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2010年12月21日 第9回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成22年12月21日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階専用第14会議室


○出席者

相澤委員、秋葉委員、安藤委員、遠藤委員、大垣委員、大澤委員、岡?委員、岡部委員、小笠原委員、沖委員、坂上委員、瀬川委員、津野委員、中野委員、永井委員、古米委員、御園委員

○議事

○粕谷水道課長
 それでは、定刻より若干早いのでございますが、坂上委員からは少々遅れるという連絡をいただいてございます。ほかの委員の先生方はおそろいでございますので、ただいまから「生活環境水道部会」を開催いたします。
 委員の皆様には、ご多忙にもかかわらずお集まりいただきまして誠にありがとうございます議事に先立ちまして、外山健康局長よりごあいさつを申し上げます。

○外山健康局長
 おはようございます。健康局長の外山と申します。よろしくお願いします。
 本日は、委員の皆様におかれましては、年末の大変お忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 生活環境水道部会は、健康局が所管している行政の中で、水道行政、それから生活衛生行政といった分野を受け持っております。本日の第9回の部会では4つの議題について御意見をちょうだいいたしたく存じております。
 まず第1点目は、水質検査の信頼性確保に関する取組についてでございます。これは、水道事業者の登録検査機関への委託手続の不備や検査料金の行き過ぎた価格競争などに起因して、水質検査の質の低下が懸念されたことへの対策であります。これらの課題につきまして、今年5月から6回にわたりまして有識者をメンバーといたします水質検査の信頼性確保に関する取組検討会を開催いたしまして、先月、報告書が取りまとめられました。本日は、その内容を報告させていただき、今後実施する具体的な取組について皆様の御意見をお伺いいたします。
 2点目は、水質基準の見直し等についてでございます。平成15年の厚生科学審議会答申を踏まえまして、水質基準は最新の科学的知見に基づき逐次改正を行うこととしておりますが、今回、トリクロロエチレンに係る水質基準値の強化のほか、水質管理目標設定項目の見直し等につきまして皆様の御意見をお伺いいたします。
 それから、3点目、4点目は、水道行政の最近の動向と建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の改正についての御報告でございます。これらにつきまして、幅広い観点から御意見をちょうだいできればと存じます。
 水道の水が、より安全で安心できるものとなり、安定して供給されることを望む国民の期待は高いと考えております。厚生労働省といたしましては、委員の皆様から貴重な御意見を賜り、こうした期待に着実に応えていくために施策を推進してまいりたいと考えております。本日は、何とぞ御指導いただきますようよろしくお願い申し上げます。

○粕谷水道課長
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

○松田水道水質管理室室長補佐
 事務局から読み上げさせていただきます。
 まず、資料1-1、議事次第を1枚開いていただきまして、「生活環境水道部会委員名簿」でございます。
 その次に、資料1-2「生活環境水道部会についての(開催経緯)」でございます。
 また、その次に、資料2-1「水質検査の信頼性確保に関する取組検討会報告書」。まず1枚ものに報告書の概要、それの別添として報告書の冊子をつけております。
 資料2-2「水道水質検査の信頼性確保に関する今後の取組について(案)」。
 その次に、資料3-1「トリクロロエチレンに係る水質基準の見直し等について」。
 その次、資料3-2「『水質基準に関する省令』等及び水質管理目標設定項目の一部改正案に関するパブリックコメントの結果とその対応について」。
 資料3-3「今後の水質基準等の見直しについて」。
 資料4「水道行政の最近の動向について」。
 資料5「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の改正について」。
 また、参考資料には2つの資料をつけております。
 あと、委員限りの資料ということでございまして、パワーポイントの資料を準備させていただいています。これについては、資料2と資料3に関連する水質検査信頼性確保に関する部分と水質基準の見直しに関する由来をまとめたパワーポイント資料でございます。
 もし、資料について不足等がございましたら、事務局の方にお伝えいただければと思います。

○粕谷水道課長
 続きまして、本日の出欠状況について御報告させていただきます。
 本日、御欠席と連絡をいただいておりますのは、大住委員、岸委員、佐野委員の3名の先生方でございます。また、先ほど申しましたが、坂上委員には少々遅れるという連絡をいただいているところでございます。
 以上、本日は、委員20名中17名の委員が御出席されるということでございまして、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして定足数を満たしておりますので、本部会は成立してございます。
 次に、前回の部会以降、新たに当部会に御所属いただくことになりました新任の委員の先生方を御紹介させていただきます。
 国立保健医療科学院水道工学部長の秋葉委員でございます。
 東京女子医科大学国際環境・熱帯医学講座主任教授の遠藤委員でございます。
 全日本水道労働組合中央本部執行委員長の岡崎委員でございます。
 続きまして、事務局を紹介させていただきます。
 先ほどごあいさついただきました外山健康局長でございます。
 堀江生活衛生課長でございます。
 私、水道課長をしております粕谷でございます。
 水道計画指導室長の熊谷でございます。
 水道水質管理官の松本でございます。
 以上、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、以降の議事につきまして、大垣部会長に進行をよろしくお願い申し上げます。

○大垣部会長
 おはようございます。年末のお忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。年末に加えて、国際的にも国内的にも何やらあわただしいところではありますが、この部会は水道と生活衛生に関する重要な事項に関しまして審議する部会でございます。どうぞよろしく審議のほどをお願いいたします。
 それでは、早速ですが議事に入ります。
 先ほど健康局長からごあいさつがありましたとおり、本日は5つの議題を予定しておりまして、議題の1が「厚生科学審議会生活環境水道部会について」であります。議題の2が「水道水質検査の信頼性確保に関する今後の取組について」、議題の3が「水質基準の見直し等について」、議題4「水道行政の最近の動向について」、議題の5が「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の改正について」、議題6が「その他」でございます。
 それでは、まず、議題1の「厚生科学審議会生活環境水道部会について」です。
 これまでの審議経過、検討状況等について簡単に確認しておきたいと思います。事務局から資料に沿って説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○粕谷水道課長
 本部会は、厚生科学審議会のもとに位置づけられた部会でございます。
 参考資料1をごらんください。厚生科学審議会には多くの部会が設置されておりますが、その中で本部会は、建築物衛生、その他生活衛生に係る生活環境に関する重要事項及び水道に関する重要事項を調査・審議することとされております。
 また、資料1-2をごらんください。これまでに本部会は8回開催されています。前回は本年2月2日に開催されまして、カドミウムに係る水質基準の見直し等、及び今後の水質基準等の見直しの方向性について御審議いただいているところでございます。
 以上です。

○大垣部会長
 特に、これはよろしいですね。状況でございます。
 それでは、議題2に移ります。「水道水質検査の信頼性確保に関する今後の取組について」であります。
 前回の部会において、水道事業体が民間検査機関に委託する際の水質検査に関しまして、検査機関における過度の受注競争等による水質検査の信頼性への不安が指摘されたところであります。こうしたことから、水道事業者等が、登録水質検査機関に水質検査を委託する場合について、水質検査の信頼性を確保するための取組に関する検討会が厚生労働省内に設置され、検討を進めるとともに、パブリックコメントも経た上で、今年11月に検討会報告がまとめられたとのことです。
 本日の部会において、検討会の座長を務められた安藤委員と事務局から検討会報告を御説明いただき、検討会報告を受けた国における今後の取組を事務局から説明していただきたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

○安藤委員
 それでは、御説明申し上げます。
 水質検査の信頼性確保に関する取組の座長を務めさせていただきました安藤でございます。検討会開催の経緯、あるいは審議の概要につきまして簡単に御説明いたします。詳しくは、その後、事務局から御説明いただきます。
 まず、この検討会を立ち上げた理由でございますけれども、水道事業者にとっては、安全な、そして清浄な水を供給するということが非常に大事なわけでございますが、その最も基本的なこと、これは安全な水を供給するということですが、我が国においては、水道法に基づきまして、水道事業者などは水質検査が義務づけられている、こういうことになります。これが安全性の担保の最も大事なところだということになります。
 水道事業者は、自己検査、つまり自分の事業体で自己検査をやる。もう一つは、地方公共団体の機関、あるいは厚生労働省が登録を受けた検査機関に委託する、この2つの手法があるということでございます。
 水質検査機関の登録制度については、平成15年度、水道法の改正によりまして当該の制度が施行され、平成21年度におきましては、登録検査機関は200を超えている。つまり、その前の制度は指定検査制度ということでございましたが、3倍に増えたということでございます。
 そういうことから年々増加しているということですが、一方、前年の部会におきまして議論がございました、一部の登録検査機関において、水質検査の実施で不正行為が発覚したということでございます。このことは、水質検査の信頼性を低下させる行為が懸念されるということでございます。
 これは、冒頭に申し上げましたように、安全性という担保からすると非常にゆゆしき問題であると思ったわけでございます。このことから、本日の部会において参加いただいております小笠原委員を初めとして、学識経験者、それから水道事業体、あるいは検査機関、そういう方々に委員となっていただきまして、検討会を厚生労働省水道課に設置していただいたところでございます。
 まず、5月17日に第1回を開きまして、その後、まさに集中的に審議をいたしました。5回ほど審議をいたしました。最終的にはパブリックコメントを11月4日に開催した第6回の検討会でその報告書としてまとめたのが、今日お配りした資料の別添というものでございます。
 資料2には、その報告書の概要が書いてございます。それをお読みいただければと思いますが、主な概要といたしましては、検討会では、まず、水道事業体、それから登録検査機関に対して行った調査結果から始めました。そこでいろいろな課題、問題点を整理いたしました。その結果、まず、水道事業体の側では、水質検査を委託した際、その結果だけを受領し、その内容の確認とか、あるいは精度管理の状況把握ということがなされていないことがわかりました。つまりデータについて、もう一回、自分のところの水道はどうであったかということを見ていないという状況がかなりあることがわかりました。
 また、その委託費用でございますけれども、適正な水質検査が困難なほど非常に安い、低廉な価格で委託を受けているという状況、あり得ないだろうというような状況で委託をしているということも見つかりました。
 一方、検査機関側では、試験の操作や試料の採取が必ずしも検査法の告示、あるいは標準作業書というものがございますけれども、それに定められた方法で行われていないということがございます。ということは、そのデータの信憑性は非常に悪くなるということになります。あるいは、検査料金が受注競争や、あるいは委託者の価格設定に応じた状況で設定されるというような低廉化、低料金化が行われている。あるいは検査設備の保守とかマンパワー、そういうものが結局低廉化につながってきたというところがわかったということでございます。
 そこで、我々検討会といたしましては、水質検査を自ら実施する場合も、委託する場合も、水道事業者が検査結果に責任を持つ、このことをまずしっかり考えてほしいということを前提といたしまして、水道事業者、検査機関、そして国を含めた関係者が一体となって水質検査の信頼性確保を図るべきだろうということをその一つの考え方といたしました。
 まず、水道事業者におきましては、登録検査機関に水質検査を委託する際、一定の価格競争というものが生じることになりますが、水質検査の精度を確保するために必要な経費の負担について、適切に委託形態を確保する、こういうことをやってもらわなければ困るだろう。そこも非常に不透明な部分があったということでございます。
 次に、登録検査機関でございますけれども、試料の採取や運搬、そういう試験に至る水質検査について、検査報告時あるいは先ほど申し上げました標準作業書というものがございますので、それに記載されているとおりにやっていただかなければ困るということ。ということは、検査料金の積算根拠も明確にしてもらわなければ困るだろうということになります。
 そして、国は、こうした取組に必要な規則の改正等の措置を講ずる、これが1つ。それから、登録検査機関の届出書類を充実させる、そして的確な審査を行うということ。それから、登録検査機関の日常の水質検査業務に対しても指導・監督を適切に実施していこうということ。この依頼する側、それからそれを受諾する側、それからそれを見守る国が、それぞれの役割をしっかり担っていただきたいという考え方で、今回の報告書をまとめさせていただきました。
 以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて。

○松本水道水質管理官管理官
 それでは、事務局から、ただいま安藤先生からいただきました説明の内容につきまして、少々時間をいただきまして具体的に御説明させていただきます。
 パワーポイントの資料とともに、お手元の資料2-2を含めまして御説明させていただきます。
 まず、信頼性確保の取組の検討状況に至った経緯でございます。
 言うまでもなく、水道事業者におきまして、安全かつ清浄な水を供給するということが基本的な責務でございます。このため、水道事業者には、「水道基準に適合した水を供給しなければならない」という水道法第4条の責務がございます。これを担保するために、水道法第20条におきまして「水質検査をしなければならない」という義務が課せられているわけでございますが、その中で、「ただし」ということで、「厚生労働大臣の登録を受けた者にこれを委託することができる」という仕組みになっております。
 この登録検査機関制度でございますが、昭和52年に水道法改正で導入された制度でございます。当初は公益法人に限定されておりまして、その数は割と少なかったわけでございますが、その後、平成10年に規制緩和の動きの中で営利法人も参入が可能になりました。また、平成15年には、登録制度化ということで、登録基準に合致するところは、これをすべて登録しなければならないという制度に変えられたわけでございます。その結果、登録検査機関の数が大幅に増加しておりまして、その一方で、先ほど安藤先生から御紹介があったような、信頼性を低下させるような不正行為が発覚するような事態も起きております。
 このため、2月の前回の部会におきまして、料金の行き過ぎた価格競争、あるいはそういったことでの水質検査の信頼性ということについて問題があるのではないかという議論がありまして、私どもの方でお願いいたしまして検討会を5月から開催し、最終的に11月に報告をいただいているわけでございます。
 その内容でございますが、すみません、今度は、お手元のバックアップに用意しておりますこちらの資料を見ながら御説明させていただきます。
 資料の4ページ、めくっていただいて下の図でございます。こちらの方で、水質検査の実施体制ということで、どの程度が自分で検査し、あるいは委託されているのかということを調査した内容でございます。
 見ていただきますと、水道の規模によって若干数字が異なるわけでございますが、一番右下の図を見ていただきますと、約84%が委託されているということで、相当数が委託されていることがわかります。この数字は平成7年に同様の調査をしたときに70%でしたので、そこからはかなり数字が増えていることがわかるかと思います。
 次のページを見ていただきまして、登録検査機関の数の推移でございます。
 このグラフで言いますと平成9年度、一番左端で69という数字が出ております。これが指定検査機関制度であったときの数でございまして、その後、民間への開放が平成11年度に行われ、更に平成15年度には登録制度への移管が行われています。その結果、平成21年度末では218機関ということで当初の3倍以上になっておりまして、10月現在では220というところまで増えてきているところでございます。
 私どもでは、検討に当たり、まず、水道事業者及びその登録検査機関に対してアンケート調査を実施しまして、その課題を抽出したわけでございます。その結果がその下のところに、まず水道事業者の側の課題ということで上げさせていただいております。
 この中でわかったことでございますが、まず、水道事業者が水道検査を委託する場合の主な選定理由というもので上げられているのが、やはり価格面、あるいは地域性ということもあるのですが、そういったものが重視されておりまして、信頼性確保を重視するといった部分については少ないことがわかります。
 それから、委託する相手が必ずしも登録検査機関ではなくて、施設の保守管理会社であったり、あるいは他の水質分析機関であったりということで、そこから再委託するということになるのでしょうが、契約形態が適切でないということがわかっております。
 また、実際に水質検査をした後、成績書で「検出していません」あるいは「ND」というような結果だけをもらっていて、その水質検査の内容をチェックするようなことは余りしていないことがわかりました。それから精度管理、どのような精度管理がなされているかが重要なポイントになるわけですけれども、そういったことの把握には余り関心を示されていないことがわかっております。また、重要な話といたしまして、水道法では、定期検査のほか、臨時に検査をするということも求めております。こういった緊急時の検査について、あらかじめ契約に盛り込まれていないというようなところがございまして、緊急時の速やかな検査に問題があるのではないかということが指摘されております。
 そして、やはり委託費用につきましては、実施に必要なコストを見込むことが困難なような低廉な価格で業務が委託されている場合があるということで課題が上げられております。
 次に、1枚めくっていただきまして、今度は、登録検査機関に対する調査の中でわかってきたことでございます。
 まず、検査が必ずしも適切に行われていないということがありまして、試料の採取ですとか、あるいは試験におけます前処理、分析、あるいは検量線の作成ということが必要になるわけですが、そういったことが検査報告時や標準作業書の中で示される方法と異なる不適切な検査が行われている例があることがわかりました。
 それから、検査法告示では速やかな検査を求めているわけでございますが、実際には、すぐに実施されていない場合があるということもわかりました。
 また、先ほど水道事業者が登録検査機関に調査を委託する場合、直接契約していないということがございましたが、検査機関の側から見ましても、直接契約していないような契約形態、あるいは自ら受託したものを再委託しているというような不適切な事例がございました。
 また、やはり受注競争の激化あるいは委託者からの話に応じまして低料金化しておりまして、それが必要なメンテナンスや精度管理にしわ寄せが生じかねない状況にあることが判明しております。
 そういった状況につきまして、具体的に資料で御説明させていただきます。その下の図でございますが、これは委託先の選定理由でございます。
 このグラフで、上の薄いグラフが、大臣認可といいまして、給水人口5万人以上の比較的大きな施設、下が知事認可でございまして、5万人以下の比較的小規模な施設でございます。いずれにも同様の傾向でございまして、?、?と挙げられている地域性、あるいは、やはり価格といったものに重点が置かれまして、例えば?に挙げております水道GLPですとかISO17025といったものの取得、これは信頼性を確保する上で第三者が保証するというような仕組みでございます。水道GLPにつきましては、前回の委員会で御園委員から御説明があったかと思いますが、水道の水質検査施設につきまして、優秀であるということを認定する制度でございます。またISO17025というのは、水道だけではなくて、試験検査機関についての管理体制あるいはその技術的能力を評価・認定する国際基準でございます。こういったものについて余り関心が払われていないことがわかったということでございます。
 続きまして、資料の9ページをごらんいただきますと、こちらの方は、今度は水質検査をした場合に結果以外に何を求めているかを調べたものでございます。
 本来でありますと、ここで上げられている?の分析チャート・濃度計算書、あるいは濃度計量証明書、そういった項目が高くならないと、なかなか内容をチェックしたということが言えないのではないかということですが、非常に低いレベルにとどまっていることがこのグラフでわかるかと思います。
 それから、その下のグラフは、契約上の緊急時の水質検査の位置づけということでございまして、一番右側にありますように、半分程度のところにつきましては、契約の中に臨時検査について盛り込んでいるわけですが、3~4割のところは、そういう臨時検査が必要になってから契約するということで、迅速な対応が困難になるような可能性を残しているという状況でございます。
 めくっていただきまして、50項目の検査料金の分布ということでございます。
 50項目というのは、水質基準で要求しております項目で、これをワンセットで測定するのがフル装備の検査ということになりますが、これで見ていただいてわかりますように、非常にこの価格の分布の幅が広いことがわかるかと思います。そのかなり下のレベルで見ていただきますと、中には5万円を切るような、そういった価格で発注している水道事業体も少なからず存在しているという状況でございます。
 その下のグラフは、これを今度は検査機関への調査の側から見たものでございます。
 実は、検査機関におきましては、登録時に業務規程というものを提出することになっておりまして、この中に検査の料金、予定料金になりますが、これを書き込むことになっております。それがこのグラフで言いますと横軸になっておりまして、相当ばらついてはおりますが、大体20万円ぐらいのところが中心になっておりまして、このぐらいの料金で受注したいというような前提になっております。
 一方、縦軸が実際に契約した料金でございます。これが両者が一致しますと、この斜めに引いた線の上に乗ってくる形になるわけですが、実際には、見ていただいてわかるように、ほとんどは下の方になっておりまして、特に大幅に低くなっているところが問題になるわけでございます。
 続きまして、次のページに行っていただきまして、受託料金をそのように安く設定している理由をお聴きしております。
 やはり大きいのは、他の機関との受注競争のためというのが9割を占めております。複数回答ですのでほかにも回答をいただいておりますが、委託者との関係、ほかの業務との兼ね合いで安くせざるを得ない、あるいは委託者の価格設定に応じて対応せざるを得ないというような例もございます。
 この調査の中では、競争は必要だとしても、安くし過ぎることで、人件費の抑制ですとか、施設設備補修あるいは精度管理に問題が発生するのではないかという回答が別途寄せられているところでございます。
 また、その実際の検査の内容についての問題の事例としまして、下の微生物項目の試験開始までにかかる経過時間というものを載せております。
 検査法告示では、微生物の検査につきまして、12時間以内に検査を実施することになっております。それに対しまして、このグラフは、最初が0.5日以内、それから次のグラフが0.5~1日、その後、1日~3日となっております。すみません、これはグラフの色があまりわかりませんが、左側の方が直接委託している場合、そして、問題の再委託をしている場合というのが、右側の小さなグラフの推移でございます。見ていただいてわかりますように、まず、そもそも両方とも本来だったら最初のグラフのところで全部おさまらなければいけないのですが、それが74%程度で、それ以上時間がかかっている場合もあるということです。それから、再委託している場合には更に時間がかかっている例がございまして、特に宅配便を使って郵送するといった場合に、12時間を超える事例が出ているという状況でございます。
 こういった状況を踏まえまして、検討会の報告では、まず関係者が取り組むべき姿勢について検討していただいております。
 次の15ページのところでございますが、まず、基本的なスタンスでございます。先ほど安藤先生からもございましたが、水道事業者は、まず、その試験を自ら実施する場合であっても、あるいは委託する場合であっても、水質検査結果に責任を持たなければならないということでございます。また、2点目といたしまして、原水の水質汚染や水道の事故などが発生する場合、そういった臨時検査が必要になった場合にも、きちんとその体制を確保することが不可欠であるということ。それから、3点目といたしまして、この下の図にございますように、国、水道事業者、登録検査機関、そして関係する団体などが一体となってこれに取り組みまして、水質検査の信頼性の確保に努めなければならないとしているところでございます。
 それに当たりまして、基本的な方向性について、恐れ入りますが、資料2-2の3ページをごらんいただけますでしょうか。こちらに報告の具体的な取組について、四角の枠で囲んでいます。まず最初に、水道事業者の側からの主な方向性について書かれております。水道事業者は、先ほど申しましたように、水道基準を遵守することで飲料水の安全を確保しているということで責任を持っている。したがって、実際に委託する場合も、一定の価格競争が生じるということはあったとしても、その必要な価格、費用を負担した上で、適切な委託を確保すべきであるということが1点でございます。
 2点目が、業者を選定する際、あるいは選定後においても、その検査機関の精度管理の状況といったものに十分注意を払って把握するべきであるということが2点目でございます。また、その際には、水道GLPですとか、あるいはISO/IEC17025の取得状況といったことにも留意して確認する必要があるだろうということでございます。
 それから、3点目といたしまして、臨時検査については、速やかに実施できる体制をつくりましょうということが3点目でございます。
 続きまして、4ページを見ていただきまして、こちらの下の方に四角枠が、今度は登録検査機関に関する取組方針でございます。こちらは、当然ですが、検査報告時、あるいは標準作業書といったようなものに記載されている検査法に基づきまして、試料の採取や運搬を含めた適切な検査を実施するというのがまず第1。
 それから、機械の故障の場合などを除きまして、自らの検査機関を用いて検査する、再委託は禁止ということでございます。
 それから、水道事業者は、その多くの場合に競争入札という契約形態を取りますので、その際に参考となるように検査料金の積算根拠を明確にする、あるいは必要な費用を明確にすることで、その適正な料金というものが図られるようにしましょうということが3点目でございます。
 また、国は、実際その検査機関の登録あるいはその更新、あるいは関係する届出といった際の書類を充実させることによりまして、適切な審査をしていくべきであるということが述べられております。
 最後に、6ページ、最後のページになりますが、こちらの方に、今度は国が調査を実施しましょうということで、その調査の内容についての方向性を書かれております。
 1つは、平成12年度から外部精度管理調査というものを行ってきております。これは、すべての検査機関に同じ試料を配布いたしまして、一斉に試験をしてもらう。それでどれぐらいずれているかを評価しているものでございます。この調査結果に基づいてこれまで評価してきたわけでございますが、これを単に評価するだけではなくて、水質検査の確実な改善に持っていくということで、改善を促すような形での評価をしていくべきだろうということが1点目でございます。
 それから、2点目といたしまして、この調査とは別に、登録検査機関が日常行っている水質検査業務に関しまして、実際に実地調査に入りまして、その指導・監督といったことを実施する必要があるのではないかということを指摘いただいています。
 以上の取組を進めるためにさまざまな措置が国において必要になってまいります。それが、パワーポイントの資料に戻っていただきまして、最後のページでございます。こちらが、実際に国において今後取り組むべき施策でございまして、まず、最初の段に書いているのが水道事業者の委託の適正化のためということで、規則改正などを行うこと、これによって適正な委託を確保していく。具体的には、書面で契約するというようなこと、適切な委託料を計上するということ、迅速な検査や検査内容の確認、あるいは臨時検査を実施するといった内容を盛り込んだ契約とするということをまず実施するということでございます。
 それから、通知を出しまして、その通知の中で適切な業務発注の確保ということで、特記仕様書、費用計算書、あるいは精度管理の状況の把握といったものを行うように指導してまいります。また、低入札価格調査制度を持っている自治体がございますので、こういった制度を活用して料金の適正化に努めてほしいということを指導していきたいと考えております。それから、落札した後も、その積算根拠について確認しましょうということでございます。
 それから、現在、私どもと日本水道協会とで連携いたしまして、中小の水道事業者の場合はなかなかそういったものを自前で用意するのが大変かということで、入札の条件例ですとか、仕様書例、あるいは実際のチェックする場合のリスト、それから標準歩掛りを用意し、更に、そういったものを使った研修会を実施していくことを考えております。
 次に、登録検査機関の水質検査の適正化のための施策が2番目のところでございます。
 同様に、規則を改正いたしまして、きちっと行われていない検査法告示や標準作業書による検査の実施ということをきちんと規定していこう、また再委託は禁止しよう、それから、試料採取や運搬についても、きちんとその方法を明示していこうということでございます。
 それから、検査法告示において、細かな話ですが、試験開始までの時間ですとか、検量線の濃度範囲といったものをきちんと定めていこうということでございます。
 それから、もう一つ、登録をする際の手続についても規則を改正いたしまして、実際の検査区域あるいは業務の検査料金、あるいは受託数の上限といったものについて、根拠も含めてきちっと審査するようにしましょうということでございます。また、受託の実施については、更新時にきちっと提出してもらおうということでございます。
 それから、最後に、国が実施する調査ということで、実際に日常業務の確認調査ということを、技術的な検討を行った上で、実際に現地に入りまして調査を行っていきましょうということ。
 それから、外部精度管理調査につきましては、先ほど言ったような形で改善する方向で運用していこうということを考えております。
 以上、検討会の報告を踏まえまして国において行っていこうとする施策について御説明させていただきました。

○大垣部会長
 御苦労さまでした。
 安藤委員から検討会報告の概要を、それから、事務局から水道水質検査の信頼性確保に関する今後の取組案について説明をいただきました。パワーポイントの印刷物、それから資料2-1、資料2-2に関しまして、御質問あるいは御意見も一緒かと思いますので、御質問、御意見一緒で結構かと思いますが、御意見を表明していただいて御審議いただきたいと思います。何か御質問あるいは御意見ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

○秋葉委員
 少し質問ですが、このパワーポイントの資料の11に料金の設定で分布があるわけですけれども、その中で中ごろに出てきました臨時の検査の契約がされていないということがあるということですが、この中には、50項目を単にはかっただけの料金なのか、例えば臨時検査の契約も半分ぐらいやっているわけですよね、それが入っている料金なのでしょうか。どちらかの確認ですけれども。

○松田水道水質管理室室長補佐
 こちらのアンケートで調べたものについては、50項目検査を単価契約で行っている部分の費用として明示しているものを出させていただいておりますので、この中には、臨時検査のものは含まれていないということでございます。

○秋葉委員
 そうですか。
 それと、あと13ページに、結局検査をする、例えば登録機関ですと水質検査だけを行うということと、コンサルさんとかメーカーさんが検査機関を持っているということもありますけれども、その割合等が、例えば13ページですと、委託の関係でいろいろと兼ね合いが出てくるというのは結構、半分ぐらいと多いですよね。ですから、そういった関係等がおわかりでしょうか。登録機関の中で、ほかのメーカーさんとかコンサルさんとかと一緒に、両方やっているとかですね。

○松本水道水質管理官
 やはり、実際にほかの業務等を請け負ったときに、併せて水質検査をやってくれよというような話もよく聴く話でございまして、そういった要求に対しまして、ある程度応じざるを得ないということを示しているのかなと考えております。私どもとしましては、検査料金は検査料金として、きちんとこのぐらいかかるのだというのを明示するような形で、適正な方向へ持っていくことが必要ではないかと考えております。

○秋葉委員
 わかりました。どうもありがとうございました。

○大垣部会長
 ほかには。どうぞ。

○瀬川委員
 今のに関連するのですけれども、我々ビルをやっていますと、受水槽高架水槽で簡易水道事業者になりますが、最後の16ページの水道事業者等への委託の中に「適切な委託料」というのは、ある程度の規制といいますか、そういう意向なのでしょうか。ということは、今もちょっとお話がありましたように、ビルの場合、メンテナンス契約の中に一つに組み込んでしまいまして、全体で幾らという判断でいきますので、それが、それぞれがどうなるかというのは、契約のテクニックもありますから、その辺が下がったり何なりというのは当然起こることだし。それと、もう一つは力関係の問題もありますので、大きな企業でしたら幾つでも持っていますから、それを全部もらうために、ここは下げるとか、そういうような契約上のテクニックも当然起きてくるので、その場合に、この適切な委託料というのをある程度制限されるというのは、ちょっと現実的には難しいところかなという気もするのですけれども、どうでしょうか。

○松本水道水質管理官
 資料にも書いてありますように、そもそも民間参入なり登録制度が認められた背景には、そういった自由競争の中で、なるべく国民に負担がかからないようにという趣旨で導入されたかと思います。ただ、それが逆に信頼性確保の点で支障があってはならないということで、私どもとしては、なるべく透明性を高めていただきたいと。そういった検査にはこれだけお金がかかるのだということをやはり示していっていただきたい。そうすると、それは直接、自分たちが御利用される水の安全性にかかわるわけですから、ユーザーにも御理解いただいていけるのではないかと考えておりまして、そういった観点から、なるべく透明性を高め、また、委託する側の水道事業者に対しては、適正な価格でやるようにということで規定を設けていきたいと考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○瀬川委員
 非常に難しいと思います。よくわかるのですけれども、非常に難しいのは、やはり経営をやっている方の立場で、どうも今のお話は、確かに透明性が求められるという点でいけば一番いいかなという感じはしました。ですから、価格、料金よりも、その検査の透明性が保たれているかというのをもっと強く打ち出した方がよろしいのではないかという気がちょっとしました。

○大垣部会長
 今の件はよろしいですか。

○松本水道水質管理官
 この施策でいろいろ報告いただいた中でも、実際に、まず最初に、検査機関においてそういった料金の算定根拠を明確にすること、あるいは受注された際も、委託した側から、その検査料金の内訳をきちんと提出させることということで、常にそういった、何にどれぐらいかかっているかというのをオープンにするような形で委託を進めていただくようにしておりますので、そういう方向で運用されていくのではないかと考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○瀬川委員
 要は、検査をきちんとやっているかどうかというところを押さえるというのが一番大事なのではないかと思うんですね。価格は二の次だと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、この表を見て、本当にうちの社員もびっくりしたんですね。こんなのでできるわけないじゃないかという声が上がったのですけれども、ただ、やっているところがあるかもしれないなという感じもちょっと受けたので。ただ、そのやっているところが、果たして検査をいいかげんにやっているかといったら、そうではないだろうなという気もするので、ちょっとその辺をどういうふうにやっていくのか非常に難しいかと思いますが、規制というか検査の方の国なり検査機関の方が、うまくその辺の透明性を高める努力を促した方がいいのかなという感じがちょっとしましたので、すみません。

○大垣部会長
 どうぞ。

○松本水道水質管理官
 まさにおっしゃるとおりでして、やはり水道水質検査というのは、ただ結果を出せばいいのだというものではなくて、それがどういうような状況の中で出てきているかということも含めてきちっと報告するということで、今回、提出書類として、チャートですとか、濃度計算書ですとか、そういったかなり手間のかかることを求めております。これまでまじめにやっていただいている検査機関は、そういうものは当たり前だと思っていただいているわけでございまして、それ以外の、結果だけ出しているようなところについては、今後そういったコストがかかるということで理解していただけるのではないかと考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○瀬川委員
 はい。

○大垣部会長
 では、御園委員。

○御園委員
 今の委託の価格の話でありますけれども、我々、発注者側の集団として考えていかなければならないことは、やはりある程度の標準歩掛かりといいますか、いろいろな検査がありますが、これを見ますと、かなり価格が、信じられない価格で委託しているようなところもあるようでございますので、これは勿論強制はできませんし、余りやると公取に引っかかりますから、大体このくらいの歩掛かりが必要ではないかという研究は、これから我々もしていきたいと思っています。
 それから、安藤先生が言われたように、やはり水道事業にとって安全性というのは絶対的要件でございまして、これを確保していくということは、水道界全体にとって非常に大事なことがありますから、この辺の精度を含めた充実といいますか、考えていかなくてはいけないと思うのですが、私もよくわかりませんが、今の登録検査機関の届出制度、代理人か知人かいろいろありますけれども、これは、当時の規制緩和においてやむを得ないという状況があったと思いますが、過去に建築確認においては、姉歯事件とか、そういう不正もあって大変な事件になったわけでありますが、規制緩和と、それから、やはり我々にとっては安全を守るという考え、これは何かあってはまずいわけでありますから、事件が起きない前にやはり手を打っておく必要があるかなと。
 今回いろいろな将来に向けての方向性が出されましたので、こういったものを充実していけば、一定の信頼性といいますか精度管理ができるのかもわかりませんが、これからの将来を考えたときに、どういう社会状況になるかわかりませんが、検査機関がどんどんもっと増えていくのか、ますます過当競争が進んでいくのかわかりませんが、例えば同じ水道関係においては、各家庭の建物内の給水工事、これは一応、給水工事の主任技術者は国家資格なんですね。ですから、そういうものと比べると余りにも水質という重大な任務を担う方々が、単に登録だけでいいというのは、どうもどうかなという感じがしますので、これは、将来に向けた課題として我々は考えていく必要があるかなと思います。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 どうぞ、坂上委員。

○坂上委員
 前回の宿題を短期間で契約委託等の実態がここまで明らかになって、整理されて、委員の皆様、大変ありがとうございました。
 それで、いわゆる公共の水道事業、それから専用水道とは、基本的に区別すべきだと思います。それで、これは今後の課題ということできちっと書かれておりますけれども、一番重要なのは、やはり水道事業者等ですよね、全部含めた形で、自ら委託した内容がチェックできる、確認できるということですね。それが主体的にできる形になっていればということですけれども、それがまだ未熟なところがあるのではなかろうかと思います。
 ですから、御意見がございましたように、価格規定とかそれではなくて、やはり本筋は性能規定だと思うんです。検査上、こういう性能を担保しなさい。そのために付随するコストはこのぐらいになりますよということで、標準歩掛かりという形は例示してもいいですけれども、あくまで性能規程の中で確認要綱とか、あるいはさっきチェックリストという言葉もおっしゃっていましたね。それをいかにマニュアルまでに落とし込んで、それをこれから緊急につくっていくと。そうすると、中小の水道事業者もそうですし、それから専用水道等も、それに基づいてチェック、確認ができる。それをクリアするためには、やはり単なる登録だけではなくて、研修とかさまざまな制度がそこにまた必要になってくるということで、そういうことで、これをもとに、この方針は大変いいと思いますので、これをまた推進していただきたいと思います。
 意見でございます。

○大垣部会長
 どうも御意見ありがとうございました。
 ほかにございますか。それでは、津野委員。

○津野委員
 今、価格の話になっているわけですけれども、やはり基本となるのは、水道事業体さんがきっちりする話だろうと思うんですね。そうすると、水道事業体さんの方で、こういう業務に対して、こういう能力のある人がいるべきだとか、こういう体制であるべきだとか、勿論、固定するわけにはいきませんが、そういうものに対して、何か標準的なものが出ておりますでしょうか。というのは、だんだんと厳しくなっていきますと、職員とかそういう方々がだんだん減らされる可能性があるということ、それからもう一つは、もともと自分ではかっておられるようなところについては、そのよくわかられた方がずっと残っているわけですが、こういうふうにだんだん委託が始まってきますと、実際に自分ではかったことのない方々がそこに存在するようになりますと、非常に失礼な言い方をしますと、本当に測定法をわかられた方がいるのか、あるいはそもそも書類が出てきたとしても、それをチェックできる方がおられるようになっているのかとか、そういうようなことも僕は大事だと思うんですが、その辺については、ちょっと情報もよくわからないで申し上げているのですが、情報と、それからお考えをお聞かせ願うと非常にありがたいと思います。

○松本水道水質管理官
 御指摘の点は、検討会の中でもかなり議論された部分でございまして、やはりそういった、特に中小の水道事業体に対しての支援というものは、どうしても必要になってくるだろうということでございます。その関係で、先ほどから挙がっておりますようなチェックリストですとか仕様書案について、実は検討会の中でも、既に御園委員の水道協会の方から原案を出していただきまして議論させていただいております。今後、それについて更に議論を深めまして、そういった事業体で使えるようなリストをつくっていきたいというのが一つでございます。
 ただ、それをつくっても、それを実際利用するというところまでケアしないといけないだろうということで、それを使った研修会の実施ということについても、日水協さんと連携してやっていきたいと考えております。
 また、検査機関の中には、かなりの知見を持って水質面でのアドバイスをできるような機関もございます。そういったところのアドバイスを活用することも考えられるということで報告書を作成していただいておりまして、そういうような情報も提供していきたいと考えております。

○大垣部会長
 それでは、沖委員。

○沖委員
 パワーポイント3ページのところですが、「水道事業者等は、定期及び臨時の水質検査をしなければならない。」と出ているのですが、これは詳細に、例えば半年に1回とか1年に1回とかというのがはっきり決まっているのでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思うのですが。

○松田水道水質管理室室長補佐
 定期検査につきましては、水道法施行規則の中で、毎日検査を行うものと毎月検査を行うもの、それらについて項目ごとにこの検査頻度が定められております。

○沖委員
 あと、臨時に関しましては。

○松田水道水質管理室室長補佐
 臨時につきましては、これは、例えば原水の水質汚染が起きたりとか、何か配水過程のところで問題が起きたりとか、問題が起きたときに検査を行うものでございますので、これについては、特に頻度、その問題が起きたときに臨時検査ということではかっていただくことになるということでございます。

○沖委員
 わかりました。ありがとうございました。

○大垣部会長
 ほかに。どうぞ。

○大澤委員
 この議題が「信頼性確保に関する今後の取組」ということで、ちょっと広いことが書いてありますのでお伺いしたいのですが、私も以前の職で耐火偽装とかいろいろかかわったことがございまして、その経験で申しますと、こういう委託とかをするときの問題は、悪徳・悪質というたぐいの問題と、それから能力不足という問題と2つあるんですね。そういう意味では、この資料の2-2に書いてあります一番最後の6ページのところにある外部精度管理というのは非常に重要だと思っております。ここら辺でどれぐらいの能力があって、かつ、それがどれぐらいきちんと適切に行われているかということ、お金の制約とかいろいろあると思うのですけれども、この関係をきちんと把握しないと、一方的に押しつけてもうまくは動きませんし、そういう意味で、この外部精度管理というので、どういう問題意識というか状況を、精度とか能力に問題がないということをきちんと確認されているのかどうか、また、それに基づいてどういう対応を取られているのかということをちょっと教えていただければと思います。

○大垣部会長
 資料2-2の6ページの四角の箱に外部精度管理調査の話が出ていますけれども、では、松本管理者。

○松本水道水質管理官
 外部精度管理につきましては、毎年必ずすべての検査機関に参加いただきまして実施しております。その中で、Zスコアという知られた精度管理の評価手法がございますので、これに基づいて評価をいたしまして、その成績が悪かったところについては、私どもから出向き、それで、どのような検査が行われているのかをチェックするシステムを取っております。
 また、一部の事業体におきましては、その結果を活用して、それでよい成績を取っているところについて発注の条件としているような事例もございます。
 私どもとしましては、この調査が必ずしも単に評価を決めてしまうというだけではなくて、きちんとそこが、では、悪かったところは、どういうところが、何が原因だったのかといったところをきちっと解明した上で、それを改善するというような方向に今後持っていきたいと考えておりまして、そういう観点からこの制度を変えまして、そういった改善を含めてきちっと検査できるところと、どうしてもそういった対応が難しいところというような形でこれを評価して、そこら辺のそういった形での情報を水道事業体側に提供していくことを進めていきたいと考えております。

○大澤委員
 ありがとうございます。

○大垣部会長
 ほかの議題もございますので、この議題はそろそろよろしいでしょうか。どうぞ。

○安藤委員
 最後に1つ申し上げます。委員の皆様、いろいろ御意見ありがとうございました。委員の皆様の御意見につきましては、我々も相当議論いたしました。この中でちょっと書いていないところが、結局、こういう非常に細かいお話を実際にやってもらうにはどうするかということになります。そういたしますと、今回の検査制度の、検察のお話でもありますように、フロッピーディスク云々とありますけれども、結局、トレーサビリティーということが非常に重要になりまして、そういたしますと、分析機器メーカーがまさにトレーサビリティー、つまり書き換え不能のそういうデータがきちんと残っていますよという体制まで持っていかないと、ここだけでやっていてもしようがないということをつくづく思っております。それも含めてちょっと、考え方としてはそういうことがあるのだろうなということでございます。
 以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございます。
 ほかに特に加えるべき御意見があればですが、よろしいでしょうか。
 それでは、大変貴重な御意見をいただきありがとうございました。途中の御意見の中にもありましたが、今の最後の安藤委員からも加えまして、将来に向けて見通しを持った適切な対応を事務局にお願いするということで、ここの事務局案に関しましては御了承いただいたということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○大垣部会長
 どうもありがとうございました。

○松本水道水質管理官
 ありがとうございました。いただいた御指摘を踏まえまして、よりよい制度として運用していきたいと考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。
 それでは、次の議題に移ります。議題3「水質基準の見直し等」でございます。
 本議題は、前回部会で案を示しました水質基準等のうち、トリクロロエチレンの基準改正等について、その後の状況と水質基準逐次改正についての検討の中で出てきました新たな見直しの動向を事務局から報告をお願いします。
 資料3-1と3-2、3-3ですね。事務局からお願いいたします。

○松本水道水質管理官
 それでは、資料3-1、3-2、3-3、それから、一応パワーポイントの方が復活しているようでございますので見ながら。万一途中で止まったときには、また資料の方へ戻っていただくような形になるかと思いますが、御説明させていただきます。
 まず最初に、水道水質の基準の制度について簡単に御説明させていただきます。
 水道水質基準は、一番上の三角のところに載っておりますが法第4条で規定されている項目でございまして、50項目ございます。これについては、水質検査をきちっと定期的に行い遵守していくという義務が生じているものでございます。
 これ以外に、私どもでは、水質管理目標設定項目というものを27項目設定しております。これは、評価値がまだ暫定値であったり、あるいは検出レベルは高くないけれども注意が必要であろうというものを27項目にわたって指定しておりまして、常に監視しているという状況です。
 更にその下に、毒性評価がまだ定まらない、あるいは浄水中での存在量がまだ不明確というような状況だけれども、注意しておく必要があるということで44項目を、要検討項目という形で指定しておりまして、こういった形で、常に毒性評価の進展や存在量について注意しておりまして、これを必要に応じて水質基準逐次改正検討会という常設の、改正のための検討を行う検討会を設けておりますので、こちらの議を経て、必要に応じて格上げしていくというシステムを取っているわけでございます。
 続きまして、次のスライドで、前回の部会の審議におきまして、お手元の資料の方では3-1の2ページになりますけれども、2月の部会において、食品安全委員会が出してまいりました健康リスクの情報に基づきまして、基準の強化ということを検討していただきました。その結果、トリクロロエチレンについては0.03という基準値を、食品安全委員会の毒性の評価及び水道水の寄与率70%と考えるということから0.01という値に強化をしていただいたところでございます。この70%ということについては、下に説明書きを書かせていただいております。特異的に水道水に含まれる場合、地下水などが想定されますが、そういったところでの曝露、またWHOのガイドラインでは、飲用ということだけではなくて、蒸発することに伴う曝露についても考慮すべきとしておりまして、こういったことを勘案し、経口飲用分と、それから吸入や経皮、シャワーを浴びたりする場合もあることう想定しまして70%という値を決めているわけでございます。
 こういった値を設定いたしまして、今後こういった値で進めることについて食品安全委員会の意見を求める。それから、併せて水道で使っております医薬品、資機材、給水装置についても、その溶出状況を解析するということで検討の方向をいただいたところでございます。
 また、第2段階になっております水質管理目標設定項目の中で、トルエンにつきましても、この現行基準を0.2から0.4に変える、それから、農薬類についても4物質について見直しをするということで、併せて方向性を出していただいていたところでございます。
 次のスライドで、トリクロロエチレンにつきまして、今年7月に水質基準逐次改正検討会を開催して議論をしていただいております。その中で、原水の中で現行評価値の10%を超えるような水道事業体について調査をいたしました。この中で、すべての事業体において、必要な場合には他水源からバックアップします、あるいはエアレーションの施設を設けますということで、新基準への対応は可能であるということが確認されております。
 それから、食品安全委員会に改めてそういった基準値を設定することについて意見を求めたところ、この時点でも、そのTDI、毒性評価について変更はないということで返事をいただいております。結論といたしまして、当初案のとおり、0.01に強化すべきということになっております。
 薬品基準、資機材、それから給水装置の浸出性の基準につきましては、その見直しに伴い基準の強化ということで検討しましたが、トリクロロエチレンがこういった機材あるいは薬剤には使われていないということで、問題はないというようなことで検討をいただいております。
 次のページに参りまして、この案に基づきまして、これをパブリックコメントにかけております。資料は3-2になります。そちらをごらんください。パブリックコメントについては、9月6日から10月5日までの約1カ月間をかけたわけでございます。いただいた意見は、トリクロロエチレンについて2件の意見がございました。
 一つは、水道水の検出状況から、基準値を超過する水道は存在しないような基準の設定の仕方をしたのではないかという質問といいますか意見がございました。先ほど御説明したように、事実としては、0.01とすることで本部会で方向性をいただいた後、実態を調査し、危ないところは他の水源を利用する、あるいはその除去設備を設けるという話になっているわけで逆になるわけですが、やはり考え方をきちっと説明していく必要があるだろうということで、ここに書いてありますように、我が国の曝露濃度データを活用して、水道水由来の曝露割合を70%とした上で評価値を算定しており、妥当であると回答案を作成しております。
 また、もう一つの質問が、規模の小さい専用水道では施行に猶予が必要ではないかというような趣旨の御意見でございます。これに対しましては、基本的には飲料水自体の基準ということで、期間の猶予を設けるということは難しい。そういうことはしないが、必要な措置について通知をしますということで、具体的には、曝気装置の設置、あるいは上水道への切り替えを促すといったものとともに、対策が講じられるまでの間については、煮沸後に飲用してください、あるいは入浴の際の換気に注意してくださいということで通知を出すということで回答案を作成しております。
 また、水質管理目標設定項目については、農薬についてのみ御意見がございました。御意見を求めたのはペンシクロンといったような4物質の農薬であったわけですが、実際にいただいた意見は、アセフェートですとかトリクロルホンという別の農薬について目標値を早急に設定すべきというものでございました。これにつきましても、食品安全委員会で新たな健康評価が行われておりまして、早急に対応していくことが必要になってまいりますが、回答としましては、今回の意見募集の直接の対象ではないが、今後、食品安全委員会の評価を踏まえて検討していきたいとしております。
 1また、2月に開催いたしました水質基準逐次改正検討会ではこのトリクロロエチレンの水質基準につきましては原案どおり改正する、それから、こういった回答案でいくということについては了承されております。ただ、先ほど出ておりましたように、トリクロロエチレンの基準設定の考え方といったものについては、施行通達の中で丁寧に説明していくことという御意見をいただいているところでございます。
 次の水質基準等改正のところに移っていただきまして、パブリックコメントの意見、それを踏まえました検討会の審議の結果から、以下のようなトリクロロエチレンの基準値の改正をいたしたいということでございます。水質基準については、現在の0.03から0.01、また、薬品基準、資機材の材質基準、それから給水装置の浸出性基準につきましては、これまでの基準の考え方に沿いまして、水質基準と同等かその10分の1を基準値として規制を強化するということでございます。
 また、施行時期は平成23年4月といたしたいと考えております。
 以上が、前年2月に開催いたしました部会での方向性に基づきますトリクロロエチレンの改正案でございまして、また、トルエンあるいはペンシクロンなどの農薬の水質管理目標設定項目につきましても、同じ時期から変更したいと考えております。
 以上が、2月から続いておりますトリクロロエチレン等の見直しでございまして、次に資料の最後のページを見ていただきます。資料3-3になります。こちらは、新しい見直しの検討に関してでございます。
 新たな物質につきまして、食品安全委員会が毒性の再評価をしております。その内容につきましては、水質基準逐次改正検討会7月の会議の中でその方針を検討しております。一番上の水質基準項目につきましては、クロロホルム、ジブロモクロロメタンなど、いわゆるトリハロメタンと言われる4物質についてでございます。これらの物質につきましては、今回の食品安全委員会の評価結果が、私どもが根拠としております平成15年の答申と同じ内容でございましたので、現行評価の値を維持するということになるかと思います。
 また、これらを合わせ評価する値として総トリハロメタンという項目を設けております。これについても同様に、現行の評価を維持するという内容になるかと思います。
 続きまして、その下のところでございます。農薬類についてですが、これにつきましては、先ほど水質基準のピラミッドを最初に御説明いたしましたけれども、その中で真ん中の水質管理目標設定項目の中に入るものがございます。全部で102物質ございまして、これが規制対象となります。
 ただ、農薬につきましては、それ以外にも多くの農薬がございますので、私どもでは、それを第1候補群、第2候補群、第3候補群として分類しております。この第1候補群というのが、先ほどの102物質、水質管理目標設定項目に該当するものでございまして、こちらの方で実際に監視する対象となるということでございます。
 第2候補群は、大体50トン以上生産されていて検出する可能性のあるもの、それから、第3候補群は、それ以下で検出するおそれは余りないだろうとなっているものでございます。
 これらの中で幾つかの項目につきまして食品安全委員会で現行評価値の再評価がされておりますので、その評価値に基づきまして、それぞれ現行評価値を変更するもの、それから現行評価を維持するものについて、ここで一覧表として提示させていただいております。
 最後に、要検討項目、これは水質基準ピラミッドの3段階目のものでございますが、これについて御説明させていただきます。資料は3-3の5ページになります。
 過塩素酸というものがございまして、これは、平成18年に利根川などで検出されたことから、平成21年4月から要検討項目としておりましたが、これまで実際に評価するための値というものが設定されておりませんでした。今回、WHOとFAO、食料農業機関でございますが、これらの合同の専門家会議、JECFAというところが、暫定最大1日耐容摂取量というものを示しております。これを用いまして改めて私どもの方で評価いたしまして、評価値を25μg/Lということに設定しようとなっております。今後、この値に基づきまして、原水中での存在量等を調査いたしまして、第2段階であります水質管理目標設定項目への格上げなども含めて検討してまいりたいと考えております。
 以上が、新しい見直しについての水質基準逐次改正検討会の検討結果を踏まえた見直しの方針であります。
 以上でございます。

○大垣部会長
 御苦労さまでした。
 前回の部会で示された方向を踏まえて、その後の対応、それからパブリックコメントの説明がございました。それに加えて、今後の新しい水質基準等の新しい方向性についても提案がございました。資料3-1、3-2、3-3並びにパワーポイントのプリントに関しまして、御質問、御意見ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 特にないということでよろしいでしょうか。
 それでは、本議題につきましては、事務局の案について御了解いただけたということにさせていただきます。
 それでは、今の説明内容で事務局の方で今後作業を進めていただきたいと思います。

○松本水道水質管理官
 ありがとうございました。

○大垣部会長
 次に、議題4に移ります。「水道行政の最近の動向について」であります。
 これは、前回の水道部会から1年間の水道行政の動向について、現在の状況を御報告いただければと思います。
 それでは、事務局からお願いいたします。

(PP)
○粕谷水道課長
 水質の安全関係は、ただいま議題として御審議いただきましたので、それ以外の分野につきまして、最近の状況を御報告させていただきます。
(PP)
 まず、地域主権、あるいは地方分権への対応ということでございますが、水道事業に対する指導あるいは監督、それから衛生行政という意味での水道に関するいろいろな仕組みが大きく変わろうとしてございますので、そのことについて御説明したいと思います。
(PP)
 地方分権、地域主権の関係では、これまで第4次にわたる勧告がなされてまいりました。そのうち、既に一括法地域主権改革関連2法案ということで国会で審議がされておりまして、継続審議になっているもの、それからそれ以外のものについて、本年6月22日に地域主権戦略大綱という形で閣議決定されておりまして、いずれ法案という形で国会で御審議いただこうとしているもの、2つに大きく分かれているところでございます。
(PP)
 水道に関係する部分について申し上げれば、第1弾目の地方分権改革推進計画の中で水道の事業認可について決定してございまして、認可申請の事務を大幅に簡素化すべしということが言われてございます。特に地方公共団体が事業変更を行う場合に、認可を要しない軽微な変更の範囲を大幅に拡大するということが決められてございます。
 一方、地域主権戦略大綱の方は大変盛りだくさんでございまして、ひも付き補助金の一括交付金化、あるいは義務付け・枠付けの見直しということで、水道に関して言えば、布設工事監督あるいは水道技術管理者の資格などにつきましてのそれを、条例で委任すべしということが大綱に決定されてございます。
 それから、水道原水水質保全法という法律がございまして、そこの中で都道府県計画を定めるとされてございますけれども、そこの計画の策定に関する事項につきましても、策定事項、それから手続の見直しが決められてございます。
 権限移譲の関係では、簡易専用水道の監督、それから専用水道の監督につきましての権限の移譲、これは、都道府県または保健所設置市が事務を行うことにされておりますが、すべての市に移管をすると。町村については都道府県が行うという制度に権限移譲すべしということが、大綱の中で決められているところでございます。
(PP)
 具体的な反映の仕方でございますけれども、これはまだ、現在施行規則の改正あるいは一括法として準備・検討作業がされている段階でございます。あくまでも事務方の案ということでございますけれども、事業認可書類の簡素化という意味では、水道事業者が地方公共団体である場合、その事業経営を必要とする理由を記載した書類、あるいは意志決定を証する書類というものを不要にしようですとか、あるいは事業を譲り受ける場合の提出書類を大幅に簡素化するなどということを考えてございますし、軽微変更の範囲につきましても、これまでであれば、給水人口あるいは給水量が1%以上変化する場合、増える場合には変更認可としていたものでございますけれども、それを10分の1、10%以上の変化がある場合ということで広げようとか、あるいは水源・水質に大きな変更がない場合、取水地点が若干変わっても、それは届出でいいようにしようというようなことを検討しているところでございます。
(PP)
 地域主権戦略大綱への関係でございますけれども、大綱にございますように、布設工事の監督に関する事項、それから水道技術管理者の資格に関する事項につきましては、これを条例で決めていただくわけでございますが、地方公共団体以外、民間の水道事業者も存在するわけでございますので、現在の資格基準につきましては水道法にそのまま残るわけでありまして、地方公共団体が条例を決める場合は、その民間用の基準を参酌すべきということで措置をしようという方向で進んでございます。
 それから、水道原水法につきましては、計画の中に「その他配慮すべき重要事項を記載すべし」ということになってございましたけれども、そうした記載は廃止する。あるいは、「都道府県計画は公表するものとする」とありますけれども、公表するかどうかは、国としては、それは努力義務ということで地方公共団体の判断にゆだねるというような改正でございます。
 権限移譲の関係でございますけれども、専用水道並びに簡易専用水道の監督権限は、「保健所設置市」から「すべての市」ということで拡大することにいたしました。
 なお、専用水道の権限移譲につきましては、勧告段階では、改めて全国の市の意見を聴いた上で判断するとされたわけでございますけれども、アンケート調査を行った結果、各市の回答では、何らかの能力向上の措置がされるのであれば、権限移譲について前向きの回答が多かったということで、我々としても「すべての市へ移譲する」という方向で今、作業をしているところでございます。
 なお、こうした省令改正あるいは一括法の施行ということでございますけれども、まだ現在作業が進められているところでございますし、施行日をいつにするかということにつきましても、今後の作業ということになってまいります。
(PP)
 続きまして、耐震化の状況について御報告させていただきます。
(PP)
 今月14日に全国の水道事業者の耐震化の状況を記者発表いたしたところでございます。昨年に続いて2回目の発表ということでございます。基幹管路について申せば、昨年28.1%のものが30.3%ということで2.2%上昇してございますけれども、まだ十分とは言えない状況でございます。ほかのものとも共通でございますけれども、都道府県別あるいは水道事業者別に見た場合に、随分大きな差があるということも出ているところでございます。
 浄水施設につきましては平成21年度16.8%と、基幹管路ですとか配水池に比べましても耐震化が進んでいない状況でございますが、浄水施設につきましては、やはり施設の全面更新のときに併せて耐震化をされるということが多うございますので、なかなか工事をするのが難しいということもありまして進んでいない状況がうかがえます。
 配水池につきましては34.5%ということでございまして、単独で池の耐震化というのは行いやすいということで、浄水施設に比べれば進んでいるという状況でございます。
 なお、今回、各水道事業者が耐震化の計画を策定しているかどうかということも併せて調べ、公表いたしましたが、例えば水道管につきましては、耐震化の計画をつくっているところが18.5%、その中でも、具体的な箇所を特定して耐震化の事業量、事業予算などを決めているところが11%にとどまっているという現状がわかりました。こうした管路ですとか施設の耐震化の進捗状況と計画の策定状況というものを併せて見ますと、やはり計画をつくっていないところでは、実際の耐震化も遅れているという傾向がわかりましたので、我々としては、耐震化計画の策定を促してまいりたいと思ってございます。
(PP)
 耐震化への支援ということでございますけれども、財政支援ということで国庫補助を引き続き実施してまいるとともに、今申し上げました耐震化計画の策定の指針なども示してございますので、こうした技術的支援にも努めてまいりたいと思ってございますし、水道関係のいろいろな団体と連携を取りまして、耐震性の改善運動というようなポスターなどもつくりましてキャンペーンも実施しているところでございます。
 次に、耐震化ですとか施設の更新といったものを着実に実施していくために、アセットマネジメントを行っていただきまして、それを踏まえて、各地域の水道事業者が、地域水道ビジョンというものを策定していただくことを推奨しているところでございます。
(PP)
 次に参りまして、水道ビジョンの中で幾つかキーワードを設けまして具体的な施策を示しているわけでございますけれども、それを具体的に各水道事業者が地域水道ビジョンという形で策定していただいて、それを水道の利用者に公表していくことで事業を進めていただきたいというものでございますけれども、その地域水道ビジョンの策定状況を見ていただきますと、
(PP)
 上水道事業では全体の44%、水道用水供給事業では全体の58%の事業者でつくられてございます。
 なお、やはり大規模な水道事業者でつくられていることが多うございますので、給水人口で重みをつけますと全体の81%、88%ということになってまいりますけれども、こうした差が目立っているところでございます。
(PP)
 給水人口なりの規模別で見た場合、やはり小規模の水道事業者での策定が進んでいないということがわかります。
(PP)
 同様に、水道用水供給事業についても同じでございますが、こうした小規模事業者での地域水道ビジョンの策定を促してまいりたいと思ってございますし、平成23年度の予算で、現行水道ビジョンのフォローアップの調査というものを要求しているところでございます。我々といたしましては、早目にフォローアップのためのデータの整備を行いまして、地域水道ビジョンの改定となるのか、あるいは新水道ビジョンになるのか、またいろいろな皆様方の御意見も承りつつ、新たなビジョンについての検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。
(PP)
 次に、水道事業の広域化あるいは第三者委託、包括委託でございますけれども、こうした状況について御報告申し上げます。
(PP)
 水道事業の経営基盤を強化していくために広域化あるいは官民連携というものが必要であるという認識のもとに作業を進めているわけでございますが、広域化につきましては、できれば都道府県版の地域水道ビジョンをつくっていただいて、都道府県というまとまりの中でどのように広域化を進めていっていただければいいのかということも御検討していただきたいと思ってございますけれども、都道府県版の地域水道ビジョンができているところが、いまだ全国で3つの県だけということでございまして、これから、その作成について強力にお願いしていかなければいけないと思っているところでございます。
 広域化につきまして新たな動きといたしましては、このスライドの右下にございますように、今年度から水道広域化促進事業という新たな補助事業を始めているところでございます。これは、小規模水道を大規模の水道あるいは水道用水供給事業に統合する場合、従来ですと、どちらかというとこの左側の小規模水道事業者にだけ財政支援をしてまいりましたが、それに加えまして、こうした小規模な水道事業を受け入れる側の大規模水道にも何がしかの統合のインセンティブを与えようということで、こちらの事業者にも国庫補助、施設の更新に対する財政支援を行うという制度を今年度から設けまして、適用を始めているところでございます。
(PP)
 次に、第三者委託を含む官民連携などでございますけれども、やはり多様な運営形態をそれぞれの水道事業の状況に即して選んでいただくことが可能になるように、さまざまな手引を策定してまいりました。民間活用を含む水道事業の連携形態係る比較検討の手引」ですとか、「PFI導入の手引」あるいは「第三者委託実施の手引」というものを決めているところでございますが、PFI導入あるいは第三者委託の手引につきましては、今年度内に更に拡充していきたいと考えているところでございます。
 例えば、第三者委託につきましては、水道事業者が民間に頼んだときに、その民間がきちんと委託なり受託された仕事をしているかどうかを把握していく、モニタリングしていくための手法などについて、手引の中に盛り込んでいきたいと考えているところでございますし、PFIにつきましては、例えば政府全体で、更にそのPFI法を改正して、事業権を譲渡するようなコンセッションと言われているようなものを可能にするような法律改正、あるいは税制改正のようなものが検討されているところでございまして、我々も、こうした手引というものを充実することによって、水道事業者がその状況に応じていろいろな手法を選べるように充実していきたいと考えているところでございます。
 また、次の水ビジネスの推進という点とも関連いたしますが、官民連携のために協議会を開きまして、水道事業者と民間とのマッチングの場というものを用意するというような取組を、今年度12月から開始をしているところでございます。
(PP)
水ビジネス、水インフラの支援ということに関しましては、新成長戦略の中でも、日本が強みを持つインフラ整備をパッケージでアジア地域に展開・浸透させていくと決められておりまして、その一つの例として、新幹線・都市交通、水、エネルギーというようなことが挙げられているところでございます。
 厚生労働省といたしましても、これまでの取組というところにございますけれども、現地ニーズに合わせたシステムをつくる必要があるということで、さまざまな現地セミナーですとか現地の調査をやってまいりました。現地セミナーの中では、日本の水道技術あるいは水道の制度を紹介したり、相手国の水道の課題を解決する支援というようなことを報告してまいりましたし、具体的に日本の企業で海外進出を考えているようなところにつきましては、そうしたプレゼンテーションなどもしていただいているというようなことをしてまいりました。中国、ベトナム、カンボジアでセミナーを実施してまいりましたが、更にそれを進めるということで、平成23年度予算でも、各国の水道協会あるいはトレーニングセンターのようなところと我が国の水道関係者とのネットワークをつくって、情報共有するなど、こうした展開、支援についても充実をしていこうと考えているところでございます。
 具体的にも、各水道事業者で海外展開に関心のあるところにつきましては、我々が主催する形で情報交換会なども実施しているところでございますし、水道だけではなくて、下水道あるいは環境分野ということもございますので、国土交通省ですとか環境省、経済産業省とも連携しながら、さまざまな取組をしていこうと考えているところでございます。
 以上でございます。

○大垣部会長
 御苦労さまでした。地域分権から水ビジネスまで、幅広い多様な現在の動向を説明いただきました。
 委員の方々から何か御意見あるいは御質問ございますでしょうか。どうぞ。

○岡崎委員
 率直に申し上げますが、いわゆる水道事業体の一員としまして、全国の自治体で日々仕事をやってきている、その意味で責任を持つ主体の一翼として発言をさせていただきますが、例えば、一口に言いまして、水道事業の長年の歴史の中で、ただいま提案のありました、報告のありました耐震化に始まり、地域水道ビジョン、更にはその広域化等々、これまで数年来積み重ねてきた論議ですよね。ここのところでの単なる論議を超えた実態、的確・有効なそれぞれのセクションの資格・責任を問いながらの実態の積み重ね、それの検証ということと、1番目の、最近出てきたいわゆる地域分権改革推進計画に始まった地域戦略大綱あるいは新経済成長戦略、ここのところの練り合わせが、いかにもお互いまだまだ未成熟なのではないかと思っているんですね。
 文書にすればこういう形で構成がされ、こういう形で報告もされ、状況認識を共有化するという意味ではわかるのですが、果たして直近の将来に向けて、本当にどういう資格・責任でみんなこの一翼を担っていくんですよというところに、お互い腹の内にきちんと入り切った論議と構え方というのは、実は問われているはずだと思っているんです。
 先ほど水質検査のところであえて申し上げませんでしたけれども、一口に言ってしまいますと、これは事業体責任の一翼の責任で自戒を込めて申し上げますが、極めて危うい実態というのが出ていると思うんです。大都市の水道事業体、政令市を含めて、しかるべく人的・財政的パワーを蓄積されているところでは、およそそれとしての社会的なチェック機能も含めて、点検も含めてなされていますけれども、およそ水質検査一つを取って見たって、中小規模、地方が一番グレーゾーンでしょう、大変な状態になっているわけですよ。民間で委託を受ける側の御意見もいただきましたけれども、私は、確かに大変なんだろうと思いますね。事業主体の側からしても自戒の念を込めて言いますと、大変だと思います。
 ところが、そういうことは、だれが、いつ、どこで、どういう責任を取るのかということについて全部あいまいに来ているでしょう。これは、やはり私は、この審議会委員に初めて来させていただいて、あえてのっけから佳境の話に入らせてもらいましたけれども、私の資格・責任で言いますと、このことは、あえて表現をさせておいていただきたいと思います、避けてと通れないことだと。
 一般論であれこれあれこれ言っているのではなくて、現実に、この日本の水道事業体のありようについて責任を持つそれぞれの立場が、しっかり今こそ国内も国外に向けても点検をしないと、本当に危ういのではないかということをまず意見として申し上げます。
 それで、最初の話に戻りますけれども、要は、この間、政府の側から打ち出されてきた戦略あるいは大綱論、ここのところについての厚生労働省の問題意識をもう少し踏み込んで、現状を表現できる限りでいいですから追加で出していただきたいなと。ちなみに、参考に申し上げますと、私どもは、皆さん御承知のように、労働組合主体としては、今の政権に対する応援団の一翼でありますから、責任もそれまたありますので、厚生労働大臣の存在を含めて、果たして現場で、厚生労働省内できちんとその戦略方針が、しかも理念、思想、哲学を持った方針が皆さんの中で消化され切って受け止められているのかどうかということについて、大きな懸念を持っていますから、そこのところは少しお聴きしたいと思います。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 課長、何かありますか。

○粕谷水道課長
 今の地方分権あるいは地域主権という点につきましては、なかなか悩ましいというのが正直なところでございます。こういう場でそういう言い方をしていいのかどうかわかりませんけれども、本来でしたら、その能力見合いでさまざまなことが進められていくというのが一つのあり方なのでございましょうけれども、一方で、地域主権・地方分権というのは、まず権限を移すことによって、それぞれのところで能力も育っていくという考え方もあるものでございますので、そうしたものとの兼ね合いで今のような折り合いがついているというのが現状ではないかと思います。
 水道事業にそれを当てはめたときに、やはりこれからポイントとなってくるのは、地域水道ビジョンを本当にきちんとつくっていただくことではないかと思っています。形式的に何か計画をつくればいいということではなくて、それをしっかりつくって、それを水道利用者に示して、共有というか、各市の中で、水道局だけではなくて、市の市会議員あるいは首長さん、水道利用者、みんなの共有のものとして地域水道ビジョンをつくっていただいて、そのもとに施策を進めていただくという姿をつくっていきたいというのが私どもの思いであります。
 それが、特に中小の水道事業では、なかなか自分だけでは物事を考えにくいというときに、都道府県行政の中でいかに地域全体を見ていただいて、広域化あるいは共同での事業というものを進めていただくか、そういうことを県の立場で御検討いただきたいという思いを持ちまして、先ほど、まだ都道府県版の地域水道ビジョンが3県しかできていないと申し上げましたが、その点に力を入れていきたいと思ってございますし、岡崎委員おっしゃられましたように、具体的に、ではそれがそれぞれのところでどういう状況になっているのか、責任がきちんと担保されているのという点につきましては、先ほど少し申し上げました、来年度の予算で水道ビジョンあるいは地域水道ビジョンのつくり方というものの見直しをしたいと申し上げました。そこの中できちんと検証しながら次の施策というものを進めていきたいと思っています。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。
 ほかに。どうぞ。できれば簡潔にお願いいたします。

○安藤委員
 簡単に申し上げます。今、岡崎委員あるいは課長のお話はよくわかります。私もちょっと懸念がございまして、この地方分権改革というのは、それはそれなりによろしいのでしょうけれども、要は、それがきちんと都道府県に伝わるか。この場合は、場合によっては市町村にまで移譲するということになりますので、そこでの情報の共有化とか、あるいは教育というもの、これがきちんとなっていないとうまくいかないだろうと思いますので、この情報を伝えていくという、そこのところをしっかりやっていただければと思います。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ。

○古米委員
 最後の水ビジネス推進の関連で、言葉として水、水道のパッケージでアジアに展開するということは非常に重要なことで、実際に水道産業国際展開推進事業という形で国の方もサポートされているということを理解して、非常にありがたいなと思うのですが、残念ながらというか、要は、技術という部分については企業が海外に向かって行っている。事業体自身は国内のことでやっているので、やっていること自身が、残念ながら日本語でしか表現されていないものが多くて、そうしたときに、やはり技術を海外に売るというのは、同時に水道のシステムであったり、制度であったり、新しいガイドラインであったり、そういったものが、やはり国際化した形で提供できるものが全体のパッケージ化になると思うので、国側として、要は海外に向けた英語あるいはアジアの国の言葉で情報発信するような何か工夫なり支援というものを推進いただけると、このパッケージという面が非常に充実するのではないかと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。

○大垣部会長
 どうぞ。

○岡崎委員
 1点だけお願いします。今の海外水ビジネスに関連してですが、もう時間がないようですからあえて申し上げません。要は、国際貢献を水事業側面から展開していくというその理念、それについては賛成です。やはりそういう努力は必要でしょう。しかし、水事業に携わる国の役目としては、その一方で国内の先ほど申し上げたような中小の地方の水道事業体あるいはその事業関係に関する国内、国外を含めた総合的な的確・有効なマネジメント、こういう姿をしっかり示していただきたいと思います。
 国際貢献、水ビジネスを外へ打って出るということは、なるほどよくよく意味はわかりますし、一面的に反対もしませんが、はしゃいではいかんと思いますね。やはりこの水事業にかかわる仕事というのは、国内も国外もしっかり腰を落ちつけて、それぞれの技術屋さんや事務屋さんたちが生涯をかけていい仕事をやろうとしてやってきた現場ですから、そのことの教示はしっかり受け止めていただいて、国の総合的マネジメントをしっかりやっていただきたいと思います。
 以上です。

○大垣部会長
 わかりました。
 特によろしいですか。

○粕谷水道課長
 はい。

○大垣部会長
 それでは、今いろいろ御意見がございましたが、水と健康にかかわることで重要なことでございますので、日本国内あるいは国際的にも間違いのない運営のために、将来に向けて事務方でも今の御意見を受けて御検討いただきたいと思います。
 では、どうもありがとうございました。
 それでは、あと議題が2つ残っておりますので進めさせていただきます。議題の5でありますが、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の改正について」でございます。事務局より説明をお願いします。

○堀江生活衛生課長
 それでは、資料5に基づきまして、生活衛生課より改正の内容につきまして御報告させていただきます。
 まず、1ページ目をごらんください。多数の者が利用する相当程度の建築物につきましては、いわゆる建築物衛生法というものに基づきまして、その建築物の所有者などが、都道府県知事等へ建築物に係る情報を届出することが義務づけられているところでございます。皆様のお手元の資料の上の部分に届出事項が(1)から(8)までございますけれども、こういったものを届けることが義務づけられているという現状にございまして、今回の施行規則の改正につきましては、この届出事項につきまして項目の追加をいたしましたので、御報告したいと思います。
 なお、改正しました施行規則につきましては、平成22年4月22日に公布付されて、10月1日から施行しているという状況にございます。
 まず、内容に入ります前に、次のページを見ていただきまして、その法律の概要につきまして簡単に御説明させてください。
 こちらに、一番上に目的(第1条)がございます。この法律につきましては、今申し上げました建築物の維持管理に関し、「環境衛生上必要な事項を定めることにより、公衆衛生上の向上及び増進に資することを目的とする。」というような法律でございます。この法律の適用を受ける建築物を特定建築物と定義しております。
 皆様のお手元の資料の左下にございますものが、利用目的と面積でございます。こういったものが定められておりまして、例えば、全国で今のところ4万カ所以上ございますけれども、面積に応じまして、例えば百貨店、集会場、図書館など、そのほか小学校、中学校につきましては、より広い床面積で規定しているということでございます。
 こうした特定建築物につきましては、建築物環境衛生管理基準というものがございまして、これに基づきまして空気環境の調整などを行わなければならないと定められているものでございます。
 そして、この所有者でございます。皆様のお手元の資料の真ん中の上に所有者等というものと維持管理権原者という2人がございますけれども、左にございます所有者等につきましては、特定建築物の届出、建築物環境衛生管理技術者を選任して維持管理の監督を行わせるなどが義務づけられているところでございます。更に、この維持管理について権限を有する者、「権原者」と申しますけれども、これにつきましては、建築物環境管理基準に伴い、維持管理、その管理技術者の意見の尊重、改善命令に従うといったことが義務づけられているという状況にございます。
 前後して申し訳ございません。もう一度1ページ目に戻っていただきたいと思います。真ん中から下の方を見ていただきたいのでございますけれども、改正前の届出事項につきましてはこちらの上に書いてあるとおりでございますが、近年、建築物の所有及び管理の形態が多様化してきてございまして、先ほどのページで申し上げました「所有者等」と「特定建築物維持管理権原者」が異なる事例が報告されてきております。現在のところ、この所有者等につきましては、1ページ目の上の(6)にございますが、所有者等の氏名及び住所につきましては届出事項というものがございますけれども「、建築物の維持管理権原者」につきましては、届出事項の中に含まれていなかったところでございます。
 このような中、行政といたましては立入検査などを行いまして改善命令を行った場合に、改正前の届出事項においては、所有者は把握できるのでございますけれども、特定建築物の維持管理権原者が特定できないということがございまして、いわゆるだれを指導しているのかというところが不明瞭であったという状況がございました。
 このような状況がございまして、一層の衛生基準の向上を図るために、この特定建築物維持管理権原者を把握するための一環といたしまして、届出事項にこの特定建築物維持管理権原者及びそれにかかわる届出事項というものを追加したものでございます。
 またページが飛びまして、4ページ目をちょっと見ていただきたいのですけれども、現在、建築物所有者とこの維持管理等を行う担当者がどのような関係になっているかという例示をこちらの方で若干チェックしたところ、例えばAのようなところですと、事務所、ホテルなどは、所有者は株式会社であるけれども、維持管理を行う権原者に相当する者がマネジメント会社であったりしている、要するに所有者と維持管理の担当者が別になっているというような現状がございます。勿論、例えば一番下のGというようなところを見ていただくように、所有者と維持管理担当者などが一致している部分もございますけれども、現状を見ますと、この所有者と維持管理担当者がずれてきているものが多くなってきているということでございます。
 1ページ戻りまして3ページ目をごらんいただきたいのでございますけれども、特定建築物の推移を見ていただきますと、年々増えてきておりまして、現在は4万件という状況にございまして、この建築物の維持管理におきまして、最近の省エネブームですとかコスト削減のために、この維持管理というものが難しくなってきており、特にこの省エネブーム、コスト削減の影響が顕著に出ているのが空気環境の調整というところで、例えば湿度ですとか温度、二酸化炭素の含有率などが不適合になっている例が散見されている状況にございます。
 平成10年ごろから、下の図にございますように、不適合に該当する特定建築物というものが徐々に増加している傾向にございますので、こういう建築物衛生行政を担っている当課といたしましては、こうした動向を見守りつつ、適切に取り組んでいきたいという考え方から、今回の改正を行っているところでございます。
 簡単ではございますが、御報告とさせていただきます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 何か御質問、御意見ございますでしょうか。
 特にないということでよろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。
 それでは、議題の6に移り「その他」でございます。今後の予定その他について事務局から説明をお願いいたします。

○粕谷水道課長
 本日は、熱心な御審議、御議論を賜りましてありがとうございました。御指摘いただきました点につきましては、事務局において適切に対応させていただきたいと思います。
 なお、この部会につきましては、基本的には今後も年1回程度の頻度の開催を予定してございますが、必要が生じた場合には、頻度を高めて御議論をお願いしたいと考えてございます。次回以降の具体日程につきましては、また、部会長とも御相談の上、委員の皆様にお諮りしたいと思います。

○大垣部会長
 ほかに特になければ閉会といたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、長時間どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課

TEL: 03-5253-1111 (内線4025)

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