善意かどうかとか、そういう話は別にして、一応社会保障国民会議のシミュレーションとか、昨年6月の長期推計では、改革シナリオというのは将来の医療、介護資源を相当拡充するという前提の議論だったと思います。そこを外して人的資源の集中化というのは多分ないだろうと思うので、そういう意味で先ほど西澤先生のご発言は非常によくわかりました。この意見の中にそうした前提がちゃんと入っていなくて、単に人的資源を集中化するということだけ出ていると、いつの時点で、どういう前提でやるのか。そこははっきりさせた方がいいだろうと思います。
そういう意味ではあくまでも将来、医療介護資源がある程度拡充していったときに優先順位をどう考えるのか、どういう適切な配分をするのか。そのとき、そういう観点からすると私は急性期医療への人的資源の集中化というのは必要だし、そのために今から医療法を変えておくということも必要だろうと思っています。
 以上です。
○田中座長 中川参考人、どうぞ。
○中川参考人 尾形先生、これは2025年にどうするかという議論を今しているわけではないです。急性期病床群は。事務局的にはすぐやりたいんです。それで私は申し上げているんです。やはり日本の医療提供体制が素晴らしかったのは、現場は苦労しながら限られた医療資源を本当に上手に使っていると思います。そして、これだけの成果を挙げているわけです。医療レベルも、結果も。そこをどうしてがちがちに決めるのか。
 2025年のことで言えば、我々は本当に真剣に考えなければいけませんけれども、あの社会保障国民会議、一体改革、みんな財源の在り方は非常にはっきり言って本当にその財源があるのか、人的資源があるのかは全く不明確です。そういう背景で絵を描いたものに対して、それに突き進もうとしているのではないかというふうに見えるから、私は危惧して意見を申し上げているんです。
○田中座長 今日の議論を突き詰めていくと、資源が急性期に行くと、ほかの部分が減るか減らないか、そこの危惧が一番大きいようです。尾形構成員が言われたのは、今、出ている数値だと2025年には460万人が760万人に増えていく中での配分であろうとの指摘です。他方、中川参考人が言われたのは、今、決めたら、現状で急性期に集まってしまって、ほかが崩壊しかねないとの恐れでした。このずれに基づく議論がなされているとまとめられるのではないでしょうか。
 この提案では移行期についても幾つか触れています。こういう制度をつくったらすぐ実行するのではないという書き方のようにもとれるのですが、そこはどうでしょうか。
○総務課長 基本的には今、尾形先生が整理いただいたことだと私も思っています。今回の提案は今すぐ今の資源を再配分するということが目的ではなくて、そういうことを考えるのであれば医療法というのは余りにもスピードが遅い仕組みだと思います。そういう意味では2025年に向けて、将来に向かってどういう方向を目指すべきかというのが今回の医療部会の御議論であり、この作業部会の御議論としてお願いしていることだと思います。
 その上で仮に医療法上、仮にこういう仕組みにするときに、当然ながら法律ですから国会の御審議を経てということになるわけですが、仮に法律が通って明日から何か基準が動き出すというものかと言うと、人的な面や機能の面は相当程度の時間をかけながら、それはどういう基準をつくるかということもよると思います。現状に極めて近い形でスタートしつつ、将来に向かってということだと思いますから、そういう意味では一定の時間を考えながら基準あるいは施行と言うんでしょうか、そういうものは考えていくんだろうと思います。
 いずれにしても、具体的には更に仕組みをつくる段階において詰めなければいけないと思います。
○田中座長 人が集中することによってほかが疲弊するかもしれないという点以外に何かございますか。
○中川参考人 今の総務課長の答え、結局どうなんですか。いつ改正案を出すんですか。問題はそのことです。今、中長期的なことを言ったようで、実はそうでもないことを言ったような気がしますけれども、はっきり言ってください。どういうふうに考えているんですか。
○総務課長 いつ法律を出すかどうかというのは御議論がまとまった上で、できるだけ早くしたいということでありますけれども。
○中川参考人 できるだけ早くというのが本音ですね。
○総務課長 いずれにせよ、今日の資料2の2ページ目にも書きましたけれども、制度導入の時期というのは、この仕組みをつくるに当たっては地域の医療提供体制に混乱が生じることがないよう、十分な準備期間を設ける。こういうことを含めて御議論いただいた上で仕組みをつくるべきだというのが、今回の議論いただきたいもう一つのポイントだと思います。
○田中座長 今まで出ていないところでも、何か論点がお気づきでしたらお願いします。
○高智構成員 資料2の一番最後「4.国や都道府県、医療機関、患者の役割について」ですが、特に患者の役割について入ったことが非常に斬新的なところだと思いますけれども、私どもの立場といたしましても医療保険の加入者、患者の皆さんがいわゆるコンビニ受診、はしご受診、重複服薬といった無駄な、体に悪い受診ビヘイビアをすることについて戒める、危なさ、危険性を啓蒙するような教育活動、広報活動をもう既に大々的に展開しているわけでございます。
 そういう中で法規範の一環として、このような形でお書きいただくことについては賛成いたします。もっと言えば、この患者の役割として単純にオンリーワンでいくのではなく、ニュアンス的にも協力、役割、義務みたいな形で三拍子で入るとなかなかわかりやすくなってくるのかなと。これだけ効率的に資源を配分しなければ成り立っていかない貴重な国民皆保険制度、国民の財産を守るためにもという視点から申し上げたいと思います。
○田中座長 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 今のところなんですけれども、余りこれもしっかりしてここに書かれたという認識なく、事務局のせいだと思うんですが、医療法に位置づけるまで限定づけているんですけれども、そういう結論は出していないと思うので、医療法に位置づけることを見据えてこれから議論するとか、何か書いてあるならいいんですけれども、ここは余り結論めいたものは違うなと。これが独り歩きすると我々が全部賛成したように思われるので、そこは注意していただきたいと思います。
 それと、患者の役割ということは医療法に書くというのはイメージが逆にわからないんですが、片方では健康保険法というものがありますね。被保険者としてのやり方でやるという方法もあると思うんです。そこはもう少し議論した方がいいのではないかと思います。
 保険という財政の中で被保険者がどうするかということでやった方が、本来はいいのではないか。医療法で決めるのはちょっと行き過ぎかなという気も個人的にはしますので、その議論ももし併せてしていただければと思います。
○田中座長 患者の役割については、何かイメージが事務局おありなんですか。これから議論を待ってかためていく段階と理解すればいいですか。
○総務課長 (うなずく)
○田中座長 西澤構成員御指摘のように、まだこれについても議論しなくてはならないわけですね。患者の役割とは何であるか。
 いかがでしょう。5回目ですが、かなり根本に戻っての議論が行われています。根本に戻った発言がほかに更にあれば、お願いします。
○高智構成員 資料ということではないんですけれども、今まで都道府県が余りにも実態を把握していなかった。だから発信もできなかった。受ける側も認識不足だった。そういうところに着目いたしますと、今度の仕組み、都道府県がしっかりと取り組んでくれることによって、医療計画の実態、西澤先生がおっしゃったように医療法で位置づけることについての疑問といったところも明らかになるのではないでしょうか。現在、医療法という法律は国民に最も遠い存在なんです。
健康保険法の加入者は、つい最近までは自分が健康保険料を幾ら払っているか、全くわからない状況が何十年と続いてきたわけです。しかし、この医療保険制度、医療制度に対して、関心度というものが高くなってきた。これは非常にいいことだと思っております。それを更に後ろから押してくれるように都道府県が関与する。そして、地域住民と加入者を応援団として迎え容れるという仕組みができてくれば、財政的にも社会制度の安定的運営にも寄与するものとして期待しています。そういうことだけ申し上げておきたいと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
 花井構成員、どうぞ。
○花井構成員 高智構成員がおっしゃったように、医療法というのは本来、患者や国民から最も身近な存在でなければならないはずですが、現実には一番遠い法律になっていると思っております。
 この最後のところですが、よく法律をつくるとき国の責務とか都道府県の責務という規定がありますが、そういう意味で言うと私は患者の責務、責務と言うと言い過ぎなんだろうと思いますが、患者としても医療に参加していくというか、そういう義務があるんだよと、決してお任せであってはいけないんだよという意味合いから、医療法の中に患者の役割、役割という言葉がいいかどうかは別なんですが、そういうことが位置づけられるということは、非常に大きな前進だと思います。
○田中座長 国や都道府県、医療機関と横並びにするのは、本当は住民の役割でしょう。患者ではない住民も医療提供体制の構築には参加すべきとの理解が正しくて、患者の場合には受療行動の適正化とか、そういうニュアンスが強いから、仕組みづくりのときには患者ではない方がいいかなと思います。突如座長がこれを壊すようなことを言って申し訳ないですが。
○相澤構成員 地域の医療計画の中には4疾病に関してですけれども、実は医療機関の分担は書かれているんです。
 例えば急性心筋梗塞は4疾病の中に入っているんですが、その中で急性期医療を担う病院はどこ、その後のリハビリをやる病院はどこと地域医療計画に書かれているんです。ですから、皆さんたちが住まわれている県を調べていくと、どこがそこの急性期を担っているのか、どこがその後のリハビリをやっているのか、実はわかるようになっているんですが、一般の市民はほとんど知りません。ゼロに近く知りません。実はもうそういうところで分化されているんです。中川先生が御専門の脳卒中の方でも、急性期はどこ、回復期はどこという書き方が地域医療計画の中ではきちんとされています。だからその中ではしっかりとした分化というか、形の上での分化はされているんです。その疾患に関しては。あれは医療法で決めるんですよね。地域医療計画はこういう具合にしなさいと。その中に既に書き込まれて、実行しているところもあるわけです。そうすると、この議論というのは本当に何を目的に何をしようとしているのか、私にはわからないところがあるのが第一点。
 それから、日本病院会の議論の中では、急性期医療というのは何かということをきちんと位置づけることは必要ではないかという意見でした。それを先ほど冒頭に申し上げたようにお話をしたんですが、ただ、それを今、急性期病院はこういう病院でなければなりませんよということをどんと押し付けることは本当にいいことなのかどうかといったときに、違うだろうという意見がありまして、それだったら認定とかそういうものではなくて、届出ということで、届け出た病院のデータを集めることによって、日本の急性期医療というのは何なのかということをまず解明しないと、先に進めないだろうという意見でほぼまとまったということだけ、お伝えをしておきたいと思います。
○田中座長 医療計画に少なくとも4疾病については書かれている。それとの関連性はどうなのか、何か説明は可能ですか。
○総務課長 きちんとお答えできるかどうかわかりませんか、もう少しきちんと整理した上で次回またお答えしたいと思います。
○田中座長 局長、どうぞ。
○医政局長 医療法という言葉が今日は随分出て、中川先生辺りからは「がちがち」とか「規制」とか、医療法のイメージもそういうふうにおっしゃったんですが、医療法と言ったって理念もあれば数字的な把握もしなければいけない。いろんな幅の議論があって、それで例えば今、地域医療計画という話が出ましたが、地域医療計画で機能は書いてあっても、そういうベッドが幾らあるかということになると、それが把握できない状態になっている。恐らく医療法ではそういう急性期病床というのは今日、比較的高い診療密度という言葉を書いていますが、こういったものが地域にどれぐらいあるかということがある程度把握されて、どうあるべきかという理念の問題もある。7対1みたいにがちがちに決めてはどうかというところまで行かないような医療法の在り方というか、法の体系もあると思う。医療法と言ってもいろいろな側面がありますから、理念的なものあるいは地域計画的なもの、いろんな切り口でどこまでできるか。一足飛びにがちがちに規制するという感じは我々も持っていません。法案についてもできるだけまとまるものはまとめて出したいですけれども、合意のないものを突っ込んでいくというわけではないので、是非将来の医療のあるべき姿として、ここまでは医療法で担おうという線で何とか議論をしていただきたい。
○中川参考人 今回の提案から余り優しさを感じないんです。それはどうしてかわかりますか。認定です。これが現場から見ると非常に厳しい。認定されないところでも急性期はやっていいんですよと総務課長が最初何回も説明しましたね。あれが一番悪かったですね。現場から見たら認定されなくてもやっていいですよというのはひどい言葉なんです。
○医政局長 認定というのは状態について把握して、それを法的に確認する手段としての意味だったんですが、それが許認可というか非常に規制的に響くとすれば、もう少しいい方法があるのかどうか。それについては役所の中でも議論をしているんですけれども、一方で何とか事態を把握するツールだけは持ちたいという考えもありまして、それがどういう法的な構成がいいか、それについてはよくまた相談させていただきたいと思います。
○田中座長 認定という言葉は1つ下りた次元でのテクニカルなものなので、反発が起きないような、理解いただけるようなニュアンスに変えられると思います。データに基づいた医療政策をするためのものだとの説明でした。現状では認定という言葉に対して反発があった点は、中川参考人の御指摘のとおりかもしれません。
 ほかはよろしゅうございますか。本日は再度、根本に戻っての議論がなされて、何が特に一番気になるところかもよくわかりましたし、尾形構成員が言ってくださった数字もいつの数字を使うかによって意味が違ってくることもわかりました。ありがとうございます。
 では、今日の議論や御要望を踏まえて、また資料の再整理をお願いします。次回に向けての準備を進めてください。
 最後に事務局から何か説明はありますか。
○医療政策企画官 次回、第6回の会合につきましては詳細が決まり次第、御連絡いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○田中座長 では、本日はこれまでといたします。お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
<(照会先)>

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