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2010年2月12日 平成21年度第8回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第5回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会の第5回合同開催 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成22年 2月12日( 金 )18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(厚生労働省6階)


○議題

1.新型インフルエンザワクチンの安全性について

2.その他

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、平成21年度第8回薬事食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び第5回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会(合同開催第5回)を開催いたします。
 林先生、名取先生、多屋先生がまだお見えではございませんが、遅れていらっしゃる旨の連絡を頂戴しておりませんので、まもなくおいでいただけるものと存じます。
 本日の調査会も、これまでと同様、公開で開催させていただきますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますのでよろしくお願いします。傍聴者の方々におかれましては、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願いいたします。また、本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集りいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、今回第5回目の合同開催となりますので、各先生のご紹介は省略させていただきたいと存じます。御欠席の御連絡をいただいております先生は、安全対策調査会の委員の土屋先生、参考人の内山先生、金兼先生、埜中先生でございます。これ以降は議事に入らせていただきますので、カメラ撮りの方はここまでということにさせていただきます。
 以降の進行を松本座長に、よろしくお願いいたします。
○松本座長 まず、事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告してください。
○事務局 薬事分科会審議参加規程についてです。「新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会」の先生方には、従来同様、このルールに準じた対応とさせていただきますことを御容赦ください。
 本日、出席をいただいております委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況の報告です。本日は新型インフルエンザワクチンの安全性が議題ですので、国産または輸入新型インフルエンザワクチン製造販売業者である学校法人北里研究所、財団法人化学及血清療法研究所、財団法人阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、ノバルティスファーマ株式会社から、過去3年度における寄附金などの受取について申告をいただいております。なお、(競合)品目・(競合)企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りして確認いただいております。今回も、審議への不参加の委員はございませんでした。
 五十嵐委員がグラクソ・スミスクライン株式会社(以下GSKと呼びます)から50万円超500万円以下の受取との申告がございましたので、議題1に関しては、議決にご参加できません。
 参考人におきましては、神田先生がGSK、ノバルティスファーマ株式会社から50万円超500万円以下の受取との申告がございました。
 庵原先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、GSKからそれぞれ50万円以下の受取、工藤先生がGSKから50万円以下の受取、林先生がGSK、ノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取、村島先生がノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取、桃井先生がGSKから50万円以下の受取との申告がございました。
 予防接種後副反応検討会の関連の先生方におかれましては、飯沼先生がGSK、ノバルティスファーマ株式会社から50万円以下の受取、稲松先生がデンカ生研から50万円以下の受取、岡部先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研株式会社、GSKから50万円以下の受取、川名先生がGSKから50万円以下の受取、多屋先生が北里研究所、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、GSKから50万円以下の受取、永井先生がGSKから50万円以下の受取との申告がありました。長くなりましたが、以上です。
○松本座長 只今、事務局から説明がありました審議の際の申し合わせ事項についてはよろしいでしょうか。
                   (了承)
○松本座長 特にないようですので、(競合)品目・(競合)企業の妥当性を含めて了解いただいたものといたします。
 それでは、次に事務局から、本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 お手元に座席表がございまして、その次に議事次第、委員の名簿、2枚目の裏に配付資料一覧がございますので、こちらと照らし合わせてご確認をお願いします。資料1-1「推定接種者数及び副反応報告頻度について」、資料1-2「副反応症例の内訳」、資料1-3「重篤症例一覧」、資料1-4「重篤症例の概要」、全部で191ページの資料です。資料1-5「死亡症例の一覧」、資料1-6「死亡症例の概要」、全部で105ページの資料です。資料1-7「季節性インフルエンザワクチンの副反応状況との比較」、A4横の資料です。資料1-8「ギランバレー症候群(GBS)の可能性のある副反応報告」、資料1-9「アナフィラキシー様症状の可能性のある副反応報告」、資料1-10「間質性肺炎の可能性のある副反応報告」、資料1-11「企業報告による副反応報告の集計」、資料1-12「新型インフルエンザワクチン接種時の妊婦の安全性について」、A4縦の資料で計2枚です。以上が資料です。
 続いて、参考資料1-1「副反応報告の概要リスト」、トータル53ページの資料。参考資料1-2「諸外国の状況」、A4の1枚の資料です。参考資料1-3「添付文書」となっております。参考資料1-4は昨年11月21日に当検討会でまとめていただいた「新型インフルエンザワクチンに関する安全性評価について」の1枚の資料です。参考資料1-5は、これに基づいて発出しております事務連絡の資料。参考資料1-6は厚生労働省のホームページに掲載しております「アレルギー・ぜんそくの既往のある方や重い基礎疾患をお持ちの患者さんへの接種の際の注意事項」の資料。参考資料1-7「アナフィラキシーの分類評価」、参考資料1-8「季節性インフルエンザワクチンの予防接種の今期の死亡症例」、A4横の1枚の資料です。参考資料1-9「輸入ワクチンの概要」、参考資料1-10として輸入ワクチンの導入に伴って実施要領の改正された分を御用意しております。資料は以上ですので、過不足がありましたら御連絡ください。
○松本座長 資料の方はよろしいでしょうか。よろしいようでしたら、議題1に入りたいと思います。
 議題1は「受託医療機関等における新型インフルエンザ(A/H?N?)ワクチン接種実施要領に基づく新型インフルエンザワクチンの副反応の状況について」ですが、本日も死亡症例の評価、重篤症例の評価等について先生方の御検討をお願いします。
 本日の議事及び資料について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 それでは、本日の議事ですが、まず、死亡例以外の全体の報告状況、それから重篤症例、重篤症例に関連するGBS、アナフィラキシー等の資料に関して御説明いたします。冒頭、お断り申し上げますと、今回まではすべて国産ワクチンの副反応報告に関するもので、輸入ワクチンのものは一切入ってございませんことを予めお伝えいたします。
 資料1-1から御説明いたします。「推定接種者数及び副反応報告頻度について」、毎回お出ししているものでございますけれども、1ページから2ページにかけて直近の状況をまとめております。2ページ目の一番上、表が2ページにわたっておりますけれども、2月8日までということで、トータル2,200万ドーズほど出荷、医療機関に納入が行われているところでございます。昨年末の時点では1,600万程度で、今年に入り2,000万を超えたという状況になっておりますが、副反応の報告数、それと重篤死亡の頻度に関しては従来と変化はございません。「関連あり」として報告されたものの表が2~3ページ目にありますが、こちらも特に大きな変化、頻度等はございませんけども、今年に入りまして、前回の調査会から死亡報告で、こちらの「関連あり」というものは3例ございました。医療機関から「関連なし」「評価不能」として報告されたものが3~4ページにありますが、こちらも特に大きな変化はございません。冒頭申しましたのは医療機関への納入数量から出しました接種者数の推定値ですが、5ページ以降は接種事業におきます接種の実施報告を頂戴しておりますけれども、5ページの2ポツの上から2行目辺り、10月分は既に46都道府県から報告をいただき、11月分は36都道府県、12月分までで33都道府県から御報告をいただき、それに基づいて全国ベースに推計し直したものを5、6、7ページに付けておりまして、10月には83万人の接種が行われ、11月には326万人、12月には765万人の接種が行われ、こちらもすべての医療機関や都道府県からの報告ではございませんので推計となりますが、副作用の報告頻度を各グループごとに分けておりますけども、大きな変化はなく、10月、11月、12月と若干頻度は下がりぎみにはなっております。
 8ページ目が「死亡報告数」についての接種日毎・死亡日毎の資料で、従来同様11月中・下旬にかけて接種、報告ともにピークがあったところです。
 9、10ページは「重篤・死亡報告の頻度」をロット毎に見ているものでございまして、各メーカーの上の方に書いておりますロットは、ほとんど変化はございませんで、新しいものが追加されておりますが、新しいものではまだ報告がきておりませんので、数値が出ていない、あるいは非常に低い数値になっているという傾向は前回と同様です。
 11ページと12ページは従来からお付けしております参考部分ですので省略させていただきます。
 資料1-2は「副反応症例の内訳」です。まだ性別に関しましては男女比の大きな変化はございませんけど、男性の比率がわずかずつ上がってきています。年齢別の報告数は、副反応報告数全体としては前回の検討会から265件増加しております。重篤報告数で64件、死亡報告数で19件、それぞれ増えておりますけれども、副反応報告数で各年代別で30件以上増えておりますのは0~9歳の層と、60歳~69歳、70~79歳、80歳以上という、やはり10歳未満と高齢者の方の副反応報告が増えております。
 重篤報告数が64件増えておりますが、やはり2ケタ増えているのは9歳、10歳未満の分と、70歳代、80歳以上というグループになっております。死亡報告数が19件増えておりますが、70歳代以上で16件の増加ということになっております。
 2ページ目は、「年代別の報告数」を表にしてまとめたものです。3ページ目は、今回新たにお出しさせていただきましたけれども、重篤として報告されました副反応に関し、表の左側が2006~2008年度の過去3年間の季節性インフルエンザワクチンでの重篤副反応名の報告件数を、件数の多いものから並べております。右半分が新型インフルエンザ、A型インフルエンザ(H1N1ワクチン)の副反応報告に関して、「重篤」という評価を頂戴して報告されたものを件数の多いものから並べています。一番多いものはいずれも発熱で共通しており、あとは、若干順序はそれぞれ乱れてはおりますが、おおよそ類似した副反応の報告がなされているという状況です。この*に関しては、使用上の注意に記載がない副作用ということでございます。
 資料1-3が「重篤症例一覧」ですが、前回以降追加されているものは7ページ目の209番以降が新たに報告されました重篤副反応です。こちらの方では、左から二つ目に年代の記載がありますが、やはり10歳未満と、7、8ページ目にかけて御高齢の年代の方が多く報告されております。特に内容的には、これまでも報告されているものが大半ですが、238番では子宮内胎児死亡が1件ありまして、こちらは後ほど「重篤症例の概要」で御紹介します。
 資料1-4の「重篤症例の概要」に移らせていただきます。こちらも同じく208番までが前回までの症例で、209番以降が新しい症例です。いくつかこれまでの症例でもコメントいただいているものがADEM、GBSなど中心にございますが、それはまた後ほどADEM、GBS症例の資料で御紹介をさせていただくこととしまして、74ページから75ページですが、216番のADEMは、後ほどADEMの症例で御紹介をいたします。217番の腹痛、嘔吐というものが10歳未満のお子様で見られております。こちらは翌日に腹痛、嘔吐が見られ、2日後救急搬送され、虫垂穿孔性による腹膜炎で緊急手術が行われたという症例です。腹痛、嘔吐との関連可能性は専門家の先生の意見からも指摘はございますけれども、主たる要因は急性虫垂炎ということで、これがワクチン接種によって起きたかどうかということは、これまでの経験的には推論しにくいというようなことを土田先生などからコメントをいただいている症例です。
 その他では、83ページにまいりまして、先ほど一覧の方で申しました238番「子宮内胎児死亡」の症例ですが、20歳代女性で、これまで3回正常分娩歴がありまして、今回4回目の妊娠ということで、いくつか既往歴というか、基礎疾患などもお持ちの方でいらっしゃいますが、切迫流産の診断で、妊娠13週に産婦人科を受診されております。その際、超音波で胎児の心拍を確認され、切迫流産の診断に対しまして、ピペリドレート塩酸塩を投与されております。この際、同時に新型インフルエンザワクチンの接種が行われたということですが、接種6日後に発熱がありまして、インフルエンザの罹患可能性からタミフルの投与が行われ、解熱されてございます。接種21日後にも発熱が再度発現され、アセトアミノフェンを投与し、解熱されたということですが、接種の28日後、妊娠17週の再診にて、胎児心拍がなく死産をされたということです。「専門家の先生からも意見を頂戴しておりますけれども、流産の原因は非常に多岐にわたりますので、今回、今の時点でいただいている情報では情報不足ということと、名取先生からは、「子宮内胎児死亡(流産)」というリスク面に関して御指摘を頂戴しております。妊娠22週以前と22週以降とでは、かなりインパクトが違うということから御指摘を頂戴しているということです。
 ピペリドレートは切迫流産治療薬として長く使われている薬であり、流産のリスクの増大の報告はないと。流産の頻度が約15%で、心拍動を観察されるまでに発育した以降の流産の頻度は1、2%であると。インフルエンザ罹患が流産リスクを増加させたりする報告はあるということです。インフルエンザワクチン、またはタミフルの投与が流産リスクを増大させるという報告はないと。国立成育医療センターでの妊娠中のインフルエンザワクチン接種例は約500例ございますけれども、流産はないということですが、流産の多くは初期に起こるために13週位であれば頻度は低いということで、それらの得られている治験とは矛盾はないということで、この事例に関連して、因果関係についてはあるとは言えないということかと思います。また、三橋先生からは、因果関係不明というコメントを頂戴しているところです。
 あとは1例ですけども、86ページの症例の246番は専門家の先生のコメントを記載しておりますので、簡単に御説明いたします。こちらは10歳未満のお子様で、血小板減少性紫斑病が出たというものです。お子さんですので、この方も2回目のワクチン接種が行われたということで、その19日後に咳と発熱が出現、接種20日後に血小板数減少をみまして、その後接種26日後には血小板数が再び上昇し、入院にて経過観察中という状態です。
 専門家の先生からのコメントとしまして、接種による血小板減少性紫斑病の可能性も否定できない。ただし、直前に感冒を罹患されているということで、その影響も考えられるというようなことでございまして、先行感染の要因も指摘をいただいております。ワクチン接種では、インフルエンザワクチンの他、麻疹ワクチン、風疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、DPTワクチンなどを接種した後の血小板減少性紫斑病の発症もみられ得るという御指摘をいただいており、現時点の因果関係は不明という評価になっております。「重篤症例の概要」の資料の御説明は以上ですが、資料1-5、1-6は死亡症例ですので、後ほど御説明いたします。
 資料1-7は、従来からこれもお出ししております資料を更新したもので、季節性と新型の副反応の報告状況を比較した表です。今回特に御説明申し上げるような点はありませんので、御覧いただいておければと思います。
 資料1-8が「GBS、ADEMの可能性のある副反応報告」に関しての症例の検討資料です。こちらは2ページ目にあります111番以降が新たに追加されている症例で、それ以前の1ページ目から2ページ目の108番までが情報の更新、追加などがあった症例です。1ページから2ページ目の情報が追加されている症例に関しては、それぞれ経過について追加されており、転帰について、回復あるいは軽快ということが判明したというものでございますけれども、因果関係の評価に関しては1ページ目の49番でADEMの可能性を否定できないとする他は、引き続き因果関係不明、あるいは情報不足という内容になっております。
 111番以降の新たに報告を受けております症例ですが、ADEMあるいはGBSの可能性について疑われる、否定できないというものは3ページ目の118番に、10歳未満の女児ですが、こちらはADEMということで報告をいただいております。ワクチン接種21日後に入院され、急性散在性脳脊髄炎が出現という診断。MRI臨床経過にてADEMとの診断をされたということでして、接種47日後に退院予定ということです。専門家の先生からのコメントとしまして、埜中先生のものが一番シンプルだと思いますけれども、臨床経過、画像所見も御覧の上、ADEMと診断できる、因果関係は否定できないということの評価をいただいております。
 4ページ目の122番では、ギランバレー症候群の方になりますけれども、10歳代の女性です。接種6日目から上肢、14日目から下肢の筋力低下が発症したということで、髄液タンパクの値がないということですが、GBSの可能性は否定できないということでございます。ただし、その上肢の筋力低下が改善してから下肢筋力低下が出現するというのは比較的、あまり見られない経過というコメントもいただいております。
 同じページの125番、こちらは70歳代の男性ですが、ギランバレー症候群の報告です。接種12日後に両手に感覚障害出現、14日後に四肢脱力が出現し、今、介助を必要とし、歩行不能になられたということでして、現在も未回復ということです。髄液検査でタンパク上昇がないため、典型的ではありませんが、臨床経過、末梢神経伝導検査からはフィッシャー症候群/GBSを否定できないというコメントを中村先生から、埜中先生からは発症時期、症状、検査所見からGBSと診断できると、吉野先生からも、因果関係は否定できないというコメントを頂戴しております。その他に関して、因果関係は不明あるいは否定的とされております。
 資料1-9は「アナフィラキシーの関連の報告」についてですが、太い黒枠で囲んだ症例が前回からの更新、あるいは追加されているもので、1ページ目の北里研究所の5番の症例に関しては、「経過」の情報が追加されておりますけれども、特に分類などに変更はございませんでした。
 3ページ目の一番上の症例で、微研会の6番がやはり情報が更新されておりますが、この「ブライトン分類レベル」、経過が詳細が判明して、4から5になっておりますけれども、3をまたぐような変更はございませんでした。
 4ページ目になりますが、微研会の11番、こちらは詳細情報が追加されておりますけれども、評価には変更はございませんでした。
 微研会の12、13番というところが新たに新規の症例として挙がってきております。12番では、「企業の評価」のブライトン分類5となっておりますけれども、専門家の先生方の評価も分かれているところではありますが、この方の年齢から勘案して、アナフィラキシーの可能性があるという是松先生のコメントも頂戴しておりまして、情報が足りないということではありますが、最も厳しめのコメントを採用しまして、全体の集計として3、という分類に仕切り直して集計しております。
 7ページまで飛びまして、一番下のデンカの26番というものも新たに報告された症例ですが、こちらはブライトン分類4とされておりまして、専門家の先生のコメントも概ねこれに沿うものとなっております。
 しばらく飛びまして、12ページの化血研の32番、こちらも症例の経過の情報が追加されまして、従来のブライトン分類レベルは4でしたが、今回新たに2として報告内容の修正をいただいております。
 14ページの一番下で化血研の50番こちらも症例の経過の詳細を追加調査で判明しまして、分類は5から4に改められたもので、3をまたぐような変更はございませんでした。
 最後に、16ページの化血研の61番以降が新たに報告された化血研の分の症例になりますが、概ね企業分類のブライトン分類レベルと専門家の先生方の御見解は一致しているところではありますけれども、化血研の一番最後18ページになりますが、66番と70番のところでは、こちらも専門家の意見に関して分かれているところではありますが、アナフィラキシーの可能性を指摘する先生もございますところ、企業分類の5と4をそれぞれ3というふうに見直しをさせていただいております。全体として、19ページに集計表を付けておりますけれども、今回までにアナフィラキシーの報告数が全部で113件、重篤が52件ありましたけれども、ブライトン分類によるスケーリングを行いましたところはそれぞれ53件と、重篤が28件というふうになりまして、前回と大きな変化はございませんで、10万回当たりとしては、報告として0.5、重篤としては0.3という頻度になるということです。
 資料1-10は死亡症例の関連と併せて説明させていただきますので、資料1-11、こちらは実施要領に基づく医療機関からのこれまで御説明した報告とは別に、医療機関からワクチンメーカーに直接御連絡を頂戴し、報告をいただいているものです。前回11月までのものをお示ししましたけれども、今回更新されまして、昨年末、12月末までのものをお出ししております。報告件数全体では175例、271件となりますけれども、括弧内が重篤症例で36件ということになっておりまして、引き続き、医療機関報告に比べると、かなり件数としては低いものになっております。
 長くなりまして恐縮ですけれども、最後の資料1-12ですが、こちらは今回新たに子宮内胎児死亡が1例ありましたが、妊婦の方へ接種した際の副反応の報告状況を一度集計させていただきたいと考え、まとめたものでございます。まず、「1.臨床試験結果」としまして、国立成育医療センターで行っていただきました新型インフルエンザワクチンの免疫原性に関する臨床試験によりますと、1回接種によって8週から32週までの健常妊婦131例において、重大な副反応はなかったということでございます。
 それから、「2.接種医療機関からの副反応報告の状況」で、これまで御説明申しております副反応報告の集計になりますけれども、妊婦への接種後の副反応報告はトータルで37名ありましたけれども、重篤副反応は6名で、その内訳はここに書かせていただいたとおりになっております。(2)ですが、妊婦に絞りまして、全体と接種者数、それから副反応報告全体と、そのうちの重篤ということでの重篤報告数/頻度の比較をしたものです。報告自体はそれぞれ1万分の1、重篤報告数は、妊婦の場合は10万分の2、全体では10万分の3ということで、全体の発生傾向と変わるものではないということでございますが、胎児死亡症例等については引き続き評価を行ってまいりたいということでございます。
 次のページはワクチンということではありませんけれども、同じく新型インフルエンザに対して用いられます「抗インフルエンザウイルス薬」の妊婦使用時の安全性に関してもまとめさせていただいております。タミフルはこれまでの季節性インフルエンザに対して使用されてきた際の市販後調査の成績では、2002年5月から2006年12月までの妊婦72例が確認されておりまして、自然流産が2例、新生児の心室中隔欠損症1例という報告。それから妊婦の蕁麻疹1例という報告がございました。こちらについては自然流産の頻度、先天異常の頻度などを考慮して不自然な頻度ではないということです。
 ?は今シーズンの新型インフルエンザに対する罹患妊婦の治療実態の調査としまして、昨年9月から11月までの期間において、全国の産婦人科医師に調査の協力を求めまして、793例のタミフル投与例が確認されておりますけれども、副作用報告は見られていないということです。
 (2)として、国立成育医療センター等による研究報告です。季節性インフルエンザに対する妊婦投与時の安全性の研究報告で、こちらはすぐに文献で公表されているものですが、妊娠中にタミフル治療を受けた90例の妊婦についてフォローアップを実施し、形態異常児出産が1例、この頻度は一般妊婦と相違ないというものでございます。
 「2.リレンザの妊婦投与時の安全性について」ですが、同じく季節性インフルエンザへの使用経験ということでは販売開始後から、妊婦11例への投与が確認されていまして、副作用は認められず、出産後の調査協力は10例得られており、母子の状態は正常であったということです。?は今シーズンの調査ですが、昨年11月2日以降、15例の妊婦へのリレンザ投与症例が確認されておりますけれども、副作用は認められておりません。また、タミフルの方で記載させていただきました調査においても108例の情報が得られておりますが、副作用はなかったということでございます。
 最後のページには、現時点では特に安全性の懸念は示されていないが、引き続き、新型インフルエンザに対する情報収集を実施中ということを書いております。
 長くなりましたけれども、以上でございます。
○松本座長 ありがとうございました。ただ今、事務局から、かなり広範囲に説明していただきましたが、御質問、御意見等はありませんか。報告例の中に、ギランバレーとADEMの報告がありますが、神田先生、新しい報告を御覧になって、何かコメントはありませんか。
○神田参考人 先ほど事務局からお伝えいただきました、118番に関してはほぼ間違いないだろうと思います。あと、ギランバレーの疑い例で、122番と125番がありますが、122番は、吉野先生のコメントにあるように、経過の上で上肢の筋力が低下して、改善してから悪くなるというのは非常に珍しいことで、私はこういうのは見たことがなくて、GBSと言うのは憚られるところがあります。125番に関しては、ギランバレー・フィッシャーでほぼ間違いないだろうと考えてよろしいかと思います。あと、事務局からコメントはありませんが、114番はGBSの可能性があるかもしれないと拝見いたしました。以上です。
○松本座長 この新たな報告を見て、特に新たな対応が必要であるということはありますでしょうか。
○神田参考人 そういう感じはありません。かなりの数の接種があるにもかかわらず、これぐらいしか出ていないというのは、むしろギランバレーに関してはかなり安全なのかという印象があります。
○松本座長 こちらの方に関してはあまり問題がないということでよろしいですか。ありがとうございました。
アナフィラキシーについて、相変わらず報告があるみたいですが、岡田先生、何かコメントをいただけませんか。
○岡田参考人 アナフィラキシーは、後で情報を追加された例もありますが、評価するには情報不足です。ブライトン分類で評価をしていますが、アナフィラキシーの項目で、それに適合した症状が書かれていないものが多く、ですから、最終的に評価ができないことがあります。大きな変更はないと思いますが、もし二次調査をしていただくときは、その変更が漏れないようにしていただければ、より評価がしやすいかと感じました。
○松本座長 ありがとうございました。是松先生、いかがでしょうか。
○是松参考人 やはり最初の段階で、ブライトン分類にあるような情報をいただきたいと思ってはいます。しかしながら、最初のころに出てきた副反応報告よりも、より洗練されたものというか、やはりこれはアレルギー、またはアナフィラキシーだと思うものがちゃんと出てきたので、報告は適切になってきている気はしています。全体的には、季節性よりも若干多いような傾向はありますが、それはやはり関心の度合いの違いで、頻度とか、総合的に考えると、ほぼ同じぐらいか、近いものではないかと考えています。
○松本座長 事務局、情報の収集はそういうふうな意向で集められるわけですか、変更できるわけですか。
○事務局 情報の再調査をする際に、ブライトンの基準を先生方に示しながら、現状をやっていただくような状況で集めています。先生が御指摘のように、情報を集める中で、十分な情報がなかなか得られていないケースもあろうかと思います。また、あらかじめ症例提示として、クライテリアというような示し方ができるかどうか、こちらの方でも次のシーズンに向けて少し考えていこうと思います。やはり専門の学会等と相談しながら進めた方がいいだろうと思います。
○松本座長 ありがとうございました。アレルギーに関しましては、頻度や内容について特に変わったことはないと考えてよろしいですか。
○岡田参考人 はい。
○松本座長 ということは、対応に関してはこれまでと同じでよろしいですか。
 ただ今、専門の先生から、神経系、アレルギーに関して御意見を伺いましたが、これまでと同じような対応でよろしいとのことです。他の委員の先生方、これに関して御異議、御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
 では、名取先生、妊婦の安全性について、何かコメントをいただけませんか。
○名取参考人 結論から申し上げますと、現状では、特にリスクが高いと評価される数字はないとのことで、やはりまだそんなに多くないと思います。資料1-12では、妊婦の推定接種者は35万人でよろしいのでしょうか。これはデータ、ロットからの推定になるのですが、どういう根拠の推定になるのですか。
○事務局 この推定は医療機関の方から、実際に接種された方の数を集計という形でいただいて、そこで47都道府県が全部揃えばいいのですが、揃っていない県があるものですから、そこを少し穴埋めする形で推定させたものです。
○名取参考人 本当なら、これだけあれば、もっといろいろな報告が出てこなければいけないのですが、恐らくは、まったく因果関係がないという医療機関側の判断で報告が出てきていないと予想されます。
 例えば、先ほど来問題になっている流産等に関しても、接種時期が妊娠の何週間ぐらいであったかというデータがないので分かりませんが、どの時期であっても、少なくとも1%ぐらいの報告があって然るべきなのです。そうなると、35万人の1%はいくつですか。かなりの数の報告があって然るべきなのがないことは、恐らく、因果関係がまったく考えられないという御判断の下に報告がなされていない。逆にとりますと、非常に気になるような発生頻度のことは各医療機関でそれほど起きていない、という推測になるかと思います。
○松本座長 比較的安全、思った以上に安全性が高そうであると考えてよろしいですか。村島先生、いかがですか。
○村島参考人 そもそも、季節性インフルエンザワクチンでも流産との関連性が言われていないと、名取先生の資料にもあります。そういうことから、新型インフルエンザと流産の因果を関係づけること自体、普通には思いつかないのではないかと思います。むしろ、先ほど言いましたように、自然発生率よりも遙かに低いことからも、あえて因果関係を論ずるような事象ではないと考えます。
○松本座長 ありがとうございました。先ほど事務局の方から、タミフルの影響についても説明がありましたが、これも事務局の考えでよろしいですか。比較的安全性が高いという報告だったと思うのですが。
○村島参考人 そうですね。タミフルに関しましては、まず、研究データがあります。今までの私たちの発表の90例は、バックグラウンドとかいろいろなデータをしっかりと評価した上での発表であったわけですが、90例というのは、「安全である」というにはとても数が少ないので、このペーパーをもって、安全とは言えないと思います。ただ、高いリスクではないだろうということだけは、ある程度、ここから言えるのではないかとのことで報告させていただいています。
 もう一つは、製薬会社が市販後調査のような形で産婦人科医を対象にやっている、今シーズンの9月から11月までのタミフルの793例、その中で大きな副作用はなかったということで、状況証拠的にはリスクはなさそうだと言っていいかと思いますが、これも疫学的な研究として評価がしっかり終わったものではないので、大丈夫だとはまだ簡単に言えないのかと思います。こういう研究はなかなか、「安全である」という証明が一番難しいと思いますので、高いリスクがあることを否定できているぐらいに解釈していただくのがいいと思います。よろしいでしょうか。
○松本座長 この辺は関心度が非常に高いと思いますので、できるだけ詳しくご説明いただけますか。
○村島参考人 そうですね。ですので、海外の報告で妊婦の死亡率が高かったということでハイリスクであると判断し、タミフルを使用することの有益性をもって、産婦人科学会の方が推奨すると発表されてきましたが、それは本当に有益性と有害性のバランスの上に成り立っている判断ですので、簡単に、大丈夫とか、安全であるということではありません。今までの状況から高いリスクはなさそうだとのことで、妊婦にとって、使用することが有益性を上回るという、臨床的判断で、使っていただくべきものではないかというのが私の意見です。ですので、この会の意見として、「タミフルは安全である」ということは、私の口からは言えません。
○松本座長 ありがとうございました。
○名取参考人 私も今の村島先生の意見にはまったく同感で、やはり安全だとか危険だとかという議論ではなくて、如何にしてリスクを上回るメリットを患者に与えることができるかというのが、こういう議論の前提ではないかと考えます。安全性の証明をしろという話になると、安全とは何かという定義をしなければいけないことになりますので、そういう意味で、まったく同意見です。
○松本座長 ありがとうございました。少なくともインフルエンザワクチンに関しては、現段階で新たな対応が必要な事態ではないと判断してよろしいでしょうか。
○岡部委員 補足的なものですが、現在のところ、日本では妊婦の危険率が非常に低くて、入院率も低い、これまでも事故が出ていない、だから、妊婦に関しては心配がない、という言い方にならないようにしておいた方がいいと思います。これはWHOのデータ等でも、海外に比して、日本の方が入院率と致死率が格段に低いのであって、仮に何もしなかった場合には、いろいろな要素があるので、一つだけでは言えませんが、何もしなくても危険性がないわけではない、ということを一応強調しておいた方がいいのではないかと思います。
○松本座長 難しい問題かとは思いますが、一応、今のところ、妊婦にもワクチンの接種はある程度勧めるということでよろしいですか。
○岡部委員 はい。
○松本座長 他の委員の先生方、何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。現段階では、今の対応でよろしいとのことですか。
                   (了承)
○松本座長 ありがとうございました。他に、何か御意見はありませんか。
 小児に関しては、いくつか痙攣や脳症に関する報告があるようですが、小児科の先生、これに関して何かコメントはありませんか。桃井先生、いかがですか。
○桃井参考人 重篤症例に関しても、「10歳代未満」という情報だけですので、一体何がここで起きているのか、なかなか想定しにくい情報でしたので、医学的な判断は大変難しいと思いました。関連していると強く感じるケースはありませんでしたが、10歳未満というと、1歳と9歳と、我々が思い浮かべる病像がまったく違いますので、何が起きているかに関しては推定困難な情報の症例がほとんどでした。
○松本座長 ありがとうございました。いずれにしても、現時点までにおきましては、ワクチンの安全性において重大な懸念があるという状況ではない、という評価でよろしいでしょうか。これに関して特に御異論はありませんか。
 それでは、事務局の方には引き続き、このような問題の情報収集に務めていただきたいと思います。
 続きまして、残りの資料の説明をお願いします。
○事務局 続きまして、死亡症例について御紹介したいと思います。資料1-5及び資料1-6を御用意ください。
 まず、資料1-5の方です。「死亡症例一覧」で、平成22年2月8日までの報告分をまとめたものでして、今回までに126例の症例の報告がありました。前回の1月7日までの報告ということで、107症例までを御紹介したことになるので、約1カ月で19症例が来たことになっています。内訳ですが、12ページを御覧ください。
 まず、「性別」ですが。申し訳ありません、資料に誤りがあって、女性の割合が26%となっていますが、36.5%です。前回に御報告をしたときには、男性がおよそ72%、女性が28%でしたので、男女の差が縮まる傾向となっています。
 「年齢別の構成」です。今回、0~9歳が追加されましたが、それ以外はいずれも70歳以上、70~79歳、80歳以上の症例が追加になっていることで、基礎疾患をお持ちの後期高齢者の方々での死亡例が報告されているという、これまでの傾向から大きな変更はありませんでした。
 続きまして、個別の症例については、今までと少し傾向の違うもの、関連ありということで御報告をいただいたものがありましたので、そういったものを中心に御紹介いたします。
 まず、資料1-5の方で申し上げますと、10ページの中ほどですが、112番の症例です。資料1-6を併せて御覧いただければと思いますが、こちらは96ページとなっています。10歳未満の女児の報告で、特段基礎疾患のないお子さんということです。96ページに症例の経過がありますが、新型インフルエンザ接種後、特に異常が見られないという状況で、4日後、保育園への通園後、うつ伏せの状態で亡くなっているところを発見されて、司法解剖を行うも、原因が特定されず、SIDS(乳幼児突然死症候群)ということで診断をされています。
 接種医の御意見ですが、一連の経過から、ワクチンとの関連性はないと考えているものの、4日しか経過していないことから、評価不能との御意見でした。96ページ以降に、専門家の御意見をいただいていますが、因果関係はデータがなくて不明、あるいは司法解剖の状況からは乳幼児突然死症候群として矛盾しない、この判断でいいのではないかといった御意見をいただいています。
 続きまして、同じく資料1-5の方で、10ページの116番です。こちらにつきましては、接種医からの第一報で、「関連あり」ということで御報告をいただいたもので、資料1-6については、99ページの下の方に経過があります。この方は80歳代の女性で、高血圧、連合弁膜症などをお持ちの患者さんでした。接種30分まで副反応の発生がないことを確認して帰宅なさっていますが、接種後推定約40分後に、帰宅時に路上に倒れているところを発見されたということで、心肺蘇生を行うも、搬送先の医療機関で死亡を確認されています。
 99ページの下から、接種医の因果関係があります。100ページを御覧いただきまして、特に寒い時期で、暖房下の室内から寒冷の戸外へ、雪も降っている所に出られたということで、推察の域は出ないものの、致死的な不整脈の発生や潜在の深部血栓の肺動脈主幹への肺塞栓としての顕在化等の可能性も考えられます。しかしながら、その時間帯の関係から、ワクチン接種との因果関係も同程度には可能性ありとの御意見がありました。
 専門家からも御意見をお伺いしています。稲松先生からは、致死的な不整脈や肺塞栓が生じた可能性を考えているとの評価を支持するとの御意見、岸田先生からは、因果関係が不明との御意見、戸高先生からは、心電図などの状況を御覧いただいていますが、特に因果関係は不明という御意見で、アナフィラキシーの可能性も否定できないという御意見がありました。
 続きまして、資料1-5については、11ページの下の方の122番、こちらも因果関係ありということで御報告をいただいたものです。資料1-6の102ページの方に症例の概要があります。70歳代の女性で、糖尿病、糖尿病性腎症をお持ちの患者さんでした。接種後は特に異変なく、4日後の夕方に家族が部屋を覗いたところ、応答がなく、呼吸が停止しているのを発見したとのことでして、当日の午後には犬の散歩などもしていたようです。往診をされていますが、心停止、瞳孔散大ということで、回復せず、死亡されたものでした。こちらについても、102ページの下に接種医の評価がありますが、死亡時の状態が不明であることから、脳血管障害、心血管障害などの可能性も考えられるものの、ワクチンとの因果関係も否定できないとの御意見でございました。
 専門家の評価ですが、心血管系の突然死と思われるという御意見、情報が不足しており、評価が困難、また、可能性として脳血管障害、低血糖発作に伴うものが最も考えやすいという御意見をいただいております。
 最後になりますが、資料5-1の125番。こちらについても因果関係ありということでいただいたもので、詳細は資料1-6の104ページです。80歳代の男性で、食道癌、胃のポリープ、高血圧、前立腺肥大のある患者さんで、接種当日の午前中に上部消化管の内視鏡検査を実施して、その日の午後、別の医療機関を受診して、そこでワクチンの接種を受けております。その後、ケトプロフェンほか3剤の注射を受けて帰る途中に、接種後約4時間後になりますが、停留所でぐったりしているところを発見されたということで、蘇生を受けておりますが、搬送先で死亡が確認され、心不全ということになっております。
 接種医の因果関係評価ですが、当日の内視鏡検査、その際に使用された医薬品との因果関係、脱水の可能性等も否定できないものの、時間的な関係からワクチンとの因果関係も否定できないという御意見でございました。
 今のところ、二名の専門家の先生から御意見を伺っておりますが、他の可能性の方がはるかに多い、また、他の治療も受けているということから、時間経過から本剤の関連も考えられるものの断定ができない、評価が難しい症例というような御評価をいただいております。
 本日参考資料1-8ということで、これは御参考までに、今シーズンですが、季節性のインフルエンザワクチンの接種における死亡例を御紹介させていただきました。これまでに9例の報告がございます。いずれも高齢で、既往歴のある方々ということで、頻度については、まだ接種リスクなどの情報はありませんが、経過としては新型と同様の傾向が認められるといったものです。
○事務局 引き続き、死亡例についての情報ということで、御紹介をさせていただきます。先ほどの資料1-5の13ページに戻っていただきます。本年に入り、死亡例の報告の件数も少なくなってきまして、一方で一通りの数的な部分が揃ってきているという状況があり、この時点で死亡例の情報についての分析はなかなか難しいですが、少し情報を整理しておいた方がいいだろうということで、13ページ以降で整理をさせていただいたものです。このデータは一応2月5日時点の報告データに基づいて整理したものです。
 13ページの一番最初ですが、死亡報告における接種から死亡までの日数を整理した情報が(1)(2)とあります。(1)は11月に死亡された方の接種から死亡までの日数で、(2)は「12月に死亡された方の接種から死亡までの日数ということで、11月はどちらかというと、接種4日以内に亡くなった方、経過の短い方の死亡の報告が多いという傾向があるようです。12月においては、むしろ接種からの経過が長い死亡例の報告が増えているということで、山がちょうど二つできるような形で、多少パターンが違ってきているというところです。
 14ページです。こちらの合同検討会において、もともと接種からの短い期間の死亡例の報告が多いということで、入院とか入所者のような観察されやすい方で、何かそういう現象が起こっているのだろうかということで、実際に入院、入所者の方とそれ以外の方で比較をしてみましたが、顕著な差はなかったということです。ただ、一方で実際に症例の経過を見ていったときに、発熱、基礎疾患の増悪が途中で見られたような死亡例と、そういう発熱、基礎疾患の増悪があまり明確でない死亡例を比較してみますと、下のグラフにありますように、発熱・増悪が見られた症例の方が、恐らく治療経過があるためと思われますが、接種から死亡までの期間が長いという傾向が見えるというところがあります。
 15ページです。この発熱・増悪が明確でないような死亡例、または発熱・増悪が見られたような死亡例について死亡した日についてのグラフを作っています。インフルエンザ感染死亡と死亡日のグラフを、60歳以上の方ですが、重ね合わせた形でのプレゼンテーションにしています。
 2番目、15ページの下ですが、「基礎疾患の種類と発熱・増悪が見られた症例の関係」ということで、先ほど実際の死亡までの経過の期間が違うという御紹介をしましたが、この15ページの下の表を御覧いただきますと、全体で124症例あるうち、発熱・増悪が明確でないものが80例(65%)、発熱・増悪が見られたものが44例(35%)というような状況です。
 それを「基礎疾患の種類」ということで見ていった場合に、便宜的な分け方ですが、基礎疾患を合併されている方と、そうでない方という形で分けていきますと、呼吸器疾患を合併されている方が124例のうちの41%、そうでない方が59%ということですが、これを御覧いただきますと、発熱・増悪が見られた例は、少し呼吸器疾患の方が多い。それがあまり明確でないのは呼吸器疾患以外の方が多いような、そういう傾向が見られます。
 16ページです。今度はこれまで先生方に評価をいただいた結果を見ていきまして、大体1症例当たり、複数の専門家で御評価をいただいていますが、その中で一人以上の専門家の先生が、接種後副反応とワクチン接種との関連が否定できない、要するに背中を押していることの否定ができないという評価をしていただいているものが全体で33例あります。その33例というのは、トータル124の中では27%ですが、そこの中を見ていきますと、呼吸器が19、呼吸器の疾患を持たない、合併していない方が14ということです。そのうち、「発熱・増悪が見られた例」という部分では呼吸器の方が多い傾向。「発熱・増悪が明確でない例」においては、呼吸器疾患を合併されていない方が多いという傾向が見られています。
 これまでもワクチン接種の副反応が重篤な転帰につながる可能性が否定できないというような御評価をいただいており、基礎疾患を有する患者については、慎重に接種をすべきということでの注意喚起を行っておりますが、こういったデータからも整理ができるかと思っています。
 また、間質性肺炎の症例については、何度かこの検討会でも話題になっているところですが、本日お配りしている資料1-10で少し説明をしていますが、また、後ほど御説明をさせていただきますので、ここでは割愛させていただきます。ウイルス性・細菌性の肺炎との鑑別も難しいものも結構含まれているという状況にあろうかと思います。この上記の33例の死亡日と新型インフルエンザ感染による死亡日をグラフで書いてみますと、下に示したような形になります。
 17ページです。(参考2)の右側の表が、今回、ワクチン接種後の死亡例として報告された症例の中での、もともとの基礎疾患を持っておられる方の基礎疾患の分類です。一人の方で複数の基礎疾患を持っておられる方がいますが、そこは重複したままの形で数字を出しています。悪性新生物が24、心疾患が34、脳血管疾患が19、肺炎が16という形です。これと人口動態統計での死亡順位という部分で、高い方から並べていきますと、この表のような形になり、それを対比した形でこの表を示しています。
 17ページの下ですが、先ほどの33例の表がありましたが、その中での症例をラインリストにしたもので、?の部分は、一人以上の専門家が副反応との関連が否定できないと評価した症例のうち、呼吸器の基礎疾患を有する患者で、かつ、発熱・増悪例というものが17ページの?の表です。
 18ページの?の部分は、一人以上の専門家が副反応との関連が否定できないと評価した症例の中で、呼吸器以外の基礎疾患をお持ちの方で、実際に発熱をされたり、途中で基礎疾患の症状が増悪されたりというような事例です。ここには7例ありますが、呼吸器以外でも、こういった発熱、それに引き続いて症状が悪くなるというような症例があるということです。?の部分は、接種後の発熱や基礎疾患の増悪があまり明確ではない事例ということで書いています。ここについては基本的に呼吸器ではない基礎疾患を持っている方々で、わりと接種後急に心停止を起こしたり、血圧の低下を起こしたりというような形で亡くなられた方が多い症例がこの?に整理してあります。
 19ページの(2)です。発熱・増悪の経過が見られた症例の中で、発熱・増悪発現までの日数、接種してから発熱するまでに何日とか、そういう数字と専門家の評価との関係を見てみますと、下のようなグラフになります。発熱から発熱・増悪発現までの日数が短い症例において、比較的因果関係が否定できないといったような評価をいただいているようなものがあるような傾向が見られています。
 参考までに、19ページの下に付けてありますが、国立病院機構で実施した2万例の調査、これは健康な成人の方に接種をしたときのフォローアップのデータです。接種後の顕著な発熱は大体接種後3日程度ぐらいまで見られるというような情報です。
 20ページです。二人以上の専門家の評価で、接種後の反応とワクチンとの関連が否定できないというような評価をいただいたものが15例あり、これを御覧いただきますと、必ずしも呼吸器の疾患だけではなくて、様々な基礎疾患をお持ちの方々において、接種後の副反応との関連が否定できないというような評価をされた症例がある、という状況がお分かりいただけるかと思います。
○事務局 それでは、引き続きまして資料1-10、「間質性肺炎の増悪の可能性がある副反応報告」について、御紹介をさせていただきます。先ほどの説明にもございましたように、死亡症例の評価の経過の中で、間質性肺炎の増悪の可能性のある報告についての御指摘をいただいたところです。今回については、これまで報告をいただいた症例の中から、現疾患や症例の経過、それから副作用の名前の中に、「間質性肺炎」の記載があった症例をピックアップしました。全体で18例の症例があり、これらすべてについて医療機関への問い合わせを行いまして、関係する胸部エックス線写真などの画像の入手をお願いしております。うち、現在のところで、5例の画像が入手されておりますので、2例ほど簡単に御紹介させていただきます。
 まず、1ページ目の一番下の3番です。死亡症例ということで、以前経過の御紹介をさせていただいたものですが、その後、画像の入手ができ、再度専門家の御意見をいただいたものです。永井先生から詳細なコメントをいただいておりますが、接種5日後、10月26日の胸部エックス線写真については、細菌性肺炎でも説明のつく陰影であるというような御指摘がありました。その後の29日については改善傾向があるということなのですが、こちらは写真を入手することができなくて、判断ができないということです。また、その後、11月4日ぐらいまで炎症の経過が不明ということで、一度回復をなさっているようですが、その辺りについての客観的な確認は難しかったという状況です。
 死亡3日前になりますが、11月11日について、胸部のCTを入手していますが、こちらについては間質性肺炎の急性増悪という御判断です。こういったことから、前半の症状については細菌性肺炎とワクチンの関係がないか、また、後半については急性増悪ということではあるものの、ワクチンとの関係は判断できないとの御意見をいただきました。
 続きまして、最後の5ページの17番です。この方については70歳代の女性で、簡単に経過を御紹介します。ワクチン接種当日の夜に発熱が出現をしたということで、翌日熱が下がらないため感染症が疑われ、抗生剤の処方を受けております。2日後に本人が来院していますが、そこでCRPの上昇、低酸素血症等が診断され、また、CTから間質性肺炎との診断を受けています。その後、入院で加療を受けていますが、結果的に10日後に死亡なさった症例で、こちらも画像の入手をして、先生方に御評価をいただいたものとなっております。
 久保先生からは、この画像の状況、経過からは薬剤性肺炎を疑いたい所見であるという御意見をいただきました。また、永井先生の御意見ですが、この症例のもともと接種前のCTなども御確認をいただいた上で、今回の悪化については、ベースにある肺線維症の悪化とは考えにくいとの御意見でした。画像からは薬剤性間質性肺炎は否定できないものの、鑑別が必要なものとして、ウイルス性肺炎の鑑別が必要ということで、インフルエンザの迅速検査がないかというような御意見をいただいています。
 小林先生についても永井先生とほぼ同様の、インフルエンザなどのウイルス性感染、または、ほかの内服薬剤などについても、評価が必要という御意見をいただいたものです。
○松本座長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対しまして、何か御意見、御質問はございますでしょうか。
○是松参考人 死亡症例の中で乳幼児突然症候群の症例があったと思うのですが、資料1-5の10ページ、112番ですけれども、これも先ほど桃井先生が言われたのですが、年齢が10歳未満というのはあまりにも広すぎて、それを見ても何とも分からないのですが、何歳なのですか。専門家の先生の話を見ると、乳児ではないような書き方をされているなと思うのですが。
○事務局 こちらの症例は1歳ちょうどです。
○是松参考人 1歳何カ月なのですか。
○事務局 1歳0カ月です。
○是松参考人 112番の症例ですよ。
○事務局 0カ月です。
○是松参考人 そうだとしたら納得がいくのです。でも10歳未満だと納得いかないので、今、1歳と言われましたが、1歳11カ月でもちょっと納得いかなくなるのですね。ですから、アナフィラキシーのときに私もコメントさせてもらって、年齢をきちんと明記してもらうようにとしたのですが、できるだけ「10歳未満」という大きな括りではなくて、こういう場でも、もう少し年齢が分かるようにしていただくと、どれだけ悪いものかという判断ができると思いますので、お願いします。
○松本座長 このSIDSに関しまして、小児科の先生、何か御意見はございますか。庵原先生、何かコメントいただけますか。
○庵原参考人 1歳ですと、SIDSでもいいかなと思いますし、剖検所見でも明らかに何か所見がないということになれば、やはりSIDSで判断されるかなと思います。
○松本座長 ということで、このワクチンとの関連性についてはいかがでしょうか。
○庵原参考人 ワクチン接種後4日も経って死亡されていますのでワクチンとの因果関係はまずはないと考えるのが自然かなと私は思います。
○松本座長 関連性はないと判断するということですね。
○庵原参考人 はい。
○松本座長 そのほかの先生もそれでよろしいですか。桃井先生もよろしいですか。ありがとうございました。他にどうぞ。
○工藤参考人 前に戻るかもしれませんが、教えていただきたいのは資料1-5の15ページから16ページの「基礎疾患の種類と発熱・増悪が見られた症例の関係」で、発熱があるかどうかということで、呼吸器疾患、あるいは、呼吸器疾患を持たない人との比較があるのですが、下の方に文章あるいは説明も、「患者が多い傾向がある」あるいは「多い」というような言葉があるのですが、これは統計的に見て有意差があるのですか。16ページの上の方もそうなのですが、呼吸器疾患の有無で発熱がある、ないと、分類していますが、これは有意差があるのでしょうか。
○事務局 事務局です。これは本日のデータはすべて情報の整理という形で出しておりますので、今、御指摘いただきましたような統計的な検定とか、そういう分析はまだ行っておりません。あくまでも傾向ということで出しています。
○松本座長 それでよろしいですか。他に御質問、御意見はございませんか。ということで、高齢者でやはり呼吸器疾患が多いわけなのですが、ワクチンとの関連性について、工藤先生、何かコメントをいただけませんでしょうか。
○工藤委員 前回は特に間質性肺炎とワクチンの関係が少し気になったのですが、本日の資料からは、あまり関係はなさそうです。当初、関係があるかと思われたのは、ワクチン接種の接種順位から見て、母集団の中に間質性肺炎の方が比較的多かったのではないかというような推測もされます。したがって、本日まとめられた間質性肺炎の10数例の表というのは、これから統計的処理をする意味で、重要な資料だと思います。どうもありがとうございました。
○松本座長 間質性肺炎の中に、画像診断上増悪している例があるということなのですが、これは必ずしも因果関係にすぐ結び付くものではないとは思うのですが、これについて何か新たな対応が必要と先生はお考えになられますか。
○工藤委員 今の時点で、有意差が出ているとは思われませんし、当初、気になったことでありますので、推移を見て、最終的にどのくらいの数になるか見ないと、何とも言えないと思います。今の時点で結論は出せないと思います。
○松本座長 永井先生、この点に関してはいかがでしょうか。
○永井委員 写真を送っていただき拝見いたしまして、ここにコメントが書いてあるわけですが、なかなか画像から間質性肺炎の増悪と明確に言えるものが多くありません。明確なものもあったのですが、そうではなくて、間質性がかぶっているであろうという画像も結構あるものですから、ベースに肺線維症の古い影でもあれば、そこに影が出るとすべて増悪と言われる可能性はあるかなということが一つあります。ですから、注意深く経過観察を見ていて、治療経過を見ながら、細菌性肺炎であれば抗菌薬によく反応するはずですし、どうもそれがうかがえるような症例もあります。ですから、その辺の間質性肺炎に合併した肺炎の影が、すべて間質性肺炎の増悪ではなくて、もう少しきめ細かく見ていかないと、すべて間質性肺炎が悪者になるという可能性はあるかなと、こういうケースを見ていてそんな気がしました。
○松本座長 これまでの報告からみる限りでは、新たな対応は必要ではないということでいいですか。特にこの間質性肺炎を慎重に投与するとか、そのような処置は必要ではないと考えてよろしいですか。
○永井委員 なかなか注意しなさいとは言いにくいでしょうね、これだけの症例では。間質性肺炎をベースに、そういった古い間質性肺炎がある方については、冬の季節に、感冒だけで急性増悪している例を我々はいっぱい経験しています。例えば入院して調子よかったので外泊しましょうかと、外泊した途端にお家で風邪をもらってきたらしくて、一気に増悪しているというような症例もあって、この時期、普通のバイオリズムのセクションがどの程度悪さをするかというのは、なかなか難しい部分がありまして、そういう例との鑑別が非常にややこしくなってきますので、この間質性肺炎に合併した症例がたくさん出てくれば、そこでまたいろいろ判断が必要になるでしょうけれども、現時点でワクチンどうこうというのは、この段階では言いにくいのではないかという気がします。
○松本座長 この辺についてはさらなる検討が必要であるということですね。
○永井委員 増えればということですね。
○松本座長 その他にはいかがでしょうか、高齢者全体に関して。
○稲松委員 以前から申し上げていることですが、高齢者はいろいろな原因で、例えば心筋梗塞、不整脈、大動脈瘤の破裂、窒息、その辺が多いと思いますが、ワクチンと無関係の急死例が一定の頻度であります。それがたまたまワクチン接種日とぶつかってしまうと、家族としては因果関係を考えるわけです。担当医としても、関係はないだろうけれども、否定はできないとしか答えようがないわけで、そういう症例がどうしても集まってきます。そういうものを最終的に評価しようと思ったら、ワクチンを打った群と打たない群での死亡のパターンが少し違うとか、特定の疾患による死亡が多いとか、そういう傾向がはっきり見えれば、要注意ということですが、現在のところはまだそういうものがはっきり見えていないということです。
 11月ごろにワクチン接種をした症例というのは、いろいろな基礎疾患を抱えた重篤な例が多いので、そういう意味では、ワクチン接種後の時期に死亡にぶつかっているという状況はあると思います。その辺のところは1月、2月の症例がきちんと整理されて、ワクチンを打った人の急死と、ワクチンを打たないヒトの急死に、違いがないことが疫学的にはっきりすれば、急死はワクチンのせいではないだろうという結論にもっていっていいのだろうと思います。そういう形で国民の信頼感を得ることが今後必要なことのように思います。
○松本座長 ありがとうございました。他に御意見は。
○名取参考人 今の議論等を伺っていて、私はここ2、3回欠席していたので、もうすでに出た議論であれば、大変申し訳ないのですが、この検討会でそもそもワクチンの副作用を検討するというのが、言葉を変えると、ワクチンの悪いところを探すということをやっていると思うのです。ワクチンのいいところを探すという視点を持とうという議論はあったのでしょうか。
○松本座長 それは事務局からお話になっていて、少なくともワクチンの悪いところを探す目的ではないですよね。事務局、お話しいただけますか。
○事務局 ワクチンの悪いところを探しているかのように見えるわけですが、あくまでもこういった予防接種を考える上での視点は、悪い情報が加わった上でもリスクとベネフィットのバランスというか、有用性という部分でどうかという視点で、最終的には見ていくもので、そういう観点でも御議論いただいているかと思っておりますが。
○名取参考人 その意味で今、お話のリスクというようなデータを私どもはいただいて議論をしているわけですが、ベネフィットに関するデータはいただいていないです。
○松本座長 その辺はありますか。
○事務局 まず、この会議のもともとのミッションが「安全性の検討」ということをミッションにしていることもあり、接種をしてどのくらい効果があったのかということについてのデータは、準備をして特に御用意していないのが現状です。もう一つ言わせていただければ、今回の新型インフルエンザに関しては、突然流行し始めたということもありましたし、ワクチンはある意味、本来であれば流行する前に接種を終えておいて、その予防効果を期待するというような使命のものですが、流行の真っ最中に片っ端から打っているというような、非常に悪条件になっているということもあり、さらに、幸いなことにと言ったほうがいいのでしょうけれども、抗インフルエンザ薬の使用が、世界的に見ても非常に潤沢にあって、言ってみれば、効果を他にも期待できるものが一緒にされているという、非常に複雑な状況でこのインフルエンザの流行シーズンを乗り切ってきているという状況にあります。
 そういう点からしても、ワクチンの効用をにわかには示し難いと考えるところもあり、ベネフィットの部分のデータは、この流行シーズンが過ぎた辺りのところで振り返って見たときに、大体このような他国の流行と日本の流行状況、そこで入院患者さんがどれくらい、あるいは死亡患者さんがどれくらいというようなことなどもいろいろ突き合わせて見ていく中で、どのような効果があったのだろうかというような御議論になるのではないかと思います。
 ですので、現時点で、効用に関する議論を十分にいただけるようなデータがなかなか提示し難いということは、現状としてありますので、今の時点で私どもができると考えているのは、どれくらいの患者さんというか、どれくらいの接種対象者に打ったのか、その中で出てくるリスクはこのくらいのかなり低い頻度が、こうやっていく中で示せてはいるのかと思いますが、さあ、どれくらい予防効果がありましたかというような、本来の効用の部分については、残念ながら今すぐには示せないという状況だと思います。
 それについては、この時期に並行して行われているいろいろな臨床試験、抗体価がどうであったかというようなことに関しての、小規模ですが、いくつかの試験が行われています。ただ、それが本当にインフルエンザ感染の予防をどこまで阻止できているのかというところを直接、立証したデータはまだ得られていないのも現状だと思います。
○松本座長 名取先生がおっしゃるのはもっともだと思います。差し当たりはワクチンの安全性を評価するという方に集中されているきらいがあるのではないかとは思うのですが、それでよろしいでしょうか。
○名取参考人 こういうことというのは、社会の関心を強く引いていることと思いますが、一般的なお話として、もう少しワクチンのメリットということへの説明があったほうが、きっと国民の方のお役に立つようなことではないかという気がするものですから、ちょっとお話をさせていただきました。
○松本座長 確かにおっしゃるとおりだと思います。
○事務局 結核感染症課長でございます。今回については季節性のインフルエンザからの類推ということで、新型に一定の効果が期待できるということで、重症化の防止ないしは死亡の減少を目的にしたということで、これについては私どもはいろいろな形でホームページや広報を通して、国民の皆様方にはお伝えをしてきたというつもりですが、なかなか十分には行き渡っているかということになりますと、まだまだ反省するところはあると思います。
 1点、効果の検証については厚生労働科学研究班で、有症状者の率、あるいは接種した群とそうでない群の比較、あるいは重症者の発生頻度が低いので、なかなか統計的に有意な評価ができるかは難しいところではありますが、そういうものもやろうと計画しておりまして、これはいくつかの群に分けて、基礎疾患を持っている人、子ども、高齢者といろいろな群で評価をしようとしていますので、今回の事業全体の評価は、それも含めてもう少し、実際にはお時間を頂戴したいと考えております。
○松本座長 ほかに御意見はございませんか。確かに今日の御議論でもお分かりのように、ワクチンの副反応が重篤な転帰につながる可能性があるというのも出てきておりますので、この点はさらに検討する必要があのではないかとは思います。ただ、差し当たり、皆様方の御意見を総合しますと、引き続き、現場には慎重に接種の適否を判断して、接種を行っていくということでよいような話の流れのように思いますが、それでよろしいでしょうか。何か御意見はございますでしょうか。
 具体的に基礎疾患が限定されてきたような印象を受けますが、先ほど事務局が集計していますように、他の疾患においても、必ずしも何もないということでもなさそうですので、その点も明らかにしていく必要はあろうかと思います。ということで、やはり差し当たりは現場の医師が慎重に適用を決めて、接種をしていくということにさせていただこうと思います。よろしいでしょうか。特に御異論はございませんか。それでは、そのようにさせていただきます。他に御意見はございませんでしょうか。よろしいようでしたら、最後に事務局から何かございますか。
○事務局 特にはございません。また次回については日程調整をさせていただいておりますので、その結果を踏まえ、後ほど改めて御連絡をしたいと思っております。また、資料はこれまでどおり、ホームページに掲載させていただきます。
○松本座長 ありがとうございます。全体を通じて御発言はございませんでしょうか。ないようでしたら、本日の会議はこれで終了いたします。長い間、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課

電話: 03-5253-1111

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