ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(点検評価部会)> 第4回労働政策審議会点検評価部会議事録




2012年2月3日 第4回労働政策審議会点検評価部会 議事録

○日時

平成24年2月3日(金)
15時00分~17時00分


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○出席者

【公益代表委員】

清家部会長、樋口委員、宮本委員、米倉委員

【労働者代表委員】

金子委員、戸田委員、安永委員、山河委員、芳野委員

【使用者代表委員】

川崎委員、小谷野委員、坂田委員、田中委員代理(輪島主幹)

【事務局】

岡崎大臣官房長、伊澤統計情報部長、前田労働基準局総務課長、大西職業安定局総務課長、
土屋職業能力開発局総務課長、吉本雇用均等政策課長、中野政策統括官(労働担当)、
棚橋政策評価審議官、酒光労働政策担当参事官

○議題

○2011年度の年度目標に係る中間評価について
○2010年度実績の追加報告について

○議事

○清家部会長 定刻になりましたので、ただいまから、第4回労働政策審議会点検評価部会を開催いたします。
 本日の議事に入る前に、お手元に資料1「委員名簿」を配付しておりますが、労働者代表の委員の交代がありましたので、新たに委員に就任された方をご紹介いたします。日本郵政グループ労働組合 中央副執行委員長の戸田委員です。日本労働組合総連合会 副事務局長の安永委員です。JAM 中央執行委員の芳野委員です。よろしくお願いいたします。本日は、勝間委員、荻野委員、田中委員のお三方がご欠席です。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上が出席するということが求められていますが、本日は、いずれの数も上回っていますので、定足数を満たしていることをご報告いたします。田中委員の代理として、本日は日本経済団体連合会の輪島主幹がご出席です。
 早速、議事に移りたいと思います。本日の議題は「2011年度の年度目標に係る中間評価について」、「2010年度実績の追加報告について」となっています。最初に、事務局から説明をお願いします。

○酒光労働政策担当参事官 労働政策担当参事官の酒光です。よろしくお願いいたします。
 最初に、米倉委員ですが、ご出席のご連絡をいただいておりますが、ちょっと遅れているようです。先に進めたいと思います。
 資料についてご確認いただければと思います。資料1が「委員名簿」です。アンダーラインを引いているのが先ほどご紹介のありました、新しくご参加いただいた委員です。資料2は「2011年度各分科会における年度目標の中間評価について(案)」です。資料3「2011年度中間評価(案)評価シート(2010年度評価シートの補足)」です。資料4は「2010年度実績の追加報告」です。
 参考資料1、参考資料2は昨年12月あるいは今年1月分の概況ですが、これは参考ファイルということになります。
 中間評価は資料2と3で行っていただくことになりますが、資料3が担当部局で自己評価を行ったもので、目標、実績、分析、取組方針等が書かれています。後ほど説明します。それの達成状況を中心にまとめたのが資料2で、これが評価結果になると思います。
 資料3に年間目標が設定されている指標が39ありますが、12月時点で把握できるのが27で、それ以外は年1回の調査などで今回数値が出ていないものです。これらについては、夏にまた年間の評価をお願いしますので、その時にまとめて評価をしていただくことを考えています。一部、調査の関係上、夏の評価に間に合わないものもあって、2010年度もそういうものがいくつかあったわけですが、それについては、資料4にまとめていますので、これは「2010年度の追加報告」ということで後ほどご説明させていただきます。
 「中間評価の進め方について」です。中間評価については、各委員からのご意見を踏まえて、資料2の記載事項を修正する形で全体的な評価としたいと思っています。それと併せて、資料3のそれぞれの項目ごとに文末に「点検評価部会による評価」の欄があります。この欄自体、いまは小さいですが、ご意見いただいたものはここにも個別の項目ごとに反映させることにさせていただきます。
 委員のお手元には、「点検評価部会意見記入用紙」というのを別冊で付けているかと思いますが、こちらは時間の関係で、今日意見を言えなかったものとかを記載していただければ、また反映させていただきますし、持ち帰っていただいて、後日意見をいただく時にお使いいただければ、それを反映させたいと思っています。それらのご意見を踏まえて、本部会の中間評価にさせていただきます。私からは説明は以上です。

○清家部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から中間評価の進め方についてご説明いただきましたが、進め方に関しては、いまのご説明のとおりの進め方でよろしいでしょうか。

       (異議なし)

○清家部会長 それでは、そのようにさせていただきます。
 早速ですが、この「中間評価(案)」について委員の皆様からご意見をいただきたいと思います。内容が多岐にわたっていますので、まず、全体を大きく3つに分けて、順次ご議論をいただければと思います。
 最初に「ハローワークにおける職業紹介等」、「若者の就労促進」の部分について事務局からご説明をお願いします。

○酒光労働政策担当参事官 引き続き私からご説明申し上げます。先ほど申し上げましたように、資料2が概略としての評価(案)になっています。資料3が個票になっています。数値等がありますので、資料3をご覧いただきながらご説明させていただきます。
 資料3の1頁をお開きください。全体の中身をご説明する前に資料の構成をご説明します。資料3は、最初に目標およびその実績が数表で載っています。その次に現状分析です。これは担当部局で行いました現状分析が載っています。さらに、2頁に関連施策の状況、今後の取組を載せています。
 前に戻っていただいて、数表ですが項目がありまして、そのあとに2010年度の実績の各指標があります。その次に、2011年度目標、今回評価いただく今年度の目標です。これは各分科会で設定したものですが、これが載せてあります。その次が、2010年度4月~10月までの実績、2011年度4月~10月までの実績が載っています。いちばん右側の2011年度実績の4月~10月が、今回中間評価していただく主な数値になります。就職率ですと、26.5%と書いてあるところです。これが今年度の目標、例えば2011年度の目標とか前年の同期4月~10月と比べてどうかという形で、ご説明させていただきます。先ほど申し上げましたように、数値によりまして年1回の指標などは、今回4月~10月のところは数字が入りませんので、横棒を入れています。
 具体的に各指標について状況をご説明いたします。[1]の就職率、[2]の雇用保険受給者の早期再就職割合です。雇用保険受給者の早期再就職割合は、雇用保険の支給日数を所定給付日数の2/3以上残した場合、例えば、所定給付日数が90日の場合、60日残して30日以内に就職したという場合ですが、なるべく早く就職していただくことで、この割合を目標に設定しています。今年度10月までの実績は、いちばん右側になりますが、就職率が26.5%、雇用保険の早期再就職割合が23.8%で、その左側の前年同期はそれぞれ26.0%とか23.4%ですが、それを上回っていますが、目標の27%、24%には達していない状況です。
 [3]の求人の充足率です。求人の充足率は、求人の充足数を新規求人数で割ったもので、求人の充足数は就職件数になるわけですが、こちらは分子の就職件数は増えているのですが、分母の求人数がさらに増えているということで、10月までの実績は29.0%、前年同期を下回っています。
 [4]の正社員の求人数ですが、正社員の求人数は、右側ですが、10月までの実績が約195万人です。これは、前年同期は167万人です。目標が年間で315万人ですので、これを前年同期あるいは目標のペースを上回る達成状況と考えており、年度目標の達成が期待できるかと考えています。
 [5]、[6]が就職支援プログラム事業です。この就職支援プログラム事業は、早期再就職が必要な方などに対して、就職支援のナビゲータが、担当者制でマンツーマンで計画的な支援を行うものです。この開始者数は9月までの実績しか出ていませんが、9月までの実績で、約7万8,000人、就職率が75.7%で、それぞれ前年同期あるいは目標達成のペースを上回っているということで、目標達成が期待できる状況かと考えています。全体の就職率、再就職割合、充足率については、引き続き注視が必要かと考えています。引き続きハローワークで積極的な求人開拓やきめ細かな就職支援に取り組んでまいりたいと考えています。大体私が申し上げたような話が少し細かく「現状分析」や「今後の取組」等に載っていますので、あとでご覧いただければと思います。また、要約したのが資料2に載っています。
 続きまして、若者の就労促進です。若者の就労促進については、昨年度から少し目標を変えており、昨今学生の未就職対策にかなり力をいれていますので、そういった目標が多く出ています。[1]はハローワークの職業紹介により正規雇用に結びついたフリーター等の数です。10月までの実績が14万2,000人ほどで、前年と同水準をやや上回る状況です。ペースとしても、目標達成に向け着実に実績を上げていると考えています。
 [2]、[3]は学卒のジョブサポーターになります。この学卒のジョブサポーターもハローワークの中にいて、あるいは大学、高校などに出張したりして、高校生や大学生の就職の相談支援を行っています。昨今、急速に拡充を図って、昨年度も2回にわたる補正予算で増員を図っています。10月までの実績は、ジョブサポーターの支援で正社員の就職に結びついた者は7万7,000人ほど、目標が10万4,000人ですので順調に実績を上げているかと思います。開拓求人数は11万7,000人ほどで、年間の目標が11万1,000人ですので、10月時点で既に目標を上回る求人開拓を行ったということです。
 若者の最後ですが、[4]、[5]で新卒応援ハローワークの事業があります。これは大学とか専修学校の学生あるいは未内定者と未就職者の就職相談支援を行う専門の機関として設置したものです。今年4月~10月までの実績は30万2,000人ほどで、年間の利用者数が33万9,000人ですから、それにもう既に達しています。正社員の就職数についても、10月までの実績で3万4,500人ほど、目標が5万3,000人ですので着実に実績を上げています。
 いずれも着実に実績を上げている感じですが、新卒の就職環境は今年も大変厳しいことが想定されますので、引き続き現行施策の推進に取り組んでまいりたいと考えています。
 ハローワークの関係と若者の関係は以上です。

○清家部会長 ただいま、ハローワークの職業紹介と、若者の就労促進についてご説明いただきましたけれども、ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。

○小谷野委員 名簿にもありますように、私どもは中小企業の団体ですので、大企業とは違った事情もあろうかと思います。ハローワークにおける職業紹介の中で、「引き続きハローワークの積極的な求人開拓や、きめ細かな就職支援等に取り組む必要がある」と書いてあります。新卒中途を問わず、ハローワークを利用する環境は整ってきているのではないでしょうか。去年の8月の点検評価部会での、利用者の満足度は85.7%という数字が挙がっておりますのは、それが現れているのではないかと思います。しかし、残念ながら、先日の報道によると、ハローワークの業務において、総務省から改善勧告が出されていると聞いております。雇用のミスマッチが生じないように、是非検討、実行をしていただければと思っております。私ども中小企業は、ハローワークを通じて多くの採用を行っておりますので、是非このようなミスマッチ等が起きないようにご配慮をいただければと思っております。
 また、当部会ではこの数字等の定量的な達成度等を定めておるわけですが、それとともに私どもは、数字だけでなく例えばお客様の顧客満足を目指して日々仕事をしているわけです。ハローワークでもそういうことで、きめ細かなより一層の配慮をお願いできたらと思っております。

○安永委員 関連して申し上げます。ただいま小谷野委員から発言のありました内容については、私どもも同じ考え方です。総務省の行政評価局による調査結果と勧告が1月31日に公表され、延べ相談件数のうち71%の相談内容には求人紹介の状況に関する記録がなかったという結果が明らかとなり、基本業務の徹底などの改善策が厚生労働省に勧告されたと聞いております。
 現在、ハローワークの職員の増員というのは、定員との関係で、その多くが非正規雇用になっております。職業紹介業務を正常に運営するためには、そのマニュアルの整備であるとか、上司の指導が不可欠だと思います。今回の勧告は、その辺に何か不備があったのではないかと思わざるを得ません。小谷野委員からもありましたように、求職と求人のミスマッチの解消ということで機械的にやるのではなくて、ここの文章どおりきめ細やかな対応が望まれますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○清家部会長 それでは、ただいま小谷野委員からありましたご質問にお答えをお願いいたします。

○大西職業安定局総務課長 委員からご指摘がありました総務省の勧告については、勧告の中で職業相談の7割が記録されていないという指摘を受けております。これについては私どもで、相談記録が不十分であると受け止めております。その中にはシステムの入力が一部されていなくて、求職票の裏面に掲載されていたという場合も含まれているということです。
 そういう面でのシステムの改修の点で1つ対応したいと思いますとともに、基本業務の徹底を図る必要性があると考えております。研修制度の充実について、現在検討しているところです。そのほか各種ツール、あるいは資料の提供等も整備してまいりたいと思っております。きめ細やかな対応について、なお一層努めてまいりたいと考えております。
 また、サービスの改善、満足度については比較的良い数字をいただいているわけですが、まだ部分的には低いハローワーク等もありますので、そうしたことがないように、好事例等を情報交換することなどにより、さらに満足度の向上に努めたり、あるいは私どもの本省にサービス推進室がありますので、これらを通じてサービスの改善になお一層努めたりしてまいりたいと考えております。
 非正規雇用の職員ということで、相談員についてもご指摘がありました。これは平成20年度秋のリーマンショックを受け、公務員の定員事情が大変厳しい中、相談員で対応せざるを得ない状況があり、平成21年度から大幅に増員させていただいたところです。相談員についても、いろいろなご指摘を受け、現在ではマニュアルを整備したり、相談員を採用したときに、ハローワークで研修を行うなどの体制を整えたりして、サービスの低下にならないように努めてまいりたいと考えております。

○清家部会長 小谷野委員、安永委員よろしいですか。

○両委員 はい。

○清家部会長 ほかにご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。

○樋口委員 今、見てきたハローワーク、あるいは若者の就労促進についての数字は景気の動向に相当影響されているものが多く、特に2011年度については東日本大震災という、非常に大きなショックが起こったということですが、それにもかかわらず一応目標値を達成されそうな数字が多いというのは、相当頑張ったのだろうと思います。
 その中で、例えば応援という形で被災地にほかの県から、ハローワークの職員の人たちが来るというようなこともあって、そういう目的、目標値が達成できるという状況になってきたのだろうと思います。4~10月の数字というのが、通常では季節調整ということで、同じような季節性を持ったパターンで動く。その結果2010年度と2011年度を比較すると、大体こんなものかということで想像できるのですが、今年については季節性というよりも、3・11ということで、上半期に非常に大きなショックが起こって、それで追い付いてきているということは、単純に考えると、今度は後半下半期のところで、さらにそれを超えるようなということが期待できるわけです。そういう動きで、この下にも季節性で1~3月は例年どうも良くないということが書いてあります。ここをなんとか乗り越えてほしいというのが1つです。
 もう1つは、例えばいまの就職率を考えたときに、求人が出てきて、あるいは求職者が出てきて、その何パーセントが就職できたということだろうと思うのです。もう求職にも出てこないような人たちというのは、かなり景気が悪化したり、被災地辺りでは多くなってきているのではないかと思います。そうすると、この統計だけでよろしいのかどうかです。中には、上にあるような関連する目標の中に、20~64歳の就業率ということになると、就業率はここのところ下がってきているような動きがあります。求人にも出てこない、その結果ディスカレッジしてということになっているのだと思うのです。そういう求人開拓と同時に、求職者についても働きかけをしていく。これをハローワークだけでやるのはとても大変だろうと思いますが、そういうものをしていかないと、結局分母・分子とも小さくなりましたと。その結果数字は上がりましたということになってしまうと、我々の目指しているものとは違う可能性があるので、そういうものについてもご配慮いただければと思います。

○清家部会長 事務局からお答えをいただけますか。

○大西職業安定局総務課長 委員のご指摘ですけれども、確かに経済動向によって求人が増えたり減ったり、あるいは求職者が増えたり減ったりということがあります。それについては、一応私どもが2011年度の目標を設定するときには、経済見通しとともに、どのぐらい求人が増えるか、どのぐらい求職者の動向があるかということを配慮しながら決めていっているという状況です。
 例えば、就職率と、求人充足率は裏腹なのです。[1]の就職率ですが、この資料では2011年度の目標は27%以上となっていますが、2010年度の目標は26%で、ここは1ポイント上がるだろうと。求人充足率は2011年度が27%ですが、2010年度は31%ということで4ポイント落ちています。2010年度に比べると、2011年度としては、この時点では震災の影響は配慮されていなかったわけですが、多少景気が良くなるということで求人が増えて、求職者は若干減っていくのではないかということで目標設定をさせていただいております。
 もう1つのご指摘の、潜在的な失業者といいますか、労働市場に出てこない方に対するアプローチという点については、現在ここの指標には確かに入っていません。特別対策という形で、職業安定行政として、例えば震災の場合は被災地で被災された方で失業されている方には、安定所からアプローチをする形で、いろいろ職探しのお手伝いをさせていただいたり、あるいは新規学校卒業者に対する支援という形でやらせていただいたり、ある程度特別な領域を限った対策としては、現在もやらせていただいております。ご指摘の点については、不十分な点もあろうかと思いますので、今後も検討してまいりたいと考えております。

○清家部会長 樋口委員よろしいですか。

○樋口委員 はい。

○清家部会長 ほかにはいかがですか。

○金子委員 いまの関連もありますが、とりわけ2番の若者の就労促進のところです。樋口委員の言われた、就業率だけでは実態がつかめないというところは全く同感であります。とりわけ若者の就労促進の観点で見ますと、いまの目標なり項目というのが、就職者数、もしくは就業率というところにかなり寄っています。
 一方で就職後、中卒では7割、高卒では5割、大卒では3割というような「七五三現象」といったものが現時点でも起きているという理解をしております。そういう意味では、就職後の、例えば離職率もしくは定着率という視点での検証も必要ではないかと考えますので、その点もご考慮いただければと思います。

○小谷野委員 若者の就労促進のところの指標を見ていると、特に学卒ジョブサポーターによる支援等で大きな成果が上がっているということで評価ができるのではないかと思っております。目標や実績とは直接関係はないのですが、大学卒の学生が中小企業を就職先として志向する方がまだまだ少ない、大企業志向といいますか、安定志向ということだろうと思うのですが、中小企業にも素晴らしい会社があるわけで、将来大きく伸びる会社があるわけです。そういう所は優秀な若者を求めているのですが、なかなか就職先に選んでもらえない現状があります。
 前回も申し上げたのですが、例えば文科省とか他省庁と連携して、大学で中小企業にも魅力的な企業があるのだというような教育をやっていただければ、より中小企業に学生の目が向くのではないかと思っておりますので、是非ご配慮いただければと思います。

○清家部会長 宮本委員のご発言の後、必要であれば事務局からまとめてお答えいただきます。

○宮本委員 事務局のご尽力で、この評価シートに盛り込まれている情報量もだんだん増えてきていると思うのです。同時に各委員のご議論を伺っていると、やはり数字の奥にあるものをもうちょっとしっかり分析したいというお気持ちが窺えます。樋口委員からもありましたけれども、これは懸案で経済動向等との関連、それから投入されている政策資源との関連、あるいは政策展開との関連、評価シートで拝見いたしますと、この関係施策の状況のところが、おそらくそうした情報を提供するところだと思うのです。
 これは、欄によってそこに盛り込まれている事柄がいろいろばらけていますので、ここを統一して、これは必ず盛り込まれなければいけないというもの。例えば労働市場の状況及び関係施策の動向でも結構です。それぞれの欄で、総務省からハローワークに対する指摘ですけれども、やはり現場はペーパーワークで忙殺されているところもあると思いますので、何が行われなければいけないのかも含め、この投入されている政策資源、経済動向、政策展開と、必ずここで満たされるべき項目が、今それは何かと言われてすぐに答えることもできないのですが、ここの議論の中で見えてくるといいと思っております。その辺りについて少しお考えいただけるとありがたいと思います。

○大西職業安定局総務課長 最初にご質問いただきました、卒業後3年以内の離職率のことです。従来から七五三現象と言われていて、3年以内に離職する方が多いということです。長期的にトレンドを見ますと、かなり経済状況に影響があるのではないかということです。いま配付している資料にはないのですが、私の手元にある資料では、例えば平成20年度の数字では、3年後の離職率は高校で37.6%、大学で30.0%です。その5年前の、たぶん景気の良かったときだと思うのですが、平成16年度には高校が49.5%、大学は36.6%の離職率でした。高校では12ポイントぐらい減少していますし、大学では6ポイント程度の減少ということで、かなり景気の動向も反映されている部分があるのではないか。長期的に見ると、平成の初めごろの景気が悪かった時期は、若干離職率が落ちている状況です。これについて、今にわかにこれを目標としてどのように設定できるかというのを、私はここでお答えできないのですが、ご意見については検討させていただきたいと思います。
 もう1つご指摘のありました、大学卒業生と中小企業とのマッチングということです。確かにこちらの指標で、ジョブサポーターによる支援というのはかなりの成果を上げているわけですが、全体で大学を卒業して未就職の方の人数はかなり高い人数でとどまっているということで、私どもも非常に危機感を抱いております。もちろん、今年卒業する4年生の方の追い込みの対策はやるわけですが、来年度からは大学にまだ在学中の方に対する職業ガイダンスという形で、文科省ともタイアップしてやっていこうということで、私どもとしては、ジョブサポーターはハローワークにもいるのですが、大学に派遣して、大学で職業講座とか、あるいは相談みたいなことができないのかということを現実に検討しているところです。
 成長戦略の中でも、今年の半ばまでに若者雇用戦略ということで、経産省、文科省と私どもが中心となって対策を取りまとめることになっております。そうした中で、大学卒業生と中小企業とのマッチングについて、より一層スムーズにできるようにやってまいりたいと考えております。

○酒光労働政策担当参事官 宮本委員からご指摘いただいた点は大変重要なご指摘です。これまでいろいろとご指摘をいただいて、少しずつ改善してきたところですけれども、いまのご指摘も踏まえ、今後どのようなことができるかよく考え、一層の改善につなげていきたいと思っております。

○安永委員 宮本委員からご発言がありましたので、私も同様の観点で資料2の記述の仕方について申し上げます。資料2は、項目ごとに今後の取組まで記述しているのはほとんどなくて、全体的には目標達成度合のみの記述にとどまっているような感じがしております。
 このことは、この部会の位置づけにもかかわる話だと思っております。この資料だけでさまざまな所に出ていく可能性もあるわけです。目標を達成さえすれば、その課題が順調に推移し、完全に解決するものではないと思っております。民間ですと、中間決算で目標達成の見込みがありましたら上方修正も当たり前です。本来はどのような施策を講じてどうなったのか、今後何が必要なのかということも見えるように記述すべきではないかと思っております。資料3には、すべての項目でそのような項目も記述されていると思います。ポイントでも結構ですので、資料2が単独で読まれることも考慮しての記述が必要ではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○川崎委員 私からは、若者の就労促進に関してのところです。全体的な指標を拝見すると、順調に取組が進んでいるという評価がされると思うのです。先ほど来、複数の委員からの発言にもありましたが、新卒者の内定率がはかばかしくない、あるいは若者の就労自体も、ここに出てきている数値は順調なのですが、就労した後の離職率の問題、あるいは求人とのミスマッチのところが指摘されているかと思います。
 そういう意味では、今回挙げている項目に関して、点検評価部会で毎年適宜チェックをしていくということだと思いますが、それ以外の先ほどご指摘のあった、例えば離職率とか、新卒の内定率というものを、時系列で参考資料的な扱いでわかるような提示も是非ご検討いただければと思います。

○酒光労働政策担当参事官 安永委員からのご指摘で、目標の達成状況だけではなくて、どういう取組をしたか、今後どうするのかということも書いたほうがいいというご指摘がありました。ごもっともなご指摘だと思いますので、ほかの委員の方々に特にご異論がなければ、そのような形で加筆したいと考えております。

○大西職業安定局総務課長 参考資料については追加させていただきます。

○清家部会長 ほかにないようでしたら、ここのところに戻ることも当然あるということで、次の項目に移ります。次は「女性の就業率の向上」「高齢者就労促進」「障害者就労促進」についてです。事務局から説明をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 資料3の5頁「女性の就業率の向上」です。こちらも5つの指標があります。[1]は男性の育児休業取得率。[2]は3歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率ですが、子どもが小さいうちに短時間勤務をする仕組みです。[3]はポジティブ・アクション取組企業割合ですが、いずれも年1回の調査で状況を把握しているということで、中間評価の対象となる数字が入っていないということで横棒になっています。中間評価の対象になる数字が入っているのは[4]と[5]のマザーズハローワーク事業です。マザーズハローワークはご承知かと思いますけれども、子育てをしながら仕事を探している主に女性の方が来やすく、それに合った相談をしている専門の機関ということです。そのうち特に支援が必要な方については、重点支援対象者として担当者制でその支援を行っています。その重点支援対象者の数は、2011年9月までの実績で約2万7,000人、就職率は88.7%です。これは、いずれも前年同期を上回って、目標達成が期待できる状況かと考えております。
 女性の就業率の向上は、男性の育休の取得率等の数字はありませんけれども、非常に大事な問題であります。改正育児・介護休業法の周知徹底等も図っていく。ポジティブ・アクションの推進についても、均等の「見える化」等の取組を推進しております。マザーズハローワーク事業については、引き続ききめ細かな支援を行っていきたいと考えております。
 8頁の4は「高齢者就労促進」です。こちらも指標が[1]から[4]までありますが、[1]の希望者全員が65歳まで働ける企業の割合、[2]の「70歳まで働ける企業」の割合とありますが、これについては2010年度の実績が先般出ましたので、それは後ほど資料4でご説明させていただきます。[3]と[4]は中高年齢者試行雇用事業です。これは、中高年齢者に、3カ月程度試行雇用を行い、いわゆるトライアル雇用ですが、その後そこでマッチングを図って本採用につなげていくものです。これの10月までの実績ですが、開始者数が3,101人、常用雇用移行率が77.5%ということで、いずれも前年を上回っておりますし、目標を上回るペースで来ているということで、目標に向けて順調に事業を実施している状況かと考えております。今後もこの試行雇用事業については、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 10頁の5の「障害者就労促進」です。ここも[1]から[5]まで目標があります。[1]はハローワークにおける障害者の就職件数です。10月までの実績が3万4,000人余です。目標は前年度以上ということになっているわけですが、前年同期の実績が3万1,000人で、それを上回っていて、目標達成が期待できる状況だと考えております。[2]の障害者の雇用率達成企業割合は、2010年度の実績が先般出ましたので、後ほど資料4でご説明させていただきます。[3]と[4]は障害者試行雇用事業、これもトライアル雇用事業です。これも中高年の事業と同じで、3カ月程度試行雇用していただき、良ければ本採用していただく事業です。10月までの実績は、開始者数が6,700人余り、そこから常用雇用に移行した、いわゆる本採用につながった方が87.4%ということで、いずれも前年同期を上回っていて、目標達成が見込まれる状況と考えております。[5]は精神障害者雇用トータルサポーターの関係の事業です。精神障害者雇用トータルサポーターといいますのは、ハローワークにおいて精神障害者のカウンセリングとか、あるいは企業の方に精神障害者の雇用についての意識啓発等を行う専門家として委嘱しているものです。
 このトータルサポーターの支援を受けて、就職あるいは就職までには至らないけれども、例えば職場実習だとか訓練だとか、より就職に近いところに移行した者の割合を目標として設定して、その移行率を60%以上と目標を設定しています。9月までで77.3%ということで、目標をかなり上回る状況だと考えておりますので、目標達成が期待できる状況かと思います。以上障害者関係は、いずれも目標を上回る、あるいは前年を上回る実績を上げておりますので、引き続きその施策をしっかりやっていきたいと考えております。私からの説明は以上です。

○清家部会長 「女性の就業率の向上」「高齢者就労促進」「障害者就労促進」の部分について説明がありましたので、前のラウンドと同じように自由にご意見、ご質問をお願いいたします。

○芳野委員 女性の就業率の向上のところで質問させていただきます。男性の育児休業、3歳までの短時間勤務制度についてです。こちらのほうは両立支援の課題として後ほど説明があるかと思いますが、ディーセント・ワークの項目に入れるのが適切ではないかと考えております。また、男性の育児休業が、女性の就業率の向上に直結するとは限りませんので、ここで記載するのであれば、「女性の育児休業取得率」のほうが適当ではないかと考えます。
 もう1点は、25歳~44歳までの女性の就業率の目標値が73%となっています。雇用以外の就業者もここに含んでいるのかということ。労働政策ではないので、評価の対象にはならないとは思いますけれども、女性にとって両立支援課題というのは、妊娠・出産への配慮措置の実施状況や、保育所等の充足率のほうが要素としては非常に大きいと考えておりますので、こうした周辺環境をどのように扱うのかについてお伺いします。

○吉本雇用均等政策課長 女性の就業率の向上に関して、1つは目標の設定で、この目標でいいのかどうかということでのご提案がありました。いまある目標は、ご承知のとおり新成長戦略をベースに毎年各分科会でご議論いただきました結果として、この3つを掲げさせていただいています。いま掲げているもの以外にも必要なものがあるというご意見をいただきましたので、ここでの意見も踏まえて、分科会で改めてご議論の場を設けさせていただきます。
 就業率の25歳~44歳までの73%の目標については、雇用者のみならずそれ以外の形態の就業者も入っております。もちろんこの就業継続を進めていくために必要な課題はさまざまあります。いま具体的にご提起のありました妊娠・出産期における不利益な取扱いがないような形で継続就業を進めていくということも重要な課題だと考えております。それについては、リーマンショック以後、実態としてはかなりそういう不利益取扱いを受けたというご相談が高い水準でずっと来ている実態は私どもも把握しております。もちろん法違反にわたるようなのがあれば、それは徹底して是正しておりますし、またその未然防止ということについても努めているところであります。トラブルになったときの紛争解決援助の仕組みが労働局にありますので、そういう中で円満に解決に至るケースもありますので、そういう仕組みの周知も図っていきたいと考えております。
 その他、継続就業を図るための保育サービスの充実についてですが、ここでは主に労働政策にかかわることということでは掲げておりませんけれども、同じ局の雇用均等・児童家庭局の中で、子ども・子育てのシステムの改善に向けた議論をしているところですので、そうした中で改善を図ってまいりたいと思っております。

○清家部会長 芳野委員よろしいですか。

○芳野委員 はい。

○小谷野委員 女性の就業率の向上、高齢者就労促進、障害者就労促進の3点に共通して言えることですが、最近の円高とデフレの状況ということで、中小企業の置かれている環境は大変厳しいものがあります。例えば、納入先からよりコストダウンを求められたり、また納入先そのものが円高で海外に行ってしまったりということで、納入先がなくなってしまうようなこともあり得るわけです。そういう中で、この3点の促進もしていかなくてはならないのは、中小企業にとっても大変厳しいものがあります。企業が存続しなくては、雇用の受け皿になり得ませんので、是非今まで以上の中小企業への支援をお願いしたいと思っております。

○清家部会長 それは、ご要望ということでよろしいですか。

○小谷野委員 はい。

○安永委員 いまのお二人の発言にも関連するわけですが、課題認識を合わせたいという意味で発言させていただきます。日本の将来人口推計が1月30日に発表されましたが、2060年には、65歳以上人口がほぼ4割になると見込まれているようです。騎馬戦から肩車にというような議論もありますが、高齢者人口が2割強増加して、生産年齢人口が4割強減少することになると、その直接的な問題だけではなくて、納税者人口、社会保険料等の拠出者人口、消費者人口が確実に減ってしまうことになってしまいますので、そのような問題と併せて女性の就業率と、いかに生産年齢層の就業率を向上させるかという国家的な課題として捉える必要があるのではないかと思います。その生産年齢層のストックと言ったら失礼ですが、バッファーといいますか、女性の就業率向上が戦略課題になっていくと思っておりますので、いまお答えのあった内容も含めて強化していくことが必要だと思います。
 一方で、非正規社員といいますか、非正規化が進んで、特に女性の場合は5割以上が非正規ということで、非正規で働いていても、妊娠・出産に関わる保護措置であるとか、産休・育休を取得できるような処遇改善が急がれるのではないかと思います。
 それから、男女共に非正規の割合が増えていて、不安定な経済環境、家族形成ができないということで、非婚化・晩婚化という悪循環を辿ってしまっているのではないかと思っております。このまま行けば、さらに出生率なども低くなると言われていますし、人口構造の問題を雇用政策からどう見るかという視点でも、戦略課題として捉える必要があるだろうと思いますので、強調しておきます。

○樋口委員 いまご指摘の非正規問題をどう考えていくのか。特に今回の評価の中で、大よそのところが人数というか全体の雇用のパイをどうするか、就業率をどうするかということで、特段それが正規であろうと、非正規であろうとここの数字としては同じ1人と数える所が多いわけです。
 今の女性の就業率のところで関連する2020年までの目標の中に、第1子出産前後の女性の継続就業率は55%となっていますが、これは正規と非正規と両方が入った数字になっています。今回内閣府から出ているワーク・ライフ・バランス・レポートを見ても、正規はかなり継続就業率が上がってきているにもかかわらず、全体で見るとその比率はほとんど変わっていない、継続就業率は変わっていない。それは、結果的に非正規の比率が上がっているということで、そういう現象が起こっているのだという説明があったと思います。
 そうすると、上のほうの関連する目標で、継続就業率55%を達成するためには、どうしても正規、非正規の問題を回避してはなかなか議論ができない。もう既に少なくとも正規については60%の継続就業率に公式な統計ではなってきているということです。どうしてもこれを上げていくのだというところについては、非正規問題をどう考えるのか、それをこういう数値の中で全部合わせた数字ということでよろしいのかどうか、そういうのも今後の議論の過程として起こってくるのではないかと思います。特に、今回のこういう数字を見ても、全部賃金の話、あるいは雇用条件の話というのは一切入ってこないわけです。それはマーケットで決めるのだというような考え方で、政策の数値目標で出すのは難しいというのは十分承知しておりますが、しかしそこにおける雇用の質の問題、量の問題だけではなくて、質の問題をどう考えていくかということは、やはり議論しておいたほうがよろしいのではないかと思います。経営が非常に厳しい中において、それを達成することは難しいということもありますので、その辺も含めて何か議論をしておく必要があるのではないかということです。

○清家部会長 ここまでのところで関連のご質問はありますか。ないようでしたら事務局からお答えをいただけますか。

○吉本雇用均等政策課長 非正規が多くなっていることの問題については、ご指摘のありました第1子出産前後の継続就業の率は、もちろんウエイトは非正規のほうが高くなったことが全体を引き下げている現実はあるのですけれども、非正規について過去と比べると、少しずつ継続就業率は上がっているという実態も一方であります。そこを、いかにこれからさらに上げていくのかというところが大事だと思っております。
 これは妊娠・出産の不利益取扱い、別に正規とか非正規には関係のない話ですので、当然徹底してやっていくとともに、特に育児休業の取得に関してはやはり非正規、特に期間雇用者と言われる方々についても、要件を満たせば取れるわけなのですが、まだまだそれが認識されていない、取りにくいというのがあるということです。そこは、かなり細かいマニュアルなども作り、周知に努めているところです。

○酒光労働政策担当参事官 そのことで、安永委員から最初に人口推計に関連して、働く人が減っていくというお話がありました。まさにこの全体の点検評価部会でいろいろな目標を掲げておりますが、大目標のところに1つあるのは、全体の就業率を上げていこうという話があります。いまは就業者は大体6,250万人いるのですが、就業率が変わらないと5,850万人というように約400万人減ると見通されております。
 成長戦略で目標にしておりますのは、20歳~64歳の就業率が今は約75%弱ですが、これを80%にするという目標です。それぞれ女性とか、そういうところに就業率が書いてありますけれども、それと整合する形で目標設定をしています。全体として雇用の量の面では、就業率を引き上げるというのが全体を通した目標になっているということです。それぞれの対策もそれでブレイクダウンされるということです。
 それだけではなくて、もう1つは質の面です。特に正規と非正規で、非正規を意識した指標が少ないというのは樋口委員からご指摘いただいたと思います。これについては、これから各分科会で、また来年度の目標を検討することになるかと思いますので、どのようなことができるかを内部で検討し、また分科会などにお諮りすることになろうかと思います。

○田中委員代理(輪島主幹) 別件ですけれども、7頁の[3]の2段落目に、「中小企業に重点を置いた」というパラグラフの1行目に「見える化」で、2行目にも(均等の見える化)、3行目にも「見える化」と出ているのですが、読んでいてもあまり見えないので、もう少し中身がわかるような修正をお願いしたいという要望です。

○清家部会長 それでは、輪島委員代理のご要望はそのような方向でお願いいたします。

○戸田委員 高齢者就労促進について2点ほどお聞きいたします。2010年度の施策実施状況に係る分析は、厚生労働省の「高年齢者の雇用状況集計結果」が基礎データになっております。この集計は報告といいますか、資料にもありますように、31人以上規模の企業が対象とされています。したがって、30人以下規模の企業は集計には含まれていないと思われます。
 そこで全体観ということでお聞きしたいのですけれども、30人以下規模の企業は、国内の全企業数、並びに全従業員数のそれぞれどのぐらいの割合を占めているのかをお聞きします。もう1点は、「高齢者の雇用を確保すると、若年者の雇用が奪われる」ということをおっしゃられる方もいるようですが、厚生労働省として高齢者雇用と若年者雇用との関係についてはどのように考えているのかをお聞きいたします。

○安永委員 ただいまの質問に関連して申し述べたいと思います。雇用と年金との接続について、高年齢者雇用安定法では、正社員の定年到達者のみを想定していると思っております。現在、雇用労働者の約3分の1を占める非正規労働者のほとんどが有期契約労働者と考えられております。有期契約労働者として60歳を迎える人が、今後さらに増えてくると見込まれる中で、いまいる現役の有期契約労働者の皆さんも、60歳を超える前に適切な対策を講じることが必要だと思っております。有期であろうが、正社員であろうが、それに問わずに雇用と年金の接続を担保していくことが重要な課題だと思っておりますので、その解決策についても、国を挙げて考えていくべきだと思っております。

○大西職業安定局総務課長 最初にご質問のありました点ですけれども、高齢者雇用状況報告については、確かに31人以上ということで取っております。30人以上の企業の規模は、全体の8%強ですので、その残りの部分は30人以下の企業となります。労働者の数でいうと、30人以上の企業に勤めている方がわりと多いわけで、全体の77%強です。これは、「経済センサス」というものから数字を拾ったものです。
 2番目の、高齢者と若年者のトレードオフがあるのではないかというご議論はいろいろな所であるとは思いますが、厚生労働省の考え方としては、昨年行った今後の高齢者雇用に関する研究会報告で企業ヒアリングをしたということが1つあります。その中では高齢者と若年者とでは、労働力として質的に異なるというご意見、若年者の新卒採用は、高齢者の雇用とのバランスよりも、景気の変動による事業の拡大・縮小との見通しにより決定しているのではないかというご意見がありました。
 ILOとかOECDの報告書等を私どもが見ても、若年労働者が、単純に高齢労働者の代替にはならないという報告がなされています。ヨーロッパにおいて、高齢者の早期の引退ということも一部でされたようですが、それで若年者の失業が直ちに解消したということには、どうもなっていないようです。高齢者雇用が、直ちに若年者の雇用に悪影響を及ぼすということではないのではないかと考えております。
 マクロ的に申しますと、少子高齢化の進展があるわけで、例えば10年ぐらい先まで考えると、就業者数もだいぶ減ってくるということで、400万人程度は減るのではないかとなっております。そういう観点で若年者、女性、高齢者、障害者といったいろいろな方々が、それぞれの能力や意欲に応じて働き、就労促進を図っていくことが大切なのではないかと考えております。
 非正規労働者の60歳以降と申しますか、そういう時期での雇用ですが、私どもで現在やっている施策としては、ハローワークにおける職業相談とか職業紹介ということで、中高年齢者のトライアル雇用奨励金を活用し、そういう方々についても、なるべく65歳まで働いていただけるよう、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

○坂田委員 高齢者雇用に関してですが、8頁の表で[1]から[4]まで目標があって、実績が出てきています。今回実績が確定しているのが[3]と[4]ということで、これは達成できそうだということ。[1]と[2]については未達成ではあるけれども、目標に向かって近づいているというふうに見させていただいております。その中で、先ほどから多くの委員がおっしゃられているように、この数値は数値として、その背後にある要因の分析と、これからどうしていくのかというところが大事だということは、私もそう思います。
 その中で、特に今後の取組のところで、雇用と年金を確実に接続させるための法整備について検討と書いてありますけれども、法整備の方向性についてはもう既にかなりのところまで明らかになっております。しかし、いまやっているのは目標を立てて、その目標に向かって努力をするということと理解しております。労使であったり、あるいは行政の力をお借りして、またさまざまな関係者と協力し合ったりして、自主的に手を打っていき、それで目標を達成するというところにその意義があるのでは、と思います。今後の取組の中の法整備の内容が65歳までの希望者全員の雇用を法的に規制してしまおうということを言っているのであれば、いまの段階でここに載せるのは少々違和感があります。その前に努力するべきことを努力するというステップがあって然るべきではないかと思います。意見ですけれども、もし何か回答がいただけるのであればお願いいたします。

○大西職業安定局総務課長 ほかの部会において、高齢者雇用安定法の改正について議論がされていることについてはご承知のとおりです。いまのご発言を、私どもが正確でない理解をしていると申し訳ないので、先にお詫びさせていただきますけれども、必ず60歳までの雇用義務という形での議論というわけではなくて、そうした継続雇用制度という、現在の高齢法に書いてある継続雇用制度について、希望者全員がその制度の対象となるような形での制度改正でのご議論が、雇用対策基本問題部会でなされているという状況です。そうした中で、もちろん私どもとしても、政府としてもいろいろな助成制度を作るなど支援措置を充実させて、なるべくそういった希望をされる方が、長く働けるような仕組みを作っていくというのがいいのではないかと考えているところです。

○宮本委員 高齢者就労関連でいま議論になっているところに関連して2点ほどですが、これは戸田委員からもお話があったところですけれども、高齢者雇用の受け皿を少し広く考えていくということで、是非30人以下の、特に社会的企業と言われているような事業体における高齢者雇用、地域の高齢者雇用の促進のところも、是非射程に収める工夫をしていただければと思います。
 おそらくこれとも関連すると思うのですが、これは坂田委員からもお話がありましたが、高年齢者雇用安定法の改正にかかわって、確かに規制だけではなかなかうまくいかないだろうと思います。素人考えでも大きな企業の現場できちんと引き受けていくのは難しいところもあろうかと思います。是非この点検評価部会で、受入側からも忌憚のないいろいろなアイディアをオルタナティブとして並べていただくのも大切なのかと思います。その2点をお話しておきます。

○清家部会長 そういうご意見ということでよろしいですか。

○宮本委員 はい。

○樋口委員 高齢法についてはいろいろ議論があるかと思います。その高齢法とも関連するのですが、70歳まで働けるということが[2]の数値目標で挙がっています。行政において、60代後半の扱いは今どうなっているのだろうか。私の認識ですと、かつては60歳までが例えば職業紹介であるとか、あるいは雇用保険の対象というものであったのが、65歳まで引き上げられてきたということがあるかと思います。ただ、今でも65歳で失業している場合には一時金を65歳で払うということで、その以降についてはどういう扱いに今はなっているのかを教えてください。

○大西職業安定局総務課長 それについては、いま樋口委員がおっしゃったとおりで、雇用保険制度等は65歳までという取扱いになっております。

○樋口委員 そうすると、70歳まで引き上げるために、いろいろ企業に位置づける工夫をこらそうということになったときに、必ずしもそこまでは支援の対象にならない。やはり65歳までを当面想定した支援ということになっているのでしょうか、あるいは65歳を過ぎた人が職業紹介を求めてきた場合に、ハローワークではどのような対応になっているのかを教えてください。

○大西職業安定局総務課長 雇用保険制度については65歳までという取扱いになっております。ハローワークで65歳以上の方が就職を希望ということで来られた場合には対応させていただいている状況です。

○樋口委員 企業への支援というのはどうなっていますか。

○大西職業安定局総務課長 70歳まで働ける企業に対しては、一部助成金の対象になっているものもあります。手元に詳しい資料がありませんので、後ほどご説明させていただきます。

○樋口委員 もう65歳、70歳というターゲットに入ってきているわけです。そうだとすると、そこもある者は駄目、ある者はいいということではなくて、その線引きの仕方も少し変えていく必要があるのではないかと思いますので、ご検討いただければと思います。

○清家部会長 はい、ありがとうございました。恐縮ですけれども、少し時間が押しておりますので、また前のところに戻って議論をしていただくということで、次に人材育成とディーセント・ワークについて事務局から説明をしていただき、また引き続きご議論いただきます。

○酒光労働政策担当参事官 それでは、資料3の12頁の6「人材育成」です。[1]~[9]まで指標があります。[1]~[3]までが公共職業訓練の離職者訓練に関する目標です。公共職業訓練(離職者訓練)の受講者数は、10万7,000人余り、前年の同期約12万2,000人を下回っている状況です。離職者訓練のうち施設内で行う場合と民間の教育訓練企業に委託する場合とありますが、そのうち公共職業能力開発施設で行う施設内訓練の就職率は修了後3カ月後で、7月までに訓練が修了したものを取っておりますが、就職率が78.5%。民間の訓練機関に委託したものは、同様に6月までに訓練が終了したもので65.4%です。施設内訓練については大体去年と同じですが、若干下回っている状況です。委託訓練については去年を上回っており、目標も今のところ上回っていますが、引き続き目標達成に向けた取組が必要な状況であろうと考えております。
 続きまして、[4]と[5]で緊急人材育成支援事業による職業訓練です。これは雇用保険を受給できなかった、あるいは受給を終了した方が対象。離職者訓練は通常雇用保険を受給している方ですので、そういう雇用保険を受けてない方に対し訓練を行って、かつその訓練期間中の生活維持のための給付を行う仕組みです。いわゆる基金の事業で、予算措置で行っていた事業です。2011年9月まで行い、10月からは法律に基づく求職者支援訓練に変わった事業です。この目標としては緊急人材育成支援事業として設定しております。この実績は、受講者数は約20万5,000人。目標は12万人なので、かなり目標は上回りました。就職率は、これは7月までに修了した方が73.7%で、目標の就職率である60%をかなり上回っており、これについての目標達成はほぼ確実と思っております。この事業については、実績を上げたということだと思っております。
 [6]のジョブ・カードの取得者数です。ジョブ・カードはご承知かと思いますが、正社員経験の少ない方にキャリア・コンサルティングや、実践的な職業訓練を行い、その評価をジョブ・カードという形で取りまとめ就職に活かすものです。4~10月までの新規取得者数は15万1,000人です。前年同期は12万2,000人ですので、かなり上回っていますが、目標が28万人でこれもかなり高く、ぎりぎりですが引き続き目標達成に向けた取組が必要な状況だと考えております。
 続いて[7]ニートの縮減で、具体的にサポステによるニート等の就職等進路決定者数と書いてありますが、サポステは地域若者サポートステーションのことです。若者支援に実績のあるNPO団体等に委託して、ニート等の就職が難しい若者に就職までに行く前の段階ということで、職業的な自立をいろいろ支援しているという事業です。この目標は、就職あるいは就職に至らないまでも、職業的な自立に繋がるような進路を決定した者の数で取っておりますが、2011年度の目標は7,800人。設置個所数の拡充も図っているので目標も高めに設定しておりますが、10月までの実績は6,384人で、目標に対して82%の進捗状況と言うことで、目標達成が見込まれる状況であります。これについては※6で注が書いてありますが、進路決定者数の取り方の前年度の実績が6,742人とありますが、前年度と変えていまして、前年度までは地域若者サポートステーションに若い人がきて、そこから6カ月経過後時点で就職なり何なりしているかで数を計上していましたが、今年度から各月で実際に進路決定に繋がったという実績をもって把握することといたしましたので、数値としては前年度との比較はできません。念のため申し上げておきます。このサポステの事業については、2010年度の実績が前回の評価に間に合わなかったもので、これについて後ほど資料4で説明します。
 次に[8]と[9]は自己啓発を行っている労働者の割合。[8]正社員、[9]非正社員です。これについては年1回の調査で、今回評価対象となる指標はありません。
公共職業訓練、施設内訓練の就職率等がやや前年度を下回っていますが、就職支援責任者の配置等により、今後は就職支援を強化していく、あるいは受講あっせんを適切に行っていく、訓練コースもニーズを踏まえた設定で行うような取組を行っていきたいと考えています。緊急人材育成支援事業については、すでに10月から求職者支援制度というものになっておりますので、引き続き修了者の就職支援に繋げていきたいと思っております。
 地域若者サポートステーション事業についても引き続き取組を強化していきたいと思っております。自己啓発については、キャリア形成促進助成金、教育訓練給付といった支援措置もありますので、そういったものの活用なども周知等を図っていきたいと考えております。以上が人材育成の関係であります。
 中間評価の最後ですが、資料3の17頁ディーセント・ワークで、こちら[1]~[5]まで評価の指標があります。[1]が年次有給休暇取得率で、これは年1回の調査のため今回はありませんが、2010年度の数字が出ましたので、後ほど資料4で説明します。[2]週労働時間60時間以上の雇用者の割合。これは申し訳ありませんが、ほかは大体会計年度で目標設定していますが、これは暦年で目標設定しています。1月~10月までの実績で60時間以上働く雇用者は9.4%いることです。この数字は前年同期の実績9.5%より下回って改善していますが、2011年度の目標は9.0%ということですので、それには届いていない状況で、一層の取組が必要と考えております。
 [3]労災発生件数は、これは休業4日以上の死傷者数を調べております。なお、これも注釈目標のところに書いてありますが、震災を直接の原因とされるものは除き、いわゆる震災で津波にあった方を除いた数字になっています。1月~10月まで実績は、66,500人ということになっており、前年を上回っているという状況です。目標が前年比5%減ですので、目標達成が厳しい状況であります。要因としては特徴的なものとして、震災の復興の事業等に伴う事故ですとか、あるいは最近では第三次産業で高齢者の方が、事故を起こすことが特徴かと考えております。
 [4]で、メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合。これは2011年度目標の数字ではなく、労働政策審議会の建議を踏まえ所要の見直し措置を講じるという目標になっています。これについては安全衛生法の一部を改正する法律案要綱を諮問答申し、国会にも提出しました。
 [5]受動喫煙のない職場の実現も目標、実績ともに同じ状況です。今後は、有給休暇の取得促進、あるいは長時間労働の抑制で、労働時間の見直しガイドラインもありますので、そういったものも周知していくことにより、積極的に働きかけて行きたいと思います。特に改善の必要のある業種などに重点を置き、コンサルタントの活用等で取組を進めていきたいと思っています。
 労災については、建築工事、陸上貨物運送、第三次産業関係で小売、福祉施設こういったものを重点指導の対象とし、労災の防止に取り組んでいきたいと思い、震災の復旧、復興関係についても、事故防止のための関係者からの協議の枠組みを作るなどの取組を進めていくふうに考えております。人材育成、ディーセント・ワークの関係は以上でございます。

○清家部会長 ありがとうございました。では人材育成とディーセント・ワーク部分について何かご意見、ご質問等はございますか。

○安永委員 人材育成に関して発言させていただきたいと思います。ここに掲げられたそれぞれの目標は、雇用を支える、どちらかというと、守りの人材育成とでも申し上げたほうがよろしいでしょうか。そのような守りの目標が掲げられており、これもとても重要な目標だと思っていますが、昨年4月に策定されている第9次職業能力開発基本計画の中では、守りの人材育成に加え、攻めの人材育成が盛り込まれていると思っております。それは経済成長と人材育成を結び付けるということで、グローバル人材や最先端の技術人材・高度人材の育成、医療・福祉・介護等の今後成長が見込まれる分野での人材育成といったことが盛り込まれたと認識しております。
 この攻めの人材育成には、成長分野と戦略的な人材育成の特定が必要であります。併せてそれにタイアップした教育、職業訓練も必要になると思っております。これらのことは、成長産業分野として、新成長戦略であるとか、雇用戦略会議でも指摘がされ、人材戦略においては、それらとのタイアップ、連携が取れているかどうかが気になるところで、どの分野にどの程度の人材を供給するのか。大雑把でも構いませんが、そこには数値目標が必要ではないかと思いますし、そのことが雇用のミスマッチ解消にも繋がるのではないかと思います。例えば、医療・福祉・介護の分野でそれぞれのニーズからおおよその必要人数等についても特定ができるのではないかと思いますので、それらもできたら盛り込むべきだと思います。以上でございます。

○清家部会長 はい、ありがとうございました。ただいまのところについて、事務局から。

○土屋職業能力開発局総務課長 職業能力開発局の総務課長です。安永委員からご指摘がありましたが、9次計画の中では、グローバル人材、高度人材といった攻めの人材育成が書かれており、併せて成長が見込まれる分野への訓練の強化が盛り込まれているところです。高度人材等については、企業での取組をキャリア形成促進助成金等で支えるとか、あるいは具体的なカリキュラム開発、「ものづくり」が中心になるかと思いますが、機構でのカリキュラム開発を進めるか、そういった取組を行っているところです。また、成長が見込まれる分野、環境エネルギー等を中心とした分野についても、同じように機構でのカリキュラム開発、あるいは委託訓練の中での企業を活用した訓練にいま着手しているところです。どういった分野にどれ程の人数を、という点については、求職者支援訓練の中では、例えば介護の分野にはこれだけの訓練を設定するとか、あるいはIT関係でこれほどの設定をするとか、そういう形で訓練の計画の中で枠として設定しているところですが、それを目標という形で設定し、ご議論いただく形にするかは、また、検討させていただければと思います。

○宮本委員 簡単に1点だけ。人材育成に関して、10月1日から始まった求職者支援制度、特に求職者支援訓練の質です。専修学校における訓練の質を担保することは大変大切だと思います。それにかかわるインデックスが必要ではないかと思っています。本当は地域訓練協議会が地域で評価をしていくのがいちばん筋だと思いますが、なかなか難しいところもあるので、この点検評価部会から何かメッセージが送られればと。おそらく1年以内の離職率等ですね、もし取れるとすると少し問題提起のきっかけになるかと思いますので、これはあくまでも要望ですが、工夫していただければと思います。以上です。

○坂田委員 労働災害発生件数についてですが、これに関して5%減という目標を掲げながら、残念ながら増えております。しかも全体の傾向として減り続けてきたという流れが変わって増に転じて、2年目も増加しそうだと。さらにこの震災の影響を除いて考えてもそうだと。このことについては、非常に重く受け止める必要があるのではないかと感じます。それについては、これからの取組、そういういろいろなことに紙幅を多くさいて、いろいろなことを考え打ち手を出されている。そのことはよろしいのですが、気になる点があります。いま説明の中にもありましたが、現状分析の中で増えている要因で上げられているのは、間接的な震災の影響というのが1つ、直接的なものは除き、間接的なものは入っている。さらにそのまま読みますが「社会福祉施設などの第三次産業での高年齢労働者の転倒災害の増加が要因として挙げられる」これをどう読み解くかは、先ほど議論になりました高年齢雇用の問題に関連して、看過できないことではなかろうかと思います。何がどうだということは、この場では申し上げませんが、これは数字とともに重く受け止めて、いろいろ関係諸方面で考えを深めなくてはいけない内容だと指摘させていただきます。意見です。

○山河委員 先ほど説明いただいた中に、再度、要望しておきたいと思います。資料2では、簡単に震災の関連で記載されているわけです。説明の中で、より具体的にそれ以外の言葉を多くさいて報告いただきました。いまご指摘いただき、坂田委員の話の内容も含め、今後の取組もだいぶ紙面をさいて、詳しく対策・施策等が記入されていますので、資料2にはこういったところもポイントとして記載していただきたく、是非ともお願いしておきたいと思います。以上です。

○清家部会長 それでは併せてお答えいただけますか。

○土屋職業能力開発局総務課長 それではまず求職者支援訓練の関係です。いま、宮本委員からご指摘がありましたように、求職者支援訓練の質の確保は、これは就職の実現という意味においても、大変重要な課題であると思っています。私ども求職者支援訓練を始めるにあたり、それまでの基金訓練の経験も踏まえ、認定基準そのものを厳しくセットする形で対応してまいりました。加えて今日の資料には載せていませんが、就職率についても目標設定し、基礎コースは60%、実戦コースは70%で、基金訓練のときと比べても高い目標を設定するという形で考えております。その就職率が実施機関に支払う奨励金ともリンクをするという形で、訓練の質の確保ということを担保する仕組みを作ってきたつもりです。就職率の目標については、職業能力開発分科会等で、すでに点検評価部会でご議論いただく指標としてセットすることは、ご了解いただいていますので、現段階では、ようやく修了生が出始めたという段階ですので、次の評価の機会の際には実績を報告して、ご議論いただくようにさせていただきたいと思っております。

○前田労働基準局総務課長 労働災害の関係ですが、坂田委員からご指摘いただきましたように、労働災害の発生件数については、長期的にずっと減少してきたというところで、昭和50年代で30数万件あったものが、10万件強という形になってきていますが、ご指摘のとおり、2010年において例年よりは上回る状況であります。今回10月までの数字ではありますが、さらに2011年は2010年を上回って推移しているということで、ご指摘のとおり非常に重く、この数字を受け止める必要があると考えております。 一方、死亡災害について、2010年は増えたものの、今年は減少しているということです。
先ほどもご指摘がありましたが、特に増えている要因として、1つは震災復旧の関係ですが、これについては10月までに375件発生しています。17頁を見ていただくと、2011年の実績1月~10月が66,594件で2010年と比べると1,337件増え、その1,337件のうち375が震災によるものです。先ほど資料2についてご指摘もありましたが、それだけを資料に書いているのは、確かに不適切であり、それ以外の要因として、小売業あるいは社会福祉施設における転倒災害です。あるいは腰痛といったものが増えている状況です。そこは高齢者が増えていることもありますが、特にそういった第三次産業について、非常に基礎的な話でありますが、4S(整理、整頓、清掃、清潔)ということで、こういったことから転倒災害を防ぐことが必要と考えています。さらに、高齢で働く方が増えているということで、そういった高齢者向けのマニュアル等も作成して、災害防止に努めていますが、今後取組を進めていく必要があろうかと思います。資料2については、ご指摘のとおり分析と今後の取組について、修正させていただきたいと思います。

○清家部会長 ありがとうございました。

○安永委員 坂田委員から労働災害の発生と高齢労働者の事故の関連について発言がありましたが、労働災害の発生を直接的に高年齢者雇用安定法の問題などと結びつけて考えるべきではないと思います。むしろ逆で、60歳以前の皆さんも含めて、いかに転倒災害等の増加を抑えるかといった議論をし、その世代の皆さんの働く雇用の場をいかに広げるかといったことなどの対策を重点に考えるべきだと思います。これは意見です。

○清家部会長 ほかに何かございますか。よろしいですか。

○坂田委員 すみません、1つだけ。私は高齢者雇用に関して、ブレーキをかけているつもりはまったくございません。高齢者の災害が増えているなら、原因を考えて対策が必要という主旨ですので、その点は誤解のないようお願いしたいと思います。

○清家部会長 わかりました。それではほかに何かございますか。よろしいですか。

○金子委員 先ほど資料3の5頁で申し上げればよかったのかもしれませんが、今のパートでディーセント・ワークのところに関連して意見を申し上げたいと思います。ここで今挙がっているディーセント・ワークの目標なり項目の中に、いわゆる両立支援にかかる項目が抜けていると思います。今日の前半の5頁になりますが、女性の就業率の向上には、その観点が入っているということで、過去に女性の就業率の向上に向けて男性の育児休業を推進すべきだと発言をしていつつ、改めて5頁で言うと、男性の育児休業や短時間勤務といった項目は、ディーセント・ワークにあるほうが構成要素でもありますし、適切ではないかと思っています。是非、検討していただければと思います。

○清家部会長 はい、わかりました。この点については。

○吉本雇用均等政策課長 改めて目標を設定する際に、どちらかに載せるのか、あるいは両方に載せることもあり得るのか、その点も含めまして検討させていただきます。

○清家部会長 それでは事務局から2010年度の実績の追加報告について、ご報告をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 それでは資料4をご覧ください。資料4が2010年度実績の追加報告です。これは2010年度の評価を行ったのは昨年の8月で、その時点で調査の関係上数字が間に合わなかったものです。これが今回今日までに出ておりますので、その状況を追加報告という形でさせていただきます。
 高齢者の就労関係で2つあり、「希望者全員が65歳まで働ける企業」の割合。「70歳まで働ける企業」の割合です。このうち希望者全員が65歳まで働ける企業の割合は、前年に比べて1.7ポイント増え47.9%。70歳まで働ける企業の割合は0.5ポイント増え17.6%で、いずれも前年と比べると改善しているわけです。2010年度の目標をそれぞれ50%、20%としておりますので、これには達していない状況です。
 希望者全員が64歳まで働ける企業の割合は、50.8%と半数を上回っている状況です。これは、高齢法による高齢者雇用確保措置は、だんだん浸透してきているが、経過措置により、この雇用確保措置の義務年齢が今64歳で、これに連動した形で雇用継続を行っている企業が一定数あるのではないかと考えております。 
 高齢法を改正して5年が経過してきたので、雇用確保措置自体は浸透しているわけですが、法律を上回る希望者全員が65歳まで働けるか、70歳まで働けるのは法律をやや上回る状況で、ここについては普及啓発等をやりましたが、経営環境が厳しいということで十分達成できなかった、一定の成果にとどまったということだろうと考えております。
 今後は、先ほども話が出ましたが、「希望者全員が65歳まで働ける企業」65歳まで働けることについては、厚生年金の報酬比例部分の65歳への引上げが平成25年度から始まります。それを踏まえ、65歳まで希望者全員の雇用が確保されるように、いま労政審の審議を踏まえて、雇用と年金を確実に接続させるための法整備について検討しているところで、引き続き普及啓発指導を行っていきたいと考えています。「70歳まで働ける企業の割合」について、セミナー等を通じ、取組気運の醸成に努めて行きたいと考えております。
 2頁の〈障害者就労促進関係〉で、こちらは「障害者雇用率の達成企業の割合」があります。雇用率達成企業の割合は45.3%で、目標45%を上回りました。なお、括弧のところに前年の実績があり47.0%ですが、制度改正があり、短時間労働者について分母・分子、労働者数、障害者数の両方に入れるとか、除外率の引き下げ等が行われた関係で、単純に数値の比較ができないことでありますので、参考までに申し上げます。一応目標は上回っておりますが、引き続き厳正な雇用率達成指導を行っていきたいということです。
 〈人材育成関係〉で、先ほど説明したサポートステーションによるニートの就職等の進路決定者数です。2010年度の目標は7,000人でしたが、それに対して実績が6,742人で目標が未達成です。これについて、先ほど申し上げましたように2010年度については、最初に来てから6カ月経過後の時点で進路決定をしているかどうかで見ているわけですが、2010年度の下半期に利用を始めた方、登録者の方について調べる時期がちょうど4月とか9月で、震災の直後になります。この影響が一因としてあったのではないかと推測しております。今年度については、先ほど申し上げましたように、順調に過ぎているところで、地域若者サポートステーション事業を通じた支援に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 最後は、〈ディーセント・ワークの関係〉で、「年次有給休暇取得率」がある資料4の3頁です。2010年の取得率は48.1%です。目標の50.4%を下回りました。年休の取得が進まない理由は、これは皆さんご承知のとおりで、「迷惑がかかる」「後で多忙になる」「取りづらい」とかいろいろあるわけで、年次有給休暇が取得しやすい職場環境づくりが、重要だろうと考えています。これも若干先ほど申し上げましたが、今後は休暇が取得しやすい職場づくりということで、目標設定するなど労使の取組を進めていくことで、「労働時間等見直しガイドライン」がありますので、その周知等を図っていきたい。働き方・休み方の改善のためのコンサルタントがおりますので、これを活用し、特に問題のある業種に重点的に周知啓発を行っていきたいということです。助成金についても、助成対象をそういった問題のある業種に、特に重点をおいて進めていきたいということです。以上2010年度前回の年間評価で報告ができなかった指標の状況報告です。

○清家部会長 はい、ありがとうございました。この点について何が質問ございますか。よろしいですか。それでは最後に米倉委員からコメントをお願いします。

○米倉委員 私は一橋大学イノベーション研究センターの米倉です。労働政策が専門ではないので、大きな視点からいうと、いま日本は本当に変革期にあり、これからイノベーティブで知識立国を目指さなければいけないときに、労働の多様性があり、質の高い適材適所が行われる労働政策はすごく大事だと思うのです。皆さんがやられている労働政策は、今までの延長線ではないところにあるような気がします。そういうことから考えてみると、まさに女性の就労とか高齢者はものすごく重要なので、多様性を高める、さらに減少する労働力をこれから強化していく。高齢者に蓄積された知識をより有効活用するという点で、大きな視点で本当に考えていただきたいなと思います。先ほど小谷野委員がおっしゃられたように、中小企業と若者のマッチングも本当に活力のある経済を作るときに大事だと思います。
 具体的に言って、もう少し考えるなら、残念ながら私はハローワークに行ったことがないのですが、そのうちに行くようになると思います。聞いたところでは、非常に機械的で、あまりいい印象は聞かないのです。でも日本が、この世界のベストプラクティスと言われるような雇用の窓口を作り上げたということを、世界中がそれを見に来るような体制にする。そういう人的資源を投入する価値があるような窓口だと思いますので。是非そうしていただきたい。
 雇用者側も労働者側もそうなのですが、日本のように非常に正規雇用だけに厚く、非正規雇用に薄いという硬直化した労働体系を昔のパラダイムで守っていると、日本経済そのものが収縮してしまうと思うのです。賃下げというのは、結局マーケットを小さくすることですから。自分たちの首も締めますし、労働者側も賃上げも大事ですが、もうちょっと多様な働き方によって、新しい知識社会を作るというようにお互いに新しい論点を見いださないと、古い価値観だけに戻っていくという労働政策を審議しているという時代は過ぎたような気がしましたので、数字だけを見ると改善されているような気がしないでもないですが、本当にこれで間に合うのかなという視点から、こういう議論を続けていっていただければありがたいなと思いました。

○清家部会長 はい、ありがとうございました。事務局からは何か特によろしいですか。

○酒光労働政策担当参事官 特にお答えするということはないですが、大変重要な課題提起をいただいたと思っておりますので、今後の行政に追加していきたいと思います。ありがとうございます。

○清家部会長 ありがとうございました。それではそろそろ時間も参りましたので、当部会の中間評価については、冒頭に事務局から説明をしていただいたとおり、本日の議論を踏まえて次の2つのことを行うことにしたいと思います。1つは資料2を修正することで、部会としての全体的な中間評価とする。もう1つは資料3の点検評価部会における評価の欄、今下のほうに小さく空欄になっていますが、ここに今日いただきました各委員のご意見を記載するということです。なお、各委員におかれましては、本日のご指摘の点以外にも、後から気がついた、あるいは今日は時間がなくここでの議論は終了ですが、時間の関係で言い足りないことがおありだと思いますので、それらの意見をできれば来週の2月10日金曜日、来週いっぱいまでに事務局まで追加としてご提出をお願いしたいと思います。それらのご意見も踏まえ、私と事務局とで相談させていただき、本部会の中間報告と、中間評価として取りまとめたいと考えております。
 また、取りまとめました中間評価については、事務局のほうで労働政策審議会の本審であるとか、関連する分科会に報告をいただいて、来年度の年度目標の設定のために活用していただくとともに、厚生労働省のホームページへ掲載いたしまして、広く一般の方々からも意見を募集していただきたいと思います。ということでここで、今後の取組などの書きぶりについてもいろいろご意見をいただきましたが、私の理解は、ここでの評価というのは客観的な指標であって、それをそれぞれの政策あるいは法律を作られる分科会、部会で参照していただき、具体的に、どういう政策にされるかは、あくまでもそれぞれの分科会、部会において、三者構成の審議会において、労使の合意を得られて作られるべきものと、理解していますので、また、それぞれの分科会、部会において労使が議論を闘かわされて、よりよい政策、法律が作られるための資料として、この評価が使われることを期待しております。
 本日の部会はこれで閉会とします。なお、本日のこの会議に関する議事録について、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長である私のほかに2人の委員に、それぞれ労働者側、使用者側をお願いすることとなっています。ついては大変恐縮ですが、本日は労働者側委員の山河委員、使用者側委員の坂田委員にお願いをいたします。署名委員になっていただいた方には、後ほどご署名を事務局からいただくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、お忙しいところ、また、お寒い中をご参集ありがとうございました。本日の会議は以上で終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付労働政策担当参事官室
総務係(内線7717)

代表番号: 03(5253)1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(点検評価部会)> 第4回労働政策審議会点検評価部会議事録

ページの先頭へ戻る