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2012年2月15日 第3回 看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関する検討会

医政局看護課

○日時

平成24年2月15日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

尾形裕也委員 (九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座教授)
小川忍委員 (日本看護協会常任理事)
加納繁照委員 (日本医療法人協会副会長)
熊谷雅美 (済生会横浜市東部病院副院長・看護部長)
讃井暢子委員 (日本経済団体連合会常務理事)
戸塚規子委員 (京都橘大学看護学部教授)
中山洋子委員 (福島県立医科大学看護学部教授)
花井委員 (日本労働組合総連合会総合政策局長)
藤川謙二委員 (日本医師会常任理事)
山崎學委員 (日本精神科病院協会会長)
林正健二委員 (山梨県立大学看護学部教授)
渡辺俊介委員 (国際医療福祉大学大学院教授)

○議題

1)厚生労働省ホームページを通じた意見募集の結果について
2)論点整理(案)
3)その他

○議事

○中山座長 それでは、1分ぐらい早いのですが、ただいまから第3回「看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関する検討会」を開催いたします。
 御多忙のところ、皆さんに御出席いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、事務局の方から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。
○河原課長補佐 おはようございます。
 まず、本日は奥島委員と木村委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 また、今回初めて御出席をいただく委員の先生がいらっしゃいますので、御紹介をさせていただきます。
 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座教授の尾形裕也委員でございます。
○尾形委員 尾形でございます。
 2回お休みいたしまして、申し訳ございませんでした。どうぞよろしくお願いいたします。
○河原課長補佐 よろしくお願いいたします。
 続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 座席図に続きまして、議事次第が1枚ございます。
 
 その後に、本日の資料を4種類、参考資料を2種類用意しております。
 資料1 これまでの委員の主な御意見。こちらは事務局で作成した4ページ物の資料でございまして、斜めの字体は、前回第2回検討会においていただいた主な御意見でございます。 資料2 厚生労働省ホームページを通じた意見募集の結果概要。全部で16ページまでの両面刷りの資料でございます。
 資料3 主な諸外国の看護制度及び外国人看護師の受入れに関する制度。全部で10ページまでの資料でございます。
 資料4 論点整理(案)。3ページまでの資料でございます。
 参考資料1 看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関するご意見の募集について。こちらはホームページ上に載せた資料ですけれども、合計5ページまでの資料でございます。
 参考資料2 経済連携協定に基づく外国人看護師等の現状(平成24年2月1日現在)。1枚紙です。
 資料は以上ですが、不足する資料、乱丁、落丁等がございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。
 資料の確認は以上でございます。
○中山座長 ありがとうございました。
 それでは、今日の議事に入りたいと思います。
 まず、前回の第2回検討会以降に行った厚生労働省のホームページを通じた意見募集の結果について資料1と2の説明をお願いいたします。
○玉川看護職員確保対策官 それでは、資料2「厚生労働省ホームページを通じた意見募集の結果概要について」をごらんください。
○河原課長補佐 申し訳ございません。カメラは退席をお願いします。
(カメラ退室)
○玉川看護職員確保対策官 意見募集につきまして、前回の検討会で質問紙について御議論をいただきまして、いただいた御意見を踏まえ、修正を加え、座長に見ていただいた上で厚生労働省のホームページに掲載をしております。
 参考資料1といたしまして、実際にホームページに掲載した意見募集を配付しておりますので、適宜そちらも御参照いただければと思います。
 資料2の1ページは、この意見募集の趣旨であります。
 EPAに基づく看護師候補者の受入れについては、社会的な関心も高く、患者やその家族、医療従事者への影響、実現可能性等も踏まえて、幅広い観点からの検討を行う必要があるため、広く意見を募集するというものであります。
 意見募集期間は、昨年の12月26日から本年の1月25日まで。
 意見の提出方法は、郵送、Fax、メールでありました。
 主な質問項目は、看護師国家試験における母国語・英語でのコミュニケーション能力試験の併用の適否とその理由ということになっております。
 回答者数は、回答総数は147名になっておりまして、問2と問3の回答で矛盾した結果となっている等の3名を除いた144名を有効回答として分析を以下でしております。
 内訳でありますけれども、下のグラフにございますように、最も多かったのが「患者又は家族」の46名でございまして、これは有効回答の32%に当たるものであります。
 次に多かったのが「その他」の42名で、全体の29%ということになっております。
 続いて「医療・看護サービス従事者」の受入施設とその他が22名で並び、それぞれ全体の15%を占めているという状況でございます。
 2ページは、質問に「看護師国家試験における母国語・英語での試験実施とコミュニケーション能力試験の併用の適否についてあなたはどのようにお考えですか」の回答結果をまとめたものであります。
 グラフの中で一番下の帯グラフをごらんいただければと思います。こちらが有効回答全体144名分の分布状況となっておりまして、青で示しておりますのが母国語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用でございまして、51名、全体の35%。
 赤で示しておりますのが英語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用でございまして、45名、全体の31%。
 緑で示しておりますのが現行どおり日本語による国家試験でございまして、48名、全体の33%という状況であります。
これを回答者の属性別に見たものがその上にございますグラフでありまして、これを見ますと、医療・看護サービス従事者、医療機関の長ではEPA看護師候補者の受入施設であるか否かを問わず、最も多い回答でありましたのは、現行どおり日本語による国家試験となっております。他方、患者または家族という属性では、母国語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用と英語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用が同数ございまして、これが21名ずつで最も多くなっております。
 また、その他のところでは、母国語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用が最も多いという結果となっております。
 続きまして、資料2の3ページから、質問2で回答した理由についてまとめております。
 まず「母国語による看護専門科目試験とコミュニケーション能力試験を併用した国家試験を実施すべき」と答えられた理由でありますけれども、「看護に関する最低限必要な知識と技能を外国語による看護専門科目で問うこととしても、一定の日本語コミュニケーション能力があれば、医療現場で就労する上で足りると思うから」というお答えが51名中29名、57%という状況で最も多く、次いで「看護職員の人材確保のために、看護師国家試験の外国人合格者を増やすべきと思うから」が16名、31%となっております。
 なお、これらの理由については、複数回答可となっているところでございます。
 4ページ、英語による看護専門科目試験と日本語によるコミュニケーション能力試験を併用した国家試験を実施すべきと答えた理由でありますが、「医療看護の国際化という観点から、外国人の看護師にも門戸を開くべきであり、一定の日本語コミュニケーション能力があれば、国際的な共通語として英語による看護専門科目試験で最低限必要な知識と技能を問うことが適切であると思うから」が45名中26名、58%で最も多くなっております。
 次いで「外国人看護師候補者にとっての母国語(例えば、インドネシア人にとってのインドネシア語、フィリピン人にとってのフィリピノ語)による看護専門科目試験を実施することは、実施可能性の観点等から難しく、国際的な共通語として多くの国で用いられている英語による看護専門科目試験であれば実施できると思うから」が19名、42%でございます。
 5ページの「現行どおり日本語のみによる国家試験とすべき」と答えた理由でありますけれども、「看護師は、チーム医療の一員であり、医療関係者や患者・家族との適切なコミュニケーションが不可欠であるため、日本語による国家試験に合格することが必要であると思うから」が48名中40名で83%に達しておりまして、「日本国民の身体・生命に関わる医療・看護現場で用いられる用語を正しく理解し、看護記録など診療に関する記録の記載内容や正確な医療情報を共有できて初めて医療安全が担保されるため、日本語による国家試験に合格することが必要であると思うから」も39名、81%とほぼ同程度となっております。
 また「病気とともに患者が生きていくことを支援するための過程においては、日本の生活・文化を理解することが不可欠であるため、日本語による国家試験に合格することが必要であると思うから」も19名、40%ございました。
 6ページからは「質問4 看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用について、その他、ご意見がございましたら、下欄にご記入ください」に寄せられた意見を掲載しております。
 実はA4の1枚にわたってびっしりと書かれた方も少なからずおられたのですけれども、資料のとりまとめの都合上、事務局の方で適宜文章を要約しております。
6~9ページまでが、質問2で母国語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用と答えられた方、10、11ページが英語による国家試験実施とコミュニケーション能力試験の併用と答えられた方、12~16ページが現行どおり日本語による国家試験と答えられた方が記載された内容となっているところでございます。
 個別の御意見について、この場で紹介する時間的余裕がございませんけれども、適宜御参照いただければと思っております。
 資料2の説明は、以上でございます。
○中山座長 ありがとうございました。
 ただいまの資料2の説明のことで、何か御質問、御意見がありますでしょうか。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 これは最初から課題にしておいたらよかったかもしれませんけれども、インドネシアの子たちからの結果というのは、この中に入っているのでしょうか。1人か2人か、人数的には少数入っているかもしれませんがね。
○玉川看護職員確保対策官 御回答いただいた方のお名前等は、事務局の方で把握しておりますけれども、その限りでは候補者御本人という形で出されている意見はなかったということでございます。
○中山座長 名前から判断して、御本人というのはどうもなさそうだということですね。
 ほかにございますか。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 この検討会で受験生というか、研修生で入っている人たちの意見というのは、どこでくみ上げているんのですか。こういうふうにしてほしいとか、そういう意見というのは、日本人相手に意見を聞いて検討しているだけで、当事者の意見というのは全然入っていないと思うのですが。
○中山座長 そこはどう事務局は考えますでしょうか。当事者の意見はどういう形で反映できるかということです。
○玉川看護職員確保対策官 1つは、今回お寄せいただいた属性の中で見ていただければと思うのですけれども、医療関係者という中で、受入施設からお寄せいただいているところが随分ございます。個別の意見の中では、日々候補者とやりとりをする中で、そこで感じたことを踏まえて、それは従事者という立場の中で、一種のフィルターを通しての形だと思いますが、現場のニーズを日々感じている中でできたことというのを代わりにお伝えいただいて、書かれているような意見もあったように思われます。
 また、結果的には今、お話をしましたように、候補者本人からの直接の御意見というのは入っておりませんでしたけれども、決して本人自体から拒むような形で意見募集をしていたものではございません。
○中山座長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 私も聞きたかったのは、山崎先生がおっしゃったとおり、やはり本人の何を希望しているかというのは聞いてあげてもいいのではないかと思いますし、もしかしたらそこが一番のポイントになるのではないかということで、最初に言いましたように、課題としてこの検討委員会から出すべきだったのではないかという感じがしています。
○中山座長 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今のお2人の意見にも関連するのですが、例えば2ページの表を見て、これは意見募集だからやむを得ないのですが、数字が独り歩きすることの怖さというと、私は新聞社出身ですが、例えば新聞社で世論調査を受けるときは無作為抽出ですね。それこそ公平な数字。この場合は無作為抽出できないと思うけれども、今、お話が合ったように、医療機関関係者とか、現実に受け入れている人とか、そういう関係者あるいは一般国民という数をある意味では等しくやらないと、2ページを見ると母数が全然違うわけですよ。その結果として、みんなほぼ51、45、48とイーブンですよと。3分の1詰め意見が出ましたよと。これだけが独り歩きするということは逆にマイナスであって、それはやったことに今さら言ってもしようがないんだけれども、ちょっとバイアスがかかった数字になっている気がしますので、その辺は注釈するというか、そういうところでしっかりと厚労省の方からも言ってもらわないと、そこは要注意だと思います。
○中山座長 確かに3名のところなどは、これで棒グラフをつくられてもちょっと問題かと思います。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 マスコミが新聞に書いたりしますけれども、それほど関心がないということですよ。147しか答えが来なかったというのは、私の予想では、少なくとも1,000~2,000、3,000の返事が来るのかなと期待をしていました。有効回答144件の中で医療機関の長が3名というのは、いかにこの問題に関心が薄いのか。現実性がないのかということで、医療現場の看護スタッフ不足は、全く変化がないということで、この母集団そのものにデータベースの価値が薄れていると考えられます。
 例えば、看護協会であっても、医療機関であっても、全国の看護協会すべてに聞くとか、全国の福祉施設の団体すべてに意見を求めるとか、医師会なら医師会関係者、900の郡市区医師会もあります。こういう問題はみんなが認識しておかなければいけない問題です。ある意味で、外国人の看護師で日本語をうまく話せない看護師が今後医療現場に入ってくることになるわけだから、本当にこの問題のデータをきちんと出そうと思えば、このパブリック・コメントは、147しか回答がなかったというのは、このデータベースに対しては信憑性がどうかなという感じはします。
○中山座長 ここに専門家たちが何人かいらっしゃいますが、数のことではこれで物が言えるというと言えないのだと思いますが、その後のコメントも含めまして、皆さんがどんな御意見を持っていたのかということで、私たちが参考にすることができる資料ということになるかと思います。 ほかにございますか。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 時期的に間に合わないのですか。
 というのは、今、入国している人たちは、数百名しかいないわけですから、その数百名あてにこういうことを検討していますが、御意見どうですかということは、作業的にはまだできると思います。そういうユーザーの声を全然聞かないで、ほかの検討会でもよくありますが国民目線からとか言いますが何か欠席裁判みたいになってしまっているような気がします。

○中山座長 その点、事務局の方から先にどうぞ。
○玉川看護職員確保対策官 受験生から直接お聞きするという御意見もあろうかと思うのですけれども、ちょうどこの週末に国家試験の受験を控えているところであります。私どもはいろいろな施設にアンケートや何かを実は今までもお願いしたことがあるのですが、年を明けてからのところというのは、非常にナーバスになっておられまして、研修担当者であればともかく、御本人からこの時期というのは非常にお聞きしづらい。それから、試験後も発表を控えている非常に不安定な時期の中で、その時期というのは、直接御本人に非常に聞きづらいということも考えております。この検討会は、どうしても年度末までに報告を取りまとめということもありましたので、そこは控えさせていただきました。
○中山座長 讃井委員、どうぞ。
○讃井委員 今のことに関連してですけれども、たしか前回も試験のどこが難しいのかとか、そういうことについて当事者の方々がどういうふうにお感じになっているかということを知ることが重要ではないかという御意見が出ました。そのときには参考人の方からAOTSが研修をやっている、フォローアップもやっているので、そういうところで御本人の声というか、情報があるのではないかという御発言があったと思うのですが、その点について事務局の方で何かAOTSに照会をされたのでしょうか。

○玉川看護職員確保対策官 AOTSは、導入のその後の研修をやっておりますのが、まさに国試のところに直面する段階での動きについては、研修を出た直後、病院に入ってどうだったかということまでは御承知だろうと思うのですけれども、その後、実際に国家試験を受験されてという辺りまで行きますとどこまでつかんでいるかというと、必ずしも情報が多くないのかなと考えています。
 具体的なやりとりまでしておりませんけれども、さまざまな情報を整理している中で、そこは優先順位が低いという対応をしてしまいました。
○中山座長 戸塚委員、どうぞ。
○戸塚委員 今、出ているお話ですけれども、私も実際に研修生に聞くということについては賛成ですが、それと同時に、山崎委員もおっしゃっていらっしゃいましたが、一緒に働く看護職の意見というのもとても大事だと思います。この検討期間の中でどうやってそれができるか難しいとは思いますがこの結論が出た後、何らかの形で継続して検討していくのであるならば、これはパブリック・コメントとして出ましたので受け止めて、実際に協働する日本の看護職、インドネシア、フィリピンから入っていらした看護職、両方の考え方、意見、希望というものをきちっと聞くことが必要ではないかと思います。○中山座長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 提案になるんですけれども、もしも国家試験の前が無理であれば、今回直後にやる方向で検討していただいたらいいのではないかと思うんです。やはり本人たちの意見を最優先すべきかと思います。せっかく日本に来ていただいて、頑張っている人たちの声をちゃんとまとめてあげるのは大事かと思っております。
○中山座長 尾形委員、先にどうぞ。
○尾形委員 1つ質問ですけれども、2ページの表で見ると、勿論人数は全体として少ないのですが「患者又は家族」に次いで「その他」が42名で多くなっていますが、この「その他」というのは、何か属性は取っておられるんですか。要するに、患者でも家族でもない、あるいは医療機関関係者でもない一般国民ということなんでしょうか。
○玉川看護職員確保対策官 自己申告制でありますので「その他」というところに○を付けられた方ということになっているのですけれども、一応職業、役職というのは、未記載の方もいらっしゃいますが、書いていただいた方もございます。
中身は非常にばらばらでございまして、固有の名称は避けたいと思いますけれども、それぞれの職業としてどういうところにお勤めになっているとかということが表れております。団体の職員などと書かれている方も結構いらっしゃいます。
 「その他」か「患者」かどちらで書かれているかというのは、御本人の御判断で決めているということです。
○中山座長 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 先ほど、看護師さんの意見もということでしたけれども、チーム医療ですから、すべての業種とコミュニケーションを取り切らないと、一緒に働く看護師さんだけとコミュニケーションが取れても意味がないですね。チーム医療である以上は、日本語の能力というのは、きちんとドクターともつながる、PTともつながる、診療放射線技師ともつながる必要がある。勿論、ほかのいろんな接触する人は医療機関の中にいっぱいいます もう一つ、後で資料の中に海外の情報が出ています。受験生の意見を聞いて、受験生に通りやすくするような気配りをしているような制度は、どこの国も勿論原則ないんですね。それは過保護にし過ぎると、日本の医療文化のアイデンティティは守レなくなる可能性があります。質も守り、品格も守り、そして、国民の命、安全性を担保するという点においては、国家試験のレベルは、きちんと保っておかなくてはいけないというのはすべての国民が普通理解することです。命の問題ですから、外国からレベルを低くしろという次元の問題ではないということは押えておかなくてはいけないと思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 そうしましたら、可能な限りでこの検討会とて、当事者の意見をどんな形で反映できるか、あるいはまとめるにあたって間に合うかどうかは別にしても、とにかく当事者の意見をきちんと把握するような方策を取るということで、ここの問題はいいでしょうか。 熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員 反対ということではなく、1つ確認なのですが、今、藤川委員がおっしゃったように、国家試験ということに対して、国家試験を受験していただく方の意見を国家試験に反映させるものなのかどうかという1つ。
 それから、これは多分出題の方法ですね。言語の話だと思うんです。そうすると、日本の中で、例えば中国とか別の国で看護師をやっていらして、今回日本人と結婚されて、日本に来て、日本の看護師免許を取得されたいという方がいる。そういう方と、今回EPAで来られた方と、そういう場合にその方々が一応日本語の能力試験を受けて、何級と決まっていて、それがないというのがあるではないですか。その辺と今、現行、外国で免許を取られた方を日本の免許を取りたいという方の試験方法と、EPAで来られた方の日本の看護師免許を取られる方法は、あくまでも別のものとして考えるという前提でよろしいのかどうか。そこだけ確認したいと思いました。
○中山座長 ここはどうですか。事務局の方でお答えいただけますか。
○玉川看護職員確保対策官 この検討会自体は、母国語・英語での試験の実施というときに、どういうものを対象としているのか、というところまで、この形でというところまでお聞きしているものではありません。そもそも国家試験の意義というものがあって、その中でどういうものとすべきかというのが内在的に出てくると思います。したがって、その際にどういう対応が考えられるのかというのは、例えば対象をそういう人たちに限ったことがあり得るのか、ないのだろうか。そういうことも含めて、ここで御検討いただければ、それを事務局の方で受け止めて、また次につなげたいと思っております。
○中山座長 多分、まとめの段階でそこはあくまでも国家試験は一本だという御意見の方にまとめるのか、あるいは国家試験がいろんなものがあってもいいということを求めるのかとか、そういうのは皆さんで出していただいて、最終的にはどういう方向が可能性としてあるかということで出せればいいのかなという感じもいたしますね。
 この後の私たちの検討会の意見をまとめるときに、少しその辺を反映させていただければと思います。
○熊谷委員 わかりました。
 そうすると、EPAの方々に限って、このいわゆる母国語・英語ということを考えていけばいいということでよろしいですか。
○中山座長 このパブリック・コメントに関しては、そうですね。
○玉川看護職員確保対策官 このパブリック・コメントについては、EPAで受け入れているという実態がある中で、母国語・英語での試験について、そういうものがあり得るかどうかということについてどう思うかということでお取りをしているものです。
○中山座長 それでは、ここのところではいいですか。
 資料3をつくっていただいておりますので、続きまして、事務局の方から説明をお願いいたします。

○玉川看護職員確保対策官 それでは、前回の検討会で追加説明が求められた事項について、御回答を幾つかしていきたいと思います。
 初めに、前回、加納委員から、これまで国家試験に合格した方の動向についてということでお尋ねがありましたので、本日の参考資料2に、2月1日現在の経済連携協定に基づく外国人看護師候補者等の現状というものをお出ししております。
この表にもありますけれども、これまでの合格者数はインドネシアが平成20年度入国の方が15名、21年度入国の方が2名、フィリピンが平成21年度入国の方が2名となっている状況でございますが、一番下の表をごらんいただきたいと思います。
 合格者のうち、インドネシアで平成20年度に入国された方で1名が帰国されております。ただ、ほかの18名の方につきましては、現在も引き続き我が国の医療機関において、看護師と就労されているという合格者の状況についての御説明でございます。
 続きまして、讃井委員から、日本以外の国で看護師を外国から受け入れているところの試験の制度についてお尋ねがございました。本日の資料3といたしまして、主な諸外国の看護制度及び外国人看護師の受入れに関する制度をまとめましたので、これについて御説明させていただきます。
 1ページ、調査の概要でございます。
 調査の目的は、諸外国の看護師資格制度や教育制度、国外からの看護師の受入れ制度について把握すること。
 対象国は、米国、カナダ、ドイツ、韓国、中国、英国、スウェーデン。この7か国について、昨年末から先月にかけまして、我が国の外務省・在外公館に対して調査への協力を依頼いたしまして、在外公館から各国の看護行政担当機関に照会をしております。
 主な調査項目は、看護制度、看護教育、資格取得基準、外国の看護師の免許取得要件、外国の看護師に対する特例制度、相互承認などでございます。
 以下、簡単に各国の制度を御紹介させていただきます。
 2ページ、アメリカでございます。
 看護師の養成課程への入学は、高校卒業程度の教育修了が必要となっておりまして、修業年限は学士プログラムの場合4年でございます。
 認可された看護プログラムを卒業して、州の看護師委員会から免許取得資格と全国協議会免許試験(NCLEX-RN)の受験資格を得るということであります。登録看護師になるには、その試験の合格が必要となっております。
 外国で看護教育を受けられた方の場合は、外国看護学校卒業生審議会から認証プログラムで認証審査を受け、認証試験に合格し、TOEFL等で一定の基準を満たして、この審議会から認定証を得た上で、先ほどのNCLEX-RN、国家試験に合格すれば、登録看護師として就労することができるということです。
 外国の看護師に対する国家試験に係る特例制度はなく、相互承認をしている国もないということであります。
 3ページは、カナダの看護制度でございます。
 カナダでは、看護教育を受けるには12年間の基礎教育が必要で、看護師教育は4年。
 看護師国家試験の合格と州への登録が必要となっております。
 外国の看護師が登録を認められるには、看護教育の修了、看護実績、国家試験の合格、英語ないしはフランス語の読み書き、話に問題がないこと等の7つの条件を満たした場合に認められるということでありまして、カナダについても外国の看護師に対する国家試験に係る特例制度はなく、相互承認をしている国もございません。
 4ページは、ドイツの看護制度であります。
 ドイツの看護教育は、中等教育を修了した者が看護師学校養成所で3年間修業するということで、養成課程を終えますと、国家試験の受験資格が得られ、合格すれば免許が与えられるということになっております。
 外国の看護師につきましては、国家試験の受験によらず、出願者の教育等がドイツと同等以上か否かということで個別に審査をされるということでございますけれども、この際に職業上の専門性の発揮に必要なドイツ語の会話知識を出願者が備えているかどうかというのも審査されるということだそうです。
 相互承認制度でありますけれども、これはEUの域内で認められておりまして、基準に調和している看護教育を修めていれば自動的に承認されるという取扱いとなっております。
 5ページは、韓国であります。
 高校卒業後、4年学制の看護学校を卒業し、看護師国家試験に合格した者に免許が与えられるという仕組みであります。
保健福祉部の長官が認める外国の看護大学等を卒業して、外国の看護師免許を受けた者は、韓国の看護師国家試験に合格すれば免許を取ることができるということでありまして、試験科目の一部に韓国語の能力試験がある予備試験の受験もその際には必要となっております。
 外国の看護師に対する国家試験に係る特例制度はなく、相互承認している国はないということです。
 6ページは、中国であります。
 少なくとも中学校を卒業して、中等職業学校、高等学校の普通全日制で3年以上の専門課程を学び、8か月以上の看護臨床研修を完了した者に国家試験の受験資格が与えられ、同試験に合格し、登録されて免許が得られるという仕組みであります。
 外国の看護師については、国家試験の受験によらず、外国人が中国国内で就業する管理規定に合致しているか等、5つの就業条件を満たすかどうか。これが省レベルの衛生行政部門によって審査をされ、認定をされるということであります。
 相互承認をしている国はございません。
 7ページは、英国であります。
 10年以上の一般教育を修了し、看護師学校養成所で3年以上、職能団体であるNMCが承認した養成課程を修了していれば、看護師としてNMCへの登録ができるとなっております。したがいまして、日本の国家試験に相当する試験というものはございません。
 外国の看護師については、言語要件、業務従事要件、教育要件を満たせば、NMCに登録することができます。
EU諸国に対しては相互承認が認められているところであります。
 8ページは、スウェーデンです。
 高校卒業後、看護教育の就業年限は3年となっております。
 英国と同様、国家試験の制度はなく、看護養成課程を卒業後、保健福祉庁に申請し、認定されれば、資格が与えられるという仕組みになっております。
 外国の看護師については、教育の同等性の認証やスウェーデン語の能力判定、医学的一般知識に関する試験合格等の6つの条件を満たした者に対して資格が与えられるという仕組みになっております。
 EU諸国に対して相互承認が認められている点については、ドイツや英国と同様でございます。
 以上を簡単な表にまとめたものが9ページでございまして、これを文章化したものが10ページであります。
 国家試験制度のある国では、外国の看護師に対して自国の国家試験合格を求めている国が少なくない。
国家試験では、当該国以外の言語で実施しているところは、今回の調査ではございませんでした。
 国家試験制度のない国であっても、外国の看護師に対して語学要件を課している国がございました。
 相互承認を認めている国では、相互承認の対象国以外と異なる取扱いが行われているといったものとなっております。
 資料3の説明は以上でございます。
○中山座長 ありがとうございました。
 これについては質問ございますか。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 これで世界中の流れがよくわかったと思います。日本もグローバルスタンダードとは言いますけれども、やはり各国の独自性というものをしっかり、言語の問題、民族の問題、いろいろ特性がありますので、その国で働こうとすれば、その国の文化を理解し、言語を理解しないと業務ができないということが明らかになりました。日本の看護師の国家試験というものは現在のレベルをしっかり守らねばならないという認識を新たにしました。
○中山座長 ありがとうございました。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 たしかアジアでASEANで共通で看護師さんの雇用を一体化しようという動きが出ていると聞いておりまして、例えばフィリピンとかインドネシアといったところで、英語の試験を受けることによって看護師さんが移動できるかどうかとかいう話を小耳にしたのですが、それはどういう実態かというのはわかりますか。今回は、韓国と中国は入っているんですけれども、東南アジアの状況というのは、何かお聞きになっていらっしゃるのでしょうか。
○玉川看護職員確保対策官 ASEANにおいて資格の相互認証に向けた取組みを進められているということはお聞きしております。
 今回、調査の対象国を考えた理由でございますけれども、1つは欧米諸国と国家試験が行われている国という中で、日本への受入れ実績等もございます中国、韓国というところで選んでおりまして、ASEANまでは調査を依頼しておりませんでした。
 ASEANの中でもいろいろ話し合いとか、相互認証に向けた取組みが進められていると聞いておりますけれども、構成国の中でも国家試験がある国、ない国等々いろいろありまして、ハーモナイズのために一歩一歩議論が進められているという状況までしか、確たる情報としては今、事務局では御紹介できません。
○加納委員 ありがとうございました。
○中山座長 尾形委員、どうぞ。
○尾形委員 確認ですけれども、資料3です。
 相互承認の有無ということで見ると、EU以外はほとんどないということのようなのですが、EUの中では相互承認しているということは、語学の要件は問うていないということですか。イギリスのところだけ少し英語を問うているような形が書かれているんですが、それ以外のところでは問うていないということですか。
 つまり、例えばドイツだったらドイツ語ができなくても、域内の移動はできるということですか。
○玉川看護職員確保対策官 在外公館からの個別の情報を集約していますので、その国の行政当局からの説明ぶりが若干国によって違うところがございます。けれども、基本的な仕組みとしては同じ枠組みの中で動いていると思われますので、そういう意味では英国のところが一番詳しいと思うのですが、英国の相互承認制度の中でございますように、EEA諸国、スイスに対して相互承認している。その場合、相互承認の対象者に対しては、語学要件を課すことは、枠組みの中としてはできないと。ただ、実際NMCというのは職能団体でございますけれども、ここが実際の看護業務に携わるに当たっては、やはりその国のある程度の能力を持っていないと、実際上働けないということから、こちらの職能団体がEuropass Language Passportという語学力を自己査定する仕組みを利用することを強く推奨することを団体として表明しております。そういう語学能力を持っているということでなければ、実際上働くのは難しい、困難があるだろうということは、施設とか本人に対してもお話をした上で受け入れをしているということであります。
 ただ、相互承認のEC指令なり何なりの仕組みとしては、そうした能力の有無で受け入れが認められないかどうかということにはなっていなくて、そこは自動的に承認をされるという仕組みになっているとのことであります。
○尾形委員 そうすると、このコミュニケーション能力を要件とすることは不可と書いてあるのは、課するとEUの指令には違反してしまうということなんですか。
○玉川看護職員確保対策官 EU域内の方に対しては、そういう要件を付けることは、枠組みの中としてはできないということです。
○中山座長 小川委員、どうぞ。
○小川委員 御参考までに、7ページのイギリスのところには「能力試験を要件とすることは不可」と書いてあるんですけれども、相互承認の制度自体の中で受け入れ国の言語能力を有する必要性を明示している。要するに、英語圏であれば、英語がしゃべれなければいけないということは、そもそも相互承認の制度の中に入っているんですね。EU Directiv2005ということで、今、見直しは検討しているようですけれども、そういうものがもともと入っているということと、実際に受入れ、雇用するときにそれぞれの職場で能力を見ているということになっています。
○中山座長 ありがとうございました。
 讃井委員、どうぞ。
○讃井委員 前回の私のリクエストに沿って、こういう調査をしていただいたことについて、まずお礼を申し上げたいと思います。
 挙げられている国は7か国です。その中では、必ずしも看護師を受け入れている国ばかりではないようです。韓国ですと、どちらかというと送り出しの方ではないかと思うのですが、アメリカに行っている看護師さんの中で、例えばフィリピンですとか、インドですとか、韓国の方などは多いというお話も聞いております。ですから、なかなか同列に扱うというのは難しいかもしれません。
 9ページの一覧表を拝見しますと、真ん中の「外国の看護師の免許取得要件」というところで、国家試験のあるところと、ないところがございます。国家試験プラス語学要件というところは、まさしく日本でやっている国家試験の中で、一般的な受験資格認定ということで、日本語能力検定試験N1を受けて、そして国家試験を受けるというものにちょうど該当するのではないかと思います。
 それに加えて、私どもの今の関心は、EPAで受け入れている方をどうするかということでございますけれども、この表からわかってくることは、EUでは、あるいはスウェーデンの場合はもう少し別の国も含めて、地域協定ですとか、そういう協定があれば、通常の扱いとは異なるやり方をやっているということが見て取れるのではないかということでございまして、今回日本でEPAによる看護師候補者の方をどうやって扱うかというところのひとつ参考になるのかという気がいたします。
 私も全く詳しいわけではないのですけれども、ちょっと調べたところですと、EUの中の相互承認という制度のほかにも、例えばスイスとカナダの間に2国間の協定があるとか、スペインがフランスやイギリスと2国間協定を結んでいるとか、ドイツは中東欧の諸国と2国間協定を結んでいるとか、幾つか2国間協定ということで特別の制度を設けているということがあるようでございます。
 では実際、2国間協定の中でどのような取扱いがされているかということは、どなたか御存じのことがあったら、是非教えていただきたいと思います。そういう取組みというのが海外でもなされているということがよくわかったのではないかと思います。

○中山座長 ありがとうございました。
 林正委員、どうぞ。
○林正委員 第1回の検討会のときに、能力について看護師は記録を残す必要があるんだということを私は強調したと思います。英国の看護制度の概要という7ページを見ると、非常に正確に書いてあるんです。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングです。これだけ備わったらコミュニケーション能力があるんです。
 今回の検討会の題名で「コミュニケーション能力試験」と書いてあるのですけれども、このコミュニケーションというのを日本語で「話ができる」程度に理解されると、非常に困るわけです。必ず読み書き、要するに記録することが必要だと思います。
 ただ、それを念頭に置いた上で試験方法とかを考えると、例えば母国語・英語で試験をする意味合いというのは全くないと私は考える次第です。
 念のために調べてみたのですけれども、医師の場合も外国の医学校を卒業して、日本で医師免許を受けるために試験を受ける方がおられるわけです。そういう人に課せられる要件というのは、どうも看護師さんの方と言葉遣いが違うのですが、日本語の臨床能力調査という形で行われています。
それを見ますと、主に3点ですけれども、適切な質問をして医療面接を行うことができるかどうか。これはお話の方です。
 診療に関する事項を患者にわかりやすく説明できるか。ですから、言葉の理解とスピークの方です。
 3番目に、当然出てくると思うのですが、基本的な医療記録を日本語で記録できるか。これが最後に加わっているわけです。
 看護師の場合も、基本的な看護記録を日本語で記録できない人は日本において仕事は全くできないはずです。それを念頭に置いて議論を進めていただきたいと思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 皆さんの議論が、今日準備しております論点整理の方にだんだん踏み込んできました。資料3のところまではよろしいですか。また質問がありましたら、少し出していただきたいと思います。
 先ほど当事者のことについて、意見聴取ということの問題があったのですが、私も急に思い出して資料を見たのですが、インドネシアの方の実態については、調査をされていて、実際に受入れてどうだったのかという資料も、このファイルの中には入っているようでしたので、多分厚生労働省の方もそういった資料をかなり持っているのだと思います。次回で構いませんので、少しアウトラインがまとまるような形のものを補足する形で示していただければと思います。今から調査をしなくても、幾つかの資料はあるように思います。
○加納委員 私も見たんですが、あるんですけれども、国家試験そのものに対する規模を細かくとらえたものはなかったような感じがしたのでお聞きしたんです。
○玉川看護職員確保対策官 そこはどういうことまでできるのか、今まで出したもの以外も含めて、精査をしてみたいと思います。
○中山座長 よろしくお願いします。
 では、持っている資料の中で出せるものがありましたら、また皆さんの方にお示しできるような形にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 戸塚委員、どうぞ。
○戸塚委員 先ほどの発言にも関連するんですが、この期間の中でインドネシアやフィリピンの方たちの意見を資料の中から整理するということについては、パブリック・コメントの医療従事者の方々から出ておりますコメントが、今はざっと全部が並んでおりますが、その辺りをまとめることである程度のことが今の資料の中から把握できるかと思いますので、それも併せてやっていただきたいと思います。
○中山座長 受け入れている方々の方のコメントがどんなコメントなのかということですね。
○戸塚委員 はい。
○中山座長 わかりました。
 手元にある資料でできるものは、少し整理をしていきたいと思います。
 それでは、今日の主な議題に入りたいと思います。
 検討会のとりまとめに向けまして、これまでの委員の皆様方からの意見を踏まえまして、事務局に「論点整理(案)」ということで作成していただきました。これを説明していただき、議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○玉川看護職員確保対策官 資料4「論点整理(案)」について、簡単に御説明させていただきます。
 昨年行われました第1回の検討会におきまして、今後の検討スケジュール(案)について御説明しましたけれども、その際、3月を目途に本検討会の報告をとりまとめることを予定していると考えていると事務局の方から御説明させていただいております。
 このため、来月の報告書とりまとめに向けて、まずは論点を整理することが必要ではないかということで、座長の指示を受け、事務局の方で「論点整理(案)」を作成させていただきました。
 これは、これまでの委員の主な御意見等を基にまとめたものでございまして、3つの柱立てを行いまして、検討会としての御見解をいただきたいところ、そうした事項を中心に並べております。
 柱の1番目は、看護師国家試験の担うべき役割に関わるものであります。
 この役割に関する議論を踏まえ、2番目の柱として、母国語・英語による国家試験の実施に関する論点を御議論いただいてはどうかと考えております。
 以上が検討会の開催要項を御説明した際に、検討課題として取り上げたものということでございますけれども、これまでの検討会において、多くの委員から母国語・英語での試験の実施以外に関わる御意見もいただいておりますので、3つ目の柱として、これに関わる御意見もまとめております。
 初めに、1ページの「1.看護師国家試験の担うべき役割について」であります。
 看護師とはということで、保健師助産師看護師法の定義を引いておりまして、その在り方は、国民の生命、身体に直結するものではないかというものを挙げております。
 看護師の国家試験は、看護師として必要な知識及び技能について行われることとされておりますけれども、そこでは患者・家族、医療関係者とのコミュニケーションを行う能力を有しているかを問うことが求められてきたのではないか、というものを挙げておりまして、具体的にということで、3つの○につながっております。
 1つ目は、患者とのやりとりから、その心身の状態に関する情報を得て、あるいは患者に対して必要な情報をわかりやすく伝えるということ。
更には、診療の補助に関して医師の指示を正確に把握して、これを実行するという要素。
更には、医療記録を正確に作成する。
 こうしたことをなし得る必要があるのではないか、ということでございます。
 続きまして、こうした国家試験の役割を踏まえて、2ページの「2.母国語・英語による国家試験の実施について」を立てております。
 今後も医療情報について、患者・家族、医療関係者と適切なコミュニケーションができる能力を担保すべきではないか、との論点に続きまして、これを看護に関わる知識や技能を図る試験については英語や母国語で行い、業務に必要な日本語についてはコミュニケーション能力試験を課すことで十分と考えることはできないのか、ということで、ここはこの検討会の最大の論点と考えられます。
 なお、この点を考えるに当たっては、諸外国で当該国以外の言語による国家試験を実施している国がないことをどう考えるか。あるいは特に母国語についてでありますけれども、直訳的なものでない限り、十分な翻訳ということがなし得ないのではないか。あるいは利用し得るコミュニケーション能力試験に相当する試験は、かなり限られたものとならざるを得ないのではないか。こうした点についても御留意いただいた上、お考えいただく必要があるのではないかと思っております。
 3ページ「3.母国語・英語での試験実施以外の改善方策について」ということで、こちらではEPA看護師候補者に対して、今、述べたような検討以外にも改善を図ることが考えられる事項があるのではないかということで、これまで関連する御意見があったところとして挙げておりますのは、現地の看護教育の状況は多様であるけれども、できるだけ優秀な候補者を受け入れられるよう努めるべきではないか。
 送り出し国の理解と協力が前提とはなることでありますけれども、日本語研修のさらなる強化を図って、マッチングにできる限り多くの情報が提供できるようにすべきではないか。やはり模擬試験の情報について、現在の候補者個人の成績等について、本人や受入れ施設に今、フィードバックしているところでございますが、こうしたものを候補者グループ全体として見た場合の分析等を進めて、以降の学習支援に更に反映させていくといった取組みを強化するといったことでございますとか、EPAの看護師候補者に対しては、看護師国家試験の試験時間の延長を認めるべきではないかという御意見も出ておりましたので、こちらの中で論点として挙げさせていただいております。
 資料4の説明は以上であります。
○中山座長 ありがとうございました。
 大体これに沿って進めていきたいと思いますし、今までも出ておりましたので、かなり整理されていくと思います。
 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 この論点3つは、確かにこれまで出た意見で、これはこれでいいと思うのですが、私自身この委員になって、その後もいろんな人の意見を聞いて、今回の私たちに与えられたテーマは、確かにフィリピン、インドネシアの看護師、そして国家試験の在り方云々なんですが、この結論あるいは政府の決定が与える影響というのは、結構大きいものがあると思うんです。
 私自身、それは2点あると思っています。
 1つは、他の医療職です。つまり、看護師が例えば母国語の日本の国家試験云々となった場合、医師はどうなるんだ、歯科医師はどうなるんだ、薬剤師はどうなるんだということ。当然、我々に与えられたテーマではないけれども、もし聞かれた場合に、それは知らないよということでは責任を果たせないわけです。我々は看護だけを検討したんだから、ほかの職種は一切知らないという論理は通用しないと思いますので、そこまでここで議論するかどうかは別としても、少なくともそこまで我々は考えたということはやらないと、ちょっと責任を果たせないのかと思ったのが1点。
 もう一点は、今回はあくまでもフィリピン、インドネシアの問題ですが、そしてEPAに端を発してね。そうしますと、これから経済連携協定を結んだ国の、例えば看護師、そして先ほど言った他の医療職についても同じルールが適用されるべきなんですね。だから、我々があくまでも与えられたのは、今回はフィリピン、インドネシアと言わば他国への影響、波及といいましょうか、その点についてもやはり考えておかなければいけないと。
 その2点、つまり、あくまでも今回は看護のこれだけれども、またもう一つの柱を立てるかどうかは別として、こだわりませんが、そういった点について、特に前段ですね。他の医療職に関してどうなんだということもちゃんと考えておかなければいけないと思います。
 以上です。
○中山座長 今、EPA関係では看護師と介護福祉士ですかね。
○玉川看護職員確保対策官 閣議決定で検討が求められているのは、看護師候補者と介護福祉士候補者でありまして、介護福祉士は別の部局の方で検討を行うということになろうかと思います。
○中山座長 介護福祉士もやっているんですね。
○玉川看護職員確保対策官 検討会の形式ではございませんけれども、閣議決定の中では検討が求められる事項となっております。
○渡辺委員 だから、そういう言い方をするから、まさに役所の縦割りと言われてしまうわけであって、我々は看護、介護士で検討すればいいんだよというのは、確かにそうかもしれない。それで我々が集まったのは事実だけれども、例えば私個人的には、看護ではこういう結論が出たが、それは医師でも同じですかと聞かれれば、私自身は答える義務があると思っているわけです。それは知らないよと、私は看護のことで検討したから知らないと、まさに役所の縦割りそのものをお受けするわけで、少なくともそういった意味での影響というものは考えなければいけないと思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 小川委員、どうぞ。
○小川委員 私も渡辺先生のおっしゃることもそのとおりだと思っていまして、こと看護師の国家試験を今、検討していますけれども、看護師の国家試験というのは、看護師の国家試験だけで成り立っているものではなくて、ほかの資格との整合性だとか、医療制度とか、そういうものの上に乗っかっているわけですよ。これが仮にこのことにしましょうといったときには、1つの前例になる、あるいは前例にならなくても参考にはなるわけですので、そういうことも踏まえて考えると、例えば看護師国家試験の試験時間の延長を認めるべきではないかということの論点についても、看護師だけ認めて、ほかは認めないという話には多分ならなくなるのではないかと思っていて、ここで決めていいのかどうかという心配があるんです。そういうことがまず1つあります。
 もう一つは、いろいろと国家試験を見直すことを今、検討しているんですけれども、外国から来た方がN1の認定を取って、国家試験を受ければ、8割方の方の合格をしているという現状を見ますと、今のEPAのスキーム自体が、きちんと日本語の能力がある人もない人もごちゃ混ぜにして受け入れているそのものが問題があって、そこはきちんと一定の審査をした上で受け入れていけば、こういう問題が起きることはないわけです。
 何か我々は本末転倒な議論をしているような感じを受けているんです。ですから、もともとの制度の問題を直せば、この合格率の問題が議論をされるということは余りなくなるのではないかと思っています。
 よく障害者と同じように、日本語のハンディがあるとか、関税障壁と同じように日本語の壁とおっしゃるんですけれども、どの国の方々も、その国の言葉の壁を乗り越えて、克服して、皆さん働いているわけです。お金を持っている方は通訳をつけるとか、そういうことはできるかもしれませんが、1分、1秒を争う医療の現場において、そういうことは可能ではないわけです。そのときの患者さんの状態において、即座に適格な判断をしてチーム医療でコミュニケーションをとって、その患者さんの命を救っているわけですので、国家試験を動かすということではなくて、スキーム自体をきちんと改善していくことが、私は本来の議論の在り方ではないかと思います。
 以上です。
○中山座長 それでは、藤川委員、花井委員と行きたいと思います。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 クロスライセンスの問題が出ましたけれども、TPPの問題が現実に動いていますが、まだそういう問題はないと思っています。現実に、アメリカの方からもそういうことの要求は今のところ我々の方に上がってきていません。
 やはり、この看護師の問題は、部分的にEPAの2か国だけの問題を取り上げて、ここでやっているんです。看護師の国家試験も、医師の国家試験もあるわけです。そこが親会議ですから、そういうところで議論すべきことであって、ここで決めたことがすべての国家試験に影響を及ぼすということは、あってはならないと思うんです。あくまでも部分的に議論しろと内閣から言われたのですが、先ほど小川さんが言ったように、本当は違うんですね。大本のところでの国の姿勢というものをきちんと立てておかなくてはいけない、ある部分だけを1つ動かせば、それがほかの職種にも影響してくるのではないかという三段論法的なものは間違いだと思うんです。
 例えばTPPの問題でもありますけれども、日本のスタンダードな食料の安全性基準などにしても、アメリカだけではなく、全ての国で違うんですよ。日本が水も食料も一番厳しいんです。厳しいから、今の日本の長寿社会ができて、日本の国民が安全な生活ができているわけです。それを下げるということは、日本国民のリスクを高めることですから、それを我々がそうしよういうことは、ここで決めたからといってできないわけです。
 やはり一番大事なところは、世界のトップレベルの日本であるということを意識しておかないと、それを下げてくると、アジアのレベルも、医療の理想的なトップレベルが下がれば、また下がってくるんですよ。医療安全が保てなくなりますから、我々はトップランナーとして、経済的には今3位まで落ちましたけれども、医療レベルはトップレベルを保っていると思います。
 だから、その点では、アジアの目標になるように、何とかして自国を日本並みの医療レベルに上げるためには、医師であれ、看護師であれ、本当に必要であれば、日本語のトレーニングもしっかりやって、将来自国に帰って、自国の医療レベルを上げるリーダーになっていただきたい。エリートをつくるというのは、物すごく大賛成なんです。だから、日本に半永住するような形で、マンパワー不足だから、日本で就業させることだけを目標にすると、単なる出稼ぎで来て、お金を習得するというだけになります。日本国民の医療レベルを下げたり、国家試験のレベルを動かすことを日本国民は望んでいないと思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 国家試験のレベルを下げないという意見は、賛成です。、患者の視点で、将来に向かって「患者」とはどういう像なのかと考えたとき、医療の体制は大きく変わろうとしている。地域医療をつくっていこう、高度な医療と連携していこうというときに、1分、1秒を争う急性期的な高度な医療を行うところと、地域に帰って介護と連携して、訪問看護なり、病院で長期療養している方へのケアをすすめていく超高齢社会では、やはりスピード感と同時に、日本の文化とか高齢者が入院したときに何を望んでいるのかということを把握する必要があります。単に技術があればいいということではないだろうと思います。自分の入院経験からも、擬声語的なことが理解できることは大切だと思っていまして、そういうことが患者にとって入院しているときの安心感を与えている部分が相当大きい。そのことが短期間の滞在で果たして可能なのだろうかと危惧しています。
 それから、やはり心配なのは、このアンケートを見ると、インドネシア語でも、フィリピン語でも、英語でも全部記載すればいいという回答もありますが、それは現実的に対応は可能だとは思っていません。そういうところから考えますと、なぜ今、このような議論をしなければいけないのか。確かに政府の要請として検討していることは十分理解しているのですが。
 それから、どうして看護師だけ、あるいは介護福祉士だけ国家試験を緩和していくという方向を検討しなければいけないのか。医師や薬剤師、歯科医師の国家資格もそのようにしていくのかということは、どうしても考えざるを得なく、そういう意味では、要件を緩和して、合格しやすくするという方向性は、患者の立場から見て、本当にプラスになるのかということは非常に大きな疑問だと思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 それでは、山崎委員、その後に加納委員にいきたいと思います。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 ずっと意見を聞いていて感じるのは、建前論としてはすごくよくわかります。感情論でもわかります。ただ、将来的に超高齢化、少子化ということを考えたときに、医療、介護の分野を担う人材はどれだけ日本国民というか、日本人だけで支えることができるかということは、現実的な選択として考えなければいけないと思います。
そういうことを考えたときに、では、医療、介護の方に若い看護師とか介護士を入れれば、今度は生産人口が減ってしまうわけですよ。生産人口が減れば、労働活動というか、生産活動が落ちてしい国の経済が成り立たなくなる。税収が減れば、医療、介護のシステムも壊れてしまうということで、その建前論としてはよくわかるのですけれども現実的な選択をしなければいけない局面に入っているのではないかという気がします。
 だから、社会保障と税の一体改革の2025年の案を見ても、看護師は50万人増やさなければだめだと書いてあるのですが、あそこの母集団のところが、たしか現在は130万人ぐらいいると書いてありますが、その130万人のうち2025年まで14、15年ある間に何人亡くなるかというのが全然入っていないで、50万人増やせば足りると言っているのだけれどもね130万人の方から抜ける看護師さんも入るわけですから、そういうことも考えると、絶対数は全然足りないと思います。
 したがって、質を担保する問題と、供給をどうするかという問題を両面で考えていかなければいけないと思います。

○中山座長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 私も山崎先生の議論に近しいんですけれども、先ほどからの議論は、看護師の国家試験をどうするかという議論ではなかったと思うんです。やはり今回のパブコメで求めたように、EPAの人たちをどうするかというのが最大の論点ではないかと思っております。
 スピード感どうのこうのというのは、確かに医療現場というのは、まさしく命に関わることですから、それは必要であるわけでありますけれども、例えば日本人の看護学生さん、新卒で来られた方々で果たしてその国家試験で今、そこまで求めて、でき上がった人ができているかとなってくると、これはまた疑問なところもいっぱいあるわけです。
 そういう意味で、少なくともEPAで今、何百人の方が毎年、これは3、4年目になろうとしているわけですが、母国を離れて来られて、我々もすごい巨額の投資をしながら、教育しながら、日本で何とか国家試験に通るようにという形でやっているわけなので、そこの議論を今回はある程度絞って、何とかそういった前向きな議論をお願いしたいと思います。例えば我々が最初にインドネシアの子たちを受けた理由の1つは、1年前に最初に入れられた先生が、あの子たちは非常に素晴らしい国民性を持っていて、あの子たちを入れた詰所が明るくなると。いつも微笑みを持っているとか、そういった我々がちょっと薄れつつある人間性を持った方たちだよと。入れて見ると、本当に現場が非常に改善したとかいうことをお聞きしまして、そうしたら我々も入れてみようということで入れましたら、それぞれの成績どうのこうのは個人差がいろいろあったりしましたが、人間性としては、なかなかいい国民性を持った人たちだなと我々は思っていますし、これは我々日本人が欠けていっているところではないかというところまで感じるような子たちもいるわけです。
今回、EPAで2国間という形での入れ方の問題が最初あったんだとは思うんですが、少なくとも今後はN1という1つの言語のレベルで制御するということをするにしろ、少なくとも今、来ている優秀な子たちを何とか通してあげるという方向性は出していただきたいかなというのが私の意見です。
○中山座長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 私は、今、来ているインドネシア、フィリピンの方たちは、それは国の経済連携協定という枠組みの中で来ているので、彼女たちはやはり一生懸命だと思うし、そのこと自体は全く否定もしないし、そうだろうと思います。
 そのことと、国家資格のレベルを変えていくということは違うだろうと思っているんです。今の国内の看護師さんにしたって、そこを通ってくるわけですから、やはりそこは下げるべきではないということを言いたかったということです。
○中山座長 戸塚委員、どうぞ。
○戸塚委員 要するに今、議論していることは、看護師の国家試験を1本でなく、別のものをつくるということにつながっていくわけですね。そういうことが果たして現実に可能なのかどうかという疑問があります。
 フィリピンとインドネシアのEPA以外の外国から来ている方たちが今、日本の国家試験を受けて、現実に受かっているという状況の中で、EPAで来た方たちが頑張っていらっしゃることはよくわかりますし、何とか国家試験に受かってほしいなという思いはありますけれども、だから看護師の国家試験の受験の方法を別にもう一本つくって、それが現実に資格を取りやすいということになれば、レベルが下がるということにもつながると思いますので、そういうことが国民の、特に看護職あるいはチーム医療の他職種の人たちから受け入れられるのかどうかというところで、私は非常に疑問があります。
 ここの論点整理の2の2つ目の○のところに「看護に関わる知識や技能を図る試験」と「コミュニケーション能力試験」と入れていますけれども、これをどういうふうに理解するのか、その辺の具体的な議論も何もまだないわけですね。現実に可能なのかどうかと考えたときに、今までのいろいろな意見を伺いますと非常に難しいことではないかということです。
 それから、今はインドネシアとフィリピンですけれども、これが2つの国だけに止どまらないという方向性もあると思います。他の国の方たちがきたときに、では、その母国語で国家試験を受けられるようにするのかということにつながっていく、そういうことも考えながら、どうするか。
 確かに私たちが今、検討会でこのEPAの2つの国から来ている人たちの国家試験をどうするかということを議論していますけれども、その先にあることも考えに入れながら、検討会としての意見を出していくことは、避けてと通れないことではないかと思います。

○中山座長 先に熊谷委員にいきたいと思います。
○熊谷委員 ありがとうございます。
 私は臨床側でお2人ほどインドネシアの方がいらっしゃいます中で、どうあればいいのかとずっと考えているんですが、私も先ほど発言したように、国家試験をここで何かをするという会議体ではなくて、国家試験をどうするかというのは、もうちょっと違う話だろうと思うんです。
 ただ、このEPAの人たちに関しては、やはり受入れ側の日本の国自体が準備不足で、制度を走らせてしまったことが私は一番不幸だと思うんです。受入れ側もそうだし、来た彼女たちも本当にそうなんです。日本語の能力を十分勉強する場もなく、何年間でやりなさい。そして、国家試験が受からなければだめだと。このプレッシャーというのは物すごいと思うんです。
 ですから、私は冒頭に確認させていただいたのは、今、EPAで来てしまった方々を制度がない中でどうするかというところに特化をして考える方がいいだろうと思っていて、今回のパブコメを読ませていただくと、受入れ側の方々、患者・家族等々を読むと、皆さん出てくるのは、日本語の正しい理解をした上でのコミュニケーション能力は絶対必要だと書いてくださっているので、そこをどう補充するかというところに論点を持って行って、国家試験はあくまでも日本の言葉で受けていただくと。
 このコミュニケーション能力を取るためにどうすればいいか。年限をどうしたらいいか。今、来ている方についての議論が必要かなと思います。
 それから、やはり国に対して、今後このEPAが続くようであれば、その辺の育成のことはまた別問題として考えていただきたいなというのが私の考えです。
○中山座長 ありがとうございます。
 讃井委員、どうぞ。
○讃井委員 今の熊谷委員の御意見にあるように、私も本当に制度を準備もしないで走らせてしまったというところに大変大きな問題があったと思います。ですから、行きつく先というか、理想は、やはり何度もこの席でも申し上げているのですけれども、単に試験をどうするかということだけではなくて、総合的にサポート体制をどうやって整えていくかということなんだと思います。それは、まず応募資格をどうするかというところから始まって、そして実地の研修を受けていらっしゃるときに、どういうことを知らせていくかということですね。今までお話があった現地の医療と日本の医療との違うところを補うように、例えば高齢者に対するいろいろな疾患について詳しく勉強してもらうとか、特別な用語について勉強してもらうとか、そういう研修のこともございますでしょう。また、国家試験に受かって、現場に入ったときのケアと言うのでしょうか。どんなに試験に受かっていたとしても、やはり日本人とコミュニケーション能力は違うでしょうから、それを補っていくためにはどうしたらいいかというところまで、総合的な対応が本当に必要だと思います。
 ただ、それは理想でありまして、では、今、来ている人たちをそれに合致しないからといって排除してしまっていいのかという問題があると思います。受け入れてきた責任をどうやってまっとうするかということであって、これは2国間の決まり事で受け入れたわけでございますから、きちんと責任を果たしていくことが必要だと思います。
 そういう過渡的な制度として、今どうしたらいいかということでございますので、私は前から言っているように、やれることは何でもやった方がいいのではないかということで、試験についても英語とか母国語というのも可能性として考えるべきだと思います。
ただし、それは国家試験の要件を緩和するというか、グレードを下げるということではなくて、言語を変え、そして日本語のコミュニケーション能力の試験を組み合わせることで、いかに本来の国家試験とエクイバレントなものをつくっていくかという工夫です。非常に難しいのかもしれませんけれども、そういうことをやる必要があるのではないかと思っております。

○中山座長 
 今の戸塚委員と讃井委員からありましたように、1つは、戸塚委員は、日本語の看護師の国家試験と母国語・英語による国家試験をつくれば2本になるということですね。要するに、一緒にはならないと。幾ら日本語を翻訳した形にしたとしても、それは一緒の試験にはならないから、日本語の国家試験と、それを翻訳した国家試験をするということは、2つのライセンスになるという考え方と考えていいですか。
○戸塚委員 ライセンスが2つになるということになるかどうかは別として、看護師国家試験が2本立てになると私は理解をしておりますけれども、果たしてそれでいいのかということと、EPAの人たちと他の外国の看護師さんとの差がどうなるかという、先ほど熊谷委員が投げかけていらした問題もあると思います。
 ちょっと発言追加ですが、3番目の論点整理の仕方が、今、日本に来ている方たちの問題をどうするかということと、今後どうするかということで2つに分けて整理した方がいいように思いますので、発言させていただきます。
○中山座長 ありがとうございました。
 それでは、藤川委員、加納委員にいきます。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 参考資料2でもあるように、19人しか通っていない問題と、応募者が減っている問題があります。まず、応募が減っている問題は、現実性がないということに、この制度の不備について相手側の国が気づいた、応募者も家族も気づいたというのが現実です。
 もう一つは、落ちている理由は、コミュニケーション能力がない人たちがたくさん来ているというのが原因であると看護レベルそのものが、例えば日本語をインドネシア語に直そうが、英語に直そうが、合格しない人も来ている可能性が十分ある。この2種類の可能性で合格していないというだけのことです。
 では、本当にインドネシア、フィリピンの看護師さんたちのレベルが低いかというと、そうではないと。やはり優秀な人たちは、イギリスやアメリカに行って、英語で行くなり頑張って行って、そして2番手、3番手が来たというのは、この前の報告でもあったわけです。看護レベルも落ちている、そして語学力がない人たちが来たら、当然こういう結果が起こるということは、厚労省側としてもわかっているはずです。
 ただ、内閣で政治家が医療現場を知らずに、足らなければ他国の特殊技術を持った人を入れればいいではないかと考えています。少しは日本語を勉強したらしゃべれるぐらいになるだろうと予想したわけです。いわゆる政治家が判断したところに最初のスタートでジャッジが間違っているわけです。その間違ったまま内閣が閣議したものだから、厚労省としては行政ですから、当然そのまませざるを得ない。最初の段階で政治的判断が間違っていたということに、誰しもそれに触れたくないものだから触れていないだけの話であって、スタートが間違っているわけです。
 ただ、人口が足りないから移民させれば、労働人口が増えるということではない。特殊技術というものは、コミュニケーション能力が絶対100%必要であるということの医療の安全、命が関わる問題を十分認識して政治家自身が反省をすべきだと思います。
○中山座長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 EPAの導入に関する問題が本当にこういった形で起こってきているのは認識されているかと思うのですが、先ほどの根本論としては、現実的に入っていることはやはり対応しなければいけないことと、先ほどちょうどお話に出ました英国の場合でも、語学試験でリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングとあるわけで、彼女らはN1の能力を受けずに来ている。ある意味、N1レベルではない人たちが来ているわけなので、彼女らからアンケートが出てきますと、多分異口同音に時間的に読み切れない、日本語の言い回しがわからない。そのリーディングの問題だと思うんです。リーディングである限りは、国家試験の内容としては、日本語のレベルをしっかりと医学的レベルで国家試験の内容として通るならば、せめてリーディングだけはヘルプしてやるというのが、例えばその時間を少し延ばしてやると。それだけで、おっしゃっているような国家試験のレベルはしっかりと知識は持っていると。そのリーディングだけ助けてやるぐらいは、せめてしてあげたらどうかということはどうでしょうか。
○中山座長 具体的なところですね。
 林正委員、尾形委員にいきたいと思います。
 林正委員、どうぞ。
○林正委員 加納委員は余りにも情に流され過ぎていると思います。
 看護師の国家試験の試験問題をつくる立場からすると、あれは時間配分が非常に重要なんです。ですから、それを無視して特定の人に長時間与え得ることは、はっきり言って、問題作成上の問題点が生じます。
 これは私の個人的なことですけれども、昨年度、卒業生からいろいろ寄附を募りまして、彼女たちが使ってきた試験問題集と国試対策のいわゆる受験本、参考書などの古本を集めて、EPAで来た看護師候補者を支援する団体に贈りました。ですから、国内の看護学生も、そういうことは認知しているんですが、やはり候補者が自分たちと同じような試験を受けるという前提の下に、そういう運動に参加してくれたわけです。特別扱いを要求しているわけではないと思いますよ。
○中山座長 加納委員、どうぞ。
○加納委員 情に厚いのがやはり日本人であるべきだと思いますし、今の看護師さんのいろんな問題点は、非常にひ弱になっているということですから、我々は今の日本人の若い看護師さんのレベルを考えますと、非常に不安になっているところもあるんです。その情が足りないというか、精神的に不安定な形の子たちを、私が先ほどちょっと言いましたのは、あの子たちが入った病棟はやはり明るくなるんです。そういったところも我々は考えるべき時点に、悲しいかな、もう来ていると思います。そういうことも含めて、我々は採用をして、今、一生懸命教育しているわけなので、多少情があっても、私はいいかなと思います。
 その情で、たった30分ほど試験時間を延長することによって、その国家試験のレベルをどうのこうのまで、今の議論では影響するのかどうかというのはどうかなと。我々は例えば英語の試験であれば、あと10分あったらもうちょっと書けたのにというのは、幾らでもあるかと思うんです。そういう日本語の言い回しの難しいところを我々が何とかしてあげたらどうかなという議論でありますので、そんなに大きな問題ではないのではないかと思うんです。
○中山座長 尾形委員、何か先ほど発言があるようでしたね。
○尾形委員 2回欠席していて、最後の論点整理のところに参加するというのははなはだ心苦しいんですけれども、情を振り捨てて意見を申し上げると、この論点整理(案)自体の構成はよくできていると思います。最初に担うべき役割をちゃんと整理して、それから国家試験の実施についての論点を書いて、それだけにとどまらず、試験実施以外の改善策を述べるという構成は大変いいのではないかと思います。
 その上で、2点コメントです。
 1つは、先ほど御説明があった意見募集の扱いです。この論点整理には全然反映されていないように見えるのですが、これは失礼なのではないかと思います。この検討会なり、あるいは厚生労働省が決定して意見募集を求めて、それなりの答えが返ってきているわけですから、やはり何らかの形で言及すべきだと思います。勿論、その場合、先ほどお話があったように、回答数が少ないとか、いろいろな注釈を付ける必要はあると思いますけれども、全く無視しているようにとれるのはよくないのではないかというのが1点目です。
2点目は違う観点なのですが、もともと母国語・英語と並列して扱われていることにはやや違和感がありました。それはこの検討会の名称がもともとそうなっているので仕方がないとは思うのですが、やはり少し違う話ではないかという気がします。というのは、母国語を認めるというのは、先ほどのEUの例にもありましたように、相互承認のような形で、日本と相当社会的、経済的に統合したようなところで初めて出てくるような話ではないかと思います。
その一方で、英語というのは、これはよきにつけあしきにつけ国際語になっているのが実態ですし、特に医療の分野では、御案内のように国際的に通用する論文というのは、ほとんど英語で書かれているということを考えると、やはり国際語としての英語ということと、母国語というのを同列に並べて議論しているというのは、ちょっとどうかなという気がいたします。その2点です。
○中山座長 ありがとうございます。
 戸塚委員、どうぞ。
○戸塚委員 試験時間のことでございますけれども、国家試験にこだわって申し訳ないですが、国家資格を得るための試験ですから、時間が延びるということは、方法が2つになるということに変わりがないと思うんです。
 林正委員から問題をお出しになる側としての御意見がありましたけれども、試験というのは試験の問題をある限られた時間の中で解くということによって合否を決められるわけですから、その試験に受かるような何らかの支援策を考えていくという方向で議論した方がいいように思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 座長は余り発言してはいけないと思うのですが、ちょっと気がついたのは、イギリスの例を見たときに、海外看護師のプログラムみたいなものがあって、先ほどから出ている国家試験を受ける前も、受けた後もそうですが、こういった海外から来た方々への現任教育も含めて、プログラムというのは考えられているのですかね。熊谷委員の方が詳しいかと思いますが、その辺はどうですか。
○熊谷委員 私はたまたま新人看護職員の臨床研修の制度の委員なんですが、外国人の方のものは、特にその場に話題に出たことがあるかというと、全くないです。
 ただ、先ほどから御意見が出ているように、日本人の看護師で新人さんが現場適用するのも今は困難な時代の中にあって、まして異国の方に来ていただくには、今後やはりそういうプログラムをつくっていく必要が座長がおっしゃるようにあると認識はします。
○中山座長 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 言語能力に関しては、やはりしっかり頑張ってもらえるように、今、厚労省もきちんとやっています。日本に来て勉強をするのではなくて、自分の国でも勉強ができるようにする。自分の国である程度準備をしてくるという時間を与えてやると、こちらに来て、非常に不安なところで、勉強するよりは、私は自国の方がいいと思います。
 ただ問題は、どうしても現状で来ている人たちの中で、日本語のコミュニケーション能力は大分慣れてきたが、看護レベルが足らずに来てしまったという人もいると思うんです。では、その人たちをどう救ってやるかというと、今、日精協でも全日病でも話していますが、日本医師会でも、医師会の養成校というのは、まず准看護師を2年出取得し、働きながら勉強して、次のステップとして看護師の学校で養成して、5年がかりで看護師資格を取得するわけです。メリットは何かというと、実務を覚えることもあるのですが、やはり言語、コミュニケーション能力ですね。医療現場におけるコミュニケーション能力を、いわゆる看護師になる前は余りそういう医学用語を知らなかったけれども、慣れてきて、上のレベルに到達して、看護師の国家試験を受ける。これは外国人でも一緒のことなんですね。
 だから、どうしても日本に滞在したいということであれば、各県の検定試験を受けさせて、准看護師として現場で働きながら、お給料をもらいながら、日本語もトレーニングをしていって、看護師のレベルも言語能力も上げた上で看護師の国家試験を受けるような養成校に入っていくというのも、1つの手ではないかと思います。
 勿論、看護師の免許を持っているから、准看護師を受けて通ったら、試験の受験の権利だけを与えておいて、来年また受けさせるということでもいいのではないかという意見は、医師会の中ではあります。
○中山座長 また違う議論になりそうなので、藤川委員の意見として承っておきたいと思います。
 熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員 私のところにいるインドネシアの候補生は、21年度に来られて、今度の日曜日が3回目を受けるようになるんです。そうすると、本当にもう期限がないという中で、そういう人たちを現実的にどうするのかということを多分決めていかなければいけないだろうなと思っているんです。これで人数を見ますと、かなりここの段階までは日本にいらしている方が多いんですよ。そうすると、やはりそこをどうするか。
 今後のことは、今、出たものを厚労省内できちんと踏まえて、プログラムをつくっていただきたいと。それについては、すぐに反映させてほしいと思うのですが、今いる21年、22年、23年度生たちをどうするかという話になると思うんですが、私のところにいる2人を見ていると、一緒について看護ケアをする場合には、きちんとできるんです。ただ、言われている指示は、やはりよくよく話していかないとわからないというのは事実なんです。カルテは書けません。
 それから、母国語と英語の併記がというところで、やはり私も同じに思うのですが、彼女たちは英語が理解できるかというと、だめなんですね。インドネシア語だけなんですよ。だから、英語にしたからできるかというと、これまた別問題なんですね。
 23年度の国家試験から、英語も少し表記をするようになって、それでも合格率は高くはならなかったという現実を踏まえると、そのことが余り有効ではないとなると、では何かといったときに、今さら入れる期間を延ばして、日本語能力をしっかりつけていただくということが現実的なのかどうかということと、それに代わる方法がということで、つまってしまうんですけれども、この論点整理の中の3つ目の一番下の試験時間の延長を認めるべきではないかということというのは、どこから出てきた御意見なんでしょうか。
○中山座長 これは皆さんからですよね。
○玉川看護職員確保対策官 第1回と第2回の検討会であった御意見で、こういう具体的なものがありましたので、ここに載せております。
○中山座長 支援策として出てきたことです。
 玉川対策官、どうぞ。
○玉川看護職員確保対策官 第1回の検討会でも御説明させていただいたのですけれども、今ありました現在受け入れている中で、平成20年度と21年度の看護師候補者については、昨年の3月11日の閣議決定で一定の要件、具体的に候補者の意思、受入機関の意思、研修改善計画の作成と国家試験で一定の得点を取られた方については1年間の滞在延長を認める。これは受入れ当初に、予算事業で行っています学習支援事業の立ち上がりが遅れたということから、これらの20年度、21年度の方については、こうした扱いを認めるということで、それは今年度の試験についても同様のスキームをとることを今、検討しているところでございます。
○中山座長 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 厚労省として地域医療の崩壊を防止するのに、最近大きな政策転換をしたんですね。一番大きいのは、有床診療所は歴史的使命が終わったということでつぶしにかかっていたのですが、今回は見事に有床診療所はなくてはならない存在であるということをきちんと包括ケアシステムの中で位置づけました。
 厚労省の政策であっても、時代に合わなくなってきたら、政策転換をするということ。特に高齢社会と少子化がすごい勢いで進んでくるという段階において、システムや制度が制度疲労してきていることがあるわけですので、今回、40万人の准看護師制度をきちんと認めて、准看護師の学校を大切にして、新設や定員増を認めてゆくことです。これだけ看護師が足りないというのはさけるべきです。准看護師を経由して、看護師に行く道が途絶え得るということ政策転換をして、EPAの人たちを救助するための受け皿として、准看護師制度をきちんと厚労省として認め直して、学校も増やすし、将来の高齢社会に向けて看護スタッフを増やすべきです。優秀な人は看護師の道にサポートしていく。そして、このEPAの問題も包括的にサポートして、准看護師の仕事をしながら、日本語の勉強をしても看護師の国家試験を通らないということであれば、自国に戻っていただいてもいいし、そのまま准看護師として日本で働きたければ働いていただいてもいいというシステムを厚労省が決断する時期にきているのではないかと思っています。
○中山座長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 言わないでおこうと思ったのですが、今の御意見に対しては賛成できないということを表明しておきたいと思います。そういうことをするのだったら、海外の方は全部准看になって、国内の方は正看と、それこそまた固定していくような大きな流れをつくっていくということになると思います。
 それから、看護師さんが確保できないというのは、確保できる条件をきちんと議論しなければいけないのであって、できないからということではなくて、できるためにどういう条件を整備していくかということが一番問題だと思っておりますので、それからはやはり看護師制度は一本化すべきだということも従来の主張ですので、そのことは述べておきたいと思います。
○中山座長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 私は藤川委員の意見に賛成です。
 というのは、やはり准看護師制度というのは、今、精神科病院の場合は大体半分が准看護師なんです。だから、35万床の精神科病床を支えているのは、半分の准看護師の存在があって初めて日本の精神科医療が成り立っている現実をきちんと認めていただかなければいけないというのと、この看護師の受給の話になると、必ず潜在看護師の活用とか発掘というのは、何十年も言っています。
この前、某看護協会の人と話をしたらば、7対1の看護を導入するときに、大学病院、国立病院、みんな全国を回ったけれども、裏では、先生、潜在看護師なんていないですよと言っているんですよ。それを表面では、潜在看護師の発掘とか何とかかんとかと言っていて、ずっと引っ張ったままで現場が疲労してしまっているわけです。
 あと、もう一つお聞きしたいのは、資料3のアメリカの看護制度のところで、看護教育で准看護師プログラム2、3年間というのがあって、これは最初にもらった資料では、私の記憶では、看護師及び准看護師があると書いてあったと読んだ気がするんです。准看護師という言葉が消えてしまっているような気がするんです。
昨日もらったものには、ちゃんと准看護師と入っていたんですよ。入っていたんだけれども、今日の資料では、その「准看護師」の言葉を意図的にだか何だか知らないが、消してあるというのと、この免許取得を希望する州の看護師委員会に申請して、要するに州の看護師委員会に登録するというのは、日本で言えば准看護師が都道府県で試験を受けて申請するのとどこが違うんですかと。その辺の制度の話を教えてください。

○中山座長 私がここの文脈の中で准看護師ということの意味が違うので、私の方が事務局の方に言って、誤解を招かないように、そこは消していただいきました。日本の准看護師というのは、准看護師の資格を取ってから、進学をする形で看護師の資格へとにつながっていますが、アメリカの場合は、LPNとRNは教育背景が違い、つながっていないわけです。LPNから看護師になるためには、要するにRNの資格を取るためには、教育を最初からし直さなければなりません。出ていますNCLX-RNというのと全く別問題になるので、そこの混乱を避けたいということで、削除してもらいました。意図的に准看だからということで削除したということではありません。アメリカの場合、LPNは、准看護師ではありません。イギリスでは昔はEnrolled NurseからRNへということで、准看護師から看護師になる道があったのですが、アメリカはRNとLPNは、全く別の資格になっていますので、そこの混乱を避けたかっただけです。
○山崎委員 もう一つ、追加しておきたいんですが、昔は准看護師というと、中学を卒業して15歳で入ってきて17歳で資格を取るということだったんですが、今はこの前の看護師の検討会があったときに、中卒が3~5%ぐらいで、3割近くが大学を卒業して、仕事がないので、もう一回資格を取りたいというので入ってくる人と、子育てが済んでしまった中年の方が入ってきているんですよ。したがって、准看という言葉のイメージというと、中卒准看みたいなイメージがずっと固定観念であるんですが、最低高卒、あるいは大卒の方たちが入ってきて勉強をしているということも大事だとは思いますし、藤川委員が先ほどお話したように、准看護師資格を取らせて一定の年限やってみて、また受験に通らなければ帰ってもらってもいいかと思います。
○中山座長 そこの問題になりますと、小川委員の方もあると思います。
 小川委員、どうぞ。
○小川委員 国家試験の試験時間の延長の話も准看護師の問題も、この検討会の守備範囲を超えている問題です。きちんとこの検討会の趣旨に沿って検討していただきたいと思います。
 ちなみに、看護師の潜在の問題も出ましたけれども、現在、看護師の就業率は7割ぐらいなわけです。もう少し労働条件というか、働く環境を変えていくことによって、離職防止対策を進めていくことによって、更に就業率はアップできると思います。現に衛生行政報告例では、従事者届の数が出ておりますが、2006~2008年の2年間で6万人の就業者の数が増えているわけです。その前までは5万人台だったんですね。それが6万人台の増え方になっている。
 また、2008~2010年は7万人を超える数の就業者の数が増えているわけです。ですから、これは各病院の皆様方が努力をした結果でもあるわけですので、まだまだやれることがあるのではないかと思っております。
 以上です。
○中山座長 それでは、座長としまして、論点を本題の方に戻したいと思います。
 今あるのは、看護師国家試験が担うべき役割は、一定のレベル、きちんとしたレベルを保ち、そして先ほどから出ています記録のことも全部含めまして、看護師として果たすべき役割をきちんと果たせるということになります。したがって、日本語の看護師国家試験をある一定の質を保つという意味で受験すべきだという論点になるかと思います。
 その後のこととして、たくさん出ましたのは、今、来ている方々のことも、将来のことも含めて、その人たちのサポート体制のことです。国家試験が受かるための体制をもっともっと十分にしなければならないということの論点はたくさん出たと思います。2番目の母国語・英語による国家試験の実施について、讃井委員の方からは出ていますが、このことについて、まだほかに御意見とか論点はありますか。戸塚委員は、これをするということは、国家試験を2つするということになるという御意見をいただいているのですが、これについては何かほかに御意見はございますか。

○藤川委員 先ほども出ましたように、ほかの職種も全部、例えば母国語とか英語でするということになれば、世界中に190か国ありますね。グローバルスタンダードというなら、先進国だけの話ではないですよ。WHOだってそうだし、世界の連合だってそうだし、国際連合だってそうだと。先進国だけの話ではないんですよ。すべてみんな1票持っていますから、もし日本がそれをやるならば、世界中から来たときに、すべての国家の国民の尊厳を保つためには、その母国語の国家試験を全部やるということになります。これはここで決めることではないです。
○中山座長 ほかに、このことについてありますか。
 讃井委員、どうぞ。
○讃井委員 今、まさしくここで議論しているのは、EPAに基づいてということでございますから、2国間で取り決めをして候補者を入れるといった国についての議論でございますね。一般的な資格試験のときにすべての言語でやるというお話とは、またちょっと違うと思いまです。
○中山座長 ただ、影響力の問題が出されていましたので、そういうことが突破口になれば影響力はあるので慎重にということの御意見だったと思います。 戸塚委員、どうぞ。
○戸塚委員 今の御意見で、今はインドネシアとフィリピンだけですけれども、EPAもこれから国が複数になるということは考えておかなければならないと思いますので、やはり母国語でやるということは可能なのだろうかというところで非常に疑問がありますし、それは難しいのではないかと思います。
○中山座長 先ほど尾形委員の方から、母国語と英語は別にした方がいいということで、英語はかなり国際的というか、グローバルスタンダードになってくるので、このことについては少し考えた方がいいのではないかという御意見のように受け取ったのですが、その辺はいかがでしょうか。
○尾形委員 先ほど御意見があったように、例えば英語を入れたとしても、それが今回の対応につながるかというと、恐らくつながらないだろうと思うのですが、ただ、ここで母国語と英語を一緒くたにして何となく拒否するという姿勢は、私はグローバル化している今の世界の中では非常にまずいという意識を持っているので、そういうことを申し上げたんです。
 ですから、英語を入れたから、それが現在の人たちの役に立つとは思っておりません。ただ、例えばここの論点で象徴的なのは、2ページ目の4つ目の○で、看護師国家試験のインドネシア語、フィリピン語などの母国語への翻訳というのは非常に難しいのではないかということが出ていますが、英語は外れていますね。つまり、英語でこういうことは多分言えないのではないかと思います。もし仮に英語についてこういうことを言おうとすると、日本の医療というのはかなり違うものなんだということになってしまうのではないかと逆に思うので、そういう意味で申し上げております。
○中山座長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。私の方は、今日の皆さんの意見をもう一度聞き直して、事務局ととりまとめの方に入っていきたいと思います。是非言っておきたいこと、入れておいてもらわないと困るということがありましたら、どうぞお願いします。 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 熊谷委員に聞きたいのですが、現場としてフィリピン人とインドネシア人とどちらが日本語能力、日本語をマスターする能力、コミュニケーション能力は優れていますか。
○熊谷委員 うちはインドネシアの方しかおりませんので、わからないです。
 ただ、一緒に何年もやってきて、先ほど加納先生もおっしゃっていたように、人柄としてはとてもいい方で、本当に一生懸命なんですよ。だから、私たちも何とか支援をしたいと思うのですが、なかなか試験制度を変えるということは、ここで話すことではないと思っているだけです。
 あともう一つ言っておきたいのは、インドネシアの方を受け入れるときに私が一番困ったのは、インドネシア語も話せて、日本語も話せる先生を探すというのは物すごく大変なことなんです。本当に間近にいらっしゃらないんですよ。だから、そのサポート体制というのは、国を挙げてしっかりやらないと、日本中47都道府県に散らばっていらっしゃるわけですから、講師の問題というのは物すごく大きかったと思います。
○中山座長 ほかに何か御意見ございますか。
 渡辺委員、大丈夫ですか。何かありませんか。
○渡辺委員 言わんとすることは盛り込まれているかなという気はするのですが、まず、この母国語・英語とを尾形委員がおっしゃるとおり一緒にするかどうかという問題があるにしても、いずれにしても、今の日本語での試験を守るべきだという意見が、恐らくこの3回の検討会で非常に多かったという印象を持っています。だから、そのことをもうちょっと強くここで出していただきたいなという気はいたしております。勿論そうではない意見もあるわけで、それも当然尊重すべきだけれども、やはり、この検討会のこれまで3回の、特に一番肝とも言うことについての実態を明確に表すように、是非お願いしたいと思います。
○中山座長 ありがとうございます。
 讃井委員、どうぞ。
○讃井委員 そもそもこの検討会が始まったのはなぜかというところだと思うんですけれども、確かに今、EPAでいらしている看護師候補者の方は500人ぐらいで、日本で試験を受けている方々は5万人ですから、1%にすぎないかもしれません。そういう方に対して特別なことをやるのかという御意見もあるかもしれませんけれども、試験の対象としてのシェアということでは大変小さいかもしれませんが、どういう形でこういう方々を受け入れていくかということは、それこそ日本とフィリピン、日本とインドネシア、この2国間関係にとっては、非常に象徴的な出来事として見られているわけです。海外からの信頼に応えていかなくてはいけない、きちんとお約束は守らなければいけないということについて、どうやったらいいかという工夫をしていく。そういう根本的な問題意識みたいなものは、ここにはどこにも書かれておりませんので、その点も含めていただいたらいいのではないかと思います。
○中山座長 今日、もともとのスキームの問題も含めて御意見が出ましたので、どういう形で盛り込めるかわかりませんけれども、その辺のところも含めて、最初の出発点のところからの問題を引きずっているということが、困難さを増しているということを何らかの形で表現できればいいのかなと、御意見を聞いて思いました。
 渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今おっしゃったことはよくわかるので、だからこそ、この論点3が重要かなと思いますので、我々というか、日本全体も何とかいい改善方法がないのかと。日本人も思っているということは、この検討会でも思っているということの項目だと思いますので、ここも改めて充実させていただきたいと思います。
○中山座長 わかりました。ありがとうございます。
 時間になりましたが、まだ言い残している人はいますでしょうか。
 今日の議論はこの辺でとどめておきまして、この後のとりまとめのことを事務局の方からお話をしていただければと思います。日程のことも含めて、話をしていただけますでしょうか。

○玉川看護職員確保対策官 今日いただいた意見を基に、次回は報告書(案)のたたき台を作成させていただきます。
 今回の資料として提出した論点の整理は、評価が分かれるところを中心にかなりコンパクトにまとめましたけれども、報告書としてまとめる以上当然に、この検討会に、なぜ検討をお願いすることになったのか、そういう検討の経緯でありますとか、その際に検討のための資料として、例えば諸外国の事情でありますとか、あるいは今日御紹介した意見募集というものをやったとか、そういう手法も含めて、どういう検討を行ってきたか。そういう説明も前段のところにお付けをして、たたき台として出させていただきたいと思っております。
 次回の日程につきましては、また追って、委員の方々に御連絡をさせていただきたいと思います。
○中山座長 ありがとうございました。
 このような手順で、たたき台(案)をつくりまして、次回はそれを検討していただき、最終の報告書の方向へ持っていきたいと思っております。
 本当に今日はお忙しい中、活発な御意見をどうもありがとうございました。
 それでは、また次回は御連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。


(了)

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