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2012年1月31日 第8回国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年1月31日 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎5号館 18階 専用第22会議室


○議題

1 「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」報告書について
2 その他

○議事

○相川座長 それでは、ただいまから第8回「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」を開催いたします。委員の皆さまには、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の議題は、お手元の議事次第にありますとおりですが、1「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」報告書について、2「その他」となっています。これについてご審議をいただきたいと思います。まず、議題に入ります前に、事務局から資料1-1及び資料1-2について説明をお願いします。
○片岡国立病院課長 資料1-1及び資料1-2について、ご説明します。これらの資料は、独立行政法人改革について行政刷新会議で行われました議論等、それを踏まえた閣議決定に関する資料で、一括してご説明します。
 まず、資料1-1ですが表紙にありますように、平成24年1月19日に行政刷新会議に対して、行政刷新会議の下部組織であります独立行政法人改革に関する分科会が、報告した報告書です。内容についてご説明します。基本的には、前々回にご説明した内容とあまり大きくは変わらず、そのまま報告書になっているのではないかと思います。
 1頁目です。1の「独立行政法人の制度・組織の見直しの背景と基本的な考え方」です。真ん中ぐらいに○1、○2、○3、○4とあります。組織規律の問題、財政規律の問題、目標・評価の問題、説明責任・透明性の問題が明らかになりました。
 2頁目ですが、当分科会においては、先ほどのような認識の下、全法人一律の現行制度と全法人の組織の在り方を、抜本的かつ一体的に見直すこととし、以下に掲げる考え方に沿って検討を進めてきたということで、一律の制度について抜本的かつ一体的に見直すということです。その見直すときの考え方として、○1、○2、○3、○4とあります。○1 国の政策実施機能の強化等の観点から、国や民間との関係も視野に入れて組織をゼロベースで見直し、廃止や、自律的な経営が可能な法人の民営化等を実施するとなっています。この中で自律的経営が可能な法人の民営化等となっており、これが国立病院機構であり、労災、労働者健康福祉機構です。それで、民営化等となっており、この両方については、民営化ではなく民営化等の等の中で個別の法律、個別の雇用の法律に基づいた法人とする整理になっています。この○1で独法とは別になりましたので、以下の○2、○3、○4は関係なくなるのですが、○2は各法人の事務・事業の特性に着目して類型化し、類型ごとに最適なガバナンスを構築する。○3類型を踏まえつつ、政策実施機能の強化や効率性の向上の観点から法人を再編する、いろいろ統合等を考えるということ。○4新たな法人制度、これは独立行政法人が新しく変わる法人制度ですが、それについての共通ルールを整備するということです。
 3頁以降ですが、2「独立法人制度の見直し」です。これは国病、労災病院とは関係なくなるのですが、1.で法人の事務・事業の特性に着目した類型化とガバナンスの構築ということで、○1、○2とありますが独立行政法人を二つに分ける形になります。成果目標達成法人と行政執行法人です。(1)成果目標達成法人についても、更に類型化されて、例えば4頁の研究開発型ですが、研究開発型のいろいろな特徴とかガバナンスとか書かれております。7頁で文化振興型、これは新たな別の類型です。8頁で大学連携型、9頁で金融業務型、これは例えば、福祉医療機構などが該当します。それから国際業務型、10頁に人材育成型、行政事業型というのが成果目標達成法人の類型としてあります。11頁に(2)として行政執行法人についてがあります。造幣局とかが該当するわけです。
 12頁ですが、2.として成果目標達成法人、行政執行法人という新たな法人制度に共通するルールの整備ということで、13頁(1)は組織規律の関係、14頁の(2)は財政規律、15頁の(3)は目標・評価、17頁の(4)情報公開、あるいは説明責任等の観点からの見直し・検討等が行われています。18頁までが独法に代わる制度の話であります。
 19頁はそのような制度の中で、個別の法人についてどうかということです。個別の法人について、当分科会においては、各独立行政法人について、そもそも法人として存置する必要があるか、又は、法人として存置する場合でも、国の財政(とりわけ運営費交付金)への依存度の低いもの、事務・事業の特性上、固有の法制度に基づく国の関与やガバナンスの下で事務・事業を実施することが適当と考えられるものなどについては民営化等を行うことが適当ではないかとありまして、この中で国の財政(とりわけ運営費交付金)への依存度が低いもの、これに国立病院機構、あるいは労働者健康福祉機構が該当し、民営化等を行うことが適当ではないか。民営化等の「等」の方で整理がなされております。具体的には19頁の一番下に、「このような観点から検討結果を踏まえ、各法人について講ずべき措置を別紙のとおり提言する」となってます。
 この別紙は21頁からですが、該当するものだけを抜き出したものが22頁です。労働者健康福祉機構及び国立健康機構については、このように考えるということでまとまったもので、上記2法人は、それぞれ労災病院、国立病院の経営を主要な業務とする法人であり、予算に占める国からの財政支出割合が低く、自律的な経営が可能であると考えられる。国が担うべき政策医療等について、国全体として無駄のない効率的な医療提供体制の下で、医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ、確実に実施することとすべきである。その上で、自律的かつ効率的な経営の実現を目指すため、固有の根拠法に基づき設立される法人に移行することが適当である。ここで固有の根拠法に基づいて設置される法人への移行が適当との結論になっています。
 具体的な制度の在り方については、例えば、国民負担の最小化、担うべき政策医療の明確化、国との関係の明確化、適切な目標管理システムの構築、民間医療機関との役割分担、組織肥大化の防止、医療の質の向上、財務の透明性確保、適正な利益配分等の観点から検討を進めるべきである。その次のポツですが、国病、労災、それぞれのことについて記載されておりまして、労働者健康福祉機構については移行に当たって、労災病院関係業務等の真に必要な事務・事業に限定すべきであり、このような観点から、未払賃金立替払事業は勤労者退職金共済機構に移管することが適当である。また、国立病院機構については、移行までに、非公務員化に伴う問題の解決に向けた所要の調整を行う必要がある。それからもう1点ですが、労働者健康福祉機構と国立病院機構の2法人については、引き続き、連携を進めつつ、将来の統合も視野に入れた具体的な検討を行うべきであると、このような整理がなされています。
 次の資料1-2ですが、行政刷新会議で報告されたこの報告に沿った形で平成24年1月20日に閣議決定されています。閣議決定は労働者健康福祉機構、国立病院機構、それぞれについて書かれておりますが、基本的な内容は、いまご説明した内容をそのまま箇条書きと言いますか文節を区切っていますが、基本的には同じ内容です。今回の改革については、平成26年4月に、新たな法人制度、組織等に移行することを目指すことになっておりまして、これらの法人の移行ができるような、いろいろな改革をこれからやっていくということです。資料1-1、資料1-2の説明は以上でございます。
○相川座長 ありがとうございました。以上の事務局の説明や資料を踏まえつつ、委員の皆さまからご意見などを伺いたいと思います。どなたかご発言ありますでしょうか。
○高橋委員 1点、確認させてください。資料1-1の22頁の黒ポツの3つ目、そこに「未払賃金立替払事業は勤労者退職金共済機構に移管することが適当である」と。機能は移管するのですが、財源はいまも労災保険の財源でやっていますが、それがそのまま移管して、事務手続関係だけが移管すると、こういう理解でよろしいですか。
○木暮労災管理課長 今回の行政刷新会議で議論されましたのは法人の形態論でありますので、それぞれ個々の法人がやっている事業一つひとつの、例えば財源をどうするかについては、特段、議論はなされていません。事務的には、いま未払賃金立替払事業については、特別の法律に基づいてやっていますので、その法体形を前提としながら、どこが担うかということが議論されたと理解しています。
○高橋委員 わかりました。ありがとうございます。
○相川座長 よろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。
○渡辺委員 質問ですが、いまの課長の資料で3頁以降は、両法人には関係ないとおっしゃいましたよね。そうすると、どこまで関係ないわけですか。
○片岡国立病院課長 関係ないのは18頁までですね。
○渡辺委員 18頁まで関係なくて、19、20頁がちょっと関係あると。
○片岡国立病院課長 19頁でまた個別の法人の見直しの話になりまして、2頁はその独法の名前ではありませんが独法として残る法人についての類型か、あるいはガバナンスをこうしますということが、3頁から18頁まで書かれておりまして、個別法人については、それで法整備するということがあって、それが19頁から別紙となります。
○渡辺委員 逆に言うと、2頁の○2、○3、○4は、3頁以降全部、関係してくると。
○片岡国立病院課長 そうですね。
○渡辺委員 そういうふうに考えていいですね。
○片岡国立病院課長 はい、2頁の○1、○2、○3、○4は基本的に上からずっと流れていって、国病、労災についても1の段階で別という整理になりましたので、○2、○3、○4が外れてしまったと。
○渡辺委員 なるほど、よくわかりました。
○相川座長 よろしいですか。はい、夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 関連する質問になるんですが、18頁までは基本的には国立病院機構と今回の労災病院とは関係ないということになりますと、16頁の評価の仕組みが今回、大幅に変わり、それで府省の評価委員会による評価ではなくて主務大臣による評価と、全く変わるわけですね。評価の仕組み自体は今度の新しくできる国立病院機構及び労災病院の評価の仕組みも全く変わるのですか。
○片岡国立病院課長 国立病院、それから労災病院に係る法人の制度、仕組みについては基本的には、これから国立病院、労災病院にふさわしい評価の仕組みを考えるということです。
○夏目委員 制度、仕組みを考えるということですね。
○片岡国立病院課長 ただ、独法、他法人の制度というのは当然、比較しながら参考にしながらやっていきますので、こういうことも加味しながらですけど、新しくそれにふさわしいものを考えていくということです。
○夏目委員 そうですか。
○相川座長 よろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。ご質問、あるいはご意見でも結構です。資料1-1についてはよろしいですか。行政刷新会議が1月19日の時点で、このような見直しについての報告が出ているわけですが、私どももいままで比較的、これに沿ったような意見で議論をしてきた部分もかなり多かったかと思います。それとほぼ同じことですけれど、資料1-2の1月20日の閣議決定の基本方針についてもよろしいでしょうか。
○夏目委員 もう1点だけ確認です。さっき課長がおっしゃった2頁の「ここの両法人は民営化等の等に当たる」とおっしゃった根拠は、国が適切に関与する新しい法人に移るのだよということを、閣議決定したからという解釈をしてもいいですか。
○片岡国立病院課長 そうです。
○夏目委員 そういうことですね。わかりました。
○相川座長 よろしいですか。それでは、この行政刷新会議の分科会の報告並びに閣議決定を踏まえまして、次の議題の「国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」の報告書(案)ですけれども、続きまして資料2について事務局から説明をお願いします。
○片岡国立病院課長 資料2についてご説明いたします。これまでに病院視察等も行っていただきました。これまでの8回にわたる検討会の報告書です。構成は、〈はじめに〉、「国立病院と労災病院の現状等」、「国立病院・労災病院の在り方についいて」、最後に〈おわりに〉という形になっています。
 まず1頁〈はじめに〉です。これは、この検討会が設置された経緯、検討事項、これまで8回にわたる議論等の検討経過です。
 1「国立病院と労災病院の現状等」は、両病院の在り方を検討する上で、両病院の現状等を認識しておく必要があるため、両病院の現状等についての記述で、これは基本的には現状のことです。(1)が国立病院の現状等です。○1で国立病院の概要が書いてあります。ご説明しますと、国立病院は、公務員型の独立行政法人であること。次の段落に、平成23年度の予算額は8,968億円で、このうち、運営費交付金は4%にあたる362億円。運営交付金の内訳として、国期間分の退職給付費用が317億円で運営費交付金の88%を占めていること。最後のほうに、診療事業については、採算面等から民間の病院では提供されないおそれのある医療を実施しているにもかかわらず、診療収入等の自己収入により運営がなされていること。
 次の○は、国立病院機構の業務で、セイフティネット分野の医療や4疾病5事業などの医療を提供するだけでなく、EBM研究の推進、あるいは臨床現場と一体になった大規模臨床試験、治験の推進、質の高い医師、看護師等の育成、臨床・研究が一体となった医療従事者の資質の向上のための教育研修を実施していることなどです。
 東日本大震災では、災害急性期の医療活動を迅速に展開するとともに、継続的な医療支援を行うため、被災地へDMAT、医療班を派遣しています。東京電力福島第一原発の事故発生後においては、他団体に先駆けて迅速に福島県に医師、放射線技師等を派遣し、住民に対する放射線スクリーニングを1万1,413人に実施した。
 ○2以降は、それぞれの業務と経営の現状です。アが診療事業、イが臨床研究事業、ウが教育研修事業、エが国家レベルでの健康危機管理への対応、オが経営の現状です。
 5頁以降は、(2)に労災病院の現状等で、○1が概要です。労災病院は、非公務員型独立行政法人で、労災病院事業(診療事業)に係る平成23年度の予算額は2,755億円であるが、不採算である政策医療を実施しているにもかかわらず、国費の投入はなく、診療収入等の自己収入により運営がなされている。なお、労災疾病に係る調査研究事業や全国9カ所に設置されている勤労者予防医療センター、本部人件費等については、運営費交付金により措置されています。
 次の○は、労働者健康福祉機構は、全国の32の病院を一つの法人として運営していまして、労災補償政策の医療面でのセイフティネット機能として、じん肺、せき損などの従来型の労災疾病や、アスベスト関連疾患、メンタルヘルスなど今日的な課題となっている疾病に対する高度・専門的医療の提供に加え、労災疾病に係る調査研究、被災労働者の早期職場復帰に向けた先導的医療の実践、メンタルヘルス、過労死予防など産業保健の実践、労災保険給付に係る業務上外の決定等での医学的判断の基礎の提供など、採算面等から民間病院では提供されないおそれのある医療を提供しています。それから、都道府県の医療計画を踏まえ、4疾病5事業を中心に地域の医療水準の向上に取り組むとともに、地域の医療機関との連携・強化に取り組んでいます。また、東日本大震災では、被災地へDMAT、医療チームなどを派遣するとともに、東京電力福島第一原子力発電所での作業員の健康管理や一次救急医療対応のため医師を派遣するなど、被災地の医療の確保等に重要な役割を果たしています。
 ○2以降は、それぞれの業務と経営の現状です。アが労災疾病に係る調査研究、イが被災労働者の早期職場復帰に向けた先導的医療の実践、ウがメンタルヘルス、過労死予防など産業保健の実践、エが労災保険給付に係る業務上外の決定等での医学的判断の基礎の提供、オが研究成果等の普及・教育、カが経営の現状です。以上が現状です。
 8頁以降がこの検討会での意見のまとめになります。2以降につきましては大事なので、読み上げて説明させていただきたいと思います。
 2「国立病院・労災病院の在り方について」。ここでは、上記1でまとめた国立病院と労災病院の現状等を踏まえつつ、「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書で示された検討課題、すなわち、全ての国立病院と労災病院について、(1)政策医療を提供する病院としての在り方。(2)公的病院としての在り方(民間病院としては経営的に担えないのか否か、病院ネットワークに組み入れる必要性があるか否か)。(3)両法人の統合。(4)個別病院の再編・整理。(5)両法人の連携の強化。(6)財政支援の在り方。(7)その他考慮すべき事項。について、検討した結果をまとめた。
 (1)政策医療を提供する病院としての在り方。国立病院と労災病院は、政策医療を提供する病院として、国の政策上必要と判断された事業については、新規の取組や採算をとることが困難なものであっても、率先して実施している。例えば、結核、重症心身障害、筋ジストロフィーやアスベスト関連疾患など、他の設置主体では提供されないおそれのある医療を提供している。このように、両病院は、国が医療政策や労災補償政策上必要と判断した事業について、その実施主体として、引き続き率先して実施するべきである。
 また、国立病院や労災病院は、政策医療そのものの提供に加え、治験等を含む臨床研究の実施や、全国斉一的な労災認定基準の確立等のための業務上外の診断法や鑑別診断法等の開発等を行い、政策医療に係る診療指針等を策定して、外部(民間の病院等)への発信等を行っている。さらに、政策医療の中には、専門家を育てることが難しい分野もあることから、政策医療を担う人材育成に取り組むとともに、国家レベルでの緊急事態には医師等の派遣など必要な対応を行っている。このように、両病院は、治験を含む臨床研究の実施、国の医療政策等に係るエビデンス・診療指針、モデル等の策定や外部への発信、政策医療に係る研修等の政策医療を担う人材の育成、国家レベルでの緊急事態への対応など、国の医療政策や労災補償政策を総合的に支える病院であるべきである。また、このような診療や研究をベースとした政策医療を総合的に提供していくためには、病院ネットワークの枠組みは不可欠と考える。なお、政策医療の範囲については、例えばメンタルヘルスなど、疾病構造の変化等に対応して、固定的には捉えず、時宜に応じて検討していく必要がある。
 さらに、国立病院と労災病院は政策医療だけを提供すればいいということでは全くなく、一般医療も併せて提供していくことが必要である。政策医療だけでは病院経営は成り立たないこともあるが、医師等の臨床技能の維持・向上や、医師等の確保・養成、必要な検査・治療機器の整備、さらには地域の医療水準の向上や災害時対応能力の涵養という観点からも、一般医療の提供は不可欠である。
 (2)公的病院としての在り方。国立病院と労災病院は、公的病院として、4疾病5事業等をはじめ、民間病院では提供することが困難な医療の提供、医師の養成等を行っている。また、都道府県の医療計画の下、それぞれの地域で、一般医療も含め、患者の紹介・逆紹介や医療機器の共同利用などの医療連携に取り組み、地域の患者サービスや医療水準の向上に寄与している。このように、両病院は政策医療を提供するだけでなく、一般医療も含め、地域の医療機関との連携を強化し、地域の患者サービスや医療水準の向上・発展に寄与する取組を更に進めるべきである。政策医療だけではなく、一般医療も着実に実施し、地域で支持され、地域医療の中で公的病院としてのしかるべき役割を果たしていくことは、患者サービスの向上につながり、ひいては地域医療にとっても、また広い意味での医療政策にとっても、重要である。
 (3)両法人の統合。両法人の統合について、そのメリットとデメリットを比較してみると、メリットとしては、本部管理部門の一定のスリム化、医薬品や医療機器等のより円滑な共同購入の実施、臨床例や調査のデータ量が増えることによる臨床研究への効果、両病院間の診療連携の円滑化等が考えられる。一方、デメリットとしては、組織の肥大化によるガバナンスの低下や機動的な対応等の遅れへの懸念、目的や成り立ち等が異なる組織の統合による組織の混乱や職員の士気の低下等が考えられる。
 また、仮に両法人を統合しようとする場合には、両法人の職員の給与水準、加入している社会保険制度等が異なるため、労働条件を統一するための労使間の調整に時間や労力を要するほか、労働者健康福祉機構が抱える累積欠損金の取扱いの調整、経営状況が異なる病院間の財政調整をはじめとする組織管理手法の一元化、各種システムの一元化又は再構築には、多くの時間、労力や費用を要し、業務の停滞を招きかねないとも考えられる。
 このようにメリットとデメリットを勘案しつつ、統合しようとする場合の調整や課題・懸案解消に必要な時間、労力や費用等を考えると、両法人を直ちに統合することは困難と考える。このため、まずは、両法人は、それぞれ課題、懸案の解決に取り組む一方、両法人間の連携方策をより強化することにより、法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくことが適当と考える。なお、将来の統合も視野に入れた両法人の在り方について、社会情勢の変化、医療ニーズの変化等を踏まえて、引き続き検討していくことが必要と考える。この段落の参考として24頁の(資料3)で、よりわかりやすくメリット、デメリット、諸課題の形で整理した図を付けています。
 10頁(4)個別病院の再編・整理。国立病院と労災病院の個別病院の再編・整理については、こうした病院は政策医療を提供しているだけでなく、一般医療も提供し、地域医療を支えていることから、個別地域事情を離れて単なる病院数の多寡といった観点で議論するのではなく、まずは、地域医療の中での当該病院の位置づけ・役割、地域住民の声等を重視して議論すべきである。また、近接している病院について、単に近接しているからといって統合すべきという問題でもない。すなわち、個別病院の再編・整理という問題は、地域医療の中で考えるべき問題であり、他の設置主体を含めた地域医療の中での当該病院の役割、位置づけなどそれぞれの地域医療の実態を踏まえて、個別に慎重に検討すべきである。
 なお、「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」報告書では、「国立病院のうち8つの中核的な病院は、政策医療を担うものとしての位置付けは理解できるが、それ以外の病院については、ヒアリングにおいて、公的病院としての存在理由が明確に説明されなかった」とされているが、資料1・2により、全ての国立病院と労災病院については、各々が政策医療を担う病院としての機能を果たしていることを確認した。ということで、国立病院について(資料1)を14頁、労災病院についての(資料2)を19頁に添付しています。
 続きまして、11頁、(5)両法人の連携の強化。(3)で述べたように、まずは、法人統合を行う場合と同様の効果を目指して、次のような事務、事業について、両法人間の連携の推進、強化が重要である。○1医薬品や医療機器等の共同購入。○2治験の共同実施。○3診療情報等のシステムの相互利用、医学的知見や症例データの共有化。○4人事交流。また、地域の中で、国立病院と労災病院だけでなく、他の設置主体の医療機関も含め、患者の紹介・逆紹介等を通じて医療機関間の連携を強化していくことが必要である。特に、メンタルヘルス、過労死予防、就業と治療の両立支援など、労災病院だけでなく国立病院でも取り組めるテーマについて、症例データの共有化など連携して取り組んでいくことが必要である。
 (6)財政支援の在り方。国立病院は、国期間分の退職手当等の退職給付費用や採算が見込めない臨床研究事業、教育研修事業や災害医療(医薬品等の備蓄経費)については交付金を受けている。労災病院も、労災疾病に係る調査研究事業等については交付金を受けているが、両病院とも、診療事業については、採算面等から民間の病院では提供されないおそれのある医療を実施しているにもかかわらず、診療収入の増加等に努めていて、運営費交付金は交付されていない。
 政策医療に対する財政支援については、両法人は、今後も引き続き、診療収入の増加等に努めるものとするが、それでもなお不足する部分について、財政支援の目的、範囲等を明確にして効率的に行うべきである。また、診療報酬でも、政策医療について適切に評価されることが必要である。
 (7)その他考慮すべき事項。今後、両法人が、各々の課題、懸案の解決に取り組む一方、両法人間の連携方策をより強化することにより、法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくに当たり、労災病院については、以下のとおり政策医療の強化と経営の改善に取り組んでいくべきである。
 12頁です。○1労災疾病に係る調査研究。この調査研究は、迅速・適正な業務上外の労災認定や的確な労災医療の提供が、全国斉一的に行われるための土台となるものであり、労使双方から、その進展や成果に期待が寄せられていて、従来型の労災疾病について、引き続き一定程度行う必要があるが、今後は、より今日的課題となっているアスベスト関連疾患やメンタルヘルス、過労死などに、限られた予算・人員を選択・集中していくことが必要である。このため、今後、労災補償政策上、特に重要な研究分野に絞り込むなど、調査研究の重点化や、研究分野ごとにばらつきがみられる症例収集・分担研究のネットワークの適正化といった効率的・効果的な調査研究に向けた見直しを行うなど、研究の強化を図るべきである。
 ○2被災労働者の早期職場復帰に向けた先導的医療の実践。被災労働者の早期職場復帰に向けたリハビリテーションや就業と治療の両立支援等は、その進展について労使双方から期待が寄せられていて、国立病院と連携しながら、引き続き取り組んでいくべきである。
 ○3メンタルヘルス、過労死予防など産業保健の実践。メンタルヘルス、過労死予防対策は国民的課題であることから、国立病院と連携して、引き続き取り組んでいくべきである。また、医師の3割弱が産業医資格を有し、地域の産業保健関係者とのネットワークを有する労災病院が、ニーズの高い地域を中心に、企業に対しチーム支援を含む組織的な産業医サービスの提供に取り組んでいくべきである。
 ○4労災保険給付に係る業務上外の決定等での医学的判断の基礎の提供。国の労災補償政策を総合的に支える病院として、労災認定や行政訴訟に必要な業務上外に係る医学的意見書の作成や医学的知見を踏まえた労災認定基準の策定等に協力していくべきであり、今後は、全国均てん化の観点から、労災病院未設置の労働局での医学的意見書の作成の枠組みを病院グループ内に構築することや、業務上外の認定や主治医では判断の難しい疾病について確定診断できる専門医など行政需要のある医師の育成を推進するなど、一層の取組を進めるべきである。
 ○5研究成果等の普及・教育。研究成果等の普及・教育は、迅速・適正な業務上外の労災認定や的確な労災医療の提供が、全国斉一的に行われるための土台づくりであり、今後は、全国均てん化の観点から、地域ブロックごとに情報発信の拠点となる労災病院を設置するなど病院グループのネットワークの活用強化を通じた普及・教育など、一層の取組を進めるべきである。
 ○6労災病院の経営改善について。独立行政法人移行後、着実に労働者健康福祉機構の損益は改善し、赤字病院の割合は減少しているが、依然として、平成22年度で371億円にのぼる多額の繰越欠損金や厚生年金基金の高い予定利率といった経営面の課題が存在する。このため、平成28年度までを目途に繰越欠損金の解消を着実に進めるため、ガバナンスの一層の強化を図り、職員の意識改革、収入・支出対策、労働条件の見直し、適正な投資水準の確保などの経営改革を通じて、経営の更なる改善、効率化を図るべきである。特に、予定利率(基本部分5.5%、加算部分4.75%)が高い厚生年金基金については、経営にも大きな影響を与えていることから、国への代行返上や給付水準の見直し等を早急に検討すべきである。
 最後です。〈おわりに〉としまして、検討会としては、今後、この報告書を踏まえた国立病院と労災病院の改革が進められることを強く期待する。なお、平成23年9月より、行政刷新会議で、独立行政法人の制度・組織の見直しに係る検討が行われ、その結果を踏まえて、平成24年1月20日に閣議決定された「独立行政法人の制度・組織の見直しの基本方針」では、国立病院機構と労働者健康福祉機構は、現在の独立行政法人とは異なる新たな固有の根拠法に基づき設立される法人へ移行し、国が担うべき政策医療等について、国全体として無駄のない効率的な医療提供体制の下で、医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ、確実に実施するとともに、自律的かつ効率的な経営の実現を目指すこととされた。
 この新たな固有の根拠法に基づく法人制度は、この報告書と方向性を同じくするものと考えるが、今後の新法人制度の具体的な制度設計に当たっては、この報告書の趣旨を十分に踏まえたものとすることを併せて期待する。以上が本文です。加えて、(資料1)が国立病院の各病院の病院特性、19頁の(資料2)が各労災病院の病院特性、24頁の(資料3)が国立病院機構と労働者健康福祉機構の法人統合のメリット・デメリット等を整理したものです。報告書は以上です。
○相川座長 資料2について、資料と説明を踏まえつつ、委員の皆様からご意見などを伺いたいと思います。本日の報告書の内容に関しましては、既に昨年11月及び12月に論点整理をしました。特に12月ではwordingなども含めて検討したものを報告書の体裁にまとめたもので、更に本日、議論を重ねていきたいと思います。項目ごとに議論していってよろしいでしょうか。まず、〈はじめに〉と1「現状等」について、それから2「在り方について」議論し、また、全体的にご意見があればもどるという形でよろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。まず、報告書資料2の1頁中段からの1「現状等」について、〈はじめに〉も含めてご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○夏目委員 全体としては非常によくまとまっていると思います。ただ、1の「現状等」について、結論の論旨をより明確にするために、少し付け加えたほうがいいのではないかという要望・意見を申し上げたいと思います。業務と経営の現状として、診療事業以降を個別にまとめられてよく整理されているのですが、経営面ではなくて、事業運営上の課題や懸案も少し書き加えたらどうかと思います。例えば、国立病院の場合は、独法の枠組みが、医療提供機関として医師の確保や医療従事者のモチベーションの維持に、いろいろな制約を与えている。例えば、独法一律の人件費削減、そういったものが医師の確保等の制約になっていること。あるいは、利益処分の在り方や、資財調達についてなども含めて、行政刷新会議のワーキンググループに国立病院機構からペーパーが出されましたが、その下敷きになっているようないろいろな課題や懸案を少し加えたらどうかと思います。と申しますのは、統合論の結論の部分の、おそらくこれが一番大事なところだと思いますが、10頁の丁度真ん中辺りに、統合について、「直ちに統合することは困難と考える」とあり、「このため」として、「それぞれ課題や懸案の解決に取り組む一方」と書いています。ところが、課題や懸案が前のほうでそれほど明確になっていないと思います。この現状のところに、それぞれの国立病院あるいは労災病院がいま抱えている課題や懸案について、代表的なものを少し付け加えておいたほうが、後ろの結論部分がより引き立つのではないかと思います。取りあえず、1については以上です。
○相川座長 ありがとうございました。これは報告書への追加になりますので、夏目委員のご発言について、皆様からまずご意見をいただきたいと思います。
○岩村委員 いまの夏目委員の意見についてです。いまおっしゃったことは、おそらくいま公務員型の独立行政法人であることに由来する問題が主たるものだと思います。そのことについては、今日ご報告があった行政刷新会議の独立行政法人の改革に関する会議の中で、国立病院機構については、独立行政法人とは別形態のもので整理をすることになっていますので、そのことを改めてここにもう一度付け加える必要は、この報告書の関係では、ないのかなと思います。確かに、おっしゃるように、それぞれの課題、その他についてあまり述べられていないことはあるのかもしれませんが、他方で、いくつかの問題点は指摘されている。例えば4頁から5頁にさまざまな債務などの問題が指摘されていたり、特に、労災病院については、かなりいろいろなことが書いてある。この問題に限った報告書としては、この程度のところでよろしいのではないかと私は感じたところです。
○相川座長 ということですが、ほかの委員あるいは夏目委員はいかがでしょうか。
○渡辺委員 逆に伺いたいのは、独法の行政刷新会議の中で、ほかに医療絡みの独法はあったのですか。例えば、厚生年金病院などもここに入っているのですか。つまり、夏目委員もご指摘なさったように、病院の抱える課題・懸案があって、それを行政刷新会議が配慮して、岩村委員がおっしゃったように、だからここだけは別法人と言うか、民営化等の「等」なのだという、そのような流れできているのですか。多くの独法の中でいわゆる病院事業はこれだけですか。ちょっとそれを確認しながら。
○宇口国立病院機構管理室長 いまの渡辺委員の点につきまして。病院事業体ということでは、独法分科会でご議論いただいたのは、まず、国病と労災。それから、ご指摘の社会保険病院グループがありますが、3番目の社会保険病院グループは、この検討会の冒頭でも言いましたように、現在年金局でどのような組織にして運営していくかを検討している状況です。あり体に言うと、あと2年近く時間がかかる状況で、現在は通称「RFO」という独法で病院資産を売却するとしています。なかなか売れるということはありませんけれども、結論は国病や労災の病院事業体の流れを見つつ、受け皿の組織が決まった段階でどの区分に溶け込んでいけるかになります。それから、夏目委員の、国立病院の問題点、例えば、総人件費や利益処分の件については、これは別に国立病院機構だけにかかっているのではなくて独法全体のルールです。その中で、病院事業体として非常にある意味難儀していることです。この件は制度論で、病院事業体としてなかなか使い勝手が悪い部分も含めて、どういう制度にしたらいいかを独法分科会で議論した上で、スピンアウトというか、別の根拠法での法人制度が適当ではないかという議論の結果をいただいたものです。利益処分の方法や総人件費の件は、自分たちで解決できない問題です。ここで言っている懸案事項は、岩村委員からもご指摘があったように、公務員型ゆえの非公務員型に向けての自助努力で乗り越えなければいけないような整理、労務も含めたもの、経営的に黒字ですが、細部ではいつも評価委員会でご指摘のあるところも若干ありますので、その辺は両法人を持っているルーティーンの宿題をまずはやった上でとご理解いただきたく作っています。
○相川座長 まず、渡辺委員は、いまの社会保険病院の件はよろしいですか。
○渡辺委員 それはいいのですが、1点だけ手短かに言います。この資料で、両法人は自律的な経営が可能だと言っているのです。だから、民営化等の「等」でやりなさいと、論理はこういうことでしょう。ところが、いまも話があったように、自律的な経営をするためには、おっしゃったように国病機構も、随分前から利益処分についても、医師の確保についても条件が整わなければ、仮に新しい法人になったとしても、自律的な経営はそううまくいく保証はないから、夏目委員のおっしゃったことは、そこをきちんと言えという意味に解釈したのです。そうであれば、少しは触れていてもいいのかなという気がします。
○夏目委員 先ほど岩村委員がおっしゃったように、今回の新法人への移行の中で、公務員型独法のもたらしているいろいろな制約は、おそらく解消されていくのだろうと思うのですが、それ以外にも、利益処分やいろいろなほかの問題も、国立病院機構はまだ結構困っているところもあります。そもそもとして、「課題・懸案の解決に取り組む一方」と書く以上は、やはり、課題や懸案がそれなりに触れられていなければいけないし、「最終的にこの報告書の趣旨を十分踏まえたものとすることを併せて期待する」ということですから、今回の新法人の具体的制度設計に当たって、いま抱えている課題や懸案をこの報告書で少し触れておくことは、非常に意義があるのではないかと思うのです。
○相川座長 本件に関して、どうぞ。
○新谷委員 私も、夏目委員の意見に賛成です。この報告書を拝見したときにまず思ったのは、後段の部分とも関係しますが、11頁以降に、労災病院については、統合と同様の効果をもたらすに当たっての課題が列挙されていますが、国立病院については、何も触れられていないのです。前段の1の現状の分析の中にも、やはりそれが触れられていなくて、この報告書の核である在り方論を語ることきに、労災病院がこれだけ記述してあるのにもかかわらず、国立病院に関する今後の懸案事項がどこにも出ていないのはアンバランスではないかと思っています。前の検討会の資料を見ますと、第4回で国立病院についての課題が出ていまして、公経済負担の過去債務の問題や運営交付金の問題など、いくつか出ているはずなので、それらについて何らか触れておかないと、労災病院と国立病院の課題に関するボリューム感が大きく異なるのはいかがかと思いました。
○相川座長 ありがとうございました。ほかの委員はご意見いかがでしょうか。仮にもし書き入れるとすると、「現状」のところに国立病院について少し書き入れるようなお考えだと思います。具体的には、懸念・課題として1行あるいは数行かもしれませんが、語数を制限するわけではありませんが、どこに入れるのが一番よいと思いますか。それをみて、また皆さんにお聞きしたいと思います。
○新谷委員 どこに入れるかという論議では、これは後ほどの論議になると思いますが、11頁以降に労災病院についてだけ、「政策医療の強化と経営の改善に取り組んでいくべきである」と課題が書かれているのです。このようなところで納まりがいいのかも含めて、国立病院労災病院が対になるのではないかと思うのです。それも含めて、位置について検討いただきたいと思います。
○相川座長 国立病院・労災病院は全く同じような状況ではないのですが、報告書の中で、将来この報告書が尊重されるためには、ある程度具体化して、特に国立病院について課題・懸念を入れたほうがいいという、お二方のご意見だと思います。ほかの委員の方々はいかがでしょうか。夏目委員、具体的な提案として、国立病院のどこに、こういう文章というようなご提示がありますか。できれば、今日はこの報告書をかなり具体化していきたいと思っているのですが。
○夏目委員 経営の現状のところに書き込むか、それとも、労災病院のように「その他考慮すべき事項」として書くのがいいのか、新谷委員が言われるように、同じように個別に書くのがいいのか。いずれにしても、国立病院機構が抱えている課題や懸案をきちんと書いておいて、それが今度の新法人の制度設計等に反映されていくという形になると意味があると思うのです。
○相川座長 場所は別として、課題・懸念のキーワードとしては、どのようなことをお考えでしょうか。
○夏目委員 公務員型から外れて新法人をどのような作り方をするかですが、いま言われているような公務員の総人件費削減の2割カットだとか、そのような全体的な大きな枠組みの中で、せっかくの医療従事者の努力や、医師確保など、医療の世界が大変苦しんでいる問題がなかなか解決に結び付いていかない、そういうことを断ち切ることが必要ではないかなと思っているのです。
○相川座長 というご提案ですが、事務局は何かご意見はありますか。
○片岡国立病院課長 国立病院機構の課題は、説明を省略してしまったのですが、5頁の上の1つ目の○で公経済負担と整理資源について、現状といいますか、国立病院機構が苦しんでいる現状については記載しています。
○相川座長 一部は5頁の一番上の○ですね、4行目からですか。これに加えて、いま夏目委員のおっしゃったようなことでしょうか。
○片岡国立病院課長 そうですね。
○相川座長 経営の現状の5頁のこのところに、いくつか加えることもありますね。ほかの委員のご意見もお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺委員 医療事業について言うと、両病院とも最大の課題は医師確保。それから、いまおっしゃったように、特に国立病院機構は公務員型による人件費カットによって、なおさら医者が集まらないということ。医師確保は共通の課題であることは確かでしょう。だから、先ほど言ったように、病院事業を扱っている独法という点で言えば、そのことは「その他」のところでもいいと思いますが、触れておいていいのではないかという気がします。
○相川座長 医師確保ですね。
○渡辺委員 医師確保がないとやはり自律的、効率的な運営はできないわけですから。
○相川座長 医師確保については、いままでの委員会でも深くは検討されませんでしたが、資料からそのような話もあったかと思います。夏目委員、それでよろしいですか。事務局からは何か案がありますか。そのように書き換えることに関して、岩村委員はいいのではないかというご意見でしたが、ほかの委員のご意見もお聞きしたいと思います。
○工藤委員 新谷委員がお話されたことと同じように、前回も私は、一番最後のところに、労災病院については非常に詳しく書き込まれているけれど、国立病院機構は欠落しているのではないかと申し上げましたが、そのときは、行政刷新会議で検討されているということがあったと思います。しかしこれは1月19日付で既に出ていますので、それを踏まえた上で、文言等については座長に一任しますが、やはり何か書き加えておかないとアンバランスかなと思います。
○相川座長 わかりました。ほかの委員はいかがでしょうか。
○山田委員 (7)のところは、あまりにも労災病院のことだけしか取り上げていないので、やはりこの部分は国病も加えた方が良いでしょう。国立病院機構はいま全体の経営状況はいいわけですが、たぶん病院の中にはまだまだ赤字で苦しんでいる病院がいくらでもありますので、その辺はきちっと触れておいたほうがいいのではないかと思います。
○高橋委員 夏目委員の提案に賛成です。独法の在り方の中で検討されるにしても、一応、病院という立場で見て、こういうものが制約になっていますとか、打破すべきであるなど、テイクノートしてもらうためにも触れておくべきだと思います。
○相澤委員 経営の現状のところで触れておいてもいいと思います。
○相川座長 経営の状況と医師確保についても、そこでよろしいでしょうか。
○岩村委員 少数派なのでこだわりませんが、私の感じでは、労災病院が詳しく書いてあるのは、もう既に非公務員型になっているので、そういう意味で今後の議論の中身としてはかなり詳しく書いてある。これに対して、国立病院はいまのところ独立行政法人で公務員型でありますので、したがって、公務員から非公務員型に移るに当たって、当然それらの問題は今後議論されていくのだろうという、そういう趣旨だろうと見ていたので、それほど違和感はなかったのです。いずれにしろ、皆さんそのようなご意見なので、それほど強くこだわりません。他方で、私自身もやりましたが、公務員型から非公務員型に変えるときの制度設計の在り方には、いろいろなバリエーションがあるので、あまりこの検討会でその問題について深く議論したわけではないですから、それを縛るような形のものは入れないほうがいいだろうとは思っています。ですから、先ほどご提案があった中では、例えば、医師確保の問題など共通するような課題は、例えば「その他」のところで、労災病院と国立病院に共通するような形で書くなど、そのようなことなのかなと思います。
○相川座長 事務局から何かございますでしょうか。
○片岡国立病院課長 どちらかと言うと制度の話になりますので、各法人が努力するというよりは、ある意味で我々が今後の新しい法人制度を作るとき、法人への規制や基準などを作るときの、1つのご意見かなと思います。11頁から13頁に「その他考慮すべき事項」などが書かれており、この中で医師確保の問題は両法人とも共通する課題なので、13頁の後ろに?の形で医師確保について書くのが整理しやすいのかなと思います。
○岩村委員 これは平仄が合うかどうかの問題はあるのですが、例えば4頁のオ「経営の現状」には、私から見ると、先ほど事務局がおっしゃったように課題的なものも書かれていると思いますので、ここを「経営の現状等」とした上で、若干表現を工夫していただいて課題的に読めるようにしていただくことで対応が可能ではないかと思います。
○相川座長 ありがとうございます。そのようなことですが、夏目委員、ほかの委員の方もよろしいでしょうか。それでは、今日の大事なところは「在り方」なので、若干の修正を含めて「現状」の辺りは座長にお任せいただいて、また皆様に再確認を取るという形でよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○相川座長 ただいまのご意見を踏まえまして、若干の追加を書き入れることにさせていただきます。
 続きまして、8頁から、中核となるところですが、2「国立病院・労災病院の在り方について」です。これは政策医療を提供する病院としての在り方、公的病院としての在り方、両法人の統合、個別病院の再編・整理、連携の強化、財政支援の在り方です。まず、在り方全体でご意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○新谷委員 意見でなくて質問でもいいですか。
○相川座長 はい、どうぞ。
○新谷委員 報告書の添付資料という形で(資料1)(資料2)を付けていただいています。それを受けて10頁から12頁にかけて記述がなされています。14頁からの(資料1)に、個別病院の一覧表が必要なのではないかと私が第4回の検討会で提起したので付けていただいたのかもしれません。ここに書いてある病院特性の判定で、◎は後ろにインデックスがあるのでよくわかったのですが、○の判定はどのような基準でなされたものかを教えていただきたいと思います。
○相川座長 これは、事務局から説明してください。(資料1)の○についてですね。
○新谷委員 ○です。
○相川座長 指定されているものは○で、そのほか、結核やジストロフィーなどですね。重症難病患者入院からエイズ拠点、災害拠点、救命救急センター、周産期母子医療センター、小児医療拠点病院等、へき地拠点病院、地域医療支援病院、がん診療拠点病院、これらについてはよろしいですね。
○新谷委員 拠点病院は結構です。
○相川座長 左のところですね。
○宇口国立病院機構管理室長 当該実施している病院に○を付けています。18頁の最後の※のところで◎は、さらにその中でも拠点病院、ブロック拠点や地域の拠点など、さらにちょっと重たい役割を承っている病院です。
○相川座長 ◎については18頁の脚注に出ていますね。では、○は診療している所ということですが、例えば、結核を1人でも診ていれば○なのかということにもなってしまう。いまのご質問はその辺のところでしょうか。
○宇口国立病院機構管理室長 エイズがわかりやすいかと思いますが、例えば18頁でも、九州医療センターは九州のブロックのエイズの拠点病院としてなっていますが、国立病院の中で九州でエイズをやっているのは九州医療センターだけですかというと、そうではなくて、ほかの○の付いている病院もエイズの治療病院という形で活動しているということです。
○相川座長 なるほど。例えば結核などはどうでしょうか。
○工藤委員 私は結核の領域なので申し上げます。前に、施設見学をさせていただいた旭川の北海道医療センターは、立派に結核をやっておられますが、これは○です。そういう所が○になっているのですが、一方、ここで見ますと◎は1つもないのです。近畿中央胸部疾患センターは、昨年5月に特定感染症指導指針の改訂が行われていて、その中で高度専門施設として指定されています。これは西日本で1つです。こういったものはやはり◎にしないとおかしいのではないかと思います。ちょっと細かいところですけれども。
○新谷委員 私がお聞きしたかったのは、この○はどなたがどのような基準で付けたかを教えて欲しかったのです。
○相川座長 資料を作られたほうではいかがでしょうか。定性的なものなのか、定量的なものなのか、何か基準があるのかということでしょう。いまの結核の◎については、また後で訂正なりをしようと思います。
○松尾大臣官房参事官 正確なお答えになるかどうかわかりません。これは昔、国立病院の時代に政策医療5カ年計画というものを当時構築していまして、たぶん、そのときに少なくとも病床単位で1単位、50人の患者を抱えていると○が付いているのだと思いますが、ちょっと古い話なので確認をさせていただきたいのです。
○渡辺委員 新谷委員もおっしゃったことに関連して、重箱の隅を突くようで恐縮なのだけれども、15頁の立川の災害医療センター、これは災害拠点病院で◎と○の両方が付いているのです。一所懸命やっているのだなということはわかるのですが、これは◎でいいのではないかという気がします。そのような曖昧さがないほうがいいなと思います。
○宇口国立病院機構管理室長 新谷委員の質問に単純に答えると、これは機構の資料ですが、ベッド数の多寡は別として、実施している病院に当該政策医療の部分で○を付けたものです。
○相川座長 定常的に実施している。緊急に結核患者が来てちょっと入院させたというのではなくて、定常的に実施している病院。工藤委員、結核については、先ほどの◎は別として、ある程度そのように分けられてもよろしいですか。
○工藤委員 はい。
○宇口国立病院機構管理室長 工藤委員の、結核の中での基幹というか、高度の部分については、再度、機構に平仄を合わせるように相談してみます。
○相川座長 例えば結核ですと普通の病棟に患者さんを入れることができませんので、結核の病床をはっきり持って診療を実施している、定常的に実施している所に○が付いたと、そのように理解してよろしいのですか。
○宇口国立病院機構管理室長 はい。
○相川座長 筋ジストロフィー、重症心身障害、これについても、どのような基準でという質問ですが、これはいかがでしょうか。では、基準についてはまた後ほど。
○片岡国立病院課長 基準についてはまた後ほどご説明しますが、基本的には病院の自主判断、申告に基づいて、事務局で整理したものです。
○相川座長 新谷委員、よろしいですか。
○新谷委員 その上で、それをお聞きしたのは何かと言うと、10頁の一番下の行から書かれている内容は、これの親委員会であった整理合理化委員会の答申内容を打ち消す形で、「資料1・2により」と、まさしくいまお聞きした資料1・2によって、全国すべての国立病院と労災病院については「それぞれが政策医療を担う病院として機能を果たしていることを確認した」と書かれているのです。ところが、いまのやり取りを聞いていても、○を付けるのは一体どなたがどういう基準で付けたのか答えられないような、これからお答えしますというような状況の中で、本当にすべての病院について政策医療を担うというのを検討会の中で確認したのかどうか。これはちょっと書き過ぎではないかと私は申し上げたかったのです。ですから、ここの書きぶりについては座長にお任せいたしますが、もう少し現状を踏まえた書きぶりにするべきではないかと申し上げたいと思います。以上です。
○相川座長 ありがとうございました。特に11頁の上の1行でしょうか。
○工藤委員 先ほどの結核の件です。やはり、それぞれについて◎と○の基準を書いておいていただいたほうがいいのではないかと思うのです。例えば、結核病床が病棟単位で1つあるというだけなのか。富山病院にしてもあるいは東京病院にしても、東京病院も100床を動かしているわけです。ああいったような所が◎であれば、近畿中央胸部疾患センターは、本来ならば三重マルなのです。そういうようなことがあるので、どこまでを◎にするのか、どういう基準にしたかを明確にしておいていただいたほうがいいとは思います。難しい線引きのところもあるかもしれないのです。だけども、何床以上をやったとか、そうでなくても、例えば、高度専門施設を◎にしたとか、そういうことを明記しておいていただければと思います。というのは、自分たちは一所懸命やっているつもりなのに○で、モチベーションが下がってしまうということでは困るので、是非その辺はお願いしたいと思います。
○相川座長 はい、わかりました。新谷委員のご指摘がありましたように、全ての病院について各々が、この委員会で確認したわけではありませんので、資料を提出していただいたわけです。政策医療をそれぞれいろいろなレベルで、また政策医療の中で一部あるいは多くを行っていることは明らかであるとは思いますが、この書きぶりについてはもう少しwordingを検討したいということでよろしいでしょうか。これも、座長に任せていただいてよろしいでしょうか。方向性としては、これを少しトーンダウンするような形になるかと思いますが、よろしいでしょうか。そのようにさせていただきます。
 そのほかに、「在り方」についてご意見をいただきたいと思います。(1)政策医療を提供する病院としての在り方についてはいかがでしょうか。(1)の○の1は重要な点だと思いますが、「その実施主体として、引き続き率先して実施するべきである」というのはよろしいですね。
 ○の2のところで、特に9頁の2行目から3行目の「政策医療の中には、専門家を育てることが難しい分野もあることから、政策医療を担う人材育成に取り組むとともに、国家レベルでの緊急事態には医師等の派遣など」というのは、主に災害とか、新型インフルエンザの流行、結核の蔓延というようなこともあるのかと思いますが、このような必要な対応を行っている。その中段の「国の政策医療や労災補償政策を総合的に支える病院であるべきである」のところはよろしいでしょうか。
 ○の3のところは政策医療の範囲です。これは、ほかの委員会からも指摘されているところですが、「例えばメンタルヘルスなど、疾病構造の変化等に対応して、固定的には捉えず、時宜に応じて検討していく必要がある」というのもよろしいでしょうか。
 ○の4は一般医療の提供との関連が書かれています。「国立病院と労災病院は政策医療だけを提供すればいいということでは全くなく、一般医療も併せて提供していくことが必要である。政策医療だけでは病院経営が成り立たないこともあるが、医師等の臨床技能の維持・向上や、医師等の確保・養成、必要な検査・治療機器の整備、さらには地域の医療水準の向上や災害時対応能力の涵養という観点からも、一般医療の提供は不可欠である」。なお、このときには民間病院との競合というところに関しても配慮するべきであるという意見も出ていましたけれども、いずれにしても一般医療の提供は不可欠であるというところでよろしいでしょうか。
 (2)公的病院としての在り方のところで、「4疾病5事業等をはじめ、民間病院では提供することが困難な医療の提供、医師の養成等を行っている。それぞれの地域で、一般医療も含め、患者の紹介・逆紹介や医療機器の共同利用などの医療連携に取り組み、地域の患者サービスや医療水準の向上に寄与している」。
 第2段ですが、「一般医療も含め、地域の医療機関との連携を強化し、地域の患者サービスや医療水準の向上・発展に寄与する取組を更に進めるべきである。政策医療だけでなく、一般医療も着実に実施し、地域で支持され、地域医療の中で公的病院としてのしかるべき役割を果たしていくことは、患者サービスの向上につながり、ひいては地域医療にとっても、また広い意味での医療政策にとっても、重要である」といったところです。
○高橋委員 下から3行目に、「地域医療の中で公的病院としてのしかるべき役割を果たしていく」とありますが、この「しかるべき役割」と言っているのは、上の段に書いてある「医師の養成」とか「患者の紹介・逆紹介」ということなのでしょうか。それとも、そういうもの全体について地域のリーダーシップを取るみたいな役割を、ここであえて出しているのか、その意味を取りかねる部分がありますので質問いたします。
○相川座長 具体的には、いまの4疾患5事業等を中心に、あるいは現在「患者サービス」という言葉が書いてありますけれども、患者様のほうから見ますと、公的病院でなければなかなか行いにくい一般の医療、例えば小児の救急、産科というようなものも含めて「しかるべき役割」と考えてはいました。具体的に何か書き入れたほうがよろしいですか。
○高橋委員 「上記のようなしかるべき役割」としていただければよろしいと思います。いまの説明を聞いて、意味内容はわかりました。そのように皆さんが捉えていただけるようだったら、変更はしなくても結構だと思います。
○相川座長 (1)と(2)については、本報告書の中核となるところですので、さらにご意見があればお聞かせください。
○渡辺委員 戻って伺いたいのは資料1-2の閣議決定で、労働者健康福祉機構と国立病院機構はほとんど文章が一緒なのですが、4つ目の○の労働者健康福祉機構のほうは、「固有の根拠法に基づき」云々とあって、「当たっては、労災病院関係業務等の真に必要な事務・業務に限定する」となっています。国立病院機構は別のことが書いてあってここだけが違うのです。国立病院機構の方の「公務員」云々というのはわかるけれども、この閣議決定を素直に読むと、労働者健康福祉機構は労災病院のことしかやっては駄目だと読めます。本検討会の方向は方向、閣議決定は別々でいいといえばいいのだけれども、この解釈を念のために教えてください。
○木暮労災管理課長 もともと労働者健康福祉機構は、いまでこそ労災病院の事業割りが9割になっておりますけれども、沿革から言うと労災関係のさまざまな行政施策、未払賃金立替払事業も含め、そういう福祉のものを手広くやっていましたが、さまざまな箱物行政批判等で、そういう部分を縮めてきて、労災病院の部分を大きくしてきた経緯があります。したがって、そこは今回は病院型の独法をつくる中では、もともと福祉という観点でやってきた諸々のものについては性質が違うので分けてください、という趣旨であると私どもは理解しております。それは、国立病院の場合とは独立行政法人としてのつくり方が全然違いますので、そこが国立病院機構のほうに書いてないということはむしろ当然であると理解しております。
○渡辺委員 労災病院として、病院業務にかなり特化してよ、というように読むのが一番素直ということですか。
○木暮労災管理課長 したがって、未払賃金立替払事業もありますし、みころも霊堂という、労災関係で亡くなられた方の霊堂とか、その諸々の箱物施設がありますので、それは病院とは違いますねという整理です。
○渡辺委員 そういう前提ですね。
○木暮労災管理課長 そういうことです。
○渡辺委員 一般医療をやる労災病院とは矛盾しないと考えていいのですか。
○木暮労災管理課長 そういうことです。
○相川座長 そのほかにないようでしたら、後で戻ってきてもよろしいので、9頁の(3)両法人の統合と(4)個別病院の再編・整理は多少関係していることもありますので、この辺についてのご意見を伺います。(資料3)のメリット・デメリット。
○新谷委員 これも、メリット・デメリットについて資料が添付されていて、それを受けて書かれています。気になるのは10頁の上から2つ目のパラグラフです。「仮に両法人を統合しようとする場合には」と書かれていて、この中に「時間や労力を要する」という言葉が3つ出てきます。これはボリューム感からいくと、メリット・デメリットの分析に加えて、実際に統合するときにはこれだけの時間や労力がかかるという、ものすごい抵抗感をもって書かれてあるのが気になりますので、ここはもっとサラッと書くべきではないか。
 これは閣議決定の、先ほど渡辺先生がおっしゃった資料1-2の「将来の統合も視野に入れた具体的検討を行う」ということもありますので、ここの書きぶりについてはあっさりと書いたらどうかと申し上げたいと思います。
○相川座長 「時間や労力を考えると」というところですね。時間や労力を考えてもやれ、ということになるかもしれません。この「時間や労力を要し」というところが。
○夏目委員 私も、その「時間や労力を要す」というところが多すぎるような気もします。ただ、メリット・デメリットで、統合というのはこの委員会の検討課題として、本当に統合がいいのかどうかというのが1つの大きなテーマだと思うのです。そこでメリット・デメリットを見て、いますぐ統合するにはメリットは多くないし、デメリットのほうが多いという結論なのです。
 結論である、いますぐ統合することにメリットは少なく、デメリットが多いということを導き出すためにも、メリットについては運用でも相当実現できる。組織の統合までしなくても、運用によってこのメリットは十分実現できる。やはり組織統合によるデメリットのほうは結構致命的になる可能性や、おそれがあるぐらいに、ちょっとメリハリを付けて表現して、したがっていま現在は、直ちに統合することを我々としては考えないというようなストーリーにしないと。
 双方並列で、最終結論は何とかというよりは、若干メリット・デメリットの質の違いがあるのだと。メリットについては、運用でも十分実現できる事柄であり、デメリットは致命的とは言わないまでも、相当深刻な問題を引き起こす。だから、いますぐやることは意味がないのだというほうが、報告書としては迫力が出てくるのではないかと考えます。
○相川座長 そういうご意見ですが、いかがでしょうか。いまの一部は(4)の上のさらに4行目の、「法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくことが適当」というところでは結んでいるわけですが、確かにそれを導く段階としても、そのように表現したほうがいいというご意見もあるかと思います。
○渡辺委員 確かに文章として、わずか5、6行のところに、多くの時間や労力、多くの時間や労力ばかり出てくるというのは、文章として見ればあまりきれいではないので表現を変える。例えば「短時間での解決は困難」とか、同じことを言うのにも、同じ繰り返しというのはどうかという気がいたします。
○相川座長 その辺のところのwordingに関しても修正するということで、これも座長にお任せいただいてよろしいでしょうか。時間、労力、費用を要するという点ですね。両法人の統合、個別病院の再編・整理についての考え方としては、既にいままで7回の検討会でご意見をいただいたことを整理したわけです。
 個別病院については、○の1の第2パラグラフの、「すなわち、個別病院の再編・整理という問題は、地域医療の中で考えるべき問題であり、他の設置主体」のところですね。「他の設置主体を含めた地域医療の中での当該病院の役割、位置づけなどそれぞれの地域医療の実態を踏まえて、個別に慎重に検討するべきである」ということです。病院の統・廃合は、確かに病院の観点から見た統・廃合の、あるいは再編の意見と、あとは地域住民である患者さんの側から見た、あるいは医療ニーズから見た意見ということで、○の1が書かれています。○の2については10頁のいちばん最後の行から11頁の1行目、2行目「確認した」というところは修正させていただきます。
 また戻ってくることとして、(5)連携の強化についてはよろしいでしょうか。「医薬品や医療機器等の共同購入、治験の共同実施、医療情報等のシステムの相互利用、医学的知見や症例データの共有化、人事交流」ということです。人事交流については、一部は労働条件あるいは年金等のいくつかの障害があるけれども、いろいろ工夫をしてという意見が出たと思います。
 (5)の○の3の「特に、メンタルヘルス、過労死予防、就業と治療の両立支援など、労災病院だけでなく国立病院でも取り組めるテーマについて、症例データの共有化など連携して取り組んでいく」ということですが、よろしいでしょうか。
 特段ご意見がないようでしたら(6)財政支援の在り方です。退職手当等の退職給付金費用や採算が見込めない臨床研究事業、教育研修事業や災害医療(医薬品等の備蓄経費)については国立病院は交付金を受けている。労災病院でも調査、これは「現状」のところでも一部説明がされておりますが、「両病院とも診療事業においては、採算面等から民間の病院では提供されないおそれのある医療を実施しているにもかかわらず、診療収入の増加等に努めていて、運営費交付金は交付されていない」と。これはかなり詳しく書いてありますけれども、運営費交付金が診療のほうにも使われているのではないかという一部の誤解というようなことで、ここに新たに書き加えたということです。
 (6)在り方についてはその下段で、「政策医療に対する財政支援については、両法人は、今後も引き続き診療収入の増加等に努めるものとするが、それでもなお不足部分について、財政支援の目的、範囲等を明確にして効率的に行うべきである。また、診療報酬でも、政策医療について適切に評価されることが必要である」と。これは中医協へ対する、こちらからの発信だと思います。財政支援はこういう形でよろしいですか。
 (7)その他考慮すべき事項です。労災病院についてはということで、調査研究、特に「従来型の労災疾病について、引き続き一定程度行う必要があるが、今後は、より今日的課題となっているアスベスト関連疾患やメンタルヘルス、過労死などに、限られた予算・人員を選択・集中していくことが必要である」というようなスタンスですがよろしいでしょうか。「このため、今後、労災補償政策上、特に重要な研究分野に絞り込むなど、調査研究の重点化や、研究分野ごとにばらつきがみられる症例収集・分担研究のネットワークの適正化といった効率的・効果的な調査研究に向けた見直しを行うなど、研究の強化を図るべきである」ということですがよろしいでしょうか。
○新谷委員 (7)で、11頁のところに12頁以降の中身を説明するリード文として書かれています。この中身を見ていくと、「今後、両法人が」云々と書いてあって、「法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくに当たり、労災病院については」と書かれてあります。先ほども話題にしましたけれども、同じ効果を出すに当たって、国立病院には何も課題はないのか。要するに、労災病院についてのみなぜここだけ記述しているのかという、先ほどのアンバランスではないかということからいくと、ここをもし残すのであれば、ここの書きぶりを書き換えるか、国立病院についても統合に当たっての課題を書くか何かしないとバランスを欠くように思われます。
○相川座長 わかりました。確かに前回までの会議の議論では、主に労災病院のことが取り上げられていましたので、まとめとしてこのような形になったわけです。国立病院についても、11頁以前に書かれたことに関して考慮すべき事項があるでしょうか。あるいは一部は労災病院だけではなくて、国立病院にも関連することでしょうか。特に12頁の○3は労災病院に限ったことではなく、国立病院と労災病院とが連携してという視点から書けると思います。
○高橋委員 おっしゃるとおりだと思います。ここで「メンタルヘルス、過労死予防」と出てきます。国民的課題というと、いま産業界で出ているのは、高年齢労働者の就労に関することです。言い方を換えると、作業関連疾患みたいな概念なのですが、そういうものもここに書き加えていただいて、いま座長がおっしゃったように、そのアプローチというのは国病のほうからも可能だし、やってもらいたいことだと思います。そういうことを明記していただけたらと思います。
○相川座長 高橋委員のご意見では、12頁の?の最初の○の「過労死など」のところにもう1つ具体的に「高年齢…」何でしたか。
○高橋委員 「高年齢労働者の就労に関する研究」とか、あるいは「作業関連疾患」でもいいと思います。
○相川座長 これは、主に労災病院のところでしょうか。それとも、いまのと関連して、○3のところでは、「労災病院に限らず国立病院と連携して」というのですから、国立病院と労災病院とが連携してということになれば、労災病院の視点からだけで書いているわけではないと。いまのは何疾患と言うのですか。
○高橋委員 「作業関連疾患」でよろしいと思います。
○相川座長 「高年齢」を入れますか。
○高橋委員 「高年齢」は入れずに、要するに循環器系疾患とかメンタルヘルスディスオーダーの話なのです。
○相川座長 「過労死」という言葉も入れていいですか。
○高橋委員 はい。
○岩村委員 11頁の(5)の○の3にそれは入っていると思うのです。
○相川座長 「特に、メンタルヘルス、過労死」。
○岩村委員 ですので、もう一度ここで書くということになると、やはり重複してしまうと思います。新谷委員のご指摘ですが、なぜここで労災だけかというのは、先ほどの国立病院機構の独立行政法人のタイプの問題があって、というのが背景にあります。労災のほうは既に非公務員型なので、非公務員型の中でどういう課題があるかという書きぶりになっています。国立病院のほうは、法人形態を変えるときにどうするかという、そこで議論する話なのではないか。それがここでのサインだろうと私は理解しています。書くなという趣旨ではありませんけれども、ここであまりいろいろ書き込むのは、先ほども申し上げましたけれども、今後の国立病院機構の法人化の形態の考え方をちょっと縛るような形になりかねないので、慎重に考えたほうがいいのかと思います。
○渡辺委員 おっしゃるとおりで、特に新谷委員のおっしゃるとおりで、(7)の文章がおかしいと言わざるを得ないのです。「今後、両法人が法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくに当たり」、両方にいろいろな課題というか、やることがあるということを言いたいわけでしょう。「同様の効果を目指していくに当たり」、いきなり「労災病院について」云々となっていること自体が率直に言っておかしいです。
○相川座長 「労災病院については」というところだけを取ると比較的わかりやすくなりますか。
○渡辺委員 それでも、いきなり「労災」ばかりなので。
○相川座長 そうですね。
○渡辺委員 書き方としては、「統合と同様の効果を持つものとして次の課題がある」として、両方に共通する課題を簡単に書くか。強いて言うと、国立病院機構、労働者健康福祉機構というか、国立病院と労災病院それぞれ課題があるが、両方に共通したようなことを。いま岩村先生がおっしゃったように、統合と同じような効果を現す、あるいはそれに当たってどうするのだ、ということを言いたいわけですよね。その言いたいことが、12頁以降はある意味で違ってしまっているわけです。労災病院のことだけを言っているわけだから。
○工藤委員 渡辺委員が文章論を言うのは簡単だと思いますけれども、いまおっしゃったように「目指していくに当たり」の以下に、両法人の必要な課題をサラッと書いて、それで行改えをして、「特に労災病院については以下のとおり」ということで限定するのなら、それはそれでよろしいのではないかと思います。
○高橋委員 先ほど岩村委員からご指摘を受けましたが、確かに11頁の(5)の○の3つ目に、メンタルヘルス、過労死予防、就業と治療の両立支援など、という課題は出ますので、ここで書いてあればそれ以外のところは「等とか」ということで引っくるめて表現するということでいいと思います。
○相川座長 よろしいですか。
○高橋委員 はい。ただ、ここに「特にメンタルヘルス」、いきなり「過労死」というように、死ぬことの予防ということになりますので、そこの前に「メンタルヘルス、作業関連疾患・」ぐらいの表現にしていただきますと。ここだけでほかは言及しなくても済むと思います。
○相川座長 いまのは、具体的に11頁の(5)の○の3の「メンタルヘルス、」の後に「作業関連疾患・過労死予防」ということですね。
○高橋委員 はい。
○相川座長 12頁の最初の○1のところはそのままでよろしいというご意見ですね。
○高橋委員 はい。
○相川座長 12頁の○1も、労災疾病に係る調査研究ということであって、労災病院だけを言っているわけではないと思っているのです。国立病院とも連携していろいろなことをやっていくということが後の段階ではあるのですけれども、確かに書きぶりとしては労災病院が表に非常に出ているということです。労災病院の経営改善についてと。13頁の○6に関しては、労災病院の経営改善については大きな問題であるということは、この検討会でもかなり指摘をされてきたことなのでここで取り上げたのです。
 さらに11頁の(7)ですが、ここで座長から提案なのですけれども、(7)で先ほど言いました、下から2行目の「労災病院については」というところは取るということでいきたいと思いますが、それはよろしいでしょうか。そうすると、労災病院にだけ言及しているわけではないのだと、国立病院にも労災疾病などのデータを共有するなどということがあるということで、まずそれを取らせていただくということでよろしいですか。
○岩村委員 ちょっと待ってください。データ共有等も既に(5)のところで書いてあります。先ほど意見がありましたように、同様の効果を目指していくに当たり、それで国立病院・労災病院についてこういうことが望まれるということで、先ほどの医師確保ということも含めてサラッと書いていただいて、「とりわけ労災病院については」というようにしていただいて、○1以下につなげていくほうがいいのかなと。流れとしては、特に○1以下に書いてあることは非常に労災病院に特化した話でありますので、もし直していただくならそのほうがよろしいのかという気がいたします。
 いずれにしても、国立病院機構については法人の制度設計がどうなるかといいうのはこれからの話なので、場合によってはそのこともちょっとだけ触れるということは、要するに新しい法人の制度設計における考慮事項としてちょっと書くということはあるのかもしれないのですけれども。
○相川座長 国立病院についてですね。
○岩村委員 国立病院の法人の制度設計について、将来を見越したときのことを書くことはあり得るのかもしれませんが、我々はそこまで詳しく検討したわけではないので、そこはなるべくフリーハンドで残しておいて、具体的に法人の制度設計を行うことになっているそうですから、そちらのほうで検討していただくほうが適切かと思っております。
○相川座長 「とりわけ労災病院については」と書かなくても、次から書いてあることはとりわけ労災病院について書いてあるのです。
○岩村委員 そうなのですけれども、おっしゃるその意味ではそうですが。
○渡辺委員 結論は、「その他考慮すべき事項」のときに、「法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくに当たり」というのが、その前に言っているわけでしょう。ここにも「両法人間の連携方策を強化することにより」と書いてあるのだから、要するに誤解を招くのです。統合と同じような効果を目指していくに当たってこういうことをやるよというふうに流れてくると誤解を与えるから、いま岩村委員がおっしゃったように、その他の課題としては共通課題をスラッと書いて「医師不足」とか。労災のことをまた別項目でもいいし、「とりわけ労災病院については」云々と、こういう課題があるとやったほうが素直に読めます。
○相川座長 事務局から何かご発言はありますか。まず国病のほうから。
○片岡国立病院課長 今後、法人制度を検討することになるのですが、そのときに考慮すべき事項みたいな形でおっしゃられた、人件費の話とか利益処分、経営インセンティブがちゃんと働くようにというような利益処分の在り方についてと触れた上で、労災病院の問題について続けていくのがよろしいのではないかと思います。
○相川座長 室長は何かご意見はありますか。
○宇口国立病院機構管理室長 いいえ、特にありません。
○相川座長 労災管理課長のほうはいかがでしょうか。
○木暮労災管理課長 確かに労災病院についても、医師確保などの問題もありますので、そこは国立病院側と相談して、共通なことについても書いていいのかと思っております。
○相川座長 ただいま大変貴重なご意見をいただきました。ここのところはかなり重要なところだと思います。方向性としては、あるいは我々の認識としては大きく変わっているところではありませんので、誤解を与えないようなwording、表現をもって、いままでのことを踏まえて多少修正したいと思いますが、よろしいでしょうか。その修正についてまとめたものを、委員の方々にお諮りするということで、お知らせすることは座長にお任せいただくということでよろしいでしょうか。
 (7)の13頁ぐらいまではよろしいでしょうか。○6では労災病院の経営改善についてということで、国立病院は経営改善は何もしなくてもいいのか。前のほうに、全体的に総論的には書き込んでありますのでよろしいですか。〈おわりに〉ということですが、これは我々の意見が、いろいろな所で将来的にも尊重されてほしいということ。1月20日に閣議決定が出ましたが、1月19日の分科会のことなども、途中経過についてはこの委員会である程度了解して、12月の検討会ではそれを踏まえた論点整理がなされてきたことではあると思いますが、正式な1月20日の閣議決定を踏まえて、このような〈おわりに〉という文章になっておりますが、いかがでしょうか。
○新谷委員 中身の問題ではなくて、この報告書のまとめ方というか、添付資料も含めての扱いについてです。いま資料が1、2、3とあって、参考も付けていただいているのですけれども、この〈おわりに〉のところに、いまお話のあった1月20日の閣議決定について言及されております。本日の資料1-2に両法人に関する基本方針についての抜き書きがありますので、これをこの報告書の資料として添付していただけると、この論議に参画していない方も一気通貫で、いろいろな資料がよくわかるのではないかと思います。資料1-2を本報告の追加資料として収録してはどうかという提案です。
○相川座長 参考資料として入れますか、それとも資料4として入れますか。
○片岡国立病院課長 参考資料で。
○相川座長 参考資料ということで、読んだ方がよくわかるようにということですね。貴重なご意見をありがとうございました。
○渡辺委員 質問です。「閣議決定」にあって、〈おわりに〉にもあるのですが、「医療法の体系も踏まえ」というのは、政策医療をやるという意味なのですか、これはどういう意味なのですか。国が適切に関与しつつのところと、閣議決定にも同じ文章があります。
○片岡国立病院課長 明確にはお答えできないのですが、基本的には医療計画ですとか、国の医療計画を作るための基本指針もあります。その中で国あるいは都道府県の役割が書かれておりますので、そういう医療政策全般の中での体系をも踏まえながら検討しましょうということで、明確に何かというわけではないと理解しております。
○渡辺委員 閣議決定がそうなっていないと、これは文章の問題だから。いま課長がおっしゃったことの言葉尻を捉えるわけではないのですが、それだったら「医療法の趣旨」でいいわけであって、「医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ」やるのだよというのはどうも引っかかるのです。医療法の体系を踏まえというのが。閣議決定は自由だけれども、我々の報告書として同じ言葉を使わざるを得ないのはわかるのだけれども、何を意味するのかと聞かれたときに、委員が答えられないのでは困るのです。
○片岡国立病院課長 非常に長い文章になっているのでということですけれども、閣議決定の中にも「医療法の体系を踏まえ」ということが書いてあるものですから、その部分を踏まえて書かれたものです。閣議決定の中の抜粋、資料1-2のところですが、その文章の一部をこの中に書き込んでいます。
○岩村委員 たぶん医療計画の中に、いまはがんの対策とか何だとかを、都道府県の医療計画の中で書き込むようになっている。病院の種類として地域の拠点病院であるとか何とかがある。おそらくそういうのを念頭に置いてなのかなと、私もかかわっていませんのでなんともわかりませんが、「体系を踏まえて」というとそういう感じかと思います。
○渡辺委員 政策医療も入るのでしょうか。
○岩村委員 これは「政策医療等について」ということですから。
○渡辺委員 「等について」。
○岩村委員 「等について確実に実施する」というのがたぶん。これはすごく長い文章なので読みにくいのですが、そういうつながりなのかと思います。
○相川座長 閣議決定のところで、労災についても国立病院機構についても、それぞれ○の2で「医療法の体系も踏まえ、国が適切に関与しつつ」と。こういう閣議決定がなされているということも考慮して、ここに書き込んだということです。
○岩村委員 逆に言うと、医療法の体系を踏まえないのはないのだよということですね。よくわかりませんが、国立病院だからといって、医療法の体系を踏まえないですということにはなりませんねということなのかという気もします。これは、全くの想像です。
○相川座長 最初、先ほどご提案のあった資料1-2を参考資料として付けないということもあったものですから、閣議決定の中の一部をここに書き込んだということもあるわけです。参考資料に付けると二重に言うことにもなりますが参考資料ですから、参考資料として付ければ、「医療法の体系も含め、国が適切に関与し」というのは、閣議決定でそのようになされているのだということで、わかっていただけるのかと思うのです。
○渡辺委員 それはよくわかるのですが、委員として聞かれたときに答えられるものをというだけの話です。後でいいですから教えてください。
○宇口国立病院機構管理室長 先ほど新谷先生からご指摘のありました、当方から(資料1)で付けさせていただいている国立病院全体の資料ですが、労災管理課のほうが19頁から同じように付けています。端的に言うと、様式を労災のほうと合わせた形に変更させていただくということ。それから先ほどお話したみたいに「※」のところで「○」とか「◎」を、こういうことでやるということの説明書きを注記させていただきます。
 それから、国立病院のほうが最初は重症心身障害から結核までの3つの区分については、本検討会4回目の資料を作った時点で、平成21年度の患者データ、入院患者の実績がある病院に○を付しています。この3行まではです。そこからがん拠点まで、心身喪失者等医療観察法の部分からがん診療拠点までは、労災のほうできれいに書いていただいております。19頁を見ていただくとわかりますように、地域・自治体がこういう何とか拠点とか、何とか病院を指定していただいている病院が、ここのところで○、かつその拠点とかそういう形で指定されている所が◎になっていてこれは混ざっていますので、そこも含めて、見出しも含めてきちんと訂正させていただいて、資料として使わせていただく形にしたいと思いますので、よろしいでしょうか。
○相川座長 よろしいでしょうか、そういうことで○についてもその定義について◎とか。
○宇口国立病院機構管理室長 不親切な資料になってしまって申し訳ありませんでした。
○相川座長 (資料1)と(資料2)も、用語が少し違っているとか、救急とか、救命救急センターとか、その辺のところももう一度整理するということで、委員の方にお回しするということでよろしいでしょうか。時間も迫ってきましたが、全体を見ていかがでしょうか。
○新谷委員 これまでの論議を踏まえてまとめていただきましてありがとうございました。今後の取扱いについては座長に一任申し上げます。お聞きしたいのは、この報告書をまとめた後の動きなのです。この報告書において、両法人の病院のネットワークが連携をより強化していくというのが今後いちばんの核だと思うのです。その具体的なアクションとして、両病院の統合に近い形のメリットを出していくというアクションはどのようにされていくのかを教えてください。
○相川座長 事務局からお願いいたします。
○宇口国立病院機構管理室長 連携については2月中にはというか、2月上旬に国立病院課、労災管理課の担当官も入りますが、両法人の総務部のしかるべき担当者が集まって共同入札とか、データの共同についてとか、システムの共同利用についてというのは、直ちに着手する予定です。その辺はご報告の機会がありましたらお知らせいたします。具体的に言うと2月2日ぐらいに関係者で集まれないかという議論はしていますが、まだ固まってはいません。
○相川座長 労災管理課長はよろしいですか。
○木暮労災管理課長 いずれにいたしましても、両機構が定期的に集まって、具体的な連携の実を進めていくという形で、すぐ実行に移すということです。
○新谷委員 わかりました。是非その方向で進めていただきたいと思います。報告書をまとめただけではなくて、その実を上げていくのが大事だと思っております。その際に、私どもの組織内部で聞かれたときに、この検討会自体もなくなりますので、これはどういう形で成果を生んだのだということが、その連携の強化をどのように評価していくのかというところも教えてください。
○相川座長 その点について厚労省はいかがですか。
○片岡国立病院課長 評価というか、いまでも診療連携等については、それぞれの法人で年度実績に記載して、評価委員会へ提出して評価をしていただいております。いまは診療連携だけを記載しておりますが、今後は共同購入とか、そういう管理部門についても、共同でいろいろ連携を図っていくことになっておりますので、そういうことも実績の中で書いて、それで対外的にもオープンになりますし、評価委員会での評価も受けていく形になろうかと思います。機会がありましたら、それ以外の所でも、説明していきたいと思います。
○相川座長 そのほかに、報告書全体についていかがでしょうか。
○高橋委員 大変細かいことなのですけれども、「メンタルヘルス」という言葉がいっぱい出てきます。一部には「メンタルヘルス不調」というのが出てきます。「メンタルヘルス」と「メンタルヘルス不調」か「不全」でもいいのですけれども、それと「メンタルヘルスケア」という実際のサービスという意味ですが、これは使い分けたほうがいいような気がするのですが、これは事務局にお任せいたします。
○相川座長 そうですね。本日は大変貴重なご意見をいただきました。一部修正ということもあり、委員それぞれから詳しいご発言をいただきましたので、wording等も含め、恐縮ではありますけれども座長に一任させていただいて、本日のご意見を反映した形での報告書の最終的なものを作り上げ、皆さんにお回しすることにさせていただきます。そのようなことでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○相川座長 事務局のほうから何かありますか。検討会は本日が最後ですので、大谷医政局長並びに金子労働基準局長から一言お願いできますか。
○大谷医政局長 一言ご挨拶を申し上げます。医政局長の大谷です。この検討会の終了に当たり御礼を申し上げます。相川座長をはじめ、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中を昨年4月から8回にわたってご熱心にご議論いただきました。誠にありがとうございました。本報告書において、「両法人を直ちに統合することは困難であるため、まずは両法人間の連携方策をより強化することにより、法人統合を行う場合と同様の効果を目指していくことが適当である」との提言をいただきました。このご提言を踏まえ、先ほどご質問がありましたけれども、まずは医薬品や医療機器等の共同購入など、こういう実務についても早々に検討を始める体制をつくってまいります。両法人間の連携方策の強化に、早速取り組んでまいりたいと考えます。
 また、将来の統合も視野に入れた、両法人の在り方について、社会情勢の変化、医療ニーズの変化等を踏まえ、引き続き検討してまいります。
 さらに、先ほど資料ということでお話がありましたが、1月20日の閣議決定において、国立病院機構及び労働者健康福祉機構は、平成26年4月に独立行政法人とは異なる新たな固有の根拠法に基づく法人に移行することとされました。今後、具体的な制度設計に当たっては、閣議決定、それからこの検討会の報告書の趣旨を十分に踏まえて検討を進めたいと思います。
 改めまして、委員の皆様方に対しまして、ご熱心なご議論に感謝申し上げますとともに、今後とも国立病院機構、あるいは医療政策についてご助言・ご支援を賜りますよう御願い申し上げます。医政局の代表として一言御礼を申し上げます。ありがとうございました。
○金子労働基準局長 労働基準局長の金子です。この間ご熱心にご議論いただきましてありがとうございました。先ほど新谷委員からもお話がありましたけれども、連携方策の強化の実を上げていくことがまず大事だろうと思いますので、このことに意を注ぎ、努力してまいりたいと思っております。
 またこの間、労災病院の政策医療の強化や、経営の改善について縷々ご指摘もいただきました。なかんずく大変累積欠損金が多い状況にあるとか、厚生年金基金の問題もあります。こうした点については私どもとしても、法人に対して適切に指導いたしまして、できるだけ早くその改善をできるように努力をしていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○相川座長 ありがとうございました。委員の皆様には大変お忙しい中、昨年4月から8回の検討会において、多岐にわたり大変貴重なご意見をいただきました。誠にありがとうございました。お蔭で私の座長もなんとか役が務まりましたけれども、これも委員の方々のご協力によるものだと思って深く感謝申し上げます。それでは、本検討会をこれで終了いたします。ご協力誠にありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局国立病院課国立病院機構管理室
 運営管理係 尾崎・荒井(内線2635)
労働基準局労災補償部労災管理課
 企画調整係 飯田・松本(内線5437)
(代表)03(5253)1111

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