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2011年4月19日 第10回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成23年4月19日(火)10:30~12:00


○場所

中央合同庁舎第7号館西館9階(金融庁側)共用会議室1


○出席者

相澤委員、秋葉委員、安藤委員、遠藤委員、大垣委員、大澤委員、大住委員、岡?委員、小笠原委員、岸委員、瀬川委員、津野委員、中野委員、藤井委員、古米委員、御園委員、山口参考人

○議事

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「厚生科学審議会生活環境水道部会」を開催します。
 開会に先立ちまして、このたびの大震災でお亡くなりになられた方々に、謹んで哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと思いますので、御起立ください。

(黙祷)

○松田水道水質管理室室長補佐
 ありがとうございました。御着席ください。
 生活環境水道部会を開会いたします。本日は、御多忙のところ御参集くださいまして厚く御礼申し上げます。
 本日は、大塚厚生労働副大臣は、国会のためやむなく欠席となりました。
 外山健康局長は、後ほど出席の予定でございます。
 議事に先立ちまして、篠田大臣官房審議官よりごあいさつを申し上げます。

○篠田大臣官房審議官
 おはようございます。審議官の篠田でございます。委員の方々には、お忙しい中、お集まりいただきまして厚く御礼申し上げたいと思います。
 生活環境水道部会でございますけれども、私ども健康局の所管しております行政の中で、水道でありますとか生活衛生行政につきまして専門的な分野から御意見をちょうだいいたしまして、御審議をお願いしているところでございます。本日は第10回になるわけでございますけれども、先般の福島の第一原子力発電所の事故に関連いたしまして、御案内のとおり、いろいろ動きがございまして、行政の方でもその対応に追われている状況がしばらく前から続いているわけでございます。
 水道関係で申し上げますと、水道水中に放射性物質が混入したということで、厚生労働省としても一定の対応を既にとらせていただいているところでございますけれども、その取組みのお話、あるいは、水道水のモニタリングの方も幅広く実施させていただいておりますけれども、そちらの結果につきましても皆様に御報告させていただくことを考えておりますし、更に今後の課題あるいは検討体制といったことにつきましても、御意見を皆様方からちょうだいできればと考えているところでございます。
 今般、申し上げましたように、事故に起因いたしましていろいろな動きもございました。それから、まだ地震の被害につきましても、各地で復旧のいろいろな取組みをしていただいております。おかげさまで、水道の復旧につきましては、関係者の御努力によりまして、全部が全部とは申しませんけれども、復旧のテンポも相当早く行われてきているかと思います。
 また、今回の水道水への放射性物質の問題につきまして考えますと、水道というのが広く国民の生活に密着したものだなというのを改めて感じないわけにはいかないわけでございます。私ども厚生労働省といたしましても、皆様方からの専門的な御意見をちょうだいして、こうした水道に対しての期待というものを更に着実にこたえていって、今後何をするかということが重要な施策上の課題だと考えております。今回、また御審議いただくわけでございますけれども、御審議の方をどうぞよろしくお願いしたいと考えております。
 簡単でございますけれども、ごあいさつとさせていただきます。

○松田水道水質管理室室長補佐
 それでは、事務局の方から配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第の裏側、配付資料でございます。御確認いただければと思います。
 資料1「原子力発電所災害を受けた水道水中の放射性物質に関する取組」。
 資料2「水道水中の放射性物質検査の結果について」。
 資料3「今後の課題・検討体制」。
 また、参考人配付資料として、本日、国立保健医療科学院の生活環境研究部の山口先生にお越しいただいているところですが、「飲料水摂取制限の考え方」。
 また、参考資料として、参考資料1から6までの資料について1セット用意しております。この点について、もし資料の不足がございましたら、事務局の方にお申し付けいただければと思います。

○石飛水道課長
 次に、委員の出欠の状況について御説明させていただきます。
 本日は、この生活環境水道部会の20名の委員中、17名の委員が御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令の規定によりまして定足数を満たしておりますので、本部会は成立していることを御報告申し上げます。
 次に、前回の部会が昨年12月に開催されましたが、委員の先生方の改選によりまして、今回新たに本部会に所属いただくことになりました新任の委員の先生を御紹介させていただきます。
 東京工業大学大学院情報理工学研究科教授の藤井委員でございます。

○藤井委員
 藤井です。よろしくお願いいたします。

○石飛水道課長
 どうぞよろしくお願いいたします。
 また、先ほど紹介がありましたけれども、本日は参考人として国立保健医療科学院の山口一郎先生に御参加いただいておりますので、御紹介申し上げます。

○山口参考人
 山口です。よろしくお願いします。

○石飛水道課長
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 私、水道課長でございます石飛でございます。
 それから、水道水質管理官の松本でございます。
 水道水質管理室室長補佐の松田でございます。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、以降の議事につきまして、大垣部会長に進行をお願いいたします。よろしくお願いします。

○大垣部会長
 それでは、始めさせていただきます。本日は、いつもにも増して大変重要な審議でございますので、よろしくお願いいたします。
 まず、議題1でございますが、原子力発電所災害を受けた水道水中の放射性物質に関する取組み、水道水中の放射性物質検査の結果について、事務局から資料に沿って御説明をお願いいたします。

○松本水道水質管理官
 それでは、事務局の方から資料について説明させていただきます。
 資料1の方をごらんいただきたいと思います。資料1は、これまでの私どもの水道水中の放射性物質に関しての取組みについて、一覧表形式で示させていただいております。こちらをざっと御説明しながら、時々資料をごらんいただくような形で説明させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生いたしました。それに伴いまして、済みません、東北電力とございますが、東京電力の間違いでございます。東京電力の福島第一発電所に係る原子力緊急事態宣言が発令されたものでございます。これは、同発電所におけます交流電源の喪失あるいは非常用炉心冷却装置の給水・注水不能という事態を踏まえて発令されたものでございまして、その後、御存じのように、水素爆発及びそれに関連いたしましての放射性物質の漏出というものが続きまして、その収束が困難な状況が継続するに至りました。
 このようなことを背景として、水道の方の対応といたしまして、3月19日に地方公共団体及び水道事業者に対し、水道水中の放射性物質の濃度が飲食物の摂取制限に関する指標を超過した場合には、飲用を控えるよう広報することを厚生労働省から依頼したものでございます。ここで指標と申しておりますのは、原子力安全委員会が原子力施設の防災対策についてというものの中で示している摂取制限の目安となる数値でございまして、具体的には放射性ヨウ素が300ベクレル、セシウムが200ベクレルという値になってございます。
 更に、21日には食品衛生法に基づく暫定指標値を踏まえまして、放射性ヨウ素に関連いたしまして、100ベクレルを超過した場合には、乳児による飲用を控えるよう広報するよう依頼したところでございます。この辺、後ほど御紹介させていただきたいと思います。
 この間、実はこの下に書いてございますが、3月19日から、厚生労働省において水道水のモニタリング結果を公表していくという整理になったわけでございます。このため、全体の仕組みとしまして、次のページをごらんいただきますと、このような仕組みで全体の水道水に関する取り扱いが動いてございます。
 説明させていただきますと、まず左上にモニタリングというのがございます。具体的な現地での測定を担当いたしておりますのが現地対策本部という、政府と福島県によります機関が設置されておりまして、福島県内分につきましてモニタリングを行っております。その成果が政府に設置されております原子力災害対策本部に報告されまして、それが厚生労働省に情報として流れてくるという流れが1つございます。
 それから、文部科学省がそれ以外の都道府県について、水道を各県1か所ずつ測定する形でモニタリングしておりまして、これにつきましても厚生労働省に情報が提供されることになっております。
 更に、その下に関係自治体というところがございます。自治体、あるいはその下に書いてあります水道事業体独自で測定されたデータにつきましても、情報提供するように依頼しまして、そういった情報が厚生労働省に集約されるようなシステムを組んでおります。集めました情報につきまして、厚生労働省では、これを毎日、公表するという仕組みをとっているわけでございます。
 先ほど申しましたように、この集めました情報で指標値を超えていた場合に、下に書いてありますような形で、摂取制限及び広報の要請というのを水道事業体に行いまして、その措置を講ずるようお願いしているわけでございます。後ほど御紹介しますが、具体的には20の水道事業でこれに基づく措置がとられているところでございます。
 実は、法律上の仕組みといたしまして、原子力災害対策特別措置法に基づいた措置というものがございまして、これは上にございます原子力災害対策本部が原子力安全委員会の先ほどの指標を目安に検討を行いまして、その法律に基づいて、その右に書いてあります評価、対応策決定、公表、指示といったことを決定するというのが特別措置法に基づく措置でございます。本来であれば、この措置に基づきまして地方公共団体に対して摂取制限の要請ということが行われるという仕組みになっております。
 ただ、その前に、今回、厚生労働省の方から摂取制限及び広報の要請ということを行っておりまして、これは今回の事故がこれまで例のない、大規模な原子力災害であるということから、住民の安全確保を第一と考えまして、そういった措置をとるように求めたものでございます。
 次のページに、その関連の先ほど紹介しました通知が載っております。
 最初に出ておりますのが3月19日に発出いたしました通知でございまして、最初の前文の中ほどに要約が書いてございます。指標を超過した場合の水道の対応についてということで、1番といたしまして、指標を超えるものは飲用を控えること。
 2番といたしまして、生活用水の利用には問題がないこと。
 3番といたしまして、代替となる飲用水がない場合には、飲用をしても差し支えないことということで、通達を出しております。
 具体的に下の記以降を見ていただきますと、1といたしまして、まず法律に基づく措置としての原子力災害対策本部による摂取制限が指示された場合には、指標を超過した水を供する水道事業者において、飲用を控えるよう広報していただきたい。これは法律に基づく措置です。
 2番といたしまして、指標を超過している場合、その具体的な指示が出されるまでの間は、原則、当該水道の飲用を控えるよう広報いただきたいとしております。ただ、ここにただし書きを付けておりまして、この指標が長期の曝露による影響を考慮したものであるということで、指標を超過した水を一時的に摂取した場合においても、直ちに健康に影響は生じないということ。
 あるいは、その根拠になっておりますICRPの諸原則におきまして、代替となる飲用水の供給が容易に得られない状況下では、厳格に適用されるべきものではないという規定がございまして、こういう規定を反映させた通達となっております。
 次のページの3番につきましては、飲用以外の利用に関してでございます。飲用以外の利用を制限いたしますと、生活環境あるいは復興支援活動に著しい支障を生じるという観点から、私どもで入浴・手洗い等の皮膚接触、あるいは水道からの揮発による吸入リスクについて技術的検討を行いまして、その結果、飲用以外の用途のリスクは相当程度小さいということが推定されたことから、飲用による摂取以外の水利用については可能であると通達したものでございます。
 4番目は、浄水処理の除去に関連いたしまして、知見の数が少ないという状況の中で、活性炭による除去効果を示すような知見があることを踏まえまして、処理の実施を検討して指標値以下となるように取組んでいただきたいという通達を流しているところでございます。
 右側のページに参考として一番上に載っておりますのが、今回の指標の根拠となりましたヨウ素の300ベクレルとセシウムの200ベクレルでございまして、後ほど山口先生の方から、この指標の根拠となる放射線の考え方について御説明いただけるかと思います。
 1枚めくっていただきまして、9ページは御紹介しませんが、先ほど言いました飲用以外の利用に関するリスクについて、検討を行った文書でございます。
 もう一枚めくっていただきまして、11ページ目が21日に出しました、放射性ヨウ素が100ベクレルを超える場合の取り扱いについての通達でございます。
 その場合、乳児用の調製粉乳を水道水で溶かして乳児に与えるなど、乳児による水道水の摂取を控えるように広報いただきたいということで、改めて100ベクレルを超える場合には乳児の飲用に使用しないようにということでお願いしているところでございます。
 ここで、こういった措置を講じた後、実際どういう状況になったかということを資料2の方で先に御説明させていただきたいと思います。
 最初に1といたしまして、放射性物質検査の実施状況が書かれております。ここは、もう既に御紹介いたしましたが、データソースとしては3種類ございまして、最初が現地に設置されました政府の対策本部が実施しているものでございまして、その検査結果は厚生労働省において公表しているという状況でございます。これは、福島県全域における水道事業に関するものでございます。
 2番目が文科省のもの。
 3番目が地方公共団体のものという形になっております。
 その結果が2番でございまして、事故発生後、幾つかの事例につきまして、乳児または一般の摂取制限が必要になる事態となりました。それについて書かせていただいております。
 具体的には、5ページの表の方で説明させていただきます。
 これまで乳児及び一般に摂取制限を行ったときの水道事業を県別に記させていただいております。福島県下では、7つの事業体におきまして制限が必要な状況になっております。それ以外の茨城県、千葉県、東京都、栃木県におきましては、13の事業体におきまして措置が必要な状況になっております。ただ、福島県内は21日ごろから、それ以外のところで23日ごろから制限が必要になりましたが、1か所を除きまして4月1日までには、すべて解除になっている状況でございます。
 ただ、一番上の飯舘村につきましては、一般については解除されておりますが、現在、まだ乳児に関する制限は続いております。現在測定されておりますデータといたしましては、その指標値を下回っている状況が続いているわけでございますが、下に書かせていただいておりますように、これは村の独自の判断で現在も制限を続けているという状況にございます。
 続きまして、そのデータといたしまして、次の6ページをごらんいただけますでしょか。こちらの方は、文科省による各県1か所ずつ測定しております水道水中の放射性物質の検査結果でございます。
 ここでグラフとしてあらわさせていただいておりますのは、いずれも何らかの検出がなされた14の都県についてデータを示させていただいておりまして、上が放射性ヨウ素、下が放射性セシウムについての表という形になっております。
 放射性ヨウ素につきましては、3月29日までに、時間差はございますが、ピークを迎えておりまして、その後、低減化している傾向にございます。最近のところでは、ごく微量の検出という状況になっております。
 また、下のセシウムにつきましては、一部検出されているわけでございますが、最大でも指標の10分の1以下のレベルということで、全体的には低減の傾向にございまして、検出量は微量となっております。
 その右ページの方に具体的なデータを示させていただいております。
 続きまして、8ページを見ていただきますと、グラフが小さくて申しわけございませんが、傾向を見ていただきたいと思いまして作成したものでございます。これらは、いずれも放射性ヨウ素に関連いたしまして、摂取制限が行われた事業体の検査結果を時系列であらわしたものでございます。
 一番左上にございます飯舘村が最も高い965という値を3月21日に検出いたしまして、その後急速に下がってきている状況がわかるかと思います。
 同様に、?のいわき市までが福島県内でございます。いずれもピークとなっている時期に若干のずれはございますが、全体としては低減化傾向にあるという状況でございます。
 同様に、?の宇都宮市以降がそれ以外の県でございまして、値としましては100から300ぐらいにかけての値が最初に検出され、その後、低減化傾向になっているという状況でございます。
 10ページを見ていただきますと、東京都の金町浄水場まで影響が及びまして、3月23日に210ベクレルという値が検出されて、その後急速に下がっていったという状況になっております。
 以上のデータにつきましては、右側のページ、11ページから13ページに、放射性ヨウ素と放射性セシウムについて記載させていただいているところでございます。
 実は、東京都など、多くの浄水場でピークを迎える際に雨が降っていたという状況がございました。ということを踏まえまして、済みません、資料1へ戻っていただきまして、欄の先ほどの続きでございますが、26日・27日の部分で書かせていただいております。
 放射性物質は、降雨後に高い濃度で検出される傾向があるので、水道水の供給に支障のない範囲で、降雨後の取水の抑制・停止、あるいは浄水場の覆蓋などの対処可能な措置を検討するように通知しております。あくまでもその時点で判明している状況で、可能性のある方策について情報提供させていただいたということでございます。
 それから、31日には、関係する地方公共団体に対しまして、検査主体に関わらず、管内の水道事業における検出結果の定期的な報告を依頼しておりまして、包括的にモニタリングの情報把握を厚生労働省で行うということで通達を出させていただいたものでございます。
 このような状況の中、実は4月4日付で指標の取り扱いとモニタリングのあり方につきまして、改めて厚生労働省の考え方を示させていただいております。そちらが資料の別添9になります。ごらんいただけますでしょうか。25ページになります。
 めくっていただきまして26ページにございますが、この時点まで使っておりました指標に関連いたしまして、食品安全部の方で、こちらの指標について、これまでどおりの考え方でよいのかというのを確認する作業を行っております。具体的には、飲料水を含みます食品の健康影響を評価いたします食品安全委員会に対して意見を求め、それの緊急とりまとめというのを得ております。
 また、大もとの指標を設定しております原子力安全委員会の助言に基づきまして、原子力災害対策本部の見解というのを得ております。
 更に、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会がとりまとめました当面の所見を受けまして、食品中の放射性物質に関する暫定規制値が維持されるということが設定されたわけでございます。これを受けまして、このペーパーに書いてありますように、水道といたしましても現在の指標を維持していくという考え方に立っているわけでございます。
 また、これとあわせまして、これまでの経緯や測定結果の推移を踏まえて、モニタリングの方針というのを示させていただいております。それが次ページ以降でございまして、簡単に紹介させていただきます。
 28ページをごらんいただけますでしょうか。
 まず、基本的な考え方といたしまして、今回の我が国初めての原子力緊急事態が依然として収束していないという中で、水道水の検査を継続的かつ定期的に実施していく必要があるだろうということでございます。
 また、放射性物質の拡散により水道水への影響が及ぶと考えられる地域の中で、検査を実施していない状況を解消し、広域的な検査を着実に実施していく必要があるだろうというのが2つ目でございます。
 また、これまでのように、指標等を超過する場合には、取水摂取制限及びその広報の要請を行うとともに、水道水の指標を下回るという情報につきましてもあわせて公表することで、水道利用者の水道水への不安感を払拭して、安心・安全な水道を持続させていきたいということでございます。
 具体的なモニタリングの方針といたしまして、(1)調査方針でございますが、地域は福島県とその隣接する県。それから、実際に摂取制限に至った、あるいは相当程度の濃度が測定された関東の各都県を重点的に実施していくという方針を立てております。
 また、その下の方に書いてありますのは、福島県での災害対策本部による検査、それから文科省のモニタリングといったものを今後継続していくということが書かれております。
 次のページに行きまして、対象項目としては放射性ヨウ素、放射性セシウム。今後、事故の推移によっては見直す可能性もあるということでございます。
 それから、検査対象試料といたしましては、通常、水道水質検査でとっております蛇口の水、あるいは下に書いてありますように、複数の系統から水を供給しているような場合には、浄水場の水といったものを検査するとしております。
 検査頻度でございますが、水道事業者の検査体制に応じまして、1週間に一度以上をめどとして検査する。ただし、指標値を超過する、あるいはそれに近い値が出た場合には、原則として毎日。また、降雨等の影響を受ける場合には、その検査頻度を高めるとしております。
 それから、検査の体制でございますが、地方公共団体に検査実施を要請する一方、水道水の検査が困難な場合には、厚生労働省が民間の検査機関や国の研究所など、実施可能な機関を紹介することで、当面の体制を確保するとしております。
 それから、(6)とりまとめ及び公表といたしまして、こういった全国での結果につきましては私どもの方で集約いたしまして、これを実際に定期的に公表することで、利用者の安心につなげていきたいという考え方を示しているところでございます。
 4番は、摂取制限及び広報の要請を行う場合の目安に関してでございますが、最初に申し上げましたように、それまで値を超えた段階で摂取制限の要請をしていたわけですけれども、基本的な考え方として、直近3日分の水道水の放射性物質の検査結果の平均値が指標を上回った場合に要請するという考え方をとっております。
 この考え方は、下に※で書かせていただいておりますように、その指標が長期影響を考慮して設定されているものであるということ。本来は、その長期間による摂取量を比較して評価すべきものである。一方、検査結果に時間的な変動が見られまして、一時的に上昇してもすぐに低下するなど、将来、長期にわたる変動を予測するのは難しい状況であるということを踏まえ、一方で迅速性が求められることを考慮して、当面、3日分のデータで評価するとさせていただいたものです。
 ただし、1回の検査結果でも指標値を著しく上回った場合には、その水道事業者に摂取制限及び広報の要請を行うということにしております。
 また、5番といたしまして、摂取制限の解除については、水道事業体がその測定結果などを踏まえて自主的に実施するという整理をさせていただいております。しかし、何らかの目安が必要と考えまして、同様に直近3日分の水道水の放射性検査結果の平均値が指標を下回り、かつ検査結果が減少傾向にある場合に、その解除を行う目安とするとさせていただいています。
 それから、31ページにこちらの検討をお願いすることも含まれておりますが、今後の取組みといたしまして、地方公共団体と調整を行って、具体的なモニタリングの実施体制を整備・拡充していく。
 それから、採水や分析の方法をとりまとめたモニタリングマニュアルを作成していく。
 そして、今後の水道のモニタリング結果の集積に伴いまして、大気中での放射性物質の検査結果、あるいは降雨・風向などの気象状況、あるいは事故場所からの距離といった情報を踏まえて、水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方を更に検討していくということで、そういった検討体制について御検討いただきたいということでございます。
 なお、35ページ以降には、これらの方針につきまして地方公共団体の方によりよく御理解いただくためのQ&Aを作成し、添付させていただいているところでございます。
 資料1、2についての説明は以上でございます。

○大垣部会長
 それでは、引き続きになりますが、本日、参考人としてお越しの保健医療科学院の山口先生より、「飲料水摂取制限の考え方」についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口参考人
 山口でございます。それでは、資料「飲料水摂取制限の考え方」に沿いまして説明させていただきたいと思います。副タイトルが、リスク評価結果から対策のバランスをどう考えるかということでございます。食品安全委員会の検討で基準値がございますけれども、その基準値を受けて、マネジメントやリスクコミュニケーションをどうするのかという視点での資料でございます。
 目次で、今回、テーマとなっているのが放射性物質でございますので、放射性物質に関する知識。次に、曝露の仕方に関しまして、外部被曝と内部被曝の考え方。3番目が摂取制限の考え方について説明させていただきます。
 では、3枚目をお願いいたします。
 放射性物質でございますけれども、今回の事故で放出されておりますけれども、実はその前から私どもは出会っております。それは、地球や宇宙の成り立ちを考えますとおわかりになりますように、もともと普遍的に存在するものでございます。例えば、ここでの線量率は少し高くて、1時間で0.07マイクロシーベルトでございます。1年間ですと4けたとなっておりますので、0.6ミリシーベルト程度になると思います。というものをふだんから曝露しているわけでございます。
 放射性物質の例をスライドの4枚目に示しております。
 上の2つが今回の事故で放出されているもので、下のカリウム40というのは自然にあるものでございます。放射性物質は、壊変、原子力の状態が変わるときに放射線を出します。出すまでの期間分布というのは放射性物質ごとにございまして、量が半分に減る時間を半減期と称しております。壊変するときに放射線を出しますけれども、出し方が放射性核種によって異なっておりまして、β線を出すものとかγ線も合わせて出すもの、あるいはα線を出すものがございます。
 では、スライド5枚目をお願いいたします。
 放射性の単位についてまとめています。ベクレルとシーベルトでございますけれども、放射性物質は変化するときに放射線を出しますので、変化することに着目して放射性物質の量を規定しております。
 ベクレルと言いますのは、1秒間に変化する数でございます。
 それに対してシーベルトというのは、体が受ける線量のことでございます。各臓器が受ける線量。放射性ヨウ素を含む水を飲んだ場合には、甲状腺に放射性物質が集まりますし、セシウムを含む水を飲んだ場合でも、ほかの臓器に集まって、それが他の臓器や取り込んだ臓器に線量を与えます。
 その臓器の平均吸収線量を基に考える線量が等価線量でございます。等価というのは、放射線の種類によって異なっておりますので、α線とβ線、γ線の違いをならしたものという意味合いでございます。
 実効線量と言いますのは、各臓器の線量を加重平均しています。それは、各臓器によって放射線の感受性が異なっておりますので、放射線の感受性によって重み付けをして加重平均したものでございます。
 6枚目が外部被曝と内部被曝の説明でございます。
 これは、端的にいえば放射性物質がどこにあるかということで決まってくる概念でございます。外にあるものから被曝する場合には外部被曝で、飲料水はほとんどの場合には摂取した後の被曝の問題でございますので、内部被曝が問題になろうかと思います。
 1枚めくっていただきまして、スライドの7番目をお願いいたします。こちらが自然の放射線からの線量を示しております。
 3つのカテゴリーを示しておりますけれども、ウラン・トリウム系列、放射性カリウム、宇宙線と示しております。今、ここではかった放射線量というのは、多くのものがウラン・トリウム系列のものでございます。
 被曝の形式といたしましては、ラドンというのは放射性の希ガスですけれども、体の中で溶けますので、内部被曝と外部被曝をいたします。内部被曝が0.6ミリシーベルト。外部被曝というのは、地球にあるもの、大地からの放射線になりますけれども、それは0.4ミリシーベルトでございますので、それだけで1ミリシーベルト程度曝露しています。
 ちなみに、年間の放射線の線量限度は1ミリシーベルトでございますので、実は線量限度を超える線量を私たちはふだん浴びていることになります。また、そういった量というのは場所によって値が変わっております。
 右のグラフは、放射線医学総合研究所が公表しているもので、屋内ラドン濃度の分布が示されております。空気中の濃度ですけれども、少ないところと多いところで倍以上の差があることがおわかりになるかと思います。
 また、放射性ポロニウムは自然にあるものが魚に移行して、それを取り込むわけですけれども、食習慣に依存して線量が変わってまいります。
 放射性カリウムも同様に、体の中にあるものから内部被曝と外部被曝がございます。
 また、宇宙線からも私たちは放射線を受けております。
 スライド8枚目が線量推計の流れを説明したものでございます。
 被曝の形式によって少し流れが違っていますけれども、飲料水の場合には放射性物質を摂取いたしますので、一番下からになります。摂取する濃度が決まって、摂取する量がわかれば、摂取される放射性物質の量のレベルが決まってまいります。とった放射性物質がその後、体の臓器に分布いたします。分布した臓器から放射線を出して、ほかの臓器に放射線を与えます。そういった計算をいたします。
 その計算では、体の中での代謝とか排泄を考慮して摂取した後、どれぐらい体にとどまるのかということを考慮して、飲んだものがすぐ崩壊するわけではなくて、明日、明後日、1年後に崩壊する可能性がありますけれども、そういったことを考慮しております。それで、各臓器の線量を計算して全身の線量を計算するシステムになってございます。
 スライド9枚目をお願いいたします。
 今のをまとめたものでございますけれども、摂取した放射性物質の量から線量の計算ステップですけれども、まず各臓器にどれだけ集まってくるのかというのを、例えば体の各臓器をコンパートメントとみなして、その移行をモデルで表現して、どういう挙動をとるのかというのを調べる。
 その挙動というのは、放射性物質の化学的な性質に依存してまいります。また、そこでは体からの排泄を考慮しています。集まったところで放射線を出すことを考慮して、出された放射線がどれだけその臓器や他の臓器に放射線量を与えるのかというのを計算いたします。こういった方法を使えば、今後の予測線量というのも推計できることになろうかと思います。
 最後の飲料水摂取制限の考え方でございますけれども、どういった線量を超えないように目標とするかということでございますけれども、実効線量と放射線の等価線量でそれぞれ考えています。
 まず、実効線量としては、年間5ミリシーベルトを超えないように設定しましょう。甲状腺の線量に関しましては、年間50ミリシーベルトを超えないように設定しましょうとなっています。どうして甲状腺を分けて考えているかといいますと、放射性物質が大気中に放出される場合には、放射性ヨウ素が放出されやすいという性質があります。更に、放出された放射性ヨウ素が体に入った場合に、臓器に均等に分布するんじゃなくて、甲状腺に集まりやすいという性質を持っていますので、それを考慮しています。
 過去の事例では、チェルノブイリの事故では、子どもでの放射性ヨウ素の曝露によって甲状腺がんの増加も観察されていますので、より重点的に考えていくことになろうかと思います。
 この基準をどうやって考えていくのかといいますと、いろいろな制限を設けるということは負担があるわけですけれども、その負担と線量を減らすことによるリスクの低減効果のバランスを考えてみます。これだけ線量が減らせるのであれば介入しても問題がないという考え方に立っています。
 リスクの低減の効果でございますけれども、リスク係数として1シーベルト辺り5%というのを使った場合には、10のマイナス4乗ぐらいのレベルに相当いたします。年間の交通事故死亡と同じようなリスクレベルで、大きな集団で調べないと、実際にリスクは確認するのは困難という確率でございます。
 12枚目でございます。
 繰り返しになりますけれども、基準という考え方は最適化の考え方に立っています。高過ぎる基準をつくると放射線のリスクが増えてしまう。では、放射線リスクを減らしたいと思って基準を下げてしまいますと、ほかのリスクが増えてくるという問題がございます。そのバランスをとって、対策によって避けられる線量として5ミリシーベルトが期待できるのであれば、それは減らしましょうという考え方だろうと思います。
 次、13枚目をお願いいたします。
 摂取限度値の考え方でございますけれども、先ほどもありましたように、1回の摂取だけじゃなくて、その後の摂取も考えて値は決められています。回避したい線量を食品区分別に分けて、合計である値を超えないようにという考え方で計算されています。区分別に線量限度を与えて、区分別の食品や飲料水の摂取量を考えて濃度算出されています。その際には、核種別に計算して、放射性ヨウ素、放射性セシウムという核種群別に基準値が提示されています。
 具体的には、放射線ヨウ素に関しましては、甲状腺の線量50ミリシーベルトが目標とされておりますけれども、3分の1を留保して、残りの3分の2を更に3つに分けて、そのうちの3分の1を飲料水に充てています。今回、魚類に関しまして留保分を充てています。
 放射性セシウムも同様に計算されています。
 14枚目はその概念を示したものですけれども、水源が汚染して、それから飲むということを考えて、汚染した環境下で飲料水を飲み続けても、物質が一定以下になるようにという考え方で限度が定められています。
 ちなみに、放射性セシウムの場合には半減期が長いですから、環境からの閉鎖系での低減は期待できないんですけれども、実際には水源の水が入れ替わるということもございますので、半分に減ることを想定されて濃度が計算されています。
 15枚目をお願いいたします。
 我が国の摂取制限の考え方の基になりました国際放射線防護委員会の考え方でございますけれども、対策が不可欠なレベル、飲食物摂取制限を講じることを考えるレベルとございますけれども、飲料水の摂取制限は2番目のところに当たります。回避される線量を考えて、介入するかどうかが判断されています。
 このレベルをどうするかというのは、その社会状況によって最適化を考えることになると思います。
 16枚目はWHOの基準ですけれども、コーデックス委員会による指針値です。
 こちらは緊急時の対応ではなくて、通常の国際的な商取引に関して、介入してはいけないレベルというのが提示されています。ですので、この考え方では最も安全側に考えて設定。ずっと汚染がその地域であるという仮定の基に導出されています。今回の緊急時とは少し話が違うことでございます。
 最後、17枚目でございます。
 今回の特徴でございますけれども、我が国では最悪の原子力災害で、INES基準で暫定レベル7となっています。深刻な事故であり、放射性物質の重大な外部放出がございました。更に残念ながら、制御がまだ十分になされていない状況でございます。
 その一方、放射性物質は測定できるという特徴がございますので、きちんとモニタリングをして対応していくことが重要だろうと思います。
 以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局からの説明と、それから参考人の山口先生からの飲料水摂取制限の考え方の2つを続けて御説明いただきましたけれども、何かこれに関しまして御意見あるいは御質問、ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。どのような観点からでも結構でございます。
 どうぞ。

○小笠原委員
 ちょっと教えていただきたいんです。13ページなんですが、食品の区分別と食品の種類ごととあるんですが、これはどういう違いがあるんでしょうか。

○山口参考人
 区分と言いますのは、ここにありますように、飲料水・野菜類と書かれていまして、更に野菜をどういうふうにとるかということも考えて、それは国民栄養調査とか、具体的には当時、茨城県がどういう食事をしているのかということの調査を踏まえて、摂取する量を求めています。摂取する量を求めた上で濃度を計算しています。

○小笠原委員
 区分と種類とは、どう違うのかということなんですが。

○山口参考人
 野菜も種類がございますので、それを更に分けて、どういった野菜を食べるのかというのを、その地域の実情に合わせて、食べる量は調査を基に把握して。ですから、野菜と実際の野菜の中の種類が違うという話です。

○小笠原委員
 わかりました。

○大垣部会長
 よろしいですか。ほかには。どうぞ。

○津野委員
 スライドの5ページに、同じシーベルトという単位が出てきたとしても、等価線量と実効線量というのがあるということで、その後、シーベルトといういろいろな数字が出てくるんですが。このシーベルトは、等価線量なのか、実効線量なのかというのは区分けはされていないんですが、甲状腺と書いたところは等価線量で、それ以外は実効線量だという理解でよろしいでしょうか。

○山口参考人
 はい、いいと思います。実は、シーベルトはそのほかに線量当量という概念がございまして、それは実用量といいます。線量計を使うときのメモリで、これも1センチメートル線量当量と同じでございますけれども、それぞれが使われていて、おっしゃいますように、甲状腺と書いてある場合には、実効線量ではなくて等価線量という理解でよろしいと思います。

○大垣部会長
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○安藤委員
 幾つかございますが、まずとりあえず29ページの資料1の検体対象試料というものは、これは蛇口の水と浄水場の水となっています。蛇口の水はわかりますが、浄水場の水というのは浄水処理した後の水か、それとも原水も含めた。つまり、ここには原水の話が全然出てこない。勿論、測定という状況からすると、今はかなり苦しい状況なんだと思いますが、そこはどういうふうなお考えなのか、お伺いしたい。

○松本水道水質管理官
 ここでの考え方は、基本的に浄水場の出口、つまり飲み水としての測定でございます。安藤委員のお話の中にありましたように、我々としては測定する体制が非常に厳しい中で、まずは飲み水の安全を確保するということが重要であるという考え方から、人の口に直接入る飲み水についてモニタリングするということで方針を立てさせていただいているところでございます。

○安藤委員
 今の状況は非常にわかりますが、これからどうするか。今、そういう議論はしてはいけないのかもしれない。当面の話をしなければいけないんでしょうけれども。そういたしますと、例えば降雨によって、当然原水の濃度が上がる可能性は出てくると。そうした場合、どう対応しようか。つまり、飲む水だけをやっていては遅くなる場合もあると。そうすると、原水でモニタリングして、それでその次の対応として、活性炭とかいろいろあるんでしょうけれども、そういう対応が必要になる。今、すぐにはできないかもしれませんけれども、それを考えていかなければいけないのかなと思います。

○大垣部会長
 コメント、ありますか。

○松本水道水質管理官
 今後検討していく上での課題と考えたいと思います。

○大垣部会長
 次の議題も中長期の対応になりますので、そのときに改めて御意見いただければと思いますが。
 ほかに。どうぞ。

○安藤委員
 それで、ちょっと違う観点から検査のお話をお伺いしたいと思います。
 各県でそれぞれ1か所というお話。もう一つは、高くなる可能性がある水道事業体だと思うんですが、そこでおはかりになるということになりますが、各県は大丈夫かなと思うんですが、いわゆる水道事業体がおやりになるのは、どこかにお願いするということになるんでしょうけれども、最近の放射能の測定というのは、10年前とかなり検出レベルが上がっているということもございますので、機器による違いというのは相当出てくるだろう。
 つまり、これを全部一律に評価できるのかなという、そこもこれからの課題として浮かび上がってくるんじゃなかろうか。つまり、データの信憑性というのも検討していかなければいけないかなと思いました。
 それから、この中で幾つか出てまいりますけれども、定量下限をどこに設定したかということが大きな問題になると思います。つまり、定量下限を下に設定するということは、1日に1検体しかはかれないということになる。そうすると、サンプル数が少ないということが起こります。したがって、そこをどこに設定するのか。このデータは全部横並びで評価できるのかどうかということも非常に重要な問題かなと思いますが、いかがでしょうか。

○大垣部会長
 測定に関する件。どうぞ。

○松本水道水質管理官
 まず、原則的な考え方でございますけれども、今回の事故というのが我が国初の事故で、非常に厳しい状況の中で、我々としては安全側に立って検討を進めたいと考えております。そういった観点から、このモニタリングに関しては、関連地域内の水道事業者、皆さんに適用させていただきたいと考えておりまして、原則、その検査体制に応じまして、1週間に1回以上、それぞれの事業体ではかっていただくことを想定しております。
 それから、データの信憑性ということでございますが、それは測定機関の問題ということもあるのかと思います。ここに書いてありますように、私どもで民間の検査機関や国の検査機関などを紹介することで、そこをなるべく担保していきたいと考えております。
 それから、定量下限の件でございますが、現在のところ、暫定的な考え方、マニュアルのようなものを各事業体に示させていただいておりまして、その中でとりあえず重要なのは、例えばヨウ素につきましては、100ベクレルなり300ベクレル近辺の値が正確にはかれることが重要と考えておりまして、現在、定量下限を10から20程度ではかってくださいということで、暫定的な措置をお願いしているところでございます。

○大垣部会長
 安藤委員、よろしいですか。

○安藤委員
 はい。

○大垣部会長
 それでは。

○御園委員
 定量下限の問題ですけれども、実は今、測定している事業体は、大体5とか10というレベルではかっておられると思っておりますけれども、このデータを見ますと、文科省さんのデータは小数点2けたまで出ています。
 何と言いましても、この放射性物質に関しては風評被害が非常に大きな問題になっているわけです。一般の国民の皆さんは、ベクレルと言っても、シーベルトと言っても、なかなか理解はできない。許容値が乳幼児100と言っても、99ならいいのかという判断もありますし、例えば10でも嫌だという人はいっぱいいるわけですね。ですから、この辺の定量下限のある程度の統一というのは、例えば小数点以下を公表する意味がどこにあるのかということも是非議論していただきたい。
 今、機器が非常に不足している中で、検査機関も不足しておりますけれども、そういう中で測定しておりますから、時間の制約の中で、例えば30分とか。確かに時間をかければ小数点以下も出てくるとは思いますけれども、ここに何の意味があるのか。その辺考えないと。文科省でやられているので、厚労省のテリトリーではないのかもしれませんけれども、この辺の調整が重要なのかな。
 本当に風評被害が先行しておりますから、我々としてはこういう心理的な影響を、無用に混乱させることはないように思いますので、検討方、お願いしたいと思います。

○松本水道水質管理官
 今、委員御指摘の観点につきましては、我々としましても、各県にそれぞれ文部科学省の方で1台ずつ、測定できるゲルマニウム半導体の放射線測定器がございますので、それの活用の仕方として、今お話のあったような考え方もできないかということについては、打診はしてみたんですが、基本的には文科省の方でのデータの継続性の観点からは、なかなか難しいというお返事をいただいているところです。
 我々としましては、先ほど風評というお話もございましたが、基本的にはとにかくデータをとる。その生データをきちっと公表する。それとあわせて、今回、モニタリング方針で示させていただいているような考え方、長期的な影響を考慮して検討するものであるという考え方を広めていくことで、なるべく安心といったことにつなげていきたいと考えております。

○大垣部会長
 今の件ですか。どうぞ。

○岡?委員
 松本さん、率直に言わせてもらいますけれども、こういうときだからこそ自信を持って仕事をやってほしいんですよ。平時じゃないんですから、非常時ですから。先ほど御園委員もおっしゃったように、各事業体、自治体の現場水質関係職員たちは、地域住民からの問い合わせ対応を含めて悪戦苦闘しているんですよ。だから、ここでしかるべく数値の基準設定をちゃんと示して、しかもその公表をする主体責任をちゃんと明らかにするべきですよね。このことを統一しないと、地域住民の皆さんは現実に不安になってしまうわけですよ。
 3月以降、福島現地が小康状態を保ってくれているからまだいいようなもので、あれだって、これからの推移、どういうふうになるかわからないですから。そういう意味では、今こそ基準数値や公表の責任主体の統一努力をなされるべきだと思います。さっき説明がありましたように、資料1の原子力対策本部なるものは、こういうときのためにあるんじゃないですか。
 水道の世界から厚労省の皆さんは、いい仕事をこの間、緊急対応を含めてされているわけですから、むしろこの放射能絡みについても、しっかり厚労省の資格・責任において、この対策本部に持ち込んで、対策本部が的確・有効な対応をすべきだと。非常時なんだということの迫力を持った構えということを、お互いのそれぞれの資格・責任で頑張らないと、乱暴な表現をしますけれども、まあまあという形で終わってしまうんじゃないですか。それで我々はいいんですか。
 この審議会の審議すべき性格からは、少し外れるかもわからないけれども、少なくとも水道や水に関わる資格・責任で、皆さんそれぞれこの場にお集まりだろうし、各業界方面を含めて、我々、いい仕事やろうとしているわけですから。だったら一般論じゃなくて、我々は一体何をすべきかということをはっきりさせなければいかぬですよ。後ほど福島現地についても報告させてもらいますけれども、きれいごとじゃ済まない状態に今、なっているじゃないですか。
 時間が今日はないようですから、あえて申し上げますけれども、私、仙台、石巻から帰ってきたばかりです。実は、某国会議員がロシア製の検査器を、腕時計形式の簡単なやつなんですが、持ってきてくれまして一緒に走りました。東北自動車道を走るときに、福島県へ入る前から出るまで、風向きにもよるんでしょうが、先生、先ほどおっしゃったように、東京都内を出るときは0.1~0.2マイクロシーベルト。それが0.5前後で、あの時計は非常のベルを鳴らし続けるんですよ。一番きついのは0.89辺りで福島方面、鳴るんですよ。
 だけれども、そういう状態の中で20キロ、30キロ、グレイゾーンのところで、水道に関係する仕事をしている人たちは、自衛隊や警察や消防官たち、みんなと一緒に引かないで現場で頑張っているんですよ。この人たちに対する責任もあるし、それから水道水に関わる放射性物質の混入に関わる責任も持たなければいけないし、平時じゃないということをお互い、ちょっと腹を入れ直しましょう。
 以上です。

○大垣部会長
 ありがとうございました。何か。特によろしいですか。

○山口参考人
 これがそうです。

○大垣部会長
 そうですか。
 では、水質管理官。

○松本水道水質管理官
 厳しいお言葉をいただいたところでございますが、今回、当初から、原発ということだけではなくて、津波あるいは地震に対する対応ということで、水道関連団体の方には大変な御尽力をいただきまして、その体制のもと、現在、回復に向けて進んでいるということは、厚生労働省として大変感謝しているところでございます。
 また、今のお話のございました福島県内での懸念につきましても、私ども、水道水中の放射性物質のデータを集約して、それを公表するという役割を担っているわけですが、その中で見ていましても大変厳しい状況にあるということを感じているところでございます。
 では、どういう体制で今後それに対応していくのかということでございます。おかげさまで、今、言ったような形で、本来でありましたら原子力災害特別措置法に基づきまして災害対策本部が指示するという仕組みがあるわけですが、我々としましては、今回初めて起きた事故ということを前提で、水道事業体の方に摂取制限を要請するという形をとらせていただいて、そういう仕組みで、本当によくやっていただいており、これまで機能してきたかなと考えております。
 その一方で、事業体の方が現場で非常に困難を抱えられているというお話もお伺いしております。わずかな我々の措置ではございますが、そのためにこの間のモニタリング方針に合わせましてQ&Aなども作成させていただいて、情報提供させていただいているところでございますが、今後ともこういったモニタリング体制を構築していく上では、事業体の方とよくよく調整しながら進めていきたいと考えているところでございます。

○大垣部会長
 今のに関連しますか。ちょっと済みません、私の意見で。
 定量下限という言葉が先ほど意見の中で出てきましたけれども、計測器の定量下限というのは物理的に存在するものですので、それを上げるとか下げるという議論はないと思いますので、非常に小さい数字が出ても、それが安全であるということをきちんと広報しないといけないと思います。それは、こちら側の責任として、計器の問題ではなくて、と思いますので、言葉で誤解が生ずるとまずいので、ちょっとコメントしました。
 失礼しました。永井委員、どうぞ。

○永井委員
 確認なんですけれども、水道水中の放射性物質の測定です。地方公共団体と水道事業所と書いてあるんですが、主体は水道事業所でよろしいのかどうかという確認と。
 あと、確かに値は私、東京都ですけれども、21日以降、公表されるようになってきているんですけれども、例えば都民は都内でも複数の水系があり、複数の浄水場があることは知っているんですね。それがなぜ金町が210ベクレルを超えたということで、特別区全域が乳児の調乳に使わないようにという要請があったのかということが、その辺のきちんとした丁寧な説明がなかったので、その質問がすべて保健所に集中しまして、都民に対して説明するのに非常に苦労したんです。
 ですので、もう少し丁寧な公表の仕方をお願いしたいなと思いますし、また測定の仕方も、金町の浄水場の方は1,000秒間ではかっていて、新宿の健康安全研究センターの方では6時間かけてはかっているという測定の仕方の差というのもあるんですが、それも余り明確に表に出ていっていないんですね。ですので、もう少し丁寧な公表の仕方をお願いしたいなと思います。

○大垣部会長
 これに関して。はい。

○松本水道水質管理官
 御指摘はごもっともな部分でございますので、その表示の仕方について、我々の方で把握できる範囲で、なるべく情報はきちっと出していく。特に今回のような初めての事故の状況下においては、とにかく透明性を高めることが一番大事だと考えておりますので、今、御指摘を受けたことも含めて、なるべく情報をきちっと出していくようにしたいと考えております。

○大垣部会長
 よろしいですか。

○永井委員
 はい。

○大垣部会長
 どうぞ。

○石飛水道課長
 まず、モニタリングのこと、それから摂取制限をどうやってかけるかということ、それからモニタリングの中の測定のあり方につきましては、まだまだ我々もやり始めたばかりというところでございます。多くの事業体にとって、放射性物質という、今までほとんど縁のなかったものについて、これから取組んでいかなければいけないということでございます。
 まさしく今日の部会を皮切りにして、更に科学的に詰めるところ、また政府全体として統一してやるべきところ、こういうものを、また後の議題になりますけれども、今後の検討の中で具体的な御提言をいただきましたら、今後の中長期のモニタリングや水道としての取組みに反映させていきたいと思っております。
 もう一つ、岡?委員からもいろいろ御指摘をいただきました。また、御園委員からもありましたけれども、実はこの水道界にとっても危機的状況にあるということで、今回、東日本大震災水道復旧対策特別本部というのを、日水協さんに事務局をお願いして、全水道さん、自治労さん、それからメーカー、工事業者、そして我々も参画して特別本部をつくって定期的に会議を開いている。
 これは、放射性物質に限らず、まず津波で被害を受けたところ、それから震災のところ、いかに復旧を早めていくか、被災者の方々の生活を立て直していくかということで、全力を挙げながら情報交換し、また改善すべきところを改善していく努力をさせていただいております。
 加えまして、放射性物質が拡散される中で復旧作業をしている。また、そこに住民がいらっしゃるということへの対応ということで、我々もできる限りのことはしようと情報交換をしたり、数は少ないんですけれども、現場で働いておられる方々に、先ほど腕時計型の線量計がありましたけれども、バッジの形のものを提供して現地の方に付けていただいて、線量の管理をしっかりしていただくということも少しずつ始めているところでございます。
 その辺はまた、更に工夫すべきところはたくさんあるということで、この取組みを更に高めていきたいと思っておりますので、またいろいろ御指導いただければと思います。

○大垣部会長
 次の議題に移ってよろしいでしょうか。どうぞ。

○安藤委員 先ほどの定量下限のお話をちょっと付け加えさせていただきます。
 大気の0.0幾つという話と、食品あるいは水道水の幾つ、これは別問題と考えるべきだろう。つまり、どれだけ汚染が収束しているかなどを検討するには、当然大気の情報というのは非常に必要だということになるでしょうし、一方、食品・水の場合は食べる、飲んだという状況になりますので、それは別々という考え方で数値としてあってもいいんじゃないかと私は思っております。
 それから、1つだけお伺いしたいのは検査頻度のお話なんですが、原則として1週間に1回と29ページに書いてございます。降雨の影響を受けた間は、検査頻度は高めるんだということになります。そうすると、これは当然だと思うんですが、降雨の影響はどこまでだということ考えますと、いわゆる事業体がこの文書だけでわかるかなという気がいたしますので、この後、何かフォローをされるのかどうか、そこを伺いたい。

○大垣部会長
 どうぞ。

○松本水道水質管理官
 まさに御指摘のとおりでございまして、今後、今回のような形で200キロも離れた、関東も含めて、水道水に放射性物質が含まれるような事態にどうして至ったかということのメカニズムをなるべく明らかにしていく中で、今のようなお話も事実関係を明らかにして、対応できるところは対応していきたいと考えております。
 それから、申しわけございません。先ほど永井委員から御質問のあった、測定の主体が地方公共団体なのか、水道事業なのかという点でございますが、基本は水道事業者でございます。ただ、事業者の規模もいろいろございますので、地域公共団体、都道府県の方にもここはいろいろ御協力いただくという仕組みでございます。

○大垣部会長
 はい。

○松田水道水質管理室室長補佐
 安藤委員の方から御指摘のあった、降雨の影響を受けるところについてのお考えということですが、これについては別添10の33ページ、水道水中の放射性物質のモニタリングに関するQ&A、水道事業体向けのQ&Aを作成しておりまして、この中の問12、43ページでございますが、「降雨の影響を受ける間」とは、どのようなことを想定しているのか記載しています。
 1番目に、例えば、河川の上流で降雨があった場合、大気中の放射性物質が雨とともに降下し、その下流で取水する水道水の放射性物質の濃度が高まることが懸念される。そのため、河川の流速等から降雨の取水地点への到達時間を予測して対応する。それによって、検査頻度を高めることなどを想定しているということで明記してございます。
 以上です。

○大垣部会長
 これに関しては、後で出てきますけれども、更に検討する予定であると理解してよろしいですね。このことだけでなく、Q&A全体ですね。
 どうぞ。

○瀬川委員
 今の点について。降雨の場合なんですけれども、降雨そのものを測定するという考え方はないんでしょうか。ということは、昨日の夜も非常にたくさん降りましたけれども、降り始めと終わりというのはかなり違いますよね。そうすると、全体量からすると、昨日の量でしたらかなり少ないはずなんですよ。そういうのもありますから、降雨そのものをはかるということの意味は、ないからやらないのか、その辺をちょっとお教えいただければ。

○松田水道水質管理室室長補佐
 今の委員からの御指摘に関して言うと、降雨そのものをはかるというお考えもあるんですけれども、文部科学省の調査におきまして、放射線降下量というものを測定しております。例えば資料1の別添7、22ページでございます。文部科学省のデータ、ヨウ素と降雨量の関係がどのようになっているかを示しています。こちらの方を見ていただければ、3月21日時点では非常に高い降下物が出てきており、浄水や蛇口水のヨウ素濃度と降雨量の関係というのが上がってきているということで、降雨量と放射性降下物の関係、それと浄水や蛇口水と降雨量の関係というのを見ることができるのではないかと考えています。
 その一方で、これは3月21日時点のデータなんですが、それ以降いろいろな地域で雨が降っていますけれども、放射線の降下量の部分については、ここに示されている数値よりもかなり低い数値になってきている。それに関して言うと、水道水についても低い数値になってきているということで、例えば放射線降下量と降雨量の関係というのを見ながら、浄水のデータをどのように考えていくのかということを考察することはできるのではないかと考えております。

○大垣部会長
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 はい。

○松本水道水質管理官
 いずれにいたしましても、そういうことも含めて、今後、モニタリングの結果なども踏まえて検討を進めていきたいと考えているところでございます。

○大垣部会長
 はい。

○藤井委員
 モニタリングの考え方について、今の指針で見ますと、かなり分析的な方法を中心として、連続的な測定に向いていないとうか、1週間を単位にはかってくださいという形なんですけれども、それは必要なんですが、それ以外にもっと放射線量とか、別な指標で、できれば連続的な手法を取り入れたようなモニタリング手法を提案していただいて、水道の連続モニタリングができる方法。実際にセシウムとかヨウ素とかをはかること以外に方法はあるわけですから、放射線量でモニタリングするという方法に向けて検討していくべきじゃないかという気がするんですが。

○大垣部会長
 可能性あるいは検討状況はどうですか。

○松本水道水質管理官
 基本的には、これまではあくまでも住民の健康と安全を考えるという観点から、指標と比較可能なベクレルという形で測定してきております。お話のような考え方も、別の指標でという考え方もあるかと思うんですが、その辺につきましても、当面は今のモニタリングは安全のために続けるんですけれども、それとあわせましてモニタリングのあり方として検討していきたいと考えます。

○大垣部会長
 今のような御意見も次の議題に少し関連するかと思いますので。
 ほかにございますか。よろしければ、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○大垣部会長
 それでは、次の議題で、中長期的な対応として、今後の課題・検討体制について事務局より説明をお願いいたします。

○松本水道水質管理官
 それでは、恐れ入りますが、お手元の資料3「今後の課題と検討体制」に基づきまして御説明させていただきたいと思います。
 今後の課題の1番といたしまして、先ほどもお話申し上げましたが、非常に広範囲での放射性物質による影響というのがあったということを踏まえまして、その影響のメカニズムというものを検証していく必要があるだろうと考えているところでございます。
 2番目には、先ほどのモニタリングの方針の中にも書かせていただいておりますが、摂取制限の要請あるいは解除という形での措置をとらせていただいているところでございますが、そういったものについても、更なるモニタリングの結果などを踏まえた考え方の整理をしていく必要があると考えているところでございます。
 更に、水道水中の放射性物質につきまして、先ほども雨との関係というお話もございましたが、そういった観点も含めまして、取水の制御あるいは浄水処理技術において低減化方策というものを考えられないかどうかということも検討課題かと考えております。
 また、そういったことを総合的に検討していく中で、モニタリング結果を踏まえた中長期的な取組みというものを検討していかなければいけないのではないかと考えているところでございます。
 そこで、その検討を進める上で、専門家による議論がまず必要ではないかと考えておりまして、検討体制(案)と書かせていただいておりますように、新たに健康局長の私的諮問機関といたしまして、仮称でございますが、水道水における放射性物質対策検討会というものを設置して開催したいと考えているところでございます。
 具体的なメンバー、専門の方につきましては、裏のページに挙げさせていただいております。放射線あるいはその健康影響も含めまして専門家の方、あるいは水道技術に関する専門家、あるいは環境中での物質の挙動についての専門の方にお集まりいただきまして御議論をいただき、検討を進めていただきたいと考えているわけでございます。
 表面に戻っていただきますと、こういった形で、この検討会におきましてモニタリングの結果などを踏まえて検討を進めていただき、その得られました成果につきまして本水道部会に御報告させていただいて、御審議いただくという形で検討を進めさせていただいてはどうかと考えているところでございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 それでは、今の事務局からの説明に関連して、何かコメント、御意見、ございますでしょうか。どうぞ。

○津野委員
 今の御説明に必ずしも関係しないかもしれませんが、今後の体制とか課題という観点で3つほどお話をさせていただきたいと思います。
 今日の御報告等を見ましても、水道の原水は流域から取水しているわけでございますので、いろいろなものがすべて関わってきていると思います。そういう観点からすると、当然、水素爆発前後から現在までに至って、どういうところにどういうものが飛び散ってということ、あるいは現状どういうところに拡散していっているかということ。それから、それらが流域におりて原水の中に入ってということ等考えて、水道界だけじゃないと思うんですけれども、こういったところを一体としたような話が全然ない。
 例えば大気汚染の予測でこうなっていて、こういうところにこういうものが落ちているでしょうという着地点の話、あるいは流域でどういうレベルの汚染があるかとか、それから河川水の中のということが全然ないので、できればこういう緊急事態だからこそ、すべてのところを集めて、そういった情報のもとに解析と同時に、将来あるいは緊急の予測等を是非していただきたいというのが第1点でございます。
 例えば文科省もずっと、このとき以外でもデータをとっておられると思うんですけれども、今日のデータでも18日以降という形になって、その前はどうなっているかよくわからない。そういうことで、水道というのは最後、全部かぶるだろうと私は思っていますので、そういうことをしてほしい。
 2点目でございますが、要するに放射性関係のものは、環境のモニタリングにしろ、水道にしろ、関連法規からすべて除外されているわけです。それはそれで、法律体形の中で一つの方法かもしれませんが、影響を受ける側からすると、それは大きなところでございますので、ある意味で法律体系とは別に、水道の方でもこういったものを、最小限度のモニタリングをきちっとできるようなことをお考えいただいた方がいいんじゃないか。そうしないと、地方自治体は水道事業体も本格的にそれを取り入れることは不可能でございますので、国としても是非そういったことをお考えいただきたい。
 3点目が、確かに汚染レベルが全然違うので、必ずしも一概に言えないと思うんですが、水道の原水の中に入ってきた後、浄水側でいろいろ努力してお取りになられるのは結構なんですけれども、その分が浄水の廃棄物なり、浄水場の中に蓄積している。仮にうまく取れるほど、そういうことでありますので、観点を変えますと、浄水場自体がいわゆる放射性廃棄物を抱え込むみたいなことになりかねない。
 今のところ、レベルが大分違うので、必ずしもそうではないと思うんですが、放射性廃棄物あるいはそういう観点からの検討も、是非この際きちっとした上で、例えば安易に活性炭を放り込めばいいというのではなくて、大丈夫だということを前提に放り込むとか、廃棄物の観点からも是非考えていただきたい。
 この3点について、今後の体制の中で御検討いただければ誠に幸いかと思います。以上でございます。

○大垣部会長
 ありがとうございました。多分、この検討会の重要な議題になると思いますので、その辺、反映していただくようにお願いしたいと思います。
 ほかに、今後の課題・検討体制に御意見。どうぞ。

○古米委員
 ここに書いてある今後の課題は十分にカバーされていると思うんですけれども、先ほど、この部会の中で議論した場合に、知見として科学的に正しい知見であったとしても、それを受け取る側がどう判断するかというところが、今回の場合には非常に注意すべきだろう。
 そういう意味においては、2番目の水道水の摂取制限の要請や解除に関する考え方というところに含まれるかもわかりませんけれども、いかにわかりやすく、あるいは誤解のないような形で、この水道水に関する放射性物質の情報提供をするのかというのもしっかりと位置付けて、今後の課題の一つの大きな項目として意識しておくことが重要かなと感じましたので、発言させていただきました。

○大垣部会長
 検討会の方でよろしくお願いしたいと思います。
 ほかに。どうぞ。

○安藤委員
 この中にあるのかもしれませんけれども、今後の課題が4つ書いてございます。いわゆるモニタリングの方針、丸の一番下の方です。ここに相当するのかもしれませんけれども、モニタリングのあり方をちゃんと考えなければいけない。これからのお話ですから。つまり、消費者の安全側だけに立つのか。それだったら、蛇口の水だけはかればいいわけですね。そうじゃなくて、入ってくる水についてもやるのかということになる。先ほどの繰り返しになりますが、どういう視点でモニタリングをするんだということが1つ。
 もう一つは、先ほどおっしゃいましたけれども、この後、文科省がずっとおやりになるんでしょうけれども、当然環境サイドの状況がどうだったか。それでもう少し詳しく限定的に場所は狭まるんだと思いますが、そういう他の省庁との関係。そうすると、ここの水道水源はちゃんとモニタリングしなければいけない、こっちは別に必要ないといういろいろな問題が出てくる。
 つまり、他の省庁との間は非常に大きな話になってくるんじゃなかろうかということから、2つ。モニタリングをこれからどうするんだということをお考えいただきたいということです。

○大垣部会長
 ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。

(「はい」と声あり)

○大垣部会長
 それでは、予定の時間も過ぎておりますので、ただいまの議論を踏まえますと、今後、事務局から示された課題に対する検討・議論の体制を整備する必要があると思います。今、事務局から出されました、新たに水道水における放射性物質対策に関する検討会を設置し、検討していくことが今の御意見からも必要であるということは明らかかと思いますが、検討会設置はよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大垣部会長
 御異議ないものと認めます。
 それでは、これで議事が終了いたしますが、議論の途中で出てきましたように、今後、水道課としましても、最後に御指摘がありました省間の連携、それから国民への広報のあり方を政府全体としてどうするかということを、水道のサイドから是非積極的に提言していただきたいと思います。
 以上でございます。
 それでは、議事は終了いたしますので、あと事務局から何かあればよろしくお願いいたします。

○松田水道水質管理室室長補佐
 本日はありがとうございました。
 ただいま設置について御了承いただきました検討会につきましては、今後、飲料水における放射性物質対策検討会として開催し、後日、その検討結果を本部会に報告させていただきます。
 なお、冒頭に外山健康局長が遅れて出席すると紹介させていただきましたが、本日、国会の用務でやむなく欠席に至りましたことを御報告させていただきます。
 最後に、閉会に当たりまして篠田大臣官房審議官よりごあいさつ申し上げます。

○篠田大臣官房審議官
 本日は、大変御熱心な御議論をいただきましてありがとうございました。
 御議論の中でいろいろな点の御指摘を受けたと思っておりますし、今後そういった項目につきましては丁寧に議論し、また科学的に更に議論を深めなければいけないだろうと考えております。
 今回、地震あるいは原子力発電所の話でございますので、正直言いまして、この一月余りというのは、関係行政機関、私どもも含めてでございますけれども、大変いろいろな課題が一遍に出てきたようなことだったと思います。各行政機関もテレビその他でいろいろ混乱しているとごらんになるかもしれませんけれども、水道の関係につきましては、この間、水道は1日もとめられないものであるということもありますし、私ども、関係のところでも日夜努力してきた部分があろうかと思います。
 私どもの政務三役の方からもしっかり言われておりますのは、安全・安心な水を供給するというのは水道事業の責任ですよという話と、現下の状況ではモニタリングをしっかりやって、消費者の方々に安心していただくというのが必要なんだという基本的な話は、しっかり指示を受けているところでございます。
 ただ、それに際しましても、広報のあり方であるとか、あるいは多様な自然の中でどういうふうにモニタリングをやるか、あるいは科学的にどういうふうにやっていくか等々の話は、引き続き御検討願うわけですけれども、多々ございますので、そういった点につきましては、今後とも検討をしっかりやって、またこちらの方へ御報告するということで進めていきたいと思っておりますので、また御指導の方もよろしくお願いいたしたいと考えております。
 本日は、大変ありがとうございました。

○大垣部会長
 ありがとうございました。緊急時ですので、部会としても今後とも御協力をよろしくお願いいたします。



(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課

TEL: 03-5253-1111 (内線4025)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(生活環境水道部会)> 第10回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

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