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2012年3月12日 第2回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成24年3月12日(月)15時00分から


○場所

厚生労働省中央合同庁舎第5号館専用第23会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員<五十音順、敬称略>

井伊 久美子 (社団法人日本看護協会 常任理事)
今野 浩一郎 (学習院大学経済学部経営学科 教授)
今村 聡 (社団法人日本医師会 常任理事)
岩崎 明夫 (ソニー株式会社人事部門産業保健部 産業医)
門山 茂 (東京労災病院勤労者予防医療センター 副部長)
砂原 和仁 (東京海上日動メディカルサービス株式会社 健康プロモーション事業部 部長)
本田 麻由美 (読売新聞東京本社社会保障部 記者)

参考人

桜井 なおみ (特定非営利活動法人HOPEプロジェクト理事長)

事務局

鈴木 幸雄 (労災補償部長)
木暮 康二 (労災管理課長)
小澤 龍二 (調査官)
飯田 剛 (労災管理課長補佐)
松本 篤人 (労災管理課企画調整係長)
改田 良秋 (労働条件政策課課長補佐)
木内 哲平 (安全衛生部労働衛生課中央労働衛生専門官)

○議題

(1)がんに関する治療と職業生活の両立等の支援について(有識者よりヒアリング)
(2)その他

○議事

○今野座長 ただいまから「第2回 治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会」を開催いたします。本日は塩山委員がご欠席です。
 本日の議題に入る前に、前回の検討会で委員の皆さんからいただいた宿題がありますので、事務局からその回答をしていただいて、それについてまず議論したいと思います。
○労災管理課企画調整係長 資料1で、前回、委員の皆様からいただきました宿題事項に対する回答をさせていただきます。
 まず1頁をご覧ください。前回、今村委員から、中高年縦断調査で54歳から63歳における仕事をしていない方のうちの仕事をしたい方の割合に関するデータについて、その他の年齢階級のデータはないかということでした。全く同じアンケート調査はないのですが、総務省で行っております労働力調査から、年齢階級別の数値を集計しました。別の調査なので、同じ50代から60代にかけての数値も、前回出した調査とは数字が異なってしまいますが、推計という形で、20代から30代にかけて仕事をしたい方が多く、だんだんまた少なくなっていく形のデータになっています。
 2頁をご覧ください。前回、私どもで患者調査と労働力調査を掛け合わせて出した主な産業関連疾患にかかっている労働者の総数のデータを出させていただいたのですが、岩崎委員から、循環器疾患の部分に高血圧と心臓疾患が混ざっているので、心臓疾患だけのデータを出せないかということでした。資料の水色の部分が心臓疾患のデータです。循環器疾患のほとんどは単純高血圧ですので、少ない部分が心臓疾患で、残った部分が高血圧です。
 3頁をご覧ください。こちらも今村委員からですが、私どもが平成22年度から行っている委託調査の研究にかかる予算額と、この新システムが動くとするとどれぐらいの額になるのかというご質問をいただきました。平成23年度予算額のベースでお答えさせていただきます。まず、人件費予算額はコーディネーターに対する謝金や旅費で4,400万円ぐらいになっています。これは、看護師や社労士がコーディネーター業をやるというだけの人件費ではなく、事務局の方が報告書を作成したり検討会を行うためのお金も混ざっていますので、これを調査の対象者である60労働者で単純に割ってしまいますと、1労働者あたり74万円という大きな額になってしまいますが、実際にはそのような額にはならないと思われます。また、1年間で15労働者の経過を見るという形にしていますので、本来であれば年度単位のコーディネーター業にはならないので、もっと多くの人員の方に支援ができると思います。実際の額が出せなくて恐縮なのですが、一応、単純計算した額ということで、このような形で回答させていただきます。
 そのほか、井伊委員から、ウイルス肝炎対策に関するもので、健康局長、安定局長、基準局長の3局長連名通知を受けた企業の取組状況についてのデータはないかということでしたが、申し訳ありませんが、これに関するデータはありません。いまのところ通知だけを受けた取組状況を把握する予定はないのですが、今後こういったデータがありましたら、何かの機会を通じてご連絡させていただきたいとは思います。
 次に、本田委員からいただいたご質問で、中高年縦断調査は正規・非正規の区別等がされているのかということでした。こちらは、その時点で仕事をされていない方も含めた無作為抽出の男女を取っていますので、そういった区別はなされていません。
 最後に、今野委員からいただいたご質問です。前回、疾患別の企業の取組状況についてのアンケート調査を何点が出させていただきましたが、企業の観点からすると、そういった病気別の取組みはまずないということで、疾患別ではなく疾患全体に対する企業の取組みのデータはないのかということでした。改めて探したのですけれども、申し訳ありませんが、そのようなデータは見つかりませんでした。
 以上、事務局から、前回いただいたご指摘事項への回答とさせていただきます。
○今野座長 何かご質問、ご意見ございますか。よろしいでしょうか。
○今村委員 感想でもいいでしょうか。最初の、「年齢階級別にみた仕事をしていない人に占める就業希望者の割合」についてです。調査していただきましてありがとうございました。これを見てちょっとびっくりしたのは、65歳以上の方はほとんど働く気がないということと、もう1つ衝撃的なのは、働き盛りの25~50歳ぐらいの方の半分は、働かないと言っているという理解でよろしいのですか。働きたいけれど働けない方が青い部分の人たちで、赤い部分の人はそもそも働く気がないと言っているのですか。
○労災管理課企画調整係長 「非労働力人口」ということで、学生や専業主婦に入っている方も合わせて赤の部分に入ってくるデータになります。どうしてもちょっと、そこの赤いところが。
○今村委員 では、もう全く意味がわからないわけですね、これは。
○労災管理課企画調整係長 この前のように、特定の人に対してのアンケート調査で、「働きたいですか」ということを主観に置いたデータではないので、データは前とだいぶ変わってしまうのですけれども。単純すぎて申し訳ないのですが、今回こういった形でデータを出させていただきました。
○今村委員 では、あまりここから何か言わないほうがいいということですね。
○労災管理課企画調整係長 そうですね。
○今村委員 わかりました。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。宿題の半分ぐらいは回答がないのですが、いいですね。たぶん、なかなかデータはないということですね。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。今日は有識者からのヒアリングをしようということです。お手元の議事次第の(1)です。今日はお二人の有識者の方にお話をいただきます。一人は本委員会の委員である門山さんから、もう一人はNPO法人HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみさんからお話をいただきます。進め方としては、最初に門山さんからお話をいただいて、議論させていただきます。そこで一区切りつけまして、その後に桜井さんからお話をいただいて議論する。そのような段取りで進めたいと思います。
 まず、門山委員からお願いいたします。
○門山委員 東京労災病院の門山です。私自身は大学を卒業してからずっと東京労災や地方の公立病院で勤務医をしておりました。脳外科が専門で、その中でも脳血管内治療とカテーテル治療が専門です。脳卒中が主な対象なので、がんとはあまり関係ないのですが、今回このような委員に選ばれました。effort 30%ということで、機構の13分野研究の中の一部として行っています。
                (スライド開始)
 この研究には、8つの労災病院のほか、横浜市立大学、生物統計を扱う立命館大学、元労災病院について、その後ほかの市民病院に移った先生にもご協力していただいています。さらに、アドバイザーとして産業医の先生、労務担当者、がん患者団体、がん経験者、この方はマスコミの方ですが、そういう方にも入っていただいてアドバイスを得ています。
 研究の名称は「勤労者の罹患率の高い疾患の治療と職業の両立支援」で、その中のがん分野です。実態の把握としてアンケート調査をやる。アンケートの対象は企業、主治医、産業医、がん罹患勤労者で、この横断研究と縦断研究です。また、来年度から介入試験を始めていこうというものです。今日お話できるものは、いままでにある程度整理がつきました横断研究のところまでです。
 企業へのアンケートですが、これは特任ディレクターである嶋田先生から既に文書で発表されています。方法としては、NPO法人に依頼して、主に関東、北海道の企業を中心に訪問等による調査を行いました。訪問した企業数は1,380、そのうち回答していただいたのは219事業所(16%)です。従業員バランスでは、300名未満が75%とほとんどを占めています。50名以上の企業規模で産業医又はそれに準ずる者の配置がある事業所は61%。回答してくださった方は、人事(労務・総務)関係の方が47%、経営者が23%です。
 私疾病の患者さんに対して、病気休暇等を設定していますか、その期間はどれぐらいですかという問いに対しては、3割ちょっとしか設定はないということでした。休暇期間の平均に意味があるかどうかわかりませんが、5.9カ月です。
 同じように、私疾病休職者に対して、会社又は保健組合・共済会などを通して、給料保障となるような見舞金を支払う仕組みはありますかというのも、30%ぐらいが「あり」ということでした。
 また、私疾病で休職を希望した従業員に対して短時間勤務やパート社員への異動、退職後の再雇用など柔軟な雇用体制、柔軟な雇用体制はこれだけではないと思いますが、そのような勤務を提示していると言っている所は35企業、22%でした。
 産業医やそれに準ずる者が、私疾病やがんになった患者などが復帰する場合に、その従業員の上司に対して病気に対する配慮をするように指導していますかという問いに対して、「はい」は15%ぐらいで、「いいえ」が半分、「無回答」が34%です。
 「がん罹患勤労者でも長期生存することが可能となってきていますが、今後、私疾病やがん罹患勤労者でもその回復度に応じて柔軟な労働環境を整えることが将来的にも重要な問題となると思われますか?」という、誘導尋問のような問いに対して、「社会全体として」は「思う」というのがさすがに46%ですが、「貴社の将来として」となると少し下がってしまう。「わからない」が過半数を占めています。
 「このような取組みの義務化は必要だと思うか」に対しては、「思う」が28%、「思わない」が21%、「わからない」がやはり半数です。いまだこういった問題に対して企業の方々は、あまり問題意識を持っていないというのが実情ではないかと思っています。
 産業医のアンケートです。これは全国8カ所の産業保健推進センターにて行われた産業医講習会受講者100名に対して施行しました。実際に産業医活動に携わったことのある人73人を有効回答としています。このうち、専属の産業医が21人、嘱託が52人です。事業所の規模では、「50人未満」が1人、「50~500人」が27人といちばん多い。「無回答」が30人というのは、わからなかったのかどうかちょっとわかりません。「1年間に病気により休業する従業員数」では、「わからない」がいちばん多い。これはおそらく、嘱託の産業医の先生が多かったせいだろうと思っています。
 主治医へのアンケートです。脊損センターなどを除いて、全国の労災病院32施設、315名の医師、主に内科・外科医師を対象として行いました。回答施設は30施設。220名(70%)の先生方に回答をいただいています。内訳は、消化器内科81人、消化器外科77人、乳線外科20人、その他48人、平均年齢42.8歳です。
 「復職に関して相談を受けたことがあるか」です。臨床をやっていると主治医は聞かれることのほうが圧倒的に多いと思いますが、「はい」が75%です。産業医の先生はむしろあまりそういったことを聞かれたことはないということでしょうか、58%で、逆に主治医よりも下がってしまっている状況です。
 「患者さんの了解のもとに復職に関して、個人情報を企業側に伝えるときに、最高どの程度まで伝えるべきと考えますか」について、1)は、がんの病名は伝えず、病状、治療の内容、副作用など労働条件を設定するときに最低限なものを伝える。いわゆる安全配慮義務に関するものを伝える。2)は、「がん」の病名や「ステージ」、その他治療予定など労働条件を設定するときに必要なものをすべて伝えたほうがいいというものです。3)が、その他、Case by caseです。これは産業医、主治医ともに、病名を含めてオープンにしたほうがいいと考える先生が6割ぐらいいらっしゃるということです。
 がん患者について、産業医と主治医との情報交換はあまり行われていません。さすがに、産業医から主治医への相談は4割ぐらいありますけれども、逆に主治医から産業医へ情報提供をしたというのは、おそらく診断書の形で提出しているのではないかと思いますけれども、4%ぐらいになっています。
 主治医・産業医のアンケートからですが、過半数の主治医/産業医は復職に対してがん患者から相談を受けています。また、復職にあたっての柔軟な作業/職場環境の整備には事業所側へ「がん」の病名を含めた情報の提供が必要と考えていました。産業医から主治医への情報提供の依頼は4割程度あります。ただし、主治医が産業医へ情報提供した割合は4%と低く、両者の情報の共有は少ないものでした。
 次は患者さんへのアンケート調査です。縦断研究はまだ進行中なので入っていません。横断研究の一部をお話します。目的は、がん経験者の就労状態と復職阻害因子をアンケート調査で明らかにすることです。対象となったがん種は、乳がん、大腸がん、肝がんです。発症時は70歳以下で仕事をしていた人。主婦を入れて対象としました。過去5年間に主たる治療が行われている者で、本人の承諾が得られたものです。各がん種にて実情に合わせ適格条件を若干変更しています。
 がん罹患勤労者へのアンケートです。医学的な背景調査は、医師が記載するもので、Stageや術式などの医学的背景です。就労状況、社会的背景などは、聞き取り調査員によります。この人たちには後にコーディネーターという役割を担ってもらおうと思って、こういうことを行っているわけです。質問数は大項目で41項目です。既存のQOL尺度として、EQ-5D、FACT、HADS、Utrecht Work Engagement Scale、Work Ability Indexを行っています。
 目標は300例だったのですが、300例を登録できたのは乳がんだけで、大腸がんは174人、肝がんは85人です。性別は、乳がんに1人、実は男性がいました。大腸がんは男性が65%。肝がんは男性が82%です。
 がん罹患勤労者アンケートの各がん種ごとの平均発症年齢です。乳がんはご存じのとおり発症年齢が早いので、40~50歳代にピークがありますが、大腸がん、肝がんは右肩上がりになっています。平均発症年齢も、乳がんは50.9歳、大腸がん60歳、肝がん59.8歳で、これは統計学的に有意差がありました。
 アンケートを行った時期は、乳がんは1年目、2年目、3年目、4年目、5年目と、大体平均しているのですけれども、大腸がん、肝がんはやはり下がってくるのです。これは、1つは5年生存率がきいてきているのかもしれませんし、大腸がん、肝がんは地域連携パス、乳がんにももちろんありますが、そういうもので労災病院に来なくなって下がってきている可能性はあるかもしれません。
 各がん種のステージごとの就労率です。調査時の離職率と発症時のステージとの明らかな相関関係はありませんでした。極端な話、肝がんはステージ?でも、これは赤の部分が仕事をしていない人ですから、ステージのいいほうで仕事をしていない人が多いような形になっています。これはがんになった人のサバイバーですから、初診時にステージ?でも、調査時にまだいらっしゃる方で多くなるということです。どのような解釈をするのがいいのかは、いろいろな因子が入っていますので非常に難しいと思います。
 聞き取り調査時に仕事をしていた比率は、乳がん患者さんでは、他のがん種に比べて有位差をもって就労者が多かった。このアンケート調査は主婦を除いていますけれども、働いてきた人が聞き取り調査時にどの程度働いているかを見ているわけで、乳がんなどは88%、9割近くが働いている。大腸がんでは76%、肝がんでは64%ということです。おそらく、肝がんなどだと、肝硬変辺りのところでかなり落ちてきているのではないかと思います。
 聞き取り調査時までの平均在職年数では、どの程度勤めていたかを見ています。乳がんが13年、大腸がん、肝がんの20年ちょっとに比べると有意差がありました。
 勤務形態と離職率の関係です。パート・アルバイトでは離職率が高く、自営業、契約・派遣雇用では離職率が低い傾向が認められましたが、統計学的な有位差は出ませんでした。
 職場での相談というのは、「職場で自分ががんだということを話して相談しましたか」という質問です。乳がんでは過半数の人が相談しています。大腸がん、肝がんでは過半数とまではいかない。産業医、産業保健師に相談というのがこの程度で非常に少ないです。赤い部分が仕事をしていないことになりますが、大腸がんでは、相談した人で仕事をしていない人の割合が有意に下がってくる傾向にあります。ですから、相談すると仕事をしている。相談しなかった人では離職した人たちが多くなる。この傾向は、乳がんでは別なのですが、大腸がんでは有意差がありました。大腸がんの中でも、女性の方は上司に相談するパターンが多い傾向にあります。
 学歴です。これを見ると、高卒・専門学校卒では大学卒に比較して仕事をしていない割合が高い傾向が見られたが、有意差は見られなかった。乳がんなどは有意差があるかと思ったのですが、p値を見ると0.052で有意差に達していません。こういった社会的な低学歴というのは、ほかの先行研究でも離職しがちだということを言われていますけれども、今回の調査では、そういう傾向はありましたけれども、統計学的有意差まではいかなかったということです。
 元の仕事を辞めた理由です。「自分で辞めた」というのがほとんどですけれども、「辞めるようにいわれた」という方も15%程度いらっしゃいました。
 元の仕事を辞めたり、会社や職場を変えたその後ですが、過半数の人は転職や配置換えなどで仕事を継続していました。ただ、肝がんでは働いていない人が40%いました。
 これは、聞き取り調査時に「仕事をしている」を説明変数にした多変量解析です。乳がんでは持ち家がある人で「仕事をしている」人は0.05以下になりますが、配遇者の有無、扶養家族の有無、世帯収入の有無は、「仕事をしている」という変数に影響を与えなかったということです。
 これは、先ほどお話しました、既存の尺度です。いろいろな尺度がありますが、乳がんではWork Ability Index、大腸がんではFACT、HADSのDEPRESSIONなどで有意差は出ましたけれども、一定の傾向が見られたわけではなく、「仕事をしている」に特有な既存の尺度は見いだせませんでした。
 横断研究における各がん種の特徴です。乳がんは発症年齢も若く、予後も良いことから約9割が仕事をしていました。スライドにはありませんでしたが、大腸がんの人工肛門増設群の就労状況では、がん治療直後には仕事をした人が73.3%いましたけれど、聞き取り調査時では52.6%に減ってしまっています。全体のこの時期の就労状況は76%でした。肝細胞癌は、発癌患者の9割がB型及びC型肝炎の罹患者であり、8割が発症時肝硬変を合併しているという特殊な背景を持ちます。そのため、stage?でも離職率が高い傾向が強く、stage?において特に積極的な介入が必要であろうと思われます。
 がん罹患勤労者の職場復帰の問題点です。長く生きることが可能になっただけに、長期にわたる医療とそれに伴う高額な医療費が発生するということです。また、大企業や公的機関と中小企業での格差があります。やはり、大企業では自助努力で配置換えなどで就労を続けることが可能ですけれども、中小企業になると受けられる合理的配慮に格差がある。それから、社会的な弱者、月収レベルなどが低い人たちは、どうしても仕事の継続で不利になる傾向があるのではないかと思われます。
 情報の共有に関してです。患者、医療者、事業所の三者で、安全配慮義務と個人情報保護に配慮した情報の共有が必要だと思われます。利用できる社会福祉制度(傷病休暇制度、傷病手当金、高額医療費制度など)を積極的に伝えることが必要であり、これらの情報を調整するコーディネーターが必要だと思われます。
 それから、社会的資源として候補に挙げられるものとしては、地域産業保健推進センターや、8万人いると言われている産業医、ハローワークなどの活用が挙げられると思います。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問をお願いいたします。
○今村委員 9頁の産業医と主治医のアンケートで、「復職に関して相談を受けたことがあるか」というところです。相談を、受けた人は産業医や主治医だというのはわかるのですが、この相談をした方は患者さんご本人なのか、職場のどなたかなのでしょうか。
○門山委員 それはちょっとわからないです。ここには出てこないです。主治医や産業医の先生に「受けたことがありますか」という質問をしているので、その内訳は誰か、患者さんなのか、その患者さんのご家族なのかははっきりわからないです。
○今村委員 それと関連して、11頁の医師同士の連携のところです。これも大変大きな課題だと思っています。産業医の先生は自分の職場で働いている方だから、その方の情報提供が欲しいと出すのはよくわかるのです。でも、臨床の先生が自ら産業医と連携を取ろうというのは、そういうのは望ましいとは思うけれども、現状としてなかなかそういうことは発想にないのではないかと思うのです。この辺は、情報提供を求められたケースで出しているのか、自発的に出しているのかというのは、これだけだとわからない。これもわからないのですか。
○門山委員 わからないですね。ただ、私の印象では、いままで自分から出すということはあまりなくて、やはり患者さんから、産業医宛ての紹介状を書いてくれというようなことが多いのではないでしょうか。
○今村委員 そうだとすると、nが違うので何とも言えませんが、この右左の割合が極端に違いますね。
○門山委員 そうですね。
○今村委員 つまり、産業医から求めているのに、求められたほうは求められたと思っていないというか、出していないというふうに見えてしまうのです。
○門山委員 そうですね。それはどうでしょうか。
○今野座長 産業医に比べて主治医の人数が大変多ければ、こういう結果にならないですね。
○今村委員 3倍ぐらいですから、そういう感じですかね。わかりました。これだけでは細かいことはわからないということで。ありがとうございます。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○井伊委員 5頁の、産業医やそれに準ずる者が、患者さんの復帰の場合に配慮するように指導しているかいないかというのは、ここで「いいえ」がこんなに多いのは、キャッチしていないから指導していないという理解をすればよろしいのでしょうか。
○門山委員 キャッチしていないとは、質問を受けていないということですか。
○井伊委員 要するに、患者さんが復帰することを知っていれば、当然何らかの指導をして然るべきなのではないかなと思ったので、この「指導をしていますか」の質問に「いいえ」が随分多いなと思ったのです。こんなに多いのは、復帰してくることをキャッチする仕組みがないから「いいえ」になるのか、理由がわからないのです。
○門山委員 ご質問の内容はわかりました。これ以上のことは想像になってしまうので解釈しかないのですけれども、たぶん、直接の上司とかには相談しているのではないでしょうか。ただ、労務担当の者や経営者とかが回答しているので、その辺は私の想像ですけれども、回答者はわからない、ということになってしまうのではないでしょうか。
○井伊委員 仕組みがいまないので、こういう結果になるということですね、たぶん。
○門山委員 そうだと思います。
○井伊委員 ありがとうございます。
○岩崎委員 7頁の産業医のアンケート調査で、専属産業医ないしは嘱託産業医というカテゴリーや、事業所の規模で属性が分かれますが、その後の9頁、10頁、11頁のアンケート項目では、属性ごとの傾向の違いはありますか。
○門山委員 これは、実はいま現在ではないのですね。やったことがありますかということなのです。それと、専属の先生が21人だったので、nがすごく小さくなってしまうのです。そうすると、やってはいないのですけれども、出してもおそらくp値は出ないと思うので、見ていません。以前も指摘されたのですけれども、やっていませんでした。すみません。
○岩崎委員 よくほかの調査でも、専属や嘱託、企業規模で回答内容がだいぶ違いますので。
○門山委員 違いますよね。おそらく、月に1回行っている産業医の先生に、自分の復職に関して相談したりなどはしないのではないですか。
○岩崎委員 そうですね。逆に、先行的におやりになっている企業だと、そういう事例はあるだろうということも。
○門山委員 大企業で専属の産業医の先生がいれば、そういうシステムもでき上がっているでしょうし、身近にいればそういった相談もあり得るだろうと思います。月に1回バイトで嘱託の産業医の先生が行っているような所では、たぶんそういうことは行われていないのではないかと思います。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○桜井参考人 私のプレゼンテーションの中で、いまのことに対する答えになれるような部分もあるのかなと思っていますので。
○今野座長 答えは言わないで、こちらの資料の範囲内で何か質問がありますか。
 では、私から。就労していてがんになったときに、ずっと継続して働く人と辞める人がいるわけですけれども、辞める人の比率はどこを見ればいいのですか。お聞きしていてわからなかったのです。
○門山委員 19頁のがん種別で、「聞き取り調査時に仕事をしていた比率」というものです。
○今野座長 これは聞き取り調査時点ですね。
○門山委員 そうです。アンケートの聞き取り調査時点で過去5年の間ですから、その分布は、先ほどお見せしたように、乳がんはバラバラとありますけれども、大腸がん、肝がんは5年の間に減っていく形になるのです。
○今野座長 19頁は、聞き取り調査時点で仕事をしているか否かですね。
○門山委員 そうです。
○今野座長 この人たちが、がんになったとき働いていた状態で。
○門山委員 対象が勤労者ですから。
○今野座長 これは全部勤労者ですか、がんになったときは。
○門山委員 そうです。ただ、乳がんの場合は2割程度主婦が混ざっています。
○今野座長 そうすると、がんになったとき2割の人は働いていないのですか。いただいた資料の13頁に対象者の属性が書いてあるのですが、がんになったときに働いていた人というのが書いていなかったので。本当だ、「仕事をしていた(主婦を含む)」。この主婦を含むというのは、主婦でも働いていたということですか。
○門山委員 この辺は、アンケート調査を作るときに、主婦を勤労者でないとしてしまうと問題があるのではないかということで主婦を入れているのです。
○今野座長 主婦でも働いている人もいらっしゃいますから。
○門山委員 これは専業主婦です。
○今野座長 専業主婦で働いていない人ですか。
○門山委員 はい。そういう意味で、もし専業主婦を働いていない人ととるのでしたら、そういうことです。ただ、19頁は主婦を除いたデータです。
○今野座長 ということは、19頁のデータは主婦を除いているから、乳がんの場合、12%の人はがんになってから辞めた人、働かないという状態になった人ですね。
○門山委員 その時点で働いていない。
○今野座長 がんになったときは働いていて。
○門山委員 はい。この後に働いたかもしれないです。これはアンケート調査時に働いていたかどうかを聞いているだけであって。
○今野座長 それで結構なのです。わかりました。
○今村委員 これは、働いている方たちというのは、あくまで仕事に就いているかどうかを聞いているだけで、がんになる前に勤めていた所にそのまま勤めているかどうかは全く関係ないのですね。
○門山委員 そうです。この項目の後のアンケート調査では、「前と同じ職場ですか、そうではないですか」というのが出てくるのです。
○今村委員 それは何頁ですか。
○門山委員 それはまだここには出ていません。
○今村委員 そうすると、例えば乳がんの88%でも、同じ職場に復帰できた方と、一旦は自分で辞めてどこかに新しい勤め先を見つけて勤めている人も、一緒にここに入っているということですか。
○門山委員 そうです。要するに、仕事をしている人です。25頁ですが、元の仕事を辞めた後でも職場が変わったり、ほかの職に結構就いているのだなと思います。ですから、転職した人も多いといえば多いかもしれません。転職や配置転換になった人です。
○本田委員 同じ質問です。例えば、25頁の乳がんを19頁と比べると、「会社や職場を変えた」という人が184人いらっしゃるということですね。
○門山委員 はい。
○本田委員 この241から184を引いた人数が、ずっと変わらずにそこに勤めていることになるのですか。
○門山委員 ただ、ここの乳がんの中には専業主婦も入れているのです。その辺がごっちゃになってしまっているので、もう1回データの整理をし直さなくてはいけないです。
○岩崎委員 全体の元のnは300でいいのですか。
○門山委員 そうです。
○今野座長 全体は300ですね。だから25頁は、がんになったときは働いていたけれど現在は専業主婦ですという人もあり得るのですね。
○門山委員 そうです。
○今野座長 でも19頁は、がんになったときに専業主婦だった人は最初から抜いているのですね。
○門山委員 はい。
○井伊委員 がんになったときとは限らないのではないですか、聞き取り調査をしたときに仕事をしていた比率なので。
○門山委員 19頁はアンケート調査時です。
○今野座長 がんになったときにどういうことが起こるだろうかということが重要なのですよね。
○桜井参考人 前後でどうなるかということが重要です。
○今野座長 なった前後ですよね。出発点のときに、「前」でもいいですけれども、「前」のときに働いていたのに、ここでは調査時点で「後」ですけれども、「後」のときにどういう状態になっているのだろうかということを概括的に示しているのが19頁です。そのときには、出発点で専業主婦だった人のデータは抜いてあるのです。これが19頁ですね。そうですね。
○門山委員 そうです。
○今野座長 ですから、ここは比較的整理ができているのです。今度問題は25頁です。n数が違うのです。19頁のnは274なので、がんになったときの主婦はたぶん26人いたのでしょうかね。トータルのサンプルが300人ですから、そういうことですね。
○門山委員 ごめんなさい。だけど、2割ぐらい。
○今野座長 ここの274人は、がんになったときに働いていた人ですね。先ほどのご説明です。
○井伊委員 いや、初めに聞き取り調査をしたときに仕事をしていた比率ですよね。このとき全員ががんになった初発のときではないのですよ。
○今野座長 私が先ほど確認したのは、聞き取り調査時点では19頁のような現状です。この人たちは、がんになったときにはどういう状態ですかと聞いたのです。先ほどのご回答は、がんになったときは274人全員働いていらっしゃいましたとおっしゃったのです。
○門山委員 対象が勤労者ですから。
○今野座長 だから、274人が、先ほどの桜井さんの言い方だと、「前」のときは全員働いていた。それで、がんになりましたというイベントが起きた。それから調査時点になった。すると、33人が仕事から離れていて、241人が働き続けていますという状態です。でもこの調査では、それ以外に26人の、がんになったときに専業主婦だった人はまた別途ほかにいる。それは19頁のデータには入っていませんというご説明だったと思います。
○門山委員 はい。
○今村委員 25頁の聞き取り調査と19頁は同じ時点なのですよね。
○門山委員 そうです。
○今村委員 そうすると、ここは、専業主婦を抜いたりしても数字が全然合わないので、やはりもう一度整理していただかないと。
○今野座長 25頁をどうやって解釈するかということですね。
○門山委員 専業主婦として○をしていても、その後に仕事をしていたり、ミッシング・データというか、そういうものもあって、nを揃えるというのはなかなか難しいのです。同じことを2回聞いたりすると難しくなることもあるのです。必ずしもnの数を合わせることはしていないのです。専業主婦と言いながらも、仕事の内容を聞くと何か仕事をしていたりとか、そういうものがあるのです。
○今野座長 「専業主婦」の定義も難しいですよね、一般的に。専業主婦だけどパートで働いていますと思っていらっしゃる人もいる可能性がありますね。
○門山委員 そうなのですね。
○今野座長 「専業主婦」という聞き方だと少しミスリーディングになっているのかもしれません。
○門山委員 そうかもしれません。
○今野座長 パートでもフルタイムでも何でもいいから、「がんになったときに働いていましたか」と聞けば比較的正確ですけれども、「専業主婦でしたか」と聞かれると、専業主婦でパートの人は「専業主婦」と答えたかもしれないですね。
○本田委員 ちょっと混乱したので、また精査していただけるのかもしれないのですが、例えば25頁の乳がんでは、病気になった後で「会社や職場を変えた」人が赤い所ですね。会社や職場を変えずに元の職場に残っていて、そのまま働き続けている人の数字はどこにあるのですか。
○今野座長 本当だ。どこにあるのですか。
○門山委員 元の仕事を辞めたり、職場を変えたその後どうしているかということなのです。
○今野座長 いや、本田さんのおっしゃるのは、「職場を変えた」は元の会社にいるのです、たぶん。
○本田委員 「会社や職場を変えた」は、会社を変えた人と職場を変えた人がごっちゃになっているのですか。
○今野座長 そうです。本田さんの質問では、職場を変えない人がいないではないかという話になるのです。
○本田委員 元の所に戻ってずっとそこで働き続けるという人はいないのか、それが知りたいのです。みんな変わっているのですか。
○今野座長 この選択肢だと、職場も変わっていなくて会社も変わっていない人がいたとすると、「不明」で答えるか「会社や職場を変えた」で答えるしかないですね。「不明」で答えていますかね。
○本田委員 この「職場」というのはどういう意味なのですか。別の部署という意味ですか。
○門山委員 そうですね。そのように私は理解して質問していたのですけれども、答えている人がそのとおりに取ってくれたかどうかは。
○本田委員 これだと同じ所に働き続けている人がほとんどいないことになるのですか。
○今野座長 素直にいくと、同じ会社で同じ職場という人はいないということですね。
○本田委員 いない。
○今野座長 でも、そういう選択肢がないから、「不明」で答えているかも。
○岩崎委員 これは元のアンケートを一度見ておいたほうがいいと思います。例えば25頁の大腸がんは、nが174ですけれども、これは登録症例数そのもの100%の意味です。15頁にこのアンケートのサンプル数があって、大腸がんは174です。大腸がんは25頁でもnが174なので、これはぴったりです。これだけ見ると、おそらく赤い所には職場にそのまま戻った方も入っている可能性が高いように思うのです。そこはアンケートに戻っていただければいちばんはっきりするように思います。さすがに、同じ所に戻る人がゼロというのはあまり考えにくいように感じます。
○門山委員 すみません、前後のアンケートがどうなっていたのか思い出せないのですが、ご指摘のとおりだと思います。
○本田委員 25頁の、大腸がんや肝がんの所に「専業主婦」とあるのは、これは病気になられて仕事を辞めて専業主婦になられたという理解でよろしいのですか。
○門山委員 そうです。
○今野座長 でも、いまのご質問の意図は、例えば大腸がんはn=174で、これは回答人数そのものなのです。ですから、がんになったときに、もともと専業主婦の人もいた可能性はあるというご質問ですね。
○本田委員 「専業主婦」の規定がバラバラだからということでしょうか。パートだったりとか。
○今野座長 それもあるかもしれないけれども。
○桜井参考人 聞くときに、「収入を伴う仕事を何かしていましたか」というのを一言※で入れると、主婦の方でも振り分けができるのです。
○今野座長 たぶんここでは「主婦ですか」とお聞きになったと思うのです。
○桜井参考人 それでしてしまうと、パートは仕事じゃないからというふうに答えてしまう可能性はあります。
○本田委員 乳がんだけは専業主婦を含むとおっしゃっていましたね。そうすると、これは新たになられた方でしょうか。
○今野座長 私はわからないのですが、いちばん概括的な結果は19頁のものだと思いますが、これは先ほどのお話ですと、がんが発症したときには働いていらしたと。その後、辞める人、同じ会社にいる人、転職する人、途中経過はいろいろあるけれど、現在は19頁の状態ですということですよね。そうすると、乳がんだと仕事をしていない人は12%、大腸がん24%、肝がん36%とありますけれども、これらは大体実感に合うものですか。実感に合うのは大体こんなものだろうと私は把握するのですけれども、いかがなものですか。
○門山委員 こんなものだろうと思います。ただ、乳がんに関しては、桜井さんのデータよりも少しいいのですが、結構、看護師さんが入っているのです。
○今野座長 この調査データにですか。
○門山委員 はい。看護師さんの割合が結構入っています。労災病院の看護師が入っていたりするので、ちょっとバイアスが掛かっているかもしれません。
○今野座長 大腸がん、肝がんはこんなものというのが実感ですか。経験に照らしてどうですか。
○門山委員 大体こんなものではないかなという気がしますけれども。むしろ、私の印象では、肝がんはもっと少ないかなと思ったのですが。
○井伊委員 もう1つ確認させてください。24頁の「元の仕事を辞めた理由」で、辞めた理由を答えた人が全部で147人でしょうか。
○門山委員 この理由は重複しています。
○井伊委員 ということは、元の仕事を辞めた人が、とにかく全体で147人ではなくて、たまたま理由を答えた人がこれだけ。
○門山委員 そうです。
○井伊委員 しかも、重複している数だということですね。
○門山委員 はい。もちろん、理由を挙げていない人もいます。理由を挙げた人の中で「自分で辞めた」という人は63%。これだと、「がんが原因で自分から辞めた」と「がん以外の原因で自分から辞めた」を足して、この総数で割るとこれだけになりますということです。
○今野座長 24頁は、仕事を辞めたことがある人が母数になるということですか。
○門山委員 ですが、理由を答えていない人もいますから。
○井伊委員 理由を答えた人だけのことだと思います。
○今野座長 ということは、これはアンケートの対象者全員が回答しているということですか。
○門山委員 いえ。辞めた人が回答しているのですが。
○今野座長 辞めた経験のある人がですね。
○門山委員 はい。
○今村委員 22頁の「職場での相談」の所です。この相談の中身ですが、職場復帰に関する相談という意味ではなく、何でも相談したら全部ここにカウントされているのですか。それから、「相談した」というところが誰にというのがないので、これが同僚なのか上司なのか労務の人なのか、そういう区分けがあるのかどうかを教えていただけますか。これは産業医の所だけ特化して書いてあるので、ほかの所でも、誰に相談したということが設問にあったのかどうか。
○門山委員 上司、同僚、そのような設問はありました。
○今村委員 それぞれにあるわけですか。
○門山委員 はい。上司、同僚が圧倒的に多かったです。
○今村委員 そのときの相談というのは、「困ったのだよ、どうする」という程度の話から、かなり具体的な相談まであって。
○門山委員 それはわからないです。
○岩崎委員 ちょっと戻ります。先ほど座長がおっしゃられた、19頁の乳がん、大腸がん、肝がんの離職する割合が12%、24%、36%というのは実感と合うかということですが、企業の現場の感覚ですと、数字が多いなと思います。その背景について、例えば16頁ですと、今回のアンケート調査の対象者の年齢別罹患数を見ると、平均発症年齢では大腸がん、肝がんが60歳ぐらい、乳がんが50歳ぐらいです。罹患時の年齢で、例えば大腸がんでは半分が60~70歳なので、それを加味して24%になるのかなというような感じかと思います。そう考えると、先ほど門山委員がおっしゃられた、疾患による違いとして、18頁にあるようなステージ分類では、肝がんは乳がんと同じように?、?が多いのですけれども、それでも非常に退職率が高い。ということが疾患による特徴かなと思います。若干、生産年齢人口的な感じで言うと、ちょっと高いのかなという感じは受けました。
○今野座長 この調査だと平均発症年齢は、乳がんが約50歳で、大腸がんと肝がんが60歳です。これが一般的な姿なのですか。どうなのですか。一般的な姿だと、肝がんとか大腸がんは、いまおっしゃられたように、60歳になったらもう定年退職ですから。
○門山委員 これは働いていた人が対象ですから、通常の発症年齢より若くなっています。肝がんはもっと年齢は上だと思うのです、一般的なデータだと。大腸がんも然りだと思います。年齢が上に行けば行くほど発症率は上がってきます。70歳で切って、しかも勤労者ということで切っていますから。
○今野座長 すると、勤労者の中でがんと職業生活の両立という問題が起こる頻度では、量的にはやはり乳がんが圧倒的に問題だということになる。つまり、大腸がんと肝がんは起こるけれど、定年後に多くの方が起こるのであれば、働いていても現役を少し退いているような、普通は嘱託などで働いているケースが多いですから。60歳前だと本当にバリバリで現役でやっていて、家庭責任も非常に大きい段階ですから、エイヤーでいうと、やはり乳がんがいちばん深刻度が高いと考えていいのですか、これは。
○門山委員 発症年齢が若いということもあるし、5年、10年ずっと経過を見ていかなければいけないという乳がんの特殊性もあるので、それはそう言えるかもしれませんけれども、でも、乳がんはステージを全部どけて見れば、5年生存率が90%を超えていますので、深刻かどうかというと、そのように見てもいいのかもしれませんけれども、逆に、40歳代や50歳代で大腸がんになってしまった人はやはり深刻だと思うのです。
○今野座長 ですから、私が言い方を慎重にしたのは、「深刻」というと個々人によっていろいろありますから、そういう言い方ではなく「頻度」という言い方をしたのです。頻度から見るとやはり乳がんだということですかね。
○門山委員 そうなりますね。
○今野座長 ほかに何かございますか。大体ご質問、ご意見をいただきましたので、もし、今日ご質問があった中で、また少し研究が進められてデータがバージョンアップしたということがあったら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○門山委員 わかりました。
○今野座長 この辺で前半は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○門山委員 どうもありがとうございました。
○今野座長 次に、桜井さんにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○桜井参考人 本日はこういう貴重な機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。治療と職業生活の両立というのは、私も一患者として非常に悩み、苦労をしてきた問題でして、今回こういう討論の機会を得られたということは、本当に大きな一歩だと思っております。
 私どもはこの問題に対して2008年、2009年、2010年とずっと続けて調査を重ねてきております。その結果については、本日お配りしている資料の後半に、参考資料編として抜粋して重要な部分だけ添付しております。例えば罹患の前後どうなったかですとか、あるいは患者さんたちがどんなことを企業側・行政側に期待しているのかという辺りは、そちらを見ていただければと思います。また、今日は労災ということで上がっておりますが、がんで労災というのはいわゆるアスベスト、中皮腫しかなくて、この辺り、がんはやはり労災だけの問題ではありませんので、もう少し広げて、これからの労働をどうするのか、日本の働き方をどうするのか、という視点で是非考えていただければと思っております。
 では、私のほうのお話をさせていただきます。昨年の暮れに、いわゆる出口調査的に行いました。私たちは2008年からずっと調査を行っているのですが、いわゆるがん患者の患者会等を通じたり、あるいはインターネット等々でアンケート調査を行ってきましたので、どうしても男性の方の声というのがなかなか拾えなくて、是非一度、男女比50/50でやってみたいねということから、緊急の調査を行いました。これは男女比が半分半分で、社会的な問題というのはあとから出てきますので、ロングスパンでみた形で調査を行いました。
 これが「がん」と診断されたときの年齢なのですが、2008年の調査ですと、わりと40代、50代が多かったのです。女性のパーセントが80%だったり、あるいは乳がんが多かったりということがあったのですが、今回は60代、70代の方も多少入ってきています。
 罹患したがんの種類も、幅を広げたことでだいぶ変わりました。大腸がん、胃がんなど、その他にたぶん血液がんなどが入ってきていると思うのですが、そういったがん種が多くなって、いままでの調査では乳がんが多くを占めていましたが、今回はバランスよく取れたと考えております。
 診断されたときのステージですが、これも0期から?期までというようなこと、あるいは、ご本人がどこの病気かわからないというような方も中にはいらっしゃいますので、こういった分布になっています。
 6頁、現在の治療はどうですかということで、「治療のため通院している」という方は1%、私も現在7年目なのですが、ほぼ初期治療が終わって「治療は完了しているが、定期的な検査のために通院している」という方が大部分です。
 がんの罹患前後の就労状況の変化を聞いております。今回の調査では、やはり少し幅を持たせて、あるいは男性の年齢も50代以降の方も拾えたためか、「変わった」という方が半数以上という結果が出てきました。53%ということです。この理由、詳細は「依願退職」が30%、「転職」が17%、「解雇」が11%、「休職」が7%、「希望していない異動」が6%、「希望して異動」という方もいらっしゃるし、「その他」という方もありますが、こういった理由が挙げられています。
 2008年度は400人ぐらいのがん患者さんの調査でした。そちらでは3人に1人という結果が出ております。2009年に行った結果はn値が1,200人ですが、そちらも3人に1人です。2010年に855人の方に聞きました。そちらでも3人に1人ということで、専業主婦、収入を伴う方、あるいは年金の受給者、学生はすべて除いた結果でも、いままではずっと3人に1人だったのですが、ちょっと幅を広げたらこれだけ変わってきてしまったという結果が出てきました。
 8頁、がん罹患後の勤務先の変化ということですが、男性と女性でかなりパーセンテージが違っておりまして、男性で「変わった」という方が48%、女性で「変わった」という方が6割いたということです。
 勤務形態を見ますと、いちばん問題があるなというか、影響が大きいなと思われたのは、民間企業の従業員の方、派遣・パート・アルバイト、こういった方たちの職の変更は非常に多いということがわかっています。公務員の方などはやはり非常に守られている部分が多いので、いわゆる転職というのは非常に少なくなっております。2008年、2010年の調査のときも同じようにパーセント比較をしているのですが、このときもやはり同じような形で、民間企業の方、あるいは非正規雇用の方は厳しいという結果が出てきております。何の数字が上がるかというと、女性は専業主婦に入ってしまうという方が非常にパーセントとしては増えるという結果がわかってきております。
 それから、罹患前に勤めていた「企業規模」と「勤務先変化の有無」ということを調べたのですが、100人以下、いわゆる中小企業・小企業と呼ばれるところの方々への影響率というのが非常に大きいということがわかりました。1,000人以上の企業になりますと4割ぐらいで、44%と100人以下では59%ということで、非常に差が大きいということがわかってきております。それが今回の結果です。
 10頁は、同じく「企業規模」と「会社制度利用の有無」です。今回も事務局のほうから、会社制度で何かいい例はありますかということで、私もいろいろ聞いてはいるのですが、人事の方になりますと、これは企業内の内規の話になるので表には出せないということで断られたりしましたが、おおよそ大企業というのは、有給休暇以外に私傷病休暇制度というのを独自に持っておられる企業が非常に多いなと思っております。その結果がここに出てきたのかなと思っております。企業規模が1,000人以上の場合ですと、要は公的な休職制度以外に、自社内の制度利用を活用したという方が51%ですが、中小企業・小企業になりますと、そういった方は30%しかいないということです。つまり、会社の配慮を受けられた方というのは3割しかいないということで、私傷病休暇制度自体がもともとないよというのが7割ということで、企業規模と就労という視点から、企業規模は大きな要因になってくるのではないかなと思っております。
 収入の問題ですが、前回の検討会のときにも出ておりましたが、やはり減ったということ。これは仕方がないことなのかなと思っています。2010年の結果では、このレンジ解析を前後でやっており、およそ7割の方が年収4割ダウンという結果が出ております。855人の方に聞いた調査結果になっております。
 「生活上の影響の有無」と「婚姻状況」も調べてみました。12頁になりますが、やはり独身の方のがん罹患と生活への影響というのは非常に大きいということがわかってきました。がんの罹患前後の職の変化で既婚が増えてしまうというのも、こちら側に入ってしまうという、言い方は悪いのですが、既婚の方はいわゆる避ける道があるのです。でも、この独身の方たちは働くことがいわばmustになってきますので、そういう方たちの問題は非常に大きいなと実感をしております。
 先ほど来出ておりましたが、がん罹患において職場へ報告をしましたかということを聞いております。「報告していない」という方が3割いらっしゃいます。理由は「言っても仕方がない」が半分、「理解してもらえない」16%、「心配迷惑をかけたくない」という方、「辞めさせられるから」という方が5%いらっしゃいます。つまり、職場のほうに報告をしていない方が3割いたということで、この辺りもかなり患者自身としては言いたくないというような気持が働くということ。では、そこは何なのかということをもう少し掘り下げないといけないのではないかと思っています。
 14頁になりますが、逆に職場内でいちばん最初に報告した、あるいは相談した人は誰ですかと聞いたら、当たり前ですが、「直属の上司」となっております。私もそうでしたが、手術で2週間休みます、あるいは入院しますと言ったときに、やはり直属の上司には報告をしなければなりませんので、こういった結果が出てきます。「人事担当者」は4%、「医務室」は1%ということで、いちばん最初には報告はしていません。
 15頁になりますが、いちばん最初の人以外にどなたに報告していますかという聞き方をしました。複数回答なのですが、「いない」というのが段トツです。要は、いちばん最初に直属の上司以外には報告していないと。あるいは同期の仲間とかそういう人には話したという人が出てくるだけで、いわゆる医務室や産業医、人事担当者というのが、ここでもまだ上には全く上がってこないというのが現状であり、患者さんの意識の現状だと思っていただければと思います。
 16頁です。「患者が抱える社会的な痛み」は、いま非常にクローズアップされています。患者さんが直面する4つの痛みというのは、がん対策推進協議会のほうでも議論をされておりますが、社会的な問題と心の痛み、身体の痛みと人間の尊厳としての痛みという、この4つの痛みがありますよということが言われています。
 18頁ですが、社会的な痛みはどの辺りで出てくるか。要はこういった調査を掛けるときにも非常に重要なのですが、診断直後に聞いてもあまりこの問題というのは出てきません。かなりロングスパン(中・長期的)で聞いたときに、はじめてこの社会的な問題が、「現在」というのは5年以上の方なのですが、上がってくるということで、この辺りは非常に重要な聞き方の問題になってくるかなと思っています。
 今回「働き世代とがん」ということで、何が問題なのかということですが、まず1つ目としては、働き世代に対してどういった問題があるか。これはやはり、先ほど来出ていますが、女性の社会進出に伴う、いわゆるがん年齢と言われておりますが、30~40代という働き世代の問題。女性がどうするかという問題があります。そして、今後の問題としては、やはり雇用年齢の長期化という問題がありますので、50歳を切れ目にがん罹患者数は男女が逆転して、男性がドンとうなぎ登りになるわけです。このときに、社会保障制度としてどうするかということは非常に問題だと思っています。20歳から69歳でみますと、全がん罹患者数のうちの半分、約30万人の人が毎年増えていくわけで、この辺りをどうやって社会問題として解いていくのかということは、非常に重要だと思っています。
 20頁ですが、近年のがん医療の現状になります。全がんの5年相対生存率は54%になっております。2015年には、私のように一度はがんの診断を受けて生存している方というのは、正確な数字で言いますと、533万人です。これだけ出てきます。こういった中で、やはり「慢性疾患」として考えられるような“がん”が、社会の中でどのように自立、あるいは支援していくのかということが新たな課題であると私は考えております。
 22頁ですが、海外はどうなのかということを振り返ってみたいと思います。海外でもたくさん会議が開かれております。ASCOというアメリカのがんの学会もありますし、いろいろな論文集がありますが、こちらのほうでもがんと就労の問題、あるいはコストの問題、医療費の負担の問題、たくさん論文が出てきております。こういった背景を基に、アメリカでは法律ができました。イタリアでもキャンサーリハビリテーション法という法律ができました。この辺りは本田委員も非常にお詳しいのではないかなと思います。
 例えばアメリカのFMLA法というのは、家族・医療休暇法というもので、原則としてノーワーク・ノーペイの考え方です。無給休暇制度なのですが、1時間単位でも取れます。こういった制度の中にがんは含まれて取れるようになってきています。ただ、昨年、アメリカの乳がんの学会に行ったのですが、ポスターセッションがありまして、乳がんの患者さんはこの法律があっても辞めている人が非常に多いという発表がございました。発表者の方に、アメリカはFMLA法があるから大丈夫なのではないですかと話を聞いたところ、これは大企業を対象とした法律なので、中小企業の方たちはこの制度を全く利用できないというような答えがありました。ああ、日本と同じですねということで、非常に盛り上がってしまった思い出があるのですが、こういう問題をいま抱えております。ADA法は雇用(採用)時の差別禁止。これはしっかりアメリカでは行われております。2009年からがんやてんかんの方などが非常に入ってきまして、いまはADA法の中にもがんは謳われております。こういったように、アメリカなど海外では、学会でも問題になっておりますし、法制度もしっかりできています。
 では日本はどうなのかということですが、26頁です。今後考えていかなくてはいけないこの問題の根源だと思っております。今後、国民の半数が半数を支える世代の時代がやってきます。もう間もなくです。私もたぶん支えられる世代になってきます。そのときに、生産人口をどう確保するのかということが、たぶん、いま日本が考えていかなくてはいけない就労の課題だと思っています。『これからの雇用戦略』という冊子に出ておりましたが、いま労働力人口を確保するために、いろいろな制度ができております。
 27頁ですが、例えば高齢者への就業支援ということで、雇用延長も出てきております。また、女性への就業支援ということで子育て支援のほうの事業も行われております。この中に若者、ニートの方の雇用支援ということも新しく入ってきて、何とかして現状の雇用水準を守ろうという議論がなされています。しかし、533万人、就労年齢を推計しその半数の275万人もいるがん患者さんがこの議論の中に加えられていないというのが、私は非常に大きな問題ではないかなと思います。制度も全くありません。私傷病なので、ありません。
 28頁、これは現在行われている社会保障と税の一体改革の政府案の資料ですが、これを見たときにも、「全員参加型社会の実現」ですとか「ディーセント・ワーク」とか、非常に良い言葉が入っているのですが、やはりこの中に私傷病は入っていないのです。やはりこれは、「日本の雇用戦略」の部分で位置づけがないからだと私は思っております。
 では、この全体の社会バランスと、あるいはもう1つのがん対策推進協議会のほうでどのような新しい動きが出ているかということで、29頁以降にまとめてあります。この辺りは飛ばしますが、30頁は旧来までのがん対策推進基本計画です。いま5年の見直しが入りまして、こちらのほうのパブリックコメントがいま行われております。これは私のあくまでも私感なのですが、考え方として、いまパワーポイントにあるような形で、2つに分かれていたような気がしています。要は「早期発見」と「緩和ケアの充実」の2つが中心課題で、真ん中がないなと思っておりました。今回、新しく「がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築」というつなぎの言葉が入ってきたというのは、非常に大きなステップなのではないかと思っています。この中で、「働く世代や小児へのがん対策の充実」、「がん患者の就労を含めた社会的な問題」が新分野、あるいは重点目標として挙がってきておりますので、私はこういったことの背景をにらみながら、この検討会を考えていかなくてはいけないと考えています。
 法制度化のほうなのですが、32頁になります。現在、自治体では、もういくつかがん対策の条例ができております。例えば「事業者の役割」や「責務」というようなことで、いくつかがんと就労の問題に関しての触れが出ております。今回、このがん対策推進基本計画も変わりましたので、この答申を受けて、またこれから自治体のほうでの検討もスタートしていくというように考えられます。
 33頁以降は、今回の検討会に対して私の提案という形なのですが、メンタルヘルスとは違って、私傷病の<がん>に対して今後どのようにやっていけばいいのかという本検討会の課題に対して、私なりに考えていることです。
 34頁に、2008年に出させていただいた、患者の意見から取り出した「両立支援をとりまく現状・課題」、求めているものというのが入っております。この赤い文字の辺りが非常に重要な検討議案になってくると思っています。
 これを縦割と横割で考えたときに、非常に重要になってくるのが、35頁の表なのですが、やはり早期発見というのも予防医学的に非常に重要な問題になってきます。職域での健診のすすめ等も、前回の議論の中でも入れるべきだと指摘があがっていましたし、私もそう思っております。
 それ以外には、やはり働き続けることが非常に重要で、この中で本人が努力すること、希望すること、あるいは企業側のほうでやっていけることというものがあります。
 患者本人から一番要望があるのが、私たちのところにも声が届いており、また、先ほどの調査結果でも出ておりますように、やはり柔軟な就労環境の整備や勤続年数に応じて有給休暇制度以外に、外来が中心となったがん医療に適応したような私傷病休暇制度がほしいというような声が非常に多く上がっております。例えば時短制度がほしい、いわゆる就業規則の柔軟さというようなもの、あるいは傷病休暇制度(傷病手当金)。これもロングでしか取れないので、そうではなくて、これも柔軟に取れるような、5日以上連続して休まなくても活用できるような、そういった傷病休暇制度(傷病手当金)の在り方を是非検討していただきたいと思っております。
 また、私もいま会社を経営しておりますので、企業者としてすごく思うことですが、休職中の社員に対して社会保険料の負担は企業側が持ちます。年収に応じて毎月14%ぐらいずっと払っていきますが、これが中小企業にとってはとても負担なのです。年収に応じてきますけれども、働いていない方に毎月十何万円という金額を会社が負担していくというのは非常に大きいということです。この辺りの企業ののりしろのあるなしというのは、先ほどの中小企業と大企業の制度格差だったり、取組みの格差、あるいは辞めてしまう率の格差というところにもつながってくると思っています。
 それから、最初に直接相談するのは直属の上司ということで、職場での理解や職域での人材マネジメント教育、がん教育は非常に重要だと思っております。相談先の少なさというのもやはりあります。この辺りが非常に問題ではないかと私は考えています。
 ではこれらの問題を総合的にどうすればいいかということなのですが、36頁をご覧ください。私は非常にいい例があると思いました。子育て支援事業です。この事業をずっと読んでいくと「子育て」という部分を「治療」と置き換えると、非常に私傷病と類似していてわかりやすいのです。例えば「職場優先の企業風土の是正」ですとか、「仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」。「子育て」を「治療」と置き換えてしまえば、本当によくわかるのです。子育て支援事業でやっていることは、例えば相談・情報提供とか、短時間勤務やフレックスタイム、子育てをしながら働くための制度とか、代替要員に対する助成金の制度など、そういったものも行われております。例えば傷病休暇制度(傷病手当金)を時間休暇単位にするなどうまく柔軟にすることで、財源として浮いてくる可能性もあるわけで、健康保険や雇用保険から私傷病への企業助成に対して投入していくということなども考えられるのではないかと私は思っております。
 子育て支援事業も、中小企業と大企業に対しては分けて考えていらっしゃいます。中小企業に関しましては、1人目が生まれた方に対して助成がでます。例えば中小企業に対して普通以上にやさしい就業規則を用意したり、人員補填をしたり、そういった制度をつくることで助成金がもらえる。要は行政による後押しというのを行っているわけです。子育て支援を利用した場合には、企業側も社会保障の負担金はゼロなのです。払わないで済む。だから職場内に子育て支援制度を取って休んでいらっしゃる方がいても企業は負担にならないのです。私は、治療と職業生活の両立は、特に中小においてはこれは大きな問題だと思っております。ですので、こういったものは雇用保険の財源から、あるいは健康保険などもうちょっとうまく全体の財源を検討しながら出していけば、同じようにして、例えば子育て支援だけではなくて、子育て・介護・私傷病休暇事業とか、私傷病休暇制度とか、そういった事業を後押ししていけば、両立していくのではないかと考えております。
 と同時に、大企業の方に対しては、そういう助成金がなくても、たぶん財源ののりしろがあるからできていくと思います。では、全部企業任せにするのではなくて、頑張っている企業に対して何かインセンティヴがないだろうか。子育て支援事業にはファミリー・フレンドリー企業という表彰制度があります。フレックスの制度があったり、従来以上に頑張っている会社を企業文化として、厚生労働省が表彰して、厚生労働省のホームページに載せております。これは資金が大きくかからずにもできることであり、企業としてもとても喜ばしいことだと思うのです。
 こういった環境整備の後押しは、治療と職業生活においてもできるのではないかなと思っています。ここが労災ではないところに対してできる労働の力だと思っております。私はこの問題を社会的な労働バランスとして是非考えていただきたいと思っております。実際私の会社でも、過去、就労コーディネーターという事業を受託してやっておりますが、資料の1にあるように、1労働者あたり大体75万円かかっていると。一人に対してこれだけのコストをかけて両立支援をしていくよりは、社会コストバランスとして、子育て支援事業のような表彰制度を設けるなど、こういった方向にやっていったほうがよろしいのではないかと思っております。
 過去2年間、就労コーディネートにも参加しておりますが、企業側のほうから参加というのはゼロ件です。唯一参加してもらったのは、委員として参加されていた企業の方が、うちの職員をということでご協力いただいた1件のみで、ほかの方は、参加している患者さんが、会社には言わないでくださいということでご本人から断られるケースが多いです。先ほど産業医に相談している率は非常に低かったですよね。なので、この就労コーディネートという仕組みは、本当に患者さんが望むものなのかどうなのかということを少し考えないといけないのかなと思っています。コーディネートというのは、ひょっとしたらネクストステップかもしれないと思っています。まずは環境整備を整え、推進したことで、もしかしたら解決する課題なのかもしれないなと、現在この業務に携わりながら感じていることです。『日本でいちばん大切にしたい会社』という坂本先生の著書にもありますが、一番目は社員が幸せであることが非常に重要とあります。こういう企業思想を広めていくということも、この検討会の中で出ていければいいのかなと思っております。以上、長くなりましたがありがとうございます。
○今野座長 それではご意見、ご質問をお願いします。
 私のほうから確認なのですが、2頁目に調査の概要がありますが、この調査対象者というのは。
○桜井参考人 がんになられた方で、モニター登録されている方を。
○今野座長 そうなのですが、がんになったときに働いていた人ですか。
○桜井参考人 そうですね。がんのサバイバーということです。
○今野座長 サバイバーなのですが。
○桜井参考人 働いていた方です。
○今野座長 わかりました。いかがでしょうか。
○桜井参考人 失礼しました。働いていた方で、専業主婦と学生と無職の方は除いています。7頁になるのですが、197です。やはり抜いてはいます。
○本田委員 同じ7頁なのですが、がん罹患後の就労状況の変化で「変わった」が53%で、そのうち「依願退職」「転職」だとかありますが、これは「専業主婦・学生・無職を除く」とありますが、働いていらっしゃった60代とか50代とか、そういう方はもちろんいらっしゃるのだと思いますが、もし、年齢構成別の違いのようなものを見ていらっしゃったら。
○桜井参考人 年齢構成まではやっていないです。一度グロスは掛けたのですが、グロスはあくまでも変わった方の理由ということでやっております。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○今村委員 まず9頁、10頁のところで、産業保健だけで考えていると、事業所という発想でつい見てしまって、50人未満とそれ以上のような、こういう整理で頭が出来上がってしまっているのですが、会社規模の中で、大きい会社でも細かく事業所を展開されている所もあれば、1カ所で大きな人数がいらっしゃるということがあると思うのですが、その辺はあまり整理して聞いているわけでは。
○桜井参考人 していないですね。そこまで細分化してしまうと、例えば産業保健センターが本社しかないということでも、たぶん状況が変わってきてしまうので、あくまでもざっくり今の状況を把握したというようなことになっております。
○今村委員 ありがとうございました。それから、アメリカの例で法整備の話をされていましたが、確かに法的にはすごくしっかりと作られる国なのでしょうけれども、もともとの医療そのものの制度が日本から比べると非常に劣った国と私は考えていて、大企業だけに法的なものがあるというお話だったのですが、そもそも医療費自体がものすごく高額ですよね。ちゃんとした民間保険に入っていない人たちは、医療そのものも受けられないし、がんになったら家が破産するというようなところがあるので、その辺がどうなのかなと。ただ、法律としてはきちんとできているという理解でいればいいのでしょうか。
○桜井参考人 やはりその辺は国によって制度がだいぶ違いますので、一概に比較はできないと思います。日本は国民皆保険制度という素晴らしい制度を持っていますので、その上でどうなのかということを考えていかなければいけないのではないかなと思っています。
○今村委員 ありがとうございました。
○岩崎委員 10頁の「会社制度利用の有無」と「企業規模」ということでご質問されている部分ですが、有給休暇以外での会社制度についてのご質問だったということですが、具体的には、例えば「利用した」という方の答えというのはどういう内容が含まれているかわかるものでしょうか。
○桜井参考人 詳細まではちょっと聞いてはおりません。ただ、私どものところでは、就労に関する相談事業を過去3年ぐらい行っているのですが、そこに相談にいらっしゃる方の中で、やはり大企業の方というのは、有給休暇以外に私傷病休暇制度がある例が多いです。要は有給休暇はバケーションだと。特に外資系の企業さんなどもそうなのですが、有給休暇は遊びとか体を休めるため、あるいは家族と楽しい時間を過ごすために取りなさいと。たぶん岩崎先生のところもそうだと思うのですが、たぶんそういう企業独自の制度があると思うのですよね。病気のときや親の介護や家族の付き添いなどで休まなければいけないときはそちらを使いなさいというような制度というのは、大企業はわりとあるのです。ですので皆さんそちらを使われて、要は有給を減らさずに治療ができているということです。いちばんの問題は何かといいますと、私どものほうに相談にいらっしゃった方で、有給が残り少ない、傷病休暇制度(傷病手当金の利用)も使ってしまったと。そうすると通院するのに欠勤しかない。欠勤してしまうと解雇理由になってしまう、どうしよう。あるいは、有給休暇制度も半日単位でしか取れない。でも放射線治療は1時間でいいのです、どうしようという、そういう相談がとても多いです。放射線治療は大体30日間ぐらいずっと通いますので、もうあっという間に有給休暇がなくなってしまうのです。ですので夏休みも全部突っ込み、休暇を全部やってももうどうにもならないというような相談は、就労コーディネーターをやっていても、いちばん困ってしまう部分です。
○岩崎委員 そうしますと、いろいろな名称があるのでしょうけれども、治療を想定したような、何らかの休暇制度などの回答が主体であるということですか。
○桜井参考人 2008年に取った患者さんからの声の中でも、行政に対する要望に関しては、法制度をつくってくれという話もありましたが、法制度まで創るのにはかなり時間がかかり、難しいのではないかと思います。他に「後押し」という言葉が入っていまして、就業規則の中で、何とか泳げる部分がありますので、そこをもっとフレキシブルにしてほしいという事業者側への要望が、患者さんの声の中ではいつも多いです。その上で、行政はそれをもっと中小企業にも後押ししてくださいというような声があとから乗ってくるというような形です。環境整備とその後押しを本来のまず一歩目としていくことが、解決策の1つなのかなと思っております。本当に辛いことですが、一度道を外れてしまった方が元に戻るというのは、やはりがん年齢が、50代とか、40代になると、非常に難しいなと思っております。さらに元の年収まで戻すのは本当に難しいです。なるべくだったら働き続けてほしいなと思っておりますので、それを支えるような、子育て支援事業と同じような形のシステムがあれば、いちばんベストなのではないかなと思っています。
○本田委員 いろいろな方の相談を受けている中での感触でいいのですが、治療に伴う休暇制度のようなものができればそれはいいのでしょうけれども、新たに増やすことが、そんな急にはいろいろなものが変わらなかったとしても、いまある有給を時間単位で取れるようにするとか、そういうことも意味があるという理解ですか。
○桜井参考人 意味があります。本当に意味があります。そこで困ってしまう例は本当にあるのです。半日休しかできない。だったらもう複数の病院や診察科を全部回っちゃいなさいと。病院3つぐらいハシゴしているんですね。それで何とかやりくりをしているですとか、あるいはそこの部分を人事に相談をしてみてくださいと助言をします。社内で過去にそういう配慮事例があれば就業規則で時間給を認めていなくても認められるケースがあるかもしれないので、是非自分で伝えて交渉してくださいと。それは自分で伝えるしかないと思うのです。ただ、そういうときに認められるか認められないのかという点で、大企業と中小企業の差は出てきてしまうのかなと思います。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。最初に桜井さんが言われた有給休暇というのは、やはり家族と楽しくとか、あるいは労働力としてもう一度再活性化するためにというようなことを強調すると、1時間の有給休暇というのはあり得ないですよね。1時間で家族ってないだろうと。だから、やはりあまり小刻みに取るのはよくないというようにずっとやってきたのだけど、いまおっしゃられたように、子育てもそうなのですが、これだと時間単位でほしくなるのですよね。
○桜井参考人 子育て支援事業を見ていて、本当に素晴らしいシステムにできているなと思ったのは、がんも治療が終われば元に戻れます。元に戻れない患者さんたちもいます。確かに機能的に血液がんの方たちは、相当強い治療をしますので、体力レベルが下がってしまうというようなことがありますが、よっぽど脳に関する手術などをしない限り、知的レベルはそんなに下がらないのです。そして元に戻れます。子育てというのも大変です。でもそれが終われば元に戻れますよね。同じだなというように思ったのです。子育てというのも生産人口を確保していくために、女性の働き方をもっと変えていこうというようなことから始まったと思いますので、これから雇用の長期化などの先を長く考えると、持病を持ちながら働いていない人はひょっとしたらいなくなるかもしれないなと思っています。そういったときに、やはり働けるような制度をどんどん作っていかなければいけないのではないか。そうしないと私は日本が傾くと思っています。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○本田委員 職場での相談のところなのですが、私自身もがんのときに上司だけに相談して、産業医にはお会いしたことがなかったのですが、職場側に医療のことがわかる人が、復職の際や休む際にかかわってほしいというような声はありますか。かかわってほしいというのは変ですが、そういうことで困ったとか、そういう声は相談の中でありますか。
○桜井参考人 いまこのアンケートの結果だと、結局、産業医の所にはあまり行っていないということがわかったのですが、直属の上司には相談しているのです。就労コーディネーターをやっておりまして思うのは、子育てもそうなのですが、直属の上司の、がんや病気などいろいろなイベントに対する理解のなさ。あるなしでこんなに変わってしまうのかと思います。人事の方も、そういうことに対してうまく連携ができているのか、理解できているのか。要はマネジメントとして善意の行き違いというのもあるのです。そうではなくて、きちんと話合いをした上での合意に基づく働き方だったり配慮というのが、本当に行われているのかということを非常に思います。なので、職域でのがん教育というのはすごく重要だなということは、自分が就労コーディネーターをやっていながらすごく感じている部分です。
○本田委員 がんに対する理解ですね。
○桜井参考人 そうですね。全く知らないですね。がんは切ったら終わり、そのあと検査があると思っていない。「えっ、放射線治療?えっ、毎日行くの?」というような、それが現状なのです。毎日行く、あるいは抗がん剤治療をして容姿が変わったり、いろいろな副作用は出ます。でも、いまは支持療法もすごく良くなってきていて、長く休むようながん医療は少なくなってきているのかなと思います。そこの部分の柔軟さというのが、いまの傷病休暇制度(傷病手当金の利用)もそうですし、就業規則もそうですし、社会保障として医療の進歩においついていないのだなと。そこがすごく苦しい部分ではあります。
○今野座長 おっしゃられるように、結局は現場のマネジメントでどうにかするわけですから、現場の上司、管理職は非常に重要な役割を果たすというのは私もそう思うのですが、でも現場のマネージャーからすると、ファミ・フレも考えろ、ワーク・ライフ・バランスも考えろ、障害者のことも考えろ、メンタルも考えろ、がんも考えろと。いろいろなことをやっていると、全部パンクすると。もちろんあとは業績も出せと。部下を教育しろと。そこで出る問題が集中するのはわかるのですが、周辺のサポートをしてあげないと、現場のマネージャーがすべてのことに専門的な知識をたくさん持つというのは難しそうな気がするのですが、どうですか。いろいろな問題があるので、全体をうまくできるような仕掛けはないですかね。
○桜井参考人 いちばん難しいのは、いまおっしゃった疾病の中で、がんは労災ではないからなのです。なので、やはり後回しになってきてしまうというところが問題なのかなと思っています。もっと広い意味で今後の働き方、企業理念としての部分を底上げしていかないと思います。業務としては大変なのですが、会社内でどれだけがん患者さんがいるか、あるいは企業内でがん患者さんが出て治ったときに、いまピアサポーターという言葉があるのですが、仲間が仲間を支えるという方法もあります。ひょっとしたらば職場内でのがんの経験者が、そういう立場として心や思いを聞くということなどもできますし、あるいはがん拠点病院という場所がありますので、そちらの相談支援、要は第三者ですよね、企業と関係のない人に言いたいという。実際に就労コーディネーターをやっても、産業医、医療者、患者という三角関係を作りたかったのですが、やはり作れずにすごく苦労をしましたので、まずはフレキシブルに働ける環境整備からやっていくべきなのかなと非常に思いました。
○今野座長 私もどうしたらいいかというアイディアはないのですが、私の知りたいことの基本は、今回がんやいろいろな病気が、メンタルも含めて全部、それが職場で必ず集約してくるので、そのときに職場でどれだけの労働になってくるのか、負荷になってくるのだろうかというのを、1個1個の病気から見たのではわからないのですよね。全部総合しないと。その辺を見ないと、何か対策を上手に打てないのではないかという気が。そこが見られないかなと思うのですが。
○桜井参考人 私も同じように思っております。特に経済的な観念というのを入れて、例えば助成金として企業に何十万あげるられるのかというシミュレーションなどもたぶんできるのではないかなと思っています。傷病休暇制度(傷病手当金の利用)を使って1年6カ月全部休んでしまいました。給与の6割が支払われると思いますがですよね。雇用保険から出ると思うのですが、そういう負担金と、あるいはそうではなくて細かく取れるようにしたときまで、保険料の支払い格差が出てきて、その浮いたお金で中小企業もどれだけ助成できるのかとか、あるいは企業の負担金をゼロにしたときに、どれだけメリットが出てくるのかとか、そういう社会バランスの検討というのは、同時に必要なのではないかなと思っています。それがないと、中小は本当にのりしろがないので、休んでも在籍するだけで、税金は企業が払わなければいけないと。非常に苦しいですよね。そこがすごく重要なのではないかなと思っています。
○今野座長 私が言いたかったのは、そういうお金の面もありますが、それよりかマネジメントの負荷なのです。極端な話ですが、ある職場にマネージャーがいましたと。病気Aの人がいた、病気Bの人がいた、Cの人がいた、子育てもいます。それぞれの人は働きとの両立が難しい人で、みんなタイプが違うわけですよね。これを1つのマネージャーが全部見ながら、職場全体の仕事を回さなければいけない。マネジメントの負荷というのはどの程度かかるものなのかという、何か全体像をつかんでおかないといけないかなと、そういうつもりだったのですが。
○桜井参考人 それに応じて、少し人事の中にもそういう人間をもっと増やさないといけなくなってくるかもしれないとは思います。患者会などもいろいろありますので、そういうところと協業してとか、そういう手も私はあるのではないかなと思います。
○今野座長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。それではこの辺で終わりにしたいと思います。桜井さん、ありがとうございました。
 以上で今日の予定した議題を終わります。何か事務局からその他でありますか。
○調査官 次回の日程について一言申し上げます。次回につきましては、3月19日(月)3時より開催を予定しておりますので、よろしくお願いをいたします。以上です。
○今野座長 今日は終わりにしましょうか。ありがとうございました。


(了)

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