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2012年1月24日 第5回「厚生労働省環境自主行動計画フォローアップ会議」議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成24年1月24日(火)
10時00分~


○場所

厚生労働省専用第13会議室


○議題

(1)所管団体ヒアリング
    ○日本生活協同組合連合会
    ○日本製薬団体連合会
    ○日本医師会・日本病院会・全日本病院協会・日本精神科病院協会・日本医療法人協会
(2)議論
(3)その他

○議事

○渡邊室長補佐 本日は、大変お忙しい中、また足下が悪くなりました中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「第5回厚生労働省環境自主行動計画フォローアップ会議」を始めさせていただきたいと思います。会議に先立ちまして、参集者であります厚生労働省から一言ご挨拶申し上げます。

○酒光参事官 労働政策参事官の酒光です。今日は初めて雪が降って、本当に足下が悪い中お越しいただきまして、どうもありがとうございます。また、生協、製薬、私立病院の各業界の方々には、日頃から温暖化の取組みをいただきまして、どうもありがとうございます。本日は、平成19年からやっています「日頃の取組みのフォローアップ」ということでさせていただきます。
 12月20日に、地球温暖化対策の推進本部が開催されまして、2008年~2010年までの進捗状況について、これは森林の吸収などを入れますと、目標に比べて5%以上は達成していまして、日本全体としては順調に温暖化の削減に取り組んでいるところであろうと思います。ただ、ご承知のとおり、地震あるいはそれに伴います原発の災害によりまして、今後については原発が動かなくなりますと、温暖化にとっては次期の期間としては非常に厳しい状況です。夏に節電でかなり努力をされましたが、引き続きの取組みが必要かなと思っていますので、よろしくお願いします。次期の約束期間については参加しないと言われていますが、いまの約束期間については引き続き達成に向けて政府として取り組むことになっていますので、ご協力をお願いしたいと思います。
 また昨年来、皆さんのお話もありましたので、本日は環境省から坪口補佐にご出席いただき、医政局からも担当補佐が出席していますので、是非よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。

○渡邊室長補佐 ありがとうございました。今後の議事進行については、座長の森口委員にお願いしたいと思います。

○森口座長 それでは、ただいまから第5回厚生労働省環境自主行動計画フォローアップ会議の議事を始めさせていただきます。座長を仰せつかっています森口です。本日もよろしくお願いします。
 まず、事務局から本日の会議について評価の指針、今後のスケジュール等について説明をお願いします。

○渡邊室長補佐 本日の委員の欠席の報告等について、本日は江原先生が欠席ですので、出席いただいています6名の委員の先生でご評価をいただくことになります。江原先生については、関係の資料を送付しまして、メール等でコメントをいただく形で評価に反映していきたいと考えています。フォローアップにあたっての評価の視点については、資料1で示しています。これは、毎年度示しているものですが、対策の検証や目標についてどうかというような点について見ていきたいと考えています。先ほど、参事官からもありましたが、本日は昨年までの議論を踏まえまして、環境省・医政局の担当にもお越しいただいています。
 本日の進め方ですが、3団体のうち生協、製薬、私立病院の順番でフォローアップをさせていただく流れを考えています。ヒアリングについては順次行いますが、説明を15分でしていただきまして、そのあと質疑を15分という流れでやってまいります。説明については、恐縮ですが15分でお願いします。ヒアリングが3団体分終わりましたら、全体の議論の時間として15分程度取っていますので、全体的なこととして委員の皆様で議論をいただければと思っています。
 今後のスケジュールについては、資料5に用意していますが、これは会議の最後にまた説明をさせていただきたいと思います。事務局からは以上です。

○森口座長 ありがとうございます。本日の進め方について、何かご質問等はありますか。特にないようでしたら、早速ヒアリングに入らせていただきます。本日は、3団体、質疑を含めて30分ということです。5回目ですので、委員の先生方はよくご承知かと思いますが、質問がたくさん出て答え切れないようなことがありますので、大変おそれいりますが、各団体からの説明は15分厳守ということでよろしくお願いします。それでは、最初に日本生活協同組合連合会から、執行役員組織推進本部本部長の山内様、環境事業推進室室長の大沢様より説明をお願いします。

○山内様 おはようございます。私から説明させていただきます。資料は、お手元に4種類あるかと思います。2-1がスライドになっていまして、これを使いまして説明させていただきます。2-2は、報告書本紙です。2-3は補足資料ということで、生協の店舗ごとのCO2排出量の分析の表を載せています。2-4は、そのまとめになっています。
 資料2-1をご覧ください。1頁は、私ども生協の目標は、2008年~2012年度の商品供給高一億円当りCO2排出量を原単位にして、これを2002年度比で4%削減するというものを設定しています。資料2-2の3頁をご覧ください。生協の概要ですが、業界全体の規模は生活協同組合法に基づく認可の生協で、厚生労働省に数字がわかっているのは265生協ですが、私ども日本生活協同組合連合会に加盟いただいているのは、そのうち数では55.4%ですが、売上高規模では全体の98%以上を占める147生協をカバーしています。今回の自主行動計画に参加いただいているのは、その中の9割以上の事業規模を持っている生協65になっていまして、これでほぼ生協業界の数字が把握できるということで、この間この数字をキープしてきているところです。
 スライドの1頁に戻ります。この間の集計ですが、2010年度ほぼ真ん中に棒グラフがありますが、長い3つが排出総量になっています。私どもは、環境省のガイドラインに沿いまして、電気係数のCO2排出係数0.378でずっと不変ということで計算しているのが、原単位の計算になっていまして、これが小豆色のいちばん左側のもので、2010年は74.8万トンになっています。電事連の調整前の数字、調整後の数字を入れたものが、その右側の水色と桃色の棒グラフになっています。係数については、2頁に書いてありますが、注意書きが間違っていまして、2010年度の電事連の実績を当てはめていますので、参照いただければと思います。
 2011年度以降の数字については、先ほど申しました65の生協が計画として出しているもので、08年~12年の平均はいちばん右側の折れ線グラフ、棒グラフになっています。詳細な数字は、4頁をご覧ください。この数字をグラフにしたものが、1頁になってます。08年度、12年度の平均の原単位が、いちばん右側の下に丸い点線で囲ってありますが、私どものガイドラインに沿った0.378係数でいきますと、2008年~2012年までの平均は、原単位30.3ということで、2002年に比べて95.9%となっています。いちばん最初に示した目標の2002年度比4%削減ということでは、96%を0.1ポイント下回っています。この計画通りいけば、目標がクリアできる状況になっています。
 併せて、2010年度の実績の原単位は、ご覧いただければと思います。ただ、2010年度までの傾向とこれからの事業規模を見てみますと、2008年度~2010年度の排出量の実績が2002年度比で4%超過をしていますので、今後もきちんと手を抜くことなく対策を打っていく必要があろうかと思っています。
 続いて、5頁をご覧ください。昨年のフォローアップでご指摘いただいたところを書いています。同じような業態でやっていますので、取組みについては全体で共有化を図ることについても指摘をいただいています。これについては、この資料の中にもあるのですが、とりわけ資料2-2の15頁以降にさまざまなお店や宅配における対策を一つひとつ挙げまして、各地の生協の中でどれぐらいの取組み状況になっているのかについても調査をしています。これは、比較的よく取り組んでいる対策とそうでない対策が、数字を見ればわかりますので、よく取り組んでいる対策でまだ取り組んでいない生協については、取り組んでいただくようお願いする必要がありますし、全体としても有効なものでまだ取組みがないものについては、いろいろな方策をもって取り組んでいただくべく、1つの指標としてこのようなものを調べているところです。
 私どもは、基本的には各県ごとの生協を束ねている所ですが、地区別の集まりやすい単位でさまざまな温暖化対策の交流会や、全国で集まって研修会等も実施しているところです。特にカバー率の向上についても、昨年指摘いただいています。いまのところ、9割超になっていますので、残り若干ありますので、小さい生協になりますが参加して一緒にできるよう呼び掛けをし、具体的に策定について支援をしているところです。
 続いて、排出量の要因分析です。スライドの6枚目の下をご覧ください。CO2排出量は、2002年に比べて2010年度は2.7万トン増加をしていますが、この増加の要因については、やはり事業高、事業規模の増加がいちばん大きな要因になっています。新しいお店の出店に加え、宅配で使用しているドライアイスを冷凍蓄冷剤に切り替えている影響もあります。冷凍蓄冷剤は使った後、冷凍庫で凍らせて繰り返し使用していますが、冷凍庫の電気がかかるということで、その部分のCO2が増えています。近年のお店の改装に伴いましては、やはり消費者の皆さんがお総菜や生鮮品の扱いを増やしてほしいというような要望があり、この部分を増やせば増やすほど冷凍冷蔵施設が増加しますので、その対策も必要になっています。ベーカリー等についても同様です。
 減少の要因については、この間の自主行動計画策定による排出削減、省エネ強化をずっと実施していまして、良い事例の共有化や交流等も効果を出していると思っています。省エネ設備の導入や省エネの運用管理の強化については、別途省エネの理想的な店舗について、提案をしています。その中で、具体的に利用できるものをご利用いただいていることになっています。また、京都クレジットやグリーン電力証書によるオフセットも実施しています。
 7頁が、具体的な温暖化対策の中身になっています。店舗事業での冷凍機、照明、空調、それから宅配事業の施設の冷凍機、照明です。物流・生産施設は、店舗や宅配の後方施設になりますが、冷凍機や照明等を中心に実施しています。車両では、アイドリングストップなど一つひとつの車の対策と合わせて、バイオディーゼル燃料の利用やデジタルタコグラフの利用等も進めています。
 次に、先ほど申しました典型的なエコストアのモデルを作っています。このモデルに基づいて、実際に店を作ってもらい、現在この省エネ効果を検証しています。エコストアは売場面積1,500平方メートルタイプでワンフロア1階建ての食品中心のスーパーマーケットのお店を基準にしています。昨年の4月下旬~9月下旬までの半年間の検証を行っています。私どもはこのエコストアでさまざまな省エネ施設や省エネ努力をして、これまでの同じようなタイプのお店と比べて、CO2を2割削減することを目標に掲げていましたが、トータルで26.9%の削減になっています。それぞれの分野ごとの省エネ率の高い所は売場照明であったり、低い所は空調ということは、この実験からはわかっていますが、このようなことも今後の対策に使っていけると思っています。なお、この検証は、昨年の原発事故以降の節電が大きく推進された時期にされていますので、当初のコンセプト以上の照明の削減等もされていますので、純粋にこのエコストアコンセプトのみで効果はどれぐらい出たかも簡単に計算しています。およそ26.9%のうち3%近くは、昨年の緊急の節電でより対策が上積みされたものではないかと思っています。この推移ならば、年間20%の削減はいけると考えており、昨年の震災影響の節電の実績もありましたので、このコンセプトで25%~30%ぐらいは見通しができると思っています。この例についても、新しいお店をこれから建設される生協に広げたいと思っているところです。
 資料2-3は、これは昨年もお出ししましたが、生協の全店舗のCO2排出原単位の状況を規模別にプロットしたものです。これのまとめが、資料2-4です。全体の傾向は、昨年とあまり変わっていませんが、これも単純にいろいろ比較ができますので、各生協での取組みについて努力をしていただくうえでの1つの指標としてご利用いただいているところです。以上です。

○森口座長 ありがとうございました。それでは、いまの説明に対して質疑応答に入りたいと思います。

○中津委員 資料2-2の10頁において、2011年~2012年度における計画目標についてお尋ねします。計画では、原単位のCO2排出量を基準年度比で2011年度は93.5%、2012年度は91.2%、第一約束期間が平均として95.2%と。このことにより、2002年度比で4%の削減目標を上回ることになっているという計画を出されています。しかし、この計画達成には、宅配の供給高計画達成が大きな要因になっているという報告がなされています。この計画をされたことに対しては、いろいろな検討が出されて、このような結果を出されているわけですが、着実にこの計画を達成するためには、どのような効果的な方策を打ち立てられて進められるようになっているか。そのことについて、お尋ねします。

○森口座長 一問一答にしようか迷ったのですが、ほかにも名札が立っていますので、例年どおり先に質問を受けつけて、そのあとにまとめてお答えいただきたいと思います。

○吉田委員 短時間で簡潔なわかりやすい説明をありがとうございました。私も先ほどの質問と似たような観点からの質問ですが、2010年度の排出量について事業量の増加ということで、前年度に比べて増えてしまったというところで、事業量の増加は今後もおそらく見込まれると思います。資料2-2の4頁の表を見ますと、2011年度、2012年度で下がるような計画になっていて、なぜ下がると思えるのでしょうか。これまでと何が違うからとか、今後何に特に力を入れていくから下がるのですというところの説明を少しいただきたいと思います。

○森口座長 高村委員、お願いします。

○高村委員 確認ですが、クラリフィケーションの質問を1つと、内容についての質問を申し上げたいと思います。例年もそうですが、非常に丁寧に分析をしてくださっていまして、ある意味で小売業全体に対しても非常に貴重なデータだと思っています。クラリフィケーションの質問は、プレゼンテーションの資料、資料2-1の8頁にありますが、非常におもしろい取組みだと思います。エコストアの検証の中間報告の点です。お尋ねしたい点は、細かく分けると2つあります。1つは、その他というのが具体的にどのような内容かという点と、もう1つはこちらはオペレーションと設備によるもので、建物全体の断熱については中には考慮されているのかどうかが確認をしたい点です。
 内容に関しては、資料2-2の13頁ですが、1つはいまクラリフィケーションの質問をしましたが、エコストアのコンセプトの検証をなさっていて、指針を出していらっしゃいますが、逆に言いますと大きな削減のポテンシャルがあることも示してくださっていると思います。これは、具体的にどういう事例をどのように普及することを考えていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
 2つ目は、その上ですが、むしろ2010年あるいは来年度以降のことになるかと思いますが、1つは震災以降の影響が2011年度の排出傾向にどういう影響があると見ていらっしゃるのでしょうか。併せて、こちらでエネルギー政策検討委員会を立ち上げていると書いてありますので、これについてもし少し説明をいただけると、そこでの議論等で参考になる点がありましたら、紹介いただけるとありがたいと思っています。

○森口座長 ありがとうございます。3名の委員から質問を頂戴しましたので、一度ここで切りまして、お答えを頂戴したいと思います。順次お願いします。

○大沢様 ご質問いただき、ありがとうございます。回答させていただきます。1つは、中津先生から2011年から2012年の計画についての供給高の達成ということで、ご指摘をいただきました。抽象的な言い方になりますが、組合員の皆様にお役立ちできる事業をいかに広げるかということになります。例えば、この間ずっと宅配は共同購入から個配を広げ、集団ではなくて個人ごとの配達で便利さを増やしてきています。また、例えば夕食の宅配をするとか、それから昨年もこの委員会でご質問をいただきましたが、移動店舗も特に震災以降、全国の生協で取り組まれていて、組合員に役立つ事業展開を積極的に進めています。それと併せて、組合員さんを増やしていくことも進めていきたいと思います。
 2つ目は、下がるという要因については、1つはここに書いてあるような対策がさらに各生協に浸透することがあると思います。もう1点大きな要因としては、昨年の節電のところで申し上げますと、昨年の夏は多くの店舗で10%から20%分ぐらいの節電ができています。それまでは、とてもこんな所を消したらお客様に怒られてしまうというような所も含めて、例えば天井照明をいきなり半分にしてしまうですとか、棚照明を消してしまうというようなことで、削減ができています。これは、去年の夏だけで終わることではなく、今もほとんどの生協で続けていますし、今年以降も続くと考えています。この節電の効果も含めてCO2排出量を下げる努力を引き続きしていきたいと思っています。
 それから、エコストアのオペレーションや設備以外の建物全体の断熱について、屋根をどうするかという問題はありますが断熱そのものは通常の店舗の作りであれば、あまり考えなくても良いと思っています。と申しますのは、売場の周りにバックヤードがあり、ぐるりと囲んでいますから、直接売場は外気と接している所は、正面のガラスの部分なります。ガラスに断熱シールを貼ることを今回のエコストアではしています。エコストアの「その他」については、あとで回答させていただきます。
 エコストアの検証の普及ですが、これについては既にエコストアコンセプトをまとめた冊子は全国の会員生協に送ってあります。各生協でも、これを基にエコストアコンセプトの全部はできなかったがここまではできたとか、この部分はやったというようなことで、この間の特に新店では報告をいただいています。今後、このエコストアコンセプトを上回るような省エネタイプの店も引き続き検討していき、それも併せて普及していきたいと思っています。また、このエコストアコンセプトを超えるような対策を取っている生協もありますので、その点も普及や交流を進めていきたいと思っています。
 震災以降の排出量については先ほども少し触れましたが、特に店舗の電気の節電は大幅に削減が進みました。以上です。

○山内様 最後に、エネルギー政策の検討について報告します。既に、1月に確認をして記者発表もしましたので、ホームページを訪ねていただければ載っているかと思います。消費者の立場から、原発に頼らないエネルギー転換を中心に、全国の生協の組合員の総意とまでは言い切れませんが、大多数の方の意見としてまとめさせていただきました。この意見は、政府にも申し上げていますし、消費者自らできることとして、さらに省エネの促進や、生協事業として再生エネルギーへの事業チャレンジ等についても検討していこうということで作っています。

○大沢様 エコストアコンセプトの「その他」の内容ですが、店舗で使われているコンセントやキュービクルなど、大きく括れないその他諸々になってしまって、個別にどれがということではありません。

○森口座長 ありがとうございました。いまお答えいただいたことについて、質問をいただいた先生方から重ねて何かありますか。

○中津委員 先ほど、どのような効果的な方策とお尋ねしましたが、2011年度はスタートしているわけですね。そうすると、いまの中間的な形で、どういう点がよくて、どういう点が悪かった、だからこういう形の数字に置き換わっていくのだというような説明はいかがでしょうか。そのまとめはないのですか。現在進められていますが、当然スタートするときにはこういうやり方でやっていくと。その結果が、こういう数字になるという形で計画されたわけですが、スタートしてある程度の結果は出ていますね。その結果に基づいて、これでいけば2011年度は目標は達成できる。そうしたら、2012年度も同じような方策で進められれば、大目標が達成できるというような見通しですね。その辺りの中間的な集約はまだお持ちではないですか。

○大沢様 実は2011年度は、かなり変則的な年で、例えば4月は商品そのものが手に入りませんでした。手に入る商品は、特に東北の生協に優先的に流すというようなことで、全国的に商品の欠品が起きたりして、供給が目標にいかない事態が春先は多くありました。その後、逆に復興需要的なところも含めて、特に東日本の生協を中心に予算を超過する傾向できています。年間でも、当初のマイナスの部分を取り返してきている状況です。

○中津委員 ということは、一応2011年度の目標は達成する見込みがあるということですか。

○大沢様 申し訳ありませんが、まだCO2での計算をしていません。電力の使用は減っていますので、昨年よりはいい傾向になるのではないかと期待しています。

○中津委員 わかりました。

○森口座長 よろしいですか。今回のフォローアップは、基本的には2010年度のものですが、冒頭に申し上げようかどうか迷ったのですが、2011年度はある意味で震災以降の特殊な年であったと思います。来年この議論をするときに、そういうことについてかなり細かく見ていかなければいけないのだろうと思います。おそらく震災の影響あるいは原発事故も含めまして電力需給が逼迫する中で行われたことと、中長期的な取組みの中で行われたことが、なかなか区別しにくい部分が出てくるのだろうと思います。来年に備えて、いま質問があったことを踏まえて、これは生協さんだけに向けられたものではなくて、各団体共通のことかと思いますが、来年説明いただくときに、2011年においては中長期的な計画の中でやってきたことと、震災の短期的な影響で起きたこと、この辺りはなかなか分離しづらいところはあるかと思いますが、その辺りを留意してまとめていただければと思います。私が発言をしてしまったものですからちょうど時間がきています。どうしても何か聞き漏らしたことがあればお願いします。

○佐藤委員 スライド8の省エネ率は[5]÷[1]になっていますが、これは[4]÷[1]ですよね。

○大沢様 そうです。

○佐藤委員 直しておいたほうがいいと思いました。それだけです。

○森口座長 [5]ですから、そうですね。よろしいでしょうか。最後に、また総合的な意見交換の時間を取っていますので、もし何か言い漏らしたことがあれば、そのときにお願いします。本日はお忙しい中、貴重な説明をありがとうございました。それでは、2番目の団体としまして、日本製薬団体連合会のヒアリングに入らせていただきます。日本製薬団体連合会 環境委員会委員長の竹縄様、同じく調査役鈴木様から説明をお願いします。

○竹縄様 製薬業界の取組みにつきまして、竹縄から報告をさせていただきます。資料は2つありまして、報告書と本日の説明のためのパワーポイントの資料の2つです。本日は、パワーポイントの資料を用いて説明をさせていただきます。
 製薬業界の自主行動計画は、毎年説明していますとおり、約束期間5カ年の平均値を、1990年度レベル以下に抑制することが目標です。対象は、そこに挙げていますとおりで、自主行動計画への参加企業(アンケートの回収企業)は98社、数値目標の集計対象企業は66社、昨年が67社でしたので、1社減少しました。その辺りは、後ほど簡単に説明をさせていただきます。
 3頁は、これも例年報告していますとおりで、会員企業数と回答企業といった関係を示したものです。3つの業界団体で取り組んでいますが、合計で見ていきますと、回答企業割合は85.2%ということで、昨年より2%強上昇しました。有効回答数が、数値目標の集計対象企業です。これは、1990年度のデータがある、ない、その辺りのことで篩い分けていますが、集計対象企業としては66社で、有効回答率は57.4%になります。いちばん下にあります、注3)ですが、売上げでのカバー率は80.6%、昨年度は85%以上と報告していましたが、今年は少し下がっています。これも、後ほど簡単に説明をさせていただきます。
 4頁は、排出量の推移(66社集計)です。上のグリーンの折れ線グラフが、数値目標の進捗状況を表したもので、上にある青い線が実排出係数を用いた数値で、参考データとして示しています。2010年度の数値を見ていただきますとわかりますように、1990年度比で101.5%、二酸化炭素に換算しますと2.1万トンオーバーしています。昨年2009年度の実績で、1990年度比でマイナス4.5%と報告していましたが、本年度の集計結果では、2009年度、2010年度ともに数値目標が達成できなかったという結果となっています。この辺りにつきましても、次に簡単に説明をさせていただきます。
 5頁は、集計対象企業、売上カバー率の減少、本年度調査で数値目標が達成できなかった要因分析について記載しており、3点挙げています。いちばん上が、CO2排出量、売上に影響が大きい企業の業界団体退会(1社)ということで、この企業の二酸化炭素の排出量は全体の10%弱を占めており、今回業界団体を退会されたということで、これまで、二酸化炭素の排出量も6万トンぐらいを排出削減されていましたので、これが数値目標の達成に影響を及ぼしたのが1点です。
 もう1つは、自主行動計画に新たに2社が参加しました。GE薬協から1社、OTC薬協から1社ということで、1990年度に比べて2010年度の数値がかなり増加した企業が2社参加されたことがもう1つの要因です。3点目は、これは報告するのが恥ずかしい話なのですが、数社が過去のデータを修正しました。これは、小さな修正は毎年あるのですが、今回の調査では大きな数値を修正された企業がありまして、この辺りもマイナスに影響しました。
 6頁は、少し言い訳になるのですが、退会されたA社を算入した場合にどうなっていたかを示させていただきました。A社の数値については、2010年度は報告いただいていませんので、2009年度の数値をそのまま2010年度に入れてみたものです。これでいきますと、2009年、2010年度ともに、数値目標は達成している状況にあります。
 続きまして、売上高原単位の推移(66社集計)について説明させていただきます。こちらは、順調に低下しています。昨年度の報告では、2009年度で0.55辺りを報告していましたが、その値が本年度調査では、2010年度の数値になっています。A社が退会されたことで、その改善率についても、1年ずつ後戻りしたような形になっています。それでも年度比較でいきますと、順調に改善はしている状況にあります。
棒グラフに、赤い差分として載っていますが、これが実排出係数と調整後排出係数の差分になります。製薬業界としては、調整後排出係数を使用していますので、鼠色のグラフが値となります。
 9頁は、いままでも毎年報告していましたが、第1回目のフォローアップ会議の時点で参加していました企業、これは製薬協の、企業が中心になりますが、48社の集計結果をここに表しています。第2回目以降、GE薬協など、業界団体を拡大しましたので、それ以前と以後に分けて報告をしています。48社の集計でいきますと、排出量は2010年度で1990年度比93.9%で、2009年度、2010年度2年連続で数値目標は達成をしている状況にあります。
 10頁は、48社集計の原単位です。66社集計に比べて原単位は0.525と、かなり良好な値が出ています。こちらも、順調に年度ごとに原単位は改善している状況にあります。先ほどの66社集計の二酸化炭素排出量増減の要因分析を少し飛ばしてしまいました。申し訳ありません。要因分析については、48社集計についてもほぼ同様ですので、48社集計で説明をさせていただきます。売上高の変化とCO2の排出量の変化を、年度で比較のために挙げています。売上は、2009年度比で2.4%増加していますが、二酸化炭素としては0.9%減少している状況にあります。
 12頁は、エネルギーの使用割合です。そこに大きく電気、液体燃料、気体燃料、その他に分けて表しています。右側のグラフで見ていただければよくわかると思いますが、製薬業界としてエネルギー削減のポテンシャルが非常に大きい燃料転換を推奨してまいりました。したがって、1990年度から2010年度までに液体燃料の使用割合が大きく減少して、その分が気体燃料に置き換わっていると。それと、この数年間は、電気の使用割合が徐々に増加傾向にあることが、このグラフからおわかりになると思います。液体燃料は、現在トータルのエネルギーの10%程度ですので、燃料転換による二酸化炭素削減のポテンシャルはかなり小さくなっていると考えています。
 13頁は、エネルギー別の二酸化炭素の排出量を表したものですが、これはエネルギーの使用量と同じように二酸化炭素の排出割合が変化しています。ただ、液体燃料から出てくる二酸化炭素の量は16.2%、エネルギー使用割合では10%程度ですので、二酸化炭素に換算するとこの値の比率が大きくなります。したがって、これを少なくして二酸化炭素の排出係数の少ないエネルギーに転換を図っている状況にあります。
 14頁は、温暖化対策の実施状況です。2008年度~2010年度までの主なハード対策とソフト対策に分けて載せています。いちばん上にありますように、エネルギーの転換により2008年度、2009年度で毎年数万トンの二酸化炭素を削減してきましたが、2010年度は9,400トン程度に留まりました。今回の調査で、エネルギー転換により、二酸化炭素削減のポテンシャルがどの程度残されているかという調査を行いましたところ、単純計算では4万トンぐらい残っているとの結果でした。2010年度の、主なハード対策ですが、設備投資による効果が2008年度、2009年度に比べてかなり小さくなっているのも、削減が思うように進まなかった1つの原因かと思っています。
 それから、昨年度の指摘事項にありましたが、設備投資とランニングコストの問題で、設備投資回収年数についての把握についてどうですかということがありました。今回は、投資回収年数について詳細な調査はできていませんが、二酸化炭素1トン削減するのに、どのぐらいのお金が掛かるのかを計算してみますと、投資額を二酸化炭素削減量で単純に割算すると、2008年度、2009年度、2010年度はおよそ5万円から10万円程度という結果になっています。今後は、設備投資する場合の投資回収の各社の考え方などについても、調査をしていきたいと考えています。
 15頁は、自主行動計画の達成状況です。目標を既に達成している企業が、昨年度調査より3社増えて11社になりました。「達成見込みである」という所から上に移動しました。それから、昨年度の本会議で、数値目標を設定している企業が非常に少ないという指摘がありました。この辺りについては、研修会などで働き掛けてきましたが、2010年度は業界の目標に連動した数値目標を設定している企業が4社増えて、19社になりました。まだ19社ですので、非常に少ない状況ですが、少し増えてきた状況にあります。
 16頁は、今後の二酸化炭素の排出量見込みで、目標が達成できるかどうかです。そこに示しましたとおり、現在A社が抜けた状態では、5年間累積で26.9万トンオーバー、年平均5.4万トンオーバーという結果になります。この辺りについて、今後どのように取り組んでいくか、昨年10月に開催しました技術研修会でも、このままでは数値目標の達成は非常に厳しい状況にあることを皆さんに示したうえで、さらなる積極的な取組みを要請したところです。
 17頁は、今後予定されている温暖化対策で、主に設備投資の今後の計画について聞いています。ここでも、2011年度、2012年度では、2万5,000トン、2万6,000トン程度の設備投資による削減が計画されている程度ですので、数値目標達成にはさらなる対策が必要であると考えています。18頁は、工場/研究所のエネルギーの消費割合(28社抽出データ)です。これは、例年報告しているとおりで、年度に応じて研究所のエネルギー使用割合が少しずつ増加しています。19頁は、国内の売上げと研究所の床面積の推移(28社抽出データ)を折れ線グラフで示しています。2009年度、2010年度、研究所の床面積は若干減少傾向に移動しています。
 20頁は、それぞれ工場の場合は売上げに対する二酸化炭素、研究所の場合は床面積に対する二酸化炭素の原単位を比較したものです。工場のほうは、順調に減少しまして、2010年度で0.493、エネルギー効率は1990年度の2倍以上に改善しています。研究所のほうは、2007年度までは1990年度よりも悪化していましたが、2008年度以降は床面積当たりの二酸化炭素排出量では、1990年度レベルを下回っている状況です。ただ、2010年度はやや増加傾向がみられます。
 21頁は、フロンの対策です。フロンの排出量は、2009年度は102.8トンでしたが、2010年度は88.7トンとさらに減少しました。これを二酸化炭素に換算したものが、右の表です。二酸化炭素に換算しますと、2000年度比較で約90%の減少になります。22頁は、このフロン削減に取り組んだ内容について、参考資料を載せています。右のほうに赤○を入れていますように、粉末製剤が主流をなしたと、フロンを使わない製剤が主流になって、これが大体70%、フロンを使っているものが30%になることによって、トータルのフロンの排出量が大きく減少しました。
 23頁は、参考データですが、本社の二酸化炭素の排出量です、いちばん下にありますように、床面積当たりでは、この3年間でみますと、徐々に改善傾向にあります。
 24頁は、どのような取組みがなされているかです。これも、例年報告をしていますが、2010年度の特徴としまして、省エネ組織やエネルギーの定期的な計測、エネルギー診断、その他クールビズやウォームビズの数字が、2009年度より大きく上がっています。これも、震災の影響があるのかなと考えています。
 25頁は、営業車両からの二酸化炭素の排出量です。ハイブリッド車が1万1,000台ということで急激に増加していまして、いちばん下にあります1台当たりの二酸化炭素も着実に減少している状況です。
 それから、ここには報告をしていませんが、東日本大震災によってどの事業所が影響を受けたかという調査を、今回行っています。報告書のいちばん最後に記載していますが、この調査によりますと、震災発生日が3月11日であったということで、2010年度のデータには大きな影響はないと思いますが、2011年度では大きな影響があるということで、その把握のために調査を行っています。これでいきますと、被害、影響を受けた事業所が21事業所、12社ありました。これは、地球温暖化対策の立場から影響を受けたという意味です。その内容として、下に1から6まで挙げています。この中には、操業停止で一時的に二酸化炭素が減少している状況もありますが、逆に4番の自家発電の設備が稼働したことによって、電気は節電にはなっていますが、重油や灯油を炊いて二酸化炭素が増加する要因になっている場合もあります。節電の問題と、地球温暖化の問題が、非常に複雑に絡まって、来年はこの辺りをどのように分析、調査するかが課題だと捉えています。以上です。

○森口座長 ご丁寧な説明をありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。

○中津委員 生協と同じような質問になるかと思いますが、2011年度、2012年度のCO2排出量見込みについてお尋ねします。5頁では、いまの結果では1990年度比で2011年度が1.8%増加、2012年度は1.6%増加、第一約束期間平均排出量は3.6%増加ということで、現時点では計画されている対策を実施するだけでは、目標とすることが非常に厳しいというような報告があり、ただいまの説明もありました。その中で、1つは第4回の会議でも指摘があったように、投資回収年数がかなり影響するのではないか。それから、もう1つは目標の参加業者が非常に少ないと。このレベルアップも非常に影響するのではないかというようなことを考えていきますと、どのように目標達成のために方策を立てられたのか。それを、現在どのように進めようとしているのかについて回答をお願いします。

○森口座長 ほかにいかがでしょうか。

○佐藤委員 いまの質問にも関連するかと思うのですが、退会された所があるというのでお聞きします。製薬協に入られている方々は、一体どういう方々なのでしょうか。組織率や最終的な評価が、1990年に対する割合みたいなもので出されると、そこが動いてしまうと、何か評価しにくくなってしまうと思うのですよね。本当の評価にならないような気がします。生協さんの場合には、法律があって、その中で何%の人たちが入っているということがわかったのですが、その辺りを教えていただければと思います。

○森口座長 ありがとうございます。佐藤委員から質問のあった点は、私も聞いていいものかどうか迷いながらお聞きしたいなと思っていました。実は、今回そういう事情なのかどうかはわからないのですが、私が関わっています別の業種の大手製造業の業種の中で、温暖化対策やエネルギーに関わるところの方針の違いの中から退会されたようなケースがあったものですから、そういうことなのか、全く別な理由なのかだけでも、ちょっとお聞かせいただけるとありがたいと思います。

○高村委員 私も同じ質問をしようと思っていました。それが1点目です。あとは、いくつか細かな点で恐縮ですが、発表資料の3頁、先ほどのカバー率の議論とも係るのですが、先ほど1990年の排出量がある事業所を有効回答数としてデータに取ってくださっていると思います。それ以外の回答企業は、おそらく1990年の排出量がない形で、データからは出ていると理解します。ここに入っていない企業、つまり有効回答数から外れている企業の排出動向や取組み状況が、もしわかりましたら教えていただきたいと思います。
 2つ目は、スライドの5ですが、増えた要因の3番目ですが、過去のデータの修正の点です。企業で実際あとで見直したら誤りがあったということで、直されること自体は私は悪いとは思っていません。その理由がもしわかれば教えていただきたいと思います。それから、スライド14で、CO2削減量と投資額、つまり1トン辺りどれぐらいのコストがかかるかを出してくださっているのは、非常に興味深い数値だと思っています。他方で、投資額で計算をしていただいていますが、この数値自体は問題があるわけではないのですが、省エネによってエネルギーコストを削減している部分が確実にあると思っています。そこは、例えば何かの参考値が出ると非常におもしろい数値だなと思いましたので、これがもしありましたらお願いします。
 次の15で、私もこれまでやっていましてここで伺うのが恐縮ですが、2つの表の意味ですが、前者は業界の自主行動計画目標を達成できているかどうかの整理で、下が独自の目標を持っていらっしゃるかどうかという整理でよろしいのでしょうか。

○森口座長 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。高村委員からの質問にも少し関係しますし、中津委員からも投資についての質問がありましたが、私からも確認をさせていただきたいのですが、14枚目のスライドの投資額とCO2の削減量は、正直申し上げて結構高いかなという数字になっています。このCO2の削減量は、3年で計算されているという理解でよろしいのでしょうか。どの期間の削減量に対する投資額で割り返しておられるのかを教えていただければと思います。実質上、コストで見ると3年で計算するようなことはあるかと思いますが、投資の効果自体はかなり長続きすると思いますので、その間の回収量で割り返すともう少し安いことがあるのかどうか、その辺りを教えていただければと思います。たくさん質問がありましたが、なるべく手短かに回答をお願いします。

○竹縄様 最後の目標のところから、少し説明させていただきます。説明が不十分でしたが、上の自主行動計画達成状況というのは、製薬業界の数値目標に連動した目標を設定して達成できますというものです。下は、そういった数値目標を設定していますかという企業数を調べています。ですから、上と下を連動して見ていただくと、目標を設定している企業が達成度が高いのは事実です。
 エネルギーコストの問題ですが、これは年数は投資回収の考えで計算しているわけではなく、この設備投資をすることで1年間に何トン減るというものを単純に計算したものがこれです。したがって、今後は投資回収年数について、その期間を7年取るのか3年取るのか、エネルギーコストを下げた部分など、分母に何をもってくるかといったことも含めて、調査する必要があると思っています。

○森口座長 そうしますと、1年分の削減量当たりのコストと考えればよろしいですね。

○竹縄様 そういうことです。

○森口座長 そうすると、何年間か長続きすると、ほかの対策と見合うぐらいのコストになってくるということですね。

○竹縄様 はい。その可能性はあります。

○森口座長 では、続けてお願いします。

○竹縄様 その他の質問ですが、いちばん最初の難しい質問ですが、現時点では目標達成は非常に厳しい状況です。あまり言い訳のようなことは言いたくないのですが、A社が退会された理由は、自主行動計画がどうのとかそういうことではなく、ある事情によって自主的に退会されたということです。ここでは、その理由についての説明は控えさせていただきます。あとでわかったことですが、日本製薬団体連合会には14団体が所属しています。この調査は3団体を対象に把握しているのですが、A社は今回退会された団体以外の事業もやられていまして、A社はまだそこには所属をされていることがわかりましたので、来年度はA社については日薬連の業界団体に所属されているということですので、把握の対象として算入する可能性もあります。まだ決定はしていませんが、自主行動計画の連続性を考えますと、その企業を入れるかどうかは、重要なファクターとなりますので、いま検討している状況です。その企業を入れますと、数値目標は達成可能であると考えています。ただ入れないと、非常に厳しいということで、自主行動計画参加企業には、更なる積極的な対応策をお願いしますということで、技術研修会やいろいろな冊子などでもお願いをしている状況です。退会企業については以上です。
 もう1つ、1990年度のデータのない企業の傾向ですが、そういった企業は新たに参加した企業が非常に多いと思います。GE薬協傘下の企業が新たに参加した企業になりますので、そうなると、結果的には1990年よりかなり増加傾向にある企業が多いことになります。したがって、2020年度の目標では、その辺りも取り込んでやっていきますので、かなり厳しい数値目標の達成になっていくのではないかと思っています。以上です。

○森口座長 あと1点、過去のデータを修正されたことに関して、もし理由がわかればお願いします。

○竹縄様 この理由は、数千トン程度、例えば研究所の非常用の発電機を稼働させたのに、その数値は把握していなかったといった事例で、次の年に担当者が調べて追加することがよくあります。この辺りは、あまり問題にはならないのですが、今回数万トンの修正があった企業がありました。これは、前の担当者から代わって、ある事業所の重要なエネルギーのひとつの把握を完全に抜かしていたということが判明して修正したということです。調査側も、前年度に比べて大きく変化したときはその理由を確認をしていまして、その確認を入れて理由を把握したということです。単純なミスで、そういうことが起こりました。

○村田委員 スライドの25の低公害車の定義がよくわかりません。低公害車を増やして率も増えているにもかかわらず、消費ガソリンは2009年から2010年度にかけては増えていると。その前の年は、きちんと減っているにもかかわらず増えているというのがあります。ということを含めると、低公害車はどういう定義なのかがよくわかりません。

○竹縄様 この低公害車というのは、本来国土交通省の基準で決めた低公害車を考えています。ここに低公害車を挙げたことに誤解があるのですが、本来は排気ガスをきれいにするために設定された基準で、それを積極的に導入しましょうということで、製薬業界としては取り組んできました。その中には、当然ハイブリッド車、電気自動車も含まれていまして、そこに二酸化炭素の削減の考え方がかなり導入されて、低公害車ではあまり二酸化炭素は減らないのですが、ここにハイブリッド車、電気自動車が増加したことによって、結果的に二酸化炭素の減少にこの数年結びついてきているのかなと分析しています。

○森口座長 いまの点に関して、燃費のいい車を低公害車というカテゴリーで呼んでいいのかどうか、これはどちらかというと環境行政側の問題かと思います。これまでにも、私も別の場でも指摘をしているのですが、その辺りが紛らわしいかなと思います。おそらく村田委員からの指摘は、ハイブリット車が増えているにも係らず、なぜ消費ガソリンが増えているのだろうかという辺りが私も気になりましたので、もしも可能であれば、走行距離を把握していただいて、実燃費で改善したのかどうかまでわかってまいりますと、だいぶ削減余地等がわかってくると思います。ハイブリッド車は非常に増えているということは、過去の点検の中でも、製薬業界さんはかなり車を使って顧客先を回られる機会が多いということで、営業車両の燃費をよくすることではかなり効果的なのではないかという指摘もあったと思います。着実にハイブリッド車の導入が進んでいることは、大変喜ばしいことだと思いますが、まだトータルからいえば普及率は25%弱ぐらいのようですので、余地があるような気がします。その一方で、入れてもあまり改善しないということですと、おそらくそういうことはないとは思うのですが、その辺りが気になるものですから、もし可能であればこの辺りの要因分析も今後聞かせていただけると、大変参考になるのではないかと思います。
 大体時間がきていますが、何か委員から追加で質問、確認事項はありますか。よろしいでしょうか。それでは、大変お忙しい中、貴重な説明をありがとうございました。 続きまして、本日の最後は、全日本病院協会常任理事加納様、日本医師会総合政策研究機構 研究部統括部長の畑仲様より説明をお願いします。

○加納様 畑仲統括部長からの報告の前に、一言、今回の震災にまつわる我々の状況を簡単にご説明します。我々は、他の業界と明らかに異なる点が2つあるかと思っております。前からもこの会で発言しておりますように、我々は生命を守る、それも人間としていちばん弱者の状態である患者さんという立場の方の療養環境を維持しなければいけないという点。もう1点は、我々は国民皆保険という形で日本の社会は守られていると思っているのですが、皆保険というのは公的価格であって、今回病院における地球温暖化対策に関して一生懸命参加していただいている民間病院は、診療報酬という報酬でしか収入がないという形で、その中で我々は環境の温暖化に対する対策をしていかなければいけない。
 2008年以来、最大限努力してきたつもりの中で3.11を迎え、今回非常に大きなことが起こりました。医療は今回いちばん活躍したのではないかと自負しているのですが、テレビではよく大病院で、気仙沼市立病院や某日赤病院などは本当にスターのごとく活躍を報道されているのですが、その陰では、例えば気仙沼の近くの300床の病院なのですが、5日間ライフラインの中で全く放置されていた病院があります。そこは3日間職員は飲まず食わずでいたということがありました。そういった中でも、何とか命がけで命を守った民間病院があったということです。
 もう1点、今日はあまり話が出てこないのですが、計画停電がある日突然行われて、それに対して病院が命がけで命を守ったということが起こりました。かつ、流れがいまだ止まっていません。私は大阪ですが、関西電力圏内では2月20日に最終原発が止まればどういう状況になるか、また関西で計画停電が行われるという話になるかと思うのですが、計画停電に関して、皆様方はご存じかどうかわかりませんが、病院に対する供給の政府の方針が決まっております。公的病院と救命センターには電力を供給するようにと決まっております。ということは、民間病院には供給しなくていいと。救命センターに当たっている民間病院は、わずかですがあります。そういった所しか供給されないという話になっており、救命センターに行く患者は大阪ですと100台中3台なのです。あとの97台(97%)は、二次救以下の病院が救急を守っているわけです。多くは民間病院なのです。そこには電源が来ない、回さなくていいという話になっているわけです。
 これを前提に、いろいろな形で何とか対策を練れと言われても練りようがない。例えば自家発電したらいいではないかという話がありますが、皆さんご存じかどうかわかりませんが、自家発電というのはほとんど非常の最終的な命を守るラインの電源しか供給できないのです。それも3時間単位でしかできない状況の中で対処しなければいけないことを押しつけられており、オール電化とかいろいろな形で我々はこれに協力してきましたが、昨年の節電のときも絞るだけ絞った上に、病院は何%できますか、5%、10%できますかと強要され、それを守らなかったら法律的に罰しますよという話まで出てきて、現場においては踏んだり蹴ったりどころかどうしようもない。それでいながら一生懸命命を守らなければいけないという背景が起こっていることを認識した上で、是非とも病院の医療環境を考えていただきたいと思います。それでは、畑仲先生からお話をお願いします。

○畑仲様 私から、2010年度の実績のフォローアップ(案)についてご説明します。
 1-2頁の3段落目をご覧ください。併せて、1-4頁に表1-1が付いておりますが、これが実績の結果、いちばん左が2006年度、右から2番目が2010年度の実績です。これの比較で見ていただきながら、2009年度との対前年度比も書いてありまして、ここに数字が書かれておりますので、これについて簡単にまとめたものが1-2頁です。2010年度については対前年比2%増加になりました。前年度まではマイナスで推移したのですが、2010年度初めて2%増加しました。ただ、平均で見ると2006年度比89.1ということで、年率に直すとマイナス2.84で、目標としては対前年マイナス1%という目標を上回っている状況です。
 増加した背景としてはCO2の排出原単位に大きく影響するエネルギー消費原単位が、2009年に対して2.9%増加したということがあります。この要因として、2010年度は気象条件等の変化、夏が非常に暑くて冬も寒かったということが大きいのではなかろうかということ、もう1つは重油・灯油から電力や都市ガスへのエネルギー転換は進んだのですが、そういった気象条件等の変化もあって電力、ガスの消費量が非常に増加したことがあり、CO2の排出原単位全体で増加したということです。エネルギー転換は、いままで削減要因であったのですが、それが気象条件の変化や、原油も下がっており、そのような要因があって2%の増加になったのではなかろうかと分析をしております。
 排出量全体で見たのが、表1-1のいちばん下です。対前年度比4.9%増加しました。これについても、原単位の増加と延べ床面積の増加が、大きな要因となっています。いわゆる療養環境の改善が、病院の場合は1つの大きな目標になっていますから、なるべく1床当たりの面積を増やそうというのが基本的な流れになっておりますので、そこが上がってきているということで、これも増加してきているということです。
 ただ、表1-1を見ると、2006年度比で2010年度は95.4ですから、目標をトータルで見た場合の6%と仮に設定したとしても、この段階で4.6マイナスになっており、あと2年で1.4ぐらい頑張る必要性があるかと思います。
 今後の動向については、先ほど加納先生からありましたように、今回の東日本大震災で福島の原子力発電所事故に伴って、ほとんどの原子力発電所が、2011年度はかなり止まる可能性があるのではなかろうかと。ですから、来年の調査で、原発が止まっていますから、この辺りの影響が排出係数に出てくるのではなかろうかと考えております。その辺りの動向によって、全体の排出量がどのぐらいになるか、電力依存度が高まっていますから、今後の課題としてあるだろうということです。
 ご参考までに、1-50頁ですが、参考表1-1排出係数のところに電気事業連合会の使用端排出係数を示してあります。我々は2006年度の0.410を固定して計算しています。その理由としては、我々自身がどれぐらい努力したのかということは、これをどんどん下げると分からなくなってしまうので、0.410で固定していままでずっと計算してきました。仮に2010年度の排出係数を使うと、2006年度に対して0.854ですから、ここで約15%排出係数が減っているのです。この15%というのはものすごく大きな数字ですから、このマイナス15%を加味した数字で出された値は、これによる影響が非常に大きくなるのではなかろうかということです。
 試算をこれで出してくださいというお話があったので、途中では出しませんでしたが、今日お持ちしました。下の参考表1-2で、下の段が固定した場合の排出原単位と排出量です。それに対して、2010年度の排出係数を使った場合が上で、排出原単位は基準年比81.2%とマイナス18.8%、総排出量は87.0%でマイナス13.0%と、当然非常に減るわけです。ですから、この係数を使えば非常に減るのですが、実質的に努力をどのようにしたのかを見るのがいちばん重要ということで、今のまま、あと2年頑張ってみようと考えております。大きな趣旨としてはそんなところです。
 1-3頁については、政府において依然として基本法案とクレジットの話を引っ込めていないと思いますので、これは我々が指摘した点で、今回も載せました。カバー率の点ですが、これは前々からご指摘のある点です。カバー率については1-7頁に表を載せてあります。2006年度のカバー率が17.0%だったのが、2010年度、対前年度から若干減って23.4%と減少しました。我々の努力も足りなかった点もあったのかなという感じは持っております。ただ、左側の病院業界の規模のところで、2006年度に対して2010年度で病院全体の数が減っているのです。それに対して行動計画参加病院数、これは重複のところを計算しなければいけないため、2005年に出した数字を固定したまま使っています。病院の数は、基準年の100に対して97.4%になっていますので、これで割り戻すと24%ぐらいになって、対前年度横ばいという感じになっております。
 一方、今年の電力の需給対策として、病院に対して非常用電源はどうですかとか、ピーク時のカットはどうですかとか、いろいろなアンケート調査をやりました。そのアンケート調査の回収率は6割です。ですから、地球温暖化対策というのを、経営との関係を非常に持つような形で国も示していただければ、病院を経営なさっている先生方の問題意識もだいぶ高まるのではなかろうかと思います。その辺を抽象的な地球温暖化という形で聞くと、経営との関係でリアリティがないところがあります。
 1-9頁で、診療報酬は公定価格だという話が出ていますが、2012年の診療報酬改訂ではプラス0.004%とほとんど横ばいで、診療部分については1.38%と微増になりました。この辺はほとんど人件費に回ってしまうような状態で、設備投資との関連では、なかなか難しい状況にあります。
 それと併せて申し上げたいのが、これから出てくるのは津波対策です。これはご承知かと思いますが、国交省がすでに法律を通してしまっていて、津波対策で低地については、医療機関は対応策を図りなさいということです。すなわち、建直しのとき等について、津波に耐えられるような構造にしなさいということが決まっています。それについて、いま国交省と交渉している最中です。もう1つは、先ほど加納先生がおっしゃった計画停電の話です。これについては、民間病院についてはセーフティネットが発動された場合に、電気が通らないという話で、そうすると非常用電源を整備するなど設備投資をしなければいけないということで、今後とも様々な所にかなり投資していかなければいけない状況にあります。ですから、病院としてはその辺りとのバランスで、地球温暖化対策をやらなければいけないというような状況があるということを、ご理解いただけたらと思います。

○森口座長 温暖化対策に関わること、あるいは震災以降の諸々のエネルギー需給を巡るご意見も、大変切実なご意見だと思います。私も同感と思うところも多々ありましたが、あまり言いすぎてもいけないかと思いますので、委員の先生方からご質問をお受けしたいと思います。

○村田委員 まず、病院経営云々というのがありましたが、基本的に電力会社との契約電力量を下げれば、年間で見てもかなり金額は節約できると思うのです。そういう意味でも、逆に節電をきちんと病院内でできるのなら、基本契約そのものを下げることもできるし、そういう観点でもう一度これを捉えていただければと思います。カバー率の低さ等々も含めてですが、ここに書いてある病院における地球温暖化対策推進協議会の報告書が、現状の数値はきちんと書いてあります。しかし、具体的にどうすれば節電になるのかとか、あるいは1個1個の具体的な理由とか、それが全くわからない。そういう文章になっているように思えるのです。ですから、これに加盟して、例えばこういうものを読めば、こうやって電力も節電できるのかということが書いてある報告書にすべきではないかというのが、いちばん考えていただきたいところだと思うのです。現状のみの指摘はあっても、次年度への対策を練るのに至らない表現だということが1つです。
 また、1-17に「暖房デグリーデー」とか「冷房デグリーデー」とかありますが、18-18、24-24を25とか26に、3.11を経た後ですので、もう少し変えていけば、本来電力もそれに応じて減らすことも可能ではないかと思えるのです。そういうことを、この報告書の中でもやっていただければと思いました。

○森口座長 もし、ほかにご質問がありましたら、まとめて受けた上でお答えをいただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○佐藤委員 いま村田先生からそういうご指摘があったのですが、日医総研さんが関わっているから非常に細かく分析されていると思うのですが、村田先生がおっしゃるのと似ているかもしれませんが、外の要因の話が多くて、内部的な要因というか、何か工夫できるところの考察みたいなものがもう少しあるといいなという感じはします。これは質問というよりもコメントに近いと思いますが、そういう意味で先ほどプレゼンテーションの中でも経営との関係、あるいはコストとの関係でいくと割合関心を持っていただけるということがあって、それは本当に事実だと思うのです。そういう方策みたいなものが何らかの形で打ち出せないだろうかという感じは、村田先生の感じと同じです。

○高村委員 2点あります。先ほど言及のあった震災以降の動向とか、そのあとの全体の議論のところで申し上げたほうが適切かと思いますが、国内クレジット制度等の関係等については私も大変共有するところが多いです。その上で、1つは報告書の1-10で、「省エネ法」の改正でエネルギー管理の届出書の報告の対象となっている事業所と、特に病床の大きな所だと思いますが、こちらのほうが届出書の報告が進んでいない所が見られるように思います。非常に大変な事業をされているとは思うのですが、特にエネルギー消費量の多い病院で、特に法令上の届出の義務がある所については、届出書の提出から始めて、是非取組みを進めていただく必要があるのではないかと思っております。
 2つ目は、先ほど佐藤先生がおっしゃった点と関わりますが、非常にご苦労されていることがよくわかっております。特にこのエネルギー状況ですと、節電ないしは、省エネ自身がむしろ経営的にもプラスに働く余地があるように思うわけです。もちろん、それに対する投資をどうするかという問題はあると思いますが、存じ上げている中でも、民間の病院ですが、とりわけ省エネ・節電に先進的な取組みをなさっているケースを地域で聞いており、そうしたモデルを病院に普及していただくというのは1つの案ではないかと思っております。

○森口座長 よろしいでしょうか。私から少し追加をさせていただきます。各委員共通でおっしゃったことに関係しますが、非常に厳しい外的条件の中で無理を申し上げにくいところはあるわけですが、コスト的に厳しいからこそコストの節約に結びつくような良い取組みがあれば、それは是非やっていただきたいのです。それは温暖化対策のためというよりは、エネルギーコストの削減を通じて、公共よりも、民間経営の厳しい経営の中でこそできることというか、そのようにポジティブに捉えていただくこともできるのではないかと思っております。そういう良い取組みを業界の中で広げていっていただけないかと感じております。
 電力需給は非常に逼迫し、電力コストも今後上がっていくことも想定される中では、そういうことに対してより積極的に取り組まれることで、ひいては経営の改善につながる部分もあるのではないかと思いますので、非常に厳しい状況の中で酷なお願いかもしれませんが、そのようにポジティブに受け止めていただいて、それが結果的に温暖化対策にも結びつくことがあればと思います。そういう意味で、各委員からも、全体の状況はわかるのだけれど、個別の取組みの中で何かそういうことに結びついていくものをもう少しお示しいただけないかというご意見だったのではないかと思います。その辺りをお答えいただければと思います。

○畑仲様 まず村田委員からのご指摘で、1番目が契約料金を下げれば金額を下げられるのではないかという話ですが、これについては東電が今度17%値上げすると。うちにも来週か再来週説明に来るのですが、これは自由分野ですから、特に大規模な所は、当然交渉はできるはずですが、交渉しませんと彼らは言っているのです。ということは、下げないと。高止まりになる可能性が十分あります。経営としては非常に厳しいのですが、逆にCO2の関係から言うと電気が高くなるという話になりますので、CO2については削減の方向に影響が出てくるのではなかろうかという感じはしています。
 もう1つは、これは2010年度ですが、2011年度は当然3.11以降の計画停電があったり、夏のピークカットがあったり、省エネについて我々は15%カットは例外措置の対象にしていただいたのですが、それでも結構ご協力はさせていただいているのです。ですから、2011年度については下がる可能性は十分にあると考えております。いまのままでも、総量で下がる可能性が十分あるのかなという感じを持っております。いずれにしても、対目標との関係で考えておりますので、対目標についてはクリアできるのではなかろうかと考えております。
 2番目のご質問のカバー率の数値について、使用量の低下の方策が見えないというご指摘がありました。これは今日ご説明しませんでしたが、増えている要因は明らかなのです。大病院が増やしているというのが端的に出ていると。1-29頁ですが、規模別のCO2排出原単位は前々からご説明しているようにU字カーブとなっております。大規模になればなるほど高くなる。ギザギザの横の斜線が引いてあるのがいちばん新しいデータで、対前年度で大体増加しているのです。この影響もあって、1-32頁に規模別、病床数別のエネルギーとCO2排出量の構成比を出してあります。対前年が、下のほうに2009年度の数字を載せてあります。300床以上が、病院の数で言うと大体13~14%ぐらいにもかかわらず、約半分弱ぐらい排出しているという状況があり、これらの病院の排出量が非常に増えているということです。具体的に言うと、大きな病院というと、大体のイメージで私立大学とかチェーン店の病院ですが、そういう所に対してどういう形で働きかけるのか、我々としてもできる範囲の努力をしますが、そういう部分について厚労省も併せて我々と一緒に大きな所については、削減するように指導していただくというか、そのようなことが非常に必要なのではないかということがあります。
 3番目のデグリーデーを上げたらということについては、簡単に言いますが、個々の病院の方針とか患者との関係で上げればいいという話ではなくて、夏、仮にその方が暑くなって死んでしまったら誰が責任を持つのかというと、病院なのです。ですから、我々が無責任に上げなさいという一律的なことを言う立場にはない。これは個々の病院に判断していただくしかない。責任はその病院が取るのですから。これは病院にご理解いただいた上で、結構上げているのです。実際にデータを取って、平均気温が28度という病院があるのです。だから、結構努力している所もある。だけど、当然26度とか低い所もある。その辺については、我々が一律28度にしてくださいと言うのは限界があるのかなと。
 次に、佐藤先生の関係で、外の要因が多くて、内部要因の考察があるといいね、というご指摘がありました。いま我々のほうで、電力需給対策のこともあって、病院の部門別の電力使用規模、総量ではなくてピークが問題なので、いかにピークを下げるかが喫緊の課題なのです。いわゆるベース電源がなくなってしまっているわけですから、ピークのところが問題になっている。ピークを下げるということは、各規模を抑えた上で、その各規模をいかに少なくするかが重要なので、そのデータはいま我々の所にはないのです。ですから、一応モデル病院を2つ取り上げて、図面から全部拾って、先ほどkWhで出ていましたが、kWhを出しても意味がない。kWを出さないと意味がないのです。それはデータを拾わないと出てこないのです。だから、中規模の300床の2つの病院を取り上げて、いま図面から全部拾い上げて、部門別のkWを出して、なおかつ病床別のコンセントを出して、それにどのぐらいの医療機器がつながるのかを想定して、それを全部足し上げて、そういったことをやらないと出てこないのです。これはすごい作業なのですが、それは始めています。それが出てくると、どこのセクションでどのぐらいのkWがあるかがわかれば、ピークをカットするためにはどこをどこまで我慢すればいいという話が出てくるので、そこはやろうかと思っています。いまの喫緊の課題はピークカットなので、そこにいかに対応するかという形で、内部要因の検討についていまやっています。
 コストとの関係で明らかにというのは、いままで地球温暖化対策と計画停電対策、あるいは電力需給対策が別々にやられていますが、私はまだイメージがないのですが、いずれにしてもこの辺は経産省と環境省、厚労省が一体的な形でやらないと話にならない。CO2だけではなくて、病院の立場からすると、ピークカットをいかに避けるかということが今一番重要になっています。病院の電力使用規模は、データを取るとフラットなのです。山があるわけではなくて、病院は朝から晩までフラットで高いのです。だから、15%マイナスには対応できませんよ、というご説明をしました。先ほどのデータが出てくれば、全体的に減らすにはどうしたらいいか、どこを使わなくすればいいみたいなものが出てくれば、全体的に台地を低くすることができるだろうと考えています。
 次に高村先生のご質問で、省エネ法の改正で大きな病院で届出がなされていないので、出すような取組みを明確にしたらみたいなお話ですが、たぶん大きな病院は出していると思います。出していないのは、我々もクロスセクションを取っていないのでわかりませんが、法改正によって病院以外の福祉施設や関連施設を、法人単位でまとめろという形になりましたから、病院の規模が小さくても、ほかの福祉施設や看護師の宿舎、あるいは保育所といったものを全部足し上げて、その法人がこの基準を超えているかという形になったわけですから、その辺が非常に大変な話なのです。1つ1つの施設、建物ごとに全部積み上げなければいけないということに、法律改正がなったわけです。ですから、病院だけ調べればいいという話ではなくて、自分が持っているもしくは経営している施設全部を足し上げて、いくら使っていますという形になったので、その辺りの対応をしなければいけないというのはご理解いただきたいと思います。大きな病院についてはたぶん出していると思いますので、いかに大きな病院に対応してもらうかが重要ではないかと思います。
 もう1つは、省エネが経営にプラスになる、省エネモデルとして示したらということについては、いまサーベイしているものが出てくれば、どこをどのぐらい減らせれば、ピークカットがどのぐらいできるという話になりますので、これがCO2全体にどのぐらい影響があるかはわかりませんが、そこについてはお示ししたいと考えております。
 最後に、森口先生からコスト削減を民間経営の中で取り組んでほしいという形で、ポジティブに受け止めてほしいというご指摘がありました。これはおっしゃるとおりだと思います。今日お持ちした資料の中には付けていないのですが、これは前年度の調査の中に入れてあるのですが、アンケートで光熱費を合わせて聞いています。光熱費ですから、電気以外の水道に関連するものも含まれています。ただ、水道も電気を使っていますから、この辺の省エネをいかにすれば全体の年間の光熱費がどのぐらい減るのかというところは、前年度からお示しするようにしています。ちなみに、前年度の全病院における年間光熱費が2,377億円であるというのを弾き出しました。これの何%であれば平均でいくらになるとか、そういう数字が出てきますので、その辺については今年も病院のほうにはお示ししてあります。すなわち、結果については病院にフィードバックしています。
 最後に1つだけ言わせていただきたいのは、先ほどの製薬業界等の資料にもありますように、太陽光発電などの導入は非常に割合が低いのです。原発がああいう状況の中で持続可能なエネルギーをいかに使うかみたいな話になったときに、いちばんのネックはコストだと思うのです。ですから、マスキー法みたいに法律で、価格を3分の1にしなさいと。例えば、5年間で価格を3分の1にしなさいと。そうすれば、病院はどんどん入れます。安くなればどんどん入れます。もっと競争を入れて、中国と競争させて、価格が3分の1になれば、ちゃんとペイできるようになれば病院は入れます。そういう環境を整えないで入れなさいと言っても、入りません。その辺はまさに森口先生がおっしゃったように、民間的な考えであれば安ければ入れるのだから。それがそうなるように国がマスキー法みたいな形で法的な縛りをかけて、5年間で値段を3分の1にしなさいという感じのことを言うべきだと。私の意見としてはそのような感じがします。

○森口座長 ありがとうございます。加納先生もおっしゃりたいことがおありかと思いますので、時間が押しておりますが、一言よろしいでしょうか。

○加納様 ほとんど言っていただきました。ただ、もう一度念押しになりますが、省エネは経営的にメリットがあれば我々も絶対やることなので、それは率先してやりたいと思っています。先ほどから申し上げている電源そのものの問題は非常に大きな問題で、それも民間病院には回さないとおっしゃるような状況下で、省エネがどうのこうのと言う段階ではないと、やっていられないというのが本当の状況です。それはそれで、もし関連して先生方にお願いできることがあれば、ご協力をお願いしたいと思います。

○森口座長 ありがとうございました。数分だけ時間が超過するかもしれませんが、最後にご説明いただいた中で、資料4の1-40頁で延べ床面積とCO2の排出量の関係を示して、あなたの病院はここに位置していますよというのがフィードバックされて、これは大変貴重な取組みだと思います。環境省でも、見える化ということで一般家庭に関してこういうことをやっておりますので、競争というか、他がこうだったら、うちはもっと頑張れるかなということを示していくと、場合によってはむしろ光熱費のほうがよろしいのかもしれませんが、そういったことの中で、今日はピークカットと言いながらかなりフラットだという話もいただいたので、そういうデータを教えていただく中で我々も考えることがあるかと思いますので、是非こういう実証的なデータも来年度以降お教えいただければと思います。
 それでは、以上で私立病院中心の業界のヒアリングを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
 当初の予定ですと、最後に3団体共通してのご意見をいただく総合討論的な時間を取る予定でしたが、終了の時間が近づいております。全体を通じて、繰り返すまでもありませんが、震災以降の電力需給の逼迫、特に最後に病院からいろいろご指摘がありましたが、この間の諸々の政策に関する国民、あるいは各業界からの政府に対する不満も非常にあるように感じております。温暖化対策の重要性はわかるのだけれど、それ以上にいろいろなもので困っているというところはあろうかと思いますので、そういう短期的な状況と中長期的な温暖化対策がどう折り合っていくのかということは非常に重要だと思うのですが、そういう状況の中で先ほどもご指摘があったように、座長としてはややいきすぎた発言かもしれませんが、どうも霞ヶ関が依然として従来どおりのビヘイビアをしておられるようにいろいろな場面で感じております。今日は環境省もお見えですが、場合によっては次年度は経産省にもお見えいただいたほうがいいのかなと。大体、何々省と何々省に来てくださいと言うこと自身が本来はおかしくて、温暖化対策省が1つになっていないといけないのでしょうけれど、そういった状況もある中で各業界で非常にご不満はあろうかと思います。特にこのフォローアップは、私も中央環境審議会、産業構造審議会の主要業種のフォローアップには参加しておりますが、それ以外の所管業種はそれぞれ各省でやりなさいという仕組みになっていますので、そのこと自身が本当によろしいのかどうかということも、かねてより問題意識を環境省にお伝えしております。シナリオによると、最後に環境省より一言お言葉をいただけることになっておりますので、2~3分ご準備をいただいて、その前にこれで本日のヒアリングは閉じさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、これまでいただいたご意見を基に、今後の進め方ですが、事務局で報告書(案)を作成いただき、それを委員の皆様に送付してご確認いただくという例年どおりの手続きとさせていただきます。その辺りのスケジュールについて、事務局から資料5についてご説明をお願いします。

○渡邊室長補佐 本日は、団体の皆様方におかれましてはご報告いただきまして、また貴重なご意見を賜りましてありがとうございます。
 今後の流れですが、先生方から追加のご質問、あるいはご欠席の江原先生からありましたらやり取りをさせていただき、2月22日ごろまでを予定しております。その後、事務局において報告書(案)を作成し、委員の先生方に見ていただくという流れで、年度末の大変お忙しいところ恐縮ですが、年度内には報告書を取りまとめて公表したいと考えております。例年の流れですが、ご協力をよろしくお願いいたします。

○森口座長 この後はメール等でのやり取りということで、例年どおりですが、委員の先生方におかれましてはご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、環境省から一言よろしくお願いします。

○坪口課長補佐 ありがとうございました。貴重なご意見、取組みなどを聞かせていただきまして、非常に参考になりました。
 温暖化対策ですが、今年は京都議定書の約束期間も最終年ということに併せて、来年以降どうやって対策を打っていくのかを考えなければいけない1年になると思っております。いろいろなご意見をいただいて、政府としての対策の状況ですが、いまエネルギー環境会議でエネルギー政策並びに温暖化対策の検討をしております。春、連休明けごろになると思いますが、いくつか選択肢ということでバリエーションをお示しし、夏に向けて目標も含めて見直しということになろうかと思っております。その際に、医師会からもお答えいただいたように、基本法の話とかいろいろなことを整理しなければいけないタイミングになるだろうと思っております。
 今年、最終的なラストスパートということで、6%達成に努力いただくということと併せて、来年度以降どういった対策を取るのかも併せて、団体の皆さんには考えていただくことが必要ではないかと思っておりますので、必要な支援等は厚生労働省と一緒になって、環境省もできる限りのことをやっていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○畑仲様 12年度以降、我々はどのようになるのですか。我々はどういうことをやらされるのですか。

○坪口課長補佐 そこはまさに難しい質問で、それも併せて夏の対策のパッケージみたいなものは、政府としていくつかの方向性を示さなければいけないと思っています。1つのオプションとしては、経団連さんは低炭素社会実行計画ということで20年まで目標を立てて、自主行動計画の後継のようなものを作っていらっしゃいます。そういう動きも1つとしてはあるのかなということで、それ以外にどういった形で位置づけをしていくのかも含めて、これから議論かなと思っています。なかなか今の時点ではということです。

○畑仲様 お金の関係から言えば、今年度末というか、最終年度の初めには次の年以降の方針が決まっていないと、各団体については対応が非常に難しいと思います。これはお金がかかる話ですから。我々の所で言うと、人件費を除いて年間1,500万円以上はかかっています。それは予算制度で言えば頭のところで取っておかないと、あとから取れない話なので、年度の初めにその辺の方針をはっきり示していただかないと、対応ができない所が出てくると思います。

○森口座長 ありがとうございました。京都議定書の専門家も隣にいらっしゃるのですが、第二約束期間を一体どうするのかを考えた上で抜けられたのかどうか、私はよくわからないのですが、先ほど申し上げたことの繰返しになりますが、いずれにしてもこの間、いろいろ対応が遅いことに関する不満もたまっているようですので、来年度以降の温暖化対策の面で今後中長期的にどうしていくのか、現在いちばん国民の関心である電力需給とも非常に係ってくるところかと思いますので、是非こういう厳しいご意見があったということを環境省にお持ち帰りいただいて、関係各省、特に経済産業省にもよくお伝えいただければと思っています。
 それでは、5分近く超過しましたが、第5回フォローアップ会議をこれにて閉じさせていただきます。本日は大変お忙しい中ご参集いただき、どうもありがとうございました。これにて閉会といたします。


(了)
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