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2012年2月27日 第4回健診・保健指導の在り方に関する検討会 議事録

健康局総務課保健指導室・生活習慣病対策室

○日時

平成24年2月27日(月)15時〜17時


○場所

中央合同庁舎5号館18階 厚生労働省 専用第22会議室


○議事

出席者
 構成員
  荒木田 美香子 国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻看護学分野地域看護学領域教授
  井伊 久美子  公益社団法人日本看護協会常任理事
  大井田 隆   日本大学 医学部教授
  大江 和彦   東京大学大学院 医学系研究科医療情報経済学分野教授
  迫 和子    社団法人日本栄養士会専務理事
  佐藤 保    社団法人日本歯科医師会常任理事
  島本 和明   札幌医科大学長
  竹村 克二   医療法人寿慶会竹村クリニック院長
  津下 一代   あいち健康の森健康科学総合センター長
  鳥羽 研二   国立長寿医療研究センター病院長
  永井 良三   東京大学大学院 医学系研究科教授
  野口 緑    尼崎市環境市民局市民サービス室健康支援推進担当課長
  林 謙治    国立保健医療科学院長
  保坂 シゲリ  社団法人日本医師会常任理事
  松岡 幸代   国立病院機構京都医療センター・臨床研究センター予防医学研究室研究員
  三浦 宏子   国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野統括研究官
  宮澤 幸久   帝京大学 医療技術学部教授
  宮地 元彦   独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部長
  山門 實    三井記念病院総合健診センター所長
  吉池 信男   青森県立保健大学 健康科学部栄養学科教授

 厚生労働省
 (健康局)
  外山健康局長
  野田生活習慣病対策室長
  尾田保健指導室長
  畑農保健指導室保健指導専門官
  三田生活習慣病対策室長補佐
 (保険局)
  鈴木医療費適正化対策推進室長


○永井座長 では、第4回健診・保健指導の在り方に関する検討会を開かせていただきます。
 最初に、事務局より出席者の確認をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 本日は、門脇構成員、宮崎構成員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、本日は参考人をお招きしておりますので、御紹介させていただきます。福島県立医科大
学医学部教授、渡辺毅氏です。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 では、議事に入りますが、最初は、特定健康診査の健診項目でございます。まず、
検討に当たっての提案について、事務局より御説明をお願いいたします。
○尾田保健指導室長 それでは、資料1をごらんください。1ページ、血清クレアチニン、血清
尿酸の扱いについて。現行の標準プログラムを抜粋した内容でございますが、第2章(1)2)具体
的な健診項目。特定健診項目のうち、詳細な健診の項目を別添のとおりとする。その中で「③そ
の他の健診項目」。40〜74歳を対象とする健診においては、①の基本的な健診項目以外の項目を
実施する。中でも、血清尿酸、血清クレアチニン検査、HbA1c等については必要に応じ実施する
ことが望ましいと書かれております。
 次に、見直しに関する第8章の中で、今回、導入が見送られた項目(尿酸、血清クレアチニン
等)を含め、実施すべき健診項目について、知見を集積し、必要に応じて見直しを行う必要があ
る。これが現行の標準プログラムに盛り込まれております。
 2ページ目は、老人保健事業における基本健診と、特定健診の項目の対比表でございまして、
腹囲、LDLコレステロールが新規追加。総コレステロール、潜血、血清クレアチニンが廃止とい
うことになっております。
 以下、特に制度導入に当たって課題となりました血清クレアチニンと血清尿酸に関する制度創
設時の論点について、資料をつけております。
 まず、3ページは血清クレアチニンでございますが、腎機能障害を早期に把握するためには、
血清クレアチニン検査よりも尿蛋白が有効ではないか。尿蛋白を必須項目とした場合、必ずしも
血清クレアチニンを実施する必要はないのではないか。
 参考として、同じく労働安全衛生法(安衛法)での対応を御検討された際の報告書でございま
すが、「しかし、血清クレアチニンは、腎機能が大きく低下した際に上昇するため、早期の腎機能
異常の発見のためのスクリーニング検査としての位置づけが明確でない。このため、新たな健康
診断項目として、すべての労働者に対して一律に実施する必要はないと考える」。
 続きまして、4ページ目、血清尿酸でございます。「尿酸は、メタボリックシンドロームのリス
クマーカーとして重要であるが、尿酸値に異常を認める者の多くは、腹囲、血圧、血液検査等で
異常を認めていることが多く、必ずしも必須検査とする必要はないのではないか」。
 安衛法の検討では、「しかし、腹囲や血中脂質等の他のリスクファクターと尿酸値は連動するた
め、尿酸値を測定する必要がないのではないかという意見もあり、本検討会においては、定期健
康診断の項目に追加するまでの必要性はないと考える」。
 本検討会の今回につきましては、前回の課題になっておりました血清クレアチニンについて知
見の集積等を踏まえて必要性について御議論いただきたいと思いまして、論点を整理しておりま
す。
 腎機能評価の指標である血清クレアチニン値の測定について、以下の論点についてどのように
考えるべきか。
 CKDと他のNCDとの関係について、どう考えるか。CKDは、心血管イベント発症や生活習慣
病・NCDの発症・悪化の原因と言えるか。
 生活習慣改善を目的とした保健指導はCKDに対して有効か。
 尿蛋白のみ測定する場合と、血清クレアチニン値を追加測定する場合とで、CKDの早期発見に
どのような違いがあるのか。腎疾患・心血管疾患の予後の予知に必要と言えるのか。
 血清クレアチニン値を測定し、CKDに早期介入を行うことによる心血管イベント抑制効果、人
工透析低減効果、国民医療費抑制効果についてどのように考えるか。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございます。
 ただいまの事務局の提案を踏まえまして、渡辺参考人から健診・保健指導における血清クレア
チニン値測定の意義について、御説明をお願いいたします。
○渡辺参考人 ただいま御紹介にあずかりました、渡辺でございます。参考人資料1を御参照い
ただければと思います。
 まず、1ページ目でございますけれども、特定健康診査の基本的な考え方ですが、我々の理解
としては肥満をベースにした生活習慣病の予防によって心血管イベントの抑制を図るという一次
予防が目的と理解しております。
 それに基づいて先ほども御説明がありました論点について、本日は慢性腎臓病とメタボリック
シンドロームを含む生活習慣病と心血管イベントの発症の要因、もしくは逆にCKDが生活習慣病
の悪化要因になるかという点。それから、CKDが現在の特定健診・保健指導において対象疾患と
なり得るかということと、また、現実になっているかという論点。それから、尿蛋白と血清クレ
アチニンの同時測定の意義。実際の保健指導でイベント抑制効果、医療経済効果が出るかという
ことを論点について、特に日本人のデータを中心にしてお話ししたいと思います。
 2ページです。CKD対策の特徴は心血管イベントのみならず、特に医療経済を考えますと、透
析導入の抑制が非常に大きな目的になると思います。2ページに示しましたのは、経年的な透析
新規導入です。毎年何人透析に入られるかということでは、25年前から見ますと約4倍増加して
おります。その原因の多くは糖尿病の増加と高血圧による腎疾患の増加ということです。逆に、
糸球体腎炎はやや低下傾向にあるというのが現状です。2010年の新規導入に関しましては、約6
割が糖尿病と高血圧が原因の生活習慣病の関連病態であるということは明らかだろうと思います。
 3ページです。特定健診の主な対象になっております肥満、メタボリックシンドロームが慢性
腎臓病の原因であるかに関しては、沖縄のコホート研究の結果が、メタボは慢性腎臓病(CKD)
の原因の一つであることを証明しています。
慢性腎臓病の定義に関しましては、日本では尿蛋白陽性、諸外国ではアルブミン尿が異常高値で
規定されております。同時に、血清クレアチニン値に基づく推定GFR(eGFR)でも規定されて
おります。eGFRは通常の方々はおおよそ100前後が正常と考えていただければ、6割以上減少
しているのが定義ということになります。
 参考資料の21ページに、血清クレアチニンの推算式と腎機能評価のゴールデンスタンダードで
あるイヌリンクリアランスという腎機能の精密な検査法との対比を載せてございます。ごらんに
なっておわかりのように、eGFRに関しましては、正常腎機能の領域では比較的誤差が大きいで
すが、CKDの定義、すなわち60以下の領域に関しては誤差が少なくなります。それから、この
式の策定時には、後期高齢者が多くは含まれておりませんが、特定健診の受診年齢の方は十分カ
バーされています。推算式をつくる段階で、そういう年齢層を対象としております。
  一方、メタボリックシンドロームでどの程度CKDが原因になっていかるは4ページを見て
いただければと思います。これは私どもが平成21〜23年にかけて厚生労働省の科学研究費をいた
だきまして、特定健診のコホートを全国で58万人ほどのデータを集めさせていただきまして、そ
の中の一部の解析でございます。その中に、約33万人には血清クレアチニン値が自主項目として
データが入っておりまして、それに基づいてeGFRを推算したものでございます。この図は、そ
の一部を用いて、CKDの各ステージにおけるメタボリックシンドロームでない方の割合を示した
ものです。縦の軸の非Metsは、日本の8学会の基準によるメタボリックシンドロームに該当しな
い方の割合です。蛋白尿が出る方は少しメタボリックシンドロームの比率が増えますけれど、そ
れでも50%もしくはそれ以上のCKDの方は日本ではメタボではないということでございます。
 右側の蛋白尿の有無で見ても、左側のCKDのステージで見ても、徐々に勿論メタボリックシン
ドロームの比率は増えますけれども、それでも5割を切っています。
 参考資料の22ページをご覧ください。例えばCKDが3以上、すなわちeGFRが60を切って
いる方は、健診における糖尿病と高血圧をベースにして必然的に見つかるのではないかというご
意見があります。我々の33万人の全データでeGFRが60以下の方は全体では14.2%です。その
中から高血圧と糖尿病を除きますと約11.4%。その中からBMI25以上の肥満の方を除いて約
11%、尿蛋白1+以上の方を除いて約11%。BMIと尿蛋白を除いても約11%ということです。
日本では、メタボリックシンドロームがCKDの必ずしも大きな要因にはなっていないと思われま
す。
 23ページは、糖尿病と非糖尿病でCKDの頻度を比べたもので、赤が糖尿病、青が非糖尿病で
ございます。蛋白尿に関しては、糖尿病の方では約3倍ほど頻度が増えますが、CKDのステージ
別の頻度は若干糖尿病に多いのですが、差はそれ程大きくありません。勿論、糖尿病はCKDの要
因でございますので差はありますけれども、それほど大きな差はないということでございます。
したがって、メタボリックシンドロームもしくは肥満ベースにしてCKDをすべては補足できない、
約半数の方は漏れる可能性があるということを示唆していると思います。
 5ページ目は、逆にCKDがいわゆるNCD(生活習慣病)の原因になるかどうかという点に関
するデータです。これも特定健診のコホートで調べましたところ、高血圧に関しましては、腎性
高血圧という言葉があるように、当然、腎機能が悪くなれば、もしくは蛋白尿が増えれば、縦軸
に示す頻度が増えます。血糖異常に関しましても、HDLコレステロールもしくは中性脂肪の異常
に関しても同じような傾向です。すなわち、要因かどうかは別に証明が必要ですが、蛋白尿と腎
機能低下は独立にこれら生活習慣病の頻度と相関するということでございます。
 逆に、ほかの臨床的な研究で、CKDの患者さんは一般的にインスリン抵抗性を持っているとい
うことはよく知られた事実でございます。私どもは喩として言うのですが、CKDはやせたメタボ
リックシンドロームとも言える病態と私は考えています。
 それを踏まえまして6ページには、日本腎臓学会のCKD診療ガイドにおいて、生活習慣、イン
スリン抵抗性、高血圧、糖尿病、脂質異常、末期腎不全、心血管イベントの関連を図示したもの
です。生活習慣病とCKDはある種の悪循環、すなわち原因とも結果ともなり、悪循環を呈して進
行していくものだと考えております。
 それから、先程述べましたように、メタボリックシンドロームが最大でもCKDの50%である
という理由は、やはりその他の原発性腎疾患も、特に腎炎の多い日本人では無視できない、少な
くとも4割は生活習慣病非関連の腎疾患があるということを示していると思っております。
 では、CKDは心血管イベントの因子であるかということですが、7ページは我々の班で調べた
結果です。蛋白尿も腎機能低下も独立に心血管イベントの既往の要因、独立因子であることが示
されました。したがって、尿蛋白のみ、もしくは腎機能低下、eGFRのみでは正確な心血管イベ
ントに対する予後評価はできないのではないかと我々は考えております。
 8ページです。CKDの寄与度に関しましては、ケースJというカンデサルタンというARBを
用いた介入研究の結果です。導入時の臨床背景が横軸に書いてございまして、5年間ほど追跡さ
れたときの心血管イベント発症のハザード比が縦軸に書いてございます。ほぼCKDに該当する尿
蛋白プラス以上もしくはクレアチニンが1.3mg/dl、多分これは予想するにはCKDの3以上に当
たる方でございますが、右端のCKDは右から2番目の糖尿病にほとんど同等もしくは、それに勝
る心血管イベントの寄与因子になっていいます。これは日本人の高血圧患者さんでのデータでご
ざいますので、高血圧との比較はできません。
 24〜25ページに関しましては日本のデータではございませんで、国際腎臓学会で2009年に
Controversies Conferenceと言いまして、CKDの過去の患者さんたちの見直しのための会議が
開催されました。世界で45コホート、150万人のデータをメタ解析という方法で解析したもので
ございます。結論としては、右の表にありますように、日本での蛋白尿でも同様ですが、アルブ
ミン尿とeGFRはやはり我々のデータと同じように独立した危険因子になっているということで
す。
 25ページは、尿蛋白がマイナスの方、もしくはプラスの方、もしくは2プラス以上の方という
形で層別化いたしまして、腎機能を横軸にして各総死亡、心血管死亡、CKDの進展、末期腎不全
の危険因子を見たものでございます。尿蛋白がマイナス、もしくはアルブミン尿がネガティブで
あっても、腎機能が低下するごとにハザード比は上がっていくということが証明されました。
 CKD患者のアウトカムに対する年齢の影響を見たものが26ページでございます。心血管死亡
に関しましては、尿蛋白陰性で腎機能、が全く正常、すなわち90〜105の方に関して、尿蛋白マ
イナスでeGFRが45〜59の方でどのくらいハザード比が上がるかについて見たものです。65歳
未満と65歳以上において、ハザード比はそれほど変わらない。したがって、このCKDという概
念は65歳を境にして、65歳より若い方にも高齢者にも両方適用できる概念であるということで
す。腎イベントに関しましても同様の傾向を示していると思っております。
 9ページに戻っていただきたいと思います。これは同じように厚生労働省の科学研究である糖
尿病腎症の研究班、和田班がございます。その班で糖尿病の場合はアルブミン尿の測定が保険で
許されておりますので、アルブミン尿と腎機能の層別化をして透析導入のハザード比を解析した
結果です。この場合も、やはり腎機能が低下しているということと、アルブミン尿はある程度独
立性を持って透析導入の危険因子になっていることがおわかりだと思います。
 27ページは補助資料といたしまして、同じ班で解析した各イベント別に対するアルブミン尿と
腎機能低下のハザード比ですが、同様の傾向を示しています。
 それから、28ページでは年齢の効果を見ております。糖尿病に限って言えば、10歳年齢を増し
たときのハザード比は数倍に増えているということです。一般のCKDとは少し様相が違い、糖尿
病は他のリスクが高いことが原因かと想像します。
 10ページは、日本人のCKDステージ別、もしくは尿蛋白の有無別の頻度を示します。2003年
ごろの全国の8か所の健診のコホートから導き出した推定値でございます。CKDの3a以上の方
のかなりの部分が尿蛋白マイナス、もしくはプラスマイナスの方であることを示しています。こ
のコホートからの推計ではCKDの患者さんは、合計1,330万人となります。
 29ページには、最近の国際腎臓学会のカンファレンスに基づいて、提唱されているCKDの新
しい重症度分類の日本版の案を示しています。まだ正式には決まっておりませんが、来年度は日
本でもこのように改変される予定です。リスク別に腎機能と尿の所見、日本では、糖尿病はアル
ブミン尿、腎炎その他に関しては蛋白尿を指標にして、重症度分類がなされております。
 最後の30ページは、その表に基づいた各ステージ、腎機能と蛋白尿で層別した場合の推CKD
数でございます。全体で見ますと、CKDの動きは先ほどお話ししたより多く14.2%というのが、
高齢者を含む特定健診コホートでの実態でございます。
 11ページは、我々の班の1つの仕事として、沖縄の協会健保のレセプトの保険点数を解析した
ものでございます。レセプトの1人当たりの月の点数は、腎臓機能が低下する、もしくは尿蛋白
が増える程高いということもわかりました。これは勿論、原因か結果かの論議はあると思います
が、医療経済的にもCKDの進展を予防する価値があることを示唆していると思っております。
 では、CKDは発見して、予防もしくは治療が可能なのかということでございますけれども、12
ページは腎炎の例でございます。クレアチニンが横軸に、これは主にステロイド治療によって寛
解、少なくとも尿所見が治癒するかという率を縦軸にとってございます。現在は、クレアチニン
がわずかに上昇した0.9mg/dlまでですと、5割以上の方が寛解する、治る時代になっています。
勿論、CKD患者を受診勧奨していただいた上での話です。
 13ページには、近年発表された論文のまとめでございます。糖尿病性腎症も最近は、さまざま
な降圧剤、RAS抑制薬その他の薬剤を駆使すると、早期であればおよそ5割、蛋白尿、腎機能が
少し落ちた段階で約3割が寛解に入るということも知られており、CKD早期発見、早期治療は有
効であろうと思っております。
 次に、保健指導に関してまとめてみました。14ページをご覧ください。特定健診のCKDステー
ジ、もしくは蛋白尿の有無と現在の保健指導での動機づけ支援と積極的支援に認定される割合を
示しました。これは我々の班での検討でございます。
 左の図は、逆説的な話ですが、CKDのステージの進行とともに積極的支援が減るという傾向に
ございます。これは多分、進行したCKDではコレステロールや肥満者などの幾つかの危険因子が
減るなどの要因があるのかもしれませんが、とにかくそのような結果でございます。
 右側は、蛋白尿の有無もしくはプラスマイナスかプラスを境にして見た場合も、ほとんど積極
的支援の割合が増えているということはないということであります。また、CKDに対する保健指
導のパーセンテージが非常に低い印象を持っています。
 16ページは、特定健診の検査項目とその扱い方、保健指導の判定値と受診勧奨の判定値が示さ
れております。コストの問題は当然大きな問題だろうと思いますので、右端の列は、実際のコス
トではございませんが、保険診療で行った場合の保険点数を示しました。腎臓に関しては先ほど
も御説明がありましたように、尿蛋白は必須項目で、クレアチニンは必須項目ではないというこ
とです。かつ、尿蛋白に関しては受診勧奨基準も保健指導基準もないと我々は理解しております。
したがって、他の領域に比べまして、腎疾患の患者さんが現在の特定健診では拾い上げにくいと
いう状況になっていることがおわかりになると思います。コスト面に関しましても、私どもは表
からは工夫の余地があるのではないかと考えております。
 では、実際に保健指導方法論に関しましては、17ページにしますように、現在、厚生労働省の
聖マリアンナ医科大学の木村教授を班長とするCKDの対策の科学研究班がございまして、現在
CKDを対象とした保健指導のフローチャートがつくられております。これはまだ案の段階ではあ
りますけれども、CKDの方を対象にした場合どのような形でやっていくかが受診勧奨と保健指導
を分けて書いてあります。細かいことに関しては、後で御参照いただければと思います。
 次に、保健指導の効果ですが、疫学的、科学的な、真の意味での効果というのは、この保健指
導がまだ試験段階で、正直申し上げまして科学的根拠はまだこれからの課題だと思います。ただ
し、17ページでは、北海道で活動している保健師さんたちの事例では、効果を示唆しています。
勿論、治療すれば寛解もあるのですが、一般的にはCKDの自然経過は腎機能がどんどん低下する
進行性の病気と考えられます。しかし、献身的に保健指導を行った場合に、曲線が下に向いて腎
機能が低下するのが、逆に上昇に転ずる例がかなり認められているという萌芽的な例も出ている
ということです。
 18ページは、尼崎市の事例です。先ほどお示ししたフローチャート等を使って積極的に保健指
導をなさっております。その結果として、まず、経年的に透析導入の年齢の遅延効果があるとい
うことが示されております。
 19ページですが、それと並行して平成18〜20年度にかけて、透析の1年間の導入数が減少傾
向にあるということがございます。日本全体でも、糖尿病腎症に関しては療養指導等がかなり徹
底してまいりまして、去年は初めて糖尿病腎症新規透析導入が若干減ったということもございま
す。これからは、CKDの進展予防はかなり可能なのだと希望を持っております。
 最後に20ページの「まとめ」を見ていただきたいと思います。このような最近の国際的もしく
は日本の厚生労働省の科学研究費の研究等で新たにさまざまなエビデンスが生まれてきていると
いうこと、先駆的ではあり、心血管イベント抑制の証拠はまだございませんけれども、保健師さ
んたちの活動で、一部ではあっても萌芽的にCKDの発症もしくは透析導入が減りつつあるという
ような現状を踏まえて、最初に掲げた問題点の答えをまとめてみます。
 1番目に関しては、CKDと他の生活習慣病は悪循環で相互増悪をする過程を形成している。し
かし、日本においては少なくとも半数以上は非肥満者であり、高血圧、糖尿病、蛋白尿を有さな
い方も多いのです。
 2番目に関しまして、現状の特定健診・保健指導では多くのCKDが対象になっていないという
ことで、蛋白尿と血清クレアチニンを必須項目もしくは受診勧奨項目としていただきたいと我々
は思っております。
 3番目に関しては血清クレアチニン測定の独立性ということでございますが、先ほどお見せし
たように最近の疫学研究等によりますと、蛋白尿と血清クレアチニンは透析導入、心血管イベン
トもしくは保険点数といったものの独立した危険因子であります。したがって、片方だけでは正
確な予後判定ができないだろうということでございます。これを踏まえて、国際的にもしくは日
本でも多分今年もしくは来年辺りから新しいCKD分類と対策が行われる予定になっております。
 最後でございますけれども、まだ萌芽的ではありますけれども、CKDと生活習慣病の悪循環を
断つための保健指導と早期治療で心血管イベントの発症、透析導入の予防の可能性が示唆されて
おりますし、医療経済的な効果も期待されると私どもは思っております。
 少し資料が前後して申し訳ございません、パワーポイントでプレゼンテーションするつもりで、
最後の方は参考資料ということで紙資料のつもりだったので、判りにくい形になってしまったこ
とは申し訳ないと思っております。
 以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
 また、後ほど質疑をお受けすることにしまして、続いて、血清クレアチニン設定の意義につい
て、大阪大学公衆衛生学、磯博康先生から疫学の観点からまとめていただいた資料を提供いただ
いております。本日、磯教授は御都合で出席できないということでございますので、事務局から
資料の説明をお願いいたします。
○三田生活習慣病対策室長補佐 参考資料2をお開きください。渡辺参考人と同様の4つの論点
について、磯教授の7枚の資料を説明させていただきます。
 まず、1ページ目でございますけれども、1つ目の論点といたしまして、慢性腎臓病(CKD)
と他のNCD(メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、心血管疾患)との関係についてどう
考えるか。CKDは、心血管イベント発症や生活習慣病・NCDの発症・悪化の原因と言えるかと
いう点でございます。
 左側の糖尿病、高血圧、メタボリックシンドローム、右側が心血管疾患、この2つの関係でご
ざいますけれども、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームは、直接的あるいはCKDを介し
て心血管疾患のリスクの増大に働く。
 2点目といたしまして、CKDは心血管疾患に対しまして直接的あるいは高血圧の増悪を介して
心血管疾患のリスクを増大させる。
 もう一点、メタボリックシンドロームの今述べました糖尿病、高血圧以外の構成要因である脂
質異常、肥満がCKDの独立した危険因子となるかは不確定ということでございます。
 2ページ目は、1つ目の論点に関しましてCKDがあることで心血管疾患の発症と死亡に関する
リスクが増大していることを示すエビデンスでございます。
 3ページです。論点2つ目でございます。生活習慣改善を目的とした保健指導はCKDに対して
有効であるかということでございます。
 まず、有効であると、ただし、予防のステージに分けて効果を考える必要がある。2次予防、
1次予防という2つの観点でございますが、まず、CKDの早期発見を目的とした2次予防の観点
から、CKDを有する人の腎不全への進行を防ぐためという意味で有効である。具体的には、糖尿
病、高血圧の管理のための保健指導。更に、タンパク質の摂取制限が有効、ということでござい
ます。
 2つ目といたしまして、1次予防の観点より、CKDを有しない人のCKDの発症予防には糖尿
病、高血圧、メタボリックシンドロームの発症予防のための保健指導。ただし、2次予防の場合
と異なりまして、タンパク質の摂取制限は不要であるということでございます。タンパク質に関
しましては、タンパク質の摂取と腎機能の低下は関係ないか、むしろ適量摂取がCKD予防に有効
である可能性を示すエビデンスがあるとのことでございます。
 論点の3つ目でございます。尿蛋白検査のみ測定する場合と、血清クレアチニン値を尿蛋白に
追加して併用して測定する場合とで、CKDの早期発見にどのような違いがあるのか。血清クレア
チニン値の追加は腎疾患、心血管疾患の予後の予知に必要と言えるのかということでございます。
 血清クレアチニン値を追加することで一般集団においてCKD、推定した糸球体ろ過量(e-GFR)
の60未満の場合の有無の把握が可能となる。
 5ページの図にありますように、一定の人口集団におきましてCKDの有病者の割合を示してお
ります。男性と女性に分けて対象者の割合を示しておりますけれども、尿蛋白がマイナスでCKD
がプラスであるというのは男性で3.5%、尿蛋白がプラスでCKDもプラスであるのは男性で0.5%
と、尿蛋白がマイナスの場合は、尿蛋白プラスの場合に比べて男性で7倍と、女性で14倍と多く
の人数を占めているということがございます。
 また、4ページに戻っていただきまして、下段の予後の予知に関しての論点ですけれども、尿
蛋白とCKDの組み合わせとその後の腎不全、透析導入に関する一般集団のデータはないが、予後
を予知できる可能性は大きいのではないか、今度の検討課題ではないかとのことでございます。
 6ページ、4つ目の論点でございます。血清クレアチニン値の測定によりCKDに早期介入を行
うことによる心血管イベント抑制効果、人工透析低減効果、国民医療費抑制効果についてどのよ
うに考えるか。
 論点の2つ目で説明がありましたように、CKDの早期介入の手法としては、糖尿病、高血圧の
管理のための保健指導、薬物治療、適正体重の維持、減塩、運動等。そして、タンパク質の摂取
制限ということでございます。これらの効果に関して無作為試験(Randomized Control test)
によるエビデンスは現在得られておりません。しかし、既存のコホート研究によりますと、一般
集団でのCKDによる心血管イベントの人口寄与危険度割合は、男性で2〜6%、女性で2〜9%。
次のページの上段に参考資料、エビデンスをつけておりますけれども、そういった形でCKDの予
防・早期介入によって、これらすべてのCKD患者を改善できたと仮定することで、おおむね5%
程度の心血管イベントの抑制効果、メタボの約半分が期待できるとのことでございます。
 また、透析提言と医療費抑制に関してでございますけれども、一般集団でのCKDの予防・早期
介入による人工透析の低減、医療費抑制は期待されるものの、コホート研究、RCTによるエビデ
ンスはなく、今後の検討課題である。
 しかし、40〜74歳の国保加入者を対象としましたコホート研究によりますと、CKDがある場
合はない場合に比べて、その後3年間の医療費は1.6倍高く、医療費全体の18%を占めることか
ら、医療費抑制効果は期待し得るところでございます。次のページの下段に、今申し上げました
国保の医療費が1.6倍になるという根拠が示されております。
 資料の説明は以上でございます。
○永井座長 ありがとうございました。
 これから御議論を始めていただきますけれども、その前に、津下構成員からいろいろと検討さ
れたところがおありだということで、御用意いただいた資料の御説明も含め、御意見、ご質問を
いただきたいと思います。
○津下構成員 参考資料5をごらんください。それから、先ほど渡辺先生から詳細に御説明、資
料の提供をいただきましたので、それを用いながら不明な点について御確認させていただければ
と考えております。
 CKDが全体として慢性腎不全や心血管疾患の重要なリスクであることは十分了解できること
ですし、糖尿病や高血圧、メタボとの関連があるというお話でした。これまでも特定健診におい
ては尿蛋白で腎障害の把握をしてきましたけれども、今回はクレアチニン測定によるeGFRを加
えることで、今までとどんな状況になるかということが論点であると伺っております。
 参考資料5を見ていただきますでしょうか。GFRの数字でピンと来る方と、クレアチニンの数
字の方がピンと来る方がいらっしゃるのではないかと思ってこの資料を出しました。これにより
ますと、eGFRの60というのはクレアチニンで男性で大体1〜1.2ぐらい、女性で0.8〜0.9ぐら
いということ。それから、eGFRの45というのは男性1.3〜1.5、女性で1.0〜1.1という範囲で
す。30になってきますと、男性で2の前後、女性で1.5の前後という範囲になっております。
 次のページを見ていただきますと、血清クレアチニンを右軸にとりまして、縦軸に推算式で求
めたeGFRをとりますと、このようなカーブになっておりまして、クレアチニンが0.8〜1.1の辺
りはかなり大きな変化があるという状況です。先ほど渡辺先生からeGFRが高い方では結構ばら
つきがあるというお話があったかと思いますが、0.1のずれで、例えば、eGFRが100ぐらいとこ
ろではクレアチニンの0.1の違いがeGFRの10ぐらいの違いになります。逆に、eGFRの30ぐ
らいのところではクレアチニンの2.0が2.1に変わった段階で、eGFRに及ぼす影響は1というこ
とで変化が小さい。つまり、eGFRはクレアチニンとはリニアな関係にはなっていないという辺
りを念頭に置いて考えていく必要があるかと思っております。
 渡辺先生の資料の中で、例えば27ページですが、これは尿蛋白とGFRをクロスにして腎イベ
ント、心血管イベント、総死亡に及ぼす影響を見ております。正常アルブミン尿すなわち尿蛋白
マイナス、プラスマイナス、顕性蛋白尿で比較しますと、腎イベント、心血管イベントとも、尿
蛋白の有無というのはイベント発生に関係が大きいということが著明にわかります。尿蛋白は腎
イベントの早期発見の指標になると考えます。
 ところが、例えば、顕性蛋白尿のところで見ていきますと、GFRの変動についてはイベント発
症率に対する影響がこの表では余り見えていない。特に、今回問題になっております正常アルブ
ミン尿、微量アルブミン尿ではGFRが30未満に下がってくると腎イベントが6とか、総死亡が
7.6と上がっていきますけれども、それ以上の場合には、イベント発生率はあまりGFRに依存し
ていないという結果ではないかと思います。
 糖尿病性腎症の場合、特に早期腎症はGFRがむしろ高くなる、ハイパーフィルトレーションの
状態になりまして、GFR値が90、100と高くる。早期腎障害、つまり糖尿病性腎症の2期ではむ
しろGFRは高いか正常ということになっております。この辺りについてどう解釈したらいいかと
いうことが一つ問題かなと思っております。
 2点目ですけれども、クレアチニンからeGFRを測定するということについての課題です。渡
辺先生の資料の21ページで、このようなばらつきの図があるということで、例えば、30未満に
ついてはかなりいい相関になっていますけれども、eGFRが60前後のところで言うと、実測値は
低い方では30から、高い方では100ということで、結構大きなばらつきがある。保健指導する際
も効果が出たといってもこのばらつきの中で動いている可能性がないかというような心配があり
ます。
 更に、eGFRの計算式について性と年齢を考慮していますが、筋肉量、体格が入っていません。
体格の影響もかなり出るのではないかと心配します。
 次に、資料の30ページ、特定健診にeGFRを入れたらどうなるかということを考えてみました。
これによる有所見率がどうなるかということですけれども、蛋白尿がマイナスまたはプラスマイ
ナスの人でeGFRが50台の方が非常に多いということになります。30ページの図でいきますと、
CKDの合計が14.22%、このうち、尿蛋白マイナスでeGFRが50〜59と、さっき申しました変
動が大きく長期的な心血管イベントへの影響が余りはっきりしない対象者が9.08%を占めます。
尿蛋白ではなく、eGFRによって新たに発見される方の中で軽症例が非常に多く占めてしまうと
いうことになります。この方たちの長期予後がはっきりしない中で、ここにマンパワーをつぎ込
む必要性があるのかについて検討が必要ではないかと感じております。
 ただ、尿蛋白がマイナスでもGFRが30を切るとか、30前後の方々も見えまして、CKDの原
因疾患が何かということが気になります。例えばIgA腎症とかさまざまほかの病態があるかと思
いますけれども、この方々は一体どういう病態なのかということを検討して、予防につなげられ
るかというような丁寧な検討が必要ではないかと思います。
 4点目ですけれども、これまでは尿蛋白陽性の方に対する保健指導をした。17ページの先ほど
の北海道の保健師さんの事例も尿蛋白陽性者でありまして、こういう方々に対する保健指導を的
確に行うというのは非常に重要なことで、予防効果があると思いますけれども、先ほども申しま
した、尿蛋白がマイナスでちょっとeGFRが下がっている程度の方に保健指導をする必要がある
のかどうかということ。
 それから、まだ萌芽的ということでおっしゃいましたけれども、個別の3例の事例だけではな
く、集団としてどのくらいの有意差を持って効果が出ているのかを示していただくと、集団的な
保健指導につながるのではないかと感じております。
 以上の点が気になっているところでございます。CKDのスクリーニングとして先生のデータを
見させていただきますと、尿蛋白というのは非常に有用な検査であるということがわかりますが、
eGFRの50台の方々が大半を占める対象者が保健指導の対象者になっていくことについても一定
の議論が必要ではないかと考えております。
 以上です。
○永井座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に御意見をお願いいたします。
 保坂構成員どうぞ。
○保坂構成員 今の津下構成員のお話は御意見だと思うんですね。参考人に対する御意見である
のに、それをほかの人に先駆けて長時間お話しされることに、まず異議を唱えます。
 もう一つは、厚生労働省に質問ですが、この会の題目は健診・保健指導の在り方に関する検討
会ということで開かれていることは承知しておりますが、これが今やっている保険者による特定
健診・保健指導のみについて話をすることであると私は思っておりませんので、参考資料3でつ
いております「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」に基づいて、今後、
国民の健診をどうしていこうかという視点も含めて議論する場だと思っておりますので、今の渡
辺先生のお話で、保健指導をどのような仕組みでするかということは置いても、このことをきち
んとチェックするということが国民の健康に資することですし、いわゆる医療費の適正化とおっ
しゃっていますが、医療費を将来的には少なくする可能性もあるということだと私は感じており
ますが、この会では保険者による特定健診・保健指導で、健診をやってその結果、保健指導を必
ずするということでこの議論がされているのでしょうか。
○尾田保健指導室長 2点ございました。まず、津下先生の御意見につきましては、事前にまと
めて御意見をいただきましたので、まずは津下先生からの御意見を皆さんに御披露していただく
ことが、以後の議論の参考になると思いまして、事務局で座長と御相談して、そのような構成と
させていただきました。
 2点目の御指摘につきましては、第1回目の冒頭、局長からも当面の行政需要を踏まえてとい
うことで申し上げたところでございますが、そういった観点から特定健診・保健指導の見直しに
着目して御議論いただいていることにつきましては、保坂構成員のおっしゃるとおり、全体を踏
まえた議論も当然必要だと思っておりますので、そういう順序でやらせていただいていることに
つきましては、どうぞ御了解いただければと思っております。
○保坂構成員 そうしますと、まず、保険者による特定健診・保健指導についてどうするかとい
うことを議論し、その後に全体として国民のための健診・保健指導をどうしていくかということ
を議論するということですか。
○尾田保健指導室長 そういう御理解をいただければと思います。
○保坂構成員 そうすると、二重にむだになるということはないでしょうか。まず、いろいろな
データが出てきて、ああしましょう、こうしましょうと言ったときに、保険者が今やっている特
定健診・特定保健指導を頭に置いてやればいろいろな問題点があって、これも議論しなければい
けない、これも議論しなければいけない、保健指導をどこから入れていくか、保健指導をするか
しないか、では、保健指導をしないのだったら、もともと健診も必要ないというような議論にな
りがちです。しかし、根本的に健診はどういうものが必要かということから考えれば、逆に、今
のクレアチニンのお話などはやるべきであるとだれもがそう思うと私たち臨床医は思っています。
けれども、そのところがワンクッション置いてもう一回議論し直すということになると、非常に
むだで時間もかかるんじゃないかと思いますが、その辺は担当の室長はどうお考えなんでしょう
か。
○野田生活習慣病対策室長 現在、クレアチニンについて検討している視点というのは、標準的
マニュアルの中にクレアチニンについて今後も知見を踏まえて検討するということになっており
まして、まず、先生が言われていますように、健康づくりを前提とした検証をどうするかといっ
たこともあるわけですけれども、この特定健診を開始するに当たって残されていた問題をきちん
と議論していただかないと、健康づくりのための健診をどうするかという前提に立てないのでは
ないかと事務局では考えまして、まず、ここをきちんとしておきたいという趣旨でございます。
○保坂構成員 とてもよくわかりましたけれども、保健指導をどこから入れるということとは、
ワンクッション置いてこれを健診として入れることが、健診は保健指導をするためだけではなく
て、受診勧奨することというのが非常に大きな要素だと思いますので、そういうことも踏まえて
議論するということでよろしゅうございますか。
○野田生活習慣病対策室長 はい、そういうことでございます。
○保坂構成員 ありがとうございます。
 もう一点よろしいですか。手短に。今、蛋白尿とGFRのクレアチニンのお話が出ましたけれど
も、血尿というのは無視していいということはないでしょうけれども、全体に重要ではないのか
どうかということを渡辺参考人にお聞きしたいんですが。
○渡辺参考人 では、先ほどの津下先生の御質問から、的確に答えられるかどうかわかりません
けれども、1つずつお答えいたします。
 まず、腎機能のばらつきの問題に関してです。腎機能を正確にはかるためには、イヌリンクリ
アランスという非常に手間のかかる、患者さんにも負担のかかる方法をしなければいけないとい
うことで、我々はeGFRはあくまでスクリーニングだと考えております。腎機能が落ちている方
をどうやって見つけるかの簡便法ということでeGFRがつくられました。ただ、それでもできる
だけ正確に把握したいということなのですが、どうしても、津下先生のおっしゃっているように
体格の違い、お年寄りの方、男女によって誤差が出るのですが、一応推算式には、女性の場合の
係数、また年齢と血清クレアチニンが変数となっておりこの点は配慮しております。体格に関し
ましては、最後に体表面積1.73m2での補正が入っておりまして一応考慮はしているのですが、こ
の式のばらつきの大半は先生がおっしゃるようなほかの要因、特に筋肉量が一番大きく関係しま
す。したがって、これはeGFRの限界だと思います。もし、これで異常であれば2次スクリーニ
ング、イヌリンクリアランスは非常に大変かもしれませんけれども、クレアチニンクリアランス
などの精密検査はせざるを得ないと思っております。したがって、スクリーニングは大きく拾う
という意味で、我々はこの式を使っていると考えていただいた方がよろしいと思います。
 2番目に、糖尿病性腎症の27ページに出ております和田班のデータですが、蛋白尿の要因が非
常に大きいのは、腎不全に関しては以前から透析導入に関しては非常に強い要因だということは
わかっております。ただし、今回、近年いろいろな疫学的解析が行われまして、実は微量アルブ
ミン尿が大事だということ、それから、先ほど申し上げましたように、腎機能が低下しているこ
とが心血管イベントに関しては重要だということが判明しました。また、この表はあくまで対象
が糖尿病だということをまずお考えいただきたいと思います。そういう議論をする場合には、や
はり原疾患が何かということと、イベントの内容が心血管イベント、その中でも脳なのか、心臓
なのか、腎臓なのかを分けて考えていただきたく存じます。すなわち、一般に、腎イベントに関
しては蛋白尿の要因が大きいことは事実で、心血管イベントに関しましては、微量アルブミン尿
もしくは腎機能低下の要因がある程度強くなってくると考えていただいた方がよろしいかと思い
ます。要は、原疾患とイベント、何をアウトカムにするかということ、それから、年齢等も多分
関係してくるだろうと思います。
 それから、ばらつきが大きいときに指導に使えないのではないかということですが、これは、
その方の身体状況の違いが主要因でございますので、その1人の方を経時的に追っていくときは、
比較的昔から我々が使っているクレアチニン分の1という指標が継時的な腎機能の経過観察に関
しては使用されていますが、個人の変動に関してはそれほど大きな誤差はございません。ただ、
脱水になったとか、病気が新たに加われば当然上がったり下がったりするものですが、長期的に
何点か見ていけば個人の経過観察には使えると私は思っております。
 それから、非常に軽い方が多いということでございますけれども、この間の国際的な、もしく
は我々の班も含めた日本での疫学研究でわかってきたことは、軽いアルブミン尿なり蛋白尿で言
えばプラスマイナス程度、もしくは腎機能も50〜60辺りのところでも有意にイベントが増えてい
るということが事実だと我々は理解しております。これは数が多いからという話ではなく、むし
ろ、軽症の間にこの方のリスクは何なのか、原疾患は何なのかを考えて、増悪要因をとっていく
という保健指導が国民の健康には大事なのだと考えております。
 ただし、軽度の腎機能低下が治療レベルになるかどうかに関しましては、我々も腎臓学会の
CKD診療ガイドで、腎臓専門医の治療対象となるのは腎機能に関してはもう少し低い50程度の
段階にすべきということは公表しております。その基準は、その方が一生の間に透析を受けない
ようにすることを目的にしたプログラムとして考えているということでございます。ただし、心
血管イベントはもっと軽い段階から起こるのだと考えていますので、そのリスクをどれだけ軽減
するかというのは保健指導の役割でもあり、初期のかかりつけ医での診療の問題になると思って
います。
 最後に、血尿の問題ですけれども、多分、透析導入その他に関してそれほど有意差は出ないの
ですが、ただ、CKDの発症に関しては、イスラエルの若年者、日本では筑波大学の山縣先生たち
の研究で、長期観察での透析導入に血尿は効いているとの報告があります。したがって、腎疾患
の中で血尿を軽視しているというわけではございません。ただし、以前は腎不全ということをター
ゲットにしていましたので、どうしてもその場合は血尿よりは蛋白尿の方が有意な要因になって
いるという事実は明らかでございます。しかし、日本と外国の差もあるだろうと思います。日本
はまだ腎炎の多い国です。外国のように高血圧や糖尿病が圧倒的な要因で、日本でも勿論そのよ
うな傾向にあるわけですが、日本では血尿は非常に有意な要因の可能性があると思っています。
 以上です。
○永井座長 島本構成員どうぞ。
○島本構成員 私は、さっきの保坂先生の整理されていた点と同じ考えなんですけれども、今回、
渡辺先生はクレアチニンを検査に入れるかどうかということで、まず議論があるわけですよね。
それが受診勧奨から指導までごちゃごちゃになると議論にならないと思います。まず検査に入れ
るかどうかの議論をしなければいけない。
 それから、指導と受診勧奨の整理をしないといけない。ドクターが病院でやる指導と、今、特
定保健指導では、ほとんどがドクターでない方がやるわけですから、安全性も見て考えなければ
できません。これはもっと整理されないと、非常に論議がごちゃごちゃになってわけがわからな
くなると思うんです。将来のCKDを考えて健診にクレアチニンを入れるべきかどうか。今回はま
ずここに絞っていかないと話が見えないと思います。私はクレアチニンを入れることは極めて当
然だと思います。ただ、メタボの特定保健指導をやるためとなると必須項目になっていないです
よね。ですから、そうではくて、心血管疾患をスクリーニングし、予防していくという立場で、
血圧、糖尿病と同じような立場で入れるべきであると、私は是非そのようにしてほしいと思いま
す。
 もう一つ、蛋白尿の件なんですが、これも先程来ちょっと混乱が出ているのは、微量アルブミ
ン尿を主張していながら蛋白尿とすぐに変わってしまう。検査項目に入れているのは微量アルブ
ミン尿ではなくて蛋白尿ですよね。でも、CKDは微量アルブミン尿からCKDになります。これ
は現実の保険診療でも糖尿病性腎症あるいは糖尿病の検査以外は微量アルブミン尿をはかること
はできませんので、そういう限界を併せて考えているのかもしれませんけれども、やはり本来の
CKDというと微量アルブミン尿が入ってきますので、ここも整理が必要です。やむを得ず蛋白尿
から入れるんだという立場だと思うんですが、そこもクリアーにある程度限界を抑えてやってい
かないと、わかりにくくなるのではないかと思います。
 それから、糖尿病性腎症で津下先生からお話がありましたけれども、これもはっきり言って問
題外なんですよね。特定健診・保健指導では糖尿病の対象は受診勧奨で全然対象になっておりま
せん。糖尿病、糖尿病性腎症は特定健診の概念からはずれていると思っていただいた方がいいと
思います。
○永井座長 ほかにいかがですか。山門構成員どうぞ。
○山門構成員 今の島本構成員に賛同します。まず、論点1に戻りますが、これはイエスという
ことで、では、CKDの診断をどうすべきかということで渡辺参考人の資料を見ますと、蛋白尿か
推定GFRである。ということになりますと、クレアチニンを測定しなければCKDが診断できな
いということになりますので、クレアチニンは当然入れるべきだと私も考えます。
 2項目の保健指導をどうするか、これも島本構成員から明確にお答えいただきましたけれども、
特定健診の検査項目は保健指導対象者を選出するための検査項目です。したがって、GOT、GPT、
γGPT、LDLコレステロール等は入っておりますけれども、保健指導のリスクの層別化にはなら
ないということになります。したがって、クレアチニンを入れる場合は同等の扱いになると思い
ます。
 ただ、導入の際の問題点は、津下構成員がおっしゃいましたように、クレアチニンは下2けた
表記をしなければいけないという点と、保健指導を入れる場合には健診判定値はつくりますけれ
ども、いわゆる健診判定値、保健指導判定値を作成するという作業が不可欠になるだろうと思い
ます。
 尿蛋白に関して渡辺参考人に御質問ですけれども、先生のデータでもCKD60未満の者には蛋
白尿マイナスがかなり含まれる。これは7ページの図です。蛋白尿マイナスですと左肩上がりに
eGFRの低下が認められるということがあります。
 それから、11ページを見ましても、尿蛋白マイナス、プラスマイナスでやはり腎機能の低下と
ともにレセプト点数が増えるということになりますので、クレアチニンと尿蛋白の同時測定が必
要かどうかということを是非御議論いただければと考えております。
 私ども人間ドック学会の約20万の横断的研究でも、CKDすなわちeGFR60未満の者の9割が
尿蛋白陰性という事実がありますので、2番目のクレアチニンの導入の有無の際の表記の問題
等々、それから、尿蛋白を逆に同時に測定する必要があるかという点も、尿蛋白の点についても
島本構成員の御意見と同様に追加させていただきたいと思います。
 以上です。
○竹村構成員 皆さんの意見に賛成です。クレアチニンは是非入れていただきたいと思います。
ちなみに、各保険者でやっている特定検診の中では実際にはクレアチニンを入れて検診している
ところがあると思います。例えば、相模原市ではクレアチニンが入っております。それから、実
は各医療機関からeGFRも出してもらって記入欄に書いております。ただ残念なことは、打ち込
みのソフトがクレアチニンを記入するときに、小数点以下1桁しかないということが問題です。
2桁に何とかならないかと言っても、ソフトがそうなっていないからだめですという話でした。
それから、eGFRの数値を打ち込む項目がありません。保健指導には役に立たなくても、いろい
ろな臨床例とか後々の検討をしていく上で非常に役に立つものだと思うんですけれども、残念な
がら今のところ全く考えられていないので、保健指導には使わなくても一応打ち込むような形の
ソフトを考えていただければ非常にありがたいと思います。
○永井座長 私の方から渡辺参考人に。eGFRというのは年齢が入っていますね。60歳でクレア
チニン1.0という人が結構いるわけですけれども、これを年齢から独立した危険因子であるとい
うのでしょうか。クレアチニンを測定するのはよいと思うんですが、eGFR60という数字が独り
歩きしていく懸念があります。これは実測値ではないわけですから、この辺の位置づけをどのよ
うにお考えでしょうか。
○渡辺参考人 確かにおっしゃるように、eGFRが60と出ている方でも年齢ファクターなど推算
式の中のどのファクターのウェートが大きいかによって、ばらつきが生まれるのはそのとおりだ
と思います。ただし、参考資料の26ページにございますが、MDRD式という外国の推算式を使っ
た外国のデータですけれども、eGFRを使った場合に、リスク評価が65歳以上、65歳以下でも
変わらないということも出ております。その点では、実測のGFRとeGFRの誤差は、高齢者に特
異的でなく若い年齢でもあるものはあるだろうと思っています。先ほど津下構成員の御質問にも
お答えしましたように、これはあくまで限界のある検査だということ、しかも、少しオーバーに
拾い込みをするという可能性は十分あるだろうと思っておりますが、高齢者には使用できないと
は考えておりません。
 島本構成員からの御指摘もあったように、やはり保健指導と診療は分けて考えなければいけな
いので、私の頭の中が混乱していたようで申し訳ありません。どうしても我々は医療者の立場の
みに立ってしまう傾向は申し訳ありません。すなわち、腎臓学会の診療ガイドでもeGFRが60
未満、すなわちCKDだから即診療対象とはしていないという点は先ほど申し上げた通りです。一
方、私どもは、CKDになれば出来るだけ早い段階で保健指導の指導対象にはなるだろうと思って
います。そのときに、永井座長がおっしゃったように、本来はもう少しいい人を拾い込んでいる
という可能性も十分あると思っております。それに関しては、そういう方でもリスクを探して、
それにさらに早く対処するというのが保健指導ではないかと私は個人的に思っております。
○永井座長 野口構成員どうぞ。
○野口構成員 保健指導をしている立場から少し意見を言わせていただきます。
 我々のデータもお示ししてくださったんですけれども、尼崎では人工透析が減ってきていると
いう結果が出てきているんですが、我々もクレアチニン検査を入れてeGFRを出しているんです
が、そのことがすべて人工透析に好影響が出ているものかどうかという評価まではできていませ
ん。ただ、保健指導の中でeGFRをお示しして、健診受診者に保健指導の中で御説明することが
高血糖や高血圧に対するリスクコントロール意識を上げるということは事実です。GFRか下がっ
てくるというのは結果として下がってくるということになりますので、それを更に下げないよう
に維持したいという気持ちになればなるほど、血圧や血糖をコントロールしようという意識に
なっていきます。ですので、クレアチニンを入れることによって、先ほど医療にとって継続的な
データ保存のために、治療が始まったときのためにというお話がありましたけれども、それだけ
ではなくて、保健指導の動機づけとしても非常に有効であるというのが実際に感じているところ
です。
 それで、クレアチニン検査が入ったときに、先ほどCKDの対象者の保健指導というお話があり
ましたけれども、GFRが下がった人に対して保健指導するということになると、単独のリスクの
保健指導になってくると思うんです。例えば、血圧であるとか、血糖に対して単独の保健指導を
やることになるという考え方は、この特定保健指導のそもそもの内臓脂肪に注目して介入して一
網打尽するというのとはまた少し変わってくると思いますので、リスクコントロールのために指
標としては使うけれども、層別化の中身には入れないというのが現場ではリーズナブルに使える
内容になるのではないかと思います。
○永井座長 鳥羽構成員どうぞ。
○鳥羽構成員 随分過去の話ですが、クレアチニンクリアランスとか推定式の仕事をしたことが
あるものですから、先ほどの座長の話で、年齢を見ているだけではないという意味の御発言があっ
たかと思うんですけれども、確かに、必ず年齢が入るものですから、ある一定の年まで来ると
eGFRが60以下の頻度が非常に増えてきまして、70くらいになると相当多くなりますから、年
齢を拡大すればするほど保健指導のある一定のところで切った場合には大変多くなるということ
は言えると思います。
 ただ、問題は、先ほど津下構成員がおっしゃいましたけれども、ばらつきはありますけれども、
推定式で大体プラスマイナス20%ぐらいのところに入っているものが多いですから十分指導に
は使えるということと、先ほど野口構成員がおっしゃったように、eGFRの場合は、1つは、初
期にはメタボリックシンドロームのターゲットオーガンとしての機能であり、後期にはそれが独
立した危険因子としてなっていくものですので、年齢に応じた保健指導が逆にできるという点で
入れていくことについては、私は賛成いたします。
○迫構成員 栄養指導する立場から申し上げさせていただきます。クレアチニンの検査を導入す
ることについては大賛成でございまして、是非お願いしたいと思っております。といいますのは、
慢性腎臓病のステージによって栄養指導の内容が少しずつ変わってまいります。現在その情報が
ないがために一律の栄養指導になっている。特に、予防的な保健指導の立場からすれば、ごく軽
症の方々に対して、原疾患を中心におきつつ、クレアチニン値を見ながら、状況に応じた保健指
導を重ねていくということも非常に重要ではないかと思っているところでございます。
 現在、私どもの方でも慢性腎臓病の重症化防止についての研究の中に一部参画させていただい
て、栄養指導のマニュアルづくりを行っているところで、その実績を評価していただくべく今、
集積しているところでございます。その辺りもそろそろまとまりが出てくると聞いておりますの
で、そういう意味で保健指導の栄養指導の部分、特に軽症の人に対する指導については実際の展
開例が出てくるだろう。そして、重症の方については、受診勧奨、その後医療の中での栄養指導
という形での対応が可能になっていくという意味で、是非このクレアチニンは入れていただきた
いと思っております。
 以上です。
○吉池構成員 先ほど野口構成員がおっしゃったことに賛同いたします。すなわち、1つの付加
的な情報としてクレアチニンをうまく使うということと思います。
 保健指導を狭い意味でとらえると積極的支援という具体的な作業になりますが、保険者にアウ
トカムを見据えた形で総合的な戦略を立てるというのが非常に重要なことで、先ほど野口構成員
がおっしゃったような、保険者が行う保健指導においても少し先を見据えて、中間的なアウトカ
ムとしてクレアチニンをきちんとモニタリングしていくことが極めて大事です。すなわち、保険
と医療の間をつなぎながら、更にその先の透析導入を防いでいくとか、そういう意味できちんと
した位置づけをして、評価指標として入れていくことが必要と思います。
○渡辺参考人 先ほどの島本先生のお話の中で答えるのを忘れていたものがあるのですけれども、
アルブミン尿との関係ですけれども、29ページの参考資料を見ていただきながらお聞きください。
外国ではこういう早期の診断を腎障害もしくはCKDの診断は尿中アルブミン測定で一般的には
行われております。日本は糖尿病腎症以外には定性法でのタンパク尿プラスマイナスもしくは何
か腎疾患の診断がつけばタンパクの定量が許されておりまして、私どもの研究班とか腎臓学会の
慢性腎臓病対策委員会の内部で検討し、糖尿病学会との腎症合同委員会でコンセンサスをまとめ
たものがその図なのです。要は、微量アルブミン尿と言われていた30〜300mg/dayのものが定性
のどこに当たるのかということが非常に問題になり、議論を重ねました。我々の班では微量アル
ブミン尿のデータは特定健診のデータですからありませんが、他のコホート研究として、例えば、
島本構成員が行っておられる端野・壮瞥町研究などさまざまな研究、我々の別の研究として沖縄
県や茨城県のコホートで、微量アルブミン尿と蛋白尿の定性との対応やイベントリスクを検討し
た結果、軽度蛋白尿はプラス以下とほぼ一致すると考えております。したがって、外国で言って
いる微量アルブミン尿は日本で実際の健診等で行われているプラスマイナス、プラスであるとい
う結論です。それは日本人のコホート研究のデータに基づいて行ったことを追加させていただき
たいと思います。
○津下構成員 いろいろ教えていただきまして、ありがとうございます。eGFRの限界というか、
その特性をよく知った上できちんと健診の受診者に対して説明をする必要性があるかなと思いま
す。
 それから、実際の保健指導の場面でGFRが下がっているから、CKDだから、今使っているカ
ルシウム拮抗剤を腎保護作用のあるお薬に切り替えなさいというような保健指導を安易に保健師
さんがするというようなことは間違っているのではないかと思うので、病態をきちんと理解した
上で対策をする、健診で入れるとしたらカットオフ値はどうするのか、年齢はどういうふうに考
えるのかということをきちんと整理した上で健診に取り込むという形であれば、よろしいのかな
と思います。
○野口構成員 追加ですみません、今、まさに津下構成員がおっしゃったとおりで、我々のとこ
ろで見ていると、例えば、73歳の方のGFRが50と40歳の方のGFRが50というのは全く意味
が違って、そこを一律に保健指導の対象者あるいは医療機関に受診させてしまうということには
非常に大きな問題がありますので、もし、入れるとすれば、その辺のカットオフ値や保健指導の
対象あるいは受診勧奨レベルをどうするのかを、きちんと明記して周知するということを標準的
なプログラムの中にもきちんと位置づけていただきたいなと思います。
○永井座長 そろそろこの件はまとめに入りたいと思いますが、外来で診療を行っている医師は
保険診療によって生化学検査10項目の制約がありますが、その中にはクレアチニンは大体入れて
います。これはある意味では非常に重要な項目と位置づけられていると思います。ただ、eGFR
というのは、あくまでもバーチャルなものだということはよく理解して使う必要があると思いま
す。これが独り歩きしてしまうといろいろな問題が発生し得ると思います。そういうことに注意
して、クレアチニンの値を知っておくというのは、保健指導上または医療的にも非常に重要では
ないかという印象を私自身持っています。
 例えば、クレアチニンがちょっと高いということを知らないで造影剤を使って一気に腎機能が
悪くなってしまったと言うことが起こります。また、かなり食事指導を頑張るとクレアチニン値
が上がらないで済むということもありますね。そういうことを含めて、構成員の皆様の御意見も
クレアチニン検査があった方がよいということではないかと思いますが、事務局はいかがでしょ
うか。
○尾田保健指導室長 さまざまな御意見をいただきまして、今、座長にお取りまとめいただきま
した方向性を踏まえまして、関係各般と調整いたしまして、この取扱いについて検討してまいり
たいと思っております。
○永井座長 では、よろしくお願いいたします。
○保坂構成員 すみません、論点1のところで、資料1では尿酸のことも出てきているように思っ
たんですけれども、血清尿酸の扱いについては議論しないということですか。今日、参考人の方
はクレアチニンのお話をされましたけれども、資料1では血清尿酸の扱いについても検討してい
きましょうという以前議論があったと書いてあるんですが、その点はいかがでしょうか。

○尾田保健指導室長 私の御説明が足りなかった点がございましたが、血清クレアチニンについ
ては、3ページにありますような前回の検討の状況を踏まえて、そこから新たな知見等があるか
ということで検討する余地があると事務局で判断いたしまして、今回のヒアリングということで
御議論いただきました。
 尿酸につきましては、前回と異なる状況があるかどうかというところで、ヒアリングで御議論
いただくかまで事務局として判断できなかったので、今回はクレアチニンのみ御議論いただくこ
とといたしました。
○保坂構成員 そういたしますと、今後は事務局の方で尿酸についてももう少し調べていただい
て、必要であるかどうかについてこの場に出していただけると理解してよろしいでしょうか。
○尾田保健指導室長 今後さまざまな知見等を踏まえまして、そのような機が熟しましたら御議
論いただきたいと思っております。
○島本構成員 尿酸ではないんですけれども、もう一つ、LDLコレステロールの直接測定法につ
いて、導入されてから、標準化が決して十分ではないということが結構議論になっております。
動脈硬化学会では、そういった意味ではまだFriedewald式の方が信頼できるとガイドラインで
はっきり記載されておりますので、この標準化というところの整理も、始まってからいろいろな
意見が出てきて少し混乱しているところもありますので、一度議論の対象に入れていただければ
と思います。
○野田生活習慣病対策室長 よく御意見をお聞きして、きちんと整理して検討していきたいと思
います。
○永井座長 いずれも次回以降ということでよろしいでしょうか。
 では、議題2にまいります。特定保健指導の対象とならない方への対応です。これは、これま
でも議論いただいた、やせている方について、どう対応すべきかということです。まずは事務局
からご説明をお願いします。
○尾田保健指導室長 資料2について御説明させていただきます。「健診・保健指導の在り方につ
いて(案)(特定保健指導の対象とならない方への対応について)」ということでまとめさせてい
ただいておりますので、説明させていただきます。
 まず、特定健診・保健指導は、内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防のための保健指導を
必要とする者を抽出する健診を行い、その対象者に生活習慣病を改善するための保健指導を行う
ことにより、糖尿病等の有病者や予備群を減少させることを目的としている。
 本検討会では、特定健診・保健指導について、国民の健康の維持向上の観点から、制度として
見直すべき点はないか検討を行ってきた。
 これまでの議論によると、特定健診・保健指導制度は、生活習慣病予防対策としての効果があ
るものの、循環器疾患の発症リスク等の観点からは、現在、特定保健指導の対象となっていない
方のうち、リスクを有する方への丁寧な対応が重要な課題であることが指摘され、政策的な対応
が必要とされた。
 他方で、これまでの知見やデータの蓄積等の状況を踏まえると、特定健診・保健指導制度につ
いて、内臓脂肪型肥満に注目した制度の枠組みを方向転換するといった明瞭な結論づけを行うこ
とは時期尚早である。
 このため、まずは、現行制度における課題を中間的に整理し、当面の短期的な解決方策として、
特定保健指導の非対象者への対応が一定の考え方に沿って適切に行われるよう、できる限りの定
型化を図った上で、これを指針として示すこととする。
 その上で、今後、特定健診・保健指導制度について国民の健康を維持向上させるという観点か
ら、明確な検証結果に基づき、多面的な検討が行えるよう、データの蓄積を進めるとともに、計
画的に研究・調査を行っていくこととする。
 このような前提の上で、下記の具体案について御提案させていただいております。
 まず、(1)保健指導等の具体的な取扱方針の提示。
 標準プログラムに各学会のガイドライン等に基づいて、健診結果に基づくリスクの大きさも勘
案して整理した別添のような表を参考として盛り込むとともに、次の考え方を示す。
 特定保健指導の対象とならない者についても、健診で明らかとなった各々の有するリスクの程
度に応じて、各ガイドラインや別表を参考にきめ細かな情報提供に努めるとともに、市町村、医
療保険者、事業者等は、保健指導の実施や医療機関に確実に受診させるなど、適切な対応を行う
べきであること。
 別表の表は3〜4ページにおつけしておりますが、この中身につきましては前回、御議論いた
だきましたものに、島本先生、門脇先生等からいただいた御意見も踏まえて、若干の修正を加え
ております。また、内容につきましては、有識者による別途の御検討が必要と考えております。
 続きまして、(2)情報提供の充実について。
 情報提供の実施方法や支援内容については、現在も標準プログラムの中で考え方が示されてい
るものの、保険者によっては、画一的な健診結果の提供のみに終わっているものもあるとの指摘
を踏まえ、情報提供の重要性を強調するとともに、医療保険者等に具体的な取組みの例を示すこ
ととする。
 情報提供につきましては、現在の標準保健指導プログラムにおきまして、5〜6ページに掲げ
られているとおり、個々の状況に応じた情報提供を行うことが定められております。また、8ペー
ジ以下参考3としておつけしておりますのは、永井先生の研究班の東大の古井先生が分担となっ
ている研究でございますが、健診結果に基づく情報提供の重要性について。まず、情報提供をしっ
かりやることによって、対象者の方の行動変容のやる気を起こさせるという意味があるというこ
とでございます。
 9ページは、具体的にどのような情報提供を行うべきかということについては、個々の健診受
診者全員に対しまして行動変容の意識づけをするために、御本人の病気のリスクを御自分のもの
として理解させるためのきめ細かな情報提供が必要であるということが研究結果で出ております。
 10ページは、このような情報提供を行った結果、どのような行動変容が認められたかというこ
とでございますが、非肥満者の方の情報提供の結果、きめ細かな情報提供でない場合にはリスク
の認識が39%だったのが、結果として63%まで上がった。また、特定保健指導対象者については、
情報提供前の拒否者が45%だったのが、情報提供によって17%に低減した。また、受診勧奨レベ
ルの方についても、未受診52%だったのが、その方のうちかなりの方が意識変容されたという結
果が出ておりますので、こういったことからも情報提供の重要性ということを強調してまいりた
いと思っております。
 戻りまして(3)受診勧奨の徹底。
 受診勧奨については、標準プログラムの中で、受診勧奨後の医療機関への受診状況の確認を含
めて指導を徹底し、必要な対象者を確実に医療につなぐことが重要であることを文言で示すこと
とする。
 このような方向性で整理させていただきたいという案をお示しさせていただきました。
 以上です。
○永井座長 いかがでしょうか。
○大井田構成員 資料2の3ページ、別添の1つ目、たばこについて何も書いていないんですね。
たばこというのは非常に大事な要素ですから、表の一番上、血糖、血圧、脂質の3つだけではす
まないような気がいたします。もう少したばこのことを考えてほしいと思います。
 それから、細かいことですけれども、Bゾーン肥満なしのところに情報提供とありますが、実
際たばこについては情報提供だけでなく指導もしているかと思います。「及び保健指導」ではない
かと考えています。情報提供だけではないのだよと言っていただきたいなということが2つ目。
 3つ目が、その下に保健指導で面談と書いてありますが、面談では雑談のように感じますので、
面接が適切ではないかと思います。
 4つ目が、肥満なしのDゾーンで、実際血圧をはかったとき、血圧は非常に変動しますから中
には受診勧奨して医者に行って血圧が140ぐらいのときもあるわけですから、そのときは医師の
判断によって保健指導に回ったっていいのではないかと感じました。もう少し肥満なしのところ
を充実させていただきたいということです。
 最後ですけれども、資料2の1ページ、そもそも論になってしまいますが、厚生労働省の担当
者は、メタボ健診という呪縛から一歩踏み出して非常によくやってくれたなと感心いたしました
が、もう一歩進めて、一番下の○で「その上で、今後、特定健診・特定保健指導の制度について」
と書いてあります。「データの蓄積を進めるとともに、計画的に研究・調査を行っていくこととす
る」と。その次にこのようなことを入れていただきたいと思います。「更に、特定健診・特定保健
指導の制度について、その在り方、根本的な制度についても検討しなければいけない」と加えて
ください。なぜか。やはりどんな制度でも10年、20年経てば制度疲労を起こしてくる。そのと
きのために根本的なことも考えていかなければならないのではないかと思います。事実、クレア
チニンだって最初のときは要らないと言っておきながら、4年経って今入れようではないかとい
う考え方になっています。いずれは制度の根本的なところも検討していただければなと考えてお
りますけれども、いかがでしょうか。
○永井座長 まず、御意見をいろいろいただきたいと思います。
○佐藤構成員 資料2についてお伺いしたい点があります。7ページに「各法における保健事業
等の規定について」というのがございますが、一方で、参考資料として歯科口腔保健の推進に関
する基本的事項に関する検討事項も出ております。この7ページにございます保健事業等の規定
をする各法の中には、今後、歯科口腔保健法というのは位置づけられてくるのか教えていただき
たいと思います。
○永井座長 では、ここまでのお二人の御質問にお答えをお願いします。
○尾田保健指導室長 まず、大井田構成員の御意見につきまして。喫煙については別途のリスク
として考えておりまして、それに対する保健指導の充実については、次の議題の資料で一部盛り
込まれておりますので、全体としては取組みが強化される方向で文言を整理していきたいと思っ
ております。
 面談が軽いという点とDゾーンの在り方について、先ほど申し上げたとおり、この表全体につ
いて改めて有識者の皆様の御議論が必要だと思っておりますので、そういったことも踏まえて有
識者の方に御意見を伺いながら整理をしたいと思っております。
 また、特定健診・保健指導の在り方の見直しに踏み込むべきではないかという御意見につきま
しては、御議論の中間的なとりまとめをということで最初に申し上げておりましたが、そこに向
けてまた御相談させていただければと思っております。
 佐藤構成員の御意見につきましては、ここの御説明は割愛させていただきましたが、資料2の
7ページ目でおつけしておりますのは、各保険者あるいは事業主あるいは市町村が、どのような
根拠を持って保健事業を行っているかという資料を、資料2の冒頭の取扱い方針の具体案をお示
しする際に、併せて根拠法令としてお示ししてはどうかということで参考でおつけしているもの
ですので、その整理の中でおっしゃった歯科口腔保健法が入るのであれば、それは考えたいと思っ
ております。
○佐藤構成員 現在、参考資料4にありますように、基本的事項の検討中ということでございま
すので、今後、大臣告示含めて明確に示されなければ確かに書きづらいのであろうということは
予測されるところですが、これが告示されて、基本的事項及び各関係者の責務に、これらと関係
する記載があるのは既に法令の条文で明らかですので、今後、告示で、ある程度基本的事項が決
まった際には、日程的な問題も非常に重要かと思いますが、位置づけられるべきであると思って
おります。これは意見です。
○山門構成員 先ほどクレアチニンの話がございましたけれども、特定保健指導の対象者となら
ない者を高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)に基づいた保険者に義務づけた保健指導と
するのか、あるいは第1回目に局長からお話がありましたように、それから、先ほどの参考資料
にありましたように、健康増進法で行うのか、その点を明確にしていただければ、今後理解しや
すいと思いますが、いかがでしょうか。
○荒木田構成員 すみません、それに関連して。資料2の2ページでは「情報提供に努めるとと
もに、市町村、医療保険者、事業者等は」という形できて、まず最初に市町村が来ているところ
にちょっと疑問を感じました。そうすると、こちらは市町村のポピュレーションを中心に考えて
いくのかと。普通だと医療保険者がまず先にきて、事業者、その辺で賄えなければ市町村という
形になるのかもしれませんけれども、この順番の書き方だと、どこが主として行うのかが不明確
な気がいたしました。
○永井座長 事務局いかがでしょうか。
○尾田保健指導室長 まず、荒木田構成員の御意見については、そのような観点を踏まえて再検
討したいと思います。
 山門構成員の御意見につきましては、まず、特定保健指導に入れるかどうかを保険者に義務づ
けるかどうか。そうでなければ健増法に位置づけるかどうかを明確にすべきという御意見につい
ては、御意見として承りたいと思うんですが、健増法に位置づけるとなると、いろいろ付随する
する課題が出てまいりますので、そういうことも含めまして、このような内容になっていること
を御理解いただければと思っております。
○保坂構成員 先ほどの大井田構成員の資料2の○の最後に根本的なことを検討すべきだという
御意見はもっともだと思いますが、それを検討する時期を余り先延ばししないことが非常に大事
なことだと思っております。と申しますのは、なぜ特定健診・保健指導の受診率が上がっていな
いかという大きな問題を解決するためには、早い時期に特定健診・保健指導の根本的な問題につ
いて考える必要があることが1つ。
 それから、先日の検討会で肥満を第一基準にするのではなくて、幾つかのリスクファクターを
それぞれ対等に考えて、そのうちの幾つ以上ということで階層分けをするという意見を私も申し
上げましたし、そういう意見も出ていたと思います。今回システムを変えるのであれば、システ
ム変更すると保険者に非常に大きな負担がかかりますので、もしやるとすれば一気にやる必要が
あって、少しずつ変えていくということは適切ではないと思いますので、是非その辺も御検討い
ただきたいと思います。
○永井座長 いかがでしょうか。今の点は割と大きな問題ですので、御意見いただければと思い
ますが。
○島本構成員 今の意見のように骨格を変えるとなると問題だと思います。資料2の1ページの
4つ目にありますように、今回は内臓脂肪型の肥満に注目した制度をつくっていくということで
動いていますので、私はこの骨格は変えない方がいいと思います。これは残した形でどこまで検
査や指導を広げられるのかという議論でいくべきだと思っておりました。
 私がお聞きしたかったのは、2ページ目の上の方にある適切な対処を行うべきであると記載さ
れている点です。ところが、これが動機付け支援であれ、積極的支援であれ、やった、やらない
とパーセントで出すような数字で出てこなければ前と同じで、ただ勧奨しているだけで、ほとん
どやらないで終わってしまうと思うんです。ですから、ここは一定程度義務づけるような格好の
何かがない限りは、ほとんど効果は期待できない。健康増進法というのも以前から使っていいと
言われていますけれども、特定保健指導で業務がめいっぱいになって、健康増進法を使って更に
というのはよほど先駆的なところでないとやらないと思いますので、やはり「べきである」とい
うところを、どういう担保をとって、その後やった、やらないという評価をどうしていくのか。
ただ書くだけでは、ほとんど効果がないと思います。
○林構成員 構成員の皆さまの議論はそれなりに意義深く感じてはいるんですけれども、ただ、
議論の方向が健診の質的な問題が中心になっていると思います。部分的にかぶるんですけれども、
先ほど保坂構成員がおっしゃったように、健診率が余り高くない中で、しかも、本来はこういう
項目でスクリーニングしたら、こういう病気になってこうこうという話は先ほどから出てきてい
ますけれども、言わばそれは病気のナチュラルヒストリーはどうなっているかという整理が必要
なことを意味しているわけで、そのナチュラルヒストリーは例えば、私は以前、野口構成員のプ
ログラムを見て、ナチュラルヒストリーに基づいた介入をされていることに大変感心したことが
あるんですけれども、実は健診率を上げていかないと、そのナチュラルヒストリーは見えてこな
いのであって、例えば、健診に積極的に出てくる人は初めから意識が高い、健康になりたいとい
う人が多いわけです。そうしますと、健診率をいかに上げるかということが、この在り方論の中
でどこまで詰められるかわからないにしても、そういうことが1項目入ってしかるべきではない
かと思います。
○永井座長 具体的な御提案はありますか。
○林構成員 ですから、健診率をいかに上げるべきか。これはパブリックヘルスの分野としてよ
く研究されていることなんですけれども、例えば、ヘルシーピープル2000をアメリカがやったと
きも、はっきり書いてありますよね。どういうアプローチをすれば健診率が上がるのか、家庭訪
問がいいのか、はがきでやればいいのか、電話をかけた方がいいのか、あるいはどういう人が出
てこないのかという検討を踏まえた上でやりませんと、データそのものにバイアスがかかってし
まって、実際にはリスクの高い人だとか、あるいは意識の高い人が来ているわけで、それでは
ちょっと片手落ちではないかという意見です。
○津下構成員 林構成員のおっしゃったとおり、情報提供のときに次年度へのつなぎというか、
情報提供に満足すれば来年も受けようと。健診の結果が見たくなるような情報提供の仕方が必要
で、悪いところを探して指摘するだけではなくて、頑張ったことやよくなったこと、健診の結果
をもらうときに来年度の約束をするぐらいの仕掛けをつくるとか、その辺の情報提供の在り方を
もう少し丁寧にするとよいと思います。また、労働安全衛生法の健診のように、全員をやらなけ
ればいけないという義務が強いほど受診率も高いので、例えば、保険者の健診についてちょっと
難しいかもしれませんけれども、保険者に義務づけるだけではなくて、加入者に、例えば、最低
3年に1回は健診を受けないと保険証を更新できないとか、そういう仕組みも導入しないと、呼
びかけだけではなかなか難しいのかなという気もしているところです。
○竹村構成員 私が第1回目のこの会でに申し上げたと思いますけれども、私たちの市ではそれ
までの基本健康診査の受診率が50%弱だったものが、特定検診になってから受診率が20%台に
なってしまい、平成22年度では20.7%です。保坂構成員が言われたように、そもそも特定検診
の構造自体がある程度偏ったものになっているので、これを全員に受けろというのはなかなか説
得しにくいような状況です。その面でいくと、やはり制度的なものもなるべく早い時期に見直し
ていただきたいと思います。受診を勧めても、私は太っていないからいいです。というものを我々
医者がどうやって説得するかというのは、なかなか難しいものがございます。
○永井座長 そのときに、1つは腹囲を優先順位にするかどうかというのが保坂構成員の提案さ
れた問題点なのですが。
○竹村構成員 少しずつその辺の方向が転換されていると思いますけれども、そこを無視して受
診率をただ上げろと言われても難しいだろうと思います。社保、共済の受診者の方はいいと思い
のですけれども、国保の受診者に関しましては、まるっきり自己の意思だけでやっていますので、
受診率を上げるためには、受診者の意思というのが非常に重要でございます。
○永井座長 いかがですか。
○保坂構成員 保健局の検討会でも出ていることですけれども、やはり腹囲を第1基準にするこ
とに女性の抵抗が非常に強いのではないかという意見も出ております。要するに、被保険者の健
診は結構率が上がっているけれども、被扶養者の健診の率が上がらないことの一つに地域でやら
なければならないということと、事業所でできないということと、腹囲が大変評判が悪いという
ことも聞いておりますので、いろいろな御意見はあろうかと思いますけれども、その辺を少し工
夫していただければ、もう少しやりやすいものになるのではないかと思っております。科学的根
拠があって、絶対に腹囲が大事なんだということであればですが、先日のお話でもそうではない
という欧米の基準もあるということをお伺いしておりますので、その辺を是非考えていただけれ
ばと思います。よろしくお願いします。
○永井座長 今の点はいかがでしょうか。
 島本構成員は、今すぐにこれを変えると混乱が起こるという御意見だったと思いますが、実際
そうなんでしょうか。
○島本構成員 8学会でつくった基準自体が生きておりますし、それにベースを置いてやってい
る特定健診というスタンスは変わっておりませんので、今、腹囲をはかることをやめるとなると。
○保坂構成員 腹囲を一番にしないということです。幾つもある中の1つに腹囲を置くという。
非常に腹囲、腹囲ということでアピールされて、それでとてもよかった面もあるんですけれども、
それが何となく国民の間に浸透している中で、あれは腹囲をはかる健診なんだなというイメージ
が強いと私どもは感じております。
○島本構成員 確かに、そのイメージが強過ぎて、太っていない方が自分に関係ないから健診に
行かないというようなことになっているとすると、スクリーニングの最初の健診についてはもっ
と広くやった方がいいだろうということは、私は同じ意見です。
○山門構成員 今の議論は納得できますけれども、現行では高確法に基づいた特定健診・特定保
健指導が行われている。その手段としては、リスクの層別化というのはきっかり決まっている、
それに基づいてやっている。それから、日本肥満学会の2011年のガイドラインには、内臓脂肪肥
満は、例えば内臓脂肪を100㎠にしますと、腹囲は男性85㎝、女性90㎝でよろしいということ
が明確にエビデンスとして出されていますので、腹囲を否定するということは私は納得できませ
ん。ただ、それを1つのリスクにするかどうかは今後の在り方として検討していただく必要があ
りますけれども、現行においては、それを否定するということは私は反対の立場でございます。
○保坂構成員 これが高確法に基づいてされているわけでございますけれども、後期高齢者医療
制度を変えていくというような法案が出るのだか、出ないのだかよくわからない状況ですが、そ
の中で特定健診・特定保健指導についてはどうするのかという状況でもございますので、それに
定められているからそうでなければいけないということはまずないと思うということ。
 それから、肥満学会の方で男性85㎝、女性90㎝という基準を出しておられるということでご
ざいますが、肥満学会でその数値を変えるというお話も聞いておりますので、確定したものでは
ない。例えば、どこを異常にするかで血圧が幾つかというのは変動しますが、腹囲については非
常に不安定なものであると感じておりまして、保健局の検討会でも肥満学会の理事長の先生が御
意見をおっしゃいましたけれども、実はそれは個人の意見であって、肥満学会の意見ではなかっ
たというようなことが後から出てきたような状況でもございますので、そんなに確定的なもので
はないと私は思っております。
○山門構成員 内臓脂肪肥満については、腹囲85㎝、90㎝でいいというのは明確なエビデンス
があります。ただ、それをメタボリックシンドロームの診断における腹囲をいかにするか、それ
を日本肥満学会は今後検証するという意味です。少し先生に誤解があるのではないかと私は理解
しております。
○島本構成員 言われたとおり男性85㎝、女性90㎝というのは昨年出たばかりのガイドライン
でも再確認されていることですので、これが短期間で変わるということはないと思います。ただ、
理事長意見と言われたのは、相対危険度でいくと女性はすごく心血管疾患が少ない中で、どこか
ら上がっていくかというと、80㎝から上がっていく。疫学的にそういう立場のことも言われてい
ると思いますが、現時点では絶対リスク、男性と同じような大きなリスクがあるところは女性は
90㎝ということで、初回のとき門脇先生も言われていたとおりです。相対か、絶対かという考え
方の違いで、どちらをとるかというだけのことです。科学的には女性は相対危険度だと80㎝、絶
対危険度だと90㎝というのは、学会ではそのように理解されていると言ってよろしいと思います。
○永井座長 多分、保坂構成員が言われるのは、まず、腹囲を大前提として診断基準をつくって
いくのがよいかどうかということと、恐らく腹囲以外にも単にBMIでもよいのではないかと前に
御発言がありましたね。この辺をどこかで検証しないといけないと思います。
 野口構成員がされている尼崎の健診は、実はワン・オブ・ゼムなんだとお伺いしましたけれど
も、どうなんでしょうか。そういう比較をなさったことはありますか。
○野口構成員 今、詳細な解析まではまだいけていないんですが、尼崎のやり方は、最も保健指
導の効果が出る対象者として、内臓脂肪蓄積があってリスクが集積している者に対して翌年の
データの改善状況を見ると、やはり一番改善していると。体重が減少することによって、あるい
はお腹回りが減ることによって、リスクの集積状況が変わっているというデータはつくっている
んですが、ただ、尼崎はそれだけではなくて、ハイリスク者として内臓脂肪のないリスク集積者
に対しても介入しているという仕組みも持っています。ただ、そちらの場合は、個別のリスクに
対して介入していかないといけなくなりますので、かなり保健指導従事者のスキルであるとか、
経験等に左右されるということがありますので、制度的にどこは最低担保するかというところを
考えたときに、やはり内臓脂肪蓄積があってリスク集積しているというところは、とにかく徹底
的に改善させるんだという考え方の制度設計というのは非常に意義があると思っています。
○保坂構成員 健診機関は別にしまして、臨床で健診をしている臨床医師の多くの意見は、やは
り腹囲を第1基準にして階層化すること対して反対であるということだけは申し上げておきます。
私は日本医師会の者ですけれども、日本医師会で公衆衛生委員会というものがございまして、今
年度この健診についてのさまざまな意見を検討したのでございますけれども、とにかくそれにつ
いては絶対に反対であるということであって、この制度そのものを全部やめてしまえという過激
な意見がほとんどなんですが、それについては私はこうして制度を始めて効果もあるやに思いま
すので、続けることに意義があると申し上げておりますが、現場の医療をやっている人たちの多
くの意見がそうだということは皆様御承知いただきたいと思います。ですから、結局、健診の受
診率が上がらないということの一つの大きな要素に、健診をする医療機関の人たちがこれをよい
と認めていないことは非常に大きな要素だと思いますので、その点は一応申し上げておきます。
○津下構成員 すみません、1つだけ。今、保坂構成員がおっしゃいましたように、臨床医にとっ
ては肥満以外の方も血液検査を随時しながら保健指導ができるんですけれども、特定保健指導の
枠組みは保健師、管理栄養士が主に実施していることもあって、少し制約があります。つまり、
肥満者については体重の変化でモニタリングできるんですが、検査を随時できない環境で保健指
導しているという制約があって、若干臨床と特定保健指導とはやり方が違う部分があるかなと感
じております。保健師・管理栄養士さんだけでやっているというような状況と、臨床医の持つ感
覚と違うところがあるのは、そういうことかなと思います。
○永井座長 今回は肥満なしも対応をするということで、一応かなり広くはカバーされているん
ですが、肥満の定義がもう一つ問題になるんですね。腹囲で肥満というのか、BMIではいけない
のかという、ここは将来的に分析できるのですか。
○津下構成員 男性の場合は腹囲が非常にいいんですけれども、女性の場合は腹囲が90㎝という
基準に引っかからないBMI高値の方々も見られるし、測り方が難しいというところもあるので、
将来的には女性はBMIを優先にするという方向が可能なのかどうかということは一度御検討い
ただいてもいいのかなと思います。男性の場合はBMI25と腹囲85㎝とを比べた場合に、BMI25
を切っていても腹囲が85㎝を超えている人がいて、内臓脂肪型肥満をBMIだけで判定すると内
臓脂肪型肥満の対象者を落としてしまいますけれども、その辺が女性の場合はBMI25未満で腹囲
が90㎝を超えている人はなかなか少ないので、BMIでカバーできる部分があるのかなとは思い
ますので、検討すべき課題かもしれないと思います。
○山門構成員 その点に関しましては、BMI25、私どもは内臓脂肪100㎝2でやっています。す
なわち腹囲85㎝、90㎝ですが、肥満者は4群に分かれます。それについて今フォローアップを
していますので、時間をいただければ今の座長に対する回答ができると思います。
○永井座長 林構成員も言われたように、これは量的にも健診に参加する方を増やすということ
が大事だということですね。そのために、もし何か障害があるのであれば改善していかなければ
いけないでしょうし、いきなり変えるとまた混乱も起こるということで、データに基づいて変え
ましょうというのが多分、各学会の基本的なスタンスだと思います。是非この間にデータがとれ
るような仕組み、また何年かしてやっぱりよくわからないということのないように、この制度の
中で検討いただければと思います。
 そうすると、これは今の基準を守らざるを得ませんけれども、次の改訂のときには是非データ
に基づいた議論ができるような体制をつくっておいていただくということでいかがでしょうか。
○保坂構成員 さっき島本構成員が8学会で決めているとおっしゃいましたけれども、それは今
後10年くらいは変わらないと思ってよろしいのでしょうか。
○島本構成員 検討会自体が余り動いておりませんのでわかりません。ただ、幾つかエビデンス
が出てきたら変えるというようになっています。だから、例えば、特定健診、保健指導でかなり
エビデンスができてきて、山門構成員が言われたように、4群で分けてBMIに代われるとかいろ
いろなものが出てきたときには、ガイドラインそのものが変わる可能性があると思います。
○保坂構成員 ピックアップの基準として前々回、腹囲を第一基準にしないで、4つか5つのリ
スクの中の幾つかということで階層化するという欧米の暫定基準をここでお示しいただいたと思
うんですが、そのときに、これについては暫定的に今はこのまま腹囲を第1基準にしてもいいと
なっているけれども、今後8学会でどうするかを検討するんだとあのときの議論で私は理解した
んですが、それはされないんでしょうか。
○島本構成員 あの当時は門脇先生が厚生労働省の班会議でデータを、いろいろなコホートをメ
タ解析をしてやっていくと。その結果を見て必要があれば、そのデータに基づいて変えるという
議論をされていたと思います。それが2年前に出ているんですけれども、カットオフに関して余
りはっきりした結果が出なかったんですね。
○保坂構成員 ですから、そうすると、8学会でこう決めましたということについての裏付けが
ないと私たちは受け取るわけですよ。欧米でこういった基準が出ているけれども、それを否定し
て日本はこれをやるという積極的なデータが出たとは思っていないので、腹囲を第1基準にする
のではなくて、幾つかのリスクファクターを対等に考えてある程度やっていくということは、も
うないんでしょうか。
○島本構成員 さっきから混乱が。腹囲基準の問題と、腹囲を必須にするという問題は別々です
よね。どっちの議論を今しているのでしょうか。
○永井座長 第1基準の問題です。
○島本構成員 必須にするかどうかですか。
○永井座長 これは内科学会で既に議論して、ヨーロッパがガイドラインを変えたときに、ワン・
オブ・ゼムにしたときに、日本内科学会としてはデータが出れば変えましょうということだった
んです。ですから、議論は勿論データがあれば変わるんです。そのデータがまだ出ていないとい
う認識です。この特定健診のデータに基づいて考えましょうということだったわけです。それが
3年ぐらい前です。
○島本構成員 それは、まだ当然出ていませんね。
○保坂構成員 そうすると、それが出ないと、あやふやなままでずっと続けるということですか。
そういうデータが出ないと変えないということは、まだ疑問点はあるけれども、そのまま続ける
ということでしょうか。
○永井座長 データが出るのは時間の問題ではないかと思います。でも、データの構造を先ほど
事務局にちゃんと確認して、何年か後には出るようにしてくださいというつもりで私が発言しま
した。
○野田生活習慣病対策室長 さまざまこの検討会で出た論点に従って、きちんと解析ができてい
るかも含めて、今の研究の状況を点検して答えを出していくということではないかと考えており
ます。
○永井座長 ですから、まさにこうした分類がよいのか、肥満をリスク因子のひとつにしたとき
に、あるいはBMIに置き換えたときに、同じような意味があるのかどうかということですね。そ
れがわかれば厚労省の健診の方針も変わってくると思いますけれども。
○保坂構成員 ですから、逆に、それがそうではなくて肥満を第1基準にしたものがよいという
はっきりしたデータが出れば、私たちもそれで納得できるんですけれども、何だかわからないけ
れどもという状態は、なるべく早くに解消していただきたいと思います。
○大井田構成員 今の健診が始まって4−5年ですから腹囲を要因にした疫学研究で、結論を出
すのには何年もかかると思います。ただ、公衆衛生学者や疫学者はBMIで代用して検討した結果、
この前、磯先生が第2回の会議で指摘したことですが、復囲を重視する今の健診はいかがかと言っ
たわけですね。ですから、是非8学会には、そのデータはあると思います。ただ、今の健診結果
を解析するのは10年、20年かかると思いますけれども、BMIに置き換えれば簡単に解析できま
すから、是非8学会には検討してもらいたいと思います。これは8学会に対してお願いでしすし、
その責任はあると思います。そのときやはり疫学をもう少し重視していただきたいなと私は思っ
ております。これは公衆衛生学会を代表してお願いでございます。
○井伊構成員 初回のときも申し上げましたが、現場感覚ですと、やはり肥満に特化していると
いうところで、この課題に対して入れているエネルギー量といいますか、投入量とその結果が見
合うのかという疑問はほとんどの現場が持っていますので、そういう意味では今の議論の結論が
早く出た方がありがたいかなと思います。
 それで申し上げたいのは、先ほどデータの蓄積というお話がありましたが、検査値とか生体反
応としてどういうデータが出るかということも一番核ですからそうなんですけれども、今の資料
2の健診・保健指導の在り方の情報提供をどうするかということは質的な問題で、保健指導の質
をどう見ていくかということが、ここでは大事なことだと思います。つまり、情報提供したか、
しないかというデータをとれば、多分100%したというデータがとれるのであって、少なくとも
どういう方法を使ったとか、何を実際には提供したかという何らかのツールがないと、こうした
評価はできないです。
 これも前回に申し上げましたが、特定保健指導だけではなくて健診・保健指導の在り方につい
て検討しているわけですので、健康増進法よる保健指導をどうしているのか、それから、ポピュ
レーションアプローチでどうしているのか、そういう全体像が見えるようなデータについても是
非、共有できるような進め方をしていただきたいと思います。
○永井座長 ありがとうございます。時間が押しています。この案についてはどうでしょうか。
もっと改正点があるか、あるいは基本的にはこれでよろしいのか。枠組みとしてはこういうこと
だろうということですが、データが出るのに恐らく10年、20年はかからないと思います。いろ
いろなイベント発生率がどのポピュレーションからどのくらい出ているかはわかってきています
ので、その枠を組み換えたときにどうなのだということはおおよそわかるのではないかと思いま
すけれども。
○島本構成員 データ的には我々の端野・壮瞥町研究では13年見たデータを出しております。そ
して、腹部肥満を必須にして、日本の基準でやった場合、男性では1.7倍有意に多くなります。
女性は2.2倍有意に心血管疾患が増える。ただ、NCEP-ATPⅢ基準の5つのうち3つという基準
にした場合、リスクはもう少し増えます。男性で1.7に対して2.2倍ぐらいになります。ですか
ら、どちらも有意ですけれども、どちらがより大きいかという議論が今余りされていません。介
入のときにまず腹部肥満を改善することによって、ほかのものもよくしていこうという立場で今
これをやっていると思うんです。どちらもリスクだということは間違いありませんが、どちらが
大きいかという議論、大きい方をとろうという議論は今余りされていないと言っていいと思いま
す。
○永井座長 現在、非肥満者でどのくらいイベントが起こるかということもわかってきているの
ですが、これは職場によって異なります。ホワイトカラー、ブルーカラーで随分違うのです。そ
れも併せて検討する必要があるだろうと思います。
 そうしますと、基本的な枠組みはこういうことでよろしいでしょうか。次回の改訂にあたって
は、データに基づいた議論ができるように、再度お願いしたいと思います。
○林構成員 質問させていただいてよろしいですか。非肥満者のことなんですが、例えば、糖尿
病はだんだん重症化しますとやせますね。がんでもそうですけれども、ですから、非肥満者と言っ
た場合に、結果としての非肥満者のことをおっしゃっているのか、あるいはリスクがないという
意味で、ほかの病気と関係ないという意味での非肥満者を言っているのか。
 もう一つは、非肥満者が例えば、血液検査をしたら幾つかリスクが出てくる人がいるというこ
とであれば、非肥満者のもともとのリスクというのは何であったのかということは研究されてい
ないのでしょうか。
○永井座長 それはこれからだと思いますが、島本構成員どうぞ。
○島本構成員 磯先生が最初の会で言われていましたように、日本ではたばこと高血圧が一番強
いということは最初に言われていて、それは全くそのとおりだと思います。非肥満者ですよ。
○林構成員 そういう議論ですと、今の話の流れはもっとすっきりするんですけれども、腹部肥
満をスクリーニングのファーストステージにするのは、皆さんも賛成しているし、エビデンスも
あるから結構だと。そうであれば、今度は喫煙者と高血圧という項目に引っかかった人も一緒に
並べてスクリーニングの対象にするということであれば、非肥満者の中でのハイリスクの人も
入ってくるというロジックになりそうな気がするんですけれども、いかがでしょうか。
○永井座長 今回、高血圧についてはその点に対応していくわけですね。喫煙をどうするかとい
う問題だと思いますが。
○林構成員 しかし、この前の磯先生のお話の中で、リスクを単独に並べると喫煙が最も大きな
リスクであるという状況の中で、規制をどうするかということを別途に考えるというのはいかが
なものかなという気がするんです。
○永井座長 今の点はいかがですか。
○吉池構成員 主に今、示されている観察研究からのデータは、あくまでもリスクとエンドポイ
ントとの関連です。内臓脂肪に着目するのはリスクの予知ということだけではなくて、むしろ、
介入によってマルチプルリスクが効率的に解消できるということで、本来、介入研究のデータを
もって初めてわかります。例えば、島本構成員がお話された壮瞥町のデータも、NCEPの方がリ
スクの予知能としては高いのですが、それは肥満によらない高血圧等もを拾っているので、リス
ク予知としては高いかもしれない。しかし、非肥満の高血圧にはまた別のアプローチをしなけれ
ばいけない、喫煙にも別のアプローチをしなければいけない。そこで3つのメニューが要る訳で
すが、先ほど野口構成員が言われたように、単独のリスクに対する介入はスキルや経験が要るけ
れども、内臓脂肪に着目すると比較的定型的に指導できる。厳密には介入研究の結果を待たない
と、観察研究のリスクの関連だけで議論していてもわかりません。そういう意味で、研究デザイ
ン的にはコントロールがない形ではあるが、特定保健指導のデータの解析を待つ必要があると思
います。
○津下構成員 前回出された論文の元をたどりますと、やはりジョイントリスクの人が一番リス
クが高いと。高BMI、高血糖、高血圧、高LDLが重なった人が喫煙より高くて157という寄与
度があると。喫煙が128.9ですが、これは、がんがかなり占めているというような論文でした。
単独リスクからみると、ということでああいう表現にされたと思いますけれども、メタボリック
シンドロームのリスクの重複というのは、やはりターゲットとして十分価値があるものであると
いうことは、原文を当たりまして納得できた次第です。
○永井座長 まだ、決定的なデータはないと思います。ですから、この議論は特定健診のデータ
をもっと詳細に解析して進める必要があるのではないかと思います。
 また、お気づきの点がおありでしたら事務局にお寄せください。そして、私と事務局で最終的
な調整をしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
 ○尾田保健指導室長 議題3につきましては、本日、もうお時間がこざいませんがいかがいた
しましょうか。お渡ししている資料をお読みいただければ、どのような背景でどのようなことを
提案しているかは御理解いただけるかと思いますので、恐縮ですけれども、お読みいただいて事
務局に御意見を今週前半にでもいただければという形にさせていただきたいと思いますが、よろ
しいでしょうか。
○永井座長 次回これはもう少し議論しますか。
○尾田保健指導室長 いただきました御意見を踏まえて議論が必要でしたら、再提案も含めまし
て、また座長と御相談させていただきたいと思います。
○永井座長 では、最後に連絡事項をお願いします。
○尾田保健指導室長 次回の検討会の日程につきましては、3月中に開催させていただきまして、
できましたら中間的なとりまとめという形をとらせていただきたいと思っております。日程につ
きましては、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 それでは、これで本日は終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

<照会先>
厚生労働省健康局総務課
・生活習慣病対策室
  室長補佐 三田(内線2348)
・保健指導室
  保健指導専門官 畑農(内線2398)
(代表電話)03-5253-1111

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