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2012年3月5日 第12回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成24年3月5日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省17階専用第18・19・20会議室


○出席者

秋葉委員、安藤委員、遠藤委員、大垣委員、大澤委員、岡?委員、岡部委員、小笠原委員、沖委員、尾?委員、佐野委員、瀬川委員、津野委員、藤井委員、古米委員

○議事

○尾川水道水質管理官
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回厚生科学審議会生活環境水道部会を開催いたします。
 本日は御多忙のところ御参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 議事に先立ちまして、篠田大臣官房審議官からご挨拶を申し上げます。

○篠田大臣官房審議官
 おはようございます。審議官の篠田でございます。
 年度末のお忙しい時期に、委員の皆様方には、お集まりいただきまして誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 本日の審議会でございますけれども、何点か審議事項があります。
 第1点が、放射能関係の話でございます。昨年4月になりますが、第10回の本部会で設置が了承されました水道水における放射性物質対策検討会がございますけれども、そちらにおきまして水道水中の放射性物質に係る指標の見直し案が取りまとめられたところでございます。その内容につきまして、本日は御報告いたしまして、御審議をお願いしたいというものでございます。
 それから、水道課長のもとに設置しております水質基準逐次改正検討会というものがございますけれども、こちらにおきまして水質基準等の見直し、あるいは農薬類の分類の見直しの方針が取りまとめられております。こちらにつきましても、本日、あわせて御審議をお願いできればと考えております。
 更に、生活衛生行政と水道行政の最近の動きについて御報告をさせていただきたいと考えておるところでございます。
 生活衛生行政と水道行政、いずれも国民の生活に密着した非常に重要な課題を扱っている分野だと思っております。委員の皆様から貴重な御意見を頂戴いたしまして、各施策を更に推進してまいりたいと考えておりますので、本日は御検討の方、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 簡単でございますけれども、ご挨拶とさせていただきます。

○尾川水道水質管理官
 マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮でございますけれども、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をよろしくお願いします。
 本日の出席状況でございますけれども、委員、臨時委員、合計20名中、現在で14名の委員に御出席いただいております。安藤委員が遅れていらっしゃると思います。したがいまして、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。
 また、前回部会以降、委員の交代がございました。今回から御園委員にかわりまして、日本水道協会専務理事の尾?勝委員に御就任いただいております。尾?委員、よろしくお願いします。
 それでは、これ以降は大垣部会長に議事の進行をお願いいたします。よろしくお願いします。

○大垣部会長
 おはようございます。雨の中、足元の悪い中、御参集いただき、ありがとうございます。
 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 委員の先生方のお手元には、クリップどめで資料を付けてございますけれども、クリップをお外しいただいて、資料の御確認をお願いいたします。
 一番上に議事次第がございまして、裏に配付資料の目次がございますので、順次読み上げさせていただきます。
 その次の紙でございますが、「委員名簿」と「座席表」が裏表になってございます。
 その先、ホチキスどめで資料1-1「水道水中の放射性物質に係る指標の見直しについて(案)」。資料1-1参考といたしまして、スライドの打ち出しでございます。
 資料1-2が「水道水中の放射性物質に係る指標の見直し案に関する意見募集の結果について」。
 資料2が「水質基準の見直し等について」。
 資料3は「農薬類の分類見直しについて」。
 資料4、これもスライドの打ち出しでございますが、「水道行政の最近の動向について」。
 資料5も同じくスライドで、「地域保健対策検討会における対物保健検討状況について」でございます。
 参考資料といたしまして、横長、参考資料1は、先生方に御確認いただいた前回の議事録でございます。
 参考資料2が、昨年3月の時点の水道課長通知、放射性物質に係る通知でございます。
 参考資料3は、前回にお認めいただいた現在のモニタリング方針でございます。
 参考資料4は、放射線審議会の諮問・答申。
 それから、参考資料5といたしまして、「WHO飲料水水質ガイドライン第4版(一部暫定仮訳)」でございます。
 資料の過不足等ございましたら、事務局の方にお申し付けいただきますようお願い申し上げます。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 まずは、1つ目の議題として、「水道水中の放射性物質に係る指標の見直しについて」であります。事務局から説明をお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 では、スクリーンを用いまして御説明させていただきます。遅くなりましたけれども、私、昨年7月1日から水道水質管理官をしております尾川でございます。本件とこの後の議題の御説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、一番最初の議題でございます放射性物質に係る指標の見直しでございます。(PP)
 この件につきましては、昨年3月に東電福島第一原発で事故が起きまして以降、3月19日、21日に指標を通知してございます。現在は、放射性ヨウ素について300 Bq/kgと100 Bq/kg、それから放射性セシウムについて200 Bq/kgを指標等ということで通知してございます。各自治体、そして水道事業者に対しましては、検査を行った結果につきまして情報提供をお願いしているということでございます。
(PP)
 次のスライドは、4月から6月にかけてでございます。4月4日にモニタリング方針を決めまして、これに基づいて各事業者ではモニタリングを行っているところでございますけれども、その後の状況を踏まえまして、6月に水道水における放射性物質対策検討会の中間取りまとめがございまして、これを前回の部会で御報告させていただくとともに、4月4日のモニタリング方針を改定いたしまして、現在は6月30日に改定したモニタリング方針でモニタリングを行ってございます。
(PP)
 前回部会以降の動きでございますけれども、8月4日に地方自治体向けのQ&Aを一部改訂いたしました。
 それから、10月12日でございますけれども、水道水中の放射性ヨウ素、放射性セシウムの測定に関わりますマニュアルを策定いたしまして、これを同じく通知してございます。
 昨年末、12月26日に、これは食品と歩調を合わせたものでございますけれども、水道水の放射性物質に係る対策検討会におきまして、本日、御説明いたします指標の見直しの案につきまして、この1つ前のバージョンでございますが、御審議いただいております。
 同日付で、文部科学省にございます放射線審議会に対しまして、これは放射性物質に関わります技術上の基準ということになりますので、諮問をしてございます。
 そして、年表には書いてございませんが、12月28日から1か月間、12月26日の案を用いましてパブリックコメントをかけまして、そのパブリックコメントの結果、2月16日の放射線審議会の答申、それから2月17日の検討会での審議を経まして本日の資料に至ったものでございます。
(PP)
 今回、水道水中の目標値を定めようということでございますけれども、これは動きといたしまして、食品中の基準値が見直されることに歩調をそろえたものでございます。これは、2月24日に薬事・食品衛生審議会の答申が出てございますけれども、それまで暫定規制値のときには年間の線量が5mSvだったものを、食品中の濃度もかなり下がっているということで、年間11mSvを基といたします基準値に引き下げるということでございます。
 11mSvの考え方でございますけれども、コーデックス委員会の考え方を使いまして、年間1mSvが妥当であろうということ。そして、濃度自体が相当程度低下しているということで、まだ緊急事態宣言は解除されていないわけでございますけれども、現段階で1mSvにするのが適当であろうということでございます。
 下に表がございますけれども、暫定規制値の時点では5区分ということであったわけでございますけれども、それを今回は右側の4区分にしてございます。
 水道に非常に関係いたします飲料水につきましては、後ほどまた御説明いたしますが、WHOのガイダンスレベルがございまして、その数字を使って10 Bq/kgという数字でございます。一般食品は100 Bq/kgということでございますけれども、乳児用食品、それから子どもが非常に摂取の多い牛乳につきましては100 Bq/kgの半分ということで、50 Bq/kgという数字を使ったということでございまして、これについて2月24日に結論が出ているということでございます。4月1日で施行されます。
 私どもの水道について、飲料水が10 Bq/kgになったということで、水道水はこれまで放射性セシウムについて200 Bq/kgだったわけでございますが、それをどうするかということを検討したわけでございます。
(PP)
 まず最初に、対象の核種でございます。現在、放射性ヨウ素と、2種類の放射性セシウム、都合3種類の核種を対象といたしてございますけれども、食品中の飲料水の新基準値が放射性セシウムだけになったということでございますので、私どももセシウム134と137の合計値で評価しようということでございます。
 ただ、ここにございますように、放射性セシウム以外の核種についての考え方でございますけれども、現在で半減期がある程度長くて、長期的な影響を考慮するものとして、放射性セシウム以外にもストロンチウム90やルテニウム106などをリストアップしてございます。
 ただ、これらの濃度でございますけれども、初期淡水中濃度比という言葉が出てまいります。これは、今回の事故のときに環境中に放出された割合というものです。ストロンチウム90で申しますと、セシウム137に対する初期淡水中濃度比を2%としています。その後、核種によって半減期も違いますので、ここは刻一刻変化していくわけでございますが、事故時の初期淡水中の濃度比を用いまして、ほかの長期的な影響を考慮する核種についても、食品において検討してございます。
 そういたしますと、放射性セシウムに対して、この初期淡水中濃度比を一番考えなければいけないのはストロンチウム90でございますけれども、これの実測値がございます。文部科学省が福島第一原発の周辺の河川で測られた結果として、0.018 Bq/kgという低い濃度レベルでございました。御参考までに、今回の放射性セシウムの根拠といたしますWHOの飲料水水質ガイドラインのガイダンスレベルで申しますと、ストロンチウム90は10 Bq/kgでございます。つまり、放射性セシウムと同じガイダンスレベルでございますので、この10 Bq/kgに比べまして非常に低い値であるということでございます。
 また、現在、指標といたしております放射性ヨウ素につきましては、一般環境中では半減期が短く、もう検出されておりませんので、水道水中に入ってくることもなかろうということでございます。また、ウランについても、放出量自体は極めて少ないので、対象としておりません。
 下にも書いてございますが、別の要素といたしまして、放射性セシウム以外の管理核種というのは、β線核種の測定が非常に困難であったり、測定機関が限られている。もともとレベルが低いということもございますので、特に水道についても放射性セシウム以外は測定等の対象とせず、設定の対象としてはセシウム134と137の合計と考えております。
(PP)
 説明の中に出てまいりますWHOのガイダンスレベルでございます。これは、昨年発行されましたWHOの飲料水水質ガイドライン第4版の中にガイダンスレベルが示されてございます。
 翻訳でございますが、考え方として、飲料水経由でどれだけ線量を考えるかというと、0.1 mSv/年。先ほどの食品全体で1mSv/年というお話をさせていただきましたが、それに対しまして0.1 mSv/年を根拠として個別線量基準を決めましょうというのがWHOの考え方でございます。0.1 mSv/年という数字自体は、非常に低いリスクレベルであって、そのこと自体が健康への悪影響を生じるものではないと考えられるとされてございます。
 また、10 Bq/kgといったガイダンスレベルにつきましては、十分保守的なものであるということであります。
 また、このガイダンスレベル自体は制約のレベルではない。一方で、このガイダンスレベルを超過したということは、更なる追加的な調査の契機、きっかけとなるものであって、超えたこと自体、その水が安全でないということを必ずしも示すものではないということでございます。
 また、このガイダンスレベルを超過した状態が1年間続いたときに、個別線量基準の0.1 mSv/年に相当するということでありまして、その超過した水を摂取すること自体が不適切であるわけではない。こういう性格のガイダンスレベルであるということであります。
 更に、このガイダンスレベルの適用の対象でございますけれども、日常の正常な運転条件に適用されるということであって、環境中に放出されているような緊急時の被曝状況に適用されるものではないということも述べられているものでございます。
 こうしたWHOのガイダンスレベルの性格から、私どもの水道の目標値を考えました。
(PP)
 更に、私どもで考えるべきものといたしまして、水道はお風呂などにも使いますので、それに伴います被曝というものがどの程度だろうかということを試算したものでございます。EPAの値を使いまして計算したところ、今回考えております目標値、10 Bq/kgの濃度レベルのお風呂を沸かしまして、それに毎日30分入ったとすると年間で0.0017 mSvということで、0.1 mSv/年に対しまして非常に低いものでございます。
 手洗いを考えますと、これは浴槽よりも部位も小さいですし、時間も短いので、入浴よりも更に低いだろうということであります。
 また、これはパブリックコメントでも、10 Bq/kgを含んだような水道水で洗った洗濯物は大丈夫かという質問もあったわけでございますが、そこは無視できるレベルであろうということであります。
 また、放射性ヨウ素につきましては、揮発するものでございますが、放射性セシウムについては、揮発して吸い込むようなことは想定しづらいだろうということでありました。
 ということで、食品中の飲料水の基準値としては10 Bq/kgということで、またその浴用等についても、特に考慮する必要はなかろうということでございますので、水道水の目標値につきましては、飲料水と同じ10 Bq/kgで考えたいということでございます。
(PP)
 更に、この性格付けでございますけれども、先ほどWHOについて御説明させていただきましたけれども、この後出てまいります衛生上の必要な措置というものが水道法の中に決められてございます。その際の水道施設を管理するための目標であるということでございます。この意味といたしましては、放射性物質が大量に放出された直後は、水に溶けるイオン形態でもかなり放出されたであろうと考えられますが、現時点では、泥などについているだろう、入るとすれば、濁質成分として水道原水中に入るだろうということであります。
 濁質を除去するというのは、水道施設のまさに基本的な機能でございまして、通常行うような凝集沈殿や砂ろ過といった普通の浄水処理工程で除去することが可能であるということでございます。裏返して言うと、それができていないときに10 Bq/kgを超える可能性があるということでございますので、超えたときにはその水道施設の管理を強化するといった目標値としておくべきであろうということであります。
 また、検査結果につきましては、数回以上の検査結果により評価すべきであろうということでございます。
 以上を目標として考えております。
(PP)
 セシウム134と137の合計として10 Bq/kgということで決めるわけでございますが、これまでは200 Bq/kgというレベルでモニタリングをしていたわけでございます。冒頭に御説明いたしましたが、昨年4月4日にモニタリング方針を決め、6月30日に改定しているわけでございますが、そこでは福島県と近隣の10都県を重点区域という扱いをしてございまして、1週間以上、機器としてはゲルマニウム半導体検出器を用いまして浄水などの検査を実施してくださいということで、3月以降、モニタリングを進めてございます。
 実施者といたしましては、福島県は政府の現地対策本部がございます。また、福島県や水道事業者が実施しております。福島県以外につきましては、自治体と水道事業者。それから、文部科学省は全国で検査を行っているという体制でございます。
 これまでの結果といたしましては、ごく初期にピークが見られましたが、その後は非常に低いレベル、検出限界値未満、または微量濃度の検出のみということでございます。
 下にちょっと小さい字で書いてございますが、同じく飲用に供する飲用井戸につきましては、環境省、福島県を中心に検査を実施しておるのが現状でございます。
(PP)
 グラフでございますけれども、上が放射性ヨウ素、下が放射性セシウムであります。右の方に参りますと、もうべたっと下に張り付いてございます。便宜上、不検出の場合にはゼロにしてございますけれども、昨年3月から4月の中旬にかけまして、放射性ヨウ素、放射性セシウムとも検出されてございますけれども、その後はずっと低い値。ただ、7月や10月に少しだけ数字が見えているものがございますけれども、ずっと下に行ってございます。
(PP)
 こちらは、水道事業者による検査の実施状況でございますけれども、左のグラフが検体数でございます。月当たり大体6,000から7,000検体、原則1週間に1回以上、浄水中で測ってございます。原水はまだ数が少のうございまして、百数十検体ということで、下の方にございます。
 濃度でございますけれども、右のグラフは、折れ線が最高濃度で、一番高く報告されましたのが140.5 Bq/kgという数字でございました。ただ、その後、これは月ごとのデータでございますけれども、ずっと下がってまいりました。また、この棒グラフは、後ほど申しますが、検出限界値が一致しているわけではございませんので、必ずしもこの数字のとおりというわけではございませんが、検出されたということで御報告いただいた数というのが、3月はかなり検出されていたわけでございますが、ずっと下がってきています。
 棒グラフの下の方に27 Bq/kgとか11Bq/kgという数字がございますが、こちらが10 Bq/kgを超えているものでありまして、5月が最後で、6月以降は10 Bq/kgを超えて検出されたという報告は受けてございません。1Bq/kgを超えているのが、9月に1検体ございましたけれども、その後はないということでございます。
(PP)
 重点区域内ではかなり低いレベルなのですけれども、一番濃いところ、特に福島県の場合には、まだ警戒区域内で水道が開通していないところは水道水としての検査を行っておりませんので、これから皆様がお戻りになったときに、どういう濃度になるかということをデータとして見てみたものでございます。
 これは環境省が、公共用水域でございますので、水道で申します原水、河川水や湖沼水で調べた結果でございます。定期的に測っておりますけれども、これまで2回発表しているものでございます。繰り返しになりますけれども、警戒区域内のデータも入ってございます。これを見ていただきますと、昨年9月から10月にかけて測定したものについては、セシウム134と137を足したときに、一番高い数字は、湖沼・水源地の12 Bq/L足す15 Bq/Lの27 Bq/Lでございました。
 その後、11月に測定して先月発表されたものは、同じ地点の27 Bq/L検出されたところは不検出だったというデータであります。これは、検出限界値はいずれも1Bq/Lというものでございますので、1Bq/Lに行かなかったということでございます。
(PP)
 これを、ちょっとわかりづらいですが、散布図にしてみました。縦が濃度でございまして、横が濁度でございます。と申しますのは、この三角形のマークの湖沼・水源地の右上の方に、27 Bq/Lに当たる数字や20幾つに当たる数字がございますけれども、そのときの濁度のレベルは、27 Bq/Lのときには22度ぐらいでございます。再度、測ったときには濁度がかなり下がっていたこともあって、いずれも検出されていないということでございました。
 ちなみに、水道水の水質基準は濁度2度でございますので、破線で引いてございますが、濁度2度以下では、湖沼の三角形のもので足して5Bq/Lというものがあるのが少し気になるのですけれども、おおむね10 Bq/Lに比べて低い数字であったということでございます。これが福島県内の数字でございます。
 なお、福島県以外では、同じく福島県の近郊で環境省が公共用水域で測ってございますけれども、ほぼ1Bq/Lに行かないぐらい。多少超えても3Bq/Lぐらいだと聞いてございます。
(PP)
 さて、こういう状況を踏まえまして、今後、10 Bq/kgの目標値にした場合のモニタリングの体制・方法につきまして、順次御説明いたします。
 まず、モニタリングの結果を集積する地域といたしまして、上にございますのは1都10県の現在の重点区域でございますが、今回、2番目のポチにございますけれども、除染特別地域、それから汚染状況重点調査地域というものを加えてございます。
(PP)
 絵でごらんいただいた方がわかりやすいかと思います。これは、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして、去年暮れ、12月28日に指定されたものでございます。除染特別地域については、まさに除染をこれから活発に行うところ、それから汚染状況重点調査地域というのは、線量が高いので重点的に調査するものでございます。
 左の絵は、文部科学省で発表されております航空機によります放射性セシウムの沈着量の絵でございます。よく新聞にも出ているものでございまして、非常に濃いゾーン、赤いところから青いところへ濃度が下がってまいりますが、南の方ですと、群馬県とか栃木県、それから千葉県の北西部、茨城県の南西部に青いしまが見えます。ここに合わせまして、これらのエリアについては、汚染状況重点調査地域ということになってございます。つまり、これらのエリアについて、今後、重点的にやるべきであろうということであります。
 これまでの1都10県との関係で申しますと、岩手県南部の3市町がちょっとはみ出ておりまして、これまでの1都10県に加えまして、岩手県の南の3市町を加えたところを、これからモニタリング結果を集積する地域と考えております。
(PP)
 モニタリングの対象は放射性セシウムということでございまして、検査の対象試料は浄水と原水ということであります。これは、浄水場の浄水が、当初のモニタリング方針ではなるべく口に近いところということで、蛇口水を測っておったわけでございますけれども、もう上手の方からしかセシウムは参りませんし、なるべく早期に対応できるということで、浄水場の出口水を基本と考えております。
 また、管理目標のところで申し上げましたが、濁度のコントロールという意味からしたときに、早目に探知するということで、水源の原水の水についても測るべきであろう。表流水や表流水の影響を受ける地下水を水源とする浄水場では、取水地点の原水についても検査する。ただ、地下水についてはろ過施設を設けておりませんと、施設の前後では変わりませんので、浄水か原水のいずれか一方でよいということでございます。
(PP)
 そして、検査頻度でございますけれども、月1回以上ということであります。これから雪解けもあると思いますが、台風時期についてのデータはかなり集めることができました。これまでの状況では、濁度が高いときでも10 Bq/kgなりを超えていない、ほとんど検出されていないという状況でございますので、後ほど申しますが、更に感度を高く測定しても、高濁度時でも出ないことを確認すれば、週1回を月1回にしていくということであります。
 また、地図でごらんいただきました除染特別地域や汚染状況重点調査地域につきましては、必要に応じて検査頻度を高めていただくということであります。また、ずっとNDということになりますと、徐々に減らしていってもよかろうということで、この考え方としては、3か月測って連続して出ない場合には、1か月に1回から3か月に1回でもいいのではないかということであります。
 更に、モニタリングの効率化を図るということになりますと、例えば浄水発生土のデータというものも参考にしていただいて、十分に低い場合には、また更に減らしてもいいだろう。また、流域単位で原水を調べることができていて、この川からはあまり出ていないということであれば、その川を使っている同じ流域の水道については、省略することができるのではないかということでございます。
(PP)
 検査方法は、昨年10月に決めましたマニュアルでやっていただきたいということでございまして、検出限界値は1Bq/kgを考えております。
(PP)
 1Bq/kgを目標としましたのは、グラフでごらんいただきます。2月時点で私どもに集まってくるデータを見ましたところ、上が134、下が137の放射性セシウムでございますけれども、検出限界値の分布を見ていただきますと、おおむね1Bq/kg以下のところに過半数が入ってきております。中にまだ10 Bq/kgを超えているところ。これは、ゲルマニウム半導体検出器ではなくて、NaIシンチレータなどで測っているものでございますけれども、そうしたところにつきましても、今後は対応できるだろうということでございます。
 今度、目標値が10 Bq/kgになりますので、目標としては1Bq/kgを目指していただくということであります。
(PP)
 これは参考までにということでございますが、どうやって1Bq/kgを確保するかということでございます。ゲルマニウム半導体検出器で測定する場合に、時間を長く延ばすことによって検出限界を下げることができる。あと、容量を増やすことによって下げることができるということであります。
 右に式が書いてございますが、割るV、ボリュームで割る形になります。ここに書いてある絵は、よく国連などで使っている100 mLの容器が上でございまして、2L、つまり2,000 mLのマリネリ容器が下でございます。上と下は容量が20倍違うので、マリネリ容器を使うことによって感度を20倍上げる、検出限界値を20分の1に下げることができるということであります。
 そういたしますと、時間的には30分とか1時間ぐらいかければ、2Lの容器を使えば一応達成することは容易であろうということであります。ただ、これはそれぞれの検査機関において遮へいが十分でなかったらグラフが上に行ってしまいますので、そこは検査機関によっての対応でございます。
(PP)
 こうした形で検査体制を確保していかなければいけないのですけれども、アンケートいたしましたところ、ゲルマニウム半導体検出器の整備というのは着実に進んでございまして、これまで検査の実績のある78機関におきましては183台ということで、台数としてはかなり増えているということであります。
 また、検出限界値を厳しくすることによって能力が下がるのではないかと心配したのでございますが、時間的には30分から50分に増えるところがあるかもしれませんけれども、一番下に書いてございますのは、水道水用に何検体ぐらいの能力を回せるかということを確認いたしまして、足した結果でございますけれども、日当たり1,000検体ぐらいは可能であろうということであります。先ほどグラフでもお示ししましたが、これまで月当たり6,000から7,000検体ということでございますので、1日1,000検体測れるということは、マクロで見れば能力は足りているということかと思います。
 ただ、もしかしたらでこぼこがございますので、近くに検査機関が見つからないといった水道事業者に対しては、支援が必要だと認識してございます。
(PP)
 今後のとりまとめでございますけれども、小さくて恐縮でございますが、現在、1週間に1回、報道発表という形で厚生労働省で取りまとめてございます。右上にございますのは福島のデータで、福島以外は下のスタイルでございます。様式が変わってございますが、福島は、一番下のところに検出限界値としておおむね1から5Bq/kgであると紹介してございます。
 また、下は東京都水道局の例でございますけれども、不検出、NDとして括弧して、そこに検出限界値を書く形でございます。核種としては、放射性セシウム、放射性ヨウ素が中心でございますけれども、こうした形で検出限界値と一緒に公表するということを、これからも続けていく予定でございます。
 また、今回は放射性セシウムのみが対象ということでございますけれども、放射性ヨウ素についても、ゲルマニウム半導体検出器で同時に測定できますので、これについてもまとまったものについては公表する予定であります。
(PP)
 以上のような形でモニタリングを進めてまいりますけれども、超えた場合にどうするかということについて御説明申し上げます。
 管理目標値を超えるというのは、よほどな事態なのではないかと思っておりますけれども、現状といたしましては、過去、一時期は非常に高い濃度で超えましたが、現時点では不検出が続いているということでございます。環境水中では、恐らくは底質、砂礫などについた形。つまり、存在はしているけれども、水には出てこないという状況であります。もし出てくるとすれば、泥と一緒に流れてくるということでございまして、それは制御可能である。
 したがいまして、超過するとすれば、浄水中にかなりの濁りが発生している状況ではないだろうか。つまり、浄水処理工程で濁度の除去機能が損なわれているような状態ではないかということであります。
 考えるべきことといたしまして、10 Bq/kgを連続して超過した場合に、初めて0.1 mSv/年を超えることを認識することと、超過によるリスク自体は非常に低いということであります。水を止めるとか、飲まないようにするという対応ができるわけでございますけれども、そのこと自体は著しい不便を強いることになります。特に、給水停止をいたしますと、止めた配水管の中であっという間に嫌気化してしまいまして、水質が非常に悪化するということがございまして、かえって別の衛生上のリスクの発生をもたらすことも留意しないといけないことでございます。
(PP)
 これは、前回の部会でもお示ししたものでございますけれども、来たものでイオン状のものは多少すり抜けますけれども、ちりについたものは沈殿、ろ過ができるだろうということでございます。
(PP)
 次のグラフは投稿中のデータでございますけれども、昨年4月時点で福島県内の浄水場で測ったものでございまして、原水中では5幾つとか12 Bq/kgぐらいの数字でございましたけれども、沈殿の段階でかなり落ちているというデータが得られているところでございます。つまり、制御可能なものであるということであります。
(PP)
 超過した場合の措置でございますけれども、そうは言いましても、超過したときには直ちに超過原因を究明することは当然でありますし、再検査や濁質が除去できているかどうかを確認して、水道利用者には周知する。必要であれば、給水車も飲料水の手配の準備をするということであります。
 これが一過性のものではなくて、長期間継続して超過するかもしれない、あるいはただ1回であっても、非常に高いレベルで超えた場合の考え方でございますけれども、他の水道水源があれば、こちらに振り替えていく。あるいは、飲まないでくださいということで摂取制限を周知した上で実施する。ただ、給水停止につきましては、あくまでも衛生上の問題が摂取制限だけでは回避できないときに、初めて給水停止をするという考え方でございます。
 専用水道や一般飲用井戸は水道事業者ではございませんけれども、専用水道は水道法適用でございますので、準じた措置をとっていただきたいということであります。あと、一般飲用井戸は、福島県を中心に、水道が来ていないところで測定してございまして、1件10 Bq/kgを超えていたものもあり、濁りがあってということでございました。公的機関が測っているものであって、10 Bq/kgを超えているということであれば、これは飲まないように指導していただきたいということであります。
(PP)
 考え方として、法律上の整理でございますけれども、水道法第22条に衛生上の措置というものがございます。これは、繰り返しでございますけれども、不具合で濁質が混入して濁度を超えているようなときには、ろ過機能を復旧させて、それでもだめだったら摂取制限をするということであります。
 伝家の宝刀でございますが、第23条第1項に給水の緊急停止というものがございます。どうしても止めなければいけない事態では、これを根拠にしていただきたいということでありますが、あくまでもこの給水停止による不利益というものも留意した上で、給水停止を行う場合には行っていただきたいということであります。
(PP)
 これは考えなくてはいけないけれども、あってはいけないことでございますが、再度、大規模な放出が起きた場合でございます。これは、原災法が適用されますし、摂取制限に関する指標についても変わってございませんので、これまでどおり、現行のモニタリング方針がございますので、これを用いましてモニタリングなり対応をしていただくことになります。ただ、そのときはまた核種が変わっているかもしれませんので、その時々の指示があろうかと思いますが、これに基づいて対応するということであります。
(PP)
 今後の予定でございますけれども、4月1日から適用ということでございまして、本日、この部会で御了承いただければ、これをもって通知という形で全国に周知していく予定でございます。
 長くなりましたが、この資料は以上でございます。
 もう一つだけ、資料1-2でございますけれども、パブリックコメントを行いました結果について、これはお手元の資料で話をさせていただきます。
 先ほども申し上げましたが、昨年12月28日から1月27日まで1か月間、パブリックコメントを募集してございます。今、御説明した1つ前のバージョンでございまして、それに対しまして190通、意見としてはいただいているものでございます。190通の中には、同じ要旨のものもたくさん書いてございましたので、これも分けますと延べ335件ということで、次ページ以降に意見の概要と考え方を整理してございます。
 ざっと申しますと、数も参考として括弧で書いてございますが、放射性セシウム以外も対象として測定してくださいということでございます。トリチウムも測ってくださいということでありますが、これについては、現在、環境中の濃度レベルから見た場合に、それほどの線量ではないということで、放射性セシウムについて対象とするというものでございます。
 また、もっと厳しくしてほしいとか、緊急時と平常時で同一の基準。ただ、WHOの考え方でもって、今回の考え方をとってございます。
 また、4番、これからも説明に苦慮するという話がございますが、これについても説明してございます。
 洗濯については、先ほど申し上げたとおりでございます。
 そして、6番、特に放射性ヨウ素について130件という数でございますけれども、とにかく引き続き測ってくださいというお話がございました。ただ、これは御意見の中には、水道水の放射性ヨウ素でもって原子炉の異常を検知できるので、測ってくださいというお話であったのでございますが、原子炉や降下物の監視は、水道事業者ではなく、国によって行われています。
 また、8は、蛇口についても測ってくださいというものでございましたが、こうした御意見については、なるべく現在の見直しのペーパーの中には入れるようにしてございます。
 次のページへ参りまして、11番で、もっと頻度や地点を減らさずに上げてくださいということでございます。これらについても説明してございます。
 あと、16番にございますような必要な支援策をとってくださいとか、18番も類似でございますが、研修の実施といった実施体制に対する御希望や御不安などもございました。
 最後でございますけれども、意見の途中で幾つか出てまいりましたが、30番でございます。下水汚泥から検出されていると報道がなされておりまして、こうしたことが皆様からも不安に思われているということでございます。これにつきましてはこちらでも調べてみましたけれども、まずヨウ素131は一般環境、下水汚泥から出ているということで、多分下水由来であろう。つまり、以前から医療分野において使用されているものが下水汚泥に出ている事例が国内外で報告されているということです。
 以上、かなりはしょりましたけれども、資料1-1と1-2の御説明をさせていただきました。

○大垣部会長
 御苦労さま。ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。発言の前に挙手をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでございましょう。どうぞ。

○岡?委員
 間もなく1年を迎えようとしております。この間の経過と現段階について、今、説明がありました内容を、ある意味俗っぽく言いますと、よくぞここで収まってくれたと思っているのです。昨年の3月、4月、5月、特に私ども事業体、現場で現地で対応する立場の人間としては、とにかくあの3ヶ月間というのは、先を想定できない中で大変苦労してきましたから、ただいまの説明で言いますと、6月以降、こういう数値でおさまっていることについて、1つ安堵しているところです。
 見直し案に関わって、2点ほど質問、意見を述べたいと思います。
 1つは、5ポツの放射性物質の検出状況。

○大垣部会長
 資料1-1ですか。

○岡?委員
 はい。失敬しました。資料1-1、指標の見直しについての案の5ポツの放射性物質の検出状況。この最後尾の方の文章展開で、「一部の水域を省いて」という表現がありますけれども、さまざまな視点からの配慮、考慮の結果、こういう表現になっていると思いますが、この取り扱いは、一般公表とは別に、水道に関係する業界で資料共有がなされているのかどうか、ここのところを少しお聞きしたいと思います。
 と言いますのは、6ポツのモニタリング及び検査法の内容にも関連しますけれども、重点的にモニタリングを実施してきている福島及びその近隣10都県の情報の共有化あるいは協力、支援、応援関係といったものが、現実にそれぞれなされていると思うのですが、そうしたことの関連も含めて、いまだに一部の水域を省いてという事態が実態としてあるならば、そこのところについては、こういう委員会ですから、ひとつ押さえておかなければならないのではないかと思います。
 これに関連して、意見なのですが、原子力災害対策本部、政府を軸に、各省庁、各自治体、事業体、それぞれの体系・系統が確立されてきていると思うのですが、とりわけ水道分野で言いますと、原子力現地対策本部の基本的な情報、それから対策・対応、財政措置といったものが体系立って示されてきているかどうか。
 各事業体、自治体側から言いますと、この1年間、人的にも財政的にもさまざま苦労してきましたけれども、とりわけ情報の共有化や対策・対応方について、総合的に現地対策本部のもとに的確・有効な指示あるいは提起、総合的なマネジメントというものがなされてきているのかどうかについて、疑問がありますから、その意味ではこの体系確立に向けた、この1年間の総括と今後の手立て、対応ということは、大きく問われているのではないかと思います。
 これは、水道分野から、しかるべくルートに、そうした意見あるいは要望を乗せていくべきではないか。今回の指標の見直し、それ自身からは若干変わりますけれども、その思いが強いということが1点です。
 それから、7ポツの管理目標値を超過した場合の対応が大事だと思いますが、一口に言いまして、冒頭言いましたように、昨年、4月から6月時点以降の検出状況を押さえるならば、少し安心していいのかなとも思いますけれども、今回の見直し案の内容は、昨年3、4、5月を経た以降の状況がベースになっているのではないか。
 ただ、問題は、実体験から言って、昨年3、4、5月のあの状態をくぐった対象の現地の人々は、こういうレベルでこれからも済むのかどうかというのが極めて不安なのです。わかりやすく端的に言いますが、福島第一原発は本当にこのままの状態で大丈夫なのかどうかというのが、地元周辺部の皆さんにとっては大変な関心事でありますし、なければないでいいのだけれども、本当なのか。
 そもそも想定内・想定外という概念が崩れてしまっているわけですから、我々のこの見直しについても、1年間の現実、検出実態、数値がこうだから、それ以上の想定外のレベルはないのだと簡単に済ましていいものなのかどうかというところは、現地・現場では残っているということはお含み願いたいと思います。
 昨年の3、4、5月の実態例をあえて申し上げますけれども、私、この間、しつこいほど、皆さんお聞きになった方はしつこいと思われるかもわかりませんが、現地・現場で対応した立場の人間からしますと、あるいは事業体、自治体の側からしますと、1つには、例えば応援部隊で3月に入ろうとされた、日水協さんを初め業界の皆さんも、福島を前にして足踏みを数日せざるを得なかった局面があったのですね。
 しかし、それは結局、東京都あるいは北九州の皆さんの決断でもって、現地へ入るということが一つの突破口になって、全国からの応援部隊は現地へそのまま大挙入っていったという実態例があるのです。だから、そういうときの支援・応援部隊さえもが足踏みする状態の現実がそこにあったということは、決して大げさでも何でもなく、ある意味では生死をかけて、体をかけて、入るか入らないかというところを逡巡した事実がある。これは消せない。
 それから、それ以上に、現地の事業体あるいは自治体の皆さんは、行政系統の指揮系統さえも壊れた。しかし、現実、水道事業体の人々は、自分たちの資格・責任において対策を断行したということなのですね。そのときには、率直に申し上げますが、情報が入らなくて、どういう対策、対応、体系で、国あるいは自治体、県、事業体、地域住民、諸組織、こぞってどうマネジメントしていくかということについてのサジェスチョンもなくて、孤立無援で孤軍奮闘して対応せざるを得なかったという実態があったのですね。
 そのときに、万々が一の場合は若い職員たちを広報車に乗せて、地域住民に危険性を発しながら少しでも遠くへ逃がす。その際は、地域住民を置いて、行政を置いて、事業体を置いて、空っぽにしていくわけにはいかないですから、年寄り、高齢層の人たちに覚悟してもらって現場へ残ってもらうという決断まで強いられたということです。応援部隊も、現地事業者職員たちもこういった苦労をした、この3月、4月の事実を想起するならば、想定外の事態が本当にないのかどうかということは、繰り返し問われると思います。
 指標の見直しそのものを現場に提示するときに、そのことから問われるということをあえて指摘を申し上げておきたいと思います。少し長くなりましたけれども、幾つかの質問と意見を含めて見解をお聞きしておきたいと思います。

○大垣部会長
 ありがとうございました。それでは、3点ポイントがあると思いますので、1つずつ確認したいと思います。
 第1点目は、資料1-1の5ページの5ポツの一番最後の部分に「一部の水域を除いて」という表現があるけれども、こういうことに関する水道関係者へのデータの公表等が必要ではないかという御意見でよろしいですか。

○岡?委員
 共有化ですね。

○大垣部会長
 共有化ですね。これに対しては、事務局の方からどうですか。まず、1点目、お願いします。

○尾川水道水質管理官
 先ほどのスライドをまたスクリーンに出しました。この件につきましては、環境省が報道発表しているというものであります。報道発表しておりますので、それだけで皆様、御存じであるというわけにはいきませんので、本日も私どもの方でこうしたグラフの形で御用意いたしました。
 したがいまして、水道の場合には、15日に水道の担当者会議がございます。この部会の資料もすぐにWebにアップいたしますので、2次資料ではございますけれども、今回の指標の考え方、こういう図表も添えまして、わかりやすく説明し、フォローしていきたい。また、電子メールなども最近は使ってございまして、メールによって質問を求めているところでございますので、現場が困らないように具体の問いについて耳を傾けて、しっかりと御説明していきたいと思っております。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。
 2番目は、今後の原子力の現地の体制で、情報や対策や財政措置等が体系立っていないのではないか、マネジメントも十分ではないのではないかという疑問を指摘されていて、水道側からしかるべき要望をすべきではないかという御意見かと思いますが、いかがでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 確かにおっしゃるとおり、原発事故に関する情報というのは非常に多岐にわたりますので、それをきっちりまとめてというところで、まだ足りないところはあろうかと思います。
 一つの例として申し上げますと、原子力の賠償関係、本件に関係いたしますと、モニタリングにかかった経費あるいは機器の購入に用いたお金については、東京電力の方で賠償するということでございます。こちらは事務局の方で東京電力と調整いたしまして、東京電力主催の説明会を案内して開いていただいて、実際の申請についてのサポートをしているところでございます。
 これは、先ほどの答えとかぶりますけれども、まさに現場の方でお困りのことを水道課の方にもお寄せいただいて、それに対して対応していく。また、これも繰り返しになりますが、担当者会議のほかにも課長会議等々、ございますので、そうした場で広くお示しをしていきたいと思います。

○大垣部会長
 どうぞ。

○石飛水道課長
 ちょっと補足でございます。岡?委員からの御指摘でございますけれども、私どもも初めての経験であったので、昨年3月から5月にかけて本当に暗中模索の状況で続いていたわけです。その中でも水道をいかに復旧させていくか。
 当然、放射能汚染対策も含めてですけれども、我々、水道界を挙げて情報共有する必要があるだろうということで、特別対策本部というものを設置いたしまして、日本水道協会、全水道、各種機関に入ってもらって、そこで現場の声も伺い、そして我々が知り得る範囲の政府の中での情報を共有するということを3月から4月にかけて毎週行った。これは、情報共有では非常に効果を上げてきたと思っております。
 私どもも、政府の中での情報、特に放射能汚染に関する情報が適時適切に我々のところにもなかなか来なかったということがありますので、これについては政府の中での意思の疎通、それから情報の共有化をしっかりやっていくというのは、大きな反省として、当然、今後の体制づくりに反映していく必要があるだろうと思っております。
 ちょっと話がずれますけれども、今後、福島県の、特に浜通りの復興ということが大きな課題になっております。これにつきましては、復興庁がようやくできておりますので、そこで情報を共有・一元化する体制ができておりますので、水道に関しても我々の情報はすべて上げるようにしておりますし、また現場との情報共有は福島県を通じて、また事業体ともやっていくということで、当然そこで作業される方々の安全確保ということも最重要課題として、今後、復興にもそういう体制をしっかりつくって臨んでいきたいと思っております。
 以上です。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。
 それから、3番目の点は、昨年3月から5月にかけての緊急時でのさまざまな現場の経験というものは、いろいろな分野で記録しなければいけないのではないかという議論が起きておりまして、事実、そういうものが各分野で行われていますので、水道分野もそのようなものをきちんと記録し、情報を共有して、それを今後のところに反映することが必要ではないか、そういう御意見ではないかと思います。どうもありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。できれば簡潔にお願いします。

○佐野委員
 短くします。佐野です。福島原発事故は歴史上初めての事故であって、1年経った今でも、まだ放射能を封じ込めていない。これを考えましても、利用者、消費者にはきちんとわかりやすい説明が必要だと考えています。
 それで、一番重要なのが、数値を超したときにどういうふうにするかということなのですが、御説明では、WHOの考え方をとって、その数値を超過すること自体は水道水が飲用不適であることを意味するものではなく、まずは原因究明の契機であるとしています。これは非常にわかりにくいことで、私は数値を超過した場合には、すぐ摂取制限を発動するべきではないかと思っています。
 ほかの飲料とか食品は、数値を超過したときは出荷停止であったり、市場から回収したり、消費者の手元に届かないようにするという措置がとられている中、水道は超過したら、これが原因究明の契機という、その辺りをきちんと説明しない限り、消費者にとっては非常にわかりづらいと思っています。この整合性を考えたときに、私は数値を超した場合は摂取制限をして、それからまた超過が継続しないことがわかったときに摂取制限を解除するというのが、当然の措置のように考えています。
 もう一つ、超過したことを利用者に周知する広報をどうやってやるか。資料1-1では、テレビとかラジオとか、いろいろ書かれておりますけれども、これは実施者に法的にきちんと義務付けをしていただきたいと思います。
 それから、水道検査を今、蛇口でやっているのを浄水場の出口でこれからやるということについては、蛇口で出てきたものを検査してもらいたいなという気持ちがあります。
 最後に、質問なのですけれど、スライドの資料1-1参考で見ますと、27ページに管理目標値を超過した場合、継続すると見込まれる場合、水道利用者への周知とか厚生労働省等関係者に周知等が書かれているのですが、主語をきちんと書いていただきたい。一体だれがやるのか、どういう形で水道利用者へ教えてくれるのかということをはっきり書いていただかないと、わかりづらい。これはだれなのかということを教えてください。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございます。お願いします。

○尾川水道水質管理官
 幾つか御質問いただきました。
 一番最初の、直ちに摂取制限をすべきではないかということでございます。こちらにつきまして私どもで考えておりますのは、そもそも今の指標というのが200 Bq/kgで存在していて、今回、数字としては非常に厳しいものになってございます。その数字の意味というのが、飲んでいけないものかというと、そういうことではないということでありますので、勿論、ここに書いてありますように、原因究明ということと。そして、これは超えている程度によると思いますけれども、レベルに応じて摂取制限という形をとっております。
 また、周知の義務付けということでございますが、最後の御質問にも関わりますけれども、今回の通知というのは相手が水道事業者なりに向かいます。水道事業者に対しましては、これまでも周知について、このような形でお願いしてございました。実行ベースとして、こうした形で周知を実質的に義務付けているということであろうかと思います。
 あと、蛇口の方がということでありますけれども、これは測定の場所として、資料1-1の5ページに考え方を書いてございますけれども、下のウでございます。水道の施設ということから考えた場合に、放射性セシウムがどこから入ってくるかということになりますと、上手の方でありましょう。入ったときに、配水過程で途中で濃度が増えたりというものではございませんので、まず入ってくるものを、中がクリーンな状態であるのを、水道の立場からすると監視するということ。
 あと、蛇口で検査結果が出たときには、もう飲んでしまっている事態になりますので、より早い段階で迅速な対応をするということから、浄水場で測ることが望ましいだろうということであります。
 先ほどもお答えしましたが、手法につきましては、あくまでも水道事業者に対して、これを対応してくださいということでございますので、検査の主体や周知の主体というのは、水道事業者になります。専用水道もそれに準じてくださいということであります。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○瀬川委員
 瀬川です。ちょっとレベルが低い話といいますか、パブコメの27番です。意見に対する考え方です。必要に応じて、これは文章的には「公表することとしてます」につながるのではないかと思います。この「必要に応じて」という表現は、是非とも取っていただきたい。岡?さんのお話も、今の佐野さんの御意見もそうですけれども、情報を公表するというのは非常に大事なことで、データそのものは、こういう状況でしたらすべて出していただいて、それで判断していただくのが一番よろしいのではないかと思うので、この「必要に応じて」は削除していただきたいなと思います。

○大垣部会長
 いかがでしょうか。

○尾川水道水質管理官
 27番の答えの「必要に応じて」のかかり方ですけれども、これは水道法に基づく水質検査計画というものを水道事業者が決めることにしております。水質検査計画は、50項目の水質基準や、それに準ずる管理目標設定項目あるいはクリプトスポリジウムの検査を行う場合に、年間何地点でどれぐらいやるということをあらかじめ決めた上で公表するということでございます。
 ここは、水道事業者の判断ということになりますけれども、時間的に間に合わないのではないかということもございまして、やる場合には、原則、水質検査計画に位置付けてほしいということなのですけれども、事業体の判断によって、これは水質基準ではございませんので、「必要に応じて」という言葉をつけさせていただいております。
 公表につきましては、「また」以下にございますように、これは漏れなく、これまでも公表してございますし、出た結果については厚生労働省の方から必ず公表させていただきます。

○大垣部会長
 意見と、更に説明が加わっているわけですね。それに「必要に応じて」というのが入っていますから。

○瀬川委員
 水道法の中の水質検査計画の検査をするのを「必要に応じて」という意味で書かれているのですか。検査内容を。

○尾川水道水質管理官
 検査計画という法律に基づく計画の中に、ここで放射性物質を測るということを書く、書かないというのは「必要に応じて」ということであり、出てきた結果については、こちらにいただきますし、公表させていただきます。わかりにくい文章ですみません。

○大垣部会長
 どうですか、少しわかりやすく改訂しますか。

○尾川水道水質管理官
 少し考えさせてください。

○大垣部会長
 パブリックコメントに対する答えだから、誤解がないようにした方がいいですね。
 ほかに。時間も大分過ぎているものですから、制限するようで恐縮ですけれども、何かございますか。どうぞ御遠慮なくと言いつつ、手短にお願いしたいのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 それでは、資料1-1と資料1-2について御意見をいただきましたけれども、一部、御意見の点、事務局の方で検討していただくところもあるかと思いますが、修正した上で成案とすることになりました。
 それでは、議題2に移ります。「水質基準の見直し等について」でありまして、事務局から説明をお願いします。

○尾川水道水質管理官
 では、資料2を御説明させていただきます。水質基準の見直し等についてということで、水質基準逐次改正検討会という水道課に設置しております検討会での検討状況を御説明させていただきます。
 委員の皆様、御案内のとおり、水質基準につきましては、平成15年にいただいた答申に基づきまして逐次改正方式というものをとってございまして、絵にかいておりますような三角形、上から水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目という3段階にしてございまして、これを検出の状況とか安全性評価が変わったということをもって見直しをしているということでございます。
 まず、2ページ、3ページ、4ページまででございますが、ここで御説明しておりますのは、水道統計で集めております全国の水質基準項目や水質管理目標設定項目の測定結果でもって、見直す必要がありやなしやということでございます。
 2ページの表1をごらんいただきますと、上の段が見直し時点で水質基準項目であった場合に、分類要件、つまり超過地点が存在しているか、していないかということで、一番右にございます最近の5年間の間で1地点も超過していないとか、3年間でも50%に達していない場合には、水質基準項目から水質管理目標設定項目へと1つ下げるといいますか、見直すというルールがあります。
 また、下段にございますように、水質管理目標設定項目の場合には、超過が続く場合には、新たに水質基準項目に加えるというルールがございます。
 これを用いて整理いたしましたのが3ページでございまして、現在の50項目ございます水質基準項目について、一番右に入るものはございませんでした。また、水質管理目標設定項目も、一番左に入るものはないということで、現時点で水質基準項目、水質管理目標設定項目の見直しは必要ないものと考えております。
 4ページは農薬でございまして、農薬類ということで、総農薬方式で水質管理目標設定項目に入ってございます。
 これも一つ一つの農薬を見たときに、水質基準項目並みに検出されている場合には、単独で総農薬方式とは別に水質基準項目に入れるというルールがございます。現在の検出状況から見た場合に、分類要件に当てはまるものはございませんでしたので、農薬についても新たに水質基準項目とするものはないというものでございます。
 以上が検出状況から見たときの見直しであります。
 5ページから先は、評価値の見直しについての御説明でございます。
 内閣府の食品安全委員会で水質基準項目など水質基準類を設定しているものについて、定期的に安全性評価の見直しが行われております。水質基準項目の中で、前回以降、見直しが行われましたのは、シアン化物イオン及び塩化シアンという1つだけでございましたが、中をごらんいただきますと、TDIが4.5 μg/?/日のままということでございますので、これに基づいて基準値を見直す必要はないものと考えております。
 6ページで、水質管理目標設定項目の中で、ウランとその化合物について、こちらは答申がなされております。
 この中身でございますが、根拠とした毒性試験は変わっておりませんで、LOAELも同じなのですけれども、不確定係数、UFが食品安全委員会によりまして、これまで100だったものが300ということで、3倍厳しくなったというか、3分の1になったということであります。これによりまして、TDIが0.2 μg/?/日になるのですけれども、これについての考え方を下の方に書いてございます。
 ここに書いておりますのは、ウランの摂取につきまして、飲料水由来以外に食品も含めたときに、どれぐらい日本人がウランを摂取しているかということを、マーケットバスケット法あるいは陰膳法で整理したものであります。TDI 0.2 μg/?/日というものを比べた場合に、結論から申しますと、下から2番目、「以上より」と書いてございますけれども、現在の管理目標設定項目であるウランの目標値が0.002 mg/Lということであります。これをずっと飲み続けた場合に、全体の陰膳法なりマーケットバスケット法によるところの摂取量から見た場合に、これを足したとしても、今回新たに決められましたTDIの0.2 μg/kg/日を上回る確率は非常に小さい。5%以下ないし、また更に低いということでございましたので、これにつきましては食品安全委員会の評価は変わりましたけれども、目標値0.002 mg/Lというのはそのままといたしまして、引き続き水質管理目標設定項目としたいと思っております。
 それから、7ページ以降は農薬類でございまして、また後ほど次の議題で御説明しますが、第1候補群、第2候補群、第3候補群ということで、200以上の農薬がリストアップされております。
 これについてもかなり多数のADIの見直しが行われておりまして、これは単純に水道水へのアロケーションを10%と固定いたしまして、ADIが下がったものについては強化、あるいはADIが上がったものについては緩和ということで、これは水質管理目標設定項目でございますので、評価値、目標値の見直しをしていく予定であります。
 それから、9ページから先でございますけれども、ピラミッドの一番下の要検討項目の、更に外側にある物質について、要検討項目に加えるべきかどうかということを検討いたしました。
 基といたしますのは、環境省のデータであります。環境省が測定しているものの中で、11ページをご覧いただいた方がよろしいかと思います。11ページの表4を見ていただきますと、アニリン、キノリン、1,2,3-トリクロロベンゼン、ニトリロ三酢酸という4項目につきまして、これは仮の値で評価値を決めまして、アニリンで申しますと0.02 mg/Lという試算でございますが、試算値を決めまして、それに対して環境中での検出状況はどうかということを調べたものでございます。
 ほかにも物質はあったのでございますが、この4物質につきましては10%なりを超える年度がある。環境中での測定結果で、この0.02 mg/Lなり0.0001 mg/Lの10%を超えるデータがあるということでございますので、これは、従来は枠外にあった物質でございますけれども、この4項目を要検討項目に追加して、今後、知見、研究等でのデータを集めていきたいものでございます。
 御説明は以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御意見、御質問がございましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 農薬について、次の議題でもありますが、それでは、次の3番目の議題、「農薬類の分類見直しについて」、お願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 では、資料3をお願いいたします。農薬の分類見直しでございますけれども、現行の御説明を差し上げたいので、恐れ入ります、9ページを見ていただきたいのですが、9ページの参考1に15年の答申における記述がございます。
 上の式にありますけれども、農薬に関しましては総農薬方式ということで、それぞれに目標値を決めまして、目標値で検出値を割ってΣをとったものが1を超えるかどうかというのが、現在の考え方であります。
 これにつきましては、11ページ以降に表が書いてございますが、第1から第3候補群までございます。
 あちこち行って申しわけございません。10ページの上に第1候補群、第2候補群、第3候補群の考え方がございますけれども、国内の推定出荷量を50tで切りまして、あとは検出されるおそれがあるかどうか。それから、測定方法がないものについては第2候補群、おそれが低いものは第3候補群ということで、全部で206の農薬をリストアップしているところでございます。
 1ページにお戻りいただきまして、(2)です。こうした形で206の物質をリストアップしているのでございますが、15年10月に通知の形でお示ししておりますけれども、その後の状況の変化、農薬の使用量についても変わってきておりますし、先ほど少しお話しました食品安全委員会で目標値が変わってくることもございます。そうした状況の変化をもちまして見直すべきではないか。それから、現在は単純な出荷量なのですけれども、毒性の強いもの、弱いものがございますので、単純な出荷量ではなくて毒性に関係いたしますADIで割ったものについてリストアップすべきではないかということであります。現在、一番下にございますが、206物質に32物質を足して238物質を対象として、これを引き続き第1候補群にするかといった検討を行っておるわけでございます。
 2ページから3ページにかけまして、アからクまで、幾つかの論点を挙げてございますが、これは水質基準逐次改正検討会などで今、検討を行っているところでございます。本日の御説明の趣旨というのは、途中経過の御報告になりますけれども、見直しの方向性について、是非御意見をいただきたいというものであります。
 大きなお話として、3ページにございますが、農薬類の検査法について、妥当性評価ガイドラインというものをこれから決めていきたいということであります。冒頭に御説明いたしましたが、現在の第2候補群という中間段階のところは、検査法がないものであります。ところが、検査法を決めようといたしますと、かなりの労力がかかる。実際に農薬というのは意図的に環境中にまくものでありますので、いつ何時、水道水から出ないとも限らない。理想的には、使われているものをすべて測らなければいけないかもしれませんけれども、それをやろうというのは、また容易なことではない。
 第1候補群は今、102物質ございまして、102物質についてはすべて標準的な検査法を決めてございますけれども、それら以外については検査法が決められておりませんが、事業体によっては、厚労省で決めた検査法がないけれども、自ら検査しているというのが実態であります。
 これにつきまして、食品分野に倣って、つまり公定法が決まっていないのだけれども、実際には測ることはできる。ただ、精度や感度といったものがまちまちであるものを、自ら妥当性評価を行うことによりまして、通知法にない検査法であっても公称値として認めることができる。公定法によらなくても、検査結果が使えるというルールがございます。こうした食品中の残留農薬の試験法の考え方に倣いまして、水道分野につきましても、今後、妥当性評価ガイドラインを決めていきたいということになりました。これを今回考えてございます。
 そういたしますとどうなるかというと、どのように影響するか、4ページ、5ページをごらんください。
 5ページの表がよろしいかと思いますが、これまで第1候補群、第2候補群、第3候補群ということで、その中で一定以上検出されるものは水質基準農薬に挙げていくということでございます。一番上の水質基準農薬の考え方は変わっておりませんけれども、第1候補群、第2候補群、第3候補群という数字はやめまして、これまでの第1候補群に当たるものとして、対象農薬リストに掲載している農薬というものを、浄水から検出されるおそれがあるものについて決めましょうということであります。
 今度、下の方へ参りまして、除外農薬類と申しますのは、これまでも十分測定されているもので、実際に出る可能性が少ないだろう。データが蓄積されて検出される蓋然性がないものについては、リストに掲載した後にリストから除外していくということで、除外農薬類と考えてはどうか。あと、要検討農薬は知見の収集が必要なもので、その他は更に量が少ないものということであります。
 つまり、この中に測定法のある、なしというものが考え方に入ってこない。これまでの第1候補群、第2候補群、第3候補群のときには入ってきたものを、おそれのみで分類していきたいということであります。
 時間の関係もございまして、少し説明を飛ばさせていただきます。6ページから7ページにかけましては、具体に現在の第1候補群、第2候補群をどのように分けていくかということでございまして、7ページの下のところに、おそれの検討状況ということで途中経過を報告させていただいておりますけれども、厚生労働科学研究の中で、どうやっておそれを判断するのかということを現在、検討中であります。出荷量や水田の出荷量。なぜ水田かというと、量が多くて流れ出やすいからということであります。
 また、ADIを使って使用面積といったものを考えております。また、土壌中の半減期、水中半減期などを考えて、環境中で残りやすいかどうかということも考慮した上で件数を決めまして、その程度によりまして判定しようということでございます。
 そういたしますと、7ページの下の表にございますが、現在の第1候補群、102物質ございます。右の黒枠の中でございますが、そのうち20物質については検出されるおそれがなかろうということで除外していく。ただ、残りの82物質は引き続き掲載します。第2候補群、第3候補群、追加農薬類から新たに掲載されるものもあるということで、結果的には今102物質あるリスト掲載農薬を112物質に増やしてはどうかということでございます。ということで、これから半年ぐらいかけまして妥当性評価ガイドラインを決めてまいります。
 それで、8ページですが、238物質を最終的に再分類いたしまして、来年4月1日をめどに関係通知を改正していきたいと思っております。また、具体の農薬が決まりましたらば、この部会にもお諮りする予定であります。
 資料の御説明は以上であります。

○大垣部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に質問あるいは御意見がありましたら、挙手をお願いします。どうぞ。

○津野委員
 考え方につきましては、それほど大きな意見はございません。ただ、ちょっとだけ質問があるのは、農薬ということで、あくまでも農薬としての使用を前提とした検討のように見えます。
 例えば過去にもシロアリ駆除剤とか、今はなくなっているがゴルフ場であるとか、そういったそれまでの概念の農薬以外の使い方、あるいは想定していない目的で使われて、またそれが一般で使われて出てくるということがありましたが、そういったものに対して、この検討の中ではどのような御配慮をされているのかということをお教えいただきたいし、もし、されていなければ、その対応について、重要ではなかろうかと考えるわけであります。

○尾川水道水質管理官
 今回の検討に使っております出荷量については、農薬要覧という出版物を使っております。あの中には、同じ成分であるけれども、農薬として使われていないものは恐らく入っていないと思います。御指摘のとおり、是非そういったものについても今後考えていきたいと思います。

○大垣部会長
 よろしいですか。ほかにはいかがですか。
 それでは、ただいまの資料3について、皆さんの了承を得られたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 それから、1つ前の議題の資料2でありますが、これについても皆様の御了承をいただいたということでよろしいでしょうか。先ほど確認を忘れたものですから。
(「異議なし」と声あり)
 それでは、議題2と3、御了承いただいたものといたします。ありがとうございました。
 それでは、次の議題4に移ります。「水道行政の最近の動向について」、事務局より御説明をお願いします。

○名倉水道課長補佐 それでは、資料4に従いまして、スライドも使いまして説明させていただきます。水道行政の最近の動向ということで、トピック的なものを御説明させていただきます。
(PP)
 まず、来年度、平成24年度予算(案)等について、表にまとめたものがございます。一番上の行を見ていただきますと、平成23年度予算額が416億円ぐらいでございました。これは他省庁分も入れたものでございます。平成24年度につきましては729億円ぐらいになっておりまして、そのうち復旧・復興枠というもので、特に災害からの復旧とか復興、それから関係するような取組みに対して別の枠がございまして、そこで400億円ぐらい計上しているものでございます。
(PP)
 4ページ目の右の方を見ていただきますと、平成24年度、今、見ていただきました復旧・復興枠でございます。前のページの一番下にございました200億円で災害の復旧費ということで、今回、甚大な被害を受けたところについて、平成23年度中に本復旧工事の着手が見込めない地域について、200億円計上しているものでございます。
 それから、その下を見ていただきますと、防災対策費の補助金ということで201億円でございます。これは前のページで行きますと、上の方に簡易水道の復旧・復興枠が45億円、それから上水道が155億円ございます。それを合わせたものでございますけれども、201億円積んでおります。これは、東日本大震災を教訓といたしまして、ほかの地域でも大地震が起こる切迫性が高いと想定されるところを重点地域といたしまして、全国的に水道の耐震化を促進する経費と考えまして、計上しております。
 それから、復旧の方につきましては、もう既に23年度補正予算で積んでいるものがございまして、この左側になりますけれども、1次補正で160億円、3次補正で303億円積んでいたものでございます。それから、その下の方には1.2億円、被災状況の調査費ということで、被害を受けた水道施設の復旧に向けた状況の調査について、調査費を計上しているものでございます。
(PP)
 それから、東日本大震災の被害と復旧の状況でございます。
 これはいつも出しているグラフになりますけれども、今回、東日本大震災で230万戸、230万世帯ほど断水の被害を受けております。赤が復旧戸数の状況を示すものでございまして、8月末時点で、津波等で被災したところ以外については、ほぼ復旧を果たしておりまして、それがおおむね226万戸になっております。
 それから、青い折れ線グラフでかいたものが断水の戸数でございます。これも余震等によって、何度か断水戸数が増えたりしておりましたけれども、現在は津波等の地域の4.5万戸以外は、とりあえず断水は解消されている状況になっております。
(PP)
 7枚目のスライドで、今回の震災における水道施設の被害の主な特徴といたしまして、津波によって沿岸部が大きな被害を受けたということで、施設や設備が流失したり故障というものがございましたし、水源が海の水をかぶってしまいまして、塩化物イオン濃度が上昇した。あと、水管橋が流されたり、何か流れてきたものに当たって管がやられたりというのもございましたし、耐震性の低い構造物が被害を受けたり、茨城や千葉でも液状化による被害などを受けたところでございます。
 一方で、地震動そのものによる構造物の被害というのは、比較的軽微だったということ。(5)に書いておりますけれども、耐震管につきましては、今のところ被害を受けたところはございませんで、すぐれた耐震性能を発揮していると言えるかと思います。
 それから、先ほどの補正のお金を使いまして、現在、被害状況の詳細について調査しているところでございます。
(PP)
 それから、津波被害等を受けたところの復興につきましては、現在、水道復興支援連絡協議会というものをつくりまして、被災した水道事業者に対して、全国から支援する水道事業者をマッチングいたしまして、それぞれ復興の支援をしていただいているところでございます。また、連絡協議会の方には、関係者が参画いたしまして全体としてバックアップするという体制で復興を進めているところでございます。
(PP)
 それから、前半で水道水の放射性物質の話がございましたけれども、浄水発生土、水処理に伴って出てくる汚泥につきましても放射性の汚染がございます。
 標題から「放射性物質が検出された」というところを消していただきたいのですけれども、浄水発生土の放射性物質濃度の状況ということで、各県、各濃度別に分けております。左の方に県名が書いてありまして、そこから10万Bq/kg超、10万Bq/kgから8,000 Bq/kg、8,000 Bq/kgから100 Bq/kg、100 Bq/kg以下と書いてございます。この100 Bq/kg以下のところには放射性物質が検出されていない、NDというのも入ってございます。それから、合計がございまして、一番右の列は未測定ということで、まだ測定していないけれども、浄水発生土として生じているものでございます。
 10万Bq/kg超のものについては、水道の浄水発生土についてはゼロで、ございません。10万Bq/kgから8,000 Bq/kgについては1%ぐらいあって、8,000 Bq/kgから100 Bq/kgが69%ぐらい、100 Bq/kg以下が30%ぐらいあるということで、現在、測って既に濃度がわかっているものについては、28万tぐらいの浄水発生土が生じたというものでございます。
(PP)
 11枚目のスライドも、「放射性物質が検出された」というのを標題から除いていただきたいのですけれども、処分の状況が書いてあります。
 先ほどの濃度がわかった28万tが一番右の合計の一番下の全体のところに書いてありますけれども、濃度がわかっているもので、どういう処分、どういう再利用がされたかというのをここに書いてございます。
 処分されずに保管されているものが10万tぐらいございまして、仮置きというのは現在ございませんで、最終処分場に最終処分されたものが8万7,000t、セメント原料などに再利用されたものが3万7,000tぐらい、建設改良土に再利用されたものが4万7,600t。それから、農土・園芸用土はNDのものでございますけれども、5,600t。それから、その他の再利用として396tという状況になっております。
(PP)
 これら、濃度と再利用について経時的に示したものが、次の12枚目のスライドの上の方のグラフになっております。
 左の方が先ほど申し上げたような濃度を、各月の時点でのものを経時的にあらわしたものでございます。
 それから、右上の方のグラフが、処分とか再利用の状況について2月9日時点のもので、毎月経時的にあらわしたものでございます。今回、保管の量が初めて前の月を下回ったことになっておりまして、ようやく処分なり再利用なりが進められて、保管量がかなり圧迫して、浄水場でずっと積み上げられている状況なのですけれども、少しそれが好転に向かっているのがわかるかと思います。
 それから、左下を見ていただきますと、放射性物質汚染対処特措法というのが8月末にできまして、この中で一定の基準を超えるものについて、環境大臣が指定することになっております。その基準というのは8,000 Bq/kgなのですけれども、そうして指定を受けた廃棄物については、?で国が処理を実施することになっておりまして、現在、処理に向けて調整が進められているところでございます。
 それから、右下の方を見ていただきますと、先ほど御質問があって事務局からお答えさせていただきましたけれども、原子力損害賠償制度というものがございます。この中では、水道水の方の検査費用とか摂取制限していたときの対応についても対象になるのですけれども、浄水発生土につきましても、検査費用とか処分の費用につきましては、東京電力が賠償すべき損害と位置付けられております。
 これにつきましては、2つ目のポツに書いておりますけれども、事前の協議等を今、開始し始めているところでございます。
(PP)
 それから、水道施設の耐震化、これは一般的な、全国的な耐震化につきまして、昨年末に記者発表したものでございます。
 基幹管路につきまして、耐震適合率というものが、前年度の30.3%に比べまして22年度は31.0%となっておりまして、ほとんど伸びていません。下の方の棒グラフであらわしておりますけれども、これは各県ごとの耐震適合率になっておりますけれども、かなりばらつきがあるということで、底上げが必要な状況になっております。
(PP)
 15枚目のスライドで、基幹管路が一番左、それから浄水施設の耐震化率と配水池の耐震化率も書いております。各年度、伸びてはきておりますけれども、なかなか進みが遅いということがございますので、冒頭申し上げました補助金等も使いまして、更に耐震化を進めてまいりたいと考えております。
(PP)
 それから、水質検査につきまして、信頼性確保に向けた取組みといたしまして、一昨年になりますでしょうか、信頼性確保に向けた取組検討会というのをやっているということで御報告いたしましたけれども、それに基づきまして、水道法の施行規則、省令を改正いたしまして、施行通知も発出しているところでございまして、今年4月1日に施行したいと考えております。
 あわせまして、水道の検査方法告示の改正等。これは、これまでの告示・検査方法について、より明確化するという趣旨でございますけれども、改正したものを公布しております。
 今後、こうした水質検査業務の業務管理要領というものを策定していきまして、日常業務の確認調査というものを実施してまいりたいと考えております。
(PP)
 それから、現在、新水道ビジョンの策定というものに入っておりまして、水道ビジョンというものを平成16年に策定しまして、平成20年に改訂しておりますけれども、今世紀半ばの我が国の水道のあるべき姿というのを、キーワードごとに目標なりを定めまして、それに従って施策をとっているということでございます。
(PP)
 その中身については、各地域で地域水道ビジョンというものを策定していただいているというものでございますけれども、これにつきまして、現行の水道ビジョン、平成16年の策定時点から7年以上が経過いたしまして、人口が減ってきているとか、今回、東日本大震災なども踏まえまして、水道を取り巻く環境が大きく変化してきているということで、新しく水道ビジョンの策定の検討会を設置して検討を開始しているところでございます。
(PP)
 最後のスライドですけれども、新水道ビジョンの視点といたしましては、左の方に書いておりますけれども、50年、100年先を見据えて問題解決の方向性を示していくとか、関係者の役割分担を明確に示すとか、危機管理のあり方を検討する。最近、老朽化等も進んでおりますので、そういうものに対する運営基盤の強化を検討していくということを考えてまいっているところでございます。
 右側の方に検討スケジュールを書いております。先般、2月10日に第1回目を開催いたしまして、今週末には3月9日、第2回目を開催したいと考えておりまして、来年度も順次、検討会を開始しまして、平成24年度中に公表したいと考えておりますけれども、その前の段階でこちらの部会でも御審議いただくようなことを考えておりますので、その際、またよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの点に関しまして、質問、御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

○安藤委員
 先ほど水質検査の信頼性確保に向けた取組みということで、大変な御努力をいただきまして、厚生労働省に一つの方向性を打ち出していただきました。まさに非常にありがたいことだと思っております。ただ、すべてがこれで完結したということではなくて、若干穴が抜けているところを押さえていただければありがたいということでございます。
 この場でお話すべきことかどうか、ちょっとわかりませんけれども、第三者委託制度のお話です。第三者委託制度ということは、つまり水道事業について第三者の民間機関に管理をお願いするということだと思うのです。
 そういたしますと、そこでの基本的ないろいろな処理にはガイドラインがあるのでしょうけれども、具体的な水質検査データについてどうだったかは見えなくてもいいという言い方もおかしいのですが、見えない状況になってしまっているのではなかろうかと思っております。その点について、新水道ビジョンが動き出すということもございますので、お考えいただければありがたい。
 それは、簡易水道もそうでしょうし、あるいは専用水道についてもそういう問題がまだ残っているのではなかろうか。これらを解決すれば、完全にガラス張りで消費者に対して水道水が安心して飲めますよということが言えるのではなかろうかと思いますので、一番大変な時期でございます。早急にとは申しませんけれども、お考えいただきたいということでございます。
 以上です。

○大垣部会長
 特によろしいですか。ありがとうございました。
 ほかになければ議題5に移ります。「地域保健対策検討会における対物保健検討状況について」であります。お願いいたします。

○堀江生活衛生課長
 生活衛生課長です。資料5、地域保健対策検討会における対物保健検討状況についてということで、検討している内容を一部御報告申し上げたいと考えています。
 この部会、本日も水道の関係で盛りだくさんの審議をいただいておりますけれども、建築物衛生に関しましても所掌していただいております。一方、私ども生活衛生課でいきますと、生活衛生関係営業、理容、美容、公衆浴場などにつきましては、別途生活衛生適正化分科会というところがありますが、今日はビル管理、建築物衛生の部分が特にこちらの部会でもありますので、そこの部分に重点を置きながら、地域保健対策検討会の報告をさせていただきます。
 地域保健対策、保健所で対人保健、対物保健というものを進めてきたもののうち、対人保健の部分は市町村に多くの業務がおりていって、一方で対物ビル管理、建築物衛生を含みます部分につきましては、引き続き都道府県と保健所設置市で担当いただいています。
(PP)
 資料の1ページ、少し小さな字になって恐縮ですけれども、生活衛生分野の取組みの方向性。これはどちらかというと、理容・美容、公衆浴場という辺りを中心に見ながらつくったものですけれども、住民の安全・安心を守るために、各営業者が自ら努力し、それから生活衛生同業組合のような、それを取り巻くような団体をソーシャルキャピタルとして、そうしたものがお互いに助け合いながら衛生を確保する。そして、その外側に保健所等の行政機関における規制というものがあるという位置付けになっています。
 この地域保健対策検討会では、どうやってそのソーシャルキャピタルの活用なりを図っていくかという辺りが、大きな議論になっているところですが、今回、こちらで御報告させていただくのは、そのうちの保健所の行政機能というものの現状をどう考えるかというところでして、方向性の規制監視体制の強化。
 この強化というのは、すべての地域で強化するということよりも、その下にあります指導・監視の地域間格差が大きいのではないか。そうしたもので少し平準化をして底上げを図るという意味合いでのことを、今、考えているところでして、それにつきましてデータも含めまして準備して提出しておりますので、それを今日、御紹介します。
 地域間格差があった場合に、指導監視状況が高いところと低いところで、どんな取組みをそれぞれされているのかということを分析していこう。それから、これらの業務につきましては、自治体においては環境衛生監視員が担当しているわけでして、それは建築物衛生部分も同等ですけれども、それにつきまして、国における研修制度がないので、レベルアップを図りたいということを、保健医療科学院と連携して講習制度を創設しようとしています。
(PP)
 4ページが、保健所の環境衛生監視員1人当たりの対象人口で、そもそもキャパシティーといいますか、人員からして少し違うところがありますということを示したものです。
(PP)
 6ページが、生活衛生関係営業施設。この部会が直接担当いただいています建築物衛生の部分は入っていません。興行場は主に映画館です。それから、旅館、公衆浴場、理容所、美容所、クリーニング施設についての1か所当たりの監視指導回数はこうなっていますということです。すごく細かく見えますけれども、これは47都道府県だけではなくて、保健所設置市についても別個分けて集計しているものです。
(PP)
 こうやっても見づらいものですから、それを多い方から少ない方に並べたのが次の7ページでございます。
 細かく目を追っていただく必要もございませんけれども、一番左に京都市がありますけれども、京都府というのは真ん中より右の方にあるわけです。言ってみますれば、都道府県単位でまとめてしまうと、保健所を運営している自治体における取り組み状況がはっきりしなくなるということで、保健所設置市を分けているものです。
(PP)
 9ページをご覧ください。
 例えば公衆浴場、これもビル管理と別ですけれども、私ども行政にいる者からすると、自治体というのは年に1回ぐらいは立入検査をしているのかなという、何となくの常識感がありますが、全国平均してみると0.66回ということですから、1年半に1回ぐらいの比率になるわけです。
 1回、2回と行っているような自治体が相当ある中で、一番右の方に行くと0.1回とか0.2回ですから、5年に一遍、10年に一遍ぐらいしか、公衆浴場は生活衛生の中では比較的衛生問題が大きいだろうと見られているものですけれども、公衆浴場にすら立ち入りが行われていない状況にあるところもあるということが示されています。先月、2月に全国の課長会議があって、初めて各自治体にすべてお見せして、自治体の方の底上げができていければいいなと思っています。
(PP)
 10ページが、特定建築物、いわゆる3,000 m2以上のビルなどにつきましての立入検査等の状況を同じように見たものです。左の方に秋田市がありますけれども、秋田県の方は右から4分の1ぐらいのところにあります。そういうふうに随分と地域格差が大きいと言えます。
 実施頻度の低いところが直に悪いかというと、自治体による独自の取り組みがされているのかもしれません。例えばアウトソーシングしながら必要な検査をしているという説明のあるところもあるのかもしれませんが、少し分析を深めていく。それから、一定の平準化を図っていくことを考えているところです。
 これと分野が違いますけれども、食品衛生法におきます立入検査などは、都道府県の条例で立入検査の実施頻度を定めていただいて、言わば公約を県民に対して行っていただくような形になっています。ビル管理の部分、生活衛生の部分は、どちらかというと食品衛生監視員と環境衛生監視員が兼務しているような場合もあるものですから、実情から言うと、勿論、食品衛生で食中毒が広がっては困るというのが、まず先にあって、そちらが優先されるのはいたし方ない面もありますが、その残った部分で、この環境衛生監視が行われていると見ているところでごす。
(PP)
 11ページ、報告徴収と、12ページの立入検査と分けてとることができますから、それを13ページにまとめてみますと、どちらかというと報告徴収を多く行って、立入検査は少な目の自治体があり、また逆の立入検査が重点的な自治体があり、両方やっているところもあります。
 こういう分類でとり始めたのもつい最近のことですので、この辺、少し分析を深めて施策の精緻化を図りたいと考えております。
 私からの報告は以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問がございましたら挙手をお願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

○安藤委員
 非常によくおまとめいただいて、ありがとうございます。
 私もビル管理にちょっと関係したことがございます。先ほどは簡易水道、専用水道あるいはビル管理に関係することです。正確にはわかりませんが、法律が改正されて、これらの水道等では都道府県によって保健所が監督するのか、あるいは水道担当部局が見るのかが錯綜して、結局何もやっていない状況も生まれてるところが多くあります。下手をすると他の関連部局が監督するから、当局は見なくてもいいのではないかと守備範囲の擦り付け状態になってきてしまった。これは非常に大きな問題で、ビルがどんどん増えてきて、そういう対象はどんどん増えているわけですから、この点は更にもう少し深く突っ込んでいただければありがたいなと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○大垣部会長
 ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。これで用意した議題はすべてでございますが、何か全体を通して御質問、御意見、ございますでしょうか。
 私から1点で、先ほど議題1でしたか2でしたか、佐野委員から御質問があった蛇口かどうかという議論ですけれども、文部科学省のモニタリングは蛇口という言葉を使っておりますので、一般の人から見るとごっちゃになるので、水道側から何か発言するときは、文部科学省のモニタリングの目的と水道事業の目的が違うということを何らかの機会に広報する必要があるのかという気がいたします。文科省の方はNDも非常に小さい数字を使っておりますので、印象上の混乱がいろいろ起きる。
 ほかになければ、これでよろしいでしょうか。それでは、事務局にマイクをお返しいたします。

○篠田大臣官房審議官
 委員の皆様方には、短い時間でございましたけれども、大変密度の濃い議論をしていただきまして、本日は誠にありがとうございました。
 今日御審議いただきました水道水中の放射性物質の新しい目標につきましては、4月から着実な運用ができるようにということで努めてまいりたいと思います。
 それから、水質基準等の見直し、あるいは農薬類の分類の見直しがございましたけれども、こちらにつきましても、本日頂戴した御意見等を踏まえまして、着実に実施をしてまいりたいと思います。
 本日、御報告させていただきましたように、東日本大震災以降、水道行政であれ、あるいは生活衛生行政であれ、求められている課題というのは幾つもございます。今後も委員の皆様方の御議論を踏まえまして、私どもも着実にやるべきことを行い、実施してまいりたいと思いますので、今後とも御指導をどうぞよろしくお願いいたします。

○尾川水道水質管理官
 本日は速記が入ってございます。議事録は後日、事務局が確認させていただき、その後公開とさせていただきます。よろしくお願いします。

○大垣部会長
 今日は議題がたくさんあったものですから、審議を少々急ぐようなところがございまして、失礼いたしましたけれども、これで部会を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課

TEL: 03-5253-1111 (内線4033、4034)

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