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2012年1月16日 歯科口腔保健の推進に関する専門委員会ワーキンググループ(第2回)議事録

医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室

○日時

平成24年1月16日(月)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議題

○基本的事項の方針、目標、計画について
○その他

○議事

○三浦座長 おはようございます。定刻よりちょっとだけ早いのですが、委員の皆様方お揃いのようなので、ただいまから第2回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会ワーキンググループを開催します。委員の皆様方にはご多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。お礼を申し上げます。それでは、まず事務局より資料の確認をお願いします。
○医政局歯科口腔保健推進室長 資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第が1枚、それと配席表が1枚、それと24頁から成る「資料」というものが1つです。それから参考資料1、こちらのほうが頁数が最後のほうはふってありませんが、これが1つ、それと参考資料2、こちらが61頁までのもの、それから参考資料3、こちらが10頁までのものが資料として配布されています。乱丁、落丁等がございましたら事務局までお申し付けください。以上です。
○三浦座長 どうもありがとうございました。前回いただいた意見を基に文科省の資料等も、参考資料の中に加えさせていただいています。ご確認をいただければと思います。それでは、本日のいちばん大きな議題であります議題1、基本的事項の方針、目標、計画について、各委員よりご提出いただきましたライフステージと特別な配慮を要する集団に対するアプローチに関するご意見を基に、重点事項をご議論いただきたいと思います。
 「資料」をご覧ください。すでに前回の会議の終わりのほうで少し議論を始めたところですが、中身に踏み込んだ議論は、行います。時間が全体的な枠組みの中で、少し押しているので、各ステージにつき10分から15分程度でご意見をいただければと思っています。
 資料の最初をご覧になってください。乳児期から始まるところの資料ですが、前回のワーキンググループの最後のところで、子どもの部分のライフステージの分け方をどうすればいいのかということを少しだけ議論したのですが、乳幼児でとりあえず括ってみて、支障がありましたら、また後で細分化するなり、まとめ直すなりしたらいいのではないのかというご意見をいただきましたので、とりあえず乳幼児期でここでは括らせていただき、議論を進めたいと思います。こちらは事務局側で方針の部分に関してはキーワードを抜き出してアンダーラインを引いています。そのキーワードを参考にすると比較的に議論がしやすいのではないかと考えています。
 多様なご意見をいただきましたので、事前に座長のほうで目を通させていただきましたが、乳幼児期については、多くの先生方が重複して重要だと考えられた項目は口腔機能の獲得、発達、そして口腔ケア習慣の確立といったところかと考えております。ここにつきまして是非、ご専門の立場から、あるいは地域歯科保健の立場から忌憚のないご意見をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。井上委員、ご専門だと思いますので是非、口火を切っていただけると大変助かります。
○井上委員 はい、ありがとうございます。乳幼児期を併せてということですと、授乳から離乳、そしてまた幼児期を含めたいわゆる摂食の機能の部分と、それから発音や発語も含めた口腔機能の育成の部分を、まず第一に考えていただきたいと思います。そして、それを支える口の健康ということで、ここに書かせていただいてもありますけれども口腔ケアを考えていただきたい。その中の具体的なもので1歳半、それから3歳の歯科健診が行われておりますけれども、その辺の少し拡充がされればなと思います。例えば、2歳とか2歳半とか、そういう時期の健診の拡充が図れればと考えています。
 そして、ここには書いてないのですが、本当はもう1つ、乳幼児期の問題となってくるのはいわゆるデンタルネグレクト問題もあります。これも「健やか親子21」のときにも歯科のほうでも少し出たのですけれども、なかなかその根拠になるデータが乏しい部分がありまして、デンタルネグレクトに関しましては虐待の一部ではあるのですが、なかなか難しいと。これが歯科の分野で取り上げていただければなと思います。地域格差以上にお子さんの生活の、完全に質にかかわる部分になってまいりますので、そういう部分を入れていただければなと考えています。
○三浦座長 ありがとうございました。次世代育成のために非常に重要なデンタルネグレクトも入れるべきではないかということと、健診の年齢を拡大して、さらにきめ細やかに対応すべきではないかというところでしたけれども、このご意見についていかがでしょうか。何か、ございますか。大内委員、お願いします。
○大内委員 いわゆる児童虐待等との絡みの部分は非常に重要な部分だと思います。ただ、そこは乳幼児だけの話ではなくて、学齢期も入ってくる話ですので、まとめ方としてはいわゆる要介護者、障害者だけになっていますが、そこにやはり社会的弱者とか支援が必要な人達といった枠組みで明示記していく必要があると思っています。いまのご意見に関してはそれだけです。
 私からは乳幼児期で重要な課題はとりあえず母子保健法という法律で、1.6、3歳まではある程度、歯科保健対策は整備されているのですが、問題はそこから小学校就学時までのところが各市町村とも取組みが十分でない、頑張っているところは頑張ってらっしゃるんですが、就学までつなげる間の母子保健対策の強化みたいなものを是非、方針として入れておく必要があるかと思っています。
○三浦座長 切れ目のないサポートが重要というところで、そういった取組みも必要ではないかというご意見だと思います。あと、何かご意見ありますでしょうか。特にいままで出てきた中で重要だと思うようなところがありましたら、それのご指摘でも構いません。お知らせをしていただけると大変助かります。いかがでしょうか。
○森崎委員 多分、乳幼児、学童、障害児、障害者も関係すると思うのですけども、例えば、その発達障害なんかの問題があって、非常に早期に対応していくことが重要なわけですけれども、実際は早い段階で色分けするということも非常に難しいことがありますので、その辺りを、対応する側、歯科医師、あるいは歯科衛生士、その養育関係、教育、保育の人達への啓発と訓練、そちら側が、これから非常に重要になってくるのではないかなと思います。早い段階で正しく歯科保健の対応ができていかないと将来、大きな問題を起こしていってしまい、それが二極化といいますか、随分子どもの虫歯は減ってきているし、目標数値では減ってきていると思うのですけれども、ただ非常に二極化しておりますので、その辺りの対応が重要ではないかと思います。
○三浦座長 はい、井上委員。
○井上委員 私どもで診てきましても、やはり乳幼児の早期からの重症う蝕や生活の問題のある方と、もう1つ、やはりお子さん自体に発達的な問題を抱えている方が結構いらっしゃるので、その両面からのアプローチも確かに重要だと思いますので、そういう視点が必要かなと思います。
○三浦座長 安井委員。
○安井委員 基本的には1.6、3歳の法定の健診があるのですが、子どもが自立的に健康行動をできるわけではないので、基本的には乳幼児の場合は母子ということで一体化して考えていく必要があると。ですから母親に対するその啓発、教育の機会を増加させるという意味では、先ほど井上委員が言われたような、例えば、1歳半から3歳の間の2歳にもう1つ入れるとか、そういう機会を多くすることも重要かと思います。
○三浦座長 ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。神原委員。
○神原委員 この時期、普通は母子保健ということで、いま言われたような考え方が当然、必要なのだろうと思いますし、幼児で1つの指標となっているのは、3歳児の、う蝕者の割合ですね。それが80%にいま到達していることを考えますと、その人達にどういうアプローチができるかが1つのポイントになるだろうと思います。これを見ていると、それに続いて機能ということをあまりにもおもてに出してますけども、いわゆる生活習慣の確立であろうと思うのですね。それを言葉としてどう表すかということはあろうかと思うのですけど。ですから、基本的にはいま言われたその間を埋める、例えば母子保健から学校歯科保健に移る間をどう埋めるかというのは、やはりそれなりの実証研究がいるのであろうと思いますし、それによってどういうことが変わるのかを明らかにする必要があります。現実に私は大阪で、例えば間を埋める2歳健診をやっているところがあるんですよね。そこを見たときに結局、明確にその結果が出てこない、それをやることによって、どういう影響があったのかというようなことが、やはり、明確にやることに対する費用対効果のようなものを明確に出す必要があるであろうと思いますし、いままでのことを考えると、3歳児に80%も健全な子がいると、虫歯になってない子がいると考えると、その子達にどういう対応ができるかということと、先ほど、差別化されているというお話がありましたけど、リスクの高い人に対しての対応と両面で考えていく必要があるのではないかと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。井上委員。
○井上委員 すみません、ちょっと地域の話が出たので。例えば、東京の中央区では乳児健診の中で歯科をやっていて、これはもちろんう蝕が問題になるわけではありませんが、そこでいろいろ保護者の悩み、相談を聞きながら、特に食べるとか、そういういろいろな口の機能健診に近いようなところの相談にのって生活習慣のサポートをしています。
 それから、例えば葛飾区では、実は親子健診のような形で2歳児歯科健診をやっています。母子でそういう健診を受けているわけですね。要するに、妊婦健診はあっても、なかなか産後健診はないので、そういう部分で2歳児の親子健診をやるとか、そういういろいろなバリエーションの中で母子を拾っていけるかなと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。各地で行われているグッドプラクティスをしっかりと集約してエビデンスに基づく対応をすべきではないかというようなことかと思います。ここまでで、かなりの意見が集約できてきたのではないかと思います。就学時に向けて切れ目のない対応をするためのアプローチが非常に重要というところと、あと全体のネグレクト、発達障害に対するものは場合によっては要介護者等と障害者(児)等のところに組み込むべきところかもしれませんが、非常に重要な次世代育成のところであるかと思います。
 先ほど申し上げたようにちょっとお時間の関係がありますので、次のライフステージに行きたいと思います。次が学齢期で、分け方がいろいろ書かれていますけれども、主として学齢期の括りでお話を展開できればと思います。学齢期という言葉ですけど、一応、小学校から高校までの幅広の年代を扱うとご理解していただければ幸いです。先生方から寄せられてきたご意見はやはりいろいろな書き方があるのですが、大きく3点に集約できるようでありました。まず、口腔保健習慣の自立・確立、そしてう蝕の地域格差の縮小、新しいところとしましては外傷による歯の喪失防止の3点があろうかと思います。そのほか、教育委員会と保健分野との連携等が、挙げられてきたご意見の中にはあったのですが、むしろどちらかと言うと、環境づくりに分類されてしまうこともあろうかと思います。これらのご意見を基にさらに議論を深めていこうと思います。是非、活発なご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 いかがでしょうか。はい、佐藤委員。
○佐藤委員 まず、ライフステージの区分け、いま先生のほうから学齢期ということで、小・中・高の児童生徒で、真ん中に学童期があって最後に学齢期、これは高校生を対象にしているというライフステージの区分けですが、例えば、学齢期をいろいろ括弧書きで区分けすると学童期、これは小学校をわたるのではないか、それから学齢期、これは小・中であれば小・中学校の児童生徒の表現がいいのか、その辺、何か文科省としてのご意見があればお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○三浦座長 よろしくお願いします。
○文部科学省 就学義務年齢については、学校教育法18条で小学校の6年間と中学校の3年間と決まっていて、学齢期というと、この義務教育年齢とほぼ同義に使われます。そのうち小学校で学齢児童、中学校で学齢生徒という言葉を学校教育法上ではつかっています。学童期という用語は法令上はつかっていない言葉ですが、一般的に小学校を指すと思います。因みに、この「『生きる力』をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」については、小学校、中学校、高等学校という分け方をしています。学齢期という言葉をつかう場合に、高校を入れる場合には高等学校を含むという言葉を入れないと誤解が生じる可能性があると思います。それから、ここに並んでいるように、「学童期」、「高等学校の学齢期」となると中学校が抜けてしまうので、その辺を注意していただければいいのではないかなと思います。
○三浦座長 非常にここら辺の言葉の定義は重要でありまして、どこを対象にするのかが、受け手側が違ったふうにミスアンダースタンディングする可能性があるので、ここら辺は詰めておきたいところではございます。幅広にご意見をいただいているときには学齢期、小学校から高校まで含めてという形になっているのですが、いまのお話ですと、やはりちゃんとただし書きをつけないといけないことがわかりましたので、是非まとめのときには注意をしていきたいと思います。
 それらのことを踏まえた上で、本題に戻りまして、実際にどういう方向性でいくのかといったところのご意見をいただきたいと思います。外傷による歯の喪失の防止が今回上げられてきているのですが、いままでですと、大体学齢期はう蝕予防のみが取り上げられることが多かったかと思うのですが、新しい分野かと思いますが、この部分に関してはいかがでしょう。安井委員、お願いします。
○安井委員 最近の傾向から、特に前歯部のう蝕によって喪失する歯牙というのは極めて少なくなってきているわけですが、一方それに対しまして日本スポーツ振興センターの結果を見ますと、ほとんど前歯の外傷によって喪失している歯というのは昔から減っていない。徐々には減ってきていますが減っていないという中で、前歯の外傷で喪失するということによる子どもに対する心理的な負担、あるいはその保護者の負担ということを考えますと、非常に大きな重要なポイントになるのではないかと考えております。
○三浦座長 どの程度が外傷によって喪失しているかといった基礎データというものは、何かあるのでしょうか。
○安井委員 それは、日本スポーツ振興センターの医療給付と、それから障害見舞金の給付のデータというのはしっかりございますので、各年度ごとに出ていると思います。また、スポーツ基本法という法律ができましたが、その中でも、安全なスポーツに対する支援という項目がございますので、歯科の場合はマウスガードというようなものも当然あるわけでございますから、それに対する教育と管理、両方に対応できるかと思います。
○三浦座長 マウスピースに関しましては、参考資料でいちばん最後に、「『生きる力』をはぐくむ学校での歯・口の健康づくり」という、文科省さんの資料がございますね。こちらの44頁のところからが、外傷にかかわるものが記載されているかと思います。参考までにお示しをさせていただきます。そうすると、やはり全国データもそういった資料を見て、計算すれば出るというような、いまのご発言ありましたので、現状値を把握することも可能かと思います。そのほか、何か。
○森崎委員 いま安井委員のほうからもありましたけれども、子どもさんのう蝕自体はかなり抑制されてきているという中で、あまり変わっていないのが先天性の欠除歯であるとか、そういったところですね。だから、それが子どもたちの発達、精神的な発達、あるいは場合によってはいじめとかといった社会適応への問題を生じる可能性があるということから、やはりその辺りもしっかり確認して、対応ができるような健診と対応ということを将来的には考えていく必要があるのではないかと思います。
○三浦座長 先天性欠如歯のデータとかエビデンスとかいったものは、何か統計資料等で把握できるのでしょうか。はい、井上委員。
○井上委員 先天性欠如に関しましては、私ども日本小児歯科学会のほうでもいろいろ調査などをしております。1本だけから含めますと、1割ぐらいのお子さんに欠如があるという状況です。ただ、やはり多数歯の先天性欠如になりますと、生活にもかなりかかわる部分がありますし、お子さんのいろいろな心理発達とか機能発達の面でも大きな問題が出てきますが、発現率としては非常に減ってきます。この何10年間でデータが出ておりますので、そういうものを提示しながら、必要のあることはできると思います。
○三浦座長 各専門学会は結構データを持っていらっしゃるということで、やはりこのプランを作るときで、非常に重要なこととして、関連学会と連携していく必要があろうかと思います。そこら辺の対応をとりながら、良い方向へ進めていきたいと思います。そのほか何かご意見ございますか。
○藤田委員 健康推進栄養部会の1つの審議会でございますので提起いたしますが、今の日本人の、特に若い人たちの栄養の摂取状況が非常に悪くなっております。今の20代の女性が痩せ志向のというトレンドがあるのだと思いますけれども、大体北朝鮮と同じぐらいのカロリーしか摂っていないということですね。それからその次に悪いのが30代の女性、その次に悪いのが20代の男性ということで、若い人たちのカロリーの摂取量とか栄養の摂り方というのが非常に悪くなっている。そうすると、その人たちが今度子どもを作って生んでいくわけですから、当然子どもの歯の形成なんかにもかかわってくるということで、学童期とか学齢期の時期にやはりしっかりこの食育に関する指導や啓発みたいなことをしていく必要が非常にあるのではないかと考えております。
○三浦座長 食育との連携を図るというのは、委員のご意見の中でも出てまいりました。いま藤田委員のご発言にあったとおり、若い年代の痩せの問題点、非常に大きな健康課題の1つになっておりますので、歯科の分野からのサポートが必要ということかと思います。そのほか、佐藤委員。
○佐藤委員 いまの藤田委員の話も含めてですが、先ほどの学齢期等の言葉の問題もそうですけれども、それから安井委員がおっしゃっていた外傷も、これは小学校・中学校・高校を含めた話になってきます。今後、そのライフステージの名称区分けを整理しながら、なおかつ食育、いまの話であれば思春期の課題となってきますので、その辺はもう少しライフステージに合ったものに今後整理していく必要があるのではないかと思います。
○三浦座長 まさしく食育の組み方を、ちゃんとライフステージごとにということであったかと思います。
○井上委員 思春期の女性の痩せ志向とその栄養摂取の問題というのは、以前、新健康フロンティア戦略に「女性の健康力」というのがあったと思うのです。そこのところでかなり取り上げられて、15から19歳辺りの痩せ志向というのがかなりデータも出ていると思いますので、そういう、ちょっと過去になりますが、データとの比較なども取り入れてよろしいかと思います。
○三浦座長 すみません。大内委員、待っていただいてありがとうございます。
○__ ちょっと食育の話はこれで。
○大内委員 ちょっと補足ということで、一応そういう学童期、学齢期等の学校保健のための社会的基盤とかいうことが書かれているのですが、もう少し具体的なことで。
 新潟県は12歳児の虫歯が全国一少ないということで、いわゆる集団フッ素洗口がかなりクローズアップはされてはいるのですが、実は保育所・小学校のフッ素洗口率だけを見ると今や新潟は全国でも特別高いという訳ではなくて。何をやってここまで来たかというと、6歳健診のシーラント、これを組み合わせて入れて、ここまで来ているということがあります。やはり、いわゆる学校保健現場とその地域の歯科医療機関の連携みたいな形の活動も重要だよというようなことで、是非入れていただければと思います。
 それから必ずしも学齢期だけの問題ではないのですが、学校健診のデータ自体も、都道府県によっては全学校分を県が集約しているところもありますが、全くそういうデータがなくて、いわゆる文科省が実施している学校保健統計の、抽出調査レベルのデータしか持っていない都道府県もございます。やはりこの辺は各都道府県、各市町村が歯科保健対策進めていくために、そういう既存のデータを集約評価していく体制というのも、第11条に関連する部分ということで、是非重要だということで入れる必要があると思います。
○三浦座長 重要なご提言だったと思います。今回、意外なことにシーラントがなかったので、シーラントの必要があるのではないかと思っていたところですので、先ほど大内委員言われたような視点から、地域医療連携の枠との組み合わせでシーラントを考えるというのは、非常に良い取組みではないかと思います。学校保健データをうまく活用して、地域での保健活動にも有効活用するということは大変重要な視点かと思いますが、部分につきまして井下委員はたぶん一早く取り組まれているかと思いますが、いかがでしょうか。
○井下委員 やはり基本的にその地域の評価をしていく、虫歯が多いのか、少ないのか、なぜ多いのか。そういうのを評価していこうと思うと、きちんとしたデータ整理ができていないと、なかなかうまくできない。ここのテーマとして地域格差というものが出てきていますが、それもデータがないと、地域格差があるのかないのかも、実際のところはわからない。地域の格差もあれば、ひょっとすると個人の格差というものも、もう少しきちっとやれば取れるのかなと。来年度、滋賀県はこれをテーマにして取り組んでいこうかなと思っているところです。
○三浦座長 学校歯科保健統計調査、非常にN数も多いし、良い統計調査なので、こういった情報を活用すると、地域格差のエビデンスというのはさらにきっちり出るのではないかと思います。ほかに何かございますか、安井委員。
○安井委員 大内委員の援護射撃みたいになってしまうのですが、この学校保健の場合は基本的には教育と管理というところが、協調が重要なのですが、学校で、いわゆるハイリスクの子どもの場合は、それに対する対応というのはやはり地域医療機関との連携が重要だと考えられます。それは学校保健安全法第10条にも、地域医療機関との連携というのがございますが、そういう点も含めて、学校歯科医と、それから一般の歯科医というのはちょっと連携が十分に取れているというふうにも考えられません。それと、そういうハイリスクの場合には、やはりそこでの保健指導というものが、生涯にわたるリスクの改善というところにもつながる可能性が大きいと考えられますので、是非その辺は確立をしていただいて。すべてが集団では解決できないという時代ではないかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○三浦座長 神原委員、お願いします。
○神原委員 歯科保健、特にう蝕ということを考えますと、学校での口腔保健の内容というのは成功していると思うわけですね。そう考えますと、10年後の学校健診をどうするのか。それに対して、ここでどういうことが提言できるかということを考えておく必要もあるであろうと考えますと、やはりフッ化物をどう応用していくかということも、ちゃんと声明として出しておく必要があるであろうと思います。
 もう1つは、う蝕の診査の問題があるのですね。診査をいまのC0を含めた内容でいくのかどうかもいま問われています。これで十分対応できるかということと、いまあるようなICDASの仕組みというものをう蝕診査として学校の現場で取り入れてもらうような方向へ行くことも考えておく必要があります。ICDASはう蝕の、いまのC0の中身をもう少し詳しく見ようというところと、活動性を判定しようというところに特徴があります。さらに
。それが将来的に、例えば1年後、2年後にう蝕になると、そういう予測性を持った診査というものに持っていけるかということも、1つの課題であろうと考えています。だから、先ほどの乳幼児のところでもそうですが、10年後こうなったときに、こういう口腔保健状態になったときにどういう対応ができるか。それに対する提言を加えておくべきであろうと思います。
○三浦座長 フッ素の応用が非常にう蝕の低減には効果を発揮するところなのですが、う蝕の地域格差を縮減するためには、やはりフッ化物の応用というのをうまく活用するというのは1つのやり方ではないかと思います。診査方法はちょっと研究開発の必要性が出てくるところなので、そういった手法を開発していくという取組みもこの法律の目指すところでもありますので、また今後の検討課題というところかと思います。
 そうしましたら、こちらの学齢期、かなりご意見をいただきましたので、次の成人期に移りたいと思います。
○神原委員 いま言われた診査のところで、研究をいまからやるというような状況ではないと、私は思うわけですね。例えば、いま12歳で1本になっているわけでしょう。その状況で、そしたらいま現実に学校健診何をしているのか、どういうことが本当に学校の歯科健診の現場で必要とされているかということを考えると、やはり診察の基準というものを明確にすべきであろうと思います。そんな悠長なことではないですし、もうそういう時代が来ているという認識を持たないといかんと思います。
○三浦座長 喫緊の課題ということですね、はい。そうしましたら次、成人期につきましてご意見を伺いたいと思います。資料のほう、1枚おめくりください。成人期も、非常に多様なご意見をいただきました。ありがとうございました。いろいろなご意見あったのですが、大きく分類すると、4点ぐらいに集約できるかと思います。生活習慣病対策を踏まえた歯周病予防の観点、そして歯の早期喪失の防止、そして歯周病健診受診者の増加、医科歯科連携、生活習慣病との絡みも出てきますが、そういったご意見が重複して見られております。
 そういったご意見をベースに、さらにここで優先順位やに追加のご意見等ございましたら、遠慮なく手を挙げていただきたいと思います。歯周病に関していかがでしょうか。医科歯科連携は、井下委員、滋賀県では非常に熱心にやってらっしゃるので、ご意見是非いただきたいと思います。
○井下委員 いちばん最初の会議でも申し上げたのですが、要は、いま年に1回歯科治療に通っている、この世代の人たちって、4割ぐらいになるわけです。大体4割の人はプロの目を年に1回通っていると考えると、一般的な歯科健診でやるよりも、いわゆるターゲットはしぼることが必要なのかな。ですから妊婦さんの健診であったり、糖尿病の療養している方の健診であったり、必要な健診を必要な人にやっていく、アプローチしていく形をとっていくことを思うと、やはり医科と歯科との連携というのは非常に重要になってくると。それは糖尿であれ、がんであれ、それから脳卒中であれ、そういうものに関してはこれからどうも進めていく必要がある分野だと考えています。
○三浦座長 ほかに何かございますでしょうか。大内委員、お願いします。
○大内委員 いまちょうど歯科健診のことが出ましたので、特に成人期の歯科健診の方向性としては、いま井下委員がおっしゃったように、いわゆるハイリスクアプローチという形で、歯科としてどういう対処をやっていくか。だから、妊産婦とかあるいは糖尿病・予備軍の人たちをターゲットにしていく、そういう方向は1つあると思います。それからもう1つ、第1回の専門委員会でも出ましたが、成人の歯周疾患健診の実施率が極めて低いというようなご意見が出ております。やはりポピュレーションの部分もある程度残しておく必要あると思うのですが、受診率がなぜ上がらないかと、その反省の1つは、やはり成人期の特に歯周病とかの有病率が高くて、検診を受けてもほとんど要精検ないし要治療になっていたところがある。これは佐藤委員からも頂くご意見だと思うのですが、日本歯科医師会でも、疾病発見からリスクファインディング、行動変容支援の重視ということで、いわゆる「生活歯援プログラム」の策定等をされていますので、やはり特に成人期について、そういう全体の成人に対する歯科健診のあり方として、いわゆる病気発見から、早期にリスクを見つけて行動変容を効果的に支援していって、そこで受診された方にも満足を、健診を受けると、「治療しなさい」と言われて帰るのではなくて、何か生活習慣を改善させるということを与えられて、それを達成できるというような満足を得て帰っていただくというような方向性も考えていかなければいけないのではないかと思っております。
○藤田委員 ちょうど9頁に、私の研究で『Gerodontology』という雑誌に出したのですが、江戸時代の歯の残存率というのを調べましたら、驚いたことに、壮年期・熟年期、ほとんど現代人と変わらないぐらい、歯をきちんと保持しているのですね。
 ところが、50歳以上ぐらいの高齢期になってきますと、とたんに歯がガクガクっとなくなっていく。これはもうおそらく歯周病によってなくなってくるのだろうと思うのです。
 私は人類学者ですから、ずっと縄文時代人とか古墳時代人とか見てきているのですが、縄文時代人でも早い年齢層からもう歯周病が出てきております。ですから、そういう意味では、いま大内委員もおっしゃいましたが、この成人期のときに適切な歯周病の予防と治療、あるいはそういうことに対する啓発活動、そういったことをすることによってかなり喪失歯を防いでいけるのではないかと、私は人類学の立場ですが、そう思います。
○三浦座長 堀井委員、どうぞ。
○堀井委員 成人期の場合、歯科の健康診断は塩酸・硝酸等有害業務に従事しているごく一部の人が対象となっています。その他1997年には厚生省から職場における歯周病健診の努力義務の通達が出され、2008年には歯周病疾患に関する労働者への配慮についての通達が出ています。今は歯の健康と全身の健康とか、歯の健康が全身の健康を左右して、その人の健康の源になっているのではないかと言われる時代です。是非、安衛法にも付け加えていただき、健康増進法と両方で対処していただきたいと思います。
 当組合が平成7年11月483名の歯科健診受診者の中から50歳代男性147名に対し歯の健康度と長期にわたる医療費の関係を見るため、歯の健康を健全歯数で分類したところ歯のいい人と歯の悪い人では、歯科医療費で22.6倍、総医療費においても、2倍の差がありました。
 歯科健診受診者調査では刷掃回数2回以上の割合が平成4年の47.95%が平成19年では74.5%、刷掃時間3分以上の割合が19.39%から46.00%とそれぞれ増加となりました。総医療費に占める歯科医療費の割合が被保険者では、平成元年16.6%が平成19年度では9.6%と減少しました。歯科健診を実施していない被扶養者に於いても波及効果があったと見られ、平成元年13.7%から平成19年では9.0%に減少しています。総医療費と歯科医療費の割合調査では、県内他社組合、県外同業他社組合に於いても、当健保は顕著に減少していました。これらのことからも、歯の健康は非常に大事、高齢期につながる、元気で長生き、自立でき自分の歯で噛めることを教育していって元気なお年寄りをつくっていくのに産業の場で頑張っていきたいと思っています。それには、産業保健から地域保健へ、そして高齢期につなげていく仕組づくりが必要でなかろうかと思います。
○三浦座長 いままでの活動のエビデンスを踏まえた上での貴重なご提言だったと思います。成人期の場合はやはり産業保健との連携というのは必須でありますので、そういったところの文言が、いまの案のところで抜けていたところかと思いますので、是非加えていきたいと思います。
 成人期、かなりご意見出てきました。時間が押していますが、最後に日歯の歯周疾患の対応プログラム、簡単に佐藤委員からご説明していただければありがたいです。
○佐藤委員 先ほど大内委員のほうからお話がございました件ですが、基本的にはいまの健診のあり方、検討会で議論されている流れに沿って進めていると思っておりますので、基本的にリスクファインディングはもちろん、それから行動変容支援しようというところは、全く特定健診と保健指導と方向性を一にしております。ただ、現在、健診の見直し検討会の中でも、動機づけ支援が非常にまだエビデンスとしては不足、もしくはその効果が不足しているというような議論があったりしておりますので、それについては基本的には歯周疾患に関してはリスクを中心に進めていくという考えを持っています。
 ですが今日さまざま議論のある中で、特に堀井委員からお話あった点は、10頁に記載がございます定期的な歯科健診の指導環境づくり、それから高齢期につなげるための体制を確保するという視点から非常に重要だと思っておりますし、プラス安衛法の話も出てまいったという点が大事かと。ただ、私どもが今後リスク中心と言っても、基本になるのはやはり疾病がどういう状況にあるのかということの把握が重要になってまいります。成人期の中で、計画もそれに基づく資料で「国民健康・栄養調査」が書かれておりますが、現行の6年に1度の歯科疾患実態調査で今後十分それに対応できるのかという点については、今後検討していただきたいと思っております。
○三浦座長 最後、データのところ触れられていましたが、疾病量の把握のところで「国民健康・栄養調査」、1つの重要なソースなのですが、主観をベースとしておりますので、しっかりと歯科専門職が疾病量を把握する機会というのは「歯科疾患実態調査」だけということになります。これが6年に1回というところで、どちらかというと、現代のように流れが速い時代というと、もうちょっと間隔を短く、例えば5年に1回ぐらいになってくれると、非常にこういった健康づくりにも活用できるところかと思うところであります。ありがとうございました。成人期、非常に有益な意見交換ができたのではないかと思います。
 そうしましたら、高齢期に移りたいと思います。高齢期につきましてもさまざまなご意見をいただきました。多くの委員の皆様方が挙げていらっしゃったのが、「口腔機能の向上」。「機能低下の抑制」と書かれていた方もいますが、結局は口腔機能の向上、そして、定期的健診受診者の増加、全身の健康との関連性を踏まえた上での歯科からのアプローチという3点を挙げていらっしゃる方が多かったと感じております。この点を踏まえまして、さらに意見をいただきたいと思いますが、植田先生、よろしくお願いします。
○植田委員 平成18年に、例の地域支援事業というものが制度化されていますので、やはりこれにある程度、行政と組み合わせながらやる方策があっていいかなと思います。いまおっしゃったように、機能ということが1つ重視されていて、それに乗っかるような形で、当然普通の歯科健診ということ。いわゆる虫歯だの歯周病だの入れ歯だのという一般的な歯科健診、それから2番目にその口腔の機能というもの。もう1つ加えていただきたいのは、やはり栄養という観点を入れてもらいたいなと思います。
 最初の虫歯だの歯周病などに関しましては、健診後の対応としてはそれこそ高齢者であってもフッ素塗布ですとか、あるいは中にはシーラントがあってもいいと思うのですが、そのような形の具体的な方策というものも組み入れるのがあってもいいかなと思います。
 やはり地域支援事業に関しましては、まず健康な方が対象ですから、健康なうちから既に健康観というものをしっかりと啓発、普及、認識という努力をすべきであろうかなと思います。地域支援事業ですと、行政が全面的に出てやるわけですが、しかし行政だけの対応ではとてもやり切れない部分があるので、これには当然歯科診療所が参画できる制度にもなっています。ですから、具体的に2次予防にしても、1次予防にしても診療所単位でやるような施策というものを具体的にもう1回考え直していただきたいと思います。そして人生はやはりもう90年ですので、単に脳卒中になってはいけないですとか、認知症を予防しなければいけないというような考え方ではなく、それももちろん大事なのですが、やはり脳卒中になっても、あるいは認知症になっても決して不幸でもなく、不健康でもなく健康に暮らしていけるんだという健康観というものを、もう1つ健康なうちから加えていただくような普及、啓発があってもいいかなと思います。
 そして要介護のほうも少し触れさせていただきますが、期せずして要介護状態になってしまったようなときに、例えば虫歯1つとっても、崩壊した口腔内に、要介護高齢者などはやはりなっているわけですが、これは徐々にというよりも、明らかにターニングポイントがあるのですね。例えば、自分たち病院勤務の人間ですと、救急車で搬送されてきた急性期の段階におさえておかないと、確かになし崩し的になるという印象は当然あるのですが、かと言って、いきなり集中治療室でどうのという話ではないので、少なくとも生活の場に戻ったときに、それこそ介護保険受給時ですとか、あるいは車椅子を利用した時点でですとか、そのようなターニングポイントのところで、しっかりと歯科的な介入なり、健診というものを入れることによって、そのなし崩し的な状況、なし崩し的な状況というのはもう1カ月、2カ月単位で、あっという間に歯が欠けていくような状況になるので、そこをまずおさえていくような介入施策、健診等も含めてあっていいかなと思います。
 このような要介護高齢者に対する目標設定ですが、先ほど「8020」というような実態調査。しかし、やはり脳卒中ですとか、認知症ですとか、そういった障害を持たれた方に特化した実態調査というのはほとんどないと思います。地域的には、部分的にはあるのですが、スタンダードになっているデータがまずないと思います。ですから、まずそのような実態というものを1回、今回の保健法も含めた中で実態調査を全国規模でしていただいて、そして脳卒中患者さんになった方に対する、あるいは車椅子になった方に対する8020的な目標設定というものを新たに設定できるかなと。もう1つは、そういう形態的な歯の本数の設定に加えて、さらに機能に関する目標設定、例えば8020的な80何とかかんとかといったような、そのような機能に関する具体的な組みしやすい目標設定があってもいいかなと思います。以上です。
○三浦座長 健康な高齢者対応を主とする高齢期のところから、要介護者のところまで含めての高齢者全般のお話だったと思います。非常に具体的なご提言がなされたと思います。そのほか何かございますか。金澤委員、お願いします。
○金澤委員 高齢期から、また要介護者ヘと続く流れで、目標や計画にかなりたくさんの項目が挙がってきまして、これを一つひとつどのように実現していくのかというのは大変大きな課題だと思うのです。こういったことをやはりトータルで支援していくという体制として、口腔保健支援センターなり、訪問口腔ケアステーションのような、何か地域にそういうものがしっかり位置づけられないと、総合的な推進が難しいのではないかと感じています。歯科口腔保健を総合的に推進していくための拠点づくりということも計画の中に入れていただきたいと思います。
○三浦座長 実際に活動していく上での拠点づくりの重要性という部分のご指摘でした。また後で要介護者のほうをやりますので、とりあえず健康な高齢者を対象とした高齢期のところでご発言いただけると、大変助かりますが、いかがでしょうか。大内委員、お願いします。
○大内委員 いまの議論、たぶんほとんど要介護者を中心にきてしまっているのですが、やはり90%の健康な高齢者の人たちにはいまのような話よりはもう少し前向きな、委員のご意見の中でも「健全な食生活と言語コミュニケーション」とかが出てきておりますので、健常な高齢者についてはそういう役割で、口腔の機能をきちっと保っていくことが健やかな質の高い生活につながるんだよと、そこをまず十分全体に周知しておかないといけないと思います。現在の問題は、要介護になったときに口の問題は後回しにされる。そこのやはり価値観が低くなっているので、ほかのことを先にやるけれども、口の問題は後回しと。そこにいちばん根本があると思いますので、やはり高齢期でもしっかりと噛める、食生活を楽しみ、会話を楽しめるということを、まず第一に打ち出しておくべきだと思います。
○三浦座長 健康寿命延伸、QOLの向上の面からも、非常に重要な視点かと思います。
○神原委員 いまの大内委員の意見に全く賛成で、健常老人というものに対してどう対応できるかは重要な視点であります。日本を世界の中で見たときに、超高齢化社会、高齢化率1番というところにきています。それに対して、まさしくこの法律でどういうことが打ち出せるのかということが、非常に注目されていると思うのですね。どういうことができるのか、私もずっと考えているのですが、非常に難しい。エビデンスがなかなか取ってきにくいということがあります。10年後考えても、確実に、団塊の世代が高齢者になって、そういう社会になっていく中で、歯科からどういうアプローチをするか。先ほど金澤委員からありました保健センターを利用するとか、あるいは老人クラブとか、そういう健常老人が集まっている老人クラブなんかとコミュニケーションをどうとるかということとか、その中で、果たして何ができるかということを整理しないといかんなと、私は思っているのですが、まだちょっとできていないというところが現状です。是非知恵を出していただいて、組み込んでいただきたいと思います。
○三浦座長 ありがとうございました。高齢期はかなりのご意見をいただきましたので、次に要介護者のほうに移りたいと思います。もうすでに要介護者のほうも、かなりのご意見をいただいているところですけれども、今までいただいた意見に加えて、どこを重点的にするのか、どのようにターゲットを絞ったらいいかも含めて、是非ご意見をいただければと思います。委員の皆様方から寄せられた意見では誤嚥・窒息の防止、経口移行の推進、口腔ケアの推進といった3点が、比較的重複して見受けられたところです。ご意見をいただければと思います。
○大内委員 先ほど植田委員から、急性期病棟に入院してから退院後の時点で対応をという、若干遠慮したようなご発言があったと私は理解しているのです。しかし病院から在宅へ移るときにかかわれないと、その後にフォローするのは行政も難しいのです。要するに、退院するときに情報をつかめるかどうかです。やはり急性期の入院した所で関われるようにしておかないと、なかなか難しいと思います。ですからそこは遠慮せずに、やはり急性期のところから歯科がかかわれるようにする。これは私の自論ですが、いちばん確実なのは病院歯科をもっと増やしていくようなことをしていく。いわゆる急性期の病院において、入院中から歯科がかかわれるような体制をつくっていかないことにはなかなか進まないのではないかと思います。介護の問題はどうしてもトラブルが起こってから対応するという形になってしまいますので、できるだけ川上で対応できるようにする。そこがやはりいちばん重要なところかと思っております。
○三浦座長 退院時指導に歯科がなかなかうまく絡まれないことも多いので、非常に重要なご指摘かと思います。植田委員から追加のご発言はありますか。
○植田委員 ストレートに言わせてもらえれば、まさにそういうことです。実際に「退院時連携指導料」というのもあるのですが、その利用率が全くないに近い状況ですので、そこにしっかりと介入できるような雰囲気をつくってもらいたいと思います。残念ながら病院歯科というのは、いま年々減っている傾向なので、これを何とかどうなのかと。やはり実際に歯科として働いている人間にも責任はあって、採算のことも含めたり、単に虫歯のフォローだけで終わってしまったりというのは、一般の医科からのニーズとしてはそぐわないのです。ですから、そういったケアやリハビリのスタンスを備えた人間が病院の中に入っていないと、歯科のニーズに正式に応えられないということもあります。そういう部分でも人材を育成した上で、病院歯科をさらに確立していくような方法が、ひとつ必要ではないかと感じています。
○森崎委員 ここで言う要介護者というのは、基本的に介護保険等が対象になる方で、その年齢の方ですよね。
○三浦座長 そうです。
○森崎委員 小さなお子さんや若い人の場合、ここでは一応除外して考えるということですね。
○三浦座長 一応そういう区分けです。
○森崎委員 どこかにそれを書いておく必要があるのかなという気もするのです。ここでは全部含まれているような気もするのです。
○三浦座長 歯科口腔保健法の条文の中ではそこら辺がクリアでなくて、議論しづらいところもあったので、ここでは分けてステージをつくっているという形です。
○井上委員 先ほど病院歯科の話が出ましたね。私も大学病院に勤めております。私どもの大学は、歯科は1つだけですけれども、関連7病院があります。今までの病院歯科というのは歯科口腔外科というか、外科的な処置とか、どちらかというと口腔ケアの専門ではなかった部分があるのです。私どもの大学では歯科口腔外科と口腔ケアセンターというのを併設して、そちらに衛生士が派遣されたり、歯科医師が派遣されたりして、病棟の口腔ケアも引き受けております。そういう意味では今、うちの病院では歯科の設立が増えております。病院歯科が本当に減っている状況もあるのですけれども、必要性を訴えながら増やすためのきっかけとしても、口腔ケアやリハの部分で責任を持てる人材をちゃんと派遣できるシステムが重要かと思います。
○三浦座長 ご意見をいただいた14頁の最初の所に、ちょうど総合的に「歯科保健、介護、医療サービスが適切に受けられる体制を構築する」というのがあり、丸めて言える所ではないかと思います。やはり人材の育成というのが、この分野では非常に大きなウエイトを占めるところかと思います。
○安井委員 基本的に要介護の皆さんの場合には、医療の連携と情報の連携という2つの項目がないと、たぶん現場では混乱するのではないかと思います。一次、二次、三次という医療の連携というのは、昔から言われているわけですけれども、歯科の場合には、どうしても一次医療機関に対する、開業医の先生方に対する負担が大きすぎて、そこで何でも解決しようといっても無理がある。二次、三次の病院歯科や高度の歯科医療機関に搬送するといっても、そういうシステムもなかなか難しいということになりますと、やはり医療連携というシステムを構築することが1つだと思います。
 また、例えば口腔ケアの専門職としての歯科衛生士の育成と言いますか、人材が専門職としてそこにきちんと位置づけされるような、そういう手立てが必要になってきます。そういうことが両面で一体となって行われないと、医療連携の構築は難しいと思います。それと、急性期から亜急性、緩和という中での情報連携が、それと一緒に追随して出てこないと、在宅であるいは訪問でという医療実態もそぐわないのではないかと考えます。
○三浦座長 まさしく医療と介護の切れ目ない連携をしていく上で、歯科の分野で必要なところをコンパクトにまとめていただいたご発言だったと思います。
○佐藤委員 いわゆるライフステージの区分けからいって、要介護の問題と障害者の問題と、もう1つ加えるのであれば、有病者の問題という視点があると思うのです。それが同時的に議論されている中で、病院歯科の議論はまさに減っているという状況、危機的だという理解でよろしいと思います。そういうことを何とか改善していくべきだとなってきますと、それをもうちょっと強く言える場面というのが、要介護者の場面がいいのか、障害者の場面がいいのか、高齢者の場面がいいのか、ライフステージに特化しないほうがいいのかというところは今後ちょっと。今日はライフステージの話ばかりにこだわっているわけではないのですが、これらの区分けの中で考えていく必要があるのではないかと思います。特に歯科における高次、いわゆる二次、三次という考え方がなかなか理解されてこなかったという過去の現実も考えていきますと、ステージをどう考えていくかというところが、主張として大事な部分になってくるような気がします。
○三浦座長 確かに環境や体制のところで、一元的に持って行ったほうがいいようなところもあろうかと思います。かなりご意見を出していただきましたので、次に障害者のほうへ移りたいと思います。16からの資料です。こちらに関しては、それぞれの目標計画は多様なご意見ですが、目指しているところは皆さんほとんど同じで、「障害者のニーズに基づく歯科保健医療サービス提供体制の構築」の一文に尽きるかと思います。障害者対策の部分について、ご意見をいただきたいと思います。
○森崎委員 障害者については、かなりいろいろなことが書かれております。いわゆる「障害者」と言ったときに、その捉え方をもう少し広い意味にする。最近は「スペシャルニーズ」という表現をしています。「何らかの特別な対応を必要としている対象」といううように捉え方を広くする。障害者という狭い範囲で、我々の言う障害者だけを対象にしている歯科医師、歯科衛生士、医療関係者ではなくて、もう少し広くたくさんの人がかかわっていくと。
 計画の1の?に、「障害者歯科に関する人材育成のための研修」というのがありますけれども、人を増やしていくことが重要ではないかと思うのです。特に最近の発達障害児の問題ですと、我々がいちばん苦慮するのがボーダーラインのケースです。子どもの早い段階で、ボーダーラインのケースに色分けすることは難しいですから、学校歯科、幼稚園、保育所で、たくさんの人が発達障害児の発達、発達障害者の問題を理解してかかわっていく、育てていくという視点が必要ではないかと思います。
 それと同じことが、成人で言えば最近非常に問題になっているうつ・統合失調症も含めた精神障害です。特にうつ・統合失調症ですと、急性期の問題、社会適応への訓練の時期、社会に適応していくという過程があるわけです。その段階で精神障害の人たちがより心の負担にならないような対応で、しかも健康が保障されるようなということになりますと、やはり通院施設、あるいは入院施設での健康増進のための人材と制度をつくっていくということです。そこがここでは抜けていたのではないかと思いますので、成人期の精神障害の問題とボーダーラインの発達障害が、重要なポイントになるのかと思います。
 それと、このごろの少子化の中で、将来の社会を担う子どもたちをいかに育てていくかという視点から考えたときに、医療の制度の問題ですね。日本の医療制度は歯科も医科も含めて、子どもあるいは発達期に対する十分な手厚い保護をしているかと言いますと、障害があるかないかにかかわらず、必ずしもそうでない。アメリカですと、もし障害があれば21歳までは教育も完全に保障します。歩行型の医療制度も含めて、そういったところをもう少し将来的に検討していくことが必要ではないかと思います。
○三浦座長 発達障害、精神障害は確かに抜けておりました。ご指摘ありがとうございます。
○井下委員 たぶん今、国のほうで医療法の改正の議論がされていると思います。その中で、今まで「4疾病5事業」と言われていたものが、精神障害を含めて5疾病5事業になっていくだろうという流れがあるようです。ですから、ここの議論だけではなくて医療法の中での、医療計画の中での議論で、精神障害者への支援の中に、歯科的な支援というものも明記していただくような方向性を、是非要望としてこの会議から出せたらと思います。
○森崎委員 精神障害者あるいは障害者・障害児と健常者との間の部分、境界領域(ボーダーライン)への対応というのが、やはり非常に重要ではないかと思っています。将来、うまく育つ可能性のある子どもたちが、発達期の対応がまずかったためにうまく育てることができなかったということがある。それは歯科保健の面でもそうだと思います。精神障害を持っている人たちも、境界領域の方に対する対応によって、本当の精神障害者になってしまう可能性もある。今度復帰したときには、もう口の中がボロボロになっているとか、日常生活や社会生活に適応できないような状況ですね。例えば就業するにしても、そのような状態では、とても社会適応は難しいですよというような状況もあり得ますので、ボーダーラインは我々だけではなく、歯科医療あるいは医療保健のすべての人たちがかかわり、知識を持って啓発する、あるいは自己啓発も含めて対応していく必要があるのではないかと思います。
○佐藤委員 医療計画で今回、4疾病から5疾病に変わって、5疾病の中の精神疾患として取り上げられている歯科の、原案として出されている位置づけは、身体合併症の1つであり、それに対応する歯科の医療機関をそこに位置づけるということが出ております。同時に歯科側が歯科医師として、精神疾患を持つ人の身体合併症の1つとして、歯科口腔疾患があるという位置づけで対応していくのだと。ましてや精神疾患を持っている方たちの入院の場等においては、歯科疾患が多いということも一部では知られていると言うものの、歯科側が果たす役割と同時に、医科が歯科に何を求めるかというのは、より明確にしていく必要も感じざるを得ません。
 いまのグレーゾーンだけではなくて、特に今回の医療計画の中では、認知症等も含めて、より精神疾患ごとの詳しい説明をすべきだという対応がされています。その疾患ごとに歯科に何ができるのかということ、逆にどういう実態を医科が把握しているかということが、両方が相互的に理解し合うという関係、もしくは協力し合う、連携し合うという関係にならないといけないと思っています。ですから、いまの医療計画も含めて合わせた対応が必要だという点では、私もそういうように思っております。
○三浦座長 精神疾患について幅広く言いますと、認知症も入ってくるわけですけれども、認知症者に対する対応等について植田先生、追加のご発言がありましたらどうぞ。
○植田委員 認知症に関しては、やはり障害者の部類に入ってしまうのでしょうか。というのは、精神科が認知症を担当している国は日本だけなのです。本来、精神科のスタンスでは、認知症は診られないと思うべきことだと思います。やはり生活という視点に立たない限り、認知症の方には触れ合えないと思うのです。一般医科として日本の場合は精神科が診ているから、それに合わせるという方向もあります。しかし歯科からは精神科領域に入れるような発想ではなく、やはり生活支援という立場で診ていくという発想を発信して行っていただきたいと思っています。
○藤田委員 私は、東京都のある研究所の歯科の先生とお話したのです。その歯科の先生がいわゆる神経病理を担当している先生から聞いた話ですと、精神科において臨床診断と病理診断の食い違いの差が、いかに大きいかということを聞かされてびっくりしたというのです。つまり、臨床診断でこれは何型の認知症だとか、アルツハイマー型の何々というように診断するわけですけれども、実際にその方が亡くなった後に病理解剖をしてみると、全く違う診断名が付くことが多々あるそうです。そういった意味で精神疾患に関しては、非常に難しい部分があるかと思います。
 それから、ボーダーラインの方も難しいという気がします。異常とは何かを問うことは、正常とは何かを問うことと等価だと思うのです。どこからどこまでが正常で、どこからどこまでが異常になるかというのを決めるのは、かなり難しいことです。そこのところは確かにケアしていかなければいけないと思うのですけれども、そこの判断をどういうように下すのかというところで、非常に難しい問題があるのではないかと感じております。
○三浦座長 要介護者にも共通するところですけれども、障害者(児)に関しては、全国レベルの実態調査というのはほとんどやられていないので、この部分のデータが不足しているというのが、非常に大きいのではないかと思うのです。やはり今後は、そういった調査・研究も必要になってくる可能性もあるのではないかと思います。あと何かございますか。
 それでは、次の妊産婦のほうへ論点を移したいと思います。妊産婦に対する対応ですけれども、実は今各地で制定されている歯科保健推進条例でも、妊産婦への対応はあまり取り上げられていないところで、ここで論議することは非常に意義のあることかと思います。いくつかのご意見をいただきました。大体共通した項目が多く、19頁の最初に書かれている意見に、ある程度収束できるかと思います。「妊娠期の歯・口の健康維持を通して安心・安全な出産をサポートするとともに、出産後の母子の歯科保健行動の確立を図る」にプラスアルファーで、妊産婦期に顕著に認められる歯周病のコントロールを行うべきであるという所が、共通した論点だったという感想を持っています。このことを踏まえて、さらに追加の項目、あるいは優先順位等をご議論いただければと思います。
○井上委員 これは妊産婦そのものではないのですけれども、私どもが考えているのは、学齢期後半のいわゆる思春期からの痩せの問題とか栄養摂取の問題が、やはり妊産期のリスクの要因にもなってきます。ですから、こことの連続した流れの中で、妊産期の歯科口腔の健康、全身の健康というのが捉えられることが非常に重要かと考えております。
○金澤委員 若い女性というのは成人期、例えば職場に圧倒的に多数いると思うのです。そうしますと、成人期の中で妊娠の可能性のある年齢層を対象にした保健指導で、母性教育も含めた指導が行われるときに、職場でも、その辺に歯科口腔保健を重ねて、この問題を強調していくことも大切かと思います。
○三浦座長 女性の健康状態の向上を踏まえた上でのアプローチが重要というご意見だったと思います。これに関連した事柄について今、母子手帳の改定をやっているかと思うのです。事務局のほうで母子手帳の改定に関して補足情報などはありますか。
○医政局歯科口腔保健推進室長 いま、母子手帳の改定にかかる検討会が行われています。その中身については先日、各自治体にお知らせしているところです。その検討会の中に佐藤委員も含まれておりますので、できれば補足説明をしていただけたらありがたいと思います。
○佐藤委員 1月13日にすでに省令部分、市町村への通知等の任意記載部分が発出されております。中身については10年ぶりの改正ですので、歯科に関しては数十項目出したうち、かなりの部分を追加していただきました。ただ、省令部分については大臣告示ですので、結構難しい部分もありました。任意記載部分については、かなりの部分が記載できたと考えております。要は歯科医師がこれをどう使えるか、どう活用するかということが最も重要な部分です。記載されているものは、もちろん市町村にとっては重要な部分ですが、今後、母子健康手帳を歯科医師がどう活かすかということは、歯科医師側の問題、歯科衛生士側の問題もあります。学会を含めて、これをどう活用するかという活用方法について、早急に検討を始めているという状況にあります。
○森崎委員 母子健康手帳というのは、世界中で日本が誇れるものの1つだと言われているので、これを是非とも充実させていただきたいと思います。私は最新のものをチェックしていないので、誤解があるかもしれませんが、母子健康手帳の歯の絵が、実際の歯の形とはかなり違ったように思うのです。もう少し本当の歯らしく、きれいな絵にして、お母さんにしろお子さんにしろ、理解しやすいものにしていただけたらと常々思っております。
○佐藤委員 ご指摘のとおりです。任意記載部分の歯の絵は消えて、いまは歯式の形になっております。あと、歯の状態が「汚い」とか「きれい」という非常にプレッシャーのかかる表現も、全部改定されております。「汚い」という所にマルが付くことは、今後はなくなると思います。
○三浦座長 そういった母子健康手帳の改定も踏まえて、具体的にそのスピリッツを活かすような計画を、やはりこの委員会でもやっていきたいと思います。あと、ご意見はございますか。
 それでは、次に最も多様な意見が出された体制・環境づくりに移ります。21頁からです。大変多様な意見ですので、24頁まで意見が書かれています。ここの部分は各ライフステージや対象者別のアプローチについて、体制・環境づくりのほうがふさわしいのではないだろうかという項目出しも、すでに委員から出されております。それ以外のものに関して、ここで不足しているもの、抜けがあるもの、あと特に強調したいもの等について、是非ご議論をいただきたいと思います。
○金澤委員 たぶん中に入っているかもしれないのですけれども、学齢期、成人期、高齢期のすべてを通して、かかりつけ歯科医機能と密接に連携できるような仕組みがきちんとされていないと、それぞれが分断されていくという感じがします。例えば、歯科衛生士も含めて、人材は圧倒的に歯科診療所にいるわけです。ですから地域や医療・介護と連携したかかりつけ歯科医機能を強化して、それを積極的に活用していくという視点が、必要ではないかと思うのです。そういうことも付け加えていただきたいと思います。
○三浦座長 そのほかにご意見はございますか。かかりつけ医の活用ということで、佐藤委員から補足はありますか。
○佐藤委員 行政への歯科保健専門職の配置、歯科医師、歯科衛生士を含めたということは、21頁の記載のとおりで、非常に重要な点だと思います。書き込むとすると、それらの体制の中で、地域のかかりつけ歯科医と行政が連携してという位置づけになるという方法が、私はふさわしいと思います。私が委員意見として申し上げてきたいちばんの中心は、やはり都道府県の行政がそれぞれの地域の状況を把握して、それを厚生労働省とインターラクティブな関係を持って進めていき、それが地域の格差を解決する方法にもなるし、地域でやっていることを国が知らないということがないようなものをつくっていきたい、という部分が記載されていると思います。ただ、私も整理が必要だと思います。21頁を見ても「社会的な基盤」という項目だけでも、だいぶかぶっている所があると思います。人をどう配置していくか、そしてその関係をどうつくっていくかという部分が重要だと思っています。
○三浦座長 いま行政歯科専門職の配置と、人材育成についての言及があったのですけれども、その件について井下先生、コンパクトに数分でまとめてお願いします。
○井下委員 一般に「地域保健活動」と言われているものを歯科的にやっていくのが、歯科の専門職ということですけれども、歯科というのは非常に特殊性があるので、やはり歯科の専門職としての歯科保健担当者を配置することが、非常に大きいのではないかと思います。前回も申し上げたのですが、特に歯科というのは歯科保健法にあるように、母子から介護まで貫いて、それを歯科でやろうとすると、いろいろな部局との調整も要るわけです。それは知事部局外の人もいれば、知事部局内の人もいるわけです。そういう調整をきちんとやっていこうと思うと、かなりのスキルのある人が要求されるので、そういう人たちをまず配置することと、人材を育成していくということ、この2つが必要になってくるのではないかと思っています。
○三浦座長 まさしく調整能力を有する人材の育成というのは、地域医療連携においても大きな役割を果たす人材になろうかと思うので、非常に重要なご指摘だと思います。そのほかのご意見はありますか。
○大内委員 別添資料の佐藤委員のほうには入っているのですが、こちらの資料で大きく欠けていると気付いた点を、2点提案してご議論いただきたいと思います。1点目は、検診のことは条項にもいっぱいありますので、いろいろ出てきているのですが、そのデータの活用ですね。施策実施側の有効活用としては、その話は出てきていました。一方で、先ほど母子健康手帳の話も出ていましたけれども、ご本人たちの側の生涯を通じた活用という意味で、そこを歯科はどう考えるか。実は、医科のほうではさらに一歩先へ進んで、どこでもマイ病院みたいな議論がされています。しかし、ここには歯科が全然入っていません。ですから、この辺をどうするか。追い着けないから、とりあえず歯の健康手帳というものを、ここで提唱するのかといった視点が欠けているというのが1つです。
 もう1つは皆さんも重々あって、たまたま今回の委員提出資料から落ちているだけだと思いますが、推進基盤ということでは、地域での行政を中心にした体制づくりですね。歯科口腔保健法の制定に先立って、都道府県市町で条例の制定が進んでいる部分がありますので、そのための歯科保健を推進する基盤としての条例、あるいは計画というものをきちんと作ってもらうというのは、当然盛り込んでいかなければいけない内容だと思います。この2点を追加してご議論いただければと思います。
○三浦座長 非常に重要なご指摘だったと思います。私どもは健診データの活用というと、どうしても専門職が活用するほうを考えてしまうのですけれども、国民の皆様ご本人が有効活用できるような情報還元というのは、これから非常に必要な概念です。あと、歯科の場合は歯科保健推進条例が、いま多くの所で制定されています。そういった活動を是非バックアップしていくような体制づくりというのが、非常に重要なところかと思います。あと、ここだけは言っておきたいということも含めて何かありますか。
 では、私から1点。23頁の中段ぐらいに、「社会全体が一丸となって環境整備を行う」ということで、これ自体はほかの所とかなり重複しているのですけれども、具体的な目標設定は非常に面白い視点で、より踏み込んだ、企業を巻き込んだアプローチというのも書かれております。場合によっては環境整備を行う場合、WHOが最近出している考え方でソーシャルレスポンシビリティー、社会的責任を企業が負っております。このSRIの見地から、企業にも応分の社会的責務を果たしてもらおうということを、最近、WHOが NCD対策でよく言っているのです。状況によっては、これがダイレクトにすぐできるわけではないと思いますけれども、企業を巻き込んだアプローチというのも、今後は考えていかなければいけないところではないかと思いました。それ以外に、あと抜けている部分などはありますか。
○大内委員 細かい話ですが、これは非常に面白いと思って私も見ていたのです。実は、某大手飲料メーカーにいる友人から聞いたことがあるのですが、甘味飲料水の砂糖が代替糖に切り替わってきています。「なんで」と聞いたら、価格の問題が大きい。代替糖のほうが安い。このあたりは、TPP等も関係しそうで、大きな意味でも社会環境ということですが、具体的に書くには難しい部分かと思っております。
○佐藤委員 ちょうど10年前にこれを調べたことがあります。「C」で始まる大手の清涼飲料水メーカーが、日本で初めてトップのシェアを譲ったのがお茶だったという話でした。そこから砂糖の話が急にどんどん出てきた。これを調べるのは、あっという間にすぐです。事業に関する組合がありまして、そこに10年、20年のデータは全部揃っていて、提供も自由になっていると思いますので、データは集まるような中身になっていると思います。
○三浦座長 佐藤委員からご発言のあったとおり、清涼飲料水のシェアが、シュガーレスのもののほうが売れるというところで、そういう対応がなされているわけです。ですから「社会一丸となって」ということが、自動的にできていたというところもあろうかと思います。ご意見、ありがとうございました。そのほかにご意見はありますか。
○森崎委員 今回の歯科口腔保健推進法でいちばん大きなことの1つが、口腔保健支援センターだと思うのです。これはどのような形のものを想定していくのか、あるいはその雛形みたいなものがあるのか。例えば、24頁にもありますように、「口腔保健支援センターでの研修の実施回数の増加(第15条)」と書いてあって、その横に「都立心身障害者口腔保健センター」と書いてあります。「口腔保健センター」あるいは「口腔保健支援センター」と言ったときに、どういうものをその中に含んでいるかというのが、それぞれの歯科医師会、自治体、行政等によって内容が異なっていたり、呼び方がいろいろあったりするのです。私の領域ですと、障害者歯科の場合は「障害者歯科センター」と言っていたり、「口腔保健センター」と言っていたり、「口腔衛生センター」と言っていたり、いろいろな呼び方があります。その名称が地域によって異なっているというのは、混乱を招くことになりかねないと思います。その辺りの要望をどういうようにするか。地域であまり差がなくて、国民にわかりやすい表現をどうするかということを考えておく必要があるのではないかと思います。
○三浦座長 いま既存のセンター等、いろいろなお話がありましたが、この件について、事務局から補足することはありますか。
○大内委員 自民党提出法案の作成に少しかかわったという経緯があり、この条項についてはこう理解しています。口腔保健支援センターというのは、あえて、これまでの口腔保健センターとは別というものです。都道府県及び政令指定都市レベル、保健所設置市レベルに設置すると。要するに行政の機関であるということで、書いてあるのは情報収集・提供、研修というところに絞り込んでいるのです。ですから森崎委員などが言われた実際の健診や治療行為もやっているような従来型の口腔保健センターとは別のものだということです。
 基本的には行政の歯科保健対策をコーディネートする機能を強化するという意味で、保健所に併設するというか、保健所の部門として歯科専門職の役割を位置づけることをイメージしてます。要するに、保健所が地域の歯科口腔保健についてコーディネートするということです。情報収集をして、ちゃんと評価しながら支援していくという役割を担いなさいと。そういうことをやるためには当然、歯科専門職が必要になってくるだろうという意識で、これをあえて従来の口腔保健センターとは違う名称にして位置づけたという経緯があります。
○医政局歯科保健課長 口腔保健支援センターというのは、正直言って後付けで出てきた経緯があります。確かに当初の民主党案にはなくて、昔の自民党案にあって出てきたものです。実は、これにはそもそも昔の経緯があります。大昔のことを言えば口腔保健センター自体も、う蝕予防に関する法律を作ろうとしたときのなごりです。いままでも日歯からのご要請、ご要望などもあって、行政サイドで昭和40年代の前半から後半にかけて、歯科保健問題懇談会という会議を持って検討された経緯があります。その際も実際に口腔保健センターというものが出てきたという経緯があります。そのために口腔保健センターと口腔保健支援センターというのは、非常にわかりづらい定義になりがちかという気がしております。
 ただ、今後どういうようにするかです。法律上はこういうようになっていますが、現実的に現場サイドはどうしても、口腔保健センターと口腔保健支援センターということで一致した見方をしがちな面もありますし、将来、運用面でどうしていくかというのも課題が残ります。したがって、こういう位置づけはされていますが、現時点でどうこうというのは、まだ言い切れないところではないかという認識をしております。
○三浦座長 私も分かりづらかったところなので、背景も含めて非常にクリアになりました。そのほかに体制・環境づくりについて、ご発言はありますか。
○大内委員 地域の連携体制みたいなものが、いろいろな所で出てきているのですが、そこで表現するときに気を付けていただきたいのが、よく「歯科何々のネットワークをつくる」というのがありますね。いちばん分かりやすいのは、要介護者のところで地域歯科保健のネットワークをつくるということがあります。一方で、現実には地域ケア体制とか連携クリニカルパスということで、全体で保健、医療、福祉をつなごうということで動いています。歯科の中で機能分化して独自のネットワークをつくったり、歯科医療機関同士の連携はもちろん大切だと思いますが、大きい傘は基本的に地域全体の中に入っていくべきだろうと。そういう視点で位置づけておかないと、歯科だけで別のものを立ち上げるということでは今後は実際問題として機能しないと思いますので、そこは十分ご留意いただければと思います。
○三浦座長 これも非常に重要なご指摘だったと思います。全体の国の施策は、いまご案内のあったとおりで、地域包括ケア、地域医療連携等の形で動いているので、そことの整合性を保つというのも、非常に重要な観点かと思います。ほかにございますか。
 皆様方、非常にタイトな時間設定にもかかわらず、ご協力いただいてありがとうございました。最後まで内容を俯瞰してご意見をいただくことができました。ここから先はいただいたご意見を基に、具体的な事務局案を作って提示させていただきます。
 ここでご相談があります。第1回の専門委員会、親委員会では基本的事項の方針、目標、計画について、とりあえず法律の条文どおり並んでいたものをお示ししたと思いますが、今回、あえてライフステージ・対象者別に意見をお伺いしたのには根拠があります。参考資料の15頁を見てください。これは先ほどより話題に出ている、いま各地で制定されている歯科保健推進条例に伴って設定された、歯の健康計画の内容を歯科保健課でまとめていただいたものです。ライフステージ別・対象者別で行っていることが、わりあい多く見受けられるので、それに合った形のほうが非常に意見が出やすいだろうということで、ライフステージ別・対象者別という形で持って行って、あえて疾患別にはしていないということです。
 このように意見出しをしていただいたのですが、ライフステージ、特殊な対応を必要とするグループ、環境整備という分け方で組み直すことも可能かと思いますが、条文どおりにしなくてもいいと聞いておりますので、そこの部分に関しては事務局から条文との整合性について、一言いただければと思います。
○医政局歯科口腔保健推進室長補佐 歯科口腔保健法の中でも計画、基本的事項の策定は、7〜11条までの規定により構成される施策につき、これらの総合的な実施のための方針として定めるということです。総合的に実施していく上で、どういった形の計画が望ましいかというのは、もちろんこの場でご議論いただいて、第7条がこういう施策ですというように、条文別に切って計画を立てるよりも、7〜11条までの施策を総合的に実施していく上で、こういう形のほうが望ましいという計画であれば、そこが内容的にすべて盛り込まれているのであれば問題はないかと思います。○三浦座長 このようなところも踏まえて、まとめ方についてはいかがでしょうか。いま意見を出していただいたものをストレートに反映させるためには、ライフステージ、特殊な対応を必要とする者、環境・体制整備という形で案出しするのがいいかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○三浦座長 では、そのような形で、事務局案もその方向性で作成してもらいます。ありがとうございました。
 続いて議題2の「その他」です。こちらに関してお諮りしたいことがあります。第1回の専門委員会で、関係団体からの意見の聴取をすべきであるというご意見がありました。その中で、地方公共団体の意見も是非汲み取ってほしいというご提案もなされていたところです。こちらに関しては関連する学会、団体、地方公共団体等々、意見を聴取したいと思うのですが、それでよろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○三浦座長 学会も数が多く、団体も数が多いので、是非委員の皆様方から、こういった所に意見を聴取すべきではないかというアイデアを提出していただきたいと思います。お忙しい折、大変恐縮ですけれども、今週中をメドに聴取すべき団体をピックアップしてお送りいただけると、こちら側としては大変助かりますので、よろしくお願いいたします。後でまた事務局からご案内のメールを差し上げます。
○大内委員 第1回のときにお聞きしたと思うのですが、基本的には書面などをそういう所に送って、「何か意見はありませんか」というように聞くという形でよろしいですか。
○医政局歯科口腔保健推進室長 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会においては、10年後を見据えた姿などの内容について、関係団体からの意見聴取を行っているところです。これも専門委員会に諮った上で、昨年の12月27日に専門委員会の委員長名で、関係団体に意見を出しているという形になっております。1月25日までに意見を聴取するという形になっておりますので、参考までに情報提供をさせていただきます。
○三浦座長 そのほかに何かありますか。よろしいですか。お蔭をもちまして、ほぼ定刻どおりに会議を終えることができそうです。そろそろ時間もまいりましたので、この辺りで本日の議論を終了したいと存じます。第3回のワーキンググループでは、さらに内容を詰めていただきたいと思っております。具体的な提示も含めて、より具体的な論議のほうへ入っていきたいと思います。引き続き委員の皆様方のご協力をお願いいたします。事務局から何かありますか。
○医政局歯科口腔保健推進室長 本日はどうもありがとうございました。前回の第1回ワーキンググループの中でも、委員の先生方からご意見がありまして、事務局のほうで取りまとめるという宿題をいただいていたわけです。そちらについては次回、ライフステージとか特殊な対応を必要とする者とか体制整備などを、事務局案という形で取りまとめられたらと考えております。次回の第3回ワーキンググループについては、先生方のご意見を基にまとめた事務局のものを提出させていただきます。その中身を基に、またご議論いただくということを想定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 次回のワーキンググループの日程は、1月30日の月曜日、1時からを予定しております。場所については、追って連絡させていただきます。
○三浦座長 本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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