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2012年2月23日 急性期医療に関する作業グループ第4回会合議事録

医政局総務課

○日時

平成24年2月23日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議題

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○議事

○医療政策企画官 定時となりましたので、ただいまから「急性期医療に関する作業グループ」第4回会合を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 まず初めに、本日の御出欠について御報告申し上げます。
 本日は、代理の方に御出席いただいておりますが、横倉義武構成員が御欠席でございます。また、尾形裕也構成員、永井良三構成員から御欠席との連絡をいただいております。
 議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1「急性期医療に関する作業グループ第4回会合資料」。
 資料2「急性期病床群(仮称)を医療法に位置づける効果」。
 資料3「今後の議論を進めていく上でのポイント」。
 資料4「これまでの議論で出てきた疑問点と当該疑問点に対する考え方」。
 更に中川参考人から御提出のありました資料をお配りしております。
 不足等ございましたらお知らせください。
 また、本作業グループでこれまでお示ししました資料等は、別にファイルとして御用意することといたしました。適宜御参考にしていただければと思います。
 なお、このファイルにつきましては、会合終了後、机に置いたままにしておいていただいて結構でございます。
 事務局からは以上でございます。
 以降の進行は座長にお願いいたします。
○田中座長 皆さん、こんにちは。
 では、議事に入ります。
 初めに、構成員欠席の際には、代わりに出席される方の扱いについて、医療部会と同様に、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の会合において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言をいただくことを認めることとしたいと思います。
 本日の会議については、同じ部会のメンバーですけれども、横倉義武構成員の代わりとして、日本医師会副会長の中川俊男参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田中座長 どうぞ、御自由に御発言ください。
 早速ですが議題に移ります。
 資料1、2、3、4について説明をお願いします。
○総務課長 それでは、私の方から資料の1、2、3、4について御説明をさせていただきたいと思います。
 前回、第3回目の会合におきまして、幾つかのデータの分析、一般病床の担っている機能に関する幾つかのデータの分析をお示しして御議論いただきました。
 平均在院日数、その中で特に看護の配置、人的な配置との平均在院日数の関係、あるいは救急とか手術とかいったような機能を一般病床がどんな形で担っているか、それと人的な配置との関係にかかわるデータをお示ししたわけですが、御議論いただく中で、幾つか御指摘をいただきました。その点に絡んで、少し補足的に分析をしてみたものが資料の1になります。まず、この資料の1に沿って、追加として幾つかのデータ分析をしたものを説明したいと思います。
 資料1の表紙をおめくりいただきたいと思います。
 裏側に1ページと書いてあるところであります。目次が1~5と記してあります。
 前回御指摘の中に、地域の特に医療資源が限られているところでは、担っている医療機能に少し違いがあるのではないか。あるいは横倉構成員から提示があった資料として、特に不採算地域のようなところでは、看護の配置が薄いところでも救急を担っているところが一定程度あるという意味で、医療資源が限られているところでは少し違いがあるというような御指摘があります。それに絡んで、少し我々なりにデータの分析をしてみたものが、まず1つ目のカテゴリーであります。
 それから2つ目として、この目次では2と3と書いていますが、高齢化が進むにつれて、若い人たちの医療とは少し中身が変わってくるのではないか。そういう中で、医療の機能分化と言っても少し違うのではないだろうかという御指摘もありました。それに絡んで、高齢者に対する医療、それから高齢者の割合が高くなるとそういう機能分化という観点でどういった違いがあるだろうかということに関して分析をしてみました。
 それから4、5は幾つかそのほかに御指摘ありましたことについて、追加的に分析をしてみましたということです。
 大まかな全体構成は以上です。
 まず、2ページ目以下です。
 最初の、医療資源が限られているところでは少し医療を担っている機能について違いがあり、その点の配慮が必要ではないかということに絡んでの分析であります。
 まず、この分析の前提条件に絡むところを、3ページ、4ページ目でごらんいただきたいと思います。
 医療資源の限られているところの違いを見るということで、看護職員の配置に着目して見てみました。3ページ目にありますが、一般病床全体として、一般病床100床当たりの病棟看護職員を見てみますと、下に棒グラフがありますが、全体の中央値・平均値、それぞれ40人程度になっています。
 こういう分布の中で、この中央値・平均値に当たる一般病棟100床当たりの病棟看護職員の数40人を基準として、これより薄いところを看護職員の配置が薄い病院とみなし、それから100床当たり40人を超えるところを看護配置が厚い病院とみなして分析をしてみたらどうかということです。
 その上で4ページ目をごらんください。
 そうした100床当たりの看護職員が薄い40人未満の病院が4分の3以上占めている、75%以上を占めているところを人的資源の乏しい医療圏、医療資源が限られているという医療圏とみなしますと、18の医療圏がこれに該当いたします。全国では343の医療圏がありますが、そのうち約5%程度に相当する医療圏がここに該当するということになります。
 下の方に棒グラフが書いてあります。右側がその人的資源が乏しい医療圏、18の医療圏における看護配置が、4分の3以上がそういう病院が占めているという医療圏であります。ここに該当する67の病院と、左側の343全医療圏における看護配置の薄い病院を比較してみたということです。
 5ページ目をごらんいただきたいと思います。
 全体の平均在院日数を比べてみたものがこの5ページ目になります。医療資源、人的資源が乏しいという18の医療圏の看護職員の配置が薄い病院の平均在院日数と、すべての医療圏における配置が薄い病院を比べてみますと、同じ20日程度ということで、ほぼ変わりがないということであります。
 そういう点では、医療資源の乏しいところにおけるものと、全医療圏ではこの意味では違いはないということでございました。
 6ページ目は、救急からの入院の患者の割合がどうなっているか。前回この救急から入院の割合という観点で分析も示しましたが、今回、全医療圏における配置が薄い病院と、医療資源の限られているという医療圏における配置が薄い病院を比べてみたというものです。
 中央値で見てみますと、人的資源の乏しい医療圏の配置が薄い病院の方は、全医療圏と比べると6.9%高いということになっております。この下のグラフの赤い折れ線グラフが人的資源が乏しい医療圏の看護職員の配置が薄い病院になりますが、少しとがったところがごらんいただけますように、確かにこの意味では、医療資源が限られているところでもほかのところと少し違って、人的配置、看護職員の配置が薄い病院でも一定程度救急を担っているというところが見てとれるグラフかと思っています。この意味では、前回御指摘あった不採算地域における救急を担っているところと共通な感じが見て取れるかと思っております。
 次に7ページ目をごらんいただきたいと思います。
 手術を実施した患者の割合について見てみたものです。
 同じように、すべての医療圏における看護職員の配置が薄い病院と、医療資源の乏しいと考える18の医療圏における配置が薄い病院を比べてみました。
 中央値、あるいは平均値で見ますと、赤い枠の中にありますようにほぼ同じ程度ということで、医療資源が乏しい医療圏における配置が薄い病院と、全医療圏とでは余り違いはないということであります。
 その次に、9ページ以下をごらんいただきたいと思います。
 今の分析は、全医療圏と、医療資源が乏しいとみなした18の医療圏における看護職員の配置が薄い病院をそれぞれ比べてみたわけですが、10ページ目に次の分析、その概要、考え方を書いております。
 今回は、それぞれの医療圏の中で看護職員の配置が薄いところと厚いところの違いがあるだろうかということで、そういう意味で機能の分化というところが、医療資源が乏しいところとそれ以外のところの違いがあるかを見てみようというものであります。
 したがいまして、下にありますように、比較しているのは18の医療資源が乏しいところの中で、看護職員の配置が薄い67病院と、厚い14病院を比べてみた。こちらはサンプルが少し少ないので、分析の限界というのは確かにあるという点は留意が必要かと思っています。それと、全国の病院の看護職員の配置が薄い病院と厚い病院を比較してみたということで、それぞれ全国の関係と人的資源が乏しい医療圏とを比べてみてはどうかということです。
 まず、11ページ目、全医療圏における看護職員の配置が厚い病院と薄い病院を比較してみたものです。これは前回の分析とも共通しているところですが、看護職員の配置が厚いところの方が、薄いところに比べると平均在院日数が短くなっているということです。
こうした全国の医療圏との比較で、医療資源が乏しいところではどういうふうになっているかというのが12ページ目であります。人的資源が乏しい医療圏における看護配置が厚い病院と薄い病院と比べてみますと、こちらも同様に看護職員の配置が厚い病院の方が2日程度平均在院日数が短くなっているということが見て取れるグラフになっております。
13ページ、14ページ目でありますが、救急からの入院の割合を見てみたものです。
全国の看護職員の配置が厚いところと薄いところを比べてみますと、厚いところの方が救急の割合は若干高いということになっておりますが、これに比べて、人的資源が乏しい18の医療圏で見てみますと、中央値では配置が薄い病院の方が救急の割合が3%高いということで、先ほどの分析と少し共通しておりますが、人的資源が乏しいところでは、職員の配置が薄い中でも、一定程度救急を担わなければいけないという状況があるのではないかと推測されるということかと思います。
 ただ、こちらは、グラフの全体の形状を読み取るには必ずしもサンプルが不足しているという感じがあることは、留意が必要かと思っております。
 その次に、15ページと16ページでありますが、手術について見たものであります。
 こちらも、15ページと16ページを比較してということでありますが、全医療圏における看護職員の配置が厚いところと薄いところを比べてみますと、厚いところの方が手術の割合が高くなっているということです。
 これと比べて、人的資源が乏しい医療圏はどうなっているかということでありますが、人的資源が乏しい医療圏においても、看護職員の配置が厚いところの方が、中央値で見てみますと、手術の割合が高いということになっています。
 こちらも平均値で見ると少し逆になっておりますので、サンプルの数というところも少し限界はあるということは注意が必要かと思います。
 以上が、医療資源が乏しいというところの医療圏の特色について少し分析を加えてみたものです。
 総論的に申し上げますと、前回御指摘があったように、特に救急という観点では、医療資源が乏しいところでも、配置が薄い病院でも一定程度担わなければいけないというような状況も推測されるということでありますが、他方で、全般的な機能分化がされているというところも見て取れなくもないとも言えようかと思っています。
 次に、18ページ目からであります。
 高齢化が進むにつれて、医療の中身がどういうふうに変わっていくかについて分析してみたものです。
 まず、19ページ目以下は基礎的なデータとして、年齢階層と平均在院日数について全般的なデータをお示ししています。
 19ページ目は、年齢階層ごとの平均在院日数を見たものです。
 ごらんいただけますように、年齢が高いほど平均在院日数は長くなる傾向にあるということはひとつ言えます。
 他方、この棒グラフの中の細い棒のそれぞれごらんいただきたいと思いますが、青いところが平成11年、赤いところが平成14年、黄緑が平成17年、紫が平成20年と、3年ごとの経年変化、年次推移を見ております。そうしますと、各年齢階級とも平均在院日数は短くなる傾向にあるということとともに、高齢者の方が若い人に比べると、平均在院日数が短くなる傾向は大きいということで、全体の平均在院日数の短縮に寄与しているということが見て取れるグラフかと思います。
 20ページ目は、更に疾病ごと、年齢階層ごとに平均在院日数がどうなっているかを見たものでありますが、一部の疾患、真ん中あたりにあります眼科の疾患等では、年齢が高くなるにつれて若干平均在院日数が短くなっているようなところもありますが、そうした一部の疾患を除きまして、総じて年齢が高くなるほど平均在院日数は疾病ごとに見ても高くなるということが見て取れるグラフになっております。
 21ページ目からですが、一般病床を有する病院の一般病床に入院している患者さんの年齢階層ごとの分布を見たものであります。
 21ページ目は、病院全体と地域医療支援病院、特定機能病院と分けてみたものであります。病院全体ですと65歳未満の患者さんが34.9%ということですが、特定機能病院になりますとその割合が大きくなるということであります。
 地域医療支援病院、特定機能病院の方が高齢者の割合は少ないということですが、他方、病院全体では75歳以上の方は43%を超えるぐらい占めているということです。
 22ページ目は、それぞれ病院の平均在院日数ごとにカテゴリーに分けまして、患者の年齢層を見たものであります。
 平均在院日数が19日以下のグループ、30日までのグループ、30日より長いグループの3つに分けてそれぞれの年齢階層ごとの割合を見たものであります。
 平均在院日数が19日以下のグループでは、40%程度が64歳まで、65~74歳までが約23%、75歳以上が36.6%となっております。平均在院日数が長くなるほど、高齢者の割合は多くなるということでありますが、短い病院の中でも一定割合の高齢者の方がおられるということになっているわけです。
 23ページ目と24ページ目ですが、今ごらんいただいたのは入院患者で見たものですが、こちらは退院患者で見たものです。
 同じように、23ページ目は病院のグループに分けてみたもの、24ページ目は平均在院日数のグループで分けてみたものですが、傾向は先ほど申し上げた入院患者のものと基本的には同じ傾向であるということだと思っています。
 以上、全般的に年齢構成との関係を見たものですが、25ページ目以下は、高齢化が進んでいる地域とそうでない地域で、医療の中身、機能分化という点で少し違いがあるかどうかという点を見てみたものです。
 分析の方法は26ページ目にありますが、75歳以上の全人口に占める割合、現在のところ約10%になっておりますが、2次医療圏ごとに見てみますと、この割合が違っております。高齢者の割合が高い上位10%の35の医療圏を見てみますと、75歳以上の割合は17~21.8%となっています。
 これに対して高齢者の割合、75歳以上の割合がまだそれほど進んでいない地域では、35医療圏では75歳以上の方の割合は5.8~7.9%になっています。下の棒グラフの右側が高いところ、左側が高齢者の割合が低いところになりますが、この高齢者の割合が高い医療圏と低い医療圏を比べてみようというものです。
 27ページ目をごらんいただきたいと思います。
 高齢者の割合が高い医療圏と低い医療圏で比べてみますと、高い医療圏の方が平均在院日数は少し長くなっています。
 では、救急という点ではどういう特色があるかということですが、28ページ目をごらんいただきたいと思います。
 救急の割合を見てみますと、高齢者の割合が高い医療圏が青の折れ線グラフ、低い医療圏が赤の折れ線グラフとありますが、中央値・平均値とも高齢者の割合が高い医療圏の方が救急の割合が少し高くなっております。
 29ページ目ですが、手術の割合を見たものであります。
 こちらも青い折れ線グラフが高齢者の割合が高いところ、赤い折れ線グラフが低いところになります。中央値・平均値それぞれ10%~11%を超えるぐらい違いがありますが、高齢者の割合が高いところの方が手術の割合が低いということになっております。10%超える程度の違いがあるということです。
 さて、その上で30ページ目以下でありますが、高齢者の割合の高い医療圏と低い医療圏それぞれの中で、人的な配置、ここでは冒頭の分析と同じように、看護職員の配置が薄い病院と厚い病院という形の2つに分けて、その機能の違いという点を見てみたものであります。
 30ページ目の下の方の左側の方のグラフ、高齢者の割合が高いところ、右側が低いところということで、青い折れ線グラフはその中で看護職員の厚い病院群、赤い折れ線グラフがが看護職員の配置が「薄い」病院になっております。
 同じように30ページ目の右側の方ですが、赤い折れ線グラフが看護職員の配置が「薄い」病院になります。看護職員の配置が厚いところの方が、いずれも平均在院日数が短くなるということであります。グラフの形状、右と左を比べていただきましても、おおむね同じような形状で、傾向に大きな違いはないのではないかと思っております。
 次に、救急の割合を見たものであります。
 同じように左側が高齢者の割合が高い医療圏、右側が高齢者の割合が低い医療圏、それから青い折れ線グラフが看護職員の配置が「厚い」病院、赤い折れ線グラフが看護職員の配置が「薄い」病院ということになります。
 中央値等を見てみますと、左側の方ですが、看護職員の配置が厚い病院の方が、高齢者の割合が高い医療圏では5.1%救急の割合が高いと。低い医療圏では、看護配置の厚い病院の方は1.5%程度救急の割合が高いということで、高齢化が進んでいる地域の方が救急の割合が高いという全般的な傾向は、ひとつこちらにもあらわれているかと思います。その上で、看護配置が厚いところの方が救急の割合が高いという点では、高齢者の割合が低いところ、高いところ、共通しているのではないかとは思っております。
 次に、手術の割合を見たものであります。
 こちらも、左側が高齢者の割合が高い医療圏、右側が低い医療圏、赤い折れ線グラフは看護職員の配置が「薄い」病院ということになります。
 こちらも、左側の高齢者の割合の高い医療圏を見てみますと、看護職員の配置が厚い病院の方が薄い病院に比べて手術の割合が高いということ、高齢者の割合が低い方も、看護職員の配置が厚い方が手術の割合が高いと。その違いは、高齢者の割合が高い方がはっきり違いが出ているということになっています。
 以上が、高齢者の割合が高くなるということで、医療の中身、あるいは機能分化の点でどんなことが見て取れるかということを分析して見たものです。
 34ページ目以下でありますけれども、診療科ごとに平均在院日数に違いがあるという御指摘がありましたので、ここでは、幾つかその観点での分析を加えてみたものです。
 35ページ目が分析の解説でありますが、今回の分析は医療施設調査を使いまして、43の診療科を基本的な診療科の16分野に分類をいたしました。その基本的な診療科ごとに在院患者が3人以上である診療科を稼働診療科と想定いたしまして、その基本的な診療科について分析をしてみました。
 まず、診療科の数と平均在院日数の関係を見たものであります。
36ページ目でありますが、診療科の数が1科、2~3科というところ、それから4~6科、7科以上と4つに分けて分析をしておりますが、診療科の数が多くなるほど平均在院日数は短くなるという傾向であります。
次に、37ページ目、救急からの入院の患者さんの割合を見たものになります。
中央値で比較しますと、1科、2~3科、4~6科、7科以上ということで、診療科の数が多くなるほど救急からの入院の患者の割合が高くなるということであります。グラフの形状もそこにありますように、7科以上、それから4~6科というのは一定の山が見られますが、1~3科のところはなだらかな傾斜になっているところに違いがあることが見て取れるグラフです。
次に、手術を見たものですが、こちらも救急の割合と似たグラフになっています。診療科の数が多くなるほど手術を実施した患者の割合が高くなるという、同じような傾向が見て取れるグラフになっています。
その上で、単科の診療科についての特色を少し分析をしてみたものが39ページ以下になります。
まず、単科の病院についてでありますが、39ページにありますように、この円グラフが単科の診療科の割合を見たものです。青いところが内科でありまして、約59%近くを占めております。2番目に多い診療科が整形外科ということで12.3%、赤いところであります。その次が産婦人科で8.5%という順番になっています。そのほか、脳神経外科4.5%、泌尿器科が2.5%、眼科が2.4%ありますが、こういった単科ごとに平均在院日数の違いというものを見たものが、次の40ページ目です。
診療科ごとの平均在院日数を比べますと、内科34.2日、整形外科28.8日ということで比較的長めですが、産婦人科では6.7日、脳神経外科では21.2日、泌尿器科では12.4日、眼科では5.5日という形のようになっています。診療科によって確かに差は大きいということです。
グラフの形状、下に書いていますが、産婦人科等は非常に短いところに集中をしているということでありますが、内科、整形外科等は少しなだらかな形になっているというところで違いがあるということです。
その上で、その単科ごとについて、看護職員の配置と平均在院日数の関係を見たものです。41ページ目をごらんいただきたいと思います。
それぞれの単科ごとでは、40ページにありますように、特に内科・整形外科というのは非常になだらかな平均在院日数の形状を示しておりましたが、看護職員の配置が厚いところと薄いところとを比べてみますと、やはり同様に厚いところの方が平均在院日数は短いということになっています。
厚いところの病院が青い折れ線グラフ、赤い折れ線グラフが看護職員が薄いというところになります。内科・整形外科でも同じような形になっているということです。
以上が診療科ごとの分析をしてみたものです。
次に43ページ目以下ですが、前回幾つか御指摘があったところについて、補足的に分析をしてみました。
まず、平均在院日数について、特に眼科のように非常に短い診療科の影響があるのではないかという御指摘がありましたので、全体の影響というものを見てみたものが44ページ目であります。確かに、赤い文字で書いてあるところにありますように、眼科疾患では平均在院日数は7.7日ということで短いわけですが、この全患者に占めるシェアは3.5%ということになっております。したがって、これを入れて平均在院日数を計算したものと、これを除いて計算してみたものの違いを見てみました。
右下の方にありますが、眼科を入れて計算しますと21.2日、眼科を除いて計算しますと21.6日ということで、確かに眼科があることで0.5日程度平均日数が違うわけでありますけれども、全体として大きな影響ではないのではないかということです。
45ページ目と46ページ目にありますが、前回全病院とDPCの対象としている病院の平均在院日数の分布を示しましたが、DPCの病院の中で特定機能病院だけ取り出した分析ができないかという御指摘がありましたので、やってみたものが45ページ目46ページ目になります。
データのソースが少し違いますけれども、それぞれDPCと比べて見ますと、DPCがオレンジの点線で、特定機能病院が濃い緑の折れ線グラフになります。特定機能病院の方が1日半程度平均在院日数が長いということで、重い患者さんが多いということがあるのかと思っております。
46ページ目は同じ分析です。こちらはDPCのデータを使った分析ということになっています。
以上が資料1ということで、前回幾つか御指摘のあった点も含めて、追加的な一般病床の特徴の分析をしてみたものであります。
次に、資料2をごらんいただきたいと思います。
今回、急性期の機能というのを一般病床の中の急性期病床群に位置づけるという御議論をいただいています。これを医療法に位置づける意味について、前回までもいろいろ御議論いただいておりますが、更にこれまでの議論を踏まえて、もう一度整理をしてみてほしいという座長からの御指摘もありましたので、改めて、これまでお出ししたペーパーを更に修正をする形で再整理したものであります。
こちらに沿って、急性期の機能、急性期病床群(仮称)と書いていますが、急性期の機能を医療法に位置づける意味というのものを整理をしております。
大きく2つに分かれております。
 1ページ目が急性期病床群(仮称)、急性期の機能を位置づける必要性、2ページ目がそれを医療法において位置づける意味、効果というものを記したものです。
 まず、1ページ目の「急性期病床群(仮称)を位置づける必要性」についてであります。
 これからの高齢社会を見据えて、限られた医療資源の有効活用ということが最大の課題になっております。そうした限られた医療資源を効果的、効率的に活用して、急性期、亜急性期、療養、在宅といった流れを構築するために、第一段階として急性期に着目して一般病床について機能分化を進めていく。こういうことは一朝一夕には達成できないので、中長期に進めていく必要があるということが、まず第一点目であります。
 その上で第2点目でありますけれども、一般病床について急性期の機能を急性期病床群と位置づけ、医療機関において一般病床の機能分化を進めていただくということによって、急性期の医療ニーズに見合った病床が明らかになるという一方で、急性期と同様に重要な亜急性期等の医療を担う病床も明らかになる。
 結果として、急性期から亜急性期等の医療について、医療機能に見合った医療資源の効率的、かつ効果的な配置が進められ、結果として医療全体が機能強化されるということで、患者の状態に見合った病床で、その状態にふさわしい良質な医療サービスを受けることができるということにつながるものと考えています。
 3点目ですが、今回の提案の趣旨は、医療機関がそれぞれ自らの機能を選択していただくということを想定をしておりますが、医療機関自身が地域における他の医療機関の状況を踏まえながら、自らの担う機能、今後の方向性というのを選択していただくということで、限られた医療資源の有効活用という課題への対応に資することになるとともに、そうした機能を国民・患者さんに発信することで、患者さんが適切に理解し、利用していただく一助にもなるということだと考えています。
 その上で、大きな2点目ですが、では、なぜ医療法に位置づける必要性があるかということです。これまでの議論の中でも、診療報酬ということで十分ではないかという御指摘もある中で、他方、診療報酬では対応できないというところもあるという御議論をいただいております。
 大きく4つに分けて整理をしております。
 まず、1点目が「基本的な考え方の明確化」ということです。前回もこうした御指摘がございました。
 診療報酬は2年に1回ごと改定をされておりますけれども、こういう経済的な誘導策だけでは達成できないもの、特に国としての医療提供体制のあるべき姿を示すということでは、診療報酬だけではなかなか困難だということで、中長期の視点から機能分化に取り組む必要を明らかにしていくというためにも、医療提供の理念等を定めた医療法において、その機能分化の基本的な考え方や推進策について盛り込んでいくということが機能分化を推進していく上では重要だという点がまず1点目です。
 2点目でありますが、「医療機関自身による機能の選択・発信と患者の適切な理解・利用の促進」ということです。
 今回、急性期病床群(仮称)、あるいは急性期の機能認定という仕組みで医療法に位置づけることを御議論いただいておりますが、こうしたことを通じて医療機関自身が自らの担う機能を選択し、必要に応じて医療機関内の医療資源を適切に再配分していくとともに、そうした機能を国民・患者へ発信するということにつながるということですが、医療機関自身が地域の中で担うべき機能を点検・確認していただくということにもつながります。その上で、地域の中での医療資源の再配分が促され、地域医療としての医療の質が向上することが期待されるということとともに、先ほど同様ですが、患者さんの適切な理解・利用を促すということです。
 3ページ目ですが、3点目「地域における機能分化・連携の推進」ということです。
 今回推進しようとしております医療機能の分化・連携というのは、地域において患者さんの状態にふさわしい良質な医療サービスを提供できる体制を目指していこうというものです。
 こうした方向を目指す上では、個々の医療機関がそれぞれふさわしい機能分化を進めていただくというのは勿論重要ですが、それだけで実現するものではなくて、あくまでも地域全体の医療機関が適切な役割分担・連携が進むことで初めて実現するものだと考えています。
 診療報酬による誘導はこれまで先行的に進められてきておりますが、あくまでも個々の医療機関における機能の分化の促進が主でありますから、地域全体の医療機関の適切な機能分担・連携といったものは、診療報酬だけでは実現するものではないということで、地域全体の医療提供体制のビジョンを描くという医療法の政策手段をもって初めて実現するものだと考えています。
 例えば、今回医療法上に位置づけることについて県が関与することになりますが、都道府県の中で急性期医療の提供状況をきちんと把握していただき、より実態に即した医療計画をつくっていただくということで、地域医療全体としてのあるべき姿を目指していくということがこの機能分化には不可欠だということです。
 4点目でありますが「一般病床の機能分化の推進に向けた役割の明確化」ということで、こうした機能分化を推進していく上では、国や都道府県といった行政と、更に医療機関というだけではなくて、患者さん・国民の役割ということも必要だということで、こうした役割を整理していくというのも医療法における対応だということだと考えています。
 以上、4点が医療法において、こうした機能分化というものを位置づける必要性ということで、再度整理したものです。
 次に、資料3について御説明をしたいと思います。少し長くなりましたので、簡略にしたいと思います。
 これまで御議論いただいたところをポイントとして整理をしています。
 それぞれの先生方の発言を幾つかのカテゴリーに分けながら、そのカテゴリーの中で更に議論を深めていただくポイントとして集約をしております。
 1ページ、機能分化の意義に関するところです。
 点線で囲ったところを、今後議論を進めていくポイントということで整理をしています。
 まず、機能分化の意義については、医療資源の有効活用、急性期から亜急性期まで患者が状態に見合った病床で、その状態にふさわしい良質な医療サービスを受けることができるという観点から、一般病床の機能分化を進めるべきという考え方が重要ではないかということです。
 2点目が、「医療機関自身による機能の選択・発信と患者の適切な理解・利用の促進」ということです。
 2ページ目の真ん中の少し下あたりですが、ポイントとして書いています。「医療機関が自らの機能を選択し、医療資源を再配分していくとともに、その選択した機能を発信していくことで、患者が医療機関の機能を適切に理解し、利用していくことにつなげていくことが重要ではないか」ということです。
 3点目のポイントとして、「医療法に位置づける必要性」です。
 今、別の紙で少し詳しく補足的に御説明いたしましたが、3ページ目のポイントのところにありますように、今後国・地域における医療提供体制のあるべき姿を示す役割を担うのが医療法であるということを念頭に置く必要があるのではないかということです。
 それから「急性期医療等の概念整理」ということです。
 急性期という定義がなかなか難しいということ、濃密な医療を必要とするといった概念の方がわかりやすいのではないかといった御指摘もありました。そういった点も含めて、4ページ目、ポイントとして整理をしております。
 「一般病床を機能分化し、人的資源の厚い配置を要する医療について、『急性期』という概念だけではなく、『比較的高い診療密度を要する医療』という概念からも議論していくべきではないか」ということです。
 その次の論点として「地域への配慮」ということです。
 今回資料1でも少し分析を加えていますが、5ページ目の上のところのポイントです。「医療資源の限られた地域における医療に混乱をもたらさないよう配慮した仕組みも必要ではないか。地域において身近で必要な医療機関の役割も念頭におく必要があるのではないか」ということです。
 次の論点として、「今後の高齢化への対応について」ということです。
 真ん中少し下のあたりでありますけれども、「今後高齢者が増加することにより求められる医療機能がどのように変化するのかという視点も念頭におきつつ、検討を進める必要があるのではないか」という点です。
 その次が「急性期病床群(仮称)の要件について」であります。
 できるだけシンプルな方がいいというような御意見もありますが、この点はいずれにしてもこれからということですので、6ページ目ですが、機能分化のための認定要件の設定に当たっては、指摘された点も含めて更に検討を進めることが必要ではないかということです。
 それから最後の論点として、患者の役割ということです。
 「機能分化を進めるには、患者の理解・協力が必要であり、それを促すことも併せて検討が必要ではないか」ということです。
 以上が、今後議論を進めていく上でのポイントです。
 資料の4ですが、これまで、この作業グループの中の議論の中で、幾つか御疑問、御懸念の御指摘がありました。その都度御説明をしておりますが、少しわかりにくい点もあったと思い、少し補足的に紙にしてみたものがこの資料4であります。
 大きくは4つの疑問点として整理をしております。
 まず疑問点の1つですが、今回の急性期病床群、急性期の機能を医療法に規定するということで、認定という仕組みを中心に御説明をしておりますが、そうした急性期の病床群を規定すると、基準を満たさなくなると急性期医療ができなくなるのではないかといった御指摘・御疑問をいただいています。
 「考え方」のところにありますが、従来の医療法は、許可というスキームを取っておりますが、これは医療の実施に必須となる基本的な要件を定めているものです。したがいまして、その基本的な必須要件を満たさなくなりますと許可は取り消すということになるわけでありますが、今回の提案は、あくまでも医療法の許可、必須要件は満たしているという上で、更にその上で上乗せ的な要件を設定をして、急性期の機能認定をする仕組みを設けようというものです。
 したがいまして、この急性期の機能、急性期病床群の認定というものがなくなったとしても、一般病床の許可という仕組みがありますから、要するに医療の実施に影響を与えるものではないということです。
 2点目でありますが、患者さんの病態が変わるごとに転院・転床を個々にさせることが必要なのかというような御疑問がございました。
 「考え方」にありますが、今回の機能分化は、あくまでも一般病床について診療密度等を通じて大きく区分をして、主に比較的高い診療密度を要する医療というものを担う病床を位置づけようというものです。
 要件の考え方としては、比較的高い診療密度を要する医療に当たっての体制とか、あるいは効率的な医療を提供しているかといったところを確認するということを想定をしております。
 これはあくまでも具体的な1例でありますが、緊急入院の割合とか、あるいは手術の割合といったことが考えられますが、こうした要件を仮に設定するといたしましても、一人ひとりの患者さんについて、個々にその要件を満たすかどうかを点検してもらって、満たしてなければ転床・転院というのを求めるというものではないということです。必ずしもそれは現実的なものとは考えてございません。あくまでも病床群全体として、一定の期間、そうした要件を満たしているかという全体的な機能を見るということでありますので、随時個々の患者さんについて、その要件を点検するというような仕組みではないということであります。
 裏側になりますが、疑問点の3、今回の急性期の機能分化は病院単位なのか、それとも病棟単位なのかという点です。
 こういった比較的高い診療密度を要する医療を実施する病院は、病院全体がそうした機能を担っているという場合もあると思いますが、他方で、一部の病棟でそういうものになって、一部は亜急性期等を担うという病院もあるのだろうと思っています。
 そういう意味では、今回考えておりますのは、勿論病院全体ということも排除はしておりませんが、あくまでも病棟を基本にその機能を認定していくということを想定しているものであります。
 4点目の疑問点についてであります。
今回の機能分化の導入によって、7対1の入院基本料を導入したときのような、看護師争奪合戦のような混乱は生じないようにすべきではないかという御指摘であります。
 この点は御指摘のとおりだと思っております。あくまでも中長期にそうした機能にふさわしい病床というものを実現していこうというものでありますので、こうした制度を導入する場合の基準の設定であるとか、どういうスケジュールで進めていくかという点については、十分時間をかけて検討を進めていくということです。実施に向けても十分時間をかけながら進めていくということだと思っております。
 そうしたことを通じて、中長期に機能分化というものが医療機関、それから地域全体で望ましい方向に向かっていくことを目指していくものだということです。
 少し長くなりまして恐縮ですが、資料1~4の事務局からの説明は以上であります。
○田中座長 たくさんの説明ありがとうございました。
 構成員の皆さんからの御質問や御意見を伺います。資料が多かったので、2つに分けさせていただきます。私たちが主に議論するのは資料3に基づく論点だと思うのですけれども、その前に、資料1にたくさんデータがありますので、これについて質問、御意見がありましたら、お願いいたします。まずは資料1について。どうぞ、中川参考人。
○中川参考人 総務課長からるる説明をいただきましたが、例えば、配置の違いによって平均在院日数、それから、手術の割合が高い、救急の入院の割合が高いということですけれども、手厚いところの入院基本料に、まず平均在院日数の要件がありますね。だから、当然なのですよ。こういうデータをどのように見るか。逆方向から見ると大変な誤りを起こすのではないかと、心配しています。
 それから、単科病院の救急入院した割合、これは科目の違いはどうなのか。例えば、1科の病院はどうなのか。手術割合にしても、例えば、整形外科だとか、眼科とか、非常に数の多いところと、そうでないところ、この違いもある。それから、単価の病院の平均在院日数を比べていますが、これはそもそも入院基本料の要件に対応しながらやっていくわけで、重要なデータとして使われると非常に問題が起こるなということが、資料1のところに全般的に感じました。
 そのほか、いろいろあるのですが、こういうデータだからというのが非常に危惧されるところです。後で資料2、3についてもまた申し上げたいと思います。
 以上です。
○田中座長 コメントありがとうございました。
 ほかに質問はございませんか。どうぞ。
○中川参考人 例えば、30ページをごらんいただきたいのですが、結論は、高齢者の割合が高い医療圏でも、低い医療圏でも、配置の厚い病院は平均在院日数が短いということですね。これは当たり前でしょう。総務課長、どうですか。診療報酬上でそういう要件になっているのだから。ことさらにこういうふうに書くと、誤解を生じるという心配をするわけですけれども、いかがですか。
○総務課長 今回の分析は、前回の議論を踏まえて、更に追加的に分析したものですが、御指摘の点は前回の資料にも絡むことだと思っております。おっしゃるように診療報酬との関係というのは当然あるわけでありますが、ファイルの11ページ目をごらんいただきたいと思います。診療報酬の看護配置の7対1、10対1、13対1、15対1に分けて平均在院日数を見たものであります。御指摘のように、まさに診療報酬の基準がこうなっているからというところではあるわけですが、この形状を見ていただきますように、平均在院日数が看護配置が厚くなるほど高くなっていることとともに、山の形状が厚いほどはっきりしていて、薄いところはなだらかになっているということがあります。人の配置が厚いところについて、短期集中的な医療と、そうではなくて、少し長目の医療というふうに、確かに診療報酬という効果が当然あるわけですが、そうした医療の機能が分化できるのではないかということをあらわしているのではないか。それとともに、手術とか救急とかを前回分析したわけですが、そうしたものを前提にした上で、更にそういったものが、高齢化という点で少し違いがあるかどうかというところを見てみようというのが今回の30ページ目のグラフになります。
 そういう意味で、診療報酬の基準があるのは勿論ですが、その上で、高齢者が多いところと低いところでどういう違いがあるかというところを見てみると、同じように高齢者が低いところで配置の基準が厚いところと薄いところでは違いがある。そういう意味で、高齢化が進むにつれて、機能の分化という点で、それほど大きな違いはないのではないか。ただ、救急とか、そういった点では少し違いがあるというところが、この分析では見てとれるところが今回のこの資料の含意ではないかと思っております。
○田中座長 日野構成員、どうぞ。
○日野構成員 中川先生が言われたことでほとんど言い尽くされていると思うのですが、診療報酬上の誘導を排除したものが何か手に入れば、ものが言えるのかもわからないですが、多くのグラフをつくっていただいて、その努力は大変評価したいと思うのですけれども、特に言うべきことはないということがありまして、むしろ言えるとすれば、入院基本料を分ける看護基準というのが意味があるのかどうかを問われると、そういうものは意味がない。看護配置が少なくても急性期は受けているし、手術はやっているしということでくくってしまえば、それなりに納得かなと、現状は事実そのとおりだと思いますし、そちらの方に問題があるのかなということが浮かび上がったという気がいたします。
○田中座長 花井構成員、どうぞ。
○花井構成員 私は医者ではないもので、本当にこの資料、ありがとうございました。初めて見た数字がたくさんありまして、とりわけ診療科ごとの日数が出てきたというのは、感覚的に思うことと、数字で今回出されたので、大変わかりやすいなと思っています。看護師の配置が厚い病院では入院日数が短いということも統計的に明らかになったということでも、非常に意味が大きいなと思っております。
 ただ、15ページのところとか、配置が厚い病院と、これは全医療圏ですね、それから、配置が薄い病院で見てみますと、配置が薄い病院でも、手術を実施しているとか、救急からというのがあったと思うのですが、配置が薄いところで結構頑張っているなという数字が出ています。逆に言うと、そういうところは看護師、あるいはお医者が非常に少ない中で、救急を受け入れたり、手術したりとか、頑張っているのですが、負担が重くなっているのではないかなという心配もあります。そうすると、医療資源が薄い地域、あるいは医療機関が少ない医療圏において、今後どうしていくのかというのは、やはり何らかの対策が必要ではないかと思いました。ちょっと感想めいておりますが、述べさせていただきます。
○田中座長 ありがとうございました。
 高智構成員、どうぞ。
○高智構成員 本当にわかりやすいといいますか、ビジュアルな資料を数多くそろえていただきまして、ありがとうございます。
 44ページ「退院患者の平均在院日数の分析」のところで、先ほど御説明もございましたけれども、取り上げられた科は「眼及び付属器の疾患」だけでございますが、よく見てみますと、ほかにも、「妊娠、分娩及び産じょく」でありますとか、一番下の部分とか、眼の関係とほぼ同一に見てもいいのかなというところもございます。こういったものも一緒に含めますと、21.1日と21.6日の差はもう少し開くのではないかという感じがいたします。これを勘案した場合、事務局としてどのようなお考えがあるのか、おわかりになれば教えていただきたいと思います。質問の趣旨は、1つだけではなくて、もう少し入ってもよろしいのではないかという考え方でございます。
○田中座長 眼科以外にも短いところを幾つか抜いた平均値を出してみたらということですね。
○高智構成員 はい。眼科以外にも平均在院日数が短い診療科目を一緒に除外してみてもいいのではないか。それを合算した形で見ると、21.6日と21.1日の関係はもう少し開く可能性が勿論あると思うのですけれども、眼科のみを除くことがベストチョイスなのか、その辺についてお聞かせいただければありがたいと思います。
○田中座長 どうぞ。
○総務課長 このグラフは、前回、平均在院日数が短い、特に眼科という御指摘もあったので、とりあえず眼科だけを取り出して、そこのある、なしによって平均在院日数の影響を見たものでありますが、御指摘のように、ほかにも短いところがありますので、仮にそこを除けば、確かにその違いはもう少し大きくなるのだろうとは思います。他方、だからといって大勢に大きく影響あるかというと、それほどの影響はないのだろうと思っております。
○田中座長 中川参考人、どうぞ。
○中川参考人 私が出させていただいた提出資料をちょっとごらんいただけますか。恐縮ですが、16~20ページまでは、急性期病床の位置づけ等についての見解を述べさせてもらっていますが、今日、詳しく説明することは控えさせていただきます。
 44ページをごらんください。一般病床の平均在院日数を小分類で見ると、このようになります。例えば、46ページの一番上の眼科関係はこのようになります。それから、下の方ですけれども、脳内出血、脳梗塞はこういうふうに長いわけです。
 資料1の44ページの大分類の平均在院日数の分類がもう実態に合わないのです。例えば、単科病院の平均在院日数を考える場合には、こういう大雑把な分類で平均在院日数を出して、どうのこうの言う議論は対応できません。そのことを本気で考えていただきたいと思います。
○田中座長 いかがでしょうか。どうぞ、課長。
○総務課長 確かに細かいところを見る上においては、御指摘のように小分類も場合によっては必要なのかなと思っておりますが、44ページ目のグラフも、それぞれの中身をすべてトータルに計算しているわけですから、全体を見る上においては、44ページも一定のものをあらわしていると思います。ただ、御指摘のように、診療科ごとの違いなり、あるいは疾病ごとの違いを更に見ていくときに、どこまで細かく見るかということで、そこは分析に応じて考えていかなければいけないとは思っております。
○田中座長 中川参考人。
○中川参考人 40ページのデータと、44ページの表が対応できていないということを申し上げているのです。そう思いませんか。疾患と違うでしょう、大分類。それを言っているのですよ。そう思いませんか。延々と大分類で平均在院日数等々を見て考えていくというのは、もう現実的に対応できないのです。それを申し上げているのです。
○総務課長 補足的に御説明しますが、御指摘のように、確かに疾病分類がどうかということもあると思いますが、前回、診療科ごとに違いがあるのではないかという御指摘もあったので、診療科ごとに見てみるとどうなるかというのが40ページ目になります。勿論、疾患ごとにどう見るかということは、これは1つの分析としてあり得ると思います。ただ、40ページはあくまでも診療科という観点でどういうことが見えるかというところを分析しているということで、少し着眼点の違いはあるかとは思います。
○田中座長 西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 まず、今までの議論の中で、私たちがこれから検討するために必要な材料を今回かなり出していただいたことはお礼を申し上げます。出していただいたけれど、この資料自体で何かがわかるか、また、このようなデータを、どのように読むかということを、これから私たちは議論しなければならないと思っています。
 例えば、さき程から話題になっている44ページの疾患分類ですが、この分類と患者数で見ると、眼科の平均在院日数を除いても、これだけしか違わない。ですから、これは、ある病院で、まさしくこの分類のとおりの患者がいた場合にはこうだということであって、実際は病院ごとに診療科目も患者数も違う。例えば、眼科の患者数が全患者の10分の1であれば、平均在院日数にかなりの影響がある。例えば、このようなデータを基にして、今後、病院ごとに、その病院のそれぞれの疾病分類と患者数で平均在院日数が違ってくるということがわかる、そういう意味で価値はあるなと思います。
 それから、例えば、看護基準も、配置が厚ければ平均在院日数は縮まるとすれば、平均在院日数が長い病院と短い病院では、長い病院の看護配置を増やせば、短い病院と同じ平均在院日数になるのか。たまたま看護配置が少ないから長くなっているのか。でも、そうではないほかの要因もあるのだろうと思います。とすれば、看護配置は確かに要因の1つだが、それ以外に在院日数の短い、長いは、どのような視点で見たらいいのかなど、いろいろなことを考えさせるなと思って見ていました。ですから、これだけで1つの結論を出すような資料ではない。ただ、いろいろな視点で、このような視点で見るとこうだという資料を出していただいたので、今後、更に、これを基にして議論したいと思います。
 例えば、3ページを見て気づいたのですが、40人で切っていますが、今、診療報酬の看護基準が7対1ですか。あれはたしか100床当たり看護師が70人だと思いますが、違いましたか。多分、そうだと思います。そうすると、ここで見ると、下の患者の数が70のところ、即ち60と79の間、ここから99以上のところの病院の数を見ると、7対1の病院は全体の病院の数から見たら非常に少ないですね。しかしながら、病床数で言うと、この間、中医協で資料が出ましたが、今、一般病床の中で7対1は32万床あるということですね。要するに、3分の1ぐらいですね。ということは、病床数で見ると、また違ったデータが出るのだろう。そういうデータもやはり必要ではないか。今後、これを基に議論しながら、更にこのようなデータを追加してもらい、私たちの頭を整理して、共通認識を持っていければと、感じました。
○田中座長 相澤構成員、お願いします。
○相澤構成員 この資料で、私が日ごろからそうだろうなと思っているのが示されているのですね。それは、医療圏の医療資源が厚いか、薄いかではなくて、高齢者の割合にかなり影響するのではないかというのがここに示されていると思います。高齢者の方の多い医療圏と少ない医療圏、配置が厚い病院、薄い病院で比べておられるのですが、逆に考えて、高齢者の割合が高い医療圏の配置の厚い病院と、高齢者の割合が低い医療圏で配置の厚い病院を比べますと、断トツ、高齢者の割合が高い医療圏の方が平均在院日数が長いのです。それは、日ごろ私たちが医療をやっていて感じますね。御高齢者はなかなか退院できない。平均在院日数が長くなるのです。
 実は私、問題提起をしたいのは、これから日本は高齢者が増えてくるのですよ。今後、高齢者がどんどん増えていく、2060年ぐらいまで75歳以上の御高齢者の方が増えてくると思うのですが、そういう社会に対応する急性期病院をつくろうとしたときに、今のままの考え方で行ったときに、高齢者の多い医療圏にほとんどの医療圏が移行してくると思うのです。特に都市圏は今後急速に高齢者が増えてくるのですね。そうなったときに、ここに重要なサインがあるような気がするのです。平均在院日数は長い、救急の人は多いのです。そして手術をする人は少ないのです。これが御高齢者の多い医療圏の特徴なのです。日ごろ私たちが医療をやっていて強く感ずるところなのです。今後の高齢化が進んできた日本の人たちを支える医療として、本当に今の状況を当てはめていいものか。高齢化がどんどん進んでくる、そういうところに合わせたものを考えていかなければいけないのではないか。この資料を見て、日ごろ感じていることと同じ結果が出てきたのだなという具合に思っています。
 ちなみに、ここには載っていませんけれども、御高齢者が増えれば増えるほど救急の患者は重症の方が多いという報告が総務省の消防庁から出ています。明らかに若い方よりも御高齢の方が、死亡する方のパーセント、重症の方のパーセント、それから、中等度症以上の患者は明らかに多いのです。ですから、ここに対応するものを私たちは急性期の医療でもつくっていかないと、今後、大変なことになるのではないかなという感じがして、この資料を見させていただきました。
 以上です。
○田中座長 どうぞ、中川参考人。
○中川参考人 相澤先生の御意見に全く賛成ですね。資料1の19ページをごらんください。平成11~20年までの平均在院日数が短縮されてきたという流れが出ていますけれども、これは診療報酬上の要件で誘導しているのです。まとめのところの2つ目の○に「高齢者のほうが若年者に比べて、平均在院日数が短くなる傾向が大きく、全体の平均在院日数の短縮に寄与していると考えられる。」と書いてあるのですけれども、平均在院日数が短くなることがいいことだという前提の表現ですね。相澤先生が今、おっしゃったように、もう何年も前から、平均在院日数の短縮は限界に達しているのです。その考え方を何とか変えてもらわないと、急性期病床群を仮につくるとすれば、賛成はしませんけれども、そのときに平均在院日数が要件として入るのは見え見えではないですか。これが日本の医療をこれから間違った方向に導くと私は思いますよ。だから、いろいろな場面で、小分類にすべきだとか、いろいろな視点で考えるべきだとか申し上げているのです。是非御検討ください。
○田中座長 では、一わたり、資料1について御意見を伺いました。つくっていただいたデータをどう読むか、最後は我々の責任です。読み方だけではなくて、切り分け方を新たに考えるのも我々の役割である。それから、今の時点のデータだけではなくて、これは将来を読むためのデータで、相澤構成員が言われたように、高齢化率の高いところ、高齢者のデータから日本の医療の将来を読み取るべきであって、今、高齢者が少ないところのデータは将来、意味のないデータかもしれません。中川参考人が言われたように、平均在院日数の減り方のスピードが遅くなっているので、高齢者の数が増える以上、平均在院日数の平均値で見るのではなくて、高齢者のところ、それから、減り方の動向の変化を踏まえて、これから考えるべきだなどなど、たくさんの御示唆をいただきまして、ありがとうございます。
 時間の都合上、次に進めることにいたします。次は主に資料3の論点の順で話をしていきます。それに当たって、データとしては、資料2「急性期病床群(仮称)を医療法に位置づける効果」を改めてまとめて出していただきました。これは先生方の御意見と私からの意見などに応じてまとめたものだと思います。それから、資料4では、論点ではないですが、懸念点についてのまとめも入っています。これを基に意見を言ってください。
 では、資料3をごらんください。資料3で行きましょう。まず「機能分化の意義について」、この議論について、いかがでしょうか。どうぞ。
○高智構成員 機能分化をちょっと変えた言葉で、類型化という観点から申し上げたいと思います。急性期医療をめぐる議論の中で、既に診療報酬を通じて一定の類型化が図られていると、こういう見方が示されているわけでございますが、診療報酬に着目度が偏向し過ぎると、予期せぬ、そしてあらぬ形でビヘイビアが変わる危惧を広げることになりかねないと思います。実証的かつ経験的に見ますと、先ほど来、議論が多々ございます7対1の看護師の問題の実態からも明らかでございますが、診療報酬の側面から切り口を探ろうとする、そういう手法を取るとすれば、非常に比喩的な言い方ですが、診療報酬は非常に切れ味が鋭いという事実と特性、両方を押さえておく必要はないのかと感じるところがございます。
 枠を限定して、また、はめ込んだ議論の独走、ちょっと強い言い方ですが、これは誤った方向性に舵を取らせる可能性が大きいということを指摘しておきたいと存じます。いたずらに医療現場の混乱をもたらし、併せて新たな歪みを誘致するようなことがあってはならないと、そういう考え方からでございます。医療法に位置づけることが正攻法ではないのかと、こういう考え方でございます。多少鋭く言い過ぎたところがあろうかと思いますが、枠的な言い方をいたしますと、機能分化といいますか、私の言葉で言いますと「類型化」という言葉で言い換えましたが、以上でございます。
○田中座長 機能分化、類型化と、医療法に位置づける位置ですね。ありがとうございました。
 必ずしも順番どおりでなくてもいいのですけれども、基本的に前の方に載っている項目について、御意見おありでしょうか。どうぞ、お願いします。
○中川参考人 恐縮ですが、私の提出資料をごらんいただけますか。17ページです。下から4行目からなのですが、「一般病床において、病床の定義や位置付けを明確化し、対象疾患の範囲を限定すれば、その範囲に該当しない患者が行き場を失うことになる。
 一般病床は、幅広い概念である現在の定義だからこそ、地域の医療ニーズの変化・多様化に柔軟に対応できてきたが、機能分化を法制度で決めてしまうと、運用が硬直的になる恐れもある。」と思っています。
 医療提供体制、医療制度というのは、これはここまで、この病床はこの人だけ、こういう状態までというふうにがちがちに決めるのではなくて、切れ目のない、スムーズな提供体制はずっと今後も大事だと思うのです。そういう意味では、法的に急性期病床はここまでだと決めることは私は適切でないと思っています。
○田中座長 どうぞ、日野構成員、お願いします。
○日野構成員 資料3の最初の意見で「急性期で手厚い医療が」という書き出しがありますが、急性期、すなわち手厚い医療が必要だ、手術で、すなわち手厚い医療が必要だという前提に立って物事を考えるのか、中川先生がおっしゃられた、小さな、詳細な分類による疾病によって考えるのかによって、これは随分違ってくると思うのです。まして法制化するということになりますと、先ほど出まして、ちょっと話題になりましたが、眼科の平均在院日数は短いという特性があるということは、医師であればだれしも知っていることです。
 なぜかというと、白内障の手術なのですね。白内障の手術は、病院によって方針が違いますが、短期間入院してもらうところと、外来で終わってしまうところとあります。白内障というのは、いつ手術をするかというのは、かなり幅があって、いつするのが最適かというのは非常に難しい。すなわち急性期と言っていいのか、慢性期と言っていいのかわからないような疾病ですし、手術が終われば手厚い医療は不必要というか、観察だけでいいわけですね。今まで出てきた資料からすると、入院期間が短くて、非常に効率的で、予後がよい、退院しても元気にしているという意味では、モデルケースになりそうな雰囲気なのですが、どう考えるべきかということ。具体例として非常に際立っていますので、考えておく必要があると私は思います。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
 急性期でも、言い方は悪いですが、軽い医療もあり得るのですね。
 どうぞ。
○高智構成員 主に田中座長からの御指示の下に作成されたという資料2の1番目のところが非常に大事だと思っております。これは単純に急性期に着目して、横は一切見ないということではなく、ここにもお書きいただいておりますように、第1弾として急性期に着目し、一般病床について機能分化を進めていくことが必要である。一朝一夕にということと、中長期的に進めていくということで、基本的な方向性がわかりやすく書いてありますので、これは皆様とともに忘れてはならない重要なファクターだと思っております。
 その上で、先ほど申し上げましたことを多少補強すると同時に、補強と申しますのは、医療法にきちっと取り込むべきことという意味での補強でございます。それから、この問題に関しましては、地域住民、あるいは患者を取り込み、応援団として活用しない手はないという、そういう2点の視点から申し上げたいと思います。
 多少重なるところがあろうかと思いますが、少子・高齢化が際立っております日本の人口構造は、社会保障制度全体の効率的な実施運営を必須としております。したがって、医療保障制度の屋台骨の持続安定、保険財政の安定という観点からも、急性期医療を例外的に扱うことなく、医療資源の効率的な配分、活用を旨とした政策対応の中で、あるべき姿がきちっと位置づけられることが筋であろうと思います。
 これを少し経緯的にとらえてみますと、医療計画、特定機能病院、療養型病床群など、逐次、医療法上位置づけられてきた、そういう経緯がございます。医療法を改正して急性期医療の機能分化、役割の特定という類型化の色彩が浮き出てくることは、国民、患者、住民の目線から、あるいはそのニーズに照らしても、素直に歓迎されることではないか。これが補強的な意見でございます。
 もう一つの意見は、先ほど申しました観点からです。この作業グループでの急性期医療に関する論議を通じまして、是非、国民一般の方々、患者の皆さんにも医療保障制度の効率的な実施運営について関心をお持ちいただき、協力いただける糸口を見出す努力をすべきではないかと思っております。
 ちなみに、現状を見ますならば、例としてですが、医療計画もしかりでございます。住民、患者にとって余り身近なものにはなっておりません。情報格差の是正、あるいは計画作成への積極的な関与によりまして、地域の重要な問題としての理解が進み、具体的な施策、すなわち、適切な受診でありますとか、地方自治体における予算の確保、そういう観点からも、強力な応援団になり得るのではないかと思っております。住民、患者を味方につけない手はないという考え方でございます。そのためにも、急性期医療についても理解と協力を強力に求めていく、そういう必要があるのではないかということです。
 その観点から、私たち医療保険者の役割としては、適切な受診ビヘイビアへの協力を訴えるアクションプログラムを組むことなどが、保険者機能を高めるための具体策として極めて有効、有益だとも考えております。
 こうした目論見を成功させるためには、医療制度や医療提供体制の見える化が必須となります。わかりやすい仕組み、制度のことですが、併せましてエビデンスある簡潔な説明の両面がそろうことにより、国民、患者にとって重要な医療情報の品質向上にもつながるものと思います。その意味でも、目先の診療報酬を云々という視点に終始せず、状況に応じ、くるくると対応が変わることは避けなければならないというふうにも考えております。
 急性期医療のあるべき姿が大きなビジョンとして示されて、国民の理解と協力を得られること、そのことこそが肝要と考えております。これまでの議論で住民というような視点が少し欠けていた。患者と住民、同じ意味かもしれませんけれども、地方、地域における医療の在り方を考える意味でも、この視点を忘れてはいけないと思います。
○田中座長 ありがとうございました。
 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 長々とありがとうございました。言っている趣旨はわかりますが、たしかこの場で、急性期医療とは何か、あるいは急性期の定義がはっきりしないと議論が前へ進まないと言ったのですが、ここで共通の認識はできているのでしょうか。
○田中座長 この論点で言いますと、3~4ページに書かれていますが、これはどうですか、事務局としては。
○総務課長 今回ポイントの中で、急性期医療の概念について、先生方の御指摘を幾つか抜粋してございます。その上でまとめてありますが、確かに御議論の中では急性期という言葉だけでは、定義の問題でとらえ難い部分があるというのが1つあったかと思います。それとともに、濃密な医療を施さなければならないという概念ということで、とらえてはどうかという御指摘もありました。
 そういうことで、4ページ目のポイントでは「『急性期』という概念だけでなく、『比較的高い診療密度を要する医療』といった異なる概念からも議論していくべきではないか」ということで、急性期という言葉だけではなくて、もう少し違う概念からもとらえてはどうかという御議論ではなかったかと思っておりますが、更にこの点についても御意見をいただければと思います。
○田中座長 先ほどの白内障のお話などは、ここに効いてきますね。
 どうぞ。
○西澤構成員 急性期だけではなくて、広い概念というのは賛成ですが、その基本となる急性期という言葉を皆さんが同じ認識で使っていますか。あるいは急性期医療と使っていますか。すべての構成員の方が同じ意味で急性期医療という言葉を使っているのかどうか、まだそういう議論をした覚えがないのですが、いかがでしょうか。
○田中座長 どうぞ。
○中川参考人 西澤構成員の御心配は私もそのとおりだと思います。やはり明確な定義がなく、何気なく進んでいるように見えます。ですから、私は資料1の問題点を指摘したんです。こういう資料を出して、このままだと急性期の定義というのは、平均在院日数が短いということが間違いなく入ります。
 例えば資料2の2ページの一番下の段落です。「医療機関自身が自ら担う機能を選択し」とあります。このときに、例えば平均在院日数だとか、看護師数だとか、そういうものが要件としてあれば、自ら選択できないわけです。その地域の患者さんの状態に合わせて、こういう医療を提供すべきだと言っても、それができないんです。だから、自ら機能を選択しというのは、言葉上のこと、絵に描いた餅だということになりかねません。
 それから、資料2の1ページ目なんですけれども、1のところで「限られた医療資源」という言葉が3回も出てくるんです。これは何とかなりませんか。限られた医療資源という意味はどういう意味でしょうか。これは削減しなければならない、効率化しなければならないという意味ですか。まずそのことが1つ。
 もう一つは「第一段階として『急性期』に着目し、一般病床について機能分化を進めていくことが必要である」という部分です。これは一体改革大綱に示された医療提供体制の高度急性期、一般急性期、あの辺のところをイメージしているんだと思いますが、あの大綱の中では非常に問題があると再三指摘してきました。急性期と在宅に偏重して、切れ目のない医療提供体制がスムーズになされるということが欠けているんです。ですから、急性期というのが非常に危険だと思います。急性期から亜急性期、慢性期、在宅ということを一体的に考えていかなければ、一体改革大綱に示されている急性期部分は人も財源も非常に手厚いですから、まず急性期であそこをやってしまうと、全部あれで医療資源を使い果たしてしまいます。その危険性を指摘したいと思います。
○田中座長 7対1のときもそうでしたけれども、何らかの形で定義されたことによって、そこに既存の資源が吸い込まれてしまうようだと、残りの医療が崩壊してしまうので、気をつけなくてはなりません。
 質問ではなく、御意見としてでよろしいですか。
○中川参考人 はい。
○田中座長 ありがとうございます。
 花井構成員、どうぞ。
○花井構成員 以前にここの検討会か医療部会かで、急性期について議論になったことはあったと思いますが、高智さんと私以外は皆さん医者なので、逆に伺いたいんですが、急性期というのを、医療界ではどんなふうにやってきたのか。ちょっと私は驚いていて、今、逆に先生たちから急性期とは何ぞやと言われると、私たちが言葉としてずっと使ってきている亜急性期とか慢性期とかそういう言葉は、医療部会だけではなくて、医療に関わる審議会で使われてきていますが、医療界あるいは学会、疾病ごとで急性期という定義は、共通のものはないんでしょうか。逆にそのことが不思議に思います。
○田中座長 どうぞ。
○日野構成員 医師の1人して答えなければいけないと思うんですが、これは無理です。何となく皆さんで想像の世界で急性期というものをつくり上げて、そういうものがある。それについては、先ほど来いろいろと修飾しまして、手厚い医療が必要であるとか、すぐに命に関わるとか、入院期間が短いということがくっ付いて、何となくそういうものを急性期と呼んでいて、長期にわたって治療を受けている人を慢性期と呼ぶ。そのつなぎ目あるいは入院期間が中間のものを亜急性期と呼んでいるだけであって、急性期の定義はないように思っています。
 先ほど眼科の例を挙げましたが、定義のしようがない。だれが見ても、これは直ちに入院しないといけない、手術を受けないといけないという疾病あるいはそういう患者さんもおれば、考えようによっては、幾らでも対処の仕方がある、在宅で見られる患者さんを入院させているところもある。そういうところは入院期間が短くなるんです。ですから、いろんなジレンマを抱えた概念でして、これでもってクリアーに物事を片づけることは多分難しいと思いますし、また法制化などをしますと、医療提供の側もさまざまで、急性期の患者さんがどんどん来る病院はいいですが、地方の病院などで限界状態で人口がどんどん減っていっているところは、この要件はどういうふうに具体的になるかわかりませんが、要件を満たすために自分の都合のよいように、患者さんあるいは治療を選択するということも起こり得るわけで、そういう面では非常に危険だと思います。この会で急性期の定義を問われても、多分出てこないと思います。
○花井構成員 今まで使っていたものは、みんなとらえ方が違っていた上でやってきたことになるんでしょうか。
 私などが考える急性期というのは、例えば手術をして、その後1日か2日ぐらいはほとんど動けない状態で、看護密度が高く、お医者さんが何度も診にきたり、いろんな治療が行われているのが急性期で、病態が落ち着いてくれば亜急性期とか、確かにそれは個々人の体験とか、あるいはいろんな考え方があるのかもしれませんが、少なくとも医療が必要な場合、あるいは看護密度が集中的に必要な場合は、急性期あるいは高度急性期というのか、そういうものではないかと思うんですが、それも違う。先ほど先生がおっしゃったのは、何となくよくなってきて、亜急性期、慢性期とおっしゃりましたが、急性期というのはそういうものではないんですか。全く違うんですか。
○田中座長 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 構成員の間でこのようにまだまちまちな段階で、今までの議論は何だったのかという気がしないわけではないんですが、前にたしか資料を出していただいて、12月1日というものです。赤いもので前から2つ目です。そこの2ページにたしか急性期病床群の対象となる患者や急性期医療のイメージとあります。これは議論の中で1回私も話した記憶がありますが、これまでの急性期の考え方ということで幾つかの例があって、最初の○で、1つは中医協のDPC評価分科会から基本問題小委への提案の中でした、急性期とは患者の状態が不安定な状態から治療によりある程度安定した状態に至るまでとする。かなり広いものを急性期と定義しています。
 私たち全日本病院協会は、急性期入院医療とは、疾病や外傷など急性発症した疾病や慢性疾患の急性増悪の治療を目的として、一定程度の改善まで医師、看護師、リハビリテーション専門職員等が中心となって行う医療ということで、リハビリまで含めています。
 四病協では、急性期病棟に対応する入院医療は急性疾患だけではない。これは急性期の定義というより、急性期病棟の対応と書いていますが、急性期疾患ではなく、重度の急性疾患は勿論であるが、悪性腫瘍、高度な専門的手術、治療なども急性期病棟の定義する入院医療である。
 幾つかの例は出していただきましたが、ここの皆さんで、急性期の認識はこれでいいんですねという議論はした覚えがないということで、今、申し上げました。このような大ざっぱでいいと思いますが、大体こういうことだと皆さんで、これから急性期あるいは急性期医療という言葉を使いませんかという提案です。
 ただ、ちょっと問題だったのは、この下に急性期病床群で想定する急性期医療とはと書いてありますが、そこのところは、私がちょっと待てと言った記憶があります。この会でこの議論がたしか途中で途切れたような気がするので、もう一回認識だけ確認しておいた方がいいと思います。例えばここでも3つの団体の例を書いていますけれども、それぞれ若干イメージが違っています。
○田中座長 どうぞ。
○花井構成員 この検討会ができて、急性期病床群を医療法に位置づけようという議論をしてきたわけですが、私自身が不思議だと思いますのは、中医協の審議の中で急性期医療という言葉を使ってきたと思うんです。それで点数をどうするという議論があったと思うんですが、そこでは急性期の定義は何だという、そんな細かい議論をした覚えはありません。なぜそれがここになって、そういう議論になるんでしょうか。それだったら統一したものとしてつくった上で、診療報酬の扱いもやるべきだし、私は何回も言っていますけれども、超少子高齢化社会を目前に控えて、医療資源というのは社会的資源だと思っています。ですから、それは社会のみんなで共有すべき財産だと思います。高齢者になれば医療費もかかるし、病気になる人も増えるわけですから、どうやってそこを効率的にきちんとした医療を提供していくか、そして、介護につなげていくかという、その準備をしなければいけないという議論を始めていると思っています。
 急性期の定義をきちんとつくるべきであり、もっと議論を前に進めるようなことを是非お願いしたいと思います。先生たちでもし急性期の定義を議論するのであれば、中医協でも同じ議論をしていただきたいと思います。
○田中座長 大切な点なので、続けましょう。どうぞ。
○高智構成員 関連してですけれども、先ほど中川参考人から御発言がございました。「限られた」という表現が3か所あるということですが、私ども国民からいたしましても、医療資源というのは、人・物・金・負担、そんなことが考えられますが、言わずもがなでございますけれども、負担は保険料、税金、患者負担の3つしかないわけです。これだけ疲弊した経済が長く続き、また雇用環境も悪い状況の中、限られたということは、皆さんの共通認識だと思います。花井構成員がおっしゃいましたように、社会的な資源でございます。1円たりともという言い方をしてもいいと思うんですけれども、効率的に無駄のないように活用すべき、これは至上命題だと思っています。3回ぐらい出てきても、何ら不思議はないという考え方でございます。
○田中座長 どうぞ。
○中川参考人 今の御意見は、限られた医療費財源ですか。それも含めるということですね。それについては、我々提案もしていますし、十分承知しているつもりです。今までの流れ、行政用語としては「限られた」というのは、要するに効率化しよう、抑制しようと読めるものですから、それで3回も1ページに出てくるのはいかがなものかと申し上げたんです。
 それから、花井構成員の御意見の御趣旨はわかります。ただ、中医協で急性期医療として評価する、診療報酬で評価するのと、医療法上で急性期病床をどう位置づけるかという議論のときの急性期という定義はまた別のものなんです。そういうことで、西澤構成員が言われたのは、まだかちっとしていないのではないか。例えば全病協だったらリハビリまで含めるんだとか、そういうことできちんとしていないから、まだ議論が足りないとおっしゃったんだと思います。
○田中座長 どうぞ。
○西澤構成員 私が言ったのは、まだ賛成したつもりではないのですが、急性期病床群という言葉がひとり歩きして、急性期病床群というのは、急性期にある病床だというイメージがついているんですが、急性期にあるという急性期自体の定義が違えば全く違ってくる、即ち急性期病床群の範囲も違ってくるのではないですかということなのです。
 例えば私たちのようにリハビリテーション等を入れてしまうと、広くいえば、回復リハも急性期と言えなくもないということで、ある程度認識を共通しなければ議論できないのではないですかと言っているのであって、決して議論を戻しているのではありません。これから議論するために、基本的な定義をはっきりしておかないと、空回りしてなかなか進まないのではないですかということを言いたかっただけです。皆さんとこれから議論するために、急性期とはこういうものだということが、構成員が同じように考えていただくことによって、話が前に進んでいくのではないですかということで、スムーズに進行させるためにそうしませんかと提案しただけです。
○田中座長 病床の持つ機能としての急性期と急性期の病態とは違うと思うのです。すごく簡単な病気で、子どものころの経験を思い出せば、小学校のころに盲腸の手術をしたことがありますが、最初の2日間は明らかに急性期だけれども、3日目以降は寝ているだけです。だからといって、病室は移ったりしません。つまりその病床は急性期病床であり得るけれども、そこに入っている後半の何日間かは急性期ではないですね。
○中川参考人 西澤先生、お願いします。
○西澤構成員 急性期の使い方はいろいろあると思います。病気としての急性期というものと、今、言った病床群としての考え方というのは必ずしも一致ではないと思うんです。そういうことも頭に置きながら、皆さんと議論したいと思っています。私が勝手に考えていても、皆さん方との考えが違うとそれぞれずれた議論になっていくと思います。それは決していいことではないんだろうと思います。
○田中座長 急性期プラス先ほど言った手厚い何かが必要です。比較的高い診療密度がまた別の要件で入るのか、入らないのかも、ある程度議論して統一しておく必要があります。
 お願いします。
○中川参考人 大事なことを確認したいんですが、現在の医療は、患者の病態に見合った病床で、その状態にふさわしい良質な医療サービスを受けていないんですか。これが大事なことで、例えば資料3の「機能分化の意義について」の点線の枠内で「患者が病態に見合った病床でその状態にふさわしい良質な医療サービスを受けることができるという観点から」というのは、現状はできていないということなんですか。
○総務課長 補足をさせていただきます。先ほどの急性期の定義は、どこでどういうふうにカテゴリーが分けられるかということにも一部絡みますが、これまでの御議論の中で、私どもとして、今の一般病床がどういう状態か、それをどんな方向に目指していくべきかというところで、イメージとしてお示しした資料があります。ファイルで1、2回目と見出しが付いている赤いものがありますが、その中で1月26日の参考資料1があると思います。参考資料として第1回、第2回の会合資料というところになります。その3ページ目をごらんいただきたいと思います。急性期の定義をどこで引けるのかという議論もありましたが、これはあくまでも大まかな考え方として、1つの議論の素材としてお示ししたわけでありますが、左側の非常に診療密度が高くて、非常に重症な患者さん、重い手術を要するような患者さん、それから、中程度、仮に急性疾患と書いていますが、あるいは一般的な手術を要するような患者さん、急性期のリハビリのような患者さん、右側の軽度の急性期の患者さん、急性増悪した在宅、慢性期のような患者さん、こういった非常に幅の広い診療密度、幅の広い患者像を1つの一般病床が担うというのが医療法の位置づけになっているわけであります。
 こういう幅の広い一般病床をもう少し大ぐくりに機能分化することで、それにふさわしい体制なり中身を充実させるということで、より患者さんにふさわしい医療サービスが提供できるのではないか。勿論そういう方向で診療報酬も目指していると思いますけれども、医療法もそういうふうに大ぐくりにすることで、より患者にふさわしい医療を目指していくべきではないだろうか。
 急性期というのは、どこで切るか。とりあえず一般急性期と書いてあります。それから、診療密度の厚いところとか薄いところと書いてあります。ここのどこで大ぐくりにくくっていくのが望ましいかという議論は勿論あると思いますが、幅の広い患者さんに対して、もう少し大ぐくりに機能分化することで、それにふさわしい体制なり、それぞれの医療のサービスの質が上がっていくことを目指していくべきではないかというのが、今回の我々の提案だと思います。
○中川参考人 総務課長、質問に答えていないです。現状は状態に見合ったふさわしい医療が提供されていないんですか。これからもそうするようにというのならわかります。今、現場から見て、相澤先生も思っていると思いますけれども、患者の状態に見合って、適切な医療を頑張って提供しているんですが、それが現状ではうまくいっていないような表現に見えるんです。どうですか。
○総務課長 まさにこれから高齢化が進んでいく中に、限られた資源、人的な医療従事者という面の資源も決して無尽蔵にあるわけではなくて、現に急性期の病院では、医療従事者が疲弊しているという声もありますが、これから高齢化が進み、医療事情が変わっていく中でどういうふうに機能分化していくか。それによって、医療従事者についてもふさわしい形の体制はどうあるべきか、それを通じて、まさに医療の中身をよりふさわしくしていく、より望ましい方向にこれから目指していくべきではないかというのが、今回の趣旨だと思います。
○中川参考人 提供されているけれども、疲弊しているんだ。現状のままではもたないということですか。
○総務課長 今の機能分化をはっきりしないまま、どこにも同じように資源を注ぐというのは、限界があるのではないか。機能分化することで、より手厚い医療体制、あるいはリハビリ関係に中心があるもの、ケアに中心があるもの、そういう中身にふさわしい体制の充実が必要ではないかというのが、これからの目指していくべき方向ではないかと思います。それがまさに一体改革が示している考え方だと思っています。
○中川参考人 机上の議論を展開されていると思いますが、現在、現場では頑張って患者の状態に見合った医療を提供しているんです。なぜそういう状況で疲弊しているのか。その原因を別途議論しなければならない。なぜ疲弊してきたのか。そのことを抜きに一体改革、大綱に見合った提供体制を進めるべきだとしか言っていないです。違いますか。
○総務課長 今回の御質問は、今の一般病床の課題をどういうふうに考えるかということだと受け止めましたので、申し上げたつもりでありますが、まさに一般病床が将来に向かってどういう課題を抱えているかという意味では、医療法の中では、一般病床という非常に大ぐくりな形でしかありませんから、今後望ましい姿という点では、機能分化することで、それにふさわしい医療体制になります。それは医療従事者にとってもそうですし、それを受ける患者さんにとっても、より望ましい方向を目指していくべきだということです。提供側、受ける側にとって、より望ましい方向に向かっていくんだろうという趣旨で、まさに向かっている方向がこういう方向ではないだろうかということを申し上げているつもりであります。
○田中座長 どうぞ。
○高智構成員 私は中川先生ほど深く見ていないのかもしれませんけれども、資料2に書かれている文章に対して、現在適切なサービスが行われていないのかという基本的な質問だと思いますが、決してそうではなくて、もう一つの見方は、更に一歩、二歩進んだところを見て、人口構造が大きく変わる中、現状のままではもたないという基本的な考え方、背景を入り混ぜた文章ではないか、またそういうふうに読むべきではないかと感じておりますが、いかがでございましょうか。今以上にきちっとやっていきましょうということです。現状やっていないとは書いていないと思います。
○中川参考人 事務局はそれでいいですか。
○総務課長 今よりもまさに望ましい方向にもっていくということだと思っています。
○中川参考人 望ましい方向がどうかというのは、これからの議論ですね。もう決めてしまったんですか。
○総務課長 まさに、今、議論していただいています。
○中川参考人 これから議論するんですね。全然議論していませんね。
○総務課長 今回の急性期の作業グループは、医療部会の議論を踏まえて設置されたものだと思っています。この資料の中にも医療部会の12月22日のとりまとめが書いてありますが、これからの目指すべき方向として、医療機能の分化を図っていこうという方向性については、一定の共通理解が医療部会の中でも得られていると思っています。それを踏まえて具体的にどうするかというのが、このグループのお願いしている検討だと思っていますので、そういう意味では、これまでの医療部会での議論、この作業グループでの議論を踏まえて、更に御議論いただきたいということだと思っています。
○田中座長 相澤構成員、どうぞ。
○相澤構成員 この議論は私が若干火付け役のようなところもあるので、サポートするわけではありませんが、一般病床はその他病床でずっときてしまいましたね。その中で、私は前から言っているんですけれども、回復期リハ病棟も入っていれば、緩和ケア病棟も一般病床です。それから、特殊疾患病床も一般病床です。今日の統計もそうですけれども、一般病床という名の中に全部入っているんです。特殊疾患病棟の患者さんは、当然長くなる方です。それから、何日か忘れましたけれども、回復リハも期間が決まっています。私らのような急性期をやっている病院よりは、入院期間が長いです。そういう病院のデータも全部ここに入ってしまっていて、その中でこのデータを見せられて議論をしろと言われても、できないのではないかという話をしたと思います。
 前にも言ったんですけれども、私は一生懸命調べたんですが、そういう病床だけを別にした統計というのはないんです。DPCはあります。一般病床のものはあります。でも、一般病床のそういうところを省いたデータというのは、DPCも含めてですけれども、あるかというと、ないんです。全くデータがない中で議論するのはおかしいのではないかと思っていまして、まずどんな医療をどうやっているのかを知ること、それから、中川先生がおっしゃったように、きちんと見ていくんだったら、小分類ごとにどうなっているのかを見ることによって、初めて実態がわかって、その中でこれは違うのではないかという議論ができると思うんですが、今、それができる状況にはないのではないかと思っております。
 先ほどの図でも変だと思いませんか。平均在院日数が物すごく長いところがある。そういう病院は少ないから影響度は少ないという議論もありますけれども、それを含んだ議論をしていたのではまとまらないと思うので、まずそこをやる、何か方策を考える方がいいのではないかという気がします。
○田中座長 多分最後になると思います。どうぞ。
○西澤構成員 半分は、今、相澤先生が言ったことと同じことですが、確かにここで良質な医療サービスを受けることができる観点からと言われると、我々提供者側としては、今は受けていないのかという気持ちがないわけではありません。ただ、今までの議論の中では、今、相澤先生が言ったように一般病床の中にも、違うものが入っているのではないかという議論とか、先ほどから出ている高齢者というキーワードがあったと思います。これからの高齢社会に向かって、果たして今のままでいいのか、もしかしたらそれに合った提供体制をもう少し考えなければならない、そのための機能分化をしなければならないのではないか、そういう我々が言った思いがこの文章になって、確かに若干言葉足らずだとか、誤解を受ける面があると思いますけれども、全体的にそのような意味で私たちはとらえていたと思います。だから、中川先生の気持ちはわかりますが、今、相澤先生とか私が言ったような意味合いで進めていこうという趣旨です。
○田中座長 私も一言だけ言わせていただきます。
 資料2の位置づける効果の3ページが大切だと思っています。3ページの真ん中辺にアンダーラインがありまして「地域全体の医療機関の適切な機能分担・連携の推進は、診療報酬だけで実現するのではなく」とあります。つまり診療報酬によって個々の医療機関はそれに反応して動くけれども、地域全体の医療提供体制最適化は診療報酬ではリードできないので、これは重要な論点だと思います。日本の医療機関が一つひとつで頑張っていないのではないかというニュアンスがちょっとでもあれば、先生方が怒るのは当然です。皆さん頑張っていらっしゃる。ただ、普通の市民の感覚からすると、日本の医療は急性期医療の後の連携の問題とか、急性期医療が終わった後に行くところがないとか、これは皆さん御存じのとおりです。急性期医療の中の質が低いという話は、国際的に見て日本は特にないと思うのですが、急性期医療が終わった後どうするかは、途端に困る例が珍しくない。つまりここで言っている地域の医療提供体制、介護も含めた全体の連携は、昔に比べればすばらしく進んだけれども、まだ発達途中である。それへの第一歩であるとの観点も大切であると思います。同時に皆さん方がずっと言ってこられたように、地方や中小病院が急性期医療から排除されてはならないし、急性期病床にならなくても、急性期医療ができるところも残しておかなくてはならない大切な点です。
 資料1をもう一度ごらんください。資料1の13ページと15ページを見ると、平均値は違うけれども、分布の形態はほとんど同じです。つまり何人かの方が言われたように、配置基準で片方は急性期医療で、片方はしていないかと言えません。13ページの分布と15ページの分布を見ると、そうではないことがわかります。少ない統計の差はあるけれども。そういうことも含めて、急性期医療を受けられない地域が出るようなことが起きないように配慮しつつ、しかし、全体の観点から議論することも大事だと思います。これは座長ではなくて、一構成員としての意見です。
 座長としては、今日は皆さんそれぞれの立場から、更に深めるような発言をしていただきまして、感謝いたします。今日出た議論に基づいて、また議論を整理し、昨年末、医療部会で出された事務局の提案について整理の上、またたたき台として出していただいて、議論することにいたしましょう。
 急性期医療とは何か、あるいは急性期の病床とは何かは、両方でちょっとずれると思います。この辺の完全な一致は不可能であるにしても、ある程度すり寄せていって、最後完全に一致にする必要はないけれども、全くばらばらではないところまでもっていかないと、話が進みませんので、その上でもう少し細かい方の話に移れるのではないかと思います。当分この大きい話がまとまっていないと、できないと思います。
 今日は大変いい議論をありがとうございました。
 次回について、何かありますか。
○医療政策企画官 第5回会合につきましては、現在3月12日月曜日の開催を予定しておりますけれども、詳細につきましては、決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田中座長 それでは、最後まで熱い議論をありがとうございました。これにて会を終了いたします。


(了)
<(照会先)>

医政局総務課

企画法令係: 2519

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