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2011年12月22日 第9回医療情報の提供のあり方等に関する検討会議事録

医政局総務課

○日時

平成23年12月22日(木)17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○議題

1.これまでの議論の整理(案)について
2.医療機能情報の提供について
3.その他

○議事

○佐々木調整官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第9回「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」を開催させていただきます。
 先生方におかれましては、年末の非常に御多忙の中、また今回は夕刻からの開始になり大変恐縮でございますけれども、本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 鈴木先生は少し遅れてお見えになられるようでございますけれども、お見えになられれば、今回は全構成員の皆様に御出席いただく予定となっております。
また、本日は当日配付資料という形でテーブル席の皆様方には配付させていただいておりますけれども、昨日、消費者委員会から建議が出されてございます。これに関しまして、消費者委員会事務局より岡企画官にお越しいただいております。
○岡企画官 岡です。よろしくお願いいたします。
○佐々木調整官 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まずお手元の資料の確認に入らせていただきます。
いつものとおり、議事次第、座席表。
資料1「医療に関する広告規制に関するこれまでの議論の整理(案)」
 資料2「アウトカム指標等の取扱いに関する前回の議論の整理(案)」
 資料3「医療機能情報提供制度の普及等に向けた今後の進め方について」
 資料4「地域の医療提供体制における医療情報提供のあり方について」
 参考資料でございますけれども、前回の資料でお付けしました「医療の成果に関する指標(アウトカム指標)及び過程に関する指標(プロセス指標)の取扱い」を参考資料1として今回お付けしてございます。
 参考資料2でございますけれども、これは前々回第7回にお示ししてございます「欧米4カ国と日本における医療広告に対する規制の有無とその内容等」ということでお示ししてございましたが、この検討会開催の間、各国の大使館を通じまして、こちらの資料をリバイスさせていただいておりまして、今回改めて御提示しております。
 参考資料3は、各都道府県の医療機能情報提供制度のそれぞれのホームページのトップページ。こちらをお手元に御用意させていただいております。
 参考資料4は、同じく医療機能情報提供制度のホームページの機能一覧を事務方でまとめさせていただいたものでございます。
 先ほど申し上げましたけれども、本日テーブル席の皆様方には、急きょ資料を追加させていただいております。1つは、消費者委員会から昨日21日付で出されました建議。エステ、美容医療サービスに関する消費者問題についての実態調査結果と建議の概要ということで、横になっている資料を配付させていただいております。
 もう一点、これは本日付でございますが、独立行政法人国民生活センターから歯科医院プラント治療に係る問題という形で報道発表がなされておりまして、これはつい今しがたオープンになったものでございます。こちらを配付資料として追加させていただいております。それぞれに医療機関の提示するホームページ等に関連してということでございますので、追加させていただいたところでございます。後ほど岡企画官に御説明をいただくかと思います。
 いつもながらでございますけれども、紙フォルダーになってございますが、基本資料集を御用意させていただいています。
 資料については以上でございますが、もし落丁等がございましたら、事務局にお申し付けいただけたらと思います。
 そうしましたら、以後の進行を長谷川座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○長谷川座長 クリスマス直前にお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。2011年はいろいろなことがございまして、いよいよ今年も終わるのかなと思うと、感慨ひとしおでございますが、今日もさまざまな課題を議論したいということですので、時間を有効に使ってまいりたいと思います。また、幾つかの重要な決定というか、整理事項もございますので、年末にふさわしい内容かと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 この会議は公開で、議事録が公開されます。事務局の方でまとめて、後で構成員の先生方にお渡しすることになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入ります。これまで数回にわたってさまざまな議題をお話してまいりましたが、いよいよ整理をして、特に医療情報提供制度等につきまして、御議論をいただく予定にしております。資料は先ほど御紹介があったと思いますが、中身について少し事務局の方から要点を簡潔に、御説明をお願いいたします。
○田中専門官 それでは、お手元の資料1をごらんください。「医療に関する広告規制に関するこれまでの議論の整理(案)」という資料でございます。
 これまで2回、この話題についは御議論をいただいておりまして、それを私ども事務局で整理した資料でございます。要点を絞って御紹介させていただきます。
 まず、病院情報のインターネットによる提供、医療機関のホームページのところでございます。発端としては、昨年の夏に出された消費者庁からの要請でございます。美容医療のサービスに関するホームページにおける不適切な表示への対応という要請の下、議論が始まっておるわけでございます。
先ほど御紹介したとおり、昨日と今日、昨日は消費者委員会からの美容医療サービスあるいはエステに関する建議が、本日は国民生活センターでの歯科のインプラントについて、こちらも自由診療に係る部分でございますけれども、その報告が出されておりまして、関連をしますので、御紹介させていただきます。
建議の方については、岡企画官に説明をお譲りするとして、もう一つの国民生活センターの歯科インプラント治療に係る問題という資料をごらんいただければと思います。
歯科インプラントについて、そのトラブルが発生をしているということで、報告書がまとめられておりまして、いろいろな要請がある中で、16ページをごらんいただければと思いますけれども、行政への要望ということで3点ございまして、3つ目、7番の行政への要望の(3)でございます。
広告は医療法で規制されているが、歯科インプラント治療の広告の中には不適切な広告が見られたため、その徹底を要望する。ホームページについては広告とみなされていないが、インターネットでの広告と同様の記載が見られたため、ホームページについても対策を講ずるよう要望するといった要望が出ております。消費者委員会の建議も含めまして、自由診療の分野に関するものでございまして、こういった背景があるという前提で御議論をいただければと思います。
そこで、これまでの議論の整理としては、広告とみなすかどうかについては、現状を見ると広告とみなさないという整理はなかなか困難になってきていると。ただし、他方で医療法、保険診療を行う一般的な医療機関のホームページも含めて、その内容を一律に規制してしまうということになると、インターネットを通じて発信される情報が大幅に制限をされてしまうというデメリットなどがあるということで、それはなかなか厳しかろうという御意見だったかと思います。
また、医療機関のホームページについては、広告という性格のみではなくて、他の医療機関との連携あるいはリクルート情報なども一緒に出しているという性格もありますということで、美容医療サービス、自由診療の分野を念頭に対応することが適当であるということでまとめております。
今後の対応のところでございます。前回4つの案を提示させていただいておりましたけれども、その中で案の3の、厚生労働省がガイドラインを作成するというところで、意見が大勢を占められていたかと思います。前回の議論を踏まえて、今後の対応を記載させていただいております。こちらについては、自由診療分野を中心としたガイドラインを厚労省主導で作成する。
その具体的な中身でございますけれども、前回も同じように示しておりましたが、その内容の具体例として、2ページの下から始まります四角囲みの中に項目を分けて記載しております。大きくは記載禁止事項と記載しなければならない事項として、2つに分かれるかと思います。
特に記載しなければならない事項として、その費用あるいはメリットだけではなくて、リスクとかそういったことについても併せて記載する。自由診療に関してはそういうことが記載すべきではないかということで、記載をさせていただいております。
3ページに移っていただきまして、併せて、ほかの景品表示法あるいは不正競争防止法といった規制が円滑に適用できるように、虚偽とか誇大といった表示の基準というものも併せて明確化するという方針になっております。当面の間はこういう形で改善を図るとしたいと考えておりますけれども、それでも全くよくならない、改善が見られない場合には、対象を絞りながら法規制も含めて、その後、対応を検討したいとしております。併せて、フリーペーパーとか、そういったところも医療法に抵触するおそれがあるものについて、御報告も上がってまいっておりますので、その規制の徹底も併せて図っていくべきとまとめております。
「2.医療に関する広告規制の基本的考え方」については、内容としては前回とほとんど同様でございまして、途中省略させていただきますけれども、4ページの真ん中の「(2)今後の対応」ということで、広告規制についてはポジティブリストを引き続き採用する。広告可能事項について、その拡大を検討するという今後の対応としてまとめております。
「3.その他」としまして、医療に関する知識の啓発ということで、こちらについても前回と同様の内容を記載させていただいております。
資料の説明は以上でございます。
○長谷川座長 ありがとうございました。
 かなり活発な御議論をいただいた結果、こういう結論になっておりますけれども、まずは今の御説明に関する御質問はございますか。明確でございますか。一応この内容はこういうことで整理をしたという確認でよろしいですね。
○佐々木調整官 本日、消費者委員会の岡企画官にもお越しいただいておりまして、議論に入る前に、消費者委員会の建議について、御説明を賜れればありがたいと思っています。
○長谷川座長 では、議論に入る前に、是非よろしくお願いします。
○岡企画官 今回、検討会にお呼びいただきまして、ありがとうございました。消費者委員会事務局の企画官の岡でございます。
 お手元の当日配付資料をごらんになっていただければと思います。そもそも消費者委員会は何だろうということもありまして、簡単に一言で申しますと、消費者庁とは違う組織で、消費者庁を含めた各省庁の消費者政策、消費者行政というものを監視する役割のものでございます。昨日、消費者委員会が開かれまして、美容医療、エステということで建議を出しました。建議というのは、厚生労働大臣及び消費者担当大臣に対して、建議という形で決定いたしました。時間もありますので、建議の内容を簡単に説明させていただきたいと思います。
 赤い横長のポンチ絵の2ページをごらんになっていただければと思います。実はいろいろなことを言ってはおりますが、今回で医療に関する話を中心に話をしたいと思っております。まず、何で今回、エステ、美容医療を建議したかと申しますと、全体に相談件数は減ってくるものの、まだまだ1万件近いオーダーがあるということと、危害情報に関して、エステ・美容医療に関連の危害情報が寄せられていることもありまして、これについて建議をすることになりました。
委員会としては独自に都道府県にヒアリングをしたり、書面調査を実施し、さらに独自の消費者アンケート調査などをインターネットを通じてやりまして、それぞれ事実関係を積み上げながら建議という形にさせていただきました。
6ページ、7ページが今回の広告規制に関する話の関連のところでございます。
6ページは3つのグラフがあって、1つの枠があります。左のグラフを見ていただきますと、これは我々が独自にやったインターネット調査でございます。そうしたところ、サロンとかクリニックを選択する際にどういうものをえらびましたかと聞いたところ、友人とか知人から聞くというのは当然ながら多いのですが、サロン、クリニックのホームページとか、あるいはフリーペーパー、チラシから聞いたという人がまあまあいます。
下のグラフをごらんになっていただきますと、その人たちに不満でしたか、それとも満足しましたかという聞き方をしたところ、友人、知人から聞いたというのは聞きどころが確かということもあるのだと思いますけれども、比較的不満なしが多いのに対して、ホームページとかフリーペーパーで確認をした人たちは、不満ありという人たちが多いという事実がわかりました。
右のグラフで、美容クリニックに出向くきっかけになった広告媒体はどんなものがありますかと聞いたところ、電子媒体というのがかなり高く、最近になって比重が高まっているという事実もわかりました。
7ページで同じアンケート調査を我々がしまして、左のグラフです。サロン・クリニックの選択肢の決め手となった情報は何ですかと聞きました。聞いたところ、当然ながら料金とかキャンペーンとかは当然多いですが、それ以上に気になったのが体験談とか施術前、施術後の比較写真が比較的決め手になったというのがあります。正確に言うと医療広告ガイドラインだと思いますが、体験談とか施術前、施術後の比較写真というのは、広告としていかがなものかとされているものが決め手となって、消費者はサロンを選んでいるという事実がわかりました。
右のところで医療法に照らし合わせて問題があると思われる広告の事例ということで、我々事務局の人間で池袋とか新宿に行って、駅のフリーペーパーをいろいろと見ると、明らかにだめだと思われるものが散見されたと。ナンバーワンクリニックとか、あとは芸能プロダクション提携クリニックとか、そのようなものがいろいろとあって、いかがなものなのかなという事実がわかりました。
下のところは景表法の話です。景表法は消費者庁及び地方公共団体の方で執行していただくことになるのですが、その中で、特にエステ・美容医療に関して相談件数の多い10都道府県に聞きました。おたくのところでエステ・美容医療に関する表示を景表法で指導をしましたかと聞いたところ、大体半分くらいのところはあまりしていないということもあって、景表法的にもとりしまりをしっかりしているのかどうか、やや疑問なところがございました。
こういう事実を基にして、9ページをごらんになっていただければと思います。調査結果のポイントと建議のポイントがございまして、調査結果のポイントの2つ目の枠です。消費者が参考にしているインターネット上の表示広告に不適切な事例が多く見られるのではないか。エステ・美容医療サービスの広告に対して、医療法、景表法ともに行政指導は十分行われていないのではないか。そういう問題意識の中で建議ということで、消費者委員会から出させていただきました。
そこが「3.不適切な表示(広告)の取締りの徹底」ということで、厚生労働省は消費者視点で好ましくないと判断されるインターネット上等の表示を取り締まるための措置を講ずること。また、都道府県における関係部局間の連携を再度要請するとともに、適切な法執行を要請すること。景表法の所管は消費者庁でございますので、消費者庁に対して、都道府県に対し医療機関が行う広告についても景表法の指導の対象となることを徹底し、自らも法執行を適切に行うこと。以下のような建議を出させていただきました。ほかにもいろいろと建議の内容はございますが、今回は特に医療、広告に絞った形で御説明をさせていただきました。
以上でございます。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 これを加えて、前回の先ほどの整理の関係の御質問、御議論をお願いしたいと思います。まず、御質問はいかがでしょうか。
 坂本構成員、どうぞ。
○坂本構成員 今の消費者委員会のデータの中で、インターネットが平成20年、21年から、美容クリニックに出向くきっかけとなった広告媒体として増えているというのが6ページですね。これはインターネットのいわゆる形態とか、スマートフォンとか、そういったものも含めてということですか。
○岡企画官 含めます。ですから、必ずしもホームページだけではなくて、例えばインターネット上口コミ情報みたいなものも入ってくると思います。
○坂本構成員 ツイッターとかも含めて、その辺りが少し多いのかなという印象を受けました。
○長谷川座長 ほかにいかがでしょうか。皆様方は御存じでしょうけれども、素朴な疑問で、建議というのはどういうような性質のものでしょうか。真摯に受け止めて改善しなければならないことはよくわかるのですが、これをちゃんと守らなければ罰則があるとか、あるいは行政上の命令なのか、その辺はいかがでしょうか。
○岡企画官 そもそも消費者行政全般で、消費者の視点からしっかりと消費者行政が進んでいるかどうかを消費者庁とは別に、第三者機関として有識者が集まりながら見解を出すというのが役割であります。その中で法律に基づいて調査をして、それぞれの関係省庁の大臣に対して意見を述べるというところで、建議という形でさせていただいておりますので、関係省庁にはしっかりと対応をしていただければと考えております。
 また、毎回どの建議でもそうですが、半年後くらいにどういう感じがフォローアップが進みましたかということで、フォローアップという形で委員会の場でお伺いする機会を設けることにしてございます。
 以上でございます。
○長谷川座長 ありがとうございます。どうぞ。
○加納構成員 今回はエステ・美容医療サービスに関するという形になっていますが、消費者委員会の立場で、もう一つ、国民生活センターの方でインプラントの話が出ていますが、医療関係でほかに話題が出ているものはありますか。
○岡企画官 今までにおいて、医療関係で建議というのは出しておりません。ただ、過去に国土交通省の関係や自動車リコールの話とか、あるいは老人ホームの話とか、そのようなことについて建議をしたことはございます。
○加納構成員 そうすると、今回はこれが出てきたわけですが、医療に関してはそんなに建議をせよという依頼とかはあるのでしょうか。
○岡企画官 何を建議として取り上げるのかは、例えばPIO-NETの情報で何が相談として挙げられているか、件数だけではなくて、その性格を見ながら、委員会の中で委員同士で御議論をしていただいております。
 今回の美容医療・エステも、時間がなかったので説明を省略しましたが、実際に相談件数の推移は減っているものの危害情報がかなり高いので、そこはしっかりと何が問題になっているのかは調査、分析をして、委員会として消費者の視点で何が言えるかどうかを検討する必要があるのではないかという委員会の御議論も踏まえまして、建議という形にしたという次第でございます。
○加納構成員 お聞きしたかったのは、今回こういう形になりましたが、ほかの医療関係では今のところ話題になっていることはないのでしょうか。
○岡企画官 私の知っている限りでは、具体的に何かの医療関係の建議をする予定があるかという意味では、今のところはありません。
○加納構成員 ありがとうございました。
○長谷川座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○山口構成員 前回もお伝えしたのですが、私たちCOMLに届く電話相談にも、こういう美容医療やインプラントなど自由診療に関する相談は結構多い傾向にあります。こちらの実態調査のところで、数は減っていると書いてありますが、被害を受けた方がなかなか声を出しにくい分野が美容医療なのではないかと思います。まだ歯科の方が苦情を言いやすいと思いますが、「私は美容医療を受けて失敗されました」とはなかなか言いにくいので、実態はこの数よりは多いのではないかと思います。
しかし、美容医療を受けることに対しての心理的ハードルは下がってきていて、プチ整形という言葉に象徴的なように、かなり気軽に受けていらっしゃる方も多いというのが相談を聞いている印象です。やはり成功者の体験談や、「今だけ半額セール」としてお試し期間の場合は安くしているとか、そのようなホームページ等々の情報を見て気軽に受けていらっしゃると、相談を受けていると感じます。
例えばインプラントでも一度受けると一生ものというような広告を見て、生涯つくり替えなくていいのだと思って受けたら、そうでなかったという御相談も届いたりします。ガイドラインを作成するにあたり、私の立場からも「こういう表現で惑わされている」というものを少し集められたらいいかなと思っていますので、それをまとめて、またお伝えしたいと思っております。
○長谷川座長 ありがとうございます。どうぞ。
○岡企画官 すみません。1点補足させていただきます。相談件数として減っていますけれども、実はこの平成19年、20年で増えているのは、このときはエステの倒産が増えていて、倒産絡みで苦情が多かったためであって、増えているのはやや特殊要因によるものです。また、それ以降は、全体に減っていますが、実は契約絡みと危害情報絡みと2つあって、契約絡みのところは実は下がっていますが、危害のところは減っていないんです。
エステ業は、特商法で特定継続的役務提供というのに当たりまして、それが徐々に効いてきて、契約の方のトラブルはだんだん収まりつつあるのです。一方、安全のところに関しては問題があって、その意味では、エステ・美容医療サービスに関して、引き続き消費者の視点から言っていくべき必要性がございます。
時間がなかったので、そこら辺は省略してしゃべってしまいましたが、そういう背景がございます。
○長谷川座長 ありがとうございます。逆にそういう被害の問題は大きいですね。
 私の方から1点よろしいでしょうか。9ページの「3.不適切な表示(広告)の取締りの徹底」にインターネット等の表示を取り締まるための措置を講ずるというのは、法律がございますし、従来どおりやっているわけですね。そういう範囲内の強化をイメージされていたのですか。
○岡企画官 具体的にどういうふうに行政的に設計するかいうのは、まずは厚生労働省にしっかり考えていただきたいと思っていますが、問題としてはインターネットのところで、広告に入らないということで、何も対応されていないとちょっと問題があって、そこは何かしらの規制が必要ではないかという問題意識で、ここで書いてございます。
○長谷川座長 この委員会では、その課題は繰り返し議論してまいって、今日の整理のような形になっていますが、今日のお話をお聞きしていかがでしょうか。
テーマがたくさんございますので、もし意見がないようでしたら、この課題はクローズしたいと思いますが、その前に何か、わざわざ企画官にお出でいただいていますので、その情報を踏まえて、何か我々の方で考えるべきことはございましょうか。御意見等はよろしいですか。
先ほど幾つかいただきましたが、そういう御意見をいただいたということで、この課題を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
○岡企画官 どうもありがとうございました。
(岡企画官退室)
○長谷川座長 それでは、今日の議論を踏まえて整理ということで、調整官の方で何かございますか。
○佐々木調整官 特段ございません。ありがとうございます。
○長谷川座長 ありがとうございました。
 それでは、次の課題に移ります。議題は1ですが、資料2として、前回のアウトカム評価等の取扱いにつきまして、議論が整理されたものがございますので、事務局の方から御説明をいただけますか。
○田中専門官 資料2「アウトカム指標等の取扱いに関する前回の議論の整理(案)」をごらんください。
 1.から御説明します。医療広告あるいは医療機能情報提供制度は、いずれも患者等に正確な情報が提供されて、その医療機関の選択を支援する観点から、その項目を拡大したいといったことをやってきておるわけでございまして、繰り返しになるかと思いますけれども、現在、死亡率とか患者満足度といった指標については、今のところは広告可能となっていない、あるいは情報提供制度の対象ともなっていないという状況でございます。
 前回、医療の質の評価・公表事業の対象、昨年の対象の3団体からお話をお伺いしたところでございまして、効果と課題をその次にまとめております。
 7ページに、その事業で公表された指標の種類ごとに横表でまとめた別添がございまして、そちらに飛んでいただければと思います。
 まずは、患者満足度とプロセス、アウトカム指標になります。病院全体の話と裏のページには疾病別のプロセス、アウトカム指標を記載しています。2、3と4、5は大体共通してくるのですが、患者満足度について言えば、効果としてはわかりやすさという面では優れているかと思いますが、他方で課題としては同じ団体内でやっても、その比較は難しい。調査のやり方が少しずつ違うということで、比較は難しかろうと。独自の調査も必要になってくるという課題があろうかと思います。
 次のプロセス指標のところでございます。具体例としては、褥瘡対策実施率、手術開始前に予防的抗菌薬を投与したかどうかといった指標がございます。公表後の悪影響は下のアウトカム指標に比べると少なかろうと考えられますが、他方でなかなか褥瘡対策実施率や抗菌薬を1時間前にやっているといった指標については、患者さんにとってはなかなかわかりにくいものになろうかと思いますので、解釈も併せて必要になってこようかと思います。
 アウトカム指標でございますが、褥瘡発生率や死亡率、再入院率といった指標に当たろうかと思います。こちらは公表後の悪影響に懸念があるということで、関連したリスク調整という指標の調整が必要になってくるという課題があろうかと思います。
 1ページの「(1)効果について」ですが、同じ団体内に所属している協力病院間、ここですと団体の中で定義が決められて、その計算方法も統一されてきている指標がございますので、その協力病院間の比較は一定程度可能となるような指標が一部できたということだと思います。副次的に当然、医療の質の向上という観点からも少なからず効果があったということと思います。
 課題としては2ページですが、指標の選定あるいは定義を確定する必要がありますが、その確定に労力を要したと。あるいは協力病院間に対する説明会の実施、報告された数値の確認が団体の中で大変だったという報告があったかと思います。協力病院においても当然そのデータを収集する方、分析を実際にやられる方の確保が必要である。研修会も必要となったという課題もあったかと思います。
 (3)は公表後の影響の部分でございますが、患者の受診動向に変化があるかどうかでございますが、これは3月に公表されて間もないということで、引き続き検証が必要であるといった御意見の表明があったかと思いますが、こういう課題が残されています。
 前回の議論の整理、主な意見をまとめておるのが3でございまして、医療の質の向上という観点のほかに、選択に資するという観点から、わかりやすく発信するという視点が重要だというのがまず一つ。
 3ページ、現段階では患者、国民が理解できないおそれがあるということで、公表に当たって悪影響の懸念があると。
公表に向けた今後の課題として、次の○でございますが、まずは指標の客観性の担保、あるいは共通化・標準化が必要である、併せて、国民向けにわかりやすく解釈したり、注意書きを併記するといった必要があろうと。
次の「更に」でございますが、評価・公表に当たって、各医療機関の負担を軽減するための措置が必要であろうということで、挙げさせていただいております。
これを踏まえまして、4ページに「4.論点」という形で示しております。
公表された指標の中から、公表できるものはないかということを最初に論点として提示させていただいておりまして、公表にも2種類の段階があるかと思います。1つには、報告を義務化するという医療機能情報提供制度の対象項目に追加するというやり方。あるいはそこまでいかなくても、出すことを可とする医療機関の自発的な情報発信を可能とする。つまり広告可能にするという形として追加できるものは何かしらないかということで、(1)に示させていただいております。
(2)としては、対応案に近い形で提示させていただいておりますけれども、この医療の質の評価・公表事業のフォローアップということです。患者動向などについてを中心にフォローアップする。併せて、これまで来年度以降でございますけれども、対象となっていないような医療機関においても、取組を拡大するということも検討してはどうかということを示させていただいております。
2)でございますが、指標の共通化・標準化ということで、事業の中で公表されているような既存の指標のうち、有用なものを選び出して、その定義づけとかを研究事業を使って共通化、標準化を進めていくということを書かせていただいております。
5ページの(3)、こちらは前回、鈴木先生から御指摘があったかと思いますが、既存の枠組みとして、病院機能評価がございます。そういった既存の仕組みを活用できないということを最後に書かせていただいております。
説明としては、以上でございます。
○長谷川座長 ありがとうございました。
 大変わかりやすく、特に4で論点が整理されておりますので、4~5ページを参考にしていただくといいのかなと思いますが、大いに期待される評価事業としては大変重要な課題だと言いつつ、実際にやるとなるとさまざまな課題がある。技術的な課題もあるし、先日のヒアリングではかなり負担だと。病院にそれなりにメリットがないと協力できないというお話もございましたので、その辺の議論を踏まえて、構成員の先生方から御意見をいただきたいと思います。
 鈴木構成員、どうぞ。
○鈴木構成員 ここにも書いてありますが、ある程度の一定の枠内の団体の中で比べられたとしても、それを全部に広げた場合に、必ずしも比較できないような指標があると思います。この間、中医協にも出てきたのですが、療養病床の中で非常に重度の方の一つのグループがあるわけですが、その在宅復帰率が42%というデータが出てきたのですけれども、そんなに高いのかなと思ったら、実は死亡率が56%くらいある病棟で、残った人の中で在宅復帰率が42%。それも在宅復帰と言っても、本当の自宅は19%でした。
見方によって、在宅復帰率が42%あると見るのと死亡率が56%と見るのと、同じデータを使ってもそのくらい違ったイメージ、印象を与えかねないので、本当に慎重にしなければいけないなと思いました。回復期リハビリ病棟のデータを出す計算式を使ったのですが、回復期と療養病床は同じ計算式では比較できないということがわかりました。そういった問題が他にも多々あると思います。ですから、一律に全部に使える指標は、かなり限定されたものになるのではないかと考えます。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 鈴木先生の追加になるのですが、例えば死亡率に関しても扱う患者さんの層が、例えば重症な患者さんを扱う病院であれば、おのずと死亡率は上がってくるし、軽い人ばかりをとる施設であれば、死亡率が下がるのは当然であって、そういうような客観性がいろいろな指標をつくるに当たっては難しいところがあるのかなと。
また、よく言われる患者さんの満足度にも、例えばうちの病院であっても、この先生は非常に患者さんに優しい先生とか、なかなか不人気な先生とかいらっしゃるので、場合によっては、1年間をずっと通して取ればいいのかもしれませんけれども、ドクターによってその日のデータまで違ってくると。そうしたら、意図的にいい先生のときに統計を取ればとか、いろいろな客観性のずれが出てくる可能性もあります。前から申していますように、共通化して公平化できるような指標でないと、やはり発表すべきではないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○長谷川座長 いわゆるリスク調整と言われている課題が提案されていましたけれども、同じ病院で同じグループをずっと見ている限りにおいては、大変参考になるわけですね。
○加納構成員 そうです。自分のところの病院の内容を確認する意味では、その満足度とか、そういった形は非常に役立つということで我々はよくやるわけですし、ある程度グループ内の比較でも使わせていただくのですが、それがすべての病院を共通化してみる指標にはなるかと言えば、ちょっとどうかなというところです。
○長谷川座長 山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 今の御意見と同じような感じですが、目的として患者に正確な情報を提供して、その選択を支援する観点が記されてあります。今のまま義務化をどんどん増やしていったとしても、読み取り方や、今おっしゃったように数字を見ただけでそれが何を意味するかがしっかりと理解できないままであれば、本当に選ぶ情報になるのだろうかという疑問を覚えます。
 手術の件数でも、A病院とB病院で対象にしている患者さんは異なると思います。例えば人工関節の手術の件数を見たときに、膝の人工関節だけをやっている病院と膝も股関節も両方手掛けている病院とでは数が全然違うという話を聞いたことがあります。しかし、一般的な患者の立場からすると、そのような違いは全然わからないわけです。
 ですから、数字とかこういう情報というのが何を指しているのかをまず国民に丁寧に知らせていくことを前提にして、その後に義務化する内容を増やしていかないと、数字ばかり出てきたとしても理解が追い付いていかないのではないかという気がします。
○長谷川座長 そうですね。私も家庭欄の新聞の記者から聞かれたことがあります。平均在院日数はどういう意味ですかと。恐らく一般の方々には、そういう定義等について、かなり難しい課題があるのかなと思います。
 どうぞ。
○坂本構成員 今の山口構成員の住民患者による病院等の適切な選択を支援する観点で、論点は少しずれますが、今までこの3つの団体で、昨年度は医療の質の評価公表等推進事業をやったと。もう一つ、医療そのものが地域医療というよりも、医療そのものは大半は地域内完結をしている。患者にとっては、例えば私は東京に住んでいますが、名古屋の病院と富山の病院を同じレベルで比較したところ、一つも役に立たないわけで、もしそれなら自分の住んでいる、ないしは通える範囲の医療機関同士が地域内で同じ指標で比較できる。そういうようなモデルというのでしょうか、そういう地域内での医療機関を比較すると、そういったような指標も試みとしては重要なのではないかと考えております。
○長谷川座長 実は病院経営者にとってもそうなんです。
 どうぞ。
○森原構成員 あとは、まずできるところからということで、患者にとって必要なもの。例えば患者自身の診療の明細書やカルテの情報の開示が進んでいくような方向、客観的な情報公開的な要素が強い項目の公表というような意味合いですけれども、具体的に診療明細書をどのような形で発行しているのか、カルテの開示の手数料がどのくらいなのかというようなこと。そして、病院にどのようなスタッフがどのくらい勤務して、勤務体制はどういうようなことになって、加算をもらえるような体制になっているのか。医療機能評価機構が実施しているような評価で得たバージョンの中身の内容とか、そういうようなこともあるのかなと思います。
○長谷川座長 医療の中身というよりも、使い勝手のよさとか、あるいは病院の状況とかに重点を置いたらどうかという御意見ですね。
○稲垣構成員 確かに公表することについては、いろいろと難しい問題があるかと思います。こういったアウトカム指標の取組について、前回3団体から伺ったわけですが、それは医療の質の向上につながるもので、非常に意義のあることではないかと思います。
ですから、1ページの効果のところですが、確かに医療情報の提供の問題ですから、若干活字が小さくなっておりますけれども、なお書き以下の2つの○は非常に重要なことだと思います。したがって、まだ指標としてこなれていない部分はあるわけですが、論点の(2)にありましたとおり、今後の取組ということで、評価・公表推進事業のフォローアップなど、強力に進めていく必要があると思います。各医療団体がそれぞれ定義をするのは大変なので、まとめてやるなど効率化を図り、その上で医療機関の選択に役立つ指標を整理して、進めていけばいいと思います。
○長谷川座長 では、もう少し調査事業みたいなものを走らせて、実際にやってみる過程でいい方法を探ってみようという御意見ですか。
○稲垣構成員 そうですね。ただ、現状においても先ほど御紹介のあった別添1の中で、アウトカム指標というのはなかなか難しい部分もあるかと思いますが、プロセス指標に解釈などを付けて、何とか率が何%というのではなくて、わかりやすい文章で説明するなど工夫を加えて、できるものからやっていったらいいのではないかと思います。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 近藤構成員、どうぞ。
○近藤構成員 新しい視点ではないですが、今の御指摘に近いのですけれども、医療機関を選択するという言い方をされているのですが、例えば東京のような大都市圏ですと、多分たくさんの医療機関があって、電車を通してもいろいろなところに多分フリーアクセスで行ける。地方へ行くと逆にほとんど選択の余地がないくらい、かかりつけ医と近くの中核病院といったような構造があります。
申し上げたいのは、1つはそうやって複数から選ぶということでの病院間の比較もありますが、絶対的な医療の質の水準を上げていっているという意味では、選択の余地はあまりなくても同じ医療機関が去年よりも今年、そのデータが改善されていると。職員の意識などもよくなってきて、サービスも向上されてきたとか、そういったところを公表して、頑張っているなというアピールという意味も重要かなと。必ずしも広いエリアからA、B、Cのうちのどれかを選ぼうというだけではなくて、絶対的なそれぞれの病院が努力をして、質を上げていくことも重要なので、その点も考慮されたらと思います。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 最後に若干議論になっているリスク調整等も同じ病院だといいわけですが、そういうようなものをベースにするという御意見ですね。
 そのほかに何か。どうぞ。
○佐々木調整官 事務局からでございます。
 本日は結論をいただくということではなくて、まさに自由な御議論をいただきたいと思いますけれども、改めて2つほどポイントを申し上げたいと思います。
 1つは、別添1で先ほど稲垣構成員からも御紹介がございました、3団体による公表事業の成果、ここに患者満足度や病院全体に関するプロセス指標、アウトカム指標、もしくは個別の疾患、各論に関するプロセス指標、アウトカム指標がございます。すべてについて情報提供制度などに導入しようというのは困難なのかなと事務局としては感じている中で、この中でも少し芽が出そうなものがあるのでございましたら、それについて御議論をいただいて、付け加えて言うならば、それについて今後の研究事業の中でリスク調整の在り方を検討する。もしくは注釈の付け方、数字だけではわかりにくいですし、文章化ですね。わかりやすい表現を工夫する。そういった取組につなげていくというような形が取れるのであれば、ありがたいと思っているのが1点でございます。
 もう一点は、冒頭の資料の説明にございましたように、公表の在り方は義務化を求める医療機能情報提供制度というツールと、各病院が例えば自分はこうやって取り組んでいますというような形で、任意で出す医療広告としてのツールもあるかと思います。そういう2種類のツールがあるということも念頭に置いていただいて、御議論をいただけたらと思っております。よろしくお願いします。
○長谷川座長 そうですね。第2の論点、どういうふうにして公表していくかという課題。こういうのが議論しやすいかとは思いますので、そちらの方で何か御意見がございましたら。続いて、具体的にどんなのがよさそうだという話になったらいかがかと思います。方法としては、項目に入れてしまうという考えと、広告をしてもいいという形にするのと、どういうプロセスでいくのがいいのでしょうか。
 思い起こせば、この委員会が立ち上がるときには、結構熱い議論があって、いわゆる消費者的な立場に立っている方からは、是非お願いしますという御議論があったやに記憶をしております。しかし、現実的にするとなると、いろいろな課題がある。そして、今日は具体的にこんな方法があるよというのを事務局から御提案いただいていますが、いかがでしょうか。
○加納構成員 義務化するということであれば、客観性と公平性、第三者的な本当の信頼性のある数値しか出すべきではないと思いますし、そういった項目でないとだめかなと思っております。さっきもしつこく企画官に御質問をしたとおり、今回の立ち上げの原因かもしれない、いわゆる美容整形とかインプラントの問題で、だからこれをしなければという話ではないかということを確認したのですが、それ以外の問題は今のところはあまり挙がってきていないと。
ただ、そうすると我々は、今度は公表するのは何のためかというと、それぞれの病院の質の向上。また、逆に患者さんがわかりやすく病院を判断できる材料を提供するということに限ると思いますが、一歩間違えれば、変な意味でトラブルの方へつなげるものであってはならないなと思います。
○長谷川座長 どうぞ。
○鈴木構成員 前の話は、自由診療の話ですね。保険診療ではあり得ないような話なので、それをひとくくりにすること自体どうかなというところです。その辺の議論はかなりしたところですが、一方では情報提供することが義務的なものと自主的な広告がありますが、そういう意味では、自主的な部分はどれだけ自由にできるかという話だし、さっきの自由診療の部分はどれだけ規制をしていくかとなります。即ち、一方ではもう少し自由に、他方ではより規制が必要というところの間の調整をガイドライン的なもので、どう整合性を取るかというようなことが重要かと思います。
○長谷川座長 蓋然性ということですね。どうぞ。
○坂本構成員 前回も申し上げたかもしれないですけれども、この公表の仕方は議論をするよりは、御意見があったかと思いますが、できるところができることから公表していくということでいいのではないかと。それによって生ずる波紋とかがあれば、それでまた改めて議論をする。ここで立ち止まっていると、いつまで経っても、それこそリスク調整などをやっていると5年も10年もかかってしまいそうな気もします。
 この別添資料の中では、患者満足度が患者にとっては一番わかりやすく、かつ、患者が求めている情報なのではないかと。各団体間の比較は困難というのは、それは団体の立場からすると困難だということでしょうけれども、それを見る患者はそれなりにまた別の情報を含めて判断するのではないかというのが1つあるので、これは私は優先的に持っていっていいのではないかと。
 先ほど近藤構成員からもありましたけれども、確かに東京に住んでいると結構比較できるのですけれども、私の経験ですと、例えば以前いた『日経メディカル』という雑誌で、医師が選ぶ病院ランキングをつくったことがありました。これは会員以外の先生方が患者さんをきちんと推薦するときに、どういう病院に紹介するかという推薦度を調べたものです。地方に行けば行くほど、その紹介先は非常に限られてくるということで、言ってみれば選択の余地があまりない。
そういう中で、そこが本当にいいのか悪いのか。患者さんは口コミを含めて、腕がいいのか、あそこがよかったとか、いろいろな判断をすると思いますが、そういう場合にも横並びの団体の中で指標を公開するというよりは、地域の住民ないしは地域の患者に対して、自分の姿を公表していくという意味では、患者満足度が一番わかりやすい指標ではなかろうかと考えております。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○山口構成員 この別添1の内容を拝見したときに、実際に患者が見て意味があるものと、病院間の質の評価に有効なものとに分かれていると思います。数年前に比べますと、情報は格段にあふれてきていて、患者側からもっと情報をという声がそんなに高まらないのは、もう既に情報がいっぱいあふれてしまっていて、恐らく積極的に情報を出している医療機関であれば、ホームページでかなり具体的な手術の件数や成績が既に出されていると思います。
 そういうことを考えたときに、この別添の情報の中で、本当に患者にとって意味がある、ことではないか。知ることに意義があるのではないかということに関しては一律義務化をして公表すべきとしてもいいのかなと思います。しかしこの中で、患者満足度調査については、その医療機関に入・通院をしている患者はなかなか辛口で付けにくいところもありますので、どちらかというと実際よりも評価が少し高くなっているのではないかという印象があります。だからそれよりも、患者が選ぶ際に参考になるようなものに関しては積極的に出す。義務化も含めてですけれども、その辺りは分ける必要があるのかなと思います。
○長谷川座長 どういうふうな方法がいいかという議論は大体出尽くしたと考えると、具体的にどういう内容かということで、どうも満足度調査というのは人気が高そうですね。工夫をして出していくという。
 山口構成員の目から見ると、全部で5グループの整理を事務局の方から出ておりますけれども、どれがどのように。
○山口構成員 例えば2の褥瘡対策実施率を公表されたとしても、それがどういうことを意味するのか、実際に自分に関係するのかは、なかなかわからないと思います。手術開始1時間以内の予防的抗菌薬投与率。
○長谷川座長 これはわからないでしょうね。
○山口構成員 ですから、2の項目に関しては恐らくこれを見て、患者側が判断をする内容はないのではないか。ただ、3番の中で、例えば院内感染症の発生率であるとか、転倒転落率であるとか死亡退院とかいうことに関心を持っている人から見ると、重要な情報が一部含まれていると思います。しかし、これは読み解き方がとても大事で、単に数字だけでそのまま受け止めてしまっていいのかなということと、例えば死亡率も何%が高いのかなど、何%という数字を見ての判断が難しい項目ではないかと考えます。
 4番目のグループですけれども、これもなかなか難しいなと思います。アスピリン投与率を知らされても、多くの患者にとってプラスの情報なのかというと難しいところかなと思いますので、その辺りの整理が必要ではないでしょうか。患者がどういう情報で医療機関の選択や評価するときの指標にしているのかをもう一度検証する必要があるのではないでしょうか。
 そういう意味では、患者満足度は確かにわかりやすいのかなと思います。それ以外のところは患者にとってこういうのが指標になっているかどうかの洗い出しが必要ではないかと思います。
○長谷川座長 なかなか個々の患者さんが求める指標をそこまで全部提供するというのは病院側も大変で、どのお医者さんがどれくらいちゃんとしているかというのが一番関心があると思います。どうしても病院の場合には、割と一般的な集約したデータですので、そこのところはなかなか難しいのかなという感じがします。
 いかがですか。事務局の方からのリクエストで、どういうような指標を優先順位を付けて、これから考えたらいいかということについての御意見。今、山口構成員の方からは、大体4番までずっと見ながら御意見をいただきました。これは消費者側の御意見を聞いた方がいいのでしょうか。
 どうぞ。
○鈴木構成員 さっきの死亡率を話もそうですが、転倒転落率を見ても、低くするためだけなら寝かせて動かさなければ一番低いわけでね。ところがリハビリをして、歩けない人を歩けるようにしようと思ったら、その過程で一定の転倒とかがあります。ですから単なる数字だけでは、全く逆の意味があるかもしれないので、全体で見るのは本当に難しいんです。満足度と言ったって取り方によって違うし、亡くなる方が多い病棟とそうでないところでも微妙に違ってくるでしょうし、その中でどうやって共通するものを見つけるかというところだと思います。同じグループの中の比較は可能だと思いますけれども、そういう制約はかなりあると思います。
○長谷川座長 昔、満足度の大きな調査をしたことがあるけれども、高齢者が多い病院は満足度が高いんです。
 どうぞ。
○近藤構成員 今の御意見に賛成です。病院一つをとっても病棟によって違うとか、病院の種類によっても違うでしょうし、満足度についても聞き方によって違うので、やるとすればフォーマットをきちんと決めて、前振りとかもなしで聞く。
それから、満足度というのは何なのだろうか。治療内容なのか、お医者さんの待遇とか看護師さんの待遇とか、会計の事務員の方の人とか、全部総合なので、その方によって全然違いますね。必ずこの数値がひとり歩きをするのは非常に危険なので、必ず分子と分母は出さなければいけないと思います。2分の1なのか1,000分の500なのか。率は同じだけれども、表したものが違う。
それと先ほどの転倒の件も、本来はアウトカムでなくても、インプットかもしれませんけれども、バリアフリーとか、そういった病院として努力をされたことと因果関係が相当あって改善しましたみたいなものであれば、出してもよろしいのでしょうけれども、単なる数字だけを出しても、もしかすると意味がないかもしれないので、工夫をしないと一つの指標で、この方程式では多分うまくいかない。これは我々も行政評価をしながら、さんざん苦労をしまして、簡単にできて、わかりやすいという指標はなかなかないです。
先ほどの満足度というのは、どこの都道府県もおやりになっているんですけれども、あくまで参考資料として見ていまして、絶対的なものとしては評価していないです。ただ、あってもいいものではあると思います。
○長谷川座長 どうぞ。
○加納構成員 繰り返しになりますけれども、義務化になるようでありましたら、これは客観性がないものではだめだと思います。数字だけが歩いてしまう可能性が高いと思います。満足度の話をしますと、また繰り返しになりますが、我々は自分たちの病院での満足度の調査を必ずやっていて、多くの病院がやって改善をするように努力しているのですが、これはやり方とか結果も日によって違うし、対応の仕方によっても違うのでしょうけれども、確かに進歩するように誓うアイテムとしては大事だと思っています。
 うちの数字とここの数字との病院との差がどうなんだということになれば、問題があるのは事実だと思います。ですから、将来的に数値的に本当に正しい評価になるような内容であればいいとは思いますが、得てして変な形で行ってしまう可能性が高い。今、満足度という形もありますが、私たちは逆に患者さんに対する私たちの満足度も考えてほしいなという状況になっていまして、医療現場ではこういうサービス的な形を強くやったために、非常にクレーマーの患者さんが多く出てきています。
これはちょっとした言葉遣いが悪かったために、本当にうつになってしまうくらいに対応したナースがいじめられたりとか、そういうことをひしひしと感じていますので、やっていただきたいという御希望はよくわかるのですが、あまりこれにとらわれて、医療現場を混乱させるような内容になれば、私は問題かなと思います。
○長谷川座長 大道構成員、どうぞ。
○大道構成員 このアウトカムに関しては、まだ確立されたものではないと私は理解しております。また研究途上の項目もございますので、その次の議論の医療機能情報提供制度の各項目に関しては、これはかなり各自治体なり、今までもまれてできてきた項目数が数百項目ございますので、それはベースでいいと思います。こうしたアウトカムに関しては、今すぐ公表できるものもあるとは思いますが、大多数はまだ不十分かと。加納構成員の話のような誤解を招く元であったり、あるいはかえって混乱を招くようなものもあるような気もいたします。
 褥瘡発生率は簡単そうでいて、実は自院発生なのか。他院から持ってきた褥瘡なのか。あるいは平均在院日数が何日なのか。これによっても全然違います。ですから、短期でくるくる回る病院は、私どもの褥瘡発生率は0%ですと言って、それは当たり前の話ですから、そこはどこを自慢するのかよくかわらないですが、そういう細かいところを言い出すときりがないと思います。
 ですから、この場でどれを公表して、どれをやめておいて、どれを小出しというのはなかなか難しいし、時間もかかる話だと思うので、アウトカムに関しては、まだここの課題ではないかと思います。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○稲垣構成員 先ほど別添1のアウトカム指標については、なかなか難しいと申し上げたところですが、確かにプロセス指標についても先ほどのような御指摘もある。確かに今、公表されている情報だけですと、数値が並んでいるだけで、見る側にとってはわかりづらいということなので、患者満足度調査を公表することを第一のターゲットに考えていってもいいのではないかと。医療機関を選択するに当たっては、現状でも知り合いの紹介など、いろいろとありますので、そういう意味で、この調査を活用することは一つではないかと思います。
 その場合は、技術を評価するのか、待ち時間であるとか、いろいろな視点があると思うので、一旦整理してやってみたらどうかと思います。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○森原構成員 人の評価とか、主観的な意識が働くような項目よりも、客観的な事実の情報公開が必要だと思います。例えば何を専門とするお医者さんが何人いるとか、看護師の方が何人いるか、病床数や患者数が何人くらいなのか。カルテの請求が無料でできるのか、高額な手数料を取るのか。患者相談室があるのか。そういうようなもので、アウトカム評価というよりも、そういった情報公開を徹底する方がいいのではないかと思います。そして、病院選びの役に立つこと。そして、医療の質を向上させることにもつながっていくのではないかと思いますので、そういう観点から。
○長谷川座長 それはもう既に公開されておりまして、今の御意見はアウトカムに進めるべきでないという御意見と受け止めていいのでしょうか。構造的な評価と言われておりまして、既に公開制度では公表されております。我々は次のステップとしてアウトカムに行くべきかどうかという議論をしているのですが、今の御意見はつまりアウトカムに行くべきでないと。現在のプロセスにとどまるべきだという御意見と受け止めていいですね。
○長谷川座長 そのほかに御意見はございませんか。大分時間も煮詰まってまいりました。御議論もいただきました。この課題はオンゴーイングでやってまいりますので、今日結論をいただくというわけではございません。ただ、事務局としては、ここをどういう方向で考えていったらいいかという御意見を聞きたかったと。事務局の方でまた論点整理をされるのでしょうけれども、私のざっくりした印象で申し上げれば、やはりそのアウトカム評価の場合は、解釈が大変というのは、まず一般の方にはどういう意味があるかの課題や表現の形式自身で少しハードルが上がる。それはビジネスセクターがうまく加工をして出すのも一つの価格競争かなと思ってきてはいますが、いずれにせよ理解の問題にある。
 もう一つは、繰り返し議論になっておりますのは、ケースミックス。患者さん自身のミックスと大分違うので、一概に出したときに反応が誤解を受けるのではないかという御心配。それがずっと一貫してベースの中にあると思います。
 ただ、四の五の言っていてもしようがない。やった方がいいという御意見もあったように思います。イギリスは国立病院ですので話は違うのでしょうけれども、アメリカなども公表していますので、えいやということでやるべき時期が来れば、そういう考えもあるのかなと思いますが、一方で今回の事業を通して、具体的にどういうふうにしたらできるのだろうという検証とか、あるいは研究とか、その課題を推進するべきだという御意見もございました。
 事務局の方としては、どんな形で今後進めたらいいかという話がありましたが、どうも全般的な意見としては、いわゆる提供制度に乗せて義務化をするのは少し早いのかなという御意見かと受け止めております。最後に具体的な指標について、まだ結論というわけではありませんが、何人かの構成員の方々からは、なるべく客観的でしかも身近な指標。ぼちぼち出してもいいのではないかという御意見もあった印象があります。満足度は人気がありました。一方、人気はあったのですが、まだまだ調整が必要という御意見もあったと思っております。
 あとは逆に、医療に関わるような課題、例えば1時間前の抗菌薬の投与などというのはよくわからないし、あまり意味がないのではないかという御意見もございました。そんなところが大体のところでしょうか。
この課題は終わりまして、次の課題は医療機能情報提供制度です。国民にどのように具体的に発表していくか。逆に言えば、うまく利用されているかどうかというお話だと思いますが、よろしくお願いします。
○田中専門官 それでは、時間も超過しておりますので、手短にポイントだけ御説明いたします。資料3と参考資料4を御説明したいと思います。
 医療機能情報提供制度は改めて御説明は必要ないかと思いますが、病院、診療所、歯科診療所、助産所。こちらが医療機能に関する情報を都道府県に報告することを義務づけて、その情報を都道府県がインターネット、あるいは県庁の備付の端末とか書面で公表するという形式になっております。その利用状況について、都道府県に対してアンケートを取りまして、その結果をまとめております。
7ページですが、アクセス数を聞いておりまして、主にカウント方法が2つございます。情報提供制度のホームページに入って、その後、情報が階層化されているのですが、そのページを閲覧するごとにカウントする複数回のカウント方式と、1回の訪問に対して1回というカウントの2種類がございまして、複数回カウントについて7ページに採用している県を並べております。23県ございまして、大分から始まって、福岡、福島と続いております。平成22年のデータで1日換算にしますと、23県分を足し上げて1日2万6,000件程度になります。
8ページ、1訪問1回限りのカウントを採用している都道府県は16県ございまして、東京都が群を抜いておりまして、その他、兵庫、静岡と続いております。これも足し上げると1日8,000県程度で、合計して39件分、単純に足すと1日当たり3万4,000件程度ということになります。
2ページ、参考としてイギリスのNHS Choicesというホームページがございまして、こちらも病院の情報を公表しているページでございます。こちらについては1日当たり大体31万件のアクセス数がございますので、かなり開きがあるという状況にございます。そのほか、医療機関からの報告様式としては、大体ほとんどの県において、紙またはオンライン。ただ、依然として、予算上の制約から紙のみという形式の県もございました。
3ページ、(4)、(5)、(6)は医療機関から都道府県に寄せられている意見。あるいは利用者からの意見。そういった情報をまとめておりますけれども、医療機関からの意見としては項目が多く、報告が負担になっているという意見が多数ございまして、(5)の利用者からの意見としてもホームページ上に表示される情報が多くてわかりにくい。あるいはわかりやすい言葉の表現が必要ではないか。検索の仕方としてもなかなか難しいという御意見もいただいております。あるいは一覧表形式で利用できるような形にならないかといった意見も寄せられているということです。
それを受けた都道府県からの提案も聞いておりまして、医療機関としても報告のメリットを感じることが薄いということで、そういうメリットを感じることができるような仕組みが必要ではないか。あるいはホームページの見た目とか、仕様については全国で統一したものができないかという御提案もいただいております。
存在自体が知られていないといった話がありまして、国においても積極的に広報をしてほしいと。医療部会においても同じように、医療機能情報提供制度について、国の方でもしっかり普及啓発をやるべきではないかという御意見も頂戴しておりますので、そういう形で広報について提案をいただいております。
「3.論点」として幾つか上げさせていただいております。まずシステムの利便性を向上するということで、関連しまして、参考資料4をごらんいただければと思います。各県の医療機能情報提供制度のホームページの確認をしまして、どういった機能があるかというものをまとめた資料になります。おめくりいただいたところに県別の星取表がございます。医療機関の名前のキーワード検索は、ほとんどの県で備え付けておるという状況でございますが、検索対象を限定しない、名前以外の項目も含めたフリーワードの検索とか、あるいは複数のキーワードでの検索というものはなかなか機能として備わっていないという状況でございます。
医療機関の地図の表示でございますけれども、検索した医療機関の位置についての地図は大体見れるようになっている状況でございますが、その周辺の医療機関とか、連携している先の医療機関の状況とか、そういったものが見れるというものについては、どの県もない。もともと情報提供制度の対象項目として、連携についての情報というものが対象になっておりませんので、ここはもともと難しい項目ではあろうかと思いますが、こういった機能が備わっていないという状況でございます。
予算の制約の中で、どれくらい利便性を向上できるかというところはあろうかと思いますけれども、改善の具体例として幾つか挙げさせていただいております。
4ページ。各県のページの見た目とかデータベースの中身の標準化に向けた取組をやってはどうかということで挙げさせていただいております。
その次ですが、医療機関から報告の際に、例えば完全にオンライン化して、前年度報告した内容を医療機関の方で確認をしながら、変更があったら変えてという形で、それがすぐに反映されるような、そういうシステムであれば、負担感も軽減させるのではないかということで、ここに提案させていただいております。
(2)としては、普及・啓発に向けて、どういった取組が考えられるか。
(3)対象項目でございますけれども、19年から始まっているものでございます。なかなか大幅な見直しというものは難しかろうとは思いますが、制度が開始された後の制度改正といったもので導入されたものについて、追加あるいは見直すべき項目というものはないかということで、論点として挙げさせていただいております。
「(4)その他」の1)でございます。こちらは技術的な話になって恐縮でございますが、規定としては都道府県の公表方法はインターネット、書面または庁舎に備付けの端末という両者でやるという規定になっているところでございますが、今、政府全体として、地域主権を推進するという流れの中で、この規定についてはインターネットの公表方法というものはなかなか外せないかとは思いますが、?の公表方法については、都道府県の裁量で行えるような規定の見直しというものができないかと考えております。
5ページ。2)として、こちらは前回、近藤構成員から御提案があったかと思います。医療機関のホームページとのリンクと書いておりますけれども、今、東京都が実施している取組でございまして、医療機関の情報提供制度とリンクできる医療機関のホームページについて、東京都のホームページのガイドラインに準拠したものをリンクが張れるという形で、差別化を図っているという形でございますので、そういった取組を図ってはどうかということで、最後に論点として挙げさせていただいております。
説明としては、以上でございます。
○長谷川座長 ありがとうございます。
これもわかりやすくまとめていただきました。各県で大分工夫をしてやっているのですが、それであるがゆえに、かなりバリエーションがあるということで、アクセス数はそこそこですが、諸外国と比べるとかなり低い。その中で論点の大項目を4つ御提案があったわけですが、まず御質問はございませんか。
どうぞ。
○加納構成員 このアクセス数ですけれども、人口と患者数のどちらで割ったらいいのかわからないですが、大分などは非常に多いかなと思いますが、何かこういうことをしていたから多いとか、そういう情報は入っているのでしょうか。
○田中専門官 それについてはこちらも不思議と言ってはあれですが、大分県の方にも伺ってみたのですが、特段何か特別なことをやっているという認識はないとおっしゃっていて、ホームページの見た目として、参考資料3にトップページだけ付けておりますが、基本的な機能は当然入っているわけですけれども、ほかの県と違うかと言われると、それほどの差は見られませんでした。
○加納構成員 アクセス数が増えているはっきりした理由は、まだわからないということですか。
○田中専門官 理由は特にわかりません。
○長谷川座長 福岡、大阪、京都辺りはうるさそうなのでわかるのですが、そのほかの県が何か。これは去年ですね。
 そのほかに何か御疑問がなければ、御意見をいただいていくとすれば、この整理をしていただいた順番に、(1)のシステムの利便性の向上というのはいかがでしょうか。かなり具体的な提案がここにございますけれども、これがいい、これは悪い、あるいは更にこういうのをしたらどうかというのは何かございますか。
 どうぞ。
○山口構成員 実は私は電話相談で「この地域にどんな医療機関がありますか」と聞かれたときに、この情報システムを使います。ただ、一般の方向けの講座をしているときに、「こういう検索できるシステムを御存じですかとお聞きすると、ほとんどの方が御存じないです。実際に使って、どこにどの科がある医療機関かを調べるときには結構有効なのですが、見たい情報がすぐに見つからないのです。例えばこの表紙だけではなくて、そこから更に次に入っていくと、最初に出てくるのが正式な医療機関の名称とか、開設者の名前とか、患者にとってはそういうことは一番上にあってもあまり意味がないかなということが出ていたりしまして、私はホームページのつくり方自体をもう少し工夫する必要があるのかなと思っています。
 今日、事務局の方に、行政の方がつくっていらっしゃるのですかとお聞きしたら、ほとんど業者の委託だというお話でした。例えば私たちのグループのホームページをつくるときでも、どれだけ検索に引っかかりやすくするか、アクセスしやすい、見やすいホームページをつくるという努力をするわけですが、もし予算の関係で費用が高くかかるからできないということであれば、例えば国でアクセスしやすい、使いやすいホームページをまずフォーマットをつくって、それを全国に広げていくような形を取ってみてはどうなのかなと思いました。利便性で言いますと、なかなか今のままだと使い勝手がいいとは言えないので、広がっていかないのではないかということは危惧しております。
○長谷川座長 近藤構成員、どうぞ。
○近藤構成員 実際に最終的には本県も業者に委託していまして、今年、実はシステムの更新時期を迎えまして、栃木県の場合ですと救急医療情報システムということで、救急搬送の件で病院と救急の消防本部の方を結ぶシステム。そちらがかなり評判が悪くて、病院の方もなかなか入力できない。使えないので、みんな使わないという悪循環になりました。
ただ、全国的にも随分システムが発展してきまして、例えばタブレットを使って消防の救急隊の中からバイタルサインを入力するとか、例えば代行入力をするとか、いろいろな手立てがあったり、5回くらい呼び出して、受けてもらえないときは一斉に緊急。そういったシステムを向上しています。それと併せて、実はパッケージで契約をしまして、本県の方も検索機能とか地図機能とかが大分、見た目も含めて、かなり工夫しました。
ですから、実際には各都道府県とも相当工夫はされていると思いますし、そもそもが都道府県のホームページにそれぞれの行政情報をわかりやすくということで、随分年数をかけて改善をしてきているのですが、まだまだ改善し切れていない部分もあって、もしくは各現場、担当部署がどれだけリアルタイムで直すかによって、内容が陳腐化するとそっぽを向かれたりするものですから、そういったものも含めて努力はさせていただいています。
ここで申し上げて恐縮ですが、ホームページの様式の統一の話は、今も国で統一したらいいかという話がありましたが、予算の問題だけではなくて、それぞれの地域の実情や意見を聞いて組み立てていますので、それを統一すればわかりやすいかと言ったときに、もしかすると北海道と九州で違うかもしれませんので、最低限ガイドライン的にこうしたらというのはあっていいと思いますが、統一だけがわかりやすさではないのかなということと、できれば予算措置も含めて、こういう御時世でございまして、予算が伴うものについてはすぐにできない。
ただ、今回のシステムについて言えば、たまたまかもしれませんが、システムの方が高度化して、規定の予算よりも安くいいシステムになるということで、お陰様で今回はうまくいったのですが、次回は同じ手法でいけるかはわかりませんので、そんな状況です。
○長谷川座長 どうぞ。
○山口構成員 都道府県の中で取り組まれて、こういうものがアクセスしやすいと喜ばれているとか、そういう情報を出してもらって、いいものを広げていくという形を取ってみられてはどうなのでしょうか。使い手からすると、医療機関のホームページとリンクしていないというのは非常に使い勝手が悪いです。
そこで出てきた医療機関のホームページにアクセスをすると、よりすぐに見られるのですが、それをまたコピーしてペーストして、別のインターネットの枠で見ないといけない。東京都でされたホームページのリンクの仕方ということが紹介されていましたけれども、利用者が使いやすいようなホームページの作成ということに力を入れていただきたい。やはりあまりにも認知度が低いことも一つ問題かなとは思います。
○長谷川座長 それは(2)のところでありますね。それから、(4)の2)は賛成ということで1票入りましたね。
 どうぞ。
○坂本構成員 私も以前、先ほど申し上げた雑誌のホームページをつくってきた立場からしますと、最初にこのアクセス数を見たときに目をむいたというか、単位が間違っているのではないかと思うくらい少なくて、正直これはもう機能していないところもあるなという感触でした。それは1つは先ほど申し上げたように、東京でしたら人口が多いだけではなくて、同時に医療機関も多いので、恐らくこのサイトがそれなりの機能を果たしているのだろうと思いますけれども、大体押しなべて人口が少なかったり、過疎であるとか、そういうところは非常に少ないということは選択の余地がないので、そもそもアクセスする必要もないということなのだろうと。
 そういう意味では、国の事業としてはどうしても都道府県を押し並べて一律ということなのでしょうけれども、それは近藤構成員がおっしゃったように、それぞれの地域の実情を反映しないといけないということは絶対に前提だと思いますが、もう一つはこういう医療機関の情報を欲しがる人がどういうシチュエーションで使うのか。パソコンの前に座って使うのか。携帯から見たいのか、あるいはスマフォから見たいのか。その最終的な端末の使い勝手も含めて対応していかないと、いつまで経ってもこんな感じかなと。
 検索機能としては、1つはフリーワードで、例えば高血圧、糖尿病と入れたら出てくるとか、そういうサイトもありますが、もう一つは地図検索というのでしょうか。ぐるなびであるような、自分の家ないしは駅で医療機関が表示されると。そこをたたけば、きちんとその情報が出てくる。更には、その医療機関まで飛んでいく。ちらっとあったかとは思いますが、多分そういう機能が恐らく重要なのではないか。
 東京だとびっしり出てくると思いますし、そうでないところはぽつんとしか出てこないかもしれないですが、例えばそういう検索機能もいろいろなものが汎用のソフトとして非常に安価に出回っていますので、そういうのもどんどん組み込んでいく。これはもうホームページを運営するシステム管理の方のどういう仕様にするかという問題だと思いますが、そこはそれぞれの地区で御検討をいただく必要があるのではないかと感じました。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 アクセスに関しては辛口の御意見が出ましたが、どうぞ。
○稲垣構成員 確かに各都道府県は初期画面などもまちまちで、例えば住んでいるところと勤務しているところで都道府県が違うと、それぞれ入り方が違っていて、若干戸惑うことはあります。皆さんはそれぞれ工夫をされているので、いいところを整理して、ある程度はそろえていく方がいいと思います。
 それぞれ本当に工夫されていることは重々理解をするわけですが、かなりまちまちなところが難点というか、同じ都道府県を見ている限りにおいてはいいのだと思いますが、全国横断的な整理をもう少ししてもいいという気がいたします。
○長谷川座長 今回、整理いただいたような情報を各県にフィードバックして、どこかに情報をプールして、この県ではこんなことをやっているよみたいなことをフィードバックするというのはいいですね。
 順番にはこだわりませんが、2)、3)、4)、もう既に2)について、もうちょっと何か足りないかなという御意見が出ておりますが、アイデア、実例、こういうのがあったよと。
どうぞ。
○鈴木構成員 ごらんになる方が何を望んでいるかということですが、報告が義務化されている情報は限られているわけです。ですから、そこだけで考えるのではなくて、組み合わせをどう考えるかとか、あるいはホームページとのリンクをどうするかとかも考える必要があると思います。ホームページは医療機関が更に自由に発信できるものなので、そこをリンクできると比較しやすいし、よりニーズに応えられるのではないかという気がいたします。あとは連携といった情報です。限られた情報でも工夫することにより結構役に立つのではないかと思います。
○長谷川座長 ただ、膨大な情報がありますけれども、それをいちいち探していたら無理なので、患者さんが欲しがるものをそこからプライオリティーを付けて引っ張り出すようにするというのは、すごく重要かもしれません。
 そのほかに何か御意見はありますか。
○大道構成員 恐らく大阪が一番古かったと思いますが、ホームページ上で医療機関の情報を流すアイデアが平成12年の秋ごろです。平成12年12月から数回、府の行政の方々と病院の協会と医師会と話をもみまして、最終的に基本項目を取るので698項目を1病院当たり、データを集めていきました。
 ただ、初めは大阪府はこれをすべて公開しようという考えだったらしいですが、これはさすがに平成12年暮れの当時は、各病院団体が諾としなかったところでございます。ですから、その中で幾つか、これは出す必要がない。あるいは出すとかえって混乱する。例えば和歌山でカレー事件というのがありました。カレー事件のひ素の分析のために非常に高度分析装置というのが大阪府内に2か所ありまして、それも持っているわけです。そのひ素分析装置があるというのと病院の機能はあまりリンクをしません。でも、それがあるということは、食中毒の子どもを連れていったら、全部見てくれるのではないかという誤解を招かれるのはいやだなと思います。細かいことを言えば、いっぱいあります。
 それでスタートしまして、もともと大阪はベースになるものを持っていまして、それは救急医療情報システムというベースがございました。二次救急以上の病院の情報をもともとデータベースで持っていたわけですが、今回それと府民案内向けの病院情報誌システム。そして、もう一つは、病院医療機関だけが見られる医療機関情報同士の情報システムというのと、最後に4つ目が災害モードというのをつくりました。それを一気に平成13年の春に用意どんでつくったわけです。
 当初は府民がどれくらい関心を持って見てくれるかなというもありましたが、今までの話で出ていたとおり、NTTに委託してつくったわけですが、基本が携帯で見れるようにというのをiモードで見ようというのをベースにしていたんですが、勿論ネットでも見れますが、広報の方にお金がなかなか回らなかったので、初めは低調でした。
 ただ、だんだんと増えてきたんですけれども、その後、例えば子ども電話相談窓口であるとか、あるいは患者電話相談窓口であるとか、肉声での窓口が少しずつ増えてきたんです。そうすると、ホームページの件数も減ってまいりました。その辺りもいろいろとあるのだろうと思います。
 ですから、あながちホームページの件数だけはどんどん増えていく自治体というのは、ひょっとして、そういうほかの行政サービスができていないのかもわからないということもあります。その辺りを全部ひっくるめて、トータルで見ていかないと、なかなか評価はできないかなと思っております。
○長谷川座長 大変貴重な経験を踏まえた御意見をありがとうございました。
 いろいろと御意見をいただきましたが、(3)対象項目に関することをどうぞ。
○山口構成員 標榜科目でないということで、あまり公的な場に出てこないので専門外来というのがありますけれども、結構患者にとってどの病院にどういう専門外来があるのかは、そこに専門医がいるんだという一つの目安にはなります。これは都道府県の情報に出せるものなのでしょうか。
○大道構成員 ほとんど出ています。ただ、誤解を招くおそれがあるのが、例えば女性外来。女性外来の定義がはっきりしないんです。例えば女医さんで、極端に言うと、そのフロアーに勤務している人が全部女性の場合は女性外来と言うのか、それとも医師だけが女性で、あとは放射線技師も全部男でも女性外来と言うのか。その区分がはっきりしないというのがあったり、あるいはセカンドオピニオンと言っても、お金を取るだけがセカンドオピニオンで、無料で相談を受けるのはセカンドオピニオンと言わないというのもおかしな区分になります。
 ですから、専門外来も突き詰めていうと、玉石混交のところはあるのですが、基本的には病院が申告をしたものは大体の都道府県では出してくれています。
○山口構成員 大阪だけではないですか。
○大道構成員 大阪だけではないです。
○長谷川座長 どうぞ。
○稲垣構成員 対象項目といいますか、医療機関の性格というか、役割というか、そういったものを平易な言葉で説明していただくのは必要だと思います。例えば東京を見てみますと、急性期型病院と書いてあったり、あるいは病院種別一般とか、そんな表現になっているわけですけれども、特色になると病院のホームページ等との住み分けの部分もあるかもしれませんが、ずらずらと数値なり項目が並んでいるだけなので、もう少し患者に何か訴えるようなものがあってもいいという気がいたします。
 もう一つ、私ども健保組合もジェネリックを推奨しておりますから、例えばジェネリックへの取組なども対象項目に入れていただくというのも一つかもしれません。
○長谷川座長 いろいろな御意見をいただきましたが、(3)の対象項目は、先ほどの臨床指標の話もこの話にリンクするかと思いますが、この辺についてはあまり御意見が出なかったので、何か御意見はございましょうか。
 突然思い付いたみたいなことがあれば、また事務局の方にご連絡をいただいて、せっかくこれだけ努力をしていて、ちょっとアクセスが悪いというお話もあったので、何かいろいろな工夫を。私は元役人でしたが、逆に考えると、あまり使い勝手がよくないのかなと。近藤さんのことを悪く言ったわけではないですけれども、すみません。
○近藤構成員 もともとのところの美容整形の話がございましたね。これが例えば東京都とのシステムだった場合に、不適切な表現をしていたと。注意か何かをして改善できないのでリンクを削りましたと。消費者庁やいろいろなところで、こういう事案がありました。そのときのアナウンスとして、都道府県のこういった情報ネットがあるので、そこは一定のチェックがかかっているので御利用くださいと。
ただ、どこまでチェックできるかというのは、非常にリアルタイムでというリスクはしょっていますけれども、そういうアピールの仕方もあるでしょうし、東京都の場合はたしか一旦基準を外れると半年くらいは載せられないようなシステムになったと思いますが、そういった活用の仕方もあるのかなと思います。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 大体御意見が出ましたが、この場で思い付く以外のこともあろうかと存じますので、普段考えていただいて、アドバイスをいただければ幸いです。
 それでは、本日の予定の項目はこれで終了したわけでございますが、その他について、事務局からありましたら、御説明をいただきますか。
○田中専門官 議題としては、実はもう一つございます。
○長谷川座長 失礼しました。地域医療の提供に関することですね。
○田中専門官 資料4、1枚ものの裏表の資料でございます。これまでの議論と毛色が違う議論になりますけれども、これまで第7回だったと思いますが、医療広告の自由化の件の議論の際に、自由化を進めていくと地域医療にも悪影響を与えるおそれがあるのではないかといった御意見もございましたし、あるいは前回でございましたけれども、アウトカム指標の公表に関連して、ランキングというものができてしまうと、上位の医師に患者さんが集中して弊害が起きるのではないか。そういった御意見がある中で、医療情報を拡充するという方向がいいかどうかなどに関して、フリーディスカッションの時間を少し設けたいということで作成した資料でございます。
 「1.問題提起」でございます。3番目の○で、日本の医療制度はフリーアクセスを基本としてございますので、情報をたくさん出せるところにどうしても集中してしまう。大病院集中志向、あるいは専門医指向を助長してしまうのではないかという懸念があるということと、情報を出せば出すほど患者が来るということであれば、過度な設備投資、MRIを買ったとか、そういうことをどんどんPRしていくということで、そういうものを助長するおそれがあるのではないかということも懸念されるかと思います。そうした中で情報提供のことを考える際に、地域医療のことも併せて考える必要があるのではないかということで、問題提起をさせていただいております。
 裏に移っていただきまして、ざっくりした論点でございますが、3つ出させていただております。
(1)は大きな方針でございますけれども、今後、医療情報の項目を引き続き拡充するという方向でよいのかという論点。
 (2)としては、情報の非対称性の緩和に係る医療機関の役割ということで、まずは情報の非対称性を緩和する役割として、日常的なプライマリケアを担う医師、いわゆるかかりつけ医でございますが、そういった医師が重要な役割を果たすのではないか。
 地域医療を担う医療機関の中に、主に診療所だと思いますが、そういったところは情報発信に十分な労力を割けない。十分に情報発信ができない場合があるのではないかということを2つ目のポツに書いております。
 3つ目のポツ、そういう問題を解消する一つの手段として、一つには情報提供制度というものが考えられるのですけれども、これは公的な情報発信という役割を持っておりますので、医療機関ごとの濃淡というものは出しにくいということで、医療広告も使えるのではないかということを書いております。
 最後に、医療に関する知識の普及・啓発ということで、情報は無数に存在する中で、医療を提供する側の資源としては有限であるということで、そういった視点も含めて、患者国民に対して啓発あるいは知識の普及という取組が必要ではないかという論点を示させていただいております。
 説明は以上でございます。
○長谷川座長 ありがとうございました。
 確かにこれは我々の委員会の議論の中で出てまいった課題で、一方通行で提供側の方から何か提供をする以外に、国民患者さんの方の在り方も問題なのかなということで今回御議論をいただいたわけですが、これはフリーディスカッションということでいただければと思います。いかがでしょうか。
 時間が限られておりますが、できる限る御意見をいただいて、森原構成員からも、患者さん側も勉強をしてほしいなという御意見があったようなことを思い出しました。近年さまざまな情報が行きわたっているわけですが、そういうのを整理して、うまく発信するというような機能。
 どうぞ。
○鈴木構成員 前も話しているんですけれども、日本は医療提供体制に関して、公的皆保険制度という公的なものと民間中心の医療提供という公プラス民のミックス型です。低い公定価格による診療報酬制度で、しかもフリーアクセスでから、それが過度に乱用されますと、情報によって特定の医療機関に患者が集中するという弊害が起きるんです。
さっきイギリスとおっしゃったけれども、イギリスの場合はもともと登録するGPが決まっていて、紹介する病院も以前は決まっていたわけです。最近あまりにもそれではひどいということで、病院がある程度選べるようになり、その情報が必要ということで、多分そういう制度が始まったのだろうと思います。
 日本の場合は民間中心の医療提供体制で、もう少し自由に発信ができるホームページなどもあるわけですけれども、その辺のバランスをどう取るのかということが重要だと思います。ここにかかりつけ医とありますが、これも一つの意味はあるかもしれませんが、GPのようにすべてそこから照会で行けばいいということでもないし、フリーアクセスの部分も担保しつつ、過度にアメリカみたいな形にならないようにする必要もあると思います。要するに結果的に日本はイギリスとアメリカの中間みたいな形でうまく行っていると私は思うんですけれども、それがよりアメリカ的に自由に選べるようにしようという考えと、もっと制限してGPみたいなものをつくってゲートキーパー制にしようという考えの中で動いていると思いますが、せっかくいい制度でここまで来たので、私は日本型のいい部分を残しつつこれからもやっていけるような仕組みをつくるべきだろうと思います。
○長谷川座長 よくわかりました。例えばこの論点の3つに関連して、具体的に支援するそれを進めていくような方法のアイデアはございますか。
○鈴木構成員 まさに情報を提供するというのは公的な義務化された制度だけれども、それにうまく各医療機関の一定のガイドラインか何かに基づいた、ある程度自由なものがリンクできるような形が組み合わされるといいのではないかと思います。全部義務的なものというと、どうしても情報が限られるので、その辺の組み合わせを考えて、それをどこから発信するかということもあるかとは思いますけれども、一定の自由度は残すべきと思います。
○長谷川座長 ありがとうございます。
 そのほかに何か。どうぞ。
○坂本構成員 論点で言いますと、(2)に相当すると思いますが、情報の非対称性の緩和ということで、ただ、医療というのは恐らく診療行為そのものが情報の非対称性の緩和をしながら、患者さんとコミュニケーションをしていく活動であろうと思いますし、そこでいわゆるプライマリケアの先生方が重要な役割を果たしているのは間違いないと思います。
 論点(2)で、そうした医療機関の中に経済力や人材が不足のために情報発信が十分でない場合があるのではないかというのは、多分この情報発信はホームページをつくるとか、そういうことだと思いますが、恐らく地域医療を担っている医療機関あるいはドクターは、患者さんを通じて十分な情報発信をして、その患者さんがまたメディアとなって、地域の中に口コミとかそういう形で情報発信をしているのではなかろうかということで、例えばホームページが十分つくれないとか、ないとか言っても、それが地域住民の不利益につながっているかどうかは、直接は結び付かないかなと思います。
 そうすると、こういう問題があるかのどうかという認識の問題だと思いますが、その問題を解消する一つの手段でも何でもなくて、その医療機関なりドクターの考え方が一番重要なんだろうと。そこにこの医療機能情報提供制度という形で枠にはめて活性化していく、ないしはそれを活用していくというのは、かえって医療機関ごとの取組に差が出かねないかなと。その方が地域住民にとっても、ないしは医療機関で働くスタッフにとっても逆の不利益になるおそれもなきにしもあらずで、そこを懸念しているんです。
○長谷川座長 どうぞ。
○近藤構成員 また違うかもしれませんけれども、これから情報戦略といいますか、ICTが発達していくと、そこに乗り遅れると競争に敗れていく。そこに資金を投入すればいいのでしょうけれども、地方の中核病院とかも含めて、かなり経営も厳しいです。医師の確保自体もままならない。そうすると、コンピュータ関係の投資もなかなかいかないということもあるので、そういったハンディキャップがあると、地域医療を守れなくなる可能性もある。そういう意味では、経済力といいますか、それで差が付くようだと支障があるので、どこで線を引くかわかりませんけれども、診療報酬か何かわかりませんが、そこをうまくサポートできるといいなというのがあります。
先ほど、鈴木構成員がおっしゃったと思いますが、国民皆保険制度はデメリットもあるかもしれませんが、本当に世界的にうまくいっているという評価があると思いますが、それでいろいろなものを取り入れると、それが崩壊していくという危険もあって、これはかなり前ですけれども、東大の宇沢先生が社会的共通資本という表現の中で、制度資本として医療を取り上げて、これは市場原理にただ委ねてはいけないと。公的なサポートといいますか、関与をしていかないと守れない。そういう意味では、単純に自由化をしてはいけないというのは共通の理解になっていると思いますが、その視点を常に入れながら議論をしていかないと、患者にとって本当にいいことにならないかもしれないということがありますので、申し上げました。
○長谷川座長 時間が来てしまいました。では、最後にどうぞ。
○稲垣構成員 論点の(2)の最初のポツにありますように、日常的なプライマリケアを担う医師が重要な役割を果たすということで、前回もお話をしましたけれども、情報は今後充実していく必要があるわけですが、情報の非対称性は決して解消されるものではなく、ある程度それを前提に考えていかなければならないとすれば、私どもは総合診療医と言っていますが、かかりつけ医のような方がガイドをしていくということがあって、初めて情報が生かされるのではないかと思います。
○長谷川座長 特に高齢化してまいりますと、どうしても御本人が判断しにくいという状況も発生するので、どなたかがナビをしなければならないという時代が来るのでしょうね。
○鈴木構成員 総合診療医という特定の話をされましたけれども、日本医師会としては従来から、かかりつけ医をほとんどの方がお持ちなので、それを私はブラッシュアップしていけばいいと考えています。これも日本型でいくべきであり、GPのようにどこかの国の制度を持ってくればいいということではなくて、その国はその国のよさがあり、また問題点もあるということなので、日本型のかかりつけ医制度をより発展させていくべきだろうと考えています。
○長谷川座長 日本はほかの国にはない高齢社会に突入するので、日本版を考えるしかないですね。
○森原構成員 最後なんですけれども、インターネットも勿論ですが、それ以外の公表方法についても基本的に進めていったらと思います。インターネットを使わない世代、お年寄りとか、そういうような方々が地域で情報にアクセスできるような手段を提供するということも必要なのではないかと思います。
○長谷川座長 ありがとうございました。
 5分オーバーしてしまいましたが、最後はフリーディスカッションということで、御意見をいろいろといただきました。哲学的な内容から具体的な内容まで、いろいろとあったと思いますが、今日の議論は事務局の方で御整理いただいて、次回に伝えていくということでお願いしたいと存じます。
 では、最後に次回の日程等について、事務局の方から御連絡をお願いします。
○佐々木調整官 お疲れ様です。次回の日程及び場所につきましては、追って御連絡を申し上げます。
○長谷川座長 今日はどうもありがとうございました。


(了)
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医政局総務課

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