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2012年1月31日 第32回年金記録回復委員会議事要旨

○日時

平成24年1月31日(火)18:00~


○場所

厚生労働省 9階 省議室


○出席者

(委員)磯村委員長、岩瀬委員、梅村委員、駒村委員、廣瀬委員、三木委員
(日本年金機構)紀陸理事長、薄井副理事長、矢崎理事、松田理事、喜入理事、中野理事、吉野審議役ほか
(厚生労働省)辻厚生労働副大臣、今別府年金管理審議官ほか

○議事

(※議事録は資料ページにPDFファイルで掲載しています)

(冒頭、辻副大臣より挨拶)

 委員の皆さま方には、ご多忙の中ご出席いただき感謝する。年金記録問題の解決に向けて改めてご意見ご指導いただき、厚生労働省として取組みを進めていきたい。本日は年金記録に係るコンピュータ記録と紙台帳の突合せについての進捗状況や未統合記録5,000万件の解明状況について報告させていただくほか、厚生年金基金記録と国の記録の突合せの結果、双方の記録が不一致となり、どちらかの記録を訂正する必要がある場合の不一致原因に関する調査結果や今後の再発防止策などについて報告させていただき、委員の皆さまに忌憚のないご意見等を賜りたい。

 

 

(1)年金記録に係るコンピュータ記録と紙台帳の突合せについて

○ 年金局より資料1「記録問題の全体構図と本日の議題」について説明を行ったのち、日本年金機構より資料2-1についての説明があり、委員から次の意見があった。

 

■ これだけ記録が見つかって年金回復見込額が出ているのはいいが、突合せ1件当たりのコストはいくらかかっているのか。(三木委員)

→ 昨年5月のサンプル調査時点での費用は突合せ業務の費用とシステムの費用を合わせて1件当たり3,400円であったが、それ以降、処理スピードが大きく上がってきているため、今計算すればもっと低くなるはずである。現在のスピードを反映したコストは計算していない。(伊原部長)

(磯村委員長)然るべき時期に報告してほしい。

 

■ 本人に通知しても回答がない人へのフォローはどうなっているのか。(岩瀬委員)

→ 未回答者に対しては60日経過するごとに2回督促を行っている。(伊原部長)

■ それでも回答がなかった場合は、それで対応は終わりということか。(岩瀬委員)

→ 必ずしも電話番号の情報まで持っていないため、ひとまず終了としている。(伊原部長)

 

■ 不一致件数が出ているが、不一致の内容はどのようなものか。(廣瀬委員)

→ 紙台帳とコンピュータ記録の突合せの主たる目的は納付記録をチェックすることであるため、名前や生年月日が少し相違していても本人と分かれば不一致とはしていない。被用者年金記録のサンプル調査では、約4分の1がオンライン記録にはない内容のものが紙台帳で見つかったというケース。残りは標準報酬月額等が異なっているものである。(伊原部長)

■ 最終的に不一致についての分析はするのか。(廣瀬委員)

→ 不一致については紙台帳検索システムに事跡を残しているので、事跡の区分で分析することは可能である。(伊原部長)

 

○ 日本年金機構より資料2-2についての説明があり、委員から次の意見があった。

 

■ 3ページで効率化の方法についてX・Y・Z市の3種類に整理しているが、どのタイプが多いのか。(梅村委員)

→ 人数ではX市(機械印字紙台帳の作成年月日を見て並び替えを実施する市町村)とY市(機械印字の作成年月日が不明であり、納付記録を見て並び替え実施する市町村)を合わせて約110万人であり、Z市(審査対象紙台帳の選別が容易な市町村)が約110万人である。市町村数でもZ市のケースが一番多いと見ている。(伊原部長)

(磯村委員長)(各委員に対して)年金記録に係るコンピュータ記録と紙台帳等の突合せの業務実施要領の改正については、この案でよろしいか。特に異議がなければこれで進めていただきたい。

→ (了承)

 

 

(2)未統合記録5,095万件の解明状況について

○ 日本年金機構より資料3について説明があり、委員から次の意見があった。

 

(磯村委員長)9月時点の数字と比較すると、進み具合について、何か岩盤に突き当たったような感じがあるのではないかと思うが、どのような評価か。

→ 正直に申し上げると、未統合記録の減少件数についてはあまり進まず、岩盤に突き当たった感がある。ただし、新たな取組みとして、昨年9月からコンピュータ記録と紙台帳の突合せ拠点において、未統合記録の持ち主検索作業を本格開始し、サンプル調査では1%強は持ち主らしい人が見つかっており、12月から通知も送り始めている。ただし、1%強なので、あまり大きな数値にはならないと思われる。残りは機構側からの調査だけでは解明が難しく、ご本人から申し出ていただくことが必要と思っている。(伊原部長)

(磯村委員長)未統合記録の最終的な解明については、ご本人から申し出ていただく以外に片づけるのは大変だという理解でよいか。

→ 機構としてやれることはやってきた。残る手段としては、ご本人から何かヒントのようなものを申し出ていただかないと見つけるのは難しいかと思う。(伊原部長)

(磯村委員長)今の段階では、これ以上の手立てがないようである。いずれ、記録の確認キャンペーンなどについても議題に出てくるだろう。それに期待するとして、今の段階ではこれでよいか。

→ (了承)

 

 

(3)電子版ねんきん定期便について

○ 日本年金機構より資料4について説明があり、委員から次の意見があった。

 

■ 電子版ねんきん定期便で記録の確認を行った結果、記録に漏れや誤りがあり、記録訂正等の回答を送った場合、どのくらいの期間で処理されるのか。(梅村委員)

→ 現在行っている定期便についての回答の処理とほぼ同じになるはずだが、定期便の処理期間について確認したい。(伊原部長)

 

■ 2ページの郵送希望有無の登録画面について、最初の状態で書面の定期便を「希望する」「希望しない」のどちらに印がついているのかが大事だが、どうするのか。(三木委員)

→ 最初の画面では、郵送を「希望する」に印をつけている。こうした取扱いとしているのは、「ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会」において、記録問題への対応が求められている現段階では、ご本人に出来る限り記録の確認を呼びかけるべきであり、ご本人が意識的に郵送での定期便は不要であると申し出てきた人以外には郵送するべきだという意見が多かったためである。(伊原部長)

 

■ 電子版の定期便のみでよいという人はねんきんネットの利用者の内数になると思うが、どのくらいが電子版のみに移行する見通しなのか。(三木委員)

→ ねんきんネットは現段階で61万人がID登録されている。毎週1~2万人が新規に登録されているため、3月までに80万人近くの登録になると思われるが、電子版定期便だけでよいという人がその中のどのくらいになるのかは、実施してみないと分からない。(伊原部長)

 

■ 定期便の送付コストが削減できるならインターネットに移行してもらった方がいいだろう。ネットのどういう点が優れているのかを明確にした方がよい。ねんきんネットでは「毎月新しい記録に更新される」といった2ページの内容の他に、5ページの2「これまでの加入実績に応じた年金額」の表示について、従来のねんきん定期便では加入期間の短い若い人は少ない金額しか表示されず逆に納付意欲を失いかねないという問題があるが、ねんきんネットならば将来の見込み額を計算することができるため、そういった点でも優れている。書面の通知を貰っても付加価値がないということを説明するべきである。多くの方にネットに移行してもらうために、既存の登録者にはどのような対応をするのか。(三木委員)

→ ねんきん定期便は、事業仕分けでもコスト削減が求められているところであり、4月以降はハガキ化しねんきんネットのアクセスキーを添付して送付する。現役被保険者に対してはこのような方法で周知していくが、受給者に対しては、来年1月を目処に「気になる記録の確認キャンペーン」を行いたいと考えており、その際に告知も兼ねてアクセスキーを添付した通知を送ることができないか検討しているところ。振込通知書や年金額の改定通知書も電子版で見ることができるようになることも周知して利用を広げていきたい。(伊原部長)

■ 既存のユーザーに対しては、ねんきんネットにログインしたときに確認をする等の工夫をしなければならないだろう。ログイン時に何らかの承認をとるのは証券会社等でも行っている。また、メールアドレスは変わることが多いので登録アドレスのメンテナンスは民間企業も気を付けている。有効なメールアドレスかどうかを確認してから登録する方法や、2~3年後にアドレスが変わった場合の再登録をどうするのかについても考えなければならない。インターネット上では、高い頻度で低コストなユーザーメンテナンスが可能であるという観点を持ってもらいたい。(三木委員)

→ いただいたご意見を踏まえ、4月の実施に限らず、リニューアルのたびにできるだけ取り入れていきたい。(伊原部長)

 

■ どのくらいの人が電子版のみに移行するのか分からないということだが、一般の人から見て新しい試みをするときに、目標値がないというのは違和感がある。コスト削減の観点からこれくらいを目標値にする等、打ち出し方はいろいろあるだろう。(稲毛委員)

→ ねんきんネット等の検討会でも、今はまだ記録確認を行う時期であり、電子版だけでは不十分ではないか、主たる目的がコスト削減というのはいかがなものかという意見も多かった。現段階で具体的な目標値は持っていないが、積極的なPRをしていきたい。(伊原部長)

 

(磯村委員長)2ページの郵送希望確認画面で、電子版のみに誘導するために電子版のメリットを点滅表示させる等して強調することも必要ではないか。また、(1)(2)のメリットに加えて、より現実的な見込み額の計算もできるといったような内容も加えメリットをいくつか並べるようにすれば、郵送を「希望しない」にする人が増えるのではないか。

■ 24時間いつでも定期便の情報を取得することができる利便性についても入れた方がいいだろう。(三木委員)

 

■ ねんきんネットの登録者をどのように増やしていくのか、まだまだ方策が足りない。また、今後のねんきんネットの利用の進め方については、どこかで議論をしてもらいたい。特に20歳で新規に国民年金に加入する人に対して、その入り口でねんきんネットの利用登録をしてもらうような工夫をすれば、いずれほとんどの人が登録しているという状況を作れるだろう。

ねんきん定期便については郵送の方が安心できるという意見も多いだろうが、ねんきんネットであれば通知を確認したかどうかを把握する方法もある。また、制度変更の周知やステータスの変更についての確認なども、安価で確実に接触をすることが可能である。

このような「ねんきんネットだとこういうことができる」というアピールを積極的に行ってもらいたい。(三木委員)

→ ねんきんネットを年金機構の第3の窓口にしていくためには、利用者を増やしていくことが必要であると考えている。そのために、まずはねんきんネットをお客様にとって役に立つものにしていくとともに、新規に加入されたり新規裁定の際に、確実にねんきんネットのユーザーになってもらうための工夫をしていきたい。

ねんきんネットでの記録確認の把握は技術的に可能であり、本人が確認したか否かにより郵送しないという対応も技術的には可能だろう。

国民の皆様の理解が進めば、そのような切り替えも可能である。ねんきんネット等の検討会でのアンケート調査でも、電子版があれば郵送は不要かということについて、ねんきんネットユーザーの4割が不要、利用していない方の35%が不要であるとの回答だった。ただ、郵送版と電子版両方必要だという人が5割強というのが現在の状況である。(伊原部長)

■ 情報量という意味でも郵送とは全然違う。民間の保険では、厚いパンフレットを渡したうえで重要事項説明を直接人間が行っている。それに比べると入り口での認識がほとんどない状態であるが、WEBベースであればEラーニング的な周知の仕方もできるだろう。そういった点でも利点があるという認識を持ってもらいたい。(三木委員)

 

(4)厚生年金基金記録と国記録の突合せついて

○ 年金局より資料5-1、5-2及び参考1について説明があり、委員から次の意見があった。

 

■ 参考1の図の真ん中の枠にケース1、ケース2とあり、合わせて60~70万ということだが、ケースごとのそれぞれの数字は分かるか。(廣瀬委員)

→ 明確に振り分けた数字はないが、全体で60~70万ということである。(渡辺課長)

■ ケース1は代行部分がない形で厚生年金部分が支給されているということだろうが、ケース2は厚生年金基金(以下、「基金」)だけが支給されているということか。(廣瀬委員)

→ 最終的に記録が突合できればそういうケースもあるかもしれないが、ここは突合せ前の段階である。考えられる原因に挙げている基金番号違い等が訂正されれば突合できる可能性があり、突合できれば給付の関係は整理できる。そこへ行く前の段階でまだ見つかっていないものなので、うまく相手探しをすれば突合できるというものも含まれている。(渡辺課長)

■ 色がついている箇所は記録が分かっている部分であり、支給されているということではないのか。(廣瀬委員)

→ ケース2について、色つきの箇所は給付しているということではなく、基金に記録があるということである。国の記録が基金に回付されていないので、国の記録は点線になっている。(渡辺課長)

■ 支給されているかどうかは区別していないということか。(廣瀬委員)

→ 図の真ん中部分は記録の突合せ前の段階ということである。(渡辺課長)

(磯村委員長)図の真ん中の枠から左右に矢印が出ているようにすると分かりやすい。

 

■ 代行返上あるいは解散の場合が参考1の図の右側になるだろうが、この部分はかなり突っ込んで調べなければならないのか。(梅村委員)

→ 代行返上された基金は大半が確定給付年金等になっているので、再整理の枠組みが整理されれば、800以上の代行返上された基金については全て呼びかけしたいと考えている。(渡辺課長)

 

(磯村委員長)資料5-2の2ページ2(1)国・基金における事務処理誤りの対応で、国の事務処理誤りの防止として「電子申請・電子媒体申請等の普及を推進し、入力作業の減少を図る」とある。題目としてはいいが現実に電子申請普及のネックになっているものがどこにどれだけあるのか。その1つとして、健康保険組合が電子申請を受け入れられない事情があること等があるだろう。保険局とも一緒に力を入れて検討作業をやらないとうまくいかないという認識を持って、もう少し具体的なイメージを出す必要があるだろう。

2つ目に5ページの別添3の図について、図の右下の基金には企業年金連合会(以下、「企年連」)も含まれているのか。また、日本年金機構から基金への情報提供について、もし事業主の届出に誤りがあった場合には二度手間になってしまうのではないかと思うが、機構と打ち合わせ済みなのか。

→ 電子申請の普及については、届出誤りの防止策として事業主に様々な選択肢を提供するという考え方で行ってきた。申請の相手が機構だけではないのでメリットを感じられないのではないか、メリットを高めるようにすべきではないかという指摘だったが、その前に事業主に対して選択肢として十分に意識されてきたのかということを追求する必要があると考えている。夏の算定基礎届までを重点的期間として知ってもらう努力をしたい。並行して、他の機関との調整等についても年金局と相談しながら考えていきたい。(吉野審議役)

→ 2点目の指摘について、事業主から企年連に届け出ることはないので同じ図に当てはめることはできないが、企年連についても同じ枠組みに入る。また、機構から基金への情報提供について二度手間になってしまうことがないかという指摘があったが、何の情報をどういった頻度で提供するかについては、機構等と実務的に詰めたいと考えている。(渡辺課長)

(磯村委員長)お題目で終わらないよう実務的に詰めてもらいたい。このような方向でよいか、

→ (了承)

 

 

(6)その他

○ 次回開催は2月28日(火)18時からとのお知らせがあり、次回までに粗ごなしの実務検討会を行いたいとの提案があった。

 

以上


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 高野(3656)
佐々木(3658)
代表電話: 03(5253)1111
直通電話: 03(3595)2806

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