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2012年2月13日 第10回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成24年2月13日(月)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第15+16会議室(12階)
(住所:東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

出席委員(11名):五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、大平勝美、小山信彌、鈴木邦彦、直江知樹、花井十伍、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、◎溝口秀昭、三村優美子

欠席委員(2名):五十音順、敬称略

小幡純子、林昌洋

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、丈達 泰史(血液対策企画官)、伯野 春彦(血液対策課長補佐)、新村 浩幸(血液対策課需給専門官)

○議題

1 血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会報告書(案)について
2 その他

○議事

○丈達血液対策企画官 それでは、定刻でございますので、ただいまから「第10回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催したいと思います。
 本検討会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日御出席の委員の方々におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の出欠状況について御報告いたします。本日、林委員、小幡委員におかれましては、御都合により欠席するという御連絡をいただいております。
 また、直江委員におかれましては、所用により到着が少し遅れるという御連絡をいただいております。
 大平委員と鈴木委員につきましては、少し遅れられているような状況でございます。
 それから、また、本日は、参考人といたしまして、日本赤十字社血液事業本部より検討会に御参加いただいておりますので、御紹介させていただきたいと思います。
 経営会議委員の加藤恒生さんでございます。
 副本部長の石井博之さんでございます。
 財務課長の新畑泰仁さんでございます。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。
 これ以降の進行につきましては、溝口座長から、よろしくお願いいたします。
○溝口座長 本日は、まず、議題1といたしまして、当検討会の最終報告書(案)につきまして御審議いただきたいと思っております。
 それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○新村需給専門官 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 本日の座席表とともにお配りしましたお手元の資料をごらんください。1枚目に議事次第がございます。本日の議事と資料の一覧を記載しております。その裏面に委員一覧がございます。
 次の資料1でございますが、検討会最終報告(案)についてでございます。
 続いて、資料2でございますが、第9回検討会資料として、第5回~第8回検討会における議論についてまとめさせていただきました資料でございます。
 続きまして、資料3でございますが、平成23年3月に公表しました検討会中間報告となっております。
 それから、参考資料としまして、こちらも前回第9回検討会の際に添付させていただきました参考資料となっております。
 以上が資料でございます。
○溝口座長 委員の先生方、お手元の資料で何か欠落しているものはございませんでしょうか。ございませんようですので、早速議事に移らせていただきます。
 議題1の血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会報告書(案)につきまして審議したいと思っております。本日、資料1としまして、検討会最終報告書(案)が示されておりますが、これは昨年3月にまとめられました中間報告を基本といたしておりまして、これまでの議論を踏まえて事務局が作成したものとなっております。
 報告書の構成は、第1~第5に分かれておりますので、まず、第1と第2につきまして御説明、それに基づく御議論をいただきたいと思いますので、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○丈達血液対策企画官 それでは、資料1に基づきまして説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料1をごらんいただきますと、黒字と青字でわかりやすく工夫をさせていただいております。この字の色は何を示しているかということでございますけれども、この最終報告書(案)は、資料3でお配りしております昨年3月に出しました中間報告をベースにさせていただいておりますので、この中間報告から取ってきている文章につきましては黒字、それから、先般、資料2で御議論をいただきました内容につきましては青字という形で、この最終報告書(案)に盛り込んでいると、そういう位置づけになっているということで、少し見やすくしておりますので、そのように御理解をいただければと思います。
 それでは、まず、資料1の1ページ目をごらんいただきたいと思います。「第1 はじめに」のところであります。「(1)検討の経緯」ということで、ここでは、ごく簡単に、この検討会を発足させた経緯について述べたところでございます。その当時、血漿分画製剤であるアルブミン製剤の国内自給率が低下をしてきたという状況がございました。それからまた、血液凝固因子製剤の遺伝子組換え製剤が血漿由来製剤よりもシェアがだんだん大きくなってきていたという状況がございましたので、その際に、将来にわたって製剤の安定的な供給を可能な体制にするという目的では、どういうふうにしていけばいいかということをいろいろ御検討していただくために、この検討会が持ち上がったという経緯がございます。
 それから、青字の部分ですけれども、もう一点は、血液事業部会におきまして、新鮮凍結血漿の価格に関する指摘がございましたので、この辺についても併せて検討を行ったという経緯でございます。
 それから、(2)でありますけれども、その議論の必要性をまとめた部分であります。委員の方々御存じのとおり、血液事業におきましては、特にこの法律ができた背景には、過去の非加熱製剤によるHIV感染等の問題を契機としまして法律ができたというのを第1段落のところに書いてございます。
 それから、平成15年に施行されました血液法におきましては、基本理念の1つといたしまして、国内自給を基本とするという考え方が整理されておりまして、第4条には、国の責務として、国内自給に必要な確保策を講ずるという規定が盛り込まれております。
 それから、その下ですけれども、法律を御審議いただきました国会におきましては委員会決議が付されておりまして、ここでもやはり国内自給を達成できるよう全力を傾注することというような経緯がございました。こういうことを背景としまして、この検討会を行ってきたことを1ページ目の一番下に書いてございます。
 1ページおめくりいただきたいと思います。次に「第2 血液製剤をとりまく現状」ということで、従来記載しておりました血漿分画製剤を取り巻く環境のお話と、それから、その後に出てきますけれども、輸血用血液製剤を取り巻く環境、特に価格のところですけれども、その辺をまとめさせていただいております。
 まず最初に「(1)血漿分画製剤をとりまく環境・問題点」であります。「?血漿分画製剤の特徴」ということで、御存じのとおり、血漿分画製剤はタンパク質を抽出・精製したものであるということで、通常の化学品とは違って連産品構造を取っているということを書いてございます。
 それから、製造方法も、数千人分の血漿をまとめて製造するという特徴を持っておりまして、過去の歴史では、その部分で安全性がいろいろ問題になりましたので、いろいろなウイルスの不活化等の工程が導入されておりまして、現時点では製剤の安全性は飛躍的に高まっているというのが現状でございます。
 それから、この血漿分画製剤は、国内4社、海外2社の方々が国内に参入しているという状況でございまして、通常の医薬品と同様、薬価制度の下に、原則2年に1度の頻度で市場実勢価格に基づいて価格づけがなされているというのが現状でありまして、この場合、経年的には価格が徐々に下がっているという特徴を持っております。まず、製剤の特徴が?であります。
 それから「?一般の医療用製剤との違い」というところで、先ほども触れておりますけれども、ヒトの血液中のタンパクから製造しているということでありまして、ケミカルな新薬とは違いまして、ここからどんどん新薬が生まれてくるという構造にはなっておりませんで、薬価が下がっていきますと、徐々に不採算に近くなっていくというようなリスクを抱えているような品目であるということをまとめております。
 「?血漿分画製剤の国内自給の必要性」は幾つかの切り口でまとめたものになっておりまして、まず、そのうちの1つの「ア)倫理性の問題」ということで、血液を原料とするものですから、臓器と同じように人体の組織であることをよく考えますと、供給、使用に当たっては高い倫理性が求められているという特徴がございます。
 それから、その下には、WHOにおきましても、やはり国内自給を達成するために必要な措置を各国が取ることというような勧告が出されているということがございます。
 その下の「イ)国際的公平性の問題」ということで、昭和60年代ごろですけれども、我が国では、アルブミン製剤につきましては、世界の生産量の3分の1ぐらいを消費していたという過去がございまして、国際的にもいろいろな批判があったという状況がございました。こういうこともありますので、血液製剤については、国際的な公平性の観点から、使い過ぎについては大きな問題があるということでございます。
 3ページ目をごらんいただきたいと思います。ウ)ですけれども、安定的確保の供給面での話をまとめております。過去の事例で、輸入品が入ってこなかったという経験がありますものですから、製剤供給の大部分を輸入に頼る体制は、危機管理的な観点から考えますと、非常に問題があるのではないかということで、引き続き国内の自給という取組みに努力をすべきという御指摘をいただいた部分でございます。
 それから、その下ですけれども、エ)は、安全性について記載をした部分になっております。国内製剤と輸入製剤におきましては、HBV、HIV、HCV等、既知の感染症に対する安全性は明確な差はないと考えられるのですけれども、一方で、プリオン病でありますとか、今後起こり得る可能性がある未知の感染症については、現時点で安全性の差異について言及することは困難だというようなまとめ方になっております。ここまでが国内自給の必要性について、幾つかの切り口でまとめたものという形になります。
 ?ですけれども、それでは、実際に国内の自給の状況はどういう状況になっているのかというところであります。ア)では、アルブミン製剤についてまとめをしております。最初の段落ですけれども、先ほども触れましたけれども、歴史的には世界生産量の3分の1を使用していた時代がございましたので、それ以降、我が国におきましては、アルブミン製剤の適正使用を推進してまいりました。その結果、平成19年度には62.8%まで国内自給率は上昇したのですけれども、翌年20年度以降は自給率は低下し始めまして、直近の22年度におきましては58.2%まで低下しているというのが現状でございます。
 その下でありますけれども、自給率が低下している可能性の1つとして何があるかというところを記載してございます。1つは、診療報酬制度におきまして、DPC制度を含む包括評価制度が導入を進められてきていることがあろうかということを書いております。他の要因としましては、いまだ国内ではアルブミン製剤の使用量が多過ぎることが、こうした低下が起こっている原因の1つであろうということであります。
 それから、その下の段落については、アルブミン製剤は大きく分けると高張製剤と等張製剤の2つに分かれますけれども、等張製剤の自給率が26.5%ということで、高張よりも極めて低くなっているという現状がございます。
 なお、近年の海外の状況がどうかというところをその次に書いておりまして、海外では、グロブリン製剤の使用量が大きく増えているということがございます。4ページ目をおめくりいただきまして、一番上のところですが、そのことによりまして、海外ではアルブミンの原料については余剰が発生していることが推察されるという御指摘をいただいたところであります。
 それから、その下のイ)ですけれども、ここはグロブリン製剤について記載をしております。先ほどもありましたように、欧米ではその使用量が大きく増えてきているのですけれども、我が国におきましては、使用量はほぼ横ばいの状態であるということが1つ。それから、自給率ですけれども、22年におきましては95.1%と高い状態になっておりまして、ほぼ国内自給の目的を達成しかけているという状況でございます。
 それから、その下のウ)ですけれども、ここは血液凝固第?因子製剤についてのこれまでの経緯を記載したものであります。現状、大きく分けると、輸入の遺伝子組換え製剤と国内献血由来の血漿由来製剤の2種類のものが流通しておりまして、ヒト由来の製剤の自給率は、平成22年度で21.8%となっております。この経緯でありますけれども、平成5年に輸入の遺伝子組換え製剤が国内で販売が開始されました。それ以降、徐々にこのもののシェアが大きくなってきたという経緯がございまして、一旦、平成13年にこの製品の輸入が止まってしまったということが起こりました。その不足分を緊急対応として、国産の献血由来製剤を増産することによって対応したということがありまして、その際には一旦自給率が60%弱まで回復いたしました。しかし、止まっていた遺伝子組換え製剤の輸入が再開されますと、またヒト由来の製剤の自給率が下がり続けて、それ以降、現在に至っているというのが現状でございます。
 その下のエ)ですけれども、前回、中間報告の際に、各血漿分画製剤を6つのグループに分類をしていただいております。それが以下に書いたものという形であります。1つ目が、国内自給率を100%達している、もしくは極めて自給率が高いグループ。その下ですけれども、現在、国内自給率が低下しているグループ。それから、リコンビナント製剤なども入っているようなグループということです。その下ですけれども、国内ではなかなか確保が難しい血漿由来の製剤で、国内自給がそもそも低いもの。その下が、開発も含めて、今のところ国内ではなかなか準備ができそうにないようなグループ。最後はその他というグループになっております。
 5ページ目をお願いいたします。「?血漿分画製剤のコスト構造と市場規模」ということで、実際に国内製剤と輸入製剤とでどういう特徴があるのかということを、この検討会の第3回で、国内外の事業者の方からヒアリングを行いまして、それをまとめたものであります。
 まず、国内事業者のところでありますけれども、原料血漿確保のための採漿につきましては、輸血用の血液製剤と共通の施設、設備で行われているという特徴が1つございます。それから、献血をしていただくための採血所の開設場所が、例えば、都内でいきますと、新宿、渋谷、有楽町、秋葉原など一等地で持っているというのがございます。それから、そもそも献血者の確保というところの普及啓発に相当の経費が必要になっているという特徴がございました。
 それから、製造工程から供給までのところですけれども、国内の事業者を見ますと、製造原価の割合が高いという特徴がございました。それから、国内に日赤を合わせて4社ということになりますけれども、4社全体で約120万Lというレベルにあるのが国内の現状でありまして、各社、承認を得ている品目の違いがございますので、連産品構造の中での効率的な製造がなかなか難しい現状がある、いわゆる連産ギャップがあるという現状がございます。
 一方、海外事業者の方の特徴なのですけれども、まず、原料血漿の確保というところの採漿センターは、それ専用の施設ということになっております。それから、日本で一律に行っている白血球除去や初流血除去などは海外では実施をしていないこと。それから、ドナー1人からいただく採漿量ですけれども、体格の違い等もございますけれども、海外での1回分の量はかなり多くなっているということがございました。それから、実際に供血者に対して20~30ドルの現金が支払われているという現状も1つ、特徴としてございます。それから、採血場所の設置についてですけれども、大都市圏には設置せずに、中小の都市を中心に設置しているという御意見もございましたので、併せて記載をしております。
 それから、その下でありますけれども、年間の処理能力というのは、海外1社で国内全体の5倍程度の能力を持っておりますので、非常にスケールメリットが得られるということが特徴としてありまして、それから、連産ギャップの調整というのは、世界規模で行うことが可能というのが現状でございます。
 ここまでが血漿分画製剤の現状についてとりまとめたものという形になっております。
 1ページおめくりいただきまして、(2)で輸血用血液製剤の価格関係であります。日本赤十字社は、昭和49年に輸血用血液製剤の国内自給を達成しまして、それ以降、これまで安定的に輸血用の血液製剤を供給してきています。その間、安全性の問題がいろいろございましたので、血液製剤による感染被害、副作用などを減らすための対策を次々に打ってきたということでございます。
 その下には具体的なものを挙げているわけですけれども、一番特徴的なのは、HBV・HCV・HIVなどに対する核酸増幅検査、NATと呼ばれているものですけれども、こういう高感度な検査法を導入してきております。
 その下でありますけれども、新たな検査法を導入するということは、高額な経費が必要となってくるということがございますので、その結果としまして、輸血用血液製剤が不採算となるということがございました。このようになった場合には、薬価の再算定を受けまして薬価が引き上げられ、結果として血液事業の安定運営が図られてきたという経緯がございます。
 一方で、日本赤十字社におきましては、これまで検査業務、製剤業務の集約化などによりコスト削減に努力をしていただいているわけなのですけれども、国民にわかるような形でその努力が反映されていないのではないかという御意見がございました。日本赤十字社が唯一の事業体でありますので、競争がなく、効率性を求めるインセンティブが働きにくい状態ではないかという御意見がございました。
 それから、最後のところですけれども、「(3)今後必要となる経費の状況」ということで、日本赤十字社から情報提供いただいたことをここに盛り込んでおりまして、今後、血液事業の運営のためには、施設の老朽化対策、供給体制の充実などを図っていく必要があるので、経費は必要だと見込まれているということでございました。
 以上が「第2 血液製剤関係をとりまく現状」としてまとめさせていただいた部分でございます。
 第1、第2は以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 この第1と第2は、先生方に御指摘いただいた現状の解析、あるいは認識でございますが、ここのところで大体1時間ぐらい、この議論を5時までさせていただいて、その後、第3、第4が論点と提言でございまして、こちらも大変大事でございますので、そちらも1時間取らせていただこうと思っております。前半で、黒のところは去年の3月に中間報告としてお出しした内容でございますので、先生方もよく御存じのことだと思いますが、特に青のところに注目して御議論いただければと思っております。
 「はじめに」の青で書かれているところはFFPの価格の問題でございますが、この検討会の本当の目的ではないのですが、血液事業部会で大変議論がありましたので、つけ加えさせていただくということで御了承願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、現状の認識について、その後の第2以降につきまして、皆様の御意見ございますでしょうか。御質問も結構です。どうぞ。
○小山委員 すごく細かいところで、語句のところで申し訳ありません。3ページ目の青のところで「包括評価制度(DPC制度を含む)」となっていますけれども、これはどういう意味なのでしょうか。包括評価制度そのものがDPC制度だという気がするのですけれども、含むということは、ほかにも何かあると考えて、このような文章になっているのでしょうか。大変細かいところで申し訳ないです。
○丈達血液対策企画官 メインはDPCだと御指摘をいただいているというように我々も認識しておりまして、正確性を期すために、所管部署である保健局に確認しましたところ、表現ぶりはこういう形の方がいいのではないかという御指摘をいただいたものですから、このようにさせていただいております。
○小山委員 わかりました。
○溝口座長 包括評価制度にDPC以外の制度もあり得るということで、こういうふうになったのでしょうね。
○小山委員 私の頭の中に浮かんでこなかったので、イコールでいいのではないかなと思ったのだけれども、医療課がそう言っているのなら、きっとそうでしょう。
○三宅血液対策課長 日本においては、今、DPC制度ということで、包括評価制度というのはもっと広く意味を持って、DRGとか、欧米などではそういうようなやり方もあります。包括評価制度によって、個々の、要するに、それぞれの単価が決まっている、それに対する評価ではなくて、包括でこういう、それの影響があるという、そういう意味合いでこういう表現がいいのではないかという御意見をいただいたということです。
○溝口座長 よろしゅうございますか。
○小山委員 はい。異論はありません。
○溝口座長 青い字で書かれたところは、そこと、2ページ目の「薬価制度のもと原則2年に1度の頻度」、これは事実でございますね。経年的に薬価が下がっている。2年ごとに下がっている。ほかのところは特にございませんか。
 それから、青いところだけ見ていきますと、ウ)に「血液凝固第?因子製剤の」というところがありまして、リコンビナントが多くなってきて、血漿由来が減ってきている。リコンビナントの輸入が止まったときに大変困ったことになるので、これはどんどん減ってきていいかということが書いてあるわけですね。日本でのリコンビナントはないのと、それから、海外からの血漿分画製剤由来の凝固因子はないのですね。そうですね。
○丈達血液対策企画官 はい。
○溝口座長 我が国は血漿分画製剤だけで、海外のはリコンビナントだけということでいいのですか。
○丈達血液対策企画官 そうです。
○溝口座長 国内自給の目標は、血漿由来のものの国内自給ということがかなり大事ではあったのですね。そういうことですね。こうなると、重要度は少し下がるかもしれません。ただ、安定供給の点でかつて問題があったことで、これは記載したわけですね。
○丈達血液対策企画官 そのとおりであります。
○溝口座長 どうぞ、大平委員。
○大平委員 ここに入れていいのかどうかわからないのですけれども、遺伝子組換え製剤が輸入再開されると、下がり続けた要因の1つとしては、国内での製剤の改良ですとか、そういうものが足らなかったというところは、ここで触れていいのかどうか。
○溝口座長 これは後にあることでしたか。「提言」かどこかに。
○丈達血液対策企画官 一応、これまでにもその意見をいただいておりますので、それは「提言」の方には入れ込まさせていただいております。10ページ目の一番下の方。
○溝口座長 アのところに、今、大平委員のおっしゃったようなことは、提言としては出ているけれども、現実の認識としてないと提言に結びつかないということを大平委員は言っていらっしゃるわけです。
○丈達血液対策企画官 そうしますと、例えば、ここに下がり続けた要因の1つの分析として、そういうことも原因があったのではないかということを記載するということでよろしゅうございますでしょうか。
○溝口座長 その方が提言に結びつきやすい。ここに書いてある、より高い安全性を確保した血漿由来製剤、患者が使用しやすい新製剤、国産の遺伝子組換え型の迅速な開発計画などが行われなかったことも一因であるということを書くのでしょうか。同じことの繰り返しになるけれども、大平委員、どうですか。
○大平委員 一番大きなのは患者のニーズに応えていなかったというところが、海外の輸入製剤が伸びてしまったことの1つの大きな要因だと思います。
○溝口座長 ニーズというのは、使用しやすさとか、そういうことですか。
○大平委員 そうですね。例えば、第?因子ですと、1,000単位までで2,000単位を早くに体制として取れなかったことや、また、もう少し患者の簡便性というのですかね、使いやすいような製剤になっていなかった。また、第?因子だけではなくて、第?因子とか、そういうのにも積極的な新しい製剤への取組みがなかった。
○丈達血液対策企画官 この下のところに要因分析的なことを少し盛り込みさせていただきたいと思います。
○溝口座長 提言につながるかもしれません。
 その次の5ページ目のヒアリングの内容は、こういうことでようございますか。
○丈達血液対策企画官 1点、既に中間報告で出ている文章でございますけれども、修正の提案をさせていただきたいと思います。下から6~7行目のところに「報酬として20~30ドル程度が支払われている。」という記載がございますけれども、実は海外から来ているものには、献血表示ができるものと、非献血表示のものと2種類ございまして、その意味は、報酬として実際に払われているものについては非献血という考え方で表示をしていただいておりまして、一方、実際に20~30ドル程度のものは支払われておりますけれども、その行為を含めて献血ということで整理をされている国もございまして、すべて現金が支払われているのが報酬としてということでは、ちょっと言い過ぎな部分がございますので、できましたら「報酬として」という部分は削除させていただけたらと考えております。
○溝口座長 文章としてはどうするのですか。
○丈達血液対策企画官 単純に「報酬として」の5文字を削除するということでございます。
○溝口座長 「あたりの」の「の」はちょっと邪魔なような気がすします。
○丈達血液対策企画官 済みません。
○溝口座長 では、そういうことでよろしいですか。
 この1つ上の「日本(平均430mL)」というのは正しいですか。日赤としては。
○日本赤十字社(石井) 一応、その数字は正しいと思います。
○溝口座長 これはヒアリングの記録から取ったのですね。
○丈達血液対策企画官 はい。
○溝口座長 ちょっと少ないような気がする。まあ、いいです。そうすると、ヒアリングについては、このようなことでよろしゅうございますか。何か御意見ございますか。どうぞ、直江委員。
○直江委員 ちょっと戻るのですけれども、3ページの青のところなのですが、今のDPCの下に「自給率が低下している他の要因として、国内でのアルブミン製剤の使用量が多過ぎることから、」と書いてあるのですけれども、これの意味することは、必ずしも適正使用が行われていないかもしれないということなのですが、ここのところは非常に重要なことで、こうあっさり一言で言っていいものかどうか。今までの資料で、それを示すものは何かありましたか。そういう議論はあったということと、トータルとすればそうだということはあるのですが、非常に重要なことをこれで片づけていいのかなという気もするのですが、それはいかがでしょうか。
○溝口座長 何が必要ですか。
○直江委員 海外との、例えば、ガンマグロブリンとの比率とか、何かそういうことで。
○溝口座長 データとして出たのは、国等の比較で、人口当たりのアルブミンの使用量。人口当たりは明らかに低い。赤血球当たりだともっと低いですけれども。ただ、最近、流れが変わっているところもあります。全体としては、昔、高野班という研究班がありまして、そこでの発表に基づくとそうでした。今はちょっとまた事情が変わっている。どうですか、事務局は。
○丈達血液対策企画官 資料としてお出ししたかどうか、正確にお答えできないのですけれども、例えば、都道府県別に見たときの病床当たりの使用量の違いなどを見ると、多い県と少ない県にかなり開きがあるということから考えますと、まだ是正の余地といいますか、多いところの地域を減らすという意味では、こういうことは当てはまるのではないかと考えております。
○直江委員 まだ適正使用が進められていないとか、表現の仕方なのです。例えば、諸外国に比べてとか、何をもって多過ぎると言うのかということを、この文章だけ取ってみるとわかりにくいのかなということです。つまり、諸外国に比べると、日本のアルブミン使用量が多いということであれば、アグリーします。だけれども、ここだけ取り出すと、いかにも不適切な医療をやっているという感じがしないことはないということです。どうですか。
○溝口座長 どうぞ。
○三宅血液対策課長 たしか第1回か第2回のときに、諸外国と比較したアルブミンの使用のデータを出させていただいたかと思います。かつて日本は世界の3分の1ぐらいを使っていた。かなり下がってはきて、アメリカ並みになってきたかと思うのです。ただ、ヨーロッパなどに比べれば、まだ多いというようなデータだったと思います。諸外国に比べれば、まだ若干多いということは言えようかと思います。
○溝口座長 本日つけられた参考資料では、諸外国との使用量の比較は、輸血用血液製剤だけの表がついているのですけれども、今、おっしゃったような資料が本当は必要ですね。私は記憶が正確ではないのですが、知識としては高野班の報告がありましたし、それに基づいて輸血管理料などが決められたのだと認識しています。
○丈達血液対策企画官 それでは、添付資料にもその資料はつけさせていただきまして、今、御指摘いただいたような、海外と比べてというところの記載を盛り込ませていただきたいと思います。
○溝口座長 ただ、最近、アメリカでの人口当たりのアルブミンの使用量が少し増えてきているので、経時的な変化も書いた方がいいのではないでしょうか。高野班の報告があったころのデータからどういうふうに変わってきているかということ。あの班の報告以降の調査はないのですか。でも、使用量はどこかにあるはずですね。これまでの資料が全部出ているわけではないのですね。
○三宅血液対策課長 第1回か第2回のときに出させていただいたかと思います。そのときのデータとしては、アメリカが増えてきていますので、日本が下がってきて、ちょうど今、アメリカとほぼ同じぐらいになっているのですが、ヨーロッパに比べれば、日本はまだかなり使っています。
○溝口座長 そのときのデータを見て、イタリアが桁違いに多かったような気がするのです。理由はよくわからなかった。その辺、直江委員の御指摘もありますから、きちっとした資料を基にして、修正するか、しないかということをお考えいただければと思いますけれども、そういうことでいいですか、直江委員。
○直江委員 はい。
○溝口座長 この後の自給率はいいですね。高張は自給率が高いけれども、等張は低いというのは、皆さん、資料見ましたね。これは資料にありましたね。
 どうぞ。
○花井委員 根本的議論になるのですけれども、自給率の低下の要因と、自給達成ができない要因とは微妙に違っていて、例えば、適正使用が進んで使用量が減っても、その分、海外製品が入ってしまえば、自給率は上がらないですから、適正使用が進んで量が減ったからといって、自給率自体がそれで改善するという原理にはなっていないですね。それはそうだと思うのです。自給率とはいっても、例えば、ある種、過剰使用があるとしたら、そこに輸入が積極的に営業されて、そこは上がっているのではないかという推論も成り立つのですけれども、正確を期して書くのであれば、自給達成を阻害する要因ですね。これは数字として、自給達成可能な血漿原料を集められないかというと、それも必ずしもそうではない。今、いわゆる自給計画に基づいて血漿を集めているので、本来は国内自給分の血漿を集められる可能性があるので、それが生産能力と相まって、今の量だと全部は供給し得ないのではないかという意味ですね。正確に言うならば、そういう表現がいいのか。雑に言えば、このままでもいい。それは1つは、等張と高張の差がこれだけある要因があって、実際の占有とか、現場のありようによってもそこは変わってくる問題だとは思います。このままでいいような気もするし、厳密に言えば、これは必ずしも自給を低下する要因というふうに確定する問題ではなくて、自給達成を阻害する要因かなと思うのです。お任せしますけれども、そういう論点が一応、あったなということです。
○溝口座長 よろしいですか。
○丈達血液対策企画官 わかりました。今、いただきましたことをもう一度よく考えまして、ちょっと練ってみたいと思います。
○溝口座長 後で委員の方々の御了解を得てください。
 ヒアリングのところまではよろしゅうございますか。それでは、最後に「論点」の直前の6ページ目の「(2)輸血用血液製剤の価格をとりまく環境・問題点」はいかがですか。ございませんか。
 血液製剤の値下げというのは国が決めるのですね。
○丈達血液対策企画官 実際には、市場実勢価に基づいて決まっております。
○溝口座長 これは血漿分画製剤ですけれども、ここは輸血用血液製剤です。
○丈達血液対策企画官 ともに市場の実勢価に基づいて現在は決まっております。
○溝口座長 輸血用血液製剤は動かないでしょう。三者合意で決めて以来、少しずつ経営状況を見て動かしていて、血液製剤の赤血球、血小板、FFPの価格は固定されている。ある程度、国が決めていくわけですね。一応、三者合意の後は、かなり動かしているのですか。
 どうぞ。
○花井委員 三者合意の原料血漿の話で、多分、輸血用血液製剤は、下げるためには赤十字社が値引きをして売る。そうしない限り、絶対下がらない構造になっているわけです。薬価同意で売っている場合には。
○溝口座長 でも、日赤が値段を決めるわけではないでしょう。
○花井委員 薬価が決められて、通常は決められた薬価は払われるのだけれども、メーカーは値引きをするので、その分ずつ毎年薬価が下がる構造なので。
○溝口座長 輸血用血液製剤の話です。
○花井委員 絶対下がらないです。日赤が値引きをしない限りは絶対下がらない。
○溝口座長 日赤が値引きという構造はないわけでしょう。
○花井委員 だから下がらないのです。
○溝口座長 国が決めているのでしょう。
○花井委員 国が決めても、普通の医薬品はメーカーは値引きして売っているのです。だから下がる。だから、日本赤十字社独占。もう一個、輸血用血液製剤を供給する業者があって、片方が下げれば、下がった分は片方は下がるけれども、独占である限りは値引きしないので下がらない、そういう構造です。ルールは一緒です。
○溝口座長 国と日赤が話し合う。
○小山委員 アルブミンは下がっているわけです。それは競争原理が働いているから、こういう形になって表に出てきている。でも、輸血は、ほかに供給してくれるところがないのだから、言いなりということですね。
○花井委員 そのとおりです。
○溝口座長 血液法の建前だと、その辺は決まっていましたか。
○花井委員 だから、通常のルールと一緒なので、恐らく、より安全性が高まった技術を導入したということで、支払いの方に、これだけよくなっているのだから、その分を評価してくださいということで薬価を上げていただいているわけだから、普通は競合すれば下がるけれども、独占である限り、一回上がったものが下がらないというのが今の輸血用血液の構造なので、国が決めているという意味で言えば、全医薬品そうだけれども、ほかの医薬品は決めた価格で売っていないのです。なので、結局、下がらない。
○溝口座長 何かよくわからない。ここに書くだけは書いてもいいけれども、あと「提言」のところにどう出てくるかですね。
○小山委員 それと、もう一個、最後のところの3番がどういう意味合いでここにこれが出てくるのか。この検討会の在り方としての「論点」の手前のところの議論として出てくるのか、ちょっと。
○溝口座長 どうぞ。
○丈達血液対策企画官 基本的に第2のところは、血液製剤を取り巻く現状をすべからく盛り込ませていただいたということでありますので、この後、御説明いたしますけれども、「提言」のところには、先生方から特にコストの御指摘をいただいておりますので、そのコストの関連の情報としては検討会の中で出てきておりましたので、血液製剤を取り巻く現状として(3)は書かせていただいているという案になっております。
○溝口座長 どうぞ。
○益子委員 私も小山委員のお考えに賛成で、この「第2 血液製剤をとりまく現状」の(1)が「血漿分画製剤をとりまく環境・問題点」で、(2)が「輸血用血液製剤の価格をとりまく環境・問題点」、これはいいと思うのですが、(3)が「今後必要となる経費の状況」ということで、これから血液製剤はもっともっとお金がかかってきますよという話ですね。これはあらゆる事業体について、事業を継続するためには必要経費がかかってくるのは当たり前のことで、ここに盛り込むということは何か違和感を感じます。
○溝口座長 どうですか。これは赤十字社が言ったことであって、我々が考えたことではありません。
○益子委員 そのことを載せる必要は全くないのではないでしょうか。これは当たり前のことですね。あらゆる事業について言えますね。
○溝口座長 これはどうしたらいいですか。事務局としては。
○丈達血液対策企画官 私どもとしては、これまで9回の議論を集約させていただいたという1つの案でございますので、検討会の委員の方で、これは必要ないという御意見であれば、落としていただいても結構でございます。我々として、ここを書くことにどうこうというよりも、事実として検討会でこういう意見があったということで、1つの事実として書かせていただいたということでございますので、委員の方で御判断いただければと思っております。
○溝口座長 それでは、この後、「提言」その他でこれがどういうふうに生かされているかを見てから、削るか、このままでいいか、修正するか、考えさせていただきたいと思います。そういうことでいいですか。
 大平委員。
○大平委員 ほかの企業は、方法としては、きちっと、この黒字の問題について、どういうふうに将来していくかという計画はあるのは当然なのですけれども、ここで問題なのは、日本赤十字社の血液事業自体が、献血、そしてまた血漿分画製剤の売り渡しの問題とか、独占としての1つの大きな問題点があって、政策的な問題にも関わるところがあると思うのです。ですから、そこは、経費の状況というのは、血液事業として、日赤としては黒字になっている部門について、どういう説明があったかということを載せておくというのは、ここの1つの報告としては、現状把握の1つとしては必要なのではないかと私は思います。
○溝口座長 両方の御意見がありますので、「提言」まで行きまして、そこを考えさせていただけますか。
 では、ちょうど時間でございますので、あと1時間で3、4のところを御説明と御議論いただいて、今のところに戻らせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○丈達血液対策企画官 それでは、6ページの下段のところから御説明させていただきます。「第3 論点」でございます。ここの「論点」につきましては、基本的には中間報告のときに委員の方々におまとめいただいた論点、9つのものをそのまま載せているところでありますので、簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 (1)は、輸入製剤に比べ国内製剤の価格が高いのはどうしてかというところで、特にコスト構造について検討すべきではないかという御指摘をいただいたものであります。
 2つ目ですけれども、国内製剤の競争力強化のためにどういうことが必要かということを検討すべきではないかという御指摘であります。
 1ページおめくりいただきたいと思います。(3)アルブミン製剤の適正な使用を一層推進すべきではないかという御指摘をいただいたものであります。
 それから、(4)輸血用を含めた血液製剤全般のコスト構造の在り方についてどうかということ。
 (5)血漿分画製剤のインフォームド・コンセントの在り方についてどうかということ。
 (6)血漿分画製剤の輸出についてどう考えるかということ。
 7つ目ですけれども、国内自給化が困難な製剤、代表の例としましては特殊免疫グロブリンなどがありますけれども、こういうものの今後の供給の在り方について。
 それから、8つ目ですけれども、血液凝固因子製剤の血漿由来のものと遺伝子組換えのものの今後の在り方について。
 最後のところは、血漿分画製剤、各種ございますけれども、国内自給を推進するための方策について。
 この9つについて、中間報告のときに論点として挙げていただいたものであります。
 ページをおめくりいただきまして、8ページ目から「第4 提言」ということで、それぞれまとめさせていただいております。そのうち(1)と(2)につきましては、中間報告で御提言をいただいた部分になりますので、基本的にはそのまま引用させていただいているという状況でございます。
 まず(1)につきましては、血漿分画製剤の製造効率の向上についておまとめをいただいたものでございます。まず「?原料血漿確保まで」ということで、第1の段落のところには、国内の原料血漿につきましては、輸血用血液製剤と共通の施設、設備で取っているという特徴があって、採血所の立地の話でありますとか、普及啓発に相当の経費がかかっているということが1つ。
 その下の段落ですけれども、一方で、海外の事業者については、専用の採漿センターを持っていて、採血所の場所が大都市ではないということでありますとか、製造工程が少し日本とは違うことなど、比較しますと、いろいろ違う部分がございまして、こういう部分が効率性とかコストに差が出ているのではないかということを御指摘いただきました。
 それを受けまして、最後の段落ですけれども、直ちに欧米の採漿システムにならうというのは妥当ではないけれども、現在行っているシステムの検証を行って、当然、十分な安全性を確保しつつ、もし改善点があるのであれば、費用対効果も踏まえて積極的に見直していくことが望まれるという御指摘をいただいたところでございます。
 「?製造工程から供給まで」のところでありますけれども、ここにおきましては、海外事業者の生産規模がかなり大きいということで、製造効率が非常に高いと考えられます。国内の事業者におきましては、その辺、なかなか対抗できていないという現状がございますので、できる限りですけれども、製造効率をより高める、そういう努力が望まれるのではないかというのがこの?の部分であります。
 下の(2)ですけれども、ここでは「事業規模の拡大・事業基盤の強化」をおまとめいただきました。海外事業者と比べまして生産規模の差は歴然としているということもありますので、現在ある国内の4事業者のうち、複数のものを統合してみるという考え方も1つあるのではないかということを御指摘いただいたのが(2)でございます。
 9ページをごらんいただきたいと思います。青字になっておりますけれども、(3)は、この検討会では一番時間をかけて御議論いただきましたコスト構造の全般的なことであります。??で輸血用血液製剤と血漿分画製剤、この2つに分けてまとめさせていただいております。
 まず「?輸血用血液製剤の価格等について」であります。日本赤十字社は昭和49年に輸血用国内製剤の国内自給を達成してから、継続して安全な血液製剤を安定的に供給してきた功績は大きい。しかしながら、時代の流れもあり、血液事業の安定的な運営と安全確保を推進することは当然前提といたしまして、今後もより一層のコスト削減に向けた努力を行うとともに、高い透明性の下にその成果を国民に対して還元していくことが必要であるという御指摘をいただいております。
 これがトータルとしての輸血用のところのまとめになろうかと思います。
 その下、なお書き以下ですけれども、輸血用の血液製剤の価格を国際的に比較をしてみますと、日本の特徴としましては、新鮮凍結血漿の価格が海外より高くて、一方で赤血球製剤については海外よりも低いという状況になっております。また、新鮮凍結血漿の価格と原料血漿の価格を比べると、かなり価格差が大きくなっているということもありましたので、今後、コスト削減などを行っていく中で、まずは実勢価格を適正にするということで、新鮮凍結血漿の価格を適正にするように関係者が努力すべきであろうと、血液事業関係の努力が期待されるというまとめ方になっております。
 「?アルブミン製剤など血漿分画製剤の価格等について」であります。アルブミン製剤の国内自給率が低下している要因としましては、原料血漿価格を含む製造コストが高いことなどが考えられるということでありましたので、原料血漿価格について、適正な価格に調整を考えていくべきで、その価格を引き下げる方策としましては、やはり効率よく採血する方法などを検討すべきだという御指摘をいただいたということであります。
 それから、その下の更に製造コストを下げるということでありますけれども、スケールメリットを生かしたようなところ、それから、製造効率を高めるという努力、この辺の御指摘をいただいたということであります。
 それから、最後の段落のなお書きですけれども、アルブミン製剤の使用量が多いということでありますので、更に適正使用を進めるべきではないかという御指摘をいただいたところであります。
 10ページ目をごらんいただきたいと思います。「(4)血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について」のところでまとめておりますけれども、血液法においては、血液製剤の国内自給が原則とされていること、それから、WHOでも国内自給すべきということで勧告を出しております。
 実際に検討会でいただいた議論をその次の段落で書いておりますけれども、医療関係者の観点からは、安全性に差がないのであれば、国内製剤、輸入製剤にこだわる必要はないのではないかという御指摘。それから、実際の医療現場では、インフォームド・コンセントを行うことが困難な場合も多いのだという御指摘もございました。一方で患者の観点からは、治療の選択ができるということが非常に重要だという意見が出されておりました。
 その下には、こういう現状はございますけれども、血漿分画製剤を取り巻く歴史的な経緯などもありまして、患者におきましては、この辺の由来を知りたいという方が多いとい現状もございますので、患者が国内製剤を選択できる環境を整備していくことが望ましいのではないか。実際に医療機関がインフォームド・コンセントの実施に取り組みやすくなるような環境整備を進める必要がある。これは国に対する御提言をいただいているところでございます。
 それから「(5)血漿分画製剤の輸出について」の議論でございます。輸出についての可能性をここまで追ってきたわけなのですけれども、現時点では国内自給は達成されていないという状況がございますので、そこは慎重に考えまして、将来、国内自給の達成等の状況の変化があって、改めて議論を行うことが適当ではないかという御指摘をいただいたところでございます。
 「(6)国内自給化が困難な製剤の供給のあり方について」ということで、代表的な特殊免疫グロブリン等の国内自給化についての取組みにつきましては、今後、日本赤十字社が中心となって、できる限り努力をすべきであるという御指摘をいただきました。実際に原料血漿確保のために、その実現性を勘案しながら自給を進めていくべきだということ。それから、国におきましても、当然、こういう事業を進めるに当たりましては、幾つかワクチネーションなどに伴う課題が出てきますので、ガイドラインの策定など、必要な取組みを行うべきだという御指摘をいただいたところでございます。
 「(7)血液凝固因子製剤の遺伝子組換え製剤のあり方について」でありまして、海外から来ている遺伝子組換え製剤のシェアがどんどん大きくなっているという現状がございましたので、危機管理の観点から、ヒト由来製剤の安定供給に支障を来すことがないように、国内の製造能力を維持していくことが必要であろうということ。
 それから、その下でありますけれども、先ほども少し出ておりましたけれども、患者が使用しやすい新製剤でありますとか、国産の遺伝子組換え製剤などの開発、供給に期待をしたいというまとめ方になっております。
 それから、11ページ目をごらんいただきたいと思います。(8)でありますけれども、なかなか開発が進んでいないものについての今後の方策であります。企業が開発することが難しい製剤につきましては、日本赤十字社で開発を進めることが望ましいのではないかということが1つ。それから、こういうものでありますから、国の方でも、オーファンドラッグ制度だけではなくて、それ以外の施策でも支援する方法を考えていく必要があるという御指摘をいただいたということでございます。
 最後の「(9)製剤の使用環境の改善」ということで、ここで御指摘いただきましたのは、血液法ができて10年近くたとうとしている現状がございますので、いま一度、血液事業が献血を基盤として成り立っていることを含めて、国内自給の重要性などについて関係者によく御理解をいただけるように、その必要性を訴えることが重要ではないかという御指摘をいただきまして、国を初め、こういうことに努力する必要があるという御指摘をいただいたところでございます。
 最後に「第5 おわりに」ということで、まとめをつけさせていただいております。これまで血液製剤につきましては、当然、患者を救う重要な手段となる一方で、歴史的には安全性について大きな問題となったことが非常に多くございました。これまでは安全性を高めるための努力を一生懸命してまいったところでございます。その結果としましては、世界各国と比べても、国内で供給されている製剤の安全性は最高レベルまで到達しております。一方で、これまで血液事業を議論する中でコストについて議論されたことはほとんどなくて、本検討会で初めて、その方向性について御提言をいただいたことになっております。
 将来にわたって、安全な血液製剤を安定的に供給する体制を確保するためには、まず、国民の善意の献血によってこの制度が支えられているということを国民全員で共有することが必要であろう。その上に立って、今後、いろいろ状況の変化が起こってくるということが想定されますので、必要な検討を適宜適切に行うことが望まれ、引き続き関係者が更なる努力をしていくべきだという御意見をいただいていたと認識しております。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 これから6時まで御議論いただきたいのですが、「第3 論点」は黒字ばかりですので、新しく加わったところはないので、このままでよろしゅうございますか。中間報告の中身そのままですね。よろしければ次の「第4 提言」に移りたいと思いますが、何かあったらどうぞ。何かございますか。提言の方は、これも黒字が多いのですが、「(1)血漿分画製剤の製造効率の向上」は、今、御説明があったように、原料血漿までと、その製造工程の2つを少し工夫したらどうかということであります。どうぞ、鈴木委員。
○鈴木委員 大きな問題としては、日赤が1社独占体制になっていることと、それによる高コスト体質というものがあって、これが是正されない限り問題は解決されないのではないかと考えます。そこを触れないでまとめようとしているようなところがあるので、もう少し日赤の問題点を明らかにしていただきたいということが1つでございます。
 それから、インフォームド・コンセントの在り方ですが、私は前回出席しているわけではございませんけれども、これが行われる方向になるような書きぶりになっているので、非常にこれは違和感を感じます。一方では、中医協の議論などでも、花井先生も出ておられますが、ジェネリックが医師の間では不信、不安、そういったものがまだある中でも、ジェネリック使用の推進ということで、コストが安ければいいのだということを推奨しておきながら、血液製剤に関しては高くても国産を使うべきだという話が行われており、ダブルスタンダードのような感じがして、これも非常に違和感を感じます。是非、中医協の議論と同じように、例えば、海外との内外価格差があるのであれば、英米独仏の価格を出していただいて、それに近づける努力をしていただくとか、そういう取組みをしない限りは、こういう話をしても、日赤の体質が改善されないまま議論が終了してしまう恐れがあって、その負担を現場の忙しい医師を初めとした医療従事者に押しつけることになりかねないので、根本的な問題を改善するという方向性を是非この提言の中に入れていただきたいと思います。
○溝口座長 先生、今の問題は、血漿分画製剤の問題ですか。輸血用血液製剤の問題ですか。
○鈴木委員 どちらにしても1社独占という問題はあるし、特に血漿分画製剤の価格は高いわけですね。これが是正されないまま、東京電力の電気料金ではありませんけれども、何か改善するごとにどんどん値段を上げていくということがずっと今までまかり通ってきたということで今日に至っているわけですから、こういったことが改善されないような状況を放置したまま議論しても、実のある結論は得られないのではないのかと考えます。
○溝口座長 先生、その問題はさんざんこれまで議論してきて、「提言」の「(1)血漿分画製剤の製造効率の向上」というところに詳しく書いてありますから。先生、お読みになったのですか。
○鈴木委員 読ませていただいております。
○溝口座長 原料血漿をもう少し安くしたらどうかということと、それから、製造工程をどうやってもう少し効率よくするか、その問題をきちっと書いた提言だと思います。
○鈴木委員 書いてありますけれども、具体的にどういうふうに日赤に取り組ませるかということの工程が書かれていないのではないでしょうか。
 それと、インフォームド・コンセントのところは、私が出たときには疑問を呈する声が多かったのですけれども、これをやるような話になっていまして、国産にしますか、非国産にしますか、献血にしますか、非献血にしますか、こんなことを忙しい現場に押しつけるようなことは私は非常に違和感を感じます。一方でDPCの導入で少しでも安くという論理を働かせておきながら、血液製剤に関しては高くても国産を備え、なぜなら安全だからと。でも、安全かどうかなどはわからないではないですか。未知なものはどこの国だって同じだし、既知のものは安全だということはどこも同じなのです。そういうことで議論を推し進めようとしているということは、引き続き違和感を感じるということでございます。
○溝口座長 インフォームド・コンセントの件は、先生のこの前の御意見をかなり取り入れた格好にしたつもりなのです。ところが、その前に先生おっしゃった、血漿分画製剤の価格をもっと下げる必要があるというのは共通した委員の認識でありまして、そのためにこういう方法がいいのではないかということが、この「提言」の(1)のところに詳しく書いてあるので、それをお読みになった上での御意見かどうか、大変疑問に思ったのです。
 どうぞ。
○小山委員 実は私も鈴木委員と同じ考えでありまして、9ページの(3)を読むと、コスト構造の在り方という形で書いてあるのですけれども、半分は製造コストのことを言っているのですね。だけれども、この前のヒアリングの中で製造コストがそんなにべら棒に高いという感じは持たなかったのです。基本的には、原料が安ければ、当然、全部安くなるよというふうな理解だったのです。だけれども、今回、これは、コスト構造が悪いという中に、原料血漿が高いのと、つくっている過程が非常に高いというような言いっぷりなのです。実際問題として、つくる工程のコストが高いというものがこの前のヒアリングで出たのでしたか。余り出なかったのではないですか。つくるコストは余り変わらなくて、結局は原料血漿の影響が全部価格に反映されてしまっている。それは言い過ぎですかね。済みません。
○溝口座長 つくる過程については、さっき企画官から話があったように、スケールメリットがないからということが1つ大きなテーマであったような気がするのです。
○小山委員 それが価格に影響しているかどうかというのは、この前のヒアリングでは、そんなにコスト構造的に問題なかったですよね。
○溝口座長 どうですか、企画官。
○丈達血液対策企画官 5ページ目をごらんいただきたいのですけれども、国内事業者の特徴として、これはヒアリングの結果を中間報告のときにまとめていただいているものなのですけれども、それの製造工程から供給までということで書いてあります「事業者によりコスト構造の内訳は異なるが、製造原価の割合が高いことは共通。」というまとめをヒアリングで前回中間報告のときにいただいているということでございますので、一応、当初の先生方のおまとめは、国内の、これは日赤だけということではございませんけれども、日赤を含めた国内4社の現状としては、製造原価が高いという御指摘をいただいたのかなと思っております。
○小山委員 なかなか分けにくいですけれども、製造原価が高いのは、原料が高いから製造原価が高くなるという議論に、私はヒアリングの中で感じたのです。日本のメーカーは、非常にコストを下げて、一生懸命努力している。だけれども、何しろ最初の原料が高いのだという議論は、(3)だとかなり薄められてしまって、今、鈴木委員がお感じになったのと同じような感じでもって、日赤の人を前にして申し訳ないのですけれども、日赤もうちょっと努力してよということがこの文章に盛り込まれる必要があるのではないかというのが恐らく鈴木委員のお考えで、私も同じような考えを持っております。
○溝口座長 三村委員。
○三村委員 今のところは大変重要な話だと思うのですが、製造原価が高い、製造コストの割合が基本的に高い構造を持っている。その結果、規模の利益が非常に働きやすい。規模の利益というのは、単位当たりの製造コストがどのようになっているかということです。ですから、私は、確かに原料血漿価格は決して安くないと思ったのですけれども、それよりも、各メーカーの製造規模が非常に弱小である方が問題である。そのことが結果として、海外でどんどん寡占化し、2社しか残っていないような状況になっているのに対して、日本は、相変わらず中小規模である。そこが非常に大きな弱点になっていると、私自身はあのときに印象を受けたのです。ですから、原料血漿価格が本当に高いのか安いのかという点について、少し明瞭にしていただいた方がよろしいのではないでしょうか。原料血漿価格そのものは、恐らく安いわけではないと思うのですけれども、むしろ製造体制そのものの方が影響として大きいのではないか。
 それから、私がもう一つ感じましたのは、製造コストとともに供給コストそのものも総体的に非効率になっている。それはMRとか、いろいろな営業経費ということなのですけれども、それがありますので、5ページのところに基本的には反映されていると思います。ただ、メーカーによって相当にコスト構造が違いましたので、これが一律に言いにくいところがあったのですけれども、共通して単位当たりの製造原価が高い。それと同時に、全体の供給コストも少し高目になっている。それは、8ページにありますように、日本の場合、事業基盤が総体的に脆弱であるという、私はこの結論の結びつけ方は間違っていないと感じております。
 その結果、9ページのところなのですが、原料血漿価格を下げる方策が必要、これは非常に大事なことだと思うのですけれども、もう一つは、その下にあります製造効率を高め、恐らく供給体制を強化するための方策が必要である。それは当然、コスト構造を変えますので、せっかく5ページに書き、8ページの(2)の事業規模の拡大のところに書き、それを今度、受けているはずなのですが、9ページの?のところの指摘が十分受けていないような、逆にそういう印象を受けております。ですから、製造原価だけではなくて、供給コスト全体として、供給基盤をどうしていくかということの見直しの中で基本的に検討していくべきだというような言い方かなと思いました。
○溝口座長 どうぞ。
○鈴木委員 以前の議論では、原料血漿価格はかなり高いですね。そういうのが1つ前提にあるので、そこはやはり大きな問題ではないかと思います。
○溝口座長 原料血漿価格は海外が1リットル1万円で、日本も一応、その値にそろえているのですね。そこがちょっと無理があるのではないかということをみんな感じているわけです。先生おっしゃったように、採血過程をもうちょっと効率をよくすれば、もっと下げられるのではないかということがさんざん議論されました。
○鈴木委員 私が出たときの議論に基づいてしか発言できないので申し訳ないのですけれども、例えば、日赤の社員の平均給与なども非常に高いのです。そういうところも含めた高コスト体質だと私は思います。東日本大震災でもたくさんの義援金を集めたわけですが、2~3割は事務経費に消えているといううわさも根強く出ているし、そのぐらい日赤の高コスト体質が非常に関心の的にもなっていますので、是非そういうところの是正をきちっと行ってほしいということを、こういう中にも入れていただきたいと思います。
○溝口座長 どうしますか。日赤からの意見を聞きますか。給与の問題はもう既に出されていまして、オープンにされていました。その上で、先生、ごらんになっての御議論なのかどうか。エビデンスなしでは余り御議論なさらない方がいいと思いますが、どうですか。
○日本赤十字社(加藤) いろいろ御指摘いただいておりますけれども、私ども、好きで独占をやっているわけではないのですけれども、実際、輸血用の血液製剤は独占でやらせていただいております。とはいえ、私どもは事業体でございますから、この委員会でもお示しをいたしましたように、集約等でいろいろ効率化を図っているという状況でございます。
 それで、今、御指摘のございました原料価格でございますけれども、今日の資料の最後の参考資料にもついておりますけれども、日米との比較、そしてフランスとの比較ということで、為替レートによっても変わると思いますけれども、座長からも御指摘がございましたけれども、特別日本が高いというような状況にはなっていないと思っております。
 それと、もう一つ、今日の資料には出ておりませんけれども、以前、日赤の職員の給与が高いという御指摘もこの委員会でいただいておりましたが、私どもの資料、そしてまた国の資料で、国家公務員の一般職と比べた場合、私どもの一般職は決して高いという状況ではなかったということをこの場でお示しをさせていただいております。いずれにせよ、私どもは効率よい事業をやっていくということは必要なことだというふうには認識をいたしております。
○溝口座長 ほかに御意見ありますか。今、給与の資料を探していたのですが、ないのですね。その資料を、全部見た人と、そうでない人で大分認識が違うようです。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 今、鈴木委員が指摘したところは私も指摘させていただいたと思うのですけれども、私の理解では、9ページの(3)の?の2行目以降ですね。鈴木委員指摘のとおり、今までは何らかの対策をすると、薬価で積み上げてきた。それは独占しているし、日赤ということで、献血という特殊なことであるから仕方ないでしょうと言ってきたけれども、時代の流れもあって、そうはいかない。独占で、特別な事業であっても、そのパフォーマンスについてはかなり絞るところまでは絞っていただかなければ困るということを指摘したところが、まさにここに「コストの透明性やその妥当性などについて第三者による評価が求められる。」これをもうちょっと強い書きぶりにするというのは私も賛成で、要は、コストをちゃんと評価して、先ほど人件費の話も出ましたが、今のやり方では客観的に第三者が評価するような形になっていないので、これをやらなければ意味がないだろうという鈴木委員の指摘どおりで、それをしろという趣旨がここに書かれていると思います。それが弱いというのであれば、もっと強く書くべきというのは私は賛成なので、今、言っている論点はここに盛り込まれていると思います。
 それから、原料血漿の価格についても、何人かの委員が指摘しているとおり、そもそも海外競争力がある価格で配分しているのだから、それは差はないわけです。ただ、議論として出たのは、一般的な医薬品と比較してコスト構造的に原料の占める割合が高いのだから、大体そろえてはいるけれども、もっと国内競争力を上げるためには、赤十字が頑張れば、海外よりもっと安い価格でそれを出せるのではないか。そこは更に努力をして、更なる競争力という意味で、この原料血漿を圧縮するということも1つの方策として考えられるでしょう。それにも反射的に、先ほど言った日本赤十字社の合理化というものが必要ですよねと、こういう文脈だったと思います。それがうまく反映した文章になっていれば、今、何人かの委員の先生が指摘されたこととそんなに矛盾したことは書かれていないと思います。
○溝口座長 ほかにどなたか御意見ありますか。どうぞ。
○益子委員 8ページの「(1)血漿分画製剤の製造効率の向上」の「?製造工程から供給まで」というところなのですが、最後に「当面、当該製剤の国内自給促進に向けた国内事業者の特段の努力が望まれる。」と言って、要するに、丸投げして、民間企業と日赤で何とかうまくやってちょうだいよという感じで、国の責任が全然入っていないというのはいかがなものか。国は何をしなければならないかということを盛り込まないとだめだと思うのです。
○溝口座長 これは、最初、意味がわからなかったのですが、国内業者は5%製剤の製造が少ないのですね。それをもうちょっとつくるようにしなくてはいけないということですが、その辺は、国内事業者だけが努力するのではなくて、国が血液事業をやっているわけですから、何かそこに助けられないか。
○益子委員 国が誘導できるわけですから。
○溝口座長 それを入れるべきだという御意見ですけれども、事務局としてはどうですか。
○丈達血液対策企画官 特に等張製剤の自給率が極めて低い状態になっている要因分析を今後きちっとしまして、なおかつ実際に価格差が、確かに国産のものは高くて、海外産のものは安くなっている構造になっておりますので、先ほど出ている包括的な制度によって安い方が選ばれるとしているのであれば、何とか価格を下げてもらえるような方策も考えていかなければいけないと思っておりますので、すぐにこういうことができますというのを申し上げられませんけれども、国でも何かしら方策を考えろという御指摘なのであれば、そこは当然、我々も努力をしていきたいと考えております。
○溝口座長 どうぞ。
○井廻委員 たしかこのときの話では、高張の方はタンクも小さくて済むのだけれども、等張製剤の場合、ものすごい大きなタンクが要って、日本のような小さいスケールのものでは非常にコストが高い。そういう意味で日本では等張製剤が非常に高く設定されていると理解しているので、そこを考えながら、ここは書いていただければと思うのです。
○溝口座長 どういうふうに書けばいいですか。
○井廻委員 どうしますかね。今の4社体制を合併で少なくしていって、スケールを大きくするしかないのではないでしょうか。あるいは、国として何か補助をするのか。
○丈達血液対策企画官 補助というのも、今、財政的に非常に厳しい中なので、現時点では、事務局としては、その点についてコメントはできないのですが、1つは、今、委員御指摘のとおり、効率を上げるための方策としまして、事業基盤をきちっと強化して拡大してもらうというような方向性も1つあるのかなと考えております。
○溝口座長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 今、皆さんから御指摘がありましたが、やはり国としての関与の仕方というのがここには何も書かれていなくて、最終の章の「おわりに」も、国がどういうふうにしていくかというところは書いていないのですね。スケールメリットとか、そういうものを考えながら、4社体制を合併していくとか、そういうことも中間報告では出ていたのですけれども、それに対しても、国がどういうふうに指導していくか、また協力していくかということについて、やはりここに何らかの書き込みをしなければ、血液事業全体は国の責任で動かしていくところなので、そこをおろそかにしてはいけないのではないかと思いました。
 これはずっと議論なのですけれども、献血血液をいただきながら、有効利用の観点からも、いろいろな視点からも、科学の進歩が最大限に活用されていないままでここまで来てしまったというところがかなりあると思うのです。指摘のありました日赤の1社独占とか、輸血用血液製剤と血漿分画製剤の原料血漿の問題についてもそうなのですが、そこの分かれ目とか、けじめみたいなところがオーバーラップしていてわかりづらいところが、今回、本当は解明されなければいけなかったのかなというところがあったわけですけれども、それがまだ解明されずに、コスト構造全体として、もう一回きちっと見直さなければいけないというところに戻ってしまったというところが、なかなか血液事業が進まない1つの大きな論点になるのではないかということで、先ほど鈴木委員が言われたように、そこは提言にもう少し厳しくと言ったらあれなのですが、的確に、具体的な方策を盛り込まないと、また新たな検討会をつくって、それがずっと続いていくという、何か歴史の無駄遣いみたいな感じをするところがありますので、こういう時代に来たところで、もう一度、前進する1つのきっかけにしてほしいなと思いました。
 あと、この協議の中には出てきませんでしたけれども、献血の啓発コストですとか、そういうのもここの輸血用血液製剤ですとか、血漿分画製剤に上乗せされているわけですね。そういう問題について、本当にそこに上乗せしてコスト構造の中で考えていいのかどうかというのは、献血の役割としての、地方自治体ですとか、国ですとか、いろいろな関係機関の分担をもう少し考え直していくという、コスト構造と安定供給を突っ込んだ議論としてできるような、常時監視できるような体制をつくっていくということをしないと、なかなか価格が安定的な形で日本の血漿分画製剤のメーカーに供給されにくいのではないかと考えました。
○溝口座長 直江委員、どうぞ。
○直江委員 皆さんの御意見に賛成なのですけれども、この「提言」の第4章全体を見ますと、基本的には論点を繰り返しているだけなのですね。なので、要するに、国は何をやるべきなのか、赤十字は何をやるべきなのか、民間の会社は何をやるべきなのか、国民は何を知らなければいけないのかというふうにして、提言というのは相手があるわけですね。これはだれに言っているのかというところですね。ずっと読むと、言い訳というか、エクスキューズが随分書いてあるので、この書きぶりは、提言としてはやや弱いのだと思うのです。私は内容は基本的にいいと思うのです。
 例えば、国はコスト構造にもっと関心を持って、赤十字の原料血漿をもっと安くできないかということに対して、第三者を入れながら赤十字を指導するとか、赤十字はその勧告を受けてコスト構造の低減に努めるとか、民間会社はもっとマージして、スケールメリットについては、国がそれを、どう言えばいいのかわかりませんが、指導するとか、プロモートするとか、国民は大切なドナーの方の血液からつくられているということを考え、何々をするように啓蒙するとかいうような、2~3行でわかるようなものが提言だと思うのです。これは読まなければいけない。これはほとんどが論点だと思います。そのことが1つ。
 2つ目は、さっき鈴木委員が言われたことで、確かに私もインフォームド・コンセントが現場ではなかなか受け入れられないのではないかという気がしています。あのときに、やはりそれは言うべきだという意見もそれほど強くなかったような気はするのです。とは言っても、なかなか無理だねと、むしろコスト構造や、そちらの方をもうちょっと強めた方がいいのではないかというふうに私は聞いていたのですけれども、そこの2点。
○溝口座長 インフォームド・コンセントの問題は、あのとき、鈴木委員も強く発言されたので、「医療関係者の観点からは、」というパラグラフの2つ目、10ページ目の製剤の安全性に差がない中で、国内献血由来製剤か輸入製剤かにこだわる必要はないということになっていますから、それはかなり大幅に、インフォームド・コンセントは国内自給のためには有効な手段ではないということを言っているつもりです。
 ただ、やはり「患者の観点から、」と書いてありますが、大平委員が強くそこの内容をおっしゃったので、それが入っているわけです。だから、両者併記の格好になっています。それはどちらがいいということは、この委員会として言えますか。やはり併記せざるを得ないかなと思います。
○鈴木委員 併記というよりも、前半ではそういうふうに書いていただいたのですけれども、後半が論旨の中心で、インフォームド・コンセントの実施に取り組みやすくなるよう環境整備を進める必要があるというのは、やはりやる方向で話がまとめられているような気がするのです。もしそういうことであれば、もう少し書きぶりを、より両論併記的に直していただいた方がよろしいのではないかと思います。
○溝口座長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 私たちとしては、インフォームド・コンセントが必要ないというような観点は考えられないのですね。今は、特に緊急の場合の問題と、それから、慢性的な疾患の方たちの血液製剤の使い方の問題は、それぞれ現場で違うと思いますけれども、慢性的な患者が常時使っていく血液製剤の問題については、患者自身も大変気を配っているというか、その安全性と、また原理的な問題とか、そういうのも、かなり考えながらも使っているというところがありますので、そこは私はこういう環境整備が必要だということは、あえて申し上げたいと思います。
 また、血液製剤、血漿分画製剤だからインフォームド・コンセントは要らないとか、そういう話ではなくて、日本での血漿分画製剤も、本来的には国内献血で自給されるというのが国の方針で決まったわけなので、献血者の方たちが提供してくださるというところが大きな私たちのバックボーンでもありますので、その方たちの善意を私たちは受けているということを理解することは大切な問題として、そこは譲れない問題です。
○溝口座長 医療は医師のものではなくて、相互主義が常識になっていますので、その辺は両論併記せざるを得ないのではないかと私は思ったのです。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 私は多分、そのときも発言させていただいたと思うのですけれども、この文章は必ずしも両論併記になっていない。インフォームド・コンセントというのは、一般的に医師に求められているインフォームド・コンセントのほかに、血液法で特に血液製剤に求めているインフォームド・コンセントがあります。それはいわゆる医薬品のインフォームド・コンセントの話で、その中で、製剤が国産か海外かということを盛り込むことについては論点があって、私もそこでは、さすがに現場の感覚からすれば、医療のインフォームド・コンセントの中に製剤の出自について説明するというのは、インフォームド・コンセントという狭義の意味の概念にはそぐわないという考え方には納得できますよねという議論があった。
 この文章だと、そこがちょっと混じってしまっていて、(4)の最後の段落でわざわざ「血漿分画製剤をとりまく歴史的経緯や倫理的な観点からその由来を知りたいと考える患者は多い」と書いてあって、その後には「医療機関ではできる限りその説明を行うとともに、」云々と書いてあるでしょう。なので、それを受けるのであれば「そのために」以降が、その次にすぐにインフォームド・コンセントと出てしまっているので、文章を差し戻しているのですね。「そのためには、医療機関がインフォームド・コンセントの実施に取組みやすくなるよう、」と書けば、その証拠に、その後には、医師が患者に説明するだけではなくて「薬剤師を活用する」などと書いてあるわけだから、施設として、こういう選択肢を用意して、施設としてちゃんと情報提供できる体制が望ましいですよという話と、医師が患者に、いわゆるインフォームド・コンセントの中で話す話とはおのずと分けた議論をしているのだから、この文章からいくと、最後の3行目のインフォームド・コンセントを、医療機関がこれらの説明を実施しやすくなるよう、もしくは説明の実施を取組みやすくなるようと書き換えれば、趣旨と合致すると思うのです。
 だから、インフォームド・コンセントという狭い意味の中で、必ず献血由来か、非献血かを説明することは望ましいのだと言い切ることについては、診療とすれば反発があって当然ではないかと思うのです。これはそうは言っていないわけで、施設にいろいろな取りそろえがあるということも含めているので、それを書き分ければ、大平委員と鈴木委員の話が両方書かれると思います。
○溝口座長 事務局として、会はこれで終わりなのですが、花井委員、鈴木委員、大平委員がおっしゃったようなことをまとめていただいて、後で持ち回りで了承していただけるような方向になりますでしょうか。いかがですか。
○丈達血液対策企画官 今、御指摘いただいたところをもう一度、かなり難しいかもしれませんけれども、やってみまして、また委員の方々にお目通しいただければと思います。
○溝口座長 井廻委員、どうぞ。
○井廻委員 先ほどの話にまた戻るかもわからないのですけれども、アルブミンの件なのですけれども、今、アメリカと同じぐらいですね。ヨーロッパよりも多いというのはわかるのですが、アメリカと同じにしても、日本の今の使用添付文書、あるいは使用の手引きからすると、難治性の腹水の患者などで使える量は全然少ないのです。むしろ我々は制限されているという意識が強いのです。だから、決して使用量は多いのではないと思うのです。むしろヨーロッパの方が少ない可能性があると思うのです。ですから、そこら辺に合うような表現に変えていただいた方が。
○溝口座長 明らかに言うと、いわゆるインフォームド・コンセント、自給率は高張の方が高いし、それは主に内科系で使われていますね。
○井廻委員 使われています。70%です。
○溝口座長 等張は、インフォームド・コンセントはよくわかりませんが、自給率は極端に低くて、主に外科系、救急で使われているというのが現状です。それは添付文書自身が、全く等張と高張が同じ内容になっている。その辺は今後検討してもらうというのはここに入っています。
○井廻委員 ただ、今、日本で、外科系の先生の場合には非常にたくさん使っているという意識は。
○益子委員 やむにやまれず使っているわけで、別に使い過ぎているわけでも何でもないと思っているのです。だから、決して使用量が多いというわけではないと思うのです。
○溝口座長 最近、輸血管理料で大分コントロールされていますか。その辺も内容も少し入れてはどうでしょうか。使い過ぎのところの論点は、データが手元にないので全く議論が進まないのです。
○井廻委員 私の記憶でも、アメリカとほとんど同じで、ヨーロッパよりも少し多いぐらいの感じだったと思うのです。そうすると、決して使い過ぎているという意識はないし、むしろ世界的に我々が使っているガイドラインからすると、本当に使っていない、使用量が少ないのではないかと思っています。
○溝口座長 そうすると、別のところにあるインフォームド・コンセントがありますね。鈴木委員の御指摘でない、使い過ぎをコントロールするためのインフォームド・コンセントのところは削除しますか。データなしで議論するのはちょっと気が重いのだけれども、事務局、どうですか。
○新村需給専門官 アルブミンの使用量についてなのですが、先ほど課長からも話がございましたが、第2回検討会の資料になりますが、人口1,000人当たりの使用量ということで、日本、米国、フランス、ドイツ、英国で比較しております。2008年のデータになるのですが、米国につきましては、1,000人当たり約400グラム、日本につきましては、約300グラム、フランスにつきましては、約250グラム、ドイツが150グラム、英国が一番少なくて100グラムという状況でございます。
○溝口座長 それを日本が多いと判断するかどうか。
○井廻委員 イギリスにしばらくいた経験からすると、薬品の使用に関してはめちゃくちゃ制限されています。とても考えられないぐらい、ナショナル・ヘルス・サービスだと制限しているので、決してイギリスは参考にならないと思うのです。むしろアメリカの方が参考になるのかなと思います。
○溝口座長 では、使い過ぎというところはすべて外しますか。エビデンスが不確実であるならば、全部外した方がいいかもしれない。そういうことでよろしゅうございますか。
○丈達血液対策企画官 ちょっと確認ですけれども、今の議論で外してしまいますと、この検討会でもいろいろ御議論いただいたときに、例えば、学会の中で今後、アルブミンの適正使用について更に進めていくというような内容の発言がたしか出ていたかと思いますけれども、そういうことは今後はないということになるのでしょうか。
○井廻委員 これは委員会の方でと書いてありますので、本当に今、使っているのは適正かどうかは検証していただいた方がいいかもわからない。
○溝口座長 牧野委員、どうですか。
○牧野委員 学会の方で、アルブミンの適正使用に関しまして、海外の論文もそうですけれども、国内の論文を使いまして、今、指針の中に挙がっています9項目で本当にいいのか、本当は生存率に影響がある、つまり、効果があると思われるもので、この指針の中に入っていないものは、存在すると思います。そういう漏れているものに関しまして、やはり入れていく必要があるだろうと思います。この9項目の中に、本当に論文で意味があるかどうかということに関しましては、日本においては今まで余り議論されてきていないので、過去の論文を整理して、その辺りはまとめて、やはり日本でも議論する必要があるだろうと思います。今、文献の検索ということで、一応、学会として始めております。
○溝口座長 今、新村さんから言われたように、各国の人口当たりのアルブミンの使用量が必ずしも日本が突出して多い時期ではもうなくなっているということであれば、すべてその論点は外さざるを得ないのですけれども、1,000人当たりのデータをもう一回言ってくださいますか。
○小山委員 ちょっといいですか。このデータは、結局、凍結血漿とかというところですね。論点はアルブミンですね。そこら辺のところを分けないと、話が。
○溝口座長 勿論、今回はFFPは議論したくないのですね。
○小山委員 今の議論で、数値はFFPの議論ですね。
○溝口座長 アルブミンです。
○小山委員 アルブミンの量で出ているのですか。ここに出ているのはFFPの量ですね。
○溝口座長 アメリカが幾つですか。
○三宅血液対策課長 お手元にあるものではなくて、今、新村が申し上げました、たしか第2回のときにデータとして出させていただいているものです。
○新村需給専門官 アメリカが約400です。日本が約300、フランスが約250、ドイツが約150、イギリスが約100です。
○溝口座長 やはりアメリカは多いけれども、フランス、ドイツ、イギリスよりはかなり多い。
○井廻委員 でも、実際にやられているのでいくと、イギリス、ドイツ、ものすごく制限されていますね。
○溝口座長 等張と高張を分けてはいないですね。
○新村需給専門官 1本でございます。
○溝口座長 では、外さざるを得ない。井廻委員が言うように、イギリスを除いても、ドイツの2倍、フランスよりは50グラム多い。どうですか。委員会の意見としてそうであれば、そうせざるを得ない。
○直江委員 そうすると、最初に私がお話しさせていただいたように、第2章とか、前回の中間とのそごが生じてくるので、適正使用とか何とかという言葉に変えないと、現状認識がそれほど違うとなると、なかなかつながらなくなりませんか。それは大丈夫ですか。
○井廻委員 私も決して少ないというわけではないのですけれども、本当に今、適正かどうかを検討して、多過ぎれば減らせばいいと、そういう議論でいいと思います。
○溝口座長 牧野委員、学会として、その辺の調査はやっていないのですね。かつての高野班のあれでは、明らかに日本のアルブミン使用量は多かったのです。輸血管理料はそれを基に出てきて、点数になったわけですが、それでだんだん変わってきているということですか。
○牧野委員 そうですね。昭和60年ぐらいから比べますと、日本におけるアルブミンの使用量は年々減ってきたものが、ここ二、三年、下がり止まりしてきていることが1つあると思います。学会としまして輸血アンケートを行っているのですが、使用理由というところまで調査しておりませんので、なかなか難しいところはあるかと思います。ただ、先ほどお話がありましたけれども、都道府県差で、今、一番多く使うところと少ないところが4倍ぐらいの差があるのですが、以前はもう少し差が大きかったように思います。その当たりを比べますと、適正使用はかなり進んできているのではないかと思います。しかし、都道府県の中でそれだけ差があるというのも、多くは適正であろうけれども、まだまだ適正使用を徹底する部分はあるのではないかと考えられると思います。
○溝口座長 どうしたらいいでしょうかね。
○小山委員 私も今、適正使用委員会に出ていますけれども、そこでは、まだ使用量は多いということをベースにして議論はしております。ただ、細かく、FFPはどうのこうの、高張アルブミンは、等張アルブミンは、そういう細かなデータまで見えていないのですけれども、今、牧野委員がおっしゃったみたいに、地域によってかなり差があることもあるのと、輸血量を1と取るか、取らないかでもって、講習会を1回やると1が取れてしまうというようなレベルのところが出てきたり何かしているので、まだ全体とすれば、適正使用よりもちょっと多いのではないかという印象はあります。
○丈達血液対策企画官 参考までに、2009年の都道府県別の1床当たりの使用量ということで、熊本県が突出して91.3グラムと高くて、これが1番。2番が東京で、約60グラムとなっております。そこからずっと下がってきまして、一番少ない岩手県が18.7グラムということで、一番高いところと一番低いところを比べれば4.9倍ぐらいになっておりまして、熊本県が余りにも突出しているものですから、第2位の東京都と比べまして3倍ぐらいの差があるという状況でございます。
○溝口座長 ドイツより2倍というのはだめですか。
○井廻委員 ドイツもかなり治療するのに大変そうですから。
○溝口座長 どうしてもという意見が多ければ、適正使用のところは省きますか。エビデンスに基づかない提言はしたくないので。
○伯野血液対策課長補佐 アルブミンの適正使用については、都道府県格差があるので、多い少ないということではなくて、治療法が標準化されていない可能性があるので、そこは指針でお示しをして、いいものはいい、悪いものはいいと、ある程度標準化すべきではないかという御意見が適正使用調査会であったので、それは研究班で進めさせていただくのと、あとは学会の方でも御尽力いただく。これは進める予定でございます。ただ、ここに載せるかどうかは、自給率の話ですので、先ほど花井委員からもありましたが、直接的な話ではないかと思っていますので、報告書にのせるかのせないかは、この会のご判断で構わないと思います。
○溝口座長 多くの委員の御意見がそうでありますか。牧野委員が一番影響を受けるかもしれない。今、インフォームド・コンセントの案をつくっていらっしゃる最中なのです。では、そういう流れであることを、事務局として、よろしくお願いします。
 あと、時間はもう過ぎてしまいましたけれども、コスト構造の在り方につきましては、一番の問題は、今まで費用対効果について議論する場がなかったのです。初めてこの委員会がそれを取り上げて、それぞれの、特に日本赤十字社に対して厳しい意見が載っているのではないかと、私は血液事業部会の座長をしていた経験では思うわけですが、これ以上に国のことを入れろという意見を直江先生がおっしゃった。私はかなり入っていると思うのですが、いかがでしょうか。どうぞ、鈴木委員。
○鈴木委員 インフォームド・コンセントのことですけれども、両論併記という形にするのであれば、最後の段落が偏っていますので、2番目の段落の意見が出されたという両論で終わるような形にして、患者の視点の意見を、3段落目のを入れた上でしないと、平等な両論併記にはならないと思います。
 それから、コスト構造の在り方ですが、9ページ目の「第三者による評価」という言葉が入ったのですが、これだと、評価だけして、あとはどうなっても知らないということになりかねないので、しっかり評価した上で、PDCAサイクルを回して改善していくことをしないと、実質的な意味はありませんから、それをどこでやるのかまで含めて書いていただかないと、実際の改善にはつながっていかないと思います。
 これは個人的な考えですけれども、血液製剤が薬価であるのだったら、中医協に薬価専門部会などもあるわけですから、そういうところで議論してもいいし、花井先生も入っていらっしゃるから、議論もできるのではないかと思うのです。継続して議論するような場が、新たな検討会をつくる方法もあるでしょうが、それもまた屋上屋という感じもしますので、とにかくそういった改善をきちっとしていくような仕組みをつくる必要があるのではないかと思いますし、それがはっきりわかるような書きぶりにしていただきたいと思います。
○溝口座長 血液事業に関する諮問委員会として、血液事業部会があって、その下に3つの調査会があるのですが、コスト構造、いわゆる費用対効果を検討する調査会は全くないのですね。それを私は何回もこの委員会で申し上げたのですが、国としては何かお考えはありますか。それをどこかに入れないと、皆さんの多くの意見はそうなのです。第三者機関をもうちょっと具体的にできませんか。
○丈達血液対策企画官 具体的にどういう仕組みでやるかというのは、これからよく検討させていただきたいと思っております。それは別にやらないということではなくて、きちっとやるために、どういう仕組みがいいのかというのをまだ検討し切れていないところもございますので、きちっと検討はさせていただきたいと思っております。
 それから、国に対する提言が盛り込まれていないのではないかという御指摘なのですけれども、9ページ目の?の最後の行ですけれども、「血液事業関係者の努力が」という言葉を入れているのは、ここには国も担い手として当然入っているという認識でございますし、それから、その下の?の血漿分画製剤の価格の2行目のところで、今後、国は、こうこう、こういうことに配慮しつつ、適正な価格の調整を考えていくべきであると、一応、国に対するあれはいただいているという認識で我々はいるというのが現状でございます。
○溝口座長 「血液事業関係者」という言葉の中に国が入っていないような印象を皆さん持っていたのではないかと思うのですけれども、血液事業というのは国がやるのだという法律がありますので、ここに入っているということでありますし、今、おっしゃったような「国は、」という言葉が入っていますので、それで御了解いただけますでしょうか。
 大平委員。
○大平委員 本来ならば、一つひとつ個別にきちっと提言という形で出た方がいいのではないかと思いますけれども、もしそれが無理というか、もう時間がないとしたら、「おわりに」というところにきちっと国の関与の仕方を書き入れていただかないと、今後また宙に浮いた話になりかねないかなというところがあるので、そこを工夫していただきたいと思います。
○溝口座長 最初のパラグラフの終わりに「一方、これまで血液事業においてコスト構造が議論されたことはほとんどなく、本検討会で初めてその方向性について提言を行っている。」では不十分だということでしょうか。国にということは、当然、この検討会自身がそういうものですので。
○丈達血液対策企画官 例えば、今の御提言で行きますと、最後のところに「引き続き関係者のさらなる努力を期待する。」という表現を取っておるのですけれども、血液法は御存知のとおり、国の責務でありますとか、医療関係者の責務、それぞれの関係者の責務をきちっと定めておりますけれども、そういう血液事業に関係している関係者に対する努力といいますか、そこを1つずつ書き上げて、「期待する。」という言い方が弱いのであれば、もう少し強めたような言い方だとか、そういうところで。
○溝口座長 努力を求める。
○丈達血液対策企画官 そこはもう少し改善していただいても結構かと思いますけれども、「関係者」だけではわかりにくいということであれば、ここに具体的に国だとかいうことをきちっと書いて努力を求めるということであれば、それはそれで、御提案いただければ書き込みたいと思います。
○溝口座長 今までのコスト構造までのところは、そういうことで御了解いただきたいのですが、あとのインフォームド・コンセントのこと、4番目は、鈴木委員と大平委員の御意見を併せて、原則的には両論併記的な形にする。
 それから、5番目の血漿分画製剤の輸出については、企画官から説明があったことで、なかなか今は難しいのではないかという結論であります。
 6番目の国内自給化が困難な製剤については、特に抗HBs人免疫グロブリンについては、八橋先生のお話があったような形で、場がありますので、実現する方向にしていくという提案であります。
 7番目が遺伝子組換え型と血漿由来の第?因子についてでありますが、これはここに書いてありますように、国内事業者がより高い安全性を確保した血漿由来製剤、患者が使用しやすい新製剤、国産の遺伝子組換え製剤の迅速な開発・製造供給を期待するということでよろしいでしょうか。
 あと、各製剤の国内自給を推進する方策は、非常に利用者が少ない製剤でありますが、これは統合などによってスケールメリットを生かして、その開発の努力をしてほしいということの提案になっています。
 こういうことで、後の方はほとんど青字で書かれてありますけれども、御理解いただけますでしょうか。よろしゅうございますね。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 黒字のところでちょっと修正してほしいところがあるのです。8ページの(1)の?の2段落目の「一方、」以下のところに、いわゆる安全性向上のため感染症リスクを考慮し、大都市圏に採血所を設置していないという海外事業者の話が書いてあるのですが、これは実は前半にも出てきていて、前半では安全性の取組みということで出てきていて、後半ではコストの面で大都市圏に設置していないというふうに載っているのです。これは、事実として、まず、ヨーロッパの大都市圏に採血所があります。それがいかがなものかということと、それから、今度、コストで引用するに当たって、大都市圏に設置していないということが本当にコストとしてそれほど差があるのか。つまり、ドイツで言えば、フランクフルトにあるのと、新宿にあるのと比較して、フランクフルトの方がローコストだという根拠は全くない。それから、安全性に関しても、必ずしも人口動態とか、そういうエビデンスで言っていないので、採血所を大都市圏に置かないという記述は、前半からも後半からも削除したらいかがでしょうか。多分、業者のヒアリングのときにちょっと触れたか何かがそのまま残ったのだと思うのですけれども、事業者のヒアリングでも、そんなにエビデンスを示した話ではなくて、こんな感じですみたいに紹介したことがそのまま残ってしまっているのではないかと思うのです。丁寧に載せると、ちょっと根拠が薄いので、大都市圏に採血所を置いていないことについては、安全性の根拠の前半、それから、コストの根拠の後半からも取ってしまったらいかがでしょう。
○溝口座長 事務局、いかがですか。
○丈達血液対策企画官 もしこれを削除するという方針であれば、削除したいと思います。
○溝口座長 最後に、もう15分過ぎたのですが、先ほど益子委員から言われた6ページ目の「(3)今後必要となる経費の状況」というのを、日赤が言っていることをそのまま書くかどうかということです。我々の意見では何でもないのです。
 鈴木委員。
○鈴木委員 これは一方的な日赤の意見だけであって、それがあたかもこの会の意見みたいに取られるのは誤解を招く基であると思いますので、削除してもいいぐらいだと思います。
○溝口座長 益子委員からも同様の意見があったのですけれども、ほかの委員の方、いかがですか。小山委員、いいですか。
○小山委員 私は言い出しっぺですから。
○溝口座長 ああ、そうですか。
 三村委員もいいですか。
○三村委員 私はこれで結構だと思います。ただ、全体の論調がどちらかというと輸血用の方にかなりシフトしているところがあって、ちょっと論点がずれて、それでこの6ページ(3)が入ったのかなという感じも受けます。実は、先ほど申し上げた、ひょっとして言い方がまずかったのかもしれないですけれども、確かに問題として、原料血漿価格の問題が大きいということは大変よくわかります。ただ、今回はいろいろなヒアリングで、例えば、分画の製造におけるさまざまな構造上の問題が非常にはっきり見えてきて、それが明確に指摘されたのも初めてかなと思います。
 ですから、そういう意味からしますと、コストを下げるという議論とともに、基盤を強化するというのを一緒に持っていかないと、単にコストを下げる、下げるということになると、短期的には結果が出るのですけれども、長期的に成果が出ないという可能性もあります。ですから、分画の問題に関しては、競争力の強化とか、事業基盤の拡大とかいったところを前提として受けた形で書いていただくのがいいかなと思います。ただ、議論の流れから、血液事業そのもの、日赤の役割の在り方を見直すべきだとかいう議論が前面に出て、それで恐らく輸血用の話が強く出てきておりますので、この流れでも結構だと思います。
 6ページの話は、9ページのところをしっかりお書きになるならば、これが入っているのは必要ないかもしれない。大平委員がおっしゃったように、採血のときの問題とか、社会的コストとか、そういったことを指摘された方がいいのかもしれません。
○溝口座長 それでは、6ページの(3)のところは、ヒアリングの中に入るべきことだったと思うのですね。これを特記するかどうかは別の、ちょっと考えが違うかもしれませんので、削除するということで、企画官、いかがですか。
○丈達血液対策企画官 削除しろという御指示であれば、そのようにいたします。
○溝口座長 前野委員。
○前野委員 削除には私も賛成です。アルブミンの使用量は別にして、これまでの委員の問題認識はほとんど一致していると思うのです。その一致の中心になるものは日赤の意識変革と時代の流れに沿った形での実効性だと思うのです。それが第1で、それを促すための報告書という認識が強いのですけれども、先ほど日赤側から、1社独占は好きでやっているのではないと、思わず出た発言に私はとてもショックを受けまして、ある意味では非常に居直った発言で、日赤、こういう認識だったら、その実効性はいかがなものだろうというくらい、私は思っております。社会的使命というのをまだまだ認識されていないのか、そこの原点がない限りは、同じことを続けていくのではないかと、非常に虚しさを感じた次第です。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 血液法をつくった立場としては、策定に関係した者としては、日赤は採血事業者となっていまして、その協力を得るとなっています。ですから、日赤である必要はないのですが、歴史的ないきさつとか、国民の信頼度という点で、今のところ、日赤だけに国が頼っているのではないかと想像しております。アメリカなどは半々になっていますし、いずれにしてもノンプロフィットでないと行えない事業であることは間違いないと思っています。
 ほかになければ、ただいまの御意見を踏まえまして、いろいろ修正する点もございましたけれども、当検討の最終報告書としたいと思います。報告書の文章等につきましては、私にお任せいただけますでしょうか。
                (「はい」と声あり)
○溝口座長 どうもありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 また、報告書につきましては、まとまりましたところで、委員の先生方に事前にお目通しいただきまして、確認の上、3月の開催予定の薬事・食品衛生審議会血液事業部会に報告させていただきたいと思っております。
 議題としては、その他の2があるのですが、何かございますでしょうか。もう大分時間が過ぎておりますので、特になければ、これで検討会は終了させていただきたいと思っております。
 今回、このような報告書をおまとめいただきましたことは、先生方の御努力と大変感謝いたしております。今後、国内自給の達成等の状況の変化を待ちまして、改めて議論しなければならない課題もございますが、この検討会の役目はこれで終わらせていただきたいと思っております。
 ここで課長からごあいさつがあるということですが、よろしくお願いします。
○三宅血液対策課長 終わりに当たりまして、一言お礼のごあいさつをさせていただきます。
 この検討会につきましては、平成22年の11月から合計10回にわたりまして、先生方には非常に御熱心に御議論いただきました。いろいろなヒアリングも、業者の皆さんからもさせていただきました。先生方からは、非常に示唆に富む、率直な御意見をいただきました。血液事業は国民の貴重な献血によって運用いただいているわけですけれども、一方で、公的な、勿論、国の事業の部分もございます。それから、日赤にやっていただいている部分があります。それから、民間の事業者の方々にやっていただいている部分、そういうものが組み合わさってこの事業が動いていく。そういう面で、なかなか難しい面もございます。いただいた御提言を含めまして、我々はまた更に一歩ずつ、よりこの血液事業が国民の期待に応えて、患者さんのために役立つものに、かつ御指摘いただいたように、効率的なことも求められているということでございますので、そうしたことを踏まえて改善に努めていきたいと思いますので、また引き続きよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○溝口座長 それでは「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を終わらせていただきたいと思います。どうも長い間、議論を熱心にしていただきまして、本当にありがとうございました。皆様の御協力に感謝いたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111
内線(2905、2917)

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