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2012年1月27日 第7回地域保健対策検討会議事録

健康局総務課地域保健室

○日時

平成24年1月27日(金)14:30〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第12会議室(12F)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

構成員

大井田 隆 (日本大学医学部教授)
大場 エミ (横浜市南福祉保健センター長)
岡 紳爾 (山口県健康福祉部審議官)
曽根 智史 (国立保健医療科学院国際協力研究部長)
中 由美 (大阪府藤井寺保健所地域保健課主査)
名越 究 (栃木県保健福祉部保健医療監)
羽佐田 武 (静岡県駿東郡小山町住民福祉部健康課長)
秦 榮子 (愛媛県食生活改善推進連絡協議会会長)
林 謙治 (国立保健医療科学院長)
廣田 洋子 (北海道空知総合振興局技監(北海道岩見沢保健所長))
松崎 順子 (千葉県市川市保健スポーツ部保健センター健康支援課長)
山本 都 (国立医薬品食品衛生研究所安全情報部研究員)
吉田 和仁 (愛知県尾張旭市健康福祉部健康課長)

参考人

勝部かつこ (島根県健康福祉部健康推進課健康増進グループ)
吉川肇子 (慶應義塾大学商学部教授)

事務局

外山 千也 (健康局長)
木村 博承 (大臣官房参事官)
堀江 裕 (生活衛生課長)
滝本 浩司 (医薬食品局食品安全部監視安全課長)
政田 敏裕 (総務課地域保健室長)
尾田 進 (総務課保健指導室長)
岡田 就将 (総務課地域保健室室長補佐)

○議題

1 開会
2 議事
(1)快適で安心できる生活環境の確保(対物保健)
(2)人材の確保・育成及び資質の向上等
(3)その他

○議事

○木村大臣官房参事官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第7回地域保健対策検討会」を開催させていただきたいと思います。
 本日は、構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 引き続きまして、本日の構成員の出欠状況でございますけれども、岡部構成員、尾形構成員、小澤構成員の3名の構成員が御欠席との報告を受けております。
 また、大井田構成員におかれましては、少し遅れて来るということでございます。
 そしてまた、本日は、慶応大学商学部の吉川教授、また、島根県健康福祉部健康推進課健康増進グループリーダーでございます勝部様に参考人としてお越しいただいているところでございます。
 それでは、座長、議事の進行をよろしくお願い申し上げます。
○林座長 それでは、議事進行させていただきます。
 議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○木村大臣官房参事官 承知いたしました。それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、議事次第、地域保健対策検討会の構成員のメンバー表、座席表が一括して綴じられているものがあるかと思います。
 このほかに、資料1としまして「生活衛生関係営業に係る衛生水準の向上」。
 資料2としまして「食品衛生をめぐる現状と課題」。
 資料3としまして「快適で安心できる生活環境の確保について〜対物保健WGとりまとめ〜」。
 資料4としまして「地域保健に携わる人材育成のあり方に関する論点(案)」。
 そして資料5としまして「曽根構成員提出資料」。
 資料6としまして「吉川参考人提出資料」。
 資料7としまして「勝部参考人提出資料」。
 資料8としまして「松?構成員提出資料」。
 そして資料9としまして「中構成員提出資料」。これが9−2、9−3と分かれているかと思います。
 そして、参考資料1、参考資料2。
 参考資料3−1が「廣田構成員提出資料」で、参考資料3−2と参考資料3−3に分かれたもので出されているかと思います。
 資料については以上でございます。
 また、ハードカバーの方に今までの検討会の資料を綴じて机の上に置かせていただいていると思います。もし何か足らないものがございましたら、事務局まで御連絡いただければと思いますが、何かございますでしょうか。ございませんですか。
 それでは、議長、引き続きよろしくお願いいたします。
○林座長 御案内のとおり、本日は2時間30分取ってございます。2つのテーマを用意してございます。1つは「快適で安心できる生活環境の確保」について、対物保健の話です。それから「人材の確保・育成及び資質の向上」について。この2つについて活発な御議論をお願いします。
 前半の「快適で安心できる生活環境の確保」については、第4回の検討会のときにも話が出たわけでございますけれども、対物保健に関してワーキンググループを設置して議論をすることになっておりました。実際、今までワーキンググループは3回にわたって議論をなされてきております。本日は、その座長でいらっしゃる名越構成員からの報告を踏まえて検討していきたいと思っております。
 そして、後半の「人材の確保・育成及び資質の向上」については、対物保健の方でも同様の問題がございますので、対人保健の人材育成も含めて議論させていただきたい。そういう手順で進めさせていただきたいと思います。
 まず、前半の対物保健についてでございますけれども、事務局から対物保健の現状について説明していただき、座長の名越構成員から報告をお願いしたいと思っておりますが、まず事務局より、資料1の説明をお願いいたします。堀江生活衛生課長、お願いいたします。
○堀江生活衛生課長 よろしくお願いいたします。いわゆる対物保健といいますのは、食中毒で非常に強く印象を持って認識される食品衛生の部分と、そのほかの対物保健、旅館ですとか、公衆浴場ですとかいったところで、法律といいますか、仕組みも違い、また担当も違っている部分があり、また、非常に切迫喫緊した課題であるところの食品衛生と、その他というところで、制度の仕組みも違いますものですから、2つに分けて説明させていただきまして、私、生活衛生課長の堀江でございますけれども、資料1に基づきまして「生活衛生関係営業に係る衛生水準の向上」、後ほど、滝本監視安全課長から「食品衛生をめぐる現状と課題」ということで、資料2に沿って説明させていただきます。
 資料1をごらん下さい。まず、1ページ目、生活衛生関係営業に係る衛生水準の向上は、6法ございまして、住民の安全・安心の確保を最重点の課題としつつ、それに向けまして、営業者の自主努力、地域のソーシャルキャピタルの活用、保健所・衛生規制など、こういったことで、全体で支えながら、住民の安全・安心の確保を図っていくものでございます。いわば、自主努力、地域のソーシャルキャピタル、衛生規制といったものが3層構造になっているという理解でございます。
 2ページをごらんいただきますと、真ん中にある青枠の部分、後ほどまで色はこのように使わせていただきますけれども、営業者の自主努力といたしまして、今やっていること、もっと進めていかなければいけないようなことを、その枠の中に、今、認識されているものとして、衛生水準の確保としてのSマークの取得促進ですとか、業種ごとの自主点検表の普及、このようなことを整理しています。現状、保健所指導センターのホームページに自主点検表を掲載しているところもあれば、そうしていないところもあります。
 分量も多いので、先に進ませていただきまして、3ページでございます。その外側にあるところの地域のソーシャルキャピタルで、いわゆる生活衛生同業組合であるとか、生活衛生指導センターのように、行政機関ではないけれども、業者の衛生水準の向上に対する支援、あるいは、その手前の業の振興についての支援を行っているところがあるわけでございまして、例えば、めん類における原産地表示ボードの作成とか、食品の安全な取扱い等についての食肉販売店の営業者指導のようなものを、生活衛生関係補助金といいます厚生労働省の補助金を用いて、生活衛生同業組合を通じて水準向上を図っているということがございますし、組合の機能が強化されますように、昨年7月には組合の加入を促進する通知などを発出しています。
 現状を下に簡単に整理してございますけれども、組合に入っていない方が増えているとか、組合のメリットが認識ができにくくなっているようなところが問題になっていて、先ほど言ったような活性化の指導などをしていると、こういうことです。
 4ページが、その外側にあります保健所・衛生規制でございまして、環境衛生監視員の監視指導状況の格差の解消、改善といったところが問題になりましょう。かなり地域格差がございまして、その辺、後ほど見ていただこうと考えております。
 それから、環境衛生監視員の資質向上ということで、食品衛生監視員につきましては、保健医療科学院において講習会、研修会を行っていただいているのですが、今の時点において環境衛生監視員についての研修はないものですから、平成24年度の予算案に創設を盛り込んで、資質向上に向けた努力を行っています。
 少し先へ行きまして、5ページには環境衛生監視員、食品衛生監視員の違いなどを書いています。
 6ページは、保健所の数、対象となります生活衛生関係営業施設数、調査・監視指導数などの年次推移をまとめさせていただいておりますけれども、もう少し分析的に行っておりますので、次に進めさせていただきます。
 7ページは、環境衛生監視員の数の推移で、兼務者、専従別になっていますが、専従者は少なくなってきています。
 8ページをごらんいただきますと、保健所の環境衛生監視員、これは専従と兼務者の区別ができておりませんので、資料的意味として少し弱いところがあるのですけれども、環境衛生監視員1人当たりの対象人口ということで、例えば、群馬県で行きますと、環境衛生監視員1人当たりの対象人口は9万人近くになっていますし、島根県ですと1万人ぐらい。環境衛生監視員1人当たりの負荷のかかり方がかなり違うということが言えようかと存じます。
 9ページは、環境衛生監視員1人当たりの生活衛生環境営業施設数ということで、興行場、旅館業、公衆浴場、理容所、美容所、クリーニング所を取りまして、1人当たり施設を何件受け持たなければいけないかというような意味合いでの負荷を見たものでございまして、やはり群馬県が550施設ほどで一番高くなっておりますし、島根県ですと80施設ぐらいになるのでしょうか。細かな数字がございませんけれども、こういうふうに見て取れるかと存じます。
 10ページから、環境衛生監視というところに着目いたしまして、標準的な保健所機能というものがあるのだろうか、全国平均と個別保健所との比較、どうしてそこが特異な数字になっているのだろうかということを課題に掲げながら分析を試みているものです。
 次の11ページになりますけれども、生活衛生関係営業施設1か所当たりの調査・監視指導回数。年に何回、監視指導が来ているかというのをまとめたものでございます。これは、開設許可時の立ち入りであったり、平時のルーティンになる立ち入りであったり、そういうものが混じった形になってございます。通常は都道府県別に並べるわけですけれども、保健所設置市ごとに整理いたしまして示したものです。こうしていくと、随分高いところ、低いところがあるなというのが見えます。
 それを降順、多い方から少ない方に並べてざっと見てみましたのが12ページでございます。興行所、旅館業、公衆浴場、理容所、美容所、クリーニング所につきまして、なべて言うと、平均0.24回、立ち入り等の調査を行っていることになるわけですが、多いところは、一番左の京都市などは0.9回、大体、各施設1回近く行っていますというところもあれば、一番右に行くと、10年に一遍ぐらいの感じの自治体もあるということであります。この青と赤は余り意味はございません。上の方5つ、下の方5つを並べたものに過ぎません。
 ここにあるのは6法、6つの業種すべてをまとめたものでございまして、13ページからそれを各業ごとに並べています。旅館業ですとか、興行所、公衆浴場、この辺がいわゆる許可3法と言っていまして、生活衛生関係の中では、お客様の健康障害に直接結びつきやすいところでございます。そこにつきましては、このようになっていますということで、かなりの格差がございます。
 これをばらばら見ていってもいけませんので、例えば、15ページを見ていただきますと、公衆浴場については、私も保健所のおつき合いなどで大体年に一遍ぐらいは行っているのだろうかなと思うわけでございますけれども、平均でいくと0.66回で、多いところは年に3.5回近く、少ないところは、これもまた10年に一遍ぐらいの感じになってしまっているということが出ているものです。
 16ページ以降が理容所、美容所、クリーニング所でございまして、時間があるときにごらんいただけたらと存じます。
 19ページ以降に書いてございますのは、詳しくは割愛させていただきますけれども、食品衛生、食中毒みたいなことと比べると、生活衛生の部分は、立ち入らなくても余り問題ないのではないかと思いがちなところがございまして、具体的にこんなような事例も出ていますよという辺りを、保健医療科学院の大澤部長に整理していただいたものを、私ども厚生労働省でまとめさせていただいているものでございまして、こちらにございますように、理容所、美容所、ホテルなど、各施設において、具体的な健康問題が出てきていますよということを説明しているものでございます。
 特筆すべきと言っても失礼なのですが、22ページをごらんいただきますと、東北地方のある県の保健所で、昭和60年代から開始時検査以外はほとんどやらなかった、10年以上そういうふうに続けていましたというところがございまして、思い立ってと言っても何ですけれども、あるときからちょっとやってみようということで、理容所・美容所に悉皆検査を行ったところ、衛生状況が悪化している状況が、不備が相当な率で見受けられたということでございまして、また詳しくごらんいただく機会もあったらと思いますが、要は、日ごろの地道な生活衛生施設の立ち入りというのも大事なものだということを示唆しています。
 23ページをごらんいただきますと、先ほど御説明申し上げましたような3層構造。
 施設を上から見たような形になっている絵を24ページに入れさせていただきました。
 それを断面図みたいな形で、25ページをごらんいただきたいと思います。いわゆる衛生の確保という面は、一番下のところにございますように、自主努力も大事、ソーシャルキャピタルにおける支援も大事、そして衛生における規制も大事という類型に入りましょうし、それから、一番上にあります便利、快適、おいしい、美しい、こういうものは、いわば競争原理で、勝ち残ったところがお店として生き残っていただければよく、センスが悪くてお客さんのつかないお店はつぶれていただいてもしようがないのではないかと割り切ればそういうことになるという意味では、自主努力が中心になるのでしょうと、こういうことになります。
 そして、真ん中辺りに消費者の「安心」確保。例えば、法律的な規制の対象ではないですけれども、アレルギー物質が入っているかどうかというような情報を消費者にお届けして、消費者の方で、私は卵がだめなのだという人はそれは避けていただくようにするとか、あるいはカロリーが気になる方には、もうちょっとカロリーの少ないものにしようかとか、そういうような意味合いでの選択を支援するようなこと。この辺は、直接に健康障害になるものではないですけれども、ソーシャルキャピタルなどで支援していくような、ただ法律の規制には余りなじまないかなというものに主に該当するのではないかということで、いろいろ書いてあるようなこと、例えば、自主点検表を促進するというのは衛生の話ですし、組合加入というのも衛生の基盤づくりにもなるのだろうということです。
 26ページですけれども、生活衛生関係営業115万営業所で、70%は5人未満の零細になるような事業所でございまして、同業組合は主にはこちらに関わるような方が入ってお見えになります。一方で、大規模営業所は、マクドナルドだけで3,200軒ございます。そういう意味では、規模でもっての特性もあるのではないかということで、基本的には零細のところが衛生水準が損なわれがちなものだから、いろいろな予算なり、融資なり、税制なりの支援もしようと、こういう形になっているのだろうと思っておりまして、美しさだとか、味だとか、そういうものは規制でもなければ、補助金のことも余りなじまない。せいぜいが融資ぐらいでしょうということでございますし、そういう手法としても、どういうものが適正なのか。衛生というところに行けば、ものによっては補助金を注ぎ込んで、新しい規制に合ったような対応をしていただくことも大事なのではないかということでございます。ここは地域保健、特に衛生の部分に関係が深うございます。
 小規模零細営業者のところを見ていただきますと、「孤立する組合非加入営業者」への働きかけとあります。ソーシャルキャピタルたるところの組合などの支援も届かないような、零細で、かつ一匹狼みたいなお店に、例えば、組合に入っていただけるような努力を引き続き促すことが大事なのではないかというのが1つのポイントでございます。
 右側の大規模営業者の方で行きますと、一番下に書いてございますけれども、先ほど申し上げました大規模チェーン店はともかくといたしまして、コストを省くことに血眼になって、経費節減を目的として衛生確保が損なわれる、そういうことが一番問題なわけでして、「衛生意識の薄い大規模営業者」への意識喚起をどのようにしていくかというのが大きな課題だと考えているところでございます。
 一例で、飲食関係にもなりますけれども、去年あったユッケの事件などですと、お肉屋さんの方は1個のお店、レストランの方はチェーン店といったことで、今、申し上げました一匹狼と、チェーン店のひとりよがりといったことの例えで、もう少し分析も必要なのかもしれませんけれども、そうしたものを考えております。
 最後ですけれども、27ページ、営業者の自立支援の促進、ソーシャルキャピタルである生活衛生同業組合の活用と機能強化、監視・規制体制の強化といったことで、先ほど来述べてきたようなことの簡単なまとめをしてございます。
 以上でございます。
○林座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、滝本監視安全課長に御説明いただきます。よろしくお願いします。
○滝本監視安全課長 監視安全課長の滝本でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、資料2「食品衛生をめぐる現状と課題」を用いて御説明申し上げます。表題が「食品衛生をめぐる現状と課題」ということで、非常に幅広く書いておりますけれども、今回は、食中毒でありますとか、あるいは食品監視という観点から、現状について少し御説明をしたいと思っております。
 我々は、食品という「物」を行政の対象ということで取り組んでおるわけでございますけれども、食品を提供する人、営業者は勿論「人」ですし、それを利用する人も「人」ですし、それを監視する「人」、あるいは指導する人も「人」でございますので、後ほど、その人材育成等々について、あるいは資質の向上について御議論されると伺っておりますけれども、食の安全、あるいは安心を確保するためには、結局のところ、「人」の問題に戻ってくるのかなというのが最近の印象でございます。
 1ページめくっていただきまして、そういう観点から、全国の監視する側、指導する側でございますけれども、食品衛生監視員数がどのような推移になっているのかを表であらわしました。平成10年〜平成21年までの12年間の推移をあらわしております。食品衛生監視員数の全体の数としては、大体7,800人ぐらいで横ばいに推移をしておるところなのですが、専任の数、食品衛生だけ任命されて、その仕事をしておられる方は、平成11年には1,800人を超えておりましたけれども、平成20年、あるいは21年には1,300人前後で、下にグラフであらわしておりますけれども、専任率が低下傾向にあると見られるところでございます。
 これとは別に、中核市がどんどんできてきているという現状もございますし、団塊の世代の方が大量にリタイアされるという現状もございます。これまで食品衛生監視業務、あるいは食中毒が発生した場合の疫学調査等々については、オン・ザ・ジョブ・トレーニングによって、そういった技術の伝承が図られてきたわけでございますけれども、こういったことを背景に、技術の伝承に少し支障が生じてきているのかなという印象を持っております。
 それから、資料2−2でございますけれども、これまでに発生した主な広域・大規模食中毒事例ということで、主立ったものを列挙いたしました。平成8年から昨年まででございますので、この15年間でございます。
 有名なところといたしましては、平成8年の堺市の腸管性出血性大腸菌O157の食中毒。
 あるいは、平成11年3月には、青森県でイカ乾製品でサルモネラ食中毒が起こりました。これは関係自治体が114ということで、全国47都道府県のうち、1つの県だけが患者の発生がなかった。残りの46県すべてで患者が発生したというような、まさに広域といいますか、日本全国で同じ食品で食中毒が発生したという事例でございます。
 それから、平成12年には雪印乳業の加工乳によるブドウ球菌エンテロトキシンの食中毒が発生して、1万人以上の患者が出たというものもございます。
 それから、平成19年には、中国からの冷凍餃子で有機リン系の農薬で急性中毒が起こるという事例もございました。
 それから、昨年は、先ほどもお話が出てきたユッケの事例がございました。
 こういった形で、大きな食中毒でありますとか、あるいは社会的に影響の大きい広域な食中毒は大体、年間5件程度発生しているということでございます。
 それから、食中毒の大きな流れでございますけれども、これは資料にはしておらないのですが、15年ぐらい前には、腸炎ビブリオ、あるいはサルモネラ食中毒といったものが食中毒の主流でございましたけれども、その後、これらの病原菌による食中毒、特に腸炎ビブリオによる食中毒は激減しております。これは、水産食品の規格・基準の設定、あるいは漁業関係の衛生対策の進展等々を背景に激減しておりまして、現在はノロウイルスによる食中毒でありますとか、あるいはカンピロバクターによる食中毒ということで、これまで食品という、物の規格をつくったり、あるいはそういった対策を進めてきておるわけでございますけれども、少しアプローチの仕方を変えていかなければ、ノロウイルスによる食中毒、あるいはカンピロバクターによる食中毒はなかなか抜本的な対策が難しくなってきているのかな、ここらで発想の転換も必要なのかなという印象を持っております。
 それから、資料2−3でございます。先ほどありました2008年1月の中国の餃子事件を踏まえまして、危機管理対応を強化しようということで、私がおります監視安全課の中に食中毒被害情報管理室という室を設けました。そこで食中毒による危機管理を充実していこうということでございます。御案内のとおり、食中毒については、医師の届出、あるいは保健所が直接、探知するわけでございますけれども、特に大規模な事例でありますとか、あるいは亡くなった方が出るといったものについては、国に速やかに報告をいただくことになっています。
 厚生労働省では、そういった情報を見ながら、これはどうも全国的に広がりがあるぞ、あるいは大きな食中毒に発展しそうだというようなケースについては、次のページにございますけれども、食中毒調査支援システム(NESFD)が2年前からシステムとして稼動しているわけです。関係する自治体をWeb会議、テレビ会議のような形で招集をいたしまして、今、発生している事件の概要、あるいは、今、どこまでわかっているのかということ、それから、今後の調査方針等々について、関係自治体間で情報を共有しながら、方向性をまとめ上げながら調査をやっていく。必要に応じて感染研からのFETPの支援も受けるということで、それぞれの食中毒の被害拡大防止、あるいは原因究明、再発防止に向けて取り組んでいこうとしておるところでございます。
 この図にはございませんけれども、地方厚生局もこういった食中毒に対する対応もできることになっておりますので、今後はそういった機関も含めて、特にこういった広域な食中毒に対して、国がお手伝いできるところについては、できる限り協力をしていきたいと考えているところでございます。
 資料2−4でございますけれども、NESFDの概要ということで、左の上の方にございますけれども、従前からございます食品保健総合情報処理システム、WISH、これは食中毒の統計の情報を取り扱っております。それから、右の上の方にございますNESID、これは感染症の関係のサーベイランスシステムですけれども、こういったシステムを連携いたしまして、食中毒調査支援システムを2年前から稼動しています。
 中身を見ますと、真ん中のところに3つございます。食中毒関連情報提供機能ということで、都道府県からの速報、あるいは詳報を逐一集める。あるいは、都道府県からの情報だけではなくて、一般の方々からの、こういった危害があったというような事案についても受け付けて、それを載せる。それから、感染症発生動向がございますけれども、食品に関連の深い腸管出血性大腸菌でありますとか、あるいは感染性胃腸炎といった情報、それから、病原菌株の遺伝子解析情報、こういったものも情報として入れて、行政間でその情報を共有しようというふうに取り組んでおります。
 それから、真ん中に緊急時対応支援機能、先ほどございました緊急時対応、Web会議システムということです。広域に広がっている食中毒はなかなかその全体像が見えない、調査が統一されて進みにくいということがございますので、こういったWeb会議を通じて危機管理を行っているということでございます。
 それから、右にございます研修機能ということで、これは資質の向上というところにつながっていくかと思いますけれども、全国の食品衛生監視員を対象としたe−learning。ここにアクセスをしていただくと、いろいろな講習が用意をされております。まだ内容的には十分な数がそろっておらないのですけれども、例えば、FDAのHACCPの研修のプログラムをそこに入れていたり、あるいは通常の食中毒の疫学調査の手法、あるいはアウトブレークの探知の仕方とか、そういった処理の仕方等々についても関係者の御協力をいただきながら、順次こういった研修機能も充実をさせているところでございます。
 NESIDでございますけれども、全国の都道府県、保健所、地方衛生研究所、あるいは国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所、国立保健医療科学院、地方厚生局等々と専用回線を用いてつなげているということでございます。
 最後の資料でございますけれども、対物保健の論点として、こういったことがあるのではないかということでございます。食品がいろいろな技術を背景に広域に流通をすることになりますと、やはり広域、あるいは大規模な食中毒が発生するということでございます。一方で、食品衛生監視員の専従率の低下ということで、その資質をいかに維持し向上するかが課題になっているということでございます。
 危機管理対応といたしましては、先ほどのNESIDのシステムを活用するという方策が1つございますし、資質の向上につきましても、国立保健医療科学院のコースでありますとか、全国的に行っている研修会でありますとか、あるいは先ほどのNESIDのe−learningシステム、こういった幾つかのツールを用いながら充実していきたいと考えております。
 それから、特に中核市等々で、ほかの都道府県との連携がなかなか難しい場合がございますので、そういったものは、先ほどのWeb会議等々で情報の共有化を進めることによって対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、リスクコミュニケーションにつきましては、これまで食品安全基本法という法律ができまして、我々も力を入れて取り組んでおるところでございますけれども、この辺りでそのやり方についても新たな考え方も導入すべきではないのかなという問題提起でございます。
 私からは以上でございます。
○林座長 ありがとうございました。
 事務局からの説明がございましたが、引き続きまして、名越構成員から御報告をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○名越構成員 名越でございます。
 ワーキンググループの状況につきまして簡単に御報告をさせていただきます。
 昨年3月9日に開催された第4回の本検討会で対物ワーキングの設置が決まり、11月4日、12月19日、1月20日の3回にわたって開催をしております。
 メンバーは、今日の参考資料1のとおりです
 各回において、事務局に用意していただいた資料、生活衛生、食品衛生、おのおの資料1、2で説明していただいたような中身を説明していただいた後、各構成員から実際に身近に行われている対策の実態について御披露いただきました。メンバー表をごらんのとおり、いろいろな専門の方々に集まっていただいておりますが、具体的な対策について議論するというのではなくて、検討の方向性を確認するという作業になっております。
 資料3の1枚目でございますけれども、生活衛生、食品衛生の「概況」について、共通するもの、それから、個別の分野に特異的なものをまとめていただいております。
 2枚目でございますが「検討の方向性」です。先ほどこれに似た資料が生活衛生課長から説明されましたけれども、生活環境の確保について、生活環境を守っていく対策の主体を整理したら、住民、事業者、ソーシャルキャピタル、行政機関というような整理ができるのではないかという提案がありました。
そして3枚目、4枚目で、生活衛生分野、食品衛生分野、おのおの施策の方向性と方策についてまとめています。具体的な内容は、先ほど資料1、資料2の説明の中で出てきたものとかなり重なっているところがございます。
 こういった形でワーキンググループは、議論の方向性としての合意を得ました。今後、このフォーマットに従った対策が更に検討され、実施されていくことになると思われますけれども、ワーキンググループのメンバーも引き続き個別に関わっていくことを自覚しつつ一応の区切りをつけたという状況となっております。
 説明は以上でございます。
○林座長 ありがとうございます。
 ただいまの事務局からの2つの説明及びワーキンググループ座長の名越構成員の発表等について、構成員の皆さんから御意見、御質問を受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。
○木村大臣官房参事官 行政側の廣田構成員から何か御発言いただければありがたいです。
○林座長 いかがですか。
○廣田構成員 先ほどの大規模な食中毒の中で、去年、大体1年前なのですけれども、私がいる岩見沢保健所管内で1,000人を超える食中毒がございました。営業者ではなく学校給食ということでしたので、学校という、特殊な領域で、保健所では今まで問題が起きていても余り強く指導してこなかったという経過がありまして、それが問題になりました。北海道では、その後、北海道教育委員会と保健所の監視指導班と一緒に全部の学校給食施設を点検するということをいたしました。営業者ではなかったのですけれども、事前にもう少し厳しく指導していれば防ぐことができたのかもしれないということを感じたわけでございます。
 先ほどの説明の中で思ったことなのですけれども、ソーシャルキャピタルの中で、例えば、組合ですとか、食品衛生協会に加入している施設については、協力関係があり、自主管理体制があるのですけれども、それ以外の大きなチェーンとか、昨年の腸管出血性大腸菌を出した生肉の例のように、通常のやり方ではなかなか規制ができないということについては、少し法的な規制が強化される必要があるのではないかと感じているのです。生肉の場合は、かなり厳しい基準がつくられたと思うのですけれども、そういったことがないと、なるべく生で提供することはやめてほしいと思っても、どういう根拠があるんですか、お客さんが望むので、私たちはお客さんに喜んでもらうためにやっているんですということになると、なかなかそれ以上指導できないという面がございますので、そういった部分については国の方で対策を考えていただければと思っております。
○林座長 どうぞ。
○堀江生活衛生課長 今の大規模事業所の部分なのですけれども、例えば、生活衛生同業組合に入っていないようなチェーンが多うございまして、それから、もう一つ、最近問題になりますのは、それぞれの小さな店舗の店長がパートであったりということで、新しいことの意思決定がしづらいところがございまして、保健所から指導を受ければ、指導に応ずるのは当然なのですけれども、それ以上の取組みが、例えば、組合一つ入るという話にしても、それは本部に聞いてくださいみたいな形で、意思決定の権限が欠けるものですから、そういうものが、先ほど申し上げました大規模施設のひとりよがりみたいな話にならないように、勿論、今、おっしゃっていただいたような法的規制みたいな話は1つだと思いますが、それよりも手前の部分で、何らかの格好でそういうチェーン店みたいなところに働きかけて、情報交換みたいな、例えば、生活衛生関係ですと、全国生活衛生営業指導センターがありますので、そういうところを通じてでも、情報交換ぐらいしてもらおうかということで、衛生情報を届けてもらうということが今の私の問題関心になってございます。
○林座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○秦構成員 私、生活者の代表ということで、ただいま、快適で安心できる生活環境の確保について、これだけしてくださっているのにもかかわらず、食中毒の問題の一例として、先ほどから出ているように、焼肉店で生肉を食べたら死者が出たときにしても、何か起こると、あわてて調査したり、ある一定の期間だけは厳重にしているみたいに消費者としては思いますので、事が起こる前に、もっといろいろな面で生活対象保健について、市民一人ひとりがもっと平素から注意ができるようなシステムというか、考え方も徹底的にしていただきたいと思います。即健康被害をもたらすようなものは、消費者が一番被害に遭う。消費者というのは、生きている人は皆そうなのだと思うのですが、もっともっと啓発して、個人にも注意をするような制度をつくっていただきたいと思います。
○林座長 どうぞ。
○滝本監視安全課長 先ほどからユッケのことについての言及がございます。我々も、生肉のリスクについては、これまでもいろいろな機会を通じて、あるいは自治体の方々の御協力もいただきながら、そのリスクについて、いろいろ啓蒙してきたわけでございます。それと、食品の安全性は営業者が第一義的には責任を負うということでございますので、国の基準がなかったから、あの食中毒になったのだということについては、我々はちょっと引っかかるところがあるのですけれども、さりとて、5名の方が亡くなるというのは社会的にも大きな問題でございます。特に小さなお子様が亡くなったということは重大なことでございますので、急遽、生肉については強制力のある規格基準を設定して、昨年の10月から施行させていただいているということでございます。
 国、あるいは地方自治体の監視、指導だけでは、なかなか隅々の営業者に対して事細かなコントロールはできないということもございますので、食については、例えば、営業者自らの自主管理を促すような活動、例えば、指導員活動でありますとか、推進員活動でありますとか、そういったところも1つ充実をさせていく必要がある。そういった対応が十分できていないところについては、行政による介入だとか、厳しい指導といったものが必要になってくるのではないか。そういった多層的なといいますか、多面的な取組みによって、最終的に国民の安心・安全につながっていくのかなと考えてございます。
○秦構成員 よろしいでしょうか。イベントとか、フェスティバルとか、祭り的なところで食べ物を提供するときに、保健所を通じて、必ず届け出るようにとか、いっぱい書いたものが配られてくるようになったのです。一般市民が知らないのに平気でお弁当つくって、うどんをつくって、すしつくって、もちついてというふうになっているように思いますので、保健所の先生方ももっと徹底的に、お知らせだけでなく、いろいろな被害が起きてあわてるのではなくて、やっているかねという評価というのですか、結果も調べていただけたら、より徹底するのではないかと思います。
○林座長 今の発言を聞いて、議論すべき問題は2つあるのかなと思います。一口に食品中毒といっても、レストランが本当に責任を取らなければならない、そういう問題もあるだろうし、そうではなくて、加工業者の方にもあるかもしれないし、更に、例えば、肉の場合ですと、外国から輸入されたり、あるいは国産ですと、と殺場に問題があるかもしれない。何層かの構造になっているわけなのだけれども、その監視体制が実態としてどのように行われているかというのは、1つ、知りたいところでもあるわけです。
 もう一つは、おっしゃったように、保健所などがイベントにチラシを出したり、注意喚起したり、評価したりすることを提唱されたかと思うのです。そういう形も1つ考えられるのですけれども、さて、イベントというのは住民が率先して行うことが多いものですから、住民側がどう中毒を防ぐことを工夫してやっていくのか、そちらの方向も1つはあるのではないかという気がするのです。
 今の話で2つ整理させていただいたのですけれども、前半について、事務局、実態としてどういう感じなのでしょうか。
○滝本監視安全課長 監視体制と申しますか、食中毒が発生したときの原因究明にもつながる話なのかなと思いますけれども、最初の処方は、食中毒の患者が出ましたというところから、保健所に情報が入って、それから調査が始まる。本当にその飲食店に原因があったのかどうかということになるわけですけれども、当然、何を食べたのか、いつ食べたのか、患者はどれぐらいの広がりなのかということになります。それから、その食材はどこから来たのかということになります。その中で、例えば、ほかでも同じような食中毒が発生していて、どうも共通の食材が別のところにあるということになると、その原因と思われるところに対して調査に入る。それが他の都道府県にわたるという場合には、それぞれ患者が発生した自治体に、先ほど申し上げたようなシステムを使って会議に集まってきていただいて、その食材の流通状況はどうかということも踏まえて、どこに原因があったのかというところに立ち入って、中心的にはそこの原因施設を所管している自治体が、その状況、原因について究明をしていくというような仕組みになってございますので、ある程度、どこで汚染されて、どこで菌が増えて、それが原因になったのかというところについては、究明できるような仕組みはでき上がっているのですが、なかなか十分なところまでいけていないというのは、先ほど申し上げたとおり、いろいろな自治体が出てきて、十分な追跡調査が必ずしも単独の自治体ではできていないようなケースも散見されるのかなと感じております。
○林座長 原因究明ではなくて、日常的な監視ですね。モニターの方はどうかという質問だったのですけれども、例えば、HACCPというのがあります。HACCPがどのぐらい行われているか。最近では、日本でつくられた食品が日本人の口に入るばかりではなくて、外国に輸出したりすることもあって、国によって、日本のHACCPがどのぐらい達成度があるか要求してきている事例も多くあるみたいです。そういうことも含めて考えると、モニター体制というのは全体的に各都道府県に任せられているのか、あるいは何らかのモニタリングのクライテリアを国が関与しているのかどうか、おわかりでしょうか。
○滝本監視安全課長 食品衛生法が平成15年に改正されましたけれども、それ以前は、例えば、飲食店営業だと年1回立ち入りなさい、あるいは食肉製品製造業であれば年何回立ち入りなさいという監視回数を政令で定めておりましたけれども、これは現在、自治体で条例で定めていただく。それぞれの地域の実情に応じて、そういった監視回数を定めていただいて、計画的に監視を行っていただいているというのが現状でございます。
 それから、HACCPにつきましては、業種を指定しまして、例えば、食肉製品でありますとか、あるいは乳・乳製品でありますとか、そういった業種についてHACCPの承認を受けることができるという枠組みでございます。必ずしもすべての食品にその範囲が及んでいるわけではございませんけれども、そういった承認制度で運用しているということでございます。それらについては、地方厚生局が承認するということでございます。
○林座長 なるほどね。
 どうぞ、堀江課長。
○堀江生活衛生課長 食品の場合ですと、飛び火のしやすさが全然違うものですので、群馬県で加工したものが九州へ行っているみたいな話があるものですから、先ほど説明があったようなことになります。
 生活衛生のその他の部分で行きますと、どちらかというと地域に限定する場合の方が多いというのがまず前提としてございます。そうした上で、今、滝本課長から説明がありましたように、食品衛生法に監視の頻度というものが、昔は法律、今は都道府県の条例で決まっている。実は、生活衛生の関係の方にはそれはございません。
 それから、先ほどございましたように、食品衛生監視員には兼務率が多い。環境衛生監視員はほとんどが兼務でございますので、その両方を兼務している場合が非常に多うございまして、自治体に応じて、例えば、食品の方でこういうポイントがあって、集中的に監視をした結果、残りの部分が生活衛生になっているという自治体もあって、監視の状況、例えば、資料1の15ページの辺りを見ていただくと、すごい格差がありますというのを準備させていただいたわけですが、これは統計上のものを整理しただけでございまして、これをもうちょっと分析したいと思っております。というのは、ここに載っていますのは行政上の監視なのですけれども、地域によっては、一部分を環境衛生協会辺りに委託して、補充的な調査をしているということもあると思います。それから、これは回数の問題で書いてございまして、濃度の辺りは当然わからないわけですので、私が今、考えていますのは、例えば、監視指導の頻度が高いところと低いところの状況を比較しながら、もう少し詳しく調べてみて、何が得られるかという辺りを研究して、先に続けていきたいと考えています。
○林座長 ありがとうございました。
 例えば、先ほどから議論されている監視体制がこういうふうになっている。地域のレベルでは実態としてどのように把握されているのか、できましたら、吉田構成員もしくは岡構成員から、どういう状況になっているか、お教え願えればと思います。
○岡構成員 部が違うので、違っていたら申し訳ないのですけれども、環境衛生監視員によるいわゆる地域での監視レベルは、山口県をごらんになったらわかるように、平均より非常に低くなっております。実際、人が少ないもので、目標となるレベルは設けているのですけれども、そこまで監視がなかなか行き届かないというところです。ただ、ソーシャルキャピタルの方を活用していこうという取組もあるように理解しております。
○林座長 いかがでしょうか。特にございませんか。栃木県の方はどうでしょうか。
○名越構成員 御多分に漏れず、資料3−1の1ページ目にあるとおり、事業が多様化して、チェーン店化、深夜営業が増加しているというところまで確実に捕捉し切れていないというような自覚があるということは担当の者が申しておりました。
○林座長 大井田構成員、何か。
○大井田構成員 監視業務につきましていつも思うのですけれども、一時、規制緩和が流行語になって、何でもかんでも規制する役所はけしからんというムードがあったと思うのです。最近は東日本大震災で放射線を規制しないのは何事かと、逆にまた役所が叱られるようなことがあるわけですけれども、やはり規制というのは、安心を守って、コストがかかると、これを多くの国民は理解していただきたいなといつも思うのです。
 こんなことを言うと失礼なのですけれども、1,000円カットに総理が行ったのは、果たして理容師法でいいのかと思うのです。それだけの安全を守っているのだから、多少コストを負担していただこうと、総理大臣に私はいつも申し上げたいと思っているのです。ですから、これはマスコミの方に是非、防衛議論みたいになってしまうのですけれども、安全を守るためにはコストがかかる。そして、それには、少なくとも、今、保健所の職員がいて、その人たちのお給料はみんなの税金で賄っている。それは非常にありがたいことなのだということを理解していただきたいと思います。何でもかんでも役所が悪いというムードが強過ぎるのではないかと思うのです。たから、1,000円カットが果たしていいのかということを申し上げたいと思います。
○林座長 どうぞ。
○堀江生活衛生課長 環境衛生監視員1名当たりの対象施設数の高かった群馬県ですとか、資料1の15ページ辺りにいろいろ書いてございますけれども、低い状況にあると見て取れる自治体の人に聞いてみますと、ああ、知らなかったというところもあるわけで、2月3日には全国の課長会議がありますので、これを見ていただいて、全国平均0.66回、公衆浴場の立ち入りをしているのに、うちは10年に一遍ぐらいしか行けていないみたいなところを感じ取っていただいて、それでいいと結論していただければそれまでなのですけれども、そうでなければ、人事部に行って、うちは全国平均よりこんなに低いとかいう話になるようにしようかなと思っています。
○林座長 なるほどね。
 曽根さん。
○曽根構成員 資料3の共通事項のところで、専門性の低下というところがあるのですけれども、資料1の5で環境衛生監視員と食品衛生監視員の資格が書いてあります。私、人材育成の研究班で環境衛生監視員の方のことも少し携わっておりますけれども、聞くところによりますと、余り専門性のない事務職の方が環境衛生監視員になって実際の業務をされているという自治体もあると聞いております。資格であったり、専門性の辺りは、実際のところはどうなっているのかというところをお聞かせください。
○堀江生活衛生課長 最近ということでいきますと、兼務率も上がってきていまして、食品衛生監視員と環境衛生監視員を兼ねていっぱいの施設を担当していただかなければいけないということからすると、事務職の人にやっていただけるような余裕が余りなくなってきていて、むしろ獣医とか、薬剤師とか、どちらでも行けるというふうになる、上に明記されているようなところにだんだんに特化はしてきていて、ただ、今、ベテランのところには事務職の方も多いというようです。
○林座長 私は科学院で職員の研修をやっているのですけれども、現在、環境監視のコースがないこともあり、それではまずいのではないかということで、昨年、うちのスタッフに、一体実態はどうなっているか、ちょっと調べてくれということで、調べてレポートをつくりまして、たしか生活衛生課長に提出させていただいたかと思うのです。
 そうしましたところ、一応、環境衛生監視員の一定の、法律ではないのですけれども、資格要件が書かれておって、理科系の4年制の大学を卒業した人とか、2つ3つぐらい細かい要件がついていたと思うのです。どういう人が環境監視員をやっているのか調べたところ、県のレベルはよろしいのですけれども、市のレベルになりますと、4年制の大学どころか、高卒の方がそれをやっているという実態もあったりしているわけです。
 もう一つの質問は、環境監視員としてどのようなトレーニングを受けているのか。そうしたら、ほとんど何もやられていないという実態もわかりましたし、先輩から受け継いで教わったのかということに対しても、それは余りやっていない。ただ、法律に書いてあるものだから、その法律に照らし合わせた環境監視をやっている。技術的な研修はほとんどやっていないというのが実態のようでございました。
○堀江生活衛生課長 保健医療科学院の勉強会から教えていただいた話を紹介させていただきますと、環境衛生監視員、薬剤師免許を持っておられる方が35%、獣医師の方が32%、化学が10%、農芸化学が6%、その他が17%ということですから、その17%という辺りに事務職の方、ほかの、理工系、農学系、保健医療系の方がいらっしゃるのではないかということでございました。
○林座長 ありがとうございました。
 先ほど来の話で、結局はマンパワーの不足、それから、専門的な技術が落ちてきている恐れがある、もう一つは、大井田構成員がおっしゃったように、何もかも役所に頼るというやり方ではなくして、ソーシャルキャピタルを活用する中で住民からも運動を起こす必要がある。多分、今日の議論はこの3つに集約されるのかなという気がします。先ほどおっしゃったように、予防活動というのはもともとすごくお金のかかることであって、発生しなければまるで無駄みたいにも見えるのですけれども、滅多にないことが起きないためにも無駄なコストが嵩むということを、委員会としても強くアピールしていただいて。昨日もたしか松阪市の話が出ておって、市長が一生懸命頑張って、住民自ら頑張るような仕組みをつくらせたとかいうのをテレビでやっていました。つまり、私の私見ですけれども、ソーシャルキャピタルの活動を強く訴えた方がいいのかなと思います。
 そのほか、何かございますでしょうか。どうぞ、山本構成員。
○山本構成員 先ほどお話にありました食中毒の調査支援システム、NESFDは、できてとてもよかったなと思っています。これは平時の対応だけではなくて、特に緊急時の対応でも、今までできなかったことが可能になったということで、非常にいいと思っています。例えば、都道府県とか、保健所、地方衛生研究所、そういうところの方とお話ししていたときに、何かが起こった場合、県と県をまたいでなかなかコンタクトしにくいことがあるという話をよく聞きましたので、このNESFDができたことによって、今後利用できる範囲が更に広がるのではないかと思います。例えば、検査機能ですが、食中毒が起こった場合、ルーティンの検査項目だと、大体、どこでも対応できるのですけれども、場合によっては、特殊な毒素とか、ある自治体はできるけれども、ある自治体は分析機器などがなくて対応できないというときに、緊急時なわけですから、どこに頼めばいいかとか、今までは、それを結びつけるものがなかったので、なかなか難しかったという話をよく聞いているのです。そういうことも、このNESFDをうまく利用して、これからいろいろ広がるのではないかと感じています。
○林座長 その議論に関しては、今日、欠席の地衛研の小澤先生から御意見を伺いたいところなのですけれども、私も聞いたことがあって、例えば、東京の食材で食中毒になったとき、食材の原産地がほかのどこかの県だったときに、他の都道府県から乗り込んで調査をするわけにいかないらしいです。それから、検査のこともそうなのです。このネットワークができたことによって、今、おっしゃっているのは、例えば、地衛研同士でできるところに頼むことができないかという話と、それから、食品医薬品研究所で引き受けられるという話なのでしょうか。というのは、その場合、費用の問題が出てきます。県にまたがって、あるいは地方と国の間の費用のやりとりの問題というのはどうなるのですか。
○山本構成員 その辺りは私もよくわからないのですけれども、例えば、検査方法など情報一つ取っても、県と県をまたがると衛研レベルとか保健所レベルでの直接のやりとりがなかなか難しいといった話もよく聞きますので、NESFDのようなシステムや国とか、そういうところが仲介するだけでも解決につながる場合があるのではないかと思います。
○林座長 どうぞ。
○滝本監視安全課長 費用については別途相談ということに多分なるのだろうと思いますけれども、この専用回線は地方衛研も、感染研も、国衛研も全部つながっておりますので、そういった関係者を一堂に会して、この検査はどこでやろうかとか、もし、できる地方衛研がなければ国に依頼するとか、あるいは別の地方衛研を紹介するとか、さまざまな場面でこの道具は使っていただける。実際、このポータルサイトを利用して、特定の、例えば、関東地域だけの情報交換の場にこれを使うとか、いろいろな使い方を全国の自治体の方にやっていただいております。まだ始まって2年なのですけれども、これからのさまざまな活用方法を探っていきたいと考えております。
○林座長 大分議論させていただいたわけでございますが、そろそろ対物保健の部分は切り上げようかと思っているわけでございますが、いかがでしょうか、健康局長、このことに関して、何か御意見ございますか。よろしいですか。
○外山健康局長 いろいろ力強いお話も聞きましたので、また一生懸命やりたいと思っています。また何かありましたら最終段階のところで御意見賜りますので、今日のところはこれで結構でございます。
○林座長 ありがとうございました。
 それでは、後半の部分に移っていきたいと思います。「人材の確保・育成及び資質の向上」について。これは、対物保健の人材育成確保もございますので、そちらの方等含めて、それぞれ説明していただきたいと思いますが、まず、事務局から、資料4に基づいて説明していただいた上で、曽根構成員、吉川参考人、勝部参考人、松?構成員、中構成員の順番でお話ししていただきたいと思います。
 吉川参考人は、厚労科研のリスクコミュニケーションの研究を担当されておりますが、今後、地域保健の人材の育成を検討する上で、リスクコミュニケーションを進める上で、まず、リスクコミュニケーションとは何か、その能力はどう位置づけられ、育成方法としてどのような議論があるのか、お話を伺いたいと思っております。恐らくリスクコミュニケーションの一番難しいところは、余りよくないニュースを人に伝えるときの伝え方はどうすればいいかということだと思うのです。
 それから、勝部参考人については、島根県内での地域保健人材育成に従事されている立場からお話を伺いたいと思います。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。
○木村大臣官房参事官 承知いたしました。それでは、資料4「地域保健に携わる人材育成のあり方に関する論点(案)」を見ていただければと思います。この資料は、ただいま座長から話がございました2点目の議題でございます「人材の確保・育成及び資質の向上について」御議論をいただく際の論点(案)として、事務局より提示させていただくものでございます。特に今回は、人材の育成及び質の向上に関する事項につきまして御議論いただきたいと考えておりまして、その際の論点(案)を2点御提示させていただいて、皆様方の御議論を進める際の参考にしていただければと思ってございます。
 この議論の前提といたしまして、現在、地域保健を取り巻く環境は、急激な人口の高齢化や、あるいは出生率の低下といったこと、また、疾患につきましても、慢性疾患の増加といった疾病構造の変化、あるいはまた地域住民のニーズの変化といったこともございますし、先ほど対物関係でも御議論ありましたように、例えば、冷凍技術の著しい進展といったような科学技術の非常な進展といった変化を基礎といたしまして、地域保健を取り巻く体制は、地方分権の流れに沿って、特に対人的な地域保健業務が都道府県から市町村に移管されていく流れに伴いまして、新たな課題が生じているところでございます。
 具体的には、それぞれの地域で行われている保健活動を評価することが今後一層重要になってくるわけでございますけれども、その評価に際しての標準化されたデータが必ずしも十分に整っていないとか、あるいは地域保健活動と医療、あるいは福祉、また食育、保健、それらの連携の在り方。また、重大な災害などの健康危機の状況の中での単独の自治体を超えた整合性のある対応の在り方。それから、地域保健施策を推進するに当たっては、これまでも行政を中心とした施策の推進をしてきているところでございますけれども、更に先ほどから話も出ておりますソーシャルキャピタルと言われる、より住民の力を活用した取組み方策の在り方。そしてまた住民との対話といいましょうか、リスクコミュニケーションの必要性の増大に対応する今後の在り方といった、多くの新たな課題が出てきているところでございます。
 したがいまして、論点としましては、このような現状の中で、今後、地域保健に取り組む人材の質はどのようなものが求められるのか。また、そのような資質の人材を獲得して、それらの向上を図っていくための人材育成体制というものはどのようにあるべきか、という2つの論点を事務局としては御提示させていただきまして、本検討会での御議論に供させていただきたいと考えているところでございます。
 そして、先ほど座長からも話がございましたように、今回のこの議論につきましては、対物業務を含めました地域保健を担う全般の職種の方々を対象とした御議論ということでお願いできればと思うところでございます。
 資料4についての事務局からの説明は以上でございます。
○林座長 ありがとうございました。
 早速でございますけれども、まず、プレゼンテーションを曽根構成員からお願いいたします。
○曽根構成員 国立保健医療科学院の曽根でございます。
(PP)
 お手元の資料5をごらんいただければと思います。私からは「わが国の地域保健従事者人材育成のあり方に関する意見」ということで、若干述べさせていただきます。
(PP)
 地域保健行政を取り巻く状況の変化はいろいろあると思うのですけれども、1つは、他分野との競合。つまり、昔は医療とか、福祉とか、介護とか、関係分野との境界は比較的はっきりしていたのが、現在、連携が進んでいるということで、「競合」という言葉が正しいかどうかわかりませんけれども、地域保健がこれだというスタンスがなかなか見出しにくくなっているのは確かだと思います。
 また、以前は行政だけが地域保健サービスを提供していたようなところがありましたが、現在は民間だったり、あるいはNGO、NPOとか、いろいろな組織がサービスを提供しています。
 更に、地方分権、市町村合併、緊縮財政等の自治体をめぐる状況の変化があります。
 更に、専門性、あるいは専門職という観点から見ますと、以前は行政や専門職が情報の多くを持って、それを住民に、言葉は悪いですが、与えるという形だったのですが、今は、住民の方々はいろいろな手段を用いて多くの情報を持っておられますので、専門性とか情報の非対称性がなくなってきている、差が少なくなってきているということもございます。
 ですから、このような時代に地域保健行政に従事する人はどういうことをしたらいいのかと言いますと、これは私の意見ですが、地域性だったり、あるいは時代性を重視した高度な非定型業務に移行していくのであろうと思います。
(PP)
 それは一体何かと申しますと、これも私の意見ですが、一つには一貫性、あるいは将来展望のある、長期的な視野に立った政策の立案・実施・評価があります。
 それから、情報はたくさんありますけれども、正しい情報、適切な情報、科学的な根拠、あるいはきちんとした法制度、その理解、それから、住民の方々のきちんとしたニーズ把握、それから、他分野・他地域の情報を集積し、分析し、提供するというのはやはり行政の役割です。
 更に、先ほどから「ソーシャルキャピタル」という言葉が出てまいりますけれども、いろいろな地域の機関や組織の活動を発展的に調整したり、場合によっては育成したりするのも行政の役割だろうと思います。
(PP)
 こういう業務ができる人材を育てていくときのポイントとしては、これは成人教育になると思うのですけれども、子どもは何もしないで育つわけはないとみんな思っているのですけれども、大人もやはり何もしないで育つわけではなくて、やはりそこには意識的な育成が必要です。これは、具体的には、学習機会の提供や学習環境の整備といった体制の問題。それから、どこを目指すか、目指すべき方向やレベルの設定の問題。そして、そこに至るために何を身につけたらいいのか、あるいは提供したらいいのかという方略、内容の問題。この3つがあるのではないかと思います。
(PP)
 これは、平成15年度に「新任時期における地域保健従事者の現任教育に関する検討会」が開かれまして、私もそこに入らせていただいたのですけれども、そこで示された地域保健従事者に求められる能力ということで、一番下には社会人としての基本的な能力、その上に行政的な能力が必要でしょう。さらにその上に、専門職であれば専門能力が必要なのですけれども、それも共通の専門能力と、保健師だったり、医師だったり、あるいは管理栄養士だったり、それぞれの職種別の専門能力が積みあがる構造になっています。研修の目標設定にはこういうことをきちんと考えていかなければいけないであろうと思います。
(PP)
 そこで、実効性のある人材育成体制とは何かということを考えてみた場合、組織全体が人材育成に取り組むという共通認識が最低限必要だと思います。
 更に、その上に人事評価や能力開発、組織内異動とか、組織間の人事交流等、組織全体の人事管理と連動した育成体制が必要なのだと思います。
 職種ごとの育成も大切ですし、あるいは職員全体としての育成というところも大切です。これは先ほどの能力のどこの部分を重視して、どう伸ばしていくのかということと関わってくると思いますが、それが必要でしょう。
 更に、その場限りの研修の連続ではなく、OJTを含む人材育成体制を構築していくという、先ほどの繰り返しになりますが、そういう共通認識が必要だと思います。
 そこに流れる1つの問題点というか、視点というのは、保健衛生分野、地域保健分野の人材、多くは公務員であるのですが、その価値を何で評価するのか、どういう物差しで彼らの能力、あるいは価値というものを評価するのか、そういう視点が必要なのかなと思います。
(PP)
 ここで1つ事例を出しますと、英国の公衆衛生専門家という制度があります。専門家の養成の課程もあるのですけれども、更になってからも生涯学習制度がありまして、5年ごとの更新になるのです。
 事例を説明いたしますと、公衆衛生専門家は、各自が自己開発計画、いわゆる研修計画を作成しなければならない。
 公衆衛生能力のキーエリアという、後で説明しますけれども、幾つかの能力分野があるのですが、そこから現在の業務に適合した項目を選択して自分の計画を作成します。その成果を日々ウェブ上に記録し、年1回、Faculty Public Healthという事務局に報告して審査を受けることになります。
 実際の学習時間は1時間で1単位、半日で3単位、1日で5単位ということで、専門家を維持するためには1年間で最低50単位は取ることになっています。最大は100単位。これ以上勉強しても、必ずしもよい学習とか、質の高い業務に結びつかないということで、勉強のし過ぎはよくない、業務がおろそかになるということが言われています。
 学習後に、その記録とともに短い自己評価文を書くというのが一つの特徴です。これについてはまた後で述べます。
 つまり「新しい学び」が得られる学習活動を記録し、それを積み重ねるという生涯学習制度になっています。
(PP)
 先ほど申し上げましたキーエリア、能力のところですけれども、これは恐らく我が国にも当てはまるような、かなり一般性のあるエリアが10選ばれていて、それぞれにまた細かい記述はあるわけですけれども、そういう中から自分の能力を伸ばしていくことになっています。
(PP)
 具体的な学習内容は、例えば、医師会の制度と似たようなものなのですけれども、いろいろな学習とか、グループワークとか、研修会とか、あるいは正式な大学院とか、あるいは個人的な勉強・読書、あるいは調査研究活動なども全部入っております。
 1項目で50%を超えない、個人的な読書は20%未満、あるいは定例の会議は含まない等の制限はありますが、何か、これを受けなければいけないという指定されたものはなく、各自、この中から自由に選択して自己研鑽を進めていくという制度です。
(PP)
 先ほど言った自己評価文には、例えば、学習活動の名前とか、それが自分の業務とどういうふうに関連するのかということをきちんと記録しなければいけない。
 そして、それが自分の学習ニーズにしっかり合致しているのか、どこに入るのかということを記述しなければいけない。
 さらに、実際に何を学んだのか、それによって自分の知識や技術がどう増えたのか、それによる業務の変化・強化された点をきちんとウェブ上に記録するというシステムになっています。
(PP)
 これらを受けて私が考えたのは、人材育成計画をきちんと策定することがまずは必要だということです。これは国レベル、都道府県レベルで枠組みをつくるわけですけれども、まずは国が計画項目や様式を設定して、目標とか、スケジュールとか、OJT、Off−JT、ジョブローテーションなどを含めた計画項目を策定し、都道府県ごとにこれを策定する。そして3年ごとに改定する。項目としては、都道府県ごとの全体計画と、保健所別の計画、これは市町村支援計画、あるいは市町村計画を含むものでありますけれども、個別の圏域別の計画。更に、職種別の計画。これは各専門職プラス、やはり事務職の方の研修も人材開発でも大切だと思いますので、これも含む。更に、新人・中堅・管理職のクラス別の計画。最後に評価計画、どのように受講者の到達度を評価していくのかということも含むような人材育成計画を都道府県ごとにつくる、国がそれを支援するという枠組みが必要だと思いました。
(PP)
 また、先ほどの英国の例にならいますと、それぞれを人材育成ポートフォリオみたいな形で記録して、各自が自己研鑽の部分をきちんと意識化する、記録化することが多分、大切だろうと思います。例えば、今はクラウドシステム等を活用しまして、比較的安価にこういうシステムがつくれます。全国の地域保健専門職が研修受講、研究会・学会参加後等に、その都度、その内容とか、学んだ事項とか、職務との関連とか、あるいはその感想をウェブ上の様式に記録し、自己研鑽を含むすべての研修を記録し、ときどき見ることによって意識化できます。こうすることによって専門職の自己育成の意欲を促進する。更に、都道府県ごとにこれを内部集計すれば、自分のところの職員がどのくらい人材育成を行っているのかということがわかりますし、更に匿名化して全国集計すれば、全国の状況がわかるのではないかと思います。これらの結果を先ほども述べました「人材育成計画」にフィードバックすれば、かなりいいシステムができるだろうと思いました。
(PP)
 こういう人材育成計画に占めるそれぞれのステークホルダーの役割ですけれども、例えば、国、国立保健医療科学院の役割としては、地域保健人材育成の目指すべき方向であったり、体系的なシステムが備えるべき要素を具体的に提示し、例えば、基本指針に明示しておく。
 あるいは、到達レベルをきちんと設定する。英国で言うとキーエリアのような形で、コンピテンシーという言葉もございますが、必要とされる能力と、その到達目標をきちんと明示することも重要です。
 更に、人材育成計画の項目と様式を策定し、育成指導者研修や研修体制構築研修はやはり国として実施すべきではないかと思います。
(PP)
 都道府県、この場合、本庁ですけれども、役割としては、人事制度も含めた人材育成体制をきちんと構築すべきである。更に、育成指導者の設置とその役割の明示・業務化が必要です。更に、人材育成計画の策定・実施と保健所を含めた体制整備の支援。更に、人材育成の評価の枠組みをきちんと提示することが必要だと思います。
(PP)
 保健所の役割としては、人材育成の最前線として、圏域人材育成計画の策定・実施。更に、市町村の人材育成の支援。モニタリング評価。それから、地域のさまざまな支援、関係機関との連携を推進していくという役割があると思います。
(PP)
 市町村の役割としては、実際に計画をつくって体制を構築し、自分のところの人材を育成する。更に、本庁や保健所といろいろな意味で連携をして、質の高い人材を長い目で育てていくことが必要だろうと思います。
(PP)
 職能団体、関係団体については、職能別研修とか、個別テーマ別研修の提供という役割があると思います。学会、あるいは大学の役割としては、公衆衛生学会にはございますが、専門家認定であったり、あるいは個々の研修支援ということがあると感じております。
(PP)
 これらすべてのステークホルダーと、個々の地域保健従事者がいるわけですけれども、個人と組織、組織と組織を結ぶ目的を共有した連携が実効性の高い人材育成システムにとって大切なのだろうと考えています。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○林座長 どうもありがとうございました。
 一通りプレゼンテーションいただいてからディスカッションしたいと思います。次に、吉川参考人、お願いいたします。
○吉川参考人 吉川でございます。失礼いたします。
(PP)
 「人材の確保・育成及び資質の向上」ということで、リスクコミュニケーションの視点からお話をさせていたただきたいと思います。
 あらかじめおわびしなければならないのですけれども、事務局から課題をいただきましたときに、私自身は保健所の業務とか、中身がわかりませんので、的外れな指摘があるかもしれません。
 話の構成は、最初にリスクコミュニケーションの概説をするようにということでございましたので、まずリスクコミュニケーションの概説をさせていただきまして、その後、その視点から見て、どういう研修とか、資質向上があり得るかというお話をさせていただきたいと思います。
(PP)
 お手元の資料にあると思うのですけれども、リスクコミュニケーションとはどういうものかということです。いろいろな定義があるのですけれども、1989年に米国研究評議会が言った定義が定番でございますので、それをお出しいたしました。原文はとても長いもので、8行ぐらいあるのですけれども、通常は最初の2行が引用されることが多いので、私もそのようにしております。リスクについての、個人、機関、集団間での情報や意見のやりとりの相互作用的過程ということになります。
 意見のやりとりと言っているのはexchangeなのですけれども、例えば、下の図にありますように、行政とか、科学者とか、企業のように、リスクに対して情報をたくさん持っている人から、一般の人々に対して情報がリスクメッセージという形で伝えられ、一般の人々も、疑問や意見とか、関心を伝えるという意味で、矢印が右に行ったり左に行ったりしておりますけれども、これがやりとりです。
 それから、相互作用というところが、コミュニケーションをやっていない人にはなかなかわかりにくいかなと思うのですけれども、単に情報が合理的に交換されるだけではなくて、相手の意見を聞いて考えを変えたり、行動が変わったり、単なる情報交換だけではないインターラクションというものがあるわけですが、それも含めてコミュニケーションだと言っているわけです。そこはポイントかなと思います。
(PP)
 これはちょっと見にくいので、お手元の資料で見ていただいた方がいいかなと思うのですけれども、リスクコミュニケーション自体は昔からあった言葉ではなくて、1980年代から出てきた言葉です。要するに、新しい言葉を要請した時代背景というのがあるのですけれども、お手元の資料の左に主な事件・事故、それから、右に、その辺りにリスクコミュニケーションがどういうふうに生まれてきたかということを並べてみました。
 細かく見ていただく必要は全然ないのですけれども、基本的には、スリーマイル島の原発事故がきっかけになったと見ていいと思います。リスクコミュニケーションの研究者でも、いつごろから始めたのかをお聞きすると、大体、これがきっかけでこの分野に入りましたという人が多いので、多分、その辺から議論がされてきて、83年、84年ぐらいから初めて言葉が使われるようになってきた。
 先ほど御紹介した89年の定義が真ん中にありますけれども、80年代後半になってきてから言葉を使うようになってきて、それまでは、実を言いますと、この問題はリスクインフォメーションとか、リスクメッセージとか、いろいろな言葉で語られていたのですけれども、80年代後半に用語の統一が図られたと見ていいと思います。
 その後ずっとリスクコミュニケーションという言葉で、この分野、業界としては統一されてきたのですけれども、2001年に9・11同時多発テロがございました。実はリスクコミュニケーションという言葉がある前に、私たちの業界ではどういう言葉を使っていたかというと、クライシスコミュニケーションという言葉でこの分野の研究をやっていたのです。警察とか軍隊とか、そういう人たちがこの分野に参加するようになってきたので、クライシスコミュニケーションという言葉も出てくるようになります。ですので、10年前から少し事情が変わっているのですけれども、現在、リスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーション、両方の言葉が使われている状況だと見ていただくといいかなと思います。
(PP)
 当面、リスクコミュニケーションという言葉でお話をするわけなのですけれども、どういう領域があるかということで分類をしてみました。左手に個人的選択、右手に社会的論争と書いておりますけれども、左手は、要するに、リスクについての情報は伝えるのだけれども、最終的な意思決定は個人に任されているというようなものです。例えば、消費生活用製品に載っているような注意書きとか、使用説明書というのがそうです。それから、表示もそうだと思うのです。それから、健康や医療の問題も、最終的には個人の意思決定に任されているので個人的選択です。それから、災害も、避難するか、しないかは、勧告とかが出るにしても、最終的には個人の意思決定ですので、左の方に入れてあるということです。
 これに対して、個人ひとりで決めても解決できないような問題、例えば、高度な科学技術はそうだと思うのですけれども、原子力発電所を容認するかどうかとか、遺伝子組換えの技術を、例えば、医療に使うとか、あるいは食品に使うかどうかということは、社会的に議論して、みんなで決めないとできませんので、右の方に入っている。それから、環境問題は典型的に社会的な論争の問題かなと思います。
 コミュニケーション技術的にもこの2つを分けていくことは非常に意味があって、左手の個人的選択は、リスク認知と言っておりますけれども、一般的に私たちのリスクの見積もりは低い。平たく言ってしまえば甘く見てしまう問題なので、例えば、心理学はそこは大変得意なのですけれども、説得的コミュニケーションの技術を使って、リスクがありますよということをきちんと啓発していくことが大事になります。
 説得的コミュニケーションの技術と言いましたけれども、そういう意味では、その技術を使って、右の方の問題、環境問題とか、高度な科学技術の問題についても説得をすることは技術的には可能なのですけれども、それが倫理的にいいかどうかということについては議論があるところですので、右の方については別の技術、例えば、合意形成の技術などを用いて議論していくことが求められていると思われます。
 先ほどのリスク認知ということで言えば、右の方は比較的人々のリスク認知が高くなってしまう。だから、科学的には安全なのだけれども、危ないと思ってしまうということが比較的ありがちだというふうに見ていただくのも、この2つを区別する意味があるかなと思います。
(PP)
 対象とする領域についてお話ししたのですけれども、では、実際に具体的にどういうコミュニケーションがあるかということなのです。学会として合意を得られているものではないのですけれども、1994年にLundgrenとMcMakinがリスクコミュニケーションのマニュアルをつくっているのです。そこで彼女らがリスクコミュニケーションを3種類に分類していて、理解しやすいかなと思ったので、ここで御紹介します。
 1つは、ケアコミュニケーションというもので、既に科学的に明らかになっていることについての情報提供が中心です。ですので、いわゆるリスクメッセージとか言われているものがここに入るかなと思います。例えば、医師の患者へのアドバイスとか、労働衛生のために何か指導するということがケアコミュニケーションに入るかなと思います。私のイメージなのですけれども、保健所の業務でなさっていることの多くは、このケアコミュニケーションなのではないかと思っています。
 それから、コンセンサスコミュニケーションというのは、先ほどの環境問題などがいい例なのですけれども、リスクについて、社会的に意思決定をしなければいけないような問題です。保健所の業務の中でこういうことがあるのかというのはよくわからなかったので、例示は、環境影響評価による意思決定とか、医療政策などの例を挙げたのですけれども、先ほど事務局から配られた資料を見ておりまして、資料1の最後のところで、業種ごとで組合をつくって話し合いをしてとか、参加を促してというお話があったと思うのですけれども、それはこのコンセンサスコミュニケーションの例だと思います。必ずしも市民だけではなくて、業者間、それから、保健所とどうしていくかというのも、コンセンサスコミュニケーションの中に入るかなと思います。
 それから、クライシスコミュニケーションも多分、保健所の業務の中ではかなりの程度なさっていると思うのですけれども、差し迫った危険についてのコミュニケーションを指します。例えば、災害のときとか、パンデミック、あるいは事故、そういうときの差し迫った情報提供というのがある。
 つまり、わかったことを指導するようなコミュニケーションと、みんなで決めていかなければいけないような合意と、急いで右に行ってもらわなければいけないとか、左に行ってもらわなければいけないとか、そういうような場合と、3つがあると見ていただくといいのかなと思います。
 定義をお話しして、歴史をお話しして、対象とする領域、それから、技術的にどういうものがあるかという3つの分類をお話しいたしました。
(PP)
 この後は、具体的に、リスクコミュニケーションの視点から見て、どういう能力が保健所の方々に求められるかということを私なりに考えたのですけれども、職種とか業務、保健所のメンバーがどういう方がおられるのかよくわからなかったので、医師とか、獣医師とか、保健師の方がいらっしゃるとは思うのですけれども、それぞれで、多分、業務によって異なると思います。それから、業者を指導されるのか、住民への説明がどのくらいあるのかがわからなかったので、それによって、多分、能力は違ってくるのかなと思います。
 コミュニケーションということについて言うと、例えば、リスクコミュニケーションにしても、クライシスコミュニケーションにしても、コンセンサスコミュニケーションにしても、一般的なコミュニケーションのある意味、特殊形ですので、これは次のページにお見せしたところなのですけれども、全体として、コミュニケーション技術、例えば、聞くとか、伝えるとかいう技術があって、その中で、聞くに対しては、情報収集とか分析の能力が、伝えるに対しては伝達技術とか言語表現の技術があるというような感じかなと思います。
 もう一度、先ほどのページにお戻りください。例えば、聞くということについて言うと、私はここがリスクコミュニケーション的には非常に大事だと思っているのですけれども、情報収集による問題とか、リスクの早期発見です。私自身は、先ほどのウェブのシステムがあるというのを存じ上げなかったので、リスクコミュニケーション的に言えば何が議論されているかということだとすると、非常に物流が広いので、広域で散発的に食中毒が発生したときに関連づけられるような情報収集の仕組みとか、地域間の関係づくりというのがリスクコミュニケーション的には大変議論されているので、先ほどのお話によると、システムは既にあるということですので、それの使い方とか、それから、システム上だけの議論ではなくて、人間関係づくりも非常に大事かなと思いますので、それをどういうふうに構築するかということが能力的には大事なのかなと思います。
 それから、もう一つは、これは非常に面倒くさいのですけれども、質のいい情報が上がってきて、それを入力するとか、分析するということは、合理的には大変望ましいのですけれども、実際には、よくわからない情報が入ってくることが結構あると思うのです。無駄情報と言っていいのかどうかわかりませんけれども、意味があるかないかわからない情報は結構あると思うのです。それを、例えば、選別してしまうと、実は大きな情報を見逃してしまうということが結構あるので、広く拾う仕組みとか、人数がただ無駄に増えるだけでも大事だと思うのですが、情報を単にウォッチしているだけの人材の確保も大事なのかなと思います。広く拾う仕組みとしてはよろしくないのかもしれないのですけれども、告げ口制度というか、通報制度のようなものとか、住民がちょっとでも気になることは電話をかけて解決できるようなホットラインとか、そういうような仕組みが大事で、たくさん上がってくる玉石混淆の情報の中から、それをどう解釈するかという能力が求められているのかなと思います。
 それから、伝える技術について言うと、先ほど言ったような説得的コミュニケーションの技術のようなものは是非学んでいただきたいと思いますし、ときどき住民との合意形成というような、具体的にどういう場面が想像されるか、私自身はわからないのですけれども、もしそういうものが求められているとすると、議事進行の能力ですね。私どもではファシリテーションと言っておりますけれども、そういう能力のスキルアップみたいなものは大事だと思います。
 それから、言語表現のようなものも、どんな言葉遣いをしてもいいというものではないので、そういうことも能力として身につけていただく必要があるのかなと思います。
 伝える技術の例として、保健所の業務を存じ上げなくて恐縮なのですけれども、例えば、高齢者の健康指導のようなものは、先ほどのケアコミュニケーションの典型的なものかなと思います。
 それから、例2で挙げました予防接種の意思決定のサポートというのは、結局、リスクコミュニケーションが出てきたら、当然そういう帰結になってしまうのですけれども、リスク情報をみんなで共有して、市民に伝えることになってしまうと、意思決定の主体が住民になってしまうので、ある意味でとても厳しいのです。典型的な例は多分、予防接種かなと思うのですけれども、全部強制的になっていれば、住民は意思決定する必要がないので、ある意味、考える必要がないわけですけれども、任意でやるということになると、リスク情報をきちんと考えて、自分の子どもに対してとか、自分自身に対してとか、すごく判断をしなければいけなくなってきて、意思決定の主体が住民に移れば移るほど、非常に責任が増えてくるのだけれども、それをサポートする仕組みはどうかというのが最近のリスクコミュニケーションのある意味、先祖返りというのですか、保護的なコミュニケーションがどうあるべきかということが議論されているので、そういうことも保健所でなさるのであれば、意思決定のサポートのようなコミュニケーションの在り方はどうかということは考えてもいいのかなと思います。
(PP)
 これは先ほどお見せしました。
(PP)
 人材育成ということについて言いますと、教育訓練は私の本来の専門ですので、最後にお話をしたいと思うのです。教育訓練とか、企業の研修などもそうなのですけれども、最近は昔の考え方から少し変わってきているという流れも御紹介したいと思います。昔は、例えば、大学で言いますと、講義要項とかに典型的にあらわれている。小中学校でも学習の目標とかを立てて、それに対して学習デザインする。例えば、講義要項ですと、15回なら15回、30回なら30回の授業計画を立てて、その達成のために学習デザインするというインストラクショナルデザインが主体だったわけですけれども、近年、1990年代からの流れですけれども、状況的学習論が主流になってきました。つまり、単に教材を提供して、それに対して100点取るとか、80点取るとか、60点取るとかいうような勉強の仕方ではなくて、だれと学ぶのか、どこで学ぶのか、どういうセッティングで学ぶのか、そういう対話的な学び方を考えて教育訓練をデザインしていこうというような考え方が出てきましたので、それを御紹介して最後にしたいと思います。
(PP)
 体験学習の分野ではしばしば引用されているコルブ(Kolb)の学習サイクルというものなのですけれども、左上から見ていただくといいと思うのですが、実際に大人の学習というのは現場で行われているのだから、現場での学びをどう教育訓練につなげていくかということの背景になる理論的な考え方です。つまり、左上、実際に体験することから、そして、リフレクションですけれども、体験の内容を振り返って考え、それを理論化して、それが抽象的な概念化ですけれども、実際に自分なりのセオリーを、今度は積極的な実験ですけれども、職場に持ち帰って、もう一度考えるというような考え方です。
 研修ということで言うと、勿論、実際に体験から研修を始めてもいいのですけれども、実際の体験は職場でやっているだろうから、例えば、リフレクションから研修を始めて、先ほどの曽根先生の資料の中にもいろいろ教育的なところがあったかなと思うのですけれども、セオリーや実際の裏づけのようなものは、内省的な観察と抽象的な概念化の部分を、例えば、集合研修でやるというような形で、そして実際に試すのは職場に持ち帰ってというような、大人の学び方がモデルになっています。ですので、実務と研修とを、この4分割にすると、どこをやるのかということを考えながら、教育研修のプランを立てていくという考え方に最近はなっております。
(PP)
 そろそろ時間ですので最後ですけれども、私どもの研究班では、こういう考え方に基づいて教育研修を立案してまいったわけなのですけれども、先ほど申し上げましたように、教育研修をやっている私どもは現場のことがよくわからないので、研究協力者であります黒瀬様、熊本県庁の方に御協力いただきまして、実際の必要なスキルと、私どものつくりました研修との関連図をつくっていただきました。左の方、つまり、実際に必要な学習項目はどういうものがあるかということを一覧表にしましたので、これについて詳しくは説明いたしませんけれども、一度ごらんになっていただければと思います。
 私の発表は以上でございます。ありがとうございました。
○林座長 どうもありがとうございました。
 それでは、次に行きたいと思います。勝部参考人、よろしくお願いします。
○勝部参考人 島根県の勝部です。
(PP)
 今日は「島根県における市町村・大学等と連携した人材育成」ということでお話しさせていただきます。
(PP)
 島根県の概要ですけれども、そこに書いてありますとおりです。市町村数は8市10町1村です。保健所数は7保健所です。県の保健師数は、今年度は66名、市町村保健師数は260名となっております。平成9年以降の新規採用保健師数が、大体、市町村で6割を占めております。県で3割という状況です。
(PP)
 人材育成に取り組むことになった背景なのですけれども、全国的にも同じだと思いますが、平成9年以降、地域を基盤とした活動が減ってきて、その継承も難しくなってきたという状況がありました。島根県でも、地域を基盤とした活動を大事にしてきましたので、そこら辺りを市町村も含めて共通のシステムを用いてやっていこうというところです。
(PP)
 人材育成の取組みの経過ですけれども、地域保健従事者の資質向上に関する検討会を踏まえまして、平成17年から研修の体制を見直してきました。
 その中で、指導者研修、中堅期の研修、これは保健活動企画研修と言っておりますけれども、こういった研修を開始しました。それと、新任時期の保健師支援プログラム、新任時期の行政栄養士支援プログラムを作成して、これを共通のツールということで、現場のOJT等に生かしております。
 4番目の現任教育支援検討会ですけれども、これは全県で実施しており、現任教育の課題を検討して体制整備を行っていくということで、毎年行っております。これについては、県内にある2つの大学、保健師長会代表、市町村保健師代表、保健所長会代表、保健所指導担当者、保健環境科学研究所、本庁というメンバーで検討しております。
 県の保健師につきましては、県の保健師協議会で、保健師伝承計画を立て、県の中でつないでいくことを、保健所ですること、県庁ですることというように役割を分担して進めています。
 特に島根県の場合は、保健所、市町村、大学、県保健環境科学研究所、県庁等が一緒に目線合わせをしながら人材育成を実施しております。
(PP)
 地域保健関係職員研修事業につきましては、ちょっと見にくいかと思いますが、資料をご覧ください。内容的にはこういった内容を実施しております。
(PP)
 現任教育の支援体制の現状ですけれども、真ん中の四角で書いてあるところが各職場で、新任保健師がいる職場では、プリセプターと指導者を配置してもらうように体制づくりをしてきました。現在のところ、1年目の新任については、市町村、保健所とも100%のプリセプターの設置状況です。このプリセプターについては、事務分掌上でもきちんと位置づけていただいて、職場でも認められた形で対応していただいています。
 保健所の体制ですけれども、緑枠の中で、管内の各市町村の体制整備を行ったり、新任の個別対応や市町村の個別対応、また、体制をサポートするということで、地域保健専門職員研修や、市町村との現任教育支援連絡等で課題を確認しながら、各圏域の特徴を踏まえながら、共通認識を持って実施しております。
 県の方では、新人保健師研修、中堅期対象の保健活動企画研修、プリセプター研修、現任教育指導者研修を行いまして、保健所・市町村での人材育成が進むような形で、環境を整えるというか、資質の向上というところで実施しておりまして、きちんと評価しながらやっています。
(PP)
 新任保健師を支援するために、各機関が実施する研修会・検討会の全体像ですけれども、それぞれの市町村での研修、保健所での検討会、研修、全県での研修が有機的に連動していくような形で年間計画を考えて実施しております。また参考にしていただければと思います。
(PP)
 実際には「新任時期の保健師支援プログラム」ということで、こんなものを作っております。これについては、新任も指導者も同じ方向に向かっていくというところで、みんなが使えるものになっています。
(PP)
 具体的に、保健所における現任教育体制なのですけれども、1つ目は、地域保健専門職員研修を実施しております。これはゼロ予算でして、保健所は年1回以上開催するということで取り組んでいます。講師は保健所長や、県外研修に行った専門職、衛生指導のインフルエンザ担当、予防接種担当など、保健所職員等が担っています。対象は市町村の地域保健担当者、事務の方も含めた専門職、保健所職員、在宅の保健師、栄養士、歯科衛生士等も含めて、内容により対象を決め、公衆衛生の動向と保健活動とか、管内の保健活動の情報交換ですとか、評価、それから、震災からの学び、最新情報などというような内容で実施しております。
 保健所・市町村現任教育支援連絡会では、指導者・プリセプターを集めて、支援プログラムを実際に作っても活用しないと意味がありませんので、その活用に向けての話し合いですとか、現場での問題を聞いて、保健所での研修は新任期のコミュニケーションが弱いので、そこら辺の内容を入れようとか、そういったところに生かしています。
 管内新任保健師等研修会(活動交流)というのは、管内の新任保健師・栄養士等が横のつながりを強めるということと、管内の健康課題や、先輩の保健活動等地域活動の話を聞いたり、乳幼児健診でもなかなか問診が取れないとかいうこともありますので、そういったポイントを学ぶという様な内容で行っています。
 現任訓練ということで、保健所も母子というところで、現場がハイリスクのところだけで、本当に元気な子どもさんを見たことがないという保健師も増えておりまして、実際に市町村事業に参加するとか、市町村の保健師には、心の相談とか、難病の事業に参加いただくとか、お互いに交流して、現場の体験ができるように、保健所は調整をしています。また、実際に小さな町村ではなかなか1人について指導ができないので、保健所の保健師が現場に行って指導をすることもあります。
 市町村における現任教育体制については、指導者・プリセプター、サポーターを配置していただいて指導体制を整えてもらっています。
 また、新人のいる職場では年間の指導計画を策定し、ちゃんと目標を持って、どういった内容で具体的に指導していくかというところを計画的に実施していただいています。
 市町村によっては、毎月の業務検討会で事業の検討をするとか、1年間で新任が訪問ケース3例をまとめるとか、管内の地域の中の社会資源をちゃんと把握してまとめるとか、課題をもって1年間過ごして、1年後にそれを発表し合うとか、そういったところをやっています。
(PP)
 実際の市町村の例は、また参考にしていただければと思います。
(PP)
 保健活動企画研修事業ですが、これも島根県でとても特徴的な中堅期の事業です。対象は、中堅的な立場、おおむね10年から20年の保健師、栄養士等です。研修期間は9か月間です。研修方法は、職場から出していただくということで、上司と協議の上、担当している業務について研修課題を決め、課題を解決するため、研究的手法を用いて評価分析を行って、最後には必ず企画書を作って事業提案をするというような課題解決型の研修です。最後に関係者が一同に会して、研修成果について発表会を行い評価結果を事業に反映させます。また、県で行っています研究発表会、公衆衛生学会での発表を目標に行っています。
 研修方法は集合研修と個別指導で、集合研修は公開講座にしており、ほかのスタッフも出かけてきています。個別指導については1名の講師の先生に1〜2名の受講生を担当していただいて、1年間指導していただくことにしています。こういった内容ですので、多くの育成はできなくて、年間6〜7人というところで、少しずつ実施してきております。これについては、大学と研究所の御協力が多大なところがあります。
(PP)
 実際には、この図のように、講師は、専門分野の講義・個別指導を、保健環境科学研究所は研修全般のコーディネーターを役割分担をしながら実施しています。職場では研修しやすい環境づくりを、保健所は業務を通してバックアップし指導を行い、その成果を管内に波及したりというところで実施をしております。
(PP)
 それから、島根県は、新任時期の行政栄養士支援プログラムも平成20年度から作っておりまして、これも保健師の支援プログラムと方向性、考え方は同じ内容です。
(PP)
 実際にはこういったものを作っております。
(PP)
 これは実際の指導例なのですけれども、栄養士は市町村に1人しかいないので、なかなか人材育成ができにくいということで、保健所の栄養士が指導計画や日常業務の相談・評価への対応、技術支援、役割モデルというところで力を発揮しています。
(PP)
 最後にまとめです。島根県の保健師、栄養士の現任教育の特徴として、県も保健所も重層的に実施していますし、新任期・中堅期・プリセプター・指導者も同じような方向に向かって取り組んでいるところです。
 それから、今後に向けては、全県での取り組みとして、プリセプターの年代が忙しい中でも自信を持って指導できるように、また、新任時期の次のステップアップというところで、中堅期、管理前期のところの支援が必要であると考えております。
 保健所では、研修の継続と、やはり市町村に応じた人材育成が必要だと思っておりますので、そういった計画の作成支援を保健所でも実施していきたいと思っております。
 それと、市町村は市町村で、自分のところでも、どうやって専門職を育てていくかというところできちんと体制づくりを行っていくように働きかけていきたいと思います。
 また、支援プログラムの活用状況については調査によると、新任・プリセプターともまだまだ活用が少ない状況でしたので、今年度、プログラムを改訂しながら、研修・検討会での説明や実際に研修の場で様式を活用するなど具体的に活用を推進しているところです。
 以上、島根県の取組みをお話しさせていただきました。
○林座長 ありがとうございました。
 松?構成員、お願いいたします。
○松?構成員 市川市の松?です。どうぞよろしくお願いします。
(PP)
 私からは「保健師の人材育成について」ということで、市川市、市役所の立場から発表させていただきます。
(PP)
 市の保健師は市の職員として採用されておりますので、地方公務員法や、公務員としての倫理に従って従事することが基本と考えています。そのため、公務員としての知識や市の施策、事業をよく知り、専門職の保健師として採用されたことを自覚することが大事だと思っています。どこの市町村でも職位に応じた研修が制度化されていると思いますけれども、ここでは市川市の人事制度をお示しいたします。さまざまな研修がある中、職位で必ず受講しなければいけないのが指定研修となっております。特徴と思われる研修を紹介いたします。
 新規採用職員は、1年目の大体今ごろなのですけれども、考課試験ということで、前期・中期・後期の職員研修があって、最後に試験を行って承認されるというような特徴があります。また、順位も発表されるということで、かなり緊張しております。
 5年目の主事・技師研修では、業務改善の研修がございます。各自3か月間の実施期間を終了すると成果発表会が行われますけれども、これは指導職員と課長が出席しまして、良ければ昇任できるということで、この研修の目的は、効果的な仕事の進め方及び自ら改善、提案することの問題提起を養うことですけれども、ここでは、ほかの課の特徴と職場の協力度、ITの活用や発想の違いなど、改善のレベルの差が非常にあらわれており、大変学ぶ機会になっております。
 次に、8年目になりますけれども、問題解決研修です。論理的思考方法の習得、問題解決の手法を習得する研修です。6か月間の実施期間において、前後に評価を行うということで、人材育成担当室の指導の下で実施するのですが、所属長も評価を行っていくものです。
 14年目になりますと、リベート研修というのがございます。これは、説明能力、論理的思考についてのグループ合戦を行うものなのですけれども、例えば、サマータイムの導入とか、夜間窓口の拡大について賛否を問うということで、グループで作戦を行います。これについては、論理的に説明できるように資料をたくさん収集して、相手を納得させるための文言を考えて研修の場で発表していくというものです。
 これらを通じまして、保健師も一般の事務職と同様に行政に必要な事項をきちんと習得することで市の施策を知り、また議論を交わすことで刺激になって成長していくものと期待しております。
 右側が千葉県の研修制度で、後ほど説明させていただきます。
(PP)
 市川市の保健師の育成でございますけれども、市川市の場合はジョブコーチ制度をやっております。ジョブコーチを選任しまして、新任3か月間はジョブコーチと交換日誌、所属長の助言などを得て業務を進めていきます。当課の場合は、大体10年前後の保健師を中堅保健師に担当してもらって、課で作成したチェックリスクに従って、見学、同行して単独実施がいつごろまでにできるかということで実施しております。ほとんどの保健師は3〜4か月で課の業務についてはひとり立ちができるようになっています。これは看護の知識と技術が備わってのひとり立ちということで、ここのところが最近、心配だなという点があります。
 また、家庭訪問については、国から出たガイドラインによりますと、6か月から1年の達成期間ということですけれども、それでは戦力になれないし待てないかなと思っています。職場では3〜4か月でひとりで訪問に行っています。
(PP)
 これは千葉県の研修制度です。新任、中堅前期、中堅後期、管理者クラスとあります。この研修は他市町村の保健師と交流ができて、業務への考え方とか、やり方を知ることができて、保健師からは大変好評です。追加していただきたいのは、3年目、状況が見えて慣れてきたころに他市町村と再度交流を図ることとか、熟練者と言われる職場での役割を再認識できるような対象者を実施していただけると更によいなと思っております。
(PP)
 さまざまな研修の機会がございます。全国地区ブロック、また、さまざまな分野別にありますけれども、全国地区ブロック研修会は大変魅力的な研修が多いのですけれども、参加費とか、旅費のかかるものはなかなか難しくなってきております。
 また、分野別研修会というのは、母子保健から発達障害、最近では自殺対策、感染症対策、精神保健、また、今年度は危機管理、放射能に関する研修もたくさんございました。実施主体は多様で、かつ数多くありますけれども、業務に支障のない程度を見極めて研修に参加してもらっています。特に危機管理は、今回の震災を受けて、市町村でも直面している課題です。最新情報を得る機会となりますので、これは大変役に立っております。職場内では、伝達講習をして周知しています。
 工夫点というよりも、希望する研修内容でございますけれども、私が一番ここをお願いしたいなと思っているのは、「地区診断」とか「地区組織活動」の意義とか必要性を認識できずに、職場において実感を持った保健師が少なくなっているということで、継承することの難しさを感じております。事例を踏まえた研修を企画していただきたい。ちょっと市町村レベルでは難しいなということです。
 また、業務の改善とか達成は仕事のやりがいに結びついております。職場内での提案や意見を出しやすくする環境づくりを推進する人材育成の研修も必要かなと思っています。
 また、分散配置では、研修情報が入りにくいということで、孤立を防ぐ仕組みが必要かと思います。
(PP)
 私が今、考えていることをまとめてみますと、この資料を作成したときにはこのように考えたのですけれども、専門技術の人材育成について欠けている部分があるかなと、今、反省しているところですけれども、上段は大きな視点になります。自治体職員として立ち位置を自覚し、公衆衛生行政の担い手として、国・県の施策を注視し、各分野別の施策に反映できるよう育成するということで、新しい施策や政策に順応できる力を身につけていく。
 また、所属している職場では、先輩、同僚、後輩とのコミュニケーション能力の育成が非常に大事だと思うし、問題に気づき、どのように解決していくかということの推進役を図る人材育成、これは変化する市民ニーズへの対応力ということになろうかと思います。
(PP)
 これは私が勝手に考えたものなので、国・県の役割というところで、国で考えていただけることと、県で実施できるもの、市町村ではこんな努力ができるかなということで述べさせていただきました。
 以上です。
○林座長 ありがとうございました。
 それから、中構成員、よろしくお願いします。
○中構成員 大阪府藤井寺保健所の中でございます。よろしくお願いいたします。
(PP)
 本日は、大阪府の保健師の人材育成について、市町村と連携して取り組んだ事例を御紹介いたします。
(PP)
 まず、大阪府ですけれども、府の保健所が14、市町村が39あります。現在の保健師数は、下に書いてあるとおり、大阪府で269、市町村は626となっております。少し古いのですけれども、お示ししたグラフは19年度の市町村と府の保健師の年齢構成を示しております。ごらんのとおり、保健所保健師は団塊世代の保健師が多く、50歳以上が約半数という状況でした。ここから4年たっておりまして、現在なのですけれども、府では毎年新規採用が10〜20人という状況で、1〜5年の経験年数の保健師が25%、6〜10年が9%と、10年未満の保健師が約3分の1を占めているという状況です。
(PP)
 そのように、府の団塊世代保健師の大量退職に伴う急速な世代交代が進みまして、また、市町村では、保健事業の増大や活動範囲の広域化、分散配置等がありまして、ともに人材育成に課題を持っているという状況がありました。
(PP)
 そこで、平成20年度から、府の保健所と市町村でともに人材育成に取り組むことにいたしました。これは全国保健師長会の地域保健総合推進事業の一環としまして、新任期の人材育成マニュアルを作成しました。目標なのですがけれども、保健師の価値観は大変あいまいなもので、継承していくのが難しいということで、それを何とか継承する方法はないかを考えていくというのを目的に置きました。
(PP)
 方法なのですけれども、新任期保健師の人材育成を目指してはいるのですがけれども、まずは人材育成の中心を担う中堅期保健師に育っていただかないといけないということで、メンバーとしては、大阪府と市町村からの中堅期保健師10名でワーキンググループをつくっています。その話し合いの中での成果としてマニュアルをつくることにしました。保健師の理念や信念などを言語化して具体的に伝える方法を明確にすることを目標にして、グループコーチングの手法を自分たちで考えて判断していくというプロセスを大切にした取組みを目指しました。
(PP)
 最終的にできたのが、この人材育成マニュアルなのですけれども、こういう時期にこういうことをしましょうというプログラムではなくて、保健師としての価値観であるとか、保健師活動の理念についてを考えて、言語化して、それをどういうふうに伝えていくかを、中堅期の保健師の自分たちの言葉でまとめたという内容になっております。
(PP)
 この人材育成のマニュアルをつくっていく経過の中で、保健師の人材育成は育ち合いがとても大切であること、保健所全体が新任期保健師を育てる意識の醸成が必要であるし、職場づくりが必要というような内容が出ました。また、保健師の成長は、段階的な積み上げが大変必要ということで、経験、職階に応じて、意図的、計画的な人材育成が必要であることを確認しましたので、21年度の取組みとしては、新任期だけではなく、保健師全体の人材育成についての「ガイドライン」をつくろうということで取り組みました。
(PP)
 このガイドラインについてなのですが、メンバーは大阪府と市町村の統括的な立場の保健師でワーキングをつくりました。統括的な立場の方に考えてもらうことによって、全保健所であるとか、全市町村にこの人材育成という意識を高めることを波及することを狙っております。人材育成について共通認識を持って取り組むことで、府域全体の地域保健活動の資質向上を目指したということになっております。
 このガイドラインの概要については、A3の資料にお示ししているとおりです。大阪府市町村が目指す保健師像を明らかにしまして、保健師の地区活動をとても大切にしたいということで、地区活動の力量形成を柱に据えて、求められる保健師の能力、それと新任期・中堅期・管理期の到達目標、人材育成上の役割とポイントを示したものをつくっております。
(PP)
 この2年間の取組みを経て、ガイドライン、マニュアルができたということで、平成22年度からは、その具体的な実践に取り組み始めております。人材育成地域研修なのですけれども、保健所と市町村がともに地域について話し合い、情報交換することで、お互いが地域全体をとらえ、地域課題を考えることができるように、保健所単位の実施としました。取組み内容については、一応、例示は挙げたのですけれども、何に取り組むかというのは、それぞれ地域実情を考慮しながら考えてもらうことにしております。
(PP)
 ここには、人材育成研修の一事例として豊中保健所と豊中市の取組みを御紹介しております。豊中市は平成24年4月に中核市移行が決定していますので、その移行準備も踏まえて市と保健所が共同で人材育成をしております。内容については資料のとおりです。本当に頻回によくやられていたのですけれども、保健所、市町村が情報共有をして検討会を重ねるということで、地区診断をする際に広い視野を持って、地域課題が明確になるなどの成果が出たと聞いております。これが22年度の取組みで、こちらが23年度の取組みです。
(PP)
 23年度なのですが、引き続きそれぞれの保健所単位での計画実施をしていただいたのですけれども、豊中市においては、保健部門だけではなくて、福祉であるとか、教育機関にも保健師がおります。その他部門の保健師も入れての合同研究会の開催に結びついております。人材育成を市町村と話し合っている中でよく聞かれているのが、市町村では、課長というような役職ポストはあっても、他部門にいる保健師全体を統括する役割が明示されている保健師が少ないと聞いています。今回、豊中市が他部門の保健師も入れたような人材育成に取り組むきっかけになったというのは大きな成果だったのではないかと思っております。今回、豊中市は中核市移行という環境にありましたので、より保健所と連携が取りやすい状況にはあったと思いますけれども、ほか13保健所でも着々と、それぞれの地域課題解決に向けた業務検討なり、事例検討なり、研究なりということで、市町村と一緒にしているという状況です。
(PP)
 健康危機管理の取組みなのですけれども、もともと大阪府では大規模災害における保健師活動マニュアルがありました。今回、23年3月の東日本大震災のときの被災地支援なのですけれども、このときには大阪府が保健所保健師、管内市町村保健師、中核市保健師の派遣調整を一括して行っております。そんな中で、市町村からも被災地支援に行ったということで、危機管理の必要性の認識が高まった状況で、その後なのですけれども、このマニュアル改正を今、行っているのですが、完成後はそれぞれにも配付予定でもありますし、従来行っていた保健所の健康危機管理会議の活性化にもつながっているという状況を聞いております。
 それと、済みませんが、研修体系を少し見ていただけますでしょうか。
○林座長 済みません。そろそろ結論をお願いいたします。
○中構成員 研修体系のところだけ、済みません。府では、集合研修として、階層別・課題別・専門別の研修も実施しております。内容によっては府のみで行ったり、市町村や中核市、政令市も含んだ対象としているものもあります。この研修なのですが、保健師を統括するところだけではなくて、本庁の事業課であるとか、保健所、市町村、関係機関等で企画、評価を全体で行っているということ。
 それと、書いてありませんが、人材育成としては、保健所−市町村間であるとか、他部門への異動等の人事交流を含んだようなジョブローテーションもしております。それと、保健所の新任保健師が市町村の乳幼児健診に参加したりであるとか、市町村保健師が保健所事業に参加したりであるとかの体験学習、また、日々の活動の中での同伴訪問、事例検討ということで続けております。
 今後の課題を挙げさせていただいたのですけれども、保健師もいろいろな個別性が多くて、個別課題を抱えている保健師も増えているということで、個別性を考慮した一人ひとりの育成支援計画が必要ということ。それと、保健所の専門チーム性によって、プライマリーなケース対応、地域全体をとらえる力が育ちにくいので、一層、市町村との連携、育ち合う体制をつくる必要があると思っております。
 以上です。
○林座長 プレゼンターの方々、どうもありがとうございました。
 本来は20分ぐらいディスカッションの時間を設けたかったのですけれども、もうお約束の時間が来てしまいました。全くディスカッションがないというのもちょっと具合が悪いですから、済みませんが、10分ぐらい延長させていただいてよろしいでしょうか。
 このプレゼンテーションは保健師関係の話が多かったわけでございますけれども、まず、話のきっかけとして、私から2つばかり問題提起させていただいて、それをスタート地点として始めたいと思います。
 1つは、リスクコミュニケーションの問題なのですけれども、私ども科学院で研修をやっている際も、保健所の方が研修に来られたときに、住民に情報を伝えるとき、1つの大きなルートとしてマスコミを通して発表するということがあるわけでございますが、マスコミへの伝え方について、何か学習できないだろうかという話があります。恐らく、1つは、マスコミ関係者とヘルスセクターの関係者との間の人間関係も含めてあるのではないかという気もするのですけれども、どのような報道の仕方をされるのだろうか、そして、自分が仮に真摯に話をしたとしても、ちゃんと伝えてもらえるだろうかという恐れがあるような気もしますし、逆にマスコミの方は、人によって受け止め方が違うものですから、両者の健全な関係を築いていく上で、リスクコミュニケーションの在り方はどのように考えたらいいのかというのが1つです。
 それから、2番目に、プレゼンテーションを聞いた限りでは、最近でも公衆衛生学会で専門家認定とか、専門家養成の中で話が出てくるのは、技術研修の在り方というのはよくわかる。何を教わればいいという話はよくわかるのだけれども、例えば、企画、運営、そして評価、こういう能力を身につけるというのは、どういうような学習の方法があるのか。それが今、一番問題になっているのではないかという提案がございました。
 今の2点について、プレゼンテーションを踏まえて、構成員の中から御意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。大場構成員、どうぞ。
○大場構成員 リスクコミュニケーションのお話ですけれども、我々は保健分野に従事している者ですけれども、今、非常にリスクが多様化しているという関係もあって、保健分野だけではもう解決できない。例えば、私は横浜市の一区役所に勤務しておりますけれども、リスクが起きますと、総務部門、さまざまな部門とも協力し、対応するという体制を取らないと、もう対応し切れないというのが現状かと思います。大震災などがありますと、特にそうだろうなと思っております。
 私が今日、提案申し上げたいのは、リスクコミュニケーションを図る前提として、地域を支援するという視点に立ったときに、今、すべての自治体が大体そうかなと思うのですけれども、保健と医療と福祉と、生涯学習とか、まちづくりだとか、そういったところがすべて連携をして取り組まないと、これからの大きな課題、例えば、超高齢化だとか、ひとり暮らしだとか、孤独死だとか、大規模災害もそうですけれども、対応し切れない。ただ、それぞれの分野が地域支援というものに目が向いているのですけれども、今、それぞれが縦割りになっているということが1つ、問題かと思います。
 ですから、そういういろいろな分野が連携して、まちづくり支援とか、地域づくり支援というふうな教育をする場が、全国を見てもないのではないかと思うのです。そういう意味で、国立保健医療科学院が、保健医療ですけれども、もっとまちづくりの視点だとか、福祉の視点も入れた地域支援という取組みがあってもいいのかなというのが1つあります。そういうことがこのリスクコミュニケーションにも、いざとなったときにつながっていくのかなというのが1つあります。
 それと、企画と評価の部分ですけれども、行政の中で、しなければいけないポストに就くというのが1つ大きく重要かなと思っております。その視点で考えますと、保健師に調査をしましたら、管理職になりたいと思っていた人は10%しかいなかったのです。ですから、そうではなく、保健師に限らず、保健分野の職員はどんどん行政の中でポストを取っていくという意識も、実質研修、または企画とか、そういうものの必要性を感じて、そういった研修にも発展するきっかけになるのではないかと思います。
 以上です。
○林座長 前者はヘルシーシティづくりの話とちょっとつながっているかと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ、廣田構成員。
○廣田構成員 技術的なことだけではなくて、企画、運営、評価まで含め保健師だけに限らず地域保健関係職員に対し、そういう能力を育てるという意味では、現場での研修が重要だと思うのです。私の参考資料でつけたのですけれども、青森県では、県の退職した保健師が市町村の保健師と一緒に活動して事業を企画し、一緒に業務に従事しながら育てて行く方法を取っております。
 ということで、紹介させていただいたのですけれども、3年前、保健所機能を調査したときに、県レベルで地域保健関係職員の研修の現任教育のガイドライン作成や、システム化をしているのが4分の1ぐらいしかなかったのです。ですから、国は指針をきちっとつくるということが求められると思いますが、都道府県レベルで計画をつくって、市町村の保健師も含めて、また、保健師だけではなくて、関係職員も含めた研修、人材育成をやっていくことが必要なのではないかと思っています。
 さっき、大場構成員がおっしゃっていたのですけれども、超高齢化社会になってくると、域包括ケアということが非常に問題になっているのですけれども、普通の研修会をやると地域保健の保健師しか出てこられなかったりする場合があります。北海道などでは、地域包括の保健師とか、場合によっては民間の方がやっている場合もありますので、そういう人も一緒に研修ができるような体制をつくっております。
 以上です。
○林座長 多分、企画、運営能力というのは、保健師だけではなくて、本庁の方だって同じくそういう能力を要求されると思うのですけれども、いかがでしょう、吉田構成員、あるいは羽佐田構成員。
○吉田構成員 吉田です。
 先ほどポストの話がありましたけれども、私は事務職でございますが、管理職としては、やはりまちづくりとか、そういう視点を持った者がポストにつかないと回っていかなくなっているという今の自治体の現状です。そういうのがあると思いますので、そういったものも含めて公衆衛生を考えられる、実際に動ける保健師がこれから必要ではないかと思っています。
 あと、たまたま尾張旭は、さっきヘルシーシティと言いましたけれども、市川市もそうですが、WHOの健康都市連合に加盟しておりまして、ヘルシーシティという意識でやっていくというのがありまして、それは宣伝させていただきますけれども、そんなことでございます。
○林座長 ありがとうございました。
 羽佐田構成員、いかがでしょうか。
○羽佐田構成員 事例発表を見させていただいて、町村のレベルでは人数も少なくて、なかなか研修体制は確立できない状況ですが、県等の支援を受けて、その中で研修体制をつくっていきたいと思いますけれども、OJT等を活かして専門職が日ごろの活動を通じて、地域に入って感じたことを、保健師長クラス、管理職クラスが管理して、実地指導していくことが大事かなと思いました。
○林座長 ありがとうございました。
 最後に、先ほどちょっと提起させていただいたマスコミとのリスクコミュニケーションの関係について、吉川先生、いかがでしょう。
○吉川参考人 1つは、先生が御提案なさったような日常的な関係は大事なので、例えば、懇談会をお持ちになるということは大事だと思うのです。他方で、健全な在り方をどう見るかということなのですけれども、対立も必要だと私自身は考えていて、問題点を指摘する人がいるから、リスクコミュニケーションとして、全体としてはうまくいくので、懇談会は大事なのだけれども、言ったとおりのことを伝えてもらえるとは限らないという前提で動いた方が私はいいと思います。
 それと、もう一つは、リスクコミュニケーションのことをお話しすると、しばしばマスコミの話が出てくるのですけれども、そこに注目し過ぎることは、もうちょっと大事な、例えば、口コミとか、そういうパーソナルメディアをおろそかにしてしまうことにもつながるかなと思います。勿論、大事で、対応はしやすいのですけれども、もう少しマスコミ以外のことも見ていただけると大変ありがたいかなと思います。懇談会もそうなのですけれども、先ほどどなたかおっしゃったと思うのですけれども、結局、普段からの連携が、いざというときにはものを言うと思いますので、マスコミに限らず、広く所内でも、あるいは組織外でも、人間関係のネットワークをつくっていただくということは考えていただく必要が、研修としてではないかもしれないけれども、リスクコミュニケーション的には大事かなと思いました。よろしいでしょうか。
○林座長 人材育成について、対物保健の話はほとんど出てこなかったのですけれども、生活衛生課長、もしくは安全課長、何か御意見ございますか。
○堀江生活衛生課長 先ほど御紹介申し上げましたけれども、環境衛生監視員の研修を来年度から実施させていきますので、保健医療科学院の方でお願いする格好になると思います。
 あと、私ども、営業者とのおつき合いもございますけれども、団体の代表とばかりお話ししていると、ちょっと違うなということで、極力、現場の状況や意見をどうやって把握していくかというのを課題に思っております。
○滝本監視安全課長 私の方は特にございません。
○林座長 そうですか。もっと御意見賜りたかったところでございますが、多分、言い足りないこともあろうかと思いますが、もし何か御意見ございましたら、事務局に意見を寄せていただいてよろしいですか。ということで、申し訳ありませんが、時間も過ぎましたので、ここで本日の会議を終わらせていただきます。
 事務局から。
○木村大臣官房参事官 まず1点目、松?構成員説明の資料が落丁になってございましたので、先ほど、皆様方に落丁のない資料をお配りさせていただきました。どうぞこの資料を御活用いただければと思います。
 それから、次回の開催につきましては、2月の皆様方の御都合のいいところで開催させていただきたいと思いますので、日程等につきましては調整させていただき、また後日、皆様方にご連絡申し上げたいと思います。
 また、内容につきましても、いよいよ検討会のまとめの段階に近づいてきてございますので、次回につきましては、事務局から、ある一定の、今までの御議論も踏まえたものを皆様方に御提示して御議論いただくような、そういう方向で検討させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
○林座長 ありがとうございました。
 それでは、長時間、熱心な御議論ありがとうございました。散会いたします。


(了)

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