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2012年2月24日 第4回心臓移植の基準等に関する作業班 議事録

○日時

平成24年2月24日(金)17:00〜19:00


○場所

経済産業省別館1012号会議室(10階)


○議題

1 心臓移植希望者(レシピエント)選択基準について
2 その他

○議事

〇清水補佐
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第4回心臓移植の基準等に関する作業班を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 心臓移植における移植希望者(レシピエント)選択基準、臓器提供者(ドナー)適応基準等の検討をすることを目的としております。
 本日は、久しぶりの開催ということで、また、新任の委員の先生方もいらっしゃいますので、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず班長ですが、国立循環器病センター名誉総長 北村惣一郎先生でございます。
〇北村班長
 よろしくお願いいたします。
〇清水補佐
 続きまして、北里大学教授 和泉徹先生です。
〇和泉班員
 和泉でございます。
〇清水補佐
 東京大学教授 小野稔先生です。
〇小野班員
 小野でございます。よろしくお願いします。
〇清水補佐
 東邦大学医療センター大森病院教授 佐地勉先生です。
〇佐地班員
 佐地です。よろしくお願いします。
〇清水補佐
 国立循環器病研究センター部長 中谷武嗣先生です。
〇中谷班員
 中谷です。よろしくお願いいたします。
〇清水補佐
 東京女子医科大学教授 中西敏雄先生です。
〇中西班員
 中西でございます。よろしくお願いします。
〇清水補佐
 大阪大学教授 福嶌教偉先生です。
〇福嶌班員
 福嶌です。よろしくお願いします。
〇清水補佐
 東京大学准教授 村上新先生です。
〇村上班員
 村上です。よろしくお願いします。
〇清水補佐
 なお、富山県衛生研究所所長 佐多徹太郎先生につきましては、本日御欠席との連絡をいただいております。
 また、本作業班の参考人といたしまして、明治学院大学法学部教授 辰井聡子先生に御参加いただいております。
〇辰井参考人
 辰井と申します。よろしくお願いいたします。
〇清水補佐
 本日は、よろしくお願いいたします。
 また、事務局も大分メンバーが代わっておりますので、簡単に御紹介させていただきます。
 まず、室長の間でございます。
〇間室長
 先生方、本日は、それぞれに大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、昨年9月から、臓器移植対策室長を拝命しております間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、レシピエント選択基準あるいはドナー提供基準について御検討をいただくわけでございますが、先生方御案内のように、この改正臓器移植法になって、それ以前に比べれば事例も大分増えたわけでございますが、改正臓器移植法は議員立法でございまして、その提案者である国会議員の趣旨説明の中で、臓器を提供する権利、臓器を提供しない権利、移植を受ける権利、移植を受けない権利、それぞれを等しく保障するのだというようなお話がございました。その意味では、ドナーの方にしてみれば、そのドナーの御意思をできるだけ生かすかという観点は非常に重要なポイントだろうと思っております。そして、同時に、待っておられる方がいらっしゃる中で、レシピエント選択基準を考える場合に、医学的な妥当性・合理性も含めて、一言で言うと納得感と言うのでしょうか、なるほどなと。ほかの人が見ても、変な不公平になってないというふうにするか、その辺りが非常に重要なポイントだと思っております。
 本日は、そういう意味ではなかなか難しい論点も含んでいる課題でございますけれども、是非、幅広い観点からの御検討をいただきまして、この中身、成果が上がりますように、本日は何卒よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
〇清水補佐
 続きまして、右側から御紹介いたしますけれども、室長補佐の佐藤でございます。
〇佐藤補佐
 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
〇清水補佐
 主査の谷村です。
〇谷村主査
 谷村でございます。よろしくお願いいたします。
〇清水補佐
 坂根でございます。
〇坂根係員
 坂根でございます。よろしくお願いいたします。
〇清水補佐
 私は、室長補佐の清水と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、これより北村班長に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
〇北村班長
 大変お忙しい先生方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、会議を始めたいと思いますが、一応公開の形式をとっておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、事務局から、お手元の資料の確認をお願いします。
〇清水補佐
 資料の確認をさせていただきます。
 まず配布資料ですが、「資料1 心臓移植適応年齢の上限改訂に関する提案」でございます。
 「資料2 心臓移植希望者(レシピエント)選択基準と心臓移植適応基準」
 「資料3 心臓移植希望者(ドナー)選択基準の改正に向けて」
 資料は、以上でございます。
 続きまして、参考資料は、一つひとつは読み上げませんが、参考資料1〜8までございます。もし、不足等がございましたら、適宜、事務局までお知らせください。
 以上でございます。
〇北村班長
 ありがとうございました。
 お手元の資料、よろしゅうございますね。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。ご存じとは思いますが、今回は、学会から、心臓移植の適応年齢を拡大したいと希望するという提案を受けまして、レシピエントの選択基準をどのようにしていくかということの検討を承った作業班の開催になっておりますので、議論を始める前に、今までの経緯等を含めまして、背景を事務局より御説明お願いいたします。
〇佐藤補佐
 それでは、資料1、資料2、並びに、参考資料1、参考資料2を御参照いただければと思います。
 まずは、資料1についてでございます。「心臓移植適応年齢の上限改訂に関する提案」で、昨年の8月に日本循環器学会 心臓移植委員会より御提案をいただきました。
 1枚めくっていただきますと、前任の細川大臣に対する御提案がございます。内容については、御一読いただければと思いますけれども、これまで心臓移植の適応は60歳未満が望ましいと学会で決められておりました。ここ近年の医学の状況の変化に伴いまして、その年齢の上限を65歳未満に引き上げることが望ましいと改訂をしたい。つきましては、レシピエント選択については、60〜65歳未満の登録候補者については、若年者に影響のないような形にレシピエント選択基準を決めてくださいという御要望がございました。
 詳細については、少し割愛させていただきますが、このような内容で、今回、この会を開催させていただいたという経緯がございます。
 資料2をごらんいただきたいのですけれども、心臓移植希望者(レシピエント)選択基準と心臓移植適応基準の違いについて御説明をさせていただきます。
 心臓移植希望者(レシピエント)選択基準は、参考資料1になりますけれども、これはどのように決定をされているかといいますと、心臓移植の基準等に関する作業班で議論をしていただき、厚生科学審議会臓器移植委員会に報告をいたします。臓器移植委員会にて了承を得た上で、健康局長通知とて発出されるものでございまして、ドナーが発生した際に、臓器移植ネットワークでレシピエントを選択する際に使用される基準でございます。心臓移植の適応基準に関しては、参考資料2になりますけれども、これは、心臓移植関係学会で議論をされ、その上部委員会でございます移植関係学会合同委員会に報告され、了承を得るものでございます。日本循環器病学会心臓移植委員会には、この両基準に従いましてネットワークに登録いただいている心臓移植希望者の適応を評価しているところでございます。
 今回は、この心臓移植適応基準の年齢の部分を65歳未満が望ましいという形に、年齢を引き上げるという形に学会の方は要望しておりまして、その形によってレシピエント選択基準をどのようにしていくのかということを、本日皆さんに御議論いただくという形になります。
 以上でございます。
〇北村班長
 ありがとうございました。
 今、佐藤補佐から御説明いただきましたが、お手元の資料にある、内容は同じでございますが、循環器学会から厚生労働大臣宛の書簡、あるいは、ワーキンググループに相当するものから理事長へのもの、それから、心臓移植委員長へのものとかございますが、ポイントはもう既に多くの人はご存じだと思いますけれども、この内容についての御説明はもう一遍やっていただけますか。
〇佐藤補佐
 はい。
〇北村班長
 今、補佐から御説明いただいたところで、御質問はございますか。
 ここまではよろしいですね。
 それでは、引き続き、具体的な議論に入っていただきたいと思うわけですが、まず、事務局から説明をお願いいたします。
〇佐藤補佐
 それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。先ほど説明させていただきました資料1、学会の提言について要約をさせていただきます。学会からは、以下の4つの条件をもとに改正の提案がございました。
 1つ目は心臓移植希望者(レシピエント)の高齢化、2つ目は埋込み型補助人工心臓の保険収載、また、臓器提供者(ドナー)の高齢化、または、附託に応えるという点を考えるべきである。また、国際基準としては、最近、60代もしくは70代のレシピエントがいるという現状を考えると引き上げてもよいのではないか、という4つのことを理由に、心臓移植の適応を65歳未満に引き上げたいということでございます。
 そのためには、60歳未満の心臓移植希望者の心臓移植の機会を奪わないために、60歳未満の方からまずは希望者(ドナー)が出た場合に、検索を行い、その受諾者がいなかった場合には、60歳以上の希望者の検索を行うように、レシピエント選択基準を変更していただくことが前提であることを御提言いただいています。
 本日の参考資料3〜8については、この議論の際の御参考にしていただければと思いますので、適宜ごらんいただければと思います。また、参考資料8については、ちょっと見慣れない資料だとは思うのですけれども、ほかの臓器のレシピエント選択の現状を参考につけさせていただきました。こちらの方も参考にしていただければと思います。
 本日の論点としては、ドナーの提供の意思の尊重、また、いわゆるマージナルドナーと言われる方の提供を受けるレシピエントはどのような方がふさわしいのか。また、年齢の上での公平性はどういうものなのかということを御議論いただきながら、今後の形を見出していただければなと思います。
 以上でございます。
〇北村班長
 ありがとうございました。
 学会からの提案は、大きく分けて2つポイントが、3つとも言えますが。
〇和泉班員
 私たち日本循環器学会心臓移植委員会から提案した論点と少しずれているように思います。
〇北村班長
 そうですか。
 それでは、御説明をどうぞ。
〇和泉班員
 まず、こういう非常に貴重な提言を取り上げていただきましたことを、日本循環器学会を代表して御礼申し上げます。私、心臓移植委員会の委員長をやっております。
 この問題がなぜ浮かび上がってきたかというのは、この移植法の改正と表裏一体のものがございます。移植法の改正によりまして、レシピエント候補の方々が心臓移植を受ける機会が増えてきた。しかし、今なお、190例のレシピエント候補の方々が待っているという状況がございます。これは60歳未満の方々が190人以上待っているという状態であります。そして、移植法の改正によって、移植の機会が増えてまいりましたけれども、待つという状況から見るとより深刻になっている。特にLVAD(エルバド)という非常にいい機器ができてきましたので、より長く待たなければならない状態が生まれてきているということであります。そして、ドナーの方々があらわれて、そのドナーの方々の年齢とレシピエントの方々の間にミスマッチが発生してきて、ドナーの方々がせっかくその心臓を提供したいと言われたにもかかわらず、レシピエントの方々の年齢が若いがために、そのドナーのハートが生かされないという事例が発生したと聞いております。これは、私たちの最も恐れたところで、ドナーの附託に応えられないというこの事態は、やはり構造的な問題であろうと思います。これが一義的な提案した動機であります。
 それであるならば、ドナーの方々の附託に応えられるような形でどういう対応がとれるかということをワーキンググループで議論をしていただいて、その結果出てきたのがここのお話であります。私たちがまず求めているということは、高齢になられた方々のドナーハートを受けるレシピエント候補をきちんとつくっていただきたい。そうでないと、ドナーの方々の善意の贈り物が無為に帰してしまう恐れがあります。決して医学が進んできて、レシピエントの数が増えてきたからお願いしているということではありません。
そして、また、私たちが心配しているのは、そうなった場合に、今までのレシピエント候補の方々がたくさんお待ちになっているわけですけれども、その人たちの既存の権利が失われてしまう。これはやはりよろしくない。そのためにはどうすればいいだろうかということで、これは時間限定でも構いませんので、私たちの提案を受け入れて頂きたいと考えます。心臓移植委員会の中でも、内科と外科で大議論がございました。何回も議論をして、内科も外科も、これならば、先ほどのドナーの方の附託に応えられる案として一応認められるのではないか。まずはこういう形でやってみようという提案で出しているわけで、一般的な議論としてこの問題を取り上げているわけではございません。そこのところはよく御理解の上、議論をしていただきたい、そういうことでございます。
〇北村班長
 それは全員理解していますよ。1番の論点に、「ドナーの提供意思を尊重」と、ここが、今、佐藤補佐から話がありましたけれども、その点から出発していって、60歳以上の方の御提供が実際に移植として実現していない、ドナーの意思ができない状況があるという中で、さすればという先生方の学会等のお考えで、レシピエントの年齢の引上げと、それをいかに配分するかという2つの問題提起です。
〇和泉班員
 ということは、私たちの委員会からの動機をきちんと受けとめていただけたわけですね。
〇北村班長
 一方は、レシピエントの年齢も、外国ではもう70歳に到達していますので、我が国が60歳に制限するということを緩和するという考え方も同時に合理的に持ち得ることでありましょうし。
一方、人工心臓の利用は、現在は、ブリッジユースに限られておりますけれども、65歳までは使おうではないかというような形になっている中で、少し年齢の差が生じているということも、齟齬が生じていると文章にも書いてありますが、そういうこともございますので、今、和泉先生が言われたことは、大体ここの班員の大半は理解していると思いますので、その論点に基づいて議論が進められる状況だと思います。よろしゅうございますか。
〇和泉班員
 はい。そういうことが確認されていれば、大変ありがたいと思います。
〇北村班長
 それでは、65歳に引き上げたときに、我が国の心不全の高齢者が増えているという中で、どういう状態に入ってきて、一方学会側も、60歳未満の心臓移植の機会を失わないようにという形を提案されておりますと、そこで、60歳以上のレシピエントキャンディデートをどう取り扱っていくのかという問題が出てくるわけです。それが一番今日の大きな問題の論点になろうかと思いますが、本日一日で決めてしまうつもりは私もございませんで、皆さんの御自由な意見をまず聞かせていただこうではないかということを考えておりますので、どなたからでも結構ですので、御意見をどうぞ。
〇福嶌班員
 大阪大学の福嶌です。
 今のお話の中で、心臓が、もし高齢のドナーの方がいらっしゃったら、年齢のことだけで、若い人だったので移植にならなかった可能性があるのではないかという御指摘があったと思います。臓器提供の現場には、メディカルコンサルタントというものがいて、ドナーのすべての医学的情報を見させていただいた上で、心臓移植のドナーの可否を判断しています。結果的に高齢で歩かないかにかかわらず、私どもは移植に適さないと判断していることを是非知っておいていただきたい。繰り返しになりますが、年齢だけで私たちは提供をする・しないは決めておりません。心臓の機能が低下している場合や冠動脈疾患の疑いがある場合には、ドナーとして不適と判断する場合があります。実際にその疑いがあって、心臓摘出中に心停止になるというようなことも起こり得ますので、一応70歳2例、60歳が7例お断りいたしました。現時点ではそれらについてはすべて医学的な理由であって、若いレシピエントだから断ったことはないと私は理解をしています。ただ、今後、例えば75歳のドナーが出て、ほとんど問題がないというようなときに、60歳未満の人に移植するかという問題が起きてくる可能性もございますので、その辺の意味を含めて御検討をいただければと思います。
〇北村班長
 ありがとうございます。
 米国を中心とした国際心臓心肺移植学会のデータもつけておりますけれども、外国の取扱いについても詳しい方も少なくないと思いますが、そういうことも含めて、いろいろな方からの御意見をお願いします。
〇辰井参考人
 基本的なところで質問をさせていただきたいのですが、そもそもこれまで60歳以上が適応外になっていたのは、根本的にはどのような理由によるのでしょうか。
〇北村班長
 もっともな御質問ですね。どなたがお答えになりましょうか。
〇和泉班員
 60歳ということを厳格に決めたのではございません。私たち心臓移植が始まるときから、移植される機会が非常に少ないだろうと想定しました。であれば、少しでも若い方々にという思いが、60歳未満という基準をつくり上げている。今までのところ、60歳未満で、実際に大きな不都合はなかったと思います。
 ただ、外科医の先生の前で悪いのですけれども、心臓移植がこんなにいい成績を出すとは内科医も余り思ってなかったのですね。今までも、急性期で2例失っただけという、世界的にはトップクラスの成績を出していただいて、そして、ドナーがこれだけあらわれるようになってくると、その60歳というところがなかなか難しい問題を生み始めているのは事実です。事実ですけれども、60歳未満で適応判定をされて、今お待ちになっている方々がたくさんいて、その人たちがもう数年にわたって切実な思いでお待ちになっている。これは、私たちはその人たちの気持ちを無視するわけにはいかないというのが心臓移植委員会の立場です。御理解ください。
〇辰井参考人
 ありがとうございます。
 確認ですが、今のお話ですと、成績如何ということではなく、わざわざ移植という、なかなか提供者のいない難しい治療を行うからには、それは若い方にしようということであって、年齢が行くと成績が悪いから、そこが外すということではないですか。
〇和泉班員
 心臓移植では、成人の場合、大体10年の成績を見て、10年の命の贈り物をしようと考えています。60歳の人の10年は70歳になってしまう。50歳の人であれば60歳になってしまう。そういう10年という、私たちが心臓移植を始めたときには、10年間の世界の成績を眺めながらそういう議論をしました。ただ、日本の心臓移植は、世界のトップを行くような成績であったということです。
〇福嶌班員
 参考資料7の9ページを見ていただきたい。9ページの上の図になりますけれども、当然、ドナーの年齢が高齢化すると移植した後の予後が悪いのは想像つくところです。現実に、ドナーの年齢が18〜29歳、30〜39歳の生存曲線を見ていただいたらわかりますが、60歳は黄色ですけれども、10年たったときに10%ぐらいの開きがあるわけですね。
 もう一つは、ここの統計には出ていませんが、社会復帰率、あるいは、どれぐらい動けるかというところにも、70歳過ぎたレシピエントでは、ほとんど社会復帰していないのです。一応尊いドナーの御意思を生かすことを考えた場合に、予後と社会復帰を含めたQOL、その両方がいいことが必要であろうということが一番の理由で、数が少ない段階ではレシピエントは60歳未満に制限をしようということです。つまり60歳以上が医学的にだめという、理由ではないと御理解ください。臓器提供件数が増えてきたので、もうちょっとレシピエント年齢の制限を緩和できないかということも一緒に御議論いただければと考えています。付け加えますが、若い人の方が明らかに予後がいいことだけは確かだと思います。
〇中谷班員
 その議論をされたのが1997年なんですね。今から十何年前の時点で、あの当時、心臓の手術自身も、60歳以上の高齢者が今みたいにそんなにされていなかったとか、そういういろいろな社会条件もあってということで、今の60歳とあの当時の60歳は違う状況であったことも理解していただきたい。
〇福嶌班員
 これは今の統計なので、実は、もうちょっと開きがあったこともあると思います。
〇北村班長
 辰井先生、よろしゅうございますか。
〇辰井参考人
 ありがとうございます。
〇北村班長
 ほかに御意見はありませんか。
〇小野班員
 65歳に引き上げる一つの考え方として、今、QOL、それから、移植の予後という、その2点でお話しいただいたのですけれども、もう一つ、こういう命の贈り物をいただいた場合に何が大事かというと、社会に帰ったときの社会還元という考え方も重要だと思っています。
 従来、例えば今から15年前、1997年ころ、定年が大体60歳ぐらいで、60過ぎればもう引退という時代も、いまや、60代前半は仕事をして当たり前であるし、60代後半でも、いろいろな形でお仕事をされているという意味で、これは、また、健康寿命が延びたこともありますけれども、元気な60代の方がどんどん増えてくると。そういう方々に対して、移植をすることによって社会復帰を可能にして、そういう元気な方々を社会還元していただくことも、医学をもう少し大きな視野から考えていく上においても大事だと思っています。社会復帰という意味の観点から言っても、60代前半の方がこの治療を受けて、まずは10年間ということになるとは思いますけれども、また、社会で御活躍いただくのは非常に大きな意義があるのではないかとも考えております。
〇北村班長
 今、皆さんおっしゃっていただいたとおりのことですけれども、60歳未満から65歳未満に、5歳引き上げた場合に、どれだけ多くの待機患者が増加するのか。この試算は必ずしも容易ではないかもしれませんが、この提案のときに、どのくらいのキャンディデートが増加するかということをお考えになられましたか。日本の現況はどのくらいと考えられますか。
〇和泉班員
 今の移植対象者は60歳未満です。ほとんどと言っていいと思いますけれども、心筋症の患者さんになります。
〇北村班長
 参考資料5がありますね。
〇和泉班員
 日本には心不全に対する疫学データがほとんどございません。J-CARE CARDという筒井先生がおやりになっている疫学データを参照しています。心臓移植の目的のためにとられたデータではございません。ですから、対象も必ずしも妥当ではないかも知れませんけれども、参考にはなるでしょう。加齢とともに虚血性心臓病の割合が増えてきます。今回、天皇陛下がなられた病気です。その割合がどのぐらい増えてくるのかというのは、実際の登録作業をやってみないと日本ではデータがありません。恐らく心筋症と虚血性心臓病が逆転するのは間違いないだろうと考えています。少なくとも半々ぐらいの割合まで上がってくるだろう。全体の数がどのぐらい上がってくるかというのは、心不全が55歳を境に指数関数的に上がってまいります。女性と男性では約5歳ぐらい発症年齢の開きがありますので、多分、男性の数が非常に増えてくるというふうな予想のもとに議論をしております。そうすると、60歳以上の虚血性心不全という言い方をしますけれども、虚血性心不全の男性患者が圧倒的多数を占める可能性が十分に高いことを想定しています。
 もうひとつ、それに応えるだろうデータは、人工心臓のLVADという装置がございますけれども、これは全例登録をしております。今はもう80例ぐらいになっていると思いますので、そちらのデータも御参考にしていただきながら議論していけば、その動向は大体わかるのではないかとも思います。
〇福嶌班員
 LVADは、日本において、高齢(60歳以上)は心臓移植の可能性がないということで、LVADをつけないということがあります。そのため高齢者のLVADの件数はかなり減ってしまうのですね。ですから、日本で高齢者のLVAD統計を出すのはちょっと難しいかなとは思います。次のチャンスがないのにということになりますので。
〇和泉班員
 そういたしますと、装着しなければ心不全はそのままお亡くなりになってしまいますので、もう統計のとりようがないという、そういう状態になっています。
〇福嶌班員
 参考資料5もそうですが、上を見ていただいたら、60歳未満は500例です。60歳以下の患者全部で500例、それに対して60〜64歳は235例ですので、ほぼその半数の数がそこの年齢にあるということで、多分、このぐらいの数には予想的にはなる可能性が高いです。ということは、5歳上げただけで、その年齢以下の年齢の半分が増えるということですので、若い人が受けられるチャンスがかなり減る可能性も持っていると御理解いただいたらいいかと思います。
 それと、もう一つは、疾患群が、拡張型心筋症から虚血性心疾患に変わってしまう。その大きな違いは、虚血性心疾患の方は動脈硬化を持っていて、腎不全であるとか、そういう別の合併症を持っておられる方があるので、一応拡張型と虚血性で心移植法の成績はほとんど差はないと言われながらも、やはりプラスアルファの合併症をお持ちになっている可能性があるので、予後も悪くなる可能性をお持ちだということになります。ちょっとややこしいのですけれども、やはり40代ぐらいの拡張型心筋症の方の方が多分将来的な意味では長く、しかも、アクティビィティーが高い状態で生活される可能性はある。だから、たった5歳ですけれども、かなり大きく違う意味合いがあると考えていただきたいと思います。
〇北村班長
 どのくらいの増加にするかという見込み等で御意見はありますか。
 今のお二人の御意見からもわかりますように、恐らく5歳年齢を上げると、圧倒的に虚血性心疾患による心不全、ICMが増加する。現在、日本はキャンディデートの10%以下です。米国は、これが45〜50%、半々とおっしゃったぐらいありますので、そのように近づきますと、少なくとも今190人の待機者がいますが、これが300人ぐらいになる可能性がある。そうあらかたの数字を考えますと、300のドナーを得られるのがまだ難しい中で、60歳以上の提供者が増えていることで賄い切れるのかということと。もう一つは、50歳代でも後半の方は、60歳前半の方の、特に日本では先ほども御紹介ありました、お医者さんが一つひとつチェックを丁寧にしていただいておりますので、十分若い人にも使っていただけるというような場合に、どう配分していくかという問題があるわけですね。それから、数はわかりませんけれども、1.5倍ぐらいの可能性はあるという想定のもとで議論していただいてはいかがかと一つ思います。
 人工心臓の話も出ましたが、人工心臓は、埋込み型はブリッジユースという限定がありますので、体外式の場合はその限定がないので、主に参考資料6にもありますけれども、60歳以上の方には、埋込み型は非常に限定的に現在は使われているのですね。これを65歳まで、移植適応の年齢を上げますと、この層に埋込み型が、青い線が増えると思いますが、そういうことも一応考えられるわけです。そうすると、60歳以上のドナーが現在増えているという形で、受け取り手がないという大きな問題に今直面されたわけですけれども、60歳以上のドナーとそれ以下のドナーとの比率がどうなっていくとお考えですか。
〇福嶌班員
 今からお示しするのは法律が変わってから去年の10月までのデータですが、65歳以上のドナーが15例です。改正後これまでの脳死臓器提供が全部で62例なので、47例が60歳未満のドナーになります。60歳のドナーの方から4人の方へ心臓が移植されています。60歳未満の方から39例心臓移植されていて、日本では心臓移植のドナーの10%が60歳以上のドナーからの移植です。一方、海外では、60歳以上のドナーは1〜2%しか移植をされていないので、日本では60歳以上のドナーが海外に比してだいぶ多い状態です。それが大体今の状態です。実は、改正法施行後の方が、ドナー年齢が一気に上がりましたので、今は多分改正法だけのお話をさせていただいた方がいいと思いましたので、そのデータです。
〇中西班員
 行き場がないドナーは何人ぐらいおられたのですか。
〇福嶌班員
 それは0だと思います。
〇中西班員
 現状は、60歳未満のレシピエントに全部行ってしまっているということですね。
〇福嶌班員
 そうです。最近の脳死臓器提供の事例で、ドナーの年齢が70代だったのですが、このドナーの方には明らかな冠動脈疾患があったので、医学的に心臓移植は行われませんでした。その他で心臓移植のドナーとならなかった事例は、全て、医学的な理由でやめたということです。
〇和泉班員
 メディカルコンサルタントの先生方の努力には、私は非常に敬意を払っております。ドナーの方の意思を橋渡ししていただいている。これは多分世界で最も高い橋渡し率ではないかと思います。
 先ほどからお話がありましたけれども、私たちは、構造的に、先ほど言っている高齢者のドナーの附託に応えられない、その構造を変えていただきたいというのが、私たち心臓移植委員会としての提案であります。現実にはその恐れは現実化していないという話を聞いてほっとしています。恐れていた現実に発生したとの疑いが私たちは出てきたのではないかと思い、これは早く未然にその状況を解決しておかなければ、ドナーの方々の附託を活かすことはできないだろうと考えました。
〇北村班長
 そうすると、和泉先生の最初の主張とはちょっと現実は違うということですか。
〇福嶌班員
 現時点では違ってきています。将来的に、70代のドナーがもうちょっと出てきたときには起こり得るかもしれない。
〇北村班長
 起こり得ることは十分考えられる。
〇和泉班員
 海外のデータを見させていただきますと、冠動脈バイパス手術をしてでも心臓移植術をされている人たちがいるわけですね。その心臓を受け取るレシピエントの方々は高齢者の方々になってくる。メディカルコンサルタントがこれだけ発達している日本の状況では、私はすぐにでも同じ手法が生まれてくるのではないかと思います。そういう方々のご意思も生かす、そのチャンスをつくってほしいという意味も込められています。
〇小野班員
 今まで、60代のドナーの方の心臓を、あるいは60代でないにしても、50代後半の比較的高齢のドナーの方の心臓を割と若い方にしばしばありましたけれども、その場合、多くの人は体外式の補助人工心臓がついていて、しかも、それが3年ぐらい。割と感染をしている、あるいは何度かストロークを起こして、ようやく機能回復をしているという状況で、比較的もう待てないから高齢のドナーでも仕方がないというか、とにかくわらをもすがる思いで高齢ドナーでも移植をするというのは、現場の感覚として実は私にはありました。多分、大阪大学とか国立循環器病センターもあったと思うのです。
 先ほどもお話が出たのですが、埋込み型の補助人工心臓が今後増えて、若い方々は、埋込み型補助人工心臓の成績は高齢者より比較的成績いいことは既に発表されているとおりで、QOLのいい安定した状態で若い方が埋込み型補助人工心臓で待つようになると、それこそ先ほど出たように、徐々に高齢のドナーだから今回はやらなくてもいいやというような考え方が起こってくる可能性が必ずあるだろうとは思っています。そうすると、まさに和泉先生が言われた高齢のドナーの方の附託に応えられなくなってくるようなことが僕は近いうちに来るのではないかと思っています。
そういった場合に、高齢のドナーの方を生かせるレシピエントが今のうちに決めておかないとという気はしています。これは実際に来てみないとわからないことですが、恐らく私が現場で実際に埋込み型の補助人工心臓を若い方に植えたときの感覚からすると、高齢のドナーだったらいいやというか、患者さんにその辺どこまで細かく話すかという、また、全然別の問題はございますが、実際に治療の現場を担っている医師の一人としては、埋込み型の人工心臓で落ち着いているのであれば、条件のいいドナーの方でやってさしあげたいという思いがあることは事実ですので、今後のことを見据えた議論はやはり必要だろうと思います。
〇北村班長
 そういうふうにこの委員会の理由を少し変えますか。
 というのは、和泉教授が言われた、現在の問題を解決してくれという観点よりは、将来、結局は同じことになるのかもしれませんが、若い人への提供が少なくなるぐらいにレシピエントは増えることが想像される中で、ドナーの数は増えてきたとはいえども、そして、また、60歳以上のドナーが増えているという現実がある中で、更に、レシピエントの数を膨大に増やす措置を、今後のことを考えて今とるのか。
一方、60歳以上であれば、人工心臓で切り抜けようという動きも世界的には大きく見られていますね。というのは、高齢者はがんの発生とかが非常に大きな問題ですので。どういう根拠に基づいてこれを提案されるかというのをもうちょっと整理していただかないと、対社会的には、現在待っている人たちの60歳以上の提供をどう取り扱うかということにも関係します。
〇福嶌班員
 あと、もう一つは、60歳未満の移植適応患者が日本にどれぐらいいるかという話になると思います。これは本日の会を傍聴されている日本臓器移植ネットワークの芦刈医療本部長がだいぶ以前に発表したデータですが、日本全体で心臓移植をすれば救命できるであろう60歳未満の患者の数は毎年300〜400人ぐらいいるといわれています。このデータは多分現時点で一番正確なデータだと思います。現実に、その中で、改正前までは40人ぐらいしか登録されていなかった。それが法改正後今は70〜80人に増えてきたということです。それでも400人には足りませんので、残りの患者さんが紹介されて登録されたとすれば、今の臓器提供件数では、その方たちの数を全然附託してないというか、足りてないという事実もあるわけです。ですから、それよりも上の年齢まで上げるかということについては、まだ早いという考え方もないことはない。そこのところは微妙なところです。
〇和泉班員
 それは心臓移植委員会でも、何回も議論されました。例えば1歳ずつ上げていくかとか、そういう話もありました。しかし、それは、また、年齢による差別みたいなことを生むので、わかりやすいところで、高齢者という線引きを厚労省がされてくれていますから、そのところまで上げることによって、そして、あとは私たちの運用によってその問題を解決できるのではないかということです。運用も前提として御提案を申し上げたのはその点を考慮したからです。私たちは非常に苦しい選択をしながらこの提案をしているので、そこのところをよく理解していただければと思います。
〇福嶌班員
 参考資料ですけれども、これまで移植された中で、虚血性心疾患は11例です。それ以外が、DCMも含む二次性で、加えて先天性心疾患が1例だけ入っています。ICMの方の平均年齢は44.3歳。DCMの方が37.4歳ですので、今の時点でも7歳平均値が高いということですので、高齢の方にICMの患者さんが多いだろうということです。
〇北村班長
 世界的な形を見ると、心臓移植は70歳近くまで、米国でもヨーロッパでも行われています。我が国のような高齢化社会になっている中で、この年齢を60歳から65歳に引き上げること自体は、多くの方がそういう時代に入ったことも理解していただけると思うわけです。一方、家族の承諾による提供が出来てから、60歳以上の提供をしましょうという数が増えていることもご存じのとおりで理解できます。
 レシピエントは確かに50歳でも60歳でも10年位の成績はそう変わらないのですけれども、ドナーハートの年齢が高ければ高くなるほど、いろいろの合併症、問題が起こることも科学的根拠として挙がっています。これは間違いなく高齢者の心臓はいろいろな問題を発生するという形になっているので、米国は、はっきりと60歳以上のドナーの提供を受け取るかどうかを議論しています。米国は、提供者は30歳代ぐらいですかね。それで2,500の移植ができる状況にあるわけですけれども、我が国が60歳以上のドナーが提供してうまくいっているのは、先ほどありましたメディカルコンサルタントが一人ひとりをチェックしているからだと僕も思います。これを、60歳以上を満遍なくやっていきますと、成績は悪化するだろうと思います。しかし、多くが50歳代の人に回っている中で、レシピエントを大幅に増やすことが是か非かという問題以外に、例えば67歳の提供者が出た場合に、どのような順番で大幅に増える60歳以上の提供者に回していくのか。そこで提案されているのが、60歳以下の人たちを減らさないようにしてくれと言っても、これはドナーの総数が増えない限り不可能な現状で、それで数年たって60歳以上の人が生き延びてきてくだされば、そこで上位を多くの60歳以上の人が占めていく形になってくると思います。多くは人工心臓がついているだろうと思いますが、そのときに、20歳、30歳の人たちのドナー、今度は20歳ぐらいから出たドナーの心臓を上位にある血液型が同じ60歳以上の人に渡さないというようなことができるかどうか。そこが一番の論点で、そこであえて辰井先生にもお越しいただいたというところもあるのですが、その辺も含めて、僕も65歳の我が国の適応年齢を引き上げることには抵抗感はほとんどありません。ただし、高齢者のドナーを高齢者に与えていってこそ意味があって、60歳以上の心臓を20歳のレシピエントに渡すのは医学的によくありません。そうすると、60歳−60歳という年齢でマッチさせる倫理的に問題のない方法があるのかと。しかし、50歳後半の人は60歳でも何ら問題が少ない今の現況から、生存のためには急ぐ場合も、医師もそう説明するでしょうし、本人さんも了解される。果たして60歳以上の方を人工心臓で待たせて、67歳、68歳になってきた人たちが、3年後には大変上位にICMがいっぱい待っておられる中で、20歳、30歳の心臓の提供があった場合に、この人たちを飛び越して、順番を、待機時間を飛び越して若い人に回すことができるかどうか。それで、この間、18歳未満の場合には優先しようと。これは、18歳未満の提供者の心臓は18歳未満の成長期の思春期にある子どもたちにやる方が圧倒的に成績がよいというような科学的根拠を持って町野先生の御理解もいただいたというところがあったのです。優先としたわけです。しかし、こういうことを決めている国はほかにはありません。日本だけです。ただ、点数をもって優先するような形をして国はあるようです。しかし、今度は、若い人からの提供を高齢者が受けてはならないと云うことはできるかどうか。ちょっと先へ行き過ぎかもしれませんけれども、結局はそこへたどり着く議論になると思うのですね。もし何かありましたら、どうぞ。
〇辰井参考人
 最初にこれを拝見したときに、感想として持ちましたのは、65歳未満に引き上げるところは、素人ですから余り抵抗は感じません。しかし、60歳未満の希望者から受諾者がいなかった場合にそこにというところは、少し極端なように感じました。先ほど来いろいろ御説明を伺って、いろいろ背景事情があることはよく理解したのですが、それにしても、恐らくいろいろ個人差があったり、いろいろなことがあるでしょうから、もし可能であればというか、比較的抵抗がないやり方は、若年の人についても、海外で行われているという点数とか、何か疾患の種類とか、年齢とか、そういうことを勘案してそういうミスマッチといいますか、余り若い方の心臓が65歳の人にそう簡単に行くことがないような仕組みがつくれると受け入れやすい。
〇福嶌班員
 心臓では、今、医学的緊急度の1と2というのがあります。米国では、1のAとBを分けて、年齢の小さい子は早く移植をうけられるようなルールがあります。そうすると、米国でも実は2つしか段階がありませんから、若い人が年いった人を完全に抜いてしまうというルールと全く変わらないことになってしまいます。要するに2段階しかないわけですから、完全に次のランクに入ることになりますので、そういうふうなことでよければ、今言ったことと同じことになるのです。要するに、65歳の人はプラスが1.5だと。60歳までの人は、ステータスは1だと。そうすると、最初は1の人からしか選ばれないですよね。そして、次が1.5の人が選ばれるというシステムで、実際、臓器によってはそういうこともしているのですけれども、それは多分循環器学会が出してきたものと同じ結論になると思うのです。
〇和泉班員
 先ほど来の議論は、心臓移植委員会の中では、あるいはワーキンググループの中で真剣な議論がされました。私たちがパッケージで御提案しているのは、基本的に患者さんが非常にわかりやすい形で運用しているのだということを言わないと、60歳以上65歳未満の方々が怒濤のごとくやって来るおそれがある。だから、パッケージで運用する。60歳以上の人たちはなかなか心臓移植のレシピエントになるのが難しいですよという話です。それでも自分は人工心臓を受けて順番を待ちたいという方にチャンスを挙げたいということです。その列の一番最後の方になりますが、待ちたいという人たちからまず受け入れたらどうかということです。これはパッケージで提案しないと大混乱に陥るだろうというので、委員の中からは、この提案自体をもうやめようという意見さえもありました。しかし、それは、また、ドナーの附託に応えないリスクを犯してしまう。心臓移植委員会として私たちが専門家集団として、このリスクを知り得た以上、これは何らかの提案をしなければならないということで、あえての提案をしているわけです。パッケージ提案ですから、やはり常に見直して、いつかは全世界的にやられている形に私たちは変えていこうということです。未来永劫にわたってこういうやり方をお願いしているという気持ちは全くありません。
〇福嶌班員
 最初からこういう提案であれば、不平等さはあるのですが、今、60歳超えたら、心臓移植も受けられないし、埋込み型の人工心臓も埋められないのですね。要するに、簡単に言えば、助かるチャンスがないのです。だから、人工心臓をつけないわけです。でも、それが、例え60歳以上のドナーからという不利な条件とは言いながら移植を受けるチャンスと人工心臓をつけられるチャンスが50〜60歳以上の人にあらわれることは、実はその患者さんにとってはすごく大きいことなので、第1段階としては、そういうふうな認め方もあっていいのかなというのが私たちの考えていることです。
〇和泉班員
 ですから、合意です。反対意見はもちろんありました。
〇小野班員
 私もその委員の中で随分けんけんごうごう議論させていただいた一人ですけれども、最初に北村班長が言われたとおり、ドナーの数は本当に65歳まで年齢を増やすだけの十分な数は増えるのかという質問をされましたが、答えは出ていませんけれども、答えはノーですね。だけれども、いろいろな考え方が、国際基準にする、あるいは私が言ったような社会的な活躍のできる人たちがたくさんいる。あるいは、埋込み型人工心臓という治療の機会を可能にする、幾つかの理由があるにしても、ドナーが十分増えない状態で、60歳未満の方と同列にいますと、先ほど言ったように、最終的には、60代以上の人がずっと上位にいて、若い人たちが末席をけがすことになるのは、それは今のままでは忍びない。そうすると、制限を設けることになるかもしれないけれども、それでも60〜65歳未満の人に対しても移植の機会を可能にするという、それこそ和泉先生が言われたような一つの段階を踏むと。今後、ドナーが増えてくれば、それはもう少し議論をして、そういう不平等と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけど、より整合性のとれたシステムにすればいいと思いますし。ただ、テンタティブには埋込み型の補助人工心臓が移植へのブリッジユースとして可能になるという、これは副産物ではあるけれども、かなり大きな副産物でもありますし、とにかくその年代に可能にするという一歩を踏み出すことが、今やらないと多分できなくなってしまうのだろうという議論がそのときに一番あったのですね。パッケージと言いましたけれども、そういう苦肉のパッケージになったというのがその結論です。
〇中西班員
 国際的にも、先ほど出ていますけれども、これはUNOSなんかだと、60歳以上とは区別はないのですか。
〇福嶌班員
 ないです。
〇中西班員
 全くないですか。年齢的に、何歳まではないのですか。
〇和泉班員
 今やっているのは72歳ぐらいまでじゃないでしょうか。
〇福嶌班員
 やっているから、特に何も。要するに、低年齢以外は差別はないです。18歳未満と6か月未満の2つの段階は特別ですけれども、それ以外はないです。
〇小野班員
 施設によって、65歳までで自主的に当路を抑えている施設もありますし、コロンビア大学などは72歳まで登録していますし、その辺は多少施設ごとの判断に任せてやっているようです。
〇和泉班員
 ただ、ドナーとして使われている率は、施設によって違いますけれども、40〜60%ぐらいです。日本みたいに90数%というわけではないです。
〇福嶌班員
 米国では脳死臓器提供の30%しか心臓が移植されていません。一方、ドナーが高年齢になりながらも、日本の心臓移植は脳死臓器提供の69%ですので、日本では米国の倍以上心臓が移植されている状態です。
〇北村班長
 いわゆる高齢のマージナルという形にすれば、マージナルドナーの利用率は我が国は非常に高いのです。それは先生方の努力もあって判断されているから、成績が維持されているわけだと思いますが、成人に対してのレシピエントについては、結局、高齢者だけを、僕も知らなかった言葉ですが、劣後リストみたいなものをつくって、若い人がなければもらっていいよというものはないのです。それを日本である程度認められるかどうか。それは、私もいろいろ事務方とも相談して考えて、1つは、最終案で、それまでの過程としての暫定的な措置もあり得るかもしれませんが、最終案としては、60歳という年齢を引きますと、59歳、60歳というところで線を引いてしまうわけですね。これは大変厳しいラインになってしまいます。そういった中で、差別化、劣後リストに60歳になったとたんに入れるのか。しかし、58歳で登録し、60歳になった人にはそれはできないというので、実際は61〜62歳ごろはこなくなるわけですけれども、本質的には、世界と合わせようと思えば、なくすことですね。しかし、それをなくすと、今のような皆さんの御心配があるという中で、そのところを少しやわらげた形で1-A、1-Bではなくて、点数化によって若い人が救いやすい形をとれるのかどうか。そういうことも考えはあるのですが、医学的に見れば、60歳以上のドナーを60歳以上に移植するのは合理的であるかもしれませんね。
〇和泉班員
 点数化したときに、申請の段階からその点数のことを患者さんにはわかりません。私たちがわかりやすくパッケージで示しているのはそういうことです。メッセージとしてこうなんだと。非常にチャンスは少ないけれども、あることはあるというメッセージをはじめからやっておかないと、今後、膨大に増えることはもう見えている。
〇辰井参考人
 例えば、単純に年齢で点数化するということではなく、先ほどデータに出てきた年齢をいくと明らかに増える。それは要するに年だからというようなタイプの疾患があって、この年齢のこの疾患がこうとか、そういう感じの差別の仕方はやはり難しいのですか。
〇福嶌班員
 それはすごく難しいと思います。
〇辰井参考人
 わかりました。
〇和泉班員
 今心臓移植レシピエント候補190人をハンドリングしているのは、私たち日本循環器学会員の手弁当です。60数人のレフェリーが手弁当で、5日以内に適応判断の答えを出しています。ここへ点数まで加わったら物理的に事務能力が応じられません。
〇福嶌班員
 日本以外の国は、移植するかどうかは、各施設が勝手に決めていいのです。ただし、日本は、日本循環器学会の中の委員の先生方の努力で、全部それを評価して、移植の適応があるかどうかを見て、そこの基準の中に、今60歳というのがあるので、60歳以上が登録できないのです。要するに、中央の委員会で適応を決めて、その方しか登録できないのは、世界では日本だけです。そこで、まず最初に不平等と言ったら言い方は悪いのですけれども、厳格に医学的にそこで分けているわけです。それを少し上げるけれども、開放じゃないよということなんですね。そういうふうに御理解をいただきたい。米国のコロンビア大学で72歳まで何でやっているかというと、コロンビア大学はしましょうと言っているだけの話で、そうではない施設は、60歳を過ぎたらやらないところも米国にもあって、その場合は患者さんが別の施設に移動するだけの話なんですね。ただし、日本は全部がだめです。そこがちょっと違うところです。
〇小野班員
 先ほどの疾患ごとに分けるという御意見がございましたけれども、確かに、高齢になりますと、虚血性心疾患は増えるのですけれども、若い20代の方でもいらっしゃるのですね。そうすると、若い人がそれだけの病気のために不利益をこうむることになってしまうので、疾患だけで分けるのは難しいのです。
〇北村班長
 病気は難しいね。
〇福嶌班員
 これまでに国内で心臓移植を受けた虚血性心疾患11例のうち、2例が20代です。だから、20代にも適応患者がいるということになるので、疾患によって不平等をつくるということもできないと思います。そのため、唯一年齢で仕切るのが一番やれることなのかなと思っています。
〇北村班長
 もう一つ、小野教授も私も同じように思っていると思いますが、60歳で人工心臓をブリッジユースとしてしか使わないという埋込み型の規定を、65歳に引き上げることが付随的にできるわけで、これは大変大きなことだとは思いますが、人工心臓の利用が大幅に増えるということで、これは保険局の方がどう言うかは別問題として存在いたします。外国でも、ランダムスタディが行われているように、高齢者は人工心臓だけの方がよい場合もあり得るわけですね。というのは、免疫抑制剤ががんを引き起こしたり、今後、高齢者である、高血圧、糖尿病、すべてを悪化させますので、人工心臓はそういう点がないので、それで乗り切ろうということは、現実、我が国でも、65歳の人が3年間人工心臓つけば、5年も使えれば、もうパーマネントユースに近くなってしまうわけですよ。そういう付随的に、年齢を上げることによって、埋込み型の人工心臓を65歳まで適応できることは、医師にとっては大きい、患者さんにとっても大きなメリット。将来は、人工心臓だけで行けるということになっていく年齢層だと思うのです。やはり心臓移植は若い人、活動できる人、そんなものがついて山登りはできませんね。そういう若い人に偏るという形が出てくると思いますけれども、現状、増えたといえども、まだまだ乏しい状況で、どのように配分するか。アロケーションの問題です。ここが倫理と関係してくるところですね。
〇辰井参考人
 それが役割かと思いますので、ちょっといろいろ素朴なことを伺いますが、平等に取り扱うのはなかなか難しいという状況で、それで、年齢を上げようとすると、やはりそこの理由がすごく問題になるだろうと思うのですね。先ほどのお話ですと、1つには、ドナーの高齢化があるということであったのですが、法的あるいは倫理的な観点から言うと、それは提供を受ける患者側をベースとして考えていきたいという感じにどうしてもなるわけですが、高齢の方の心臓は、レシピエント側が高齢者であっても、やはり余りよくはないわけですよね。しかし、それは、例えば65歳の提供者がいて、その65歳の方がそれを受けたという場合に、それは医学的には十分に意味のある治療であると。
〇福嶌班員
 実際に生きていけるようになりますし、人工心臓も外れて普通の生活ができるようになるので意義があると。それと、もう一つは、60歳の健常な人がドナーになるわけですから、一般的にはそういう人を選びますので、健常な人の60歳の心臓を60歳の人がもらうことについては、医学的にもそんなに問題はないだろうと考えます。
〇北村班長
 しかし、40歳からの提供を65歳の人が受けても、そちらの方がいいのですね。
〇福嶌班員
 そちらの方がいいというのはいいだろうと思います。
〇北村班長
 いいというのがデータにあるので、65歳以上のレシピエントの人たちに、待っている人たちに血液型も順位も最高位に達してきているときに、40歳のドナーだからあなたにはできませんと言うことが難しいわけです。
〇和泉班員
 私は心臓移植問題にずっとかかわらせていただいているのですけれども、レシピエント候補の側には主に適応除外条件によって不平等が起きています。レシピエントの権利だけを取り上げますと190人の人たちは同じ思いで待っているのですけれども、いろいろなバイアスにより結果的に不平等が発生している。私たちが今一番心配しているのは、いろいろな背景があるにも関わらず、心臓移植のために臓器を提供してくれるドナーが20〜30例ぐらい今いらっしゃる今後50例、70例、80例というふうに増えていくだろうと思っています。そのドナーの思いが届かなかったという、そういう状況をつくることは構造的に避けたいということです。ドナーの方はお亡くなりになっているので、そういう思いを持つかどうかもわかりませんけれども、少なくとも私たちがドナーやドナー家族に最大の敬意を払わなければ移植医療というものは成り立っていかない。だから、ドナーの側に立った考え方を最大限私たち心臓移植委員会は堅持すべきだろうと考えています。先生方からいつも怒られています。この患者をレシピエント候補にしてくれと依頼が多く来るのですが、私たちは「ドナーの附託に応えられる人ですか」という質問をいつもしています。レシピエントの側からこの提案を私たちはしていません。それは御理解ください。
〇北村班長
 小野先生と福嶌先生とメディカルコンサルタントで、もしも65歳以上のレシピエントが待っているときに、60歳以上のドナーが出て、現状では50歳代の人とかに多く回っていて、ほとんど無駄にはなっていないという選別を医学的にされてきた中で、もしレシピエントが60歳以上なら、「いいか」ということができますか。医学的に見て、移植用の心臓として、若い人にはちょっとなと思うけれども、60歳以上の人であればいいと。
〇福嶌班員
 ドナーの血液型がAB型の場合には、待機しているレシピエントに60歳未満しかいなくなってしまったというようなことがもし起こったとしたら60歳以上のAB型の方がいらっしゃれば、そちらの方になる可能性はあります。
〇北村班長
 それは、今でもできますね。
〇福嶌班員
 そういうことが将来的にはあるかもしれない。今あるかと言われますと、まだ待っている人の方が多いですからないのですが、ただ、和泉先生が懸念されているのは、将来そういう状況になったときにも、それがきちんとできるようにしたいということですよね。
〇和泉班員
 そうです。
〇小野班員
 もう一つは、たしかドナーの最高齢は64だと思いますけれども、私たちのところで、64歳を2例移植して、メディカルコンサルタントがしっかり管理できて、経過はよろしいのですが、今は70代のドナーはあんまり出ていませんけれども、72歳の方もいらっしゃいましたけれども、医学的な適応というところでなりませんでしたが、特に女性の70歳ぐらい、あるいは68歳〜69歳でも同じですけれども、ドナーの方は比較的動脈硬化も少ない方が日本人は多いのですね。今後、そうすると、70歳のドナーが出たらどうするかというのは、かなり迷うところがあるかもしれません。そのときに、60歳以上のレシピエントがいれば、体格の問題はございますけれども、体格の問題とか血液型の問題がなければ、迷わずに移植はできるだろう。では、70歳のドナーの人が30代のレシピエントの、しかも、埋込み型人工心臓をつけて、普通に会社に通っている人に移植をするのかどうかと。多分しないと思うのですね。
〇北村班長
 そうすると、適応を事務的に機械的にネットワークで一応出されると思いますけれども、何歳ぐらいまでのレシピエントなら60歳以上のドナーを利用しようと。
〇福嶌班員
 それは年齢関係ないですね。待っているレシピエントの状況にもよりますので、だから、どんな年齢でも、移植の必要があれば高齢のドナーからの心臓移植を行うと思います。
 それと、もう一つは、先ほどのドナーのお立場からというふうなお話がありましたが、もし自分が提供するなら、若い人に心臓移植してほしいと思うのですね。というのは、長く生きてほしいと思いますから。それも非常に重要なことで、それが実は、子どものドナーから子どものレシピエントに移植をと言った一番の理由です。臓器提供される子どものお母さんの立場では、子どもの心臓はやっぱり子どもに行ってほしいだろうというのは、普通の人のお気持ちだと思います。提供される御家族は、その心臓ができる限り長く動いてほしいと思われることも事実なので、そういう意味では若い人を優先してほしいなと提供される方も思うことも、これは事実だと思います。ちょっと別の視点です。
〇辰井参考人
 おっしゃることは非常によくわかります。
 ただ、これが医療であることを考えて、あからさまに生死にかかわるという場面ですので、そこでドナーの意向を最大限勘案することによって患者を査定する、特に社会的に活躍してほしいとかそういった要素を入れてまいりますと、その医療を提供するに当たって、患者さんの人間性を査定するというようなことにもなりかねませんので、そこは少し気をつけておく必要があると思います。
〇福嶌班員
 循環器学会で実際に審査するに当たって、現在でも例えば、覚醒剤歴があるなど等、社会的に問題のある患者は心臓移植の適応と判断されていません。要するに、ドナーの気持ちが附託できる人に移植をするということです。それが日本の根底であり、海外でもそうです。というのは、移植を受けた後、免疫抑制剤をきっちり飲めるかどうか。これはきっちりした生活をされて、感謝の気持ちのない人は、大変なことはやめたいのでやめてしまうとすると成績が悪いのです。
〇辰井参考人
 例えば覚醒剤をやっている人は候補にならないといったようなことは、今のお話ですと、それはもう完全に医学的な理由ということで説明がつくと思うのですね。ただ、高齢者ということになると、それは少し違ってくるかなと思います。
〇福嶌班員
 そうです。
〇北村班長
 ちょっとまだ結論を出す段階ではないですけれども、将来的に、年齢差もなくて、65歳まで上げたとしたら、65歳までは現状と同じように待機時間と血液型を中心とした判定で、その方々が上位を占めることがあっても、それは許そう、是としようという考えが将来的にはということはどうなのですかね。それは最初から差をつけておかないと大変なことになるということがありますか。
〇小野班員
 それこそ最初の議論に戻りますけれども、ドナーがどれぐらい増えたら、レシピエントの適応を拡大するかという議論になってきてしまうと思うのです。それは結局時間を見なければわからないことではありますけれども、ただ単に年齢だけで差別化をするのは、かなり難しい、慎重にやらなければいけないことではありますので、最終的には、適応年齢の中での、小児は別としても差別化はしない方向で考えておくべきだろうとは思うのです。ただ、テンタティブには、ドナーの数が十分増えることを検討した上での最終的な、ファイナルな適応基準に持っていくという形で、先ほど申し上げたようないわゆる60歳以上は60歳以上のような形でのテンタティブなやり方で、ひとまずは機会を広げるとせざるを得ないとは個人的には思います。
〇北村班長
 しかし、今は190名の方が既に待っておられて、心臓移植が年間30〜40件のレベルですので、時間的にはかなりかかりますね。途中で3割近い方が待機中に亡くなっています。そうすると、暫定的なパッケージとおっしゃいましたけれども、最初から、劣後的に、60前のレシピエントがノーと言ったものだけを渡すと、こういう暫定的にしろ60歳以上の人を劣後リストに入れることは許されますか、年齢だけで。
〇辰井参考人
 それはわかりません。
〇北村班長
 難しいですね。
〇辰井参考人
 暫定的だという御提案ですが、そう伺うと、一応確認したいことは、本当に平等にできる時期は、それほど遠くない将来に来る可能性があるのでしょうか。
〇和泉班員
 それは国民に聞いてください。
〇福嶌班員
 僕らにはどうしようもないです。
〇和泉班員
 国民がイエスとは言ってくれてないのです。それは私たちが心臓移植医療を始めようとしたときは、こういう席で怒鳴られながら議論したわけです。そして、移植医療が今進んできて、その恩恵をレシピエント候補の一部に私たちはお返しすることができている。ドナーの人たちが増えてくれなければ、ドナーの人たち一人ひとりが大事にされなければ答えにならないと思います。それは、是非、辰井さんに、あなたの周りの人たちにそれを言ってください。
〇福嶌班員
 今、60歳以上の人は移植を受けられないのです。それを受けられるようになるだけでも、かなりその人たちにとって状況はよくなると僕は思っているのです。今はチャンスが全くないのです。しかも、保険診療上60歳以上の患者は埋め込み型人工心臓もつけられないから、現実に多くの患者がなすすべもなく死んでいるのです。今回の改定は、その人たちが、チャンスはちょっと少ないけれども、移植を受けるチャンスと、人工心臓をつけて5〜10年生きるチャンスが今度はできるということだと思います。これはその年齢の人たちにはかなり大きなことなんですね。まず1段階としてこのように改定することは、決してめちゃくちゃ話では僕はないと思うのです。それで、もし何%増えたらというのは今は言えませんけれども、将来的に海外と同じことも考えてもいいということは、ここでも合意は得られているわけで、そのときに考えたらと。今のルールは、97年につくられたルールが15年間たってやっと変わろうとしているわけで、15年間ぐらいはやはりかかるかもしれないと思います。その間に、国民が臓器提供について御理解いただいて、臓器提供数が今の10倍ぐらいになれば、米国と同じようなルールにすればよいと思います。というのは、日本の現在の心臓提供は米国の200分の1ぐらいの数字ですので、それは米国と同じことを考えること自体がもう限界があるのです。ですから、そういうふうに考えていただければなと思います。
〇北村班長
 そこは考えられますね。年齢を上げることで人工心臓をつける機会、これは先ほど言いましたけれども、埋込み型の人工心臓がどのくらい増加するのかということもありますけれども、そういう機会を与えることについては、倫理的には何の問題もないと思います。その方々が上位のリストに上がって来られるまでに3年、4年、長ければ5年ぐらいかかると思いますけれども、これが暫定的なところですね。5年後にそういう高齢者ばかりが上位を占めてしまったという事態が発生するのか、それ以前に、人工心臓が5年後によくなって、それだけで生きていける状況にある程度行って、移植はやっかいだから要らないということもあり得ますし、そういう事態までであれば、別に、高齢の患者さんは後回しにしようということを今決めなくても、年齢を引き上げるだけで人工心臓の利用度が上がること。それから、高齢者社会を反映すること。ICMを救えることもできるわけです。2個目のパッケージを認めることは、なかなかそう簡単ではないようにも思うのです。その点はどうですか。
〇和泉班員
 私たちは、これが唯一の方法だと言ってないです。
〇北村班長
 先生のおっしゃるとおりですが、ドナーの意思は今反映されているではないですか。
〇和泉班員
 いいえ、そんなことないですよ。反映されないリスクを消さなければいけないということを申し上げているので、私たちがパッケージで申し上げたのは、このやり方では説明可能であるということを申し上げているのです。それで提案しているのです。
〇北村班長
 それはよくわかるのですけれども、そういうことを対社会的にできるか。
〇中西班員
 パッケージと言われる意味は、要するに、60歳未満の方がおられないときにのみ60歳以上の方に行くということですね。
〇福嶌班員
 そうです。
〇中西班員
 私は、そのパッケージがないと、今の単に年齢を上げることは許されないことだと思います。
〇小野班員
 これはうがった考え方で、間違っていたら、言っていただきたいのですけれども、基本的に、法律は0か1という考え方。ある一つのことに対して、すべてに適用するか適用しないかという考え方のものが多いのではないかと思うのです。医学の取り決めは、0か1というよりは、中間的なことが結構たくさんあると思うのです。今議論しているのは、その中間的なところのどこにそのさじかげんを持ってこようかというところです。だから、決めるのだったら、もうすべてに適用しなければ。つまり、65歳までは同じような基準でやらなければいけないというのはいわゆる1ですね。今は0ですね。0か1ではなく、その中間の考え方を理解してもらえるようにしないと、今一つの段階、ステップにありますので、そういうふうな説得の仕方はできないでしょうか。
〇辰井参考人
 選択肢として、あり得る選択肢であるとは私も思います。ただ、いろいろな懸念を呼ぶものではありますので、その根拠を十分に私としても納得したいと思います。
先ほどの例えば70歳の方が提供された、70歳の方の心臓が出てきたというときに、これを若い方に、例えば40歳の人に移植するのは少し迷うけれども、65歳の人がいるのであれば迷わないということをおっしゃった、それはどういう感覚ですか。
〇和泉班員
 それは医学的にお話をする必要があろうかと思うのですね。私たちの心臓は概ね120歳までの臓器寿命として基本設計されています。DNAのレベルでそういうふうに設計されています。ちょうどその半分に来るころ60歳頃からいろいろな老化問題が顕在化してきます。これは3つあります。先ほどから問題になっている冠動脈硬化症が多発してくることが1つ。それから、2番目は心臓の線維化が年齢とともに進んできて硬い心臓になってくるのです。これは、若い人のやわらかい心臓とは基本的に異なるものです。ひどくなりますとストーンハートという言われ方をされます。それから、3番目の問題は、エネルギー供給の問題です。水素エンジンを5つ使ってこの心臓を動かしているわけですけれども、この水素エンジンのうち8%ぐらいが60歳ぐらいから大体傷んでくる、エネルギー供給が難しくなってくるという問題があります。そのために心臓のポンプ機能が落ちてくる。この3つの医学的な要素があります。ですから、60歳を過ぎて、どなたがどうなっているかということは、メディカルコンサルタントのレベルでもわかりません。後追いで検証しようと思えば、その心筋の一部を採って調べれば、この人はやはりそうであったというようなことを言うことはできます。しかし、メディカルコンサルタントはほとんど目で見て判断します。今目にしてレシピエントへの橋渡しをすることができることになると、やはり一定の年齢のところで切っておく必要がある。だから、60歳は、そういう方から見ると、余り無理のある話ではないと思います。
〇北村班長
 ドナーの年齢別に患者さんの生存率をずっと書いていきますと、若いドナーからの心臓をもらった人の方が長生きしています。40歳と60歳と、70歳と60歳としますと、自然の人間の寿命が遺伝子的にある程度決定されて、それで、30歳の年齢差があれば30年若い人の方が長いわけですね。ですから、こういう若い人のところには若いドナーの方が適切であるということも言えますが、今度は、ドナー側ではなく、レシピエント側の年齢で物を考えたときには、50歳の人、60歳の人で、40歳の方の心臓をもらったときの寿命は、10年間では差が出てこないという状況になるのですね。ただ、ドナーが高齢者ほどもらった人の寿命は短くなる傾向があるのです。
〇福嶌班員
 16ページにありますが、ちょっと難しいスライドですが、ドナーの年齢によって、1年間生きられるかどうかのリスクはどう変わるかというスライドです。この下の図になります。1というのは、その年齢にとってほとんど生存率に差はないという意味です。ところがその数字が、35歳を過ぎるとどんどん上がってきます。55歳で既に2倍近いのです。実は60歳までいきますと、2.5ぐらいの数字になります。ということは、1年生きられるというものの生きられない確率が2.5倍になることなので、それが10年になるともっと開いてくるのですね。ということは、60歳過ぎた人の心臓を40歳の人に移植しますと、結局は10年生きられる確率がぐんと減ることになります。普通に考えて、40歳の人には60歳くらいまで生きてほしいですね。言い方に問題があるかもしれませんが、60歳の人だったら70歳まで元気に生きてくれたら、かなり寿命をまっとうできたと考えられると思います。まあいいのではないかというのは、だれもが普通に思う考え方なので、そういう意味で70歳のドナーが出たときに、はじめからそのリスクがある場合に、若い人を選んであげたいということがある。ただし、今もう本当に危ない状態で亡くなりかけていたら、生きられるチャンスが0しかないですから、それが10年延びるのであれば移植した方がいいと。今はそういうことで選んでいっているわけです。そういった場合に、今後、すごく安定した移植が増えてきますと、もっと安定した患者さんばかりが待っているようなことになった場合に、若い年齢の人には高齢はちょっとやめようかなという時代が来るかもしれない。そうなったときには、高齢のドナーは高齢のレシピエントに行けば、そこの差はなくなってきますから平等になるのではないかと、そういう考え方です。
〇北村班長
 今は、待ち時間が長いですから、若い人でも今移植しないと次の機会を待てないという人に60歳以上の心臓が行っているわけですね。これは医師たちの判断ではあるのですけれども、本当は若い人には若い人の心臓の方が長生きさせてあげられるという形で、医者はそうしたい。だから、高齢者の心臓はどちらかというと高齢者へ持っていきたいという気があるわけですね。この科学的根拠を何とか社会的にレシピエント側の年齢から見て言えるかどうかです。
〇小野班員
 ここは一般の方に御理解いただけるかどうかは難しいかもしれませんが、今までは体外式の補助人工心臓で、体の外に人工心臓をつけて、退院できないで、病院に2年3年とずっと入院した状態でお待ちになっていました。体外式の補助人工心臓は合併症も多くて、感染症でばい菌が入ったり、脳梗塞で脳出血が起こりやすかったのですね。ですから、若い人であっても、その年齢の高いドナーが出れば、直ちに移植した方が当然安全だという考え方で移植の各施設はやっていたわけです。ただ、昨年春に、埋込み型人工心臓が使えるようになって、これは心臓移植の登録をしている方に限りますが、若い方はそういうのをつけて、若い方は本当に回復が早くて、実際に社会復帰して、どんどん通常の業務に就いている方がたくさんおられるわけですね。
そういう人が、さっきの例に戻すと、70歳のドナーの方が出たと。でも、自分は埋込み型人工心臓をつけて普通に仕事をしている。だったら、今回は心移植を受けないで、どうせ受けるのだったら、もっと若い、40代とかのドナーぐらいが来るまで私は待ちますというふうに普通は考えます。そうすると、そういうドナーの方が浮いてしまうと言ったら失礼ですけれども、附託に応えられなくなるということが間違いなく来ます。ですから、埋込み型人工心臓が移植を待つまでの間の重要な補助手段として今どんどん広がっていっていますから、今までの従来の今年去年ぐらいまでの待機をしている患者さんと、これから5年先に待機する患者さんの状況は、バックグラウンドが全く変わってくることも考える必要が絶対あるので、それを何らかの形で若い人が徐々に高齢のドナーの方の心臓を受ける機会が、多分今後は今までよりも減ってくるのではないかという一つの根拠になり得るだろうとは思います。そうすると、高齢のドナーの方が浮いてしまう。その附託に応えられるように、高齢のレシピエントがしっかりと待機しているのがいいのではないか。
〇和泉班員
 もう一つ御理解いただきたいのは、今、埋込み型人工心臓のお話が出ていますけれども、確立した技術のように皆さんお話しなさっています。けれども、内科医から見ると、2年間ぐらいの限定的な命の贈り物だろうと思います。今の段階で世界的な成績を見ると、2年間ぐらい延命というか、社会的な活動をしながらの延命ですので、単なる延命とはちょっと意味が違いますけれども、そのプレゼントだろうとみなせます。医療技術としては、現在進行形です。多分、数年後にこの成績は日本の優れている外科医によって、心臓移植がそうであったように、私たちに素晴らしい結果を与えてくれるのだろうと思います。そういう結果も見てみたいという心臓移植委員会の気持ちもその中にはあるのです。先ほど言われた、0、1の反応をしなかったというのはそういうことです。Destinationというのですけれども、人工心臓をつけたままで一生終わるのだというふうな方々も出てくるとおもいます。そういうエビデンスをその過程の中でつくり上げることができるのではないかとも思います。そうすると、また、運用の仕方も変わってくるのではないでしょうか。
確かに、今回の提案では良いLVADが私たちに提供されたことも一つの動機になっています。そして、ドナーの意思が尊重される方向でベクトルをつくり上げています。このLVADの力が、もっとパワーアップされてくると、また、違った状況が生まれてきて違うことを考えなければならないのではないかとも思います。それに15年かかるのか、5年でいいのか、10年で済むのか、それはだれも予測不可能な状態です。しかも、LVADを装着される方々は、多分、医療負担から考えて、社会的にそれだけの負担に応えられるような、あるいはDestinationの結果を甘受できるような、そういう方々がお使いになるだろうと私たちは予想しております。決して平等ではありません。
〇中谷班員
 人工心臓の適応を考えるときに年齢をどうするかというのは、補助人工心臓治療関連学会協議会という全く違う立場からも大きな問題になったのです。心不全になった人すべてに補助人工心臓をつけていいのかどうか。今は心臓移植の適応検討で行われているような考え方をある程度適用しないとだめだろうと。そういう意味で心臓移植の適応に相当する人が補助人工心臓の適応と考えられます。そうしたら、年齢をどうするかというのは、また、これは大きな問題なので、60歳未満としてしまうのがいいのか。しかし、機器を用いた治療であるので、そうしたら70歳までにしていいのか。補助人工心臓治療関連学会協議会では大もめにもめて、そこで、今の定年とかを考慮し社会的に65歳ぐらいまでは働いてもおかしくないだろうということもあるので協議会案としては、補助人工心臓の適応を65歳以下にしたらよいという、今度は65歳未満ですので、その1歳が大きいのですけれども、そういう形に纏まりました。心臓移植と同じような縛りを考えると、心臓移植の適応があるかどうかを考えて、検討することとなります。そして、和泉先生が言われたことですが、実際に70歳というドナーも出てきています。単純に、70歳ぐらいの人が70歳ぐらいの人に移植したら妥当だろうという、ものすごい単純な考え方で、米国なんかはそうだった。40歳ぐらいだったら40歳ぐらいでやろうと。というのは、単純に、40歳の人だったら、その同じ予後を期待できるだろうと。そういう感覚で、20歳の人に例えば60歳のドナーを入れるかといったら、それはちょっとという、そういう漠然とした、しかし、みんなが感じる、そういうフィーリングもやはりあるのです。
〇北村班長
 漠然とでなくて、科学的ですね。
〇中谷班員
 それを言ったのは、受け手側の人たちもそれは自分で感じているという意味で、もっと普遍的に感じている。科学的と言う以前の問題という意味で漠然という言い方をさせてもらっています。そういうところがあります。確かに、60歳〜65歳はそういうグループで、そうしたら、心臓移植ができるとなると、現状の保険で認められている補助人工心臓によるブリッジが可能になってくる。そうすると、その人たちのチャンスがものすごく広がる。今0だったのが、補助人工心臓をつけることで数年間生きるチャンスはちゃんと出てくる。これをやることで、その人たちを無視しているわけでも何でもないし、大きな門戸を開く。とりあえずそれでやりましょう。その段階で、今度は移植に関しても、もう少し同じように考えていいのではないかというステップ論は十分僕は成り立つと思うのです。
〇福嶌班員
 将来的に65歳に達したときに、また、不平等はできるのですけれども、今は、たとえば59歳9か月か10か月ぐらいの患者が心不全で運ばれてきて、移植できるかどうか検討している間に60歳過ぎてしまって、もう助かる方法がない。人工心臓もつけられずに死んでいってしまっている人はかなりいるのですよ。その人たちを助けられるようになるということだけでも、これはかなり大きくて。僕らも本当に59歳の人が来たら、めちゃくちゃあわてるのですよ。はっきり言って、普通に生活されている59歳はまだ元気ではないですか。ちょっと不平等はあっても、そこを何とか助けられるような方法をつくってもらえないかということです。
〇辰井参考人
 いろいろありがとうございます。
 何か私一人でいろいろ伺って、申し訳ない感じですが、その差別的な取扱いというふうに考えると、少し受け入れがたいと思いましたが、今のお話全体として理解したところは、差別しないで、医療として提供できる線は、今は60歳なんだと。今の年間心臓移植件数30〜40件のもとでできるのはやはり60歳なんだと。しかし、その60歳ということでやっている中で、人工心臓とか、高齢者の提供者が増えているとかといったことで、高齢者には十分意味があるけれども、60歳未満の方は使わないというようなものがかなり出てくる可能性があって、それが適切に使える相手であるという限りで、それを65歳まで引き上げようという話は、十分に理屈が通ると思います。
〇和泉班員
 差別的にと言われると、私たちは差別としてではないので、そこはまろやかな法律用語でくくっていただきたいと思います。シナリオはそうです。
〇小野班員
 機会の拡大ですね。チャンスの拡大という考え方で、60〜65歳に対して違った適応の仕方をするという見方ではなく、むしろ、今まで移植の機会がなかった60〜65歳に移植を受ける機会が生まれたという、そういう前向きな表現でできれば御理解いただけると、非常に受けがいいのではないかなと思います。
〇北村班長
 それは、医療者側はほとんど年齢引上げと人工心臓利用のチャンスを与えることはしてよいと思います。結局は、20、30、40歳の提供者を、血液型と待ち時間だけから渡すことを避けたいということで、これは高齢者のレシピエントにとっては、若い人の心臓はうれしいかもしれませんが、効果の低下が生じると。いわゆるレシピエントの年齢といろいろな生活習慣病で亡くなる、腎臓病で亡くなるという機会は、20、30、40歳の若い人たちよりも高いですから、そういうことを何とか避けられるかということに究極的になるわけですね。今、中西先生も言われたのは、若い人に入れるべき心臓をそういう既に虚血性心疾患があり、生活習慣病で腎臓もある程度障害あるだろう人に行くことは、今の時点では避けたいということですね。それを厚生労働省として、どういう文章とどういう形で出せるかということになると思うのです。劣後リストという言葉はなかなか社会が受け入れないと思うので、どういう形でそれを避けていくことができるのか。つまり、若い人の心臓は若い人に渡せるようなチャンスを増やしながら、60歳以上の人にも人工心臓もつけてもらえるし、チャンスがあれば移植も受けられるという機会を拡大してあげるということ。65歳にとっては、それだけでもうれしいと言われる方もおられるかもしれません。しかし、それで、頑張って人工心臓で3年受けてきたのに、1つも来ないという形を決められているというのは、始めから人工心臓だけをつけてやるとしてくれとすれば良い。それは一方必要だと私も思うのです。人工心臓をつけられる年齢を増やす。その辺何か、間室長御意見はありますか。
〇和泉班員
 パッケージで説明されるときには、外科の先生方は、今、先生が言われたような、多分人工心臓だけになる可能性の方が高いかもしれないと話されると思います。また、でもあなたには人工心臓をつけるチャンスが生まれたと説明されるとも思います。私たちの提案からするとなるだろうと予想します。
〇北村班長
 しかし、問題は、それだったらそうしておいてくれればいいけれども、2番目のパッケージが、社会的な人にはなかなか許容できないという大きな問題を言っています。
〇和泉班員
 今初めて聞きましたけれども、私たちは最良のリストと。
〇福嶌班員
 劣後リストですよね。
〇北村班長
 私も劣後ということは知らなかったけれども、そういうのがあるらしいね。
〇辰井参考人
 先ほど、法律の考え方というお話も出ましたので、一言だけ。社会的に受け入れられるかどうかというのは、私も社会を代表する者ではありませんので、ちょっとわかりませんが、ただ、若い方の心臓は若い人にということは、社会のかなり多くの人がそういうふうに思っているだろうと思います。ただ、そうだなと思いつつ、私などがそう簡単にうんと言いにくいのは、それは、私は社会の一般の者というよりは法律家として出ているからであって、その法律の特徴は、ある種ユニバーサルなものでなければならず、一人の人を守るというところに重要なポイントがあるわけです。ですので、社会の9割9分の人がそれでもいいよと言っていたとしても、もし、63歳の一人の方が、その人にとって非常に不正議であるということであれば、やはりそれは認めがたいというところで、そこの理由を探そうという観点で考えておりますので、多分説明の仕方が余り社会受けしないような説明になるわけですけれども、考え方としてはそういう考え方です。
〇小野班員
 0か1と言ったのですけれども、ユニバーサルという考え方が法律にあるのは、私も何か感じます。ユニバーサルが理想ですけれども、医学はユニバーサルにできないことが、すごいファジーなところがたくさんありますので、その中でいかに前に進めるかというのが今回の議論の一番焦点とお考えいただければ、前に進むという、そういう前向きな表現で、勿論、それに対して、後ろから見てこれは違うのではないかと言う人はたくさんいるとは思いますけれども、それでも進むことは私は大切だと思います。
〇北村班長
 間室長どうでしょうか。
〇間室長
 貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、先生方の御議論を伺っていて、いろいろな意見の食い違いがあるようにも見えますけれども、そうではなく、かなり一致点も多かったのではないのかなという感じがいたしました。まず1つは、ドナーの適応の関係に関しては、60歳から65歳に拡大していく、ドナーの御意思をできるだけ尊重していくと。私が最初にそれは非常に重要なことだと申し上げましたが、そのことについて多くの異論は多分なかったのだろうと思います。
〇北村班長
 ドナー年齢制限はない。
〇間室長
 ドナー年齢を引き上げることについて。ドナーの年齢を引き上げることがレシピエントの年齢を引き上げることが論理必然ではありませんけれども、今そういうような提案になっていると。この点について、特に埋込み型人工心臓の道が開かれるという意味において、そこに力点を置けば、今よりも一歩前進であるという点、要するに、60〜65歳の人について言うと、生きる道が開かれるという意味において一歩前進であるという点も割合と意見が共通していたのではないかと思います。
 多分違いがありますのは、年齢が若い方から高い方のグラフがあったとして、移植を受ける可能性みたいなものがあったときに、今はすとんと落ちて完全に切れている。今回のやつによって、段差が適切なのかどうか。もうちょっとグラジアルなものでなければいけないのではないかというのが、辰井先生がおっしゃっているような面でもあると思います。ここだけ何でこうなのかというのが説明がつかないのではないか。この話は、今も先生方のお話にも出てまいりましたけれども、少し時間軸を持って考える必要があるのではないか。
今、国民の皆さんからしてみると、一歩前進は前進ですけれども、これから一歩前進で何年になろうと、いつまでその一歩前進、もう一歩前進してしまったら、それから停滞しているではないかと、こういう見方をする方もいらっしゃるわけなので、そうすると、その段差のところが今度は逆に言われてしまうかもしれない。そういうこともにらんだ上で、全体どういうグランドデザインがある中で、今どうするのかという、そういう時間軸で処理をすることも一つ具体的な、現実的な解決策になり得るのではないかなと。それが一歩前進と思っていただける間はいいのですけれども、そうではなくなったときには、それまでに医学的な治験の蓄積も踏まえて改正していくことは当然必要になってくると思うのです。そういう中で、今のこの差を医学的にどう説明するか。一歩前進も含めてですけれども、説明するのかというところは、社会に対してはちゃんと言えるようでなければいけない。しかも、それが、和泉先生が冒頭に言われましたように、この御提案も、未来永劫こうであるべきということではないということも十分踏まえながら考える必要があるのかなと。
そうすると、でき得れば、先々のことは全く全部すべて予想することはできませんけれども、どういう形であれば、今お話が出ましたように、比較的若い人にということを医学的な面も含めて説明ができるか。少なくとも次のステップはどういう形であればいいのかなということの御議論はあってほしいですし、また、そのために、そういうことをやっていくために、ドナーの数の増加もそうだと思いますけれども、医学的にどういう点を蓄積していかなければそれが切り開けないのかということついても考える必要はあるのかなと。ですから、そういう、将来ここだよと、ベクトルはここだよという中で、今はここだとか、ここまで行くんだとか、そういうような議論がもしかしたらあり得るのかなというふうにお話を伺っていて思った次第でございます。
〇和泉班員
 今のお話を聞いていて、力強く思ったのですけれども、日本循環器学会はその努力をもう始めております。今までの移植症例はようやく100例を超えたところです。その100例の実績に基づいて私たちは今のようなお話をしました。日本循環器学会は全例登録して、その患者さんに私たちの調査に必ず応じてくれるというその約束をとりつけて、この適応判定をやっています。ですから、また、次の200例にどれぐらいの早いスピードで来るかによって、私たちは専門家集団として、また、次の提案をするだろうと思います。そのときに、200例だったらどれぐらいの、今度新しいことを認められれば認められるほど200例に達するスピードは早くなるのではないかと思いますけれども、そのときに、また、違う表現をしていけるのではないかと私は思っています。
 今回、私たちが非常につらいのは、その100例の経験でしか申すことができない。それで、欧米の成績がどうであるとか、こうであるのということを言わなければならない。これは外科の先生方も非常につらい。内科の我々も非常につらい。小児をやられている人たちはもっとつらい立場で、今この話をしているのだということを御理解いただければと思います。
〇北村班長
 ありがとうございます。
 時間ももう残り少なくなりましたので、間室長も言われましたように、60歳以上の人たちを、少なくとも5歳ぐらいまでは移植対象とし上げる、人工心臓等をつけることを正当化するためにも拡大しようということには御異論はなかろうと思いますが、その方々の移植の機会をドナーの年齢によって規制するものが厚生労働省からどのような形で発布をできるのか。これは、65歳を超えた方々が、機会均等を阻害しているという訴訟もできるような状態の文章では困るわけで、科学的に順当であることを理論づける。その中で、最終目標あるいは時間軸とおっしゃいましたけれども、暫定的なものとしてどうするのか、できるのか。あるいは、最終としては、世界共通のものにするためにはどういう条件が要るのか。200例までできるかどうかはわかりませんが、どのようなドナーが増えた時点では再考慮するという形でまとめることによって、機会を奪ったという60歳以上の待機患者からの訴訟が生じないようにつくれるのか、その時間軸も含めて次回以降検討したいと思います。日本循環器学会は、手弁当でやっているので、これ以上はという意見もありましたけれども、ある程度数値化した形でそれを標準化して、社会に対して納得できる形が持てるのかも含めて、事務局と御検討をいただきたい。また、先生方には、それが科学的に正しいということを示してほしい。ある程度ドナーの年齢が上がれば悪いことはわかっていますから、高齢者に受けてほしいということで、最初、高齢者は高齢者への優先という形をすればいいのではないかと思ったのですけれども、現実としては、60歳以上の高齢者ドナーが若い人に行っているというのが日本の現状です。緊急度からそうせざるを得ないわけですね。その事態は速やかに改善する予測は立ちません。ですので、こういった中で、時間暫定的にどうするかということも含めて、もし適切な資料がありましたら、事務方に御提供いただきたいと思います。対策室としても、どういう形で省令として発行できて、社会のコンセンサスを得られ、かつ、そういう機会均等を奪ったと、命の機会を奪っているというようなことにならないような形でどうしたらいいのかをちょっと頭をひねっていただければと思います。前半の部分では、むしろ、60歳以上の方には喜んでいただきたい機会を設けたい。これはみんな納得できますね。あと、移植の機会をどうするかということです。なかなか難問かもしれませんが、辰井先生とも御相談いただきまして、ちょっと検討をしていただきたいというふうにして終了させたいと思いますが、どうしても一言という方がおられましたら。
〇和泉班員
 心臓移植委員会としては、もう労力の限界を超えている状態です。今80例といいますと、週に2〜3例の方々が出てくるというので、労務負担の問題もきちんと考えていただかなければなりません。
〇北村班長
 年齢を上げたら、また、増えるわけですね。
〇和泉班員
 そうです。
 つまり、私たちは移植合同委員会は再三にわたって、皆さんがこれだけいい成績を出しているのだから、そろそろ移植施設の方で移植適応判断をやってください、と申し上げています。私たちはどちらかというと検証をする側に回らせてほしいと。学術団体は実地医療を担う団体ではありません。私たちは、むしろ、検証をしたり、方向性を示す、そういう本来の役割に戻してもらいたいということを申し上げておりますので、そのことも勘案していただきたいと思います。
 この3月31日で日本循環器学会での職を解かれるから、私自身の負担は減るわけですけれども、その後の方々を考えると、とんでもない負担になっております。そのこともきちんと勘案していただきたい。
〇間室長
 和泉先生、本当にありがとうございます。本当に御負担をおかけしていると思います。
 今日御議論いただいておりましたのは、ドナーの適応の話とレシピエントの適応の話とレシピエントの選択の話と、実は3つが、先生方のお話の中でもかなりややこしいところがあると思います。今日は、資料2にありましたように、レシピエントの適応の話は、学会の方で本当に御苦労いただいているわけでございまして。私ども行政としてやらなければいけないのがレシピエント選択基準、まさに臓器移植ネットワークにどういうような選択をしてもらうのか。そこのところに不公平感があってはならないというようなお話も今日議論させていただいたわけでございます。この辺り、班長の御指示も踏まえて、資料がどんなことがあり得るのかというのはよく考えさせていただきたいと思います。先ほど班長からお話がありましたように、今まで60歳のところですとんと落ちていたものが少し段のつき方が小さくなったとは言え、段がついているわけでございまして。ここのところも、一歩前進の話、いい話はあるとして、医学的に何かきちんと説明をできるようにしていく必要があると思っておりまして。その点で、データで、こういうのがあるよというような御示唆をいただければ大変ありがたい。それを踏まえて、私どもの方で整理をし、資料を作成させていただきたいと思います。
〇小野班員
 ドナーの年齢分布がございますから、ドナーの年齢分布に応じた割合でレシピエントが移植を受けるのは、一つの考え方としてございますから、大体60歳以上のドナーが今10%ですね。
〇福嶌班員
 43例中4例ですから、10%です。
〇小野班員
 そうすると、60歳以上の移植を受ける方が急に増えないというのも、そういう年齢分布を一緒にするという考え方はもともとの移植の考え方ですので、今はなかなかシステム上はできません。
〇辰井参考人
 データは、恐らく完全に医学的なデータだけではなく、これは制度の問題ですから、人数の問題はすごく大きなポイントだと思います。
〇北村班長
 最後に、御発言がなかった佐地先生、あるいは村上先生から何かありましたら。
〇佐地班員
 前の内閣府みたいに、小出しにといいますか、そういうコンセンサスを得るための。
〇福嶌班員
 それだったら、65歳以上にしろという国民が出てくる可能性がありますね。だから、そこはちょっとリスクがあるかもしれません。何で65歳以上になったら心臓移植を受けられないのかというのは、国民の方が人口比からするとむしろ大きくなってきますから。
〇中西班員
 これは年金と同じですよ。
〇福嶌班員
 そうですね。
〇小野班員
 その辺は話を大きくし過ぎない方がいいかもしれません。
〇北村班長
 なかなか難しい問題も残ってはおりますけれども、一歩進めたいと。半分でも進めたいという気は皆さんお持ちだと思います。
〇和泉班員
 社会的な蓋然性はあるという提案をしたと私たちは思っています。説明も可能であるし、今のスタッフでもやれる。それから、ネットワークには負担がかかります。
〇北村班長
 それは心情としてはよくわかる。しかしながら、60歳以上の人の機会が、60歳未満の人の機会よりも悪いことを容認できるかということです。
〇福嶌班員
 納得させる理由が必要だということですね。
〇北村班長
 そうです。移植の機会を、60歳以上になったがゆえに、私は60歳以下の人よりも機会が均等にされていないということで訴訟ができるということになっては困る。そのためには科学的な根拠が要るわけです。
〇和泉班員
 どういうものを劣後リストと言うんですか。それを私たちに知らせていただきたい。
〇北村班長
 この年齢層の恐らく想像すると60歳以上の人があって、60前の人がみんなノーと言った心臓が流れたときに初めて移植ですと。
〇福嶌班員
 米国で言うオルタナティブリストとある意味では一緒ですね。実は肺はそれに近いようになって、本当に悪い人が、そういう人たちが受けるか受けないかを実は最初の段階で聞くようなシステムになっているのですね。だから、それは決して海外でもやられてないことではない。ただ、年齢ではっきり分けているわけではなく、その施設がオルタナティブだと言っているだけの話です。それを公にするところで、その難しさが出てくるということです。
〇和泉班員
 それはわかります。
〇北村班長
 ネットワークがその指示に従ってやってくれるのか。やはりリストは持たざるを得ないわけです。
〇小野班員
 そうです。
〇福嶌班員
 今ちょっといろいろ出てきました。
〇和泉班員
 オルタナティブと言えば、そのとおりですね。
〇北村班長
 これは、移植は、社会倫理的、あるいは、ドナーの方、レシピエントの方、人間の権利、それから、生きる権利に年齢差をつけているのではないかということになっては、省庁としてはなし得ない仕事になってしまうと思うのです。ですから、ここのところをどのように、生きる権利が年齢層によって変わっていくことにはならない形でまとめられればと思うのですが、その辺よろしく。
〇中西班員
 でも、今既に60歳未満というのがあるわけですから。
〇北村班長
 それを広げることは全然問題ないです。みんな賛成しています。
〇中西班員
 今は、訴訟を起こせるわけでしょう。でも、起きてないわけですね。だから、今現実にいわゆる差別があるわけですから。
〇北村班長
 今も差別はある。
〇中西班員
 これをただ広げるだけの話です。
〇北村班長
 でも、移植のドナーの心臓を受けられるのは、あなたは一番最後ですよとなるわけです。
〇中西班員
 でも、0だったのが、望みが出てきたわけですね。
〇北村班長
 そういう考えがあるわけですね。
〇村上班員
 資源の足らない医療ということで、年齢との関係は、インフルエンザのパンデミックのときに、米国でワクチンの供給が遅れると。どこから始めるかということで、政府主導でアンケートをやって、最初は、高齢者の方が死亡率が高いので、高齢者が2番目ということだったのですが、アンケートをしてみると、高齢者の方は、より若い人に自らそれを優先させてあげてくれということで、これはネーチャーなことだと思うのですね。そういう資源が限られたときの年齢との関係は、参考資料になるのではないかと思います。
〇北村班長
 いい御意見ですね。資源が限られているとき、対策室の方は何か考えられますか。ちょっと頭を絞って考えていただくということで。
〇間室長
 相当汗かかないと、冷や汗も含めてかかないと難しいなと思います。
〇北村班長
 次回は、どのようにしますか。
〇清水補佐
 次回の予定につきましては、また、調整をさせていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
〇間室長
 今日いただいたものも含めてお知恵をいただけばいただくほど悩みますけれども、いろいろな材料ができますので、是非、御示唆を引き続きいただければと思います。
〇北村班長
 ちょっと時間が過ぎましたので、今日はいろいろな御意見ありがとうございました。また、皆さんお考えいただいて、名案がありましたら、是非、厚生労働省か、あるいは、私でも結構ですけれども、何かまとめる方向性でもおありでしたら、どうぞお寄せいただきたいと思います。また、正式に日を決めることは、後ほど連絡があると思います。
 どうもありがとうございました。


(了)
<厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室>
代表 : 03(5253)1111
内線 : 2365

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