ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会) > 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録




2011年11月18日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年11月18日(金)


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

出席委員(20名):五十音順 敬省略

○荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、 今 井 聡 美、

◎笠 貫   宏、 川 上 正 舒、 倉 根 一 郎、 塩 川 芳 昭、

 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 高 橋 好 文、 武 谷 雄 二、

 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、

 西 田 幸 二、 菱 田 和 己、 松 岡 厚 子、 桃 井 保 子

(注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人2名

欠席委員(3名):五十音順 敬省略

 木 村   剛、 齋 藤 知 行、 村 上 輝 夫

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 浅 沼 一 成 (医療機器審査管理室長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 丸 山   浩 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 重 藤 和 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医療機器審査管理室長 定刻になりましたので、ただ今から医療機器・体外診断薬部会を開会いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 始めに、人事異動がありましたので御紹介させていただきます。医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部長に木下が8月23日付で就任しております。同じく医薬品医療機器総合機構医療機器審査第三部が11月1日に設置されまして、植村が就任しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、委員の出欠状況について、御報告いたします。
 本日は、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、19名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。なお、鈴木委員より30分程度遅れるとの御連絡をいただいております。
 続きまして、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。
 平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については医療機器の承認審査に関する議題ですので、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りは、ここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 以後の進行について笠貫部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 それでは、まず最初に、事務局より配付資料の確認をお願いします。
○医療機器審査管理室長 公開案件分の配付資料の御確認をさせていただきます。資料1-1「次世代医療機器評価指標について」です。資料1-2「歯周組織治療用細胞シートに関する評価指標(案)」、資料1-3「整形外科用カスタムメイド人工股関節に関する評価指標(案)」、資料1-4「コンピュータ診断支援装置に関する評価指標(案)」です。よろしいですか。不足されている方がおりましたら事務局にお申しつけください。
○笠貫部会長 よろしいですか。資料は、お揃いでしょうか。よろしければ、これより議題1に入ります。
 議題1「次世代医療機器評価指標について」事務局より説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題1、資料1-1〜1-4「次世代医療機器評価指標について」御報告いたします。
 資料1-1を御覧ください。平成17年度より、医療ニーズが高く実用化の可能性のある次世代、今後出てくるであろう医療機器の審査の迅速化、製品開発の円滑化を目的として検討分野を選定し、その評価に当たってのポイントをまとめた評価指標を作るということで、次世代医療機器評価指標の作成事業を行っております。
 今般、歯周組織治療用細胞シート、整形外科用骨接合材料カスタムメイド人工股関節、コンピュータ診断支援装置に関する評価指標の検討が終了しましたので、今回御報告させていただきます。歯周組織治療用細胞シートについては資料1-2、整形外科用骨接合材料カスタムメイド人工股関節については資料1-3、コンピュータ診断支援装置については資料1-4をお配りさせていただいております。
 資料の詳細は割愛させていただき、資料1-1に戻りまして、「2.評価指標の内容・位置付け」ですが、いわゆる次世代医療機器については、個別に試験が行われ、審査が行われる点については通常の医療機器とは変わらないわけですが、評価に当たって着目すべき事項、ポイントをまとめた評価指標を作り、お示しすることで、それらの機器の開発段階における申請資料の収集や、さらには審査の段階が迅速化できないかと考え、このような評価指標の作成を行っております。なお、これは承認基準ではなく、あくまでも技術開発の著しい次世代医療機器を対象として、現時点で考えられる評価のポイントについて示した評価に当たっての道しるべというべきもので、法令的な基準とは異なる位置付けとなっています。
 これまでに次世代型人工心臓、DNAチップを用いる遺伝子型判定用診断薬、角膜上皮細胞シートなど、合計11の評価指標を公表しておりまして、今回、三つの報告させていただく評価指標を加えると、合計14の評価指標ということになることを予定しております。
 「3.その他」ですが、現在、引き続きまして、カスタムメイドの人工膝関節、DNAチップ等を用いる遺伝子発現解析装置などに関して、引き続き評価指標を作成しているところです。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の皆様から、御意見・御質問等はございますでしょうか。御説明がありましたように、非常にニーズが高く、実用可能性のある次世代の医療機器の審査の迅速化ということで、評価指標を作成していただいておりますが、御質問ありますか。
○千葉委員 この評価指標を利用することによって、期間は短くされるので大いに期待されると思いますが、審査のコストに関しても何か変わる可能性があるのでしょうか。
○事務局 開発の時には、PMDAの方にも相談しながら開発を進めると思いますが、実際に評価指標を使うことで、相談も効率化し、実際に行う臨床試験も含めて、非臨床や治験もどのようなものを行えばいいかということが事前に明らかになりますので、全体として開発のコストは低減化されることが期待されると思います。
○笠貫部会長 ほかにありませんか。千葉委員、これでよろしいですか。
○千葉委員 はい。
○笠貫部会長 ほかにありませんか。効率化は有効、安全ということを含めて、期間だけではなく、コストの低下にも役に立つだろうと期待されていると思います。そのような意味では、これまで11の指標が出されているわけですが、11の指標がどのように有用であったかということも、これから検証していくことが必要かと思います。これからさらに3つについて、検討中だということですが、次回までにこれも期待したいと思います。ほかに、御意見等はございませんでしょうか。特に無いようでしたら、これで議題1を終了いたします。公開で行う議題は以上です。
○医療機器審査管理室長 ありがとうございました。
 それでは、以後の議題は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席のほどよろしくお願いします。
 非公開で行う議題2以降の開始時間は、16時45分を目処とさせていただきます。よろしくお願いします。
── 休憩 ──
○医療機器審査管理室長 それでは、準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。
 まず、非公開の議題に係る配付資料の確認をさせていただきます。
 資料2「医療機器『胎児シャント』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」です。こちらは、胎児シャントの諮問書になっております。
 資料3「医療機器『マツダイト』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」です。マツダイト諮問書となっております。
 資料4「医療機器『アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」です。こちらは、2分冊になっております。
 資料5「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」です。ラクトソーブスピンダウンという品目について頭蓋骨固定用クランプの一般名的称の新設に係る資料です。
 参考資料が配付されています。参考資料5「クラス分類ルール」です。
 資料6-1〜6-5は、「医療機器の再審査結果について」の資料です。
 資料7「部会報告品目について」です。
 資料8「希少疾病用医療機器の指定の取消しについて」です。
 資料9「競合品目・競合企業リスト」です。今日お諮りする胎児シャントや他の医療機器に関する資料です。
 参考資料9「薬事分科会審議参加規定」です。不足分がありましたら事務局にお申し出いただければ、私どもから資料を配付させていただきます。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。資料はお揃いでしょうか。
 よろしければ、これより非公開で行う議題に入らせていただきます。
 まず、本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。
○事務局 資料9「競合品目・競合企業リスト」、参考資料9「薬事分科会審議参加規程」を御用意いただければと思います。
 これらの資料ですが、こちらの報告は、平成20年12月19日付で薬事分科会で決定されました薬事分科会の審議参加規程に基づくものとなります。皆様から毎回御報告いただいておりますので概要は御存じかと思います。過去3年度に渡り、寄附金、契約金等の額について競合企業と申請企業から額の申告をしていただき、その結果に応じて審議不参加、若しくは議決の不参加という形を審議会の規程として決めさせていただいております。
 資料9「競合品目・競合企業リスト」を御覧ください。1ページは、議題2の関係ですが、申請品目「胎児シャント」、申請者名「株式会社八光」となっております。本品目は、国内開発品の新医療機器になっておりますので、競合品目は無しと申告がされております。
 2ページは、申請品目「マツダイト」、申請者名「三洋化成工業株式会社」となります。こちらは、競合品目が3点挙げられておりまして、1点目がボルヒール、2点目がベリプラストPコンビセット、3点目がバイオグルーとなっております。それぞれ医薬品ですが、止血という観点で1〜2点目は使用目的が同一であること、3点目としては医療機器の中で最も近い競合品目であるとの理由で申告されています。
 3ページは、議題4「アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス」に関して、申請者名「日本アルコン株式会社」となっております。競合品目は1点で、バルベルト緑内障インプラントが挙げられております。こちらは、房水を眼内から排出するための房水流出路を作製して、眼圧の下降を可能とする点が本申請品目と同様ということで申告がされております。
 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況を伺いましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」、又は第13条「議決不参加の基準」に基づき、御退室いただく委員は、議題4について西田委員です。議決に御参加いただけない委員は、議題3については塩川委員、議題4については寺崎委員となっております。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 今の事務局からの説明について、特段の御意見等はございますでしょうか。
 本日の委員の先生方の御都合により、議題4を最初に行い、後に議題2、3、5の順で進めさせていただきます。よろしいですか。よろしければ、議題4に入ります。
 議題4、医療機器「アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス」の製造販売承認の可否等について、審議を行います。
 西田委員には議題4の審議の間、別室で御待機いただくことになります。よろしくお願いします。
── 西田委員退室 ──
○笠貫部会長 本日の審議にあたりましては、参考人として、公立学校共済組合関東中央病院院長の日本緑内障学会理事長であります新家眞先生に御出席いただいております。よろしくお願いします。
 まずは、審議品目の概要について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題4、資料4「医療機器『アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より御説明いたします。
 資料4を御確認ください。1枚目に諮問書があります。審査報告書の2ページに一般的名称として「眼内ドレーン」、販売名としては「アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス」で、申請者は「日本アルコン株式会社」です。
 使用目的として、薬物治療やレーザ治療などの治療法によっても十分な眼圧下降が得られない緑内障患者の眼圧下降に用いるものです。5ページの図1に示しております。本品は、約2.5?のステンレス製の緑内障フィルトレーションデバイスです。元に戻っていただき、3ページに本品目の承認条件として、1.と2.に示しています。詳細については、機構より御説明させていただきます。
○機構 審議事項議題4、資料4「医療機器『アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。諮問書の後ろに挟みました別紙を御覧ください。本審査では、御覧の3名の専門委員の御意見をいただきました。
 審査報告書5ページに示す本品の概要から御説明します。薬剤療法でもレーザ療法でも眼圧を下げられない進行した緑内障では、強角膜輪部深層組織を切除して、房水排出路を作って眼圧を下げる線維柱帯切除術が主に行われます。線維柱帯切除術は、組織切除を伴う上に、眼圧を適切に再現性良く調節することが必ずしも容易ではないといった課題があるとされていますが、本品は組織切除無しに、一定内寸の房水排出路を形成することで、手技によるばらつきを抑え、再現性良く眼圧を下降させるための小型眼内ドレーンです。
 図1に示したように、本品は本体とそのデリバリーシステムであるEDSから構成されています。本体は、長さ2.6?のステンレス製で、図2のように内寸50μm又は200μmの房水排出路が内部を貫通しています。内寸50μmのものがモデルP-50、内寸200μmのものがモデルP-200です。房水は、房水排出路から強膜内に導かれて排出されます。
 海外での使用状況ですが、審査報告書7ページの「外国における使用状況」を御覧ください。本品の前世代品であるモデルRが1999年1月に欧州でCEマークを取得し、2002年3月に米国で510(K)承認を取得しました。2011年5月までの全世界における累積出荷数は、全世代品のモデルRが約33,000個で、今回国内申請されているモデルPが約48,000個です。本品の非臨床試験成績は、審査報告書11〜14ページの「ハ.安定性及び耐久性に関する資料」及び「ホ.性能に関する資料」の項でお示ししたとおり、特段問題は認められておりません。
 続いて、本品の臨床試験成績に関して御説明します。本品は、強膜弁下に留置しますが、海外での当初の使用法は結膜下留置であったため、前世代品モデルRの結膜下留置による臨床試験成績が提出されました。審査報告書16ページの表3を御覧ください。使用されたモデルRの房水排出路の内寸は5μm、20μm、30μm、50μm、70μm、200μmの6種類でした。モデルR-50は本品P-50と、モデルR-200は本品P-200と房水排出路の内寸が同じです。
 18歳以上の薬物療法又はレーザ治療に奏効しない進行した緑内障患者173名173眼を対象に有効性は140眼で、安全性は173眼で評価されました。成功の判定基準は、「眼圧IOPを基に、IOP4?Hg以上21?Hg以下又は術後IOPが術前IOPより20%以上の減少」と設定されました。本邦の40歳以上の正常IOPの上限値は20?Hgですので、この判定基準は本邦にほぼ外挿できます。モデルRの結膜下留置により、IOPは術前の30.6±0.9?Hgから術後52週後に20.4±1.1?Hgに降下しました。また、成功の維持率は、術後26週で75%、術後52週で72%でした。
 この試験における安全性については審査報告書17ページ表4のとおり、デバイスと関連がある有害事象が246件報告され、そのうち入院を伴う又は前房消失があることから重篤と判断された有害事象が5件でした。当該成績を基に、米国等でも承認を受けたわけですが、その後、海外では結膜下留置から、より安全性が高いとされる強膜弁下留置に変更されました。この留置位置の変更の根拠となった文献及び線維柱帯切除術との比較に関する文献を含む文献報告が提出され、本品の有効性と安全性が説明されました。
 審査報告書18、19ページを御覧ください。申請者は、これら文献から四つのことを考察しています。まず、審査報告書20ページの1)を御覧ください。申請者は、第一に本品の強膜弁下留置は、結膜下留置と同等の有効性を維持しつつ、デバイス露出などの有害事象が少なく、安全性は向上していると考察しています。第2に21ページの表6、7及び22ページの3)にありますように、本品の強膜弁下留置は線維柱帯切除術と同等の有効性と安全性があると考察しています。そのほか、第3に23ページの下段4)にありますように、強膜弁下留置のアジア人に対する有効性と安全性が非アジア人に対する過去の研究報告と同程度であること及び第4に25ページの5)にありますように、申請者は内寸200μmの方が内寸50μmに比較して眼圧下降が大きい傾向が認められること及び患者に応じて適切な内寸が選択されれば、有効性はほぼ同等であると考察しました。
 次に、審査における論点のうち主要なものを中心に説明させていただきます。審査報告書26ページの中程「(1)本品の適応症例の明確化、及び注意すべき症例・事項について」を御覧ください。本品を留置すると、先端約2?が前房の隅角部位に突出します。日本人は、前房が浅い患者が多く、虹彩が厚く、術後の炎症が強いことからこの点が論点になりました。そのため、添付文書に虹彩との接触リスクが注意喚起され、狭隅角症例や角膜内皮障害、使用経験の無い小児等が慎重適用に設定されました。また、本品は線維柱帯切除術と比較した長期成績が必ずしも明らかではないため、線維柱帯切除術との比較で、本品使用による前房開放時間の短縮又は虹彩切除の回避による有益性が高いと考えられる患者に使用する旨を添付文書に記載しました。なお、「(2)モデルRから本品モデルPへの形状変更に伴う安全性等への影響について」は、最終的に形状変更が安全性に影響する可能性は低いと判断しました。
 機構は、提出された臨床試験成績、文献報告及びそれに基づく申請者の見解を総合し、審査報告書27ページ後半の1.と2.のように判断しました。
 まず、「1.治療法としての位置付け」についてです。本品を使用した治療法は原理、術式、適応等が既に確立した線維柱帯切除術に準じていて、前房と眼球壁の間に房水流出路を作製するというものです。違いは、強角膜輪部深層組織を切除して、房水流出路を確保するか、あるいは本品の埋植で房水流出路を確保するかの点です。
 本品は、このように確立した治療法である線維柱帯切除術とほぼ同様の治療原理、治療手法、治療上の位置付けであり、海外で約10年に渡って使用されていることも踏まえ、提出された臨床試験成績と文献報告により評価が可能と判断しました。
 次に、「2.提出資料から本品の有効性及び安全性評価が可能か、特に強膜弁下留置手技を含めた評価の可能性について」ですが、臨床試験成績から本品の結膜下留置は、デバイス露出などの有害事象はあるものの、進行した緑内障患者の眼圧効果に有効であると判断しました。また、臨床試験成績に加えて、文献報告から「結膜下留置より、強膜弁下留置の方が安全性が高く」、「強膜弁下留置の有効性と安全性は1年までの期間では線維柱帯切除術と同等であると」判断しました。
 しかし、本品の長期の有効性と安全性についてはデータが乏しいため、長期予後に関する調査が必要と判断しました。そこで審査報告書30ページにありますように、市販後の使用成績調査を求める承認条件2.を付しました。また、適切な内寸サイズの選択、適切な埋植手技、合併症発生時の適切な対応が安全性と有効性を担保する上で重要であることから本品の特性を理解し、手技に習熟した医師が適応を守って使用する必要があると考え、審査報告書30ページにあります術者についての要件である承認条件1.を付しました。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、新効能医療機器であるため、再審査期間を3年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えます。
 最後に、部会委員からのコメントについて御説明します。川上委員より、「機構の審査結果に異議は無い」とのコメントを頂戴しました。
 また、本日御欠席の齋藤委員より、「本品は海外で多数の使用例があり、不具合、有害事象の発生例は極めて少ない。本品の特性の十分な理解と使用前トレーニングの義務化により、安全に使用が可能になると考える。長期的な有効性と安全性の観察を行うことは妥当と考えられる。」とのコメントを頂戴しました。
 寺崎委員からいくつか御指摘をいただいております。一点目は、「本品のメリットがあると考えられるICE症候群、血管新生緑内障、外傷性緑内障などの緑内障のうち、隅角部位に閉塞がある症例が適用なのか、そうでないのか。あるいは線維柱帯切除術の適用ということであれば、禁忌で設定されたもの以外は適用なのでしょうか。」との御指摘をいただきました。
 機構としては、専門協議でも適用について併せて議論をしました。その結果、虹彩との接触リスクを注意喚起し、狭隅角症例、角膜内皮障害、小児等が慎重適用に設定されました。加えて、本品使用による前房開放時間の短縮又は虹彩切除の回避が線維柱帯切除術に比べて明らかに有利と予測される場合に使用すること、と注意喚起しております。
 また、御指摘のICE症候群、血管新生緑内障、外傷性緑内障などが好適な症例なのか、禁忌又は慎重使用すべき症例なのかについては、基本的には隅角部位に閉塞がある症例であれば禁忌とあり、個々の症例について隅角の開放状況を御確認していただき使用することが必要と考えます。ICE症候群、血管新生緑内障は一律に禁忌、あるいは適用となるものではなく、隅角の閉塞状況や広隅角か狭隅角などにより御判断いただくことになると考えます。
 2点目は、隅角部位に血管新生した血管新生緑内障の術式における出血デメリットについて御質問されています。
 機構としては、適切な埋植手技が本品の安全性と有効性を担保する上で重要であることから、講習等の受講により、本品の特性を理解し、手技に習熟した医師が適用を守って使用できるように必要な措置を講じることを承認条件としましたが、血管新生緑内障で隅角部位に血管新生した症例等について血管を観察した上で、できるだけ出血の少ない刺入を行うことは可能なものの、出血自体を完全に回避することは困難であり、講習の受講等により、使用者が適切な術式、出血への対応をいただけるように方策を講じます。
 そのほか、御指摘いただいた整備事項として、諮問書の後ろにはさみました正誤表のとおりに添付資料概要及び審査報告書の記載を整備します。また、添付文書については眼科学会より、バルベルトや本品を含む眼内ドレーンについてのガイダンス、ガイドライン追補が今後出されると伺っておりますので、それとの整合を図りつつ、記載を整備したいと存じます。機構からの報告は以上になります。
○笠貫部会長 それでは、参考人の新家先生から何か付け加えることはございますか。
○新家参考人 参考人の新家でございます。今、おっしゃったことで、おおむねよろしいと思います。ここで一つ強調しておきたいことは、緑内障のフィルトレーションデバイスということで、先日8月に御承認いただいたバルベルトと非常に紛らわしいところがございます。バルベルトは、線維柱帯切除術ができない、ないしは駄目であった症例です。それに対して、こちらは線維柱帯切除術ができる症例ということです。ある意味で線維柱帯切除術のこちらのエクスプレスは便利なグッズであり、バルベルトはその以後に対するものであることを一つ強調しておきたいと思います。
 さらに、御質問にもありましたように、「閉塞隅角には使えない、ないしは使わない方がいい」という記載があるのですが、閉塞隅角には、原発閉塞隅角と続発の閉塞隅角との二つがあります。原発閉塞隅角は先ほど述べられたとおり、非常に注意して使う、ないしはほとんど禁忌ということになると思います。ただ、続発閉塞隅角に関してはケースバイケースで、狭隅角状態となっているものは禁忌、ないしは非常に慎重な使用ということになります。一方で、狭隅角状態になっていない、元々広隅角だったものが多少何らかの血管新生等があって隅角部のみ閉塞したというものは、むしろ禁忌ではないと理解していただければと思います。
○笠貫部会長 本件につきまして、委員の先生方から御意見、御質問等はございますでしょうか。
○寺崎委員 新家参考人のお話はよく理解しました。しかしながら、例えば、血管新生緑内障という、糖尿病網膜症の重症例で生じる続発緑内障では、このデバイスを使うと虹彩を切らなくてもいいので大変良いと記載されており、非常に画期的なデバイスではないかと思いました。しかし、添付文書に禁忌として「閉塞隅角緑内障」と記載されていると、私たちとしては使いにくいと思います。今、新家先生から、原発閉塞隅角緑内障の方は絶対に禁忌だというお話がありましたので、そちらの辺りをもう少し分かりやすく記載した方がいいのではないかと思いまして、御質問をさせていただきました。
 最初の説明の禁忌の箇所には、「原発閉塞隅角緑内障」とはっきり書いた方がいいのではないかという意見でした。
○笠貫部会長 事務局の方、お分かりいただいたでしょうか。
○機構 機構からでございます。今、寺崎先生と新家先生から御質問いただきました、あるいは御解説いただきました点について、本品専門協議の際に適用議論いただいたのですが、先ほど新家先生からもお話がございましたように、バルベルトはこういった眼球の前方に濾過胞を形成することができなくなった場合に使われるというものと、本品は眼球前方に濾過胞を形成する線維柱帯切除術という確立した術式をより侵襲性を低く便利にできるというデバイスでありますので、治療上の位置付けに関しては新しく、今まで治療できなかったところに大きく広げられるものではないということから、適用については海外の使用の適用などを基に、より安全サイドに立った適用に限定するような考え方ではどうかというようなお話がありましたために、この点を余り深く十分に議論できずに、海外では閉塞隅角緑内障がすべて適用禁忌という書き方をされておりますので、このような記載にさせていただいております。
 しかしながら、原発性と続発性の閉塞隅角緑内障において、その隅角の状態が大きく違うということで、続発性の部分に関しては慎重にその隅角の状態を観察した上で適用になる部分があるということでしたら、禁忌の部分の記載ぶりと、それから対応する続発性の一部分に関しては慎重適用として位置付けるということを少し調整させていただきます。書き方については、寺崎先生と新家先生とまた御相談させていただきたいと思います。
○笠貫部会長 何か追加はありますか。
○寺崎委員 より適用を狭ばめるという点から、慎重に閉塞隅角緑内障と記載するという意味で、申請者もそれでよろしければ、それはそれでいいのかもしれません。
○笠貫部会長 原発性と続発性、禁忌と慎重使用とを分けるかについては、新家先生はじめ、寺崎委員と御相談して、決めていただけたらと思います。ほかにはございませんでしょうか。
○荒井部会長代理 市販後の調査の症例数について、珍しく具体的に触れられて、「600症例を目標に」と記載されています。海外の実績もありますので、今後、承認された場合に国内でどのくらい使われるのかについての予測、ならびに実際に600例という具体的な数字を出された根拠、理由を御説明下さい。
○機構 まず、本品が実際どの程度使われるかということについては、このものと関連する線維柱帯切除術、現在、診療報酬上の位置付けがある術式がございます。本品が利便性の高いようなデバイスということで、今後保険上の位置付けがどのようになるかということによって、本品がどれだけ使用されるかは大きく変わるのではないかと思いますが、申請者は当然保険収載を希望し、その前提で発売した場合に600例程度の調査が、線維柱帯切除術の中から本品を使用する症例として十分調査可能ではないかと考えていると承っております。
 実際、その線維柱帯切除術を今行われている症例の中から、どの程度この本品の使用に置き替わるのかについての正確な見積り、見通しは、機構の方としては今のところ持っておりません。症例数の見通しとして600例については、そういった位置付けがなされれば、それを十分上回る症例が使用されると申請者の方で考えているということでございます。一般的に、従来の医療機器の治験などでは、数10例程度という評価が多かったので、少なくとも数100例、600例程度ということで申請者が検討したものです。明確な根拠というものはございません。
○笠貫部会長 そうしますと、バルベルトと違った位置付けにより、まず線維柱帯切除術とどちらかを選ぶということですね。その時に、低侵襲性ということで、より多く使われ過ぎるかもしれないという危惧を持つのですが、こちらのガイドラインは、治療戦略として緑内障にどのようなストラテジーでいくのかということだと思います。切除術と新たな医療機器との有効性・安全性が長期では分からないということなのですが、そのインフォームド・コンセントを取る際に、ガイドラインがないといけないのではないか、またインフォームド・コンセントを取る時に当たっての注意事項をどのようにするのかということの御検討はされているのでしょうか。ガイドラインについては、新家先生の方からお願いします。
○新家参考人 ガイドラインには、バルベルトとアーメドの記載に次いでエクスプレスについても記載しています。やはり我々の立場として危惧するのは、こちらの保険の点数ということなのでしょうか。それによっては、楽ということから濫用されるということがあります。実際に手術を行う人にはよく分かると思うのですが、そういった意味で、先ほど機構の方がおっしゃいましたように、従来のものに対して前房開放時間の短縮等が明らかなメリットを有するものといったように、抽象的ですが言葉が入れてあります。
 具体的に、どのような例かということを規定しますと、非常に長文になってしまいますので、なかなか難しく、現実上ガイドラインでも難しいかと思います。それから、ガイドラインはその性質上、強制力というものはありませんので、そのようなことは一応考えてガイドラインを出すつもりでおります。
○荒井部会長代理 今の御説明はよく分かりました。しかし、最後の総合的な評価の承認条件には具体的な数は示されていませんが、先ほどの600例という数字ですが、このようなところで数字を出す以上、何が知りたくて、それを証明するためには、どのくらいの症例数が必要といった根拠が本来あるべきではないでしょうか。ですから、ただいたずらに、沢山使われそうなので600例というのは、かなり濫用されるという想定があるのかもしれませんが、先ほど御説明頂きましたように保険がどうなるのかまだ分からない段階です。そうであるならば、私は報告書の28ページで、唐突に片方が600例、片方が50例程度という数値をあげるならば、その数値の具体的な根拠をこのような時は記載していなければいけないと思います。
 結局この承認条件を実際に施行する場合には、恐らく、このような手前の文言が影響してくると思われます。沢山濫用されるのか、非常に限定されて使われるのか、私は分かりませんが、企業から見れば、市販後のノルマとしての調査は実際の販売する価格とのバランスの点でも、かなり重い部分です。もし、それはこの後検討するということであるのならば、状況を見て、保険が通るか通らないかも見定めて検討するなど、ぼかすべきところをぼかすことはやぶさかでないと思います。意味無くというか、根拠が明確でないのならば、具体的な数字に触れるのはいかがなものかと考え、発言させていただきました。
○機構 機構から申し上げます。先ほど、600例の根拠のところが十分説明できなかったのですが、専門協議の際に、本品の市販後の調査についても議論をいただいております。先ほどの線維柱帯切除術から、どの程度このものが置き替わるかということの予測は、確実には難しいのですが、ある程度このもののメリットがあるものに対して使用を行うという考え方で、眼科学会でもガイドラインを考えていただいております。約1割程度が移行すると考えた場合には、600例程度の調査が可能だろうということで御指摘をいただいたことが、600例の設定の理由となっているものでございます。申し訳ございませんでした。
○笠貫部会長 全症例登録600例までということではないのですね。
○機構 はい、全症例ではございません。
○笠貫部会長 全症例ではないということです。そのような意味では、前向きの臨床研究ではなく、市販後調査として600例を目安にするということですね。臨床研究としてきちんとしたものですと、きつい縛りになると思いますが、そのような目安だとお考えいただいて、専門家にとっても、企業にとっても、リーズナブルな数値だということでよろしいでしょうか。臨床試験、研究ということになり、特に全症例登録ということになりますと、企業にとってはきついかと思います。
○新家参考人 御参考までに追加させていただきますと、この600例に関しては、私は何の関与もしておりません。御参考までに申し上げますと、緑内障学会で、線維柱帯切除術の術後の合併症をプロスペクティブに評議員のみを対象として調べようとしたことがあり、症例をプロスペクティブに組み込んだことがあります。かなり条件を厳しくした症例ですが、1,000人を組み込むのに約5年間かかりました。ですから、それを御参考にしていただければ、約500例というのがとんでもない数字なのか、そこそこの数字なのかというのはある程度推測がつくかと思います。
○笠貫部会長 そのように、市販後調査ということで考えさせていただいて、一つの目安として行われるということに解釈させていただきます。
 これでバルベルト、そして今日の新規のアルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイスの二つで両方とも1999年、1997年等から既に欧米で使われていたものが、日本でも緑内障の治療戦略の中に新たに入ってきたということで、理解させていただきました。
○塩川委員 私も門外漢なのですが、2点お聞きしたいことがあります。承認条件が2項目あるうちの、「十分な知識・経験を有する医師」という箇所は抽象的な表現なのですが、これはかなり難しく、要するに、運用の面で専門医のものを求めているのか、非常に広範に行われる手技なので、専門医のような資格ではないけれども知識・経験を有する医師を求めているのか、医師の基本的条件の御説明というか、制限があるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
 2点目は、この承認条件二つが添付文書には書かれていないことです。私は脳外科なのですが、脳血管系の様々なデバイスですと、添付文書の一番最後に、承認条件が記載されていて、それが一定の抑止効果というか、そのようなものを持っているように思えます。この承認条件は、添付文書に記載すべきものであるのかどうかということの2点をお尋ねしたいと思います。
○機構 機構からでございます。先に、2点目の承認条件、このものの記載がまだ無い点については、実際、市販の段階では承認条件を添付文書に記載させていただきます。
 それから1点目の専門医の制限についてでございますが、特別何らかの根拠に基づいた使用制限というものはございません。当然、これは線維柱帯切除術と、このエクスプレスの使用の適否を判断いただける先生方ということになりますので、眼科の専門医ということになろうかと思います。
 また、御覧いただいたように非常に小さなデバイスでございますので、これをきちんと使っていただくにあたり、やはり講習等の受講が必要になってくると思います。一般的な眼科専門医の方が、このものを治療に使う際に、製造販売業者の行う講習などに御参加いただければ使用できるのではないかと考えております。
○笠貫部会長 よろしいでしょうか。眼科専門医の件については、前回のバルベルトの時にも議論されたと思うのですが、是非その条件としてきちんと書いていただくというようにお願いしたいと思います。
 ほかに、御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、議決に入ります。なお、寺崎委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 医療機器「アルコンエクスプレス緑内障フィルトレーションデバイス」については、本部会として、審査報告書にある条件を付した上で承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要ということでよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次回の薬事分科会において報告することとします。
 議題4が終了しましたので、参考人の新家先生におかれましては、御退室いただいても構いません。前回に引き続き、どうもありがとうございました。
── 新家参考人退室・西田委員入室 ──
○笠貫部会長 それでは、議題2に移りたいと思います。議題2、医療機器「胎児シャント」の製造販売承認の可否等について、審議を行いたいと思います。
 まずは、審議品目の概要について、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題2、資料2「医療機器『胎児シャント』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より御説明いたします。
 資料2を御覧ください。1枚目に諮問書がございます。続きまして、審査報告書の2ページを御覧ください。一般的名称「胎児胸水排出用シャント」として新設予定です。また、販売名は、「胎児シャント」、申請者は「株式会社八光」です。本品は、胎児胸水に対し、胸腔穿刺術が奏効しなかった場合に、胸水を羊水腔に持続的に排出することを目的としたものでございます。どういったものかと言いますと、4ページの下の図1に、シャントチューブ及びデリバリーシステムを左に、シャントチューブの拡大図を右に示しております。3ページに戻りまして、承認条件としまして3点記載をさせていただきます。また、本品につきましては希少疾病用医療機器に指定されており、薬事法第14条第7項の規定に基づいて、優先審査品目として審査されたものです。詳細につきましては、機構から御説明いたします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医療機器『胎児シャント』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より説明いたします。
 まず、お手元の別紙を御覧ください。諮問書の下にはさませていただいております、専門委員の一覧を御覧ください。本審査では、御覧の4名の専門医の御意見をいただきました。また、大変恐れ入りますが、審査報告書の一部に誤りがありましたので、正誤表をお手元にお配りしております。
 審査報告書の15ページの表7になります。こちらについては表になるのですが、二つの公表データを基に作成しておりました際に、母数の表記等に御覧のような誤りがございましたので、こちらの方で訂正させていただきました。
 また、審査報告書16ページの本文、3〜5行目の有害事象の母数の表記についても、同様に御覧のような記載の誤りがございましたので、お詫びして訂正いたします。
 それでは、本品の概要から説明をさせていただきます。審査報告書の4ページを御覧ください。本品の適用であります胎児胸水は、原発性のものでは発症率が10,000〜15,000人の妊婦に1人とされておりまして、自然寛解する例もあるとされておりますが、患者数は少ないです。少ないのですが、胸水貯留により肺低形成や心臓の圧迫及び静脈環流の閉塞が起こりまして、水腫を併発する等の重篤なケースも見られております。このような場合は、周産期死亡率は文献等によりますと50%以上との報告もされております。こうした状況から、本品は2010年3月19日に希少疾病用医療機器に指定されておりまして、優先審査品目として優先審査を行いました。
 この胎児胸水に対するこれまでの一般的な治療方法について御説明いたします。一般的な治療方法としては、胸腔穿刺術(以下TC療法と呼ばせていただきます)が挙げられます。これは母体から胎児胸腔に超音波ガイド下で穿刺を行いまして、貯留した胸水を吸引するという方法です。吸引後に再貯留をきたす例も多くございまして、頻回に渡るTC療法の施行は穿刺の刺激や、感染による破水や、切迫早産のリスクを伴います。
 そこで、本品のようにドレナージチューブを胎児胸腔、羊水腔間に留置する胎児シャント術が行われるようになってきました。本品は、審査報告書の4ページに図示しておりますような、シャントチューブとデリバリーシステムから構成されるものです。シャントチューブの両端はダブルバスケット形状となっております。本品は、国内で製造されるもので、本邦での現在の国立循環器病研究センターにおける当該術式に対する高度先進医療としての実施等に伴い使用されたものでして、本品の海外における使用実績等はございません。
 海外における類似医療機器については、審査報告書6ページに示しております。同一適応に対して認可されたものは、実はございません。Rocket社やCook社、Johnson&Johnson社のpigtail型のカテーテルが適応外使用されているような状況でございます。本品とは形状、材質等に相違がございます。本品は、材料としては新しいものではございません。シャントチューブに関しては、自社既承認品「内瘻化カテーテルセット」のカテーテルと同一材質、イントロデューサ針につきましては自社既承認品の「エラスター注入穿刺針」と同一製品でございまして、本品の非臨床試験成績は、審査報告書の6〜8ページの「ロ.仕様の設定に関する資料」、「ハ.安定性及び耐久性に関する資料」、「ホ.性能に関する資料」の項でお示ししておりますが、特段問題は認められておりません。
 続きまして、本品の臨床評価について御説明いたします。審査報告書の9〜12ページを御覧ください。申請者より、胎児シャント術に関する国内外の文献が提出されております。英国における胎児シャント術に関するガイドラインを含む海外14報を用いて、本治療の公知性が説明されました。また、このほか2002〜2006年に、胎児治療学会が調査しました胎児シャント術に対する後ろ向き実績調査の結果が提出され、集積された71症例の生存率は59%とされております。こちらの成績は、海外の成績とほぼ同等であると考察されました。
 これらのほか、本邦において行われました高度医療評価制度下における前向きの臨床研究結果が提出され、その概要は審査報告書15ページにまとめております。この臨床研究では全部で24例がエントリーされ、うち1例については染色体異常が判明し、治療拒否となり脱落しておりますが、これを除く23例については胎児シャント術が施行されております。この中での水腫の有無の内訳は、水腫有りが17例、水腫無しが7例になります。こちらは、先ほどの表を御覧いただければと思います。
 主要評価項目は生後28日の児の生存率でございまして、水腫有りでは70.6%、水腫無しでは100%、全体としましては79.2%でした。また、安全性についてですが、直近の公表データまで確認を行いまして、現在までに生存した児及び母体に対して重篤な有害事象は発現しておらず、新生児死した4例及び脱落1例につきましては、それぞれが重篤な先天性疾患を抱えていた症例ということになっております。
 次に、審査における論点について説明いたします。審査報告書の18〜19ページを御覧ください。本申請に当たっては、本品に対してGCP準拠の治療成績の添付はございませんでしたので、臨床評価報告書による評価の妥当性が論点となりました。申請者から提出されました資料を総合しまして、機構は以下の3点について、論点を整理し、評価を行いました。
 一つ目が、胎児胸水に対する胎児シャント術の海外における公知性。二つ目が、海外臨床成績の本邦への外挿性。三つ目に、国内外文献による安全性評価について、論点を整理し、評価を行いました。
 まず胎児胸水に対する胎児シャント術の公知性、一つ目の論点についてですが、提出された文献のうちシステマティックレビュー2報、及びレビュー2報を中心に評価をいたしました。これらの文献からは、重症な胎児胸水に対しましては介入治療が正当化されること、水腫併発例については胎児シャント術を行うことにより、生存率が44〜66%となること。また、英国におけるガイドラインでも、胎児シャント術の有効性及び安全性は実証されているとされていることを勘案しまして、重症の胎児胸水における胎児シャント術は海外で一定の治療上の評価を得ているということが確認できたと考察いたしました。
 また、これらの結果は海外における本品とは異なる製品を用いたものです。海外臨床成績の本邦への外挿性について、二つ目の論点として検討しております。この点につきましては、本邦において胎児治療学会が実施しました後ろ向き実績調査の結果より、児の生存率が海外成績と同等であること、さらに高度医療評価制度下で実施された前向きの臨床研究結果より、患者選択、留置手技、術後管理等のばらつきを小さくすることで治療成績の向上が期待されると考えました。
 また、安全性評価について、最後三つ目の論点ですが、国内外の文献を用いて評価を行った結果、本治療に関わる有害事象につきましては、主にシャント留置手技に関するものであることから、添付文書において適切に情報提供をし、十分なインフォームド・コンセントの上で、リスク低減、及び有害事象発生時に速かに適切な処置を講じることのできる専門の医師及び管理体制の下で、本治療を実施することが重要であると考えました。
 以上のことから機構は、本品の臨床上の有効性及び安全性について、提出された臨床評価資料を用いて評価可能であると判断しました。また、専門協議においても、その評価について御了承をいただきました。
 これらの審査を踏まえまして、総合評価になりますが、審査報告書の21〜22ページを御覧ください。21ページ中ほどになりますが、胎児胸水は希少疾病であり、症例の集積が困難でありますことから、その自然経過及び患者選択には不確定な要素があること。有害事象への適切な対応が必要であることから、専門医、専門の実施施設で本治療を行うために施設及び術者に関する要件である承認条件1.及び2.を、また長期成績を含めた本邦での症例集積の必要性から承認条件3.を付すことが妥当であると判断しました。さらに、当日配付資料として、別紙にお手元にお配りしております、学会による本品に関する施設基準及び実施基準を御覧ください。こちらは、現在胎児治療学会を中心に策定準備中の本品使用に関する施設及び実施医の基準になります。現在、胎児治療学会で承認されましたところで、加えて、日本周産期・新生児学会及び日本産科婦人科学会においても検討中でございます。現時点では、本品の添付文書案の警告欄において、当該基準を遵守して使用するよう記載をしております。以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達しましたので、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断いたしました。
 本品は新使用方法医療機器であり、希少疾病用医療機器に指定されていますことから、再審査期間は7年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えます。機構からの報告は以上です。
○笠貫部会長 それでは、本議題については参考人をお呼びしておりませんが、千葉委員が、この領域で見識が非常に深いとお聞きしておりますので、何かございましたら追加をお願いいたします。
○千葉委員 私の結論は、胎児に治療を行うことは、今回の胸水も含めて当然であると思っております。ただ、詳細に関してはまだ希少疾患ということもあって、いくつかの議論が今後ともあると思われます。この両方を同時に認識しながら、胎児は今まで健康保険上は、必ずしも人とは認められていないと思いますが、胎児は人であり、出生前に診断ができれば、患者である。ですから、我々は一定の条件をクリアすれば治療すべきであるという考えでいるわけです。胎児治療と申しましても、胎児手術という話も加えますと、余りまだ一般的ではないと個人的には考えておりましたので、パワーポイントを使って、簡単に胎児手術というものをお見せできればと思っております。
 これが実際の胎児の手術です。内視鏡を入れて、臍の緒が見えて、今、赤ちゃんの頭がちょうど見えます。あとは鼻、口、目ですが、赤ちゃんが嫌がって、腕で隠しているところです。この赤ちゃんは、私が外国留学中に診た患者で、内視鏡的に喉を切開して手術をしました。この赤ちゃんはその後元気に生まれて、今も成長しております。
 さらにもう少し分かりやすく申しますと、アメリカの患者ですが、この男の子は胎児妊娠25週に手術を受けております。まず、間違いなく常識的に考えれば、この子は生きて生まれてくることは、なかったと思われます。日本の現在でも恐らく95%は死亡いたします。それだけの重症の胎児期の肺の腫瘍です。でも、がんではなく、発生異常です。もちろん上手くいかないケースはあります。しかし、明らかに上手くいくと思われるケースも増えてきているということは御理解願いたいと思います。
 これが我々が国立成育医療研究センターで実施した胎児の手術です。今の男の子と同じ病気です。子宮を開いて、赤ちゃんの腕を出して、開胸して胸腔内の肺の腫瘍を切除する。そして手術が終わったら、赤ちゃんを直ちに子宮の中に戻して、お母さんのお腹を閉じて生まれるまで待ちます。ただ、アメリカでは90%亡くなる赤ちゃんが、これで60%前後は助かっています。これは日本で最初の手術だったのですが、この赤ちゃんは残念ながら余りにも状態が悪く、亡くなっております。これから、この手術は必要があれば実施できる態勢にあることは間違いありません。
 胎児胸水の話につながる話をいたしますが、今の胎児の胸腔内腫瘍をなぜお見せしたかといいますと、あの病気が危険な理由は、心臓を圧迫して、胎児の心不全を来し、同時に、正常な肺ができないわけです。あの肺の腫瘍に全くガス交換機能はありませんので、このまま生まれてきますと、両方の肺ともほとんどできていない状況で生まれてくることが現実に起こるわけです。
 ここで臓器の発達ということで、あえて簡単に分けますと、形成期、成長期と分かれます。これは主に出生後であり、出生前は臓器が形成される時期である。この時期に障害が起きると致命的です。その代表的な事例の一つが、今の腫瘍であり、それから胎児の胸水です。なぜかと申しますと、胸水というのは、皆様は溜まった水を抜けばいいという感じでおられるかもしれませんが、同じ病名で、生まれた後と生まれる前では全く違う結果を出します。水が溜りすぎていると心臓を潰し、肺ができる余地を無くすということです。つまり、肺がほとんどできない状況で生まれてくる。この意味で臓器形成期にある胎児の胸の中に水が溜まっているということは、極めて危険です。今回は日本でもそうですが、海外では治療は当たり前に行うという発想があると私は理解しております。
 問題は胎児羊水腔シャントで、その場合に適用、あるいはその効果、エビデンスがどうであるかとか、いろいろな議論はあるかもしれません。当然合併症もあります。合併症が無いことは決してありません。それから、そのコストです。胎児は人とは認められておりませんので、健康保険ではまだお金は払っていただけません。もう一つは胎児治療学会から出ているように、適用や施設基準の設定があります。こういった問題は、PMDAの方たちも議論してくださっています。学会とも緊密に話をしてくださっているので、この審議会で十分な御検討をいただいた後で、学会もPMDAの方も積極的にこういったことに関しては御検討くださるかと思っております。
 これはリアルタイムの三次元超音波ですが、26週の胎児です。胎児は皆様が感じる同じ意味での痛みを十分感じます。針を刺せば痛がり、笑ったり、泣いたり種々の感情表現をこの時期に既に行っております。これは、超音波を見ればすぐ分かることです。したがって、改めて強調します。胎児は法的問題はあえて問わずに人です。ただ、受精から何週目から人と言うかどうかは議論がありますが、この時期になれば立派な人間です。したがって患者になるという概念で、今回PMDAの方が御審査くださったことは大変大事なことで、今まで胎児は人ではなかったということをこれから大きく変えていく歴史的にも重要で画期的な審議であると私は思っております。
 竜馬のように胎援隊というものができればいいなと我々は思っておりまして、ママたちに第3の選択肢、胎児治療があるということを是非宣伝したいと思います。第1の選択肢は、従来はどうしても駄目な場合は妊娠の継続を停止することがあったかと思います。もう一つは、不安であるが、そのまま妊娠を継続して分娩後に治療するという、ある意味ではこの二つしか選択肢はなかったわけです。それに対して、第3の選択肢が今生まれてきている。そして、今回の胎児シャントは、正にその流れの中にあるという位置付けの胎児治療、胎児シャントに関して御理解いただければと思っております。御清聴ありがとうございました。
○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、胎児治療ということの捉え方、先ほどもお話が出ましたように、高度医療評価制度の下での前向きコホート研究をどのように扱うのか。先ほどPMDAの方から三つの論点を整理していただいて、この臨床試験を認めるというお話だったと思いますが、各委員の先生方から御意見はありますか。
○荒井部会長代理 今の千葉先生のお話につきましては、全く異論はありません。また、エビデンス等を示すことがとても難しい希少疾患という点も含め、PMDAの判断にも全く異論はありません。まず、それを明言しておきたいと思います。
 ただ、拝見させていただくと、非常に単純なデバイスであり、これは値段的には極めて安いのではないかと思われます。このような話ばかりで恐縮ですが、恐らくこのような単純なデバイスは、今後使われるにつれ、専門の施設の工夫や改良が加わってくる可能性が大きいと思われます。これに対し、7年間で全例調査ということになりますと、もちろん使われる数は非常に限られているでしょうが、企業にとっては市販後の全例調査を義務付けられるのは、要件として非常に厳しく、もしかすると、非常に単価が安いだけに、商いとして成立せず、企業が乗ってこない可能性が懸念されます。すなわち、デバイスの価格と市販後全例調査についてのPMDAの根本的なお考えをお聞かせいただけるとありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
○機構 先生御指摘の点は非常に重要な点でして、このものの市販後調査については、専門協議で議論した際にも先生方からも御意見をいただき、機構でも検討いたしました。
 ただ、高度医療評価制度で行われた3年間の成績で24例があり、ほぼこの数が承認された後も大きく増えることは難しいであろうということで、3年間で24例ですから、年間8例程度ということで、絶対数が極めて少ないことから、このもののデバイスとしての評価を行う上で、症例の調査は全例とする形でやむを得ず、これは学会で検討いただいている基準においても、使用する施設に関して調査に協力いただける所ということで、学会からも調査への協力をお願いいただいているということと、このものについて、出生児の胎児の生存、あるいは出生から退院するまでの胎児の生存については、この製造販売業者による調査を行っていきますが、非常に長期なフォローに関しては、このデバイスの調査としては困難であるので、そういった点は学会での調査の御協力をお願いしているところです。以上です。
○荒井部会長代理 ありがとうございます。非常に特殊な領域ですから、そういった点について御配慮いただいているかについて確認させて頂きました。ありがとうございます。
○笠貫部会長 私は違った意味で、全症例は不可欠だろうと思います。特に高度医療評価制度のこういった前向きコホートの研究で、この症例で承認する場合は、先ほどお話がありましたように、実施施設基準、実施基準、全症例登録をきちんとセットにしておかなければ、リスクが非常に高いのではないかと思いますので、全症例登録は絶対必要だと思います。
 ただ、保険の問題はここで議論することではないのですが、全く新規な医療機器を日本から発信するという意味では、ここでは新規性と有用性をこの部会で非常に高く評価したということですね。それを残して保険審査の方にはお願いすることにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木委員 非常に画期的な話だと思います。胎児も人だとおっしゃったのですが、そうすると、妊娠中絶というのは殺人だということになるかと思います。そこの境目はどのように分けて考えたらいいのかという問題があると思いますが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
○笠貫部会長 事務局でしょうか、あるいは千葉委員でしょうか。先ほど胎児治療を力説された千葉先生からお願いします。
○千葉委員 今のは先生がおっしゃるとおりです。結論を申しますと、その結論は出ておりません。ただ、胎児が疾患を持っていれば患者であるという考え方が、もう少し浸透することによって、今の先生のおっしゃった議論が、より社会的に深まると私は期待しております。今まで、その概念が余りにも少なかったのではないかと思いましたので、この医療の意味はそのような所にもあるのではないかと考えている次第です。結論は、まだありません。
○笠貫部会長 それでよろしいですか。
○鈴木委員 いろいろ整理しなければならない課題があるのではないかと思いますが、胎児治療の妊娠の週数による制限などはないのでしょうか。
○機構 機構からお答えします。こちらのシャントチューブに関してでよろしかったでしょうか。
○鈴木委員 今回も含めて、胎児治療の定義というか、妊娠何週目以降か等を教えてください。
○機構 胎児治療全般の、こちらの品目に関していないことについては、今お答えできないのですが、この品目に関してお答えしますと、使用目的として特に適用数週は限っておりません。ただし、高度医療評価制度下で行われたものの適用に関して、選択基準としては18週0日〜33週6日まで、34週未満となっております。こちらの適用に関しては、シャントチューブのチューブの大きさと、ガイドのしやすさから選択を考えていると伺っています。
○千葉委員 普通に針を刺す、切るという操作は17〜18週の胎児以前ではかなり難しいと思います。なぜならば、胎児の皮膚というのは、あの時期はゼラチンのような柔やかさで、それに手術をできる人はゴッドハンドでも、なかなかいないだろうということですので、そのような意味から、若干それよりも後の方がいいという意見は確かにあります。
 もう一つは、子宮内で起きる病変の子宮内増悪が進んでしまうことは出生前に起こります。今までのいろいろなnatural historyの経験から、この時期以降はもう遅いということがあります。仮にその時期に見つかった場合には、なるべく早く、むしろ未熟児もやむを得ないので分娩していただいて、出生後の治療に委ねるという選択もいろいろ議論されています。ですから、19週ぐらいから25〜26週、せいぜい26〜27週までが、現在、世界的に行われている手術の時期です。これを過ぎると分娩させてしまうというヨーロッパあるいはアメリカの施設が増えていると聞いております。
○鈴木委員 私は正確には知らないのですが、妊娠中絶は何週まで認められているのでしょうか。
○笠貫部会長 武谷委員、よろしくお願いします。
○武谷委員 妊娠22週未満は中絶が可能で、22週以降は救命に向けて全力を尽くすことになっています。
○鈴木委員 そうしますと、17〜18週から22週にかけての中絶は殺人ということになりますね。日本は中絶大国ですから、日本ならではの問題が出てくるのではないかと思うのですが、その辺は整理しないまま進めていいのかという気がします。治療そのものが必要だというのは十分理解した上で、その辺が少し気になるというか課題かと思います。
○笠貫部会長 胎児医療について、18〜22週の間の治療法をどう考えるかという御指摘だと思います。
○千葉委員 そのような時期に迷って来られる患者は、今でもおります。我々の評価で何ら問題は無いということであっても、産科の先生に「何かある」と言われて、非常に心配になってパニックになっている方はおられます。その時に中絶という結論に一気に飛ばないように病態の説明、どうすればいいかという話を非常に時間をかけて行いますと、それは嘘ではないわけで、我々はそれを話すわけですが、大抵は納得して産んでいただきます。産んだ後、全く問題無く成長してくれる赤ちゃんが大部分ですので、結論からいうと良かったなということが多い印象はあります。
○笠貫部会長 この問題は倫理の問題も絡んでくるので、18〜22週というのは非常にクリティカルな問題だと思います。使用上の注意では19週からとなっていますので、19週から中絶の22週についてはいかがですか。
○千葉委員 本来はPMDAの方のお話でしょうが、最初に申しましたように、これで行っていただければと私は思っています。次の希少疾患ですから、全例登録というのは私も賛成ですが、その結果で学会あるいは厚生労働省が一緒に判断するということでいかがでしょうか。
○笠貫部会長 非常に重く、大事な問題ですが。
○鈴木委員 申し訳ないのですが、もし18〜22週の治療を行って、上手くいかなかった場合に、それは人と考えれば訴訟の対象となり得るし、中絶は殺人となりますが、人でなければ訴訟の対象にはならないということになると思います。その辺の整理はどうなのでしょうか。私は万が一のことも含めて考えておかなければ、実際は難しいのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
○笠貫部会長 千葉委員からお答えいただけますか。
○千葉委員 全くそのとおりですので、先生のおっしゃることを踏まえて全例登録で見ることになるかと理解しております。
 ただ、海外の話をあえてしますと、14週ぐらいには診断が行われており、12〜13週から診断が始まり、かなり正確に診断がついています。その後、日本は22週ですが、イギリスやフランスでは結構違っており、そのようなところで、その国々の文化あるいは法律に従って判断しているということで、世界的な基準はありませんので、我が国独自のものを是非作っていただきたいと願っているわけです。
○笠貫部会長 この部会での議論を超えているところの議論もされているのだろうと思いますが、いずれにしても19〜22週については、そのような問題もあるのだということを添付文書のところで言えるでしょうか。
○上席審議役 この19〜22週は法律の問題については、すべてのケースをいろいろ考えて事前から用意するというのはなかなか難しいと思いますし、19週からのことでは先進医療では行われているということで、その成果もありますので、生と死のところについて、病態もありますし、受持医と母親・家族の問題ですので、全例調査の中で問題を蓄積していくということだけしか、今の段階では組みようがないのではないかという感じがします。ですから、ここの所は全例調査という中で、どんな症例をどのようにしたのかを評価しながら、今後そういったものの対応ということになっていくのだと思います。
○千葉委員 最後に短く、これからは全例調査という時に、資料にある24例の前向き検討というのは、例えばアメリカの基準でいくと、臨床研究の5段階評価ではエビデンスのレベルから言うと、4に近い3ぐらいであると思っています。それは、コントロールがされていないからです。したがって、これは学会との話ですが、そのようなコントロールを置いたスタディが倫理委員会で許されるのであれば、是非そういったエビデンスの高いものになっていってほしいと思います。これは私の個人的なものを含めた願いです。そのようなことを進められるかどうかは分かりませんが、そう考えています。
○笠貫部会長 先ほどの全症例登録の追跡調査ということではなく、市販後調査研究として行っていただきたいと思います。きちんと倫理委員会も含めてかけていただいて、先進医療という意味では、市販後調査ではなく、市販後調査の臨床研究ということです。私は医療機器の場合には、そこを分けて使った方がいいのではないかと思っています。
 そのような意味では、企業の行うものに学会が協力するという形ではなくて、これだけ厳しい実施基準で実施医の基準を設けたところで、機関がきちんと倫理委員会を通して、臨床研究として行っていただくということが、こういった先進医療の時には必要なのかと思いました。ここで倫理の問題を議論すると先へ進まないですから、ここで決められた施設基準を満たした医療機関の倫理委員会を通していただいて、そこの機関の集まった臨床研究として行っていただくということでいかがですか。
○千葉委員 IRBに抵触せずというのは当然ですが、これは倫理委員会だけの話にはせずに、サイエンスの話にすることが正しい方向ではないかと思っています。このように申しますのは、胎児の疾患は今日は触れませんが、先ほどような巨大な腫瘍は自然になくなってしまうことが50%あります。この胸水も10〜20%は自然に寛解します。そうすると治療をして良かったのか悪かったのか、あるいは治療をしたケースと、しないケースでどうだったのかというサイエンスはやはり大事かと思っています。
 現にアメリカでは数百例の患者で、完全にコントロールした、対照を得た胎児の二分脊椎症、脊髄膜炎の手術を行って、立派に効果があるというサイエンスを出しています。胎児において、数百例の結果が既に出ている疾患もあります。ですから、絶対できないとはまだ考えておりません。
○笠貫部会長 今の倫理委員会を通すということは、決してサイエンスを求めないということではなく、きちんと臨床研究としてプロトコールを作って登録をして、その結果をエビデンスとして出すということが次のステップとして胎児医療に向けての議論を巻き起こすことになると期待して、是非市販後調査をきちんと臨床研究として行っていただくということで御理解いただけますでしょうか。御意見はありますか。
○塩川委員 今のは先ほど笠貫先生がおっしゃったようなことを本品の治療を行うにはということで、承認条件に学会、主治医、患者家族ともども倫理面の話を加えるということは、余り話としてはされておりません。この部会はサイエンスでこの製品の安全性と利益はどうかというところが主眼だと思います。その前段階でまだディスカッションされている、なかなか容易に解決しない問題があるわけですから、承認条件のところに、そのよう論理的な問題などを個々に一定の解決をして、それで行うということを加える等はどうでしょうか。
○笠貫部会長 臨床研究というと必ず倫理委員会を通さなければいけないので、臨床市販後調査ではなくて、市販後調査臨床研究だとすれば、倫理委員会を通るので倫理性をクリアできるかと思ったのですが、倫理性を今回の承認条件に付けるということは初めてのことですが、事務局から何かありますか。
○機構 倫理委員会の件に関しては、このものの特性上、議論になっている胎児治療ということで、本日の当日配付資料で、学会が現在検討中の基準においても、施設の基準として胎児治療を行う際にはそもそも胎児治療自体を行う介入治療の倫理委員会を通すことが一般的だということで、胎児治療の施行を審査する倫理委員会を有している病院であるという施設においてのみ使っていただくものであるという考え方です。
 承認条件においても、本品使用に関する医師並びに施設に関しては、十分な医師、要件を満たすということを記載しておりますので、現在、学会で策定中の実施基準に基づけば、少なくとも胎児治療に関する倫理委員会があり、そこできちんと承認をいただいた施設においてのみ使用されるという状況です。
○笠貫部会長 この施設基準を明記することで、3番の読み方によっては倫理委員会を通さないとできないことにしていただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、時間がだいぶ過ぎてまいりました。急ぐわけではありませんが、非常に大事な新たな問題ですので、ここで十分御議論いただいたということで、鈴木委員はよろしいでしょうか。
○鈴木委員 はい。
○笠貫部会長 それでは、議決に入ります。
○機構 1点だけ機構からですが、先ほどエクスプレスでも御指摘いただきました承認条件に関しては、本品添付文書には現在記載しておりませんが、実際に市販の段階では承認条件を記載した添付文書にさせていただきます。以上です。
○笠貫部会長 できましたら、市販後調査研究としていただく、企業だけではなく、学会も協力するということを添付文書に記載するのは難しいのですが、そのような意見が出たということを是非学会と企業に伝えていただきたいと思います。これまでは条件にならないことは分かっていますが、これだけ大事な問題の時には、これからはできるだけ市販後調査という枠を越えた枠組みを設けたいと思っているところがありますので、両方にお願いできたらと思います。
 ほかに、御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、議決に入ります。
 医療機器「胎児シャント」については、本部会として、審査報告書にある条件を付した上で承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は7年間とし、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することとします。
 それでは、議題3に進みます。議題3、医療機器「マツダイト」の製造販売承認の可否等について、審議を行います。
 本議題の審議にあたりましては、参考人として横浜市立大学医学部医学研究科特任教授の野一色泰晴先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 まずは、審議品目の概要について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題3、資料3「医療機器『マツダイト』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」事務局より御説明いたします。
 資料3の1枚目に諮問書があり、その次の審査報告書の2ページを御覧ください。こちらの一般的名称は、中心循環系非吸収性局所止血材ということで、今回新設予定の一般的名称です。販売名は「マツダイト」、申請者は「三洋化成工業株式会社」です。使用目的、効能・効果として、結紮を含む通常の外科的処置により止血が達成できない、胸部大動脈置換又は弓部分岐動脈置換に伴う人工血管吻合部における補助的な止血ということで、具体的に4ページの図1と図2に外観図を示しております。詳細については、機構からお願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医療機器『マツダイト』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。
 諮問書の次のページです。本審査にあたり、記載しております4名の専門委員の御意見をいただきました。本品目の概要について御説明します。
 審査報告書の4ページに、マツダイト(以下、本品という)は、三洋化成工業株式会社より開発された非吸収性局所止血材で、図1と図2に示しているシーラント液と付属のシート及びヘラから構成されています。
 審査報告書5ページの一番下の段落に記載しているように、本品は既存の止血材や接着材の問題点を踏まえ、1.硬化した被膜が柔軟で生体軟組織の拍動などの運動に対し追随性があること、2.短時間で硬化被膜を形成し作業性が良いこと、3.生体湿潤環境下で硬化密着し止血性を発現すること、4.組織毒性などのリスクが低いこと、以上の4点を満たすことで、血液凝固能が低下している条件下でも、血管吻合部からの出血を確実に止めることができる止血材を提供することを目的として開発された医療機器です。この目的を達成するために、従来の吸収性止血材とは異なり、非吸収性素材を採用した初めての止血材となります。
 審査報告書6ページ図3及び図4に示すように、本品は反応性の高いイソシアネート基を両末端に有するポリエーテル系含フッ素ウレタンプレポリマーによる粘張な液体であり、血液や生体表面の水分と反応して炭素ガスを放出しながら、高分子化し、血管吻合部に密着、柔軟な重合皮膜を形成することで生体内の血液凝固系に関与せずに、血管吻合部からの出血を止めることができます。外国における使用状況ですが、外国における承認申請及び使用実績はありません。
 非臨床試験成績に関する論点について、御説明します。審査報告書16〜18ページの「(3)機器の効能を裏付ける試験」を御覧ください。本品の臨床使用環境に準じた複数の動物モデル試験において本品の高い止血性能が確認されております。一方で18ページ下段に示すように、本品塗布後26週に至っても単核球が本品の周りを取り囲んでいる病理像が観察されていることから、その適用部位において感染の遷延化、若しくは異物反応が持続している可能性が示唆されております。特に本品と本品を覆う線維性被包との間隙は血液の交流も少なく、感染の温床となる可能性があるため、本品を使用した際には、感染リスクを増やす要因となることが懸念されると考えました。
 非吸収性止血材である本品を体内に残留させることによる、これら炎症や感染のリスクについては、本品の臨床試験成績を踏まえ総合的に評価する必要があると判断し、次の臨床試験の結果と合わせて後ほど説明させていただきます。
 続いて、本品の臨床試験成績に関して説明します。審査報告書の20ページです。本品に関する臨床試験は胸部大動脈置換術の血管吻合部における本品の止血効果の有効性と安全性を検証することを目的として、従来術式を対照とした多施設共同非盲検無作為化比較試験が、本邦6施設で実施され、22ページの2段落目に記載しておりますように、登録症例として本品群が59例、対照群として27例が組み入れられました。
 審査報告書23ページを見ますと、本品は血液凝固能が低下している状況下でも、血管吻合部からの出血を確実に止めることができる止血材として開発されたことから、有効性の主要評価項目の1点目は、ヘパリン中和剤である硫酸プロタミン投与直前の血管吻合部からの出血の有無。2点目は、硫酸プロタミン投与15分後の血管吻合部からの出血の有無の2項目が設定され、表2に示すように、両指標において対照群と比較して、本品群で有意に高い止血効果が認められております。また、副次評価項目としては、表3と表4に示す項目が設定されました。追加止血処置を実施した割合も、本品群で有意に少ない結果が得られております。一方、表3に示すように、ヘパリン中和剤である硫酸プロタミン投与前に本品を使用して止血を行う臨床的メリットは明確に示すことができませんでした。
 次に安全性についてですが、審査報告書23ページの最終段落から26ページを御覧ください。安全性については術後6か月までの評価が行われております。24ページの2段落目に記載しておりますように、有害事象は本品群で90.9%、対照群で88.9%認められ、5%以上の発現率で認められた有害事象は表5のとおりです。本品群では胸水貯留、心のう液貯留、発熱等が多く発現し、25ページの初めに記載しておりますように、本品との因果関係が否定できない有害事象は15例、そのうち2例以上認められた事象は胸水貯留6例で10.9%、心のう液貯留が3例で5.5%、CRPの上昇と発熱がそれぞれ2例で3.6%でした。
 また、重篤な有害事象は本品群で24例、43.6%、対照群で10例、37.0%に認められ、本品の因果関係が否定できない有害事象は胸水貯留が2例、胸膜炎の疑いが1例、遅発性心のう液貯留が1例、仮性動脈瘤が1例の合計5症例であり、いずれも回復又は軽快しております。
 この臨床試験成績を踏まえ、本品の審査における主要な論点について御説明いたします。審査報告書34ページ、「5.総合評価」を御覧ください。まず、1点目の論点は、本品の有効性についてですが、臨床試験成績において、本品は有効性の主要評価項目である硫酸プロタミン投与直前の血管吻合部からの出血の有無と、硫酸プロタミン投与15分後の血管吻合部からの出血の有無で、対照群と比較して有意に高い止血効果が認められたことから、本品の止血材としての有効性は本試験により示されていると判断しました。
 2点目の論点は、本品の安全性、非吸収性止血材が有するリスクについてです。動物試験において、本品周辺の炎症反応の遷延化が認められたように、本臨床試験においても炎症の関連が疑われる胸水貯留などの有害事象が本品で高い傾向が認められました。これらリスクの増大は有意差としては認められず、本品との直接的な関連性も低いと分析されているものの、本臨床試験に組み入れられた症例数は本品群が55例と、これら感染等を含めた本品の安全性を評価するには限界があり、現時点で本品の潜在的な感染リスクを否定することは難しいと考えております。
 さらに、本品群で発生率が高い傾向を示した胸水貯留や心のう液貯留などが、患者の予後に与える影響の大きさを踏まえると、非吸収性の本品を体内に残留させるリスクを軽視すべきではなく、本品とこれらリスクの関連性については、製造販売後調査などの追加情報を踏まえて、さらに分析する必要があると判断しました。
 以上、本品の有効性と安全性に関する論点を踏まえ、本品の市販後における適正使用については、次のように考えました。本品の止血能は既存法に比べ高いものの、既存の吸収性止血材には想定されない炎症や感染が遷延化するリスクがあり、本品との関連性についても明確ではないことから、現時点では本品の適用を本品の高い臨床上のベネフィットが期待でき、臨床試験でも一定の安全性が確認されている疾患に限定する必要があると考え、本品の使用目的を「結紮を含む通常の外科的処置により止血が達成できない胸部大動脈置換又は弓部分岐動脈置換に伴う人工血管吻合部における補助的な止血」とすることが妥当であると判断しました。
 その上で本品が体内に残存することのリスク、使用量を最少化することの必要性について、添付文書において注意喚起するなどのリスク低減化措置を講じた上で、臨床現場への十分な情報提供を行うことが必要であると判断しました。また、審査報告書の32〜33ページに記載しているとおり、本品の非吸収性に起因するリスクと本品との関連性については、製造販売後調査の重点調査項目として胸水貯留、心のう液貯留、縦隔炎感染及び発熱の発生頻度、程度、因果関係を確認する予定でおります。
 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は新性能医療機器であることから、再審査期間は3年と判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えます。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、参考人の野一色先生から、何かございますか。
○野一色参考人 本止血材は非常にユニークな止血材で、非常にパワフルです。しかし、それと同時に問題点も含まれております。今、御覧いただいていると思いますが、これは水に触れることによって反応が始まり、本品はイソシアネートの反応ですので、いろいろなアミノ基とも、くっ付きます。ですから、生体の組織とも付きます。そのもの自体もmassを作り、吐血・出血部位を圧迫します。一般に止血材というのは凝固系をstimulateして血液凝固を促進しますが、本品は固まりとしてその部分を圧迫止血するという効果があります。固まりとなる時に周囲の組織とも付くので、そこに固着性が良いということです。
 もう一つの特徴として、固まる途中において水と反応して炭酸ガスが発生します。そのために非常に柔軟なスポンジ状のものができます。それがまた圧迫効果がいいということで、凝固系が非常に低下している場合でも止血可能です。今、お話のあったヘパリン中和をする前でも止血ができるという強烈なものです。
 しかし、欠点としては、生体内でできたものが分解、吸収されません。そのことが細菌感染の温床となる可能性があります。患者は止血は一瞬ですが、生涯に渡って感染の温床になるものを抱え込んでしまう危険性があります。その有害事例が報告されていますが、それはそのような感染の温床になるようなことに関してのものではありません。ですから、心配ではありますが、出血によって非常に困難を来す症例においては非常に有効です。そのようなことで、吸収されないがためのトラブルが起きるであろうことは市販後の調査に委ねたいと思っております。以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、本件について、委員の先生方から御意見、御質問はありませんか。
 ランダム化試験も行われている日本発の止血材で、非常にパワフルだというお話がありました。一方では炎症・感染等の温床にもなり得るリスクがあるというお話でしたが、いかがでしょうか。
○正田委員 全くの門外漢ですが、副作用のことがどうしても気になっていて、55例で18例胸水が溜まっているということになると、500例を3年間で見ると、それだけで180人程度、対照群に比べると100例近くそのような人が出る可能性があるのですが、副作用に重大な問題がある時はどのような状態で、それをどうしなければいけないのかといったことを判断する基準はあるのですか。例えば、500例、3年間報告されると、恐らく心のう水が50例、胸水が100例程度、余分に出るのだろうと思うのですが、それと効果とのバーターになると思うのですが、その部分はどのように実際には機構などでは判断していくのでしょうか。調査を行うことは分かるのですが、調査をどのように反映させていくのかが気になります。これはもちろん大事な薬なので使わなければいけないと思いますが。
○機構 説明いたします。今回、リスクについて懸念の点は、申請者は関連性が無いということで、問題ないと非常に強く主張されたのですが、こちらとしては、これは安全性のシグナルととって対応しなければいけないと思います。専門協議においても、同様に、専門の先生へ機構の懸念を伝えさせていただいたところ、専門の先生の御意見は、そのリスクが有るものとしても使用をしっかり限定していくことで現場に出す有用性はあるだろうという御意見をいただきました。
 実際のデータについてですが、実際に収集されているデータの発生率とコントロールが無いというところがあるので、非常に難しいのですが、集められたデータが臨床試験で認められた発生率より明らかに上回ってくるようなことがあると、それはその時点で承認の可否の判断をしなければいけません。それを十分下回るリスクであれば、今、この製品をリスクがあるものとして見ていますので、まだ許容される範囲内という形で計画を考えております。
○機構 機構より補足いたします。評価の件ですが、基本的には再審査期間を3年と設定しておりますので、3年後にはデータをまとめて、その結果を吟味して適切なのかどうかを考えていきたいと考えております。
○中谷委員 今のお答えでしたら先生の方から、先にお答えいただけたらと思います。
○野一色参考人 3年という期間が適当かどうかということがあります。ほとんど分解吸収されませんので、それをずっと生涯に渡って抱え込んでしまいますので、そのようなことは審査の過程においても随分議論しました。それによって、本当に必要最小限の使い方、本当に必要な人に使うという話で事が進んだのですが、私どもが心配しているのは、非常に使い勝手がいいものなので、多用される可能性があります。普通の止血材でも十分止血できるけれども、こちらに頼ってしまう風潮が出てしまうことを非常に危惧しておりました。
○中谷委員 審査に加わった者として意見を述べさせていただきます。当初はかなり広い範囲での適応が考えられており、冠動脈バイパス手術時の止血も含まれていました。本品は強力な止血剤であり、非呼吸性ということも事実ですので、リスク・ベネフィットの点から、そこまで使用できるようにするのは問題であろうということになりました。そこで、かなり絞って、結局、胸部大動脈手術において止血に難渋し、どうしようもなくなることがありますので、適応をそのようなものに限ることとし、さらにプロタミンを使ってから用いることとすることで使用量も減らし、体内に残るものも少なくすることで、本剤の持っている力を最大限使える形に限ろうということになりました。そのような状況下であれば、胸水等のリスクは確かに高いのですが、一応回復や軽快という形で報告されておりましたので、止血が得られるということとのバランスから専門協議の中で認可してよいのではないかとなりました。また、臨床上からも良しとしていいのではないかと思います。従って、適応等を限り、かつ適応外での使用に注意し、さらに胸水などの有害事象が数多く出てくるようであれば問題として再評価するということです。3年間の使用成績調査を行うと、有害事象の危険性が統計的に分かる500例程度のデータが集められるということを聞きましたので、500例ぐらいの調査を行うことを前提としてならば、本品の特性を活かしつつ、そのリスクも許容できる範囲内として世に出すということでいいのではないかと思います。従って、今回協議を行った考え方で、本品が使われれば良いと思います。
○機構 先ほどの再審査期間の話の続きですが、再審査期間に関しては3年後に最終的に評価することになっておりますが、年次報告という形で、年ごとできちんと集計が上がってまいります。また、別途、副作用等の不具合が起こった場合には、きちんと不具合報告も上がってくるので、その状況を見ながら、必要であれば注意喚起を行う等で対応していきたいと考えております。
○笠貫部会長 今のリスクについて、適応を絞り、市販後調査を行うということ以外に、警告の記載の方法において、それだけのリスクを持ってベネフィットの方が高いということで承認する場合、炎症・感染の箇所が1、2、5で、このようなことをしてはいけないということで、理由が炎症・感染であると説明文として記載されています。むしろこの機器自身が持っているリスクの話は炎症・感染だということで独立した項目として挙げるべきではないかと思います。それを検討していただきたいのです。
 もう一つは、胸水の因果関係は分かりませんが、それをリスクのシグナルだとして捉えるのであれば、これも注意喚起しておかなければいけないのではないかと思いますので、書き方を後で御検討いただきたいと思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。早速、検討させていただきまして、申請者と相談して対応させていただきたいと思います。
○千葉委員 これはここに書いてあるとおり、結紮を含む通常の外科的処置により止血が達成できない場合を適応として、厳密に行っておられるので、いくらいろいろなリスクがあり得ると因果関係を言っても、これを使わないことがリスクである症例に限っているわけです。使わなければ血が止まらないわけなので、今の条件などはもちろんしっかり付けることは当然です。しかし、この適応をこれでしっかり守る限りは、使わなければいけないと私は思います。ですから、disadvantageとadvantageを比較する話ではない状況で、これを使うのだとはっきりおっしゃっていると私は理解しました。
○笠貫部会長 その辺の使い勝手がいいので、多用されることが懸念されるという時には、より安全な対策、リスク低減措置を行っておいた方がいいのではないか、添付文書もきちんと書かれた方がいいのではないかという意見を出していただきましたので、より安全対策をとっていただけたらと思います。
 ほかに、御意見はございませんか。よろしいでしょか。
 よろしければ、議決に入ります。なお、塩川委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととたします。
 医療機器「マツダイト」については、本部会として、承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することとします。
 議題3が終了しましたので、参考人の野一色先生におかれましては、御退室いただいても構いません。ありがとうございました。
 それでは、議題5に進みます。議題5、新たに追加する医療機器の一般的名称に関して、事務局より説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題5、資料5「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」事務局より説明いたします。
 時間も過ぎておりますので、手短に御説明いたします。資料5を御覧ください。医療機器に関しては、一般的名称と呼ばれる区分が無いものについては、高度管理医療機器なのか、管理医療機器なのか、一般医療機器なのかは薬事法の定義に基づくものですが、これについて審議会の御意見を伺った上で定めることとなっていることを踏まえて、今回お尋ねすることになっております。
 資料5の表紙をめくり、最初のタブの「一般的名称の新設について」です。「参考」を見ますと、今回新設をしようとしているのが「吸収性頭蓋骨固定用クランプ」で、既存のもので一番下の表のカラムにある頭蓋骨固定用クランプですがクラスIIIで既に承認された品目があります。この品目に関して、こちらの吸収性のものが出てくるということで、例えば上の二つの例のように、体内固定用プレートであると吸収性体内固定用プレートがそれぞれあるように、今回、頭蓋骨固定用クランプに対して吸収性頭蓋骨固定用クランプの創設を考えております。そのようなことで、この度、一番上の表の2番目のカラムの新一般的名称(案)は、吸収性頭蓋骨固定用クランプとして部会で御審議いただければと思います。事務局からは以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございました。
 本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。何かございますか。よろしければ、議決に入ります。
 本部会として、吸収性頭蓋骨固定用クランプについて、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、そのように議決させていただきます。
 この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することとします。
 次に報告事項に進みます。議題6、医療機器の再審査結果について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題6、資料6-1〜6-5「医療機器の再審査結果について」事務局より報告いたします。
 こちらは報告事項で、資料は事前に委員の先生方にお送りしておりますので、この場で一つひとつの詳細な説明は割愛させていただきますが、今回、資料6-1〜6-5に出てくる5品目とも、不具合症例等があった場合には添付文書の改訂等の適切な処置が行われており、有効性・安全性に特段問題は無いという判断がされております。薬事法の第14条第2項各号のいずれにも該当しない。すなわち再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要が無いとするカテゴリー1と5品目とも判断をしております。以上、報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんか。
 よろしければ、議題7に進みます。議題7、部会報告品目について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題7、資料7「部会報告品目について」事務局より報告いたします。
 資料は横向きの黄色の帯が付いている資料7です。この資料は、本年7月1日〜9月30日の3か月間に承認された品目のうち、本部会への報告対象となっている品目についてまとめたものです。1〜9ページが医療機器、10ページが体外診断用医薬品となっており、医療機器は合計42品目、体外診断用医薬品が3品目あります。こちらについても事前に委員の先生方にお送りしておりますので、この場で一つ一つの品目の詳細な説明は割愛させていただきます。以上、御報告いたします。
○笠貫部会長 ありがとうございました。本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。特にございませんか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、議題8に進みます。議題8、希少疾病用医療機器の指定の取消しについて、事務局より説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題8、資料8「希少疾病用医療機器の指定の取消しについて」事務局より報告いたします。
 資料は平成20年6月11日に希少疾病用医療機器に指定された中心循環系血管内塞栓促進用補綴材について提出された試験研究中止届です。この試験研究中止届書の提出に伴い、薬事法第77条2の5第1項の規定に基づき、指定を取り消すものです。試験研究の中止に至った経緯としては、2ページの別紙1に詳細が記載されています。こちらの医療機器の試験研究成績などについては、平成21年6月に医薬品医療機器総合機構へ治験計画届が提出され、平成23年5月に治験終了届書が提出されております。試験研究などに関して、独立行政法人医薬基盤研究所、厚生労働省医政局研究開発振興課からの助成金、補助金などは受けていないとの報告を受けております。以上です。
○笠貫部会長 本件について、委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんか。
 よろしければ、本日予定された議題はすべて終了しました。
 それでは、事務局から、そのほか何かございますか。
○医療機器審査管理室長 次回の部会につきましては、12月16日(金)を予定しております。連絡事項は以上です。
 よろしければ、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個別案件以外は公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 高江(内線 2912)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会) > 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会議事録

ページの先頭へ戻る