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2012年2月10日 第8回レセプト情報等の提供に関する有識者会議議事録

○日時

平成24年2月10日(金)14時~16時


○場所

厚生労働省17階専用第18~20会議室


○議題

1.第1回の申出審査等について
2.基本データセットについて
3.DPCのデータ提供について
4.今後のレセプト情報等の提供に向けたスケジュール(案)
5.データ提供が不承諾となった者からの意見書の提出について

○議事

○山本座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第8回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。
 委員の皆様には、年度末にもかかわらず、御多忙の折、お集まりいただき、御礼申し上げます。
 それでは、会議に先立ちまして、本日の委員の出欠状況等について、事務局から確認をお願いいたします。
○北澤室長 それでは、本日の委員の出欠状況を確認させていただきます。
 本日は、新保委員、府川委員、三浦委員、武藤委員が欠席との御連絡をいただいております。
 また、石川委員、宮島委員におかれましては、遅参される旨の御連絡をいただいております。
 また、本日は議題3の関係で、保険局医療課の迫井企画官が出席しております。後ほど議題3について御説明させていただきます。
 次に、本日の会議の議事運営でありますけれども、本日は、前回の有識者会議で委員から御指摘をいただきまして、第1回の申出書審査につきまして御意見を提出いただいた申出につきましては、改めて個別に検討をするとしておりますので、議題5といたしまして、非公開で検討したいと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。先ほど事務局から議事の提案等がございましたけれども、特に御異議はございませんでしょうか。
 それでは、議題5は非公開ということで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず、本日の議題1の「第1回申出審査等について」を事務局から説明をお願いいたします。
○北澤室長 それでは、資料1をごらんいただきたいと存じます。
 2ページをごらんください。第1回の提供依頼の申出審査の課題等とございますが、今回、申出審査を行いまして、課題と考えられる主な事項は以下の5点と考えております。
 まず1点目の研究内容の理解でございますけれども、審査に当たりましては、基本的な研究プロトコルを理解することが必須でございます。しかしながら、書面上では必ずしも十分に研究内容を理解できない場合もございました。この理由としては、レセプト情報等の内容の理解が十分ではないのではないかと考えられる申出もありましたことから、今後、より一層、情報提供に努めていく必要があると考えております。
 2つ目の公表形式でございますが、申出全般の傾向ですけれども、公表形式が不明確あるいは明らかに一部しか示されていないような申出が多くございました。一方で、公表形式についての一応の基準につきまして、特に医療機関の集計単位についてはさまざまなケースがございますので、柔軟に考える必要があるのではないかと考えております。
 3の基本データセット策定の必要性、それから4の審査結果への意見提出につきましては、後ほど詳しく御説明いたします。
 5のスケジュール設定でございますが、議題4でも御検討いただきますが、事前審査期間に先立ちまして、形式面についての相談を受け付けるために1か月の事前相談期間を設けましたが、実は相談を申出の必須要件としていなかったこともございまして、当該期間において実際に相談があった件数は少数にとどまりました。当初、事前審査期間に内容面の審査に注力する予定であったのですが、なかなか難しかったということがございますので、今後はより効率的なスケジュール設定が必要であると考えております。
 次のページをごらんください。具体的な課題についての対応でございますが、まず研究内容の審査・理解のところですけれども、より情報提供に努める必要があるといった点でございます。
 今後の対応でございますけれども、前回も行っておりますが、説明会を開催いたしまして情報提供により一層努めたいと思います。
 また、2ですが、特に研究の内容面の事前審査ですが、例えば本有識者会議の有識者の先生方にも事務局から事前に御相談するなど、より円滑な審査に資する方法を検討したいと考えております。
 また、3、4、審査の方法ですが、ヒアリングなどの対応も検討し、また事務処理要領も作成したいと思いますし、チェックリストなども作成いたしまして、効率的な取組みをしていきたいと考えております。
 また、5ですが、データ提供につきましては、この試行期間において、研究により多く御利用いただきまして、そこで生じる論点を今後の制度設計に生かすことが重要と考えております。また、物理的な問題といたしまして、このデータ抽出作業について時間を要することがございますので、1つは、1人の申出者・利用者に同時に提供できるレセプト情報等は1件とする。2つ目として、各募集期間で申出が非常に多かった場合には、優先順位の高い申出に対してデータ提供を行うといった方策も検討してはどうかと考えております。
 次のページをごらんください。
 優先順位のところでございますけれども、論点にございますとおり、抽出する作業は非常に時間を要します。ですので、提供依頼の申出が非常に多くなった場合には、物理的にデータ提供が困難になる場合も想定されます。こうしたことから、今後の提供に当たっては、例えば以下のような点を基準として、データ提供に当たって優先順位を付けるなどいたしまして、一定の上限数のもとに優先順位の高いもののみ提供を行うこととしてはどうかという御提案でございます。
 その優先順位を付ける際の基準のイメージは、1から4に掲げたようなものを想定しているところでございます。
 次のページをごらんください。
 公表形式についてでございますが、これは今後の対応のところをごらんいただきたいと思います。公表形式の確認については、厳格にする必要があると考えておりますので、今後、審査に当たっては公表形式の明示などを求めていきたいと考えております。
 一方、医療機関の集計単位が3未満となってはならないといった基準を、この有識者会議でお決めいただいたところでございますが、地域の医療提供体制の分析・調査を行う場合で、自治体への提供を目的としているなどの場合については、柔軟に運用する必要がある場合もあろうかと考えております。ただし、この場合であっても、個別の医療機関が明示されないことなど、その確認する運用を徹底していく必要があろうかと考えております。
 続きまして、9ページをごらんいただきたいと思いますけれども、基本データセットについてでございます。
 課題にございますとおり、今回の43件の申出の中で、いわゆる探索的研究と考えられるものがかなりございました。今回の審査では一律不承諾としましたが、学術研究としての必要性も指摘されております。したがいまして、今後の対応といたしましては、傷病名等のコードにつきまして、一定の抽出・ダミー化を行います基本データセットを作成しまして、こうした研究について対応することとしてはどうかということでございます。詳細は、議題2の方で御検討いただければと思います。
 続きまして、10ページですが、意見提出についてでございます。
 これは、第1回の審査におきまして、委員の方から御意見をいただいたところでございますが、不承諾となられた方がより納得感を持っていただくという観点で、今後の対応にございますとおり、第1回の審査の終了後に、不承諾となった方に対しまして、有識者会議で議論いたしました審査方針のどの部分に該当して不承諾となったという理由を示した上で、不承諾の通知を発出いたしました。
 それとともに、審査方針に照らして事実誤認等がある場合には意見提出を求めまして、意見として4件、3種類の提出がございました。
 これらの考え方につきましては、次のページのとおりでございますけれども、個々の申出につきましては、議題5として改めて意見も含めて審査を行っていただきたいと思います。また、今後の提供に当たっても、この流れにつきましては、基本的に踏襲していきたいと考えております。
 次のページをごらんください。11ページでございます。
 具体的な提出された意見でございますけれども、まず1つ目は、申出書のセキュリティ要件について、審査では記載上、齟齬があると判断されたが、実質的には整合性がとれているとするものでございます。
 考え方といたしましては、審査に当たっては、申出書から判断されることのみを基本として行うことになりますので、申出書の記載内容を離れて判断することはできないと考えております。申出書の記載内容に齟齬がある以上、この場合は整合性のとれたセキュリティ対策が講じられることに懸念がございますので、提供は認められないと考えております。
 続きまして、12ページでございますけれども、公表形式をどのように書くべきか示すべきという御意見です。これは、申出時に想定しているすべての公表形式を明示していただくことが必要だと考えております。
 また、研究内容の定義はどのようなものを記述すればいいかといった御意見ですけれども、データ提供に当たりましては、研究内容を勘案して、必要最小限の範囲で必要な情報を提供することとしておりますので、具体的な個々のデータの集計方法、解析方法まで分解した記述が必要だと考えております。
 その下につきましては、不十分、十分と考えられる一例ということで、参考までにお示ししております。
 次の13ページをごらんください。
 集計表情報について、どのようなものが該当するか、基準を明示すべきといった御意見ですが、これにつきましては、第3回の会議の資料において、そこに書いてあるような定義付けをしております。
 その中で単純集計の定義については、1から3までございます。つまり、新たに一定の基準に基づいてデータベースの中のデータを、データベースとは別の概念を用いて再分類したり、ハッシュ値を用いて各レセプトやレセプトと特定健診等のデータをひも付けしたりする必要がある場合には、集計表情報の提供例に当たらないのではないかと考えております。
 また、一度の申出で提供依頼を行うことができる数でございますけれども、これはなかなか明確に数字を示すことは難しいかもしれませんが、一定の数を限度としてはどうかと考えております。
 恐れ入りますが、16ページをごらんください。
 その他の報告事項ということでございますが、前回の有識者会議で、この6件の申出につきまして承諾となりました。これらにつきましては、議題5の議論の際にあわせて、具体的な条件につきまして有識者会議に御報告したいと思います。
 次の17ページでございますが、審査の省略報告でございます。
 ガイドラインにおきましては、厚生労働省が公表いたします統計資料の作成のための利用につきましては、有識者会議での審査を省略できるということになっております。今般、23年6月審査分の社会医療診療行為別調査の作成につきまして、データ提供を行う予定でございます。その際、セキュリティ要件等のガイドラインで定める要件につきましては、事務局において審査を行った上で提供したいと考えております。
 事務局の説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。幾つか事務局からの御提案もあったように思います。議題2、それから議題4あるいは議題5で改めて御議論いただくこともございますけれども、それ以外の点で何かお気付きの点がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。どうぞ。
○猪口委員 全日病の猪口と申します。今回、四十何件で6件だけ通った。まだ最初の段階で、いろいろなデータをどう構築したらいいのか、それから出す側も、レセプトデータそのものを引っ張り出すと、どういうものが出てきて、どういう解析をすれば研究等に使えるのか。その辺が多分お互いにまだ慣れていない部分が相当あろうかと思います。
 そういった意味で、その6件という数字を見ると、本当にレセプトデータからこういう抽出をお願いしますと言って、それをつくってお渡しするという現状の事務的な能力というか、手が相当かかると思うので、実際は年間これぐらいしか出ませんよというところを逆にお示しいただいて、それで請求する側によくレクチャーするというか、レセプトをデータとして出すと、こういうものが出るのでどうでしょうかと、そういうもう少しざっくばらんなお話し合いの中で決めていかないと、今回みたいに最初からこういう条件ですよと言って、その条件に合わせて書類を作成しても、結局後から、いや、それはこういう理由ですからだめですよと言われてしまうということが起きる。
 そこは、もう少しざっくばらんなお話し合いがあっていいのではないか。特に最初ですから、お互いに慣れていない部分があるので、そういうことはできないのかなと、また事務的能力として、どこまでできるのか、その辺を具体的に少しお示しいただいた方がお互いの理解が得られるかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○山本座長 どうぞ。
○北澤室長 ただいまの御指摘でございます。今回、試行期間でございますので、我々も事務的な能力も含めて、慣れていないといったところは、確かに御指摘のとおりの部分があるかと思います。
 ざっくばらんにというお話がありましたけれども、確かにお互いの信頼感というか、納得感というのは重要だと思っていますで、そういう意味でも今回の課題を踏まえた、審査に当たっての幾つかの改善点については、例えば書類だけでやりとりをしていたところについては、必要に応じてヒアリングを入れるとか。申しわけございませんけれども、少しやってみて改善が必要なところは、申出された方々の御意見も踏まえて改善していくといったところで、試行が申出された方と共同しているような気持ちで我々としてはやっていきたいと思います。
 御指摘のとおり、事務局体制をもっと整えるべしという御意見もあろうかと思いますが、我々としてはできるだけ効率的にやりたいと思いますし、この試行期間中はいいものをつくっていくということで、我々としてもどこまでざっくばらんにできるかというのはわかりませんが、そういったつもりでやっていきたいと思いますし、上限を示すべきというところについては、我々の事務局体制も踏まえた、今後どのようにしていくかというところも、これは次々回以降になりますけれども、どこまで御説明できるかわかりませんが、また改めて御議論いただければと考えております。
○山本座長 処理能力というのは、要求されるデータの種類によっても変わってくると思うのですけれども、例えば今の6件に関して、大体どれぐらいのペースというのがもしわかれば。
○北澤室長 これは、1件当たりどのくらいというのは、なかなか積算するのは難しいのですが、全く第三者の申出ではないところで言いますと、本来目的でやっているところを見ますと、1日で1つできるようなペースかというと、とてもそんなことはないので、データを抽出するための命令文というか、定義体を作成するのにもかなり時間がかかりますので、1つ当たり週単位、ずっと24時間でやった場合でもかなりの時間がかかります。
 今回の申出の受け付けとか、あるいは実際の提供の作業、いろいろなものを含めますと、かなりの時間はかかっていると思っております。数字でお示しすることができなくて恐縮です。
○山本座長 ありがとうございました。貝谷さん、どうぞ。
○貝谷委員 今ほどの議論と少し関連するのですけれども、私は全国健康保険協会保険者という立場で、同じようなお願いになるわけですけれども、実は今回、結果的には1けたという中で、四十幾つ申請された方々というのは、それぞれの分野で一生懸命研究されているような、代表するような方々も相当含まれていたのではないかと思います。
 そういう中で、最初ですから難しかった、あるいはいろいろな理由ではじかれたということなのですけれども、ナショナル・データベースではだめなので、各保険者にお願いしたいという御相談が正直、ございます。それはそれで、私どもはそれなりに考えて対応しなければいけないなと思っています。
 ちょっと残念なのは、試行期間とはいえ、そういうふうにナショナル・データベースを一生懸命活用して一定の研究目的にしていこうという気持ちが、余りにもハードルが高いというイメージが関係者に広がってしまって、恐らくどこかで事務処理体制とあわせて改善していくにしても、今は特別の期間なので、やむを得ずこうだという発信を同時にしていかないといけない。
 あそこに行ってもとてもだめなのだということができるだけ広がらないようにしていただければ、個別の保険者としても大変ありがたいし、せっかくのデータベースですので、そういう方針を少し中期的な構想というものも、先ほど事務局からございましたが、あわせて試行期間内で、今後どうしていくかという方向性もあわせて発信していただきたいと思います。
○山本座長 あと、議題2で、より安全性の高い基本データセットの提供というものもございますので、それも含めて、また御議論願えればと思います。頭金先生。
○頭金委員 名古屋市立大学薬学部の頭金です。
 4ページで、提供に当たっての優先順位の考え方について御説明いただきました。効率的にデータを提供するという観点から、優先順位を付けるということにつきましては、総論としては賛成なのですが、現実問題として、先ほどの御意見にもありましたように、各研究者が一生懸命お考えになったテーマについて優先順位を付けるというのは、実際の作業としてはかなりの困難さが伴うのではないかということが懸念されます。
 そこで、基準をあらかじめつくるということで、ここにはそのイメージ示されています。実際にこういう優先順位を付けるような段階になりますと、この基準については、改めてこの有識者会議の中で議論されるという理解でよろしいのでしょうか。ここに書いてある1から4だけで十分でない場合もあると思いますので、お聞きします。
○山本座長 はい。
○北澤室長 今回、イメージとして出しましだが、御指摘のとおり、これだけでは具体的なものがわかりませんので、次回にはもう少し具体的な基準の案をお示しして御議論いただきたいと考えております。
○山本座長 実際の最終的な順位付けというのは、この有識者会議ですると考えてよろしいわけですね。
○北澤室長 はい。
○山本座長 我々、競争的資金を獲得して研究を行うことが日常の者からすると、順番付けは当たり前の話なので、恐らく研究者の方は余り違和感はないだろうと思いますけれども、その順位の妥当性というものが、透明性とともに求められるとは思います。これはまた、次回以降、御議論願えればと思います。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○松田委員 データの切り出しにすごく時間がかかるということがあるわけですけれども、多分申請していただく前提として、レセプトの構造をきちんと理解していただく。理解した上で、どういう条件で切り出すのかということに関して、具体的な手続を申請の段階で書いていただくことが、まず前提としてあるのだろうと思います。
 それがないと、出していただいても、実際にどういうふうに切り出すのかというところで非常に手間がかかってしまうということになりますので、その手間のかかり方を理解していただくためにも、どういう条件でどういう項目で切り出すのかということを、レセプトの構造を理解した上できちんと書いていただくということが申請の最低条件になるだろうと思います。
 その上で、それを前提とした場合に、必ずしもレセプトの情報について、皆さん、申請者の先生方が詳しいわけではありませんので、厚労省の方としても、レセプトの構造についての説明を是非やっていただきたいなと思います。
○山本座長 ありがとうございます。今の松田先生の御意見も、その次の基本データセットの中で少し触れることがあろうかと思いますので、またその点も含めて御議論を願えればと思います。
 それから、公表形式のところで、「医療機関が3以下になる場合は原則として不可能」を少し緩めてはどうかという事務局の御提案がございましたけれども、この資料によると、自治体に提供する地域医療提供体制の研究ということですが、もう少し具体的に説明をお願いできますでしょうか。
○石井補佐 医療費適正化対策推進室の石井と申します。
 具体的に申し上げますと、今回の1回目の審査の中の申出にもございましたけれども、例えば2次医療圏の中でどういった診療行為が行われているのかとか、どういった医療圏内での疾病ごとの受療状況になっているのかといった集計を行うときに、地域によりましては、この資料の中で8ページです。
 第6回の有識者会議の中でも多少御議論させていただいてはおりますけれども、地域によっては、拠点病院ということで、特定の診療行為を行っているような医療機関が1つしかないとか、または非常に少ない場合があるということで、集計のやり方によっては、非常に少ないセルが頻発してしまうことが考えられる。そういったものをすべてマスキングすることになりますと、地域の提供体制の分析ということがなかなか難しくなるということもあります。
 8ページの下の方にも書いてありますけれども、成果物の中に明示的に医療機関名を記載しないですとか、患者さんの数の集計単位としては10未満になってはいけないという原則は遵守しつつ、少しその辺は柔軟に考えてはいかがかという考え方でございます。
○山本座長 ありがとうございます。これは、柔軟に考えてもいいという結論をここで出せばいいわけですか。それとも、また議論するということでよろしいのですか。
○石井補佐 具体的に申し上げますと、今の承諾した申出の中に、いろいろ集計をしておりますと、そういった公表形式をつくってしまうと、医療機関単位での集計ベースで見ると、非常に少ない集計単位のものが出てしまうことがわかってきたところもございます。今、どういう形で最終的に公表形式として出していくかということを、申出者、申出提供先の担当者とも話をしております。公表形式として、最終的に固まり次第、ここで御報告させていただいて、また御議論させていただければと思っております。
○山本座長 わかりました。たしか、これは結果を割と急いでおられた申出だと思うので、次回の有識者会議で間に合うということでよろしいですか。
○石井補佐 はい。
○山本座長 では、次回、具体的に御検討いただくということにしたいと思います。
 それでは、ほかに御意見がございませんようでしたら、議題2の「基本データセットについて」に進みたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○北澤室長 保険システム高度化推進室長でございます。
 資料2の3ページをごらんください。
 上の方は、第7回の有識者会議の資料を抜粋したものでございまして、個人の特定可能性を下げるという原則から、現在の審査方針では、傷病名等のコードのいずれかをすべて必要とするような、いわゆる探索的な研究は不承諾となります。しかしながら、こういったニーズは非常に高いと考えておりまして、探索的研究にも門戸を開けるよう、海外の先進事例も踏まえ、何らかの対応、つまり基本データセットのようなものを検討する必要がございます。
 資料2の16ページ以降は、過去の有識者会議で、この基本データセットに関する資料ということで、台湾とか米国の事例も交えて付けております。
 23ページをごらんいただきますと、第6回の資料でございますけれども、これは全体のまとめ的に、政府が行うデータ提供の類型をお示ししております。今回、検討に該当するのは、この真ん中辺りの基本データセットの部分になろうかと考えております。
 恐れ入ります、4ページに戻っていただきたいと存じます。
 海外の事例が幾つかありますけれども、ここでは台湾の事例を参考として考え方を整理しております。前回の有識者会議の議論を踏まえれば、整備の緊急性あるいは必要性が高いのは、赤い枠で囲っております系統抽出データと呼ばれるもの。これは、一定の割合で抽出して匿名性を高めた月単位のデータセット。それから、教育用データとありますが、これは学生や研究者向けの教育用ツール、この2つではないかと考えております。
 次の5ページをごらんください。
 もう一度整理いたしますと、探索的研究への要望、あるいは今後の継続的な提供体制を考えますと、個票のデータをオーダーに応じて提供する、現在のような全数のデータから提供しておりますけれども、それ以外の提供できる形式。つまり、個人の識別可能性、個人の特定可能性の観点から、安全性にすぐれ、各種研究に使用できる、台湾で言えば系統抽出データのようなもの。これを仮称ですけれども、サンプリングデータセットを早急に整備する必要があると考えております。
 一方で、さまざまな研究目的に対して最適化されたデータセットの整備というものは、その精度を落とさないようにする観点からも、平成24年度に予定しております厚生労働科学研究におきまして議論してはどうかと考えております。
 加えて、レセプト情報等でどのような研究ができるかなど、先ほど議論が少しございましたが、そういった理解の一助となります、仮称でございますけれども、教育/練習用データセットといった提供も、ホームページ等を利用して進めていきたいと考えております。
 スケジュール案は、2のとおり、サンプリングデータセットと教育/練習用データセットにつきましては、平成23年度中に、そしてその他の基本データセットにつきましては、平成24年度以降、鋭意整備を進めていきたいと考えております。
 6ページをごらんください。今年度中にサンプリングデータセットを整備しようとした場合ですけれども、具体的な内容の案でございます。
 まず、どのレセプトデータで整備するかということですが、現在、医科を初めとして6種類のレセプトデータがございます。まずは、第1回の申出で利用の希望が多かった医科、DPC、調剤の3つから開始してはどうかと考えております。歯科や特定健診、特定保健指導につきましては、前回の申出ではその数が少なく、また歯科につきましては、電子化率も低いといったことなどから、今後の課題としてはどうかと考えております。
 また、どの程度の期間かということですけれども、複数月のデータを提供する場合には、ひも付けなどによりまして、個人の特定可能性が高まるなどの課題がありますので、まずは単月のデータのみを提供することとしてはどうかと考えております。
 そして、抽出割合、手法ですが、一般的な可搬媒体におさまるものとして、研究者のデータの操作性なども考慮いたしますと、一定割合での抽出が必要と考えております。その際、入院・外来レセプトで抽出割合を変えるかどうかなども課題かと思います。
 また、抽出に当たりましては、患者の基本的な属性であります性別、年齢構成につきましては、データベースの構成割合と同じとしてはどうかと考えております。
 次の7ページをごらんください。
 匿名化処理をどうするかと書いてありますが、傷病名あるいは診療行為のコードなどで、その出現回数が少ない場合には、個人の特定可能性の観点から好ましくない場合もあろうかと考えますので、一定の割合で匿名化を行ってはどうかと思います。
 これは、医科の架空の事例でございますけれども、匿名化の考え方を若干御説明したいと思います。これは5名の外来患者さんのレセプトの特定可能性を下げる場合、傷病名の出現回数を基準として、その少ない方から10%を匿名化するとどのようになるのかということでございます。AからEのレセプトがございます。
 次のページ、8ページに、この傷病名数に焦点を当てまして、集計結果を示しております。
 左の方から、触覚鈍麻から傷病名のカテゴリーがございますけれども、出現頻度が低いものから10%匿名化すると、出現回数全体で20回でございますので、そのうち2件が10%になります。そういたしますと、左から触覚鈍麻と硝子体炎、この2つの傷病名のカテゴリーが匿名化されると、結果として下のBとCの区別が付かなくなる。いわば匿名化に成功しているということかと思います。
 次のページ、9ページですけれども、結果として下の棒グラフでございます。10%の出現回数の傷病名を匿名化することによりまして、個人の特定可能性が一定程度下げられたということでございます。下のブルーの棒グラフでございます。傷病名のカテゴリーは8つございますけれども、そのうちの2つのカテゴリー、つまり8分の2の25%のカテゴリーが匿名化された。その割合を出現回数である10%と比較すると、このカテゴリーで言うと、その比率が高いということになります。
 ここまでが架空のデータですが、次のページ、10ページです。これは、現実のある月のデータで、同じようにやってみたところでございます。
 先ほどの架空の例と同じようなことが言えるかと思います。つまり、下の棒グラフでございますけれども、ここでは赤いところでございます。この月の医科レセプトに出現する回数が少ない方から、例えば1%を匿名化するとした場合、その下の棒グラフですが、傷病名数、カテゴリー数は83.6%が匿名化。つまり、それ以外の傷病名の情報は消えるといったことでございます。
 これは、具体的な病名の例を下に掲げておりますけれども、下から0.1%に該当する傷病名の例として、若年性境界型高血圧症。一番右の高血圧症とありますけれども、若年性境界型高血圧症というものが下の方に該当しますので、こういった傷病名については匿名化される、情報がなくなるといったことになるわけでございます。
 これは事例として少し申し上げましたけれども、傷病名以外にも、例えば診療行為のコードなどについても、具体的な匿名化をこのような観点も参考に今後考えていきたいと思っております。
 また、次の11ページでございますけれども、5の高額レセプトの取り扱いです。
 これは、保険局調査課で使用している基準というものが、例えば入院であれば70万点というものがございますけれども、非常に高額のレセプトについては数も少のうございますので、特定可能性を下げるという観点で、一定の点数以上については、同一のコードとして再整理してはどうかと考えております。
 また、6は、更に匿名性を高める手段といたしまして、単純にここに掲げてあります4つのものの抽出を行いますと、元のデータベースの構成割合と同一にならないという観点から、例えばこれらの4つのデータ項目については、提供しないこととしてはどうかといった御提案でございます。
 次の12ページをごらんください。
 申出資格等についてですが、データ提供体制等を考慮いたします必要があろうかと思います。一方で、第1回の申出で不承諾となった方につきましては、事務局とのコミュニケーションが図られていると考えますし、また審査方針あるいはセキュリティ要件等についても御理解いただいていると考えております。こうしたことから、このデータセットにつきましては、第1回の審査で不承諾となった申出者に限定してはどうかといったことでございます。なお、申出内容については、必要に応じて変更していただく必要があろうかと考えております。
 その下の2ですけれども、求めるセキュリティ要件あるいは申出書の様式等ということです。このデータセットについては、個票のデータであることを踏まえまして、基本的にはこれまで行ってきた通常の申出と同様としたらどうか。申出書に記載をお願いします公表形式につきましては、このデータセットが探索的研究を見据えたものであるといったことを踏まえまして、通常の申出ほどは、その具体性・網羅性を求めないこととしてはどうか。
 それから、次の13ページでございますけれども、提供・審査体制です。これは14ページもごらんいただきながら御説明いたします。
 このサンプリングデータセットにつきましては、次回の通常の申出と同じ、3月末から4月初めころを予定しておりますが、審査期間の重複がないよう調整を、つまりサンプリングデータセットの審査を優先してはどうかと考えております。そうなりますと、第1回の申出不承諾者の方は、両方の同時申請が可能となる。
 ただし、13ページの真ん中辺りでございます。資料1でも御説明しましたが、このサンプリングデータセットも個票で扱われるものであるといったことから、原則として、これらの情報については、他の情報との照合を認めていない。それから、できるだけ多くの方々に使用されることによって、その課題を明らかにする必要があるといったことから、申出者あるいは利用者がレセプト情報等を用いた複数の研究に、同時にデータ提供を受けることはできないとしてはどうか。
 それから、この考え方につきましては、第1回申出で承諾を受けた研究者にも適用してはどうかと考えております。
 そして、4のサンプリングデータセットの今後についてということですけれども、このサンプリングデータセット、今回つくってそのままということではなくて、御利用いただいた研究者の方々からもさまざまな意見を集めさせていただいて、更に平成24年度、予定しています厚生労働科学研究での検討も踏まえまして、データセットの匿名性に配慮しつつ、更なる利便性の向上といった改善を図っていきたいと考えております。
 15ページをごらんください。
 教育/練習用データセットの具体案でございます。これにつきましては、趣旨は先ほど申し上げたとおりですが、データベースから提供される形式と同じもので、研究者がその実形式を把握できるようにしたいと考えております。ですので、ある程度の容量にとどめて、ホームページ等で閲覧できるようにしてはどうかと考えている次第でございます。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 この教育/練習用というのは、全くのダミーデータで、実際にデータベースにどういう情報が入っているのかをありのままに見ていただいて、それこそ研究計画を立てるのに役立ててもらうことが目的のものなので、これは早い方がいいと思います。前回の申請でも、ここを余り御理解いただいていないために、わかりにくかったという印象が非常に目立っておりますので、これを是非やっていただきたいと思います。
 こちらは余り問題ないかと思いますけれども、サンプリングデータセットにつきまして、もし御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。よく知られていることですけれども、例えば病名とか医療行為というのを出現頻度で分けると、非常に出現頻度の低いものが多数を占めるというのが現実で、そこを仮にダミーに置き換えても、置き換える全体の数の割合はそうは高くならないのですけれども、少数の項目に関しては、それでマスキングができて、個人の特定性を下げることができます。
 これをどのくらいのところで切るかというのは、これからもう少し検討しなければいけないと思いますけれども、基本的にはそういう方法で匿名性を高めて、それから研究者の方の扱いやすさも考えて、DVD-ROMに格納できるぐらいのサンプリングをする。恐らく数%になろうかと思いますけれども、それぐらいのサンプリングデータとして、これを提供する。なおかつデータは1か月分を原則とするということだと思います。
 これで探索的研究がすべてカバーできるわけではないと思うのですが、当面、とりあえずこれを提供することによって、これでできることをまずやっていただく。その結果としてある程度焦点が絞られれば、それは探索ではなくて、焦点を絞った研究としてオリジナルの申出の方に出していただければいいですし、前回、探索的研究だから落ちたということを避けることができ、第1段階で使っていただくということが主な目的になると思います。いかがでしょうか。はい。
○大久保委員 ちょっと質問です。4ページにレセプト抽出率が書いてあります。入院が5%で外来が0.2%ということです。これはイメージ的に、今やっている社会医療と比べると、どの程度の大きさなのか、わかりますかという質問が1つ。
 それから、傷病名など10%以下を削るということですが、これは全く白紙にするのか、それとも何か入っているということは残るようになっているのか、その辺をちょっと。
○山本座長 傷病名をダミー病名に置き換えてしまうということです。
○大久保委員 何か入っていることがわかる。
○加藤補佐 今のダミーに関しての御質問ですが、イメージしておりますのは、架空の番号を入れて、ダミーが入っていることは研究者の方々にはわかっていただけるようにということを考えております。
 あと、今、最初の御質問にありました系統抽出データのパーセントですけれども、これは台湾のパーセントであります。社会医療診療行為別調査に関しましては、いろいろ抽出割合は異なっていたかと思いますけれども、例えば20分の1とか30分の1というところがあったかと思います。この5%と0.2%ということで申しますと、今の医科のレセプトで、入院レセプトと入院外のレセプトが大体20倍か、それ以上という比率になっていますので、そういったことも今後、抽出条件、抽出の割合を決めるときに反映させていこうと考えております。
○大久保委員 もう一点、ちょっと細かいことで。細かい診療行為も消えるわけですね。その場合、ダミーの何かが入るのですけれども、点数も削る。例えば10の診療行為が削られたときは、10の診療行為にダミーの何かが入って、トータルの点数はどこかに入るわけですか。点数もダミーなのですか。
○加藤補佐 それに関しましては、今後の検討課題とさせていただこうと思っております。御指摘のとおり、例えば高額レセプトにおきましては、高額分としてまとめたとしても、そのレセプトの診療行為、医薬品等の点数を合計するとわかってしまうという懸念も確かにございますので、その辺りのところは参考にさせていただこうと思っております。
○山本座長 印南先生。
○印南委員 11ページの6番ですが、サンプリングデータセットに含めるデータの範囲をどう設定するかというもので、公費医療、医療機関コード、保険者番号、都道府県、これは全部提供しないとなっていますが、サンプリングデータセットをつくって探索的に研究するわけですね。その探索的研究の中に、例えば同じ地域の保険者ごとに、いろいろなものがどう違うのかとやろうとした場合に、同一の保険者で集計したりしたいと思いますね。別に、この特定の番号が欲しいわけでも何でもないわけですけれども、その同一性がわかるようにダミーのものを入れていただくというのはできないのでしょうか。提供しないというのは。
○加藤補佐 御指摘ありがとうございます。サンプリングデータセットと言いますのは、基本的にサンプルにしたものはすべて研究者に提供する。ですので、ここで匿名性のことをページ数を割いて非常に申しておりますのは、探索的研究ができるということで、ある程度当初のイメージ以外にも、研究している中でいろいろな研究、あるいはいろいろな傾向がつかめたら、その先に進んでいただくということも、今の全数の申出ではそういうことも制限しておるわけですが、サンプリングデータセットの場合はそういうこともしていただいて結構です。
 ですので、先生の御指摘にありますように、勿論細かいところでそういった情報は全然要らないという研究者の方もおられるでしょうが、今ここでは、要するに抽出の段階で保険者の母集団との構成比率の統一性、あと都道府県の統一性がないので、それだったら、逆にそこから新しい研究をしても、その知見がそもそも抽出の段階でおかしいのではないかと言われるのではないか。そういうことを考えて、ここであえて、これらの情報も外してはどうかという一つの御提案をさせていただいたということです。
○印南委員 サンプリングデータの安全性みたいなものをしつこく追求するのだったら、おっしゃるとおりですけれども、要するに仮説をつくったり、とりあえずどういうものか感触を得たいときに、この情報、コードもそのものが必要なのではなくて、同一性が保てるようにダミーで何か入れていただかないと、本申請の仮説もうまくつくれない。そういうものをつくるために、例えば医療費の西高東低があるか、もうちょっと詳しく確かめてみるとか、いろいろ考えるのですけれども、全然ないとわからないですね。
 勿論、サンプリングデータが完全でないことは前提の上なので、入っていて、それを基に指摘するとかいうのはどうなのか。指摘するのもおかしいのではないかと思います。
○加藤補佐 この項目に関しては、現在決まったわけではなくて、御提案させていただいているところですので、これらの情報の中でも、例えば都道府県ではなくても、地域情報であるとか保険者情報といったところに関しては、今後作成していく中で、期間はそう残されておりませんが、勿論検討してまいります。
○山本座長 御検討させていただくということでよろしいですか。
○印南委員 はい。
○山本座長 どうぞ。
○頭金委員 今回の基本データセットでできることを考えなさいというお話なのですけれども、私が懸念しますのは、6ページのデータの提供期間が1か月のみということでございます。1ヶ月間のデータとなりますと、当然、経時的な変動に関する研究というのが基本的にできないということになりまして、一時期の断面を切り取っただけの研究ということだけになってしまいます。
 そうなりますと、前回の第1回目の応募のときにも、正確に覚えていないのですけれども、相当の数が、経時的な変動を見るというのがあったのではないかなと思います。サンプリングデータセットは有用だと思うのですけれども、そういう研究はすべてフルバージョンの方に応募しなさいとなりますと、サンプリングデータセットの有用性が落ちてしまうことを懸念します。
 確かに複数月で提供した場合に、個人特定可能性が高まるということはあるとは思いますけれども、何かこれを回避するような形で経時的な研究ができるような方策というのがないのかどうかということを、お聞きしたいと思います。
○山本座長 はい。
○北澤室長 そもそも基本に戻りますけれども、今回、探索的な研究については全くデータ提供できないという基準になったものですから、そこに少しでも参加できるような仕組みができないかということで、相当安全面というか、識別可能性を相当低くするというのが基本的な精神で提案させていただいています。ですので、今おっしゃられたような経時的なものとかもできませんし、確かに御提案しているものですと、地域差もよくわからないしということなのです。
 これはまた御意見いただいて検討したいと思いますけれども、ある研究プロジェクトの中で、すべてこの研究データセットで完結するとは、ちょっと思っていないところが事実でございます。まず、ここで探索的に、当たりではないですけれども、付けていただいた上で、更に研究を進めていただくという一つのツールとして、この基本データセットというものを使っていただけるのではないかという御提案でございます。
 確かに、すべてのいろいろなニーズに対応できないというのは、匿名性を高める手だてを加えれば加えるほど、そのようになるのは、ここはどうしても反比例になってしまいますので、痛しかゆしなのですが、御提案させていただいたものは、そういう意味ではかなり厳しい方の御提案とお考えいただければと思います。ですから、これをどこまで緩めるかということは、御意見をいただいた上で、また結論を得ていきたいと考えております。
○山本座長 あと、4ページにある台湾の例ですけれども、この中の赤枠で囲っていない特定主題データのようなデータセットも、これは24年度以降の厚労科研非を使って更に検討して、提供できるデータセットの中に加えることができれば加えていこうという予定になっています。こちらは、例えば糖尿病に関しての時系列情報を扱うというのは当然テーマになってくると思います。
 今、サンプリングデータセットと言っているのは、とにかく短時間で提供できて、なおかつ安全性の高いもので、ある程度探索的研究のトライアルをしていただけるということが主なテーマになっていますので、決してこれで終わりというわけではないということで御理解いただければと思います。どうぞ。
○稲垣委員 そういう意味で、短時間で整備されるということなので、ある程度限定されるのはやむを得ないのですが、ちなみに43件応募があって、選に漏れた研究について、今回のデータセットで多少なりとも満足されるようなケースがどれ位あるのでしょうか。先ほどありましたように、経時的な研究では、多分活用することは難しく、かなり限定されてしまって、余りにも活用されないということであっては、惜しいので、その辺の感触を伺いたいと思います。
○加藤補佐 御指摘のとおり、前回の申出で、単月の情報で研究をという申出はほぼなかったと記憶しております。皆さん、各レセプトを経時的に、そして複数ひも付けて研究ということだったので、実際、恐らくほとんどすべての方が、申出の内容については改めていただく、あるいは研究内容を改めていただく必要があると思います。そういうことで、確かに大変限定される部分はあるのですが、その中である程度の当たりを付けていただく。そういったところで意義を見出していただければ、お申出いただければ審査させていただく。
 ただ、そういう内容に沿わない、やはり全数でないとだめだとおっしゃられる場合には、引き続き第2回の申出の方で申請していただくと、現時点ではそういう対応をとっていただこうと考えております。
○山本座長 まだ蓄積されてから余り時間が経っていないので、例えば連続のデータ量にしても、最初と最後がわからない6か月間であれば、匿名性を高くできるのですけれども、現状だと始まりから6か月の期間はそんなにとれないですね。ですから、今、連続データをとると、かなり特定性が高まってしまうというリスクは大きいです。これが例えば蓄積年数が5年、6年と長くなってくると、そのどの6か月をとっているかわからないので、かなり匿名性は確保できると思いますが、現状ではちょっとやむを得ないかなという気がしています。どうぞ。
○貝谷委員 先ほどもちょっとお話申し上げました。この趣旨からして、基本データセットの中で、ある程度の当たりができるだけ付けられるということが、今のお話の前提であれば必要だと思うのです。
 それで、今お話の中ですと、そのある程度当たりが付けれるということがむじかしいイメージをお聞きしたのですが、ある断面で瞬間的なことではない形で工夫することが、決定的に何か匿名性の問題があれば、これはだめですけれども、今の状況の中でも、何か工夫をすることで、このデータセットの中でも、ある程度把握ができるということをしないと、ほとんどみんなフルセットの方に流れてくる。そうならなければいいなと心配しますが。
○山本座長 先ほども申し上げましたように、これで終わりではなくて、24年度の厚労科研で、例えば台湾ですと100万コホートで、ずっと十数年間連続したデータセットをつくられているのです。これは、比較的簡単な申請で手に入るデータですけれども、100万人分の完全にサンプリングしたデータをつくられた。
 でも、今から3月までの時間に、ちょっとそれをつくるのは無理なので、そういったことも含めて、24年度から始まる厚労科研で検討していただいて、安全性を理論的にも確認した上で提供できるものは提供していく。
 このデータセットだけで終わるのであれば、御指摘のようにニーズのほとんどを満たさない可能性はあるかと思いますが、当面限られた試行期間の中でできるものは出していこうということですので、御理解いただければと思います。はい。
○北澤室長 座長、御指摘のとおりでして、13ページでも先ほどちょっと御説明させていただいたのですけれども、下の4.サンプリングデータセットの今後というところでございます。まず使っていただいて、どういう課題があるか、意見をいただきますし、厚労科研でいろいろ見直していく。つまり、これですべて固まったということではなくて、今後、随時見直して、よりよいものにしていきたいと考えておりますので、御理解いただければと思います。
○山本座長 次回、御報告ができるようですね。また、次回御議論いただければと思います。
 それでは、次の議題3、これもちょっと重い議題ですけれども、「DPCデータについて」ということで、事務局の方から説明をお願いいたします。
○迫井企画官 保険局医療課企画官をやっております迫井でございます。
 お手元の資料3-1、3-2を用いまして御説明させていただきたいと思っております。
 3-1をおめくりいただきまして、俗にDPCと呼んでおりますけれども、これは制度として少し取っかかりにくくて、わかりにくいという御指摘が多々あります。
 これは何かと言いますと、レセプトの情報と同じような切り口で、私ども保険局が診療報酬の関係で収集しておりますデータの中で、同様にデータの利活用を進めるべきだという御指摘をいただいており、今後の対応について御相談させていただくということです。まず、そもそもDPCとかDPCのデータとは何だということになりますので、甚だ簡単なのですが、御紹介させていただきたいと思います。
 2ページ、3ページに書いておりますのは、のっけからテクニカルな話になって、わかりにくくなって恐縮ですが、3ページと2ページを並べて見ていただきます。
 保険医療機関が診療報酬を請求する場合、まず入院と入院外、つまり外来がございますが、現在、入院につきましては、大きく分けて通常のいわゆる出来高、ここでそもそも御議論いただいておりますレセプトは、出来高が基本になっていると思われますが、それとは別に、入院医療の中で包括払い、診断群分類に分けて、つまり、患者さんの病名とか治療の度合いによって程度が違いますので、そういった分類をした上で、定額払いの導入をしてきたというのが、現在の保険医療制度でございます。
 3ページに書いてありますのが、通常、出来高のイメージを持っている診療報酬ですけれども、今お話したように、制度としては、これもわかりにくいのですが、DPC/PDPSと書いてございます、あるいはDPC制度と呼んでおります。略称でDPCと呼ばれることもありますが、そこを我々は分けてとらえようとしています。
 3ページに書いてございますのは、定額でお支払いします、繰り返し申し上げておりますとおり、病気が違えば治療の内容も当然違います、更に、例えば同じ肺がんの方でも、手術をする場合と手術しない抗がん剤の場合、あるいは経過観察する場合、さまざまございますので、病名とどんな治療をしたかをセットで分けまして、それ以降は定額でお支払いする、その場合に、3ページですけれども、診療報酬を全部定額にしますと、これは少し乱暴過ぎますので、包括評価をする、つまり定額をお支払いする部分と、その定額いかんによらず、いわゆる通常の出来高でお支払いする部分を分けて、それを合算してお支払いする形になっております。例えばわかりやすい出来高評価の部分は、手術です。手術につきましては、包括するというのは少しなじまないので、手術料について、やった分は出来高にする。それと、技術料的なものはそういったものが多いです。そういう出来高で評価するものと、包括で評価するものを分けて、それを合算してレセプトを起こしますというのが、この包括払いの制度です。
 3ページの下半分に書いてあるのは、この包括払いの制度の中で包括点数をどうやって計算するのかということを、ちょっと詳し目に書いてあります。包括評価部分、赤い線が引いてございますが、通常の出来高で言うところの1日当たりの入院基本料とか検査とか投薬とか注射といったものを、今お話したような診断群分類ごとの1日当たりの定額でお支払いするというのが、日本のこの制度の特徴でございます。
 それで、その診断群分類というのは何か。患者さんを分類するためのベースとなるものは何かというのが、2ページに書いてございます。
 診断群分類、DPCという名称を用いております。この関係で非常に専門的な内容でございますし、それから実際にこの開発に非常にお力をいただいた松田先生もおられますので、もし更に必要があれば松田先生にも解説をしていただきたいと思っておりますが、診断群分類という名称は、ここに書いてございますとおり、Diagnosis Procedure Combinationというものの略称でございます。アメリカで用いられておりますような包括払いはDRGと通常呼ばれておりますけれども、それと分ける意味もありまして名称が違っております。
 その意味が違う理由の大きな1つには、「DPC(診断群分類)」と書いてある点線の中でございます。日本の方式は、まず疾患によって分類するということが非常に大きな特徴になっておりまして、疾患で分類した後、どんな手術をする、あるいは手術をしない。それから、どのような処置をする、しないといったもので分類をしていくという、この患者さんの分類の方式がDPCという名称です。こういった制度の概略でございますが、こういう支払い方式を現に運用しておりまして、どれぐらいの病院とか、どういう病院かというのは以降の資料です。
 まず、5ページを見ていただきたいのですけれども、現在、こういった支払いの対象としております患者さんは、病院と言ってもさまざまございますので、急性期の一定の規模とか一定の特性を持った病院に限って導入しております。それが5ページに書いてございますDPCデータを提出するというよりは、DPC/PDPSの支払い方式の対象となっている病院の基準でございます。
 1から5まで書いてございますけれども、見ていただいたらわかるとおり、7対1とか10対1、これは看護師さんの配置の基準でございまして、病院全体で見ますと、基本的には看護師さんの配置密度の高い施設に限っているということでございます。ですから、直接的にDPCという名称にはそういった特徴は出ませんが、私どもは、これは急性期の入院医療の支払いに対して、こういった適用をしますと申し上げております。
 それから、2、3でございますが、今お話をしたような患者さんのデータに基づいて支払いをしますので、逆に言いますと、患者さんの分類とかカルテの管理とか診療情報を適切に扱っていただかないと、こういった支払いはできませんので、そういったインフラといいますか、診療録の管理の体制とか、そういった電算処理ができますねという規定です。
 5も同様です。そういったコーディングに関する一定の体制ができていることが求められておりますので、コーディングに関する委員会が設置されているということです。
 4は何かと言いますと、先ほど申し上げましたとおり、急性期を前提といたしておりますので、1病床当たり半年とか三月といった長期の方を対象としているわけではないものですから、かなり急性期の患者さんの特性をあらわしたようなデータ提出をお願いしています。言ってみれば、1病床当たり、一月のデータが1出てくるということは、在院日数は大体30日ということになります。
 この制度は、平成15年に特定機能病院に導入したものですから、そのときの実績値で病床利用率がその当時79.4%、平均在院日数が28日でしたので、それを勘案しますと、1病床当たり0.875程度のデータが出てこないと急性期ということになりませんねということで、こういう規定を設けてございます。
 5ページに書いております、こういった病院を念頭に置いて、この制度を運用しておりまして、めくっていただきまして6ページ、7ページですが、実際問題、この制度が適用されております病院、それから病床が非常に増えてきている。増えてきているということが、もう一つは、こういったデータの利活用を進めるべきだという背景にもなってございます。
 6ページが、まず施設の数でございます。先ほど触れましたが、これは平成15年からこの制度を導入いたしております。平成15年当時は特定機能病院に導入しましたので、大学病院本院80病院とプラス、ナショナルセンター、がんセンター、循環器病センターの2病院で、82病院で始めました。以降、対象病院を順次拡大しておりまして、特に平成20年前後から急速に対象施設が増えました。現在、平成23年で1,449。今回、平成24年の改定で、これは見込みですけれども、恐らく1,500を超える施設になると我々としては見ております。
 施設の数もさることながら、7ページですが、病床数。大き目の施設が入ってございますので、どちらかといいますと、病院の数の割合からしますと、一般病院に占める割合としては全体の6分の1とか7分の1なのですが、7ページの表を見ていただきますと、全一般病床数に占める割合が、例えば90万床程度が全一般病床としますと47万床ということで、半分を超えている。ですので、一般病床の病床数からしますと、既に定額払いの対象が半分を超えているというのが現状でございます。
 済みません、長くなってしまいましたが、4ページに戻っていただきます。こういう制度を運用しているということでございますが、この制度のもう一つの特徴は、お支払いする定額払いの報酬につきましては、いわゆる実績値、実際のデータに基づいてお支払いするということです。
 そのために、4ページに書いてございますが、対象病院に対しましては、退院患者さん、基本的に全数なのですが、データの提出をお願いしています。そのデータを提出していただく際に、出来高払いであったら何点だったか、あるいはどんな診療行為をやったかといったデータを、退院患者さんごとに提出をいただいておりまして、そのデータの利活用を進めるべきだというお話が、今日、御紹介する発端となっているものでございます。
 4ページは、その調査の目的を書いてございます。3つ丸が書いてございまして、1つ目は今お話したとおりで、これは健康保険法に基づく診療報酬制度ですので、報酬を算定するルールの中でデータに基づいてお支払いしているのですということです。
 2つ目の丸は、今お話したように、勿論、点数自体の設定に使っているのが重要なのですけれども、もう一つは、定額払いを導入いたしますと、さまざまな診療内容に対する影響が出得るということで、それを検証することとセットでこの制度を運用しておりまして、2つ目の丸で申し上げておりますのは、そういった影響評価に係る調査についても、このデータで検証・検討するのだということで、運用されております。
 3つ目の丸は、今お話したようなことで、診療内容への影響評価をするための基礎資料を作成するということを明記しているということでございます。
 以上が制度の大体の枠組みなのですけれども、どんなデータセットなのかということを最後に御紹介しておきたいと思います。8ページでございます。DPCデータの全体像がございます。
 今お話しましたとおり、退院患者さん、基本的にすべての方について、当該施設、DPC対象病院につきましては御提出いただいています。患者さん別の匿名化をしている情報と、その施設全体に係る情報と、大きく2種類に分けられております。例えば施設の病床の数でございますとか、地域医療に絡むいろいろな指定状況がございます。これは患者さんごとではなくて、施設ごと。これは様式3と呼んでおります。これは俗称になってしまうのですけれども、そういった個々のデータのカテゴリーを、別々の様式を定めまして提出をお願いしております。
 それが、2は欠番になっていますけれども、当初はあったのですけれども、今は使っておりません。様式1、様式3、様式4、それからこれも同様でして、アルファベットの名称のファイルがございまして、特にEFファイルというのが通常よく用いられております、出来高関係の情報が入っているファイル。それから、診療報酬請求関係の情報が入っているDファイル。これは、名称なのですけれども、こういった情報を求めております。これが全体像でございます。
 個々に、この様式あるいはファイルについて、どんな内容かというのが9ページ以降に出ております。
 まず、9ページを見ていただきまして、様式1と呼ばれているものです。これは、病棟ごとに提出していただきますけれども、基本的には患者さんの診療内容を凝縮したような、診療のサマリーのような情報が記載されてございます。提出の単位は病棟ごとでございますけれども、調査項目については、ここに書いてございますとおり、個々の患者さんがいつ入院されたか、退院されたか、生年月日、エトセトラの患者さんの情報。それから、入院の経路、診断情報は診断名です。どういった手術をされたかということが書いてございまして、それに付随するさまざまな臨床的な情報。
 この臨床的な情報は、例えば身長とか体重、ADLスコア、がんのTNM分類等々、こういった内容が入っているのが特徴でございます。この様式1がある意味非常に重要になりますので、資料3-2に別添で具体的に様式1、概略は先ほどのお話のとおりなのですが、もう少し具体的な項目として、こんなものが入っているということを見ていただこうと思いまして、1ページから順番に先ほどの項目別に並んでございます。
 病院の属性、データの属性等々ございまして、入退院の情報が1ページから2ページにまたがって、3ポツということで入っております。日付と経路が入ってございます。2ページから3ページにかけて、4.診断情報。これはいわゆる病名でございます。それから、3ページから4ページにかけまして、5.手術情報。どんな手術、どんな治療をされたかという内容でございます。それから、4ページから5ページにかけまして診療情報ということです。
 先ほど申し上げましたけれども、臨床的な情報が、患者さんの状態像を含めまして、これはどんな情報をここに入力していただくのかということにつきましては、診断群分類を策定する際にどうしても必要なもの、あるいはさまざまな調査をするためにどうしても必要なものを、有識者にお諮りしまして策定しているものでございます。大体こういった内容が様式1というものでございます。
 長くなって恐縮ですが、元の資料に戻っていただきまして、10ページは、今の様式1が具体的にどういう形式で入っているのかというイメージでございます。患者さんごとに入院日、退院日、病名等々が並んでいるということでございます。
 11ページは様式3でございまして、施設情報です。ですから、これは患者さんごとの情報ではございませんで、病床数でございますとか、さまざまな保険の点数関係の施設の要件が入ってございます。
 おめくりいただきまして、12ページは、その様式3のイメージでございます。
 13ページ、14ページでございますが、これはどちらかといいますと、こちらでもともとお話をされておりますレセプトの情報に、基本的には近い、あるいはそれに等しいものでございます。包括払いをしておる患者さんで、出来高相当の場合にはこういった情報になります、点数になりますというものが、ここに凝縮されておりまして、それをEF統合ファイルと呼んでおります。内容につきましては、ここに書いてございますとおり、出来高のレセプトで大体網羅されておる内容が基本的に入ってございます。
 15ページ、16ページにかけてですが、こういった情報を私どもで収集して包括払いの制度運用をしておるのでございますが、15ページを見ていただきます。冒頭お話しましたとおり、このデータにつきましては、基本的には診療報酬の設定とか制度運用の影響に係る評価をするための調査ではございますけれども、さまざまな観点で、もう少し利活用を進めていくべきだという御指摘を受けました。これは15ページの冒頭に書いてございますけれども、政府が取りまとめた「新たな情報通信技術戦略工程表」に、こういったロードマップで我々としても今後対応していこうということをお示しした内容でございます。
 真ん中辺に赤い丸で書いてございます「診断群分類データ(EFファイル)」というのが、いわゆるDPCデータのことでございまして、2011年度、今年度から2012年度、来年度にかけまして、提供の形態とかデータの取り扱い、ガイドラインの策定等の実際の提供に際して必要な手続等を定めた上で、2013年度以降に実際にそういったものに対応していけるようにしていこうということで、今回、御相談しているということでございます。
 最後でございますが、おめくりいただきまして17ページですが、今後、対応していくに当たって、私どもとして考えております、あるいは御検討いただきたい内容につきまして、論点を2つ掲げさせていただいております。
 1つは、既に先行してレセプト情報等の取扱いについては御議論いただいているということでございますけれども、この提供形態、ルールについての検討の場として、本有識者会議で検討することとしてはどうかといったことでございます。
 この際、先ほど御紹介いたしましたとおり、レセプト情報等と異なる、特に様式1に代表されるような患者さんの生年月日、住所、郵便番号等の情報。それから、より臨床的な内容でございます、がんのTNM分類とか化学療法の有無といった診療内容に係る情報が入っておりますので、より一層、慎重な取り扱いを要する情報が入っているということを踏まえて御検討いただきたいという趣旨が、まず1点目でございます。
 それから、論点。今、お話したことに含まれておりますけれども、特に様式1について、どういった提供の在り方があるのかということの御検討を含めてお願いしたい。
 大きく分けまして、こういったことを念頭に、今回以降、御検討をお願いしたいという趣旨でございます。
 私どもの方からは以上です。
○山本座長 ありがとうございました。まず、この有識者会議で、このDPCのEF統合ファイルを含めての提供の在り方を検討するかどうかということと、検討するとすれば、留意点等をという御提案でした。何か御質問、御意見ございましたら。石川先生、どうぞ。
○石川委員 確認したいのですけれども、これはあくまでも第三者というところの提供に関してということでいいわけですね。全体が法に基づいてやっているわけですから、自治体とか市町村は、ある面では今までの議論の中では結構自由に使えるということを言っているわけです。これは今、ここで検討するというのは、全くそういうところではなく、第三者が利用するということについて言っているわけですね。
○石井補佐 おっしゃるとおりでございまして、第三者提供のことを議題として考えるということでございます。あくまでもDPCは、先ほど御説明がありましたように、診療報酬の価格算定の際というものに政策的な本来の目的がございますので、それ以外の目的に提供していく際のルールづくりということが焦点になっているということでございます。
○山本座長 どうぞ。
○石川委員 では、基本的には、この様式1に書いてありますような、かなり個人情報が満載されているようなデータについては、原則公開しないというのは、これは当然のことではないでしょうか。その上で、今、ずっと御議論されているように、どうしてもこの研究には、この部分が欲しいということを一々検討するしか、今の段階ではないと思います。
○山本座長 ありがとうございます。どうぞ。
○宮島委員 宮島です。御質問です。病床数において、このDPCの中に入っている病院の割合が半分ぐらいあって、増えているということはわかったのですけれども、研究をするのに当たって、患者数というのですか、日本全体の病気の中で、DPCが入っているかいないかで何%ぐらい違うのか。どのぐらいこれがないとだめなのかということ。また、特定の病気にこういった払い方になっているとすると、一部の病気に関しては、今のレセプトではなかなか研究が難しいという状況なのか。DPCの、全体の患者さんや医療全体の中の重要度を伺いたいのですが。
○山本座長 松田先生に御説明いただく方がいいですね。
○松田委員 まず、今のナショナル・データベースの中にDPCのデータも全部入っています。ですから、ナショナル・データベースの中でもDPCも含めて分析ができるようになっています。
○山本座長 EFファイルまであることによって、要するに学術的な価値がどれぐらい高まるもので、それがどれぐらいの一般性があるものかみたいなことだと思うのですけれども、その点に関してはいかがですか。
○松田委員 基本的には今、ナショナル・データベースの方でも、いわゆる診療等について集めています。ですから、そのレセプト区分のところでDPCかどうかもわかりますし、それから出来高換算でデータを全部出していますので、ナショナル・データベースで、そういう診療行為のことも全部同じように集計できます。
 ただ、ナショナル・データベースでやっている分析とDPCでやっている分析の一番の違いは、多分、傷病の妥当性だろうと思います。つまり、DPCの場合には医療資源病名、その入院中に一番医療資源を投入した病名、それから主傷病が何であったのか、副傷病が何と書いてあったのかということが区分されていますので、傷病選択のところである程度ロジカルに決めていくことができるのですけれども、通常のレセプトの場合には、どれが一番の主傷病だったかわかりません。ですから、分析をするときには、傷病の選択という点においてDPCデータの方がやりやすいということはあると思います。
 ただ、DPCデータは、迫井企画官の方からお話がありましたように、どちらかというと急性期の入院医療に限ったデータベースですので、急性期入院医療を分析するときには非常にすぐれていると思いますけれども、そういう入れ子構造になっているということです。
○山本座長 ナショナル・レセプト・データベースのレセプト情報は、基本的には様式1の情報を個人ごとにばらした情報が入っていると考えていいですか。EF統合ファイルに入っている情報まで入っているのですか。
○松田委員 今のものは、EF統合ファイルに近いような形でレセプトがつくられています。ですから、DPCのレセプトというのは、特別な仕様としてあります。その表書きを見ると、様式1に書かれているような情報も、今のDPCレセプトには書かなければなりませんけれども、例えば臨床情報、TNM分類とかは全く入っていない。通常のレセプトで要求されるレベルの診療情報が頭のところにあって、その後ろのところにEFファイルから取り上げてくるような、いろいろな医療行為が入ってくるということです。
○山本座長 そうすると、今回お話があったのは、今のナショナル・レセプト・データベースには入っていないDPCレセプトに関連する、例えばTNM分類とか、そういう情報まで提供することに関して、どう考えるかということでよろしいですね。
 確かに通常の出来高のレセプトに比べると、DPCデータというのは圧倒的に疾患診断名の評価ができるという点では、いわゆる医学的分析にとってはかなり価値が高いものであることは間違いないと思います。むしろ、DPCだけを対象にしてやると結果が出やすいといいますか、勿論疾患は限られますが、そういう意味では学術的な価値は高いということになりますね。
 まず、IT戦略本部のタスクフォースでつくられている工程表、15ページで、EFファイルを含めて、つまり先ほどの松田先生のお話にもありましたように、現在、我々がガイドラインをつくって検討しているデータベース、プラス例えばTNM分類といった、プラスの情報を含めた情報を、主に公益目的の利用で第三者の申出に対して提供するかどうか、基準も含めた検討を有識者会議で取り扱っていくという御提案ですが、これに関してはいかがでしょうか。どうぞ。
○石川委員 それはやるべきだと思うのです。先ほど松田先生の方から言われて初めて、ナショナル・データベースにこのDPCデータが含まれていることに気が付いたのです。私も余り頭が働かなくて、うかつだったなと思っています。この様式1みたいな中のTNM分類といったものをどうしても使いたいという場合で、様式1も参考にしたいということであれば、ここできちっと検討してやるべきだと思うので、多少大変なことになると思うのですけれども、やっていきたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょか。とりあえず、検討の基準及び検討の直接の有無等を、この有識者会議で検討していくということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山本座長 それでは、そういうことで今後、この有識者会議のテーマとしたいと思います。
 それで、今日お示しいただいた17枚目の、更に留意すべき点というのは確かにあろうかと思います。医療機関だけ数えても、多くなったとはいえ、1,500しかないわけで、その1,500分の1というのと20万分の1とはえらい違いですので、それなりに情報の密度も高いですし、一度、じっくりと検討しなければならないと思います。これは、今後検討を進めていくということにさせていただきたいと思いますけれども、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○山本座長 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 それでは、4番目の議題の「今後のレセプト情報等の提供に向けたスケジュール」に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○北澤室長 それでは、資料4、1枚紙ですけれども、スケジュール案をお示ししております。次回は3月7日を予定しておりまして、先ほど申し上げた基本データセットについて、具体的に御議論いただきたいと思いますし、次回の申出審査の手順についてもこちらで御議論いただきたいと思います。そして、ただいま御了承いただきましたので、次回以降、DPCのデータ提供に係る今後の対応について御検討いただければと思います。
 また、3月中旬から下旬にかけまして事前説明会を、次回レセプト情報等提供に関して行いたいと思っていまして、ここではこの情報提供等の枠組みについて、あるいはレセプト情報等のデータ形式、あるいはその利用方法等といったことにつきまして、前回は半日ほどでしたが、これを充実させた形で行っていきたいと思っております。
 また、4月に入りまして、基本データセット、サンプリングデータセットと全数データ、通常の第2回目の申出受付を開始いたしまして、先ほど御議論いただいたとおり、まず5月中に基本データセットの提供申出についての御審査。そして、その後、全数データについての審査をお願いしたいと思っております。
 説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。今後のスケジュールに関しまして、何か御質問、御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、このように今後の提供に向けたスケジュールを事務局の方で御検討いただくようにお願いいたします。
 次は、議題5ですけれども、それぞれの申出者からの直接の申請がございますので、非公開とさせていただきたいと思います。


(了)
<照会先>

保険局総務課保険システム高度化推進室
 TEL:03(5253)1111
    (内線3267,3269)

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